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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ガンマデルタT細胞を単離する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20230608BHJP
【FI】
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568961
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 GB2021051144
(87)【国際公開番号】W WO2021229226
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】2006989.4
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519391608
【氏名又は名称】ガンマデルタ セラピューティクス リミティッド
【氏名又は名称原語表記】GAMMADELTA THERAPEUTICS LTD
【住所又は居所原語表記】1 Kingdom Street, W2 6BD London, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】ダルジール、マデリーン
(72)【発明者】
【氏名】ハットン、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】オファレル、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ヌスバウマー、オリヴァー
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065BB19
4B065BB23
4B065BC05
4B065BD09
4B065BD12
4B065CA44
(57)【要約】
本発明は、非造血組織常在性リンパ球、特にγδT細胞を単離する方法に関する。そのようなγδT細胞としては、非Vδ2細胞、例えばVδ1、Vδ3、及びVδ5細胞が挙げられ、そのような非造血組織としては皮膚及び腸が挙げられる。そのような単離された非造血組織常在性リンパ球は、養子T細胞療法、キメラ受容体療法などにおいて非常に有用であることが理解されるであろう。また、単離された組織常在性リンパ球を拡大する方法、特にγδT細胞を単離及び拡大する方法も提供される。本発明はまた、本明細書に記載の方法によって産生される個々の細胞と細胞の集団の両方に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非造血組織試料からリンパ球を単離する方法であって、
(i)インターロイキン-1β(IL-1β)の存在下で前記非造血組織試料を培養するステップと;
(ii)前記非造血組織試料から培養されたリンパ球の集団を収集するステップと、を含む前記方法。
【請求項2】
非造血組織試料からγδT球を単離する方法であって、
(i)IL-1βの存在下で前記非造血組織試料を培養するステップと;
(ii)前記非造血組織試料から培養されたγδT細胞の集団を収集するステップと、を含む前記方法。
【請求項3】
ステップ(i)が、インターロイキン-2(IL-2)及びインターロイキン-15(IL-15)の存在下で前記非造血組織試料を培養することをさらに含む、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(i)が、インターロイキン-4(IL-4)及び/またはインターフェロン-γ(IFN-γ)の存在下で前記非造血組織試料を培養することをさらに含む、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記培養することがインターロイキン-21(IL-21)の非存在下で実施される、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記培養することが、15ng/mL~25ng/mL、例えば、18~20ng/mlの濃度のインターロイキン-21(IL-21)の存在下で実施される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記非造血組織試料が、血清または血漿を含む培地中で培養される、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記非造血組織が、2.5%のヒト血漿を含む培地中で培養される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記非造血組織が、10%のヒトAB血清を含む培地中で培養される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記リンパ球またはγδT細胞が、少なくとも7日間の培養の後に収集される、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記リンパ球またはγδT細胞が、少なくとも14日間の培養の後に収集される、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記リンパ球またはγδT細胞が、少なくとも35日間の培養の前に収集される、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記リンパ球またはγδT細胞が、19日間の培養の後に収集される、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記リンパ球またはγδT細胞が、21日間の培養の後に収集される、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記非造血組織試料が、無傷の生検である、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記非造血組織試料が、皮膚である、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記皮膚試料が表皮及び真皮層を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記非造血組織試料が腸管または胃腸管である、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項19】
前記非造血組織試料がヒトから得られたものである、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、ガス透過性物質を含む容器内で実施される、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項21】
前記単離されたリンパ球またはγδT細胞の集団がVδ1T細胞の集団を含む、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項22】
前記単離されたVδ1T細胞の集団の80%未満がCD45RAを発現し、例えば前記単離されたVδ1T細胞の集団の30%未満がCD45RAを発現する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記単離されたVδ1T細胞の集団の10%未満がNKG2Aを発現する、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記単離されたリンパ球またはγδT細胞の集団を拡大することをさらに含む、いずれかの先行請求項に記載の方法。
【請求項25】
非造血組織試料からリンパ球を単離する方法であって、
(i)血清代替物、ヒト血漿、及び/またはヒトAB血清を含む培地中で前記非造血組織試料を培養するステップと;
(ii)前記非造血組織試料から培養されたリンパ球の集団を収集するステップと、を含む前記方法。
【請求項26】
血清代替物を含む培地中で前記非造血組織試料を培養することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記単離されたリンパ球の集団がTCR陰性細胞の集団を含む、請求項25または26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
ステップ(i)が、IL-2及びIL-15の存在下で前記非造血組織試料を培養することをさらに含む、請求項25~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(i)が、IL-4及び/またはIL-1βの存在下で前記非造血組織試料を培養することをさらに含む、請求項25~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記培養することがIFN-γの非存在下で実施される、請求項25~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(i)が、15ng/mL~25ng/mLの濃度のIL-21の存在下で前記非造血組織試料を培養することをさらに含む、請求項25~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記リンパ球が19日間の培養の後に収集される、請求項25~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記リンパ球が21日間の培養の後に収集される、請求項25~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
非造血組織試料からリンパ球を単離及び拡大する方法であって、
(i)いずれかの先行請求項に記載の方法に従って、前記非造血組織試料からリンパ球の集団を単離するステップと;
(ii)前記リンパ球の集団を少なくとも5日間さらに培養して、拡大されたリンパ球の集団を産生するステップと、を含む前記方法。
【請求項35】
非造血組織試料からγδT細胞を単離及び拡大する方法であって、
(i)いずれかの先行請求項に記載の方法に従って、前記非造血組織試料からγδT細胞の集団を単離するステップと;
(ii)前記γδT細胞の集団を少なくとも5日間さらに培養して、拡大されたγδT細胞の集団を産生するステップと、を含む前記方法。
【請求項36】
前記単離されたリンパ球またはγδT細胞の集団が凍結され、次いでステップ(ii)の前に解凍される、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記拡大ステップが、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効な量の、
(a)IL-2またはIL-9;
(b)IL-15;及び任意選択で、
(c)IL-21、の存在下で、
前記γδT細胞を少なくとも5日間培養すること、を含む、請求項35または請求項36に記載の方法。
【請求項38】
IL-4の存在下で前記γδT細胞を培養することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記拡大ステップが実質的な間質細胞接触の非存在下で前記γδT細胞を培養することを含む、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記拡大ステップが外因性TCR経路アゴニストの非存在を含む、請求項35~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
非造血組織試料からγδT球を単離する方法であって、
(i)前記非造血組織試料からγδT細胞の集団を単離するステップと、
(ii)前記単離されたγδT細胞の集団を凍結するステップと、を含む前記方法。
【請求項42】
γδT細胞が、任意選択でIL-1β、IL-4、及び/またはIL-21と組み合わせて、IL-2及びIL-15の存在下で前記非造血組織試料を培養することによって単離される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
γδT細胞が、15ng/mL~25ng/mL、例えば、18~20ng/mlの濃度のIL-21の存在下で前記非造血組織試料を培養することによって単離される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記γδT細胞が単離の19日後に凍結される、請求項41~43に記載の方法。
【請求項45】
前記γδT細胞が単離の21日後に凍結される、請求項41~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記単離されたγδT細胞の集団が凍結溶液中で凍結され、液体窒素中(気相)で保存される、請求項41~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
(iii)前記凍結されたγδT細胞の集団を解凍することと、(iv)前記解凍されたγδT細胞の集団を少なくとも5日間培養して、γδT細胞の拡大された集団を生成することと、をさらに含む、請求項41~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
請求項1~24のいずれか1項に記載の方法によって得ることのできる単離されたγδT細胞の集団。
【請求項49】
請求項1~24のいずれか1項に記載の方法によって得られる単離されたγδT細胞の集団。
【請求項50】
請求項41~47のいずれか1項に記載の方法によって得ることのできる凍結された単離されたγδT細胞の集団。
【請求項51】
請求項41~47のいずれか1項に記載の方法によって得られる凍結された単離されたγδT細胞の集団。
【請求項52】
請求項35~40のいずれか1項に記載の方法によって得ることのできる、単離及び拡大されたγδT細胞の集団。
【請求項52】
請求項35~40のいずれか1項に記載の方法によって得られる、単離及び拡大されたγδT細胞の集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非造血組織常在性リンパ球、特にγδT細胞を単離する方法に関する。そのようなγδT細胞としては、非Vδ2細胞、例えばVδ1、Vδ3、及びVδ5細胞が挙げられ、そのような非造血組織としては皮膚及び腸が挙げられる。そのような単離された非造血組織常在性リンパ球は、養子T細胞療法、キメラ受容体療法などにおいて非常に有用であることが理解されるであろう。本発明はまた、本明細書に記載の方法によって産生される個々の細胞と細胞の集団の両方に関する。
【背景技術】
【0002】
がんに対するT細胞免疫療法への関心の高まりは、CD8+及びCD4+のαβT細胞のサブセットががん細胞を認識し、特にPD-1、CTLA-4、及び他の受容体により発揮される抑制経路の臨床的媒介拮抗作用によって抑制が解除された場合、宿主保護機能性を媒介する明らかな能力に焦点を当てている。しかしながら、αβT細胞は、移植片対宿主病を引き起こし得るMHC拘束性である。
【0003】
ガンマデルタT細胞(γδT細胞)は、表面に別個の規定的なγδT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞のサブセットを表す。このTCRは、1つのガンマ(γ)鎖及び1つのデルタ(δ)鎖から構成されている。ヒトγδTCR鎖は、Vδ1、Vδ2、Vδ3の3つの主要なδ鎖と6つのγ鎖から選択される。ヒトγδT細胞はTCR鎖に基づいて大まかに分類できる。これは、特定のγ型及びδ型が、1つ以上の組織型において排他的ではないがより一般的に細胞で見いだされるためである。例えば、血液常在性γδT細胞の多くはVδ2TCR、例えばVγ9Vδ2を発現するが、これは組織常在性γδT細胞ではあまり一般的ではなく、例えば皮膚ではVδ1を、腸ではVγ4をより頻繁に使用する。
【0004】
リンパ球を単離する方法の大部分は、血液からこれらの細胞型を単離することに依存している。γδT細胞などの非造血組織常在性リンパ球は、非造血腫瘍及びその他の標的を標的とするなど、特定の用途に特に適した特性を有し得る。しかしながら、そのような組織常在性リンパ球を臨床的に適切な量で単離することは、特に多くの適応症で10細胞以上の範囲の臨床用量が必要とされるため、依然として課題のままである。重要なことに、生産中の重大な細胞損失は、さらに多くの開始細胞を生成する必要があることを意味する。
【0005】
非造血組織常在性リンパ球、特にγδT細胞は、大量に容易に入手できないため、治療への応用について十分に特徴付けられたり研究されたりしていない。したがって、この分野では、非造血組織常在性リンパ球、特にγδT細胞を、さらなる拡大に十分な量まで単離し、治療法、例えば養子T細胞療法として潜在的に適応させる方法が必要とされている。
【0006】
Clark et al.(2006)J.Invest.Dermatol.126(5):1059-70は、正常及び疾患の皮膚から皮膚常在性T細胞を単離する方法を記載している。しかしながら、そこに記載されている方法は、動物性生成物の存在により、特に単離細胞の収率が比較的低く、すなわち組織1cm当たり10細胞未満であるため、臨床使用には適していない。Clarkらに記載されている方法は、組織試料の構造的完全性を故意の破壊をもたらす、細かく刻んだ試料を使用する。WO2017072367及びWO2018/202808は、少なくともインターロイキン-2(IL-2)及び/またはインターロイキン-15(IL-15)の存在下で非造血組織から得られたリンパ球を培養することにより、非造血組織常在性γδT細胞をインビトロで拡大する方法に関する。WO2015189356は、IL-2、IL-15、及びIL-21から選択される少なくとも2種類のサイトカインを含むアフェレーシスによって得られた試料から得られたリンパ球を拡大するための組成物を記載する。したがって、臨床使用に適したより多量の細胞を産生する、皮膚などから組織常在性非造血リンパ球を単離する方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、非造血組織試料からリンパ球を単離する方法であって:
(i)インターロイキン-1β(IL-1β)の存在下で非造血組織試料を培養するステップと;
(ii)非造血組織試料から培養されたリンパ球の集団を収集するステップと、を含む方法が提供される。
【0008】
さらなる態様によれば、非造血組織試料からγδT細胞を単離する方法であって:
(i)IL-1βの存在下で非造血組織試料を培養するステップと;
(ii)非造血組織試料から培養されたγδT細胞の集団を収集するステップと、を含む方法が提供される。
【0009】
さらなる態様によれば、非造血組織試料からリンパ球を単離及び拡大する方法であって:
(i)本明細書に記載の方法に従って、非造血組織試料からリンパ球の集団を単離するステップと;
(ii)前記リンパ球の集団を少なくとも5日間さらに培養して、拡大されたリンパ球の集団を産生するステップと、を含む方法が提供される。
【0010】
さらなる態様によれば、非造血組織試料からγδT細胞を単離及び拡大する方法であって:
(i)本明細書に記載の方法に従って、非造血組織試料からγδT細胞の集団を単離するステップと;
(ii)前記γδT細胞の集団を少なくとも5日間さらに培養して、拡大されたγδT細胞の集団を産生するステップと、を含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】すべての条件についての生細胞のγδT細胞のパーセンテージ(%)(A)及びグリッドあたりの総γδT細胞(B)である。条件は、タンパク質源(AB=ヒト10%AB血清、血漿=2.5%ヒト血漿;SR=5%血清代替物)によってグループ化され、IL-1βの存在(+)または非存在(-)で細分される。さまざまな条件の詳細については、表2を参照されたい。バーは実験中央値の代表である。点線は、実験的対照の中央値を表す(STD ISO)。
図2】すべての条件についての生細胞のVδ1T細胞の%(A)及びグリッドあたりの総Vδ1T細胞(B)を示すグラフである。条件は、IL-1βの存在または非存在でタンパク質源によってグループ化される。バーは実験中央値の代表である。点線は、実験的対照の中央値を表す。
図3】タンパク質源によってグループ化され、IL-4の存在または非存在で細分化されたグリッドあたりの生細胞の結果を示すグラフである。バーは実験中央値の代表である。点線は、実験的対照の中央値を表す。
図4】タンパク質源によってグループ化され、IL-4の存在または非存在で細分化された生細胞のγδT細胞のパーセンテージの結果を示すグラフである。バーは実験中央値の代表である。点線は、実験的対照の中央値を表す。
図5】タンパク質源によってグループ化され、IL-4の存在または非存在で細分化されたグリッドあたりの総Vδ1T細胞の結果を示すグラフである。バーは実験中央値の代表である。点線は、実験的対照の中央値を表す。
図6】タンパク質源によってグループ化され、IL-4の存在または非存在で細分化されたVδ1T細胞上のNKG2A発現%(A)及びCD45RA発現%(B)の結果を示すグラフである。バーは実験中央値の代表である。点線は、実験的対照の中央値を表す。
図7】タンパク質源によってグループ化されたVδ1T細胞上のTIGIT発現%の結果を示すグラフである。バーは実験中央値の代表である。点線は、実験的対照の中央値を表す。
