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特表2023-525083多能性幹細胞に交流電場を印加する組成物及び方法
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  • 特表-多能性幹細胞に交流電場を印加する組成物及び方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】多能性幹細胞に交流電場を印加する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/32 20060101AFI20230607BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230607BHJP
   C12N 5/0735 20100101ALI20230607BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20230607BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
A61N1/32
C12N5/10
C12N5/0735
A61K41/00
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567647
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2021000322
(87)【国際公開番号】W WO2021224687
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】63/022,162
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タリ・ボロシン・セラ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C053
4C084
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BD50
4B065CA44
4C053JJ02
4C053JJ04
4C053JJ21
4C053JJ40
4C084AA11
4C084MA70
4C084NA14
4C084ZA811
4C084ZB261
(57)【要約】
多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置するための方法及び組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程
を含む、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、方法。
【請求項2】
a.多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程
を含む、多能性幹細胞を死滅させる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞を死滅させる、方法。
【請求項3】
a.多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程
を含む、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、方法。
【請求項4】
a.多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程
を含む、多能性幹細胞の生存率を低下させる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の生存率を低下させる、方法。
【請求項5】
a.多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程
を含む、多能性幹細胞の進行を遅らせる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の進行を遅らせる、方法。
【請求項6】
a.対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程
を含む、対象の標的部位における多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する方法であって、対象の標的部位における交流電場の周波数及び場の強度が標的部位における多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、方法。
【請求項7】
a.対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程
を含む、対象の標的部位における多能性幹細胞を死滅させる方法であって、対象の標的部位における交流電場の周波数及び場の強度が標的部位における多能性幹細胞を死滅させる、方法。
【請求項8】
a.対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程
を含む、対象の標的部位における多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する方法であって、対象の標的部位における交流電場の周波数及び場の強度が標的部位における多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、方法。
【請求項9】
a.対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程
を含む、対象の標的部位における多能性幹細胞の生存率を低下させる方法であって、対象の標的部位における交流電場の周波数及び場の強度が標的部位における多能性幹細胞の生存率を低下させる、方法。
【請求項10】
a.対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程
を含む、対象の標的部位における多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる方法であって、対象の標的部位における交流電場の周波数及び場の強度が標的部位における多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、方法。
【請求項11】
多能性幹細胞が、胎児幹細胞、胚性幹細胞又は人工多能性幹細胞である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
標的部位が対象の卵管又は帝王切開瘢痕に存在する、請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む、請求項6から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
対象が妊娠している、請求項6から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
対象が上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有する、請求項6から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
対象が上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、請求項6から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
対象がヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、請求項6から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
対象が異所性妊娠と診断されている、請求項6から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
対象が上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、請求項6から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
対象がヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、請求項6から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
対象が(経膣)超音波検査によって同定又は診断されている、請求項6から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
観察、腹腔鏡検査、開腹手術、又は投薬を更に含む、請求項6から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む、請求項6から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
a.対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び
b.対象の標的部位に交流電場を印加する工程
を更に含み、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する、請求項6から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ナノ粒子が導電性ナノ粒子である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
標的部位におけるインピーダンスが低下する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
標的部位における導電率が増加する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
ナノ粒子が非導電性ナノ粒子である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
標的部位におけるインピーダンスが増加する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
標的部位における導電率が減少する、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
交流電場が腫瘍治療電場である、請求項24から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ナノ粒子が組織誘電率を増加させるナノ粒子である、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
対象の標的部位における交流電場の有効性が増加する、請求項24から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
交流電場の電流密度の大きさが標的部位において増加する、請求項24から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
標的部位における交流電場の有効性の増加が、標的部位における交流電場の抗有糸分裂作用の増加をもたらす、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
請求項24から36のいずれか一項において、ナノ粒子が、胚細胞又は多能性幹細胞に導入される、請求項24から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
a.対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程
を含み、
b.標的部位が異所性妊娠を含む、
対象における異所性妊娠を処置する方法。
【請求項39】
効果的に、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止若しくは阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止若しくは阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行若しくは分化を遅らせる、又は異所性妊娠を処置するためのデバイス。
【請求項40】
信号発生器と;信号発生器に電気的に接続されている温度センサーと;信号発生器からのAC電圧を受ける1対の電極とを備えるデバイスであって、信号発生器が、多能性幹細胞の内部のナノ粒子の配向を変化させるように1対の電極間に電場を発生させるように構成されており、温度センサーが多能性幹細胞の周囲の温度を測定し、信号発生器が、測定された温度に基づいて電場の強度を変化させるように構成されている、デバイス。
【請求項41】
信号発生器と;信号発生器に電気的に接続されている温度センサーと;信号発生器からのAC電圧を受ける1対の電極とを備えるデバイスであって、信号発生器が、多能性幹細胞に隣接するナノ粒子の配向を変化させるように1対の電極間に電場を発生させるように構成されており、温度センサーが多能性幹細胞の周囲の温度を測定し、信号発生器が、測定された温度に基づいて電場の強度を変化させるように構成されている、デバイス。
【請求項42】
電場が約100KHzから約500KHzの周波数を有する、請求項40又は41に記載のデバイス。
【請求項43】
ナノ粒子が導電性ナノ粒子である、請求項40に記載のデバイス。
【請求項44】
ナノ粒子が非導電性ナノ粒子である、請求項41又は42に記載のデバイス。
【請求項45】
非導電性ナノ粒子が強誘電性ナノ粒子である、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
強誘電性粒子が、約0nm超から約50nm以下の直径を有する、請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
強誘電性粒子がBaTiO3又はSrTiO3を含む、請求項46に記載のデバイス。
【請求項48】
第1の電極及び第2の電極が強誘電体を含む、請求項41又は44から47のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項49】
第1のパッチの一方の表面における第1の電極及び温度センサーと;第2のパッチの一方の表面における第2の電極及び温度センサーと;第1の電極及び第2の電極に電気的に接続されている信号発生器とを備え、信号発生器が、多能性幹細胞におけるナノ粒子プローブの配向を変化させるように第1の電極と第2の電極との間に電場を発生させるように構成されており、第1の及び第2の温度センサーのそれぞれが多能性幹細胞の周囲の温度を測定し、信号発生器が、測定された温度に基づいて電場の強度を変化させるように構成されており、多能性幹細胞の分裂が、ナノ粒子の配向の変化に応じて抑制される、請求項40から48のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項50】
ナノ粒子プローブが、ナノ粒子、ナノ粒子に結合した複数のバイオマーカーを含み、バイオマーカーが、多能性幹細胞と、ナノ粒子にコートされているパッシベーション膜とを標的化し得る、請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
ナノ粒子プローブが、電場によって多能性幹細胞の内部で移動可能である、請求項49又は50に記載のデバイス。
【請求項52】
信号発生器と;互いに向かい合う第1の電極及び第2の電極と;互いに向かい合う第3の電極及び第4の電極と;信号発生器に電気的に接続されている温度センサーとを備えるデバイスであって、第1の電極及び第2の電極が信号発生器からの第1のAC電圧を受け、第3の電極及び第4の電極が信号発生器からの第2のAC電圧を受け、信号発生器が、多能性幹細胞の内部のナノ粒子の配向を変化させるように第1の電極と第2の電極との間に第1の電場を発生させ、信号発生器が、がん細胞の内部の極性分子の配向を変化させるように第3の電極と第4の電極との間に第2の電場を発生させ、第1の電場及び第2の電場が相互に異なる周波数を有する、デバイス。
【請求項53】
ナノ粒子が導電性ナノ粒子である、請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
信号発生器と;互いに向かい合う第1の電極及び第2の電極と;互いに向かい合う第3の電極及び第4の電極と;信号発生器に電気的に接続されている温度センサーとを備えるデバイスであって、第1の電極及び第2の電極が信号発生器からの第1のAC電圧を受け、第3の電極及び第4の電極が信号発生器からの第2のAC電圧を受け、信号発生器が、多能性幹細胞の内部のナノ粒子の配向を変化させるように第1の電極と第2の電極との間に第1の電場を発生させ、信号発生器が、がん細胞の内部の極性分子の配向を変化させるように第3の電極と第4の電極との間に第2の電場を発生させ、第1の電場及び第2の電場が相互に異なる周波数を有する、デバイス。
【請求項55】
ナノ粒子が非導電性ナノ粒子である、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
非導電性ナノ粒子が強誘電性ナノ粒子である、請求項54又は55に記載のデバイス。
【請求項57】
強誘電性粒子が、約0nm超から約50nm以下の直径を有する、請求項56に記載のデバイス。
【請求項58】
強誘電性粒子がBaTiO3又はSrTiO3を含む、請求項57に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2020年5月8日出願、米国仮出願第63/022,162号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療電場又はTTFieldsは、中間周波数範囲(100~300kHz)内の典型的には低強度(例えば、1~3V/cm)交流電場である。TTFieldsは、腫瘍の解剖学的領域に非侵襲性トランスデューサーアレイを通じて交流電場を送達できる。TTFieldsは、分裂中期の際に正確な微小管アセンブリを妨害し、分裂終期、細胞質分裂又は続く静止期にがん細胞を最終的に破壊することから、抗有糸分裂がん治療様式として確立された。TTFieldsは、その低強度のために非分裂正常細胞、神経及び筋肉の生存率に影響を与えないことが示されている。TTFields治療は、再発性神経膠芽腫のための承認された単一処置であり、新たに診断された神経膠芽腫及び切除不能悪性胸膜中皮腫患者のための、化学療法との承認された併用療法である。これらの電場は、神経膠芽腫の処置の場合には患者の頭皮、胸膜中皮腫の処置の場合には患者の胴体に直接置かれたトランスデューサーアレイ(すなわち、電極のアレイ)によって非侵襲性に誘導される。TTFieldsは、身体の他の部位の腫瘍を処置するためにも有益であると考えられる。
【0003】
再生医療におけるTTFieldsの使用は、これまでにPCT/US19/57716に記載されている。部分的に、PCT/US19/57716は、幹細胞に基づく療法において、部分的には、一群の分化後代細胞及び残存多能性幹細胞を、多能性幹細胞の死をもたらす交流電場に一定期間曝露することによって、奇形腫形成を予防するためにTTFieldsを使用する方法を記載している。
【0004】
胚性幹細胞(ESC又はES細胞)及び人工多能性幹細胞(iPSC又はiPS細胞)を含む多能性幹細胞は、その無制限の自己複製の能力、及び疾患又は傷害によって損傷している組織と置き換えるために必要とされるあらゆる細胞型を含む身体中の任意の細胞型に分化する能力のために、細胞に基づく療法のための主要な候補である。
【0005】
