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特表2023-525372医療診断および医療診断システムに関する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】医療診断および医療診断システムに関する方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
G01T1/161 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569456
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 IB2021054109
(87)【国際公開番号】W WO2021229497
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】2020/02707
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ZA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522443442
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ ヨハネスブルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】コーネル、サイモン ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】クック、マーティン ヌクルレコ ホーガン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、リチャード チャールズ
【テーマコード(参考)】
4C188
【Fターム(参考)】
4C188EE02
4C188FF04
4C188FF07
4C188JJ02
4C188KK09
4C188KK15
4C188KK33
(57)【要約】
この発明は、医療診断に関する方法およびシステムに関する。特に、本発明は、高エネルギー粒子の組織との相互作用を検出するように構成された検出器装置を含む医療診断システムからのデータを処理する方法に関する。該方法は、高エネルギー粒子の組織との相互作用に関連する診断データを受信することを含み、ここで、該診断データは、医療診断システムの検出器装置によって検出される、該高エネルギー粒子および該組織の相互作用の結果として生成される。該方法はさらに、医療診断を容易にするおよび/または支援するために、受信した診断データを訓練された機械ベースの分類器で処理することを含み、ここで、該訓練された機械ベースの分類器は、少なくとも、医療診断システムのデジタルツインによって生成されたデジタル診断データで訓練されており、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギー粒子の組織との相互作用を検出するように構成された適切な検出器装置を少なくとも含む医療診断システムからのデータを処理する方法であって、該方法が:
高エネルギー粒子の組織との相互作用に関連する診断データを受信することを含み、ここで、該診断データは、該医療診断システムの該検出器装置によって検出される、該高エネルギー粒子および該組織の相互作用の結果として生成され;かつ
医療診断を容易にするおよび/または支援するために、受信した該診断データを訓練された機械ベースの分類器で処理することを含み、ここで、該訓練された機械ベースの分類器は、少なくとも、該医療診断システムのデジタルツインによって生成されたデジタル診断データで訓練されており、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションである、
方法。
【請求項2】
医療診断を容易にするおよび/または支援する工程が、組織中の関心のある物質/複数の物質および/または領域/複数の領域を識別することを含み、ここで、該識別することに基づいて、適切な診断が決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
デジタルツインが、現実世界の医療診断システムにおける高エネルギー粒子および組織の相互作用の結果として生成される診断データを近似するデジタル診断データを出力するように構成されている、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
受信した診断データが医療診断システムによって生成され、該医療診断システムが現実世界の医療診断システムである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
デジタルツインが、デジタル診断データを生成するために、検出器装置により高エネルギー粒子の組織/複数の組織との相互作用の検出をシミュレートするように構成されている、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
デジタルツインが、組織中の放射線源または該組織と相互作用する外部から適用される放射線源からの放射線をシミュレートするように構成されており;該放射線のヒトまたは動物の該組織との相互作用をシミュレートし;デジタル診断データを取得するために、前記放射線源に関連する高エネルギー粒子および該検出器装置の相互作用をシミュレートする、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
デジタルツインが、検出器装置に提示し得る、複数のデジタルバージョンの組織および/またはヒト若しくは動物の、健康なおよび病気の両方の患者をデジタル的に構築するように構成されている、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
方法が:
その中に望ましくない物質を有するまたは有しない組織の病状の兆候を有する組織に関連する実験診断データを受信すること;
その中に望ましくない物質を有するまたは有しない組織の病状の定量的および定性的な側面の一方または両方に対応する実験診断データを受信すること;かつ
上記の受信した該実験診断データの一方または両方を使用して、デジタルツインによって生成されたデジタル診断データを、それを該実験診断データに対してベンチマークすることによって検証すること
