(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】OX40活性化特性を有する組換えタンパク質
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20230607BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20230607BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230607BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20230607BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230607BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230607BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230607BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20230607BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230607BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230607BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230607BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K14/705 ZNA
C07K16/28
A61K47/65
A61K47/64
A61K39/395 N
A61K39/00 H
A61K39/12
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568903
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2021062453
(87)【国際公開番号】W WO2021228836
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507002516
【氏名又は名称】アンセルム(アンスティチュート・ナシオナル・ドゥ・ラ・サンテ・エ・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・メディカル)
(71)【出願人】
【識別番号】518322621
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・パリ・エ・クレテイユ・ヴァル・ドゥ・マルヌ
(71)【出願人】
【識別番号】509004712
【氏名又は名称】ベイラー リサーチ インスティテュート
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR RESEARCH INSTITUTE
(71)【出願人】
【識別番号】507139834
【氏名又は名称】アシスタンス ピュブリック-オピト ドゥ パリ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イヴ・レヴィ
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ・ズラウスキ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・ズラウスキ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C085AA14
4C085BA51
4C085BB01
4C085BB11
4C085CC23
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、OX40活性化タンパク質の分野に関する。より具体的には、OX40リガンドに融合又は連結された、OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片を含む組換えタンパク質が、本明細書に開示される。また、特に、送達される抗原、例えば、ウイルス抗原若しくはがん抗原等に対する免疫応答を誘導するため、及び/又はがんを処置するための、そのようなOX40活性化タンパク質の有利な使用も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OX40活性化タンパク質であって、少なくとも以下のタンパク質ドメイン:
(i)OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片(αOX40);及び
(ii)OX40LのOX40結合ドメイン(OX40L)
を含む、OX40活性化タンパク質。
【請求項2】
前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片が、ヒトOX40に特異的に結合し、以下の特性:
(i)それが、フローサイトメトリー分析によって、例えばCFSE標識された細胞の複製希釈液の分析によって、in vitroで測定した場合、T細胞の増殖を誘導する;又は
(ii)それが、CD4+T細胞活性化アッセイを用いてin vitroで測定した場合、T細胞由来のサイトカイン、例えばIL5、IL13、IFNγ及び/若しくはTNFαサイトカインの分泌を誘導する
のうちの少なくとも1つ又は複数を有する、請求項1に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項3】
OX40Lの前記結合ドメインが、配列番号2を含むOX40Lの断片である、請求項1又は2に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項4】
OX40Lの前記結合ドメインが、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の軽鎖又は重鎖のC末端に融合される、請求項1から3のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項5】
OX40アゴニストIgG抗体の重鎖及び軽鎖を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項6】
OX40Lと、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の軽鎖又は重鎖との間のペプチドリンカー、好ましくは配列番号13の可撓性リンカーFlexV1を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項7】
前記OX40アゴニスト抗体が、以下の抗体:
(i)配列番号3のHCDR1、配列番号4のHCDR2、配列番号5のHCDR3、配列番号6のLCDR1、配列番号7のLCDR2及び配列番号8のLCDR3を含む抗体;
(ii)それぞれ、配列番号9及び配列番号10のVH及びVLドメインを含む抗体;
(iii)OX40を発現する細胞への結合について、(i)若しくは(ii)で特定される抗体の少なくとも一方と競合する抗体;又は
(iv)(i)若しくは(ii)で同定された抗体のものと同じエピトープに結合する抗体
から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項8】
1つ又は複数の抗原が、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の重鎖又は軽鎖に融合される、請求項1から7のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項9】
1つ又は複数のウイルス又はがん抗原が、OX40アゴニスト抗体の重鎖又は軽鎖に融合される、請求項8に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項10】
式αOX40Light-PL-OX40Lの軽鎖及び式αOX40Heavy-(PL-Ag)xの重鎖(式中、
αOX40Lightは、前記OX40アゴニスト抗体の軽鎖であり;
αOX40Heavyは、前記OX40アゴニスト抗体の重鎖であり;
PLは、同一又は異なる、結合又はペプチドリンカー、典型的には、配列番号15のFlexV1であり;
Agは、同一又は異なる、ウイルス又はがん抗原であり;
xは、0又は1~20の整数、例えば1、2、3、4若しくは5であり;
OX40Lは、配列番号2を含むOX40のリガンドの結合ドメインであり;
-は、xが0である場合は存在しないか、又は結合である)
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質と、1つ又は複数の薬学的に許容される添加剤とを含む、医薬組成物。
【請求項12】
それを必要とする対象におけるがんを処置するのに使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項13】
対象においてT細胞増殖を惹起する、及び/又はT細胞のサイトカイン増殖を誘導するのに使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項14】
がんに罹患している対象においてがん細胞に対する免疫をブーストするのに使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、OX40活性化タンパク質の分野に関する。より具体的には、抗原結合断片がOX40リガンド(OX40L)に融合又は連結されたOX40アゴニスト抗体に基づく組換えタンパク質が、本明細書に開示される。また、特に、がん細胞に対する免疫応答をブーストすることによってがんを処置するための、そのようなOX40活性化タンパク質の有利な使用も開示される。
【背景技術】
【0002】
背景
OX40(TNFRSF4又はCD134としても知られる)は、TCR刺激後にCD4+及びCD8+T細胞によって一過的に発現され、活性化された樹状細胞上で発現されるOX40Lと相互作用して、これらのT細胞によるエフェクター分子及びサイトカインの増殖及び発現を増強する(Buchanら、2018に概説されている)。したがって、OX40L-Fc融合タンパク質及びアゴニスト抗OX40抗体は両方とも、例えば、がんに対する免疫のブーストについて臨床試験中である(Linchら、2015、Aspeslaghabら、2016)。
【0003】
アゴニスト抗OX40抗体は、典型的には、IgG1として構成され、FcγR受容体への架橋を容易にして、クラスター表面OX40が下流のシグナル伝達経路の活性化を可能にするのを助ける(Vooら、2013; Zhangら、2017; Gonzalezら、2017)。しかしながら、可溶型のOX40L三量体は、Fc架橋とは無関係に作用することができる(Itoら、2006)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US9,738,723B2
【特許文献2】US20160031988A1
【特許文献3】US20120039916A1
【特許文献4】WO2010/104747
【特許文献5】米国特許第5,223,409号
【特許文献6】米国特許第5,403,484号
【特許文献7】米国特許第5,571,698号
【特許文献8】米国特許第5,427,908号
【特許文献9】米国特許第5,580,717号
【特許文献10】米国特許第5,969,108号
【特許文献11】米国特許第6,172,197号
【特許文献12】米国特許第5,885,793号
【特許文献13】米国特許第6,521,404号
【特許文献14】米国特許第6,544,731号
【特許文献15】米国特許第6,555,313号
【特許文献16】米国特許第6,582,915号
【特許文献17】米国特許第6,593,081号
【特許文献18】WO02/43478
【特許文献19】米国特許第4,816,567号
【特許文献20】米国特許第5,225,539号
【特許文献21】米国特許第5,530,101号
【特許文献22】米国特許第5,585,089号
【特許文献23】米国特許第5,693,762号
【特許文献24】米国特許第6,180,370号
【特許文献25】米国特許第4,399,216号
【特許文献26】米国特許第4,634,665号
【特許文献27】米国特許第5,179,017号
【特許文献28】W02020014583
【特許文献29】米国特許第3,791,932号
【特許文献30】米国特許第4,174,384号
【特許文献31】米国特許第3,949,064号
【特許文献32】US9738723
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kabatら、1987、Sequences of Proteins of Immunological Interest、US Department of Health and Human Services、NIH、USA
【非特許文献2】www.bioinf.org.uk
【非特許文献3】Wardら、1989、Nature 341:544~546頁
【非特許文献4】Birdら、1988、Science 242:423~426頁
【非特許文献5】Hustonら、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. 85:5879~5883頁
【非特許文献6】Baudinoら、J. Immunol. 181 (2008): 6664~69頁
【非特許文献7】Strohl, CO Biotechnology 20 (2009): 685~91頁
【非特許文献8】www.ebi.ac.uk
【非特許文献9】Nelsonら、2010 Nature Reviews Drug discovery、「Development trends for human monoclonal antibody therapeutics」(Advance Online Publication)
【非特許文献10】Hoogenboomら、Method in Molecular Biology 178:1~37頁、O'Brienら(編)、Human Press、Totowa、N.J.、2001
【非特許文献11】Lonbergら、1994 Nature 368(6474): 856~859頁
【非特許文献12】Kohler及びMilstein、1975 Nature 256: 495頁
