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特表2023-525338複合体パネルについての血液ベース対照
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】複合体パネルについての血液ベース対照
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/96 20060101AFI20230608BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20230608BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
G01N33/96
G01N33/48 M
G01N33/543 597
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568942
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 US2021029106
(87)【国際公開番号】W WO2021231071
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/024,065
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】タング,ユーミン
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA20
2G045CA11
2G045CB01
2G045FA37
(57)【要約】
対照組成物およびその製造方法が提供される。対照組成物の態様は、白血球についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第1の白血球成分、造血幹/前駆細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第2の細胞成分、および新生細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第3の細胞成分を含み、第1の白血球成分、第2の細胞成分、および第3の細胞成分は固定されている。また、例えばフローサイトメトリアッセイにおいて対照組成物を陽性対照として使用する方法、および主題の方法を実施するためのキットも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白血球についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第1の白血球成分と、
造血幹/前駆細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第2の細胞成分と、
新生細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第3の細胞成分と
を備えており、
前記第1の白血球成分、前記第2の細胞成分、および前記第3の細胞成分は固定されている、
対照組成物。
【請求項2】
前記1つ以上の陽性対照マーカは、細胞表面マーカを有する、請求項1に記載の対照組成物。
【請求項3】
前記1つ以上の陽性対照マーカは、細胞内マーカを有する、請求項1または2に記載の対照組成物。
【請求項4】
前記対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-ミクログロフリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTからなる群から選択される前記陽性対照マーカを50%以上備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の対照組成物。
【請求項5】
前記対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTからなる群から選択される前記陽性対照マーカを60%以上備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の対照組成物。
【請求項6】
前記対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-ミクログロフリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTからなる群から選択される前記陽性対照マーカを80%以上備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の対照組成物。
【請求項7】
前記対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTの陽性対照マーカを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の対照組成物。
【請求項8】
前記第1の白血球成分は、MPO、CD79a、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、β2-マイクログロブリンの陽性対照マーカを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の対照組成物。
【請求項9】
前記第2の細胞成分は、CD34、CD117、CD105、CD71、TdTの陽性対照マーカを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の対照組成物。
【請求項10】
前記第3の細胞成分は、CD38、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD56、CD45、CD28、CD27、CD81、CD138の陽性対照マーカを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の対照組成物。
【請求項11】
対照組成物は、乾燥している、請求項1~10のいずれか一項に記載の対照組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の対照組成物を用いてフローサイトメトリアッセイを実施することを有しており、
前記フローサイトメトリアッセイは、
前記対照組成物を、前記1つ以上の陽性対照マーカに特異的な1つ以上の結合メンバと接触させて、標識対照組成物を生成すること、および
前記標識対照組成物をフローサイトメータに導入して、前記1つ以上の陽性対照マーカが検出されたか否かを示すフローサイトメトリデータを生成すること
を含み、
前記1つ以上の陽性マーカの検出を示すフローサイトメトリデータは、前記フローサイトメトリアッセイおよび前記1つ以上の結合メンバの機能性を検証する、
方法。
【請求項13】
対照組成物を生成する方法であって、
白血球についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第1の白血球成分を、造血幹/前駆細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第2の細胞成分および新生細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第3の細胞成分と組み合わせて、組み合わせ細胞組成物を生成すること、および
前記組み合わせ細胞組成物を固定剤と接触させて対照組成物を生成すること
を含む、方法。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載の対照組成物を有する容器を備えるキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特異的な細胞集団を特定することは、研究および診断応用にとって重要である。細胞の亜集団に一意の細胞マーカ、例えば細胞表面または細胞質で発現するタンパク質を検出することは、不均一な細胞集団における細胞型を区別する一般的な方法である。従来の細胞特定アッセイは、生物学的サンプル中の細胞を染色すること、および細胞集団によって発現されるマーカまたはマーカの組み合わせを検出して、細胞を特異的な細胞型として分類することを含む。
【0002】
免疫表現型分析は、生物学的サンプルにおける関心対象の様々な細胞集団の存在および割合を特定する目的で、マーカの存在または不在を検出する実験室手法である。免疫表現型分析は、特異的な細胞マーカに対して向けられた蛍光体コンジュゲート抗体で細胞を標識すること、次いで単一細胞のマーカ発現プロファイルをフローサイトメトリ分析して所与の細胞集団を特定および定量化することを含む。
【0003】
分析された細胞集団は、それらの一意のマーカ発現プロファイルに基づいて異なるグループに分けられ得る。免疫表現型分析の応用は、正常細胞集団および癌細胞集団を区別するための腫瘍マーカを検出することを含む。免疫表現型分析は、白血病およびリンパ腫などのいくつかの血液癌の診断、分類、治療、および予後判定を補助することができる。
【0004】
BD OneFlow(商標)(BD Biosciences、カリフォルニア州サンノゼ)は、様々な血液悪性腫瘍の特徴付けおよび診断の標準化を容易にする市販のフローサイトメトリ免疫表現型分析プラットフォームである。そのプラットフォームは、乾燥した単一の試験管フォーマットで提供される抗体試薬を提供する。抗体試薬は、事前設定済みの単回投与用ですぐに使用できる8色の試薬として設計されており、長い貯蔵寿命で室温保存され得る。その試薬は、白血球の正常および異常集団のフローサイトメトリ免疫表現型分析を目的としている。抗体試薬は、抗体ピペッティングを必要とせずに標本を直接染色するために使用され得、BDフローサイトメータおよびインビトロ診断使用のために指定されたソフトウェアで使用するように設計されている。BD OneFlow(商標)試薬は、BD OneFlow(商標)Acute Leukemia Orientation Tube(ALOT)、BD OneFlow(商標)Lymphoid Screening Tube(LST)、BD OneFlow(商標)B-cell Chronic Lymphoproliferative Diseases Tube 1(B-CLPD T1)、BD OneFlow(商標)Plasma Cell Screening Tube(PCST)管、およびBD OneFlow(商標)Plasma Cell Dyscrasia(PCD)管にて提供される。
【発明の概要】
【0005】
現在、すべてのOneFlow(商標)マーカ(例えば、各OneFlow(商標)キットによって提供される試薬によって検出され得るすべてのマーカ)に対して陽性であり、OneFlow(商標)キットでの使用に適合する単一のプロセス対照はない。OneFlow(商標)試薬の性能および染色手順の検証は、それぞれがすべてのOneFlow(商標)マーカまたは実験室開発試験を個別に欠いている複数の市販のプロセス対照を組み合わせて実施する必要があり、これは操作効率および実験精度を制限し得る。多くの市販のプロセス対照は液体フォーマットで存在し、これは貯蔵寿命および安定性を制限し得る。
【0006】
対照組成物およびその製造方法が提供される。対照組成物の態様は、白血球についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第1の白血球成分、造血幹/前駆細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第2の細胞成分、および新生細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第3の細胞成分を含み、第1の白血球成分、第2の細胞成分、および第3の細胞成分は固定されている。また、対照組成物を陽性対照として、例えばフローサイトメトリアッセイにおいて使用する方法、および主題の方法を実施するためのキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付の図面と併せて読まれると、以下の詳細な説明から最もよく理解され得る。図面には次の図が含まれる。
【0008】
図1】BD OneFlow(商標)Lymphoid Screening Tube(LST)抗体試薬で標識された対照組成物中のマーカの検出、および検出マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリアッセイの結果を提供する。
図2】BD OneFlow(商標)B-cell Chronic Lymphoproliferative Diseases Tube 1(B-CLPD T1)抗体試薬で標識された対照組成物中のマーカの検出、および検出マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリアッセイの結果を提供する。
図3】BD OneFlow(商標)Plasma Cell Disorders(PCD)抗体試薬で標識された対照組成物中のマーカの検出、および検出マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリアッセイの結果を提供する。
図4】BD OneFlow(商標)Plasma Cell Screening Tube(PCST)抗体試薬で標識された対照組成物中のマーカの検出、および検出マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリアッセイの結果を提供する。
図5】BD OneFlow(商標)Acute Leukemia Orientation Tube(ALOT)抗体試薬で標識された対照組成物中のマーカの検出、および検出マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリアッセイの結果を提供する。
図6】BD OneFlow(商標)ALOT試薬で標識された対照組成物中の急性骨髄性白血病1型(AML T1)のマーカの検出、および検出マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリアッセイの結果を提供する。
図7】BD OneFlow(商標)ALOT試薬で標識された対照組成物中の急性骨髄性白血病2型(AML T2)のマーカの検出、および検出マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリアッセイの結果を提供する。
図8】BD OneFlow(商標)ALOT試薬で標識された対照組成物中の急性骨髄性白血病3型(AML T3)のマーカの検出、および検出マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリアッセイの結果を提供する。
図9】BD OneFlow(商標)ALOT試薬で標識された対照組成物中の急性骨髄性白血病4型(AML T4)のマーカの検出、および検出マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリアッセイの結果を提供する。
図10】BD OneFlow(商標)ALOT試薬で標識された対照組成物中のB細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病(BCP-ALL)のマーカの検出、および検出マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリアッセイの結果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
対照組成物およびその製造方法が提供される。対照組成物の態様は、白血球についての1つ以上の陽性対照マーカを含む第1の白血球成分、造血幹/前駆細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを含む第2の細胞成分、新生細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを含む第3の細胞成分を備え、第1の白血球成分、第2の細胞成分、および第3の細胞成分は固定されている。また、対照組成物を陽性対照として、例えばフローサイトメトリアッセイにおいて使用する方法、および主題の方法を実施するためのキットも提供される。
【0010】
本発明をより詳細に説明する前に、この発明は、説明された特定の実施形態に限定されず、したがって、もちろん様々であり得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0011】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間における各介在値、および、その記載範囲における任意の別様記載のまたは介在する値は、本発明に含まれることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立してより小さな範囲に含まれ得、また、記載範囲において特に除外された任意の限界を条件として、本発明に含まれる。記載範囲が一方または両方の限界を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本発明に含まれる。
【0012】
本明細書では、特定の範囲が提示され、数値の前に「約」という用語が付いている。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数、ならびにその用語が先行する数に近いかまたはほぼその数である数に対する文字通りのサポートを提供するために使用される。数が、具体的に記載された数に近いかまたはほぼ等しいか否かを決定する際に、近いかまたは近似する不記載の数は、それが提示される文脈において、具体的に記載された数についての実質的均等をもたらす数であり得る。
【0013】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または均等の任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験に使用することができるが、代表的な例示的方法および材料がここに記載されている。
【0014】
この明細書で引用されるすべての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が関連して引用されている方法および/または材料を記述および説明するために参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日より前のその開示についてであり、本発明が先行発明のためにそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される発行日は、個別に確認する必要があり得る実際の発行日とは異なり得る。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意の任意選択的要素を除外するために起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記載は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して「単独」、「のみ」などの排他的な用語を使用する、または「否定的な」制限を使用するための先行する基礎として機能することを目的としている。
【0016】
この開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載および図示された個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離またはそれに組み合わせされ得る別個の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙されたイベントの順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0017】
装置および方法は、機能的な説明を伴って文法的流動性のために説明されているか、または説明されるが、35U.S.C.§112の下で明示的に定式化されていない限り、特許請求の範囲は、「手段」または「ステップ」の制限の構築によっていかなる場合であっても必ずしも制限されると解釈されるべきではなく、均等法論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味および均等物の全範囲を与えられるべきであり、特許請求の範囲が35U.S.C.§112に基づいて明示的に定式化されている場合には、35U.S.C.§112に基づく完全な法定均等物が付与されると明示的に理解されるべきである。
【0018】
本発明の様々な態様をさらに説明する際に、まず対照組成物をより詳細に説明し、続いて様々な用途で対照組成物を使用する方法の実施形態を概説し、対照組成物を含み得るキットの実施形態を概説する。
【0019】
対照組成物
