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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】致死性多能性幹細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20230607BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20230607BHJP
   C12N 5/077 20100101ALI20230607BHJP
   C12N 5/074 20100101ALI20230607BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20230607BHJP
   C12N 5/0793 20100101ALI20230607BHJP
   C12N 5/0735 20100101ALI20230607BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20230607BHJP
【FI】
C12N5/071
C12N1/00 A
C12N1/00 G
C12N5/077
C12N5/074
C12N5/0783
C12N5/0793
C12N5/0735
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567503
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 US2021030686
(87)【国際公開番号】W WO2021226112
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】63/020,247
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514149598
【氏名又は名称】アクセラレイテッド・バイオサイエンシズ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジャウ-ナン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユータ
(72)【発明者】
【氏名】リー,トニー・トゥン-イーン
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AC20
4B065BB19
4B065BB20
4B065BB40
4B065BC11
4B065CA44
(57)【要約】
栄養膜幹細胞などの胚外幹細胞からin vitroで生産される致死性多能性幹細胞、その組成物、およびその使用が、本明細書において開示される。また、in vitroで生産された致死性多能性幹細胞を、1つまたは複数の誘導剤と共に培養して、細胞集団を生産する方法も、本明細書において開示される。また、本明細書において開示される細胞およびそれから分化した細胞を利用することによって障害または状態を処置する方法も、本明細書において開示される。
【選択図】図10B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HLA-Gおよびインスリンを発現し、MPSCの培養開始から約90日以内に少なくとも89の集団倍加に達することができる、致死性多能性幹細胞(MPSC)集団。
【請求項2】
MPSCの培養開始から、約12日以内に約25~約30の集団倍加、約30日以内に約50~約55の集団倍加、および/または約63日以内に約75~約80の集団倍加に達することができる、請求項1に記載のMPSCの集団。
【請求項3】
約22~約27時間で倍加することができる、請求項1または2に記載のMPSCの集団。
【請求項4】
約25時間で倍加することができる、請求項3に記載のMPSCの集団。
【請求項5】
HLA-Gおよびインスリンを発現し、病原体を含まない、致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団。
【請求項6】
MPSCが細菌を含まない、請求項1から5のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項7】
MPSCがウイルスを含まない、請求項1から6のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項8】
MPSCがサイトメガロウイルスを含まない、請求項1から7のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項9】
MPSCが、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、ヒトアデノウイルス(HAdV)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトTリンパ向性ウイルス(HTLV)、水痘ウイルス(VZV)、コリネバクテリウム、ハンタウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、マイコプラズマ、トレポネマ、またはその任意の組合せである病原体を含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項10】
MPSCが、肝炎ウイルスを含まず、肝炎ウイルスが、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、またはその組合せを含む、請求項9に記載のMPSCの集団。
【請求項11】
MPSCが、単純ヘルペスウイルス(HSV)を含まず、単純ヘルペスウイルス(HSV)が、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV8)、またはその組合せを含む、請求項9に記載のMPSCの集団。
【請求項12】
MPSCが、ヒト免疫不全ウイルスを含まず、ヒト免疫不全ウイルスが、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV2)、またはその組合せを含む、請求項9に記載のMPSCの集団。
【請求項13】
MPSCが、ヒトパピローマウイルスを含まず、ヒトパピローマウイルスが、HPV16、HPV18、またはその組合せを含む、請求項9に記載のMPSCの集団。
【請求項14】
MPSCが、単純ヘルペスウイルスを含まず、単純ヘルペスウイルスが、単純ヘルペスウイルス(HSV1)、単純ヘルペスウイルス(HSV2)、またはその組合せを含む、請求項9に記載のMPSCの集団。
【請求項15】
MPSCが、ヒトTリンパ向性ウイルスを含まず、ヒトTリンパ向性ウイルスが、ヒトTリンパ向性ウイルス(HTLV1)、ヒトTリンパ向性ウイルス(HTLV2)、またはその組合せを含む、請求項9に記載のMPSCの集団。
【請求項16】
MPSCが、コリネバクテリウムを含まず、コリネバクテリウムが、コリネバクテリウム・ボビス、コリネバクテリウム種(HAC2)、またはその組合せを含む、請求項9に記載のMPSCの集団。
【請求項17】
MPSCが、ハンタウイルスを含まず、ハンタウイルスが、ハンターンハンタウイルス、ソウルハンタウイルス、シンノンブルハンタウイルス、またはその組合せを含む、請求項9に記載のMPSCの集団。
【請求項18】
b-HCG、HSP90、CDX2、FGFR1、pAKT、pCREB1、HLA-A、HLA-B、HLA-C、またはその任意の組合せのうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する、請求項1から17のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項19】
KIR2DL4、Flt3L、NKp46、TCR、ILT-4、CD49f、CD3、CD4、CD8、CD10、CD11b、CD14、CD16、CD19、CD34、CD38、CD44、CD56、CD90/Thy-1、CD105、CD141、CD146、CD166、CD107a、またはその任意の組合せのうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する、請求項1から18のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項20】
IL-6、IL-8、MCP-1、CLXL2、PDGF-AA、VEGF、PAI-1、IL-10、またはその任意の組合せのうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する、請求項1から19のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項21】
MPSCの少なくとも一部が、Ki-67、HSP70、p53、シンシチン、またはその組合せのうちの1つまたは複数のタンパク質を発現しない、請求項1から20のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項22】
CD44、CD90、CD105、CD146、CD166、HLA-A、HLA-B、HLA-C、またはその組合せのうちの1つまたは複数のタンパク質を発現する、請求項1から21のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項23】
MPSCの少なくとも一部が、CD19、CD45、HLA-DR、またはその組合せのうちの1つまたは複数のタンパク質を発現しない、請求項1から22のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項24】
96%を超えるMPSCが、CD19、CD45、HLA-DR、またはその組合せのうちの1つまたは複数のタンパク質を発現しない、請求項1から23のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項25】
CD16、CD56、またはその組合せを発現する、請求項1から24のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項26】
MPSCの少なくとも一部が、CD3を発現しない、請求項1から25のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項27】
96%を超えるMPSCが、CD3を発現しない、請求項1から26のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項28】
MPSCの集団の少なくとも65%が、HLA-Gを発現する、請求項1から27のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項29】
HLA-Gが、HLA-G1、HLA-G2、HLA-G3、HLA-G4、HLA-G5、HLA-G6、HLA-G7、またはその任意の組合せを含む、請求項28に記載のMPSCの集団。
【請求項30】
HLA-Gが、HLA-G2、HLA-G4、HLAG-6、HLA-G7、またはその任意の組合せを含む、請求項28または29に記載のMPSCの集団。
【請求項31】
HLA-Gが、HLAG-6、HLA-G7、またはその組合せを含む、請求項28から30のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項32】
MPSCの集団の15%未満が、HLA-G1を発現する、請求項1から31のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項33】
少なくとも10%が、単クローン性である、請求項1から32のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項34】
約13%~約15%が単クローン性である、請求項25に記載のMPSCの集団。
【請求項35】
少なくとも1x10個のMPSCを含む、請求項1から34のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項36】
MPSCが、アレイベースの全ゲノムアッセイによって測定した場合、安定な核型を有する、請求項1から35のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項37】
MPSCが、アレイベースの全ゲノムアッセイによって測定した場合、集団倍加に由来する染色体異常を示さない、請求項1から36のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項38】
MPSCが、アレイベースの全ゲノムアッセイによって測定した場合、凍結および解凍に由来する実質的な染色体異常を示さない、請求項1から37のいずれか一項に記載のMPSCの集団。
【請求項39】
致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団を増殖させる方法であって、培養培地中に約1,000~約5,000細胞/cmの密度でMPSCの継代培養物を播種するステップ、および細胞を培養するステップを含む、方法。
【請求項40】
致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団を増殖させる方法であって、培養培地中に約1,000~約5,000細胞/cmの密度でMPSCの継代培養物を播種するステップ、および細胞を培養するステップを含み、MPSCの集団が、HLA-Gおよびインスリンを発現する、方法。
【請求項41】
培養培地が、動物成分を含まない、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
培養培地が、血清を含まない、請求項39から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
培養培地が、ウシ胎仔血清を含まない、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
MPSCが、約3日間培養される、請求項39から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
MPSCが、約4日間培養される、請求項39から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
MPSCの継代培養物が、約2,000~約4,000細胞/cmの密度で播種される、請求項39から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項39から46のいずれか一項に記載の方法によって生産される、細胞の集団。
【請求項48】
請求項1から38のいずれか一項に記載のMPSCの集団と、1つまたは複数の誘導剤とを接触させるステップを含む、細胞を生産する方法。
【請求項49】
生産される細胞が、外胚葉細胞である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
生産される細胞が、中胚葉細胞である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
生産される細胞が、内胚葉細胞である、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
生産される細胞が、膵臓細胞または膵臓前駆細胞(PPC)である、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
1つまたは複数の誘導剤が、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
1つまたは複数の誘導剤が、2-メルカプトエタノールおよびニコチンアミドをさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
PPCが、β-HCG、CDX2、HLA-G、またはその任意の組合せを含む、請求項52から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
PPCが、β-HCGおよびCDX2;β-HCGおよびHLA-G;CDX2およびHLA-G;またはHCG、CDX2、およびHLA-Gを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
PPCが、PDX1、FOXA2、SOX9、またはその任意の組合せをさらに含む、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
生産される細胞が、神経細胞(NCS)または神経前駆細胞である、請求項48に記載の方法。
【請求項59】
1つまたは複数の誘導剤が、レチノイン酸を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
NCS細胞が、RAR-β、CDX2、HLA-G、またはその任意の組合せを含む、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
NCS細胞が、RAR-βおよびCDX2;RAR-βおよびHLA-G;CDX2およびHLA-G;またはRAR-β、CDX2およびHLA-Gを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
NCS細胞が、N-CAD、NESTIN、SOX2、PAX6、またはその任意の組合せをさらに含む、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
生産される細胞が、肝細胞または肝前駆細胞である、請求項48に記載の方法。
【請求項64】
1つまたは複数の誘導剤が、線維芽細胞増殖因子(FGF)、ステロイド、およびサイトカインを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
生産される細胞がナチュラルキラー細胞であり、誘導剤がFGFである、請求項48に記載の方法。
【請求項66】
ナチュラルキラー細胞が、CD16+、CD56+、およびCD3-である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