【非特許文献13】Remington's Pharmaceutical Sciences、第15版、1035~1038頁及び1570~1580頁
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、臨床候補である抗OX40 mAbアゴニストを選択し、OX40LをこのmAbに融合させた。驚くべきことに、本発明者らは、OX40L IgG1と比較して、そのような融合タンパク質のin vitroでの効力に関して2log以上の顕著な改善に気付き;抗OX40 mAb活性はまた、Fc架橋とは無関係になり;効能(最大応答)が増大した。
【0007】
そのようなOX40活性化タンパク質は、したがって、療法、特に、がんを処置するための免疫療法、及び投与される抗原に対するアジュバント免疫応答において大きな価値がある。
【0008】
概要
本開示は、少なくとも以下のタンパク質ドメイン:
・OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片(αOX40);及び、
・OX40LのOX40結合ドメイン(OX40L)
を含むOX40活性化タンパク質を提供する。
【0009】
ある特定の実施形態では、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片は、ヒトOX40に特異的に結合し、以下の特性:
(i)フローサイトメトリー分析、例えば、CFSE標識された細胞の複製希釈液の分析によってin vitroで測定した場合、T細胞の増殖を誘導する;又は
(ii)CD4+T細胞活性化アッセイを用いてin vitroで測定した場合、T細胞由来のサイトカイン、例えば、IL5、IL13、IFNγ及び/若しくはTNFαサイトカイン等の分泌を誘導する
のうちの少なくとも1つ又は複数を有する。
【0010】
特定の実施形態では、OX40Lの前記結合ドメインは、配列番号2を含むOX40Lの断片である。
【0011】
ある特定の実施形態では、OX40Lの前記結合ドメインは、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の軽鎖又は重鎖のC末端に融合される。
【0012】
好ましい実施形態では、本明細書に開示されるOX40活性化タンパク質は、OX40アゴニストIgG抗体の重鎖及び軽鎖を含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、前記OX40活性化タンパク質は、OX40Lと、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の軽鎖又は重鎖との間のペプチドリンカー、好ましくは、配列番号13の可撓性リンカーFlexV1を更に含んでもよい。
【0014】
特定の実施形態では、前記OX40アゴニスト抗体は、以下の抗体:
(i)配列番号3のHCDR1、配列番号4のHCDR2、配列番号5のHCDR3、配列番号6のLCDR1、配列番号7のLCDR2及び配列番号8のLCDR3を含む抗体;
(ii)それぞれ、配列番号9及び配列番号10のVH及びVLドメインを含む抗体;
(iii)OX40を発現する細胞への結合について、(i)若しくは(ii)で同定された抗体の少なくとも一方と競合する抗体;又は
(iv)(i)若しくは(ii)で同定された抗体のものと同じエピトープに結合する抗体
から選択される。
【0015】
ある特定の実施形態では、1つ又は複数の抗原が、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の重鎖又は軽鎖に融合される。典型的には、前記1つ又は複数のウイルス抗原又はがん抗原が、OX40アゴニスト抗体の重鎖又は軽鎖に融合される。
【0016】
OX40活性化タンパク質は、例えば、式αOX40Light-PL-OX40Lの軽鎖、及び式αOX40Heavy-(PL-Ag)xの重鎖(式中、
・αOX40Lightは、前記OX40アゴニスト抗体の軽鎖であり;
・αOX40Heavyは、前記OX40アゴニスト抗体の重鎖であり;
・PLは、同一又は異なる、結合又はペプチドリンカー、典型的には、配列番号15のFlexV1であり;
・Agは、同一又は異なる、ウイルス抗原又はがん抗原であり;
・xは、0又は1~20の整数、例えば、1、2、3、4、若しくは5であり;
・OX40Lは、配列番号2を含むOX40のリガンドの結合ドメインであり;
及び
・は、xが0である場合は存在しないか、又は結合である)
を含んでもよい。
【0017】
本開示は更に、本明細書に記載の前記OX40活性化タンパク質と、1つ又は複数の薬学的に許容される添加剤とを含む医薬組成物に関する。
【0018】
本明細書に記載のOX40活性化タンパク質は、それを必要とする対象においてがんを処置するのに有利に使用することができる。
【0019】
他の実施形態では、本明細書に記載のOX40活性化タンパク質は、対象においてT細胞増殖を惹起する、及び/又はT細胞のサイトカイン増殖を誘導するのに有用であってよい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
定義
本開示をより容易に理解することができるようにするために、ある特定の用語を最初に定義する。更なる定義は、詳細な説明を通して記載される。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「OX40」は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、配列番号1のOX40を含むヒトOX40ポリペプチド受容体を指す。特定の実施形態では、OX40は、UniProtKB-P43489によって報告されたヒトカノニカル配列である(ヒトTNFRSF4又はCD134とも称される)。ある特定の抗OX40抗体によって認識されるOX40のエクトドメインは、典型的には、配列番号18であってよい。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「OX40L」(CD134L又はTNFSF4としても知られる)は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、例えば、配列番号2のそのOX40結合ドメインを含む、UniProtKB-P23510によって報告されたような、ヒトOX40Lポリペプチドを指す。OX40Lを、可溶性ポリペプチドとして発現させることができ、それはOX40受容体の天然リガンドである。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「タンパク質」は、1つ又は複数の直鎖中に配置され、球形にフォールディングされたアミノ酸から作られる任意の有機化合物(「ポリペプチド鎖」とも称される)を指す。そのようなポリペプチド鎖中のアミノ酸は、隣接するアミノ酸残基のカルボキシル基とアミノ基との間のペプチド結合によって一緒に連結されている。用語「タンパク質」は更に、限定されるものではないが、ペプチド、単鎖ポリペプチド又は主としてアミノ酸の2つ以上の鎖からなる任意の複合体タンパク質を含む。それは更に、限定されるものではないが、糖タンパク質又は他の公知の翻訳後修飾を含む。それは更に、限定されるものではないが、糖鎖工学、ペグ化、ヘシル化等の天然タンパク質の公知の天然又は人工化学修飾、非天然アミノ酸の組込み、化学的コンジュゲーション又は他の分子のためのアミノ酸修飾等を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「複合体タンパク質」とは、より具体的には、少なくとも2つのポリペプチド鎖から作られるタンパク質であって、前記少なくとも2つのポリペプチド鎖が、非共有結合又は共有結合、例えば、ジスルフィド架橋のいずれかによって適切な条件下で一緒に結合している、タンパク質を指す。
【0025】
「ヘテロ二量体タンパク質」とは、複合体タンパク質を形成する少なくとも2つのポリペプチド鎖から作られるタンパク質であって、前記2つのポリペプチド鎖が、異なるアミノ酸配列を有する、タンパク質を指す。
【0026】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、糖タンパク質、並びに非糖タンパク質を明示的に含む。特定の実施形態では、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、遺伝子によってコードされ、細胞発現系及びDNA組換え手段、例えば、哺乳動物宿主細胞発現系を使用して翻訳され得る任意のポリペプチド又はタンパク質を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「組換えタンパク質」は、組換え手段によって調製、発現、作出又は単離されるタンパク質、例えば、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック若しくはトランス染色体である動物(例えば、マウス)又はそれから調製されるハイブリドーマ(以下で更に説明される)から単離された抗体、(b)対応するタンパク質を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマから単離された融合タンパク質等を含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「融合タンパク質」は、遺伝子融合によって、例えば、異なるタンパク質の別々の機能的ドメインをコードする少なくとも2つの遺伝子断片の遺伝子融合によって得られた、又は得られる少なくとも1つのポリペプチド鎖を含む組換えタンパク質を指す。
【0029】
本明細書で使用される用語「抗体」は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を指す。
【0030】
げっ歯類及び霊長類の天然抗体では、2つの重鎖がジスルフィド結合によって互いに連結され、それぞれの重鎖は、ジスルフィド結合によって軽鎖に連結される。2つの型の軽鎖、ラムダ(l)及びカッパ(k)が存在する。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主要な重鎖クラス(又はアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgA及びIgEが存在する。それぞれの鎖は、異なる配列ドメインを含有する。典型的なIgG抗体では、軽鎖は、2つのドメイン、可変ドメイン(VL)及び定常ドメイン(CL)を含む。重鎖は、4つのドメイン、可変ドメイン(VH)及び3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3、集合的に、CHと称される)を含む。軽鎖(VL)と重鎖(VH)との両方の可変領域は、抗原に対する結合認識及び特異性を決定付ける。軽鎖(CL)及び重鎖(CH)の定常領域ドメインは、重要な生物学的特性、例えば、抗体鎖の結合、分泌、経胎盤移動性、補体結合、及びFc受容体(FcR)への結合等を付与する。
【0031】
Fv断片は、免疫グロブリンのFab断片のN末端部分であり、1個の軽鎖と1個の重鎖の可変部分からなる。抗体の特異性は、抗体結合部位と、抗原決定基との構造的相補性に存在する。抗体結合部位は、主に、超可変領域又は相補性決定領域(CDR)由来の残基から構成される。場合により、非超可変領域又はフレームワーク領域(FR)由来の残基は、抗体結合部位に関与するか、又は全体のドメイン構造及びしたがって、結合部位に影響し得る。相補性決定領域又はCDRとは、天然の免疫グロブリン結合部位の天然Fv領域の結合親和性及び特異性を一緒になって定義するアミノ酸配列を指す。免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖は、それぞれ、L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3及びH-CDR1、H-CDR2、H-CDR3と呼ばれる、それぞれ3個のCDRを有する。したがって、抗原結合部位は、典型的には、重鎖及び軽鎖V領域のそれぞれ由来のCDRセットを含む、6個のCDRを含む。フレームワーク領域(FR)は、CDR間に置かれるアミノ酸配列を指す。したがって、軽鎖及び重鎖の可変領域は、典型的には、以下の配列:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の4個のフレームワーク領域及び3個のCDRを含む。
【0032】
抗体可変ドメイン中の残基は、Kabatらによって考案されたシステムに従って従来通りナンバリングされる。このシステムは、Kabatら、1987、Sequences of Proteins of Immunological Interest、US Department of Health and Human Services、NIH、USA(Kabatら、1992、以後、「Kabatら」とする)に記載されている。Kabatの残基指定は、配列番号の配列中のアミノ酸残基の直線的ナンバリングと常に直接一致するわけではない。実際の直鎖状アミノ酸配列は、基本的な可変ドメイン構造のフレームワークにしろ、相補性決定領域(CDR)にしろ、構造成分の短縮、又は構造成分への挿入に対応する厳密なKabatのナンバリングよりも少ない、又は追加のアミノ酸を含有してもよい。残基の正確なKabatのナンバリングを、抗体の配列中の相同な残基と、「標準的な」Kabatのナンバリングされた配列とのアラインメントによって、所与の抗体について決定することができる。重鎖可変ドメインのCDRは、Kabatのナンバリングシステムによる残基31~35(H-CDR1)、残基50~65(H-CDR2)及び残基95~102(H-CDR3)に位置する。軽鎖可変ドメインのCDRは、Kabatのナンバリングシステムによる残基24~34(L-CDR1)、残基50~56(L-CDR2)及び残基89~97(L-CDR3)に位置する。以下に記載されるアゴニスト抗体について、CDRは、www.bioinf.org.ukからのCDR検索アルゴリズムを使用して決定されたものである-その中のAntibodiesのページ内の「How to identify the CDRs by looking at a sequence」の表題のセクションを参照されたい。一部のアゴニスト抗体、例えば、11B6、12E2、12B4、CP(Pfizer社からのCP-870,893)又は24A3等の予測されるCDRは、以下の実施例に記載される。
【0033】
