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特表2023-525147エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20230607BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20230607BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20230607BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20230607BHJP
   A24F 40/48 20200101ALI20230607BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/42
A24F40/10
A24F40/44
A24F40/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569087
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2021062567
(87)【国際公開番号】W WO2021228909
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】20175043.7
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】オズスン オズギュル
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC17
4B162AC18
4B162AC22
4B162AC27
(57)【要約】
本開示は、交番磁界の影響下で、エアロゾル形成液体を搬送し、誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品に関する。サセプタ組立品は、フィラメント束を含み、フィラメント束は、第一のサセプタ材料を含む少なくとも複数の第一のフィラメントを含む。フィラメント束の少なくとも平行束部分に沿って、複数の第一のフィラメントが互いに平行に配置される。本発明はさらに、それぞれがそのようなサセプタ組立品を含む、誘導加熱組立品およびエアロゾル発生物品に関する。本発明は、誘導加熱エアロゾル発生装置、装置で使用するためのエアロゾル発生物品、および誘導加熱組立品を含む、エアロゾル発生システムに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交番磁界の影響下でエアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品であって、フィラメント束を含み、前記フィラメント束が、第一のサセプタ材料を含む少なくとも複数の第一のフィラメントを含み、前記フィラメント束の少なくとも平行束部分に沿って、前記複数の第一のフィラメントが互いに平行に配置される、液体搬送サセプタ組立品。
【請求項2】
前記フィラメント束が、第二のサセプタ材料を含む複数の第二のフィラメントをさらに備え、前記フィラメント束の少なくとも前記平行束部分に沿って、前記複数の第二のフィラメントが互いに対して、および前記複数の第一のフィラメントに対して平行に配置され、前記第二のサセプタ材料が、フェリ磁性材料または強磁性材料のうちの一つを含むことが好ましい、請求項1に記載のサセプタ組立品。
【請求項3】
前記複数の第一のフィラメント、および存在する場合、前記複数の第二のフィラメントが、最大0.025ミリメートル、最大0.05ミリメートル、最大0.1ミリメートル、最大0.15ミリメートル、最大0.2ミリメートル、最大0.25ミリメートル、最大0.3ミリメートル、最大0.35ミリメートル、最大0.4ミリメートル、最大0.45ミリメートル、または最大0.5ミリメートルの直径を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項4】
前記複数の第一のフィラメント、および存在する場合、前記複数の第二のフィラメントが表面処理され、特に、表面コーティング、例えば、エアロゾル化強化表面コーティング、液体接着表面コーティング、撥液表面コーティング、または抗菌表面コーティングを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項5】
前記フィラメント束内の前記複数の第一のフィラメントが、3~100個の第一のフィラメント、特に10~80個の第一のフィラメント、好ましくは、20~60個の第一のフィラメント、より好ましくは、30~50個の第一のフィラメント、例えば、40個の第一のフィラメント、および存在する場合、前記フィラメント束内の前記複数の第二のフィラメントが、1~100個の第二のフィラメント、特に10~80個の第二のフィラメント、好ましくは、20~60個の第二のフィラメント、より好ましくは、30~50個の第二のフィラメント、例えば、40個の第二のフィラメントを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項6】
前記平行束部分において、隣接する第一のフィラメントと、存在する場合、第二のフィラメントとの間の平均中心間距離が最大0.025ミリメートル、最大0.05ミリメートル、最大0.1ミリメートル、最大0.15ミリメートル、最大0.2ミリメートル、最大0.25ミリメートル、最大0.3ミリメートル、最大0.35ミリメートル、最大0.4ミリメートル、最大0.45ミリメートル、または最大0.5ミリメートルである、請求項1~5のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項7】
前記フィラメント束が、前記フィラメント束の少なくとも一つの端部に扇状に広がった部分を含み、前記複数の第一のフィラメント、および存在する場合、前記複数の第二のフィラメントが互いに分岐する、請求項1~6のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項8】
前記平行束部分が、前記フィラメント束の全長の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、または80パーセントの長さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項9】
前記平行束部分が、前記フィラメント束の一つの端部に位置するか、または前記平行束部分が、特に前記フィラメント束の二つの端の間に対称的に位置付けられる、請求項1~8のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項10】
前記平行束部分の少なくとも一部が、フェルールまたはブッシングまたはハーネスによって束ねられる、請求項1~9のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項11】
エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための誘導加熱組立品であって、前記加熱組立品が、
- 請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品と、
- 前記少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品の加熱セクションにおいて、特に前記フィラメント束の加熱セクションにおいて、交番磁界を生成するように構成され、配置される、少なくとも一つの誘導源と、を含む、誘導加熱組立品。
【請求項12】
前記フィラメント束が、前記加熱組立品の使用において前記誘導源によって生成される前記交番磁界の対称軸に関して中心から外れて配置される、請求項11に記載の加熱組立品。
【請求項13】
誘導加熱エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品であって、前記物品が、
- 第一のエアロゾル形成液体を貯蔵するための少なくとも第一の液体貯蔵部であって、前記第一の液体貯蔵部が出口を含む、少なくとも第一の液体貯蔵部と、
- 前記第一のエアロゾル形成液体を前記第一の液体貯蔵部から前記出口を通って前記第一の液体貯蔵部の外側の領域に送達するための第一のフィラメント束を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも第一の液体搬送サセプタ組立品と、を含む、エアロゾル発生物品。
【請求項14】
- 第二のエアロゾル形成液体を貯蔵するための少なくとも第二の液体貯蔵部であって、前記第二の液体貯蔵部が出口を含む、少なくとも第二の液体貯蔵部と、
- 前記第二のエアロゾル形成液体を前記第二の液体貯蔵部から前記出口を通って前記第二の液体貯蔵部の外側の領域に送達するための第二のフィラメント束を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも第二の液体搬送サセプタ組立品と、をさらに含む、請求項13に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
誘導加熱エアロゾル発生装置および前記エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品を含む、エアロゾル発生システムであって、前記物品が、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品を備え、前記装置が、前記物品の前記少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品の加熱セクション、特に前記物品が前記装置で使用中であるとき、前記フィラメント束の加熱セクションにおいて、交番磁界を生成するように構成され、配置される、少なくとも一つの誘導源を備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための、液体搬送サセプタ組立品に関する。本発明はさらに、それぞれがそのようなサセプタ組立品を含む、誘導加熱組立品およびエアロゾル発生物品に関する。本発明はさらに、誘導加熱エアロゾル発生装置および装置で使用するためのエアロゾル発生物品を含むエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成液体を加熱することによって吸入可能なエアロゾルを発生することは、先行技術から一般的に知られている。このために、液体エアロゾル形成基体は、芯要素によって液体貯蔵部から貯蔵部の外側の領域の中へと搬送されてもよく、ここで液体エアロゾル形成基体はヒーターによって気化され、そして空気経路へと曝露されてその後エアロゾルとして引き出されてもよい。ヒーターは誘導ヒーターであってもよい。具体的には、芯要素は、サセプタ材料を含む誘導加熱可能な芯要素であってもよく、そしてそれ故に、吸い出す機能と加熱する機能との両方を実施する能力を有する。よって、交番磁界に曝露される時、その磁気的特性および電気的特性に依存して、芯要素内に誘発される渦電流または磁気的ヒステリシス損失のうちの少なくとも一つに起因して、芯要素は加熱される。その結果、こうした芯要素はまた、液体搬送サセプタまたはサセプタ組立品としても考えられる場合がある。
【0003】
メッシュ構成など、芯要素の様々な構成がある。しかしながら、これらの構成の多くは複雑であり、それ故に製造に手間がかかる。
【0004】
したがって、先行技術の解決策の利点を有する一方で、先行技術の制限を軽減する、液体搬送サセプタ組立品、誘導加熱組立品、エアロゾル発生物品、およびエアロゾル発生システムを有することが望ましいことになる。特に、液体搬送サセプタ組立品、誘導加熱組立品、エアロゾル発生物品、および製造が容易かつ安価である液体搬送サセプタを含むエアロゾル発生システムを有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様によると、交番磁界の影響下で、エアロゾル形成液体を搬送し、かつ誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品が提供される。サセプタ組立品は、フィラメント束を含み、フィラメント束は、第一のサセプタ材料を含む少なくとも複数の第一のフィラメントを含む。フィラメント束の少なくとも平行束部分に沿って、複数の第一のフィラメントが互いに平行に配置される。
【0006】
本発明によれば、その長さ延長部の少なくとも一部に沿って平行束部分を有するフィラメント束を含むサセプタ組立品は、特にメッシュ構成などのより複雑なサセプタ組立品構成と比較して、製造が容易かつ安価であり得ることが見出された。基本的に、このようなサセプタ組立品は、フィラメント束に少なくとも部分的に平行な順序で配置された複数の個々のフィラメントを束ね、フィラメント束を所望の長さに切断することによって製造され得る。
