(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】アデノ随伴ウイルスを検出するための方法およびキット
(51)【国際特許分類】
G01N 33/569 20060101AFI20230608BHJP
C12Q 1/70 20060101ALI20230608BHJP
C12N 15/35 20060101ALN20230608BHJP
【FI】
G01N33/569 L
C12Q1/70 ZNA
C12N15/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555124
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 US2021031577
(87)【国際公開番号】W WO2021231296
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518402174
【氏名又は名称】ロンザ ヒューストン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ペン
(72)【発明者】
【氏名】グ, ビンナン
(72)【発明者】
【氏名】セス, アナンディタ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ10
4B063QS17
4B063QS33
4B063QS36
(57)【要約】
本開示は、アデノ随伴ウイルスを検出するための方法およびキットを提供する。いくつかの実施形態では、アデノ随伴ウイルスは、Anc80である。検出方法は、HPLCおよびELISAベースの方法を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のアデノ随伴ウイルス血清型Anc80を検出するための方法であって、
(a)前記試料を、(i)アデノ随伴ウイルス(AAVx)またはアデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)に結合する捕捉試薬、および(ii)アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する検出試薬と接触させることと、
(b)前記捕捉試薬、前記Anc80、および前記検出試薬を含む結合複合体を形成することと、
(c)前記結合複合体を検出し、それによって前記試料中の前記Anc80を検出することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記捕捉試薬および/または前記検出試薬が、抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記捕捉試薬が、表面上に固定化されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記捕捉試薬が、ビオチンを含み、前記表面が、アビジンまたはストレプトアビジンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記表面が、マルチウェルプレートであり、前記捕捉試薬が、前記マルチウェルプレートのウェル中に固定化されている、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記捕捉試薬が、AAVxに結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記捕捉試薬が、AAV8に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記捕捉試薬が、前記Anc80のウイルス粒子に結合する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記捕捉試薬が、VP3に結合する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記捕捉試薬が、VP3の残基580~600内のエピトープに結合する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記捕捉試薬が、LQSANT(配列番号1)に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記検出試薬が、AAVxに結合する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記検出試薬が、AAV8に結合する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記検出試薬が、前記Anc80のウイルス粒子に結合する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記検出試薬が、検出可能な部分の結合パートナーを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記検出試薬が、ビオチンを含み、前記検出可能な部分が、アビジンまたはストレプトアビジンにコンジュゲートされた西洋ワサビペルオキシダーゼを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記捕捉試薬が、AAV8に結合し、前記検出試薬が、AAVxに結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
キットであって、
(a)アデノ随伴ウイルス(AAVx)またはアデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)に結合する捕捉試薬と、
(b)アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する検出試薬と、を含む、キット。
【請求項19】
前記捕捉試薬および/または前記検出試薬が、抗体またはその抗原結合断片である、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
捕捉表面をさらに含む、請求項18または19に記載のキット。
【請求項21】
前記捕捉試薬が、ビオチンを含み、前記捕捉表面が、それに付着されたアビジンまたはストレプトアビジンを含む、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記捕捉表面が、マルチウェルプレートであり、前記捕捉試薬が、前記マルチウェルプレートのウェル上に固定化されている、請求項20または21に記載のキット。
【請求項23】
前記捕捉試薬が、AAVxに結合する、請求項18~22のいずれか一項に記載のキット。
【請求項24】
前記捕捉試薬が、AAV8に結合する、請求項18~22のいずれか一項に記載のキット。
【請求項25】
前記捕捉試薬が、前記Anc80のキャプシドタンパク質(VP)に結合する、請求項18~24のいずれか一項に記載のキット。
【請求項26】
前記捕捉試薬が、VP3に結合する、請求項24に記載のキット。
【請求項27】
前記捕捉試薬が、VP3の残基580~600内のエピトープに結合する、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
前記捕捉試薬が、LQSANT(配列番号1)に結合する、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
前記検出試薬が、AAVxに結合する、請求項18~28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項30】
前記検出試薬が、AAV8に結合する、請求項18~28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項31】
前記検出試薬が、前記Anc80のウイルス粒子に結合する、請求項18~30のいずれか一項に記載のキット。
【請求項32】
検出可能な部分をさらに含み、前記検出試薬が、前記検出可能な部分の結合パートナーを含む、請求項18~31のいずれか一項に記載のキット。
【請求項33】
前記検出試薬が、ビオチンを含み、前記検出可能な部分が、アビジンまたはストレプトアビジンにコンジュゲートされた西洋ワサビペルオキシダーゼを含む、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
前記捕捉試薬、前記検出試薬、またはその両方が、凍結乾燥されている、請求項18~33のいずれか一項に記載のキット。
【請求項35】
前記捕捉試薬、前記検出試薬、またはその両方が、溶液中で提供される、請求項18~33のいずれか一項に記載のキット。
【請求項36】
緩衝液、アッセイ停止溶液、較正試薬、前記検出試薬に結合することができる検出可能な部分、および検出可能な基質のうちの1つ以上をさらに含む、請求項18~35のいずれか一項に記載のキット。
【請求項37】
前記捕捉試薬が、AAV8に結合し、前記検出試薬が、AAVxに結合する、請求項18に記載のキット。
【請求項38】
細胞懸濁液または細胞溶解物中のアデノ随伴ウイルスのキャプシド力価を決定する方法であって、前記方法は、
(a)前記細胞懸濁液または細胞溶解物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供することであって、前記HPLCは、前記アデノ随伴ウイルスのウイルス粒子(VP)に結合する樹脂を用いて行われる、供することと、
(b)前記細胞懸濁液または細胞溶解物中のVPを検出し、それによって前記アデノ随伴ウイルスのキャプシド力価を決定することと、を含む、方法。
【請求項39】
前記検出することが、280nmでキャプシドタンパク質を分光光度的に検出することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記アデノ随伴ウイルスが、蛍光部分を含み、前記検出することが、蛍光検出を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞溶解物が、未精製細胞溶解物または部分精製細胞溶解物である、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記HPLCが、約0.1~約1.0mLの体積を有するカラム中に含有された前記樹脂を用いて行われる、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記樹脂が、抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項38~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記アデノ随伴ウイルスが、Anc80を含む、請求項38~43のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アデノ随伴ウイルスを検出するための方法およびキットを提供する。いくつかの実施形態では、アデノ随伴ウイルスは、Anc80である。検出方法は、HPLCおよびELISAベースの方法を含む。
【背景技術】
【0002】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、遺伝子治療のための重要なツールとして登場した。一般に、遺伝子治療のためのAAVは、アセンブルされたウイルス粒子であり、これは、例えば、天然のウイルス遺伝子を欠き、目的の遺伝子(GOI)などの目的の配列のみを含有し、組換えAAV(rAAV)をもたらす。次いで、目的の遺伝子は、rAAV粒子によって宿主細胞中に送達される。rAAV粒子を産生するための典型的なプロセスは、天然のAAVゲノムにおいて見出される、逆位末端反復(ITR)配列と隣接する目的の遺伝子を含有する第1のプラスミド(ITR/GOIプラスミド)、ウイルスアセンブリのためにトランスで発現されるAAV rep/cap遺伝子を含有する第2のプラスミド(rep/capプラスミド)、および、しばしば、アデノウイルスまたはヘルペスウイルスのいずれかからのヘルパー遺伝子を含有する第3のプラスミド(ヘルパープラスミド)の、少なくとも2つのプラスミドをプロデューサー細胞中に送達することを含む。次いで、プロデューサー細胞は、ITR/GOIプラスミドを含有するアセンブルされたrAAV粒子(すなわち、「パッケージングされた」rAAV)を産生し、パッケージングされたrAAVは、次いで、プロデューサー細胞から単離および精製され得る。