本明細書で使用される場合、抗体の用語「抗原結合断片」(又は単に「抗体断片」)は、抗原(例えば、OX40のエクトドメイン)に特異的に結合する能力を保持する、完全長抗体又は抗体の1つ若しくは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能を、完全長抗体の断片によって実行させることができることが示されている。抗体の用語「抗原結合断片」内に包含される結合断片の例としては、Fab断片、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片;ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab)2断片;VH及びCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片(Wardら、1989、Nature 341:544~546頁)、又はそのような抗原結合断片を含む任意の融合タンパク質が挙げられる。
【0034】
更に、Fv断片の2個のドメイン、VL及びVHは別々の遺伝子によってコードされるが、VLとVH領域が対形成して、一価分子(単鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Birdら、1988、Science 242:423~426頁; 及びHustonら、1988、Proc. Natl. Acad. Sci. 85:5879~5883頁を参照されたい)を形成する単鎖タンパク質として作製するのを可能にする合成リンカーによって、それらを組換え方法を使用して連結することができる。そのような単鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合断片」の用語に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者には公知の従来の技術を使用して得られ、断片は、無傷抗体と同じ様式で有用性についてスクリーニングされる。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「IgG Fc領域」は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。ヒトIgG重鎖Fc領域は、一般的には、IgG抗体のC226位又はP230位からカルボキシル末端までのアミノ酸残基を含むと定義される。Fc領域中の残基のナンバリングは、KabatのEUインデックスのものである。Fc領域のC末端リジン(残基K447)を、例えば、抗体の生産又は精製中に除去することができる。したがって、本発明の抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、及びK447残基が除去された抗体と除去されていない抗体の混合物を有する抗体集団を含んでもよい。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「Kassoc」又は「Ka」は、特定の抗体-抗原相互作用の結合速度を指すことが意図されるが、本明細書で使用される場合、用語「Kdis」又は「Kd」は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すことが意図される。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「KD」は、KdのKaに対する比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指すことが意図される。抗体のKD値は、当技術分野でよく確立された方法を使用して決定することができる。タンパク質又は抗体のKDを決定するための方法は、表面プラズモン共鳴、例えば、Biacore(登録商標)システム等のバイオセンサーシステムを使用することによるものである。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「結合特異性」は、表面プラズモン共鳴(SPR)測定によって測定した場合、例えば、実施例において決定される場合、100nM以下、10nM以下、5nM以下のKDで、抗原組換えポリペプチド、例えば、組換えOX40ポリペプチド等に検出可能に結合する抗体の能力を指す。
【0039】
「特定の抗原と交差反応しない」抗体は、100nM以上のKD、又は1mM以上のKD、又は10mM以上のKDで、その抗原に結合する抗体を指すことが意図され、前記親和性は、例えば、実施例に開示されるような、同様の表面プラズモン共鳴(SPR)測定を使用して測定される。ある特定の実施形態では、抗原と交差反応しないそのような抗体は、標準的な結合アッセイにおいてこれらのタンパク質に対する本質的には検出不可能な結合を示す。
【0040】
本開示による単離されたOX40活性化タンパク質は、OX40に対する結合特異性を有し、OX40受容体に関して活性化又はアゴニスト特性を有するタンパク質である。OX40活性化タンパク質は、他の抗原、例えば、他の種由来の関連するOX40分子等に対する交差反応性を有してもよい。更に、特定の実施形態では、単離されたOX40活性化タンパク質は、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0041】
語句「抗原を認識する抗体」及び「抗原に対する特異性を有する抗体」は、本明細書では用語「抗原に特異的に結合する抗体」と互換的に使用される。
【0042】
特異性は、他の無関係な分子への非特異的結合に対する特異的抗原への結合における親和性/アビディティの、例えば、約10:1、約20:1、約50:1、約100:1、10.000:1以上の比によって更に示すことができる(この場合、特異的抗原は、OX40ポリペプチドである)。本明細書で使用される用語「親和性」は、抗体のエピトープへの結合の強度を意味する。
【0043】
本開示は、OX40Lと、ある特定のOX40アゴニスト抗体(例えば、US9,738,723B2に記載のアゴニストmAb 24に由来する)との融合タンパク質が、対応するアゴニスト抗体のみ、又はそのようなアゴニスト抗体と可溶性OX40L(sOX40L)との併用投与と比較して、優れたOX40活性化特性を示すという予想外の知見に関する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」は、ヒト細胞によって作られる抗体により密接に類似するように変更された可変及び定常領域を有する、非ヒト細胞によって作られる抗体を含むことを広く指す。例えば、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列中に見出されるアミノ酸を含むように非ヒト抗体アミノ酸配列を変更することによる。ヒト化抗体は、例えば、CDR中に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでの無作為若しくは部位特異的突然変異誘発又はin vivoでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含んでもよい。本明細書で使用される抗体は、ヒト配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでの無作為若しくは部位特異的突然変異誘発によって、又はin vivoでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含んでもよい。特に、用語「ヒト化抗体」は、Fc IgG領域のサイレントバリアントを含む抗体を含む。
【0045】
特定の実施形態では、用語「ヒト化抗体」は、マウス抗体の6個のCDRを有するが、ヒト化フレームワーク及び定常領域を有する抗体を含む。
【0046】
より具体的には、本明細書で使用される用語「ヒト化抗体」は、マウス等の別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含んでもよい。
【0047】
本明細書で使用される場合、「OX40アゴニスト」抗体は、細胞に基づくアッセイ、例えば、活性化CD4+T細胞増殖又はサイトカイン産生アッセイ等において、OX40Lの非存在下でOX40媒介性シグナル伝達活性を増強する抗体を指すことが意図される。そのようなアッセイは、以下の実施例でより詳細に説明される。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「サイレント」抗体は、ADCC活性を示さないか、又は低いADCC活性を示す抗体を指す。本明細書で使用される場合、用語「ADCC」又は「抗体依存性細胞傷害」活性は、細胞枯渇活性を指す。ADCC活性は、文献中に記載されたADCCアッセイによって測定することができる。
【0049】
沈黙化されたエフェクター機能を、抗体のFc領域における突然変異によって取得することができ、それは当技術分野で記載されている:Strohl 2009 (LALA & N297A); Baudino 2008, D265A (Baudinoら、J. Immunol. 181 (2008): 6664~69頁、Strohl, CO Biotechnology 20 (2009): 685~91頁)。サイレントFc IgG1抗体の例は、IgG1 Fcアミノ酸配列中のL234A及びL235A突然変異を含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、「OX40活性化」特性を有するタンパク質又は抗体は、OX40媒介性シグナル伝達活性を増加させることができるタンパク質又は抗体を指す。特に、本明細書で使用される場合、OX40活性化特性を有するタンパク質は、以下の特性:
(i)フローサイトメトリー分析、例えば、CFSE標識細胞の複製希釈液の分析によってin vitroで測定された場合、より好ましくは、以下の実施例に記載されるように測定された場合、T細胞の増殖を誘導する;又は
(ii)CD4+T細胞活性化アッセイを用いてin vitroで測定した場合、典型的には、以下の実施例において決定された場合、T細胞由来のサイトカイン、例えば、IL5、IL13、IFNγ及び/若しくはTNFαサイトカイン等の分泌を誘導する
のうちの少なくとも1つ又は複数を有する。
【0051】
特定の実施形態では、本開示の前記OX40活性化タンパク質は、OX40受容体の天然リガンドである、可溶型のOX40Lと同等であるか、又はそれより高い、上記特性(i)及び/又は(ii)を有する。
【0052】
特定の実施形態では、前記OX40活性化タンパク質は、三量体形態ではないOX40LのOX40結合ドメインを含む。
【0053】
特定の実施形態では、本開示の前記OX40活性化タンパク質は、OX40結合に関して四価である。
【0054】
特定の実施形態では、前記OX40活性化タンパク質は、好ましくは、二価抗体のそれぞれのアームのC末端部分を介して、前記二価抗体のそれぞれのアーム、それぞれのアームの軽鎖又は重鎖のいずれかに共有又は非共有結合したOX40Lの1つの単量体OX40結合ドメインを有する二価OX40アゴニスト抗体を含む。
【0055】
他の特定の実施形態では、本開示の前記OX40活性化タンパク質は、典型的には、実施例に記載されるCD4+T細胞活性化アッセイにおいて1nMの抗体を用いて決定された場合、典型的には、以下のOX40アゴニスト抗体:US9,738,723B2に記載されたmAb 24から選択される参照OX40アゴニスト抗体よりも、少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、又は少なくとも50倍高い活性の活性化特性を有する。
【0056】
他の特定の実施形態では、本開示の前記OX40活性化タンパク質は、前記OX40活性化タンパク質中に存在するものと同じOX40アゴニスト抗体(又はその抗原結合断片)と同時投与される可溶性のsOX40Lの組合せ組成物と同等か、又はそれより高い活性化特性を有する。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「最適化された」とは、ヌクレオチド配列が、産生細胞又は生物、一般的には、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)又はヒト細胞において好ましいコドンを使用してアミノ酸配列をコードするように変更されていることを意味する。最適化されたヌクレオチド配列は、出発ヌクレオチド配列によって元々コードされるアミノ酸配列を完全に、又はできるだけ多く保持するように遺伝子操作されている。最適化されたヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列も、最適化されたと称される。
【0058】
本明細書で使用される場合、2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要がある、ギャップの数、及びそれぞれのギャップの長さを考慮に入れた、配列によって共有される同一の位置の数の関数(すなわち、同一性%=同一の位置の数/位置の総数x100)である。2つの配列間の配列の比較及び同一性パーセントの決定を、以下に記載されるような、数的アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0059】
2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを、Needleman及びWunschのアルゴリズム(NEEDLEMAN、及びWunsch)を使用して決定することができる。
【0060】
2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の同一性パーセントを、例えば、EMBOSS Needle(ペアワイズアラインメント;www.ebi.ac.ukで利用可能)等のアルゴリズムを使用して決定することもできる。例えば、EMBOSS Needleを、BLOSUM62マトリックス、10の「ギャップオープンペナルティ」、0.5の「ギャップ伸長ペナルティ」、偽の「エンドギャップペナルティ」、10の「エンドギャップオープンペナルティ」及び0.5の「エンドギャップ伸長ペナルティ」と共に使用することができる。一般に、「同一性パーセント」は、一致する位置の数を、比較される位置の数で除して、100を掛けた関数である。例えば、アラインメント後の2つの比較される配列間で10個の配列位置のうちの6個が同一である場合、同一性は60%である。同一性%は、典型的には、分析が実行されるクエリー配列の全長にわたって決定される。同じ一次アミノ酸配列又は核酸配列を有する2つの分子は、化学的及び/又は生物学的修飾に関係なく同一である。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。用語「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両性類、爬虫類等を含む。
【0062】
