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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】移動可能なビームを持つ織機
(51)【国際特許分類】
   D03D 41/00 20060101AFI20230608BHJP
   D02H 13/28 20060101ALI20230608BHJP
   D02H 13/38 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
D03D41/00 Z
D02H13/28
D02H13/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566457
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2021062496
(87)【国際公開番号】W WO2021228864
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】202020002061.3
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522423787
【氏名又は名称】カステンス・ジビレ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】カステンス・ジビレ
【テーマコード(参考)】
4L050
【Fターム(参考)】
4L050AA00
4L050CA02
(57)【要約】
【課題】連続した材料又は緩くつないだ材料あるいは断片的材料を挿入する織機を提供する。
【解決手段】本発明は、連続した材料又は緩くつないだ材料あるいは断片的材料を挿入する織機に関する。本発明によれば、たて糸(4.a、4b)は、たて糸ビーム(1.a、1.b)から布ロール(5)に向かって下向きに走行し、上側のたて糸(1.a、1.b)と下側の布ロール(5)との間の案内ビーム(2.a、2.b)に固定されたフック(3a、3.b)によって個別に保持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した材料、又は緩くつないだ材料あるいは断片的材料を挿入する織機であって、
たて糸(4.a及び4.b)が、
たて糸ビーム(1.a及び1.b)から布ビーム(5)まで下向きに走り、かつここで
上部のたて糸ビーム(1.a及び1.b)と下部の布ビーム(5)との間の案内ビーム(2.a及び2.b)に固定されたフック(3.a及び3.b)によって個々に保持される
ことを特徴とする、連続した材料、又は緩くつないだ材料あるいは断片的材料を挿入する織機。
【請求項2】
2本の対向する案内ビーム(2.aと2.b)のフック(3.aと3.b)は、互いにずれて向かい合っていることを特徴とする、請求項1に記載の織機。
【請求項3】
2本の案内ビーム(2.a、2.b)の少なくとも1つは、2本の案内ビーム(2.aと2.b)が近づくときにフック(3.aと3.b)が相互に係合できるように移動可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の織機。
【請求項4】
前記布ビーム(5)及び前記案内ビーム(2.a、2.b)は、前記1つの案内ビーム(2.a)のたて糸ビーム(4.a)が第1たて糸面(17.a)を形成するように配置及び整列され、
他方の案内ビーム(2.b)のたて糸ビーム(4.b)は第2たて糸面(17.b)を形成し、フック(3.a、3.b)を持つ案内ビーム(2.a、2.b)の相対運動によってたて糸面(17.a、17.b)は互いに相対的に移動可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の織機。
【請求項5】
相対位置にあるたて糸面(17.a、17.b)は、上部に向かって開いている開口(18)を持ち、開口(18)の下に布ビーム(5)を持つ、開いたV位置を形成することを特徴とする、請求項4に記載の織機。
【請求項6】