の前工程を含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
望ましくない物質が、癌細胞、異常組織、死細胞、および膿の1つまたは複数である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
方法が:
デジタルツインのパラメータを変化させ、変化したパラメータのシミュレーションに対応するデジタル診断データを訓練および検証データセットとしてとらえること;
機械ベースの分類器を該訓練データセットで訓練すること;かつ
該訓練された機械ベースの分類器の性能を該検証データセットで検証すること
を含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
方法が、訓練された機械ベースの学習分類器の重みおよびアーキテクチャをメモリ記憶装置中に記憶することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
方法が:
組織に高エネルギー粒子または高エネルギー線を照射すること;
照射されている組織によって放出される所定のエネルギーレベルの粒子を検出すること;かつ
前記粒子の検出に基づいて診断データを生成すること
を含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
高エネルギー粒子が、光子、電子、または陽電子である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
診断データが、検出器装置上へのガンマ線の衝突/ヒットを示すデータ、応答線(LoR)、4D投影、3D画像、および画像特徴を含む群から選択され、デジタル診断データが、該診断データにマッチされる、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
検出器装置上へのガンマ線の衝突/ヒットを示すデータが、検出器装置からの生の出力信号である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
方法が、診断データを前処理して、訓練された機械ベースの学習分類器で処理する前に、そのデータ抽象化レベルを増加させおよび/またはその品質を改善することを含む、請求項14または15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
診断データが、再構築された3D画像/複数の画像の形態であり、受信した該診断データの訓練された機械ベースの学習分類器での処理が、3D画像/複数の画像のブロックを、オーバーラップ様式で、該訓練された機械ベースの学習分類器で処理することを含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
受信した診断データが、再構築された3D画像を含み、方法が、該再構築された3D画像における不規則性および/または欠陥を修正することを含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
方法が、受信したデジタル診断データをデジタル診断データで処理して、画像再構築を決定論的または反復技術で改善することを含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
方法が、受信した診断データをデジタル診断データで処理して、該受信した診断データを該デジタル診断データと比較し、該受信した診断データに関連する断層撮影画像/複数の画像を生成するために使用される断層撮影アルゴリズムに関連するパラメータを修飾することによって、該受信した診断データから生成された、またはその中に含有される該断層撮影画像/複数の画像の品質を改善することを含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
方法が:
a.デジタルツインを使用して、デジタル診断データを生成することを含み;
b.生成された該デジタル診断データからデジタル画像/複数の画像を生成することを含み、ここで、生成された該画像/複数の画像は、断層撮影アルゴリズムにより生成された再構築画像であり;
c.生成された該デジタル画像/複数の画像を該デジタルツインと比較して、それにより、該デジタル画像の精度を決定することを含み;かつ
d.該断層撮影アルゴリズムを最適化するために、比較工程c.に基づいて生成工程b.のために使用される該断層撮影アルゴリズムのパラメータを変更することを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
医療診断システム:
メモリ記憶装置;並びに
高エネルギー粒子の組織との相互作用に関連する診断データを受信し、ここで、該診断データは、該医療診断システムの検出器装置によって検出される、該高エネルギー粒子および該組織の相互作用の結果として生成され;かつ
医療診断を容易にするおよび/または支援するために、受信した該診断データを訓練された機械ベースの分類器で処理し、ここで、該訓練された機械ベースの分類器は、少なくとも、該医療診断システムのデジタルツインによって生成されたデジタル診断データで訓練されており、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションである:
ように構成された1つまたは複数のプロセッサ。
【請求項23】
1つまたは複数のプロセッサが、組織中の関心のある物質/複数の物質および/または領域/複数の領域を識別することによって、医療診断を容易にするおよび/または支援するように構成されており、該識別することに基づいて、適切な診断が決定される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
デジタルツインが、現実世界の医療診断システムにおける高エネルギー粒子および組織の相互作用の結果として生成される診断データを近似するデジタル診断データを出力するように構成されている、請求項22または23に記載のシステム。
【請求項25】
受信した診断データが医療診断システムによって生成され、該医療診断システムが現実世界の医療診断システムである、請求項22から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
デジタルツインが、デジタル診断データを生成するために、検出器装置により高エネルギー粒子の組織/複数の組織との相互作用の検出をシミュレートするように構成されている、請求項22から25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
