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特表2023-525095使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法
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  • 特表-使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/54 20060101AFI20230607BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20230607BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20230607BHJP
   B09B 101/16 20220101ALN20230607BHJP
【FI】
H01M10/54
B09B3/35 ZAB
B09B5/00 Z
B09B101:16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568550
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2021122034
(87)【国際公開番号】W WO2022068916
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】202011067024.0
(32)【優先日】2020-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518458056
【氏名又は名称】湖南金源新材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】劉訓兵
(72)【発明者】
【氏名】欧陽剣君
(72)【発明者】
【氏名】張超文
(72)【発明者】
【氏名】王子
(72)【発明者】
【氏名】周群成
(72)【発明者】
【氏名】陳賛
(72)【発明者】
【氏名】呉山木
(72)【発明者】
【氏名】董雄武
(72)【発明者】
【氏名】劉暢
(72)【発明者】
【氏名】劉席巻
【テーマコード(参考)】
4D004
5H031
【Fターム(参考)】
4D004AA23
4D004AB03
4D004AC05
4D004BA05
4D004BA06
4D004CA02
4D004CA04
4D004CA09
4D004CA12
5H031EE01
5H031HH03
5H031HH06
5H031HH09
5H031RR02
(57)【要約】
使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法であって、使用済みリチウムイオン電池につ
いてケースを除去した電池パック又はセルを放電せずに、荷電したまま湿式で引き裂き、
その後、第1湿式篩分けを行い、電解液を回収し、磁気選別により鉄を除去した後、乾燥
せずに接着剤を直接湿式除去し、次に、第2湿式篩分けを行った後、第1湿式粉砕、第3
湿式篩分け及び第2湿式粉砕を行い、最後に、ジグ選別分離により銅粉末、アルミ粉末、
正負極材料、プラスチップ粉末及びセパレータパルプを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法であって、
使用済みリチウムイオン電池についてケースを除去した電圧36ボルト以内の電池パック
又はセルを、物理・化学的手段により電圧を低下又は解消せずに、質量比1~10倍の水
の保護下、又は噴水条件下で2本ロール引き裂き装置に直接入れて、荷電したまま引き裂
き、その後、第1湿式篩分けを行い、電解液を回収し、2段磁気選別により鉄を除去した
後乾燥せずに接着剤を直接湿式除去し、次に、第2湿式篩分けを行った後、第1湿式粉砕
、第3湿式篩分け及び第2湿式粉砕を行い、最後に、ジグ選別分離により銅粉末、アルミ
粉末、正負極材料、プラスチップ粉末及びセパレータパルプを得ることを特徴とする使用
済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項2】
質量比2~9倍の水の保護下、又は噴水条件下で2本ロール引き裂き装置に直接入れて、
荷電したまま引き裂き、15×15mmよりも小さい破片にすることを特徴とする請求項
1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項3】
前記第1湿式篩分けにおいては、引き裂いた混合物破片を水で駆動して、150メッシュ
スクリーンシート付きトロンメルスクリーンによって湿式篩分けを行い、篩下物として水
、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有す
る銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチップケース、セパレータ紙などの破片混合物を得
ることを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項4】
前記電解液の収集においては、前記湿式篩分けによる篩下物を油水分離して、軽質液とし
て電解液、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、プレートフレームプレ
スフィルタにより分離した後、濾過ケーキを正負極材料粗品1とし、濾液を引き裂き用水
として本作業段階に戻し、電解液を密閉鉄桶に収納して、倉庫に保管し、電解液として資
格のある機関に送って処理させることを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイ
オン電池の解体分離方法。
【請求項5】
前記磁気選別による除鉄においては、前記湿式篩分けによる篩上物を2段磁気選別にかけ
