IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】SARS-COV-2に対する抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230607BHJP
   C07K 16/10 20060101ALI20230607BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230607BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230607BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230607BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230607BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230607BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230607BHJP
   C12N 5/0781 20100101ALI20230607BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230607BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230607BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230607BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230607BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230607BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230607BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230607BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230607BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/10 ZNA
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/0781
A61P31/14
A61P43/00 121
A61P11/00
A61K39/395 S
A61K48/00
A61K35/17
A61K9/10
A61K9/107
A61K9/127
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567512
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 US2021031442
(87)【国際公開番号】W WO2021226560
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】63/022,392
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/024,372
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/027,814
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/029,338
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/031,286
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/033,045
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/036,683
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/039,939
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/046,465
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/057,767
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/090,667
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/113,450
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/153,784
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/170,368
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521268130
【氏名又は名称】ヴィア・バイオテクノロジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Vir Biotechnology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コルティ, ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】ピッツート, マッテオ サムエレ
(72)【発明者】
【氏名】ピント, ドーラ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラメッロ, マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】デ マルコ, アンナ
(72)【発明者】
【氏名】カメロニ, エリザベッタ
(72)【発明者】
【氏名】スネル, ジョルジュ
(72)【発明者】
【氏名】チュドゥノコウスキ, ナディーン
(72)【発明者】
【氏名】ハーベナー-ドートン, コリン
(72)【発明者】
【氏名】レンプ, フロリアン エー.
(72)【発明者】
【氏名】テレンティ, アマリオ
(72)【発明者】
【氏名】ザッタ, ファブリーツィア
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA86X
4B065AA87X
4B065AA87Y
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA22
4C076CC15
4C076CC35
4C076FF11
4C084AA13
4C084MA05
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA24
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC751
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB33
4C085BB34
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB41
4C085BB43
4C085BB44
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C085GG08
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZB33
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、SARS-CoV-2抗原に結合することができ、ある特定の実施形態ではSARS-CoV-2感染を強力に中和できる、抗体および抗原結合断片を提供する。SARS-CoV-2または別のコロナウイルスによる感染を予防、処置および診断するためのものを含む、抗体および抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、関連組成物および使用も、提供される。SARS-CoV-2コロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2ビリオン中の、および/またはSARS-CoV-2コロナウイルスに感染した細胞の表面上に発現される、本明細書に記載されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質および/またはRBD)に結合する抗体および抗原結合断片が本明細書に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む抗体または抗原結合断片であって、
(i)CDRH1が、配列番号400、23、33、43、53、63、75、85、97、107、120、130、140、147、160、170、174、183、190、199、209、219、229、241、255、265、275、285、299、313、323、333、370、380、390、410、420、430、435、445、455、465、475、485、495、505、515、525、535、545、555、565、575、585、595、605、615、631、および693のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;
(ii)CDRH2が、配列番号401、24、34、44、54、64、76、86、98、108、121、131、141、148、151、161、171、184、200、210、220、230、242、256、266、276、286、300、314、324、334、352、360、362、364、366、371、381、391、411、421、431、436、446、456、466、476、486、496、506、516、526、536、546、556、566、576、586、596、606、616、625、632、635、637、639、641、643、645、647、649、651、653、655、657、659、661、663、665、667、669、671、673、675、677、679、681、683、685、および694のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;
(iii)CDRH3が、配列番号766、25、35、45、55、65、77、87、99、109、122、132、142、149、162、164、165、172、176、177、179、180、185、187、188、201、211、221、231、243、257、267、277、287、301、315、325、335、354、372、382、392、412、422、432、437、447、457、467、477、487、497、507、517、527、537、547、557、567、577、587、597、607、617、627、633、695、751、753、755、757、760、763、765、および402のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;
(iv)CDRL1が、配列番号404、27、37、47、57、67、79、89、101、111、124、134、144、152、155、156、158、159、166、181、192、203、213、223、233、245、259、269、279、289、303、317、327、337、356、374、384、394、414、424、439、449、459、469、479、489、499、509、519、529、539、549、559、569、579、589、599、609、619、687、および697のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;
(v)CDRL2が、配列番号405、28、38、48、58、68、80、90、102、112、125、135、145、153、167、182、193、204、214、224、234、246、260、270、280、290、304、318、328、338、375、385、395、415、425、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、688、および698のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;かつ/あるいは
(vi)CDRL3が、配列番号406、29、39、49、59、69、81、91、103、113、126、136、146、169、195、197、205、215、225、235、247、261、271、281、291、305、319、329、339、358、376、386、396、416、426、441、451、461、471、481、491、501、511、521、531、541、551、561、571、581、591、601、611、621、689、699、745、および747のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含む有する(comprising having)その配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり、
前記抗体または抗原結合断片が、宿主細胞の細胞表面上および/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体または抗原結合断片。
【請求項2】
感染のin vitroモデルにおいて、および/または感染のin vivo動物モデルにおいて、および/またはヒトにおいて、SARS-CoV-2感染を中和できる、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
(i)それぞれ、配列番号400、401、766、および404~406;
(ii)それぞれ、配列番号400~402および404~406;
(iii)それぞれ、配列番号43~45および47~49;
(iv)それぞれ、配列番号53~55および57~59;
(v)それぞれ、配列番号63~65および67~69;
(vi)それぞれ、配列番号75~77および79~81;
(vii)それぞれ、配列番号85~87および89~91;
(viii)それぞれ、配列番号97~99および101~103;
(ix)それぞれ、配列番号107~109および111~113;
(x)それぞれ、配列番号120~122および124~126;
(xi)それぞれ、配列番号130~132および134~136;
(xii)それぞれ、配列番号23または147、以下のいずれか1つ:24、148または151、25または149、以下のいずれか1つ:27、152、155、156、158、または159、28または153、および29;
(xiii)それぞれ、配列番号43または160、44または161、以下のいずれか1つ:45、162、164、または165、47または166、48または167、および49または169;
(xiv)それぞれ、配列番号以下のいずれか1つ:130、170、または174のいずれか1つ、130、131、132、134または181、135または182、および136;
(xv)それぞれ、配列番号以下のいずれか1つ:53、183、または190、54または184、以下のいずれか1つ:55、185、187、または188、57または192、58または193、および以下のいずれか1つ:59、195、または197;
(xvi)それぞれ、配列番号199~201および203~205;
(xvii)それぞれ、配列番号209~211および213~215;
(xviii)それぞれ、配列番号219~221および223~225;
(xix)それぞれ、配列番号229~231および233~235;
(xx)それぞれ、配列番号241~243および245~247;
(xxi)それぞれ、配列番号255~257および259~261;
(xxii)それぞれ、配列番号265~267および269~271;
(xxiii)それぞれ、配列番号275~277および279~281;
(xxiv)それぞれ、配列番号285~287および289~291;
(xxv)それぞれ、配列番号299~301および303~305;
(xxvi)それぞれ、配列番号313~315および317~319;
(xxvii)それぞれ、配列番号323~325および327~329;
(xxviii)それぞれ、配列番号333~335および337~339;
(xxix)それぞれ、配列番号229、230または352、231または354、および233または356、234、および235または358;
(xxx)それぞれ、配列番号313、以下のいずれか1つ:314、360、362、364、または366、315および317~319;
(xxxi)それぞれ、配列番号370~372および374~376;
(xxxii)それぞれ、配列番号380~382および384~386;
(xxxiii)それぞれ、配列番号390~392および394~396;
(xxxiv)それぞれ、配列番号23~25および27~29;
(xxxv)それぞれ、配列番号410~412および414~416;
(xxxvi)それぞれ、配列番号420~422および424~426;
(xxxvii)それぞれ、配列番号435~437および439~441;
(xxxviii)それぞれ、配列番号445~447および449~451;
(xxxix)それぞれ、配列番号455~457および459~461;
(xxxx)それぞれ、配列番号465~467および469~471;
(xxxxi)それぞれ、配列番号475~477および479~481;
(xxxxii)それぞれ、配列番号485~487および489~491;
(xxxxiii)それぞれ、配列番号494~497および499~501;
(xxxxiv)それぞれ、配列番号505~507および509~511;
(xxxxv)それぞれ、配列番号515~517および519~521;
(xxxxvi)それぞれ、配列番号525~527および529~531;
(xxxxvii)それぞれ、配列番号535~537および539~541;
(xxxxviii)それぞれ、配列番号545~547および549~551;
(xxxxix)それぞれ、配列番号555~557および559~561;
(xxxxx)それぞれ、配列番号565~567および569~571;
(xxxxxi)それぞれ、配列番号575~577および579~581;
(xxxxxii)それぞれ、配列番号585、586または625、587または627、および589~591;
(xxxxxiii)それぞれ、配列番号595~597および599~601;
(xxxxxiv)それぞれ、配列番号605~607および609~611;
(xxxxxv)それぞれ、配列番号615~617および619~621;
(xxxxxvi)それぞれ、配列番号631、632または635または637または639または641または643または645または647または649または651または653または655または657または659または661または663または665または667または669または671または673または675または677または679または681または683または685、633、および697~699;
(xxxxxvii)それぞれ、配列番号693~695および697~699;
(xxxxxviii)それぞれ、配列番号400、401および以下のいずれか1つ:751、753、755、757、または760および404、405、および以下のいずれか1つ:745または747;
(xxxxxxix)それぞれ、配列番号585、586、および762または764および589~591;
(xxxxxxx)それぞれ、配列番号33~35および37~39;あるいは
(xxxxxxxi)それぞれ、配列番号400、401、766、404、405または1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換を含む405のバリアントであって、前記1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換のそれぞれが、必要に応じて、保存的アミノ酸置換である、バリアント、および406
のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項4】
配列番号399に記載されるVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3と、配列番号738に記載されるVLアミノ酸配列のCDRL1、CDRL2または各々が必要に応じて保存的アミノ酸置換である1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むCDRL2のバリアント、およびCDRL3とを含む抗体またはその抗原結合断片であって、前記CDRがIMGTに従い、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
相補性決定領域(CDR)H1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、(a)それぞれ、配列番号400、401、766、404、405、および406;(b)それぞれ、配列番号400、401、769、404、405、および406;(c)それぞれ、配列番号400、401、770、404、405、および406;(d)それぞれ、配列番号400、401、771、404、405、および406;(e)それぞれ、配列番号400、401、772、404、405、および406;(f)それぞれ、配列番号400、401、773、404、405、および406;(g)それぞれ、配列番号400、401、766、404、405、および745;(h)それぞれ、配列番号400、401、769、404、405、および745;(i)それぞれ、配列番号400、401、770、404、405、および745;(j)それぞれ、配列番号400、401、771、404、405、および745;(k)それぞれ、配列番号400、401、772、404、405、および745;(l)それぞれ、配列番号400、401、773、405、405、および745;(m)それぞれ、配列番号:400、401、766、404、405、および747;(n)それぞれ、配列番号400、401、769、404、405、および747;(o)それぞれ、配列番号400、401、770、404、405、および747;(p)それぞれ、配列番号400、401、771、404、405、および747;(q)それぞれ、配列番号400、401、772、404、405、および747;または(r)それぞれ、配列番号400、401、773、404、405、および747に記載されるアミノ酸配列を含み、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含み、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、(a)それぞれ、配列番号400、401、766、404、405、および406に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
(a)配列番号400、401、402、404、405、および406;(b)配列番号400、401、751、404、405、および406;(c)配列番号400、401、753、404、405、および406;(d)配列番号400、401、755、404、405、および406;(e)配列番号400、401、757、404、405、および406;(f)配列番号400、401、760、404、405、および406;(g)配列番号400、401、402、404、405、および745;(h)配列番号400、401、751、404、405、および745;(i)配列番号400、401、753、404、405、および745;(j)配列番号400、401、755、404、405、および745;(k)配列番号400、401、757、404、405、および745;(l)配列番号400、401、760、404、405、および745;(m)配列番号400、401、402、404、405、および747;(n)配列番号400、401、751、404、405、および747;(o)配列番号400、401、753、404、405、および747;(p)配列番号400、401、755、404、405、および747;(q)配列番号400、401、757、404、405、および747;または(r)配列番号400、401、760、404、405、および747に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項8】
配列番号400に記載されるアミノ酸配列、配列番号401に記載されるアミノ酸配列、および配列番号402に記載されるアミノ酸配列をVHに含み、配列番号404に記載されるアミノ酸配列、配列番号405に記載されるアミノ酸配列、および配列番号406に記載されるアミノ酸配列をVLに含む、請求項4~7のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
相補性決定領域(CDR)H1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号525、526、527、529、530、および531に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合断片であり、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
相補性決定領域(CDR)H1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号585、586または625、587または627、589、590、および591に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合断片であり、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
相補性決定領域(CDR)H1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号229、230、231、233、234、および235に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合断片であり、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
(i)前記VHが、配列番号399、22、32、42、52、62、72、74、84、96、106、119、129、139、150、163、173、175、178、186、189、191、198、208、218、228、240、254、264、274、284、298、312、322、332、350、351、353、359、361、363、365、367、368、369、379、389、409、419、429、434、444、454、464、474、484、494、504、514、524、534、544、554、564、574、584、594、604、614、624、626、628、630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、684、692、740、741、742、743、748、749、750、752、754、756、758、759、761、762、および764のいずれか1つに記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、ここで、変化は、必要に応じて1つまたは複数のフレームワーク領域に限定され、および/または前記変化は、生殖系列にコードされたアミノ酸に対する1つまたは複数の置換を含み;ならびに/あるいは
(ii)前記VLが、配列番号738、26、36、46、56、66、78、88、94、100、110、123、133、143、154、157、168、194、196、202、212、222、232、238、244、250、252、258、268、278、288、294、296、302、308、310、316、326、336、355、357、373、383、393、403、413、423、438、448、458、468、478、488、498、508、518、528、538、548、558、568、578、588、598、608、618、686、696、744、および746のいずれか1つに記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、ここで、変化は、必要に応じて1つまたは複数のフレームワーク領域に限定され、および/または前記変化は、生殖系列にコードされたアミノ酸に対する1つまたは複数の置換を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項13】
前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項14】
前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項15】
前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項16】
前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項17】
前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項18】
前記VHおよび前記VLが、
(i)それぞれ、配列番号524および528;
(ii)それぞれ、配列番号584もしくは624もしくは626もしくは628および588;
(iii)それぞれ、配列番号228もしくは740もしくは741もしくは742もしくは743および232;または
(iv)それぞれ、配列番号228もしくは740もしくは741もしくは742もしくは743および238
に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項19】
前記VHが、表2に記載されるいずれかのVHアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなり、前記VLが、表2に記載されるいずれかのVLアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなり、必要に応じて、前記VHおよび前記VLは、
(i)それぞれ、配列番号399および403または738;
(ii)それぞれ、配列番号32および36;
(iii)それぞれ、配列番号42および46;
(iv)それぞれ、配列番号52および56;
(v)それぞれ、配列番号62および66;
(vi)それぞれ、配列番号72および66;
(vii)それぞれ、配列番号74および78;
(viii)それぞれ、配列番号84および88;
(ix)それぞれ、配列番号84および88;
(x)それぞれ、配列番号96および100;
(xi)それぞれ、配列番号106および110;
(xii)それぞれ、配列番号119および123;あるいは
(xiii)それぞれ、配列番号129および133;
(xiv)それぞれ、配列番号22または150および26、154、または157;
(xv)それぞれ、配列番号42または163および46または168;
(xvi)それぞれ、配列番号129、173、175、または178のいずれか1つおよび133;
(xvii)それぞれ、配列番号52、186、189、または191のいずれか1つおよび56、194、または196のいずれか1つ;
(xviii)それぞれ、配列番号198および202;
(xix)それぞれ、配列番号208および212;
(xx)それぞれ、配列番号218および222;
(xxi)それぞれ、配列番号228および232または238;
(xxii)それぞれ、配列番号240および244、250、または252のいずれか1つ;
(xxiii)それぞれ、配列番号254および258;
(xxiv)それぞれ、配列番号264および268;
(xxv)それぞれ、配列番号274および278;または
(xxvi)それぞれ、配列番号284および288、294、または296のいずれか1つ;
(xxvii)それぞれ、配列番号298および302、308、または310のいずれか1つ;
(xxviii)それぞれ、配列番号312および316;
(xxix)それぞれ、配列番号322および326;
(xxx)それぞれ、配列番号332および336;
(xxxi)それぞれ、配列番号228、350、351、または353のいずれか1つおよび232、238、355、または357;
(xxxii)それぞれ、配列番号312、359、361、363、365、367、または368のいずれか1つおよび316;
(xxxiii)それぞれ、配列番号369および373;
(xxxiv)それぞれ、配列番号379および383;
(xxxv)それぞれ、配列番号389および393;
(xxxvi)それぞれ、配列番号22および26;
(xxxvii)それぞれ、配列番号409および413;
(xxxviii)それぞれ、配列番号419および423;
(xxxix)それぞれ、配列番号434および438;
(xxxx)それぞれ、配列番号444および448;
(xxxxi)それぞれ、配列番号454および458;
(xxxxii)それぞれ、配列番号464および468;
(xxxxiii)それぞれ、配列番号474および478;
(xxxxiv)それぞれ、配列番号484および488;
(xxxxv)それぞれ、配列番号494および498;
(xxxxvi)それぞれ、配列番号504および508;
(xxxxvii)それぞれ、配列番号514および518;
(xxxxviii)それぞれ、配列番号524および528;
(xxxxix)それぞれ、配列番号534および538;
(xxxxx)それぞれ、配列番号544および548;
(xxxxxi)それぞれ、配列番号554および558;
(xxxxxii)それぞれ、配列番号564および568;
(xxxxxiii)それぞれ、配列番号574および578;
(xxxxxiv)それぞれ、配列番号584および588;
(xxxxxv)それぞれ、配列番号594および598;
(xxxxxvi)それぞれ、配列番号604および608;
(xxxxxvii)それぞれ、配列番号614および618;
(xxxxxviii)それぞれ、配列番号624、626、または628および588;
(xxxxxix)それぞれ、配列番号630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、または684、および686;
(xxxxxx)それぞれ、配列番号692および696;
(xxxxxxi)それぞれ、配列番号740~743および238のいずれか1つ;
(xxxxxxii)それぞれ、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つおよび403、744、および746のいずれか1つ;あるいは
(xxxxxxiii)それぞれ、配列番号762または764および588
に従うアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項20】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項21】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項24】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項25】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項26】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号524に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号528に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項27】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号584、624、626、および628のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号588に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項28】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号228、740、741、742、および743のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号232に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項29】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号228、740、741、742、および743のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号238に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項30】
重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号32に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項31】
CDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む抗体またはその抗原結合断片であって、前記CDRH1、CDRH2およびCDRH3が、それぞれ、配列番号33~35に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなり、前記CDRL1、CDRL2およびCDRL3が、それぞれ、配列番号37~39に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項32】
感染のin vitroモデルにおいて、および/または感染のin vivo動物モデルにおいて、および/またはヒトにおいて、SARS-CoV-2感染を中和できる、請求項3~31のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項33】
(i)SARS-CoV-2のACE2受容体結合モチーフ(RBM、配列番号5)中のエピトープを認識するか;
(ii)SARS-CoV-2(例えば、SARS-CoV-2 RBD)およびヒトACE2の間の相互作用を遮断できるか;
(iii)SARS-CoV-2のSタンパク質に結合できるか;
(iv)SARS-CoV-2のACE2 RBM中、およびSARS-CoVのACE2 RBM中で保存されているエピトープを認識するか;
(v)SARS-CoV-2およびSARS-CoV-1コロナウイルスに対して交差反応性であるか;
(vii)ACE2 RBM中のものではないSARS-CoV-2の表面糖タンパク質中のエピトープを認識するか;または
(viii)プレフュージョンコンフォメーションのSARS-CoV-2 Sタンパク質三量体に結合できるか;または
(ix)(i)~(viii)の任意の組み合わせ
である、請求項1~32のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項34】
IgG、IgA、IgM、IgE、またはIgDアイソタイプである、請求項1~33のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項35】
IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選択されるIgGアイソタイプである、請求項1~34のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項36】
ヒト、ヒト化、またはキメラである、請求項1~35のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項37】
ヒト抗体、モノクローナル抗体、精製された抗体、一本鎖抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、またはscFabを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項38】
前記scFvが、1つより多くのVHドメインおよび1つより多くのVLドメインを含む、請求項37に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項39】
多特異性抗体または抗原結合断片である、請求項1~38のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項40】
二特異性抗体または抗原結合断片である、請求項39に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項41】
(i)第1のVHおよび第1のVL;ならびに
(ii)第2のVHおよび第2のVL
を含み、
前記第1のVHおよび前記第2のVHが、異なり、それぞれ独立して、配列番号22、32、42、52、62、72、74、84、96、106、119、129、139、150、163、173、175、178、186、189、191、198、208、218、228、240、254、264、274、284、298、312、322、332、350、351、353、359、361、363、365、367、368、369、379、389、399、409、419、429、434、444、454、464、474、484、494、504、514、524、534、544、554、564、574、584、594、604、614、624、626、628、630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、684、692、740、741、742、743、748、749、750、752、754、756、758、759、761、762、および764のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記第1のVLおよび前記第2のVLが、異なり、それぞれ独立して、配列番号26、36、46、56、66、78、88、94、100、110、123、133、143、154、157、168、194、196、202、212、222、232、238、244、250、252、258、268、278、288、294、296、302、308、310、316、326、336、355、357、373、383、393、403、413、423、438、448、458、468、478、488、498、508、518、528、538、548、558、568、578、588、598、608、618、686、696、738、744、および746のいずれか1つに記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記第1のVHおよび前記第1のVLが、第1の抗原結合部位を一緒に形成し、前記第2のVHおよび前記第2のVLが、第2の抗原結合部位を一緒に形成する、請求項39または40に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項42】
(i)第1のVHおよび第1のVL;ならびに
(ii)第2のVHおよび第2のVL
を含み、
前記第1のVHが、配列番号139および342のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号143および346のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(すなわち、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のVHが、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号403、744、および746のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(すなわち、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項40または41に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項43】
第1の特異性を有する第1の抗原結合部分、および第2の特異性を有する第2の抗原結合部分を含み、前記第1の抗原結合部分が、配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVH、および配列番号738または配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVLを含む、請求項39または40に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項44】
前記第2の抗原結合部分が、配列番号139に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVH、および配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVLを含む、請求項43に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項45】
前記第2の抗原結合部分が、配列番号342に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVH、および配列番号346に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVLを含む、請求項43に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項46】
Fcポリペプチドまたはその断片をさらに含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項47】
前記Fcポリペプチドまたはその断片が:
(i)変異であって、前記変異を含まない参照Fcポリペプチドと比較して、FcRnへの結合を増強する変異;および/または
(ii)変異であって、前記変異を含まない参照Fcポリペプチドと比較して、FcγRへの結合を増強する変異
を含む、請求項46に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項48】
FcRnへの結合を増強する前記変異が:M428L;N434S;N434H;N434A;N434S;M252Y;S254T;T256E;T250Q;P257I;Q311I;D376V;T307A;E380A;またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項47に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項49】
FcRnへの結合を増強する前記変異が:
(i)M428L/N434S;
(ii)M252Y/S254T/T256E;
(iii)T250Q/M428L; (iv)P257I/Q311I;
(v)P257I/N434H;
(vi)D376V/N434H;
(vii)T307A/E380A/N434A;または
(viii)(i)~(vii)の任意の組み合わせ
を含む、請求項47または48に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項50】
FcRnへの結合を増強する前記変異が、M428L/N434Sを含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項51】
FcγRへの結合を増強する前記変異が、S239D;I332E;A330L;G236A;またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項47~50のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項52】
FcγRへの結合を増強する前記変異が、
(i)S239D/I332E;
(ii)S239D/A330L/I332E;
(iii)G236A/S239D/I332E;または
(iv)G236A/A330L/I332E
を含む、請求項47~51のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項53】
前記Fcポリペプチドが、L234A変異およびL235A変異を含む、請求項47~52のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項54】
グリコシル化を変化させる変異を含み、グリコシル化を変化させる前記変異が、N297A、N297Q、もしくはN297Gを含み、ならびに/またはアグリコシル化および/もしくはアフコシル化されている、請求項1~53のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項55】
ELISA(必要に応じて、間接的ELISAおよび/またはサンドイッチELISA)により、および/またはフローサイトメトリーにより測定して、SARS-CoV-2表面糖タンパク質に500ng/ml未満、250ng/ml未満、100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、16ng/ml未満、15ng/ml未満、14ng/ml未満、13ng/ml未満、12ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、または2mg/ml未満のEC50で結合でき、ここで、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質が、宿主細胞の細胞表面で発現されている、請求項1~54のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項56】
ELISA(必要に応じて、間接的ELISAおよび/またはサンドイッチELISA)により、および/またはフローサイトメトリーにより測定して、SARS-CoV-2表面糖タンパク質RBDに500ng/ml未満、250ng/ml未満、100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、16ng/ml未満、15ng/ml未満、14ng/ml未満、13ng/ml未満、12ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、または2mg/ml未満のEC50で結合でき、ここで、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質が、宿主細胞の細胞表面で発現されている、請求項1~55のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項57】
必要に応じて2.7μg/mlで、抗体または抗原結合断片をプロテインAピン上に負荷し、SARS-CoV-2 RBDを5分間、6μg/ml、1.5μg/ml、または0.4μg/mlで負荷し、さらに必要に応じて7分間解離を測定する、Octet装置を必要に応じて使用する、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して決定して、SARS-CoV-2 RBDに5×10-8M未満、4×10-8M未満、3×10-8M未満、2×10-8M未満、1×10-8M未満、5×10-9M未満、1×10-9M未満、5×10-10M未満、1×10-10M未満、5×10-11M未満、1×10-11M未満、5×10-12M未満、または1×10-12M未満のKDで結合できる、請求項1~56のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項58】
表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、必要に応じて、シングルサイクルキネティクス手法を使用するBiacore T200装置を使用して、決定して、SARS-CoV-2 RBDに6×10-8M未満、5×10-8M未満、4×10-8M未満、3×10-8M未満、2×10-8M未満、1×10-8M未満、5×10-9M未満、4×10-9M未満、3×10-9M未満、2×10-9M未満、1×10-9M未満、または8×10-10M未満のKDで結合できる、請求項1~57のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項59】
SARS-CoV-2 RBDに結合でき、(i)前記RBDと(ii)ヒトACE2および/またはヒトSIGLEC-1との間の相互作用を阻害できる、請求項1~58のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項60】
(i)SARS-CoV-2シュードウイルスによる感染を、必要に応じて:
(i)(a)100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、3ng/ml未満、2ng/ml未満、もしくは1ng/ml未満、好ましくは、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、3ng/ml未満、2ng/ml未満、もしくは1ng/ml未満の中和IC50で中和でき、および/または
(i)(b)100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、もしくは25ng/ml未満、好ましくは、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、もしくは25ng/ml未満の中和IC80で中和でき、および/または
(i)(c)300ng/ml未満、200ng/ml未満、100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満 50ng/ml、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、もしくは10ng/ml未満の中和EC90で中和でき、さらに必要に応じて、前記SARS-CoV-2シュードウイルスが、VSVシュードウイルスおよび/もしくはMLVシュードウイルスを含み、および/または
(i)(d)前記SARS-CoV-2シュードウイルスが、VSVシュードウイルスおよび/もしくはMLVシュードウイルスを含み;ならびに/あるいは
(ii)生SARS-CoV-2による感染を、必要に応じて:
(ii)(a)60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、12ng/ml未満、11ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、もしくは4ng/ml未満、好ましくは、15ng/ml未満、12ng/ml未満、11ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、もしくは4ng/ml未満のEC50で中和でき、および/または
(ii)(b)50ng/ml未満、40ng/ml未満、35ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、12ng/ml未満、11ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、もしくは4ng/ml未満、好ましくは、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、もしくは12ng/ml未満のEC90で中和でき、および/または
(ii)(c)6時間にわたって、0.1の感染多重度で中和でき;ならびに/あるいは
(iii)DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC、またはACE2を発現する、必要に応じて、それを過剰発現するように操作された、宿主細胞(例えば、HEK293T細胞)における生SARS-CoV-2による感染を中和でき;ならびに/あるいは
(iv)SIGLEC-1またはACE2を発現する、必要に応じてそれを過剰発現するように操作された、宿主細胞(例えば、HEK293T細胞)における生SARS-CoV-2による感染を中和でき、感染を中和することが、感染を完全に中和することを含む、
請求項1~59のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項61】
前記表面糖タンパク質に、配列番号3を含むSARS-CoV-2表面糖タンパク質と比較して次の変異:N501Y、S477N、N439K、L452R、E484K、K417N、T478K、S494P、A520S、N501T、A522S、Y453F、P384Lのいずれか1つを含む、SARS-CoV-2バリアントによる感染を中和できる、請求項1~60のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項62】
前記抗体または抗原結合断片が配列番号3に記載される表面糖タンパク質アミノ酸を含むSARS-CoV-2による感染を中和する効力の3分の1未満の効力で、前記SARS-CoV-2バリアントによる感染を中和できる、請求項61に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項63】
FcγRIIa、FcγRIIIa、または両方を活性化でき、必要に応じて、
(i)前記FcγRIIaが、H131対立遺伝子を含み;および/または
(ii)前記FcγRIIIaが、V158対立遺伝子を含み;および/または
(iii)活性化が、CHO細胞などのSARS-CoV-2 S発現標的細胞、およびルシフェラーゼなどのNFAT駆動レポーターを発現するレポーター細胞を使用して決定される、請求項1~62のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項64】
(a)配列番号6に記載されるCH1~CH3アミノ酸配列、および配列番号8に記載されるCLアミノ酸配列;
(b)配列番号6に記載されるCH1~CH3アミノ酸配列、および配列番号9に記載されるCLアミノ酸配列;
(c)配列番号7に記載されるCH1~CH3アミノ酸配列、および配列番号8に記載されるCLアミノ酸配列;または
(d)配列番号7に記載されるCH1~CH3アミノ酸配列、および配列番号9に記載されるCLアミノ酸配列
を含む、請求項1~63のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項65】
(i)配列番号767に記載される重鎖アミノ酸配列と、
(ii)配列番号768に記載される軽鎖アミノ酸配列と
を含む単離された抗体。
【請求項66】
非ヒト霊長類において20~30日の間の、または22~28日の間の、または23~27日の間の、または24~26日の間の、または約25日のin vivo半減期を有する、請求項1~65のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項67】
約20~約30ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる、請求項1~66のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項68】
約10~約20ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる、請求項1~66のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項69】
約5~約10ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる、請求項1~66のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項70】
約1~約5ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる、請求項1~66のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項71】
前記抗体または抗原結合断片が、SARS-CoV-2による感染を中和でき、前記SARS-CoV-2Sタンパク質への結合についてヒトACE2と競合せず、
必要に応じて、前記中和が、感染のin vitroモデルにおいて感染を中和することを含む、請求項1~70のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項72】
請求項1~71のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片とSARS-CoV-2表面糖タンパク質への結合について競合する、抗体または抗原結合断片。
【請求項73】
請求項1~72のいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合断片をコードするか、または前記抗体もしくは前記抗原結合断片のVH、重鎖、VL、および/もしくは軽鎖をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項74】
デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を含み、前記RNAが、必要に応じて、メッセンジャーRNA(mRNA)を含む、請求項73に記載のポリヌクレオチド。
【請求項75】
宿主細胞での発現のためにコドン最適化されている、請求項73または74に記載のポリヌクレオチド。
【請求項76】
配列番号30、31、40、41、50、51、60、61、70、71、73、82、83、92、93、95、104、105、114、115、116、117、118、127、128、137、138、206、207、216、217、226、227、236、237、239、248、249、251、253、262、263、272、273、282、283、292、293、295、297、306、307、309、311、320、321、330、331、340、341、377、378、387、388、397、398、407、408、417、418、427、428、433、442、443、452、453、462、463、472、473、482、483、492、493、502、503、512、513、552、523、532、533、542、543、552、553、562、563、572、573、582、583、592、593、602、603、612、613、622、623、690、691、700~737、および739のいずれか1つもしくは複数に記載のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、もしくは少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む、または前記ポリヌクレオチド配列を含むか、もしくはこれからなる、請求項73~75のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項77】
(i)配列番号407に記載されるヌクレオチド配列に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する、または前記ヌクレオチド配列を含むか、もしくはこれからなる、ポリヌクレオチド;および
(ii)配列番号408、737、もしくは739に記載されるヌクレオチド配列に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する、または前記ヌクレオチド配列を含むか、もしくはこれからなる、ポリヌクレオチド
を含む、請求項73~76のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項78】
請求項73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、組換えベクター。
【請求項79】
請求項77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドおよび/または請求項78に記載のベクターを含む、宿主細胞であって、前記ポリヌクレオチドが前記宿主細胞に対して異種である、宿主細胞。
【請求項80】
請求項73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むヒトB細胞であって、ポリヌクレオチドが前記ヒトB細胞に対して異種である、および/または前記ヒトB細胞が不死化されている、ヒトB細胞。
【請求項81】
(i)請求項1~72のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片、
(ii)請求項73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、
(iii)請求項78に記載の組換えベクター、
(iv)請求項79に記載の宿主細胞、および/または
(v)請求項80に記載のヒトB細胞;ならびに
薬学的に許容される賦形剤、キャリアー、または希釈剤
を含む、組成物。
【請求項82】
請求項1~72のいずれかに記載の2つまたはそれより多くの抗体または抗原結合断片を含む、請求項81に記載の組成物。
【請求項83】
(i)配列番号32に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)配列番号139に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
(i)CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第1の抗体または抗原結合断片であって、前記CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号33~35に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号37~39に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第1の抗体または抗原結合断片;ならびに
