IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセレニティの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】耳内脳波記録装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/256 20210101AFI20230608BHJP
   A61B 5/291 20210101ALI20230608BHJP
   A61B 5/265 20210101ALI20230608BHJP
【FI】
A61B5/256 130
A61B5/291
A61B5/265
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567068
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2021061991
(87)【国際公開番号】W WO2021224390
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】20305446.5
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517288818
【氏名又は名称】バイオセレニティ
【氏名又は名称原語表記】BIOSERENITY
【住所又は居所原語表記】ICM-IPEPS, 47 boulevard de l’Hopital, 75013 Paris France
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ゲルモンプレズ,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127LL15
4C127LL19
(57)【要約】
本発明は、凹面を画定する布(1)、前述の布(1)の中または上の少なくとも1つの電極(21)、および前述の少なくとも1つの電極(21)に接続された導電トラック(31)を備える耳内装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブの形状を有する布(1)、前記布(1)の中または上の少なくとも1つの電極(21)、および前記少なくとも1つの電極(21)に接続された少なくとも1つの導電トラック(31)を備える、耳内装置。
【請求項2】
前記布(1)は、編んだテキスタイル、不織テキスタイル、織られたテキスタイル、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記布(1)は、ポリアミドで作られる、請求項1乃至2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電極は、前記布(1)の中または上に織られた、編まれた、縫われた、接着された、または堆積させられたテキスタイル電極である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電極(21)および/または前記少なくとも1つの導電トラック(31)は、銀めっきポリアミドで作られる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも2つの電極(21、22)、好ましくは少なくとも3つの電極、より好ましくは少なくとも4つの電極、さらにより好ましくは少なくとも5つの電極を備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記電極(21、22)は、前記耳内装置の長手方向軸(X)を通る平面の両側に配置され、互いに向かい合う、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記電極(21、22)は、前記耳内装置の長手方向軸(X)を通る平面の両側に配置され、互いからずれている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記電極(21、22)は、前記耳内装置の長手方向軸(X)に垂直な平面の両側に配置される、請求項6に記載の装置
【請求項10】
前記布(1)によって少なくとも部分的に取り囲まれた耳栓をさらに備える、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
マイクロホンまたはイヤホンなどの機器をさらに備え、前記機器は、前記布(1)によって少なくとも部分的に取り囲まれる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
被検者の耳内への請求項1乃至11のいずれか1項に記載の耳内装置の設置、および電気活動の測定を含む、神経的または生理的疾患または障害を監視する方法。
【請求項13】
被検者の耳内への請求項1乃至11のいずれか1項に記載の耳内装置の設置、および電気活動の測定を含む、脳波記録データを収集する方法。
【請求項14】
耳内装置を製造するためのプロセスであって、以下:
