(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】セラミックマトリックス複合体の為のプリプレグ
(51)【国際特許分類】
C04B 35/80 20060101AFI20230608BHJP
D06M 11/79 20060101ALI20230608BHJP
D06M 15/15 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
C04B35/80
D06M11/79
D06M15/15
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545108
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021051768
(87)【国際公開番号】W WO2021151899
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511104875
【氏名又は名称】サン-ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアン
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ルルー,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルモー,フランセリーヌ,マルグリット,ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】イス,クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4L031AA26
4L031AA29
4L031AB34
4L031BA20
4L031BA23
4L033AA09
4L033AB07
4L033AC15
4L033CA08
4L033DA03
(57)【要約】
プリプレグであって、該プリプレグは、その質量の90%超がセラミックファイバーからなる支持体と、該セラミックファイバーの少なくとも一部を少なくとも部分的に被覆する熱可逆性の液化可能なゲルとを含み、該液化可能なゲルは、例えば、加熱すると液体になり、
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、20%~60%のセラミック粒子、
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、0%~10%の金属粒子、
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.2%~10%の熱可逆性の親水コロイド、
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0%~7%の1以上の他の構成物、好ましくは有機の構成物、
100%までの残部の水
を含み、
該セラミック粒子及び該金属粒子は、200℃超の温度での熱処理によってそれぞれセラミック粒子及び金属粒子を形成することができる、セラミック粒子の前駆体及び金属粒子の前駆体それぞれによって部分的又は全体的に置き換えられることが可能である、前記プリプレグ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリプレグであって、該プリプレグは、その質量の90%超がセラミックファイバーからなる支持体と、該セラミックファイバーの少なくとも一部を少なくとも部分的に被覆する熱可逆性の液化可能なゲルとを含み、該液化可能なゲルは、例えば、加熱すると液体になり、
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、20%~60%のセラミック粒子、
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、0%~10%の金属粒子、
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.2%~10%の熱可逆性の親水コロイド、
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0%~7%の1以上の他の構成物、好ましくは有機の構成物、
100%までの残部の水
を含み、
該セラミック粒子及び該金属粒子は、200℃超の温度での熱処理によってそれぞれセラミック粒子及び金属粒子を形成することができる、セラミック粒子の前駆体及び金属粒子の前駆体それぞれによって部分的又は全体的に置き換えられることが可能である、前記プリプレグ。
【請求項2】
該セラミック粒子が、該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、25%超且つ55%未満の量で存在する、及び/又は
該熱可逆性の親水コロイドが、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.4%超の量で存在する、
請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項3】
該液化可能なゲルの該セラミック粒子が、その質量の90%超が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上のホウ化物からなる粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択される、及び/又は、
該液化可能なゲルの該熱可逆性の親水コロイドが、ゼラチン;寒天;カラギーナンとナトリウムカチオン及び/又はカリウムカチオン及び/又はカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物;フルセラリアと糖との混合物;コンニャクガムとキサンタンガムとの混合物、好ましくは0.8超且つ1.2未満の質量比のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物;ローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物、好ましくは0.67超且つ1.5未満の質量比のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物;並びに、キトサンとペクチンとの混合物、好ましくは、ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が好ましくは0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物、から選択される、
請求項1又は2に記載プリプレグ。
【請求項4】
該液化可能なゲルの該セラミック粒子の90体積%超は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなり、及び/又は
該液化可能なゲルの該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチン;キトサンとペクチンとの混合物、好ましくは、ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物から選択され、好ましくはゼラチンである、
請求項1~3のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項5】
該セラミック粒子の95体積%超は、その質量の99%超が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al
2O
3+SiO
2≧95%である化学分析を示
請求項4に記載のプリプレグ。
【請求項6】
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、10mm超の長さ、及び全長の半分にて測定された、2μm超且つ50μm未満の等価直径を有し、及び/又は
該支持体の該セラミックファイバーは、その質量の90%超が、1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素からなり、及び/又は、
該支持体が、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該セラミックファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされている、
請求項1~5のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項7】
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーが、その質量の95%超が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧95%である化学分析を示す、
請求項6に記載のプリプレグ。
【請求項8】
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーが、ガラスファイバー、非晶質シリカファイバー、コランダムファイバー、ムライトファイバー、ムライト-コランダムファイバー及びそれらの混合物から選択される、請求項7に記載のプリプレグ。
【請求項9】
該支持体が、複数の重畳されたウェブ(webs)、好ましくは2枚超のウェブ且つ10枚未満のウェブ、からなる、請求項1~8のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項10】
液化可能なゲルにおいて、
該セラミック粒子は、該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、25%超且つ55%未満の量で存在し、ここで、該セラミック粒子は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上のホウ化物からなる粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択され、該セラミック粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D
50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD
99を示し、並びに、
該熱可逆性の親水コロイドは、該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.4%超且つ9%未満の量で存在し、ここで、該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチン;寒天;カラギーナンとナトリウムカチオン及び/又はカリウムカチオン及び/又はカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物;フルセラリアと糖との混合物;0.8超且つ1.2未満の質量比のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物;0.67超且つ1.5未満の質量比のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物;ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物から選択され、該熱可逆性の親水コロイドは好ましくは、ゼラチンであり、並びに、
該他の構成物は、有機であり、該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量で存在し、ここで、該他の構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択され、
該支持体において、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、10mm超の長さ、及び全長の半分にて測定された、2μm超且つ50μm未満の等価直径を有し、並びに、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超が、1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素からなり、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該単一ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされている、
請求項1~9のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項11】
該液化可能なゲルにおいて、
該セラミック粒子は、該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、25%超且つ55%未満の量であり、ここで、該セラミック粒子は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上のホウ化物からなる粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択され、並びに、
該金属粒子は、該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、0.5%超且つ9%未満の量であり、
該セラミック粒子及び該金属粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D
50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD
99を示し、
該セラミック粒子及び該金属粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D
50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD
99を示し、
該熱可逆性の親水コロイドは、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、0.4%超且つ9%未満の量で存在し、ここで、ゼラチン、寒天、カラギーナンとナトリウムカチオン及び/又はカリウムカチオン及び/又はカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物、フルセラリアと糖との混合物、0.8超且つ1.2未満の質量比のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物、0.67超且つ1.5未満の質量比のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物、ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物から選択され、該熱可逆性の親水コロイドが好ましくは、ゼラチンであり、
該他の構成物は、有機であり、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量で存在し、ここで、該他の構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択され、
