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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】被覆層および遮蔽層を伴うフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/203 20060101AFI20230608BHJP
   H01P 1/205 20060101ALI20230608BHJP
   H01P 7/08 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
H01P1/203
H01P1/205 B
H01P7/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568932
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021030620
(87)【国際公開番号】W WO2021231132
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/024,017
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500047848
【氏名又は名称】キョーセラ・エイブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,コーリー
(72)【発明者】
【氏名】コロニー,ゲオルゲ
【テーマコード(参考)】
5J006
【Fターム(参考)】
5J006HB03
5J006JA01
5J006PA10
(57)【要約】
フィルタは、モノリシック基板と、モノリシック基板の上部表面の上方に、および、モノリシック基板の第1の上部縁部またはモノリシック基板の第2の上部縁部のうちの1つまたは複数の少なくとも一部分に沿って形成される、少なくとも1つの導電性層とを含み得る。被覆層が、モノリシック基板の上部表面の上方に配置構成され得る。遮蔽層が、モノリシック基板の第1の上部縁部または第2の上部縁部において、導電性層のうちの1つまたは複数と接続し得る。遮蔽層は、被覆層の第1の側部表面の上方に形成される第1の部分と、被覆層の上部表面の上方に形成される第2の部分と、被覆層の第2の側部表面の上方に形成される第3の部分とを含み得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部表面と、前記上部表面に直交する第1の側部表面と、前記上部表面に直交する第2の側部表面と、前記上部表面と前記第1の側部表面との間の交線に沿う第1の上部縁部と、前記第1の上部縁部と反対位置関係にある、および、前記上部表面と前記第2の側部表面との間の交線に沿う、第2の上部縁部とを有するモノリシック基板と、
前記モノリシック基板の前記上部表面の上方に、および、前記モノリシック基板の前記第1の上部縁部または前記モノリシック基板の前記第2の上部縁部のうちの1つまたは複数の少なくとも一部分に沿って形成される、少なくとも1つの導電性層と、
前記モノリシック基板の前記上部表面の上方に配置構成される被覆層であって、前記モノリシック基板の前記上部表面と平行な上部表面を有し、第1の側部表面と、前記第1の側部表面と反対位置関係にある第2の側部表面とを有し、前記被覆層の前記第1の側部表面は、前記モノリシック基板の前記第1の側部表面と平行であり、前記被覆層の前記第2の側部表面は、前記モノリシック基板の前記第2の側部表面と平行である、被覆層と、
前記モノリシック基板の前記第1の上部縁部または前記第2の上部縁部のうちの1つまたは複数において、前記少なくとも1つの導電性層のうちの1つまたは複数と接続する遮蔽層であって、前記被覆層の前記第1の側部表面の上方に形成される第1の部分と、前記被覆層の前記上部表面の上方に形成される第2の部分と、前記被覆層の前記第2の側部表面の上方に形成される第3の部分とを含む、遮蔽層と
を含む、フィルタ。
【請求項2】
前記被覆層の前記第1の側部表面は、前記モノリシック基板の前記第1の側部表面と同一平面上であり、前記被覆層の前記第2の側部表面は、前記モノリシック基板の前記第2の側部表面と同一平面上である、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記遮蔽層の前記第1の部分は、さらには、前記モノリシック基板の前記第1の側部表面の上方に形成され、
前記遮蔽層の前記第2の部分は、さらには、前記モノリシック基板の前記第2の側部表面の上方に形成される、
請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記モノリシック基板は、前記モノリシック基板の前記上部表面と反対位置関係にある下部表面を有し、前記遮蔽層は、前記モノリシック基板の前記下部表面の上方に形成される第4の部分を含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記モノリシック基板は、前記モノリシック基板の前記上部表面と反対位置関係にある下部表面と、前記モノリシック基板の前記下部表面および前記モノリシック基板の前記第1の側部表面の交線における第1の下部縁部と、前記モノリシック基板の前記下部表面および前記モノリシック基板の前記第2の側部表面の交線における第2の下部縁部とを含み、
前記遮蔽層は、前記モノリシック基板の前記下部表面の上方に、および、前記モノリシック基板の前記第1の下部縁部の少なくとも一部分に沿って形成される第4の部分と、前記モノリシック基板の前記下部表面の上方に、および、前記モノリシック基板の前記第2の下部縁部の少なくとも一部分に沿って形成される第5の部分とを含む、