PCT/US19/57716の出願前に、分化後代細胞を残す一方で移植前細胞から残存多能性幹細胞を選択的に除去するいくつかの試みがなされた。これらの方法として、細胞毒性抗体の使用(Tanら、2009; Chooら、2008)、特異的抗体細胞分取(Tangら、2011; Fongら、2009)、自殺遺伝子の導入を含む遺伝子操作(Blumら、2009; Schuldinerら、2003)、薬理学的手法(Leeら、2013; Ben-Davidら、2013; Linら、2017)、及び放射線療法(Leeら、2017)が挙げられる。しかし、これらの方法のそれぞれは、高い費用(細胞毒性抗体及び特異的抗体細胞分取)、異なるロット間におけるばらつき(細胞毒性抗体及び特異的抗体細胞分取)、非特異的結合(細胞毒性抗体)、毒性遺伝子の遺伝子操作及び安定な組み込みの要件(遺伝子操作)、時間のかかる手順(遺伝子操作、特異的抗体細胞分取及び細胞毒性抗体)、並びに電離放射線の使用(放射線療法)等の著しい不都合を有する。
【0006】
骨髄、臍帯、末梢血、生殖細胞及び胚/胎児組織等、幹細胞の供給源はいくつかある。胎児幹細胞(FSC)及び胚性幹細胞は、最も強力な幹細胞供給源と評されている。
【0007】
望まれない成長又は細胞発生の部位において多能性幹細胞の成長を制御できること又は多能性幹細胞を排除できることは、そうではない場合では制御されない多能性幹細胞の発生及び増殖に対処する固有の手段を提示する。例えば、多能性幹細胞成長を制御できることは、がん又は異所性妊娠等の障害の管理及び処置を支援し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】PCT/US19/57716
【特許文献2】米国特許第7,565,205号
【特許文献3】米国特許第4,816,567号
【特許文献4】米国特許第5,804,440号
【特許文献5】米国特許第6,096,441号
【特許文献6】WO94/29348
【特許文献7】米国特許第4,342,566号
【特許文献8】米国特許第5,565,332号
【特許文献9】米国特許第5,721,367号
【特許文献10】米国特許第5,837,243号
【特許文献11】米国特許第5,939,598号
【特許文献12】米国特許第6,130,364号
【特許文献13】米国特許第6,180,377号
【特許文献14】米国特許第8,977,365号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】F. Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、NY、1998
【非特許文献2】Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81:6851 6855 (1984)
【非特許文献3】Kohler及びMilstein、Nature、256:495 (1975)
【非特許文献4】Zoller、M.J. Curr. Opin. Biotechnol. 3:348-354、1992
【非特許文献5】Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、77頁、1985年
【非特許文献6】Boernerら、J. Immunol.、147(1):86 95、1991
【非特許文献7】Hoogenboomら、J. Mol. Biol.、227:381、1991
【非特許文献8】Marksら、J. Mol. Biol.、222:581、1991
【非特許文献9】Jakobovitsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:2551-255 (1993)
【非特許文献10】Jakobovitsら、Nature、362:255 258 (1993)
【非特許文献11】Bruggermannら、Year in Immunol.、7:33 (1993)
【非特許文献12】Triaggiaiら、An efficient method to make human monoclonal antibodies from memory B cells: potent neutralization of SARS coronavirus、Nat Med. 2004年8月; 10(8):871-5. (2004)
【非特許文献13】Jonesら、Nature、321:522-525 (1986)
【非特許文献14】Riechmannら、Nature、332:323 327 (1988)
【非特許文献15】Presta、Curr. Opin. Struct. Biol.、2:593-596 (1992)
【非特許文献16】Verhoeyenら、Science、239:1534 1536 (1988)
【非特許文献17】Remington: The Science and Practice of Pharmacy (19th ed.) ed. A.R. Gennaro、Mack Publishing Company、Easton、PA 1995
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、方法が開示される。
【0011】
多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞を死滅させる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞を死滅させる、方法が開示される。
【0012】
多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、方法が開示される。
【0013】
多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の生存率を低下させる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の生存率を低下させる、方法が開示される。
【0014】
多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、対象における多能性幹細胞進行又は分化の進行又は分化を遅らせる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が対象における多能性幹細胞進行又は分化の進行を遅らせる、方法が開示される。
【0015】
対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程を含み、標的部位が異所性妊娠を含む、対象における異所性妊娠を処置する方法が開示される。
【0016】
開示される方法及び組成物の追加的有利点は、続く記載に一部記載され、一部は記載から理解される又は開示される方法及び組成物の実行によって得ることができる。開示される方法及び組成物の有利点は、添付の特許請求の範囲に特に示される要素及び組合せの手段によって理解され、達成される。前述の概要及び続く詳細な記載の両方は例示であり、説明のためのみであり、特許請求される本発明の限定ではないことは理解される。
【0017】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図は、開示される方法及び組成物のいくつかの実施形態を例示し、開示される方法及び組成物の原理を記載と共に説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】さまざまな周波数の交流電場に経時的に曝露されたH7ヒト胚性幹細胞(H7-ESC)のトリパンブルー細胞染色によって評価される細胞の数(Cell Number)の合計を、非曝露対照と比較して示すグラフである。
図1B図1Aに示すさまざまな周波数の交流電場に経時的に曝露されたH7-ESCのデータの拡大版である。
図2】さまざまな周波数(frequency)の交流電場に曝露された場合のヒトESC(H7株)の経時的な細胞生存率を非曝露対照と比較して示すグラフである。発光出力は細胞の数と正の相関があった(R2=0.942)。RLUは相対発光量を表す。
図3】さまざまな周波数の交流電場への曝露後のESC由来心筋細胞(ESC-CM)のトリパンブルー細胞染色によって評価される細胞数(Cell Count)を、非曝露対照心筋細胞と比較して示すグラフである。試験した5つの周波数のいずれにおいても、交流電場の印加の前後で心筋細胞数に有意な差は存在しなかった。
図4図4Aは、交流電場への曝露後にESC由来心筋細胞の拍動数を測定した収縮アッセイの結果を非曝露(非処置)対照と比較して示すグラフである。拍動数は、交流電場に曝露されたESC-CMと曝露されなかったESC-CMとの間で有意には異ならなかった。図4Bは、交流電場への曝露後にESC由来心筋細胞の収縮速度を測定した収縮アッセイの結果を非曝露(非処置)対照と比較して示すグラフである。収縮速度は、交流電場に曝露されたESC-CMと曝露されなかったESC-CMとの間で有意には異ならなかった。図4Cは、交流電場への曝露後にESC由来心筋細胞の加速度を測定した収縮アッセイの結果を非曝露(非処置)対照と比較して示すグラフである。加速度は、交流電場に曝露されたESC-CMと曝露されなかったESC-CMとの間で有意には異ならなかった。
図5A】卵巣の内部及び近傍におけるTTFieldsの分布を示す図である。前側の電場発生トランスデューサーの提示。破線は、軸方向のスライス(図5C)が示される水平面を表す。
図5B】卵巣の内部及び近傍におけるTTFieldsの分布を示す図である。後側の電場発生トランスデューサーの提示。破線は、軸方向のスライス(図5C)が示される水平面を表す。
図5C】卵巣の内部及び近傍におけるTTFieldsの分布を示す図である。電場分布シミュレーション。より濃い赤色の領域は脂肪及び筋肉組織を表す。
図5D】卵巣の内部及び近傍におけるTTFieldsの分布を示す図である。TTFields強度の器官特異的分布の概要。電場(EF)値は三次元モデリングを使用して算出した。
図6】本明細書に開示されるシステム及び方法と共に使用できる患者の前/後面及び側面におけるアレイの可能な配置案の図である。
図7】開示される方法及び本明細書に開示されるシステムにおいて使用できる、特定の器官の周波数、電圧及びEF範囲の例を示す図である。
図8】MSC399、MSC397及びMSCAT細胞の18℃及び22℃における電場周波数(kHz, Electric field frequency)に対する相対的な細胞の数(Reletive cell number)を示すグラフである。
図9】MSC399、MSC397及びMSCAT細胞の18℃及び22℃における電場周波数(kHz, Electric field frequency))に対する相対的な生存率(Reletive viability)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
開示される方法及び組成物は、本明細書に含まれる具体的な実施形態及び実施例の続く詳細な記載、並びに図面及びそれらに先行する及び続く記載の参照によって更に容易に理解される。
【0020】
開示される方法及び組成物が、他に別段の規定のない限り、具体的な合成方法、具体的な分析技術又は特定の試薬に、それらが変更する場合があることから限定されないことは理解される。本明細書において使用される用語は、具体的な実施形態を記載するのみの目的のためであり、限定することを意図しないことも理解される。
【0021】
本開示の方法及び組成物のために使用され得る、それと併せて使用され得る、その調製において使用され得る又はその産生物である材料、組成物及び成分が開示される。これら及び他の材料は本明細書において開示され、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群等が開示される場合に、これらの化合物それぞれの種々の個々の及び集合的な組合せ及び並べ替えの具体的な言及が明確に開示されない場合があるが、それぞれが具体的に検討され、本明細書に記載されることは理解される。それにより、分子A、B及びCのクラスが分子D、E及びFのクラスと共に開示され、分子A~Dの組合せの例が開示される場合に、それぞれが個々に列挙されていなくても、それぞれは個々に及び集合的に検討される。それによりこの例では、組合せA~E、A~F、B~D、B~E、B~F、C~D、C~E及びC~Fのそれぞれは、具体的に検討され、A、B及びC; D、E、及びF;並びに組合せ例A~Dの開示から開示されると見なされるべきである。同様にこれらの任意のサブセット又は組合せも具体的に検討され、開示される。それにより例えばA~E、B~F、及びC~Eのサブグループは、具体的に検討されA、B及びC; D、E及びF;並びに組合せ例A~Dの開示から開示されると見なされるべきである。この概念は、これだけに限らないが、開示される組成物を作製する及び使用する方法における工程を含む本出願のすべての態様に適用される。それにより、実施され得る種々の追加的工程がある場合、これらの追加的工程それぞれが開示された方法の任意の具体的な実施形態又は実施形態の組合せと共に実施され得る、及びそのような組合せのそれぞれが具体的に検討され、開示されたと見なされるべきであることは理解される。
【0022】
A.定義
開示される方法及び組成物は、それらが変化する場合があることから、記載される特定の方法、プロトコール及び試薬に限定されないことは理解される。本明細書において使用される用語が特定の実施形態を記載するのみの目的のためであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解される。
【0023】
本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明確に示されていない限り複数の参照物も含むことは注目されるべきである。それにより、例えば「ナノ粒子(a nanoparticle)」に言及することは、単一の又は複数のそのようなナノ粒子を含み、「ナノ粒子(the nanoparticle)」に言及することは1つ又は複数のナノ粒子及び当業者に周知のその等価物に言及することである等。
【0024】
範囲は、本明細書において「約」若しくは「およそ」ある特定の値から及び/又は「約」若しくは「およそ」別の特定の値として表すことができる。そのような範囲が表される場合、更なる態様は、ある特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、先行する「約」又は「およそ」の使用によって値がおよそとして表される場合、特定の値が更なる態様を形成することは理解される。範囲の各端点は、他方の端点との関連において及び他方の端点とは独立に、の両方で重要であることは更に理解される。本明細書に開示される値はいくつか存在し、各値は、値それ自体としてだけでなく、「約」その特定の値としても本明細書に開示されるということもまた理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」もまた開示される。2つの特定の単位の間の各単位も開示されるということもまた理解される。例えば、10及び15が開示される場合、11、12、13、及び14も開示される。
【0025】
本明細書において使用される場合、用語「任意選択」又は「任意選択で」は、続いて記載される事象又は環境が生じる場合と生じない場合があり、記載が前記事象又は環境が生じる場合及びそれが生じない場合を含むことを意味する。
【0026】
本明細書において使用される場合、用語「含む(comprising)」は態様「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」を含むことができる。
【0027】
「特異的に結合する」とは、抗体又はその抗体断片がその同種抗原(例えば、幹細胞マーカー)を認識してそれと物理的に相互作用するが、他の抗原を有意には認識せず、それと相互作用しないことを意味する。そのような抗体は、当技術分野で周知の技法によって生成されるポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であり得る。
【0028】
「プローブ」、「プライマー」、又はオリゴヌクレオチドとは、相補的な配列(「標的」)を含有する第2のDNA又はRNA分子と塩基対形成可能な定義された配列の一本鎖DNA又はRNA分子を意味する。結果として得られるハイブリッドの安定性は、生じる塩基対形成の程度に依存する。塩基対形成の程度は、プローブと標的分子との間の相補性の程度及びハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーの程度等のパラメーターの影響を受ける。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーの程度は、温度、塩濃度、及びホルムアミド等の有機分子の濃度等のパラメーターの影響を受け、当業者に周知の方法によって決定される。幹細胞マーカーに特異的なプローブ又はプライマーは、それらがハイブリダイズする幹細胞マーカーと少なくとも80%~90%の配列相補性、好ましくは少なくとも91%~95%の配列相補性、より好ましくは少なくとも96%~99%の配列相補性、最も好ましくは100%の配列相補性を有し得る。プローブ、プライマー、及びオリゴヌクレオチドは、当業者に周知の方法によって検出可能に放射性標識又は非放射性標識され得る。プローブ、プライマー、及びオリゴヌクレオチドは、核酸配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応による逆転写及び/若しくは核酸増幅、一本鎖高次構造多型(SSCP)分析、制限酵素断片多型(RFLP)分析、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション、又は電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)等の核酸ハイブリダイゼーションを伴う方法のために使用される。
【0029】
「特異的にハイブリダイズする」とは、プローブ、プライマー、又はオリゴヌクレオチドが、高ストリンジェンシー条件下で実質的に相補的な核酸(例えば、幹細胞マーカー)を認識してそれと物理的に相互作用する(すなわち、塩基対形成する)が、他の核酸とは実質的に塩基対形成しないことを意味する。
【0030】
「高ストリンジェンシー条件」とは、0.5M NaHPO4、pH7.2、7%SDS、1mM EDTA、及び1%BSA(フラクションV)を含有する緩衝液中65℃の温度において、又は48%ホルムアミド、4.8×SSC、0.2Mトリス-Cl、pH7.6、1×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、及び0.1%SDSを含有する緩衝液中42℃の温度において、少なくとも40ヌクレオチド長のDNAプローブの使用に起因するものと同等のハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション、例えば、PCR、ノーザン、サザン、又はin situハイブリダイゼーション、DNA配列決定等のための他の条件は、分子生物学の技術分野における当業者に周知である。(例えば、F. Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、NY、1998を参照のこと)。用語「核酸」は、本明細書において使用される場合、DNA又はRNA又はDNA-RNAハイブリッド、一本鎖又は二本鎖、センス又はアンチセンスに関わらず、ワトソン・クリック塩基対形成によって相補的な核酸とハイブリダイゼーションできる、天然に存在する又は合成のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを指す。本発明の核酸として、ヌクレオチド類似体(例えば、BrdU)、及び非ホスホジエステルヌクレオシド間連結(例えば、ペプチド核酸(PNA)又はチオジエステル連結)も挙げることができる。特に、核酸として、限定されないが、DNA、RNA、cDNA、gDNA、ssDNA、dsDNA、又はこれらの任意の組合せを挙げることができる。