本明細書で使用される場合、「樹状細胞」(DC)は、リンパ又は非リンパ組織中に見出される形態学的に類似する細胞型の多様な集団の任意のメンバーを指す。これらの細胞は、その異なる形態及び高レベルの表面MHCクラスII発現を特徴とする。これらの細胞を、いくつかの組織源から、好都合には、以下の実施例に記載されるように、末梢血から単離することができる。
【0063】
本開示のOX40活性化タンパク質
本開示は、少なくとも以下のタンパク質ドメイン:
(i)OX40アゴニスト抗体(αOX40)又はその抗原結合断片;及び
(ii)OX40Lの、典型的には、配列番号2又は配列番号2に対する少なくとも90%、95%若しくは100%の同一性を有するその機能的断片の、OX40結合ドメイン(OX40L)
を含むOX40活性化タンパク質に関する。
【0064】
ある特定の実施形態では、OX40LのOX40結合ドメイン(好ましくは、単量体形態として)は、必要に応じて、リンカー、例えば、ペプチド又は化学リンカー等を介して、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の軽鎖又は重鎖のC末端に共有又は非共有結合される。一実施形態では、OX40LのOX40結合ドメインは、OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の軽鎖のC末端に非共有結合される。
【0065】
ある特定の実施形態では、OX40LのOX40結合ドメインは、必要に応じて、リンカー、例えば、ペプチドリンカー等を介して、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の軽鎖又は重鎖のC末端に融合される。典型的には、OX40LのOX40結合ドメインは、必要に応じて、リンカー、例えば、ペプチドリンカー等を介して、OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の軽鎖のC末端に融合される。
【0066】
他の特定の実施形態では、OX40Lの前記OX40結合ドメインは、化学カップリングを使用して、OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片にコンジュゲートされる。抗体の、そのコンジュゲート部分への結合又はコンジュゲーションのためのいくつかの方法が、当技術分野で公知である。部分を抗体にコンジュゲートするために使用されているリンカー型の例としては、限定されるものではないが、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィド及びペプチド含有リンカー、例えば、バリン-シトルリンリンカーが挙げられる。例えば、リソソーム区画内の低いpHによる切断を受けやすい、又はプロテアーゼ、例えば、腫瘍組織中で優先的に発現されるプロテアーゼ等、例えば、カテプシン(例えば、カテプシンB、C、D)等による切断を受けやすいリンカーを選択することができる。
【0067】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される前記OX40活性化タンパク質は、式αOX40Light-PL-OX40Lの軽鎖及び式αOX40Heavyの重鎖(式中、
・αOX40Lightは、OX40アゴニスト抗体の軽鎖であり;
・αOX40Heavyは、OX40アゴニスト抗体の重鎖であり;
・PLは、同一又は異なる、結合又はペプチドリンカー、好ましくは、配列番号13のFlexV1であり;
・OX40Lは、例えば、配列番号2又は配列番号2に対する少なくとも90%、95%若しくは100%の同一性を有するその機能的断片を含む、OX40リガンドのOX40結合ドメインである)
を含む抗体様タンパク質である。
【0068】
より具体的な実施形態では、本明細書に開示される前記OX40活性化タンパク質は、式αOX40Light-PL-OX40Lの軽鎖及び式αOX40Heavy-(PL-Doc)の重鎖(式中、
・αOX40Lightは、OX40アゴニスト抗体の軽鎖であり;
・αOX40Heavyは、OX40アゴニスト抗体の重鎖であり;
・PLは、同一又は異なる、結合又はペプチドリンカー、好ましくは、配列番号13のFlexV1であり;
・Docは、例えば、配列番号111を含む、US20160031988A1及びUS20120039916A1に記載されたコヘシン融合タンパク質への非共有カップリングを可能にするドックリンドメイン又は複数のドメインである)
を含む抗体様タンパク質である。
【0069】
他の特定の実施形態では、本明細書に開示される前記OX40活性化タンパク質は、式αOX40Heavy-PL-OX40Lの重鎖及び式αOX40Lightの重鎖(式中、
・αOX40Lightは、OX40アゴニスト抗体の軽鎖であり;
・αOX40Heavyは、OX40アゴニスト抗体の重鎖であり;
・PLは、同一又は異なる、結合又はペプチドリンカー、好ましくは、配列番号13のFlexV1であり;
・OX40Lは、例えば、配列番号2又は配列番号2に対する少なくとも90%、95%若しくは100%の同一性を有するその機能的断片を含む、OX40リガンドのOX40結合ドメインである)
を含む抗体様タンパク質である。
【0070】
他のより具体的な実施形態では、本明細書に開示される前記OX40活性化タンパク質は、式αOX40Heavy-PL-CD40Lの重鎖及び式αOX40Light-(PL-Doc)xの重鎖(式中、
・αOX40Lightは、OX40アゴニスト抗体の軽鎖であり;
・αOX40Heavyは、OX40アゴニスト抗体の重鎖であり;
・PLは、同一又は異なる、結合又はペプチドリンカー、好ましくは、配列番号13のFlexV1であり;
・Docは、US20160031988A1及びUS20120039916A1に記載されたコヘシン融合タンパク質への非共有カップリングを可能にするドックリンドメイン又は複数のドメインである)
を含む抗体様タンパク質である。
【0071】
αOX40Light、αOX40Heavy、及びOX40Lの好ましい実施形態は、次のセクションに更に記載される。
【0072】
特定の実施形態では、本開示のOX40活性化タンパク質は、2つのヘテロ二量体を含む複合体タンパク質であって、それぞれのヘテロ二量体が、例えば、1つ又は複数のジスルフィド結合によって、一緒に安定に結合した、アミノ酸の1つの重鎖及び1つの軽鎖からなる、複合体タンパク質を指す。典型的には、重鎖は、OX40アゴニスト抗体の少なくともVH領域、好ましくは、少なくともCH1-VH領域を含み、軽鎖は、前記OX40アゴニスト抗体の少なくともVL領域、好ましくは、少なくともCL-VL領域を含む。少なくとも、前記重鎖又は軽鎖は、必要に応じて、リンカー、例えば、ペプチドリンカーを介して、OX40Lの少なくともOX40結合ドメインに融合又はコンジュゲートされる。
【0073】
特定の実施形態では、本開示の前記OX40活性化タンパク質は、アイソタイプ定常領域又はIgG Fc領域、例えば、IgG1若しくはIgG4、又は突然変異型サイレントIgG Fcを含む、OX40アゴニストIgG抗体の重鎖及び軽鎖を含む。
【0074】
より具体的な実施形態では、本明細書に開示される前記OX40活性化タンパク質は、式αOX40Light-PL-OX40Lの軽鎖及び式αOX40Heavy-(PL-Ag)xの重鎖(式中、
・αOX40Lightは、OX40アゴニスト抗体の軽鎖であり;
・αOX40Heavyは、OX40アゴニスト抗体の重鎖であり;
・PLは、同一又は異なる、結合又はペプチドリンカー、好ましくは、配列番号13のFlexV1であり;
・Agは、同一又は異なる、ウイルス抗原又はがん抗原であり;
・xは、0又は1~20の整数、例えば、1、2、3、4、若しくは5であり;
・OX40Lは、例えば、配列番号2又は配列番号2に対する少なくとも90%、95%若しくは100%の同一性を有するその機能的断片を含む、OX40のリガンドの結合ドメインであり;
・-は、xが0である場合は存在しないか、又は共有結合である)
を含む抗体様タンパク質である。
【0075】
別のより具体的な実施形態では、本明細書に開示される前記OX40活性化タンパク質は、式αOX40Heavy-PL-OX40Lの重鎖及び式αOX40Light-(PL-Ag)xの軽鎖(式中、
・αOX40Lightは、OX40アゴニスト抗体の軽鎖であり;
・αOX40Heavyは、OX40アゴニスト抗体の重鎖であり;
・PLは、同一又は異なる、結合又はペプチドリンカー、好ましくは、配列番号13のFlexV1であり;
・Agは、同一又は異なる、ウイルス抗原又はがん抗原であり;
・xは、0又は1~20の整数、例えば、1、2、3、4、若しくは5であり;
・OX40Lは、例えば、配列番号2又は配列番号2に対する少なくとも90%、95%若しくは100%の同一性を有するその機能的断片を含む、OX40のリガンドの結合ドメインであり;
・-は、xが0である場合は存在しないか、又は共有結合である)
を含む抗体様タンパク質である。
【0076】
特定の実施形態では、PLは、好ましくは、最適な活性化特性及び細胞産生における収量を確保するペプチドリンカーである。
【0077】
特定の実施形態では、-(PL-Ag)xは、前記OX40活性化抗体様タンパク質の重鎖のカルボキシ末端に位置する。
【0078】
典型的には、前記OX40活性化タンパク質の実施形態の略図は、
図1に示される。αOX40Light、αOX40Heavy、及びOX40Lの好ましい実施形態は、次のセクションに更に記載される。
【0079】
ある特定の実施形態では、ペプチドリンカーは、グリコシル化部位を含むか、又は二次構造を導入してもよい。更に、これらのリンカーは、融合タンパク質の発現の効率又は安定性を増大させ、結果として、樹状細胞への抗原提示の効率を増大させることができる。そのようなリンカーは、flexV1、f1、f2、f3及び/又はf4リンカーを含んでもよい。これらの例及びその他は、WO2010/104747で考察されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。特に、flexV1は、配列番号13のポリペプチドである。
【0080】
より具体的な実施形態では、前記OX40活性化タンパク質は、配列番号9のVH及び配列番号10のVLを含むOX40アゴニスト抗体を含む。
【0081】
別の特定の実施形態では、前記OX40活性化タンパク質は、それぞれ、配列番号3~8のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むOX40アゴニスト抗体を含む。
【0082】
別の特定の実施形態では、前記OX40活性化タンパク質は、配列番号11を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号12を含む軽鎖からなる。
【0083】
上で定義されたアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むOX40活性化タンパク質も、本開示の一部であり、典型的には、OX40活性化タンパク質は、配列番号11の重鎖及び配列番号12の軽鎖からなる前記OX40活性化タンパク質と少なくとも同等であるか、又はそれより高い活性化特性を有する。
【0084】
本開示の融合タンパク質の調製における使用のためのOX40アゴニスト抗体
当業者であれば、当技術分野で既に公知のOX40アゴニスト抗体を使用するか、又は抗体スクリーニング技術を使用して新規OX40活性化抗体をde novoで生成することができる。
【0085】
より具体的には、本開示のOX40活性化タンパク質における使用のための前記OX40アゴニスト抗体(又はその抗原結合断片)は、以下の有利な特性:
(i)例えば、以下の実施例に記載されるような、SPR結合アッセイによって測定した場合、500nM以下、例えば、50以下~500nMのKDで、典型的には、約131nMのKDで、OX40エクトドメインに結合する;
(ii)フローサイトメトリー分析によってin vitroで測定した場合、例えば、以下の実施例に記載されるCD4+T細胞増殖アッセイを用いて測定した場合、T細胞の増殖を誘導する;及び/又は
(iii)以下の実施例に記載されるT細胞活性化アッセイを用いてin vitroで測定した場合、IL-13、又はTNFα等のサイトカインの分泌を誘導する
のうちの1つ又は複数を有する。
【0086】
特定の実施形態では、OX40アゴニスト抗体は、同じ細胞に基づくアッセイにおいて測定した場合、参照OX40アゴニスト抗体のOX40媒介性シグナル伝達活性と少なくとも類似する、細胞に基づくアッセイにおいてOX40Lの非存在下でのOX40媒介性シグナル伝達活性を有する抗体であり、例えば、前記参照OX40アゴニスト抗体は、以下に記載されるmAb24であってもよい。
【0087】
新規OX40アゴニスト抗体を選択するために、抗体をスクリーニングする様々な方法が、当技術分野で記載されている。そのような方法を、抗原免疫化の際に完全ヒト抗体を産生することができるトランスジェニックマウス等のin vivo系と、抗体DNAをコードするライブラリーを生成する工程、抗体産生のための適切な系においてDNAライブラリーを発現させる工程、親和性選択基準を用いて標的に結合する抗体候補を発現するクローンを選択する工程及び選択されたクローンの対応するコード配列を回収する工程からなる、in vitro系とに分けることができる。
【0088】
これらのin vitroでの技術は、ディスプレイ技術として公知であり、限定されるものではないが、ファージディスプレイ、RNA又はDNAディスプレイ、リボソームディスプレイ、酵母又は哺乳動物細胞ディスプレイが挙げられる。それらは、当技術分野でよく記載されている(概説については、例えば、Nelsonら、2010 Nature Reviews Drug discovery、「Development trends for human monoclonal antibody therapeutics」(Advance Online Publication)及びHoogenboomら、Method in Molecular Biology 178:1~37頁、O'Brienら(編)、Human Press、Totowa、N.J.、2001を参照されたい)。1つの特定の実施形態では、ヒト組換えOX40アゴニスト抗体は、OX40結合特性及びアゴニスト特性を有するヒト組換え抗体ライブラリーのライブラリーをスクリーニングするためのファージディスプレイ法を使用して単離される。
【0089】
