(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】刺激性標的針
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
A61B17/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568943
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021030582
(87)【国際公開番号】W WO2021231130
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507280675
【氏名又は名称】アルファテック スパイン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィザビー,グラハム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL62
(57)【要約】
【解決手段】手術システムは、骨材料に進入可能な遠位端部及びスタイレットハブに結合されている近位端部を有する導電性スタイレットを備えてもよい。ハンドルが、スタイレットハブに着脱不可能に取り付けられており、絶縁性カニューレハブに着脱可能に取り付け可能である。ハンドルが絶縁性カニューレハブの近位端部に取り付けられているとき、絶縁性カニューレハブは、スタイレットを囲んでいる導電性カニューレに着脱不可能に取り付けられている。外側の絶縁性シースが絶縁性カニューレハブに摺動可能に係合しており、X線不透過性の遠位先端部を有している。椎弓根完全性評価を行うために電気信号源がスタイレットハブに結合されてもよい。ハンドル及びスタイレットはカニューレアセンブリから外され、カニューレアセンブリを手術部位の所定の位置に残してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材料に進入可能な遠位端部から導電性スタイレットハブを有する近位端部に延びている軸を有する導電性スタイレットと、
前記導電性スタイレットハブに着脱不可能に取り付けられて、近位側把持部分を有し、絶縁性カニューレハブの近位端部に着脱可能に取り付け可能なハンドルと、
導電性カニューレに着脱不可能に取り付けられている前記絶縁性カニューレハブと、
前記ハンドルが前記絶縁性カニューレハブの近位端部に取り付けられているとき、前記導電性スタイレットを囲んでいる前記導電性カニューレと、
前記絶縁性カニューレハブに摺動可能に係合して、X線不透過性材料で形成された先端部を遠位端部に有する外側の長尺状の絶縁性シースと
を備えている、手術器具システム。
【請求項2】
前記導電性スタイレットハブはスタイレットハブ直径を有し、前記導電性カニューレはカニューレ直径を有し、前記スタイレットハブ直径は前記カニューレ直径と少なくとも同じ大きさである、請求項1に記載の手術器具システム。
【請求項3】
前記絶縁性カニューレハブが前記ハンドルに取り付けられているとき、前記導電性カニューレは前記導電性スタイレットを囲んでいる、請求項1又は2に記載の手術器具システム。
【請求項4】
前記ハンドルは遠位側連結部分を更に有しており、前記導電性スタイレットハブは、前記近位側把持部分及び前記遠位側連結部分を貫いて延びている長手方向の空所内に受け入れ可能である、請求項1~3のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項5】
前記ハンドルは、横方向に延びているフランジを含む突出部を前記遠位側連結部分に更に有しており、前記絶縁性カニューレハブは近位側空所及び一又は複数のスロットを有しており、前記ハンドルの遠位側連結部分の突出部は前記近位側空所内で受け入れ可能であり、前記フランジは、前記一又は複数のスロット内で受け入れ可能である、請求項1~4のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項6】
前記導電性スタイレットは前記ハンドルに一体化されている、請求項1~5のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項7】
前記絶縁性シースは前半分及び後半分を有しており、前記前半分及び前記後半分は、前記絶縁性シースの長手軸芯に沿って共に超音波溶接されている、請求項1~6のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項8】
前記導電性カニューレは、遠位側直径に向かって先細の近位側直径を有しており、前記遠位側直径は前記近位側直径より小さい、請求項1~7のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項9】
前記導電性スタイレットは遠位先端部に形状を更に有し、前記ハンドルは前記ハンドルの近位端部に形状指標を更に有している、請求項1~8のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項10】
前記導電性スタイレットハブは前記導電性スタイレットの近位端部を囲んでいる、請求項1~9のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項11】
前記ハンドルは近位端部及び遠位端部を更に有しており、空所が前記近位端部及び前記遠位端部を貫いて長手方向に延びており、前記導電性スタイレットハブは前記近位端部及び前記遠位端部内の前記空所を通過している、請求項1~10のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項12】
前記導電性スタイレットハブの近位端部が前記ハンドルの近位端部を通って露出している、請求項1~11のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項13】
