(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】洗浄装置を備える搾乳装置
(51)【国際特許分類】
A01J 7/02 20060101AFI20230608BHJP
A01J 5/007 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A01J7/02
A01J5/007
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562301
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 SE2021050449
(87)【国際公開番号】W WO2021230798
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521499848
【氏名又は名称】デラバル ホールディング アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダデイ、マレク
(72)【発明者】
【氏名】ズマルズリー、セバスチャン
(57)【要約】
搾乳装置であって、ミルク輸送ライン(1)と、ミルク輸送ライン(1)に接続された複数のミルクステーション(2)と、ミルク輸送ライン(1)に接続された受容器(3)であって、ミルク輸送ライン(1)を介してミルクステーション(2)から受容器(3)に輸送されるミルクを受容するように構成された受容器(3)と、受容器(3)を介してミルク輸送ライン(1)内に真空を供給するように構成された真空システム(4)と、ミルク輸送ライン(1)に接続された洗浄液源(9)と、ある量のガスをミルク輸送ライン(1)に導入するように構成された制御可能なインジェクタ(10)であって、したがって、ミルク輸送ライン(1)内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄液源(9)からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ライン(1)を通して転送される、インジェクタ(10)と、インジェクタ(10)の動作を制御するように構成された制御システム(19)と、を備える搾乳装置。洗浄シーケンス中、制御システム(19)は、真空システム(4)によって供給される真空レベルおよび/または制御可能なインジェクタ(10)を介して導入されるガスの量を制御することによって、スラグ特性を制御するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳装置であって、
-ミルク輸送ライン(1)と、
-前記ミルク輸送ライン(1)に接続された複数のミルクステーション(2)と、
-前記ミルク輸送ライン(1)に接続された受容器(3)であって、前記ミルク輸送ライン(1)を介して前記ミルクステーション(2)から前記受容器(3)に輸送されるミルクを受容するように構成された受容器(3)と、
-前記受容器(3)を介して前記ミルク輸送ライン(1)内に真空を供給するように構成された真空システム(4)と、
-前記ミルク輸送ライン(1)に接続された洗浄液源(9)と、
-ある量のガスをミルク輸送ライン(1)に導入するように構成された制御可能なインジェクタ(10)であって、したがって、ミルク輸送ライン(1)内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、前記洗浄液源(9)からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ライン(1)を通して転送される、インジェクタ(10)と、
-前記インジェクタ(10)の動作を制御するように構成された制御システム(19)であって、前記搾乳装置は、洗浄シーケンス中、前記制御システム(19)が、前記真空システム(4)によって供給される真空レベル、および/または前記制御可能なインジェクタ(10)を介して導入される前記ガスの量を制御することによって、スラグ特性を制御するように構成されていることを特徴とする、制御システム(19)と、を備える搾乳装置。
【請求項2】
前記真空システム(4)は、真空ポンプ(5)と、前記受容器(3)を前記真空ポンプ(5)と接続するラインにガスを導入するように構成された制御可能な弁(6)とを備えることと、前記制御システム(19)は、前記真空ポンプ(5)および前記制御可能な弁(6)のうちの少なくとも一方を制御することによって、前記真空システムによって供給される前記真空レベルを制御するように構成されていることと、を特徴とする、請求項1に記載の搾乳装置。
【請求項3】
前記制御システム(19)は、前記制御可能なインジェクタ(10)を介して導入される時間単位当たりの前記ガスの量を制御することによって、スラグ特性を制御するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の搾乳装置。