i.好ましくはスリーブまたはシースの形態のスリーブの形状を有し、布(1)の中または上に電極(21)を備える布(1)を得るために、絶縁糸で前記布(1)を編み、導電糸で前記電極(21)を編むステップと、
ii.前記少なくとも1つの電極を導電トラックと接続するステップと、
iii.任意選択で、ステップi)で得られた布(1)を、耳栓に着せるステップと、
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波(EEG)装置の分野に属する。具体的には、本発明は、耳内脳波記録装置に関する。前述の装置は、特に、電気的脳活動の測定を必要とする神経的または生理的疾患または障害の診断、監視、または処置を可能にするように構成される。
【背景技術】
【0002】
EEGは、電気的脳活動のサンプルである。(活性化手順を含めて)最低20分の人為的結果のない記録が、ベースラインの脳の電気活動評価するために必要である。より長く記録することは、異常を記録し、それらの変動性を実証する可能性を高める。さらに、自身の日常活動を行う人々の医療的監視は、多くの場合に有用である。したがって、監視手段は、例えば高齢者の場合、睡眠中または他の状況において、被検者の生活を妨害するか、または乱してはならない。
【0003】
本発明は、小型で、快適で、人間工学的かつ使いやすいものでありながら、電気的脳活動を、長時間、例えば20分超にわたって測定する装置を提供することを目的とする。そのような装置は、より容易な検査、ならびにより信頼できる診断および/または監視を可能にする。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、凹面を画定する布、前述の布の中または上の少なくとも1つの電極、および前述の少なくとも1つの電極に接続された少なくとも1つの導電トラックを備える耳内装置に関する。好ましい実施形態では、前述の布は、患者の耳の耳道の少なくとも一部に合うように適合された寸法を有するスリーブの形状である。有利には、布の中空形状は、本発明の耳内装置を高度に多機能にする。実際、布の中空形状は、耳内装置だけでなく、耳内装置の寸法および被検者の耳に一致する任意の他の所望の物体および/または機器を、被検者の耳に収容することを可能にする。したがって、有利には、EEG記録は、例えば、物体が耳に到達する音を減衰させながら(すなわち耳栓)、またはイヤースピーカが耳に音を拡散させながら、耳内装置の電極から取得され得る。
【0005】
一実施形態によれば、前述の布は、編んだテキスタイル、不織テキスタイル、織られたテキスタイル、またはそれらの組み合わせである。有利には、テキスタイル布の使用は、その耳道に耳内装置を装着している被検者の快適性を改善する。
【0006】
好ましくは、前述の布は、ポリアミドで作られる。
【0007】
一実施形態によれば、前述の少なくとも1つの電極は、前述の布の中または上に織られた、編まれた、縫われた、接着され、または堆積させられたテキスタイル電極である。
【0008】
一実施形態では、前述の少なくとも1つの電極および/または前述の導電トラックは、銀めっきポリアミドで作られ、有利には、多くの時間にわたって耳内装置を装着する必要がある被検者のための改善された快適性を可能にする。
【0009】
一実施形態によれば、前述の耳内装置は、少なくとも2つの電極、好ましくは少なくとも3つの電極、より好ましくは少なくとも4つの電極、さらにより好ましくは少なくとも5つの電極を備える。
【0010】
一実施形態では、前述の電極は、耳内装置の長手方向軸を通る平面の両側に配置され、互いに向かい合う。
【0011】
別の実施形態では、前述の電極は、耳内装置の長手方向軸を通る平面の両側に配置され、互いからずれている。
【0012】
別の実施形態では、前述の電極は、耳内装置の長手方向軸に垂直な平面の両側に配置される。
【0013】
一実施形態によれば、前述の耳内装置は、布によって少なくとも部分的に取り囲まれた耳栓をさらに備える。この実施形態では、耳栓は、スリーブ形状の布の空洞の内側に合うように構成され、したがって、布、結果として被検者の外耳道に合うように適合された寸法を有する。
【0014】
一実施形態では、前述の耳内装置は、マイクロホンまたはイヤホンなどの機器をさらに備え、前述の機器は、布によって少なくとも部分的に取り囲まれる。この実施形態では、耳栓は、布の空洞の内側に合うように構成され、したがって、布、結果として被検者の外耳道に合うように適合された寸法を有する。
【0015】
本発明はまた、被検者の耳内への本発明に係る耳内装置の設置、および電気活動の測定を含む、神経的または生理的疾患または障害を監視する方法に関する。
【0016】
本発明はまた、被検者の耳内への本発明に係る耳内装置の設置、および電気活動の測定を含む、脳波記録データを収集する方法に関する。
【0017】
本発明はさらに、以下:
i.好ましくはスリーブまたはシースの形態の凹面を画定し、布の中または上に電極を備える布を得るために、絶縁糸で布を編み、導電糸で電極を編むステップと、
ii.少なくとも1つの電極を導電トラックと接続するステップと、
iii.任意選択で、ステップi)で得られた布を、耳栓に着せるステップと、
