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特表2023-525227計算リソースの効率的な利用によるワイヤレス干渉緩和の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】計算リソースの効率的な利用によるワイヤレス干渉緩和の方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/00 20060101AFI20230608BHJP
   H04B 1/10 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
H04L27/00 C
H04B1/10 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563975
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 US2021028112
(87)【国際公開番号】W WO2021216519
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】16/852,750
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519100985
【氏名又は名称】ビーエイイー・システムズ・インフォメーション・アンド・エレクトロニック・システムズ・インテグレイション・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】タウンリー、マーティン・エム.
(72)【発明者】
【氏名】ボードー、ジョナサン・ピー.
【テーマコード(参考)】
5K052
【Fターム(参考)】
5K052AA01
5K052BB02
5K052DD03
5K052DD04
5K052EE01
5K052FF33
(57)【要約】
適応デジタルフィルタリングによって受信ワイヤレス信号における干渉を緩和する方法は、複数の出力ストリームを発生するのに必要な計算を実行するために、DDC、重み発生器、及びスクラバのうちの少なくとも1つを使用することによって、計算リソースを効率的に展開する。実施形態は、FHSS送信の既知の周波数ホッピングパターンにしたがって受信機周波数間で重み発生器及びスクラバを遷移する。他の実施形態は、スクラバによって永続的に使用されることができる重みのセットを発生するために、周波数間で重み発生器を遷移させながら、スクラバを受信機周波数専用にする。実施形態は、1つの受信されたマルチパス信号コピーにしたがって重みのセットを発生し、次いで、発生された重みを適用して、同じ周波数で受信された追加のマルチパスコピーをフィルタリングする。様々な実施形態は、ダウンコンバートされた出力のバンクを形成するために各受信周波数にDDCを専用にし、その中から、各重み発生器は、1次入力及び基準入力を選択することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信ワイヤレス信号における干渉を緩和するように構成された装置であって、
前記受信ワイヤレス信号から導出されるデジタル入力データストリームを受信するように構成されたデータ入力と、
複数のデータ出力であって、前記複数のデータ出力のそれぞれは、前記干渉が緩和されるフィルタリングされた出力ストリームを出力するように構成される、複数のデータ出力と、
前記入力データストリームから導出されるダウンコンバートされたデータストリームを提供するように構成されたデジタルダウンコンバータ(DDC)と、
前記ダウンコンバートされたデータストリームにしたがって、及びフィルタリングフィードバックにしたがって適応フィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成された重み発生器と、
前記フィルタリングされた出力ストリームのうちの少なくとも1つを生成するために、前記適応フィルタ重みにしたがって前記ダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用するように構成されたスクラバであって、前記フィルタリングフィードバックを前記重み発生器に提供するようにさらに構成され、前記適応フィルタ重みを使用し続けるように構成されたスクラバとを備え、
前記DDC、前記重み発生器、及び前記スクラバのうちの少なくとも1つは、複数のフィルタリングされた出力ストリームを生成するために必要な計算を実行するように構成され、
前記装置は、前記DDC、前記重み発生器、及び前記スクラバのうちの少なくとも1つのうちの2つ以上の間で計算リソースを共有する、装置。
【請求項2】
前記複数のフィルタリングされた出力ストリームは、第1及び第2のワイヤレス受信機周波数に対応する第1のダウンコンバートされたデータストリーム及び第2のダウンコンバートされたデータストリームのデジタルフィルタリングからそれぞれ導出された第1の出力ストリーム及び第2の出力ストリームを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記重み発生器は、周波数ホッピングスペクトラム拡散(FHSS)プロトコルの第1及び第2のタイムスロット中に、それぞれ前記第1のダウンコンバートされたデータストリーム及び前記第2のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応フィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記スクラバは、前記第1のタイムスロット中に適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットにしたがって前記第1のダウンコンバートされたデータストリームに前記デジタルフィルタリングを適用し、前記第2のタイムスロット中に適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットにしたがって前記第2のダウンコンバートされたデータストリームに前記デジタルフィルタリングを適用するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記重み発生器は、前記第1のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットを計算し、その後、前記第2のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットを計算するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記スクラバは、第1のスクラバであり、前記装置は、第2のスクラバをさらに備え、前記第1のスクラバは、前記適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットにしたがって前記第1のダウンコンバートされたデータストリームに前記デジタルフィルタリングを適用するように構成され、前記第2のスクラバは、前記適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットにしたがって前記第2のダウンコンバートされたデータストリームに前記デジタルフィルタリングを適用するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
コンピューティングデバイスは、前記フィルタリングされた出力ストリームの中で、別個の第1及び第2のマルチパス時間においてワイヤレス受信機周波数で受信された対象の信号の第1及び第2のマルチパスコピーから導出された第1のダウンコンバートされたデータストリーム及び第2のダウンコンバートされたデータストリームにそれぞれ対応する第1のマルチパス出力ストリーム及び第2のマルチパス出力ストリームを提供するように構成され、前記第2のマルチパス時間は前記第1のマルチパス時間に対して遅延される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記重み発生器は、前記第1のダウンコンバートされたデータストリームにしたがって前記適応フィルタ重みの最適化されたセットを計算するように構成され、前記スクラバは、前記適応フィルタ重みの最適化されたセットにしたがって前記第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームの両方に前記デジタルフィルタリングを適用するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、複数のデジタル入力データストリームから導出された複数のダウンコンバートされたデータストリームを提供する複数のデジタルダウンコンバータ(DDC)を含み、前記デジタル入力データストリームのそれぞれは、前記DDCのうちの対応する1つと、及び前記ダウンコンバートされたデータストリームのうちの対応する1つと一意的に関係付けられ、
前記装置は、複数の重み発生器を含み、前記重み発生器のそれぞれは、前記複数のダウンコンバートされたデータストリームにしたがって適応フィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成され、
