IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

特表2023-525356エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品
<>
  • 特表-エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品 図1
  • 特表-エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品 図2
  • 特表-エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品 図3
  • 特表-エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品 図4
  • 特表-エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品 図5
  • 特表-エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品 図6
  • 特表-エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品 図7
  • 特表-エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品 図8
  • 特表-エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/10 20200101AFI20230608BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20230608BHJP
【FI】
A24F40/10
A24F40/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569086
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2021062572
(87)【国際公開番号】W WO2021228914
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】20175054.4
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】オズスン オズギュル
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC17
4B162AC22
4B162AC27
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル形成液体を搬送するための、かつ交番磁場の影響下で誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品に関する。サセプタ組立品は、隣り合って配設された誘導加熱可能な長軸方向フィラメントのアレイを備える。サセプタ組立品は、隣り合って配設された、かつ長軸方向フィラメントの長さ延長に対して横断方向で長軸方向フィラメントのアレイと交差する、横断方向フィラメントのアレイをさらに備える。横断方向フィラメントのアレイは、サセプタ組立品が少なくとも一つのグリッド部分および少なくとも一つの非グリッド部分を備えるように、長軸方向フィラメントのアレイの長さ部分に沿ってのみ延びる。本発明は、誘導加熱組立品およびエアロゾル発生物品にさらに関し、そのそれぞれがこうしたサセプタ組立品を備える。本発明はまた、誘導加熱エアロゾル発生装置と、装置で使用するエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交番磁場の影響下でエアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品であって、前記サセプタ組立品が、隣り合って配設された誘導加熱可能な長軸方向フィラメントのアレイと、隣り合って配設された、かつ前記長軸方向フィラメントの長さ延長に対して横断方向で長軸方向フィラメントの前記アレイと交差する横断方向フィラメントのアレイとを備え、横断方向フィラメントの前記アレイが、長軸方向フィラメントの前記アレイのある長さ部分のみに沿って延び、これによって前記サセプタ組立品が、少なくとも一つのグリッド部分と少なくとも一つの非グリッド部分とを備え、前記グリッド部分において、横断方向フィラメントの前記アレイと長軸方向フィラメントの前記アレイとが相互に交差し、前記非グリッド部分において、前記サセプタ組立品が、長軸方向フィラメントのみを備えるが、いかなる横断方向フィラメントも備えず、かつ前記長軸方向フィラメントの前記長さ延長に沿った前記少なくとも一つの非グリッド部分の長さ寸法が、前記長軸方向フィラメントの前記長さ寸法の少なくとも20パーセントである、液体搬送サセプタ組立品。
【請求項2】
前記少なくとも一つのグリッド部分が、長軸方向フィラメントの前記アレイの前記二つの長軸方向端部分のうちの一つに位置する、または前記少なくとも一つのグリッド部分が、長軸方向フィラメントの前記アレイの両方の長軸方向端部分の間に位置する、請求項1に記載のサセプタ組立品。
【請求項3】
前記少なくとも一つの非グリッド部分が長軸方向フィラメントの前記アレイの長軸方向端部分に位置する、または前記少なくとも一つの非グリッド部分が長軸方向フィラメントの前記アレイの両方の長軸方向端部分の間に位置する、請求項1~2のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項4】
前記長軸方向フィラメントの前記長さ延長に沿った前記非グリッド部分の長さ寸法が、前記長軸方向フィラメントの前記長さ寸法の少なくとも30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、または80パーセントである、請求項1~3のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項5】
前記長軸方向フィラメントの前記長さ延長に沿った前記グリッド部分の長さ寸法が、前記長軸方向フィラメントの前記長さ寸法の最大で90パーセント、最大で80パーセント、最大で75パーセント、最大で70パーセント、最大で60パーセント、最大で50パーセント、最大で40パーセント、最大で30パーセント、最大で25パーセント、または最大で20パーセントである、請求項1~4のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項6】
長軸方向フィラメントの前記アレイが、実質的に円筒状の形状、もしくは実質的に中空円筒状の形状、もしくは実質的に円錐状の形状、もしくは実質的に円錐台状の形状、もしくは実質的に中空円錐状の形状、もしくは実質的に中空円錐台状の形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項7】
横断方向フィラメントの前記アレイが実質的にリングの形状を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項8】
隣接する長軸方向フィラメント間の平均中心間距離は、0.1ミリメートル~2ミリメートル、特に0.1ミリメートル~1ミリメートルの範囲内であり、かつ隣接する横断方向フィラメント間の平均中心間距離は、0.025ミリメートル~0.5ミリメートルの範囲内である、請求項1~7のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項9】
前記長軸方向フィラメントおよび前記横断方向フィラメントのうちの少なくとも一つが、第一のサセプタ材料を含む一つ以上の第一のフィラメントと、第二のサセプタ材料を含む複数の第二のフィラメントとを備え、前記第二のサセプタ材料が、フェリ磁性材料または強磁性材料のうちの一つを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項10】
前記サセプタ組立品が、長軸方向フィラメントの前記アレイの少なくとも一つの長軸方向端部分にて扇形に広がった部分を備え、ここで前記長軸方向フィラメントが相互から分かれる、請求項1~9のいずれか一項に記載のサセプタ組立品。
【請求項11】
エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための誘導加熱組立品であって、
-請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品と、
-前記少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品の加熱セクションにおいて、特に前記非グリッド部分の加熱セクションにおいて、交番磁場を発生するように構成および配設された少なくとも一つの誘導源と、を備える、誘導加熱組立品。
【請求項12】
前記非グリッド部分の前記加熱セクションが、前記長軸方向フィラメントの前記長さ延長に沿った前記非グリッド部分の長さ寸法の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセントの長さを有する、請求項11に記載の加熱組立品。
【請求項13】
誘導加熱エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品であって、
-エアロゾル形成液体を貯蔵するための少なくとも一つの貯蔵部であって、前記液体貯蔵部が出口を備える、貯蔵部と、
-エアロゾル形成液体を前記液体貯蔵部から前記出口を通して前記液体貯蔵部の外側の領域に送達するための請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品と、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記サセプタ組立品が、前記液体貯蔵部内に配設された少なくとも一つの浸漬セクションを備え、かつ前記浸漬セクションが前記グリッド部分の一部である、または前記グリッド部分が前記浸漬セクションの一部である、請求項13に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
誘導加熱エアロゾル発生装置と、前記エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品と、請求項11~12のいずれか一項に記載の誘導加熱組立品とを備えるエアロゾル発生システムであって、前記加熱組立品の前記誘導源が前記誘導加熱エアロゾル発生装置の一部である、かつ前記液体搬送サセプタ組立品が前記エアロゾル発生物品の一部である、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品に関する。本発明は、誘導加熱組立品およびエアロゾル発生物品にさらに関し、そのそれぞれがこうしたサセプタ組立品を備える。本発明はまた、誘導加熱エアロゾル発生装置と、装置で使用するエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成液体を加熱することによって吸入可能なエアロゾルを発生することは、先行技術から一般的に知られている。このために、液体エアロゾル形成基体は、芯要素によって液体貯蔵部から貯蔵部の外側の領域の中に搬送されてもよく、ここで液体エアロゾル形成基体はヒーターによって気化され、空気経路に曝露されてその後エアロゾルとして引き出されてもよい。ヒーターは誘導ヒーターであってもよい。特に、芯要素は、サセプタ材料を含む誘導加熱可能な芯要素であってもよく、それ故に、吸い出す機能と加熱する機能の両方を実施する能力を有する。よって、交番磁場に曝露される時、その磁気的特性および電気的特性に依存して、芯要素内に誘発される渦電流または磁気的ヒステリシス損失のうちの少なくとも一つに起因して、芯要素は加熱される。その結果、こうした芯要素はまた、液体搬送サセプタまたはサセプタ組立品と見なされる場合がある。
【0003】
メッシュ構成など、芯要素の様々な構成がある。しかしながら、これらの構成の多くはかなり複雑であり、それ故に製造に手間がかかる。加えて、気化されるエアロゾル形成液体の加熱はしばしば非効率的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、先行技術の解決策の利点を有する一方で先行技術の制限を軽減する、液体搬送サセプタ組立品、誘導加熱組立品、エアロゾル発生物品、およびエアロゾル発生システムを有することが望ましいことになる。特に、液体搬送サセプタ組立品と、誘導加熱組立品と、エアロゾル発生物品と、製造が簡単かつ安価であり、改善された加熱効率を提供する液体搬送サセプタ組立品を含むエアロゾル発生システムとを有することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によると、エアロゾル形成液体を搬送するための、かつ交番磁場の影響下で誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品が提供されている。サセプタ組立品は、隣り合って配設された誘導加熱可能な長軸方向フィラメントのアレイを備える。サセプタ組立品は、隣り合って配設された、かつ長軸方向フィラメントの長さ延長に対して横断方向で長軸方向フィラメントのアレイと交差する、横断方向フィラメントのアレイをさらに備える。横断方向フィラメントのアレイは、サセプタ組立品が少なくとも一つのグリッド部分および少なくとも一つの非グリッド部分を備えるように、長軸方向フィラメントのアレイの長さ部分に沿ってのみ延びる。
【0006】
本発明によると、サセプタ組立品のある特定の部分は限定された程度までのみ誘導加熱可能であるか、または全く誘導加熱可能でないため、多くの既知のサセプタ組立品の加熱効率が低減されていることが見いだされている。基本的にこれは、磁場に対して垂直な平面内で、渦電流が導体内で常に閉ループの状態で流れるという事実に起因する。結果として、サセプタ組立品のある特定の部分内で渦電流が流れるための空間は、それを通過する磁場の方向に対するこれらの部分の幾何学的形状および向きに依存して制限される場合がある。例えば、磁場に対して垂直に配設されている導体ワイヤは典型的に、磁場に対して平行に配設されている導体ワイヤよりも低く加熱する。結果として、磁気的な誘導によってほとんど加熱可能でないサセプタ組立品の部品は、これらの部品が熱を発生するのではなく、サセプタ組立品の他の部品から熱エネルギーを吸収するので、サセプタ組立品の受動的な熱質量を増加させるにすぎない。なおその上、吸収されたエネルギーは最初に拘束され、それ故にエアロゾル形成液体の気化のために利用可能ではない。