【請求項4】
前記制御可能なインジェクタ(10)は、制御可能な可変断面を有するチャネルを提示することと、前記制御システム(19)は、前記制御可能なインジェクタ(10)を介して導入される時間単位当たりの前記ガスの量を制御するために、前記チャネルの前記可変断面を制御するように構成されていることと、を特徴とする、請求項3に記載の搾乳装置。
【請求項5】
前記制御システム(19)によって制御される前記スラグ特性は、
-個々のスラグのスラグ速度、
-個々のスラグの長さ、のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項6】
前記制御システム(19)は、第1の洗浄シーケンス専用の第1の制御モードおよび第2の洗浄シーケンス専用の第2の制御モードを備えることと、前記第1の制御モードにおいて、前記生成されるスラグの前記特性は、前記第2の制御モードにおいて生成される前記スラグの前記特性とは異なることと、を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項7】
前記第1の制御モードは第1の洗浄液を使用し、前記第2の制御モードは第2の洗浄液を使用することを特徴とする、請求項6に記載の搾乳装置。
【請求項8】
前記第1の洗浄シーケンスは予洗シーケンスであることと、前記第2の洗浄シーケンスは主洗浄シーケンスであることと、前記第1の制御モードによって生成される前記スラグは、前記第2の制御モードによって生成される前記スラグの平均速度よりも、前記ミルク輸送ライン(1)を通して、より高い平均速度を有することと、を特徴とする、請求項6または7に記載の搾乳装置。
【請求項9】
前記第2の制御モードによって生成される前記スラグは、前記第1の制御モードによって生成される前記スラグの平均長よりも長い平均長を有することを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項10】
前記真空システム(4)によって供給される前記真空レベルは、前記第2の制御モードにおけるよりも、前記第1の制御モードにおいてより高いことを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項11】
前記ミルク輸送ライン(1)は、100メートル以上の長さを有することと、前記インジェクタ(10)は、前記ミルク受容器(3)が設けられている端部とは反対側の、前記ミルク輸送ライン(1)の端部に接続して配置されていることと、を特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項12】
前記真空ポンプ(5)は、前記受容器(3)に接続されて、その中に真空を供給することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項13】
前記インジェクタ(10)は、大気圧の空気を前記ミルク輸送ライン(1)に導入するように構成されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項14】
前記スラグ特性に関連する少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されたセンサ装置(26、27)を備えることと、前記制御システム(19)は、前記センサ装置(26、27)によって測定される前記少なくとも1つのパラメータを受信し、それに基づいて、前記スラグ特性の指標を生成するように、かつ、前記指標に基づいて、前記真空システム(4)によって供給される前記真空レベルおよび/または前記制御可能なインジェクタ(10)を介して導入される前記ガスの量を制御するように構成されていることと、を特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項15】
前記センサ装置(26、27)は、圧力センサ、超音波センサ、電磁センサ、光学センサ、または加速度計のうちのいずれか1つを備えることを特徴とする、請求項14に記載の搾乳装置。
【請求項16】
前記ミルク輸送ライン(1)内に存在する前記洗浄液の量を決定するように構成された少なくとも1つの流量計(14~17)を備えることと、前記制御システム(19)は、前記少なくとも1つの流量計(14~17)によって決定される前記洗浄液の量に基づいて、前記真空システム(4)によって供給される前記真空レベルおよび/または前記制御可能なインジェクタ(10)を介して導入される前記ガスの量を制御するように構成されていることと、を特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳装置であって、ミルク輸送ラインと、ミルク輸送ラインに接続された複数のミルクステーションと、ミルク輸送ラインに接続された受容器であって、ミルク輸送ラインを介してミルクステーションから受容器に輸送されるミルクを受容するように構成された受容器と、受容