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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】非回転式交流発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02N 99/00 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
H02N99/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568956
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 KR2021004152
(87)【国際公開番号】W WO2021230496
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0057044
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0057048
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522382912
【氏名又は名称】チェ、ウ ヒ
【氏名又は名称原語表記】CHOI,Woo Hee
【住所又は居所原語表記】302ho,82,Banghak-ro 5-gil Dobong-gu Seoul 01394,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】522382934
【氏名又は名称】ファン、ナン ギョン
【氏名又は名称原語表記】HWANG,Nan Kyung
【住所又は居所原語表記】321-31,Tongil-ro Seodaemun-gu Seoul 03731,Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】522382923
【氏名又は名称】ユ、ヒョン ジュ
【氏名又は名称原語表記】YOO,Hyung Ju
【住所又は居所原語表記】401ho,6-11,Yeonseo-ro 34ga-gil Eunpyeong-gu Seoul 03352,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ウ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ナン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ヒョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ソン グォン
(57)【要約】
非回転式発電機からなる複数の発電ユニットを備え、高効率で交流を生成することができるようになった非回転式交流発電装置に関する。交流電流を生成する非回転式交流発電装置において、互いに隣接して配置される2つ以上の発電ユニットを備え、前記発電ユニットは、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片との間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記発電ユニットは入力端と出力端に対して互いに直列または並列に結線される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電流を生成する非回転式交流発電装置において、
互いに隣接して配置される2つ以上の発電ユニットを備え、
前記発電ユニットは、
棒状のコア部材;
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、
前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、
前記界磁と磁極片との間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、
前記発電ユニットは入力端と出力端に対して互いに直列または並列に結線され、前記発電ユニットは他の発電ユニットと磁極片が一体に構成される
ことを特徴とする非回転式交流発電装置。
【請求項2】
互いに位相差を有するR相とS相及びT相の交流を生成する交流発電装置において、
R相交流を生成するための第1発電ユニット、
S相交流を生成するための第2発電ユニット、及び、
T相交流を生成するための第3発電ユニットを備え、
前記第1乃至第3発電ユニットは第1出力端が中性線に結合されると共に、第2出力端を通じてそれぞれR相、S相またはT相交流を出力し、
前記第1乃至第3発電ユニットは、
棒状のコア部材;
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び、
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、
前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、
前記界磁と磁極片との間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、
前記第1乃至第3発電ユニットの各界磁には互いに位相差を有する界磁電流が供給され、
前記第1乃至第3発電ユニットにおいて各発電ユニットは他の発電ユニットと磁極片が一体に構成される
ことを特徴とする非回転式交流発電装置。
【請求項3】
前記コア部材の中央部分は長手方向に沿って中空を備える
請求項1または2に記載の非回転式交流発電装置。
【請求項4】
前記コア部材と第1または第2中空部との間に絶縁材が更に配置される
請求項1または2に記載の非回転式交流発電装置。
【請求項5】
前記絶縁板は高弾性材質で構成される
請求項1または2に記載の非回転式交流発電装置。
【請求項6】
前記コア部材または磁極片は純鉄で構成されると共に、熱処理が行われる
請求項1または2に記載の非回転式交流発電装置。
【請求項7】
前記発電ユニットは他の発電ユニットと絶縁板が一体に構成される
請求項1に記載の非回転式交流発電装置。
【請求項8】
前記界磁と電機子は複数が備えられ、界磁と電機子は互いに交互に配置される
請求項1に記載の非回転式交流発電装置。
【請求項9】
前記界磁と電機子は複数が備えられ、界磁と電機子は互いに交互に配置される
