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特表2023-525043ニューロパチーの処置のための方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】ニューロパチーの処置のための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20230607BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20230607BHJP
   A61N 1/08 20060101ALI20230607BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
A61N1/08
A61M37/00 514
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567519
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 US2021031337
(87)【国際公開番号】W WO2021226486
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】63/022,258
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511226580
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ メイン システム ボード オブ トラスティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】タウンゼント, クリスティ リン
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ローズマリー リリアン
(72)【発明者】
【氏名】ブラツィキーヴィチ, マグダレナ
【テーマコード(参考)】
4C053
4C267
【Fターム(参考)】
4C053BB13
4C053BB24
4C053JJ32
4C053JJ33
4C053JJ36
4C267AA71
4C267BB06
4C267BB23
4C267BB42
4C267BB62
4C267CC05
4C267GG21
4C267GG22
(57)【要約】
本明細書では、末梢ニューロパチーの評価、診断、防止、および処置のための方法、デバイス、およびシステムが開示される。数ある中でも、例えば、本明細書に記載されるシステム、デバイス、および方法は、本明細書に開示される様々な疾患、障害、または状態、例えばニューロパチーの、早期の正確な検出および処置の課題の少なくとも一部を特定し、それに対処する。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび方法は、ポータブルであり、使用し易く、無線であり、診療所、クリニックまたは最終的には自宅で投与することができ、また、正確な、特異的な、非侵襲的な、痛みがなく、送達し易く、早期に開始されるニューロパチーの診断および処置システムが現在存在しないため、現在の市場の空白を埋めることができるはずである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューロパチーについて対象を評価および/または処置する方法であって、
基材、および
前記基材上または前記基材を通して配置されたニードルのアレイ
を含むデバイスを、前記対象の皮膚表面上または表面下に置くステップであって、
前記ニードルの1つまたは複数が、前記ニードルの長さ全体にわたって中空であり、
前記アレイが、前記アレイの少なくとも1つの中空ニードルを通して流体輸送を可能にするように構成されており、
前記アレイが、1つまたは複数の電気シグナルを受け取り、かつ通信するように構成されている、ステップと、
前記1つまたは複数のニードルを、前記対象の皮膚および/または皮下組織に挿入するステップであって、前記挿入されたニードルの少なくとも1つが、貫通された組織におよび/または貫通された組織から電気シグナルを伝達することができる、ステップと、
前記1つまたは複数の挿入されたニードルの少なくとも1つを使用して、対象を評価および/または処置するために、一定期間にわたって、電気測定、刺激、流体サンプリング、および1種または複数の治療剤の投与の1つまたは複数を実施するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記実施するステップが、前記1つまたは複数の挿入されたニードルの少なくとも1つを使用して、対象を評価および/または処置するために、一定期間にわたって、電気測定、刺激、流体サンプリング、および薬剤の投与の2つまたはそれよりも多くを実施することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電気測定を実施することが、神経コンダクタンスおよび/もしくは組織の電気的活動、ならびに/または局所的電場電位の尺度を得ることを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記実施された電気測定を、類似の対照電気測定と比較することによって、前記対象がニューロパチーに罹患している可能性を決定するステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
電気測定を前記期間にわたって実施する前記ステップが、
前記挿入されたニードルの少なくとも1つを介して、前記期間にわたって電位(または電流)を測定することであって、前記電位(または電流)が、参照電極に対して測定される、測定することと
前記測定された電位(または電流)と関連する神経コンダクタンスの尺度を決定することと
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
神経コンダクタンスの前記尺度が、所与の期間に測定された電位(または電流)最大値の特性周波数に基づいて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
神経コンダクタンスの前記尺度が、所与の期間に測定された電位(または電流)最大値と関連する特性電圧に基づいて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
神経コンダクタンスの前記尺度が、所与の期間に測定された前記電位(または電流)の特性電圧レベルに基づいて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
神経コンダクタンスの前記尺度が、前記アレイの挿入された各ニードルから取得した、前記測定された電位(または電流)の平均値に基づいて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
電気測定を実施することが、
前記皮膚または皮下組織内の複数の標的深度のそれぞれにおいて、前記挿入された少なくとも1つのニードルの電位(または電流)を、前記期間にわたって測定することと、
前記複数の標的深度のそれぞれについて、前記標的深度について測定された電位(または電流)と関連する神経コンダクタンスの尺度を決定することと
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の標的深度が、ニューロパチーと関連する前記皮膚および/または皮下組織内の2つまたはそれよりも多い深度を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の標的深度のそれぞれにおける神経コンダクタンスの前記尺度が、皮膚表面から内側への距離の関数として逆行性神経死の測定値を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
逆行性神経死の前記測定値が、前記複数の標的深度の1つまたは複数に1つまたは複数の治療薬の送達の尺度を提供する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
神経コンダクタンスの前記尺度が、所与の期間に測定された電位(または電流)最大値の特性周波数に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
神経コンダクタンスの前記尺度が、所与の期間に測定された電位(または電流)最大値と関連する特性電圧に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
神経コンダクタンスの前記尺度が、所与の期間に測定された前記電位(または電流)の特性電圧レベルに基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
神経コンダクタンスの前記尺度が、前記アレイの挿入された各ニードルから取得した、前記測定された電位(または電流)の平均値に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
神経コンダクタンスの前記尺度を決定する前記ステップが、
所与の期間に測定された電位(または電流)最大値の特性周波数を決定することと、
神経コンダクタンスの前記尺度を決定するために、前記特性周波数を所定の閾値周波数と比較することと
を含む、請求項5または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
神経コンダクタンスの前記尺度を決定する前記ステップが、
所与の期間に測定された電位(または電流)最大値と関連する特性値を決定することと、
神経コンダクタンスの前記尺度を決定するために、前記特性値を所定の閾値の値と比較することと
を含む、請求項5または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記特性値が、前記所与の期間中に測定された電位(または電流)の1つまたは複数の最大値の平均値である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
神経コンダクタンスの前記尺度を決定する前記ステップが、
所与の期間に測定された前記電位(または電流)の特性電圧(または電流)レベルを決定することと、
神経コンダクタンスの前記尺度を決定するために、前記特性電圧(または電流)レベルを所定の閾値の値と比較することと
を含む、請求項5または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
神経コンダクタンスの前記尺度を決定する前記ステップが、
所与の期間に測定された前記電位(または電流)の特性振幅を決定することと、
神経コンダクタンスの前記尺度を決定するために、前記特性振幅を所定の閾値の値と比較することと
を含む、請求項5または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
神経コンダクタンスの前記尺度を決定する前記ステップが、
所与の期間に測定された前記電位(または電流)におけるニューロン発火の特性パターンを決定することと、
神経コンダクタンスの前記尺度を決定するために、ニューロン発火の前記特性パターンを所定の閾値パターンと比較することと
を含む、請求項5または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記実施するステップが、
前記1つまたは複数の挿入されたニードルを使用して、前記皮膚および/または皮下組織から前記対象の間質液をサンプリングすることと、
前記サンプリングされた間質液の特質に少なくとも部分的に基づいて、前記対象の疾患の進行状況を決定することと
を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象に前記1種または複数の治療剤を投与することが、疾患の進行を逆転させるおよび/または防止する、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記1種または複数の治療剤が、薬理学的阻害剤、成長因子、遺伝子治療剤、薬物、生物製剤、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記対象に前記1種または複数を治療剤の投与することが、前記対象の皮膚および/または皮下組織に前記1種または複数の治療剤を提供することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記刺激が、前記対象の皮膚または皮下組織を電気的に刺激して、疾患の進行を防止するおよび/または逆転させることによって達成される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
温度調節による前記刺激が、前記対象の皮膚および/または皮下組織を冷却することを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記冷却することが、氷、熱電冷却器などを使用して実施される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記刺激が、前記対象の皮膚および/または皮下組織を機械的に刺激することによって達成される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記刺激することが、機械的振動を提供し、それによって、前記1つまたは複数の挿入されたニードルの近傍の筋肉および/または他の組織を機械的に刺激して神経再成長を刺激するための手段を使用することで実施される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記対照電気測定が、対照である健康な対象、疾患の進行のより早期に採取された患者データ試料から、または前記対象の身体上の組織の健康な領域から得られる、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記所定の閾値周波数が、健康な対象から得られる、請求項18に記載の方法。
【請求項35】
前記所定の閾値の値が、健康な対象から得られる、請求項19、21、または22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記所定の閾値パターンが、健康な対象から得られる、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
対象のニューロパチーを評価、診断、防止、および/または処置するためのシステムであって、
基材、および
前記基材上または前記基材を通して配置されたニードルのアレイ
を含むデバイスであって、
前記ニードルの1つまたは複数が、前記ニードルの長さ全体にわたって中空であり、
前記アレイが、前記アレイの少なくとも1つの中空ニードルを通して流体輸送を可能にするように構成されており、
前記アレイが、1つまたは複数の電気シグナルを受け取り、かつ通信するように構成されている、デバイスと、
前記デバイスの少なくとも1つの中空ニードルに流体連結されている、流体流を提供するための手段と、
前記デバイスからデータを受け取り、前記デバイスを制御するように構成されている、1つまたは複数のデジタルプロセッサーおよび関連エレクトロニクスと
を含む、システム。
【請求項38】
前記システムに電力を供給するためのバッテリーをさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
データを操作デバイスにおよび操作デバイスから無線で交換するための無線伝達モジュールをさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
PCカードおよび/または増幅器をさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項41】
前記プロセッサーが、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、請求項37に記載のシステム。
【請求項42】
流体流を提供するための前記手段が、機械式ポンプおよび/またはシリンジポンプであるか、またはそれを含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項43】
前記プロセッサーが、前記対象がニューロパチーに罹患しているという前記プロセッサーによる決定に応答して、前記デバイスの中空ニードルを介して、前記対象の皮膚および/または皮下組織に流体を自動的に提供するように構成されており、前記流体が、1種または複数の治療剤を含む、請求項37~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
基材、および
前記基材上または前記基材を通して配置されたニードルのアレイ
を含むデバイスであって、
前記ニードルの1つまたは複数が、前記ニードルの長さ全体にわたって中空であり、
前記アレイが、前記アレイの少なくとも1つの中空ニードルを通して流体輸送を可能にするように構成されており、
前記アレイが、1つまたは複数の電気シグナルを受け取り、かつ通信するように構成されている、
デバイス。
【請求項45】
前記アレイの1つまたは複数のニードルが、ステンレス鋼、ケイ素、白金、金、銀、銅、任意の導電性金属、またはそれらの任意の組合せであるか、またはそれを含む、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記アレイの1つまたは複数のニードルが、上皮、真皮、または皮膚のさらに下に(例えば、脂肪または筋組織などに)まで皮膚を貫通するための第1のコーティングをさらに含む、請求項44または45のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項47】
前記アレイの1つまたは複数のニードルが、電気シグナルを絶縁するための第2のコーティングをさらに含む、請求項44~46のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項48】
2つまたはそれよりも多くのコーティングを含む、請求項44~47のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項49】
前記アレイの前記1つまたは複数のニードルが、導電性材料でコーティングされている、請求項44~48のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項50】
前記アレイの1つまたは複数のニードルが、導電性材料で少なくとも部分的に充填されている、請求項44~49のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項51】
前記導電性材料が、ステンレス鋼、ケイ素、白金、金、銀、銅、ポリマー、任意の金属、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項49または50のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項52】
前記流体輸送が、双方向的であり得る、請求項44~51のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項53】
前記流体輸送が、前記デバイスと、対象の皮膚、間質液、および/または皮下組織の1つまたは複数との間に存在する、請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記ニードルの1つまたは複数が、刺激電極である、請求項44~53のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項55】
1つまたは複数のニードルが、参照電極または接地電極である、請求項44~54のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項56】
前記1つまたは複数のニードルが、中空の開口部を通して導電性ワイヤーを含む、請求項44~55のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項57】
前記ニードルが、マイクロニードルである、請求項44~56のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項58】
前記アレイの1つまたは複数のニードルが、非導電性材料であるか、またはそれを含み、前記1つまたは複数のニードルが、導電性材料で少なくとも部分的に充填またはコーティングされている、請求項44~57のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項59】
1つまたは複数のニードルの長さが、対象の皮膚および/または皮下組織内の標的深度での電気測定、およびその標的深度への治療薬の送達を可能にするように構成されている、請求項44~58のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項60】
少なくとも2つまたはそれよりも多いニードルが、異なる長さである、請求項59に記載のデバイス。
【請求項61】
前記ニードルの長さが、10μm~12mmの間である、請求項59または60のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項62】
前記ニードルの外径が、100μmまたはそれよりも大きい、請求項59に記載のデバイス。
【請求項63】
前記ニードルの内径が、10μmまたはそれよりも大きい、請求項59に記載のデバイス。
【請求項64】
前記基材および/またはアレイが、対象の皮膚および/または皮下組織への1つまたは複数のニードルの貫通深度の調整を可能にし、それによって、前記対象の皮膚および/または皮下組織内の複数の標的深度で測定および/または処置を可能にするように構成されている、請求項44~63のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項65】
1つまたは複数のニードルの前記貫通深度が、調整可能なスペーサーを使用して構成されている、請求項64に記載のデバイス。
【請求項66】
冷却機構をさらに含む、請求項44~65のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項67】
刺激機構をさらに含む、請求項44~66のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項68】
前記刺激機構が、電気的であり、電気的刺激が、最大刺激に必要とされるよりもおよそ20%高い電圧/電流の施与によって達成される、請求項67に記載のデバイス。
【請求項69】
前記刺激機構が、機械的である、請求項67に記載のデバイス。
【請求項70】
前記機械的刺激が、振動によって達成される、請求項69に記載のデバイス。
【請求項71】
前記刺激機構が、温度調節によるものである、請求項67に記載のデバイス。
【請求項72】
前記基材が、可撓性バッキングであるか、またはそれを含む、請求項44~71のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項73】
3Dプリントされるか、またはその他の方法で製作される、請求項44~72のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項74】
前記基材が、正方形、長方形、または様々な身体部分の湾曲に適合するのに適した他の形状である、請求項44~73のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項75】
前記基材が、少なくとも1平方インチの表面積を有する、請求項44~74のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項76】
前記基材が、最大8インチの少なくとも1つの寸法を有する、請求項72に記載のデバイス。
【請求項77】
神経コンダクタンスの前記尺度が、所与の期間に測定された電流の特性振幅に基づいて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項78】
神経コンダクタンスの前記尺度が、所与の期間に測定された電流の特性振幅に基づいて決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項79】
神経コンダクタンスの前記尺度を決定する前記ステップが、
所与の期間に測定された電流の特性振幅を決定することと、
神経コンダクタンスの前記尺度を決定するために前記特性振幅を所定の閾値振幅と比較することと
を含む、請求項5または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
神経コンダクタンスの前記尺度が、局所的電場電位の前記尺度に基づいて決定される、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
神経コンダクタンスの前記尺度が、電流パルスの周波数(例えば、電気的スパイク(例えば、電流スパイク))に基づいて決定される、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
対象の神経健康、神経機能、および/または神経再成長を評価する方法であって、
基材、および
前記基材上または前記基材を通して配置されたニードルのアレイ
を含むデバイスを、前記対象の皮膚表面上または表面下に置くステップであって、
前記ニードルの1つまたは複数が、前記ニードルの長さ全体にわたって中空であり、
前記アレイが、前記アレイの少なくとも1つの中空ニードルを通して流体輸送を可能にするように構成されており、
前記アレイが、1つまたは複数の電気シグナルを受け取り、かつ通信するように構成されている、ステップと、
前記1つまたは複数のニードルを、前記対象の皮膚および/または皮下組織に挿入するステップであって、前記挿入されたニードルの少なくとも1つが、貫通された組織におよび/またはその組織から電気シグナルを伝達することができる、ステップと
前記1つまたは複数の挿入されたニードルの少なくとも1つを使用して、対象を評価および/または処置するために、一定期間にわたって、電気測定、刺激、流体サンプリング、および1種または複数の治療剤の投与の1つまたは複数を実施するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる2020年5月8日出願の米国仮出願第63/022,258号に基づく優先権を主張している。
【背景技術】
【0002】
背景
