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特表2023-525163推進ユニット及びその推進ユニットを備えた船
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(54)【発明の名称】推進ユニット及びその推進ユニットを備えた船
(51)【国際特許分類】
   B63H 1/32 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
B63H1/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569160
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2021062370
(87)【国際公開番号】W WO2021228787
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】PA202070303
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA202070763
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522442076
【氏名又は名称】マースク アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】トビュ チャーレス アウスティーン-フラサ
(57)【要約】
開示されているのは、船を推進させるための推進ユニットである。推進ユニットは、船のキールに配置されるように構成されて枢動点を含む本体、本体に対して可動に配置されるフィン、及び本体に対してフィンのヒーブ運動を発生させるためのアクチュエータアセンブリを含む。アクチュエータアセンブリは、少なくとも1つのアクチュエータを含む。フィンは枢動点に連結されることで、少なくとも1つのアクチュエータがフィンのヒーブ運動を発生させる場合に、フィンは、枢動点を中心に枢動することで、フィンのピッチ運動を発生させるように配置される。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船を推進させるための推進ユニット(1)であって、
前記船のキールに配置されるように構成され、枢動点(5a)を含む本体(2)と、
前記本体(2)に対して可動に配置されるフィン(3)と、
前記本体(2)に対して前記フィン(3)のヒーブ運動を発生させるためのアクチュエータアセンブリ(4)であって、少なくとも1つのアクチュエータ(4a、4b)を有する前記アクチュエータアセンブリ(4)と、
を含み、
前記フィン(3)は前記枢動点(5a)に連結されることで、前記少なくとも1つのアクチュエータ(4a、4b)が前記フィン(3)の前記ヒーブ運動を発生させる場合、前記フィン(3)は、前記枢動点(5a)を中心に枢動するように配置され、前記フィン(3)のピッチ運動を発生させる、前記推進ユニット(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(4a、4b)は、リニアアクチュエータである、請求項1に記載の推進ユニット(1)。
【請求項3】
前記推進ユニット(1)は、少なくとも1つの作動ロッド(9、9a、9b)を含み、前記アクチュエータアセンブリ(4)は前記少なくとも1つの作動ロッド(9、9a、9b)を介して前記フィン(3)に連結される、請求項1又は請求項2に記載の推進ユニット(1)。
【請求項4】
前記アクチュエータアセンブリ(4)は、揺動パターンで作動することで、前記フィンの揺動するヒーブ運動及びピッチ運動を発生させるように構成される、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の推進ユニット(1)。
【請求項5】
前記枢動点(5a)は、前記本体(2)に固定して配置される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の推進ユニット(1)。
【請求項6】
前記推進ユニット(1)はレバーアーム(7)を含み、前記フィン(3)は前記レバーアーム(7)を介して前記枢動点(5a)に取り付けられる、請求項5に記載の推進ユニット(1)。
【請求項7】
前記アクチュエータアセンブリ(4)は、第一アクチュエータ(4a)及び第二アクチュエータ(4b)を含み、
前記枢動点(5a)は、前記第二アクチュエータ(4b)に連結されることで、前記枢動点(5a)は前記本体(2)に対して可動に配置される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の推進ユニット(1)。
【請求項8】
前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)は互いに対して独立して作動可能であり、前記フィン(3)の前記ヒーブ運動と前記ピッチ運動との間の位相差は可変である、請求項7に記載の推進ユニット(1)。
【請求項9】
前記フィン(3)は、第一フィン部分(3a)、第二フィン部分(3b)、第一コネクティングロッド(8a)、及び第二コネクティングロッド(8b)を含み、
前記第一フィン部分(3a)及び前記第二フィン部分(3b)は、前記第一コネクティングロッド(8a)及び前記第二コネクティングロッド(8b)を介して連結され、
前記第一コネクティングロッド(8a)及び前記第二コネクティングロッド(8b)は、平行に、かつ前記第一フィン部分(3a)及び前記第二フィン部分(3b)の前縁部(10)からそれぞれ第一距離及び第二距離において配置される、請求項7又は請求項8に記載の推進ユニット(1)。
【請求項10】
前記本体(2)は第一貫通スロット(13a)及び第二貫通スロット(13b)を含むことで、前記第一コネクティングロッド(8a)及び前記第二コネクティングロッド(8b)は、前記本体(3)を通して突出することと、前記第一貫通スロット(13a)及び前記第二貫通スロット(13b)内に摺動自在に配置されることとが可能になる、請求項9に記載の推進ユニット(1)。
【請求項11】
前記第一コネクティングロッド(8a)は前記第一アクチュエータ(4a)に連結され、前記第二コネクティングロッド(8b)は前記第二アクチュエータ(4b)に連結される、請求項9又は請求項10に記載の推進ユニット(1)。
【請求項12】
前記第一コネクティングロッド(8a)及び前記第二コネクティングロッド(8b)は、それぞれ第一作動ロッド(9a)及び第二作動ロッド(9b)を介してそれぞれ前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)に連結される、請求項11に記載の推進ユニット(1)。
【請求項13】
前記第一作動ロッド(9a)及び前記第二作動ロッド(9b)は、前記本体(2)の内側に配置される、請求項12に記載の推進ユニット(1)。
【請求項14】
前記アクチュエータアセンブリ(4)は第三アクチュエータ(4c)を含む、請求項7から請求項13の何れか1項に記載の推進ユニット(1)。
【請求項15】
前記第一アクチュエータ(4a)、前記第二アクチュエータ(4b)及び前記第三アクチュエータ(4c)のうちの少なくとも2つは、前記フィン(3)の前記ピッチの角度及び/又は前記ヒーブを可変に調整するように、相関して作動可能である、請求項14に記載の推進ユニット(1)。
【請求項16】
前記フィン(3)は、第三コネクティングロッドを含み、
前記第一フィン部分(3a)及び前記第二フィン部分(3b)は、前記第三コネクティングロッドを介して連結され、
前記第一コネクティングロッド(8a)、前記第二コネクティングロッド(8b)及び前記第三コネクティングロッドは、平行に、かつ前記第一フィン部分(3a)及び前記第二フィン部分(3b)の前記前縁部(10)からそれぞれ第一距離、第二距離及び第三距離において配置される、請求項9から請求項13の何れか1項に従属している場合の請求項14又は請求項15に記載の推進ユニット(1)。
【請求項17】
前記本体(2)は第三貫通スロット(13c)を含むことで、前記第一コネクティングロッド(8c)は、前記本体(3)を通して突出することと、前記第三貫通スロット(13c)内に摺動自在に配置されることとが可能になる、請求項16に記載の推進ユニット(1)。
【請求項18】
前記第三コネクティングロッド(8c)は前記第三アクチュエータ(4c)に連結される、請求項16又は請求項17に記載の推進ユニット(1)。
【請求項19】
前記第三コネクティングロッド(8c)は、第三作動ロッド(9c)を介して前記第三アクチュエータ(4c)に連結される、請求項18に記載の推進ユニット(1)。
【請求項20】
前記第三作動ロッド(9c)は、前記本体(2)の内側に配置される、請求項19に記載の推進ユニット(1)。
【請求項21】
前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)のうちの少なくとも1つは、垂直方向に変位するように構成される、請求項7から請求項20の何れか1項に記載の推進ユニット(1)。
【請求項22】
前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)のうちの少なくとも1つは、前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)のうちの少なくとも1つの伸長方向に垂直な方向に拘束される、請求項21に記載の推進ユニット(1)。
【請求項23】
前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)のうちの少なくとも1つは、短手方向及び/又は長手方向に拘束されるように構成される、請求項21又は請求項22に記載の推進ユニット(1)。
【請求項24】
前記推進ユニットは舵(6)を含む、請求項1から請求項23の何れか1項に記載の推進ユニット(1)。
【請求項25】
前記本体(2)は前記船の前記キールに固定して配置されるように構成され、
前記舵(6)は前記本体(2)に枢動自在に配置される、請求項24に記載の推進ユニット(1)。
【請求項26】
前記本体(2)は、前記本体(2)を前記船の前記キールに回転自在に配置するための舵頭材(11)を含み、
前記1つ又は複数のアクチュエータ(4a、4b)及び/又は前記少なくとも1つの作動ロッド(9、9a、9b)は、前記舵頭材(11)の内側に配置され、
前記本体(2)は、前記舵(6)として機能するように構成される、請求項24に記載の推進ユニット(1)。
【請求項27】
前記本体(2)は、前記本体(2)から前記本体(2)の前記キールに面する側の上に突出する中空管(12)を含み、
前記第一作動ロッド(9a)及び/又は前記第二作動ロッド(9b)は、前記中空管(12)内に配置され、
前記中空管(12)は、前記本体(2)が前記船の前記キールに配置される場合に前記船内に突出するように構成される、請求項1から請求項26の何れか1項に記載の推進ユニット(1)。
【請求項28】
前記中空管(12)は、前記第一作動ロッド(9a)及び/又は前記第二作動ロッド(9b)を前記中空管(12)に対して封止するために、前記中空管(12)の遠位端部に配置されるシール(14)を含む、請求項27に記載の推進ユニット(1)。
【請求項29】
前記舵頭材(11)は中空であり、前記中空管(12)を構成する、請求項27又は請求項28に記載の推進ユニット(1)。
【請求項30】
前記フィン(3)は楕円平面形状を有する、請求項1から請求項29の何れか1項に記載の推進ユニット(1)。
【請求項31】
前記フィン(3)はウイングレット(15)を含む、請求項1から請求項30の何れか1項に記載の推進ユニット(1)。
【請求項32】
前記本体(2)は、前記船(100)の前記キール(101)に配置され、
前記フィン(3)は、前記船(100)の前記キール(101)に対してピッチ運動及びヒーブ運動を実行するように構成される、請求項1から請求項31の何れか1項に記載の船を推進させるための推進ユニット(1)を含む船(100)。
【請求項33】
前記本体(2)は前記キール(101)に固定して配置される、請求項32に記載の船(100)。
【請求項34】
前記本体(2)は前記キール(101)に回転自在に配置される、請求項32に記載の船(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船の推進システムの分野に関する。本開示は、船用の推進ユニット及びその推進ユニットを備えた船に関する。
【背景技術】
【0002】
船の原動機からのエネルギー出力を前進運動に変換する、船の推進システムの分野に関係する。船の種類及び船が提供するサービスによっては、燃料費が船の総運航費の50~60%を占める場合がある。スクリュープロペラは、今日の船で主に使用されている推進装置である。最新のスクリュープロペラによって達成可能な最大の開水域での効率は約70%である。商船の場合、原動機によって供給されるエネルギーを浪費しないように、推進システムの効率を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、既存の欠点を軽減し、緩和し、又はそれらに対処し、船のより効率的な推進力を与える推進システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示されているのは、船を推進させるための推進ユニットである。推進ユニットは、船のキールに配置されるように構成されて枢動点を含む本体、本体に対して可動に配置されるフィン、及び本体及び/又はキールに対してフィンのヒーブ運動を発生させるためのアクチュエータアセンブリを含む。アクチュエータアセンブリは、少なくとも1つのアクチュエータを含む。フィンは枢動点に連結されることで、少なくとも1つのアクチュエータがフィンのヒーブ運動を発生させる場合に、フィンは、枢動点を中心に枢動することで、フィンのピッチ運動を発生させるように配置される。
【0005】