、電池パック及びセルを引き裂いて得た鉄片を選別し、包装して倉庫に入れ、
2段磁気選別は1段磁気選別にて鉄片に混入された他の非磁性物質が2段磁気選別に送ら
れて水の作用により変位し、鉄片から自動的に離脱して分離することを目的とすることを
特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項6】
前記接着剤の湿式除去においては、電池を引き裂いて得た破片を、接着剤除去容器内で接
着剤除去剤を5~15%体積比加えて、5~60分間撹拌して浸漬し、正負極材料や銅箔
、アルミ箔を離脱し又はこれらの粘着を無効にし、これらの剥離を容易にすることを特徴
とする請求項1に記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項7】
前記第2湿式篩分けにおいては、接着剤湿式除去後の材料を150メッシュ網付きトロン
メルスクリーンにかけ、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、プレートフ
レームプレスフィルタにより加圧濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て
、接着剤除去剤を含有する水である濾液を戻して、それに所定量の接着剤除去剤を添加し
てリサイクルし、篩上物として正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチップ、
セパレータ紙などの破片混合物を一次粉砕、篩分けに供することを特徴とする請求項1に
記載の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項8】
前記第3湿式篩分けにおいては、第1湿式粉砕後の材料を150メッシュ網付きトロンメ
ルスクリーンにかけ、篩下物として正負極材料及び水を得て、プレートフレームプレスフ
ィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、水である濾液を本作業段
階の粉砕、篩分け工程に戻してリサイクルし、篩上物として銅粉末、アルミ粉末やプラス
チップ粉末、セパレータパルプ、正負極材料粉末を得ることを特徴とする請求項1に記載
の使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法。
【請求項9】
前記ジグ選別分離においては、第2湿式粉砕後の篩上物を、正負極材料粗品1、正負極材
料粗品2、正負極材料粗品3とともに選鉱用ジグ選別機に投入し、湿式ジグ選別重力選別
を行って、銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチップ粉末及びセパレータパルプを
選別して、正負極材料やプラスチップ粉末、セパレータパルプをそれぞれプレートフレー
ムプレスフィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキとして正負極材料やプラスチップ粉末、
セパレータパルプをそれぞれ包装して倉庫に入れ、水である濾液を添加水として本作業段
階の粉砕工程に戻してリサイクルすることを特徴とする請求項1に記載の使用済みリチウ
ムイオン電池の解体分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使用済みリチウムイオン電池の回収処理プロセス、特に使用済みリチウムイオン
電池の解体分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みリチウムイオン電池の回収・総合的利用の分野において、使用済みリチウムイオ
ン電池の解体に一般的に採用される手段は、使用済みリチウムイオン電池-番号付け・登
録-ケース除去-放電-粉砕-ベーク-篩分けである。例えば新材産業(NO.0920
17、P43-46、朱国才、何向明、清華大学原子力・新エネルギー研究院、使用済み
リチウムイオンパワー電池の解体及び段階的な利用)は以下の技術:「現在、主に破砕選
別方法を用いて分解を行っている成熟した分解技術があり、そのプロセスのフローは放電
、高温熱分解、機械破砕、粒径選別、密度選別などである」を開示した。また、開示番号
CN201510823758.×(20151124)に記載の高圧液体切断システム
及びその用途、使用済みリチウムイオン電池の解体方法である発明特許の明細書段落[0
047]で開示された技術では、ステップ1:前記使用済みリチウムイオン電池に対して
放電処理を行い、指定された電圧範囲にし、切断対象の使用済みリチウムイオン電池を得
る。さらに、開示番号CN202010294915.3(20200415)に開示さ
れた技術は、使用済みリチウムイオン電池の回収方法であり、この方法は、使用済みリチ
ウムイオン電池を希塩水に7~14日間浸漬し、毎日1回撹拌する浸漬放電のステップ1
と、浸漬放電後の使用済みリチウムイオン電池を低温でベークしてから解体し、ケースを
分離し、使用済みリチウムイオン電池の電極捲回体を得る解体のステップ2と、ステップ
2で得られた電極捲回体を密閉反応容器に入れ、適量の有機溶剤を入れて撹拌及び低温加
熱を行い、集電体から活物質を剥離した後、物理選別を行い、銅箔、アルミ箔及びセパレ
ータを得、固液分離して、正負極粉体材料を得、分離後の有機溶剤系を処理してリサイク
ルする活物質分離のステップ3と、ステップ3で得られた正負極粉体材料を低温乾燥した
後に破砕し、浸出用の原料を得る乾燥・粉砕のステップ4と、酸浸漬方法を採用し、浸出
剤を添加し、ステップ4で得られた原料中の金属元素を液相に浸出し、固液分離し、炭素
負極粉末と金属元素を含む浸出液を得て、炭素負極粉末を焼結してリチウムイオン電池用
負極材料にする浸出のステップ5と、ステップ5の浸出液を精製し、不純物を除去した後
、浸出液中の遷移金属元素の割合と遷移金属イオン濃度を調整し、沈殿剤と錯化剤を加え
