(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】洗浄装置を備える搾乳装置
(51)【国際特許分類】
A01J 5/007 20060101AFI20230608BHJP
B65G 53/12 20060101ALI20230608BHJP
A01J 7/02 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A01J5/007
B65G53/12
A01J7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562814
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 SE2021050452
(87)【国際公開番号】W WO2021230801
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521499848
【氏名又は名称】デラバル ホールディング アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボセク、ウカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ステンセル、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ストレメッキ、トマシュ
【テーマコード(参考)】
3F047
【Fターム(参考)】
3F047AA13
3F047AB00
3F047BA01
(57)【要約】
搾乳装置であって、ミルク輸送ライン(1)と、ミルク輸送ライン(1)に接続された複数のミルクステーション(2)と、ミルク輸送ライン(1)に接続され、かつミルク輸送ライン(1)を介してミルクステーション(2)から受容器(3)に輸送されたミルクを受容するように構成された、受容器(3)と、受容器(3)を介してミルク輸送ライン(1)内に真空を供給するように構成された真空システム(4)と、ミルク輸送ライン(1)に接続された洗浄液源(9)と、ある量のガスをミルク輸送ライン(1)に導入するように構成された制御可能なインジェクタ(10)であって、したがって、ミルク輸送ライン(1)内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄液源(9)からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ライン(1)を通して転送される、制御可能なインジェクタ(10)と、インジェクタ(10)の動作を制御するように構成された制御システム(19)と、を備える、搾乳装置。振動センサ(27)は、受容器(3)に配置され、かつスラグが受容器(3)に入ることによって引き起こされた受容器(3)の動きを測定するように構成されており、制御システム(19)は、振動センサ(27)の測定値に基づいてスラグが受容器(3)に入ることを判定するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳装置であって、
-ミルク輸送ライン(1)と、
-前記ミルク輸送ライン(1)に接続された複数のミルクステーション(2)と、
-受容器(3)であって、前記ミルク輸送ライン(1)に接続され、かつ前記ミルク輸送ライン(1)を介して前記ミルクステーション(2)から前記受容器(3)に輸送されたミルクを受容するように構成された、受容器(3)と、
-前記ミルク輸送ライン(1)内に真空を供給するように構成された真空システム(4)と、
-前記ミルク輸送ライン(1)に接続された洗浄液源(9)と、
-ある量のガスを前記ミルク輸送ライン(1)に導入するように構成された制御可能なインジェクタ(10)であって、したがって、前記ミルク輸送ライン(1)内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄源からの洗浄液のスラグが形成され、前記ミルク輸送ライン(1)を通して転送される、制御可能なインジェクタ(10)と、
-前記インジェクタ(10)を制御するように構成された制御システム(19)と、を備え、
前記搾乳装置が、前記受容器(3)に配置され、かつスラグが前記受容器(3)に入ることによって引き起こされた前記受容器(3)の動きを測定するように構成された、振動センサ(27)を備え、前記制御システム(19)が前記振動センサ(27)の測定値に基づいてスラグが前記受容器に入ることを判定するように構成されていることを特徴とする、搾乳装置。
【請求項2】
前記振動センサ(27)が、加速度計であることを特徴とする、請求項1に記載の搾乳装置。
【請求項3】
前記振動センサ(27)が、前記受容器(3)の外側に位置付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の搾乳装置。