本開示の利点は、水中で移動する軸系によって駆動されるプロペラなどの一般的な推進システムよりもフィンが発生する流体力学的抗力が少ないことである。推進ユニットのアクチュエータは、フィンの運動を発生させるための駆動機構を提供する。この駆動機構は、単純かつ効率的であり、推進ユニットのエネルギー損失及びメンテナンス要件を低減させる。フィンの運動は、フィンの流体力学的特性がフィンの効率を改善するように適合され得るように、アクチュエータによってさらに制御可能であり得る。さらに、推進システムの本体は、推進ユニットを含む船に針路安定性を提供する。これにより、推進ユニットの効率が向上する。
【0006】
本明細書に開示されるように、船を推進させるための推進ユニットを備える船が開示されている。本体は船のキールに配置される。フィンは、船のキールに対してピッチ運動及び/又はヒーブ運動を実行するように構成される。
【0007】
本開示の利点は、船の推進システムが、水中で移動する軸系によって駆動されるプロペラなどの一般的な推進システムと比較して、効率を高め、メンテナンス要件を軽減させることである。したがって、船の燃費及び船のメンテナンスによるダウンタイムが減少し得ることにより、船の運航費及び排出が減少する。さらに、推進システムの本体は、推進ユニットを含む船に針路安定性を提供する。
【0008】
本開示の上記及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら、その例示的な実施形態の以下の詳細な説明によって当業者には容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、本開示による、単一のアクチュエータを備える推進ユニットの例示的な斜視図を示す。
図1B図1Bは、本開示による、単一のアクチュエータを備える推進ユニットの例示的な側面図を示す。
図2A-2D】図2A-2Dは、本開示による、第一アクチュエータ及び第二アクチュエータを備える推進ユニットの例示的な全体設計及び運動パターンを示す。
図3図3は、本開示による、フィンを第一及び第二アクチュエータに連結するための例示的な連結部を示す。
図4図4は、本開示による、推進ユニットの例示的な本体を示す。
図5図5は、本開示による、第一及び第二アクチュエータが位相ずれで作動する場合の推進システムのフィンの運動パターンを示す例示的なグラフである。
図6図6は、本開示による、船に回転自在に配置される例示的な推進ユニットを示す。
図7図7は、本開示による、例示的な推進ユニットを備える例示的な船の外側斜視図を示す。
図8図8は、本開示による、例示的な推進ユニットを備える例示的な船の内側斜視図を示す。
図9図9は、本開示による、固定枢動点を介してフィンに配置される第一及び第二アクチュエータを備える例示的な推進ユニットを示す。
図10図10は、本開示による、固定枢動点を介してフィンに配置される第一及び第二アクチュエータを備える例示的な推進ユニットを示す。
図11図11は、異なる迎角プロファイルを使用する推進システムのフィンの運動パターンを示す例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
様々な例示的な実施形態及び詳細を、関連する場合の図を参照して、以下に説明する。図面は縮尺通りに描かれている場合と描かれていない場合があり、同様の構造又は機能の要素は、図面全体を通して同様の参照番号によって表されていることに留意されたい。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを目的としていることにも留意されたい。それらの図面は、開示の網羅的な説明として、又は開示の範囲の制限として意図されたものではない。さらに、図示された実施形態は、示されたすべての態様又は利点を有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明される態様又は利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、そのように図示されていない場合、又はそのように明示的に説明されていない場合でも、他の任意の実施形態で実施することができる。
【0011】
これらの図は、明確にするために概略的かつ簡略化されており、他の詳細は省略されているが、開示を理解するのに役立つ詳細を示しているにすぎない。全体を通して、同じ参照番号が同一又は対応する部品に使用される。
【0012】
船を推進させるための推進ユニットが開示されている。推進ユニットは、船のキールに配置されるように構成されて枢動点(第一枢動点など)を含む本体、本体に対して可動に配置されるフィン、及び本体に対してフィンのヒーブ運動を発生させるためのアクチュエータアセンブリを含む。ヒーブ運動は、本明細書では、推進ユニットが船上に配置される場合、本体に対するフィンの直線的な垂直方向の上向き/下向きの運動などのフィンの往復運動を指すことがある。アクチュエータアセンブリは、少なくとも1つのアクチュエータを含む。フィンは枢動点に連結されることで、少なくとも1つのアクチュエータがフィンのヒーブ運動を発生させる場合に、フィンは、枢動点を中心に枢動することで、フィンのピッチ運動を発生させるように配置される。本明細書におけるフィンのピッチ運動は、フィンの第一先端部からフィンの第二先端部まで、例えばフィンの左舷側の先端部からフィンの右舷側の先端部まで延在する軸など、フィンの横軸を中心にした回転を指す。フィンのヒーブ運動及び/又はピッチ運動は、船を推進させるための推力を発生させる。
【0013】
少なくとも1つのアクチュエータはリニアアクチュエータであってもよい。アクチュエータは、油圧式、電気式、又は機械式アクチュエータであってもよい。アクチュエータは、1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、水撃ポンプ型(hydraulic ram-type)アクチュエータであってもよい。推進ユニットは、少なくとも1つの作動ロッドを含んでもよい。アクチュエータアセンブリは、少なくとも1つの作動ロッドを介してフィンに連結されてもよい。アクチュエータアセンブリは、揺動パターンで作動することで、フィンの揺動するヒーブ運動及びピッチ運動を発生させるように構成され得る。
【0014】
推進ユニットの1つ又は複数の例示的な実施形態では、枢動点は、本体に固定して配置されることができる。推進ユニットは、レバーアームを備えることができる。レバーアームが枢動点を中心に枢動することができるように、レバーアームは、枢動点に取り付けられてもよい。フィンは、レバーアームを介して枢動点に取り付けられることができる。フィンは枢動点に枢動自在に取り付けられるレバーアームに取り付けられることができるので、フィンは枢動点を中心に枢動することができる。
【0015】
推進ユニットの1つ又は複数の例示的な実施形態では、フィンは、レバーアームに枢動自在に配置され得る。推進ユニットは、アクチュエータがフィンのヒーブ運動を発生させるときにフィンのピッチを変更するように構成されるピッチロッドをさらに含んでもよい。ピッチロッドの第一端部は、フィンがレバーアームに取り付けられる枢動点から少し離れてフィンに枢動自在に配置されてもよい。推進ユニットはベルクランクなどのクランクを備えることができ、このクランクは、第一及び第二アームを有し、第一及び第二アームのそれぞれの端部から少し離れて推進ユニットの本体に摺動自在に配置されてもよい。ピッチロッドの第二端部はクランクの第一端部に枢動自在に配置され得、アクチュエータはクランクの第二端部に枢動自在に配置され得る。アクチュエータが往復運動を行うと、クランクは枢動点を中心に回転し得ることにより、クランクの第二アームの位置が変化すると、ピッチロッドの第二端部の位置が変化する。これにより、フィンをレバーアームに接合する枢動点に対する位置をピッチロッドの第一端部が変化させると、フィンがレバーアームに対するピッチ角度を変化させることになる。クランクは、互いに対向する第一接触面及び第二接触面をさらに含んでもよく、これらの接触面は、それぞれレバーアームの上側及び下側に接触して、フィンのヒーブ運動を発生させるように構成されてもよい。アクチュエータの伸長時、クランクは本体に対して枢動し得るため、クランクの第一接触面はレバーアームの上側に接触し、レバーアームを下向きに押す。アクチュエータの引き込み時、クランクは本体に対して反対方向に枢動し得るため、クランクの第二接触面はレバーアームの下側に接触し、レバーアームを上向きに押す。
【0016】
いくつかの例示的な実施形態では、フィンのピッチ運動もまた、回転アクチュエータであるアクチュエータによって発生してもよい。推進ユニットのいくつかの例示的な実施形態では、アクチュエータアセンブリは、第一アクチュエータ及び第二アクチュエータを備えることができる。第一アクチュエータ及び第二アクチュエータは、それぞれ第一枢動点及び任意選択で第二枢動点を介してフィンに連結され得る。したがって、第一枢動点及び/又は第二枢動点などの枢動点は、本体に対して可動に配置されることができる。枢動点及び/又はそれらに連結されたアクチュエータの位置は、フィンに誘導されるトルクを最適化するために配置されるように、フィン本体上で前方又は後方に移動することができる。
【0017】
第一アクチュエータ及び第二アクチュエータは、フィンのヒーブ運動とピッチ運動との間の位相差が可変であるように、互いに対して独立して作動可能であり得る。したがって、第一アクチュエータ及び第二アクチュエータは、同位相又は逆位相で作動することができる。逆位相であるピッチ運動及びヒーブ運動を発生させるために、アクチュエータは位相差を有して作動することができる。位相差を変化させることで、フィンの最大ピッチ角度を調整することが可能になる。2つのアクチュエータは、1つ又は複数の実施形態では、それらの移動又は運動の振幅を独立して変化させることによって作動し得る。したがって、第一アクチュエータ及び第二アクチュエータは、互いに独立した移動又は運動の振幅及び/又は位相を変化させることができる。本明細書では、ピッチ角度は、水平面に対するフィンの角度である。第一アクチュエータ及び第二アクチュエータが同位相で作動する場合、第一及び第二枢動点の相対位置が変化しないので、フィンはヒーブ運動のみを実行する。換言すれば、第一及び第二アクチュエータが同位相で作動する場合、それらは同じ動きを行うので、フィンのピッチは変化せず、フィンは、水平面に対するフィンの角度を変化させることなく、上向き/下向きの運動を行う。第一アクチュエータ及び第二アクチュエータが逆位相で作動する場合、第一及び第二枢動点の相対位置が変化するので、フィンはヒーブ運動及びピッチ運動を行う。換言すれば、第一及び第二アクチュエータが逆位相で作動する場合、それらは異なる動きを行うので、フィンのピッチが変化し、フィンは、水平面に対するフィンの角度を変化させながら、上向き/下向きの運動を行う。第一アクチュエータ及び第二アクチュエータが独立して作動可能であるため、フィンの運動パターンは、フィンの揚力、したがってフィンが発生させる推力を増加させるように適合されて最適化することができる。第一アクチュエータ及び/又は第二アクチュエータの位相又は振幅を大きく変化させる及び/又は反転させることによって、フィンは船を後退させるための逆推力を発生させることができる。第一アクチュエータ及び第二アクチュエータの位相差及び/又は振幅を個別に制御することによって、フィンの運動の精密制御を達成することができる。したがって、本明細書に開示される1つ又は複数の例示的な実施形態は、フィンの運動の精密制御を可能にする単純なシステムを提供する。
【0018】
推進ユニットの1つ又は複数の例示的な実施形態では、フィンは、本体の内側に摺動自在に配置され得る。フィンは、第一フィン部分、第二フィン部分、ならびに第一フィン部分及び第二フィン部分を連結するための連結要素を備えることができる。連結要素は、第一コネクティングロッド、及び任意選択で第二コネクティングロッドを備えることができる。第一フィン部分及び第二フィン部分は、第一コネクティングロッド及び第二コネクティングロッドを介して連結されてもよい。第一コネクティングロッド及び第二コネクティングロッドは、平行で、かつ第一及び第二フィン部分の前縁部からそれぞれ第一距離及び第二距離に配置され得る。第一及び第二コネクティングロッドは、それぞれ第一及び第二フィン部分の内側に配置されるように構成されたそれぞれの第一及び第二端部を有することができる。第一コネクティングロッド及び第二コネクティングロッドの中央部分は、本体内側に配置されてもよい。第一フィン部分及び第二フィン部分は、本体が第一フィン部分と第二フィン部分とを分離するように、本体の対向する側に配置されてもよい。したがって、第一フィン部分は本体の右舷側などの第一側に配置されることができ、第二フィン部分は本体の左舷側などの第二側に配置されることができる。
【0019】
第一コネクティングロッドは第一アクチュエータに連結され得、第二コネクティングロッドは第二アクチュエータに連結され得る。第一コネクティングロッド及び第二コネクティングロッドは、それぞれ第一作動ロッド及び第二作動ロッドを介して、それぞれの第一アクチュエータ及び第二アクチュエータに連結され得る。第一コネクティングロッドは、第一自由回転ピン連結部を介して第一作動ロッドに連結されることができる。第二コネクティングロッドは、第二自由回転ピン連結部を介して第二作動ロッドに連結されることができる。したがって、第一自由回転ピン連結部は第一枢動点を構成し得、任意選択で、第二自由回転ピン連結部は、フィンが枢動するように配置される第二枢動点を構成し得る。
【0020】
少なくとも1つのアクチュエータはその端部に1つ又は複数のピン連結部を備えることができることで、アクチュエータは、フィン、作動ロッド及び/又は船の船体に連結されることができる。また、少なくとも1つの作動ロッドはその端部に1つ又は複数のピン連結部を備えることができることで、アクチュエータロッドは、アクチュエータ及び/又はフィンに連結されることができる。ピン連結部により、アクチュエータが連結点で自由回転することが可能になるため、アクチュエータは、そのアライメントを、枢動点を中心にしたフィンの枢動運動中にレバーアーム及び/又は船に対して調整することが可能になる。したがって、少なくとも1つのアクチュエータがピン連結部を含むことで、いかなる曲げモーメントも伝えられることがない。