(ii)CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第2の抗体または抗原結合断片であって、前記CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号140~142に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号144~146に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、請求項82に記載の組成物。
【請求項85】
(i)配列番号139または342に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号143または346に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、または761に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号403、744、または746に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、請求項82に記載の組成物。
【請求項86】
(i)CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第1の抗体または抗原結合断片であって、前記CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号140~142、またはそれぞれ、配列番号343~345に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号144~146に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第1の抗体または抗原結合断片;ならびに
(ii)CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第2の抗体または抗原結合断片であって、前記CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号400、401、および以下のいずれか1つ:751、753、755、757、760に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号404、405、および以下のいずれか1つ:406、745および747に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、請求項82に記載の組成物。
【請求項87】
(i)以下を含む第1の抗体または抗原結合断片:
(i)(a)配列番号32に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVH、および
(i)(b)配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、VL;ならびに
(ii)以下を含む第2の抗体または抗原結合断片:
(ii)(a)配列番号139に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVH、および
(ii)(b)配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVL
を含む、組成物。
【請求項88】
(i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第1の抗体または抗原結合断片であって、
(i)(a)それぞれ、配列番号400、402、および766に記載される、CDRH1、CDRH2およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHと、
(i)(b)それぞれ、配列番号404、405、および406に記載される、CDRL1、CDRL2およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLと
を含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第2の抗体または抗原結合断片であって、
(ii)(a)それぞれ、配列番号140、141または343、および142に記載される、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHと、
(ii)(b)それぞれ、配列番号144、145、および146に記載される、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLと
を含む、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、組成物。
【請求項89】
(i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第1の抗体または抗原結合断片であって、
(i)(a)配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むVHと、
(i)(b)配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むVLと
を含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第2の抗体または抗原結合断片であって、
(ii)(a)配列番号139または342に記載されるアミノ酸配列を含むVHと、
(ii)(b)配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むVLと
を含む、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、組成物。
【請求項90】
前記第1の抗体または抗原結合断片および前記第2の抗体または抗原結合断片の各々が、M428L変異およびN434S変異を含むIgG1 Fcポリペプチドを含む、請求項82~89のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項91】
前記第1の抗体または抗原結合断片および前記第2の抗体または抗原結合断片の各々が、G236A変異、A330L変異およびI332E変異を含むIgG1 Fcポリペプチドを含む、請求項82~90のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項92】
キャリアー分子に被包された請求項73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む組成物であって、前記キャリアー分子が、必要に応じて、脂質、脂質由来の送達ビヒクル、例えば、リポソーム、固体脂質ナノ粒子、油性懸濁液、サブミクロン脂質乳剤、脂質マイクロバブル、逆脂質ミセル、渦巻型リポソーム、脂質マイクロチューブル、脂質マイクロシリンダー、脂質ナノ粒子(LNP)、またはナノスケールプラットフォームを含む、組成物。
【請求項93】
(i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合でき、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1から選択される第1の細胞表面受容体との間の相互作用を阻害できる、第1の抗体または抗原結合断片と、
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合でき、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1から選択される第2の細胞表面受容体との間の相互作用を阻害できる、第2の抗体または抗原結合断片と
を含む組成物であって、
前記第1の細胞表面受容体と前記第2の細胞表面受容体が異なる、組成物。
【請求項94】
被験体におけるコロナウイルス感染、例えば、SARS-CoV-2感染を処置する方法であって、有効量の:
(i)請求項1~72のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片;
(ii)請求項73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド;
(iii)請求項78に記載の組換えベクター;
(iv)請求項79に記載の宿主細胞;
(v)請求項80に記載のヒトB細胞;および/あるいは
(vi)請求項81~93のいずれか一項に記載の組成物
を前記被験体に投与することを含む、方法。
【請求項95】
被験体におけるコロナウイルス感染、例えば、SARS-CoV-2感染を処置する方法であって、前記被験体に、
(i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第1の抗体または抗原結合断片であって、
(i)(a)それぞれ、配列番号400、402、および766に記載される、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHと、
(i)(b)それぞれ、配列番号404、405、および406に記載される、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLと
を含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第2の抗体または抗原結合断片であって、
(ii)(a)それぞれ、配列番号140、141または343、および142に記載される、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHと、
(ii)(b)それぞれ、配列番号144、145、および146に記載される、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLと
を含む、第2の抗体または抗原結合断片
を投与することを含む、方法。
【請求項96】
被験体におけるコロナウイルス感染、例えば、SARS-CoV-2感染を処置する方法であって、前記被験体に、
(i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第1の抗体または抗原結合断片であって、
(i)(a)配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むVHと、
(i)(b)配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むVLと
を含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第2の抗体または抗原結合断片であって、
(ii)(a)配列番号139または342に記載されるアミノ酸配列を含むVHと、
(ii)(b)配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むVLと
を含む、第2の抗体または抗原結合断片
を投与することを含む、方法。
【請求項97】
被験体におけるコロナウイルス感染を予防または処置または中和する方法であって、
(i)(a)それぞれ、配列番号32および36に記載の、VHおよびVLアミノ酸配列、または
(i)(b)それぞれ、配列番号33~35および37~39に記載の、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第1の抗体または抗原結合断片を受けた被験体に;
(ii)(a)配列番号139に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号143に記載のVLアミノ酸配列、または
(ii)(b)それぞれ、配列番号140~142に記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸、ならびに、配列番号144~146に記載の、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第2の抗体または抗原結合断片を投与することを含む、方法。
【請求項98】
被験体におけるコロナウイルス感染を予防または処置または中和する方法であって、
(i)(a)配列番号139に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号143に記載のVLアミノ酸配列、または
(i)(b)それぞれ、配列番号140~142に記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ、配列番号144~146に記載の、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第1の抗体または抗原結合断片を受けた被験体に;
(ii)(a)それぞれ、配列番号32および36に記載の、VHおよびVLアミノ酸配列、または
(ii)(b)それぞれ、配列番号33~35および37~39に記載の、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第2の抗体または抗原結合断片を投与することを含む、方法。
【請求項99】
被験体におけるコロナウイルス感染を予防または処置または中和する方法であって、
(i)(a)配列番号139もしくは342に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号143もしくは346に記載のVLアミノ酸配列、または
(i)(b)それぞれ、配列番号140~142、もしくはそれぞれ、343~345に記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ、配列番号144~146に記載の、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第1の抗体または抗原結合断片を受けた被験体に;
(ii)(a)配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、もしくは761に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号403、744、もしくは746に記載のVLアミノ酸配列、または
(ii)(b)それぞれ、配列番号400に、401に、および751、753、755、757、760のいずれか1つに記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ、配列番号404に、405に、ならびに406、745および747のいずれか1つに記載の、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第2の抗体または抗原結合断片を投与することを含む、方法。
【請求項100】
被験体におけるコロナウイルス感染を予防または処置または中和する方法であって、
(i)(a)配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、もしくは761に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号403、744、もしくは746に記載のVLアミノ酸配列、または
(i)(b)それぞれ、配列番号400に、401に、および751、753、755、757、760のいずれか1つに記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ、配列番号404に、405に、ならびに406、745および747のいずれか1つに記載の、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第1の抗体または抗原結合断片を受けた被験体に;
(ii)(a)配列番号139もしくは342に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号143もしくは346に記載のVLアミノ酸配列、または
(ii)(b)それぞれ、配列番号140~142、もしくはそれぞれ、343~345に記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ、配列番号144~146に記載の、CDRL1、CDRL2およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第2の抗体または抗原結合断片を投与することを含む、方法。
【請求項101】
前記第1の抗体または抗原結合断片および前記第2の抗体または抗原結合断片の各々が、M428L変異およびN434S変異を含むIgG1 Fcポリペプチドを含む、請求項95~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記第1の抗体または抗原結合断片および前記第2の抗体または抗原結合断片の各々が、G236A変異、A330L変異およびI332E変異を含むIgG1 Fcポリペプチドを含む、請求項95~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
被験体におけるSARS-CoV-2感染を処置する方法であって、前記被験体に、
(i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合でき、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1から選択される第1の細胞表面受容体との間の相互作用を阻害できる、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合でき、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1から選択される第2の細胞表面受容体との間の相互作用を阻害できる、第2の抗体または抗原結合断片
を投与することを含み、
前記第1の細胞表面受容体と前記第2の細胞表面受容体とが異なる、方法。
【請求項104】
被験体におけるSARS-CoV-2感染を処置する方法における使用のための、請求項1~72のいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合断片、請求項73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項78に記載の組換えベクター、請求項79に記載の宿主細胞、請求項80に記載のヒトB細胞、および/または請求項81~93のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項105】
被験体におけるSARS-CoV-2感染の処置のための医薬の調製における使用のための、請求項1~72のいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合断片、請求項73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項78に記載の組換えベクター、請求項79に記載の宿主細胞、請求項80に記載のヒトB細胞、および/または請求項81~93のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項106】
SARS-CoV-2感染のin vitro診断のための方法であって、
(i)被験体からの試料を請求項1~72のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片と接触させること、および
(ii)抗原と前記抗体とを含む、または抗原と前記抗原結合断片とを含む複合体を検出すること
を含む方法。
【請求項107】
前記試料が、前記被験体から単離された血液を含む、請求項106に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表に関する陳述
本出願に関連する配列表は、紙の写しの代わりにテキストフォーマットで提供され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、930585_409WO _SEQUENCE_LISTING.txtである。テキストファイルは、489KBであり、2021年5月7日に作製され、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
【背景技術】
【0002】
背景
新規なベータコロナウイルスが、2019年末に中国の武漢において明らかになった。2021年5月2日以後、このウイルスによる感染のおよそ1億5200万の症例(他の名称の中でも、SARS-CoV-2および武漢コロナウイルスと称された)が世界中で確認され、およそ319万5千人の死亡がもたらされた。SARS-CoV-2感染を予防または処置するための療法が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1A図1A~1Dは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDおよびSARS-CoV-1スパイクタンパク質RBDへの、ある特定の抗体の結合を示す。SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離されたヒトモノクローナル抗体を組換え発現させ、RBDの結合についてELISAにより試験した。図1Aは、5つの抗体の結合を示し、図1Bおよび図1Cの各々は、7つの抗体の結合を示し、図1Dは、4つの抗体の結合を示す。図1Bの上部パネルに2つの抗体が黒色記号を使用して示されている。図1Bでは、S2X28結合が、試験した濃度の全範囲にわたってゼロまたはほぼゼロのODにとどまっている線により表されている。図1B(上部)では、S2X41結合が、EC50がおおよそ20.01ng/mlである曲線により表されている。図1A~1Dの各々において、上部パネルは、SARS-CoV-2 RBDへの結合を示し、下部パネルは、SARS-CoV-1 RBDへの結合を示す。各図の右側のボックスは、存在する場合、示されている抗体についての算出EC50値を示す。
図1B】同上。
図1C】同上。
図1D】同上。
【0004】
図2図2は、SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離された、組換え発現されたモノクローナル抗体による、ヒトACE2へのSARS-CoV-2 RBDの結合の阻害を示す。ELISAプレートを組換えヒトACE2(内部で生成)で被覆した。PBS中の2ug/mlのACE2で被覆を行った。プレートを一晩、4℃でインキュベートし、ブロッキング剤カゼイン(Thermofisherからの1%カゼイン)を用いて1時間、室温でブロックした。
【0005】
図3A図3A~3Fは、SARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルスに対するある特定の抗体を使用する感染中和アッセイからの結果を示す。SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離されたモノクローナル抗体を組換え発現させ、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたマウス白血病ウイルス(MLV)に対する中和アッセイで試験した。図3Aは、3つの抗体についての結果を示す。図3B~3Fの各々は、4つの抗体についての結果を示す。x軸に示されている濃度で抗体を試験した。各図の右側のボックスは、存在する場合、示されている抗体についての算出IC50を示す。
図3B】同上。
図3C】同上。
図3D】同上。
図3E】同上。
図3F】同上。
【0006】
図4A図4A~4Nは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBD、およびSARS-CoV-1スパイクタンパク質RBDへのさらなる抗体の結合を示す。SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離されたモノクローナル抗体を組換え発現させ、RBD結合についてELISAにより試験した。各図の右側のボックスは、示されている抗体についての算出EC50値を示す。
図4B】同上。
図4C】同上。
図4D】同上。
図4E】同上。
図4F】同上。
図4G】同上。
図4H】同上。
図4I】同上。
図4J】同上。
図4K】同上。
図4L】同上。
図4M】同上。
図4N】同上。
【0007】
図5A図5A~5Dは、SARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルスに対するさらなる抗体を使用する感染中和アッセイからの結果を示す。SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離されたモノクローナル抗体を組換え発現させ、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたマウス白血病ウイルス(MLV)に対する中和アッセイ(アッセイごとに1つの抗体)で試験した。図5Aおよび5Cの各々は、3つの抗体についての結果を示す。図5Bは、2つの抗体についての結果を示し、図5Dは、4つの抗体についての結果を示す。x軸に示されているとおりの濃度で、抗体を試験した。各図の右側のボックスは、存在する場合、示されている抗体についての算出EC50を示す。
図5B】同上。
図5C】同上。
図5D】同上。
【0008】
図6A図6Aおよび6Bは、真正のSARS-CoV-2ウイルスに対するモノクローナル抗体を使用する感染中和アッセイからの結果を示す。比較対照抗体「S309-v2」は、配列番号342に記載されるVHアミノ酸配列、および配列番号346に記載されるVLアミノ酸配列(それぞれ、配列番号343~345および347~349に記載される、CDRH1~H3およびL1~L3)を含み、SARS-CoV-1感染から回復した患者から単離された抗体の操作されたバリアントである。10%FBS(VWR)および1×ペニシリン/ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific)を補充したDMEMにおいて培養したVero E6細胞を白色の96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し、一晩、付着させた。抗体の連続1:4希釈物を、BSL-3施設において、200pfuのSARS-CoV-2(分離株USA-WA1/2020、継代3、Vero E6細胞中で継代させた)とともに30分間、37℃でインキュベートした。細胞上清を除去し、ウイルス-抗体混合物を細胞に添加した。感染の24時間後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで30分間固定し、続いて、PBS(pH7.4)洗浄を2回行い、PBS中の0.25%Triton X-100で30分間の透過処理を行った。5%粉乳/PBS中で30分間ブロッキングした後、細胞を、1:2000希釈の、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を標的とする一次抗体(Sino Biological、カタログ番号40143-R001)とともに、1時間インキュベートした。洗浄、および1μg/mlのHoechst33342と混合した二次Alexa647標識抗体との1時間のインキュベーション後、プレートを自動細胞イメージングリーダー(Cytation 5、Biotek)で撮像し、製造業者の供給ソフトウェアを使用してヌクレオカプシド陽性細胞を計数した。Prismソフトウェア(GraphPad Prism 8.0)を使用してデータを処理した。
図6B】同上。
【0009】
図7-1】図7A~7Dは、SARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルスに対するさらなる抗体を使用する感染中和アッセイからの結果を示す。SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離されたモノクローナル抗体を組換え発現させ、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたマウス白血病ウイルス(MLV)に対する中和アッセイで試験した。図7Aおよび7Bの各々は、SARS-CoV-1感染から回復した患者から単離された、比較対照抗体S309(配列番号139のVHアミノ酸配列、配列番号143のVLアミノ酸配列、それぞれ、配列番号140~142および144~146に記載される、CDRH1~H3およびL1~L3)と一緒に、4つの抗体の結果を示す。図7Cは、S309と一緒に3つの抗体についての結果を示し、図7Dは、S309と一緒に2つの抗体についての結果を示す。図7D中の抗体「S2H58」は、配列番号228に記載されるVHアミノ酸配列、および配列番号238に記載されるVLアミノ酸配列を含む。x軸に示されているとおりの濃度で、抗体を試験した。
図7-2】同上。
【0010】
図8A図8Aおよび8Bは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDおよびSARS-CoV-1スパイクタンパク質RBDへの抗体の結合を示す。SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離されたモノクローナル抗体を組換え発現させ、RBD結合についてELISAにより試験した。図8Aは、SARS-CoV-1感染から回復した患者から単離された5つの抗体および1つの比較対照抗体、S309(配列番号139のVHアミノ酸配列、配列番号143のVLアミノ酸配列、それぞれ、配列番号140~142および144~146に記載される、CDRH1~H3およびL1~L3)、の結合を示す。図8Bは、4つの抗体およびS309の結合を示す。図8Aおよび8Bの各々において、左側パネルは、SARS-CoV-2 RBDへの結合を示し、右側パネルは、SARS-CoV-1 RBDへの結合を示す。各パネルの右側のボックスは、示されている抗体についての算出EC50値を示す。
図8B】同上。
【0011】
図9A図9A~9Fは、SARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルスに対する抗体を使用する感染中和アッセイからの結果を示す。SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離されたモノクローナル抗体を組換え発現させ、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたマウス白血病ウイルス(MLV)に対する中和アッセイで試験した。x軸に示されているとおりの濃度で、抗体を試験した。算出IC50、IC80およびIC90値(ng/mlとして表されている)が各図中のグラフの下に示されている。
図9B】同上。
図9C】同上。
図9D】同上。
図9E】同上。
図9F】同上。
【0012】
図10A図10A~10Eは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDおよびSARS-CoV-1スパイクタンパク質RBD(SARS-CoV-1スパイクタンパク質RBDは、各図中の下方グラフに「SARS RBD」と表示されている)への抗体の結合を示す。SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離されたモノクローナル抗体を組換え発現させ、RBDの結合についてELISAにより試験した。図10A~10Eの各々において、上部パネルは、SARS-CoV-2 RBDへの結合を示し、下部パネルは、SARS-CoV-1 RBDへの結合を示す。各図の右側のボックスは、存在する場合、示されている抗体についての算出EC50値を示す。
図10B】同上。
図10C】同上。
図10D】同上。
図10E】同上。
【0013】
図11A図11A~11Dは、ある特定のモノクローナル抗体を使用する感染中和アッセイからの結果を示す。抗体を、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたマウス白血病ウイルス(MLV)に対する中和アッセイで試験した。図11Aは、モノクローナル抗体S2X193およびS2X195についての結果を示す。図11Bは、モノクローナル抗体S2X219およびS2X244についての結果を示す。図11Cは、モノクローナル抗体S2X246およびS2X256についての結果を示す。図11Dは、モノクローナル抗体S2X278についての結果を示す。x軸は、抗体の総濃度を示す。算出IC50、IC80およびIC90値(ng/mlとして表されている)が、各図の右側のボックスの中に示されている。
図11B】同上。
図11C】同上。
図11D】同上。
【0014】
図12A図12A~12Dは、ある特定のモノクローナル抗体を使用する感染中和アッセイからの結果を示す。抗体を組換え発現させ、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化された水疱性口内炎ウイルス(VSV)に対する中和アッセイで試験した。図12Aは、比較対照S2X190と一緒にモノクローナル抗体S2X193およびS2X195についての結果を示す。図12Bは、モノクローナル抗体S2X219についての結果を示す。図12Cは、モノクローナル抗体S2X244、S2X246およびS2X256についての結果を示す。図12Dは、モノクローナル抗体S2X269およびS2X278についての結果を示す。x軸に示されている濃度で抗体を試験した。算出IC50およびIC90値(ng/mlとして表されている)が、各図の下部に示されている。
図12B】同上。
図12C】同上。
図12D】同上。
【0015】
図13A図13Aおよび13Bは、SARS-CoV-2 RBDによるヒトACE2への結合を阻害するある特定のモノクローナル抗体の能力を示す。ELISAプレートを、PBS中の2μg/mlの組換えヒトACE2でコーティングした。モノクローナル抗体の連続希釈物を、20ng/mlのSARS-CoV-2 RBD(Sino Biologicalからの、マウスFcと融合したRBD)とともに30分間、37℃でインキュベートし、次いで、室温でのさらなる20分のインキュベーションのためにACE2をコーティングしたプレートに移した。10μg/mlで出発し、1:3希釈して、11の連続希釈物を使用した。アルカリホスファターゼにコンジュゲートした二次抗体ヤギF(ab’)2抗マウスIgG(H+L)抗体(Southern Biotech)を使用し、続いて、重炭酸緩衝液中のpNPP(Sigma Aldrich N2765-100TAB)を添加し、405nmで吸光度を読み取ることにより、ACE2へのRBDの結合を検出した。図13Aは、4つの比較対照抗体と一緒に、モノクローナル抗体S2X193およびS2X195についての結果を示す。図13Bは、モノクローナル抗体S2X219、S2X244、S2X246、S2X256、S2X269、およびS2X278についての結果を示す。算出IC50値が、各図中のグラフの右にまたは右方に示されている。
図13B】同上。
【0016】
図14A図14A~14Hは、Octetにより測定したときの、SARS-CoV-2 RBDに対する本開示のある特定のモノクローナル抗体の結合親和性およびアビディティを示す。抗体(各図の下部右側に示されているとおり)をプロテインAピン上に2.7μg/mlでロードした。SARS-CoV-2 RBDを、5分間、6μg/ml、1.5μg/ml、または0.4μg/mlでロードした。解離を7分間、測定した。各図中の縦の破線は、解離相の開始を示す。
図14B】同上。
図14C】同上。
図14D】同上。
図14E】同上。
図14F】同上。
図14G】同上。
図14H】同上。
【0017】
図15-1】図15は、Octetにより測定したときの、4つの比較対照抗体(第2のパネル)と一緒に、モノクローナル抗体S2X219(第1のパネル)ならびにS2X193、S2X195、S2X244、S2X246、S2X256、S2X269、およびS2X278についての、SARS-CoV-1 RBDに対する結合親和性およびアビディティーを示す。抗体をプロテインAピンに2.7μg/mlで負荷した。SARS-CoV-1 RBDを、5分間、6μg/mlで負荷した。解離を7分間、測定した。各グラフ中の縦の破線は、解離段階の開始を示す。第2のパネルにおいて、曲線の順序(上から下へ)は、グラフの右方に列挙されている抗体(上から下へ)に対応する。実例として、上部の曲線は、S2X127に対応し、下部の曲線は、S2X278に対応する。
図15-2】同上。
【0018】
図16A図16A~16Dは、感染後24時間の時点でヌクレオカプシド(NP)発現の阻害により評価したときの、ある特定のモノクローナル抗体によるSARS-CoV-2感染の中和を示す。図16Aは、比較対照抗体S309-v2(配列番号342のVHアミノ酸配列、配列番号346のVLアミノ酸配列、それぞれ、配列番号343~345および347~349に記載される、CDRH1~H3およびL1~L3)と一緒に、モノクローナル抗体S2N22、S2N12、S2N28、S2N25、S2H58-v2によるSARS-CoV-2感染の中和を示す。図16Bは、比較対照抗体S309-v2と一緒に、モノクローナル抗体S2E9、S2E6、S2E13、S2K4、S2E14、S2E7、およびS2E12(配列番号399のVHアミノ酸配列、配列番号403のVLアミノ酸配列、それぞれ、配列番号400、766、402および404~406に記載される、CDRH1~H3およびL1~L3)によるSARS-CoV-2感染の中和を示す。図16Cは、比較対照抗体S309-v2(M428L/N434S Fc変異を有する)と一緒に、モノクローナル抗体S2H37、S2H73、S2H40、S2H70、およびS2H71によるSARS-CoV-2感染の中和を示す。図16Dは、比較対照抗体S309-v2と一緒に、モノクローナル抗体S2X30、S2H58-v1、S2H66、S2H62、およびS2H30によるSARS-CoV-2感染の中和を示す。算出IC50値が各グラフの下に示されている。
図16B】同上。
図16C】同上。
図16D】同上。
【0019】
図17A図17A~17Cは、ある特定のモノクローナル抗体を使用する感染中和アッセイからの結果を示す。図17Aは、モノクローナル抗体S2M11およびS2M28についての結果を示す。図17Bは、モノクローナル抗体S2M16についての結果を示す。図17Cは、モノクローナル抗体S2M7およびS2L49についての結果を示す。抗体を、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたマウス白血病ウイルス(MLV)に対する中和アッセイで試験した。x軸は、抗体の総濃度を示す。算出IC50、IC80およびIC90値(ng/mlとして表されている)が各グラフの下のボックスの中に示されている。
図17B】同上。
図17C】同上。
【0020】
図18A図18A~18Eは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBD、SARS-CoV-1スパイクタンパク質、およびSARS-CoV-1スパイクタンパク質RBDへの、ある特定のモノクローナル抗体の結合を示す。SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離された抗体を組換え発現させ、スパイクおよびスパイクRBDの結合についてELISAにより試験した。各図の右側のボックスは、算出EC50値(ng/mlとして表されている)を示す。
図18B】同上。
図18C】同上。
図18D】同上。
図18E】同上。
【0021】
図19A図19A~19Eは、ある特定のモノクローナル抗体を使用する感染中和アッセイからの結果を示す。抗体を、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたマウス白血病ウイルス(MLV)に対する中和アッセイで試験した。図19Aは、モノクローナル抗体S2X149およびS2X179についての結果を示す。図19Bは、モノクローナル抗体S2D65についての結果を示す。図19Cは、モノクローナル抗体S2D97についての結果を示す。図19Dは、モノクローナル抗体S2D106についての結果を示す。図19Eは、モノクローナル抗体S2H101についての結果を示す。x軸は、抗体の総濃度を示す。算出IC50、IC80およびIC90値が、各図の右側のボックスにおいてそのボックスの左手の縦列に、示されている。
図19B】同上。
図19C】同上。
図19D】同上。
図19E】同上。
【0022】
図20A図20Aおよび20Bは、SARS-CoV-1スパイクタンパク質、SARS-CoV-1スパイクタンパク質RBD、およびSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDへの、ヒトモノクローナル抗体S2X149および比較対照抗体S309-v2 LS(配列番号342のVHアミノ酸配列、配列番号346のVLアミノ酸配列、それぞれ、配列番号343~345および347~349に記載される、CDRH1~H3およびL1~L3;M428LおよびN434S Fc変異を有するrIgG1として発現される)の結合を示す。ヒトモノクローナル抗体を組換え発現させ、結合をELISAにより試験した。図20Aは、SARS-CoV-1スパイクタンパク質RBD(上部パネル)およびSARS-CoV-1スパイクタンパク質(下部パネル)への、抗体の結合を示す。図20Bは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBD(上部パネル)へのおよびコーティングされていない対照プレート(下部パネル)への、抗体の結合を示す。グラフの右側に、ボックスによって算出EC50値が示されている。
図20B】同上。
【0023】
図21A図21Aおよび21Bは、SARS-CoV-1スパイクタンパク質、SARS-CoV-1スパイクタンパク質RBD、およびSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDへの、ヒトモノクローナル抗体S2X179および比較対照抗体S2X200の結合を示す。ヒトモノクローナル抗体を組換え発現させ、結合をELISAにより試験した。図21Aは、SARS-CoV-1スパイクタンパク質RBD(上部パネル)およびSARS-CoV-1スパイクタンパク質(下部パネル)への、抗体の結合を示す。図21Bは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBD(上部パネル)へのおよびコーティングされていない対照プレート(下部パネル)への、抗体の結合を示す。図21Bの上部のグラフの右側に、ボックスによってSARS-CoV-2 RBDへの結合についての算出EC50値が示されている。
図21B】同上。
【0024】
図22A図22Aおよび22Bは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDへの、ヒトモノクローナル抗体S2H101、S2D65(22A)、S2D97、およびS2D106(22B)の結合を示す。抗体を組換え発現させ、結合をELISAにより試験した。グラフの右方のボックスは、算出EC50値を示す。
図22B】同上。
【0025】
図23A図23Aおよび23Bは、ELISAにより測定したときの、SARS-CoV-2 RBDによるヒトACE2への結合の、抗体による阻害を示す。図23Aは、モノクローナル抗体S2X149についての結果を示す。図24Bは、モノクローナル抗体S2X179および比較対照抗体S2X200についての結果を示す。算出IC50値が、各グラフの右方に示されている。
図23B】同上。
【0026】
図24図24は、結合競合、クライオEM、および結晶学データにより決定したときの、モノクローナル抗体S309および他の抗スパイク抗体を使用する定量的エピトープ特異的血清学研究の結果を要約する。下線付きの抗体は、SARS-CoV-1と交差反応性である。
【0027】
図25A図25Aおよび25Bは、ある特定のモノクローナル抗体によるSARS-CoV-2感染の中和を示す。図25Aは、比較対照抗体S309 N55Q LSおよびS2X193と一緒に、本開示の4つの抗体についての結果を示す。S309 N55Q LSは、配列番号342に記載されるVHアミノ酸配列、および配列番号346に記載されるVLアミノ酸配列を含み、Fc領域にMLNS改変を含む。図25Bは、4つの比較対照抗体と一緒に、抗体S2X129およびS2X132についての結果を示す。算出IC50値が、各グラフの下のボックスの中に示されている。算出EC50およびEC90値が、各図の下部に示されている。
図25B】同上。
【0028】
図26図26は、VSVシュードウイルスを使用するSARS-CoV-2感染の、ある特定のモノクローナル抗体による中和を示す。データは、1つの単一実験、三連ウェルのVSV-luc(スパイクD19)シュードウイルスからのものである。「LS」=Fc変異M428L+N434S。
【0029】
図27図27は、生SARS-CoV-2による感染の、ある特定のモノクローナル抗体による中和を示す。データは、三連ウェルのSARS-CoV-2-luc、MOI 0.1、6時間感染からのものである。
【0030】
図28A図28Aおよび28Bは、ある特定のモノクローナル抗体によるFcγRIIIa(V158対立遺伝子)(図28A)およびFcγRIIa(H131対立遺伝子)(図28B)の活性化を示す。データは、SARS CoV2のSタンパク質を発現するCHO標的細胞を使用する実験を示す。
図28B】同上。
【0031】
図29図29Aおよび29Bは、SARS-CoV-2 RBDおよびスパイクタンパク質への、ある特定の抗体の結合(ELISA)を示す。
【0032】
図30図30Aおよび30Bは、SARS-CoV-2 RBD、SARS-CoV-2のSタンパク質、およびSARS-CoV-1 RBDに対する、ある特定の抗体の結合を示す。
【0033】
図31A図31Aおよび31Bは、異なる濃度のAAPH(2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩)の存在下での、またはUV照射後の、SARS-CoV-2 RBDへの抗体S2D106の結合を示す。AAPHとUV照射の両方が、抗体における酸化ストレスを誘導するために使用される。図31Aは、間接的ELISAにより測定したときの、RBDへのS2D106の結合を示す。図31Bは、サンドイッチELISAにより測定したときのS2D106の結合を示す。x軸=RBDの濃度。
図31B】同上。
【0034】
図32A図32A~32Cは、S2E12およびその操作されたバリアント(S2E12抗体のVHおよびVL配列については実施例9の表22を参照されたい)による感染(シュードウイルス粒子)の中和を示す。図32Aおよび図32Bは、同じ実験の2回の繰り返しからの結果を示す。図32Cは、S2E12および他のそのバリアントを使用する3回目の実験についての結果を示す。
図32B】同上。
図32C】同上。
【0035】
図33A図33Aおよび33Bは、間接的ELISAにより測定したときの、SARS-CoV-2 RBDへのある特定の抗体の結合を示す。図33Aは、8つの抗体についての結果を示す。図33Bは、6つの抗体についての二連実験からの結果の平均を示す。
図33B】同上。
【0036】
図34A図34Aおよび34Bは、サンドイッチELISAにより測定したときの、SARS-CoV-2 RBDへのある特定の抗体の結合を示す。図34Aは、8つの抗体についての結果を示す。図34Bは、6つの抗体についての二連実験からの結果の平均を示す。
図34B】同上。
【0037】
図35図35は、生SARS-CoV-2ウイルスを使用する感染の5つの抗体による中和を示す。「S2E12-11」と表示されている曲線は、S2E12抗体を発現するように形質転換されたCHO細胞の上清中に存在する抗体を使用して生成した。「S2E12 wt」と表示されている曲線は、形質転換HEK細胞において産生された、精製された抗体を使用して、生成した。
【0038】
図36図36は、フローサイトメトリーにより測定したときの、CHO細胞の表面に発現されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質へのある特定の抗体の結合を示す。各抗体についての算出EC50値が、各抗体名の右方の凡例に示されている。「S2E12-11」と表示されている曲線は、S2E12抗体を発現するように形質転換されたCHO細胞の上清中に存在する抗体を使用して生成した。「S2E12」と表示されている曲線は、形質転換HEK細胞において産生された、精製された抗体を使用して、生成した。
【0039】
図37A図37Aおよび37Bは、シュードウイルス粒子を使用する感染の、ある特定のモノクローナル抗体による中和を示す。図37Aおよび図37Bは、同じ実験の2回の繰り返しからの結果を示す。
図37B】同上。
【0040】
図38A図38Aおよび38Bは、SARS-CoV-2 RBDへのある特定の抗体の結合を示す。比較対照抗体S309-14(VH W105F変異があり、S309と同様のRBDへの親和性を有する、S309)の結合も示されている。図38Aは、間接的ELISAにより測定したときの結合を示す。図38Bは、サンドイッチELISAにより測定したときの結合を示す。図38Aおよび38Bの各々は、二連実験からの結果の平均を示す。
図38B】同上。
【0041】
図39A図39Aおよび39Bは、ある特定の操作されたS2E12抗体の特徴を、親モノクローナル抗体S2E12(y軸上に「WT」と示されているS2E12値)と比較して示す。各図の右側の凡例に列挙されているアッセイを使用して、比較データを生成した。
図39B】同上。
【0042】
図40図40は、ある特定の操作されたS2D106抗体の特徴を、親モノクローナル抗体S2D106(y軸上に「WT」と示されているS2D106値)と比較して示す。各図の右側の凡例に列挙されているアッセイを使用して、比較データを生成した。
【0043】
図41図41は、示されているタンパク質(複数可)を過剰発現するように操作されたHEK293T細胞におけるDC-SIGN/L-SIGN、DC-SIGN、およびACE2導入遺伝子の発現(免疫蛍光)を示す。実施例14を参照されたい。
【0044】
図42図42は、野生型HEK293T細胞における、およびDC-SIGN、L-SIGNまたはACE2を過剰発現するように操作されたHEK293T細胞における、VSVシュードウイルス感染レベルを示す。シュードウイルスは、ルシフェラーゼレポーターを有する組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質を発現した。実施例14を参照されたい。
【0045】
図43図43は、DC-SIGN、L-SIGNまたはACE2を過剰発現するように操作されたHEK293T細胞におけるVSVシュードウイルス感染の、モノクローナル抗体S309(配列番号139のVH、配列番号143のVL)による中和を示す。この例では、抗体S309は、M428LおよびN434S Fc変異を含む。実施例14を参照されたい。
【0046】
図44図44は、野生型HEK293T細胞における、およびDC-SIGN、L-SIGNまたはACE2を過剰発現するように操作されたHEK293T細胞における、生SARS-CoV-2感染レベルを示す。ルシフェラーゼレポーターを有する組換えSタンパク質を使用して、感染を決定した。実施例14を参照されたい。
【0047】
図45図45は、DC-SIGN、L-SIGNまたはACE2を過剰発現するように操作されたHEK293T細胞における生SARS-CoV-2感染の、モノクローナル抗体S309(配列番号139のVH、配列番号143のVL)による中和を示す。この例では、抗体S309は、M428LおよびN434S Fc変異を含む。実施例14を参照されたい。
【0048】
図46図46は、示されているタンパク質(複数可)を過剰発現するように操作されたHEK293T細胞におけるDC-SIGN/L-SIGN、DC-SIGN、SIGLEC1、およびACE2導入遺伝子の発現(免疫蛍光)を示す。実施例14を参照されたい。
【0049】
図47図47は、野生型HEK293T細胞における、およびDC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC-1、またはACE2を過剰発現するように操作されたHEK293T細胞における、生SARS-CoV-2感染レベルを示す。ルシフェラーゼレポーターを有する組換えSタンパク質を使用して、感染を決定した。実施例14を参照されたい。
【0050】
図48図48は、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC-1、またはACE2を過剰発現するように操作されたHEK293T細胞における生SARS-CoV-2感染の、モノクローナル抗体S309(配列番号139のVH、配列番号143のVL)による中和を示す。この例では、抗体S309は、M428LおよびN434S Fc変異を含む。実施例14を参照されたい。
【0051】
図49図49は、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC-1、またはACE2を過剰発現するように操作されたHEK293T細胞における生SARS-CoV-2感染の、モノクローナル抗体S2E12-LS(配列番号399のVH、配列番号403n M428L/N434S Fc変異のVL)による中和を示す。この例では、抗体S2E12は、M428LおよびN434S Fc変異を含む。実施例14を参照されたい。
【0052】
図50A図50Aおよび50Bは、いくつかの細胞型におけるCD209(DC-SIGN)およびSIGLECタンパク質をはじめとするレポータータンパク質の発現分析を示す。ドットのサイズは、タンパク質を発現する、示されている型の細胞のパーセンテージと相関し、ドットの陰影の強度は、タンパク質の発現レベルと相関する。実施例14を参照されたい。
図50B】同上。
【0053】
図51図51は、HEK293T細胞(「親」)における、またはDC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC-1もしくはACE2を安定的に発現するHEK293T細胞における、N-ルシフェラーゼを発現する生SARS-CoV-2による感染を示す。データは、SARS-CoV-2を3つの感染多重度(MOI)で試験する実験を表す。実施例14を参照されたい。
【0054】
図52図52は、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC-1またはACE2を発現するようにレンチウイルスが一過性に形質導入されたHEK293T細胞、HeLa細胞およびMRC5細胞における、SARS-CoV-2シュードタイプ化VSVによる感染を示す。未感染細胞が陰性対照として示されている。実施例14を参照されたい。
【0055】
図53図53は、S2E12による感染の中和を示す。7つの細胞系(HeLa、293T(wt)、Vero E6、Huh7、293T ACE2、MRC 5-ACE2-TMPRSS2、A549-ACE2-TMPRSS2クローン5、A549-ACE2-TMPRSS2クローン10)のパネルを、S2E12の存在下で、SARS-CoV-2-Nlucに感染させた。ルシフェラーゼシグナルを感染の24時間後に定量した。
【0056】
図54図54は、S2E12による感染の中和を示す。7つの細胞系(HeLa、293T(wt)、Vero E6、Huh7、293T ACE2、MRC 5-ACE2-TMPRSS2、A549-ACE2-TMPRSS2クローン5、A549-ACE2-TMPRSS2クローン10)のパネルを、S2E12-LSの存在下で、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたVSVに感染させた。ルシフェラーゼシグナルを、感染の24時間後に定量した。
【0057】
図55図55は、フローサイトメトリーにより定量したときの、7つの細胞系の各々に結合する精製された蛍光標識SARS-CoV-2スパイクタンパク質の結合を示す。HeLaおよび239T WT細胞は、最低MFIを有し、これにHuh7およびVeroE6細胞が続いた。293T ACE2細胞(最高)、MRC 5-ACE2-TMPRSS2(3番目に高い)、A549-ACE2-TMPRSS2クローン5(4番目に高い)、およびA549-ACE2-TMPRSS2クローン10(2番目に高い)は、より高いMFIを有した。
【0058】
図56A図56Aおよび56Bは、S309(VH配列番号139、VL配列番号143)またはS309とS2E12-LSの組合せ、両方が、SARS-CoV-2チャレンジに対して頑強なin vivo防御をもたらすことを示す。シリアンハムスターに、示されている量のmAbを注射し、その48時間後にSARS-CoV-2による鼻腔内チャレンジを行った。図56A、最上部の横列は、感染の4日後の肺におけるウイルスRNAの定量を示す。図56A、中央の横列は、TCID50アッセイを使用する、感染の4日後に採取した肺ホモジネートにおける複製ウイルスの定量を示す。図56A、最下部の横列は、感染の4日後に評価した肺組織の組織学的スコアを示す。図56Bは、感染前(0日目)の血清で測定されたmAbの濃度が、感染の4日後の肺におけるウイルスRNA負荷量と逆相関することを示す。実施例14を参照されたい。
図56B】同上。
【0059】
図57図57は、ACE2を過剰発現するようにまたは選択されたレクチンおよび受容体候補のパネルのうちの1つを過剰発現するようにトランスフェクトされたHEK293T細胞の、VSV-SARS-CoV-2シュードウイルスによる感染を示す。
【0060】
図58図58は、真正SARS-CoV-2に感染させ(0.1のMOI)、次いで固定し、SARS-CoV-2核タンパク質(赤)について24時間、免疫染色した、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1またはACE2を過剰発現する安定したHEK293T細胞系の顕微鏡写真を示す。
【0061】
図59図59は、SARS-CoV-2-Nlucによる感染の24時間後に測定したときの、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1またはACE2を過剰発現する安定したHEK293T細胞系におけるルシフェラーゼレベルの定量を示す。
【0062】
図60図60は、異なる濃度の抗SIGLEC1モノクローナル抗体(クローン7-239)とのインキュベーションおよびSARS-CoV-2-Nlucによる感染後にDC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1またはACE2を過剰発現する安定したHEK293T細胞系におけるルシフェラーゼレベルの定量を示す。
【0063】
図61図61は、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1またはACE2を過剰発現するように一過的に形質導入された細胞のVSV-SARS-CoV-2シュードウイルスによる感染を示す。HEK293T細胞(左側パネル)、HeLa細胞(中央パネル)、およびMRC5細胞(右側パネル)についての結果が示されている。
【0064】
図62図62は、ACE2 siRNAでの処置、続いてのVSV-SARS-CoV-2シュードウイルスによる感染後の、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1またはACE2を過剰発現する安定したHEK293T細胞系の感染を示す。
【0065】
図63図63は、異なる濃度の抗ACE2抗体(ポリクローナル血清)での処置、続いてのVSV-SARS-CoV-2シュードウイルスによる感染後の、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1またはACE2を過剰発現する安定したHEK293T細胞系の感染を示す。
【0066】
図64図64は、Human Lung Cell AtlasにおけるACE2、DC-SIGN(CD209)、L-SIGN(CLEC4M)およびSIGLEC1の分布および発現を示す。
【0067】
図65図65は、重症COVID-19患者の気管支肺胞洗浄液または痰において検出可能なSARS-CoV-2ゲノム有する主要細胞型の解析を示す。細胞型により着色され、ウイルス負荷量によりサイズ分類された、単一細胞遺伝子発現プロファイルが、t-SNE(t分布型確率的近傍埋め込み)プロットとして示されている。
【0068】
図66図66は、重症COVID-19患者の気管支肺胞洗浄液または痰において検出可能なSARS-CoV-2ゲノムを有する主要細胞型の解析を示す。対応するlogCPM(log(100万計数あたりの計数);x軸)までの細胞あたりの検出ウイルスRNAに対して細胞の累積分率(y軸)が、示されている細胞型の各々について示されている。
【0069】
図67図67は、受容体遺伝子についての検出された転写物をx軸に示し、SARS-CoV-2細胞型をy軸に示す細胞の計数のヒートマップ行列を示す。被験体8名からの総計n=3,085細胞。Ren, X. et al. COVID-19 immune features revealed by a large-scale single cell transcriptome atlas. Cell, doi:10.1016/j.cell.2021.01.053 (2021)を参照されたい。
【0070】
図68図68は、マクロファージにおけるおよび分泌細胞における受容体転写物計数(各プロットのy軸)とSARS-CoV-2 RNA計数(各プロットのx軸)の相関を示す。相関は、Renらからのlog変換前の計数に基づく。
【0071】
図69図69は、右に、VSV-SARS-CoV-2によるトランス感染の結果を示す。トランス感染プロセスの概略図が左側パネルに示されている。DC-SIGN、L-SIGN、またはSIGLEC1で形質導入したHeLa細胞をVSV-SARS-CoV-2とともにインキュベートし、非常によく洗浄し、Vero-E6-TMPRSS2感受性標的細胞と共培養した。標的細胞の存在または非存在下での結果が、右側パネルに示されている。
【0072】
図70図70は、VSV-SARS-CoV-2ウイルス吸着を抗SIGLEC1遮断抗体の存在または非存在下で行った、トランス感染の結果を示す。
【0073】
図71図71は、Vero-E6細胞のSARS-CoV-2感染の抗体S309、S2E12-LS、およびS2X33による中和を示す。S2E12-LSは、配列番号399のVH配列および配列番号403のVL配列を含み、FcにM428L/N434Sを含む。
【0074】
図72図72は、抗体S309、S2E12-LSおよびS2X33によるVero-E6-TMPRSS2細胞のSARS-CoV-2感染の中和を示す。
【0075】
図73図73は、フローサイトメトリーにより測定したときの、示されている細胞系への、精製された、蛍光標識SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはRBDの結合の定量を示す。「A」は、ACE2を過剰発現する細胞系を示し、「T」は、TMPRSS2を過剰発現する細胞系を示す。
【0076】
図74図74は、RT-qPCRにより測定したときの、示されている細胞系における細胞ACE2およびTMPRSS2転写物の定量を示す。「A」は、ACE2を過剰発現する細胞系を示し、「T」は、TMPRSS2を過剰発現する細胞系を示す。
【0077】
図75図75は、SARS-CoV-2-Nluc感染の抗体S309、S2E12-LS、またはS2X333による中和を示す。示されている7つの細胞系の各々を試験した。ルシフェラーゼシグナルを、感染の24時間後に定量した。
【0078】
図76図76は、VSV-SARS-CoV-2シュードウイルス感染の抗体S309、S2E12-LS、またはS2X333による中和を示す。示されている7つの細胞系の各々を試験した。ルシフェラーゼシグナルを、感染の24時間後に定量した。
【0079】
図77図77は、免疫蛍光により測定したときの、5μg/mlの抗体S2E12-LSの非存在下(上部パネル)または存在下(下部パネル)での、原形質膜上にSARS-CoV-2のSタンパク質を発現するCHO細胞(CHO-S)の細胞-細胞融合を示す。核をHoechst色素で染色し、細胞質をCellTracker Greenで染色した。
【0080】
図78図78は、異なるスパイク特異的抗体により媒介されるCHO-S細胞-細胞融合を示す。Cytation 5 Imager(BioTek)、および物体として核を検出してそれらのサイズを測定する物体検出プロトコールを使用して、融合を定量した。融合細胞内の物体の面積を全ての物体の総面積で割って100をかけることにより、融合細胞のパーセンテージが得られる。
【0081】
図79図79は、15μg/mlの示されている抗体による、CHO-S細胞のS2E12-LS誘導細胞-細胞融合の阻害を示す。
【0082】
図80図80は、ACE2の非存在下でのS陽性CHO-S細胞と蛍光標識S陰性CHO細胞のS2E12-LS誘導一方向融合(トランス融合とも呼ばれる)を示す。核をHoechst色素で染色し、細胞質をCellTracker Greenで染色した。
【0083】
図81図81は、示されている抗体とプレインキュベートされた真正のSARS-CoV-2による、の時点でSARS-CoV-2核タンパク質について免疫染色することにより、感染を測定した。
【0084】
図82図82は、示されている抗体とプレインキュベートされた真正のSARS-CoV-2によるSIGLEC1を過剰発現する安定したHEK293T細胞系の感染の中和を示す。24時間の時点でSARS-CoV-2核タンパク質について免疫染色することにより、感染を測定した。
【0085】
図83図83は、示されているモノクローナル抗体とプレインキュベートされた真正のSARS-CoV-2によるDC-SIGNを過剰発現する安定したHEK293T細胞系の感染の中和を示す。24時間の時点でSARS-CoV-2核タンパク質について免疫染色することにより、感染を測定した。
【0086】
図84図84は、示されているモノクローナル抗体とプレインキュベートされた真正のSARS-CoV-2によるL-SIGNを過剰発現する安定したHEK293T細胞系の感染の中和を示す。24時間の時点でSARS-CoV-2核タンパク質について免疫染色することにより、感染を測定した。
【0087】
図85図85は、異なるクラスのスパイク特異的抗体の作用機序の要約を示す。「融合阻害」は、CHO-S細胞とACE2+Vero-E6細胞との融合の抗体媒介性阻害を指す。エフェクター機能の評価は、生物発光レポーターアッセイを使用して測定した場合のヒトFcγRの抗体依存性活性化に基づく。RBM Ia~IIa抗体は、S2E12、S2X259、S2X58、S2D106、Ly-CoV016、CT-P59、およびREGN10933を含む。RBM Ib抗体は、Ly-CoV555、REGN10987、およびS2M11を含む。NTD抗体は、S2X333を含む。ステム・ヘリックス抗体は、S2P6を含む。
【0088】