請求項2に記載の非回転式交流発電装置。
【請求項10】
前記複数の電機子は互いに直列に結線される
請求項8または9に記載の非回転式交流発電装置。
【請求項11】
前記複数の界磁は第1界磁群と第2界磁群に分割され、
前記第1界磁群と第2界磁群は互いに交互に駆動されて、第1磁場と第2磁場をそれぞれ形成し、
前記第1磁場と第2磁場は互いに対向する方向を有する
請求項8または9に記載の非回転式交流発電装置。
【請求項12】
前記発電ユニットのうち少なくとも一方は他の発電ユニットと異なる大きさを有する
請求項1に記載の非回転式交流発電装置。
【請求項13】
互いに位相差を有する多相交流を生成する交流発電装置において、
互いに異なる位相の交流をそれぞれ生成するための複数の発電ユニットを備え、
前記発電ユニットは、
棒状のコア部材;
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び、
電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、
前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、
前記界磁と磁極片との間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、
前記複数の発電ユニットの各界磁には互いに位相差を有する界磁電流が供給され、
前記複数の発電ユニットにおいて各発電ユニットは他の発電ユニットと磁極片が一体に構成される
ことを特徴とする非回転式交流発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交流発電機に関するもので、特に非回転式発電機からなる複数の発電ユニットを備え、高効率で交流を生成することができるようになった非回転式交流発電装置に関する。
【0002】
また、本発明は交流発電装置に関するもので、特に非回転式で構成されたと共に、三相交流を含む多相交流を生成することができるようになった非回転式交流発電装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発電機(Electric generator)は主に力学的エネルギーを電気エネルギーに変換する装置を称するもので、その動作方式や動作原理によって直流発電機、同期発電機、誘導発電機などに分けて称することもある。発電機は基本的に、電流が生成されて出力される電機子と磁界を生成する界磁を備える。発電機は通常、界磁に直流電源を供給して磁界を形成しながら、界磁に対して電機子を回転させるか、又は電機子に対して界磁を回転させる方式で電機子に電流の流れを生成する。この時、電機子を回転させる方式を回転電機子型と称し、界磁を回転させる方式を回転界磁型と称する。このような回転式発電機において、電機子または界磁の回転駆動は別々のエネルギー源によって行われる。エネルギー源としては、その使用用途によって適切なものを採用するが、一般的には、水力、風力、潮力などの自然エネルギーや、タービン、エンジン、モータなどの駆動手段を使用する。
【0004】
一般に、直流は電気を容易に貯蔵することができるという長所がある反面、昇圧を含んで高電力化が困難であるという短所がある。これに対して、交流は貯蔵性が非常に低い反面、昇圧及び高電力化が容易であるという長所がある。発電機の1つの好ましい適用方式として、バッテリなどの貯蔵された直流電源や他の交流電源を用いて界磁や電機子を回転させることで、様々な交流電力を生成するように構成されたシステムがある。このような電力システムまたは電力変換システムは病院や工場などのように、高電力が要求される産業体における非常用電力供給手段として多く使用される。また、このような電力システムは電気をエネルギー源として使用しながら、状況によって様々な駆動トルクの生成が要求される電気自動車などに非常に有用に採用できる。
【0005】
前述した従来の発電機は基本的に電機子や界磁の回転駆動が要求される。このような構成的特徴は必然的に、発電機の構造的、機械的複雑さに加えて、その製造コストの増加をもたらす。特に、前述した構成的特徴は電機子や界磁が回転する際に機械的摩擦などにより多量のエネルギー損失が発生する。そのため、発電機の発電効率及び電力変換効率を高めることに限界がある。
【0006】
特許文献1(韓国特許登録第10-1913746号公報、名称:周波数及び電圧調整が可能な交流電力発生器)、特許文献2(韓国特許公開第10-2014-0078732号公報、名称:電力変換装置)、特許文献3(日本特開2000-353627号公報、名称:絶縁コンバータトランス及びスイッチング電源回路)などには電機子や界磁を回転させずに電力変換を行うようになった装置やシステムが紹介されている。ここで、特許文献1は特に注目すべきである。この特許は電機子と界磁を交互に繰り返し積層し、界磁に供給される直流電源のパルス幅をデューティ制御することで、電機子から得られる交流電源の周波数及び電源を容易に調整できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許登録第10-1913746号公報
【特許文献2】韓国特許公開第10-2014-0078732号公報
【特許文献3】日本特開2000-353627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は電機子や界磁を回転させることなく交流電源を生成することができるようになった非回転式交流発電ユニットを備えて、高効率で交流電源を生成することができるようになった交流発電装置を提供することにその技術的目的がある。
【0009】
また、本発明は電機子や界磁を回転させることなく交流電源を生成すると共に、三相交流を含む多相交流を生成することができるようになった非回転式交流発電装置を提供することに他の技術的目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的を実現するための本発明に係る非回転式交流発電装置は、交流電流を生成する非回転式交流発電装置において、互いに隣接して配置される2つ以上の発電ユニットを備え、前記発電ユニットは、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片との間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記発電ユニットは入力端と出力端に対して互いに直列または並列に結線されることを特徴とする。