請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記被覆層は、前記モノリシック基板の前記上部表面に直交する厚さ方向を有し、前記被覆層の前記厚さは、約250μmから約3,000μmの範囲に及ぶ、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記フィルタは、10GHzより大きい下側境界と、約10GHz未満だけ前記下側限度より大きい上側境界とを有する帯域通過周波数範囲を有する挿入損失応答を呈する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記フィルタは、下側境界と、上側境界と、1GHzあたり約10dBより大きい、前記下側境界または前記上側境界のうちの少なくとも1つからの減少の率とを有する帯域通過周波数範囲を有する挿入損失応答を呈する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの導電性層は、第1の導電性層と、第2の導電性層とを含み、前記遮蔽層は、前記モノリシック基板の前記第1の上部縁部において、前記第1の導電性層と接続し、
前記遮蔽層は、前記モノリシック基板の前記第2の上部縁部において、前記第2の導電性層と接続する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記遮蔽層は、前記被覆層の前記第1の側部表面の上方に形成される第1の部分と、前記被覆層の前記上部表面の上方に形成される第2の部分と、前記被覆層の前記第2の側部表面の上方に形成される第3の部分とを含む、請求項9に記載のフィルタ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの導電性層は、第1の複数の共振器アームを含む第1の導電性層と、前記第1の導電性層の前記第1の複数の共振器アームと相互嵌合される第2の複数の共振器アームを含む第2の導電性層とを含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項12】
フィルタを形成する方法であって、
上部表面と、前記上部表面に直交する第1の側部表面と、前記上部表面に直交する第2の側部表面と、前記上部表面と前記第1の側部表面との間の交線に沿う第1の上部縁部と、前記第1の上部縁部と反対位置関係にある、および、前記上部表面と前記第2の側部表面との間の交線に沿う、第2の上部縁部とを有するモノリシック基板を用意するステップと、
前記モノリシック基板の前記上部表面の上方に、および、前記モノリシック基板の前記第1の上部縁部または前記モノリシック基板の前記第2の上部縁部のうちの1つまたは複数の少なくとも一部分に沿って、少なくとも1つの導電性層を形成するステップと、
前記モノリシック基板の前記上部表面の上方に被覆層を配置構成するステップであって、前記被覆層は、前記モノリシック基板の前記上部表面と平行な上部表面を有し、前記被覆層は、第1の側部表面と、前記第1の側部表面と反対位置関係にある第2の側部表面とを有し、前記被覆層の前記第1の側部表面は、前記モノリシック基板の前記第1の側部表面と平行であり、前記被覆層の前記第2の側部表面は、前記モノリシック基板の前記第2の側部表面と平行である、被覆層を配置構成するステップと、
前記モノリシック基板の前記第1の上部縁部または前記第2の上部縁部のうちの1つまたは複数において、前記少なくとも1つの導電性層のうちの1つまたは複数と接続する遮蔽層を形成するステップであって、前記遮蔽層は、前記被覆層の前記第1の側部表面の上方に形成される第1の部分と、前記被覆層の前記上部表面の上方に形成される第2の部分と、前記被覆層の前記第2の側部表面の上方に形成される第3の部分とを含む、遮蔽層を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記遮蔽層を形成するステップは、
前記モノリシック基板の前記第1の側部表面の上方に、前記遮蔽層の前記第1の部分を形成するステップと、
前記モノリシック基板の前記第2の側部表面の上方に、前記遮蔽層の前記第2の部分を形成するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記遮蔽層を形成するステップは、前記モノリシック基板の下部表面の上方に、前記遮蔽層の第4の部分を形成するステップであって、前記下部表面は、前記モノリシック基板の前記上部表面と反対位置関係にある、第4の部分を形成するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記遮蔽層を形成するステップは、
前記モノリシック基板の下部表面の上方に、および、前記モノリシック基板の前記下部表面と前記モノリシック基板の前記第1の側部表面との間にある前記モノリシック基板の第1の下部縁部の少なくとも一部分に沿って、前記遮蔽層の第4の部分を形成するステップと、
前記モノリシック基板の前記下部表面の上方に、および、前記モノリシック基板の前記下部表面と前記モノリシック基板の前記第2の側部表面との間にある前記モノリシック基板の第2の下部縁部の少なくとも一部分に沿って、前記遮蔽層の第5の部分を形成するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの導電性層を形成するステップは、
前記モノリシック基板の前記上部表面の上方に第1の導電性層を形成するステップであって、前記第1の導電性層は、前記モノリシック基板の前記第1の上部縁部において前記遮蔽層と接続する、第1の導電性層を形成するステップと、
前記モノリシック基板の前記上部表面の上方に第2の導電性層を形成するステップであって、前記第2の導電性層は、前記モノリシック基板の前記第2の上部縁部において前記遮蔽層と接続する、第2の導電性層を形成する形成するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記遮蔽層を形成するステップは、
前記被覆層の前記第1の側部表面の上方に、前記遮蔽層の第1の部分を形成するステップと、
前記被覆層の前記上部表面の上方に、前記遮蔽層の第2の部分を形成するステップと、
前記被覆層の前記第2の側部表面の上方に、前記遮蔽層の第3の部分を形成するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの導電性層を形成するステップは、
第1の複数の共振器アームを含む第1の導電性層を形成するステップと、
前記第1の導電性層の前記第1の複数の共振器アームと相互嵌合される第2の複数の共振器アームを含む第2の導電性層を形成するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