図86-1】図86は、フローサイトメトリーにより測定したときの、それぞれの結合受容体を安定的に過剰発現するHEK293T細胞上のDC/L-SIGN、DC-SIGN、SIGLEC1またはACE2を標的とする抗体の結合の解析を示す。
図86-2】図86は、フローサイトメトリーにより測定したときの、それぞれの結合受容体を安定的に過剰発現するHEK293T細胞上のDC/L-SIGN、DC-SIGN、SIGLEC1またはACE2を標的とする抗体の結合の解析を示す。
【0089】
図87図87は、免疫蛍光により測定したときの、それぞれの結合受容体を安定的に過剰発現するHEK293T細胞上のDC/L-SIGN、DC-SIGN、SIGLEC1またはACE2を標的とする抗体の結合の解析を示す。
【0090】
図88図88は、野生型スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたVSV-SARS-CoV-2(灰色バー)、またはB1.1.7系統の変異を有するスパイクタンパク質でシュードタイプ化されたVSV-SARS-CoV-2(赤色バー)による、示されている結合受容体を安定的に過剰発現するHEK293T細胞の感染を示す。感染の1日後に発光を分析した。
【0091】
図89図89は、Vero-E6またはVero-E6-TMPRSS2細胞のSARS-CoV-2感染の、10μg/mlのS309、S2E12-v2、およびS2X333による中和を示す。細胞を、示されている抗体の存在下、SARS-CoV-2(USA-WA1/2020分離株)に、MOI 0.01で感染させた。感染の24時間後に細胞を固定し、ウイルスのヌクレオカプシドタンパク質を免疫染色した。
【0092】
図90図90は、フローサイトメトリーにより測定したときの、示されている細胞系への、精製された、蛍光標識SARS-CoV-2スパイクタンパク質(左側パネル)またはRBD(右側パネル)の結合の定量を示す。
【0093】
図91図91は、フローサイトメトリーにより測定したときの、示されている細胞系への、精製された、蛍光標識SARS-CoV-2スパイクタンパク質(左側パネル)またはRBD(右側パネル)の結合の定量を示す。
【0094】
図92図92は、シリアンハムスターにおけるSARS-CoV-2チャレンジに対する抗体S309(左側パネル)または抗体S309とS2E12-v2の組合せ(右側パネル)の防御効果の分析を示す。上部パネルは、感染の4日後の肺におけるウイルスRNAの定量を示す。下部パネルは、TCID50アッセイを使用する、感染の4日後に採取した肺ホモジネートにおける複製ウイルスの定量を示す。
【0095】
図93図93は、シリアンハムスターにおけるSARS-CoV-2チャレンジに対する抗体S309(左側パネル)または抗体S309とS2E12-LSの組合せ(右側パネル)の防御効果の分析を示す。上部パネルは、感染の4日後に評価した肺組織の病理組織学的スコアを示す。下部パネルは、感染時に測定された血清抗体レベル(x軸)と感染後4日目に肺において測定されたSARS-CoV-2ウイルスRNAのレベル(y軸)との相関に基づく有効性プロットを示す。点線は、ウイルス低減についてのEC50およびEC90を表す。単独でのS309のEC90は、9μg/mlであり、S309+S2E12-v2のEC90は、11μg/mlである。
【0096】
図94図94は、ハムスター脾細胞への免疫複合体の結合を示す。Alexa-488蛍光免疫複合体(IC)を、力価測定(0~200nM範囲)し、全ナイーブハムスター脾細胞とともにインキュベートした。死/アポトーシス細胞の排除および真の単球集団に対する物理的ゲーティングによりサイトメトリーで結合を明らかにした。左側パネルは、ハムスターまたはヒトFc抗体のどちらかで作製されたICのハムスター細胞に関連する蛍光強度を示す(ヒトS309は緑色で示されており、GH-S309は、濃灰色で示されており、GH-S309-N297Aは、青色で示されている)。2つの単一複製物が示されている。右側パネルは、単球集団全体に関して測定された複製物の相対Alexa-488平均蛍光強度を示す。
【0097】
図95図95は、SARS-CoV-2チャレンジにおける宿主エフェクター機能の役割についての解析を示す。wtであるかまたはFcがサイレンシングされている(S309-N297A)ハムスターIgG2a S309の示されている量(mg/kg)を、シリアンハムスターに注射した。上部パネルは、感染の4日後の肺内のウイルスRNAの定量を示す。中央パネルは、感染の4日後の肺内の複製ウイルスの定量を示す。下部パネルは、感染の4日後の肺内の病理組織学的スコアを示す。対照動物(白色記号)には4mg/kgの無関係の対照アイソタイプ抗体を注射した。マン-ホイットニー検定を使用して、対照動物に対して、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【0098】
図96図96は、示されている抗体の存在下での、DC-SIGNを安定的に発現するHeLa細胞におけるSARS-CoV-2-Nlucによる感染の阻害を示す。細胞を、0.04のMOIで感染させた。感染後24時間の時点で発光シグナルの定量により感染を分析した。
【0099】
図97図97は、示されている抗体の存在下での、ACE2(上部パネル)またはDC-SIGN(下部パネル)を安定的に発現するHEK293T細胞におけるSARS-CoV-2感染の中和を示す。細胞を、0.02のMOIで感染させた。感染の24時間後に細胞を固定し、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質を免疫染色し、陽性細胞を定量した。
【0100】
図98図98は、示されている抗体の存在下での、SIGLEC1(上部パネル)またはL-SIGN(下部パネル)を安定的に発現するHEK293T細胞における、SARS-CoV-2感染の中和を示す。細胞を、0.02のMOIで感染させた。感染の24時間後に細胞を固定し、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質を免疫染色し、陽性細胞を定量した。
【0101】
図99図99は、64日にわたっての雌非ヒト霊長類におけるFcにLS変異を含むS2E12の操作されたバリアント409_11_4_v2についての濃度曲線を示す。
【0102】
図100図100は、非ヒト霊長類研究からの409_11_4_v2-LS薬物動態値を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0103】
詳細な説明
SARS-CoV-2コロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2ビリオン中の、および/またはSARS-CoV-2コロナウイルスに感染した細胞の表面上に発現される、本明細書に記載されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質および/またはRBD)に結合する抗体および抗原結合断片が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、本開示の抗体および抗原結合断片は、感染のin vitroモデルにおいて、および/または、感染の動物モデルにおいて、および/またはヒト被験体において、SARS-CoV-2感染を中和することができる。抗体および抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞および関連する組成物、ならびに抗体、核酸、ベクター、宿主細胞、および関連する組成物を、被験体におけるSARS-CoV-2感染を処置する(例えば、低減する、遅延させる、排除する、または予防する)ために、および/または被験体におけるSARS-CoV-2感染を処置するための医薬の製造において、使用する方法も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0104】
本開示をより詳細に記載する前に、本明細書で使用されるある特定の用語の定義を提供することはその理解を助け得る。追加の定義は、本開示全体を通して記載される。
【0105】
本明細書で使用される場合、本明細書で、「武漢海鮮市場表現型ウイルス」、または「武コロナウイルス」、または「武漢CoV」、または「新型CoV」、または「nCoV」、または「2019 nCoV」、または「武漢nCoV」とも称される「SARS-CoV-2」は、B系統と考えられるベータコロナウイルス(サルベコウイルス)である。SARS-CoV-2は、2019年末に中国、湖北省武漢において最初に同定され、2020年初めに中国内および世界の他の場所に広がった。SARS-CoV-2感染の症状としては、発熱、乾性咳、および呼吸困難が挙げられる。
【0106】
SARS-CoV-2分離株Wuhan-Hu-1のゲノム配列は、配列番号1に提供され(GenBank MN908947.3、2020年1月23日も参照されたい)、ゲノムのアミノ酸翻訳は、配列番号2に提供される(GenBank QHD43416.1、2020年1月23日も参照されたい)。他のコロナウイルス(例えば、SARS CoV-1)と同様に、SARS-CoV-2は、受容体結合ドメイン(RBD)を含有する「スパイク」または表面(「S」)I型膜貫通糖タンパク質を含む。RBDは、細胞表面受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することによって、系統BのSARSコロナウイルスの呼吸上皮細胞への侵入を媒介すると考えられる。特に、ウイルスのRBD中の受容体結合モチーフ(RBM)は、ACE2と相互作用すると考えられる。
【0107】
Wuhan-Hu-1の表面糖タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号3に提供される。Wuhan-Hu-1のRBDのアミノ酸配列は、配列番号4に提供される。SARS-CoV-2のSタンパク質は、SARS-CoV-1とおよそ73%のアミノ酸配列同一性を有する。Wuhan-Hu-1のRBMのアミノ酸配列は、配列番号5に提供される。Wuhan-Hu-1のRBDは、SARS CoV-1のRBDに対しておよそ75%~77%のアミノ酸配列類似性を有し、Wuhan-Hu-1のRBMは、SARS-CoV-1のRBMに対しておよそ50%のアミノ酸配列類似性を有する。
【0108】
本明細書で他に指示されない限り、SARS-CoV-2 Wuhan-Hu-1は、必要に応じて配列番号1に記載されるゲノム配列を有する、配列番号2、3、および4のいずれか1つまたは複数に記載されるアミノ酸配列を含むウイルスを指す。
【0109】
いくつかのSARS-CoV-2バリアントが新たに出現している。一部のSARS-CoV-2バリアントは、N439K変異を含有し、これは、ヒトACE2受容体への結合親和性を増強する(Thomson, E.C., et al., The circulating SARS-CoV-2 spike variant N439K maintains fitness while evading antibody-mediated immunity. bioRxiv, 2020)。一部のSARS-CoV-2バリアントは、N501Y変異を含有し、これは、感染性の増加に関連し、系統B.1.1.7(20I/501Y.V1およびVOC 202012/01としても公知;(del69~70、del144、N501Y、A570D、D614G、P681H、T716I、S982A、およびD1118H変異))およびB.1.351(20H/501Y.V2としても公知;L18F、D80A、D215G、R246I、K417N、E484K、N501Y、D614G、およびA701V変異)を含み、これらは、それぞれ、英国および南アフリカで発見された(Tegally, H., et al., Emergence and rapid spread of a new severe acute respiratory syndrome-related coronavirus 2 (SARS-CoV-2) lineage with multiple spike mutations in South Africa. medRxiv, 2020: p. 2020.12.21.20248640;Leung, K., et al., Early empirical assessment of the N501Y mutant strains of SARS-CoV-2 in the United Kingdom, October to November 2020. medRxiv, 2020: p. 2020.12.20.20248581)。B.1.351はまた、SARS-CoV2スパイクタンパク質のRBDドメインに2つの他の変異、K417NおよびE484Kを含む(Tegally, H., et al., Emergence and rapid spread of a new severe acute respiratory syndrome-related coronavirus 2 (SARS-CoV-2) lineage with multiple spike mutations in South Africa. medRxiv, 2020: p. 2020.12.21.20248640)。他のSARS-CoV-2バリアントとしては、最初にブラジルで報告された系統B.1.1.28;最初に日本で報告されたバリアントP.1、系統B.1.1.28(20J/501Y.V3としても公知);最初に米国のカリフォルニア州で報告されたバリアントL452R(Pan American Health Organization, Epidemiological update: Occurrence of variants of SARS-CoV-2 in the Americas, January 20, 2021, reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/2021-jan-20-phe-epi-update-SARS-CoV-2.pdfで利用可能)が挙げられる。他のSARS-CoV-2バリアントとしては、系統群19AのSARS CoV-2;系統群19BのSARS CoV-2;系統群20AのSARS CoV-2;系統群20BのSARS CoV-2;系統群20CのSARS CoV-2;系統群20DのSARS CoV-2;系統群20EのSARS CoV-2(EU1);系統群20FのSARS CoV-2;系統群20GのSARS CoV-2;およびSARS CoV-2 B1.1.207;ならびにRambaut, A., et al., A dynamic nomenclature proposal for SARS-CoV-2 lineages to assist genomic epidemiology. Nat Microbiol 5, 1403-1407 (2020)に記載される他のSARS CoV-2系統が挙げられる。前述のSARS-CoV-2バリアント、ならびにそのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、参照により本明細書に組み込まれる。したがって、SARS-CoV-2は、Wuhan Hu-1、および本開示のバリアントを含むそのバリアントを含むことが理解される。
【0110】
本明細書では、任意の濃度範囲、パーセンテージの範囲、比の範囲、または整数の範囲は、他に指示されない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合には、その分数(整数の10分の1、および100分の1など)を含むことが理解されるべきである。また、ポリマーサブユニット、サイズ、または厚さなどの任意の物理的特徴に関して本明細書に列挙される任意の数の範囲は、他に指示されない限り、列挙された範囲内の任意の整数を含むことが理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、他に指示されない限り、示された範囲、値、または構造の±20%を意味する。「a」および「an」という用語は、本明細書で使用される場合、数え上げられている構成成分の「1つまたは複数」を指すことが理解されるべきである。代替物(例えば、「または」)の使用は、代替物のいずれか1つ、その両方、またはこれらの任意の組み合わせを意味することが理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「含む(include)」、「有する」、および「含む(comprise)」という用語は、同意語として使用され、これらの用語およびその変形は、非限定的と解釈されることが意図される。
【0111】
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、それに続いて記載される要素、構成成分、事象、または状況が存在してもよく、または存在しなくてもよいこと、ならびにその記載が、その要素、構成成分、事象、または状況が存在する例、およびそれらが存在しない例を含むことを意味する。
【0112】
加えて、本明細書に記載される構造およびサブユニットのさまざまな組み合わせに由来する個々の構築物または構築物の群が、各構築物または構築物の群が個々に記載されたのと同じ程度に、本出願により開示されることが理解されるべきである。そのため、特定の構造または特定のサブユニットの選択は、本開示の範囲内である。
【0113】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「含む(comprising)」と等価ではなく、特許請求の範囲の指定される材料もしくはステップ、または特許請求の範囲に記載された主題の基本的な特徴に実質的に影響を及ぼさないものを指す。例えば、タンパク質ドメイン、領域、またはモジュール(例えば、結合ドメイン)、またはタンパク質は、ドメイン、領域、モジュール、またはタンパク質のアミノ酸配列が、組み合わせて、ドメイン、領域、モジュール、またはタンパク質の長さの多くて20%(例えば、多くて15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%または1%)に寄与し、ドメイン(複数可)、領域(複数可)、モジュール(複数可)、またはタンパク質の活性(例えば、結合タンパク質の標的結合親和性)に実質的に影響を及ぼさない(すなわち、活性を、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または1%以下など、50%よりも大きくは低減しない)、伸長、欠失、変異、またはこれらの組み合わせ(例えば、アミノもしくはカルボキシ末端の、またはドメイン間のアミノ酸)を含む場合、特定のアミノ酸配列「から本質的になる(consist essentially of)」。
【0114】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸ミメティックを指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコードされるもの、ならびに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸アナログは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合しているα-炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのようなアナログは、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸ミメティックは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能する化合物を指す。
【0115】
本明細書で使用される場合、「変異」は、それぞれ、参照または野生型核酸分子またはポリペプチド分子と比較して、核酸分子またはポリペプチド分子の配列における変化を指す。変異は、ヌクレオチド(複数可)またはアミノ酸(複数可)の置換、挿入または欠失を含む、いくつかの異なる種類の配列の変化をもたらし得る。
【0116】
「保存的置換」は、特定のタンパク質の結合特徴に有意に影響を及ぼさないか、またはそれを有意に変更しない、アミノ酸置換を指す。一般に、保存的置換は、置換されたアミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。保存的置換は、以下の群の1つにおいて見出される置換を含む:群1:アラニン(AlaまたはA)、グリシン(GlyまたはG)、セリン(SerまたはS)、トレオニン(ThrまたはT);群2:アスパラギン酸(AspまたはD)、グルタミン酸(GluまたはZ);群3:アスパラギン(AsnまたはN)、グルタミン(GlnまたはQ);群4:アルギニン(ArgまたはR)、リシン(LysまたはK)、ヒスチジン(HisまたはH);群5:イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)、バリン(ValまたはV);および群6:フェニルアラニン(PheまたはF)、チロシン(TyrまたはY)、トリプトファン(TrpまたはW)。加えて、または代わりに、アミノ酸は、類似の機能、化学構造、または組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、または硫黄含有)によって保存的置換の群に分類することができる。例えば、脂肪族の分類は、置換の目的について、Gly、Ala、Val、Leu、およびIleを含み得る。他の保存的置換群としては、硫黄含有:Metおよびシステイン(CysまたはC);酸性:Asp、Glu、Asn、およびGln;小さな脂肪族の、非極性の、またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、およびGly;極性の、負に荷電した残基、およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、およびGln;極性の、正に荷電した残基:His、Arg、およびLys;大きな脂肪族の、非極性の残基:Met、Leu、Ile、Val、およびCys;ならびに大きな芳香族の残基:Phe、Tyr、およびTrpが挙げられる。追加の情報は、Creighton (1984) Proteins, W.H. Freeman and Companyに見出すことができる。
【0117】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」または「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーを指す。タンパク質は、天然に存在するアミノ酸ポリマー、ならびに1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸のポリマーの人工的な化学ミメティックであるアミノ酸ポリマーに適用される。本開示のタンパク質、ペプチド、およびポリペプチドのバリアントも企図される。ある特定の実施形態では、バリアントのタンパク質、ペプチド、およびポリペプチドは、本明細書に記載される定義されたアミノ酸配列または参照アミノ酸配列のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
【0118】
「核酸分子」または「ポリヌクレオチド」または「ポリ核酸」は、共有結合的に連結したヌクレオチドを含むポリマー化合物を指し、これは、天然のサブユニット(例えば、プリンまたはピリミジン塩基)または非天然サブユニット(例えば、モルホリン環)で構成され得る。プリン塩基としては、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、およびキサンチンが挙げられ、ピリミジン塩基としては、ウラシル、チミン、およびシトシンが挙げられる。核酸分子は、mRNA、マイクロRNA、siRNA、ウイルスゲノムRNA、および合成RNAを含むポリリボ核酸(RNA)、ならびにcDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含むポリデオキシリボ核酸(DNA)を含み、これらはいずれも一本鎖または二本鎖であり得る。一本鎖の場合、核酸分子は、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。アミノ酸配列をコードする核酸分子は、同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列の一部のバージョンは、イントロン(複数可)が共転写のまたは転写後の機構により除去されるであろう程度にイントロン(複数可)も含み得る。言い換えれば、異なるヌクレオチド配列は、遺伝コードの重複性もしくは縮重の結果として、またはスプライシングにより、同じアミノ酸配列をコードし得る。
【0119】
本開示の核酸分子のバリアントも企図される。バリアント核酸分子は、本明細書に記載される定義されたまたは参照ポリヌクレオチドの核酸分子と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%同一であり、好ましくは、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%同一であり、あるいは、これは、0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、約65~68℃の、または0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、および50%ホルムアミド、約42℃のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でポリヌクレオチドにハイブリダイズする。核酸分子バリアントは、標的分子の結合などの本明細書に記載される機能性を有するその結合ドメインをコードする能力を保持する。
【0120】
「配列同一性パーセント」は、配列を比較することによって決定される、2つまたはそれより多くの配列間の関係を指す。配列同一性を決定するための好ましい方法は、比較される配列間の最良の一致を与えるように設計される。例えば、最適な比較の目的で、配列を整列させる(例えば、最適な整列のために、第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができる)。さらに、非相同配列は、比較の目的で、無視してもよい。本明細書において言及される配列同一性パーセントは、他に指示されない限り、参照配列の長さにわたって算出される。配列同一性および類似性を決定する方法は、公に利用可能なコンピュータープログラムに見出すことができる。配列の整列および同一性パーセントの算出は、BLASTプログラム(例えば、BLAST 2.0、BLASTP、BLASTN、またはBLASTX)を使用して行ってもよい。BLASTプログラムにおいて使用される数学アルゴリズムは、Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997に見出すことができる。本開示の文脈内では、配列解析ソフトウェアを解析のために使用する場合、解析の結果は、言及されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解される。「デフォルト値」は、最初に初期化された場合に、ソフトウェアに元々ロードされた任意の値またはパラメーターのセットを意味する。
【0121】
「単離された」という用語は、材料が、その元々の環境(例えば、それが天然に存在する場合、天然の環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物中に存在する天然に存在する核酸またはポリペプチドは、単離されていないが、同じ核酸またはポリペプチドが、天然の系中で共存している材料の一部または全部から分離されている場合、単離されている。そのような核酸は、ベクターの部分であり得、かつ/あるいは、そのような核酸またはポリペプチドは、組成物(例えば、細胞溶解物)の部分であり得、それでもなお、そのようなベクターまたは組成物が核酸またはポリペプチドについて天然の環境の一部ではないという点で、単離されている。
【0122】
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖の生成に関与するDNAまたはRNAのセグメントを意味し、ある特定の文脈では、これは、コード領域の前後の領域(例えば、5’非翻訳領域(UTR)および3’UTR)、ならびに個々のコードセグメント(エクソン)の間の介在配列(イントロン)を含む。
【0123】
「機能的バリアント」は、本開示の親化合物または参照化合物と構造的に類似しているか、または実質的に構造的に類似しているが、組成がわずかに異なる(例えば、1つの塩基、原子または官能基が異なる、付加されている、または除去されている)ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指し、その結果、ポリペプチドまたはコードされるポリペプチドは、親ポリペプチドの少なくとも1つの機能を、少なくとも50%の効率で、好ましくは、親ポリペプチドの活性の少なくとも55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または100%のレベルで行うことができる。言い換えれば、本開示のポリペプチドまたはコードされるポリペプチドの機能的バリアントは、結合親和性を測定するためのアッセイ(例えば、Biacore(登録商標)または会合定数(Ka)または解離定数(K)を測定する四量体染色)などの選択されたアッセイにおいて、親化合物または参照ポリペプチドと比較して、機能的バリアントが性能の50%以下の低減を示す場合、「類似の結合性」、「類似の親和性」、または「類似の活性」を有する。
【0124】
本明細書で使用される場合、「機能的部分」または「機能的断片」は、親化合物または参照化合物のドメイン、部分または断片のみを含むポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指し、ポリペプチドまたはコードされるポリペプチドは、親化合物または参照化合物のドメイン、部分または断片に関連する少なくとも50%の活性、好ましくは、親ポリペプチドの活性の少なくとも55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または100%のレベルを保持するか、あるいは生物学的利益(例えば、エフェクター機能)を提供する。本開示のポリペプチドまたはコードされるポリペプチドの「機能的部分」または「機能的断片」は、選択されたアッセイにおいて、親ポリペプチドまたは参照ポリペプチドと比較して、機能的部分または断片が、50%以下(好ましくは、20%以下または10%以下、あるいは親和性に関して、親または参照と比較して対数差以下)の性能の低減を示す場合、「類似の結合性」または「類似の活性」を有する。
【0125】
本明細書で使用される場合、「操作された」、「組換え」、または「非天然」という用語は、少なくとも1つの遺伝的変更を含むか、あるいは外因性または異種核酸分子の導入によって改変された、生物体、微生物、細胞、核酸分子、またはベクターを指し、そのような変更または改変は、遺伝子操作(すなわち、人為的な介入)によって導入される。遺伝的変更としては、例えば、機能的RNA、タンパク質、融合タンパク質または酵素をコードする発現可能な核酸分子を導入する改変、あるいは他の核酸分子の付加、欠失、置換、または細胞の遺伝子材料の他の機能的破壊が挙げられる。追加の改変には、例えば、改変がポリヌクレオチド、遺伝子、またはオペロンの発現を変更する、非コード調節領域を含む。
【0126】
本明細書で使用される場合、「異種」、または「非内因性」、または「外因性」は、宿主細胞または被験体に対してネイティブではない任意の遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子、または活性、あるいは、宿主細胞または被験体に対してネイティブであるが変更されている任意の遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子、または活性を指す。異種、非内因性、または外因性としては、ネイティブなおよび変更された遺伝子、タンパク質、化合物、または核酸分子の間で構造、活性、またはその両方が異なるように変異しているか、またはそうでなければ変更されている、遺伝子、タンパク質、化合物、または核酸分子が挙げられる。ある特定の実施形態では、異種、非内因性、または外因性の遺伝子、タンパク質、または核酸分子(例えば、受容体、リガンドなど)は、宿主細胞または被験体に対して内因性でなくてもよいが、代わりに、そのような遺伝子、タンパク質、または核酸分子をコードする核酸が、コンジュゲーション、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔などによって宿主細胞に付加されていてもよく、ここで、付加された核酸分子は、宿主細胞のゲノムに組み込まれていてもよく、または染色体外遺伝子材料として(例えば、プラスミド、または他の自己複製性ベクターとして)存在することができる。「相同な」または「ホモログ」という用語は、宿主細胞、種、または株において見出されるか、またはそれに由来する、遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子、または活性を指す。例えば、ポリペプチドをコードする異種または外因性のポリヌクレオチドまたは遺伝子は、ネイティブなポリヌクレオチドまたは遺伝子と相同であってもよく、相同なポリペプチドまたは活性をコードするが、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、変更された構造、配列、発現レベル、またはこれらの任意の組み合わせを有していてもよい。非内因性のポリヌクレオチドまたは遺伝子、ならびにコードされるポリペプチドまたは活性は、同じ種、異なる種、またはこれらの組み合わせ由来であってもよい。
【0127】
ある特定の実施形態では、変更されているか、または変異している場合、宿主細胞に対してネイティブな核酸分子またはその部分は、宿主細胞に対して異種とみなされ、あるいは、異種発現制御配列を用いて変更されているか、または宿主細胞に対してネイティブな核酸分子に通常は関連しない内因性発現制御配列を用いて変更されている場合、宿主細胞に対してネイティブな核酸分子は、異種とみなされてもよい。加えて、「異種」という用語は、宿主細胞に対して異なる、変更された、または内因性ではない、生物活性を指し得る。本明細書に記載されるように、1つより多くの異種核酸分子は、別々の核酸分子として、複数の個々に制御される遺伝子として、ポリシストロニックな核酸分子として、融合タンパク質をコードする単一の核酸分子として、またはこれらの任意の組み合わせで、宿主細胞に導入することができる。
【0128】
本明細書で使用される場合、「内因性」または「ネイティブ」という用語は、宿主細胞または被験体に通常存在する、ポリヌクレオチド、遺伝子、タンパク質、化合物、分子、または活性を指す。
【0129】
「発現」という用語は、本明細書で使用される場合、遺伝子などの核酸分子のコード配列に基づいてポリペプチドが産生されるプロセスを指す。プロセスは、転写、転写後制御、転写後修飾、翻訳、翻訳後制御、翻訳後修飾、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。発現される核酸分子は、典型的には、発現制御配列(例えば、プロモーター)に作動可能に連結されている。
【0130】
「作動可能に連結される」という用語は、一方の機能が他方によって影響を受けるような、単一の核酸断片上の2つまたはそれより多くの核酸分子の会合を指す。例えば、プロモーターは、コード配列の発現に影響を及ぼすことができる場合、コード配列と作動可能に連結されている(すなわち、コード配列は、プロモーターの転写制御下にある)。「連結されていない」とは、関連する遺伝エレメントが互いに密接に関連せず、一方の機能が他方に影響を及ぼさないことを意味する。
【0131】
本明細書に記載されるように、1つより多くの異種核酸分子は、別々の核酸分子として、複数の個々に制御される遺伝子として、ポリシストロニックな核酸分子として、タンパク質(例えば、抗体の重鎖)をコードする単一の核酸分子として、またはこれらの任意の組み合わせで、宿主細胞に導入することができる。2つまたはそれより多くの異種核酸分子が宿主細胞に導入される場合、2つまたはそれより多くの異種核酸分子を、単一の核酸分子として(例えば、単一のベクターにおいて)、別々のベクターにおいて、宿主染色体の単一の部位または複数の部位に組み込んで、あるいはこれらの任意の組み合わせで導入することができることが理解される。言及される異種核酸分子、またはタンパク質活性の数は、宿主細胞に導入される別々の核酸分子の数ではなく、コードする核酸分子の数またはタンパク質活性の数を指す。
【0132】
「構築物」という用語は、組換え核酸分子(または、文脈が明確に指示する場合、本開示の融合タンパク質)を含有する任意のポリヌクレオチドを指す。(ポリヌクレオチド)構築物は、ベクター(例えば、細菌ベクター、ウイルスベクター)中に存在していてもよく、またはゲノムに組み込まれていてもよい。「ベクター」は、別の核酸分子を輸送できる核酸分子である。ベクターは、例えば、染色体、非染色体、半合成または合成核酸分子を含み得る、プラスミド、コスミド、ウイルス、RNAベクター、あるいは直鎖状または環状のDNAまたはRNA分子であり得る。本開示のベクターは、トランスポゾン系も含む(例えば、Sleeping Beauty、例えば、Geurts et al., Mol. Ther. 8:108, 2003: Mates et al., Nat. Genet. 41:753, 2009を参照されたい)。例示的なベクターは、自律複製できるベクター(エピソームベクター)、ポリヌクレオチドを細胞ゲノムに送達できるベクター(例えば、ウイルスベクター)、または連結された核酸分子を発現させることができるベクター(発現ベクター)である。
【0133】
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」または「ベクター」は、適切な宿主における核酸分子の発現をもたらすことができる適切な制御配列に作動可能に連結されている核酸分子を含有するDNA構築物を指す。そのような制御配列は、転写をもたらすためのプロモーター、そのような転写を制御するための必要に応じたオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列を含む。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、ウイルス、または単なる潜在的なゲノム挿入物であってもよい。適切な宿主に形質転換されたら、ベクターは、宿主ゲノムとは独立して複製および機能し得、あるいは、一部の例では、ゲノムにそれ自体が組みむか、またはベクターに含有されるポリヌクレオチドをベクター配列なしでゲノムに送達することができる。本明細書では、「プラスミド」、「発現プラスミド」、「ウイルス」、および「ベクター」は、多くの場合、互換的に使用される。
【0134】
核酸分子を細胞に挿入する文脈における「導入される」という用語は、「トランスフェクション」、「形質転換」、または「形質導入」を意味し、核酸分子の真核細胞または原核細胞への組込みへの言及を含み、ここで、核酸分子は、細胞のゲノム(例えば、染色体、プラスミド、色素体、またはミトコンドリアDNA)に組み込まれ得るか、自律的なレプリコンに変換され得るか、または一過的に発現され得る(例えば、トランスフェクトされたmRNA)。
【0135】
ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、ベクターのある特定のエレメントに機能的に連結されていてもよい。例えば、ライゲーションされるコード配列の発現およびプロセシングをもたらすのに必要なポリヌクレオチド配列が、機能的に連結されていてもよい。発現制御配列は、妥当な転写開始、終結、プロモーター、およびエンハンサー配列;スプライシングおよびポリアデニル化シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増強する配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列);タンパク質安定性を増強する配列;ならびに場合により、タンパク質分泌を増強する配列を含んでいてもよい。発現制御配列は、それらが、目的の遺伝子と、トランスにまたは目的の遺伝子が制御される距離で作用する発現制御配列とが近接する場合、機能的に連結され得る。
【0136】
ある特定の実施形態では、ベクターは、プラスミドベクター、またはウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター、またはγ-レトロウイルスベクター)を含む。ウイルスベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、コロナウイルス、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病および水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹およびセンダイ)などのマイナス鎖RNAウイルス、ピコルナウイルスおよびアルファウイルスなどのプラス鎖RNAウイルス、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型および2型、エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス)、およびポックスウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、およびカナリアポックス)を含む二本鎖DNAウイルスが挙げられる。他のウイルスとしては、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポーバウイルス、ヘパドナウイルス、および肝炎ウイルスが挙げられる。レトロウイルスの例としては、トリ白血症肉腫、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV-BLV群、レンチウイルス、スプーマウイルスが挙げられる(Coffin, J. M., Retroviridae: The viruses and their replication, In Fundamental Virology, Third Edition, B. N. Fields et al., Eds., Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, 1996)。
【0137】
「レトロウイルス」は、RNAゲノムを有するウイルスであり、これは、逆転写酵素を使用してDNAに逆転写され、次いで、逆転写されたDNAは、宿主細胞のゲノムに組み込まれる。「ガンマレトロウイルス」は、レトロウイルス科の属を指す。ガンマレトロウイルスの例としては、マウス幹細胞ウイルス、マウス白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、およびトリ細網内皮症ウイルスが挙げられる。
【0138】
「レンチウイルスベクター」は、遺伝子送達のためのHIVに基づくレンチウイルスベクターを含み、これは、組込みまたは非組込みであり得、比較的大きなパッケージング容量を有し、異なる細胞型の範囲に形質導入することができる。レンチウイルスベクターは、通常、3つ(パッケージング、エンベロープ、および移入)またはそれより多くのプラスミドの産生細胞への一過性トランスフェクション後に生成される。HIVと同様に、レンチウイルスベクターは、標的細胞に、ウイルス表面糖タンパク質と細胞表面上の受容体との相互作用により侵入する。侵入したら、ウイルスRNAは、ウイルス逆転写酵素複合体によって媒介される逆転写を受ける。逆転写の産物は、二本鎖直鎖状ウイルスDNAであり、これは、感染細胞のDNAへのウイルス組込みのための基質である。
【0139】
ある特定の実施形態では、ウイルスベクターは、ガンマレトロウイルス、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクターであり得る。他の実施形態では、ウイルスベクターは、より複雑なレトロウイルス由来ベクター、例えば、レンチウイルス由来ベクターであり得る。HIV-1由来ベクターは、このカテゴリーに属する。他の例としては、HIV-2、FIV、ウマ伝染性貧血ウイルス、SIV、およびマエディビスナウイルス(ヒツジレンチウイルス)に由来するレンチウイルスベクターが挙げられる。導入遺伝子を含有するウイルス粒子を用いて哺乳動物宿主細胞を形質導入するために、レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクター、ならびにパッケージング細胞を使用する方法は当技術分野において公知であり、以前に、例えば、米国特許第8,119,772号;Walchli et al., PLoS One 6:327930, 2011;Zhao et al., J. Immunol. 174:4415, 2005;Engels et al., Hum. Gene Ther. 14:1155, 2003;Frecha et al., Mol. Ther. 18:1748, 2010;およびVerhoeyen et al., Methods Mol. Biol. 506:97, 2009に記載されている。レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターの構築物および発現系も市販されている。他のウイルスベクターはまた、ポリヌクレオチド送達のために使用することができ、例えば、アデノウイルスに基づくベクターおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)に基づくベクターを含むDNAウイルスベクター;アンプリコンベクター、複製欠損HSVおよび弱毒化HSVを含む単純ヘルペスウイルス(HSV)に由来するベクターを含む(Krisky et al., Gene Ther. 5:1517, 1998)。
【0140】
本開示の組成物および方法とともに使用することができる他のベクターとしては、バキュロウイルスおよびα-ウイルスに由来するベクター(Jolly, D J. 1999. Emerging Viral Vectors. pp 209-40 in Friedmann T. ed. The Development of Human Gene Therapy. New York: Cold Spring Harbor Lab)、またはプラスミドベクター(sleeping beauty、または他のトランスポゾンベクターなど)が挙げられる。
【0141】
ウイルスベクターゲノムが、宿主細胞において発現される複数のポリヌクレオチドを別々の転写物として含む場合、ウイルスベクターはまた、バイシストロン性または多シストロン性発現を可能にする2つ(またはそれより多くの)転写物の間に追加の配列を含んでいてもよい。ウイルスベクターにおいて使用されるそのような配列の例としては、配列内リボソーム侵入部位(IRES)、フューリン切断部位、ウイルス2Aペプチド、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0142】
被験体への直接投与のためのDNAに基づく抗体または抗原結合断片をコードするプラスミドベクターを含むプラスミドベクターは、本明細書でさらに記載される。
【0143】
本明細書で使用される場合、「宿主」という用語は、目的のポリペプチド(例えば、本開示の抗体)を産生する異種核酸分子による遺伝子改変のために標的にされる細胞または微生物を指す。
【0144】
宿主細胞は、ベクター、または核酸の組込みを受け入れ得るか、あるいはタンパク質を発現し得る、任意の個々の細胞または細胞培養物を含み得る。この用語は、遺伝学的にまたは表現型的に同じまたは異なるかにかかわらず、宿主細胞の子孫も包含する。適切な宿主細胞は、ベクターに依存してもよく、哺乳動物細胞、動物細胞、ヒト細胞、サル細胞、昆虫細胞、酵母細胞、および細菌細胞が挙げられ得る。これらの細胞は、ウイルスベクター、リン酸カルシウム沈殿による形質転換、DEAE-デキストラン、電気穿孔、マイクロインジェクション、または他の方法の使用により、ベクターまたは他の材料を組み込むように誘導されてもよい。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2d ed. (Cold Spring Harbor Laboratory, 1989).を参照されたい。
【0145】
SARS-CoV-2感染の文脈では、「宿主」は、SARS-CoV-2に感染した細胞または被験体を指す。
【0146】
「抗原」または「Ag」は、本明細書で使用される場合、免疫応答を起こさせる免疫原性分子を指す。この免疫応答は、抗体産生、特定の免疫適格細胞の活性化、補体の活性化、抗体依存性細胞傷害、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。抗原(免疫原性分子)は、例えば、ペプチド、グリコペプチド、ポリペプチド、グリコポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖、脂質などであり得る。抗原が、合成され得るか、組換的に生成し得るか、または生体試料に由来し得ることは、容易に明らかである。1つまたは複数の抗原を含有し得る例示的な生体試料としては、組織試料、糞便試料、細胞、生体液、またはこれらの組み合わせが挙げられる。抗原は、抗原を発現するように改変または遺伝子操作されている細胞によって産生され得る。抗原はまた、SARS-CoV-2(例えば、表面糖タンパク質、またはその部分)に存在することができ、例えば、ビリオン中に存在することができ、あるいはSARS-CoV-2に感染した細胞の表面上で発現または提示され得る。
【0147】
「エピトープ」または「抗原エピトープ」という用語は、免疫グロブリン、または他の結合分子、ドメイン、またはタンパク質などの同族の結合分子によって認識され、および特異的に結合する、任意の分子、構造、アミノ酸配列、またはタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は、一般に、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面の基を含有し、特定の三次元構造の特徴ならびに特定の電荷特徴を有することができる。抗原が、ペプチドまたはタンパク質であるか、またはこれを含む場合、エピトープは、連続したアミノ酸で構成され得るか(例えば、直鎖状エピトープ)、あるいはタンパク質フォールディングによって近接するタンパク質の異なる部分または領域由来のアミノ酸で構成され得るか(例えば、不連続エピトープもしくはコンフォメーションエピトープ)、またはタンパク質フォールディングとは無関係に極めて近接する非連続アミノ酸で構成され得る。
抗体、抗原結合断片組成物
【0148】
一態様では、本開示は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含み、SARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、単離された抗体またはその抗原結合断片を提供する。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、宿主細胞の細胞表面上および/またはSARS-CoV-2のビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる。
【0149】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、SARS-CoV-2の表面糖タンパク質のエピトープ、またはエピトープを含む抗原に会合するか、またはそれと合体する一方で、試料中の任意の他の分子または構成成分と有意に会合も合体もしない。
【0150】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、SARS-CoV-2の表面糖タンパク質のエピトープに会合または合体し(例えば、結合する)、試料中に存在する別のコロナウイルス(例えば、SARS CoV)由来のエピトープにも会合または合体することができるが、試料中の任意の他の分子または構成成分に有意に会合も合体もしない。言い換えれば、ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、SARS-CoV-2、および1つまたは複数の追加のコロナウイルスに対して交差反応性である。
【0151】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、SARS-CoV-2表面糖タンパク質に特異的に結合する。本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」は、試料中の任意の他の分子または構成成分と有意に会合も合体もしないが、10-1(この会合反応のオンレート[Kon]のオフレート[Koff]に対する比と等しい)と等しいまたはそれより大きい親和性またはK(すなわち、単位1/Mの特定の結合相互作用の平衡会合定数)での抗体または抗原結合断片の抗原への会合または合体を指す。あるいは、親和性は、単位Mの特定の結合相互作用の平衡解離定数(K)として定義され得る(例えば、10-5M~10-13M)。抗体は、「高親和性」抗体または「低親和性」抗体に分類され得る。「高親和性」抗体は、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも1010-1、少なくとも1011-1、少なくとも1012-1、または少なくとも1013-1のKを有する抗体を指す。「低親和性」抗体は、10-1まで、10-1まで、10-1までのKを有する抗体を指す。あるいは、親和性は、単位Mの特定の結合相互作用の平衡解離定数(K)として定義され得る(例えば、10-5M~10-13M)。
【0152】
特定の標的に結合する本開示の抗体を同定するため、および結合ドメインまたは結合タンパク質の親和性を決定するための種々のアッセイ、例えば、ウェスタンブロット、ELISA(例えば、直接、間接、またはサンドイッチ)、分析超遠心、分光法、および表面プラズモン共鳴(Biacore(登録商標))分析が公知である(例えば、Scatchard et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660, 1949;Wilson, Science 295:2103, 2002;Wolff et al., Cancer Res. 53:2560, 1993;および米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号、または等価物を参照されたい)。親和性、または見かけの親和性、または相対的な親和性を評価するためのアッセイも公知である。
【0153】
ある特定の例では、結合は、宿主細胞においてSARS-CoV-2抗原を組換えで発現させること(例えば、トランスフェクションにより)、および抗体で宿主細胞を免疫染色すること(例えば、固定する、または固定および透過処理する)、およびフローサイトメトリー(例えば、ZE5 Cell Analyzer(BioRad(登録商標))およびFlowJoソフトウェア(TreeStar)を使用する)によって結合を分析することによって、決定することができる。一部の実施形態では、正の結合は、対照(例えば、偽)細胞に対するSARS-CoV-2発現細胞の抗体による分染によって定義することができる。
【0154】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、バイオレイヤー干渉法を使用して測定されるように、SARS-CoV-2のSタンパク質に結合する。
【0155】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約4.5×10-9M未満、約5×10-9M未満、約1×10-10M未満、約5×10-10M未満、約1×10-11M未満、約5×10-11M未満、約1×10-12M未満、または約5×10-12M未満のKで、SARS-CoV-2のSタンパク質に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約4.5×10-9M未満、約5×10-9M未満、約1×10-10M未満、約5×10-10M未満、約1×10-11M未満、約5×10-11M未満、約1×10-12M未満、または約5×10-12M未満のKで、SARS-CoV-2のSタンパク質のRBDに結合する。
【0156】
本開示の抗体または抗原結合断片のある特定の特徴は、IC50またはEC50値を使用して記載され得る。ある特定の実施形態では、IC50は、示される生物学的または生化学的機能、活性または応答の最大半量の阻害を生じさせる結果となる組成物(例えば、抗体)の濃度である。ある特定の実施形態では、EC50は、アッセイにおいて最大半量の応答をもたらす組成物の濃度である。一部の実施形態では、例えば、SARS-CoV-2による感染を中和する本開示の抗体または抗原結合断片の能力を説明するために、IC50およびEC50が互換的に使用される。
【0157】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、SARS-CoV-2による感染を中和できる。ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、2つまたはそれより多くのサルベコウイルスによる感染を中和できる。本明細書で使用される場合、「中和抗体」は、宿主における感染を開始および/または永続化する病原体の能力を、中和することができる抗体、すなわち、防止することができる抗体、阻害することができる抗体、低減することができる抗体、妨げることができる抗体、または妨害することができる抗体である。「中和抗体」および「中和する抗体(antibody that neutralizes)」または「中和する抗体(antibodies that neutralize)」という用語は、本明細書では、互換的に使用される。本開示の実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合断片は、感染のin vitroモデルにおいて、および/または感染のin vivo動物モデルにおいて(例えば、SARS-CoV-2の鼻腔内送達によるシリアンハムスターモデルを使用する)、および/またはヒトにおいて、SARS-CoV-2感染を予防および/または中和できる。
【0158】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、SARS-CoV-2感染、またはSARS-CoV-2のSタンパク質でシュードタイプ化されたウイルスによる感染を、約16~約20μg/mlのIC50で中和できる。一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、SARS-CoV-2感染、またはSARS-CoV-2のSタンパク質でシュードタイプ化されたウイルスを、約3~約4μg/mlのIC50で中和できる。ここの開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合断片は、SARS-CoV-2感染、またはSARS-CoV-2のSタンパク質でシュードタイプ化されたウイルスを、表4に示されるようなIC50、IC80、および/またはIC90で中和できる。
【0159】
一部の実施形態では、本開示の、抗体もしくは抗原結合断片、または2つもしくはそれより多くの抗体もしくは抗原結合断片を含む組成物は、SARS-CoV-2感染、またはSARS-CoV-2のSタンパク質でシュードタイプ化されたウイルスを、約0.8~約0.9μg/mlのIC50で中和できる。一部の実施形態では、本開示の、抗体もしくは抗原結合断片、または2つもしくはそれより多くの抗体もしくは抗原結合断片を含む組成物は、SARS-CoV-2感染、またはSARS-CoV-2のSタンパク質でシュードタイプ化されたウイルスを、約0.5~約0.6μg/mlのIC50で中和できる。一部の実施形態では、本開示の、抗体または抗原結合断片、あるいは2つまたはそれより多くの抗体または抗原結合断片を含む組成物は、約0.1~約0.2μg/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染、またはSARS-CoV-2でシュードタイプ化されたウイルスを中和できる。
【0160】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、(i)SARS-CoV-2のACE2受容体結合モチーフ(RBM、配列番号5)中のエピトープを認識するか;(ii)SARS-CoV-2およびヒトACE2の間の相互作用を遮断(すなわち、SARS-CoV-2への結合を介して相互作用を部分的にまたは完全に遮断)できるか;(ii)SARS-CoV-2のSタンパク質に結合できるか;(iv)SARS-CoV-2のACE2 RBM中、およびSARS-CoV-1のACE2 RBM中で保存されているエピトープを認識するか;(v)SARS-CoV-2およびSARS-CoV-1に対して交差反応性であるか;(vi)ACE2 RBM中のものではないSARS-CoV-2の表面糖タンパク質中のエピトープを認識するか;あるいは(vii)(i)~(vii)の任意の組み合わせである。
【0161】
抗体技術の当業者によって理解される用語は、本明細書で明らかに異なって定義されない限り、当技術分野において得られる意味をそれぞれ示す。例えば、「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む完全な抗体、ならびに完全な抗体によって認識される抗原標的分子に結合する能力を有するか、またはこれを保持する、完全な抗体の任意の抗原結合部分または断片、例えば、scFv、Fab、またはFab’2断片を指す。そのため、本明細書の「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含み、完全な抗体、ならびに断片抗原結合(Fab)断片、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、一本鎖可変断片(scFv)を含む一本鎖抗体断片、およびシングルドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片を含むその機能的(抗原結合)抗体断片を含む。この用語は、免疫グロブリンの遺伝子操作された形態および/または他の方法で改変された形態、例えば、イントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多特異性、例えば、二特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、タンデムジ-scFv、ならびにタンデムトリ-scFvを包含する。他に言及されない限り、「抗体」という用語は、その機能的抗体断片を包含することが理解されるべきである。この用語は、完全な抗体または全長抗体も包含し、IgGおよびそのサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgE、IgA、およびIgDを含む、任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む。
【0162】
「V」または「VL」、および「V」または「VH」という用語は、それぞれ、抗体軽鎖および抗体重鎖由来の可変結合領域を指す。ある特定の実施形態では、VLは、カッパ(κ)クラス(また、本明細書では「VK」)である。ある特定の実施形態では、VLは、ラムダ(λ)クラスである。可変結合領域は、「相補性決定領域」(CDR)および「フレームワーク領域」(FR)として公知の別個の十分に定義されたサブ領域を含む。「相補性決定領域」および「CDR」という用語は、「超可変領域」または「HVR」と同義であり、一般に、抗体の抗原特異性および/または結合親和性を一緒に付与する抗体可変領域内のアミノ酸の配列を指し、ここで、連続CDR(すなわち、CDR1およびCDR2、CDR2およびCDR3)は、フレームワーク領域によって、一次構造が互いに分離されている。各可変領域中に3つのCDRが存在する(HCDR1、HCDR2、HCDR3;LCDR1、LCDR2、LCDR3;それぞれ、CDRHおよびCDRLとも称される)。ある特定の実施形態では、抗体VHは、以下の通り4つのFRおよび3つのCDRを含み:FR1-HCDR1-FR2-HCDR2-FR3-HCDR3-FR4;抗体VLは、以下の通り4つのFRおよび3つのCDRを含む:FR1-LCDR1-FR2-LCDR2-FR3-LCDR3-FR4。一般に、VHおよびVLは、それらのそれぞれのCDRを通して抗原結合部位を一緒に形成する。
【0163】
本明細書で使用される場合、CDRの「バリアント」は、1~3つまでのアミノ酸置換(例えば、保存的置換または非保存的置換)、欠失、またはこれらの組み合わせを有するCDR配列の機能的バリアントを指す。
【0164】
CDRおよびフレームワーク領域の番号付けは、任意の公知の方法またはスキーム、例えば、Kabat、Chothia、EU、IMGT、およびAHoの番号付けスキーム(例えば、Kabat et al., ”Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.;Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27:55, 2003;Honegger and Plueckthun, J. Mol. Bio. 309:657-670 (2001)を参照されたい)に従い得る。等価の残基位置を、Antigen receptor Numbering And Receptor Classification(ANARCI)ソフトウェアツール(2016, Bioinformatics 15:298-300)を使用して、比較される異なる分子についてアノテートすることができる。したがって、ある番号付けスキームに従う本明細書に提供される例示的な可変ドメイン(VHまたはVL)配列のCDRの同定は、異なる番号付けスキームを使用して決定される同じ可変ドメインのCDRを含む抗体を除外するものではない。ある特定の実施形態では、Kabat、Chothia、EU、IMGT、Martin(改良されたChothia)、Contact、およびAHoの番号付け方法などの任意の公知のCDR番号付け方法を使用して決定した場合に、配列番号22、32、42、52、62、72、74、84、96、106、119、129、139、150、163、173、175、178、186、189、191、198、208、218、228、240、254、264、274、284、298、312、322、332、350、351、353、359、361、363、365、367、368、369、379、389、399、409、419、429、434、444、454、464、474、484、494、504、514、524、534、544、554、564、574、584、594、604、614、624、626、628、630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、684、692、740、741、742、743、748、749、750、752、754、756、758、759、761、762、および764のいずれか1つに記載のVH配列のCDRと、配列番号26、36、46、56、66、78、88、94、100、110、123、133 143、154、157、168、194、196、202、212、222、232、238、244、250、252、258、268、278、288、294、296、302、308、310、316、326、336、355、357、373、383、393、403、413、423、438、448、458、468、478、488、498、508、518、528、538、548、558、568、578、588、598、608、618、686、696、738、744、および746のいずれか1つに記載のVL配列のCDRとを含む抗体または抗原結合断片が提供される。ある特定の実施形態では、CDRは、IMGT番号付けに従う。ある特定の実施形態では、CDRは、例えば、Molecular Operating Environment(MOE)ソフトウェア(www.chemcomp.com)を使用して、Chemical Computing Group(CCG)によって開発された抗体の番号付け方法に従う。