前記絶縁性カニューレハブは、前記絶縁性シースを越えて延びている前記導電性スタイレットの長さを示すマークを更に有している、請求項1~12のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項14】
前記絶縁性シースは、前記手術器具システムの貫通深さを示すマークを更に有している、請求項1~13のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項15】
前記絶縁性カニューレハブは、第1の溝及び第2の溝を有する長手チャネルを更に有しており、前記絶縁性シースは、前記長手チャネル内で摺動可能な延長部分を更に有している、請求項1~14のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項16】
前記導電性スタイレットハブは、電気源から前記導電性スタイレットハブに電流を伝えるために前記電気源に結合可能である、請求項1~15のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項17】
前記導電性カニューレ全体が導電性材料で形成されている、請求項1~16のいずれか1つに記載の手術器具システム。
【請求項18】
ハンドルアセンブリを備えており、前記ハンドルアセンブリは、
骨材料に進入可能な遠位端部から導電性スタイレットハブを有する近位端部に延びている軸を有する導電性スタイレットと、
前記導電性スタイレットハブに着脱不可能に取り付けられて、近位側把持部分及び遠位側連結部分を有し、前記導電性スタイレットハブを密接して受けるために前記近位側把持部分及び前記遠位側連結部分を貫いて延びている長手方向の空所を有するハンドルであって、絶縁性カニューレハブの近位端部に着脱可能に取り付け可能であり、横方向に延びているフランジを含む突出部を前記遠位側連結部分に更に有している前記ハンドルと、
前記ハンドルアセンブリに着脱不可能に取り付け可能なカニューレアセンブリと
を有しており、前記カニューレアセンブリは、
カニューレに着脱不可能に取り付けられて、近位側空所及び一又は複数のスロットを有している前記絶縁性カニューレハブであって、前記ハンドルの遠位側連結部分の突出部が前記近位側空所内で受け入れ可能であり、前記フランジが前記一又は複数のスロット内で受け入れ可能である前記絶縁性カニューレハブと、
前記ハンドルが前記絶縁性カニューレハブの近位端部に取り付けられているとき、前記導電性スタイレットを囲んでいる前記カニューレと、
前記絶縁性カニューレハブに摺動可能に係合して、X線不透過性材料で形成された先端部を遠位端部に有する外側の長尺状の絶縁性シースと
を有している、手術器具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、脊椎手術に使用されてもよい手術器具に関する。より具体的には限定することなく、本開示は、椎弓根完全性評価を行うために骨に進入して電気刺激源に連結されてもよいデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎手術は、変性椎間板疾患、再発性椎間板ヘルニア、脊椎不安定性、脊椎すべり症、偽関節症、骨髄炎/椎間板炎、椎弓切除後症候群及び外傷などの様々な異常を処置するために使用されてもよい。骨アンカーが、脊椎固定要素を一又は複数の脊椎骨に固定して脊柱を堅く又は動的に安定させるために脊椎手術で使用されることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
骨アンカーを骨に結合するための従来の処置では、例えば皮膚を切開して骨の上にある軟部組織を切除するか又は低侵襲技術を使用することにより、骨へのアクセスが得られる。次に外科医は、スタイレットが内部に配置されている挿入針を骨に打ち込んで、骨開口部のための軌道を確立する。その後、スタイレットを外して、ガイドワイヤを挿入針を通して挿入する。その後、挿入針をガイドワイヤ上で引き出してガイドワイヤを所定の位置に残す。次に、カニューレタップをガイドワイヤ上で進入させて骨に打ち込んで、骨アンカーのために骨開口部をパイロットホールに広げる。その後、カニューレタップがガイドワイヤ上で引き出されて、ガイドワイヤを再び骨開口部内の所定の位置に残す。その後、カニューレ処置された骨アンカーをガイドワイヤ上で進入させて骨開口部に打ち込む。最後に、ガイドワイヤを外して一又は複数の固定要素を骨アンカーに結合する。
【0004】
この処理では、骨の椎弓根に近い神経構造への損傷を防ぐために、椎弓根スクリューの配置を細心の注意を払って行わなければならない。椎弓根が裂ける、折れる又は傷つけられる場合、患者は、椎弓根スクリューと出ている神経との望ましくない接触によって痛み又は神経障害を受ける場合がある。
【0005】
スクリューが確実に配置されていることを手術中に画像化を使用して確認することができるが、神経の損傷の有無を別に検査しなければならない。更に、特に適切な解剖学的構造を視覚化できない場合、画像化に完全に依存することは適切でない場合がある。従って、神経生理学的な電気椎弓根検査が、誤って設けられた椎弓根スクリュー路の検出に役立ち得る。電気椎弓根検査は、スクリューの位置を迅速に変えることが可能であってもよい。
【0006】
電気椎弓根検査は、骨の絶縁特性(特に椎弓根の壁の絶縁特性)及び出ている神経根自体の導電性を利用する。椎弓根の壁が裂けている場合、椎弓根スクリュー及び/又はパイロットホールに刺激信号が与えられると、出ている神経根に結合している様々な筋肉群が収縮する。椎弓根の壁が裂けていない場合、椎弓根の絶縁性により、関連する筋肉群がけいれんしないように刺激信号が所与の神経根を刺激することを防ぐ。
【0007】