上部表面を有するモノリシック基板と、
前記モノリシック基板の前記上部表面の上方に形成される第1の導電性層であって、第1の複数の共振器アームを含む、第1の導電性層と、
前記モノリシック基板の前記上部表面の上方に形成される第2の導電性層であって、前記第1の導電性層の前記第1の複数の共振器アームと相互嵌合される第2の複数の共振器アームを含む、第2の導電性層と
を含み、
10GHzより大きい下側境界と、約10GHz未満だけ前記下側限度より大きい上側境界とを有する帯域通過周波数範囲を有する挿入損失応答を呈する、フィルタ。
【請求項20】
上部表面を有するモノリシック基板と、
前記モノリシック基板の前記上部表面の上方に形成される第1の導電性層であって、第1の複数の共振器アームを含む、第1の導電性層と、
前記モノリシック基板の前記上部表面の上方に形成される第2の導電性層であって、前記第1の導電性層の前記第1の複数の共振器アームと相互嵌合される第2の複数の共振器アームを含む、第2の導電性層と
を含み、
下側境界と、上側境界と、1GHzあたり約10dBより大きい、前記下側境界または前記上側境界のうちの少なくとも1つからの減少の率とを有する帯域通過周波数範囲を有する挿入損失応答を呈する、フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月13日の出願日を有する、米国仮特許出願第63/024,017号の出願利益を主張するものであり、その米国仮特許出願は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
受動フィルタ装置は、電気信号から選択周波数範囲をフィルタリングすることができる。しかしながら、電磁放射が、そのような受動フィルタ装置の性能に悪影響を及ぼすことがある。よって、改善される遮蔽を有するフィルタが、当技術分野において歓迎されることになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の1つの実施形態によれば、フィルタは、上部表面と、上部表面に直交する第1の側部表面と、上部表面に直交する第2の側部表面と、上部表面と第1の側部表面との間の交線に沿う第1の上部縁部と、第1の上部縁部と反対位置関係にある、および、上部表面と第2の側部表面との間の交線に沿う、第2の上部縁部とを有するモノリシック基板を含み得る。フィルタは、モノリシック基板の上部表面の上方に、および、モノリシック基板の第1の上部縁部またはモノリシック基板の第2の上部縁部のうちの1つまたは複数の少なくとも一部分に沿って形成される、少なくとも1つの導電性層を含み得る。フィルタは、モノリシック基板の上部表面の上方に配置構成される被覆層を含み得る。被覆層は、モノリシック基板の上部表面と平行な上部表面を有し得る。被覆層は、第1の側部表面と、第1の側部表面と反対位置関係にある第2の側部表面とを有し得る。被覆層の第1の側部表面は、モノリシック基板の第1の側部表面と平行であり得、被覆層の第2の側部表面は、モノリシック基板の第2の側部表面と平行であり得る。フィルタは、モノリシック基板の第1の上部縁部または第2の上部縁部のうちの1つまたは複数において、少なくとも1つの導電性層のうちの1つまたは複数と接続する遮蔽層を含み得る。遮蔽層は、被覆層の第1の側部表面の上方に形成される第1の部分と、被覆層の上部表面の上方に形成される第2の部分と、被覆層の第2の側部表面の上方に形成される第3の部分とを含み得る。
【0004】
本発明の別の実施形態によれば、フィルタを形成する方法は、上部表面と、上部表面に直交する第1の側部表面と、上部表面に直交する第2の側部表面と、上部表面と第1の側部表面との間の交線に沿う第1の上部縁部と、第1の上部縁部と反対位置関係にある、および、上部表面と第2の側部表面との間の交線に沿う、第2の上部縁部とを有するモノリシック基板を用意するステップを含み得る。方法は、モノリシック基板の上部表面の上方に、および、モノリシック基板の第1の上部縁部またはモノリシック基板の第2の上部縁部のうちの1つまたは複数の少なくとも一部分に沿って、少なくとも1つの導電性層を形成するステップを含み得る。方法は、モノリシック基板の上部表面の上方に被覆層を配置構成するステップを含み得る。被覆層は、モノリシック基板の上部表面と平行な上部表面を有し得る。被覆層は、第1の側部表面と、第1の側部表面と反対位置関係にある第2の側部表面とを有し得る。被覆層の第1の側部表面は、モノリシック基板の第1の側部表面と平行であり得、被覆層の第2の側部表面は、モノリシック基板の第2の側部表面と平行であり得る。方法は、モノリシック基板の第1の上部縁部または第2の上部縁部のうちの1つまたは複数において、少なくとも1つの導電性層のうちの1つまたは複数と接続する遮蔽層を形成するステップを含み得る。遮蔽層は、被覆層の第1の側部表面の上方に形成される第1の部分と、被覆層の上部表面の上方に形成される第2の部分と、被覆層の第2の側部表面の上方に形成される第3の部分とを含み得る。
【0005】
本発明の別の実施形態によれば、フィルタは、上部表面を有するモノリシック基板と、モノリシック基板の上部表面の上方に形成される第1の導電性層とを含み得る。第1の導電性層は、第1の複数の共振器アームを含み得る。第2の導電性層が、モノリシック基板の上部表面の上方に形成され得る。第2の導電性層は、第1の導電性層の第1の複数の共振器アームと相互嵌合(interdigitated)される第2の複数の共振器アームを含み得る。フィルタは、10GHzより大きい下側境界と、約10GHz未満だけ下側限度より大きい上側境界とを有する帯域通過周波数範囲を有する挿入損失応答を呈し得る。
【0006】
本発明の別の実施形態によれば、フィルタは、上部表面を有するモノリシック基板と、モノリシック基板の上部表面の上方に形成される第1の導電性層とを含み得る。第1の導電性層は、第1の複数の共振器アームを含み得る。第2の導電性層が、モノリシック基板の上部表面の上方に形成され得る。第2の導電性層は、第1の導電性層の第1の複数の共振器アームと相互嵌合される第2の複数の共振器アームを含み得る。フィルタは、下側境界と、上側境界と、1GHzあたり約10dBより大きい、下側境界または上側のうちの少なくとも1つからの減少の率とを有する帯域通過周波数範囲を有する挿入損失応答を呈し得る。