ナチュラルキラー細胞がさらに、HLA-G+およびCDX2+である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
生産される細胞が、脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞、またはその任意の組合せを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項69】
生産される細胞が、脂肪細胞および軟骨細胞を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
生産される細胞が、脂肪細胞および骨細胞を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
生産される細胞が、軟骨細胞および骨細胞を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
生産される細胞が、脂肪細胞、軟骨細胞、および骨細胞を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
生産される細胞が、脂肪細胞を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
脂肪細胞が、レプチン、HOXC8、HOXC9、Ucp1、CIDEA、PRDM16、Zic1、Lhx8、Eva1、Epsti1、Cd137、Tmem26、Tbx1、Cited1、Shox2、アミノ酸輸送因子ASC-1、アミノ酸輸送因子PAT2、プリン作動性受容体P2RX5、ATGL、CAV1、FABP4、COX4、LMNB1、またはその組合せを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項75】
脂肪細胞が、白色脂肪細胞を含む、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
白色脂肪細胞が、レプチン、HOXC8、HOXC9、またはその組合せを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
脂肪細胞が、褐色脂肪細胞を含む、請求項73または74に記載の方法。
【請求項78】
褐色脂肪細胞が、Ucp1、CIDEA、PRDM16、Zic1、Lhx8、Eva1、Epsti1、またはその組合せを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
脂肪細胞が、ベージュ脂肪細胞を含む、請求項73または74に記載の方法。
【請求項80】
ベージュ脂肪細胞が、Cd137、Tmem26、Tbx1、Cited1、Shox2、またはその組合せを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
脂肪細胞が、ベージュ脂肪細胞前駆体を含む、請求項73または74に記載の方法。
【請求項82】
ベージュ脂肪細胞前駆体が、CD137、TMEM26、またはその組合せを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
生産される細胞が、軟骨細胞を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項84】
軟骨細胞が、アネキシンA6、CD44、CD151、ITM2A、FAM20B、FoxC1、FoxC2、SOX5、SOX6、SOX9、アグリカン、カテプシンB、CHADL、コンドロアドヘリン、コラーゲンII、コラーゲンIV、CRTAC1、DSPG3、IBSP/シアロタンパク質II、マトリリン-1、マトリリン-3、マトリリン-4、MIA、オトラプリン/OTOR、URB、またはその組合せを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
生産される細胞が、骨細胞を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項86】
骨細胞が、前骨芽細胞、骨芽細胞、包埋骨芽細胞、類骨骨細胞、骨石灰化骨細胞、または成熟骨細胞を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
骨細胞が、RUNX2、OCN、E11、DMP1、PHEX、MEPE、スクレロスチン、CapG、ORP150、またはその組合せを含む、請求項85または86に記載の方法。
【請求項88】
骨細胞が前骨芽細胞を含み、前骨芽細胞がRUNX2を含む、請求項85または86に記載の方法。
【請求項89】
骨細胞が前骨芽細胞を含み、前骨芽細胞がRUNX2を含む、請求項85または86に記載の方法。
【請求項90】
骨細胞が骨芽細胞を含み、骨芽細胞がRUNX2およびOCNを含む、請求項85または86に記載の方法。
【請求項91】
骨細胞が包埋骨芽細胞を含み、包埋骨芽細胞がOCN、E11、DMP1、PHEX、およびCapGを含む、請求項vに記載の方法。
【請求項92】
骨細胞が類骨骨細胞または骨石灰化骨細胞を含み、類骨骨細胞または骨石灰化骨細胞が、OCN、E11、DMP1、PHEX、MEPE、およびCapGを含む、請求項85または86に記載の方法。
【請求項93】
骨細胞が成熟骨細胞を含み、成熟骨細胞がDMP1、PHEX、MPEP、スクレロスチン、CapG、およびORP150を含む、請求項85または86に記載の方法。
【請求項94】
HLA-Gを発現し、インドールアミン2-3デオキシゲナーゼ(IDO)分泌について陰性、キヌレニン分泌について陰性、およびインターロイキン2(IL-2)分泌について陽性のうちの1つまたは複数を含む表現型を含む、致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団。
【請求項95】
インドールアミン2-3デオキシゲナーゼ(IDO)分泌について陰性、キヌレニン分泌について陰性、およびインターロイキン2(IL-2)分泌について陽性の表現型を含む、請求項94に記載のMPSCの集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本出願は、2020年5月5日に出願された米国仮特許出願第63/020,247号の利益を請求し、その出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]現行の胚性幹細胞およびiPS細胞のある特定の欠点を克服するための代替手段として、様々な疾患または状態を処置するための新規幹細胞が必要である。
【0003】
参照による組込み
[0003]本明細書に記載の全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個別的に参照により組み込まれると示されたのと同程度まで参照により本明細書に組み込まれる。本明細書の用語と、組み込まれる参考文献中の用語との間に矛盾が存在する場合、本明細書の用語が統制する。
【発明の概要】
【0004】
[0004]発明の概要に提供される本発明の実施形態は、例示目的に過ぎず、本明細書において開示される選択的実施形態の概観を提供することを意味する。例示的かつ選択的である、発明の概要は、特許請求の範囲を制限せず、本明細書において開示される、または企図される本発明の実施形態の範囲全体を提供せず、本開示の範囲または特許請求される本発明の実施形態を制限または拘束すると解釈されるべきではない。
【0005】
[0005]多くの態様の一部では、HLA-Gおよびインスリンを発現し、MPSCの培養開始から90日以内に最大で少なくとも89の集団倍加に達することができる、致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団が本明細書において開示される。一部の例では、MPSCの集団は、MPSCの培養開始から90日以内に約89~約100の集団倍加に達することができる。一部の例では、MPSCの集団は、MPSCの培養開始から、約12日以内に約25~約30の集団倍加、約30日以内に約50~約55の集団倍加、および/または約63日以内に約75~約80の集団倍加に達することができる。一部の例では、MPSCの集団は、約22~約27時間、例えば、約25時間で倍加することができる。一部の態様では、HLA-Gおよびインスリンを発現し、病原体を含まない、致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団が本明細書において開示される。
【0006】
[0006]一部の場合、本明細書において開示されるMPSCは、病原体を含まない。一部の例では、MPSCは、細菌を含まない。一部の例では、MPSCは、ウイルス、例えば、サイトメガロウイルスを含まない。一部の例では、MPSCは、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HAdV(ヒトアデノウイルス)、HCMV(ヒトサイトメガロウイルス)、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎、B型肝炎、および/またはC型肝炎)、ヒトヘルペスウイルス(例えば、HHV6(ヒトヘルペスウイルス6型)および/またはHHV8(ヒトヘルペスウイルス8型))、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV1(ヒト免疫不全ウイルス1型)、HIV2(ヒト免疫不全ウイルス2型))、ヒトパピローマウイルス(例えば、HPV16、HPV18など)、単純ヘルペスウイルス(例えば、HSV1(単純ヘルペス1型)、HSV2(単純ヘルペス2型)など)、ヒトTリンパ向性ウイルス(例えば、HTLV1(ヒトTリンパ向性ウイルス1型)、HTLV2(ヒトTリンパ向性ウイルス2型)など)、VZV(水痘ウイルス)、コリネバクテリウム・ボビス(Corynebacterium bovis)、コリネバクテリウム種(Corynebacterium sp.)(HAC2)、ハンタウイルス(例えば、ハンターン、ソウル、またはシンノンブル)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、マイコプラズマ種(Mycoplasma sp.)、トレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)、ならびにその任意の組合せからなる群から選択される病原体を含まない。
【0007】
[0007]一部の例では、本明細書において開示されるMPSC、またはMPSCを含む集団は、ベータヒト絨毛性ゴナドトロピン(b-HCG)、熱ショックタンパク質90(HSP90)、尾型ホメオボックス2(CDX2)、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)、pAKT、pCREB1(CAMP応答エレメント結合タンパク質1)、ヒトリンパ球抗原A(HLA-A)、HLA-B、またはHLA-Cのうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する。一部の例では、MPSCの集団は、キラー細胞免疫グロブリン様受容体4(KIR2DL4)、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3L)、NKp46、T細胞受容体(TCR)、免疫グロブリン様転写物4(ILT-4)、CD49f、CD3、CD4、CD8、CD10、CD11b、CD14、CD16、CD19、CD34、CD38、CD44、CD56、CD90/Thy-1、CD105、CD141、CD146、CD166、またはCD107aのうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する。一部の例では、MPSCの集団は、インターロイキン6(IL-6)、IL-8、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、CLXL2、血小板由来増殖因子AA(PDGF-AA)、血管内皮増殖因子(VEGF)、プラスミノゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)、またはIL-10のうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する。一部の例では、MPSCの少なくとも一部は、Ki-67、熱ショックタンパク質70(HSP70)、p53、またはシンシチンのうちの1つまたは複数のタンパク質を発現しない。一部の例では、MPSCの集団(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%)は、CD44、CD90、CD105、CD146、CD166、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cのうちの1つまたは複数のタンパク質を発現する。一部の例では、MPSCの少なくとも一部は、CD19、CD45、またはHLA-DRの1つまたは複数のタンパク質を発現しない。一部の例では、96%、97%、98%または99%を超えるMPSCが、CD19、CD45、またはHLA-DRのうちの1つまたは複数のタンパク質を発現しない。一部の例では、MPSCの集団は、CD16またはCD56またはその組合せのうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する。一部の例では、MPSCの少なくとも一部は、CD3を発現しない。一部の例では、96%、97%、98%または99%を超えるMPSCが、CD3を発現しない。一部の例では、MPSCの集団の少なくとも65%または少なくとも70%が、HLA-Gを発現する。一部の例では、HLA-Gは、HLA-G1、HLA-G2、HLA-G3、HLA-G4、HLA-G5、HLA-G6、もしくはHLA-G7、またはその任意の組合せを含む。一部の例では、HLA-Gは、HLA-G2、HLA-G4、HLA-G6、もしくはHLA-G7、またはその任意の組合せを含む。一部の例では、HLA-Gは、HLA-G6、もしくはHLA-G7、またはその組合せを含む。一部の例では、MPSCの集団の15%未満(例えば、10%未満)が、HLA-G1を発現する。
【0008】
[0008]一部の例では、本明細書において開示されるMPSCの集団の少なくとも10%が、単クローン性である。一部の例では、MPSCの集団の約13%~約15%が、単クローン性である。一部の例では、少なくとも約1x10個のMPSCが、集団中に存在する。一部の例では、MPSCは、アレイベースの全ゲノムアッセイによって測定した場合、安定な核型を有する。一部の例では、MPSCは、アレイベースの全ゲノムアッセイによって測定した場合、集団倍加に由来する染色体異常を経験しない。一部の例では、MPSCは、アレイベースの全ゲノムアッセイによって測定した場合、凍結および解凍に由来する実質的な染色体異常を経験しない。
【0009】
[0009]一部の場合、本開示は、本明細書において開示されるMPSCの集団を増殖させる方法であって、培養培地中に約1,000~約5,000細胞/cmの密度でMPSCの継代培養物を播種するステップ、および細胞を培養するステップを含む、方法を提供する。
【0010】
[0010]一部の態様では、致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団を増殖させる方法であって、培養培地中に約1,000~約5,000細胞/cmの密度でMPSCの継代培養物を播種するステップ、および細胞を培養するステップを含み、MPSCの集団が、HLA-Gおよびインスリンを発現する、方法が本明細書において開示される。一部の例では、培養培地は、動物成分を含まない。一部の例では、培養培地は、血清、例えば、ウシ胎仔血清を含まない。一部の例では、細胞は、3日間培養される。一部の例では、細胞は、4日間培養される。一部の例では、MPSCは、約2,000~約4,000細胞/cmの密度で播種される。
【0011】
[0011]一部の態様では、本明細書において開示されるMPSCの集団と、1つまたは複数の誘導剤とを接触させるステップを含む、細胞を生産する方法が本明細書において開示される。生産される細胞は、外胚葉細胞を含んでもよい。生産される細胞は、中胚葉細胞を含んでもよい。生産される細胞は、内胚葉細胞を含んでもよい。生産される細胞は、膵臓細胞または膵臓前駆細胞を含んでもよく、必要に応じて、誘導剤は、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)を含み、2-メルカプトエタノールおよびニコチンアミドをさらに含んでもよい。一実施形態では、PPCは、β-HCG、CDX2、HLA-G、またはその任意の組合せを含む。一部の例では、PPCは、β-HCGおよびCDX2;β-HCGおよびHLA-G;CDX2およびHLA-G;またはHCG、CDX2、およびHLA-Gを含む。必要に応じて、一部の例では、PPCは、PDX1、FOXA2、SOX9、またはその任意の組合せをさらに含む。生産される細胞は、神経細胞または神経前駆細胞を含んでもよく、必要に応じて、誘導剤は、レチノイン酸を含む。一実施形態では、NCS細胞は、レチノイン酸受容体ベータ(RAR-β)、CDX2、HLA-G、またはその任意の組合せを含む。一部の例では、NCS細胞は、RAR-βおよびCDX2;RAR-βおよびHLA-G;CDX2およびHLA-G;またはRAR-β、CDX2、およびHLA-Gを含む。必要に応じて、一部の例では、PPCは、N-CAD、神経上皮幹細胞タンパク質(NESTIN)、SRY(性決定領域Y)ボックス2(SOX2)、ペアードボックス6(PAX6)、またはその任意の組合せをさらに含む。生産される細胞は、肝細胞または肝前駆細胞を含んでもよく、必要に応じて、誘導剤は、FGF2などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、デキサメタゾンなどのステロイド、およびオンコスタチンMなどのサイトカインを含み、骨形成タンパク質(BMP)、例えば、BMP4、および/または肝増殖因子をさらに含んでもよい。一部の例では、FGFは、FGFR1に結合し、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF8、FGF10、FGF17、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22、またはFGF23である。一部の例では、ステロイドは、糖質コルチコイドステロイド、例えば、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、またはトリアムシノロンである。一部の例では、サイトカインは、インターロイキン6(IL-6)群のサイトカイン、例えば、オンコスタチンM、例えば、ヒトオンコスタチンM、IL-6、インターロイキン-11、白血病抑制因子(LIF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、カルジオトロフィン-1(CT-1)、およびカルジオトロフィン様サイトカイン(CLC)である。生産される細胞は、ナチュラルキラー細胞を含んでもよく、誘導剤は、FGF、例えば、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF8、FGF10、FGF17、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22、またはFGF23を含む。一実施形態では、ナチュラルキラー細胞は、CD16+、CD56+、およびCD3-である。一部の例では、ナチュラルキラー細胞は、さらにHLA-G+およびCDX2+である。