【0031】
本明細書において使用される場合、「標的部位」は、対象又は患者内にある又は存在する特定の部位又は位置である。例えば「標的部位」は、これだけに限らないが、細胞(例えば、多能性幹細胞)、細胞の集団(例えば、多能性幹細胞の集団)、器官、又は組織(例えば、子宮組織若しくは卵管組織)を指し得る。一部の態様では、器官として、これだけに限らないが、肺、脳、膵臓、腹部器官(例えば、胃、腸)、卵巣、乳房、子宮、卵管、子宮頸部、前立腺、膀胱、肝臓、結腸又は腎臓が挙げられる。一部の態様では、細胞又は細胞の集団として、これだけに限らないが、多能性幹細胞(例えば、胚性若しくは胎児幹細胞)、肺細胞、脳細胞、膵臓細胞、腹部の細胞、卵巣細胞、肝細胞、結腸細胞又は腎細胞が挙げられる。一部の態様では、「標的部位」は、1つ又は複数の多能性幹細胞であり得る。一部の態様では、「標的部位」は、対象の帝王切開瘢痕、卵管、子宮、腹腔、又は子宮頸部の中又は表面の1つ又は複数の多能性幹細胞であり得る。
【0032】
「幹細胞標的部位」は、1つ若しくは複数の多能性幹細胞を含む若しくはそれに隣接する、1つ若しくは複数の多能性幹細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の多能性幹細胞を含むと疑われる対象又は患者内にある又は存在する部位又は位置である。例えば、幹細胞標的部位は、多能性幹細胞が接着又は分裂する傾向がある対象又は患者内にある又は存在する部位又は位置を指し得る。
【0033】
本明細書において使用される場合、1つ又は複数の「交流電場」は、対象、対象から得られた試料又は対象若しくは患者内の特定の位置(例えば、標的部位若しくは幹細胞標的部位)に送達される非常に低い強度の方向性(directional)中間周波数交流電場を指す。一部の態様では、交流電場は、単一方向性又は複数方向性であってよい。
【0034】
交流電場の例として、これだけに限らないが腫瘍治療電場が挙げられる。一部の態様では、TTFieldsは、処置される腫瘍内に垂直場を発生させる2対のトランスデューサーアレイを通じて送達され得る。例えばOptune(商標)システム(TTFields送達システム)について、1対の電極は腫瘍の左及び右(LR)に配置され、他方の対の電極は標的部位の前側及び後側(AP)に配置される。これらの2方向(すなわち、LR及びAP)で場を循環させることは、最大範囲の細胞方向を標的化することを確実にする。
【0035】
本明細書に記載される場合、TTFieldsは、分裂中期の際に正確な微小管アセンブリを妨害し、分裂終期、細胞質分裂又は続く静止期に細胞を最終的に破壊することから、抗有糸分裂がん処置様式として確立されている。TTFieldsは、固形腫瘍を標的化し、TTFieldsの教示についてその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,565,205号に記載されている。ここに提供されているとおり、TTFields及び交流電場もまた、分裂中期の際に正確な微小管アセンブリを妨害し、分裂終期、細胞質分裂又は続く静止期に多能性幹細胞を最終的に破壊できる。
【0036】
in vivo及びin vitro研究は、交流電場の有効性は、電場の強度が増加するにつれて増加することを示している。したがって、標的部位における強度を増加させるために対象のアレイ配置を最適化することは、Optuneシステムのための標準的技法である。アレイ配置の最適化は、「経験則」(例えば、できるだけ腫瘍の近くの頭皮にアレイを置くこと)、患者の頭部、胴体、又は他の身体部位若しくは身体部分の形状、腫瘍又は標的部位の大きさ、及び/或いは腫瘍又は幹細胞の位置を表す測定によって実施され得る。インプットとして使用される測定値は、画像データ由来であってよい。画像データは、例えば、超音波検査、単一光子放射断層撮影(SPECT)画像データ、X-線コンピューター断層撮影(X線CT)データ、磁気共鳴画像法(MRI)データ、ポジトロン断層撮影(PET)データ、光学機器(例えば、写真用カメラ、電荷結合素子(CCD)カメラ、赤外線カメラ等)によって取り込まれ得るデータ等の任意の種類の映像データを含むことが意図される。ある特定の実行では、画像データは、3Dスキャナー(例えば、点群データ)から得られた又はそれによって生成された3Dデータを含み得る。最適化は、アレイの位置の関数として電場が頭部、胴体、又は他の身体部位若しくは身体部分内でどのように分布しているかの理解に依存する場合があり、一部の態様では、さまざまな患者の頭部、胴体、又は他の身体部位若しくは身体部分内での電気的特性の分布における多様性を考慮する。
【0037】
用語「対象」は、投与の標的、例えば動物を指す。それにより、開示される方法の対象は、哺乳動物等の脊椎動物であってよい。例えば対象は、ヒトであり得る。用語は、特定の年齢又は性別を意味しない。対象は、「個体」又は「患者」と互換的に使用され得る。例えば、投与の標的は、交流電場のレシピエントを意味する場合がある。
【0038】
「任意選択」又は「任意選択で」は、続いて記載される事象、環境又は材料が、生じる又は存在する場合としない場合があり、記載が事象、環境又は材料が生じる又は存在する場合及びそれが生じない又は存在しない場合を含むことを意味する。
【0039】
範囲は、本明細書において「約」ある特定の値から及び/又は「約」別の特定の値として表される場合がある。そのような範囲が表される場合、ある特定の値から及び/又は他の特定の値までの範囲が、文脈上特に明記されていない限り、同様に具体的に検討され、開示されたと見なされる。同様に、先行する「約」の使用によって値がおよそとして表される場合、文脈上特に明記されていない限り、開示されると見なされるべきである別の具体的に検討される実施形態を特定の値が形成することは理解される。範囲の各端点は、文脈上特に明記されていない限り、他方の端点との関連において及び他方の端点とは独立に、の両方で重要であることは更に理解される。最終的に、明確に開示された範囲内のすべての個々の値及びそれに含まれる値の部分的な範囲も、文脈上特に明記されていない限り、具体的に検討され、開示されていると見なされるべきであることは理解されるべきである。特定の場合においてこれらの実施形態の一部又はすべてが明確に開示されているかどうかに関わらず、前述のことは適用される。
【0040】
他に定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術的及び科学的用語は、開示される方法及び組成物が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似の又は等価の任意の方法及び材料は、本方法及び組成物の実行又は検査において使用され得るが、特に有用な方法、デバイス及び材料が記載される。本明細書において引用される刊行物及びそれらが引用する材料は、本明細書に参照により具体的に組み込まれる。本明細書の記載は、先行する発明を理由に本発明が、そのような開示に先行する権利がないことの承認として解釈されない。いかなる参考文献も先行技術を構成すると承認されない。参考文献の考察はそれらの著者が主張することを述べており、出願人は引用された文献の正確性及び妥当性を検証する権利を保持している。多数の刊行物が本明細書において参照されているが、これらの文献のいずれかが当技術分野における共通の一般的知識の一部を形成することの承認をそのような参考文献が構成しないことは明白に理解される。
【0041】
本明細書の記載及び特許請求の範囲の全体を通じて、語「含む(comprise)」及び「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprises)」等の語の変化形は、「これだけに限らないが含む」を意味し、例えば他の添加物、成分、整数又は工程を除外することを意図しない。特に、1つ若しくは複数の工程又は操作を含んでいるとして述べられている方法において、各工程が列挙されているものを含む(工程が「からなる(consisting of)」等の限定する用語を含まない限り)ことが具体的に検討され、各工程が工程において列挙されていない、例えば他の添加物、成分、整数又は工程を除外することを意図しないことを意味する。
【0042】
B.多能性幹細胞
再生医療は、生きている機能的組織を作製して、加齢、疾患、損傷、又は先天性欠損のために喪失した組織又は器官機能を修復又は置き換えるプロセスを伴う、医学の革新的領域である。この分野は、外部細胞、組織、又は更には組織の一部と一体化して組織の一部となる若しくは器官全体を置き換える器官全体を導入することによって、身体の損傷した組織及び器官を修復又は置き換えるという有望性を有する。重要なことに、再生医療は、救命のための臓器移植を必要とする患者に対するドナー臓器の不足を解決する可能性を有する。
【0043】
再生医療戦略の成功のために重要なことの1つは、多能性幹細胞を含む幹細胞を単離及び生成できることであった。胚性幹細胞(ESC又はES細胞)及び人工多能性幹細胞(iPSC又はiPS細胞)を含む多能性幹細胞は、その無制限の自己複製の能力、及び疾患又は傷害によって損傷している組織と置き換えるために必要とされるあらゆる細胞型を含む身体中の任意の細胞型に分化する能力のために、細胞に基づく療法のための主要な候補である。
【0044】
「多能性」及び多能性幹細胞とは、そのような細胞が自己複製を行って、生物のすべての種類の細胞に分化する能力を有することを意味する。多能性幹細胞の定義は2つの特性、すなわち自己複製及び発生能に基づく。自己複製は、幹細胞の、無期限に分裂して、前駆細胞の同じ特性を維持する変更されていない細胞の娘を産生する能力である。特定の条件において又は特定のシグナル下において、幹細胞は、自己複製から抜け出し、3つの胚葉(外胚葉、中胚葉、及び内胚葉)に由来する特殊化細胞種への分化を生じるプログラムに関与できる。
【0045】
胚性幹細胞(ESC)、胎児幹細胞(FSC)、及び人工多能性幹細胞(iPSC)を含むさまざまな種類の多能性幹細胞が存在する。ESCは、着床前胚の内部細胞塊(ICM)に由来し、in vitroにおいて多能性状態で無期限に維持及び増大できる。多能性幹細胞は、細胞初期化として周知の近年開発されたin vitro技術を介して成体の体細胞の脱分化を誘導することによっても得られる。
【0046】
ESCと同様に、iPSCも無期限に増大可能であり、3つの胚葉のすべての誘導体に分化できる。用語「人工多能性幹細胞」は、胚性幹細胞と同様に、生物のすべての種類の細胞に分化する能力を維持しながら長期間にわたって培養可能だが、ES細胞(胚盤胞の内部細胞塊に由来する)と異なり、分化体細胞、すなわち、より狭くより限定された可能性を有し、実験操作の非存在下では生物のすべての種類の細胞を生じることができなかった細胞に由来する、多能性細胞を包含する。iPSCは、ESC様の形態を有し、大きい核細胞質比と、明確な境界と、顕著な核とを有する扁平コロニーとして成長する。加えて、iPSC細胞は、これだけに限らないが、アルカリホスファターゼ、SSEA3、SSEA4、Sox2、Oct3/4、Nanog、TRA160、TRA181、TDGF1、Dnmt3b、FoxD3、GDF3、Cyp26a1、TERT、及びZfp42を含む、当業者によって周知の1つ又は複数の重要な多能性マーカーを発現する。加えて、iPSCは奇形腫を形成できる。加えて、それらは生きている生物の外胚葉、中胚葉、又は内胚葉組織を形成できる又はそれに寄与できる。
【0047】
C.ナノ粒子
ナノ粒子を含む方法が本明細書において開示される。本明細書に記載されるいずれのナノ粒子も開示される方法の1つ又は複数のために使用され得る。
【0048】
一部の態様では、ナノ粒子は、導電性又は半導電性材料を含み得る。例えばナノ粒子は、カーボンゴールド、二価鉄、セレニウム、銀、銅、白金、酸化鉄、グラフェン、鉄デキストラン、超常磁性酸化鉄、ホウ素ドープデトネーションナノダイアモンド(boron-doped detonation nanodiamond)、又はこれらの組合せを含み得る。一部の態様では、ナノ粒子は、Au/Ag、Au/Cu、Au/Ag/Cu、Au/Pt、Au/Fe、Au/Cu又はAu/Fe/Cuから選択される合金を含む。
【0049】
一部の態様では、ナノ粒子は導電性ナノ粒子であり得る。導電性ナノ粒子は標的部位又は幹細胞標的部位において導電率を増加でき、インピーダンスを低下できる。それにより開示された方法の一部の態様では、標的部位若しくは幹細胞標的部位におけるインピーダンスは低下する及び/又は標的部位若しくは幹細胞標的部位における導電率は増加する。
【0050】
一部の態様では、ナノ粒子は非導電性ナノ粒子であり得る。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子である。強誘電性ナノ粒子は、細胞及び組織の電気的刺激を増強するために有望なツールとして現れた。数個のナノトランスデューサーは、光力学的及び熱磁気効果転換を媒介し、抗がん剤刺激を局所的に送達して、ナノ腫瘍学(nanooncology)の分野において腫瘍負荷を低減することが明らかになった。これらのナノトランスデューサーの細胞及び組織浸透は、遠隔の電気的な刺激によって調節され得る。強誘電性ナノ粒子のうち、チタン酸バリウムナノ粒子(BTNP)は、高い生体適合性と共に高い比誘電率及び好適な圧電性を有する。そのような非導電性ナノ粒子は、TTFields刺激を介して細胞に取り込まれるように及び、多能性幹細胞における細胞周期関連アポトーシスを増強することによるTTFieldsの作用を促進するように、本明細書に開示される方法において使用され得る。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子ではない。非導電性ナノ粒子は、標的部位又は幹細胞標的部位において導電率を減少でき、インピーダンスを増加できる。それにより開示される方法の一部の態様では、標的部位若しくは幹細胞標的部位におけるインピーダンスは増加し、及び/又は標的部位若しくは幹細胞標的部位における導電率は減少する。
【0051】
一部の態様では、ナノ粒子の集団は、本明細書に開示される方法において使用され得る。一部の態様では、ナノ粒子の集団は、導電性及び非導電性ナノ粒子を含み得る。
【0052】
細胞へのナノ粒子(NP)内部移行は、粒子サイズ及びゼータ電位に依存することが周知である。200nmを下回るNPはクラスリン依存性経路又はマクロピノサイトーシス経路を通じてがん細胞によって貪食され得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、0.5nmから100nmの間であり得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、0.5nmから2.5nmの間であり得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、100nmから200nmの間であり得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、100nmより大きい場合がある。一部の態様では、開示された方法は、in vivoで多能性幹細胞を標的化するために100nm~200nmのサイズ範囲(肝臓及び脾臓での蓄積を避けるために150nmまでを優先)のナノ粒子(例えば、金属/磁性NP)の使用を可能にする。
【0053】
一部の態様では、ナノ粒子は、特定の三次元形状を有する。例えば、ナノ粒子は、ナノキューブ、ナノチューブ、ナノ双角錐、ナノプレート、ナノクラスター、ナノチェーン、ナノスター、ナノシャトル、ナノ中空、デンドリマー、ナノロッド、ナノシェル、ナノケージ(nanocage)、ナノ球体、ナノファイバー若しくはナノワイヤー又はこれらの組合せであり得る。
【0054】
一部の態様では、ナノ粒子は、メソ多孔性又は非多孔性である場合がある。
【0055】
一部の態様では、ナノ粒子は、多糖類、ポリアミノ酸又は合成ポリマーでコートされる場合がある。ナノ粒子のために好適なコーティングは、ナノ粒子の毒性を減少させ、ナノ粒子にさまざまな種類の細胞及び生物学的分子との選択的相互作用のための能力を提供できるように選択され得る。ナノ粒子のために好適なコーティングは、それらの凝集能力を減少させる又は、それらの安定性を増加させることによってナノ粒子生体適合性並びに水及び生体液中の溶解度を改善するように選択され得る。ナノ粒子のために好適なコーティングは、ナノ粒子薬物動態に影響を与える、ナノ粒子の反応性又はパターン、並びに/若しくは身体における分布及び蓄積を変更するように選択され得る。
【0056】
一部の態様では、ナノ粒子は、対象にナノ粒子を導入する前にスキャホールドに組み込まれ得る。一部の態様では、ナノ粒子は、対象にスキャホールドを導入する前又は後にスキャホールドに又はその中にロードされ得る。例えば、スキャホールドは、対象に外科的に提供されてよく、続いて本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子は、ナノ粒子がスキャホールドに組み込まれることを可能にする条件下で対象に投与され得る。代替的にナノ粒子は、対象の外でスキャホールドに組み込まれてよく、次いでナノ粒子がロードされたスキャホールドは、対象に外科的に提供され得る。
【0057】
スキャホールドの例として、ヒアルロン酸、フィブリン、キトサン及びコラーゲン等の天然ポリマーを含むスキャホールドがこれだけに限らないが挙げられる。スキャホールドの例として、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレンフマレート(PPF)、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスファゼン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ乳酸(PLA)及びポリ(グリコール酸) (PGA)等の合成ポリマーを含むスキャホールドがこれだけに限らないが挙げられる。
【0058】
一部の態様では、ナノ粒子は1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートされる。一部の態様では、1つ又は複数のリガンドは、リンカーを介してナノ粒子にコンジュゲートされる。一部の態様ではリンカーは、チオール基、C2からC12アルキル基、C2からC12グリコール基又はペプチドを含む。一部の態様では、リンカーは、一般式HO-(CH)n,-S-S- (CH2)m-OHによって表され、式中n及びmが独立に1から5の間であるチオール基を含む。一部の態様では、1つ又は複数のリガンドは、小分子、核酸、炭水化物、脂質、ペプチド、抗体、抗体断片又は治療剤である。例えば、1つ又は複数のリガンドは、これだけに限らないが、抗がん薬、細胞障害性薬物、疼痛管理薬、シュードモナス菌体外毒素A、非放射性同位元素(例えば、ホウ素中性子捕獲療法のためのホウ素10)又は光増感剤(例えば、フォトフリン、フォスカン(foscan)、5-アミノレブリン酸、モノ-L-アスパルチルクロリンe6、フタロシアニン、メタテトラ(ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、テキサフィリン(texaphyrin)、又はエチルエチオプルプリンスズ)であってよい。
【0059】
一部の態様では、ナノ粒子は、幹細胞標的化成分を使用して幹細胞、多能性幹細胞又は幹細胞標的部位に標的化され得る。幹細胞標的化成分は、これだけに限らないが、葉酸、トランスフェリン、アプタマー、抗体、抗体断片、核酸及びペプチドであり得る。それにより一部の態様では、ナノ粒子は、標的化又は非標的化された様式で対象に導入され得る。