該支持体において、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、10mm超の長さ、及び全長の半分にて測定された、2μm超且つ50μm未満の等価直径を有し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超が、1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素からなり、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該単一ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされている、
、請求項1~10のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項12】
熱可逆性の親水コロイドが、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として7%未満の量で存在する、請求項1~11のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項13】
該液化可能なゲルにおいて、
該セラミック粒子は、該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、30%超且つ50%未満の量であり、
該セラミック粒子の95体積%超は、その質量の99%超が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al
2O
3+SiO
2≧95%である化学分析を示し、
並びに、
該セラミック粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D
50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD
99を示し、並びに、
該熱可逆性の親水コロイドは、該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.5%超且つ4%未満の量で存在し、ここで、該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチンであり、並びに、
該他の構成物は、有機であり、該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量で存在し、ここで、該他の有機構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択され、並びに、
該支持体において、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、10mm超の長さ、及び全長の半分にて測定された、2μm超且つ30μm未満の等価直径を有し、並びに、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、並びに、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の95%超が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al
2O
3+SiO
2≧95%である化学分析を示し、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされている、
請求項1~9のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項14】
該金属粒子は、該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、0.5%超且つ9%未満の量で存在し、及び/又は
1以上の他の構成物、好ましくは有機の構成物、が、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.5%超且つ6%未満の量で存在する、
請求項1~13のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項15】
該熱可逆性の親水コロイドは、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.5%超且つ4%未満の量であり、及び/又は該1以上の他の構成物は、有機であり、並びに、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤(drying regulator)及びそれらの混合物から選択される、請求項14に記載のプリプレグ。
【請求項16】
熱可逆性の親水コロイドの質量に対する該「他の構成物」の質量による量の比は1未満であり、熱可逆性の親水コロイドの量及び該「他の構成物」の量は、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として表される、請求項1~15のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項17】
前記比が0.6未満である、請求項1~16のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項18】
気密バッグに入れられている、請求項1~17のいずれか1項に記載のプリプレグ。
【請求項19】
プリプレグを製造する方法であって、
1)以下の組成を有する、ゲル化可能な液体を調製すること:
該ゲル化可能な液体の体積に対する体積百分率として、20%~60%のセラミック粒子、
該ゲル化可能な液体の体積に対する体積百分率として、0%~10%の金属粒子、
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.2%~10%の熱可逆性の親水コロイド、
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0%~7%の1以上の他の構成物、好ましくは有機の構成物、
100%までの残部の水、
2)該ゲル化可能な液体を、繊維状支持体のセラミックファイバーに施与すること、
3)該ゲル化可能な液体の温度を低下させることによって、該ゲル化可能な液体を、液化可能なゲルの形態にゲル化して、該プリプレグを得ること、
4)好ましくは、該プリプレグを保存すること
の工程を含む、前記方法。
【請求項20】
該熱可逆性の親水コロイドが、該ゲル化可能な液体の該ゲル化温度が、20℃超且つ60℃未満であるように選択される、請求項19に記載の、プリプレグを製造する方法。
【請求項21】
セラミックマトリックス成分を製造する方法であって、
5)液化可能なゲルをゲル化可能な液体に変換する為に、請求項1~18のいずれか1項に記載されたプリプレグ又は請求項19又は20に記載の方法に従って製造されたプリプレグの液化可能なゲルを液化すること、
6)該プリプレグを成形して、変形可能なプリフォームを得ること、
7)任意的に、該ゲル化可能な液体をゲル化して、硬化させられたプリフォームを得ること、
8)工程6)から得られた又は任意的に工程7)から得られた該プリフォームを乾燥させて、セラミックマトリックス成分を得ること、
9)任意的に、工程8)から得られた該セラミックマトリックス成分を焼結すること
の工程を含む、前記方法。
【請求項22】
請求項1~18のいずれか1項に記載されたプリプレグ又は請求項19又は20に記載の方法に従って製造されたプリプレグを保存する方法であって、前記プリプレグは、好ましくは気密バッグで、1ヶ月間超保存される、前記方法。
【請求項23】
前記プリプレグが6カ月間超格納される、請求項22に記載のプリプレグを保存する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリプレグ(prepreg)、特には、セラミックマトリックス成分、特にはセラミックマトリックス複合体(ceramic matrix composite)、すなわちCMC、の製造を意図されたプリプレグ、に関する。本発明はまた、そのようなプリプレグを製造する方法に、及び該プリプレグからセラミックマトリックス成分、特にCMC、を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックマトリックス成分は、セラミックマトリックスによって一緒に結合させられたセラミックファイバーから本質的に構成された生成物である。セラミックマトリックス成分は、焼結される場合には「CMC」として知られている。CMCは、高温でさえも、高い機械特性を示す。
【0003】
セラミックマトリックス成分は、セラミック粒子のスラリーを含浸させられたファブリックからそれぞれなるプリプレグを重畳することによって、製造されうる。該プリプレグは、所望の形状を想定することができるように、可撓性である。次に、該プリプレグは、乾燥させられ、好ましくは焼結されて、CMCを形成しうる。
【0004】
しかしながら、長期間にわたって又は悪条件下で保存されていたプリプレグから製造された、セラミックマトリックス成分、特にCMC、は劣化した機械特性を示す。
【0005】
それ故に、より良好な保存性を示すプリプレグが、絶えず必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この必要性を少なくとも部分的に満たすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従うと、この目的は、プリプレグであって、その質量の90%超、95%超、好ましくは100%、がセラミックファイバーからなる支持体と、該セラミックファイバーの少なくとも一部を少なくとも部分的に被覆する熱可逆性の液化可能なゲルとを含むところの該プリプレグによって達成され、該液化可能なゲルは、
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、20%~60%のセラミック粒子、
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、0%~10%の金属粒子、
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.2%~10%の熱可逆性の親水コロイド、
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0%~7%の1以上の他の構成物、好ましくは有機の構成物、
100%までの残部の水
を含み、
該セラミック粒子及び該金属粒子は、粒子の形態の前駆体によって、又はそうでなければ、好ましくは200℃超、好ましくは300℃超、好ましくは400℃超、の温度での熱処理によってそれぞれセラミック粒子及び金属粒子を形成することができる、セラミック粒子の形態の前駆体及び金属粒子の形態の前駆体それぞれによって部分的又は全体的に置き換えられることが可能である。
【0008】
本発明の詳細な説明の以下の部分からより詳細に分かる通り、本発明者等は、長期間の保存の後でさえも、そのようなプリプレグが、その特性、特にその変形能及び結合特性、を保持していることを発見した。
【0009】
この理論に拘泥するものではないが、本発明者等は、該液化可能なゲルが、該支持体のセラミックファイバーの間及び/又は該支持体上の流れを制限し、従って該セラミック粒子及び該金属粒子の移動を制限すると考える。加えて、水が、該ゲル内に少なくとも部分的に捕捉されたままになり、それによって、蒸発を制限し、経時的に実質的に一定の組成を保持することを可能にする。それ故に、該プリプレグは、有利なことに均質なままである。
【0010】
更に、該液化可能なゲルの組成は、簡単な加熱によってゲルが再び液体になることを可能にし、従って再び容易に変形可能になることを可能にする。しかしながら、本発明者等は、この組成の特異性が、得られた該セラミックマトリックス成分、特に該CMC、の質にとって有害にはならないことを発見した。
【0011】
該液化可能なゲルのこの変換は、熱可逆性であり、得られた液体は、冷却によって簡単にゲル化可能な(gellable)液体である。
【0012】
従って、該プリプレグは、セラミックマトリックス成分、特にCMC、の製造に、依然として良く適している。
【0013】
最後に、水の保持は、該セラミックマトリックス成分の製造中に水を添加する必要を制限するか、又は更には排除する。該セラミックマトリックス成分を製造する方法は、有利なことに、結果として簡素化される。
【0014】
本発明に従うプリプレグはまた、以下の任意的な、好ましい特色の1以上を含みうる:
該液化可能なゲルは、
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、25%超且つ55%未満の量の、セラミック粒子、及び/又は
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、0.5%超且つ9%未満の量の、金属粒子、及び/又は
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.4%超且つ7%未満の量の、熱可逆性の親水コロイド、及び/又は
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.5%超且つ6%未満の量の、1以上の他の構成物、好ましくは有機の構成物
を含み、
該熱可逆性の親水コロイドは、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.5%超且つ4%未満の量であり、及び/又は該1以上の他の構成物は、有機であり、並びに、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤(drying regulator)及びそれらの混合物から選択され、
該液化可能なゲルの該セラミック粒子は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上のホウ化物からなる粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択され、
該液化可能なゲルの該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチン;寒天;カラギーナンとナトリウムカチオン及び/又はカリウムカチオン及び/又はカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物;フルセラリアと糖との混合物;コンニャクガムとキサンタンガムとの混合物、好ましくは0.8超且つ1.2未満の質量比のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物;ローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物、好ましくは0.67超且つ1.5未満の質量比のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物;並びに、キトサンとペクチンとの混合物、好ましくはペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物、から選択され、