て、リチウムイオン電池正極材料用前駆体を得る沈殿のステップ6と、ステップ6の廃水
についてアンモニアを予備蒸発して濃縮させ、得られたアンモニア水をステップ6に送っ
てリサイクルするアンモニア予備蒸発のステップ7と、アンモニア予備蒸発後の廃水から
膜電解により酸とアルカリを生成し、得られた酸をステップ5に送ってリサイクルし、得
られたアルカリをステップ6に送ってリサイクルする電解のステップ8と、を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の従来技術では、分解前に放電を行う必要がある。抵抗法放電を採用すると量産を実
現することができず、湿式放電は時間がかかり、しかも、両方ともに残留電圧は2.5V
程度であり、粉砕前に放電するので、一定量の水分を持つようになり、粉砕する前にベー
クしなければならず、ベークするときにテルミット反応の可能性もあり、テルミット反応
が発生すると、火災の危険がある。粉砕後でも、分解後の各成分の分離と各要素の収率の
問題が存在する。粉砕後の材料が粗すぎたり細すぎたりすると、各成分の分離が不十分で
あるという問題がある。機械的な篩分けでは、同一粒度の各成分を十分に分離できず、ア
ルミ中に銅が含まれたり、銅中にアルミが含まれたり、正負極材料に銅とアルミが混じっ
ていたりするため、各成分の収率が低下し、各成分の品質も影響を受ける。
【0004】
本発明の目的は、解体過程で放電や乾燥を必要とし、しかも、解体においては火災のリス
クが存在したり、十分に分離できなかったりするという従来技術の技術的難問を解決し、
放電や乾燥を必要とせずに、各成分を十分に分離できる使用済みリチウムイオン電池の解
体分離方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的解決手段は以下の通りである。使用済みリチウムイオン電池の解体分離方
法であって、使用済みリチウムイオン電池についてケースを除去した電池パック又はセル
を放電せずに、荷電したまま湿式で引き裂き、その後、第1湿式篩分けを行い、電解液を
回収し、磁気選別により鉄を除去した後乾燥せずに接着剤を直接湿式除去し、次に、第2
湿式篩分けを行った後、第1湿式粉砕、第3湿式篩分け及び第2湿式粉砕を行い、最後に
、ジグ選別分離により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチップ粉末及びセパレー
タパルプを得ることを特徴とする。
【0006】
さらに、前記「放電せずに」とは、セル又は電池パックの電圧が36ボルト以下であり、
物理・化学的手段により電圧を低下又は解消しないことを意味する。
【0007】
さらに、前記「荷電したまま湿式で引き裂く」とは、ケースを除去した使用済みリチウム
イオン電池パック又はセルを、放電せずに、質量比1~10倍、好ましくは2~9倍、3
~8倍、4~7倍、5~6倍の水の保護下、又は噴水条件下で2本ロール引き裂き装置に
直接入れて、荷電したまま引き裂き、15×15mmよりも小さい破片にする。このよう
な破片は正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔、鉄片、プラスチップシート、セパレー
タ紙片などと水との混合物である。
【0008】
さらに、前記第1湿式篩分けにおいて、引き裂いた混合物破片を水で駆動して、150メ
ッシュスクリーンシート付きトロンメルスクリーンによって湿式篩分けを行い、篩下物と
して水、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料が
接着された銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチップケース、セパレータ紙などの破片混
合物を得る。
【0009】
さらに、前記電解液の収集においては、前記湿式篩分けによる篩下物を油水分離して、軽
質液として電解液、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、プレートフレ
ームプレスフィルタにより分離した後、濾過ケーキを正負極材料粗品1とし、濾液を引き
裂き用水として本作業段階に戻す。電解液を密閉鉄桶に収納して、倉庫に保管し、使用済
み電解液として資格のある機関に送って処理させる。
【0010】
さらに、前記磁気選別による除鉄においては、前記湿式篩分けによる篩上物を2段磁気選
別にかけ、電池パック及びセルを引き裂いて得た鉄片を選別し、包装して倉庫に入れ、2
段磁気選別は1段磁気選別にて鉄片に混入された他の非磁性物質が2段磁気選別に送られ
て水の作用により変位し、鉄片から自動的に離脱して分離することを目的とする。
【0011】
さらに、前記接着剤の湿式除去においては、電池を引き裂いて得た破片を、接着剤除去容
器内で接着剤除去剤にて所定時間浸漬して撹拌し、正負極材料や銅箔、アルミ箔を離脱し
又はこれらの粘着を無効にし、これらの剥離を容易にする。
【0012】
またさらに、前記接着剤湿式除去においては、磁気選別により鉄が除去された材料として
、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合
物を接着剤除去容器に入れて、所定の濃度の接着剤除去剤を加えて所定時間浸漬して撹拌
し、正負極材料を銅箔、アルミ箔から離脱し、又は正負極接着剤層を層間剥離し、接着剤
を除去する。
【0013】
またさらに、前記接着剤除去剤は、有機溶剤として、アセトン、テトラヒドロフラン、N
-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドのうちの1種又は複数種の混合物である
【0014】
またさらに、前記接着剤除去剤は有機溶剤としてテトラヒドロフランである。
【0015】
またさらに、前記接着剤湿式除去ステップにおいて、所定濃度は1~20体積%、好まし