前記ダウンコンバートされたデータストリームは、データストリームのバンクとして提供され、その中から前記重み発生器のそれぞれは、前記ダウンコンバータによって発生された適応フィルタ重みの最適化されたセットが適用可能である一次ダウンコンバートされたデータストリームと、少なくとも1つの基準ダウンコンバートされたデータストリームとを選択することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
符号化された命令を有する1つ以上の非一時的機械可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、干渉が緩和された複数のフィルタリングされた出力ストリームを提供するように、受信ワイヤレス信号における干渉を緩和するための複数の動作をもたらし、前記動作は、
アナログデジタル変換器(ADC)を介して前記受信ワイヤレス信号からデジタル入力データストリームを作成することと、
デジタルダウンコンバータ(DDC)を介して前記デジタル入力データストリームからダウンコンバートされたデータストリームを導出することと、
前記ダウンコンバートされたデータストリームにしたがって、及びフィルタリングフィードバックにしたがって、重み発生器を介して適応フィルタ重みの最適化されたセットを発生することであって、前記適応フィルタ重みは、少なくとも有効期間中に有効なままである、発生することと、
前記フィルタリングされた出力ストリームのうちの少なくとも1つを生成するために、前記適応フィルタ重みにしたがって前記ダウンコンバートされたデータストリームにスクラバを介してデジタルフィルタリングを適用することであって、前記スクラバは、前記適応フィルタ重みを使用し続けるように構成される、適用することと、
前記スクラバによって、前記フィルタリングフィードバックを前記重み発生器に提供することとを含み、
前記動作は、前記DDC、前記重み発生器、及び前記スクラバのうちの少なくとも1つによって、前記複数のフィルタリングされた出力ストリームを生成するために必要な計算を実行することを含み、
前記DDC、前記重み発生器、及び前記スクラバのうちの少なくとも1つのうちの2つ以上は、計算リソースを共有する、コンピュータプログラム製品。
【請求項11】
前記重み発生器と前記スクラバとの間に1対1の対応がない、請求項10に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
受信ワイヤレス信号における干渉緩和の方法であって、
前記受信ワイヤレス信号から導出されるデジタル入力データストリームをダウンコンバートされたデータストリームに変換するように構成されたデジタルダウンコンバータ(DDC)を提供することと、
前記ダウンコンバートされたデータストリームにしたがって、及びフィルタリングフィードバックにしたがって、適応フィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成された重み発生器を提供することであって、前記適応フィルタ重みは、少なくとも有効期間中に有効なままである、提供することと、
前記干渉が緩和される少なくとも1つのフィルタリングされた出力ストリームを生成するために、前記適応フィルタ重みにしたがって前記ダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用するように構成されたスクラバを提供することであって、前記スクラバは、前記フィルタリングフィードバックを前記重み発生器に提供するようにさらに構成され、前記スクラバは、前記適応フィルタ重みを使用し続けるように構成される、提供することと、
複数のデータ出力のそれぞれにおいてそれぞれのフィルタリングされた出力ストリームを提示することであって、前記干渉は、前記フィルタリングされた出力ストリームのそれぞれにおいて緩和される、提示することとを含み、
前記DDC、前記重み発生器、及び前記スクラバのうちの少なくとも1つは、複数のフィルタリングされた出力ストリームを生成するために必要な計算を実行するように構成され、
前記方法は、前記DDC、前記重み発生器、及び前記スクラバのうちの少なくとも1つのうちの2つ以上の間で計算リソースを共有する、方法。
【請求項13】
前記複数のフィルタリングされた出力ストリームは、別個の第1及び第2のワイヤレス受信機周波数でそれぞれ受信された第1及び第2のワイヤレス信号に対応する前記ダウンコンバートされたデータストリームの別個の第1及び第2のもに前記デジタルフィルタリングを適用することからそれぞれ導出される第1の出力ストリーム及び第2の出力ストリームを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記受信ワイヤレス信号は、周波数ホッピングスペクトラム拡散(FHSS)プロトコルのそれぞれの第1及び第2のタイムスロット中に第1及び第2のワイヤレス周波数において受信された対象の信号を含み、前記重み発生器は、それぞれ前記第1及び第2のタイムスロット中に第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応デジタルフィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記スクラバは、前記第1のタイムスロット中に前記適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットにしたがって前記第1のダウンコンバートされたデータストリームに前記デジタルフィルタリングを適用し、前記第2のタイムスロット中に前記適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットにしたがって前記第2のダウンコンバートされたデータストリームに前記デジタルフィルタリングを適用するように構成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記重み発生器は、
第1のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットを計算し、前記適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットは、その発生後の時間tvの間有効なままであり、
前記時間tvの間に、第2のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットを計算するように構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、第1のスクラバ及び第2のスクラバを提供することを含み、前記第1のスクラバは、前記適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットにしたがって前記第1のダウンコンバートされたデータストリームに前記デジタルフィルタリングを適用するように構成され、前記第2のスクラバは、前記適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットにしたがって前記第2のダウンコンバートされたデータストリームに前記デジタルフィルタリングを適用するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記フィルタリングされた出力ストリームは、別個の第1及び第2のマルチパス時間においてワイヤレス受信機周波数で受信された対象の信号の第1及び第2のマルチパスコピーから導出された第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームにそれぞれ対応する第1のマルチパス出力ストリーム及び第2のマルチパス出力ストリームを含み、前記第2のマルチパス時間は前記第1のマルチパス時間に対して遅延されている、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記重み発生器は、前記第1のダウンコンバートされたデータストリームにしたがって適応フィルタ重みの最適化されたセットを計算するように構成され、前記適応フィルタ重みの最適化されたセットは、その発生後の時間tvの間有効なままであり、前記時間tvの間、コンピューティングデバイスは、前記適応フィルタ重みの最適化されたセットにしたがって、前記第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームの両方に前記デジタルフィルタリングを適用するように構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、複数のデジタル入力データストリームから導出された複数のダウンコンバートされたデータストリームを提供するように構成された複数のデジタルダウンコンバータ(DDC)を提供することを含み、前記デジタル入力データストリームのそれぞれは、前記DDCのうちの対応する1つと、及び前記ダウンコンバートされたデータストリームのうちの対応する1つと一意的に関係付けられ、
前記方法は、複数の重み発生器を提供することをさらに含み、前記重み発生器のそれぞれは、前記複数のダウンコンバートされたデータストリームにしたがって適応フィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成され、