上記で要約したように、対照組成物、例えばフローサイトメトリ対照組成物が提供される。対照組成物は、フローサイトメトリアッセイで使用するためのフローサイトメータシステム、方法、および試薬の機能性を検証するか、またはそのパフォーマンスを検証するために使用され得る。本発明の対照組成物は、陽性対照組成物であり得る。陽性対照組成物は、関心対象の1つ以上のマーカ、例えば細胞表面マーカまたは細胞内マーカについて陽性であり得る(例えば、発現することが知られている)。本開示の対照組成物は、フローサイトメトリアッセイ、例えばフローサイトメトリ診断アッセイにおいて、関心対象のすべてのマーカ、例えば検出され得るすべてのマーカについて陽性であり得、特定のフローサイトメトリアッセイまたは複数の異なるフローサイトメトリアッセイで陽性対照として機能するために必要な唯一の対照組成物であり得る。特定の実施形態では、対照組成物は、血液細胞癌の予後を診断、分類、治療および/または決定するために、個体由来の生物学的サンプル、例えば血液サンプルをフローサイトメトリ分析することを含むフローサイトメトリ免疫表現型分析における陽性対照として役立つ。特定の実施形態では、対照組成物は、フローサイトメトリ免疫表現型分析アッセイにおいて、正常細胞と新生細胞とを、例えば正常細胞と血液癌細胞とを区別し、細胞の様々な亜集団を分類するために使用されるすべてのマーカを含み得る。特定の実施形態では、対照組成物は、細胞の特定の集団または複数集団を特定して特徴付けるために、所与のアッセイ、例えば免疫表現型分析アッセイにおいて必要とされるすべてのマーカよりも多くのマーカを含み得る。いくつかの実施形態では、対照組成物は、複数の別個のアッセイで必要とされるすべてのマーカを含み得、個々のアッセイはそれぞれ、他の個々のアッセイによって分析される細胞集団とは異なる1つ以上の細胞集団を分析するために設計される。特定の実施形態では、対照組成物は、血液癌または血液癌のグループの診断を補助するために、特定の集団または複数集団を特定して特徴付けるために、所与のアッセイ、例えば免疫表現型分析アッセイにおいて必要とされるすべてのマーカよりも多くのマーカ、例えば2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、10個以上などのマーカを含み得る。いくつかの実施形態では、対照組成物は、複数の別個のアッセイで必要とされるすべてのマーカを含み得、個々の分析アッセイはそれぞれ、他の個々のアッセイによって分析される細胞集団とは異なる、特定の血液癌または血液癌のグループに特徴的な1つ以上の細胞集団を分析するために設計されている。いくつかの場合には、対照組成物は、1つ以上の細胞型、および各細胞型によって一意に発現されるすべてのマーカを含む。特定の実施形態では、対照組成物は、疾病または疾患、例えば血液癌または血液癌のグループを特定して特徴付けるために、所与のアッセイ、例えば免疫表現型分析アッセイにおいて必要とされるすべてのマーカよりも多くのマーカを含み得る。いくつかの実施形態では、対照組成物は、複数の別個のアッセイで必要とされるすべてのマーカを含み得、個々のアッセイはそれぞれ、他の個々のアッセイによって分析される疾病または疾患、例えば血液癌または血液癌のグループとは異なる特定の疾病または疾患、例えば、血液癌または血液癌のグループを特定して特徴付けるために設計されている。
【0020】
特定の実施形態では、対照組成物は、1つ以上の陽性対照マーカを備える。本明細書で使用される場合、「陽性対照マーカ」は、例えば対照組成物中の細胞によって発現される、対照組成物中に存在することが知られているマーカ、例えばタンパク質である。関心対象の陽性対照マーカは、例えば、特定のアッセイ、例えば診断アッセイで使用するためのキットの結合メンバの標的であるマーカを含み得る。いくつかの場合には、陽性対照マーカは、細胞系統内の別個の細胞集団を特定するため、細胞系統内の細胞型を区別するため、またはサンプル中の細胞集団、例えば新生細胞集団を分類するために使用されるマーカを含む。いくつかの場合には、1つ以上の陽性対照マーカは、細胞表面マーカを含む。細胞表面マーカとは、細胞の表面に発現されたマーカ、例えばタンパク質を意味する。細胞表面マーカは、細胞膜に結合されるか、または細胞膜内に存在し得る。いくつかの実施形態では、細胞表面マーカは、細胞表面リガンド、細胞表面受容体、シグナル伝達分子またはそれらの成分を含む。いくつかの場合には、1つ以上の陽性対照マーカは、細胞内マーカを含む。細胞内マーカは、細胞内に存在する、例えば細胞質に存在するマーカ、例えばタンパク質である。細胞内マーカは、例えば、転写因子、酵素、細胞骨格タンパク質、オルガネラタンパク質などを含み得る。
【0021】
対照組成物は、任意の適切な数の陽性対照マーカを含み得、例えばそれについて陽性であり得る。いくつかの場合には、対照組成物は、MPO(すなわちミエロペルオキシダーゼ)、CD79a(すなわち免疫グロブリン関連アルファ;IGA;Bリンパ球特異的MB1タンパク質;MB1;膜-結合免疫グロブリンIgM-アルファ)、CD34(すなわち造血前駆細胞抗原CD34)、CD19(すなわちBリンパ球抗原CD19)、CD7(すなわちTp41)、その細胞質型のCD3(細胞質CD3;cyCD3)および細胞表面形態:(CD3)(すなわちT細胞抗原受容体複合体;T3複合体)、CD45(すなわち白血球共通抗原;LCA;T200糖タンパク質;CD45R;Ly5のホモログ;B220;タンパク質-チロシンホスファターゼ受容体C型;PTPRC)、CD20(すなわちBリンパ球表面抗原B1;B1;Bp35;白血球表面抗原Leu-16;膜貫通4ドメインサブファミリAメンバ1)、ラムダ軽鎖(IGL;Igλ)、カッパ軽鎖(IGK;Igκ)、CD38(すなわちADP-リボシルシクラーゼ/環状ADP-リボースヒドロラーゼ;エクト-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドグリコヒドロラーゼ)、CD4(すなわちT細胞抗原T4/Leu3)、CD8(すなわちp32;OKT8 T細胞抗原;T8 T細胞抗原)、CD5(すなわちT1;LEU1)、TCRγδ、CD56(すなわち細胞接着分子、ニューラル1;NCAM1;MSK39)、CD23(すなわちIgE受容体IIのFcフラグメント;FCER2;IgE-結合因子;IGEBF;C-タイプレクチンドメインファミリ4、メンバJ;CLEC4J;IgEのFcフラグメントについての受容体、低親和性II;免疫グロブリンE受容体、低親和性II)、CD10(すなわち膜メタロエンドペプチダーゼ;MME;一般的な急性リンパ球性白血病抗原;CALLA;ネプリライシン;中性エンドペプチダーゼ;NEP;エンケファリナーゼ;アトリオペプチダーゼ)、CD79b(すなわち免疫グロブリン関連ベータ;IGB;免疫グロブリン関連B29タンパク質;B29)、CD200(すなわちOX2;膜糖タンパク質MRC OX2;MOX2)、CD43(すなわちシアロフォリン;SPN;ロイコシアリン;LSN;白血球大型シアロ糖タンパク質;CD43;GPL115)、β2-マイクログロブリン(すなわちB2M)、CD138(すなわちシンデカン1;SDC1;SYND1;シンデカン;SDC)、CD28(すなわちTp44)、CD27(すなわち腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリ、メンバ7;TNFRSF7;S152)、CD117(すなわちKITプロトオンコジーン、受容体チロシンキナーゼ;KIT;v-kit Hardy-Zuckerman 4 ネコ肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ;マスト細胞増殖因子受容体;幹細胞因子受容体;SCFR)、CD81(すなわち抗増殖抗体1の標的;TAPA1)、CD71(すなわちトランスフェリン受容体;TFRC;トランスフェリン受容体1;TFR1;TFR;TRFR)、CD105(すなわちエンドグリン;ENG)、TdT(すなわちデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、ターミナル;DNTT;ターミナルトランスフェラーゼ;TDT)からなる群から選択される1つ以上のマーカを含み得る。いくつかの場合には、対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、CD3(細胞質CD3および細胞表面CD3)、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTからなる群から選択される、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、または65%以上の陽性対照マーカの範囲の多数の陽性対照マーカを含む。いくつかの場合において、対照組成物は、陽性対照マーカMPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、CD3(細胞質CD3および細胞表面CD3)、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTを含む。いくつかの実施形態では、対照組成物は、この出願の出願日の時点で入手可能な一連の製品によってアッセイされるすべての69マーカを含む、すべてのBD OneFlow製品ラインによってアッセイされるすべてのマーカを含む(dbiosciences.com/eu/applications/clinical/blood-cell-disorders/oneflow-reagents/m/1641972/overview)。
【0022】
対照組成物の態様は、1つ以上の細胞成分を含む。本明細書で使用される場合、「細胞成分」とは、例えば細胞、細胞の集団、または細胞内に含まれる、または細胞によって産生される1つ以上の細胞もしくは細胞の一部の懸濁液を指す。いくつかの場合には、対照組成物は、異なる細胞成分、例えば異なる細胞集団の組み合わせを含む。対照組成物は、アッセイについてのすべての関心対象陽性対照マーカを提供するために、細胞成分の任意の適切な組み合わせを有し得る。組成物が1つ超の細胞成分の組み合わせを含む場合、組成物中の異なる細胞成分の数は、いくつかの例では、2~5、例えば2~3など、2~10の範囲で様々であり得る。いくつかの場合には、対照組成物は、白血球についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第1の白血球成分、造血幹/前駆細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第2の細胞成分、および新生細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第3の細胞成分を含み、第1の白血球成分、第2の細胞成分、および第3の細胞成分が固定されている。対照組成物は、任意の適切な量の細胞を含み得る。いくつかの場合には、対照組成物は、1×10~3×10個の細胞、1.5×10~3×10個の細胞、2×10~3×10個の細胞、2.5×10~3×10個の細胞、2.6×10~3×10個の細胞、2.7×10~3×10個の細胞、または2.8×10~3×10個の細胞の範囲の細胞量を含む。対照組成物は、液体または乾燥組成物であり得る。
【0023】
第1の白血球成分は、白血球についての任意の適切な陽性対照マーカ、例えば白血球によって発現されるタンパク質を含み得る。所与のマーカは、それが白血球によって発現されて不均一な細胞集団から白血球を特定するために使用され得る場合、白血球についての適切な陽性対照マーカであると見なされる。いくつかの場合には、陽性対照マーカは、成熟白血球または分化白血球によって発現される。いくつかの場合には、第1の白血球成分は、MPO、CD79a、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、β2-マイクログロブリンの陽性対照マーカのうちの1つ以上を含む。いくつかの場合には、第1の白血球成分は、MPO、CD79a、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、β2-マイクログロブリンの陽性対照マーカの5つ以上、10個以上、または15個以上を含む。
【0024】
第1の白血球成分は、白血球についての陽性対照マーカを提供する任意の適切な細胞または細胞の一部を含み得る。いくつかの場合には、第1の白血球成分は全白血球を含む。本明細書で使用される場合、「白血球」または「ロイコサイト」は、身体の宿主免疫防御システムにおいて役割を果たす細胞を指す。白血球には、単球、マクロファージ、樹状細胞、マスト細胞、ナチュラルキラー細胞、顆粒球(好塩基球、好酸球、好中球)、およびリンパ球(BおよびTリンパ球)が含まれ得るが、これらに限定されない。第1の白血球成分は、以下に記載するように、当技術分野で知られている任意の適切な方法に従って調製され得る。いくつかの場合には、第1の白血球成分は全白血球を含み、全赤血球を実質的に含まない。いくつかの場合には、第1の白血球成分は、ある量の精製または濃縮された全白血球を含む。いくつかの場合には、第1の白血球成分は、赤血球を溶解するための溶解試薬と接触させた全血から調製される。いくつかの場合には、溶解試薬で調製された第1の白血球成分は、例えば溶解赤血球の細胞膜および細胞質内容物を含む、溶解赤血球の残骸または部分を含む。いくつかの場合には、溶解試薬で調製された第1の白血球成分は、ある量の溶解剤、例えば、赤血球溶解後に除去されなかった溶解剤、または洗浄ステップ後に残った過剰な溶解剤を含む。第1の白血球成分は、任意の適切な数の細胞を含み得る。いくつかの場合には、第1の白血球成分は、対照組成物の全細胞の80%~95%、85%~95%、または90%~95%の範囲の細胞量を含む。いくつかの場合には、第1の白血球成分は、2×10~2.5×10個の細胞、2×10~3×10個の細胞、2.2×10~3×10個の細胞、2.3×10~3×10個の細胞、2.4×10~3×10個の細胞、または2.5×10~3×10個の細胞の範囲の細胞量を備える。
【0025】
第2の細胞成分は、造血幹/前駆細胞についての任意の適切な陽性対照マーカ、例えば造血幹/前駆細胞によって発現されるタンパク質を含み得る。いくつかの場合には、第2の細胞成分は、CD34、CD117、CD105、CD71、TdTの陽性対照マーカを含む。いくつかの場合には、第2の細胞成分は、CD34、CD117、CD105、CD71、TdTの陽性対照マーカのうちの2つ以上、3つ以上、4つ以上、または5つ以上を含む。
【0026】
第2の細胞成分は、造血幹/前駆細胞についての陽性対照マーカを提供する任意の適切な細胞または細胞の一部を含むことができる。いくつかの場合には、第2の細胞成分は造血幹/前駆細胞を含む。本明細書で使用される場合、「造血幹細胞(HSC)」という用語は、多系統の造血分化能および持続的な自己再生活性を有する細胞を指す。「自己再生」とは、細胞が分裂して親細胞と同一の(例えば自己再生)特性を有する少なくとも1つの娘細胞を生成する能力を指す。二次娘細胞は、特定の分化経路に関与し得る。例えば、自己再生造血幹細胞は分裂し、1つの娘幹細胞と骨髄またはリンパ系経路での分化に関与する別の娘細胞とを形成する。関与前駆細胞は典型的には自己再生能力を失い、細胞分裂により、より分化した(つまり制限された)表現型を示す2つの娘細胞を生成する。造血幹細胞は、骨髄または臍帯血移植を受けた個体において長期多系統造血(例えば「長期生着」)を再生する能力を有する。本発明の実施形態に係る対照組成物に使用される造血幹細胞は、胎児組織、臍帯血、骨髄、末梢血、動員末梢血、幹細胞株のうちの任意の1つ以上の供給源に由来し得、または胚性幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)または成体多能性細胞などの他の細胞にエクスビボで由来し得る。上記に挙げた供給源からの細胞は、使用前に当業者に許容される任意の方法を使用してエクスビボで増殖され得る。いくつかの場合には、造血幹細胞は、上記に挙げた供給源(例えば骨髄)のいずれかから単離され、インビトロで培養され得る。使用する細胞が不死化幹細胞株に由来する場合、細胞の入手および適切な量の調製が容易であるというさらなる利点が実現され得る。本明細書で使用される場合、「造血前駆細胞」という用語は、造血系のいくつかの細胞型に分化することができる多能性細胞を包含し、顆粒球、単球、赤血球、巨核球、B細胞、およびT細胞を含むが、これらに限定されない。造血前駆細胞は、造血細胞系統に関与しており、一般に自己再生しない。「造血前駆細胞」という用語は、短期造血幹細胞(ST-HSC)、多能性前駆細胞(MPP)、骨髄性共通前駆細胞(CMP)、顆粒球-単球前駆細胞(GMP)、および巨核球-赤血球前駆細胞(MEP)を包含する。「造血前駆細胞」という用語は、自己再生可能な造血幹細胞(本明細書において「造血幹細胞」という)を含まない。造血前駆細胞の存在は、完全なメチルセルロースアッセイでコロニー形成単位細胞(CFU-C)として機能的に、または当業者に知られているアッセイを使用して細胞表面マーカを検出することにより表現型的に決定することができる。
【0027】
造血幹/前駆細胞は、任意の適切な供給源から単離され得る。いくつかの実施形態では、対照組成物の造血幹/前駆細胞は骨髄に由来する。いくつかの実施形態では、対照組成物の造血幹/前駆細胞は、臍帯血および/または胎盤臍帯血(例えば単一のヒトから得られ、このヒトの出生時に収集されたもの、または2人以上の異なるヒトの出生時のプールから得られるもの)に由来する。他の実施形態では、単離された造血幹/前駆細胞は、末梢血(例えば、動員末梢血幹細胞)に由来する。いくつかの実施形態では、単離された造血幹/前駆細胞は単一のヒトに由来し、一方、他の実施形態では、単離されたHSPCは2人以上のヒトに由来する(2人以上のヒトは同じ人種のヒトまたは同じ民族のヒトとすることができるが、これらに限定されない)。適切なHSPCは、例えば正常ヒト初代骨髄CD34+細胞(ATCC(登録商標)PCS-800-012(商標))、単一ドナーの臍帯血からのヒトCD34+前駆細胞(PromoCell(登録商標)C-12921)を含む。
【0028】
第2の細胞成分は、任意の適切な数の細胞を含み得る。いくつかの場合には、第2の細胞成分は、対照組成物の全細胞の1%~10%、3%~10%、または5%~10%の範囲の細胞量を含む。いくつかの場合には、第2の細胞成分は、0.1×10~0.2×10個の細胞、0.1×10~0.3×10個の細胞、0.1×10~0.5×10個の細胞、または0.1×10~1×10個の細胞の範囲の細胞量を含む。
【0029】
第3の細胞成分は、新生細胞についての任意の適切な陽性対照マーカ、例えば新生細胞によって発現されるタンパク質を含み得る。いくつかの場合には、第3の細胞成分は、CD38、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD56、CD45、CD28、CD27、CD81、CD138の陽性対照マーカを含む。いくつかの場合には、第3の細胞成分は、CD38、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD56、CD45、CD28、CD27、CD81、CD138の陽性対照マーカのうちの5つ以上、10個以上、または15個以上を含む。
【0030】
第3の細胞成分は、新生細胞についての陽性対照マーカを発現する任意の適切な細胞または細胞の一部を含むことができる。いくつかの場合には、第3の細胞成分は新生細胞を含む。第3の細胞成分は、例えば新生細胞株などの新生細胞の任意の適切な供給源から調製され得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「新生細胞」は、比較的自律的な増殖を示し、それにより、それらが細胞増殖の対照の有意な喪失によって特徴付けられる異常な増殖表現型を示す細胞を指す。新生細胞は、活発に複製中、または一時的に非複製の休止状態にあり得る細胞(G1またはG0)を含むことができ、同様に新生細胞は、高分化表現型、低分化表現型、または両方のタイプの細胞の混合物を有する細胞を含み得る。したがって、すべての新生細胞が必ずしも所与の時点で細胞を複製しているわけではない。新生細胞は、特定の細胞系列の異常な未成熟の細胞および成熟した細胞を包含し得る。新生細胞は、良性新生物におけるそのような細胞および悪性新生物における細胞を包含し得る。悪性新生細胞はしばしば癌と呼ばれ、典型的には内胚葉または外胚葉の組織学的起源の細胞に起源を有する場合は癌腫と呼ばれ、中胚葉に由来する細胞型に起源を有する場合は肉腫と呼ばれる。
【0032】