【0007】
この状況を改善するために、本発明は、部分的にのみ相互に交差する二つのフィラメントアレイを備えるサセプタ組立品を提案する。この構成は、少なくとも一つのグリッド部分と、少なくとも一つの非グリッド部分とを有するサセプタ組立品をもたらす。すなわち、グリッド部分において、横断方向フィラメントのアレイと長軸方向フィラメントのアレイは相互に交差し、その一方で非グリッド部分において、サセプタ組立品は長軸方向フィラメントのみを備えるが、横断方向フィラメントを備えない。横断方向フィラメントの欠如に起因して、非グリッド部分は、磁気的誘導によって効果的に加熱可能なフィラメントのみを備えることが好ましい。基本的に非グリッド部分は、幾何学的形状および向きがサセプタ組立品を加熱するために使用される交番磁場の向きに対して最適化されているフィラメントのみを備える。サセプタ組立品は、長軸方向フィラメントが、サセプタ組立品で使用される磁場に実質的に平行に配設されるように構成されていることが好ましい。よって、非グリッド部分または非グリッド部分の少なくとも一部は、エアロゾル形成液体を気化させるために交番磁場に曝露されるサセプタ組立品の加熱セクションとして使用されることが好ましい。同様に、グリッド部分は液体貯蔵部の中に浸されるように構成されていることが好ましい。その結果、グリッド部分またはグリッド部分の少なくとも一部は、浸漬セクションとして使用されてもよい。
【0008】
本明細書で使用される「加熱セクション」という用語は、誘導加熱されるためにエアロゾル形成液体を気化させるために交番磁場に曝露されるように構成されているサセプタ組立品のセクションを示す。同様に、「浸漬セクション」という用語は、液体貯蔵部の中に浸されるように構成されているサセプタ組立品のセクションを意味する。
【0009】
また、相互に部分的にのみ交差する二つのフィラメントアレイを備えるサセプタ組立品は、製造が簡単かつ安価であることが見いだされた。
【0010】
基本的に、横断方向フィラメントのアレイは、長軸方向フィラメントのアレイを一緒に保つために使用される。結果として、サセプタ組立品は、良好なフィラメント結合だけでなく、改善された機械的および寸法的安定性を備える。
【0011】
その上、フィラメントが本質的に毛細管作用を提供するので液体の搬送に特に適していることも見いだされた。さらに、グリッド構成において、横断方向フィラメントと長軸方向フィラメントの間の隙間に起因して、毛細管作用はさらに高められ、これはすなわち、狭い空間に起因して、搬送および加熱されるエアロゾル形成液体は、交差するフィラメント間の隙間にメニスカスを形成することができる。
【0012】
少なくとも長軸方向フィラメントは誘導加熱可能であるため、サセプタ組立品は、エアロゾル形成液体の搬送と加熱の両方の機能を実施する能力を有する。有利なことに、この二重の機能は、搬送および加熱のための別個の手段なしで、材料を非常に節約するコンパクトな設計のサセプタ組立品を可能にする。加えて、熱源、すなわち誘導加熱可能なフィラメントと、これらのフィラメントに付着するエアロゾル形成液体との間に直接の熱接触がある。飽和した芯と接触するヒーターの場合と異なり、フィラメントと少量の液体の間の直接の接触は有利なことに、フラッシュ加熱、すなわち蒸発の迅速な開始を可能にする。横断方向フィラメントも誘導加熱可能であることが好ましい。横断方向フィラメントが非感受性、すなわち誘導加熱不可能であることも可能である。この構成において、横断方向フィラメントは基本的に、サセプタ組立品上の毛細管作用を高めるように、かつ上述の通りのフィラメント結合を安定化するように機能する。
【0013】
本明細書で使用される「サセプタ材料」という用語は、交番磁場に供された時に電磁エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を指す。これは、その電気的特性および磁気的特性に依存して、サセプタ材料内で誘発されたヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つの結果であってもよい。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ材料内で生じる。渦電流は、導電性サセプタ材料内で誘発される。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタ材料の場合、渦電流とヒステリシス損失の両方によって熱が発生する。
【0014】
上述の通り、サセプタ組立品のグリッド部分、またはグリッド部分の少なくとも一部品は、液体貯蔵部の中に浸されるように構成されてもよい。その結果、液体貯蔵部の中に浸されるために使用されるグリッド部分のその一部品は、浸漬セクションとして示されてもよい。その目的のために、少なくとも一つのグリッド部分は、長軸方向フィラメントのアレイの二つの長軸方向端部分のうちの一つに位置することが好ましい。
【0015】
そこから、エアロゾル形成液体は、長軸方向フィラメントのアレイのもう一方の長軸方向端部分に向かって搬送されてもよい。ここで、搬送された液体は、誘導加熱によって気化されてもよく、また空気経路に曝露されて、エアロゾルとして外に引き出されてもよい。その結果、この部分は、サセプタ組立品の加熱セクションとして示されてもよい。さらに上述の通り、これは非グリッド部分であり、この部分はエアロゾル形成液体を気化するために交番磁場に曝露される加熱セクションとして少なくとも部分的に使用されるように構成されていることが好ましい。加熱セクション(heating season)は、浸漬セクションの反対側の、特にサセプタ組立品のグリッド部分の反対側の、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分に位置することが好ましい。その結果、少なくとも一つの非グリッド部分は、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分に、好ましくは浸漬セクションの反対側(特にサセプタ組立品のグリッド部分の反対側)の長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分に位置してもよい。本明細書で使用される長軸方向端部分は、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿って見られる通り、長軸方向フィラメントのアレイの端部分を指す。
【0016】
少なくとも一つのグリッド部分が、長軸方向フィラメントのアレイの両方の長軸方向端部分の間に位置することも可能である。この構成において、サセプタ組立品は、二つの非グリッド部分を、長軸方向フィラメントのアレイの各長軸方向端部分に一つずつ備えてもよい。特に、サセプタ組立品は、二つの加熱セクションを、長軸方向フィラメントのアレイの各長軸方向端部分に一つずつ備えてもよい。使用時に、エアロゾル形成液体は、浸漬セクションとして機能する少なくとも一つのグリッド部分から、それぞれの長軸方向端部分の非グリッド部分に向かって搬送されてもよい。ここで、搬送された液体は、長軸方向端部分にてそれぞれの加熱セクションを誘導加熱することによって気化されてもよい。すなわち、サセプタ組立品は、長軸方向フィラメントのアレイの両方の長軸方向端部分の間に位置するグリッド部分と、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分にて二つの非グリッド部分(各端に一つずつ)とを備えてもよい。
【0017】
それとは逆に、サセプタ組立品は、長軸方向フィラメントのアレイの両方の長軸方向端部分の間に位置する非グリッド部分と、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分にて二つのグリッド部分(各端に一つずつ)とを備えてもよい。
【0018】
使用時に加熱セクションが、エアロゾル形成液体を気化させるのに十分な温度まで加熱される一方で、浸漬セクションは、液体貯蔵部内のエアロゾル形成液体の沸騰を回避するために、好ましくは気化温度を下回る温度に留まるべきである。よって、使用時にサセプタ組立品は、温度プロファイル、特に、より高温およびより低温のセクションを有する長軸方向フィラメントのアレイの長さ延長に沿った温度プロファイルを備える。特に、フィラメント束は、少なくとも一つの浸漬セクションでの気化温度を下回る温度から、少なくとも一つの加熱セクションでのそれぞれの気化温度を上回る温度への温度上昇を示す温度プロファイルを備えてもよい。
【0019】
サセプタ組立品の使用時に実際に形成される温度プロファイルは、とりわけ熱伝導率と長軸方向フィラメントのアレイの長さとに依存する。浸漬セクションと加熱セクションの間の十分な温度勾配は、浸漬セクションと加熱セクションの間のある特定の距離を必要とする。よって、長軸方向フィラメントのある特定の長さ延長は、浸漬セクションにおいて気化温度を下回る温度を有するために必要とされる。
【0020】
その結果、長軸方向フィラメントの長さ寸法は、5ミリメートル~50ミリメートル、特に10ミリメートル~40ミリメートル、好ましくは10ミリメートル~30ミリメートル、より好ましくは10ミリメートル~20ミリメートルの範囲内であってもよい。
【0021】
上述の通り、非グリッド部分がより大きいほど、加熱効率はより良好である。よって、サセプタ組立品の加熱効率を可能な限り改善するために、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿った非グリッド部分の長さ寸法は、長軸方向フィラメントの長さ寸法の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、または80パーセントであってもよい。これは、グリッド部分のある特定の最大長さ寸法を暗示する。その結果、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿ったグリッド部分の長さ寸法は、長軸方向フィラメントの長さ寸法の最大で90パーセント、最大で80パーセント、最大で75パーセント、最大で70パーセント、最大で60パーセント、最大で50パーセント、最大で40パーセント、最大で30パーセント、最大で25パーセント、または最大で20パーセントであってもよい。
【0022】
それとは逆に、十分なフィラメント結合だけでなく、サセプタ組立品の十分な機械的および寸法的安定性を確実にするために、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿った非グリッド部分の長さ寸法は、長軸方向フィラメントの長さ寸法の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント、または90パーセントであってもよい。同様に、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿ったグリッド部分の長さ寸法は、長軸方向フィラメントの長さ寸法の少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも25パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも50パーセント、少なくとも60パーセント、少なくとも70パーセント、少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセントであってもよい。
【0023】
サセプタ組立品は、長軸方向フィラメントのアレイの少なくとも一つの長軸方向端部分にて扇形に広がった部分をさらに備えてもよく、ここで長軸方向フィラメントは相互から分かれる。扇形に広がった部分は、非グリッド部分の一部であることが好ましい。フィラメント束の加熱セクションは、扇形に広がった部分に少なくとも部分的に位置すること、特に扇形に広がった部分と少なくとも部分的に重なることが好ましい。こうした扇形に広がった部分は、空気経路の中への気化したエアロゾル形成液体の曝露を容易にするために、それ故にエアロゾルの形成を容易にするために有益であることを示してもよい。この理由のために、サセプタ組立品の加熱セクションは、扇形に広がった部分に少なくとも部分的に位置すること、特に扇形に広がった部分と少なくとも部分的に重なることが好ましい。
【0024】
サセプタ組立品が、二つの扇形に広がった部分を、長軸方向フィラメントのアレイの各長軸方向端部分に一つずつ備えてもよいことが可能である。これは、上述の通り、サセプタ組立品が二つの非グリッド部分を、各長軸方向端部分に一つずつ備える場合に特に当てはまる。
【0025】
扇形に広がった部分は、長軸方向フィラメントの長さ寸法の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、または60パーセントの長さを有してもよい。それとは逆に、扇形に広がった部分は、長軸方向フィラメントの長さ寸法の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、または50パーセントの長さを有してもよい。
【0026】
横断方向フィラメントのアレイは、長軸方向フィラメントの長さ延長に垂直な長軸方向フィラメントのアレイの横断方向寸法全体に沿って延びてもよい。これは、十分なフィラメント結合だけでなく、サセプタ組立品の十分な機械的および寸法的安定性を確実にする。横断方向フィラメントは、サセプタ組立品のグリッド部分が長方形のグリッドパターンを備えるように、長軸方向フィラメントの長さ延長に垂直に配設されていることが好ましい。横断方向フィラメントが、90度以外の角度、例えば80度、または70度、または60度、または50度、または45度、または30度、または20度、または10度にて長軸方向フィラメントの長さ延長を横断して配設されることも可能である。
【0027】
横断方向フィラメントのアレイは、長軸方向フィラメントのアレイのトウ側のうちの一つ上に配設されてもよい。この構成において、横断方向フィラメントのアレイは、例えば溶接または糊付けによって、長軸方向フィラメントのアレイに接着結合されてもよい。横断方向フィラメントが長軸方向フィラメントと織り合わされることも可能である。有利なことに、織り合わされた構成は、長軸方向フィラメントをきつく、かつ定位置に保持する。織り合わされた構成において、横断方向フィラメントのアレイは、例えば溶接または糊付けによって、長軸方向フィラメントのアレイに追加的に接着結合されてもよい。