デジタルツインが、組織中の放射線源または該組織と相互作用する外部から適用される放射線源からの放射線をシミュレートするように構成されており;該放射線のヒトまたは動物の該組織との相互作用をシミュレートし;デジタル診断データを取得するために、前記放射線源に関連する高エネルギー粒子および該検出器装置の相互作用をシミュレートする、請求項22から26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
デジタルツインが、検出器装置に提示し得る、複数のデジタルバージョンの組織および/またはヒト若しくは動物の、健康なおよび病気の両方の患者をデジタル的に構築するように構成されている、請求項22から27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
請求項22から28のいずれか一項に記載のシステムであって、訓練された機械ベースの学習分類器の重みおよびアーキテクチャをメモリ記憶装置中に記憶することを含む、システム。
【請求項30】
照射されている組織によって放出される所定のエネルギーレベルの粒子を検出するように構成された検出器装置;および
前記粒子の検出に基づいて診断データを生成する
を含む、請求項22から29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
高エネルギー粒子が、光子、電子、または陽電子である、請求項22から30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
診断データが、検出器装置上へのガンマ線の衝突/ヒットを示すデータ、応答線(LoR)、4D投影、3D画像、および画像特徴を含む群から選択され、デジタル診断データが、該診断データにマッチされる、請求項22から31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
検出器装置上へのガンマ線の衝突/ヒットを示すデータが、検出器装置からの生の出力信号である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
1つまたは複数のプロセッサが、診断データを前処理して、訓練された機械ベースの学習分類器で処理する前に、そのデータ抽象化レベルを増加させおよび/またはその品質を改善するように構成されている、請求項32または33のいずれかに記載のシステム。
【請求項35】
診断データが、再構築された3D画像/複数の画像の形態であり、1つまたは複数のプロセッサが、受信した該診断データを、3D画像/複数の画像のブロックを、オーバーラップ様式で、訓練された機械ベースの学習分類器で処理することにより、該訓練された機械ベースの学習分類器で処理するように構成されている、請求項22から34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
受信した診断データが、再構築された3D画像を含み、1つまたは複数のプロセッサが、該再構築された3D画像における不規則性および/または欠陥を修正するように構成されている、請求項22から35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
1つまたは複数のプロセッサが、受信したデジタル診断データをデジタル診断データで処理して、画像再構築を決定論的または反復技術で改善するように構成されている、請求項22から36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
1つまたは複数のプロセッサが:
a.デジタルツインを使用して、デジタル診断データを生成し;
b.生成された該デジタル診断データからデジタル画像/複数の画像を生成し、ここで、生成された該画像/複数の画像は、断層撮影アルゴリズムにより生成された再構築画像であり;
c.生成された該デジタル画像/複数の画像を該デジタルツインと比較して、それにより、該デジタル画像の精度を決定し;かつ
d.該断層撮影アルゴリズムを最適化するために、比較工程c.に基づいて生成工程b.のために使用される該断層撮影アルゴリズムのパラメータを変更する
ように構成されている、請求項22から37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
システムが医療診断システムの一部を形成する、請求項22から38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
高エネルギー粒子の組織との相互作用を検出するように構成された適切な検出器装置を少なくとも含む医療診断システムからのデータを処理する方法であって、該方法が:
高エネルギー粒子の組織との相互作用に関連する診断データを受信することを含み、ここで、該診断データは、該医療診断システムの該検出器装置によって検出される、該高エネルギー粒子および該組織の相互作用の結果として生成され;かつ
受信した該診断データを、該医療診断システムのデジタルツインによって生成されたデジタル診断データで最適化された断層撮影再構築アルゴリズムで処理することを含み、ここで、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションである、
方法。
【請求項41】
方法が:
a.デジタルツインを使用して、デジタル診断データを生成することを含み;
b.生成された該デジタル診断データからデジタル画像/複数の画像を生成することを含み、ここで、生成された該画像/複数の画像は、断層撮影アルゴリズムにより生成された再構築画像であり;
c.生成された該デジタル画像/複数の画像を該デジタルツインと比較して、それにより、該デジタル画像の精度を決定することを含み;かつ
d.該断層撮影アルゴリズムを最適化するために、比較工程c.に基づいて生成工程b.のために使用される該断層撮影アルゴリズムのパラメータを変更することを含む、
請求項41に記載の方法。
【請求項42】
システムが:
メモリ記憶装置;並びに
高エネルギー粒子の組織との相互作用に関連する診断データを受信し、ここで、該診断データは、現実世界の医療診断システムの検出器装置によって検出される、該高エネルギー粒子および該組織の相互作用の結果として生成され;かつ