【0165】
ある特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む抗体または抗原結合断片であって、(i)CDRH1が、配列番号23、33、43、53、63、75、85、97、107、120、130、140、147、160、170、174、183、190、199、209、219、229、241、255、265、275、285、299、313、323、333、370、380、390、400、410、420、430、435、445、455、465、475、485、495、505、515、525、535、545、555、565、575、585、595、605、615、631、693、740、741、742、および743のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;(ii)CDRH2が、配列番号24、34、44、54、64、76、86、98、108、121、131、141、148、151、161、171、184、200、210、220、230、242、256、266、276、286、300、314、324、334、352、360、362、364、366、371、381、391、401、411、421、431、436、446、456、466、476、486、496、506、516、526、536、546、556、566、576、586、596、606、616、625、632、635、637、639、641、643、645、647、649、651、653、655、657、659、661、663、665、667、669、671、673、675、677、679、681、683、685、および694のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;(iii)CDRH3が、配列番号25、35、45、55、65、77、87、99、109、122、132、142、149、162、164、165、172、176、177、179、180、185、187、188、201、211、221、231、243、257、267、277、287、301、315、325、335、354、372、382、392、402、412、422、432、437、447、457、467、477、487、497、507、517、527、537、547、557、567、577、587、597、607、617、627、633、695、751、753、755、757、760、763、765、および766のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;(iv)CDRL1が、配列番号27、37、47、57、67、79、89、101、111、124、134、144、152、155、156、158、159、166、181、192、203、213、223、233、245、259、269、279、289、303、317、327、337、356、374、384、394、404、414、424、439、449、459、469、479、489、499、509、519、529、539、549、559、569、579、589、599、609、619、687、および697のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;(v)CDRL2が、配列番号28、38、48、58、68、80、90、102、112、125、135、145、153、167、182、193、204、214、224、234、246、260、270、280、290、304、318、328、338、375、385、395、405、415、425、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、688、および698のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;かつ/あるいは(vi)CDRL3が、配列番号29、39、49、59、69、81、91、103、113、126、136、146、169、195、197、205、215、225、235、247、261、271、281、291、305、319、329、339、358、376、386、396、406、416、426、441、451、461、471、481、491、501、511、521、531、541、551、561、571、581、591、601、611、621、689、699、745、および747のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含む有する(comprising having)その配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり、抗体または抗原結合断片が、宿主細胞の細胞表面上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体または抗原結合断片が提供される。
【0166】
ここに開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合断片は、感染のin vitroモデルにおいて、および/または感染のin vivo動物モデルにおいて、および/またはヒトにおいて、SARS-CoV-2感染を予防できる、かつ/または中和できる。
【0167】
本開示の実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合断片は、(i)それぞれ、配列番号23~25および27~29;(ii)それぞれ、配列番号33~35および37~39;(iii)それぞれ、配列番号43~45および47~49;(iv)それぞれ、配列番号53~55および57~59;(v)それぞれ、配列番号63~65および67~69;(vi)それぞれ、配列番号75~77および79~81;(vii)それぞれ、配列番号85~87および89~91;(viii)それぞれ、配列番号97~99および101~103;(ix)それぞれ、配列番号107~109および111~113;(x)それぞれ、配列番号120~122および124~126;(xi)それぞれ、配列番号130~132および134~136;(xii)それぞれ、配列番号23または147、以下のいずれか1つ:24、148または151、25または149、以下のいずれか1つ:27、152、155、156、158、または159、28または153、および29;(xiii)それぞれ、配列番号43または160、44または161、以下のいずれか1つ:45、162、164、または165、47または166、48または167、および49または169;(xiv)それぞれ、配列番号以下のいずれか1つ:130、170、または174のいずれか1つ、130、131、132、134または181、135または182、および136;(xv)それぞれ、配列番号以下のいずれか1つ:53、183、または190、54または184、以下のいずれか1つ:55、185、187、または188、57または192、58または193、および以下のいずれか1つ:59、195、または197;(xvi)それぞれ、配列番号199~201および203~205;(xvii)それぞれ、配列番号209~211および213~215;(xviii)それぞれ、配列番号219~221および223~225;(xix)それぞれ、配列番号229~231および233~235;(xx)それぞれ、配列番号241~243および245~247;(xxi)それぞれ、配列番号255~257および259~261;(xxii)それぞれ、配列番号265~267および269~271;(xxiii)それぞれ、配列番号275~277および279~281;(xxiv)それぞれ、配列番号285~287、289~291;(xxv)それぞれ、配列番号299~301および303~305;(xxvi)それぞれ、配列番号313~315および317~319;(xxvii)それぞれ、配列番号323~325および327~329;(xxviii)それぞれ、配列番号333~335および337~339;(xxix)それぞれ、配列番号229、230または352、231または354、および233または356、234、および235または358;(xxx)それぞれ、配列番号313、以下のいずれか1つ:314、360、362、364、または366、315および317~319;(xxxi)それぞれ、配列番号370~372および374~376;(xxxii)それぞれ、配列番号380~382および384~386;(xxxiii)それぞれ、配列番号390~392および394~396;(xxxiv)それぞれ、配列番号400~402および404~406;(xxxv)それぞれ、配列番号410~412および414~416;(xxxvi)それぞれ、配列番号420~422および424~426;(xxxvii)それぞれ、配列番号435~437および439~441;(xxxviii)それぞれ、配列番号445~447および449~451;(xxxix)それぞれ、配列番号455~457および459~461;(xxxx)それぞれ、配列番号465~467および469~471;(xxxxi)それぞれ、配列番号475~477および479~481;(xxxxii)それぞれ、配列番号485~487および489~491;(xxxxiii)それぞれ、配列番号494~497および499~501;(xxxxiv)それぞれ、配列番号505~507および509~511;(xxxxv)それぞれ、配列番号515~517および519~521;(xxxxvi)それぞれ、配列番号525~527および529~531;(xxxxvii)それぞれ、配列番号535~537および539~541;(xxxxviii)それぞれ、配列番号545~547および549~551;(xxxxix)それぞれ、配列番号555~557および559~561;(xxxxx)それぞれ、配列番号565~567および569~571;(xxxxxi)それぞれ、配列番号575~577および579~581;(xxxxxii)それぞれ、配列番号585、586または625、587または627、および589~591;(xxxxxiii)それぞれ、配列番号595~597および599~601;(xxxxxiv)それぞれ、配列番号605~607および609~611;(xxxxxv)それぞれ、配列番号615~617および619~621;(xxxxxvi)それぞれ、配列番号631、632または635または637または639または641または643または645または647または649または651または653または655または657または659または661または663または665または667または669または671または673または675または677または679または681または683または685、633、および697~699;(xxxxxvii)それぞれ、配列番号693~695および697~699;(xxxxxviii)それぞれ、配列番号400、401および以下のいずれか1つ:751、753、755、757、または760および404、405、および以下のいずれか1つ:745または747;(xxxxxxix)それぞれ、配列番号585、586、および762または764および589~591;(xxxxxxx)それぞれ、配列番号400、401、766および404~406に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0168】
本開示の実施形態のいずれかにおいて、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号631、632または635または637または639または641または643または645または647または649または651または653または655または657または659または661または663または665または667または669または671または673または675または677または679または681または683または685、633、および697~699に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。本開示の実施形態のいずれかにおいて、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号693~695および697~699に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0169】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400~402、および404~406に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400、401、766、および404~406に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400~402、404、405、および745に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400、401、766、404、405、および745に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400~402、404、405、および747に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400、401、766、404、405、および747に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400、401、751、および404~406に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400、401、753、および404~406に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400、401、755、および404~406に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400、401、757、および404~406に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号400、401、760、および404~406に従うCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0170】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、各CDRは、独立して、表2に提供されるSARS-CoV-2 S2X16-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X16-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2X16-v3 mAb、SARS-CoV-2 S2X16-v4 mAb、SARS-CoV-2 S2X16-v5 mAb、SARS-CoV-2 S2X16-v6 mAb、SARS-CoV-2 S2X16-v7 mAb、SARS-CoV-2 S2X16-v8 mA,b SARS-CoV-2 S2X28-v1 mAb、 SARS-CoV-2 S2X30-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X30-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2X30-v3 mAb、SARS-CoV-2 S2X30-v4 mAb、SARS-CoV-2 S2X30-v5 mAb、SARS-CoV-2 S2X30-v6 mAb、SARS-CoV-2 S2X47-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X47-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2X47-v3 mAb、SARS-CoV-2 S2X47-v4 mAb、SARS-CoV-2 S2X47-v5 mAb、SARS-CoV-2 S2X47-v6 mAb、SARS-CoV-2 S2X47-v7 mAb、SARS-CoV-2 S2X47-v8 mAb、SARS-CoV-2 S2X47-v9 mAb、SARS-CoV-2 S2X55-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X55-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2X56-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X58-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X58-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2X71-v1 mAb SARS-CoV-2 S2X76-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X76-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2X76-v3 mAb、SARS-CoV-2 S2X76-v4 mAb、SARS-CoV-2 S2X11-v1 mAb、またはSARS-CoV-2 S2X35-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X35-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2X35-v3 mAb、SARS-CoV-2 S2X35-v4 mAb、SARS-CoV-2 S2X35-v5 mAb、SARS-CoV-2 S2X35-v6 mAb、SARS-CoV-2 S2X35-v7 mAb、SARS-CoV-2 S2X35-v8 mAb、SARS-CoV-2 S2H30-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2H37-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2H40-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2H58-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2H58-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2H58-v3 mAb、SARS-CoV-2 S2H58-v4 mAb、SARS-CoV-2 S2H58-v5 mAb、SARS-CoV-2 S2H58-v6 mAb、SARS-CoV-2 S2H58-v7 mAb、SARS-CoV-2 S2H62-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2H62-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2H62-v3 mAb、SARS-CoV-2 S2H66-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2H66-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2H66-v3 mAb、SARS-CoV-2 S2H70-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2H71-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2H73-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2N12-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2N12-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2N12-v3 mAb、SARS-CoV-2 S2N22-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2N22-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2N22-v3 mAb、SARS-CoV-2 S2N22-v4 mAb、SARS-CoV-2 S2N22-v5 mAb、SARS-CoV-2 S2N22-v6 mAb、SARS-CoV-2 S2N22-v7 mAb、SARS-CoV-2 S2N25-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2N28-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2E6-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2E7-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2E9-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2E12-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2E12-v2 mAb、SARS-CoV-2 S2E13-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2E14-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2K4-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X193-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X195-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X219-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X244-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X246-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X256-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X269-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2X278-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2M7-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2M11-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2M16-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2M28-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2L49-v1 mAb、SARS CoV-2 S2D65-v1 mAb、 SARS CoV-2 S2D97-v1 mAb、 SARS CoV-2 S2D106-v1 mAb、 SARS CoV-2 S2X149-v1 mAb、SARS CoV-2 S2X179-v1 mAb、SARS-CoV-2 S2H101 mAb、抗体409_11_1_v2、抗体409_11_1_v3、抗体409_11_1_v4、抗体409_11_1_v5、抗体409_11_1_v6、抗体409_11_2_v1、抗体409_11_2_v2、抗体409_11_2_v3、抗体409_11_2_v4、抗体409_11_2_v5、抗体409_11_2_v6、抗体409_11_2_v7、抗体409_11_2_v8、抗体409_11_2_v9、抗体409_11_2_v10、抗体409_11_2_v11、抗体409_11_2_v12、抗体409_11_2_v13、抗体409_11_2_v14、抗体409_11_2_v15、抗体409_11_2_v16、抗体409_11_2_v17、抗体409_11_2_v18、抗体409_11_2_v19、抗体409_11_2_v20、抗体409_11_2_v21、抗体抗体409_11_2_v22、抗体409_11_2_v23、抗体409_11_2_v24、抗体409_11_2_v25、抗体409_11_2_v26、抗体409_11_2_v27、抗体409_11_3_v1、抗体409_11_4_v2、抗体409_11_4_v3、抗体409_11_4_v4、抗体409_11_4_v5、抗体409_11_4_v6、抗体409_11_4_v7、抗体409_11_4_v8、抗体409_11_4_v9、抗体409_11_4_v10、抗体409_11_4_v11、抗体409_11_4_v12、または抗体409_11_4_v13の対応するCDRから選択される。すなわち、表2に提供されるSARS-CoV-2 mAbおよびそれらのバリアント配列からのCDRの全ての組合せが企図される。
【0171】
抗体発生の間、生殖系列可変(V)、接合(J)、および多様性(D)遺伝子の遺伝子座におけるDNAが再構成され得、コード配列においてヌクレオチドの挿入および/または欠失が起こり得る。体細胞変異は、得られる配列によってコードされてもよく、対応する公知の生殖系列配列を参照することによって同定することができる。一部の文脈では、抗体の所望の性質(例えば、SARS-CoV-2抗原への結合)に重要ではないか、または抗体に望ましくない性質(例えば、抗体が投与される被験体における免疫原性の危険性の増加)を付与するか、またはその両方である体細胞変異を、対応する生殖系列にコードされたアミノ酸によって、または異なるアミノ酸によって置き換えることができ、その結果、抗体の望ましい性質が、改善または維持され、抗体の望ましくない性質が減少または抑止される。そのため、一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、親抗体または抗原結合断片が1つまたは複数の体細胞変異を含むことを条件に、親抗体または抗原結合断片と比較して、可変領域中に、少なくとももう1つの生殖系列にコードされたアミノ酸を含む。本開示の抗SARS-CoV-2抗体の可変領域およびCDRアミノ酸配列は、本明細書の表2に提供される。
【0172】
本開示の例示的な抗体としては、抗体S2E12およびその操作されたバリアントが挙げられる。操作されたS2E12バリアントは、「抗体409_11_4_v2」、「抗体409_11_4_v3」、「抗体409_11_4_v4」、「抗体409_11_4_v5」、「抗体409_11_4_v6」、「抗体409_11_4_v7」、「抗体409_11_4_v8」、「抗体409_11_4_v9」、「抗体409_11_4_v10」、「抗体409_11_4_v11」、「抗体409_11_4_v12」、「抗体409_11_4_v13」を含む。特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、表1に(それぞれ)提供されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列のいずれかから選択される、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、および/またはCDRL3を含む。表1は、S2E12 CDRH3配列と、S2E12のCDRH3の直ぐN末端側にある2つのアミノ酸(Ala-Ser)とを含む、アミノ酸配列も提供する。
【0173】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、および/またはCDRH3と;配列番号403、738、744、および746のいずれか1つに記載されるVLアミノ酸配列のCDRL1、CDRL2、および/またはCDRL3とを含む(すなわち、当技術分野において公知の任意のCDRの番号付けまたは決定方法、例えば、IMGT、Kabat、Chothia、AHo、North、Contact、CCG、EU、またはMartin(改良されたChothia)に従う)。例えば、一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、配列番号399に記載されるVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、および/またはCDRH3、および配列番号738に記載されるVLアミノ酸配列のCDRL1、CDRL2、および/またはCDRL3を含み、ここで、CDRはIMGTに従う。非限定的な別の例として、一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、配列番号399に記載されるVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3、および配列番号738に記載されるVLアミノ酸配列のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、ここで、CDRはIMGTに従う。
【0174】
さらなる実施形態では、抗体または抗原結合断片は、表1に提供されるVHアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性(例えば、85%、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%)の同一性を有するVH、および/または表1に提供されるVLアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性(例えば、85%、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%)の同一性を有するVLを含む。またさらなる実施形態では、抗体または抗原結合断片は、表1に提供されるVHアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性(identity identity)を有するVH、および/または表1に提供されるVLアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するVLを含む。またさらなる実施形態では、抗体または抗原結合断片は、表1に提供されるVHアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性(identity identity)を有するVH、および/または表1に提供されるVLアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するVLを含む。またさらなる実施形態では、抗体または抗原結合断片は、表1に提供されるVHアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性(identity identity)を有するVH、および/または表1に提供されるVLアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するVLを含む。一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、表1に提供されるVHアミノ酸配列から選択されるVHアミノ酸配列、および表1に提供されるVLアミノ酸配列から選択されるVLアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、S2E12抗体は、カッパ軽鎖、例えば、k1m3、IGKC01を含む。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0175】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、相補性決定領域(CDR)H1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、(a)それぞれ、配列番号400、401、766、404、405、および406;(b)それぞれ、配列番号400、401、769、404、405、および406;(c)それぞれ、配列番号400、401、770、404、405、および406;(d)それぞれ、配列番号400、401、771、404、405、および406;(e)それぞれ、配列番号400、401、772、404、405、および406;(f)それぞれ、配列番号400、401、773、404、405、および406;(g)それぞれ、配列番号400、401、766、404、405、および745;(h)それぞれ、配列番号400、401、769、404、405、および745;(i)それぞれ、配列番号400、401、770、404、405、および745;(j)それぞれ、配列番号400、401、771、404、405、および745;(k)それぞれ、配列番号400、401、772、404、405、および745;(l)それぞれ、配列番号400、401、773、405、405、および745;(m)それぞれ、配列番号:400、401、766、404、405、および747;(n)それぞれ、配列番号400、401、769、404、405、および747;(o)それぞれ、配列番号400、401、770、404、405、および747;(p)それぞれ、配列番号400、401、771、404、405、および747;(q)それぞれ、配列番号400、401、772、404、405、および747;または(r)それぞれ、配列番号400、401、773、404、405、および747に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
【0176】
さらなる実施形態では、抗体または抗原結合断片は、(a)配列番号400、401、402、404、405、および406;(b)配列番号400、401、751、404、405、および406;(c)配列番号400、401、753、404、405、および406;(d)配列番号400、401、755、404、405、および406;(e)配列番号400、401、757、404、405、および406;(f)配列番号400、401、760、404、405、および406;(g)配列番号400、401、402、404、405、および745;(h)配列番号400、401、751、404、405、および745;(i)配列番号400、401、753、404、405、および745;(j)配列番号400、401、755、404、405、および745;(k)配列番号400、401、757、404、405、および745;(l)配列番号400、401、760、405、405、および745;(m)配列番号400、401、402、404、405、および747;(n)配列番号400、401、751、404、405、および747;(o)配列番号400、401、753、404、405、および747;(p)配列番号400、401、755、404、405、および747;(q)配列番号400、401、757、404、405、および747;または(r)配列番号400、401、760、404、405、および747に記載されるアミノ酸配列を含む。上記の(a)~(r)の各々では、記載されている最初の3つの配列番号がVHアミノ酸配列であり、記載されている後の3つの配列番号がVLアミノ酸配列であることは、理解されるであろう。例えば、(a)では、配列番号400、401、および402は、VHのアミノ酸配列であり、配列番号404、405、および406は、VLのアミノ酸配列である。
【0177】
他の例示的な抗体は、S2M11、S2D106、S2H58、およびその操作されたバリアントを含む。一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号525~527および529~531に記載されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、抗体または抗原結合断片は、配列番号524に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、またはこれを含むかまたはこれからなるVH、および配列番号528に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、またはこれを含むかまたはこれからなるVLを含む。
【0178】
他の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号585、586、587、589、590、および591に記載される、またはそれぞれ、配列番号585、625、627、589、590、および591に記載されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、抗体または抗原結合断片は、配列番号584、624、626、および628のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、またはこれを含むかまたはこれからなるVH、および配列番号588に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、またはこれを含むかまたはこれからなるVLを含む。他の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号229、230、231、233、234、および235に記載されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、抗体または抗原結合断片は、配列番号228、740、741、742、および743のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、またはこれを含むかまたはこれからなるVH、および配列番号232に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、またはこれを含むかまたはこれからなるVLを含む。他の実施形態では、、抗体または抗原結合断片は、配列番号228、740、741、742、および743のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、またはこれを含むかまたはこれからなるVH、および配列番号238に記載されるアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%を有するか、またはこれを含むかまたはこれからなるVLを含む。
【0179】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、酸化、脱アミド化、および/または異性化の望ましくない危険性を除去するためのアミノ酸改変(例えば、置換変異)を含む。
【0180】
本明細書に提供されるバリアント抗体として、具体的な配列を有するここに開示される抗体と比較して、可変領域(例えば、VH、VL、フレームワーク、またはCDR)中に1つまたは複数のアミノ酸の変更を含むバリアント抗体であって、バリアント抗体が、SARS-CoV-2抗原に結合できるものが挙げられる。
【0181】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号22、32、42、52、62、72、74、84、96、106、119、129、139、150、163、173、175、178、186、189、191、198、208、218、228、240、254、264、274、284、298、312、322、332、350、351、353、359、361、363、365、367、368、369、379、389、399、409、419、429、434、444、454、464、474、484、494、504、514、524、534、544、554、564、574、584、594、604、614、624、626、628、630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、684、692、740、741、742、743、748、749、750、752、754、756、758、759、761、762、および765のいずれか1つに記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98、99%、もしくは100%を有する)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、ここで、変動は、必要に応じて、1つまたは複数のフレームワーク領域に限定され、かつ/あるいは変動は、生殖系列にコードされたアミノ酸に対する1つまたは複数の置換を含み、かつ/あるいは(ii)VLは、配列番号26、36、46、56、66、78、88、94、100、110、123、133、143、154、157、168、194、196、202、212、222、232、238、244、250、252、258、268、278、288、294、296、302、308、310、316、326、336、355、357、373、383、393、403、413、423、438、448、458、468、478、488、498、508、518、528、538、548、558、568、578、588、598、608、618、686、696、738、744、および746のいずれか1つに記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98、99%、もしくは100%を有する)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、ここで、変動は、必要に応じて、1つまたは複数のフレームワーク領域に限定され、かつ/あるいは変動は、生殖系列にコードされたアミノ酸に対する1つまたは複数の置換を含む。
【0182】
さらなる実施形態では、VHは、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有し、VLは、配列番号403、738、744、および746のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有する。
【0183】
さらなる実施形態では、VHは、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有し、VLは、配列番号403に記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有する。
【0184】
さらなる実施形態では、VHは、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有し、VLは、配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有する。
【0185】
さらなる実施形態では、VHは、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有し、VLは、配列番号744に記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有する。
【0186】
さらなる実施形態では、VHは、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有し、VLは、配列番号746に記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有する。
【0187】
一部の実施形態では、VHは配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。VHは配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0188】
一部の実施形態では、VHは配列番号748に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号748に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号748に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号748に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0189】
一部の実施形態では、VHは配列番号749に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号749に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号749に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号749に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0190】
一部の実施形態では、VHは配列番号750に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号750に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号750に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号750に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0191】
一部の実施形態では、VHは配列番号750に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号752に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号752に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号752に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0192】
一部の実施形態では、VHは配列番号754に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号754に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号754に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号754に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0193】
一部の実施形態では、VHは配列番号756に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号756に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号756に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号756に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0194】
一部の実施形態では、VHは配列番号758に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号758に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号758に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号758に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0195】
一部の実施形態では、VHは配列番号759に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号759に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号759に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号759に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0196】
一部の実施形態では、VHは配列番号761に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号761に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号761に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。一部の実施形態では、VHは配列番号761に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなり、VLは配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0197】
一部の実施形態では、VHは、表2に記載されるいずれかのVHアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなり、VLは、表2に記載されるいずれかのVLアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる。特定の実施形態では、VHおよびVLは、(i)それぞれ、配列番号22および26;(ii)それぞれ、配列番号32および36;(iii)それぞれ、配列番号42および46;(iv)それぞれ、配列番号52および56;(v)それぞれ、配列番号62および66;(vi)それぞれ、配列番号72および66;(vii)それぞれ、配列番号74および78;(viii)それぞれ、配列番号84および88;(ix)それぞれ、配列番号84および94;(x)それぞれ、配列番号96および100;(xi)それぞれ、配列番号106および110;(xii)それぞれ、配列番号119および123;(xiii)それぞれ、配列番号129および133;(xiv)それぞれ、配列番号22または150および26、154、または157;(xv)それぞれ、配列番号42または163および46または168;(xvi)それぞれ、配列番号129、173、175、または178のいずれか1つおよび133;(xvii)それぞれ、配列番号52、186、189、または191のいずれか1つおよび56、194、または196のいずれか1つ;(xviii)それぞれ、配列番号198および202;(xix)それぞれ、配列番号208および212;(xx)それぞれ、配列番号218および222;(xxi)それぞれ、配列番号228および232または238;(xxii)それぞれ、配列番号240および244、250、または252のいずれか1つ;(xxiii)それぞれ、配列番号254および258;(xxiv)それぞれ、配列番号264および268;(xxv)それぞれ、配列番号274および278;(xxvi)それぞれ、配列番号284および288、294、または296のいずれか1つ;(xxvii)それぞれ、配列番号298および302、308、または310のいずれか1つ;(xxviii)それぞれ、配列番号312および316;(xxix)それぞれ、配列番号322および326;(xxx)それぞれ、配列番号332および336;(xxxi)それぞれ、配列番号228、350、351、または353のいずれか1つおよび232、238、355、または357のいずれか1つ;(xxxii)それぞれ、配列番号312、359、361、363、365、367、または368のいずれか1つおよび316;(xxxiii)それぞれ、配列番号369および373;(xxxiv)それぞれ、配列番号379および383;(xxxv)それぞれ、配列番号389および393;(xxxvi)それぞれ、配列番号399および403または738;(xxxvii)それぞれ、配列番号409および413;(xxxviii)それぞれ、配列番号419および423;(xxxix)それぞれ、配列番号434および438;(xxxx)それぞれ、配列番号444および448;(xxxxi)それぞれ、配列番号454および458;(xxxxii)それぞれ、配列番号464および468;(xxxxiii)それぞれ、配列番号474および478;(xxxxiv)それぞれ、配列番号484および488;(xxxxv)それぞれ、配列番号494および498;(xxxxvi)それぞれ、配列番号504および508;(xxxxvii)それぞれ、配列番号514および518;(xxxxviii)それぞれ、配列番号524および528;(xxxxix)それぞれ、配列番号534および538;(xxxxx)それぞれ、配列番号544および548;(xxxxxi)それぞれ、配列番号554および558;(xxxxxii)それぞれ、配列番号564および568;(xxxxxiii)それぞれ、配列番号574および578;(xxxxxiv)それぞれ、配列番号584および588;(xxxxxv)それぞれ、配列番号594および598;(xxxxxvi)それぞれ、配列番号604および608;(xxxxxvii)それぞれ、配列番号614および618;(xxxxxviii)それぞれ、配列番号624、626、または628および588;(xxxxxix)それぞれ、配列番号630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、または684、および686;(xxxxxx)それぞれ、配列番号692および696;(xxxxxxi)それぞれ、配列番号740~743および238のいずれか1つ;(xxxxxxii)それぞれ、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、または761のいずれか1つおよび403、744、または746のいずれか1つ;あるいは(xxxxxxiii)それぞれ、配列番号762または764および588に従うアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
【0198】
ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号624、626、または628および588に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、または684、および686に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号692および696に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0199】
ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号399および738に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0200】
ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号399および403に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号399および738に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号399および744に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号399および746に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号748および403に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号749および403に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号750および403に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号752および403に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号754および403に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号756および403に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号758および403に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号759および403に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。ある特定の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号761および403に従うアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0201】
「CL」という用語は、「免疫グロブリン軽鎖定常領域」または「軽鎖定常領域」、すなわち、抗体軽鎖由来の定常領域を指す。「CH」という用語は、「免疫グロブリン重鎖定常領域」または「重鎖定常領域」を指し、これは、抗体のアイソタイプに応じて、CH1、CH2、およびCH3ドメイン(IgA、IgD、IgG)、またはCH1、CH2、CH3、およびCH4ドメイン(IgE、IgM)にさらに分けられる。抗体重鎖のFc領域は、本明細書にさらに記載される。ここに開示される実施形態のいずれかでは、本開示の抗体または抗原結合断片は、CL、CH1、CH2、およびCH3のいずれか1つまたは複数を含む。ある特定の実施形態では、CLは、配列番号8または配列番号9のアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CH1-CH2-CH3(CH1-CH3とも称される)は、配列番号6または配列番号7のアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0202】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、配列番号767に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる重鎖ポリペプチド、および配列番号768に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる軽鎖ポリペプチドを含む。
【0203】
例えば、哺乳動物細胞系における産生は、抗体重鎖の1つまたは複数のC末端リシンを除去することができることが理解される(例えば、Liu et al. mAbs 6(5):1145-1154 (2014)を参照されたい)。したがって、本開示の抗体または抗原結合断片は、重鎖、CH1-CH3、CH3、またはFcポリペプチドを含むことができ、ここで、C末端リシン残基は、存在するか、または存在せず、言い換えれば、C末端リシンの除去に起因して重鎖、CH1-CH3、またはFcポリペプチドのC末端残基がリシンではない実施形態、およびリシンがC末端残基である実施形態を包含する。ある特定の実施形態では、組成物は、複数の本開示の抗体および/または抗原結合断片を含み、ここで、1つまたは複数の抗体または抗原結合断片は、重鎖、CH1-CH3、またはFcポリペプチドのC末端にリシン残基を含まず、1つまたは複数の抗体または抗原結合断片は、重鎖、CH1-CH3、またはFcポリペプチドのC末端にリシン残基を含む。言い換えれば、ある特定の実施形態では、重鎖は、C末端リシンのない、配列番号767に記載されるアミノ酸配列を含み得るか、またはこれからなり得る。ある特定の実施形態では、重鎖またはCH1~CH3は、C末端リシンのない、配列番号6または配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含み得る。
【0204】
「Fab」(抗原に結合する断片)は、抗原に結合する抗体の部分であり、鎖間ジスルフィド結合を介して軽鎖に連結された重鎖の可変領域およびCH1を含む。各Fab断片は、抗原結合に関して一価である、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処置は、二価の抗原結合活性を有し、さらに抗原を架橋することができる、2つのジスルフィド結合したFab断片におおよそ対応する単一の大きなF(ab’)2断片を生じる。FabおよびF(ab’)2は両方とも、「抗原結合断片」の例である。Fab’断片は、CH1ドメインのカルボキシ末端において、抗体ヒンジ領域由来の1つまたは複数のシステインを含む追加のいくつかの残基を有することによって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離のチオール基を持つFab’についての本明細書での表示である。F(ab’)2抗体断片は、元々、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的カップリングも公知である。
【0205】
Fab断片は、例えば、ペプチドリンカーによって接合されて、本明細書で「scFab」とも称される一本鎖Fabを形成し得る。これらの実施形態では、ネイティブのFabに存在する鎖間ジスルフィド結合は存在しなくてもよく、リンカーは、単一のポリペプチド鎖においてFab断片を連結または接続するように、完全にまたは部分的に役割を果たす。重鎖由来のFab断片(例えば、VH+CH1、または「Fd」を含むか、これからなるか、または本質的にこれからなる)および軽鎖由来Fab断片(例えば、VL+CLを含むか、これからなるか、または本質的にこれからなる)は、任意の配置で連結されて、scFabを形成し得る。例えば、scFabは、N末端からC末端への方向で、(重鎖Fab断片-リンカー-軽鎖Fab断片)または(軽鎖Fab断片-リンカー-重鎖Fab断片)に従って配置されていてもよい。scFabにおいて使用するためのペプチドリンカーおよび例示的なリンカー配列は、本明細書でさらに詳細に議論される。
【0206】
「Fv」は、完全な抗原認識および抗原結合部位を含有する小さな抗体断片である。この断片は、一般に、密接に非共有結合的に会合した1つの重鎖可変領域ドメインおよび1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。しかしながら、単一の可変ドメイン(または、抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、抗原を認識し、かつそれに結合する能力を有するが、典型的には、結合部位全体よりも親和性が低い。
【0207】
「一本鎖Fv」は、「sFv」または「scFv」とも略され、単一のポリペプチド鎖に接続されたVおよびV抗体ドメインを含む抗体断片である。一部の実施形態では、scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合のために所望の構造を保持または形成することを可能にする、VおよびVドメインの間に配置され、VおよびVドメインを連結するポリペプチドリンカーを含む。そのようなペプチドリンカーは、当技術分野において周知の標準的な技法を使用して、融合ポリペプチドに組み込むことができる。scFvの概説について、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994);以下のBorrebaeck 1995を参照されたい。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、VHドメイン、VLドメイン、およびVHドメインをVLドメインに連結するペプチドリンカーを含むscFvを含む。特定の実施形態では、scFvは、ペプチドリンカーによってVLドメインに連結されたVHドメインを含み、これは、VH-リンカー-VLの方向、またはVL-リンカー-VHの方向であり得る。本開示の任意のscFvは、VLドメインのC末端が短いペプチド配列によってVHドメインのN末端に連結されるように、またはその逆のように(すなわち、(N)VL(C)-リンカー-(N)VH(C)または(N)VH(C)-リンカー-(N)VL(C))、操作されていてもよい。あるいは、一部の実施形態では、リンカーは、VHドメイン、VLドメイン、またはその両方のN末端部分またはVHドメイン、VLドメイン、またはその両方の末端に連結されていてもよい。
【0208】
