IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ストラタテック コーポレーションの特許一覧

特表2023-525231生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物
<>
  • 特表-生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物 図1
  • 特表-生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/60 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
A61L27/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564277
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021032315
(87)【国際公開番号】W WO2021231775
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/024,258
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507295048
【氏名又は名称】ストラタテック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】アレン-ホフマン, ビー. リン
(72)【発明者】
【氏名】カマー, アレン アール.
(72)【発明者】
【氏名】グラッツ, ケネス アール.
(72)【発明者】
【氏名】スティグリッツ, バリー エム.
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB19
4C081BA12
4C081BB08
4C081CD121
4C081CD34
4C081DA01
4C081DC01
(57)【要約】
本開示は、生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、
ヒトケラチノサイトを含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、
上面及び底面を有する真皮等価層であって、前記真皮等価層が、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含み、前記マトリックスが、ヒトコラーゲン及び任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む、真皮等価層と、を含み、
前記上皮層の前記底面が、前記真皮等価層の前記上面に、前記層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着され、
前記皮膚構築物のドッグボーン型試料が、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重(「破壊荷重」)及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、前記完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において前記皮膚構築物と同じ点で破壊し、前記真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊し、
前記ドッグボーン型試料が、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する、皮膚構築物。
【請求項2】
前記真皮等価層が破壊するとき、前記荷重が、前記破壊荷重の10%未満低下する、請求項1に記載の皮膚構築物。
【請求項3】
前記真皮等価層が破壊するとき、前記荷重が、前記破壊荷重の5%未満低下する、請求項2に記載の皮膚構築物。
【請求項4】
前記真皮等価層が破壊するとき、前記荷重が、前記破壊荷重の1%未満低下する、請求項2に記載の皮膚構築物。
【請求項5】
前記真皮等価層が、約14~16mmの変位及び約0.1~約0.5Nの荷重で破壊する、請求項1~4のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項6】
前記皮膚構築物が、組織学によって測定される場合、約100μm~約250μm、又は約120μm~約200μmの厚さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項7】
前記完全に階層化された上皮層が、組織学によって測定される場合、約75μm~約120μmの厚さを有し、かつ/又は前記真皮等価層が、約20μm~約80μmの厚さを有する、請求項6に記載の皮膚構築物。
【請求項8】
前記上皮層の前記ケラチノサイトが、単一のヒトドナー由来であり、かつ/又は前記真皮等価層の前記真皮線維芽細胞が、任意選択的に前記ケラチノサイトの前記ヒトドナーとは異なる単一のヒトドナー由来である、請求項1~7のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項9】
前記ケラチノサイトが、NIKS細胞であるか、又は前記真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、請求項8に記載の皮膚構築物。
【請求項10】
前記ケラチノサイトが、NIKS細胞であり、前記真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、請求項8に記載の皮膚構築物。
【請求項11】
前記皮膚構築物が、約40cm~約100cmの表面積を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項12】
前記皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲンを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項13】
前記皮膚構築物が、少なくとも5mgのヒトI型コラーゲンを有する、請求項12に記載の皮膚構築物。
【請求項14】
前記皮膚構築物が、少なくとも5.5mgのヒトI型コラーゲン又は少なくとも少なくとも5.8mgのヒトI型コラーゲンを有する、請求項12に記載の皮膚構築物。
【請求項15】
前記ヒトI型コラーゲンの約98%以上が、前記皮膚構築物の細胞によって産生される、請求項12~14のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項16】
前記ヒトI型コラーゲンの約100%が、前記皮膚構築物の細胞によって産生される、請求項15に記載の皮膚構築物。
【請求項17】
前記皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、前記マウスI型コラーゲンが、前記皮膚構築物中の総コラーゲンの90重量%以下である、請求項12~16のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項18】
前記皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、前記マウス1型コラーゲンが、前記皮膚構築物中の総コラーゲン型の約60重量%~約90重量%である、請求項12~17のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項19】
前記皮膚構築物が、表面積1cm当たり約0.25mg~約0.45mg、又は表面積1cm当たり約0.29mg~約0.39mgの総コラーゲン含有量を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項20】
生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、
ヒトケラチノサイトを含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、
上面及び底面を有する真皮等価層であって、前記上皮層の前記底面が、前記真皮等価層の前記上面に、前記層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着され、
前記真皮等価層が、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含み、前記マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む、真皮等価層と、
表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンと、を含み、
前記皮膚構築物のドッグボーン型試料が、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、前記完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において前記皮膚構築物と同じ点で破壊し、前記真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊し、
前記ドッグボーン型試料が、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する、皮膚構築物。
【請求項21】
前記上皮層の前記ケラチノサイトが、単一のヒトドナー由来であり、かつ/又は前記真皮等価層の前記真皮線維芽細胞が、任意選択的に前記ケラチノサイトの前記ヒトドナーとは異なる単一のヒトドナー由来である、請求項20に記載の皮膚構築物。
【請求項22】
前記ケラチノサイトが、NIKS細胞であるか、又は前記真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、請求項21に記載の皮膚構築物。
【請求項23】
前記ケラチノサイトが、NIKS細胞であり、前記真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、請求項21に記載の皮膚構築物。
【請求項24】
生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、
NIKS細胞を含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、
上面及び底面を有する真皮等価層であって、前記上皮層の前記底面が、前記真皮等価層の前記上面に、前記層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着され、
前記真皮等価層が、マトリックス内に正常なヒト真皮線維芽細胞を含み、前記マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む、真皮等価層と、
表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンと、を含み、
前記皮膚構築物のドッグボーン型試料が、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、前記完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において前記皮膚構築物と同じ点で破壊し、前記真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊し、
