(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】肺アクセス手技で使用するためのシーラント注入ニードル組立体およびシーラント送達機器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/158 20060101AFI20230608BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20230608BHJP
A61B 17/03 20060101ALI20230608BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A61M5/158 500F
A61M5/315 580
A61B17/03
A61B17/00 400
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556013
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 US2020023761
(87)【国際公開番号】W WO2021188112
(87)【国際公開日】2021-09-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442637
【氏名又は名称】バード・ペリフェラル・バスキュラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】アディソン,ジョーダン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ストーム,ヘザー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】バン・リエール,チャド
【テーマコード(参考)】
4C066
4C160
【Fターム(参考)】
4C066AA01
4C066CC04
4C066DD08
4C066EE14
4C066FF05
4C066GG15
4C066KK04
4C160DD55
4C160DD70
(57)【要約】
シーラント注入ニードル組立体は、カニューレ組立体およびスタイレット組立体を含む。カニューレ組立体は、カニューレハブと、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路を有するカニューレとを有する。第1の長手方向シーラント通路は、第1の近位シーラントポートおよび第1の遠位シーラントポートを有する。第2の長手方向シーラント通路は、第2の近位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートを有する。スタイレット組立体は、スタイレット前進ハブと、カニューレの内腔内で長手方向に運動するように構成されたスタイレットとを有する。スタイレットは、第1の段階の位置および第2の段階の位置を有する。スタイレットは、第2の外側巻付きチャネルから長手方向に間隔を空けて配置された第1の外側巻付きチャネルを有し、これらは、別々に選択して、かつ順次、カニューレの第1の遠位シーラントポートと第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通するように位置決め可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシーラント成分チャンバおよび第2のシーラント成分チャンバを有するシリンジタイプのアプリケータとともに使用するためのシーラント注入ニードル組立体であって、
カニューレハブおよびカニューレを有するカニューレ組立体であって、前記カニューレが、内腔および遠位端部を有し、前記カニューレハブが、前記カニューレに固定的に連結されており、前記カニューレが、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路を有し、前記第1の長手方向シーラント通路が、第1の近位シーラントポートおよび第1の遠位シーラントポートを有し、前記第2の長手方向シーラント通路が、第2の近位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートを有し、前記第1の近位シーラントポートが、前記第1のシーラント成分チャンバと流体連通するように構成されており、前記第2の近位シーラントポートが、前記第2のシーラント成分チャンバと流体連通するように構成されている、カニューレ組立体と、
スタイレット前進ハブおよびスタイレットを有するスタイレット組立体であって、前記スタイレット前進ハブが、前記スタイレットに固定的に連結されており、前記スタイレットが、前記カニューレの前記内腔内で長手方向に運動するように構成されており、前記スタイレットが、第1の段階の位置および第2の段階の位置を有し、前記スタイレットが、第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルを含む外表面を有し、前記第1の外側巻付きチャネルが、前記第2の外側巻付きチャネルから長手方向に間隔を空けて配置されている、スタイレット組立体と
を備え、
前記スタイレットが前記第1の段階の位置にあるとき、前記スタイレットの前記第1の外側巻付きチャネルが、前記カニューレの前記第1の遠位シーラントポートと前記第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通し、
前記スタイレットが前記第2の段階の位置にあるとき、前記スタイレットの前記第2の外側巻付きチャネルが、前記カニューレの前記第1の遠位シーラントポートと前記第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通する、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記第1の外側巻付きチャネルが第1の螺旋チャネルであり、前記第2の外側巻付きチャネルが第2の螺旋チャネルであり、前記第1の螺旋チャネルと前記第2の螺旋チャネルとの間に長手方向に延在する隔離領域をさらに備える、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレットが前記第1の段階の位置にあるとき、前記スタイレットの前記第1の外側巻付きチャネルの前方部分が、前記カニューレの前記遠位端部に対して遠位方向にあり、前記スタイレットの前記第1の外側巻付きチャネルの後方部分が、前記カニューレの前記第1の遠位シーラントポートと前記第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通する、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項4】
請求項1または2に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレットが前記第2の段階の位置にあるとき、前記スタイレットの前記第2の外側巻付きチャネルの前方部分が、前記カニューレの前記遠位端部に対して遠位方向にあり、前記スタイレットの前記第2の外側巻付きチャネルの後方部分が、前記カニューレの前記第1の遠位シーラントポートと前記第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通する、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記カニューレが、近位部分と、前記遠位端部を有する遠位部分と、前記内腔を囲繞する側壁とを有し、前記第1の長手方向シーラント通路および前記第2の長手方向シーラント通路が、前記カニューレの前記側壁に位置付けられ、前記第1の長手方向シーラント通路および前記第2の長手方向シーラント通路のそれぞれが、前記近位部分から前記遠位部分へと延在する、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項6】
請求項5に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記第1の遠位シーラントポートおよび前記第2の遠位シーラントポートのそれぞれが、前記カニューレの前記遠位部分に位置付けられ、前記カニューレの前記内腔へと延在する、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記第1の遠位シーラントポートが、前記カニューレの前記内腔を挟んで前記第2の遠位シーラントポートと正反対に位置する、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレットが、近位端部分および遠位端部分を有する細長い中実部材であり、前記スタイレット前進ハブが、前記近位端部分に固定的に取り付けられており、前記遠位端部分が、閉じたニードル先端を有し、前記第1の外側巻付きチャネルおよび前記第2の外側巻付きチャネルが、前記閉じたニードル先端に対して近位方向に前記遠位端部分に位置付けられている、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレット前進ハブおよび前記カニューレハブのそれぞれにねじ込み可能に結合されたスタイレット中間ハブを備える、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項10】
請求項9に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレット中間ハブが、第1のオスねじ部分および第1のメスねじ部分を有し、
前記スタイレット前進ハブが、前記スタイレット中間ハブの前記第1のオスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のメスねじ部分を有し、
前記カニューレハブが、前記スタイレット中間ハブの前記第1のメスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のオスねじ部分を有する、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項11】
請求項10に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレット前進ハブの前記第2のメスねじ部分が、前記スタイレット前進ハブおよび前記スタイレットを第2の距離だけ回転並進させる第1の距離のねじピッチを有し、前記スタイレット前進ハブが1度360度回転すると、前記スタイレットの前記第1の外側巻付きチャネルおよび前記第2の外側巻付きチャネルのそれぞれが前記第2の距離だけ長手方向に運動するように構成されており、前記第1の距離と前記第2の距離とが等しい、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレット前進ハブと前記スタイレット中間ハブとの間に取外し可能に介在させられる安全部材をさらに備える、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項13】