【0007】
当業者に向けられる、本発明の最良の形態を含む、本発明の完全および実施可能な開示が、添付される図を参照する、本明細書の残り部分において、より詳しく論述される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】遮蔽層を伴わないフィルタの例示的な実施形態の分解斜視図を例解する図である。
図1B】遮蔽層を含む、図1Aのフィルタの分解斜視図を例解する図である。
図2A】遮蔽層を伴わない、図1Aのフィルタの別の分解斜視図を例解する図である。
図2B】遮蔽層を含む、図1のフィルタの別の分解斜視図を例解する図である。
図3図1Aのフィルタの組立斜視図を例解する図である。
図4図1Aのフィルタの断面側面図を例解する図である。
図5】本開示の態様による、フィルタの導電性配線(conductive trace)の上面概略を例解する図である。
図6】被覆層および遮蔽層を欠くフィルタと比較される、図1Aないし4のフィルタのコンピュータシミュレーションからの挿入損失(S21)および反射損失(S11)結果を例解する図である。
図7】被覆層および遮蔽層に代えて、機械加工された遮蔽物を有するフィルタと比較される、図1Aないし4を参照して上述で説明されたフィルタのコンピュータシミュレーションからの挿入損失(S21)および反射損失(S11)結果を例解する図である。
図8】様々な被覆層厚さを有する、図1Aないし4を参照して上述で説明されたフィルタに対する4つの挿入損失曲線を例解する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および図面における参照符号の繰り返しの使用は、本発明の同じまたは類似する特徴または要素を表すことを意図される。
【0010】
本論考は、単に例示的な実施形態の説明であり、本発明のより広範な態様を制限することとして意図されず、それらのより広範な態様は、例示的な構築物の形で具象されるということが、当業者によって理解されることになる。
【0011】
一般的に言えば、本発明は、改善される性能特性をもたらす構成を有するフィルタに関する。フィルタは、1つまたは複数の導電性層に対する優れた電磁遮蔽をもたらし得る遮蔽層および被覆層を含み得る。さらに、被覆層および遮蔽層の寸法は、フィルタの性能特性を微調整するように選択され得る。性能特性は、フィルタの帯域通過周波数範囲の、1つまたは複数の態様を含み得る。例えば、フィルタは、狭い帯域通過周波数範囲、および/または、優れた帯域外除去(out-of-band rejection)を呈し得る。
【0012】
フィルタは、優れた性能特性を呈し得る。フィルタは、狭い帯域通過周波数範囲を有する挿入損失応答を呈し得る。例えば、帯域通過周波数範囲は、10GHzより大きい下側境界と、約10GHz未満、いくつかの実施形態において約8GHz未満、いくつかの実施形態において約6GHz未満、および、いくつかの実施形態において約5GHz未満だけ下側限度より大きい上側境界とを有し得る。加えて、フィルタは、種々の構成を有し得るということが理解されるはずである。例えば、フィルタは、帯域通過フィルタ、高域通過フィルタ、または低域通過フィルタとして構成され得る。
【0013】
フィルタは、下側境界と、上側境界と、1GHzあたり約10dBより大きい、いくつかの実施形態において1GHzあたり約15dBより大きい、いくつかの実施形態において1GHzあたり約20dBより大きい、いくつかの実施形態において1GHzあたり約22dBより大きい、いくつかの実施形態において1GHzあたり約24dBより大きい、いくつかの実施形態において1GHzあたり約26dBより大きい、いくつかの実施形態において1GHzあたり約28dBより大きい、下側境界または上側のうちの少なくとも1つからの減少の率とを有する帯域通過周波数範囲を有する挿入損失応答を呈し得る。
【0014】
フィルタは、上部表面と、上部表面に直交する第1の側部表面と、上部表面に直交する第2の側部表面と、上部表面と第1の側部表面との間の交線に沿う第1の上部縁部と、第1の上部縁部と反対位置関係にある、および、上部表面と第2の側部表面との間の交線に沿う、第2の上部縁部とを有するモノリシック基板を含み得る。
【0015】
フィルタは、モノリシック基板の上部表面の上方に、および、モノリシック基板の第1の上部縁部またはモノリシック基板の第2の上部縁部のうちの1つまたは複数の少なくとも一部分に沿って形成される、少なくとも1つの導電性層を含み得る。
【0016】
フィルタは、モノリシック基板の上部表面の上方に配置構成される被覆層を含み得る。被覆層は、モノリシック基板の上部表面と平行な上部表面を有し得る。被覆層は、第1の側部表面と、第1の側部表面と反対位置関係にある第2の側部表面とを有し得る。被覆層の第1の側部表面は、モノリシック基板の第1の側部表面と平行であり得、被覆層の第2の側部表面は、モノリシック基板の第2の側部表面と平行であり得る。
【0017】
フィルタは、モノリシック基板の第1の上部縁部または第2の上部縁部のうちの1つまたは複数において、導電性層のうちの1つまたは複数と接続する遮蔽層を含み得る。遮蔽層は、被覆層の第1の側部表面の上方に形成される第1の部分と、被覆層の上部表面の上方に形成される第2の部分と、被覆層の第2の側部表面の上方に形成される第3の部分とを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、被覆層の第1の側部表面は、モノリシック基板の第1の側部表面と平行であり得る。被覆層の第2の側部表面は、モノリシック基板の第2の側部表面と同一平面上であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、遮蔽層の第1の部分は、モノリシック基板の第1の側部表面の上方に形成され得、遮蔽層の第2の部分は、さらには、モノリシック基板の第2の側部表面の上方に形成され得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、遮蔽層は、例えば、基板上の接地端子と接続するために、フィルタの下部に沿って露出され得る。