【請求項4】
前記制御システム(19)が、前記振動センサ(27)の前記測定値に基づいてスラグの特性を決定するように構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項5】
前記制御システム(19)は、読み取り可能なメモリを備え、その中に、各値がスラグ特性の値を表す設定値を有するルックアップテーブルが記憶されており、前記制御システムが、前記振動センサ(27)の前記測定値を前記ルックアップテーブルにおける設定値と比較し、かつスラグの前記スラグ特性が前記振動センサによって測定された値に最も近い事前設定値に対応することを判定するように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の搾乳装置。
【請求項6】
前記特性が、前記スラグの長さおよび/または前記スラグの速度であることを特徴とする、請求項4または5に記載の搾乳装置。
【請求項7】
前記制御システム(19)が、前記振動センサの前記測定値に基づいて、前記真空システム(4)によって供給される真空レベルおよび/または前記制御可能なインジェクタ(10)を介して導入されたガスの量を調整するように構成されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項8】
前記搾乳装置が、前記ミルク輸送ライン(1)に沿って配置されたセンサ装置(26a、26b)を備え、前記センサ装置(26a、26b)が、圧力センサ、超音波センサ、または電磁センサのうちのいずれか1つを含み、前記制御システム(19)が、前記センサ装置(26a、26b)の測定値に基づいて、スラグ特性を決定するように構成されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【請求項9】
真空ポンプが、前記受容器(3)に接続されて、その中に真空を供給することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の搾乳装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳装置であって、ミルク輸送ラインと、ミルク輸送ラインに接続された複数のミルクステーションと、ミルク輸送ラインに接続され、かつミルク輸送ラインを介してミルクステーションから受容器に輸送されたミルクを受容するように構成された、受容器と、受容器を介してミルク輸送ライン内に真空を供給するように構成された真空システムと、ミルク輸送ラインに接続された洗浄液源と、ある量のガスをミルク輸送ラインに導入するように構成された制御可能なインジェクタであって、したがって、ミルク輸送ライン内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄液源からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ラインを通して転送される、制御可能なインジェクタと、インジェクタの動作を制御するように構成された制御システムと、を備える、搾乳装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搾乳装置は、ミルクステーション、ミルク輸送ライン、ならびにミルク輸送ラインに沿って設けられたフィルタおよび熱交換器などのコンポーネントを繰り返し洗浄する目的で設けられた洗浄装置を備える。洗浄は、予洗および主洗浄などの異なるシーケンスを含む。
【0003】
システムに真空を供給するための真空システムが装備された搾乳装置がよく知られている。真空システムは、ミルク輸送および洗浄液輸送に真空を供給するように構成され得る。洗浄システムには、ある量のガス、通常は大気を、ミルク輸送ラインに導入するように構成された制御可能なインジェクタであって、したがって、ミルク輸送ライン内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄液源からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ラインを通して転送される、制御可能なインジェクタが装備され得る。スラグは、ミルク輸送ラインの断面を満たし、一方で、真空によって駆動されて、ミルク輸送ラインを通して高速で移動する液体柱である。スラグは、ミルク輸送ラインの長さに比べて、短い長さを有する。スラグは、真空システムによって真空が供給される、いわゆる受容器内にたどり着く。受容器は、ポンプに接続され得、それによって、さらなるスラグを生成するために、受容器内の液体が圧送されて洗浄液源に戻される。
【0004】