図8】タンパク質源によってグループ化されたグリッドあたりの総Vδ1T細胞の結果を示すグラフである。バーは実験中央値の代表である。点線は、実験的対照の中央値を表す。
図9】タンパク質源によってグループ化されたグリッドあたりの総生細胞の結果を示すグラフである。バーは実験中央値の代表である。点線は、実験的対照の中央値を表す。
図10】タンパク質源によってグループ化され、IFN-γの存在または非存在で細分化された生細胞の総TCR陰性細胞の結果を示すグラフである。点線は、以前の単離方法を使用した中央値を表す。
図11】標準的な2サイトカイン単離法と比較した、上位の条件のグリッドあたりの総γδT細胞の結果である。
図12】新たに得られた単離細胞または拡大前に凍結された単離細胞のいずれかを用いる倍率拡大(A)及びγδT細胞拡大%(B)への影響を示すグラフである。
図13】A)IL-2、IL-4、IL-15、及びIL-1βの存在下で、IL-21を18.8ng/mlで添加した場合と添加しない場合の21日間の単離培養終了時の総細胞生存率の比較である。点線は、最小許容生存率を表す。B)解凍後にIL-1β及びIL-21の存在下で単離されたγδT細胞の培養14日後の拡大を示すグラフである(生細胞のγδT細胞%として表示)。
図14】「IL-21」(IL-2、IL-4、IL-15、IL-1β、及びIL-21)(IL-2、IL-4、IL-15、及びIL-1β)、または「IL-21なし」(IL-2、IL-4、IL-15、及びIL-1β)は、19日または21日後に採取される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、非造血組織試料からリンパ球を単離する方法であって:
(i)インターロイキン-1β(IL-1β)の存在下で非造血組織試料を培養するステップと;
(ii)非造血組織試料から培養されたリンパ球の集団を収集するステップと、を含む方法が提供される。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からγδT細胞を単離する方法であって:
(i)IL-1βの存在下で非造血組織試料を培養するステップと;
(ii)非造血組織試料から培養されたγδT細胞の集団を収集するステップと、を含む方法が提供される。
【0014】
本明細書に提示された知見は、非造血組織試料から組織常在性γδT細胞を単離するための最適なプロトコールを確立するために実施された実験の詳細な設計を示している。驚くべきことに、最高のγδT細胞収量を伴うすべての条件にIL-1βが含まれていることが判明した。これは、このサイトカインが、単離プロセス中に高レベルのγδT細胞を産生するのに有益であったことを示している。
【0015】
本明細書で使用される場合、「IL-1β」は、1つ以上のIL-1受容体(IL-1R)サブユニットに対してアゴニストとして作用する、天然もしくは組換えのIL-1β、またはそれらのバリアントを指す(例えば、変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、その断片、アイソフォーム、及びペプチド模倣物)。IL-1は、炎症性疾患を含む幅広い疾患で主要な役割を果たす炎症誘発性サイトカインである。これは、限られた配列同一性のみを共有するが、IL-1受容体(タイプI及びタイプII)への結合を通じて同様の生物学的活性を発揮する、2つの分子種、IL-1α及びIL-1βからなる。成熟ヒトIL-1βは、Andrei et al.(2004)PNAS 101(26):9745-9750に記載されるように、CASP1によって前駆体ポリペプチドのN末端から116アミノ酸が切断された後、153アミノ酸配列として発生する。IL-1βムテインは、IL-1Rに結合する能力を保持しながら、IL-1βタンパク質に特異的な置換が行われたポリペプチドである。IL-1βムテインは、天然のIL-1βポリペプチド鎖中または他の残基の1つ以上の部位でのアミノ酸の挿入、欠失、置換及び修飾によって特徴付けることができる。本開示によれば、そのような挿入、欠失、置換、及び修飾のいずれも、IL-1R結合活性を保持するIL-1βムテインをもたらす。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアミノ酸の置換を含むことができる。
【0016】
ヒトIL-1βをコードする核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの従来の手順によって得ることができる。ヒトIL-1β(Gene ID 3553)のアミノ酸配列は、アクセッションロケーターNP_000567でGenbankに、またはアクセッション番号P01584でUniProtに見られる。マウス(Mus musculus)のIL-1βアミノ酸配列(Gene ID 16176)は、アクセッションロケーターNP_032387でGenbankに、またはアクセッション番号P10749でUniProtに見られる。
【0017】
IL-1βはまた、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含むさまざまな哺乳動物種に由来するIL-1βを指すことができる。バリアントは、保存的に置換された配列を含むことができ、これは所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基によって置換されることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別の残基への置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの互いへの置換、またはある極性残基の別の残基への置換、例えば、LysとArg;GluとAsp;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば類似の疎水性特性を有する全領域の置換はよく知られている。天然に存在するIL-1βバリアントも本発明に包含される。そのようなバリアントの例は、選択的mRNAスプライシング事象またはIL-1βタンパク質のタンパク質分解切断から生じるタンパク質であり、IL-1β結合特性が保持されている。
【0018】
単離方法
本明細書における細胞、特にリンパ球及び/またはγδT細胞の「単離」または「単離すること」への言及は、組織または細胞のプールから細胞を取り出す、分離する、精製する、濃縮する、または別の方法で取り出す方法またはプロセスを指す。このような言及には、「分離された」、「取り出された」、「精製された」、「濃縮された」などの用語が含まれることを理解されたい。γδT細胞の単離としては、無傷の非造血組織試料からの、または非造血組織の間質細胞(例えば、線維芽細胞または上皮細胞)からの細胞の単離または分離が挙げられる。そのような単離は、代替的にまたは追加的に、他の造血細胞(例えば、αβT細胞または他のリンパ球)からのγδT細胞の単離または分離を含み得る。単離は、例えば、組織外植片または生検が単離培養物に置かれた時点から開始し、遠心分離もしくは単離された細胞の集団を拡大培養に使用するか、他の目的に使用するために移すための他の手段などによって細胞が培養物から収集されるか、または元の組織外植片または生検を培養物から除去する時点で終了する、定義された期間であり得る。単離ステップは、少なくとも約3日間~約45日間であり得る。一実施形態では、単離ステップは、少なくとも約10日間~少なくとも28日間である。さらなる実施形態では、単離ステップは、少なくとも14日間~少なくとも21日間である。したがって、単離ステップは、少なくとも3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、約35日間、約40日間、または約45日間であり得る。一実施形態では、単離ステップは19日間である。さらなる実施形態では、単離ステップは21日間である。単離された細胞の増殖は、この単離ステップ中に実在しない可能性があるが、必ずしも存在しないというわけではないことを理解することができる。実際、当業者には、単離された細胞が分裂を開始して、組織及び/または足場を含む単離容器内で複数のそのような細胞を生成することもあることが認識されている。
【0019】
したがって、本明細書における「単離されたγδT細胞」、「単離されたγδT細胞の集団」、「単離されたγδT細胞の集団」、「分離されたγδT細胞」、「分離されたγδT細胞の集団」または「分離されたγδT細胞の集団」への言及は、細胞が、非造血細胞または無傷の非造血組織内に含まれる細胞と実質的に接触しないように、元の非造血組織試料から単離されたか、分離されたいか、取り出されたか、精製されたか、または濃縮されたγδ細胞を含む造血細胞または造血細胞の集団を指すと理解されるであろう。同様に、本明細書における「単離または分離されたVδ1T細胞の集団」への言及は、細胞が、非造血細胞または無傷の非造血組織内に含まれる細胞と実質的に接触しないように、元の非造血組織試料から単離されたか、分離されたいか、取り出されたか、精製されたか、または濃縮されたVδ1細胞を含む造血細胞または造血細胞の集団を指すと理解されるであろう。したがって、単離または分離は、非造血細胞(例えば、間質細胞、線維芽細胞、及び/または上皮細胞)からの造血細胞(例えば、γδT細胞または他のリンパ球)の単離、分離、取り出し、精製、または濃縮を指す。
【0020】
本明細書で定義されるγδT細胞の単離方法は、組織の破壊(例えば、ミンチ)とそれに続く他の細胞型からのγδT細胞の分離を含み得る。好ましくは、本明細書で定義されるγδT細胞の単離方法は、無傷の非造血組織試料または外植片もしくは生検の組織マトリックスからのγδT細胞及び他の細胞型の「クロールアウト」を含んでもよく、組織常在性リンパ球は組織マトリックスの破壊を必要とせずに、組織マトリックスから物理的に分離される。組織基質の完全性を維持することにより、組織常在性リンパ球は組織基質から優先的に放出し、線維芽細胞などの阻害細胞型はほとんど、またはまったく放出せず、外植片または生検に保持され、その後単離の最後に容易に除去できることがわかっている。したがって、いくつかの実施形態では、無傷の非造血組織試料または組織マトリックスの使用により、組織から培養物中に放出される線維芽細胞の数が少なくなる。無傷の非造血組織または組織マトリックスを利用するそのような「クロールアウト」法は、非造血組織試料または組織マトリックスの過剰な処理の必要性を減らし、非造血組織または組織マトリックスの構造的完全性を維持するという利点を有し、より高い単離細胞収量を提供するという予想外の利点を提供できる。
【0021】
したがって、本明細書で定義される非造血組織由来リンパ球の単離方法は、非造血組織の無傷生検または外植片から非造血組織由来リンパ球を単離する方法を含む。そのような無傷の生検または外植片は、組織試料から生検または外植片を除去する切除の周囲内で、生検または外植片の構造的完全性が故意に破壊されていないものである。このような無傷の生検または外植片は、取り扱いによって引き起こされる小さな混乱を除いて、三次元構造がほぼ維持される。したがって、この無傷の生検または外植片は、例えば、ミンチまたはチョッピングなどによって機械的に破壊されたり、化学的に酵素的に破壊されたりしていない。しかしながら、破壊された組織は、本発明の単離方法において使用することもできる。一実施形態では、単離されたリンパ球はαβT細胞である。別の実施形態では、単離されたリンパ球はγδT細胞である。さらなる実施形態では、単離されたリンパ球はTCR陰性細胞(すなわち、αβTCR及びγδTCR発現について陰性である細胞)である。TCR陰性細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞の存在の良好な指標である。したがって、別の実施形態では、単離されたリンパ球はNK細胞である。同じ単離ステップから、1つを超える型のリンパ球が単離され得ることが理解され得る。
【0022】
「クロールアウト」または例えば本明細書で定義される方法を利用するγδT細胞の単離方法は、細胞の培養、及び/またはサイトカイン存在下での非造血組織試料、及び/またはγδT細胞及び/または本明細書で定義される他のリンパ球の単離または分離を誘導するのに十分なケモカインを含む。
【0023】
一実施形態では、ステップ(i)は、インターロイキン-2(IL-2)の存在下で非造血組織試料を培養するステップをさらに含む。別の実施形態では、ステップ(i)は、インターロイキン-15(IL-15)の存在下で非造血組織試料を培養するステップをさらに含む。なおもさらなる実施形態では、ステップ(i)は、IL-2及びIL-15の存在下で非造血組織試料を培養するステップをさらに含む。
【0024】
明細書で使用される場合、「IL-2」は、1つ以上のIL-2受容体(IL-2R)サブユニットに対してアゴニストとして作用する、天然もしくは組換えのIL-2、またはそれらのバリアントを指す(例えば、変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、その断片、アイソフォーム、及びペプチド模倣物)。このような薬剤は、IL-2依存性細胞株であるCTLL-2(33;American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))TIB 214)の増殖をサポートすることができる。成熟ヒトIL-2は、Fujita,et al.Cell 1986.46.3:401-407に記載されているように、133アミノ酸配列(追加の20のN末端アミノ酸からなるシグナルペプチドを除く)として発生する。IL-2ムテインは、IL-2Rβに結合する能力を保持しながら、インターロイキン-2タンパク質に特異的な置換が行われたポリペプチドであり、例えば、US2014/0046026に記載されるものである。IL-2ムテインは、天然のIL-2ポリペプチド鎖中または他の残基の1つ以上の部位でのアミノ酸の挿入、欠失、置換及び修飾によって特徴付けることができる。本開示によれば、そのような挿入、欠失、置換、及び修飾のいずれも、IL-2Rβ結合活性を保持するIL-2ムテインをもたらす。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアミノ酸の置換を含むことができる。
【0025】
ヒトIL-2をコードする核酸は、PCRなどの従来の手順によって得ることができる。ヒトIL-2(Gene ID 3558)のアミノ酸配列は、アクセッションロケーターNP_000577.2 GI:28178861でGenbankに見られる。マウス(Mus musculus)のIL-2アミノ酸配列(Gene ID 16183)は、アクセッションロケーターNP_032392.1 GI:7110653でGenbankに見られる。
【0026】
IL-2はまた、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含むさまざまな哺乳動物種に由来するIL-2を指すことができる。バリアントは、保存的に置換された配列を含むことができ、これは所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基によって置換されることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別の残基への置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの互いへの置換、またはある極性残基の別の残基への置換、例えば、LysとArg;GluとAsp;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば類似の疎水性特性を有する全領域の置換はよく知られている。天然に存在するIL-2バリアントも本発明に包含される。そのようなバリアントの例は、選択的mRNAスプライシング事象またはIL-2タンパク質のタンパク質分解切断から生じるタンパク質であり、IL-2結合特性が保持されている。mRNAの選択的スプライシングにより、切り詰められたが生物学的に活性なIL-2タンパク質をもたらし得る。タンパク質分解に起因するバリエーションには、例えば、IL-2タンパク質からの1つ以上の末端アミノ酸(一般的に1~10アミノ酸)のタンパク質分解による除去に起因する、さまざまな種類の宿主細胞での発現時のN末端またはC末端の違いを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質の末端または内部を、例えばポリエチレングリコールなどの化学基を用いて修飾して、その物理的特性を変更することができる(Yang,et al.Cancer 1995.76:687-694)。いくつかの実施形態では、タンパク質の末端または内部を追加のアミノ酸で改変することができる(Clark-Lewis,et al.PNAS 1993.90:3574-3577)。
【0027】
本明細書で使用される場合、「IL-15」は、1つ以上のIL-15受容体(IL-15R)サブユニットに対してアゴニストとして作用する、天然もしくは組換えのIL-15、またはそれらのバリアントを指す(例えば、変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、その断片、アイソフォーム、及びペプチド模倣物)。IL-15は、IL-2と同様に、IL-2依存性細胞株であるCTLL-2の増殖をサポートできる既知のT細胞増殖因子である。IL-15は、114アミノ酸の成熟タンパク質として、Grabsteinら(Grabstein,et al.Science1994.264.5161:965-969)によって初めて報告された。本明細書で使用される場合、「IL-15」という用語は、天然または組換えのIL-15及びムテイン、その類似体、サブユニット、またはその複合体(例えば受容体複合体、例えばWO2007/046006に記載のsushiペプチド)を意味し、それぞれがCTLL-2細胞の増殖を刺激することができる。CTLL-2増殖アッセイでは、組換え発現されたIL-15の前駆体及び成熟型のインフレーム融合体でトランスフェクトされた細胞の上清が、CTLL-2細胞増殖を誘導することができる。
【0028】
ヒトIL-15は、Grabsteinら(Grabstein,et al.Science1994.264.5161:965-969)によって記載された手順に従って、またはPCRなどの従来の手順によって得ることができる。1993年2月19日にATCC(登録商標)にヒトIL-15のcDNAの寄託が行われ、アクセッション番号69245が割り当てられた。
【0029】
ヒトIL-15(Gene ID 3600)のアミノ酸配列は、アクセッションロケーターNP000576.1 GI:10835153(アイソフォーム1)及びNP_751915.1 GI:26787986(アイソフォーム2)でGenbankに見られる。マウス(Mus musculus)のIL-15アミノ酸配列(Gene ID 16168)は、アクセッションロケーターNP_001241676.1 GI:363000984でGenbankに見られる。
【0030】
IL-15はまた、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含むさまざまな哺乳動物種に由来するIL-15を指すことができる。本明細書で言及される場合、IL-15の「ムテイン」または「バリアント」は、天然の哺乳動物のIL-15の配列と実質的に相同であるが、アミノ酸の欠失、挿入または置換により、天然の哺乳動物のIL-15ポリペプチドとは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。バリアントは、保存的に置換された配列を含むことができ、これは所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基によって置換されることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別の残基への置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの互いへの置換、またはある極性残基の別の残基への置換、例えば、LysとArg;GluとAsp;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば類似の疎水性特性を有する全領域の置換はよく知られている。天然に存在するIL-15バリアントも本発明に包含される。そのようなバリアントの例は、選択的mRNAスプライシング事象またはIL-15タンパク質のタンパク質分解切断から生じるタンパク質であり、IL-15結合特性が保持されている。mRNAの選択的スプライシングにより、切り詰められたが生物学的に活性なIL-15タンパク質をもたらし得る。タンパク質分解に起因するバリエーションには、例えば、IL-15タンパク質からの1つ以上の末端アミノ酸(一般的に1~10アミノ酸)のタンパク質分解による除去に起因する、さまざまな種類の宿主細胞での発現時のN末端またはC末端の違いを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質の末端を、例えばポリエチレングリコールなどの化学基を用いて修飾して、その物理的特性を変更することができる(Yang,et al.Cancer 1995.76:687-694)。いくつかの実施形態では、タンパク質の末端または内部を追加のアミノ酸で改変することができる(Clark-Lewis,et al.PNAS 1993.90:3574-3577)。