末梢ニューロパチー(PN)は、脳および脊髄からおよびそれらへ、身体のその他の部分からおよびその部分へメッセージを伝える神経が、損傷を受けているかまたは罹患している場合にもたらされる状態を指す。推定3000万のアメリカ人が、この痛みを伴う衰弱性の疾患に罹患しており、この疾患は、皮膚において始まり、体内へと移動し、疼痛、感覚消失、知覚麻痺、およびさらには四肢切断を含む複雑な一連の症状を引き起こす、遠位神経からの進行性の逆行性神経死(dying back)を特徴とする。これらの劇的な臨床転帰は、ニューロパチーの早期のまたは十分に高感度な診断を提供することができない標準未満の診断ツールに起因することが多い。ある特定の末梢ニューロパチーについては、早期のかつ/またはより高感度/機能的な診断により、介入がさらなる減退を防止できるようになる。
【0003】
現在、PNの治癒法はなく、処置は、主に対症的である(例えば、疼痛緩和のための鎮痛剤)。しかし、早期の検出およびモニタリングにより、現在研究中の新規な処置を用いてニューロパチーの進行を停止させ、疾患を潜在的に逆転させる介入の可能性が得られる。新しい治療が入手可能になり、使用されると、神経回復および再成長のモニタリングも臨床的に必要である。したがって、PNの早期の診断、モニタリング、防止、および処置のための改善された診断システムおよび方法が、依然として必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本明細書では、疾患をより良く制御することを目標として、とりわけ、ニューロパチーの早期に開始される、高感度な、かつ/または機能的な検出を提供することができる生物医学的デバイスに関するシステム、方法、およびデバイスが提示される。臨床的進行中のニューロパチー(疾患は時間と共に退行する)の早期検出により、臨床医は、公知の場合のニューロパチーの原因を軽減することが可能になる(例えば、糖尿病のためのグルコース調節、化学療法薬の中断または切替え、ニューロパチー性化学物質を含み得る環境の改善、自己免疫疾患の処置など)。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、ニューロパチーの急速なまたはより速い検出を可能にし、これにより、臨床医には、さらなる減退を介入が防止できるようにするより迅速な診断時間が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムは、例えば、特に小径自由神経線維について、ニューロパチーの正確な、早期の、かつ/または機能的な検出を提供するだけでなく、疾患の防止および処置のための処置(例えば、治療剤、刺激)の送達も可能にする(例えば、経皮送達を介して、例えば、本明細書に記載されるアレイの少なくとも一部のニードルを介して)、「診断治療(theragnostic)」(治療および診断)システムとして利用され得る。さらに一部の実施形態では、本明細書に記載されるデバイスは、例えば、神経再成長を刺激し、および/または疼痛を制御するための処置の送達を可能にする。本明細書に記載されるアレイのニードルが到達する皮膚および下層組織層を標的とした他の処置を、同じ患者の他のまたは関連の病状を処置するために送達することもできるだろう。様々な実施形態に従って提供されるシステムは、特定の疾患、障害または状態の、相対的に痛みがない非侵襲的な検査、診断、およびさらには処置を可能にし得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法、デバイス、およびシステムは、生物学的試料の収集、処置、例えば治療剤および神経刺激の送達、ならびに神経再成長のモニタリングを促進する。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法、システム、および/またはデバイスは、医学的介入後(例えば、神経移植、治療剤投与後、または神経刺激後)の神経再成長、ならびに/または目的の疾患、障害もしくは状態に対応する症状の進行および/もしくは退行をモニタリングするために使用され得る。ニューロパチーの文脈では、このような診断および/または介入の潜在的可能性は、数百万人の患者のクオリティオブライフを改善し、したがって鎮痛薬、ニューロパチー関連傷害、および四肢切断にかかる医療費を抑えることができる。また、改善された検出および診断により、臨床医は、患者との意思疎通および検査における時間と費用を抑えることができる。
【0005】
数ある中でも、例えば、本明細書に記載されるシステム、デバイス、および方法は、本明細書に開示される様々な疾患、障害、または状態、例えばニューロパチーの、早期の正確な検出および処置の課題の少なくとも一部を特定し、それに対処する。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび方法は、ポータブルであり、使用し易く、無線であり、診療所、クリニックまたは最終的には自宅で投与することができ、また、正確な、特異的な、非侵襲的な、痛みがなく、送達し易く、早期に開始されるニューロパチーの診断および処置システムが現在存在しないため、現在の市場の空白を埋めることができるはずである。また、神経完全性の機能的および定量的な、偏りのないアセスメントを提供することによって、他のニューロパチー検査の大半がそうであるように、主観的な患者の自己申告をなくすことも臨床医にとって有益である。この検査プラットフォームはさらに、ポータブルであり、低価格であり、使い捨てであり(例えば、アレイだけ)、操作し易く、迅速である(例えば、平均5~10分の検査時間)ことによって、臨床検査を改善する。
【0006】
一態様では、本開示は、ニューロパチーについて対象を評価および/もしくは処置し、ならびに/または対象の神経健康、神経機能および/もしくは神経再成長を評価する方法を提供する。一部の実施形態では、このような方法は、デバイス(例えば、本明細書に開示される)を、対象の皮膚表面上または表面下に置くステップと、デバイスの1つまたは複数のニードルを、対象の皮膚および/または皮下組織に挿入するステップと、1つまたは複数の挿入されたニードルの少なくとも1つを使用して、対象を評価および/または処置するために、一定期間にわたって、電気測定、刺激(例えば、機械的刺激、熱的刺激など)、流体サンプリング、および1種または複数の治療剤の投与の1つまたは複数を実施するステップを含み得る。一部の実施形態では、方法は、実施された電気測定を、類似の対照電気測定と比較することによって、対象がニューロパチーに罹患している可能性を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、対照電気測定は、対照である健康な対象、疾患の進行のより早期に採取された患者データ試料から、または対象の身体上の組織の健康な領域から得られる。
【0007】
一部の実施形態では、実施するステップは、電気測定、刺激、流体サンプリング、および薬剤の投与の2つまたはそれよりも多くを実施することを含む。一部の実施形態では、例えば、このステップは、1つまたは複数の挿入されたニードルの少なくとも1つを使用して、対象を評価および/または処置するために、一定期間にわたって実施される。一部の実施形態では、電気測定を実施することは、神経コンダクタンスおよび/もしくは組織の電気的活動、ならびに/または局所的電場電位(例えば、細胞外記録)の尺度を得ることを含む。一部の実施形態では、例えば、1つまたは複数の挿入されたニードルは、その長さの一区間(例えば、ニードルの内部または外部)から記録される。一部の実施形態では、1つまたは複数の挿入されたニードルは、その先端から記録される(例えば、絶縁材料でコーティングされている場合)。一部の実施形態では、1つまたは複数の挿入されたニードルは、ニードルの長さ全体から記録される。一部の実施形態では、ニードルは、識別可能な電気シグナルを提供するために、アレイにおいて互いに任意の距離で存在し得る。
【0008】
一部の実施形態では、電気測定をその期間にわたって実施するステップは、挿入されたニードルの少なくとも1つを介して、その期間にわたって電位(または電流)を測定することと(ここで、電位(または電流)は、参照電極に対して測定される)、測定された電位(または電流)と関連する神経コンダクタンスの尺度を決定することとを含む。一部の実施形態では、電気測定を実施することは、皮膚または皮下組織内の複数の標的深度のそれぞれにおいて、挿入された少なくとも1つのニードルの電位(または電流)を、一定期間にわたって測定することと、複数の標的深度のそれぞれに関して、標的深度について測定された電位(または電流)と関連する神経コンダクタンスの尺度を決定することとを含む。一部の実施形態では、複数の標的深度は、ニューロパチーと関連する皮膚および/または皮下組織内の2つまたはそれよりも多い深度を含む。
【0009】
一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、所与の期間に測定された電位(または電流)最大値の特性周波数に基づいて決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、所与の期間に測定された電流の特性振幅に基づいて決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、所与の期間に測定された電位(または電流)最大値と関連する特性電圧に基づいて決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、所与の期間に測定された電位(または電流)の特性電圧レベルに基づいて決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、アレイの挿入された各ニードルから取得した、測定された電位(または電流)の平均値に基づいて決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、所与の期間に測定された電位(または電流)最小値の特性周波数に基づいて決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、所与の期間に測定された電位(または電流)最小値と関連する特性電圧に基づいて決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、電圧または電流パルス率(例えば、所与の期間の)に基づいて決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、電圧または電流パルス振幅(例えば、所与の期間の)に基づいて決定される。一部の実施形態では、複数の標的深度のそれぞれにおける神経コンダクタンスの尺度は、皮膚表面から内側への距離の関数としての、逆行性神経死の測定値を含む。一部の実施形態では、逆行性神経死の測定値は、複数の標的深度の1つまたは複数に1つまたは複数の治療薬の送達の尺度を提供する。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、所与の期間にわたる(例えば、時間的シグネチャー)、列を成して発火する電気的スパイク列(例えば、スパイク列)によって決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、所与の期間にわたる(例えば、時間的シグネチャーの期間)、列を成して発火する連続電気的スパイク(例えば、スパイク列)間の持続時間によって決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、所与の期間にわたる(例えば、時間的シグネチャーの平均期間)、列を成して発火する連続電気的スパイク(例えば、スパイク列)間の平均持続時間によって決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度は、所与の期間にわたる電気的活動のバースト(例えば、電気的スパイク、または電圧、電流、周波数などの変化)によって決定される。一部の実施形態では、神経機能の尺度は、所与の期間にわたる局所的電場電位(LFP)の測定によって決定される。
【0010】
一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度を決定するステップは、所与の期間に測定された電位(または電流)最大値の特性周波数を決定することと、神経コンダクタンスの尺度を決定するために特性周波数を所定の閾値周波数と比較することとを含む。一部の実施形態では、所定の閾値周波数は、健康な対象から得られる。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度を決定するステップは、所与の期間に測定された電位(または電流)最大値と関連する特性値を決定することと、神経コンダクタンスの尺度を決定するために、特性値を所定の閾値の値と比較することとを含む。一部の実施形態では、特性値は、所与の期間中に測定された電位(または電流)の1つまたは複数の最大値の平均値である。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度を決定するステップは、所与の期間に測定された電位(または電流)の特性電圧(または電流)レベルを決定することと、神経コンダクタンスの尺度を決定するために、特性電圧(または電流)レベルを所定の閾値の値と比較することとを含む。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度を決定するステップは、所与の期間に測定された電位(または電流)の特性振幅を決定することと、神経コンダクタンスの尺度を決定するために、特性振幅を所定の閾値の値と比較することとを含む。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度を決定するステップは、所与の期間に測定された電位(または電流)における、活動電位の特性形状、化合物の活動電位の持続時間、興奮性電位、または電気的活動の波を決定することを含む。一部の実施形態では、所定の閾値の値は、健康な対象から得られる。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度を決定するステップは、所与の期間に測定された電位(または電流)におけるニューロン発火の特性パターンを決定することと、神経コンダクタンスの尺度を決定するために、ニューロン発火の特性パターンを所定の閾値パターンと比較することとを含む。一部の実施形態では、所定の閾値パターンは、健康な対象から得られる。一部の実施形態では、神経コンダクタンスの尺度を決定するステップは、電気的活動が記録される組織深度を決定することを含む。
【0011】
一部の実施形態では、実施するステップは、1つまたは複数の挿入されたニードルを使用して、皮膚および/または皮下組織から対象の間質液をサンプリングすることと、サンプリングされた間質液の特質に少なくとも部分的に基づいて、対象の疾患の進行状況を決定することとを含む。
【0012】
一部の実施形態では、実施するステップは、1つまたは複数の挿入されたニードルの少なくとも1つを使用して、対象を評価および/または処置するために、一定期間にわたって、1種または複数の治療剤を投与することを含む。一部の実施形態では、対象へ1種または複数の治療剤を投与することは、疾患の進行を逆転させるおよび/または防止する。一部の実施形態では、対象へ1種または複数の治療剤を投与することは、対象の皮膚および/または皮下組織に1種または複数の治療剤を提供することを含む。
【0013】
一部の実施形態では、1種または複数の治療剤は、薬理学的阻害剤、成長因子、遺伝子治療剤、薬物、生物製剤(biological)、またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0014】
一部の実施形態では、実施するステップは、1つまたは複数の挿入されたニードルの少なくとも1つを使用して、対象を評価および/または処置するために、一定期間にわたって刺激する(例えば、1つまたは複数の神経を)ことを含む。一部の実施形態では、刺激は、対象の皮膚または皮下組織を電気的に刺激して、疾患の進行を防止するおよび/または逆転させることによって達成される。一部の実施形態では、温度調節による刺激は、対象の皮膚および/または皮下組織を加熱または冷却することを含む。一部の実施形態では、冷却することは、氷、熱電冷却器などを使用して実施される。一部の実施形態では、加熱することは、加熱パッドなどを使用して実施される。一部の実施形態では、刺激は、対象の皮膚および/または皮下組織を機械的に刺激することによって達成される。一部の実施形態では、刺激するステップは、機械的振動を提供し、それによって、1つまたは複数の挿入されたニードルの近傍の筋肉および/または他の組織を機械的に刺激して神経再成長を刺激するための手段を使用することで実施される。
【0015】
別の態様では、本開示は、対象のニューロパチーを評価、診断、防止、および/または処置するためのシステムであって、デバイスと、流体流を提供するための手段と、デバイスからデータを受け取り、デバイスを制御するように構成されている1つまたは複数のプロセッサー(例えば、デジタルプロセッサー)および関連エレクトロニクスとを含む、システムを提供する。一部の実施形態では、1つまたは複数のプロセッサー(例えば、デジタルプロセッサー)および関連エレクトロニクスは、デバイスから受け取ったデータをフィルター/処理するように構成されている。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、システムに電力を供給するためのバッテリーをさらに含む。一部の実施形態では、システムは、例えば、Wi-Fiおよび/またはBluetooth(登録商標)によって、データを操作デバイスにおよび操作デバイスから無線で交換するための無線伝達モジュールをさらに含む。一部の実施形態では、システムは、PCカードおよび/または増幅器をさらに含む。
【0016】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるデバイスは、流体流を提供するための手段を含み得る。一部の実施形態では、流体流を提供するための手段は、機械式ポンプおよび/またはシリンジポンプであるか、またはそれを含む。例えば、一部の実施形態では、流体流を提供するための手段は、デバイスの少なくとも1つの中空ニードルに流体連結されている。
【0017】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムのプロセッサーは、本明細書に開示されるいずれか1つまたは複数の方法を実施するように構成されている。一部の実施形態では、プロセッサーは、対象がニューロパチーに罹患しているというプロセッサーによる決定に応答して、デバイスの中空ニードルを介して、対象の皮膚および/または皮下組織に流体を自動的に提供するように構成されている。一部の実施形態では、流体は、1種または複数の治療剤を含む。
【0018】
別の態様では、本開示は、基材、および基材上または基材を通して配置されたニードルのアレイを含むデバイスを提供する。一部の実施形態では、アレイの1つまたは複数のニードルは、ニードルの長さ全体にわたって中空である。一部の実施形態では、本明細書に開示されるアレイは、アレイの少なくとも1つの中空ニードルを通して流体輸送を可能にするように構成されている。一部の実施形態では、本明細書に開示されるアレイは、1つまたは複数の電気シグナルを受け取り、かつ通信するように構成されている。一部の実施形態では、アレイのニードルの少なくとも1つ(例えば、挿入されたニードル)は、電気シグナルを、対象(例えば、対象の貫通された組織)に、および/またはその対象から伝達することができる。
【0019】
一部の実施形態では、少なくとも2つまたはそれよりも多くのニードルは、異なる長さである。一部の実施形態では、ニードルの長さは、10μm~12mmの間である。一部の実施形態では、アレイの1つまたは複数のニードルは、マイクロニードルである。一部の実施形態では、ニードルの外径は、100μmまたはそれよりも大きい。一部の実施形態では、ニードルの内径は、10μmまたはそれよりも大きい。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルの長さは、電気測定を可能にするように構成されている。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルの長さは、対象の皮膚および/または皮下組織内の標的深度への治療薬の送達を可能にするように構成されている。
【0020】
一部の実施形態では、本明細書に開示される基材および/またはアレイは、対象の皮膚および/または皮下組織への1つまたは複数のニードルの貫通深度の調整を可能にし、それによって、対象の皮膚および/または皮下組織内の複数の標的深度で測定および/または処置を可能にするように構成されている。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルの貫通深度は、調整可能なスペーサーを使用して構成されている。一部の実施形態では、基材は、可撓性バッキングであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、基材は、正方形、長方形、または様々な身体部分の湾曲に適合するのに適した他の形状である。一部の実施形態では、基材は、少なくとも1平方インチの表面積を有する。一部の実施形態では、基材は、最大8インチの少なくとも1つの寸法を有する。
【0021】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるアレイの1つまたは複数のニードルは、ステンレス鋼、ケイ素、白金、金、銀、銅、任意の導電性金属、またはそれらの任意の組合せであるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、アレイの1つまたは複数のニードルは、上皮、真皮、または皮膚のさらに下に(例えば、脂肪または筋組織などに)まで皮膚を貫通するための第1のコーティングをさらに含む。一部の実施形態では、アレイの1つまたは複数のニードルは、電気シグナルを絶縁するための第2のコーティングをさらに含む。一部の実施形態では、アレイの1つまたは複数のニードルは、2つまたはそれよりも多くのコーティングを含む。一部の実施形態では、アレイの1つまたは複数のニードルは、導電性材料でコーティングされている。一部の実施形態では、アレイの1つまたは複数のニードルは、導電性材料で少なくとも部分的に充填されている。一部の実施形態では、導電性材料は、ステンレス鋼、ケイ素、白金、金、銀、銅、ポリマー、任意の金属、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルは、中空の開口部を通して導電性ワイヤーを含む。一部の実施形態では、アレイの1つまたは複数のニードルは、非導電性材料であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルは、非導電性材料で少なくとも部分的に充填またはコーティングされている。
【0022】
一部の実施形態では、ニードルの1つまたは複数は、刺激電極である。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルは、参照電極または接地電極である。
【0023】
一部の実施形態では、アレイの少なくとも1つの中空ニードルを通る流体輸送は、双方向的であり得る。一部の実施形態では、流体輸送は、本明細書に開示されるデバイスと、対象の皮膚、間質液、および/または皮下組織の1つまたは複数との間に存在する。
【0024】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるデバイスは、加熱または冷却機構をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されるデバイスは、刺激機構をさらに含む。一部の実施形態では、刺激機構は、電気的である。一部の実施形態では、電気的刺激は、最大刺激に必要とされるよりもおよそ20%高い電圧/電流の施与によって達成される。一部の実施形態では、刺激機構は、機械的である。一部の実施形態では、機械的刺激は、振動によって達成される。一部の実施形態では、刺激機構は、温度調節によるものである。
【0025】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるデバイスおよび/またはシステムは、3Dプリントされるか、またはその他の方法で製作される。
【0026】
本開示の前述のおよび他の目的、態様、特色、および利点は、以下の説明を添付の図と共に参照することによって、より明らかになり、より良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1-1】図1aは、例示的な実施形態に従う、本明細書に記載される診断治療デバイス/システムの模式図である。模式図は、有線I/O(入力/出力)を有するニードルアレイを示している。
【0028】
図1-2】図1bは、例示的な実施形態に従う、本明細書に記載される診断治療デバイス/システムの模式図である。模式図は、無線I/O(入力/出力)を有するニードルアレイを示している。
【0029】
図2図2は、例示的な実施形態に従う、疾患の進行を示す模式図である。一部の実施形態では、PNは、皮下脂肪組織までに及び、皮膚内側からの逆行性神経死を伴う。皮膚を超えて下層脂肪組織までに及ぶPNは、脳と脂肪との通信の破壊に起因して、全体的代謝機能不全に寄与する。
【0030】
図3図3は、例示的な実施形態に従う、(i)肥満に伴うニューロパチー(パネルAおよびB)、および(ii)高齢化に伴うニューロパチー(パネルCおよびD)を有するヒトおよびマウスの皮下脂肪組織における、タンパク質レベルの測定値を示す。
【0031】
図4図4は、神経コンダクタンスのステンレス鋼ニードルによる記録および可溶化した材料の真皮下への送達の結果を示す。(A)本明細書に開示されるシステム(すなわち、ニードル(例えば、マイクロニードル)アレイを含む)を使用して、マウス側腹部皮膚から神経コンダクタンスを記録した。青色の縦線は、記録された化合物の活動電位を示している。(B)個々のニードルにより、マウスの皮下脂肪組織に2%エバンスブルー色素を真皮下に送達した。(C)色素により染色された鼠径部の皮下脂肪デポーの写真であり、記録されたニューロパチー欠損を有するエリアへの、記録用ニードルを介する直接的な標的化物質の送達の実行可能性を実証している。
【0032】
図5図5は、糖尿病性末梢ニューロパチーの公知の食餌誘発性および遺伝的モデルにおける、ある特定の実施形態を試験するための例示的な研究の模式図である。
【0033】
図6図6は、本明細書に開示されるデバイスとコンピューターデバイスとの間のシグナル増幅および無線通信を含むオンサイト処理における使用のためのシステムの模式図である。A.DENモジュールプロトタイプとFOX-DENソフトウェアとの間の、オンサイトシグナル増幅および有線通信の模式図。有線I/Oを有するニードルアレイが、コンピューター上のシグナル処理ハードウェアに接続されている。B.DENモジュールプロトタイプとFOX-DENソフトウェアとの間の、in situシグナル増幅および無線通信の模式図。電気的活動の記録は、Bluetooth(登録商標)またはWiFiを介してデータ処理ソフトウェア(例えば、コンピューターまたはタブレット上のアプリケーション)に伝達される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の特色および利点は、下記の詳細な説明を図面と共に解釈する場合に、より明らかになり、図の類似の参照文字は、全体にわたって対応する要素を特定している。図面では、類似の参照番号は、一般に、同一の、機能的に類似の、および/または構造的に類似の要素を示す。