いくつかの場合には、新生細胞は、血液癌細胞または血癌細胞を含む。「血液癌」または「血癌」という用語は、血液に由来する細胞の癌を指す。特定の実施形態では、血癌細胞は、例えばリンパ腫細胞、白血病細胞、または多発性骨髄腫細胞などの異常な白血球を含む。いくつかの場合には、新生細胞は、末梢血、骨髄、およびリンパ節組織から得られたB、T、およびNK細胞系統の新生物成熟リンパ球集団を含む。特定の実施形態では、新生細胞は、骨髄および末梢血から得られる造血幹/前駆細胞(リンパ系および非リンパ系)の新生未成熟集団を含む。特定の実施形態では、対照組成物は、癌細胞株から得られた新生細胞を含み、癌は急性リンパ芽球性白血病;急性非リンパ性白血病;B、Tおよび骨髄性急性白血病(例えばBCP-ALL、T-ALL);B細胞慢性リンパ増殖性疾患(例えば慢性リンパ球性白血病(CLL));形質細胞疾患(例えば多発性骨髄腫);未分化白血病(AUL)および混合表現型急性白血病(MPAL)からなる群から選択される。特定の実施形態において、対照組成物は、癌細胞株から得られた新生細胞を含み、癌は、多発性骨髄腫、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病を含む骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、B細胞性リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、B細胞性慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、B細胞性前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾辺縁帯B細胞性リンパ腫(絨毛性リンパ球の有無にかかわらず)、有毛細胞白血病、形質細胞骨髄腫/形質細胞腫、MALT型の節外辺縁帯B細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫(単球様B細胞の有無にかかわらず)、バーキットリンパ腫;前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、T細胞性前リンパ球性白血病、T細胞顆粒性リンパ球性白血病、進行性NK細胞性白血病、成人T細胞性リンパ腫/白血病(HTLV 1陽性)、鼻型節外性NK/T細胞性リンパ腫、腸疾患型T細胞リンパ腫、肝脾臓ガンマ-デルタ、T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、菌状息肉腫/セザリー症候群、未分化大細胞型リンパ腫(T/null細胞、原発性皮膚型)、未分化大細胞型リンパ腫(T/null細胞、原発性全身型)、他に特徴がない末梢性T細胞性リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、真性赤血球増加症(PV)、骨髄異形成症候群(MDS)、無痛性非ホジキンリンパ腫(iNHL)および侵攻性非ホジキンリンパ腫(aNHL)からなる群から選択される。
【0033】
第3の細胞成分は、任意の適切な数の細胞を含み得る。いくつかの場合には、第3の細胞成分は、対照組成物の全細胞の1%~10%、3%~10%、または5%~10%の範囲の細胞量を含む。いくつかの場合には、第3の細胞成分は、0.1×10~0.2×10個の細胞、0.1×10~0.3×10個の細胞、0.1×10~0.5×10個の細胞、または0.1×10~1×10個の細胞の範囲の細胞量を含む。適切な新生細胞は、例えば、U266(ATCC(登録商標)TIB-196(商標))、OPM-2(DSMZ、カタログ番号:ACC50)、RPMI-8226(ATCC(登録商標)CCL-155(商標))、MM1S(ATCC(登録商標)CRL-2974(商標))の細胞株の1つ以上およびそれらのそれぞれの商業的供給源からの骨髄腫細胞を含むことができる。適切な新生細胞は、例えば、DB(ATCC(登録商標)CRL-2289(商標))、HT(ATCC(登録商標)CRL-2260(商標))、BC-3(ATCC(登録商標)CRL-2277(商標))、CA46(ATCC(登録商標)CRL-1648(商標))、Raji(ATCC(登録商標)CCL-86(商標))、Daudi(ATCC(登録商標)CCL-213(商標))、GA-10-Clone-4(ATCC(登録商標)CRL-2393(商標))、HH(ATCC(登録商標)CRL-2105(商標))、H9(ATCC(登録商標)HTB-176(商標))の細胞株の1つ以上およびそれらのそれぞれの商業的供給源からのリンパ腫細胞を含むことができる。適切な新生細胞は、例えば、KASUMI-1(ATCC(登録商標)CRL-2724(商標));HL-60(ATCC(登録商標)CCL-240(商標));THP-1(ATCC(登録商標)TIB-202(商標));K-562(ATCC(登録商標)CCL-243(商標));RS4;11(ATCC(登録商標)CRL-1873(商標));MOLT-4(ATCC(登録商標)CRL-1582(商標));CCRF-CEM(ATCC(登録商標)CCL-119(商標))の細胞株の1つ以上およびそれらのそれぞれの商業的供給源からの白血病細胞を含むことができる。
【0034】
特定の実施形態では、対照組成物は乾燥組成物である。乾燥対照組成物は、少量の溶媒を含む組成物であり得る。例えば、乾燥対照組成物は、水などの少量の液体を含み得る。いくつかの場合には、乾燥対照組成物は溶媒を実質的に含まない。例えば、乾燥対照組成物は、水などの液体を実質的に含まなくてもよい。特定の実施形態では、乾燥対照組成物は、20重量%以下、または15重量%以下、または10重量%以下、または5重量%以下、または3重量%以下、または1重量%以下、または0.5重量%以下の溶媒などの25重量%以下の溶媒を含む。いくつかの場合には、乾燥対照組成物は流体ではない。いくつかの場合には、乾燥対照組成物は実質的に固体である。例えば、乾燥対照組成物は、標準状態で10,000cP以上、または25,000cP以上、または50,000cP以上、または75,000cP以上、または100,000cP以上、または150,000cP以上、または200,000cP以上、または250,000cP以上の粘度などの高い粘度を有し得る。いくつかの実施形態では、対照組成物は、0.1mg~900mgなど、0.1mg~800mgなど、0.1mg~700mgなど、0.1mg~600mgなど、0.1mg~500mgなど、0.1mg~400mgなど、または0.1mg~300mg、または0.1mg~200mg、または0.1mg~100mg、0.1mg~90mg、または0.1mg~80mg、または0.1mg~70mg、または0.1mg~60mg、または0.1mg~50mg、または0.1mg~40mg、または0.1mg~30mg、または0.1mg~25mg、または0.1mg~20mg、または0.1mg~15mg、または0.1mg~10mg、または0.1mg~5mg、または0.1mg~1mg、または0.1mg~0.5mgなどの0.1mg~1000mgの範囲の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、対照組成物は、0.1g~10g、または0.1g~5g、または0.1g~1g、または0.1g~0.5gの範囲の量で存在し得る。
【0035】
いくつかの例では、対照組成物は凍結乾燥組成物である。特定の場合には、凍結乾燥対照組成物は、昇華によって組成物から水が除去された組成物であり、組成物中の水は固体から気体への相転移を受ける。例えば、凍結乾燥組成物は、組成物を凍結し(例えば、組成物中の水を凍結する)、次いで組成物中の水が昇華するように組成物周囲の圧力を低下させることによって組成物から水が除去された組成物であり得る。特定の例において、凍結乾燥対照組成物は、カールフィッシャー(KF)滴定で測定される場合、25%以下、または20%以下、または15%以下、または10%以下、または9%以下、または8%以下、または7%以下、または6%以下、または5%以下、または4%以下、または3%以下、または2%以下、または1%以下、または0.5%以下、または0.25%以下、または0.1%以下の水などの少量の水を含む。いくつかの場合には、凍結乾燥組成物は、カールフィッシャー滴定で測定される場合、3%以下の水を有する。いくつかの場合には、凍結乾燥組成物は、カールフィッシャー滴定で測定される場合、1%以下の水を有する。いくつかの場合には、凍結乾燥組成物は、カールフィッシャー滴定によって測定される場合、0.5%以下の水を有する。凍結乾燥組成物は、安定剤などの添加剤および/または賦形剤を含み得る。いくつかの場合には、凍結乾燥組成物は、糖またはポリアルコールなどの安定剤を含む。凍結乾燥組成物での使用に適した糖およびポリアルコールには、使用される他の試薬、緩衝液、およびサンプル成分と適合する糖が含まれる。適切な糖の例としては、スクロース、マルトース、トレハロース、2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(β-HPCD)、ラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、グルコサミンなど、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の例では、糖は二糖である。例えば、二糖はスクロースであり得る。適切なポリアルコールの例としては、マンニトール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール、キシリトール、ソルビトールなど、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
特定の実施形態では、対照組成物は液体組成物である。液体組成物は、上記の細胞成分を収容、例えば懸濁するために、任意の適切な液体媒体、例えば緩衝液を含み得る。これらの例では、対照組成物は、0.1ml~200mlの範囲の量で存在し得る。例えば、対照組成物は、0.1ml~900ml、または0.1ml~800ml、または0.1ml~700ml、または0.1ml~600ml、または0.1ml~500ml、または0.1ml~400ml、または0.1ml~300ml、または0.1ml~200ml、または0.1ml~100ml、または0.1ml~50ml、または0.1ml~25ml、または0.1ml~10ml、または0.1ml~5ml、または0.1ml~1ml、または0.1ml~0.5mlなどの0.1ml~1000mlの範囲の量で存在し得る。
【0037】
対照組成物は、任意の適切な温度で保存され得る。いくつかの場合には、対照組成物は、1℃~30℃、2℃~27℃、または5℃~25℃の範囲の温度で保存される。
【0038】
対照組成物は、対照組成物と適合する任意の適切な容器中に存在し得る。「適合する」とは、容器が、容器の表面と接触する対照組成物の液体および/または試薬(複数可)に対して実質的に不活性である(例えば、有意に反応しない)ことを意味する。関心対象の容器は様々であり得、採血管、試験管、遠心管、培養管、ファルコンチューブ、マイクロチューブ、エッペンドルフチューブ、検体採取容器、検体輸送容器、および注射器を含み得るが、これらに限定されない。
【0039】
対照組成物を保持するための容器は、任意の適切な容積の対照組成物を保持するように構成され得る。いくつかの場合には、容器のサイズは、容器内に保持される対照組成物の容積に依存し得る。特定の実施形態では、容器は、0.1mg~900mgなど、0.1mg~800mgなど、0.1mg~700mgなど、0.1mg~600mgなど、0.1mg~500mgなど、0.1mg~400mgなど、または0.1mg~300mg、または0.1mg~200mg、または0.1mg~100mg、0.1mg~90mg、または0.1mg~80mg、または0.1mg~70mg、または0.1mg~60mg、または0.1mg~50mg、または0.1mg~40mg、または0.1mg~30mg、または0.1mg~25mg、または0.1mg~20mg、または0.1mg~15mg、または0.1mg~10mg、または0.1mg~5mg、または0.1mg~1mg、または0.1mg~0.5mgなどの0.1mg~1000mgの範囲の量の対照組成物を保持するように構成され得る。特定の実施形態では、容器は、0.1g~10g、または0.1g~5g、または0.1g~1g、または0.1g~0.5gの範囲の量の対照組成物を保持するように構成される。特定の例において、容器は、0.1ml~200mlの範囲の容積(例えば、液体対照組成物の容積)を保持するように構成される。例えば、容器は、0.1ml~900ml、または0.1ml~800ml、または0.1ml~700ml、または0.1ml~600ml、または0.1ml~500ml、または0.1ml~400ml、または0.1ml~300ml、または0.1ml~200ml、または0.1ml~100ml、または0.1ml~50ml、または0.1ml~25ml、または0.1ml~10ml、または0.1ml~5ml、または0.1ml~1ml、または0.1ml~0.5mlなどの0.1ml~1000mlの範囲の容積(例えば、液体の容積)を保持するように構成され得る。特定の例において、容器は、0.1ml~200mlの範囲の容積(例えば、液体対照組成物の容積)を保持するように構成される。
【0040】
容器の形状も様々であり得る。例えば、対照組成物を含む容器は、フローサイトメトリアッセイなどのアッセイにて使用を見出し得る。これらの場合では、容器は、アッセイおよび/またはアッセイを実施するために使用される方法もしくは他の装置に適合する形状に構成され得る。例えば、容器は、アッセイを実行するために使用される典型的な実験装置の形状、またはアッセイを実行するために使用される他の装置と互換性がある形状で構成され得る。いくつかの実施形態では、液体容器はバイアルまたは試験管であり得る。特定の場合において、液体容器はバイアルである。特定の場合において、液体容器は試験管である。
【0041】
上述のように、容器の実施形態は、試薬装置と接触する対照組成物と適合することができる。容器に適した材料の例には、ガラスおよびプラスチックが含まれるが、これらに限定されない。例えば、容器は、ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス(例えば、PYREX(商標))、溶融石英ガラス、溶融シリカガラスなどであるがこれらに限定されないガラスで構成され得る。容器に適した材料の他の例には、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエーテル(PFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等などのプラスチックが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
いくつかの実施形態では、容器は密閉され得る。すなわち、容器は、容器の内容物が容器から出ることを実質的に防止するシールを含み得る。容器のシールはまた、他の物質が容器に入ることを実質的に防止し得る。例えば、シールは、液体が容器に出入りすることを実質的に防止する水密シールであり得、または、気体が容器に出入りすることを実質的に防止する気密シールであり得る。いくつかの例では、例えば容器の内容物の一部を除去したい場合など、そのように所望される場合に、容器の内容物が周囲の環境に曝露され得るように、シールは取り外し可能または破断可能なシールである。いくつかの例では、シールは、容器内にサンプルを保持するためのバリア(例えば、水密および/または気密シール)を提供するように弾力性がある素材でできている。特定のタイプのシールには、容器のタイプに応じて、ポリマーフィルム、キャップなどのフィルムが含まれるが、これらに限定されない。シールに適した材料には、例えば、シリコーンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン-プロピレン共重合体、ポリクロロプレン、ポリアクリレート、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレンブタジエン等、およびそれらの組み合わせなどのゴムまたはポリマーシールが含まれるが、これらに限定されない。例えば、特定の実施形態では、シールは、針、注射器、またはカニューレによって貫通可能な隔壁である。シールはまた、容器内のサンプルへの便利なアクセス、ならびに容器の開口部を覆う保護バリアを提供し得る。いくつかの例では、シールは、容器の開口部に適用できるネジ式もしくはスナップ式キャップまたは他の適切なシール要素などの取り外し可能なシールである。例えば、サンプルを容器に加える前または後に、ねじ付きキャップを開口部にねじ込むことができる。
【0043】
使用方法
本発明の実施形態の態様はまた、例えば上記のような対照組成物を、マーカ検出アッセイにおける対照、例えば陽性対照として使用することを含む。「マーカ検出アッセイ」とは、組成物中の1つ以上のマーカの存在および/または不在を検出するためのアッセイを意味する。その方法は、対照組成物を用いてフローサイトメトリアッセイを実施することを含み得る。「フローサイトメトリアッセイ」とは、一般にフローセルと呼ばれる検査用キュベットを通って流体サンプル中をそれらが流れるときの粒子の物理的特性および/または化学的特性を測定する分析技術を意味する。流体サンプルは、流体サンプルを様々な刺激にさらすことによって調査され得、光が1つの一般的な刺激技術である。フローセルを含む装置、ならびに関連する流体フロー、光送達および光検出部品は、典型的にはフローサイトメータと呼ばれる。フローサイトメトリアッセイは、光源を通過する単一粒子ストリームに試験組成物を集束させることを含み得、その間に粒子からの散乱光および放出光が様々な検出器によって測定される。測定値は、粒子の物理的特性、および、粒子が蛍光標識されている場合はそれらの蛍光特性を記述するマルチパラメータデータセットを生成するために使用される。いくつかの場合には、粒子は複数の標識結合メンバで標識され、各別個の標識、例えば蛍光標識は別個のマーカに対応する。特定の態様において、対照組成物は、フローサイトメトリアッセイの性能を検証するためのフローサイトメトリアッセイにおける陽性対照として機能する。対照組成物は、上記のようにフローサイトメトリによる検出のために様々なマーカ(例えば、関心対象の陽性対照マーカ)を提供し得る。所与のフローサイトメトリアッセイにおいて、試験組成物および対照組成物のそれぞれをフローサイトメトリアッセイに掛け得、試験組成物および対照組成物のそれぞれについてフローサイトメトリデータを取得し得る。特定の実施形態では、方法は、本明細書に記載の実施形態のいずれかに従って、対照組成物および/または試験組成物を用いてフローサイトメトリアッセイを実施することを含み、フローサイトメトリアッセイは、標識対照組成物を生成するための1つ以上の陽性対照マーカに特異的な1つ以上の結合メンバに対照組成物を接触させること、および、標識対照組成物をフローサイトメータに導入して、1つ以上の陽性対照マーカが検出されたか否かを示すフローサイトメトリデータを生成することを含み、1つ以上の陽性マーカの検出を示すフローサイトメトリデータは、フローサイトメトリアッセイおよび1つ以上の結合メンバの機能性を検証する。
【0044】
対照組成物中の関心対象の陽性対照マーカの検出(例えば、陽性フローサイトメトリデータまたは陽性フローサイトメトリ結果)は、フローサイトメトリアッセイおよび1つ以上の結合メンバの機能性を検証し得、例えば、アッセイが正しく行われており、システムおよび試薬が適切に機能していることを示し得る。特定の実施形態において、陽性対照マーカが検出されたことを示すフローサイトメトリデータは、フローサイトメトリ分析のために対照組成物および/または試験組成物を調製する方法(例えば、対照組成物および/または試験組成物を標識すること、フローサイトメータへ対照組成物および/または試験組成物を導入すること)が正しく実行されたことを示す。特定の実施形態では、陽性対照マーカが検出されたことを示すフローサイトメトリデータは、フローサイトメトリシステム(例えば、フローサイトメータ、コンピュータソフトウェアおよびハードウェア)が適切に機能しており、フローサイトメトリシステムのセットアップが適切に実行されたことを示す。特定の実施形態では、陽性対照マーカが検出されたことを示すフローサイトメトリデータは、フローサイトメトリアッセイで使用される試薬(例えば、検出可能標識、緩衝液などにコンジュゲートした結合メンバ)が適切に機能していたことを示す。いくつかの場合には、対照組成物についての陽性フローサイトメトリデータは、試験組成物について得られたフローサイトメトリデータまたは結果を検証する。そのような場合、陽性のフローサイトメトリ結果は、試験組成物について得られた陰性のフローサイトメトリ結果が真に陰性であり、実験手順のエラーまたは機器/試薬の誤動作によるものではないことを確認し得る。試験組成物についての陰性のフローサイトメトリ結果は、試験組成物中の関心対象の1つ以上のマーカが試験組成物中で検出されなかったことを示すフローサイトメトリデータを含み得る。特定の実施形態では、検出されなかった試験組成物中の1つ以上の関心対象のマーカは、検出された1つ以上の関心対象の陽性対照マーカに対応する。
【0045】