器を介してミルク輸送ライン内に真空を供給するように構成された真空システムと、ミルク輸送ラインに接続された洗浄液源と、ある量のガスをミルク輸送ラインに導入するように構成された制御可能なインジェクタであって、したがって、ミルク輸送ライン内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄液源からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ラインを通して転送される、インジェクタと、インジェクタの動作を制御するように構成された制御システムと、を備える搾乳装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搾乳装置は、ミルクステーション、ミルク輸送ライン、ならびにミルク輸送ラインに沿って設けられたフィルタおよび熱交換器などのコンポーネントを繰り返し洗浄する目的で設けられた洗浄装置を備える。洗浄は、予洗および主洗浄などの様々なシーケンスを含む。
【0003】
システムに真空を供給するための真空システムが装備された搾乳装置がよく知られている。真空システムは、ミルク輸送および洗浄液輸送に真空を供給するように構成され得る。洗浄システムには、ある量のガス、通常は大気を、ミルク輸送ラインに導入するように構成された制御可能なインジェクタであって、したがって、ミルク輸送ライン内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄液源からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ラインを通して転送される、インジェクタが装備され得る。スラグは、ミルク輸送ラインの断面を満たし、一方で、真空によって駆動されて、ミルク輸送ラインを通して高速で移動する液体柱である。各スラグは、ミルク輸送ラインの長さに比べて、短い長さを有する。スラグは、真空システムによって真空が供給される、いわゆる受容器内にたどり着く。受容器は、ポンプに接続され得、それによって、さらなるスラグを生成するために、受容器内の液体が圧送されて洗浄液源に戻される。受容器から、ミルク輸送ラインは、ミルクポンプ、フィルタ、および熱交換器を介してミルクタンクまで続く。洗浄液を圧送して洗浄液源に戻すためのポンプは、ミルクポンプであり得、それにより、洗浄液は、ミルク輸送ラインのその部分内のフィルタおよび熱交換器を通して圧送され得る。
【0004】
従来技術によれば、スラグの初期の長さおよび速度などのスラグ特性に影響を与えるインジェクタの開放時間は、搾乳装置の較正に関連して設定され、その後、変更されないままとなる。
【0005】
しかしながら、ミルク装置の動作中、スラグの特性に影響を与えるミルク輸送ライン内の状態は、変化し得る。状態は、ミルク輸送ライン内に存在する液体の量および/またはミルク輸送ライン内の真空レベルであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、洗浄シーケンス中にスラグ特性を制御できることの重要性、ならびに異なる洗浄シーケンスに対して異なるスラグ特性を使用することの重要性および利点も認識した。
【0007】
スラグ特性を制御することができる搾乳装置を提示することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の目的は、搾乳装置であって、
-ミルク輸送ラインと、
-ミルク輸送ラインに接続された複数のミルクステーションと、
-ミルク輸送ラインに接続された受容器であって、ミルク輸送ライン介してミルクステーションから受容器に輸送されるミルクを受容するように構成された受容器と、
-受容器を介してミルク輸送ライン内に真空を供給するように構成された真空システムと、
-ミルク輸送ラインに接続された洗浄液源と、
-ある量のガスをミルク輸送ラインに導入するように構成された制御可能なインジェクタであって、したがって、ミルク輸送ライン内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄液源からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ラインを通して転送される、インジェクタと、
-インジェクタの動作を制御するように構成された制御システムであって、搾乳装置は、洗浄シーケンス中、制御システムが、真空システムによって供給される真空レベル、および/または制御可能なインジェクタを介して導入されるガスの量を制御することによって、スラグ特性を制御するように構成されていることを特徴とする、制御システムと、を備える搾乳装置によって達成される。
【0009】
1つの実施形態によれば、真空システムは、真空ポンプと、受容器を真空ポンプと接続するラインにガスを導入するように構成された制御可能な弁とを備え、制御システムは、真空ポンプおよび制御可能な弁のうちの少なくとも一方を制御することによって、真空システムによって供給される真空レベルを制御するように構成される。