請求項11または12に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレット前進ハブおよび前記スタイレット中間ハブが、併せて、前記スタイレットが前記第2の距離を回転並進するごとに使用者に触知フィードバックを提供するように構成された触知フィードバック機構を備える、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項14】
複数成分シーラントを射出するためのシーラント注入ニードル組立体であって、
近位部分と、遠位部分と、遠位端部と、内腔を囲繞する側壁とを有するカニューレであって、前記側壁が、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路を有し、前記第1の長手方向シーラント通路および前記第2の長手方向シーラント通路のそれぞれが、前記近位部分から前記遠位部分へと延在し、
前記第1の長手方向シーラント通路が、第1の近位シーラントポートおよび第1の遠位シーラントポートを有し、前記第1の近位シーラントポートが、前記複数成分シーラントの第1のシーラント成分と流体連通するように構成され、前記第1の遠位シーラントポートが、前記カニューレの前記内腔と流体連通するように前記遠位部分に位置付けられ、
前記第2の長手方向シーラント通路が、第2の近位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートを有し、前記第2の近位シーラントポートが、前記複数成分シーラントの第2のシーラント成分と流体連通するように構成され、前記第2の遠位シーラントポートが、前記カニューレの前記内腔と流体連通するように前記遠位部分に位置付けられている、カニューレと、
第1の段階の位置と第2の段階の位置との間で前記カニューレの前記内腔内を長手方向に運動するように構成されたスタイレットであって、前記スタイレットが、第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルを含む外表面を有し、前記第1の外側巻付きチャネルが、前記第2の外側巻付きチャネルから長手方向に間隔を空けて配置されている、スタイレットと
を備え、
前記スタイレットが前記第1の段階の位置にあるとき、前記カニューレの前記第1の遠位シーラントポートおよび前記第2の遠位シーラントポートのそれぞれが、前記スタイレットの前記第1の外側巻付きチャネルの後方部分と流体連通し、前記スタイレットの前記第1の外側巻付きチャネルの前方部分が、前記カニューレの前記遠位端部に対して遠位方向に位置決めされ、
前記スタイレットが前記第2の段階の位置にあるとき、前記カニューレの前記第1の遠位シーラントポートおよび前記第2の遠位シーラントポートのそれぞれが、前記スタイレットの前記第2の外側巻付きチャネルの後方部分と流体連通し、前記スタイレットの前記第2の外側巻付きチャネルの前方部分が、前記カニューレの前記遠位端部に対して遠位方向に位置決めされる、シーラント注入ニードル組立体
【請求項15】
請求項14に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記カニューレに固定的に連結されたカニューレハブと、
前記スタイレットに固定的に連結されたスタイレット前進ハブと、
前記スタイレット前進ハブおよび前記カニューレハブのそれぞれに結合されたスタイレット中間ハブと
を備える、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項16】
請求項15に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレット中間ハブが、第1のオスねじ部分および第1のメスねじ部分を有し、
前記スタイレット前進ハブが、前記スタイレット中間ハブの前記第1のオスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のメスねじ部分を有し、
前記カニューレハブが、前記スタイレット中間ハブの前記第1のメスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のオスねじ部分を有し、
前記スタイレット前進ハブの前記第2のメスねじ部分が、前記スタイレット前進ハブおよび前記スタイレットを第2の距離だけ回転並進させる第1の距離のねじピッチを有し、前記スタイレット前進ハブが1度360度回転すると、前記スタイレットの前記第1の外側巻付きチャネルおよび前記第2の外側巻付きチャネルのそれぞれが前記第2の距離だけ長手方向に運動するように構成されている、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項17】
請求項15または16に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレット前進ハブおよび前記スタイレット中間ハブが、併せて、前記スタイレットが前記第2の距離を回転並進するごとに使用者に触知フィードバックを提供するように構成された触知フィードバック機構を備える、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項18】
請求項15から17のいずれか1項に記載のシーラント注入ニードル組立体であって、
前記スタイレット前進ハブと前記スタイレット中間ハブとの間に取外し可能に介在させられる安全部材をさらに備える、シーラント注入ニードル組立体。
【請求項19】
気胸を防止する一助となる、肺アクセス手技で使用するためのシーラント送達機器であって、
作動装置と、複数成分シーラントの第1のシーラント成分を保持するように構成された第1のシーラント成分チャンバと、前記複数成分シーラントの第2のシーラント成分を保持するように構成された第2のシーラント成分チャンバとを有するシーラントアプリケータ装置であって、前記第1のシーラント成分チャンバが、第1のアプリケータポートを有し、前記第2のシーラント成分チャンバが、第2のアプリケータポートを有する、シーラントアプリケータ装置と、
カニューレハブと、内腔および遠位端部を有するカニューレとを有するカニューレ組立体であって、前記カニューレハブが、前記カニューレに固定的に連結され、前記カニューレが、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路を有するように構成され、前記第1の長手方向シーラント通路が、第1の近位シーラントポートおよび第1の遠位シーラントポートを有し、前記第2の長手方向シーラント通路が、第2の近位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートを有し、前記第1の近位シーラントポートが、前記シーラントアプリケータ装置の前記第1のシーラント成分チャンバの前記第1のアプリケータポートと流体連通するように構成され、前記第2の近位シーラントポートが、前記シーラントアプリケータ装置の前記第2のシーラント成分チャンバの前記第2のアプリケータポートと流体連通するように構成されている、カニューレ組立体と、
スタイレット前進ハブ、スタイレット中間ハブ、およびスタイレットを有するスタイレット組立体であって、前記スタイレット中間ハブが、前記カニューレハブと前記スタイレット前進ハブとの間にねじ込み可能に介在させられ、前記スタイレット前進ハブが、前記スタイレットに固定的に連結され、前記スタイレットが、前記カニューレの前記内腔内を長手方向に運動するように構成され、前記スタイレットが、第1の段階の位置および第2の段階の位置を有し、前記スタイレットが、第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルを含む外表面を有し、前記第1の外側巻付きチャネルが、前記第2の外側巻付きチャネルから長手方向に間隔を空けて配置されている、スタイレット組立体と
を備え、
前記スタイレットが前記第1の段階の位置にあるとき、前記カニューレの前記第1の遠位シーラントポートおよび前記第2の遠位シーラントポートのそれぞれが、前記スタイレットの前記第1の外側巻付きチャネルと流体連通し、前記スタイレットの前記第1の外側巻付きチャネルの前方部分が、前記カニューレの前記遠位端部に対して遠位方向に位置決めされ、
前記スタイレットが前記第2の段階の位置にあるとき、前記カニューレの前記第1の遠位シーラントポートおよび前記第2の遠位シーラントポートのそれぞれが、前記スタイレットの前記第2の外側巻付きチャネルと流体連通し、前記スタイレットの前記第2の外側巻付きチャネルの前方部分が、前記カニューレの前記遠位端部に対して遠位方向に位置決めされる、シーラント送達機器。
【請求項20】
請求項19に記載のシーラント送達機器であって、
前記スタイレット中間ハブが、第1のオスねじ部分および第1のメスねじ部分を有し、前記スタイレット前進ハブが、前記スタイレット中間ハブの前記第1のオスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のメスねじ部分を有し、前記カニューレハブが、前記スタイレット中間ハブの前記第1のメスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のオスねじ部分を有し、
前記スタイレット前進ハブの前記第2のメスねじ部分が、前記スタイレット前進ハブおよび前記スタイレットを第2の距離だけ回転並進させる第1の距離のねじピッチを有し、前記スタイレット前進ハブが1度360度回転すると、前記スタイレットの前記第1の外側巻付きチャネルおよび前記第2の外側巻付きチャネルのそれぞれが前記第2の距離だけ長手方向に運動するように構成されている、シーラント送達機器。
【請求項21】
請求項19または20に記載のシーラント送達機器であって、
前記スタイレット前進ハブおよび前記スタイレット中間ハブが、併せて、前記スタイレットが前記第2の距離を回転並進するごとに使用者に触知フィードバックを提供するように構成された触知フィードバック機構を備える、シーラント送達機器。
【請求項22】
請求項19から21のいずれか1項に記載のシーラント送達機器であって、
前記スタイレット前進ハブと前記スタイレット中間ハブとの間に取外し可能に介在させられる安全部材をさらに備える、シーラント送達機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]なし