【0007】
本明細書で使用される場合、「平行」という用語は、最大で5度だけの、特に最大で2度だけの、好ましくは最大で1度の、より好ましくは最大で0.5度だけの、完全な平行配設からの小さい逸脱を含む、実質的に平行な配設を指す。すなわち、平行束部分では、フィラメントは互いに最大で5度、特に最大で2度、好ましくは最大で1度、より好ましくは最大で0.5度分岐してもよい。
【0008】
フィラメントは、本質的に毛細管作用を提供するので、液体の搬送に特に適合する。さらに、フィラメント束では、結束された時に複数のフィラメント間に形成された狭い空間に起因して、毛細管作用がさらに強化される。特に、フィラメント間の狭い空間は、その部分に沿って変化しないため、これは、フィラメント束の平行束部分に適用され、それに沿って毛細管作用は一定である。したがって、平行束部分は、液体貯蔵部から貯蔵部の外側の領域にエアロゾル形成液体を灯すために、液体貯蔵部内に少なくとも部分的に浸漬されることに特に適している。ここで、搬送された液体は、気化され、空気経路に曝露されて、エアロゾルとして引き出され得る。
【0009】
フィラメント束は、非ストランド状のフィラメント束であることが好ましい。撚られていないフィラメント束では、フィラメント束のフィラメントは、相互に交差することなく、好ましくはフィラメント束の全長の延長に沿って、相互に隣接して延びる。特に、平行束部分では、フィラメントは互いに交差することなく平行に実行される。同様に、フィラメント束は、フィラメント束のフィラメントがストランド化されているストランド状部分を含み得る。ストランド状部分は、フィラメント束の機械的安定性を強化し得る。
【0010】
複数の第一のフィラメントは、固体材料フィラメントであることが好ましい。固体材料フィラメントは安価で、かつ製造が簡単である。さらに、固体材料フィラメントは、良好な機械的安定性を提供し、それ故にフィラメント束を頑丈にする。
【0011】
同じ理由から、複数の第一のフィラメントは、単一等級材料フィラメントであることが好ましい。その結果、複数の第一のフィラメントは、第一のサセプタ材料で作製されることが好ましい。
【0012】
第一のフィラメントが第一のサセプタ材料を含むか、または第一のサセプタ材料から作製されているため、フィラメント束は、エアロゾル形成液体の搬送および加熱の両方の機能を実行することができる。有利なことに、この二重の機能は、搬送および加熱のための別個の手段を有しないで、非常に材料を節約し、かつコンパクトなサセプタ組立品の設計を可能にする。加えて、熱源、すなわちフィラメントとフィラメントに付着するエアロゾル形成液体との間に直接的な熱接触がある。飽和した芯と接触するヒーターの場合とは異なり、フィラメントと少量の液体との間の直接的な接触は、有利なことに、フラッシュ加熱、すなわち、蒸発の迅速な開始を可能にする。
【0013】
本明細書で使用される場合、「サセプタ材料」という用語は、交番磁界に供された時に電磁エネルギーを熱へと変換する能力を有する材料を指す。これは、その電気的特性および磁性に応じてサセプタ材料内で誘発されるヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つの結果であり得る。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ材料の中で生じる。渦電流は、導電性サセプタ材料内に誘発される。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタ材料である場合、渦電流およびヒステリシス損失の両方によって熱が発生する。
【0014】
その結果、第一のサセプタ材料は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度へと誘導加熱されることができる任意の材料から形成されてもよい。したがって、第一のサセプタ材料は、それぞれ導電性および強磁性またはフェリ磁性のうちの少なくとも一つである材料を含んでもよく、またはそれから作製されてもよい。すなわち、第一のサセプタ材料は、フェリ磁性材料、強磁性材料、または導電性材料、または導電性フェリ磁性材料もしくは導電性強磁性材料のうちの一つを含み得るか、またはそれらで作製され得る。
【0015】
例えば、第一のサセプタ材料は、フェライト、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、青銅、コバルト、ニッケル合金、普通の炭素鋼、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、強磁性ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、またはオーステナイト系ステンレス鋼のうちの一つを含んでもよく、またはそれから作製されてもよい。
【0016】
吸い出す作用または毛細管作用は、一般的に、二つの別個の表面、液体表面、およびフィラメントの固体表面の表面エネルギーの低減に依存する。吸い出す作用または毛細管作用は、液体表面およびフィラメントの両方の曲率半径に依存する効果を含む。よって、大きい表面積および小さい曲率半径に対するニーズがある場合があり、それらの両方とも、フィラメントの小さい直径およびフィラメント束のブラシ様の性質によって達成される。フィラメントの曲率半径は、液体がフィラメントを湿らせる際に重要である。
【0017】
したがって、複数の第一のフィラメントは、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルの直径を有してもよい。
【0018】
逆に、第一のフィラメントの直径は、いわゆる表皮厚さに関連するある特定の最小値を有することが好ましい。表皮深さは、誘導加熱された時に導電性サセプタ材料内で電気伝導がどの程度遠くまで起こるかの尺度である。DC電流とは異なり、AC電流は主に、導体の外表面と表皮厚さと呼ばれるレベルとの間の導電体の「表皮」を流れる。AC電流密度は、導体の表面の近くで最も大きく、導体における深さが大きくなると共に減少する。この現象は、基本的には交番磁界によって誘発される対向する渦電流に起因する表皮効果として知られている。複数の第一のフィラメントは、十分な量の渦電流を誘発し、そしてそれ故に十分な量の熱エネルギーを生成するために、表皮厚さの少なくとも二倍の直径を有することが好ましい。
【0019】
一般に、表皮厚さは、サセプタ材料の透過性および導電性だけでなく、AC駆動電流の周波数、または交番磁界の周波数のそれぞれの関数である。サセプタ組立品は、高周波の交番磁界で動作されることが好ましい。本明細書に参照されるように、高周波電磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内であり得る。
【0020】
使用される材料および交番磁界の周波数に依存して、複数の第一のフィラメントは、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有してもよい。
【0021】
一般に、複数の第一のフィラメントは、結束された時にエアロゾル形成液体を搬送するのに適する任意の断面形状を有してもよい。その結果、複数の第一のフィラメントのうちの少なくとも一つ、具体的には複数の第一のフィラメントの一つずつは、円形、長円形、楕円形、三角形、長方形、四辺形、六角形、または多角形の断面を有してもよい。すべての第一のフィラメントは、同じ断面を有することが好ましい。複数の第一のフィラメントのうちの一つ以上のフィラメントが、複数の第一のフィラメントのうちの一つ以上の他のフィラメントの断面とは異なる断面を有することも可能である。複数の第一のフィラメントは、円形、長円形、または楕円形の断面を有することが好ましい。有利なことに、後者の断面形状は、フィラメント束内のフィラメントが相互に線接触するのみであり、面積接触ではないことを確実にする。線の接触に起因して、複数のフィラメントの間にそれ自体の上に狭い空間が形成され、これはエアロゾル形成液体を搬送するために必要とされる毛細管作用を促進する。
【0022】
複数の第一のフィラメントは、表面処理されてもよい。具体的には、複数の第一のフィラメントは、少なくとも部分的に表面コーティング、例えば、エアロゾル化強化表面コーティング、液体接着表面コーティング、撥液表面コーティング、または抗菌表面コーティングを備えてもよい。エアロゾル化強化表面コーティングは、有利なことに、様々なユーザーの体験を高める場合がある。液体接着剤表面コーティングは、フィラメント束の毛細管作用の強化に関して有益であり得る。抗菌表面コーティングは、細菌汚染を低減するように機能し得る。特にフィラメントの先端における撥液コーティングは、液体が滴るのを回避する場合がある。
【0023】
利用可能な空間、フィラメントの寸法、および搬送および加熱されるエアロゾル形成液体の量に依存して、フィラメント束中の複数の第一のフィラメントは、3~100本の第一のフィラメント、具体的には10~80本の第一のフィラメント、好ましくは20~60本の第一のフィラメント、より好ましくは30~50本の第一のフィラメント、例えば40本の第一のフィラメントを備えてもよい。
【0024】
複数の第一のフィラメントに加えて、フィラメント束は、第二のサセプタ材料を含む複数の第二のフィラメントをさらに含み得、フィラメント束の少なくとも平行束部分に沿って、複数の第二のフィラメントは、互いに対して、および複数の第一のフィラメントに対して平行に配置される。複数の第一のフィラメントの第一のサセプタ材料は、熱損失つまり加熱効率について最適化し得る一方で、第二のサセプタ材料は温度マーカーとして有利に使用してもよい。このため、第二のサセプタ材料は、フェリ磁性材料または強磁性材料のうちの一つを含むことが好ましい。特に、第二のサセプタ材料は、サセプタ組立品の所定の加熱温度に対応するキュリー温度を有するように選ばれ得る。そのキュリー温度にて、第二のサセプタ材料の磁性は強磁性またはフェリ磁性から常磁性に変化し、その電気抵抗の一時的な変化が伴う。それゆえに、誘導源によって吸収された電流の対応する変化を監視することによって、第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達した時に、およびそれゆえに、所定の加熱温度に達した時に、その変化を検知することができる。
【0025】
第一のサセプタ材料は、第二のサセプタ材料とは異なることが好ましい。
【0026】
第二のサセプタ材料は、摂氏500度より低いキュリー温度を有することが好ましい。特に、第二のサセプタ材料は、摂氏350度を下回る、好ましくは摂氏300度を下回る、より好ましくは摂氏250度を下回る、さらにより好ましくは摂氏200度を下回る、最も好ましくは摂氏150度を下回るキュリー温度を有してもよい。キュリー温度は、エアロゾル内に有害な成分が発生するのを防止するために、気化されるエアロゾル形成液体の沸点を下回るように選ばれることが好ましい。
【0027】
第二のサセプタ材料のために好適な材料は、ニッケルおよびある特定のニッケル合金を含んでもよい。同様に、第二のサセプタ材料は、ミューメタルまたはパーマロイのうちの一つを含み得る。特に、第二のサセプタ材料は、少なくとも80または少なくとも100、より具体的には、少なくとも1000、好ましくは、50kHzまでの周波数に対して少なくとも10000、および摂氏25度の温度の相対的最大透磁率を有してもよい。
【0028】
それとは別に、複数の第二のフィラメントは、複数の第一のフィラメントに関して前述したものと同じまたは類似の特性を有してもよい。
【0029】
したがって、複数の第二のフィラメントは、固体材料フィラメントであってもよい。さらに、複数の第二のフィラメントは、シングルグレードの材料フィラメントであってもよい。特に、複数の第二のフィラメントは、第二のサセプタ材料から作製されてもよい。
【0030】
同様に、複数の第二のフィラメントは、表面処理されてもよい。特に、複数の第二のフィラメントは、表面コーティング、例えば、エアロゾル化強化表面コーティング、液体接着表面コーティング、撥液表面コーティング、または抗菌表面コーティングを含み得る。
【0031】
さらに、複数の第二のフィラメントのうちの少なくとも一つ、具体的には複数の第二のフィラメントの各々は、円形、長円形、楕円形、三角形、長方形、四辺形、六角形、または多角形の断面を有してもよい。
【0032】
複数の第一のフィラメントに関して上で論じたのと同じ理由から、複数の第二のフィラメントは、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有し得る。同様に、複数の第二のフィラメントは、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルの直径を有し得る。