ペプチドリンカー配列は、例えば、(1)可撓性の伸長コンフォメーションを採用するそれらの能力、(2)第1および第2のポリペプチド上のおよび/または標的分子上の機能的エピトープと相互作用し得る二次構造を採用できないこと、またはこれを採用する能力の欠如、ならびに/あるいは(3)ポリペプチドおよび/または標的分子と反応する可能性がある疎水性または荷電残基の欠如または相対的な欠如に基づいて選択され得る。リンカー設計に関する他の考慮事項(例えば、長さ)は、VHおよびVLが機能的抗原結合部位を形成することができるコンフォメーションまたはコンフォメーションの範囲を含み得る。ある特定の実施形態では、ペプチドリンカー配列は、例えば、Gly、Asn、およびSer残基を含有する。ThrおよびAlaなどの他のほぼ中性アミノ酸もまた、リンカー配列に含まれていてもよい。リンカーとして有用に用いられ得る他のアミノ酸配列としては、Maratea et al., Gene 40:39 46 (1985);Murphy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8258 8262 (1986);米国特許第4,935,233号、および米国特許第4,751,180号に開示されているものが挙げられる。リンカーの他の実例および非限定的な例としては、例えば、単一の反復が存在するか、または1~5回もしくはそれより多くの回数、またはそれより多く繰り返される場合、Glu-Gly-Lys-Ser-Ser-Gly-Ser-Gly-Ser-Glu-Ser-Lys-Val-Asp(配列番号19)(Chaudhary et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1066-1070 (1990))、およびLys-Glu-Ser-Gly-Ser-Val-Ser-Ser-Glu-Gln-Leu-Ala-Gln-Phe-Arg-Ser-Leu-Asp(配列番号20)(Bird et al., Science 242:423-426 (1988))、および五量体のGly-Gly-Gly-Gly-Ser(配列番号21)が挙げられ得る;例えば、配列番号17を参照されたい。任意の適切なリンカーが使用され得、一般に、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、15、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100アミノ酸長、または約200アミノ酸長未満であり得、好ましくは、可撓性の構造を含み(リンカーによって接続された2つの領域、ドメイン、モチーフ、断片、またはモジュールの間のコンフォメーションの動きのための可撓性および場所を提供することができる)、好ましくは、生物学的に不活性であり、かつ/またはヒトにおいて免疫原性の低い危険性を有する。例示的なリンカーとしては、配列番号10~21のいずれか1つまたは複数に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるリンカーが挙げられる。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号10~21のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%(すなわち、少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる。
【0209】
scFvは、本明細書に開示される、VHおよびVL配列の任意の組み合わせ、またはCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列の任意の組み合わせを使用して、構築することができる。
【0210】
一部の実施形態では、例えば、第1および第2のポリペプチドが、機能的ドメインを分離し、立体的な干渉を防止するために使用され得る非必須N末端アミノ酸領域を有する場合、リンカー配列は必要ではない。
【0211】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、単特異性であるか(例えば、単一のエピトープに結合する)、または多特異性である(例えば、複数のエピトープおよび/または標的分子に結合する)。抗体および抗原結合断片は、さまざまなフォーマットで構築され得る。Spiess et al., Mol. Immunol. 67(2):95 (2015)およびBrinkmann and Kontermann, mAbs 9(2):182-212 (2017)に開示される例示的な抗体フォーマット、このフォーマットおよびそれを作製する方法は、参照により本明細書に組み込まれ、例えば、二特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、DART、ノブイントゥホール(KIH)アセンブリー、scFv-CH3-KIHアセンブリー、KIH共通軽鎖抗体、TandAb、トリプルボディ、TriBiミニボディ、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、F(ab’)2-scFv2、四価HCab、イントラボディ、クロスマブ、二重作用Fab(DAF)(ツーインワンまたはフォーインワン)、DutaMab、DT-IgG、Charge Pair、Fabアーム交換、SEEDボディ、トリオマブ、LUZ-Yアセンブリー、Fcab、κλボディ、オルソゴナルFab、DVD-Ig(例えば、米国特許第8,258,268号、このフォーマットは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)、IgG(H)-scFv、scFv-(H)IgG、IgG(L)-scFv、scFv-(L)IgG、IgG(L,H)-Fv、IgG(H)-V、V(H)-IgG、IgG(L)-V、V(L)-IgG、KIH IgG-scFab、2scFv-IgG、IgG-2scFv、scFv4-Ig、Zybody、およびDVI-IgG(フォーインワン)、ならびに、いわゆるFIT-Ig(例えば、PCT公開番号WO2015/103072号、このフォーマットは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)、いわゆるWuxiBodyフォーマット(例えば、PCT公開番号WO2019/057122号、このフォーマットは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)、およびいわゆるIn-Elbow-Insert Igフォーマット(IEI-Ig;例えば、PCT公開番号WO2019/024979号およびWO2019/025391号、このフォーマットは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を含む。
【0212】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、2つまたはそれより多くのVHドメイン、2つまたはそれより多くのVLドメイン、あるいはその両方(すなわち、2つまたはそれより多くのVHドメイン、および2つまたはそれより多くのVLドメイン)を含む。特定の実施形態では、抗原結合断片は、フォーマット(N末端からC末端への方向)VH-リンカー-VL-リンカー-VH-リンカー-VLを含み、ここで、2つのVH配列は、同じまたは異なり得、2つのVL配列は、同じまたは異なり得る。そのように連結されたscFvは、所与の標的に結合するように配置され、フォーマットにおいて、2つまたはそれより多くのVH、および/あるいは2つまたはそれより多くのVLを含む、VHおよびVLドメインの任意の組み合わせを含むことができ、1、2、またはそれより多くの異なるエピトープまたは抗原が結合し得る。複数の抗原結合ドメインを組み込むフォーマットが、任意の組み合わせまたは方向で、VHおよび/またはVL配列を含み得ることが認識される。例えば、抗原結合断片は、フォーマットVL-リンカー-VH-リンカー-VL-リンカー-VH、VH-リンカー-VL-リンカー-VL-リンカー-VH、またはVL-リンカー-VH-リンカー-VH-リンカー-VLを含むことができる。
【0213】
構築された本開示の単特異性または多特異性の抗体または抗原結合断片は、本明細書に開示される、VHおよびVL配列の任意の組み合わせ、ならびに/またはCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3の任意の組み合わせを含むことができる。二特異性または多特異性の抗体または抗原結合断片は、一部の実施形態では、本開示の1つ、2つ、またはそれより多くの抗原結合ドメイン(例えば、VHおよびVL)を含み得る。同じまたは異なるSARS-CoV-2エピトープに結合する2つまたはそれより多くの結合ドメインが存在していてもよく、本明細書に提供される二特異性または多特異性の抗体または抗原結合断片は、一部の実施形態では、SARS-CoV-2結合ドメインをさらに含むことができ、かつ/または異なる抗原または病原体全体に結合する結合ドメインを含むことができる。
【0214】
ここに開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合断片は、多特異性、例えば、二特異性、三特異性などであり得る。
【0215】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、(i)第1のVHおよび第1のVL;ならびに(ii)第2のVHおよび第2のVLを含み、第1のVHおよび第2のVHが、異なり、それぞれ独立して、配列番号22、32、42、52、62、72、74、84、96、106、119、129、139、150、163、173、175、178、186、189、191、198、208、218、228、240、298、312、322、332、350、351、353、359、361、363、365、367、368、369、379、389、399、409、419、429、434、444、454、464、474、484、494、504、514、524、534、544、554、564、574、584、594、604、614、624、626、628、630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、684、692、740、741、742、743、748、749、750、752、754、756、758、759、761、762、および764のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、第1のVLおよび第2のVLが、異なり、それぞれ独立して、配列番号26、36、46、56、66、78、88、94、100、110、123、133、143、154、157、168、194、196、202、212、222、232、238、244、250、252、258、268、278、288、294、296、302、308、310、316、326、336、355、357、373、383、393、403、413、423、438、448、458、468、478、488、498、508、518、528、538、548、558、568、578、588、598、608、618、686、696、738、744、および746のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで、第1のVHおよび第1のVLが、第1の抗原結合部位を一緒に形成し、第2のVHおよび第2のVLが、第2の抗原結合部位を一緒に形成する。
【0216】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、(i)第1のVHおよび第1のVL;および(ii)第2のVHおよび第2のVLを含み、第1のVHは、配列番号139および342に記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有するアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み、第1のVLは、配列番号143および346に記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有するアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み、第2のVHは、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761に記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有するアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み、第2のVLは、配列番号403、744、および746に記載されるアミノ酸配列に対する少なくとも85(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を有する)同一性を有するアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
【0217】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、Fcポリペプチドまたはその断片を含む。「Fc」断片またはFcポリペプチドは、一般にジスルフィドによって一緒に保持された両方の抗体のH鎖のカルボキシ末端部分(すなわち、IgGのCH2およびCH3ドメイン)を含む。抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(ネイティブ配列のFc領域またはアミノ酸配列バリアントのFc領域)に起因するそれらの生物活性を指し、抗体アイソタイプにより変わる。抗体のエフェクター機能の例としては、C1q結合および補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;ならびにB細胞活性化が挙げられる。本明細書で議論されるように、Fc含有ポリペプチド(例えば、本開示の抗体)の1つまたは複数の機能性を改変する(例えば、改善する、低減する、または取り除く)ために、改変(例えば、アミノ酸置換)がFCドメインに行われてもよい。そのような機能としては、例えば、Fc受容体(FcR)結合、抗体の半減期のモジュレーション(例えば、FcRnへの結合による)、ADCC機能、プロテインA結合、プロテインG結合、および補体結合が挙げられる。Fc機能性を改変する(例えば、改善する、低減する、または取り除く)アミノ酸改変としては、例えば、T250Q/M428L、M252Y/S254T/T256E、H433K/N434F、M428L/N434S、E233P/L234V/L235A/G236+A327G/A330S/P331S、E333A、S239D/A330L/I332E、P257I/Q311、K326W/E333S、S239D/I332E/G236A、N297Q、K322A、S228P、L235E+E318A/K320A/K322A、L234A/L235A(本明細書で「LALA」とも称される)、およびL234A/L235A/P329G変異が挙げられ、この変異は、InvivoGen (2011)によって公開され、invivogen.com/PDF/review/review-Engineered-Fc-Regions-invivogen.pdf?utm_source=review&utm_medium=pdf&utm_ campaign=review&utm_content=Engineered-Fc-Regionsにおいてオンラインで利用可能な”Engineered Fc Regions”に概説および注釈付けされており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0218】
例えば、補体カスケードを活性化するために、C1qタンパク質複合体は、免疫グロブリン分子(複数可)が抗原標的に結合する場合、少なくとも2分子のIgG1または1分子のIgMに結合することができる(Ward, E. S., and Ghetie, V., Ther. Immunol. 2 (1995) 77-94)。Burton, D. R.は、アミノ酸残基318~337を含む重鎖領域が補体固定に関与することを記載した(Mol. Immunol. 22 (1985) 161-206)。Duncan, A. R., and Winter, G. (Nature 332 (1988) 738-740)は、部位特異的変異誘発を使用して、Glu318、Lys320、およびLys322がC1qに対する結合部位を形成することを報告した。C1qの結合におけるGlu318、Lys320、およびLys322残基の役割は、これら残基を含有する短い合成ペプチドの補体媒介性溶解を阻害する能力によって確認された。
【0219】
例えば、FcR結合は、(抗体の)Fc部分と、造血細胞を含む細胞上の特殊な細胞表面受容体であるFc受容体(FcR)との相互作用によって媒介され得る。Fc受容体は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、免疫複合体のファゴサイトーシスによる抗体コーティング病原体の除去、および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC;Van de Winkel, J. G., and Anderson, C. L., J. Leukoc. Biol. 49 (1991) 511-524)を介した、対応する抗体でコーティングされた赤血球およびさまざまな他の細胞標的(例えば、腫瘍細胞)の溶解の両方を媒介することを示した。FcRは、免疫グロブリンクラスに対するそれらの特異性によって定義され、IgG抗体に対するFc受容体はFcγRと称され、IgEに対するFc受容体はFcεRと称され、IgAに対するFc受容体はFcαRと称されるなどであり、新生児のFc受容体はFcRnと称される。Fc受容体結合は、例えば、Ravetch, J. V., and Kinet, J. P., Annu. Rev. Immunol. 9 (1991) 457-492;Capel, P. J., et al., Immunomethods 4 (1994) 25-34;de Haas, M., et al., J Lab. Clin. Med. 126 (1995) 330-341;およびGessner, J. E., et al., Ann. Hematol. 76 (1998) 231-248に記載されている。
【0220】
ネイティブIgG抗体のFcドメインによる受容体(FcγR)の架橋は、ファゴサイトーシス、抗体依存性細胞性細胞傷害、および炎症メディエーターの放出、ならびに免疫複合体のクリアランス、および抗体産生の調節を含む多種多様なエフェクター機能を引き起こす。受容体(例えば、FcγR)の架橋を提供するFc部分が本明細書で企図される。ヒトでは、これまでに、FcγRの3つのクラスが特徴付けられており、以下である:(i)FcγRI(CD64)、これは、単量体IgGに高い親和性で結合し、マクロファージ、単球、好中球、および好酸球上で発現される;(ii)FcγRII(CD32)、これは、中から低い親和性で複合体化IgGに結合し、特に、白血球上で広く発現され、抗体媒介性免疫の中心的なプレーヤーであると考えられ、かつ、これは、FcγRIIA、FcγRIIB、およびFcγRIICに分けることができ、これらは、免疫系において異なる機能を行うが、IgG-Fcに対して類似の低い親和性で結合し、これらの受容体の細胞外ドメインは高度に相同(homologuous)である;ならびに(iii)FcγRIII(CD16)、これは、中から低い親和性でIgGに結合し、2つの形態で見出されている:FcγRIIIA、これは、NK細胞、マクロファージ、好酸球、ならびに一部の単球およびT細胞において見出されており、ADCCを媒介すると考えられる;ならびにFcγRIIIB、これは、好中球において高度に発現される。
【0221】
FcγRIIAは、殺傷に関与する多くの細胞(例えば、マクロファージ、単球、好中球)において見出され、殺傷プロセスを活性化することができるようである。FcγRIIBは、阻害プロセスにおいて役割を果たすようであり、B細胞、マクロファージ、ならびに、肥満細胞および好酸球において見出される。重要なことには、全FcγRIIBの75%が肝臓中で見出されることが示されている(Ganesan, L. P. et al., 2012: ”FcγRIIb on liver sinusoidal endothelium clears small immune complexes,” Journal of Immunology 189: 4981-4988)。FcγRIIBは、LSECと呼ばれる肝類洞内皮、および肝臓におけるクッパー細胞において多量に発現され、LSECは、小さな免疫複合体のクリアランスの主要部位である(Ganesan, L. P. et al., 2012: FcγRIIb on liver sinusoidal endothelium clears small immune complexes. Journal of Immunology 189: 4981-4988)。
【0222】
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗体およびその抗原結合断片は、FcγRIIbへの結合のためのFcポリペプチドまたはその断片、特に、例えばIgG型抗体などのFc領域を含む。また、Chu, S. Y. et al., 2008: Inhibition of B cell receptor-mediated activation of primary human B cells by coengagement of CD19 and FcgammaRIIb with Fc-engineered antibodies. Molecular Immunology 45, 3926-3933に記載されるように、変異S267EおよびL328Fを導入することによって、Fc部分を操作してFcγRIIB結合を増強することが可能である。それによって、免疫複合体のクリアランスを増強することができる(Chu, S., et al., 2014: Accelerated Clearance of IgE In Chimpanzees Is Mediated By Xmab7195, An Fc-Engineered Antibody With Enhanced Affinity For Inhibitory Receptor FcγRIIb. Am J Respir Crit, American Thoracic Society International Conference Abstracts)。一部の実施形態では、本開示の抗体またはその抗原結合断片は、特に、Chu, S. Y. et al., 2008: Inhibition of B cell receptor-mediated activation of primary human B cells by coengagement of CD19 and FcgammaRIIb with Fc-engineered antibodies. Molecular Immunology 45, 3926-3933に記載されるように、変異S267EおよびL328Fを有する操作されたFc部分を含む。
【0223】
B細胞において、FcγRIIBは、さらなる免疫グロブリン産生、および例えば、IgEクラスへのアイソタイプスイッチングを抑制するように機能し得る。マクロファージにおいて、FcγRIIBは、FcγRIIAを通して媒介されるファゴサイトーシスを阻害すると考えられる。好酸球および肥満細胞において、B形態は、IgEのその別々の受容体への結合を通して、これら細胞の活性化を抑制するのに役立ち得る。
【0224】
FcγRI結合に関して、ネイティブIgGのE233~G236、P238、D265、N297、A327、およびP329の少なくとも1つの改変は、FcγRIへの結合を低減する。233~236位のIgG2残基が、IgG1およびIgG4の対応する位置へと置換されることで、IgG1およびIgG4のFcγRIへの結合が10倍低減し、抗体で感作された赤血球に応答するヒト単球応答が排除される(Armour, K. L., et al. Eur. J. Immunol. 29 (1999)
2613-2624)。
【0225】
FcγRII結合に関して、例えば、E233~G236、P238、D265、N297、A327、P329、D270、Q295、A327、R292、およびK414の少なくとも1つのIgG変異について、FcγRIIAに対する結合の低減が見出される。
【0226】
ヒトFcγRIIAの2つの対立形質は、高親和性でIgG1 Fcに結合する「H131」バリアント、および低親和性でIgG1 Fcに結合する「R131」バリアントである。例えば、Bruhns et al., Blood 113:3716-3725 (2009)を参照されたい。
【0227】
FcγRIII結合に関して、例えば、E233~G236、P238、D265、N297、A327、P329、D270、Q295、A327、S239、E269、E293、Y296、V303、A327、K338、およびD376の少なくとも1つの変異について、FcγRIIIAに対する結合の低減が見出される。Fc受容体についてのヒトIgG1上の結合部位のマッピング、上記で言及された変異部位、ならびにFcγRIおよびFcγRIIAへの結合を測定するための方法は、Shields, R. L., et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604に記載されている。
【0228】
ヒトFcγRIIIAの2つの対立形質は、低親和性でIgG1 Fcに結合する「F158」バリアント、および高親和性でIgG1 Fcに結合する「V158」バリアントである。例えば、Bruhns et al., Blood 113:3716-3725 (2009)を参照されたい。
【0229】
FcγRIIへの結合に関して、ネイティブIgG Fcの2つ領域、すなわち、(i)IgG Fcの下部ヒンジ部位、特に、アミノ酸残基L、L、G、G(234~237、EU番号付け)、ならびに(ii)IgG FcのCH2ドメインの隣接領域、特に、例えば、P331の領域における、下部ヒンジ領域に隣接する上部CH2ドメインにおけるループおよび鎖が、FcγRIIおよびIgGの間の相互作用に関与するようである(Wines, B.D., et al., J. Immunol. 2000; 164: 5313 - 5318)。また、FcγRIは、IgG Fc上の同じ部位に結合するようであるが、FcRnおよびプロテインAは、CH2-CH3境界面にあるようであるIgG Fc上の異なる位置に結合する(Wines, B.D., et al., J. Immunol. 2000; 164: 5313 - 5318)。
【0230】
本開示のFcポリペプチドまたはその断片の、(すなわち、1つまたは複数の)Fcγ受容体への結合親和性を増加させる(例えば、参照Fcポリペプチドまたはその断片、あるいは変異(複数可)を含まないそれを含有するものと比較して)変異も企図される。例えば、Delillo and Ravetch, Cell 161(5):1035-1045 (2015)およびAhmed et al., J. Struc. Biol. 194(1):78 (2016)を参照されたく、このFc変異および技法は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0231】
本明細書に開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合断片は、G236A;S239D;A330L;およびI332E;あるいはそのいずれか2つまたはそれより多くを含む組み合わせ;例えば、S239D/I332E;S239D/A330L/I332E;G236A/S239D/I332E;G236A/A330L/I332E(本明細書では「GAALIE」とも称される);またはG236A/S239D/A330L/I332Eから選択される変異を含むFcポリペプチドまたはその断片を含むことができる。一部の実施形態では、Fcポリペプチドまたはその断片は、S239Dを含まない。
【0232】
ある特定の実施形態では、Fcポリペプチドまたはその断片は、FcRn結合への結合に関与するFcポリペプチドまたはその断片の少なくとも一部を含み得るか、またはこれからなり得る。ある特定の実施形態では、Fcポリペプチドまたはその断片は、FcRn(例えば、約6.0のpHで)に対する結合親和性を改善する(例えば、結合を増強する)1つまたは複数のアミノ酸改変を含み、一部の実施形態では、それによって、Fcポリペプチドまたはその断片を含む分子のin vivo半減期が延長される(例えば、参照Fcポリペプチドまたはその断片、あるいは改変(複数可)を含まないがそうでなければ同じ抗体と比較して)。ある特定の実施形態では、Fcポリペプチドまたはその断片は、IgG Fcを含むか、またはこれに由来し、半減期を延長する変異は、M428L;N434S;N434H;N434A;N434S;M252Y;S254T;T256E;T250Q;P257I;Q311I;D376V;T307A;E380A(EU番号付け)のいずれか1つまたは複数を含む。ある特定の実施形態では、半減期を延長する変異は、M428L/N434S(本明細書では「MLNS」とも称される)を含む。ある特定の実施形態では、半減期を延長する変異は、M252Y/S254T/T256Eを含む。ある特定の実施形態では、半減期を延長する変異は、T250Q/M428Lを含む。ある特定の実施形態では、半減期を延長する変異は、P257I/Q311Iを含む。ある特定の実施形態では、半減期を延長する変異は、P257I/N434Hを含む。ある特定の実施形態では、半減期を延長する変異は、D376V/N434Hを含む。ある特定の実施形態では、半減期を延長する変異は、T307A/E380A/N434Aを含む。
【0233】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、置換変異M428L/N434Sを含むFc部分を含む。一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、置換変異G236A/A330L/I332Eを含むFcポリペプチドまたはその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、G236A変異、A330L変異、およびI332E変異(GAALIE)を含み、S239D変異を含まない(例えば、239位にネイティブSを含む)、(例えば、IgG)Fc部分を含む。特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、置換変異:M428L/N434SおよびG236A/A330L/I332Eを含み、かつ、必要に応じてS239Dを含まない、Fcポリペプチドまたはその断片を含む。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、置換変異:M428L/N434SおよびG236A/S239D/A330L/I332Eを含むFcポリペプチドまたはその断片を含む。
【0234】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、グリコシル化を変更する変異を含み、ここで、グリコシル化を変更する変異は、N297A、N297Q、またはN297Gを含み、かつ/あるいは抗体または抗原結合断片は、部分的にもしくは完全にアグリコシル化(aglycosylate)されており、かつ/または部分的にもしくは完全にアフコシル化(afucosylate)されている。宿主細胞系、および部分的にもしくは完全にアグリコシル化されたか、または部分的にもしくは完全にアフコシル化された抗体および抗原結合断片を作製する方法は公知である(例えば、PCT公開番号WO2016/181357号;Suzuki et al. Clin. Cancer Res. 13(6):1875-82 (2007);Huang et al. MAbs 6:1-12 (2018)を参照されたい)。
【0235】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、検出可能なレベルの抗体または抗原結合断片が被験体において見出すことができない場合であっても(すなわち、抗体または抗原結合断片が、投与後に被験体から除去されている場合)、被験体において、in vivoでの継続的な保護を誘発できる。そのような保護は、本明細書ではワクチン効果と称される。理論に縛られることを望まないが、樹状細胞が、抗体および抗原の複合体を内部移行することができ、その後、抗原に対する内因性の免疫応答を誘導またはこれに寄与することができると考えられる。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、例えば、G236A、A330L、およびI332Eを含むFc中の変異などの1つまたは複数の改変を含み、これは、抗原に対して、例えばT細胞免疫を誘導し得る樹状細胞を活性化できる。
【0236】
ここに開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合断片は、CH2(またはその断片)、CH3(またはその断片)、またはCH2およびCH3を含むFcポリペプチドまたはその断片を含み、ここで、CH2、CH3、またはその両方は、任意のアイソタイプのものであり得、それぞれ、対応する野生型CH2またはCH3と比較して、アミノ酸置換または他の改変を含有していてもよい。ある特定の実施形態では、本開示のFcポリペプチドは、会合して二量体を形成する2つのCH2-CH3ポリペプチドを含む。
【0237】
ここに開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合断片は、モノクローナルであり得る。「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、一部の場合では、微量で存在し得る可能な天然に存在する変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原部位に向けられている。さらにまた、異なるエピトープに向けられている異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単一のエピトープに向けられている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが、他の抗体によって汚染されずに合成され得るという点で有利である。「モノクローナル」という用語は、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするとして解釈されるべきではない。例えば、本発明において有用なモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法論によって調製されてもよく、あるいは、細菌細胞、真核細胞、動物細胞、または植物細胞において組換えDNA法を使用して作製されてもよい(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)に記載されている技法を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。モノクローナル抗体はまた、PCT公開番号WO2004/076677A2号に開示される方法を使用して得てもよい。
【0238】
本開示の抗体および抗原結合断片は、「キメラ抗体」を含み、ここで、重鎖および/または軽鎖の一部は、特定の種に由来する抗体中の、あるいは特定の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同であるが、鎖(複数可)の残部は、それらが所望の生物活性を示す限り、別の種に由来する抗体中の、あるいは別の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体中の、ならびにそのような抗体の断片中の対応する配列と同一または相同である(米国特許第4,816,567号;同第5,530,101号および同第7,498,415号;Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984)を参照されたい)。例えば、キメラ抗体は、ヒトおよび非ヒト残基を含んでいてもよい。さらにまた、キメラ抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体において見出されない残基を含んでいてもよい。これらの改変は、抗体の性能をさらに改良するために行われる。さらなる詳細について、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988);およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照されたい。キメラ抗体は、霊長類化抗体およびヒト化抗体も含む。
【0239】
「ヒト化抗体」は、一般に、非ヒトである供給源から導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有するヒト抗体であると考えられる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的には、可変ドメインから取得される。ヒト化は、Winterおよび共同研究者(Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986);Reichmann et al., Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))の方法に従って、非ヒト可変配列をヒト抗体の対応する配列と置換することによって行われてもよい。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号;同第5,530,101号および同第7,498,415号)、ここで、実質的に無傷ヒト可変ドメインよりも少ない配列が、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。一部の例では、「ヒト化」抗体は、非ヒト細胞または動物によって産生され、ヒト配列、例えば、Hcドメインを含むものである。
【0240】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体中に存在する配列のみを含有する抗体である。しかしながら、本明細書で使用される場合、ヒト抗体は、本明細書に記載される改変およびバリアント配列を含む天然に存在するヒト抗体(例えば、ヒトから単離されている抗体)中で見出されない残基または改変を含んでいてもよい。これらは、典型的には、抗体の性能をさらに改良または増強するために行われる。一部の例では、ヒト抗体は、トランスジェニック動物によって産生される。例えば、米国特許第5,770,429号;同第6,596,541号および同第7,049,426号を参照されたい。
【0241】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、キメラ、ヒト化されたもの、またはヒトのものである。
【0242】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、ELISA(必要に応じて、間接的ELISAおよび/またはサンドイッチELISA)により、および/またはフローサイトメトリーにより測定して、SARS-CoV-2表面糖タンパク質に500ng/ml未満、250ng/ml未満、100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、16ng/ml未満、15ng/ml未満、14ng/ml未満、13ng/ml未満、12ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、または2mg/ml未満のEC50で結合でき、ここで、SARS-CoV-2表面糖タンパク質は、宿主細胞の細胞表面で発現されている。
【0243】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、ELISA(必要に応じて、間接的ELISAおよび/またはサンドイッチELISA)により、および/またはフローサイトメトリーにより測定して、SARS-CoV-2表面糖タンパク質RBDに500ng/ml未満、250ng/ml未満、100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、16ng/ml未満、15ng/ml未満、14ng/ml未満、13ng/ml未満、12ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、または2mg/ml未満のEC50で結合でき、ここで、SARS-CoV-2表面糖タンパク質は、宿主細胞の細胞表面で発現されている。
【0244】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、必要に応じて2.7μg/mlで、抗体または抗原結合断片をプロテインAピン上に負荷し、SARS-CoV-2 RBDを5分間、6μg/ml、1.5μg/ml、または0.4μg/mlで負荷し、さらに必要に応じて7分間解離を測定する、Octet装置を必要に応じて使用する、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して決定して、SARS-CoV-2 RBDに5×10-8M未満、4×10-8M未満、3×10-8M未満、2×10-8M未満、1×10-8M未満、5×10-9M未満、1×10-9M未満、5×10-10M未満、1×10-10M未満、5×10-11M未満、1×10-11M未満、5×10-12M未満、または1×10-12M未満のKDで結合できる。
【0245】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、必要に応じて、シングルサイクルキネティクス手法を使用するBiacore T200装置を使用して、決定して、SARS-CoV-2 RBDに6×10-8M未満、5×10-8M未満、4×10-8M未満、3×10-8M未満、2×10-8M未満、1×10-8M未満、5×10-9M未満、4×10-9M未満、3×10-9M未満、2×10-9M未満、1×10-9M未満、または8×10-10M未満のKDで結合できる。
【0246】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、SARS-CoV-2 RBDに結合でき、(i)前記RBDと(ii)ヒトACE2および/またはヒトSIGLEC-1との間の相互作用を阻害できる。
【0247】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、(i)SARS-CoV-2シュードウイルスによる感染を、必要に応じて:(i)(a)100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、3ng/ml未満、2ng/ml未満、もしくは1ng/ml未満、好ましくは、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、3ng/ml未満、2ng/ml未満、もしくは1ng/ml未満の中和IC50で中和でき、および/または(i)(b)100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、もしくは25ng/ml未満、好ましくは、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、もしくは25ng/ml未満の中和IC80で中和でき、および/または(i)(c)300ng/ml未満、200ng/ml未満、100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満50ng/ml、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、もしくは10ng/ml未満の中和EC90で中和でき、さらに必要に応じて、前記SARS-CoV-2シュードウイルスが、VSVシュードウイルスおよび/もしくはMLVシュードウイルスを含み、および/または(i)(d)前記SARS-CoV-2シュードウイルスが、VSVシュードウイルスおよび/もしくはMLVシュードウイルスを含み;ならびに/あるいは(ii)生SARS-CoV-2による感染を、必要に応じて:(ii)(a)60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、12ng/ml未満、11ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、もしくは4ng/ml未満、好ましくは、15ng/ml未満、12ng/ml未満、11ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、もしくは4ng/ml未満のEC50で中和でき、および/または(ii)(b)50ng/ml未満、40ng/ml未満、35ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、12ng/ml未満、11ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、もしくは4ng/ml未満、好ましくは、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、もしくは12ng/ml未満のEC90で中和でき、および/または(ii)(c)6時間にわたって、0.1の感染多重度で中和でき;ならびに/あるいは(iii)DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC、またはACE2を発現する、必要に応じて、それを過剰発現するように操作された、宿主細胞(例えば、HEK293T細胞)における生SARS-CoV-2による感染を中和でき;ならびに/あるいは(iv)SIGLEC-1またはACE2を発現する、必要に応じてそれを過剰発現するように操作された、宿主細胞(例えば、HEK293T細胞)における生SARS-CoV-2による感染を中和でき、感染を中和することが、感染を完全に中和することを含む。
【0248】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、表面糖タンパク質に、配列番号3を含むSARS-CoV-2表面糖タンパク質と比較して次の変異:N501Y、S477N、N439K、L452R、E484K、K417N、T478K、S494P、A520S、N501T、A522S、Y453F、P384Lのいずれか1つを含む、SARS-CoV-2バリアントによる感染を中和できる。
【0249】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、配列番号3に記載される表面糖タンパク質アミノ酸を含むSARS-CoV-2による感染を中和する効力の3分の1未満の効力で、前記SARS-CoV-2バリアントによる感染を中和できる。
【0250】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、FcγRIIa、FcγRIIIa、または両方を活性化でき、必要に応じて、(i)前記FcγRIIaが、H131対立遺伝子を含み;および/または(ii)前記FcγRIIIaが、V158対立遺伝子を含み;および/または(iii)活性化が、CHO細胞などのSARS-CoV-2 S発現標的細胞、およびルシフェラーゼなどのNFAT駆動レポーターを発現するレポーター細胞を使用して決定される。
【0251】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、非ヒト霊長類において20~30日の間の、または22~28日の間の、または23~27日の間の、または24~26日の間の、または約25日のin vivo半減期を有する。
【0252】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約20~約30ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる。
【0253】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約10~約20ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる。
【0254】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約5~約10ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる。
【0255】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、約1~約5ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる。
【0256】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、SARS-CoV-2による感染を中和でき、SARS-CoV-2Sタンパク質への結合についてヒトACE2と競合せず、必要に応じて、中和が、感染のin vitroモデルにおいて感染を中和することを含む。
【0257】
一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片とSARS-CoV-2表面糖タンパク質への結合について競合する本開示の抗体または抗原結合断片が提供される。
【0258】
ポリヌクレオチド、ベクター、および宿主細胞
別の態様では、本開示は、本開示の抗体もしくはこれらの抗原結合断片またはそれらの一部分(例えば、CDR、VH、VL、重鎖または軽鎖)のいずれかをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、宿主細胞における発現のためにコドン最適化される。コード配列が公知であるか、または同定されると、公知の技法およびツールを使用して、例えば、GenScript(登録商標)OptimiumGene(商標)ツールを使用して、コドン最適化を行うことができる(Scholten et al., Clin. Immunol. 119:135, 2006も参照されたい)。コドン最適化配列は、部分的にコドン最適化されている(すなわち、1つまたは複数のコドンが宿主細胞における発現のために最適化されている)配列、および完全にコドン最適化されている配列を含む。
【0259】
本開示の抗体および抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドは、異なるヌクレオチド配列を有し得るが、同じ抗体または抗原結合断片を、例えば、遺伝コードの縮重、スプライシングなどに起因して、さらにコードすることも、理解されよう。
【0260】
ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号30、31、40、41、50、51、60、61、70、71、73、82、83、92、93、95、104、105、114、115、116、117、118、127、128、137、138、206、207、216、217、226、227、236、237、239、248、249、251、253、262、263、272、273、282、283、292、293、295、297、306、307、309、311、320、321、330、331、340、341、377、378、387、388、397、398、407、408、417、418、427、428、433、442、443、452、453、462、463、472、473、482、483、492、493、502、503、512、513、552、523、532、533、542、543、552、553、562、563、572、573、582、583、592、593、602、603、612、613、622、623、690、691、700~737、および739のいずれか1つまたは複数に記載のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも50%(すなわち、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するポリヌクレオチドを含む。
【0261】
ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、(i)配列番号407に記載されるヌクレオチド配列に対する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%同一性を有するか、またはこれを含むかまたはこれからなるポリヌクレオチド;および(ii)配列番号408、737、または739に記載されるヌクレオチド配列に対する少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または少なくとも99%同一性を有するか、またはこれを含むかまたはこれからなるポリヌクレオチドを含む。
【0262】
本開示の実施形態のいずれにおいても、ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を含み得る。一部の実施形態では、RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)を含む。
【0263】
本明細書で開示されるポリヌクレオチド(例えば、SARS-CoV-2に結合する抗体または抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド)を含むまたは含有するベクターも、提供される。ベクターは、本明細書で開示されるベクターのいずれか1つまたは複数を含み得る。特定の実施形態では、抗体もしくは抗原結合断片またはその一部分をコードするDNAプラスミド構築物(例えば、いわゆる「DMAb」;例えば、Muthumani et al., J Infect Dis. 214(3):369-378 (2016);Muthumani et al., Hum Vaccin Immunother 9:2253-2262 (2013));Flingai et al., Sci Rep. 5:12616 (2015);およびElliott et al., NPJ Vaccines 18 (2017)を参照されたく、これらの文献の抗体コードDNA構築物および関連使用方法は、その投与方法を含めて、参照により本明細書に組み込まれる)を含むベクターが、提供される。ある特定の実施形態では、DNAプラスミド構築物は、抗体または抗原結合断片の重鎖および軽鎖(またはVHおよびVL)をコードする単一のオープンリーディングフレームであって、重鎖をコードする配列と軽鎖をコードする配列が、必要に応じて、プロテアーゼ切断部位をコードするポリヌクレオチドにより、および/または自己切断性ペプチドをコードするポリヌクレオチドにより、隔てられている、オープンリーディングフレームを含む。一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片の置換基成分は、単一のプラスミドに含まれているポリヌクレオチドによりコードされる。他の実施形態では、抗体または抗原結合断片の置換基成分は、2つまたはそれより多くのプラスミドに含まれているポリヌクレオチドによりコードされる(例えば、第1のプラスミドは、重鎖、VH、またはVH+CHをコードするポリヌクレオチドを含み、第2のプラスミドは、コグネイト軽鎖、VL、またはVL+CLをコードするポリヌクレオチドを含む)。ある特定の実施形態では、単一のプラスミドは、本開示の2つまたはそれより多くの抗体または抗原結合断片からの重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。例示的な発現ベクターは、Invitrogen(登録商標)から入手可能なpVax1である。本開示のDNAプラスミドを、被験体に、例えば、電気穿孔(例えば、筋肉内電気穿孔)により、または適切な製剤(例えば、ヒアルロニダーゼ)を用いて、送達することができる。
【0264】
さらなる態様では、本開示は、本開示による抗体もしくは抗原結合断片を発現する宿主細胞、または本開示によるベクターもしくはポリヌクレオチドを含むかもしくは含有する宿主細胞も提供する。
【0265】
そのような細胞の例としては、真核細胞、例えば、酵母細胞、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞;およびE.coliをはじめとする原核細胞が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。ある特定のそのような実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞系、例えば、CHO細胞(例えば、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al., PNAS 77:4216 (1980))、ヒト胎児腎細胞(例えば、HEK293T細胞)、PER.C6細胞、Y0細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞.ヒト肝細胞、例えばHepa RG細胞、骨髄腫細胞、またはハイブリドーマ細胞である。哺乳動物宿主細胞系の他の例としては、マウスセルトリ細胞(例えば、TM4細胞);SV40により形質転換されたサル腎CV1系(COS-7);ベビーハムスター腎細胞(BHK);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76);サル腎細胞(CV1);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);イヌ腎細胞(MDCK);バッファローラット肝細胞(BRL 3A);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562);TRI細胞;MRC 5細胞;およびFS4細胞が挙げられる。抗体生成に好適な哺乳動物宿主細胞系は、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B. K. C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J.), pp. 255-268 (2003)に記載されているものも含む。
【0266】
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、E.coliなどの原核細胞である。E.coliなどの原核細胞におけるペプチドの発現は、十分に確証されている(例えば、Pluckthun, A. Bio/Technology 9:545-551 (1991)を参照されたい)。例えば、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合、抗体を細菌において生成することができる。細菌における抗体断片およびポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、および同第5,840,523号を参照されたい。
【0267】
特定の実施形態では、発現ベクターに関する本記載に従って、細胞にベクターをトランスフェクトすることができる。用語「トランスフェクション」は、核酸分子、例えば、DNAまたはRNA(例えば、mRNA)分子の、細胞への、例えば、真核細胞への導入を指す。本記載に関して、用語「トランスフェクション」は、核酸分子の細胞への導入、例えば、哺乳動物細胞への導入を含む、真核細胞への導入、のための、当業者に公知の任意の方法を包含する。そのような方法は、例えば、電気穿孔、リポフェクション、例えばカチオン性脂質および/もしくはリポソームに基づくリポフェクション、リン酸カルシウム沈殿法、ナノ粒子に基づくトランスフェクション、ウイルスに基づくトランスフェクション、またはカチオン性ポリマー、例えばDEAE-デキストランもしくはポリエチレンイミン、に基づくトランスフェクションなどを包含する。ある特定の実施形態では、導入は、非ウイルス性である。
【0268】
さらに、本開示の宿主細胞に、本開示によるベクターを、例えば、本開示による抗体またはその抗原結合断片の発現のために、安定にまたは一過性にトランスフェクトすることができる。そのような実施形態では、細胞に、本明細書に記載のベクターを安定にトランスフェクトすることができる。あるいは、細胞に、本明細書で開示される抗体または抗原結合断片をコードする本開示によるベクターを一過性にトランスフェクトすることができる。本開示の実施形態のいずれにおいても、ポリヌクレオチドは、宿主細胞に対して異種であり得る。
【0269】
したがって、本開示は、本開示の抗体または抗原結合断片を異種発現する組換え宿主細胞も提供する。例えば、細胞は、抗体を完全にまたは部分的に得た種とは異なる種の細胞(例えば、ヒト抗体または操作されたヒト抗体を発現するCHO細胞)であり得る。一部の実施形態では、宿主細胞の細胞型は、抗体または抗原結合断片を自然に発現しない。さらに、宿主細胞は、天然状態の抗体または抗原結合断片に(または抗体もしくは抗原結合断片が操作されたかもしくは由来した天然状態の親抗体に)存在しない翻訳後改変(PTM;例えば、グリコシル化またはフコシル化)を抗体または抗原結合断片に付与し得る。そのようなPTMは、機能差(例えば、免疫原性の低下)を生じさせる結果となり得る。したがって、本明細書で開示される宿主細胞により生成される本開示の抗体または抗原結合断片は、その天然状態の抗体(または親抗体)とは明確に異なる1つまたは複数の翻訳後改変を含み得る(例えば、CHO細胞により生成されるヒト抗体は、ヒトから単離されたおよび/または天然ヒトB細胞もしくは形質細胞により生成された場合の抗体とは明確に異なる、より多くの翻訳後修飾(a more post-translational modification)を含むことができる)。
【0270】
本開示の結合タンパク質の発現に有用な昆虫細胞は、当技術分野において公知であり、例えば、Spodoptera frugipera Sf9細胞、Trichoplusia ni BTI-TN5B1-4細胞、およびSpodoptera frugipera SfSWT01「Mimic(商標)」細胞を含む。例えば、Palmberger et al., J. Biotechnol. 153(3-4):160-166 (2011)を参照されたい。非常に多数のバキュロウイルス株が同定されており、それらは、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と併用され得る。
【0271】
糸状菌または酵母などの真核微生物も、タンパク質コードベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主であり、該真核微生物は、部分的にまたは完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体の生成をもたらす「ヒト化」グリコシル化経路を有する真菌および酵母株を含む。Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004);Li et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006)を参照されたい。
【0272】
植物細胞も、本開示の結合タンパク質の発現のための宿主として利用することができる。例えば、PLANTIBODIES(商標)技術(例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、および同第6,417,429号に記載されている)は、トランスジェニック植物を利用して抗体を生成する。
【0273】
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞、HEK293細胞、PER.C6細胞、Y0細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、ヒト肝細胞、骨髄腫細胞、またはハイブリドーマ細胞である。
【0274】
関連態様では、本開示は、抗体または抗原結合断片を生成するための方法であって、本開示の宿主細胞を、抗体または抗原結合断片を生成するための十分な条件下で、かつ十分な時間にわたって培養することを含む、方法を提供する。組換え生成された抗体の単離および精製に有用な方法は、例として、組換え抗体を培養培地に分泌する好適な宿主細胞/ベクター系から上清を得ること、次いで、市販のフィルターを使用して培地を濃縮することを含み得る。濃縮後、濃縮物を、単一の好適な精製マトリックスに、または一連の好適なマトリックス、例えば、親和性マトリックスもしくはイオン交換樹脂に適用することができる。1つまたは複数の逆相HPLCステップを利用して、組換えポリペプチドをさらに精製することができる。これらの精製方法を、免疫原をその天然環境から単離する際に利用することもできる。本明細書に記載される単離された/組換え抗体の1つまたは複数についての大規模生成のための方法は、適切な培養条件を維持するためにモニターされ、制御される、バッチ細胞培養を含む。可溶性抗体の精製は、本明細書に記載されるおよび当技術分野において公知の方法であって、自国および外国の規制機関の法律およびガイドラインに適合する方法に従って、行うことができる。
組成物
【0275】
本開示の抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクターまたは宿主細胞のいずれか1つまたは複数を個々にまたは任意の組合せで含む組成物であって、薬学的に許容されるキャリアー、賦形剤、または希釈剤をさらに含み得る組成物も、本明細書で提供される。キャリアー、賦形剤および希釈剤は、本明細書でさらに詳細に論じられる。
【0276】
ある特定の実施形態では、組成物は、本開示による2つまたはそれより多くの異なる抗体または抗原結合断片を含む。ある特定の実施形態では、組み合わせて使用される抗体または抗原結合断片は、各々独立して、次の特徴のうちの1つまたは複数を有する:天然に存在するSARS-CoV-2バリアントを中和する;スパイクタンパク質結合について互いに競合しない;明確に異なるスパイクタンパク質エピトープに結合する;SARS-CoV-2に対する耐性の形成の低減を有する;組合せでの場合、SARS-CoV-2に対する耐性の形成の低減を有する;生SARS-CoV-2ウイルスを強く中和する;組み合わせて使用された場合、生SARS-CoV-2ウイルスの中和に対して相加または相乗効果を示す;エフェクター機能を示す;感染の妥当な動物モデル(複数可)において防御的である;大規模生成に十分な品質で生成され得る。
【0277】
ある特定の実施形態では、組成物は、2つまたはそれより多くの本開示の抗体または抗原結合断片であり得る、2つまたはそれより多くの異なる抗体または抗原結合断片を含む。本開示の実施形態のいずれかでは、抗体またはその抗原結合断片は、以下のものを含む抗体または抗原結合断片をさらに含む組成物に含まれ得る:(i)それぞれ、配列番号343~345および347~349に記載される、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列;または(ii)それぞれ、配列番号140~142および144~146に記載される、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列;または(iii)それぞれ、配列番号342および346に記載される、VHおよびVLアミノ酸配列;または(iv)それぞれ、配列番号139および143に記載される、VHおよびVLアミノ酸配列。