[0002]本発明は、肺生検などの肺アクセス手技に関し、より詳細には、気胸を防止する一助となる、肺アクセス手技で使用するためのシーラント注入ニードル組立体およびシーラント送達機器に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]気胸は、肺生検手技の課題となる合併症であり、この場合、壁側胸膜および臓側胸膜が穿刺された結果として、空気または流体が胸膜空間へと入ることが可能になる。気胸、またさらには胸腔チューブの留置を必要とする気胸は、経皮的肺生検を実施する臨床医、および経皮的肺生検を受ける患者にとって重大な懸念事項である。経皮的肺生検を受ける患者での気胸の発生率は9~54%の範囲であると報告されており、平均は約15%である。平均して、すべての経皮的肺生検の6.6%は胸腔チューブを留置する必要のある気胸を生じさせ、これにより、2.7日の平均入院期間が生じる。
【0003】
[0004]気胸のリスクを増加させる要因は、患者の加齢、閉塞性肺疾患、病変の深さの増加、複数回の胸膜の通過、アクセスニードルが胸膜を横切って位置する時間の増加、および亀裂の横断(traversal of a fissure)を含む。気胸は手技の間、または手技の直後に生じる場合があり、このため、通常は、ニードルを取り出すのに続いてその領域のCTスキャンが実施される。経皮的肺生検の他の、よりまれな合併症は、喀血(血液の喀出)、血胸(血液が胸膜腔に貯留する胸水の一タイプ)、感染症、および空気塞栓症を含む。
【0004】
[0005]気胸を防止するために、患者の胸膜層の近くの領域にシーラントを施すことをと試みることが知られている。こうした手技には、通常は位置決めイメージングスキャンを使用して装置を位置決めすることが必要とされる。しかし、位置決めイメージングスキャンに必要とされる時間は時として接着剤のゲル化時間と競合し、使用者は、続行するためにスタイレットを取り除き、それを新しいものと交換しなければならず、場合によってはニードルリファレンス(needle reference)が動き、手技の時間が加算される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0006]当技術分野で必要とされているものは、気胸を防止する一助となる、肺アクセス手技で使用するための、多段階封止機能を有するシーラント注入ニードル組立体およびシーラント送達機器である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0007]本発明は、気胸を防止する一助となる、肺アクセス手技で使用するための、多段階封止機能を有するシーラント注入ニードル組立体およびシーラント送達機器を提供する。
【0007】
[0008]本発明は、一形態では、第1のシーラント成分チャンバおよび第2のシーラント成分チャンバを有するシリンジタイプのアプリケータとともに使用するためのシーラント注入ニードル組立体を対象とする。シーラント注入ニードル組立体は、カニューレ組立体およびスタイレット組立体を含む。カニューレ組立体は、カニューレハブおよびカニューレを有する。カニューレは、内腔および遠位端部を有する。カニューレハブは、カニューレに固定的に連結される。カニューレは、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路を有する。第1の長手方向シーラント通路は、第1の近位シーラントポートおよび第1の遠位シーラントポートを有する。第2の長手方向シーラント通路は、第2の近位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートを有する。第1の近位シーラントポートは第1のシーラント成分チャンバと流体連通するように構成され、第2の近位シーラントポートは第2のシーラント成分チャンバと流体連通するように構成される。スタイレット組立体は、スタイレット前進ハブおよびスタイレットを有する。スタイレット前進ハブは、スタイレットに固定的に連結される。スタイレットは、カニューレの内腔内を長手方向に運動するように構成される。スタイレットは第1の段階の位置および第2の段階の位置を有する。スタイレットは、第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルを含む外表面を有する。第1の外側巻付きチャネルは、第2の外側巻付きチャネルから長手方向に間隔を空けて配置される。スタイレットが第1の段階の位置にあるとき、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルは、カニューレの第1の遠位シーラントポートと第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通する。スタイレットが第2の段階の位置にあるとき、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルは、カニューレの第1の遠位シーラントポートと第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通する。
【0008】
[0009]本発明は、別の形態では、複数成分シーラントを射出するためのシーラント注入ニードル組立体を対象とする。シーラント注入ニードル組立体は、近位部分と、遠位部分と、遠位端部と、内腔を囲繞する側壁とを有するカニューレを含む。側壁は、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路を有し、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路のそれぞれは、近位部分から遠位部分へと延在する。第1の長手方向シーラント通路は、第1の近位シーラントポートおよび第1の遠位シーラントポートを有する。第1の近位シーラントポートは、複数成分シーラントの第1のシーラント成分と流体連通するように構成される。第1の遠位シーラントポートは、カニューレの内腔と流体連通するように遠位部分に位置付けられる。第2の長手方向シーラント通路は、第2の近位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートを有する。第2の近位シーラントポートは、複数成分シーラントの第2のシーラント成分と流体連通するように構成される。第2の遠位シーラントポートは、カニューレの内腔と流体連通するように遠位部分に位置付けられる。スタイレットは、第1の段階の位置と第2の段階の位置との間で、カニューレの内腔内を長手方向に運動するように構成される。スタイレットは、第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルを含む外表面を有する。第1の外側巻付きチャネルは、第2の外側巻付きチャネルから長手方向に間隔を空けて配置される。スタイレットが第1の段階の位置にあるとき、カニューレの第1の遠位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートのそれぞれは、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルの後方部分と流体連通し、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルの前方部分は、カニューレの遠位端部に対して遠位方向に位置決めされる。スタイレットが第2の段階の位置にあるとき、カニューレの第1の遠位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートのそれぞれは、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルの後方部分と流体連通し、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルの前方部分は、カニューレの遠位端部に対して遠位方向に位置決めされる。
【0009】
[0010]本発明は、別の形態では、気胸を防止する一助となる、肺アクセス手技で使用するためのシーラント送達機器を対象とする。シーラント送達機器は、シーラントアプリケータ装置、カニューレ組立体、およびスタイレット組立体を含む。シーラントアプリケータ装置は、作動装置と、複数成分シーラントの第1のシーラント成分を保持するように構成された第1のシーラント成分チャンバと、複数成分シーラントの第2のシーラント成分を保持するように構成された第2のシーラント成分チャンバとを有する。第1のシーラント成分チャンバは第1のアプリケータポートを有し、第2のシーラント成分チャンバは第2のアプリケータポートを有する。カニューレ組立体は、カニューレハブと、内腔および遠位端部を有するカニューレとを有する。カニューレハブは、カニューレに固定的に連結される。カニューレは、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路を有するように構成される。第1の長手方向シーラント通路は、第1の近位シーラントポートおよび第1の遠位シーラントポートを有する。第2の長手方向シーラント通路は、第2の近位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートを有する。第1の近位シーラントポートは、シーラントアプリケータ装置の第1のシーラント成分チャンバの第1のアプリケータポートと流体連通するように構成される。第2の近位シーラントポートは、シーラントアプリケータ装置の第2のシーラント成分チャンバの第2のアプリケータポートと流体連通するように構成される。スタイレット組立体は、スタイレット前進ハブ、スタイレット中間ハブ、およびスタイレットを有する。スタイレット中間ハブは、カニューレハブとスタイレット前進ハブとの間にねじ込み可能に介在させられる。スタイレット前進ハブは、スタイレットに固定的に連結される。スタイレットは、カニューレの内腔内で長手方向に運動するように構成される。スタイレットは、第1の段階の位置および第2の段階の位置を有する。スタイレットは、第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルを含む外表面を有する。第1の外側巻付きチャネルは、第2の外側巻付きチャネルから長手方向に間隔を空けて配置される。スタイレットが第1の段階の位置にあるとき、カニューレの第1の遠位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートのそれぞれは、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルと流体連通し、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルの前方部分は、カニューレの遠位端部に対して遠位方向に位置決めされる。スタイレットが第2の段階の位置にあるとき、カニューレの第1の遠位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートのそれぞれは、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルと流体連通し、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルの前方部分は、カニューレの遠位端部に対して遠位方向に位置決めされる。