前記ドッグボーン型試料が、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する、皮膚構築物。
【請求項25】
前記真皮等価層が破壊するとき、前記荷重が、前記破壊荷重の10%未満低下する、請求項20~24のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項26】
前記真皮等価層が破壊するとき、前記荷重が、前記破壊荷重の5%未満低下する、請求項25に記載の皮膚構築物。
【請求項27】
前記真皮等価層が破壊するとき、前記荷重が、前記破壊荷重の1%未満低下する、請求項25に記載の皮膚構築物。
【請求項28】
前記真皮等価層が、約14~16mmの変位及び約0.1~約0.5Nの荷重で破壊する、請求項20~27のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項29】
前記皮膚構築物が、組織学によって測定される場合、約100μm~約250μm、又は約120μm~約200μmの厚さを有する、請求項20~28のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項30】
前記完全に階層化された上皮層が、組織学によって測定される場合、約75μm~約120μmの厚さを有し、かつ/又は前記真皮等価層が、約20μm~約80μmの厚さを有する、請求項29に記載の生物工学によって作られた皮膚構築物。
【請求項31】
前記皮膚構築物が、表面積1cm当たり少なくとも0.055mgのヒトI型コラーゲン、又は表面積1cm当たり少なくとも少なくとも0.058mgのヒトI型コラーゲンを有する、請求項20~30のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項32】
前記ヒトI型コラーゲンの約98%以上が、前記皮膚構築物の細胞によって産生される、請求項20~31のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項33】
前記ヒトI型コラーゲンの約100%が、前記皮膚構築物の細胞によって産生される、請求項32に記載の皮膚構築物。
【請求項34】
前記総コラーゲン含有量が、表面積1cm当たり約0.29mg~表面積1cm当たり約0.39mgである、請求項20~33のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項35】
前記皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、前記マウスI型コラーゲンが、前記皮膚構築物中の総コラーゲンの90重量%以下である、請求項20~34のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項36】
前記皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、前記マウス1型コラーゲンが、前記皮膚構築物中の総コラーゲン型の約60重量%~約90重量%である、請求項20~34のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項37】
前記皮膚構築物が、約40cm~約100cmの表面積を有する、請求項20~36のいずれか一項に記載の生物工学によって作られた皮膚構築物。
【請求項38】
生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、
ヒトケラチノサイトを含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、
上面及び底面を有する真皮等価層であって、前記上皮層の前記底面が、前記真皮等価層の前記上面に、前記層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着され、
前記真皮等価層が、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含み、前記マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む、真皮等価層と、
表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンと、を含む、皮膚構築物。
【請求項39】
前記上皮層の前記ケラチノサイトが、単一のヒトドナー由来であり、かつ/又は前記真皮等価層の前記真皮線維芽細胞が、任意選択的に前記ケラチノサイトの前記ヒトドナーとは異なる単一のヒトドナー由来である、請求項38に記載の皮膚構築物。
【請求項40】
前記ケラチノサイトが、NIKS細胞であるか、又は前記真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、請求項39に記載の皮膚構築物。
【請求項41】
前記ケラチノサイトが、NIKS細胞であり、前記真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、請求項39に記載の皮膚構築物。
【請求項42】
生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、
NIKS細胞を含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、
上面及び底面を有する真皮等価層であって、前記上皮層の前記底面が、前記真皮等価層の前記上面に、前記層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着され、
前記真皮等価層が、マトリックス内に正常なヒト真皮線維芽細胞を含み、前記マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む、真皮等価層と、
表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンと、を含む、皮膚構築物。
【請求項43】
前記皮膚構築物が、表面積1cm当たり少なくとも0.055mgのヒトI型コラーゲン又は表面積1cm当たり少なくとも0.058mgのヒトI型コラーゲンを有する、請求項38~42のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項44】
前記ヒトI型コラーゲンの約98%以上が、前記皮膚構築物の細胞によって産生される、請求項38~43のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項45】
前記ヒトI型コラーゲンの約100%が、前記皮膚構築物の細胞によって産生される、請求項44に記載の皮膚構築物。
【請求項46】
前記皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、前記マウスI型コラーゲンが、前記皮膚構築物中の総コラーゲンの90重量%以下である、請求項38~46のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項47】
前記皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、前記マウス1型コラーゲンが、前記皮膚構築物中の総コラーゲン型の約60重量%~約90重量%である、請求項38~46のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項48】
前記皮膚構築物が、組織学によって測定される場合、約100μm~約250μm、又は約120μm~約200μmの厚さを有する、請求項38~47のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項49】
前記完全に階層化された上皮層が、組織学によって測定される場合、約75μm~約120μmの厚さを有し、かつ/又は前記真皮等価層が、約20μm~約80μmの厚さを有する、請求項48に記載の皮膚構築物。
【請求項50】
前記皮膚構築物が、約40cm~約100cmの表面積を有する、請求項38~49のいずれか一項に記載の生物工学によって作られた皮膚構築物。
【請求項51】
前記皮膚構築物のドッグボーン型試料が、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、前記完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において前記皮膚構築物と同じ点で破壊し、前記真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊し、
前記ドッグボーン型試料が、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する、請求項38~50のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項52】
前記真皮等価層が破壊するとき、前記荷重が、前記破壊荷重の10%未満低下する、請求項51に記載の皮膚構築物。
【請求項53】
前記真皮等価層が破壊するとき、前記荷重が、前記破壊荷重の5%未満低下する、請求項52に記載の皮膚構築物。
【請求項54】
前記真皮等価層が破壊するとき、前記荷重が、前記破壊荷重の1%未満低下する、請求項53に記載の皮膚構築物。
【請求項55】
前記真皮等価層が、約14~16mmの変位及び約0.1~約0.5Nの荷重で破壊する、請求項51~54のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項56】
前記皮膚構築物が凍結保存される、先行請求項のいずれか一項に記載の皮膚構築物。
【請求項57】
前記皮膚構築物が、解凍後に、bFGF、GM-CSF、HGF、IL-1α、IL-6、IL-8、IL-10、MMP-1、MMP-3、MMP-9、PlGF、SDF-1α、TGF-β1、及びVEGF-Aから選択される複数のタンパク質を分泌する、請求項56に記載の皮膚構築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月13日に出願された米国仮特許出願第63/024,258号に対する優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物を対象とする。
【背景技術】
【0003】
創傷治癒に対する可能性のある解決策は、多くの場合、皮膚代替物を含む。創傷を閉じ、保護するのに役立つように、これらの代替製品が使用され得る。しかしながら、多くの場合、代替製品は、特に引張強度等の代替物の物理的特性に関して、多くの望ましいものを残す。したがって、当該技術分野では、代替物の耐久性を促進し、創傷に顕著な利益をもたらす物理的特徴を有する代替製品への必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様は、生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、ヒトケラチノサイトを含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、上面及び底面を有する真皮等価層であって、真皮等価層が、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含む、真皮等価層と、を含む、皮膚構築物を包含する。マトリックスは、ヒトコラーゲン及び任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む。上皮層の底面は、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着される。皮膚構築物のドッグボーン型試料は、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重(「破壊荷重」)及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において皮膚構築物と同じ点で破壊し、真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊し、ドッグボーン型試料は、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する。