受信した該診断データを、該医療診断システムのデジタルツインによって生成されたデジタル診断データで最適化された断層撮影再構築アルゴリズムで処理し、ここで、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションである
ように構成された1つまたは複数のプロセッサ
を含む、医療診断システム。
【請求項43】
1つまたは複数のプロセッサが:
a.デジタルツインを使用して、デジタル診断データを生成し;
b.生成された該デジタル診断データからデジタル画像/複数の画像を生成し、ここで、生成された該画像/複数の画像は、断層撮影アルゴリズムにより生成された再構築画像であり;
c.生成された該デジタル画像/複数の画像を該デジタルツインと比較して、それにより、該デジタル画像の精度を決定し;かつ
d.該断層撮影アルゴリズムを最適化するために、比較工程c.に基づいて生成工程b.のために使用される該断層撮影アルゴリズムのパラメータを変更する
ように構成されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
より多くのプロセッサの1つによって実行するときに、それに請求項1または40に記載の方法を実施させる、一連の非一時的なコンピュータ実行可能命令を記憶する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、医療診断に関する方法およびシステムに関する。特に、ヒトまたは動物の医療診断において容易にするおよび/または支援する方法、医療診断システムを操作する方法、医療診断システムからのデータを処理する方法、および医療診断システムに。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
特定の形態の診断医術は、生体組織、例えばヒトの体またはその一部を、陽電子放出断層撮影(PET)についての場合であるように体の中に導入された放射性核種/放射性トレーサーを介して内部的に、またはX線ラジオグラフィーまたはコンピュータ断層撮影(CT)の場合におけるように体をX線放射に露出することによって外部的にのいずれかで、放射線に曝露することを含む。これらの技術は、適切な検出器装置を使用して、ヒト組織、例えば、臓器組織の、放射線が該組織を通して貫通するおよび伝播するときの光子および/または電子などの高エネルギー粒子との、結果として生じる相互作用を検出する。放射線-組織相互作用は、放射線の吸収および/または散乱のいずれかである。検出器装置からの検出された相互作用からの生データは、一般にヒトにとって無意味であり、そのため、それは、画像を解釈するように訓練された医療専門家による検査に適した前記画像を生成しおよび/または組み立てるために処理される。従って、これらの技術は、口語的に医用画像技術として呼ばれる。
【0003】
これらの画像技術によって生成される画像のいくつかのよく知られているが網羅的ではない例は、二次元のX線画像またはCT/CAT(コンピュータ支援断層撮影)スキャン画像での場合であるような一連のX線投影写真に基づく三次元断層撮影データセットであろう。上述の技術によって生成される画像の他の例は、PETに基づく三次元断層撮影データセットを含む。
【0004】
CATスキャンの場合においては、放射線-組織相互作用は、画像形成プロセスのおよびまた画像劣化プロセスの基礎である。PETスキャンの場合においては、放射線源は、内部であり、異なる三次元濃度分布を有する。ここで、画像化プロセスは、線源の三次元濃度分布の再構築に適用される。放射線-組織相互作用は、画像の劣化にのみつながる。光源の発光特性、検出器の効率および下流の信号処理もまた、画像の劣化につながる。
【0005】
従って、高忠実度の画像再構築が、画像形成プロセス全体の統計および体系について大幅な修正を必要とすることは、明らかである。
【0006】
さらに、前述の医用画像技術によって生成された画像およびデータを解釈するように訓練された医療専門家の不足のため、患者を診断することにおいて少なくともいくらかの支援を有することが望ましい。この問題は、リソースおよび医療専門家が特に、プレッシャー下にあり支援を歓迎するであろうパンデミックの期間中に悪化する。
【0007】
本明細書において記載する本発明は、少なくとも上述の問題に対処しようとする。しかしながら、当業者には、本明細書において開示する本発明によって対処される他の問題が本明細書において含有される開示から明らかであろうことが明らかであろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、医療診断システムからの診断データに基づいて、ヒトまたは動物の医療診断において容易にするおよび/または支援する方法が提供され、ここで、該方法は、該医療診断システムのデジタルツインを生成することを含み、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションであり、該医療診断システムにおいて高エネルギー粒子および組織の相互作用の結果として生成された診断データを近似するデジタル診断データを出力するように構成されている。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、高エネルギー粒子の組織との相互作用を検出するように構成されている適切な検出器装置を少なくとも含む医療診断システムを操作する方法が提供され、ここで、該方法は、該医療診断システムのデジタルツインを提供することを含み、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションであり、該医療診断システムにおいて該高エネルギー粒子および組織の相互作用の結果として該医療診断システムによって生成された診断データを近似するデジタル診断データを出力するように構成されている。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、高エネルギー粒子の組織との相互作用を検出するように構成された適切な検出器装置を少なくとも含む医療診断システムからのデータを処理する方法であって、該方法が:
高エネルギー粒子の組織との相互作用に関連する診断データを受信することを含み、ここで、該診断データは、該医療診断システムの該検出器装置によって検出される、該高エネルギー粒子および該組織の相互作用の結果として生成され;かつ