より具体的には、モノリシック基板は、モノリシック基板の上部表面と反対位置関係にある下部表面を有し得る。遮蔽層は、モノリシック基板の下部表面の上方に形成される第4の部分を含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、遮蔽層は、モノリシック基板の下部縁部に広がり得る。より具体的には、モノリシック基板は、モノリシック基板の上部表面と反対位置関係にある下部表面と、モノリシック基板の下部表面とモノリシック基板の第1の側部表面との間の第1の下部縁部と、モノリシック基板の下部表面とモノリシック基板の第2の側部表面との間の第2の下部縁部とを有し得る。遮蔽層は、モノリシック基板の下部表面の上方に、および、モノリシック基板の第1の下部縁部の少なくとも一部分に沿って形成される第4の部分を含み得る。遮蔽層は、モノリシック基板の下部表面の上方に、および、モノリシック基板の第2の下部縁部の少なくとも一部分に沿って形成される第5の部分を含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1の導電性層および第2の導電性層が、基板の上部表面の上方に形成され得る。遮蔽層は、モノリシック基板の第1の上部縁部において、第1の導電性層と接続し得る。遮蔽層は、モノリシック基板の第2の上部縁部において、第2の導電性層と接続し得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、遮蔽層は、被覆層の第1の側部表面の上方に形成される第1の部分と、被覆層の上部表面の上方に形成される第2の部分と、被覆層の第2の側部表面の上方に形成される第3の部分とを含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、第1の導電性層および第2の導電性層が、基板の上部表面の上方に形成され得る。第1の導電性層は、第1の複数の共振器アームを含み得、第2の導電性層は、第1の導電性層の第1の複数の共振器アームと相互嵌合される第2の複数の共振器アームを含み得る。かくして、導電性層は、相互嵌合されるアームを含む構成を有し得る。
【0025】
導電性層は、フィルタに対する所望される特性をもたらすように寸法設定され得る。例えば、第1の複数の共振器アームは、第1の方向における第1の幅を有し得る。第2の複数の共振器アームは、第1の方向における第2の幅を有し得る。第1の幅および/または第2の幅は、約0.03mmから約1mm、いくつかの実施形態において約0.05mmから約0.8mm、いくつかの実施形態において約0.08mmから約0.4mm、いくつかの実施形態において約0.1mmから約0.2mmの範囲に及び得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1の複数の共振器アームのうちの異なるアームは、異なる第1の幅を有し得る。例えば、第1の複数のアームのうちの最も外方のアームは、第1の複数のアームのうちの、1つもしくは複数の内方のアームの幅より大きくあり得る、または、その幅未満であり得る、それぞれの幅を有し得る。例えば、内方のアームに対する最も外方のアームの比率は、約0.8から約1.2、いくつかの実施形態において約0.9から約1、いくつかの実施形態において約1から約1.2、および、いくつかの実施形態において約1から約1.1の範囲に及び得る。
【0027】
同様に、第2の複数の共振器アームのうちの異なるアームは、異なる第2の幅を有し得る。例えば、第2の複数のアームのうちの外方のアームは、第1の複数のアームのうちの、1つもしくは複数の内方のアームの、それぞれの幅より大きくあり得る、または、それらの幅未満であり得る、それぞれの幅を有し得る。例えば、内方のアームに対する最も外方のアームの比率は、約0.8から約1.2、いくつかの実施形態において約0.9から約1、いくつかの実施形態において約1から約1.2、および、いくつかの実施形態において約1から約1.1の範囲に及び得る。
【0028】
第1の導電性層は、第1の方向と合わせられる、および、第1の方向と直交する第2の方向においてモノリシック基板の縁部と合わせられる、第1の縁部を有し得る。第2の導電性層は、第1の方向と合わせられる、および、第2の方向においてモノリシック基板の第1の縁部と合わせられる、第2の縁部を有し得る。第1の導電性層は、第2の方向における基礎幅を有する基礎部分を有し得る。第2の導電性層は、第2の方向における基礎幅を有する基礎部分を有し得る。第1の導電性層の基礎幅、および/または、第2の導電性層の基礎幅は、約0.03mmから約1mm、いくつかの実施形態において約0.05mmから約0.8mm、いくつかの実施形態において約0.08mmから約0.4mm、いくつかの実施形態において約0.1mmから約0.3mmの範囲に及び得る。
【0029】
第1の複数の共振器アームは、第2の方向におけるそれぞれの長さを有し得、第2の複数のアームは、第2の方向におけるそれぞれの長さを有し得る。第1の複数の共振器アームの長さ、および/または、第2の複数のアームの長さは、約0.02mmから約2mm、いくつかの実施形態において約0.05mmから約1.5mm、いくつかの実施形態において約0.1mmから約1.2mm、および、いくつかの実施形態において約0.5mmから約1mmの範囲に及び得る。
【0030】
第2の導電性層は、ビアとそれぞれ接続される1つまたは複数の給電線路を含み得る。ビアは、第2の方向におけるそれぞれの幅を有し得る。ビアの幅は、約0.05mmから約0.5mm、いくつかの実施形態において約0.7mmから約0.4mm、および、いくつかの実施形態において約0.1mmから約2mmの範囲に及び得る。
【0031】
導電性層は、第1の方向における長さと、第2の方向における幅とを有し得る。導電性層の長さは、約1mmから約15mm、いくつかの実施形態において約2mmから約10mm、および、いくつかの実施形態において約3mmから約7mmの範囲に及び得る。導電性層の幅は、約0.3mmから約4mm、いくつかの実施形態において約0.4mmから約3mm、いくつかの実施形態において約0.5mmから約2mm、および、いくつかの実施形態において約0.8mmから約1.5mmの範囲に及び得る。導電性層の幅に対する長さの比率は、約2から約8、および、いくつかの実施形態において約3から約6の範囲に及び得る。