を含む、耳内装置を製造するためのプロセスに関する。
【0018】
定義
本発明において、以下の用語は以下の意味を有する。
【0019】
「異常な脳活動」は、脳障害に存在する、てんかんに特徴的であることが知られている、例えば、発作間欠期てんかん性放電および脳波上発作(「発作」は、脳内の異常な過度の同期性のニューロンの活動に起因する兆候および/または症状の一時的な発生を指す)などの、生理的活動とは異なる脳の電気活動を指す。
【0020】
数字に先行する「約」は、前述の数字の値の±10%を意味する。
【0021】
「布」は、被検者が装着する物品を指す。布は、特定の結束を有するテキスタイル材料を含み得る。
【0022】
「凹面」は、その形状が中空である、くぼんだ表面を指す。一実施形態によれば、前述の凹面は、スリーブ、好ましくは一端が閉じているスリーブである。
【0023】
「導電性」は、1つ以上の方向における電荷の流れ(電流)を可能にする能力を指す。本開示では、EEG測定を著しく劣化させることなく回路の素子間の電気的接続を可能にする材料は、導電性である。例えば、導電材料の電気伝導度σは、100ミリジーメンス/センチメートル(mS/cm)超である。「非導電性」および「絶縁性」は、1つ以上の方向における電荷の流れ(電流)を可能にする能力がないか、または弱いことを指す。本開示では、信頼できるEEG測定を確保するために回路の素子間の電気的分離を提供する材料は、非導電性である。例えば、非導電または絶縁材料の電気伝導度σは、1マイクロジーメンス/センチメートル(μS/cm)未満である。
【0024】
「脳波」または「EEG」は、好ましくは電極によって作られた、被検者の脳の電気活動の記録を指す。
【0025】
「電極」は、回路の非金属部分、好ましくは被検者の体との電気的接触を確立するのに使用される導体を指す。「テキスタイル電極」は、その構造がテキスタイル、特に、導電糸で編んだテキスタイル、または導電糸で織られたテキスタイル、または導電糸の不織テキスタイルである電極を指す。
【0026】
「電極の長さ」は、耳内装置の長手方向軸に垂直な電極端(単数または複数)の測定値を指す。「電極の幅」は、耳内装置の長手方向軸に平行な電極端(単数または複数)の測定値を指す。したがって、電極の長さは、同じ電極の幅より小さい場合がある。
【0027】
「信号処理手段」は、少なくとも1つのマイクロプロセッサ、少なくとも1つの集積回路、少なくとも1つの電子基板、および少なくとも1つのマイクロコントローラを意味する。この信号処理手段は、内蔵コンピュータ、ならびにモバイル機器およびリモートサーバなどの外部コンピューティング手段を含むアセンブリを含み得る。
【0028】
「睡眠障害」は、その原因が生理的、環境的、または行動的なものであり得る(個人の睡眠パターンに関連する)医学的困難を意味する。
【0029】
「スリーブ」は、本出願において、両端が開いているかもしくは少なくとも一端が閉じている円筒形、または両端が同じ直径でない場合は円錐形であって、両端が開いているかもしくは少なくとも一端が閉じている円錐形を指すことができる一般用語として使用される。スリーブの一端が閉じている場合、スリーブをシースという用語で表すこともできる。
【0030】
「被検者」は、哺乳類、好ましくはヒトを指す。本発明の意味において、被検者は、患者、すなわち、医師の診察を受けているか、医療処置を受けているもしくは受けたことがあるか、疾患の発症または処置中もしくは処置後の経過を監視されている人であり得る。
【0031】
「テキスタイル」は、テキスタイル繊維を含む材料を指す。テキスタイルは、例えば、織り、編み、圧縮、接着、ニードリングなどの任意の好適な方法、または当業者に知られている任意の好適な方法で、糸、繊維、および/または単繊維を組み合わせることによって得られてよい。「織られたテキスタイル」は、糸を織ることによって得られ、例えば織機で製造された交差される横糸および縦糸を有するテキスタイル構造からなるテキスタイルを指す。「不織テキスタイル」は、例えばニードリング、圧縮、接着、または任意の他の好適な方法などの、化学的、機械的、熱的、または溶媒処理によってともに結合された繊維から作られた材料を指す。
【0032】
「トラック」は、導電素子を指す。一実施形態によれば、導電トラックは、1つ以上の導電糸、繊維、および/または単繊維からなり得る。前述の導電糸、繊維、および/または単繊維は、導電材料で作られるか、または導電面で覆われる。好ましくは、前述の導電糸、繊維、および/または単繊維は、銀で覆われたポリアミドで作られる。別の実施形態によれば、導電トラックはまた、基板上の導電インクまたは導電ペイントからなり得、導電インクまたはペイントは、可撓性を有する電気伝導性材料で満たされ、この導電インクまたはペイントを布などの可撓性表面に堆積させることを可能にする。
【0033】
詳細な説明
本発明は、凹面を画定する布、前述の布の中または上の少なくとも1つの電極、および前述の少なくとも1つの電極に接続された少なくとも1つの導電トラックを備える耳内装置に関する。
【0034】