【0005】
本開示の別の態様は、生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、ヒトケラチノサイトを含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、上面及び底面を有する真皮等価層であって、上皮層の底面が、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着される、真皮等価層と、を含む、皮膚構築物を包含する。真皮等価層は、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含み、マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む。皮膚構築物は、表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンを有する。皮膚構築物のドッグボーン型試料は、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重及び約30mm~約45mmの変位で破壊する。完全に階層化された上皮層は、荷重変位曲線において皮膚構築物と同じ点で破壊し、真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊する。ドッグボーン型試料は、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する。
【0006】
本開示の更に別の態様は、生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、NIKS細胞を含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、上面及び底面を有する真皮等価層であって、上皮層の底面が、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着される、真皮等価層と、を含む、皮膚構築物を包含する。真皮等価層は、マトリックス内に正常なヒト真皮線維芽細胞を含み、マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む。皮膚構築物は、表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンを有する。皮膚構築物のドッグボーン型試料は、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において皮膚構築物と同じ点で破壊し、真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊する。ドッグボーン型試料は、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する。
【0007】
本開示のなお別の態様は、生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、ヒトケラチノサイトを含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、上面及び底面を有する真皮等価層であって、上皮層の底面が、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着される、真皮等価層と、を含む、皮膚構築物を包含する。
【0008】
真皮等価層は、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含み、マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む。皮膚構築物は、表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンを有する。
【0009】
本開示のいくつかの態様は、生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、NIKS細胞を含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、上面及び底面を有する真皮等価層であって、上皮層の底面が、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着される、真皮等価層と、を含む、皮膚構築物を包含する。真皮等価層は、マトリックス内に正常なヒト真皮線維芽細胞を含み、マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む。皮膚構築物は、表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンを有する。
【0010】
本開示の他の態様は、生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、ヒトケラチノサイトを含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、上面及び底面を有する真皮等価層であって、真皮等価層が、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含む、真皮等価層と、を含む、皮膚構築物を包含する。マトリックスは、ヒトコラーゲン及び任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む。皮膚構築物は、表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンを有する。皮膚構築物のドッグボーン型試料は、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重(「破壊荷重」)及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において皮膚構築物と同じ点で破壊し、真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊し、ドッグボーン型試料は、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する。
【0011】
上の態様の各々は、本開示の追加の態様及び繰り返しと共に、本明細書に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】引張試験中のStrataGraft(登録商標)の代表的な荷重変位曲線を示すグラフである。
図2】引張試験のための試料寸法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物は、完全に階層化された上皮層と、真皮等価層とを包含する。本開示の皮膚構築物は、器官型ヒト皮膚等価物として使用され得る。したがって、皮膚構築物は、内側の真皮様の層と、外側の上皮様の層の両方を有する天然ヒト皮膚を模倣するように設計された、生物工学によって作られた(非天然の)二重層組織である。例えば、器官型培養による皮膚構築物の産生により、インタクトなヒト皮膚に匹敵するバリア機能を示す、完全に階層化されたヒトケラチノサイトの十分に発達した上皮層を産生する。
【0014】
皮膚代替物の生存能力のある細胞(例えば、線維芽細胞、NIKS細胞等)は、代謝的に活性であり、あるスペクトルの成長因子、走化因子、サイトカイン、炎症性メディエーター、酵素、及び宿主防御ペプチドを分泌し、これらは、皮膚構築物が創傷に適用された後に、創傷床を調整し、組織再生を促進し、修復し、感染を低減し得る。例示的な実施形態において、皮膚構築物は、StrataGraft(商標登録)(商標)である。別の例示的な実施形態において、皮膚構築物は、ExpressGraft(商標)である。
【0015】
いくつかの実施形態において、皮膚構築物は、組織学によって測定される場合、約100μm~約250μm、又は約120μm~約200μmの厚さを有する。例えば、皮膚構築物は、組織学によって測定される場合、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、又は250μmの厚さを有し得る。
【0016】
一般的に言えば、本開示の皮膚構築物は、利用される培養プレートのみによって制限される、任意の所望の寸法及び表面積を含み得る。特定の実施形態において、本開示の皮膚構築物は、約20cm~約250cmの表面積を有する。いくつかの実施形態において、本開示の皮膚構築物は、約20cm~約80cm、約80cm~約140cm、約140cm~約200cm、又は約200cm~約250cmの表面積を有する。ある特定の実施形態において、本開示の皮膚構築物は、約90cm~約110cmの表面積を有する。一実施形態において、本開示の皮膚構築物は、約100cmの表面積を有する。
【0017】
本開示の皮膚構築物は、任意選択的にメッシュされていてもよい。いくつかの実施形態において、皮膚構築物は、約1:1以上(例えば、約1.5:1、約2:1、約2.5:1、約3:1等)のメッシュ比を有する。いくつかの実施形態において、皮膚構築物は、メッシュされていない。
【0018】
皮膚構築物の各層は、本発明の皮膚構成物の他の規定する特徴と共に、以下に詳述される。
【0019】
(a)完全に階層化された上皮層
本開示の皮膚構築物は、上皮様である完全に階層化された上皮層を含む。完全に階層化された上皮層は、上面及び底面を有し、ヒトケラチノサイトを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、完全に階層化された上皮層は、NIKS細胞を含む。NIKS(商標登録)細胞は、ATCCに寄託され(CRL-12191)、米国特許第5,989,837号及び米国特許第6,964,869号に更に詳細に記載され、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