前記ダウンコンバートされたデータストリームは、データストリームのバンクとして提供され、その中から前記重み発生器のそれぞれは、前記重み発生器によって発生された適応フィルタ重みの最適化されたセットが適用される一次ダウンコンバートされたデータストリームと、少なくとも1つの基準ダウンコンバートされたデータストリームとを選択する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本願は、2020年4月20日に出願された米国出願第16/852,631号に関し、これは、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
[0002]本開示は、ワイヤレス通信における干渉緩和の装置及び方法に関し、より詳細には、フィールドプログラマブルゲートアレイにおいて適応フィルタを実現する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]メッセージ通信ならびにGPS及び他の通信を含むワイヤレス通信は、いくつかの異なるタイプの干渉のいずれかを受けることがある。例えば、いわゆる「マルチパス」伝搬干渉は、信号が通過中に様々な介在障害物から反射されて、メッセージの複数のマルチパス「コピー」が複数のパスを介して複数回受信機に到着するときに生じることがある。干渉はまた、対象の信号と同じ周波数上で不注意に又は悪意を持ってブロードキャストされる競合する送信に起因して生じることがある。特に、敵対者によってブロードキャストされる悪意のある「ジャミング」信号は、対象の信号を圧倒しようとする単純な「ブロッキング」信号である可能性があり、又は敵対者は、例えば、対象の実際の信号を記録し、次いで、それらを遅延時間に再ブロードキャストすることによって、対象の正当な信号を「なりすまし」しようとする可能性がある。
【0004】
[0004]周波数ホッピングスペクトラム拡散(FHSS)通信は、ときには干渉、特にジャミング干渉の影響を回避又は緩和する試行において実現される。FHSS通信では、メッセージは、指定されたホッピングパターン復号鍵を所有している意図された受信機によってのみ予想することができる擬似ランダムパターンでホップする一連のパルス又はタイムスロットで送信される。選択されたFHSS周波数がかなりの帯域幅にわたって広がる場合、選択されたホッピング周波数の大部分又はすべてを傍受するのに十分に広帯域でありながら、対象の信号をブロックするのに十分に強力なジャミング信号をジャマーがブロードキャストすることは困難であるかもしれない。
【0005】
[0005]それにもかかわらず、敵対者は、FHSS送信の周波数ホッピングパターンを決定することができないかもしれないが、敵対者は、FHSS信号が送信されている複数の特定の周波数を列挙することが可能であるかもしれない。次いで、敵対者は、FHSS周波数のうちのいくつか又はすべてにわたって複数の狭帯域高電力ジャミング信号を同時に送信するかもしれない。このタイプの多周波数ジャミングは、例えば、敵対者が複数の通信周波数にわたって別々に送信されている複数のメッセージを同時にブロックしようとするときに起こることがある。
【0006】
[0006]ワイヤレス通信における干渉を緩和するための強力なツールであることがある1つのアプローチは、受信機において適応フィルタを実現することである。適応フィルタは、フィルタ出力と所望の信号との間の平均二乗誤差を最小にするためにこれらのパラメータを反復的に変更するデジタルフィルタのクラスである。最も一般的な適応フィルタアルゴリズムは、最小平均二乗(LMS)アルゴリズム及び再帰的最小二乗(RLS)アルゴリズムであり、RLSアルゴリズムは、LMSアルゴリズムと比較してより高い収束速度を提供するが、より高い計算複雑性を犠牲にする。
【0007】
[0007]図1Aを参照すると、本明細書で「緩和器」100とも呼ばれる適応デジタルフィルタ100は、受信機内で実現され、典型的には、アナログフロントエンド(たとえば、アンテナ、低雑音増幅器、フィルタ、ミキサなどを含む)によって受信され、アナログデジタル変換器(ADC)104によってデジタル化されるアナログ信号から搬送波周波数を除去するデジタルダウンコンバータ(DDC)102から入力データストリーム116を受け入れる。DDC102によって提供される入力データストリーム116は、「重み発生器」106に向けられ、重み発生器は、「スクラバ」110に向けられ、デジタルフィルタ100の特性を定義する「重み」108の最適なセットを反復して計算する。DDC102によって提供される入力データストリーム116は、フィルタ関数を入力データストリーム116に適用するスクラバ110にも向けられる。本質的に、スクラバ110は、入力データストリーム116からジャミング信号の近似を減算して、対象の信号に近い近似である出力データストリーム112を作成する。
【0008】
[0008]出力データストリーム112は、重み108が最適解に集まるまで反復的に調整されることができるように、重み発生器106にフィードバック114される。それによって、適応フィルタ100は、誤差信号の形態のフィードバック114を使用して、その重み108を精密化し、それによってその伝達関数を精密化する。一般に、この適応プロセスは、アルゴリズムを満足させるために、フィルタの効率を改善するための基準である「コスト」関数の使用を伴う。また、コスト関数は、次の反復におけるコストを低減するためにフィルタ伝達関数をどのように適応させるかを決定する。フィルタリングされた出力データストリーム112の誤差部分の平均二乗は、しばしばコスト関数として使用される。適応フィルタ100の重み108は、誤差、すなわちコストが最小になるまで、重み発生器106によって調整される。したがって、重み発生器106への2つの入力信号116、114があり、これらは、それぞれ、1次入力116及び基準入力114と呼ばれることがある。
【0009】
[0009]特定のインプリメンテーションに応じて、適切なフィードバック114が重み発生器106に与えられることができるように、対象の信号からジャミング信号を減算する際の適応デジタルフィルタ重みの所定のセットの成功度を決定するために、いくつかのアプローチのうちのいずれかが使用できる。例えば、対象の信号に含まれるチェックサムなどの自己訂正特徴を使用して、フィルタリングされた信号112の残留誤差率を決定することができる。さらに、対象となる有効な信号は、受信メッセージ内のデジタル署名及び符号化された送信時間などの特徴に基づいて、なりすまされた信号から区別することができる。
【0010】
[0010]必要とされる速度、計算能力、及び適応性に起因して、多くの場合、計算集約的な専用データ処理を実行するために必要に応じて構成されることができる複数の計算リソースを提供するリソースプラットフォームを使用して、適応デジタルフィルタを実現することが望ましい。例は、デジタル信号プロセッサ(DSP)のアレイ、中央処理装置「コア」のアレイ、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むプラットフォームを含む。しかしながら、FPGA又は類似の計算リソースプラットフォームは、そのような計算リソースの速度及び処理能力に起因して、干渉緩和のための適応デジタルフィルタを実現するために理想的であることが多いが、それにもかかわらず、計算リソースは常に有限であり、算術信号処理のための重い要件は、計算リソースの高い利用をもたらすことがある。
【0011】
[0011]図1Bを参照すると、適応フィルタ100を複数の周波数F1、F2、F3などに同時に適用する必要がある場合、例えば、FHSS通信に適用されるとき、FPGA計算リソースに対する要件は、周波数の数とともに線形に増大することがある。
【0012】
[0012]さらに、図1Cを参照すると、マルチパス伝搬干渉の影響を除去することも必要である場合、信号によって横断される複数のパスに対応する複数のマルチパスメッセージコピーのそれぞれを別々に受信できるように、受信機のフロントエンドを複製することが必要であるかもしれない。その結果、受信周波数のそれぞれに対して複数の適応フィルタ又は緩和器100を実現する必要があるかもしれない。
【0013】
[0013]要約すると、信号のC個のマルチパスコピーがF個の周波数にわたって受信される場合、合計C×F個の緩和器が必要とされるかもしれない。その結果、計算リソースに対する要求が非常に大きくなることがある。
【0014】
[0014]したがって、必要とされるのは、計算リソースを可能な限り効率的に利用しながら干渉の抑制を最適化するように、適応デジタルフィルタを受信信号に適用する方法である。
【発明の概要】
【0015】
[0015]本開示は、計算リソースを可能な限り効率的に利用しながら干渉の抑制を最適化するために、受信信号に適応デジタルフィルタを適用する方法である。別個の緩和器及びデジタルダウンコンバータ(DDC)が受信周波数、マルチパスメッセージコピー、及び基準周波数の各組合せに専用である既知の方法とは対照的に、本開示の方法は、2つ以上のそのような組合せの間で計算リソースを共有し、それによって必要な計算リソースがより少なくなる。
【0016】
[0016]より具体的には、本開示の方法は、以下のうちの少なくとも1つに起因して計算リソースの要件が増大する環境に向けられる:
a.例えば、周波数ホッピングスペクトラム拡散(「FHSS」)通信に起因して、複数の受信周波数(「チャネル」)に適応フィルタリングを適用するための要件;
b.メッセージの複数のマルチパスコピーに別々に適応フィルタリングを適用するための要件;及び
c.複数の周波数から導出された基準データを複数の重み発生器に提供するための要件であって、それによって、複数のデジタルダウンコンバータ(「DDC」)の出力が重み発生器のそれぞれに向けられることを必要とする要件。