定義
【0035】
本願では、文脈から別段明らかでない限り、(i)「1つの(a)」という用語は、「少なくとも1つの」を意味すると理解することができ、(ii)「または」という用語は、「および/または」を意味すると理解することができ、(iii)「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語は、項目別の成分またはステップが、それら自体によって提示されていようと、1種または複数の追加の成分またはステップと一緒に提示されていようと、それらを包含すると理解することができ、(iv)「約」および「およそ」という用語は、当業者によって理解され得る通り、標準偏差が可能であると理解することができ、(v)範囲が提供される場合、エンドポイントが含まれる。
【0036】
約:ある値に言及して本明細書で使用される「約」という用語は、言及された値の文脈において類似の値を指す。一般に、当業者はその文脈に精通しており、その文脈における「約」によって包含される関連分散度を認識されよう。例えば、一部の実施形態では、「約」という用語は、言及された値の25%以内、20%以内、19%以内、18%以内、17%以内、16%以内、15%以内、14%以内、13%以内、12%以内、11%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、またはそれ未満以内の範囲の値を包含し得る。
【0037】
薬剤:一般に、「薬剤」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、ポリペプチド、核酸、糖類、脂質、小分子、金属、またはその組合せもしくは複合体を含めた任意の化学的クラスの化合物または実体を指すために使用され得る。適切な環境において、文脈から当業者に明らかになる通り、用語は、細胞もしくは生物、またはその画分、抽出物もしくは成分であるか、またはそれを含む実体を指すために利用され得る。代替としてまたは追加として、文脈から明らかになる通り、用語は、自然に見出され、および/または自然から得られるという点で、天然産物を指すために使用され得る。ある場合には、やはり文脈から明らかになる通り、用語は、人の手の作用により設計、遺伝子操作、および/もしくは生成されており、ならびに/または自然に見出されないという点で人工である、1つまたは複数の実体を指すために使用され得る。一部の実施形態では、薬剤は、単離されたまたは純粋な形態で利用され得、一部の実施形態では、薬剤は、粗製形態で利用され得る。一部の実施形態では、潜在的薬剤は、例えば、それに含まれる活性剤を特定するか、または特徴付けるためにスクリーニングされ得る、コレクションまたはライブラリーとして提供され得る。ある場合には、「薬剤」という用語は、ポリマーであるか、またはそれを含む化合物または実体を指すことができ、ある場合には、用語は、1つまたは複数のポリマー部分を含む化合物または実体を指すことができる。一部の実施形態では、「薬剤」という用語は、ポリマーではない、ならびに/あるいは任意のポリマーおよび/または1つもしくは複数の特定のポリマー部分を実質的に含まない、化合物または実体を指すことができる。一部の実施形態では、用語は、任意のポリマー部分を欠くか、または実質的に含まない化合物または実体を指すことができる。
【0038】
生体適合性:「生体適合性」という用語は、本明細書で使用される場合、例えばin vivoで生体組織と接触させて置かれる場合、このような組織に対して著しい害を引き起こさない材料を指す。ある特定の実施形態では、材料は、細胞に対して毒性でない場合、「生体適合性」である。ある特定の実施形態では、材料は、in vitroでの細胞へのそれらの添加が、20%もしくはそれ未満の細胞死をもたらす場合、および/またはin vivoでのそれらの投与が、著しい炎症もしくは他のこのような有害効果を生じない場合、「生体適合性」である。
【0039】
生物学的試料:本明細書で使用される場合、「生物学的試料」という用語は、典型的に、本明細書に記載される通り、目的の生物学的供給源(例えば、組織または生物または細胞培養物)から得られたまたは誘導された試料を指す。一部の実施形態では、目的の供給源は、生物、例えば動物またはヒトを含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、生物学的細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、生物学的組織または流体であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、血液;血液細胞;組織(例えば、皮膚)もしくは細針生検試料;細胞を含有する体液;浮遊性(free floating)核酸;リンパ;皮膚スワブ;細胞外液、間質液およびそれに含有される分子、他の体液(例えば、汗)、分泌物、および/もしくは排出物;ならびに/またはそれらに由来する細胞などであっても、それを含んでいてもよい。一部の実施形態では、生物学的試料は、間質液であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、個体から得られた細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、得られた細胞は、試料が得られた個体からの細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、試料は、目的の供給源から任意の適切な手段によって直接的に得られた「一次試料」である。例えば、一部の実施形態では、生物学的一次試料は、生検(例えば、細針吸引または組織生検)、外科手術、体液(例えば、血液、リンパ、糞便など)の収集などからなる群から選択される方法によって得られる。一部の実施形態では、文脈から明らかになる通り、「試料」という用語は、一次試料を処理することによって(例えば、一次試料の1つもしくは複数の成分を除去することによって、または一次試料に1つもしくは複数の薬剤を添加することによって)得られる調製物を指す。例えば、半透過膜を使用して濾過する。このような「処理された試料」は、例えば、試料から抽出されるか、または一次試料を、mRNAの増幅もしくは逆転写、ある特定の成分の単離および/もしくは精製などの技術に供することによって得られた核酸またはタンパク質を含んでいてもよい。
【0040】
バイオマーカー:「バイオマーカー」という用語は、本明細書では、当技術分野でのその使用と一致して、その存在、レベル、度合い、タイプ、および/または形態が、目的の特定の生物学的事象または状態と相関しており、したがって、その事象または状態の「マーカー」であるとみなされる、実体、事象、または特徴を指すために使用される。ほんの数例を挙げると、一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の病状について、または特定の疾患、障害もしくは状態が発症、発生もしくは再発し得る可能性についてのマーカーであっても、それを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、特定の疾患もしくは治療転帰、またはその可能性についてのマーカーであっても、それ含んでいてもよい。したがって、一部の実施形態では、バイオマーカーは、目的の関連する生物学的事象または状態の予測的なものであり、一部の実施形態では、バイオマーカーはその予後的なものあり、一部の実施形態では、バイオマーカーはその診断的なものである。バイオマーカーは、任意の化学クラスの実体であっても、それ含んでいてもよく、実体の組合せであっても、それ含んでいてもよい。例えば、一部の実施形態では、バイオマーカーは、核酸、ポリペプチド、脂質、炭水化物、小分子、無機物質(例えば、金属またはイオン)、またはそれらの組合せであっても、それを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、細胞表面マーカーである。一部の実施形態では、バイオマーカーは、細胞内にある。一部の実施形態では、バイオマーカーは、細胞の外側で検出される(例えば、分泌されるか、またはそうでなければ、細胞の外側で、例えば体液、例えば血液、間質液、涙、唾液などにおいて産生されるかもしくは存在する)。一部の実施形態では、バイオマーカーは、生物学的試料中に検出される。一部の実施形態では、バイオマーカーは、遺伝的または後成的なシグネチャーであっても、それを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、遺伝子発現シグネチャーであっても、それ含んでいてもよい。
【0041】
比較できる:本明細書で使用される場合、「比較できる」という用語は、互いに同一ではあり得ないが、それらの間での比較を可能にするのに十分に類似しており、したがって、観察された差または類似性に基づいて結論を合理的に引き出し得ると当業者により認識される、2種またはそれよりも多くの薬剤、実体、状況、条件の組などを指す。一部の実施形態では、比較できる条件、環境、個体または集団の組は、複数の実質的に同一の特色および1つまたは少数の異なる特色によって特徴付けられる。当業者は、2つまたはそれよりも多くのこのような薬剤、実体、状況、条件の組などが比較できるとみなされるには、任意の所与の環境においてどれ程の度合いの同一性が必要とされるかを、文脈において理解されよう。例えば、当業者は、環境、個体、または集団の異なる組の下でまたはそれを用いて得られた結果または観察された現象の差が、変動したそれらの特色における変動によって引き起こされるかまたはその変動を示しているという合理的な結論を保証するのに十分な数およびタイプの、実質的に同一の特色によって特徴付けられる場合、環境、個体、または集団の組が互いに比較できることを認識されよう。
【0042】
含む:命名された1つまたは複数の要素またはステップを「含む」として本明細書に記載される組成物または方法は、制限がなく、命名された要素またはステップが必須であるが、組成物または方法の範囲内に他の要素またはステップを加え得ることを意味する。また、命名された1つまたは複数の要素またはステップを「含む(comprising)」(または「含む(comprises)」)として記載される任意の組成物または方法は、命名された同じ要素またはステップ「から本質的になる(consisting essentially of)」(または「から本質的になる(consists essentially of」)、より制限された対応する組成物または方法も説明しており、組成物または方法が、命名された必須の要素またはステップを含んでおり、組成物または方法の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素またはステップも含み得ることを意味すると理解される。また、命名された1つまたは複数の要素またはステップを「含む」またはそれ「から本質的になる」として本明細書に記載される任意の組成物または方法はまた、任意の他の命名されていない要素またはステップを除外して、命名された要素またはステップ「からなる(consisting of)」(または「からなる(consists of)」)、より制限されておりクローズエンドの対応する組成物または方法を説明していると理解される。本明細書に開示される任意の組成物または方法において、任意の命名された必須の要素またはステップの、公知のまたは開示される均等物は、その要素またはステップを置換し得る。
【0043】
電気的活動:本明細書で使用される場合、「電気的活動」という用語は、臨床診断を決定する目的で皮膚内および皮膚下で測定された電気シグナルの任意の特徴(例えば、周波数、振幅、形状、電圧、速度、パターン、時間的シグネチャー、または他のもの)を指す。
【0044】
導電性:本明細書で使用される場合、「導電性」という用語は、電流の流れを可能にする特質を指す。例えば、導電性材料は、金属、金属合金、導電性ポリマーまたはガラス状炭素であり得る。一部の実施形態では、導電性材料は、室温で1メートル当たり10シーメンス(S/m)またはそれを超える伝導率を有する。
【0045】
in vitro:「in vitro」という用語は、本明細書で使用される場合、多細胞生物内ではなく、人工的環境において、例えば試験管または反応容器において、細胞培養などにおいて生じる事象を指す。
【0046】
in vivo:本明細書で使用される場合、多細胞生物、例えばヒトおよび/または非ヒト動物内で生じる事象を指す。細胞ベースの系の文脈では、用語は、多細胞生物における生細胞内で生じる事象(例えば、in vitro系とは対照的に)を指すために使用され得る。
【0047】
マイクロニードル:「マイクロニードル」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、皮膚を貫通するのに適した長さおよび形状を有する、1ミリメートル未満の直径を有する細長い構造を指す。一部の実施形態では、マイクロニードルは、皮膚に挿入されたときに神経と電気的に通信すると同時に、薬物送達のための効率的な経路を作り出す能力を提供するように配列され、構築される(それ自体またはデバイス内に)。一部の実施形態では、マイクロニードルは、マイクロニードルの長さに沿って一貫した直径を有する。一部の実施形態では、マイクロニードルは、マイクロニードルの長さに沿って変化する直径を有する。一部の実施形態では、マイクロニードルは、マイクロニードルの長さに沿って細くなる直径を有する。一部の実施形態では、マイクロニードルの直径は、皮膚を貫通する先端が最も狭い。一部の実施形態では、マイクロニードルは、中実であり得る。一部の実施形態では、マイクロニードルは、中空であり得る。一部の実施形態では、マイクロニードルは、管状であり得る。一部の実施形態では、マイクロニードルは、一端が封着され得る。一部の実施形態では、複数のマイクロニードルが利用される。一部の実施形態では、複数のマイクロニードルは、アレイ型式で利用される。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約1μm~約24,000μmの範囲内の長さを有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、少なくとも約50μmの長さを有することができる。
【0048】
「ニューロパチー」または「末梢ニューロパチー」:本明細書で使用される場合、「ニューロパチー」および「末梢ニューロパチー」という用語は、一般に、例えば神経(例えば、末梢神経)に影響を及ぼす損傷または疾患によって引き起こされた機能不全を指す。ニューロパチーは、身体の影響を受けた部分における神経の電気的活動の、神経コンダクタンスの低下または異常と関連し得る。ニューロパチーは、特発性(すなわち、原因不明)であるか、または例えば疾患(例えば、糖尿病)、身体的外傷、遺伝的背景、および/もしくは感染症によって引き起こされ得る。
【0049】
防止:「防止」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の疾患、障害または状態の1つまたは複数の症状の開始の遅延、ならびに/または頻度および/もしくは重症度の低減を指す。一部の実施形態では、防止は、集団ベースでアセスメントされ、したがって、特定の疾患、障害または状態の1つまたは複数の症状の発症、頻度、および/または強度の統計的に有意な低下が、疾患、障害または状態に対して感受性のある集団において観察される場合、薬剤が疾患、障害または状態を「防止する」とみなされる。防止は、予め規定された期間に疾患、障害または状態の開始が遅延した場合に完全であるとみなされ得る。
【0050】
リスク:文脈から理解される通り、疾患、障害、および/または状態の「リスク」は、特定の個体が疾患、障害、および/または状態を発症する可能性を指す。一部の実施形態では、リスクは、パーセンテージとして表される。一部の実施形態では、リスクは、0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%から100%までである。一部の実施形態では、リスクは、参照試料または参照試料の群と関連するリスクに対するリスクとして表される。一部の実施形態では、参照試料または参照試料の群は、疾患、障害、状態および/または事象の公知のリスクを有する。一部の実施形態では、参照試料または参照試料の群は、特定の個体と比較できる個体からのものである。一部の実施形態では、相対的リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれよりも高い。
【0051】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、生物、典型的に哺乳動物(例えば、ヒト)を指す。一部の実施形態では、対象は、関連する疾患、障害または状態に罹患している。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態に対して感受性である。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害または状態の1つまたは複数の症状または特徴を示している。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態のいずれの症状も特徴も示していない。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態に対する感受性、またはそのリスクに特徴的な1つまたは複数の特色を有する対象である。一部の実施形態では、対象は、患者である。一部の実施形態では、対象は、診断および/または治療が投与されるおよび/または投与された個体である。
【0052】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特質のすべてまたはほぼすべての程度または度合いを示す質的な状態を指す。生物学的分野の当業者は、生物学的および化学的現象が、完了に向かうおよび/もしくは完了まで進行するか、または絶対的な結果を達成するもしくは回避するということは、仮にあるとしてもまれであることを理解されよう。したがって、「実質的に」という用語は、本明細書では、多くの生物学的および化学的現象に固有の、完全性の潜在的な欠如を捉えるために使用される。
【0053】
治療剤:本明細書で使用される場合、「治療剤」という句は、一般に、生物に投与されると所望の薬理学的または臨床的効果を引き出す任意の薬剤を指す。一部の実施形態では、薬剤は、適切な集団にわたって統計学的に有意な効果を示す場合に、治療剤であるとみなされる。一部の実施形態では、適切な集団は、モデル生物の集団であり得る。一部の実施形態では、適切な集団は、ある特定の年齢群、性別、遺伝的背景、既存の臨床状態などの様々な判定基準によって定義され得る。一部の実施形態では、治療剤は、疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または特色を、軽減する、寛解させる、緩和する、阻害する、防止する、その開始を遅延させる、その重症度を低減する、および/またはその発生率を低減するために使用することができる物質である。一部の実施形態では、「治療剤」は、ヒトへの投与のために販売され得る前に、政府機関によって承認されているか、または承認される必要がある薬剤である。一部の実施形態では、「治療剤」は、ヒトへの投与のために医学的処方箋が必要とされる薬剤である。
【0054】
治療レジメン:「治療レジメン」は、この用語が本明細書で使用される場合、関連する集団にわたる投与が、所望のまたは有益な治療転帰と相関し得る投薬レジメンを指す。
【0055】
処置する:本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置」、または「処置すること」という用語は、疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または特色を、部分的または完全に軽減する、寛解させる、緩和する、阻害する、防止する、その開始を遅延させる、その重症度を低減する、および/またはその発生率を低減するために使用される任意の方法を指す。一部の実施形態では、処置は、疾患、障害、および/または状態の徴候を示していない対象に投与され得る。一部の実施形態では、処置は、疾患、障害、および/または状態のごく早期の徴候を示す対象に、例えば疾患、障害、および/または状態と関連する病理を発症するリスクを低減する目的で投与され得る。
詳細な説明
【0056】
数ある中でも、本開示は、とりわけ神経シグナル(例えば、神経コンダクタンス)を検出し、モニタリングすることができる新規な生物医学的システムの使用により、例えば、神経系と関連するある特定の障害または状態(例えば、ニューロパチーと関連する状態)の早期の検出、防止、および/または処置のためのシステムおよび方法を記載する。様々な実施形態に従って提供されるシステムおよび方法はまた、対象の局所環境(例えば、組織または体液)をサンプリングし、および/あるいは1つまたは複数の処置(例えば、新規な治療剤および/または神経刺激)を投与して、疾患、障害、または状態の進行を潜在的に遅延させるおよび/もしくは防止するか、または処置する能力を含み得る。一部の実施形態では、本開示は、ニューロパチーを処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、糖尿病性末梢ニューロパチー(DPN)、化学療法誘発性ニューロパチー(CIPN)、HIVもしくはAIDS誘発性ニューロパチー、および/または特発性末梢ニューロパチー(IPN)、特定できる公知の原因がないニューロパチー(例えば高齢化に伴う)の1つまたは複数のための処置を提供する。一部の実施形態では、本開示は、DPNについての診断、防止、および処置のためのシステムおよび方法を提供する。
【0057】
一部の実施形態では、本明細書に記載される通り提供されるシステムおよび方法は、電気シグナル(例えば、本明細書に記載される通り、局所的電場電位、神経コンダクタンスなど)を記録するだけでなく、例えばバイオマーカー分析のために生体液をサンプリングし、さらには1つまたは複数の処置、例えば1種もしくは複数の治療剤および/または1つもしくは複数の刺激形態を、非侵襲(または最小限に侵襲)的に投与することもできる。物質の送達はまた、電気測定前またはその間に神経活動を刺激するために利用され得る(例えば、カチオンチャネルTRPV1を発現する皮膚および皮下脂肪の感覚神経を刺激するためのカプサイシンの送達)。一部の実施形態では、ニードルのアレイは、所与の適用に適した表面積内で電気測定および/または対象の体液のサンプリングを可能にするように構成されている。一部の実施形態では、ニードルのアレイは、所与の適用に適した表面積内で電気測定および/または処置の送達を可能にするように構成されている。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、電気シグナル(例えば、本明細書に記載される通り、電圧、電流、局所的電場電位、神経コンダクタンスなど)を記録して、皮膚表面下の神経の神経コンダクタンスの尺度を計算するために使用される。一部の実施形態では、ニードルのアレイのサブセットは、電気シグナルを記録し、測定するために使用され得ると同時に、ニードルのアレイの異なるまたはさらには同じサブセットが、対象の体液をサンプリングするおよび/または処置を投与するように構成されている。
【0058】
一部の実施形態では、処置は、治療剤であっても、それを含んでいてもよい。一部の実施形態では、治療剤は、薬物治療であっても、それを含んでいてもよい。一部の実施形態では、処置は、例えば温度ベースの(例えば、加温対冷却)刺激、または機械的(例えば、振動)刺激による神経刺激(例えば、瀕死の神経の再成長を惹起するため)であっても、それを含んでいてもよい。
【0059】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、皮膚表面からの様々な深度から神経記録を得るために使用され得る。一部の実施形態では、ニードルは、神経記録(すなわち、電気測定)を得るために使用され得る。一部の実施形態では、ニードルの長さおよび貫通深度は、神経記録を得ることができる深度を決定付ける。一部の実施形態では、神経記録は、対象から、皮膚表面において、または皮膚表面のすぐ下の1つもしくは複数の副層中のいずれかから得ることができる。さらに一部の実施形態では、ニードルは、バイオマーカー分析のために使用され得る生物学的試料を対象から得るために使用され得る。したがって、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、開示される疾患、障害、または状態のために早期の診断および介入を可能にし、数百万人の患者にクオリティオブライフを改善する見込みを提供する。
【0060】
一部の実施形態では、疾患、障害、または状態の検出および診断、神経シグナル(すなわち、本明細書に開示される電気シグナル、例えば電圧、コンダクタンスなど)の記録、ならびに処置の投与は、皮膚の1つまたは複数の成分との開示のシステムの相互作用および/またはそれへの貫通により達成される(例えば、経皮的に)。これにより、様々な疾患、障害、および状態の、最小限に侵襲的な無痛性の検出、記録、サンプリング、および処置が可能になるが、これは現在、患者にとって入手不可能な機能性である。例えば、現在、ニューロパチーの診断は、患者に極度の不快感を引き起こし、患者の生活を乱す後期ニューロパチーを検出する、高度に侵襲的で時間がかかる検査(例えば、神経機能検査、生検など)によって実施されている。さらに、後期ニューロパチーのための処置もちろんのこと、ニューロパチーの処置は存在しておらず、処置の目標は、典型的に、疼痛を含めた症状を管理することである。したがって、ニューロパチー(例えば、PN)を早期に正確に検出するだけでなく、その進行を管理する方法を提供し、ニューロパチー患者において防止および処置する(例えば、神経再成長を刺激する)ために必要とされる限り、治療を投与するシステムが必要である。
【0061】
一部の実施形態では、本明細書に記載される通り提供されるシステムおよび方法は、神経再成長のモニタリングのために使用することができる。
【0062】
一部の実施形態では、本明細書に記載される通り提供されるシステムおよび方法は、小径線維末梢ニューロパチーまたは他の神経機能不全を臨床的にスクリーニングする手段として使用することができる。
I.診断、防止、および処置の方法
【0063】