椎弓根スクリューの配置を成功させるために、椎弓根完全性評価を手術中に正確に行い得る手術器具が必要である。手術デバイスは更に比較的簡単に使用されてもよく、手術中に外科医を支援する視覚的な指標を与えてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、骨材料に進入可能な遠位端部を有する導電性スタイレットを備えてもよい手術器具システムが開示されている。近位端部はスタイレットハブに取り付けられてもよい。ハンドルがスタイレットハブに着脱不可能に取り付けられており、ハンドル、スタイレット及びスタイレットハブは、カニューレアセンブリの近位端部に着脱可能に取り付け可能であってもよいハンドルアセンブリを形成している。カニューレアセンブリは、カニューレに着脱不可能に取り付けられている絶縁性カニューレハブを有してもよい。ハンドルアセンブリがカニューレアセンブリに挿入されるとき、カニューレはスタイレットを囲んでもよい。外側の長尺状の絶縁性シースが、絶縁性カニューレハブに摺動可能に係合してもよい。外側の長尺状の絶縁性シースはX線不透過性の先端部を有してもよい。
【0009】
別の態様によれば、ハンドルは、近位端部及び遠位端部を長手方向に貫いて延びている空所を有し、導電性スタイレットハブは近位端部及び遠位端部内の空所を通過してもよい。外科医が、ハンドルの完全な状態を維持しながら、スタイレットハブに圧力を加えてスタイレットを骨に打ち込むことを可能にすべく、導電性スタイレットハブの近位端部がハンドルの近位端部から露出してもよい。ハンドルは、ハンドルの近位端部に形状指標を更に有してもよい。
【0010】
別の態様によれば、導電性スタイレットハブは、カニューレの直径と少なくとも同じ大きさの直径を有する。ある構成では、ハンドルは遠位側連結部分を有しており、導電性スタイレットハブは、近位側把持部分及び遠位側連結部分を貫いて延びている長手方向の空所内に受け入れ可能である。更に他の構成では、ハンドルは、横方向に延びているフランジを有する突出部を遠位側連結部分に有している。絶縁性カニューレハブは近位側空所及び一又は複数のスロットを有しており、ハンドルの遠位側連結部分の突出部は近位側空所内で受け入れ可能であり、横方向に延びているフランジは、一又は複数のスロット内で受け入れ可能である。
【0011】
ある構成では、導電性スタイレットはハンドルに一体化されている。同様に、カニューレは絶縁性カニューレハブに一体化されてもよい。外側の長尺状の絶縁性シースは前半分及び後半分を有してもよく、前半分及び後半分は、外側の長尺状の絶縁性シースの長手軸芯に沿って共に超音波溶接されてもよい。外側の長尺状の絶縁性シースは、手術器具システムの貫通深さを示すマークを更に有してもよい。
【0012】
別の態様によれば、絶縁性カニューレハブは、第1の溝及び第2の溝を有する長手チャネルを有してもよく、外側の長尺状の絶縁性シースは、長手チャネル内で摺動可能な延長部分を有してもよい。絶縁性カニューレハブは、外側の長尺状の絶縁性シースを越えて延びている導電性スタイレットの長さを示すマークを更に有してもよい。
【0013】
別の態様によれば、導電性スタイレットハブは、椎弓根完全性評価を行うために電流を電気源から導電性スタイレットハブに伝えるために電気源に結合されてもよい。
【0014】
開示された主題の他の態様、並びに開示された主題の様々な態様の特徴及び利点は、後続の説明、添付する図面及び添付する特許請求の範囲を考慮することにより当業者に明らかであるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下の図面は、開示された主題を実施するための具体的且つ典型的な構成であると現在みなされるものを示しており、本開示に従ってなされてもよい実施形態に関して限定されるものではない。図面中の構成要素は、必ずしも相対的な縮尺で示されているわけではない。同様の参照符号は、複数の図面を通して対応する部分を示している。
【0016】
【
図1】本明細書に記載されているような手術デバイスシステムの例を示す斜視図である。
【
図2】
図1の手術デバイスシステムを示す正面図である。
【
図3】請求項1の手術デバイスシステムを示す断面正面図である。
【
図4】
図1の手術デバイスシステムの一部を形成するハンドルアセンブリを示す斜視図である。
【
図5】
図4のハンドルアセンブリを示す断面図である。
【
図6】
図4のハンドルアセンブリを示す分解斜視図である。
【
図7】
図1の手術デバイスシステムの一部を形成するハンドルを示す底面図である。
【
図8】
図1の手術デバイスシステムの近位部分を示す部分的な拡大断面図である。
【
図9】
図1の手術デバイスシステムの一部を形成するカニューレアセンブリを示す斜視図である。
【
図10】
図9のカニューレアセンブリを示す断面図である。
【
図11】
図9のカニューレアセンブリの一部を形成するカニューレの近位端部を示す断面図である。
【
図12】
図9のカニューレアセンブリの一部を形成するカニューレハブの近位端部を示す断面図である。
【
図13】請求項1の手術デバイスシステムを示す側面図である。
【
図14】
図9のカニューレアセンブリを示す分解図である。
【
図15】
図9のカニューレアセンブリの遠位端部を示す断面図である。
【
図16】スタイレットがカニューレに部分的に挿入されている、請求項1の手術デバイスシステムを示す斜視図である。
【
図17】スタイレットがカニューレに部分的に挿入されている、請求項1の手術デバイスシステムを示す正面図である。
【
図18】
図1の手術デバイスシステムの一部を示す斜視図である。
【
図19】電気信号源に結合されている
図1の手術デバイスシステムを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の例示的な実施形態について、添付図面を参照して詳細に記載する。本開示の利点及び特徴並びにこれらを実現する方法が、添付図面を参照して例示的な実施形態の以下の記載から明らかになる。1つの図面を参照して記載される様々な態様が、別の図面に示されている実施形態と共に存在してもよく及び/又は使用されてもよく、複数の図面に示されている各要素は1度だけ記載されてもよい。
【0018】