【0032】
本開示の態様は、フィルタを形成する方法に関する。方法は、上部表面と、上部表面に直交する第1の側部表面と、上部表面に直交する第2の側部表面と、上部表面と第1の側部表面との間の交線に沿う第1の上部縁部と、第1の上部縁部と反対位置関係にある、および、上部表面と第2の側部表面との間の交線に沿う、第2の上部縁部とを有するモノリシック基板を用意するステップを含み得る。方法は、モノリシック基板の上部表面の上方に、および、モノリシック基板の第1の上部縁部またはモノリシック基板の第2の上部縁部のうちの1つまたは複数の少なくとも一部分に沿って、少なくとも1つの導電性層を形成するステップを含み得る。方法は、モノリシック基板の上部表面の上方に被覆層を配置構成するステップであって、被覆層は、モノリシック基板の上部表面と平行な上部表面を有し、被覆層は、第1の側部表面と、第1の側部表面と反対位置関係にある第2の側部表面とを有し、被覆層の第1の側部表面は、モノリシック基板の第1の側部表面と同一平面上であり、被覆層の第2の側部表面は、モノリシック基板の第2の側部表面と同一平面上である、被覆層を配置構成するステップを含み得る。方法は、モノリシック基板の第1の上部縁部または第2の上部縁部のうちの1つまたは複数において、少なくとも1つの導電性層のうちの1つまたは複数と接続する遮蔽層を形成するステップを含み得る。遮蔽層は、被覆層の第1の側部表面の上方に形成される第1の部分と、被覆層の上部表面の上方に形成される第2の部分と、被覆層の第2の側部表面の上方に形成される第3の部分とを含み得る。
【0033】
基板は、ある範囲の厚さを有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、基板の厚さは、約50μmから約2,000μm、いくつかの実施形態において約75μmから約1,000μm、いくつかの実施形態において約100μmから約500μm、いくつかの実施形態において約150μmから約500μm、および、いくつかの実施形態において約200μmから約300μmの範囲に及び得る。
【0034】
基板は、種々の適した材料から形成され得る。例えば、基板は、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化亜鉛、または、他の適したセラミックもしくはガラス接合材料を含み得る。
【0035】
被覆層は、ある範囲の厚さを有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、被覆層の厚さは、約250μmから約3,000μm、いくつかの実施形態において約500μmから約2,500μm、いくつかの実施形態において約750μmから約2,000μm、および、いくつかの実施形態において1,000μmから約1,500μmの範囲に及び得る。
【0036】
被覆層は、種々の適した材料から形成され得る。例えば、被覆層は、ガラス、セラミック、ガラス-セラミック混合物、および/またはガラス接合材料を含み得る。
【0037】
導電性層は、種々の導電性材料を含み得、種々の適した技法を使用して形成され得る。例えば、導電性層は、金、銅、スズ、および/または、任意の他の適した導電性材料を含み得る。導電性層は、スパッタリング、めっき、印刷、および/または、任意の他の適した堆積技法により基板の上方に形成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、それぞれの導電性層の下側層が、最初にスパッタリングによって形成され得、導電性層の上側層が、適しためっき技法(例えば、電解めっき、無電解めっき、その他)を使用して下側層上に形成され得る。
【0038】
遮蔽層は、金、銅、スズ、および/または、任意の他の適した導電性材料を含み得る。導電性層は、めっき、スパッタリング、印刷、浸漬(例えば、厚膜および/または薄膜)、および/または、任意の他の適した堆積技法などの種々の適した技法を使用して、被覆層および/または基板上に形成され得る。
【0039】
I.例示的な実施形態
図1Aは、遮蔽層を伴わないフィルタ100の例示的な実施形態の分解斜視図を例解する。図1Bは、遮蔽層を含む、図1Aのフィルタ100の分解斜視図を例解する。図2Aは、遮蔽層を伴わない、図1Aのフィルタ100の別の分解斜視図を例解する。図2Bは、遮蔽層を含む、図1のフィルタ100の別の分解斜視図を例解する。図3は、図1Aのフィルタ100の組立斜視図を例解する。図4は、図1Aのフィルタ100の断面側面図を例解する。
【0040】
フィルタ100は、上部表面104と、上部表面104に直交する第1の側部表面106と、上部表面104に直交する第2の側部表面108とを有するモノリシック基板102を含み得る。モノリシック基板102は、上部表面104と第1の側部表面106との間の交線に沿う第1の上部縁部110と、第1の上部縁部110と反対位置関係にある、および、上部表面104と第2の側部表面108(図2A)との間の交線に沿う、第2の上部縁部112とを有し得る。
【0041】
フィルタ100は、モノリシック基板102の上部表面104の上方に、および、モノリシック基板102の第1の上部縁部110の少なくとも一部分に沿って形成される、第1の導電性配線114を含み得る。フィルタ100は、モノリシック基板102の上部表面104の上方に、および、モノリシック基板102の第2の上部縁部112の少なくとも一部分に沿って形成される、第2の導電性配線116を含み得る。
【0042】
フィルタ100は、モノリシック基板102の上部表面104の上方に配置構成される被覆層118を含み得る。被覆層118は、モノリシック基板102の上部表面104と平行な上部表面120を有し得る。被覆層118は、第1の側部表面122と、第1の側部表面122と反対位置関係にある第2の側部表面124(図2A)とを有し得る。
【0043】
被覆層118の第1の側部表面122は、モノリシック基板102の第1の側部表面106と同一平面上および/または平行であり得る。被覆層118の第2の側部表面124は、モノリシック基板102の第2の側部表面108と同一平面上および/または平行であり得る。
【0044】