案内ビーム(2.a、2.b)によるたて糸面(17.a、17.b)は、開いたV位置から交差した位置に移動し、再び開いたV位置に戻れることを特徴とする、請求項4又は5に記載の織機。
【請求項7】
少なくとも交差位置にあるたて糸面(17.a、17.b)は、角度又は湾曲を持ち得ることを特徴とする、請求項6に記載の織機。
【請求項8】
V位置と交差位置の間のたて糸面(17.a、17.b)は、フラッシュ位置を仮定できることを特徴とする、請求項6又は7に記載の織機。
【請求項9】
少なくとも2つのたて糸ビーム(1.a、1.b)が設けられ、それぞれが、1つのたて糸面(17.a、17.b)のたて糸(4.a、4.b)を受信し、ここにおいて
たて糸ビーム(1.a、1.b)は相互の間隔で配置され、その間隔は好ましくはV字面の少なくとも最大の幅に相当することを特徴とする、請求項1又は請求項2から8のいずれか一項に記載の織機。
【請求項10】
2本のたて糸ビーム(1.a、1.b)が1つの相互間隔で配置され、各たて糸ビーム(1.a、1.b)は案内ビーム(2.a、2.b)の1つに割り当てられ、割り当てられた案内ビーム(2.a、2.b)によって案内されるたて糸(4.a、4.b)を保持することを特徴とする、請求項1又は請求項2から9のいずれか一項に記載の織機。
【請求項11】
たて糸ビーム(1.a、1.b)の配置によるたて糸(4.a、4.b)と案内ビーム(2a、2b)の配置と可動性は、上部に開いているV位置と交差位置の間で互いに相対的に移動可能であることを特徴とする、請求項1又は請求項2から10のいずれか一項に記載の織機。
【請求項12】
交差位置のフック(3.a、3.b)は、一方の案内ビーム(2.a)のフック(3.a)が他方の案内ビーム(2.b)のフック(3.b)の間を移動し、後者のフック(3.b)を通り過ぎるように相互に網目になることを特徴とする、請求項11に記載の織機。
【請求項13】
案内ビーム(2.a、2.b)は、長手方向に連続する案内ビーム区域(2.b-1、2.b-2、2.b-3、2.b-4)に区分けされていて、案内ビーム区域(2.b-1、2.b-2、2.b-3、2.b-4)は相互に独立して移動可能であることを特徴とする、請求項1又は請求項2から12のいずれか一項に記載の織機。
【請求項14】
フック(3.a、3.b)は、開いた状態、閉じた状態、又は閉じているが開けられるように構成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2から13のいずれか一項に記載の織機。
【請求項15】
フック(3.a、3.b)は、少なくとも280度、好ましくは少なくとも370度の末端のフック曲がり部を持つことを特徴とする、請求項1又は請求項2から14のいずれか一項に記載の織機。
【請求項16】
たて糸ビーム(1.a)と案内ビーム(2.a)を持つ第1枠(9.a)は、たて糸ビーム(1.b)と案内ビーム(2.b)を持つ第2枠(9.b)に対して移動可能であり、ここにおいて好ましくは枠の1つだけが可動であることを特徴とする、請求項1又は請求項2から15のいずれか一項に記載の織機。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の織機(8)を使う間に織布を製造する方法。
【請求項18】
織機(8)の交差位置において、よこ糸(7)が閉じた開口に導入され、織機(8)のV位置において、少なくとも1つの材料ストランド(6)が、その後開いた開口に置かれることを特徴とする、請求項17に記載の、織布の製造方法。
【請求項19】
請求項1から16のいずれか一項に記載の織機(8)で少なくとも部分的に製造した、たて糸(4.a、4.b)とよこ糸(7)を持つ織布(20)。
【請求項20】
材料ストランド(6)、又は少なくとも1つの連続した材料ストランド(6)は、よこ糸(7)に平行に設けられ、よこ糸(7)と交互に設けられていることを特徴とする、請求項19に記載の織布(20)。
【請求項21】
ウールストランド(6-1)、又は
灌漑ホース(6-2)、又は
それらの組み合わせ(6-1、6-2)が、