明細書における「1つの構成」、「1つの実施形態」、「構成」又は「実施形態」への言及は、構成に関連して記載されている特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの構成に含まれていることを意味するが、このような特徴、構造又は特性が、存在していると特許請求の範囲に明確に示されていない限り、任意の特定の構成に存在することは要件ではない。様々な箇所における「1つの構成で」という表現は、必ずしも本発明の特定の要素を1つの構成に含めることを限定しない場合があり、むしろ、要素は、本明細書に記載されている他の構成又は全ての構成に含まれてもよい。
【0019】
開示された主題の構成の記載された特徴、構造又は特性は、一又は複数の構成であらゆる適切な方法で組み合わされてもよい。本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用されるように、文脈上明らかに指示されていない限り、「a 」、「an」及び「the 」などの単数形は複数形を含んでもよい。従って、例えば、「ばね」への言及はこのようなばねの一又は複数を含んでもよく、「スタイレット」への言及はこのようなスタイレットの一又は複数への言及を含んでもよい。構造要素、構成要素及び/又は材料は、簡便性のために共通のリストに示されてもよい。しかしながら、これらのリストは、リストの各要素が別個の固有の要素として個別に識別されるかのように解釈されるべきである。
【0020】
本明細書に記載されている手術器具のある構成要素は互いに結合又は連結されていると記載され、このような結合及び連結は、あらゆる適切な方法で達成されてもよい。更に、このような構成要素はあらゆる適切な方法で互いに一体化されてもよく又は分散してもよい。
【0021】
本開示は一般に、パイロットホールを形成して椎弓根完全性評価を行うために脊椎の外科的処置で使用されてもよい手術器具及び手術器具システムに関する。本開示の1つの特定の実施形態が、
図1~3に示されているように手術器具10に示されて記載される。手術器具10は一般に、スタイレット14、ハンドル18、カニューレハブ20、カニューレ22及び絶縁性シース26を備えてもよい。スタイレット14及びハンドル18は通常着脱不可能に連結されており、ハンドルアセンブリ35を形成している。カニューレハブ20、カニューレ22及び絶縁性シース26も通常、着脱不可能に連結されており、カニューレアセンブリ65を形成している。
【0022】
図4~6を参照すると、スタイレット14を含むハンドルアセンブリ35が示されている。スタイレット14は通常、導電性材料で形成されており、骨材料に打ち込まれ得る遠位端部を有する軸を有している。スタイレットの近位端部はスタイレットハブ30を有してもよく、スタイレットハブも通常、導電性材料で形成されている。スタイレットハブ30はスタイレット14の近位端部を囲んでおり、手術器具がパイロットホールの形成中に椎弓根完全性評価を行うために使用され得るために、以下に更に詳細に記載されるようにスタイレット14と電気的に連通している。通常、スタイレットハブ30及びスタイレット14は、ハンドル18に着脱不可能に連結されており、ハンドルアセンブリ35全体は、以下に記載されるようにカニューレハブ20を介してカニューレ22に着脱可能に連結されてもよい。手術器具10は、スタイレット14を標的部位で骨に打ち込んで、導電性スタイレットを介して椎弓根完全性評価を行うために使用されてもよく、ハンドルアセンブリ35は、カニューレ22が手術部位の所定の位置に残っている状態でカニューレアセンブリ65から外されてもよい。
【0023】
スタイレット14及びスタイレットハブ30は連結されてもよく又は一体型に形成されてもよい。スタイレット14及びスタイレットハブ30は、ハンドル18に着脱不可能に取り付けられてもよい。
図4~6に示されているように、スタイレット14、スタイレットハブ30及びハンドル18はハンドルアセンブリ35を形成しており、互いに着脱不可能に連結されている。他の構成では、スタイレット14、スタイレットハブ30及びハンドル18は着脱可能に連結されてもよい。スタイレット14、スタイレットハブ30及びハンドル18は、様々な適切な方法で互いに固定されてもよい。例えば、
図6に示されているように、ハンドル18は、近位側把持部分38と、スタイレットハブ30と係合するために近位側把持部分を通って長手方向に延びている開口部40とを有してもよい。近位側把持部分38は、外科医が把持する場所を確保することが可能であってもよく、以下で更に詳細に記載されるように椎弓根完全性評価を行うべくデバイスの簡単な取り付けのためにスタイレットハブ30を相対的に露出させることが更に可能であってもよい。
【0024】
ハンドルの開口部40は、スタイレットハブ30に密に嵌合する大きさを有してもよい。スタイレットハブ30及びハンドル18は、前側から後側に延びている開口部(
図6の分解図に最も明瞭に示されているハンドル18の開口部42及びスタイレットハブ30の開口部44)を夫々更に有してもよい。開口部42及び開口部44を貫いて延びてスタイレットハブ30及びハンドル18を更に連結する円筒形状のクロスピン46が設けられてもよい。クロスピン46は、スタイレットハブ30をハンドル18に着脱不可能に固定するためにハンドル18及びスタイレットハブ30の対応する開口部42及び開口部44を通って圧入されてもよい。図示されている実施形態は、クロスピン46が開口部42及び開口部44に圧入することを示しているが、クロスピン46を固定するあらゆる適切な方法が使用されてもよく、ハンドル18をスタイレットハブ30に着脱不可能に又は着脱可能に取り付ける他の方法が使用されてもよい。ある構成では、ハンドル18がスタイレットハブ30にオーバーモールドされることにより、クロスピンが不要である。
【0025】