【0011】
また、前述の目的を実現するための本発明の第1観点に係る非回転式交流発電装置は、互いに位相差を有するR相とS相及びT相の交流を生成する交流発電装置において、R相交流を生成するための第1発電ユニット、S相交流を生成するための第2発電ユニット、及びT相交流を生成するための第3発電ユニットを備え、前記第1乃至第3発電ユニットは第1出力端が中性線に結合されると共に、第2出力端を通じてそれぞれR相、S相またはT相交流を出力し、前記第1乃至第3発電ユニットは、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片との間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記第1乃至第3発電ユニットの各界磁には互いに位相差を有する界磁電流が供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る非回転式交流発電装置は複数の発電ユニットを備え、各発電ユニットは互いに隣接して配置されると共に、入力側と出力側がそれぞれ直列または並列に結合される。各発電ユニットは界磁と電機子が積層配置される構造を有し、各発電ユニットは他の発電ユニットと同期して動作して複数の発電ユニットが一つの発電ユニットとして機能するようになる。本発明の交流発電装置は一つの発電ユニットで生成される磁場が他の発電ユニットに作用して相乗作用をすることで、優れた発電効率を提供する。
【0013】
また、本発明に係る非回転式交流発電装置はR相とS相及びT相の交流を生成するための第1乃至第3発電ユニットを備え、これらの発電ユニットに対して位相差を有する界磁電流を供給するだけで三相交流を生成できるようになる。また、本発明では第1乃至第3発電ユニットに供給する界磁電流の位相を調整することで、R相とS相及びT相交流との位相差を任意に調整することができ、更に各発電ユニットの界磁と電機子の巻線比を調整する方法などで、R相とS相及びT相交流の電圧を適切に設定できるようになる。
【0014】
本明細書に添付した図面は本発明の技術的構成を効率的に説明するためのものである。図面において一部の構成は本発明を効率的に理解するために簡略化するか、または誇張して描写できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る非回転式交流発電装置の構成例を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る非回転式交流発電装置の他の構成例を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る非回転式交流発電装置のまた他の構成例を概略的に示す斜視図である。
図4】非回転式交流発電装置を構成する発電ユニット100の構成を示す正面図である。
図5図4に示した発電ユニット100の分離斜視図である。
図6】純鉄の冷却時間による脱磁時間の特性を示すグラフである。
図7】コア部材40と磁極片80を熱処理した場合の時間による冷却特性曲線を示すグラフである。
図8】発電ユニット100に形成される磁場の形態や第1または第2磁場の形態を模式的に示す図である。
図9】発電ユニット100に供給する界磁電流と、それに応じて発電ユニット100から出力される交流電流の一例を示す波形図である。
図10図1に示した非回転式交流発電装置で発電ユニット100-1、100-2から形成される磁場の形態を模式的に示す図である。
図11】発電ユニット100の他の構成例を示す正面図である。
図12図12は本発明の第2実施形態に係る非回転式交流発電装置の構成を示す正面図である。
図13】非回転式交流発電装置に採用される磁極片120、140の他の構成例を示す平面図である。
図14】非回転式交流発電装置に採用される磁極片120、140のまた他の構成例を示す平面図である。
図15】本発明の第3実施形態に係る非回転式交流発電装置の構成を示す斜視図である。
図16】本発明の第4実施形態に係る非回転式交流発電装置の構成例を概略的に示す構成図である。
図17】発電ユニット100と直流源110との結線方式の一例を示す構成図である。
図18】第1乃至第3発電ユニット100-1~100-3に供給される界磁電流と、交流発電装置から出力される三相交流の一例を示す波形図であり、図18(a)は三相交流のうちR相の交流を生成する第1発電ユニット100-1、図18(b)はS相の交流を生成する第2発電ユニット100-2、図18(c)はT相の交流を生成する第3発電ユニット100-3に供給される界磁電流の一例を示す波形図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
前述の目的を実現するための本発明に係る非回転式交流発電装置は、交流電流を生成する非回転式交流発電装置において、互いに隣接して配置される2つ以上の発電ユニットを備え、前記発電ユニットは、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片との間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記発電ユニットは入力端と出力端に対して互いに直列または並列に結線されることを特徴とする。
【0017】
また、前述の目的を実現するための本発明の第1観点に係る非回転式交流発電装置は、互いに位相差を有するR相とS相及びT相の交流を生成する交流発電装置において、R相交流を生成するための第1発電ユニットと、S相交流を生成するための第2発電ユニットと、T相交流を生成するための第3発電ユニットとを備え、前記第1乃至第3発電ユニットは第1出力端が中性線に結合されると共に、第2出力端を通じてそれぞれR相、S相またはT相交流を出力し、前記第1乃至第3発電ユニットは、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片との間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記第1乃至第3発電ユニットの各界磁には互いに位相差を有する界磁電流が供給されることを特徴とする。
【0018】
また、前記コア部材の中央部分は長手方向に沿って中空を備えることを特徴とする。
また、前記コア部材と第1または第2中空部との間に絶縁材が更に配置されることを特徴とする。