【0033】
一般に、複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントは、同じ直径を有してもよい。結果として、毛細管作用およびせん断速度は、フィラメント束全体にわたって均一である。逆もまた、複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントが、異なる直径を有することも可能である。異なるフィラメント直径を使用して、フィラメント束全体にわたって毛細管作用を変化させることができる。
【0034】
フィラメント束内の複数の第二のフィラメントは、1~100個の第二のフィラメント、特に10~80個の第二のフィラメント、好ましくは20~60個の第二のフィラメント、より好ましくは30~50個の第二のフィラメント、例えば40個の第二のフィラメントを含み得る。
【0035】
一般に、第一のフィラメントの数は、第二のフィラメントの数と同じであってもよい。しかしながら、第一のフィラメントの数が第二のフィラメントの数とは異なることも可能である。特に、第一のフィラメントの数は、第二のフィラメントの数よりも、例えば二倍または三倍または四倍または五倍または六倍または七倍または八倍または九倍または十倍大きくてもよい。これは、第二のフィラメントが、少数の第二のフィラメントで十分である温度メーカーとして使用される場合に当てはまる。
【0036】
フィラメント束内のフィラメントの総数は、3~100本の範囲内のフィラメント、特に10~80本のフィラメント、好ましくは20~60本のフィラメント、より好ましくは30~50本のフィラメント、例えば40本のフィラメントであってもよい。
【0037】
複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントは、フィラメント束全体を通して実質的に均等に配分されてもよい。均一な分布は、フィラメント束全体にわたって均一な毛細管作用を支持し得る。あるいは、複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントが、フィラメント束全体にわたって不均等に分布していることも可能である。例えば、複数の第二のフィラメントは、複数の第一のフィラメントによって囲まれたフィラメント束の中心部分内に(のみ)配置されてもよい。すなわち、複数の第二のフィラメントは、フィラメント束のコア部分を形成してもよく、複数の第一のフィラメントは、コア部分を囲むフィラメント束のスリーブ部分を形成する。こうした構成は、フィラメント束の搬送および加熱機能が、複数の第一のフィラメントによって主に提供される場合、有利であり得るが、複数の第二のフィラメントは、温度マーカーとしてのみ機能する。逆に、複数の第一のフィラメントは、複数の第二のフィラメントによって囲まれたフィラメント束の中心部分内に(のみ)配置されてもよい。すなわち、複数の第一のフィラメントは、フィラメント束のコア部分を形成してもよく、複数の第二のフィラメントは、コア部分を囲むフィラメント束のスリーブ部分を形成してもよい。同様に、複数の第一のフィラメントは、第一の部分、特にフィラメント束の前半に配置されてもよく、一方で、複数の第二のフィラメントは、第二の部分、特に、第一の部分、特に前半と横方向に隣接するフィラメント束の後半に配置されてもよい。このような構成は、特に製造が容易である。別の方法として、複数の第二のフィラメントは、フィラメント束全体にわたってランダムに分布されてもよい。さらに、複数の第二のフィラメントは、複数の第一のフィラメントの長さとは異なる長さを有し得ることが可能である。特に、複数の第二のフィラメントの長さは、複数の第一のフィラメントの長さよりも短くてもよい。逆に、複数の第二のフィラメントの長さは、複数の第一のフィラメントの長さよりも大きい場合がある。
【0038】
平行束部分では、隣接する第一のフィラメントと、存在する場合、第二のフィラメントとの間の平均中心間距離は、最大0.025ミリメートル、最大0.05ミリメートル、最大0.1ミリメートル、最大0.15ミリメートル、最大0.2ミリメートル、最大0.25ミリメートル、最大0.3ミリメートル、最大0.35ミリメートル、最大0.4ミリメートル、最大0.45ミリメートル、または最大0.5ミリメートルである。中心間距離のこれらの値は、十分な毛細管作用を確実にするために特に適切である。
【0039】
上述のように、フィラメント束の一つのセクションは、液体貯蔵部に浸漬されるように構成されてもよい。このセクションは、浸漬セクションとして示されてもよく、フィラメント束の一方の端部に配置されてもよい。そこから、エアロゾル形成液体は、特にフィラメント束の他方の端部で、貯蔵部の外側に配置されたフィラメント束の別のセクションに搬送される。ここで、搬送された液体は、誘導加熱によって気化され、エアロゾルとして引き出される空気経路に曝露されてもよい。したがって、このセクションは加熱セクションとして示されてもよい。使用中、加熱セクションは、エアロゾル形成液体を気化させるのに十分な温度まで加熱されるが、浸漬セクションは、液体貯蔵部内のエアロゾル形成液体の煮沸を避けるために、気化温度よりもかなり低い温度にとどまることが好ましい。よって、使用時に、フィラメント束は、より高温およびより低温のセクションを有する、その長さ延長に沿った温度プロファイルを備える。特に、フィラメント束は、浸漬セクションから加熱セクションへの温度上昇、特に気化温度を下回る温度からそれぞれの気化温度を超える温度までを示す温度プロファイルを含み得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「加熱セクション」という用語は、エアロゾル形成液体を気化するために誘導加熱するために交番磁界に曝露されるように構成されたサセプタ組立品のセクションを意味する。同様に、「浸漬セクション」という用語は、液体貯蔵部に浸されるように構成されたサセプタ組立品のセクションを意味する。
【0041】
実際にサセプタ組立品を使用して形成する温度プロファイルは、特に、熱伝導率およびフィラメント束の長さに依存する。浸漬セクションとフィラメント束の加熱セクションとの間の十分な温度勾配は、浸漬セクションと加熱セクションとの間の特定の距離を必要とする。したがって、フィラメント束の特定の全長は、浸漬セクションの温度を気化温度より低くする必要がある。
【0042】
したがって、フィラメント束の全長は、5ミリメートル~50ミリメートル、特に10ミリメートル~40ミリメートル、好ましくは10ミリメートル~30ミリメートル、より好ましくは10ミリメートル~20ミリメートルの範囲内であってもよい。
【0043】
フィラメント束は、フィラメント束の少なくとも一つの端部の扇状に広がった部分をさらに備えてもよく、その中に複数の第一のフィラメントがあり、存在する場合には、複数の第二のフィラメントが互いから分岐する。こうした扇状に広がった部分は、気化エアロゾル形成液体の空気経路への曝露を容易にし、それゆえエアロゾルの形成を容易にするのに有益であると証明され得る。フィラメント束は、二つの扇状に広がった部分、フィラメント束の各端部に一つずつを含み得ることが可能である。
【0044】
少なくとも一つの端部では、フィラメント束は、フィラメントの長さが束の中心から外側部分まで徐々に減少する先細り部分をさらに含み得る。先細り部分は、鋭利な鉛筆のような形状を有してもよい。先細り部分は、例えば、フィラメント束の少なくとも一つの端部でフィラメントをある角度で切断することによって達成され得る。先細り部分の先端形状は、気化エアロゾル形成液体を運ぶのに役立つ場合がある。さらに、先細り部分は、先細り部分の外部気流を先端形状と整列させることによって、ベルヌウルリ原理による圧力降下を生じるように、液体の搬送に積極的に寄与し得る。
【0045】
フィラメント束の加熱セクションは、少なくとも部分的に扇形に広がる部分に位置し、特に少なくとも部分的に扇形に広がる部分と重なることが好ましい。
【0046】
扇形に広がる部分は、フィラメント束の全長の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、または30パーセントの長さを有してもよい。逆に、扇形に広がる部分は、フィラメント束の全長の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、または50パーセントの長さを有してもよい。
【0047】
同様に、平行束部分は、フィラメント束の全長の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、または80パーセントの長さを有してもよい。反対に、平行束部分は、フィラメント束の全長の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント、90パーセント、または100パーセントの長さを有してもよい。後者の場合、平行束部分がフィラメント束の全長の100パーセントの長さを有する場合、平行束部分はフィラメント束に沿って全体的に延在する。したがって、この構成では、フィラメント束は扇状に広がる部分を含まない。
【0048】
フィラメント束の浸漬セクションは、少なくとも部分的に平行束部分に位置し、特に少なくとも部分的に平行束部分と重複することが好ましい。
【0049】
平行束部分は、フィラメント束の一つの端部に少なくとも部分的に位置してもよい。この構成では、平行束部分は、フィラメント束の一つの端で浸漬セクションを実現するために利用され得る。
【0050】
あるいは、平行束部分は、フィラメント束の二つの端の間、例えば、二つの扇状に広がった部分の間に位置してもよい。特に、平行束部分は、フィラメント束の二つの端の間、例えば、二つの扇状に広がる部分の間など、対称的に位置してもよい。この構成では、フィラメント束は、二つの扇状に広がる部分、フィラメント束の各端部に一つを有してもよい。特に、この構成は、フィラメント束の各端部を有する、二つの加熱セクションまたは二つの浸漬セクションのいずれかを実現するために利用され得る。別の方法として、この構成では、一方の端部は浸漬セクションを実現してもよく、他方の端部は加熱セクションを実現してもよい。平行束部分は、特にこれらのセクションのいずれかの間に対称的に配置され得る。
【0051】
フィラメントを平行な構成に一緒に維持するために、平行束部分の少なくとも一部は、フェルールまたはブッシングまたはハーネスによって束ねられてもよい。フェルールまたはブッシングまたはハーネスは、シース部材を備えてもよい。例えば、ブッシングは、液体貯蔵部を気化ゾーンから分離する分離壁であってもよい。同様に、平行束部分の少なくとも一部は、ガスケットまたはOリングによって束ねられてもよい。フィラメントは、圧着またはオーバーモールドによって、すなわち、圧着部材またはオーバーモールド部材によって一緒に保持されてもよい。フィラメントは、フィラメント束の一端、好ましくは浸漬セクションの端部でそれらを一緒に溶接することによって一緒に保持されることもできる。この構成では、毛細管作用は、フィラメント束の非溶接部分に沿って依然として発生する。
【0052】
概して、フィラメント束は、線形フィラメント束、すなわち、実質的に真っ直ぐな、非湾曲または非屈曲フィラメント束であってもよい。この構成は、フィラメント束のわずかな屈曲、すなわち、フィラメント束の長さ延長部に沿った大きな曲率半径を除外するものではない。使用される場合、大きい曲率半径としては、フィラメント束の全長より10倍、特に20倍もしくは50倍、または特定の100倍大きい曲率半径が挙げられる場合がある。
【0053】
別の方法として、フィラメント束は、湾曲したフィラメント束であってもよく、すなわち、フィラメント束は、その長さ延長部に沿って湾曲していてもよい。この構成では、フィラメント束は、フィラメント束の全長の0.5/Pi倍~10倍、特に1/Pi倍~5倍、または2/Pi倍、および2倍の範囲の曲率半径を有し得る。ここで、πはアルキメデスの定数、すなわち円の直径に対する円周の比を意味する。
【0054】
一般に、フィラメント束の長さ延長部に垂直な断面に見られるように、フィラメント束は任意の断面形状を有してもよい。特に、フィラメント束は、少なくとも平行束部分に沿って、円形、楕円、および楕円、三角形、長方形、四方形、六角形または多角形断面を有してもよい。特に、円形の断面は実現が容易である。少なくとも平行束部分に沿った断面形状は、フィラメントを束ねるために使用される、フェルールまたはブッシングまたはハーネスの対応する開口によって容易に実現され得る。
【0055】