ある構成では、スタイレットハブ30の近位端部48がハンドル18の近位側で露出するように、スタイレットハブ30の近位端部48はハンドルの近位側把持部分38を貫いて延びてもよい。このため、外科医が、ハンドル18の完全な状態を維持しながら、例えばスタイレットハブ30の近位端部48を直接打ち付けることにより、スタイレットハブ30の近位端部48に直接圧力を加えることが可能であってもよい。他の構成では、スタイレットハブ30はハンドル18の近位側を貫いて延びる必要がない。任意にハンドル18の近位側は、スタイレットの先端部の形状を示す形状指標52を含んでもよい。外科医は、様々な先端部形状を有するスタイレットを使用してもよく、スタイレット14がハンドル18に一体化されている場合、外科医がスタイレットの先端部を目視する必要なく、使用されるスタイレットの先端部の種類を外科医に簡単に確認させるべく、スタイレットの形状がハンドル18に、例えばハンドル18の近位側に印刷されるか又は他の方法で示されてもよい。様々なタイプの先端部、例えば斜角をつけた先端部、ダイヤモンド形の先端部などが使用されてもよく、形状指標を有してもよい。
【0026】
スタイレット14、スタイレットハブ30及びハンドル18を含むハンドルアセンブリ35は、カニューレハブ20の近位端部に着脱可能に取り付け可能であってもよい。この着脱可能な連結は、あらゆる適切な着脱可能な連結であってもよい。例えば、係合するスロット及びタブ又はあらゆる他の適切な結合要素などの係合係止可能な連結が使用されてもよい。ハンドル18は、遠位側50に突出部54を有してもよく、フランジ56が、遠位側の突出部54の基部から左右に横方向の外側に延びている。カニューレハブ20の近位端部は、ハンドル18の遠位側の突出部54を受ける大きさの空所58と、ハンドルの遠位側の突出部のフランジ56を受ける大きさのスロット60, 61とを含んでいる。
【0027】
フランジ56は(前後ではなく)左右に横方向に延びているため、突出部54の基部は、(
図7のハンドルの底面図に示されているように)前側から後側に狭い側を有し、左側から右側にフランジ56を含むより広い側を有する。このため、以下に更に詳細に記載されるように、ハンドル18(又は通常はハンドルアセンブリ35全体)をカニューレハブ20に対して垂直に回転させて、突出部54の狭い側をカニューレハブ20の近位端部で空所58に挿入し、次にハンドルアセンブリ35を90度、つまりカニューレハブ20と平行に回転させることができる。
【0028】
カニューレアセンブリ65に注目して、
図9~10は、カニューレハブ20、カニューレ22及び絶縁性シース26を含むカニューレアセンブリ65の例を示す。カニューレ22は中空の内部を有しており、図示されているように導電性材料で形成されている。他の構成では、カニューレ22は絶縁性材料及び/又は導電性材料で形成されてもよい。ハンドルアセンブリ35が絶縁性カニューレハブ20の近位端部に取り付けられているとき、カニューレ22は導電性スタイレット14を囲んでもよい。
図11に示されている構成では、カニューレ22の直径はカニューレの近位端部に向かってより広く、カニューレの遠位端部に向かってより狭い。カニューレ22の外径及び/又は長さは異なってもよく、又は、1つの均一な直径を有するカニューレ22が使用されてもよい。
【0029】
ある構成では、カニューレ22の直径はスタイレットハブ30の直径より小さい。カニューレの近位側の直径と少なくとも同じ大きさの直径を有するスタイレットハブ30と組み合わせた、カニューレ22の近位端部に向かってより広い直径を有する構成は、スタイレットハブ30からカニューレ22に力を効果的に伝達することが可能であってもよい。例えば、外科医がスタイレットハブ30の近位端部48を打ち付けて手術器具を骨に打ち込む場合、力は、スタイレットハブ30を介してスタイレット14に加えられるだけでなく、カニューレ22にも伝達され得る。
【0030】
カニューレ22は、カニューレハブ20に着脱可能に又は着脱不可能に連結されてもよい。以下に詳細に説明されるように、カニューレハブ20により、カニューレ22がハンドルアセンブリ35に容易に連結され得る。カニューレハブ20は、あらゆる適切な方法でカニューレ22に連結されてもよく、
図10に示されている例示的な構成では、カニューレハブ20は、カニューレハブ20及びカニューレ22の対応する空所を通過する2つのクロスピン68, 70を介してカニューレ22に着脱不可能に取り付けられている。
【0031】
図11はカニューレ22の部分断面図であり、
図12は、カニューレハブ20の部分断面図である。円筒形状のクロスピン68, 70は、カニューレハブ20及びカニューレ22を恒久的に取り付けるためにカニューレハブ20の開口部74, 76(
図12)を貫いて前側から後側に延びてもよい。クロスピンは、カニューレ22の空所又はノッチを更に通過してもよい。
図11に示されているように、カニューレ22の外周部は、クロスピン68, 70を受ける大きさのノッチ72を近位端部に有してもよい。クロスピン68, 70は、カニューレハブ20をカニューレ22に着脱不可能に固定するためにカニューレハブ20の対応する開口部74, 76及びカニューレ22のノッチ72を通って圧入されてもよい。図示されている実施形態は、クロスピン68, 70が開口部74, 76に圧入することを示しているが、クロスピン68, 70を固定するあらゆる適切な方法が使用されてもよく、カニューレ22及びカニューレハブ20を着脱不可能に又は着脱可能に取り付ける他の方法が使用されてもよい。ある構成では、カニューレハブ20がカニューレ22の近位部分にオーバーモールドされることにより、クロスピンが不要である。
【0032】
カニューレハブ20及びカニューレ22は、互いに対する取り付けを促すような形状を更に有してもよい。例えば、
図12に示されているように、カニューレハブ20は、カニューレ22のより広い近位端部に嵌合するような形状のより広い近位側空所58と、カニューレ22のより狭い遠位端部に嵌合するような形状のより狭い遠位側空所59とを有してもよい。肩部78が、より広い空所58とより狭い空所59との間に形成されている。カニューレ22(
図11)は、カニューレハブ20のより広い近位側空所58に嵌合する近位部分80と、カニューレ22のより狭い遠位側空所59に嵌合するより狭い遠位部分81とを有して同様に形成されてもよい。より広い近位部分80とより狭い遠位部分81との間に棚状部82が形成されている。棚状部82はカニューレハブ20の肩部78と係合する。
【0033】