【0003】
rAAVの精製は、典型的には、プロデューサー細胞を回収すること、プロデューサー細胞を溶解すること、細胞溶解物を勾配精製(例えば、イオジキサノール勾配を使用する)および/または高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)(これは、イオン交換、サイズ排除、および/またはアフィニティベースのものであり得る)に供すること、ならびに、緩衝液交換および濃縮(例えば、タンジェンシャルフローフィルトレーションを使用する)を含む。精製後に、rAAV力価が、典型的には、測定される。組換えAAVならびに産生および精製の方法は、例えば、Naso et al.,BioDrugs 31(4):317-334(2017)およびWO2018/150269にさらに記載されている。
【0004】
プロデューサー細胞からのAAV、例えば、rAAVの精製は、時間がかかる、労力集約的なプロセスであり得る。ウイルス力価測定は、典型的には、実質的に精製された試料が得られる後、例えば、精製工程の大部分またはすべての後まで行われないことから、低収率のバッチ(例えば、少ないウイルス粒子の数および/または低い完全/空キャプシドの比率)は、かなりの量の時間および試薬が費やされるまで検出されず、このことは、大いにコストを増加させ、産生効率を低減させる。
【0005】
AAV産生に関連するさらなる課題は、大規模で異なるウイルスベクターのための最適化されたプロセスを開発することである。上流および下流の両方のプロセスの反復性の最適化は、処理最中の(in-process)サンプルについてウイルス産物を特徴付けおよび定量化するための分析ツールを利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Naso et al.,BioDrugs 31(4):317-334(2017)
【発明の概要】
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示は、試料中のアデノ随伴ウイルス血清型Anc80を検出するための方法であって、(a)試料を、(i)アデノ随伴ウイルス(AAVx)またはアデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)に結合する捕捉試薬、および(ii)アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する検出試薬と接触させることと、(b)捕捉試薬、Anc80、および検出試薬を含む結合複合体を形成することと、(c)結合複合体を検出し、それによって試料中のAnc80を検出することと、を含む、方法を提供する。
【0009】
追加の実施形態では、本開示は、キットであって、(a)アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する捕捉試薬と、(b)アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する検出試薬と、を含む、キットを提供する。
【0010】
さらなる実施形態では、本開示は、細胞懸濁液または細胞溶解物中のアデノ随伴ウイルスのキャプシド力価を決定する方法であって、方法は、(a)細胞懸濁液または細胞溶解物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供することであって、HPLCは、アデノ随伴ウイルスのウイルス粒子(VP)に結合する樹脂を用いて行われる、供することと、(b)細胞懸濁液または細胞溶解物中のVPを検出し、それによってアデノ随伴ウイルスのキャプシド力価を決定することと、を含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様の例示的な実施形態をさらに示すために含まれる。
【0012】
【
図1】本明細書における実施形態による例示的なAAV精製プロセスを示す。AAVプロデューサー細胞は、バイオリアクター中で増殖し、デプス濾過によって収集される。AAVは、単離され、クロマトグラフィーによって精製される。
【
図2A】実施例1に記載されるHPLCクロマトグラフィー実験の結果を示す。
図2A、2B、および2Cは、それぞれ、同じHPLCカラムを使用して、Anc80.CMV.eGFP、AAV2.CMV.eGFP、およびAAV8.CMV.eGFPの試料から生成された標準曲線を示す。
【
図2B】実施例1に記載されるHPLCクロマトグラフィー実験の結果を示す。
図2A、2B、および2Cは、それぞれ、同じHPLCカラムを使用して、Anc80.CMV.eGFP、AAV2.CMV.eGFP、およびAAV8.CMV.eGFPの試料から生成された標準曲線を示す。
【
図2C】実施例1に記載されるHPLCクロマトグラフィー実験の結果を示す。
図2A、2B、および2Cは、それぞれ、同じHPLCカラムを使用して、Anc80.CMV.eGFP、AAV2.CMV.eGFP、およびAAV8.CMV.eGFPの試料から生成された標準曲線を示す。
【
図3】実施例1に記載されるHPLCクロマトグラフィー実験の結果を示す。
図3は、AAV精製プロセスの様々な工程、すなわち、細胞懸濁液、細胞溶解物、溶解物の清澄化、タンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)保持液、および最終濾過の間または後に得られた試料のHPLCクロマトグラムを示す。
【
図4】実施例1に記載されるAAV力価計算の結果を示す。HPLCによって測定されたキャプシド力価(
図3における結果から計算された)およびddPCRによって測定されたゲノム力価を使用して、完全/空キャプシド比率を測定した。
【
図5】Anc80.CMV.eGFPの試料を用いて、実施例2に従って行ったELISAの標準曲線を示す。
【
図6】
図5に示される標準曲線の曲線当てはめを決定するための4パラメータロジック回帰計算を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、アデノ随伴ウイルスを検出するための方法およびキットに関する。
【0014】
本明細書における別段の定義がない限り、本開示で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を有するものとする。
【0015】
文脈による別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書で使用される場合、「a」または「an」は、1つ以上を意味し得る。本明細書で使用される場合、単語「a」または「an」は、単語「含む」と併せて使用される場合、1つまたは1つ超を意味し得る。本明細書で使用される場合、「別の」または「さらなる」は、少なくとも第2のまたはそれ以上を意味し得る。
【0016】
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、その値を決定するために用いられる方法/デバイスについての固有の誤差の変動、または研究対象の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。典型的には、「約」という用語は、状況に応じて、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、もしくは20%、またはそれ以下を包含することを意味する。いくつかの実施形態では、当業者は、「約」という用語によって示される変動のレベルを、それが本明細書で使用される文脈によって理解するであろう。「約」という用語の使用が、具体的に列挙された値も含むこともまた理解されるべきである。
【0017】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、選択肢のみを指すことが明示的に示されるか、または選択肢が互いに排他的でない限り、「および/または」を意味するように使用されるが、本開示は、選択肢のみおよび「および/または」を指す定義を支持する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などのその任意の異形もしくは変化形)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などのその任意の異形もしくは変化形)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などのその任意の異形もしくは変化形)、または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」などのその任意の異形または変化形)という用語は、包括的なまたは制限なしのものであり、追加の、列挙されていない要素または方法工程を排除しない。本明細書において考察される任意の実施形態は、本開示の任意の方法および/またはキットに関して実行され得ることが企図される。
【0019】
「例えば(for example)」という用語およびその対応する略語である「例えば(e.g.)」の使用は、別段の明示的な記述がない限り、列挙された特定の用語が、参照または引用された特定の例に限定されることは意図されない本開示の代表的な例および実施形態であることを意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「間(between)」は、範囲の末端を含む範囲である。例えば、xとyとの間の数には、xおよびyの数、ならびにxとyとの範囲に入る任意の数が明示的に含まれる。
【0021】
本明細書で言及される場合、「アデノ随伴ウイルス」または「AAV」は、Parvoviridae科およびDependoparvovirus属の一本鎖DNAを含有する小さなサイズの複製欠損無エンベロープウイルスまたはウイルス粒子を指す。アデノ随伴ウイルスにはまた、祖先AAV(Anc AAV)が含まれる。AAV血清型の非限定的な例としては、Anc80、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV1.1、AAV2.5、AAV2i8、AAV2G9、AAV2tYF、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B、AAV3B-S312N、AAV-LK3、AAV6.1、AAV6.3.1、AAV.7m8、AAV9.45、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、AAV.HSC16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh32、AAV.rh33、AAV.rh39、AAV.rh74、AAV.RHM4-1、AAV.RHM15-1、AAV.RHM15-2、AAV.RHM15-3、AAV.RHM15-4、AAV.RHM15-5、AAV.RHM15-6、AAV.cy10、AAV.dj、AAV.po4、AAV.po6、AAV.hu26、AAV.hu37、AAV.PHP.B、Anc126、およびAnc127が挙げられる。これらの血清型に加えて、AAV偽型が開発されている。AAV偽型は、第1の血清型のキャプシドおよび第2の血清型のゲノムを含有する(例えば、偽型AAV2/5は、血清型AAV2のゲノムおよびAAV5のキャプシドを有するAAVに対応する)。AAVの誘導体、改変、および/または偽型を産生する方法は、例えば、Asokan et al.,Mol.Ther.20(4):699-708(2012)に記載されている。
【0022】