VH及びVL遺伝子又は関連するCDR領域のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングするか、又はDNA合成装置によって合成し、ファージライブラリー中で無作為に組み換えた後、抗原結合クローンについてスクリーニングすることができる。ヒト抗体を単離するためのそのようなファージディスプレイ法は、当技術分野で確立されているか、又は以下の実施例に記載される。例えば、Ladnerらの米国特許第5,223,409号; 第5,403,484号; 及び第5,571,698号;Dowerらの米国特許第5,427,908号及び第5,580,717号;McCaffertyらの米国特許第5,969,108号及び第6,172,197号;並びにGriffithsらの米国特許第5,885,793号; 第6,521,404号; 第6,544,731号; 第6,555,313号; 第6,582,915号及び第6,593,081号を参照されたい。
【0090】
ある特定の実施形態では、OX40に対するヒト抗体を、マウス系よりもむしろヒト免疫系の部分を担持するトランスジェニック又はトランス染色体マウスを使用して同定することができる。これらのトランスジェニック及びトランス染色体マウスは、それぞれ、本明細書ではHuMAbマウス及びKMマウスと称されるマウスを含み、本明細書では集合的に「ヒトIgマウス」と称される。
【0091】
HuMAbマウス(登録商標)(Medarex, Inc.社)は、内因性μ及びκ鎖遺伝子座を不活化する標的突然変異を一緒に含む、再配置されていないヒト重鎖(μ及びγ)並びにκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を含有する(例えば、Lonbergら、1994 Nature 368(6474): 856~859頁を参照されたい)。
【0092】
別の実施形態では、ヒトOX40アゴニスト抗体を、導入遺伝子及びトランス染色体上にヒト免疫グロブリン配列を担持するマウス、例えば、ヒト重鎖導入遺伝子及びヒト軽鎖トランス染色体を担持するマウスを使用して生じさせることができる。本明細書では「KMマウス」と称されるそのようなマウスは、IshidaらのPCT公開WO02/43478に詳細に記載されている。
【0093】
モノクローナル抗体(mAb)を、従来のモノクローナル抗体法、例えば、Kohler及びMilstein、1975 Nature 256: 495頁の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術によって生産することもできる。モノクローナル抗体を生産するための多くの技術、例えば、Bリンパ球のウイルス又は発がん性形質転換を使用することができる。
【0094】
ハイブリドーマを調製するための動物系は、マウス系である。マウスにおけるハイブリドーマ生産は、よく確立された手順である。免疫化プロトコール及び融合のための免疫化された脾細胞の単離のための技術は、当技術分野で公知である。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)及び融合手順も公知である。
【0095】
キメラ又はヒト化抗体を、上記のように調製されたマウスモノクローナル抗体の配列に基づいて調製することができる。標準的な分子生物学技術を使用して、重鎖及び軽鎖免疫グロブリンをコードするDNAを、目的のマウスハイブリドーマから取得し、非マウス(例えば、ヒト)免疫グロブリン配列を含有するように遺伝子操作することができる。例えば、キメラ抗体を作出するために、当技術分野で公知の方法(例えば、Cabillyらの米国特許第4,816,567号を参照されたい)を使用して、マウス可変領域を、ヒト定常領域に連結することができる。ヒト化抗体を作出するために、当技術分野で公知の方法を使用して、マウスCDR領域を、ヒトフレームワーク中に挿入することができる。例えば、Winterの米国特許第5,225,539号、並びにQueenらの米国特許第5,530,101号; 第5,585,089号; 第5,693,762号及び第6,180,370号を参照されたい。
【0096】
モノクローナル抗体を、上で定義されたそのOX40アゴニスト特性について更にスクリーニング又は最適化することができることが更に企図される。特に、モノクローナル抗体は、本明細書に提供されるモノクローナル抗体又はヒト化抗体の1、2、3、4、5、又は6個のCDRのアミノ酸配列中に1、2、3、4、5、6個以上の変更を有してもよいことが企図される。抗体の軽鎖又は重鎖可変領域のVJ又はVDJ領域のCDR1、CDR2、CDR3、CDR4、CDR5、又はCDR6の1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10位のアミノ酸は、保存的又は非保存的アミノ酸との挿入、欠失、又は置換を有してもよいことが企図される。置換することができる、又は置換を構成することができるそのようなアミノ酸は、上に開示されている。
【0097】
本開示のOX40活性化タンパク質の調製における使用のためのOX40アゴニスト抗体は、構造的には、以下のTable 1(表1)及びTable 2(表2)に記載のその可変重鎖及び軽鎖アミノ酸及びヌクレオチド配列を特徴とする組換えOX40アゴニスト抗体mAb24を含む:
【表1】
【表2】
【0098】
使用することができる他のOX40アゴニスト抗体としては、mAb24の6個のCDRを含む任意のキメラ又はヒト化抗体が挙げられる。
【0099】
本開示による一部のOX40アゴニスト抗体のVH CDR1(HCDR1とも呼ばれる)、VH CDR2(HCDR2とも呼ばれる)、VH CDR3(HCDR1とも呼ばれる)、VL CDR1(LCDR1とも呼ばれる)、VL CDR2(LCDR2とも呼ばれる)、VL CDR3(HCDR3とも呼ばれる)のアミノ酸配列の例は、Table 3(表3)に示される。
【0100】
Table 3(表3)中、本開示の抗体のCDR領域は、Kabatのナンバリング(Kabatら、1992)を使用して詳述される。
【表3】
【0101】
特定の実施形態では、OX40アゴニスト抗体は、以下の抗体:
(i)mAb24の6個のCDRを含むヒト化抗体;
(ii)それぞれ、配列番号:9及び配列番号10のVH及びVLドメインを含むヒト化抗体;
(iii)OX40を発現する細胞への結合について、(i)若しくは(ii)で同定された抗体の少なくとも一方と競合する抗体、
(iv)(i)若しくは(ii)で同定された抗体のものと同じエピトープに結合する抗体
から選択される。
【0102】
任意の他の公知の、又は新しく開発されたOX40アゴニスト抗体を、本開示で示される方法を使用してOX40Lと潜在的に連結させて、その生物活性を増大させることができる。
【0103】
本開示のOX40活性化タンパク質をコードする核酸分子
また、本開示のOX40活性化タンパク質をコードする核酸分子も、本明細書に開示される。
【0104】
核酸分子の例は、以前のセクションに開示されたOX40活性化抗体様タンパク質の可変軽鎖及び重鎖アミノ酸配列をコードし、必要に応じて、宿主細胞の種に応じたコドンの偏りを考慮に入れた遺伝子コードを使用するものである。
【0105】
典型的には、本開示のOX40活性化タンパク質をコードする核酸分子は、配列番号11及び配列番号12からなるOX40アゴニスト抗体のコード配列、例えば、それぞれ、配列番号16及び配列番号17の核酸を含む。
【0106】
上で定義されたヌクレオチド配列のいずれか1つに対して少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するヌクレオチド配列を有する本開示のOX40活性化タンパク質をコードする核酸も、本開示の一部である。
【0107】
本開示はまた、哺乳動物細胞、例えば、CHO又はHEK細胞系におけるタンパク質発現のために最適化されている後者の配列に由来する核酸分子にも関する。
【0108】
核酸は、全細胞、細胞溶解物中に存在してもよいか、又は部分的に精製された、若しくは実質的に純粋な形態の核酸であってもよい。核酸は、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動及び当技術分野で周知の他のもの(Ausubelら、1988)を含む標準的な技術によって、他の細胞成分又は他の夾雑物、例えば、他の細胞核酸又はタンパク質から精製された場合、「単離」されているか、又は「実質的に純粋」になっている。本開示の核酸は、例えば、DNA又はRNAであってもよく、イントロン配列を含んでも、含まなくてもよい。ある実施形態では、核酸は、ベクター、例えば、ファージディスプレイベクター中に、又は組換えプラスミドベクター中に存在してもよい。
【0109】
本開示の核酸を、標準的な分子生物学技術を使用して取得することができる。例えば、重鎖及び軽鎖セグメントをコードするDNA断片が得られたら、これらのDNA断片を、標準的な組換えDNA技術によって更に操作して、例えば、可変領域遺伝子を、Fab断片遺伝子又はscFv遺伝子に変換することができる。
【0110】
OX40活性化タンパク質を産生するトランスフェクトーマの生成
本開示のOX40活性化タンパク質を、例えば、当技術分野で周知の組換えDNA技術と遺伝子トランスフェクション法との組合せ(Morrison、1985)を使用して、宿主細胞トランスフェクトーマ中で産生させることができる。
【0111】
例えば、OX40活性化タンパク質を発現させるために、前記OX40活性化タンパク質(典型的には、完全長重鎖及び軽鎖)をコードするDNAを、標準的な分子生物学又は生化学技術(例えば、目的の抗体を発現するハイブリドーマを使用する、DNA化学合成、PCR増幅又はcDNAクローニング)によって取得し、DNAを、遺伝子が転写及び翻訳制御配列に作動可能に連結されるように発現ベクター中に挿入することができる。この文脈において、用語「作動可能に連結される」とは、ベクター内の転写及び翻訳制御配列がOX40活性化タンパク質の転写及び翻訳を調節するその意図された機能を果たすように、遺伝子がベクター中にライゲーションされることを意味することが意図される。発現ベクター及び発現制御配列は、使用される発現宿主細胞に適合するように選択される。OX40活性化タンパク質が、例えば、一方の配列が、上のセクションに開示されたOX40活性化抗体様タンパク質の重鎖をコードし、他方の配列が、前記OX40活性化抗体様タンパク質の軽鎖をコードする、異なるポリペプチドを含む場合、重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を、別々のベクター中に挿入することができるか、又はより典型的には、両方の遺伝子が同じ発現ベクター中に挿入される。遺伝子は、標準的な方法(例えば、タンパク質遺伝子及びベクター上の相補的制限部位のライゲーション、又は制限部位が存在しない場合、平滑末端ライゲーション)によって発現ベクター中に挿入される。
【0112】
シグナルペプチド、例えば、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)等を、発現細胞からのポリペプチドの分泌のために更に使用することができる。
【0113】
更に、本明細書に開示される組換え発現ベクターは、宿主細胞中でのOX40活性化タンパク質の発現を制御する調節配列を担持する。用語「調節配列」は、それぞれの遺伝子の転写又は翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。当業者であれば、調節配列の選択を含む発現ベクターの設計が、形質転換しようとする宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベル等の因子に依存し得ることを理解するであろう。哺乳動物宿主細胞発現のための調節配列としては、哺乳動物細胞中での高レベルのタンパク質発現を指令するウイルスエレメント、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、及びポリオーマに由来するプロモーター及び/又はエンハンサー等が挙げられる。或いは、非ウイルス調節配列、例えば、ユビキチンプロモーター又はP-グロビンプロモーターを使用してもよい。更に、異なる供給源由来の配列から構成される調節エレメント、例えば、SV40初期プロモーター由来の配列及びヒトT細胞白血病ウイルス1型の長い末端反復配列を含有する、SRaプロモーター系等もある。
【0114】
更に、本開示の組換え発現ベクターは、更なる配列、例えば、宿主細胞中でのベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)及び選択マーカー遺伝子等を担持してもよい。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば、全てAxelらの米国特許第4,399,216号、第4,634,665号及び第5,179,017号を参照されたい)。例えば、典型的には、選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、薬物、例えば、G418、ハイグロマイシン、又はメトトレキサート等に対する耐性を付与する。選択マーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸リダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅によるdhfr-宿主細胞中での使用のため)及びneo遺伝子(G418選択のため)が挙げられる。
【0115】
OX40活性化タンパク質の発現のために、発現ベクターは、標準的な技術によって宿主細胞中にトランスフェクトされる。様々な形態の用語「トランスフェクション」は、外因性DNAの原核又は真核宿主細胞中への導入のために一般的に使用される様々な技術、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈降、DEAEデキストラントランスフェクション等を包含することが意図される。原核又は真核宿主細胞中で本開示の結合タンパク質を発現させることは、理論的に可能である。真核細胞、特に、哺乳動物細胞は、原核細胞よりも適切にフォールディングされ、免疫学的に活性な抗体をアセンブリーさせ、分泌する可能性が高いため、そのような真核細胞、例えば、哺乳動物宿主細胞、酵母又は糸状菌中での組換えタンパク質の発現が議論される。
【0116】
1つの特定の実施形態では、本開示によるクローニング又は発現ベクターは、好適なプロモーター配列に作動可能に連結された、以前のセクションに記載された1つ又は複数の核酸を含む。
【0117】