【0021】
少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッドは、1つ又は複数の例示的な実施形態では、例えば、滑り軸受などの1つ又は複数の軸受によって拘束され得ると、少なくとも1つのアクチュエータの直動方向などの長手方向にのみ移動することができるため、回転することができないことで、アクチュエータでの曲げモーメントを支持することができる。少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッド、例えば第一及び第二アクチュエータのうちの少なくとも1つは、垂直方向にのみ変位することができるように拘束され得る。垂直方向は、推進ユニットが船上に配置されるときの船の垂直方向に対応し得る。本明細書では、垂直方向にのみ変位することは、アクチュエータの変位が船の長手方向か短手方向かいずれかでの成分を有しないとみなすことができる。第一アクチュエータ及び第二アクチュエータのうちの少なくとも1つは、垂直方向に変位するように構成され得る。第一アクチュエータ及び第二アクチュエータのうちの少なくとも1つは、短手方向及び/又は長手方向に拘束され得る。少なくとも1つのアクチュエータは、船の船体に対してなど、船に対して枢動することができないように拘束され得る。第一アクチュエータ及び第二アクチュエータのうちの少なくとも1つなどの少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つのアクチュエータの伸長方向に垂直な方向、例えば第一アクチュエータ及び第二アクチュエータのうちの少なくとも1つの伸長方向に垂直な方向などに拘束され得る。
【0022】
1つ又は複数の軸受は、推進ユニットの本体内に、及び/又は船の船体内に配置されてもよい。1つ又は複数の軸受は、少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッドの外周部の周りに配置されてもよい。1つ又は複数の軸受は、少なくとも1つのアクチュエータの直動の方向に対して垂直な方向、例えば、推進ユニットが船に取り付けられているときの垂直方向で、少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッドに作用する力を支持するように構成され得る。長手方向に対する少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッドの動きを制限することにより、船に対する少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッドのシールが容易になる。少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッドが互いに対して、及び/又は船の船体に対して回転することができないことから、少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッドが船に対して回転することができる解決策と比較して、これらの解決策よりも単純で、かつ低コストのシールが使用され得る。少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は作動ロッドの動きを制限することにより、フィンの動きの可制御性が向上し、フィンの運動を精密制御することが可能になる。少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は作動ロッドの動きを制限することにより、船の船体に対するフィンのヒーブ運動及び/又はピッチ運動中に、フィンが前後に揺動することを防止することができる。
【0023】
1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、推進ユニットは複数のアクチュエータ及び/又は作動ロッド、例えば、第一アクチュエータ及び/又は作動ロッド、第二アクチュエータ及び/又は作動ロッド、及び第三アクチュエータ及び/又は作動ロッドなどを備える。複数のアクチュエータ及び/又は作動ロッドのうちの1つは、アクチュエータ及び/又は作動ロッドが船の船体に対して回転することができないように拘束されることができる。複数のアクチュエータ及び/又は作動ロッドのうちのその他のアクチュエータ及び/又は作動ロッドは、フィンのヒーブ運動及び/又はピッチ運動を実行している間、船の船体に対して枢動するように構成されることができる。フィンは、複数のアクチュエータ及び/又は作動ロッドのそれぞれに対して枢動するように構成され得ることで、フィンは、その迎角を複数のアクチュエータ及び/又は作動ロッドのそれぞれに対して変化させることができる。フィンは、例えば、複数のアクチュエータ及び/又は作動ロッドにそれぞれの枢動点を介して連結されることができる。
【0024】
フィンがピッチ運動を行うと、作動ロッドの長手方向伸長部に垂直な平面などの水平面から見える、第一枢動点と第二枢動点との間の距離が変化する。水平面から見える、第一枢動点と第二枢動点との間の距離における変化を可能にするために、枢動点の少なくとも1つは、滑り継手を介してフィンに連結されることができる。滑り継手は、例えば、枢動点が摺動自在に移動するように配置され得る細長スロットであり得る。
【0025】
第一コネクティングロッドといった、第一及び第二コネクティングロッドのうちの少なくとも1つは、コネクティングロッドの対向する端部にそれぞれ配置された第一及び第二細長スロットを備えることができる。細長スロットは、第一及び第二コネクティングロッドのうちの少なくとも1つの長手方向軸に垂直な方向に長手方向の伸長部を有することができる。細長スロットは、それぞれ第一及び第二フィン部分の内側に配置されることができる。第一細長スロット及び第二細長スロットは、それぞれ第一フィン部分及び第二フィン部分の内側に固定して配置されたピン又はロッドに連結されることができるので、ピン又はロッドは、第一コネクティングロッド及び第二コネクティングロッドのうちの少なくとも1つの細長スロット内に摺動自在に配置される。第一及び第二フィン部分もまた細長スロットを備えてもよく、この細長スロットが第一コネクティングロッド及び/又は第二コネクティングロッドを受容することにより、第一コネクティングロッド及び/又は第二コネクティングロッドが第一及び第二フィン部分に対して細長スロットの内側で摺動することが可能になる。したがって、第一コネクティングロッド及び/又は第二コネクティングロッドは、第一及び第二フィン部分の内側に、第一及び第二コネクティングロッドのうちの少なくとも1つの長手方向軸に垂直な方向で摺動自在に配置されることができるため、前縁部からの第一コネクティングロッド及び/又は第二コネクティングロッドの距離は変化することができる。前縁部からの第一コネクティングロッド及び/又は第二コネクティングロッドの距離を変化させることにより、水平面から見える第一枢動点と第二枢動点との間の距離をフィンのピッチ運動によって変化させることができる。これにより、第一アクチュエータ及び第二アクチュエータは、フィンのピッチ運動とヒーブ運動との両方を発生させるための純粋な垂直運動を実行することができる。第一コネクティングロッド及び第二コネクティングロッドの位置、したがって第一及び第二アクチュエータへの連結点の位置は、実装次第であり得、フィン本体のコードに沿って移動することができることで、第一及び第二アクチュエータに対する連結点は、フィン上に誘導されたトルクを最適化するために配置される。
【0026】
第一作動ロッド及び/又は第二作動ロッド(又は少なくともその中央部分)は、本体の内側に配置されることができる。したがって、本体は、第一コネクティングロッド及び/又は第二コネクティングロッドをそれぞれ受容するための第一貫通スロット及び/又は第二貫通スロットを備えることができる。第一貫通スロット及び/又は第二貫通スロットにより、第一コネクティングロッド及び第二コネクティングロッドは、本体を通して突出し、第一貫通スロット及び第二貫通スロット内に摺動自在に配置されることが可能になる。第一コネクティングロッド及び第二コネクティングロッドは、本体内側で第一作動ロッド及び第二コネクティングロッドに連結されることができる。第一貫通スロット及び第二貫通スロットは本体の垂直方向に長手方向伸長部を有することにより、第一コネクティングロッド及び第二コネクティングロッドは、垂直方向の動きを行い、フィンのピッチ運動及びヒーブ運動を発生させることが可能になる。第一貫通スロット及び第二貫通スロットは、第一貫通スロット及び第二貫通スロットのそれぞれの頂端部に開口部を含むことができる。これらの開口部が第一貫通スロット及び第二貫通スロットの頂端部にあると、第一及び第二アクチュエータ及び/又は第一作動ロッド及び第二作動ロッドが本体内に突出し、コネクティングロッドに連結されることが可能になる。第一貫通スロット及び第二貫通スロットの頂端部にある開口部は、船の本体及び/又は船の船体内で上向きに延在してもよく、船の喫水線より上で封止されてもよい。
【0027】
推進ユニットは舵を含むことができる。1つ又は複数の例示的な実施形態では、本体は船のキールに固定して配置されるように構成することができ、舵はスケグに枢動自在に配置することができる。本体は、キールに固定して配置されると、船のスケグを構成することができる。本明細書でのスケグは、船のキールの船尾方向の伸長部を意味するものである。スケグは、船に針路安定性を提供することができる。本体は、その中心線上に取り付けられた舵を有する場合がある。舵は、本体の後縁部に配置された舵頭材を介して本体に取り付けることができる。舵頭材は垂直シャフトであり、この垂直シャフトによって操舵装置の旋回力が舵に伝達され得る。したがって、舵頭材は、舵の枢動点を提供することができ、その枢動点を中心に枢動自在に、舵は本体に配置されることができる。
【0028】
1つ又は複数の例示的な実施形態では、本体は、本体を船のキールに回転自在に配置するための舵頭材を含むことができる。したがって、本体は、回転して舵として機能するように構成されることができる。舵頭材は、1つ又は複数のアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッドを収容するために中空であってもよい。1つ又は複数のアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッドは、舵頭材の内側に配置することができる。舵頭材は、舵頭材を船のキールに回転自在に配置するために、回転軸受などの軸受を備えることができる。舵頭材は、軸受の軸受軌道輪を構成することができる。中空の舵頭材によって水が船に入るのを防ぐために、舵頭材は封止されることができる。軸受軌道輪のうちの1つを構成する舵頭材は、舵頭材が喫水線より上で封止され得るように、船の喫水線より上に延出することができる。舵頭材を喫水線より上で封止すると、舵頭材が船の喫水線より下で封止される場合に比べて、より単純で安価なシールを使用することが可能になる。
【0029】
本体は、本体の船又はキールに面する側で本体から突出する中空管を備えてもよい。第一作動ロッド及び/又は第二作動ロッドは、中空管内に配置されることができる。本体が船のキールに配置される場合、中空管は、船の船体の内側内などの船内に突出するように構成され得る。本体が船のキールに固定して配置される場合、中空管は、船の船体に溶接された鋼管であってもよい。本体が船のキールに回転自在に配置される場合、舵頭材は中空であってもよく、中空管を構成してもよい。中空管は、船の船体内に突出するように配置された第一端部と、船の本体内及び/又はそれに配置された第二端部とを含むことができる。したがって、中空管の第一端部は、中空管の第二端部よりも本体及び/又はフィンからさらに離れて位置している。したがって、中空管の第一端部は、本明細書では中空管の遠位端部と称され得る。本体は、船を取り囲む水に対して完全に又は部分的に開いていてもよい。本体内側でのアクチュエータ、アクチュエータロッド及び/又はコネクティングロッドの動きを可能にするために、本体は、アクチュエータ、アクチュエータロッド及び/又はコネクティングロッドを受容するためのスロットなどの開口部を含む。したがって、開口部によって水が本体内に浸入する可能性がある。水が船の船体内に入るのを防ぐために、中空管はシールを含むことができ、シールが中空管の遠位端部などの第一端部に配置されると、中空管に対してアクチュエータ及び/又はアクチュエータロッドを封止することができる。中空管は、シールを受容するためのフランジ連結部を含んでもよい。アクチュエータと船体外板との間のシールは、シールが船の喫水線より下に配置される場合、特に複雑で困難な場合がある。船の船体内に突出するように中空管を本体上に設け、船の船体の内側の中空管の遠位端部などの第一端部にシールを配置することによって、アクチュエータと船の船体との間、及び/又は作動ロッドと船の船体との間の連結部が船の喫水線より上に配置出来うるように、上向きにシールを移動することができる。これにより、アクチュエータと船の船体との間及び/又は作動ロッドと船の船体との間の連結部は、あまり複雑ではなくより安価なシールを使用して封止されることができる。第一アクチュエータ及び/又は第二アクチュエータは、水がアクチュエータを通って船に入るのを防ぐために、内部に封止されていてもよい。
【0030】
1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、第一アクチュエータ及び第二アクチュエータ及び/又は第一作動ロッド及び第二作動ロッドは、同じ中空管内に配置され得る。推進ユニットの1つ又は複数の例示的な実施形態では、例えば、本体が船のキール上に固定して配置される場合などに、本体は、第一及び第二中空管を含むことができる。第一アクチュエータ及び第二アクチュエータ及び/又は第一作動ロッド及び第二作動ロッドは、それぞれの中空管内に配置され得る。第一アクチュエータ及び/又は第一作動ロッドは、第一中空管内に配置されてもよく、第二アクチュエータ及び/又は第二作動ロッドは、第二中空管内に配置されてもよい。