一実施形態によれば、前述の凹面は、スリーブである。前述のスリーブは、両端が開いているか、一端が開きかつ他方の端部が閉じているか、または両端が閉じているものであり得る。好ましくは、前述のスリーブは、少なくとも一端が閉じており、より好ましくは、前述のスリーブは、一端が開きかつ他方の端部が閉じている(図1および図2参照)。
【0035】
耳内装置、および特に布は、被検者の外耳道に挿入可能であるような寸法である。一実施形態によれば、前述の布の形状は、耳栓のような形状であり(図2参照)、その始端直径hが、1~20mn、好ましくは5~15mm、より好ましくは5~10mm、さらにより好ましくは5~8mm、さらにより好ましくは約8mmまたは約5mmであり、その終端直径Hが、5~20mm、好ましくは8~13mm、より好ましくは10~13mm、さらにより好ましくは約13mmまたは約10.5mm、さらにより好ましくは約11mmまたは約12mmであり、その長さLが、15~35mm、好ましくは20~30mm、より好ましくは23~27mm、さらにより好ましくは約25mmまたは約23mmである円錐体である。
【0036】
好ましい実施形態によれば、前述の布の形状は、その始端直径hが約8mmであり、その終端直径Hが約10mmであり、その長さLが約25mmである円錐体である。
【0037】
1つの特徴では、前述の布は、外耳道の形状と有利に一致するために、少なくともわずかに弾性である。前述の布の弾性は、布が様々な成人の外耳道に合うことができるよう十分に弾性であるかのように、1つのサイズのみの前述の布の製造を可能にする。
【0038】
布の材料は、皮膚接触に適合し、非導電性である。一実施形態によれば、布はテキスタイルで作られる。好ましくは、前述の布は、編んだテキスタイル、不織テキスタイル、織られたテキスタイル、またはそれらの組み合わせである。布の製造への編んだテキスタイルおよび/または織られたテキスタイルの使用は、前述の布に所望の弾性を有利に提供する。より好ましくは、前述の布は、ポリアミドで作られる。さらにより好ましくは、前述の布は、ポリアミド6,6などのポリアミドで作られた、編んだテキスタイルである。
【0039】
有利には、前述の布は、シームレスであり、例えばシームレスの編んだ布である。シームがないことは、布の表面を滑らかにするため、快適性を改善する。加えて、滑らかな表面は、電極と被検者の皮膚との間の接触の質を改善し、したがって測定される電気信号の品質を改善する。
【0040】
耳内装置は、凹面を画定する布の中または上の少なくとも1つの電極を備える。前述の少なくとも1つの電極は、電気的脳活動を測定することができる。耳内電極は、装着者が眠るのを可能にするために快適であるべきである。電極は、可能であれば、一定のサイズを有するために、弾性であるべきでない。耳内電極の材料は、皮膚接触に適合するべきである。
【0041】
一実施形態によれば、前述の少なくとも1つの電極は、前述の布の中または上に織られた、編まれた、縫われた、接着された、または堆積させられたテキスタイル電極である。好ましい実施形態によれば、前述の少なくとも1つの電極は、銀めっきポリアミドで作られる。別の好ましい実施形態によれば、前述の少なくとも1つの電極は、1つはポリアミド6,6の糸でありかつ1つは銀めっきポリアミドの糸である、2つの糸で編むことによって作られる。
【0042】
好ましくは、耳内装置の布は、編んだテキスタイルであり、少なくとも1つのテキスタイル電極は、前述の編んだ布に編み込まれる。言い換えれば、布および少なくとも1つの電極は、たった1つのテキスタイルを表し、前述のテキスタイルは、導電糸で作られた領域および非導電糸で作られた領域を備え、少なくとも1つの電極(単数または複数)である導電領域および布である絶縁領域の範囲を定める。この実施形態では、耳内装置は、滑らかな表面を有するため、より快適であり、より良好な電気信号を提供する、シームレスの編み物である。より好ましくは、導電糸は銀めっきポリアミド糸であり、かつ/または非導電糸はポリアミド6,6糸である。あるいは、導電領域は、1つはポリアミド6,6の糸でありかつ1つは銀めっきポリアミドの糸である、2つの糸で編むことによって作られ、絶縁領域は、ポリアミド6,6糸を編むことによって作られる。
【0043】
さらに、ポリアミド6,6および銀ポリアミドに関して、ポリアミド6,6および銀の生体適合性はよく知られており、それらは非常に安全な材料である。
【0044】
別の実施形態によれば、前述の少なくとも1つの電極は、銀または塩化銀を含む弾性インクで作られ、好ましくは、前述の布に堆積される。
【0045】
一実施形態によれば、前述の耳内装置は、1つの電極を備える(図3a参照)。好ましくは、前述の耳内装置が1つの電極を備える場合、2つの耳内装置が(被検者の左右の耳に1つずつ)使用され、かつ/またはゲル電極スティックが、耳内装置が存在する耳の後ろ(図4)、もしくは反対側の耳の後ろ、もしくは好ましくは電気生理学的信号源(脳、心臓、筋肉)から離れた体のどこかに配置される。実際、第2の電極は、電位差を確立するのに必要であり、第2の電極(参照電極)の位置で測定される電気活動は、標的位置(活性電極)で測定される電気活動から差し引かれる。
【0046】