本開示の組換え抗体を発現させるための哺乳動物宿主細胞としては、DHFR選択マーカーと共に使用されるdhfr-CHO細胞(Urlaub及びChasin、1980に記載されている)を含むチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、CHOK1 dhfr+細胞系、NSO骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞、又はHEK細胞が挙げられる。活性化タンパク質遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞中に導入する場合、活性化タンパク質は、宿主細胞中でのタンパク質の発現及び必要に応じて、宿主細胞が増殖される培養培地中へのタンパク質の分泌にとって十分な期間にわたって宿主細胞を培養する工程によって産生される。活性化タンパク質を、例えば、標準的なタンパク質精製方法を使用してその分泌後に培養培地から回収及び精製することができる。
【0118】
1つの特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、以前のセクションに開示されたOX40活性化タンパク質のコード配列(典型的には、OX40活性化タンパク質の重鎖及び軽鎖のコード配列、例えば、配列番号16及び配列番号17)を有する発現ベクターをトランスフェクトされた宿主細胞である。
【0119】
次いで、後者の宿主細胞を、前記OX40活性化タンパク質の発現及び産生にとって好適な条件下で更に培養することができる。
【0120】
医薬組成物
別の態様では、本開示は、薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された、OX40活性化タンパク質を含有する組成物、例えば、医薬組成物を提供する。
【0121】
本明細書に開示される医薬組成物を、併用療法において、すなわち、他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。例えば、併用療法は、少なくとも1種の抗ウイルス剤、抗炎症剤、ワクチンアジュバント及び/又は別の抗増殖剤と組み合わせた、本開示のOX40活性化タンパク質を含んでもよい。
【0122】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合する、任意且つ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含む。担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は表皮投与(例えば、注射又は輸注による)にとって好適であるべきである。一実施形態では、担体は、皮下経路にとって好適であるべきである。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち、OX40活性化タンパク質を、化合物を不活化し得る酸及び他の自然条件の作用から化合物を保護するための材料中にコーティングすることができる。
【0123】
滅菌リン酸緩衝生理食塩水は、薬学的に許容される担体の一例である。他の好適な担体は、当業者には周知である(Remington及びGennaro、1995)。製剤は、ウイルス表面上でのタンパク質喪失を防止するために、1つ又は複数の添加剤、保存剤、可溶化剤、緩衝剤、アルブミン等を更に含んでもよい。
【0124】
医薬組成物の形態、投与経路、投与量及びレジメンは、処置しようとする状態、病気の重症度、患者の年齢、体重、及び性別等に自然に依存する。
【0125】
本開示の医薬組成物を、局所、経口、非経口、鼻内、静脈内、筋肉内、皮下又は眼内投与等のために製剤化することができる。
【0126】
好ましくは、医薬組成物は、注入することができる製剤にとって薬学的に許容されるビヒクルを含有する。これらのものは、特に、等張性滅菌塩水溶液(リン酸一ナトリウム若しくは二ナトリウム、塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム若しくはマグネシウム等又はそのような塩の混合物)、又は事例に応じて、滅菌水若しくは生理食塩水の添加時に、注入可能溶液の構成を可能にする、乾燥、特に、凍結乾燥組成物であってもよい。
【0127】
投与のために使用される用量を、種々のパラメーターの関数として、特に、使用される投与様式の、関連する病理の、又は或いは、望ましい処置の持続期間の関数として適合させることができる。
【0128】
医薬組成物を調製するために、有効量のOX40活性化タンパク質を、薬学的に許容される担体又は水性媒体中に溶解するか、又は分散させることができる。
【0129】
注入可能な使用にとって好適な薬学的形態としては、滅菌水性溶液又は分散体;ゴマ油、ピーナッツ油又は水性プロピレングリコールを含む製剤;及び滅菌注入可能溶液又は分散体の即興の調製のための滅菌粉末又は凍結乾燥物が挙げられる。全ての場合において、形態は、無菌でなければならず、容易な注射針通過性が存在する程度に流体でなければならない。それは、製造及び保存の条件下で安定でなければならず、微生物、例えば、細菌及び菌類の汚染作用に対して保存されなければならない。
【0130】
遊離塩基又は薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液を、界面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースと好適に混合した水中で調製することができる。分散体を、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びその混合物並びに油中で調製することもできる。通常の保存及び使用の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための保存剤を含有する。
【0131】
製剤中で使用することができる薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸若しくはリン酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸を用いて形成される、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基を用いて形成される)を含む。遊離カルボキシル基を用いて形成される塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化鉄等の無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基から誘導することもできる。
【0132】
担体はまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、その好適な混合物、及び植物油を含有する、溶媒又は分散媒体であってもよい。例えば、レシチン等のコーティングの使用により、分散体の場合、必要とされる粒径の維持により、及び界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止を、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。組成物中での、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によって、注入可能組成物の長期的吸収をもたらすことができる。
【0133】
滅菌注入可能溶液は、必要に応じて、上に列挙された様々な他の成分と共に、適切な溶媒中に必要な量の活性化合物を含有させた後、濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散体は、様々な滅菌活性成分を、基本分散媒体及び上に列挙されたもの由来の必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に含有させることによって調製される。滅菌注入可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分と、その予め滅菌濾過された溶液由来の更なる所望の成分との粉末を得る、減圧乾燥及び凍結乾燥技術である。
【0134】
溶媒としてのDMSOの使用が極端に迅速な浸透をもたらし、高濃度の活性薬剤を小さい腫瘍領域に送達することが想定される、直接注入のためのより多くの、又は高度に濃縮された溶液の調製も企図される。
【0135】
製剤化の際に、溶液は、剤形と適合する様式で投与され、そのような量は治療有効量である。製剤は、様々な剤形、例えば、上に記載された注入可能溶液の種類等で容易に投与されるが、薬物放出カプセル等を用いることもできる。
【0136】
水性溶液中での非経口投与のために、例えば、溶液は、必要に応じて好適に緩衝化されるべきであり、最初に液体希釈剤を、十分な塩水又はグルコースと等張性にするべきである。これらの特定の水性溶液は、特に、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与にとって好適である。これに関連して、用いることができる滅菌水性媒体は、本開示に照らせば当業者には公知であろう。例えば、1投与量を、1mlの等張性NaCl溶液中に溶解し、1000mlの皮下注入液に添加するか、又は提唱される輸注部位で注入することができる(例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第15版、1035~1038頁及び1570~1580頁を参照されたい)。処置される対象の状態に応じて、投与量のいくらかの変動が必然的に生じるであろう。投与を担う人物は、任意の事象において、個々の対象のための適切な用量を決定するであろう。
【0137】
OX40活性化タンパク質を、用量あたり約0.0001~1.0ミリグラム、又は約0.001~0.1ミリグラム、又は約0.1~1.0又は更には、1.0~約10ミリグラムを含むように治療混合物内で製剤化することができる。複数用量を投与することもできる。
【0138】
ワクチン組成物
本開示はまた、本開示のOX40活性化タンパク質と、薬学的に許容されるビヒクルとを含むワクチンにも関する。
【0139】
本明細書で使用される場合、用語「ワクチン」は、免疫応答を誘導するためにヒト又は動物に投与することができる組成物を意味することが意図される;この免疫応答は、抗体の産生、又は単に、ある特定の細胞、特に、抗原提示細胞、Tリンパ球及びBリンパ球の活性化をもたらすことができる。ある特定の実施形態では、ワクチンは、ワクチン中に提供される抗原に関して患者中での中和抗体の産生を誘導する免疫応答をもたらすことができる。ワクチンは、予防目的のため、又は治療目的のため、又はその両方のための組成物であってもよい。
【0140】
ワクチンは、薬学的に許容される担体又は水性媒体中に溶解又は分散された、本開示のOX40活性化タンパク質の有効量を含んでもよい。そのような組成物はまた、接種材料と称してもよい。そのような媒体及び薬学活性物質のための薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来的な媒質又は薬剤が活性成分と不適合性である場合を除き、治療組成物におけるその使用が企図される。補助活性成分を組成物中に含有させることもできる。本開示のワクチン組成物は、古典的な医薬調製物を含んでもよい。分散体を、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びその混合物並びに油中で調製することもできる。通常の保存及び使用の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための保存剤を含有する。
【0141】
更に、必要に応じて、ワクチンは、少量の補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、及び/又はワクチンの有効性を増強するアジュバントを含有してもよい。有効であり得るアジュバントの例としては、限定されるものではないが、水酸化アルミニウム、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン、MTP-PE並びに2%スクアレン/Tween 80エマルジョン中に細菌から抽出された3種の成分、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコレート及び細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含有するRIBIが挙げられる。アジュバントの他の例としては、DDA(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)、Freundの完全及び不完全アジュバント並びにQuilAが挙げられる。更に、免疫調節物質、例えば、リンホカイン(例えば、IFN-[ガンマ]、IL-2及びIL-12)又は合成IFN-[ガンマ]誘導剤、例えば、ポリI:C若しくはポリICLC(Hiltonol)等を、本明細書に記載のアジュバントと組み合わせて使用することができる。
【0142】
ある特定の実施形態では、アジュバントを、ポリICLC、CpG、LPS、Immunoquid、PLA、GLA又はサイトカインアジュバント、例えば、IFNαの中から選択することができる。他の実施形態では、アジュバントは、toll様受容体アゴニスト(TLR)であってもよい。使用することができるTLRアゴニストの例は、TLR1アゴニスト、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、TLR5アゴニスト、TLR6アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト又はTLR9アゴニストを含む。
【0143】
活性免疫原性成分としてのOX40活性化タンパク質のワクチン調製物を、注射剤として、液体溶液又は懸濁液として調製することができる;感染前の液体中への溶解又は懸濁にとって好適な固体形態を調製することもできる。調製物を、乳化し、リポソーム中に封入することができる。活性免疫原性成分は、薬学的に許容され、活性成分と適合する担体と混合されることが多い。
【0144】
本開示のOX40活性化タンパク質の使用方法
OX40活性化タンパク質中に存在する抗原に対する免疫応答を惹起することによって、本開示のOX40活性化タンパク質は、特に、がん又は感染障害を処置又は防止するための薬物として有用であり得る。
【0145】
一部の実施形態では、OX40活性化タンパク質は、対象におけるウイルス感染又はがん障害を処置又は防止するための方法であって、治療有効量の本開示のOX40活性化タンパク質を対象に投与する工程を含む方法において使用することができる。
【0146】