くは5~15体積%、10体積%である。
【0016】
またさらに、接着剤湿式除去ステップにおいて、前記所定時間の浸漬撹拌は、時間5~6
0分間、好ましくは10~50分間、20~40分間、30分間、撹拌速度15~60回
転/分、好ましくは20~55回転/分、25~50回転/分、35~45回転/分であ
る。
【0017】
さらに、前記第2湿式篩分けにおいては、接着剤湿式除去後の材料を150メッシュ網付
きトロンメルスクリーンにかけ、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、プ
レートフレームプレスフィルタにより加圧濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品
3を得て、接着剤除去剤を含有する水である濾液を戻して、それに所定量の接着剤除去剤
を添加してリサイクルし、篩上物として正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラス
チップ、セパレータ紙などの破片混合物を一次粉砕、篩分けに供する。
【0018】
さらに、前記第1湿式粉砕においては、第2湿式篩分けによる篩上物に、質量比3~5倍
、好ましくは4倍の水を加えて、200メッシュ以下に粉砕する。
【0019】
さらに、前記第3湿式篩分けにおいては、第1湿式粉砕後の材料を150メッシュ網付き
トロンメルスクリーンにかけ、篩下物として正負極材料及び水を得て、プレートフレーム
プレスフィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、水である濾液を
本作業段階の粉砕、篩分け工程に戻してリサイクルし、篩上物として銅粉末、アルミ粉末
やプラスチップ粉末、セパレータパルプ、正負極材料粉末などを得る。
【0020】
さらに、前記第2湿式粉砕においては、第3湿式篩分けによる篩上物にさらに水を加えて
、200メッシュ以下に粉砕する。
【0021】
さらに、前記ジグ選別分離においては、第2湿式粉砕後の篩上物を、正負極材料粗品1、
正負極材料粗品2、正負極材料粗品3とともに選鉱用ジグ選別機に投入し、湿式ジグ選別
重力選別を行って、銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチップ粉末及びセパレータ
パルプを選別して、正負極材料やプラスチップ粉末、セパレータパルプをそれぞれプレー
トフレームプレスフィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキとして正負極材料やプラスチッ
プ粉末、セパレータパルプをそれぞれ包装して倉庫に入れ、水である濾液を添加水として
本作業段階の粉砕工程に戻してリサイクルする。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、以上の技術手段を用いることにより、使用済みリチウムイオン電池の解体に
おいては、放電や乾燥を必要とせず、各部品を十分に分離することができ、解体過程で放
電や乾燥を必要とし、しかも、解体においては火災のリスクが存在したり、十分に分離で
きなかったりするという従来技術の技術的難問を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のプロセスのフローチャートである。
【発明の最良な実施形態】
【0024】
使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法は、以下のステップを採用する。
a.番号付け・登録:回収した使用済みリチウムイオン電池に番号を付けて登録した。
b.電荷が付いたまま引き裂くこと:型番18650の使用済みリチウムイオン電池につ
いて、重量を量った結果、20kgであり、全体として水に入れて、2本ロールによって
引き裂き、15×15mmの破片に切った。
c.湿式篩分け:引き裂いた混合物破片を流水で駆動して、150メッシュスクリーンシ
ートによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負
極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチ
ップケース、セパレータ紙などの破片混合物を得た。
d.電解液の収集:ステップcの湿式篩分けによる篩下物を油水分離器で油水分離し、軽
質液としてメスシリンダにより測定した結果体積1150mLの電解液、重質液及び沈殿
として水及び正負極材料粗品1を得て、吸引濾過機で分離し、ベークした結果、乾燥粉末
は325.1gであった。
e.磁気選別による除鉄:ステップcの湿式篩分け用のトロンメルスクリーン篩上物につ
いて、磁石により破片混合物中の鉄を選別し、使用済み鉄片の重量は4792.1gであ
った。
f.接着剤湿式除去:磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着され
た銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物を得て、0.2m
応容器に入れ、水0.15mを加え、テトラヒドロフラン0.01mを加え、15分
間撹拌し、正極材料の表面に明らかな泡が認められた。150メッシュスクリーンシート
によって第2湿式篩分けを行い、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、吸
引濾過機で吸引濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、その重量を量っ
た結果、1425.8gであり、篩上物(水32.7%含有)は正負極材料が接着された
銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物であり、湿式粉砕操作に