代替の実施形態によれば、耳内装置は、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの電極を備える(図3b)、図3c)、および図3d)参照)。有利には、より多くの電極が前述の布の中または上に存在するほど、信号分解能はますます改善され、すなわち、システムは、脳のより小さい領域からの信号をマッピングすることができる。実際、高い分解能は、システムが脳の小さい領域からの信号をマッピングすることができることを意味する。有利には、複数の電極で得ることができる分解能は、センチメートルのオーダーである。布の非導電糸の使用は、複数の電極を1つの耳内装置に配置することを可能にする。
【0047】
前述の耳内装置の少なくとも1つの電極は、電気信号の測定に適する任意の方法で、前述の布の中または上に位置付けられ得る。
【0048】
一実施形態では、電極の位置は、布の軸に沿った回転によって不変である。布の軸に沿った回転対称性が存在する場合、被検者の耳内で布の方向を合わせる必要がなく、したがって、耳内装置の使用はより容易になる。
【0049】
一実施形態では、前述の電極は、耳内装置の長手方向軸を通る平面の両側に配置され、互いに向かい合う。別の実施形態では、前述の電極は、耳内装置の長手方向軸を通る平面の両側に配置され、互いからずれている。別の実施形態では、前述の電極は、耳内装置の長手方向軸に垂直な平面の両側に配置される。
【0050】
耳内電極は、耳栓と同じくらいの深さ(約23mm)で耳の奥に入るべきである。好ましくは、少なくとも1つの電極は、凹状の布の上部から1~6mm、好ましくは2mm~5mm、より好ましくは約4mm(耳内の最深部)で始まる。
【0051】
一実施形態によれば、少なくとも1つの電極の長さは、10~20mm、好ましくは12~18mm、より好ましくは15~17mm、さらにより好ましくは約15mmまたは約17mmであり、少なくとも1つの電極の幅は、1~8mm、好ましくは2~6mm、より好ましくは4~5mm、さらにより好ましくは約4mmまたは約5mmである。例えば、図5に示すように、耳内装置が、耳内装置の長手方向軸に垂直な平面の両側に配置され、それらの端部で重なる2つの電極を備える場合、凹状の布の上部に最も近いものは、約15mmの長さおよび約5mmの幅を有し得、凹状の布の底部に最も近いものは、約17mmの長さおよび約4mmの幅を有し得る。
【0052】
一実施形態では、少なくとも1つの電極は、耳内装置の布の周りに閉ループを形成する形状および寸法を有する。
【0053】
電極の形状は、例えば正方形、円形、楕円形、長方形、菱形などの、電気的脳活動を測定するのに適する任意の形状であってよい。
【0054】
一実施形態によれば、前述の少なくとも1つの電極は、使用にゲルを必要とせず、優先的には、前述の少なくとも1つの参照電極は、乾燥導体電極である。
【0055】
上で説明されたように、布は弾性であり、被検者の耳道に合うように適合された寸法および形状を有する。とりわけ、そのような布は、耳内装置と耳道の内壁との間の接触を確保するのを可能にする。耳内装置の電極は、電解質クリームなどのゲルを必要とせずに、耳道の内壁から電気活動を記録することを可能にする導電材料で作られる。耳内装置の電極は、ゲルを用いた使用にも適している。電解質クリームは、皮膚と電極との間の導電性を改善し、したがって測定される電気信号を改善するのを可能にし得る。有利には、布のテキスタイル構造は、電解質クリームを吸収し、耳内装置が耳道の所定の位置にあると前述のクリームを放出し、これは、十分なクリームが前述の電極上に存在し、短絡を引き起こし得る前述の電極間の布へのクリームの広がりを防ぐことを確実にする。
【0056】
耳内装置は、凹面を画定する布、前述の布の中または上の少なくとも1つの電極、および前述の少なくとも1つの電極に接続された導電トラックを備える。好ましくは、電極1つにつき1つのトラックが存在する。
【0057】
一実施形態によれば、前述の導電トラックは、テキスタイルトラック、好ましくは編んだテキスタイルトラック、より好ましくは銀めっきポリアミド糸を編むことによって作られたテキスタイルトラックである。
【0058】
一実施形態では、前述のトラックは、電極から布の端部まで、または電気的脳活動の取得システムへの電気的接続のために布の端部より先まである。
【0059】
好ましくは、導電トラックは、耳道の外側の皮膚と接触しないように、耳内装置の布の内側に位置付けられる。
【0060】
有利な特徴によれば、耳内装置の材料、例えば、布用のポリアミド6,6、ならびに少なくとも1つの電極および少なくとも1つの導電トラック用の銀めっきポリアミドは、前述の耳内装置が(耳垢を除去するのに適する条件で)少なくとも20回洗浄されることを可能にし、かつ/または使い捨てできるよう十分に低価格のものである。例えば、耳内装置は、洗濯機で洗浄され得る。
【0061】
耳内装置は、前述の耳内装置が被検者の耳に押し込まれた時に、皮膚および/または電解質クリームと接触する比表面積が大きいことを可能にする厚さを有し、これは、接触インピーダンスを低下させ、EEG信号品質を改善する。例えば、前述の耳内装置の厚さは、0.1~5mm、好ましくは0.1~3mm、より好ましくは0.1~1mm、さらにより好ましくは0.1~0.5mm、さらにより好ましくは0.2~0.4mm、さらにより好ましくは約0.3mmである。