【0278】
ある特定の実施形態では、組成物は、配列番号32に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第1の抗体または抗原結合断片;および配列番号139に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第2の抗体または抗原結合断片を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、CDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第1の抗体または抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号33~35に記載のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号37~39に記載のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第1の抗体または抗原結合断片と、CDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第2の抗体または抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号140~142に記載のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号144~146に記載のアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第2の抗体または抗原結合断片とを含む。
【0279】
ある特定の実施形態では、組成物は、配列番号139または342に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号143または346に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第1の抗体または抗原結合断片;および配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、または761に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号403、744、または746に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第2の抗体または抗原結合断片を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、CDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第1の抗体または抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2およびCDRH3が、それぞれ、配列番号140~142またはそれぞれ、配列番号343~345に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、CDRL1、CDRL2およびCDRL3が、それぞれ、配列番号144~146に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第1の抗体または抗原結合断片;ならびにCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第2の抗体または抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2およびCDRH3が、それぞれ、配列番号400、401、および以下のいずれか:751、753、755、757、760に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、CDRL1、CDRL2およびCDRL3が、それぞれ、配列番号404、405、および以下のいずれか:406、745、および747に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第2の抗体または抗原結合断片を含む。
【0280】
(i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合でき、SARS-CoV-2表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1から選択される第1の細胞表面受容体との間の相互作用を阻害できる、第1の抗体または抗原結合断片;および(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合でき、SARS-CoV-2表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1から選択される第2の細胞表面受容体との間の相互作用を阻害できる、第2の抗体または抗原結合断片を含む、組成物であって、第1の細胞表面受容体と第2の細胞表面受容体が異なる、組成物も、本明細書で提供される。本開示で教示されるように、感染の中和は、抗体または抗原結合断片を組み合わせることにより、SARS-CoV-2へのその結合が、SARS-CoV-2と、2つまたはそれより多くの細胞表面受容体、例えば、付着受容体と侵入受容体、2つの侵入受容体、2つの付着受容体など、との間の相互作用を阻害するので、達成または改善され得る。SARS-CoV-2感染を処置または予防するためにそのような抗体の組合せを使用する方法も提供される。
【0281】
ある特定の実施形態では、組成物は、第1のプラスミドを含む第1のベクター、および第2のプラスミドを含む第2のベクターを含み、第1のプラスミドは、重鎖、VH、またはVH+CHをコードするポリヌクレオチドを含み、第2のプラスミドは、抗体またはその抗原結合断片のコグネイト軽鎖、VL、またはVL+CLをコードするポリヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、組成物は、好適な送達ビヒクルまたはキャリアーに連結されたポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を含む。ヒト被験体への投与のための例示的なビヒクルまたはキャリアーとしては、脂質または脂質由来の送達ビヒクル、例えば、リポソーム、固体脂質ナノ粒子、油性懸濁液、サブミクロン脂質乳剤、脂質マイクロバブル、逆脂質ミセル、渦巻型リポソーム(cochlear liposome)、脂質マイクロチューブル(lipid microtubule)、脂質マイクロシリンダー(lipid microcylinder)、または脂質ナノ粒子(LNP)もしくはナノスケールプラットフォーム(例えば、Li et al. Wilery Interdiscip Rev. Nanomed Nanobiotechnol. 11(2):e1530 (2019)を参照されたい)が挙げられる。適切なmRNAを設計するための、および(and and)mRNA-LNPを製剤化するための、およびそれを送達するための、原理、試薬および技法は、例えば、Pardi et al. (J Control Release 217345-351 (2015));Thess et al. (Mol Ther 23: 1456-1464 (2015));Thran et al. (EMBO Mol Med 9(10):1434-1448 (2017);Kose et al. (Sci. Immunol. 4 eaaw6647 (2019);およびSabnis et al. (Mol. Ther. 26:1509-1519 (2018))に記載されており、その技法は、キャッピング、コドン最適化、ヌクレオシド改変、mRNAの精製、mRNAの安定した脂質ナノ粒子(例えば、イオン化可能なカチオン性脂質/ホスファチジルコリン/コレステロール/PEG-脂質;イオン化可能な脂質:ジステアロイルPC:コレステロール:ポリエチレングリコール脂質)への組込みを含み、ならびにその皮下、筋肉内、皮内、静脈内、腹腔内および気管内投与を含む、これらの技法は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0282】
方法および使用
SARS-CoV-2感染(例えば、ヒト被験体における、またはヒト被験体から得られた試料における)の診断に本開示の抗体もしくは抗原結合断片、核酸、ベクター、細胞、または組成物を使用するための方法も、本明細書で提供される。
【0283】
診断(例えば、in vitro、ex vivo)の方法は、抗体、抗体断片(例えば、抗原結合断片)と試料を接触させることを含み得る。そのような試料を被験体から単離することができ、例えば、そのような試料は、例えば、鼻腔、副鼻腔、唾液腺、肺、肝臓、膵臓、腎臓、耳、眼、胎盤、消化管、心臓、卵巣、下垂体、副腎、甲状腺、脳、皮膚または血液から採取された、単離された組織試料であり得る。診断の方法は、特に抗体または抗体断片と試料の接触後の、抗原/抗体複合体の検出も含み得る。そのような検出ステップは、ベンチで、すなわち、人体または動物体と一切接触することなく、行われ得る。検出方法の例は、当業者に周知であり、例えば、直接的、間接的およびサンドイッチELISAをはじめとするELISA(酵素結合免疫吸着検定法)を含む。他の検出方法としては、免疫組織学的検査(IHC)、フローサイトメトリー(例えば、FACS)、ウエスタンブロット、免疫細胞化学(ICC)、酵素結合免疫スポット(ELISPOT)、および免疫沈降(IP)が挙げられるが、これらに限定されない。検出方法で使用される抗体および抗原結合断片は、例えば、蛍光標識されてもよいし、別の方法で検出可能に標識されてもよい(例えば、フルオロフォアに直接コンジュゲートされる、もしくはフルオロフォア-二次コンジュゲートを含む)。
【0284】
本開示の抗体もしくは抗原結合断片、またはそれを含む組成物を使用して被験体を処置する方法であって、被験体がSARS-CoV-2に感染していると考えられるまたは感染するリスクがある、方法も、本明細書で提供される。「処置する」、「処置」、または「回復させる」は、被験体(例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、霊長類、ウマ、ネコ、イヌ、ヤギ、マウスもしくはラット)の疾患、障害または状態の医学的管理を指す。一般に、本開示の抗体または組成物を含む適切な用量または処置レジメンは、治療上または予防上の利益を引き出すのに十分な量で投与される。治療上または予防上の/予防的な利益は、臨床転帰の改善;疾患に関連する症状の軽減もしくは緩和;症状の発生の減少;生活の質の向上;より長い無病状態;疾患の程度の減少、病態の安定化;疾患進行の遅延もしくは予防;寛解;生存;生存期間の延長;またはこれらの任意の組合せを含む。ある特定の実施形態では、治療上または予防上の/予防的な利益は、SARS-CoV-2感染の処置のための入院の低減または防止を含む(すなわち、統計的に有意な形で)。ある特定の実施形態では、治療上または予防上の/予防的な利益は、SARS-CoV-2感染の処置のための入院期間の短縮を含む(すなわち、統計的に有意な形で)。ある特定の実施形態では、治療上または予防上の/予防的な利益は、挿管、および/または人工呼吸器デバイスの使用などの、呼吸介入の必要性の低減または抑制を含む。ある特定の実施形態では、治療上または予防上の/予防的な利益は、後期疾患病状を好転させること、および/または死亡率を低下させることを含む。
【0285】
本開示の抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞または組成物の「治療有効量」または「有効量」は、統計的に有意な形での、臨床転帰の改善;疾患に関連する症状の軽減もしくは緩和;症状の発生の減少;生活の質の向上;より長い無病状態;疾患の程度の減少、病態の安定化;疾患進行の遅延;寛解;生存;または生存期間の延長を含む、治療効果をもたらすのに十分な、組成物または分子の量を指す。単独で投与される個々の活性成分に言及する場合、治療有効量は、その成分の効果、または単独でその成分を発現する細胞の効果を指す。組合せに言及する場合、治療有効量は、連続的に投与されるのか、逐次的に投与されるのか、同時に投与されるのかを問わず、治療効果をもたらす、活性成分の合わせた量、または活性成分を発現する細胞と組み合わせた補助活性成分の合わせた量を指す。組合せは、例えば、SARS-CoV-2抗原に特異的に結合する2つの異なる抗体を含み得、このSARS-CoV-2抗原は、ある特定の実施形態では、同じもしくは異なるSARS-CoV-2抗原であり得、および/または同じもしくは異なるエピトープを含み得る。
【0286】
したがって、ある特定の実施形態では、被験体におけるSARS-CoV-2感染を処置するための方法であって、本明細書で開示される抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、または組成物の有効量を被験体に投与することを含む方法が、提供される。
【0287】
本開示により処置され得る被験体は、一般に、ヒトおよび他の霊長類被験体、例えば、獣医学目的のためのサルおよび類人猿である。マウスおよびラットなどの他のモデル生物も、本開示に従って処置することができる。上述の実施形態のいずれにおいても、被験体は、ヒト被験体であり得る。被験体は、男性または女性であり得、任意の好適な年齢であり得、乳児、若年、青年、成人および老年被験体を含む。
【0288】
いくつかの基準が、SARS CoV-2感染に関連する重症症状または死亡の高いリスクの一因となると考えられる。これらは、年齢、職業、一般的健康、既存の健康状態、および生活習慣を含むが、それらに限定されない。一部の実施形態では、本開示に従って処置される被験体は、1つまたは複数リスク因子を含む。
【0289】
ある特定の実施形態では、本開示に従って処置されるヒト被験体は、乳児、小児、若年成人、中年成人、または高齢者である。ある特定の実施形態では、本開示に従って処置されるヒト被験体は、1歳未満であるか、または1~5歳であるか、または5~125歳の間(例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115または125歳、これらのうちのまたはこれらの間の任意のおよび全ての年齢を含む)である。ある特定の実施形態では、本開示に従って処置されるヒト被験体は、0~19歳、20~44歳、45~54歳、55~64歳、65~74歳、75~84歳、または85歳もしくはそれより高齢である。中年の、特に高齢の人物は、特にリスクがあると考えられる。特定の実施形態では、ヒト被験体は、45~54歳、55~64歳、65~74歳、75~84歳、または85歳もしくはそれより高齢である。一部の実施形態では、ヒト被験体は、生物学上の男性である。一部の実施形態では、ヒト被験体は、生物学上の女性である。
【0290】
ある特定の実施形態では、本開示に従って処置されるヒト被験体は、介護施設もしくは長期ケア施設の入居者である;ホスピス介護福祉士である;医療提供者もしくは医療従事者である;ファーストレスポンダーである;SARS-CoV-2に感染していると診断されたもしくは感染している疑いがある被験体の家族の一員もしくは他の濃厚接触者である;過体重もしくは医学的に言って肥満である;喫煙者である、または喫煙者であった;慢性閉塞性肺疾患(COPD)に罹患している、もしくは罹患したことがある;喘息である(例えば、中等度から重度の喘息に罹患している);自己免疫疾患もしくは状態(例えば、糖尿病)に罹患している;および/または免疫系が損なわれている、もしくは免疫系が枯渇している(例えば、AIDS/HIV感染、がん、例えば血液がん、リンパ球除去療法、例えば化学療法、骨髄もしくは臓器移植、または遺伝性免疫状態に起因して);慢性肝疾患に罹患している;心血管疾患に罹患している;肺もしくは心臓に欠陥がある;他人に極めて接近して、例えば、工場、配送センター、病院環境などの場所で、働いている、もしくは別様に時間を過ごす。
【0291】
ある特定の実施形態では、本開示に従って処置される被験体は、SARS-CoV-2のワクチンを受けたことがあり、このワクチンは、例えば、被験体におけるワクチン後の感染または症状により、臨床診断または科学的もしくは規制コンセンサスにより、効果がない(すなわち、少なくとも部分的にまたは完全に効果がない)と決定されている。
【0292】
ある特定の実施形態では、処置は、曝露前後の予防として投与される。ある特定の実施形態では、処置は、軽度から中等度の疾患に罹患している被験体に投与され、これは外来患者の状況においてであり得る。ある特定の実施形態では、処置は、中等度から重度の疾患に罹患している被験体、例えば、入院を必要とする被験体に投与される。
【0293】
したがって、本開示の組成物を投与する典型的な経路は、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬側、直腸、膣および鼻腔内経路を含むが、これらに限定されない。用語「非経口」は、本明細書で使用される場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技法を含む。ある特定の実施形態では、投与は、経口、静脈内、非経口、胃内、胸膜内、肺内、直腸内、皮内、腹腔内、腫瘍内、皮下、局所、経皮、大槽内、髄腔内、鼻腔内、および筋肉内経路から選択される経路による投与を含む。特定の実施形態では、方法は、抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、または組成物を被験体に経口投与することを含む。
【0294】
本発明のある特定の実施形態による医薬組成物は、患者への組成物の投与の際にその中に含有される活性成分が生物学的に利用可能になることを可能にするように製剤化される。被験体または患者に投与される組成物は、1つまたは複数の投与単位の形態をとることができ、例えば、錠剤が単一投与単位であってよく、エアロゾル形態の本明細書に記載の抗体または抗原結合のコンテナは、複数の投与単位を保持することができる。そのような剤形の実際の調製方法は、当業者には公知であるか、明らかである。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition (Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000)を参照されたい。いずれにせよ、投与される組成物は、本明細書での教示に従って目的の疾患または状態を処置するための本開示の抗体もしくは抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞または組成物の有効量を含有する。
【0295】
組成物は、固体の形態であることもあり、または液体の形態であることもある。一部の実施形態では、キャリアー(複数可)は粒状であり、組成物は例えば錠剤または粉末形態である。組成物が、例えば、経口油、注射可能な液体、または例えば吸入投与に有用であるエアロゾルである場合、キャリアー(複数可)は液体であり得る。経口投与が意図される場合、医薬組成物は、好ましくは、固体形態または液体形態のどちらかであり、半固体、半液体、懸濁液およびゲル形態は、本明細書で固体または液体のどちらかとみなされる形態の中に含まれる。
【0296】
経口投与のための固体組成物として、医薬組成物を、粉剤・散剤(powder)、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム剤、カシェ剤などに製剤化することができる。そのような固体組成物は、1つまたは複数の不活性希釈剤または食用キャリアーを通常は含有する。加えて、次のうちの1つまたは複数が存在することもある:結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチン;賦形剤、例えば、デンプン、ラクトースまたはデキストリン;崩壊剤、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、トウモロコシデンプンなど;滑沢剤、例えば、ステアリン鎖マグネシウムまたはSterotex;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリン;着香剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味料;ならびに着色剤。組成物が、カプセル、例えばゼラチンカプセル、の形態である場合、その組成物は、上記のタイプの材料に加えて、液体キャリアー、例えば、ポリエチレングリコールまたは油を含有し得る。
【0297】
組成物は、液体、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、乳剤または懸濁液、の形態であることもある。液体は、2つの例として、経口投与のためのもの、または注射による送達のためのものであり得る。経口投与が意図される場合、好ましい組成物は、本化合物に加えて、甘味剤、保存剤、色素/着色剤および風味増強剤のうちの1つまたは複数を含有する。注射により投与することが意図される組成物には、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散化剤、懸濁化剤、緩衝液、安定剤および等張剤のうちの1つまたは複数を含めることができる。
【0298】
液体医薬組成物は、それらが溶液であるか、懸濁液であるか、他のこれらに類する形態であるかを問わず、次のアジュバントのうちの1つまたは複数を含み得る:滅菌希釈剤、例えば、注射用水、食塩溶液、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、固定油、例えば、溶媒もしくは懸濁媒体として役立ち得る合成モノもしくはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液またはリン酸緩衝液;および等張性の調整用の剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。非経口調製物を、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てのシリンジまたは複数回用量のバイアルに封入することができる。生理食塩水は、好ましいアジュバントである。注射用医薬組成物は、好ましくは無菌である。
【0299】
非経口投与または経口投与のどちらかが意図される液体組成物は、本明細書で開示される抗体または抗原結合断片の量を、好適な投与量が得られるように、含有するべきである。通常は、この量は、組成物中、少なくとも0.01%の抗体または抗原結合断片である。経口投与が意図される場合、この量を、組成物の重量の0.1%~約70%の間になるように変動させることができる。ある特定の経口医薬組成物は、約4%~約75%の間の抗体または抗原結合断片を含有する。ある特定の実施形態では、本発明による医薬組成物および調製物は、非経口投与単位が希釈前に0.01~10重量%の間の抗体または抗原結合断片を含有するように調製される。
【0300】
組成物は、局所投与が意図されたものであることがあり、その場合、キャリアーは、溶液、乳剤、軟膏またはゲル基剤を適切に含み得る。基剤は、例えば、次のうちの1つまたは複数を含み得る:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、希釈剤、例えば水およびアルコール、ならびに乳化剤および安定剤。増粘剤が局所投与のための組成物中に存在してよい。経皮投与が意図される場合、組成物は、経皮パッチまたはイオン導入デバイスを含み得る。医薬組成物は、直腸内で融解して薬物を放出する形態、例えば座薬の形態での、直腸投与が意図されたものであることもある。直腸投与のための組成物は、油性基剤を好適な無刺激賦形剤として含有し得る。そのような基剤としては、ラノリン、カカオ脂、およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0301】
組成物は、固体または液体投与単位の物理的形態を改変する様々な材料を含み得る。例えば、組成物は、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する材料を含み得る。コーティングシェルを形成する材料は、通常は不活性であり、例えば、糖、セラック、および他の腸溶コーティング剤から選択され得る。あるいは、活性成分は、ゼラチンカプセルに封入され得る。固体または液体形態の組成物は、本開示の抗体または抗原結合断片に結合し、それによって化合物の送達を補助する、作用物質を含み得る。この能力で作用し得る好適な作用物質は、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、1つもしくは複数のタンパク質、またはリポソームを含む。組成物は、エアロゾルとして投与することができる投与単位から本質的になり得る。用語エアロゾルは、コロイド状の性質のものから、加圧パッケージからなる系までの幅がある、様々な系を示すために使用される。送達は、液化もしくは圧縮ガスによることもあり、または活性成分を分注する好適なポンプシステムによることもある。エアロゾルは、活性成分(複数可)を送達するために単相、二相または三相系で送達され得る。エアロゾルの送達は、必要なコンテナ、アクチベーター、バルブ、サブコンテナなどを含み、これらが一緒にキットを形成し得る。当業者は、過度の実験をしなくても、好ましいエアロゾルを決定することができる。
【0302】
本開示の組成物が、本明細書に記載されるようなポリヌクレオチドのためのキャリアー分子(例えば、脂質ナノ粒子、ナノスケール送達プラットフォームなど)も包含することは、理解されよう。
【0303】
医薬組成物は、製薬技術分野で周知の方法論により調製することができる。例えば、注射により投与されることが意図される組成物は、本明細書に記載の抗体、その抗原結合断片、または抗体コンジュゲートと、必要に応じて塩、緩衝液および/または安定剤のうちの1つまたは複数とを含む組成物を、溶液を形成するための滅菌蒸留水と合わせることにより、調製することができる。界面活性剤を添加して、均一な溶液または懸濁液の形成を促進することができる。界面活性剤は、ペプチド組成物と非共有結合的に相互作用して水性送達系への抗体またはその抗原結合断片の溶解または均一な懸濁を促進する化合物である。
【0304】
一般に、適切な用量および処置レジメンは、治療上および/または予防上の利益(例えば、臨床転帰の改善(例えば、下痢もしくは関連する脱水症または炎症の頻度の低下、継続期間の短縮、または重症度の低下、あるいはより長い無病および/または全生存期間、あるいは症状重症度の軽減)を含む、本明細書に記載されるもの)をもたらすのに十分な量の組成物(複数可)を提供する。予防上の使用のための用量は、疾患もしくは障害に関連する疾患を防止するのに、その開始を遅延するのに、またはその重症度を低下させるのに十分であるべきである。本明細書に記載される方法に従って投与される組成物の予防上の利益を、前臨床研究(in vitroおよびin vivo動物研究を含む)および臨床研究を行うこと、そしてそこから得られたデータを、適切な統計学的、生物学的および臨床的方法および技法により分析することによって、決定することができ、これらの全てを当業者は容易に実行することができる。
【0305】
組成物を有効量(例えば、コロナウイルス感染を処置するための)で投与し、この有効量は、利用される具体的な化合物の活性;化合物の代謝安定性および作用の長さ;被験体の年齢、体重、一般的健康、性別および食事;投与の方法およびタイミング;排泄率;薬物の組合せ;特定の障害または状態の重症度;ならびに治療を受けている被験体を含む、様々な因子に依存して変わる。ある特定の実施形態では、本開示の製剤および方法による治療の投与後(tollowing administration)、試験被験体は、プラセボで処置される被験体または他の好適な対照被験体と比較して、処置される疾患または障害に関連する1つまたは複数の症状の約10%から約99%までの低減を示す。
【0306】
一般に、抗体または抗原結合断片の治療有効1日用量は、(70kgの哺乳動物について)約0.001mg/kg(すなわち、0.07mg)~約100mg/kg(すなわち、7.0g)であり;好ましくは、治療有効用量は、(70kgの哺乳動物について)約0.01mg/kg(すなわち、0.7mg)~約50mg/kg(すなわち、3.5g)であり;より好ましくは、治療有効用量は、(70kgの哺乳動物について)約1mg/kg(すなわち、70mg)~約25mg/kg(すなわち、1.75g)である。本開示のポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、および関連組成物についての治療有効用量は、抗体または抗原結合断片についての治療有効用量とは異なり得る。
【0307】
ある特定の実施形態では、方法は、抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、または組成物を被験体に2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれより多くの回数投与することを含む。
【0308】
ある特定の実施形態では、方法は、抗体、抗原結合断片、または組成物を被験体に複数回投与することを含み、第2のまたは次に続く投与は、それぞれ、第1のまたは前の投与の少なくとも約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約24、約48、約74、約96時間後またはそれより後に行われる。
【0309】
ある特定の実施形態では、方法は、被験体がSARS-CoV-2に感染する前に少なくとも1回、抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、または組成物を投与することを含む。
【0310】
本開示の抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞または組成物を含む組成物を、1つもしくは複数の他の治療剤の投与と同時に、その前に、またはその後に投与することもできる。そのような併用療法は、本発明の化合物と1つまたは複数の追加の活性薬剤とを含有する単一の医薬投与製剤の投与はもちろん、本開示の抗体または抗原結合断片を含む組成物および各活性薬剤を含む組成物のその独自の別個の投与製剤での投与も含み得る。例えば、本明細書に記載の抗体もしくはその抗原結合断片と他の活性薬剤とを、患者に、錠剤もしくはカプセル剤などの単一経口投与組成物で一緒に投与することができ、または各薬剤を別個の経口投与製剤で投与することができる。同様に、本明細書に記載の抗体もしくは抗原結合断片と他の活性薬剤とを、被験体に、単一非経口投与組成物で、例えば、食塩溶液もしくは他の生理的に許容される溶液で、一緒に投与することができ、または各薬剤を別個の非経口投与製剤で投与することができる。別個の投与製剤が使用される場合、抗体または抗原結合断片を含む組成物と、1つまたは複数の追加の活性薬剤を含む組成物とを、本質的に同時に、すなわち並行して、投与することができ、または別々にずらした時間で、すなわち、逐次的にかつ任意の順序で投与することができ、併用療法は、これらのレジメン全てを含むと理解される。
【0311】
ある特定の実施形態では、本開示の1つもしくは複数の抗SARS-CoV-2抗体(または1つもしくは複数の核酸、宿主細胞、ベクターもしくは組成物)と、1つもしくは複数の抗炎症剤および/または1つもしくは複数の抗ウイルス剤とを含む、併用療法が提供される。特定の実施形態では、1つまたは複数の抗炎症剤は、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾンなどのような、コルチコステロイドを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の抗炎症剤は、例えば、IL6に結合する抗体(例えば、シルツキシマブ)、またはIL-6Rに結合する抗体(例えば、トシリズマブ)、またはIL-1β、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、FGF、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IP-10、MCP-1、MIP-1A、MIP1-B、PDGR、TNF-αもしくはVEGFに結合する抗体などの、サイトカインアンタゴニストを含む。一部の実施形態では、抗炎症剤、例えば、ルキソリチニブおよび/またはアナキンラが使用される。一部の実施形態では、1つまたは複数抗ウイルス剤は、例えば、レムデシビル、ソホスブビル、アシクロビルおよびジドブジンなどの、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチドアナログプロドラッグを含む。特定の実施形態では、抗ウイルス剤は、ロピナビル、リトナビル、ファビピラビル、またはこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、併用療法はレロンリマブを含む。本開示の併用療法で使用するための抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)も含む。そのような併用療法において、1つまたは複数の抗体(または1つもしくは複数の核酸、宿主細胞、ベクター、もしくは組成物)と、1つもしくは複数の抗炎症剤および/または1つのまたはより多くの抗ウイルス剤(one or the more antiviral agent)とを、任意の順序および任意の順番で、または一緒に投与することができることは、理解される。
【0312】
一部の実施形態では、抗体(または1つもしくは複数の核酸、宿主細胞、ベクター、もしくは組成物)は、1つもしくは複数の抗炎症剤および/または1つもしくは複数の抗ウイルス剤を以前に受けたことがある被験体に投与される。一部の実施形態では、1つもしくは複数の抗炎症剤および/または1つもしくは複数の抗ウイルス剤は、抗体(または1つもしくは複数の核酸、宿主細胞、ベクター、もしくは組成物)を以前に受けたことがある被験体に投与される。
【0313】
ある特定の実施形態では、一方または両方が本開示の抗体であり得る2つまたはそれより多くの抗SARS-CoV-2抗体を含む併用療法が、提供される。方法は、第1の抗体を、第2の抗体を受けたことがある被験体に投与することを含むことができ、または2つもしくはそれより多くの抗体を一緒に投与することを含むことができる。例えば、特定の実施形態では、被験体に、(a)被験体が第2の抗体もしくは抗原結合断片を受けたことがある場合に第1の抗体もしくは抗原結合断片を投与すること;(b)被験体が第1の抗体もしくは抗原結合断片を受けたことがある場合に第2の抗体もしくは抗原結合断片を投与すること;または(c)第1の抗体もしくは抗原結合断片および第2の抗体もしくは抗原結合断片を投与することを含む方法が、提供される。
【0314】
一部の実施形態では、任意の本開示の抗体が、SARS-CoV-2感染を処置または予防する方法で使用することができ、方法は、(i)それぞれ、配列番号343~345および347~349に記載される、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列;または(ii)それぞれ、配列番号140~142および144~146に記載される、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列;または(iii)それぞれ、配列番号342および346に記載される、VHおよびVLアミノ酸配列;または(iv)それぞれ、配列番号139および143に記載される、VHおよびVLアミノ酸配列を含む、抗体または抗原結合断片の使用をさらに含む。
【0315】
関連態様では、本開示の抗体、抗原結合断片、ベクター、宿主細胞、および組成物の使用が、提供される。
【0316】
ある特定の実施形態では、抗体、抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、または組成物は、被験体におけるSARS-CoV-2感染を処置する方法において使用するために提供される。
【0317】
ある特定の実施形態では、抗体、抗原結合断片、または組成物は、被験体におけるSARS-CoV-2感染を処置するための医薬を製造または調製する方法において使用するために提供される。
本開示は、以下の実施形態も提供する。
【0318】
実施形態1. ある特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む抗体または抗原結合断片であって、
(i)CDRH1が、配列番号400、23、33、43、53、63、75、85、97、107、120、130、140、147、160、170、174、183、190、199、209、219、229、241、255、265、275、285、299、313、323、333、370、380、390、410、420、430、435、445、455、465、475、485、495、505、515、525、535、545、555、565、575、585、595、605、615、631、および693のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;
(ii)CDRH2が、配列番号401、24、34、44、54、64、76、86、98、108、121、131、141、148、151、161、171、184、200、210、220、230、242、256、266、276、286、300、314、324、334、352、360、362、364、366、371、381、391、411、421、431、436、446、456、466、476、486、496、506、516、526、536、546、556、566、576、586、596、606、616、625、632、635、637、639、641、643、645、647、649、651、653、655、657、659、661、663、665、667、669、671、673、675、677、679、681、683、685、および694のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;
(iii)CDRH3が、配列番号766、25、35、45、55、65、77、87、99、109、122、132、142、149、162、164、165、172、176、177、179、180、185、187、188、201、211、221、231、243、257、267、277、287、301、315、325、335、354、372、382、392、412、422、432、437、447、457、467、477、487、497、507、517、527、537、547、557、567、577、587、597、607、617、627、633、695、751、753、755、757、760、763、765、および402のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;
(iv)CDRL1が、配列番号404、27、37、47、57、67、79、89、101、111、124、134、144、152、155、156、158、159、166、181、192、203、213、223、233、245、259、269、279、289、303、317、327、337、356、374、384、394、414、424、439、449、459、469、479、489、499、509、519、529、539、549、559、569、579、589、599、609、619、687、および697のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;
(v)CDRL2が、配列番号405、28、38、48、58、68、80、90、102、112、125、135、145、153、167、182、193、204、214、224、234、246、260、270、280、290、304、318、328、338、375、385、395、415、425、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、688、および698のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含むその配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり;かつ/あるいは
(vi)CDRL3が、配列番号406、29、39、49、59、69、81、91、103、113、126、136、146、169、195、197、205、215、225、235、247、261、271、281、291、305、319、329、339、358、376、386、396、416、426、441、451、461、471、481、491、501、511、521、531、541、551、561、571、581、591、601、611、621、689、699、745、および747のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または1、2、または3つのアミノ酸置換を含む有する(comprising having)その配列バリアントを含むか、またはこれからなり、この置換の1つまたは複数が、必要に応じて保存的置換であり、かつ/または生殖系列にコードされたアミノ酸に対する置換であり、
前記抗体または抗原結合断片が、宿主細胞の細胞表面上および/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体または抗原結合断片。
【0319】
実施形態2. 感染のin vitroモデルにおいて、および/または感染のin vivo動物モデルにおいて、および/またはヒトにおいて、SARS-CoV-2感染を中和できる、実施形態1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0320】
実施形態3. (i)それぞれ、配列番号400、401、766、および404~406;(ii)それぞれ、配列番号400~402および404~406;(iii)それぞれ、配列番号43~45および47~49;(iv)それぞれ、配列番号53~55および57~59;(v)それぞれ、配列番号63~65および67~69;(vi)それぞれ、配列番号75~77および79~81;(vii)それぞれ、配列番号85~87および89~91;(viii)それぞれ、配列番号97~99および101~103;(ix)それぞれ、配列番号107~109および111~113;(x)それぞれ、配列番号120~122および124~126;(xi)それぞれ、配列番号130~132および134~136;(xii)それぞれ、配列番号23または147、以下のいずれか1つ:24、148または151、25または149、以下のいずれか1つ:27、152、155、156、158、または159、28または153、および29;(xiii)それぞれ、配列番号43または160、44または161、以下のいずれか1つ:45、162、164、または165、47または166、48または167、および49または169;(xiv)それぞれ、配列番号以下のいずれか1つ:130、170、または174のいずれか1つ、130、131、132、134または181、135または182、および136;(xv)それぞれ、配列番号以下のいずれか1つ:53、183、または190、54または184、以下のいずれか1つ:55、185、187、または188、57または192、58または193、および以下のいずれか1つ:59、195、または197;(xvi)それぞれ、配列番号199~201および203~205;(xvii)それぞれ、配列番号209~211および213~215;(xviii)それぞれ、配列番号219~221および223~225;(xix)それぞれ、配列番号229~231および233~235;(xx)それぞれ、配列番号241~243および245~247;(xxi)それぞれ、配列番号255~257および259~261;(xxii)それぞれ、配列番号265~267および269~271;(xxiii)それぞれ、配列番号275~277および279~281;(xxiv)それぞれ、配列番号285~287および289~291;(xxv)それぞれ、配列番号299~301および303~305;(xxvi)それぞれ、配列番号313~315および317~319;(xxvii)それぞれ、配列番号323~325および327~329;(xxviii)それぞれ、配列番号333~335および337~339;(xxix)それぞれ、配列番号229、230または352、231または354、および233または356、234、および235または358;(xxx)それぞれ、配列番号313、以下のいずれか1つ:314、360、362、364、または366、315および317~319;(xxxi)それぞれ、配列番号370~372および374~376;(xxxii)それぞれ、配列番号380~382および384~386;(xxxiii)それぞれ、配列番号390~392および394~396;(xxxiv)それぞれ、配列番号23~25および27~29;(xxxv)それぞれ、配列番号410~412および414~416;(xxxvi)それぞれ、配列番号420~422および424~426;(xxxvii)それぞれ、配列番号435~437および439~441;(xxxviii)それぞれ、配列番号445~447および449~451;(xxxix)それぞれ、配列番号455~457および459~461;(xxxx)それぞれ、配列番号465~467および469~471;(xxxxi)それぞれ、配列番号475~477および479~481;(xxxxii)それぞれ、配列番号485~487および489~491;(xxxxiii)それぞれ、配列番号494~497および499~501;(xxxxiv)それぞれ、配列番号505~507および509~511;(xxxxv)それぞれ、配列番号515~517および519~521;(xxxxvi)それぞれ、配列番号525~527および529~531;(xxxxvii)それぞれ、配列番号535~537および539~541;(xxxxviii)それぞれ、配列番号545~547および549~551;(xxxxix)それぞれ、配列番号555~557および559~561;(xxxxx)それぞれ、配列番号565~567および569~571;(xxxxxi)それぞれ、配列番号575~577および579~581;(xxxxxii)それぞれ、配列番号585、586または625、587または627、および589~591;(xxxxxiii)それぞれ、配列番号595~597および599~601;(xxxxxiv)それぞれ、配列番号605~607および609~611;(xxxxxv)それぞれ、配列番号615~617および619~621;(xxxxxvi)それぞれ、配列番号631、632または635または637または639または641または643または645または647または649または651または653または655または657または659または661または663または665または667または669または671または673または675または677または679または681または683または685、633、および697~699;(xxxxxvii)それぞれ、配列番号693~695および697~699;(xxxxxviii)それぞれ、配列番号400、401および以下のいずれか1つ:751、753、755、757、または760および404、405、および以下のいずれか1つ:745または747;(xxxxxxix)それぞれ、配列番号585、586、および762または764および589~591;(xxxxxxx)それぞれ、配列番号33~35および37~39;or(xxxxxxxi)それぞれ、配列番号400、401、766、404、405または1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換を含む405のバリアントであって、前記1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換のそれぞれが、必要に応じて、保存的アミノ酸置換である、バリアント、および406のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含む、実施形態1~2のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0321】
実施形態4. 配列番号399に記載されるVHアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3と、配列番号738に記載されるVLアミノ酸配列のCDRL1、CDRL2または各々が必要に応じて保存的アミノ酸置換である1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含むCDRL2のバリアント、およびCDRL3とを含む抗体またはその抗原結合断片であって、前記CDRがIMGTに従い、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0322】
実施形態5. 相補性決定領域(CDR)H1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、(a)それぞれ、配列番号400、401、766、404、405、および406;(b)それぞれ、配列番号400、401、769、404、405、および406;(c)それぞれ、配列番号400、401、770、404、405、および406;(d)それぞれ、配列番号400、401、771、404、405、および406;(e)それぞれ、配列番号400、401、772、404、405、および406;(f)それぞれ、配列番号400、401、773、404、405、および406;(g)それぞれ、配列番号400、401、766、404、405、および745;(h)それぞれ、配列番号400、401、769、404、405、および745;(i)それぞれ、配列番号400、401、770、404、405、および745;(j)それぞれ、配列番号400、401、771、404、405、および745;(k)それぞれ、配列番号400、401、772、404、405、および745;(l)それぞれ、配列番号400、401、773、405、405、および745;(m)それぞれ、配列番号:400、401、766、404、405、および747;(n)それぞれ、配列番号400、401、769、404、405、および747;(o)それぞれ、配列番号400、401、770、404、405、および747;(p)それぞれ、配列番号400、401、771、404、405、および747;(q)それぞれ、配列番号400、401、772、404、405、および747;または(r)それぞれ、配列番号400、401、773、404、405、および747に記載されるアミノ酸配列を含み、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0323】
実施形態6. CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含み、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、(a)それぞれ、配列番号400、401、766、404、405、および406に記載されるアミノ酸配列を含む、実施形態5に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0324】
実施形態7. (a)配列番号400、401、402、404、405、および406;(b)配列番号400、401、751、404、405、および406;(c)配列番号400、401、753、404、405、および406;(d)配列番号400、401、755、404、405、および406;(e)配列番号400、401、757、404、405、および406;(f)配列番号400、401、760、404、405、および406;(g)配列番号400、401、402、404、405、および745;(h)配列番号400、401、751、404、405、および745;(i)配列番号400、401、753、404、405、および745;(j)配列番号400、401、755、404、405、および745;(k)配列番号400、401、757、404、405、および745;(l)配列番号400、401、760、404、405、および745;(m)配列番号400、401、402、404、405、および747;(n)配列番号400、401、751、404、405、および747;(o)配列番号400、401、753、404、405、および747;(p)配列番号400、401、755、404、405、および747;(q)配列番号400、401、757、404、405、および747;または(r)配列番号400、401、760、404、405、および747に記載されるアミノ酸配列を含む、実施形態4~6のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0325】
実施形態8. 配列番号400に記載されるアミノ酸配列、配列番号401に記載されるアミノ酸配列、および配列番号402に記載されるアミノ酸配列をVHに含み、配列番号404に記載されるアミノ酸配列、配列番号405に記載されるアミノ酸配列、および配列番号406に記載されるアミノ酸配列をVLに含む、実施形態4~7のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0326】
実施形態9. 相補性決定領域(CDR)H1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号525、526、527、529、530、および531に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合断片であり、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0327】
実施形態10. 相補性決定領域(CDR)H1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号585、586または625、587または627、589、590、および591に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合断片であり、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0328】
実施形態11. 相補性決定領域(CDR)H1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、抗体またはその抗原結合断片であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号229、230、231、233、234、および235に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合断片であり、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0329】
実施形態12. (i)前記VHが、配列番号399、22、32、42、52、62、72、74、84、96、106、119、129、139、150、163、173、175、178、186、189、191、198、208、218、228、240、254、264、274、284、298、312、322、332、350、351、353、359、361、363、365、367、368、369、379、389、409、419、429、434、444、454、464、474、484、494、504、514、524、534、544、554、564、574、584、594、604、614、624、626、628、630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、684、692、740、741、742、743、748、749、750、752、754、756、758、759、761、762、および764のいずれか1つに記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、ここで、変化は、必要に応じて1つまたは複数のフレームワーク領域に限定され、および/または前記変化は、生殖系列にコードされたアミノ酸に対する1つまたは複数の置換を含み;ならびに/あるいは
(ii)前記VLが、配列番号738、26、36、46、56、66、78、88、94、100、110、123、133、143、154、157、168、194、196、202、212、222、232、238、244、250、252、258、268、278、288、294、296、302、308、310、316、326、336、355、357、373、383、393、403、413、423、438、448、458、468、478、488、498、508、518、528、538、548、558、568、578、588、598、608、618、686、696、744、および746のいずれか1つに記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、ここで、変化は、必要に応じて1つまたは複数のフレームワーク領域に限定され、および/または前記変化は、生殖系列にコードされたアミノ酸に対する1つまたは複数の置換を含む、実施形態1~11のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0330】
実施形態13. 前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、実施形態1~12のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0331】
実施形態14. 前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、実施形態1~13のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0332】
実施形態15. 前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、実施形態1~14のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0333】
実施形態16. 前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、実施形態1~15のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0334】
実施形態17. 前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、実施形態1~16のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0335】
実施形態18. 前記VHおよび前記VLが、
(i)それぞれ、配列番号524および528;
(ii)それぞれ、配列番号584もしくは624もしくは626もしくは628および588;
(iii)それぞれ、配列番号228もしくは740もしくは741もしくは742もしくは743および232;または
(iv)それぞれ、配列番号228もしくは740もしくは741もしくは742もしくは743および238
に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)を有する、実施形態1~12のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0336】
実施形態19. 前記VHが、表2に記載されるいずれかのVHアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなり、前記VLが、表2に記載されるいずれかのVLアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなり、必要に応じて、前記VHおよび前記VLは、(i)それぞれ、配列番号399および403または738;(ii)それぞれ、配列番号32および36;(iii)それぞれ、配列番号42および46;(iv)それぞれ、配列番号52および56;(v)それぞれ、配列番号62および66;(vi)それぞれ、配列番号72および66;(vii)それぞれ、配列番号74および78;(viii)それぞれ、配列番号84および88;(ix)それぞれ、配列番号84および88;(x)それぞれ、配列番号96および100;(xi)それぞれ、配列番号106および110;(xii)それぞれ、配列番号119および123;あるいは(xiii)それぞれ、配列番号129および133;(xiv)それぞれ、配列番号22または150および26、154、または157;(xv)それぞれ、配列番号42または163および46または168;(xvi)それぞれ、配列番号129、173、175、または178のいずれか1つおよび133;(xvii)それぞれ、配列番号52、186、189、または191のいずれか1つおよび56、194、または196のいずれか1つ;(xviii)それぞれ、配列番号198および202;(xix)それぞれ、配列番号208および212;(xx)それぞれ、配列番号218および222;(xxi)それぞれ、配列番号228および232または238;(xxii)それぞれ、配列番号240および244、250、または252のいずれか1つ;(xxiii)それぞれ、配列番号254および258;(xxiv)それぞれ、配列番号264および268;(xxv)それぞれ、配列番号274および278;または(xxvi)それぞれ、配列番号284および288、294、または296のいずれか1つ;(xxvii)それぞれ、配列番号298および302、308、または310のいずれか1つ;(xxviii)それぞれ、配列番号312および316;(xxix)それぞれ、配列番号322および326;(xxx)それぞれ、配列番号332および336;(xxxi)それぞれ、配列番号228、350、351、または353のいずれか1つおよび232、238、355、または357;(xxxii)それぞれ、配列番号312、359、361、363、365、367、または368のいずれか1つおよび316;(xxxiii)それぞれ、配列番号369および373;(xxxiv)それぞれ、配列番号379および383;(xxxv)それぞれ、配列番号389および393;(xxxvi)それぞれ、配列番号22および26;(xxxvii)それぞれ、配列番号409および413;(xxxviii)それぞれ、配列番号419および423;(xxxix)それぞれ、配列番号434および438;(xxxx)それぞれ、配列番号444および448;(xxxxi)それぞれ、配列番号454および458;(xxxxii)それぞれ、配列番号464および468;(xxxxiii)それぞれ、配列番号474および478;(xxxxiv)それぞれ、配列番号484および488;(xxxxv)それぞれ、配列番号494および498;(xxxxvi)それぞれ、配列番号504および508;(xxxxvii)それぞれ、配列番号514および518;(xxxxviii)それぞれ、配列番号524および528;(xxxxix)それぞれ、配列番号534および538;(xxxxx)それぞれ、配列番号544および548;(xxxxxi)それぞれ、配列番号554および558;(xxxxxii)それぞれ、配列番号564および568;(xxxxxiii)それぞれ、配列番号574および578;(xxxxxiv)それぞれ、配列番号584および588;(xxxxxv)それぞれ、配列番号594および598;(xxxxxvi)それぞれ、配列番号604および608;(xxxxxvii)それぞれ、配列番号614および618;(xxxxxviii)それぞれ、配列番号624、626、または628および588;(xxxxxix)それぞれ、配列番号630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、または684、および686;(xxxxxx)それぞれ、配列番号692および696;(xxxxxxi)それぞれ、配列番号740~743および238のいずれか1つ;(xxxxxxii)それぞれ、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つおよび403、744、および746のいずれか1つ;あるいは(xxxxxxiii)それぞれ、配列番号762または764および588に従うアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、実施形態1~18のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0337】
実施形態20. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0338】
実施形態21. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0339】
実施形態22. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0340】
実施形態23. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0341】
実施形態24. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号744に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0342】
実施形態25. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号746に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0343】
実施形態26. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号524に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号528に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0344】
実施形態27. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号584、624、626、および628のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号588に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0345】