また、前記絶縁板は高弾性材質で構成されることを特徴とする。
また、コア部材または磁極片は純鉄で構成されると共に、熱処理が行われることを特徴とする。
また、前記発電ユニットは他の発電ユニットと磁極片が一体に構成されることを特徴とする。
また、前記発電ユニットは他の発電ユニットと絶縁板が一体に構成されることを特徴とする。
また、前記界磁と電機子は複数が備えられ、界磁と電機子は互いに交互に配置されることを特徴とする。
また、前記複数の電機子は互いに直列に結線されることを特徴とする。
【0019】
また、前記複数の界磁は第1界磁群と第2界磁群に分割され、前記第1界磁群と第2界磁群は互いに交互に駆動されて、第1磁場と第2磁場をそれぞれ形成し、前記第1磁場と第2磁場は互いに対向する方向を有することを特徴とする。
【0020】
また、前記発電ユニットのうち少なくとも一方は他の発電ユニットと異なる大きさを有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の第2観点に係る非回転式交流発電装置は、互いに位相差を有する多相交流を生成する交流発電装置において、互いに異なる位相の交流をそれぞれ生成するための複数の発電ユニットを備え、前記発電ユニットは、棒状のコア部材;電気線路が巻き取られると共に中央部分に第1中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される界磁;及び電気線路が巻き取られると共に中央部分に第2中空部が形成され、第1中空部を通じて前記コア部材の外側に配置される電機子を備え、前記界磁と電機子との間には磁極片が備えられ、前記界磁と磁極片との間と、前記電機子と磁極片との間には絶縁板が配置され、前記複数の発電ユニットの各界磁には互いに位相差を有する界磁電流が供給されることを特徴とする。
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は本発明の好ましい具現例を例示的に示すものであり、そのような実施形態の例示は本発明の権利範囲を制限するためのものではない。本発明はその技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変形して実施できる。
【0023】
また、本発明はR相とS相及びT相の三相交流を含んで多相交流を生成する交流発電装置に同様に適用することができる。ただし、以下では説明の便宜上、本発明を三相交流発電装置に適用した場合を例に説明する。
【0024】
図1乃至図3は本発明の第1実施形態に係る非回転式交流発電装置の構成例を示す斜視図である。本発明に係る交流発電装置は複数の発電ユニット100:100-1~100-nを備えて構成される。図1乃至図3はそれぞれ本発明の一つ具現例であって、図1は発電ユニット100-1、100-2が二つ、図2は発電ユニット100-1~100-3が三つ、図3は発電ユニット100-1~100-4が4つの場合を示す図である。本発明における発電ユニット100の数は特定の値に限定されない。各発電ユニット100は好ましくは、円柱状に構成される。ただし、発電ユニット100の形状は特定のものに限定されない。発電ユニット100は三角形または四角形などを含む多角形の柱状に構成することができる。これらの発電ユニット100は好ましくは、相互に漏電や火花が発生しない範囲内で、できるだけ隣接して配置される。そして、図面には具体的に示していないが、発電ユニット100は入力端と出力端が電気的に直列または並列に結線される。各発電ユニット100には入力端を通じて直流の界磁電流が供給され、発電ユニット100はこれに基づいて交流電力を生成して出力する。
【0025】
図4は前記発電ユニット100の一構成例を示す正面図であり、図5はその分離斜視図である。図において、発電ユニット100はベース部材30と、このベース部材30の中央部分に結合される棒状のコア部材40を備える。そして、コア部材40にはその外周面に沿って界磁10:10-1、10-2と電機子20:20-1、20-2、20-3が交互に積層または結合されて、発電ユニット100は全体的に1つの非回転式発電機を構成する。
【0026】
コア部材40は長手方向に延びる中空41を備えることが好ましい。この中空41は、コア部材40の内側を通じて空気が円滑に流動できるようにすることで、コア部材40に不適切に熱エネルギーが蓄積されることを防止するためのものである。
【0027】
界磁10及び電機子20はそれぞれ絶縁材が被覆された導電性線路11、21が巻き取られて構成される。ここで、導電性線路としては、例えば、ポリウレタン(Polyurethane)銅線、ポリエステル(Polyester)銅線、ポリアミドイミド(PAI:Polyamide imide)銅線、ポリエステルイミド(Polyester imide)銅線などが好ましく採用できる。界磁10は界磁電流を供給するための入力端12:12-1、12-2を備える。電機子20は出力端22a、22bに対して直列に結合され、出力端22a、22bから誘導電流、即ち電機子20で生成される交流電流が引き出される。または、電機子20は第1及び第2出力端22a、22bに対して直列に結合され、出力端22a、22bから誘導電流、即ち電機子20で生成されるR相、S相またはT相の交流電流が引き出される。界磁10と電機子20の巻線比は界磁電力と出力電力によって設定され得る。更に、本発明の他の具現例として、電機子20は出力端22a、22bに対して並列に結合されるか、または直列と並列の混合方式で結線されることができる。発電ユニット100の入力端12と出力端22a、22bのための結線方式は特定の方式に限定されない。
【0028】
界磁10と電機子20は全体的に、中央部分に中空部13、23を備える円柱状に形成される。この時、界磁10-1,10-2と電機子20-1~20-3の内周面には好ましくは、それぞれ絶縁材130、230が被覆される。この絶縁材130、230は界磁10-1、10-2及び電機子20-1~20-3とこれらの中空部13、23を通して挿入されるコア部材40との間により確実な絶縁を達成するために採用する。界磁10及び電機子20の形状は特定のものに限定されない。例えば、界磁10及び電機子20は楕円形または多角形の形状に構成することができる。なお、界磁10及び電機子20の中空部13、23の形状及びコア部材40の形状は特定のものに限定されない。これらは互いに対応する形状になって、コア部材40と界磁10及び電機子20を最大限に近接して配置できるように構成される。