完全に階層化された上皮層は、種々の外因性核酸を発現するように操作されたNIKS(商標登録)細胞を包含し得る。VEGFタンパク質(例えば、VEGF-A等)をコードする外因性遺伝子、低酸素誘導因子(例えば、HIF-1A等)をコードする外因性遺伝子、アンジオポエチン(例えば、ANGPT1等)をコードする外因性遺伝子、カテリシジンペプチド又はその切断産物(例えば、hCAP-18等)をコードする外因性遺伝子、ベータ-ディフェンシン(例えば、hBD-3等)をコードする外因性遺伝子、ケラチノサイト成長因子(例えば、KGF-2等)をコードする外因性遺伝子、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤(例えば、TIMP-1等)をコードする外因性遺伝子、外因性IL-12遺伝子、並びに他の抗菌剤、成長因子、転写因子、インターロイキン及び細胞外マトリックスタンパク質をコードする外因性核酸配列を発現するように操作されたNIKS(登録商標)細胞が明示的に企図される。非限定的な例として、例えば、これらの開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7498167号、同第7915042号、同第7807148号、同第7988959号、同第8808685号、同第7674291号、同第8092531号、同第8790636号、同第9526748号、同第9216202号、及び同9163076号、並びにUS2019/0030130を参照されたい。所望のタンパク質をコードする外因性核酸を発現するように操作されたNIKS細胞を含む皮膚構築物は、外因性核酸を含有しないNIKS細胞を含む皮膚構築物よりも多くの量の(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%等多くの)そのタンパク質を産生する。
【0022】
いくつかの実施形態において、完全に階層化された上皮層は、組織学によって測定される場合、約75μm~約120μmの厚さを有する。例えば、完全に階層化された上皮層は、組織学によって測定される場合、約75、80、85、90、95、100、105、110、115、又は120μmの厚さを有し得る。
【0023】
(b)真皮等価層
本開示の皮膚構築物は、真皮様である真皮等価層を含む。真皮等価層は、上面及び底面を有し、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、真皮等価層は、組織学によって測定される場合、約20μm~約80μmの厚さを有する。例えば、真皮等価層は、組織学によって測定される場合、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80μmの厚さを有し得る。
【0025】
i.ヒト真皮線維芽細胞
本開示の皮膚構築物は、ヒト真皮線維芽細胞を含む真皮等価層を包含する。例示的な実施形態において、ヒト真皮線維芽細胞は、初代の正常なヒト真皮線維芽細胞である。いくつかの実施形態において、ヒト真皮線維芽細胞は、不死化される。
【0026】
ii.マトリックス
本開示の皮膚構築物は、マトリックスを含む真皮等価層を包含する。真皮等価層のマトリックスは、ヒトコラーゲン及び任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む。いくつかの実施形態において、真皮等価層のマトリックスは、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む。
【0027】
真皮等価物中に存在するコラーゲンとしては、I型マウスコラーゲンが挙げられ得る。代替的に、真皮等価物中に存在する唯一のコラーゲンは、皮膚代替物(例えば、ヒト真皮線維芽細胞)の細胞によって産生され得る。マトリックスは、その中に含まれる細胞によって産生される追加の生体分子を更に含み得る。例示的な実施形態において、皮層は、線維芽細胞によって産生され、組織化されたマトリックス(例えば、細胞外マトリックス)内に埋め込まれた正常なヒト真皮線維芽細胞で構成される。この実施形態のいくつかの繰り返しにおいて、真皮等価層中に非ヒトコラーゲンは存在しない。この実施形態の他の繰り返しにおいて、真皮等価層には最大約85%の非ヒトコラーゲンが存在する。特定の繰り返しにおいて、非ヒトコラーゲンは、マウスコラーゲンである。別の例示的な実施形態において、真皮等価層は、精製されたマウスI型コラーゲンを含有するゲル化コラーゲンマトリックスに埋め込まれた正常なヒト真皮線維芽細胞で構成される。疑問を避けるために、この実施形態において、マウスI型コラーゲンは、皮層にその一次構造を与えるようにゲル化されているが、その中に埋め込まれた正常なヒト真皮線維芽細胞は、マトリックスに対してコラーゲン(及び他の生体分子)を産生し、それに寄与し得る。
【0028】
iii.細胞の組み合わせ
上の実施形態のいずれかの皮膚構築物は、単一のヒトドナー由来の上皮層のケラチノサイト、又は単一のヒトドナー由来の真皮等価層の真皮線維芽細胞を含み得る。代替的に、上の実施形態のいずれかの皮膚構築物は、単一のヒトドナー由来の上皮層のケラチノサイト、及び単一のヒトドナー由来の真皮等価層の真皮線維芽細胞を含み得る。任意選択的に、真皮線維芽細胞のドナーは、ケラチノサイトのヒトドナーとは異なっていてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、本開示の皮膚構築物は、NIKS細胞であるケラチノサイト、又は正常なヒト真皮線維芽細胞である真皮線維芽細胞を含み得る。他の実施形態において、本開示の皮膚構築物は、NIKS細胞であるケラチノサイト、及び正常なヒト真皮線維芽細胞である真皮線維芽細胞を含み得る。
【0030】
(c)接着
本開示の皮膚構築物は、上で詳述したように、上皮層及び真皮等価層の2つの層を含む。全ての場合において、上皮層の底面は、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも85%を覆うように接着される。ある特定の実施形態において、上皮層の底面は、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99%より多くを覆うように接着される。いくつかの実施形態において、上皮層の底面は、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は99%より多くを覆うように接着される。特定の実施形態において、上皮層の底面は、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%、99%、又は99%より多くを覆うように接着される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「接着される」とは、製造中に生じる層間の自然な相互作用を指し、いかなる種類の人工接着剤又は接着剤を指すものではない。
【0032】
(d)コラーゲン
本開示の皮膚構築物は、以下の実施例に詳述されるプロトコルを使用して測定される場合、皮膚構築物表面積1cm当たり約0.20mg~皮膚構築物表面積1cm当たり約0.50mgの総コラーゲン含有量を有する。いくつかの実施形態において、皮膚構築物は、皮膚構築物表面積1cm当たり約0.25mg~皮膚構築物表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量を有し得る。例えば、皮膚構築物は、皮膚構築物表面積1cm当たり約0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、又は0.45mgの総コラーゲン含有量を有し得る。特定の実施形態において、皮膚構築物は、皮膚構築物表面積の約0.25~約0.30、約0.30~約0.35、約0.35~約0.40、又は約0.40~約0.45cmの総コラーゲン含有量を有し得る。
【0033】
特定の実施形態において、本開示の皮膚構築物は、ヒト1型コラーゲンを含む。例えば、本開示の皮膚構築物は、以下の実施例に詳述されるプロトコルを使用して測定される場合、表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンを有し得る。いくつかの実施形態において、皮膚構築物は、100cm当たり少なくとも5mgのヒトI型コラーゲンを有する。例えば、皮膚構築物は、100cm当たり少なくとも5.5mgのヒトI型コラーゲン、又は少なくとも少なくとも5.8mgのヒトI型コラーゲンを有し得る。
【0034】
代替的な実施形態において、本発明の皮膚構築物は、表面積1cm当たり少なくとも0.055mgのヒトI型コラーゲン、又は表面積1cm当たり少なくとも少なくとも0.058mgのヒトI型コラーゲンを有し得る。
【0035】
ヒト1型コラーゲンを含む本開示の皮膚構築物を包含する上の実施形態の各々において、ヒトI型コラーゲンの約95%以上は、皮膚構築物の細胞によって産生される。例えば、ヒトI型コラーゲンの約95、96、97、98、99、又は100%は、皮膚構築物の細胞によって産生され得る。特定の実施形態において、ヒトI型コラーゲンの約100%は、皮膚構築物の細胞によって産生される。
【0036】
本開示の皮膚構築物は、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含んでいてもよく、マウスI型コラーゲンは、皮膚構築物中の総コラーゲンの90重量%以下である。例えば、いくつかの実施形態において、マウス1型コラーゲンは、皮膚構築物中の総コラーゲン型の約60重量%~約90重量%である。
【0037】
好ましい実施形態において、本開示の皮膚構築物は、表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンを有する。
【0038】
ある特定の実施形態において、本開示の皮膚構築物は、最大約88%のマウスコラーゲンを含み得る。例えば、本開示の皮膚構築物は、最大約88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、又は50%のマウスコラーゲンを含み得る。この段落に記載の実施形態の各々において、非マウスコラーゲンは、ヒトコラーゲンである。
【0039】
特定の実施形態において、本開示の皮膚構築物は、約10質量%~約25質量%のヒトコラーゲンを含み得る。これらの実施形態において、ヒトコラーゲンは、正常なヒト真皮線維芽細胞に由来する。例えば、本開示の皮膚構築物は、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25質量%のヒトコラーゲンを含み得る。ある特定の実施形態において、本開示の皮膚構築物は、約15~約20質量%のヒトコラーゲンを含み得る。
【0040】
(e)破壊荷重
本発明の皮膚構築物は、約0.5~約1.0Nの破壊荷重及び約30mm~約45mmの変位を有する。本明細書で使用される場合、「破壊荷重」は、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで皮膚構築物の試料を引っ張るのに必要な力を指し、試料は、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する、対称形のドッグボーン様の形状である。例えば、図2の適切な試料の図を参照されたい。
【0041】
いくつかの実施形態において、本発明の皮膚構築物は、約0.5N、0.6N、0.7N、0.8N、0.9N、又は1.0Nの破壊荷重、及び約30mm~約45mmの変位を有する。ある特定の実施形態において、本発明の皮膚構築物は、約0.5~約1.0Nの破壊荷重、及び約30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、又は45mmの変位を有する。
【0042】
本開示の皮膚構築物は、皮膚構築物の真皮等価層がまず破壊し、その後に、完全に階層化された上皮層が破壊するという、二段階で破壊する。例えば、いくつかの実施形態において、真皮等価層は、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊する。ある特定の実施形態において、真皮等価層は、約12、13、14、15、16、17、又は18mmの変位で破壊する。いくつかの実施形態において、真皮等価層は、約14~16mmの変位及び約0.1~約0.5Nの破壊荷重で破壊する。