様々な疾患、障害、または状態の診断、サンプリング、防止、および処置のための方法が、本明細書に記載される。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、ニューロパチーを診断、サンプリング、防止、および処置するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、PNを診断、サンプリング、防止、および処置するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、皮膚および/または皮下組織に影響を及ぼす他の状態(例えば、末梢動脈疾患、リンパ管機能不全、線維筋痛症など)を診断、サンプリング、防止、および処置するために使用される。
診断/検出:
【0064】
本明細書に開示されるシステムは、本明細書に開示される様々な疾患、障害、および/または状態の早期に開始される検出のために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、ニューロパチー、例えば、末梢ニューロパチーの検出および/または診断のために使用され得る。一部の実施形態では、提供されるシステムは、皮膚および下層組織の小径神経線維における神経コンダクタンスを測定し、神経変性に起因する神経シグナルの喪失を検出することによって、ニューロパチーの高感度な早期の診断を可能にするために使用され得る。一部の実施形態では、提供されるシステムは、皮膚および下層組織の1つまたは複数のタイプの神経線維(例えば、末梢神経線維、感覚神経線維、運動神経線維、自律神経線維、および関連神経線維サブタイプ(すなわち、A、B、およびC群の線維))の神経コンダクタンスを測定し、貫通された(例えば、ニードルアレイの1つまたは複数のニードルに貫通された)組織から神経コンダクタンスの尺度の平均値を得るために使用され得る。一部の実施形態では、提供されるシステムは、皮膚および下層組織の2つまたはそれよりも多いタイプの神経線維(例えば、末梢神経線維、感覚神経線維、運動神経線維、自律神経線維、および関連神経線維サブタイプ(すなわち、A、B、およびC群の線維))の神経コンダクタンスを測定し、貫通された(例えば、ニードルアレイの1つまたは複数のニードルに貫通された)組織から神経コンダクタンスの尺度の平均値を得るために使用され得る。一部の実施形態では、提供されるシステムは、皮膚および下層組織の多数(例えば、1つまたは複数、2つまたはそれよりも多い、3つまたはそれよりも多い、ありとあらゆるものなど)のタイプの神経線維(例えば、末梢神経線維、感覚神経線維、運動神経線維、自律神経線維、および関連神経線維サブタイプ(すなわち、A、B、およびC群の線維))の神経コンダクタンスを測定し、貫通された(例えば、ニードルアレイの1つまたは複数のニードルに貫通された)組織から神経コンダクタンスの尺度の平均値を得るために使用され得る。一部の実施形態では、提供されるシステムは、皮膚および下層組織のすべてのタイプの神経線維(例えば、末梢神経線維、感覚神経線維、運動神経線維、自律神経線維、および関連神経線維サブタイプ(すなわち、A、B、およびC群の線維))の神経コンダクタンスを測定し、貫通された(例えば、ニードルアレイの1つまたは複数のニードルに貫通された)組織から神経コンダクタンスの尺度の平均値を得るために使用され得る。図2は、例示的な実施形態に従う、ニューロパチー性疾患の進行、ならびにニューロパチー性疾患の進行を診断/検出し(例えば、疾患をモニタリングし、シグナル(例えば、神経コンダクタンス、インピーダンス、電圧、電流など)を記録するなど)、および/または処置するための診断治療システムの使用を示す模式図である。
【0065】
一態様では、潜在的にニューロパチーのリスクがあるか、またはニューロパチーに罹患している対象を診断および/または評価する方法は、本明細書に開示されるシステムを、ニードルを皮膚表面下に突出させて対象の皮膚表面上に置くステップを含む。一部の実施形態では、例えば、本明細書に開示されるシステムは、基材、および基材上または基材を通して配置されたニードルのアレイを含み、ここで、ニードルの1つまたは複数は、ニードルの長さ全体にわたって中空であり、アレイは、アレイの少なくとも1つの中空ニードルを通して流体輸送を可能にするように構成されており、アレイは、1つまたは複数の電気シグナルを受け取り、かつ通信するように構成されている。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、対象の皮膚表面上に置かれる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、対象の皮膚表面下に置かれる。
【0066】
対象を診断および/または評価する方法はさらに、アレイの1つまたは複数のニードルを対象の皮膚に挿入するステップを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルは、対象の上皮に挿入される。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルは、対象の上皮の1つまたは複数の層に、例えば角質層、透明層、顆粒層、有棘層、および/または基底層の1つまたは複数に挿入される。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルは、対象の真皮に挿入される。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルは、対象の真皮下組織(hypodermis)に挿入される。一部の実施形態では、1つまたは複数のニードルは、対象の皮下組織に挿入される。
【0067】
本明細書に開示されるシステムの1つまたは複数のニードルは、対象の皮膚中または皮膚下の1つまたは複数の所望の標的深度まで挿入され得る。一部の実施形態では、標的深度は、1μm~12mmの間の範囲であり得る。一部の実施形態では、標的深度は、10μm~10mmの間の範囲であり得る。一部の実施形態では、標的深度は、100μm~5mmの間の範囲であり得る。一部の実施形態では、標的深度は、150μm~2mmの間の範囲であり得る。一部の実施形態では、標的深度は、少なくとも10μmであり得る。一部の実施形態では、標的深度は、少なくとも50μmであり得る。一部の実施形態では、標的深度は、少なくとも100μmであり得る。一部の実施形態では、標的深度は、少なくとも200μmであり得る。一部の実施形態では、標的深度は、少なくとも300μmであり得る。一部の実施形態では、標的深度は、少なくとも400μmであり得る。一部の実施形態では、標的深度は、少なくとも500μmであり得る。一部の実施形態では、標的深度は、少なくとも1000μmであり得る。一部の実施形態では、標的深度は、少なくとも2000μmであり得る。一部の実施形態では、標的深度は、最大12000μmであり得る。一部の実施形態では、標的深度は、最大24000μmであり得る。一部の実施形態では、例えば、本明細書に開示されるシステムの基材および/またはニードルアレイは、対象の皮膚および/または皮下組織への1つまたは複数のニードルの貫通深度(すなわち、標的深度)の調整を可能にするように構成されている。これにより、対象の皮膚および/または皮下組織内の複数の標的深度における検出(例えば、シグナル測定による)、サンプリング、および/または処置の送達が可能になる。例えば、アレイの1つまたは複数のニードルの貫通深度は、一部の実施形態では、調整可能なまたは可変の厚さのスペーサーを使用し、皮膚への貫通の前に、それを通してニードルが挿入されるように構成され得る。一部の実施形態では、ニードルの長さは、皮膚下の貫通深度を設定および/または制御するために使用され得る。
【0068】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、皮膚内の複数の標的深度のそれぞれにおいてシグナルを測定するステップを含む。一部の実施形態では、基材および/またはアレイは、対象の皮膚および/または皮下組織への1つまたは複数のニードルの貫通深度を調整可能にし、それによって対象の皮膚内の複数の標的深度で測定を可能にするように構成されている。一部の実施形態では、シグナルは、2つまたはそれよりも多くの異なる標的深度で測定され得る。一部の実施形態では、シグナルは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも多くの異なる標的深度で測定され得る。一部の実施形態では、シグナルは、1つの標的深度で瞬間的に測定され得る。一部の実施形態では、シグナルは、2つまたはそれよりも多くの標的深度で瞬間的に測定され得る。
【0069】
一部の実施形態では、対象を診断および/または評価する方法は、貫通された組織からシグナルを測定するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、挿入されたニードルの少なくとも1つは、貫通された組織からのシグナルを測定および/または記録することができる。一部の実施形態では、貫通された組織中またはその近傍に位置する神経線維からのシグナルを測定および/または記録することが実施される。一部の実施形態では、貫通された組織中またはその近傍に位置する、特定のタイプの神経線維(例えば、末梢神経線維、感覚神経線維、運動神経線維、自律神経線維、および関連神経線維サブタイプ(すなわち、A、B、およびC群の線維))からのシグナルを測定および/または記録することが実施される。一部の実施形態では、貫通された組織中またはその近傍に位置する多数のタイプ(例えば、2つまたはそれよりも多い、3つまたはそれよりも多いなど)の神経線維(例えば、末梢神経線維、感覚神経線維、運動神経線維、自律神経線維、および関連神経線維サブタイプ(すなわち、A、B、およびC群の線維))からのシグナルを測定および/または記録することが実施される。一部の実施形態では、貫通された組織中またはその近傍に位置するすべてのタイプの神経線維(例えば、末梢神経線維、感覚神経線維、運動神経線維、自律神経線維、および関連神経線維サブタイプ(すなわち、A、B、およびC群の線維))からのシグナルを測定および/または記録することが実施される。一部の実施形態では、測定されるシグナルは、電気シグナルである。一部の実施形態では、測定される電気シグナルは、活動電位である。例えば、測定される活動電位は、神経の活動電位である。一部の実施形態では、測定される電気シグナルは、局所的電場電位である。当業者に公知の通り、局所的電場電位は、神経組織および/または他の組織における個々の細胞の合計および同期電気的活動によって、その組織で生じた一過性電気シグナルである。一部の実施形態では、測定される電気シグナルは、神経コンダクタンスである。一部の実施形態では、測定される電気シグナルは、電流である。一部の実施形態では、測定される電気シグナルは、電圧である。
【0070】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、組織の所与の面積にわたってシグナルの空間平均を測定するステップを含む。一部の実施形態では、シグナルは、組織の所与の面積にわたって測定され得る。一部の実施形態では、測定される面積は、少なくとも約1平方インチであり得る。一部の実施形態では、測定される面積は、少なくとも約2平方インチであり得る。一部の実施形態では、測定される面積は、少なくとも約3平方インチであり得る。一部の実施形態では、測定される面積は、少なくとも約4平方インチであり得る。一部の実施形態では、測定される面積は、少なくとも約5平方インチであり得る。一部の実施形態では、測定される面積は、少なくとも約10平方インチであり得る。一部の実施形態では、測定される面積は、1平方インチ未満であり得る。一部の実施形態では、測定される面積は、10平方インチ超であり得る。一部の実施形態では、測定されたシグナルは、測定される面積にわたって平均化され得る。これにより、ニューロパチーが手/足から、さらに上部の腕および脚、ならびに潜在的に胴体に進行する場合、様々な皮膚表面積で測定が可能になる。
【0071】
一部の実施形態では、各電気測定(例えば、シグナル(例えば、電気シグナル)の測定)は、一定期間にわたって実施され得る。すなわち、一部の実施形態では、各シグナル測定は、時間の関数として実施され得る。例えば、一部の実施形態では、シグナル測定は、30秒~24時間の間の期間にわたって実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、1分~10時間の間の期間にわたって実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、2分~1時間の間の期間にわたって実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも1分間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも2分間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも30分間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも1時間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも2時間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも3時間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも5時間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも6時間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも12時間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、最大24時間実施され得る。一部の実施形態では、測定されたシグナルは、経時的に平均化され得る。
【0072】
一部の実施形態では、各電気測定(例えば、シグナル(例えば、電気シグナル)の測定)は、一定期間にわたって実施され得る。すなわち、一部の実施形態では、各シグナル測定は、時間の関数として実施され得る。例えば、一部の実施形態では、シグナル測定は、1日~1年の間の期間にわたって実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも1日間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、または7日間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも2週、3週、または4週間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも1カ月間実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、もしくは12カ月間、またはそれよりも長く実施され得る。一部の実施形態では、シグナル測定は、少なくとも1年間またはそれよりも長く実施され得る。一部の実施形態では、測定されたシグナルは、経時的に平均化され得る。
【0073】
一部の実施形態では、例えば、測定されるシグナルは、電気シグナルであり得る。一部の実施形態では、電気シグナルは、周波数の関数として測定され得る。例えば、電気シグナルは、1Hz~10MHzの周波数範囲で測定され得る。一部の実施形態では、電気シグナルは、100Hz~5MHzの周波数範囲で測定され得る。一部の実施形態では、電気シグナルは、200Hz~2MHzの周波数範囲で測定され得る。一部の実施形態では、電気シグナルは、250Hz~1MHzの周波数範囲で測定され得る。
【0074】
一部の実施形態では、電気シグナルは、電圧の関数として測定され得る。例えば、電気シグナルは、1fV~1Vの電圧範囲で測定され得る。一部の実施形態では、電気シグナルは、10pV~0.5Vの電圧範囲で測定され得る。一部の実施形態では、電気シグナルは、20pV~0.2Vの電圧範囲で測定され得る。一部の実施形態では、電気シグナルは、25pV~0.1Vの電圧範囲で測定され得る。
【0075】
一部の実施形態では、電気シグナルの測定は、電極として働くニードルを使用して実施される。一部の実施形態では、電気シグナルの測定は、2電極システムを使用して実施され得る。一部の実施形態では、電気シグナルの測定は、3電極システムを使用して実施され得る。一部の実施形態では、電気シグナルは、1つまたは複数の参照電極に対して測定される。一部の実施形態では、アレイの1つまたは複数のニードルは、参照電極として働く。参照電極は、任意の適用に適した材料(例えば、金属またはポリマー)を含み得る。例えば、一部の実施形態では、参照電極は、生体適合性であってもよく、本明細書に開示されるシステムおよび方法と組み合わせて使用され得る。一部の実施形態では、参照電極は、水性参照電極であり得る。一部の実施形態では、参照電極は、非水性参照電極であり得る。さらなる例として、一部の実施形態では、参照電極は、Ag-AgCl(銀-塩化銀)電極、標準水素電極、普通水素電極、可逆的水素電極、飽和カロメル電極、銅-銅(II)電極、パラジウム-水素電極、動的水素電極、水銀-硫酸第一水銀電極、またはそれらの任意の組合せであっても、それを含んでいてもよい。一部の実施形態では、アレイの1つまたは複数のニードルは、接地電極として働き得る。
【0076】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、測定された電気シグナルを、プロセッサーを使用して処理するステップを含む。一部の実施形態では、測定された電気シグナルは、神経コンダクタンスのアセスメント値に変換される(例えば、データ処理によって)。一部の実施形態では、神経コンダクタンスは、周波数の関数として決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスは、特性周波数について決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスは、電圧の関数として決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスは、特性電圧について決定される。一部の実施形態では、神経コンダクタンスは、アレイの挿入された各ニードルから取得した、測定された電気シグナルの平均値について決定される。
【0077】
一部の実施形態では、電気シグナルから神経コンダクタンスのアセスメント値を決定することは、電気シグナルの特性パラメーターを決定し、特性パラメーターと関連する値を、所定の閾値パラメーターの値(例えば、特性パラメーターと比較できる参照レベルまたは参照値)と比較することを含む。一部の実施形態では、所定の閾値パラメーターの値は、1つまたは複数の健康な対象から得ることができる。一部の実施形態では、所定の閾値パラメーターの値は、健康な対象の集団から得ることができる(例えば、平均読取り値(例えば、集団のメンバーのそれぞれから得た平均電気シグナル測定値))。一部の実施形態では、所定の閾値パラメーターの値は、1つまたは複数の特定の身体の位置について得ることができる。一部の実施形態では、所定の閾値パラメーターの値は、1つまたは複数の特定の皮膚深度について得ることができる。当業者に公知の通り、特性パラメーターの値を所定の閾値パラメーターの値と比較する場合、それらが共に、比較できるパラメーター(例えば、所与の皮膚深度、ニードルタイプ、および/または身体の位置について)の下で得られたものであることに注意しなければならない。
【0078】
一部の実施形態では、特性パラメーターは、周波数または周波数範囲である。一部の実施形態では、特性パラメーターは、電位(または電流)最大値である。一部の実施形態では、電位(または電流)最大値は、測定された電位(または電流)の1つまたは複数の最大値の平均値である。一部の実施形態では、特性パラメーターは、測定された電位(または電流)の電圧(または電流)レベルである。一部の実施形態では、特性パラメーターは、測定された電位(または電流)の振幅である。一部の実施形態では、特性パラメーターは、測定された電位(または電流)におけるニューロンの発火パターンである。
【0079】
一部の実施形態では、所定の閾値パラメーターは、周波数である。一部の実施形態では、所定の閾値パラメーターは、電位(または電流)最大値である。一部の実施形態では、電位(または電流)最大値は、測定された電位(または電流)の1つまたは複数の最大値の平均値である。一部の実施形態では、所定の閾値パラメーターは、測定された電位(または電流)の電圧(または電流)レベルである。一部の実施形態では、所定の閾値パラメーターは、測定された電位(または電流)の振幅である。一部の実施形態では、所定の閾値パラメーターは、測定された電位(または電流)におけるニューロンの発火パターンである。
【0080】
本明細書に開示されるシステムおよび方法はまた、記録されたシグナルを伝達することを可能にされ得る。本明細書に開示される方法は、例えば、貫通された組織におよび/またはその組織から電気シグナルを伝達するステップを含む。一部の実施形態では、電気シグナルは、プロセッサーおよび/または保存デバイスに伝達される。一部の実施形態では、電気シグナルは、伝達後にさらに処理される。一部の実施形態では、電気シグナルは、伝達前にさらに処理される。
【0081】
一部の実施形態では、本明細書で提示される方法は、対象から得られた電気シグナルの、1つまたは複数の対照である対象から得られた電気シグナルとの比較をさらに含み得る。一部の実施形態では、例えば、対象から得られた電気シグナル(例えば、生の電気シグナル、処理された電気シグナルなど)は、その対象が本明細書に開示される疾患、障害、または状態に罹患している可能性を診断するために、対照である対象(例えば、本明細書に開示される疾患、障害、または状態に罹患していない1つまたは複数の対象(負の対照))から得られた電気シグナルと比較される。一部の実施形態では、対象から得られた電気シグナルは、対照である対象(例えば、本明細書に開示される疾患、障害、または状態に罹患している1つまたは複数の対象(正の対照))から得られた電気シグナルと比較される。
【0082】
一部の実施形態では、対象から得られた電気シグナルは、対照から得られた電気シグナル(例えば、所定の閾値の値)と比較される。例えば、対象から得られた電気測定値を、比較できる対照電気測定値と比較することによって、対象が疾患、障害、または状態(例えば、ニューロパチー、PN)に罹患している可能性を測定することができる。本明細書に開示されるシステムは、1つまたは複数の健康な対象から参照値(すなわち、所定の閾値の値)を測定するために使用され得る。一部の実施形態では、このような閾値または参照値は、対象の疾患、障害、または状態を診断するための比較基準として使用され得る。
【0083】
一部の実施形態では、本明細書に開示される検出および/または評価の方法は、対象の疾患、障害、または状態の経時的な進行(例えば、対象の寿命)を評価するために、対象において繰り返し実施され得る。一部の実施形態では、例えば、逐次的な測定は、少なくとも1日間隔てることができる。一部の実施形態では、例えば、逐次的な測定は、少なくとも1週間隔てることができる。一部の実施形態では、例えば、逐次的な測定は、少なくとも2週間隔てることができる。一部の実施形態では、例えば、逐次的な測定は、少なくとも3週間隔てることができる。一部の実施形態では、例えば、逐次的な測定は、少なくとも1カ月間隔てることができる。一部の実施形態では、例えば、逐次的な測定は、少なくとも2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、または12カ月間隔てることができる。一部の実施形態では、例えば、逐次的な測定は、少なくとも1年間またはそれよりも長く隔てることができる。一部の実施形態では、逐次的な測定は、特定の標的深度で実施され得る。一部の実施形態では、逐次的な測定は、対象の健康な組織からニューロパチー組織への進行をモニタリングするために実施され得る。一部の実施形態では、逐次的な測定は、対象のニューロパチー組織から健康な組織への進行をモニタリングするために実施され得る。一部の実施形態では、逐次的な測定は、処置後の神経再成長をモニタリングするために実施され得る。
サンプリング:
【0084】
本明細書に開示される方法およびシステムは、対象(例えば、健康なおよび/または罹患している)から試料を得、および/または疾患、障害もしくは状態の様々な段階についてマーカーを評価するために装備され得る。一部の実施形態では、提供されるシステムおよび方法は、対象からの生物学的試料を検査および/または得るように構成され得る。一部の実施形態では、検査されたおよび/または得られた試料は、本明細書に開示される様々な疾患、障害、または状態についての診断および/またはバイオマーカーの発見のために使用され得る。例えば、疾患、障害、または状態の検出および/または評価のために対象の皮膚に挿入されるニードルは、貫通された組織から生物学的試料(例えば、1種または複数の体液における)をサンプリングすることができるように設計され得る。
【0085】
様々な生物学的試料のいずれも、以下および本明細書の他所に記載される特定の実施形態と共に使用するのに適することができる。一部の実施形態では、生物学的試料は、生物学的細胞であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、組織であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、皮膚であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、生体液であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生体液は、間質液(ISF)であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生体液は、血液であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、生体液は、汗であるか、またはそれを含む。様々な実施形態に従って、生物学的試料は、本明細書に開示される疾患、障害、もしくは状態の検出のため、および/または疾患もしくは状態の進行を評価するためのバイオマーカー分析のために使用され得る。
【0086】
一部の実施形態では、開示される方法は、対象から1種または複数の生物学的試料を得るステップを含む。一部の実施形態では、生物学的試料は、特定の標的深度から得ることができる。一部の実施形態では、生物学的試料は、アレイの1つまたは複数のニードルを使用して得ることができる。一部の実施形態では、生物学的試料は、アレイのすべてまたは実質的にすべてのニードルを使用して得ることができる。一部の実施形態では、生物学的試料は、アレイのニードルのいずれかを使用して得ることができる。例えば、一部の実施形態では、生物学的試料は、アレイの中心または実質的に中心のニードルを使用して得ることができる。一部の実施形態では、生物学的試料は、アレイ端部のニードルを使用して得ることができる。