カニューレハブ20は絶縁材料で形成されてもよい。カニューレハブ20及び手術器具10の他の部分を絶縁性材料で形成することにより、パイロットホール以外の場所への電気のシャントを防止してもよい。カニューレハブ20は、外科医が手術部位におけるカニューレ22の深さを目視できるように深さマーク104 (
図13)を更に有してもよい。絶縁性カニューレハブのマークは、絶縁性シース26を越えて延びている導電性スタイレット14の長さを示す。
【0034】
カニューレアセンブリ65は、外側の細長いシース26を更に有してもよい。外側のシース26は、カニューレハブ20と同様に絶縁性材料で形成されてもよい。ある構成では、
図9に示されているように、外側のシース26はカニューレハブ20と摺動可能に係合する。他の構成では、外側のシース26はカニューレハブ20に対して移動しなくてもよい。更に他の構成では、絶縁性シース26は、絶縁性シースがスタイレット14の遠位先端部を覆う遠位位置とスタイレットの先端部が露出する近位位置とを有してもよい。外側のシース26とカニューレハブ20/カニューレ22との摺動可能な係合によって、カニューレ22が骨に入るときに外側のシースが引っ込むことが可能であってもよい。
【0035】
図9及び
図14に最もよく示されているように、カニューレハブ20は一又は複数の長手チャネル90を有してもよく、外側のシース26は、長手スロット90内で摺動可能な対応する突出部92を有してもよい。ある構成では、カニューレハブ20を外側のシース26に対して所定の位置で保持するためにカニューレハブ20の長手スロット90内に一又は複数の溝又はノッチが更に設けられてもよい。カニューレハブ20を外側のシース26に対してある位置に偏移させるため、例えばカニューレハブ20を延長位置に偏移させるためにばね94が更に設けられてもよい。
【0036】
シース26は遠位先端部98を更に有してもよい。
図13及び
図14に示されているように、遠位先端部98はX線不透過性材料で形成されている。遠位先端部98は、所望であれば他の適切な材料で形成されてもよい。X線不透過性の遠位先端部98を設けることにより、シース26の遠位先端部98及びカニューレ22の遠位端部の位置をX線によってより簡単に調べることができる。シース26は、一又は複数の視覚的な深さ指標マーク102 を更に有してもよい。使用中、このようなマークにより、患者の皮膚から骨までの器具の深さを外科医に伝えることができる。
【0037】
外側のシース26は、あらゆる適切な方法で形成されてもよい。例えば、外側の絶縁性シース26は、前半分84及び後半分86で構成されてもよい(
図14)。任意のばね94がカニューレ22の周りで所定の位置に配置された状態で、カニューレ22及びカニューレハブ20が互いに着脱不可能に取り付けられた後、X線不透過性の先端部98が外側のシース26の前半分84及び後半分86の間に挟持された状態で、前半分84及び後半分86はシースの長手軸芯に沿って共に超音波溶接されてもよい。前半分84及び後半分86は、長手方向の連結を促すために係合する凹部及び/又は溝を更に有してもよい。外側のシース26の内部の遠位先端部及びX線不透過性の先端部98は、X線不透過性の先端部の外周部を外側のシース26の内部に更に確実に取り付けるために実矧ぎ構造を有してもよい(
図15)。
【0038】
本開示の一態様によれば、手術デバイスを形成する方法は、カニューレ22及びカニューレハブ20を連結する(任意にばね94をカニューレ22の周りに配置する)工程と、その後、X線不透過性の先端部98が絶縁性シース26の前半分84及び後半分86によって所定の位置に保持されている状態で、前半分84及び後半分86を共に超音波で連結する工程とを有してもよい。例えば、最初にカニューレ22を選択することにより、カニューレアセンブリ65を形成してもよい。その後、カニューレ22及びカニューレハブ20を(例えばクロスピン68, 70の圧入により)互いに着脱不可能に取り付けてもよい。前半分84などの絶縁性シースの一方の半分をカニューレハブ20の周りに配置してもよく、次にX線不透過性の先端部98を先端部に配置してもよい。絶縁性シース26の後半分86などの第2の半分をカニューレハブ20の周りに配置して、遠位先端部98を所定の位置に保持してもよい。その後、2つの半分を共に超音波溶接してもよい。ある構成では、超音波溶接に加えて又は超音波溶接の代わりに、絶縁性シース26の前半分84及び後半分86を固定するために接着剤を塗布する。更に、遠位先端部98を所定の位置に固定するために接着剤を使用してもよい。ある構成では、遠位先端部98が絶縁性シース26にねじ込まれ得るように、遠位先端部98はねじ山を有して、前半分84及び後半分86の遠位端部は対応するねじ山を有している。
【0039】
図16及び
図17を参照すると、カニューレアセンブリ65に部分的に挿入されているハンドルアセンブリ35が示されている。上述されているように、突出部54の基部が、前側から後側に狭い側を有し、左側から右側にフランジ56を含むより広い側を有するとすれば、ハンドルの遠位側の突出部54のフランジ56は(前後ではなく)左右に横方向に延びている。このため、ハンドル18(又は通常はハンドルアセンブリ35全体)をカニューレハブ20に対して垂直に回転させて、突出部54の狭い側をカニューレハブ20の近位端部で空所58に挿入し、次にハンドルアセンブリ35を90度、つまりカニューレハブ20と平行に回転させることができる。ハンドルアセンブリ35がカニューレハブ20に対して垂直から平行な位置に回転すると、ハンドル18のフランジ56は、カニューレハブの空所58のスロット60, 61と係合する。ハンドル18の遠位側50は、一又は複数の延長部分62を更に有してもよく、対応する凹部64(
図9)又は空所がカニューレハブ20に設けられてもよい。
図18は、フランジ56がスロット60, 61と係合している状態のカニューレアセンブリ65に連結されているハンドルアセンブリ35を示す部分図である。
【0040】