【0060】
一部の態様では、ナノ粒子は幹細胞マーカーにコンジュゲートされる又はそれでコートされる。一部の態様では、幹細胞マーカーは、SSEA-1、SSEA-3、SSEA-4、CD324(E-カドヘリン)、CD90(Thy-1)、CD117(c-KIT、SCFR)、CD326、CD9(MRP1、TM4SF DRAP-27、p24)、CD29(β1インテグリン)、CD24(HAS)、CD59(プロテクチン)、CD133、CD31(PECAM-1)、CD49f(インテグリンα6/CD29)、TRA-1-60、TRA-1-81又はFrizzled5であり得る。
【0061】
一部の態様では、ナノ粒子は、幹細胞マーカーに特異的に結合する又は特異的にハイブリダイズするペプチド、抗体又は抗体断片にコンジュゲートされる又はそれでコートされる。一部の態様では、幹細胞マーカーは、SSEA-1、SSEA-3、SSEA-4、CD324(E-カドヘリン)、CD90(Thy-1)、CD117(c-KIT、SCFR)、CD326、CD9(MRP1、TM4SF DRAP-27、p24)、CD29(β1インテグリン)、CD24(HAS)、CD59(プロテクチン)、CD133、CD31(PECAM-1)、CD49f(インテグリンα6/CD29)、TRA-1-60、TRA-1-81又はFrizzled5であり得る。
【0062】
本明細書において使用される場合、用語「抗体」は、広い意味で使用され、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方を含む。無傷免疫グロブリン分子に加えて、これらの免疫グロブリン分子の抗体断片又はポリマー、及び免疫グロブリン分子又はその断片のヒト又はヒト化型もまた、それらが本明細書に開示されるポリペプチドと相互作用する能力のために選択される限り、開示される。「抗体断片」は、完全な抗体の部分である。完全な抗体は、2本の完全な軽鎖と2本の完全な重鎖とを有する抗体を指す。抗体断片は、1本又は複数本の鎖の全部又は一部を欠く。抗体断片の例として、これだけに限らないが、半抗体及び半抗体の断片が挙げられる。半抗体は、単一の軽鎖と単一の重鎖とから構成される。半抗体及び半抗体断片は、2本の軽鎖と2本の重鎖とを有する抗体又は抗体断片を還元することによって作製することができる。そのような抗体断片は、還元抗体と称される。還元抗体は、露出した反応性スルフヒドリル基を有する。これらのスルフヒドリル基は、反応性化学基又は生体分子と抗体断片との連結基として使用できる。好ましい半抗体断片はF(ab)である。抗体又は抗体断片のヒンジ領域は、軽鎖が終了し、重鎖が続く領域である。
【0063】
本明細書に開示される方法における使用のための抗体断片は、抗原(例えば、微生物特異的抗体又は本明細書に記載される1つ若しくは複数の微生物)と結合できる。好ましくは、抗体断片は抗原に特異的であり得る。抗体又は抗体断片は、あるエピトープに、他のエピトープよりも有意に大きい親和性で結合する場合、抗原に特異的である。抗原は、抗体断片が結合できる任意の分子、化合物、組成物、又はその部分である。例えば、抗原は、微生物特異的抗体又は本明細書に記載される1つ若しくは複数の微生物であり得る。分析物は、任意の目的の分子、化合物又は組成物であり得る。抗体又は抗体断片は、本明細書に記載されるin vitroアッセイを使用して、又は類似の方法によって、所望の活性について試験できる。
【0064】
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書において使用される場合、抗体の実質的に同種の集団から得た抗体を指す、すなわち、集団内の個々の抗体は、抗体分子の少数のサブセットに存在し得る天然に存在する可能性のある変異を除いては同一である。また、重又は軽鎖の一部分が、特定の種に由来する又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同である一方で、鎖の残りの部分が、別の種に由来する又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体、及びそのような抗体の断片も、それらが所望のアンタゴニスト活性を呈する限り、開示される。(米国特許第4,816,567号及びMorrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81:6851 6855 (1984)を参照のこと)。
【0065】
モノクローナル抗体は、モノクローナル抗体を作製する任意の手順を使用して作ることができる。例えば、開示されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、例えばKohler及びMilstein、Nature、256:495 (1975)によって記載されているものを使用して調製できる。ハイブリドーマ法では、典型的には、マウス又は他の適切な宿主動物を、免疫化剤を用いて免疫化して、その免疫化剤に特異的に結合し得る抗体を産生する又は産生できるリンパ球を誘発する。
【0066】
モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4,816,567号(Cabillyら)に記載されているものによっても作ることができる。開示されるモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離及び配列決定できる。抗体又は活性抗体断片のライブラリーもまた、例えば、Burtonらの米国特許第5,804,440号及びBarbasらの米国特許第6,096,441号に記載されているファージディスプレイ技法を使用して生成及びスクリーニングできる。
【0067】
in vitro方法もまた一価抗体を調製するのに好適である。Fv、Fab、Fab'、又は抗体の他の抗原結合部分等の抗体の断片を作製するための抗体の消化は、当技術分野で周知の慣例的な技法を使用して達成され得る。例えば、消化はパパインを使用して実施され得る。パパイン消化の例は、一価抗体調製する抗体のパパイン消化の教示についてその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる1994年12月22日公開WO94/29348、及び米国特許第4,342,566号に記載されている。抗体のパパイン消化は典型的には、それぞれが単一の抗原結合部位を有するFab断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、残りのFc断片とを産生する。ペプシン処理は、2つの抗原連結部位を有し、抗原を依然として架橋できる断片を生じる。
【0068】
他の配列に結合するかどうかに関わらず、断片は、抗体又は抗体断片の活性が有意に変更されることも、非修飾抗体又は抗体断片と比較して損なわることもない限りにおいて、特定の領域又は特定のアミノ酸残基の挿入、欠失、置換、又は他の選択された修飾を含むこともできる。これらの修飾は、例えば、ジスルフィド結合可能なアミノ酸を除去/付加する、生体内寿命を増加する、分泌特徴を変更する等のある追加的特性を提供し得る。いずれの場合であれ、抗体又は抗体断片は、その同種抗原に対する特異的結合等の生理活性特性を有しなければならない。抗体又は抗体断片の機能的又は活性領域は、タンパク質の特異的領域の変異誘発、それに続く発現、及び発現したポリペプチドの試験によって同定され得る。そのような方法は、当業者には容易に明らかであり、抗体又は抗体断片をコードする核酸の部位特異的変異導入を含み得る。(Zoller、M.J. Curr. Opin. Biotechnol. 3:348-354、1992)。
【0069】
本明細書において使用される場合、用語「抗体(antibody)」又は「抗体(antibodies)」はヒト抗体又はヒト化抗体も指し得る。多くの非ヒト抗体(例えば、マウス、ラット、又はウサギに由来するもの)は、ヒトにおいて天然に抗原性であり、それにより、ヒトに投与される場合に望ましくない免疫応答を生じ得る。したがって、本方法におけるヒト又はヒト化抗体の使用は、ヒトに投与される抗体が望ましくない免疫応答を惹起する可能性を低減する役割を果たす。
【0070】
ヒト抗体は任意の技法を使用して調製できる。ヒトモノクローナル抗体作製のための技法の例として、Coleら(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、77頁、1985年)及びBoernerら(J. Immunol.、147(1):86 95、1991)によって記載されているものが挙げられる。ヒト抗体(及びその断片)は、ファージディスプレイライブラリーを使用して作製することもできる(Hoogenboomら、J. Mol. Biol.、227:381、1991; Marksら、J. Mol. Biol.、222:581、1991)。
【0071】
ヒト抗体は、トランスジェニック動物から得ることもできる。例えば、免疫化に応答してヒト抗体の全レパートリーを産生できるトランスジェニック変異マウスが記載されている。(例えば、Jakobovitsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:2551-255 (1993); Jakobovitsら、Nature、362:255 258 (1993); Bruggermannら、Year in Immunol.、7:33 (1993)を参照のこと)。具体的には、これらのキメラ及び生殖細胞系列変異マウスにおける抗体重鎖接合領域(J(H))遺伝子のホモ接合型欠失は、内因性抗体産生の完全な阻害をもたらし、ヒト生殖細胞系列抗体遺伝子アレイのそのような生殖細胞系列変異マウスへの首尾よい移入は、抗原負荷時にヒト抗体の産生をもたらす。所望の活性を有する抗体は、本明細書に記載されるEnv-CD4共役受容体複合体を使用して選択される。
【0072】
任意選択で、ヒト抗体は、ヒトB細胞のエプスタイン-バーウイルス形質転換のための方法を使用して、メモリーB細胞から作ることができる。(例えば、メモリーB細胞からヒトモノクローナル抗体を作る方法の教示についてその全体が参照により本明細書に組み込まれるTriaggiaiら、An efficient method to make human monoclonal antibodies from memory B cells: potent neutralization of SARS coronavirus、Nat Med. 2004年8月; 10(8):871-5. (2004)を参照のこと)。手短に述べると、自然感染後に生存している対象由来のメモリーB細胞を単離し、照射された単核細胞と、メモリーB細胞のポリクローナル活性化因子として作用するCpGオリゴヌクレオチドとの存在下でEBVを用いて不死化する。メモリーB細胞を培養し、特異的抗体の存在について分析する。次に、所望の特異性の抗体を産生する培養由来のEBV-B細胞を、クローニング効率を高めるCpG 2006を添加しながら、照射された単核細胞の存在下で限界希釈によってクローニングし、培養する。EBV-B細胞の培養後、モノクローナル抗体は単離できる。そのような方法は、(1)生涯にわたり安定で、末梢血から容易に単離できるメモリーBリンパ球の不死化によって産生される抗体、及び(2)自然感染後に生存している抗原刺激された天然宿主から単離した抗体をもたらし、それにより、異なる感受性、したがって異なる免疫応答を示し得る実験動物の免疫化の必要性を排除する。
【0073】
抗体ヒト化技法は一般に、抗体分子の1つ又は複数のポリペプチド鎖をコードするDNA配列を操作する組換えDNA技術の使用を伴う。したがって、非ヒト抗体(又はその断片)のヒト化形態は、ヒト(レシピエント)抗体のフレームワークに組み込まれる非ヒト(ドナー)抗体由来の抗原結合部位の一部分を含有するキメラ抗体又は抗体鎖(又はその断片、例えば、Fv、Fab、Fab'、又は抗体の他の抗原結合部分)である。
【0074】
ヒト化抗体を生成するために、レシピエント(ヒト)抗体分子の1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)由来の残基は、所望の抗原結合特徴(例えば、標的抗原に対する一定レベルの特異性及び親和性)を有することが周知であるドナー(非ヒト)抗体分子の1つ又は複数のCDR由来の残基と置き換えられる。一部の場合では、ヒト抗体のFvフレームワーク(FR)残基は、対応する非ヒト残基と置き換えられる。ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも取り込まれたCDR又はフレームワーク配列にも見出されない残基を含有してもよい。一般に、ヒト化抗体は、1つ又は複数のアミノ酸残基が非ヒトである供給源から導入されている。実際、ヒト化抗体は典型的には、一部のCDR残基、及び場合により一部FR残基がげっ歯類抗体における類似部位由来の残基と置換されているヒト抗体である。ヒト化抗体は一般に、典型的にはヒト抗体のものである、抗体定常領域(Fc)の少なくとも一部分を含有する(Jonesら、Nature、321:522-525 (1986)、Riechmannら、Nature、332:323 327 (1988)、及びPresta、Curr. Opin. Struct. Biol.、2:593-596 (1992))。
【0075】
非ヒト抗体をヒト化するための方法は当技術分野で周知である。例えば、ヒト化抗体は、Winter及び共同研究者らの方法に従って、げっ歯類CDR又はCDR配列でヒト抗体の対応する配列を置換することによって生成できる(Jonesら、Nature、321:522 525 (1986)、Riechmannら、Nature、332:323-327 (1988)、Verhoeyenら、Science、239:1534 1536 (1988))。ヒト化抗体を作製するために使用できる方法は、米国特許第4,816,567号(Cabillyら)、米国特許第5,565,332号(Hoogenboomら)、米国特許第5,721,367号(Kayら)、米国特許第5,837,243号(Deoら)、米国特許第5,939,598号(Kucherlapatiら)、米国特許第6,130,364号(Jakobovitsら)、及び米国特許第6,180,377号(Morganら)にも記載されている。本明細書に開示される抗体は対象に投与することもできる。抗体送達のための核酸手法も存在する。本明細書に開示されるポリペプチドに対する広域中和抗体及び抗体断片もまた対象に投与できる、又は対象自身の細胞が核酸を取り込んで、コードされる抗体又は抗体断片を産生及び分泌するように、抗体若しくは抗体断片をコードする核酸調製物(例えば、DNA若しくはRNA)として対象に投与できる。
【0076】
一部の態様では、ナノ粒子は、標識ナノ粒子であり得る。一部の態様では、標識ナノ粒子は、磁性ナノ粒子、Gd3+で装飾されたナノ粒子、放射性同位元素(例えば、テクネチウム99m、ヨウ素123、ヨウ素131、フッ素18炭素11、窒素13、酸素15、ガリウム68、ジルコニウム89及びルビジウム82)で装飾されたナノ粒子、蛍光標識(例えば、量子ドット)で装飾されたナノ粒子、光増感剤(例えば、フォトフリン、フォスカン、5-アミノレブリン酸、モノ-L-アスパルチルクロリンe6、フタロシアニン、メタテトラ(ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、テキサフィリン、又はエチルエチオプルプリンスズ)で装飾されたナノ粒子、又は色素で装飾されたナノ粒子であり得る。一部の態様では、ナノ粒子は標識抗体でコートされてよく、それによりナノ粒子は間接的に標識される。一部の態様では、サイズの制約がある場合、大きな成分で装飾される又はそれにコンジュゲートされる場合にナノ粒子は、大きな成分に合わせて小さなものであってよい。
【0077】
ナノ粒子の他の例として、これだけに限らないが、シリカナノ粒子、親水性ポリマー(例えば、ポリアクリルアミド(PAA)、ポリウレタン、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリルアミド)(pHEMA)、ある種のポリ(エチレングリコール))及び疎水性ポリマー(例えば、ポリスチレンナノ粒子)が挙げられる。
【0078】
一部の態様では、ナノ粒子は、標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、幹細胞標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、幹細胞又は多能性幹細胞に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、1つ又は複数の幹細胞又は多能性幹細胞を含むと疑われる対象における位置に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、幹細胞又は多能性幹細胞を分裂又は分化する傾向がある対象又は患者内にある又は存在する部位又は位置に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、対象又は患者内にある又は存在する幹細胞又は多能性幹細胞を分裂又は分化する部位又は位置に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、注射を介して幹細胞又は多能性幹細胞に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、標的部位に隣接する部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、1つ又は複数の分裂又は分化する幹細胞又は多能性幹細胞を含むと疑われる対象における位置に隣接する部位に導入され得る。
【0079】
一部の態様では、ナノ粒子は、幹細胞標的部位に隣接する標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、幹細胞又は多能性幹細胞に隣接する幹細胞標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、1つ又は複数の幹細胞を含むと疑われる対象における位置に隣接する幹細胞標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、多能性幹細胞が有糸分裂、分裂、分化又は進行する傾向がある対象又は患者内にある又は存在する部位又は位置に隣接する幹細胞標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、対象又は患者内にある又は存在する多能性幹細胞の有糸分裂、分裂、又は進行の部位又は位置に隣接する幹細胞標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、注射を介して幹細胞又は多能性幹細胞に隣接する幹細胞標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、細胞内注射を介して(例えば、手術又は生検の際のコンピューター断層撮影ガイド下)、幹細胞又は多能性幹細胞に隣接する幹細胞標的部位に導入され得る。
【0080】
一部の態様では、ナノ粒子は、腫瘍内に、頭蓋内に、脳室内に、くも膜下腔内に、硬膜外に、硬膜内に、血管内に、静脈内に(標的化若しくは非標的化)、動脈内に、筋肉内に、皮下に、腹腔内に、経口で、鼻腔内に、細胞内注射を介して(例えば、手術若しくは生検の際のコンピューター断層撮影ガイド下)又は吸入を介して、導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、幹細胞標的化成分を使用して幹細胞又は幹細胞標的部位に標的化され得る。幹細胞標的化成分は、これだけに限らないが、葉酸、トランスフェリン、アプタマー、抗体、抗体断片、核酸及びペプチドであり得る。それにより一部の態様では、ナノ粒子は、標的化又は非標的化された様式で対象に導入され得る。