【0010】
1つの実施形態によれば、制御システムは、制御可能なインジェクタを介して導入される時間単位当たりのガスの量を制御することによって、スラグ特性を制御するように構成される。
【0011】
1つの実施形態によれば、制御可能なインジェクタは、制御可能な可変断面を有するチャネルを提示し、制御システムは、制御可能なインジェクタを介して導入される時間単位当たりのガスの量を制御するために、チャネルの可変断面を制御するように構成される。断面は、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間で、複数の増分ステップで可変である。制御システムはまた、インジェクタが開いていて、ミルク輸送ラインに空気を導入する時間を制御するように構成され得る。
【0012】
1つの実施形態によれば、制御システムによって制御されるスラグ特性は、個々のスラグのスラグ速度および個々のスラグの長さのうちの少なくとも一方を含む。スラグは、ミルク輸送ラインの導管の断面全体を満たす流体柱として定義され得る。各スラグは、ミルク輸送ラインの長さのごく一部にすぎない長さを有する。
【0013】
1つの実施形態によれば、制御システムは、第1の洗浄シーケンス専用の第1の制御モードおよび第2の洗浄シーケンス専用の第2の制御モードを備え、第1の制御モードにおいて、生成されるスラグの特性は、第2の制御モードにおいて生成されるスラグの特性とは異なる。したがって、制御システムは、様々な洗浄シーケンスの要件に関してスラグ特性を適応させ、最適化するように構成されている。
【0014】
1つの実施形態によれば、第1の制御モードは第1の洗浄液を使用し、第2の制御モードは第2の洗浄液を使用する。典型的には、洗浄液の化学組成は、異なる洗浄シーケンス間で異なり得る。洗浄液の温度もまた、制御システムによって制御され、異なる洗浄シーケンスに対して異なるように制御され得る。
【0015】
1つの実施形態によれば、第1の洗浄シーケンスは予洗シーケンスであり、第2の洗浄シーケンスは主洗浄シーケンスであり、第1の制御モードによって生成されるスラグは、第2の制御モードによって生成されるスラグの平均速度よりも、ミルク輸送ラインを通して、より高い平均速度を有する。典型的には、予洗の目的は、ミルク輸送ラインを洗い流すこと、および残留物を除去することであり、主洗浄シーケンスは、洗浄液とミルク輸送ラインとの間の接触時間に依拠する。したがって、第1のモードによって生成されるスラグのより高い速度は、好ましい。
【0016】
1つの実施形態によれば、第1の洗浄シーケンスは予洗シーケンスであり、第2の洗浄シーケンスは主洗浄シーケンスであり、第2の制御モードによって生成されるスラグは、第1の制御モードによって生成されるスラグの平均長よりも長い平均長を有する。したがって、洗浄液とミルク輸送ラインの壁との間のより長い接触時間が、第2のモードにおいて達成され、それは、主洗浄シーケンスに好ましい。
【0017】
1つの実施形態によれば、真空システムによって供給される真空レベルは、第2の制御モードにおけるよりも、第1の制御モードにおいてより高い。したがって、スラグのより高い速度が、第1の制御モードにおいて達成される
【0018】
1つの実施形態によれば、ミルク輸送ラインは、100メートル以上の長さを有し、インジェクタは、ミルク受容器が設けられている端部とは反対側のミルク輸送ラインの端部に接続して配置される。
【0019】
1つの実施形態によれば、真空ポンプは、受容器に接続されて、その中に真空を供給する。
【0020】
1つの実施形態によれば、インジェクタは、大気圧の空気をミルク輸送ラインに導入するように構成される。
【0021】
1つの実施形態によれば、搾乳装置は、スラグ特性に関連する少なくとも1つのパラメータを測定するように構成されたセンサ装置を備え、制御システムは、センサ装置によって測定された少なくとも1つのパラメータを受信し、それに基づいて、スラグ特性の指標を生成するように、かつ、指標に基づいて、真空システムによって供給される真空レベルおよび/または制御可能なインジェクタを介して導入されるガスの量を制御するように構成される。したがって、センサ装置からの情報は、スラグ特性を制御する目的で利用される。1つの実施形態によれば、センサ装置は、ミルク輸送ライン内のスラグが生成される場所の近傍に、好ましくはその場所から10メートル以内に配置された第1のセンサを備え、一方、第2のセンサが、受容器の近傍、好ましくは受容器から10メートルに配置される。したがって、第1および第2のセンサは、それぞれのセンサによって検出されたスラグの通過時間に基づいて、および第1のセンサと第2のセンサとの間の距離に基づいて、第1センサと第2のセンサとの間のスラグの平均速度を測定するように構成され得る。
【0022】
1つの実施形態によれば、センサ装置は、圧力センサ、超音波センサ、電磁センサ、光学センサ、または加速度計のうちのいずれか1つを備える。