【0087】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、対象から生物学的試料を繰り返しサンプリングすることによって、疾患、障害、または状態(例えば、ニューロパチー)の進行を評価する(すなわち、診断、記録、および/またはモニタリングする)ために使用され得る。したがって、一部の実施形態では、多数の生物学的試料を、対象から一定期間にわたって得ることができる。一部の実施形態では、逐次的な生物学的試料は、少なくとも1日間隔てて得ることができる。一部の実施形態では、例えば、逐次的な生物学的試料は、少なくとも1週間隔てて得ることができる。一部の実施形態では、例えば、逐次的な生物学的試料は、少なくとも2週間隔てて得ることができる。一部の実施形態では、例えば、逐次的な生物学的試料は、少なくとも3週間隔てて得ることができる。一部の実施形態では、例えば、逐次的な生物学的試料は、少なくとも1カ月間隔てて得ることができる。一部の実施形態では、逐次的な生物学的試料は、少なくとも3カ月、6カ月、9カ月、または1年間隔てて得ることができる。一部の実施形態では、逐次的な生物学的試料は、特定の標的深度で得ることができる。一部の実施形態では、逐次的な生物学的試料は、異なる標的深度で得ることができる。一部の実施形態では、逐次的な生物学的試料は、対象の健康な組織からニューロパチー組織への進行を評価するために得ることができる。一部の実施形態では、逐次的な生物学的試料は、対象のニューロパチー組織から健康な組織への進行を評価するために得ることができる。一部の実施形態では、逐次的な生物学的試料は、処置後の神経再成長を評価する(すなわち、モニタリング、記録、および/または診断する)ために得ることができる。
【0088】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、一部の実施形態では、得られた生物学的試料を分析する能力を含み得る。一部の実施形態では、例えば、得られた生物学的試料は、チップ上(すなわち、本明細書に開示されるシステム上)で分析する(すなわち、疾患、障害、または状態と関連する1種または複数の特定のバイオマーカーを質的または量的に検出する)ことができる。例えば、一部の実施形態では、得られた生物学的試料は、ニードル(例えば、マイクロニードル)アレイの1つまたは複数のニードル内に前記生物学的試料が存在する間に、1種または複数の特定のバイオマーカーについて分析され得る。一部の実施形態では、得られた生物学的試料は、チップから離れて(例えば、研究室内で)分析され得る。一部の実施形態では、得られた生物学的試料は、量的に分析され得る。一部の実施形態では、得られた生物学的試料は、質的に分析され得る。
【0089】
得られた生物学的試料は、1つまたは複数の検知技術を使用して、1種または複数のバイオマーカーについて分析され得る。一部の実施形態では、例えば、1種または複数のバイオマーカーは、電気化学的センサーを使用して分析され得る。一部の実施形態では、1種または複数のバイオマーカーは、電子的センサーを使用して分析され得る。
処置:
【0090】
一部の実施形態では、提供される方法およびシステムはまた、様々な疾患、障害、および/または状態を防止および/または処置するために使用され得る。一部の実施形態では、本開示の方法およびシステムは、ニューロパチーの防止および/または処置のために使用され得る。例えば、一部の実施形態では、ニューロパチーの潜在的リスクがあるか、またはニューロパチーに罹患している対象を防止および/または処置する方法は、本明細書の他所で論じられる通り、本明細書に開示されるデバイス/システムを、ニードルを皮膚表面下に突出させて対象の皮膚表面上に置くステップを含む。方法はさらに、本明細書の他所で論じられる通り、対象の皮膚および/または皮下組織に、1つまたは複数の所望の深度まで1つまたは複数のニードルを挿入するステップと、シグナル測定値を得るステップとを含む。一部の実施形態では、挿入されたニードルの少なくとも1つは、貫通された組織におよび/またはその組織からシグナルを伝達することができる。本明細書の他所で論じられる通り、挿入されたニードルの少なくとも1つから、いくつかの異なるシグナルを測定/記録し、伝達することができ、一部の実施形態では、測定されたシグナルに基づいて、1つまたは複数の処置を投与することができる。
【0091】
一部の実施形態では、1つまたは複数の処置は、本明細書に開示されるシステムを使用して投与され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、例えば、治療剤(例えば、限定されるものではないが、AAVベースの治療、小分子、生物学的作用物質などを含めた、任意の治療薬の溶液)の送達、電気的刺激(例えば、本明細書に開示されるシステムは、記録用ニードルを含むニードルアレイに含まれる1つまたは複数の刺激電極を含む)、または刺激(例えば、温度調節、機械的振動、または任意の他の公知の技術による)により、神経再成長を刺激しおよび/または神経機能性を生き返らせることができる。例えば、一部の実施形態では、1つまたは複数の処置は、対象に挿入された1つまたは複数のニードルを使用して投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の処置は、対象に挿入されたすべてのまたは実質的にすべてのニードルを使用して投与される。一部の実施形態では、処置は、1種または複数の治療剤を投与することであるか、または投与することを含む。一部の実施形態では、処置は、1つまたは複数の薬物治療を投与することであるか、または投与することを含む。一部の実施形態では、処置は、1つまたは複数のAAVベースの治療を投与することであるか、または投与することを含む。一部の実施形態では、処置は、1種または複数の生物学的作用物質を投与することであるか、または投与することを含む。一部の実施形態では、処置は、神経刺激であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、神経刺激は、温度ベースの神経刺激であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、神経刺激は、冷却神経刺激であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、神経刺激は、熱ベースの神経刺激であるか、またはそれを含む。例えば、1つまたは複数の挿入されたニードルの温度は、温度ベースの神経刺激を投与するために上昇または低下させられる。一部の実施形態では、神経刺激は、電気的刺激であるか、またはそれを含む。一部の実施形態では、神経刺激は、機械的刺激(例えば、振動(例えば、ニードルの))であるか、またはそれを含む。
【0092】
一部の実施形態では、処置は、疾患、障害、もしくは状態の進行を防止する(例えば、開始または悪化を遅延させる)、および/または対象を処置するために、一定期間にわたって投与される。一部の実施形態では、電気シグナル測定は、対象の疾患、障害、または状態の経時的な進行を評価するために、対象において繰り返し実施される。一部の実施形態では、本明細書に開示される検出および/または評価の方法は、対象の疾患、障害、または状態の経時的な進行を評価するために、対象において繰り返し(すなわち連続的に)実施され得る。本明細書に開示される通り、一部の実施形態では、逐次的な測定は、時間間隔を変えることによって隔てることができる。一部の実施形態では、これらの逐次的な測定は、処置過程を評価するために使用され得る。したがって、一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムを使用する測定(例えば、シグナル(例えば、電気シグナル)の)は、1つまたは複数の処置の投与に先行して、それに続いて、またはそれと実質的に同時に行われる。
【0093】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムのニードルは、貫通された組織にシグナルを伝達することができるように設計される。例えば、一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、貫通された組織および/または貫通された組織近傍の組織成分に刺激を施与し得る。一部の実施形態では、刺激は、電気的である。一部の実施形態では、電気的刺激(例えば、特定の電圧、電流などを印加することによって達成される)は、対象の罹患しているまたは損傷を受けた神経に投与される。このような電気的刺激は、一部の実施形態では、神経死を防止および/もしくは逆転する助けになる、ならびに/または神経再成長を促進することができる。一部の実施形態では、電気的刺激は、典型的な神経刺激(例えば、神経の発火を誘発するために必要な刺激)に必要なものよりもおよそ20%高い電圧および/または電流の投与によって達成される。一部の実施形態では、刺激は、ミリボルト範囲である。一部の実施形態では、刺激は、1ボルト未満である。一部の実施形態では、刺激は、ミリアンペア範囲である。一部の実施形態では、刺激は、マイクロアンペア範囲である。一部の実施形態では、刺激は、1アンペア未満である。一部の実施形態では、刺激は、パルスとして投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は、0.1~100μA、0.1~1000μA、0.01~100μA、0.01~1000μA、または0.001~1000μAの範囲であり得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は、0.1~100μAの範囲である。一部の実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は、少なくとも0.001μAであり得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は、少なくとも0.01μAであり得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は、少なくとも0.1μAであり得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は、最大10μAであり得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は、最大100μAであり得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のパルスの振幅は、最大1000μAであり得る。一部の実施形態では、少なくとも2個のパルスが投与され得る。一部の実施形態では、少なくとも2個のパルスが投与され得る。一部の実施形態では、最大10個のパルスが投与され得る。一部の実施形態では、最大20個のパルスが投与され得る。一部の実施形態では、最大50個のパルスが投与され得る。一部の実施形態では、パルス間の遅延は、少なくとも1mSecであり得る。一部の実施形態では、パルス間の遅延は、少なくとも10mSecであり得る。一部の実施形態では、パルス間の遅延は、少なくとも100mSecであり得る。一部の実施形態では、パルス間の遅延は、少なくとも1秒であり得る。一部の実施形態では、パルス間の遅延は、最大1秒であり得る。一部の実施形態では、パルス間の遅延は、1秒超であり得る。一部の実施形態では、パルス間の遅延は、1秒未満であり得る。
【0094】
刺激とは別に、本明細書に開示される疾患、障害、または状態(例えば、ニューロパチー)の処置は、1種または複数の治療剤(例えば、薬物治療、生物学的作用物質など)の投与を含み得る。一部の実施形態では、本明細書で提供されるシステムおよび方法は、このような治療剤の投与のために使用され得る。一部の実施形態では、対象に挿入されたニードルは、1種または複数の治療剤の投与のために使用され得る。一部の実施形態では、1種または複数の治療剤は、経皮的に投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の治療剤は、真皮下に投与される。一部の実施形態では、1種または複数の治療剤は、皮下に投与される。
【0095】
本明細書で提供されるシステムおよび方法を使用する処置の投与は、自動化され得る。例えば、一部の実施形態では、1つまたは複数の処置(例えば、治療剤または刺激)の送達は、自動化され得る。例えば、処置の投与の自動化は、1つまたは複数のプロセッサーを伴い得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のプロセッサーは、本明細書に記載されるシステム(例えば、オンデバイス)に組み込まれ得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のプロセッサーは、本明細書に記載されるシステムから離れて位置していてもよく(例えば、オフデバイス)、前記システムに無線で接続されていてもよい。一部の実施形態では、例えば、プロセッサーは、対象が疾患、障害、または状態(例えば、ニューロパチー)に罹患しているというプロセッサーによる決定に応答して、本明細書に開示されるシステムに、1つまたは複数の処置(例えば、1種または複数の治療剤(例えば、薬物治療、生物学的作用物質など)および/または刺激)を提供するよう、自動的に指令を提供するように構成され得る。一部の実施形態では、プロセッサーからシステムに受け取られた指令は、処置持続時間の1つまたは複数、処置の投薬量、逐次的な処置サイクル間の期間、処置投与のための1つまたは複数の標的深度、および他のこのような関連パラメーターに関する情報を含み得る。
併用療法:
【0096】
当業者に公知であり得る通り、本明細書に開示される1つもしくは複数のシグナル測定および/または1つもしくは複数の処置は、より正確な検出および最大処置効率を達成するために組み合わせられるか、または組み合わせて施与され得る。例えば、一部の実施形態では、機械的刺激は、1種または複数の治療剤の投与と組み合わせることができる。別の例では、電気的刺激は、他の形態の刺激(例えば、機械的または温度ベースの刺激)と組み合わせることができる。さらに別の実施形態では、1つまたは複数の標的深度にわたって得られた電気シグナル測定値は、特定の処置、例えば、電気的刺激を惹起するための指標として使用され得る。
【0097】
さらに、本明細書に開示される電気測定値を記録および/もしくはモニタリングする、ならびに/または処置の(例えば、刺激、治療剤、例えば薬物治療、生物学的作用物質など)任意の方法は、疾患、障害、または状態の従来の既存の処置と組み合わせることができる。例えば、疾患、障害、または状態(例えば、ニューロパチー)のための既存の処置(例えば、神経圧を上昇させるための注射、鎮痛剤、抗うつ薬、抗けいれん医薬品、他の医薬品(局部および/または経口)など)は、本明細書に開示されるシステムおよび方法を使用して投与される処置(例えば、刺激および/または治療剤)と組み合わせることができる。一部の実施形態では、既存の処置は、本明細書に開示される処置(例えば、刺激および/または治療剤)と同時に投与され得る。一部の実施形態では、既存の処置は、本明細書に開示される処置の投与の後に投与され得る。一部の実施形態では、既存の処置は、本明細書に開示される処置の投与の前に投与され得る。一部の実施形態では、対象への既存の処置の投与は、本明細書に開示される処置の投与から、一定期間(例えば、少なくとも1時間、5時間、8時間、24時間、2日、3日、5日、1週間、2週間、1カ月など)隔てることができる。一部の実施形態では、既存の処置だけが投与され得る。一部の実施形態では、既存の処置は、本開示のシステムのアレイの1つまたは複数のニードルを使用して投与され得る。
II.提供されるシステム
【0098】
本開示の診断治療システム(または「システム」)は、ニードルアレイ(例えば、マイクロニードルアレイ)、基材、および必要に応じて加熱/冷却、刺激、薬物送達などのための追加の部品を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、ポータブルであり得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、卓上システムであり得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、装着型システム(例えば、皮膚粘着性材料)であり得る。このようなシステムのフットプリントまたはベースエリアは、35mm×35mmを超え得るかまたはそれ未満であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステム/デバイスは、電気ノイズを低減し、ニードル接続部へのプリント回路基板(PCB)の最上部を保護するためのシールドキャップを適所に含み得る。一部の実施形態では、シールドキャップは、ニードルチューブアタッチメントのためのアクセスホールを含有し得る。一部の実施形態では、シールドキャップは、ニードルチューブアタッチメントのためのアクセスホールを含有していなくてもよい。図1aおよび図1bは、例示的な実施形態に従う本明細書に記載される診断治療デバイス/システムの模式図を示す。図1aに示される通り、本明細書に記載される診断治療システムは、有線I/O(入力/出力)を有するニードルアレイ(例えば、マイクロニードルアレイ)を含み得る。図1bは、無線I/O(入力/出力)を有するニードルアレイ(例えば、マイクロニードルアレイ)を含み得る、本明細書に記載される診断治療システムを示す。
【0099】
一部の実施形態では、シールドキャップは、導電性材料(例えば、金属、導電性ポリマーなど)から作製され得る。一部の実施形態では、シールドキャップは、非導電性材料(例えば、プラスチック、非導電性ポリマーなど)から作製され得る。一部の実施形態では、非導電性材料から作製されたシールドキャップは、導体(例えば、導電体(例えば、金属(例えば、銅、アルミニウム、スズなど)、金属合金(例えば、銅合金など)))でコーティングされ得る。一部の実施形態では、導体(例えば、導電体)は、スズの事前シールド(pre-tin shielding)であり得る。一部の実施形態では、シールドキャップは、接地されている(例えば、接地部に接続されている)。このようなシールドキャップは、例えば、電気接続部、部品、および/または回路を干渉(例えば、無線周波干渉)からシールドするために使用され得る。
ニードルおよびニードルアレイ:
【0100】
様々な実施形態に従って、適用に適したいかなるニードルも、本明細書で提供されるシステムにおいて使用され得る。一部の実施形態では、ニードルは、マイクロニードルである(すなわち、例えば、マイクロニードルは、約1μm~約12,000μmの間の長さを有することができるか、または最大12,000μmであり得る長さを有することができるか、または少なくとも1μmであり得る長さを有することができる)。一部の実施形態では、ニードルは、ニードルの長さの大部分にわたって一貫した直径を有する。一部の実施形態では、ニードルの直径は、ニードルのベース(すなわち、先端に対して反対端または遠位端)が最も大きい。一部の実施形態では、ニードルは、ニードルのベースに対して遠位端の先端に向かって先細りしている(例えば、対象の皮膚の穿孔を促進するため)。一部の実施形態では、ニードルは、中実であり得る。一部の実施形態では、ニードルは、中空であり得る(例えば、その長さ全体またはその一部にわたって)。一部の実施形態では、ニードルは、管状であり得る。一部の実施形態では、ニードルは、一端または両端が封着され得る。一部の実施形態では、ニードルは、ニードルのアレイの一部である。一部の実施形態では、ニードルは、約1mm~約12mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約1mm~約2mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約2mm~約3mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約3mm~約4mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約4mm~約5mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約5mm~約6mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約6mm~約7mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約7mm~約8mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約8mm~約9mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約9mm~約10mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約10mm~約11mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約11mm~約12mmの間の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約12mm超の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、約1mm未満の長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、少なくとも9mm、少なくとも10mm、少なくとも11mm、または少なくとも12mmの長さを有することができる。一部の実施形態では、ニードルは、最大1mm、最大2mm、最大3mm、最大4mm、最大5mm、最大6mm、最大7mm、最大8mm、最大9mm、最大10mm、最大11mm、または最大12mmの長さを有することができる。
【0101】
一部の実施形態では、ニードルは、32ゲージ、33ゲージ、34ゲージ、35ゲージ、36ゲージ、37ゲージ、38ゲージ、39ゲージ、40ゲージ、41ゲージ、または42ゲージであり得る。一部の実施形態では、ニードルは、少なくとも32ゲージであり得る。一部の実施形態では、ニードルは、最大42ゲージであり得る。一部の実施形態では、ニードルアレイは、同じゲージのニードルを有することができる。一部の実施形態では、ニードルアレイは、異なるゲージのニードル(例えば、1つまたは複数のゲージ、2つまたはそれよりも多くのゲージなど)を有することができる。
【0102】
一部の実施形態では、本開示に従う使用のためのニードルは、ニードルアレイ(例えば、マイクロニードルアレイ)に設計され、構築され得る。
マイクロニードル(MN)およびMNアレイ:
【0103】
一部の実施形態では、その1つまたは複数が本開示に従って使用するためのマイクロニードル(MN)アレイを形成するように一緒に配列されているMNは、真皮下組織および皮下ニードルの使用と一般に関連する不利益のいくつかを克服し、患者の快適さおよび服薬遵守を改善するように開発された、侵襲性が最小限のシステムであるか、またはそのシステムと特色を共有する。このような不利益には、例えば、ニードルが進みつつある箇所を医療従事者が正確に可視化することができないため、真皮下組織ニードルへのニードル先端の誤留置の潜在的可能性が含まれる。MNの他の利点は、出血を引き起こすことなく、MNにより生じた孔を介する病原体の進入を最小限に抑え、経皮投薬の変動性を排除し得るということである。他の利点は、自己投与を可能にし、偶発的なニードル穿刺傷害のリスクを低減し、感染症が伝播するリスクを低減し、容易に廃棄できるということである。一部の実施形態では、MNは、支持体、例えばパッチまたはデバイス(例えば、スタンプ、ローラー、アレイ、アプリケーター、ペン)の片面に取り付けられた多数の顕微鏡的突起である。
【0104】
一部の実施形態では、本開示に従う使用のためのマイクロニードル(MN)は、皮膚との接触を改善し、皮膚への構成を促進するために、アレイとして設計および/または構築され得る。一部の実施形態では、アレイは、可撓性である。一部の実施形態では、アレイは、剛性である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるマイクロニードル穿刺(microneedling)技術は、皮膚に挿入されたときに神経との近接を可能にする同時に、シグナル検出および薬物送達のための効率的な経路を作り出すのに適した長さ、幅、および形状のMNを利用する。
【0105】
一部の実施形態では、適切なMNは、中実の、コーティングされた、多孔質の、溶解性の、中空の、またはヒドロゲルのMNであり得る。以前に開示されている通り、MNアレイまたは個々のMNは、様々な疾患、障害、または状態、例えばニューロパチー(例えば、PN)の防止および/または処置ための処置を送達するために使用され得る。中実MNは、皮膚に微小な孔を作り出し、それによって、薬物製剤の輸送を増大する(例えば、「ポークアンドパッチ(poke and patch)」方法)。コーティングされたMNは、コーティングされた薬物の皮膚への急速溶解を可能にする(例えば、「コートアンドポーク(coat and poke)」方法)。溶解性MNは、マイクロニードルに組み込まれた薬物の急速および/または制御放出を可能にする。中空MNは、皮膚を穿刺し、マイクロニードルの口径を介する製剤の能動的注入または拡散後に、組成物の放出を可能にするために使用され得る(例えば、「ポークアンドフロー(poke and flow)」方法」)。溶解性MNの場合、MNは、溶解性MNの場合には溶解によって、またはヒドロゲルMNの場合には膨潤によって放出されるまで、薬物組成物を保持する薬物デポーとして作用することができる(例えば、「ポークアンドリリース(poke and release)」方法)。
【0106】