【0062】
一実施形態によれば、上記のような本発明に係る耳内装置は、耳栓および/または機器と協働するかまたはそれらを備えるようにさらに構成され、布は、耳栓および/または機器に合うように構成される。1つの特徴では、布は、耳栓および/または機器に取り外し可能に着せられる。例えば、機器は、マイクロホンまたはイヤホンであり得る。例えば、耳栓は、ポリウレタンで作られた耳栓などの発泡体の耳栓であり得る。とりわけ、耳栓および/または機器は、耳栓および/または機器が布によって少なくとも部分的に取り囲まれるように、スリーブ形状の布の空洞に挿入される。さらに、耳栓および/または機器は、スリーブ形状の布の空洞に挿入された時に耳道に合うように適合された寸法を有する。1つの好ましい実施形態では、耳栓および/または機器の外形は、耳内装置が耳道に挿入された時に、耳栓および/または機器が耳道の内壁に電極を押し付けるように、布の内面に合う。
【0063】
耳内装置はまた、耳栓およびいくつかの機器を、前述の耳内装置の布がそれらに合うことができるという条件で、さらに備えることができる。あるいは、耳内装置はまた、耳栓なしでいくつかの機器を、前述の耳内装置の布がこれらの機器に合うことができるという条件で、さらに備えることができる。
【0064】
実際、耳内装置の布が凹面を有するため、その空洞は、耳栓および/または機器を入れることを可能にする。布が、耳栓およびイヤホンまたはマイクロホンなどの機器に同時に合う場合、耳栓は、前述の機器のための空間を与えるために、その上部が切断されたものとすることができる。
【0065】
上述のように、耳内装置の布は、少なくともわずかに弾性であり得、前述の布のこの弾性は、布が様々な成人の外耳道および様々な耳栓のサイズに合うことができるよう十分に弾性であるかのように、1つのサイズのみの前述の布の製造を可能にする。
【0066】
一実施形態によれば、前述の耳内装置は、少なくとも1つの電極によって測定された信号を取得するように構成された取得システムに接続され、接続は、着脱可能である。取得システムは、電子回路を備える。
【0067】
一実施形態では、前述の取得システムは、信号処理手段をさらに備える。一実施形態によれば、前述の信号処理手段は、メモリユニットを備え、前述のメモリユニットは、神経マーカを含み、信号処理手段は、神経マーカに基づいて、少なくとも1つの電極によって測定された信号の中から神経障害を識別するように構成される。
【0068】
例えば、メモリユニットは、てんかんマーカを含み得、少なくとも1つの電極によって測定された信号の中からのてんかん性活動の識別は、ニューラルネットワーク分析に基づくてんかん性活動認識アルゴリズムを使用し得る。
【0069】
一実施形態によれば、耳内装置の信号処理手段は、電子データ収集を介して医療処置の副作用を識別または注釈付けするように構成され、前述の副作用は、電気的脳活動に変化をもたらす。この収集は、直接的(ソフトウェアアプリケーションでの被検者のデータの入力)または間接的(第三者コンピューティングシステムを介する収集)であり得る。
【0070】
一実施形態によれば、信号処理手段は、取得システムによって取得された様々な信号に基づいて、被検者の睡眠周期を識別するように構成される。
【0071】
一実施形態によれば、耳内装置はまた、少なくとも1つのリモートストレージ手段、および少なくとも1つのクラウドコンピューティングもしくはリモートサーバ型リモートストレージ手段に通信するための手段を備えるか、またはそれらに接続される。
【0072】
有利には、前述の取得システムは、取得システムによって取得された電気信号を前述の信号処理手段に送信するための手段をさらに備える。送信手段は、取得システムによって取得された電気信号を信号処理手段に送信するように構成される。一実施形態では、信号処理手段は、この装置から遠隔にあり、無線で接続される。一実施形態では、信号処理手段は、この装置から遠隔にあり、有線で接続される。
【0073】
好ましくは、耳内装置は、凹面を画定する布、前述の布の中または上の少なくとも1つの電極、前述の少なくとも1つの電極に接続された導電トラックを備え、送信手段および信号処理手段を備える取得システムに接続される。一実施形態では、耳内装置は、複数の取得システム、送信手段、および信号処理手段を備える。
【0074】
本発明の目的はまた、以下:
i.好ましくはスリーブまたはシースの形態の凹面を画定する布を得るために、導電糸で少なくとも1つの電極を編み、絶縁糸で布を編むステップであって、前述の少なくとも1つの電極は、前述の布の中または上にある、ステップと、
ii.少なくとも1つの電極を導電トラックと接続するステップと、
iii.任意選択で、ステップi)で得られた布を、耳栓および/または少なくとも1つの機器に着せるステップと
を含む、耳内装置を製造するためのプロセスである。
【0075】
一実施形態によれば、ステップiで使用される絶縁糸は、ポリアミド6,6糸である。