該液化可能なゲルの該セラミック粒子の90体積%超は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなり、
該液化可能なゲルの該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチン;キトサンとペクチンとの混合物、好ましくは、ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物から選択され、好ましくはゼラチンであり、
該液化可能なゲルにおいて、熱可逆性の親水コロイドの質量に対する該「他の構成物」の質量による量の比は、1未満、好ましくは0.9未満、好ましくは0.8未満、好ましくは0.6未満、好ましくは0.4未満、であり、熱可逆性の親水コロイドの量及び該「他の構成物」の量は、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として表され、
該液化可能なゲルにおいて、該液化可能なゲルの可塑剤、好ましくはポリオール、の質量による量の熱可逆性の親水コロイドの質量に対する比は、1未満、好ましくは0.9未満、好ましくは0.8未満、好ましくは0.6未満、好ましくは0.4未満、であり、熱可逆性の親水コロイドの量及び可塑剤の量は、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として表され、
該液化可能なゲルにおいて、体積による含水量は、40%超、好ましくは50%超、且つ/又は好ましくは70%未満、好ましくは60%未満、であり、
該液化可能なゲルにおいて、熱可逆性の親水コロイド及び有機の「他の構成物」の総含量、好ましくは熱可逆性の親水コロイド及び「他の構成物」の総含量は、該液化可能なゲルの該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、15%未満、好ましくは10%未満、好ましくは7%未満、好ましくは5%未満、であり、
該セラミック粒子の95体積%超は、その質量の99%超が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧95%である化学分析を示し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、10mm超の長さ、及び全長の半分にて測定された、2μm超且つ50μm未満の等価直径を有し、
該支持体の該セラミックファイバーは、その質量の90%超が、1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素からなり、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ(web)、ヤーンのブレイド(braid)、ヤーンの編物(knit)又はファイバーのエンタングルメント(entanglement)であり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該セラミックファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされており、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーは、その質量の95%超が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧95%である化学分析を示し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーは、ガラスファイバー、非晶質シリカファイバー、コランダム(corundum)ファイバー、ムライト(mullite)ファイバー、ムライト-コランダム(mullite-corundum)ファイバー及びそれらの混合物から選択され、
該支持体は、複数の重畳されたウェブ(webs)、好ましくは2枚超のウェブ且つ10枚未満のウェブ、からなり、
該液化可能なゲルにおいて、
該セラミック粒子は、該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、25%超且つ55%未満の量であり、ここで、該セラミック粒子は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上のホウ化物からなる粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択され、該セラミック粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示し、
該熱可逆性の親水コロイドは、該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.4%超且つ9%未満の量で存在し、ここで、該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチン;寒天;カラギーナンとナトリウムカチオン及び/又はカリウムカチオン及び/又はカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物;フルセラリアと糖との混合物;0.8超且つ1.2未満の質量比のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物;0.67超且つ1.5未満の質量比のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物;ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物から選択され、該熱可逆性の親水コロイドは好ましくは、ゼラチンであり、
該他の構成物は、有機であり、該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量で存在し、ここで、該他の構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択され、
該支持体において、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、10mm超の長さ、及び全長の半分にて測定された、2μm超且つ50μm未満の等価直径を有し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超が、1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素からなり、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該単一ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされており、
該液化可能なゲルにおいて、
該セラミック粒子は、該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、25%超且つ55%未満の量であり、ここで、該セラミック粒子は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上のホウ化物からなる粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択され、
該金属粒子は、該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、0.5%超且つ9%未満の量であり、
該セラミック粒子及び該金属粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示し、
該熱可逆性の親水コロイドは、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、0.4%超且つ9%未満の量で存在し、ここで、ゼラチン、寒天、カラギーナンとナトリウムカチオン及び/又はカリウムカチオン及び/又はカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物、フルセラリアと糖との混合物、0.8超且つ1.2未満の質量比のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物、0.67超且つ1.5未満の質量比のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物、ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物から選択され、該熱可逆性の親水コロイドが好ましくは、ゼラチンであり、
該他の構成物は、有機であり、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量で存在し、ここで、該他の構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択され、
該支持体において、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、10mm超の長さ、及び全長の半分にて測定された、2μm超且つ50μm未満の等価直径を有し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超が、1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素からなり、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該単一ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされており、
該液化可能なゲルにおいて、
該セラミック粒子は、該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、30%超且つ50%未満の量であり、
該セラミック粒子の95体積%超は、その質量の99%超が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧95%である化学分析を示し、
該セラミック粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示し、
該熱可逆性の親水コロイドは、該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.5%超且つ4%未満の量で存在し、ここで、該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチンであり、
該他の構成物は、有機であり、該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量で存在し、ここで、該他の有機構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択され、
該支持体において、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、10mm超の長さ、及び全長の半分にて測定された、2μm超且つ30μm未満の等価直径を有し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該ファイバーは、その質量の95%超が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧95%である化学分析を示し、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされている。
【0015】
本発明はまた、セラミックマトリックス成分、特にCMC、の製造を意図されたプリプレグ、特に本発明に従うプリプレグ、を製造する方法であって、
1)以下の組成を有する、ゲル化可能な液体を調製すること:
該ゲル化可能な液体の体積に対する体積百分率として、20%~60%のセラミック粒子、
該ゲル化可能な液体の体積に対する体積百分率として、0%~10%の金属粒子、
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0.2%~10%の熱可逆性の親水コロイド、
該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、0%~7%の1以上の他の構成物、好ましくは有機の構成物、
100%までの残部の水、
2)該ゲル化可能な液体を、繊維状支持体のセラミックファイバーに施与すること、
3)該ゲル化可能な液体の温度を低下させることによって、該ゲル化可能な液体を、液化可能なゲルの形態にゲル化して、該プリプレグを得ること、
4)好ましくは、該プリプレグを保存すること
の工程を含む上記の方法に関する。
【0016】
好ましくは、該熱可逆性の親水コロイドは、該ゲル化可能な液体の該ゲル化温度が、20℃超且つ60℃未満であるように選択される。
【0017】
本発明は、セラミックマトリックス成分、特にセラミックマトリックス複合体、を製造する方法であって、
5)液化可能なゲルをゲル化可能な液体に変換する為に、本発明に従う、又は工程1)~3)、好ましくは4)、に従って製造された、プリプレグの該液化可能なゲルを液化すること、
6)該プリプレグを成形して、変形可能なプリフォームを得ること、
7)任意的に、該ゲル化可能な液体をゲル化して、硬化させられたプリフォームを得ること、
8)工程6)から得られた又は任意的に工程7)から得られた該プリフォームを乾燥させて、セラミックマトリックス成分を得ること、
9)任意的に、工程8)から得られた該セラミックマトリックス成分を焼結すること
の工程を含む上記の方法に関する。
【0018】
本発明に従うセラミックマトリックス成分を製造する方法は、工程5)の前に、本発明に従うプリプレグを製造する方法の工程1)~工程3)を含み、一つの実施態様において、このプリプレグを、1週間超、1カ月超、2カ月超、6カ月超、12カ月超の期間にわたって保存する工程4)を含む。
【0019】
本発明はまた、工程5)から得られる中間生成物、及び工程6)又は7)から得られるプリフォームに関する。
【0020】
定義
本発明に従うと、語「プリプレグ」は、熱可逆性の液化可能なゲル又は熱可逆性のゲル化可能な液体を少なくとも部分的に含浸させられた、セラミックファイバーから本質的になる支持体を意味すると理解され、該熱可逆性の液化可能なゲル及び熱可逆性のゲル化可能な液体は、セラミック粒子及び/又はセラミック粒子の前駆体、並びに任意的に金属粒子及び/又は金属粒子の前駆体を含む。
【0021】
該支持体は、例えば、ヤーン、ウェブ、例えばファブリック、フェルトのブロック、ブレイド、編物又はこれらの要素のアセンブリ、の形態でありうる。セラミックマトリックス成分、特にCMCは、単一のプリプレグ又は2以上のプリプレグの重畳を用いて製造されうる。
【0022】
語「セラミック」は、金属性でも有機性でもない材料を意味すると理解される。本発明の文脈において、炭素、ガラス及び非晶質シリカは、セラミック材料であると考えられる。
【0023】