【0010】
[0011]本発明の利点は、本発明が、多段階封止機能を提供することにより、肺アクセス経路でシーラントが早まって硬化することに起因する、肺手技中に使用済みのスタイレットまたはカニューレを交換する必要性を軽減または回避することである。
【0011】
[0012]添付図面と併せて解釈される本発明の一実施形態の以下の説明を参照することにより、本発明の上記その他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方式がより明らかになり、本発明がよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】[0013]本発明の一態様による、シーラントアプリケータ装置およびシーラント注入ニードル組立体を含み、安全部材を含む、気胸を防止する一助となる、肺アクセス手技で使用するためのシーラント送達機器の斜視図である。
【
図2】[0014]
図1のシーラント注入ニードル組立体の分解図である。
【
図3】[0015]4分の1の部分が取り除かれた状態の、
図1のシーラント注入ニードル組立体のハブ部分の拡大斜視図である。
【
図4】[0016]スタイレットが後退させられ、安全部材が取り外された状態のカニューレ組立体およびスタイレット組立体を示す、
図1の線4-4に沿った、
図1のシーラント注入ニードル組立体の拡大断面図である。
【
図5】[0017]スタイレットが第1の段階の位置へと前進させられた状態の、
図4のシーラント注入ニードル組立体の拡大断面図である。
【
図6】[0018]スタイレットが第2の段階の位置へとさらに前進させられた状態の、
図4および
図5のシーラント注入ニードル組立体の拡大断面図である。
【
図7】[0019]
図4に示されたカニューレおよびスタイレットの遠位部分の拡大図である。
【
図8】[0020]
図7の拡大図の切断部分をさらに拡大した斜視図である。
【
図9】[0021]
図1~
図8のカニューレ組立体のカニューレの切断部分をさらに拡大した斜視図である。
【
図10】[0022]第1の外側巻付きチャネルが第2の外側巻付きチャネルから長手方向に隔離されていることを示す、
図1および
図4~
図7のスタイレットの遠位端部分の側面図である。
【
図11】[0023]
図10に示された向きから90度回転させられ、第1の外側巻付きチャネルが第2の外側巻付きチャネルから長手方向に隔離されていることを示す、
図1および
図4~
図7のスタイレットの遠位端部分の別の側面図である。
【
図12】[0024]本発明の一態様による、触知フィードバック機構を示すためにスタイレット前進ハブの一部が剥離された状態の、
図1のシーラント注入ニードル組立体のハブ部分の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0025]対応する参照文字は、いくつかの図の全体を通して対応する部分を示す。本明細書に述べられる実例は本発明の少なくとも1つの実施形態を示し、こうした実例は、いかなる形でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0014】
[0026]ここで図面、より具体的には
図1を参照すると、気胸を防止する一助となる、肺アクセス手技で使用するためのシーラント送達機器10が示されている。シーラント送達機器10は、シーラントアプリケータ装置12と、シーラント注入ニードル組立体14とを含む。シーラントアプリケータ装置12は、フレキシブルチューブ16およびフレキシブルチューブ18を介して、シーラント注入ニードル組立体14と流体連通するように連結している。
【0015】
[0027]シーラントアプリケータ装置12は、複数成分シーラントのうちの第1のシーラント成分20、および複数成分シーラントのうちの第2のシーラント成分22のそれぞれを別々に保持するように構成された、シリンジタイプのアプリケータである。第1のシーラント成分20が第2のシーラント成分22と混ざり合うと、その結果得られる化学反応により、患者の胸膜層に、また胸膜層および肺へと至るアクセス路に沿って、封止領域を形成するのに適したシーラントゲル(すなわち複数成分シーラント)が形成される。第1のシーラント成分20は、たとえば少なくとも2つのN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)エステル基を含むことができ、第2のシーラント成分22は、たとえば少なくとも2つのアミン基を含むことができる。たとえば、第1のシーラント成分20は、ポリエチレングリコール(PEG)スクシンイミジルコハク酸を含有する溶液でもよく、第2のシーラント成分22はアルブミンおよび/またはポリエチレンイミン(PEI)を含有する溶液でもよい。
【0016】
[0028]この実施形態では、たとえば、シーラントアプリケータ装置12は、第1のシーラント成分チャンバ24および第2のシーラント成分チャンバ26を有するシリンジタイプのアプリケータの形をとる。第1のシーラント成分チャンバ24は、複数成分シーラントの第1のシーラント成分20を保持および含有するように構成される。第2のシーラント成分チャンバ26は、複数成分シーラントの第2のシーラント成分22を保持および含有するように構成される。この実施形態では、第1のシーラント成分チャンバ24および第2のシーラント成分チャンバ26のそれぞれは、たとえばシリンダ、または共通の本体内の1対のシリンダボアの形をとることができる。
【0017】
[0029]第1のシーラント成分チャンバ24は第1のアプリケータポート28を有する。
図2も参照すると、第1のアプリケータポート28は、フレキシブルチューブ16を介して、シーラント注入ニードル組立体14の対応するポートと流体連通するように連結するように構成される。
【0018】
[0030]同様に、第2のシーラント成分チャンバ26は第2のアプリケータポート30を有する。第2のアプリケータポート30は、フレキシブルチューブ18を介して、シーラント注入ニードル組立体14の対応するポートと流体連通するように連結するように構成される。
【0019】
[0031]シーラントアプリケータ装置12は、作動装置32をさらに含む。この実施形態では、シーラントアプリケータ装置12の作動装置32は、第1のピストン34、第2のピストン36、およびプランジャハンドル38を含む。プランジャハンドル38は、第1のピストン34と第2のピストン36との間に垂直に延在し、第1のピストン34および第2のピストン36のそれぞれに連結する、リンク部材の形をとる。第1のピストン34は、第1のシーラント成分チャンバ24内で摺動可能なプランジャの形をとり、複数成分シーラントのうちの第1のシーラント成分20に対して近位方向に位置付けられる。第2のピストン36は、第2のシーラント成分チャンバ26内で摺動可能なプランジャの形をとり、複数成分シーラントのうちの第2のシーラント成分22に対して近位方向に位置付けられる。
【0020】
[0032]シーラント注入ニードル組立体14は、カニューレ組立体40およびスタイレット組立体42を含む。任意選択で、シーラント注入ニードル組立体14は安全部材44も含むことができる。
【0021】
[0033]
図2~
図6を参照すると、カニューレ組立体40はカニューレハブ46およびカニューレ48を有する。カニューレハブ46は、たとえば圧入またはオーバーモールディングにより、カニューレ48に固定的に連結される。カニューレハブ46はハブ本体46-1およびオスねじ部分46-2を有し、オスねじ部分46-2はハブ本体46-1から近位方向に延在する。
【0022】
[0034]
図1~
図3を参照すると、カニューレハブ46は、第1のカニューレハブポート50および第2のカニューレハブポート52を有する。第1のカニューレハブポート50および第2のカニューレハブポート52は、たとえば通路として、カニューレ48との流体連通を容易にするように構成される。第1のカニューレハブポート50は管状の延在部50-1を有し、第2のカニューレハブポート52は管状の延在部52-1を有する。この実施形態では、たとえば管状の延在部50-1と管状の延在部52-1とは、ハブ本体46-1から反対方向に延在する。
【0023】
[0035]
図1および
図2を参照すると、シーラント注入ニードル組立体14が完全に組み立てられたとき、第1のカニューレハブポート50の管状の延在部50-1は、フレキシブルチューブ16を介して、複数成分シーラントの第1のシーラント成分20を保持する、シーラントアプリケータ装置12の第1のシーラント成分チャンバ24の第1のアプリケータポート28に、フレキシブルチューブ16を介して連結される。したがって、第1のカニューレハブポート50により、シーラント注入ニードル組立体14と複数成分シーラントの第1のシーラント成分20との流体連通が容易になる。同様に、シーラント注入ニードル組立体14が完全に組み立てられたとき、第2のカニューレハブポート52の管状の延在部52-1は、フレキシブルチューブ18を介して、複数成分シーラントの第2のシーラント成分22を保持する第2のシーラント成分チャンバ26の第2のアプリケータポート30に連結される。したがって、第2のカニューレハブポート52により、シーラント注入ニードル組立体14の流体連通が容易になり、それにより、複数成分シーラントの第2のシーラント成分22との流体連通が容易になる。
【0024】
[0036]
図3~
図6を参照すると、カニューレ48は、近位部分54と、遠位部分56と、遠位端部58と、内腔62(
図9を参照)を囲繞する側壁60とを有する。
図7~
図9も参照すると、側壁60は、第1の長手方向シーラント通路64と、第2の長手方向シーラント通路66とを有する。より具体的には、この実施形態では、第1の長手方向シーラント通路64および第2の長手方向シーラント通路66は、カニューレ48の側壁60に位置付けられ、それによって囲繞される。第1の長手方向シーラント通路64および第2の長手方向シーラント通路66のそれぞれは、近位部分54から遠位部分56へと延在する。また、