【0017】
[0017]実施形態では、計算リソースを完全な「緩和器」に編成するのではなく、本方法は、計算リソースの展開を「重み発生器」及び「スクラバ」として別々に管理する。換言すれば、本発明の方法は、重み発生器とスクラバとの間の1対1の対応を必ずしも維持しない。
【0018】
[0018]加えて、本開示の実施形態は、重み発生器がある受信周波数のための重みの最適なセットを決定すると、重みは、少なくとも何らかの有限有効期間tvの間、その周波数上で受信されたすべてのマルチパスコピーを含めて、その受信周波数について有効なままであると仮定する。したがって、この仮定に基づいて、また、tvが重みの最適化されたセットを発生するのに必要な時間twより長いと仮定すると、したがって、単一の重み発生器が、約tv/twの追加の受信機周波数に対する重みを提供することが可能である。
【0019】
[0019]例えば、複数の別個のメッセージが複数の周波数上で受信される場合、及び計算された重みが無期限に有効なままである(tvが無限である)極端なケースにおいて、単一の重み発生器が、受信周波数のそれぞれについて重みの最適化されたセットを発生するために連続的に使用でき、その後、重み発生器はもはや必要とされず、周波数のそれぞれに別個のスクラバを専用化することのみが必要である。専用の重み発生器及びスクラバを備える典型的な緩和器について、重み発生器が緩和器の計算リソースの約90%を消費することに留意されたい。したがって、この例では、重みが発生される短い初期期間の後、計算リソースの要件は90%低減される。
【0020】
[0020]重みが有限時間期間tvの間のみ有効である同様のケースでは、tvが、N個の周波数のすべてについて最適化された重みを発生するために必要とされる時間N×twよりも長い限り、単一の重み発生器が、N個の周波数のそれぞれについての重みを周期的に再発生するために使用できる。また、tvが短すぎて、単一の重み発生器が期間tv内にチャネルのすべての重みを再発生できない場合、重み発生器の数をそれに応じて増やすことができる。それにもかかわらず、重み発生器の数は、典型的には受信周波数の数よりもはるかに少ない。
【0021】
[0021]同様の実施形態は、FHSSを使用して送信される通信のスクラビングを必要とする用途のために実現できる。FHSS通信のデータ送信中の任意の所定の時間において、信号は1つの周波数のみに存在する。そのため、実施形態は、1つの重み発生器及び1つのスクラバのみを必要とし、スクラバ及び重み発生器は、FHSS送信のホッピングパターンにしたがってFHSS周波数間でシフトされる。重みが無期限に有効なままである場合、重み発生器は、FHSS周波数のそれぞれについて重みの1セットを発生する必要があるだけであり、その後はもはや必要ではない。tvが短い場合、重み発生器は、FHSSホッピングパターンにしたがって、スクラバと共にFHSS周波数間でシフトされ続けることができる。
【0022】
[0022]場合によっては、FHSS通信は、データ通信(データモード)に先行する同期モード(同期探索モード)を備え、ここにおいて、信号は、同期探索中にFHSS周波数のうちの2つ以上の上で同時に送信される。いくつかの実施形態では、したがって、同期探索中に同時にアクティブになる周波数のそれぞれに対してスクラバを提供する必要があることがある。しかしながら、実施形態は、同期探索中に使用されるFHSS周波数のすべてに対する重みを発生することができる単一の重み発生器のみを必要とする。例えば、同期信号がN×twより長い時間の間にN個の周波数で同時に送信される場合、単一の重み発生器を使用して、周波数のすべてに対して最適化された重みを順次発生することができる。
【0023】
[0023]同期情報が、既知のパターンにしたがって複数のFHSS周波数上で順次送信される既知の一連のパルスであり、所定の周波数についての重みが、同期パルスのうちの1つの長さよりも短い時間twにおいて計算できる場合、既知のパターンにしたがって周波数間で重み発生器及びスクラバをシフトすることによって、同期データを失うことなく、同期探索中に単一の重み発生器及びスクラバを使用できる。
【0024】
[0024]同様のアプローチは、所定の送信の複数のマルチパスコピーが受信されるケースに適用できる。マルチパスコピーのそれぞれに対する重みを計算するために別個の重み発生器が使用される、マルチパスコピーのそれぞれに対して別個の緩和器を専用化するのではなく、実施形態は、所定の周波数での第1のマルチパスコピーの受信中に重みの単一のセットのみを計算し、その後、その周波数で後に受信される他のマルチパスコピーに重みが再適用される。FHSS送信のケースでは、マルチパスコピーのすべてが同じホッピングパターンに従う。しかしながら、マルチパス遅延は、任意の所定の時間にFHSS周波数のうちの2つ以上にわたってコピーを分散させるのに十分であるかもしれない。そのため、実施形態は、複数のスクラバを提供し、いくつかの実施形態は、FHSS周波数のそれぞれに専用スクラバを提供する。それにもかかわらず、所定の周波数を通して受信されたマルチパスコピーの一部又は全てに対する同じ重みの再使用は、実施形態が重み発生器の数を制限することを可能にし、いくつかの実施形態では、1つの重み発生器のみが必要とされる。
【0025】
[0025]本出願人に譲渡され、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年4月20日に出願された米国出願第16/852,631号においてより詳細に説明されているように、共通テンプレートマルチチャネル(CTMC)干渉を緩和するための適応デジタルフィルタの有効性は、対象の信号(SOI)が存在する周波数チャネルから導出される1次データに加えて、SOIを搬送しないが相関ジャミング信号を搬送する周波数チャネルから導出される基準データを重み発生器に提供することによって改善されることがある。
【0026】
[0026]同様に、複数の対象信号が複数のジャミングされた周波数チャネル上で同時に受信されている場合、及び複数の周波数チャネル中に存在するジャミングが相関しているが、対象の信号が相関していない場合、選択された「1次」周波数チャネル上のジャミングを緩和するために割り当てられた重み発生器によって発生される重みは、基準データとして他の周波数チャネルのうちの1つ以上から取得されたデータを重み発生器に与えることによって改善されることがある。そのような場合、「基準」データ内に存在する対象の信号は、1次周波数チャネルによって搬送される対象の信号に相関されず、それが雑音であるかのように扱われ、一方、基準データ内の相関されたジャミングパターンは、発生された重みを改善するために使用される。
【0027】
[0027]このストラテジーを実現するとき、別個のデジタルダウンコンバータ(DDC)を基準周波数チャネルのそれぞれ、ならびに1次周波数チャネル専用にすることが必要であることがある。実施形態は、上述のように、必要とされる重み発生器の数を低減するためのストラテジーを実現するが、それにもかかわらず、いくつかのインプリメンテーションでは、複数の重み発生器が必要とされる。そのような場合、必要とされるDDCの数は、重み発生器の数と、重み発生器のそれぞれによって必要とされる入力(1次プラス基準)の数との積であることがある。場合によっては、結果として生じる多数のDDCは、かなりの量の計算リソースを消費する可能性がある。
【0028】
[0028]実施形態では、複数の重み発生器の間で少なくとも1つのDDCの出力を共有することによって、DDCによるコンピューティングリソースの消費が低減される。具体的には、複数の重み発生器がアクティブであり、重み発生器のいずれか1つによる重みのセットの発生が、1次周波数チャネルに加えて少なくとも1つの基準周波数チャネルからのダウンコンバートされた入力を必要とする用途では、実施形態は、周波数チャネルのそれぞれに単一のDDCのみを専用にし、DDCのそれぞれからのダウンコンバートされたデータは、複数の、又は実施形態ではすべての重み発生器に利用可能にされる。
【0029】
[0029]例えば、信号がN個の周波数チャネル上で受信されている場合、別個の重み発生器がその周波数チャネル上のジャミングを緩和するためにN個の周波数チャネルのそれぞれに専用である場合、及びN個の周波数チャネルのすべてからのダウンコンバートされたデータが重みの各セットを発生するために必要とされる場合、合計でN×N個のDDCを必要とするであろうN個のDDCを重み発生器のそれぞれに専用化する代わりに、実施形態では、1つのDDCのみがN個の周波数のそれぞれに専用化され、N個のDDCのそれぞれからのデータがN個の重み発生器のすべてに利用可能にされる。したがって、N×N個のDDCではなく、N個のDDCのみが必要とされる。
【0030】
[0030]より一般的には、本開示の実施形態は、M個の緩和器が実現され、M個の緩和器のそれぞれが動作するためにN個の周波数チャネルからの基準データを必要とするインプリメンテーションに適用可能である。N個のDDCをM個の緩和器のそれぞれに関係付けて必要な基準データのN個のセットを生成し、それによってM×N個のDDCを必要とするのではなく、実施形態は、各緩和器がDDCのバンクによって利用可能にされるデータからその必要な基準入力を選択することができるように、各々が単一周波数チャネルに固定された基準DDCの単一バンクを作成する。このアプローチによれば、実施形態では、追加の基準DDCを追加する必要なく、追加の緩和器をシステムに追加することができる。実施形態において、緩和器のそれぞれは、固定基準DDCのバンクから利用可能にされた選択肢の中から基準周波数の最適なセットを選択する。結果は、DDCが固定数(例えば、FHSS周波数の数)に維持される一方で、緩和器の数が必要に応じて増加可能なスケーラブル設計である。