語「熱可逆性の親水コロイド」は、ある量の水を添加した後、熱可逆性の液化可能なゲルの形成に関与する、つまり水を添加しないと熱可逆性の液化可能なゲルの形成をもたらさない、(乾燥)構成物からなる全体を意味すると理解される。ゼラチン又はローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物は、熱可逆性の親水コロイドの例である。熱可逆性の親水コロイドは、親水コロイドを含む。しかしながら、熱可逆性の親水コロイドにおける該親水コロイドの全てが、「熱可逆性の親水コロイド」自体であるというわけではない。例えば、ローカストビーンガム及びキサンタンガムは、単離において使用される場合には、熱可逆性ではない。評価されるべきは、該液化可能なゲルの熱可逆性である。例えば、ゼラチンは、該液化可能なゲルの該他の構成物と共に、熱可逆性の液化可能なゲルをもたらす限りにおいてのみ、熱可逆性の親水コロイドである。
【0024】
該「他の構成物」は、該セラミック粒子、該セラミック粒子の前駆体、該金属粒子、該金属粒子の前駆体、該熱可逆性の親水コロイド及び水以外の構成物である。
【0025】
熱可逆性の親水コロイドの含量及び「他の構成物」の含量は、常に、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として表される。
【0026】
熱可逆性の親水コロイドソル又はゲル化可能な液体の語「ゲル化温度」は、温度を低下させる場合、このソル又はこのゲル化可能な液体がゲル化し始める出発温度を云う。
【0027】
液化可能なゲルの語「液化温度」は、温度を上昇させる場合、該液化可能なゲルが液化し始める出発温度を云う。
【0028】
「ファイバー」は、その長さが、その等価直径の5倍よりも大きい、フィラメントである。
【0029】
ファイバーの「等価直径」は、全長の半分におけるその横断面と同じ表面積を有するディスクの直径である。
【0030】
「ヤーン」は、横断面において10本よりも多く、且つ好ましくは500000本未満、のファイバーを含み、その長さが直径の5倍よりも大きい、ファイバーのアセンブリである。
【0031】
「長いファイバー」は、その長さが1mmよりも大きい、ファイバーである。「長いヤーン」は、複数の長いファイバーからなるヤーンである。
【0032】
「連続的なファイバー」は、その長さが10mmよりも大きい、ファイバーである。「連続的なヤーン」は、その長さが10mmよりも大きく、連続ファイバーから、又は短いファイバー及び/若しくは長いファイバーの、整列させられたアセンブリから、なるヤーン(又は「ステープルヤーン」)である。
【0033】
本明細書の文脈において、「焼結」は、プリフォームの構成物の一部(しかし、その構成物の全てというわけではない)の、部分的又は全体的な溶融を場合により伴う、700℃超での熱処理による該プリフォームの強化を云う。
【0034】
50(D50と示される)及び99(D99と示される)「パーセンタイル」は、一組の粒子の粒径の累積粒径分布曲線に対して、体積によりそれぞれ50%及び99%に等しい百分率に対応する粒径を云い、該粒径は、昇順によって分類される。従って、この定義に従って、該一組の粒子の、該粒子の99体積%は、D99未満のサイズを有し、該粒子の1体積%は、D99以上のサイズを有する。粉末において、該パーセンタイルは、Horibaによって販売されているCamsizer(商標)XTを使用して生成された粒径分布によって、決定されうる。
【0035】
一組の粒子の「メジアン径」は、50パーセンタイルを云う。それ故に、該メジアン径は、該一組の粒子の粒子を、等体積の第1の集団と第2の集団に分け、これらの第1及び第2の集団は、該メジアン径以上のサイズ、又はそれぞれ該メジアン径未満のサイズを示す粒子だけを含んでいる。
【0036】
該粒子は、粉末の個々の要素でありうるが、延いては、ゲル化可能な液体又は液化可能なゲルにおける個々の要素でもありうる。
【0037】
別段記述されない限り、全ての酸化物の含量は、該酸化物に基づく質量百分率である。金属元素の酸化物の質量による含量は、標準的産業協定に従って、最も安定な酸化物の形態で表された、この元素の総含量を云う。
【0038】
酸化物の含量の合計は、これらの酸化物の全ての存在を暗示するわけではない。例えば、「Al2O3+SiO2」は、Al2O3の含量及びSiO2の含量の合計であるが、これらの酸化物の一方が存在しないことを除外しない。
【0039】
「含む」(include)又は「含む」(comprise)又は「有する」(have)/「示す」(exhibit)は、非限定的であると解釈されるべきである。
【0040】
別段記述されない限り、全ての平均は、算術平均である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
プリプレグを製造する方法
本発明に従うプリプレグを製造する方法は、上述の工程1)~3)、好ましくは工程4)、を含む。
【0042】
工程1)において、該ゲル化可能な液体が調製される。
【0043】
該ゲル化可能な液体は、水中で、該熱可逆性の親水コロイド、該セラミック粒子、並びに任意的に該金属粒子及び該他の1以上の構成物、好ましくは有機の1以上の構成物、を混合することによって、生成されることができる。任意の慣用的な混合技術が用いられうる。
【0044】
該セラミック粒子は、該セラミックマトリックス成分、特に該CMC、の結合マトリックスを形成することが意図される。
【0045】
好ましくは、セラミック粒子の量は、該ゲル化可能な液体の体積に対する体積百分率として、25%超、好ましくは30%超、且つ/又は55%未満、好ましくは50%未満、である。
【0046】
好ましくは、該セラミック粒子は、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上のホウ化物からなる粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択される。
【0047】
好ましくは、該セラミック粒子が酸化物を含む場合、該セラミック粒子は、Al2O3、SiO2、ZrO2、Y2O3、CaO、MgO、SrO、BaO、K2O、希土類酸化物、TiO2、Na2O、Cr2O3及びそれらの混合物から選択される酸化物を含む。
【0048】
好ましくは、該セラミック粒子が窒化物を含む場合、該セラミック粒子は、AlN、BN、Si3N4及びそれらの混合物から選択される窒化物を含む。
【0049】
好ましくは、該セラミック粒子が炭化物を含む場合、該セラミック粒子は、SiC、B4C、TiC、TaC、ZrC及びそれらの混合物から選択される炭化物を含む。
【0050】
好ましくは、該セラミック粒子がホウ化物を含む場合、該セラミック粒子は、ZrB2を含む。
【0051】
より好ましくは、該セラミック粒子の90体積%超、好ましくは95体積%超、好ましくは99体積%超、好ましくは実質的に100体積%は、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなる。
【0052】
好ましくは、該セラミック粒子の90体積%超、好ましくは95体積%超、好ましくは99体積%超、好ましくは実質的に100体積%は、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2+ZrO2+Y2O3+CaO+MgO+SrO+BaO+K2O+該希土類酸化物+TiO2+Na2O+Cr2O3≧90%、好ましくは≧95%、好ましくは≧99%、である化学分析を示す。好ましくは、酸化物の含量のこの合計は、該酸化物に基づく質量百分率として、実質的に100%に等しい。
【0053】
より好ましくは、該セラミック粒子の90体積%超、好ましくは95体積%超、好ましくは99体積%超、好ましくは実質的に100体積%は、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧90%、好ましくは≧95%、好ましくは≧99%、である化学分析を示す。好ましくは、酸化物の含量のこの合計は、該酸化物に基づく質量百分率として、実質的に100%に等しい。
【0054】
一つの実施態様において、該セラミック粒子の90体積%超、好ましくは95体積%超、好ましくは99体積%超、好ましくは実質的に100体積%は、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、SiO2≧90%、好ましくは≧95%、好ましくは≧99%、である化学分析を示す。
【0055】
一つの実施態様において、該セラミック粒子の90体積%超、好ましくは95体積%超、好ましくは99体積%超、好ましくは実質的に100体積%は、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3≧90%、好ましくは≧95%、好ましくは≧99%、である化学分析を示す。
【0056】
該セラミック粒子は、セラミック粒子の前駆体によって、つまり該プリプレグの製造中、又はより一般的には該セラミックマトリックス成分、特に該CMC、の製造若しくは使用中に、それぞれセラミック粒子又はセラミックマトリックスをもたらす構成物によって、部分的又は全体的に置き換えられうる。ベーマイト、アルミナ三水和物、オルトケイ酸テトラエチル又はTEOS、及びオルトケイ酸は、それぞれ、アルミナ、アルミナ、シリカ、及びシリカの既知の前駆体の例である。
【0057】
一つの実施態様において、該ゲル化可能な液体は、該ゲル化可能な液体の体積に対する体積百分率として、好ましくは0.5%超、若しくは更には1%超且つ/又は好ましくは9%未満、若しくは更には8%未満、若しくは更には5%未満、の量の金属粒子を含む。
【0058】
該金属粒子、つまり金属から又は金属合金から作製された粒子は、該セラミックマトリックス成分、特に該CMC、の該セラミックマトリックス内に組み込まれることが意図される。該粒子は、該マトリックスの特性、例えば熱伝導率及び/又は電気伝導率、を修正しうる。金属粒子がセラミック粒子の前駆体であり、特に焼結操作中、好ましくは反応性焼結操作中、にセラミック粒子に変換する場合、該金属粒子は排他的に、セラミック粒子の前駆体の1つに数えられる。
【0059】
反応性焼結は、気体環境の要素、特に窒素及び/又は酸素、との組み合わせによって、金属粒子をセラミック粒子に変換するのに、特に好適でありうる。
【0060】
より好ましくは、該金属粒子の全て又は一部は、ケイ素、アルミニウム、鉄及びそれらの混合物、特にその合金、から選択される材料を含み、好ましくはそれから作製される。
【0061】
該金属粒子の全体は、全て同じ組成を有する粒子から、又は異なる組成を有する粒子の混合物からなりうる。
【0062】
該金属粒子は、金属粒子の前駆体によって、つまり該プリプレグの製造中、又はより一般的には該セラミックマトリックス成分、特に該CMC、の製造若しくは使用中に、金属相をもたらす構成物によって、部分的又は全体的に置き換えられうる。金属の硫酸塩、例えば硫酸アルミニウム、金属のクロロハイドレート、例えばアルミニウムクロロハイドレート、及び金属のブロモハイドレート、例えばアルミニウムブロモハイドレートは、金属前駆体の例である。
【0063】
好ましくは、該ゲル化可能な液体は、金属粒子の前駆体を含まない。
【0064】
好ましい実施態様において、該ゲル化可能な液体は、金属粒子又はこのような粒子の前駆体を含まない。
【0065】
好ましくは、該セラミック粒子及び該金属粒子の全体は、体積により、10μm未満、好ましくは8μm未満、好ましくは6μm未満、好ましくは5μm未満、好ましくは4μm未満、好ましくは3μm未満、且つ好ましくは0.1μm超、好ましくは0.2超μm、のメジアン径D50、及び/又は70μm未満、好ましくは60μm未満、好ましくは50μm未満、好ましくは40μm未満、好ましくは30μm未満、の99パーセンタイル、すなわちD99を有する。該ゲル化可能な液体における該セラミック粒子及び該金属粒子の全体は、単峰性のサイズ分布を有しうるが、多峰性のサイズ分布も有しうる。
【0066】
該セラミック粒子及び該金属粒子の全体は好ましくは、「第1のピーク」が0.1~0.3μmのサイズに中心があり、「第2のピーク」が0.5μm~5μmのサイズに中心がある、二峰性分布を有しうる。好ましくは、該2つのピークは、一部ですらも重複していない。より好ましくは、該第1のピークに中心がある分布を有する粒子の集団は、該セラミック粒子及び該金属粒子の全体の50体積%未満に相当する。
【0067】
該熱可逆性の親水コロイドは、温度低下の効果の下で可逆的にゲル化を可能にし、それ故に、該ゲル化可能な液体の粘度の大幅な修正を可能にすることを意図される。それ故に、該親水コロイドは、得られたゲルを、温度上昇の効果の下で可逆的に液化可能にするのに、同様に好適である。
【0068】
それぞれ温度低下及び温度上昇の効果の下で、可逆的なゲル化及び液化の能力を付与するのに好適な親水コロイドは、周知である。
【0069】
グリコール、ビニルアルコール、又はアカシアガムは、熱可逆性の親水コロイドではない。
【0070】
熱可逆性の挙動を示す、ある特定のセルロースガム、例えばメチルセルロース、が存在するが、これらのガムは、温度上昇の効果の下でゲル化する特性及び温度低下の効果の下で液化する特性を付与するので、この挙動は、本発明に従って用いられる該熱可逆性の親水コロイドの挙動の逆である。
【0071】
熱可逆性の親水コロイドの量は、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、好ましくは0.4%超、好ましくは0.5%超、好ましくは0.7%超、且つ/又は好ましくは9%未満、好ましくは7%未満、好ましくは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、である。
【0072】
好ましくは、該熱可逆性の親水コロイドは、該ゲル化可能な液体の該ゲル化温度が、20℃超、好ましくは25℃超、好ましくは30℃超、且つ好ましくは60℃未満、好ましくは50℃未満、好ましくは45℃未満、好ましくは40℃未満、であるように選択される。
【0073】
該熱可逆性の親水コロイドは好ましくは、
ゼラチン、又は
寒天、又は
カラギーナンとナトリウムカチオン及び/若しくはカリウムカチオン及び/若しくはカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物、又は
フルセラリアと糖との混合物、又は
好ましくは0.8超且つ1.2未満の質量比、のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物、又は
好ましくは0.67超且つ1.5未満の質量比、のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物、又は
ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が好ましくは0.2超且つ0.8未満、好ましくは0.5未満、であるキトサンとペクチンとの混合物
である。
【0074】
好ましくは、該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチン、並びにペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が好ましくは0.2超且つ0.8未満、好ましくは0.5未満、であるキトサンとペクチンとの混合物から選択される。好ましくは、該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチンである。
【0075】