供した。
g.湿式粉砕・篩分け:ステップfの第2湿式篩分けを行った後、正負極材料が接着され
た銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物14833.3g(水
16.2%含有)に水10kgを加え、粉砕機にて200メッシュ以下に粉砕し、次に、
150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物として正負極材料及
び水を得て、吸引濾過機で加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、その重量を
量った結果、4028.7g(水25.65%含有)であり、篩上物に水をさらに加えて
200メッシュに粉砕した後、正負極材料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3
とともに、振動ジグ選別機により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチップ粉末及
びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチップ粉末、セパレータパルプをそ
れぞれ吸引濾過機で吸引濾過し、濾過ケーキを乾燥させると、銅粉末1612.4g、ア
ルミ粉末3004.9g、正負極材料6412.1gやプラスチップ粉末、セパレータパ
ルプ4172.6gがそれぞれ得られた。
発明の実施例
【0025】
本発明をより明確に理解するために、以下、図1を参照して特定実施例により本発明につ
いてさらに説明する。
【0026】
実施形態1:使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法であって、使用済みリチウムイ
オン電池についてケースを除去した電池パック又はセルを放電せずに、荷電したまま湿式
で引き裂き、その後、第1湿式篩分けを行い、電解液を回収し、磁気選別により鉄を除去
した後乾燥せずに接着剤を直接湿式除去し、次に、第2湿式篩分けを行った後、第1湿式
粉砕、第3湿式篩分け及び第2湿式粉砕を行い、最後に、ジグ選別分離により銅粉末、ア
ルミ粉末、正負極材料、プラスチップ粉末及びセパレータパルプを得る。
前記「放電せずに」とは、セル又は電池パックの電圧が36ボルト以下であり、物理・化
学的手段により電圧を低下又は解消しないことを意味する。つまり、従来技術では放電せ
ずに解体できない電池は、本発明では、放電せずに、そのまま解体可能になる。
前記「荷電したまま湿式で引き裂く」とは、ケースを除去した使用済みリチウムイオン電
池パック又はセルを、放電せずに、噴水条件下で2本ロール引き裂き装置に直接入れて、
荷電したまま引き裂き、15×15mmよりも小さい破片にする。このような破片は正負
極材料が接着された銅箔、アルミ箔、鉄片、プラスチップシート、セパレータ紙片などと
水との混合物である。
前記第1湿式篩分けにおいては、引き裂いた混合物破片を水で駆動して、150メッシュ
スクリーンシート付きトロンメルスクリーンによって湿式篩分けを行い、篩下物として水
、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有す
る銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチップケース、セパレータ紙などの破片混合物を得
る。
前記電解液の収集においては、前記湿式篩分けによる篩下物を油水分離して、軽質液とし
て電解液、重質液及び沈殿として水及び正負極材料粗品1を得て、プレートフレームプレ
スフィルタにより分離した後、濾過ケーキを正負極材料粗品1とし、濾液を引き裂き用水
として本作業段階に戻す。電解液を密閉鉄桶に収納して、倉庫に保管し、使用済み電解液
として資格のある機関に送って処理させる。
前記磁気選別による除鉄においては、前記湿式篩分けによる篩上物を2段磁気選別にかけ
、電池パック及びセルを引き裂いて得た鉄片を選別し、包装して倉庫に入れ、2段磁気選
別は1段磁気選別にて鉄片に混入された他の非磁性物質が2段磁気選別に送られて水の作
用により変位し、鉄片から自動的に離脱して分離することを目的とする。
前記接着剤の湿式除去においては、電池を引き裂いて得た破片を、接着剤除去容器内で接
着剤除去剤にて所定時間浸漬して撹拌し、正負極材料や銅箔、アルミ箔を離脱し又はこれ
らの粘着を無効にし、これらの剥離を容易にする。
またさらに、前記接着剤湿式除去においては、磁気選別により鉄が除去された材料として
、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合
物を接着剤除去容器に入れて、所定の濃度の接着剤除去剤を加えて所定時間浸漬して撹拌
し、正負極材料を銅箔、アルミ箔から離脱し、又は正負極接着剤層を層間剥離し、接着剤
を除去する。
前記接着剤除去剤は、有機溶剤として、アセトン、テトラヒドロフラン、N-ジメチルア
セトアミド、ジメチルスルホキシドのうちの1種又は複数種の混合物、最も好ましくはテ
トラヒドロフランである。
前記接着剤湿式除去ステップにおいて、所定濃度は1体積%~20体積%、好ましくは5
~15体積%、10体積%である。
接着剤湿式除去ステップにおいて、前記所定時間の浸漬撹拌は、時間5~60分間、好ま
しくは10~50分間、20~40分間、30分間、撹拌速度15~60回転/分、好ま
しくは20~55回転/分、25~50回転/分、35~45回転/分である。
前記第2湿式篩分けにおいては、接着剤湿式除去後の材料を150メッシュ網付きトロン
メルスクリーンにかけ、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、プレートフ
レームプレスフィルタにより加圧濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て