【0031】
[0031]本開示の第1の一般的な態様は、受信ワイヤレス信号おける干渉を軽減する方法である。本方法は、受信ワイヤレス信号からデジタル入力データストリームを作成するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)を提供することを含む。本方法は、デジタル入力データストリームを受信するように構成されたデータ入力と、複数の計算リソースと、複数のデータ出力とを含むコンピューティングデバイスを提供することをさらに含み、複数のデータ出力のそれぞれは、干渉が緩和されるフィルタリングされた出力ストリームを出力するように構成される。方法は、デジタル入力データストリームから導出されたダウンコンバートされたデータストリームを提供するように構成されたデジタルダウンコンバータ(DDC)と、ダウンコンバートされたデータストリームにしたがって、及びフィルタリングフィードバックにしたがって適応フィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成された重み発生器と、フィルタリングされた出力ストリームのうちの少なくとも1つを生成するように適応フィルタ重みにしたがってダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用するように構成されたスクラバとを提供するように、計算リソースを構成することをさらに含む。この第1の一般的な態様によれば、スクラバは、フィルタリングフィードバックを重み発生器に提供するようにさらに構成され、DDC、重み発生器、及びスクラバのうちの少なくとも1つは、複数のフィルタリングされた出力ストリームを生成するために必要な計算を実行するように構成される。
【0032】
[0032]実施形態において、複数のフィルタリングされた出力ストリームは、別個の第1及び第2のワイヤレス受信機周波数においてそれぞれ受信された第1及び第2のワイヤレス信号に対応するダウンコンバートされたデータストリームの別個の第1及び第2のものにデジタルフィルタリングを適用することからそれぞれ導出された第1の出力ストリーム及び第2の出力ストリームを含む。
【0033】
[0033]これらの実施形態のうちのいくつかでは、受信ワイヤレス信号は、周波数ホッピングスペクトラム拡散(FHSS)プロトコルのそれぞれの第1及び第2のタイムスロット中に第1及び第2のワイヤレス周波数において受信された対象の信号を含み、重み発生器は、それぞれ第1及び第2のタイムスロット中に第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応デジタルフィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成される。
【0034】
[0034]これらの実施形態のいくつかでは、スクラバは、第1のタイムスロット中に適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットにしたがって第1のダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用し、第2のタイムスロット中に適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットにしたがって第2のダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用するように構成される。また、これらの実施形態のいくつかにおいて、重み発生器は、第1のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットを計算するように構成され、前記適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットは、その発生後の時間tvの間有効なままであり、時間tvの間に、第2のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットを計算するように構成される。これらの実施形態のいくつかにおいて、方法は、第1のスクラバ及び第2のスクラバを提供するように計算リソースを構成することを含み、第1のスクラバは、適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットにしたがって第1のダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用するように構成され、第2のスクラバは、適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットにしたがって第2のダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用するように構成される。
【0035】
[0035]上記の実施形態のいずれかにおいて、フィルタリングされた出力ストリームは、別個の第1及び第2のマルチパス時間においてワイヤレス受信機周波数において受信された対象の信号の第1及び第2のマルチパスコピーから導出された第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームにそれぞれ対応する第1のマルチパス出力ストリーム及び第2のマルチパス出力ストリームを含むことができ、第2のマルチパス時間は、第1のマルチパス時間に対して遅延される。これらの実施形態のいくつかにおいて、重み発生器は、第1のダウンコンバートされたデータストリームにしたがって適応フィルタ重みの最適化されたセットを計算するように構成され、前記適応フィルタ重みの最適化されたセットは、その発生後の時間tvの間有効なままであり、時間tvの間、コンピューティングデバイスは、適応フィルタ重みの最適化されたセットにしたがって第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームの両方にデジタルフィルタリングを適用するように構成される。
【0036】
[0036]上記実施形態のいずれかにおいて、方法は、複数のデジタル入力データストリームから導出された複数のダウンコンバートされたデータストリームを提供するように構成された複数のデジタルダウンコンバータ(DDC)を提供するように計算リソースを構成することをさらに含むことができ、デジタル入力データストリームのそれぞれは、DDCの対応する1つと、及びダウンコンバートされたデータストリームのうちの対応する1つとに一意的に関係付けられ、複数の重み発生器を提供するように計算リソースを構成し、重み発生器のそれぞれは、複数のダウンコンバートされたデータストリームにしたがって適用フィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成され、ダウンコンバートされたデータストリームは、データストリームのバンクとして提供され、その中から重み発生器のそれぞれは、重み発生器によって発生された適応フィルタ重みの最適化されたセットが適用される1次ダウンコンバートされたデータストリームと、少なくとも1つの基準ダウンコンバートされたデータストリームとを選択する。
【0037】
[0037]本開示の第2の一般的な態様は、受信ワイヤレス信号における干渉を緩和するために構成された装置である。本装置は、受信ワイヤレス信号からデジタル入力データストリームを作成するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と、コンピューティングデバイスとを含む。コンピューティングデバイスは、デジタル入力データストリームを受信するように構成されたデータ入力と、複数の計算リソースと、複数のデータ出力とを含み、複数のデータ出力のそれぞれは、干渉が緩和されるフィルタリングされた出力ストリームを出力するように構成される。計算リソースは、デジタル入力データストリームから導出されるダウンコンバートされたデータストリームを提供するように構成されたデジタルダウンコンバータ(DDC)と、ダウンコンバートされたデータストリームにしたがって、及びフィルタリングフィードバックにしたがって、適応フィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成された重み発生器と、フィルタリングされた出力ストリームのうちの少なくとも1つを生成するように、フィルタ重みにしたがってダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用するように構成されたスクラバであって、フィルタリングフィードバックを重み発生器に提供するようにさらに構成されたスクラバとを提供するように構成される。DDC、重み発生器、及びスクラバのうちの少なくとも1つは、複数のフィルタリングされた出力ストリームを生成するために必要な計算を実行するように構成される。
【0038】