【0029】
第1界磁10-1と第2界磁10-2は互いに対向する方向の磁場を生成する。例えば、第1界磁10-1は第1磁場を生成し、第2界磁10-2は第2磁場を生成するように構成または結線される。このために、第1界磁10-1と第2界磁10-2は線路11の巻き取り方向が互いに反対方向になっている。更に、他の好ましい具現例で、第1界磁10-1と第2界磁10-2は線路11の巻き取り方向を含んで実質的に同一の構成からなる。第1界磁10-1の入力端12-1に供給される界磁電流と第2界磁10-2の入力端12-2に供給される界磁電流の電流方向は互いに反対方向に設定される。第1及び第2界磁10-1、10-2に界磁電流を供給する電流源としては同一のものを採用してもよいし、異なるものを採用してもよい。
【0030】
第1乃至第3電機子20-1~20-3は実質的に互いに同一の構成からなると共に、互いに直列または並列に結合されて全体的には1つの電機子として機能するようになる。本例において第1乃至第3電機子20-1~20-3はいずれも線路11が同一方向に巻き取られ、第1電機子20-1の一方の出力端が連結線201を通じて第2電機子20-2の他方の出力端に電気的に連結され、第1電機子20-1の他方の出力端は連結線202を通じて第3電機子20-3の一方の出力端に電気的に連結される。より明確に、第1乃至第3電機子20-1~20-3は同一方向の磁場に対して全て同一方向に誘導電流の流れが発生するように構成及び結合される。そして、第2電機子20-2の一方の出力端22aと第3電機子20-3の他方の出力端22bが発電ユニット100の出力端又は第1及び第2出力端を構成するようになる。
【0031】
界磁10と電機子20との間にはそれぞれ磁極片80が備えられる。また、好ましくは、最上側及び最下側に設けられた電機子または界磁、即ち、本例においては、第2電機子20-2の上側及び第3電機子20-3の下側にもそれぞれ磁極片80が備えられる。そして、磁極片80と界磁10との間と、磁極片80と電機子20との間にはそれぞれ絶縁板90が備えられる。この時、磁極片80の横断面形状及び大きさは界磁10-1、10-2及び電機子20-1~20-3のものと同様に設定される。なお、図面には具体的に示していないが、絶縁板90の横断面形状及び大きさは安定した絶縁のために界磁10及び電機子20よりも大きく設定される。
【0032】
絶縁板90の材質は特定のものに限定されない。界磁10で生成される磁場を電機子20に最も有効に作用させるためには界磁10と電機子20との離隔距離を最小限に縮小するか、または好ましくはそれらを密着させる必要がある。絶縁板90は界磁10又は電機子20と磁極片80との間、又は界磁10と電機子20との間に漏れ電流が発生したり、火花が発生したりすることを防止し、界磁10と電機子20をできるだけ近接させるようにする。
【0033】
また、本発明の好ましい具現例において、絶縁板90の材質としては、例えばPET(Polyethylene terephthalate)などのように、弾性係数が高く耐衝撃性に優れた材質が採用される。後述するように、コア部材40と磁極片80は界磁10で生成される磁場の磁路を提供して、界磁10で生成される磁場が電機子20を全体的に鎖交しながら循環するようにする。
【0034】
前述したように、第1界磁10-1と第2界磁10-2はそれぞれ互いに対向する方向を有する第1磁場及び第2磁場を生成する。従って、このような第1及び第2磁場がコア部材40と磁極片80を通じて循環する際、コア部材40と磁極片80は磁化及び脱磁が交互に、且つ繰り返し行われるようになる。そして、このような磁化及び脱磁はコア部材40、特に磁極片80に衝撃を与えて磁極片80に微細な振れや振動などを誘発する恐れがある。コア部材40と磁極片80に振動などが発生すると、これを通じて循環する磁路に瞬間的な変形や歪みが発生して電機子20-1~20-3に鎖交する磁場に変化が発生する。これは結果的に、電機子20-1~20-3で生成される誘導電流に望まない変化を発生する恐れがある。絶縁板90は高弾性で磁極片80の振れや振動を相殺してこれを最小化することで、電機子20-1~20-3を通じて生成される交流電流の流れが不要に歪むことを防止するようになる。
【0035】
前述したように、コア部材40と磁極片80は界磁10で生成される磁場の円滑な流れのために提供される。コア部材40及び/または磁極片80の材質としては、強磁性材料、好ましくは透磁率が高く、保磁力の低いシリコン鋼を採用することができる。ただし、ケイ素鋼は電気伝導度が比較的低く、外部から加えられる光や熱によって内部抵抗値が容易に増加する。コア部材40と磁極片80はこれを通じて磁路が形成される際、磁場の変動に対応して自体的に電流の流れが発生する恐れがある。この時、コア部材40と磁極片80の電気伝導度に反比例して熱が発生する。即ち、界磁10で生成される磁気エネルギーが熱エネルギーに失われる問題が生じる。
【0036】
本発明の他の好ましい具現例において、コア部材40及び/または磁極片80の材料としては純鉄、より好ましくは熱処理された純鉄が採用される。純鉄は透磁率が高く電気伝導度に優れるのに対し、保磁力が比較的高い。コア部材40と磁極片80には第1界磁10-1及び第2界磁10-2で生成される第1及び第2磁場が交互に加えられるため、その材質としてはなるべく速い脱磁時間、即ち低い保磁力を有することが要求される。本発明者が研究したところによれば、純鉄を一定温度以上に加熱した後、徐々に冷却させると、その冷却時間に対応して脱磁時間(demagnetization time)が短縮される。図6は純鉄の冷却時間による脱磁時間の特性を示すグラフである。研究の結果、一定温度以上に加熱された純鉄の温度を10時間以上の十分な時間の間に徐々に冷却させると、その脱磁時間を1/450(秒)以下に短縮できることを確認した。また、これと共に純鉄の冷却時間を遅らせると、透磁率と電気伝導度がより向上する付随的な効果が得られる。
【0037】