【0028】
概して、サセプタ組立品はエアロゾル発生システムに、特に誘導加熱エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品に実装されるのに適切である任意の形状の構成を有してもよい。
【0029】
一実施例として、長軸方向フィラメントのアレイは、実質的に円筒状の形状、特に中空円筒状の形状を有してもよい。別の実施例として、長軸方向フィラメントのアレイは、実質的に円錐状の形状または実質的に円錐台状の形状、特に実質的に中空円錐状の形状または実質的に中空円錐台状の形状を有してもよい。これらの構成のうちのいずれかにおいて、長軸方向フィラメントは、円筒状、円錐状、円錐台状、中空円筒状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状のシェル表面をそれぞれ形成する。それぞれの形状の長さ軸は、実質的に長軸方向フィラメントの長さ延長に沿って延びる。有利なことに、前述の形状のうちのいずれかは、固有の機械的寸法的安定性を提供する。
【0030】
横断方向フィラメントのアレイは、これらの構成のうちのいずれかにおいて実質的にリングの形状を有することが好ましい。すなわち、横断方向フィラメントは、サセプタ組立品のグリッド部分において長軸方向フィラメントの円筒状、円錐状、円錐台状、中空円筒状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状のアレイの周囲に沿って延びてもよい。横断方向フィラメントは、長軸方向フィラメントの円筒状、円錐状、円錐台状、中空円筒状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状のアレイの内周に沿って、または外周に沿って延びてもよい。すなわち、横断方向フィラメントは、長軸方向フィラメントの円筒状、円錐状、円錐台状、中空円筒状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状のアレイの内側または外側に配設されてもよい。横断方向フィラメントが長軸方向フィラメントと織り合わされることも可能である。有利なことに、織り合わされた構成は、長軸方向フィラメントをきつく、かつ定位置に保持する。
【0031】
全体として見ると、サセプタ組立品は、前述の構成のうちのいずれかにおいて実質的に冠の形状を有する。
【0032】
さらに、円錐状、円錐台状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状の場合、長軸方向フィラメントは、それぞれの形状の基部に向かって相互から分かれる。従って、長軸方向フィラメントの円錐状、円錐台状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状のアレイは、扇形に広がった部分の提供を容易にする。
【0033】
円錐状、円錐台状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状は、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿って湾曲していない(真っ直ぐな)シェル表面を含んでもよい。この構成において、長軸方向フィラメントは実質的に湾曲していない(真っ直ぐであり、曲がっていない)。この構成は、長軸方向フィラメントの小さい曲がり、すなわち長軸方向フィラメントの長さ延長に沿った大きい曲率半径を除外するものではない。本明細書で使用される大きい曲率半径としては、長軸方向フィラメントの全長の10倍、特に20倍もしくは50倍、または特に100倍大きい曲率半径が挙げられる場合がある。円錐状、円錐台状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状はまた、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿って湾曲しているシェル表面を含んでもよい。この構成において、長軸方向フィラメントは湾曲している。
【0034】
長軸方向フィラメントのアレイが長軸方向フィラメントの複数の同軸サブアレイを含み、各々が円筒状、円錐状、円錐台状、中空円筒状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状を有することも可能である。すなわちサブアレイは、円筒状、円錐状、円錐台状、中空円筒状、中空円錐状、または中空円錐台状のサセプタ組立品の異なる層を形成し、層は相互に同軸に、上下に重なるように、または一方がもう一方を包囲するように配設されている。この構成において、一つ以上の横断方向フィラメントは、円筒状、円錐状、円錐台状、中空円筒状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状の各サブアレイの周囲に沿って延びてもよい。すなわち、この構成において、横断方向フィラメントのアレイは、複数のリング形状の横断方向フィラメント、または複数のリング形状の横断方向フィラメントのサブアレイを含み、複数のリング形状の横断方向フィラメントまたは複数のリング形状の横断方向フィラメントのサブアレイは、相互に同軸に配設されている。
【0035】
さらに、(ルーラードのような)巻かれたカタツムリ形状のサセプタ組立品を形成するように、長軸方向フィラメントの長さ延長に(特に平行に)実質的に沿って延びる軸の周りに、長軸方向フィラメントのアレイがスパイラル状に巻き上げられていることが可能である。この構成において、横断方向フィラメントのアレイはまた、スパイラル形状を有し、横断方向フィラメントは、スパイラル形状の巻回方向に沿って延びる。
【0036】
上述の通り、横断方向フィラメントのアレイは、例えば溶接または糊付けによって、長軸方向フィラメントのアレイに接着結合されてもよい。横断方向フィラメントのアレイが長軸方向フィラメントのアレイと織り合わされることも可能である。
【0037】
隣接する長軸方向フィラメント間の平均中心間距離は、0.1ミリメートル~2ミリメートル、特に0.1ミリメートル~1ミリメートルの範囲内であってもよい。特に、隣接する長軸方向フィラメント間の平均中心間距離は、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルであってもよい。中心間距離のこれらの値は、十分な毛細管作用を確実にするために特に適切である。隣接する長軸方向フィラメント間の平均中心間距離が、最大で1ミリメートルであること、または最大で2ミリメートルでさえあることも可能である。後者の値は、扇形に広がった部分を有するサセプタ組立品のそれらの構成を指す場合がある。特に、隣接する長軸方向フィラメント間の平均中心間距離は異なっていてもよく、特に、隣接する横断方向フィラメント間の平均中心間距離よりも大きくてもよい。
【0038】
同様に、隣接する横断方向フィラメント間の平均中心間距離は、0.025ミリメートル~0.5ミリメートルの範囲内であってもよい。特に、隣接する横断方向フィラメント間の平均中心間距離は、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルであってもよい。隣接するフィラメント間の平均中心間距離が、最大で1ミリメートルであること、または最大で2ミリメートルでさえあることも可能である。
【0039】
上述の通り、長軸方向フィラメントは誘導加熱可能であるように構成されている。その結果、長軸方向フィラメントは、第一のサセプタ材料を含む一つ以上の第一のフィラメントを含むことが好ましい。同様に、横断方向フィラメントもまた、第一のサセプタ材料を含む一つ以上の第一のフィラメントを含んでもよい。
【0040】
複数の第一のフィラメントは、固体材料フィラメントであることが好ましい。固体材料のフィラメントは安価で、かつ製造が簡単である。加えて、固体材料フィラメントは、良好な機械的安定性を提供し、それ故にフィラメント束を頑丈にする。同じ理由から、複数の第一のフィラメントは、単一等級の材料フィラメントであることが好ましい。その結果、複数の第一のフィラメントは、第一のサセプタ材料で作製されていることが好ましい。
【0041】
本明細書で使用される「サセプタ材料」という用語は、交番磁場に供された時に電磁エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を指す。これは、その電気的特性および磁気的特性に依存して、サセプタ材料内で誘発されたヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つの結果であってもよい。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ材料内で生じる。渦電流は、導電性サセプタ材料内で誘発される。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタ材料の場合、渦電流とヒステリシス損失の両方によって熱が発生する。
【0042】
その結果、第一のサセプタ材料は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度に誘導加熱されることができる任意の材料から形成されてもよい。従って、第一のサセプタ材料は、それぞれ導電性および強磁性またはフェリ磁性のうちの少なくとも一つである材料を含んでもよく、またはそれで作製されてもよい。すなわち、第一のサセプタ材料は、フェリ磁性材料、または強磁性材料、または導電性材料、または導電性フェリ磁性材料もしくは導電性強磁性材料のうちの一つを含んでもよく、またはそれで作製されてもよい。
【0043】
例えば、第一のサセプタ材料は、フェライト、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、青銅、コバルト、ニッケル合金、普通の炭素鋼、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、強磁性ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、またはオーステナイト系ステンレス鋼のうちの一つを含んでもよく、またはそれで作製されてもよい。
【0044】
吸い出す作用または毛細管作用は概して、二つの別個の表面、液体表面、およびフィラメントの固体表面の表面エネルギーの低減に依存する。吸い出す作用または毛細管作用は、液体表面とフィラメントの両方の曲率半径に依存する効果を含む。よって、大きい表面積および小さい曲率半径に対するニーズがある場合があり、これら両方は、フィラメントの小さい直径およびサセプタ組立品のアレイ様の性質によって達成される。フィラメントの曲率半径は、液体がフィラメントを湿らせる際に重要である。
【0045】
その結果、複数の第一のフィラメントは、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルの直径を有してもよい。
【0046】
それとは逆に、第一のフィラメントの直径は、いわゆる表皮厚さに関連するある特定の最小値を有することが好ましい。表皮厚さは、誘導加熱された時に、導電性サセプタ材料内で電気伝導がどの程度まで起こるかの尺度である。DC電流と異なり、AC電流は主に、導体の外表面と、表皮厚さと呼ばれるレベルとの間の導電体の「表皮」を流れる。AC電流密度は、導体の表面の近くで最も大きく、導体内の深さが大きくなるにつれて減少する。この現象は、交番磁場によって誘発される対向する渦電流に基本的に起因する表皮効果として知られている。複数の第一のフィラメントは、十分な量の渦電流を誘発するために、それ故に十分な量の熱エネルギーを発生するために、表皮厚さの少なくとも二倍の直径を有することが好ましい。
【0047】
概して表皮厚さは、サセプタ材料の透過性および導電性の関数であるだけでなく、AC駆動電流の周波数、または交番磁場の周波数のそれぞれの関数である。サセプタ組立品は、高周波の交番磁場で動作されることが好ましい。本明細書で言及する高周波電磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内であってもよい。
【0048】
使用される材料および交番磁場の周波数に応じて、複数の第一のフィラメントは、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有してもよい。
【0049】
概して複数の第一のフィラメントは、アレイ内に配設されたエアロゾル形成液体を搬送するのに適する任意の断面形状を有してもよい。その結果、複数の第一のフィラメントのうちの少なくとも一つ、特に複数の第一のフィラメントのそれぞれは、円形、長円形、楕円形、三角形、長方形、四辺形、六角形、または多角形の断面を有してもよい。すべての第一のフィラメントは、同じ断面を有することが好ましい。複数の第一のフィラメントのうちの一つ以上のフィラメントが、複数の第一のフィラメントのうちの一つ以上の他のフィラメントの断面と異なる断面を有することも可能である。複数の第一のフィラメントは、円形、長円形、または楕円形の断面を有することが好ましい。有利なことに、後者の断面形状(円形、長円形、または楕円形の断面)は、それぞれのアレイ内のフィラメント(すべてでない場合)が相互に線接触するのみであり、面積接触ではないことを確実にする。このため、複数のフィラメントの間にそれ自体上に狭い空間が形成され、これらの空間はエアロゾル形成液体を搬送するために必要とされる毛細管作用を促進する。
【0050】
複数の第一のフィラメントは表面処理されてもよい。特に、複数の第一のフィラメントは、表面コーティング、例えばエアロゾル化強化表面コーティング、液体接着剤表面コーティング、撥液表面コーティング、または抗菌表面コーティングを少なくとも部分的に備えてもよい。エアロゾル化強化表面コーティングは有利なことに、ユーザーの体験の多様性を高める場合がある。液体接着剤表面コーティングは、フィラメント束の毛細管作用の強化に関して有益である場合がある。抗菌表面コーティングは、細菌汚染を低減するように機能する場合がある。特にフィラメントの先端における撥液コーティングは、液体の滴りを回避する場合がある。
【0051】
利用可能な空間と、フィラメントの寸法と、搬送および加熱されるエアロゾル形成液体の量とに応じて、フィラメント束中の複数の第一のフィラメントは、2~100本の第一のフィラメント、特に10~80本の第一のフィラメント、好ましくは20~80本の第一のフィラメント、好ましくは30~50本の第一のフィラメント、例えば40本の第一のフィラメントを含んでもよい。