しかしながら、ミルク装置の動作中、スラグの特性に影響を与えるミルク輸送ライン内の状態は、変化し得る。状態は、ミルク輸送ライン内に存在する液体の量および/またはミルク輸送ライン内の真空レベルであり得る。ミルク輸送ラインの一般的な条件により、スラグは移動中に液体を失う、または獲得する可能性があり、ミルク輸送ラインの最後で受容器に入るときに長すぎる、または短すぎる場合がある。スラグは、受容器に到達する前に取り除かれることさえあり得る。特に、スラグが、短くなりすぎるか、または取り除かれると、洗浄効果が損なわれる。
【0005】
発明の目的
本発明の目的は、少なくとも、受容器へのスラグの予想される入口を記録することができる、または予想される入口がないことを可能にする搾乳装置を提示することである。
【発明の概要】
【0006】
発明の目的は、搾乳装置であって、
-ミルク輸送ラインと、
-ミルク輸送ラインに接続された複数のミルクステーションと、
-ミルク輸送ラインに接続され、かつミルク輸送ライン介してミルクステーションから受容器に輸送されたミルクを受容するように構成された、受容器と、
-ミルク輸送ライン内に真空を供給するように構成された真空システムと、
-ミルク輸送ラインに接続された洗浄液源と、
-ある量のガスをミルク輸送ラインに導入するように構成された制御可能なインジェクタであって、したがって、ミルク輸送ライン内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄源からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ラインを通して転送される、制御可能なインジェクタと、
-インジェクタを制御するように構成された制御システムと、を備え、
搾乳装置が、受容器に配置され、かつスラグが受容器に入ることによって引き起こされた受容器の動きを測定するように構成された、振動センサを備え、制御システムが振動センサの測定値に基づいてスラグが受容器に入ることを判定するように構成されていることを特徴とする、搾乳装置によって達成される。
【0007】
振動センサは、受容器に配置され、振動センサは、受容器に直接配置されるか、または受容器に直接取り付けられたコンポーネントを介して受容器に間接的に配置され得る。
【0008】
振動センサが受容器に間接的に配置されている場合、受容器に入るスラグによって引き起こされた振動を表す振動を測定するように構成されている。
【0009】
振動センサは、圧電センサ、超音波センサ、または加速度計であり得る。
【0010】
本発明者らは、スラグの運動エネルギーにより、スラグが受容器に入るときに受容器の動きが生じることを認識した。したがって、そのような動きの記録は、スラグの入口を識別するための有利な方式となり得る。
【0011】
一実施形態によれば、振動センサは、加速度計、好ましくは三方向加速度計である。加速度計には信頼性が高いという利点がある。これにより、受容器の動きの測定が改善される。
【0012】
一実施形態によれば、振動センサは、受容器の外側に配置される。これにより、振動センサが受容器内のミルクまたは流動物と接触しなくなり、その結果、摩耗および機能への悪影響が少なくなる。
【0013】
一実施形態によれば、制御システムは、振動センサの測定に基づいてスラグの特性を決定するように構成されている。
【0014】
一実施形態によれば、制御システムは、読み取り可能なメモリを備え、その中に、各値がスラグ特性の値を表す設定値を備えたルックアップテーブルが記憶されており、制御システムは、振動センサの測定値をルックアップテーブルにおける設定値と比較し、かつスラグのスラグ特性が振動センサによって測定された値に最も近い事前設定値に対応することを判定するように構成されている。後続のスラグの要求されるスラグ特性を達成する目的で、スラグ特性の知識に基づいて、搾乳装置を制御するための、好ましくは制御可能なインジェクタおよび/または真空システムを制御するための手段が講じられ得る。
【0015】
一実施形態によれば、スラグ特性は、スラグの長さおよび/またはスラグの速度を含む。
【0016】
一実施形態によれば、制御システムは、振動センサの測定値に基づいて、真空システムによって供給された真空レベルおよび/または制御可能なインジェクタを介して導入されたガスの量を調整するように構成されている。これにより、スラグの特性は、1つ以上の以前のスラグに対して振動センサによって実行された測定値に基づいて制御される。
【0017】
一実施形態によれば、搾乳装置は、ミルク輸送ラインに沿って配置されたセンサ装置を備え、センサ装置は、圧力センサ、超音波センサ、または電磁センサのうちのいずれか1つを含み、制御システムは、該センサ装置の測定値に基づいて、スラグ特性を決定するように構成されている。好ましくは、センサ装置は、受容器の近くに、好ましくは10メートル以内に配置される。これにより、受容器に近いスラグ速度またはスラグ長に関する情報は、受容器に入るスラグのスラグ特性を決定する目的で、加速度計の測定値の補足としてプロセッサによって使用され得る。