該熱可逆性の親水コロイドの水への溶解は、当業者に既知の任意の技術によって、特に混合、好ましくは穏やかな機械的混合、によって行われることができる。
【0076】
該「他の構成物」は、該ゲル化可能な液体の該ゲル化可能な特性、つまりゲル化するその能力には関与しない。換言すれば、他の構成物は、該熱可逆性の親水コロイドの構成物ではない。例えば、該熱可逆性の親水コロイドが、ローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物である場合、該ローカストビーンガムも該キサンタンガムも、「他の構成物」であるとみなされない。同様に、例えば、該熱可逆性の親水コロイドが、キトサンとペクチンとの混合物である場合、該キトサンも該ペクチンも、「他の構成物」であるとみなされない。
【0077】
該熱可逆性の親水コロイドが、キトサンを含む場合、該ゲル化可能な液体のpHは好ましくは、水中の該キトサンの酸解離定数、すなわちpKaの、10を底とする対数の逆数よりも低い。
【0078】
好ましくは、該「1以上の他の構成物」は、有機である。
【0079】
1以上の他の構成物の量は好ましくは、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、0.1%超、好ましくは0.5%超且つ/又は好ましくは6%未満、好ましくは5%未満、である。
【0080】
該他の構成物の量は、該他の構成物が、該液化可能なゲルの挙動に有意に影響を及ぼさないように制限されるべきである。該他の構成物は、特に、液化可能なゲルの量の該熱可逆性の親水コロイドの量に対する関数として、該液化可能なゲルの液化温度に対して効果を有しうるが、該セラミックマトリックス成分の機械特性、特に破断係数、に対しても効果を有しうる。
【0081】
好ましくは、該ゲル化可能な液体において、熱可逆性の親水コロイドの質量に対する該「他の構成物」の質量による量の比は、1未満、好ましくは0.9未満、好ましくは0.8未満、好ましくは0.6未満、好ましくは0.4未満、であり、熱可逆性の親水コロイドの量及び該「他の構成物」の量は、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として表される。
【0082】
特に好ましくは、該ゲル化可能な液体において、該液化可能なゲルの可塑剤、好ましくはポリオール、の質量による量の熱可逆性の親水コロイドの質量に対する比は、1未満、好ましくは0.9未満、好ましくは0.8未満、好ましくは0.6未満、好ましくは0.4未満、であり、熱可逆性の親水コロイドの量及び可塑剤の量は、該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として表される。有利なことに、該セラミックマトリックス成分の機械特性、特に破断係数、が改善される。
【0083】
有機構成物の存在は、特に該有機構成物が放出する蒸気を抽出する為、発火及び/又は爆発のリスクを制限する為、輸送中の該有機構成物の分散を回避する為、該有機構成物の保存を安定にする等の為に、特別な措置が取られることを必要とすることが多い。従って、他の構成物、好ましくは有機の構成物、の低減された含量は、特に脱結合(debinding)中の、特に該有機構成物の除去を簡単にするので、特には有利である。
【0084】
好ましくは、該ゲル化可能な液体において、熱可逆性の親水コロイド及び有機の「他の構成物」の総含量、好ましくは熱可逆性の親水コロイド及び「他の構成物」の総含量は、該ゲル化可能な液体の該セラミック粒子及び該金属粒子の総質量に対する質量百分率として、15%未満、好ましくは10%未満、好ましくは7%未満、好ましくは5%未満、である。
【0085】
好ましくは、該「1以上の他の構成物」は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択される。
【0086】
好ましくは、該ゲル化可能な液体は、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、好ましくは0.5%超、好ましくは1%超且つ/又は3%未満、好ましくは2.5%未満、の量の、好ましくはポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物、から選択されるバインダーを含む。
【0087】
好ましくは、該ゲル化可能な液体は、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、好ましくは0.1%超且つ/又は1%未満、好ましくは0.5%未満、の量の殺生物剤を含む。Lanxessによって販売されているPREVENTOL(商標)P301は、既知の殺生物剤の例である。
【0088】
該ゲル化可能な液体は、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、好ましくは0.1%超、好ましくは0.2%超且つ/又は1%未満、好ましくは0.5%未満、の量の、好ましくはアンモニウムポリアクリレート、ナトリウムポリアクリレート、修飾ポリカルボキシレートエーテル、ナフタレンスルホン酸の縮合生成物のナトリウム塩、アンモニウムポリメタクリレート溶液、及びそれらの混合物から選択される分散剤を含有しうる。Vanderbilt Mineralsによって販売されているDarvan(商標)製品群は、周知の分散剤の例である。
【0089】
該ゲル化可能な液体は、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、好ましくは0.01%超、好ましくは0.02%超且つ/又は1%未満、好ましくは0.5%未満、の量の消泡薬剤を含有しうる。Zschimmer & Schwarzによって販売されているCONTRASPUM群の消泡剤が、周知である。
【0090】
該ゲル化可能な液体は、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、好ましくは0.1%超、好ましくは0.2%超且つ/又は2%未満、好ましくは1%未満、の量の増粘剤を含有しうる。BASFによって販売されているACRONAL(商標)S790は、周知の増粘剤である。
【0091】
該ゲル化可能な液体は、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、好ましくは0.01%超、好ましくは0.02%超且つ/又は5%未満、好ましくは4%未満、の量の、該液化可能なゲルの為の可塑剤、好ましくはポリオール、を含有しうる。
【0092】
該ゲル化可能な液体は、該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、好ましくは0.1%超且つ/又は2%未満、の量の乾燥調節物質を含有しうる。シクロヘキサン、ジメチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジエチルフタレート、及びトリエタノールアミンは、周知の乾燥調節剤である。
【0093】
一つの実施態様において、特にコロイド形態のセラミック粒子の前駆体が使用される場合、該ゲル化可能な液体のpHは、解膠を改善する為に、例えば塩基又は酸を添加することによって、調整されうる。
【0094】
コロイド形態のセラミック粒子の前駆体が使用される場合、好ましくは、該熱可逆性の親水コロイドと共に水が添加された後、該ゲル化可能な液体の該他の構成物が添加される。
【0095】
該ゲル化可能な液体において、体積による含水量は好ましくは、40%超、好ましくは50%超、且つ/又は好ましくは70%未満、好ましくは60%未満、である。
【0096】
好ましくは、該水は、脱塩水である。
【0097】
好ましい実施態様において、該熱可逆性の親水コロイドは、該セラミック粒子の質量及び金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、好ましくは0.5%超、好ましくは1%超、且つ好ましくは9%未満、好ましくは7%未満、好ましくは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2.5%未満、好ましくは2%未満、の量のゼラチンであり、該熱可逆性の親水コロイドが導入される水は好ましくは、60℃超、好ましくは65℃超、且つ好ましくは75℃未満、好ましくは70℃未満、の温度にされる。
【0098】
一つの実施態様において、該熱可逆性の親水コロイドは、ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が好ましくは、0.2超且つ0.8未満、好ましくは0.5未満であり、該セラミック粒子の質量及び金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、好ましくは0.4%超、好ましくは0.5%超、且つ好ましくは9%未満、好ましくは7%未満、好ましくは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2.5%未満、好ましくは2%未満、の量であるキトサンとペクチンとの混合物であり、該熱可逆性の親水コロイドが導入される水は、50℃超、好ましくは55℃超、且つ好ましくは65℃未満、好ましくは60℃未満、の温度である。
【0099】
好ましい実施態様において、親水コロイド溶液は、まず、該熱可逆性の親水コロイドを水に溶解させることによって調製され、該親水コロイド溶液は、そのゲル化温度よりも高い温度である。次に、該熱可逆性の親水コロイド溶液は、該ゲル化可能な液体の該他の構成物と混合される。
【0100】
好ましくは、該熱可逆性の親水コロイドは、該熱可逆性の親水コロイド溶液の該ゲル化温度が、20℃超、好ましくは25℃超、好ましくは30℃超、且つ好ましくは60℃未満、好ましくは50℃未満、好ましくは45℃未満、好ましくは40℃未満、であるように選択される。当業者は、日常的な簡単な試験によって、該熱可逆性の親水コロイドに応じて、該親水コロイド溶液の該ゲル化温度をどのように決定するかについて知られている。
【0101】
工程2)において、該ゲル化可能な液体は、該支持体の該セラミックファイバーに施与される。
【0102】
好ましくは、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超、95%超、好ましくは100%、に相当する。
【0103】
好ましくは、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーの数による50%超、70%超、90%超、好ましくは該セラミックファイバーの100%は、
10mm超の長さ、及び
全長の半分にて測定された、2μm超、好ましくは4μm超、好ましくは6μm超且つ/又は好ましくは50μm未満、好ましくは30μm未満、好ましくは20μm未満、の等価直径
を有する。
【0104】
該セラミックファイバーは、糊材(size)を含み得(「糊付け剤(sizing)」)、及び/又は該セラミックヤーンは、有機表面コーティングを有しうる(「仕上げ」);該糊材及び/又は該コーティングは、該ゲル化可能な液体の施与前に、化学的及び/又は熱的手段によって少なくとも部分的に除去されることができ、該糊材は、慣用的に、それが少なくとも部分的に被覆する該セラミックファイバーの質量の1%未満に相当し、該コーティングは、慣用的に、それが少なくとも部分的に被覆する該セラミックヤーンの質量の4%未満に相当する。
【0105】
好ましくは、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素から、好ましくは1以上の酸化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は炭素から、好ましくはAl2O3、SiO2、ZrO2、Y2O3、CaO、MgO、酸化鉄、希土類酸化物、TiO2、Na2O、Cr2O3及びそれらの混合から選択される酸化物から、又はSiCからなる。
【0106】
より好ましくは、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなる。
【0107】
好ましくは、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく重量百分率として、Al2O3+SiO2+ZrO2+Y2O3+CaO+MgO+Fe2O3+希土類酸化物+TiO2+Na2O+Cr2O3≧90%、好ましくは≧95%、好ましくは≧99%、である、好ましくは実質的に100%に等しくなるような、化学分析を示す。
【0108】
より好ましくは、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧90%、好ましくは≧95%、好ましくは≧99%、である、好ましくは実質的に100%に等しくなるような、化学分析を示す。好ましくは、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、ガラスファイバー、非晶質シリカファイバー、コランダムファイバー、ムライトファイバー、ムライト-コランダムファイバー及びそれらの混合物から選択される。
【0109】
一つの実施態様において、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、SiO2≧90%、好ましくは≧95%、好ましくは≧99%、である化学分析を示す。好ましくは、この実施態様において、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、ガラスファイバー、非晶質シリカファイバー及びそれらの混合物から選択される。
【0110】
一つの実施態様において、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3≧90%、好ましくは≧95%、好ましくは≧99%、である化学分析を示す。好ましくは、この実施態様において、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、コランダムファイバーである。
【0111】
一つの実施態様において、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3≧50%、好ましくは≧60%、好ましくは≧70%且つ≦90%、である化学分析を示す。好ましくは、この実施態様において、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、ムライトファイバー、ムライト-コランダムファイバー及びそれらの混合物から選択される。
【0112】
任意的にヤーンの形態の該セラミックファイバーの材料における、該セラミック粒子の材料は、同じでありうるか、又は異なりうる。
【0113】
好ましくは、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、ガラスファイバー、非晶質シリカファイバー、コランダムファイバー、ムライトファイバー、ムライト-コランダムファイバー及びそれらの混合物から選択され、該セラミック粒子は、その質量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧90%、好ましくは≧95%、好ましくは≧99%、である化学分析を示す。好ましくは、酸化物の含量のこの合計は、該酸化物に基づく質量百分率として、実質的に100%に等しい。