図3および
図7~
図9に最もよく示されているこの実施形態では、第1の長手方向シーラント通路64は1対の通路64-1、64-2として構成され、同様に、第2の長手方向シーラント通路66は1対の通路66-1、66-2として構成される。
【0025】
[0037]
図3~
図9を参照すると、第1の長手方向シーラント通路64は、第1の近位シーラントポート68および第1の遠位シーラントポート70を有する。カニューレ48の第1の近位シーラントポート68は、カニューレハブ46の第1のカニューレハブポート50と流体連通するように結合している。この実施形態では、第1の近位シーラントポート68は、第1の長手方向シーラント通路64の1対の通路64-1、64-2の個々の通路64-1、64-2を近位部分54で互いに流体連通するように連結し、
図3に最もよく示されているように、1対の通路64-1、64-2とカニューレハブ46の第1のカニューレハブポート50とを流体連通するように連結する、弓形の開口として構成される。
【0026】
[0038]したがって、
図1~
図3を参照すると、第1の近位シーラントポート68は、カニューレハブ46の第1のカニューレハブポート50およびフレキシブルチューブ16を介して、複数成分シーラントの第1のシーラント成分20を保持する第1のシーラント成分チャンバ24の第1のアプリケータポート28に、フレキシブルチューブ16を介して結合され、またそれと流体連通している。したがって、カニューレ48の第1の長手方向シーラント通路64の第1の近位シーラントポート68は、第1のシーラント成分チャンバ24の第1のアプリケータポート28、および複数成分シーラントの第1のシーラント成分20と流体連通するように構成される。
【0027】
[0039]
図7および
図9を参照すると、カニューレ48の第1の長手方向シーラント通路64の第1の遠位シーラントポート70は、カニューレ48の内腔62と流体連通するように遠位部分56に位置付けられている。より具体的には、やはり
図4~
図6を参照するこの実施形態では、第1の遠位シーラントポート70は、カニューレ48の遠位端部58に対して近位方向に、またそれに隣接して位置付けられる。第1の遠位シーラントポート70は、第1の長手方向シーラント通路64の1対の通路64-1、64-2を遠位部分56で連結する弓形のチャネルとして構成される。
【0028】
[0040]
図3~
図9を参照すると、第2の長手方向シーラント通路66は、第2の近位シーラントポート72および第2の遠位シーラントポート74を有する。第2の近位シーラントポート72は、カニューレハブ46の第2のカニューレハブポート52と流体連通するように結合している。この実施形態では、第2の近位シーラントポート72は、第2の長手方向シーラント通路66の1対の通路66-1、66-2の個々の通路66-1、66-2を近位部分54で互いに流体連通するように連結し、
図3に最もよく示されているように、1対の通路66-1、66-2とカニューレハブ46の第2のカニューレハブポート52とを流体連通するように連結する、弓形の開口として構成される。
【0029】
[0041]したがって、
図1~
図3を参照すると、第2の近位シーラントポート72は、カニューレハブ46の第2のカニューレハブポート52およびフレキシブルチューブ18を介して、複数成分シーラントの第2のシーラント成分22を保持する第2のシーラント成分チャンバ26の第2のアプリケータポート30に結合され、またそれと流体連通している。したがって、第2の長手方向シーラント通路66の第2の近位シーラントポート72は、第2のシーラント成分チャンバ26の第2のアプリケータポート30、および複数成分シーラントの第2のシーラント成分22と流体連通するように構成される。
【0030】
[0042]
図7および
図9を参照すると、第2の長手方向シーラント通路66の第2の遠位シーラントポート74は、カニューレ48の内腔62と流体連通するように遠位部分56に位置付けられている。より具体的には、この実施形態では、第2の遠位シーラントポート74は、カニューレ48の遠位端部58に対して近位方向に、またそれに隣接して位置付けられる。第2の遠位シーラントポート70は、第1の長手方向シーラント通路64の1対の通路64-1、64-2を遠位部分56で連結する弓形のチャネルとして構成される。
【0031】
[0043]
図9を参照すると、第1の遠位シーラントポート70および第2の遠位シーラントポート74のそれぞれは、カニューレ48の遠位部分56に位置付けられ、カニューレ48の内腔62へと延在する。この実施形態では、たとえば第1の遠位シーラントポート70は、カニューレ48の内腔62を挟んで第2の遠位シーラントポート74と正反対に位置する。
図4~
図8を参照すると、第1の遠位シーラントポート70および第2の遠位シーラントポート74のそれぞれは、以下でより詳細に説明されるように、複数成分シーラントの第1のシーラント成分20および第2のシーラント成分22と、スタイレット組立体42の長手方向に位置決め可能なスタイレット84との流体連通を容易にするように構成される。
【0032】
[0044]
図3~
図6を参照すると、スタイレット組立体42は、スタイレット前進ハブ80、スタイレット中間ハブ82、およびスタイレット84を含む。
[0045]スタイレット前進ハブ80は、たとえば圧入またはオーバーモールディングにより、スタイレット84に固定的に連結される。スタイレット前進ハブ80は、ハブ本体80-1と、ハブ本体80-1の内部のメスねじ部分80-2とを有する。ハブ本体80-1は、たとえば圧入またはオーバーモールディングにより、スタイレット84に固定的に連結される。
【0033】
[0046]スタイレット中間ハブ82は、カニューレハブ46とスタイレット前進ハブ80との間にねじ込み可能に介在させられ、カニューレハブ46およびスタイレット前進ハブ80のそれぞれにねじ込み可能に結合されるように構成される。スタイレット中間ハブ82は、ハブ本体82-1、オスねじ部分82-2、およびメスねじ部分82-3を有する。オスねじ部分82-2は、ハブ本体82-1から近位方向に、たとえばスタイレット前進ハブ80に向かって延在する。メスねじ部分82-3はハブ本体82-1の内部にある。スタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2は、スタイレット前進ハブ80のメスねじ部分80-2にねじ込み可能に係合するように構成され、スタイレット中間ハブ82のメスねじ部分82-3は、カニューレハブ46のオスねじ部分46-2にねじ込み可能に係合するように構成される。言い方を変えれば、スタイレット前進ハブ80のメスねじ部分80-2は、スタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2にねじ込み可能に係合するように構成され、カニューレハブ46のオスねじ部分46-2は、スタイレット中間ハブ82のメスねじ部分82-3にねじ込み可能に係合するように構成される。
【0034】
[0047]スタイレット組立体42は、カニューレ組立体40にねじ込み可能に連結可能であり、スタイレット中間ハブ82のメスねじ部分82-3は、部分的にまたは完全に、カニューレハブ46のオスねじ部分46-2とねじ込み可能に係合することができ、たとえばそこに締め付けられ得る。また、スタイレット前進ハブ80のメスねじ部分80-2は、スタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2に調節可能かつねじ込み可能に係合する。
【0035】
[0048]スタイレット前進ハブ80およびスタイレット84の長手方向位置は、使用者がスタイレット前進ハブ80をスタイレット中間ハブ82に対して回転させることにより、スタイレット中間ハブ82に対して調節可能であり、またカニューレ組立体40(すなわちカニューレハブ46および/またはカニューレ48)に対して調節可能である。より具体的には、
図4~
図6を参照すると、スタイレット前進ハブ80のメスねじ部分80-2およびスタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2のそれぞれは、スタイレット前進ハブ80およびスタイレット84をスタイレット中間ハブ82に対して第2の距離88だけ回転並進させる、第1の距離86のねじピッチを有する。このように、スタイレット84は、カニューレ48の内腔62内で長手方向に運動するように構成される(
図7~
図9も参照)。
【0036】
[0049]この実施形態では、
図4~
図6に最もよく示されているように、スタイレット84は、近位端部分90および遠位端部分92を有する細長い中実部材である。スタイレット前進ハブ80は、スタイレット84の近位端部分90に固定的に取り付けられる。スタイレット84の遠位端部分92は、閉じたニードル先端94を有する。さらに、
図10および
図11も参照すると、本発明の一態様によれば、スタイレット84は、閉じたニードル先端94に対して近位方向のスタイレット84の遠位端部分92に位置付けられた第1の外側巻付きチャネル98および第2の外側巻付きチャネル100を含む外表面96を有する。
【0037】
[0050]第1の外側巻付きチャネル98は、スタイレット84の長手方向の長さに沿って第2の外側巻付きチャネル100から長手方向に間隔を空けて配置され、隔離領域102が、第1の外側巻付きチャネル98と第2の外側巻付きチャネル100との間に長手方向に延在する。隔離領域102は、第2の外側巻付きチャネル100から第1の外側巻付きチャネル98を機械的に隔離するとともに流体的に隔離する。この実施形態では、第1の外側巻付きチャネル98は、(たとえばスタイレット84に沿っていくらかXのような形状を有する)第1の螺旋チャネルの形をとり、第2の外側巻付きチャネル100は、(たとえばスタイレット84に沿っていくらかXのような形状を有する)第2の螺旋チャネルの形をとり、隔離領域102は、第1の螺旋チャネルと第2の螺旋チャネルとの間で長手方向に延在する。
【0038】
[0051]再び
図4~
図6を参照すると、スタイレット前進ハブ80のメスねじ部分80-2は、スタイレット前進ハブ80およびスタイレット84を第2の距離88だけ回転並進させる、第1の距離86のねじピッチを有する(
図6を参照)。したがって、スタイレット前進ハブ80のメスねじ部分80-2は、スタイレット前進ハブ80が1度360度回転すると、スタイレット84が第2の距離88だけ長手方向に運動し、したがって、スタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98および第2の外側巻付きチャネル100のそれぞれが第2の距離88だけ長手方向に、かつ同時に運動するように構成される。この実施形態では、第1の距離86と第2の距離88とは等しく、たとえば1.0ミリメートル~3ミリメートルの範囲の距離でもよい。