【0076】
一実施形態によれば、ステップiで使用される導電糸は、銀めっきポリアミド糸である。
【0077】
一実施形態によれば、ステップiで使用される絶縁糸は、ポリアミド6,6糸であり、ステップiで使用される導電糸は、銀めっきポリアミド糸である。布および電極の両方にポリアミドを使用する1つの利点は、布および少なくとも1つの電極が全体として、均質であり、全ての点で同様に可撓性であることである。
【0078】
一実施形態によれば、ステップiiの導電トラックは、銀めっきポリアミド糸を編むことによって作られる。
【0079】
一実施形態では、前述の布および前述の少なくとも1つの電極は、より良好な製造品質および再現性を確保し、製造コストを低下させ、少なくとも1つの電極を備える布の使い捨てを考慮することを可能にする、自動編み機で編まれる。
【0080】
自動編み機は、テキスタイルに少なくとも1つの電極を編むための専用プログラムを有する手袋編み型のものであり得る。例えば、前述の編み機は、その参照番号がSWG041であり、SHIMA社によって製造され、240本の針および15のゲージを有する機械であり得る。
【0081】
ステップiの後に、少なくとも1つの電極を備える布が編まれたら、一部の糸は切られ、少なくとも1つの電極を備える布は、「生産の終了」と呼ばれる工業プロセスに従って洗浄される。この洗浄プロセスは、(編みやすくするために使用される)糊付け油のクリーニングを確実に行い、あり得る取り扱い上の汚れをクリーニングする。
【0082】
本発明はまた、被検者の耳内への耳内装置の設置および電気活動の測定を含む、神経的または生理的疾患または障害を監視する方法に関する。
【0083】
本発明はさらに、被検者の耳内への耳内装置の設置および電気活動の測定を含む、脳波記録データを収集する方法に関する。
【0084】
一実施形態によれば、耳内装置は、被検者のEEGを捕捉するのに使用され得る。このEEGは、てんかんまたは睡眠障害などの、電気的脳活動の測定を必要とする神経的または生理的疾患または障害の診断、監視、および/または処置に有用である。
【0085】
本発明はまた、電気的脳活動の測定を必要とする神経的または生理的疾患または障害を監視するための、本発明に係る耳内装置の使用に関する。
【0086】
有利には、装置は、被検者自身によって、または医療従事者もしくは非医療従事者などの任意の他者によって、被検者に設置され得る。通常、耳道の粘膜は、耳垢によって保護されているが、より良好な皮膚電極接触のために、患者は、自身の耳垢を掃除するように求められることになる。電解質クリームは、少なくとも1つの電極に使用され得る。
【0087】
布を備える耳内装置である装置のサイズ、位置、および手触りは、特に長時間にわたる慎重さおよびユーザ快適性を改善する。耳内装置は、装着者が眠るのを可能にするために快適である。例えば、睡眠ポリグラフ検査のために、被検者は、4時間~48時間の期間にわたって装置を装着しなければならない。
【0088】
有利には、銀めっきポリアミド糸で作られた電極(単数もしくは複数)などのテキスタイル電極(単数もしくは複数)の、布のファブリックまたはテキスタイルの中または上への統合は、多くの時間にわたって耳内装置を装着する必要がある被検者のための、より良好な快適性を可能にする。
【0089】
本発明は、信号が乱れている期間を検出することによって測定される電気的脳信号の信頼できる分析を可能にする。
【0090】
耳内装置は、国際10-20法、10-10法、または10-5法で使用され得る。
【0091】
様々な実施形態記述および例解されてきたが、詳細な説明は、本明細書の記載に限定されるものと解釈すべきではない。当業者は、特許請求の範囲により定義されるような本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正を実施形態に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1】耳内装置の実施形態の図である。
図2】耳内装置の布の実施形態を示す概略図である。
図3】耳内装置の布の中または上への少なくとも1つの電極の可能な配置のいくつかを示す4つの概略図(図3a、3b)、3c)、および3d))に分割される。
図4】耳内装置の4つの使用方法を示す。
図5】耳内装置の長手方向軸に垂直な2つの電極の寸法を示す2つの概略図である。
図6】耳内装置の実施形態の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0093】

図1に示すように、本発明に係る耳内装置の特定の実施形態では、前述の耳内装置は、凹面を画定する布1、前述の布の中の2つの電極(21、22)、および各電極に接続された1つの導電トラック(31、32)を備える。前述の布は、ポリアミド6,6で作られ、前述の電極は、銀めっきポリアミドで作られ、布および電極は、(布1である)絶縁領域および(電極(21、22)である)導電領域の範囲を定めるために、糸を変えることによって全体が同時に編まれる。さらに、前述の布は、その上部10が閉じ、その底部が開いているスリーブ、具体的には円錐体の形状を有する。