実施形態28. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号228、740、741、742、および743のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号232に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0346】
実施形態29. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号228、740、741、742、および743のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号238に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片であって、
宿主細胞の細胞表面上におよび/またはビリオン上に発現されるSARS-CoV-2の表面糖タンパク質に結合できる、抗体またはその抗原結合断片。
【0347】
実施形態30. 重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHが、配列番号32に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記VLが、配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、抗体またはその抗原結合断片。
【0348】
実施形態31. CDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む抗体またはその抗原結合断片であって、前記CDRH1、CDRH2およびCDRH3が、それぞれ、配列番号33~35に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなり、前記CDRL1、CDRL2およびCDRL3が、それぞれ、配列番号37~39に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれらからなる、抗体またはその抗原結合断片。
【0349】
実施形態32. 感染のin vitroモデルにおいて、および/または感染のin vivo動物モデルにおいて、および/またはヒトにおいて、SARS-CoV-2感染を中和できる、実施形態3~31のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0350】
実施形態33. (i)SARS-CoV-2のACE2受容体結合モチーフ(RBM、配列番号5)中のエピトープを認識するか;
(ii)SARS-CoV-2(例えば、SARS-CoV-2 RBD)およびヒトACE2の間の相互作用を遮断できるか;
(iii)SARS-CoV-2のSタンパク質に結合できるか;
(iv)SARS-CoV-2のACE2 RBM中、およびSARS-CoVのACE2 RBM中で保存されているエピトープを認識するか;
(v)SARS-CoV-2およびSARS-CoV-1コロナウイルスに対して交差反応性であるか;
(vii)ACE2 RBM中のものではないSARS-CoV-2の表面糖タンパク質中のエピトープを認識するか;または
(viii)プレフュージョンコンフォメーションのSARS-CoV-2 Sタンパク質三量体に結合できるか;または
(ix)(i)~(viii)の任意の組み合わせ
である、実施形態1~32のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0351】
実施形態34. IgG、IgA、IgM、IgE、またはIgDアイソタイプである、実施形態1~33のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0352】
実施形態35. IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選択されるIgGアイソタイプである、実施形態1~34のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0353】
実施形態36. ヒト、ヒト化、またはキメラである、実施形態1~35のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0354】
実施形態37. ヒト抗体、モノクローナル抗体、精製された抗体、一本鎖抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、またはscFabを含む、実施形態1~36のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0355】
実施形態38. 前記scFvが、1つより多くのVHドメインおよび1つより多くのVLドメインを含む、実施形態37に記載の抗体または抗原結合断片。
【0356】
実施形態39. 多特異性抗体または抗原結合断片である、実施形態1~38のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0357】
実施形態40. 二特異性抗体または抗原結合断片である、実施形態39に記載の抗体または抗原結合断片。
【0358】
実施形態41. (i)第1のVHおよび第1のVL;ならびに
(ii)第2のVHおよび第2のVL
を含み、
前記第1のVHおよび前記第2のVHが、異なり、それぞれ独立して、配列番号22、32、42、52、62、72、74、84、96、106、119、129、139、150、163、173、175、178、186、189、191、198、208、218、228、240、254、264、274、284、298、312、322、332、350、351、353、359、361、363、365、367、368、369、379、389、399、409、419、429、434、444、454、464、474、484、494、504、514、524、534、544、554、564、574、584、594、604、614、624、626、628、630、634、636、638、640、642、644、646、648、650、652、654、656、658、660、662、664、666、668、670、672、674、676、678、680、682、684、692、740、741、742、743、748、749、750、752、754、756、758、759、761、762、および764のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記第1のVLおよび前記第2のVLが、異なり、それぞれ独立して、配列番号26、36、46、56、66、78、88、94、100、110、123、133、143、154、157、168、194、196、202、212、222、232、238、244、250、252、258、268、278、288、294、296、302、308、310、316、326、336、355、357、373、383、393、403、413、423、438、448、458、468、478、488、498、508、518、528、538、548、558、568、578、588、598、608、618、686、696、738、744、および746のいずれか1つに記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記第1のVHおよび前記第1のVLが、第1の抗原結合部位を一緒に形成し、前記第2のVHおよび前記第2のVLが、第2の抗原結合部位を一緒に形成する、実施形態39または40に記載の抗体または抗原結合断片。
【0359】
実施形態42. (i)第1のVHおよび第1のVL;ならびに
(ii)第2のVHおよび第2のVL
を含み、
前記第1のVHが、配列番号139および342のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第1のVLが、配列番号143および346のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(すなわち、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のVHが、配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、および761のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のVLが、配列番号403、744、および746のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも85%(すなわち、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態40または41に記載の抗体または抗原結合断片。
【0360】
実施形態43. 第1の特異性を有する第1の抗原結合部分、および第2の特異性を有する第2の抗原結合部分を含み、前記第1の抗原結合部分が、配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVH、および配列番号738または配列番号403に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVLを含む、実施形態39または40に記載の抗体または抗原結合断片。
【0361】
実施形態44. 前記第2の抗原結合部分が、配列番号139に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVH、および配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVLを含む、実施形態43に記載の抗体または抗原結合断片。
【0362】
実施形態45. 前記第2の抗原結合部分が、配列番号342に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVH、および配列番号346に記載されるアミノ酸配列を含むかまたはこれからなるVLを含む、実施形態43に記載の抗体または抗原結合断片。
【0363】
実施形態46. Fcポリペプチドまたはその断片をさらに含む、実施形態1~45のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0364】
実施形態47. 前記Fcポリペプチドまたはその断片が:
(i)変異であって、前記変異を含まない参照Fcポリペプチドと比較して、FcRnへの結合を増強する変異;および/または
(ii)変異であって、前記変異を含まない参照Fcポリペプチドと比較して、FcγRへの結合を増強する変異
を含む、実施形態46に記載の抗体または抗原結合断片。
【0365】
実施形態48. FcRnへの結合を増強する前記変異が:M428L;N434S;N434H;N434A;N434S;M252Y;S254T;T256E;T250Q;P257I;Q311I;D376V;T307A;E380A;またはこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態47に記載の抗体または抗原結合断片。
【0366】
実施形態49. FcRnへの結合を増強する前記変異が:(i)M428L/N434S;(ii)M252Y/S254T/T256E;(iii)T250Q/M428L;(iv)P257I/Q311I;(v)257I/N434H;(vi)D376V/N434H;(vii)T307A/E380A/N434A;または(viii)(i)~(vii)の任意の組み合わせを含む、実施形態47または48に記載の抗体または抗原結合断片。
【0367】
実施形態50. FcRnへの結合を増強する前記変異が、M428L/N434Sを含む、実施形態47~49のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0368】
実施形態51. FcγRへの結合を増強する前記変異が、S239D;I332E;A330L;G236A;またはこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態47~50のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0369】
実施形態52. FcγRへの結合を増強する前記変異が、(i)S239D/I332E;(ii)S239D/A330L/I332E;(iii)G236A/S239D/I332E;または(iv)G236A/A330L/I332Eを含む、実施形態47~51のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0370】
実施形態53. 前記Fcポリペプチドが、L234A変異およびL235A変異を含む、実施形態47~52のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0371】
実施形態54. グリコシル化を変化させる変異を含み、グリコシル化を変化させる前記変異が、N297A、N297Q、もしくはN297Gを含み、ならびに/またはアグリコシル化および/もしくはアフコシル化されている、実施形態1~53のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0372】
実施形態55. ELISA(必要に応じて、間接的ELISAおよび/またはサンドイッチELISA)により、および/またはフローサイトメトリーにより測定して、SARS-CoV-2表面糖タンパク質に500ng/ml未満、250ng/ml未満、100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、16ng/ml未満、15ng/ml未満、14ng/ml未満、13ng/ml未満、12ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、または2mg/ml未満のEC50で結合でき、ここで、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質が、宿主細胞の細胞表面で発現されている、実施形態1~54のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0373】
実施形態56. ELISA(必要に応じて、間接的ELISAおよび/またはサンドイッチELISA)により、および/またはフローサイトメトリーにより測定して、SARS-CoV-2表面糖タンパク質RBDに500ng/ml未満、250ng/ml未満、100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、16ng/ml未満、15ng/ml未満、14ng/ml未満、13ng/ml未満、12ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、または2mg/ml未満のEC50で結合でき、ここで、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質が、宿主細胞の細胞表面で発現されている、実施形態1~55のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0374】
実施形態57. 必要に応じて2.7μg/mlで、抗体または抗原結合断片をプロテインAピン上に負荷し、SARS-CoV-2 RBDを5分間、6μg/ml、1.5μg/ml、または0.4μg/mlで負荷し、さらに必要に応じて7分間解離を測定する、Octet装置を必要に応じて使用する、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して決定して、SARS-CoV-2 RBDに5×10-8M未満、4×10-8M未満、3×10-8M未満、2×10-8M未満、1×10-8M未満、5×10-9M未満、1×10-9M未満、5×10-10M未満、1×10-10M未満、5×10-11M未満、1×10-11M未満、5×10-12M未満、または1×10-12M未満のKDで結合できる、実施形態1~56のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0375】
実施形態58. 表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、必要に応じて、シングルサイクルキネティクス手法を使用するBiacore T200装置を使用して、決定して、SARS-CoV-2 RBDに6×10-8M未満、5×10-8M未満、4×10-8M未満、3×10-8M未満、2×10-8M未満、1×10-8M未満、5×10-9M未満、4×10-9M未満、3×10-9M未満、2×10-9M未満、1×10-9M未満、または8×10-10M未満のKDで結合できる、実施形態1~57のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0376】
実施形態59. SARS-CoV-2 RBDに結合でき、(i)前記RBDと(ii)ヒトACE2および/またはヒトSIGLEC-1との間の相互作用を阻害できる、実施形態1~58のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0377】
実施形態60. (i)SARS-CoV-2シュードウイルスによる感染を、必要に応じて:
(i)(a)100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、3ng/ml未満、2ng/ml未満、もしくは1ng/ml未満、好ましくは、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、4ng/ml未満、3ng/ml未満、2ng/ml未満、もしくは1ng/ml未満の中和IC50で中和でき、および/または
(i)(b)100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、もしくは25ng/ml未満、好ましくは、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、もしくは25ng/ml未満の中和IC80で中和でき、および/または
(i)(c)300ng/ml未満、200ng/ml未満、100ng/ml未満、90ng/ml未満、80ng/ml未満、70ng/ml未満、60ng/ml未満 50ng/ml、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、もしくは10ng/ml未満の中和EC90で中和でき、さらに必要に応じて、前記SARS-CoV-2シュードウイルスが、VSVシュードウイルスおよび/もしくはMLVシュードウイルスを含み、および/または
(i)(d)前記SARS-CoV-2シュードウイルスが、VSVシュードウイルスおよび/もしくはMLVシュードウイルスを含み;ならびに/あるいは
(ii)生SARS-CoV-2による感染を、必要に応じて:
(ii)(a)60ng/ml未満、50ng/ml未満、40ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、12ng/ml未満、11ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、もしくは4ng/ml未満、好ましくは、15ng/ml未満、12ng/ml未満、11ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、もしくは4ng/ml未満のEC50で中和でき、および/または
(ii)(b)50ng/ml未満、40ng/ml未満、35ng/ml未満、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、12ng/ml未満、11ng/ml未満、10ng/ml未満、9ng/ml未満、8ng/ml未満、7ng/ml未満、6ng/ml未満、5ng/ml未満、もしくは4ng/ml未満、好ましくは、30ng/ml未満、25ng/ml未満、20ng/ml未満、15ng/ml未満、もしくは12ng/ml未満のEC90で中和でき、および/または
(ii)(c)6時間にわたって、0.1の感染多重度で中和でき;ならびに/あるいは
(iii)DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC、またはACE2を発現する、必要に応じて、それを過剰発現するように操作された、宿主細胞(例えば、HEK293T細胞)における生SARS-CoV-2による感染を中和でき;ならびに/あるいは
(iv)SIGLEC-1またはACE2を発現する、必要に応じてそれを過剰発現するように操作された、宿主細胞(例えば、HEK293T細胞)における生SARS-CoV-2による感染を中和でき、感染を中和することが、感染を完全に中和することを含む、
実施形態1~59のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0378】
実施形態61. 前記表面糖タンパク質に、配列番号3を含むSARS-CoV-2表面糖タンパク質と比較して次の変異:N501Y、S477N、N439K、L452R、E484K、K417N、T478K、S494P、A520S、N501T、A522S、Y453F、P384Lのいずれか1つを含む、SARS-CoV-2バリアントによる感染を中和できる、実施形態1~60のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0379】
実施形態62. 前記抗体または抗原結合断片が配列番号3に記載される表面糖タンパク質アミノ酸を含むSARS-CoV-2による感染を中和する効力の3分の1未満の効力で、前記SARS-CoV-2バリアントによる感染を中和できる、実施形態61に記載の抗体または抗原結合断片。
【0380】
実施形態63. FcγRIIa、FcγRIIIa、または両方を活性化でき、必要に応じて、
(i)前記FcγRIIaが、H131対立遺伝子を含み;および/または
(ii)前記FcγRIIIaが、V158対立遺伝子を含み;および/または
(iii)活性化が、CHO細胞などのSARS-CoV-2 S発現標的細胞、およびルシフェラーゼなどのNFAT駆動レポーターを発現するレポーター細胞を使用して決定される、実施形態1~62のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0381】
実施形態64. (a)配列番号6に記載されるCH1~CH3アミノ酸配列、および配列番号8に記載されるCLアミノ酸配列;
(b)配列番号6に記載されるCH1~CH3アミノ酸配列、および配列番号9に記載されるCLアミノ酸配列;
(c)配列番号7に記載されるCH1~CH3アミノ酸配列、および配列番号8に記載されるCLアミノ酸配列;または
(d)配列番号7に記載されるCH1~CH3アミノ酸配列、および配列番号9に記載されるCLアミノ酸配列
を含む、実施形態1~63のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0382】
実施形態65. (i)配列番号767に記載される重鎖アミノ酸配列と、
(ii)配列番号768に記載される軽鎖アミノ酸配列と
を含む単離された抗体。
【0383】
実施形態66. 非ヒト霊長類において20~30日の間の、または22~28日の間の、または23~27日の間の、または24~26日の間の、または約25日のin vivo半減期を有する、実施形態1~65のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0384】
実施形態67. 約20~約30ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる、実施形態1~66のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0385】
実施形態68. 約10~約20ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる、実施形態1~66のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0386】
実施形態69. 約5~約10ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる、実施形態1~66のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0387】
実施形態70. 約1~約5ng/mlのIC50で、SARS-CoV-2感染を中和でき、かつ/または標的細胞の感染を中和できる、実施形態1~66のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0388】
実施形態71. 前記抗体または抗原結合断片が、SARS-CoV-2による感染を中和でき、前記SARS-CoV-2Sタンパク質への結合についてヒトACE2と競合せず、
必要に応じて、前記中和が、感染のin vitroモデルにおいて感染を中和することを含む、実施形態1~70のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0389】
実施形態72. 実施形態1~71のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片とSARS-CoV-2表面糖タンパク質への結合について競合する、抗体または抗原結合断片。
【0390】
実施形態73. 実施形態1~72のいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合断片をコードするか、または前記抗体もしくは前記抗原結合断片のVH、重鎖、VL、および/もしくは軽鎖をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【0391】
実施形態74. デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を含み、前記RNAが、必要に応じて、メッセンジャーRNA(mRNA)を含む、実施形態73に記載のポリヌクレオチド。
【0392】
実施形態75. 宿主細胞での発現のためにコドン最適化されている、実施形態73または74に記載のポリヌクレオチド。
【0393】
実施形態76. 配列番号30、31、40、41、50、51、60、61、70、71、73、82、83、92、93、95、104、105、114、115、116、117、118、127、128、137、138、206、207、216、217、226、227、236、237、239、248、249、251、253、262、263、272、273、282、283、292、293、295、297、306、307、309、311、320、321、330、331、340、341、377、378、387、388、397、398、407、408、417、418、427、428、433、442、443、452、453、462、463、472、473、482、483、492、493、502、503、512、513、552、523、532、533、542、543、552、553、562、563、572、573、582、583、592、593、602、603、612、613、622、623、690、691、700~737、および739のいずれか1つもしくは複数に記載のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、もしくは少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチドを含む、または前記ポリヌクレオチド配列を含むか、もしくはこれからなる、実施形態73~75のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【0394】
実施形態77. (i)配列番号407に記載されるヌクレオチド配列に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する、または前記ヌクレオチド配列を含むか、もしくはこれからなる、ポリヌクレオチド;および
【0395】
(ii)配列番号408、737、もしくは739に記載されるヌクレオチド配列に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、もしくは少なくとも99%の同一性を有する、または前記ヌクレオチド配列を含むか、もしくはこれからなる、ポリヌクレオチド
を含む、実施形態73~76のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【0396】
実施形態78. 実施形態73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、組換えベクター。
【0397】
実施形態79. 実施形態77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドおよび/または実施形態78に記載のベクターを含む、宿主細胞であって、前記ポリヌクレオチドが前記宿主細胞に対して異種である、宿主細胞。
【0398】
実施形態80. 実施形態73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むヒトB細胞であって、ポリヌクレオチドが前記ヒトB細胞に対して異種である、および/または前記ヒトB細胞が不死化されている、ヒトB細胞。
【0399】
実施形態81. (i)実施形態1~72のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片、
(ii)実施形態73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、
(iii)実施形態78に記載の組換えベクター、
(iv)実施形態79に記載の宿主細胞、および/または
(v)実施形態80に記載のヒトB細胞;ならびに
薬学的に許容される賦形剤、キャリアー、または希釈剤
を含む、組成物。
【0400】
実施形態82. 実施形態1~72のいずれかに記載の2つまたはそれより多くの抗体または抗原結合断片を含む、実施形態81に記載の組成物。
【0401】
実施形態83. (i)配列番号32に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)配列番号139に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、実施形態82に記載の組成物。
【0402】
実施形態84. (i)CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第1の抗体または抗原結合断片であって、前記CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号33~35に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号37~39に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第1の抗体または抗原結合断片;ならびに
(ii)CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第2の抗体または抗原結合断片であって、前記CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号140~142に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号144~146に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、実施形態82に記載の組成物。
【0403】
実施形態85. (i)配列番号139または342に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号143または346に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、または761に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVHと、配列番号403、744、または746に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVLとを含む、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、実施形態82に記載の組成物。
【0404】
実施形態86. (i)CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第1の抗体または抗原結合断片であって、前記CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号140~142、またはそれぞれ、配列番号343~345に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号144~146に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第1の抗体または抗原結合断片;ならびに
(ii)CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、第2の抗体または抗原結合断片であって、前記CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号400、401、および以下のいずれか1つ:751、753、755、757、760に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなり、前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号404、405、および以下のいずれか1つ:406、745および747に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、実施形態82に記載の組成物。
【0405】
実施形態87. (i)以下を含む第1の抗体または抗原結合断片:
(i)(a)配列番号32に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVH、および
(i)(b)配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなる、VL;ならびに
(ii)以下を含む第2の抗体または抗原結合断片:
(ii)(a)配列番号139に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVH、および
(ii)(b)配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むか、またはこれからなるVL
を含む、組成物。
【0406】
実施形態88. (i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第1の抗体または抗原結合断片であって、
(i)(a)それぞれ、配列番号400、402、および766に記載される、CDRH1、CDRH2およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHと、
(i)(b)それぞれ、配列番号404、405、および406に記載される、CDRL1、CDRL2およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLと
を含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第2の抗体または抗原結合断片であって、
(ii)(a)それぞれ、配列番号140、141または344、および142に記載される、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHと、
(ii)(b)それぞれ、配列番号144、145、および146に記載される、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLと
を含む、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、組成物。
【0407】
実施形態89. (i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第1の抗体または抗原結合断片であって、
(i)(a)配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むVHと、
(i)(b)配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むVLと
を含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第2の抗体または抗原結合断片であって、
(ii)(a)配列番号139または342に記載されるアミノ酸配列を含むVHと、
(ii)(b)配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むVLと
を含む、第2の抗体または抗原結合断片
を含む、組成物。
【0408】
実施形態90. 前記第1の抗体または抗原結合断片および前記第2の抗体または抗原結合断片の各々が、M428L変異およびN434S変異を含むIgG1 Fcポリペプチドを含む、実施形態82~89のいずれか一項に記載の組成物。
【0409】
実施形態91. 前記第1の抗体または抗原結合断片および前記第2の抗体または抗原結合断片の各々が、G236A変異、A330L変異およびI332E変異を含むIgG1 Fcポリペプチドを含む、実施形態82~90のいずれか一項に記載の組成物。
【0410】
実施形態92. キャリアー分子に被包された実施形態73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む組成物であって、前記キャリアー分子が、必要に応じて、脂質、脂質由来の送達ビヒクル、例えば、リポソーム、固体脂質ナノ粒子、油性懸濁液、サブミクロン脂質乳剤、脂質マイクロバブル、逆脂質ミセル、渦巻型リポソーム、脂質マイクロチューブル、脂質マイクロシリンダー、脂質ナノ粒子(LNP)、またはナノスケールプラットフォームを含む、組成物。
【0411】
実施形態93. (i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合でき、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1から選択される第1の細胞表面受容体との間の相互作用を阻害できる、第1の抗体または抗原結合断片と、
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合でき、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1から選択される第2の細胞表面受容体との間の相互作用を阻害できる、第2の抗体または抗原結合断片と
を含む組成物であって、
前記第1の細胞表面受容体と前記第2の細胞表面受容体が異なる、組成物。
【0412】
実施形態94. 被験体におけるコロナウイルス感染、例えば、SARS-CoV-2感染を処置する方法であって、有効量の:(i)実施形態1~72のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片;(ii)実施形態73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド;(iii)実施形態78に記載の組換えベクター;(iv)実施形態79に記載の宿主細胞;(v)実施形態80に記載のヒトB細胞;および/あるいは(vi)実施形態81~93のいずれか一項に記載の組成物を前記被験体に投与することを含む、方法。
【0413】
実施形態95. 被験体におけるコロナウイルス感染、例えば、SARS-CoV-2感染を処置する方法であって、前記被験体に、
(i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第1の抗体または抗原結合断片であって、
(i)(a)それぞれ、配列番号400、402、および766に記載される、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHと、
(i)(b)それぞれ、配列番号404、405、および406に記載される、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLと
を含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第2の抗体または抗原結合断片であって、
(ii)(a)それぞれ、配列番号140、141または344、および142に記載される、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHと、
(ii)(b)それぞれ、配列番号144、145、および146に記載される、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLと
を含む、第2の抗体または抗原結合断片
を投与することを含む、方法。
【0414】
実施形態96. 被験体におけるコロナウイルス感染、例えば、SARS-CoV-2感染を処置する方法であって、前記被験体に、
(i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第1の抗体または抗原結合断片であって、
(i)(a)配列番号399に記載されるアミノ酸配列を含むVHと、
(i)(b)配列番号403または配列番号738に記載されるアミノ酸配列を含むVLと
を含む、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合できる第2の抗体または抗原結合断片であって、
(ii)(a)配列番号139または342に記載されるアミノ酸配列を含むVHと、
(ii)(b)配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含むVLと
を含む、第2の抗体または抗原結合断片
を投与することを含む、方法。
【0415】
実施形態97. 被験体におけるコロナウイルス感染を予防または処置または中和する方法であって、
(i)(a)それぞれ、配列番号32および36に記載の、VHおよびVLアミノ酸配列、または
(i)(b)それぞれ、配列番号33~35および37~39に記載の、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第1の抗体または抗原結合断片を受けた被験体に;
(ii)(a)配列番号139に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号143に記載のVLアミノ酸配列、または
(ii)(b)それぞれ、配列番号140~142に記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸、ならびに、配列番号144~146に記載の、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第2の抗体または抗原結合断片を投与することを含む、方法。
【0416】
実施形態98. 被験体におけるコロナウイルス感染を予防または処置または中和する方法であって、
(i)(a)配列番号139に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号143に記載のVLアミノ酸配列、または
(i)(b)それぞれ、配列番号140~142に記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ、配列番号144~146に記載の、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第1の抗体または抗原結合断片を受けた被験体に;
(ii)(a)それぞれ、配列番号32および36に記載の、VHおよびVLアミノ酸配列、または
(ii)(b)それぞれ、配列番号33~35および37~39に記載の、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第2の抗体または抗原結合断片を投与することを含む、方法。
【0417】
実施形態99. 被験体におけるコロナウイルス感染を予防または処置または中和する方法であって、
(i)(a)配列番号139もしくは342に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号143もしくは346に記載のVLアミノ酸配列、または
(i)(b)それぞれ、配列番号140~142、もしくはそれぞれ、343~345に記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ、配列番号144~146に記載の、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第1の抗体または抗原結合断片を受けた被験体に;
(ii)(a)配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、もしくは761に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号403、744、もしくは746に記載のVLアミノ酸配列、または
(ii)(b)それぞれ、配列番号400に、401に、および751、753、755、757、760のいずれか1つに記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ、配列番号404に、405に、ならびに406、745および747のいずれか1つに記載の、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第2の抗体または抗原結合断片を投与することを含む、方法。
【0418】
実施形態100. 被験体におけるコロナウイルス感染を予防または処置または中和する方法であって、
(i)(a)配列番号399、748、749、750、752、754、756、758、759、もしくは761に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号403、744、もしくは746に記載のVLアミノ酸配列、または
(i)(b)それぞれ、配列番号400に、401に、および751、753、755、757、760のいずれか1つに記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ、配列番号404に、405に、ならびに406、745および747のいずれか1つに記載の、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第1の抗体または抗原結合断片を受けた被験体に;
(ii)(a)配列番号139もしくは342に記載のVHアミノ酸配列、および配列番号143もしくは346に記載のVLアミノ酸配列、または
(ii)(b)それぞれ、配列番号140~142、もしくはそれぞれ、343~345に記載の、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列、ならびにそれぞれ、配列番号144~146に記載の、CDRL1、CDRL2およびCDRL3アミノ酸配列
を含む、第2の抗体または抗原結合断片を投与することを含む、方法。
【0419】
実施形態101. 前記第1の抗体または抗原結合断片および前記第2の抗体または抗原結合断片の各々が、M428L変異およびN434S変異を含むIgG1 Fcポリペプチドを含む、実施形態95~100のいずれか一項に記載の方法。
【0420】
実施形態102. 前記第1の抗体または抗原結合断片および前記第2の抗体または抗原結合断片の各々が、G236A変異、A330L変異およびI332E変異を含むIgG1 Fcポリペプチドを含む、実施形態95~101のいずれか一項に記載の方法。
【0421】
実施形態103. 被験体におけるコロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)感染を処置する方法であって、前記被験体に、
(i)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合でき、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1から選択される第1の細胞表面受容体との間の相互作用を阻害できる、第1の抗体または抗原結合断片;および
(ii)SARS-CoV-2表面糖タンパク質に結合でき、前記SARS-CoV-2表面糖タンパク質と、ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1から選択される第2の細胞表面受容体との間の相互作用を阻害できる、第2の抗体または抗原結合断片
を投与することを含み、
前記第1の細胞表面受容体と前記第2の細胞表面受容体とが異なる、方法。
【0422】
実施形態104. 被験体におけるコロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)感染を処置する方法における使用のための、実施形態1~72のいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合断片、実施形態73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、実施形態78に記載の組換えベクター、実施形態79に記載の宿主細胞、実施形態80に記載のヒトB細胞、および/または実施形態81~93のいずれか一項に記載の組成物。
【0423】
実施形態105. 被験体におけるコロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)感染の処置のための医薬の調製における使用のための、実施形態1~72のいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合断片、実施形態73~77のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、実施形態78に記載の組換えベクター、実施形態79に記載の宿主細胞、実施形態80に記載のヒトB細胞、および/または実施形態81~93のいずれか一項に記載の組成物。
【0424】
実施形態106. コロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)感染のin vitro診断のための方法であって、
(i)被験体からの試料を実施形態1~72のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片と接触させること、および
(ii)抗原と前記抗体とを含む、または抗原と前記抗原結合断片とを含む複合体を検出すること
を含む方法。
【0425】
実施形態107. 前記試料が、前記被験体から単離された血液を含む、実施形態106に記載の方法。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【表2-19】
【表2-20】
【表2-21】
【表2-22】
【表2-23】
【表2-24】
【表2-25】
【表2-26】
【表2-27】
【表2-28】
【表2-29】
【表2-30】
【表2-31】
【表2-32】
【表2-33】
【表2-34】
【表2-35】
【表2-36】
【表2-37】
【表2-38】
【表2-39】
【表2-40】
【表2-41】
【表2-42】
【表2-43】
【表2-44】
【表2-45】
【表2-46】
【表2-47】
【表2-48】
【表2-49】
【表2-50】
【表2-51】
【表2-52】
【表2-53】
【表2-54】
【表2-55】
【表2-56】
【表2-57】
【表2-58】
【表2-59】
【表2-60】
【表2-61】
【表2-62】
【表2-63】
【表2-64】
【表2-65】
【表2-66】
【表2-67】
【表2-68】
【表2-69】
【表2-70】
【表2-71】
【表2-72】
【表2-73】
【表2-74】
【表2-75】
【表2-76】
【表2-77】
【表2-78】
【表2-79】
【表2-80】
【表2-81】
【表2-82】
【表2-83】
【表2-84】
【表2-85】
【表2-86】
【表2-87】
【表2-88】
【表2-89】
【表2-90】
【表2-91】
【表2-92】
【表2-93】
【表2-94】
【表2-95】
【表2-96】
【表2-97】
【表2-98】
【表2-99】
【表2-100】
【表2-101】
【表2-102】
【表2-103】
【表2-104】
【表2-105】
【表2-106】
【表2-107】
【表2-108】
【表2-109】
【表2-110】
【表2-111】
【表2-112】
【表2-113】
【表2-114】
【表2-115】
【表2-116】
【表2-117】
【表2-118】
【表2-119】
【表2-120】
【表2-121】
【表2-122】
【表2-123】
【表2-124】
【表2-125】
【表2-126】
【表2-127】
【表2-128】
【表2-129】
【表2-130】
【実施例
【0426】
(実施例1)
SARS-CoV-2スパイクタンパク質に結合するヒト抗体
モノクローナル抗体を、SARS-CoV-2感染から回復したヒト患者から単離した。手短に述べると、EBV不死化メモリーB細胞を、三量体プレフュージョンコンフォメーションのSARS-CoV-2スパイクタンパク質の全細胞外ドメインへの結合に基づいて選別した。ビオチン部分をスパイクタンパク質のC末端に付着させ、ビオチン化されたスパイクを蛍光ストレプトアビジン(AF647フルオロフォア)に連結し、B細胞を染色するために使用し、次いで、蛍光に基づいて三量体プレフュージョンスパイクタンパク質への結合について選別した。このプロセスによって同定されたモノクローナル抗体を、重鎖を発現するプラスミドと軽鎖を発現するプラスミドとを一過性に共トランスフェクトしたExpiCHO細胞に組換え発現させた。
【0427】
(実施例2)
SARS-CoV-1 RBDおよびSARS-CoV-2 RBDへの抗体の結合
SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離したモノクローナル抗体の、SARS-CoV-1およびSARS-CoV-2スパイクタンパク質のRBDへの結合を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を使用して評価した。
【0428】
手短に述べると、96ウェルプレートを、SARS-CoV-2 RBD(内部で生成;BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019、受託番号MN908947、からのスパイクの残基331~550)、またはSARS-CoV(本明細書ではSARS-CoV-1とも記載される)RBD(Sino Biological)で被覆した。ウェルを洗浄し、PBS+1%BSAで1時間、室温でブロックし、次いで、連続希釈した組換えモノクローナル抗体とともに1時間、室温でインキュベートした。結合した抗体を、アルカリホスファターゼコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG(Southern Biotechnology:2040-04)を1時間、室温でインキュベートすることにより検出し、0.1Mグリシン緩衝液(pH10.4)中の1mg/mlのp-ニトロフェニルリン酸基質により30分間、室温で発色させた。光学密度(OD)値をELISAリーダー(Powerwave 340/96分光光度計、BioTek)において405nmの波長で測定した。
【0429】
ELISAアッセイ結果を、図1A~1Dに示す。各図において、SARS-CoV-2のRBDへの結合を上部パネルに示し、SARS-CoV-1のRBDへの結合を下部パネルに示す。算出EC50値(ng/mlで)を図の右側のボックスの中におよび表3に示す。
【表3】
【0430】
同じ手順を使用するさらなるアッセイを、追加の抗体で行った。結果を図8Aおよび8Bに示す。これらの図の各々において、SARS-CoV-2 RBDへの結合を左側のパネルに示し、SARS-CoV-1 RBDへの結合を右側のパネルに示す。算出EC50値(ng/mlで)を各パネルの右側のボックスに示す。
【0431】
同じ手順を他の抗体で行った。結果を図10A~10Eに示す。これらの図の各々において、SARS-CoV-2 RBDへの結合を上部のパネルに示し、SARSRBDへのSARS-CoV-1の結合を下部のパネルに示す。算出EC50値(ng/mlで)を、入手可能な場合、各パネルの右側のボックスの中に示す。このアッセイでは、抗体S2E12(配列番号399のVHアミノ酸配列;配列番号403のVLアミノ酸配列)は、43.40ng/mlのEC50でSARS-CoV-2 RBDに結合した。
【0432】
SARS-CoV-2 RBDへの追加の抗体の結合を、同様の方法を使用して決定した。結果を図22Aおよび22Bに示す。算出EC50値を、各グラフの右方のボックスの中に示す。
【0433】
(実施例3)
SARS-CoV-1およびSARS-CoV-2スパイクタンパク質へのならびにSARS-CoV-1およびSARS-CoV-2 RBDへの抗体の結合
SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離したある特定のヒトモノクローナル抗体の、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質への結合、およびSARS-CoV-1およびSARS-CoV-2スパイクタンパク質のRBDへの結合を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により評価した。
【0434】
簡単に説明すると、96ウェルプレートを、SARS-CoV スパイクS1サブユニットタンパク質(Sino Biological)、SARS-CoV-2 RBD(自社で生成;BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019、受託番号MN908947からのスパイクの残基331~550)、またはSARS-CoV RBD(Sino Biological)でコーティングした。ウェルを洗浄し、PBS+1%BSAで1時間、室温でブロッキングし、次いで、連続希釈した組換えモノクローナル抗体とともに1時間、室温でインキュベートした。結合した抗体を、アルカリホスファターゼコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG(Southern Biotechnology:2040-04)を1時間、室温でインキュベートし、0.1Mグリシン緩衝液(pH10.4)中の1mg/mlのp-ニトロフェニルリン酸基質により30分間、室温で発色させることにより検出した。光学密度(OD)値をELISAリーダー(Powerwave 340/96分光光度計、BioTek)において405nmの波長で測定した。
【0435】
ELISAアッセイ結果を、図4A~4Nに示す。算出EC50値(ng/mlで)を、各図の右側のボックスの中に示す。
【0436】
SARS-CoV-1およびSARS-CoV-2のスパイクタンパク質へのならびにSARS-CoV-1およびSARS-CoV-2のスパイクタンパク質RBDへの追加のモノクローナル抗体の結合を、同様の方法を使用して評価した。結果を図18A~18Eに示す。算出EC50値(ng/ml)を、各図の右側のボックスの中に示す。
【0437】
SARS-CoV-1スパイクタンパク質、SARS-CoV-1スパイクRBD、およびSARS-CoV-2スパイクRBDへの追加のモノクローナル抗体の結合を、同様の方法により決定した。結果を図20A、20B、21Aおよび21Bに示す。グラフの右方のボックスは、算出EC50値(ng/ml)を示す。
【0438】
(実施例4)
RBDへの結合についての抗体とヒトACE2の競合的結合
RBDへの組換えモノクローナル抗体およびヒトACE2の競合的結合を、競合ELISAにより測定した。組換え抗体は、SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離したモノクローナル抗体を使用して生成した。
【0439】
手短に述べると、ELISAプレートを組換えヒトACE2(内部で生成)で被覆した。PBS中の2ug/mlのACE2で被覆を行った。プレートを一晩、4℃でインキュベートし、ブロッキング剤カゼイン(Thermofisherからの1%カゼイン)を用いて1時間、室温でブロックした。モノクローナル抗体の連続希釈物を、20ng/mlのSARS-CoV-2 RBD(Sino Biologicalからの、マウスFcと融合したRBD)とともに30分間、37℃でインキュベートし、次いで、室温での追加のインキュベーションのためにACE2被覆プレートに移した。プレートを洗浄し、ACE2へのRBDの結合を、ポリクローナルヤギ抗マウスFc-AP抗体(Southern Biotech)を使用して検出した。追加の洗浄後、AP基質pNPP(Sigma)を添加し、プレートを20分で、室温でインキュベートした後、分光光度計(Powerwave340、Biotek)を用いて405nmで吸光度(adsorbance)を測定した。結果を図2に示す。
【0440】
同様の方法を使用して追加のモノクローナル抗体についてのさらなるアッセイを行った。結果を図13A、13B、23Aおよび23Bに示す。これらの図中の、各グラフの右方に、算出IC50値を示す。
【0441】
(実施例5)
組換えヒトモノクローナル抗体によるSARS-CoV-2シュードタイプ化MLVの中和
SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離したモノクローナル抗体を、組換え発現させ、SARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルスに対する中和アッセイで試験した。
【0442】
簡単に説明すると、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたマウス白血病ウイルス(MLV)(SARS-CoV-2pp)を使用した。VeroE6細胞を標的細胞として使用し、ウイルスおよび抗体の添加の前日に播種した。SARS-CoV-2ppを10ug/mlのトリプシンTPCKで活性化した。活性化されたSARS-CoV-2ppを抗体の希釈系列に添加し、48時間インキュベートした。抗体の出発濃度は、抗体ごとに5ug/ml、3倍希釈であった。細胞培養上清の吸引およびBio-Glo基質(Promega)の添加後に発光を測定した。
【0443】
結果を図3A~3Fに示す。算出IC50値を、ng/mlで、これらの各図の右側に示す。表4は、算出IC50、IC80およびIC90値をng/mlで示す。
【表4】
【0444】
SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離したさらなるモノクローナル抗体を、組換え発現させ、同じ手順を使用してSARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルスに対する中和アッセイで試験した。結果を図5A~5Dおよび図7A~7Dに示す。図7Dに「S2H58」と表示されている抗体は、配列番号228に記載されるVHアミノ酸配列、および配列番号238に記載されるVLアミノ酸配列を含む。図5A~5D中の抗体についての算出EC50値を、各図の右方のボックスの中に示す。図7A~7D中の抗体についての算出EC50およびEC90値を表5に示す。
【表5】
【0445】
SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離した追加のモノクローナル抗体を、組換え発現させ、同じ手順を使用してSARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルスに対する中和アッセイで試験した。結果を図9A~9Fに示す。算出IC50、IC80およびIC90値を、各図中のグラフの下に示す。図9Eに示す抗体S2E12は、配列番号399のVHアミノ酸配列(それぞれ、配列番号400、401、および766の、CDRH1~H3)および配列番号403のVLアミノ酸配列(それぞれ、配列番号404~406の、CDRL1~CDRL3)を含む。
【0446】
同様の方法を使用して、他の抗体による感染の中和をアッセイした。結果を図11A~11Dに示す。算出IC50、IC80およびIC90値を各図の右側に示す。
【0447】
同様の方法を使用するSARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルスに対する中和アッセイで、他の抗体を試験した。結果を図17A~17Cに示す。算出IC50、IC80、およびIC90値を、各グラフの下に示す。
【0448】
同様の方法を使用するSARS-CoV-2シュードタイプ化ウイルスに対する中和アッセイで、他の抗体を試験した。結果を図19A~19Eに示す。算出IC50、IC80およびIC90値を、各図中のグラフの右方に示す。
【0449】
(実施例6)
生SARS-CoV-2の抗体中和
SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離したモノクローナル抗体を、組換え発現させ、生SARS-CoV-2ウイルスに対する中和アッセイで試験した。
【0450】
簡単に説明すると、10%FBS(VWR)および1×ペニシリン/ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific)を補充したDMEMにおいて培養したVero E6細胞を、白色の96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し、一晩、付着させた。モノクローナル抗体の連続1:4希釈物を、BSL-3施設において、200pfuのSARS-CoV-2(分離株USA-WA1/2020、継代3、Vero E6細胞中で継代させた)とともに30分間、37℃でインキュベートした。細胞上清を除去し、ウイルス-抗体混合物を細胞に添加した。感染の24時間後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで30分間固定し、続いて、PBS(pH7.4)洗浄を2回行い、PBS中の0.25%Triton X-100で30分間の透過処理を行った。5%粉乳/PBS中で30分間ブロッキングした後、細胞を、1:2000希釈の、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を標的とする一次抗体(Sino Biological、カタログ番号40143-R001)とともに、1時間インキュベートした。洗浄、および1μg/mlのHoechst33342と混合した二次Alexa647標識抗体との1時間のインキュベーション後、プレートを自動細胞イメージングリーダー(Cytation 5、Biotek)で撮像し、製造業者の供給ソフトウェアを使用してヌクレオカプシド陽性細胞を計数した。Prismソフトウェア(GraphPad Prism 8.0)を使用してデータを処理した。