[0038]実施形態では、複数のフィルタリングされた出力ストリームは、第1及び第2のワイヤレス受信機周波数に対応する別個の第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームのデジタルフィルタリングからそれぞれ導出された第1の出力ストリーム及び第2の出力ストリームを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、重み発生器は、周波数ホッピングスペクトラム拡散(FHSS)プロトコルの第1及び第2のタイムスロット中にそれぞれ第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応デジタルフィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成される。
【0039】
[0039]これらの実施形態のいくつかでは、スクラバは、第1のタイムスロット中に適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットにしたがって第1のダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用し、第2のタイムスロット中に適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットにしたがって第2のダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用するように構成される。また、これらの様々な実施形態において、重み発生器は、第1のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットを計算し、その後、第2のダウンコンバートされたデータストリームに適用可能な適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットを計算するように構成される。これらの実施形態のうちのいくつかでは、計算リソースは、第1のスクラバ及び第2のスクラバを提供するように構成され、第1のスクラバは、適応フィルタ重みの第1の最適化されたセットにしたがって第1のダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用するように構成され、第2のスクラバは、適応フィルタ重みの第2の最適化されたセットにしたがって第2のダウンコンバートされたデータストリームにデジタルフィルタリングを適用するように構成される。
【0040】
[0040]上記の実施形態のいずれかにおいて、コンピューティングデバイスは、フィルタリングされた出力ストリームの中で、別個の第1及び第2のマルチパス時間においてワイヤレス受信機周波数において受信された対象の信号の第1及び第2のマルチパスコピーから導出された第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームにそれぞれ対応する第1のマルチパス出力ストリーム及び第2のマルチパス出力ストリームを提供するように構成されることができ、第2のマルチパス時間は第1のマルチパス時間に対して遅延される。これらの実施形態のいくつかにおいて、重み発生器は、第1のダウンコンバートされたデータストリームにしたがって適応フィルタ重みの最適化されたセットを計算するように構成され、スクラバは、適応フィルタ重みの最適化されたセットにしたがって、第1及び第2のダウンコンバートされたデータストリームの両方にデジタルフィルタリングを適用するように構成される。
【0041】
[0041]上記の実施形態のいずれかにおいて、計算リソースは、複数のデジタル入力データストリームから導出された複数のダウンコンバートされたデータストリームを提供する複数のデジタルダウンコンバータ(DDC)を提供するように構成されることができ、デジタル入力データストリームのそれぞれは、DDCのうちの対応する一つと、及びダウンコンバートされたデータストリームのうちの対応する1つと一意的に関係付けられ、計算リソースは、複数の重み発生器を提供するようにさらに構成されることができ、重み発生器のそれぞれは、複数のダウンコンバートされたデータストリームにしたがって適応フィルタ重みの最適化されたセットを発生するように構成され、ダウンコンバートされたデータストリームは、データストリームのバンクとして提供され、その中から重み発生器のそれぞれは、ダウンコンバータによって発生された適応フィルタ重みの最適化されたセットが適用可能である1次ダウンコンバートされたデータストリームと、少なくとも1つの基準ダウンコンバートされたデータストリームとを選択することが可能である。
【0042】
[0042]本開示の第3の一般的な態様は、1つ以上のプロセッサによって実行されたとき、干渉が低減された複数のフィルタ処理された出力ストリームを提供するように、受信ワイヤレス信号中の干渉を低減するための複数の動作をもたらす、符号化された命令を有する1つ以上の非一時的機械可読媒体を含むコンピュータプログラム製品である。動作は、アナログデジタル変換器(ADC)を介して受信ワイヤレス信号からデジタル入力データストリームを作成することと、デジタルダウンコンバータ(DDC)を介してデジタル入力データストリームからダウンコンバートされたデータストリームを導出することと、ダウンコンバートされたデータストリームにしたがって、及びフィルタリングフィードバックにしたがって、重み発生器を介して適応フィルタ重みの最適化されたセットを発生することと、フィルタリングされた出力ストリームのうちの少なくとも1つを生成するように、フィルタ重みにしたがってダウンコンバートされたデータストリームにスクラバを介してデジタルフィルタリングを適用することと、スクラバによってフィルタフィードバックを重み発生器に提供することとを含む。これらの動作は、複数のフィルタリングされた出力ストリームを生成するために必要な計算を、DDC、重み発生器、及びスクラバのうちの少なくとも1つによって実行することを含む。
【0043】
[0043]実施形態では、重み発生器とスクラバとの間に1対1の対応はない。
【0044】
[0044]本明細書で説明する特徴及び利点は、包括的ではなく、特に、多くの追加の特徴及び利点は、図面、明細書、及び特許請求の範囲を踏まえれば当業者にとって明らかとなるであろう。その上、本明細書において使用される言葉は、主に可読性及び教示の目的で、並びに本発明の主題の範囲を限定しないように選択されていることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1A】[0045]図1Aは、従来技術の適応デジタルフィルタのブロック図である。
図1B】[0046]図1Bは、従来技術にしたがう対応する複数の受信機周波数に専用の複数の適応デジタルフィルタを図示するブロック図である。
図1C】[0047]図1Cは、従来技術にしたがう単一の受信周波数上で受信された信号の対応する複数のマルチパスコピーに専用の複数の適応デジタルフィルタを図示するブロック図である。
図2】[0048]図2は、本開示の一実施形態にしたがう、時間twの間の適応フィルタ重みの最適化されたセットの発生と、twの間の重みの発生に続く有効時間tvの間のスクラバによる適応フィルタ重みの最適化されたセットの適用とを図示する一対のブロック図であり、重み発生器の動作は時間tvの間に必要とされない。
図3A】[0049]図3Aは、本開示の一実施形態にしたがう、持続時間twの第1の時間間隔中に第1の受信機周波数に適用可能な適応フィルタ重みの最適化されたセットの、重み発生器による発生を図示するブロック図である。
図3B】[0050]図3Bは、本開示の一実施形態にしたがう、持続時間twの第2の時間間隔中に第2の受信機周波数に適用可能な適応フィルタ重みの最適化されたセットの、図3Aの重み発生器による発生を図示するブロック図である。
図3C】[0051]図3Cは、本開示の一実施形態にしたがう、持続時間twの第3の時間間隔中に第3の受信機周波数に適用可能な適応フィルタ重みの最適化されたセットの、図3Aの重み発生器による発生を図示するブロック図である。
図4A】[0052]図4Aは、本開示の一実施形態にしたがう、対象の信号が第1の受信機周波数に存在する、FHSSホッピングパターンの第1のタイムスロット中の第1の受信機周波数への重み発生器及びスクラバを備える適応デジタルフィルタの適用を示すブロック図である。
図4B】[0053]図4Bは、本開示の一実施形態にしたがう、対象の信号が第3の受信機周波数に存在する、図4AのFHSSホッピングパターンの第2のタイムスロット中の第3の受信機周波数への図4Aの適応デジタルフィルタの適用を図示するブロック図である。
図4C】[0054]図4Cは、本開示の一実施形態にしたがう、対象の信号が第2の受信機周波数に存在する、図4AのFHSSホッピングパターンの第3のタイムスロット中の第2の受信機周波数への図4Aの適応デジタルフィルタの適用を図示するブロック図である。
図4D】[0055]図4Dは、対象の信号が第1の受信機周波数に存在する、図4AのFHSSホッピングパターンの第4のタイムスロット中に、図4Aのスクラバによる第1の受信機周波数への本開示の一実施形態にしたがうデジタルフィルタの適用を図示するブロック図であり、デジタルフィルタは、第1のタイムスロット中に図4Aの重み発生器によって発生された最適化されたデジタルフィルタ重みのセットにしたがって適用され、図4Aの重み発生器は第4のタイムスロット中に利用されない。
図5】[0056]図5は、本開示の一実施形態にしたがう、受信機周波数において受信された信号の第1のマルチパスコピーに従った重み発生器による最適化された適応フィルタ重みのセットの発生と、適応デジタルフィルタの発生されたフィルタ重みに従った複数のスクラバによる、信号周波数において受信された信号の複数のマルチパスコピーへの適用とを図示するブロック図である。