【0052】
長軸方向フィラメントの数は、横断方向フィラメントの数よりも大きいことが好ましい。その結果、長軸方向フィラメントのアレイは、横断方向フィラメントのアレイよりも多くの第一のフィラメントを含んでもよい。
【0053】
複数の第一のフィラメントに加えて、長軸方向フィラメントおよび横断方向フィラメントのうちの少なくとも一つは、第二のサセプタ材料を含む複数の第二のフィラメントをさらに含んでもよい。複数の第一のフィラメントのうちの第一のサセプタ材料は、熱損失、それ故に加熱効率に関して最適化されてもよい一方で、第二のサセプタ材料は有利なことに、温度マーカーとして使用されてもよい。このために、第二のサセプタ材料は、フェリ磁性材料または強磁性材料のうちの一つを含むことが好ましい。特に、第二のサセプタ材料は、サセプタ組立品の予め定義された加熱温度に対応するキュリー温度を有するように選ばれてもよい。そのキュリー温度にて、第二のサセプタ材料の磁気的特性は、強磁性またはフェリ磁性から常磁性に変化し、その電気抵抗の一時的な変化を伴う。それ故に、誘導源によって吸収された電流の対応する変化をモニターすることによって、第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達した時に、それ故に所定の加熱温度に達した時に、その変化を検出することができる。
【0054】
第一のサセプタ材料は、第二のサセプタ材料と異なることが好ましい。
【0055】
第二のサセプタ材料は摂氏500度よりも低いキュリー温度を有することが好ましい。特に、第二のサセプタ材料は、摂氏350度を下回る、好ましくは摂氏300度を下回る、より好ましくは摂氏250度を下回る、なおより好ましくは摂氏200度を下回る、最も好ましくは摂氏150度を下回るキュリー温度を有してもよい。キュリー温度は、エアロゾル内の有害な構成成分の発生を防止するために、気化されるエアロゾル形成液体の沸点を下回るように選ばれることが好ましい。
【0056】
第二のサセプタ材料に適切な材料には、ニッケルおよび特定のニッケル合金が挙げられうる。同様に、第二のサセプタ材料は、ミューメタルまたはパーマロイのうちの一つを含んでもよい。特に、第二のサセプタ材料は、最高50kHzの周波数および摂氏25度の温度の場合で、少なくとも80、または少なくとも100、より具体的に少なくとも1000、好ましくは少なくとも10000の相対最大透磁率を有してもよい。
【0057】
それとは別に、複数の第二のフィラメントは、複数の第一のフィラメントに関して前述した特性と同じまたは類似の特性を有してもよい。
【0058】
その結果、複数の第二のフィラメントは、固体材料フィラメントであってもよい。さらに、複数の第二のフィラメントは、単一等級の材料フィラメントであってもよい。特に、複数の第二のフィラメントは、第二のサセプタ材料で作製されてもよい。
【0059】
同様に、複数の第二のフィラメントを表面処理されてもよい。特に、複数の第二のフィラメントは、表面コーティング、例えばエアロゾル化強化表面コーティング、液体接着剤表面コーティング、撥液表面コーティング、または抗菌表面コーティングを備えてもよい。
【0060】
さらに、複数の第二のフィラメントのうちの少なくとも一つ、特に複数の第二のフィラメントのそれぞれは、円形、長円形、楕円形、三角形、長方形、四辺形、六角形、または多角形の断面を有してもよい。
【0061】
複数の第一のフィラメントに関して上記で考察した通りの同じ理由で、複数の第二のフィラメントは、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有してもよい。同様に、複数の第二のフィラメントは、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルの直径を有してもよい。
【0062】
長軸方向フィラメントのアレイおよび横断方向フィラメントのアレイのうちのいずれか一つにおいて、複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントは、同じ直径を有してもよい。結果として、毛細管作用および剪断速度は、サセプタ組立品全体で均一である。それとは逆に、複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントが、異なる直径を有することも可能である。サセプタ組立品全体で毛細管作用を変化させるために、異なるフィラメント直径を使用してよい。
【0063】
長軸方向フィラメントのアレイおよび横断方向フィラメントのアレイのうちの少なくとも一つは、1~100本の第二のフィラメント、特に10~80本の第二のフィラメント、好ましくは20~60本の第二のフィラメント、好ましくは30~50本の第二のフィラメント、例えば40本の第二のフィラメントを含む。上記で考察した通り、長軸方向フィラメントの数は、横断方向フィラメントの数よりも大きいことが好ましい。その結果、長軸方向フィラメントのアレイは、横断方向フィラメントのアレイよりも多くの第二のフィラメントを含んでもよい。
【0064】
概して、長軸方向フィラメントのアレイおよび横断方向フィラメントのアレイのうちのいずれか一つにおいて、第一のフィラメントの数は、第二のフィラメントの数と同じであってもよい。しかしながら、第一のフィラメントの数が第二のフィラメントの数と異なることも可能である。特に、第一のフィラメントの数は、第二のフィラメントの数よりも多くてもよく、例えば二倍、または三倍、または四倍、または五倍、または六倍、または七倍、または八倍、または九倍、または十倍であってもよい。これは、第二のフィラメントが、少ない数の第二のフィラメントで十分である温度マーカーとして使用される場合に、特に当てはまる。
【0065】
一つ以上の第一のフィラメントおよび一つ以上の第二のフィラメントは、長軸方向フィラメントのアレイおよび横断方向フィラメントのアレイのうちの少なくとも一つの全体で実質的に均等に分布している。均一な分布は、サセプタ全体で均一な毛細管作用を支持する場合がある。別の方法として、一つ以上の第一のフィラメントおよび一つ以上の第二のフィラメントが、長軸方向フィラメントのアレイおよび横断方向フィラメントのアレイのうちの少なくとも一つの全体で実質的に不均等に分布していることも可能である。例えば、複数の第二のフィラメントは、フィラメント束全体で無作為に分布していてもよい。さらに、複数の第二のフィラメントが、複数の第一のフィラメントの長さと異なる長さを有してもよいことが可能である。特に、複数の第二のフィラメントの長さは、複数の第一のフィラメントの長さよりも短くてもよい。それとは逆に、複数の第二のフィラメントの長さは、複数の第一のフィラメントの長さよりも長くてもよい。
【0066】
横断方向フィラメントのアレイは、いかなる第二のフィラメントも含まなくてもよい。
【0067】
本発明の別の態様によると、エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための誘導加熱組立品が提供されている。加熱組立品は、本発明による、および本明細書に記載の通りの少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品を備える。加熱組立品は、少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品の加熱セクションにおいて、特にフィラメント束の加熱セクションにおいて、交番磁場を発生するように構成および配設された少なくとも一つの誘導源をさらに備える。
【0068】
交番磁場を発生するために、誘導源は、少なくとも一つのインダクタ、好ましくは少なくとも一つの誘導コイルを備えてもよい。誘導コイルは、少なくとも液体搬送サセプタ組立品の加熱セクションの周囲に、特に少なくともフィラメント束の加熱セクションの周囲に配設されていることが好ましい。
【0069】
少なくとも一つの誘導コイルは、らせん状コイルまたは平坦な平面状コイル、特にパンケーキコイルまたは湾曲した平面状コイルであってもよい。平坦なスパイラルコイルの使用は、頑丈でかつ製造が安価なコンパクトな設計を可能にする。らせん状誘導コイルの使用は有利なことに、均質な交番磁場を発生することを可能にする。本明細書で使用される「平坦なスパイラルコイル」は、概して平面状のコイルを意味し、コイルの巻線の軸はコイルが置かれている表面に対して垂直である。平坦なスパイラル誘導コイルは、コイルの平面内で任意の所望の形状を有することができる。例えば、平坦なスパイラルコイルは円形の形状を有してもよく、または概して楕円形もしくは長方形の形状を有してもよい。しかしながら、本明細書で使用される「平坦なスパイラルコイル」という用語は、平面状のコイルと、湾曲した表面に適合するように形作られた平坦なスパイラルコイルとの両方を網羅する。例えば、誘導コイルは、好ましくは円筒状のコイル支持体(例えば、フェライトコア)の周囲に配設された「湾曲した」平面状コイルであってもよい。さらに、平坦なスパイラルコイルは、例えば四回巻きの平坦なスパイラルコイルの二つの層、または四回巻きの平坦なスパイラルコイルの単一の層を備えてもよい。
【0070】
少なくとも一つの誘導コイルは、加熱組立品のハウジング、または加熱組立品を備えるエアロゾル発生装置の主本体またはハウジングのうちの一つ内に保持されてもよい。
【0071】
サセプタ組立品に関してさらに上述の通り、液体搬送サセプタ組立品の加熱セクション、特に非グリッド部分の加熱セクションは、長軸方向フィラメントのアレイの二つの長軸方向端部分のうちの一つに位置してもよい。この構成は有利なことに、サセプタ組立品が長軸方向フィラメントのアレイの反対側の端の長軸方向端部分にて、特にグリッド部分において浸漬セクションを備える場合に、エアロゾル形成液体の沸騰を防止する場合がある。
【0072】
加熱セクションの長さは、所望の量のエアロゾルを発生するように選ばれてもよい。加熱セクションが短いほど、気化するエアロゾル形成液体はより少なく、それ故に発生するエアロゾルはより少ない。その結果、非グリッド部分の加熱セクションは、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿った非グリッド部分の長さ寸法の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセントの長さを有してもよい。同様に、非グリッド部分の加熱セクションは、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿った非グリッド部分の長さ寸法の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント、90パーセント、または100パーセントの長さを有してもよい。
【0073】
サセプタ組立品は、加熱組立品の使用時に誘導源によって発生される交番磁場の対称軸に対して中心からずれて配設されてもよい。有利なことに、中心からずれた配設、すなわち非対称配設に起因して、サセプタ組立品は、対称中心配設と比較して、より高い磁場密度を有する交番磁場の領域内に配設されている。結果として、有利なことに加熱効率が高められる。
【0074】
誘導源は、交流(AC)発生器を備えてもよい。AC発生器は、エアロゾル発生装置の電源によって電力供給されてもよい。AC発生器は、少なくとも一つの誘導コイルに動作可能に連結される。特に、少なくとも一つの誘導コイルは、AC発生器の一体部であってもよい。AC発生器は、交番磁場を発生させるために少なくとも一つの誘導コイルを通過する高周波振動電流を発生するように構成されている。AC電流は、システムの起動後、少なくとも一つの誘導コイルに連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば毎回の吸煙ごとに)供給されてもよい。
【0075】
誘導源は、LCネットワークを含むDC電源に接続されたDC/ACコンバータを備えることが好ましく、LCネットワークは、コンデンサとインダクタの直列接続を備える。
【0076】
誘導源は高周波磁場を発生するように構成されていることが好ましい。本明細書において言及される通り、高周波磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内であってもよい。
【0077】
加熱組立品は、加熱組立品の動作を制御するように構成されたコントローラをさらに備えてもよい。特に、所定の動作温度へのエアロゾル形成液体の加熱を制御するために、コントローラは誘導源の動作を制御するように構成(好ましくは閉ループ構成)されてもよい。エアロゾル形成液体を加熱するために使用される動作温度は、ある範囲内であってもよい。エアロゾル形成液体を加熱するために使用される動作温度は、摂氏100度~摂氏300度の範囲内、特に摂氏150度~摂氏250度の範囲内、例えば摂氏230度であってもよい。これらの温度は、エアロゾル形成基体を加熱するが燃焼させないための典型的な動作温度である。エアロゾル形成液体は、水性エアロゾル形成液体、または油性エアロゾル形成液体であってもよい。
【0078】
コントローラは、マイクロプロセッサ、例えばプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有する他の電子回路を備えてもよい。コントローラは、少なくとも一つのDC/ACインバータ、および/または電力増幅器(例えば、クラスC電力増幅器、もしくはクラスD電力増幅器、もしくはクラスE電力増幅器)などの、さらなる電子構成要素を備えてもよい。特に、誘導源はコントローラの一部であってもよい。
【0079】
コントローラは、エアロゾル発生装置の総合コントローラであってもよく、またはエアロゾル発生装置の総合コントローラの一部であってもよく、このエアロゾル発生装置の一部は本発明による加熱組立品である。
【0080】
加熱組立品は電源、特に誘導源にDC供給電圧およびDC供給電流を提供するように構成されたDC電源を備えてもよい。電源はリン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要としてもよい、すなわち電源は再充電可能であってもよい。電源は、一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または誘導源の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。電源は、本発明による加熱組立品がその一部である、エアロゾル発生装置の全体的な電源であってもよい。
【0081】