本発明の別の態様によると、エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための誘導加熱組立品が提供される。加熱組立品は、本発明による、また本明細書に記述されるような少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品を備える。加熱組立品は、少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品の加熱セクション、具体的にはフィラメント束の加熱セクションにおいて、交番磁界を生成するように構成および配設された少なくとも一つの誘導源をさらに備える。
【0056】
交番磁界を生成するために、誘導源は、少なくとも一つのインダクタ、好ましくは少なくとも一つの誘導コイルを備えてもよい。誘導コイルは、少なくとも液体搬送サセプタ組立品の加熱セクションの周囲に、具体的にはフィラメント束の少なくとも加熱セクションの周囲に配設されることが好ましい。
【0057】
少なくとも一つの誘導コイルは、らせん状コイルまたはフラット平面状コイル、特にパンケーキコイルまたは湾曲した平面状コイルであり得る。平坦なスパイラルコイルの使用は、頑丈でかつ製造が安価なコンパクトな設計を可能にする。らせん状誘導コイルの使用は有利なことに、均質な交番磁界を発生することを可能にする。「フラットスパイラルコイル」は本明細書で使用される時、一般的に平面のコイルで、コイルの巻線の軸がコイルのある表面に対して垂直であるコイルを意味する。フラットスパイラル誘導はコイルの平面内で任意の所望の形状を有することができる。例えば、フラットスパイラルコイルは円形の形状を有してもよく、または概して楕円形もしくは長方形の形状を有してもよい。しかしながら、本明細書で使用される「フラットスパイラルコイル」という用語は、平面状のコイルと、曲面に適合するように成形されたフラットスパイラルコイルとの両方を網羅する。例えば、誘導コイルは、好ましくは円筒状のコイル支持体(例えば、フェライトコア)の周囲に配設された「湾曲した」平面状コイルであってもよい。さらに、フラットスパイラルコイルは、例えば四回巻きフラットスパイラルコイルの二層、または四回巻きフラットスパイラルコイルの単層を備えてもよい。
【0058】
少なくとも一つの誘導コイルは、加熱組立品のハウジング、または加熱組立品を備えるエアロゾル発生装置の主本体またはハウジングのうちの一つの中に保持されてもよい。
【0059】
サセプタ組立品に関してさらに上述したように、液体搬送サセプタ組立品の加熱セクション、特にフィラメント束の加熱セクションは、フィラメント束の一つの端部に位置し得る。この構成は、フィラメント束がその対向する端部に浸漬セクションを備える場合、有利には、エアロゾル形成液体の沸騰を防止し得る。
【0060】
加熱セクションの長さは、所望の量のエアロゾルを発生するように選ばれてもよい。加熱セクションが短いほど、気化するエアロゾル形成液体はより少なく、そしてそれ故に発生するエアロゾルはより少ない。したがって、フィラメント束の加熱セクションは、フィラメント束の全長の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、または80パーセントの長さを有してもよい。同様に、フィラメント束の加熱セクションは、フィラメント束の全長の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント、90パーセント、または100パーセントの長さを有してもよい。
【0061】
フィラメント束は、加熱組立品の使用時に誘導源によって生成される交番磁界の対称軸に関して、中心から外れて配置されてもよい。有利には、中心外配置、すなわち非対称配置のため、フィラメント束は、対称中心配置と比較して、より高い電界密度を有する交番磁界の領域に配置される。結果として、有利なことに加熱効率が高められる。
【0062】
誘導源は交流(AC)発電機を備えてもよい。AC発電機はエアロゾル発生装置の電源によって電力供給されてもよい。AC発電機は少なくとも一つの誘導コイルに動作可能に結合される。特に、少なくとも一つの誘導コイルは、AC発電機の一体型の部分であってもよい。AC発生器は、交番磁界を発生させるために少なくとも一つの誘導コイルを通過する高周波振動電流を発生するように構成される。AC電流はシステムの起動後、少なくとも一つの誘導コイルに連続的に供給されてもよく、または、例えば、毎回の吸煙ごとに断続的に供給されてもよい。
【0063】
誘導源は、LCネットワークを含むDC電源に接続されたDC/ACコンバータを備え、LCネットワークはコンデンサおよびインダクタの直列接続を備えることが好ましい。
【0064】
誘導源は高周波磁場を発生するように構成されていることが好ましい。本明細書において参照される通り、高周波磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内であり得る。
【0065】
加熱組立品は、加熱組立品の動作を制御するように構成されたコントローラをさらに備えてもよい。具体的には、コントローラは、エアロゾル形成液体の所定の動作温度への加熱を制御するために、好ましくは閉ループ構成にある、誘導源の動作を制御するように構成されてもよい。エアロゾル形成液体を加熱するために使用される動作温度は、摂氏100度~摂氏300度の範囲内、特に、摂氏150度~摂氏250度、例えば、摂氏230度であってもよい。これらの温度は、エアロゾル形成基体を加熱するが燃焼させないための典型的な動作温度である。
【0066】
コントローラは、マイクロプロセッサ、例えばプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路を備えてもよい。コントローラは、少なくとも一つのDC/ACインバータ、および/または電力増幅器(例えば、クラスC電力増幅器、もしくはクラスD電力増幅器、もしくはクラスE電力増幅器)などの、さらなる電子構成要素を備えてもよい。特に、誘導源はコントローラの一部であってもよい。
【0067】
コントローラは、本発明による加熱組立品がその一部である、エアロゾル発生装置の全体的コントローラであってもよく、またはその技術であってもよい。
【0068】
加熱組立品は、電源、特に、誘導源にDC供給電圧およびDC供給電流を提供するように構成されたDC電源を備え得る。電源はリン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とし得る、すなわち、電源は充電可能であり得る。電源は、一回または複数回のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または誘導源の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。電源は、本発明による加熱組立品がその一部である、エアロゾル発生装置の全体的な電源であってもよい。
【0069】
加熱組立品は、誘導コイルの少なくとも一部の周りに配置され、加熱組立品の使用において、少なくとも一つの誘導源の交番磁界をフィラメント束に向かって、特にフィラメント束の加熱セクションに向かって歪めるように構成される、流束濃縮器をさらに備えてもよい。磁束コンセントレータは、磁束コンセントレータ箔、特に、多層磁束コンセントレータ箔を含むことが好ましい。
【0070】
本発明による加熱組立品のさらなる特徴および利点は、本発明の、そしてそれ故に等しく適用するサセプタ組立品に関してすでに記述してきた。
【0071】
本発明によると、誘導加熱エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品も提供される。物品は、第一のエアロゾル形成液体を貯蔵するための少なくとも第一の液体貯蔵部を備え、第一の液体貯蔵部は出口を備える。物品は、本発明による、および本明細書に記述される、少なくとも第一の液体搬送サセプタ組立品をさらに含む。第一の液体搬送サセプタ組立品は、第一のエアロゾル形成液体を第一の液体貯蔵部から出口を通って第一の液体貯蔵部の外側の領域に送達するための第一のフィラメント束を含む。
【0072】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生物品」という用語は、誘導加熱エアロゾル発生装置、具体的には単回使用後に処分される消耗品とともに使用するための消耗品を指す。例えば、物品は、誘導加熱エアロゾル発生装置の中へと挿入されるカートリッジであってもよい。エアロゾル発生物品は、燃焼されるのではなく加熱されることが意図され、そして加熱された時にエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する、少なくとも第一のエアロゾル形成液体を含むことが好ましい。
【0073】
好ましくは、第一のフィラメント束は、第一の液体貯蔵部内に配置された少なくとも一つの浸漬セクションを含む。
【0074】
浸漬セクションの長さは、有利なことに、浸漬され、かつ液体貯蔵部から搬送されるエアロゾル形成液体の量を制御するために使用されてもよい。したがって、第一のフィラメント束の少なくとも一つの浸漬セクションは、第一の束の全長の最大10パーセント、最大20パーセント、最大30パーセント、最大40パーセント、最大50パーセント、または最大60パーセントの長さを有してもよい。逆に、第一のフィラメント束の少なくとも一つの浸漬セクションは、第一のフィラメント束の全長の少なくとも10パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも50パーセント、または少なくとも60パーセントの長さを有してもよい。特に、第一のフィラメント束の少なくとも一つの浸漬セクションは、第一のフィラメント束の全長の10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、または60パーセントの長さを有してもよい。
【0075】
サセプタ組立品に関してさらに上述したように、第一のフィラメント束の浸漬セクションは、第一のフィラメント束の一つの端部に位置し得る。この構成では、第一のフィラメント束は、第一のフィラメント束の反対側の端部に加熱セクションを備えてもよい。
【0076】
同様に、第一のフィラメント束の浸漬セクションは、第一のフィラメント束の二つの端の間に位置してもよい。この構成では、フィラメント束の両端部を加熱セクションとして使用してもよい。例えば、第一のフィラメント束は、特にU字形状、V字形状、またはC字形状で湾曲してもよく、浸漬セクションは、U字形状、V字形状、またはC字形状のフィラメント束の基部を少なくとも部分的に形成する。
【0077】
また、第一のフィラメント束は、二つの浸漬セクションを含み、それぞれが第一の液体貯蔵部内に配置されることも可能である。好ましくは、二つの浸漬セクションは、第一のフィラメント束の端部、各端に一つずつ配置されてもよい。この構成では、第一のフィラメント束はまた、特にU字形状、V字形状またはC字形状で湾曲してもよく、二つの浸漬のそれぞれは、U字形状、V字形状またはC字形状の第一のフィラメント束のアームを少なくとも部分的に形成する。
【0078】
エアロゾル発生物品は、第二のエアロゾル形成液体を貯蔵するための少なくとも第二の液体貯蔵部をさらに備えてもよく、第二の液体貯蔵部が出口を備える。さらに、エアロゾル発生物品は、本発明による、および本明細書に記載の少なくとも第二の液体搬送サセプタ組立品を含んでもよく、第二の液体搬送サセプタ組立品は、第二のエアロゾル形成液体を第二の液体貯蔵部から出口を通って第二の液体貯蔵部の外側の領域に送達するための第二のフィラメント束を含む。複数の液体貯蔵部を有することは、風味、体験期間およびエアロゾル組成物のうちの少なくとも一つに関して、ユーザーの体験の多様性を高めるために使用され得る。
【0079】
第二のフィラメント束に関して前述したように、第二のフィラメント束はまた、第二の液体貯蔵部内に配置される少なくとも一つの浸漬セクションを含んでもよい。また、第二のフィラメント束の少なくとも一つの浸漬セクションは、第二のフィラメント束の全長の最大10パーセント、最大20パーセント、最大30パーセント、最大40パーセント、最大50パーセント、または最大60パーセントの長さを有してもよい。逆に、第二のフィラメント束の少なくとも一つの浸漬セクションは、第二のフィラメント束の全長の少なくとも10パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも50パーセント、または少なくとも60パーセントの長さを有してもよい。特に、第二のフィラメント束の少なくとも一つの浸漬セクションは、第二のフィラメント束の全長の10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、または60パーセントの長さを有してもよい。
【0080】
第一のフィラメント束に関してさらに前述したように、第二のフィラメント束の浸漬セクションは、第二のフィラメント束の一つの端部に位置し得る。この構成では、第二のフィラメント束は、第一のフィラメント束の反対側の端部に加熱セクションを備えてもよい。
【0081】