【0012】
[0012]生産される細胞は、脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞、またはその任意の組合せを含んでもよい。一実施形態では、生産される細胞は、脂肪細胞および軟骨細胞を含む。別の実施形態では、生産される細胞は、脂肪細胞および骨細胞を含む。別の実施形態では、生産される細胞は、軟骨細胞および骨細胞を含む。別の実施形態では、生産される細胞は、脂肪細胞、軟骨細胞、および骨細胞を含む。
【0013】
[0013]別の実施形態では、生産される細胞は、脂肪細胞を含む。脂肪細胞は、レプチン、ホメオボックスC8(HOXC8)、ホメオボックスC9(HOXC9)、脱共役タンパク質1(Ucp1)、細胞死誘導DFFA様エフェクターA(CIDEA)、PRドメイン含有16(PRDM16)、Zicファミリーメンバー1(Zic1)、LIMホメオボックス8(Lhx8)、Eva1、上皮間質相互作用1(Epsti1)、Cd137、膜貫通タンパク質26(Tmem26)、Tボックス転写因子1(Tbx1)、Glu/Aspリッチカルボキシ末端ドメイン1を有するCbp/P300相互作用トランス活性化因子(Cited1)、低身長ホメオボックス2(Shox2)、アミノ酸輸送因子ASC-1、アミノ酸輸送因子PAT2、プリン作動性受容体P2RX5、脂肪細胞トリグリセリドリパーゼ(ATGL)、カベオリン1(CAV1)、脂肪酸結合タンパク質4(FABP4)、シトクロムcオキシダーゼサブユニット4(COX4)、ラミンB1(LMNB1)、またはその組合せを含んでもよい。一例では、脂肪細胞は、白色脂肪細胞を含み、白色脂肪細胞は、レプチン、HOXC8、HOXC9、またはその組合せを含む。別の例では、脂肪細胞は、褐色脂肪細胞を含み、褐色脂肪細胞は、Ucp1、CIDEA、PRDM16、Zic1、Lhx8、Eva1、Epsti1、またはその組合せを含む。別の例では、脂肪細胞は、ベージュ脂肪細胞を含み、ベージュ脂肪細胞は、Cd137、Tmem26、Tbx1、Cited1、Shox2、またはその組合せを含む。別の例では、脂肪細胞は、ベージュ脂肪細胞前駆体を含み、ベージュ脂肪細胞前駆体は、CD137、TMEM26、またはその組合せを含む。
【0014】
[0014]別の実施形態では、生産される細胞は、軟骨細胞を含む。軟骨細胞は、アネキシンA6、CD44、CD151、ITM2A、配列類似性を有するファミリーのメンバー20-B(FAM20B)、フォークヘッドボックスC1(FoxC1)、FoxC2、SOX5、SOX6、SOX9、アグリカン、カテプシンB、コンドロアドヘリン様(CHADL)、コンドロアドヘリン、コラーゲンII、コラーゲンIV、軟骨酸性タンパク質1(CRTAC1)、デルマタン硫酸プロテオグリカン3(DSPG3)、インテグリン結合シアロタンパク質(IBSP)/シアロタンパク質II、マトリリン-1、マトリリン-3、マトリリン-4、MIA、オトラプリン/OTOR、URB、またはその組合せを含んでもよい。
【0015】
[0015]別の実施形態では、生産される細胞は、骨細胞を含む。骨細胞は、前骨芽細胞、骨芽細胞、包埋骨芽細胞、類骨骨芽細胞、骨石灰化骨細胞、または成熟骨細胞を含んでもよい。骨細胞は、RUNXファミリー転写因子2(RUNX2)、オステオカルシン(OCN)、E11、デンチンマトリックス酸性ホスホタンパク質1(DMP1)、リン酸調節性エンドペプチダーゼホモログX連鎖(PHE)X、マトリックス細胞外ホスホ糖タンパク質(MEPE)、スクレロスチン、キャッピングアクチンタンパク質、ゲルソリン様タンパク質(CapG)、ORP150、またはその組合せを含んでもよい。一例では、骨細胞は、前骨芽細胞を含み、前骨芽細胞は、RUNX2を含む。別の例では、骨細胞は、前骨芽細胞を含み、前骨芽細胞は、RUNX2を含む。別の例では、骨細胞は、骨芽細胞を含み、骨芽細胞は、RUNX2およびOCNを含む。別の例では、骨細胞は、包埋骨芽細胞を含み、包埋骨芽細胞は、OCN、E11、DMP1、PHEX、およびCapGを含む。別の例では、骨細胞は、類骨骨細胞または骨石灰化骨細胞を含み、類骨骨細胞または骨石灰化骨細胞は、OCN、E11、DMP1、PHEX、MEPE、およびCapGを含む。別の例では、骨細胞は、成熟骨細胞を含み、成熟骨細胞は、DMP1、PHEX、MPEP、スクレロスチン、CapG、およびORP150を含む。
【0016】
[0016]別の態様では、HLA-Gを発現し、インドールアミン2-3デオキシゲナーゼ(IDO)分泌について陰性、キヌレニン分泌について陰性、およびインターロイキン2(IL-2)分泌について陽性のうちの1つまたは複数を含む表現型を含む、致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団が本明細書において開示される。一例では、MPSCの集団は、インドールアミン2-3デオキシゲナーゼ(IDO)分泌について陰性、キヌレニン分泌について陰性、およびインターロイキン2(IL-2)分泌について陽性の表現型を含む。
【0017】
[0017]そのような態様、実施形態、および/または例のいずれかにおいて、本発明者らは、幹細胞が免疫特権を有し、染色体的に安定であり(腫瘍形成性ではない)、病原体を含まず、多能性であることを証明した。本発明者らはまた、顕著な倍加時間および増殖特性と共に、その幹細胞の、プログラムされたナチュラルキラー(NK)、軟骨、骨、脂肪、ニューロン、膵臓、肝臓、およびセクレトーム細胞への効率的な分化も証明した。
【0018】
図面の簡単な説明
[0018]本発明の様々な態様は、特に、添付の特許請求の範囲と共に記載される。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理を利用する、例示的実施形態を記載する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】[0019]図1は、90日の時間枠における集団倍加によって測定されたMPSCの3日増殖曲線を示す折れ線グラフである。
図2-1】[0020]図2A~2Dは、異なる集団倍加での4つの異なるMPSC試料のKARYOSTAT(商標)分析の全ゲノムビューを示す。図2Aは、16.5の集団倍加に由来するMPSC試料である。図2Bは、44.5の集団倍加に由来するMPSC試料である。図2Cは、62.6の集団倍加に由来するMPSC試料である。図2Dは、71.5の集団倍加に由来するMPSC試料である。
図2-2】図2-1の説明と同じ。
図3】[0021]図3は、HLA-Gアイソタイプについて染色されたMPSCのフローサイトメトリー分析を示す。
図4】[0022]図4は、HLA-Gアイソタイプについて4H84抗体で、および対照についてマウスIgG1で染色されたMPSCのフローサイトメトリー分析を示す。
図5A】[0023]図5A~5Dは、特定の分子バイオマーカーを発現することによるMPSCの特性評価を示す。MPSCは、β-hCG、HLA-G、HSP90、およびCDX2などの分子バイオマーカーを発現する(図5A)が、ki67、シンシチン、HSP70、p53などの一部については陰性である(図5B)。(図5C)MPSCは、FACS分析により、アイソタイプ対照および非染色細胞と比較して、HLA-A、B、C(左パネル)ならびに4H84抗体により検出される表面および可溶性HLA-G(右パネル)を発現する。(図5D)細胞表面および細胞内と比較した、細胞表面でのMPSC中のHLA-Gアイソフォームの代表的なFACS分析。
図5B図5Aの説明と同じ。
図5C図5Aの説明と同じ。
図5D図5Aの説明と同じ。
図6A】[0024]図6A~6Gは、MPSC中での免疫細胞の分子バイオマーカーの発現を示す。イメージングまたはFACS分析により、MPSCは、NK細胞(図6A)、T細胞(図6B)、樹状細胞(図6Cおよび図6D)、マクロファージ(図6E)、および幹細胞前駆体(図6Fおよび図6G)の様々な分子バイオマーカーを発現する。特定のバイオマーカーが、イメージまたはプロット上に示される。
図6B図6Aの説明と同じ。
図6C図6Aの説明と同じ。
図6D図6Aの説明と同じ。
図6E図6Aの説明と同じ。
図6F図6Aの説明と同じ。
図6G図6Aの説明と同じ。
図7】[0025]図7は、33回の継代にわたるMPSC1(上向き三角;上の線)、MPSC2(四角)、MPSC3(下向き三角)、およびMPSC4(丸)の例示的増殖曲線を提供する。
図8A】[0026]図8Aは、IDO分泌アッセイの標準曲線を示す。
図8B】[0027]図8Bは、対照と比較した、種々の濃度のIFN-γ刺激での3つの細胞系のIDO分泌の結果を示す。このデータは、対照と比較してIDO分泌に対する効果がないことを示す「陰性」である。
図9A】[0028]図9Aは、キヌレニン分泌アッセイの標準曲線を示す。
図9B】[0029]図9Bは、対照および培地のみと比較した、24、48、および72時間での3つの異なる濃度のキヌレニン分泌に対するIFN-γ刺激の効果の結果を示す。このデータは、対照と比較してキヌレニン分泌に対する効果がないことを示す「陰性」である。
図10A】[0030]図10Aは、IL-2分泌アッセイの標準曲線を示す。
図10B】[0031]図10Bは、対照および培地のみと比較した、24、48、および72時間での3つの異なる濃度のIL-2分泌に対するIFN-γ刺激の効果の結果を示す。このデータは、細胞が対照と比較してIL-2分泌を増加させることを示す「陽性」である。
図10C】[0032]図10Cは、対照と比較した、24時間の同時培養での約3000細胞/cmのMPSC播種密度の効果を示す。用量依存的増加が観察された。
図10D】[0033]図10Dは、対照と比較した、24時間の同時培養での約2000細胞/cmのMPSC播種密度の効果を示す。用量依存的増加が観察された。
図10E】[0034]図10Eは、対照と比較した、48時間の同時培養での約3000細胞/cmのMPSC播種密度の効果を示す。用量依存的増加が観察された。
図10F】[0035]図10Fは、対照と比較した、48時間の同時培養での約2000細胞/cmのMPSC播種密度の効果を示す。用量依存的増加が観察された。MPSCは、活性化Jurkat細胞により、IL-2分泌を、減少させるよりもむしろ、増加させた。
図11A】[0036]図11Aは、72時間での細胞数を示すグラフである。それぞれのバーにおいて、死細胞は上に示され、生細胞は下に示される。
図11B】[0037]図11Bは、それぞれの型の培地中での集団倍加を示すグラフである。
図12A】[0038]図12Aは、異なる培養日数上での細胞計数を示すグラフである。ΔD2-D6=44,000,000細胞である。
図12B】[0039]図12Bは、培養中の生細胞(%)を示すグラフである。
図12C】[0040]図12Cは、接着培養対懸濁培養を比較する集団倍加を示すグラフである。ΔD2-D6=4.9PDである。接着培養は懸濁培養よりも最初は速く倍加したが、時間と共に、懸濁培養がより速い速度の集団倍加を達成した。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0041]in vitroで生産された新規で独特の致死性多能性幹細胞(MPSC)、その組成物、および様々な表現型の分化した細胞(例えば、膵臓、神経、肝臓、免疫調節、もしくはナチュラルキラー細胞表現型)の生成または障害(例えば、糖尿病、神経消失もしくは変性、肝疾患、がん、炎症、ウイルス感染、もしくは自己免疫疾患)の処置または状態(例えば、皮膚状態)の改善におけるその使用が、本明細書において開示される。MPSCは、以前の栄養膜幹細胞とは異なるものであり、限定されるものではないが、速く、拡張性のある集団倍加;病原体を含まないプロファイルを示したこと;高い免疫特権を有し、移植に適すること;優れた染色体安定性を有すること、例えば、少なくとも71の集団倍加まで安定な核型を保有すること;ならびにサイトカイン、ケモカイン、およびエキソソームに富むロバストなセクレトームを産生することなどの利点を有する。MPSCは、胚性幹細胞とは異なるものであり、倫理的に調達および培養される。MPSCは致死性(例えば、有限の増殖能力を有する)であるが、それらは、胚性幹細胞およびiPS細胞よりもはるかに速く集団倍加に達することができる。胎盤、臍帯、または骨髄に由来する細胞と違って、MPSCは、多能性であり、人間を形成する3つの主な細胞群:外胚葉(皮膚、ニューロン、および神経系を生じさせる)、内胚葉(胃腸管および呼吸器、内分泌腺、肝臓または肝細胞様細胞、および膵臓または膵臓細胞を形成する)、ならびに中胚葉(骨(骨細胞)、脂肪、軟骨(軟骨細胞)、循環系の多く、筋肉、結合組織、免疫細胞などを形成する)に分化または成熟することができる。さらに、MPSCは、免疫能力のあるラットの試験において示されるように、非腫瘍形成性であり、例えば、腫瘍または奇形腫を誘導しない。
【0021】
[0042]1つまたは複数の本発明の実施形態の詳細は、添付の図面、特許請求の範囲、および本明細書の説明に記載される。本明細書において開示され、企図される本発明の実施形態の他の特徴、目的、および利点は、明示的に除外されない限り、任意の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0022】
[0043]別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、特許請求される主題が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。前記の一般的説明および以下の詳細な説明は、例示および説明に過ぎず、特許請求される任意の主題の限定ではないことが理解されるべきである。本出願において、単数形の使用は、別途具体的に記述しない限り、複数形を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、本文が別途明確に記述しない限り、複数の指示対象を含むことに留意する必要がある。本出願では、「または」の使用は、別途記述しない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含む(including)」ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」および「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的ではない。
【0023】
[0044]本明細書で使用される場合、範囲および量は、特定の値または範囲に「約」を付けて表すことができ、例えば、参照される数値の±15%を意味する。また、「約」は、正確な量も含み、例えば、「約5μL」は、「約5μL」と、「5μL」も意味する。一般に、用語「約」は、実験誤差の範囲内にあると予想される量を含む。
【0024】
[0045]本明細書で使用される場合、用語「処置すること」、「処置」などは、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。一部の例では、個体(例えば、肝臓関連疾患または障害に罹患している、および/または遺伝的にその素因があることが疑われる個体)は、本明細書に記載の細胞の調製物を用いて予防的に処置され、そのような予防的処置は、肝臓関連疾患もしくは障害またはその兆候もしくは症状を完全に、または部分的に防止する。一部の例では、個体は、治療的に処置され(例えば、個体が肝臓関連疾患または障害に罹患している場合)、そのような治療的処置は、疾患もしくは障害の部分的もしくは完全な治癒を引き起こす、および/または疾患もしくは障害に起因する有害効果を逆転させる、および/または疾患もしくは障害を安定化させる、および/または疾患もしくは障害の進行を遅延させる、および/または疾患もしくは障害の退縮を引き起こす。
【0025】
[0046]処置を必要とする領域への本明細書において開示される細胞の投与(例えば、移植)は、例えば、限定されるものではないが、外科手術中の局部輸注により、注射により、カテーテルにより、または埋込み体により達成され、前記埋込み体は、シアラスティック(Sialastic)膜、または繊維などの膜を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状物質のものである。
【0026】
[0047]哺乳動物中に組成物を「移植すること」は、当業界で確立された任意の方法によって哺乳動物の身体中に組成物を導入することを指す。導入される組成物は、「移植片」であり、哺乳動物は、「レシピエント」である。移植片およびレシピエントは、同系、同種異系または異種であってもよい。さらに、移植は、自家移植であってもよい。
【0027】