【0114】
該支持体は、ウェブの形態、好ましくは横ヤーン及び縦ヤーンを有するファブリック、編物若しくはブレイドの形態、又は1つの層の形態のフェルトの形態、を取ることができる。
【0115】
該ウェブ、好ましくは該ファブリックは、特に、5mm未満又は2mm未満又は1mm未満の厚さを有しうる。該ウェブは、無作為的又は秩序的な方式で、例えば互いに平行に方向付けされている、一組のセラミックヤーンからなりうる。該ウェブは、優先的な方式で、例えば平面に、又は所与の向きに対して若しくは複数の有利な方向付けの向きに対して平行に、絡み合っているか又は方向付けされている、一組のセラミックファイバー又はセラミックヤーンからなりうる。
【0116】
好ましくは、該ウェブは、アセンブルされたセラミックファイバー、好ましくは上述のファイバーの特色の1以上を有するセラミックファイバー、からなるセラミックヤーンからなる。このようなセラミックヤーンは、典型的に、数百本から数千本のセラミックファイバーを含む。
【0117】
少なくとも一本のヤーン、好ましくは該セラミックヤーン、好ましくはウェブの各セラミックヤーン、の数による90%超は好ましくは、10mm超、5cm超、10cm超、30cm超若しくは1m超、且つ/又は好ましくは10000m未満、5000m未満、1000m未満、100m未満、50m未満若しくは10m未満の長さを有する。
【0118】
一つの実施態様において、該支持体は、単一のウェブからなる。一つの実施態様において、該支持体は、ウェブが互いに重畳された、同一の又は異なる構造の複数のウェブ、好ましくは2枚超のウェブ且つ/又は好ましくは10枚未満のウェブ、好ましくは8枚未満のウェブ、からなりうる。好ましくは、各ウェブは、該ヤーンからなる。
【0119】
一つの実施態様において、該支持体は、下の方の、好ましくは不織の、ウェブ、及び該下の方のウェブの上に広がる上の方の、好ましくは不織の、ウェブを含み、下の方及び上の方の各ウェブはそれぞれ、該下の方のウェブ及び該上の方のウェブの向きに平行に方向付けられている、複数のヤーン、好ましくは該ヤーン、を含み、該下の方のウェブ及び該上の方のウェブの向きは、それらの間に、好ましくは15°超、30°超、50°超、例えばおよそ90°、の角度を形成する。
【0120】
一つの実施態様において、該支持体は、単一ヤーン、つまり他のヤーンとアセンブルされていない一本のヤーン、の形態である。
【0121】
一つの実施態様において、特に該支持体が非晶質シリカヤーンである場合、該セラミック粒子は好ましくは、0.5%未満、好ましくは0.1%未満、のNa2O+K2O含量を有するように選択され、及び/又は該他の構成物、特に該分散剤は、ナトリウム及び/又はカリウムを実質的に含有していない。
【0122】
該支持体の該セラミックファイバーへの該ゲル化可能な液体の施与は、特に該支持体が一枚のウェブ又は複数のウェブの重畳の形態である場合、含浸によって行われうる。含浸は、該支持体がヤーンの形態である場合にも可能である。次に、該ゲル化可能な液体は、該支持体に浸透する。
【0123】
該含浸は、当業者に既知の任意の技術に従って、特にドクタリング(又は「ドクターブレード」プロセス)によって、テープキャスティングプロセスによって、浸漬(例えば、ディップコーティングプロセスに従って)によって、ガンによって、ブラシによって、又はスクリーン印刷によって行われうる。
【0124】
該支持体が、幾つかの重畳されたウェブを含む場合、各ウェブは、その他のウェブと重畳される前に、含浸させられうる。代替的には、該ウェブは、含浸させられることなく、その他のウェブの上に重畳され得、次に、重畳された全ての該ウェブが、同時に含浸させられる。好ましくは、該支持体が幾つかの重畳されたウェブを含む場合、各ウェブは、その他のウェブと重畳される前に、含浸させられる。
【0125】
該ゲル化可能な液体はまた、該ゲル化可能な液体が該支持体のバルクに浸透することなく、該支持体の該セラミックファイバーに施与されうる。特に、該ゲル化可能な液体は、セラミックヤーンの形態の支持体の表面だけに施与されうる。
【0126】
好ましくは、該ゲル化可能な液体の施与中、該支持体は、該ゲル化可能な液体の該ゲル化温度よりも高い温度で、好ましくは該ゲル化可能な液体の該ゲル化温度よりも5℃、10℃又は20℃高い温度で維持される。この目的を達成する為に、該支持体は、例えば、加熱された型内の加熱されたプレート上に配置されうるか、又はラジエントヒーターを用いて加熱されうる。
【0127】
該ゲル化可能な液体は、該繊維状支持体の全て又は一部に含侵する。
【0128】
好ましくは、該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超、好ましくは60%超、好ましくは70%超、好ましくは80%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超、好ましくは100%、は好ましくは、それらの外表面の20%超、好ましくは50%超、好ましくは60%超、好ましくは70%超、80%超、90%超、95%超、好ましくは100%が、ゲル化可能な液体でコーティングされている。
【0129】
工程3)において、該ゲル化可能な液体は、該ゲル化可能な液体を液化可能なゲルに変換する為に、そのゲル化温度よりも低い温度に、好ましくは該ゲル化可能な液体の該ゲル化温度よりも5℃、10℃又は20℃低い温度に冷却される。
【0130】
工程3)の温度及び期間は好ましくは、質量百分率として、該ゲル化可能な液体の90%超、95%超、好ましくは100%、がゲル化するように適応させられる。
【0131】
従って、本発明に従うプリプレグが得られる。
【0132】
該ゲル化温度は、親水コロイドに応じて変わる。好ましくは、該ゲル化温度は、20℃超、好ましくは25℃超、好ましくは30℃超、且つ好ましくは60℃未満、好ましくは50℃未満、好ましくは45℃未満、好ましくは40℃未満、である。
【0133】
好ましくは、周囲温度への簡単な冷却は、該ゲル化可能な液体をゲル化することを可能にする。この場合、該プリプレグは、該液化可能なゲルの液化なしに、周囲温度で保存されうる。
【0134】
冷却はまた、該ゲル化を加速する為に、冷蔵されたセル内で行われうる。
【0135】
これは、組成の改変をもたらさない。従って、該液化可能なゲルの組成は、該ゲル化可能な液体の組成と同一である。
【0136】
好ましくは、該プリプレグは、乾いた感触である。
【0137】
任意的な工程4)において、本発明に従うプリプレグは、保存される。
【0138】
好ましくは、該プリプレグは、工程3)後、気密バッグ内に、1カ月未満、好ましくは15日未満、好ましくは5日未満、好ましくは1日未満、保存され、及び/又は入れられる。好ましくは、工程3)の終わりと工程4)との間で、該プリプレグは、自然蒸発以外のいかなる乾燥も受けない。特に、該プリプレグは、加熱によるいかなる乾燥も受けない。好ましくは、該プリプレグが該気密バッグ内に保存されるか、又はパッケージされる時点における、該プリプレグの体積による含水量は、工程3)の終わりにおける体積による含水量の95%超、好ましくは98%超、であり、好ましくは実質的に100%に等しい。従って、有利なことに、該セラミックマトリックス成分を製造する為に必要な水の添加は、制限されるか、又は更にはゼロである。
【0139】
該プリプレグは、例えば、1カ月間超、2カ月間超、3カ月間超、6カ月間超若しくは1年間超、且つ/又は好ましくは5年間未満、保存されうる。
【0140】
ゲル化された形態は、有利なことに、該支持体に対して該液化可能なゲルを固定し、特に、該支持体の該セラミックファイバーの間に又は該支持体に沿って、該液化可能なゲルが流れないようにすることを可能にする。加えて、該ゲル化された形態は、有利なことに、水に対して該セラミック粒子及び任意的な構成物、特に任意的な金属粒子、を固定することを可能にする。従って、該セラミック粒子及び該任意的な構成物の空間分布は、均質なままであり、それによってその後、やはり均質な特性を有するセラミックマトリックス成分、特にCMC、をもたらす。
【0141】
工程1)の該ゲル化可能な液体における熱可逆性の親水コロイドの量は、所望の保存期間及び所望のゲル強度に応じて適応させられる。熱可逆性の親水コロイドのゲル化力、及び所望の保存期間中の、該支持体上に正確に維持される該親水コロイドの能力を評価する為に、簡単な試験が使用されることができる。
【0142】
例えば、該ゲル化可能な液体がゼラチンを含む場合、形成された液化可能なゲルが十分に強力でないならば、ゼラチンの量は増大され得、及び/又はより高いブルーム値を有するゼラチンが使用されうる。
【0143】
以下の試験は、ゲル化可能な液体が液化可能なゲルを形成する能力を評価する為に使用されうる。該ゲル化可能な液体50mlが、50mmに等しい直径及び50mmに等しい高さを有するプラスチックビーカーに入れられる。該ビーカーは、該ゲル化可能な液体の該ゲル化温度よりも低い温度で、該ゲル化可能な液体の全てをゲル化するのに十分な時間にわたって、冷却セル内に入れられる。次に、該ビーカーは、該セルから取り出され、反転させられる。一つの実施態様において、1分後に該液化可能なゲルの流れがなくなっていたならば、該ゲル化可能な液体は満足であるとみなされる。そうでなければ、前述の通り、熱可逆性の親水コロイドの量は増大され、及び/又は該熱可逆性の親水コロイドは、より強力なゲルを生成する熱可逆性の親水コロイドで置き換えられる。
【0144】
複数のプリプレグが一緒に保存される場合、例えばポリマーから作製された異なるプリプレグの間の任意の結合を防止する材料から作製された中間層を置くことが、優先される。例えば、ポリエステル又はポリエチレン又はポリエチレンテレフタレートから作製された、例えばMylarから作製されたフィルムは、スタックされた複数のプリプレグを分離する為に配置されうる。
【0145】
好ましくは、このような中間層はまた、所与のプリプレグの各ウェブの間に、又は特に該プリプレグがそれ自体、折り畳まれるか、若しくはそれ自体、ロールの形態に巻き取られる場合には、この中間層なしに接触させられうる所与のプリプレグの二層の間に、挿入される。
【0146】
保存される前に、各プリプレグ又はプリプレグの組は好ましくは、気密バッグに入れられ、それによって有利なことに、特に乾燥の結果としての、経時的なその分解を制限する。
【0147】
有利なことに、本発明に従うプリプレグは、実質的に分解なしに、長期間にわたって周囲温度で保存されうる。
【0148】
好ましい実施態様において、プリプレグを製造する為の、本発明に従う方法は、以下の優先事項を有する:
工程1)において、該ゲル化可能な液体は、
該ゲル化可能な液体の体積に対する体積百分率として、25%超且つ55%未満の量の、セラミック粒子(該セラミック粒子は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上のホウ化物からなる該粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択され、
該セラミック粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示す)、並びに
該セラミック粒子に基づく質量百分率として、0.4%超且つ9%未満の量の、熱可逆性の親水コロイド
(該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチン、寒天、カラギーナンとナトリウムカチオン及び/又はカリウムカチオン及び/又はカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物、フルセラリアと糖との混合物、0.8超且つ1.2未満の質量比のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物、0.67超且つ1.5未満の質量比のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物、ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物から選択され、該熱可逆性の親水コロイドは好ましくは、ゼラチンである)、並びに
該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量の、他の有機構成物(該他の有機構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択される)、
100%までの残部の水
からなり、
工程2)において、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、
10mm超の長さ、及び
全長の半分にて測定された、2μm超且つ50μm未満の等価直径
を有し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該ファイバーは、その質量の90%超が、1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素からなり、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、ゲル化可能な液体でコーティングされており、
工程3)において、
該工程3)の温度及び期間は、質量百分率として、該ゲル化可能な液体の90%超がゲル化するように適応させられ、該ゲル化可能な液体は、20℃超のゲル化温度を有するように選択される。
【0149】
この好ましい実施態様において、該ゲル化可能な液体は、金属粒子又はこのような粒子の前駆体を含まない。
【0150】
一つの実施態様において、プリプレグを製造する為の、本発明に従う方法は、以下の優先事項を有する:
工程1)において、該ゲル化可能な液体は、
該ゲル化可能な液体の体積に対する体積百分率として、25%超且つ55%未満の量の、セラミック粒子(該セラミック粒子は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上のホウ化物からなる粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択され、該セラミック粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示す)、並びに
該ゲル化可能な液体の体積に対する体積百分率として、0.5%超且つ9%未満の量の、金属粒子
(該セラミック粒子及び該金属粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示す)、並びに
該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、0.4%超且つ9%未満の量の、熱可逆性の親水コロイド(該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチン、寒天、カラギーナンとナトリウムカチオン及び/又はカリウムカチオン及び/又はカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物、フルセラリアと糖との混合物、0.8超且つ1.2未満の質量比のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物、0.67超且つ1.5未満の質量比のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物、ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物から選択され、該熱可逆性の親水コロイドは好ましくは、ゼラチンである)、並びに