【0081】
一部の態様では、ナノ粒子は、細胞容積、送達の方法、交流電場を施すデバイスの制約、患者体重、患者年齢、細胞のサイズ、細胞の種類、細胞の位置、患者の年齢又は、患者、幹細胞若しくは多能性幹細胞の任意の他の身体的若しくは遺伝子型の特質に基づく濃度で導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、導入されるナノ粒子の濃度を決定するために使用され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、幹細胞又は多能性幹細胞1mm3あたり約0.001から0.01、0.01から0.1、0.1から0.5、0.5から5、5から10、10から20、20から50、50から100、100から200、200から300、300から400、400から500、500から600、600から700、700から800、800から900、又は900から1000ngで導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、約0.001から0.01、0.01から0.1、0.1から0.5、0.5から5、5から10、10から20、20から50、50から100、100から200、200から300、300から400、400から500、500から600、600から700、700から800、800から900又は900から1000μgで導入され得る。
【0082】
一部の態様では、ナノ粒子は、対象に1回、2回、3回又はそれ以上導入され得る。
【0083】
D.医薬組成物
本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子を含む、医薬組成物が本明細書において開示される。一部の態様では、本明細書に記載されるナノ粒子は、医薬組成物中に提供され得る。例えば本明細書に記載されるナノ粒子は、薬学的に許容される担体を含んで配合され得る。
【0084】
薬学的に許容される担体等の担体を更に含む本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子を含む組成物が本明細書において開示される。例えば、本明細書において開示されるナノ粒子及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が開示される。
【0085】
例えば、本明細書に記載されるナノ粒子は、薬学的に許容される担体を含み得る。「薬学的に許容される」によって、活性成分のいかなる分解も最小化しかつ対象におけるいかなる有害な副作用も最小化するように選択される、当業者に周知である材料又は担体が意味される。担体の例として、ジミリストイルホスファチジル(DMPC)、リン酸緩衝生理食塩水又は多胞性リポソームが挙げられる。例えば、PG:PC:コレステロール:ペプチド又はPC:ペプチドは、本発明において担体として使用され得る。他の好適な薬学的に許容される担体及びそれらの配合物は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (19th ed.) ed. A.R. Gennaro、Mack Publishing Company、Easton、PA 1995に記載されている。典型的には、適切な量の薬学的に許容される塩は、配合物において配合物を等張にするために使用される。薬学的に許容される担体の他の例として、これだけに限らないが、生理食塩水、リンゲル溶液及びブドウ糖溶液が挙げられる。溶液のpHは、約5から約8又は約7から約7.5であり得る。更なる担体として、組成物を含有する固形疎水性ポリマーの半透性マトリックス等の徐放調製物が挙げられ、そのマトリックスは、成型品の形態、例えば、フィルム、ステント(血管再建術手順の際に血管に埋入される)、リポソーム又は微小粒子の形態である。ある特定の担体が、例えば投与の経路及び投与されるナノ粒子の濃度に応じて更に好ましい場合があることは当業者に明らかである。最も典型的にはこれらは、滅菌水、生理食塩水及び生理学的pHの緩衝液等の溶液が挙げられる、ヒトへの薬物の投与のための標準的担体である。
【0086】
医薬組成物は、本発明のポリペプチド、ペプチド、核酸、ベクターの意図する活性が損なわれない限り、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝液、保存剤等も含み得る。医薬組成物は、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤等の1つ又は複数の活性成分も(本発明の組成物に加えて)含み得る。医薬組成物は、局所又は全身性処置が望ましいかどうか、及び処置される領域に応じて多数の方法で投与され得る。
【0087】
非経口投与の調製物として、滅菌水性又は非水性溶液、懸濁剤及び乳剤が挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油及びオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルである。水性担体として、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水、アルコール性/水性溶液、乳剤又は懸濁剤が挙げられる。非経口ビヒクルとして、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル又は固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとして、補充液及び栄養補充薬、電解質補充薬(リンゲルブドウ糖に基づくもの等)等が挙げられる。例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート薬剤及び不活性ガス等の保存剤及び他の添加物も存在してよい。
【0088】
最適な投与のための配合物として、軟膏、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴下剤、座薬、スプレー剤、液剤及び粉剤が挙げられる。従来の医薬用担体、水性の、粉末の又は油性の基材、増粘剤等が必要である又は望ましい場合がある。
【0089】
経口投与のための組成物として、粉剤若しくは顆粒剤、水若しくは非水性媒体中の懸濁剤若しくは溶液、カプセル、サシェ(sachet)又は錠剤が挙げられる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散補助剤(dispersing aid)又は結合剤は望ましい場合がある。一部の組成物は、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸及びリン酸等の無機酸、並びにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸及びフマル酸等の有機酸との反応によって、又は水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等の無機塩基並びにモノ-、ジ-、トリアルキル及びアリールアミン及び置換エタノールアミン等の有機塩基との反応によって形成された薬学的に許容される酸又は塩付加塩として投与される可能性もある。
【0090】
本明細書に記載される方法において、本明細書において開示されるナノ粒子又は医薬組成物の対象への送達(又は投与又は導入)は、種々の機序を介してであってよい。
【0091】
E.多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する方法
本明細書に記載されるように、望まれない成長又は細胞発生の部位において多能性幹細胞の成長を制御できること又は多能性幹細胞を排除できることは、そうではない場合では制御されない多能性幹細胞の発生及び増殖に対処する固有の手段を提示する。例えば、多能性幹細胞成長を制御できることは、がん又は異所性妊娠等の障害の管理及び処置を支援し得る。
【0092】
女性において、受精は典型的には卵管で生じるが、内部細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)との差異化(Yamanakaら、2006)、及び全能性から多能性への変化は、典型的には子宮での胚形成の際に行われる(Suraniら、2007)。大半の妊娠において、妊娠の際の胚発生は女性の子宮で生じる。異所性妊娠は、子宮腔以外の場所で生じる妊娠を表す。ヒトでは、これはすべての妊娠のおよそ1~2%を占める(米国では1年あたりおよそ100,000例、英国では1年あたり10,000例)。異所性妊娠が卵管で生じる場合、胚発生の細胞プロセスは、臨床介入まで卵管の内部で継続し得る。異所性妊娠は卵管を破裂させるおそれがある。処置をしない場合、破れた卵管は生命を脅かす出血を生じ得る。卵管が拡張した、又は破れて出血し始めた場合、その一部又は全部が除去されなければならない場合がある。この場合、出血は迅速に止める必要があり、緊急手術が必要である。
【0093】
異所性妊娠の病態は、認識されており、多くの場合、妊娠の最初の3カ月の間に多くの妊産婦死亡をもたらす。異所性妊娠の分類は、(i)卵管妊娠、(ii)非卵管異所性妊娠、(iii)子宮内外同時妊娠、及び(iv)異所性妊娠存続症を含め、いくつかある。卵管妊娠は、卵母細胞が受精し、その後卵管に留まる場合に生じる。非卵管異所性妊娠は、卵巣、子宮頸部、又は腹部内腔で生じ、すべての異所性妊娠のおよそ2%を占める。異所性妊娠の珍しい症例として、2つの受精卵が、一方は子宮外、他方は内部にある場合があり、子宮内外同時妊娠と称される。異所性妊娠存続症は、異所性妊娠を除去する外科的介入後の絨毛成長の存続を指す。ある特定の状況では、胚が自らを帝王切開瘢痕部に埋め込むという問題が生じ得る。
【0094】
異所性妊娠の処置は過酷かつ侵襲性であり得る。メトトレキセートを用いる異所性妊娠の早期処置は、外科的処置に対する実行可能な代替手段である。妊娠の早期に投与される場合、メトトレキセートは発育胚の成長を終了させ、次に、胚は女性の身体によって再吸収され得る又は月経期間と共に消失し得る。異所性妊娠のメトトレキセート処置の禁忌として、肝臓、腎臓、又は血液疾患、及び3.5cmより大きい異所性胚塊が挙げられる。また、メトトレキセートを用いる処置は、検出されない子宮内妊娠の不注意による終了、又は任意の生存胚における重度の異常を引き起こす場合がある。したがって、メトトレキセートは、hCGが連続的にモニタリングされ、48時間にわたって35%未満の増加となり、生育可能な子宮内妊娠を事実上除外する場合にのみ投与されることが推奨される。
【0095】
異所性妊娠に起因する出血がすでに生じている場合、外科的介入が必要であり得る。しかし、超音波検査における凝血塊の証拠が最小限である安定な患者においては、外科的介入を実行すべきかどうかは多くの場合、困難な決断である。
【0096】
本明細書に開示される組成物、システム及び方法は、TTFieldsを使用するより低侵襲性の方法に依存することによって、異所性妊娠の処置において現在直面している多数の課題を克服できる。本明細書に開示される組成物、システム及び方法は、現在の標準治療及び処置が対象に利用可能ではない場合も使用できる。例えば、メトトレキセートは、任意の他の理由で抗凝血薬を服用している、又は授乳中である高血圧の女性に対しては実行可能ではない場合がある。メトトレキセート処置は催奇形性であるため(TTFieldsを使用する場合は回避できる)、メトトレキセート処置全体にわたって、及びメトトレキセート処置後3カ月間、避妊が使用されるべきである。メトトレキセート及びその代謝産物は、先天的欠損を引き起こすことが周知であり、処置後1から12カ月の範囲の期間、体内に残留する。したがって、メトトレキセート療法を中止した後に妊娠を計画している女性については、少なくとも3~6カ月の待機期間が推奨される(これもまた、TTFieldsを使用する場合は回避できる)。加えて、メトトレキセートと、NSAID(すなわち、アスピリン、エトドラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、スリンダク)、抗生物質(すなわち、トリメトプリム、セファロスポリン、シプロフロキサシン、ドキシサイクリン、ペニシリン、アモキシシリン、オキサシリン、ピペラシリン/タゾバクタム、プロベネシド、バンコマイシン)、プロトンポンプ阻害薬(すなわち、オメプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール)、シクロスポリン、又はビタミンCとの同時投与後は毒性のリスクがある。本明細書に開示される組成物、システム及び方法は、そのような患者及び対象を処置するためにも使用できる。
【0097】
TTFieldsを使用して多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する方法が開示される。多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、方法が開示される。一部の態様では、多能性幹細胞は胎児幹細胞又は胚性幹細胞である。
【0098】
本明細書において使用される場合、用語「有糸分裂を阻止する」又は「有糸分裂を阻止すること」は、細胞(例えば多能性幹細胞)を有糸分裂期(分裂前期、分裂前中期、分裂中期、分裂後期、又は分裂終期)のうちの1つ又は複数に停止させることを指し得る。本明細書において使用される場合、用語「有糸分裂を阻害する」又は「有糸分裂を阻害すること」は、細胞(例えば多能性幹細胞)を有糸分裂期(分裂前期、分裂前中期、分裂中期、分裂後期、又は分裂終期)のうちの1つ又は複数において変更する又は止めることを指し得る。一部の態様では、有糸分裂は、細胞の有糸分裂の現在又は続くラウンド又は期において阻止又は阻害され得る。一部の態様では、交流電場に曝露された多能性幹細胞は、有糸分裂スリッページ(mitotic slippage)を起こす。有糸分裂スリッページは、停止した細胞が分裂せずに有糸分裂を終了する場合に生じる。細胞は、有糸分裂スリッページを起こす場合、細胞質分裂を受けずに有糸分裂を終了し、四倍体になる。有糸分裂スリッページを起こす細胞において、交流電場への曝露は更なる有糸分裂を阻止できる。一部の態様では、細胞の有糸分裂の現在又は続くラウンド又は期において阻止又は阻害すること。
【0099】
対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程を含む、対象の標的部位における多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する方法であって、対象の標的部位における交流電場の周波数及び場の強度が標的部位における多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、方法が開示される。一部の態様では、標的部位は幹細胞標的部位である。一部の態様では、多能性幹細胞は胎児幹細胞又は胚性幹細胞である。一部の態様では、標的部位は、対象の卵管、子宮、腹腔、又は子宮頸部である。
【0100】
ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む、TTFieldsを使用して多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する方法が開示される。一部の態様では、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止若しくは阻害する方法又は対象の標的部位における多能性幹細胞の有糸分裂を阻止若しくは阻害する方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。多能性幹細胞の有糸分裂を阻止若しくは阻害する方法又は標的部位における多能性幹細胞の有糸分裂を阻止若しくは阻害する方法の一部の態様では、対象は、妊娠している、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有する、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は異所性妊娠と診断されている、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は(経膣)超音波検査によって同定若しくは診断されている。一部の態様では、対象は、以下:(i)約0.5cmから約10cmの範囲の胎嚢サイズ;及び(ii)約200から約100,000IU/Lの範囲のβ-hCG濃度からなる群から選択される特徴のうちの1つ又は複数を有する。一部の態様では、胎嚢サイズは、約1cmから約8cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約6cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約5cmの範囲である。
【0101】
一部の態様では、方法は、観察、腹腔鏡検査、開腹手術、又は投薬を更に含む。一部の態様では、方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。
【0102】
多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害し、方法が、交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含む、方法が開示される。多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害し、方法が、対象における多能性幹細胞に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の多能性幹細胞に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、多能性幹細胞に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含み、交流電場に隣接する多能性幹細胞の部位における電気インピーダンスが変化する、方法が開示される。
【0103】
F.多能性幹細胞の死滅の方法
TTFieldsを使用して多能性幹細胞を死滅させる方法が開示される。多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞を死滅させる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞を死滅させる、方法が開示される。一部の態様では、多能性幹細胞は胎児幹細胞又は胚性幹細胞である。
【0104】
対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程を含む、対象の標的部位における多能性幹細胞を死滅させる方法であって、対象の標的部位における交流電場の周波数及び場の強度が標的部位における多能性幹細胞を死滅させる、方法が開示される。一部の態様では、標的部位は幹細胞標的部位である。一部の態様では、多能性幹細胞は胎児幹細胞又は胚性幹細胞である。一部の態様では、標的部位は、対象の卵管、子宮、腹腔、又は子宮頸部である。
【0105】
ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む、TTFieldsを使用して多能性幹細胞を死滅させる方法が開示される。一部の態様では、多能性幹細胞を死滅させる方法又は対象の標的部位における多能性幹細胞を死滅させる方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。多能性幹細胞を死滅させる方法又は標的部位における多能性幹細胞を死滅させる方法の一部の態様では、対象は、妊娠している、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有する、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は異所性妊娠と診断されている、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は(経膣)超音波検査によって同定若しくは診断されている。一部の態様では、対象は、以下:(i)約0.5cmから約10cmの範囲の胎嚢サイズ;及び(ii)約200から約100,000IU/Lの範囲のβ-hCG濃度からなる群から選択される特徴のうちの1つ又は複数を有する。一部の態様では、胎嚢サイズは、約1cmから約8cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約6cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約5cmの範囲である。
【0106】
一部の態様では、方法は、観察、腹腔鏡検査、開腹手術、又は投薬を更に含む。一部の態様では、方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。
【0107】
多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞を死滅させる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞を死滅させ、方法が、対象における多能性幹細胞に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の多能性幹細胞に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、多能性幹細胞に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含み、交流電場に隣接する多能性幹細胞の部位における電気インピーダンスが変化する、方法が開示される。
【0108】
G.多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する方法
TTFieldsを使用して多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する方法が開示される。多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、方法が開示される。一部の態様では、多能性幹細胞は胎児幹細胞又は胚性幹細胞である。
【0109】
対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程を含む、対象の標的部位における多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する方法であって、対象の標的部位における交流電場の周波数及び場の強度が標的部位における多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、方法が開示される。一部の態様では、標的部位は幹細胞標的部位である。一部の態様では、多能性幹細胞は胎児幹細胞又は胚性幹細胞である。一部の態様では、標的部位は、対象の卵管、子宮、腹腔、又は子宮頸部である。
【0110】
ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む、TTFieldsを使用して多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する方法が開示される。一部の態様では、多能性幹細胞の分裂を阻止若しくは阻害する方法又は対象の標的部位における多能性幹細胞の分裂を阻止若しくは阻害する方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。多能性幹細胞の分裂を阻止若しくは阻害する方法又は標的部位における多能性幹細胞の分裂を阻止若しくは阻害する方法の一部の態様では、対象は、妊娠している、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有する、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は異所性妊娠と診断されている、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は(経膣)超音波検査によって同定若しくは診断されている。一部の態様では、対象は、以下:(i)約0.5cmから約10cmの範囲の胎嚢サイズ;及び(ii)約200から約100,000IU/Lの範囲のβ-hCG濃度からなる群から選択される特徴のうちの1つ又は複数を有する。一部の態様では、胎嚢サイズは、約1cmから約8cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約6cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約5cmの範囲である。
【0111】
一部の態様では、方法は、観察、腹腔鏡検査、開腹手術、又は投薬を更に含む。一部の態様では、方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。
【0112】
多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害し、方法が、対象における多能性幹細胞に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の多能性幹細胞に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、多能性幹細胞に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含み、交流電場に隣接する多能性幹細胞の部位における電気インピーダンスが変化する、方法が開示される。
【0113】
H.多能性幹細胞の生存率を低下させる方法
TTFieldsを使用して多能性幹細胞の生存率を低下させる方法が開示される。多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の生存率を低下させる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の生存率を低下させる、方法が開示される。一部の態様では、多能性幹細胞は胎児幹細胞又は胚性幹細胞である。
【0114】
対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程を含む、対象の標的部位における多能性幹細胞の生存率を低下させる方法であって、対象の標的部位における交流電場の周波数及び場の強度が標的部位における多能性幹細胞の生存率を低下させる、方法が開示される。一部の態様では、標的部位は幹細胞標的部位である。一部の態様では、多能性幹細胞は胎児幹細胞又は胚性幹細胞である。一部の態様では、標的部位は、対象の卵管、子宮、腹腔、又は子宮頸部である。
【0115】
ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む、TTFieldsを使用して多能性幹細胞の生存率を低下させる方法が開示される。一部の態様では、多能性幹細胞の生存率を低下させる方法又は対象の標的部位における多能性幹細胞の生存率を低下させる方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。多能性幹細胞の生存率を低下させる方法又は標的部位における多能性幹細胞の生存率を低下させる方法の一部の態様では、対象は、妊娠している、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有する、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は異所性妊娠と診断されている、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は(経膣)超音波検査によって同定若しくは診断されている。一部の態様では、対象は、以下:(i)約0.5cmから約10cmの範囲の胎嚢サイズ;及び(ii)約200から約100,000IU/Lの範囲のβ-hCG濃度からなる群から選択される特徴のうちの1つ又は複数を有する。一部の態様では、胎嚢サイズは、約1cmから約8cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約6cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約5cmの範囲である。
【0116】
一部の態様では、方法は、観察、腹腔鏡検査、開腹手術、又は投薬を更に含む。一部の態様では、方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。
【0117】
多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の生存率を低下させる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の生存率を低下させ、方法が、対象における多能性幹細胞に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の多能性幹細胞に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、多能性幹細胞に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含み、交流電場に隣接する多能性幹細胞の部位における電気インピーダンスが変化する、方法が開示される。
【0118】
I.多能性幹細胞進行又は分化の進行を遅らせる方法
TTFieldsを使用して多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる方法が開示される。多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、対象における多能性幹細胞進行又は分化の進行又は分化を遅らせる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が対象における多能性幹細胞進行又は分化の進行を遅らせる、方法が開示される。一部の態様では、多能性幹細胞は胎児幹細胞又は胚性幹細胞である。
【0119】
対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程を含む、対象の標的部位における多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる方法であって、対象の標的部位における交流電場の周波数及び場の強度が標的部位における多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、方法が開示される。一部の態様では、標的部位は幹細胞標的部位である。一部の態様では、多能性幹細胞は胎児幹細胞又は胚性幹細胞である。一部の態様では、標的部位は、対象の卵管、子宮、腹腔、又は子宮頸部である。
【0120】
ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む、TTFieldsを使用して多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる方法が開示される。一部の態様では、多能性幹細胞の進行若しくは分化を遅らせる方法又は対象の標的部位における多能性幹細胞の進行若しくは分化を遅らせる方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。多能性幹細胞の進行若しくは分化を遅らせる方法又は標的部位における多能性幹細胞の進行若しくは分化を遅らせる方法の一部の態様では、対象は、妊娠している、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有する、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は異所性妊娠と診断されている、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は(経膣)超音波検査によって同定若しくは診断されている。一部の態様では、対象は、以下:(i)約0.5cmから約10cmの範囲の胎嚢サイズ;及び(ii)約200から約100,000IU/Lの範囲のβ-hCG濃度からなる群から選択される特徴のうちの1つ又は複数を有する。一部の態様では、胎嚢サイズは、約1cmから約8cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約6cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約5cmの範囲である。
【0121】
一部の態様では、方法は、観察、腹腔鏡検査、開腹手術、又は投薬を更に含む。一部の態様では、方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。
【0122】
多能性幹細胞を、周波数と場の強度とを有する交流電場に一定期間曝露する工程を含む、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる方法であって、交流電場の周波数及び場の強度が多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせ、方法が、対象における多能性幹細胞に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の多能性幹細胞に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、多能性幹細胞に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含み、交流電場に隣接する多能性幹細胞の部位における電気インピーダンスが変化する、方法が開示される。
【0123】
J.異所性妊娠を処置する方法
TTFieldsを使用して対象における異所性妊娠を処置する方法が開示される。対象の標的部位に、周波数と場の強度とを有する交流電場を一定期間印加する工程を含み、標的部位が異所性妊娠を含む、対象における異所性妊娠を処置する方法が開示される。一部の態様では、標的部位は幹細胞標的部位である。一部の態様では、標的部位は、対象の卵管、子宮、腹腔、又は子宮頸部である。
【0124】
異所性妊娠を処置する方法の一部の態様では、方法は、対象における異所性妊娠を最初に診断する追加的工程を更に含む。異所性妊娠を処置する方法の一部の態様では、対象は、妊娠している、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有する、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、異所性妊娠と診断されている、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有すると同定されている、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると同定されている、又は(経膣)超音波検査によって同定若しくは診断されている。異所性妊娠を処置する方法の一部の態様では、方法は、対象が、妊娠している、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有する、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有する、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有する、異所性妊娠と診断されている、上昇したレベルのヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を有する、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のレベルの増加において異常なパターンを有すると最初に診断する追加的工程を更に含む、又は(経膣)超音波検査によって同定若しくは診断されている。一部の態様では、対象は、以下:(i)約0.5cmから約10cmの範囲の胎嚢サイズ;及び(ii)約200から約100,000IU/Lの範囲のβ-hCG濃度からなる群から選択される特徴のうちの1つ又は複数を有する。一部の態様では、胎嚢サイズは、約1cmから約8cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約6cmの範囲である。一部の態様では、胎嚢サイズは、約3cmから約5cmの範囲である。
【0125】
一部の態様では、方法は、観察、腹腔鏡検査、開腹手術、又は投薬を更に含む。一部の態様では、方法は、ゲフィチニブ、メトトレキセート、又はこれらの組合せを対象に投与する工程を更に含む。
【0126】
K.標的部位におけるインピーダンスの変化
本明細書に開示される方法は、対象の多能性幹細胞又は標的部位に隣接する部位における交流電場の電気的インピーダンスを変化させる工程を更に含み得る。本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の多能性幹細胞又は標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の多能性幹細胞又は標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含み得、ここで、対象の多能性幹細胞又は標的部位に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスは変化する。
【0127】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の多能性幹細胞又は標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の多能性幹細胞又は標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を更に含み得、ここで、対象の多能性幹細胞又は標的部位に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスは変化し、対象の多能性幹細胞又は標的部位に隣接する部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は変化する。一部の態様では、標的部位に隣接する部位における導電率は減少する。一部の態様では、対象の多能性幹細胞又は標的部位に隣接する部位におけるインピーダンスは増加する。一部の態様では、多能性幹細胞又は標的部位における導電率は増加する。一部の態様では、多能性幹細胞又は標的部位におけるインピーダンスは減少する。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子ではない。
【0128】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程、及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含み得、ここで、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスは変化する。