【0043】
ある特定の実施形態において、真皮等価層が破壊するとき、荷重は、破壊荷重の10%未満低下する。例えば、真皮等価層が破壊するとき、荷重は、破壊荷重の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満低下し得る。一実施形態において、真皮等価層が破壊するとき、荷重は、破壊荷重の1%未満低下する。
【0044】
(f)製造
皮膚構築物を製造するための好適な製造プロセスは、当該技術分野において以前に記載されている。例えば、これらの開示が各々、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7498167号、同第7915042号、同第7807148号、同第7988959号、同第8808685号、同第7674291号、同第8092531号、同第8790636号、同第9526748号、同第9216202号、同第9163076号、同第10091983号、及びUS2019/0030130を参照されたい。
【0045】
本開示の皮膚構築物は、凍結保存されてもよい。凍結保存方法は、当該技術分野において既知である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第10,091,983号を参照されたい。
【0046】
本開示の皮膚構築物が凍結保存後に解凍された後、皮膚構築物は、bFGF、GM-CSF、HGF、IL-1α、IL-6、IL-8、IL-10、MMP-1、MMP-3、MMP-9、PlGF、SDF-1α、TGF-β1、及びVEGF-Aから選択される複数のタンパク質を分泌し得る。
【実施例
【0047】
以下の実施例は、本発明の様々な繰り返しを例示する。当業者は、以下の実施例に開示される技術が、本発明の実施において良好に機能するために本発明者らによって発見された技術を表すことを理解すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示され、依然として同様又は類似の結果を得る特定の実施形態に変更が行われ得ることを理解すべきである。したがって、添付の図面に記載されるか、又は示される全ての事項は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0048】
緒言
製造プロセスを確定した後、StrataGraft(登録商標)組織内の細胞外マトリックス(ECM)分子の発現を調査するために、研究を行った。新生真皮等価物(DE)は、インプットマウスI型コラーゲン及び正常なヒト真皮線維芽細胞(NHDF)からなる、製剤化ステップで定義された組成を有するが、成熟StrataGraft(登録商標)のECM組成物を調査して、StrataGraft(登録商標)皮膚組織製造の器官型段階中のDE組成の変化を評価した。実施された研究は、NIKSケラチノサイト及びNHDFからヒトECM分子を入念に作り上げることによって、DEが、StrataGraft(登録商標)製造プロセス中に顕著な変化を受けることを示している。
【0049】
StrataGraft(登録商標)皮膚組織の製造プロセスは、3つの連続した細胞及び組織培養プロセスを包含する。製造プロセスの第I段階において、NIKSケラチノサイトは、単層細胞培養で増殖する。第I段階のNIKSケラチノサイト培養と同時に、NHDFは、単層培養で増殖し、精製されたI型コラーゲン及び培養培地と合わせられ、ゲル化して、細胞化真皮等価物(DE)を形成する。第II段階において、NIKSケラチノサイトを、DEの表面に播種し、浸漬条件下で2日間培養し、DE表面の完全な上皮化を促進する。次いで、第III段階において、組織を、空気-液体界面へと押し上げ、制御された低湿度環境で18日間維持し、組織成熟を促進する。皮膚等価物は、一般に、米国特許第7,674,291号、同第7,807,148号、同第7,915,042号、同第7,988,959号、及び同第8,092,531号に記載されるように調製され、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
ELISA研究の結果に基づいて、1つの100cmのStrataGraft(登録商標)組織中で合成されたヒトI型コラーゲンの総量は、凍結保存直前の名目上の製剤原料段階で、組織当たり5.8mgであると推定される。ヒドロキシプロリン含有量の定量化により、各成熟した100cmのStrataGraft(登録商標)組織において、29.6~38.6mgの総コラーゲン含有量を示す。このことは、コラーゲンの15~20質量%が、NHDF由来のヒトコラーゲンであり、コラーゲンの残りの80~85質量%が、マウス由来であることを示す。51.5mgのマウスコラーゲンのインプット質量に基づき、インプットマウスコラーゲンのおよそ37~54%が、StrataGraft(登録商標)製造プロセス中に失われ得ると決定されている。StrataGraft(登録商標)中に残存するマウスコラーゲンにもかかわらず、ここに提示されるデータは、StrataGraft(登録商標)製造プロセス全体で、NHDFに埋め込まれたマウスI型コラーゲンを使用して製剤化される新生DEが、ヒト皮膚の主要な構造的及び機能的ECM要素の多くの産生及び組み立てによって形質転換されることを示唆している。本明細書のデータは、外因性マウスコラーゲンゲルが、インプットNHDF及びNIKS細胞のための初期の生理学的基質を提供するが、組織の最終的な機械的特性に実質的に寄与しないことを示す。ECMの改変及び再編成は、全体的なDE構造の変化と並行して起こり、これはゆるく編成された厚さ2.3mm(体積23mL)のヒドロゲルとして始まり、成熟組織において、より圧縮された厚さ100μm(体積1mL)未満の層に移行する。
【0051】
重要なことに、NIKSケラチノサイト及びNHDFは両方とも、インテグリン受容体及びディスコイジンドメイン受容体を介してコラーゲンに結合すると考えられる。この結合は、StrataGraft(登録商標)組織の発達中にケラチノサイト及び線維芽細胞内で生物学的応答を誘発し、最終的な100cmの皮膚構築物の固有の引張特徴を生じさせる。インプットマウスI型コラーゲン出発物質は、細胞成熟、及びNIKSケラチノサイトとNHDFとの間のパラクリンシグナル伝達を可能にする生物学的に関連する環境を提供する。コラーゲンは、インプットNIKSケラチノサイト及びNHDFの初期細胞接着、タンパク質分泌、増殖、及び分化を促進する。器官型培養環境は、他のコラーゲン、接着タンパク質、プロテオグリカン、並びにマトリックス結合酵素及び成長因子を含む構造的に編成されたECMの形成及び維持を促進する。I型コラーゲンは、発達しつつあるStrataGraft(登録商標)組織内の細胞活性の機能的調節因子としての役割も果たすことが予想される。
【0052】
本明細書にまとめられている研究は、StrataGraft(登録商標)製造中のヒトECMの合成及び蓄積を追跡するために、StrataGraft(登録商標)皮膚組織製造中の様々な時間点でのStrataGraft(登録商標)皮膚組織の薄い断面上での間接的な免疫蛍光(IIF)、並びに製造プロセス中のStrataGraft(登録商標)皮膚組織成長チャンバから採取した馴化培地のELISAの使用を用いた。この分析は、新生DE中の初期コラーゲンマトリックスが、NIKSケラチノサイト及びNHDFによるヒトECM成分の産生及び編成によって広範囲に改変されることを示す。
【0053】
研究を実施して、StrataGraft(登録商標)組織製造プロセスの器官型段階全体で、ECM分子の分泌を特性決定した。StrataGraft(登録商標)皮膚組織は、真皮ECMの主な構造成分を表す、線維状I型コラーゲン及びIII型コラーゲンを合成することが示された。StrataGraft(登録商標)皮膚組織成熟全体にわたるIIFによる抗原特異的染色の増加は、ヒトコラーゲンの新合成を示す。ヒトI型コラーゲンの合成は、I型コラーゲンの生合成処理と関連する特異的な代謝産物であるI型コラーゲンCプロペプチド(CICP)の検出によって更に確認された。追加のデータは、ヒトコラーゲンが、両方ともコラーゲン構造の組み立てをインビボで導くように機能するVI型コラーゲン及びデコリンの蓄積を含め、StrataGraft(登録商標)の細胞成分によって堆積され、編成されることを示す。StrataGraft(登録商標)は、コラーゲンIV及びラミニン332(ラミニン5)の適切な空間分布によって示されるように、基底膜帯及び真皮-上皮接合部を編成することを示した。新しく注がれたDE中にこれらのECM分子が存在しないことは、StrataGraft(登録商標)の細胞成分が、StrataGraft(登録商標)成熟プロセス中に、皮膚組織の構造的機能及びシグナル伝達機能において中心的な役割を有するヒトECM成分を含むように、新生DEを形質変換することを示す。
【0054】
実施例1-間接免疫蛍光(IIF)
IIFを使用して、様々な製造段階としての新鮮な新生細胞化DEの凍結切片中、及び発達しつつある組織中のECMタンパク質を検出した。新生DE内のNHDFが希少であることに起因して、DAPI核対比染色を使用して蛍光イメージングによって、核染色を可視化することはできなかった。これに代えて、マウスI型コラーゲンに対する一次抗体である、新しく注がれたDE中の一次ECM成分を使用した。この様式での対比染色は、DEの完全性の検証を可能にした。
【0055】
I型コラーゲン
I型コラーゲンは、皮膚ECMの主要な構造成分を構成する原線維形成コラーゲンである。I型コラーゲンの検出に使用される抗体は、ヒト及びウシのI型コラーゲンに対して指向し、抗体特異性を増加させるために、他のヒトコラーゲン型、血清タンパク質、及び非コラーゲン性ECMタンパク質に対して高度に交差吸着された。この抗体の調製は、マウスI型コラーゲンと交差反応させるために、製造業者によって注目される。したがって、この試薬の使用は、発達しつつある組織内でのマウスコラーゲンとヒトコラーゲンとを区別することは期待されなかった。I型コラーゲンの拡散染色は、新しく注がれた新生DE中で存在し、このことは、マウスI型コラーゲン出発物質との交差反応性を確認するものである。プロセス18日目までに、新生DE全体にわたるコラーゲンI型の拡散染色に加えて、新生DE全体にわたって濃縮された点状染色も明らかにみられ、多くは組織断面内で捕捉されたNHDFからの核に隣接していた。
【0056】
プロセス33日目(凍結保存直前の名目上の製剤原料を表す)までに、I型コラーゲンの発現が、線維状分布において、DE全体でみられた。解凍直後のStrataGraft(登録商標)薬物製品において、I型コラーゲンの局在化は、真皮等価物全体で均一であるようにみえ、これはおそらく、凍結保存溶液のグリセロール成分によるコラーゲンECMの可逆的解離から生じるエピトープ脱マスキングの機能である(Yeh,2013)。組織成熟中の染色パターンの変化は、新生細胞化マウスコラーゲンゲル化DEの染色からのシフトと一致しており、NHDFによって新しく合成されたヒトI型コラーゲンの点状染色、その後のI型コラーゲンからの原線維への編成を示している。使用されるI型抗体は、ヒトコラーゲンとマウスコラーゲンとを区別することはできないが、III型コラーゲン及びデコリンとのI型コラーゲン染色の共局在化(以下を参照)は、StrataGraft(登録商標)皮膚組織製造中のヒトI型コラーゲン生合成を強く裏付けている。
【0057】
III型コラーゲン