[0048]細胞または細胞集団に関連して使用される場合、用語「単離された」とは、細胞または細胞集団が由来し得る宿主生物から分離され、宿主生物中に存在しない細胞または細胞集団の状態を指す。一部の例では、単離された細胞は、同じ宿主生物から単離されるか、またはそれに由来する他の細胞と接触される。一部の例では、単離された細胞は、他の任意の細胞から精製および分離される。一部の例では、単離された細胞は、幹細胞からin vitroで誘導される。
【0028】
[0049]「有効量」は、意図される目的を達成するのに十分な治療剤の量である。障害を処置する、または改善するための組成物の有効量は、障害の症状を低減させる、または除去するのに十分な組成物の量である。
【0029】
[0050]本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成のみを目的とするものであり、記載される主題を限定すると解釈されるべきではない。
【0030】
細胞および組成物
[0051]多くの態様の一部では、HLA-Gおよびインスリンを発現し、MPSCの培養開始から90日以内に最大で少なくとも89の集団倍加に達することができる、致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団が本明細書において開示される。一部の例では、MPSCの集団は、MPSCの培養開始から90日以内に最大で少なくとも89~100の集団倍加に達することができる。一部の例では、MPSCの集団は、MPSCの培養開始から、約12日以内に約25~約30の集団倍加、約30日以内に約50~約55の集団倍加、および/または約63日以内に約75~約80の集団倍加に達することができる。一部の例では、MPSCの集団は、約22~約27時間、例えば、約25時間で倍加することができる。一部の態様では、HLA-Gおよびインスリンを発現し、病原体を含まない、致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団が、本明細書において開示される。一部の例では、MPSCは、p53、シンシチン、Ki67、熱ショックタンパク質70(HSP70)、またはその任意の組合せの発現を欠く。一部の例では、MPSCは、ヒト細胞である。一部の例では、MPSCは、げっ歯類、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、サル、または類人猿を起源とする、またはそれに由来する。
【0031】
[0052]別の態様では、HLA-Gを発現し、インドールアミン2-3デオキシゲナーゼ(IDO)分泌について陰性、キヌレニン分泌について陰性、およびインターロイキン2(IL-2)分泌について陽性のうちの1つまたは複数を含む表現型を含む、致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団が本明細書において開示される。一例では、MPSCの集団は、インドールアミン2-3デオキシゲナーゼ(IDO)分泌について陰性、キヌレニン分泌について陰性、およびインターロイキン2(IL-2)分泌について陽性の表現型を含む。この表現型は、当業者がMPSCについて予想したであろうものとは反対である。表面表現型マーカーによっては、細胞は間葉系幹細胞のように見えるが、それらは機能的には異なるように振る舞う。
【0032】
[0053]一部の場合、本明細書において開示されるMPSCは、病原体を含まない。一部の例では、MPSCは、細菌を含まない。一部の例では、MPSCは、ウイルス、例えば、サイトメガロウイルスを含まない。一部の例では、MPSCは、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HAdV(ヒトアデノウイルス)、HCMV(ヒトサイトメガロウイルス)、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎)、ヘルペスウイルス(例えば、HHV6(ヒトヘルペスウイルス6型)、HHV8(ヒトヘルペスウイルス8型)など)、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV1(ヒト免疫不全ウイルス1型)、HIV2(ヒト免疫不全ウイルス2型))、ヒトパピローマウイルス(HPV;例えば、HPV16、HPV18など)、単純ヘルペスウイルス(例えば、HSV1(単純ヘルペス1型)、HSV2(単純ヘルペス2型))、ヒトTリンパ向性ウイルス(例えば、HTLV1(ヒトTリンパ向性ウイルス1型)、HTLV2(ヒトTリンパ向性ウイルス2型))、水痘ウイルス(VZV)、コリネバクテリウム・ボビス、コリネバクテリウム種(HAC2)、ハンタウイルス(例えば、ハンターン、ソウル、またはシンノンブル)、LCMV(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)、マイコプラズマ種、トレポネマ・パリダム、サイトメガロウイルス(CMV)、およびそれらの組合せからなる群から選択される病原体を含まない。
【0033】
[0054]一部の例では、本明細書において開示されるMPSC、またはMPSCを含む集団は、b-HCG、HSP90、CDX2、FGFR1、pAKT、pCREB1、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cのうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する。一部の例では、MPSCの集団は、KIR2DL4、Flt3L、NKp46、TCR、ILT-4、CD49f、CD3、CD4、CD8、CD10、CD11b、CD14、CD16、CD19、CD34、CD38、CD44、CD56、CD90/Thy-1、CD105、CD141、CD146、CD166、またはCD107aのうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する。一部の例では、MPSCの集団は、IL-6、IL-8、MCP-1、CLXL2、PDGF-AA、VEGF、PAI-1、またはIL-10のうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する。一部の例では、MPSCの少なくとも一部は、Ki-67、HSP70、p53、またはシンシチンのうちの1つまたは複数のタンパク質を発現しない。一部の例では、MPSCの集団(例えば、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%)は、CD44、CD90、CD105、CD146、CD166、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cのうちの1つまたは複数のタンパク質を発現する。一部の例では、MPSCの少なくとも一部は、CD19、CD45、またはHLA-DRの1つまたは複数のタンパク質を発現しない。一部の例では、96%、97%、98%または99%を超えるMPSCが、CD19、CD45、またはHLA-DRのうちの1つまたは複数のタンパク質を発現しない。一部の例では、MPSCの集団は、CD16またはCD56またはその組合せのうちの1つまたは複数のタンパク質をさらに発現する。一部の例では、MPSCの少なくとも一部は、CD3を発現しない。一部の例では、96%、97%、98%または99%を超えるMPSCが、CD3を発現しない。一部の例では、MPSCの集団の少なくとも65%または少なくとも70%が、HLA-Gを発現する。一部の例では、HLA-Gは、HLA-G1、HLA-G2、HLA-G3、HLA-G4、HLA-G5、HLA-G6、もしくはHLA-G7、またはその任意の組合せを含む。一部の例では、HLA-Gは、HLA-G2、HLA-G4、HLA-G6、もしくはHLA-G7、またはその任意の組合せを含む。一部の例では、HLA-Gは、HLA-G6、もしくはHLA-G7、またはその組合せを含む。一部の例では、MPSCの集団の15%未満(例えば、10%未満)が、HLA-G1を発現する。
【0034】
[0055]一部の例では、本明細書において開示されるMPSCの集団の少なくとも10%が、単クローン性である。一部の例では、MPSCの集団の約13%~約15%が、単クローン性である。一部の例では、少なくとも約1x10個のMPSCが、集団中に存在する。一部の例では、MPSCは、アレイベースの全ゲノムアッセイによって測定した場合、安定な核型を有する。一部の例では、MPSCは、アレイベースの全ゲノムアッセイによって測定した場合、集団倍加に由来する染色体異常を経験しない。一部の例では、MPSCは、アレイベースの全ゲノムアッセイによって測定した場合、凍結および解凍に由来する実質的な染色体異常を経験しない。
【0035】
[0056]一部の場合、本明細書に提供される細胞、例えば、MPSCは、遺伝子改変される。一部の例では、細胞は、外因性遺伝子、例えば、導入遺伝子を発現するように遺伝子改変される。本明細書で使用される場合、用語「導入遺伝子」およびその文法的等価物は、生物中に移入される遺伝子または遺伝物質を指してもよい。例えば、導入遺伝子は、生物中に導入される遺伝子を含有するDNAのストレッチまたはセグメントであってもよい。導入遺伝子が生物中に移入される場合、その生物はその後、トランスジェニック生物と称される。導入遺伝子は、トランスジェニック生物中でRNAまたはポリペプチド(例えば、タンパク質)を産生するその能力を保持することができる。導入遺伝子は、異なる核酸、例えば、RNAまたはDNAから構成されていてもよい。導入遺伝子は、遺伝子操作されたT細胞受容体、例えば、TCR導入遺伝子をコードしてもよい。導入遺伝子は、TCR配列を含んでもよい。導入遺伝子は、がん遺伝子を含んでもよい。導入遺伝子は、免疫がん遺伝子を含んでもよい。導入遺伝子は、組換えアームを含んでもよい。導入遺伝子は、遺伝子操作された部位を含んでもよい。一部の例では、導入遺伝子は、がん遺伝子である。一部の例では、導入遺伝子は、免疫がん遺伝子である。一部の例では、導入遺伝子は、腫瘍抑制遺伝子である。一部の例では、導入遺伝子は、タンパク質分解を直接または間接に促進するタンパク質をコードする。一部の例では、導入遺伝子は、腫瘍溶解性遺伝子である。一部の例では、導入遺伝子は、リンパ球が腫瘍細胞を標的化するのを補助することができる。一部の例では、導入遺伝子は、T細胞エンハンサー遺伝子である。一部の例では、導入遺伝子は、腫瘍溶解性ウイルス遺伝子である。一部の例では、導入遺伝子は、腫瘍細胞増殖を阻害する。一部の例では、導入遺伝子は、抗がん受容体である。一部の例では、導入遺伝子は、抗血管新生因子である。一部の例では、導入遺伝子は、細胞傷害性遺伝子である。例示的な導入遺伝子としては、限定されるものではないが、CD28、誘導性共刺激因子(ICOS)、CD27、4-1BB(CD137)、ICOS-L、CD70、4-1BBL、シグナル3、サイトカイン、例えば、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、ICAM-1(CD54)、LFA-3(CD58)、HLAクラスI遺伝子、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、CD3、CD1d、CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、トランケート型CD19、VEGF、カスパーゼ、ケモカイン、または上記のいずれかに対する抗体(例えば、単クローン性抗体)をコードする1つもしくは複数の遺伝子、またはその任意の組合せが挙げられる。一部の例では、導入遺伝子は、細胞または組織修復に関与するタンパク質(例えば、DNA修復、免疫応答(例えば、インターフェロンおよびインターロイキン)、および構造タンパク質と関連するタンパク質)をコードする。一部の例では、導入遺伝子は、増殖因子受容体をコードする。一部の例では、本明細書において開示されるMPSCは、TCR、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはその任意の組合せをコードする導入遺伝子を含む。一部の例では、本明細書に記載のMPSCは、がん遺伝子受容体をコードする導入遺伝子を含む。
【0036】
[0057]一部の場合、本明細書において開示される細胞を含む組成物は、ヒトを含む哺乳動物への静脈内投与のための医薬組成物として製剤化される。一部の場合、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張性水性緩衝剤中の溶液である。必要に応じて、組成物は、注射部位での疼痛を改善するための局部麻酔剤も含む。組成物を輸注により投与しようとする場合、それを、滅菌医薬品等級の水または生理食塩水を含有する点滴ボトルを用いて分注することができる。組成物を注射により投与する場合、成分が投与前に混合されるように、滅菌注射用水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0037】
[0058]一態様では、本明細書において開示される細胞を含む組成物(例えば、医薬組成物)が本明細書において開示される。一部の例では、組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む。そのような担体としては、限定されるものではないが、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、およびその組合せが挙げられる。他の例では、コロイド分散系が使用される。コロイド分散系としては、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む、脂質ベース系が挙げられる。
【0038】
使用方法
[0059]一部の態様では、本明細書において開示されるMPSCの集団と、1つまたは複数の誘導剤とを接触させるステップを含む、細胞を生産する方法が本明細書において開示される。一部の例では、生産される細胞は、外胚葉細胞である。一部の例では、生産される細胞は、中胚葉細胞である。一部の例では、生産される細胞は、内胚葉細胞である。一部の例では、生産される細胞は、膵臓細胞または膵臓前駆細胞であり、必要に応じて、誘導剤は、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)を含み、一部の例では、2-メルカプトエタノールおよびニコチンアミドをさらに含んでもよい。一実施形態では、PPCは、β-HCG、CDX2、HLA-G、またはその任意の組合せを含む。一部の例では、PPCは、β-HCGおよびCDX2;β-HCGおよびHLA-G;CDX2およびHLA-G;またはHCG、CDX2、およびHLA-Gを含む。必要に応じて、一部の例では、PPCは、PDX1、FOXA2、SOX9、またはその任意の組合せをさらに含む。一部の例では、生産される細胞は、神経細胞または神経前駆細胞であり、必要に応じて、誘導剤は、レチノイン酸を含む。一実施形態では、NCS細胞は、RAR-β、CDX2、HLA-G、またはその任意の組合せを含む。一部の例では、NCS細胞は、RAR-βおよびCDX2;RAR-βおよびHLA-G;CDX2およびHLA-G;またはRAR-β、CDX2、およびHLA-Gを含む。必要に応じて、一部の例では、PPCは、N-CAD、NESTIN、SOX2、PAX6、またはその任意の組合せをさらに含む。一部の例では、生産される細胞は、肝細胞または肝前駆細胞であり、必要に応じて、誘導剤は、FGF2などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、デキサメタゾンなどのステロイド、およびオンコスタチンMなどのサイトカインを含み、一部の例では、骨形成タンパク質(BMP)、例えば、BMP4、および/または肝増殖因子をさらに含んでもよい。一部の例では、FGFは、FGFR1に結合し、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF8、FGF10、FGF17、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22、またはFGF23である。一部の例では、ステロイドは、糖質コルチコイドステロイド、例えば、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、またはトリアムシノロンである。一部の例では、サイトカインは、インターロイキン6群のサイトカイン、例えば、オンコスタチンM、例えば、ヒトオンコスタチンM、インターロイキン-6、インターロイキン-11、白血病抑制因子(LIF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、カルジオトロフィン-1(CT-1)、およびカルジオトロフィン様サイトカイン(CLC)である。一部の例では、細胞は、ナチュラルキラー細胞であり、誘導剤は、FGF、例えば、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF8、FGF10、FGF17、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22、またはFGF23を含む。一部の例では、MPSCは、胚性幹細胞またはiPS細胞の30日(または3~4週間)および4ステップの分化と比較して、1ステップのプロトコールを用いて1日で神経前駆細胞に分化することができる。一部の例では、MPSCは、胚性幹細胞またはiPS細胞の、8~15日および4~5ステップの分化と比較して、1ステップのプロトコールを用いて1日でインスリン産生膵臓前駆細胞に分化することができる。一部の例では、MPSCは、胚性幹細胞またはiPS細胞の12~21日および3ステップの分化と比較して、2ステップのプロトコールを用いて6日で肝細胞様細胞に分化する。
【0039】
[0060]一態様では、生産される細胞は、脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞、またはその任意の組合せを含む間葉系間質細胞を含む。一実施形態では、生産される細胞は、脂肪細胞および軟骨細胞を含む。別の実施形態では、生産される細胞は、脂肪細胞および骨細胞を含む。別の実施形態では、生産される細胞は、軟骨細胞および骨細胞を含む。別の実施形態では、生産される細胞は、脂肪細胞、軟骨細胞、および骨細胞を含む。