【0031】
一実施形態では、本発明によるリンパ球またはγδT細胞の単離は、インターロイキン-4(IL-4)の存在下で非造血組織試料を培養することをさらに含む。したがって、さらなる実施形態では、非造血組織試料は、IL-1β及びIL-4の存在下で培養される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「IL-4」は、1つ以上のIL-4受容体(IL-4R)サブユニットに対してアゴニストとして作用する、天然もしくは組換えのIL-4、またはそれらのバリアントを指す(例えば、変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、その断片、アイソフォーム、及びペプチド模倣物)。このような薬剤は、ナイーブヘルパーT細胞(Th0細胞)からTh2細胞への分化をサポートすることができる。成熟ヒトIL-4は129アミノ酸配列(追加の24のN末端アミノ酸からなるシグナルペプチドを除く)として発生する。IL-4ムテインは、IL-4Rαに結合する能力を保持しながら、インターロイキン-4タンパク質に特異的な置換が行われたポリペプチドであり、例えば、US特許第6,313,272号に記載されるものである。IL-4ムテインは、天然のIL-4ポリペプチド鎖中または他の残基の1つ以上の部位でのアミノ酸の挿入、欠失、置換及び修飾によって特徴付けることができる。本開示によれば、そのような挿入、欠失、置換、及び修飾のいずれも、IL-4Rα結合活性を保持するIL-4ムテインをもたらす。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアミノ酸の置換を含むことができる。
【0033】
ヒトIL-4をコードする核酸は、PCRなどの従来の手順によって得ることができる。ヒトIL-4(Gene ID 3565)のアミノ酸配列は、アクセッションロケーターNG_023252でGenbankに見られる。マウス(Mus musculus)のIL-4アミノ酸配列(Gene ID 16189)は、アクセッションロケーターNC_000077.6でGenbankに見られる。
【0034】
IL-4はまた、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含むさまざまな哺乳動物種に由来するIL-4を指すことができる。バリアントは、保存的に置換された配列を含むことができ、これは所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基によって置換されることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別の残基への置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの互いへの置換、またはある極性残基の別の残基への置換、例えば、LysとArg;GluとAsp;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば類似の疎水性特性を有する全領域の置換はよく知られている。天然に存在するIL-4バリアントも本発明に包含される。そのようなバリアントの例は、選択的mRNAスプライシング事象またはIL-4タンパク質のタンパク質分解切断から生じるタンパク質であり、IL-4結合特性が保持されている。mRNAの選択的スプライシングにより、切り詰められたが生物学的に活性なIL-4タンパク質をもたらし得る。タンパク質分解に起因するバリエーションには、例えば、IL-4タンパク質からの1つ以上の末端アミノ酸(一般的に1~10アミノ酸)のタンパク質分解による除去に起因する、さまざまな種類の宿主細胞での発現時のN末端またはC末端の違いを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質の末端を、例えばポリエチレングリコールなどの化学基を用いて修飾して、その物理的特性を変更することができる(Yang,et al.Cancer 1995.76:687-694)。いくつかの実施形態では、タンパク質の末端または内部を追加のアミノ酸で改変することができる(Clark-Lewis,et al.PNAS 1993.90:3574-3577)。
【0035】
一実施形態では、本発明によるリンパ球またはγδT細胞の単離は、インターフェロン-γ(IFN-γ)の存在下で非造血組織試料を培養することをさらに含む。したがって、さらなる実施形態では、非造血組織試料は、IL-1β及びIFN-γの存在下で培養される。
【0036】
本明細書で使用される場合、「IFN-γ」は、1つ以上のIFN-γ受容体(IFNGR)サブユニットに対してアゴニストとして作用する、天然もしくは組換えのIFN-γ、またはそれらのバリアントを指す(例えば、変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、その断片、アイソフォーム、及びペプチド模倣物)。特に、IFN-γは、インターフェロンガンマ受容体1(IFNGR1)及びインターフェロンガンマ受容体2(IFNGR2)からなるヘテロ二量体受容体と相互作用する。成熟ヒトIFN-γは143アミノ酸配列(追加の23のN末端アミノ酸からなるシグナルペプチドを除く)として発生する。IFN-γムテインは、IFNGRに結合する能力を保持しながら、IFN-γタンパク質に特異的な置換が行われたポリペプチドであり、例えば、US特許第9,296,804号に記載されるものである。IFN-γムテインは、天然のIFN-1βポリペプチド鎖中または他の残基の1つ以上の部位でのアミノ酸の挿入、欠失、置換及び修飾によって特徴付けることができる。本開示によれば、そのような挿入、欠失、置換、及び修飾のいずれも、IFN-γR結合活性を保持するIFN-γムテインをもたらす。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアミノ酸の置換を含むことができる。
【0037】
ヒトIFN-γをコードする核酸は、PCRなどの従来の手順によって得ることができる。ヒトIFN-γ(Gene ID 3458)のアミノ酸配列は、アクセッションロケーターNG_015840.1でGenbankに、またはアクセッション番号P01579でUniProtに見られる。マウス(Mus musculus)の01579アミノ酸配列(Gene ID 15978)は、アクセッションロケーターNC_000076.6でGenbankに、またはアクセッション番号P01580でUniProtに見られる。
【0038】
IFN-γはまた、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含むさまざまな哺乳動物種に由来するIFN-γを指すことができる。バリアントは、保存的に置換された配列を含むことができ、これは所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基によって置換されることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別の残基への置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの互いへの置換、またはある極性残基の別の残基への置換、例えば、LysとArg;GluとAsp;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば類似の疎水性特性を有する全領域の置換はよく知られている。天然に存在するIFN-γバリアントも本発明に包含される。そのようなバリアントの例は、選択的mRNAスプライシング事象またはIFN-γタンパク質のタンパク質分解切断から生じるタンパク質であり、IFN-γ結合特性が保持されている。
【0039】
一実施形態では、本発明によるリンパ球またはγδT細胞の単離は、インターロイキン-21(IL-21)の存在下で非造血組織試料を培養することをさらに含む。したがって、さらなる実施形態では、非造血組織試料は、IL-1β及びIL-21の存在下で培養される。
【0040】
本明細書で使用される場合、「IL-21」は、1つ以上のIL-21受容体(IL-21R)サブユニットに対してアゴニストとして作用する、天然もしくは組換えのIL-21、またはそれらのバリアントを指す(例えば、変異体、ムテイン、類似体、サブユニット、受容体複合体、その断片、アイソフォーム、及びペプチド模倣物)。このような薬剤は、ナチュラルキラー(NK)及び細胞傷害性(CD8)T細胞の増殖をサポートすることができる。成熟ヒトIL-21は133アミノ酸配列(追加の22のN末端アミノ酸からなるシグナルペプチドを除く)として発生する。IL-21ムテインは、IL-21Rαに結合する能力を保持しながら、インターロイキン-21タンパク質に特異的な置換が行われたポリペプチドであり、例えば、US特許第9,388,241号に記載されるものである。IL-21ムテインは、天然のIL-21ポリペプチド鎖中または他の残基の1つ以上の部位でのアミノ酸の挿入、欠失、置換及び修飾によって特徴付けることができる。本開示によれば、そのような挿入、欠失、置換、及び修飾のいずれも、IL-21R結合活性を保持するIL-21ムテインをもたらす。例示的なムテインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアミノ酸の置換を含むことができる。
【0041】
ヒトIL-21をコードする核酸は、PCRなどの従来の手順によって得ることができる。ヒトIL-21(Gene ID 59067)のアミノ酸配列は、アクセッションロケーターNC_000004.12でGenbankに見られる。マウス(Mus musculus)のIL-21アミノ酸配列(Gene ID 60505)は、アクセッションロケーターNC_000069.6でGenbankに見られる。
【0042】
IL-21はまた、例えば、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、及びマウスを含むさまざまな哺乳動物種に由来するIL-21を指すことができる。バリアントは、保存的に置換された配列を含むことができ、これは所与のアミノ酸残基が類似の物理化学的特徴を有する残基によって置換されることを意味する。保存的置換の例としては、ある脂肪族残基の別の残基への置換、例えば、Ile、Val、Leu、もしくはAlaの互いへの置換、またはある極性残基の別の残基への置換、例えば、LysとArg;GluとAsp;もしくはGlnとAsnの間の置換が挙げられる。他のそのような保存的置換、例えば類似の疎水性特性を有する全領域の置換はよく知られている。天然に存在するIL-21バリアントも本発明に包含される。そのようなバリアントの例は、選択的mRNAスプライシング事象またはIL-21タンパク質のタンパク質分解切断から生じるタンパク質であり、IL-21結合特性が保持されている。mRNAの選択的スプライシングにより、切り詰められたが生物学的に活性なIL-21タンパク質をもたらし得る。タンパク質分解に起因するバリエーションには、例えば、IL-21タンパク質からの1つ以上の末端アミノ酸(一般的に1~10アミノ酸)のタンパク質分解による除去に起因する、さまざまな種類の宿主細胞での発現時のN末端またはC末端の違いを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質の末端を、例えばポリエチレングリコールなどの化学基を用いて修飾して、その物理的特性を変更することができる(Yang,et al.Cancer 1995.76:687-694)。いくつかの実施形態では、タンパク質の末端または内部を追加のアミノ酸で改変することができる(Clark-Lewis,et al.PNAS 1993.90:3574-3577)。
【0043】
代替的な実施形態では、培養することはIL-21の非存在下で実施される。代替的な実施形態では、培養することはIFN-γの非存在下で実施される。本明細書に記載の実験から得られた結果の統計分析の後、単離培養物中のIL-1βの存在は、IFN-γ及びIL-21が存在しない場合など、少なくともIFN-γが存在しない場合により有益であり得る。本明細書に記載の結果は、特定の条件下では、IL-21が存在しない場合、またはIL-21が15~25ng/mLの濃度、特に18~20ng/mL、例えば18、19、20ng/mL、例えば、18.8ng/mLの濃度で存在する場合に有益であり得る。
【0044】
特定の実施形態では、本明細書で定義される方法は、IL-2を、典型的には少なくとも10IU/mL、例えば少なくとも100IU/mL(例えば、10IU/mL~1,000IU/mL、20IU/mL~800IU/mL、25IU/mL~750IU/mL、30IU/mL~700IU/mL、40IU/mL~600IU/mL、50IU/mL~500IU/mL、75IU/mL~250IU/mL、または100IU/mL~200IU/mL、例えば、10IU/mL~20IU/mL、20IU/mL~30IU/mL、30IU/mL~40IU/mL、40IU/mL~50IU/mL、50IU/mL~75IU/mL、75IU/mL~100IU/mL、100IU/mL~150IU/mL、150IU/mL~200IU/mL、200IU/mL~500IU/mL、または500IU/mL~1,000IU/mL)の濃度で含む。特定の実施形態では、本明細書で定義される方法は、IL-2を、典型的には1,000IU/mL未満、例えば500IU/mL未満の濃度で含む。いくつかの実施形態では、方法は、IL-2を、約100IU/mL、例えば138IU/mLの濃度で含む。
【0045】
さらなる実施形態では、本明細書で定義される方法は、IL-15を、典型的には少なくとも10IU/mL、例えば少なくとも100IU/mL、特に少なくとも500IU/mL(例えば、10IU/mL~1,000IU/mL、20IU/mL~900IU/mL、25IU/mL~750IU/mL、30IU/mL~600IU/mL、40IU/mL~500IU/mL、50IU/mL~400IU/mL、75IU/mL~250IU/mL、または100IU/mL~200IU/mL、例えば100IU/mL~900IU/mL、200IU/mL~800IU/mL、300IU/mL~700IU/mL、400IU/mL~600IU/mL、または500IU/mL~1,000IU/mL)の濃度で含む。特定の実施形態では、本明細書で定義される方法は、IL-15を、典型的には1,000IU/mL未満、例えば700IU/mL未満の濃度で含む。いくつかの実施形態では、方法は、IL-15を、約600IU/mLの濃度で含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、非造血組織試料からのγδT細胞の単離は、IL-2とIL-15の両方の存在下での培養を含み、それぞれ上に列挙した濃度のいずれかである。場合によっては、IL-2の濃度が約138IU/mLであり、IL-15の濃度が600IU/mLである。
【0047】
さらなる実施形態では、本明細書で定義される方法は、IL-21を、典型的には少なくとも0.01IU/mL、例えば少なくとも0.1IU/mL(例えば、0.01IU/mL~100IU/mL、0.05IU/mL~50IU/mL、0.1IU/mL~10IU/mL、1IU/mL~5IU/mL、例えば0.01IU/mL~0.05IU/mL、0.05IU/mL~0.1IU/mL、0.1IU/mL~1IU/mL、5IU/mL~10IU/mL、10IU/mL~50IU/mL、50IU/mL~100IU/mL)の濃度で含む。特定の実施形態では、本明細書で定義される方法は、IL-21を、典型的には10IU/mL未満、例えば5IU/mL未満の濃度で含む。いくつかの実施形態では、方法は、IL-21を、約1IU/mL、例えば1.05IU/mLの濃度で含む。さらなる実施形態では、方法は、IL-21を15~25ng/mLの濃度で含む。したがって、一実施形態では、本方法は、IL-21を、15ng/mL~25ng/mLの濃度で含む。さらなる実施形態では、方法は、IL-21を18~20ng/ml、例えば、18、19、20ng/mL、例えば、18.8ng/mLの濃度で含む。
【0048】
さらなる実施形態では、本明細書で定義される方法は、IL-4を、典型的には少なくとも1IU/mL、例えば少なくとも10IU/mL(例えば、1IU/mL~1,000IU/mL、5IU/mL~500IU/mL、10IU/mL~250IU/mL、50IU/mL~150IU/mL、例えば1IU/mL~5IU/mL、5IU/mL~10IU/mL、10IU/mL~50IU/mL、50IU/mL~100IU/mL、100IU/mL~150IU/mL)の濃度で含む。特定の実施形態では、本明細書で定義される方法は、IL-4を、典型的には500IU/mL未満、例えば100IU/mL未満の濃度で含む。いくつかの実施形態では、方法は、IL-4を、約100IU/mL、例えば95IU/mLの濃度で含む。さらなる実施形態では、方法は、IL-4を、約30IU/mL、例えば31.6IU/mLの濃度で含む。
【0049】
したがって、いくつかの実施形態では、非造血組織試料からのγδT細胞の単離は、IL-2、IL-15、IL-4、及びIL-21の存在下での培養を含み、それぞれ上に列挙した濃度のいずれかである。さらなる実施形態では、IL-2の濃度は約138IU/mLであり、IL-15の濃度は600IU/mLであり、IL-4の濃度は95IU/mLであり、IL-21の濃度は15ng/mL~25ng/mL、例えば、18~20ng/ml、例えば、18、19、20ng/mL、例えば、18.8ng/mLである。したがって、特定の実施形態では、γδT細胞の単離には、138IU/mLの濃度のIL-2、600IU/mLの濃度のIL-15、95IU/mLの濃度のIL-4、4500IU/mLのIL-1β、及び任意選択での18.8ng/mLの濃度のIL-21の存在下での培養が含まれる。
【0050】
本明細書における「非造血組織」または「非造血組織試料」への言及には、皮膚(例えば、ヒトの皮膚)及び腸(例えば、ヒトの腸)が含まれる。非造血組織は、血液、骨髄、または胸腺組織以外の組織である。一実施形態では、非造血組織試料は皮膚(例えば、ヒトの皮膚)である。さらなる実施形態では、非造血組織試料は、腸または胃腸管(例えば、ヒトの腸またはヒトの胃腸管)である。いくつかの実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、血液または滑液などの特定の種類の体液試料からは得られない。いくつかの実施形態では、本明細書で定義される方法に従って単離されるリンパ球及び/またはγδT細胞が由来する非造血組織試料は、当技術分野で知られている方法によって得ることができる皮膚(例えば、ヒトの皮膚)である。あるいは、本明細書で提供されるリンパ球の及び/またはγδT細胞の単離方法は、胃腸管(例えば結腸または腸)、乳腺、肺、前立腺、肝臓、脾臓、膵臓、子宮、膣、及び他の皮膚、粘膜または漿の膜に適用することができる。リンパ球及び/またはγδT細胞は、乳房または前立腺の腫瘍など、ヒトのがん組織試料にも常在し得る。いくつかの実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、ヒトがん組織試料(例えば、固形腫瘍組織)に由来し得る。他の実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、ヒトがん組織以外の非造血組織試料(例えば、実質的な数の腫瘍細胞を含まない組織)由来し得る。例えば、リンパ球及び/またはγδT細胞は、近くのまたは隣接するがん組織から離れた皮膚の領域(例えば、健康な皮膚)に由来し得る。したがって、いくつかの実施形態では、γδT細胞はヒトがん組織から得られない。さらなる実施形態では、リンパ球はヒトがん組織から得られない。
【0051】
一実施形態では、本明細書で定義される方法の非造血組織試料は、ヒトから得られたものである。代替的な実施形態では、本明細書で定義される方法の非造血組織試料は、非ヒト動物対象から得られたものである。
【0052】
そのような組織を得る方法は、当技術分野で知られている。このような方法の例としては、外科用メスの外植片またはパンチ生検があり、方法によってサイズは変動し得る。いくつかの実施形態では、非造血組織試料は、パンチ生検によって得られる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、非造血組織試料は無傷の生検である。本明細書における「無傷の」生検または「外植片」への言及は、生検または外植片の構造的完全性が、組織試料から生検または外植片を取り出す切除の周囲内で意図的に破壊されていないように、実質的に破壊されていないか、または破壊されていない組織及び組織試料を含む。このような無傷の生検または外植片は、取り扱いによって引き起こされる小さな混乱を除いて、三次元構造がほぼ維持される。したがって、この無傷の生検または外植片は、例えば、ミンチまたはチョッピングなどによって機械的に破壊されたり、化学的に酵素的に破壊されたりしていない。無傷の生検または無傷の組織試料は、組織全体、完全な組織、組織の一部、または前記組織のすべての要素を含み得る。例えば、一実施形態では、無傷の生検は皮膚のすべての層を含む。さらなる実施形態では、生検は、皮膚の表皮及び真皮の層を含む。生検が無傷であるそのような実施形態では、そのような層の間の分離及び区別が維持されることが理解されるであろう。したがって、本明細書における「無傷」への言及は、非造血組織試料の全層の生検をさらに含む。