【0129】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含み得、ここで、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスは変化する、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/若しくは電力損失密度は変化する、標的部位におけるインピーダンスは低下する、並びに/又は標的部位における導電率は増加する。
【0130】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含み得、ここで、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスは変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は変化し、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を更に含む。一部の態様では、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は変化する。一部の態様では、標的部位に隣接する部位における導電率は減少する。一部の態様では、標的部位に隣接する部位におけるインピーダンスは増加する。一部の態様では、標的部位における導電率は増加する。一部の態様では、標的部位におけるインピーダンスは減少する。
【0131】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化し、非導電性ナノ粒子が強誘電性ナノ粒子ではない、方法を更に含み得る。一部の態様では、標的部位におけるインピーダンスは増加する、及び/又は標的部位における導電率は減少する。
【0132】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化し、交流電場が腫瘍治療電場である、方法を更に含み得る。一部の態様ではナノ粒子は組織誘電率を増加させるナノ粒子である。一部の態様では、標的部位は幹細胞標的部位である。一部の態様では、対象の幹細胞標的部位における交流電流の電気インピーダンスの変化は、幹細胞標的部位における交流電場の有糸分裂作用の増加をもたらす。
【0133】
一部の態様では、ナノ粒子の集団は、本明細書において開示される方法において使用され得る。一部の態様では、ナノ粒子の集団は、導電性及び非導電性ナノ粒子を含み得る。
【0134】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、交流電場を、限定されないが、アルキル化剤等を含む分裂細胞を標的化する有効用量の薬剤と併用する工程を更に含み得る。
【0135】
アルキル化剤は、がん細胞のDNA等の高分子のアルキル化によって作用することが周知であり、通例強力な求電子剤である。この活性は、DNA合成及び細胞分裂を阻害できる。本明細書における使用に好適なアルキル化試薬の例として、ナイトロジェンマスタード並びにその類似体及び誘導体、例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、メクロレタミン塩酸塩、メルファラン、及びウラシルマスタードが挙げられる。アルキル化剤の他の例として、アルキルスルホネート(例えばブスルファン)、ニトロソウレア(例えばカルムスチン、ロムスチン、及びストレプトゾシン)、トリアゼン(例えばダカルバジン及びテモゾロミド)、エチレンイミン/メチルメラミン(例えばアルトレタミン及びチオテパ)、並びにメチルヒドラジン誘導体(例えばプロカルバジン)が挙げられる。カルボプラチン、シスプラチン、及びオキサリプラチンを含むアルキル化様白金含有薬はアルキル化剤の群に含まれる。
【0136】
追加的薬剤として、これだけに限らないが、葉酸、ピリミジン、プリン、及びシチジンの類似体及び誘導体を挙げることができる。本明細書における使用に好適な葉酸系の薬剤のメンバーとして、これだけに限らないが、メトトレキセート(アメトプテリン)、ペメトレキセド並びにそれらの類似体及び誘導体が挙げられる。本明細書における使用に好適なピリミジン剤として、これだけに限らないが、シタラビン、フロクスウリジン、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル)、カペシタビン、ゲムシタビン、並びにそれらの類似体及び誘導体が挙げられる。本明細書における使用に好適なプリン剤として、これだけに限らないが、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン)、ペントスタチン、チオグアニン、クラドリビン、並びにそれらの類似体及び誘導体が挙げられる。本明細書における使用に好適なシチジン剤として、これだけに限らないが、シタラビン(シトシンアラビノシド)、アザシチジン(5-アザシチジン)並びにそれらの類似体及び誘導体が挙げられる。
【0137】
本明細書における使用に好適な抗有糸分裂剤として、これだけに限らないが、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、及びそれらの類似体及び誘導体等のビンカアルカロイド、並びに、これだけに限らないが、エトポシド、テニポシド、及びそれらの類似体及び誘導体を含むポドフィロトキシンが挙げられる。本明細書における使用に好適な抗新生物剤として、これだけに限らないが、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ペントスタチン、プリカマイシン、並びにそれらの類似体及び誘導体が挙げられる。本明細書における使用に好適であり、カンプトテシン、トポテカン、及びイリノテカンを含むカンプトテシン類似体及び誘導体。
【0138】
L.交流電場
本明細書に開示される方法は交流電場を利用する。一部の態様では、本明細書に開示される方法において使用される交流電場は腫瘍治療電場である。一部の態様では、交流電場(例えば腫瘍治療電場)は、交流電場が印加される細胞の種類又は状態に応じて変化し得る。一部の態様では、TTFieldsは、対象の身体に置かれた1つ又は複数の電極を介して印加され得る。一部の態様では、2対以上の電極があってもよい。例えば、図6は、本明細書に開示されるシステム及び方法と共に使用できる患者の前/後面及び側面におけるアレイの可能な配置案の図を示す。2対の電極が使用される一部の態様では、TTFieldsは、2対の電極間を交番し得る。例えば、図6に見られるとおり、第1の電極対は対象の前及び後面に置くことができ、第2の電極対は対象の両側面に置くことができ、次に、TTFieldsは印加することができ、前面と後面の電極間、次に左右の電極を交番できる。
【0139】
一部の態様では、交流電場の周波数は、200kHzである場合がある。交流電場の周波数は、これだけに限らないが、約200kHz、50から500kHzの間、100から500kHzの間、25kHzから1MHzの間、50から190kHzの間、25から190kHzの間又は210から400kHzの間である場合もある。
【0140】
一部の態様では、交流電場の場の強度は1から4V/cm RMSであり得る。一部の態様では、さまざまな場の強度が使用され得る(例えば、0.1から10V/cmの間)。
【0141】
一部の態様では、交流電場は、0.5時間から72時間の範囲のさまざまな間隔で印加され得る。一部の態様では、さまざまな持続時間が使用され得る(例えば、0.5時間から14日間の間)。一部の態様では、交流電場の印加は、定期的に反復され得る。例えば交流電場は、2時間の持続時間で毎日印加され得る。
【0142】
一部の態様では、交流電場の周波数は、50kHz、100kHz、200kHz、300kHz、400kHz、500kHz、又はこれらの間の任意の周波数の電場である場合がある。
【0143】
一部の実施形態では、交流電場の周波数は、約200kHzから約400kHz、約250kHzから約350kHzであり、300kHz前後であり得る。一部の実施形態では、場は少なくとも1V/cmである。一部の実施形態では、場は1から4V/mの間である。他の実施形態では、場の強度の組合せが印加される、例えば、2つ以上の周波数が同時に併用される、及び/又は2つ以上の周波数が異なる時間に印加される。
【0144】
一部の態様では、曝露は、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、若しくは少なくとも72時間又はそれ以上持続し得る。
【0145】
一部の態様では、ナノ粒子は、組織又は細胞誘電率を増加させるナノ粒子である。
【0146】
一部の態様では、対象の標的部位又は幹細胞標的部位における交流電流の電気インピーダンスの変化は、標的部位における交流電場の抗有糸分裂作用の増加をもたらす。例えば抗有糸分裂作用の増加は、分裂終期、細胞質分裂又は続く静止期に標的部位内に又は標的部位に存在する細胞(例えば、多能性幹細胞)を最終的に破壊し得る、分裂中期の際の正確な微小管アセンブリの妨害を指し得る。
【0147】
M.複数回の周波数
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、標的部位又は幹細胞標的部位においてナノ粒子が多能性幹細胞に入れるようにするある周波数を用いて標的部位又は幹細胞標的部位における電気インピーダンスを変化させ、次に第2の周波数を標的部位又は幹細胞標的部位に印加する工程を更に含み得、ここで、標的部位又は幹細胞標的部位における第2の周波数への電気インピーダンスは変化する。
【0148】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、標的部位又は幹細胞標的部位においてナノ粒子が多能性幹細胞に入れるようにするある周波数(第1の周波数)を用いて標的部位又は幹細胞標的部位における電気インピーダンスを変化させ、次に第2の周波数を標的部位又は幹細胞標的部位に印加する工程を更に含み得、ここで、標的部位又は幹細胞標的部位における第2の周波数への電気インピーダンスは変化し、方法は、複数回の第1の及び第2の周波数を印加することを更に含む。例えば、本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する開示される方法は、第1の交流電場を第1の周波数で標的部位又は幹細胞標的部位に第1の期間印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での標的部位又は幹細胞標的部位への第1の期間の印加が標的部位又は幹細胞標的部位に存在する多能性幹細胞の細胞膜の透過性を増加する工程;標的部位又は幹細胞標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で標的部位又は幹細胞標的部位に第2の期間印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、対象の標的部位又は幹細胞標的部位における第2の交流電場の第2の周波数でのインピーダンスが変化する工程を含む、対象の標的部位又は幹細胞標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる工程を更に含み得る。一部の態様では、対象の標的部位又は幹細胞標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は変化する。一部の態様では、細胞は多能性幹細胞である。一部の態様では、多能性幹細胞は、胚性幹細胞(ESC)、胎児幹細胞(FSC)、又は人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の態様では、ナノ粒子を導入する工程は所与の時期に開始し、ここで第1の交流電場を印加する工程は所与の時期の少なくとも12時間後に終了する。一部の態様では、第1の交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1時間前に開始する。一部の態様では、第2の期間は、第2の交流電場が第2の周波数で多能性幹細胞に印加される際に複数の連続しない間欠期を含み、複数の連続しない間欠期は合計で少なくとも1週間になる。
【0149】
標的部位又は多能性幹細胞標的部位における細胞を死滅させる又は除去するために熱又は高熱を使用する方法も本明細書において考察される。例えば、本明細書において開示される方法は、本明細書において開示される1つ又は複数のナノ粒子を使用でき、ここでナノ粒子は標的部位又は幹細胞標的部位における細胞に導入され、次に交流電場又は交流磁場(AMF)に曝露される。標的部位又は幹細胞標的部位における細胞の交流電場又は磁場(AMF)への曝露は、ナノ粒子を加熱(例えば、華氏100度を超える温度に達する)し、標的部位又は幹細胞標的部位における細胞の死滅をもたらし得る。
【0150】
ナノ粒子が標的部位又は幹細胞標的部位における細胞に入れるようにする周波数を用い、次に標的部位又は幹細胞標的部位に交流電場又は交流磁場を印加して、標的部位又は幹細胞標的部位における細胞を死滅させる又は除去する方法であって、ナノ粒子が交流電場又は交流磁場を熱エネルギーに変換し、それにより標的部位又は幹細胞標的部位における細胞を死滅させる又は除去する方法が開示される。一部の態様では、本明細書において開示される方法は、複数回の第1の及び第2の周波数を印加することを更に含み得る。
【0151】
例えば、標的部位又は幹細胞標的部位に第1の交流電場を第1の周波数で第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での標的部位又は幹細胞標的部位への第1の期間の印加が標的部位又は幹細胞標的部位に存在する細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;標的部位又は幹細胞標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で又は交流磁場を標的部位又は幹細胞標的部位に第2の期間について印加する工程であって、標的部位又は幹細胞標的部位に存在する1つ又は複数の細胞が死滅される又は除去される工程を含む、対象の標的部位又は幹細胞標的部位における細胞を除去する又は死滅させる方法が開示される。一部の態様では、第2の交流電場は、腫瘍治療電場である。
【0152】
本明細書において開示される任意の方法では、対象は曝露され得る、又はシステムは対象に適応され得、ここでシステムは、1つ又は複数の制御可能な低エネルギーHF(高周波数)キャリア信号発生回路、制御情報を受け取るための1つ又は複数のデータ処理装置、1つ又は複数の振幅変調制御信号発生装置(control generator)及び1つ又は複数の振幅変調周波数制御信号発生装置を含む。一部の態様では、振幅変調周波数制御信号発生装置は、振幅変調の周波数を1つ又は複数の定められた又は予め定められた基準振幅変調周波数と比較して少なくとも1000ppm、最も好ましくは約1ppm内の精度で正確に制御するために適合される。特定のがんについての追加的実施形態及び特異的な周波数は、対象において細胞機能又は機能不全に影響を与えるために有用なシステム及び方法の教示についてその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,977,365号に記載されている。
【0153】
N.ナノ粒子を利用して電場の分布を変化させることによるTTFの活性の増加
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位及び標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加する。
【0154】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位及び標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、交流電場の電流密度の大きさは標的部位において増加する。
【0155】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位及び標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、標的部位におけるインピーダンスは低下する。
【0156】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位及び標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、標的部位における導電率は増加する、及び/又は標的部位に隣接する部位におけるインピーダンスは増加する。
【0157】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位及び標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、交流電場は腫瘍治療電場である。
【0158】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位及び標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、標的部位は腫瘍標的部位である。
【0159】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位及び標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、標的部位における交流電場の有効性の増加は、標的部位における交流電場の抗有糸分裂作用の増加をもたらす。
【0160】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加する。
【0161】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、ナノ粒子は非導電性ナノ粒子である。
【0162】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、標的部位に隣接する非標的部位におけるインピーダンスは増加する、及び/又は標的部位に隣接する非標的部位における導電率は減少する。
【0163】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、標的部位におけるインピーダンスは低下する、及び/又は標的部位における導電率は増加する。
【0164】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、交流電場の電流密度の大きさは標的部位に隣接する非標的部位において減少する。
【0165】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、方法は、対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程を更に含む。一部の態様では、標的部位におけるインピーダンスは低下する。
【0166】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、交流電場は腫瘍治療電場である。
【0167】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、対象の標的部位における交流電場の有効性は増加し、標的部位は腫瘍標的部位である。一部の態様では、標的部位における交流電場の有効性の増加は、標的部位における交流電場の有糸分裂作用の増加をもたらす。一部の態様では、ナノ粒子は、標的部位における多能性幹細胞に導入される。一部の態様では、ナノ粒子は、原発腫瘍切除後に注射を介して多能性幹細胞に導入される。一部の態様では、ナノ粒子は、細胞内注射を介して(例えば、手術又は生検の際のコンピューター断層撮影ガイド下)多能性幹細胞に導入される。