受信した該診断データを、該医療診断システムのデジタルツインによって生成されたデジタル診断データで処理することを含み、ここで、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションである、
方法が提供される。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、高エネルギー粒子の組織との相互作用を検出するように構成された適切な検出器装置を少なくとも含む医療診断システムからのデータを処理する方法であって、該方法が:
高エネルギー粒子の組織との相互作用に関連する診断データを受信することを含み、ここで、該診断データは、該医療診断システムの該検出器装置によって検出される、該高エネルギー粒子および該組織の相互作用の結果として生成され;かつ
医療診断を容易にするおよび/または支援するために、受信した該診断データを訓練された機械ベースの分類器で処理することを含み、ここで、該訓練された機械ベースの分類器は、少なくとも、該医療診断システムのデジタルツインによって生成されたデジタル診断データで訓練されており、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションである、
方法が提供される。
【0012】
本発明の第5の態様によれば、医療診断システムであって、該システムが:
メモリ記憶装置;並びに
高エネルギー粒子の組織との相互作用を検出するように構成された適切な検出器装置を少なくとも含む現実世界の医療診断システムのデジタルツインを生成し、ここで、該デジタルツインは、該現実世界の医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションであり、該現実世界の医療診断システムにおける該高エネルギー粒子および組織の相互作用の結果として生成された診断データを近似するデジタル診断データを出力するように構成されている:
ように構成された1つまたは複数のプロセッサ
を含む、システムが提供される。
【0013】
本発明の第6の態様によれば、医療診断システムであって、該システムが:
メモリ記憶装置;並びに
高エネルギー粒子の組織との相互作用を検出するように構成された適切な検出器装置を少なくとも含む現実世界の医療診断システムのデジタルツインを提供し、ここで、該デジタルツインは、該現実世界の医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションであり、該現実世界の医療診断システムにおける該高エネルギー粒子および組織の相互作用の結果として生成された診断データを近似するデジタル診断データを出力するように構成されている:
ように構成された1つまたは複数のプロセッサ
を含む、システムが提供される。
【0014】
本発明の第7の態様によれば、医療診断システムであって、該システムが:
メモリ記憶装置;並びに
高エネルギー粒子の組織との相互作用に関連する診断データを受信し、ここで、該診断データは、現実世界の医療診断システムの検出器装置によって検出される、該高エネルギー粒子および該組織の相互作用の結果として生成され;かつ
受信した該診断データを、該医療診断システムのデジタルツインによって生成されたデジタル診断データで処理し、ここで、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションである:
ように構成された1つまたは複数のプロセッサ
を含む、システムが提供される。
【0015】
本発明の第8の態様によれば、医療診断システム:
メモリ記憶装置;並びに
高エネルギー粒子の組織との相互作用に関連する診断データを受信し、ここで、該診断データは、該医療診断システムの検出器装置によって検出される、該高エネルギー粒子および該組織の相互作用の結果として生成され;かつ
医療診断を容易にするおよび/または支援するために、受信した該診断データを訓練された機械ベースの分類器で処理し、ここで、該訓練された機械ベースの分類器は、少なくとも、該医療診断システムのデジタルツインによって生成されたデジタル診断データで訓練されており、該デジタルツインは、該医療診断システムの少なくとも一部のコンピュータ実装シミュレーションである:
ように構成された1つまたは複数のプロセッサ
が提供される。
【0016】
本発明の第9の態様によれば、より多くのプロセッサの1つによって実行するときに、それに本明細書において記載する方法のいずれかを実施させる、一連の非一時的なコンピュータ実行可能命令を記憶する、非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【0017】
上述した本発明の異なる態様のいくつかの特徴を、以下に説明する。以下の特徴は、上述の態様のそれぞれに必要な変更を加えて適用し得ることが、認識されるであろう。
【0018】
診断を容易にすることおよび/または支援することは、組織中の関心のある物質/複数の物質および/または領域/複数の領域を識別することを含み得る。識別に基づいて、適切な診断を、推測しまたは決定し得る。
【0019】
デジタルツインは、現実世界の医療診断システムにおける高エネルギー粒子および組織の相互作用の結果として生成された診断データを近似するデジタル診断データを出力するように構成されていることが、認識されるであろう。組織は、生きた組織であり得る。
【0020】
該方法は、受信した診断データを、デジタル診断データを使用することによって該デジタル診断データで処理して、画像再構築を改善することを含み得る。代わりに、またはさらに、該方法は、受信した診断データを、デジタル診断データを使用することによって該デジタル診断データで処理して、医療診断において容易にするおよび/または支援するために機械ベースの分類器を訓練することを含み得る。同様に、該システム、特に該1つまたは複数のプロセッサは、受信した診断データを、デジタル診断データを使用することによって該デジタル診断データで処理して、画像再構築を改善するように構成し得る。代わりに、またはさらに、該1つまたは複数のプロセッサは、受信した診断データを、デジタル診断データを使用することによって該デジタル診断データで処理して、医療診断において容易にするおよび/または支援するために機械ベースの分類器を訓練するように構成し得る。
【0021】