該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量の、他の有機構成物(該他の有機構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択される)、
100%までの残部の水
からなり、
工程2)において、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、
10mm超の長さ、及び
全長の半分にて測定された、2μm超且つ50μm未満の等価直径
を有し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該ファイバーは、その質量の90%超が、1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素からなり、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、ゲル化可能な液体でコーティングされており、
工程3)において、
該工程3)の温度及び期間は、質量百分率として、該ゲル化可能な液体の90%超がゲル化するように適応させられ、該ゲル化可能な液体は、20℃超のゲル化温度を有するように選択される。
【0151】
好ましい実施態様において、プリプレグを製造する為の、本発明に従う方法は、以下の優先事項を有する:
工程1)において、該ゲル化可能な液体は、
該ゲル化可能な液体の体積に対する体積百分率として、30%超且つ50%未満の量の、セラミック粒子(該セラミック粒子の95体積%超は、その質量の99%超が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧95%である化学分析を示し、
該セラミック粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示す)、並びに
該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.5%超且つ4%未満の量の、熱可逆性の親水コロイド(該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチンである)、並びに
該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量の、他の有機構成物(該他の有機構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択される)、
100%までの残部の水
からなり、
工程2)において、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、
10mm超の長さ、及び
全長の半分にて測定された、2μm超且つ30μm未満の等価直径
を有し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該ファイバーは、その質量の95%超が、1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧95%である化学分析を示し、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、ゲル化可能な液体でコーティングされており、
工程3)において、
該工程3)の温度及び期間は好ましくは、質量百分率として、該ゲル化可能な液体の90%超がゲル化するように適応させられ、該ゲル化可能な液体は、20℃超のゲル化温度を有するように選択される。
【0152】
この好ましい実施態様は、金属粒子又はこのような粒子の前駆体を含まない。
【0153】
好ましくは、本発明に従うプリプレグは、本発明に従う製造方法に従って製造される。
【0154】
セラミックマトリックス成分を製造する方法
本発明に従うセラミックマトリックス成分を製造する方法は、上述の工程5)~9)を含み、工程7)及び9)は任意的である。
【0155】
工程5)において、好ましくは先行する工程に従って製造された、本発明に従う少なくとも1つのプリプレグは、適切な場合にはそのバッグから取り出され、次に、任意的に最初の部分的成形後に、少なくとも一部の、好ましくは全て、の該液化可能なゲルの温度が、該液化可能なゲルの液化温度に達し、好ましくはそれを超える、ように加熱される。
【0156】
一つの実施態様において、本発明に従う複数のプリプレグは、例えば、一方のプリプレグがその他のプリプレグの上に重畳された後に、少なくとも一部の、好ましくは全て、の該液化可能なゲルの温度が、該液化可能なゲルの液化温度に達し、好ましくはそれを超える、ように同時に加熱される。
【0157】
該加熱は好ましくは、80℃未満、好ましくは70℃未満、好ましくは60℃未満、好ましくは50℃未満、で行われる。
【0158】
ヤーンの形態のプリプレグは、一巻きのヤーンの形態を取りうる。該ヤーンは、それをほどくのに必要な程度まで、局所的にのみ加熱されうる。
【0159】
次に該プリプレグは、従来技術のプリプレグのように、容易に変形可能になる。
【0160】
注目すべきことに、該プリプレグが加熱される前に、該プリプレグを周囲温度で一時的に保存しても、有意に分解することはない。しかしながら、好ましくは、該一時的保存は、48時間未満、好ましくは24時間未満、継続する。
【0161】
一つの実施態様において、該プリプレグは、工程6)の前に濡れさせられうる。
【0162】
該プリプレグにおける高い含水量は、有利なことに、水の添加を制限することを可能にし、それによって製造を簡素化する。加えて、該プリプレグにおける水は、有利なことに、該プリプレグを濡れさせる為に添加されうる任意の水よりも、該プリプレグ内により均一に分布させられる。該セラミックマトリックス成分の機械特性は、それによって改善される。
【0163】
好ましくは、この濡れから生じる水の添加は、該プリプレグの該液化可能なゲルの体積による含水量の、20%未満、好ましくは10%未満、好ましくは5%未満、である。
【0164】
好ましくは、該プリプレグは、濡れさせられない。
【0165】
工程6)において、先行する工程において変形可能にさせられた該プリプレグは、変形可能なプリフォームを得る為に、当業者に既知の任意の技術に従って、所望の幾何構造に従って成形される。
【0166】
好ましくは、該プリプレグは、型の上で圧縮されることによって成形される。
【0167】
先行する工程において変形可能にさせられた複数のプリプレグ、好ましくは2個超、且つ好ましくは10個未満のプリプレグ、は工程6)において成形されうる。好ましくは、各プリプレグは、一枚のウェブ又は複数の重畳されたウェブの形態を取る。
【0168】
慣用的に、工程5)において調製された複数のプリプレグは、例えば、一方のプリプレグがその他のプリプレグの上に重畳された後に、同時に成形されるか、又は逐次的に重畳で型に施与される。該成形は、特に、複数のプリプレグをスタックし、続いて積層することを含み得、又は特に該プリプレグが、一枚のウェブ若しくは複数の重畳されたウェブの形態を取る場合には、複数のプリプレグをスタックし、続いてオートクレーブ処理することを含みうる。
【0169】
ヤーンの形態のプリプレグの該成形はまた、該プリプレグを局所的に加熱し、続いて巻き取ることから生じうる。
【0170】
ヤーンの形態のプリプレグは、特に、一時的にベースの周りに巻き取られうるか、又はそうでなければ、例えば円形、楕円形若しくは多角形の横断面を有する、例えば心棒の周りに巻き取られうる。この操作は、フィラメントの巻き取りと云われる。
【0171】
該ベースは、その後、該巻き取られたヤーンから分離されるか否かに応じて、一時的又は永久的でありうる。該ベースの周りの回転数は、5超、50超、500超、5000超且つ/又は好ましくは1000000未満若しくは100000未満、でありうる。一つの実施態様において、該ヤーンの巻き取りは、該ヤーンに管状の形状を与える。一つの実施態様において、該管状の形状は、例えば母線に沿って切断され、例えば平面形状を得る為に、展開されうる。
【0172】
代替的には、ヤーンの形態のプリプレグの該成形は、該プリプレグの局所的加熱、表面上への堆積、次に圧力の印加、加熱と同時に行われる可能性がある圧力の堆積及び/又は印加から生じうる。
【0173】
ヤーンの形態のプリプレグは、特に、それ自体閉じていない表面、例えば平面表面、上に巻き出されうる。この操作は、フィラメントの設置と云われる。該フィラメントの設置は、3Dプリンターによって実施されうる。該巻き出されたヤーンは、すきで掘られた溝のように、該表面上に重複して、又は重複なしに(並置)行き来しうる。一つの実施態様において、該ヤーンの設置は、平面形状をもたらす。
【0174】
工程5)及び6)は、特に以下の実施例に記載される通り、同時でありうる。
【0175】
任意的な工程である工程7)において、先行する工程から得られる、本発明に従う1以上のプリプレグからなる該変形可能なプリフォームは、少なくとも一部、好ましくは全て、の該ゲル化可能な液体の温度が、該ゲル化可能な液体の該ゲル化温度に達し、好ましくはそれよりも低下する、ように冷却される。
【0176】
該変形可能なプリフォームは、硬化し、「硬化させられた」プリフォームになり、それによって、有利なことに、該プリフォームの取扱いを促進する。
【0177】
当然のことながら、該硬化させられたプリフォームは、ある程度の変形能を保持することができる。しかしながら、この変形能は、該変形可能なプリフォームの変形能よりも低い。
【0178】
好ましくは、該方法は、工程7)を含まない。
【0179】
工程8)において、該変形可能な(すなわち工程7)なし)又は硬化させられた(すなわち工程7)あり)プリフォームは、乾燥させられる。当業者に既知の任意の技術が使用されうる。
【0180】
好ましくは、工程7)が実施された場合、該乾燥は、該液化可能なゲルの液化温度未満の乾燥温度で行われ、例えば真空下で乾燥させられる。従って、該硬化させられたプリフォームは、硬いままである。
【0181】
好ましくは、工程7)が実施されなかった場合、該乾燥は、該ゲル化可能な液体の該ゲル化温度よりも高い温度で行われる。
【0182】
該乾燥は、水の少なくとも一部を除去し、それによって、該ゲル化可能な液体をゲル化する特別な工程なしに、該変形可能なプリフォームを硬化する。
【0183】
該熱可逆性の親水コロイドがゼラチンである場合、50℃に等しい温度及び30%に等しい相対湿度での、好ましくは0.5時間~12時間の期間にわたる乾燥が、良く適している。
【0184】
該乾燥は、セラミックマトリックス成分をもたらす。
【0185】
任意的であり好ましい工程9)において、先行する工程から得られるセラミックマトリックス成分は、焼結される。次に、該セラミックマトリックス成分は、CMCになる。
【0186】
当業者は、該セラミック粒子の性質、該任意的な金属粒子及び該セラミックファイバーに応じて、焼結条件をどのように決定するかについて知られている。
【0187】
特に、該セラミックファイバーが、酸化物から作製されている場合、及び該セラミック粒子が、SiO2≧90%である化学分析を示す場合、該焼結温度は好ましくは、800℃超、且つ好ましくは1000℃未満、であり、該焼結は好ましくは、空気下で、好ましくは1バールの圧力で行われ、固定相の保持時間は好ましくは、1時間超、且つ好ましくは10時間未満、である。
【0188】
特に、該セラミックファイバーが、酸化物から作製されている場合、及び該セラミック粒子が、Al2O3≧90%である化学分析を示す場合、該焼結温度は好ましくは、1000℃超、且つ好ましくは1300℃未満、であり、該焼結は好ましくは、空気下で、好ましくは1バールの圧力で行われ、固定相の保持時間は好ましくは、1時間超、且つ好ましくは10時間未満、である。
【0189】
特に、該セラミックファイバーが、炭化物及び/又はホウ化物及び/又は窒化物及び/又は炭素から作製されている場合、並びに該セラミック粒子が、炭化物及び/又はホウ化物及び/又は窒化物及び/又は炭素から作製されている場合、該焼結温度は好ましくは、1400℃超、且つ好ましくは2300℃未満、であり、該焼結は好ましくは、中性、還元性又は反応性の雰囲気下で、好ましくは1バールの圧力で行われ、固定相の保持時間は好ましくは、1時間超、且つ好ましくは10時間未満、である。
【0190】
該CMCは、特に、以下の施与:高温排ガス成分、焼成支持体、断熱物、高温ガラス成分の為のホットドライブローラー、において使用されうる。
【0191】
しかしながら、本発明に従うプリプレグは、CMCの製造に限定されず、例えば、他のセラミックマトリックス成分、特に断熱物、特に適合性断熱物、すなわち熱から保護されるべき物体の形状に適合することができるもの、を製造する為に使用されうる。
【0192】
プリプレグ
本発明に従うプリプレグの特色、特に好ましい特色は、該方法の先行する説明から直接的に明らかになる。
【0193】
特に、該液化可能なゲルにおける、該セラミック粒子、該金属粒子、該セラミック粒子の前駆体及び該金属粒子の前駆体の
量、特に好ましい量、
組成、特に好ましい組成、
メジアン径、特に好ましいメジアン径、
99パーセンタイル(D99)、特に好ましい99パーセンタイル、
粒径分布、特に好ましい粒径分布
は、該ゲル化可能な液体について前述したものと同じであり、
該液化可能なゲルの該熱可逆性の親水コロイドの
量、特に好ましい量、
組成、特に好ましい組成、
ゲル化温度、特に好ましいゲル化温度
は、該ゲル化可能な液体について前述したものと同じであり、
該「他の構成物」の
量、特に好ましい量、
組成、特に好ましい組成、
は、該ゲル化可能な液体について前述したものと同じであり、
該支持体の複数の該ファイバー及び複数の該ヤーンの
量、特に好ましい量、
組成、特に好ましい組成、
寸法、特に好ましい寸法
は、該セラミックマトリックス成分を製造する方法について前述したものと同じであり、
液化可能なゲルで被覆される、該支持体の複数の該ファイバー及び複数の該ヤーンの外表面部分は、ゲル化可能な液体で被覆される、該支持体の複数の該ファイバー及び複数の該ヤーンの外表面部分について前述したものと同じであり、
該支持体の
形状、特に好ましい形状、
構造、例えば重畳された異なるウェブのヤーンの方向付け及びウェブの数、特に好ましい構造、
寸法、特に好ましい寸法
は、該セラミックマトリックス成分を製造する方法について前述したものと同じであり、
該プリプレグのパッキング、特に中間層の添加及びパッケージングは、該セラミックマトリックス成分を製造する方法について前述したものと同じである。
【0194】
該液化可能なゲルの該水は好ましくは、脱塩水である。
【0195】
好ましい実施態様において、本発明に従うプリプレグは、以下の優先事項を有する:
該液化可能なゲルは、