【0168】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、ナノ粒子は、腫瘍1mm3あたり約0.001から0.01、0.01から0.1、0.1から0.5、0.5から5、5から10、10から20、20から50、50から100、100から200、200から300、300から400、400から500、500から600、600から700、700から800、800から900、又は900から1000ngで導入される。
【0169】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、ナノ粒子は、約0.001から0.01、0.01から0.1、0.1から0.5、0.5から5、5から10、10から20、20から50、50から100、100から200、200から300、300から400、400から500、500から600、600から700、700から800、800から900、又は900から1000μgで導入される。
【0170】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、ナノ粒子は1回、2回、3回又はそれ以上導入される。
【0171】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、導電性ナノ粒子は、カーボンゴールド、二価鉄、セレニウム、銀、銅、白金、酸化鉄、グラフェン、鉄デキストラン、超常磁性酸化鉄、ホウ素ドープデトネーションナノダイアモンド、又はこれらの組合せを含む又はそれからなる。一部の態様では、導電性ナノ粒子は、Au/Ag、Au/Cu、Au/Ag/Cu、Au/Pt、Au/Fe、Au/Cu又はAu/Fe/Cuから選択される合金を含む。
【0172】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、ナノ粒子のサイズは0.5nmから100nmの間である。
【0173】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、ナノ粒子のサイズは0.5nmから2.5nmの間である。
【0174】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、ナノ粒子のサイズは100nmより大きい。
【0175】
本明細書に開示される、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置する方法は、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる工程を更に含み得、方法は、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に隣接する部位又は標的部位に交流電場を印加する工程を含み、ここで、ナノ粒子のサイズは100nmから200nmの間である。
【0176】
O.デバイス
効果的に、多能性幹細胞の有糸分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞を死滅させる、多能性幹細胞の分裂を阻止又は阻害する、多能性幹細胞の生存率を低下させる、多能性幹細胞の進行又は分化を遅らせる、及び異所性妊娠を処置するためのデバイスが開示される。信号発生器と;信号発生器に電気的に接続されている温度センサーと;信号発生器からのAC電圧を受ける1対の電極とを備えるデバイスであって、信号発生器が、多能性幹細胞の内部のナノ粒子の配向を変化させるように1対の電極間に電場を発生させるように構成されており、温度センサーが多能性幹細胞の周囲の温度を測定し、信号発生器が、測定された温度に基づいて電場の強度を変化させるように構成されている、デバイスが開示される。
【0177】
信号発生器と;信号発生器に電気的に接続されている温度センサーと;信号発生器からのAC電圧を受ける1対の電極とを備えるデバイスであって、信号発生器が、多能性幹細胞に隣接するナノ粒子の配向を変化させるように1対の電極間に電場を発生させるように構成されており、温度センサーが多能性幹細胞の周囲の温度を測定し、信号発生器が、測定された温度に基づいて電場の強度を変化させるように構成されている、デバイスが開示される。
【0178】
ある実施形態では、電場は約100KHzから約500KHzの周波数を有する。
【0179】
ある実施形態では、ナノ粒子は導電性ナノ粒子である。ある実施形態では、ナノ粒子は非導電性ナノ粒子である。ある実施形態では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子である。ある実施形態では、強誘電性粒子は、約0nm超から約50nm以下の直径を有する。ある実施形態では、強誘電性粒子はBaTiO3又はSrTiO3を含む。
【0180】
ある実施形態では、第1の電極及び第2の電極は強誘電体を含む。
【0181】
第1のパッチの一方の表面における第1の電極及び温度センサーと;第2のパッチの一方の表面における第2の電極及び温度センサーと;第1の電極及び第2の電極に電気的に接続されている信号発生器とを備えるデバイスであって、信号発生器が、多能性幹細胞におけるナノ粒子プローブの配向を変化させるように第1の電極と第2の電極との間に電場を発生させるように構成されており、第1の及び第2の温度センサーのそれぞれが多能性幹細胞の周囲の温度を測定し、信号発生器が、測定された温度に基づいて電場の強度を変化させるように構成されており、多能性幹細胞の分裂が、ナノ粒子の配向の変化に応じて抑制される、デバイスが開示される。ある実施形態では、ナノ粒子プローブは、ナノ粒子、ナノ粒子に結合した複数のバイオマーカーを含み、バイオマーカーは、多能性幹細胞と、ナノ粒子にコートされているパッシベーション膜とを標的化し得る。ある実施形態では、ナノ粒子プローブは、電場によって多能性幹細胞の内部で移動可能である。
【0182】
信号発生器と;互いに向かい合う第1の電極及び第2の電極と;互いに向かい合う第3の電極及び第4の電極と;信号発生器に電気的に接続されている温度センサーとを備えるデバイスであって、第1の電極及び第2の電極が信号発生器からの第1のAC電圧を受け、第3の電極及び第4の電極が信号発生器からの第2のAC電圧を受け、信号発生器が、多能性幹細胞の内部のナノ粒子の配向を変化させるように第1の電極と第2の電極との間に第1の電場を発生させ、信号発生器が、がん細胞の内部の極性分子の配向を変化させるように第3の電極と第4の電極との間に第2の電場を発生させ、第1の電場及び第2の電場が相互に異なる周波数を有する、デバイスが開示される。ある実施形態では、ナノ粒子は導電性ナノ粒子である。
【0183】
信号発生器と;互いに向かい合う第1の電極及び第2の電極と;互いに向かい合う第3の電極及び第4の電極と;信号発生器に電気的に接続されている温度センサーとを備えるデバイスであって、第1の電極及び第2の電極が信号発生器からの第1のAC電圧を受け、第3の電極及び第4の電極が信号発生器からの第2のAC電圧を受け、信号発生器が、多能性幹細胞の内部のナノ粒子の配向を変化させるように第1の電極と第2の電極との間に第1の電場を発生させ、信号発生器が、がん細胞の内部の極性分子の配向を変化させるように第3の電極と第4の電極との間に第2の電場を発生させ、第1の電場及び第2の電場が相互に異なる周波数を有する、デバイスが開示される。ある実施形態では、ナノ粒子は非導電性ナノ粒子である。ある実施形態では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子である。ある実施形態では、強誘電性粒子は、約0nm超から約50nm以下の直径を有する。ある実施形態では、強誘電性粒子はBaTiO3又はSrTiO3を含む。
【0184】
一部の態様では、TTFieldsは、対象の身体に置かれた1つ又は複数の電極を介して印加され得る。一部の態様では、2対以上の電極があってもよい。例えば、図6は、本明細書に開示されるシステム及び方法と共に使用できる患者の前/後面及び側面におけるアレイの可能な配置案の図を示す。2対の電極が使用される一部の態様では、TTFieldsは、2対の電極間を交番し得る。例えば、図6に見られるとおり、第1の電極対は対象の前及び後面に置くことができ、第2の電極対は対象の両側面に置くことができ、次に、TTFieldsは印加することができ、前面と後面の電極間、次に左右の電極を交番できる。
【0185】
P.キット
上に記載される材料及び他の材料は、本開示の方法を実施する、又は実施を補助するための有用なキットとして任意の好適な組合せで併せて包装され得る。所与のキットにおけるキットの構成要素は、本開示の方法における合わせた使用のために設計され、適合される場合に有用である。例えば、画像化及び/又は処置のためのキットが開示される。一部の態様では、キットは、1つ又は複数の本開示のナノ粒子を含み得る。キットは、交流電場を印加するための機器も含み得る。
【0186】
本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子及び交流電場を与えることができるデバイスを含む、キットが本明細書において開示される。例えば、本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子及びTTFieldsデバイス(例えば、Optune(登録商標)、Novocure Ltd.社)を含む、キットが本明細書において開示される。
【実施例
【0187】
細胞のカバーガラスへの播種。ヒト多能性幹細胞(ヒト胚性幹細胞[ESC]及びヒト人工多能性幹細胞[iPSC]を含む)を、10μM ROCK阻害薬Y-27632を補充したEssential 8(E8)培地に維持した。ESC(WA07[H7]株)又はiPSCを、6ウエルプレート中の22mm径ガラス又はプラスチックカバーガラスの中央部に播種した。カバーガラスは、従来の組織培養インキュベーター(37℃、95%空気、5%CO2)において37℃で少なくとも1時間、DMEM/F12に1:200に希釈したマトリゲルで事前にコートしていた。細胞がカバーガラスに付着したら、10μM ROCK阻害薬Y-27632を補充した合計2mLのE8培地を各ウエルに添加した。カバーガラスをInovitro(商標)TTFieldsデバイス(Novocure Inc.社、Haifa、イスラエル)のセラミック皿に移す前に細胞を回収する場合、培地を1~2日間、毎日交換した。
【0188】
ヒトESC又はiPSC由来心筋細胞(ESC-CM又はiPSC-CM)を播種する手順は、播種後の回収期間が、明らかな自発的拍動が観察されるまでより長く(約5日)続いたことを除いて、多能性幹細胞の手順と同様であった。ESC-CM及びiPSC-CMはまた、B27サプリメントとインスリンとを含有するRPMI 1640培地にも維持した。拍動する心細胞の単一の単層がカバーガラスにおいて可視化された後で、腫瘍治療電場実験を開始した。細胞の画像化は、Leica DM IL LED倒立蛍光顕微鏡(Leica Microsystems社、Buffalo Grove、IL)又はRevolve顕微鏡(Echo laboratories社、San Diego、CA)を使用して実施した。
【0189】
自動セルカウンターを使用したトリパンブルー細胞計数アッセイ。セラミック皿中のカバーガラスを、2回の2mLのPBSの洗浄に加えて培地を除去することにより、細胞計数のために調製した。次に、カバーガラスを6ウエルプレートに移し、そこに0.5mLのトリプシン-LE(TrypLE)を添加した。剥離した細胞を、いずれも(ESC及びiPSCについて)10μM ROCK阻害薬Y-27632を補充した4.5mLのE8培地を含有する15mLファルコンチューブに懸濁した。細胞を300gで5分間、室温で遠心分離した。ペレットを得たら、上清を吸引し、細胞を細胞計数のためにいずれも10mLのEssential 8に再懸濁した。
【0190】
10μLのアリコートを取得し、1.5mLエッペンドルフチューブに入れた。次に、10μLの0.4%トリパンブルー溶液を細胞培養アリコートに添加し、ピペッティングによって混合し、細胞計数スライドのウエルのうちの1つに加えた。細胞を、LUNA-FL 2波長蛍光自動セルカウンター(Logos Biosystems社、Annandale、VA、USA)を使用して計数した。生及び死細胞の総数を、各実験条件(例えば、対照[TTFなし]、50kHz、100kHz、200kHz、300kHz、400kHz及び500kHz)について、3回の技術的反復から算出し、平均した。総細胞数を、最初の細胞懸濁液からの1:10の希釈倍率に基づいて外挿した。
【0191】
CellTiter-Glo 2.0アッセイを使用した細胞生存率の定量測定。ヒト多能性幹細胞に関する細胞の生存率を、CellTiter-Glo 2.0アッセイ(Promega社、Madison、WI、USA)を使用して定量的に測定した。CellTiter-Glo 2.0アッセイは、代謝的に活性な細胞の存在を示す、存在するATPの量を定量することによって培養中の生存細胞の数を決定する均一な方法を提供する。ルシフェリンへの一原子酸素付加は、Mg2+、ATP(生存細胞によって寄与される)、及び分子状酸素の存在下でルシフェラーゼによって触媒される。各ウエルに存在する細胞培養培地の容量に等しい容量のCellTiter-Glo 2.0試薬を添加した(例えば、0.5mLのCellTiter-Glo 2.0試薬を、細胞を含有する0.5mLの培地に添加した)。内容物をオービタルシェーカーにおいて2分間混合して、細胞溶解を誘導した。6ウエルプレートを室温で10分間インキュベートして、発光シグナルを安定化した。その後、各ウエルから50μlを3連で白色96ウエルプレートに移した。発光を、Synergy HTXマルチモードプレートリーダー(BioTek社、Winooski、VT、USA)において、1秒の積分時間を使用して記録した。BioTek Gen5 3.03ソフトウェアを使用して、発光シグナルを分析した。
【0192】
収縮アッセイ。幹細胞由来心筋細胞の収縮測定を、腫瘍治療電場を印加する前後にSony SI8000生細胞イメージングシステム(Sony Biotechnology社、San Jose、CA)によって評価した。ESC-CM又はiPSC-CMをさまざまな交流電場周波数(例えば、50kHz、100kHz、200kHz、300kHz、400kHz及び500kHz)で72時間処置した。対照皿ではそれらに交流電場を印加しなかった。固有の動きベクトルソフトウェアを利用して細胞の運動を高い時間的及び空間的忠実度で捕捉する高性能ビデオカメラを使用して、データを取得した。画像獲得後、細胞の運動の変位及び大きさを、Sony Biotechnology社によって開発された運動検出アルゴリズムを使用して算出した。関心領域(ROI)を単一細胞又は心細胞のクラスター全体に設定し、さまざまな収縮及び弛緩パラメーターを算出した。
【0193】
蛍光標示式細胞分取(FACS)及び細胞周期分析。FACS及び細胞周期分析研究のために、明記した交流電場実験条件後のH7 ESCを採取し、それらをPBSで洗浄した。次に、細胞を氷冷70%エタノールで2時間、-20℃で固定した。固定後、遠心分離によって細胞を収集し、それらを、10μg/mLヨウ化プロピジウム(PI)、100μg/mL RNase A、及び0.05%トリトンX-100を含有する1.0mLのPBSで染色した。細胞をPI溶液中で15分間、室温で暗所にてインキュベートし、PBSで1回洗浄し、0.5ml PBSに再懸濁し、Guava FACSアナライザー(EMD Millipore社、Burlington、MA)においてInCyteソフトウェアを使用して生及び死細胞について、並びにGuava細胞周期分析ソフトウェアを使用して細胞周期状態について評価した。生/死細胞及び細胞周期状態の測定について、FlowJoソフトウェア(Tree Star社、Ashland、OR)を使用して結果を分析した。
【0194】
iPSCのヒト多能性幹細胞(hESC及びhiPSC)生成の培養及び維持。健康なヒトドナー由来の経皮線維芽細胞を、以下の転写因子:Oct4、Sox2、Nanog、及びcMycを保有する非組み込みセンダイウイルスベクターを使用してiPSCに初期化した。
【0195】
ESC培養及び維持。これらの実験において使用したヒトESC株は、EF1aプロモーター下でルシフェラーゼ及びTomato Redを発現するレンチウイルスベクターをトランスフェクトしたWA07(H7)株であった。ESCを、以前記載のとおり合成E8培地を使用して、マトリゲルコートプレート(ES適格化、BD Biosciences社、San Diego、CA)において90%集密まで成長させた。培地を毎日交換し、細胞を、EDTA(Thermo Fisher Scientific社、CA)を用いて3~4日ごとに継代した。10μM ROCK阻害薬Y-27632をプレーティング前に解離細胞に補充して、アポトーシスを阻止した。
【0196】
マウスへの細胞注射。雌免疫欠損ヌード(NU/NU)マウスに2%イソフルランで麻酔をし、およそ500,000個のH7 ESCを皮下注射した。H7 ESCは、100μLマトリゲルに懸濁した後、マウスの右側腹部に28ゲージシリンジ針を使用して注射した。更に、交流電場処置H7 ESC(すなわち、300kHzで3~4日間処置したもの)をマウスの左側腹部に皮下注射した。左肩甲骨へのマトリゲルのみの注射を対照として使用した。シリンジは、室温でのマトリゲルの凝固を防ぐために、注射前は氷上で保持した。スタンフォード実験動物飼養管理委員会(APLAC; Administrative Panel on Laboratory Animal Care)はすべての動物手順を承認した。
【0197】
細胞生存及び奇形腫形成を評価するための移植した細胞の生物発光イメージング(BLI)。BLIを実施して、この研究の経過中の細胞増殖を追跡した。in vivo BLIをIVISスペクトルイメージングシステム(Xenogen Corporation社、Alameda、CA)において、細胞注射後最大5週間実施した。細胞生存及び増殖を、細胞移植後0、1、3、7日目、及び7日ごとに最大35日間モニタリングした。1グラムのD-ルシフェリンホタルカリウム塩を23mLのPBSに希釈し、この混合物300μlを、28ゲージインスリンシリンジ針を使用して腹腔内投与した。腹腔内注射の10分後、動物を、1秒から5分の取得ウィンドウを使用して20分間画像化した。Living Imageソフトウェア(Caliper LifeSciences社、バージョン4.3.1)を使用して、さまざまな時点の生物発光画像を分析した。ROIを細胞注射の部位及び対照領域にわたって描出した。発光シグナルを、1ステラジアンあたり、1平方センチメートルあたり、1秒あたりの光子の輝度単位(光子/sec/cm2/sr)で定量した。
【0198】
奇形腫外植及び組織学。奇形腫が直径約15mmのサイズに成長した後、マウスを安楽死させ、奇形腫を摘出し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン切片作製及びH&E染色のために病理コアラボに送付した。
【0199】
統計解析。統計解析を、GraphPad Prism(バージョン7.04)及びSPSS(IBM社、バージョン21)を使用して実施した。P<0.05に設定した有意水準アルファを有する試験を有意と見なした。データは、別段の指摘がない限り、平均±標準偏差として報告する。
【0200】
当業者は、日常的な実験を使用するだけで、本明細書に記載される方法及び組成物の具体的な実施形態についての多数の等価物を認識する又は確認することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】