一部の実施形態では、マイクロニードルは、マイクロニードルの長さにわたって一貫した直径を有する。一部の実施形態では、マイクロニードルの直径は、マイクロニードルのベース端が最も大きい。一部の実施形態では、マイクロニードルは、マイクロニードルのベースに対して遠位端に向かって先細りしている。一部の実施形態では、マイクロニードルは、中実であり得る。一部の実施形態では、マイクロニードルは、中空であり得る。一部の実施形態では、マイクロニードルは、管状であり得る。一部の実施形態では、マイクロニードルは、一端が封着され得る。一部の実施形態では、マイクロニードルは、マイクロニードルのアレイの一部である。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約100μm超の外径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約200μm超の外径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約100μm未満の外径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約200μm未満の外径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、または約500μmの外径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、最大500μmの外径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、少なくとも20μmの外径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約10μm超の内径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約20μm超の内径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約10μm未満の内径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約20μm未満の内径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、または約50μmの内径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、最大50μmの内径を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、少なくとも1μmの内径を有することができる。
【0107】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるマイクロニードル穿刺は、共通の長さの複数のマイクロニードル(例えば、マイクロニードルアレイ)を皮膚に施与することを含み、一部の実施形態では、本明細書に記載されるマイクロニードル穿刺は、異なる長さの複数のマイクロニードル(例えば、マイクロニードルアレイ)を皮膚に施与することを含む。
【0108】
本明細書に記載されるマイクロニードル穿刺技術において、様々な長さのマイクロニードルが使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される通り使用されるマイクロニードルの長さは、処置部位の皮膚の厚さに基づいて調整される。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約1μm~約12,000μmの間の長さを有することができるマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約1μm~約4,000μmの間の長さを有することができるマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約1μm~約2,000μmの間の長さを有することができるマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約50μm~約400μmの間の長さを有することができるマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約800μm~約1500μmの間の長さを有することができるマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約50μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約100μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約150μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約200μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約250μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約300μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約350μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約400μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約450μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約500μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約550μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約600μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約650μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約700μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約750μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約800μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約850μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約900μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約950μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約1000μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約1100μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約1200μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約1300μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約1400μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約1500μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約2000μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約3000μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約4000μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、約5000μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、少なくとも約50μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、少なくとも約1μm、少なくとも約10μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、少なくとも約250μm、少なくとも約300μm、少なくとも約350μm、少なくとも約400μm、少なくとも約450μm、少なくとも約500μm、少なくとも約550μm、少なくとも約600μm、少なくとも約650μm、少なくとも約700μm、少なくとも約750μm、少なくとも約800μm、少なくとも約850μm、少なくとも約900μm、少なくとも約950μm、少なくとも約1000μm、少なくとも約2000μm、少なくとも約3000μm、少なくとも約4000μm、少なくとも約5000μm、少なくとも約6000μm、少なくとも約7000μm、少なくとも約8000μm、少なくとも約9000μm、少なくとも約10000μm、少なくとも約11000μm、少なくとも約12000μmの長さ、少なくとも約13000μmの長さ、少なくとも約14000μmの長さ、少なくとも約15000μmの長さ、少なくとも約16000μmの長さ、少なくとも約17000μmの長さ、少なくとも約18000μmの長さ、少なくとも約19000μmの長さ、少なくとも約20000μmの長さ、少なくとも約21000μmの長さ、少なくとも約22000μmの長さ、少なくとも約23000μmの長さ、または少なくとも約24000μmの長さのマイクロニードルを含む。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、最大約1μm、最大約10μm、最大約100μm、最大約150μm、最大約200μm、最大約250μm、最大約300μm、最大約350μm、最大約400μm、最大約450μm、最大約500μm、最大約550μm、最大約600μm、最大約650μm、最大約700μm、最大約750μm、最大約800μm、最大約850μm、最大約900μm、最大約950μm、最大約1000μm、最大約2000μm、最大約3000μm、最大約4000μm、最大約5000μm、最大約6000μm、最大約7000μm、最大約8000μm、最大約9000μm、最大約10000μm、最大約11000μm、最大約12000μmの長さ、最大約13000μmの長さ、最大約14000μmの長さ、最大約15000μmの長さ、最大約16000μmの長さ、最大約17000μmの長さ、最大約18000μmの長さ、最大約19000μmの長さ、最大約20000μmの長さ、最大約21000μmの長さ、最大約22000μmの長さ、最大約23000μmの長さ、または最大約24000μmの長さのマイクロニードルを含む。
【0109】
一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、複数のニードルを含む。本開示に従う使用のためのMNアレイは、様々なマイクロニードル密度で製作され得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、2個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、3個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、4個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、5個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、6個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、7個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、8個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、9個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、10個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、11個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、12個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、13個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、14個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、15個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、16個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、17個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、18個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、19個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、20個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、21個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、22個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、23個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、24個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、25個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、26個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、27個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、28個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、29個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、30個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、31個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、35個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、40個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、45個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、50個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、55個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、60個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、65個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、70個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、75個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、80個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、85個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、90個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、95個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、100個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、200個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、300個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、400個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、500個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、1000個未満のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、2000個未満のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、最大約1個、最大約2個、最大約3個、最大約4個、最大約5個、最大約6個、最大約7個、最大約8個、最大約9個、最大約10個、最大約11個、最大約12個、最大約13個、最大約14個、最大約15個、最大約16個、最大約17個、最大約18個、最大約19個、最大約20個、最大約21個、最大約22個、最大約23個、最大約24個、最大約25個、最大約26個、最大約27個、最大約28個、最大約29個、最大約30個、最大約35個、最大約40個、最大約45個、最大約50個、最大約55個、最大約60個、最大約65個、最大約70個、最大約75個、最大約80個、最大約85個、最大約90個、最大約95個、最大約100個、最大約200個、最大約300個、最大約400個、最大約500個、最大約1000個、または最大約2000個のマイクロニードル/cmを含み得る。一部の実施形態では、MNまたはMNアレイは、少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも約12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、少なくとも約20個、少なくとも約21個、少なくとも約22個、少なくとも約23個、少なくとも約24個、少なくとも約25個、少なくとも約26個、少なくとも約27個、少なくとも約28個、少なくとも約29個、少なくとも約30個、少なくとも約35個、少なくとも約40個、少なくとも約45個、少なくとも約50個、少なくとも約55個、少なくとも約60個、少なくとも約65個、少なくとも約70個、少なくとも約75個、少なくとも約80個、少なくとも約85個、少なくとも約90個、少なくとも約95個、少なくとも約100個、少なくとも約200個、少なくとも約300個、少なくとも約400個、少なくとも約500個、少なくとも約1000個、または少なくとも約2000個のマイクロニードル/cmを含み得る。
【0110】
本明細書に記載されるマイクロニードル穿刺技術において、任意の形状のマイクロニードルが使用され得る。一部の実施形態では、マイクロニードルは、円形横断面を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、三角形横断面を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、長方形横断面を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、正方形横断面を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、四角形横断面を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、五角形横断面を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、六角形横断面を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、七角形横断面を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、八角形横断面を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、九角形横断面を有することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、十角形横断面を有することができる。
【0111】
一部の実施形態では、本発明に従うMNは、コーティングされ得る(例えば、部分的または完全に)。当業者には承知され得る通り、コーティングは、ニードルが、上皮、真皮、真皮下組織、または皮膚のさらに下、例えば脂肪もしくは筋組織まで構成するのを助けることができる。一部の実施形態では、MNは、単一材料でコーティングされ得る。一部の実施形態では、MNは、2つまたはそれよりも多くの材料でコーティングされ得る。一部の実施形態では、MNは、第1のコーティングでコーティングされ得る。一部の実施形態では、MNは、2つまたはそれよりも多くのコーティングでコーティングされ得る。一部の実施形態では、MNは、外側がコーティングされ得る。一部の実施形態では、MNは、内側がコーティングされ得る。一部の実施形態では、MNは、内側および外側がコーティングされ得る。一部の実施形態では、MNは、潤滑剤でコーティングされ得る。一部の実施形態では、MNは、導電性材料でコーティングされ得る。一部の実施形態では、MNは、ステンレス鋼、ケイ素(silcon)、白金、金、銀、銅、またはそれらの任意の組合せでコーティングされ得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のコーティングは、シグナルを絶縁するためのものであり得る。一部の実施形態では、MNは、ステンレス鋼でコーティングされ得る。一部の実施形態では、MNは、電気絶縁体でコーティングされ得る。
【0112】
一部の実施形態では、本開示に従うMNは、1種または複数の材料を充填され得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のMNは、少なくとも部分的に充填され得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のMNは、完全に充填され得る。一部の実施形態では、MNは、少なくとも部分的に充填され得る。一部の実施形態では、MNは、完全に充填され得る。一部の実施形態では、MNは、充填材料で充填され得る。一部の実施形態では、充填材料は、導電性材料である。一部の実施形態では、導電性材料は、金属であり得る。一部の実施形態では、導電性材料は、ステンレス鋼、ケイ素、白金、金、銀、銅、またはそれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、電気絶縁材料は、ポリマーであり得る。一部の実施形態では、充填材料は、電気絶縁材料であり得る。一部の実施形態では、充填材料は、液体、ゲル、エマルション、ローション、クリーム、流体、または固体の形態であり得る。
【0113】
一部の実施形態では、本開示に従う使用のためのMNは、異なる材料から製作され得る。一部の実施形態では、MNは、ポリマー、金属、セラミック、半導体、有機物、複合材料、またはケイ素を含めた様々なタイプの生体適合性材料を使用して製造され得る。一部の実施形態では、MNは、金属を使用して製造され得る。一部の実施形態では、MNは、ケイ素、白金、金、銀、銅、任意の導電性金属、またはそれらの任意の組合せを使用して製造される。一部の実施形態では、MNは、ケイ素を使用して製造される。一部の実施形態では、MNは、ステンレス鋼を使用して製造される。一部の実施形態では、マイクロニードルは、皮膚内で折れ、溶解するように設計されない限り、皮膚に挿入され、および/または挿入後に皮膚から除去されると同時に、無傷のままであり、神経コンダクタンスを記録するか、薬物を送達するか、または生体液を収集するための機械的強度を有する。一部の実施形態では、MNは、無傷で除去されるまで最大数日間、その場に残存することができる。一部の実施形態では、マイクロニードルは、標準技術を使用して滅菌可能であり得る。一部の実施形態では、MNは、生分解性であり得る。一部の実施形態では、MNは、ポリマー材料を含み得る。一部の実施形態では、ポリマー材料は、ポリ-L-乳酸、ポリ-グリコール酸、ポリ-カーボネート、ポリ-乳酸-co-グリコール酸(PLGA)、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、マルトース、デキストリン、ガラクトース、デンプン、ゼラチン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、MNは、使い捨てである。一部の実施形態では、MNは、再使用可能である。
【0114】
一部の実施形態では、本開示に従う使用のためのMNは、限定されるものではないが、3Dプリンティング、マイクロ成型プロセスまたはレーザーを含めた技術を使用して製作され得る。一部の実施形態では、MNは、3Dプリンティングを使用して製作され得る。
【0115】
一部の実施形態では、本開示に従う使用のためのMNは、様々な機能を有することができる。一部の実施形態では、MNは、電極として使用され得る。一部の実施形態では、MNは、参照電極として使用され得る。一部の実施形態では、MNは、接地電極として使用され得る。一部の実施形態では、MNは、刺激電極として使用され得る。一部の実施形態では、MNは、処置(例えば、治療剤および/または刺激)を送達して、疾患、障害、または状態(例えば、ニューロパチー(例えば、PN))を処置するために使用され得る。一部の実施形態では、MNは、生物学的試料をサンプリングするために使用され得る。一部の実施形態では、MNは、生体液をサンプリングするために使用され得る。一部の実施形態では、MNは、流体輸送のために使用され得る。一部の実施形態では、流体輸送は、双方向的であり得る。一部の実施形態では、流体輸送は、一方向であり得る。一部の実施形態では、流体輸送は、開示のシステム(例えば、ニードル)から皮膚または他の組織へであり得る。一部の実施形態では、流体輸送は、皮膚または他の組織から開示のシステム(例えば、ニードル)へであり得る。一部の実施形態では、流体輸送は、開示のシステム(例えば、ニードル)と、対象の皮膚、間質液、血液、汗、および/または皮下組織の1つまたは複数との間である。一部の実施形態では、MNは、処置を送達するために使用され得る。一部の実施形態では、送達は、経皮的に達成される。一部の実施形態では、送達は、真皮下で達成される。一部の実施形態では、送達は、皮下で達成される。
基材:
【0116】
本開示に従う使用のためのニードルアレイおよび/またはMNアレイは、基材上に製作され得る。一部の実施形態では、基材は、様々な表面積を有することができる。一部の実施形態では、基材は、少なくとも約1平方インチの表面積を有することができる。一部の実施形態では、基材は、少なくとも約2平方インチの表面積を有することができる。一部の実施形態では、基材は、少なくとも約3平方インチの表面積を有することができる。一部の実施形態では、基材は、少なくとも約4平方インチの表面積を有することができる。一部の実施形態では、基材は、少なくとも約5平方インチの表面積を有することができる。一部の実施形態では、基材は、少なくとも約10平方インチの表面積を有することができる。一部の実施形態では、基材は、1平方インチ未満の表面積を有することができる。