同様に、第二のフィラメント束の浸漬セクションは、第二のフィラメント束の二つの端の間に位置してもよい。したがって、第二のフィラメント束は、特にU字形状、V字形状またはC字形状で湾曲してもよく、浸漬セクションは、U字形状、V字形状またはC字形状のフィラメント束の基部を少なくとも部分的に形成する。
【0082】
第二のフィラメント束は、二つの浸漬セクションを備え、それぞれが第二の液体貯蔵部内に配置されることも可能である。好ましくは、二つの浸漬セクションは、第二のフィラメント束の端部、各端に一つずつ配置されてもよい。この構成では、第二のフィラメント束はまた、特にU字形状、V字形状またはC字形状で湾曲してもよく、二つの浸漬のそれぞれは、U字形状、V字形状またはC字形状の第二のフィラメント束のアームを少なくとも部分的に形成する。
【0083】
エアロゾル発生物品は、単回使用のエアロゾル発生物品でも、または複数回使用のエアロゾル発生物品であってもよい。後者の場合、エアロゾル発生物品は再充填可能であってもよい。すなわち、第一の貯蔵部、および存在する場合、第二の貯蔵部はそれぞれ、第一のエアロゾル形成液体および第二のエアロゾル形成液体で再充填可能であってもよい。任意の構成では、エアロゾル発生物品は、第一の液体貯蔵部内に含まれる第一のエアロゾル形成液体をさらに含み得る。同様に、エアロゾル発生物品は、第二の液体貯蔵部に含まれる第二のエアロゾル形成液体をさらに備えてもよい。
【0084】
ユーザーの体験の多様性を高めるために、第一のエアロゾル形成液体は、第二のエアロゾル形成液体とは異なってもよい。一例として、第一のエアロゾル形成液体は、水性エアロゾル形成液体であってもよく、また第二のエアロゾル形成液体は、油性エアロゾル形成液体であってもよい。また、第一のエアロゾル形成液体と第二のエアロゾル形成液体とが同じであることも可能である。この構成では、第一のエアロゾル形成液体および第二のエアロゾル形成液体は、単一のエアロゾル発生物品に関するユーザーの体験を拡張するために、順次気化させてもよい。
【0085】
本明細書で使用される「エアロゾル形成液体」という用語は、エアロゾル形成液体の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する液体に関する。エアロゾル形成液体は、固体のエアロゾル形成材料または構成要素と、液体のエアロゾル形成材料または構成要素との両方を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成液体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成液体はまた、その他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)も含んでもよい。特に、エアロゾル形成液体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、水性エアロゾル形成液体、または油性エアロゾル形成液体であってもよい。
【0086】
加えて、物品はマウスピースを備えてもよい。本明細書で使用される場合、「マウスピース」という用語は、物品からエアロゾルを直接吸い込むために、ユーザーの口に入れられる物品の一部分を意味する。マウスピースはフィルターを含むことが好ましい。フィルターは、エアロゾルの望ましくない構成成分を濾別するために使用されてもよい。フィルターはまた、追加材料、例えば、エアロゾルに添加される風味材料も含んでもよい。
【0087】
物品は単純な設計を有してもよい。物品は、第一の液体貯蔵部、および存在する場合は第二の液体貯蔵部を含むハウジングを有してもよい。ハウジングは液体に対して不浸透性の材料を備える剛性のハウジングであることが好ましい。本明細書で使用される「剛直なハウジング」とは、自立型のハウジングを意味する。ハウジングは、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)のうちの一つを含むか、またはそれらから作製され得る。PP、PE、およびPETは特にコスト効果が高く、成形、特に押出成形が容易である。エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。ハウジングはまた、可撓性セクションまたは虚脱セクションを含んでもよい。ハウジングは、体積補正のための少なくとも一つの呼吸孔をさらに含み得る。
【0088】
本発明によるエアロゾル発生物品のさらなる特徴および利点は、本発明の、そしてそれ故に等しく適用するサセプタ組立品に関してすでに記述してきた。
【0089】
本発明によると、本発明により、かつ本明細書に記述されるような、誘導加熱エアロゾル発生装置、エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品、および誘導加熱組立品を備える、エアロゾル発生システムも提供される。加熱組立品の誘導源は、誘導加熱エアロゾル発生装置の一部であってもよく、また加熱組立品の液体搬送サセプタ組立品は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。つまり、誘導加熱エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品を含むエアロゾル発生システムもまた提供され、物品が、本発明による、および本明細書に記載の、少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品を含み、装置が、物品の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品の加熱セクション、特に物品が装置で使用されている時に、フィラメント束の加熱セクションにおいて、交番磁界を生成するように構成され、配置される、少なくとも一つの誘導源を備える。特に、少なくとも一つの誘導源は、本発明による誘導加熱組立品の誘導源に関して上述した誘導源であってもよい。エアロゾル発生装置の少なくとも一つの誘導源およびエアロゾル発生物品の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品は、共に、本発明による、および本明細書に記載の誘導加熱組立品を形成し得る。存在する場合、加熱組立品のコントローラは、エアロゾル発生装置の一部であってもよく、具体的にはエアロゾル発生装置内に配設されてもよい。エアロゾル発生装置のコントローラは、加熱組立品のコントローラを含むか、または加熱組立品のコントローラであり得ることが好ましい。特に、エアロゾル発生装置は、本発明による誘導加熱組立品の誘導源に関して上述したコントローラを備えてもよい。
【0090】
同様に、存在する場合、加熱組立品の電源は、エアロゾル発生装置の一部であってもよく、具体的にはエアロゾル発生装置内に配設されてもよい。エアロゾル発生装置の電源は、加熱組立品の電源を含むか、または加熱組立品の電源であり得ることが好ましい。特に、エアロゾル発生装置は、本発明による誘導加熱組立品の誘導源に関して上述したような電源を備えてもよい。
【0091】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、サセプタ組立品を誘導加熱することによってエアロゾルを発生するような、少なくとも一つのエアロゾル形成液体、したがって物品内のエアロゾル形成液体を含む、少なくとも一つのエアロゾル発生物品と相互作用する能力を有する電気的に作動する装置を説明するために使用される。エアロゾル発生装置は、ユーザーによってユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生するための吸煙装置であることが好ましい。特に、エアロゾル発生装置は手持ち式のエアロゾル発生装置である。
【0092】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための受容空洞を備えてもよい。
【0093】
誘導源の誘導コイルは、エアロゾル発生物品が受け入れくぼみ内に受けられる時に、受け入れくぼみの少なくとも一部分を取り囲むように、特にエアロゾル発生物品の少なくとも一部分、特にフィラメント束の加熱セクションを取り囲むように配置されてもよい。
【0094】
加熱組立品のサセプタ組立品の特定の構成の他に、エアロゾル発生システムのエアロゾル発生物品は、本発明による、上述したエアロゾル発生物品であってもよい。
【0095】
本発明によるエアロゾル発生システムのさらなる特徴および利点を、本発明による、したがって等しく適用するサセプタ組立品、エアロゾル発生物品、および加熱組立品に関して上記に記述してきた。
【0096】
本発明は特許請求の範囲に定義される。しかしながら、以下に、非限定的な実施例を非網羅的に提供する。これらの実施例のいずれか一つ以上の特徴は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0097】
実施例1:
交番磁界の影響下でエアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品であって、フィラメント束を含み、フィラメント束が、第一のサセプタ材料を含む少なくとも複数の第一のフィラメントを含み、フィラメント束の少なくとも平行束部分に沿って、複数の第一のフィラメントが互いに平行に配置される、液体搬送サセプタ組立品。
実施例2:
フィラメント束が、非鎖フィラメント束である、実施例1に記載のサセプタ組立品。
実施例3:
複数の第一のフィラメントが、固体材料フィラメントである、実施例1または2のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例4:
複数の第一のフィラメントが、単一グレードの材料フィラメントである、実施例1~3のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例5:
複数の第一のフィラメントが、第一のサセプタ材料から作製される、実施例1~4のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例6:
第一のサセプタ材料は、フェリ磁性材料、または強磁性材料、または導電性材料、または導電性フェリ磁性材料もしくは導電性強磁性材料のうちの一つを含むか、またはそれらから作製される、実施例1~5のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例7:
第一のサセプタ材料が、フェライト、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、青銅、コバルト、ニッケル合金、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、強磁性ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、またはオーステナイト系ステンレス鋼のうちの一つを含むか、またはそれらから作製される、実施例1~6のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例8:
複数の第一のフィラメントが、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有する、実施例1~7のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例9:
複数の第一のフィラメントが、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルの直径を有する、実施例1~8のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例10:
複数の第一のフィラメントのうちの少なくとも一つ、特にそれぞれが、円形、楕円、楕円、三角形、長方形、直方体、六角形、または多角形断面を有する、実施例1~9のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例11:
複数の第一のフィラメントが表面処理され、特に、表面コーティング、例えば、エアロゾル化強化表面コーティング、液体接着表面コーティング、撥液表面コーティング、または抗菌表面コーティングを含む、実施例1~10のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例12:
フィラメント束内の複数の第一のフィラメントが、3~100個の第一のフィラメント、特に10~80個の第一のフィラメント、好ましくは20~60個の第一のフィラメント、より好ましくは30~50個の第一のフィラメント、例えば40個の第一のフィラメントを含む、実施例1~11のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例13:
フィラメント束が、第二のサセプタ材料を含む複数の第二のフィラメントをさらに備え、フィラメント束の少なくとも平行束部分に沿って、複数の第二のフィラメントが互いに平行に、および複数の第一のフィラメントに平行に配置される、実施例1~12のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例14:
第二のサセプタ材料が、フェリ磁性材料または強磁性材料のうちの一つを含む、実施例13に記載のサセプタ組立品。
実施例15:
第二のサセプタ材料が、摂氏500度を下回る、具体的には摂氏350度を下回る、好ましくは摂氏300度を下回る、より好ましくは摂氏250度を下回る、なおより好ましくは摂氏200度を下回る、最も好ましくは摂氏150度を下回るキュリー温度を有する、実施例13または14のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例16:
第二のサセプタ材料が、ニッケル、ニッケル合金、ミューメタル、またはパーマロイのうちの一つを含む、実施例13~15のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例17:
複数の第二のフィラメントが、固体材料フィラメントである、実施例13~16のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例18:
複数の第二のフィラメントが、単一グレードの材料フィラメントである、実施例13~17のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例19:
複数の第二のフィラメントが、第二のサセプタ材料から作製される、実施例13~18のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例20:
複数の第二のフィラメントが表面処理され、特に、表面コーティング、例えば、エアロゾル化強化表面コーティング、液体接着表面コーティング、撥液表面コーティング、または抗菌表面コーティングを含む、実施例13~19のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例21:
複数の第二のフィラメントのうちの少なくとも一つ、特にそれぞれが、円形、楕円、楕円、三角形、長方形、四方形、六角形または多角形断面を有する、実施例13~20のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例22:
複数の第二のフィラメントが、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有する、実施例13~21のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例23:
複数の第二のフィラメントが、最大0.025ミリメートル、最大0.05ミリメートル、最大0.1ミリメートル、最大0.15ミリメートル、最大0.2ミリメートル、最大0.25ミリメートル、最大0.3ミリメートル、最大0.35ミリメートル、最大0.4ミリメートル、最大0.45ミリメートル、または最大0.5ミリメートルの直径を有する、実施例13~22のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例24:
複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントが、同じ直径を有する、実施例13~23のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例25:
複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントが異なる直径を有する、実施例13~23のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例26:
フィラメント束内の複数の第二のフィラメント1~100個の第二のフィラメント、特に10~80個の第二のフィラメント、好ましくは20~60個の第二のフィラメント、より好ましくは30~50個の第二のフィラメント、例えば40個の第二のフィラメント、実施例13~25のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例27:
複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントが、フィラメント束全体にわたって実質的に等しく分布している、実施例13~26のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例28:
複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントが、フィラメント束全体にわたって不均等に分布している、実施例13~26のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例29:
平行束部分において、隣接する第一のフィラメントと、存在する場合には第二のフィラメントとの間の平均中心間距離が、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルである、実施例1~28のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例30:
フィラメント束の合計長さが、5ミリメートル~50ミリメートル、特に10ミリメートル~40ミリメートル、好ましくは10ミリメートル~30ミリメートル、より好ましくは10ミリメートル~20ミリメートルの範囲である、実施例1~29のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例31:
フィラメント束が、複数の第一のフィラメント、および存在する場合は、複数の第二のフィラメントが互いに分岐する、フィラメント束の少なくとも一つの端部の扇状に広がった部分を含む、実施例1~30のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例32:
扇状に広がった部分が、フィラメント束の全長の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、または30パーセントの長さを有する、実施例31に記載のサセプタ組立品。
実施例33:
扇状に広がった部分が、フィラメント束の全長の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、または50パーセントの長さを有する、実施例31または実施例32に記載のサセプタ組立品。
実施例34:
平行束部分が、フィラメント束の全長の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、または80パーセントの長さを有する、実施例1~33のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例35:
平行束部分が、フィラメント束の全長の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント、90パーセントまたは100パーセントの長さを有する、実施例1~34のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例36:
平行束部分がフィラメント束の一つの端部に位置する、実施例1~35のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例37:
平行束部分が、特にフィラメント束の二つの端の間に対称的に位置付けられる、実施例1~36のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例38:
平行束部分の少なくとも一部が、フェルールまたはブッシングまたはハーネスによって束ねられる、実施例1~37のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例39:
フェルールまたはブッシングまたはハーネスが鞘部材を含む、実施例38に記載のサセプタ組立品。
実施例40:
フィラメント束が、線形〔非湾曲、非曲げ〕フィラメント束である、実施例1~39のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例41:
フィラメント束が、少なくとも平行束部分に沿って、円形、楕円、楕円、三角形、長方形、四方形、六角形または多角形断面を有する、実施例1~40のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例42:
複数の第二のフィラメントの長さが、複数の第一のフィラメントの長さとは異なる、実施例1~41のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例43:
複数の第二のフィラメントの長さが、複数の第一のフィラメントの長さよりも短い、実施例1~42のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例44:
複数の第二のフィラメントの長さが、複数の第一のフィラメントの長さよりも大きい、実施例1~42のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例45:
エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための誘導加熱組立品であって、加熱組立品が、
- 実施例1~44のいずれか一つに記載の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品と、
- 少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品の加熱セクションにおいて、特にフィラメント束の加熱セクションにおいて、交番磁界を生成するように構成され、配置される、少なくとも一つの誘導源と、を含む、誘導加熱組立品。
実施例46:
誘導源は、少なくとも液体搬送サセプタ組立品の加熱セクションの周りに、特に少なくともフィラメント束の加熱セクションの周りに配置された誘導コイルを含む、実施例45に記載の加熱組立品。
実施例47:
液体搬送サセプタ組立品の加熱セクション、特にフィラメント束の加熱セクションは、フィラメント束の一つの端部に位置する、実施例45または46のいずれか一つに記載の加熱組立品。
実施例48:
フィラメント束の加熱セクションが、フィラメント束の全長の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、または80パーセントの長さを有する、実施例45~47のいずれか一つに記載の加熱組立品。
実施例49:
フィラメント束の加熱セクションが、フィラメント束の全長の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント、90パーセントまたは100パーセントの長さを有する、実施例45~48のいずれか一つに記載の加熱組立品。
実施例50:
フィラメント束が、加熱組立品の使用において誘導源によって生成される交番磁界の対称軸に関して中心から外れて配置される、実施例45~49のいずれか一つに記載の加熱組立品。
実施例51:
加熱組立品は、誘導コイルの少なくとも一部の周りに配置され、少なくとも一つの誘導源の交番磁界を、フィラメント束に向かって、特にフィラメント束の加熱セクションに向かって、加熱組立品の使用時に歪めるように構成される、流束濃縮器をさらに備える、実施例45~50のいずれか一つに記載の加熱組立品。
実施例52:
流束濃縮器は、流束濃縮器ホイル、特に多層流束濃縮器ホイルを含む、実施例51に記載の加熱組立品。
実施例53:
誘導加熱エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品であって、物品が、
- 第一のエアロゾル形成液体を貯蔵するための少なくとも第一の液体貯蔵部であって、第一の液体貯蔵部が出口を含む、少なくとも第一の液体貯蔵部と、
- 第一のエアロゾル形成液体を第一の液体貯蔵部から出口を通って第一の液体貯蔵部の外側の領域に送達するための第一のフィラメント束を含む、実施例1~44のいずれか一つに記載の、少なくとも第一の液体搬送サセプタ組立品と、を含む、エアロゾル発生物品。
実施例54:
第一のフィラメント束が、第一の液体貯蔵部内に配置された少なくとも一つの浸漬セクションを含む、実施例53に記載のエアロゾル発生物品。
実施例55:
第一のフィラメント束の少なくとも一つの浸漬セクションが、第二のフィラメント束の全長の最大で10パーセント、最大で20パーセント、最大で30パーセント、最大で40パーセント、最大で50パーセント、または最大で60パーセントの長さを有する、実施例54に記載のエアロゾル発生物品。