該方法は、受信した診断データを、デジタル診断データを使用することによって該デジタル診断データで処理して、該受信した診断データを該デジタルデータと比較し、画像再構築プロセスまたはアルゴリズムに関連するパラメータを修飾することによって、該画像再構築を改善することを含み得る。同様に、該1つまたは複数のプロセッサは、受信した診断データを、デジタル診断データを使用することによって該デジタル診断データで処理して、画像再構築を、該受信した診断データを該デジタルデータと比較し、該受信した診断データに達するために、該画像再構築プロセスまたはアルゴリズムに関連するパラメータを修飾することによって、改善することを含み得る。受信したおよびデジタル診断データは、再構築された画像の形態であり得ることが、認識されるであろう。しかしながら、同様のアプローチを、より低いレベルのデータ抽象化とともに使用し得る。断層撮影アルゴリズムは、断層撮影画像再構築アルゴリズムであり得る。これは、従来のアルゴリズムであり得る。
【0022】
この点について、該方法は:
a.デジタルツインを使用して、デジタル診断データを生成することを含み;
b.生成された該デジタル診断データからデジタル画像/複数の画像を生成することを含み、ここで、生成された該画像/複数の画像は、断層撮影アルゴリズムにより生成された再構築画像であり;
c.生成された該デジタル画像/複数の画像を該デジタルツインと比較して、それにより、該デジタル画像の精度を決定することを含み;かつ
d.断層撮影アルゴリズムを最適化するために、比較工程c.に基づいて生成工程b.のために使用される該断層撮影アルゴリズムのパラメータを変更することを含み得る。
【0023】
従って、該1つまたは複数のプロセッサは:
a.デジタルツインを使用して、デジタル診断データを生成し;
b.生成された該デジタル診断データからデジタル画像/複数の画像を生成し、ここで、生成された該画像/複数の画像は、断層撮影アルゴリズムにより生成された再構築画像であり;
c.生成された該デジタル画像/複数の画像を該デジタルツインと比較して、それにより、該デジタル画像の精度を決定し;かつ
d.断層撮影アルゴリズムを最適化するために、比較工程c.に基づいて生成工程b.のために使用される該断層撮影アルゴリズムのパラメータを変更する
ように構成し得る。
【0024】
本明細書におけるデジタルツインは、例えば、所定のサイズの腫瘍を有する患者であり得る。
【0025】
該方法は、デジタルツインのパラメータを変化させて、複数の異なるデジタルツインを作り出し;該複数のデジタルツインのそれぞれ上に工程a.からd.を実施してそれにより、断層撮影アルゴリズムを最適化することを含み得る。
【0026】
変更するパラメータは、再構築を実施するために使用されている技術に依存し得ることが、当業者によって理解されるであろう。技術に依存して、断層撮影アルゴリズムを最適化するために変化させるパラメータおよび/または決定は:
-角度および位置の観点から事象を分類する(bin)ために使用する技術/複数の技術、
-各方向および/または角度の自由度で使用するビンの数
-反復アルゴリズムについて使用する反復の数、
-どの閾値をデータ上に適用すべきか。
-どれだけ多くのスムージングを適用すべきか
-事象のどのバッチを考慮すべきか
-事象のバッチのどの順序を考慮すべきか
を含む群から選択し得る。
【0027】
さらに、デジタルツインのパラメータを、数値アルゴリズムレベル、物理コンテンツレベル、および形状(geometry)/物質レベルの1つまたは複数で変更させて、本明細書において企図する断層撮影アルゴリズムのパラメータの最適化を容易にし得る。これらは、数値アルゴリズムのパラメータであり得る。
【0028】
デジタル診断データは、医療診断システムにおける高エネルギー粒子および組織の相互作用の結果としての診断データを近似し得る。診断データは、医療診断システムによって生成し得る。例えば、診断データは、検出器装置によって生成し得る。しかしながら、本明細書において論じる抽象化レベルに依存して、診断データは、検出器装置からの生の信号データ並びに/または該検出器装置からの生の信号データから生成したおよび/若しくは該データに関連する断層撮影画像であると理解し得る。この点について、診断データは、検出器装置からの事象の検出に関連していると言い得る。事象は、所定のエネルギーレベルの粒子の検出であり得る。
【0029】
1つの例示的な実施態様においては、デジタルツインは、検査中のヒトまたは動物の組織または構成要素内の病状をシミュレートするように構成し得る。特に、デジタルツインは、高エネルギー粒子の組織との相互作用をシミュレートし、デジタル診断データを生成するように構成し得る。デジタルツインは、医療診断システムの検出器装置によって検出される、高エネルギー粒子の組織との相互作用をシミュレートするように構成し得る。換言すると、デジタルツインは、デジタル診断データを生成するために、検出器装置により、高エネルギー粒子の組織との相互作用の検出をシミュレートするように構成し得る。
【0030】
デジタルツインは、現実世界の医療診断システムの物理プロセスを詳細に、さらには微視的な詳細まで考慮し得ることが、理解されるであろう。
【0031】
デジタルツインは、高エネルギー粒子の源の産生をデジタル的にシミュレートするまたはモデル化するように構成し得る。例えば、デジタルツインは、X線源または放射線写真またはコンピュータ支援断層撮影(CAT)スキャンまたは電子放出断層撮影(PET)スキャン用のPET源をシミュレートするまたはモデル化するように構成し得る。CATスキャンは、画像形成のための吸収ベースのコントラストまたは位相ベースのコントラストであり得る。上述のように、デジタルツインは、組織中の放射線源または該組織と相互作用する外部から適用される放射線源からの放射線をシミュレートするまたはモデル化するように構成し得る。
【0032】
デジタルツインは、放射線のヒトまたは動物の組織との相互作用、および次いで該放射線の検出器装置との相互作用をモデル化するまたはシミュレートするように構成し得る。これは、事象ごとベースで、または全体ベースであり得る。
【0033】
デジタルツインは、エネルギー検出、パルス時間推定、検出器デッドタイム、パルスパイルアップ、信号増幅、処理遅延、一致タイミング、電子ノイズの導入、特定の回路部品の特徴的な動作等を含む、検出器装置内の信号の電子処理を詳細に考慮し得る。
【0034】
ヒトまたは動物の組織のシミュレーションまたはモデル化は、画像の分析に基づく診断または分類の目的で、特定の疾患の正確な表現を含み得る。疾患の存在は、既知の方法で組織を変化させ、デジタルツインは、これをモデル化するまたはシミュレートするように構成し得る。デジタルツインは、特定の疾患によって変化した組織の機能または形態をモデル化するまたはシミュレートするように構成し得、ここで、該デジタルツインは、いずれかの場合をシミュレートするまたはモデル化するように構成されている。