本発明では、まず、純鉄を用いてコア部材40と磁極片80を製造した後、熱処理を行う。熱処理は例えば、黒炭や白炭などの固体燃料、好ましくは白炭を用いて行われる。即ち、熱処理時にはコア部材40と磁極片80を白炭と共に窯に入れ、白炭を燃焼させてコア部材40と磁極片80を1000~1300度以上に加熱する。そして、コア部材40と磁極片80をそのまま一緒に常温で放置して、白炭が自然に燃焼及び消火される。その後、コア部材40及び磁極片80が白炭と共に自然に冷却されるようになる。このようにすると、白炭が燃焼及び消火される過程でコア部材40及び磁極片80の温度が徐々に降下する。その後、白炭の潜熱によりコア部材40及び磁極片80が常温に冷却されるまで相当な時間が掛かる。図7は前述した方法で熱処理されるコア部材40と磁極片80との時間による冷却特性曲線を示すグラフである。そして、熱処理が終了した後にはコア部材40及び磁極片80から白炭材などの不純物を除去し、最終的にはオイルなどでさび止め処理を行うようになる。
【0038】
図4及び図5において、発電ユニット100を組み立てる場合には、まずベース部材30にコア部材40を締結する。続いて、コア部材40の外側に磁極片80と絶縁板90を挿入しながら、順次電機子20-1~20-3と界磁10-1、10-2を交互に積層する。その後、蓋60と締結部材70を結合するようになる。そして、最終的に連結線201,202を用いて第1及び第2界磁10-1,10-2と第1乃至第3電機子20-1~20-3との間に結線を行うことで、発電ユニット100を完成するようになる。
【0039】
前記発電ユニット100は界磁電流を供給するための第1及び第2入力端12-1、12-2と、交流が出力される出力端22a、22bを備える。本発電ユニット100を駆動する場合には、前記第1及び第2入力端12-1,12-2を通じて交互に第1及び第2界磁電流を供給して第1界磁10-1と第2界磁10-2を選択的に、且つ交互に駆動するようになる。第1または第2界磁10-1、10-2の線路11を通じて界磁電流が流れると、その線路11の巻き取り方向または電流の流れ方向に対応して垂直方向に磁場が形成される。第1界磁10-1によって生成される磁場を第1磁場、第2界磁10-2によって生成される磁場を第2磁場とする時、第1磁場と第2磁場はその磁場方向が互いに対向するようになる。磁場が形成される方向はアンペアの右ねじの法則(Ampere’s right hand screw rules)で定義することができる。
【0040】
図8は発電ユニット100で形成される磁場の形態や第1または第2磁場を模式的に示す図である。発電ユニット100で第1または第2界磁10-1、10-2を通じて界磁電流が流れると、前記アンペアの法則によって第1または第2界磁10-1、10-2で磁場が形成される。このようにして形成された磁場は磁極片80とコア部材40を通じて流れるようになる。これにより、第1または第2磁場は図8に示したように、発電ユニット100の上下側を全体的に貫通しながら流れるようになる。第1及び第2磁場は電機子20-1~20-3の線路21に対して垂直方向に鎖交する。そして、電機子20-1~20-3の線路21には磁場の方向と線路21の巻き取り方向に対応して一定方向に電流の流れが発生する。この時、誘導電流の大きさは磁場の強度とその変化量に対応するようになる。第1磁場と第2磁場が交番する度に、電機子20-1~20-3線路には第1又は第2磁場が鎖交するようになり、誘導電流の流れは第1及び第2磁場が交番することに対応して、その方向が変更される。電機子20-1~20-3の出力端22から引き出される交流電源の周波数は界磁電流の交互周期によって決定される。
【0041】
図9は発電ユニット100に供給する界磁電流と、それに応じて発電ユニット100から出力される交流電流の一例を示す波形図である。図9において、Aは第1入力端12-1に供給される第1界磁電流、Bは第2入力端12-2に供給される第2界磁電流の一例を示し、Oは発電ユニット100の出力端22a、22bを通じて出力される出力交流電流の一例を示す。図9において出力交流電流Oの波形は交流発電機から出力される交流出力の1つの典型的な一例を示したもので、その出力波形は第1及び第2界磁電流A、Bの電流大きさ及びパルス幅によって様々な形態に変形されるようになる。
【0042】
図1乃至図3において、本発明に係る非回転式交流発電装置は複数の発電ユニット100-1~100-nを備えて構成される。前述したように、発電ユニット100-1~100-nの各入力端12-1、12-2には界磁電流が供給され、発電ユニット100-1~100-nの出力端22a、22bは互いに直列または並列に結合される。発電ユニット100には界磁電流を供給するために1つ以上の電流源が結合される。発電ユニット100-1~100-nに備えられる第1界磁10-1及び第2界磁10-2は直流源に直列又は並列に結合される。また、第1界磁10-1と第2界磁10-2の交互駆動とその交互周期の調整のために、例えばIGBT(Insulated gate bipolar transistor)などのスイッチング手段を備えることができ、界磁電流のパルス幅制御ために、PWM(Pulse Width Modulation)制御手段を備えることができる。スイッチング手段及びPWM制御手段を通じた第1及び第2界磁電流の供給及び制御については特許文献1に詳細に記載されている。
【0043】
発電ユニット100-1~100-nは同期して駆動される。即ち、各発電ユニット100の第1界磁10-1と第2界磁10-2は同一の交互周期を有して駆動される。もちろん、1つの発電ユニット100と他の発電ユニット100は同一の駆動周期内で界磁10を駆動するためのデューティ比が互いに異なるように設定されることができる。
【0044】
図10は非回転式交流発電装置で生成される全体的な磁場の流れを模式的に示す図であり、これは図1に対応するものである。この図において、第1発電ユニット100-1と第2発電ユニット100-2が同期して駆動される。即ち、第1発電ユニット100-1の第1界磁10-1と第2発電ユニット100-2の第1界磁10-1は同一の駆動区間を有し、第1発電ユニット100-1の第2界磁10-2と第2発電ユニット100-2の第2界磁10-2は同一の駆動区間を有する。これにより、第1発電ユニット100-1と第2発電ユニット100-2で生成される磁場は同一の磁路を有するようになる。前述したように、第1及び第2発電ユニット100-1、100-2は隣接して配置される。従って、第1発電ユニット100-1で発生する第1または第2磁場と第2発電ユニット100-2で生成される第1または第2磁場は互いに重畳されて、第1発電ユニット100-1と第2発電ユニット100-2は、全体的に1つの発電ユニットとして機能するようになる。
【0045】