、接着剤除去剤を含有する水である濾液を戻して、それに所定量の接着剤除去剤を添加し
てリサイクルし、篩上物として正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチップ、
セパレータ紙などの破片混合物を一次粉砕、篩分けに供する。
前記第1湿式粉砕においては、第2湿式篩分けによる篩上物に、質量比3~5倍の水を加
えて、200メッシュ以下に粉砕する。
前記第3湿式篩分けにおいては、第1湿式粉砕後の材料を150メッシュ網付きトロンメ
ルスクリーンにかけ、篩下物として正負極材料及び水を得て、プレートフレームプレスフ
ィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、水である濾液を本作業段
階の粉砕、篩分け工程に戻してリサイクルし、篩上物として銅粉末、アルミ粉末やプラス
チップ粉末、セパレータパルプ、正負極材料粉末などを得る。
前記第2湿式粉砕においては、第3湿式篩分けによる篩上物にさらに水を加えて、200
メッシュ以下に粉砕する。
前記ジグ選別分離においては、第2湿式粉砕後の篩上物を、正負極材料粗品1、正負極材
料粗品2、正負極材料粗品3とともに選鉱用ジグ選別機に投入し、湿式ジグ選別重力選別
を行って、銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチップ粉末及びセパレータパルプを
選別して、正負極材料やプラスチップ粉末、セパレータパルプをそれぞれプレートフレー
ムプレスフィルタにより加圧濾過し、濾過ケーキとして正負極材料やプラスチップ粉末、
セパレータパルプをそれぞれ包装して倉庫に入れ、水である濾液を添加水として本作業段
階の粉砕工程に戻してリサイクルする。
【0027】
実施例1:使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法は、以下のステップを採用する。
a.番号付け・登録:回収した使用済みリチウムイオン電池に番号を付けて登録した。
b.ケース除去:電池番号H-52201の電池からケースを除去し、7つの電池パック
のうちの1つを取り出し、その重量を量った結果、1958.0gであった。
c.荷電したまま湿式で引き裂くこと:放電せずに、全体として水に入れて、ブレードを
用いて割って、15×15mmよりも小さい破片に切った。
d.湿式篩分け:引き裂いた混合物破片に対して、150メッシュスクリーンシートによ
って湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負極材料を
得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチップケー
ス、セパレータ紙などの破片混合物を得た。
e.電解液の収集:ステップdの湿式篩分けによる篩下物を分液漏斗で油水分離し、軽質
液としてメスシリンダにより測定した結果体積120mLの電解液、、重質液及び沈殿と
して水及び正負極材料粗品1を得て、吸引濾過機で分離し、ベークした結果、乾燥粉末は
47.46gであった。
f.磁気選別による除鉄:ステップdの湿式篩分け用のトロンメルスクリーンの篩上物に
ついて、磁石により破片混合物中の鉄を選別し、この鉄を0.0gにした。
g.接着剤湿式除去:磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着され
た銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物を得て、5000mL
ビーカーに入れ、水3000mLを加え、テトラヒドロフラン150mLを加えて30分
間撹拌し、正極材料がアルミ箔から離脱下ことが認められ、それとともに、正極材料の明
らかな泡が認められた。150メッシュスクリーンシートによって第2湿式篩分けを行い
、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、吸引濾過機で吸引濾過した後、濾
過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、その重量を量った結果、324.25g(水4
1.4%含有)であり、篩上物として正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチ
ップ、セパレータ紙などの破片混合物を、湿式粉砕操作に供した。
h.湿式粉砕・篩分け:ステップgにおいて第2湿式篩分けを行った後、正負極材料が接
着された銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物2060.2g
(水21%含有)に水10kgを加え、粉砕機にて200メッシュ以下に粉砕し、次に、
150メッシュスクリーンシートによって第3湿式篩分けを行い、篩下物として正負極材
料及び水を得て、吸引濾過機で加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、その重
量を量った結果、536.91g(水38.5%含有)であり、篩上物1944.2gに
水10kgをさらに加え、200メッシュに粉砕した後、正負極材料粗品1、正負極材料
粗品2、正負極材料粗品3とともに、振動ジグ選別機により銅粉末、アルミ粉末、正負極
材料、プラスチップ粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチップ粉
末、セパレータパルプをそれぞれ吸引濾過機で吸引濾過し、濾過ケーキを乾燥させると、
銅粉末228.60g、アルミ粉末428.44、正負極材料943.10gやプラスチ
ップ粉末、セパレータパルプ251.40gがそれぞれ得られた。
【0028】
実施例2:使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法は、以下のステップを採用する。