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、25%超且つ55%未満の量の、セラミック粒子(該セラミック粒子は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上のホウ化物からなる粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択され、
該セラミック粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示す)、並びに
該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.4%超且つ9%未満の量の、熱可逆性の親水コロイド
(該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチン、寒天、カラギーナンとナトリウムカチオン及び/又はカリウムカチオン及び/又はカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物、フルセラリアと糖との混合物、0.8超且つ1.2未満の質量比のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物、0.67超且つ1.5未満の質量比のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物、ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物から選択され、該熱可逆性の親水コロイドは好ましくは、ゼラチンである)、並びに
該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量の、他の有機構成物(該他の有機構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択される)、
100%までの残部の水
からなり、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、
10mm超の長さ、及び
全長の半分にて測定された、2μm超且つ50μm未満の等価直径
を有し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該ファイバーは、その質量の90%超が、1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素からなり、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされている。
【0196】
この好ましい実施態様において、該液化可能なゲルは、金属粒子又はこのような粒子の前駆体を含まない。
【0197】
一つの実施態様において、本発明に従うプリプレグは、以下の優先事項を有する:
該液化可能なゲルは、
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、25%超且つ55%未満の量の、セラミック粒子(該セラミック粒子は、その質量の90%超が1以上の酸化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の窒化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上の炭化物からなる粒子、その質量の90%超が1以上のホウ化物からなる粒子、及びこれらの粒子の混合物から選択され、該セラミック粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示す)、並びに
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、0.5%超且つ9%未満の量の、金属粒子
(該セラミック粒子及び該金属粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示す)、並びに
該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、0.4%超且つ9%未満の量の、熱可逆性の親水コロイド(該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチン、寒天、カラギーナンとナトリウムカチオン及び/又はカリウムカチオン及び/又はカルシウムカチオンを提供する化合物との混合物、フルセラリアと糖との混合物、0.8超且つ1.2未満の質量比のコンニャクガムとキサンタンガムとの混合物、0.67超且つ1.5未満の質量比のローカストビーンガムとキサンタンガムとの混合物、ペクチン及びキトサンの量に対するペクチンの量の質量比が0.2超且つ0.8未満であるキトサンとペクチンとの混合物から選択され、該熱可逆性の親水コロイドは好ましくは、ゼラチンである)、並びに
該セラミック粒子の質量及び該金属粒子の質量の合計に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量の、他の有機構成物(該他の有機構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択される)、並びに
100%までの残部の水
からなり、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、
10mm超の長さ、及び
全長の半分にて測定された、2μm超且つ50μm未満の等価直径
を有し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該ファイバーは、その質量の90%超が、1以上の酸化物及び/又は1以上の窒化物及び/又は1以上の炭化物及び/又は1以上のホウ化物及び/又は炭素からなり、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされている。
【0198】
好ましい実施態様において、本発明に従うプリプレグは、以下の優先事項を有する:
該液化可能なゲルは、
該液化可能なゲルの体積に対する体積百分率として、30%超且つ50%未満の量の、セラミック粒子
(該セラミック粒子の95体積%超は、その質量の99%超が1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧95%である化学分析を示し、
該セラミック粒子の全体は、体積により、5μm未満且つ0.1μm超のメジアン径D50、及び50μm未満の99パーセンタイル、すなわちD99を示す)、並びに
該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.5%超且つ4%未満の量の、熱可逆性の親水コロイド(該熱可逆性の親水コロイドは、ゼラチンである)、並びに
該セラミック粒子の質量に基づく質量百分率として、0.1%超且つ6%未満の量の、他の有機構成物(該他の有機構成物は、分散剤、バインダー、殺生物剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、乾燥調節剤及びそれらの混合物から選択される)、
100%までの残部の水
からなり、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい、該支持体の該セラミックファイバーの数による90%超は、
10mm超の長さ、及び
全長の半分にて測定された、2μm超且つ30μm未満の等価直径
を有し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、該支持体の質量の90%超に相当し、
ヤーンの形態に任意的にアセンブルされていてもよい該セラミックファイバーは、その質量の95%超が、1以上の酸化物からなり、該酸化物に基づく質量百分率として、Al2O3+SiO2≧95%である化学分析を示し、
該支持体は、単一ヤーン、ヤーンのウェブ、ヤーンのブレイド、ヤーンの編物又はファイバーのエンタングルメントであり、該ヤーン、又は数による百分率として、複数の該ヤーン若しくは複数の該ファイバーの50%超は、それらの外表面の50%超が、液化可能なゲルでコーティングされている。
【0199】
この好ましい実施態様において、該液化可能なゲルは、金属粒子又はこのような粒子の前駆体を含まない。
【0200】
実施例
以下の非限定的な例は、本発明を例示する目的で与えられる。
【0201】
製造プロトコル
以下の出発物質が使用される:
熱可逆性の親水コロイドとして、Weishardt Internationalによって販売されている、0.841mmに等しい開口を有する正方形のメッシュふるいを完全に通過する、280に等しいブルーム値を有する、ゼラチン、
pHを調整する為の薬剤として、20質量%に等しい濃度の水酸化アンモニウムNH4OHの水溶液、
セラミック粒子の前駆体として、コロイドシリカの溶液、すなわちLUDOX AS40、
セラミック粒子の粒子として、99.9%超の質量による純度、1.4μmに等しいメジアン径及び4μmに等しい99パーセンタイルを有する、非晶質シリカ粉末、
バインダーとして、50質量%に等しいPEG 4000濃度を有し、残部が水である液体形態で提供されている、ポリエチレングリコールPEG4000、
繊維状支持体として、200g/m2に等しい基本重量を有する、Quartzel(商標)ヤーンから作製された1/5のサテンファブリック(該ヤーンは、Saint-Gobain Quartzによって販売されている参照C14 80 Z0 QS1318を担持している。該ファブリックは、使用される前に、該ヤーンの糊抜きの目的で、電気オーブン内で熱処理を受けたものであり、該熱処理は、100℃/分に等しい速度で550℃までの上昇、550℃で1時間の固定相、及び自然の温度低下にある)。
【0202】
工程1)において、20gのゼラチンが、17MΩ.cmよりも高い抵抗率を有する200gの水中に、周囲温度で5分間膨潤させられ、次に、該ゼラチンを完全に溶解させる為に、全体が5分間にわたって65℃に等しい温度にされる。次にpHが、水酸化アンモニウム溶液の添加によって9に等しい値に調整され、次に、懸濁物の温度が低下され、50℃に等しい温度で維持される。
【0203】
次に、ゲル化可能な液体が、以下の通り調製される。
【0204】
170gの該非晶質シリカ粉末、75gのLUDOX AS40、55gの水、4gのPEG4000、6mmに等しいメジアン径を有する100gのアルミナビーズの粉末及び10mmに等しいメジアン径を有する100gのアルミナビーズの粉末が、0.5リットルに等しい容積を有するジャーに入れられる。該ジャーは閉鎖され、次に50rpmに等しい回転速度で、ジャーミル(jar mill)上で12時間にわたって固定して回転させられる。
【0205】
次に、該ビーズが除去され、得られた懸濁物が、50℃に等しい温度にされる。石英ヤーンファブリックに含侵することを意図された、該ゲル化可能な液体が、該懸濁物及び工程1)において調製された33.3gのゼラチン懸濁物をヘラで混合することによって調製される。表1に記載される組成を有する、このように得られた該ゲル化可能な液体は、50℃の温度で維持される。
【0206】
【0207】
工程2)において、80mm×80mmのサイズのQuartzel(商標)ヤーンの該サテンファブリックが、50℃に等しい温度に予熱されたガラスシート上に、平らに広げられる。工程2)の終わりに得られた、まだ50℃に等しい温度のゲル化可能な液体が、該ファブリック上に注がれ、次にプラスチックヘラを用いて該ファブリック上に広げられる。次に、該ファブリックはひっくり返され、ゲル化可能な液体が、50℃に等しい温度で該ファブリック上に注がれ、次にプラスチックヘラを用いて広げられる。
【0208】
プラスチックフィルムが、このように得られた、含浸させられたファブリックの主要面のそれぞれの上に置かれる。次に、全体が、シールされたプラスチックバッグ内に入れられて閉鎖される。工程2)は、工程1)の終わりに得られた、該ゲル化可能な液体を含浸させられたQuartzel(商標)ヤーンの4枚のファブリックを得る為に、反復される。
【0209】
工程3)において、該プラスチックバッグは、該ゲル化可能な液体をゲル化し、4つのプリプレグの形態の本発明に従うプリプレグを得る為に、6℃のセル内に12時間入れられ、該プリプレグは、それらの使用まで、該セル内で保存される。
【0210】
工程4)において、該プラスチックバッグは、該セルから取り出され、周囲温度で180日間保存される。
【0211】
次に、以下の工程に従って、本発明に従う4つのプリプレグからCMCが製造される。
【0212】
工程5)において、第1のプリプレグが、50℃に予熱されたガラスシート上に平らに置かれる。次に、該第1のプリプレグのヤーンに対して90°に等しい角度で第2のプリプレグのヤーンを方向付けして、該第2のプリプレグが、該第1のプリプレグ上に置かれる。該2つのプリプレグは、プラスチックヘラを用いて滑らかにされる。次に、第3のプリプレグが、該第2のプリプレグ上に置かれ、該第3のプリプレグのヤーンは、該第2のプリプレグと同じ向きを有し、該第3のプリプレグは、該第2のプリプレグに対して、パンケーキのようにひっくり返されている。次に、該第3のプリプレグは、プラスチックヘラを用いて、該第1及び第2のプリプレグの組の上で滑らかにされる。最後に、該第3のプリプレグのヤーンに対して90°に等しい角度で第4のプリプレグのヤーンを方向付けして、該第4のプリプレグが、該第3のプリプレグ上に置かれ、該第4のプリプレグは、該第2のプリプレグに対してひっくり返されている。該第4のプリプレグは、プラスチックヘラを用いて、該第1、第2及び第3のプリプレグの組の上で滑らかにされる。プラスチックフィルムは、該プリプレグの組の主要面のそれぞれの上に置かれ、次に全体が気密バッグに入れられる。最後に、該バッグは、50℃の乾燥オーブンに1時間入れられる。
【0213】
工程6)において、該プリプレグの組は、変形可能なプリフォームを得る為に、該バッグから取り出され、プラスチックヘラですぐに滑らかにされる。該変形可能なプリフォームの主要面のそれぞれは、プラスチックフィルムで保護される。
【0214】
本発明に従うプリプレグは、特に製造から使用までの間の保存期間の後、良好な順応性及び良好な結合性を有している。
【0215】
工程8)において、該プラスチックフィルムは、該変形可能なプリフォームの主要面の1つの上で除去され、該変形可能なプリフォームは、50℃の乾燥オーブン内で、30%相対湿度の雰囲気中で12時間乾燥させられる。
【0216】
工程9)において、工程8)から得られる該プリフォームは、セラミックマトリックス複合体を得る為に、電気オーブン内で、以下のサイクルに従って焼結される:
10℃/分に等しい速度で、20℃~900℃に上昇させる、
900℃で1時間維持する、
周囲温度まで自然に低下させる。
【0217】
ここで明らかである通り、本発明は、特に乾燥及び/又は焼結によって、セラミックマトリックス成分の製造を可能にするプリプレグを提供する。このプリプレグは、ファイバー支持体に有効に接着し、該セラミック粒子を固定化するゲルを含む。該ゲルはまた、水を捕捉し、それによって蒸発を制限することを可能にする。有利なことに、該プリプレグは、その構造を実質的に修正することなく、長期間にわたって保存されうる。従って、該プリプレグは、セラミックマトリックス成分、特にCMC、の製造に依然として好適である。
【0218】
当然のことながら、本発明は、前述の実施例及び実施態様に限定されない。
【国際調査報告】