特定の実施形態では、前記OX40活性化タンパク質を、限定されるものではないが、以下のもの:卵巣がん;子宮頸がん;乳がん;前立腺がん;精巣がん、肺がん、腎がん;結腸直腸がん;皮膚がん;脳腫瘍;急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、及び慢性リンパ性白血病を含む白血病を含めた、広範囲の腫瘍型から選択されるがんを処置するための方法において使用することができる。
【0147】
がんを処置するのに使用するためのOX40活性化タンパク質を、単独で、又は更なる抗増殖剤又は免疫チェックポイント阻害剤、例えば、限定されるものではないが、抗PD1、又は抗PDL1抗体及び抗CTLA4抗体と組み合わせて使用することができる(例えば、W02020014583を参照されたい)。
【0148】
本明細書で使用される場合、「処置」は、有益な、又は所望の臨床結果を得るための手法である。がんを処置する方法に関する本開示の目的に関して、有益な、又は所望の臨床結果としては、限定されるものではないが、1つ又は複数の以下のもの:新生物若しくはがん性細胞の増殖の低減(若しくは破壊)、新生物細胞の転移の阻害、又は腫瘍サイズの縮小若しくは減少が挙げられる。
【0149】
本明細書で使用される場合、薬物、化合物、又は医薬組成物の「有効投与量」又は「有効量」は、任意の1つ又は複数の有益な、又は所望の結果をもたらすのに十分な量である。予防的使用に関して、有益な、又は所望の結果としては、疾患、疾患の発達中に呈する、その合併症及び中間の病理学的表現型の生化学的、組織学的、及び/又は行動的症状を含めた、疾患のリスクの排除若しくは低減、重症度の軽減、又は発症の遅延が挙げられる。治療的使用に関して、有益な、又は所望の結果としては、様々な疾患若しくは状態(例えば、がん等)の1つ若しくは複数の症状の発生の低減若しくは改善、疾患を処置するのに必要とされる他の薬剤の用量の減少、別の薬剤の効果の増強、及び/又は患者の疾患の進行の遅延等の臨床結果が挙げられる。有効投与量は、1回又は複数回の投与で投与することができる。本発明の目的に関して、薬物、化合物、又は医薬組成物の有効投与量は、直接的に又は間接的に予防的又は治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床状況において理解されているように、薬物、化合物、又は医薬組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、又は医薬組成物と併せて実現することができ、又は実現されなくてもよい。したがって、「有効投与量」は、1種又は複数の治療剤の投与という状況で考慮することができ、単剤は、1種又は複数の他の薬剤と併せて、望ましい結果が実現され得る、又は実現されている場合、有効量で与えられていると見なすことができる。
【0150】
更なる態様は、ウイルス又は腫瘍関連抗原に対する、T細胞応答、例えば、CD4+及び/又はCD8+T細胞応答を、それを必要とする対象において惹起する、及び/又は増強するための方法であって、それを必要とする前記対象に、本開示のOX40活性化タンパク質又はワクチンを投与する工程を含む方法に関する。
【0151】
更なる態様は、抗原に対するIgG結合抗体応答を、それを必要とする対象において誘導するための方法であって、本開示のOX40活性化タンパク質又は本開示のワクチン組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0152】
一部の実施形態では、方法は、免疫刺激剤の投与を更に含む。一部の実施形態では、免疫刺激剤は、ワクチン又は治療組成物と逐次的に、又は付随的に投与される。
【0153】
一部の実施形態では、免疫刺激剤は、ワクチン組成物の対象への注入の前に即興でワクチン組成物と混合される。
【0154】
更に、本開示の方法は、1つ又は複数のアジュバントの投与を含んでもよい。アジュバントを、1つ又は複数のワクチン成分、例えば、抗原又はOX40活性化タンパク質に直接的又は間接的に付着させるか、又はコンジュゲートすることができる。他の実施形態では、アジュバントを、ワクチン組成物とは別々に提供又は投与することができる。ある特定の実施形態では、アジュバントは、ポリICLC、CpG、LPS、Immunoquid、PLA、GLA又はサイトカインアジュバント、例えば、IFNαである。他の実施形態では、アジュバントは、toll様受容体アゴニスト(TLR)であってもよい。使用することができるTLRアゴニストの例は、TLR1アゴニスト、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR4アゴニスト、TLR5アゴニスト、TLR6アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト又はTLR9アゴニストを含む。
【0155】
一部の実施形態では、投与は、皮内、筋肉内、又は皮下投与を含む。
【0156】
一部の実施形態では、ウイルスワクチン、例えば、ウイルス抗原を含むOX40活性化タンパク質は、少なくとも1つのウイルスエピトープに対する免疫応答を強化するための方法であって、本明細書に記載のそのようなウイルスワクチンを患者に投与する工程を含む方法において使用される。
【0157】
一部の実施形態では、そのようなウイルスワクチンは、前記ウイルスによって感染される健康な対象を防止するために使用され、本開示のそのようなウイルスワクチンを、例えば、前記ウイルスによって感染していない、健康な対象に投与する工程を含む(防止的処置)。他の実施形態では、本開示のウイルスワクチンは、ウイルス感染の初期段階で患者を処置する方法であって、患者に前記ウイルスワクチンを投与する工程を含む方法において使用される。
【0158】
少なくとも1つのウイルス抗原が、宿主、好ましくは、ヒト患者又は霊長類において体液性及び/又は細胞性免疫応答の少なくとも一方を惹起することが企図される。
【0159】
本開示によるワクチン又は医薬組成物の投与は、標的組織が、最大の(又は一部の場合、最小の)免疫応答のための部位への抗原の送達を最大化するためにその経路によって利用可能である限り、任意の一般的な経路によるものであろう。ワクチンの投与は一般に、同所性の、皮内、粘膜、皮下、筋肉内、腹腔内又は静脈内注射であろう。送達のための他の領域としては、経口、経鼻、経頬、直腸、経膣又は局所が挙げられる。本開示のワクチンは、好ましくは、非経口的に、注射により、例えば、皮下又は筋肉内投与される。
【0160】
本開示のワクチン又は医薬組成物を、剤形と適合する様式で、並びに予防的及び/又は治療的に有効であるような量で投与することができる。投与される量は、例えば、対象の免疫系が抗体を合成する能力、及び所望の保護又は処置の程度を含む、処置される対象に依存する。好適な投与量範囲は、約0.1mg~1000mgの範囲、例えば、約1mg~300mgの範囲、又は約10mg~50mgの範囲等の、ワクチン接種あたり数百マイクログラムの規模の活性成分のものである。
【0161】
投与するのに必要とされる活性成分の正確な量は、医師の判断に依存し、それぞれの対象にとって特有であってもよい。本開示のOX40活性化タンパク質の治療有効量は、特に、投与スケジュール、投与される抗原の単位用量、OX40活性化タンパク質が他の治療剤と共に投与されるかどうか、レシピエントの免疫状態及び健康、並びに特定のOX40活性化タンパク質の治療活性に依存することが当業者には明らかであろう。
【0162】
ワクチンを、典型的には、単回用量スケジュール、又は複数用量スケジュールで与えることができる。複数用量スケジュールは、ワクチン接種の主要な過程が、例えば、1~10の個別用量、次いで、免疫応答を維持する、及び/又は強化するのに必要とされるその後の時間間隔、例えば、第2の用量については1~4カ月で与えられる他の用量、及び必要に応じて、数カ月後のその後の用量を含んでもよいものである。1~5年、通常は3年の間隔での定期的ブースターが、所望のレベルの防御免疫を維持するために望ましい。免疫化の過程の後、抗原と同時培養された末梢血リンパ球(PBL)のin vitro増殖アッセイを行い、プライミングされたリンパ球から放出されるIFN-[ガンマ]のレベルを測定することができる。アッセイを、従来の標識、例えば、放射性核種、酵素、蛍光標識等を使用して実施することができる。これらの技術は、当業者には公知であり、米国特許第3,791,932号、第4,174,384号及び第3,949,064号に見出すことができる。
【0163】
ワクチンを、1又は複数の「単位用量」中で提供することができる。単位用量は、その投与、すなわち、適切な経路及び処置レジメンと関連して所望の応答をもたらすために計算された所定量のワクチンを含有すると定義される。投与される量、並びに特定の経路及び製剤は、臨床分野における当業者の技術の範囲内にある。処置される対象、特に、対象の免疫系の状態及び所望の防御を評価することもできる。単位用量は、単回注射として投与される必要はないが、設定された期間にわたる連続輸注を含んでもよい。送達されるワクチンの量は、約0.001~約0.05mg/kg体重、例えば、対象あたり0.1~5mgの範囲であってもよい。
【0164】
更なる態様は、本開示のOX40活性化タンパク質、本開示の核酸、本開示の発現ベクター、又は本開示の宿主細胞、及び必要に応じて、キットの使用のための使用説明書を含むキットに関する。キットを使用して、本明細書に記載の方法を実行することができる。一部の実施形態では、キットは、対象におけるCD4+及び/又はCD8+T細胞応答を惹起するためのものであり、キットは、本開示のOX40活性化タンパク質又は本開示のワクチンを含む。
【0165】
本開示は、以下の実施例によって更に例示される。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものといかなる意味でも解釈されるべきではない。
図面の説明
【図面の簡単な説明】
【0166】
【
図1】抗OX40 mAb24 OX40 IgG1によって例示される抗受容体抗体-リガンド融合物の概念を例示する図である。関連するドメインが示される:V
Lは軽鎖可変領域である;V
Hは重鎖可変領域である;C
HはH鎖定常領域1~3である;C
Lは軽鎖定常領域である;リンカー配列及び重要なジスルフィド結合は灰色の線で表される。本開示は、H鎖C末端に融合したリガンドを含む交互型の融合物並びに多様な抗体型及びアイソタイプを予想する。
【
図2】ヒトOX40をトランスフェクトされたCHO細胞への抗OX40抗体の結合を示す図である。FAS膜貫通及び細胞内残基に融合したヒトOX40エクトドメインを発現させるための構築物を安定にトランスフェクトされたCHO細胞を、抗OX40 IgG1、抗OX40-OX40L IgG1、及び対照hIgG4の滴定系列と共に4℃で30分インキュベートした。細胞をPBS中で洗浄し、4℃で30分、抗ヒトIgG-PE試薬でプロービングし、PBSで洗浄した後、1点あたり500Kの細胞を、検出試薬のみを用いてプロービングした細胞に関するゲートセットよりも明るい細胞のパーセンテージ(親のP1%)をスコア化するFACSArray Bioanalyzer (BD Biosciences社)上でのフローサイトメトリーによって分析した。
【
図3】ヒトOX40Lに直接的に連結された、又は連結されていない固相抗OX40抗体に結合する可溶性OX40エクトドメインのSPR分析を示す図である。L鎖C末端に連結されたヒトOX40Lを含む(B)及び含まない(A)、抗OX40 IgG1 mAbが結合したプロテインA被覆表面上のコヘシン-ヒトOX40エクトドメインタンパク質(6分にわたって注入される400nM+25μL/分で5分の解離時間)。この図は、OX40Lの構成を示し、Fは、Flex V1リンカーによる付着を示す。動的パラメーターは、Table 4(表4)に示される。このアッセイにおける対照ヒトIgG1及びIgG1-Flex v1-OX40Lタンパク質泳動は、このアッセイにおいてOX40への結合を示さなかったか、又は低い結合を示した(6RU未満)。
【
図4】CD4+T細胞による増殖及びサイトカイン産生のOX40結合による増強を示す図である。2人の正常なドナーのPBMC由来のCD4+T細胞(左パネルはドナー1である;右パネルはドナー2である)を、PHA、IL-2、及び抗CD3/CD28ビーズで2日間プライミングした後、CFSEで標識し、試験抗体及び対照の滴定系列と共に更に5日間培養した。細胞を、CFSE希釈液(A)をスコアリングするフローサイトメトリーによって増殖について分析した。培養上清を、IL-13(B)及びTNFα(C)について分析した。
【実施例】
【0167】
実施例
1.方法
表面プラズモン共鳴アッセイ。表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ結合測定を、SensiQ Pioneer機器(SensiQ Technologies、Inc.社、Oklahoma City、OK、USA)上で実施した。プロテインA又はプロテインG(10mM NaAc pH4.5中の100μg/mL)を、製造業者の推奨されるプロトコールに従って、25℃でCOOH2又はCOOH5センサーチップ上、アミンカップリング化学を使用して固定化した。泳動バッファーは、10mM HEPES、3.4mM EDTA、0.005%Tween 20、8.8g/L NaCl、pH7.5であった。続いて、チャネル1~2を使用して、コヘシン-ヒトCD40エクトドメイン(Genbank AAO43990.1の残基22~193)又はヒトOX40(GenBank AAB33944.1の残基26~211)タンパク質の希釈系列(25μL/分で2分、25、12.5、6.25、3.125、1.6、0.8nM)を注入した;最後に、1分にわたる20mM NaOHの注入(25μL)によって表面を再生した。結合データを、Qdatソフトウェア(SensiQ Technologies社)を用いて分析した。
【0168】
ヒトOX40結合のためのアッセイ。FAS膜貫通及び細胞内ドメイン(GenPept XP_011538069.1の残基187~350)に融合した、ヒトOX40エクトドメイン(GenBank AAB33944.1の残基26~211)を発現させるためのプラスミド構築物を安定にトランスフェクトされたCHO-S細胞を、抗OX40 IgG1、抗OX40-OX40L IgG1、及び対照hIgG4の滴定系列と共に4℃で30分インキュベートした。細胞をPBS中で洗浄し、4℃で30分、抗ヒトIgG-PE試薬でプロービングし、PBSで洗浄した後、1点あたり500Kの細胞を、検出試薬のみを用いてプロービングした細胞に関するゲートセットよりも明るい細胞のパーセンテージ(親のP1%と定義される)をスコア化するFACSArray Bioanalyzer (BD Biosciences社)上でのフローサイトメトリーによって分析した。
【0169】