【0031】
1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、アクチュエータアセンブリなどの推進ユニットは、推進ユニットが少なくとも3つのアクチュエータを含むように第三アクチュエータを含む。少なくとも3つのアクチュエータは、船の船体とフィンとの間に配置されることができる。少なくとも3つのアクチュエータは、船の船体に対するフィンのヒーブ運動及びピッチ運動を与えるように構成される。3つのアクチュエータのうちの少なくとも1つは、本体の垂直方向での動きのみを実行するように構成され得る。他のアクチュエータは、本体の垂直方向及び長手方向での動きを実行するように構成され得る。垂直方向での動きのみを実行するように構成される少なくとも1つのアクチュエータは、その動きが支持体によって拘束されることができる。支持体は、垂直方向の動きのみを実行するように構成されている少なくとも1つのアクチュエータ及び/又は少なくとも1つの作動ロッドが、垂直方向以外の任意の方向に動くのを防ぐことができる。
【0032】
1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、第一アクチュエータ、第二アクチュエータ及び第三アクチュエータのうちの少なくとも2つは、フィンのピッチ角度及び/又はヒーブを可変に調整するために、相関して作動可能であってもよく、例えば、互いに対して同時に作動可能であってもよい。例えば、フィンのピッチを変えるために、3つのアクチュエータのうちの2つは、互いに対して同時に作動し、例えば互いに対して引き込まれ、又は伸長され、2つのアクチュエータが連結されているそれぞれの枢動点間の垂直距離を変えることができる。アクチュエータのうちの1つは変位しなくてもよいので、変位していないアクチュエータをフィンに連結する枢動点を中心にフィンが枢動することができる。フィンのヒーブ運動を実行するために、3つのアクチュエータのすべてが同時に作動することができる。
【0033】
フィンのヒーブ運動及びピッチ運動を制御するために、第一アクチュエータ、第二アクチュエータ及び第三アクチュエータが個別に制御されることができる。第一アクチュエータ、第二アクチュエータ及び第三アクチュエータは、それぞれの枢動点を介して推進ユニットの本体(又は船の船体)及び/又はフィンに連結されてもよい。フィンの枢動点は、第一、第二及び第三アクチュエータがフィンの前縁部からそれぞれの距離でフィン上に作用しているように、フィンの前縁部からそれぞれの距離に配置され得る。例えば、第一アクチュエータは、第二アクチュエータ及び第三アクチュエータよりもフィンの前縁部の近くに配置されてもよい。第二アクチュエータは、第三アクチュエータよりもフィンの前縁部に近いが、第一アクチュエータよりも前縁部から遠くに配置され得る。第三アクチュエータは、第一アクチュエータ及び第二アクチュエータの両方よりも前縁部から遠くに配置され得る。
【0034】
第三アクチュエータは、第一及び第二アクチュエータと同じタイプのものであってもよく、又は第一及び第二アクチュエータとは異なるタイプのものであってもよい。第三アクチュエータは、1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、水撃ポンプ型アクチュエータであってもよい。第三アクチュエータは作動ロッドであってもよい。第三アクチュエータは、船の前方向/後方向などの長手方向で第一及び第二アクチュエータから少し離れてフィンに連結されることができる。第一アクチュエータ、第二アクチュエータ及び/又は第三アクチュエータは、1つ又は複数の固定枢動点を介してフィン及び/又は船の船体に連結されてもよい。本明細書における固定枢動点は、枢動点がフィン、船の船体、及び/又は推進ユニットの本体に対して、摺動自在ではないなど、固定して配置されることを意味するものである。これらの枢動点は、1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、フィン及び/又は推進ユニット本体及び/又は船の船体に固定されているピン継手であってもよい。フィン内に第一枢動点及び第二枢動点を固定して配置することにより、フィンの安定性及び/又は可制御性を向上することができるため、フィンのピッチが向上した精度で制御されることができる。さらに、例えば摺動自在に配置された枢動点などの滑り継手をフィン内に有しないことにより、システムに誘導される摩擦を減少することができ、推進ユニットの効率を向上することができる。水中に配置される推進ユニットの可動部品が減少することにより、可動部品の腐食及び潜在的な焼付きのリスク、ならびにシステムの潜在的な不具合がさらに減少する。これにより、推進ユニットの性能を向上することができる。
【0035】
これらの変位、例えば、第一アクチュエータ、第二アクチュエータ及び/又は第三アクチュエータなどのアクチュエータのそれぞれの変位は、例えば、船の長手方向などの前方向及び/又は後方向での運動成分なしで、垂直方向の変位のみをアクチュエータのうちの1つが実行するように制御されてもよい。3つのアクチュエータのうちの1つの動きを拘束することにより、フィンの運動をより精密な方法で制御することができる。例えば、フィンがヒーブ運動及び/又はピッチ運動を行っている間に船の前方向/後方向に揺動するのを防ぐことができることによって、前方向/後方向でのフィンの揺動がフィンのピッチ角度を変化させ得ることから、推進ユニットの効率が向上する。
【0036】
アクチュエータの変位は、フィンを囲む水の状態に基づいて、例えば、フィンの前縁部に到達する水の速度など、入ってくる水の速度に基づいて、ヒーブ及びピッチを調整するように制御することができる。それにより、フィンの運動は、フィンを囲む水の現在の状態に基づいて、推進ユニットの性能を向上させるように適合され得る。アクチュエータは、例えば、水の状態に応じた複数の迎角プロファイルに基づいて制御され得る。例えば、例示的な第一迎角プロファイルは、開放水域に対して最適化され得る。例示的な第二迎角プロファイルは、船の後ろの伴流での作動に最適化されることができる。2つ以上のアクチュエータを含む推進ユニットなど、本開示による推進ユニットは、フィンのヒーブ及び/又はピッチを連続して適合することができるため、フィンの運動を多かれ少なかれ無数の迎角プロファイルに調整することができる。複数の迎角プロファイルは、例えば、フィンへの所与の水の流入など所与の水の状態に基づいて動きのパターン及び/又はフィンの幾何学的形状を最適化するために、計算流体力学(CFD)コードを最適化ルーチンとともに使用して決定することができる。
【0037】
1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、推進ユニットは制御システムを含むことができ、この制御システムは、フィンの検出された迎角に基づいた異なる迎角プロファイルのアクチュエータの変位などの動きのパターンを最適化して制御するように構成されることができる。制御システムは、1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、例えば機械学習を使用することによって、リアルタイムで動きのパターンを制御することができる。制御システムは、フィンの状態に関する情報、例えば、フィンの周囲の水流、ピッチ角度などのフィンのピッチ及び/又はヒーブに関する情報、ピッチ及び/又はヒーブの速度などのフィンの運動のヒーブ及び/又は速度を受信してもよい。制御システムは、受信した情報を使用して、フィンのピッチ運動及び/又はヒーブ運動を最適化し、推進ユニットの効率を向上させてもよい。
【0038】
1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、例えば波によって誘導され得るフィン上のねじりモーメントを吸収するために、アクチュエータのうちの少なくとも1つは、1つ又は複数の他のアクチュエータから横方向にオフセットされてもよい。本明細書において横方向は、船の右舷側から船の左舷側まで延在する軸に沿うなど、フィンの横軸に沿ったものを意味する。これにより、フィンの性能をさらに向上することができる。アクチュエータのうちの少なくとも1つは、1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、100~200mmの範囲内など、50~500mmの範囲内の距離だけ、1つ又は複数の他のアクチュエータからオフセットされてもよい。
【0039】
推進ユニットが第三アクチュエータを含む場合などの1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、フィンは第三コネクティングロッドを含むことができる。第三アクチュエータは、第三コネクティングロッドに枢動自在に連結され得る。第三コネクティングロッドは、第三作動ロッドを介して第三アクチュエータに連結することができる。第三作動ロッドは、推進ユニットの本体の内側に配置され得る。第一フィン部分及び第二フィン部分は、第三コネクティングロッドを介して連結されてもよい。第一コネクティングロッド、第二コネクティングロッド及び第三コネクティングロッドは、平行に、かつ第一及び第二フィン部分の前縁部からそれぞれ第一距離、第二距離及び第三距離に配置され得る。
【0040】
1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、本体は第三貫通スロットを含み得ることで、第三コネクティングロッドは、本体を通して突出することと、第三貫通スロット内に摺動自在に配置されることとが可能になる。
【0041】
フィンは楕円平面形状を有し得る。1つ又は複数の例示的な推進ユニットなどのいくつかの実施形態では、フィンは高アスペクト比の楕円平面形状を有することができる。フィンのアスペクト比は、その平均コードに対する幅の比率である。フィンの幅は、1つのフィンの先端部からもう1つのフィンの先端部までの距離である。コードは、フィンの前縁部と後縁部とを結ぶ想像上の直線である。アスペクト比は翼幅の二乗を翼面積で除算したものに等しい。したがって、長くて幅の狭いフィンはアスペクト比が高くなるが、短く幅の広いフィンはアスペクト比が低くなる。フィンの揚抗比はアスペクト比とともに増加するため、フィンのアスペクト比が高くなると、フィンの性能及び効率が向上することで、船の燃費が向上し得る。揚抗比は、L/D比とも称され得るが、フィンに発生した揚力の量を、水などの粘性流体を通って動くことによって生じる流体力学的抗力で除算したものである。フィンのコードの形状及び/又は平面形状は、例えば船の船体の形状に基づいて、フィンの抗力を減少させるように変更することができる。
【0042】
フィンはウイングレットを含むことができる。ウイングレットは、フィンの先端部に配置されたエンドプレートであり、フィンの主翼に対して垂直、又は少なくとも実質的に垂直な方向に延在することができる。ウイングレットは、フィンの流体力学的抗力を減少させることにより、フィンの効率を向上させることができる。フィンの抗力は、先端渦エネルギーの部分的な回復によって減少し得る。ウイングレットは、フィンを先端部付近で横切る水流を滑らかにすることで、フィンの先端部で発生させる揚力を増加し得ると、フィンの先端部の周りの渦によって起こる揚力誘導抗力が減少する。揚力誘導抗力が減少すると、フィンの揚抗比が向上する。これにより、フィンの効率が向上する。また、ウイングレットは、水の低圧領域及び高圧領域の合流点をフィンの表面から離れて移動させることにより、フィンの先端部近くの水の層流と渦の干渉を減少させることにより、フィンの効率を高め得る。フィンの先端部の周りの渦は、フィン先端部の前縁部で始まり、フィンの後方と船内フィンに伝播する乱流を発生させる可能性がある。この乱流により、船外フィンの小さい三角形部分を上回る水の流れが層流とならない可能性があり、その領域でフィンが発生させる揚力が破壊される可能性がある。ウイングレットは、結果として生じる渦の中心がここではウイングレットの先端部にあるため、渦が形成されるその領域をフィンの表面から遠ざける。フィンは、推進ユニットの作動中に、アップ/ダウンストロークとも称され得る上向き/下向きの運動を行うことから、ウイングレットはフィンの上側と下側との両方の上に配置され得る。アップストロークとダウンストロークとの間でフィン上の揚力が反転可能であるため、フィンの上側と下側との両方の上にウイングレットが配置されることで、アップストロークとダウンストロークとの両方でフィンの効率が上がる。
【0043】
ヒーブ運動の変位などのフィンのストロークは、船のサイズ及び/又は船の喫水に依存している場合がある。船が大きいほど及び/又は船の喫水が深いほど、ストロークが大きくなり得る。フィンのストロークが増大することにより、フィンの効率、したがって推進ユニットの効率を上げることができる。1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、ストロークは、5~15メートルの範囲内など、3~20メートルの範囲内であってもよい。
【0044】
さらに、本開示による船を推進させるための推進ユニットを備える船が開示される。船はキールを含む。推進ユニットの本体は、船のキールに配置されてもよい。フィンは、船のキールに対してピッチ運動及びヒーブ運動を実行するように構成される。1つ又は複数の例示的な実施形態では、船がいくつかのエンジンを備える場合など、船は複数の推進ユニットを備えることができる。
【0045】
1つ又は複数の例示的な実施形態では、本体は船のキールに固定して配置することができる。これにより、本体が船体に強固に取り付けられ、本体の流体力学的抗力が減少する。
【0046】