【0039】
[0052]以下の説明において、
図4~
図7を参照すると、第1の外側巻付きチャネル98は、遠位方向104を基準とすると、第2の外側巻付きチャネル100に対して遠位方向であり、したがって、第1の外側巻付きチャネル98は、第2の外側巻付きチャネル100がカニューレ48の遠位端部58の遠位延在部を越えて露出させられる前に、カニューレ48の遠位端部58の遠位延在部を越えて最初に露出させられ、それによって2つの連続した動作段階が画定されることになることに言及しておく。
【0040】
[0053]より具体的には、
図5および
図6を参照すると、スタイレット84は第1の段階の位置106および第2の段階の位置108を有する。
[0054]
図7、
図8、
図10、および
図11をさらに参照するとともに
図5を参照すると、
図5に示されているようにスタイレット84が第1の段階の位置106にあるとき、カニューレ48の第1の遠位シーラントポート70および第2の遠位シーラントポート74のそれぞれ、すなわち両方は、スタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98の後方部分98-1と流体連通しており、スタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98の前方部分98-2は、カニューレ48の遠位端部58に対して遠位方向に位置決めされる。言い方を変えれば、スタイレット84が第1の段階の位置106にあるとき、スタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98は、カニューレ48の第1の遠位シーラントポート70および第2の遠位シーラントポート74の両方と流体連通する。
【0041】
[0055]したがって、
図1も再び参照すると、スタイレット84が第1の段階の位置106にある状態でシーラントアプリケータ装置12のプランジャハンドル38を1度目に作動させる(たとえば部分的に押し下げる)と、第1のシーラント成分20および第2のシーラント成分22がスタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98へと運ばれ、第1の外側巻付きチャネル98により、第1の外側巻付きチャネル98で第1のシーラント成分20と第2のシーラント成分22とが混ざり合って複数成分シーラントを形成することが容易になり、混ざり合った複数成分シーラントは、スタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98の前方部分98-2から患者へと送達される。
【0042】
[0056]
図7、
図8、
図10、および
図11をさらに参照するとともに
図6を参照すると、
図6に示されているようにスタイレット84が第2の段階の位置108にあるとき、カニューレ48の第1の遠位シーラントポート70および第2の遠位シーラントポート74のそれぞれは、スタイレット84の第2の外側巻付きチャネル100の後方部分100-1と流体連通しており、スタイレット84の第2の外側巻付きチャネル100の前方部分100-2は、カニューレ48の遠位端部58に対して遠位方向に位置決めされる。言い方を変えれば、スタイレット84が第2の段階の位置108にあるとき、スタイレット84の第2の外側巻付きチャネル100は、カニューレ48の第1の遠位シーラントポート70および第2の遠位シーラントポート74の両方と流体連通する。
【0043】
[0057]したがって、
図1も再び参照すると、スタイレット84が第2の段階の位置108にある状態でシーラントアプリケータ装置12のプランジャハンドル38を2度目に作動させる(たとえば2度目に部分的に押し下げる)と、第1のシーラント成分20および第2のシーラント成分22がスタイレット84を通してスタイレット84の第2の外側巻付きチャネル100へと運ばれ、第2の外側巻付きチャネル100により、第2の外側巻付きチャネル100で第1のシーラント成分20と第2のシーラント成分22とが混ざり合って複数成分シーラントを形成することが容易になり、混ざり合った複数成分シーラントは、スタイレット84の第2の外側巻付きチャネル100の前方部分100-2から患者へと送達される。
【0044】
[0058]ここで
図12を参照すると、スタイレット前進ハブ80およびスタイレット中間ハブ82は、スタイレット前進ハブ80をスタイレット中間ハブ82に対して1回転させるごとに、使用者に触知フィードバックを提供するように構成される。より具体的には、スタイレット前進ハブ80およびスタイレット中間ハブ82は、併せて、スタイレット84が第2の距離88を回転並進するごとに使用者に触知フィードバックを提供するように構成された触知フィードバック機構110を含む。触知フィードバック機構110は、たとえば複数のデテント112およびカンチレバー部材114を含むことができる。複数のデテント112は、たとえばスタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2の、直線的に配置され、間隔を空けて配置された1組のノッチでもよい。カンチレバー部材114は、スタイレット前進ハブ80のハブ本体80-1からたとえば遠位方向104に延在し、スタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2に向かって下向きに延在するカンチレバー指部114-1を有する。カンチレバー指部114-1は、スタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2に接触し、それを辿るように構成され、カンチレバー指部114-1は、カンチレバー部材114により、スタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2に向かう方向に付勢される。スタイレット前進ハブ80がスタイレット中間ハブ82に対して1回転するごとに、スタイレット前進ハブ80のカンチレバー指部114-1はスタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2を辿って、スタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2に形成された複数のデテント112のうちの1つと係合し、それにより、使用者によって感知可能な触知抵抗を提供する。このように、使用者は、スタイレット前進ハブ80がスタイレット中間ハブ82に対して1回転するごとに触知フィードバック機構110によって提供される回転抵抗を検知することにより、スタイレット84がカニューレ組立体40に対してどれだけ前進したかを知ることになる。
【0045】
[0059]
図1~
図3を再び参照すると、任意選択で、スタイレット前進ハブ80とスタイレット中間ハブ82との間に、安全部材44を取外し可能に介在させることができる。
図3に最もよく示されているように、安全部材44は、たとえば、ハンドル44-1と、スタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2を受けるように寸法設定された貫通穴44-2とを有するスペーサの形をとることができる。別法として、安全部材44は、スタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2の上に受けられるクリップの形をとってもよい。安全部材44は、スタイレット中間ハブ82のハブ本体82-1から間隔を空けてスタイレット前進ハブ80のハブ本体80-1を配置するように選択された厚みを有する。
【0046】
[0060]
図1、
図3、
図4、および
図7を参照すると、安全部材44がスタイレット前進ハブ80とスタイレット中間ハブ82との間に介在しているとき、スタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98と第2の外側巻付きチャネル100の両方はカニューレ組立体40のカニューレ48の内腔62内に完全に収容され(
図4、
図7、および
図8を参照)、したがって、第1の遠位ポート70および第2の遠位ポート74は、スタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98および第2の外側巻付きチャネル100のいずれの部分とも半径方向に位置合わせされない。したがって、
図1に示されているように安全部材44が定位置にある状態では、複数成分シーラントをシーラント注入ニードル組立体14から送達することができない。
【0047】
[0061]しかし、
図4を参照すると、安全部材44が取り外された状態では、スタイレット前進ハブ80をスタイレット中間ハブ82およびカニューレ組立体40に対して回転させて、最初に第1の段階の位置106(
図5を参照)に、次いで第2の段階の位置(
図6を参照)に、カニューレ48内でスタイレット84を再位置決めすることができる。たとえば、
図12をさらに参照すると、スタイレット前進ハブ80を触知フィードバック機構110によって作動される第1のデテントまで回転させることにより、スタイレット84は第1の段階の位置106(
図5を参照)に位置決めされ、カニューレ48の第1の遠位シーラントポート70および第2の遠位シーラントポート74のそれぞれ、すなわち両方は、スタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98の後方部分98-1と流体連通し、スタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98の前方部分98-2は、カニューレ48の遠位端部58に対して遠位方向に位置決めされる。したがって、再び
図1も参照すると、このとき、スタイレット84とともに、シーラントアプリケータ装置12のプランジャハンドル38を1度目に作動させる(たとえば部分的に押し下げる)と、第1のシーラント成分20および第2のシーラント成分22がスタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98へと運ばれ、第1の外側巻付きチャネル98により、第1のシーラント成分20と第2のシーラント成分22とが第1の外側巻付きチャネル98で混ざり合って複数成分シーラントを形成することが容易になり、混ざり合った複数成分シーラントは、スタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98の前方部分98-2から患者へと送達される。