本明細書で使用される場合、「rep」遺伝子は、ウイルスゲノムを複製するために集合的に必要とされる、AAVの複製タンパク質をコードするAAVゲノムの当該技術分野で認識されている領域を指す。Repはまた、これもまたAAV DNA複製を媒介することが知られている、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)rep遺伝子などの、AAV遺伝子の機能的ホモログを指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるAAVは、repコード領域をコードする。
【0023】
本明細書で使用される場合、「cap」遺伝子は、AAVのキャプシドタンパク質をコードするAAVゲノムの当該技術分野で認識されている領域を指す。キャプシドタンパク質の例証的および非限定的な例は、AAVキャプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3である。AAVキャプシドタンパク質は、相互作用して、AAVキャプシドを形成する。本開示で使用されるCap遺伝子は、任意のAAV血清型または血清型の組み合わせからのcap遺伝子を指し得る。
【0024】
AAVの文脈で使用される場合、「組換え」という用語は、AAVが、天然に存在するAAVとは違ったAAVをもたらす1つ以上の手順の産物であることを意味する。組換えAAV、またはrAAVは、少なくとも1つのAAVキャプシドタンパク質、および異種ポリヌクレオチド(すなわち、天然に存在するAAVゲノム以外のポリヌクレオチド(例えば、哺乳動物細胞などの細胞中に送達される導入遺伝子、または目的の遺伝子を含む))を含むキャプシド形成されたポリヌクレオチドrAAVベクターを含むウイルスまたはウイルス粒子を指す。rAAV粒子は、本明細書に記載される任意の血清型、偽型、または誘導体(例えば、Anc80、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、またはそれらの誘導体、改変、および/もしくは偽型)であり得る。rAAV粒子にはまた、血清型の組み合わせが含まれ得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「力価」または「ウイルス力価」という用語は、ウイルス、例えば、本明細書で提供されるAAVの濃度を指す。ウイルス力価は、1mL当たりのウイルス粒子の数または感染単位の数として表現され得る。いくつかの実施形態では、ウイルス力価は、ウイルス成分、例えば、ウイルスキャプシドまたはゲノムの濃度を測定することによって決定される。
【0026】
本明細書に記載されるように、AAV、例えば、プロデューサー細胞からのrAAVの精製は、時間がかかる、労力集約的なプロセスであり得る。rAAVの産生および精製のための例示的なプロセスを
図1に示す。
図1において、プロデューサー細胞は、所望される細胞密度までバイオリアクター中で増殖する。細胞は、デプス濾過によって収集され、クロマトグラフィーに供されて、精製AAVが得られる。ウイルス力価測定は、典型的には、実質的に精製された試料が得られる後、例えば、精製工程の大部分またはすべての後まで行われないことから、低収率のバッチ(例えば、少ないウイルス粒子の数および/または低い完全/空キャプシドの比率)は、かなりの量の時間および試薬が費やされるまで検出されず、このことは、大いにコストを増加させ、産生効率を低減させる。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示は、プロデューサー細胞によって産生されたAAV力価を決定するための分析方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、AAVキャプシド力価を測定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、AAVゲノム力価を測定することを含む。いくつかの実施形態では、同じ方法が、異なるAAV血清型を検出するために使用され、それによって、異なるプロトコルを有し得る、血清型特異的試薬を必要とする現在の方法を上回る効率的で簡略化された手順が提供される。例えば、異なる血清型のAAVの製造者にとって、任意のAAV血清型を検出するための単一の合理化されたプロセスを利用できることは、機器の数およびそのメンテナンスを低減させ、機器がより効率的に利用されることを可能にし、試薬、処理、および労働コストを低下させ、人材育成を簡略化し、異なる認証の量を低減させ、製造可能性およびスケーリングを改善するなどをすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載されるように、プロデューサー細胞からのAAV精製プロセスの間に、AAV(例えば、Anc80)を検出および/または力価測定することができる。方法は、プロデューサー細胞タンパク質および細胞片などの干渉成分を含有し得る、粗未精製試料中であってさえも、AAV(例えば、Anc80)の高感度で特異的な検出および/または力価測定を有利に行うことができ、それによって単純で効率的な処理最中のAAV試験を提供する。例えば、方法は、90分以下、75分以下、60分以下、または45分以下で行われ得る。いくつかの実施形態では、方法は、細胞溶解物中のAAV(例えば、Anc80)を検出および/または力価測定することができる。いくつかの実施形態では、方法は、部分精製細胞溶解物中のAAV(例えば、Anc80)を検出および/または力価測定することができる。「部分精製」細胞溶解物は、細胞溶解後の1つ以上の下流の精製プロセス工程、例えば、遠心分離、クロマトグラフィー、緩衝液交換、または濾過に供されている細胞溶解物を指す。いくつかの実施形態では、方法は、精製試料、例えば、本明細書に記載されるようにAAVプロデューサー細胞から精製されている試料中のAAV(例えば、Anc80)を検出および/または力価測定することができる。いくつかの実施形態では、精製試料は、非AAV粒子を含まないかまたは実質的に含まない。
【0029】
クロマトグラフィー方法
いくつかの実施形態では、本開示は、プロデューサー細胞によって産生されたAAV力価を決定するための分析方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、産生プロセスの間の異なる時点で、例えば、プロデューサー細胞増殖の間、ならびに/または本明細書に記載されるAAVの単離および精製プロセスの間の異なる時点でAAV力価を決定するために使用される。いくつかの実施形態では、方法は、プロデューサー細胞を溶解することなしにAAVを検出および/または力価測定することができる。いくつかの実施形態では、方法は、AAVキャプシド力価を測定することを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞懸濁液または細胞溶解物中のアデノ随伴ウイルスのキャプシド力価を決定する方法であって、方法は、(a)細胞懸濁液または細胞溶解物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供することであって、HPLCは、アデノ随伴ウイルスのウイルス粒子(VP)に結合する樹脂を用いて行われる、供することと、(b)細胞懸濁液または細胞溶解物中のVPを検出し、それによってアデノ随伴ウイルスのキャプシド力価を決定することと、を含む、方法を提供する。
【0031】
実施形態では、本明細書に記載される樹脂は、ウイルス粒子のキャプシドタンパク質に結合することができる。
【0032】
例示的な実施形態では、VPの検出は、分光光度的に(例えば、吸光度測定の使用によるものを含む)行われる。HPLC後の溶液の吸光度を測定するためのデバイスは、当該技術分野で周知であり、HPLC装置の一部として、またはHPLCカラムとは別に、のいずれかで使用するように容易に構成される。実施形態では、アデノ随伴ウイルスのVPの検出は、試料の吸光度を約270~290nmで、より好適には約280nmで、または特に280nmで得ることによって行われる。次いで、この測定値を較正曲線と比較して(手動で、または機器測定の一部としてのいずれかで)、試料中のウイルスキャプシドの量の出力を提供し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、細胞懸濁液は、増殖培地および/または緩衝液中に懸濁されたプロデューサー細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、未精製細胞溶解物、すなわち、細胞溶解後にいかなる下流の精製プロセスにも供されていない細胞溶解物である。他の実施形態では、細胞溶解物は、部分精製細胞溶解物、例えば、本明細書に記載されるように、細胞溶解後に1つ以上の下流の精製プロセス供されている細胞溶解物である。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、1つ以上の不純物を含み、これは、プロデューサー細胞のタンパク質、核酸、多糖、脂質、または他の細胞成分を含み得る。いくつかの実施形態では、不純物は、アセンブルされたAAV粒子の一部ではないウイルス成分を含む。いくつかの実施形態では、不純物は、部分的にアセンブルされたAAV粒子を含む。いくつかの実施形態では、不純物は、ミスフォールディングされたウイルスタンパク質または形成異常ウイルス粒子を含む。
【0034】
本明細書に記載されるように、実施形態では、AAVは、蛍光部分を含む。いくつかの実施形態では、蛍光部分は、蛍光色素である。いくつかの実施形態では、蛍光部分は、AAV粒子中に組み込まれ、例えば、キャプシド中に組み込まれる。他の実施形態では、蛍光部分は、AAV中の核酸中に組み込まれる。さらなる実施形態では、蛍光部分は、AAV中のタンパク質またはポリペプチド中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、蛍光部分は、蛍光タンパク質である。いくつかの実施形態では、AAVは、蛍光タンパク質を発現する。いくつかの実施形態では、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、mCherry、mApple、mTurquoise、mVenus、mKO2、mKate2、またはそれらの任意のバリアントもしくは誘導体(例えば、eGFP)である。追加の蛍光部分およびタグは、当該技術分野で既知であり、例えば、TagRFP、mKate2、mRuby2、およびFusion Redなどの赤色蛍光タンパク質、ならびに、例えば、モノマー化(V206K)superfolder GFP、mTurquoise、Cerulean3、高感度青色FP2(EBFP2)、TagBFP、mNeonGreen、およびモノマー化Venus(A206K)などを含む他の蛍光タンパク質を含む。蛍光部分またはタグがアデノ随伴ウイルスと共に利用される実施形態では、検出は、好適には、蛍光検出を含む。そのような蛍光検出のためのデバイスは、当該技術分野で既知であり、HPLCデバイスおよび装置と容易に組み合わされ得る。蛍光部分は、例えば、Jensen,The Anatomical Record 295(12):2031-2036(2012)にさらに記載されている。いくつかの実施形態では、AAVは、蛍光を使用して、例えば、HPLCに取り付けられた蛍光検出器を介して検出される。蛍光検出(例えば、VPの)は、260nmおよび/または280nmでの吸光度の検出と比較して、より高い感度を有する。蛍光検出はまた、比率計算を必要とするA260/A280測定と比較して単純でわかりやすい出力を提供し得る。いくつかの実施形態では、蛍光検出または吸光度測定を利用する本明細書に記載される方法の検出限界は、約106、約107、約108、約109、または約1010ウイルス粒子である。
【0035】
いくつかの実施形態では、HPLCは、約0.1mL~約5.0mL、約0.1mL~約4.0mL、約0.1mL~約3.0mL、約0.1mL~約2.0mL、約0.1mL~約1.0mL、約0.1mL~約0.9mL、約0.2mL~約0.8mL、約0.3mL~約0.7mL、または約0.4mL~約0.6mLの体積を有するカラム中に含有された樹脂を用いて行われる。いくつかの実施形態では、HPLCは、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mL、約1.0mL、約1.5mL、約2.0mL、約2.5mL、約3.0mL、約3.5mL、約4.0mL、約4.5mL、または約5.0mLの体積を有するカラム中に含有された樹脂を用いて行われる。