1つ又は複数の例示的な実施形態では、本体は、船のキールに回転自在に配置されることができる。これにより、本体及び舵部品を1つのユニットに統合し、ユニット全体を舵のように回動させることができる。これにより、船の操縦性が向上し得る。
【0047】
図1A及び1Bは、本明細書の1つ又は複数の例示的な第一実施形態による、船100を推進させるための推進ユニット1を示す。本明細書に示される1つ又は複数の例示的な実施形態では、推進ユニット1は、ヒーブ運動及びピッチ運動を発生させるための単一のアクチュエータを備える。アクチュエータはレバーアームに作用し、レバーアームは、第一端部で枢動点に取り付けられ、もう1つの端部内でフィンに取り付けられる。アクチュエータがレバーアームにヒーブ運動を働かせると、レバーアームが枢動点を中心に回転することによって、フィンのピッチ運動が発生する。
【0048】
図1Aは、推進ユニット1の1つ又は複数の例示的な第一実施形態の側面図を示す。推進ユニット1は本体2を含み、この本体は、船100のキール101に配置されるように構成され、枢動点5a、本体2に対して可動に配置されるフィン3、及び本体2に対してフィン3のヒーブ運動を発生させるためのアクチュエータアセンブリ4を含み、アクチュエータアセンブリ4は、アクチュエータ4aを含む。フィン3はレバーアーム7を介して枢動点5aに連結されることにより、アクチュエータ4aがフィン3のヒーブ運動を発生させると、フィン3は、枢動点5aを中心に枢動することで、フィン3のピッチ運動が発生するように配置される。本明細書の1つ又は複数の例示的な第一実施形態では、レバーアーム7の第一端部は枢動点5aに連結され、レバーアーム7の第二端部はフィン3に連結される。枢動点5aは本体2に固定して配置される。枢動点5aはピン固定回転点であってもよい。枢動点5aは、レバーアーム7が本体2の内側上の枢動点に連結され得るように、本体2の内側に配置され得る。したがって、本体2は本体2の後端部に向かい開口しているスロット2aを含み得ることで、レバーアーム7は本体2を通って突出し、本体2に対してヒーブ運動及びピッチ運動を行うことが可能になる。スロット2aが開口していることから、スロット2aは、作動中に船100を囲んでいる水と接触しているように構成される。
【0049】
アクチュエータアセンブリ4は、フィン3のヒーブ運動及びピッチ運動を発生させるための単一アクチュエータ4aを含む。推進ユニット1及び/又はアクチュエータアセンブリ4は、作動ロッド9を含むことができる。アクチュエータ4aは、作動ロッド9を介してレバーアーム3に連結されることができる。作動ロッド9は、枢動点5aから少し離れてレバーアーム7に連結されることができる。したがって、アクチュエータ4aは、枢動点5aから離れて作動ロッド9を介してレバーアーム7に力を働かせることで、この力は、枢動点5aの周りのレバーアーム7にトルクを生じる。
【0050】
第一アクチュエータ4aとも呼ばれ得るアクチュエータ4aは、直動を行う直動型リニアアクチュエータであってもよい。アクチュエータ4aは、垂直(上/下)運動を実行するように配置され得る。レバーアーム7が枢動点5aに連結されているので、アクチュエータ4aの直線的な垂直運動は、枢動点5aを中心にレバーアーム7を回転させる。枢動点5aを中心にしたレバーアーム7の回転により、レバーアーム7の枢動点5aとは反対側の端部に取り付けられているフィン3は、枢動点5aを中心に回転することで、船100の船体に対するヒーブ運動及びピッチ運動を実行する。フィン3のヒーブ運動中のレバーアーム7の枢動運動によってフィン3のピッチが発生させることから、フィン3のピッチは、フィン3のヒーブに直接依存している。したがって、フィン3のピッチ及びヒーブは常に互いに同位相である。作動ロッド9は第二枢動点5bを介してレバーアーム7に連結できることにより、作動ロッド9及びレバーアーム7は互いに対して回転することが可能になる。これにより、リニアアクチュエータ4aとレバーアーム7との間の角度は、レバーアーム7及びフィン3のヒーブ運動及びピッチ運動中に変化することが可能になる。作動ロッド9が第二枢動点5bを介してレバーアーム7に連結される場合、枢動点5aは第一枢動点5aと称されることができる。
【0051】
アクチュエータ4aは揺動パターンで作動するように構成され得ることにより、フィン3の揺動するヒーブ運動及びピッチ運動を発生し得る。揺動するヒーブ運動及びピッチ運動は、上向きストローク及び下向きストロークを含み得る。上向きストロークは、アクチュエータ4aがフィン3を船10に引き寄せる運動を指す。下向きストロークは、アクチュエータ4aがフィン3を船10から引き離す運動を指す。図1Aでは、レバーアーム7及びフィン3は、上向きストロークの端部位置などの上部位置に示されている。
【0052】
フィン3がピッチ運動を行うと、作動ロッド9の長手方向伸長部に垂直な平面などの水平面から見える、第一枢動点5aと第二枢動点5bとの間の距離が変化する。水平面から見える、第一枢動点5aと第二枢動点5bとの間の距離における変化を可能にするために、第二枢動点5bは、滑り継手7aを介してレバーアーム7に連結されることができる。滑り継手7aは、例えば、第二枢動点5bが摺動自在に移動するように配置され得る細長スロットであり得る。したがって、第二枢動点5bは、フィン3に対して可動に配置され得る。
【0053】
フィン3はウイングレット15を含む。ウイングレット15はエンドプレートであり、フィン3の先端部上に配置され、フィン3の主翼に対して垂直、又は少なくとも実質的に垂直な方向に延在する。ウイングレット15は、フィン3の流体力学的抗力を減少させることにより、フィン3の効率を向上させる。ウイングレット15はフィン3の頂部側及び/又は底部側の上に設けられてもよい。本明細書に示される1つ又は複数の実施形態では、ウイングレット15はフィン3の頂部側と底部側との両方の上に設けられる。これにより、フィン3の上向きストロークと下向きストロークとの両方でフィン3の効率が向上する。
【0054】
推進ユニット1は、舵6をさらに備えることができる。本体2は、本体2が舵6として機能することができるように、船100に対して回転自在に配置され得る。したがって、フィン3は、舵6とともに回転するように配置される。本体2は、舵頭材を介して船に配置されてもよい。舵頭材は、アクチュエータ4a及び/又は作動ロッド9を収容するために中空であってもよい。したがって、アクチュエータ4a及び/又は作動ロッド9は、中空の舵頭材を介してレバーアーム7に連結されることができる。舵頭材は、回転軸受などの軸受を介して船100に回転自在に配置されることができる。舵頭材は、軸受の軸受軌道輪を構成することができる。中空の舵頭材によって水が船に入るのを防ぐために、舵頭材は封止される必要がある場合がある。軸受軌道輪のうちの1つを構成する舵頭材は、舵頭材が喫水線より上で封止され得るように、船100の喫水線より上に延出することができる。舵頭材を喫水線より上で封止すると、舵頭材が喫水線より下で封止される場合に比べて、より単純で安価なシールを使用することが可能になる。ただし、推進ユニット1は、船100に固定して配置されてもよい。推進ユニット1が船100に固定される場合、船100は、フィン3の後ろに配置される従来の舵6を備えてもよい。
【0055】
図1Bは、図1Aに示される1つ又は複数の例示的な実施形態による、船100を推進させるための推進ユニット1の斜視図を示す。図から分かるように、本体2は、船100のキール101上に配置される。レバーアーム7は、本体2の内側に配置された枢動点5a(図1Bには示されない)を介して本体2に枢動自在に連結される。レバーアーム7の第二端部は、フィン3に連結される。本体2はスロット2aを含み、このスロットが本体2の後端部に向けて開いていることにより、レバーアーム7が本体2に対して垂直運動を行うことが可能になる。レバーアーム7は、作動ロッド9を介してアクチュエータ4a(図1Bには示されない)に連結される。作動ロッド9は、上/下運動などの直線的な垂直運動を行うことができ、この運動はレバーアーム7を介してフィン3に伝達される。図1Bでは、レバーアーム7及びフィン3は、上向きストロークの端部位置などの上部位置に示されている。
【0056】
フィン3は、高アスペクト比の楕円平面形状などの楕円平面形状を有する。フィンのアスペクト比は、その平均コードcに対する幅sの比率である。したがって、アスペクト比の高い平面形状を有するフィンは、フィン3が長くて狭いことを意味するものである。フィンの揚抗比はアスペクト比とともに高まるため、本明細書に開示されるアスペクト比の高いフィン3は、フィン3の性能及び効率を向上させ、船の燃費を向上させ得る。揚抗比は、L/D比とも称され得るが、フィンが発生した揚力の量を、水などの粘性流体を通して動くことによって生じる流体力学的抗力で除算したものである。コードcの形状及び/又はフィン3の平面形状は、実装次第であり得、例えば船100の船体の形状に基づいて、フィン3の流体力学的抗力を減少させるように変更されることができる。
【0057】
図1Bから分かるように、本明細書に示される推進ユニット1の1つ又は複数の第一実施形態によれば、ウイングレット15は、フィン3の頂部側と底部側との両方の上に設けられることで、上向きストロークと下向きストロークとの両方でフィン3の効率が向上する。
【0058】
本明細書の1つ又は複数の例示的な第一実施形態による推進ユニット1は、ヒーブ運動及びピッチ運動を実行するためのアクチュエータを1つだけ含む単純なレイアウトを有するため、高い機械効率及び低いメンテナンス要件を有する。
【0059】
図2Aから2Dは、本明細書の1つ又は複数の例示的な第二実施形態による、推進ユニット1、及び推進ユニット1の運動パターンを示す。アクチュエータアセンブリ4は、第一アクチュエータ4aとも呼ばれ得るアクチュエータ4a、及び第二アクチュエータ4bを含む。枢動点5a(図2Aから2Dには示されていない)は、枢動点5aが本体2に対して可動に配置されるように、第二アクチュエータ4bに連結される。第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bは互いに対して独立して作動可能であるため、フィン3のヒーブ運動とピッチ運動との間の位相差は可変である。第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bは、リニアアクチュエータであってもよい。したがって、フィン3のピッチ運動及びヒーブ運動は、互いに独立して制御され得る。フィン3は、本体2に可動に配置される。フィン3は、第一フィン部分3a及び第二フィン部分3b、第一コネクティングロッド8a(図2Aから2Dには示されない)及び第二コネクティングロッド8b(図2Aから2Dには示されない)を含む。第一フィン部分3a及び第二フィン部分3bは、第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bを介して連結される。第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bは、フィン3の構造要素を形成することができる。本体2は、フィン3の第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bを受容するための第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13bを含む。第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13bは、第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bが本体2を通って短手方向に突出することを可能にする。第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bは、それぞれ第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13b内に摺動自在に配置される。第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13bは本体2の短手方向に長手方向の伸長部を有することにより、フィン3の第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bが本体2に対して垂直方向の動きを実行することが可能になると、フィン3が本体2に対してヒーブ運動及びピッチ運動を行うことが可能になる。第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bは、それぞれ第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bに連結されてもよい。アクチュエータ4a及び4bを収容するために、推進ユニット1が船100の上に配置される場合、第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13bは、船100に面する第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13bの端部などの頂端部で開いていてもよい。したがって、アクチュエータ4a及び4bは、本体2の垂直方向に本体2を通って延出することができ、本体2を通って本体2の短手方向に突出する第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bに連結されることができる。
【0060】
本明細書に開示される推進ユニット1は、舵6をさらに備えることができる。本体2は、船100のキール101など、船100に固定して配置されるように構成されることができ、舵6は、スケグ2に枢動自在に配置されることができる。舵6は、本体2の中心線に取り付けられてもよい。舵6は、本体2の後縁部に配置された舵頭材を介して本体2に取り付けられてもよい。
【0061】