【0094】
布1は、以下の寸法を有し(図2参照):(上部(10)の)始端直径hは約8mmであり、(底部の)終端直径Hは約13mmであり、長さLは約25mmである。耳内装置の長手方向軸Xは、図2に示されている。
【0095】
図3に示すように、耳内装置は、1つの電極21(図3a))または2つの電極(21、22)(図3b)、3c)、および3d))を備え得る。少なくとも2つの電極(21、22)が存在する場合、それらは、布1の中または上に、いくつかの方法に従って配置され得:例えば、それらは、布によって区切られて、耳内装置の長手方向軸Xを通る平面の両側に配置され得、互いに向かい合い得る(図3b))か、またはそれらは、耳内装置の長手方向軸Xを通る平面の両側に配置され得、互いからずれ得る(図3c))か、またはそれらは、耳内装置の長手方向軸Xに垂直な平面の両側に配置され得る(図3d))。各電極(21、22)は、1つの導電トラック(31、32)に接続される。
【0096】
図4は、耳内装置の使用の様々な実施形態を示す。1つの電極を備える耳内装置の使用は、反対側の耳における別の耳内装置の使用(図4b)、ならびに/または耳内装置が存在する耳の後ろに配置されたゲル電極スティックの使用(図4aおよび図4c)を含む。実際、第2の電極は、電位差を確立するのに必要であり、第2の電極(参照電極)の位置で測定される電気活動は、標的位置(活性電極)で測定される電気活動から差し引かれる。
【0097】
図4a)は、導電トラック31に接続された1つの電極21のみを備える耳内装置の実施形態を示し、したがって、その使用は、耳内装置が存在する耳の後ろに配置され、導電トラック51に接続されたゲル電極スティック5の使用を伴う。
【0098】
図4b)は、導電トラック31に接続された1つの電極21のみを備える耳内装置の実施形態を示し、したがって、一方の耳におけるその使用は、導電トラック31に接続された1つの電極21のみを備える別の耳内装置の、反対側の耳における使用を伴う。
【0099】
図4c)は、導電トラック31に接続された1つの電極21のみを備える耳内装置の、左右の耳における使用、およびそれに伴う、左右の耳の後ろに配置され、導電トラック51に接続されたゲル電極スティック5の使用の実施形態を示す。
【0100】
図4d)は、導電トラック(31、32)に接続された2つの電極(21、22)を備える耳内装置の、左右の耳における使用、およびそれに伴う、一方の耳の後ろに配置され、導電トラック51に接続されたゲル電極スティック5の使用の実施形態を示す。
【0101】
いかなる理論にも制限されることを望むものではないが、装置を両耳に使用することは、電位差を増大させるための、活性電極(単数または複数)と参照電極(単数または複数)との間のより遠い距離を可能にする。
【0102】
図5は、電極の寸法、および電極と本発明に係る耳内装置の上部との間の相対距離の実施形態を示す。この実施形態によれば、2つの電極(21、22)が、布1上に存在し、耳内装置の長手方向軸Xに垂直な平面の両側に配置される。各電極(21、22)は、導電トラック(31、32)に接続される。図5a)は、縦に1層に切断され、広げられた耳内装置を示し、切断の軸は、第1の電極21を通る。第2の電極22は、17mm±1mmの長さL22および4mm±1mmの幅l22を有し、両電極(21、22)間の距離d21-22は、3mm±1mmである。図5b)は、縦に1層に切断され、広げられた耳内装置を示し、切断の軸は、第2の電極22を通る。第1の電極21は、15mm±1mmの長さL21および5mm±1mmの幅l21を有し、両電極(21、22)間の距離d21-22は、3mm±1mmであり、電極21と円錐形の布1の上部との間の距離d10-22は、4mm±1mmである。
【0103】
図6は、凹面を画定する布1、前述の布1の中の2つの電極(21、22)、および各電極に各々接続された2つの導電トラック(31、32)を備える耳内装置の写真を示す。この実施形態では、前述の布は、ポリアミド6,6糸を編むことによって作られ、前述の電極は、1つはポリアミド6,6の糸でありかつ1つは銀めっきポリアミドの糸である、2つの糸で編むことによって作られる。布1および電極(21、22)は、(布1である)絶縁領域および(電極(21、22)である)導電領域の範囲を定めるために、糸を変えることによって全体が同時に編まれる。さらに、この実施形態によれば、前述の布1は、その上部10が閉じ、その底部が開いているスリーブ、具体的には円錐体の形状を有する。両電極(21、22)は、耳内装置の長手方向軸Xに垂直な平面の両側に配置され、それらは、布の周りにループを画定しないが、耳内装置の長手方向軸Xに関して互いに向かい合う。
【0104】
図6に示された前述の耳内装置は、その参照番号がSWG041であり、SHIMA社によって製造され、240本の針および15のゲージを有する編み機で編まれており、前述の耳内装置を編む時間は、5分未満であった。
図1
図2
図3a)】
図3b)】
図3c)】
図3d)】
図4a)】
図4b)】
図4c)】
図4d)】
図5a)】
図5b)】
図6
【国際調査報告】