加熱組立品は、誘導コイルの少なくとも一部分の周りに配設された、かつ加熱組立品の使用時に、少なくとも一つの誘導源の交番磁場をサセプタ組立品に向かって、特にサセプタ組立品の加熱セクションに向かって歪めるように構成された、フラックスコンセントレータをさらに備えてもよい。フラックスコンセントレータは、フラックスコンセントレータ箔、特に、多層フラックスコンセントレータ箔を備えることが好ましい。
【0082】
本発明による加熱組立品のさらなる特徴および利点は、本発明のサセプタ組立品に関して既に記述されていて、それ故に等しく適用される。
【0083】
本発明によると、誘導加熱エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品も提供されている。物品は、少なくともエアロゾル形成液体を貯蔵するための少なくとも一つの貯蔵部を備え、液体貯蔵部は出口を備える。物品は、エアロゾル形成液体を液体貯蔵部から出口を通して液体貯蔵部の外側の領域に送達するための、本発明による、および本明細書に記載の通りの少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品をさらに備える。
【0084】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、誘導加熱エアロゾル発生装置で使用する消耗品、特に単回使用後に処分される消耗品を指す。例えば物品は、誘導加熱エアロゾル発生装置の中に挿入されるカートリッジであってもよい。エアロゾル発生物品は、燃焼されるのではなく加熱されることが意図されている、また加熱された時に、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する、少なくとも一つのエアロゾル形成液体を含むことが好ましい。
【0085】
サセプタ組立品は、液体貯蔵部内に配設された少なくとも一つの浸漬セクションを備えることが好ましい。前述の通り、サセプタ組立品の浸漬セクションは、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分に位置してもよい。この構成において、サセプタ組立品は、長軸方向フィラメントのアレイの反対側の端部分に加熱セクションを備えてもよい。
【0086】
浸漬セクションはグリッド部分の一部であることが好ましく、またはそれとは逆に、グリッド部分は浸漬セクションの一部であることが好ましい。
【0087】
浸漬セクションの長さは有利なことに、浸漬される、かつ液体貯蔵部から搬送されるエアロゾル形成液体の量を制御するために使用されてもよい。その結果、グリッド部分の浸漬セクションは、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿ったグリッド部分の最大で10パーセント、最大で20パーセント、最大で30パーセント、最大で40パーセント、最大で50パーセント、または最大で60パーセントの長さを有してもよい。それとは逆に、グリッド部分の少なくとも一つの浸漬セクションは、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿ったグリッド部分の少なくとも10パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも50パーセント、または少なくとも60パーセントの長さを有してもよい。特に、グリッド部分の少なくとも一つの浸漬セクションは、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿ったグリッド部分の10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、または60パーセントの長さを有してもよい。
【0088】
同様に、サセプタ組立品の浸漬セクションは、長軸方向フィラメントのアレイの二つの長軸方向端部分の間に位置してもよい。この構成において、サセプタ組立品の両方の長軸方向端部分を加熱セクションとして使用してもよい。特に、サセプタ組立品は、長軸方向フィラメントのアレイの両方の長軸方向端部分の間に位置する非グリッド部分と、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分にて二つのグリッド部分(各端に一つずつ)とを備えてもよい。
【0089】
サセプタ組立品が二つの浸漬セクションを備え、各々が液体貯蔵部内に配設されることも可能である。好ましくは、二つの浸漬セクションは、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分に(各端に一つずつ)配設されてもよい。この構成において、長軸方向フィラメントのアレイの両方の長軸方向端部分の間の部分は、加熱セクションとして使用されてもよい。特に、サセプタ組立品は、長軸方向フィラメントのアレイの両方の長軸方向端部分の間に位置するグリッド部分と、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分にて二つの非グリッド部分(各端に一つずつ)とを備えてもよい。
【0090】
エアロゾル発生物品は、単回使用のためのエアロゾル発生物品、または複数回使用のためのエアロゾル発生物品であってもよい。後者(複数回使用のためのエアロゾル発生物品)の場合、エアロゾル発生物品は再充填可能であってもよい。すなわち、貯蔵部は、エアロゾル形成液体で再充填可能であってもよい。任意の構成において、エアロゾル発生物品は、液体貯蔵部内に含有されたエアロゾル形成液体をさらに含んでもよい。
【0091】
本明細書で使用される「エアロゾル形成液体」という用語は、エアロゾル形成液体の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する液体に関する。エアロゾル形成液体は、固体のエアロゾル形成材料または構成要素と、液体のエアロゾル形成材料または構成要素との両方を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成液体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成液体はまた、他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)も含んでもよい。特に、エアロゾル形成液体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、水性エアロゾル形成液体、または油性エアロゾル形成液体であってもよい。
【0092】
加えて、物品はマウスピースを備えてもよい。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、物品からエアロゾルを直接吸い込むために、ユーザーの口の中に定置される物品の一部分を意味する。マウスピースはフィルターを備えることが好ましい。フィルターは、エアロゾルの望ましくない構成成分を濾別するために使用されてもよい。フィルターはまた、追加材料(例えばエアロゾルに添加される風味材料)も含んでもよい。
【0093】
物品は単純な設計を有してもよい。物品は、液体貯蔵部、および第二の液体貯蔵部(存在する場合)を備えるハウジングを有してもよい。ハウジングは、液体に対して不透過性の材料を含む剛直なハウジングであることが好ましい。ハウジングは、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)のうちの一つを含んでもよく、またはそれらで作製されてもよい。PP、PE、およびPETは特にコスト効果が高く、成形が簡単であり、特に押出成形が簡単である。本明細書で使用される「剛直なハウジング」とは、自立型のハウジングを意味する。エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。ハウジングはまた、可撓性セクションまたは折り畳まれたセクションも備えてもよい。ハウジングは、体積補償のための少なくとも一つの通気穴をさらに備えてもよい。
【0094】
本発明によるエアロゾル発生物品のさらなる特徴および利点は、本発明のサセプタ組立品に関して既に記述されていて、それ故に等しく適用される。
【0095】
本発明によると、誘導加熱エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品と、本発明による、および本明細書に記載の通りの誘導加熱組立品とを備えるエアロゾル発生システムも提供されている。加熱組立品の誘導源は、誘導加熱エアロゾル発生装置の一部であってもよく、加熱組立品の液体搬送サセプタ組立品は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。
【0096】
存在する場合、加熱組立品のコントローラは、エアロゾル発生装置の一部であってもよく、特にエアロゾル発生装置内に配設されてもよい。好ましくは、エアロゾル発生装置のコントローラは、加熱組立品のコントローラを含んでもよく、または加熱組立品のコントローラであってもよい。
【0097】
同様に、存在する場合、加熱組立品の電源は、エアロゾル発生装置の一部であってもよく、特にエアロゾル発生装置内に配設されてもよい。好ましくは、エアロゾル発生装置の電源は、加熱組立品の電源を含んでもよく、または加熱組立品の電源であってもよい。
【0098】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、サセプタ組立品、それ故に物品内のエアロゾル形成液体を誘導加熱することによってエアロゾルを発生するように、少なくとも一つのエアロゾル形成液体を含む少なくとも一つのエアロゾル発生物品と相互作用する能力を有する電気的に作動する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、ユーザーによってユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生するための吸煙装置であることが好ましい。特に、エアロゾル発生装置は手持ち式のエアロゾル発生装置である。
【0099】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための受容空洞を備えてもよい。
【0100】
誘導源の誘導コイルは、エアロゾル発生物品が受容空洞内に受容されている時に、受容空洞の少なくとも一部分を包囲するように、特にエアロゾル発生物品のサセプタ組立品の少なくとも一部分(特に非グリッド部分の加熱セクション)を包囲するように配設されてもよい。
【0101】
加熱組立品のサセプタ組立品の特定の構成以外に、エアロゾル発生システムのエアロゾル発生物品は、本発明による、および上述の通りのエアロゾル発生物品であってもよい。
【0102】
本発明によるエアロゾル発生システムのさらなる特徴および利点は、本発明によるサセプタ組立品、エアロゾル発生物品、加熱組立品に関して記述されていて、従って等しく適用される。
【0103】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちの任意の一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様の任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0104】
実施例1:交番磁場の影響下でエアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための液体搬送サセプタ組立品であって、サセプタ組立品が、隣り合って配設された誘導加熱可能な長軸方向フィラメントのアレイと、隣り合って配設された、かつ長軸方向フィラメントの長さ延長に対して横断方向で長軸方向フィラメントのアレイと交差する横断方向フィラメントのアレイとを備え、横断方向フィラメントのアレイが、長軸方向フィラメントのアレイのある長さ部分のみに沿って延び、これによってサセプタ組立品が、少なくとも一つのグリッド部分と少なくとも一つの非グリッド部分とを備える、液体搬送サセプタ組立品。
実施例2:少なくとも一つのグリッド部分が、長軸方向フィラメントのアレイの二つの長軸方向端部分のうちの一つに位置する、実施例1に記載のサセプタ組立品。
実施例3:少なくとも一つのグリッド部分が、長軸方向フィラメントのアレイの両方の長軸方向端部分の間に位置する、実施例1に記載のサセプタ組立品。