III型コラーゲンは、弾性組織の主要な線維状コラーゲンの1つであり、I型コラーゲンを豊富に含む組織と共局在化することがわかっており、これは両コラーゲン型を含有する異型コラーゲン原線維の組み立てに起因する(Nystrom,2019)。このタンパク質の検出に使用される抗体調製物は、ヒトIII型コラーゲンに対して上昇し、III型コラーゲン上の立体構造決定因子と反応することが報告されている。この抗体調製物は、これらのタンパク質に対する交差反応性を排除するために、ヒトコラーゲンI型、II型、IV型、V型、及びVI型に対して交差吸着した。抗体調製物は、マウスIII型コラーゲンと交差反応することが報告されている。しかしながら、新しく注がれたDEにおいて、III型コラーゲンシグナルは検出されず、このことは、マウスIII型コラーゲンが、新生細胞化DEの製剤に使用されるコラーゲン出発物質の重要な成分ではないことを示唆している。プロセス18日目までに、I型コラーゲンの場合に指摘されたように、しばしばNHDF核と関連するDE全体にわたって点状染色が存在していた。この局在化は、NHDFによるIII型コラーゲンの合成及び分泌と一致している。染色強度は、組織成熟全体で増加した。このことは、StrataGraft(登録商標)皮膚組織成熟中のヒトIII型コラーゲンの合成及び堆積を確認するものである。
【0058】
VI型コラーゲン
VI型コラーゲンは、天然ヒト皮膚のECM内に糸状の網を含む非線維状コラーゲンであり、線維状コラーゲンであるI型及びIII型、IV型コラーゲン、並びにデコリンを含む種々の構造ECM成分と機能的相互作用を有する。VI型コラーゲンは、創傷治癒と関連する成長因子及び酵素のための場所として、並びに真皮マトリックスの組み立て及び組成の調節因子として作用する(Nystrom,2019)。VI型コラーゲンは、ECMの形成中に主要な間質コラーゲンI型及びIII型の堆積に先行することも示されている(Nystrom,2019)。ヒトVI型コラーゲンの検出に使用される抗体調製物は、天然のVI型コラーゲン上の立体構造決定因子と反応し、マウスVI型コラーゲンを認識せず、ヒトコラーゲンI型、II型、III型、IV型、又はV型と交差反応しない。VI型コラーゲンは、新しく注がれた新生DEにおいて、検出することができなかった。プロセス18日目までに、真皮区画に点状染色が位置しており、I型及びIII型コラーゲンの発現を反映している。プロセス33日までに、VI型コラーゲンは、DE全体で検出され、このことは、StrataGraft(登録商標)組織の細胞成分によるヒトコラーゲンVI型生合成を確認するものである。
【0059】
デコリン
デコリンは、I型コラーゲン原線維の組み立てと関連する真皮硫酸プロテオグリカンであり、インビトロ及びインビボの両方で新たに合成されたI型コラーゲンを視覚化するために使用されてきた(Oostendorp,2016)。抗体調製物は、ヒトデコリンコアタンパク質の組換え断片に対して上昇し、潜在的なマウス交差反応性を有するヒトデコリンを検出することが報告されている。
【0060】
デコリンは、新しく注がれた新生DEにおいて、検出することができなかったが、成熟したStrataGraft(登録商標)皮膚組織としての真皮区画において蓄積しており、このことは、製造中のStrataGraft(登録商標)組織の細胞成分によるヒトデコリンの合成を確認するものである。
【0061】
IV型コラーゲン
IV型コラーゲン(図6)は、基底膜帯内の真皮-上皮接合部の主要な構造成分である(Nystrom,2019)。この研究で用いられる抗体調製物は、精製されたヒトIV型コラーゲンに対して上昇し、マウスIV型コラーゲンとの交差反応性は、製造業者によって評価されなかった。IV型コラーゲンは、新生DEにおいて、又はStrataGraft(登録商標)成熟の初期の器官型段階中に、検出されなかった。IV型コラーゲンの発現は、StrataGraft(登録商標)皮膚組織製造のプロセス33日目に、また、凍結保存された最終製品において、真皮区画と上皮区画との間の接合部で検出可能であり、このことは、IV型コラーゲンが、StrataGraft(登録商標)組織の細胞成分によって適切に合成され、編成されることを確認するものである。
【0062】
ラミニン332(ラミニン5)
ラミニン5は、皮膚の基底膜帯にみられ、その下にある真皮に対する上皮の接着に寄与する固定フィラメントと関連している(Nystrom,2019)。この研究で利用される抗体調製物は、ラミニンのヒトγ2鎖の組換え断片に対して上昇した。この抗体調製物は、他のラミニンアイソフォームと反応しないが、マウスラミニン5に対する交差反応性は、製造業者によって評価されなかった。ラミニン5は、新しく注がれた新生DEにおいて、検出することができなかった。しかしながら、プロセス18日目までに、真皮-上皮接合部で点状染色が明らかであった。プロセス26日目までに、真皮-上皮接合部で連続的な染色が検出された。この染色は、組織の成熟全体にわたって残っており、プロセス33日目までに、真皮区画全体にわたる拡散染色を含むように増殖した。これらの観察は、ヒトラミニン5が、StrataGraft(登録商標)組織の細胞成分によって合成され、堆積されることを示す。プロセス33日目に、及び解凍後の標本において、この抗体調製物は、このポリカーボネート膜に非特異的に結合し、膜自体と関連するシグナルを引き起こすことが示された。
【0063】
実施例2-ELISA分析によるヒトコラーゲンインプロセス及び最終薬物製品における定量化
ヒトI型コラーゲンの合成は、1型コラーゲンのヒト架橋Cテロペプチド(CICP)に特異的なELISAを用いて、独立して確認された。DE製剤に使用されるインプットマウスI型コラーゲンは、CICPを含有しない成熟コラーゲンからなる。新たに合成されたI型コラーゲンは、線維状コラーゲン構造に重合する能力を有さないプロコラーゲンとして細胞内で産生される。分泌すると、プロコラーゲンは、特異的な細胞外プロテアーゼによってトロポコラーゲンに変換され、N末端及びC末端プロペプチドの両方を放出し、線維状コラーゲン構造の重合を可能にする。放出されたCICPは、I型コラーゲン生合成のマーカーであり(Parfitt,1987)、コラーゲン生合成の最小速度を得るために、定量化することができる。
【0064】
ヒトCICPを、NIKS播種の直前に、また、凍結保存ステップまでの各々の培地交換時に、StrataGraft(商標登録)組織から集めた馴化培地において定量化した。試料を、ヒト特異的CICP ELISAを使用して、CICP参照標準曲線に対して試験し、比較した。結果を、[m/(v*t)]、すなわち、1日(t)当たりの培地の単位体積(v)当たりの質量(m)として表した。ヒトI型コラーゲンの合成の最小速度を、1:1モル比のI型CICP三量体及びトロポコラーゲンI三量体に基づいて測定された値から外挿した。
【0065】
ヒトI型コラーゲンのELISAの結果及び定量的推定値を、表1に示す。総分泌CICPは、各プロセスステップで平均CICP含有量に総培地体積を掛け算することによって決定した。CICP分泌速度は、総分泌CICPを、組織面積及び培地交換間の培養間隔によって割り算することによって得られた。I型コラーゲン合成の最小推定値は、CICP三量体と成熟トロポコラーゲン三量体との間の1:1化学量論に基づいて、CICP及び成熟トロポコラーゲン三量体の予測分子量を計算し、CICP分泌速度に、CICPに対するトロポコラーゲンの質量比を掛け算することによって得られた。累積ヒトI型コラーゲンは、最小コラーゲン合成速度を、各プロセスステップについての総組織面積及び培養間隔を掛け算し、得られた値を合計することによって得られた。
【表1】
【0066】
I型コラーゲン合成は、真皮等価物上にNIKSケラチノサイトを播種する前に、低レベルで検出可能であった。初期の器官型段階(NIKS播種及びプロセス15日目)中に、NIKSケラチノサイトは、増殖し、新生DEの表面上に広がる。空気-液体界面が、プロセス15日目に開始すると、NIKSとNHDFとの間のパラクリンシグナル伝達は、CICP産生の顕著な増加を引き起こすと予想され、コラーゲン合成のピークレベルは、プロセス26日目の前に集めた馴化培地においてみられるレベル上昇から推測することができる。このデータは、最小でおよそ5.8mgのヒトI型コラーゲンが、合成され、薬物製品の成熟DE内の成熟タンパク質として組み込まれることを裏付けている。
【0067】
実施例3-StrataGraft(商標登録)皮膚組織における総コラーゲンの定量化
上述のCICPデータは、StrataGraft(登録商標)製造プロセス中にヒトI型コラーゲンのインビトロ生合成を示し、組織当たり少なくとも5.8mgである、StrataGraft(登録商標)皮膚組織において産生されるヒトI型コラーゲンの推定量が提供された。哺乳動物コラーゲンの固有のアミノ酸組成を利用することによって、StrataGraft(登録商標)組織において総コラーゲン含有量を定量化するために、追加の研究を行った。マウス及びヒトのI型コラーゲンは両方とも、コラーゲンの組み立てに適合するアミノ酸構造を作成するために、12~14質量%のヒドロキシプロリンで構成されている(Stoilov,2018)。
【0068】
この研究は、総ヒドロキシプロリンの測定のための比色アッセイキットを利用し、次いで、これを使用して、StrataGraft(登録商標)皮膚組織において総コラーゲンを定量化した。次いで、残留マウスコラーゲンを、CICP ELISAから得られた推定ヒトコラーゲン成分を測定された総コラーゲンから引き算することによって推定した。ヒトコラーゲンの推定生合成から、最終産物における総コラーゲンと比較して、StrataGraft(登録商標)組織におけるマウスI型コラーゲン及びヒトI型コラーゲンの相対的寄与を近似することが可能であった。
【0069】
試料に対し、アルカリ加水分解を行い、その後に中和した。実験試料及びコラーゲン参照試料を、96ウェルマイクロプレートのウェルに移した。ヒドロキシプロリン含有量を、ヒドロキシプロリンアッセイキット(過塩素酸塩を含まない)(BioVision,Inc.、Milpitas,CA)を使用して測定した。試料ウェル当たり0~1μgの範囲のヒドロキシプロリンの標準曲線を生成するために、ヒドロキシプロリン標準溶液(1mg/mL)を0.1mg/mLに希釈し、96ウェルマイクロウェルプレートに3ッ組で適用した。加水分解物及び標準物質を乾燥するまで蒸発させ、クロラミンTで酸化し、DMABを含有する現像溶液(Ehrlich試薬)と反応させた。吸光度測定を560nmで行い、SpectraMax Plusプレートリーダー(Molecular Devices)を使用し、SoftMax Proソフトウェアパッケージv.7.0.2を使用して、ヒドロキシプロリン含有量を決定した。
【0070】
ヒドロキシプロリンアッセイの実現可能性は、最初に、このアッセイが、マウスコラーゲン及びヒトコラーゲンの両方からなる試料において総コラーゲンを定量化する能力を評価することによって検証された。マウスI型コラーゲンの試料を1.0mg/mLに希釈し、これを1.0mg/mLに希釈した精製ヒト線維芽細胞由来I型コラーゲンの量を増やしつつ、混合した(表2)。この方法が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンの両方について同等の読みを提供することを検証するために、試料を、参照標準として使用した。
【表2】
【0071】
測定された滴定試料のまとめを表3に提供する。様々なレベルのマウス及びヒトのI型コラーゲンを含有する参照試料間で、参照試料におけるラットコラーゲン%に対する総コラーゲンの散布図から誘導される傾向線の平坦な傾きによって示されるように(-0.0004)、総コラーゲン含有量の明らかな差はなかった。このデータは、I型コラーゲンにおけるヒドロキシプロリン含有量が、マウスコラーゲンとヒトコラーゲンとの間で一致していることを確認する。