OX40アゴニスト活性のためのアッセイ。2人の異なるドナー由来の血液を、クエン酸-デキストロース(ACD)チューブ中に収集し、製造業者のプロトコールに従って、それぞれのSepMate(商標)(Stemcell Technologies社、Cambridge、MA)について3つのACDチューブを使用する、SepMate(商標)中でのFicoll-Paque(登録商標)分離によってプロセッシングした。生細胞の回収は、1.1E8、98.5%、及び1.13E8、99.3%の範囲であった。PBMCを、EasySep(商標)CD4+T細胞ネガティブ単離キット(Stemcell Technologies社、17952)を用いてプロセッシングした。細胞を、PHA/IL-2/抗CD3/CD28ビーズで最初に刺激した。PHAストック(Remelの精製フィトヘマグルチニン、Thermo Fisher社、R30852801)をPBS、1mg/mlの2%FCS中に入れ、2μg/mlで使用した。ポリクローナル刺激のための抗CD3/CD28ビーズ(Gibco Dynabeads社、ヒトT細胞活性化因子、参照番号11161D、1μlあたり40,000個のビーズ)を、1個のビーズに対して5個のT細胞で使用した。1mlあたり10E6単位のインターロイキン-2(IL-2、医薬等級のProleukin(登録商標))を、20U/mlで使用した。両方のドナー由来の単離されたCD4+T細胞を、10%FCS、cRPMIを含む50mlの円錐チューブ中、1E6/mlで個別に刺激し、7%CO2、37℃で48時間保持した。小サブセットを24及び48時間でフローサイトメトリーにより試験して、OX40の発現の増加を検証した(データは示さない)。48時間後、磁石(Stem Cell社)を使用して抗CD3/CD28ビーズを除去し、細胞をCFSEで標識して、5mMストックを作製するために18μlのDMSOで再構成されたCell Trace Labeling Kit(Thermo Fisher社、34554)を使用して増殖状態のモニタリングを可能にした。ビーズ枯渇の後、細胞を、37℃に温めたPBS中で2回洗浄した。次いで、細胞を、RTで10分にわたって1E6/mlの濃度で温PBS中の1.25μM CFSE中に再懸濁した後、10倍容量の氷冷10%FCS cRPMIでクエンチし、更に5分、4℃で保持した。細胞を、培地又はPBSを含む2%FCS中で2回洗浄した後、培地中に再懸濁し、刺激のためにV底培養プレート中、ウェルあたり100K個の細胞(50μl)で添加した。試験タンパク質を、2μMから0.05nMまでの希釈系列として添加した。試験ビヒクルを含まない細胞対照を対照として含有させ、また、一部を、陽性シグナル対照として抗CD3/CD28で刺激した(40K個のビーズに対して100K個のT細胞、2.5のT細胞の1のビーズに対する比)。次いで、細胞を更に5日間培養し、培養上清を、IL-5、IL-13、IFNγ及びTNFαサイトカインレベル(Millipore社)についてLuminex(登録商標)によって分析した。FlowJo(登録商標)ソフトウェア(Ashland社、Or)を使用する、Live/Dead(商標)Fixable Aqua Dead Cell Stain (Thermo Fisher社)及び抗CD4 mAbを用いた染色後のCFSE増殖についてフローサイトメトリー(FACS CANTO、BD Biosciences社)によって、残りの細胞を分析した。
【0170】
フローサイトメトリー分析。細胞を、V底プレート中に移し、PBS中で2回洗浄し、50μLの容量中、1:50でLive/Dead(商標)Fixable Aqua Dead Cell Stain Kit(Thermo Fisher Scientific社、カタログ番号L34965)と共に、又は抗体ミックスに添加したL/D-ef780(Thermo Fisher社、カタログ番号65-0865-14)と共に、4℃で20分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、50μLの容量中、抗体のミックスと共に氷上で30分間インキュベートした。最後に、細胞を洗浄し、1:3に希釈した200μLのBD(商標)安定化固定剤(BD Biosciences社、カタログ番号338036)中に再懸濁した。全ての分析プロットについて、ライブ(Live/Dead染色を使用)及びシングレット事象に予めゲートをかけた。細胞を、FACS Canto II、FACSArray Bioanalyzer又はLSR Fortessa (BD Biosciences社)を用いて分析した。データを、FlowJoソフトウェアを用いて分析した。以下の抗体を、ヒトDC活性化の分析のために使用した:hCD80-PE、マウスクローンL307.4、ref 340294 (BD社)、hCD83-APC、マウスクローンHB15e、ref 551073 (BD社); hCD86-FITC、マウスクローン2331 (FUN-1)、ref 555657 (BD社); hCDllc-PEpCyanine7、マウスクローン3.9、ref 25011642、(eBioscience社); hHLA-DR-V450、マウスクローンG46-6、ref561359 (BD社); hCD40-PE-Cyanine5、マウスクローン5C3、ref 555590 (BD社)。hCD19-APC、マウスクローンHIB19、ref 555415 (BD社)及びhCD3-PerCP、マウスクローンSK7、ref 347344 (BD社)を、ヒトB細胞増殖パネルにおいて使用した。以下の抗体を、マウスex vivo細胞分析のために使用した:mB220-AF488、クローンRA3-6B2、ref 103225 (BD社); mOX40L-PerCPCy5.5、クローンRM134L、ref 65-5905-U025 (Tonbo Biosciences社); mCD69-PE、クローンH1.2F3、ref 104508 (Biolegend社); mCDllc-PECy7、クローンN418、ref 117318、(Biolegend社); mLangerin-APC、クローン4C7、refl44206 (Biolegend社); mMHCII-AF700、クローンM5/114.15.2、ref 107622 (Biolegend社); mCDllb-PacificBlue、クローンMl/70、ref 101224 (Biolegend社); mLy6G-BV510、クローン1A8、ref 127633 (Biolegend社); mCD86-BV605、クローンGL1、ref 105037 (Biolegend社); mIgD-BV711、クローン1l-26c.2a、ref 405731 (Biolegend社); FC bloc、クローン2.4G2、ref 70-0161-U500 (Tonbo Biosciences社)。
【0171】
統計分析。データは、平均(±SEM)として提示される。Welchの補正を用いる、又は用いないStudentのt検定によって、統計的有意性を決定した。0.05未満のP値を、統計的に有意であると見なした。GraphPad Prismソフトウェアを、統計的計算のために使用した。
【0172】
2. 結果
アゴニストOX40抗体へのOX40リガンドの融合は、アゴニスト効力及び効能を改善する
本発明者らは、臨床開発においてアゴニスト抗OX40 IgG1抗体の軽鎖C末端にヒトOX40Lを連結した(ヒト化OX40mAb24、US9738723)。
【0173】
図2は、ヒト化抗OX40 Ab24 IgG1と、抗OX40 Ab24-OX40L融合IgG1タンパク質とが両方とも、ヒトOX40エクトドメインを発現するCHO細胞に同様に結合したことを示す。しかしながら、SPR分析は、抗OX40 mAb L鎖へのOX40Lの添加と関連する解離速度(off-rate)の約2倍の増強を検出した(
図3及びTable 4(表4))。
【表4】
【0174】
抗OX40 hIgG1、抗OX40-OX40L hIgG1及びhIgG1-OX40Lタンパク質を、in vitroでプライミングされたヒトCD4+T細胞の増殖及びサイトカイン産生を誘発するその能力について試験した。Fc架橋剤の非存在下では、このアッセイにおいて増殖とサイトカイン産生との両方を誘導するためには、ピコモルレベルの抗OX40-OX40Lで十分であった。対照的に、増殖及びサイトカイン産生を誘導するためには、ナノモル量のhIgG1-OX40Lが必要であったが、抗OX40は、このアッセイにおいて不活性であった。
【0175】
これらのデータ(
図4)は、アゴニストOX40抗体へのOX40Lの融合が、別々の実体の特徴を大きく変化させることを示す:i)抗OX40-OX40L IgG1融合物は、2log以上OX40L IgG1の効力を増大させる;ii)効能(最大応答)が増大する; iii)活性はFc架橋と無関係である。
【0176】
結論として、本発明者らは、臨床候補である抗OX40 mAbアゴニストを選択し、OX40LをこのmAbに融合させた。これにより、OX40L IgG1と比較して、in vitroでの効力は2log以上改善され;抗OX40 mAb活性は、Fc架橋とは無関係になり;効能(最大応答)が増大した。
【0177】
【表5】
【表6A】
【表6B】
【表6C】
【表6D】
【表6E】
【0178】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OX40活性化タンパク質であって、少なくとも以下のタンパク質ドメイン:
(i)OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片(αOX40);及び
(ii)OX40LのOX40結合ドメイン(OX40L)
を含む、OX40活性化タンパク質。
【請求項2】
前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片が、ヒトOX40に特異的に結合し、以下の特性のうちの少なくとも1つ又は複数を有する、請求項1に記載のOX40活性化タンパク質:
(i)それが、フローサイトメトリー分析によって、例えばCFSE標識された細胞の複製希釈液の分析によって、in vitroで測定した場合、T細胞の増殖を誘導する;又は
(ii)それが、CD4+T細胞活性化アッセイを用いてin vitroで測定した場合、T細胞由来のサイトカイン、例えばIL5、IL13、IFNγ及び/若しくはTNFαサイトカインの分泌を誘導する。
【請求項3】
OX40Lの前記結合ドメインが、配列番号2を含むOX40Lの断片である、請求項1又は2に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項4】
OX40Lの前記結合ドメインが、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の軽鎖又は重鎖のC末端に融合される、請求項1から3のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項5】
OX40アゴニストIgG抗体の重鎖及び軽鎖を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項6】
OX40Lと、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の軽鎖又は重鎖との間のペプチドリンカ
ーを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項7】
前記ペプチドリンカーが、配列番号13の可撓性リンカーFlexV1である、請求項6に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項8】
前記OX40アゴニスト抗体が、以下の抗体:
(i)配列番号3のHCDR1、配列番号4のHCDR2、配列番号5のHCDR3、配列番号6のLCDR1、配列番号7のLCDR2及び配列番号8のLCDR3を含む抗体;
(ii)それぞれ、配列番号9及び配列番号10のVH及びVLドメインを含む抗体;
(iii)OX40を発現する細胞への結合について、(i)若しくは(ii)で同定された抗体の少なくとも一方と競合する抗体;又は
(iv)(i)若しくは(ii)で特定される抗体のものと同じエピトープに結合する抗体
から選択される、請求項1から
7のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項9】
1つ又は複数の抗原が、前記OX40アゴニスト抗体又はその抗原結合断片の重鎖又は軽鎖に融合される、請求項1から
8のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項10】
1つ又は複数のウイルス又はがん抗原が、OX40アゴニスト抗体の重鎖又は軽鎖に融合される、請求項
9に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項11】
式αOX40Light-PL-OX40Lの軽鎖及び式αOX40Heavy-(PL-Ag)xの重鎖(式中、
αOX40Lightは、前記OX40アゴニスト抗体の軽鎖であり;
αOX40Heavyは、前記OX40アゴニスト抗体の重鎖であり;
PLは、同一又は異なる、結合又はペプチドリンカ
ーであり;
Agは、同一又は異なる、ウイルス又はがん抗原であり;
xは、0であるか、又は1~20の整数、例えば1、2、3、4若しくは5であり;
OX40Lは、配列番号2を含むOX40のリガンドの結合ドメインであり;
-は、xが0である場合は存在しないか、又は結合である)
を含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項12】
前記ペプチドリンカーが、配列番号13のFlexV1である、請求項11に記載のOX40活性化タンパク質。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質と、1つ又は複数の薬学的に許容される添加剤とを含む、医薬組成物。
【請求項14】
それを必要とする対象におけるがんを処置するのに使用するための、請求項1から
12のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質
を含む、医薬組成物。
【請求項15】
対象においてT細胞増殖を惹起する、及び/又はT細胞のサイトカイン増殖を誘導するのに使用するための、請求項1から
12のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質
を含む、医薬組成物。
【請求項16】
がんに罹患している対象においてがん細胞に対する免疫をブーストするのに使用するための、請求項1から
12のいずれか一項に記載のOX40活性化タンパク質
を含む、医薬組成物。
【国際調査報告】