【0040】
[0061]別の実施形態では、生産される細胞は、脂肪細胞を含む。脂肪細胞は、レプチン、HOXC8、HOXC9、Ucp1、CIDEA、PRDM16、Zic1、Lhx8、Eva1、Epsti1、Cd137、Tmem26、Tbx1、Cited1、Shox2、アミノ酸輸送因子ASC-1、アミノ酸輸送因子PAT2、プリン作動性受容体P2RX5、ATGL、CAV1、FABP4、COX4、LMNB1、またはその組合せを含んでもよい。一例では、脂肪細胞は、白色脂肪細胞を含み、白色脂肪細胞は、レプチン、HOXC8、HOXC9、またはその組合せを含む。別の例では、脂肪細胞は、褐色脂肪細胞を含み、褐色脂肪細胞は、Ucp1、CIDEA、PRDM16、Zic1、Lhx8、Eva1、Epsti1、またはその組合せを含む。別の例では、脂肪細胞は、ベージュ脂肪細胞を含み、ベージュ脂肪細胞は、Cd137、Tmem26、Tbx1、Cited1、Shox2、またはその組合せを含む。別の例では、脂肪細胞は、ベージュ脂肪細胞前駆体を含み、ベージュ脂肪細胞前駆体は、CD137、TMEM26、またはその組合せを含む。
【0041】
[0062]別の実施形態では、生産される細胞は、軟骨細胞を含む。軟骨細胞は、アネキシンA6、CD44、CD151、ITM2A、FAM20B、FoxC1、FoxC2、SOX5、SOX6、SOX9、アグリカン、カテプシンB、CHADL、コンドロアドヘリン、コラーゲンII、コラーゲンIV、CRTAC1、DSPG3、IBSP/シアロタンパク質II、マトリリン-1、マトリリン-3、マトリリン-4、MIA、オトラプリン/OTOR、URB、またはその組合せを含んでもよい。
【0042】
[0063]別の実施形態では、生産される細胞は、骨細胞を含む。骨細胞は、前骨芽細胞、骨芽細胞、包埋骨芽細胞、類骨骨芽細胞、骨石灰化骨細胞、または成熟骨細胞を含んでもよい。骨細胞は、RUNX2、OCN、E11、DMP1、PHEX、MEPE、スクレロスチン、CapG、ORP150、またはその組合せを含んでもよい。一例では、骨細胞は、前骨芽細胞を含み、前骨芽細胞は、RUNX2を含む。別の例では、骨細胞は、前骨芽細胞を含み、前骨芽細胞は、RUNX2を含む。別の例では、骨細胞は、骨芽細胞を含み、骨芽細胞は、RUNX2およびOCNを含む。別の例では、骨細胞は、包埋骨芽細胞を含み、包埋骨芽細胞は、OCN、E11、DMP1、PHEX、およびCapGを含む。別の例では、骨細胞は、類骨骨細胞または骨石灰化骨細胞を含み、類骨骨細胞または骨石灰化骨細胞は、OCN、E11、DMP1、PHEX、MEPE、およびCapGを含む。別の例では、骨細胞は、成熟骨細胞を含み、成熟骨細胞は、DMP1、PHEX、MPEP、スクレロスチン、CapG、およびORP150を含む。
【0043】
[0064]一部の場合、本明細書において開示される細胞は、静脈内的、皮下的、経皮的、吸入的、経口的、筋肉内的、または腫瘍内的に対象に投与される。一部の例では、対象は、哺乳動物である。一部の例では、対象は、霊長類である。一部の例では、対象は、ヒトである。
【0044】
[0065]一部の場合、抗原を担持する標的細胞を殺傷するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書において開示される細胞を投与するステップを含む方法が、本明細書において開示される。一部の例では、抗原を担持する標的細胞は、がん細胞である。一部の例では、がん細胞は、固形腫瘍細胞である。一部の例では、がん細胞は、血液がん細胞である。一部の例では、がん細胞は、膀胱がん細胞、骨肉腫細胞、脳腫瘍細胞、乳がん細胞、結腸直腸がん細胞、食道がん細胞、消化管がん細胞、肝臓がん細胞、肺がん細胞、鼻腔がん細胞、鼻咽頭がん細胞、口腔がん細胞、口腔咽頭がん細胞、卵巣がん細胞、前立腺がん細胞、胃がん細胞、皮膚がん細胞、甲状腺がん細胞、またはその任意の組合せを含む。一部の場合、がん細胞は、造血悪性腫瘍を含むがん、頭頸部扁平上皮がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫、肉腫、黒色腫、膀胱がん、骨肉腫、脳腫瘍、乳がん、子宮頸がん(例えば、子宮頸部のがん腫)、結腸直腸がん、食道がん、消化管がん、肝臓がん、肺がん、鼻腔がん、鼻咽頭がん、口腔がん、口腔咽頭がん、卵巣がん、前立腺がん、胃がん、皮膚がん、甲状腺がん、またはその任意の組合せに由来する。がんは、原発性がんを含む。あるいは、がんは、転移性がんを含む。一部の例では、抗原を担持する標的細胞は、病原体である。一部の例では、病原体は、ウイルス、細菌、原生動物、プリオン、真菌、またはその任意の組合せを含む。一部の例では、方法は、抗原を担持する標的細胞の集団の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%を殺傷する。一部の例では、方法は、抗原を担持する標的細胞の集団の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または100%を殺傷する。
【0045】
[0066]一部の場合、炎症経路を下方調節するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書において開示される細胞を投与するステップを含む方法が、本明細書において開示される。一部の場合、方法は、移植片拒絶、感染、感染と関連する内毒素性ショック、関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身型若年性特発性関節炎(JIA)、炎症性腸疾患(IBD)、全身性エリテマトーデス(SLE)、喘息、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、多発性硬化症、強直性脊椎炎、皮膚筋炎、ブドウ膜炎、ペイロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、血管炎、外科的癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病関節炎、髄膜脳炎、中枢および末梢神経系の免疫介在性炎症性疾患、膵炎、手術に由来する外傷、移植片対宿主疾患、心疾患、骨吸収、熱傷患者、心筋梗塞、パジェット病、骨粗鬆症、敗血症、肝もしくは肺線維症、歯周炎、または低塩酸症を含む疾患または状態を処置する。一部の例では、方法は、I型糖尿病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、多発筋炎、慢性活動性肝炎、混合結合組織疾患、原発性胆汁性肝硬変、悪性貧血、自己免疫性甲状腺炎、特発性アジソン病、白斑、グルテン感受性腸疾患、グレーブス病、重症筋無力症、自己免疫性好中球減少症、特発性血小板減少性紫斑病、関節リウマチ、肝硬変、尋常性天疱瘡、自己免疫性不妊症、グッドパスチャー病、水疱性類天疱瘡、円板状ループス、潰瘍性大腸炎、デンスデポジット病、炎症性腸疾患、乾癬、またはその任意の組合せを含む自己免疫疾患を処置する。一部の例では、方法は、1型糖尿病を処置する。一部の例では、方法は、移植片拒絶を改善する。
【0046】
[0067]別の態様では、対象における状態を処置する方法であって、細胞を対象(例えば、対象の肝臓)に生着させるために有効な量の、本明細書に記載の細胞を含む医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法が、本明細書において開示される。一部の例では、細胞は、薬学的に許容される担体中で投与される。一部の例では、薬学的に許容される担体は、生理食塩水、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、またはウシ胎仔血清を含む。一部の例では、細胞は、1mlあたり約1x10~約100x10個の細胞、1mlあたり約1x10~約250x10個の細胞、約1x10~約500x10個の細胞、または約10x10~約40x10個の細胞を含有する懸濁液中で投与される。一部の例では、細胞は、約1~5ml、1~10ml、1~50ml、1~100ml、または10~150mlの体積で投与される。一部の例では、対象は、ヒトである。一部の例では、投与は、注射、例えば、静脈内注射を含む。一部の例では、注射は、肝静脈で投与される。一部の例では、注射は、肝動脈で投与される。一部の例では、状態は、肝臓関連疾患または障害、例えば、急性肝疾患である。一部の例では、状態は、肝不全である。一部の例では、肝臓関連疾患または障害は、アラジール症候群、アルファ1アンチトリプシン欠損症、自己免疫性肝炎、良性肝臓腫瘍、胆管閉鎖症、肝硬変、肝臓の嚢胞性疾患、アルコール関連肝疾患および非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を含む脂肪肝疾患、ガラクトース血症、胆石、ギルバート症候群、ヘモクロマトーシス、肝嚢胞、肝臓がん、妊娠中の肝疾患(必要に応じて、急性妊娠脂肪肝、妊娠性肝内胆汁鬱滞症、妊娠高血圧腎症、またはHELLP症候群(例えば、溶血、肝機能検査高値、血小板減少))、新生児肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ポルフィリン症、ライ症候群、サルコイドーシス、中毒性肝炎、1型糖原病、チロシン血症、ウイルス性肝炎、ウィルソン病、またはその任意の組合せを含む。
【0047】
[0068]本明細書において開示される細胞の投与様式としては、限定されるものではないが、全身静脈内注入および意図される活動部位への直接注入(例えば、内視鏡逆行性注入)が挙げられる。調製物を、任意の都合のよい経路によって、例えば、輸注またはボーラス注入によって投与することができ、他の生物活性剤と一緒に投与することができる。一部の例では、投与は、全身性局部投与である。
【0048】
[0069]一部の態様では、本明細書において開示される細胞を対象に移植するための組成物および方法が、本明細書に提供される。一部の例では、対象は、細胞によって注入される(例えば、静脈内、筋肉内、経皮、内視鏡逆行性注入、または腹腔内)。一部の例では、対象は、移植前に免疫抑制剤で処置されない。一部の例では、方法は、患者を、免疫抑制剤、例えば、FK-506、シクロスポリン、または抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ65キロダルトンアイソフォーム(GAD65)抗体で処置するステップをさらに含む。
【0049】
[0070]一部の例では、本明細書に記載の細胞は、細胞を特定の組織に標的化するのに好適な送達系によって標的部位(例えば、肝臓の欠陥部分)に送達される。例えば、細胞は、標的部位での細胞の徐放を可能にする送達ビヒクル中に封入される。送達ビヒクルを、それが特定の組織に特異的に標的化されるように改変することができる。標的化される送達系の表面を、様々な方法で改変することができる。リポソーム標的化送達系の場合、脂質基を、リポソームの脂質二重層中に含有させて、標的化リガンドを、リポソーム二重層との安定な会合中に維持することができる。
【0050】
[0071]本明細書に記載の細胞の投与を、必要に応じて、(1)注入される細胞の量を増加もしくは減少させること;(2)注入回数を変化させること;または(3)細胞の送達方法を変化させることによって、個体毎に調整することができる。
【0051】
検出方法
[0072]上記のバイオマーカーの発現または存在を決定するための方法は、当業界で周知であり、例えば、フローサイトメトリー、免疫組織化学、ウェスタンブロット、免疫沈降、磁気ビーズ選択、およびこれらの細胞表面マーカーのいずれかを発現する細胞の定量化によって測定することができる。バイオマーカーのRNA発現レベルを、例えば、RT-PCR、Qt-PCR、マイクロアレイ、ノーザンブロット、または他の類似する技術を使用して測定することができる。
【0052】
[0073]「発現を検出すること」または「発現レベル」を検出することは、生体試料中のバイオマーカータンパク質または遺伝子の発現レベルまたは存在を決定することを意図する。かくして、「発現を検出すること」は、バイオマーカーが発現されない、検出可能に発現されない、低レベルで発現される、正常レベルで発現される、または過剰発現されると決定される場合の例を包含する。
【0053】
[0074]一部の例では、本明細書に記載のバイオマーカーの発現または存在は、例えば、免疫組織化学技術またはin situハイブリダイゼーションおよびRT-PCRなどの核酸に基づく技術を使用して、核酸レベルで決定される。一部の例では、1つまたは複数のバイオマーカーの発現または存在は、核酸増幅のための手段、核酸配列決定のための手段、核酸マイクロアレイ(DNAおよびRNA)を利用する手段、または特異的に標識されたプローブを使用するin situハイブリダイゼーションのための手段によって実行される。
【0054】
[0075]一部の例では、バイオマーカーの発現または存在の決定は、ゲル電気泳動によって実行される。一部の例では、決定は、膜への移行および特異的プローブとのハイブリダイゼーションによって実行される。一部の例では、バイオマーカーの発現または存在の決定は、診断イメージング技術によって実行される。一部の例では、バイオマーカーの発現または存在の決定は、検出可能な固体基質によって実行される。一部の例では、検出可能な固体基質は、抗体で機能化された常磁性ナノ粒子である。
【0055】
[0076]一部の例では、バイオマーカーの発現または存在は、RNA(例えば、mRNA)レベルである。一部の例では、RNA(例えば、mRNA)レベルを検出する技術としては、限定されるものではないが、サザンまたはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析およびプローブアレイが挙げられる。
【0056】
[0077]mRNAレベルの検出のための1つの方法は、単離されたmRNAと、検出される遺伝子によってコードされるmRNAにハイブリダイズする核酸分子(プローブ)とを接触させることを含む。核酸プローブは、例えば、完全長cDNA、または少なくとも7、15、30、50、100、250、もしくは500ヌクレオチド長であり、本明細書に記載のバイオマーカーをコードするmRNAもしくはゲノムDNAにストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分なオリゴヌクレオチドなどの、その一部を含む。mRNAとプローブとのハイブリダイゼーションは、バイオマーカーまたは他の目的の標的タンパク質が発現されることを示す。
【0057】
[0078]一部の例では、例えば、単離されたmRNAをアガロースゲル上に流すこと、およびmRNAをゲルから膜、例えば、ニトロセルロースに移行させることによって、mRNAを固体表面上に固定化し、プローブと接触させる。一部の例では、プローブを固体表面上に固定化し、例えば、遺伝子チップアレイにおいてmRNAをプローブと接触させる。当業者であれば、バイオマーカーまたは他の目的のタンパク質をコードするmRNAのレベルを検出するのに使用するための公知のmRNA検出法を容易に適合させることができる。
【0058】
[0079]試料中の目的のmRNAのレベルを決定するための代替的な方法は、例えば、RT-PCR、リガーゼ連鎖反応、自己持続性配列複製、転写増幅系、Q-ベータレプリカーゼ、ローリングサークル複製または他の任意の核酸増幅法による核酸増幅のプロセス、次いで、当業者には周知の技術を使用する増幅分子の検出を含む。これらの検出スキームは、そのような分子が、極めて少数で存在する場合には、核酸分子の検出のために特に有用である。一部の例では、バイオマーカー発現は、定量的蛍光T-PCR(例えば、TAQMAN(登録商標)システム)によって評価される。
【0059】
[0080]目的のRNAの発現レベルは、膜ブロット(例えば、ノーザン、ドットなどのハイブリダイゼーション分析において使用されるものなど)、またはマイクロウェル、試料チューブ、ゲル、ビーズまたはファイバー(または結合している核酸を含む任意の固相支持体)を使用してモニタリングされる。発現の検出はまた、溶液中の核酸プローブを使用することも含む。
【0060】
[0081]一部の例では、1つまたは複数のバイオマーカーの発現または存在を決定するために、マイクロアレイが使用される。核酸マイクロアレイは、多数の遺伝子の発現レベルの同時的測定のための1つの方法を提供する。それぞれのアレイは、固相支持体に結合した捕捉プローブの再現可能なパターンからなる。標識されたRNAまたはDNAを、アレイ上の相補的プローブにハイブリダイズさせた後、レーザー走査によって検出し、アレイ上の各プローブに関するハイブリダイゼーション強度を決定し、相対的遺伝子発現レベルを表す定量値に変換する。高密度オリゴヌクレオチドアレイは、試料中の多数のRNAに関する遺伝子発現プロファイルを決定するために特に有用である。
【0061】
[0082]一部の例では、アレイは、実質的に任意の形状の表面またはさらには、多数の表面上で製造される。一部の例では、アレイは、平面アレイ表面である。一部の例では、アレイは、ビーズ、ゲル、ポリマー表面、光ファイバーなどのファイバー、ガラスまたは他の任意の適切な基質上にペプチドまたは核酸を含む。一部の例では、アレイは、診断または包括的デバイスの他の操作を可能にする様式で包装される。
【0062】
[0083]一部の例では、本明細書に記載のバイオマーカーの発現または存在は、例えば、特異的バイオマーカータンパク質に対する抗体を使用して、タンパク質レベルで決定される。これらの抗体は、ウェスタンブロット、ELISA、多重化技術、免疫沈降、または免疫組織化学技術などの種々の方法において使用される。一部の例では、バイオマーカーの検出は、ELISAによって達成される。一部の例では、バイオマーカーの検出は、電気化学発光(ECL)によって達成される。
【0063】
[0084]生体試料中のバイオマーカーを特異的に同定し、定量するための任意の手段が企図される。かくして、一部の例では、生体試料中の目的のバイオマーカータンパク質の発現レベルは、そのバイオマーカータンパク質またはその生物学的に活性なバリアントと特異的に相互作用することができる結合タンパク質によって検出される。一部の例では、標識された抗体、その結合部分、または他の結合パートナーが使用される。本明細書で使用される場合の単語「標識」とは、「標識された」抗体を生成するために抗体に直接または間接にコンジュゲートされる検出可能な化合物または組成物を指す。一部の例では、標識は、それ自体で検出可能である(例えば、放射性アイソトープ標識もしくは蛍光標識)か、または酵素標識の場合、検出可能である基質化合物もしくは組成物の化学変化を触媒する。