【0054】
したがって、本発明の1つの特定の実施形態では、非造血組織試料は細切されない。さらなる実施形態では、無傷の生検はパンチ生検である。なおもさらなる実施形態では、無傷の生検はパンチ生検によって得られる。
【0055】
一実施形態では、非造血組織試料はパンチ生検である。パンチ生検は、任意の形状であってもよいが、好都合には円形の横断切片であり、適切には直径が少なくとも1mmである。なおもさらなる実施形態では、非造血組織試料は、直径が少なくとも2mm、例えば直径が少なくとも3mm、直径が少なくとも4mm、直径が少なくとも5mm、直径が少なくとも6mm、直径が少なくとも7mm、または直径が少なくとも8mmのパンチ生検を含む。さらなる実施形態では、非造血組織試料は、直径7mm以下、直径6mm以下、直径5mm以下、または直径3mm以下など、直径8mm以下のパンチ生検を含む。一実施形態では、非造血組織試料は、直径が1mm~8mm、例えば直径2mm~4mmのパンチ生検を含む。特定の実施形態では、非造血組織試料は、直径3mmのパンチ生検を含む。
【0056】
一実施形態では、生検は皮膚生検であり、表皮及び真皮の層を含む。さらなる実施形態では、生検は皮下脂肪を実質的に含まない。したがって、一実施形態では、生検は、表皮及び真皮の層を含み、皮下脂肪の層を実質的に含まない。さらなる実施形態では、生検は皮下脂肪を含まない。代替的に、皮下脂肪は除去されず、したがって生検に存在する(または少なくとも部分的に存在する)。したがって、なおもさらなる実施形態では、生検は表皮及び真皮の層からなる。一実施形態では、生検は、非造血組織試料の全層を含む。
【0057】
本発明の方法は、本明細書で定義される非造血組織試料を培養することを含む。本明細書における「培養すること」への言及は、非造血組織試料から単離されたか、分離されたか、取り出されたか、精製されたか、または濃縮された細胞を含む、細胞及び/または非造血組織試料の、細胞及び/または非造血組織試料によって要求される及び/または好まれる、増殖因子及び/または必須栄養素を含む培地への添加が含まれる。そのような培養条件は、本発明に従って非造血組織試料から単離される細胞または細胞の集団に従って適合され得るか、または非造血組織試料から単離及び拡大されるべき細胞または細胞の集団に従って適合され得ることが理解されるであろう。
【0058】
特定の実施形態では、非造血組織試料を培養することは、非造血組織試料からのγδT細胞の単離に十分な期間である。代替的な実施形態では、非造血組織試料を培養することは、非造血組織試料からγδT細胞以外のリンパ球(例えば、αβT細胞及び/またはNK(ナチュラルキラー)細胞)を単離するのに十分な時間である。特定の実施形態では、本明細書で定義される方法による培養期間は、少なくとも7日間である。特定の実施形態では、本明細書で定義される方法による培養期間は、少なくとも14日間である。特定の実施形態では、本明細書で定義される方法による培養期間は、45日未満、例えば40日未満、例えば35日未満、例えば30日未満、例えば25日未満である。さらなる実施形態では、本明細書で定義される方法による培養期間は、14日~21日間など、14日~35日間である。さらなる実施形態では、本明細書で定義される方法による培養期間は、約19日間、例えば19日間である。別の実施形態では、本明細書で定義される方法による培養期間は、約21日間、例えば21日間である。
【0059】
本発明の特定の実施形態では、本明細書で定義される方法に従って単離されるリンパ球及び/またはγδT細胞は、非造血組織試料を培養した後に、非造血組織試料の培養物から収集される。本明細書で定義されるリンパ球及び/またはγδT細胞の収集は、培養物からのリンパ球及び/またはγδT細胞の物理的収集、他のリンパ球(例えば、αβT細胞、γδT細胞、及び/またはNK細胞)からのリンパ球及び/またはγδT細胞の単離、または間質細胞(例えば、線維芽細胞)からのリンパ球及び/またはγδT細胞の単離及び/または分離を含む。一実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、機械的手段(例えば、ピペッティング)によって収集される。さらなる実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、磁気分離及び/または標識化によって収集される。なおもさらなる実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、FACSなどのフローサイトメトリー技術によって収集される。したがって、特定の実施形態では、γδT細胞は、γδT細胞を特異的に標識化する手段によって収集される。さらなる実施形態では、リンパ球は、リンパ球を特異的に標識化して培養物中の他の細胞と区別する手段によって収集される。このようなリンパ球及び/またはγδT細胞の収集は、非造血組織試料の培養物からの物理的除去、別の培養容器への移動、または別のもしくは異なる培養条件への移動を含み得る。
【0060】
このようなリンパ球及び/またはγδT細胞の収集は、非造血組織試料からのリンパ球及び/または単離されたγδT細胞の集団を達成するのに十分な期間の後に行われることが理解されるであろう。特定の実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、非造血組織試料を少なくとも1週間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、または少なくとも14日間培養した後に収集される。適切には、リンパ球及び/またはγδT細胞は、40日以内、例えば38日以内、36日以内、34日以内、32日以内、30日以内、28日以内、26日以内、または24日以内に収集される。一実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、非造血組織試料を少なくとも14日間培養した後に収集される。さらなる実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、非造血組織試料を14~21日間培養した後に収集される。なおさらなる実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、約19日間、例えば19日間培養した後に収集される。別の実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、約21日間、例えば21日間培養した後に収集される。
【0061】
本発明の特定の実施形態では、非造血組織試料は、血清(例えば、ヒトAB血清またはウシ胎仔血清(FBS))を含む培地中で培養される。さらなる実施形態では、非造血組織は、10%ヒトAB血清を含む培地中で培養される。別の実施形態では、非造血組織は、5%ヒトAB血清を含む培地中で培養される。この実施形態によれば、以下に定義される血清代替物がさらに培地に含まれ得る。したがって、なおもさらなる実施形態では、非造血組織は、5%ヒトAB血清と5%血清代替物を含む培地中で培養される。
【0062】
本発明の特定の実施形態では、非造血組織試料は、血漿(例えば、ヒト血漿)を含む培地中で培養される。さらなる実施形態では、造血組織は、2.5%のヒト血漿を含む培地中で培養される。
【0063】
本発明の代替的な実施形態では、非造血組織試料は、実質的に血清を含まない培地(例えば、無血清培地または血清代替物(SR)を含む培地)中で培養される。さらなる実施形態では、造血組織は、5%血清代替物を含む培地中で培養される。したがって、一実施形態では、非造血組織試料は無血清培地中で培養される。そのような無血清培地はまた、血清代替物培地を含み得、血清代替物は、ヒトまたは動物由来の血清の使用を避けるために、化学的に定義された成分に基づく。
【0064】
一実施形態では、非造血組織試料は、動物由来生成物を含まない培地で培養される。
【0065】
一実施形態では、本明細書で定義される方法は、単離容器内で実施される。「単離容器」への言及は、リンパ球及び/またはγδT細胞の分離のための非造血組織サンプを含み、任意選択で合成足場をさらに含む容器を指す。単離容器は、単離方法のためだけに使用でき、さらなる拡大ステップには使用できないことに留意されたい。
【0066】
一実施形態では、本明細書で定義される方法は、ガス透過性物質を含む容器(例えば単離容器)内で実施される。このような物質は、酸素、二酸化炭素、及び/または窒素などのガスを透過し、容器の内容物と周囲の大気との間のガス交換を可能にする。本明細書における「容器」への言及は、培養皿、培養プレート、単一ウェル皿、マルチウェル皿、マルチウェルプレート、フラスコ、多層フラスコ、ボトル(ローラーボトルなど)、バイオリアクター、バッグ、チューブなどを含む。このような容器は、非接着細胞及び他のリンパ球の拡大を伴う方法で使用することが当技術分野で知られている。しかしながら、驚くべきことに、ガス透過性物質を含む容器は、通常接着性であると考えられるγδT細胞の単離にも有用性を見出す。このような容器を培養に使用すると、非造血組織試料から単離されたγδT細胞の収量が大幅に増加することがわかった。そのような血管はまた、接着性細胞型を含む、線維芽細胞及び他の間質細胞(例えば、上皮細胞)よりも、γδT細胞及び他のリンパ球を優先的にサポートすることもわかった。したがって、一実施形態では、本明細書で定義されるガス透過性物質を含む容器は、γδT細胞及び他のリンパ球(例えば、αβT細胞及び/またはNK細胞)を優先的にサポートする。さらなる実施形態では、線維芽細胞及び/または他の間質細胞(例えば、上皮細胞)は、ガス透過性物質を含む容器で行われる培養には存在しない。
【0067】
ガス透過性物質を含むそのような容器は、非多孔性であるガス透過性物質をさらに含むことができる。したがって、一実施形態では、ガス透過性物質は非多孔性である。いくつかの実施形態では、ガス透過性物質は、シリコーン、フルオロエチレンポリプロピレン、ポリオレフィン、またはエチレンビニルアセテートコポリマーなどの膜フィルムである。さらに、そのような容器は、ガス透過性物質、ガス透過性膜フィルム、または非多孔性ガス透過性物質の一部のみを含むことができる。したがって、なおもさらなる実施形態によれば、容器は、頂部、底部、及び少なくとも1つの側壁を含み、前記容器底部の少なくとも一部は、前記頂部が前記底部の上に存在するときに実質的に水平面にあるガス透過性物質を含む。一実施形態では、容器は、頂部、底部、及び少なくとも1つの側壁を含み、前記底部の少なくとも一部は、前記頂部が前記底部の上にあるときに水平面内にあるガス透過性物質を含む。さらなる実施形態では、容器は、頂部、底部、及び少なくとも1つの側壁を含み、前記少なくとも1つの側壁は、前記頂部が前記底部の上にあるときに垂直面にあり得るか、または前記頂部が前記底部の上にないときに水平面に選り得る、ガス透過性物質を含む。そのような実施形態では、前記底部または前記側壁の一部のみがガス透過性物質を含んでもよいことが理解されるであろう。代替的に、前記底部全体または前記側壁全体がガス透過性物質を含んでもよい。なおもさらなる実施形態では、ガス透過性物質を含む前記容器の前記頂部は、例えばOリングを利用することによって密封されてもよい。そのような実施形態は、容器内容物のこぼれを防止するか、または蒸発を低減することが理解されよう。したがって、特定の実施形態では、容器は、ガス交換を可能にするガス透過性物質を含む液体密封された容器を含む。代替的な実施形態では、ガス透過性物質を含む前記容器の前記頂部は、水平面内で前記底部の上にあり、密封されていない。したがって、特定の実施形態では、前記頂部は、容器の頂部からのガス交換を可能にするように構成されている。さらなる実施形態では、ガス透過性容器の前記底部は、容器の底部からのガス交換を可能にするように構成されている。なおもさらなる実施形態では、ガス透過性物質を含む前記容器は、液体密封された容器であってもよく、入口及び出口のポートまたは管をさらに含む。したがって、特定の実施形態では、ガス透過性物質を含む容器は、頂部、底部、及び任意選択で少なくとも1つの側壁を含み、前記頂部及び前記底部の少なくとも一部はガス透過性物質を含み、存在する場合は少なくとも1つの側壁の少なくとも一部は、ガス透過性物質を含む。例示的な容器は、WO2005035728及びUS9255243に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。これらの容器は、G-REX6ウェルプレート、G-REX24ウェルプレート及びG-REX10容器など、Wilson Wolf Manufacturingによって提供されるG-REX(登録商標)細胞培養デバイスなどのように市販されている。
【0068】
一実施形態では、非造血組織試料は合成足場上に配置される。本明細書で使用される場合、「合成足場」、「足場」、及び「グリッド」は、交換可能に使用され、細胞増殖をサポートするのに適した非天然の三次元構造を指す。非造血組織試料は、外植片から足場上へのリンパ球の放出を促進するために、合成足場に置かれるか、または接着され得る。合成足場は、天然物質及び/または合成物質、例えば、ポリマー(例えば、天然または合成のポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、メチルセルロース、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン)、セラミック(例えば、リン酸三カルシウム、アルミン酸カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト)、または金属(例えば、タンタル、チタン、白金、及び白金、ニオブ、ハフニウム、タングステンと同じ元素群の金属、ならびにそれらの合金の組み合わせ)から構築することができる。本発明の一実施形態では、合成足場はタンタルコーティングされている。生物学的因子(例えば、コラーゲン(コラーゲンIまたはコラーゲンIIなど)、フィブロネクチン、ラミニン、インテグリン、血管新生因子、抗炎症因子、グリコサミノグリカン、ビトロゲン、抗体及びその断片、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-4、IL-21、IL-1β、及びそれらの組み合わせ、例えば、IL-2、IL-15、IL-4、IL-21、及びそれらの組み合わせ)は、足場表面上にコーティングされるか、足場内にカプセル化されるか、または培地に添加されて、当該技術分野に知られる方法に従って、細胞接着、遊走、生存、または増殖を増強することができる。この方法及び他の方法を使用して、多くの他の非造血組織タイプ、例えば、皮膚、腸、前立腺、及び乳房からリンパ球を単離することができる。
【0069】
一実施形態では、非造血組織試料は、非造血組織試料からリンパ球を単離するために使用される容器内の合成足場上に配置される。さらなる実施形態では、合成足場は、リンパ球及び/またはγδT細胞が、非造血組織試料から培養容器の底に放出することを促進するように構成されている。そのような実施形態は、非造血組織試料及び/または間質細胞(例えば線維芽細胞及び/または上皮細胞)からのリンパ球(例えば、γδT細胞、αβT細胞、及び/またはNK細胞)の単離及び/または分離を可能にするという利点を有する。さらに、そのような実施形態は、非造血組織試料から培養容器の底へのリンパ球(例えば、γδT細胞、αβT細胞及び/またはNK細胞)の収集を可能にする。特定の実施形態では、合成足場は、非造血組織試料からのγδT細胞の放出を促進するように構成されている。さらなる実施形態では、合成足場は、非造血組織試料からのαβT細胞及び/またはNK細胞などのリンパ球の放出を促進するように構成されている。
【0070】
したがって、本明細書で定義される方法の一態様では、合成足場は、非造血組織試料から培養容器の底へのリンパ球の放出を促進するように構成されている。本明細書で定義される方法のさらなる態様では、合成足場は、非造血組織試料から容器の底へのγδT細胞の放出を促進するように構成されている。
【0071】
本発明の方法は、以前に記載されたよりも多い総細胞収量を提供する。一実施形態では、単離された細胞の総数は、組織試料の少なくも10細胞/cm、少なくとも2×10細胞/cm、少なくとも5×10細胞/cm、少なくとも10×10細胞/cm、少なくとも20×10細胞/cm、少なくとも30×10細胞/cm、少なくとも40×10細胞/cm、少なくとも50×10細胞/cm、少なくとも60×10細胞/cm、少なくとも70×10細胞/cm、少なくとも80×10細胞/cm、少なくとも90×10細胞/cm、少なくとも100×10細胞/cm、少なくとも150×10細胞/cm、少なくとも200×10細胞/cmである。特定の実施形態では、単離された細胞の総数は、少なくとも少なくとも50×10細胞/cmである。別の実施形態では、単離された細胞の総数は、少なくとも少なくとも100×10細胞/cmである。
【0072】
血液で優勢であるγδT細胞は主にVδ2T細胞であり、非造血組織で優勢なγδT細胞は主にVδ1T細胞であり、そのためVδ1T細胞は非造血組織常在性γδT細胞の集団の約70~80%を構成する。しかしながら、一部のVδ2T細胞は、非造血組織、例えば腸内にも見られ、γδT細胞の約10~20%を占め得る。非造血組織に常在する一部のγδT細胞は、Vδ1 TCRもVδ2 TCRも発現せず、本明細書では二重陰性(DN)γδT細胞と呼ばれている。これらのDN γδT細胞は、少数のVδ5発現T細胞とともに、大部分がVδ3発現である可能性がある。したがって、元々非造血組織に存在し、本発明の方法によって単離されるγδT細胞は、好ましくは非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞であり、少量のDNγδT細胞が含まれる。
【0073】
したがって、好ましい一実施形態では、本明細書で定義される方法によって単離されるγδT細胞は、Vδ1T細胞の集団を含む。一実施形態では、本明細書で定義される方法によって単離されるγδT細胞は、DN γδT細胞の集団を含む。一実施形態では、本明細書で定義される方法によって単離されるγδT細胞は、Vδ3T細胞の集団を含む。一実施形態では、本明細書で定義される方法によって単離されるγδT細胞は、Vδ5T細胞の集団を含む。
【0074】
γδT細胞は、それらが発現するγ鎖のタイプによっても定義され得る。さらなる実施形態では、本明細書で定義される方法によって単離されるγδT細胞は、Vγ4T細胞の集団を含む。ほとんどの場合、Vγ4T細胞は腸組織試料から得られる。
【0075】
単離方法は、参照集団よりも多い(例えば、数が少なくとも数が少なくとも2倍、数が少なくとも3倍、数が少なくとも4倍、数が少なくとも5倍、数が少なくとも6倍、数が少なくとも7倍、数が少なくとも8倍、数が少なくとも9倍、数が少なくとも10倍、数が少なくとも15倍、数が少なくとも20倍、数が少なくとも25倍、数が少なくとも30倍、数が少なくとも35倍、数が少なくとも40倍、数が少なくとも50倍、数が少なくとも60倍、数が少なくとも70倍、数が少なくとも80倍、数が少なくとも90倍、数が少なくとも100倍、数が少なくとも200倍、数が少なくとも300倍、数が少なくとも400倍、数が少なくとも500倍、数が少なくとも600倍、数が少なくとも700倍、数が少なくとも800倍、数が少なくとも900倍、数が少なくとも1,000倍、数が少なくとも5,000倍、数が少なくとも10,000倍)γδT細胞の単離されたγδT細胞の集団を提供する。
【0076】
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って単離されるγδT細胞の集団は、NKG2Aを発現する細胞の割合が低い。例えば、単離されたγδT細胞の集団は、40%未満、35%未満、30%未満、20%未満、または未満10%のNKG2A+細胞の頻度を有し得る。代替的に、単離されたγδT細胞の集団は、約40%、約30%、約20%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%のNKG2A+細胞の頻度を有し得る。特定の実施形態では、γδT細胞の単離されたγδT細胞の集団は、10%未満のNKG2A+細胞の頻度を有する。したがって、一実施形態では、γδT細胞の単離されたγδT細胞の集団は、約8%のNKG2A+細胞の頻度を有する。したがって、一実施形態では、単離されるγδT細胞はNKG2Aを実質的に発現しない。
【0077】