実施例4:少なくとも一つの非グリッド部分が、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分に位置する、実施例1~3のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例5:少なくとも一つの非グリッド部分が、長軸方向フィラメントのアレイの両方の長軸方向端部分の間に位置する、実施例1または実施例2のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例6:長軸方向フィラメントの長さ寸法が、5ミリメートル~50ミリメートル、特に10ミリメートル~40ミリメートル、好ましくは10ミリメートル~30ミリメートル、より好ましくは10ミリメートル~20ミリメートルの範囲内である、実施例1~5のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例7:長軸方向フィラメントの長さ延長に沿った非グリッド部分の長さ寸法が、長軸方向フィラメントの長さ寸法の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、または80パーセントである、実施例1~6のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例8:長軸方向フィラメントの長さ延長に沿った非グリッド部分の長さ寸法が、長軸方向フィラメントの長さ寸法の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント、または90パーセントである、実施例1~7のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例9:長軸方向フィラメントの長さ延長に沿ったグリッド部分の長さ寸法が、長軸方向フィラメントの長さ寸法の最大で90パーセント、最大で80パーセント、最大で75パーセント、最大で70パーセント、最大で60パーセント、最大で50パーセント、最大で40パーセント、最大で30パーセント、最大で25パーセント、または最大で20パーセントである、実施例1~8のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例10:長軸方向フィラメントの長さ延長に沿ったグリッド部分の長さ寸法が、長軸方向フィラメントの長さ寸法の少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも25パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも50パーセント、少なくとも60パーセント、少なくとも70パーセント、少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセントである、実施例1~9のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例11:横断方向フィラメントのアレイが、長軸方向フィラメントの長さ延長に垂直な長軸方向フィラメントのアレイの横断方向寸法全体に沿って延びる、実施例1~10のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例12:横断方向フィラメントが、長軸方向フィラメントの長さ延長に垂直に配設されている、実施例1~11のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例13:長軸方向フィラメントのアレイが、実質的に円筒状の形状または実質的に中空円筒状の形状を有する、実施例1~12のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例14:長軸方向フィラメントのアレイが、実質的に円錐状の形状または実質的に円錐台状の形状、特に実質的に中空円錐状の形状または実質的に中空円錐台状の形状を有する、実施例1~12のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例15:横断方向フィラメントのアレイが、実質的にリングの形状を有する、実施例1~14のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例16:隣接する長軸方向フィラメント間の平均中心間距離が、0.1ミリメートル~2ミリメートル、特に0.1ミリメートル~1ミリメートルの範囲内である、実施例1~15のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例17:隣接する横断方向フィラメント間の平均中心間距離が、0.025ミリメートル~0.5ミリメートルの範囲内である、実施例1~16のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例18:横断方向フィラメントが誘導加熱可能である、実施例1~17のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例19:長軸方向フィラメントおよび横断方向フィラメントのうちの少なくとも一つが、第一のサセプタ材料を含む一つ以上の第一のフィラメントを含む、実施例1~18のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例20:一つ以上の第一のフィラメントが固体材料フィラメントである、実施例19に記載のサセプタ組立品。
実施例21:一つ以上の第一のフィラメントが、単一等級の材料のフィラメントである、実施例19または実施例20のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例22:一つ以上の第一のフィラメントが、第一のサセプタ材料で作製されている、実施例19~21のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例23:第一のサセプタ材料が、フェリ磁性材料、または強磁性材料、または導電性材料、または導電性フェリ磁性材料もしくは導電性強磁性材料のうちの一つを含むか、またはそれで作製されている、実施例19~22のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例24:第一のサセプタ材料が、フェライト、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、青銅、コバルト、ニッケル合金、普通の炭素鋼、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、強磁性ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、またはオーステナイト系ステンレス鋼のうちの一つを含むか、またはそれで作製されている、実施例19~23のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例25:複数の第一のフィラメントが、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有する、実施例19~24のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例26:複数の第一のフィラメントが、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルの直径を有する、実施例19~25のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例27:複数の第一のフィラメントが、円形、長円形、楕円形、三角形、長方形、四辺形、六角形、または多角形の断面を有する、実施例19~26のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例28:複数の第一のフィラメントが表面処理されていて、特に表面コーティング、例えばエアロゾル化強化表面コーティング、液体接着剤表面コーティング、撥液表面コーティング、または抗菌表面コーティングを備える、実施例19~27のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例29:長軸方向フィラメントのアレイおよび横断方向フィラメントのアレイのうちの少なくとも一つが、2~100本の第一のフィラメント、特に10~80本の第一のフィラメント、好ましくは20~80本の第一のフィラメント、好ましくは30~50本の第一のフィラメントを含む、実施例19~28のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例30:長軸方向フィラメントおよび横断方向フィラメントのうちの少なくとも一つが、第二のサセプタ材料を含む一つ以上の第二のフィラメントを含む、実施例19~29のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例31:第二のサセプタ材料が、フェリ磁性材料または強磁性材料のうちの一つを含む、実施例30に記載のサセプタ組立品。
実施例32:第二のサセプタ材料が、摂氏500度を下回る、特に摂氏350度を下回る、好ましくは摂氏300度を下回る、より好ましくは摂氏250度を下回る、なおより好ましくは摂氏200度を下回る、最も好ましくは摂氏150度を下回るキュリー温度を有する、実施例30または実施例31のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例33:第二のサセプタ材料が、ニッケル、ニッケル合金、ミューメタル、またはパーマロイのうちの一つを含む、実施例30~32のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例34:複数の第二のフィラメントが固体材料フィラメントである、実施例30~33のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例35:複数の第二のフィラメントが単一等級の材料のフィラメントである、実施例30~34のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例36:複数の第二のフィラメントが第二のサセプタ材料で作製されている、実施例30~35のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例37:複数の第二のフィラメントが表面処理されていて、特に表面コーティング、例えばエアロゾル化強化表面コーティング、液体接着剤表面コーティング、撥液表面コーティング、または抗菌表面コーティングを備える、実施例30~36のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例38:複数の第二のフィラメントのうちの少なくとも一つ、特に複数の第二のフィラメントのそれぞれが、円形、長円形、楕円形、三角形、長方形、四辺形、六角形、または多角形の断面を有する、実施例30~37のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例39:複数の第二のフィラメントが、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有する、実施例30~38のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例40:複数の第二のフィラメントが、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルの直径を有する、実施例30~39のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例41:複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントが、同じ直径を有する、実施例30~40のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例42:複数の第一のフィラメントおよび複数の第二のフィラメントが、異なる直径を有する、実施例30~40のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例43:長軸方向フィラメントのアレイおよび横断方向フィラメントのアレイのうちの少なくとも一つが、1~100本の第二のフィラメント、特に10~80本の第二のフィラメント、好ましくは20~60本の第二のフィラメント、好ましくは30~50本の第二のフィラメント、例えば40本の第二のフィラメントを含む、実施例30~42のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例44:一つ以上の第一のフィラメントおよび一つ以上の第二のフィラメントが、長軸方向フィラメントのアレイおよび横断方向フィラメントのアレイのうちの少なくとも一つの全体で実質的に均等に分布している、実施例30~43のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例45:一つ以上の第一のフィラメントおよび一つ以上の第二のフィラメントが、長軸方向フィラメントのアレイおよび横断方向フィラメントのアレイのうちの少なくとも一つの全体で実質的に不均等に分布している、実施例30~43のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例46:隣接する長軸方向フィラメント間の平均距離が、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルである、実施例1~45のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例47:隣接する横断方向フィラメント間の平均距離が、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルである、実施例1~46のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例48:サセプタ組立品が、長軸方向フィラメントのアレイの少なくとも一つの長軸方向端部分にて扇形に広がった部分を備え、ここで長軸方向フィラメントが相互から分かれる、実施例1~47のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例49:扇形に広がった部分が、長軸方向フィラメントの長さ寸法の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、または60パーセントの長さを有する、実施例48に記載のサセプタ組立品。
実施例50:扇形に広がった部分が、長軸方向フィラメントの長さ寸法の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、または50パーセントの長さを有する、実施例48または実施例49のいずれか一つに記載のサセプタ組立品。
実施例51:エアロゾル形成液体を搬送および誘導加熱するための誘導加熱組立品であって、
-実施例1~50のいずれか一つに記載の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品と、
-少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品の加熱セクションにおいて、特に非グリッド部分の加熱セクションにおいて、交番磁場を発生するように構成および配設された少なくとも一つの誘導源と、を備える、誘導加熱組立品。
実施例52:誘導源が、少なくとも液体搬送サセプタ組立品の加熱セクションの周囲に、特に少なくとも非グリッド部分の加熱セクションの周囲に配設された誘導コイルを備える、実施例51に記載の加熱組立品。
実施例53:液体搬送サセプタ組立品の加熱セクション、特に非グリッド部分の加熱セクションが、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分に位置する、実施例51または実施例52のいずれか一つに記載の加熱組立品。
実施例54:非グリッド部分の加熱セクションが、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿った非グリッド部分の長さ寸法の少なくとも5パーセント、10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセントの長さを有する、実施例51~53のいずれか一つに記載の加熱組立品。