【0036】
いくつかの実施形態では、樹脂は、アフィニティ樹脂である。好適には、樹脂は、抗原/そのエピトープ結合部分、抗体断片もしくは誘導体、抗体アナログ、操作された抗体、または抗体と同様の方法で抗原に結合する物質を含む、抗体またはそのバリアントを含む。実施形態では、樹脂は、抗体の少なくとも1つの重鎖または軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、樹脂は、1つ以上の抗体からの少なくとも2つのCDRを含む。例示的な実施形態では、樹脂は、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、樹脂は、任意の血清型または広範囲のAAV血清型のアデノ随伴ウイルスに結合する。本明細書に記載されるように、AAVxは、そのような広範囲のAAV血清型を指す。いくつかの実施形態では、樹脂は、Anc80、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV1.1、AAV2.5、AAV2i8、AAV2G9、AAV2tYF、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B、AAV3B-S312N、AAV-LK3、AAV6.1、AAV6.3.1、AAV.7m8、AAV9.45、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、AAV.HSC16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh32、AAV.rh33、AAV.rh39、AAV.rh74、AAV.RHM4-1、AAV.RHM15-1、AAV.RHM15-2、AAV.RHM15-3、AAV.RHM15-4、AAV.RHM15-5、AAV.RHM15-6、AAV.cy10、AAV.dj、AAV.po4、AAV.po6、AAV.hu26、AAV.hu37、AAV.PHP.B、Anc126、およびAnc127のうちのいずれかに特異的に結合することができる。好適な実施形態では、AAVは、Anc80を含む。いくつかの実施形態では、樹脂は、AAVのウイルス粒子(VP)のキャプシドタンパク質に結合する。実施形態では、樹脂は、アセンブルされたAAV粒子に結合し、好適には、樹脂は、AAVキャプシド上の立体構造エピトープに結合する。
【0038】
いくつかの実施形態では、AAV力価(例えば、Anc80力価)は、HPLCクロマトグラム上のピーク面積を測定することによって決定される。例示的な実施形態では、方法は、デジタルドロップレットPCR(ddPCR)によってAAVゲノム力価(例えば、Anc80力価)を測定することをさらに含む。ddPCRによるウイルス、例えば、AAVの力価測定は、Furuta-Hanawa et al.,Hum.Gene Ther.Methods 30(4):127-136(2019)に記載されている。いくつかの実施形態では、方法は、HPLCおよびddPCRによって測定されたAAV力価の結果に基づいて、細胞懸濁液または細胞溶解物中の空キャプシドに対する完全キャプシドの比率を決定することをさらに含む。
【0039】
本明細書に記載されるように、HPLC方法を利用して、キャプシド力価またはAAV血清型(Anc80を含む)を、細胞試料を最初に精製する必要なしに、小さな試料サイズ(例えば、10s~100sのmLの試料)の使用で、決定し得ることが驚くべきことに見出された。これにより、処理の間の直接的なウイルス力価決定の迅速で単純な方法が可能になり、このことは、下流の処理に関する素早い決定を可能にする。
【0040】
本明細書に記載されるHPLC方法は、任意のバイオリアクター、ならびに任意の体積のバイオリアクタープロセスと組み合わせて利用され得る。例示的なリアクターとしては、撹拌タンク、エアリフト、ファイバー、マイクロファイバー、ホローファイバー、セラミックマトリックス、流動層、固定層、および/または噴流層バイオリアクターが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「リアクター」は、発酵器もしくは発酵ユニット、または任意の他の反応容器を含むことができ、「リアクター」という用語は、「発酵器」と同義に使用される。発酵器または発酵という用語は、微生物培養物および哺乳動物培養物の両方を指す。例えば、いくつかの態様では、例示的なバイオリアクターユニットは、以下:栄養素および/もしくは炭素源の供給、好適な気体(例えば、酸素)の注入、発酵もしくは細胞培養培地の流入および流出、気相および液相の分離、温度の維持、酸素およびCO2レベルの維持、pHレベルの維持、かき混ぜ(例えば、撹拌)、ならびに/または洗浄/滅菌のうちの1つ以上、またはすべてを行い得る。発酵ユニット等の例示的なリアクターユニットは、ユニット内に複数のリアクターを含んでもよく、例えば、ユニットは、各ユニット内に1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、もしくは100個、またはそれ以上のバイオリアクターを有してもよく、かつ/または施設は、施設内に単一または複数のリアクターを有する複数のユニットを含んでもよい。様々な実施形態では、バイオリアクターは、バッチ、半供給バッチ、供給バッチ、灌流、および/または連続発酵プロセスに好適であり得る。任意の好適な反応器直径が使用され得る。実施形態では、バイオリアクターは、約100mL~約50,000Lの体積を有し得る。非限定的な例としては、100mL、250mL、500mL、750mL、1リットル、2リットル、3リットル、4リットル、5リットル、6リットル、7リットル、8リットル、9リットル、10リットル、15リットル、20リットル、25リットル、30リットル、40リットル、50リットル、60リットル、70リットル、80リットル、90リットル、100リットル、150リットル、200リットル、250リットル、300リットル、350リットル、400リットル、450リットル、500リットル、550リットル、600リットル、650リットル、700リットル、750リットル、800リットル、850リットル、900リットル、950リットル、1000リットル、1500リットル、2000リットル、2500リットル、3000リットル、3500リットル、4000リットル、4500リットル、5000リットル、6000リットル、7000リットル、8000リットル、9000リットル、10,000リットル、15,000リットル、20,000リットル、および/または50,000リットルの体積が挙げられる。さらに、好適なリアクターは、マルチユーズ、シングルユーズ、ディスポーザブル、または非ディスポーザブルであり得、ステンレス鋼(例えば、316Lまたは任意の他の好適なステンレス鋼)ならびにインコネル(Inconel)、プラスチック、および/またはガラスなどの金属合金を含む任意の好適な材料で形成することができる。
【0041】
イムノアッセイ方法
いくつかの実施形態では、本開示は、試料中のアデノ随伴ウイルス(AAV)を検出および/または力価測定するためのイムノアッセイ方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、産生プロセスの間の異なる時点で、例えば、プロデューサー細胞増殖の間、ならびに/または本明細書に記載されるAAVの単離および精製プロセスの間の異なる時点でAAV力価を決定するために使用される。いくつかの実施形態では、方法は、プロデューサー細胞を溶解することなしにAAVを検出および/または力価測定することができる。いくつかの実施形態では、方法は、AAVキャプシド力価を測定することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法は、試料中のAAV(例えば、Anc80)を検出および/または力価測定するためのイムノアッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイまたはELISA)である。イムノアッセイは、高い特異性および感度などの多くの利点を提供し、また、1つの実験において複数の試料を評価するために高スループット形式で実施され得る。いくつかの実施形態では、イムノアッセイは、同じ捕捉および/または検出試薬を使用して、複数のAAV血清型を検出および/または力価測定することができる。例えば、イムノアッセイは、マルチウェルプレートにおいて実施され得、各ウェル(または各ウェルの群)は、異なるAAV血清型に対応し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、試料は、細胞懸濁液であり、すなわち、増殖培地および/または緩衝液中に懸濁されたプロデューサー細胞を含む。いくつかの実施形態では、試料は、未精製細胞溶解物、すなわち、細胞溶解後にいかなる精製プロセスにも供されていない細胞溶解物である。いくつかの実施形態では、試料は、部分精製細胞溶解物、例えば、本明細書に記載されるように、細胞溶解後に1つ以上の精製プロセスに供されている細胞溶解物である。いくつかの実施形態では、試料は、1つ以上の不純物を含む。いくつかの実施形態では、不純物は、プロデューサー細胞のタンパク質、核酸、多糖、脂質、または他の細胞成分を含む。実施形態では、不純物は、アセンブルされたAAV粒子の一部ではないウイルス成分を含む。他の実施形態では、不純物は、部分的にアセンブルされたAAV粒子を含む。いくつかの実施形態では、不純物は、ミスフォールディングされたウイルスタンパク質または形成異常ウイルス粒子を含む。
【0044】
例示的な実施形態では、本開示は、試料中のアデノ随伴ウイルス(AAV)を検出するための方法であって、(a)試料を、(i)アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する捕捉試薬、および(ii)アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する検出試薬と接触させることと、(b)捕捉試薬、AAV、および検出試薬を含む結合複合体を形成することと、(c)結合複合体を検出し、それによって試料中のAAVを検出することと、を含む、方法を提供する。
【0045】
いくつかの実施形態では、AAVは、本明細書で提供される血清型のうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、AAVは、Anc80、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV1.1、AAV2.5、AAV2i8、AAV2G9、AAV2tYF、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B、AAV3B-S312N、AAV-LK3、AAV6.1、AAV6.3.1、AAV.7m8、AAV9.45、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、AAV.HSC16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh32、AAV.rh33、AAV.rh39、AAV.rh74、AAV.RHM4-1、AAV.RHM15-1、AAV.RHM15-2、AAV.RHM15-3、AAV.RHM15-4、AAV.RHM15-5、AAV.RHM15-6、AAV.cy10、AAV.dj、AAV.po4、AAV.po6、AAV.hu26、AAV.hu37、AAV.PHP.B、Anc126、Anc127、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、AAVは、Anc80である。
【0046】