複数の材料ストランド(6)又は1つの材料ストランド(6)として提供されたことを特徴とする、請求項20に記載の織布(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで説明される本発明は、以下の問題に基づいている。平織り機では、開口は4点で区切られているので、次の4つの状態で囲まれている。
・上側の状態に保持されたたて糸によって保持された状態で、頂部に向かって囲まれている。
・下側の状態に保持されたたて糸によって、底部に向かって囲まれている。
・布ビーム上に、先に織られた織布によって、前部に向かって囲まれている。
・リードにより後部に向かって囲まれている。
【背景技術】
【0002】
その結果、織機の片側からその反対側へそれぞれの開口を通ってよこ糸を運ぶことが不可欠である。現在の先行技術に従ってこの目的に役立つのは、よこ糸の予備が巻かれたシャトルと、よこ糸を開口に通す把持部(挿入のたびによこ糸が切断される)と、空気又は水の力によってよこ糸を運ぶノズル(挿入のたびによこ糸が切断される)である。
【0003】
そのため、よこ糸の直径は開口の直径によって区切られ、よこ糸の強度も使用されるそれぞれの技術によって区切られ。よこ糸の長さは、ボビングと把持部の収納容量で区切られ、ノズルの場合は布の幅でほぼ区切られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、開口を通して連続的な材料の搬送ができない。従来の技術では、緩い材料又は緩くつないだ材料は、上部のビームと下部のビームの間の場所への移動が全くできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、請求項1に記載の特徴によって、好ましくはさらなる請求項の特徴によっても解決される。
【0006】
これは、織機が従来の平織り織機と比較して90°回転し、布ビームが底部にあるという点で達成される。さらに、剛性ヘドルシステムは放棄され、ヘドルをシャフトに配置するのに替えて、糸に割り当てられて案内ビーム内の列に固定されたフックを通って個々の糸は導かれる。緩んだ材料でさえ、織機の上から、前部案内ビームと後部案内ビームのフックのこれらの列の間、及び前記ビームを通って、布ビーム上に配置可能であり、ここで、たて糸は、前面の区切り及び後部の境界として機能し、緩んだ材料の選択は、前記たて糸の相互間隔によってのみ区切られる。布ビームは、それぞれ形成された開口の下に位置し、重力の効果で、底に向かって自然な戻りつめを形成する。
【0007】
有利には、2つの対向する案内ビーム上のフックは、互いにずれているように向かい合って横方向に配置されていて、案内ビームの長手方向に離れている。
【0008】
また、2本の案内ビームのうち少なくとも1本は、2本の案内ビームが近づくときにフック同士が係合できるように、具体的には一方の案内ビームのフックが他方の案内ビームのフック間に入れるように、移動可能とされている。
【0009】
2つの異なる状態が交互に2つの異なる開口を形成することは本発明によって達成される。開いた状態(V位置)では、任意の材料を導入できる。任意の材料は、
・たて糸と布ビームで支持可能である。
・たて糸によって前面と背面に向かってその位置に保持可能である。
・直径の点では、縦糸の脚の長さと、各挿入手順における両側鎖としての布ビームからの間隔を超えない。
【0010】
前部案内ビームが後部案内ビームに近づくことで、現在交互に交差した前部フックと後部フックによって開口が形成されるまで、開口の変化が続き、開口は上部に向かって閉じられる(交差位置)。上部に向かって閉じた状態では、従来の方法で糸が導入され、開いた状態の糸は上部に向かって導入された材料を安定化させる。
【0011】
次のステップとして初期状態に戻り、製織が再開される。
【0012】
このようにして、ケーブル、ホース、そして決して切断してはならない、シャトルよりも長い他の材料を、シャトルのボビンに保管可能である。これまでシャトルに保管できなかったり、把持部で引き渡すことができなかったり、エアジェットやウォータージェットで開口を通って進ませられなかった緩い材料も導入できる。
【0013】
任意選択で、本発明によれば、布ビーム及び案内ビームは、1つの案内ビームのたて糸ビーム(が第1たて糸面を形成するように配置及び整列され、