実施例55:非グリッド部分の加熱セクションが、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿った非グリッド部分の長さ寸法の最大で10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント、90パーセント、または100パーセントの長さを有する、実施例51~54のいずれか一つに記載の加熱組立品。
実施例56:加熱組立品の使用時に、誘導源によって発生される交番磁場の対称軸に対して、サセプタ組立品が中心からずれて配設されている、実施例51~55のいずれか一つに記載の加熱組立品。
実施例57:誘導加熱エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品であって、
-エアロゾル形成液体を貯蔵するための少なくとも一つの貯蔵部であって、液体貯蔵部が出口を備える、貯蔵部と、
-エアロゾル形成液体を液体貯蔵部から出口を通して液体貯蔵部の外側の領域に送達するための実施例1~50のいずれか一つに記載の少なくとも一つの液体搬送サセプタ組立品と、を備える、エアロゾル発生物品。
実施例58:サセプタ組立品が、液体貯蔵部内に配設された少なくとも一つの浸漬セクションを備える、実施例57によるエアロゾル発生物品。
実施例59:サセプタ組立品の浸漬セクションが、長軸方向フィラメントのアレイの長軸方向端部分に位置する、実施例57または実施例58のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例60:浸漬セクションがグリッド部分の一部であるか、またはグリッド部分が浸漬セクションの一部である、実施例57~59のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例61:グリッド部分の浸漬セクションが、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿ったグリッド部分の長さ寸法の最大で10パーセント、最大で20パーセント、最大で30パーセント、最大で40パーセント、最大で50パーセント、または最大で60パーセントの長さを有する、実施例60によるエアロゾル発生物品。
実施例62:グリッド部分の少なくとも一つの浸漬セクションが、長軸方向フィラメントの長さ延長に沿ったグリッド部分の少なくとも10パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも50パーセント、または少なくとも60パーセントの長さを有してもよい、実施例60または実施例61のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例63:液体貯蔵部内に含有されたエアロゾル形成液体をさらに備える、実施例57~62のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例64:誘導加熱エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品と、実施例51~56のいずれか一つに記載の誘導加熱組立品とを備えるエアロゾル発生システムであって、加熱組立品の誘導源が誘導加熱エアロゾル発生装置の一部である、かつ液体搬送サセプタ組立品がエアロゾル発生物品の一部である、エアロゾル発生システム。
【0105】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0106】
図1図1は、本発明の第一の実施形態によるサセプタ組立品を備える誘導加熱組立品を概略的に図示する。
図2図2は、図1によるサセプタ組立品の線A-Aに沿った断面を示す。
図3図3は、図1によるサセプタ組立品の線B-Bに沿った断面を示す。
図4図4は、本発明の第二の実施形態によるサセプタ組立品を概略的に図示する。
図5図5は、本発明の第三の実施形態によるサセプタ組立品を概略的に図示する。
図6図6は、本発明の第四の実施形態によるサセプタ組立品を概略的に図示する。
図7図7は、本発明の第五の実施形態によるサセプタ組立品を概略的に図示する。
図8図8は、本発明によるエアロゾル発生物品の例示的な一実施形態を概略的に図示する。
図9図9は、本発明によるエアロゾル発生システムの例示的な一実施形態を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0107】
図1は、本発明の第一の実施形態による液体搬送サセプタ組立品10を備える誘導加熱組立品1を概略的に図示する。概してサセプタ組立品10は、部分的にのみ相互に交差する二つのフィラメントアレイ20、30を備え、これによってサセプタ組立品10は、二つのフィラメントアレイ20、30が相互に交差する一つのグリッド部分11と、二つのフィラメントアレイ20、30が相互に交差しない非グリッド部分12とを備える。
【0108】
本実施形態において、二つのアレイ20、30のうちの一つは、中空円筒状の構成で隣り合って相互に平行に配設されている誘導加熱可能な長軸方向フィラメント21、22のアレイ20によって形成されていて、ここの構成において長軸方向フィラメント21、22は、円筒軸に実質的に沿って延び、中空円筒状の構成の壁を形成する。もう一方のアレイは、長軸方向フィラメント21、22の長さ延長に対して横断方向で長軸方向フィラメント21、22のアレイ20と交差するように、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20の中空円筒状の構成を円周状に包囲する複数の円形状リングの形態で隣り合って配設されている、横断方向フィラメント31、32のアレイ30によって形成されている。本発明によると、横断方向フィラメント31、32のアレイ30は、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20のある長さ部分に沿ってのみ延び、これによって、上述の通り、サセプタ組立品10はグリッド部分11および非グリッド部分12を備える。
【0109】
サセプタ組立品10は、エアロゾル形成液体を搬送することと加熱することとの二つの機能を実施する能力を有する。その目的のために、アレイ20は、複数の第一のフィラメント21および複数の第二のフィラメント22を備え、複数の第一のフィラメント21は第一のサセプタ材料を含み、また複数の第二のフィラメント22は第二のサセプタ材料を含む。同様に、アレイ30は、複数の第一のフィラメント31および複数の第二のフィラメント32を備え、複数の第一のフィラメント31は第一のサセプタ材料を含み、複数の第二のフィラメント32は第二のサセプタ材料を含む。両方のアレイ20、30のフィラメント21、22、31、32の第一のサセプタ材料と第二のサセプタ材料は、同一であることが好ましい。フィラメント材料の感受性の強い性質に起因して、第一のフィラメント21、32および第二のフィラメント22、32は、交番磁場内で誘導加熱される能力を有し、それ故にフィラメントと熱的接触しているエアロゾル形成液体を加熱する能力を有する。さらに、第一および第二のフィラメント21、22、31、32とサセプタ組立品10との配設に起因して、またフィラメント21、22、31、32の小さい直径に起因して、フィラメント21、22、31、32の間に狭い空間が形成されていて、これはグリッド部分11と非グリッド部分12の両方の部分において、特にサセプタ組立品10の長軸方向Xに沿って、毛細管作用を提供する。それ故に、一例として、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20の一方の長軸方向端部分23がエアロゾル形成液体の中に浸されている場合、液体は、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20の反対側の長軸方向端部分24に搬送されてもよく、ここで、搬送された液体は気化され、かつ空気経路に曝露されて、エアロゾルとして外に引き出されてもよい。
【0110】
液体を気化させるために、加熱組立品1は、誘導コイル4を含む誘導源3をさらに備える。本実施形態において、誘導コイル4は二層らせんコイルであり、各層は六本の巻線を有し、これは実質的に均一な交番磁場を発生する能力を有する。図1で分かる通り、誘導コイル4は、長軸方向端部分24にてのみサセプタ組立品を局所的に貫通する交番磁場を発生するように、フィラメント束18の端部分24の周囲に配設されている。結果として、サセプタ組立品10は、長軸方向端部分24にて加熱セクション17において局所的に加熱される。横断方向フィラメントの欠如に起因して、非グリッド部分11は、その幾何学的形状および向きがサセプタ組立品を加熱するために使用される交番磁場の向きに関して最適化されているそれらのフィラメント21,22のみを備える。特に、長軸方向フィラメント21、22は、長軸方向端部分24にてサセプタ組立品10を貫通する磁場に実質的に平行に配設されている。
【0111】
対照的に、横断方向フィラメント31、32のアレイ30は主に、良好なフィラメント結合だけでなく、サセプタ組立品10の改善された機械的および寸法的安定性を提供するように、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20を保つためにのみ機能する。
【0112】
磁場の強度は、加熱セクション17が、サセプタ組立品10を通して搬送されたエアロゾル形成液体を気化させるのに十分な温度まで加熱されるように選ばれる。対照的に、その唯一の局所加熱に起因して、サセプタ組立品10の残りのセクション16、特に長軸方向端部分23は、気化温度を下回る温度に留まる。よって、加熱組立品1の使用時に、サセプタ組立品10は、図1の下部に示す通り、その長さ方向Xに沿って、より高い温度のセクションとより低い温度のセクションを有する、温度プロファイルを備える。より具体的に、温度プロファイルは、長軸方向端部分23から、反対側の長軸方向端部分24にある加熱セクション17への温度上昇(エアロゾル形成液体の気化温度T_vapを下回る温度から、それぞれの気化温度T_vapを上回る温度への温度上昇)を示す。有利なことに、気化温度T_vapを下回る残りのセクション16を有することは、サセプタ組立品10のその部分内のエアロゾル形成液体の沸騰を防止する。なおさらに、残りのセクション16、またはその少なくとも一部が、液体貯蔵部の中に浸される浸漬セクション16として使用される場合、貯蔵部内のエアロゾル形成液体の沸騰も防止される。図1で分かる通り、加熱セクション17は、非グリッド部分12の一部であり、その一方でグリッド部分12は、浸漬セクション16として使用されてもよい残りのセクション16の一部である。
【0113】
サセプタ組立品10の使用時に形成する実際の温度プロファイルは、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20の熱伝導率および長さ寸法に依存する。その結果、長軸方向端部分23と長軸方向端部分24の間に十分な温度勾配を有するために、長軸方向フィラメント21、22は、ある特定の全長を必要とする。本実施形態に関して、長軸方向フィラメント21、22の長さ寸法は、5ミリメートル~50ミリメートル、特に10ミリメートル~40ミリメートル、好ましくは10ミリメートル~30ミリメートル、より好ましくは10ミリメートル~20ミリメートルの範囲内であってもよい。これは、各フィラメントタイプ、すなわち複数の第一のフィラメント21および複数の第二のフィラメント22に適用される。
【0114】
図2は、図1の線A-Aに沿った、サセプタ組立品10を通る、すなわち非グリッド部分12を通る断面を示す。同様に、図3は、図1の線B-Bに沿った、サセプタ組立品10を通る、すなわちグリッド部分11を通る断面を示す。各アレイ20、30の複数の第一のフィラメント21、31と複数の第二のフィラメント22の両方は、実質的に円形の断面を有する固体材料フィラメントである。特定のフィラメント配設に起因して、複数のフィラメント21、22、31、32の間に毛細管空間が形成されている。複数の第一のフィラメント21、31および第二のフィラメント22、32の他の断面形状も可能であり、例えば楕円形、長円形、三角形、長方形、四辺形、六角形、または多角形の断面も可能である。
【0115】
十分な毛細管作用を提供するために、隣接する長軸方向フィラメント21、22間の平均中心間距離D20は、0.1ミリメートル~0.2ミリメートルの範囲内であってもよい。同様に、図1に示す通り、隣接する横断方向フィラメント31、32間の平均中心間距離D30は、最大で1ミリメートル、好ましくは最大で0.5ミリメートルである。
【0116】
毛細管作用は、小さい曲率半径によっても、それ故に第一のフィラメント21、31および第二のフィラメント22、32の小さい直径によっても促進される。その結果、第一のフィラメント21、31および第二のフィラメント22、32は、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルの直径を有してもよい。しかしながら、第一のフィラメント21、31および第二のフィラメント22、32の直径は、十分な量の渦電流を誘発するために、それ故にサセプタ組立品10が交番磁場に曝露されている時に十分な量の熱エネルギーを発生するために、依然として表皮厚さの二倍よりも大きいべきである。その結果、使用される材料および交番磁場の周波数に応じて、第一のフィラメント11および第二のフィラメント12は、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有してもよい。
【0117】
本実施形態において、両方の区域20、30の第一のフィラメント21、31および第二のフィラメント22、32は、液体接着剤表面コーティング(図示せず)を備える。液体接着剤表面コーティングは、サセプタ組立品10の毛細管作用をさらに高める。
【0118】