実施例56:
第一のフィラメント束の少なくとも一つの浸漬セクションが、第一のフィラメント束の全長の少なくとも10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、または60パーセントの長さを有し得る、実施例54に記載のエアロゾル発生物品。
実施例57:
第一のフィラメント束の浸漬セクションが、第一のフィラメント束の一つの端部に位置する、実施例54~56のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例58:
第一のフィラメント束の浸漬セクションが、第一のフィラメント束の二つの端の間に位置する、実施例54~56のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例59:
第一のフィラメント束が、それぞれ第一の液体貯蔵部内に配置される、二つの浸漬セクションを含む、実施例53~58のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例60:
- 第二のエアロゾル形成液体を貯蔵するための少なくとも第二の液体貯蔵部であって、第二の液体貯蔵部が出口を含む、少なくとも第二の液体貯蔵部と、
- 第二のエアロゾル形成液体を第二の液体貯蔵部から出口を通って第二の液体貯蔵部の外側の領域に送達するための第二のフィラメント束を含む、実施例1~44のいずれか一つに記載の少なくとも第二の液体搬送サセプタ組立品と、をさらに含む、実施例53~59のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例61:
第二のフィラメント束が、第二の液体貯蔵部内に配置された少なくとも一つの浸漬セクションを含む、実施例60に記載のエアロゾル発生物品。
実施例62:
第二のフィラメント束の少なくとも一つの浸漬セクションが、第二のフィラメント束の全長の最大で10パーセント、最大で20パーセント、最大で30パーセント、最大で40パーセント、最大で50パーセント、または最大で60パーセントの長さを有する、実施例61に記載のエアロゾル発生物品。
実施例63:
第二のフィラメント束の少なくとも一つの浸漬セクションが、第二のフィラメント束の全長の少なくとも10パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも50パーセント、または少なくとも60パーセントの長さを有する、実施例61に記載のエアロゾル発生物品。
実施例64:
第二のフィラメント束の浸漬セクションが、第二のフィラメント束の一つの端部に位置する、実施例61~63のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例65:
第二のフィラメント束の浸漬セクションが、第二のフィラメント束の二つの端の間に位置する、実施例61~63のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例66:
第二のフィラメント束が、二つの浸漬セクションを含み、それぞれが第二の液体貯蔵部内に配置されている、実施例60~65のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例67:
第一の液体貯蔵部に含まれる第一のエアロゾル形成液体をさらに含む、例60~66のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例68:
第二の液体貯蔵部に含まれる第二のエアロゾル形成液体をさらに含む、実施例60~67のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例69:
第一のエアロゾル形成液体は、第二のエアロゾル形成液体とは異なる、実施例68に記載のエアロゾル発生物品。
実施例70:
誘導加熱エアロゾル発生装置、エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品、および実施例45~52のいずれか一つに記載の誘導加熱組立品を含む、エアロゾル発生システムであって、加熱組立品の誘導源は、誘導加熱エアロゾル発生装置の一部であり、加熱組立品の液体搬送サセプタ組立品は、エアロゾル発生物品の一部である、エアロゾル発生システム。
実施例71:
誘導加熱エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品を含むエアロゾル発生システムであって、物品が、実施例1~45のいずれか一つに記載の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品を備え、装置が、物品の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品の加熱セクション、特に物品が装置と共に使用されているときに、フィラメント束の加熱セクションにおいて、交番磁界を生成するように構成され、配置される、少なくとも一つの誘導源を備える、エアロゾル発生システム。
【図面の簡単な説明】
【0098】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【0099】
図1図1は、本発明の第一の実施形態によるサセプタ組立品を備える誘導加熱組立品を概略的に示す。
図2図2は、図1による加熱組立品のサセプタ組立品の断面を示す。
図3図3は、本発明の第二の実施形態によるサセプタ組立品を示す。
図4図4は、本発明の第三の実施形態によるサセプタ組立品を示す。
図5図5は、図1によるサセプタ組立品を備える本発明によるエアロゾル発生物品の第一の例示的な実施形態を概略的に示す。
図6図6は、図1による二つのサセプタ組立品を備える本発明によるエアロゾル発生物品の第二の例示的な実施形態を概略的に示す。
図7図7は、エアロゾル発生装置および図5によるエアロゾル発生物品を備える、本発明によるエアロゾル発生システムの例示的な実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0100】
図1は、本発明の第一の実施形態による液体搬送サセプタ組立品10を含む誘導加熱組立品20を概略的に示す。一般に、サセプタ組立品10は、エアロゾル形成液体を搬送することおよび加熱することの二つの機能を実施する能力を有するフィラメント束18を備える。そのため、フィラメント束18は、複数の第一のフィラメント11および複数の第二のフィラメント12を備え、複数の第一のフィラメント11は、第一のサセプタ材料を備え、複数の第二のフィラメント12は、第二のサセプタ材料を備える。フィラメント材料の感受性の強い性質に起因して、第一のフィラメント11および第二のフィラメント12は、交番磁界内で誘導加熱される能力を有し、それ故にフィラメントと熱的接触しているエアロゾル形成液体を加熱する能力を有する。さらに、フィラメント束18の第一および第二のフィラメント11、12の配置のため、およびフィラメント11、12の小さな直径のため、フィラメント11、12の間に狭いチャネルが形成され、フィラメント束18の長手方向Xに沿って毛細管作用を提供する。したがって、一例として、フィラメント束18の一つの端部13がエアロゾル形成液体に浸される場合、液体はフィラメント束18の対向端部14に搬送されてもよく、ここで搬送された液体は気化されてエアロゾルとして引き出される空気経路に曝露されてもよい。
【0101】
液体を気化させるために、加熱組立品20は、誘導コイル32を含む誘導源30をさらに含む。本実施形態では、誘導コイル32は二層ヘリカルコイルであり、各層は六つの巻線を有し、これは実質的に均質な交番磁界を生成することができる。図1に見られるように、誘導コイル32は、フィラメント束18の端部14のみで局所的に貫通する交番磁界を生成するように、フィラメント束18の端部14の周りに配置される。結果として、フィラメント束18は、端部14の加熱セクション17で局所的に加熱される。電界強度は、加熱セクション17が、フィラメント束18を通して搬送されるエアロゾル形成液体を気化させるのに十分な温度まで加熱されるように選択される。対照的に、唯一の局所加熱のため、フィラメント束18の残りのセクション、特に端部13は、気化温度を下回る温度に留まっている。したがって、加熱組立品20の使用において、サセプタ組立品10は、図1の下部に示されるように、より高い温度およびより低い温度のセクションを有する、その長さ方向Xに沿った温度プロファイルを含む。より具体的には、温度プロファイルは、エアロゾル形成液体の気化温度T_vapを下回る温度から、それぞれの気化温度T_vapを超える温度まで、端部13から反対側の端部14の加熱セクション17までの温度上昇を示す。有利には、気化温度T_vap未満の残りのセクションを有することにより、フィラメント束18のその部分内のエアロゾル形成液体の煮沸を防止する。なおさらに、残りのセクション16が、またはその少なくとも一部が浸漬セクション16として液体貯蔵部の中へと浸されるように使用される場合も、貯蔵部内のエアロゾル形成液体の沸騰が防止される。
【0102】
サセプタ組立品10の使用時に形成される実際の温度プロファイルは、熱伝導率およびフィラメント束18の長さに依存する。したがって、端部13と端部14との間に十分な温度勾配を有するために、束18束は、特定の全長を必要とする。本実施形態に関して、フィラメント束18の全長は、5ミリメートル~50ミリメートル、特に10ミリメートル~40ミリメートル、好ましくは10ミリメートル~30ミリメートル、より好ましくは10ミリメートル~20ミリメートルの範囲内であってもよい。これは、各フィラメントタイプ、すなわち、複数の第一のフィラメント11および複数の第二のフィラメント12に適用される。
【0103】
図2は、図1の線A-Aに沿ったフィラメント束18を通したサセプタ組立品10の断面を示す。複数の第一のフィラメント11および複数の第二のフィラメント12の両方は、実質的に円形断面を有する固体材料フィラメントである。円形の断面のため、フィラメント11、12は、領域接触ではなく、互いに線接触しているだけであり、複数のフィラメント11、12の間に毛細管空間をそれ自体で形成する。複数の第一のフィラメント11および第二のフィラメント12のその他の断面形状も可能であり、例えば、楕円形、長円形、三角形、長方形、四辺形、六角形、または多角形の断面も可能である。
【0104】
十分な毛細管作用を提供するために、フィラメント束中の隣接するフィラメント11、12間の平均中心間距離Dは、最大で0.5ミリメートル、具体的には最大で0.25ミリメートル、好ましくは最大で0.1ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、なおより好ましくは最大で0.025ミリメートルである。
【0105】
毛細管作用はまた、小さい曲率半径によって、それ故に第一のフィラメント11および第二のフィラメント12の小さい直径によっても促進される。その結果、第一のフィラメントおよび第二のフィラメントは、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルの直径を有してもよい。しかしながら、第一のフィラメント11および第二のフィラメント12の直径は、十分な量の渦電流を誘発し、そしてそれ故にフィラメント束18が交番磁界に曝露された時に十分な量の熱エネルギーを生成するために、表皮厚さの二倍よりさらに大きくするべきである。その結果、使用される材料および交番磁界の周波数に依存して、第一のフィラメント11および第二のフィラメント12は、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有してもよい。
【0106】
本実施形態では、第一のフィラメント11および第二のフィラメント12は、液体接着表面コーティング(図示せず)を備え得る。液体接着剤表面コーティングは、フィラメント束18の毛細管作用をさらに強化する。
【0107】