他方の案内ビームのたて糸ビームは第2たて糸面を形成し、フックを持つ案内ビームの相対運動によってたて糸面は互いに相対的に移動可能である。
特に、たて糸平面は、案内ビームから布ビームの上の完成した織布まで延在している。たて糸面は、追加的に設けられた案内部材によって、特に案内ビームの上方及びたて糸ビームに向かう方向に湾曲させてもよいし、角度をつけてもよい。
【0014】
任意選択で、そして本発明によれば、案内ビームの相対位置におけるたて糸面は、開いたV位置を形成可能であり、V位置は、上部に向かって開いている開口を持ち、かつ開口の下に布ビームを持つ。
【0015】
任意選択で、そして本発明によれば、案内ビームによるたて糸面は、開いたV位置から交差位置まで、そして再びV位置に戻るよう移動可能であってよい。たて糸面の位置を変更すると、V位置から交差位置を経て再び推移する。
【0016】
任意選択で、そして本発明によれば、少なくとも交差位置におけるたて糸面は、角度を付けてよいし、湾曲されてもよい。角度は、特にフック上のたて糸の案内によって定義される。ただし、たて糸面の角度又は曲がり部は、たて糸ビームの置き方とたて糸ビームの潜在的なさらなる案内部材に応じて、V位置で提供してもよい。
【0017】
任意選択で、そして本発明によれば、V位置と交差位置との間のたて糸面は、同一平面、中立位置を仮定可能である。ここでのたて糸面は合同になる。
【0018】
任意選択で、そして本発明によれば、少なくとも2本のたて糸ビームを提供可能であり、それぞれが1つのたて糸面のたて糸を受け取るために、ここで、たて糸ビームは相互の間隔で配置され、間隔は好ましくはV字面の少なくとも最大の幅に対応する。最大幅の位置は、たて糸が案内ビームに対して斜め下方に走る最も高い位置であるため、水平又は上向きに案内されない。
【0019】
任意選択で、本発明によれば、2つのたて糸ビームを1つの相互間隔で配置可能であり、ここで、たて糸ビームの各々は、案内ビームの1つに割り当てられ、割り当てられた案内ビームによって導かれるたて糸を保持する。第1たて糸ビームを持つ第1案内ビームは、第2たて糸ビームを持つ第2案内ビームの反対側に位置する。
【0020】
任意選択で、そして本発明によれば、たて糸ビームの配置及び案内ビームの配置及び可動性によって、たて糸は、上部に開いているV位置と交差位置との間で互いに相対的に移動可能である。交差位置では、一方の案内ビームのたて糸が他方の案内ビームのたて糸と共同で、従来の方法で開口に導入されるよこ糸用の閉じた開口を形成する。
【0021】
任意選択で、そして本発明によれば、交差位置のフックは、一方の案内ビームのフックが他方の案内ビームのフックの間を移動し、他方の案内ビームのフックを超えていくように相互に網目をなし得る。このようにして、一方の案内ビームのフックは、他方の案内ビームに近い位置まで移動する。
【0022】
任意選択で、そして発明的に、案内ビームは、軸方向に連続する(長手方向において)案内ビーム区域に分けてよく、ここで、案内ビーム区域は、相互に独立して移動可能である。1つのフック又は複数のフックを、各案内ビーム区域上に配置可能である。案内ビーム区域は、特にV位置と交差位置の間で移動可能である。代替的に又は付加的に、案内ビーム区域は、回転可能であってよく、好ましくはフック長手方向に平行な回転軸を中心とする。回転可能な案内ビーム区域は、好ましくは、2つ以上のフックを備える。
【0023】
任意選択で、そして独創的に、フックは、開いた、閉じた、又は閉じているが開けるように構成可能である。閉じたフックは環状部に相当する。開いたフックにはたて糸の侵入のための間隙があり、開いたフックには閉止可能な間隙がある。
【0024】
任意選択でかつ発明的に、フックは、少なくとも280度、好ましくは少なくとも370度の末端フック曲がり部を備えてよい。ここでのフック曲がり部の程度は、末端フック曲がり部とフックの残りの部分との間がどのように推移するのかにもよる。フックの逆運動において、受け取ったたて糸がフック曲がり部内に留まるような方法でフック曲がり部の程度が有利である。
【0025】