図2Aは、フィン3を動かすための例示的な運動パターン中の頂部位置にある、推進ユニット1のフィン部分3a及び3bなどのフィン3を示す。この例示的な運動パターンでは、第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bは位相差で作動する。フィン3の頂部位置は、フィン3が上向きストローク中に端部位置に到達するときなど、フィン3の移動の頂点に相当する。この位置では、第一及び第二アクチュエータは両方とも上部位置にあり、フィン部分3a及び3bは、ピッチ角度が0°であるような水平方向に配置される。
【0062】
図2Bは、フィン3の下向きストローク中の推進ユニット1のフィン3を示す。第一アクチュエータ4aと第二アクチュエータ4bとの両方が下向きに動いていることで、フィン3に下向きのヒーブ運動が加えられている。ただし、第一アクチュエータ4aが下向きストロークを開始する前に、第二アクチュエータ4bが下向きストロークを開始した。これにより、フィン部分3a及び3bなどのフィン3の前縁部10は、後縁部16が下向きに移動する前に下向きに移動すると、フィン3は第一符号を有する水平線に対してピッチ角度を有する。ピッチ角度は、座標系の定義により、正又は負の符号を有し得る。本明細書の図2B及び図5に示される例では、このピッチ角度、例えば第一符号を有するピッチ角度などは、正のピッチ角度に相当する。
【0063】
図2Cは、推進ユニットのフィン3が、フィン3を動かすための例示的な運動パターン中の底部位置にあることを示す。フィン3の底部位置は、フィン3が下向きストローク中に端部位置に到達するときなど、フィン3の移動の底点に相当する。この位置では、第一及び第二アクチュエータは両方とも下部位置にあり、フィン部分3a及び3bは、ピッチ角度が0°であるような水平方向に配置される。
【0064】
図2Dは、フィン3を動かすための例示的な運動パターンである、フィンの上向きストローク中の推進ユニット1のフィン3を示す。第一アクチュエータ4aと第二アクチュエータ4bとの両方が上向きに動いていることにより、フィン3に上向きのヒーブ運動が加えられている。第一アクチュエータ4aがその下向きストロークを開始する前に、第二アクチュエータ4bは、その下向きストロークを開始することから、第一アクチュエータ4aよりも前に上向きストロークも開始する。これにより、フィン部分3a及び3bなどのフィン3の前縁部10は、後縁部16が上向きに移動する前に上向きに移動すると、フィン3は第二符号を有する水平線に対してピッチ角度を有する。本明細書の図2D及び図5に示される例では、このピッチ角度は負のピッチ角度に相当する。
【0065】
図3は、本明細書の1つ又は複数の例示的な第二実施形態による、フィン3を第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bに連結するための連結部を示す。フィン3の第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bは、平行で、かつフィン3の第一フィン部分3a及び第二フィン部分3bの前縁部10からそれぞれ第一距離及び第二距離に配置される。
【0066】
第一コネクティングロッド8aは第一アクチュエータ4aに連結され、第二コネクティングロッド8bは第二アクチュエータ4bに連結される。第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bは、それぞれ第一作動ロッド9a及び第二作動ロッド9bを介して、それぞれの第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bに連結され得る。第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bは、それぞれ、第一作動ロッド9a及び第二作動ロッド9bを介して、例えば自由回転するピン連結部を介して、第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bに連結され得る。第一作動ロッド9a及び第二作動ロッド9bは、例えば、それらのそれぞれの下端部に貫通孔部を含んでもよく、これらの貫通孔部を通して第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bはそれぞれ挿入されることができる。したがって、第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bからの並進運動は、それぞれ第一作動ロッド9a及び第二作動ロッド9bを介して第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bに伝達され得る。
【0067】
ただし、ピン連結部が回転することにより、第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bはそれぞれ第一作動ロッド9a及び第二作動ロッド9b内で自由回転することが可能になる。それにより、作動ロッドとコネクティングロッドとの間のピン連結部の回転は、それぞれの枢動点を構成する。図3に示される例では、第二作動ロッド9bと第二コネクティングロッド8bとの間の連結部が第一枢動点5aを構成し、第一作動ロッド9aと第一コネクティングロッド8aとの間の連結部が第二枢動点5bを構成する。したがって、フィン3は、フィン3のピッチを変化させるように、作動ロッド9a、9bに対して回転することができる。
【0068】
水平面から見える、第一及び第二コネクティングロッド8a、8bの間の距離における変化を補償するために、フィン3がピッチ運動を行う場合、第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bのうちの1つは、第一フィン部分3a及び第二フィン部分3b内で可動に配置され得る。1つ又は複数の例示的な実施形態では、第二コネクティングロッド8bは、フィン部分内で可動に配置され、コネクティングロッド8bの対向する端部に配置された第一及び第二細長いガイド部分17を備え得る。第一及び第二細長いガイド部分17は、第一及び第二コネクティングロッドのうちの少なくとも1つの長手方向軸に垂直な方向に長手方向の伸長部を有することができる。第一及び第二細長いガイド部分17は、それぞれ第一フィン部分3a及び第二フィン部分3bの内側に配置されるように構成されてもよい。第一及び第二細長いガイド部分17は、第一フィン部分3aの内側に固定して配置された第一ピン18、及び第二フィン部分3bの内側に固定して配置された第二ピン18をそれぞれガイドするように構成されてもよい。第一及び第二細長いガイド部分17は、それぞれ第一ピン18及び第二ピン18をガイドするように構成されている細長スロット、細長い軸受又はトラックであってもよい。したがって、ピン18は、第二コネクティングロッド8bの細長スロット17内に摺動自在に配置され得る。
【0069】
1つ又は複数の例示的な実施形態では、代替に、第一及び第二ピン18は、第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bのうちの1つの対向する端部に配置されることができ、細長いガイド部分は、第一フィン部分3a及び第二フィン部分3bの内側に配置されることができる。第二コネクティングロッド8bは、例えば、コネクティングロッド8bの対向する端部に配置された第一及び第二ピン18を含むことができる。第一フィン部分3a及び第二フィン部分3bの内側に配置された第一及び第二細長いガイド部分17は、第一フィン部分3a及び第二フィン部分3bの幅sに垂直な方向に長手方向伸長部を有することができる。第一ピン18及び第二ピン18は、それぞれ第一フィン部分3a及び第二フィン部分3bの内側に固定して配置された第一及び第二細長いガイド部分17を摺動自在に係合するように配置され得る。また、第一フィン部分3a及び第二フィン部分3bは第二コネクティングロッド8bを受容するための細長スロット19を含むことができると、第二コネクティングロッド8bの長手方向軸に垂直な方向に細長スロット19の内側で前後に第二コネクティングロッド8bが摺動することが可能になるため、第二コネクティングロッド8bと前縁部10との間の距離を変化することができる。これにより、作動ロッド9b及び/又はアクチュエータ4bは、フィン3のピッチ運動中に純粋な垂直運動を実行することが可能になる。
【0070】
図4は、フィン3の第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bを受容するための第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13bを含む本体2を示す。第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bは、本体2を通って短手方向に突出する。第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bは、それぞれ第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13b内に摺動自在に配置される。また、第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bは、それぞれ第一作動ロッド9a及び第二作動ロッド9bの下端部にある貫通孔部を通して突出することができる。第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13bは本体2の短手方向に長手方向の伸長部を有することにより、第一コネクティングロッド8a及び第二コネクティングロッド8bは、それぞれ貫通スロット13a及び13b内で垂直方向の上/下運動を行うことが可能になる。推進ユニット1が船100に配置される場合、船100に面する端部などの頂端部で、第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13bが開いていることで、第一作動ロッド9a及び第二作動ロッド9bは、垂直方向から貫通スロット13a、13bに入ることが可能になる。第一貫通スロット13a及び第二貫通スロット13bの開口端部がそれらより上にある船の船体内の孔部に接合され得ると、作動ロッドは、アクチュエータアセンブリが配置され得る船100の船体内で垂直方向に移動することが可能になる。
【0071】
図5は、第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bが位相ずれによって作動する場合のフィン3の例示的な運動パターンを図示するグラフを示す。曲線h2は、第一作動ロッド9aが、第一作動ロッドの移動の頂点と移動の底点との中間点にある位置など、ストローク中間位置から伸長することを示す。曲線h1は、第二作動ロッド9bがストローク中間位置から伸長することを示す。曲線シータは、水平方向に対するフィンの対応するピッチ角度を度数で示す。逆位相であるピッチ運動及びヒーブ運動を生じるために、アクチュエータは位相差で作動する。この位相差を変化させることで、ヒーブ運動中にフィン3の最大ピッチ角度を調整することが可能になる。グラフから分かるように、第二作動ロッド9bは、その運動を第二作動ロッド9aよりわずかに先に実行する。分かるように、第一及び第二作動ロッド9a及び9bがストロークの中間点にあり、t=0の下向きストローク中及びt=3の上向きストローク中など、同じ方向に動いている場合に、フィンのピッチ角度が最大である。第一作動ロッド及び第二作動ロッドは、t=1,5及びt=4,5などの場合は、移動の頂点又は移動の底点のような端部位置にある。
【0072】
図6は、本体2が船100に回転自在に配置されるように構成される、1つ又は複数の例示的な第三実施形態による推進ユニット1を開示する。本明細書に開示される推進ユニット1は、図2Aから2D、図3及び図4に関連して開示される推進ユニット1と同様である。本体2は、船100のキール101に本体2を回転自在に配置するための舵頭材11を含む。舵頭材は、本体2が船100に取り付けられるときに船100の底部に面する側など、本体2の頂部側の上に配置される。したがって、本体2は、舵頭材11を中心に回転し、舵6として機能するように構成されることができる。舵頭材11は、1つ又は複数のアクチュエータ4a、4b及び/又は第一作動ロッド9a及び/又は第二作動ロッド9bを収容するために中空であることができる。1つ又は複数のアクチュエータ4a、4b及び/又は第一作動ロッド9a及び/又は第二作動ロッド9bは、舵頭材11の内側で垂直方向に動くことができるように、舵頭材11の内側に配置されることができる。舵頭材11は、舵頭材を船100のキール101などの船100に回転自在に配置するために、回転軸受などの軸受を備えることができる。いくつかの実施形態では、舵頭材11は、軸受の内輪などの軸受の軌道輪を構成することができる。
【0073】
図7は、本明細書に開示される1つ又は複数の例示的な第二実施形態による、船100を推進させるための推進ユニット1を備える船100を開示する。船100はキール101を含む。推進ユニット1の本体2は、船100のキール101など、船100の底部に配置されてもよい。フィン3a、3bは、船100のキール101など、船100の底部に対してピッチ運動及びヒーブ運動を行うように構成される。フィン3、3a、3bがヒーブ運動及びピッチ運動を行うと、船100を推進させるための推力が発生する。図7に示される例示的な実施形態では、推進ユニット1は、フィン3、3a、3bのヒーブ運動及びピッチ運動を発生させるための2つのアクチュエータを備える。したがって、フィン3の運動パターンは、船体と、船体の境界層におけるフィン3の荷重とに適合するように精密制御され得る。本明細書での本体2は、船100のキール101などの船100に固定して配置されるため、船100のスケグを構成することができる。推進ユニットは、本体2の後縁部に取り付けられた舵をさらに備える。ただし、船100は、1つ又は複数の実施形態では、本明細書に開示される1つ又は複数の例示的な第一及び第三実施形態による推進ユニットを備えることができる。