【0035】
デジタルツインは、シミュレートされたまたはモデル化された疾患の形態に依存して、放射線(PET源または適用された)の組織(形態または機能)との相互作用を健康なまたは病気としてシミュレートするまたはモデル化するように構成し得る。デジタルツインは従って、正常なまたは病気の組織に関連するものとして、最終画像における差を生成するように構成し得る。デジタルツインは、医療診断システムに提示し得る、複数のデジタルバージョンの、健康な患者および疾患にかかっている患者の両方を、デジタル的に構築し得る。例えば、臓器の寸法、性別、年齢、内部構造および配置、並びに患者の他の特徴は、さまざまであろう。デジタルツインは、本明細書において記載する、多数のデジタルバージョンの患者を生成するように構成し得る。デジタルツインは、疾患の異なる段階をシミュレートするまたはモデル化するように構成し得る。
【0036】
いくつかの例示的な実施態様においては、デジタルツインは、併存疾患についての異なる共存する医学的状態をシミュレートするまたはモデル化するように構成し得る。このようにして、デジタルツインは、さまざまな役割についての訓練データセットを提供するように構成し得る。これらは、体系的なアルゴリズムを介したおよびまた機械学習または人工知能アルゴリズムによる、画像の改善された再構築を開発することにおける役割を含み得、それはまた、画像の分類における機械学習または人工知能アルゴリズムを訓練するために、最終的には、これらのアルゴリズムの画像の分析への適用に基づく正しい医療診断のための訓練に使用し得る。
【0037】
デジタルツインは、医療診断システムにおける放射線源をシミュレートするように構成し得る。この目的のために、シミュレートされる放射線源は、組織内または組織外からであり得る。
【0038】
高エネルギー粒子は、光子、電子、陽電子等であり得る。高エネルギー粒子は、放射線源に関連し得る。放射線源は、X線若しくはガンマ線源、または陽電子源であり得る。画像化は、放射線撮影、および断層撮影の1つまたは複数であり得る。放射線撮影は、吸収コントラストまたは位相コントラストであり得る。この点について、本発明は、高エネルギー粒子または放射線が、調査中の物質の機能または形態の定量的画像を構築する目的で、線源によって生み出され、調査中の物質と相互作用し、次いで検出器によって検出される、全てのシナリオを考慮する。
【0039】
デジタルツインは、シミュレートされる対象から放出された光子の減衰および散乱をシミュレートするように構成し得る。
【0040】
組織は、ヒトおよび/または動物の組織であり得る。組織は、臓器組織を含み得、その中に位置する望ましくない物質を含有してもしなくてもよい。望ましくない物質は、癌細胞、異常組織、死細胞、膿等であり得る。
【0041】
該方法は:
その中に望ましくない物質を有するまたは有しない組織の病状の兆候を有する組織からの実験診断データを受信すること;
その中に望ましくない物質を有するまたは有しない組織の病状の定量的なおよび定性的な側面の一方または両方に対応する実験診断データを受信すること;かつ
上記の受信した該実験診断データの1つまたは両方を使用して、デジタルツインによって生成されたシミュレーションを、それを該実験診断データに対してベンチマークすることによって検証すること
の前工程を含み得る。
【0042】
該方法は:
組織に高エネルギー粒子または高エネルギー線を照射すること;かつ
照射されている組織によって放出された所定のエネルギーレベルの粒子を検出し、前記粒子の検出に基づいて診断データを生成すること
を含み得る。
【0043】
訓練された機械ベースの学習分類器を使用して、診断または病状を提供しまたは確認し得ることが、理解されるであろう。訓練された機械ベースの学習分類器の生成は、該分類器の適切なアーキテクチャおよび重み付けを決定することを含み得る。デジタル診断データは、デジタルツインのパラメータを変化させ、少なくとも、それに対応するデジタル診断データをとらえることによって生成し得る。デジタルツインのさまざまなパラメータを示すデータは、メモリ記憶装置内で、対応する、結果として生じるデジタル診断データとリンクし得る。
【0044】
該方法は、デジタル診断データの少なくとも一部を使用して、訓練された機械ベースの学習分類器の性能を検証することを含み得る。該方法は、訓練された機械ベースの学習分類器の重みおよびアーキテクチャをメモリ記憶装置中に記憶することを含み得る。重みおよびアーキテクチャは、本明細書において説明するシステムのメモリ記憶装置中に記憶し得る。
【0045】
機械ベースの学習分類器は、畳み込みニューラルネットワークの形態であり得る。しかしながら、分類器は、他の機械ベースの学習分類器、例えば、本明細書において述べるものであり得ることが、留意されるべきである。さらに、これらの分類器は、教師あり、弱教師あり、および教師なしの機械学習ベースの分類器であり得る。
【0046】
診断データは、検出器装置からの出力信号に関連する高および低データ抽象化レベルを含む群から選択し得、ここで、デジタル診断データは、該診断データにマッチさせる。最低のデータ抽象化レベルは、検出器装置からの生の出力信号であり得る。最高のデータ抽象化レベルは、事実上検出器装置からの生の出力信号に基づいている1つまたは複数の介在するデータ抽象化レベルに基づく再構築された3D画像であり得る。好ましい例示的な実施態様においては、生データは、それを要約してその次元を低下させるように半処理し得る。または、場合によっては、そうでない場合もある。
【0047】
該方法は、検出器装置からの生の出力信号を受信すること、並びに診断データおよびコンピュータでシミュレートされた訓練データとして使用される、1つまたは複数のより高いデータ抽象化レベルのデータを生成することを含み得る。従って、1つまたは複数のプロセッサは、検出器装置から生の出力信号を受信し、診断データとして使用される1つまたは複数のより高いデータ抽象化レベルのデータを生成するように構成し得る。
【0048】
該方法は、訓練された機械ベースの学習分類器で処理する前に、生成された1つまたは複数のより高いデータ抽象化レベルのデータを前処理して、その品質を改善することを含み得る。該方法は、照射された対象から放出された光子の減衰および散乱を考慮する、より低いデータ抽象化レベルに基づいて、再構築された3D画像を生成することを含む。同様に、1つまたは複数のプロセッサは、訓練された機械ベースの学習分類器で処理する前に、生成された1つまたは複数のより高いデータ抽象化レベルのデータを前処理して、その品質を改善するように構成し得る。