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って単離されるVδ1T細胞の集団は、NKG2Aを発現する細胞の割合が低い。例えば、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団は、40%未満、35%未満、30%未満、20%未満、または未満10%のNKG2A+細胞の頻度を有し得る。代替的に、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団は、約40%、約30%、約20%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%のNKG2A+細胞の頻度を有し得る。特定の実施形態では、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団は、10%未満のNKG2A+細胞の頻度を有する。したがって、一実施形態では、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団は、約9%のNKG2A+細胞の頻度を有する。別の実施形態では、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団は、約7%のNKG2A+細胞の頻度を有する。したがって、一実施形態では、単離されるVδ1T細胞はNKG2Aを実質的に発現しない。一実施形態では、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団の10%未満がNKG2Aを発現する。
【0078】
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って単離されるγδT細胞の集団は、CD45RAを発現する細胞の割合が低い。CD45RAは最終分化に関連するマーカーであるため、単離される細胞の集団におけるこのマーカーの発現を減らすことが望ましい。例えば、単離されたγδT細胞の集団は、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、または未満30%のCD45RA+細胞の頻度を有し得る。代替的に、単離されたγδT細胞の集団は、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%のCD45RA+細胞の頻度を有し得る。特定の実施形態では、γδT細胞の単離されたγδT細胞の集団は、30%未満のCD45RA+細胞の頻度を有する。したがって、一実施形態では、γδT細胞の単離されたγδT細胞の集団は、約10%のCD45RA+細胞の頻度を有する。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って単離されるVδ1T細胞の集団は、CD45RAを発現する細胞の割合が低い。例えば、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団は、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、または未満30%のCD45RA+細胞の頻度を有し得る。代替的に、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団は、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%のCD45RA+細胞の頻度を有し得る。特定の実施形態では、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団は、30%未満のCD45RA+細胞の頻度を有する。したがって、一実施形態では、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団は、約10%のCD45RA+細胞の頻度を有する。一実施形態では、Vδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団の80%未満がCD45RAを発現し、例えばVδ1T細胞の単離されたγδT細胞の集団の30%未満がCD45RAを発現する。
【0080】
非造血組織(例えば、皮膚)から単離すると、γδT細胞は一般的に、αβT細胞、B細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む、より大きなリンパ球集団の一部になる。いくつかの実施形態では、リンパ球の単離されたγδT細胞の集団の1%~10%がγδT細胞である(例えば、皮膚由来リンパ球の単離されたγδT細胞の集団の1~10%がγδT細胞である)。ほとんどの場合、γδT細胞の集団(例えば、皮膚由来のγδT細胞の集団)には、大量のVδ1T細胞の集団が含まれる。いくつかの実施形態では、単離されるリンパ球集団(例えば、皮膚由来リンパ球)の1~10%がVδ1T細胞である(例えば、Vδ1T細胞は、単離されるγδT細胞の集団の、50%超、60%超、70%超、80%超、または90%超の集団を表し得る)。場合によっては、γδT細胞の単離されたγδT細胞の集団の10%未満がVδ2T細胞である(例えば、皮膚由来γδT細胞の単離されたγδT細胞の集団の10%未満がVδ2T細胞である)。
【0081】
Vδ2T細胞、αβT細胞、B細胞、またはNK細胞などの非Vδ1T細胞または非DN T細胞は、単離されたγδT細胞の集団から除去することができる(例えば、拡大ステップの前、間、または後に)。
【0082】
単離されたγδT細胞(例えば、皮膚から単離されたγδT細胞、例えば、皮膚から単離されたVδ1T細胞など)は、対応する造血組織由来の細胞(例えば、血液由来のγδT細胞及び/または血液由来のVδ2T細胞)とは異なる表現型を有している。例えば、単離されたγδT細胞の集団は、参照集団、例えば非造血組織常在性γδT細胞のTCR活性化集団または造血組織由来細胞の対応する集団(例えば、血液由来γδT細胞及び/または血液由来Vδ2T細胞)よりも高いレベルのCCR3、CCR4、CCR7、CCR8、またはCD103を発現し得る。いくつかの実施形態では、単離されたγδT細胞の集団は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上のCCR3細胞;少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上のCCR4細胞;少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上のCCR7細胞;少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上のCCR8細胞;及び/または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上のCD103細胞を含む。γδT細胞の単離されたγδT細胞の集団は、CCR3、CCR4、CCR7、CCR8、またはCD103のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、または6つすべてを発現し得る。
【0083】
非造血組織由来の単離されたγδT細胞の集団(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または皮膚由来Vδ1T細胞)も機能によって特徴付けることができる。当技術分野で知られている機能アッセイを実施して、本発明の任意の非造血組織由来細胞(例えば、γδT細胞の単離されたγδT細胞の集団、皮膚由来Vδ1T細胞、またはγδT細胞及び/または皮膚由来Vδ1T細胞の拡大された集団)と参照細胞(例えば、非造血組織常在性γδT細胞のTCR活性化集団または造血組織由来細胞の対応する集団、例えば血液由来γδT細胞及び/または血液由来Vδ2T細胞)との間の機能的差異を決定することができる。このようなアッセイには、増殖アッセイ、細胞傷害性アッセイ、結合アッセイ、持続性及び/または場所を測定するアッセイなどが含まれ得る。
【0084】
したがって、本発明の一態様では、リンパ球及び/またはγδT細胞の集団を単離するための本明細書で定義される方法は、疲弊していないリンパ球及び/またはγδT細胞の集団と一致する表面表現型を含む集団をもたらす。
【0085】
本発明の方法は、TCR陰性細胞などの他のリンパ球の単離を改善することも示されている。したがって、本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からリンパ球を単離する方法であって:
(i)血清代替物、ヒト血漿、及び/またはヒトAB血清を含む培地中で非造血組織試料を培養するステップと;
(ii)非造血組織試料から培養されたリンパ球の集団を収集するステップと、を含む方法が提供される。適切には、培地は血清代替物を含む。
【0086】
本明細書に示される実施例に示されるように、タンパク質源は、非造血組織試料から単離されたTCR陰性細胞の数に影響を及ぼし得る。したがって、一実施形態では、リンパ球の単離されたγδT細胞の集団は、TCR陰性細胞の集団を含む。TCR陰性細胞の集団はしばしば多数のNK細胞を含むことが当技術分野で知られている。単離されたTCR陰性細胞の集団にはNK細胞が含まれ得る。一実施形態では、単離されたTCR陰性細胞の集団の少なくとも50%、少なくとも60%、70%、または80%がNK細胞である。
【0087】
本発明のこの態様で使用される培養方法は、本明細書に記載の他の条件を含み得る。一実施形態では、ステップ(i)は、IL-2及びIL-15の存在下で非造血組織試料を培養するステップをさらに含む。
【0088】
一実施形態では、ステップ(i)は、IL-4、IL-1β、IL-21、及び/またはIFN-γの存在下で非造血組織試料を培養するステップをさらに含む。別の実施形態では、ステップ(i)は、IL-4及び/またはIL-1βの存在下で非造血組織試料を培養するステップをさらに含む。
【0089】
一実施形態では、培養することはIFN-γの非存在下で実施される。本明細書に記載の実験から得られた結果の統計分析の後、単離中に得られたTCR陰性細胞の数は、IFN-γが存在しない場合に増加し得るようである。一実施形態では、培養することはIL-21の非存在下で実施される。代替的な実施形態では、ステップ(i)は、15ng/mL~25ng/mL、例えば、18~20ng/ml、例えば、18、19、または20ng/mLの濃度のIL-21の存在下で非造血組織試料を培養するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、培養することは、濃度18.8ng/mLのIL-21の存在下で実施される。
【0090】
一実施形態では、方法は、リンパ球またはγδT細胞の単離されたγδT細胞の集団を凍結することを含む。細胞は、例えば、Cryostor10細胞凍結溶液中で凍結され得る。多くの凍結溶液及びパラメーターが当技術分野で知られており、本発明のこの態様において有用である。凍結された細胞は、使用が必要になるまで、任意選択で液体窒素(気相)中で、例えば-80℃~-200℃で保存することができる。
【0091】
本発明の一態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得られる単離されたリンパ球集団(例えば、皮膚由来αβT細胞及び/またはNK細胞)が提供される。さらなる実施形態では、リンパ球の単離されたγδT細胞の集団は凍結される。
【0092】
本発明の一態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得ることのできる単離されたリンパ球集団(例えば、皮膚由来αβT細胞及び/またはNK細胞)が提供される。
【0093】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法によって得られる単離されたγδT細胞の集団が提供される。さらなる実施形態では、γδT細胞の単離されたγδT細胞の集団は凍結される。
【0094】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得ることのできる単離されたγδT細胞の集団が提供される。
【0095】
本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からγδT細胞を単離する方法であって:
(i)非造血組織試料からγδT細胞の集団を単離するステップと、
(ii)単離されたγδT細胞の集団を凍結するステップと、を含む方法が提供される。
【0096】
以前の方法は、拡大後にγδT細胞を凍結することを含んでいたが、本発明者らは、単離後に凍結された細胞が濃縮され、少なくとも新鮮な等価物と同様に拡大することを発見した。単離後の凍結により、ドナーに対して小規模な品質管理拡大検証を実行してから、莫大なリソースコストとオペレーター集約型の大規模拡大を開始する時間ができる。また、単一のドナーから細胞のバッチを生産することもできる(すなわち、必要に応じて後日同じドナーからさらにバッチを生産する可能性を考慮して、拡大された細胞の1つのバッチを生産するため)。
【0097】
本発明のこの態様では、単離方法は、本明細書に記載の方法、またはIL-2、IL-4、IL-9、IL-15、IL-21、またはその組み合わせ、例えばIL-2及びIL-15、特に任意選択でIL-4及び/またはIL-21と組み合わせたIL-2、IL-15の存在下で非造血組織試料を培養することなどの代替的な単離方法を含んでもよい。一実施形態では、γδT細胞は、任意選択でIL-1β、IL-4、及び/またはIL-21と組み合わせて、IL-2及びIL-15の存在下で非造血組織試料を培養することによって単離される。この実施形態によれば、IL-21が存在する場合、IL-21は15ng/mL~25ng/mL、例えば18、19、または20ng/mLの濃度である。したがって、さらなる実施形態では、存在する場合、IL-21は18.8ng/mLの濃度である。
【0098】
一実施形態では、単離するステップ(i)は、少なくとも14日間の期間を有する。他の実施形態では、単離するステップ(i)は、21日未満の期間を有する。なおもさらなる実施形態では、単離するステップ(i)は、14日間~35日間、例えば約19日間~21日間などの期間を有する。したがって、一実施形態では、単離するステップ(i)は、約19日間、例えば19日間の期間を有する。別の実施形態では、単離するステップ(i)は、約21日、例えば21日の期間を有する。
【0099】
細胞は、Cryostor10細胞凍結溶液などの適切な凍結溶液中で凍結され得る。多くの凍結/凍結保存溶液及びパラメーターが当技術分野で知られており、本発明のこの態様において有用である。適切な凍結溶液は、DMSO、及びヒト血清アルブミン、デキストラン、デキストロース、NaCl、Hespan、またはPlasmaLyte A などの他の適切な培地添加物を含むことができる。次いで、細胞は、約-80℃~約-200℃、例えば、約-80℃~約-135℃の温度まで凍結される。
【0100】
凍結保存は、バイアルを凍結容器に入れ、次いで-80℃の冷凍庫で例えば1~3日間保存し、続いて液体窒素保存システムの気相に移すことによって達成され得る。代替的な実施形態では、単離されたγδT細胞は速度制御された冷凍庫で凍結される。
【0101】
凍結された細胞は長期保存に適しており、したがって、単離された細胞は、その後の解凍及び拡大の前に一定期間凍結したままであり得ることが理解されるであろう。凍結された細胞は、使用が必要になるまで、任意選択で液体窒素(気相)中で、例えば-80℃~-200℃で保存することができる。
【0102】
凍結保存後、細胞は、例えば37℃のウォーターバスで解凍(すなわち、解凍)することができる。解凍された細胞は、続いて拡大法で使用され得る。拡大の方法は、本明細書に記載の方法、または当技術分野で説明されている方法のいずれかを含むことができ、例えば、WO2017072367及びWO2018202808を参照されたい。
【0103】
したがって、この方法は、γδT細胞の凍結された集団を解凍することをさらに含み得る。さらに、この方法は、解凍されたγδT細胞の集団を少なくとも5日間培養して、拡大されたγδT細胞の集団を産生することを含んでもよい。
【0104】
したがって、本発明の別の態様によれば、非造血組織試料からγδT細胞を単離及び拡大する方法であって:
(i)非造血組織試料からγδT細胞を単離するステップと、
(ii)単離されたγδT細胞を凍結するステップと、
(iii)γδT細胞を解凍するステップと、
(iv)解凍されたγδT細胞を少なくとも5 日間培養して、拡大されたγδT細胞の集団を生成するステップと、を含む方法が提供される。
【0105】
特定の実施形態では、単離するステップ(i)は、15ng/mL~25ng/mL、例えば、18~20ng/mL、例えば、18、19、または20ng/mL、例えば、18.8ng/mLの濃度のIL-21、及びIL-1βの存在下で、約19日間、例えば19日間の期間、非造血組織試料を培養することを含む。別の実施形態では、単離ステップ(i)は、IL-1βの存在下、かつIL-21の非存在下で、約19日間、例えば19日間、または約21日間、例えば21日間、非造血組織試料を培養することを含む。本明細書に示されるデータは、そのような単離条件が、ステップ(iii)での解凍後に生存γδT細胞をもたらし、その後の拡大培養中に拡大する能力、すなわち、ステップ(iv)で拡大されたγδT細胞の集団を効果的に産生する能力を示している。
【0106】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の方法によって得られた凍結された単離されたγδT細胞の集団(すなわち、ステップ(ii)で得られた凍結されたγδT細胞)が提供される。
【0107】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の方法によって得ることのできる凍結された単離されたγδT細胞の集団(すなわち、ステップ(ii)で得られた凍結されたγδT細胞)が提供される。
【0108】
拡大方法
特定の実施形態では、本発明は、非造血組織常在性のリンパ球及び/またはγδT細胞(例えば、皮膚由来αβT細胞、NK細胞、γδT細胞、及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)を拡大する方法を特徴とする。これらの方法は、インビトロで実施することができる。いくつかの実施形態では、γδT細胞は、本明細書で定義される方法に従って非造血組織試料から単離されたγδT細胞の集団から拡大される。一般に、非造血組織常在性γδT細胞は、間質細胞(例えば、皮膚の線維芽細胞)との物理的接触を取り除くと、自発的に拡大することができる。本明細書で定義される方法は、そのような分離を誘導するために使用することができ、その結果、γδT細胞の抑制が解除されて拡大が引き起こされる。特定の実施形態では、リンパ球(例えば、皮膚由来αβT細胞及び/またはNK細胞、腸由来αβT細胞及び/またはNK細胞)は、本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料から単離されたリンパ球の集団から拡大される。
【0109】
本明細書で使用されるように、「拡大された」または「拡大されたリンパ球及び/またはγδT細胞の集団」への言及には、拡大していない集団よりも大きいか、またはより多くの数の細胞を含む細胞の集団が含まれる。そのような集団は、多数、少数、または集団内の割合または特定の細胞型の拡大を伴う混合された集団であり得る。「拡大ステップ」という用語は、拡大または拡大された集団をもたらすプロセスを指すことが理解されるであろう。したがって、拡大または拡大された集団は、拡大ステップを行っていない集団またはいずれかの拡大ステップの前の集団と比較して、数が多いか、またはより多くの細胞を含み得る。拡大(例えば倍率増加または倍率拡大)を示すために本明細書に示される任意の数字は、細胞の集団の数もしくはサイズまたは細胞の数の増加を示し、拡大の量を示すことがさらに理解されるであろう。
【0110】
したがって、一実施形態では、本発明の方法に従って単離されたリンパ球またはγδT細胞が拡大される。一実施形態では、単離されたリンパ球またはγδT細胞の集団を凍結し、次いで拡大前に解凍する。
【0111】
そのような拡大は任意選択でIL-4を含む、IL-2、IL-15、及びIL-21の存在下でγδT細胞を培養することを含み得る。代替的に、拡大は任意選択でIL-4を含む、IL-9、IL-15、及びIL-21の存在下でγδT細胞を培養することを含み得る。いずれかの拡大ステップは、リンパ球及び/または拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効な期間にわたって実施されることが理解されるであろう。一実施形態では、拡大されたリンパ球及び/またはγδT細胞の集団を産生するのに有効な期間は少なくとも5日間である。したがって、一実施形態では、拡大は、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効な量のIL-2、IL-15、及びIL-21の存在下で少なくとも5日間γδT細胞を培養することを含む。さらなる実施形態では、拡大は、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効な量のIL-2、IL-15、IL21、及びIL-4の存在下で少なくとも5日間γδT細胞を培養することを含む。なおもさらなる実施形態では、拡大は、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効な量のIL-9、IL-15、及びIL-21の存在下で少なくとも5日間γδT細胞を培養することを含む。一実施形態では、拡大は、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効な量のIL-9、IL-15、IL-21、及びIL-4の存在下で少なくとも5日間γδT細胞を培養することを含む。