フローサイトメトリデータを、x軸およびy軸にそれぞれ2つの測定パラメータを表示するドットプロット、および単一の検出粒子を表すイベントとして提供できる。例示的なプロットは、図1図10にて提供される。図1~10において、パラメータは、蛍光、前方散乱(FSC)、および/または側方散乱(SSC)を含む。ゲートは、共通の特性、例えば前方散乱、側方散乱、およびマーカ発現を持つ細胞集団の周囲に配置され、関心対象のこれらの集団を分析および定量化する。関心対象の集団は、前方散乱特性および側方散乱特性、ならびに蛍光によって検出されるそれらのマーカ発現パターンによって区別され得る。ドットプロットの分析により、正常細胞および新生細胞の集団を特定できる。図1は、BD OneFlow(商標)Lymphoid Screening Tube(LST)抗体試薬で標識された対照組成物中の1つ以上の陽性対照マーカの検出、および1つ以上の陽性対照マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリデータを提供する。図2は、BD OneFlow(商標)B-cell Chronic Lymphoproliferative Diseases Tube 1(B-CLPD T1)抗体試薬で標識された対照組成物中の1つ以上の陽性対照マーカの検出、および1つ以上の陽性対照マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリデータを提供する。図3は、BD OneFlow(商標)Plasma Cell Disorders(PCD)抗体試薬で標識された対照組成物中の1つ以上の陽性対照マーカの検出、および1つ以上の陽性対照マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリデータを提供する。図4は、BD OneFlow(商標)Plasma Cell Screening Tube(PCST)抗体試薬で標識された対照組成物中の1つ以上の陽性対照マーカの検出、および1つ以上の陽性対照マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリデータを提供する。図5は、BD OneFlow(商標)Acute Leukemia Orientation Tube(ALOT)抗体試薬で標識された対照組成物中の1つ以上の陽性対照マーカの検出、および1つ以上の陽性対照マーカを発現する細胞集団のゲーティングを示すフローサイトメトリデータを提供する。図6は、急性骨髄性白血病1型(AML T1)を特定するための対照組成物中の1つ以上の陽性対照マーカの検出を示すフローサイトメトリデータを提供し、対照組成物は、BD OneFlow(商標)ALOT抗体試薬で標識される。図7は、急性骨髄性白血病2型(AML T2)を特定するための対照組成物中の1つ以上の陽性対照マーカの検出を示すフローサイトメトリデータを提供し、対照組成物は、BD OneFlow(商標)ALOT抗体試薬で標識される。図8は、急性骨髄性白血病3型(AML T3)を特定するための対照組成物中の1つ以上の陽性対照マーカの検出を示すフローサイトメトリデータを提供し、対照組成物はBD OneFlow(商標)ALOT抗体試薬で標識される。図9は、急性骨髄性白血病4型(AML T4)を特定するための対照組成物中の1つ以上の陽性対照マーカの検出を示すフローサイトメトリデータを提供し、対照組成物は、BD OneFlow(商標)ALOT抗体試薬で標識される。図10は、B細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病(BCP-ALL)を特定するための対照組成物中の1つ以上の陽性対照マーカの検出を示すフローサイトメトリデータを提供し、対照組成物はBD OneFlow(商標)ALOT抗体試薬で標識される。
【0046】
対照組成物中の関心対象の陽性対照マーカが検出されなかったことを示すデータは、フローサイトメトリアッセイが正しく行われていないこと、ならびに/または、システムおよび/もしくは試薬が適切に機能していないことを示し得る。いくつかの場合には、陽性対照マーカが検出されなかったことを示すフローサイトメトリデータは、試験組成物について得られたフローサイトメトリデータが不正確で信頼できないこと、および試験組成物に対して実行されたフローサイトメトリアッセイの1つ以上のステップおよびコンポーネントが損なわれているか、または正しく機能していないことを明らかにする。特定の実施形態では、陽性対照マーカが検出されなかったことを示すフローサイトメトリデータは、フローサイトメトリ分析用の対照組成物および/または試験組成物を調製する方法(例えば、対照組成物および/または試験組成物を標識すること、対照組成物および/または試験組成物をフローサイトメータへ導入すること)が正しく行われなかったことを示す。特定の実施形態において、陽性対照マーカが検出されなかったことを示すフローサイトメトリデータは、フローサイトメトリシステム(例えば、フローサイトメータ、コンピュータソフトウェアおよびハードウェアなどのいずれか)が適切に機能していなかったこと、および/またはフローサイトメトリシステムのセットアップが不適切に実行されたことを示す。特定の実施形態では、陽性対照マーカが検出されなかったことを示すフローサイトメトリデータは、フローサイトメトリアッセイで使用された試薬(例えば、検出可能標識、緩衝液などにコンジュゲートされた結合メンバのいずれか)が適切に機能していなかったことを示す。いくつかの場合には、データは、フローサイトメトリプロトコルのステップがスキップされたか、もしくは間違った順序で実行された可能性がある、または、試薬が適切なタイミングで追加されなかったか、もしくはまったく追加されなかった可能性があることを表す。データは、フローサイトメトリシステムおよび試薬の修理または交換が必要であることを示し得る。いくつかの場合には、データは、フローサイトメトリアッセイの1つ以上のパラメータ(例えば、細胞濃度、フローサイトメータの設定、細胞染色、細胞透過処理、洗浄、再構成など)を調整する必要があることを示す。いくつかの場合には、方法は、フローサイトメトリデータに基づいてフローサイトメトリアッセイの1つ以上のパラメータを調整(例えば、増加、減少、再設定など)することを含む。
【0047】
フローサイトメトリアッセイに供される試験組成物は、例えば、対象の組織または体液(例えば、血液)から調製された細胞懸濁液など、対象から得られた生物学的サンプルであり得る。「生物学的サンプル」という用語は、生物全体、植物、菌類、または動物の組織のサブセット、細胞、または特定の例では血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄液、羊水、羊水臍帯血、尿、膣液および精液に見られ得る構成部分を指すためにその従来の意味で使用される。そのため、「生物学的サンプル」は、天然生物またはその組織のサブセット、ならびに生物またはその組織のサブセットから調製されたホモジネート、溶解物または抽出物の両方を指し、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚、呼吸器、胃腸、心血管および泌尿生殖管のセクション、涙、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、臓器を含むが、これらに限定されない。生物学的サンプルは、健康な組織および病気の組織(例えば、癌性、悪性、壊死性など)の両方を含む、任意のタイプの生物組織であり得る。特定の実施形態では、生物学的サンプルは、血液またはその誘導体、例えば、血漿、涙、尿、精液などの液体サンプルであり、いくつかの例では、サンプルは、静脈穿刺または指刺しから得られる血液などの全血を含む血液サンプルである(血液は、アッセイ前に防腐剤、抗凝固剤などの任意の試薬と組み合わされてもされなくともよい)。
【0048】
特定の実施形態では、サンプルの供給源は「哺乳類」または「哺乳動物」であり、これらの用語は、肉食動物目(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、および霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む哺乳類クラス内にある生物を記述するために広く使用される。いくつかの例では、対象はヒトである。本方法は、両方の性別および任意の発達段階(すなわち、新生児、幼児、少年、青年、成人)のヒト対象から得られたサンプルに適用され得、特定の実施形態では、ヒト対象は、少年、青年、または成人である。本発明は、ヒト対象からのサンプルに適用され得る一方、本方法は、限定されないが、鳥、マウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜および馬のような他の動物対象(すなわち「非ヒト対象」)からのサンプルに対しても実施され得ることが理解されるべきである。
【0049】
上記で要約したように、本方法は、対照組成物を、1つ以上の陽性対照マーカに特異的な1つ以上の結合メンバと接触させて、標識対照組成物を生成することを含み得る。接触させることは、標識結合メンバを陽性対照マーカと安定的に会合させ得る。対照組成物を1つ以上の特異的結合メンバと接触させる方法は、対照組成物を容器または反応チャンバ内で特異的結合メンバと組み合わせることを含み得る。いくつかの例では、例えば20~30分を含む10分~一晩など、関心対象のマーカを標識するために十分な時間だけ、対照組成物を1つ以上の特異的結合メンバと接触させる。いくつかの例では、対照組成物を1つ以上の特異的結合メンバと接触させる方法は、対照組成物を1つ以上の特異的結合メンバと組み合わせること、例えば、インキュベーションすること、混合することなどを含む。いくつかの例では、接触させることは、標識結合メンバを含む容器に対照組成物を導入または配置することを備える。標識特異的結合メンバは、任意の便利な形態、例えば保存安定組成物で容器に存在し得る。いくつかの例では、接触させることは、22℃など、20~27℃の範囲の温度で起こり得る。接触させることは、pH7.4など、6.0~9.0の範囲のpHで起こり得る。
【0050】
対照組成物は、同時にまたは連続して検出可能標識と接触され得る。対照組成物は、十分な量の検出可能標識と、検出可能標識がそれらの特異的標的に結合するために十分な時間、接触され得る。例えば、対照組成物は、30分~2時間の間など、5分~数時間の間、接触され得る。対照組成物は、接触ステップの間、例えば凍結と室温との間の任意の好都合な温度にて維持され得る。次いで、例えば任意の未結合の検出可能標識および他の対照組成物成分を除去するために、必要に応じて洗浄ステップを実施し得る。洗浄は、反応混合物を適切な洗浄緩衝液(例えば、PBS、HEPES)と組み合わせること、および流体から細胞を分離することによってなど、任意の便利なプロトコルを使用して実施され得る。所与の洗浄プロトコルは、必要に応じて、1つ以上の別個の洗浄ステップを含み得る。任意の洗浄プロトコルに従って、細胞を適切な液体(例えば、洗浄緩衝液または別の緩衝液)にて再懸濁し得る。
【0051】
結合メンバは、特異的結合ドメインおよび標識ドメインを含み得る。「特異的結合」、「特異的に結合する」などの用語は、溶液または反応混合物における他の分子または部分に対するドメインの優先的結合(例えば、1つの結合対メンバの、同じ結合対の他の結合対メンバに対する)を指す。特異的結合ドメインは、細胞内の特異的エピトープに(例えば、共有結合または非共有結合で)結合し得る。特定の態様において、特異的結合ドメインは、標的に非共有結合する。そのような例では、結合標的(例えば、1つ以上の陽性対照マーカ)との特異的結合ドメイン会合は、10-5M以下、10-6M以下、例えば10-7M以下、および10-8M以下、例えば10-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、10-12M以下、10-13M以下、10-14M以下、10-15M以下、および10-16M以下のKD(解離定数)によって特徴付けられ得る。様々な異なるタイプの特異的結合ドメインを捕捉リガンドとして採用し得る。関心対象の特異的結合ドメインには、抗体結合剤、タンパク質、ペプチド、ハプテン、核酸などが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、用語「抗体結合剤」には、関心対象の分析物に結合するために十分なポリクローナルもしくはモノクローナル抗体またはフラグメントが含まれる。抗体フラグメントは、例えば、単量体Fabフラグメント、単量体Fab’フラグメント、または二量体F(ab)’2フラグメントとすることができる。「抗体結合剤」という用語の範囲内には、重鎖および軽鎖の定常領域を置換してキメラ抗体を生成するか、または可変領域の定常領域とフレームワーク部分との両方を置換してヒト化抗体を生成することによりモノクローナル抗体から生成された単鎖抗体分子(scFv)またはヒト化抗体もしくはキメラ抗体などの抗体工学によって生成される分子も含まれる。
【0052】
いくつかの場合には、1つ以上の結合メンバ(または特異的結合メンバ)を検出可能標識にコンジュゲートして、例えば標識結合メンバを形成する。検出可能標識は、例えば、最大蛍光発光、蛍光偏光、蛍光寿命、光散乱、質量、分子量、またはそれらの組み合わせに基づいて検出可能であり得る。特定の態様において、検出可能標識は、フルオロフォア(すなわち、蛍光標識、蛍光色素など)であり得る。フルオロフォアは、分析応用(例えば、フローサイトメトリ、イメージングなど)での使用に適した多くの色素のいずれかから選択できる。多数の色素が、例えば、Molecular Probes(オレゴン州ユージーン)およびExciton(オハイオ州デイトン)などの様々な供給源から市販されている。微粒子に組み込まれ得るフルオロフォアの例には、4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’ジスルホン酸;アクリジン、ならびにアクリジン、アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、アクリジンレッド、およびアクリジンイソチオシアネートなどの誘導体;5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS);4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5-ジスルホネート(ルシファーイエローVS);N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;ブリリアントイエロー;クマリン、ならびにクマリン7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC、クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(クマラン151)などの誘導体;シアニン、ならびにシアノシン、Cy3、Cy5、Cy5.5、およびCy7などの誘導体;4’,6-ジアミニジノ-2-フェニルインドール(DAPI);5’,5”-ジブロモピロガロール-スルホンフタレイン(ブロモピロガロールレッド);7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン;ジエチルアミノクマリン;ジエチレントリアミンペンタアセテート;4,4’-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸、4,4’-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸;5-[ジメチルアミノ]ナフタレン-1-スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド);4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL);4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4’-イソチオシアネート(DABITC);エオシン、ならびにエオシンおよびエオシンイソチオシアネートなどの誘導体;エリスロシン、ならびにエリスロシンBおよびエリスロシンイソチオシアネートなどの誘導体;エチジウム;フルオレセイン、ならびに5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’7’-ジメトキシ-4’5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フルオレセインクロロトリアジニル、ナフトフルオレセイン、およびQFITC(XRITC)などの誘導体;フルオレスカミン;IR144;IR1446;緑色蛍光タンパク質(GFP);サンゴ礁蛍光タンパク質(RCFP);リサミン(商標);リサミンローダミン、ルシファーイエロー;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4-メチルウンベリフェロン;オルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラロサニリン;ナイルレッド;オレゴングリーン;フェノールレッド;B-フィコエリトリン;o-フタルジアルデヒド;ピレン、ならびにピレン、ピレンブチレート、およびスクシンイミジル1-ピレンブチレートなどの誘導体;リアクティブレッド4(シバクロン(商標)ブリリアントレッド3B-A);ローダミン、ならびに6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシローダミン(R6G)、4,7-ジクロロローダミンリサミン、ローダミンBスルホニルクロリド、ローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(テキサスレッド)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、およびテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)などの誘導体;リボフラビン;ロザリン酸およびテルビウムキレート誘導体;キサンテン;またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。当業者に知られている他のフルオロフォアまたはその組み合わせ、例えば、Molecular Probes(オレゴン州ユージーン)およびExciton(オハイオ州デイトン)から入手可能なものも使用され得る。
【0053】
いくつかの例では、フルオロフォアはポリマー色素である。本方法のいくつかの例では、ポリマー色素は、共役ポリマーを含む。共役ポリマー(CP)は、不飽和結合(例えば、二重結合および/または三重結合)と飽和(例えば、単結合)結合とが交互に並んだ骨格を含む非局在電子構造を特徴とし、π電子は1つの結合から他の結合に移動できる。このように、共役骨格は、ポリマー色素上に、ポリマーの繰り返し単位間の結合角度が限定された、延長された直鎖状構造を付与し得る。例えば、タンパク質および核酸はポリマーでもあるが、いくつかの場合には伸長ロッド構造を形成せず、むしろ高次の三次元形状に折り畳まれる。さらに、CPは「剛性ロッド」ポリマー骨格を形成し得、ポリマー主鎖に沿ったモノマー繰り返し単位間の限られたねじれ(例えば、トーション)角度を経験し得る。いくつかの例では、ポリマー色素は、剛体ロッド構造を有するCPを含む。ポリマー色素の構造特性は、分子の蛍光特性に影響を与える可能性がある。
【0054】
関心対象のポリマー色素には、その開示が参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、ゲイロードらの米国公開番号20040142344,20080293164,20080064042,20100136702,20110256549,20110257374,20120028828,20120252986,20130190193,20160264737,20160266131,20180231530,20180009990,20180009989および20180163054、ならびに、その開示が参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、ゲイロードら、J.Am.Chem.Soc.,2001,123(26),pp6417-6418;フェンら、Chem.Soc.Rev.、2010.39、2411-2419;およびトレイナら、J.Am.Chem.Soc.,2011,133(32),pp12600-12607に記載されたそれらの色素が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