図6A】[0057]図6Aは、複数のDDCフィルタの単一の適応デジタルフィルタへの専用化を示すブロック図であり、DDCは、1次データ及び基準データを適応デジタルフィルタに提供する。
図6B】[0058]図6Bは、本開示の一実施形態にしたがう、複数の適応デジタルフィルタが、最適化された適応フィルタ重みのセットを発生するために使用される1次入力及び基準入力を選択することができるダウンコンバートされたデータストリームのバンクを形成する複数のDDCを図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[0059]本開示は、計算リソースを可能な限り効率的に利用しながら、干渉の抑制を最適化するように、受信信号を適応的にフィルタリングする方法である。受信周波数、マルチパスメッセージコピー、及び基準周波数の各組合せに別々の緩和器及びデジタルダウンコンバータ(DDC)を専用にする代わりに、本開示の方法は、2つ以上のそのような組合せの間で計算リソースを共有し、それによって、必要な計算リソースを少なくする。
【0047】
[0060]より具体的には、本開示の方法は、以下のうちの少なくとも1つに起因して計算リソースの要件が増大する環境を対象とする:
d.例えば、周波数ホッピングスペクトラム拡散(「FHSS」)通信に起因して、複数の受信周波数に適応フィルタリングを適用する要件;
e.メッセージの複数のマルチパスコピーに別々に適応フィルタリングを適用する要件;及び
f.複数の周波数から導出された基準データを複数の重み発生器に提供する要件であって、それによって、複数のデジタルダウンコンバータ(「DDC」)の出力が重み発生器のそれぞれに向けられることを必要とする要件。
【0048】
[0061]図2を参照すると、本発明によれば、アナログ信号がアナログフロントエンド(例えば、アンテナ、低雑音増幅器、フィルタ、ミキサなどを含む)103によって受信され、ADC104によってデジタル化され、次いで、搬送波周波数がデジタルダウンコンバータ102によって除去される。本開示のいくつかの実施形態は、重み発生器106が時間twの間に特定の周波数チャネルに対する重み108の最適なセットを決定すると、重み108は、少なくとも何らかの有限有効期間tv(tvはtwより長い)の間、その周波数に対して有効なままであると仮定する。結果として、重み発生器106の計算リソースは、時間tvの間に他のタスクにリダイレクトされることができる。t=0からt=twまでの期間の間、図2の上の図に図示されるように、緩和器100は図1Aのように動作し、それによって、重み発生器106は、入力データストリーム116にしたがって、及びスクラバ110の出力112から受信したフィードバック114にしたがって、適応フィルタ重み108のセットを発生し、最適化する。しかしながら、最適化された重み108のセットがt=twにおいて発生された後、スクラバ110は、t=twからt=tw+tvまでの重み有効性の残りの期間中に、記憶された最適化された重み108のセットを使用して、重み発生器108からのさらなる入力なしに動作し続けることができる。
【0049】
[0062]専用の重み発生器106及びスクラバ110を備える典型的な緩和器100について、重み発生器106は、緩和器100の計算リソースの約90%を消費することに留意されたい。したがって、最適化された適応フィルタ重みが発生される図2の上側の図によって示される初期期間twの後、図2の下側の図における計算リソースの要件は90%低減される。
【0050】
[0063]実施形態では、計算リソースを完全な「緩和器」として編成するのではなく、本方法は、計算リソースの展開を「重み発生器」及び「スクラバ」として別々に管理する。換言すれば、本方法は、重み発生器とスクラバとの間の1対1の対応を必ずしも維持しない。
【0051】
[0064]たとえば、N個の別個のメッセージがN個の受信周波数F1、F2、F3…FN上で受信され、最適化された適応フィルタ重み108が無期限に有効なままである(tvが無限である)極端なケースでは、図3Aから図3Cを参照すると、単一の重み発生器106を連続的に使用して、受信周波数のそれぞれに対して、すなわちF1(図3A)に対して、次いでF2(図3B)に対して、次いでF3(図3C)に対してなど、適応フィルタ重み108の最適化されたセットを発生することができ、その後、多くても、周波数のそれぞれに別個のスクラバ110を専用化することのみが必要であり、それによって計算リソースの要件が少なくとも90%低減される。
【0052】
[0065]発生された重み108が有限時間期間tvにわたってのみ有効である同様のケースでは、tvがN×twよりも長い限り、単一の重み発生器106を依然として使用して、N個の周波数のすべてについて重み108を周期的かつ連続的に再発生することができる。また、tvがN×twより短い場合、重み発生器106の数はそれに応じて増加することがある。それにもかかわらず、重み発生器106の数は、典型的にはN未満である。
【0053】
[0066]同様の実施形態は、FHSSを使用して送信される通信の適応デジタルフィルタリングを必要とする用途に対して実現できる。FHSS通信のデータ送信中の任意の所定の時間において、対象の信号は、FHSS周波数のうちの1つのみに存在する。そのため、図4Aから図4Cを参照すると、FHSS周波数のそれぞれに別個の緩和器100を専用化する代わりに、実施形態は、1つの緩和器100のみを必要とし、緩和器100は、既知のFHSSホッピングパターンにしたがってFHSS周波数間でシフトされ、その結果、緩和器100のデータ入力は、現在対象の信号を搬送しているダウンコンバートされたデータストリームに常に向けられる。
【0054】
[0067]図4Aから図4Cの例では、緩和器100は、FHSSホッピングパターンにしたがってF1(図4A)からF3(図4B)、F2(図4C)に遷移し、各ケースにおいて、信号が受信されている間にその周波数についての重み108の最適化されたセットを発生する。図4Dを参照すると、最適化された重み400のセットが以前に発生されたF1などの周波数に対象の信号が戻るとき、tvが長い場合、以前に発生された重みは有効なままであり、重み発生器106は、その周波数についてもはや必要とされない。そのような場合、重みがFHSS周波数のすべてに対して発生された後、既知のホッピングパターンにしたがってFHSS周波数間でスクラバ110を遷移させ続けることのみが必要であり、それによって計算リソースの要件をさらに低減する。
【0055】
[0068]最適化された適応フィルタ重み108が無期限に有効なままである場合、すなわち、tvが事実上無限である場合、重み発生器106は、FHSS周波数のそれぞれについて重み108の1つのセットを発生するだけでよく、その後、重み発生器106はもはや必要とされない。Tvが短い場合、最適化された重み108は、図4Aから図4Cに示すように、重み発生器106によって周期的に再発生することができる。
【0056】
[0069]場合によっては、FHSS通信は、データ通信(データモード)に先行する同期モード(同期探索モード)を備え、ここにおいて、信号は、同期探索中にFHSS周波数のうちの2つ以上の上で同時に送信される。したがって、いくつかの実施形態では、図3Aから図3Cと同様に、同期探索中に同時にアクティブになる周波数のそれぞれに対してスクラバ110を提供する必要があることがある。しかしながら、図3Aから図3Cのように、実施形態は、同期探索中に使用されるFHSS周波数のすべてについて重み108を発生することができる単一の重み発生器106のみを必要とする。
【0057】
[0070]たとえば、同期信号がFxtwよりも長い時間の間にF個の周波数上で同時に送信される場合、図3Aから図3Cと同様の方法でFHSS周波数のすべてについて最適化された重み108を順次発生するために、単一の重み発生器を使用できる。一方、同期情報が、既知のパターンにしたがって複数のFHSS周波数にわたって連続的に送信される既知の一連のパルスである場合、及び所定の周波数に対する重み108が、同期パルスのうちの1つの長さよりも短い時間twにおいて計算できる場合、図4Aから図4Cと同様の方法で既知のパターンにしたがって同期探索周波数間で重み発生器106及びスクラバ110をシフトさせることによって、同期データを失うことなく、同期探索中に単一の重み発生器106及びスクラバ110を使用することができる。
【0058】
[0071]同様のアプローチは、所定の送信の複数のマルチパスコピーが受信されるケースに適用できる。図1Cに示されるように、マルチパスコピーのそれぞれに対して別個の緩和器100を専用化するのではなく、それによって、別個の重み発生器106がマルチパスコピーのそれぞれに対する重み108を計算するために使用され、代わりに、図5を参照すると、実施形態は、所定の周波数での第1のマルチパスコピー502の受信中に重み108の単一のセットのみを計算し、その後、重み108は、その周波数で後に受信される他のマルチパスコピー502、504に再適用される。
【0059】
[0072]FHSS送信のケースでは、マルチパスコピー500、502、504のすべては、同じホッピングパターンに従う。しかしながら、マルチパス遅延は、コピーが任意の所定の時間にFHSS周波数のうちの2つ以上に同時に存在させるのに十分であるかもしれない。