a.番号付け・登録:回収した使用済みリチウムイオン電池に番号を付けて登録した。
b.電荷が付いたまま引き裂くこと:番号H-52187の使用済みリチウムイオン電池
からケースを除去し、計7つの電池パックを取り出し、これらの重量を量った結果、13
867gであり、全体として水に入れて、ディスクカッタを用いて引き裂き、15×15
mmよりも小さい破片に切った。
c.湿式篩分け:引き裂いた混合物破片を流水で駆動して、用150メッシュスクリーン
シートによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正
負極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラス
チップケース、セパレータ紙などの破片混合物を得た。
d.電解液の収集:ステップcの湿式篩分けによる篩下物を油水分離器で油水分離し、軽
質液としてメスシリンダにより測定した結果体積835mLの電解液、重質液及び沈殿と
して水及び正負極材料粗品1を得て、吸引濾過機で分離し、ベークした結果、乾燥粉末は
355.1gであった。
e.磁気選別による除鉄:ステップcの湿式篩分け用のトロンメルスクリーン篩上物につ
いて、磁石により破片混合物中の鉄を選別し、この鉄を0.0gにした。
f.接着剤湿式除去:磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着され
た銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物を得て、0.1m
応容器に入れて、水0.5mを加え、テトラヒドロフランとN-ジメチルアセトアミド
をそれぞれ12.5kg加え、10分間撹拌し、正極材料の表面の明らかな泡が認められ
た。150メッシュスクリーンシートによって第2湿式篩分けを行い、篩下物としてゾル
液及び離脱した正負極材料を得て、吸引濾過機で吸引濾過した後、濾過ケーキとして正負
極材料粗品3を得て、その重量を量った結果、1075.3gであり、篩上物は含水率3
8.1%であり、正負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙
などの破片混合物であり、湿式粉砕操作に供した。
g.湿式粉砕・篩分け:接着剤湿式除去ステップの第2湿式篩分けを行った後、正負極材
料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物2115
0g(15%水含有)に水10kgを加え、粉砕機にて200メッシュ以下に粉砕し、次
に、150メッシュスクリーンシート付によって湿式篩分けを行い、篩下物として正負極
材料及び水を得て、吸引濾過機で加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、その
重量を量った結果、2701.8g(水32.6%含有)であり、篩上物15840.1
g(水15%含有)に水10kgをさらに含み、200メッシュに粉砕した後、正負極材
料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3とともに、振動ジグ選別機により銅粉末
、アルミ粉末、正負極材料、プラスチップ粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極
材料やプラスチップ粉末、セパレータパルプをそれぞれ吸引濾過機で吸引濾過し、選別物
を乾燥させると、銅粉末1596.3g、アルミ粉末2993.5g、正負極材料658
0.4gやプラスチップ粉末、セパレータパルプ1861.5gがそれぞれ得られた。
【0029】
実施例3:使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法は、以下のステップを採用する。
a.番号付け・登録:回収した使用済みリチウムイオン電池に番号を付けて登録した。
b.電荷が付いたまま引き裂くこと:番号H-50321、H-57106の使用済みリ
チウムイオン電池について、重量を量った結果、68.6kgであり、ケースごとに全体
として水に入れて、2本ロールによって引き裂き、15×15mmよりも小さい破片に切
った。
c.湿式篩分け:引き裂いた混合物破片を流水で駆動して、150メッシュスクリーンシ
ートによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負
極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチ
ップケース、セパレータ紙などの破片混合物を得た。
d.電解液の収集:ステップcの湿式篩分けによる篩下物を油水分離器で油水分離し、軽
質液としてメスシリンダにより測定した結果体積1600mLの電解液、重質液及び沈殿
として水及び正負極材料粗品1を得て、吸引濾過機で分離し、ベークした結果、乾燥粉末
は710.4gであった。
e.磁気選別による除鉄:ステップcの湿式篩分け用のトロンメルスクリーン篩上物につ
いて、磁石により破片混合物中の鉄を選別し、使用済み鉄片の重量は41.88kgであ
った。
f.接着剤湿式除去:磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着され
た銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物を得て、0.2m
応容器内に入れて、水0.15mを加え、テトラヒドロフラン0.01mを加え、3
0分間撹拌し、正極材料の表面に明らかな泡が認められた。150メッシュスクリーンシ
ートによって第2湿式篩分けを行い、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て