追加の実施形態では、本開示は、試料中のアデノ随伴ウイルス血清型Anc80を検出するための方法であって、(a)試料を、(i)アデノ随伴ウイルス(AAVx)またはアデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)に結合する捕捉試薬、および(ii)アデノ随伴ウイルス(AAVx)またはアデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)に結合する検出試薬と接触させることと、(b)捕捉試薬、Anc80、および検出試薬を含む結合複合体を形成することと、(c)結合複合体を検出し、それによって試料中のAnc80を検出することと、を含む、方法を提供する。
【0047】
Anc80は、AAV血清型1、2、8、および9の予測される祖先であり、強力な遺伝子治療ベクターとして、Zinn et al.によって再構築された(Zinn et al.,Cell Reports 12:1056-1068(2015)、およびLandegger et al.,Nature,Biotechnol.35:280-284(2017)を参照されたい)。Anc80クローンには、例えば、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、Anc80L27、Anc80L65、およびAnc80L121を検出することができる。
【0048】
捕捉および検出試薬
いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、抗原/そのエピトープ結合部分、抗体断片もしくは誘導体、抗体アナログ、操作された抗体、または抗体と同様の方法で抗原に結合する物質を含む、抗体またはそのバリアントである。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、抗体の少なくとも1つの重鎖または軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、1つ以上の抗体からの少なくとも2つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、モノクローナル抗体である。
【0049】
例示的な実施形態では、捕捉試薬は、表面上に固定化されている。好適な表面には、例えば、粒子(ビーズなど)(そのような粒子から調製されたカラムを含む)、ならびにマルチウェルプレートなどのプラスチック基材が含まれる。いくつかの実施形態では、表面は、マルチウェルプレートを含み、捕捉試薬は、マルチウェルプレートのウェル中に固定化されている。いくつかの実施形態では、表面は、粒子を含み、捕捉試薬は、粒子上に固定化されている。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、その対応するコンジュゲーションパートナーと表面上で反応することができるコンジュゲーション部分を含む。例示的なコンジュゲーション部分-コンジュゲーションパートナー対としては、受容体-リガンド対、相補的オリゴヌクレオチド、または交差反応性部分、例えば、チオールおよびマレイミドもしくはヨードアセトアミド、アルデヒドおよびヒドラジド、またはアジドおよびアルキンもしくはシクロアルキンなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、ビオチンを含み、表面は、アビジンまたはストレプトアビジンを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、任意の血清型のアデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、Anc80、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV1.1、AAV2.5、AAV2i8、AAV2G9、AAV2tYF、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B、AAV3B-S312N、AAV-LK3、AAV6.1、AAV6.3.1、AAV.7m8、AAV9.45、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、AAV.HSC16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh32、AAV.rh33、AAV.rh39、AAV.rh74、AAV.RHM4-1、AAV.RHM15-1、AAV.RHM15-2、AAV.RHM15-3、AAV.RHM15-4、AAV.RHM15-5、AAV.RHM15-6、AAV.cy10、AAV.dj、AAV.po4、AAV.po6、AAV.hu26、AAV.hu37、AAV.PHP.B、Anc126、およびAnc127のうちのいずれかに特異的に結合することができる。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、Anc80に結合する。実施形態では、捕捉試薬は、Anc80のキャプシドタンパク質(VP)に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、アセンブルされたAAV粒子に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAVキャプシド上の立体構造エピトープに結合する。
【0051】
追加の実施形態では、捕捉試薬は、AAV8に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8およびAnc80に結合することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8のウイルス粒子(VP)のキャプシドタンパク質またはAnc80のタンパク質に結合する。好適には、捕捉試薬は、AAV8のVP3タンパク質またはVP3タンパク質Anc80に結合する。実施形態では、捕捉試薬は、AAV8のVP3またはAnc80のVP3タンパク質の残基575~610内、または残基580~600内、または残基580~595内のエピトープに結合する。好適な実施形態では、捕捉試薬は、AAV8 VP3タンパク質の残基586~591内のエピトープに結合する。他の実施形態では、捕捉試薬は、Anc80 VP3タンパク質の残基589~594内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、配列LQSANT(配列番号1)に結合する。他の実施形態では、捕捉試薬は、配列LQQQNT(配列番号2)に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8抗体クローンADK8である。
【0053】
好適には、検出試薬は、抗原/そのエピトープ結合部分、抗体断片もしくは誘導体、抗体アナログ、操作された抗体、または抗体と同様の方法で抗原に結合する物質を含む、抗体またはそのバリアントである。いくつかの実施形態では、検出試薬は、抗体の少なくとも1つの重鎖または軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、検出試薬は、1つ以上の抗体からの少なくとも2つのCDRを含む。例示的な実施形態では、検出試薬は、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、検出試薬は、モノクローナル抗体である。
【0054】
好適には、検出試薬は、任意の血清型のアデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、Anc80、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV1.1、AAV2.5、AAV2i8、AAV2G9、AAV2tYF、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B、AAV3B-S312N、AAV-LK3、AAV6.1、AAV6.3.1、AAV.7m8、AAV9.45、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、AAV.HSC16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh32、AAV.rh33、AAV.rh39、AAV.rh74、AAV.RHM4-1、AAV.RHM15-1、AAV.RHM15-2、AAV.RHM15-3、AAV.RHM15-4、AAV.RHM15-5、AAV.RHM15-6、AAV.cy10、AAV.dj、AAV.po4、AAV.po6、AAV.hu26、AAV.hu37、AAV.PHP.B、Anc126、およびAnc127のうちのいずれかに結合することができる。いくつかの実施形態では、検出試薬は、Anc80に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、Anc80のVPのキャプシドタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、アセンブルされたAAV粒子に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAVキャプシド上の立体構造エピトープに結合する。
【0055】
さらなる実施形態では、検出試薬は、AAV8に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8およびAnc80に結合することができる。実施形態では、検出試薬は、AAV8のウイルス粒子(VP)のキャプシドタンパク質またはAnc80のタンパク質に結合し、好適には、検出試薬は、AAV8のVP3タンパク質またはVP3タンパク質Anc80に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8のVP3またはAnc80のVP3タンパク質の残基575~610内、または残基580~600内、または残基580~595内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8 VP3タンパク質の残基586~591内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、Anc80 VP3タンパク質の残基589~594内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、配列LQSANT(配列番号1)に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、配列LQQQNT(配列番号2)に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8抗体クローンADK8である。
【0056】
追加の実施形態では、捕捉試薬は、AAV8に結合し、検出試薬は、AAVxに結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAVxに結合し、検出試薬は、AAV8に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬および検出試薬の両方は、AAVxに結合する。例示的な実施形態では、捕捉試薬および検出試薬の両方は、Anc80、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV1.1、AAV2.5、AAV2i8、AAV2G9、AAV2tYF、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B、AAV3B-S312N、AAV-LK3、AAV6.1、AAV6.3.1、AAV.7m8、AAV9.45、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、AAV.HSC16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh32、AAV.rh33、AAV.rh39、AAV.rh74、AAV.RHM4-1、AAV.RHM15-1、AAV.RHM15-2、AAV.RHM15-3、AAV.RHM15-4、AAV.RHM15-5、AAV.RHM15-6、AAV.cy10、AAV.dj、AAV.po4、AAV.po6、AAV.hu26、AAV.hu37、AAV.PHP.B、Anc126、およびAnc127のうちのいずれかに結合することができる。