【0048】
[0062]第1のシーラント成分20と第2のシーラント成分22とが第1の外側巻付きチャネル98で混ざり合うとすぐに、複数成分シーラントは硬化し始める。したがって、たとえばイメージングまたは装置の再位置決めにより肺手技に遅延があった場合、チャネル内で複数成分シーラントが硬化することにより、第1の外側巻付きチャネル98が使用できなくなる可能性があることが考えられる。しかし、有利には、本発明の一態様によれば、シーラントをさらに送達することが必要である場合、スタイレット前進ハブ80は、触知フィードバック機構110によって作動される次のデテント(
図12を参照)まで回転され、スタイレット84は第2の段階の位置108(
図6を参照)に位置決めされて、新しい送達チャネルを提供する。
【0049】
[0063]たとえば、
図6に示されているように、スタイレット84が第2の段階の位置108にあるとき、カニューレ48の第1の遠位シーラントポート70および第2の遠位シーラントポート74のそれぞれは、スタイレット84の第2の外側巻付きチャネル100の後方部分100-1と流体連通し、スタイレット84の第2の外側巻付きチャネル100の前方部分100-2は、カニューレ48の遠位端部58に対して遠位方向に位置決めされ、第2の外側巻付きチャネル100により、第1のシーラント成分20と第2のシーラント成分22とが第2の外側巻付きチャネル100で混ざり合って複数成分シーラントを形成することが容易になり、混ざり合った複数成分シーラントは、スタイレット84の第2の外側巻付きチャネル100の前方部分100-2から患者へと送達される。
【0050】
[0064]本明細書に記載の実施形態では、スタイレット84は、たとえばスタイレット84の第1の外側巻付きチャネル98および第2の外側巻付きチャネル100(たとえば
図10および
図11を参照)を含む、間隔を空けて配置された2つの外側巻付きチャネルを有するものと記載されている。しかし、スタイレット84を位置決めする追加的な段階を画定し、患者の肺へと至るアクセス通路に複数成分シーラントを送達する追加的な段階を画定するために、スタイレット前進ハブ80のメスねじ部分80-2および/またはスタイレット中間ハブ82のオスねじ部分82-2の、ねじが切られた使用可能な長さ(たとえば
図4~
図6を参照)を単純に修正することにより、スタイレット84の間隔を空けて配置された外側巻付きチャネル、すなわち間隔を空けて配置された螺旋の数を、3つ、4つ、またはそれより多くに増やしてもよいことが、当業者には認識されよう。
【0051】
[0065]以下の項目も本発明に関する。
[0066]一形態では、本発明は、第1のシーラント成分チャンバおよび第2のシーラント成分チャンバを有するシリンジタイプのアプリケータ用の(それとともに使用するための)シーラント注入ニードル組立体に関する。シーラント注入ニードル組立体は、カニューレ組立体およびスタイレット組立体を含む。カニューレ組立体は、カニューレハブおよびカニューレを有することができる。カニューレは、内腔および遠位端部を有することができる。カニューレハブは、カニューレに固定的に連結される。カニューレは、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路を有することができる。第1の長手方向シーラント通路は、第1の近位シーラントポートおよび第1の遠位シーラントポートを有することができる。第2の長手方向シーラント通路は、第2の近位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートを有することができる。第1の近位シーラントポートは第1のシーラント成分チャンバと流体連通するように構成することができ、第2の近位シーラントポートは第2のシーラント成分チャンバと流体連通するように構成することができる。スタイレット組立体は、スタイレット前進ハブおよびスタイレットを有することができる。スタイレット前進ハブは、スタイレットに固定的に連結される。スタイレットは、カニューレの内腔内で長手方向に運動するように構成され得る。スタイレットは、第1の段階の位置および第2の段階の位置を有することができる。スタイレットは、第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルを含む外表面を有することができる。第1の外側巻付きチャネルは、第2の外側巻付きチャネルから長手方向に間隔を空けて配置される。スタイレット組立体は、スタイレットが第1の段階の位置にあるとき、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルがカニューレの第1の遠位シーラントポートと第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通し、スタイレットが第2の段階の位置にあるとき、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルがカニューレの第1の遠位シーラントポートと第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通するように構成され得る。
【0052】
[0067]いずれの実施形態においても、第1の外側巻付きチャネルは第1の螺旋チャネルでもよく、第2の外側巻付きチャネルは第2の螺旋チャネルでもよい。第1の螺旋チャネルと第2の螺旋チャネルとの間に、隔離領域が長手方向に延在する。
【0053】
[0068]いずれの実施形態においても、スタイレット組立体は、スタイレットが第1の段階の位置にあるとき、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルの前方部分がカニューレの遠位端部に対して遠位方向にあり、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルの後方部分がカニューレの第1の遠位シーラントポートと第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通するように構成され得る。
【0054】
[0069]いずれの実施形態においても、スタイレット組立体は、スタイレットが第2の段階の位置にあるとき、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルの前方部分がカニューレの遠位端部に対して遠位方向にあり、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルの後方部分がカニューレの第1の遠位シーラントポートと第2の遠位シーラントポートの両方と流体連通するように構成され得る。
【0055】
[0070]いくつかの実施形態では、カニューレは、近位部分と、遠位端部を有する遠位部分と、内腔を囲繞する側壁とを有することができ、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路は、カニューレの側壁に位置付けられる。第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路のそれぞれは、近位部分から遠位部分へと延在するように構成され得る。
【0056】
[0071]いずれの実施形態においても、カニューレの第1の遠位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートのそれぞれは、カニューレの遠位部分に位置付けられ、カニューレの内腔へと延在するように構成され得る。
【0057】
[0072]いくつかの実施形態では、第1の遠位シーラントポートは、カニューレの内腔を挟んで第2の遠位シーラントポートと正反対に位置することができる。
[0073]いくつかの実施形態では、スタイレットは、近位端部分および遠位端部分を有する細長い中実部材でもよい。スタイレット前進ハブは、近位端部分に固定的に取り付けられ得る。遠位端部分は閉じたニードル先端を有することができる。第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルは、閉じたニードル先端に対して近位方向に、遠位端部分に位置付けられる。
【0058】
[0074]いくつかの実施形態では、スタイレット前進ハブおよびカニューレハブのそれぞれに、スタイレット中間ハブがねじ込み可能に結合されてもよい。
[0075]スタイレット中間ハブを有するいずれの実施形態においても、スタイレット中間ハブは、第1のオスねじ部分および第1のメスねじ部分を有することができる。スタイレット前進ハブは、スタイレット中間ハブの第1のオスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のメスねじ部分を有することができる。カニューレハブは、スタイレット中間ハブの第1のメスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のオスねじ部分を有することができる。
【0059】
[0076]前の段落の実施形態では、スタイレット前進ハブの第2のメスねじ部分は、スタイレット前進ハブおよびスタイレットを第2の距離だけ回転並進させる(ように構成された)第1の距離のねじピッチを有することができ、シーラント注入ニードルは、スタイレット前進ハブが1度360度回転すると、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルのそれぞれが、第2の距離だけ長手方向に運動するように構成される。いくつかの実施形態では、任意選択で、第1の距離と第2の距離とは等しくなる。
【0060】
[0077]スタイレット中間ハブを有するいずれの実施形態においても、任意選択で、シーラント注入ニードル組立体は、スタイレット前進ハブとスタイレット中間ハブとの間に取外し可能に介在させることができる安全部材を備えることができる。
【0061】
[0078]スタイレット中間ハブを有するいずれの実施形態においても、任意選択で、シーラント注入ニードル組立体は、スタイレット前進ハブおよびスタイレット中間ハブが、併せて、スタイレットが第2の距離を回転並進するごとに使用者に触知フィードバックを提供するように構成された触知フィードバック機構を備えるように構成され得る。
【0062】
[0079]本発明は、(気胸を防止する一助となる、)肺アクセス手技のための、上述のようなシーラント注入ニードル組立体を備える組立体、具体的には、上述のようなシーラント注入ニードル組立体を備える肺アクセス組立体にも関する。
【0063】