【0023】
1つの実施形態によれば、搾乳装置は、ミルク輸送ライン内に存在する洗浄液の量を決定するように構成された少なくとも1つの流量計を備え、制御システムは、少なくとも1つの流量計によって決定された洗浄液の量に基づいて、真空システムによって供給される真空レベルおよび/または制御可能なインジェクタを介して導入されるガスの量を制御するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、発明の一実施形態による搾乳装置を示す。搾乳装置は、ミルク輸送ライン1と、ミルク輸送ライン1に接続された複数のミルクステーション2とを備える。各ミルクステーション2は、動物の搾乳のための搾乳器具を備える。ミルク輸送ライン1は、100メートル以上の長さを有する。
【0026】
搾乳装置は、ミルク輸送ライン1に接続された受容器3であって、ミルク輸送ライン1を介してミルクステーション2から受容器3に輸送されるミルクを受容するように構成された受容器3をさらに備える。
【0027】
受容器3を介してミルク輸送ライン1内に真空を供給するように構成された真空システム4も設けられている。真空システム4は、真空ポンプ5と、ガス、好ましくは大気を、受容器3を真空ポンプ5と接続するラインに導入するように構成された制御可能な弁6とを備える。真空システムによって供給される真空は、真空ポンプ5の効果および/または制御可能な弁6の開閉を制御することによって制御され得る。真空システム4はまた、直列に配置されたサニタリトラップ7および緩衝タンク8を備え、これらを介して、真空ポンプ5は受容器3に接続されている。真空システム4は、搾乳中にミルク輸送ライン内に真空を供給するために使用される。しかしながら、後述するように、真空システム4はまた、洗浄シーケンスを制御するためにも使用される。
【0028】
洗浄液源9が、ミルク輸送ライン1に接続されている。洗浄液源9は、洗浄液、好ましくは、異なる洗浄シーケンスのための、典型的には異なる化学組成および/または異なる温度を有する、異なる特性の洗浄液が収容される1つ以上の容器を備え得る。
【0029】
ある量のガス、好ましくは大気を、ミルク輸送ライン1に導入するように構成された制御可能なインジェクタ10も設けられ、したがって、ミルク輸送ライン1内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄液源9からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ライン1を通して転送される。液体源9は、管材11および制御可能な弁12を介して、インジェクタ10の近傍のミルク輸送ラインに接続されている。搾乳ステーション2の器具もまた、管材11および制御可能な弁13を介して、液体源9に、それ自体は周知の方法で接続可能である。インジェクタ10に接続し、かつミルクステーション2に接続する流量計14、15、16、17が、ミルク輸送ライン1に入り、ミルク輸送ライン1の少なくとも一部を占める洗浄液の流れを測定するために設けられている。
【0030】
ポンプ20が設けられ、それを介して洗浄液が受容器3から洗浄液源16に圧送される。示された特定の実施形態では、ポンプ20はまた、搾乳中に受容器からミルクタンク21にミルクを圧送するように構成されている。示された実施形態では、ポンプ20によって圧送される洗浄液は、ポンプ20とミルクタンク21との間に配置されたフィルタ22および熱交換器23を介して、液体源9に圧送される。圧送される洗浄液を、ミルクタンク21の方へではなく、洗浄液源9の方へ向けるために、制御可能な弁25が設けられている。洗浄中、制御可能な弁25は、洗浄液がミルクタンク21に流入するのを防ぐ。
【0031】
搾乳装置は、インジェクタ10、真空システム4の真空ポンプ5および制御可能な弁6の動作を制御するように構成された制御システム19をさらに備える。制御システム19は、真空ポンプ5および制御可能な弁6のうちの少なくとも一方を制御することによって、真空システム4によって供給される真空レベルを制御するように構成されている。それにより、制御システムは、真空ポンプ5の回転数および制御可能な弁6の開放時間を制御するように構成されている。圧力センサ(図示せず)が、真空ポンプ5を受容器3と接続するラインに設けられてもよく、制御システム19は、圧力センサからの入力に基づいて真空システム4を制御するように構成され得る。制御システム19はまた、制御可能なインジェクタ10を介して導入される時間単位当たりのガスの量を制御することによって、スラグ特性を制御するように構成されている。制御可能なインジェクタ10は、制御可能な可変断面を有するチャネルを提示し、制御システム19は、制御可能なインジェクタ10を介して導入される時間単位当たりのガスの量を制御するために、チャネルの可変断面を制御するように構成されている。それにより、制御システム19によって制御されるスラグ特性は、個々のスラグのスラグ速度および個々のスラグの長さを含む。