【0117】
一部の実施形態では、基材は、少なくとも2つの寸法を有することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの寸法は、少なくとも約1インチであり得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの寸法は、少なくとも約2インチであり得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの寸法は、少なくとも約2インチであり得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの寸法は、少なくとも約4インチであり得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの寸法は、少なくとも約5インチであり得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの寸法は、少なくとも約6インチであり得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの寸法は、少なくとも約7インチであり得る。一部の実施形態では、少なくとも1つの寸法は、最大約8インチであり得る。
【0118】
一部の実施形態では、本開示に従う使用のためのニードルアレイおよび/またはMNアレイは、様々な形状を有する基材上に製作され得る。基材の形状は、様々な対象および/または患者の様々な身体部分またはサイズに適合するように製作され得る。一部の実施形態では、基材は、円形または多角形として成形され得る。一部の実施形態では、基材は、円形、三角形、正方形、長方形、五角形、四角形、六角形、八角形、または任意の他の形状として成形され得る。一部の実施形態では、基材は、正方形として成形され得る。一部の実施形態では、基材は、長方形として成形され得る。
【0119】
本開示に従う使用のための基材は、異なる材料から製作され得る。一部の実施形態では、基材は、MNアレイまたはニードルアレイと同じ材料を使用して製作され得る。一部の実施形態では、基材は、MNアレイまたはニードルアレイとは異なる材料を使用して製作され得る。一部の実施形態では、基材は、可撓性である。一部の実施形態では、基材は、剛性である。一部の実施形態では、基材は、ポリマー、金属、セラミック、半導体、有機物、複合材料、またはケイ素を含めた様々なタイプの生体適合性材料を使用して製造され得る。一部の実施形態では、基材は、無傷で除去されるまで最大数日間、その場に残存することが可能であり得る。一部の実施形態では、基材は、生分解性であり得る。一部の実施形態では、基材は、ポリマー材料を含み得る。一部の実施形態では、ポリマー材料は、ポリ-L-乳酸、ポリ-グリコール酸、ポリ-カーボネート、ポリ-乳酸-co-グリコール酸(PLGA)、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、マルトース、デキストリン、ガラクトース、デンプン、ゼラチン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン、またはそれらの組合せを含む。
【0120】
本開示に従う使用のための基材は、限定されるものではないが、3Dプリンティング、マイクロ成型プロセスまたはレーザーを含めた技術を使用して製作され得る。一部の実施形態では、基材は、3Dプリンティングを使用して製作される。
追加の部品:
【0121】
本明細書に記載されるシステムは、それらの診断および治療機能性を増強するための追加の部品を含み得る。一部の実施形態では、追加の部品は、必要に応じたものである。
【0122】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムは、開示のシステムの少なくとも1つのニードル(例えば、マイクロニードル)に流体連結されている、流体流を提供するための手段を含む。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムは、必要であれば1種または複数の治療剤を持続的に、タイムリーに放出するためのデバイスのニードルに流体的に接続されている、1種または複数の治療剤(例えば、薬物治療、生物学的作用物質など)を保存するための1つまたは複数のリザーバーを含み得る。一部の実施形態では、流体流を提供するための手段は、シリンジポンプである。一部の実施形態では、流体流を提供するための手段は、機械式ポンプである。
【0123】
一部の実施形態では、基材は、対象の皮膚および/または皮下組織への1つまたは複数のニードルの構成深度を調整可能にするように構成されている。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、スペーサーを含み得る。一部の実施形態では、スペースは、調整可能である。すなわち、一部の実施形態では、スペーサーは、1つまたは複数のニードル(例えば、マイクロニードル)の構成深度を制御する助けになり得る。したがって、スペーサーの寸法は、ニードルの必須の構成深度に応じて決まる。一部の実施形態では、スペーサーは、少なくとも50μmの厚さを有する。一部の実施形態では、スペーサーは、少なくとも約500μmの厚さである。一部の実施形態では、スペーサーは、最大約5000μmの厚さである。一部の実施形態では、スペーサーは、最大約12000μmの厚さである。当業者は、スペーサーが、ニードルの構成深度を調整するのに適した厚さを有することができることを認識されるはずである。したがって、一部の実施形態では、スペーサーは、0~12mmの範囲で可変であるか、またはその範囲内の厚さを有することができる。一部の実施形態では、スペーサーは、約50μm~約2mmの厚さを有することができる。
【0124】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、冷却機構を含み得る。例えば、冷却は、化学的または電子的手段により達成され得る。一部の実施形態では、冷却は、メタノールを使用して達成される。一部の実施形態では、冷却は、局部製剤を使用して達成される。一部の実施形態では、製剤は、クリーム剤またはローション剤である。一部の実施形態では、冷却は、送風機を使用して達成される。一部の実施形態では、冷却は、電気的、熱電的、または焦電的手段を使用して達成される。一部の実施形態では、冷却は、冷却コイル(例えば、細い管を流れる水を用いる)を使用して達成される。
【0125】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、神経機能性を生き返らせるか、または神経再成長を刺激するために、このような神経を刺激する機構を含み得る。一部の実施形態では、刺激は、本明細書に開示されるシステムの1つまたは複数のニードルを使用して達成され得る。一部の実施形態では、刺激は、機械的である。一部の実施形態では、刺激は、振動(例えば、ニードルの振動)によって達成され、本明細書に開示されるシステムは、1つまたは複数のニードルでの振動運動の発生を可能にするデバイス部品を含み得る。一部の実施形態では、デバイス部品は、モーターであり得る。一部の実施形態では、刺激は、温度調節(例えば、ニードルの温度調節)によって達成され、システムは、温度調節を可能にするデバイス部品を含み得る。一部の実施形態では、デバイス部品は、追加の可撓性バッキングであり得る。一部の実施形態では、可撓性バッキングは、冷却刺激を提供するために使用され得る。一部の実施形態では、デバイス部品は、冷却コイルであり得る。
【0126】
本明細書に記載されるシステムはまた、例えば神経線維からのシグナルを記録するためのエレクトロニクスを含み得る。一部の実施形態では、システムは、デバイス(例えば、ニードル)および/またはシステム部品からデータを受け取るように構成されている1つまたは複数のデジタルプロセッサーおよび関連エレクトロニクスを含み得る。一部の実施形態では、システムは、デバイス(例えば、ニードル)および/またはシステム部品にデータを伝達するように構成されている1つまたは複数のデジタルプロセッサーおよび関連エレクトロニクスを含み得る。これにより、本明細書に開示されるシステムを、様々な臨床設定で用いることができ、専門家が患者をスクリーニングする必要がなくなる。一部の実施形態では、ニューロパチー性状態の解釈を含む神経記録データを、簡単なFDA/HIPPA準拠のインターフェースに統合するために、関連ソフトウェア(例えば、FOX-DEN)を提供することができ、神経記録データを理解するための専門的な訓練の必要性を低減する。図6は、本明細書に開示されるシステム/デバイス(図6では「DENモジュール」と呼ばれる)とコンピューターデバイスとの間のシグナル増幅および無線通信を含めたオンサイト処理における使用のためのシステムの模式図を示す。
【0127】
一部の実施形態では、システムは、電力を提供するための電源を含み得る。一部の実施形態では、電源は、バッテリーであり得る。一部の実施形態では、システムは、PCカードおよび/または増幅器を含み得る。一部の実施形態では、システムは、データを操作デバイスにおよび操作デバイスから無線で交換するための無線伝達モジュールを含み得る。これにより、本明細書に記載されるシステムをポータブルにし、様々な臨床設定で用いることができ、専門家が患者をスクリーニングする必要がなくなる。
【0128】
一部の実施形態では、システムは、生物学的試料を分析するための1つまたは複数のセンサーを含み得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のセンサーは、電気化学的センサーであり得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のセンサーは、電子的なもの(例えば、電界効果トランジスタ(FET)、イオンチャネルなど)であり得る。
製造:
【0129】
本願に開示される技術は、当技術分野で公知の任意の製造技術を使用して製造され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、微細加工技術を使用して製造され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、3Dプリンティングを使用して製造され得る。
【0130】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムのすべての部品は、単一の製造プロセスを使用して製造され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムの部品のサブセットは、単一の製造プロセスを使用して製造され得る。一部の実施形態では、システムの部品は、微細加工技術を使用して製造され得る。一部の実施形態では、システムの部品は、3Dプリンティングを使用して製造される。
【0131】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムのニードル(例えば、マイクロニードル)は、微細加工技術を使用して製造され得る。一部の実施形態では、ニードルは、化学的等方性エッチングによって製造され得る。一部の実施形態では、ニードルは、射出成型によって製造され得る。一部の実施形態では、ニードルは、反応性イオンエッチングによって製造され得る。一部の実施形態では、ニードルは、表面マイクロマシニングによって製造され得る。一部の実施形態では、ニードルは、バルクマイクロマシニングによって製造され得る。一部の実施形態では、ニードルは、マイクロ成型によって製造され得る。一部の実施形態では、ニードルは、リソグラフィー-電鋳複製によって製造され得る。一部の実施形態では、ニードルは、レーザードリル加工によって製造され得る。参照により本明細書に組み込まれるTrichur et al., 2002、Yang & Zahn, 2004、Davis et al., 2005、Moon et al., 2005、Park et al., 2005、Stoeber & Liepmann, 2005を参照されたい。一部の実施形態では、ニードルは、電気めっきによって製造され得る。一部の実施形態では、ニードルは、光化学的エッチングによって製造され得る。一部の実施形態では、ニードルは、レーザー切断によって製造され得る。参照により本明細書に組み込まれるChandrasekaran & Frazier, 2003、Chandrasekaran et al., 2003、Verbaan et al., 2008を参照されたい。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステムのニードルは、3Dプリンティングを使用して製造され得る。
【0132】
先の節で論じられる通り、本明細書に開示されるシステムの部品を構築するために、様々な材料が使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステム部品を構築するために、1種または複数の材料が使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるシステム部品を構築するために、1種の材料が使用され得る。一部の実施形態では、システム部品を構築するために使用される1種または複数の材料は、生体適合性であり得る。一部の実施形態では、システム部品を構築するために使用される1種または複数の材料は、生分解性であり得る。例えば、本開示のニードル(例えば、マイクロニードル)は、様々な材料を使用して構築され得る。一部の実施形態では、ニードルは、ポリマー、金属、セラミック、半導体、有機物、複合材料、またはケイ素を含めた様々なタイプの1種または複数の生体適合性材料を使用して構築され得る。一部の実施形態では、ニードルは、半導体を使用して構築され得る。一部の実施形態では、ニードルは、ケイ素から構築され得る。一部の実施形態では、ニードルは、金属を使用して構築され得る。一部の実施形態では、ニードルは、ステンレス-鋼、チタン、パラジウム、パラジウム-コバルト合金、ニッケル、白金、金、銀、銅、任意の導電性金属、またはそれらの任意の組合せの1つまたは複数を使用して構築され得る。一部の実施形態では、ニードルは、ステンレス鋼を使用して構築される。一部の実施形態では、ニードルは、ポリマー材料を含み得る。一部の実施形態では、ポリマー材料は、ポリ-L-乳酸、ポリ-グリコール酸、ポリ-カーボネート、ポリ-乳酸-co-グリコール酸(PLGA)、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、マルトース、デキストリン、ガラクトース、デンプン、ゼラチン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、ニードルは、マイクロニードルであり得る。
【0133】
本明細書に記載されるシステムの記録用エレクトロニクスは、当技術分野で公知の製作技術を使用して製造され得る。一部の実施形態では、記録用エレクトロニクスは、従来の微細加工技術を使用して製作され得る。一部の実施形態では、記録用エレクトロニクスは、化学的等方性エッチングによって製作され得る。一部の実施形態では、記録用エレクトロニクスは、射出成型によって製作され得る。一部の実施形態では、記録用エレクトロニクスは、反応性イオンエッチングによって製作され得る。一部の実施形態では、記録用エレクトロニクスは、表面マイクロマシニングによって製作され得る。一部の実施形態では、記録用エレクトロニクスは、バルクマイクロマシニングによって製作され得る。一部の実施形態では、記録用エレクトロニクスは、マイクロ成型によって製作され得る。一部の実施形態では、記録用エレクトロニクスは、リソグラフィー-電鋳複製によって製作され得る。一部の実施形態では、記録用エレクトロニクスは、レーザードリル加工によって製作され得る。一部の実施形態では、記録用エレクトロニクスは、プリント回路基板(PCB)上に制作され、および/または取り付けられ得る。当業者に公知の通り、PCBに使用される電子部品は、既製品(off-shelf)部品であり得る。
III.皮膚
【0134】
本開示の態様は、開示のシステムの、皮膚および/または皮膚の様々な成分との相互作用に関する。当業者に公知の通り、ヒトの皮膚は、身体の最大臓器であり、微生物および病原体から保護する助けになり、体温を調節し、過度の水分喪失から保護し、ビタミンDを合成し、触覚、熱感、冷感および疼痛などの感覚を可能にする。
成分:
【0135】
ヒトの皮膚は、上皮および真皮を含む多数の層を含む。上皮は、いくつかの組織層、すなわち角質層、透明層、顆粒層、有棘層、および基底層(外皮膚表面から内側順に特定)を有する。
【0136】
角質層は、医薬品の経皮送達の最も著しい障害物となる。角質層は、典型的に、約10μm~15μmの厚さであり、いくつかの層に配列されている扁平な角化した(keratised)細胞(角質細胞)を含む。角質細胞の間の細胞間空間は、脂質構造で充填され、皮膚を介する物質の浸透において役割を果たし得る(参照によって本明細書に組み込まれるBauerova et al., 2001, Eur. J. Drug Metabolism Pharmacokinetics, 26:85)。角質層の下の上皮の他の部分は、およそ150μmの厚さである。
【0137】
真皮は、約1mm~2mmの厚さであり、上皮の下に位置する。真皮は、様々な毛細血管および神経突起によって支えられ、結合組織からなり、身体にかかる応力および歪みを和らげる。真皮は、乳頭領域と呼ばれる上皮に隣接する表在エリアと、網状領域として公知のより厚い深部のエリアの2つのエリアに構造的に分けられる。
【0138】
真皮下組織または皮下組織は、皮膚の一部ではなく、真皮の下にある。真皮下組織または皮下組織の目的は、皮膚を下にある骨および筋肉につなぎ、皮膚に血管および神経を供給することである。真皮下組織または皮下組織は、結合組織、脂肪組織、およびエラスチンからなり、線維芽細胞、マクロファージ、および脂肪細胞を含む。
提供されるシステムとの相互作用:
【0139】
以前に開示されている通り、本明細書に開示されるシステムは、皮膚および/または皮下組織の1つまたは複数の層と相互作用することができる。例えば、本明細書に開示されるシステムのニードルは、ニードルが皮膚および/または皮下組織の特定の層と相互作用するような特定の長さを伴って製作され得る。一部の実施形態では、スペーサーは、本明細書に開示されるシステムのニードルの構成深度を調整するために使用され得る。
【0140】
一部の実施形態では、シグナルの検出(例えば、モニタリング、記録など)は、皮膚の層のいずれか1つにおいて実施され得る。一部の実施形態では、検出は、上皮において実施され得る。一部の実施形態では、検出は、真皮において実施され得る。一部の実施形態では、検出は、皮下組織において実施され得る。
【0141】
一部の実施形態では、生物学的試料のサンプリングは、皮膚の層のいずれか1つから得ることができる。一部の実施形態では、試料は、上皮から得ることができる。一部の実施形態では、試料は、真皮から得ることができる。一部の実施形態では、試料は、皮下組織から得ることができる。
【0142】
一部の実施形態では、処置(例えば、治療剤、刺激など)は、皮膚の層のいずれか1つに投与され得る。一部の実施形態では、処置は、上皮に投与され得る。一部の実施形態では、処置は、真皮に投与され得る。一部の実施形態では、処置は、皮下組織に投与され得る。
【0143】
一部の実施形態では、皮膚および/または皮下組織の2つ以上の層と相互作用する(例えば、検出する、サンプリングする、刺激する、処置を投与するなどの)ために、様々な長さのニードルが使用され得る。一部の実施形態では、1つまたは複数の層とのこのような相互作用は、同時である。一部の実施形態では、このような相互作用は、連続的である(すなわち、ある相互作用が、別の相互作用の後)。
IV.疾患、障害、および状態
末梢ニューロパチー:
【0144】
末梢ニューロパチー(PN)は、患者、患者の家族、および社会全体に影響を及ぼす壊滅的な状態である。PNは、脳および脊髄におよび脳および脊髄から、身体の残りからおよび身体の残りにシグナルを伝える神経が、損傷を受けているかまたは罹患している場合にもたらされる状態を指す。末梢神経は、脳および脊髄を筋肉および臓器に接続する神経の複雑な網目構造である。これらの神経は、脊髄から出て、デルマトームと呼ばれる身体の線に沿って配列されている。神経への損傷は、1つまたは複数のデルマトームに影響を及ぼし、体内の特定エリアまで進むことがある。典型的に、神経損傷は、脳と身体の他の部分との間の通信を中断させる。神経損傷はまた、筋肉の動きを損ない、腕および脚の正常な感覚を妨げ(例えば、足または手に灼熱感を引き起こす)、ピリピリ感、知覚麻痺、および/または疼痛を引き起こすことがある。
【0145】
近年のFDAの報告書The Voice of the Customerによれば、患者は、PNを予想外にまたは急に経験することがあり、PN症状と毎日闘っており、したがって適切で一貫した疼痛緩和を求める患者の能力が制限されているおそれがある。多くの患者は、その影響について、キャリアの喪失または著しい変化、社会的交流の制限、家族との充実した時間の減少、および患者の疾患に起因する絶望感として説明している(FDA, U.S.F.a.D.A., Neuropathic Pain Associated with Peripheral Neuropathy, FDA, Editor. 2017を参照されたい)。
【0146】
The Foundation for Peripheral Neuropathyによれば、米国だけで推定3000万人が、糖尿病性末梢ニューロパチー(DPN)、化学療法誘発性末梢ニューロパチー(CIPN)、HIVまたはAIDS誘発性ニューロパチー、および特発性末梢ニューロパチー(IPN)、特定できる公知の原因がないニューロパチー(例えば高齢化に伴う)を含めたいくつかの形態のPNによって影響を受けている。現在、患者は、鎮痛剤または鎮痛薬で処置されるだけであり、それらでは、知覚麻痺、ピリピリ感、過敏症、および脱力感、またはより重症の場合には四肢切断(組織壊死に起因する)を含む範囲の症状を軽減することができない。介入によりPNの進行を緩徐することができる状況はあるものの、神経変性を完全に停止させ、逆転させるための治療は、市場には存在しない。
【0147】
糖尿病性末梢ニューロパチー(DPN):DPNは、糖尿病を有する患者で生じることが公知である。DPNは、PNの最大分類となり、四肢遠位部の皮膚における軸索の「逆行性神経死」を伴い、神経伝導の喪失ならびに疼痛および不快感をもたらす。症状には、知覚麻痺、ピリピリ感、触覚過敏症(tactile hypersensitivity)、温度知覚の喪失、脱力感、協調運動障害、および反射喪失が含まれる。国際糖尿病連合は、4億6300万の個体が糖尿病を有しており、この疾患が世界的医療費の10%(7600億USDドル)を占めていると推定している(Federation, I.D., IDF Diabetes Atlas - 9th edition. 2019, International Diabetes Federation: Onlineを参照されたい)。糖尿病患者の60%~70%超がDPNを有していると推定される。しかし、これらの数は、著しく少なく見積もられている可能性が高く、近年の研究では、前糖尿病患者がPNの徴候を示すことが実証されており、早期のニューロパチーの徴候を有する「健康な」集団も存在するが、それほど早期にニューロパチーと診断するための信頼できるツールがないことも示唆されている。糖尿病および他の代謝性疾患はまた、年齢および肥満と共に発生率が増大し、最近の高齢人口では寿命が延びていることを考慮すると、PNの発生率は上昇し続けることが予想される。
【0148】
化学療法誘発性末梢ニューロパチー(CIPN):糖尿病に次いで、PNの2番目の主因となるのがCIPNであり、すべてのがん患者の30~40%がその状態を示す。神経細胞は、体内の他の細胞よりも高感度なので、化学療法は神経系にとって有害である。感覚神経(疼痛を含む感覚に関与する)は、運動神経よりも大きい影響を受け、リスクが高い。CIPNでは、症状は化学療法の投薬直後に生じる、または処置の完了後、数週間、数カ月間、もしくは数年間まで開始が遅延することがある(Neuropathy, T.F.f.P., Peripheral Neuropathy Risk Factors + Facts. 2019, The Foundation for Peripheral Neuropathy: Online参照されたい)。
【0149】
AIDS誘発性ニューロパチー:HIVまたはAIDの患者も、PNを発症することが多く、CDCは、これらの個体の20~50%がニューロパチーを有すると推定している。
【0150】
特発性末梢ニューロパチー(IPN):特発性末梢ニューロパチーは、PNの3番目の主因を占め、すべてのニューロパチー患者の23%となる。IPNは、中年および老齢の人で見られることが多い。Martynら、1997年(Martyn, C.N. and R.A. Hughes, Epidemiology of peripheral neuropathy. J Neurol Neurosurg Psychiatry, 1997. 62(4): p. 310-8を参照されたい)によれば、PNの有病率は、55歳よりも上の人では、ほぼ6%上昇する。まとめると、ニューロパチーをもたらすおそれがある状態は30種を超える。これらの数値は、外傷性末梢神経傷害を含んでおらず、EnglandおよびAsbury、2004年(England, J.D. and A.K. Asbury, Peripheral neuropathy. Lancet, 2004. 363(9427): p. 2151-61を参照されたい)に記述されている通り、「社会に対する末梢ニューロパチーの全負荷はさらに大きい」。
【0151】
自己免疫性ニューロパチー:自己免疫疾患、すなわち免疫系が患者自身の身体を誤って攻撃する疾患の患者は、神経損傷に罹患していることもある。自己免疫性ニューロパチーでは、免疫系は、神経を直接的に標的にするか、または神経を圧迫もしくは絞扼する周囲組織を標的にする。このような疾患の例として、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、関節リウマチおよびセリアック病が挙げられる。ギラン・バレー症候群は、急速に起こり、自律神経に影響を及ぼすおそれがある自己免疫疾患である。
【0152】
他のウイルス関連ニューロパチー:他のウイルス性疾患および/または状態(例えば、COVID-19)に罹患している患者も、PNを発症することがある。例えば、水痘帯状疱疹ウイルス(水疱および帯状疱疹を引き起こす)、ウエストナイルウイルス、サイトメガロウイルス、および単純ヘルペスなどのウイルスは、感覚線維を標的にし、鋭い電撃様の疼痛発作を引き起こす。