任意選択で、そして本発明によれば、たて糸ビーム及び案内ビームを持つ第1枠を、たて糸ビーム及び案内ビームを持つ第2枠に対して移動可能としてよい。ここで好ましくは、枠のうちの1つだけが移動可能である。たて糸ビームと案内ビームを共通の枠に配置すると、織機の構造が簡素化され、一方の枠の固定配置が行われ、他方の枠のみが移動可能になる。
【0026】
本発明の主題はまた、本発明による織機を使用しながら織布を製造する方法にも関する。請求項17を参照されたい。
【0027】
任意選択で、そして本発明によれば、織機の交差した位置において、よこ糸を閉じた開口に導入可能であり、ここで、織機のV位置において、少なくとも1つの材料ストランドが、それから開いた開口内に配置される。材料ストランドは、よこ糸の継続であってよい。ただし、材料糸はよこ糸とは異なることが好ましい。
【0028】
本発明の主題はまた、本発明による織機上で少なくとも部分的に製造された、たて糸及びよこ糸を有する織布にも関する。請求項19を参照されたい。
【0029】
本発明によれば、及び任意選択で、材料ストランド、又は少なくとも1つの連続した材料ストランドを、よこ糸に平行にかつ材料ストランドと交互に織布内に設けてよい。織布は、よこ糸と交互に、複数の材料ストランドと異なる材料ストランドの少なくとも一方を備えてよい。
【0030】
任意選択で、及び本発明による、
・ウールストランド、又は
・灌漑ホース、又は
・それらの組み合わせ
を複数の材料ストランドとして、又は単一材料ストランドとして提供可能である。ウールストランドは、特に、1つ又は複数のウールトップから形成される。
【0031】
本発明による織機での生産の結果として、織布は、全く新しい、予期しない材料の組み合わせを持ち得る。材料ストランドとして有利な織布は、ウールトップと灌漑ホースとの組み合わせを備える。織物は、灌漑される地面の覆いとして役立つだろう。植物はウールを通して成長可能である。ウールは肥料として機能するか、又は肥料材料を追加で提供可能である。さらに、ウールは水の急速な蒸発を防ぐ。未処理のウールは、水がウールによってはじかれる疎水性として作用する。
【0032】
本発明のさらなる特徴は、説明の残りの部分及び特許請求の範囲から導かれる。
【0033】
本技術は、以下の図1から図11に描いたものによってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、簡単な側面図を示す。
図2図2は、簡単な側面図を示す。
図3図3は、これらの側面図を遠近法で追加的に示す。
図4図4は、これらの側面図を遠近法で追加的に示す。
図5図5は、枠の側面の高さ関係を示す。
図6図6は、V位置に2つの枠を有する織機を側面図で示す。
図7図7は、図6による織機を、変更した位置で示す。
図8図8は、交差した位置にフックを持つ案内ビームを示す。
図9図9は、開いたV位置にフックを持つ案内ビームを示す。
図10図10は、中立位置にフックを持つ案内ビームを示す。
図11図11は、一体型案内ビームと、区域に分かれた案内ビームを示す。
図12図12は、織機内の織布を示す。
図13図13は、図12のビーム又は材料を通る断面をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
明確さのため、本発明に関連する構成部品のみ例示されている。図3図4のフックの数は、技術の原理の説明用に1案内ビームあたり3つのフックにとどめている。
【0036】
次の事項は全ての図面の内容に適用する。前部たて糸4.aは、前部たて糸ビーム1.aから前部案内ビーム2.aに固定された前部フック3.aを通って布ビーム5に走る。後部たて糸4.aは、後部たて糸ビーム1.bから後部案内ビーム2.bに固定された後部フック3.bを通って布ビーム5まで走っている。
【0037】
前部案内ビームと後部案内ビーム(という表現上)の細分化は任意であり、区別の目的にのみ役立てるのであって、前後を逆にしたり、右案内ビームと左案内ビームに置換したり、第1案内ビームと第2案内ビームに置換してよい。一対にして存在する他の部品についても同様である。
【0038】
図1及び図3は、開いた開口の状態、具体的には開いた開口18を図示し、その間に連続材料、緩んだ材料又は緩くつないだ材料6の挿入が交差していないフック3.a及びフック3.bの間で行われる。