複数の第一のフィラメント21、31の第一のサセプタ材料は、発熱に関して最適化されている。例えば、第一のサセプタ材料は、複数の第一のフィラメント21、31を渦電流によってだけでなくヒステリシス損失によっても誘導加熱されることを引き起こす強磁性ステンレス鋼であってもよい。強磁性の第一のサセプタ材料のキュリー温度は、気化温度を上回るように、好ましくは摂氏300度を上回るように選ばれる。対照的に、さらに上述の通り、複数の第二のフィラメント22、32は主に、温度マーカーとして機能する。その目的のために、第二のサセプタ材料は、好ましくは、サセプタ組立品10の予め定義された動作温度の辺りのキュリー温度を有する強磁性またはフェリ磁性材料であってもよい。その結果、サセプタ組立品10が第二のサセプタ材料のキュリー温度に達した時、第二のサセプタ材料の磁気的特性は強磁性またはフェリ磁性から常磁性に変化し、その電気抵抗の一時的な変化が付随して起こる。それ故に、交番磁場を発生するために使用される誘導源3によって吸収された電流の対応する変化をモニターすることによって、第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達した時に、それ故に予め定義された動作温度に達した時に、その変化を検出することができる。第二のサセプタ材料に適切な材料は、ミューメタル、またはパーマロイであってもよい。温度マーカーとして十分に機能するために、わずかな数の第二のフィラメント22、32のみが必要とされる。その結果、第一のフィラメント21の数は、第二のフィラメント12の数よりも多くてもよく、特に二倍、または三倍、または四倍、または五倍、または六倍、または七倍、または八倍、または九倍、または十倍であってもよい。本実施形態において、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20は模範的に、15本の第一のフィラメント21および4本の第二のフィラメント12を含む。同様に、横断方向フィラメント31、32のアレイ30は模範的に、6本の第一のフィラメント31および1本の第二のフィラメント32を含む。しかしながら、グリッド部分11は加熱されることを意図されていないため、横断方向フィラメントのアレイ30は必ずしも、任意の第二のフィラメント32を備える必要はない。なおさらに、横断方向フィラメントのアレイ30は必ずしも、誘導加熱可能ないかなるフィラメントも含む必要はない。
【0119】
図2でも分かる通り、複数の第二のフィラメント22は、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20全体で無作為に分布している。有利なことに、無作為な分布は、サセプタ組立品10の製造中にごくわずかな努力しか必要としない。図2でさらに分かる通り、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20は、実質的に円形の断面、特にリング形状の断面を有し、これは特に製造が簡単である。
【0120】
再び図1を参照すると、第一のフィラメント21および第二のフィラメント22は、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20の全長の延長に沿って平行な束部分を形成するように、相互に平行に配設されている。すなわち、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20は、撚られていなく、ここでは第一のフィラメント21および第二のフィラメント22が撚られていなく、または捻られていなく、それ故に相互に交わらない。平行な結束は、長軸方向フィラメント21、22のアレイ20の長さ延長の全体に沿って十分な毛細管作用を提供するのに特に有利である。さらに、こうしたサセプタ組立品10は、製造が簡単で、かつコスト効果が高い。
【0121】
図4は、本発明によるサセプタ組立品110の第二の実施形態を示す。概して、図4によるサセプタ組立品110は、図1図3に示すサセプタ組立品10と類似している。従って、同一または類似の特徴は、同じ参照符号に100を加えた参照符号で示されている。図1図3に示す第一の実施形態と対照的に、図4によるサセプタ組立品110の横断方向フィラメント131のアレイ130は、複数の部分に分割される。この構成は、長軸方向フィラメント121、122のアレイ120の両方の長軸方向端部分123と長軸方向端部分124の間に位置する一つの非グリッド部分112と、長軸方向フィラメント123、124のアレイの長軸方向端部分にて二つのグリッド部分111(各端に一つずつ)とを備えるサセプタ組立品をもたらす。有利なことに、各長軸方向端部分123、124にある二つのグリッド部分111は、二つの側から液体の形態として、エアロゾル形成液体が気化されてもよい非グリッド部分112に向かって搬送するための浸漬セクションとして使用されてもよい。このため、サセプタ組立品110の液体搬送能力は増大する。さらに、図1図3によるサセプタ組立品10と対照的に、横断方向フィラメント131のアレイ130は、一つのタイプのフィラメントのみを含み、これは必ずしも誘導加熱可能である必要はない。
【0122】
図5は、本発明によるサセプタ組立品210の第三の実施形態を示す。概して、図5によるサセプタ組立品210は、図1図3に示すサセプタ組立品10と類似している。従って、同一または類似の特徴は、同じ参照符号に200を加えた参照符号で示されている。図1図3に示す第一の実施形態と対照的に、図5に記録されたサセプタ組立品210は、実質的に円錐台状の形状、特に実質的に中空円錐台状の形状を有する。この構成において、円錐台状形状の長さ軸は、長軸方向フィラメントの長さ延長に実質的に沿って延びる。しかしながら、長軸方向フィラメント221、222のアレイ220は、円錐台状形状のシェル表面を形成する。
【0123】
図6は、図5によるサセプタ組立品210と類似している、本発明によるサセプタ組立品310の第四の実施形態を示す。従って、同一または類似の特徴は、同じ参照符号に100を加えた参照符号で示されている。図5に示す第三の実施形態と対照的に、図6によるサセプタ組立品310は、実質的に円錐状の形状、特に中空円錐状の形状を有し、ここで長軸方向フィラメント321、322は、長軸方向フィラメント321、322のアレイ320の長軸方向端部分323のうちの一つにて集中する。
【0124】
図5および図6に示す両方の実施形態を参照すると、円錐状形状または円錐台状形状は、固有の機械的寸法的安定性を提供する。さらに、長軸方向フィラメント321、322、421、422は、円錐状形状または円錐台状形状の基部に向かって相互から分かれる。その結果、長軸方向フィラメントの円錐状または円錐台状のアレイは、長軸方向フィラメント321、322のアレイ320の一つの長軸方向端部分224、324にて扇形に広がった部分を提供することを容易にする。
【0125】
図7は、図5によるサセプタ組立品210と類似している、本発明によるサセプタ組立品410の第五の実施形態を示す。従って、同一または類似の特徴は、同じ参照符号に200を加えた参照符号で示されている。図5に示す第三の実施形態と対照的に、図6によるサセプタ組立品310は、長軸方向フィラメント421、422のアレイ420の長軸方向端部分423にてグリッド部分411に沿って、実質的に円筒状の形状、特に実質的に中空円筒状の形状を有する。対照的に、グリッド部分412において、長軸方向フィラメント421、422は、長軸方向フィラメント421、422のアレイ420の長軸方向端部分423の反対側に向かって各々から分かれるように湾曲している。結果として、図5に示すサセプタ組立品220と同様に、図7によるサセプタ組立品410はまた、長軸方向フィラメント421、322のアレイ420の長軸方向端部分424にて扇形に広がった部分を備える。この程度まで、図7によるサセプタ組立品410はまた、長軸方向フィラメント421、422の長さ延長に沿って湾曲しているシェル表面を含む円錐台状形状を有するものと考えられてもよい。
【0126】
図4図7に示すこれらの構成のうちのいずかにおいて、横断方向フィラメントのアレイは、実質的にリングの形状を有することが好ましい。すなわち、横断方向フィラメントは、サセプタ組立品110、210、310、410のグリッド部分111、211、311、411において、長軸方向フィラメントの円筒状、円錐状、または円錐台状(特に中空円筒状、中空円錐状、または中空円錐台状)の形状のアレイの周囲に沿って延びる。
【0127】
図8は、本発明によるエアロゾル発生物品40の例示的な一実施形態を概略的に図示する。図9に関して以下でさらに記述する通り、エアロゾル発生物品40は、誘導加熱エアロゾル発生装置で使用するように構成されている。物品40は、液体不透過性材料で作製された剛直な物品ハウジング43を備える。ブッシング44とともに、物品ハウジング43は、エアロゾル形成液体51を含有する液体貯蔵部41を形成する。ブッシング44は、液体貯蔵部41の出口を形成するリング形状の開口部を備える。物品40は、図1図3に示すサセプタ組立品10に実質的に対応する、液体搬送サセプタ組立品10をさらに備える。中空円筒状サセプタ組立品10は、液体貯蔵部41内に部分的に配設されるように、かつ物品ハウジング43と、液体貯蔵部41に隣接するブッシング44とによって形成されている気化空洞45内に部分的に配設されるように、ブッシング44内のリング形状の開口部を通過する。このため、サセプタ組立品10は、液体貯蔵部41から出口を通して、液体貯蔵部41の外側の領域の中に、すなわち気化空洞45の中にエアロゾル形成液体51を送達する能力を有する。搬送された液体51はそこで、気化空洞45内に配設されているフィラメント束18の一部を誘導加熱することによって気化されてもよい。その結果、グリッド部分11を含む、かつエアロゾル形成液体51の中に浸されるように液体貯蔵部41内に配設されているフィラメント束18のその部分は、浸漬セクション16として作用する。浸漬セクション16の長さは有利なことに、浸漬される、かつ液体貯蔵部41から気化空洞45の中に搬送されるエアロゾル形成液体の量を制御するために使用されてもよい。本実施形態において、浸漬セクション16は、フィラメント束18の全長の約60%の長さを有する。
【0128】
同様に、非グリッド部分12の一部である、かつ気化空洞45内に配設されているサセプタ組立品のその部分は、図1に関して前述の通りの交番磁場に曝露される時、少なくとも部分的に加熱セクション17として作用する。
【0129】
図8でさらに分かる通り、物品40は、物品ハウジング43を通って気化空洞45の中に至る空気吸込み口46を備え、空気が気化空洞45の中に入ることを可能にする。空気吸込み口46は、サセプタ組立品10の加熱セクション16にて、またはその周囲で気流を提供するように構成されてもよい。空気吸込み口46は、貯蔵部本体を通る穴であってもよい。同様に、空気吸込み口46は、気流をサセプタ組立品10での特定の標的場所に方向付けるように構成されているノズルであってもよい。加えて、物品41は、気化空洞45の近位端部分を形成するマウスピース47を備える。マウスピース47は、その一番端に空気出口48を含むテーパー付き形状を有し、それ故にユーザーが物品からエアロゾルを直接吸入することを可能にする。マウスピースはフィルター(図示せず)を備えることが好ましい。よって、ユーザーが吸煙する時、加熱セクション17から気化したエアロゾル形成液体は、マウスピース47内の空気出口48を通して外に引き出されてもよいエアロゾルを形成するように、空気吸込み口46を通して気化空洞45に入った気流に曝露される。
【0130】
概して、エアロゾル発生物品40は、単回使用のためのエアロゾル発生物品、または複数回使用のためのエアロゾル発生物品であってもよい。後者(複数回使用のためのエアロゾル発生物品)の場合、エアロゾル発生物品40は再充填可能であってもよい。すなわち、液体貯蔵部41は、枯渇後にエアロゾル形成液体51で再充填可能であってもよい。
【0131】
図9は、本発明によるエアロゾル発生システム80の例示的な一実施形態を概略的に図示する。システム80は、誘導加熱エアロゾル発生装置60と、装置60で使用するエアロゾル発生物品40とを備える。本実施形態において、エアロゾル発生物品40は、図8に示す物品に対応する。特に、物品40は、物品40内に含有されたエアロゾル形成液体51を搬送および加熱するためのサセプタ組立品10を備える。エアロゾル発生装置60は、サセプタ組立品10を介してエアロゾル形成液体を誘導加熱することによってエアロゾルを発生するために、物品40と相互作用する能力を有する電気的に作動する装置である。このために、エアロゾル発生装置60は、装置60の近位部分内に装置ハウジング61内に形成された受容空洞62を備える。受容空洞62は、エアロゾル発生物品40の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されている。サセプタ組立品10を加熱するために、エアロゾル発生装置60は、誘導コイル4を含む誘導源を備える。本実施形態において、誘導コイル4は、実質的に均一な交番磁場を発生するように配設されている、かつ構成されている単一のらせん状コイルである。図1で分かる通り、誘導コイル4は、エアロゾル発生物品40が受容空洞62内に受容されている時に、サセプタ組立品10の非グリッド部分の一部分を包囲するように、受容空洞62の近位端部分の周りに配設されている。特に、誘導コイル4は、サセプタ組立品を、特に非グリッド部分を加熱セクション17においてのみ局所的に貫通する交番磁場を発生するように配設されている。対照的に、局所加熱に起因して、フィラメント束18の浸漬セクション16は、気化温度を下回る温度に留まる。それ故に、液体貯蔵部41内のエアロゾル形成液体51の沸騰は防止される。
【0132】
エアロゾル発生装置60の誘導源およびエアロゾル発生物品44のサセプタ組立品10は一緒に、本発明による誘導加熱組立品を形成する。
【0133】
エアロゾル発生装置60は、エアロゾル発生システム80の動作を制御するための、特に加熱動作を制御するためのコントローラ64をさらに備える。
【0134】
さらに、エアロゾル発生装置60は、交番磁場を発生するための電力を提供する電源63を備える。電源63は、リン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。電源63は、一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。
【0135】
コントローラ64と電源63の両方は、エアロゾル発生装置60の遠位部分内に配設されている。
【0136】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字AはA±5パーセントとして理解される。この文脈内で、数字Aは、数字Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字Aは、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、Aが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】