本明細書に開示されている手術システムを使用する方法の例として、外科医はまず、所望の形状のスタイレット14を有するハンドルアセンブリ35を選択してもよい。外科医は、ハンドルアセンブリ35の近位端部にある先端部の形状指標52を使用して所望の形状を選択してもよい。次に、外科医は、スタイレット/ハンドルの組み合わせ(又はハンドルアセンブリ35)をカニューレアセンブリ65に取り付けてもよい。より具体的には、ハンドル18の遠位側の突出部54をカニューレハブ20に連結する。
【0041】
ハンドルアセンブリ35をカニューレハブ20に取り付けるために、ハンドルをカニューレハブに対して垂直に回転させた状態で、スタイレット14を、カニューレハブ20の近位端部を通してカニューレ22の内部の管腔に挿入する(
図16~17参照)。ハンドルの遠位側の突出部54はカニューレハブの空所58に受け入れられる。この位置では、ハンドルの横方向のフランジ56はカニューレハブ20の空所58のスロット60, 61と整列していない。ハンドルアセンブリ35をカニューレハブ20に完全に取り付けるために、フランジ56がカニューレハブ20の近位側空所58のスロット60, 61と整列するまで、つまりハンドル及びカニューレハブが平行になるまでハンドル18を約90度回転させる。カニューレハブ20及びハンドル18が回転して整列すると、ハンドルの遠位側にある一又は複数の延長部分がカニューレハブの対応する凹部と更に整列することにより、ハンドル18をカニューレハブ20に少なくとも部分的に固定してもよい。
【0042】
他の構成では、ハンドルアセンブリ35がカニューレアセンブリ65に既に取り付けられている状態で予め組み立てられている手術器具が外科医に与えられてもよい。外科医はスタイレット/ハンドルをカニューレアセンブリに取り付ける必要がなく、所望の遠位先端部形状を有する予め組み立てられている手術デバイスを選択するだけでよい。
【0043】
適切な遠位先端部形状を有する手術デバイスを選択した後、外科医は、例えば皮膚を切開して骨の上にある軟部組織を切除するか又は低侵襲技術を使用することにより、患者に切り口を生成する。その後、外科医は、組み立てられた手術デバイス10を骨まで切り口に挿入してもよい。骨材料に達すると、外科医はスタイレット14の遠位先端部を使用してデバイスを骨に打ち込んでもよい。例えば、外科医はスタイレットハブ30の近位端部48を打ち付けるか又は他の方法でスタイレットハブ30の近位端部48に力を加えてもよい。この力は、スタイレットハブ30からスタイレット14に伝達されて、スタイレット14を骨に打ち込んでもよい。力はスタイレットハブ30からカニューレ22に更に伝達されて、カニューレ22を骨に打ち込んでもよい。カニューレが骨に打ち込まれると、絶縁性シース26が引っ込んで骨の外側に残る。例えば、突出部92がカニューレハブ20の長手チャネル90内で近位側に移動することによって、絶縁性シース26が引っ込んでもよい。
【0044】
挿入/配置処理中はいつでも、外科医は、(外側のシース26にある視覚的な深さ指標102 から)患者の皮膚への器具の挿入深さ、更に(カニューレハブ20にある視覚的な深さ指標104 から)患者の骨への器具の挿入深さを目視で確認してもよい。カニューレ22が骨に入り、シース26が引っ込むと、シース26の近位端部がカニューレハブ20に対して上方/近位側に移動し、カニューレハブ20の測定指標に沿って移動する。
【0045】
外科医は、挿入処理中いつでも椎弓根完全性検査を更に行ってもよい。電気刺激源(
図19の106 )を、例えばクランプを介してスタイレットハブに取り付けることにより、椎弓根完全性検査を行ってもよい。スタイレットハブ30に電気が供給されると、スタイレットハブはスタイレット14及びカニューレ22の両方と電気的に連通してもよく、電気はスタイレット14及びカニューレ22に沿って流れてもよい。カニューレ22は、シース26を越えて延びている遠位先端部を除いて、外側の絶縁性シース26によって周囲の組織から電気的に絶縁されている。絶縁性シース26は、周囲の組織への望ましくない電流のシャントを防止する。外科医は、電気刺激を使用して、椎弓根の壁が裂けているか否かを判断してもよい。椎弓根の壁が裂けている場合、導電性スタイレット14/カニューレ22を介してパイロットホールに刺激信号が与えられると、出ている神経根に結合している様々な筋肉群が収縮する。椎弓根の壁が裂けていない場合、椎弓根の絶縁性により、関連する筋肉群がけいれんしないように刺激信号が所与の神経根を刺激することを防ぐ。
【0046】
外科医がパイロットホールの形成に納得した後、外科医は(スタイレット14を含む)ハンドルアセンブリ35をカニューレアセンブリ65から外してもよい。外科医は、ハンドルのフランジ56がカニューレハブ20のスロット60, 61から離脱するようにハンドルアセンブリ35をカニューレハブ20に対して約90度回転させてもよい。ハンドルアセンブリ35がカニューレハブ20に対して垂直な状態で、スタイレット14を含むハンドルアセンブリ35をカニューレハブから引き離して、スタイレット14を内側のカニューレ22から外してもよい。通常、カニューレ22は所定の位置に残され、他の手術器具を必要に応じてカニューレ22に挿入してもよい。
【0047】
態様Aによれば、手術器具システムは、骨材料に進入可能な遠位端部から導電性スタイレットハブを有する近位端部に延びている軸を有する導電性スタイレットと、導電性スタイレットハブに着脱不可能に取り付けられて近位側把持部分を有し、絶縁性カニューレハブの近位端部に着脱可能に取り付け可能なハンドルと、導電性カニューレに着脱不可能に取り付けられている絶縁性カニューレハブと、ハンドルが絶縁性カニューレハブの近位端部に取り付けられているとき、導電性スタイレットを囲んでいる導電性カニューレと、絶縁性カニューレハブに摺動可能に係合して、X線不透過性材料で形成された先端部を遠位端部に更に有する外側の細長い絶縁性シースとを備えてもよい。
【0048】