【0032】
制御システム19はまた、制御可能な弁12、13の動作を制御するように構成されており、それらを介して、洗浄液源9からの洗浄液が、インジェクタ10を介して、またはミルクステーション2の搾乳器具を介してのいずれかで、ミルク輸送ライン1に入ることを可能にする。制御システム19はまた、ポンプ20の動作を制御するように構成されており、それを介して洗浄液が受容器3から洗浄液源9に圧送される。
【0033】
制御システム19は、ここでは、プロセッサおよび読み取り可能なメモリを備える制御ユニットによって例示されている。もちろん、クラウドベースの解決策などの代替実施形態も考えられる。
【0034】
制御システム19は、第1の洗浄シーケンス専用の第1の制御モードおよび第2の洗浄シーケンス専用の第2の制御モードを備える。第1の制御モードにおいて、生成されるスラグの特性は、第2の制御モードにおいて生成されるスラグの特性とは異なる。
【0035】
提示された実施形態では、第1の制御モードは第1の洗浄液を使用し、第2の制御モードは第2の洗浄液を使用する。
【0036】
第1の洗浄シーケンスは予洗シーケンスであり、第2の洗浄シーケンスは主洗浄シーケンスである。第1の制御モードによって生成されるスラグは、第2の制御モードによって生成されるスラグの平均速度よりも、ミルク輸送ライン1を通して、より高い平均速度を有する。第2の制御モードによって生成されるスラグは、第1の制御モードによって生成されるスラグの平均長よりも長い平均長を有する。真空システム4によって供給される真空レベルは、第2の制御モードにおいてよりも、第1の制御モードにおいてより高い。より高い真空レベルは、より低い圧力レベルと称される。
【0037】
スラグが受容器3に入るときのスラグ特性の指標が、受容器3の外側に設けられた3D加速度計27によって測定される。スラグは、スラグの速度および長さ(質量)に対応する受容器の動きを生成する。この動きは、加速度計27によって記録される。制御システム19は、読み取り可能なメモリを備え、その中に、各値がスラグ特性の値を表す設定値を有する検索テーブルが記憶されている。制御システムは、加速度計27の測定値を検索テーブルの設定値と比較するように、かつ、スラグのスラグ特性、速度、および/または長さが、加速度計によって測定された値に最も近い事前設定値に対応すると判定するように構成されている。設定値とスラグ特性との相関関係は、受容器の設計、加速度計の設計、および受容器上の加速度計の位置の所定の組み合わせについて、実験室環境で決定されている場合がある。
【0038】
要求されるスラグ特性を達成する目的で、スラグ特性の知識に基づいて、搾乳装置を制御するための、好ましくは制御可能なインジェクタおよび/または真空システムを制御するための手段が講じられ得る。それにより、制御システムは、それぞれの洗浄シーケンスごとに要求されるスラグ特性に対応するスラグ特性を達成するために、反復プロセス、典型的には閉ループプロセスを実行するように構成され得る。
【0039】
示された実施形態では、搾乳装置は、ミルク輸送ラインの第1の位置に配置された第1の圧力センサ26aと、第1の位置から所定の距離の第2の位置に配置された第2の圧力センサ26bとを備えるセンサ装置を備える。スラグの通過は、圧力の変化をもたらし、それは、それぞれのセンサ26a、26bによって測定可能である。圧力センサ26a、26b間の既知の距離と、スラグの通過がそれぞれのセンサによって検出される時点とに基づいて、制御システム19は、スラグの平均速度を決定するように構成されている。スラグの平均長もまた、例えば、WO2017/091126に記載されているように、圧力センサ26a、26bの測定値に基づいて決定され得る。第1の圧力センサ26aは、ミルク輸送ライン内でスラグが生成される場所の近傍に、好ましくはその場所から10メートル以内に配置され、一方、第2の圧力センサ26bは、受容器3の近傍に、好ましくは受容器3から10メートルに配置される。したがって、第1および第2の圧力センサ26a、26bは、それぞれのセンサによって検出されたスラグの通過時間に基づいて、および第1のセンサと第2のセンサとの間の距離に基づいて、第1のセンサと第2のセンサとの間のスラグの平均速度を測定するように構成され得る。
【0040】
圧力センサ26a、26bは、ミルク輸送ライン1の所定の位置におけるスラグ特性についての情報を与え、一方、加速度計27は、受容器3内のスラグ特性についての情報を与える。制御システム19は、インジェクタ10または真空システム4を制御するために、任意の好適な方法で情報を組み合わせるように構成され得る。
【0041】
制御システム19はまた、流量計14~17によって決定される洗浄液の量に基づいて、真空システム4によって供給される真空レベルおよび/または制御可能なインジェクタ10を介して導入されるガスの量を制御するように構成されている。
【国際調査報告】