【0451】
結果を図6Aおよび6Bならびに表6および7に示す(EC50およびEC90値、ng/ml)。算出IC50値(ng/ml)を表8に示す。
【表6-1】
【表6-2】
【表7-1】
【表7-2】
【表8】
【0452】
比較対照抗体S309-v2(配列番号342に記載されるVH、配列番号346に記載されるVL(それぞれ、配列番号343~345および347~349に記載される、CDRH1~H3およびL1~L3))と一緒に、22のさらなる抗体を、同様の方法を使用して生SARS-CoV-2ウイルスに対する中和アッセイで試験した。結果を図16A~16Dに示す。S2H58-v2は、配列番号228に記載されるVHアミノ酸配列、および配列番号238に記載されるVLアミノ酸配列(カッパ軽鎖)を含む。S2E12は、配列番号399に記載されるVHアミノ酸配列(それぞれ、配列番号400、401および766に記載される、CDRH1~H3)、および配列番号403に記載されるVLアミノ酸配列(それぞれ、配列番号404~406に記載される、CDRL1~L3)を含む。算出IC50(ng/ml)値を表9~12に示す。算出EC50およびEC90値(ng/ml)を表13~16に示す。
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【0453】
同様の方法を使用して、追加のモノクローナル抗体を使用して、中和アッセイを行った。結果を図25Aおよび25Bに示す。図25Aは、比較対照抗体S309 N55Q LSおよびS2X193と一緒に、4つの抗体についての結果を示す。S309 N55Q LS(本明細書ではS309-v2とも呼ばれる)は、配列番号342に記載されるVH配列、および配列番号346に記載されるVL配列を含み、Fc領域にM428LおよびN434S変異を含む。図25Bは、4つの比較対照抗体と一緒に、抗体S2X129およびS2X132についての結果を示す。IC50ならびに補間したEC50およびEC90値(ng/ml)を表17に示す。
【表17-1】
【表17-2】
【0454】
他の抗体(野生型またはM428L/N434S(「LS」)改変Fcを有する組換えIgG1として発現される)による中和を、VSV-luc(スパイクD19)シュードウイルスを使用して評価した。プロットを図26に示す。IC50値ならびに補間したEC50およびEC90値(ng/ml)を表18に示す。
【表18】
【0455】
これらの抗体を、生SARS-CoV-2の中和についても試験した。プロットを図27に示す。データは、三連ウェルのSARS-CoV-2-luc、MOI 0.1、6時間感染からのものである。IC50値ならびに補間したEC50およびEC90値(ng/ml)を表19に示す。
【表19】
【0456】
(実施例7)
S2X16、S2X30、S2X35、およびS2X47バリアント抗体の産生
抗体S2X16、S2X30、S2X35およびS2X47またはこれらの操作されたバリアントのVHおよびVL配列を使用して、組換えIgG1抗体を産生する。表20に示すような組合せを産生する。組換え抗体をコードするプラスミドベクターのHD 293F細胞(GenScript)への一過性トランスフェクションおよびそれらの細胞での発現によって、抗体の各々を産生する。細胞を4日目に回収し、ウエスタンブロットおよびプロテインA力価分析によってIgG発現の妥当性を確認する。
【表20-1】
【表20-2】
【0457】
(実施例8)
S2H58およびS2N22バリアント抗体
モノクローナル抗体S2H58およびS2N22またはこれらの操作されたバリアントのVHおよびVL配列を使用して、組換えIgG1抗体を産生する。表21に示すような組合せを産生する。組換え抗体をコードするプラスミドベクターのHD 293F細胞(GenScript)への一過性トランスフェクションおよびそれらの細胞での発現によって、抗体の各々を産生する。細胞を4日目に回収し、ウエスタンブロットおよびプロテインA力価分析によってIgG発現の妥当性を確認する。
【表21-1】
【表21-2】
【0458】
(実施例9)
S2E12バリアント抗体
モノクローナル抗体S2E12およびこれらの操作されたバリアントのVHおよびVL配列を使用して、組換えIgG1抗体を産生した。S2E12およびある特定の操作されたS2E12バリアントのV領域アミノ酸配列を表22に要約する。
【表22】
【0459】
(実施例10)
組換え抗体によるSARS-CoV-2の中和
SARS-CoV-2感染から回復した患者から単離したヒトモノクローナル抗体を、組換え発現させ、SARS-CoV-2シュードタイプウイルス(VSV)に対する中和アッセイで試験した。
【0460】
組換えモノクローナル抗体を連続希釈し、SARS-CoV-2(BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019株、受託番号MN908947)でシュードタイプ化したVSV-デルタG-lucの一定量とともに1.5時間、37℃でインキュベートした。次いで、VeroE6細胞を完全DMEM培地に添加し、プレートを24時間、37℃でインキュベートした。感染細胞において発現されたルシフェラーゼの量を測定するために、培養培地を吸引し、室温に温めたルシフェラーゼ基質Bio-Glo Luciferase assay system(Promega AG)を添加した。振盪機を用いて暗所で10分間インキュベートした後、積分時間1秒を使用してルミノメーターでシグナルを測定した。
【0461】
ある特定のモノクローナル抗体についての結果を図12A~12Dに示す。算出IC50およびIC90値(ng/ml)を、各グラフの下に示す。
【0462】
(実施例11)
Octetを使用するRBDへの抗体の結合
抗体S2X193、S2X195、S2X219、S2X244、S2X246、S2X256、S2X269、およびS2X278の、SARS-CoV-2 RBDに対する結合親和性およびアビディティを、Octetにより測定した。抗体をプロテインAピンに2.7μg/mlでロードした。SARS-CoV-2 RBDを、5分間、6μg/ml、1.5μg/ml、または0.4μg/mlでロードした。解離を7分間、測定した。結果を図14A~14Hに示す。各図中、縦の破線は、解離相の開始を示す。
【0463】
4つの比較対照抗体と一緒に、抗体S2X193、S2X195、S2X219、S2X244、S2X246、S2X256、S2X269、およびS2X278についての、SARS-CoV-1 RBDに対する結合親和性およびアビディティも、Octetにより測定した。抗体をプロテインAピンに2.7μg/mlでロードした。SARS-CoV RBDを、5分間、6μg/mlでロードした。解離を7分間、測定した。結果を、図15に示す。各図中、縦の破線は、解離相の開始を示す。
【0464】
(実施例12)
SARS-CoV-2スパイクタンパク質の定量的エピトープ特異的血清検査
SARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体結合を、抗体競合アッセイ、クライオEMデータ、および結晶学データにより解析した。この解析から、スパイクRBD抗原部位Ia、Ib、Ic、Id、IIおよびIVを同定した。これらの部位と各部位内に結合する抗体とを示すマップを図24に示す。
【0465】
(実施例13)
SARS-CoV-2 RBDへのS2E12抗体の結合
SARS-CoV-2 RBDへのS2E12およびS2E12バリアント抗体の結合を、表面プラズモン共鳴(SPR)により測定した。SPR実験は、シングルサイクルキネティクス手法を使用してBiacore T200装置を用いて行った。抗体を表面上で捕捉し、漸増濃度の精製されたSARS-CoV-2 RBDを注入した。会合および解離キネティクスをモニターし、結合モデルにあてはめて親和性を決定した。
【0466】
結果を表23および24に示す。抗体「S2E12-11」は、S2E12抗体を発現するように形質転換させたCHO細胞の上清から得た。形質転換HEK細胞において産生された、精製された抗体を使用して、抗体S2E12 WT(配列番号399のVH、配列番号403のVL)を生成した。KD/KD_WTに、S2E12 WTのKD値で割った、示されている抗体についてのKD値を列挙する。KD_WT/KDに、示されている抗体のKD値で割ったS2E12 WTについてのKD値を列挙する。空白のセルは、このアッセイを使用して結合が測定されなかったことを示す。
【表23】
【表24】
【0467】
(実施例14)
抗体によるSARS-CoV-2中和のACE2非依存性機序
SARS-CoV-2感染の抗体中和の機序を調査した。以下の実験では、別段の指示がない限り、S309抗体(配列番号139のVH、配列番号143のVL)を、M428LおよびN434S変異を有する組換えIgG1として発現させた。S309抗体の感染中和に対するACE2過剰発現の効果を調査した。Vero E6またはVero E6-TMPRSS2細胞を、S309(10μg/ml)の存在下でSARS-CoV-2(USA-WA1/2020分離株)にMOI 0.01で感染させた。感染の24時間後に細胞を固定し、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質を免疫染色し、定量した。ヌクレオカプシド染色は、抗体処置細胞には、事実上、非存在であった。S309は、Vero E6細胞では65のおよびVero E6-TMPRSS2では91のIC50(ng/mL)を有した(データを示さない)。
【0468】
7つの細胞系(HeLa、293T(wt)、Vero E6、Huh7、293T ACE2、MRC 5-ACE2-TMPRSS2、A549-ACE2-TMPRSS2クローン5、A549-ACE2-TMPRSS2クローン10)のパネルを、S309の存在下で、SARS-CoV-2-Nlucに、またはSARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたVSVに、感染させた。ルシフェラーゼシグナルを感染の24時間後に定量した。S309最大中和値は、表25に示す通りであった。
【表25】
【0469】
S2E12中和データを図53(SARS-CoV-2-Nluc)および図54(シュードタイプ化VSV)に示す。注目すべきことに、S2E12は、全ての標的細胞に対して同等の中和活性を示した。
【0470】
これらの細胞系に結合する精製された蛍光標識SARS-CoV-2スパイクタンパク質の結合をフローサイトメトリーにより定量した。HeLaおよび239T WT細胞は、最低MFIを有し、これにHuh7およびVeroE6細胞が続いた。293T ACE2細胞(最高)、MRC 5-ACE2-TMPRSS2(3番目に高い)、A549-ACE2-TMPRSS2クローン5(4番目に高い)、およびA549-ACE2-TMPRSS2クローン10(2番目に高い)は、より高いMFIを有した。S309のスパイク結合最大中和能力間の相関分析を決定し、S309スピアマン相関値は、両方のウイルスモデルについてr=-0.94であった。p=0.017。図55を参照されたい。
【0471】
SARS-CoV-2感受性細胞系をさらに特徴付けるために、上記の7つの細胞系を、精製された蛍光標識SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはRBDタンパク質とともにインキュベートし、タンパク質結合をフローサイトメトリーにより定量した。MFIの降順で、細胞系は、A549-ACE2-TMPRSS2クローン10、293T ACE2、MRC 5-ACE2-TMPRSS2、A549-ACE2-TMPRSS2クローン5、Vero E6、Huh7、293T(wt)、そしてHeLaであった。
【0472】
選択されたレクチンおよび公開されている受容体候補を、SARS-CoV-2 VSVシュードウイルスに感染したHEK293T細胞を使用してスクリーニングした。ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1は、最高のシグナルを生じさせた。ACE2は、おおよそ10の相対的な発光単位(RLU)のシグナルをもたらし、DC-SIGN、SIGLEC-1、およびL-SIGNは、おおよそ10RLUのシグナルを有した。試験した全ての他のレクチン/候補は、おおよそ10~10RLUのシグナルを生じさせた。
【0473】
HEK 293T、HeLaおよびMRC5細胞に、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1またはACE2を過剰発現するように一過性に形質導入し、それらの細胞をSARS-CoV-2 VSVシュードウイルスに感染させた。未感染細胞および非形質導入細胞を対照として含めた。HEK293T細胞では、ACE2、DC-SIGN、SIGLEC-1、およびL-SIGN全てが、感染の大幅な増加をもたらした。HeLaおよびMRC5細胞では、ACE2のみが感染を増加させた。
【0474】
DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC-1またはACE2を過剰発現する安定したHEK293T細胞系を真正のSARS-CoV-2に感染させ(MOI 0.1)、24時間の時点で、固定し、SARS-CoV-2核タンパク質について免疫染色した。野生型細胞(感染および未感染)を対照として使用した。DC-SIGN、L-SIGN、またはSIGLEC-1を過剰発現する細胞では染色の増加が観察され、ACE2を過剰発現する細胞では染色が有意に増加された。
【0475】
安定した細胞系をSARS-CoV-2-Nlucに感染させ、ルシフェラーゼレベルを24時間の時点で定量した。RLUの昇順で、未感染(おおよそ10~10RLU)、親293T(おおよそ10RLU)、DC-SIGN(おおよそ10RLU)、L-SIGN(おおよそ10RLU)、SIGLEC-1(おおよそ10~10RLU)、ACE2(>10RLU)。
【0476】
安定した細胞系を異なる濃度の抗SIGLEC1 mAb(クローン7-239)とともにインキュベートし、SARS-CoV-2-Nlucに感染させた。未処置細胞のパーセンテージとしての感染は、DC-SIGN、L-SIGNまたはACE2を発現する293T細胞ではほぼ100%を維持した~100%を超えたが、SIGLEC-1を発現する293T細胞では50%未満(0.2μg/mLの抗SIGLEC)~0近く(1μg/mLまたは5μg/mLの抗SIGLEC)へと降下した。
【0477】
選択された、可能性のあるSARS-CoV-2(共)受容体候補の単一細胞発現レベルを、Human Lung Cell Atlas(nature.com/articles/s41586-020-2922-4)から得た異なる肺細胞型で決定した。DC-SIGN、L-SIGNおよびSIGLEC-1は、ACE2と同様のレベルでまたはさらにはそれより高いレベルで肺における様々な細胞型に発現される。
【0478】
それぞれの付着受容体を安定的に過剰発現するHEK293T細胞上のDC-/L-SIGN、DC-SIGN、SIGLEC1またはACE2を標的とする抗体の結合を、フローサイトメトリーおよび免疫蛍光分析により分析した。それぞれの付着受容体を過剰発現するHEK 293T細胞を、SARS-CoV-2野生型スパイクでまたはB1.1.7系統の変異を有するスパイクでシュードタイプ化されたVSVに感染させた。感染の1日後に発光を分析した。付着受容体を発現する細胞では感染が増加された。どちらかのスパイクでシュードタイプ化されたVSVによる感染は、各試験群について同様であった。ACE2を発現する細胞は、最も高い発光シグナルを生じさせた。
【0479】
Vero E6細胞、in vitroで分化させたmoDCまたはPBMCを、SARS-CoV-2にMOI 0.01で感染させた。感染後24時間の時点で、細胞を固定し、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質について免疫染色し、感染細胞を定量した。VeroE6細胞のみが感染を示した(細胞のおおよそ7%)。感染細胞の上清を24、48および72時間の時点で採取し、感染性ウイルス力価をVero E6細胞に関してFFUアッセイにより定量した。
【0480】
重症COVID-19患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)および痰において検出可能なSARS-CoV-2ゲノムを有する主要細胞型を評価した。t-SNEプロットを作成し、各SARS-CoV-2細胞型の計数を決定した(Ren et al. Cell 2021では、8名の被験体から合計n=3,085細胞)。細胞型は、T細胞型、NK細胞型、形質細胞型、好中球型、マクロファージ型、線毛細胞型、扁平上皮細胞型、および分泌細胞型であった。ACE2、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC-1、およびこれらの組合せの発現を、各細胞型について評価した。図65~66。
【0481】
ACE2、DC-SIGN(CD209)、L-SIGN(CLEC4M)、SIGLEC1転写物の計数は、マクロファージにおいておよび分泌細胞においてSARS-CoV-2 RNAの計数と相関していた。相関は、Ren et al. Cell 2021からの(log変換前の)計数に基づくものであった。
【0482】
安定したHEK293T細胞系における受容体の発現を示す代表的なデータを図41に示す。
【0483】
ルシフェラーゼレポーターを有するSARS-CoV-2のSタンパク質を発現するVSVシュードウイルスの、HEK293T細胞を感染させる能力を示す代表的なデータを発光アッセイを使用して評価し、図42に示す(図57も参照されたい)。DC-SIGNまたはL-SIGNの発現は、シュードウイルス感染レベルをWT HEK293T細胞の感染と比較して10倍を超えて上昇させ、ACE2の発現は、シュードウイルス感染レベルをWT HEK293T細胞の感染と比較して100倍を超えて上昇させた。
【0484】
VSVシュードウイルスに対するmAb S309の中和活性を、操作されたHEK293T細胞において評価した。データを図43に示す。S309は、DC-SIGNおよびL-SIGNを介した感染を完全に中和し、それより低い程度にだが、ACE2を介した感染を中和した。
【0485】
ルシフェラーゼレポーターを有する生SARS-CoV-2の、HEK293T細胞を感染させる能力を、発光アッセイを使用して調べた。データを図44に示す。DC-SIGNまたはL-SIGNの発現は、生ウイルス感染レベルをWT HEK293T細胞の感染と比較して3倍を超えて上昇させ、ACE2の発現は、生ウイルス感染レベルをWT HEK293T細胞の感染と比較して100倍を超えて上昇させた。SARS-CoV-2核タンパク質について染色することにより決定したときの感染を示す図58も参照されたい。
【0486】
VSVシュードウイルスに対するS309の中和活性を、操作されたHEK293T細胞において評価した。データを図45に示す。S309は、DC-SIGNおよびL-SIGNを介した感染を完全に中和し、それより低い程度にだが、ACE2を介した感染を中和した。
【0487】
S309またはS2E12抗体が、SIGLEC-1を介したSARS-CoV-2の侵入を中和することができるかどうかを調査するために、実験を行った。以下の実験では、S309抗体(配列番号139のVH、配列番号143のVL)およびS2E12抗体(配列番号399のVH、配列番号403のVL)を、M428LおよびN434S変異を有する組換えIgG1として発現させた。手短に述べると、安定した細胞HEK293T系を上で説明したように生成して、DC-SIGN/L-SIGN、DC-SIGN、SIGLEC-1、またはACE2を過剰発現させた。発現データを図46に示す。図47に示されているように、DC-SIGN、L-SIGN、またはSIGLECの発現は、生ウイルス感染レベルをWT HEK293T細胞の感染と比較して10倍を超えて上昇させ、ACE2の発現は、シュードウイルス感染レベルをWT HEK293T細胞の感染と比較して100倍を超えて上昇させた。図48に示されているように、S309は、DC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1を介した感染を完全に中和した。図49に示されているように、S2E12は、SIGLEC-1およびACE2を介した感染を完全に中和した。
【0488】
DC-SIGN(CD209)、ならびにSIGLEC-1および他のSIGLECをはじめとする他の細胞表面受容体タンパク質の発現を、様々な細胞型上で決定した。データを図50Aおよび50Bに要約する。
【0489】
さらなる実験を行って、SARS-CoV-2感染におけるDC-SIGN、L-SIGN、およびSIGLEC-1の機能(複数可)を調査した。1セットの実験では、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC-1またはACE2を安定的に発現するHEK293T細胞を、3つの異なる感染多重度(MOI):0.01、0.1および1で、生SARS-CoV-2 Nlucに感染させた。相対的な発光単位を使用して感染を決定し、HEK293T細胞(親)における感染と比較した。データを図51に示す。試験した最低MOIで、DC-SIGN、L-SIGNまたはSIGLECを発現する細胞において感染の増加が観察された。試験した最高MOIでは、感染は、親のものと対比して、DC-SIGN、L-SIGNまたはSIGLECの発現によってさらに増加されなかった。これらのデータは、親293T細胞がSARS-CoV-2による感染を受けやすいこと、ならびにL-SIGN、DC-SIGN、およびSIGLEC-1が、感染レベルを高めるが、感染の主受容体として機能しないことを示す。
【0490】
別のセットの実験では、293T細胞、HeLa細胞、およびMRC5細胞に、DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC-1またはACE2をコードするレンチウイルスで一過性に形質導入し、形質導入の3日後にこれらの細胞をVSVシュードウイルスに感染させた。データを図52に示す。293T細胞は、低い感受性レベル(形質導入されていない未感染のものと比較して)を示した一方で、HeLaおよびMRC5細胞は、ウイルスに対して完全に不応性であった。293T細胞におけるこの低い感染レベルを、L-SIGN、DC-SIGNまたはSIGLEC-1の発現によって上昇させることができ、これは、これらのタンパク質の付着因子としての役割と合致する。HeLaおよびMRC5細胞は、L-SIGN、DC-SIGNまたはSIGLEC-1の発現後であっても感染に対して不応性のままであり、ACE2の発現後にのみ感受性になる。これらのデータは、L-SIGN、DC-SIGNおよびSIGLEC-1が、SARS-CoV-2の主受容体でないことを示す。
【0491】
トランス感染、細胞-細胞融合、およびさらなる感染中和アッセイを行った。図71は、抗体S309、S2E12およびS2X333を使用するVero E6細胞の中和を示す。図72は、同じ抗体を使用するVero E6-TMPRSS2細胞の中和を示す。図75および76は、様々な細胞型に関するこれらの抗体による感染の中和を示す。図77~80は、細胞-細胞融合および融合阻害アッセイからの結果を示す。図81~84は、ACE2、SIGLEC1、DC-SIGN、またはL-SIGNを過剰発現する安定したHEK293T細胞系に関する抗体による感染の中和を示す。
【0492】
(実施例15)
S309抗体およびS309抗体とS2E12抗体の組合せのin vivo有効性
S309の有効性およびS309とS2E12の組合せの有効性をシリアンハムスターで調査した。この動物モデルは、今のところ、生産的感染および疾患を支持するためにACE2のin vivo過剰発現を必要としなかったSARS-CoV-2感染の最も関連性のあるモデルの代表である。S309の予防的投与は、ウイルスRNAレベル、ウイルス負荷量、ならびに肺における病理組織学的スコアによって実証されるように、ハムスターにおいてSARS-CoV-2感染および組織損傷に対する用量依存的防御を誘導した(図56A、左側縦列)。これらのデータは、in vitroでACE2を過剰発現する細胞を使用した際のS309による侵入の不良かつ不完全な中和が、非RBM mAbのin vivo有効性を損なわせなかったことを示す。S309抗体とS2E12抗体の組合せを使用して同様の結果を得ることになった(図56A、右側縦列)。
【0493】
N297A変異を有するS309は、Fcγ受容体への係合減少の結果として、エフェクター機能を誘発する能力が低い。このことを、ハムスターの脾臓内の単球へのS309-N297Aバリアントの結合の低減によってさらに確認した。N297A mAbで測定されるin vivo有効性は、wt S309と同様であるか、またはほんの少し劣り、このことは、mAbの中和能がこれらの条件ではそのエフェクター機能能力に基づいて優勢になることを示唆する。肺におけるウイルスRNAを90%低下させるために必要なS309の血清濃度は、9μg/mlであった(図56B、左側縦列)。S309抗体とS2E12抗体の組合せを使用して同様の結果を得た(図56B、右側縦列)。
【0494】
(実施例16)
S2E12-v2抗体を使用するさらなるin vivo研究
配列番号399のVHアミノ酸配列および配列番号738のVLアミノ酸配列を有し、M428LおよびN434S Fc変異を含む、S2E12-v2(図99に「S2E12」と示す)の薬物動態および潜在的な組織交差反応性の安全性を評価するために、非ヒト霊長類を使用して前臨床研究を行った。図99および100に示されているように、S2E12-v2 MLNSの単回5mg/kg用量は、25.4日の平均T1/2(動物3匹にわたって)を有した。組織交差反応性研究(CHO-CoV2-Sスパイク、1:1でのCHO-CoV2S-スパイク:CHO、および対照としてのCHO)によって、1.25、0.3125、または0.078125μg/mlでは、いずれの組織においてもS2E12-v2による交差反応の染色が同定されなかった。
【0495】
(実施例17)
さらなる中和研究
S2E12の中和効力に対する公知のSARS-CoV-2変異の潜在的効果を調査した。SARS-CoV-2 Sにおける以下の個々の変異は、生SARS-CoV-2またはSARS-CoV-2シュードウイルスに対するS2E12の中和によって3分の1未満に減少した:N501Y、S477N、N439K、L452R、E484K、K417N、T478K、S494P、A520S、N501T、A522S、Y453F、P384L。
【0496】
(実施例18)
材料および方法
哺乳動物細胞上に発現されたCoV Sタンパク質への結合についてのフローサイトメトリーに基づくスクリーニング
ExpiCHO細胞に、SARS-CoV-2のSタンパク質をトランスフェクトした。次いで、モノクローナル抗体を、10μg/mlで、フローサイトメトリーにより、SARS-CoV-2のSタンパク質を発現するExpiCHO細胞またはモック細胞トランスフェクタントを染色するそれらの能力について試験した。
【0497】
組換えSARS-CoV-2タンパク質の一過性発現
SARS-CoV-2株(2019-nCoV-S)BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019分離株(受託番号MN908947)の全長S遺伝子を、ヒト細胞発現のためにコドン最適化し、phCMV1発現ベクター(Genlantis)にクローニングした。Expifectamine CHOエンハンサーを使用して、phCMV1-SARS-CoV-2-S、phCMV1-MERS-CoV-S(London1/2012)、SARS-スパイク_pcDNA.3(SARS株)または空のphCMV1(モック)をExpi-CHO細胞に一過性にトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後、細胞を収集し、固定したか、または固定し、SARS-CoV受容体結合ドメイン(RBD)に反応するモノクローナル抗体のパネルでの免疫染色のためにサポニンで透過処理した。Alexa647標識二次抗体抗ヒトIgG Fcを検出に使用した。トランスフェクト細胞への抗体の結合を、ZE5セルアナライザー(Biorard)およびFlowJoソフトウェア(TreeStar)を使用してフローサイトメトリーにより分析した。陽性結合を、CoV-Sトランスフェクタントのモックトランスフェクタントに対する分染により定義した。
【0498】
Octet(BLI、バイオレイヤー干渉法)を使用する競合実験
本明細書で別段の指示がない限り、抗Hisセンサー(BIOSENSOR ANTI-PENTA-HIS(HIS1K))を使用して、SARS-CoVのS1サブユニットタンパク質(Sino Biological Europe GmbH)を固定した。センサーを、10分間、キネティクス緩衝液(KB;PBS中、0.01%のエンドトキシン不含のBSA、0.002^ Tween(登録商標)-20、0.005%NaN)で水和した。次いで、SARS-CoV S1サブユニットタンパク質を、8分間、KB中10μg/mlの濃度でロードした。抗体を、全長mAb nCoV-10およびnCov-6 mAbについては15μg/mlで、Fab nCoV-4については5μg/mlで、ならびにnCoV-1を含む後続の実験では全て10μg/mlで、6分間、会合させた。次いで、競合抗体を同じ濃度でさらに6分間、会合させた。
【0499】
Octet(BLI、バイオレイヤー干渉法)を使用する競合実験
ACE2競合実験のために、ACE2-His(Bio-Techne AG)を、30分間、KB中5μg/mlで抗HIS(HIS2)バイオセンサー(Molecular Devices-ForteBio)上にロードした。抗体を含むまたは含まないプレインキュベーション(30μg/ml、30分)後に15分間、1μg/mlのSARS-CoV-1 RBD-ウサギFcまたはSARS-CoV-2 RBD-マウスFc(Sino Biological Europe GmbH)を会合させた。解離を5分間モニターした。
【0500】
Octet(BLI、バイオレイヤー干渉法)を使用する親和性の決定
全長抗体のK決定のために、キネティクス緩衝液での10分間の湿潤化ステップ後、プロテインAバイオセンサー(Pall ForteBio)を使用して、2.7μg/mlの組換え抗体を1分間、固定した。抗体でコーティングされたセンサーを異なる濃度のSARS-CoV-1 RBD(Sino Biological)またはSARS-CoV-2 RBD(内部で生成;BetaCoV/Wuhan-Hu-1/2019、受託番号MN908947、からのスパイクの残基331~550)とともにインキュベートすることにより、5分間、会合曲線を記録した。試験した最高RBD濃度は10ug/mlであり、その後これを1:2.5で連続希釈した。KBを含有するウェルにセンサーを移動させることによって、解離を9分間記録した。K値を、グローバルフィットモデル(Octet)を使用して算出した。Octet Red96(ForteBio)装置を使用した。
【0501】
Fab断片と比較して全長抗体のKを決定するために、SARS-CoV-1またはSARS-CoV-2のHisタグ付きRBDを、KB中3μg/mlで15分間、抗HIS(HIS2)バイオセンサー(Molecular Devices、ForteBio)上にロードした。全長抗体およびFabの会合を、KB中それぞれ15ug/mlおよび5ug/mlで5分間、行った。KB中での解離を10分間測定した。
【0502】
ELISA結合
mAbとSARS-CoV-2スパイクS1サブユニットタンパク質(WH20株)タンパク質の反応性を、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により決定した。手短に述べると、96ウェルプレートを3μg/mlの組換えSARS-CoV-2スパイクS1サブユニットタンパク質(Sino.Biological)でコーティングした。ウェルを洗浄し、PBS+1%BSAで1時間、室温でブロックし、次いで、連続希釈したmAbとともに1時間、室温でインキュベートした。結合したmAbを、アルカリホスファターゼコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG(Southern Biotechnology:2040-04)を1時間、室温でインキュベートすることにより検出し、0.1Mグリシン緩衝液(pH10.4)中の1mg/mlのp-ニトロフェニルリン酸基質により30分間、室温で発色させた。光学密度(OD)値をELISAリーダー(Powerwave 340/96分光光度計、BioTek)において405nmの波長で測定した。
【0503】
中和アッセイ
別段の指示がない限り、SARS-CoV-2スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたマウス白血病ウイルス(MLV)(SARS-CoV-2pp)、またはSARS-CoV-1スパイクタンパク質でシュードタイプ化されたマウス白血病ウイルス(MLV)(SARS-CoV-1pp)を使用した。ACE2を安定にトランスフェクトしたDBT細胞(DBT-ACE2)を標的細胞として使用した。SARS-CoV-2ppまたはSARS-CoV-1ppを10ug/mlのトリプシンTPCKで活性化した。活性化されたSARS-CoV-2ppまたはSARS-CoV-1ppを、抗体の希釈系列(抗体ごとに50ug/mlの最終濃度で出発して、3倍希釈)に添加した。DBT-ACE2細胞を抗体-ウイルス混合物に添加し、48時間インキュベートした。細胞培養上清の吸引およびsteady-GLO基質(Promega)の添加後に発光を測定した。
【0504】
別段の指示がない限り、シュード粒子中和アッセイは、VSVに基づくルシフェラーゼレポーターシュードタイピングシステム(Kerafast)を使用する。VSVシュード粒子および抗体をDMEM中で混合し、30分間、37℃でインキュベートする。次いで、感染混合物をVero E6細胞とともに1時間、37℃でインキュベートし、続いて、Pen-Strepと10%FBSとを含有するDMEMを添加する(感染混合物を除去しない)。細胞を37℃で18~24時間インキュベートする。Bio-Glo試薬(Promega)の添加後、Ensightプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用してルシフェラーゼを測定する。
【0505】
SPRシングルサイクルキネティクス
SPR実験は、シングルサイクルキネティクス手法を使用してBiacore T200装置を用いて行った。S309 IgGを表面上で捕捉し、グリコシル化されたまたは脱グリコシル化された、漸増濃度の精製されたSARS-CoV-2 RBDを注入した。会合および解離キネティクスをモニターし、結合モデルにあてはめて親和性を決定した。
【0506】
組換え抗体の発現
組換え抗体を、以前に記載されたように重鎖を発現するプラスミドと軽鎖を発現するプラスミドとを一過性に共トランスフェクトしたExpiCHO細胞に発現させた。(Stettler et al. (2016) Specificity, cross-reactivity, and function of antibodies elicited by Zika virus infection. Science, 353(6301), 823-826)。モノクローナル抗体S303、S304、S306、S309、S310およびS315を、rIgG-LS抗体として発現させた。LS変異は、in vivoでのより長い半減期をもたらす。(Zalevsky et al. (2010) Enhanced antibody half-life improves in vivo activity. Nature Biotechnology, 28(2), 157-159)。
【0507】
配列アラインメント
SARS-CoV-2ゲノム配列を、2020年3月29日にGISAIDから「complete(>29,000bp)」および「low coverage exclusion」フィルターを使用してダウンロードした。コウモリおよびセンザンコウ配列を除去して、ヒトのみの配列を得た。GeneWise2で参照タンパク質(YP_009724390.1)-ゲノムアラインメントを行うことにより、スパイクORFの位置を特定した。不完全マッチおよびインデル含有ORFをレスキューし、下流の分析に含めた。seqkitを使用して、ヌクレオチド配列をin silicoで翻訳した。10%より多くの未確定アミノ酸を(Nベースコールに起因して)有する配列を除去した。MAFFTを使用して多重配列アラインメントを行った。アラインメントされた配列(n=2,229)と参照配列とを、R/BioconductorパッケージBiostringsを使用して比較することにより、バリアントを決定した。同様の戦略を使用して、ViPRが出典のSARS-CoVゲノムからスパイクタンパク質配列を抽出し、翻訳した(検索基準:SARS-CoV-2を除外するために2019年12月より前に寄託された、SARS関連コロナウイルス、全長ゲノム、ヒト宿主、n=53)。提供されているSARS-CoVゲノム配列は、数ある中でもUrbani、Tor2、TW1、P2、Frankfurt1などの、主要な公開株の全てを含んでいた。Tsan-Yuk Lamらにより示されたようなセンザンコウ配列は、GISAIDが出典であった。Lu et al (Lancet 2020)により示されたようなサルベコウイルスの3つの分岐群からのコウモリ配列は、Genbankが出典であった。ジャコウネコおよびタヌキ配列は、同様にGenbankが出典であった。
【0508】
安定した過剰発現細胞系の生成
レンチウイルスを、DC-SIGN(CD209)、L-SIGN(CLEC4M)、SIGLEC1、TMPRSS2またはACE2をコードするレンチウイルス発現プラスミド(全てGenecopoeiaから得た)とそれぞれのレンチウイルスヘルパープラスミドとをLenti-X 293T細胞(タカラバイオ株式会社)にコトランスフェクトすることにより生成した。トランスフェクションの48時間後、上清中のレンチウイルスを回収し、超遠心分離法により2時間、20,000rpmで濃縮した。Lenti-X 293T(タカラバイオ株式会社)、Vero E6(ATCC)、MRC5(Sigma-Aldrich)、A549(ATCC)に、6ug/mLのポリブレン(Millipore)の存在下で24時間、形質導入した。2つの導入遺伝子を過剰発現する細胞系に、その後、形質導入した。ピューロマイシンおよび/またはブラストサイジン(Gibco)での選択を形質導入の2日後に開始し、選択試薬を全てのその後の培養について成長培地中に保持した。単一細胞クローンは、A549-ACE2-TMPRSS2細胞系に由来した。全ての他の細胞系は、細胞プールを表す。
【0509】
SARS-CoV-2中和
10%FBS(VWR)および1×ペニシリン/ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific)を補充したDMEMにおいて培養したVero E6またはVero E6-TMPRSS2細胞を、黒色96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種した。モノクローナル抗体の連続1:4希釈物を、BSL-3施設において、200pfuのSARS-CoV-2(分離株USA-WA1/2020、継代3、Vero E6細胞中で継代させた)とともに30分間、37℃でインキュベートした。細胞上清を除去し、ウイルス-抗体混合物を細胞に添加した。感染の24時間後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで30分間固定し、続いて、PBS(pH7.4)洗浄を2回行い、PBS中の0.25%Triton X-100での30分間の透過処理を行った。5%粉乳/PBS中で30分間、ブロッキングした後、細胞を、1時間、1:2000希釈のSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を標的とする一次抗体(Sino Biological、カタログ番号40143-R001)とともにインキュベートした。洗浄、および1ug/mlのHoechst33342と混合した二次Alexa647標識抗体との1時間のインキュベーション後、プレートを自動細胞イメージングリーダー(Cytation 5、Biotek)で撮像し、製造業者の供給ソフトウェアを使用してヌクレオカプシド陽性細胞を計数した。
【0510】
SARS-CoV-2-Nluc中和
野生型ウイルスに匹敵する成長キネティクスを明らかに示す、ウイルスORF7の代わりにナノルシフェラーゼをコードするSARS-CoV-2の感染性クローン(2019-nCoV/USA_WA1/2020株に基づく)である、SARS-CoV-2-Nluc(Xie et al., Nat Comm, 2020, https://doi.org/10.1038/s41467-020-19055-7)を使用して、中和を決定した。細胞を黒い壁面の透明底96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し(293T細胞をポリ-L-リシンをコーティングしたウェルに35,000細胞/ウェルで播種し)、一晩、37℃で培養した。翌日、抗体の9点4倍連続希釈物を感染培地(DMEM+10%FBS)中で調製した。SARS-CoV-2-Nlucを示したMOIで感染培地中に希釈し、抗体希釈物に添加し、30分間、37℃でインキュベートした。培地を細胞から除去し、mAb-ウイルス複合体を添加し、細胞を37℃で24時間インキュベートした。培地を細胞から除去し、Nano-Gloルシフェラーゼ基質(Promega)を製造業者の推奨に従って添加し、10分間、RTでインキュベートし、ルシフェラーゼシグナルをVICTOR Nivoプレートリーダー(Perkin Elmer)で定量した。
【0511】
SARS-CoV-2シュードタイプ化VSV産生および中和
SARS-CoV-2シュードタイプ化水疱性口内炎ウイルスを生成するために、Lenti-X 293T細胞(タカラバイオ株式会社)を10cmディッシュに翌日の集密度が80%になるように播種した。翌日、TransIT-Lenti(Mirus Bio)を製造業者の指示に従って使用して、C末端19aa短縮を保有するSARS-CoV-2 S-糖タンパク質(YP_009724390.1)をコードするプラスミドを細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの1日後、細胞をVSV(GΔG-ルシフェラーゼ)(Kerafast)に3感染単位/細胞のMOIで感染させた。ウイルス接種材料を1時間後に洗浄除去し、細胞をさらに1日、37℃でインキュベートした。SARS-CoV-2シュードタイプ化VSVを含有する細胞上清を感染の2日後に収集し、5分間、1000×gで遠心分離して、細胞デブリを除去し、小分けし、-80℃で凍結させた。
【0512】
ウイルス中和のために、細胞を黒い壁面の透明底96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し(293T細胞をポリ-L-リシンをコーティングしたウェルに35,000細胞/ウェルで播種し)、一晩、37℃で培養した。翌日、抗体の9点4倍連続希釈物を培地中で調製した。SARS-CoV-2シュードタイプ化VSVを、100ng/mLの抗VSV-G抗体(クローン8G5F11、Absolute Antibody)の存在下、培地中で1:30希釈し、1:1を各抗体希釈物に添加した。ウイルス:抗体混合物を1時間、37℃でインキュベートした。培地を細胞から除去し、50μLのウイルス:抗体混合物を細胞に添加した。感染の1時間後、100μLの培地を全てのウェルに添加し、17~20時間、37℃でインキュベートした。培地を除去し、50μLのBio-Glo試薬(Promega)を各ウェルに添加した。プレート振盪機を用いて300RPMで、室温で、15分間、プレートを振盪し、EnSightプレートリーダー(Perkin-Elmer)を用いてRLUを読み取った。
【0513】
トランスフェクションに基づく結合受容体スクリーニング
Lenti-X 293T細胞(タカラバイオ株式会社)に、次の受容体候補をコードするプラスミド(全てGenecopoeiaから購入)をトランスフェクトした:ACE2(NM_021804)、DC-SIGN(NM_021155)、L-SIGN(BC110614)、LGALS3(NM_002306)、SIGLEC1(NM_023068)、SIGLEC3(XM_057602)、SIGLEC9(BC035365)、SIGLEC10(NM_033130)、MGL(NM_182906)、MINCLE(NM_014358)、CD147(NM_198589)、ASGR1(NM_001671.4)、ASGR2(NM_080913)、NRP1(NM_003873)。トランスフェクションの1日後、100ng/mLの抗VSV-G抗体(クローン8G5F11、Absolute Antibody)の存在下、37℃で、1:20希釈のSARS-CoV-2シュードタイプ化VSVで、細胞を感染させた。感染の1時間後、100μLの培地を全てのウェルに添加し、17~20時間、37℃でインキュベートした。培地を除去し、50μLのBio-Glo試薬(Promega)を各ウェルに添加した。プレート振盪機を用いて300RPMで、室温で、15分間、プレートを振盪し、EnSightプレートリーダー(Perkin-Elmer)を用いてRLUを読み取った。
【0514】
トランス感染
親HeLa細胞、またはDC-SIGN、L-SIGNもしくはSIGLEC1を安定的に発現するHeLa細胞を、黒い壁面の透明底96ウェルプレートに1ウェルあたり5,000細胞で播種した。1日後、細胞は、約50%の集密度に達し、これらの細胞に、100ng/mLの抗VSV-G抗体(クローン8G5F11、Absolute Antibody)の存在下、37℃で2時間、1:10希釈のSARS-CoV-2シュードタイプ化VSVを接種した。トランス感染の抗体媒介性阻害のために、細胞を10ug/mLの抗SIGLEC1抗体(Biolegend、クローン7-239)とともに30分間、プレインキュベートした。2時間の接種後、細胞を完全培地で4回洗浄し、1ウェルあたり10,000のVeroE6-TMPRSS2細胞を添加し、トランス感染のために17~20時間、37℃でインキュベートした。培地を除去し、50μLのBio-Glo試薬(Promega)を各ウェルに添加した。プレート振盪機を用いて300RPMで、室温で、15分間、プレートを振盪し、EnSightプレートリーダー(Perkin-Elmer)を用いてRLUを読み取った。
【0515】
CHO-S細胞の細胞-細胞融合
SARS-CoV-2 S糖タンパク質を安定的に発現するCHO細胞を、顕微鏡観察用の96ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific)に12’500細胞/ウェルで播種し、翌日、異なる濃度のmAbおよび核マーカーHoechst(最終希釈1:1000)を細胞に添加し、さらに24時間インキュベートした。Cytation 5 Imager(BioTek)を使用して融合度を確立し、物体検出プロトコールを使用して物体として核を検出し、それらのサイズを測定した。融合細胞(すなわち、シンシチウム)の核がシンシチウムの中心に凝集した状態で見出され、そのサイズに従ってゲートされる独特の大きい物体として認識される。融合細胞内の物体の面積を全ての物体の総面積で割って100をかけることにより、融合細胞のパーセンテージが得られる。
【0516】
免疫蛍光分析
HEK 293T細胞をポリ-D-リシンをコーティングした96ウェルプレート(Sigma-Aldrich)に播種し、播種の24時間後に4%パラホルムアルデヒドで30分間固定し、続いて、PBS(pH7.4)洗浄を2回行い、PBS中の0.25%Triton X-100で30分間の透過処理を行った。3%粉乳/PBSで希釈した、一次抗体である抗DC-SIGN/L-SIGN(Biolegend、カタログ番号845002、1:500希釈)、抗DC-SIGN(Cell Signaling、カタログ番号13193S、1:500希釈)、抗SIGLEC1(Biolegend、カタログ番号346002、1:500希釈)または抗ACE2(R&D Systems、カタログ番号AF933、1:200希釈)とともに、細胞を2時間、室温でインキュベートした。洗浄、および1ug/ml Hoechst33342と混合した二次Alexa647標識抗体との1時間のインキュベーション後、倒立蛍光顕微鏡(Echo Revolve)でプレートを撮像した。
【0517】
ACE2/TMPRSS2 RT-qPCR
NucleoSpin RNA Plusキット(Macherey-Nagel)を製造業者のプロトコールに従って使用して、細胞からRNAを抽出した。High Capacity cDNA Reverse Transcriptionキット(Applied Biosystems)を製造業者の指示に従って使用して、RNAを逆転写した。Luna Universal qPCR Master Mix(New England Biolabs)を製造業者のプロトコールに従って使用して、ACE2(フォワードプライマー:CAAGAGCAAACGGTTGAACAC、リバースプライマー:CCAGAGCCTCTCATTGTAGTCT)、HPRT(フォワードプライマー:CCTGGCGTCGTGATTAGTG、リバースプライマー:ACACCCTTTCCAAATCCTCAG)、およびTMPRSS2(フォワードプライマー:CAAGTGCTCCRACTCTGGGAT、リバースプライマー:AACACACCGRTTCTCGTCCTC)の細胞内レベルを定量した。ACE2およびTMPRSS2のレベルをHPRTに正規化した。Hela細胞を参照試料として使用した。全てのqPCRを、QuantStudio 3 Real-Time PCR System(Applied Biosystems)で実行した。
【0518】
SARS2 D614Gスパイク生成およびビオチン化
C末端TEV切断部位と、T4バクテリオファージフィブリチンフォールドンと、8×His-、Avi-およびEPEA-タグとを有する、プレフュージョン安定化SARS2 D614Gスパイク(アミノ酸配列Q14~K1211を含む)を、293フェクチンをトランスフェクション試薬として使用してHEK293 Freestyle細胞にトランスフェクトした。細胞を3日間、37℃で放置して、タンパク質を産生させた。その後、細胞を30分間、500×gで遠心分離し、続いて30分間、4000×gでさらに回転させることにより、上清を回収した。細胞培養上清を0.2umフィルターに通して濾過し、50mM Tris pH8および200mM NaClで事前に平衡化した5mL Cタグ親和性マトリックスカラムにロードした。10カラム体積の100mM Tris、200mM NaClおよび3.8mM SEPEAペプチドを使用して、SARS2 D614Gスパイクを溶出した。溶出ピークを濃縮し、泳動緩衝液として50mM Tris pH8および200mM NaClを使用してSuperose 6 increase 10/300 GLゲル濾過カラムに注入した。単分散SARS2 D614Gスパイクに対応するSEC画分を収集し、-80℃での保管のために液体窒素で急速凍結させた。精製されたSARS2 D614Gスパイクタンパク質を、AvidityからのBirA500ビオチン化キットを使用してビオチン化した。50ugのスパイクタンパク質に、5ugのBirA、ならびに11uLのBiomixAおよびBiomixBを添加した。ビオチン化反応中の最終スパイクタンパク質濃度は、約1uMであった。反応を16時間、4℃で放置して進行させた。その後、1×PBS pH7.4で事前に平衡した2本のZebaスピンカラムを使用してタンパク質を脱塩した。
【0519】
DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1およびACE-2についてのフローサイトメトリー解析
DC-SIGN、L-SIGN、SIGLEC1またはACE2を発現するHEK 293T細胞を4×10細胞/mLで再懸濁させ、ウェルあたり100μLをV底96ウェルプレート(Corning、3894)に播種した。プレートを2,000rpmで5分間、遠心分離し、PBS(pH7.4)で洗浄した。Ghost violet 510細胞生死判定用色素(Cell Signaling、カタログ番号13-0870-T100、1:1,000希釈)を含有する200μLのPBSに細胞を再懸濁させ、15分間、氷上でインキュベートし、その後、洗浄した。1:100希釈の一次抗体:マウス抗DC/L-SIGN(Biolegend、カタログ番号845002)、ウサギ抗DC-SIGN(Cell Signaling、カタログ番号13193)、マウス抗SIGLEC1(Biologend、カタログ番号346002)またはヤギ抗ACE2(R&D Systems、カタログ番号AF933)、を含有するPBS中の0.5%BSA(Sigma-Aldrich)を用いて調製した100μLのFACS緩衝液に、細胞を再懸濁させた。氷上での1時間のインキュベーション後、細胞を2回洗浄し、1:200希釈のAlexa Fluor-488標識二次抗体:ヤギ抗マウス(Invitrogen カタログ番号A11001)、ヤギ抗ウサギ(Invitrogen カタログ番号A11008)またはロバ抗ヤギ(Invitrogen カタログ番号A11055)、を含有するFACS緩衝液に再懸濁させた。氷上での45分間のインキュベーション後、細胞を200μLのFACS緩衝液で3回洗浄し、200μLの4%PFA(Alfa Aesar)で15分間、室温で固定した。細胞を3回洗浄し、200μLのFACS緩衝液に再懸濁させ、CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用してフローサイトメトリーにより解析した。
【0520】
SARS-CoV-2スパイクおよびRBDの細胞への結合のフローサイトメトリー
ビオチン化SARS-CoV-2スパイクD614Gタンパク質(Spikebiotin、自社で生成)またはビオチン化SARS-CoV-2スパイク受容体結合ドメイン(RBDbiotin、Sino Biological、40592-V08B)を、Alexa Fluor(登録商標)647ストレプトアビジン(AF647-strep、Invitrogen、S21374)とともに、体積比1:20で20分間、室温でインキュベートした。その後、標識タンパク質をさらなる使用まで4℃で保管した。細胞をTrpLE Express(Gibco、12605-010)で解離させ、10細胞を96ウェルV底プレート(Corning、3894)の各ウェルに移した。細胞をフローサイトメトリー緩衝液(PBS中の2%FBS(Ca/Mg不含))で2回洗浄し、20μg/mlの最終濃度のSpikebiotin-AF647-strep、または7.5μg/mlの最終濃度のRBDbiotin-AF647-strepで、1時間、氷上で染色した。染色された細胞をフローサイトメトリー緩衝液で2回洗浄し、1%PFA(Electron Microscopy Sciences、15714-S)に再懸濁させ、Cytoflex LX(Beckman Coulter)で解析した。
【0521】
SARS-CoV-2特異的mAbの組換え発現。
ヒトmAbを、前に記載したようにSARS-CoV-2免疫ドナーの形質細胞またはメモリーB細胞から単離した。組換え抗体をExpiCHO細胞において37℃および8%COで発現させた。ExpiFectamineを使用して、細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの1日後に、トランスフェクト細胞にExpiCHO FeedおよびExpiFectamine CHO Enhancerを補充した。トランスフェクションの8日後に細胞培養上清を収集し、0.2μmフィルターに通して濾過した。5mL HiTrap(商標)MabSelect(商標)PrismAカラムを使用してAKTAxpress FPLCデバイスで組換え抗体を親和性精製し、続いてHiPrep 26/10脱塩カラムを使用してヒスチジン緩衝液(20mMヒスチジン、8%スクロース、pH6)への緩衝液交換を行った。
【0522】
ハムスターにおけるSARS-CoV-2感染モデル
ウイルス調製
本研究で使用したSARS-CoV-2株、BetaCov/Belgium/GHB-03021/2020(EPI ISL 109 407976|2020-02-03)は、2020年2月に中国の武漢から帰国した、RT-qPCRで確認された無症候の患者から採取した、鼻咽頭スワブから回収した。原型的なWuhan-Hu-1 2019-nCoV(GenBank受託112番号MN908947.3)株との近縁を系統発生解析により確認した。感染性ウイルスをHuH7およびVero E6細胞での連続継代により単離し、継代6のウイルスをここで記載する研究に使用した。ウイルスストックの力価を、ReedおよびMuenchの方法によるVero E6細胞での終点希釈により決定した。
【0523】
細胞
Vero E6細胞(アフリカミドリザル腎臓、ATCC CRL-1586)を、10%ウシ胎児血清(Integro)と1%L-グルタミン(Gibco)と1%重炭酸塩(Gibco)とを補充した最小必須培地(Gibco)で培養した。10%ではなく2%ウシ胎児血清を含有する培地で、終点力価測定を行った。
【0524】
ハムスターにおけるSARS-CoV-2感染モデル
SARS-CoV-2のハムスター感染モデルは、前に記載した。特定の研究設計を下に概略的に示す。手短に言えば、野生型シリアンゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus)をJanvier Laboratoriesから購入し、飼料および水を自由に摂取でき、ケージエンリッチメント(木製ブロック)が施されている、換気式アイソレーターケージ(IsoCage N Biocontainment System、Tecniplast)に2匹ずつ収容した。研究開始前に4日間、動物を慣れさせた。収容条件および実験手順は、KU Leuvenの動物実験倫理委員会により承認された(ライセンスP065-2020)。雌6~8週齢ハムスターをケタミン/キシラジン/アトロピンで麻酔し、2×10のTCID50のSARS-CoV-2を含有する50μLを鼻腔内接種した(0日目)。
【0525】
処置レジメン
動物に予防的処置を施した48時間後に、腹腔内投与(i.p.)により動物を感染させ、外観、行動および体重についてモニターした。感染後(p.i.)4日目に、ハムスターを500μLのDolethal(200mg/mLのペントバルビタールナトリウム、Vetoquinol SA)のi.p.注射により安楽死させた。肺を採取し、ウイルスRNAおよび感染性ウイルスを、それぞれ、RT-qPCRおよび終点ウイルス力価測定により定量した。血液試料をPK解析のために感染前に採取した。
【0526】
SARS-CoV-2 RT-qPCR
採取した肺組織を、350μLのRLT緩衝液(RNeasyMinikit、Qiagen)中でビーズ破壊(Precellys)を使用して均質化し、遠心分離(10.000rpm、5分)して細胞デブリをペレット化した。RNAを製造業者の指示に従って抽出した。50μLの溶出液のうち、4μLをRT-qPCR反応において鋳型として使用した。ヌクレオカプシドを標的とするN2プライマーおよびプローブとを備えているiTaq Universal Probes One-Step RT-qPCRキット(BioRad)を使用してLightCycler96プラットフォーム(Roche)でRT-qPCRを行った。SARS-CoV-2 cDNA(IDT)の標準物質を使用して、組織のmgあたりまたは血清のmLあたりのウイルスゲノムコピー数で表した。
【0527】
終点ウイルス力価測定
肺組織を、350μLの最小必須培地中でビーズ破壊(Precellys)を使用して均質化し、遠心分離(10,000rpm、5分、4℃)して細胞デブリをペレット化した。感染性SARS-CoV-2粒子を定量するために、96ウェルプレート内の集密Vero E6細胞で終点力価測定を行った。Lindenbach計算機を使用してReedおよびMuenchの方法によりウイルス力価を算出し、組織のmgあたりの50%組織培養感染量(TCID50)として表した。
【0528】
組織診断
組織学的検査のために、肺を一晩、4%ホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋した。ヘマトキシリンおよびエオシンでの染色後に組織切片(5μm)を分析し、専門の病理学者が盲検的に肺損傷についてのスコアを付けた。1~3の累積スコアの要因となるスコア付けされるパラメーターは、次のものであった:うっ血、肺胞内出血性のもの、気管支壁のアポトーシス小体、壊死性細気管支炎、血管周囲の浮腫、気管支肺炎、血管周囲炎、気管支周囲炎、および血管炎。
【0529】
ハムスター単球への免疫複合体の結合
正確なモル比(それぞれ、4:8:1)を使用してS309 mAb(wtまたはN297Aのどちらかの、ハムスターIgG)とビオチン化抗イディオタイプfab断片およびAlexa-488-ストレプトアビジンとを複合体化することにより、免疫複合体(IC)を生成した。事前に生成した蛍光ICを段階希釈し、無感作動物から得た再生したてのハムスター脾細胞と4℃で3時間、インキュベートした。その後、死細胞の排除および単球集団に対する物理的ゲーティングによる、サイトメトリーによって、細胞の結合を評価した。結果を、全単球集団のAlexa-488平均蛍光強度として表す。
【0530】
バイオインフォマティック解析
Processed Human Lung Cell Atlas(HLCA)データおよび細胞型アノテーションをGithub(github.com/krasnowlab/HLCA)からダウンロードした。SARS-CoV-2感染個体からの肺上皮および免疫細胞についての処理された単一細胞トランスクリプトームデータおよびアノテーションを、NCBI GEOデータベース(ID:GSE158055)およびGithub(github.com/zhangzlab/covid_balf)からダウンロードした。Liaoらによる第2の単一細胞トランスクリプトームの研究からの入手可能な配列データを、ウイルスRNAに対応する読み取りデータの点検のためにNCBI SRA(ID:PRJNA608742)からダウンロードした。ゲノムRNAに対するsgRNAの割合を、リーダー-TRS接合部を裏付けるTRS含有読み取りデータを計数することにより推定した。リーダー-TRS接合部読み取りデータの検出のための基準および方法は、Alexandersen et al. The viral genome reference and TRS annotation was based on Wuhan-Hu-1 NC_045512.2/MN90894749から抜粋した。重症COVID-19を有する個体からの2つの試料にのみ、検出可能なリーダー-TRS接合部読み取りデータがあった(SRR11181958、SRR11181959)。
【0531】
上記の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を得ることができる。2020年5月8日に出願された米国特許出願第63/022,392号、2020年5月13日に出願された米国特許出願第63/024,372号、2020年5月20日に出願された米国特許出願第63/027,814号、2020年5月22日に出願された米国特許出願第63/029,338号、2020年5月28日に出願された米国特許出願第63/031,286号、2020年6月1日に出願された米国特許出願第63/033,045号、2020年6月9日に出願された米国特許出願第63/036,683号、2020年6月16日に出願された米国特許出願第63/039,939号、2020年6月30日に出願された米国特許出願第63/046,465号、2020年7月28日に出願された米国特許出願第63/057,767号、2020年10月12日に出願された米国特許出願第63/090,667号、2020年11月13日に出願された米国特許出願第63/113,450号、2021年2月25日に出願された米国特許出願第63/153,784号、および2021年4月2日に出願された米国特許出願第63/170,368号を含む、本明細書で言及するおよび/または本出願データシートに列挙する米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許公表文献の全ては、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。様々な特許、出願および公表文献の概念を利用するために必要に応じて実施形態の態様を変更して、またさらなる実施形態を得ることができる。
【0532】
上記の詳細な説明に照らして、これらおよび他の変更を実施形態に加えることができる。一般に、下記の特許請求の範囲において使用する用語は、本特許請求の範囲を、本明細書および本特許請求の範囲で開示する特定の実施形態に限定するように解釈すべきでなく、当該特許請求の範囲に権利がある均等物の全範囲とともに全ての可能な実施形態を含むように解釈すべきである。したがって、本特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
図1A
図1B
図1C
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図2
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図7-2】
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図15-1】
図15-2】
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図86-1】
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図100
【配列表】
2023525039000001.app
【国際調査報告】