【0039】
図2及び図4は、フック3.a、フック3.bが交差している間に従来のよこ糸挿入7が行われる開口の閉じている状態、具体的には閉じている開口19を示している。
【0040】
図3及び図4ですぐ分かるように、前部たて糸4.aは共通のたて糸面17.aを形成し、後部たて糸4.bは後部たて糸平面17.bを形成する。図3のたて糸面17.a、たて糸面17.bは、開いたV字面を形成している。図4のたて糸面17.a、たて糸面17.bは互いに交差していて、フック3.a、フック3.bの領域におけるたて糸4.a、たて糸4.bの撓みに伴って、閉じた開口を形成している。
【0041】
本発明による織機8は、図6及び図7に例示されるように、実質的に2つの枠9.a、枠9.bを備えてよい。図5は、枠9.aを正面図で示したものである。枠9.aの構成部分が見えるのは、外部直立縦レール10と、上側の終わるところとして前部案内ビーム2.aと、その下方に離れている前部たて糸ビーム1.aと、下方に離れている2本の支持ビーム11.a、12.aと、下側の終わるところとして関節ビーム13.aである。
【0042】
関節ビーム13.a、関節ビーム13.bの領域内の2つの枠9.a、枠9bは、枠9.a、枠9.bが互いに反対方向に旋回可能であるように、関節方式(より詳細には図示なし)で互いに連結されている。二重矢印14を参照されたい。
【0043】
2つの枠9.aと枠9.bの一方は静止するように装着され、一方の枠は旋回可能となるように保持されることが好ましい。そうではあっても、枠9.aと枠9.bはどちらも旋回可能に、配置可能である。
【0044】
図7は、織機8、又はたて糸4.aとたて糸4.bの開いたV位置をそれぞれ示している。図6の2つの枠9.aと枠9.bは、図7よりも若干近寄った位置に旋回されている。これは、図2及び図4から導かれる交差位置に向かう途中の中間位置にすぎない。
【0045】
図7のフック3.bの上方のたて糸4.bは、案内ビーム2.bについてたて糸ビーム1.bまで下方に案内され、たて糸ビーム1.bに保持されている。これはたて糸4.aに同様の方法で適用されるが、図面には明示的に表していない。
【0046】
図7の図では、たて糸4.bは案内ビーム2.bからたて糸ビーム1.bまで緩んで走っている。この図は、この位置にあるたて糸4.bをはっきり図示可能であるだけで選択されている。実際には、たて糸は、たて糸ビーム1.bまで張り詰められるように張力をかけることが好ましい。
【0047】
布ビーム5は、図6では破線のみで示されている。たて糸4.aとたて糸4.bはわかりやすさを重視したので表現していない。
【0048】
図8図9図10は、フック3.aとフック3.bを持つ案内ビーム2.a、2.bの潜在的な相対運動を示す。図9は、図7の図示にほぼ相当し、大きく分かれた開いた、V位置と案内ビーム2.aと案内ビーム2.bを持つ。図9はまた、図1及び図3に(フックの状態で)一致する。フック3.aとフック3.bのたて糸4.aとたて糸4.bを受ける末端曲がり部15は、矢印14の方向に有意な相互間隔を持っている。フック3.aとフック3.bは、好ましくは、ほぼ共通の水平面内にある。
【0049】
図8は、図2図4と同様の交差位置を示している。案内ビーム2.a、2.bは、フック3.a、3.bの程度に対抗するといえる程度に集まっている。案内ビーム2.aのフック3.aは、案内ビーム2.bのフック3.bと噛み合って、フック3.aの末端曲がり部15.aが、それぞれ反対側の案内ビーム2.b又は案内ビーム2.aに向かって移動するように、フック3.bの末端曲がり部15.bを超えて移動する。
【0050】
図10は、両案内ビーム2.aと案内ビーム2.bの末端曲がり部15.aと末端曲がり部15.bが共通線16に沿って揃った案内ビーム2.aと案内ビーム2.bの中間位置を示している。中間位置は、中立位置又はI位置といってもよい。織機の実用的な用途では、中間位置は通常、停止せず通過する。
【0051】