【0112】
さらなる実施形態では、拡大は、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効な量の期間(例えば、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、またはそれ以上、例えば、5日間~40日間、7日間~35日間、14日間~28日間、または約21日間)リンパ球及び/またはγδT細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、数時間(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、18、または21時間)から約35日間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35日間)の期間の培養で拡大される。一実施形態では、リンパ球及び/またはγδT細胞は、14~21日間の期間拡大される。したがって、単離培養期間(例えば、1~40日間、例えば14~21日間)を含めて、単離及び拡大ステップは、いくつかの実施形態では、28~56日間、または約41日間持続することができる。
【0113】
さらなる実施形態では、拡大は、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも28日間、またはそれ以上、例えば、5日間~40日間、7日間~35日間、14日間~28日間、または約21日間)γδT細胞を培養することを含む。一実施形態では、拡大ステップは、γδT細胞を少なくとも10、15、または20日間培養して、拡大された集団を生成することを含む。一実施形態では、拡大ステップは、γδT細胞を5~25日間、例えば14~21日間培養することを含む。さらなる実施形態では、拡大ステップは、γδT細胞を約20日間培養することを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効なIL-2の典型的な量は、1IU/mL~2,000IU/mL(例えば、5IU/mL~1,000IU/mL、10IU/mL~500IU/mL、20IU/mL~400IU/mL、50IU/mL~250IU/mL、または約100IU/mL、例えば、5IU/mL~10IU/mL、10IU/mL~20IU/mL、20IU/mL~30IU/mL、30IU/mL~40IU/mL、40IU/mL~50IU/mL、50IU/mL~60IU/mL、60IU/mL~70IU/mL、70IU/mL~80IU/mL、80IU/mL~90IU/mL、90IU/mL~100IU/mL、100IU/mL~120IU/mL、120IU/mL~140IU/mL、140IU/mL~150IU/mL、150IU/mL~175IU/mL、175IU/mL~200IU/mL、200IU/mL~300IU/mL、300IU/mL~400IU/mL、400IU/mL~500IU/mL、500IU/mL~1,000IU/mL、1,000IU/mL~1,500IU/mL、1,500IU/mL~2,000IU/mL、またはそれ以上)である。いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効なIL-2の量は、約100IU/mLである。
【0115】
いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えば、Vδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の集団を産生するのに有効なIL-15の典型的な量は、少なくとも0.1ng/mL(例えば、0.1ng/mL~10,000ng/mL、1.0ng/mL~1,000ng/mL、5ng/mL~800ng/mL、10ng/mL~750ng/mL、20ng/mL~500ng/mL、50ng/mL~400ng/mL、または100ng/mL~250 ng/mL、例えば、0.1ng/mL~1.0ng/mL、1.0ng/mL~5.0ng/mL、5.0ng/mL~10ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、20ng/mL~50ng/mL、50ng/mL~100ng/mL、100ng/mL~200ng/mL、200ng/mL~500ng/mL、または500ng/mL~1,000ng/mL)である。いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効なIL-15の量は、約10IU/mLである。
【0116】
いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えば、Vδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の集団を産生するのに有効なIL-21の典型的な量は、少なくとも0.1ng/mL、例えば少なくとも1.0ng/mL(例えば、0.1ng/mL~1,000ng/mL、1.0ng/mL~100ng/mL、1.0ng/mL~50ng/mL、2ng/mL~50ng/mL、3ng/mL~10ng/mL、4ng/mL~8ng/mL、5ng/mL~10ng/mL、6ng/mL~8ng/mL、例えば、0.1ng/mL~10ng/mL、1.0ng/mL~5ng/mL、1.0ng/mL~10ng/mL、1.0ng/mL~20ng/mL)である。さらなる実施形態では、IL-21の量は、典型的には200ng/mL未満、例えば、188.8ng/mLの濃度である。他の実施形態では、IL-21の量は、典型的には100ng/mL未満、例えば、50ng/mL未満、例えば37.5ng/mLの濃度である。さらに他の実施形態では、IL-21の量は、典型的には20ng/mL未満、例えば、18~20ng/mL、例えば、18、19、または20ng/mL、例えば、18.8ng/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、方法は、IL-21を約6ng/mL、例えば6.25ng/mLの濃度で含む。
【0117】
さらなる実施形態では、本明細書で定義される方法は、IL-4を典型的には少なくとも0.1ng/mL、例えば少なくとも10ng/mL(例えば、0.1ng/mL~1,000ng/mL、1.0ng/mL~100ng/mL、1.0ng/mL~50ng/mL、2ng/mL~50ng/mL、3ng/mL~40ng/mL、4ng/mL~30ng/mL、5ng/mL~20ng/mL、10ng/mL~20ng/mL、例えば、0.1ng/mL~50ng/mL、1.0ng/mL~25ng/mL、5ng/mL~25ng/mL)の濃度で含む。さらなる実施形態では、本明細書で定義される方法は、IL-4を典型的には100ng/mL未満、例えば50ng/mL未満、特に20ng/mL未満の濃度で含む。いくつかの実施形態では、方法は、IL-4を、約15ng/mLの濃度で含む。
【0118】
非造血組織常在性のリンパ球及び/またはγδT細胞の拡大培養における他の因子の置換または追加も本明細書で提供される。例えば、いくつかの実施形態では、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-12、IL-18、IL-33、IGF-1、IL-1β、ヒト血小板溶解物(HPL)、及び間質細胞由来因子-1(SDF-1)からなる群から選択される任意の1つ以上の因子は、IL-2及びIL-15のうちのいずれか1つに加えて、またはそれらの代わりに含まれる。αβT細胞またはNK細胞などのリンパ球の拡大のためのそのような追加または代替の因子は、当技術分野で知られている。一実施形態では、そのような因子は、γδT細胞の拡大を選択的に促進する拡大に使用される。さらなる実施形態では、そのような因子は、αβT細胞及び/またはNK細胞などのリンパ球の拡大を選択的に促進する拡大に使用される。
【0119】
拡大されたγδT細胞の集団を産生するために必要な上記サイトカインのそれぞれの量は、他のサイトカインの1つ以上の濃度に依存することが理解されるであろう。例えば、IL-2の濃度が増加または減少する場合、それに応じてIL-15の濃度をそれぞれ減少または増加させることができる。上述のように、拡大された集団を生成するのに有効な量は、本明細書では、細胞拡大に対するすべての因子の複合効果を指す。
【0120】
拡大方法は、参照集団よりも数が多い拡大されたγδT細胞の集団を提供する。いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団は、拡大ステップ前の単離されたγδT細胞の集団よりも多い(例えば、拡大ステップ前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、数が少なくとも数が少なくとも2倍、数が少なくとも3倍、数が少なくとも4倍、数が少なくとも5倍、数が少なくとも6倍、数が少なくとも7倍、数が少なくとも8倍、数が少なくとも9倍、数が少なくとも10倍、数が少なくとも15倍、数が少なくとも20倍、数が少なくとも25倍、数が少なくとも30倍、数が少なくとも35倍、数が少なくとも40倍、数が少なくとも50倍、数が少なくとも60倍、数が少なくとも70倍、数が少なくとも80倍、数が少なくとも90倍、数が少なくとも100倍、数が少なくとも200倍、数が少なくとも300倍、数が少なくとも400倍、数が少なくとも500倍、数が少なくとも600倍、数が少なくとも700倍、数が少なくとも800倍、数が少なくとも900倍、数が少なくとも1,000倍、数が少なくとも5,000倍、数が少なくとも10,000倍、またはそれ以上)。
【0121】
一実施形態では、拡大ステップは、実質的な間質細胞接触の非存在下で単離されたγδT細胞を培養することを含む。さらなる実施形態では、実質的な線維芽細胞接触の非存在下で単離されたγδT細胞を培養することを含む。
【0122】
さらなる実施形態では、拡大ステップは、単離されたγδT細胞をIL-4の存在下で培養することをさらに含む。したがって、一実施形態では、拡大は、IL-2、IL-15、IL-4、及びIL-21の存在下で単離されたγδT細胞を培養することを含む。あるいは、拡大は、IL-9、IL-15、IL-4、及びIL-21の存在下で単離されたγδT細胞を培養することを含み得る。
【0123】
本明細書で定義される拡大方法は、他のリンパ球(例えば、αβT細胞及び/またはNK細胞)の拡大にも適用されることが理解されるであろう。そのような実施形態では、拡大ステップは、適切な増殖因子及び/または栄養素(例えば、サイトカイン及び/またはケモカイン)の存在下で単離されたリンパ球を培養して、リンパ球(例えば、αβT細胞及び/またはNK細胞)の集団を拡大することを含む。
【0124】
一実施形態では、本明細書で定義されるγδT細胞の集団を拡大する方法は、血清または血漿を含む培地中でγδT細胞または他のリンパ球を培養することを含む。代替的な実施形態では、γδT細胞または本明細書で定義される他のリンパ球の集団を拡大する方法は、γδT細胞を無血清培地で培養することを含む。さらなる実施形態では、γδT細胞または本明細書で定義される他のリンパ球の集団を拡大する方法は、γδT細胞を血清代替物を含む培地で培養することを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、実質的なTCR経路の活性化は、拡大ステップ中に存在しない(例えば、外因性TCR経路活性化因子は培養物に含まれない)。一実施形態では、拡大ステップは、外因性TCR経路アゴニストの非存在を含む。さらに、本明細書では、本明細書で定義される方法に従って単離されたγδT細胞を拡大する方法であって、前記拡大方法が、フィーダー細胞、腫瘍細胞、及び/または抗原提示細胞との接触を含まない、方法が提供される。したがって、本明細書で定義される方法のさらなる実施形態では、γδT細胞の拡大は、実質的な間質細胞接触の非存在下でγδT細胞を培養することを含む。
【0126】
非造血組織由来γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の大きな集団を高速で産生する手段(例えば、間質細胞との接触及び/またはTCR刺激を取り除くことによる、または有効量の因子の存在下で培養することによる)もまた提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の拡大ステップは、以下の式によって与えられる低い集団倍加時間でγδT細胞を拡大する:
【0127】

【数1】
【0128】
本明細書に提供される情報、を考慮すると、当業者は、本発明が非造血組織由来γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)を5日未満(例えば、4.5日未満、4.0日未満、3.9日未満、3.8日未満、3.7日未満、3.6日未満、3.5日未満、3.4日未満、3.3日未満、3.2日未満、3.1日未満、3.0日未満、2.9日未満、2.8日未満、2.7日未満、2.6日未満、2.5日未満、2.4日未満、2.3日未満、2.2日未満、2.1日未満、2.0日未満、46時間未満、42時間未満、38時間未満、35時間未満、32時間未満)の集団倍加時間で拡大する方法を提供することを認識するであろう。
【0129】
いくつかの実施形態では、培養の7日以内に、拡大されたγδT細胞の集団(例えば、拡大されたVδ1T細胞及び/またはDN T細胞の集団)は、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも10倍の数のγδT細胞(例えば、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも2,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも4,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも6,000倍、少なくとも7,000倍、または少なくとも8,000倍の数のγδT細胞)を含む。いくつかの実施形態では、培養の14日以内に、拡大されたγδT細胞の集団(例えば、拡大されたVδ1T細胞及び/またはDN T細胞の集団)は、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも20倍の数のγδT細胞(例えば、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも2,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも4,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも6,000倍、少なくとも7,000倍、少なくとも8,000倍、少なくとも9,000倍、または少なくとも10,000倍の数のγδT細胞)を含む。いくつかの実施形態では、培養の21日以内に、拡大されたγδT細胞の集団(例えば、拡大されたVδ1T細胞及び/またはDN T細胞の集団)は、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも50倍の数のγδT細胞(例えば、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも2,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも4,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも6,000倍、少なくとも7,000倍、少なくとも8,000倍、少なくとも9,000倍、または少なくとも10,000倍の数のγδT細胞)を含む。いくつかの実施形態では、培養の28日以内に、拡大されたγδT細胞の集団(例えば、拡大されたVδ1T細胞及び/またはDN T細胞の集団)は、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも100倍の数のγδT細胞(例えば、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも110倍、少なくとも120倍、少なくとも130倍、少なくとも140倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも2,000倍、少なくとも3,000倍、少なくとも4,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも6,000倍、少なくとも7,000倍、少なくとも8,000倍、少なくとも9,000倍、少なくとも10,000倍、少なくとも12,000倍、または少なくとも15,000倍の数のγδT細胞)を含む。
【0130】
本明細書で提供される方法によって拡大された非造血組織由来γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)は、抗腫瘍効果に十分に適した表現型を有することができる。いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団(例えば、皮膚由来Vδ1T細胞)は、参照集団(例えば、拡大ステップ前の単離されたγδT細胞の集団)よりもCD27の平均発現が高い。いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団は、単離されたγδT細胞の集団と比較して少なくとも2倍(例えば、単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも150倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1,000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも10,000倍、少なくとも20,000倍、またはそれ以上)であるCD27の平均発現を有する。
【0131】
拡大されたγδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の集団の異なる部分はCD27を上昇制御する可能性があるが、別の部分はCD27またはCD27陰性である。この場合、単離されたγδT細胞の集団と比較して、拡大された集団におけるCD27陽性細胞の頻度が高くなり得る。例えば、拡大されたγδT細胞の集団は、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも5%高いCD27陽性細胞の頻度(例えば、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%まで高いCD27陽性の頻度)を有し得る。いくつかの実施形態では、単離されたγδT細胞の集団と比較して、拡大された集団中のCD27陽性細胞の数が増加し得る。例えば、拡大されたγδT細胞の集団は、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも2倍の数のCD27陽性細胞を有し得る。拡大されたγδT細胞の集団は、10%より大きい、20%より大きい、30%より大きい、40%より大きい、50%より大きい、60%より大きい、70%より大きい、80%より大きい、または90%より大きい、CD27+細胞の頻度を有し得る。代替的に、拡大されたγδT細胞の集団は、約10%、約20%。約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%のCD27+細胞の頻度を有し得る。特定の実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団は、50%を超えるCD27+細胞の頻度を有する。
【0132】
本明細書で提供される拡大方法は、いくつかの実施形態では、参照集団(例えば、拡大ステップ前の単離されたγδT細胞の集団)と比較して、TIGITの低い発現を有する拡大された非造血組織由来γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の集団をもたらす。いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団は、参照集団(例えば、拡大ステップ前の単離されたγδT細胞の集団)よりもTIGITの平均発現が低い。いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団は、単離されたγδT細胞の集団よりも少なくとも10%少ない(例えば、単離されたγδT細胞の集団よりも、少なくとも20%少ない、少なくとも30%少ない、少なくとも40%少ない、少なくとも50%少ない、少なくとも60%少ない、少なくとも70%少ない、少なくとも80%少ない、少なくとも90%少ない、または100%まで少ない)TIGITの平均発現を有する。拡大されたγδT細胞の集団は、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満のTIGIT+細胞の頻度を有し得る。代替的に、拡大されたγδT細胞の集団は、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%のTIGIT+細胞の頻度を有し得る。特定の実施形態では、単離されたγδT細胞の集団は、80%未満のTIGIT+細胞の頻度を有する。