態様Bは、態様Aの手術器具システムを備えており、導電性スタイレットハブはスタイレットハブ直径を有し、導電性カニューレはカニューレ直径を有し、スタイレットハブ直径はカニューレ直径と少なくとも同じ大きさである。態様Cは、態様A又は態様Bの手術器具システムを備えており、絶縁性カニューレハブがハンドルに取り付けられているとき、導電性カニューレは導電性スタイレットを囲んでいる。態様Dは、態様A~Cのいずれかの手術器具システムを備えており、ハンドルは遠位側連結部分を更に有しており、導電性スタイレットハブは、近位側把持部分及び遠位側連結部分を貫いて延びている長手方向の空所内に受け入れ可能である。
【0049】
態様Eは、態様A~Dのいずれかの手術器具システムを備えており、ハンドルは、横方向に延びているフランジを有する突出部を遠位側連結部分に更に有しており、絶縁性カニューレハブは近位側空所及び一又は複数のスロットを有しており、ハンドルの遠位側連結部分の突出部は近位側空所内に受け入れ可能であり、横方向に延びているフランジは、一又は複数のスロット内に受け入れ可能である。態様Fは、態様A~Eのいずれかの手術器具システムを備えており、導電性スタイレットはハンドルに一体化されている。態様Gは、態様A~Fのいずれかの手術器具システムを備えており、外側の細長い絶縁性シースは前半分及び後半分を有しており、前半分及び後半分は、外側の細長い絶縁性シースの長手軸芯に沿って共に超音波溶接されている。
【0050】
態様Hは、態様A~Gのいずれかの手術器具システムを備えており、導電性カニューレは遠位側直径に向かって先細の近位側直径を有しており、遠位側直径は近位側直径より小さい。態様Iは、態様A~Hのいずれかの手術器具システムを備えており、導電性スタイレットは遠位先端部に形状を更に有し、ハンドルはハンドルの近位端部に形状指標を更に有している。
【0051】
態様Jは、態様A~Iのいずれかの手術器具システムを備えており、導電性スタイレットハブは導電性スタイレットの近位端部を囲んでいる。態様Kは、態様A~Jのいずれかの手術器具システムを備えており、ハンドルは近位端部及び遠位端部を更に有しており、空所が近位端部及び遠位端部を貫いて長手方向に延びており、導電性スタイレットハブは近位端部及び遠位端部内の空所を通過している。態様Lは、態様Kの手術器具システムを備えており、導電性スタイレットハブの近位端部がハンドルの近位端部を通って露出する。
【0052】
態様Mは、態様A~Lのいずれかの手術器具システムを備えており、絶縁性カニューレハブは、外側の細長い絶縁性シースを越えて延びている導電性スタイレットの長さを示すマークを更に有している。態様Nは、態様A~Mのいずれかの手術器具システムを備えており、細長い絶縁性シースは、手術器具システムの貫通深さを示すマークを更に有している。態様Oは、態様A~Nのいずれかの手術器具システムを備えており、絶縁性カニューレハブは、第1の溝及び第2の溝を有する長手チャネルを更に有しており、外側の細長い絶縁性シースは、長手チャネル内で摺動可能な延長部分を更に有している。
【0053】
態様Pは、態様A~Oのいずれかの手術器具システムを備えており、導電性スタイレットハブは、電流を電気源から導電性スタイレットハブに伝えるために電気源に結合可能である。態様Qは、態様A~Pのいずれかの手術器具システムを備えており、導電性カニューレ全体が導電性材料で形成されている。
【0054】
態様Rは、ハンドルアセンブリを備えている手術器具システムを開示しており、ハンドルアセンブリは、骨材料に進入可能な遠位端部から導電性スタイレットハブを有する近位端部に延びている軸を有する導電性スタイレットと、導電性スタイレットハブに着脱不可能に取り付けられて、近位側把持部分及び遠位側連結部分を有し、導電性スタイレットハブを密接して受けるために近位側把持部分及び遠位部分を貫いて延びている長手方向の空所を有するハンドルであって、絶縁性カニューレハブの近位端部に着脱可能に取り付け可能であり、横方向に延びているフランジを含む突出部を遠位側連結部分に更に有しているハンドルと、ハンドルアセンブリに着脱不可能に取り付け可能なカニューレアセンブリとを有しており、カニューレアセンブリは、カニューレに着脱不可能に取り付けられて、近位側空所及び一又は複数のスロットを有している絶縁性カニューレハブであって、ハンドルの遠位側連結部分の突出部が近位側空所内で受け入れ可能であり、横方向に延びているフランジが一又は複数のスロット内で受け入れ可能である絶縁性カニューレハブと、ハンドルが絶縁性カニューレハブの近位端部に取り付けられているとき、導電性スタイレットを囲んでいるカニューレと、絶縁性カニューレハブに摺動可能に係合して、X線不透過性材料で形成された先端部を遠位端部に更に有する外側の細長い絶縁性シースとを有している。
【0055】
本手術デバイスは、椎弓根完全性評価における使用に関して具体的に記載されているが、他の用途が可能であり、本明細書で検討されていることが認識される。上述された様々な実施形態の要素を含む上述された様々な態様は、更なる実施形態を提供すべく組み合わせられ得る。例えば構造部品を含む、本開示の範囲内の装置の様々な部分及び構成要素は、当業者に知られている一又は複数の様々な適切な製造工程によって形成され得る。同様に、本開示の範囲内の装置の様々な部分及び構成要素は、当業者に知られている適切な材料で形成され得る。
【0056】
上記の記載は、本開示の様々な特徴、機能、方法及び他の態様を説明している。時間及び更なる展開例は、様々な態様が実施される方法を変更してもよい。特許請求の範囲によって定められている保護範囲は、開示された実施形態の特定の大きさ、形状、特徴又は他の態様に限定されることを意図しない。請求された発明は、本明細書に開示されている概念の範囲内に依然としてありながら、他の形態で実施又は具体化されてもよい。以下の特許請求の範囲によって適切に保護された概念の範囲から逸脱することなくなされ得る特許請求の範囲の要素の均等物が更に含まれている。
【0057】
関連出願への相互参照
本願は、「刺激性標的針」というタイトルの2020年5月11日に出願された米国特許出願第16/872248号(’248出願)の優先権を主張しており、’248出願の開示全体が、あらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】