【0074】
図8は、本開示による、例示的な推進ユニット1を備える例示的な船100の内側の斜視図を示す。本体2は船に固定して取り付けられ、第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bは船100の内側に配置される。図8に示される推進ユニット1は、本明細書の1つ又は複数の例示的な実施形態による、水が船内に入るのを防止するためのシール配置を有する。第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bがフィン3、3aのヒーブ運動及びピッチ運動を発生させるために、船体及び本体は、第一及び第二アクチュエータ4a、4b、及び/又は第一作動ロッド及び第二作動ロッド9a、9bを受容するための開口部を含む。これらの開口部は、船100を囲む水に対して開いている。水が開口部を通して船に入るのを防止するために、本体は、本体から船100内に突出している1つ又は複数の中空管12;12a、12bを含むことができる。第一作動ロッド9a及び/又は第二作動ロッド9b及び又は第一アクチュエータ4a及び/又は第二アクチュエータ4bは、1つ又は複数の中空管12;12a、12b内に配置されることができる。1つ又は複数の中空管12;12a、12bは、船100の船体に溶接された鋼管(複数可)であってもよい。1つ又は複数の中空管(複数可)12;12a、12bは、船100の船体内に突出するように配置された遠位端部などの第一端部と、船100の本体2内に配置された近位端部とを含み得る。1つ又は複数の中空管(複数可)12;12a、12bのうちの遠位端部などの第一端部は、船100の喫水線より上に延出するように構成され得る。水が開口部を通して船100の船体内に入るのを防ぐために、1つ又は複数の中空管(複数可)12;12a、12bは、それぞれ、1つ又は複数の中空管(複数可)12;12a、12bの遠位端部に配置されたシール20を含むことができる。1つ又は複数の中空管(複数可)12;12a、12bは、シール20を受容するためのフランジ付き連結部を含んでもよい。本体2上で1つ又は複数の中空管(複数可)12;12a、12bを、船100の船体内に突出するように設けて、船100の喫水線より上の1つ又は複数の中空管(複数可)12;12a、12bの遠位端部にシール20を配置することで、あまり複雑ではなくより安価なシールが使用されることができる。
【0075】
図9は、本開示による例示的な推進ユニット1を示す。例示的な推進ユニット1は、第一アクチュエータ4a及び第二アクチュエータ4bなどの2つのアクチュエータ4を備える。2つのアクチュエータ4のうちの1つ、例えば第二アクチュエータ4bは、船の垂直軸に沿ってなど、垂直方向でのみ、伸長される、又は引き込まれるなど、変位することができるように、その動きが拘束される。例示的な推進ユニット1は、第二アクチュエータ4bの動きを拘束するための1つ又は複数の支持面21を含む。1つ又は複数の支持面はローラ支点及び/又は滑り軸受であってもよい。1つ又は複数の支持面21は、船の船体又は推進ユニット1の本体に固定して配置されることができる。1つ又は複数の支持面21は、第二アクチュエータ4bが船の船体に対して枢動するのを防止するように構成されることができる。第二アクチュエータ4bの動きを拘束することにより、第二アクチュエータ4bをフィン3に連結する枢動点5bは、垂直方向にのみ変位することができるため、ヒーブ運動のみを行うことができる。ただし、それにもかかわらず、フィン3が枢動点5bを中心に枢動することができることで、フィン3のピッチの変化が可能になる。第二アクチュエータ4bなどのアクチュエータのうちの1つの動きを拘束することにより、フィン3の運動の動きが精密制御されることができる。例えば、フィン3は、ヒーブ運動及び/又はピッチ運動を行っている間に、船の前方向/後方向に揺動するのを防止されることができる。第一アクチュエータ4aは、第一アクチュエータが伸長されている及び/又は引き込まれているときに船の船体に対して枢動することができるように、拘束されなくてもよい。1つ又は複数の例示的な推進ユニット1では、2つのアクチュエータ4a;4bは、2つのアクチュエータ4a;4bの伸長方向が平行でないように、互いにある角度をなして配置されてもよい。例えば、第一アクチュエータ4aは、船の垂直軸に対してある角度をなして配置され得る。第一枢動点5a及び第二枢動点5bは、フィン3内に、摺動自在に配置されないなど、固定して配置されてもよい。換言すれば、フィン3は、第一枢動点5a及び第二枢動点5bを中心に枢動することができる。ただし、第一枢動点5a及び/又は第二枢動点5bは、フィン3に対して摺動自在に配置されなくてもよい。第一枢動点5a及び第二枢動点5bは、1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、ピン継手であってもよい。フィン3内に第一枢動点及び第二枢動点を固定して配置することにより、フィン3の安定性及び/又は可制御性が向上することができるため、フィン3のピッチが向上した精度で制御されることができる。さらに、第一及び第二枢動点5a、5bをフィン3に固定して配置することにより、アクチュエータ4a、4b及びフィン3の間の1つ又は複数の連結部に滑り運動がないことから、推進システムに誘導される摩擦が減少することができる。推進ユニット1の水中に配置された可動部品が減少することで、可動部品の腐食及び潜在的な焼付きのリスク、ならびにシステムの潜在的な不具合がさらに減少する。これにより、推進ユニットの性能が向上することができる。
【0076】
図10は、本開示による例示的な推進ユニット1を示す。図10に示される例示的な推進ユニット1は、第一アクチュエータ4a、第二アクチュエータ4b及び第三アクチュエータ4cなどの3つのアクチュエータ4を備える。第一アクチュエータ4a、第二アクチュエータ4b及び第三アクチュエータ4cは、それぞれの枢動点、例えば、第一枢動点5a、第二枢動点5b及び第三枢動点5cを介してフィンに連結され得る。図10に開示される例示的な推進ユニット1では、3つのアクチュエータ4のうちの1つ、例えば第二アクチュエータ4bは、船の垂直軸に沿ってなどの垂直方向で変位する、例えば、伸長される、又は引き込まれるように構成される。3つのアクチュエータ4のうちの1つ、例えば第二アクチュエータ4bは、船の短手方向及び/又は長手方向の軸に沿ってなど、短手方向及び/又は長手方向で3つのアクチュエータのうちの1つが変位する、例えば、伸長される又は引き込まれることができないように、短手方向及び/又は長手方向に制限され得る。本明細書では、垂直方向にのみ変位するように構成されるということは、アクチュエータが伸長される及び/又は引き込まれる場合に第二アクチュエータが船の前方向及び/又は後方向に移動しないことを意味するものである。垂直方向でのみの第二アクチュエータ4bの制限された変位は、アクチュエータ4a、4b、4cのそれぞれの伸長及び/又は引き込みを制御することによって達成され得る。推進ユニット1に第三アクチュエータを設けることにより、前方向及び/又は後方向でのフィンの動きを防止するために支持面を使用することなく、フィンの運動が精密制御されることができる。フィンの運動を制御するために支持面を使用しないことにより、支持面と少なくとも1つのアクチュエータとの間の摩擦が減少し得ることで、推進ユニットでの損失が減少し得る。さらに、水中に配置された支持面を有しないことにより、水中に配置されている推進ユニットの移動要素の数が減少する。水中に配置される推進ユニットの可動部品が減少することにより、可動部品の腐食及び潜在的な焼付きのリスク、ならびにシステムの潜在的な不具合がさらに減少する。それにより、推進ユニットの性能が向上し得る。
【0077】
第二アクチュエータ4bの動きを拘束することにより、第二アクチュエータ4bをフィン3に連結する枢動点5bは、垂直方向にのみ変位することができるため、ヒーブ運動のみを行うことができる。フィン3は、枢動点5bを中心に枢動することで、フィン3のピッチの変化が可能になるように構成される。3つのアクチュエータのうちの1つの動きを拘束することにより、例えば、第二アクチュエータ4bの動きを制限することにより、フィン3の運動が精密制御されることができる。例えば、フィン3は、ヒーブ運動及び/又はピッチ運動を行っている間に、船の前方向/後方向に揺動するのを防止されることができる。第一アクチュエータ4a及び/又は第三アクチュエータ4cは、第一アクチュエータ4a及び/又は第三アクチュエータ4cが伸長されている及び/又は引き込まれているときに船の船体に対して枢動することができるように、拘束されなくてもよい。1つ又は複数の例示的な推進ユニット1では、3つのアクチュエータ4a、4b、4cは、3つのアクチュエータ4a、4b、4cの伸長方向が互いに平行でないように、互いにある角度をなして配置されてもよい。アクチュエータ4a、4b、4c、例えば水撃ポンプ型アクチュエータは、船の船体に配置されることができるため、アクチュエータは、アクチュエータ4a、4b、4cに作用する力が互いに反対に作用するなど、対抗しないように配置される。アクチュエータ4a、4b、4cのうちの1つ又は複数は、アクチュエータ4a、4b、4cのうちの1つ又は複数が船の長手方向での力及び船の垂直方向での力を吸収することができるように配置され得る。長手方向に作用する力は、例えば、長手方向の推力であってもよい。例えば、第一アクチュエータ4aは船の垂直軸に対して第一角度で配置されることができ、第二アクチュエータ4bは船の垂直軸に対して平行などの第二角度で配置されることができ、第三アクチュエータは船の垂直軸に対して第三角度で配置されることができる。第一枢動点5a、第二枢動点5b及び第三枢動点5cは、フィン3に対して、摺動自在に配置されないなど、固定して配置されてもよい。換言すれば、フィン3は、第一枢動点5a、第二枢動点5b及び第三枢動点5cを中心に枢動することができる。第一アクチュエータ4a及び第三アクチュエータ4cなどのアクチュエータのうちの2つを、垂直軸に対してゼロ以外の角度で配置することにより、第一アクチュエータ4a及び第三アクチュエータ4cは、フィン3のピッチ角度が変化するときに、船の垂直軸に垂直な平面などの水平面から見えるような、第一枢動点5a、第二枢動点5b及び第三枢動点の間の距離における変化を補償することができる。第一枢動点5a、第二枢動点5b及び第三枢動点5cは、1つ又は複数の例示的な推進ユニットでは、ピン継手であってもよい。フィン3内に第一枢動点5a、第二枢動点5b及び第三枢動点5cを固定して配置することにより、フィン3の安定性及び/又は可制御性が向上することができるため、フィン3のピッチが向上した精度で制御されることができる。
【0078】
フィン3のピッチ運動及び/又はヒーブ運動を与えるために、アクチュエータ5a、5b、5cのうちの2つ以上は、アクチュエータ5a、5b、5cの変位が相関された方法で制御されるように、相関された方法で作動することができる。例えば、フィン3のピッチを変化させるために、第一アクチュエータ5aは、第三アクチュエータ5cが引き込まれている間、伸長されていることができる。これにより、フィン3が第二枢動点5bを中心に枢動すると、フィン3の前縁部10が下げられ、フィン3の後縁部16が上げられる。フィン3の前縁部10を上げて、後縁部16を下げるために、第一アクチュエータ5aは、第三アクチュエータ5cが伸長されている間、引き込まれていることができる。フィン3のヒーブを変化させるために、すべてのアクチュエータが相関された方法で作動することができる。第一アクチュエータ4a、第二アクチュエータ4b及び第三アクチュエータ4cを同時に引き込むことにより、フィン3と船の船体との間の距離が減少するように、フィン3が上げられることができる。第一アクチュエータ4a、第二アクチュエータ4b及び第三アクチュエータ4cを同時に伸長させることにより、フィン3と船の船体との間の距離が増加するように、フィン3が下げられることができる。第一アクチュエータ4a、第二アクチュエータ4b及び第三アクチュエータ4cの伸長率及び/又は引き込み率などの変位を独立して制御することにより、フィン3のピッチとヒーブとの複合運動が発生し得る。これにより、推進ユニット1のフィン3のヒーブ及び/又はピッチは、無数の迎角プロファイルに連続的に調整されることが可能になる。これにより、入ってくる水に対するフィン3の迎角が推進ユニット1の性能にとって重要な要因であるため、推進ユニット1の性能が向上することができる。フィン3のヒーブ及び/又はピッチは、例えば、フィン3の前縁部10に到達する水の速度などの入ってくる水の速度に基づいてなど、フィンを囲む水の状態に基づいてフィン3の効率を上げるように制御されることができる。アクチュエータ5a、5b、5cの変位は、例えば、アクチュエータ5a、5b、5cに作用するすべての力がアクチュエータ5a、5b、5cのうちの1つ又は複数における張力か圧縮かいずれかとして吸収され得るように制御されてもよい。アクチュエータ5a、5b、5cの変位は、例えば、船の長手方向などの前方向及び/又は後方向での運動成分なしで、垂直方向の変位のみを第二アクチュエータ5bなどのアクチュエータのうちの1つが行うように制御されてもよい。
【0079】
図11は、水の流入又は入ってくる水の速度など、フィン3を囲む水の状態に基づいて、フィン3のヒーブ及び/又はピッチなどの運動を制御するために、2つの異なる迎角プロファイルを図示するグラフを示す。このグラフは、フィンの1ストローク中などの1往復運動中のフィン3のピッチ角度を示す。図11の点線は、推進ユニットが船なしでシミュレートされる場合など、単独プロペラで作動するフィンに対して最適化された迎角プロファイルを示す。実線は、船の後ろの伴流での作動に最適化された迎角プロファイルを示す。船の長手方向軸に沿って移動する水流の代替に、船の船体は、船の船尾のライズに沿って水流のベクトルを上向きに曲げさせる可能性がある。これにより、垂直成分及び後方成分を有する流れ場が発生する。また、船体の境界層が水流を減速させ得ることで、水流の強さは、船の船体が影響することなく、自由に流れる水の速度を下回る。点線で示される迎角プロファイルは、フィンの最適な迎角プロファイルを決定する際に、フィン3に流れる水に対する船の影響を考慮する。船を囲む水の状態に迎角プロファイルを適合させる、例えば最適化することによって、推進ユニットの効率が有意に向上することができる。