個別の発電ユニット100はそれ自体的に備える第1または第2界磁10-1、10-2によって生成される磁場に対応する誘導電流を生成するようになる。ところで、図1及び図10のように、同期的に駆動される第1発電ユニット100-1と第2発電ユニット100-2を隣接して配置すると、第1又は第2発電ユニット100-1、100-2はそれぞれ隣接した発電ユニットで生成される磁場によって追加的に誘導電流が生成されるようになる。即ち、個別に設けられた第1及び第2発電ユニット100-1、100-2で生成される電流量に比べて隣接して配置される第1及び第2発電ユニット100-1、100-2で生成される誘導電流量がより大きくなる。このような誘導電流の増加は図2及び図3のように、発電ユニット100の数が増加するにつれて大きくなる。
【0046】
図11は発電ユニット100の他の構成例を示す正面図である。本実施形態においては、ベース部材30にコア部材40が締結され、コア部材40には複数の界磁10-1~10-nと複数の電機子20-0~20-nが絶縁板90と磁極片80を介して交互に積層結合される。この時、電機子20-0~20-nは図4と同様に、同一の磁場に対して同一方向の誘導電流を生成できるように構成及び結合される。
【0047】
これに対して、界磁10-1~10-nはn個の界磁のうち、n/2個の界磁が第1界磁群を構成し、残りのn/2個の界磁が第2界磁群を構成する。好ましくは、奇数番目の界磁10-1、10-3、…、10-(n-1)が第1界磁群を構成し、偶数番目の界磁10-2、10-4、…、10-nが第2界磁群を構成する。この時、各界磁群の構成は前述したように各界磁を構成する線路の巻き取り方向を適切に設定するか、またはこれらの界磁に供給される界磁電流の結線方法を適切に設定する方法によって行うことができる。第1界磁群と第2界磁群はそれぞれ同期して駆動され、第1界磁群と第2界磁群は互いに交互に駆動されることで、全体的に界磁10-1~10-nは互いに対向する方向の第1磁場と第2磁場を形成するようになる。第1界磁群と第2界磁群を構成する界磁は様々な方式で結線されることができる。第1界磁群及び第2界磁群はそれぞれ入力端が互いに直列に結線され、第1界磁群及び第2界磁群はそれぞれ1つの界磁電流入力に対して直列に結線されることができる。また、第1界磁群及び第2界磁群はそれぞれ1つの界磁電流入力に対して並列に結線されることができる。そして、界磁10-1~10-nに界磁電流を供給するために複数の電流源を備え、この電流源に対応して第1または第2界磁群が複数のサブ界磁群に分割され、それぞれのサブ界磁群は電流源に対してそれぞれ直列または並列に結合されることができる。界磁10-1~10-nの結線方式とそのための電流源の数は特定されず、交流発電機を通じて生成しようとする出力電力量によって適宜選択することができる。
【0048】
本実施形態は界磁10-1~10-nと電機子20-0~20-nを複数備え、必要に応じて様々な交流電力を生成できるようにしたものである。なお、その他の部分は前述した実施形態と実質的に同一であるため、前述した実施形態と同一部分には同一の参照番号を付し、その具体的な説明を省略する。
【0049】
図12は本発明の第2実施形態に係る非回転式交流発電装置の構成を示す正面図である。本実施形態において、複数の発電ユニット100、本例では第1発電ユニット100-1と第2発電ユニット100-2は下部が単一のベース部材30に結合されると共に、上部は磁極片120によって互いに結合される。即ち、交流発電装置を構成する複数の発電ユニット100は磁極片120を通じて一体的に結合される。
【0050】
図13図1の交流発電装置に採用される磁極片120の構成を示す平面図である。図において、磁極片120は第1発電ユニット100-1のための第1磁極片部121と第2発電ユニット100-2のための第2磁極片部122が一体に結合されて構成され、第1磁極片部121と第2磁極片部122の中央部分にはそれぞれ第1及び第2発電ユニット100-1、100-2のコア部材40が挿入される貫通孔123が備えられる。
【0051】
また、図14図2の交流発電装置に採用される磁極片140の構成を示す平面図である。図14において、磁極片140は第1発電ユニット100-1のための第1磁極片部141と、第2発電ユニット100-2のための第2磁極片部142、及び第3発電ユニット100-3のための第3磁極片部143が一体に結合されて構成され、第1乃至第3磁極片部141~143の中央部分はそれぞれ第1乃至第3発電ユニット100-1~100-3のコア部材40が挿入される貫通孔123を備える。
【0052】
本実施形態において磁極片120、140の形状は特定されず、交流発電装置の構成によって適宜変更することができる。本実施形態において交流発電装置を構成する複数の発電ユニットは磁極片を通じて互いに結合される。従って、外部に振動や衝撃が加えられる場合に発電ユニットが流動することを最小限に抑えることができる。また、磁極片120、140は各発電ユニット100の間空間を通じて互いに結合されるので、磁極片120、140は発電ユニット100の間空間を通じた磁場の流れをより安定化する効果を提供することができる。なお、その他の部分は前述した実施形態と実質的に同一である。
【0053】
図16は本発明に係る非回転式交流発電装置の構成例を示す正面図である。図において非回転式交流発電装置は第1乃至第3発電ユニット100-1~100-3を備える。これらの発電ユニット100-1~100-3はそれぞれR相、S相及びT相の交流を生成するためのものである。発電ユニット100-1~100-3はそれぞれ第1及び第2入力端12-1、12-2と第1及び第2出力端22a、22bを備える。この時、第1及び第2入力端12-1、12-2は直流源に適宜結合される。発電ユニット100-1~100-3と直流源との結合についてはより具体的に後述する。また、発電ユニット100-1~100-3の第1出力端22aは中性線Nに結合され、第2出力端22bからそれぞれR相、S相及びT相の交流が出力される。
【0054】