図1Bは、遮蔽層126を追加的に示す、図1Aのフィルタ100の分解斜視図を例解する。遮蔽層126は、モノリシック基板102の第1の上部縁部110において、第1の導電性層114と接続し得る。遮蔽層126は、モノリシック基板102の第2の上部縁部112において、第2の導電性層116と接続し得る。遮蔽層126は、被覆層118の第1の側部表面122(図1A)の上方に形成される第1の部分128(図1B)を含み得る。遮蔽層126は、被覆層118の上部表面120の上方に形成される第2の部分130(図1B)を含み得る。遮蔽層126、および、被覆層118の第2の側部表面124(図2A)の上方に形成される第3の部分132(図2B)。かくして、遮蔽層126は、導電性層114、116に対する電磁遮蔽物の役目を果たし得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、遮蔽層126は、モノリシック基板102の側部表面106、108のうちの1つもしくは複数に沿って広がり得、および/または、フィルタ100の下部を、周りで包み得る。例えば、遮蔽層126は、フィルタ100の下部に沿って、接地に接続し、または、接地の役目を果たし得る。例えば、図2Aおよび2Bを参照すると、モノリシック基板102は、モノリシック基板102の上部表面104と反対位置関係にある下部表面134を有し得る。図2Bを参照すると、遮蔽層126は、モノリシック基板102の下部表面134の上方に形成される第4の部分136および/または第5の部分138を含み得る。例えば、第1の下部縁部140が、モノリシック基板102の下部表面134およびモノリシック基板102の第1の側部表面106(図1A)の交線において形成され得る。第2の下部縁部142が、モノリシック基板102の下部表面134およびモノリシック基板102の第2の側部表面108(図2A)の交線において形成され得る。遮蔽層126の第4の部分136は、モノリシック基板102の下部表面134の上方に、および、モノリシック基板102の第1の下部縁部140の少なくとも一部分に沿って形成され得る。モノリシック基板102の第5の部分138は、モノリシック基板102の下部表面134の上方に、および、モノリシック基板102の第2の下部縁部142の少なくとも一部分に沿って形成され得る。遮蔽層126の第4の部分126および/または第5の部分138は、例えば印刷回路板などの実装表面148(図4)の、接地接続部と電気的に接続し得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、フィルタ100は、導電性配線114、116のうちの1つまたは複数と電気的に接続される1つまたは複数のビア144、146を含み得る。ビア144、146は、モノリシック基板102の下部表面134に広がり、および/、その下部表面134に沿って露出され得る。ビア144、146は、印刷回路板などの実装表面148(図4)との、導電性配線114、116に関する電気的接続を手助けし得る。例えば、入力ビア144は、第1の導電性配線144と電気的に接続され得、フィルタ100への入力の役目を果たし得る。出力ビア146は、第2の導電性配線146と電気的に接続され、フィルタ100に対する出力の役目を果たし得る。
【0047】
導電性配線114、116は、入力(例えば、ビア144)と出力(例えば、ビア146)との間のフィルタリングをもたらすように構成される種々の配置構成を有し得る。1つの例構成が、図1ないし3において例解される。導電性配線114、116は、相互嵌合される共振器アームを含み得る。例えば、第1の導電性配線114は、第1の複数の共振器アーム150を含み得る。第2の導電性配線116は、第2の複数の共振器アーム152を含み得る。第1の複数の共振器アーム150は、第2の複数の共振器アーム152と相互嵌合され得る。
【0048】
被覆層118は、モノリシック基板102の上部表面104に直交するZ方向162における厚さ160を有し得る。被覆層118の厚さ160は、例えば図7を参照して下記で説明されるような、フィルタ100の所望される応答特性を達成するように選択され得る。
【0049】
基板102は、Z方向162における厚さ161を有し得る。例えば、基板102の厚さ161は、約50μmから約2,000μmの範囲に及び得る。
【0050】
図5は、フィルタ(例えば、図1のフィルタ100と対応する)のモノリシック基板の上部表面503上に形成される第1の導電性層500および第2の導電性層502の上面概略を例解する。より具体的には、第1の導電性層500(例えば、図1~4の第1の導電性層114と対応する)は、第1の複数の共振器アーム504を含み得る。第2の導電性層502(例えば、図1~4の第2の導電性層116と対応する)は、第2の複数の共振器アーム506を含み得る。第1の複数の共振器アーム504は、第1の方向507における第1の幅508を有し得る。第2の複数の共振器アーム506は、第1の方向507における第2の幅510を有し得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、第1の複数の共振器アーム504のうちの異なるアーム504は、異なる第1の幅508を有し得る。例えば、第1の複数のアーム504のうちの最も外方のアーム509は、第1の複数のアーム504のうちの、1つもしくは複数の内方のアーム517の幅515より大きくあり得る、または、その幅515未満であり得る、それぞれの幅513を有し得る。例えば、内方のアーム517に対する最も外方のアーム509の比率は、約0.9から約1.1の範囲に及び得る。
【0052】
同様に、第2の複数の共振器アーム506のうちの異なるアーム506は、異なる第2の幅510を有し得る。例えば、第2の複数のアーム506のうちの外方のアーム519は、第1の複数のアーム506のうちの、1つもしくは複数の内方のアーム525の、それぞれの幅522より大きくあり得る、または、それらの幅522未満であり得る、それぞれの幅521を有し得る。例えば、内方のアーム525に対する最も外方のアーム519の比率は、約0.9から約1.1の範囲に及び得る。
【0053】