【0080】
図1から図11に記載の実施形態で言及された特徴がこれらの特定の実施形態に限定されないことに留意するものとする。したがって、フィン、1つ又は複数のアクチュエータ、及び/又はその中に含まれ、図1a~1bの1つ又は複数の例示的な第一実施形態に関連して言及されたフィンのシールに関連する任意の特徴、例えば、フィンの寸法、及びアクチュエータ又はシール解決策のタイプは、図2から図5に関連して説明された1つ又は複数の例示的な第二実施形態、及び/又は図9から図11に関連して説明された例示的な実施形態にも適用可能であり、その逆も同様である。
【0081】
さらに、本明細書で言及される場合、垂直軸が船を垂直方向に通り、その重心を通る想像上の線に関係し、横軸又は短手方向軸が船を水平方向に横切り、重心を通る想像上の線であり、長手方向軸が船の長さを水平方向に通り、その重心を通り、喫水線に平行な想像上の線であることに留意するものとする。同様に、本明細書に言及される場合、垂直面は、船の幅を垂直方向に通る想像上の平面に関係し、横断面又は短手方向平面は、船を水平方向に横切る想像上の平面であり、長手方向平面は、船の長さを垂直方向に通る想像上の平面である。
【0082】
本開示による製品(推進ユニット及び船)の実施形態は、以下の項目に記載される。
【0083】
項目1.船を推進させるための推進ユニット(1)であって、
前記船のキールに配置されるように構成され、枢動点(5a)を含む本体(2)と、
前記本体(2)に対して可動に配置されるフィン(3)と、
前記本体(2)に対して前記フィン(3)のヒーブ運動を発生させるためのアクチュエータアセンブリ(4)であって、少なくとも1つのアクチュエータ(4a、4b)を有する前記アクチュエータアセンブリ(4)と、
を含み、
前記フィン(3)は前記枢動点(5a)に連結されることで、前記少なくとも1つのアクチュエータ(4a、4b)が前記フィン(3)の前記ヒーブ運動を発生させる場合、前記フィン(3)は、前記第一枢動点(5a)を中心に枢動するように配置され、前記フィン(3)のピッチ運動を発生させる、前記推進ユニット(1)。
【0084】
項目2.前記少なくとも1つのアクチュエータ(4a、4b)は、リニアアクチュエータである、項目1に記載の推進ユニット(1)。
【0085】
項目3.前記推進ユニット(1)は、少なくとも1つの作動ロッド(9、9a、9b)を含み、前記アクチュエータアセンブリ(4)は前記少なくとも1つの作動ロッド(9、9a、9b)を介して前記フィン(3)に連結される、先行項目のいずれか1項に記載の推進ユニット(1)。
【0086】
項目4.前記アクチュエータアセンブリ(4)は、揺動パターンで作動することで、前記フィンの揺動するヒーブ運動及びピッチ運動を発生させるように構成される、先行項目のいずれか1項に記載の推進ユニット(1)。
【0087】
項目5.前記枢動点(5a)は、前記本体(2)に固定して配置される、先行項目のいずれか1項に記載の推進ユニット(1)。
【0088】
項目6.前記推進ユニット(1)はレバーアーム(7)を含み、前記フィン(3)は前記レバーアーム(7)を介して前記枢動点(5a)に取り付けられる、項目5に記載の推進ユニット(1)。
【0089】
項目7.前記アクチュエータアセンブリ(4)は、第一アクチュエータ(4a)及び第二アクチュエータ(4b)を含み、
前記枢動点(5a)は、前記第二アクチュエータ(4b)に連結されることで、前記枢動点(5a)は前記本体(2)に対して可動に配置される、項目1から4のいずれか1項に記載の推進ユニット(1)。
【0090】
項目8.前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)は互いに対して独立して作動可能であり、前記フィン(3)の前記ヒーブ運動と前記ピッチ運動との間の位相差は可変である、項目7に記載の推進ユニット(1)。
【0091】
項目9.前記フィン(3)は、第一フィン部分(3a)、第二フィン部分(3b)、第一コネクティングロッド(8a)、及び第二コネクティングロッド(8b)を含み、
前記第一フィン部分(3a)及び前記第二フィン部分(3b)は、前記第一コネクティングロッド(8a)及び前記第二コネクティングロッド(8b)を介して連結され、
前記第一コネクティングロッド(8a)及び前記第二コネクティングロッド(8b)は、平行で、かつ前記第一フィン部分(3a)及び前記第二フィン部分(3b)の前縁部(10)からそれぞれ第一距離及び第二距離に配置される、項目7又は8に記載の推進ユニット(1)。
【0092】
項目10.前記本体(2)は第一貫通スロット(13a)及び第二貫通スロット(13b)を含むことで、前記第一コネクティングロッド(8a)及び前記第二コネクティングロッド(8b)は、前記本体(3)を通して突出することと、前記第一貫通スロット(13a)及び前記第二貫通スロット(13b)内に摺動自在に配置されることとが可能になる、項目9に記載の推進ユニット(1)。
【0093】
項目11.前記第一コネクティングロッド(8a)は前記第一アクチュエータ(4a)に連結され、前記第二コネクティングロッド(8b)は前記第二アクチュエータ(4b)に連結される、項目9又は10に記載の推進ユニット(1)。
【0094】
項目12.前記第一コネクティングロッド(8a)及び前記第二コネクティングロッド(8b)は、それぞれ第一作動ロッド(9a)及び第二作動ロッド(9b)を介してそれぞれ前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)に連結される、項目11に記載の推進ユニット(1)。
【0095】
項目13.前記第一作動ロッド(9a)及び前記第二作動ロッド(9b)は、前記本体(2)の内側に配置される、項目12に記載の推進ユニット(1)。
【0096】
項目14.前記アクチュエータアセンブリ(4)は第三アクチュエータ(4c)を含む、項目7から13のいずれか1項に記載の推進ユニット(1)。
【0097】
項目15.前記第一アクチュエータ(4a)、前記第二アクチュエータ(4b)及び前記第三アクチュエータ(4c)のうちの少なくとも2つは、前記フィン(3)の前記ピッチの角度及び/又は前記ヒーブを可変に調整するように、相関して作動可能である、項目14に記載の推進ユニット(1)。
【0098】
項目16.前記フィン(3)は、第三コネクティングロッドを含み、
前記第一フィン部分(3a)及び前記第二フィン部分(3b)は、前記第三コネクティングロッドを介して連結され、
前記第一コネクティングロッド(8a)、前記第二コネクティングロッド(8b)及び前記第三コネクティングロッドは、平行に、かつ前記第一フィン部分(3a)及び前記第二フィン部分(3b)の前記前縁部(10)からそれぞれ第一距離、第二距離及び第三距離に配置される、項目9から12のいずれか1項に従属している場合の項目14又は15に記載の推進ユニット(1)。
【0099】
項目17.前記本体(2)は第三貫通スロット(13c)を含むことで、前記第一コネクティングロッド(8c)は、前記本体(3)を通して突出することと、前記第三貫通スロット(13c)内に摺動自在に配置されることとが可能になる、項目16に記載の推進ユニット(1)。
【0100】
項目18.前記第三コネクティングロッド(8c)は前記第三アクチュエータ(4c)に連結される、項目16又は17に記載の推進ユニット(1)。
【0101】
項目19.前記第三コネクティングロッド(8c)は、第三作動ロッド(9c)を介して前記第三アクチュエータ(4c)に連結される、項目18に記載の推進ユニット(1)。
【0102】
項目20.前記第三作動ロッド(9c)は、前記本体(2)の内側に配置される、項目19に記載の推進ユニット(1)。
【0103】
項目21.前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)のうちの少なくとも1つは、垂直方向に変位するように構成される、項目7から20のいずれか1項に記載の推進ユニット(1)。
【0104】
項目22.前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)のうちの前記少なくとも1つは、前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)のうちの前記少なくとも1つの伸長方向に垂直な方向に拘束される、項目21に記載の推進ユニット(1)。
【0105】
項目23.前記第一アクチュエータ(4a)及び前記第二アクチュエータ(4b)のうちの少なくとも1つは、短手方向及び/又は長手方向に拘束される、項目21又は22に記載の推進ユニット(1)。
【0106】
項目24.前記推進ユニットは舵(6)を含む、先行項目のいずれか1項に記載の推進ユニット(1)。
【0107】
項目25.前記本体(2)は前記船の前記キールに固定して配置されるように構成され、前記舵(6)は前記本体(2)に枢動自在に配置される、項目24に記載の推進ユニット(1)。
【0108】
項目26.前記本体(2)は、前記本体(2)を前記船の前記キールに回転自在に配置するための舵頭材(11)を含み、
前記1つ又は複数のアクチュエータ(4a、4b)及び/又は前記少なくとも1つの作動ロッド(9、9a、9b)は、前記舵頭材(11)の内側に配置され、前記本体(2)は前記舵(6)として機能するように構成される、項目24に記載の推進ユニット(1)。
【0109】
項目27.前記本体(2)は、前記本体(2)から前記本体(2)のキールに面する側の上に突出する中空管(12)を含み、
前記第一作動ロッド(9a)及び/又は前記第二作動ロッド(9b)は、前記中空管(12)内に配置され、
前記中空管(12)は、前記本体(2)が前記船の前記キールに配置される場合に前記船内に突出するように構成される、先行項目のいずれか1項に記載の推進ユニット(1)。
【0110】
項目28.前記中空管(12)は、前記第一作動ロッド(9a)及び/又は前記第二作動ロッド(9b)を前記中空管(12)に対して封止するために、前記中空管(12)の遠位端部に配置されるシール(14)を含む、項目27に記載の推進ユニット(1)。
【0111】
項目29.前記舵頭材(11)は中空であり、前記中空管(12)を構成する、項目27又は28に記載の推進ユニット(1)。
【0112】
項目30.前記フィン(3)は楕円平面形状を有する、先行項目のいずれか1項に記載の推進ユニット(1)。
【0113】
項目31.前記フィン(3)はウイングレット(15)を含む、先行項目のいずれか1項に記載の推進ユニット(1)。
【0114】
項目32.前記本体(2)は、前記船(100)の前記キール(101)に配置され、
前記フィンは、前記船(100)の前記キール(101)に対してピッチ運動及びヒーブ運動を実行するように構成される、項目1から31のいずれか1項に記載の船を推進させるための推進ユニット(1)を含む船(100)。
【0115】
項目33.前記本体(2)は前記キール(101)に固定して配置される、項目32に記載の船(100)。
【0116】
項目34.前記本体(2)は前記キール(101)に回転自在に配置される、項目32に記載の船(100)。
【0117】
「第一」、「第二」、「第三」及び「第四」、「一次」、「二次」、「三次」などの用語の使用は、特定の順序を意味するものではなく、個々の要素を識別するために含まれる。さらに、「第一」、「第二」、「第三」、「第四」、「一次」、「二次」、「三次」などの用語の使用は、いずれかの順序や重要性を示すものではなく、むしろ、「第一」、「第二」、「第三」、「第四」、「一次」、「二次」、「三次」などの用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用される。なお、「第一」、「第二」、「第三」、「第四」、「一次」、「二次」、「三次」などの用語は、明細書中及び各所で使用され、単にラベル化のために用いられるものであり、いずれかの特定の空間的又は時間的順序を示すことを意図するものではない。さらに、第一要素のラベリングは、第二要素の存在を黙示せず、逆もまた同様である。
【0118】
なお、「含む(comprising)」とは、例示した要素やステップ以外の要素やステップの存在を必ずしも排除するものではない。
【0119】
なお、要素の前の「a」又は「an」という用語は、そのような要素が複数存在することを排除するものではない。
【0120】
特徴が示され、説明されているが、特許請求された開示を制限することを意図していないことが理解され、当業者には、特許請求された開示の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行うことができることが明らかになる。したがって、明細書及び図面は、限定する意味ではなくて例示的なものとみなされる。特許請求された開示は、すべての代替案、修正、及び同等物を網羅することを意図している。
【符号の説明】
【0121】
1 推進ユニット
2 本体
3 フィン
3a 第一フィン部分
3b 第二フィン部分
4 アクチュエータアセンブリ
4a アクチュエータ、第一アクチュエータ
4b 第二アクチュエータ
5a 枢動点、第一枢動点
5b 第二枢動点
6 舵
7 レバー
8a 第一コネクティングロッド
8b 第二コネクティングロッド
9 作動ロッド
9a 第一作動ロッド
9b 第二作動ロッド
10 前縁部
11 舵頭材
12 中空管
13a 第一貫通スロット
13b 第二貫通スロット
14 シール
15 ウイングレット
16 後縁部
17 細長スロット
18 ピン
19 細長スロット
20 シール
21 支持面
100 船
101 キール
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】