【表3】
【0072】
StrataGraft(登録商標)組織の3つのロットの各々からの2つの凍結保存組織を、総コラーゲン含有量について評価した。組織は、市販の80組織ロットスケールでのStratatech Corp.,535 Science Drive製造施設で製造した(StrataGraft(登録商標)ロットFP0001-0000088596及びFP0001-0000088597)か、又は単一製造ロット(Corning)からのマウスコラーゲンを使用し、20組織ロットスケールでの510 Charmany DriveでのProcess Development laboratory社において製造された(ロットSG-C100-102419-67)。組織を周囲温度で解凍し、35~39℃まで加温された15mLのStratatech Hold Solutionを含有する保持皿に移した。組織を周囲の室温で少なくとも15分間保持して、凍結保存剤溶液の除去を可能にした。組織の試料を採取し、均質化し、ヒドロキシプロリン含有量の分析を行った。評価対象の組織及び試験試料のまとめを表4に提供する。
【表4】
【0073】
表5は、StrataGraft(登録商標)試験試料からの結果をまとめたものである。13.5質量%のヒドロキシプロリンの報告値に基づき、StrataGraft(登録商標)組織におけるコラーゲン含有量は、組織当たり29.6~38.6mgと推定された(平均値32.9mg、n=6組織)。StrataGraft(登録商標)皮膚組織最終製品中に存在するCICP ELISAによる、組織当たり5.8mgのヒトI型コラーゲンの推定値に基づき、コラーゲンの15~20質量%が、NHDFに由来し、コラーゲンの残りの80.4~85.0質量%が、マウス起源のものである。51.5mgのマウスコラーゲンのインプット質量に基づき、インプットマウスコラーゲンのおよそ37~54%が、StrataGraft(登録商標)製造プロセス中に失われ得ることを暗示している。
【表5】
【0074】
実施例4-StrataGraft(登録商標)の機械的特性に対するコラーゲン成分の寄与
重要なことに、外因性マウスコラーゲンゲルは、インプットNHDF及びNIKS細胞のための初期の生理学的基質を提供するが、組織の最終的な機械的特性に実質的に寄与しない。組織の機械的特性を、単軸引張試験によって評価した。標準的なドッグボーン型引張標本(ゲージ幅4mm、ゲージ長さ25mm)を、ステンレス鋼ダイ及び手動トグルプレスを使用して、組織から切断した。Mitutoyoデジタル厚さゲージを使用して、厚さ測定を行った。標本を、Insight 1 Bionixテンシオメーター(MTS Systems、Eden Prairie,MN)で、DPBSにより連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った。Testworks 4ソフトウェアを使用して取得した荷重及び変位データから、破壊時のピーク荷重を決定した。
【0075】
試験中の引張標本の目視観察により、StrataGraft(登録商標)組織が、引張中に2つの別個の段階で破壊し、DEが最初に破壊し、次いで、上皮層がより高い荷重及び変位で破壊すると、試料が破壊することを確認した。図1は、代表的な荷重変位曲線を示し、DE破壊点が矢印によって示されている。
【0076】
荷重変位曲線のプロファイルは、全体的な組織引張特性に対するDE層の寄与が最小限であることを示す。DEが、組織に対して顕著な機械強度をもたらす場合、荷重変位曲線において、わずかな平坦部ではなく、破壊する点での荷重の顕著な低下が存在するであろう。12個のStrataGraft(登録商標)試料からのDE破壊と関連する荷重の低下は、比較可能性試験の一部として評価され、わずか6mNの平均低下、又は組織の全体的な破壊荷重のおよそ1%を引き起こした。破壊の前後に、荷重変位曲線の傾きにも有意差が存在し、その代わりに、曲線は、DE破壊の前後の両方で同様の傾きを有し、このことは、試料伸長に対する抵抗性が、ほぼ上皮層のみから生じていることを示唆している。
【0077】
列挙される実施形態
実施形態1.生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、
ヒトケラチノサイトを含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、
上面及び底面を有する真皮等価層であって、真皮等価層が、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含み、マトリックスが、ヒトコラーゲン及び任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む、真皮等価層と、を含み、
上皮層の底面が、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着され、
皮膚構築物のドッグボーン型試料が、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重(「破壊荷重」)及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において皮膚構築物と同じ点で破壊し、真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊し、
ドッグボーン型試料が、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する、皮膚構築物。
【0078】
実施形態2.真皮等価層が破壊するとき、荷重が、破壊荷重の10%未満低下する、実施形態1の皮膚構築物。
【0079】
実施形態3.真皮等価層が破壊するとき、荷重が、破壊荷重の5%未満低下する、実施形態2の皮膚構築物。
【0080】
実施形態4.真皮等価層が破壊するとき、荷重が、破壊荷重の1%未満低下する、実施形態2の皮膚構築物。
【0081】
実施形態5.真皮等価層が、約14~16mmの変位及び約0.1~約0.5Nの荷重で破壊する、実施形態1~4のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0082】
実施形態6.皮膚構築物が、組織学によって測定される場合、約100μm~約250μm、又は約120μm~約200μmの厚さを有する、実施形態1~5のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0083】
実施形態7.完全に階層化された上皮層が、組織学によって測定される場合、約75μm~約120μmの厚さを有し、かつ/又は真皮等価層が、約20μm~約80μmの厚さを有する、実施形態6の皮膚構築物。
【0084】
実施形態8.上皮層のケラチノサイトが、単一のヒトドナー由来であり、かつ/又は真皮等価層の真皮線維芽細胞が、任意選択的にケラチノサイトのヒトドナーとは異なる単一のヒトドナー由来である、実施形態1~7のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0085】
実施形態9.ケラチノサイトが、NIKS細胞であるか、又は真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、実施形態8の皮膚構築物。
【0086】
実施形態10.ケラチノサイトが、NIKS細胞であり、真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、実施形態8の皮膚構築物。
【0087】
実施形態11.皮膚構築物が、約40cm~約100cmの表面積を有する、先行実施形態のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0088】
実施形態12.皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲンを含む、先行実施形態のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0089】
実施形態13.皮膚構築物が、少なくとも5mgのヒトI型コラーゲンを有する、実施形態12の皮膚構築物。
【0090】
実施形態14.皮膚構築物が、少なくとも5.5mgのヒトI型コラーゲン又は少なくとも少なくとも5.8mgのヒトI型コラーゲンを有する、実施形態12の皮膚構築物。
【0091】
実施形態15.ヒトI型コラーゲンの約98%以上が、皮膚構築物の細胞によって産生される、実施形態12~14のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0092】
実施形態16.ヒトI型コラーゲンの約100%が、皮膚構築物の細胞によって産生される、実施形態15の皮膚構築物。
【0093】
実施形態17.皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、マウスI型コラーゲンが、皮膚構築物中の総コラーゲンの90重量%以下である、実施形態12~16のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0094】
実施形態18.皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、マウス1型コラーゲンが、皮膚構築物中の総コラーゲン型の約60重量%~約90重量%である、実施形態12~17のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0095】
実施形態19.皮膚構築物が、表面積1cm当たり約0.25mg~約0.45mg、又は表面積1cm当たり約0.29mg~約0.39mgの総コラーゲン含有量を有する、先行実施形態のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0096】
実施形態20.生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、
ヒトケラチノサイトを含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、
上面及び底面を有する真皮等価層であって、上皮層の底面が、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着され、
真皮等価層が、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含み、マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む、真皮等価層と、
表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンと、を含み、
皮膚構築物のドッグボーン型試料が、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において皮膚構築物と同じ点で破壊し、真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊し、
ドッグボーン型試料が、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する、皮膚構築物。
【0097】
実施形態21.上皮層のケラチノサイトが、単一のヒトドナー由来であり、かつ/又は真皮等価層の真皮線維芽細胞が、任意選択的にケラチノサイトのヒトドナーとは異なる単一のヒトドナー由来である、実施形態20の皮膚構築物。