【0057】
結合複合体形成
いくつかの実施形態では、捕捉試薬、AAV(例えば、Anc80)、および検出試薬を含む結合複合体は、単一の工程で形成される。他の実施形態では、捕捉試薬、AAV(例えば、Anc80)、および検出試薬を含む結合複合体は、1つ以上の工程で形成される。いくつかの実施形態では、結合複合体は、溶液中で形成され、次いで、表面に固定化される。いくつかの実施形態では、結合複合体は、AAV(例えば、Anc80)を、表面上に固定化された捕捉試薬に結合させ、次いで、検出試薬をAAV(例えば、Anc80)に結合させて、表面上で結合複合体を形成することによって形成される。いくつかの実施形態では、結合複合体は、AAV(例えば、Anc80)に、表面上に固定化された捕捉試薬に、かつ検出試薬に同時に結合することによって形成される。他の実施形態では、結合複合体は、AAV(例えば、Anc80)を溶液中の検出試薬に結合させ、次いで、AAV-検出試薬複合体を表面上の捕捉試薬に結合させることによって形成される。追加の実施形態では、結合複合体は、AAV(例えば、Anc80)を溶液中の捕捉試薬および検出試薬に結合させ、次いで、本明細書に記載されるように捕捉試薬を表面に固定化することによって形成される。
【0058】
検出
実施形態では、結合複合体は、検出可能な部分を介して検出される。例えば、検出可能な部分は、分光光度測定(色変化)、光散乱、光吸収、蛍光、化学発光、電気化学発光、生物発光、燐光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせによって測定される。実施形態では、AAV力価(例えば、Anc80力価)は、検出可能な部分を測定することによって決定される。いくつかの実施形態では、検出可能な部分は、基質の存在下で検出可能である。好適には、検出可能な部分は、基質を切断する酵素であり、検出することは、切断された基質を検出することを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な部分は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、グルコースオキシダーゼ(GO)、またはベータガラクトシダーゼ(BGALもしくはβ-gal)を含む。HRP基質の非限定的な例としては、例えば、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)、o-フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)、AMPLEX(登録商標)Red、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、ホモバニリン酸、ルミノール、ならびにThermoFisherからのSUPERSIGNAL(商標)ELISA、QUANTABLU(商標)、およびQUANTARED(商標)基質が挙げられる。AP基質の非限定的な例としては、例えば、p-ニトロフェニルリン酸(PNPP)、ならびにThermoFisherからのCDP-STAR(商標)およびDYNALIGHT(商標)基質が挙げられる。GO基質としては、例えば、グルコースが挙げられる。BGAL基質としては、例えば、o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)が挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、検出試薬は、検出可能な部分を含み、結合複合体を検出することは、検出試薬の検出可能な部分を測定することを含む。実施形態では、検出試薬は、検出可能な部分の結合パートナーを含み、結合複合体を検出することは、検出試薬を検出可能な部分と接触させることと、検出試薬に結合した検出可能な部分を測定することとを含む。追加の実施形態では、検出試薬および検出可能な部分は、各々、結合対における結合パートナーを含む。好適な結合対は、当該技術分野で既知であり、受容体-リガンド対、相補的オリゴヌクレオチド、または交差反応性部分、例えば、チオールおよびマレイミドもしくはヨードアセトアミド、アルデヒドおよびヒドラジド、またはアジドおよびアルキンもしくはシクロアルキンなどを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、検出試薬は、ビオチンを含み、検出可能な部分は、アビジンまたはストレプトアビジンを含む。いくつかの実施形態では、検出試薬は、ビオチンを含み、検出可能な部分は、アビジンまたはストレプトアビジンにコンジュゲートされた西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を含む。好適には、結合複合体を検出することは、結合複合体をHRPに結合させる(例えば、検出試薬およびHRP上のビオチン-アビジン/ストレプトアビジン相互作用を介して)ことと、HRPを発色性または化学発光性HRP基質と接触させることと、色または化学発光シグナルの変化を検出することとを含む。いくつかの実施形態では、AAV力価(例えば、Anc80力価)は、色および/または化学発光シグナルの変化を測定することによって決定される。
【0060】
キット
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される方法を実施するためのキット、例えば、イムノアッセイキットを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アデノ随伴ウイルス(AAV)を検出および/または力価測定するためのキットであって、(a)アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する捕捉試薬と、(b)アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する検出試薬と、を含む、キットを提供する。本明細書に記載されるキットはまた、好適には、本明細書に記載される、ELISAベースの方法を含む、様々な方法を実施するための説明書を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載される任意のAAV血清型、例えば、Anc80、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV1.1、AAV2.5、AAV2i8、AAV2G9、AAV2tYF、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B、AAV3B-S312N、AAV-LK3、AAV6.1、AAV6.3.1、AAV.7m8、AAV9.45、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、AAV.HSC16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh32、AAV.rh33、AAV.rh39、AAV.rh74、AAV.RHM4-1、AAV.RHM15-1、AAV.RHM15-2、AAV.RHM15-3、AAV.RHM15-4、AAV.RHM15-5、AAV.RHM15-6、AAV.cy10、AAV.dj、AAV.po4、AAV.po6、AAV.hu26、AAV.hu37、AAV.PHP.B、Anc126、またはAnc127を検出および/または力価測定するために使用される。いくつかの実施形態では、AAVは、Anc80である。Anc80は、本明細書においてさらに記載される。
【0062】
いくつかの実施形態では、本開示は、キットであって、(a)アデノ随伴ウイルス(AAVx)またはアデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)に結合する捕捉試薬と、(b)アデノ随伴ウイルス(AAVx)またはアデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)に結合する検出試薬と、を含む、キットを提供する。
【0063】
捕捉試薬および検出試薬は、本明細書においてさらに記載される。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、検出試薬は、抗体またはその抗原結合断片である。
【0064】
いくつかの実施形態では、キットは、捕捉表面を含む。捕捉表面は、本明細書に記載される表面のうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、捕捉表面は、粒子を含む。いくつかの実施形態では、捕捉表面は、マルチウェルプレートなどのプラスチック基材を含む。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、捕捉表面上に固定化されている。いくつかの実施形態では、捕捉表面は、マルチウェルプレートであり、捕捉試薬は、マルチウェルプレートのウェル上に固定化されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、捕捉試薬および捕捉表面は、別々に提供され、キットは、捕捉試薬を捕捉表面に固定化するための試薬をさらに含む。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、コンジュゲーション部分を含み、捕捉表面は、そのコンジュゲーションパートナーを含む。例示的なコンジュゲーション部分-コンジュゲーションパートナー対としては、受容体-リガンド対、相補的オリゴヌクレオチド、または交差反応性部分、例えば、チオールおよびマレイミドもしくはヨードアセトアミド、アルデヒドおよびヒドラジド、またはアジドおよびアルキンもしくはシクロアルキンなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、ビオチンを含み、捕捉表面は、それに付着されたアビジンまたはストレプトアビジンを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、任意の血清型のアデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、Anc80、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV1.1、AAV2.5、AAV2i8、AAV2G9、AAV2tYF、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B、AAV3B-S312N、AAV-LK3、AAV6.1、AAV6.3.1、AAV.7m8、AAV9.45、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、AAV.HSC16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh32、AAV.rh33、AAV.rh39、AAV.rh74、AAV.RHM4-1、AAV.RHM15-1、AAV.RHM15-2、AAV.RHM15-3、AAV.RHM15-4、AAV.RHM15-5、AAV.RHM15-6、AAV.cy10、AAV.dj、AAV.po4、AAV.po6、AAV.hu26、AAV.hu37、AAV.PHP.B、Anc126、およびAnc127のうちのいずれかに特異的に結合することができる。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、Anc80に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、Anc80のキャプシドタンパク質(VP)に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、アセンブルされたAAV粒子に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAVキャプシド上の立体構造エピトープに結合する。