【0018】
センサ装置は、ミルク輸送ラインに沿った別々の位置に位置付けられた一対の圧力センサを備え得る。スラグの通過は、それぞれのセンサによって測定可能である圧力の変化をもたらす。圧力センサ間の既知の距離と、スラグの通過がそれぞれのセンサによって検出される時点とに基づいて、制御システムは、スラグの速度を決定するように構成されている。スラグの平均長もまた、圧力センサの測定値に基づいて決定され得る。センサ装置によるスラグ特性の測定値および決定は、振動センサによるスラグ特性の測定値および決定の補足として使用され得る。
【0019】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、発明の一実施形態による搾乳装置を示す。搾乳装置は、ミルク輸送ライン1と、ミルク輸送ライン1に接続された複数のミルクステーション2とを備える。各ミルクステーション2は、動物の搾乳のための搾乳器具を備える。ミルク輸送ライン1は、100メートル以上の長さを有する。
【0022】
搾乳装置は、ミルク輸送ライン1に接続され、かつミルク輸送ライン1を介してミルクステーション2から受容器3に輸送されたミルクを受容するように構成された、受容器3をさらに備える。
【0023】
受容器3を介してミルク輸送ライン1内に真空を供給するように構成された真空システム4も設けられている。真空システム4は、真空ポンプ5と、ガス、好ましくは大気を、受容器3を真空ポンプ5と接続するラインに導入するように構成された制御可能な弁6とを備える。真空システムによって供給される真空は、真空ポンプ5の効果および/または制御可能な弁6の開閉を制御することによって制御され得る。真空システム4はまた、直列に配置されたサニタリトラップ7および緩衝タンク8を備え、これらを介して、真空ポンプ5は受容器3に接続されている。真空システム4は、搾乳中にミルク輸送ライン内に真空を供給するために使用される。しかしながら、後述するように、真空システム4はまた、洗浄シーケンスを制御するためにも使用される。
【0024】
洗浄液源9が、ミルク輸送ライン1に接続されている。洗浄液源9は、洗浄液、好ましくは、異なる洗浄シーケンスのための、典型的には異なる化学組成および/または異なる温度を有する、異なる特性の洗浄液が収容される1つ以上の容器を備え得る。
【0025】
ある量のガス、好ましくは大気を、ミルク輸送ライン1に導入するように構成された制御可能なインジェクタ10も設けられ、したがって、ミルク輸送ライン1内に一時的圧力上昇を発生させ、それにより、洗浄液源9からの洗浄液のスラグが形成され、ミルク輸送ライン1を通して転送される。液体源9は、管材11および制御可能な弁12を介して、インジェクタ10の近傍のミルク輸送ラインに接続されている。搾乳ステーション2の器具もまた、管材11および制御可能な弁13を介して、液体源9に、それ自体は既知の方式で接続可能である。インジェクタ10に接続し、かつミルクステーション2に接続する流量計14、15、16、17が、ミルク輸送ライン1に入り、ミルク輸送ライン1の少なくとも一部を占める洗浄液の流れを測定するために設けられている。
【0026】
ポンプ20が設けられ、それを介して洗浄液が受容器3から洗浄液源16に圧送される。示された特定の実施形態では、ポンプ20はまた、搾乳中に受容器からミルクタンク21にミルクを圧送するように構成されている。示された実施形態では、ポンプ20によって圧送される洗浄液は、該ポンプ20とミルクタンク21との間に配置されたフィルタ22および熱交換器23を介して、液体源9に圧送される。圧送される洗浄液を、ミルクタンク21の方へではなく、洗浄液源9の方へ向けるために、制御可能な弁25が設けられている。洗浄中、該制御可能な弁25は、洗浄液がミルクタンク21に流入するのを防ぐ。
【0027】
搾乳装置は、インジェクタ10、真空システム4の真空ポンプ5および制御可能な弁6の動作を制御するように構成された制御システム19をさらに備える。制御システム19は、真空ポンプ5および制御可能な弁6のうちの少なくとも一方を制御することによって、真空システム4によって供給された真空レベルを制御するように構成されている。それにより、制御システムは、真空ポンプ5の回転数および制御可能な弁6の開放時間を制御するように構成されている。圧力センサ(図示せず)が、真空ポンプ5を受容器3と接続するラインに設けられてもよく、制御システム19は、該圧力センサからの入力に基づいて真空システム4を制御するように構成され得る。制御システム19はまた、制御可能なインジェクタ10を介して導入される時間単位当たりのガスの量を制御することによって、スラグ特性を制御するように構成されている。制御可能なインジェクタ10は、制御可能な可変断面を有するチャネルを提示し、制御システム19は、制御可能なインジェクタ10を介して導入される時間単位当たりのガスの量を制御するために、チャネルの該可変断面を制御するように構成されている。これにより、制御システム19によって制御されるスラグ特性は、個々のスラグのスラグ速度および個々のスラグの長さを含む。