【0133】
いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の集団は、多くの数または高い頻度のCD27細胞と低い頻度のTIGIT細胞を有する。いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団は、参照集団と比較して(例えば、拡大前のγδT細胞の単離集団と比較して)、高頻度のCD27TIGIT細胞を有する。例えば、拡大されたγδT細胞の集団は、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも5%高いCD27TIGIT細胞の頻度(例えば、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%まで高いCD27TIGITの頻度)を有し得る。いくつかの実施形態では、単離されたγδT細胞の集団と比較して、拡大された集団中のCD27TIGIT細胞の数が増加し得る。例えば、拡大されたγδT細胞の集団は、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも2%倍の数のCD27TIGIT細胞(例えば、拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%まで高いCD27TIGITの頻度)を有し得る。
【0134】
場合によっては、拡大されたγδT細胞におけるCD27γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の集団でのTIGITの平均発現は、参照集団と比較して低い。いくつかの実施形態では、拡大されたCD27γδT細胞の集団は、参照集団(例えば、拡大ステップ前の単離されたCD27γδT細胞の集団)よりもTIGITの平均発現が低い。いくつかの実施形態では、拡大されたCD27γδT細胞の集団は、単離されたCD27γδT細胞の集団よりも少なくとも10%少ない(例えば、単離されたCD27γδT細胞の集団よりも、少なくとも20%少ない、少なくとも30%少ない、少なくとも40%少ない、少なくとも50%少ない、少なくとも60%少ない、少なくとも70%少ない、少なくとも80%少ない、少なくとも90%少ない、または100%まで少ない)TIGITの平均発現を有する。
【0135】
追加的にまたは代替的に、拡大されたγδT細胞におけるTIGITγδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の集団でのCD27の発現中央値は、参照集団と比較して高い。例えば、拡大されたTIGITγδT細胞の集団は、拡大前の単離されたTIGITγδT細胞の集団と比較して、少なくとも5%高いCD27細胞の頻度(例えば、拡大前の単離されたTIGITγδT細胞の集団と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%まで高いCD27の頻度)を有し得る。いくつかの実施形態では、単離されたTIGITγδT細胞の集団と比較して、拡大された集団中のCD27細胞の数が増加し得る。例えば、拡大されたTIGITγδT細胞の集団は、拡大前の単離されたTIGITγδT細胞の集団と比較して、少なくとも2倍の数CD27細胞(例えば、拡大前の単離されたTIGITγδT細胞の集団と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%まで高いCD27の頻度)を有し得る。
【0136】
CD124、CD215、CD360、CTLA4、CD1b、BTLA、CD39、CD45RA、Fasリガンド、CD25、ICAM-1、CD31、KLRG1、CD30、CD2、NKp44、NKp46、ICAM-2、CD70、CD28、CD103、NKp30、LAG3、CCR4、CD69、PD-1、及びCD64を含む他のマーカーの発現の増加または減少は、拡大された非造血組織由来γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の集団のうちの1つ以上を特徴づけるのに追加的にまたは代替的に使用できる。場合によっては、拡大されたγδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の集団は、例えば拡大前の単離されたγδT細胞の集団と比較して、CD124、CD215、CD360、CTLA4、CD1b、BTLA、CD39、CD45RA、Fasリガンド、CD25、ICAM-1、CD31、KLRG1、CD30、及びCD2からなる群から選択されるマーカーの1つ以上のより高い平均発現を有する。付加的にまたは代替的に、拡大されたγδT細胞の集団は、単離されたγδT細胞の集団と比較して、CD124、CD215、CD360、CTLA4、CD1b、BTLA、CD39、CD45RA、Fasリガンド、CD25、ICAM-1、CD31、KLRG1、CD30、及びCD2からなる群から選択されるマーカーの1つ以上を発現する細胞のより高い頻度を有し得る。いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞の集団は、単離されたγδT細胞の集団と比較して、NKp44、NKp46、ICAM-2、CD70、CD28、CD103、NKp30、LAG3、CCR4、CD69、PD-1、及びCD64からなる群から選択されるマーカーの1つ以上のより低い平均発現を有する。拡大された集団は、単離されたγδT細胞の集団と比較して、NKp44、NKp46、ICAM-2、CD70、CD28、CD103、NKp30、LAG3、CCR4、CD69、PD-1、及びCD64からなる群から選択されるマーカーの1つ以上を発現する細胞のより低い頻度を有し得る。
【0137】
γδT細胞の培養及び/または増殖での使用に適した数多くの基礎培地は、AIM-V、Iscoves培地、及びRPMI-1640(Life Technologies)などの特定の培地で利用できる。培地には、血清、血清タンパク質、及び抗生物質などの選択剤など、本明細書で定義される他の培地因子を補充することができる。例えば、いくつかの実施形態では、RPMI-1640培地は、2mMグルタミン、10%FBS、10mMのHEPES、pH7.2、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、ピルビン酸ナトリウム(1 mM;Life Technologies)、非必須アミノ酸(例えば、100μMのGly、Ala、Asn、Asp、Glu、Pro、及びSer;1×MEM非必須アミノ酸(Life Technologies))、ならびに10μl/Lのβ-メルカプトエタノールを含む。代替的な実施形態では、AIM-V培地にCTS免疫血清代替物及びアンホテリシンBを補充することができる。本明細書で定義される特定の実施形態では、培地にIL-2及びIL-15をさらに補充することができる。便利なことに、細胞は単離及び/または拡大の間に適切な培地中で、37℃において、5%COを含む加湿雰囲気で培養される。
【0138】
本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からリンパ球を単離及び拡大する方法であって:
(i)本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料からリンパ球の集団を単離するステップと;
(ii)前記リンパ球の集団を(例えば、少なくとも5日間)さらに培養して、拡大されたリンパ球の集団を産生するステップと、を含む方法が提供される。
【0139】
一実施形態では、リンパ球はαβT細胞を含む。したがって、本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からαβT細胞を単離及び拡大する方法であって:
(i)本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料からαβT細胞の集団を単離するステップと;
(ii)前記αβT細胞の集団を(例えば少なくとも5日間)さらに培養して、拡大されたαβT細胞の集団を産生するステップと、を含む方法が提供される。
【0140】
ステップ(ii)における培養することは、αβT細胞がステップ(i)において単離された集団中に存在する他の細胞型よりも優先的に拡大される培養条件を選択することによるなど、選択的拡大によるものであり得る。代替的に、拡大条件は選択的ではなく、ステップ(ii)における培養することの後に、非標的細胞(例えば、αβT細胞以外の細胞)の枯渇が続いてもよい。代替的に、拡大条件は選択的ではなく、非標的細胞(例えば、αβT細胞以外の細胞)の枯渇がステップ(ii)における培養することの前に起きる。これらの実施形態の目的は、αβT細胞の総数を拡大すると同時に、集団におけるそれらの割合を増加させることであることに留意されたい。
【0141】
一実施形態では、リンパ球はNK細胞を含む。したがって、本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からNK細胞を単離及び拡大する方法であって:
(i)本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料からNK細胞の集団を単離するステップと;
(ii)前記NK細胞の集団を(例えば少なくとも5日間)さらに培養して、拡大されたNK細胞の集団を産生するステップと、を含む方法が提供される。
【0142】
ステップ(ii)における培養することは、NK細胞がステップ(i)において単離された集団中に存在する他の細胞型よりも優先的に拡大される培養条件を選択することによるなど、選択的拡大によるものであり得る。代替的に、拡大条件は選択的ではなく、ステップ(ii)における培養することの後に、非標的細胞(例えば、NK細胞以外の細胞)の枯渇が続いてもよい。代替的に、拡大条件は選択的ではなく、非標的細胞(例えば、NK細胞以外の細胞)の枯渇がステップ(ii)における培養することの前に起きる。これらの実施形態の目的は、NK細胞の総数を拡大すると同時に、集団におけるそれらの割合を増加させることであることに留意されたい。
【0143】
本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からγδT細胞を単離及び拡大する方法であって:
(i)本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料からγδT細胞の集団を単離するステップと;
(ii)前記γδT細胞の集団を(例えば少なくとも5日間)さらに培養して、拡大されたγδT細胞の集団を産生するステップと、を含む方法が提供される。
【0144】
ステップ(ii)における培養することは、γδT細胞がステップ(i)において単離された集団中に存在する他の細胞型よりも優先的に拡大される培養条件を選択することによるなど、選択的拡大によるものであり得る。代替的に、拡大条件は選択的ではなく、ステップ(ii)における培養することの後に、非標的細胞(例えば、γδT細胞以外の細胞)の枯渇が続いてもよい。代替的に、拡大条件は選択的ではなく、非標的細胞(例えば、γδT細胞以外の細胞)の枯渇がステップ(ii)における培養することの前に起きる。これらの実施形態の目的は、γδT細胞の総数を拡大すると同時に、集団におけるそれらの割合を増加させることであることに留意されたい。
【0145】
一実施形態では、単離されたリンパ球またはγδT細胞の集団を凍結し、次いでステップ(ii)の前に解凍する。驚くべきことに、凍結された単離された細胞の集団は、少なくとも新鮮な等価物と同様に濃縮及び拡大することがわかっている。特に、本明細書に示されるデータは、解凍後の生存率が良好で、その後の拡大培養中に良好に拡大する能力、すなわちステップ(ii)において拡大されたγδT細胞の集団を効果的に産生する能力を有する単離されたγδT細胞が達成されることを示し、単離するステップ(i)は、15ng/mL~25ng/mL、例えば、18~20ng/mL、例えば、18、19、または20ng/mL、例えば、18.8ng/mLの濃度のIL-21、及びIL-1βの存在下で約19日間、例えば、19日間、または約21日間、例えば21日間、非造血組織試料を培養することを含む。
【0146】
一実施形態では、リンパ球はγδT細胞を含む。したがって、本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からγδT細胞を単離及び拡大する方法であって:
(i)本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料からγδT細胞の集団を単離するステップと;
(ii)前記γδT細胞の集団を、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効な量の、
(a)IL-2またはIL-9;
(b)IL15;及び
(c)IL-21、の存在下で、
少なくとも5日間培養するステップと、を含む方法が提供される。
【0147】
本発明のこの態様の特定の実施形態では、前記γδT細胞の集団を培養することは、IL-4の存在をさらに含む。したがって、本発明のさらなる態様によれば、非造血組織試料からγδT細胞を単離及び拡大する方法であって:
(i)本明細書で定義される方法に従って、非造血組織試料からγδT細胞の集団を単離するステップと;
(ii)前記γδT細胞の集団を、拡大されたγδT細胞の集団を産生するのに有効な量の、
(a)IL-2またはIL-9;
(b)IL15;及び
(c)IL-21;及び
(d)IL-4、の存在下で、
少なくとも5日間培養するステップと、を含む方法が提供される。
【0148】
本発明の一態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得られる単離されたリンパ球の拡大された集団(例えば、皮膚由来αβT細胞及び/またはNK細胞)が提供される。
【0149】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得ることのできる単離されたリンパ球の拡大された集団が提供される。
【0150】
本発明のなおもさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得られる単離されたγδT細胞の拡大された集団が提供される。
【0151】
本発明のなおもさらなる態様によれば、本明細書で定義される方法のいずれかによって得ることのできる単離されたγδT細胞の拡大された集団が提供される。
【0152】
細胞の用途
本発明の方法によって得られるリンパ球及び/またはγδT細胞は、例えば養子T細胞療法のための医薬として使用することができる。これには、本発明の方法によって得られるリンパ球及び/またはγδT細胞の患者への移植が含まれる。治療は自家療法、すなわちγδT細胞を、それらを入手した同じ患者に戻す方法、または同種異系療法、すなわちある人からのγδT細胞を別の患者に移植する方法がある。同種異系移植を含む場合、γδT細胞はαβT細胞を実質的に含まなくできる。例えば、αβT細胞は、例えば拡大後に、当技術分野で公知の任意の適切な手段を使用して(例えば、磁気ビーズを使用する陰性選択により)、γδT細胞の集団から枯渇させることができる。治療方法には、ドナー個体から得られた非造血組織の試料を提供することと;本明細書に記載のように、非造血組織試料からγδT細胞を単離することと;単離されたγδT細胞を培養して拡大された集団を生成することと;拡大されたγδT細胞の集団をレシピエント個体に投与することと、が含まれ得る。
【0153】
治療される患者または対象は、好ましくは、ヒトがん患者(例えば、固形腫瘍の治療を受けているヒトがん患者)またはウイルス感染患者(例えば、CMV感染またはHIV感染の患者)である。場合によっては、患者は固形腫瘍を有する、及び/またはその治療中である。
【0154】
それらは通常、非造血組織に常在するため、組織常在性Vδ1T細胞及びDNγδT細胞は、全身の血液に常在するそれらの対応物よりも腫瘍塊にホーミングして保持される可能性が高く、これらの細胞の養子移入は固形腫瘍及び潜在的に他の非造血組織関連の免疫病理を標的とするのにより効果的である可能性が高い。
【0155】
γδT細胞は非MHC拘束性であるため、移植先の宿主を外来として認識せず、これは移植片対宿主病を引き起こす可能性が低くなることを意味する。これは、例えば、同種異系養子T細胞療法のために、「既製品」で使用でき、任意のレシピエントに移植できることを意味する。
【0156】
本発明の方法によって得られる非造血組織常在性γδT細胞は、NKG2Dを発現し、悪性腫瘍と強く関連するNKG2Dリガンド(例えば、MICA)に応答する。それらはまた、活性化がいっさいなくても細胞傷害性プロファイルを発現するため、腫瘍細胞を殺傷するのに効果的である可能性が高い。例えば、本明細書に記載のように得られた非造血組織常在γδT細胞は、活性化がない場合に、IFN-γ、TNF-α、GM-CSF、CCL4、IL-13、グラヌリシン、グランザイムA及びB、ならびにパーフォリンのうちの1つ以上、好ましくはすべてを発現し得る。IL-17Aは発現し得ない。
【0157】
「既製品」の免疫療法試薬として、本発明の方法によって得られる非造血組織常在性γδT細胞の臨床応用に対する実用性及び適合性についての説得力のある証拠が存在する。これらの細胞は先天的殺傷作用を有し、MHC拘束がなく、他のT細胞よりも改善された腫瘍へのホーミング及び/または滞留を示す。
【0158】
いくつかの実施形態では、非造血組織に腫瘍を有する個体を治療する方法は、ドナー個体から得られる前記非造血組織の試料を提供することと、上記のように試料からγδT細胞を培養して拡大された集団を生成することと、拡大されたγδT細胞の集団を腫瘍を有する個体に投与することと、を含み得る。
【0159】
医薬組成物は、1つ以上の薬学的または生理学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて、本明細書に記載の拡大された非造血組織常在性γδT細胞を含み得る。このような組成物は、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液;グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質;ポリペプチドまたはグリシンなどのアミノ酸;抗酸化物質;EDTAやグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例、水酸化アルミニウム);及び防腐剤を含み得る。本発明の医薬組成物に使用できる凍結保存溶液としては、例えばDMSOが挙げられる。組成物は、例えば静脈内投与用に製剤化することができる。
【0160】
一実施形態では、医薬組成物は、例えばエンドトキシンまたはマイコプラズマなどの汚染物質を実質的に含まない、例えば検出可能なレベルが存在しない。
【0161】
場合によっては、上記の方法のいずれかによって得られる拡大されたγδT細胞の治療有効量を、対象に治療有効量で投与することができる(例えば、がんの治療、例えば固形腫瘍の治療のため)。場合によっては、拡大されたγδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の治療有効量は、1用量あたり10×1012細胞未満(例えば、1用量あたり9×1012細胞未満、1用量あたり8×1012細胞未満、1用量あたり7×1012細胞未満、1用量あたり6×1012細胞未満、1用量あたり5×1012細胞未満、1用量あたり4×1012細胞未満、1用量あたり3×1012細胞未満、1用量あたり2×1012細胞未満、1用量あたり1×1012細胞未満、1用量あたり9×1011細胞未満、1用量あたり8×1011細胞未満、1用量あたり7×1011細胞未満、1用量あたり6×1011細胞未満、1用量あたり5×1011細胞未満、1用量あたり4×1011細胞未満、1用量あたり3×1011細胞未満、1用量あたり2×1011細胞未満、1用量あたり1×1011細胞未満、1用量あたり9×1010細胞未満、1用量あたり7.5×1010細胞未満、1用量あたり5×1010細胞未満、1用量あたり2.5×1010細胞未満、1用量あたり1×1010細胞未満、1用量あたり7.5×10細胞未満、1用量あたり5×10細胞未満、1用量あたり2.5×10細胞未満、1用量あたり1×10細胞未満、1用量あたり7.5×10細胞未満、1用量あたり5×10細胞未満、1用量あたり2,5×10細胞未満、1用量あたり1×10細胞未満、1用量あたり7.5×10細胞未満、1用量あたり5×10細胞未満、1用量あたり2,5×10細胞未満、1用量あたり1×10細胞未満、1用量あたり7.5×10細胞未満、1用量あたり5×10細胞未満、1用量あたり2,5×10細胞未満、1用量あたり1×10細胞未満、1用量あたり7.5×10細胞未満、1用量あたり5×10細胞未満、1用量あたり2.5×10細胞未満、または1用量あたり1×10細胞未満)である。
【0162】