【0064】
[0085]バイオマーカータンパク質の検出のための抗体は、元来、単クローン性もしくは多クローン性のいずれかであるか、または合成もしくは組換えにより生産される。複合体化したタンパク質の量、例えば、結合タンパク質、例えば、バイオマーカータンパク質に特異的に結合する抗体と会合したバイオマーカータンパク質の量は、当業者には公知の標準的なタンパク質検出法を使用して決定される。免疫学的アッセイの設計、理論およびプロトコールの詳細な概説は、当業界におけるいくつかの教科書に見出される。
【0065】
[0086]抗体を標識するために使用されるマーカーの選択は、適用に応じて変化するであろう。しかしながら、マーカーの選択は、当業者には容易に決定可能である。これらの標識された抗体は、目的の任意のバイオマーカーまたはタンパク質の存在を検出するためにイムノアッセイならびに組織学的適用において使用される。標識された抗体は、多クローン性または単クローン性のいずれかである。さらに、目的のタンパク質を検出するのに使用するための抗体は、放射性原子、酵素、発色もしくは蛍光部分、または本明細書の他の箇所に記載される比色タグを用いて標識される。タグ付けする標識の選択も、所望の検出限界に依存するであろう。酵素アッセイ(例えば、ELISA)は、典型的には、酵素タグ付き複合体の酵素基質との相互作用によって形成される着色生成物の検出を可能にする。検出可能な標識として働く放射性核種としては、例えば、1-131、1-123、1-125、Y-90、Re-188、At-211、Cu-67、Bi-212、およびPd-109が挙げられる。検出可能な標識として働く酵素の例としては、限定されるものではないが、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、およびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼが挙げられる。発色部分としては、限定されるものではないが、フルオレセインおよびローダミンが挙げられる。抗体は、当業界で公知の方法によってこれらの標識にコンジュゲートされる。例えば、酵素および発色部分は、ジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミドなどのカップリング剤によって抗体にコンジュゲートされる。あるいは、コンジュゲーションは、リガンド-受容体対によって生じる。好適なリガンド-受容体対の例としては、限定されるものではないが、ビオチン-アビジンまたはビオチン-ストレプトアビジン、および抗体-抗原が挙げられる。
【0066】
[0087]一部の例では、生体試料内での1つまたは複数のバイオマーカーまたは他の目的のタンパク質の発現または存在は、ラジオイムノアッセイもしくは酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、競合的結合酵素結合イムノアッセイ、ドットブロット、ウェスタンブロット、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのクロマトグラフィー、または当業界で公知の他のアッセイによって決定される。かくして、検出アッセイは、限定されるものではないが、イムノブロッティング、免疫拡散、免疫電気泳動、および免疫沈降などのステップを含む。
【0067】
細胞を取得する方法
[0088]一部の場合、胚外哺乳動物幹細胞(例えば、栄養膜幹細胞)は、本明細書において開示される致死性多能性幹細胞(MPSC)を作製するための供給源細胞であってもよい。一部の例では、哺乳動物幹細胞は、胚を阻害も破壊もしない様式で、羊水、羊膜、ホウォートンゼリー、絨毛膜絨毛、または子宮外妊娠から単離される。
【0068】
[0089]一部の例では、MPSCは、抗生物質、例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン、またはその任意の組合せを含まない培養培地中で取得される。一部の例では、哺乳動物幹細胞を取得するための培養培地は、レチノイン酸を含まない。一部の例では、哺乳動物幹細胞を取得および/または継代する培養培地は、メルカプトエタノール、ニコチンアミド、またはその組合せを含まない。一部の例では、哺乳動物幹細胞を取得および/または継代する培養培地は、デキサメタゾン、組換えヒトオンコスタチンM、BMP4、HGF、またはその任意の組合せを含まない。一部の例では、哺乳動物幹細胞を取得および/または継代する培養培地は、ゼノフリーである、例えば、動物成分を含まない。一部の例では、哺乳動物幹細胞を取得および/または継代する培養培地は、ヒト由来成分および動物由来成分を含まない、例えば、既知組成培地である。一部の例では、哺乳動物幹細胞を取得および/または継代する培養培地は、血清を含まない。一部の例では、哺乳動物幹細胞を取得および/または継代する培養培地は、ウシ胎仔血清を含まない。
【0069】
[0090]一部の場合、本開示は、本明細書において開示されるMPSCの集団を増殖させる方法であって、培養培地中に約1,000~約5,000細胞/cmの密度でMPSCの継代培養物を播種するステップ、および細胞を培養するステップを含む、方法を提供する。
【0070】
[0091]一部の態様では、致死性多能性幹細胞(MPSC)の集団を増殖させる方法であって、培養培地中に約1,000~約5,000細胞/cmの密度でMPSCの継代培養物を播種するステップ、および細胞を培養するステップを含み、MPSCの集団が、HLA-Gおよびインスリンを発現する、方法が本明細書において開示される。一部の例では、培養培地は、動物成分を含まない。一部の例では、培養培地は、血清、例えば、ウシ胎仔血清を含まない。一部の例では、細胞は、約3日間培養される。一部の例では、細胞は、約4日間培養される。一部の例では、MPSCは、約2,000~約4,000細胞/cmの密度で播種される。
【0071】
[0092]一部の例では、哺乳動物幹細胞を、羊水穿刺生検または羊水から単離することができる。一例では、羊水穿刺は、妊娠中の胎児を取り囲む少量の羊水試料を取得するために使用される手順であってよい。一例では、羊水穿刺は、染色体異常のリスクが高い妊娠第15週~20週の間の女性、例えば、出産時に35歳を超える女性、または染色体異常もしくは神経管欠損のリスクが高いことを示す異常な母体血清(血液)スクリーニング検査値を有していた女性に提示することができる。一例では、針、例えば、長く、薄い、中空の針を、腹部を通って子宮および羊膜嚢に超音波ガイドを用いて使用することができる。所定量の羊水、例えば、28.35g(1オンス)を、注射筒中に引き出すことができる。
【0072】
[0093]一部の例では、本明細書における哺乳動物幹細胞を、例えば、体外受精(IVF)などの生殖療法と併せた、着床前遺伝子診断(PGD)中の割球生検から取得することができる。一例では、本明細書における細胞を、残りの胚盤胞が埋め込まれ、妊娠、後に、生児出生をもたらし、例えば、透明帯を胚盤胞から除去した後、胚盤胞を生検する、胚盤胞の生検のための方法によって生産することができる。
【0073】
[0094]一部の例では、本明細書における哺乳動物幹細胞を、出生前の絨毛採取(CVS)から取得することができる。一例では、CVSは、染色体異常およびある特定の他の遺伝的問題に関して検査するために胎盤から組織試料を採取することを含む出生前検査であってもよい。一例では、CVSを、妊娠第10週~12週の間に実施することができる。一例では、CVS手順は、経頸管的であり、例えば、カテーテルを、子宮頸部を通して胎盤中に挿入して、組織試料を取得する。一例では、CVS手順は、経腹的であり、例えば、針を、腹部および子宮を通して胎盤中に挿入して、組織試料を取得する。
【0074】
[0095]一部の例では、本明細書における哺乳動物幹細胞を、妊娠初期の絨毛採取(例えば、妊娠期間の第8+3~12+0週)または帝王切開出産に由来する満期胎盤から単離することができる。絨毛組織は、羊膜から分離し、細分し、および/または酵素消化することができる(例えば、約3mlのTRYPLE(登録商標)Select Enzymeを用いて、例えば、約15min消化する)。続いて、細胞を遠心分離し(例えば、約150xg+/-10%で、例えば、約5min)、計数し、および/または培地(例えば、STEMULATE(商標)Human Platelet Lysate Cell Culture Media SupplementもしくはMESENCULT(商標)-ACF Plus Culture Kitを含むα-MEM)中に再播種することができる(例えば、1cmあたり約100個の細胞)。一例では、単離された細胞は、プラスチック接着性であってもよい。一例では、細胞を、約4~約8回の継代で使用することができる。
【0075】
[0096]一部の例では、絨毛膜絨毛を、子宮外妊娠した女性(例えば、妊娠期間:受精後、約5~約8週、約6~約8週、または約4~約8週)における未破裂着床前の胚の卵管から取得することができる。微量の絨毛組織を、好適な培地(例えば、無血清α-MEM)中でよく細分し、顕微鏡下で同定した後、一定時間(例えば、約15min)にわたってトリプシン処理(例えば、約3mlのTRYPLE(登録商標)Select Enzymeを用いる)し、培地(例えば、STEMULATE(商標)Human Platelet Lysate Cell Culture Media SupplementまたはMESENCULT(商標)-ACF Plus Culture Kitを含むα-MEM)を添加して、反応を停止させることができる。接着細胞を取得し、好適な条件下で培養することができる(例えば、STEMULATE(商標)Human Platelet Lysate Cell Culture Media SupplementまたはMESENCULT(商標)-ACF Plus Culture Kitを含む条件化α-MEM中、5%CO中で37℃にて)。
【0076】
キット/製品
[0097]本明細書に記載の1つまたは複数の方法および組成物と共に使用するためのキットおよび製品が、本明細書において開示される。そのようなキットは、それぞれの容器が、本明細書に記載の方法において使用される別々の要素の1つを含む、バイアル、チューブなどの1つまたは複数の容器を受け取るように区画化された担体、パッケージ、または容器を含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、注射筒、試験管などが挙げられる。一部の例では、容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成される。
【0077】
[0098]本明細書に提供される製品は、包装材料を含有する。薬学的包装材料の例としては、限定されるものではないが、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、ボトル、ならびに選択される製剤および意図される使用様式にとって好適な任意の包装材料が挙げられる。
【0078】
[0099]例えば、容器は、必要に応じて、本明細書において開示される組成物中の、細胞を含む。そのようなキットは、必要に応じて、本明細書に記載の方法におけるその使用に関する識別明細書またはラベルまたは指示書を含む。
【0079】
[00100]キットは、典型的には、内容物および/または使用説明書を列挙するラベル、ならびに使用説明書を含む添付文書を含む。典型的には、指示書のセットもまた含まれるであろう。
【0080】
[00101]一部の例では、ラベルは、容器上にあるか、または容器と結合している。一部の例では、ラベルは、ラベルを形成する文字、数字または他の符号が容器自体に取り付けられ、成型されるか、またはエッチングされている場合、容器上にある;ラベルは、それが例えば、添付文書として、容器をも保持するレセプタクルまたはキャリア内に存在する場合、容器と結合している。一部の例では、ラベルは、内容物が特定の治療適用のために使用されることを示すために使用される。ラベルはまた、本明細書に記載の方法などにおける、内容物の使用のための指示も示す。
【0081】
薬剤、組成物、およびその使用
[00102]本明細書に記載の方法によって生産される細胞を含む組成物(例えば、in vitro組成物、医薬組成物など)および薬剤が、本明細書において開示される。必要に応じた薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000))と共に所望の純度を有する組成物または薬剤を、凍結乾燥製剤または水性溶液の形態で調製することができる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」は、活性成分と合わせたとき、成分に生物活性を保持させ、対象の免疫系と非反応性である任意の材料を含む。例としては、限定されるものではないが、任意の標準的な薬学的担体、例えば、リン酸緩衝生理食塩溶液、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、および様々な型の湿潤剤などが挙げられる。エアロゾルまたは非経口投与のための好ましい希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩溶液(PBS)または通常の(0.9%)生理食塩水である。そのような担体を含む組成物は、周知の従来法によって製剤化される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.Gennaro(編)、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1990;およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing、2000を参照されたい)。
【0082】
[00103]許容される担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる投与量および濃度でレシピエントにとって無毒性であり、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸など;塩化ナトリウムなどの塩;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルもしくはプロピルパラベンなど;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなど;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなど;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などを含んでもよい。
【0083】
[00104]in vitroでの培養またはアッセイのための本明細書に記載の生産される細胞の使用が、本明細書に記載される。例えば、細胞は、免疫蛍光または蛍光活性化細胞選別(FACS)アッセイにおける使用のためのものであってよい。一部の例では、生産される細胞は、神経幹細胞(NCS)、膵臓前駆細胞(PPC)、外胚葉細胞、中胚葉細胞、内胚葉細胞、肝細胞、または肝前駆細胞であってもよい。
【0084】
[00105]安全性および有効性について新規薬物を試験するための本明細書に記載の方法によって生産された神経幹細胞(NSC)の使用が、本明細書に記載される。例えば、試験薬剤を、生産される細胞を含む培養物と接触させ、効果を決定することができる。試験薬剤が細胞に対して毒性である場合、培養物の増殖は減少し得る、および/または死滅し得る。試験薬剤が有効である場合、培養物の増殖は増加し得る。神経幹細胞の場合、試験薬剤は、運動ニューロンの産生を誘導してもよい。in vitroまたはin vivoで運動ニューロンを生産するための本明細書に記載の方法によって生産された神経幹細胞(NSC)の使用が、本明細書に記載される。運動ニューロン疾患の処置のための薬剤の製造における本明細書に記載の方法によって生産された神経幹細胞(NSC)の使用が、本明細書に記載される。脊髄損傷の処置のための薬剤の製造における本明細書に記載の方法によって生産された神経幹細胞(NSC)の使用が、本明細書に記載される。in vitroで人工組織または臓器を生産するための本明細書に記載の方法によって生産された神経幹細胞(NSC)の使用が、本明細書に記載される。
【0085】
[00106]安全性および有効性について新規薬物を試験するための本明細書に記載の方法によって生産された膵臓前駆細胞(PPC)の使用が、本明細書に記載される。例えば、試験薬剤を、生産される細胞を含む培養物と接触させ、効果を決定することができる。試験薬剤が細胞に対して毒性である場合、培養物の増殖は減少し得る、および/または死滅し得る。試験薬剤が有効である場合、培養物の増殖は増加し得る。PPCの場合、試験薬剤は、内分泌細胞および/または外分泌細胞の産生を誘導してもよい。in vitroまたはin vivoで内分泌細胞および/または外分泌細胞を生産するための本明細書に記載の方法によって生産されたPPCの使用が、本明細書に記載される。膵外傷によって引き起こされる疾患または障害の処置のための薬剤の製造における本明細書に記載の方法によって生産されたPPCの使用が、本明細書に記載される。膵外傷の処置のための薬剤の製造における本明細書に記載の方法によって生産されたPPCの使用が、本明細書に記載される。in vitroで人工組織または臓器(例えば、膵臓)を生産するための本明細書に記載の方法によって生産されたPPCの使用が、本明細書に記載される。
【実施例
【0086】
[00107]本出願は、本出願の例示的実施形態として提供される、以下の非限定例を参照することによってより良く理解することができる。以下の実施例は、実施形態をより完全に例示するために提示されるものであるが、いかなる意味でも本出願の広い範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0087】