診断:
【0153】
PNは、現在、様々な医師によって診断されている。しかし、神経機能分析に基づいて診断することができるのは、PNの専門家だけである。PNのようなニューロパチーは、血液検査を含む身体検査以外では、典型的に神経学的検査によって、ならびに画像検査、神経機能検査、神経生検および皮膚生検の1つまたは複数を実施することによって診断される。血液検査では、ビタミン欠乏、異常免疫機能およびPNを引き起こすおそれがある状態の他の適応症を検出することができる。画像検査(例えば、CTまたはMRIスキャン)は、椎間板ヘルニア、腫瘍、または神経損傷をもたらすニューロパチーを引き起こすおそれがある他の異常の可視化を助けることができる。自律神経線維がどのように働くかを記録する、自律神経反射スクリーニングのような神経機能検査、または身体の発汗能を測定する汗試験により、医師は神経機能性を記録し、診断することができる。一般的な神経機能検査は、筋肉の電気的活動を記録して神経損傷を検出する、筋電図検査(EMG)である。EMGでは、薄いニードル(電極)を筋肉に挿入して、筋肉が収縮するときの電気的活動を測定する。EMGと同時に、典型的に神経伝導検査も実施され、この研究では、平坦な電極を皮膚上に置き、低電流で神経を刺激する。次に、刺激に対する応答を記録し、それを使用して神経損傷を診断する。最後に、神経の異常を調べ、皮膚の神経終末の低減を調べるために、神経および皮膚生検が実施され得る。これらの検査および方法のそれぞれの共通の不利益は、労力を要し、時間がかかり、高価であり、最も重要なことには侵襲的であり、痛みを伴い、患者に極度の不快感を引き起こすということである。さらに、これらの検査は典型的に、ニューロパチーの検出がかなり後期になされることに起因して、神経機能性の大きな変化しか測定することができず、疾患管理が不十分になる。
【0154】
表1は、PNの診断および処置に関する標準ケアの現在の制限に関する数十回もの臨床医の交流から得られたPN臨床医の見解の概要を提供する。これは、神経機能アセスメントに根差す、信頼できるPNの早期の診断ツールが必要であることを重ねて伝えるものである。表1によって確認される通り、ニューロパチーのほとんどの診断は、特殊クリニックで行われ、検査は、ほぼ例外なく神経科医によって行われる。表1に列挙される通り、理想的システムは、定期健診の一部として一般開業医および看護師が診断を実施できるようにするものである。神経学の専門家でなくても使用することができるニューロパチーの診断ツールを備えることにより、神経科医の負担がいくらか取り除かれ、患者の診断までの時間が短縮され、処置介入のより急速な実行が可能になるはずである。
【表1】
【0155】
先に開示した通り、クリニックでPNを診断するための現在の方法は、患者の主観的な感覚の報告に基づくか、またはニューロパチー性疼痛もしくは感覚機能(すなわち、汗腺、振動など)の消失の間接的尺度に頼っている。神経コンダクタンスの測定に頼る診断は、神経線維の明確な機能的アセスメントを提供するが、これは侵襲的であり、痛みを伴い、大型神経機能を測定するには技術的に進んだ技術が必要である。現在、小径神経線維における神経伝導の高感度測定を可能にする製品は、市場に存在しない。加えて、薬物送達および他の神経成長刺激形態を含めた他の能力を可能にする製品は、市場に存在しない。
処置:
【0156】
ニューロパチーのための処置は存在しないが、処置の目標は、ニューロパチーを引き起こす状態を管理し、症状を緩和することである。ニューロパチー患者に処方される典型的な医薬品には、依存および嗜癖をもたらすことがあるオピオイドを含有する医薬品、例えばトラマドール(Conzip、Ultram)またはオキシコドン(Oxycontin、Roxicodoneなど)を含めた鎮痛剤;患者に刺激、皮膚灼熱感、浮動性めまいまたは傾眠状態を引き起こすことがあるカプサイシンクリーム剤、リドカインパッチなどの局部処置;疼痛を緩和することが見出されているが、嗜癖をもたらし、様々な他の副作用を有することがある抗うつ剤が含まれる。これらの医薬品のそれぞれについての副作用は周知である上、これらのいずれもニューロパチーを処置することはできず、その症状を軽減する助けになるだけである。この目的に向けて、ニューロパチーの症状をさらに和らげるための様々な治療および手順が助けになる場合がある。これらには、経皮的電気神経刺激術(TENS)、血漿交換法および免疫グロブリン静注、理学療法、ならびに/または外科手術が含まれる。しかし、これらの治療のそれぞれは、高価であり、時間がかかり、および/または侵襲的であり、患者のクオリティオブライフを低下させ、患者の状態に対する永久的な処置ではない。
【0157】
2014年現在、ニューロパチーの疼痛管理薬物の費用は、患者1人当たり2000ドルを上回ると推定された(Schaefer, C., et al., Pain severity and the economic burden of neuropathic pain in the United States: BEAT Neuropathic Pain Observational Study. Clinicoecon Outcomes Res, 2014. 6: p. 483-96を参照されたい)。これは、2007年以来2倍になっている(Barrett, A.M., et al., Epidemiology, public health burden, and treatment of diabetic peripheral neuropathic pain: a review. Pain Med, 2007. 8 Suppl 2: p. S50-62を参照されたい)。本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、患者1人当たり1年間に19,000ドルを上回ると推定される、医療費以外という名目の間接的費用を抑えることになろう(Schaefer, C., et al., Pain severity and the economic burden of neuropathic pain in the United States: BEAT Neuropathic Pain Observational Study. Clinicoeconomic Outcomes Res, 2014. 6: p. 483-96を参照されたい)。この費用には、この状態に罹患している個体の生産性の喪失が含まれる。最も重要なことには、現在市場に存在する(または研究中の)デバイスは、PNを診断し、処置するようには設計されていない。本明細書で提示される技術は、実際に早期検出を提供するだけでなく、処置のための薬物を送達し、生物学的試料(すなわち、間質液)を収集するように設計されており、それによって、この状態の1種または複数のバイオマーカーが特定され、本開示のシステムの神経コンダクタンス診断態様がさらに強化される。新しいバイオマーカーは、関与する経路のより良い理解および新しい治療薬の開発、ならびにバイオマーカー検査を単独で使用する間質診断の潜在的可能性を可能にするはずである。したがって、本明細書に開示される技術は、PNの早期検出のための市場初登場の診断治療になるはずである。さらに、治療剤が開発されると、次に本明細書で提示される技術を使用してPNを処置することができ、その時点で疾患の進行を緩徐し、さらにはおそらく逆転させることができる。
【0158】
本明細書で提供される技術は、様々な全身性疾患、障害、および/または状態のいずれかを診断、評価、処置および/または防止するために使用され得る。一部の実施形態では、本開示は、全身性の疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、皮膚の上皮および/または真皮レベルと関連する疾患、障害または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、末梢神経の劣化と関連する疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、ニューロパチーと関連する疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、末梢ニューロパチーと関連する疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、糖尿病性ニューロパチーと関連する疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、糖尿病性末梢ニューロパチー(DPN)と関連する疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、がんと関連する疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、化学療法誘発性ニューロパチー(CIPN)と関連する疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、HIVと関連する疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、AIDS誘発性ニューロパチーと関連する疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。一部の実施形態では、本開示は、特発性末梢ニューロパチー(IPN)と関連する疾患、障害、または状態を診断、処置および/または防止するための技術を提供する。
処置の投与:
【0159】
一部の実施形態では、本明細書に開示される技術は、関連のニューロパチー状態の度合いおよび/または有病率の少なくとも約20%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、一部の実施形態では、少なくとも約25%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、一部の実施形態では、少なくとも約30%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、一部の実施形態では、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約41%、少なくとも約42%、少なくとも約43%、少なくとも約44%、少なくとも約45%、少なくとも約46%、少なくとも約47%、少なくとも約48%、少なくとも約49%、少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、少なくとも約53%、少なくとも約54%、少なくとも約55%、少なくとも約56%、少なくとも約57%、少なくとも約58%、少なくとも約59%、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、またはそれよりも大きい低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、本明細書に記載されるシステムを使用して投与される少なくとも1つの処置、例えば治療剤および/または刺激の投与を含む。
【0160】
一部の実施形態では、本明細書に開示される技術は、処置が投与された患者の集団の特定のパーセンテージにおいて、関連のニューロパチー状態の度合いおよび/または有病率の少なくとも約20%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、一部の実施形態では、処置が投与された患者の集団の特定のパーセンテージにおいて、少なくとも約25%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、一部の実施形態では、処置が投与された患者の集団の特定のパーセンテージにおいて、少なくとも約30%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、一部の実施形態では、処置が投与された患者の集団の特定のパーセンテージにおいて、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約41%、少なくとも約42%、少なくとも約43%、少なくとも約44%、少なくとも約45%、少なくとも約46%、少なくとも約47%、少なくとも約48%、少なくとも約49%、少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、少なくとも約53%、少なくとも約54%、少なくとも約55%、少なくとも約56%、少なくとも約57%、少なくとも約58%、少なくとも約59%、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%またはそれよりも大きい低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、本明細書に記載されるシステムを使用して投与される少なくとも1つの処置の投与を含む。一部の実施形態では、処置が投与された患者の集団の特定のパーセンテージは、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。いくつか例示的な例を挙げると、一部の実施形態では、本明細書に開示される技術は、処置が投与された患者の集団の少なくとも約50%において、関連のニューロパチー状態の度合いおよび/または有病率の少なくとも約20%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、提供される少なくとも1つの処置の投与を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される技術は、処置が投与された患者の集団の少なくとも約50%において、関連のニューロパチー状態の度合いおよび/または有病率の少なくとも約30%の低下を達成するのに十分な投薬レジメンに従って、提供される少なくとも1つの処置の投与を含む。
【0161】
一部の実施形態では、提供される処置は、1種または複数の治療剤を含む。一部の実施形態では、1種または複数の治療剤は、AAVベースの治療もしくは他の遺伝子送達ベースの治療、メッセンジャーRNAもしくはmiRNA治療薬、薬理学的阻害剤、成長因子、遺伝子治療剤、薬物、生物製剤、生物模倣型製剤(biomimetic)、もしくは合成治療、またはそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0162】
本開示は、ニューロパチー状態を処置および/または防止するための技術であって、ニューロパチー状態に罹患している、ニューロパチー状態に対して感受性がある、および/またはニューロパチー状態の症状を示している対象に、本明細書に記載されるシステムおよび方法を使用して、提供される治療剤を投与することを含む、技術を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるニューロパチー状態の処置のために提供される治療剤は、本明細書に記載される任意の投与経路のために製剤化され得る。一部の実施形態では、提供される治療剤は、局部投与のために製剤化され得る。一部の実施形態では、提供される治療剤は、真皮下投与のために製剤化され得る。一部の実施形態では、提供される治療剤は、経皮投与のために製剤化され得る。一部の実施形態では、提供される治療剤は、皮下投与のために製剤化され得る。
【0163】
一部の実施形態では、このような提供される処置(例えば、治療剤または刺激)は、影響を受けた部位(例えば、処置されている特定のニューロパチー状態に合わせて適宜、腋窩、手、足、頭皮、顔、頸部、背中、腕、胸部、脚など)に、本明細書に記載されるシステムを使用して局所投与され得る。一部の実施形態では、局所投与は、局部投与によって達成され得る。一部の実施形態では、局所投与は、真皮下投与によって達成され得る。一部の実施形態では、局所投与は、経皮投与によって達成され得る。一部の実施形態では、局所投与は、皮下投与によって達成され得る。
V.投与部位
【0164】
本開示の技術は、ヒトへの使用および獣医学的使用の両方に適している。任意のニューロパチー性障害に罹患している対象は、本明細書に開示される技術を使用する、神経劣化の早期に開始される検出、体液収集および分析、ならびに/または処置送達から利益を得るであろう。
【0165】
ニードル(例えば、マイクロニードル)ベースの検出および/または薬物送達に適したいかなる部位も、適切な投与部位である。一部の実施形態では、投与部位は、対象の筋肉または筋肉群を覆う皮膚である。一部の実施形態では、投与部位は、無毛である。一部の実施形態では、投与部位は、胴体にある。一部の実施形態では、投与部位は、背中にある。一部の実施形態では、投与部位は、胸部にある。一部の実施形態では、投与部位は、頭部にある。一部の実施形態では、投与部位は、頭皮にある。一部の実施形態では、投与部位は、顔にある。一部の実施形態では、投与部位は、頸部にある。一部の実施形態では、投与部位は、手にある。一部の実施形態では、投与部位は、足にある。一部の実施形態では、部位は、腕にある。一部の実施形態では、投与部位は、脚にある。
【0166】
一部の実施形態では、投与部位は、ニューロパチー状態によって影響を受ける。一部の実施形態では、投与部位は、神経筋状態によって影響を受けた筋肉または筋肉群を覆う皮膚である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるシステムにおいて使用されるニードルまたはマイクロニードルの長さは、投与部位の皮膚の厚さに基づいて調整される。
【実施例
【0167】
VI.例証
(実施例1)
ヒトおよびマウスの皮下組織における脂肪組織ニューロパチーの測定
本実施例は、ヒトおよびマウスの皮下脂肪組織における脂肪組織ニューロパチーの測定を実証する。具体的には、高齢化、糖尿病、肥満、およびある特定の食事制限を含む条件において、脂肪組織がニューロパチー性になるという仮説を検証した。
【0168】
(i)肥満のヒトおよびマウス、ならびに(ii)高齢化ヒトおよびマウスの脂肪組織において、タンパク質レベルを、以前に公知のプロトコールに従って試験した。
【0169】
図3に示される通り、パンニューロンマーカータンパク質遺伝子産物(9.5)またはPGFP9.5のタンパク質レベルの測定により、肥満/糖尿病(上パネル)および高齢化(下パネル)の両方のヒト(A、C)およびマウス(B、D)の皮下白色脂肪組織(scWAT)における神経支配の際立った喪失が明らかになった。糖尿病性末梢ニューロパチーについては、Feldman Labによって予め皮膚および後足を特徴付けられたBTBR ob/ob変異マウス(MUT)を使用した。
(実施例2)
対象の末梢ニューロパチーの検出および処置
【0170】
本実施例は、本明細書に記載されるシステムを使用する、対象の末梢ニューロパチーの検出および/または処置のためのプロトコールを列挙する。
【0171】
本明細書に記載されるデバイスを、ソフトウェアシステムによって実行されるポータブルエレクトロニクスに接続する。
【0172】
ステップ1:アセスメントするべき皮膚エリアを決定する。これは、早期の疾患が足および手の皮膚表面に影響を及ぼし、後に逆行性神経死の進行が、より深い組織層の内部に移動し、脚および腕に上昇し胴体に至るという疾患の進行の程度に基づく臨床的決定である。皮膚深度は、身体上の位置に応じて変わるので、選択される皮膚エリアにより、エレクトロニクスに備えられる正確なアレイ、すなわち皮膚表面を覆うためのアレイのサイズ、およびニードルの構成深度が決定される。
【0173】
ステップ2:アレイを選択し、エレクトロニクスにつなげたら、ニードル(例えば、マイクロニードル)を患者の皮膚の上に置き、プラスチックバッキングが皮膚表面とぴったり重なるまで挿入する(最適な構成深度を提供する)。ここから、関連エレクトロニクス/ソフトウェアは、各ニードルから、神経の電気的活動、インピーダンスまたは神経コンダクタンスの他の指標、例えば化合物の活動電位を連続で記録し始めることができる。
【0174】
ステップ3:記録のために刺激が必要である場合、まず電気的刺激を施与し、続いて神経記録を行う。記録のために刺激が必要でない場合には、すぐに記録を始める。データを、各マイクロニードルから、つなげたソフトウェアに記録し、FDA/HIPPAに準拠する方式で保存する。ソフトウェアはまた、記録したデータに基づいてアセスメントし、診断するためのアルゴリズムを含有する。
【0175】
ステップ4:所望に応じて、ニードルを適所に置いたままにし、A)物質、例えば医薬品(例えば、生物製剤または薬物)の送達、またはB)間質液のサンプリングのいずれかのために使用することができる。
【0176】
ステップ5:必要に応じて、冷却刺激(化学的もしくは物理的手段またはそれ以外の手段により)、または機械的刺激(例えば振動)を含めた追加の処置を施与する。
(実施例3)
マウスにおける神経コンダクタンスの測定および可溶化生成物の送達
【0177】
本実施例は、本明細書に記載されるシステムを使用して、マウスの神経コンダクタンスの測定および試験処置溶液の真皮下への送達を実証する。具体的には、神経コンダクタンスが糖尿病マウスの皮膚および下層組織において低下するという仮説を検証する。
【0178】
神経コンダクタンス測定値を、実施例2に概説したプロトコールを使用してマウスから得た。
【0179】
ニードルアレイを使用して、マウス側腹部皮膚から神経コンダクタンスを記録した。図4に青色の縦線として示される化合物の活動電位を、50mVの刺激後に記録した。図4Aの矢印は、記録された化合物の活動電位を示す。その後、図4Bに示される通り、ニードルアレイを介してエバンスブルー色素を真皮下に注射した。図4Cは、注射した色素溶液の、鼠径部の皮下脂肪組織への送達の成功を示している。
(実施例4)
DPNの食餌性および遺伝的モデルについての末梢ニューロパチーアセスメント
【0180】
本実施例は、本明細書に記載されるシステムを使用して、食餌性および遺伝的マウスモデルにおけるPNアセスメントを実証する。
【0181】
図5に例示される通り、糖尿病性ニューロパチーマウスのコホート(N=6のBTBR ob/obおよびN=6の野生型対照に続いてN=6の固形飼料およびN=6の食餌誘発性DPN)で、同時的電気生理学的測定を実施し、それらを、Von Frey、アセトン試験、およびコールドプレート試験を含めた、マウスにおいて許容されているDPNの他のアセスメントと比較する。これらのデータを、9~20週間の糖尿病発症の同じ時間経過にわたって、足および側腹部皮膚で週1回測定して収集する。20週目の最後に、動物を屠殺し、DPNの度合いを、PGP9.5について皮膚の免疫蛍光染色および表皮内神経線維密度の定量化によりアセスメントした。
【0182】
食餌介入モデルについて、成体(9週齢)雄性マウスに、16週間(DPNを発症するのに必要な時間)、固形飼料またはニューロパチー性食餌(58%高脂肪食(HFD))のいずれかを与える。DPNの標準アセスメント(図5の左の箇条書き)を、比較のために週1回の神経コンダクタンスの記録(機能的アセスメント)と共に行う。最終アセスメント(図5の右の箇条書き)によりDPNを確認する。
【0183】
予想通り、アレイにわたって記録された全神経コンダクタンス、および各個々のニードルにおける神経コンダクタンスは、動物が糖尿病およびニューロパチーの後期に進行するにつれて低下することが観察される。加えてモデル図に示される通り、皮膚表面において、次により深い組織層においてシグナル喪失が観察される。
(実施例5)
糖尿病および健康なマウスにおける神経コンダクタンスの測定
【0184】
本実施例は、本明細書に記載されるシステムを使用して、肥満/糖尿病マウス対健康なマウスにおける神経コンダクタンスの測定を実証する。具体的には、神経コンダクタンスが糖尿病マウスの皮膚および下層組織において低下するという仮説を検証する。
【0185】
別段記述されない限り、実施例2からの材料および方法(例えば、末梢ニューロパチーを検出し、処置するための)を、必要に応じて実施する。例えば、神経コンダクタンス測定値を、実施例2に概説される通り、マウスから得る。
【0186】
12~16週齢のBTBR ob/ob(変異/糖尿病)、およびBTBR WT(健康/対照)雄性マウスを使用する。1群当たりN=3~4のコホートサイズを使用する。
【0187】
マウスを麻酔するために、純粋O中1~1.5%イソフルランを使用する。この実験は、記録用中空MNアレイ(9個のニードルのアレイ)を用いて、Limulusの視神経での試験に成功したBioPac神経コンダクタンスリグ(例えば、H03神経伝導-MP36/35)を利用して実施する。
【0188】
神経記録:最初に健康なマウスから、続いて糖尿病マウスから、マウスの神経コンダクタンスを測定するのに必要な深度で、例えば皮膚表面から0.5mmの深度で、神経コンダクタンスの記録を行う。健康なおよび糖尿病マウスにおけるその後の測定は、皮下脂肪組織を含めた下層組織に到達するように、1~1.5mmの範囲の様々な深度で行う。これらの記録ごとに、組織を神経支配するありとあらゆる末梢神経からランダム電位を検出する。マイクロボルト/ミリボルト平均値を、10分間にわたって収集する。神経コンダクタンスの差が検出されない場合、その時間を超えて記録を延長してもよく、または皮膚上の冷湿布によって神経を刺激してもよい。
【0189】
収集された神経コンダクタンスデータから観察される通り、神経コンダクタンスの記録値は、健康なマウスの健康な組織と比較して、糖尿病マウスに見出される糖尿病組織の方が低い。さらに、神経コンダクタンスの記録値は、ニューロパチーが始まる皮膚表面に近いほど悪い(すなわち、低い)。
【0190】
間質液のサンプリング:同じ動物で、ニードルアレイ(例えば、9個の中空ニードルのアレイ)は、記録のために使用したニードル深度(0.5mm、1~1.5mm)のそれぞれにおいて、陰圧をかけ、間質液を収集するためにチューブおよびシリンジに接続している。
【0191】
収集した間質液試料を、糖尿病マウス対健康なマウスにおける様々なバイオマーカーの下流試験および比較のために使用する。
【0192】
物質の送達:同じ動物で、記録用中空ニードル(9個のニードルのアレイ)を使用して、記録を得たのと同じ深度(0.5mm、1~1.5mm)に物質を送達する。これらの物質は、糖尿病マウスにおけるPNの進行を防止または停止する処置を含み得る。さらに、処置の送達後の神経記録を得て、PNの退行および/または処置を検証する。
均等物
【0193】
当業者は、ごく日常的な実験方法を使用して本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を認識するか、または確認することができよう。本発明の範囲は、先の説明に限定されることを意図されるのではなく、以下の特許請求の範囲に記載される通りである。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】