ポリマー色素は、特定の最大吸収波長、特定の最大発光波長、吸光係数、量子収量などの1つ以上の望ましい分光学的特性を有し得る(例えば、チャトパディヤイら「鮮やかなバイオレットフルオロフォア:免疫蛍光実験のための新しいクラスの超高輝度蛍光化合物」Cytometry Part A、81A(6)、456-466、2012を参照)。いくつかの実施形態では、ポリマー色素は、280nm~475nmの間の吸収曲線を有する。特定の実施形態では、ポリマー色素は、280nm~475nmの範囲に吸収最大値(励起最大値)を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー色素は、280nm~475nmの間の範囲の波長を有する入射光を吸収する。いくつかの実施形態では、ポリマー色素は、415nm~800nmなど、400nm~850nmの範囲の最大発光波長を有し、関心対象の発光最大値の具体例には、421nm、510nm、570nm、602nm、650nm、711nmおよび786nmが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、ポリマー色素は、410nm~430nm、500nm~520nm、560nm~580nm、590nm~610nm、640nm~660nm、700nm~720nm、および775nm~795nmからなる群から選択される範囲に最大発光波長を有する。特定の実施形態では、ポリマー色素は、421nmの最大発光波長を有する。いくつかの例では、ポリマー色素は、510nmの最大発光波長を有する。いくつかの場合には、ポリマー色素は、570nmの最大発光波長を有する。特定の実施形態では、ポリマー色素は、602nmの最大発光波長を有する。いくつかの例では、ポリマー色素は、650nmの最大発光波長を有する。特定の場合には、ポリマー色素は、711nmの最大発光波長を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー色素は、786nmの最大発光波長を有する。特定の例では、ポリマー色素は、421nm±5nmの最大発光波長を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー色素は、510nm±5nmの最大発光波長を有する。特定の例では、ポリマー色素は、570nm±5nmの最大発光波長を有する。いくつかの例では、ポリマー色素は、602nm±5nmの最大発光波長を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー色素は、650nm±5nmの最大発光波長を有する。特定の例では、ポリマー色素は、711nm±5nmの最大発光波長を有する。いくつかの場合には、ポリマー色素は、786nm±5nmの最大発光波長を有する。特定の実施形態では、ポリマー色素は、421nm、510nm、570nm、602nm、650nm、711nmおよび786nmからなる群から選択される最大発光を有する。
【0056】
採用され得る具体的なポリマー色素には、BD Horizon Brilliant(商標)Violet Dye(例えば、BV421、BV510、BV605、BV650、BV711、BV786);BD Horizon Brilliant(商標)Ultraviolet Dye(例えば、BUV395、BUV496、BUV737、BUV805)、およびBD Horizon Brilliant(商標)Blue Dye(例えば、BB515)(カリフォルニア州サンノゼ、BD Biosciences)などのBD Horizon Brilliant(商標)Dyeが含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
蛍光標識は、蛍光発光最大値に基づいて、任意選択的にはさらに光散乱または吸光に基づいて区別可能であり得る。
【0058】
他の態様では、標識ドメインは、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、WO/2010/097070として公開された国際特許出願番号PCT/US2012/020950に記載されているように、質量サイトメトリで使用される飛行時間型質量分析計によってなど、質量分析によって検出可能な金属同位体であり得る。
【0059】
対照組成物と接触した標識結合メンバは、いくつかの例では、試験組成物と接触したものと同じである。特定の実施形態において、対照組成物および試験組成物と接触した標識結合メンバは、同じ供給源、例えば、同じキット、または所与キット中の同じ容器(複数可)から得られる。特定の実施形態では、対照組成物および試験組成物と接触した標識結合メンバは、以下で詳細に説明するBD OneFlow(商標)キットまたは複数BD OneFlow(商標)キットの組み合わせで提供される。
【0060】
いくつかの例では、本発明の方法は、急性リンパ芽球性白血病および非リンパ性急性白血病の診断の補助として、例えばBD OneFlow(商標)ALOTによって提供される場合に、骨髄および末梢血中の造血細胞(リンパ系および非リンパ系)の新生未成熟集団のフローサイトメトリ免疫表現型分析に使用するために、対照組成物および試験組成物を標識結合メンバと接触させることを含み、いくつかの例では、標識結合メンバはMPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、CD3(細胞質)、CD3(細胞表面)、およびCD45に特異的である。
【0061】
いくつかの例では、本発明の方法は、血液疾患の診断の補助として、例えばBD OneFlow(商標)LSTによって提供される場合に、末梢血、骨髄、およびリンパ節のB、T、およびNK細胞系統の正常および新生未成熟リンパ球集団のフローサイトメトリ免疫表現型分析に使用するために、対照組成物および試験組成物を標識結合メンバと接触させることを含み、いくつかの例では、標識結合メンバは、CD45、CD19、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD3、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、およびCD56に特異的である。
【0062】
いくつかの例では、本発明の方法は、慢性リンパ性白血病および他のB細胞慢性リンパ増殖性疾患の診断の補助として、例えばBD OneFlow(商標)B-CLPD T1によって提供される場合に、末梢血および骨髄中のB細胞のフローサイトメトリ免疫表現型分析に使用するために、対照組成物および試験組成物を標識結合メンバと接触させることを含み、いくつかの例では、標識結合メンバは、CD23、CD10、CD79b、CD19、CD200、CD43、CD20、およびCD45に特異的である。
【0063】
いくつかの例では、本発明の方法は、血液疾患の診断の補助として、例えばBD OneFlow(商標)PCSTによって提供される場合に、骨髄中の正常なポリクローナルおよび新生形質細胞集団のフローサイトメトリ免疫表現型分析に使用するために、対照および試験組成物を標識結合メンバと接触させることを含み、いくつかの例では、標識結合メンバは、CD38、CD56、β2-マイクログロブリン、CD19、カッパ軽鎖、ラムダ軽鎖、CD45、およびCD138に特異的である。
【0064】
いくつかの例では、本発明の方法は、多発性骨髄腫または他の形質細胞疾患の診断の補助として、例えばBD OneFlow(商標)PCDチューブによって提供される場合に、骨髄中の正常および新生形質細胞のフローサイトメトリ免疫表現型分析に使用するために、対照組成物および試験組成物を標識結合メンバと接触させることを含み、いくつかの例では、標識結合メンバは、CD38、CD28、CD27、CD19、CD117、CD81、CD45、およびCD138に特異的である。
【0065】
検出可能標識(すなわち、第1、第2、および/または追加の検出可能標識)で標識された陽性対照マーカを検出することは、蛍光発光最大値に基づいて検出可能標識を区別することを含み得る。例えば、スペクトル重複を伴う2つ以上の検出可能標識間の蛍光補償を採用して、検出可能標識のそれぞれから生じるシグナル(例えば、蛍光発光)を区別し得る。2つ以上の検出可能標識はまた、光散乱、蛍光寿命、励起スペクトル、またはそれらの組み合わせに基づいて区別され得る。
【0066】
上記で要約したように、方法の態様は、標識対照組成物をフローサイトメータに導入して、1つ以上の陽性対照マーカが検出されたか否かを示すフローサイトメトリデータを生成することを含み得る。標識対照組成物の陽性対照マーカは、フローサイトメトリによって検出され得る。フローサイトメトリは、流体媒体中の細胞またはビーズなどの(例えば、標識、サイズ、粒度などの点で)互いに様々である異なる粒子を特定および区別するためのマルチパラメータデータを使用する方法論である。粒子(例えば、上記のように調製された細胞)をフローサイトメトリ分析する場合、粒子を有する液体媒体が最初にフローサイトメータの流路に導入される。流路内にある場合、粒子は実質的に一度に1つずつ1つ以上のセンシング領域を通過し、粒子のそれぞれが単色光の光源に個別に曝露され、必要に応じて光散乱パラメータおよび/または蛍光発光の測定(例えば、2つ以上の光散乱パラメータおよび1つ以上の蛍光発光の測定)が、粒子ごとに個別に記録される。粒子ごとに記録されたデータは、必要に応じて、リアルタイムで分析されるか、コンピュータなどのデータ保存および分析手段にて保存される。米国特許第4,284,412号は、単一光源を備えた典型的なフローサイトメータの構成および使用を記載し、一方、米国特許第4,727,020号は、2つの光源を備えたフローサイトメータの構成および使用を記載している。これらの特許の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。2つ超の光源を有するフローサイトメータも採用され得る。
【0067】
より具体的には、フローサイトメータにおいて、粒子は、各領域において各粒子がエネルギー源によって照射される1つ以上のセンシング領域を通る流路において、懸濁液中で実質的に一度に1つずつ通過する。エネルギー源は、レーザ(例えば、He/Neまたはアルゴン)または適切なフィルタを備えた水銀アークランプによって提供されるものなど、単一波長の光を発する照明器を含み得る。例えば、488nmの光が、単一のセンシング領域を有するフローサイトメータにおける発光波長として使用され得る。2つの別個の波長で光を発するフローサイトメータの場合、追加の波長の放出光を採用し得、関心対象の具体的波長には535nm、635nmなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
センシング領域と直列に、1つ以上の検出器、例えば光電子増倍管(または「PMT」)などの集光器を含む検出器モジュールを使用して、粒子がセンシング領域を通過してエネルギー源によって照らされるときに、各粒子を通過する光(一般に前方光散乱と呼ばれる)、センシング領域を通過する粒子のフローの方向に直交して反射される光(一般に、直交または側方光散乱と呼ばれる)、および粒子から放射される蛍光(蛍光マーカ(複数可)で標識されている場合)を記録する。前方光散乱(またはFSC)、直交光散乱(SSC)、および蛍光発光のそれぞれは、各粒子(すなわち、各「イベント」)についての個別のパラメータを備える。したがって、2つの異なる蛍光マーカで標識された粒子から、例えば、2つ、3つ、4つまたはそれ以上のパラメータを収集(および記録)することができる。
【0069】
したがって、粒子をフローサイトメトリアッセイする場合、異なる量の第1、第2、および/または追加の検出可能標識を含み得る粒子は、必要に応じて粒子を励起光に曝露して各粒子の蛍光を1つ以上の検出チャネルで測定することによって検出され、一意に特定される。励起光は、1つ以上の光源からのものであり得、狭帯域または広帯域のいずれかであり得る。励起光源の例には、レーザ、発光ダイオード、およびアークランプが含まれる。粒子およびそれに関連する結合複合体を特定するために使用される検出チャネルで放出される蛍光は、単一光源による励起後に測定され得、または別個の光源による励起後に別個に測定され得る。粒子標識を励起するために別個の励起光源が使用される場合、標識は、使用される励起光源のそれぞれによってすべての標識が励起可能であるように選択され得る。
【0070】
フローサイトメータは、コンピュータなどのデータ取得、分析、および記録手段をさらに含み、複数のデータチャネルが、それがセンシング領域を通過するときに各粒子によって放出される光散乱および蛍光について、各検出器からのデータを記録する。分析システムの目的は、粒子を分類および計数することであり、各粒子はデジタル化パラメータ値のセットとしてそれ自身を提示する。本発明の方法において粒子をフローサイトメトリアッセイする際、フローサイトメータは、関心対象の粒子をバックグラウンドおよびノイズから区別するために、選択パラメータでトリガするように設定され得る。「トリガ」とは、パラメータを検出するための事前設定閾値を指す。それは典型的には、レーザビームを通過する粒子の通過を検出する手段として使用される。選択パラメータの事前設定閾値を超えるイベントの検出は、粒子についての光散乱および蛍光データの取得をトリガする。閾値未満の応答を引き起こすアッセイ中の媒体における粒子または他の成分については、データは取得されない。トリガパラメータは、粒子が光ビームを通過することによって引き起こされる前方散乱光の検出であり得る。フローサイトメータは次いで、粒子についての光散乱および蛍光データを検出して収集する。
【0071】
関心対象の特定の亜集団は、サンプル全体について収集されたデータに基づいて「ゲーティング」することによってさらに分析され得る。適切なゲートを選択するために、可能な限り最良の亜集団の分離が得られるようにデータがプロットされる。この手順は典型的には、二次元ドットプロット上で前方光散乱(FSC)対側方(すなわち直交)光散乱(SSC)をプロットすることによって行われる。フローサイトメータのオペレータは次いで、粒子の所望の亜集団(すなわち、ゲート内のそれらの細胞)を選択し、ゲート内にはない粒子を除外する。必要に応じて、オペレータは、コンピュータ画面上でカーソルを使用して所望の亜集団の周りに線を引くことにより、ゲートを選択し得る。ゲート内のそれらの粒子のみが次いで、蛍光など、これらの粒子についての他のパラメータをプロットすることによってさらに分析される。次いで、蛍光に基づくゲーティングを使用して、細胞の亜集団をさらに分離し得る。
【0072】
フローサイトメトリ分析が実施される場合、任意の便利なフローサイトメトリシステムが採用され得る。特定の例では、関心対象のフローサイトメトリシステムには、BD Biosciences FACSCanto(商標)およびFACSCanto II(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVantage(商標)、BD Biosciences FACSort(商標)、BD Biosciences FACSCount(商標)、BD Biosciences FACScan(商標)、およびBD Biosciences FACSCalibur(商標)システム、BD Biosciences Influx(商標)セルソータ、BD Biosciences Accuri(商標)C6フローサイトメータ、BD Biosciences LSRFortessa(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences LSRFortessa(商標)X-20フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVerse(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSAria(商標)IIIおよびBD FACSAria(商標)Fusionフローサイトメータ、BD Biosciences FACSJazz(商標)フローサイトメータなどが含まれる。特定の実施形態において、主題のシステムは、米国特許第3,960,449号;第4,347,935号;第4,667,830号;第4,704,891号;第4,770,992号;第5,030,002号;第5,040,890号;第5,047,321号;第5,245,318号;第5,317,162号;第5,464,581号;第5,483,469号;第5,602,039号;第5,620,842号;第5,627,040号;第5,643,796号;第5,700,692号;第6,372,506号;第6,809,804号;第6,813,017号;第6,821,740号;第7,129,505号;第7,201,875号;第7,544,326号;第8,140,300号;第8,233,146号;第8,753,573号;第8,975,595号;第9,092,034号;第9,095,494号および第9,097,640号に記載されているものなどのフローサイトメトリシステムであり、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
特定の実施形態では、方法は、乾燥対照組成物に対して本明細書に開示されるステップのいずれかを実施することを含み、方法は、乾燥対照組成物を再構成することをさらに含む。再構成は、保存および保管のために以前に乾燥させた対照組成物を液体の形態に戻すことを含む。乾燥対照組成物は、乾燥対照組成物を検出可能結合メンバと接触させて対照組成物をフローサイトメータに導入する前に緩衝液で再構成され得る。対照組成物は、対照組成物を再構成するための任意の便利なプロトコルに従って、例えば乾燥マトリックス緩衝液などの任意の適切な再構成剤と接触させ得る。再構成時間は様々であり得、いくつかの例では、5分~10分など、1分~30分の範囲である。再構成が行われる温度は様々であり得、いくつかの例では、温度は0℃~50℃の範囲であり得る。
【0074】
いくつかの場合には、フローサイトメトリアッセイは、対照組成物を透過処理剤と接触させることをさらに備える。透過処理により、結合剤、例えば標識結合メンバが対照組成物中の細胞に入り、細胞内マーカに特異的に結合することが可能になり得る。前述のように、対照組成物を陽性対照マーカに特異的な結合メンバと接触させる前に透過処理を行い得る。透過処理は、前述のように、乾燥対照組成物を再構成した後に行い得る。対照組成物の細胞は、メタノール、アセトンまたは界面活性剤(例えば、Triton(商標)、NP-40、サポニン、Tween(登録商標)20、ジギトニン、Leucoperm(商標)、など)、またはそれらの組み合わせなどの多くの細胞透過処理剤の任意のものへの曝露を介して透過処理され得る。透過処理時間は様々であり得、いくつかの例では、5分~30分など、1分~1時間の範囲である。透過処理が行われる温度は様々であり得、いくつかの例では、温度は0℃~50℃の範囲であり得る。
【0075】
方法の態様はまた、試験組成物または対照組成物中の細胞などのサンプルの粒子をソートすることを含み得る。特定の実施形態に係る方法は、粒子ソーティングモジュールのフローセルなどのフローセルの調査領域内のフローストリーム中の粒子を含むサンプルを照射すること、サンプルからの光(例えば、蛍光光)を検出すること、および収集システムへのサンプルの粒子をソートすることを含む。特定の実施形態では、サンプルは生物学的サンプルであり、方法は、少なくとも1つのタイプの細胞をソートおよび収集することを含む。
【0076】
関心対象の細胞は、関心対象の細胞への特定の蛍光標識の付着を介して特定される表現型特徴など、様々なパラメータに従って、フローストリームから分離するために標的とされ得る。いくつかの実施形態では、システムは、標的細胞を含むと決定された分析液滴を偏向するように構成される。様々な細胞が、ソーティングの標的とされ得る。関心対象の標的細胞には、幹細胞、T細胞、樹状細胞、B細胞、顆粒球、白血病細胞、リンパ腫細胞、NK細胞、マクロファージ、単球などが含まれるが、これらに限定されない。関心対象の標的細胞には、好都合な親和性剤またはそのコンジュゲートによって捕捉または標識され得る好都合なマーカまたは抗原を有する細胞が含まれる。例えば、標的細胞は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質および/または細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTから選択される1つ以上の抗原を含み得る。
【0077】
特定の実施形態の方法を実施する際、ある量の初期流体サンプルがフローサイトメータに注入される。粒子ソーティングモジュールに注入されるサンプルの量は、例えば、0.005mL~900mLなど、0.01mL~800mLなど、0.05mL~700mLなど、0.1mL~600mLなど、0.5mL~500mLなど、1mL~400mLなど、2mL~300mLなど、および5mL~100mLのサンプルなど、0.001mL~1000mLの範囲で様々であり得る。
【0078】