実施例1:MPSCは89の集団倍加に達した
[00108]胚外幹細胞(例えば、栄養膜幹細胞)は、供給源細胞としてのヒトドナーに由来した。以下の表1に示されるように、いくつかの非限定的な培養培地を試験して、細胞を培養し、致死性多能性幹細胞(MPSC)に増殖させた。
【0088】
【表1】
【0089】
[00110]播種密度を10,000細胞/cmから2,000~4,000細胞/cmに低下させると、MPSCの集団倍加数が改善された。3000~5000細胞/cmの密度で播種した細胞の3日の継代培養物は、同様の数のPDを生成する。4000/3000細胞/cmで播種した細胞の交互の3日/4日の継代培養物は、より早い継代に関して4000細胞/cmでの3日の継代培養と類似する数のPDを生成する。培養環境は、21%O/%CO、または2%O/5%CO/93%Nであってよい。
【0090】
[00111]90日、すなわち、3日間の継代培養の30回継代を超える増殖結果の一部を図1に示し、これは、90日の時間枠での集団倍加(PD)によって測定されたMPSCの3日間の継代培養の増殖曲線を示す折れ線グラフである。MPSCは、約12日までに最大で25PD、約30日までに最大で50PD、約63日までに最大で75PD、約90日までに最大で89PDに達した。
【0091】
[00112]MPSCは、ゼノフリー培地中で培養した場合、約27時間の倍加時間で約70~80倍加する延長された集団倍加能力を有する。細胞が集団中で倍加するには、平均で約27時間かかり、これを、式T=td/log2[(2-y)/(1-y)](式中、Tは細胞周期の持続期間であり、tdは細胞数が2倍になるのにかかる平均時間であり、yはG0期にある細胞の割合である)を用いて算出することができる。
【0092】
[00113]この延長された倍加能力は、MPSCを、産業規模での拡大のための理想的な細胞集団にし、ドナーまたは生物資源からの反復的単離の必要性を除去する。MPSCの大きいバッチサイズ能力は、複数の細胞バンクと関連する生成物の変動性ならびに異なるドナーから同等の生成物を製造し、発売する費用を低減させることによって、治療剤の開発および製造を合理化し、診療所における幹細胞に基づく治療剤の実現を促進する、単一の起源から十分なMPSCを生成するであろう。
【0093】
実施例2:MPSCは染色体異常を有しない
[00114]図2A~2Dは、異なる集団倍加に由来する4つの異なるMPSC試料のKARYOSTAT(商標)の全ゲノムビューを示す。KARYOSTAT(商標)アッセイは、染色体異常のデジタル画像化を可能にすることができる。検出することができる構造異常のサイズは、染色体増加については約2Mb(メガベース)を超え、染色体消失については約1Mbを超える。ゲノムDNAを細胞から精製し、ゲノムDNAをKARYOTATE(商標)のためにGENECHIP(登録商標)に添加した。GENECCHIP(登録商標)は、染色体のコピー数バリアントを決定することができる。図2A~2Dは、1つの枠内に全ての体細胞染色体および性染色体を示す全ゲノムビューを示す。図2Aは、16.5の集団倍加に由来するMPSC試料であり、図2Bは、44.5の集団倍加に由来するMPSC試料であり、図2Cは、62.6の集団倍加に由来するMPSC試料であり、図2Dは、71.5の集団倍加に由来するMPSCである。平滑シグナルプロット(右側のy軸)は、マイクロアレイ上のプローブのシグナル強度を描写するlog2比の平滑化である。2の値は、正常なコピー数状態を表してもよい(CN=2)。3の値は、染色体増加を表してもよい(CN=3)。1の値は、染色体消失を表してもよい(CN=1)。灰色のシグナルは、それぞれ個々の染色体プローブに関する生のシグナルを示すが、黒色のシグナルは、コピー数および異常(もしあれば)を同定するために使用される正規化されたプローブシグナルを表す。観察可能な染色体異常は、図2A~Dにおいては見られなかった。MPSC細胞は、染色体異常を示さずに複数の集団倍加を経ることができる。例えば、単クローン集団を拡大した後、将来の使用のために凍結することができる。単クローンの凍結保存培養物から細胞を増殖させたら、それらを、実質的な染色体異常なしに拡大することができる。MPCSの染色体安定性は、不死性と関連する遺伝子異常または突然変異を示すことが多いヒト胚性幹細胞およびiPSCを超える別の利点を提供する。
【0094】
実施例3:特異的分子バイオマーカーを発現することによるMPSCの特性評価
[00115]MPSCは、免疫特権マーカーであるHLA-Gを発現する。成人または出生後ヒト間葉系間質細胞と違って、本明細書におけるMPSCは、白血球上のHLA-G受容体に結合して、活性化T細胞におけるアポトーシスの誘発、ナチュラルキラー(NK)細胞および樹状細胞の活性のモジュレーション、ならびにT細胞増殖の阻害を含む、いくつかの機構によって免疫機能を抑制する、胎盤にしかない主要組織適合複合体クラスI抗原であるヒト白血球抗原-G(HLA-G)を発現する。図3を参照すると、この図面は、一次抗体4H84で染色されたMPSCを示す。図3について、MPSCを、MESENCULT(登録商標)ACF Plus Medium中での培養物から収集した。細胞を、フローサイトメトリー洗浄緩衝剤(塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムを実質的に含まないGibco DPBS、約2%ウシ胎仔血清および約0.1%アジ化ナトリウム)中に再懸濁し、試料あたり約0.25~0.5x10個の細胞からフローサイトメトリー管中にアリコートし、細胞を遠心分離した。細胞を、室温で約15minにわたって4%パラホルムアルデヒド溶液を用いて固定した。一部の例では、固定後、細胞を、約500μl(マイクロリットル)の冷Perm Buffer III(BD Biosciences)で透過処理した後、細胞を氷上でインキュベートした。透過処理により、細胞内物質を染色することが可能となった。インキュベーション後、細胞をフローサイトメトリー洗浄緩衝剤で洗浄し、遠心分離し、フローサイトメトリー染色緩衝剤(R&D Systems)中に再懸濁した。HLA-G一次抗体(例えば、4H84抗体)の希釈物を細胞に添加し、室温でインキュベートしたとき、一次抗体染色が起こった。細胞を、フローサイトメトリー洗浄緩衝剤で数回洗浄した。一次抗体が細胞に結合した後、二次抗体を添加した。二次抗体手順を暗室中で行った。二次抗体を、約1:2000の希釈率でフローサイトメトリー染色緩衝剤中に添加した。細胞を、約100μlの希釈された二次抗体溶液中に再懸濁し、約30分間インキュベートした。細胞を、フローサイトメトリー洗浄緩衝剤中で数回洗浄した。細胞を洗浄した後、細胞をフローサイトメトリー染色緩衝剤中に再懸濁して、約0.5x10個の細胞の濃度にした。細胞を再懸濁した後、細胞をフローサイトメトリーによって試料採取した。一次抗体MEM-G/11は、膜結合型であるHLA-G1アイソフォームを認識することができる。一次抗体4H84抗体は、HLA-Gの7つのアイソフォームのアルファドメインを認識することができる。図3は、透過処理され、一次抗体HLA-G 4H84で染色されたMPSCを示す。染色は、MPSC中または上でのHLA-Gアイソフォームの存在を示す。染色は、1:50の一次抗体希釈率で約76%の細胞が、アイソタイプ対照と比較して陽性であったことを示す。図4は、一次抗体4H84(下パネル)および一次アイソタイプ対照抗体マウスIgG1(上パネル)で染色した細胞を示す。細胞は、IgG1抗体について限定された染色を示し、99.64%の事象が4H84抗体で染色されたが、これは、この抗体がMPSCに特異的であることを示す。図3に示されるMPSC中でのHLA-Gの発現により、細胞は免疫特権部位、例えば、胎児に対するアクセスを有することができる。
【0095】
[00116]本明細書におけるMPSCは、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって測定された場合、特徴的なマーカーを発現することによって、ヒトMSCの表現型および形態を示した。以下の表2を参照されたい。
【0096】
【表2】
【0097】
[00118]本明細書におけるMPSCは、間葉系間質細胞(MSC)の代替手段としての解決を提供することができる。ヒトMSCは、免疫抑制効果を示し、in vitroで3系列の分化を示し、様々な適応症のために患者に安全に送達されており、自己免疫性肛門周囲瘻孔および移植片対宿主疾患などのニッチな適応症を処置するために認可されている。しかしながら、MSCに基づく療法の幅広い採用は、細胞老化に達する前の約30~40の倍加の集団倍加限界のため、大きいバッチのMSCを製造することができないことによって阻害された。
【0098】
[00119]本明細書におけるMPSCは、FACSによって測定された場合、ナチュラルキラー細胞表現型を示した。以下の表3を参照されたい。
【0099】
【表3】
【0100】
[00121]MPSCは、β-hCG、HLA-G、熱ショックタンパク質90(HSP90)、およびCDX2を含む様々な細胞バイオマーカーを免疫細胞化学的に発現した(図5A)。しかしながら、MPSCは、増殖マーカーKi-67、HSP70、腫瘍抑制因子p53、および細胞間融合タンパク質シンシチンを発現しなかった(図5B)が、これは、MPSCがTE分化栄養膜の第1の位置に立つという概念を支持するものである。具体的には、MPSCは、様々な抗体を使用するフローサイトメトリー分析(FACS)によってHLA-A、B、Cならびに表面および細胞内HLA-Gを発現した(図5C図5D)。しかしながら、それらはHLA-DRを発現しなかった。
【0101】
[00122]図5Dは、MPSC中のHLA-Gアイソフォームの代表的なFACS画像である。Ab 4H84を使用することにより、7つ全部のアイソフォームは細胞表面でほとんど検出しなかったが(左上のカラム)、全部のHLA-Gの7つのアイソフォームの68.7%が透過処理されたMPSC中で検出した(左下のカラム)。Ab MEM-G/11によって、HLA-G G1は細胞表面でわずかに検出したが(中央上のカラム)、8.1%のHLA-G G1が検出した(中央上のカラム)。同様に、Ab MEM-G9によって、HLA-G G1、G3、G5は細胞表面で検出したが(右上のカラム)、HLA-Gはいずれも検出しなかった。
【0102】
[00123]ヒトMPSCは免疫細胞結合バイオマーカーを示す。細胞を、免疫細胞化学分析およびFACS分析を用いて特性評価した。その結果、MPSCは、NK細胞の分化抗原群(CD)56、CD16dim、阻害受容体KIR2DL4、CD11b、活性化受容体NKp46、およびCD10(図6A);T細胞のTCR、CD49f、ILT-4、CD3、CD4、CD8、CD44、CD90/Thy-1、CD44、およびCD166(図6B);樹状細胞のCD19およびCD141(図6Cおよび6D);マクロファージのCD14(図6E);造血幹細胞のFlt3L(図6F)およびCD34(図6G);ならびにリンパ球のCD38(図6G)を含む、免疫細胞と結合した様々なバイオマーカーを発現することが示された。続いて、MPSC中でのこれらのバイオマーカーの発現を、NKおよびT細胞バイオマーカーの類似するパターンを示す、8つの独立した細胞系を用いて分析したところ、(CD16+CD56)細胞およびCD107(+)細胞がMPSC中で最も高い発現を示した。FACS分析によると、NK細胞およびT細胞のバイオマーカーは、MPSC中の多くの免疫細胞を占めるが、CD107(+)CD(16+56)(+)細胞およびCD8(+)CD(16+56)(+)細胞が、MPSC中の多くの細胞集団を占めていた。
【0103】
実施例4:MPSCの有意な部分は単クローン性である
[00124]MPSC単クローンを、MPSC培養物から取得した。MPSCを、倒立顕微鏡上に置いて増殖させて、細胞型を記録した。古い培地を除去し、細胞を、滅菌PBSで洗浄した。TRYPLE(登録商標)溶液を、MPSC培養物に添加した。細胞を、37℃、5%COで約6分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を分離した。培養培地を細胞に添加して、TRYPLE(登録商標)反応を停止させた。細胞を収集し、細胞計数器を使用して、細胞数を算出した。約200個の細胞を取り出し、遠心分離管に入れた。培地を補充し、マルチチャネルピペットを用いて、細胞を96ウェルプレート中に分割した。96ウェルプレートを37℃、5%COで増殖させ、約14日間インキュベートした。このプロセス中、2~3日毎に培地を交換した。古い培地を洗浄し、TRYPLE(登録商標)溶液を細胞に添加した。短いインキュベーションの後、培養培地を添加して、TRYPLE(登録商標)反応を停止させ、細胞を6ウェルプレートに移動させて、37℃および5%COで増殖させた。細胞を100mm皿中で継代培養し、37℃および5%COで増殖させるまで、培養培地を2~3日毎に交換した。培地を2~3日毎に交換した。単クローン細胞が80~95%の厚さに達したとき、それらを凍結した。ドナーの異所性組織から、細胞を、細胞と混合した野生型継代として拡大したか、またはそれらを単クローンに拡大した。単クローンを拡大して、複数用量を提供した。例えば、ドナーの異所性組織に由来する100万個の細胞毎につき、約125,000個の単クローンを培養することができる。それぞれの単クローンは、7x1028個の細胞を有する可能性がある。用量あたり1億個の細胞で、それぞれの単クローンは、7x1020の用量を作ることができる。収集されるそれぞれの異所性組織に由来する全可能性:125,000x7x1020用量=8.8x1025用量。それぞれのMPSC単クローンは、完全な製品サイクルを支援することができる。
【0104】
[00125]1Mの細胞の全てのバイアルが、潜在的には約130,000個の単クローンをもたらすことができる。以下の表4を参照されたい。
【0105】
【表4】
【0106】
実施例5:MPCSは病原体を含まない
[00127]供給源細胞が病原体に感染していたか、または病原体を含まなかったかに関係なく、本明細書で得られるヒトMPCSは、病原体を含まない。
MPSCの9つの細胞系を試験した。PCR評価を行って、コリネバクテリウム・ボビス、コリネバクテリウム種(HAC2)、EBV、HAdV、ハンターンハンタウイルス、HCMV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HHV6、HHV8、HIV1、HIV2、HPV16、HPV18、HSV1、HSV2、HTLV1、HTLV2、LCMV、マイコプラズマ種、ソウルハンタウイルス、シンノンブルハンタウイルス、トレポネマ・パリダム、VZVを検出した。全ての細胞系が、h-IMPACT Iパネルにおいて25種全ての病原体について陰性であることがわかった。
【0107】
実施例6:HLA-G FACS染色の最適化(表面対細胞内)
[00128]MPSC野生型(WT)細胞系1(MPSC1)を、栄養培地+細胞付着基質中で培養し、37℃、5%COで12回継代した。固定および透過処理された細胞を、細胞表面および細胞内染色のために調製した。染色条件は、以下の表5の通りである。
【0108】
【表5】
【0109】
[00130]一次抗体ヒストグラムの結果を、1:25、1:50、1:100、および1:200の希釈率について以下の表6に示す。
【0110】
【表6】
【0111】
[00132]一次抗体ドットプロットの結果(A-FL1対SSC)を、1:25、1:50、1:100、および1:200の希釈率について以下の表7に示す。
【0112】
【表7】
【0113】
[00134]一次抗体ドットプロットの結果(FL1対FL2)を、1:25、1:50、1:100、および1:200の希釈率について以下の表8に示す。
【0114】
【表8】
【0115】
[00136]MPSC1を、栄養培地+細胞付着基質中で培養し、37℃、5%COで7回継代した(19.8の集団倍加)。固定および透過処理された細胞を、HLA-G 4H84抗体およびHLA-G MEM-G/11抗体を用いた細胞表面および細胞内染色のために調製した。表面染色後に固定された細胞を、HLA-G MEM-G/11抗体を用いて分析した。結果を、以下の表9に示す。
【0116】
【表9】
【0117】
[00138]対照と比較した、FLA-G 4H86ドットプロットの結果(FL1対SSC)と共に、MPSC1のHLA-G染色を、表10に示す。
【0118】
【表10】
【0119】
実施例7:発生細胞バンクの生成およびその評価
[00140]4種の胚外幹細胞系(例えば、ヒト栄養膜幹細胞)を、供給源細胞として使用した:致死性多能性幹細胞系1(MPSC1)、MPSC2、MPSC3、およびMPSC4。栄養培地(例えば、MESENCULT(商標)+細胞付着基質)中で別々に細胞系を培養することによって、細胞バンクを開発した。細胞の継代培養物を、3000~4000細胞/cmの密度で播種し、3または4日間培養した。試験のエンドポイントは、10PD、35PD、55PD、および70PDであった。その後、FACS特性評価、MPSC/NKマーカー、およびHLA-Gによって表現型を評価した。さらに、生産された細胞の機能を評価した。
【0120】
実施例8:MPSC/NKの生産、表現型および機能に関する実験
致死性多能性幹細胞系1(MPSC1)
[00141]致死性多能性幹細胞系1(MPSC1)を、供給源細胞として使用した。培養物を3000/4000細胞/cmで播種し、栄養培地(例えば、MESENCULT+細胞付着基質)中で培養し、拡大した。2つの細胞バンク(CB)を凍結した:CB2:31.3PDおよびCD3:53.1PD。表現型および機能アッセイを行った。
【0121】
[00142]C1の特性評価は、以下の通りであった:MPSC1を、機能について評価した(3系列分化およびセクレトーム分析)。
【0122】
[00143]C2の特性評価は、以下の通りであった:MPSC1 P13、40.3PDを、表現型決定について、および機能(3系列分化およびセクレトーム分析)について、MSC/NKマーカーおよびHLA-Gに関するFACSによって評価した。
【0123】
致死性多能性幹細胞系2