第1の導電性層500は、第1の方向507と合わせられる第1の縁部512を有し得る。第1の縁部512は、第1の方向507と直交する第2の方向511においてモノリシック基板503の縁部と合わせられ得る。第2の導電性層502は、第1の方向507と合わせられる、および、第2の方向511においてモノリシック基板503の第1の縁部と合わせられる、第2の縁部514を有し得る。第1の導電性層500は、第2の方向511における基礎幅516を有する基礎部分514を有し得る。第2の導電性層502は、第2の方向511における基礎幅520を有する基礎部分518を有し得る。第1の複数の共振器アーム504は、第2の方向511におけるそれぞれの長さ523を有し得、第2の複数のアーム506は、第2の方向511におけるそれぞれの長さ524を有し得る。
【0054】
第2の導電性層502は、ビア530、532とそれぞれ接続される1つまたは複数の給電線路526、528を含み得る。ビア530、532は、第2の方向におけるそれぞれの幅534、536を有し得る。
【0055】
導電性層502、504は、第1の方向507における長さ538と、第2の方向511における幅540とを有し得る。
【0056】
II.性能特性
図6は、被覆層122および遮蔽層126を欠く、しかしそれでも、他の点ではフィルタ100と同様(例えば、同じ寸法、材料、その他)である、フィルタと比較される、図1Aないし4を参照して上述で説明されたフィルタ100のコンピュータシミュレーションからの挿入損失(S21)および反射損失(S11)結果を例解する。フィルタ100の導電性層114、116は、下記で説明される例を参照して下記で説明されるように寸法設定された。図5において例解されるように、被覆層122の追加は、通過帯域周波数を狭める。より具体的には、この例において、図1Aないし4を参照して上述で説明されたフィルタ100の通過帯域周波数範囲は、フィルタ100が、-0.3dbより大きい挿入損失(S21)を呈する周波数と定義され得る。この例において、図1Aないし4を参照して上述で説明されたフィルタ100の帯域通過周波数範囲は、約27GHzから約29.5GHZである。被覆層122および遮蔽層126を欠くフィルタの帯域通過周波数範囲は、25GHzから約30.5GHZの帯域通過周波数範囲を有する。かくして、被覆層122および遮蔽層126は、より狭い帯域通過周波数範囲が、他の点では同様のフィルタによって達成されることを可能とする。
【0057】
加えて、反射損失(S11)を比較すると、本明細書において説明されるような被覆層122および遮蔽層126の追加は、改善される帯域外除去をもたらす。より具体的には、被覆層122および遮蔽層126を含むフィルタ100は、帯域通過周波数範囲の外側の周波数に対して、より低い挿入損失値を呈するからである。例えば、フィルタ100の反射損失値は、帯域通過周波数範囲の上側および下側境界から急激に降下する。フィルタ100の反射損失値は、(27GHzにおける約-3dBから、25GHzにおける約-30dBへの)帯域通過周波数範囲の下側境界における1GHzあたり約13.5dBの、下側境界においてからの減少の率を有し得る。フィルタ100の反射損失値は、(29GHzにおける約-3dBから、30.25GHzにおける約-38dBへの)帯域通過周波数範囲の上側境界における1GHzあたり約28dBの、減少の率を有する。
【0058】
図7は、被覆層122および遮蔽層126に代えて、アルミニウムの機械加工された遮蔽物を有するフィルタと比較される、図1Aないし4を参照して上述で説明されたフィルタ100のコンピュータシミュレーションからの挿入損失(S21)および反射損失(S11)結果を例解する。機械加工された遮蔽物を含むフィルタに対する、上述で定義されたような帯域通過周波数範囲は、約25GHzから約30.8GHzである。上述で指し示されたように、図1Aないし4を参照して上述で説明されたフィルタ100の帯域通過周波数範囲は、約27GHzから約29.5GHZである。かくして、図1Aないし4を参照して上述で説明されたフィルタ100は、機械加工された遮蔽物を伴うフィルタより狭い帯域通過周波数範囲を有する。図7の反射損失プロットを参照すると、図1Aないし4を参照して上述で説明されたフィルタ100は、機械加工された遮蔽物を含むフィルタより良好な帯域外除去を呈する。
【0059】
図8は、500μmから1,000μmの範囲に及ぶ様々な被覆層厚さ160を有する、図1Aないし4を参照して上述で説明されたフィルタ100に対する4つの挿入損失曲線を例解する。図7において示されるように、帯域通過範囲の下側境界は、被覆層118の厚さ160が増大する際に減少する。後に続く表は、500μmから1,000μmの範囲に及ぶ被覆層厚さに対する帯域通過周波数範囲を示す。
【0060】
【表1】
かくして、被覆層厚さ160は、所望される帯域通過周波数範囲を達成するように選択され得る。
【0061】
III.用途
フィルタ100は、種々の用途において使用され得る。フィルタ100は、特に、約10GHz、20GHz以上より大きい周波数に対する優れた性能特性を要する用途に対して有用であり得る。フィルタは、狭い帯域通過周波数範囲、および/または、優れた帯域外除去をもたらし得る。これらの特性は、種々のシステムにおいて有用であり得る。例えば、フィルタは、通信システム、軍事用途、自動車用途、および医療用途において使用され得る。加えて、フィルタ100は、特に、(例えば、5G基地局による)5G信号処理、スマートフォン、信号中継器(例えば、スモールセル)、中継局、レーダ、および無線周波数識別(RFID)装置に対して有用であり得る。
【0062】
本発明のこれらおよび他の修正形態および変形形態が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者により実践され得る。加えて、様々な実施形態の態様が、全部において、または一部においての両方で相互に交換され得るということが理解されるはずである。さらにまた、当業者は、前述の説明が、単に例としてのものであり、当該の添付される特許請求の範囲においてなおもさらに説明される本発明を制限することを意図されないということを察知することになる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】