特定の実施形態による方法は、サンプル中の標識粒子(例えば、標的細胞)を計数し、ソートすることを含み得る。主題の方法の実施において、粒子を含む流体サンプルは、最初にシステムのフローノズルに導入される。フローノズルから出ると、粒子は実質的に一度に1つずつサンプル調査領域を通過し、そこでは粒子のそれぞれが光源に照射され、光散乱パラメータの測定値、およびいくつかの例では必要に応じて蛍光発光(例えば、2つ以上の光散乱パラメータと1つ以上の蛍光発光の測定値)は、粒子ごとに別個に記録される。粒子は、各粒子が光源によって照射される粒子ソーティングモジュール内のサンプル調査領域を介して流路内を実質的に一度に1つずつフローストリーム中で通過する。調査されるフローストリームの特性に応じて、フローストリームの0.001mm以上に光を照射し得、例えば0.005mm以上など、0.01mm以上など、0.05mm以上など、0.1mmなど、0.5mm以上など、および1mm以上のフローストリームに、光を照射し得る。特定の実施形態では、方法は、(上述のように)レーザなどを用いて、サンプル調査領域内のフローストリームの平面断面を照射することを含む。他の実施形態では、方法は、拡散レーザビームまたはランプの照射プロファイルに対応してなど、サンプル調査領域内のフローストリームの所定の長さを照射することを含む。
【0079】
特定の実施形態では、方法は、フローセルノズルオリフィスまたはその近くでフローストリームを照射することを含む。例えば、方法は、ノズルオリフィスから約0.001mm以上、0.005mm以上など、0.01mm以上など、0.05mm以上など、0.1mm以上など、0.5mm以上など、およびノズルオリフィスから1mm以上などの位置でフローストリームを照射することを含み得る。特定の実施形態では、方法は、フローセルノズルオリフィスに直接、隣接するフローストリームを照射することを含む。
【0080】
センシング領域と直列に、光電子増倍管(または「PMT」)などの検出器を使用して、粒子がセンシング領域を通過してエネルギー源によって照らされるときに、各粒子を通過する光(特定の場合に前方光散乱と呼ばれる)、センシング領域を通過する粒子のフローの方向に直交して反射する光(いくつかの場合には、直交または側方光散乱と呼ばれる)、および、それが蛍光マーカ(複数可)で標識される場合に粒子から放出される蛍光を記録する。前方光散乱(またはFSC)、直交光散乱(SSC)、および蛍光発光(FL1、FL2など)のそれぞれには、各粒子(または各「イベント」)の別個のパラメータが含まれる。したがって、例えば、2つの異なる蛍光マーカで標識された粒子から、2つ、3つ、または4つのパラメータを収集(および記録)することができる。
【0081】
適切な光検出プロトコルには、アクティブピクセルセンサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、イメージセンサ、電荷結合素子(CCD)、強化型電荷結合素子(ICCD)、発光ダイオード、フォトンカウンタ、ボロメータ、焦電検出器、フォトレジスタ、太陽電池、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスタ、量子ドット光伝導体またはフォトダイオード、およびそれらの組み合わせ、他の光検出器などの光学センサまたは光検出器が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、粒子ソーティングモジュールのサンプル調査領域での照射フローストリームからの光は、電荷結合素子(CCD)、半導体電荷結合素子(CCD)、アクティブピクセルセンサ(APS)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)イメージセンサまたはN型金属酸化物半導体(NMOS)イメージセンサを用いて測定される。特定の実施形態では、光は電荷結合素子(CCD)で測定される。粒子ソーティングモジュールのサンプル調査領域での照射フローストリームからの光がCCDで測定される場合、CCDの有効検出表面積は、0.01cm~10cmなど、0.05cm~9cmなど、0.1cm~8cmなど、0.5cm~7cmなど、および1cm~5cmなど、様々であり得る。
【0082】
粒子ごとに記録されたデータは、必要に応じて、リアルタイムで分析されるか、コンピュータなどのデータ保存および分析手段に保存される。米国特許第4,284,412号は、単一光源を備えた関心対象のフローサイトメータの構成および使用について記載しており、一方、米国特許第4,727,020号は、2つの光源を備えたフローサイトメータの構成および使用を記載している。
【0083】
特定の実施形態では、粒子を励起光に曝露し、必要に応じて1つ以上の検出チャネルで各粒子の蛍光を測定することによって、粒子を検出し、一意に特定する。粒子およびそれに関連する結合複合体を特定するために使用される検出チャネルで放出される蛍光は、単一光源による励起後に測定され得、または別個の光源による励起後に別個に測定され得る。粒子標識を励起するために別個の励起光源が使用される場合、標識は、使用される励起光源のそれぞれによってすべての標識が励起可能であるように選択され得る。
【0084】
特定の実施形態における方法は、また、コンピュータなどを用いたデータ取得、分析、および記録を含み、複数のデータチャネルが、それが粒子ソーティングモジュールのサンプル調査領域を通過する際に各粒子によって放出される光散乱および蛍光について各検出器からのデータを記録する。これらの実施形態では、分析は、各粒子がデジタル化パラメータ値のセットとして存在するように、粒子を分類および計数することを含む。主題のシステムは、関心対象の粒子をバックグラウンドおよびノイズから区別するために、選択パラメータでトリガするように設定され得る。「トリガ」は、パラメータを検出するための事前設定閾値を指し、光源を通る粒子の通過を検出するための手段として使用され得る。選択パラメータについての閾値を超えるイベントが検出されると、粒子についての光散乱および蛍光データの取得がトリガされる。閾値未満の応答を引き起こすアッセイ中の媒体における粒子または他の成分については、データは収集されない。トリガパラメータは、粒子が光ビームを通過することによって引き起こされる前方散乱光の検出であり得る。次いでフローサイトメータは、粒子の散乱光および蛍光データを検出して収集する。
【0085】
次いで、関心対象の特定の亜集団は、母集団全体について収集されたデータに基づく「ゲーティング」によってさらに分析される。適切なゲートを選択するために、可能な限り最良の亜集団の分離が得られるようにデータがプロットされる。この手順は、二次元ドットプロット上で前方散乱光(FSC)対側方(すなわち、直交)光散乱(SSC)をプロットすることにより実施され得る。次いで、粒子の亜集団(すなわち、ゲート内の細胞)が選択され、ゲート内にない粒子が除外される。必要に応じて、コンピュータ画面上でカーソルを使用して所望の亜集団の周りに線を引くことにより、ゲートを選択し得る。次いで、ゲート内のそれらの粒子のみが、蛍光など、これらの粒子の他のパラメータをプロットすることによってさらに分析される。必要に応じて、上記の分析は、サンプル中の関心対象の粒子のカウントを生成するように構成され得る。
【0086】
特定の実施形態では、システムは、例えばフローサイトメータのソートブロックの出力など、1つ以上の収集システムが偏向液滴受容位置と位置合わせされるタイムスロットを決定するように動作する。いくつかの例では、偏向信号は、初期偏向サブ信号および最終偏向サブ信号を含み、システムは、存在する場合、分析液滴を偏向させるようにデフレクタを構成するタイムスロットの開始時に初期偏向サブ信号を送信することによって、偏向信号を生成するように動作する。特定の場合には、方法は、分析液滴を偏向させないようにデフレクタを構成するタイムスロットの最後に、最終偏向サブ信号を粒子ソーティングモジュールに送信することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、単一分析液滴がタイムスロット中で偏向された後、最終偏向サブ信号を粒子ソーティングモジュールに送信することを含み、最終偏向サブ信号は、分析液滴を偏向させないようにデフレクタを構成する。関心対象のソート粒子、例えば細胞は、収集システムによって収集され得る。
【0087】
方法の態様は、フローサイトメータシステムをさらに含み得、フローサイトメータシステムは、収集システムに動作可能に結合されたソーティングフローサイトメータを含む。ソーティングフローサイトメータなどのフロー型粒子ソーティングシステムは、粒子の少なくとも1つの測定特徴に基づいて流体サンプル中の粒子をソートするために使用される。フロー型粒子ソーティングシステムでは、流体懸濁液中の分子、分析物結合ビーズ、または個々の細胞などの粒子は、ソートされるタイプのストリームに含まれる粒子をセンサが検出する検出領域によってストリーム内を通過する。センサは、ソートされるタイプの粒子を検出すると、関心対象の粒子を選択的に分離するソーティングメカニズムをトリガする。
【0088】
粒子センシングは、典型的には、粒子が1つ以上のレーザからの照射光に曝露される検出領域によって流体ストリームを通過させることによって実行され、粒子の光散乱および蛍光特性が測定される。粒子またはその成分を、検出を容易にするために蛍光色素で標識することができ、スペクトル的に異なる蛍光色素を使用して異なる粒子または成分を標識することにより、多数の異なる粒子または成分を同時に検出し得る。検出は、それぞれの異なる蛍光色素の蛍光の独立測定を容易にするために、1つ以上の光センサを使用して実行される。
【0089】
フロー型粒子ソーティングシステムの1つのタイプは、静電ソーティング型である。静電ソータでは、流体懸濁液がノズルからジェット噴射され、振動してストリームを均一な個別液滴に分割する。ソーティング機構は、ジェットストリームからそれが離れたときに、ソートされるタイプの粒子を含む液滴に電荷を帯びさせるための、ストリームに接続された液滴帯電手段を含む。液滴のストリームは、一対の逆に帯電した偏向板によって確立された横方向静電界を通過する。ソートされるタイプの粒子を含む荷電液滴は、液滴電荷の極性および大きさに関連する方向および量で偏向され、別個の収集レセプタクルにて収集される。非帯電液滴は、静電界を通過しても偏向せず、中央レセプタクルによって収集される。
【0090】
ソーティングフローサイトメータの様々な態様は、米国特許第3,960,449号;第4,347,935号;第4,667,830号;第4,704,891号;第4,770,992号;第5,030,002号;第5,040,890号;第5,047,321号;第5,245,318号;第5,317,162号;第5,464,581号;第5,483,469号;第5,602,039号;第5,620,842号;第5,627,040号;第5,643,796号;第5,700,692号;第6,372,506号;第6,809,804号;第6,813,017号;第6,821,740号;第7,129,505号;第7,201,875号;第7,544,326号;第8,140,300号;第8,233,146号;第8,753,573号;第8,975,595号;第9,092,034号;第9,095,494号および第9,097,640号に記載されており、それらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、ソーティングフローサイトメータは、BD Biosciences Influx(商標)セルソータ、BD Biosciences FACSAria(商標)IIIおよびBD FACSAria(商標)Fusionセルソータ、BD Biosciences FACSJazz(商標)セルソータ、BD Biosciences FACSMelody(商標)セルソータなどのBecton Dickinsonセルソートである。
【0091】
製造方法
本発明の実施形態はまた、例えば上記のような対照組成物を生成する方法を含む。本方法は、白血球についての1つ以上の陽性対照マーカを含む第1の白血球成分を、造血幹/前駆細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを含む第2の細胞成分、および1つ以上の新生細胞についての陽性対照マーカを含む第3の細胞成分と組み合わせて組み合わせ細胞組成物を生成すること、および、組み合わせ細胞組成物を固定剤と接触させて対照組成物を生成することを含み得る。
【0092】
いくつかの場合には、全血のサンプルから白血球を得ることによって、第1の白血球成分を生成し得る。全血のサンプルは、例えばヒト、非ヒト霊長類、ネズミ、または別の適切な哺乳動物などの任意の適切な供給源から取得し得る。本方法は、全血から白血球または赤血球を分離する任意の好都合な方法によって第1の白血球成分を生成することを含み得る。適切な方法には、遠心分離、遠心分離と組み合わせた沈降、音響泳動、フローサイトメトリソーティング、免疫磁気細胞分離、マイクロ流体技術が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの場合には、本方法は、赤血球の全血サンプルを枯渇させることを含む。本方法は、ある量の全血を、赤血球を溶解して第1の白血球成分を生成するための溶解剤と接触させることを含み得る。溶解剤は、全血中の赤血球を破壊および溶解し、白血球を残し得る。溶解は、組み合わせ細胞組成物を生成する前に行われ得、任意の適切なプロトコルに従って実行され得る。例えば、BD Pharm Lyse(商標)溶解剤などを含む、任意の適切な赤血球溶解剤を使用し得る。ある量の全血を、5~20分、10~20分、10~15分、または5~10分の範囲の時間量だけ、溶解剤と接触させ得る。ある量の全血を、10~30℃、20~30℃、20~25℃、10~25℃または15~25℃の範囲の温度で、溶解剤と接触させ得る。
【0093】
本方法は、第1の白血球成分を洗浄することをさらに含み得る。洗浄ステップは、例えば白血球成分から溶解赤血球および他の成分を除去するために、ある量の全血を溶解剤と接触させた後に行われ得る。洗浄は、溶解した全血を適切な洗浄緩衝液(例えば、PBS、HEPES)と組み合わせて流体から細胞を分離することによってなど、任意の便利なプロトコルを使用して行われ得る。所与の洗浄プロトコルは、必要に応じて、1つ以上の別個の洗浄ステップを含み得る。任意の洗浄プロトコルに従って、細胞を適切な液体(例えば、洗浄緩衝液または別の緩衝液)に再懸濁し得る。
【0094】
本方法は、溶解した全血を洗浄した後、第1の白血球成分を遠心分離することをさらに含み得る。遠心分離は、全血の成分、例えば血漿を細胞部分から分離し得、それにより、分離成分の1つ、例えば細胞部分を収集し得る。いくつかの場合には、全血サンプルから白血球を分離して収集するために遠心分離が行われる。遠心分離は、任意の便利なプロトコルに従って実施され得る。特定の実施形態では、第1の白血球成分は、10~30℃、20~30℃、20~25℃、10~25℃、または15~25℃の範囲の温度で遠心分離され得る。特定の実施形態では、第1の白血球成分は、1分~30分の範囲の時間、例えば1分~5分または5分~10分、遠心分離され得る。
【0095】
本方法は、例えば、第1の白血球成分を第2の細胞成分および第3の細胞成分と組み合わせる前に、第1の白血球成分中に存在する細胞量を定量化することをさらに含み得る。第1の白血球成分中に存在する細胞、例えば白血球の量は、4×10~5×10個の細胞、4×10~6×10個の細胞、5×10~6×10個の細胞の範囲であり得る。第1の白血球成分は、対照組成物の全細胞の80%~95%、85%~95%、または90%~95%の範囲の細胞量を含み得る。
【0096】
第2の細胞成分は、上記で詳細に説明したように、造血幹/前駆細胞についての陽性対照マーカを提供する任意の細胞集団または細胞の一部を含み得る。いくつかの場合には、第2の細胞成分は、造血幹/前駆細胞(例えば、骨髄細胞、臍帯血細胞など)を含む。いくつかの場合には、本方法は、例えば培養幹細胞株から造血幹/前駆細胞を得ることによって、第2の細胞成分を生成することをさらに含む。培養幹細胞株は、当技術分野で知られている任意の適切な方法に従って維持され得る。造血幹/前駆細胞は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、または別の適切な哺乳動物などの任意の適切な哺乳動物に由来する細胞であり得る。造血幹/前駆細胞は、胎児組織、臍帯血、骨髄、末梢血、または動員末梢血のいずれか1つに由来する細胞株から取得され得、または胚幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)もしくは成体多能性細胞などの他の細胞からエクスビボで導出され得る。特定の実施形態では、本方法は、例えば、第2の細胞成分を第1の白血球成分または第3の細胞成分と組み合わせる前に、第2の細胞成分に存在する細胞量を定量化することをさらに含む。第2の細胞成分は、4×10~6×10個の細胞、4×10~5×10個の細胞、または5×10~6×10個の細胞の範囲の任意の適切な細胞量を含み得る。第2の細胞成分中の細胞量は、対照組成物の全細胞の1%~10%、3%~10%、または5%~10%の範囲であり得る。
【0097】
第3の細胞成分は、上記で詳細に説明したように、新生細胞についての陽性対照マーカを提供する細胞の任意の集団または細胞の部分を含み得る。いくつかの場合には、第3の細胞成分は、上記で詳細に説明したように、例えば、リンパ腫細胞、白血病細胞、および/または骨髄腫細胞などの新生細胞を含む。いくつかの場合には、本方法は、例えば血癌細胞株などの例えば培養新生細胞株から新生細胞を得ることによって、第3の細胞成分を生成することをさらに含む。培養新生細胞株は、当技術分野で知られている任意の適切な方法に従って維持され得る。新生細胞は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、または別の適切な哺乳動物などの任意の適切な哺乳動物に由来する細胞であり得る。特定の実施形態では、新生細胞は、末梢血、骨髄、およびリンパ節に由来する細胞株から得られる。特定の実施形態において、本方法は、例えば、組み合わせ細胞組成物を生成する前に、第3の細胞成分中に存在する細胞量を定量化することをさらに含む。第3の細胞成分は、4×10~6×10個の細胞、4×10~5×10個の細胞、または5×10~6×10個の細胞の範囲の任意の適切な細胞量を含み得る。第3の細胞成分中の細胞量は、対照組成物の全細胞の1%~10%、3%~10%、または5%~10%の範囲であり得る。
【0098】
第1の白血球成分、第2の細胞成分、および第3の細胞成分を組み合わせることは、細胞成分のそれぞれを互いに接触させることによって実施され得る。特定の実施形態において、第1の白血球成分、第2の細胞成分、および第3の細胞成分を組み合わせることは、細胞成分のそれぞれを単一容器、すなわち同じ容器に導入することによって実施され得る。特定の実施形態では、細胞成分を組み合わせることは、容器内で細胞成分を一緒に混合または攪拌して、均一な混合物を形成することを含む。いくつかの場合には、細胞成分は、5~20分、10~20分、10~15分、または5~10分の範囲の時間量だけ、例えば一緒に混合されるなど、組み合わされる。特定の実施形態では、組み合わせることは、10~30℃、20~30℃、20~25℃、10~25℃または15~25℃の範囲の温度で生じ得る。
【0099】
特定の実施形態では、本方法は、細胞成分を固定して対照組成物を生成することをさらに含む。組み合わされた細胞組成物、または第1の白血球成分、第2の細胞成分、および第3の細胞成分の1つ以上は、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、メタノール、アセトン、ホルマリン、またはそれらの任意の組み合わせなどの多数の細胞固定剤(すなわち、固定試薬)のいずれかに曝露することによって固定され得る。必要に応じて、他の固定剤および固定方法を採用し得る。固定時間は様々であり得、いくつかの例では、例えば5分~30分または30分~1時間など、1分~1時間の範囲である。固定が行われる温度は様々であり得、いくつかの例では、温度は、15~25℃など、10~20℃など、または20~25℃など、-30~30℃の範囲である。
【0100】
本方法は、対照組成物を洗浄することをさらに含み得る。洗浄ステップは、例えば対照組成物から過剰な試薬、破片、および他の成分を除去するために、固定後に行われ得る。洗浄は、対照組成物を適切な洗浄緩衝液(例えば、PBS、HEPES)と組み合わせて流体から細胞を分離することによってなど、任意の便利なプロトコルを使用して行われ得る。所与の洗浄プロトコルは、必要に応じて、1つ以上の別個の洗浄ステップを含み得る。任意の洗浄プロトコルに従って、細胞を適切な液体(例えば、洗浄緩衝液または別の緩衝液)に再懸濁し得る。
【0101】
いくつかの場合には、本方法は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って対照組成物を遠心分離することをさらに含む。対照組成物の遠心分離は、対照組成物の細胞成分を洗浄した後に、例えば、組み合わせ細胞成分を過剰な試薬(例えば、洗浄緩衝液)から分離するために行われ得る。
【0102】