[0080]別の形態では、本発明は、複数成分シーラントを射出するためのシーラント注入ニードル組立体に関する。シーラント注入ニードル組立体は、近位部分と、遠位部分と、遠位端部と、内腔を囲繞する側壁を有するカニューレとを含むことができる。側壁は、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路を有することができ、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路のそれぞれは、近位部分から遠位部分へと延在する。第1の長手方向シーラント通路は、第1の近位シーラントポートおよび第1の遠位シーラントポートを有することができる。第1の近位シーラントポートは、複数成分シーラントの第1のシーラント成分と流体連通するように構成され得る。第1の遠位シーラントポートは、カニューレの内腔と流体連通するように遠位部分に位置付けられる。第2の長手方向シーラント通路は、第2の近位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートを有することができる。第2の近位シーラントポートは、複数成分シーラントの第2のシーラント成分と流体連通するように構成され得る。第2の遠位シーラントポートは、カニューレの内腔と流体連通するように遠位部分に位置付けられる。スタイレットは、第1の段階の位置と第2の段階の位置との間でカニューレの内腔内を長手方向に運動するように構成され得る。スタイレットは、第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルを含むことができる外表面を有することができる。第1の外側巻付きチャネルは、第2の外側巻付きチャネルから長手方向に間隔を空けて配置される。スタイレット(シーラント注入ニードル組立体)は、スタイレットが第1の段階の位置にあるとき、カニューレの第1の遠位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートのそれぞれが、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルの後方部分と流体連通し、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルの前方部分が、カニューレの遠位端部に対して遠位方向に位置決めされるように構成される。また、スタイレット(シーラント注入ニードル組立体)は、スタイレットが第2の段階の位置にあるとき、カニューレの第1の遠位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートのそれぞれが、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルの後方部分と流体連通し、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルの前方部分が、カニューレの遠位端部に対して遠位方向に位置決めされるように構成される。
【0064】
[0081]前の段落の実施形態では、シーラント注入ニードル組立体は、カニューレに固定的に連結されたカニューレハブを備えることができ、スタイレット前進ハブが、スタイレットに固定的に連結されてもよく、スタイレット中間ハブが、スタイレット前進ハブおよびカニューレハブのそれぞれに結合されてもよい。
【0065】
[0082]スタイレット中間ハブを含む実施形態では、スタイレット中間ハブは、第1のオスねじ部分および第1のメスねじ部分を有することができる。スタイレット前進ハブは、スタイレット中間ハブの第1のオスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のメスねじ部分を有することができる。カニューレハブは、スタイレット中間ハブの第1のメスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のオスねじ部分を有することができる。スタイレット前進ハブの第2のメスねじ部分は、スタイレット前進ハブおよびスタイレットを第2の距離だけ回転並進させる(ように構成された)第1の距離のねじピッチを有することができ、スタイレット前進ハブが1度360度回転すると、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルのそれぞれが、第2の距離だけ長手方向に運動するように構成され得る。
【0066】
[0083]スタイレット中間ハブを含む実施形態では、スタイレット前進ハブおよびスタイレット中間ハブは、併せて、スタイレットが第2の距離を回転並進するごとに使用者に触知フィードバックを提供するように構成された触知フィードバック機構を備えることができる。
【0067】
[0084]スタイレット中間ハブを含む実施形態では、任意選択で、シーラント注入ニードル組立体は、スタイレット前進ハブとスタイレット中間ハブとの間に取外し可能に介在させられる安全部材を備えることができる。
【0068】
[0085]上述のような、複数成分シーラントを射出するためのシーラント注入ニードル組立体は、上記の項目[0065]~[0084]の特徴を有することができ、かつ/または肺アクセス手技用でもよく、かつ/または肺アクセス組立体に含まれてもよい。
【0069】
[0086]別の形態では、本発明は、気胸を防止する一助となる、肺アクセス手技で使用するためのシーラント送達機器に関する。シーラント送達機器は、シーラントアプリケータ装置、カニューレ組立体、およびスタイレット組立体を含むことができる。シーラントアプリケータ装置は、作動装置と、複数成分シーラントの第1のシーラント成分を保持するように構成された第1のシーラント成分チャンバと、複数成分シーラントの第2のシーラント成分を保持するように構成された第2のシーラント成分チャンバとを有することができる。第1のシーラント成分チャンバは第1のアプリケータポートを有することができ、第2のシーラント成分チャンバは第2のアプリケータポートを有することができる。カニューレ組立体は、カニューレハブと、内腔および遠位端部を有することができるカニューレとを有することができる。カニューレハブは、カニューレに固定的に連結され得る。カニューレは、第1の長手方向シーラント通路および第2の長手方向シーラント通路を有するように構成され得る。第1の長手方向シーラント通路は、第1の近位シーラントポートおよび第1の遠位シーラントポートを有することができる。第2の長手方向シーラント通路は、第2の近位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートを有することができる。第1の近位シーラントポートは、シーラントアプリケータ装置の第1のシーラント成分チャンバの第1のアプリケータポートと流体連通するように構成され得る。第2の近位シーラントポートは、シーラントアプリケータ装置の第2のシーラント成分チャンバの第2のアプリケータポートと流体連通するように構成され得る。スタイレット組立体は、スタイレット前進ハブ、スタイレット中間ハブ、およびスタイレットを有することができる。スタイレット中間ハブは、カニューレハブとスタイレット前進ハブとの間にねじ込み可能に介在させられ得る。スタイレット前進ハブは、スタイレットに固定的に連結され得る。スタイレットは、カニューレの内腔内で長手方向に運動するように構成され得る。スタイレットは、第1の段階の位置および第2の段階の位置を有することができる。スタイレットは、第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルを含むことができる外表面を有する。第1の外側巻付きチャネルは、第2の外側巻付きチャネルから長手方向に間隔を空けて配置される。スタイレット組立体(シーラント送達機器)は、スタイレットが第1の段階の位置にあるとき、カニューレの第1の遠位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートのそれぞれが、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルと流体連通し、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルの前方部分が、カニューレの遠位端部に対して遠位方向に位置決めされ、スタイレットが第2の段階の位置にあるとき、カニューレの第1の遠位シーラントポートおよび第2の遠位シーラントポートのそれぞれが、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルと流体連通し、スタイレットの第2の外側巻付きチャネルの前方部分が、カニューレの遠位端部に対して遠位方向に位置決めされるように構成され得る。
【0070】
[0087]前の段落の実施形態では、スタイレット中間ハブは、第1のオスねじ部分および第1のメスねじ部分を有することができる。スタイレット前進ハブは、スタイレット中間ハブの第1のオスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のメスねじ部分を有することができる。カニューレハブは、スタイレット中間ハブの第1のメスねじ部分にねじ込み可能に係合するように構成された第2のオスねじ部分を有することができる。スタイレット前進ハブの第2のメスねじ部分は、スタイレット前進ハブおよびスタイレットを第2の距離だけ回転並進させる(ように構成された)第1の距離のねじピッチを有することができ、スタイレット前進ハブが1度360度回転すると、スタイレットの第1の外側巻付きチャネルおよび第2の外側巻付きチャネルのそれぞれが第2の距離だけ長手方向に運動するように構成され得る。
【0071】
[0088]任意選択で、スタイレット前進ハブおよびスタイレット中間ハブは、併せて、スタイレットが第2の距離を回転並進するごとに使用者に触知フィードバックを提供するように構成された触知フィードバック機構を備えることができる。
【0072】
[0089]任意選択で、シーラント送達機器は、スタイレット前進ハブとスタイレット中間ハブとの間に取外し可能に介在させられる安全部材を備えることができる。
[0090]上述のようなシーラント注入送達機器は、上述のようなシーラント注入ニードル組立体の特徴を有することができ、かつ/または肺アクセス組立体に含まれてもよい。
【0073】
[0091]少なくとも1つの実施形態に関連して本発明を説明してきたが、本発明は、本開示の趣旨内および範囲内でさらに修正されてもよい。したがって、本出願は、その一般的原理を使用する本発明の任意の変形形態、使用法、または適用を包含することを意図している。さらに、本出願は、本発明が関係し、添付の特許請求の範囲の限定に含まれる、当技術分野における知られている慣行または通例の慣行に含まれる、本開示からの逸脱を包含することを意図している。
【国際調査報告】