いくつかの実施形態では、拡大されたγδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の治療有効量は、治療の過程わたって10×1012細胞未満(例えば、治療の過程にわたって、9×1012細胞未満、8×1012細胞未満、7×1012細胞未満、6×1012細胞未満、5×1012細胞未満、4×1012細胞未満、3×1012細胞未満、2×1012細胞未満、1×1012細胞未満、9×1011細胞未満、8×1011細胞未満、7×1011細胞未満、6×1011細胞未満、5×1011細胞未満、4×1011細胞未満、3×1011細胞未満、2×1011細胞未満、1×1011細胞未満、9×1010細胞未満、7.5×1010細胞未満、5×1010細胞未満、2.5×1010細胞未満、1×1010細胞未満、7.5×10細胞未満、5×10細胞未満、2.5×10細胞未満、1×10細胞未満、7.5×10細胞未満、5×10細胞未満、2,5×10細胞未満、1×10細胞未満、7.5×10細胞未満、5×10細胞未満、2,5×10細胞未満、1×10細胞未満、7.5×10細胞未満、5×10細胞未満、2,5×10細胞未満、1×10細胞未満、7.5×10細胞未満、5×10細胞未満、2.5×10細胞未満、または1×10細胞未満)である。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の拡大された非造血組織常在性γδT細胞の用量は、1kgあたり、約1×10、1.1×10、2×10、3.6×10、5×10、1×10、1.8×10、2×10、5×10、1×10、2×10、または5×10の細胞を含む。いくつかの実施形態では、拡大された非造血組織常在性γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の用量は、1kgあたり、少なくとも約1×10、1.1×10、2×10、3.6×10、5×10、1×10、1.8×10、2×10、5×10、1×10、2×10、または5×10の細胞を含む。いくつかの実施形態では、拡大された非造血組織常在性γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の用量は、1kgあたり、約1×10、1.1×10、2×10、3.6×10、5×10、1×10、1.8×10、2×10、5×10、1×10、2×10、または5×10までの細胞を含む。いくつかの実施形態では、拡大された非造血組織常在性γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の用量は、1kgあたり、約1.1×10~1.8×10の細胞を含む。いくつかの実施形態では、拡大された非造血組織常在性γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の用量は、約1×10、2×10、5×10、1×10、2×10、5×10、1×10、2×10、または5×10の細胞を含む。いくつかの実施形態では、拡大された非造血組織常在性γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の用量は、少なくとも約1×10、2×10、5×10、1×10、2×10、5×10、1×10、2×10、または5×10の細胞を含む。いくつかの実施形態では、拡大された非造血組織常在性γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)の用量は、約1×10、2×10、5×10、1×10、2×10、5×10、1×10、2×10、または5×10までの細胞を含む。
【0164】
一実施形態では、対象は、対象の体重1kgあたり、10~10の拡大された非造血組織常在性γδT細胞(例えば、皮膚由来γδT細胞及び/または非Vδ2T細胞、例えばVδ1T細胞及び/またはDN T細胞)を投与される。一実施形態では、対象は、非造血組織常在性γδT細胞の集団の初回投与(例えば、対象の体重1kgあたり10~10のγδT細胞、例えば、対象の体重1kgあたり10~10のγδT細胞の初期投与)を受け、1回以上(例えば、2、3、4、または5回)のその後の拡大された非造血組織常在性γδT細胞の投与(例えば、対象の体重1kgあたり10~10の拡大された非造血組織常在性γδT細胞、例えば、対象の体重1kgあたり10~10個の拡大された非造血組織常在性γδT細胞の1回以上のその後の投与)を投与される。一実施形態では、1回以上のその後の投与は、前回の投与から15日未満、例えば、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2日後、例えば、前回の投与から4、3、または2日未満で投与される。一実施形態では、対象は、γδT細胞の集団の少なくとも3回の投与の過程にわたって、対象の体重1kgあたり合計約10のγδT細胞を投与され、例えば、対象は、1×10のγδT細胞の初回投与、3×10のγδT細胞の2回目の投与、及び6×10のγδT細胞の3回目の投与を投与され、例えば、それぞれの投与は、前回の投与の後、4、3、または2日未満で投与される。
【0165】
本発明の方法によって得られる非造血組織常在性γδT細胞はまた、CAR-T療法などの治療特性を増強するために遺伝子操作されてもよい。これには、T細胞を新しい特異性、例えばモノクローナル抗体の特異性で再プログラムする操作されたT細胞受容体(TCR)の生成が含まれる。操作されたTCRは、T細胞を悪性細胞に特異的にすることができ、したがってがん免疫療法に有用である。例えば、T細胞は、対象の組織からの正常な体細胞によって発現されない腫瘍関連抗原などの腫瘍抗原を発現するがん細胞を認識し得る。したがって、CAR改変T細胞は、例えばがん患者の養子T細胞療法に使用することができる。
【0166】
CARのための血液常在性γδT細胞の使用が記載されている。しかしながら、本発明の方法によって得られる非造血組織常在性γδT細胞は、形質転換細胞を認識し、血液常在性γδT細胞または従来の全身性αβT細胞よりも優れた腫瘍浸透及び保持能力を有する可能性があるため、CAR-Tアプローチの特に優れたビヒクルである可能性が高い。さらに、MHC依存性抗原提示の欠如により、移植片対宿主病の可能性が減少し、低レベルのMHCを発現する腫瘍を標的とすることができる。同様に、例えばCD28の結合を介した従来の共刺激への非依存性は、共刺激受容体に対する低レベルのリガンドを発現する腫瘍の標的化を強化する。
【0167】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療剤を対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、免疫療法剤、細胞毒性剤、増殖阻害剤、放射線療法剤、抗血管新生剤、またはそれらの2つ以上の剤の組み合わせからなる群から選択され得る。追加の治療剤は、拡大されたγδT細胞の投与と同時、その前、またはその後に投与することができる。追加の治療剤は、対象の体内の標的(例えば、対象自身の免疫系)及び/または移植されたγδT細胞に作用し得る免疫治療剤であってもよい。
【0168】
組成物の投与は、任意の便利な方法で行うことができる。本明細書に記載の組成物は、経動脈的に、皮下に、皮内に、腫瘍内に、結節内に、髄内に、筋肉内に、静脈内注射により、または例えば皮内もしくは皮下注射により腹腔内に、患者に投与され得る。非造血組織常在性γδT細胞の組成物は、腫瘍、リンパ節、または感染部位に直接注射され得る。
【0169】
本明細書に記載のすべての実施形態は、本発明のすべての態様に適用できることが理解されるであろう。
【0170】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、指定された値より10%大きいもの及び10%小さいものを含み、好適には指定された値より5%大きいもの及び5%小さいものを含み、特に指定された値を含む。「~の間」という用語には、指定された境界の値が含まれる。
【0171】
ここで、本発明の特定の態様及び実施形態を、例として、及び上記の図面を参照して説明する。
【実施例
【0172】
実施例1.方法及び材料
特に明記しない限り、以下の方法を利用して、後続の実施例の結果を得た。
【0173】
材料
実験条件で使用される材料の供給源を、表1に要約する。
【0174】
【表1】
【0175】
実験計画法モデリング
実験計画法(DoE)は、JMPソフトウェア15.0を使用して生成された。DoEカスタムデザインを適用して、タンパク質源、IL-1β、IFN-γ、IL-21、及びIL-4がγδT細胞濃縮などの定義された結果に及ぼす影響を分析する実験を作成した。タンパク質源はカテゴリ変数として扱われ、IL-1β、IFN-γ、IL-21、及びIL-4は連続変数として扱われた。さらに、JMPスクリプトを使用して、IL-4のみを含む実験条件を禁止した。
【0176】
階乗から次数2の設計を適用して、線形及び2次の相互作用を決定できるようにした(例えば、IL-21* IL-1β)。実験的テストのために、21の条件の設計が採用された。
【0177】
実験データの収集時に、応答の読み出しとしてのγδT細胞%に基づくスチューデント化された残差の計算によって外れ値の除去が適用された。γδT細胞%についての、4を超えるか、または4未満のスチューデント化された残差を生成するいずれの行も分析から除外された。84行のうち合計7行が除外された。
【0178】
外れ値を除去した後、それぞれのドナーからの特定の応答の値に基づいて、標準の最小二乗フィッティングを特定の応答に適用した。ドナーの変動を考慮して、ドナーIDをスタンドアロン変数として最小二乗フィッティングモデルに追加した。γδT細胞%またはTIGIT+γδT細胞%などの選択した結果に関連するタンパク質源とサイトカイン相互作用のp値は、p<0.05を有する相互作用のみが残るまで段階的な方法で排除された。
【0179】
単離の設定及び収集
試料が到着する前に、関連する培地が準備され、20mm×1.5mmのカーボンマトリックス(「グリッド」)(Cytomatrix Pty Ltd,AustraliaまたはUltramet,USA)がオートクレーブされる。次いで、グリッドをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)ですすぎ、使用するまでPBSに沈める。
【0180】
器官型皮膚培養の調製
ピンセット、ハサミ、外科用メスを使用して皮下脂肪を除去することにより、皮膚試料を調製する。一度に1片の組織を採取し、3mmの生検パンチを使用して複数のパンチを作成する。それぞれのグリッドに3つの組織パンチが配置される。
【0181】
G-REX6(Wilson Wolf)のウェルごとに1つのグリッドが配置される。それぞれのウェルは、5mlの関連基本培地と5mlの2×関連条件培地で満たされる(1×関連条件培地10mlになる)。100μLのアンホテリシンB(Life Technologies)をそれぞれのウェルに添加する(結果として1%のアンホテリシンB)。プレートを37℃、5%COで21日間インキュベートする。7日目と14日目に、10mlの2×関連培地をそれぞれのウェルに静かに添加することにより、培養物に供給する。
【0182】
単離収穫
マトリックスが除去される。ピペットを使用して細胞をそれぞれのウェルに再懸濁し、遠心管に移す。ウェルをPBSで洗浄し、洗浄液も遠心管に移す。次いで、単離された細胞は、例えば細胞計数のために、またはフローサイトメトリー分析において、続いて分析され得る。
【0183】
単離細胞の凍結
単離された細胞が分析されると、細胞懸濁液を遠心分離機でスピンダウンする。上清を廃棄し、細胞ペレットをCryostor10細胞凍結溶液(Sigma Aldrich)に再懸濁して、1ml当たり100×10細胞の最終濃度にする。次いで、細胞懸濁液を凍結バイアルに移し、冷却セルまたはMr Frosty凍結ユニット(Thermo Scientific)に入れ、-80℃の冷凍庫に一晩置く。翌日、細胞を液体窒素貯蔵庫(気相)に移す。
【0184】
フローサイトメトリー
フローサイトメトリーは、次の抗体-蛍光色素コンジュゲートを使用して実行された:
a)バッチリリースパネル:CD45-FITC、CD25-PE、PANαβ-PerCP Vio700、NKG2D-PEVio770、Vδ1-Vioblue、PANγδ-APC。
b)機能パネル:CD45RA-FITC、TIGIT-PE、PANαβ-PerCP Vio700、NKG2A-PEVio770、Vδ1-Vioblue、PD1-BV510、PANγδ-APC。
【0185】
市販の抗体は、BiolegendまたはMiltenyiから購入した。生細胞識別色素(eFluor780)は、ThermoFischer Scientificから入手した。フローサイトメトリーデータ解析は、FLOWJO(バージョン 10.6.2)で実行された。
【0186】
総細胞数の決定
総細胞数は、NC-250 Nucleocounter(Chemometec,Copenhagen Denmark)及び製造者の使用説明書を使用して得られた。
【0187】
実施例2.単離最適化実験
非造血組織試料からγδT細胞を単離するためのプロトコールの最適化を調査して、γδT細胞の収量を改善し、単離時のVδ1T細胞の品質を潜在的に改善した。出発物質を改善することは、その後の拡大ステップでの収量と品質を改善するのに役立つ。
【0188】
実験計画法(DoE)では、さまざまなタンパク質源とサイトカインが皮膚単離培養に及ぼす影響を調査した。実行可能な設計を行うために、培地の種類、IL-15濃度、及びIL-2濃度を一定に保った。IL-21、IFN-γ、IL-1βのさまざまな組み合わせが調査された。IL-21、IFN-γ、またはIL-1βが存在する場合のみであるが、IL-4の添加も調査した。
【0189】
すべての細胞は、5%血清代替物(SR)、2.5%同種異系血漿、または10%同種異系AB男性血清のいずれかを含むAIM-V培地サプリメント中で単離された。すべての培養物は、IL-2及びIL-15で設定され、IL-4、IL-21、IFN-γ、IL-1βのさまざまな組み合わせが補充された。試験された培養条件を表2に要約する。
【0190】
【表2-1】
【0191】
【表2-2】
【0192】
サイトカイン
IL-1βの使用は、特に血漿及びAB血清の単離に関連して、単離されたγδT細胞の全体的な収量及び単離されたVδ1T細胞の全体的な収量を増加させる効果があった。すべての条件に対するγδT細胞%及び総γδT細胞を図1に示し、Vδ1T細胞%及び総Vδ1T細胞を図2に示す。
【0193】
IL-4をAB血清に添加すると、グリッドあたりの単離される細胞の総数が増加する効果があった(図3)。血漿単離された培養では、より穏やかな増加が見られた。
【0194】
血漿、SR、またはAB血清の試料へのIL-4の添加は、培養物におけるγδ濃縮%が増加する効果があった(図4)。
【0195】
IL-4を血漿培養物に添加すると、グリッドあたりの単離されるVδ1細胞の総数が増加する効果があった(図5)。同じ効果は、SRまたはヒトAB血清の培養物では観察されなかった。しかしながら、AB血清を使用すると、対照と比較して、グリッドあたりの単離された Vδ1細胞の総数が増加した。
【0196】
IL-21をAB血清培養物に添加すると、単離されたγδT細胞の総数が増加する効果があった。しかしながら、IL-21の利点は、血漿またはSRで単離された培養物では見られなかった。IL-1β及びIFN-γを含む血漿中のそれぞれのドナーについてのγδT細胞%のDoEモデリングは、IFN-γ及びIL-21が存在しない場合にIL-1βが最も有益であることを示している。
【0197】
表現型分析
IL-4をAB血清と血漿の培養物の両方に添加すると、Vδ1T細胞上のNKG2AとCD45RAの両方の発現を減少させる効果があった(図6)。
【0198】
SRを使用すると、Vδ1T細胞上のチェックポイント阻害剤マーカーTIGITの発現が、血漿とAB血清の単離培養の両方と比較して増加した(図7)。
【0199】
分析はまた、SRの使用により、血漿とAB血清の両方と比較して、Vδ1T細胞上の最終分化マーカーCD45RA及び抑制性受容体NKp44の発現が増加することを示した(データ示さず)。
【0200】
タンパク質源
培養物における血漿とAB血清の両方の使用は、SR培養単離と比較して、グリッドあたりのVδ1T細胞の総数を増加させる効果がある(図8)。しかしながら、DoEモデリングは、SR単離試料へのIFN-γの添加により、単離されたγδT細胞の総数が増加することを示した。
【0201】
SRを使用すると、タンパク質源としての血漿またはAB血清と比較して、単離された細胞の全体的な生存率が低下するようにも見える(図9)。
【0202】
その他のリンパ球
TCR陰性細胞(すなわち、αβ-TCR及びγδ-TCRが陰性である細胞)の生成についても条件を調べた。タンパク質源としてSRを使用すると、血漿またはAB血清と比較してTCR陰性細胞の数が増加する(図10)。IFN-γが存在しない条件でも、TCR陰性細胞数が増加した。
【0203】
結論
データは、単離されたγδ細胞の総数を大幅に改善できることを示唆しており、これにより、拡大設定の初期数が増加する可能性をもたらす。グリッドあたりの最高のγδT細胞%及び総γδT細胞を伴う条件はすべてIL-1βを含んでいた(条件6、8、9、12及び14)。標準的な2サイトカイン単離法と比較した上位条件の結果を図11に示す。
【0204】
したがって、ヒトサイトカインと、ヒトAB血清、ヒトプール血漿、または血清代替物のいずれかとの組み合わせを用量設定するDoEアプローチを通じて、ヒトプール血漿(以前の単離培養では血清代替物を使用)とサイトカインIL-2、IL-4、IL-15、及びIL-1β(以前はIL-2及びIL-15のみを使用)を使用して、ジェネレーション2と呼ばれる皮膚リンパ球単離カクテルが特定された。この新しい増殖カクテルは、元の方法論(現在はジェネレーション1としても知られている)と比較して、単離細胞マトリックス(グリッド)あたりの単離された生存リンパ球の総数を、50~100×10細胞(以前)から75~200×10リンパ球に改善した。さらにジェネレーション2は、単離の最後に最大3倍高いγδT細胞の存在を示し、一般的に好ましい表現型を示した(例えば、CD45RA及びNKG2A発現の低下)。
【0205】
実施例3.凍結単離株の調査
以前の条件では、多数のγδT細胞が得られたが、収穫及び解凍後の生存率は低くなる。単離された細胞が拡大前に凍結された新しい単離及び拡大のプロセスが調査された。単離後、細胞は実施例1に詳述された方法に従って凍結された。その後の拡張ステップでのγδT細胞%を図12に示す。拡大前に凍結された単離された細胞は、少なくとも新鮮な等価物と同様に濃縮及び増殖することが見出された。
【0206】
実施例4.単離製剤にIL-21を含めると、γδT細胞の収量を増加させることができる。
IL-21の使用を調査して、このサイトカインが単離及びその後の拡大後の全体的なγδT細胞収量を増加させることができるかどうかを調べた。全体的なγδT細胞含有量を改善すると、その後の拡大でこれらの細胞の大規模な遺伝子操作が可能になるだけでなく、全体的なエフェクター細胞収量が増加し得る。
【0207】
単離培養物は、2.5%同種異系血漿を補充したAIMV培地を用いてGREX100M単位で設定された(詳細については実施例1を参照されたい)。次いで、表3に詳述されているように、培養物にサイトカインを補充した。
【0208】
【表3】
【0209】
18.8ng/mlのIL-21での単離培養を21日目に採取し、その後の拡大のために凍結保存(凍結)した。次いで細胞を解凍し、NC250自動細胞計数によって細胞生存率を測定し、結果を図13Aに示す。解凍時点での細胞の全体的な生存率は、IL-21を含むものと含まないものの両方で、最小許容生存率を上回っており、「IL-21なし」の培養で80%を超える平均生存率%であり、「IL-21」の培養ではほぼ90%であった。次いで、単離された細胞を、5%同種異系血漿及び異なるレベルのIL-21補充(12.53、18.8、37.5及び188ng/mL)を含むIL-15(80ng/mL)を補充したTexMACS(商標)培地(Miltenyi Biotec)の存在下で拡大した。14日間拡大した後、細胞を回収し、図13Bに示すようにフローサイトメトリーを介してγδT細胞の濃縮を測定した。拡大後、IL-21の存在下で単離された細胞は、拡大に使用されたIL-21の量とは無関係に、12.5~188.8ng/mLに匹敵する性能を示し、14日間の培養過程でのγδT細胞の濃縮を実証した。したがって、単離培養物中にIL-21が存在すると、生存細胞が得られ、γδT細胞がその後拡大する能力が維持される。細胞傷害性アッセイにおけるこれらの細胞の拡大後の機能性も確認された。
【0210】
実施例5.IL-21を含まない単離培養物と18.8ng/mlのIL-21を含む単離培養物の比較。
ドナーが一致した皮膚試料は、表3に詳述されるように、「IL-21なし」製剤または「IL-21」サイトカイン製剤(18.8ng/ml)のいずれかで単離培養物中で設定された。すべての単離培養物は、2.5%の同種異系血漿を添加したAIMV培地で設定された(詳細については実施例1を参照されたい)。「IL-21なし」単離培養物は19日目または21日目のいずれかで採取され、「IL-21」単離培養物は19日目のみで採取された。採取の時点で、培養グリッドあたりの生存細胞の総数、単離培養グリッドあたりの単離されたγδT細胞の総数、及び単離培養グリッドあたりのVδ1T細胞の総数を記録し、結果を図14に示す。
図1
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【国際調査報告】