複数の第一のフィラメント11の第一のサセプタ材料は、発熱に関して最適化される。例えば、第一のサセプタ材料は、複数の第一のフィラメント11を渦電流だけでなくヒステリシス損失によっても誘導加熱させる強磁性ステンレス鋼であってもよい。強磁性の第一のサセプタ材料のキュリー温度は、気化温度をはるかに上回るように、好ましくは、摂氏300度を上回るように選ばれる。対照的に、さらに上述したように、複数の第二のフィラメント12は、主に温度マーカーとして機能する。その目的のために、第二のサセプタ材料は、好ましくは、サセプタ組立品10の予め定義された動作温度の周辺でキュリー温度を有する強磁性またはフェリ磁性材料であってもよい。その結果、サセプタ組立品10が第二のサセプタ材料のキュリー温度に達した時、第二のサセプタ材料の磁気的特性は強磁性またはフェリ磁性から常磁性へと変化し、その電気抵抗の一時的な変化が付随して起こる。それ故に、交番磁界を生成するために使用される誘導源30によって吸収された電流の対応する変化をモニターすることによって、第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達した時に、そしてそれ故に、予め定義された動作温度に達した時に、その変化を検出することができる。第二のサセプタ材料のために適切な材料は、ニッケル、ニッケル合金、ミューメタル、またはパーマロイであってもよい。温度マーカーとして十分に作動させるために、わずかな第二のフィラメントのみが必要とされる。その結果、第一のフィラメント11の数は、第二のフィラメント12の数より多くてもよく、特に、二倍、または三倍、または四倍、または五倍、または六倍、または七倍、または八倍、または九倍、または十倍より多くてもよい。本実施形態では、フィラメント束18は、模範的に、四十本の第一のフィラメント11および五本の第二のフィラメント12を備える。
【0108】
図2でもわかるように、複数の第二のフィラメント12は、フィラメント束18全体を通して無作為に配分される。有利なことに、無作為分布は、フィラメント束18の製造中にごくわずかな努力しか必要としない。図2でさらにわかるように、フィラメント束18は、実質的に円形断面を有し、これは特に製造が簡単である。
【0109】
再び図1を参照すると、第一および第二のフィラメント11、12は、フィラメント束18の全長さ延長部に沿って平行束部分15を形成するように、互いに平行に配置される。すなわち、サセプタ組立品10のフィラメント束18は、第一のフィラメント11と第二のフィラメント12がストランドもツイストもせず、したがって互いに交差しない、非鎖状フィラメント束である。平行束部分15は、フィラメント束18の全長さ延長部に沿って十分な毛細管作用を提供するのに特に有利である。さらに、フィラメントの平行な配設を備えるサセプタ組立品は、製造が簡単で、かつコスト効果が高い。基本的に、サセプタ組立品10は、実質的に平行な順序で配置された複数の個々のフィラメントを束ね、フィラメント束を所望の長さに切断することによって製造され得る。
【0110】
図3は、本発明によるサセプタ組立品110の第二の実施形態を示す。一般に、図3によるサセプタ組立品は、図1および図2に示すサセプタ組立品10と類似している。従って、同一または類似の特徴は同一の参照符号で示されているが、100だけ増分されている。図1および2に示す第一の実施形態とは対照的に、図3によるサセプタ組立品110は、フィラメント束118の端部114に扇状に広がった部分119を備え、そこで、第一のフィラメント111および第二のフィラメント112が互いに分岐する。結果として、平行束部分115は、フィラメント束118の全長さ延長部に沿って延在しない。本実施形態では、平行束部分150は、フィラメント束118の対向する端部113に位置し、フィラメント束118の全長の約三分の一に沿って延在する。したがって、扇状に広がった部分は、フィラメント束118の合計長さの約三分の二に沿って延在する。扇状に広がった部分は、気化エアロゾル形成液体の空気経路への曝露、およびそれゆえエアロゾルの形成を促進し得る。同様に、扇状に広がった部分は、エアロゾル形成液体に浸漬される浸漬セクションとして少なくとも部分的に使用され得る。フィラメント111、112を平行な構成にまとめて維持するために、フィラメント束118の平行束部分115の少なくとも一部は、フェルール190またはハーネスによって束ねられる。本実施形態では、フェルールは端部113に配置される。
【0111】
図4は、図3に示す第二の実施形態と類似した、サセプタ組立品210の第三の実施形態を示す。したがって、同一または類似の特徴はまた同一の参照符号で示されているが、100だけ増分されている。図3に示す第二の実施形態とは対照的に、図4によるサセプタ組立品210は、二つの扇状に広がった部分219、フィラメント束218の各端部213、214に一つを含む。したがって、平行束部分215は、二つの扇状に広がった部分219の間に位置する。本実施形態では、フィラメント束118は、その質量の中心を通過するフィラメント束の長さ延長部に垂直な対称軸に関して非対称である。二つの扇状に広がった部分219の各々は、フィラメント束218の全長の約40パーセントの長さを有し、一方で平行束部分215は、フィラメント束218の全長の約20パーセントの長さを有する。図3に示す実施形態と同様に、図4によるフィラメント束218の第一および第二のフィラメント211、212は、フィラメント束218の長さ延長部のほぼ中央で平行束部分215の周りに配置されるフェルール290によって束ねられる。図4による構成は、二つの加熱セクションまたは二つの浸漬セクションのいずれかを、束の各端で実現するために利用され得る。別の方法として、この構成では、一方のファン-一部分219は浸漬セクションを実現してもよく、一方、他方の扇状に広がった部分219は加熱セクションを実現してもよい。
【0112】
図5は、本発明によるエアロゾル発生物品40の第一の実施形態を概略的に図示する。図7に関して以下にさらに説明するように、エアロゾル発生物品40は、誘導加熱エアロゾル発生装置で使用するように構成されている。物品40は、液体不浸透性材料で作製された硬質の物品ハウジング43を含む。ブッシング44とともに、物品ハウジング43は、エアロゾル形成液体51を含有する液体貯蔵部41を形成する。ブッシング44は、液体貯蔵部41の出口を形成する開口部を含む。物品40は、図1に示すサセプタ組立品10に対応する、液体搬送サセプタ組立品10をさらに含む。サセプタ組立品10のフィラメント束18は、液体貯蔵部41内に部分的に配置され、物品ハウジング43および液体貯蔵部41に隣接するブッシング44によって形成される気化空洞45内に部分的に配置されるなど、ブッシング44の開口部を通過する。このため、フィラメント束18は、液体貯蔵部41から出口を通って液体貯蔵部41の外側の領域、すなわち、気化空洞45内にエアロゾル形成液体51を送達することができる。そこで、搬送された液体51は、気化空洞45内に配設されたフィラメント束18の一部を誘導加熱することによって気化されてもよい。したがって、特にエアロゾル形成液体51に浸漬された、液体貯蔵部41内に配置されたフィラメント束18の部分は、浸漬セクション16として機能する。浸漬セクション16の長さは、有利なことに、浸漬され、かつ液体貯蔵部41から気化空洞45の中へと搬送されるエアロゾル形成液体の量を制御するために使用されてもよい。本実施形態では、浸漬セクション16は、フィラメント束18の全長の約60パーセントの長さを有する。
【0113】
同様に、気化空洞45内に配置されるフィラメント束18の部分は、図1に関して前述したように、交番磁界が露出されるとき、加熱セクション17として少なくとも部分的に機能する。
【0114】
図5でさらに見ることができるように、物品40は、物品ハウジング43を通して気化空洞45の中への空気吸込み口46を備え、空気が気化空洞45の中へと入ることを可能にする。空気入口46は、フィラメント束18の加熱セクション17でまたはその周りで気流を提供するように構成され得る。空気吸込み口46は、貯蔵部本体を通る穴であってもよい。同様に、空気吸込み口46は、気流をフィラメント束18における特定の標的場所へと方向付けるように構成されたノズルであってもよい。加えて、物品41は、気化空洞45の近位端部分を形成するマウスピース47を備える。マウスピース47は、その一番端に空気出口48を含むテーパー付き形状を有し、それ故にユーザーが、物品からエアロゾルを直接的に吸入することを可能にする。マウスピースはフィルター(図示せず)を備えることが好ましい。よって、ユーザーが吸煙する時、加熱セクション17から気化したエアロゾル形成液体は、マウスピース47内の空気出口48を通して外へ引き出されてもよいエアロゾルを形成するように、空気吸込み口46を通して気化空洞45に入った気流に曝露される。
【0115】
一般に、エアロゾル発生物品40は、単回使用のためのエアロゾル発生物品、または複数回使用のためのエアロゾル発生物品であってもよい。後者の事例では、エアロゾル発生物品40は再充填可能であってもよい。すなわち、液体貯蔵部41は、枯渇後にエアロゾル形成液体51で再充填可能であってもよい。
【0116】
図6は、本発明によるエアロゾル発生物品340の第二の実施形態を示す。図5に示すエアロゾル発生物品40と類似または同一である特徴は、同一の参照符号で示され、なおかつ300だけ増分される。図5による物品40とは対照的に、図6によるエアロゾル発生物品340は、二つの液体貯蔵部、すなわち、第一のエアロゾル形成液体351を含有する第一の液体貯蔵部341と、第二のエアロゾル形成液体352を含有する第二の液体貯蔵部342とを含む。貯蔵部341、342のそれぞれについて、物品340は、それぞれの貯蔵部341、342から共通の気化空洞345にエアロゾル形成液体を搬送するための別個のサセプタ組立品310、410を含む。したがって、第一のフィラメント束318を含む第一のサセプタ組立品310は、第一の液体貯蔵部341から、ブッシング344の対応する開口部を通って、気化空洞345の中を通過する。同様に、第二のフィラメント束418を含む第二のサセプタ組立品410は、第二の液体貯蔵部342から、ブッシング344の対応する開口部を通って気化空洞345の中を通過する。
【0117】
両方のサセプタ組立品310、410は、好ましくは、交番磁界に曝露されるときに同時に加熱される。したがって、第一および第二のエアロゾル形成液体は、同時に気化され、その後、様々な物質および風味を潜在的に含有する複合エアロゾルを形成するように混合される。特に、これは、第一のエアロゾル形成液体および第二のエアロゾル形成液体が互いに異なる場合に適用される。したがって、図6によるエアロゾル発生物品は、風味およびエアロゾル組成の点において、ユーザー体験の多様性を有利に強化する。
【0118】
図7は、本発明によるエアロゾル発生システム80の例示的な実施形態を概略的に示す。システム80は、誘導加熱エアロゾル発生装置60と、装置60とともに使用するためのエアロゾル発生物品40とを備える。本実施形態では、エアロゾル発生物品40は、図5に示す物品に対応する。特に、物品40は、物品40内に収容されるエアロゾル形成液体51を搬送および加熱するためのサセプタ組立品10を備える。エアロゾル発生装置60は、サセプタ組立品10を介してエアロゾル形成液体を誘導加熱することによってエアロゾルを生成するために、物品40と相互作用する能力を有する電気的に動作される装置である。このために、エアロゾル発生装置60は、装置60の近位部分内に装置ハウジング61内に形成された受容空洞62を備える。受容空洞62は、エアロゾル発生物品40の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されている。サセプタ組立品10を加熱するために、エアロゾル発生装置60は、誘導コイル32を含む誘導源を備える。本実施形態では、誘導コイル32は、実質的に均一な交番磁界を生成するように配設され、かつ構成された単一のらせん状コイルである。図1に見られるように、誘導コイル32は、エアロゾル発生物品40が受け入れくぼみ62内に受けられる時にフィラメント束18の一部分を囲むように、受け入れくぼみ62の近位端部分の周りに配置される。特に、誘導コイル32は、加熱セクション17でのみフィラメント束18を局所的に貫通する交番磁界を生成するように配置される。対照的に、局所加熱に起因して、フィラメント束18の浸漬セクション16は、気化温度を下回る温度に留まる。それ故に、液体貯蔵部41内のエアロゾル形成液体51の沸騰は防止される。
【0119】
エアロゾル発生装置60の誘導源およびエアロゾル発生物品44のサセプタ組立品10は、一緒に、本発明による誘導加熱組立品を形成する。
【0120】
エアロゾル発生装置60は、エアロゾル発生システム80の動作を制御するための、具体的には加熱動作を制御するためのコントローラ64をさらに備える。
【0121】
さらに、エアロゾル発生装置60は、交番磁界を生成するための電力を提供する電源63を備える。電源63は、リン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。電源63は、一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。
【0122】
コントローラ64および電源63の両方は、エアロゾル発生装置60の遠位部分に配設される。
【0123】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±5パーセントとして理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】