【0098】
実施形態22.ケラチノサイトが、NIKS細胞であるか、又は真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、実施形態21の皮膚構築物。
【0099】
実施形態23.ケラチノサイトが、NIKS細胞であり、真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、実施形態21の皮膚構築物。
【0100】
実施形態24.生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、
NIKS細胞を含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、
上面及び底面を有する真皮等価層であって、上皮層の底面が、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着され、
真皮等価層が、マトリックス内に正常なヒト真皮線維芽細胞を含み、マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む、真皮等価層と、
表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンと、を含み、
皮膚構築物のドッグボーン型試料が、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において皮膚構築物と同じ点で破壊し、真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊し、
ドッグボーン型試料が、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する、皮膚構築物。
【0101】
実施形態25.真皮等価層が破壊するとき、荷重が、破壊荷重の10%未満低下する、実施形態20~24のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0102】
実施形態26.真皮等価層が破壊するとき、荷重が、破壊荷重の5%未満低下する、実施形態25の皮膚構築物。
【0103】
実施形態27.真皮等価層が破壊するとき、荷重が、破壊荷重の1%未満低下する、実施形態25の皮膚構築物。
【0104】
実施形態28.真皮等価層が、約14~16mmの変位及び約0.1~約0.5Nの荷重で破壊する、実施形態20~27のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0105】
実施形態29.皮膚構築物が、組織学によって測定される場合、約100μm~約250μm、又は約120μm~約200μmの厚さを有する、実施形態20~28のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0106】
実施形態30.完全に階層化された上皮層が、組織学によって測定される場合、約75μm~約120μmの厚さを有し、かつ/又は真皮等価層が、約20μm~約80μmの厚さを有する、実施形態29の生物工学によって作られた皮膚構築物。
【0107】
実施形態31.皮膚構築物が、表面積1cm当たり少なくとも0.055mgのヒトI型コラーゲン、又は表面積1cm当たり少なくとも少なくとも0.058mgのヒトI型コラーゲンを有する、実施形態20~30のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0108】
実施形態32.ヒトI型コラーゲンの約98%以上が、皮膚構築物の細胞によって産生される、実施形態20~31のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0109】
実施形態33.ヒトI型コラーゲンの約100%が、皮膚構築物の細胞によって産生される、実施形態32の皮膚構築物。
【0110】
実施形態34.総コラーゲン含有量が、表面積1cm当たり約0.29mg~表面積1cm当たり約0.39mgである、実施形態20~33のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0111】
実施形態35.皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、マウスI型コラーゲンが、皮膚構築物中の総コラーゲンの90重量%以下である、実施形態20~34のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0112】
実施形態36.皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、マウス1型コラーゲンが、皮膚構築物中の総コラーゲン型の約60重量%~約90重量%である、実施形態20~34のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0113】
実施形態37.皮膚構築物が、約40cm~約100cmの表面積を有する、実施形態20~36のうちのいずれか1つの生物工学によって作られた皮膚構築物。
【0114】
実施形態38.生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、
ヒトケラチノサイトを含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、
上面及び底面を有する真皮等価層であって、上皮層の底面が、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着され、
真皮等価層が、マトリックス内にヒト真皮線維芽細胞を含み、マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む、真皮等価層と、
表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンと、を含む、皮膚構築物。
【0115】
実施形態39.上皮層のケラチノサイトが、単一のヒトドナー由来であり、かつ/又は真皮等価層の真皮線維芽細胞が、任意選択的にケラチノサイトのヒトドナーとは異なる単一のヒトドナー由来である、実施形態38の皮膚構築物。
【0116】
実施形態40.ケラチノサイトが、NIKS細胞であるか、又は真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、実施形態39の皮膚構築物。
【0117】
実施形態41.ケラチノサイトが、NIKS細胞であり、真皮線維芽細胞が、正常なヒト真皮線維芽細胞である、実施形態39の皮膚構築物。
【0118】
実施形態42.生存能力のある生物工学によって作られた皮膚構築物であって、
NIKS細胞を含む、上面及び底面を有する完全に階層化された上皮層と、
上面及び底面を有する真皮等価層であって、上皮層の底面が、真皮等価層の上面に、層のうちの1つの少なくとも98%を覆うように接着され、
真皮等価層が、マトリックス内に正常なヒト真皮線維芽細胞を含み、マトリックスが、ヒトI型コラーゲン、ヒトIII型コラーゲン、ヒトIV型コラーゲン、及びヒトVI型コラーゲン、並びに任意選択的にマウスI型コラーゲンを含む、真皮等価層と、
表面積1cm当たり約0.25mg~表面積1cm当たり約0.45mgの総コラーゲン含有量、及び表面積1cm当たり少なくとも0.05mgのヒトI型コラーゲンと、を含む、皮膚構築物。
【0119】
実施形態43.皮膚構築物が、表面積1cm当たり少なくとも0.055mgのヒトI型コラーゲン又は表面積1cm当たり少なくとも0.058mgのヒトI型コラーゲンを有する、実施形態38~42のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0120】
実施形態44.ヒトI型コラーゲンの約98%以上が、皮膚構築物の細胞によって産生される、実施形態38~43のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0121】
実施形態45.ヒトI型コラーゲンの約100%が、皮膚構築物の細胞によって産生される、実施形態44の皮膚構築物。
【0122】
実施形態46.皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、マウスI型コラーゲンが、皮膚構築物中の総コラーゲンの90重量%以下である、実施形態38~46のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0123】
実施形態47.皮膚構築物が、ヒトI型コラーゲン及びマウスI型コラーゲンを含み、マウス1型コラーゲンが、皮膚構築物中の総コラーゲン型の約60重量%~約90重量%である、実施形態38~46のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0124】
実施形態48.皮膚構築物が、組織学によって測定される場合、約100μm~約250μm、又は約120μm~約200μmの厚さを有する、実施形態38~47のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0125】
実施形態49.完全に階層化された上皮層が、組織学によって測定される場合、約75μm~約120μmの厚さを有し、かつ/又は真皮等価層が、約20μm~約80μmの厚さを有する、実施形態48の皮膚構築物。
【0126】
実施形態50.皮膚構築物が、約40cm~約100cmの表面積を有する、実施形態38~49のうちのいずれか1つの生物工学によって作られた皮膚構築物。
【0127】
実施形態51.皮膚構築物のドッグボーン型試料が、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を使用して連続的に水和させつつ1分当たり100%の一定の歪み速度での単軸引張において破壊するまで引っ張った場合に、約0.5~約1.0Nの荷重及び約30mm~約45mmの変位で破壊し、完全に階層化された上皮層が、荷重変位曲線において皮膚構築物と同じ点で破壊し、真皮等価層が、約12~18mm又は約14~16mmの変位で破壊し、
ドッグボーン型試料が、厚さゲージによって測定される場合、4mmのゲージ幅及び25mmのゲージ長さを有する、実施形態38~50のいずれか1つの皮膚構築物。
【0128】
実施形態52.真皮等価層が破壊するとき、荷重が、破壊荷重の10%未満低下する、実施形態51の皮膚構築物。
【0129】
実施形態53.真皮等価層が破壊するとき、荷重が、破壊荷重の5%未満低下する、実施形態52の皮膚構築物。
【0130】
実施形態54.真皮等価層が破壊するとき、荷重が、破壊荷重の1%未満低下する、実施形態53の皮膚構築物。
【0131】
実施形態55.真皮等価層が、約14~16mmの変位及び約0.1~約0.5Nの荷重で破壊する、実施形態51~54のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0132】
実施形態56.皮膚構築物が凍結保存される、先行実施形態のうちのいずれか1つの皮膚構築物。
【0133】
実施形態57.皮膚構築物が、解凍後に、bFGF、GM-CSF、HGF、IL-1α、IL-6、IL-8、IL-10、MMP-1、MMP-3、MMP-9、PlGF、SDF-1α、TGF-β1、及びVEGF-Aから選択される複数のタンパク質を分泌する、実施形態56の皮膚構築物。
図1
図2
【国際調査報告】