【0028】
制御システム19はまた、制御可能な弁12、13の動作を制御するように構成されており、それらを介して、洗浄液源9からの洗浄液が、インジェクタ10を介して、またはミルクステーション2の搾乳器具を介してのいずれかで、ミルク輸送ライン1に入ることを可能にする。制御システム19はまた、ポンプ20の動作を制御するように構成されており、それを介して洗浄液が受容器3から洗浄液源9に圧送される。
【0029】
制御システム19は、ここでは、プロセッサおよび読み取り可能なメモリを備える制御ユニットによって例示されている。もちろん、クラウドベースの解決策などの代替実施形態も考えられる。
【0030】
制御システム19は、第1の洗浄シーケンス専用の第1の制御モードおよび第2の洗浄シーケンス専用の第2の制御モードを備える。第1の制御モードにおいて、生成されるスラグの特性は、第2の制御モードにおいて生成されるスラグの特性とは異なる。
【0031】
提示された実施形態では、第1の制御モードは第1の洗浄液を使用し、第2の制御モードは第2の洗浄液を使用する。
【0032】
第1の洗浄シーケンスは予洗シーケンスであり、第2の洗浄シーケンスは主洗浄シーケンスである。第1の制御モードによって生成されるスラグは、第2の制御モードによって生成されるスラグの平均速度よりも、ミルク輸送ライン1を通して、より高い平均速度を有する。第2の制御モードによって生成されるスラグは、第1の制御モードによって生成されるスラグの平均長よりも長い平均長を有する。真空システム4によって供給された真空レベルは、第2の制御モードにおいてよりも、第1の制御モードにおいてより高い。より高い真空レベルは、より低い圧力レベルと称される。
【0033】
スラグが受容器3に入るときのスラグ特性の指標が、受容器3の外側に設けられた3D加速度計27によって測定される。スラグは、スラグの速度および長さ(質量)に対応する受容器の動きを生成する。この動きは、加速度計27によって記録される。制御システム19は、読み取り可能なメモリを備え、その中に、各値がスラグ特性の値を表す設定値を有する検索テーブルが記憶されている。制御システムは、加速度計27の測定値を検索テーブルの設定値と比較するように、かつ、スラグのスラグ特性、速度、および/または長さが、加速度計によって測定された値に最も近い事前設定値に対応すると判定するように構成されている。設定値とスラグ特性との相関関係は、受容器の設計、加速度計の設計、および受容器上の加速度計の位置の所定の組み合わせについて、実験室環境で決定されている場合がある。
【0034】
後続のスラグのために要求されるスラグ特性を達成する目的で、スラグ特性の知識に基づいて、搾乳装置を制御するための、好ましくは制御可能なインジェクタおよび/または真空システムを制御するための手段が講じられ得る。それにより、制御システムは、それぞれの洗浄シーケンスごとに要求されるスラグ特性に対応するスラグ特性を達成するために、反復プロセス、典型的には閉ループプロセスを実行するように構成され得る。
【0035】
示された実施形態では、搾乳装置はまた、ミルク輸送ラインの第1の位置に配置された第1の圧力センサ26aと、第1の位置から所定の距離の第2の位置に配置された第2の圧力センサ26bとを備えるセンサ装置を備える。スラグの通過は、それぞれのセンサ26a、26bによって測定可能な圧力の変化をもたらす。圧力センサ26a、26b間の既知の距離と、スラグの通過がそれぞれのセンサによって検出される時点とに基づいて、制御システム19は、スラグの速度を決定するように構成されている。スラグの長さもまた、例えば、WO2017/091126に記載されているように、圧力センサ26a、26bの測定値に基づいて決定され得る。好ましくは、圧力センサ26a、26bは、受容器3の近くに、好ましくは10メートル以内に配置される。
【0036】
圧力センサ26a、26bは、ミルク輸送ライン1の所定の位置におけるスラグ特性についての情報を与え、一方、加速度計27は、受容器3内のスラグ特性についての情報を与える。制御システム19は、インジェクタ10または真空システム4を制御するために、任意の好適な方式で情報を組み合わせるように構成され得る。
【0037】
制御システム19はまた、流量計14~17によって決定される洗浄液の量に基づいて、真空システム4によって供給された真空レベルおよび/または制御可能なインジェクタ10を介して導入されたガスの量を制御するように構成されている。
【国際調査報告】