図11は、案内ビーム2.bの設計における一つの具体性を示す。後案内ビーム2.bは、長手方向の個々の案内ビーム区域2.b-1、2.b-2、2.b-3、2.b-4のように区分けされる。各案内ビーム区域は、他の案内ビーム区域とは独立して矢印14の方向に移動可能である。この目的に適した搭載部と駆動部は図示していない。例示的な方法で案内ビーム区域2.b-3は、図8に従って交差位置に示され、残りの案内ビーム区域は、図9に従って開いたV位置を仮定している。案内ビーム2.bの記載された区分けの結果、特別な製織パターンを生成可能である。
【0052】
案内ビーム区域の独立した可動性の結果、たて糸面17・bの均一性をなくせる。図11による位置では、案内ビーム区域2.b-3上のたて糸ビームは、もはやたて糸面17.bの構成要素ではないといえるだろう。
【0053】
図11の各案内ビーム区域2.b-1から2.b-4は、それぞれの場合に1つのフック3.bを持つ。別の割り当ても可能であり、例えば、案内ビーム区域ごとに2つ以上のフックを持ち得る。
【0054】
隣り合うたて糸ビームの回転は、例えば、それぞれの場合に2つのフック3.bを持つ回転可能な案内ビーム区域によって可能である。回転は、矢印14に平行な回転軸を中心に行われることが好ましい。
【0055】
複数の案内ビーム区域を持つ案内ビーム2.bのみが図11に示されている。代替的に又は付加的に、他の案内ビーム2.aを複数区域に構成してもよい。
【0056】
フック3.aとフック3.bの末端曲がり部15.aと末端曲がり部15.bは、図中に簡略化して示されている。実際には、曲がり部15.aと曲がり部15.bは、その曲がり部15.aと曲がり部15.bによるたて糸4.aとたて糸4.bを矢印14の両方向に能動的に移動できるように構成されている。これを達成するために、末端曲がり部15.aと末端曲がり部15.bは、たて糸4.aとたて糸4.bを横方向の動きによって曲がり部15.aと曲がり部15.bに配置可能となるように、閉じた環状部として、又は開いた環状部として構成してもよい。末端曲がり部15.a、15.bは、末端曲がり部とフック3.aとフック3.bの残りの部分との間の推移をどう設計するかに応じて、少なくとも270度を超える角度、好ましくは360度を超える角度にわたって延在するはずである。
【0057】
まさしく個々のタイプの製品が、本発明による織機8を用いて製造可能である。よこ糸が可能でない材料は、図1図3図7及び図9に従ってV位置の開いた開口18に入れられる。よこ糸が可能でない材料は、例えば、特に厚く、かさばる、硬い材料と連続材料の少なくとも一方である。これらの材料の他の組み合わせもあり得る。例えば、連続した灌漑ホース6-2と連動した羊毛ストランド6-1を、その都度、開いたV位置に配置することで、灌漑機能を持った地面カバーを製造可能である。
【0058】
図12は、このようにして製織時に形成された織布20を、図1図13の矢印21による視線方向に示す。よこ糸方向に配置された糸7及び材料6-1と材料6-2を、図12のそれに相当する態様で、図13の断面図に示す。安定化糸とも呼ばれるよこ糸7は、羊毛ストランド6-1と灌漑用ホース6-2との組み合わせで交互に並んでいる。ここでの灌漑ホース6-2は、それぞれウールストランド6-1の隣又は前にあるが、ウールストランドで囲んだり、ウールストランドの上又は下に置いてよい。
【符号の説明】
【0059】
1.a 前部たて糸ビーム
1.b 後部たて糸ビーム
2.a 前部案内ビーム
2.b 後部案内ビーム
2.b-1 案内ビーム区域
2.b-2 案内ビーム区域
2.b-3 案内ビーム区域
2.b-4 案内ビーム区域
3.a 前部フック
3.b 後部フック
4.a 前部たて糸
4.b 後部たて糸
5 布ビーム
6 連続材料、緩んだ材料、又は緩くつないだ材料
6-1 ウールストランド
6-2 灌漑ホース
7 従来技術を用いたよこ糸挿入
8 織機
9.a 枠
9.b 枠
10 縦レール
11.a 支持ビーム
11.b 支持ビーム
12.a 支持ビーム
12.b 支持ビーム
13.a 関節ビーム
13.b 関節ビーム
14 矢印
15.a 末端曲がり部
15.b 末端曲がり部
16 線
17.a たて糸面
17.b たて糸面
18 開いた開口
19 閉じた開口
20 織物
21 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】