【0067】
いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8およびAnc80に結合することができる。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8のウイルス粒子(VP)のキャプシドタンパク質またはAnc80のキャプシドタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8のVP3タンパク質またはVP3タンパク質Anc80に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8のVP3またはAnc80のVP3タンパク質の残基575~610内、または残基580~600内、または残基580~595内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8 VP3タンパク質の残基586~591内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、Anc80 VP3タンパク質の残基589~594内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、配列LQSANT(配列番号1)に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、配列LQQQNT(配列番号2)に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8抗体クローンADK8である。
【0068】
いくつかの実施形態では、検出試薬は、任意の血清型のアデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、Anc80、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV1.1、AAV2.5、AAV2i8、AAV2G9、AAV2tYF、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B、AAV3B-S312N、AAV-LK3、AAV6.1、AAV6.3.1、AAV.7m8、AAV9.45、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、AAV.HSC16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh32、AAV.rh33、AAV.rh39、AAV.rh74、AAV.RHM4-1、AAV.RHM15-1、AAV.RHM15-2、AAV.RHM15-3、AAV.RHM15-4、AAV.RHM15-5、AAV.RHM15-6、AAV.cy10、AAV.dj、AAV.po4、AAV.po6、AAV.hu26、AAV.hu37、AAV.PHP.B、Anc126、およびAnc127のうちのいずれかに結合することができる。いくつかの実施形態では、検出試薬は、Anc80に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、Anc80のキャプシドタンパク質(VP)に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、アセンブルされたAAV粒子に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAVキャプシド上の立体構造エピトープに結合する。
【0069】
いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8およびAnc80に結合することができる。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8のウイルス粒子(VP)のキャプシドタンパク質またはAnc80のキャプシドタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8のVP3タンパク質またはVP3タンパク質Anc80に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8のVP3またはAnc80のVP3タンパク質の残基575~610内、または残基580~600内、または残基580~595内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8 VP3タンパク質の残基586~591内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、Anc80 VP3タンパク質の残基589~594内のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、配列LQSANT(配列番号1)に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、配列LQQQNT(配列番号2)に結合する。いくつかの実施形態では、検出試薬は、AAV8抗体クローンADK8である。
【0070】
いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAV8に結合し、検出試薬は、AAVxに結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、AAVxに結合し、検出試薬は、AAV8に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬および検出試薬の両方は、AAVxに結合する。いくつかの実施形態では、捕捉試薬および検出試薬の両方は、Anc80、Anc80L27、Anc80L65、Anc80L121、AAV1、AAV-2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、AAV16、AAV1.1、AAV2.5、AAV2i8、AAV2G9、AAV2tYF、AAV2-TT、AAV2-TT-S312N、AAV3B、AAV3B-S312N、AAV-LK3、AAV6.1、AAV6.3.1、AAV.7m8、AAV9.45、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、AAV.HSC16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh32、AAV.rh33、AAV.rh39、AAV.rh74、AAV.RHM4-1、AAV.RHM15-1、AAV.RHM15-2、AAV.RHM15-3、AAV.RHM15-4、AAV.RHM15-5、AAV.RHM15-6、AAV.cy10、AAV.dj、AAV.po4、AAV.po6、AAV.hu26、AAV.hu37、AAV.PHP.B、Anc126、およびAnc127のうちのいずれかに結合することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、検出試薬は、例えば、分光光度測定(色変化)、光散乱、光吸収、蛍光、化学発光、電気化学発光、生物発光、燐光、放射能、磁場、またはそれらの組み合わせによって測定されることができる、検出可能な部分を含む。いくつかの実施形態では、検出試薬は、検出可能な部分の結合パートナーを含む。いくつかの実施形態では、検出試薬および検出可能な部分は、各々、結合対における結合パートナー、例えば、受容体-リガンド対、相補的オリゴヌクレオチド、または交差反応性部分、例えば、チオールおよびマレイミドもしくはヨードアセトアミド、アルデヒドおよびヒドラジド、またはアジドおよびアルキンもしくはシクロアルキンなどを含む。いくつかの実施形態では、検出試薬は、ビオチンを含み、検出可能な部分は、アビジンまたはストレプトアビジンを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な部分は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、グルコースオキシダーゼ(GO)、またはベータガラクトシダーゼ(BGALもしくはβ-gal)を含む。いくつかの実施形態では、検出試薬は、ビオチンを含み、検出可能な部分は、アビジンまたはストレプトアビジンにコンジュゲートされたHRPを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、凍結乾燥されている。いくつかの実施形態では、捕捉試薬は、溶液中で提供される。いくつかの実施形態では、検出試薬は、凍結乾燥されている。いくつかの実施形態では、検出試薬は、溶液中で提供される。捕捉および/または検出試薬が凍結乾燥されている実施形態では、キットは、好適には、凍結乾燥された試薬を再構成または再懸濁するための緩衝液をさらに含む。いくつかの実施形態では、捕捉および/または検出試薬は、例えば、それらの最適な運送および/または貯蔵温度に従って、キットの他の成分とは別に提供される。
【0073】
いくつかの実施形態では、キットは、緩衝液、アッセイ停止溶液、較正試薬、検出試薬に結合することができる検出可能な部分、および検出可能な基質のうちの1つ以上をさらに含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、キットは、アッセイ緩衝液、ブロッキング緩衝液、コーティング緩衝液、洗浄緩衝液、再構成または再懸濁緩衝液、および貯蔵緩衝液のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、アッセイ緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、Tris、NaCl、TWEEN、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、キットは、アッセイ停止溶液を含む。いくつかの実施形態では、アッセイ停止溶液は、硫酸を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、キットは、較正試薬を含む。いくつかの実施形態では、較正試薬は、既知の量のAAV(例えば、Anc80)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、一定範囲の濃度のAAV(例えば、Anc80)を含む複数の較正試薬を含む。いくつかの実施形態では、複数の較正試薬は、キットを使用して行われる方法についての定量化の上限および下限付近の濃度のAAV(例えば、Anc80)を含む。いくつかの実施形態では、較正試薬の複数の較正濃度は、方法のダイナミックレンジ全体に及ぶ。いくつかの実施形態では、複数の較正試薬は、例えば、異なるAAV血清型を検出するための方法を較正するために、複数のAAV血清型を含む。いくつかの実施形態では、較正試薬は、陽性対照試薬である。いくつかの実施形態では、較正試薬は、陰性対照試薬である。いくつかの実施形態では、較正試薬は、凍結乾燥されている。いくつかの実施形態では、較正試薬は、溶液中で提供される。
【0076】