図16において非回転式交流発電装置はそれぞれR相、S相及びT相の交流を生成するための第1乃至第3発電ユニット100-1~100-3を備える。これらの発電ユニット100-1~100-3は互いに異なる位相を有する界磁電流または界磁パルスによって駆動される。図18は第1乃至第3発電ユニット100-1~100-3に供給される界磁電流と、交流発電装置から出力される三相交流の一例を示す波形図であって、図18(a)は三相交流のうちR相の交流を生成する第1発電ユニット100-1、図18(b)はS相の交流を生成する第2発電ユニット100-2、図18(c)はT相の交流を生成する第3発電ユニット100-3に供給される界磁電流の一例を示すものである。なお、図においてRA、SA及びTAは第1界磁10-1に印加される界磁電流を示し、RB、SB及びTBは第2界磁10-2に供給される界磁電流を示す。図18(d)に示したように、三相交流はR相とS相及びT相を有する3つの交流を含み、これらは互いに120度の位相差を有するようになる。前述したように、本発明において発電ユニット100は入力される界磁電流、または界磁パルスによって駆動される。この時、発電ユニット100で生成される交流電流の周波数と位相は界磁パルスの周期及び位相によって決定される。従って、図18に示したように、第1乃至第3発電ユニット100-1~100-3に対して相互に120度の位相差を有する界磁パルスをそれぞれ供給すると、第1乃至第3発電ユニット100-1~100-3を通じてRST三相交流を生成することができるようになる。
【0055】
前述した実施形態においては、R相とS相及びT相の交流を生成するための第1乃至第3発電ユニット100-1~100-3を備える。そして、これらのユニット1から生成される交流電流の位相はこれらの発電ユニットに供給される界磁電流または界磁パルスの位相を調整することで適切に設定できるようになる。また、前述した実施形態において、各発電ユニット100-1~100-3は界磁10と電機子20の巻線比を調整する方式を通じて、その発電ユニット100-1~100-3から出力される交流の電圧を適切に設定するできるようになる。
【0056】
図17は発電ユニット100と直流源110との結線方式の一例を示す構成図である。図において、第1界磁10-1は第1入力端12-1の一方が直流源110の正(+)端に結合されると共に、他方が第1スイッチング部120を通じて直流源110の負(-)端に結合され、第2界磁10-2は第2入力端12-2の他方が直流源110の正(+)端に結合されると共に、一方が第2スイッチング部130を通じて直流源110の負(-)端に結合される。即ち、第1界磁10-1と第2界磁10-2は直流源110に逆方向に結合される。従って、第1界磁10-1と第2界磁10-2には逆方向に界磁電流が供給される。これにより、第1界磁10-1と第2界磁10-2で生成される磁場は互いに対向する方向に形成される。前記第1及び第2スイッチング部120、130はPWM(Pulse Width Modulation)制御部140により制御される。PWM制御部140は第1及び第2スイッチング部120、130を交互に駆動して第1界磁10-1と第2界磁10-2を交互に駆動すると共に、第1界磁10-1及び第2界磁10-2に対する界磁電流のパルス幅、即ちデューティ比を制御することで、発電ユニット100の交流出力を制御するようになる。
【0057】
PWM制御部140が第1または第2スイッチング部120、130を駆動して第1または第2界磁10-1、10-2の線路11を通じて界磁電流が流れると、その線路11の電流の流れ方向に対応して垂直方向に磁場が形成される。第1界磁10-1によって生成される磁場を第1磁場、第2界磁10-2によって生成される磁場を第2磁場とする時、第1磁場と第2磁場はその磁場方向が互いに対向するようになる。磁場が形成される方向はアンペアの右ねじの法則(Ampere’s right hand screw rules)で定義することができる。
【0058】
以上、本発明に係る実施形態について説明した。しかし、本発明は前記実施形態に限定されず、多様に変形して実施することができる。例えば、前述した実施形態においては発電ユニット100を構成する界磁10と電機子20が1つずつ順次交互に設けられることについて説明した。しかしながら、本発明は例えば、2つの連続した界磁と1つの電機子を交互に設けるなど、様々な方式で変形して実施することができる。
【0059】
また、前述した実施形態においては交流発電装置が同一の大きさ及び構成を有する複数の発電ユニットを組み合わせて構成することについて説明した。しかし、本発明は図15に示したように、互いに異なる大きさを有する第1及び第2発電ユニット150、151を組み合わせて構成することも好ましく適用して実施することができる。
【0060】
また、前述した実施形態においては複数の発電ユニット100を磁極片120、140を通じて結合することについて説明した。しかし、発電ユニット100は磁極片120、140の以外に、絶縁板90や上蓋60を通じて結合する方式も好ましく採用できる。
【0061】
また、前述した実施形態においてR相とS相及びT相の交流を生成する各発電ユニット100-1~100-3は複数の発電ユニットで構成することができる。そして、この時複数の発電ユニットはその第1及び第2出力端22a、22bが互いに直列または並列に結合されるようになる。
【0062】
また、前述した実施形態においては本発明を三相交流発電装置について説明したが、本発明は多相多線式の交流発電装置に対して同様に適用して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る非回転式交流発電装置は複数の発電ユニットを備え、各発電ユニットは互いに隣接して配置されると共に、入力側と出力側がそれぞれ直列または並列に結合される。各発電ユニットは界磁と電機子が積層配置される構造を有し、各発電ユニットは他の発電ユニットと同期して動作して複数の発電ユニットが一つの発電ユニットとして機能するようになる。本発明の交流発電装置は一つの発電ユニットで生成される磁場が他の発電ユニットに作用して相乗作用をすることで、優れた発電効率を提供する。
【0064】
また、本発明に係る非回転式交流発電装置はR相とS相及びT相の交流を生成するための第1乃至第3発電ユニットを備え、これらの発電ユニットに対して位相差を有する界磁電流を供給するだけで三相交流を生成できるようになる。また、本発明では第1乃至第3発電ユニットに供給する界磁電流の位相を調整することで、R相とS相及びT相交流との位相差を任意に調整することができ、更に各発電ユニットの界磁と電機子の巻線比を調整する方法などで、R相とS相及びT相交流の電圧を適切に設定できるようになる。
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【国際調査報告】