いくつかの場合には、本方法は、対照組成物を緩衝液で再構成することをさらに含む。対照組成物は、対照組成物を洗浄および遠心分離した後に再構成され得る。対照組成物は、任意の便利なプロトコルに従って、例えば乾燥マトリックス緩衝液などの任意の適切な再構成剤と接触され得る。再構成時間は様々であり得、いくつかの例では、5分~10分など、1分~30分の範囲である。再構成が行われる温度は様々であり得、いくつかの例では、温度は0℃~50℃の範囲であり得る。
【0103】
いくつかの場合には、本方法は、対照組成物中に存在する細胞量を定量化することをさらに含む。対照組成物は、任意の適切な数の細胞を含み得る。いくつかの場合には、対照組成物は、4×10~6×10個の細胞、5×10~6×10個の細胞、または5×10~7×10個の細胞の範囲の細胞量を含む。いくつかの場合には、方法は、対照組成物中に存在する細胞量を定量化した後の対照組成物の処理をさらに含む。いくつかの場合には、本方法は、対照組成物を遠心分離することをさらに含む。いくつかの場合には、本方法は、対照組成物を緩衝液で再構成することをさらに含む。
【0104】
いくつかの場合には、本方法は、対照組成物を乾燥させることをさらに含む。対照組成物は、組成物の機能性に影響を与えることなく、例えば対照組成物中に存在するマーカを破壊することなく、対照組成物を安定化させて貯蔵を可能にする任意の便利なプロトコルに従って乾燥され得る。対照組成物は、例えば、空気乾燥、凍結乾燥、真空濃縮蒸発、窒素ブローダウン蒸発、加熱などによって乾燥され得る。乾燥時間は様々であり得、いくつかの例では、5分~10分など、1分~30分の範囲である。乾燥が行われる温度は様々であり得、いくつかの例では温度は0℃~50℃の範囲であり得る。
【0105】
実用性
本開示の組成物、方法、およびキットは、陽性対照中のマーカの検出が望まれる様々な異なる応用にて使用が見出される。そのような応用には、フローサイトメトリアッセイおよびフローサイトメトリシステム、方法、ならびに試薬の品質管理が含まれる。フローサイトメトリの応用において、陽性対照は、フローサイトメータセットアップについての手順の標準化、アッセイ設定の決定、サンプルの準備、染色、および取得、ならびにデータ分析に貢献し得る。例えば、対照組成物は、フローサイトメトリアッセイにおける陽性対照として使用され得、対照組成物中に存在することが知られている1つ以上のマーカの検出は、フローサイトメトリアッセイ、例えばフローサイトメトリ方法およびそこで使用されるシステムのパフォーマンスを検証する。対照組成物は、また、例えば検出可能標識にコンジュゲートした抗体などのフローサイトメトリアッセイの1つ以上の試薬の陽性対照として機能し得る。いくつかの場合には、適切な応用には、顕微鏡検査および免疫組織化学が含まれる。
【0106】
特定の実施形態において、本開示の対照組成物は、診断または研究に基づく応用において陽性対照として機能する。そのような応用には、例えば、骨髄、末梢血、および/またはリンパ節組織中の造血幹/前駆細胞(例えば、リンパ系および非リンパ系)の正常または新生集団および/または白血球集団(例えば、B細胞、形質細胞、T細胞、およびNK細胞)などの、例えば、正常および新生細胞のフローサイトメトリ免疫表現型分析が含まれ得る。いくつかの場合には、関心対象の診断応用には、血液疾患を特定および分類し、個体が例えば白血病またはリンパ腫などの血液疾患を有するか否かを決定するためのフローサイトメトリアッセイが含まれる。
【0107】
いくつかの場合には、本開示の対照組成物は、抗体試薬のBD OneFlow(商標)パネルによって検出可能なすべてのマーカについての陽性対照として機能する。特定の実施形態において、対照組成物は、例えばBD OneFlow(商標)Acute Leukemia Orientation Tube(ALOT)、BD OneFlow(商標)Lymphoid Screening Tube(LST)、BD OneFlow(商標)B-cell Chronic Lymphoproliferative Diseases Tube 1(B-CLPD Tl)、BD OneFlow(商標)Plasma Cell Screening Tube(PCST)、およびBD OneFlow(商標)Plasma Cell Dyscrasia Tube(PCD)などのBD OneFlow(商標)パネルのいずれかを組み込むフローサイトメトリアッセイにおける陽性対照としての使用に適している。
【0108】
キット
また、キットも本開示によって提供される。キットは、本開示の方法を実施するために有用な1つ以上の試薬を含む。特定の態様では、キットは、本明細書に記載の実施形態のいずれかに係る対照組成物を含む容器を備える。
【0109】
いくつかの場合には、キットは、上記で詳細に説明したように、1つ以上の陽性対照マーカに特異的な1つ以上の結合メンバを有する1つ以上の容器をさらに備える。1つ以上の結合メンバは、検出可能標識(例えば、蛍光標識)にコンジュゲートされ得る。いくつかの場合には、1つ以上の結合メンバは、抗体を含む。
【0110】
1つ以上の容器は、関心対象の陽性対照マーカの組み合わせを検出するために適した1つ以上の結合メンバを含み得る。いくつかの場合には、1つ以上の結合メンバ、例えば抗体試薬は、BD OneFlow(商標)キットまたは複数BD OneFlow(商標)キットの組み合わせで提供される。BD OneFlow(商標)キットは、乾燥製剤の蛍光色素コンジュゲート抗体を提供し得、所与のマーカに特異的な各抗体は、一意の蛍光色素にコンジュゲートされる。各キットは、骨格マーカに特異的な抗体試薬のセットおよび分類マーカに特異的な抗体試薬のセットを含み得る。骨格マーカは、特定のパネルセット全体で共有され得、データファイルを組み合わせて単一の大きなデータファイルとして分析できるように、サンプルを正規化するために使用され得る。骨格マーカは、特定の細胞系列の異なる集団を特定するマーカであり得る。分類マーカを使用して、所与の系統内の細胞タイプを区別し、サンプル中の異常な細胞タイプを分類し得る。
【0111】
いくつかの例では、1つ以上の容器は、例えば、BD OneFlow(商標)ALOTによって提供される場合、急性リンパ芽球性白血病および非リンパ性急性白血病の診断の補助として、骨髄および末梢血中の造血細胞(リンパ系および非リンパ系)の新生未成熟集団のフローサイトメトリ免疫表現型分析に使用するための標識結合メンバを含み、いくつかの例では、標識結合メンバはMPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、CD3(細胞質)、CD3(細胞表面)、CD45である。いくつかの場合には、抗体試薬は2つの単回使用チューブ、細胞表面マーカに特異的な抗体試薬を含む(S)チューブおよび細胞表面マーカに特異的な抗体試薬を含む(C)チューブで提供される。細胞質マーカには、MPO、CD79a、およびCD3が含まれ得る。細胞表面マーカには、CD34、CD19、CD7、CD3、およびCD45が含まれ得る。B細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病(BCP-ALL)パネルの場合、BD OneFlow ALOTの骨格マーカには、CD45、CD34、およびCD19が含まれ得る。T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)パネルでは、BD OneFlow ALOTの骨格マーカには、CD45、細胞質CD3(cyCD3)、およびCD3が含まれ得る。急性骨髄性白血病(AML)パネルの場合、BD OneFlow ALOTの骨格マーカには、CD45およびCD34が含まれ得る。CD34およびCD45の陰性または弱い発現(CD45neg/dim)は、未成熟細胞のマーカとして使用され得る。細胞質ミエロペルオキシダーゼ(cyMPO)は、骨髄系統マーカとして使用され得る。cyCD3およびCD7は、T細胞系列マーカとして使用され得る。CD3は、T細胞についての成熟マーカとして使用され得る。CD19および細胞質CD79a(cyCD79a)は、B細胞系統マーカとして使用され得る。
【0112】
いくつかの例では、1つ以上の容器は、例えば、BD OneFlow(商標)LSTによって提供される場合、血液疾患の診断の補助として、末梢血、骨髄、およびリンパ節中のB、T、およびNK細胞系統の正常および新生成熟リンパ球集団のフローサイトメトリ免疫表現型分析に使用するための標識結合メンバを含み、いくつかの例では、標識結合メンバは、CD45、CD19、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD3、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、およびCD56である。BD OneFlow(商標)LSTは、標識結合メンバを含む単回使用チューブを提供し得る。いくつかの場合には、CD45を使用して成熟リンパ球およびB細胞前駆体を特定する。いくつかの場合には、CD3を使用してT細胞を特定する。いくつかの場合には、CD3を使用してB細胞およびNK細胞を除外により特定する。いくつかの場合には、抗TCRγ/δ-1、CD5、CD4、およびCD8を使用して、T細胞を多数の亜集団に分離する。いくつかの場合には、CD19およびCD20を使用してB細胞を特定し、CD45とともにB細胞を成熟Bリンパ球(CD19+、CD20hi、CD45hi)およびB細胞前駆体(CD19+、CD20-/lo、CD451o)に分離できる。いくつかの場合には、CD19およびCD20を使用して、除外によってNK細胞を特定する。いくつかの場合には、抗カッパおよび抗ラムダを使用して、IgκまたはIgλをそれぞれ表面膜に発現する正常およびクローン増殖したB細胞集団を特定する。いくつかの場合には、CD38を使用して、形質細胞およびB細胞前駆体を特定する。いくつかの場合には、CD38は、リンパ系悪性腫瘍の評価に使用される。いくつかの場合には、CD38を使用してNK細胞の特定を補助し得る。いくつかの場合には、CD56を使用してNK細胞を特定する。
【0113】
いくつかの例では、1つ以上の容器は、例えば、BD OneFiow(商標)B-CLPD T1によって提供される場合、慢性リンパ性白血病(CLL)および他のB細胞慢性リンパ増殖性疾患の診断の補助として、末梢血および骨髄中のB細胞のフローサイトメトリ免疫表現型分析に使用するための標識結合メンバを含み、いくつかの例では、標識結合メンバは、CD23、CD10、CD79b、CD19、CD200、CD43、CD20、およびCD45である。BD OneFiow(商標)B-CLPD T1は、標識結合メンバを含む単回使用チューブを提供し得る。いくつかの場合には、BD OneFIow(商標)B-CLPD T1を、CLLを他のB細胞慢性リンパ増殖性疾患と区別するためにBD OneFIow(商標)LSTと組み合わせてさらに調査する必要があるB系統集団とともに標本に使用し得る。いくつかの場合には、CD45、CD19、およびCD20は、BD OneFIow(商標)LSTおよびBD OneFIow(商標)B-CLPD T1の両方に存在し、骨格マーカとして機能するため、2つのチューブを使用して染色された標本を直接比較できる。いくつかの場合には、CD23、CD200、CD79b、CD43、およびCD10が分類マーカとして使用され、BD OneFiow(商標)LSTからのCD5およびCD38とともに、標本をCLLまたは他のB細胞慢性リンパ増殖性疾患として分類することができる。いくつかの場合には、BD OneFlow(商標)LSTに存在する抗カッパおよび抗ラムダが、B細胞集団のクローン性を評価する。
【0114】
いくつかの例では、1つ以上の容器は、例えば、BD OneFiow(商標)PCSTによって提供される場合、血液疾患の診断の補助として、骨髄中の正常なポリクローナルおよび新生形質細胞集団のフローサイトメトリ免疫表現型分析のための標識結合メンバを有し、いくつかの例では、標識結合メンバは、CD38、CD56、β2-マイクログロブリン、CD19、カッパ軽鎖、ラムダ軽鎖、CD45、およびCD138である。いくつかの場合には、標識結合メンバは、2つの単回使用チューブ:細胞表面マーカに特異的な標識結合メンバを含む(S)チューブ、および細胞表面マーカに特異的な標識結合メンバを含む(C)チューブで提供される。細胞表面マーカには、CD38、CD56、β2-マイクログロブリン、CD19、CD45、およびCD138が含まれ得る。細胞内マーカには、カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖が含まれ得る。いくつかの場合には、CD38、CD138、CD45、およびCD19が形質細胞を特定する骨格マーカとして使用される。いくつかの場合には、CD56およびβ2-マイクログロブリンを分類マーカとして使用して、異常な形質細胞集団を特定する。いくつかの場合には、抗カッパおよび抗ラムダを使用して形質細胞のクローン性を評価する。いくつかの場合には、CD19、抗カッパおよび抗ラムダを使用して、成熟B細胞を特定して特徴付ける。
【0115】
いくつかの場合には、1つ以上の容器は、例えば、BD OneFiow(商標)PCDチューブによって提供される場合、多発性骨髄腫または他の形質細胞疾患の診断の補助として、骨髄中の正常および新生形質細胞のフローサイトメトリ免疫表現型分析に使用するための標識結合メンバを含み、いくつかの例では、標識結合メンバは、CD38、CD28、CD27、CD19、CD117、CD81、CD45、およびCD138である。BD OneFlow(商標)PCDチューブは、標識結合メンバを含む単回使用チューブを提供し得る。BD OneFlow(商標)PCDチューブは、BD OneFlow(商標)PCSTと並行して利用され得る。いくつかの場合には、CD38、CD138、CD45、およびCD19は、形質細胞を特定する骨格マーカとして使用される。いくつかの場合には、CD27、CD28、CD117、およびCD81を分類マーカとして使用して、異常な形質細胞集団を特定する。
【0116】
キットは、フローサイトメトリアッセイを行うための試薬をさらに備え得る。この試薬の例には、検出可能分子の再構成および希釈の少なくとも1つのための緩衝液、対照組成物または細胞サンプルを1つ以上の結合メンバと接触させるための緩衝液、洗浄緩衝液、対照ビーズ、フローサイトメータ較正のための蛍光ビーズ、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0117】
上記の結合メンバおよび/または試薬は、液体または乾燥(例えば、凍結乾燥)形態で提供され得る。上記成分(結合メンバおよび/または試薬)のいずれも、別個の容器(例えば、別個のチューブ、ボトル、またはマルチウェルストリップもしくはプレートのウェル)に存在し得る。さらに、1つ以上の成分は、単一容器、例えば、ガラスまたはプラスチックのバイアル、チューブ、またはボトルにて組み合わされ得る。
【0118】
上記の構成要素に加えて、主題のキットは、主題の方法を実施するための説明書をさらに備え得る。これらの説明書は、様々な形態で主題のキットに存在し得、そのうちの1つ以上がキットに存在し得る。これらの説明書が存在し得る1つの形態は、適切な媒体または基板、例えば情報が印刷された1枚または複数枚の紙、キットのパッケージ、添付文書などに印刷された情報としてのものである。さらに別の手段は、情報が記録されているコンピュータ可読媒体、例えばディスケット、CD、DVD、ポータブルフラッシュドライブなどである。存在し得るさらに別の手段は、移動先サイトの情報にアクセスするためにインターネット経由で使用され得るウェブサイトアドレスである。キットには、任意の便利な手段が存在し得る。
【0119】
以下の実施例は、説明のために提供されており、限定するためのものではない。
【実施例
【0120】
以下の実施例は、当業者に本発明をどのように作成して使用するかについての完全な開示および説明を提供するために提示されるものであり、発明者が自身の発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではなく、また、以下の実験が、実行されたすべてまたは唯一の実験であると表すことを意図するものでもない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを確保するための努力がなされているが、いくつかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。特に断りがない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量、温度は摂氏度、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0121】
分子および細胞の生化学における一般的な方法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版(Sambrookら、HaRBor Laboratory Press 2001);Short Protocols in Molecular Biology、第4版(Ausubelら編、John Wiley&Sons 1999);Protein Methods(Bollagら、John Wiley&Sons 1996);Nonviral Vectors for Gene Therapy(Wagnerら編,Academic Press 1999);Viral Vector(Kaplift&Loewy編、Academic Press 1995);Immunology Methods Manual(I.Lefkovits編,Academic Press 1997);およびCell and Tissue Culture:Laboratory Procedures in Biotechnology(Doyle&Griffiths、John Wiley&Sons 1998)などの標準的な教科書に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。この開示で参照または関連する方法についての試薬、クローニングベクター、細胞、およびキットは、BioRad、Agilent Technologies、Thermo Fisher Scientific、Sigma-Aldrich、New England Biolabs(NEB)、Takara Bio USA,Inc.などの商用業者、および、例えばAddgene,Inc.、American Type Culture Collection(ATCC)などのリポジトリから入手できる。
【0122】
実施例1:培養CD34+細胞およびU266細胞をスパイクした乾燥DCTL-CD34+CD138+組成物
以下の説明は、5×10個の培養ヒトBM(骨髄)CD34+細胞(P1、D10)、5×10個のU266細胞(社内QC培養グループが提供)、およびスパイク前の5.9×10個のWBCを含む5DP(社内)からBD OneFlow(商標)パネルのすべてのマーカ/抗原を含む全血ベースの陽性対照を調製するための例示的な方法を提供する。陽性対照は、次のステップに従って調製される。
1.5DPを1×Pharm Lyseで溶解する(15分、室温)。
2.細胞を洗浄し、スピンし、計数する。
3.5×10個の培養CD34+細胞および5×10個のU266細胞を5.9×10個の溶解WBCにスパイク(両方の細胞に対して7.2%スパイク)し、別の1.5×10個の溶解WBCはスパイクなし。
4.1%PFA(60分、室温)でスパイクおよび非スパイクWBCを固定する。
5.洗浄し、スピンし、1×乾燥マトリックス緩衝液で再構成し、次いで細胞を計数する。
6.スピンし、次いで5.72×10個のスパイクされたWBC、1.42×10個のスパイクされていないWBCを4×乾燥マトリックス緩衝液で再構成する。
7.2.86×10個/チューブのスパイクWBC(dCTL-CD34+CD138+lot1)の20チューブ、および2.84×10個/チューブの非スパイクWBC(DLK)の5チューブをアリコートし、乾燥させる。
【0123】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、開示は次の付記によっても定義される。
1.白血球についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第1の白血球成分と、
造血幹/前駆細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第2の細胞成分と、
新生細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第3の細胞成分と
を備えており、
第1の白血球成分、第2の細胞成分、および第3の細胞成分は固定されている、
対照組成物。
2.1つ以上の陽性対照マーカは、細胞表面マーカを有する、付記1に記載の対照組成物。
3.1つ以上の陽性対照マーカは、細胞内マーカを有する、付記1または2に記載の対照組成物。