いくつかの実施形態では、キットは、検出試薬に結合することができる検出可能な部分を含む。検出可能な部分は、本明細書においてさらに記載される。いくつかの実施形態では、検出可能な部分は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、グルコースオキシダーゼ(GO)、またはベータガラクトシダーゼ(BGALもしくβ-gal)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、検出可能な部分のための基質をさらに含む。検出可能な部分のための例示的な基質は、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、基質は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)、o-フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)、AMPLEX(登録商標)Red、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、ホモバニリン酸、ルミノール、ならびにThermoFisherからのSUPERSIGNAL(商標)ELISA、QUANTABLU(商標)、およびQUANTARED(商標)基質である。いくつかの実施形態では、基質は、p-ニトロフェニルリン酸(PNPP)、ならびにThermoFisherからのCDP-STAR(商標)およびDYNALIGHT(商標)基質である。いくつかの実施形態では、基質は、グルコースである。いくつかの実施形態では、基質は、o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)である。
【0077】
いくつかの実施形態では、キットは、アッセイ消耗品、例えば、アッセイモジュール、バイアル、チューブ、液体取り扱いおよび移送デバイス、例えば、ピペットチップ、カバーおよびシール、ラック、ならびにラベルのうちの1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、AAV(例えば、Anc80)を検出および/または力価測定するためのイムノアッセイを行うための説明書をさらに含む。いくつかの実施形態では、イムノアッセイは、本明細書に記載される方法を含む。
【0078】
例示的な実施形態
実施形態1は、試料中のアデノ随伴ウイルス血清型Anc80を検出するための方法であって、試料を、(i)アデノ随伴ウイルス(AAVx)またはアデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)に結合する捕捉試薬、および(ii)アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する検出試薬と接触させることと、捕捉試薬、Anc80、および検出試薬を含む結合複合体を形成することと、結合複合体を検出し、それによって試料中のAnc80を検出することと、を含む、方法である。
【0079】
実施形態2は、捕捉試薬および/または検出試薬が、抗体またはその抗原結合断片である、実施形態1の方法を含む。
【0080】
実施形態3は、捕捉試薬が、表面上に固定化されている、実施形態1または2の方法を含む。
【0081】
実施形態4は、捕捉試薬が、ビオチンを含み、表面が、アビジンまたはストレプトアビジンを含む、実施形態3の方法を含む。
【0082】
実施形態5は、表面が、マルチウェルプレートであり、捕捉試薬が、マルチウェルプレートのウェル中に固定化されている、実施形態3または4の方法を含む。
【0083】
実施形態6は、捕捉試薬が、AAVxに結合する、実施形態1~5のいずれかの方法を含む。
【0084】
実施形態7は、捕捉試薬が、AAV8に結合する、実施形態1~5のいずれかの方法を含む。
【0085】
実施形態8は、捕捉試薬が、Anc80のウイルス粒子(VP)に結合する、実施形態1~7のいずれかの方法を含む。
【0086】
実施形態9は、捕捉試薬が、VP3に結合する、実施形態7の方法を含む。
【0087】
実施形態10は、捕捉試薬が、VP3の残基580~600内のエピトープに結合する、実施形態9の方法を含む。
【0088】
実施形態11は、捕捉試薬が、LQSANT(配列番号1)に結合する、実施形態10の方法を含む。
【0089】
実施形態12は、検出試薬が、AAVxに結合する、実施形態1~11のいずれかの方法を含む。
【0090】
実施形態13は、検出試薬が、AAV8に結合する、実施形態1~11のいずれかの方法を含む。
【0091】
実施形態14は、検出試薬が、Anc80のウイルスタンパク質(VP)に結合する、実施形態1~13のいずれかの方法を含む。
【0092】
実施形態15は、検出試薬が、検出可能な部分の結合パートナーを含む、実施形態1~14のいずれかの方法を含む。
【0093】
実施形態16は、検出試薬が、ビオチンを含み、検出可能な部分が、アビジンまたはストレプトアビジンにコンジュゲートされた西洋ワサビペルオキシダーゼを含む、実施形態15の方法を含む。
【0094】
実施形態17は、捕捉試薬が、AAV8に結合し、検出試薬が、AAVxに結合する、実施形態1の方法を含む。
【0095】
実施形態18は、キットであって、アデノ随伴ウイルス(AAVx)またはアデノ随伴ウイルス血清型8(AAV8)に結合する捕捉試薬と、アデノ随伴ウイルス(AAVx)に結合する検出試薬と、を含む、キットである。
【0096】
実施形態19は、捕捉試薬および/または検出試薬が、抗体またはその抗原結合断片である、実施形態18のキットを含む。
【0097】
実施形態20は、捕捉表面をさらに含む、実施形態18または19のキットを含む。
【0098】
実施形態21は、捕捉試薬が、ビオチンを含み、捕捉表面が、それに付着されたアビジンまたはストレプトアビジンを含む、実施形態20のキットを含む。
【0099】
実施形態22は、捕捉表面が、マルチウェルプレートであり、捕捉試薬が、マルチウェルプレートのウェル上に固定化されている、実施形態20または21のキットを含む。
【0100】
実施形態23は、捕捉試薬が、AAVxに結合する、実施形態18~22のいずれかのキットを含む。
【0101】
実施形態24は、捕捉試薬が、AAV8に結合する、実施形態18~22のいずれかのキットを含む。
【0102】
実施形態25は、捕捉試薬が、Anc80のウイルスタンパク質(VP)に結合する、実施形態18~24のいずれかのキットを含む。
【0103】
実施形態26は、捕捉試薬が、VP3に結合する、実施形態24のキットを含む。
【0104】
実施形態27は、捕捉試薬が、VP3の残基580~600内のエピトープに結合する、実施形態26のキットを含む。
【0105】
実施形態28は、捕捉試薬が、LQSANT(配列番号1)に結合する、実施形態27のキットを含む。
【0106】
実施形態29は、検出試薬が、AAVxに結合する、実施形態18~28のいずれかのキットを含む。
【0107】
実施形態30は、検出試薬が、AAV8に結合する、実施形態18~28のいずれかのキットを含む。
【0108】
実施形態31は、検出試薬が、Anc80のキャプシドタンパク質(VP)に結合する、実施形態18~30のいずれかのキットを含む。
【0109】
実施形態32は、検出可能な部分をさらに含み、検出試薬が、検出可能な部分の結合パートナーを含む、実施形態18~31のいずれかのキットを含む。
【0110】
実施形態33は、検出試薬が、ビオチンを含み、検出可能な部分が、アビジンまたはストレプトアビジンにコンジュゲートされた西洋ワサビペルオキシダーゼを含む、実施形態32のキットを含む。
【0111】
実施形態34は、捕捉試薬、検出試薬、またはその両方が、凍結乾燥されている、実施形態18~33のいずれかのキットを含む。
【0112】
実施形態35は、捕捉試薬、検出試薬、またはその両方が、溶液中で提供される、実施形態18~33のいずれかのキットを含む。
【0113】
実施形態36は、緩衝液、アッセイ停止溶液、較正試薬、検出試薬に結合することができる検出可能な部分、および検出可能な基質のうちの1つ以上をさらに含む、実施形態18~35のいずれかのキットを含む。
【0114】
実施形態37は、捕捉試薬が、AAV8に結合し、検出試薬が、AAVxに結合する、実施形態18のキットを含む。
【0115】
実施形態38は、細胞懸濁液または細胞溶解物中のアデノ随伴ウイルスのキャプシド力価を決定する方法であって、方法は、細胞懸濁液または細胞溶解物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供することであって、HPLCは、アデノ随伴ウイルスのウイルスタンパク質(VP)に結合する樹脂を用いて行われる、供することと、細胞懸濁液または細胞溶解物中のVPを検出し、それによってアデノ随伴ウイルスのキャプシド力価を決定することと、を含む、方法である。
【0116】
実施形態39は、検出することが、280nmでキャプシドタンパク質を分光光度的に検出することを含む、実施形態38の方法を含む。
【0117】
実施形態40は、アデノ随伴ウイルスが、蛍光部分を含み、検出することが、蛍光検出を含む、実施形態38の方法を含む。
【0118】
実施形態41は、細胞溶解物が、未精製細胞溶解物または部分精製細胞溶解物である、実施形態38~40のいずれかの方法を含む。
【0119】
実施形態42は、HPLCが、約0.1~約1.0mLの体積を有するカラム中に含有された樹脂を用いて行われる、実施形態38~41のいずれかの方法を含む。
【0120】
実施形態43は、樹脂が、抗体またはその抗原結合断片を含む、実施形態38~42のいずれかの方法を含む。
【0121】
実施形態44は、アデノ随伴ウイルスが、Anc80を含む、実施形態38~43のいずれかの方法を含む。
【実施例】
【0122】
実施例1.HPLCアッセイ
広域スペクトルAAV(AAVX)アフィニティカラムは、POROS(商標)CAPTURESELECT(商標)AAVX Affinity Resin(ThermoFisher)を50×4.6mm HPLCカラム中に充填することによって、Princeton Chromatography,Inc.により調製された。Fluorescence Detectorを備えたAgilent 1260 Infinity II Bio-Inert LC Systemを使用して、Anc80.CMV.eGFP、AAV2.CMV.eGFP、およびAAV8.CMV.eGFPを含む様々なAAV血清型試料を用いてAAVXアフィニティカラムを評価した。それぞれAnc80.CMV.eGFP、AAV2.CMV.eGFP、およびAAV8.CMV.eGFPについて生成された標準曲線を示す
図2A~2Cに示されるように、応答線形性R
2>0.99は、3つすべてのAAV血清型について観察され、検出の下限は、およそ6×10
8の総ウイルス粒子であった。
【0123】
HPLC方法を、Anc80の処理最中のサンプルを用いてさらに試験した。Anc80.CMV.eGFPを産生する50Lのバイオリアクターを、精製プロセスの様々な工程の間にHPLC方法を使用して試験した。
図3に示されるように、Anc80.CMV.eGFPキャプシドピークは、細胞懸濁液、細胞溶解物、溶解物清澄化後、タンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)後、および最終濾過工程後の、試験したすべての工程において首尾よく検出された。
【0124】
処理最中のAnc80試料の力価を、線形回帰分析に基づいて決定した。力価をまた、ddPCRを使用して決定し、処理最中の試料の完全/空キャプシド比率を、
図4に示されるように計算した。
【0125】
実施例2.イムノアッセイ
Anc80のためのELISAアッセイを、抗AAV8捕捉抗体、および検出抗体としてのCAPTURESELECT(商標)Biotin Anti-AAVX Conjugate(ThermoFisher)を使用して開発した。Anc80.CMV.eGFPについての標準曲線を、4パラメータロジスティック回帰を使用してR
2>0.99で生成した(
図5、標準曲線、および
図6、回帰計算を参照されたい)。
【0126】
ELISAアッセイをまた、Anc80.CMV.eGFPを産生する50Lのバイオリアクターからの処理最中の試料に適用した。処理最中の試料の力価を測定し、結果は、他の方法によって測定された力価に匹敵する。
【0127】
特許、特許出願、論文、教科書などを含む、本明細書で引用されるすべての参考文献、ならびにそれらにおいて引用される参考文献は、それらが既に引用されていない程度まで、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】