、吸引濾過機で吸引濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、その重量を
量った結果、2112.3gであり、篩上物は含水率35.4%であり、正負極材料が接
着された銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物であり、湿式粉
砕操作に供した。
g.湿式粉砕・篩分け:接着剤湿式除去ステップにおいて第2湿式篩分けを行った後、正
負極材料が接着された銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物(
水14.1%含有)40915.4gに水10kgを加え、粉砕機にて200メッシュ以
下に粉砕し、次に、150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物
として正負極材料及び水を得て、吸引濾過機で加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品
2とし、その重量を量った結果、8287.6g(水31.5%含有)であり、篩上物に
水10kgをさらに加え、200メッシュに粉砕した後、正負極材料粗品1、正負極材料
粗品2、正負極材料粗品3とともに、振動ジグ選別機により銅粉末、アルミ粉末、正負極
材料、プラスチップ粉末及びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチップ粉
末、セパレータパルプをそれぞれ吸引濾過機で吸引濾過し、濾過ケーキを乾燥させると、
銅粉末3192.8g、アルミ粉末6008.1g、正負極材料13155.4gやプラ
スチップ粉末、セパレータパルプ3720.9gがそれぞれ得られた。
【0030】
実施例4:使用済みリチウムイオン電池の解体分離方法は、以下のステップを採用する。
a.番号付け・登録:回収した使用済みリチウムイオン電池に番号を付けて登録した。
b.電荷が付いたまま引き裂くこと:型番18650の使用済みリチウムイオン電池につ
いて、重量を量った結果、20kgであり、全体として水に入れて、2本ロールによって
引き裂き、15×15mmの破片に切った。
c.湿式篩分け:引き裂いた混合物破片を流水で駆動して、150メッシュスクリーンシ
ートによって湿式篩分けを行い、篩下物として水、電解液、引き裂くときに脱落した正負
極材料を得て、篩上物として正負極材料を含有する銅箔、アルミ箔、鉄ケース、プラスチ
ップケース、セパレータ紙などの破片混合物を得た。
d.電解液の収集:ステップcの湿式篩分けによる篩下物を油水分離器で油水分離し、軽
質液としてメスシリンダにより測定した結果体積1150mLの電解液、重質液及び沈殿
として水及び正負極材料粗品1を得て、吸引濾過機で分離し、ベークした結果、乾燥粉末
は325.1gであった。
e.磁気選別による除鉄:ステップcの湿式篩分け用のトロンメルスクリーン篩上物につ
いて、磁石により破片混合物中の鉄を選別し、使用済み鉄片の重量は4792.1gであ
った。
f.接着剤湿式除去:磁気選別により鉄が除去された材料として、正負極材料が接着され
た銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物を得て、0.2m
応容器に入れ、水0.15mを加え、テトラヒドロフラン0.01mを加え、15分
間撹拌し、正極材料の表面に明らかな泡が認められた。150メッシュスクリーンシート
によって第2湿式篩分けを行い、篩下物としてゾル液及び離脱した正負極材料を得て、吸
引濾過機で吸引濾過した後、濾過ケーキとして正負極材料粗品3を得て、その重量を量っ
た結果、1425.8gであり、篩上物(水32.7%含有)は正負極材料が接着された
銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物であり、湿式粉砕操作に
供した。
g.湿式粉砕・篩分け:ステップfの第2湿式篩分けを行った後、正負極材料が接着され
た銅箔、アルミ箔やプラスチップ、セパレータ紙などの破片混合物14833.3g(水
16.2%含有)に水10kgを加え、粉砕機にて200メッシュ以下に粉砕し、次に、
150メッシュスクリーンシートによって湿式篩分けを行い、篩下物として正負極材料及
び水を得て、吸引濾過機で加圧濾過し、濾過ケーキを正負極材料粗品2とし、その重量を
量った結果、4028.7g(水25.65%含有)であり、篩上物に水をさらに加えて
200メッシュに粉砕した後、正負極材料粗品1、正負極材料粗品2、正負極材料粗品3
とともに、振動ジグ選別機により銅粉末、アルミ粉末、正負極材料、プラスチップ粉末及
びセパレータパルプを選別して、正負極材料やプラスチップ粉末、セパレータパルプをそ
れぞれ吸引濾過機で吸引濾過し、濾過ケーキを乾燥させると、銅粉末1612.4g、ア
ルミ粉末3004.9g、正負極材料6412.1gやプラスチップ粉末、セパレータパ
ルプ4172.6gがそれぞれ得られた。
本発明の実施例で使用される2本ロール、トロンメルスクリーンは全て河南鄭鉱機器有限
公司製の市販品であり、2本ロールの型番は2PG0425、トロンメルスクリーンの型
番はGTS-0608である。
【0031】
表1 本発明の解体部品の検出データシート
【0032】
表2 本発明の例4における各部品の検出データ表
【0033】
以上は本発明を説明する実施例に過ぎず、本発明を何ら形式的か実質的に限定するもので
はなく、なお、当業者であれば、本発明の方法を逸脱することなく行われるいくつかの改
良や補充も本発明の特許範囲とみなすべきである。当業者であれば、本発明の主旨や範囲
を逸脱することなく、上記した技術内容に基づいて行われるいくつかの変更、修飾や変化
という等同変化は全て本発明の等価実施例であり、また、本発明の実質的な技術に基づい
て上記の実施例について行われる等同の変更、修飾や変化も本発明の特許範囲に属する。
図1
【国際調査報告】