そのため、実施形態は、複数のスクラバ110を提供する。例えば、図5の実施形態は、FHSS周波数のそれぞれに対して専用スクラバ110を提供する。それにもかかわらず、所定の周波数を通して受信されるマルチパスコピー500、502、504の一部又は全てに対する同じ重み108の再使用は、実施形態が重み発生器106の数を制限することを可能にし、それによって、いくつかの実施形態では、1つの重み発生器106のみが必要とされる。
【0060】
[0073]本開示のいくつかの実施形態は、上記で説明したように、必要とされる重み発生器106の数を低減するためのストラテジーを実現するが、それにもかかわらず、本方法のいくつかのインプリメンテーションでは、複数の重み発生器106が必要とされる。例えば、CTMCジャミングがFHSS通信のホッピングチャネルの全てに向けられる場合、及びFHSSチャネルの全てが単一の重み発生器を共有することが可能でない場合、FHSSチャネルのそれぞれに対して別個の重み発生器を提供することが必要である。これらの実施形態のいくつかでは、デジタルダウンコンバータ(DDC)102の共有が実現される。
【0061】
[0074]特に、本出願人に譲渡され、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年4月20日に出願された米国出願第16/852,631号においてより詳細に説明されているように、ジャミング攻撃は、複数の周波数チャネル上で同時に送信されるジャミング信号の送信を含むことができ、ジャミング信号は、「共通テンプレート」ジャミングパターンから導出され、したがって、互いに相関されてもよい。このタイプのジャミング攻撃は、本明細書では「共通テンプレートマルチチャネル」ジャミング、又はCTMCジャミングと呼ばれる。
【0062】
[0075]例えば、FHSS通信の単一のタイムスロットパルスの受信中に、対象の信号は、そのタイムスロットのための「SOI」周波数チャネルと呼ばれることがある1つの周波数チャネル上にのみ存在することになるが、ジャミング信号は、FHSS周波数チャネルの多くの又はすべての上に同時に存在する可能性が高い。
【0063】
[0076]図6Aを参照すると、CTMCジャミングを緩和しようと試みるとき、SOI周波数チャネルから重み発生器106に「1次」データを向けることに加えて、相関ジャミング信号が送信されている他のCTMCチャネルの一部又は全てから取得された「基準」データも重み発生器106に提供することが有益であることがある。図に示すように、このアプローチは、単一の重み発生器106が複数のデジタルダウンコンバータ(DDC)102からデータを受信することを必要とする。
【0064】
[0077]同様に、複数の対象の信号が複数のジャミングされた周波数チャネル上で同時に受信されている場合、及び複数の周波数チャネル中に存在するジャミングが相関しているが、対象の信号が相関していない場合、選択された「1次」周波数チャネル上のジャミングを緩和するために割り当てられた重み発生器によって発生される重みは、基準データとして他の周波数チャネルのうちの1つ以上から取得されたデータを重み発生器に与えることによって改善されることがある。そのような場合、「基準」データ内に存在する対象の信号は、1次周波数チャネルによって搬送される対象の信号に相関されず、それが雑音であるかのように扱われ、一方、基準データ内の相関されたジャミングパターンは、発生された重みを改善するために使用される。
【0065】
[0078]このマルチチャネル「基準データ」ストラテジーを実現するとき、別個のデジタルダウンコンバータ(DDC)102を基準周波数チャネルのそれぞれ、ならびに1次周波数チャネル専用にすることが必要なことがある。したがって、重み発生器106のそれぞれに基準データを提供するこのアプローチは、計算リソースの利用をさらに増加させる。例えば、FHSS通信がM個の周波数間でホッピングし、重み発生器106のそれぞれがN個の周波数チャネル(基準周波数チャネルに加えてSOI周波数チャネルを含む)からの入力を必要とする場合、各FHSSチャネルに1つずつ合計M個の緩和器が必要とされるかもしれず、合計M×N個のDDCが必要とされる。
【0066】
[0079]図6Bを参照すると、本開示の実施形態は、複数の重み発生器106がアクティブであり、重み発生器106のうちのいずれか1つによる重み108のセットの発生が、最適化された重みが発生されている1次周波数チャネルからの入力とともに少なくとも1つの基準周波数チャネルからのデータを含む、複数の周波数チャネルからのダウンコンバートされた入力を必要とする用途において、DDCリソースの共有を実現する。複数のDDC102を重み発生器106のそれぞれに専用化するのではなく、本開示の実施形態は、単一のDDC102のみを複数の周波数チャネルのそれぞれに専用化し、重み発生器106のすべてがそれらの1次入力及び基準入力を選択することができるダウンコンバートされたデータストリームのバンク600を提供するようにDDC102を構成する。
【0067】
[0080]図6Bの例では、対象の信号が5つの周波数チャネル上で受信され、別個の緩和器100(すなわち、重み発生器106及びスクラバ110)が5つの周波数チャネルのそれぞれに専用であり、緩和器100のそれぞれは、重み108の最適化されたセットを発生するために、5つの周波数チャネルのすべてからのダウンコンバートされたデータを必要とする。重み発生器106のそれぞれについて、5つの周波数チャネルのうちの1つからのダウンコンバートされたデータ(左から重み発生器106に入るように示されている)は、重み108がその重み発生器106によって発生されている周波数チャネルに対応する1次データであるとみなされる一方で、他の4つの周波数チャネルからのダウンコンバートされたデータ(上から重み発生器106に入るように示されている)は、重み発生器106によって基準データとして使用され、基準チャネル内の対象の無相関信号は雑音として扱われる一方で、相関ジャミング信号は、発生された重み108を最適化するための基準データとして使用される。
【0068】
[0081]したがって、図6Bの実施形態では、合計25個のDDC102を必要とするであろう、重み発生器106のそれぞれに5個のDDC102を専用化する代わりに、1個のDDC102のみが5個の周波数のそれぞれに専用化され、5個のDDC102のそれぞれからのデータが、重み発生器106の5個全てにデータバンク600として利用可能にされる。したがって、図示の例では、25個のDDCではなく、5個のDDC102しか必要とされない。
【0069】
[0082]より一般的には、本開示の実施形態は、M個の重み発生器106が実現され、重み発生器106のそれぞれが、重み108の最適なセットを計算するためにN個の周波数チャネル(SOIチャネル及び少なくとも1つの基準チャネルを含む)からのダウンコンバートされたデータを必要とする要件に適用できる。N個のDDC102をM個の重み発生器106のそれぞれに関係付けて必要とされるデータ入力のN個のセットを生成し、それによってM×N個のDDCを必要とするよりもむしろ、図6Bのような実施形態は、基準DDC102の単一バンク600を作成し、それらのそれぞれは単一の周波数チャネルに専用であり、したがって、各重み発生器106は、バンク600内のDDC102によって利用可能にされるダウンコンバートされたデータストリームのいずれか又はすべてから基準入力の最適なセット及び1次入力を選択できる。これらの実施形態のいくつかにおいて、例えば、重み発生器106のそれぞれがDDC102のサブセットのみからの入力を必要とする場合、及び/又は(例えば、FHSS通信に対して)周波数チャネルの数、したがってDDC102の数が固定されたままである場合、さらなる基準DDC102を追加する必要なく、必要に応じて追加の重み発生器106をシステムに追加することができる。結果は、DDC102の数が固定される一方で、重み発生器106の数が必要に応じて増加できるスケーラブルなアプローチであることができる。
【0070】
[0083]本開示の実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。本提出物の各及び全ページ、並びにその全ての内容は、どれほど特徴付けられようと、特定されようと、又は番号付けられようと、本出願内での形態又は配置にかかわらず、あらゆる目的のために本出願の実質的部分であると見なされる。本明細書は、網羅的であること、又は開示したまさにその形態に本開示を限定することを意図されない。本開示を踏まえて、多くの修正及びバリエーションが可能である。
【0071】
[0084]本出願は限られた数の形態で示しているが、本開示の範囲はこれらの形態だけに限定されず、その趣旨から逸脱することなく様々な変更及び修正を受け入れることができる。
本明細書で提示した開示は、本開示の範囲内にある特徴の全ての可能な組み合わせを明示的に開示するわけではない。様々な実施形態について本明細書で開示した特徴は、一般に、本開示の範囲から逸脱することなく、自己矛盾しない任意の組み合わせに交換及び組み合わせることができる。特に、以下の従属請求項に提示される限定は、従属請求項が互いに論理的に矛盾しない限り、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数及び任意の順序でそれらの対応する独立請求項と組み合わせることができる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】