[00144]致死性多能性幹細胞系2(MPSC2)を、供給源細胞として使用した。培養物を3000/4000細胞/cmで播種し、栄養培地(例えば、MESENCULT(商標)+細胞付着基質)中で培養し、拡大した。3つの細胞バンク(CB)を凍結した:CB1:8.1PD;CB2:29.3PD;およびCB3:47.4PD。表現型および機能アッセイを行った。平均倍化時間(P4~P6)は、26.9時間であった。
【0124】
[00145]C1の特性評価は、以下の通りであった:MPSC2継代5(P5)、11.2の継代倍加(PD)を、表現型決定について、および機能(3系列分化およびセクレトーム分析)について、MSC/NKマーカーおよびHLA-Gに関するFACSによって評価した。
【0125】
[00146]C2の特性評価は、以下の通りであった:MPSC2 P16、36.9PDを、表現型決定について、および機能(3系列分化およびセクレトーム分析)について、MSC/NKマーカーおよびHLA-Gに関するFACSによって評価した。
【0126】
致死性多能性幹細胞系3
[00147]致死性多能性幹細胞系3(MPSC3)を、供給源細胞として使用した。培養物を3000/4000細胞/cmで播種し、栄養培地(例えば、MESENCULT(商標)+細胞付着基質)中で培養し、拡大した。3つの細胞バンク(CB)を凍結した:CB1:8.1PD;CB2:25.5PD;およびCB3:37.3PD。表現型および機能アッセイを行った。平均倍化時間(P4~P6)は、32.7時間であった。
【0127】
[00148]C1の特性評価は、以下の通りであった:MPSC3継代5(P5)、10.2の継代倍加(PD)を、表現型決定について、および機能(3系列分化およびセクレトーム分析)について、MSC/NKマーカーおよびHLA-Gに関するFACSによって評価した。
【0128】
[00149]C2の特性評価は、以下の通りであった:MPSC3 P18、33.3PDを、表現型決定について、および機能(3系列分化およびセクレトーム分析)について、MPSC/NKマーカーおよびHLA-Gに関するFACSによって評価した。
【0129】
致死性多能性幹細胞系4
[00150]致死性多能性幹細胞系(MPSC4)を、供給源細胞として使用した。培養物を3000/4000細胞/cmで播種し、栄養培地(例えば、MESENCULT(商標)+細胞付着基質)中で培養し、合計約6.5PDにわたって拡大した。細胞を、凍結したか、または間葉系幹細胞(MSC)/ナチュラルキラーNKマーカーおよびHLA-Gに関するFACS分析によって特性評価した。P4~P5の平均倍化時間は、約43.7時間であった。
【0130】
増殖曲線
[00151]4種のMPSC細胞系の増殖曲線を、図7に示す。この実験のためのMPSC1は、2回の凍結/解凍サイクルを受け、培養物中でのPDの最大数をおそらく減少させた。
【0131】
[00152]MPSC1、MPSC2、MPSC3、およびMPSC4に関する細胞バンク(CB)1、2、3、および4の増殖曲線および収集の2回目の実験からの結果を得た。MPSC4の倍加は遅く、その細胞系のための実験は中止した。
【0132】
【表11】
【0133】
[00153]表現型の特性評価を、それぞれの細胞系について、以下の継代倍加(PD)時間で行った。
【0134】
【表12】
【0135】
[00154]MPSC/NKマーカーおよびHLA-Gの細胞表面抗原発現を、FACSによって評価した。また、標準的な培養条件でのプラスチックへの接着ならびに骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨芽細胞への多能性分化能力も評価した。
【0136】
【表13】
【0137】
[00155]C1およびC2についてのMPSCマーカー、HLA-GのFACS特性評価は、以下の通りである。
【0138】
【表14】
【0139】
【表15】
【0140】
【表16】
【0141】
【表17】
【0142】
[00156]機能:3系列分化を、以下の分化プロトコールを使用して評価した:
【0143】
【表18】
【0144】
[00157]MPSC3は、脂肪細胞分化培地中で7週間後でも脂肪細胞への分化を示さなかった。対照的に、MPSC1およびMPSC2は、それぞれ、5.5週および7週で脂肪細胞に分化する能力を示した。データは示さない。
【0145】
[00158]第3週で、MPSC1、MPSC2、およびMPSC3 C1細胞は、対照と比較して、アリザリンレッド染色を使用すると、骨形成を示した。データは示さない。
【0146】
実施例9:低酸素により誘導される分化
[00159]胚外幹細胞系(例えば、ヒト栄養膜幹細胞)を、集密に達するまで(例えば、約3000細胞/cm~約9000細胞/cm、または約6000細胞/cm)、栄養培地(例えば、MESENCULT(商標)+細胞付着基質)中で増殖させた。細胞を洗浄し、培地を補給物質なしに交換した。低酸素を、チャンバー中で誘導した(例えば、2%O気体混合物中、約24時間の培養)。培地を収集し、使用まで凍結した。3種全ての細胞系に由来する培地を、QUANTIBODY(商標)Human Kiloplex Array(RAYBIOTECH(商標)Life,Inc.)を使用して試験して、1000種のタンパク質を定量的に分析した。MPSC1およびMPSC2に関する実験を繰り返した。簡単に述べると、試料をプロセッシングし、分析物濃度(pg/mL)を決定し、標準曲線と比較した。検出限界(LOD)より下の試料の%、LODより上であるが、LODの3倍未満である試料の%、最良信頼区間にある試料の%、および最大値より上の試料の%として、データを決定した。
【0147】
[00160]MPSCの集団倍加および倍加時間は、以下の通りである。DT時間(h):完全な細胞回復を可能にするために解凍直後の最初の2回の継代を除く、解凍時の3回連続する継代にわたって算出された平均倍化時間。**PD:対応する培養条件について培養物中で達成される集団倍加の最大数。
【0148】
【表19】
【0149】
[00161]MPSC陰性マーカーについてのC1細胞のFACS特性評価は、以下の通りである:
【0150】
【表20】
【0151】
[00162]MPSC陽性マーカーについてのC1細胞のFACS特性評価は、以下の通りである:
【0152】
【表21】
【0153】
[00163]NK陽性マーカーについてのC1細胞のFACS特性評価は、以下の通りである:
【0154】
【表22】
【0155】
[00164]膵臓前駆細胞および神経幹細胞へのMPSCの分化を決定した。試料を収集して、3つの異なる濃度および3つの異なる時点でFACS分析およびmRNA分析を実施した。
【0156】
【表23】
【0157】
実施例10:免疫抑制細胞の生成およびIDO分泌の評価
[00165]3種の胚外幹細胞系(例えば、ヒト栄養膜幹細胞)を、供給源細胞として使用した:致死性多能性幹細胞系1(MPSC1)P5細胞、MPSC2 P8細胞、およびMPSC3 P8細胞。細胞を、栄養培地(例えば、MESENCULT(商標)+細胞付着基質)中で別々に培養した。細胞の継代培養物を、約5,000細胞/cmの密度で播種し、約3日間培養し、0ng/mL(対照)、約20ng/mL、約50ng/mL、または約100ng/mLのインターフェロンガンマ(IFN-γ)で24時間処理した。その後、細胞および上清を収集した。得られるMPSCの免疫抑制能力を、ELISAによって評価した。
【0158】
[00166]IFN-γ刺激時のインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)分泌を評価した。図8Aは、アッセイの標準曲線を示す。図8Bは、対照と比較した、IDO分泌に対する種々の濃度のIFN-γ刺激での3種の細胞系の結果を示す。IFN-γでプライミングしたMPSCは、IDO分泌を統計的に増加させるとは認められなかった。
【0159】
実施例11:免疫抑制細胞の生成およびキヌレニン分泌の評価
[00167]ヒト栄養膜幹細胞系1(MPSC1)P5細胞を、栄養培地(例えば、MESENCULT(商標)+細胞付着基質)中で培養した。細胞の継代培養物を、約5,000細胞/cmの密度で播種し、約3日間培養し、0ng/mL(対照)、約20ng/mL、約50ng/mL、または約100ng/mLのインターフェロンガンマ(IFN-γ)で24、48、および72時間処理した。その後、細胞および上清を収集した。
【0160】
[00168]IFN-γ刺激時のキヌレニン分泌を評価した。図9Aは、アッセイの標準曲線を示す。図9Bは、対照および培地のみと比較した、24、48、および72時間の3つの異なる濃度でのキヌレニン分泌に対するIFN-γ刺激の効果の結果を示す。IFN-γでプライミングしたMPSCは、キヌレニン分泌を統計的に増加させるとは認められなかった。
【0161】
実施例12:免疫抑制細胞の生成およびIL-2分泌の評価
[00169]致死性多能性幹細胞系1(MPSC1)P5細胞を、栄養培地(例えば、MESENCULT(商標)+細胞付着基質)中で培養した。Jurkat細胞(約100,000細胞/mL)を、1μg/mLのGIBCO(登録商標)フィトヘマグルチニン、M型(PHA-M)+50ng/mLのホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)で24時間にわたって活性化した。
【0162】
[00170]MPSC1細胞とJurkat細胞との同時培養物を確立させた。試料は、(1)MPSCのみ、(2)MPSC1+休止中のJurkat細胞、(3)MPSC1+活性化Jurkat細胞、および(4)活性化Jurkat細胞のみであった。MPSCを、約2000~約3000細胞/cmの密度で播種した。Jurkat細胞を、約50,000~約500,000細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を、24または48時間にわたって同時培養し、上清を収集した。IL-2の分泌を、ELISAによって評価した。図10Aは、アッセイの標準曲線を示す。図10Bは、24および48時間でのIL-2分泌に対するIFN-γ刺激の効果の結果を示す。MPSC1と活性化Jurkat細胞との同時培養物が、最も高いIL-2分泌を誘導した。用量依存的増加が観察された。図10Cは、対照と比較した、24時間の同時培養での約3000細胞/cmのMPSC播種密度の効果を示す。用量依存的増加が観察された。図10Dは、対照と比較した、24時間の同時培養での約2000細胞/cmのMPSC播種密度の効果を示す。用量依存的増加が観察された。図10Eは、対照と比較した、48時間の同時培養での約3000細胞/cmのMPSC播種密度の効果を示す。用量依存的増加が観察された。図10Fは、対照と比較した、48時間の同時培養での約2000細胞/cmのMPSC播種密度の効果を示す。用量依存的増加が観察された。MPSCは、活性化Jurkat細胞により、IL-2分泌を、減少させるよりもむしろ、増加させた。試料のFACS表現型を決定し、24および48時間(h)での結果を以下に提供する。
【0163】
【表24】
【0164】
実施例13:膵臓前駆細胞(PPC)または神経幹細胞(NSC)への幹細胞の分化
MPSC1
[00171]約1x10個の細胞の幹細胞(例えば、MPSC1 P4)を、栄養培地(例えば、MESENCULT(商標)+細胞付着基質、またはMEM-アルファ+STEMULATE)中で解凍した。次いで、P5で細胞を拡大させた:4000細胞/cmのMESENCULT(商標)+細胞付着基質または4000細胞/cmのMEM-アルファ+STEMULATE。PPCまたはNSC分化は、P6で始まった。培養および分化条件は以下の通りである:
【0165】
【表25】
【0166】
[00172]細胞を、微小担体への接着および懸濁拡大について評価した。拡大は、100mLのバイオリアクター中で行った。
【0167】
MPSC2
[00173]約1x10個の細胞の幹細胞(例えば、MPSC2 P4)を、栄養培地(例えば、MESENCULT(商標)+細胞付着基質、またはMEM-アルファ+STEMULATE)中で解凍した。次いで、P5で細胞を拡大させた:5000細胞/cmのMESENCULT(商標)+細胞付着基質または5000細胞/cmのMEM-アルファ+STEMULATE。PPCまたはNSC分化は、P6で始まった。培養および分化条件は以下の通りである:
【0168】
【表26】
【0169】
分化実験設定
【0170】
【表27】
【0171】
神経幹細胞のFACS特性評価
MPSC1培養条件1:神経幹細胞マーカー
【0172】
【表28】
【0173】
【表29】
【0174】
MPSC1培養条件2:神経幹細胞マーカー
【0175】
【表30】
【0176】
【表31】
【0177】
MPSC2培養条件1:神経幹細胞マーカー
【0178】
【表32】
【0179】
【表33】
【0180】
MPSC2培養条件2:神経幹細胞マーカー
【0181】
【表34】
【0182】
【表35】
【0183】
[00174]生産される細胞のNCSマーカーは、NCAD、NESTIN、SOX2、PAX6、またはその任意の組合せのうちの1つまたは複数を含む。一例では、NCS細胞は、N-CAD、NESTIN、SOX2、およびPAX6のうちの1つを含む。一例では、NCS細胞は、NCAD、NESTIN、SOX2、およびPAX6のうちの2つ(例えば、NCADおよびNESTIN、NCADおよびSOX2、NCADおよびPAX6、NESTINおよびSOX2、NESTINおよびPAX6、またはSOX2およびPAX6)を含む。一例では、NCS細胞は、NCAD、NESTIN、SOX2、およびPAX6のうちの3つ(例えば、CAD/NESTIN/SOX2、CAD/NESTIN/PAX6、NESTIN/SOX2/PAX6)を含む。一例では、NCS細胞は、NCAD、NESTIN、SOX2、およびPAX6の全部を含む。
【0184】
MPSC1培養条件1:膵臓前駆細胞マーカー
【0185】
【表36】
【0186】
【表37】
【0187】
MPSC1培養条件2:膵臓前駆細胞マーカー
【0188】
【表38】
【0189】
[00175]太字は、FBF処置後に一貫して増加または減少したマーカーを示す。
【0190】
【表39】
【0191】
MPSC2培養条件1:膵臓前駆細胞マーカー
【0192】
【表40】
【0193】
【表41】
【0194】
MPSC2培養条件2:膵臓前駆細胞マーカー
【0195】
【表42】
【0196】
【表43】
【0197】
[00176]生産される細胞のPPCマーカーは、PDX1、FOXA2、SOC9、またはその任意の組合せのうちの1つまたは複数を含む。一例では、PPC細胞は、PDX1、FOXA2、およびSOCのうちの1つを含む。別の例では、PPC細胞は、PDX1、FOXA2、およびSOCのうちの2つを含む。例えば、PPCは、PDX1およびFOXA2、PDX1およびSOC、またはFOXA2およびSOCを含んでもよい。別の例では、PPC細胞は、PDX1、FOXA2、およびSOCの全部を含む。
【0198】
実施例14:MPSC製造のスケールアップ
【0199】
【表44】
【0200】
[00177]MPSC1細胞(約10000細胞/cm)を、振とう器上、微小担体と共に培養した。(1)MESENCULT(商標)、(2)MESENCULT(商標)+BSA、(3)MESENCULT(商標)+PLU、または(4)Rooster培地中で3日間拡大した後、細胞を、トリパンブルー色素排除試験および生細胞/死細胞イメージングによって分析した。
【0201】
[00178]図11Aは、72時間での細胞数を示すグラフである。それぞれのバーにおいて、死細胞は上に示され、生細胞は下に示される。図11Bは、それぞれの型の培地中での集団倍加を示すグラフである。
【0202】
実施例15:バイオリアクター中でのMPSCの拡大
[00179]MPSC(約4,600細胞/cm)を、微小担体と共に、25rpmで約7日間にわたって100mLのPBSバイオリアクター中のRooster MXC XF培地中で培養した。細胞計数および生存能力を決定した。細胞マーカーのFACS特性評価を、接着対懸濁培養を比較して行った。
【0203】
[00180]図12Aは、異なる日数の培養での細胞計数を示すグラフである。ΔD2-D6=44,000,000細胞である。図12Bは、培養中の生細胞の%を示すグラフである。図12Cは、接着対懸濁培養を比較する集団倍加を示すグラフである。ΔD2-D6=4.9PDである。接着培養は懸濁培養よりも最初は速く倍加したが、時間と共に、懸濁培養がより速い速度の集団倍加を達成した。
【0204】
[00181]接着および懸濁細胞培養のためのMPSCおよびNKマーカーは、以下に示される通りである。
【0205】
【表45】
【0206】
【表46】
【0207】
【表47】
【0208】
【表48】
【0209】
さらなる最適化
【0210】
【表49】
【0211】
知見のまとめ
[00182]増殖曲線分析は、異なるMPSC系間で異なる増殖特性を示す:MPSC4<MPSC3<MPSC2<MPSC1。MSC/NKマーカーのFACS特性評価は、MPSC4細胞系について異種細胞集団を示す;MPSC2、MPSC3、およびMPSC1細胞系は同種であり、コアMSCマーカーを発現する。MESENCULT(商標)およびMEM-α+STEMULATE培地を使用するPPCおよびNSCへの短期分化は、培地依存的マーカー発現を示す;MPSC1とMPSC2細胞系は両方とも、分化後にPPC、NSC、およびMPSCマーカーの組合せを発現する。活性化されたT細胞のような細胞系(例えば、Jurkat細胞)との同時培養において、MPSCは、Jurkat細胞中で活性化IL-2分泌を刺激することができた。
【0212】
[00183]一部の実施形態を本明細書に示し、記載してきたが、そのような実施形態は、ほんの一例として提供されるものである。いくつかの変更、変化、および置換を、本発明から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替手段を、本発明の実施において使用することができることが理解されるべきである。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
【国際調査報告】