4.対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-ミクログロフリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTからなる群から選択される陽性対照マーカを50%以上備える、付記1~3のいずれか一つに記載の対照組成物。
5.対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTからなる群から選択される陽性対照マーカを60%以上備える、付記1~4のいずれか一つに記載の対照組成物。
【0124】
6.対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-ミクログロフリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTからなる群から選択される陽性対照マーカを80%以上備える、付記1~5のいずれか一つに記載の対照組成物。
7.対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTの陽性対照マーカを備える、付記1~6のいずれか一つに記載の対照組成物。
8.第1の白血球成分は、MPO、CD79a、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、β2-マイクログロブリンの陽性対照マーカを有する、付記1~7のいずれか一つに記載の対照組成物。
9.第2の細胞成分は、CD34、CD117、CD105、CD71、TdTの陽性対照マーカを有する、付記1~8のいずれか一つに記載の対照組成物。
10.第3の細胞成分は、CD38、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD56、CD45、CD28、CD27、CD81、CD138の陽性対照マーカを有する、付記1~9のいずれか一つに記載の対照組成物。
【0125】
11.第1の白血球成分は、2×10~3×10個の細胞の範囲の細胞量を有する、付記1~10のいずれか一つに記載の対照組成物。
12.第1の白血球成分は、白血球を含む、付記1~11のいずれか一つに記載の対照組成物。
13.第1の白血球成分は、赤血球を溶解するための溶解剤と接触させた全血から調製される、付記1~12のいずれか一つに記載の対照組成物。
14.第2の細胞成分は、対照組成物の全細胞の5~10%の範囲の細胞量を有する、付記1~13のいずれか一つに記載の対照組成物。
15.第2の細胞成分は、0.1×10~0.3×10個の細胞の範囲の細胞量を有する、付記1~14のいずれか一つに記載の対照組成物。
【0126】
16.第2の細胞成分は、造血幹/前駆細胞を有する、付記1~15のいずれか一つに記載の対照組成物。
17.第2の細胞成分は、骨髄細胞を有する、付記1~16のいずれか一つに記載の対照組成物。
18.第2の細胞成分は、臍帯血細胞を有する、付記1~16のいずれか一つに記載の対照組成物。
19.第3の細胞成分は、対照組成物中の全細胞の5~10%の範囲の細胞量を有する、付記1~18のいずれか一つに記載の対照組成物。
20.第3の細胞成分は、0.1×10~0.3×10個の細胞の範囲の細胞量を有する、付記1~19のいずれか一つに記載の対照組成物。
【0127】
21.第3の細胞成分は、新生細胞を有する、付記1~20のいずれか一つに記載の対照組成物。
22.新生細胞は、リンパ腫細胞、白血病細胞、または多発性骨髄腫細胞を有する、付記21に記載の対照組成物。
23.対照組成物は、2×10~3×10個の細胞の範囲の細胞量を備える、付記1~22のいずれか一つに記載の対照組成物。
24.対照組成物は、乾燥している、付記1~23のいずれか一つに記載の対照組成物。
【0128】
25.付記1~23のいずれか一つに記載の対照組成物を用いてフローサイトメトリアッセイを実施することを有しており、
フローサイトメトリアッセイは、
対照組成物を、1つ以上の陽性対照マーカに特異的な1つ以上の結合メンバと接触させて、標識対照組成物を生成すること、および
標識対照組成物をフローサイトメータに導入して、1つ以上の陽性対照マーカが検出されたか否かを示すフローサイトメトリデータを生成すること
を含み、
1つ以上の陽性マーカの検出を示すフローサイトメトリデータは、フローサイトメトリアッセイおよび1つ以上の結合メンバの機能性を検証する、
方法。
26.対照組成物は、乾燥している、付記25に記載の方法。
27.フローサイトメトリアッセイは、対照組成物を緩衝液で再構成することをさらに含む、付記26に記載の方法。
28.フローサイトメトリアッセイは、対照組成物を透過処理剤と接触させることをさらに含む、付記25~27のいずれか一つに記載の方法。
29.1つ以上の結合メンバは、検出可能標識にコンジュゲートされる、付記25~28のいずれか一つに記載の方法。
【0129】
30.検出可能標識は、蛍光標識を備える、付記29に記載の方法。
31.1つ以上の結合メンバは、抗体を備える、付記25~30のいずれか一つに記載の方法。
【0130】
32.対照組成物を生成する方法であって、
白血球についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第1の白血球成分を、造血幹/前駆細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第2の細胞成分および新生細胞についての1つ以上の陽性対照マーカを有する第3の細胞成分と組み合わせて、組み合わせ細胞組成物を生成すること、および、
組み合わせ細胞組成物を固定剤と接触させて対照組成物を生成すること
を含む、方法。
33.ある量の全血を赤血球を溶解させる溶解剤と接触させて第1の白血球成分を生成することをさら含む、付記32に記載の方法。
34.ある量の全血は、10~20分の範囲の時間、溶解剤と接触される、付記33に記載の方法。
35.ある量の全血は、15℃~25℃の範囲の温度で溶解剤と接触される、付記33または34に記載の方法。
36.第1の白血球成分を洗浄することをさらに含む、付記33~35のいずれか一つに記載の方法。
【0131】
37.第1の白血球成分を遠心分離することをさらに含む、付記36に記載の方法。
38.第1の白血球成分中に存在する細胞量を定量化することをさらに含む、付記37に記載の方法。
39.第1の白血球成分は、4×10~6×10個の細胞の範囲の細胞量を有する、付記32~38のいずれか一つに記載の方法。
40.第1の白血球成分は、白血球を有する、付記32~39のいずれか一つに記載の方法。
41.第2の細胞成分は、4×10~5×10個の細胞の範囲の細胞量を有する、付記32~40のいずれか一つに記載の方法。
【0132】
42.第2の細胞成分は、造血幹/前駆細胞を有する、付記32~41のいずれか一つに記載の方法。
43.第2の細胞成分は、骨髄細胞を有する、付記32~42のいずれか一つに記載の方法。
44.第2の細胞成分は、臍帯血細胞を有する、付記32~42のいずれか一つに記載の方法。
45.第3の細胞成分は、4×10~5×10個の細胞の範囲の細胞量を有する、付記32~44のいずれか一つに記載の方法。
46.第3の細胞成分は、新生細胞を有する、付記32~45のいずれか一つに記載の方法。
【0133】
47.新生細胞は、リンパ腫細胞、白血病細胞、または多発性骨髄腫細胞を有する、付記46に記載の方法。
48.組み合わせ細胞組成物は、30分~1.5時間の範囲の時間、固定剤と接触させられる、付記32~47のいずれか一つに記載の方法。
49.組み合わせ細胞組成物は、15℃~25℃の範囲の温度で固定剤と接触させられる、付記32~48のいずれか一つに記載の方法。
50.対照組成物を洗浄することをさらに含む、付記32~49のいずれか一つに記載の方法。
51.対照組成物を遠心分離することをさらに含む、付記50に記載の方法。
【0134】
52.緩衝液を用いて対照組成物を再構成することをさらに含む、付記51に記載の方法。
53.対照組成物中に存在する細胞量を定量化することをさらに含む、付記52に記載の方法。
54.対照組成物は、4×10~6×10個の細胞の範囲の細胞量を有する、付記32~53のいずれか一つに記載の方法。
55.対照組成物を遠心分離することをさらに含む、付記53または54に記載の方法。
56.緩衝液を用いて対照組成物を再構成することをさらに含む、付記55に記載の方法。
【0135】
57.対照組成物を乾燥させることをさらに含む、付記56に記載の方法。
58.1つ以上の陽性対照マーカは、細胞表面マーカを有する、付記32~57のいずれか一つに記載の方法。
59.1つ以上の陽性対照マーカは、細胞内マーカを有する、付記32~58のいずれか一つに記載の方法。
60.対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTからなる群から選択される陽性対照マーカを50%以上備える、付記32~59のいずれか一つに記載の方法。
61.対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTからなる群から選択される陽性対照マーカを60%以上有する、付記32~60のいずれか一つに記載の方法。
【0136】
62.対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTからなる群から選択される陽性対照マーカを80%以上有する、付記32~61のいずれか一つに記載の方法。
63.対照組成物は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD20、β2-マイクログロブリン、CD138、CD28、CD27、CD117、CD81、CD71、CD105、TdTを有する、付記32~62のいずれか一つに記載の方法。
64.第1の白血球成分は、MPO、CD79a、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、CD45、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、CD56、β2-マイクログロブリン、CD138の陽性対照マーカを有する、付記32~63のいずれか一つに記載の方法。
65.第2の細胞成分は、CD34、CD117、CD105、CD71、TdTの陽性対照マーカを有する、付記32~64のいずれか一つに記載の方法。
66.第3の細胞成分は、CD38、CD23、CD10、CD79b、CD200、CD43、CD56、CD45、CD28、CD27、CD81、CD138の陽性対照マーカを有する、付記32~65のいずれか一つに記載の方法。
【0137】
67.第2の細胞成分中の細胞量は、対照組成物の全細胞の5~10%の範囲である、付記32~66のいずれか一つに記載の方法。
68.第3の細胞成分中の細胞量は、対照組成物の全細胞の5~10%の範囲である、付記32~67のいずれか一つに記載の方法。
【0138】
69.付記1~24のいずれか一つに記載の対照組成物を有する容器を備える、キット。
70.1つ以上の陽性対照マーカに特異的な1つ以上の結合メンバを有する1つ以上の容器をさらに備える、付記69に記載のキット。
71.1つ以上の結合メンバは、検出可能標識にコンジュゲートされる、付記70に記載のキット。
72.検出可能標識は、蛍光標識を備える、付記71に記載のキット。
73.1つ以上の結合メンバは、抗体を有する、付記70~72のいずれか一つに記載のキット。
【0139】
74.1つ以上の容器は、MPO、CD79a、CD34、CD19、CD7、細胞質CD3、細胞表面CD3、およびCD45に特異的な結合メンバを有する、付記69~73のいずれか一つに記載のキット。
75.1つ以上の容器は、CD45、CD19、CD20、ラムダ軽鎖、カッパ軽鎖、CD38、CD3、CD4、CD8、CD5、TCRγδ、およびCD56に特異的な結合メンバを有する、付記69~73のいずれか一つに記載のキット。
76.1つ以上の容器は、CD23、CD10、CD79b、CD19、CD200、CD43、CD20、およびCD45に特異的な結合メンバを有する、付記69~73のいずれか一つに記載のキット。
77.1つ以上の容器は、CD38、CD56、β2-マイクログロブリン、CD19、抗カッパ、抗ラムダ、CD45、およびCD138に特異的な結合メンバを有する、付記69~73のいずれか一つに記載のキット。
78.1つ以上の容器は、CD38、CD28、CD27、CD19、CD117、CD81、CD45、およびCD138に特異的な結合メンバを有する、付記69~73のいずれか一つに記載のキット。
79.1つ以上の容器は、CD34、CD117、CD71、CD105、TdT、およびCD138に特異的な結合メンバを有する、付記69~73のいずれか一つに記載のキット。
【0140】
前述した実施形態の少なくともいくつかでは、実施形態で使用される1つ以上の要素は、そのような置換が技術的に実行可能でない場合を除き、別の実施形態で交換可能に使用することができる。特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、上述の方法および構造に対して様々な他の省略、追加、および修正を行い得ることを当業者は理解する。そのような修正および変更はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の範囲内にあることを意図している。
【0141】
概して、本明細書で、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は、概して「オープン」な用語であるものと意図されることが当業者には理解される(例えば、「含むこと」という用語は「含むがこれに限定されないこと」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきであるなど)。導入された請求項記載物の特定の数が意図されている場合、そのような意図は請求項にて明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが当業者によってさらに理解される。例えば、理解の助けとして、以下の添付の請求項には、請求項記載物の導入のための導入句「少なくとも1つ」および「1つ以上」の使用が含まれ得る。しかし、そのような句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項記載物の導入が、そのような導入された請求項に記載物を含む任意の特定の請求項を、たとえ同請求項に導入句「1つ以上」または「少なくとも1つ」および「a」または「an」などの不定冠詞が含まれるとしても、そのような記載物を1つだけ含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項記載物を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。さらに、導入された請求項記載物の特定の数が明示的に記載されている場合でも、当業者は、そのような記載物が少なくとも記載の数を意味すると解釈されるべきであることを認識する(例えば、他の修飾語なしの「2つの記載物」というそのままの記載物は、少なくとも2つの記載物、または2つ以上の記載物を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどの少なくとも1つ」に類似した取り決めが使用されている場合、概して、そのような構成は、当技術分野の技術を有する者が取り決めを理解する意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、および/またはA、B、Cを一緒に有するシステムを含むが、これらに限定されないなど)。「A、B、またはCなどの少なくとも1つ」に類似した取り決めが使用されているそれらの例では、概して、そのような構成は、当技術分野の技術を有する者が取り決めを理解する意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、および/またはA、B、Cを一緒に有するシステムを含むが、これらに限定されないなど)。詳細な説明、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいても、2つ以上の代替用語を提示する事実上すべての選言的な単語および/または句は、用語のうちの1つ、いずれかの用語、または両方の用語を含む可能性を企図するように理解されるべきであることが当技術分野の人々によってさらに理解される。例えば、「AまたはB」という句は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解される。
【0142】
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループの用語で説明される場合、当業者はそれによって、本開示がマーカッシュグループの任意の個々のメンバまたはメンバのサブグループに関しても説明されることを認識する。
【0143】
当業者によって理解されるように、書面による説明を提供することに関してなど、ありとあらゆる目的のために、本明細書に開示されるすべての範囲はまた、ありとあらゆる可能なサブ範囲およびそのサブ範囲の組み合わせを包含する。リストされた範囲はいずれも、同範囲を少なくとも等半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などにブレークダウンすることを十分に記述し、可能にするものとして容易に認識できる。非限定的な例として、本明細書で議論される各範囲は、容易に下3分の1、中3分の1、上3分の1などにブレークダウンできる。当業者によっても理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などのすべての言語は、記載されている数を含み、続いて上記のようにサブ範囲にブレークダウンできる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、各個々のメンバを含む。したがって、例えば、1~3の物品を有するグループは、1、2、または3つの物品を有するグループを指す。同様に、1~5の物品を有するグループは、1、2、3、4、または5の物品を有するグループを指し、以下同様である。
【0144】
前述した発明は、理解を明確にするために例示および例としていくらか詳細に説明されてきたが、この発明の教示に照らして当業者には、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、特定の変更および修正をそれに行い得ることが容易に明らかである。
【0145】
したがって、上記は単に本発明の原理を説明するものである。当業者は、本明細書に明示的に記載または示されていないが、本発明の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解される。さらに、本明細書に記載されたすべての例および条件付き言語は、主に、本発明の原理および本発明者が技術を促進するために寄与する概念を読者が理解することを支援することを意図しており、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態を本明細書にて記載するすべての記載、ならびにそれらの具体例は、それらの構造的および機能的均等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような均等物には、現在知られている均等物および将来開発される均等物、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実行する任意の開発要素が含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものはすべて、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に献上することは意図されていない。
【0146】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、説明される例示的な実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。特許請求の範囲では、35U.S.C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は、請求項にて「ための手段」という正確な句または「ためのステップ」という正確な句がそのような制限の冒頭に記載されている場合にのみ、請求項の制限について適用されると明示的に定義されており、そのような正確な句が請求項における制限で使用されていない場合、35U.S.C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は適用されない。
【0147】
関連出願への相互参照
35U.S.C§119(e)に従い、この出願は、2020年5月13日に出願された米国仮特許出願番号第63/024,065号の出願日に対する優先権を主張し、その出願の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】