【0049】
診断データは、再構築された3D画像であり得、ここで、受信した該診断データの訓練された機械ベースの学習分類器での処理は、3D画像のブロックを、訓練された機械ベースの学習分類器とオーバーラップする様式で処理することを含み得る。この目的のために、少なくとも1つのプロセッサは、照射された対象から放出された光子の減衰および散乱を考慮する、より低いデータ抽象化レベルに基づいて、再構築された3D画像を生成するように構成し得る。さらに、1つまたは複数のプロセッサは、3D画像のブロックを、訓練された機械ベースの学習分類器とオーバーラップする様式で処理するように構成し得る。
【0050】
当業者は、デジタル診断データが、本明細書において記載する診断データを反映し得ることを、理解するであろう。デジタル診断データはすなわち、医療診断システムの検出器装置からのシミュレートされた生の出力データ、該医療診断システムからのシミュレートされた画像、および該医療診断システムからのシミュレートされた再構築画像を含む群から選択し得る。
【0051】
システムは、現実世界の医療診断システムを含むかまたはその一部であり得る。
【0052】
1つの例示的な実施態様においては、受信した診断データをデジタル診断データで処理する工程は、該受信した診断データおよび/または該デジタル診断データを、それらを互いに比較することによって評価することを含み得る。
【0053】
該方法は、画像の劣化を引き起こす体系的なプロセスおよび/または影響を説明することによって画像を改善することを含み得る。体系的なプロセスは、減衰、散乱、システムノイズ、検出器装置の性能における非効率性の空間変動、視差エラー、および検出器装置の性能における他の体系的な影響を含む群からの1つまたは複数であり得る。従来、これらの体系的なプロセスおよび/または影響は、再構築された画像における不正確さにつながる。
【0054】
これについてはさまざまな処理があり、これらの手順は、それらをデジタルツインによって生成されたデジタル診断データに適用することによって磨き得る。これは、それが、これらの手順を試験し得る合成データセットを生成する機会を提供するためである。例えば、さまざまな統計的有意性およびノイズ関連のアーティファクトを有する画像を生成し得、物質およびセットアップを、減衰および散乱などの体系的な影響の処理のためのテストケースを提供するために、変更し得る。
【0055】
放射線の正確な線源がわかっているデジタルツインからのデータを有することは、まず再構築アルゴリズムパラメータの磨きを可能にする:例えば、再構築アルゴリズムにおける可能なパラメータによって作り出されたランドスケープを探索し、再構築された画像がデジタルツインに最もよく一致する、該ランドスケープ中の最適なポイントを見出す、グローバル最適化アルゴリズム、例えば遺伝的アルゴリズムまたはシミュレートされたアニーリングアルゴリズムを使うことができるであろう。次いで、アルゴリズムにおいて同じパラメータを使用して、臨床の設定において患者を再構築した場合、そのときは、結果として生じる画像は、実際の患者の生理に可能な限り近いであろうという確信を有するであろう。
【0056】
さらに、これらのプロセスが類似している特徴的なアーティファクトを生み出す場合、そのときは、ニューラルネットワークは、これらのアーティファクトを認識し、それらを画像から取り除くことを学習し得るであろう。例えば、PETの状況においては、PET画像化用の発信511keV光子が、それらが検出器に到達する前に吸収される可能性が高いため、減衰は、対象内の深くにある領域内の信号の抑制につながる。同様に、周辺上の領域内の信号は、誇張されている。異なる物質および密度を有する複雑な形状については、これを修正するアルゴリズムを作り出すことは困難であるが、ニューラルネットワークは、アーティファクトを有する画像と比較するための正しい画像タイプの大きなデータセットが与えられた場合、それらを取り除くことを学習することができるであろう。
【0057】
該方法は、受信したデジタル診断データをデジタル診断データで処理して、決定論的または反復技術で画像再構築を改善することを含み得る。これは、真実が知られているデジタルツイン上でアルゴリズムを試験し、モデルの性能を評価することができるためである。特定の例は、組織を通したそれらの通過における放射線の吸収および散乱の体系的な影響の処理を試験することであろう。事実上、これは、デジタルツインからのシミュレートされた「真実」を再構築された画像と比較して、再構築の性能を評価し、本明細書において説明するハイパーパラメータを調整する工程を含み得る。さらに、反復再構築を、最適化し得る。これは、決定論的再構築に似ている可能性があるが、ここでは、最尤期待値最大化(MLEM)または順序付きサブセット期待値最大化(OSEM)などの反復再構築技術または同様の技術が、使用される。
【0058】
該方法は、受信したデジタル診断データをデジタル診断データで処理して、画像再構築を機械学習または人工知能技術で改善することを含み得る。これは、真実が知られているデジタルツイン上でアルゴリズムを試験し、モデルの性能を評価することができるためである。それは、画像処理後のアルゴリズムを含み得る。シミュレーションの大きなデータセットを再構築し得、次いで生成系ニューラルネットワークを、次いで再構築された画像を入力として受け取り、変更された画像を出力するように構成し得、再構築された画像とデジタルシミュレーションによって決定された真実との間の差を最小化するような方法で最適化し得る。
【0059】
本明細書において記載するようにしかし別の言い方をすれば、多くの異なる画像再構築技術が存在し得る。各技術は典型的には、結果として生じる画像に影響を及ぼす、調整し得る多くのパラメータを有し得る。従来、これらの性能を評価することは、困難であり得た。定量的評価は、理想化された状況において、非常に単純な対象の再構築の忠実度に依存する。現実世界の状況からの画像の評価は、主観的である。すなわち、任意の所与の特徴が、画像化されている対象の真の特徴、画像化アーティファクト、ノイズ等であるかどうか、および特徴の追加または除去が、画像の忠実度を改善するか劣化させるかどうかを明確に区別することは、可能ではない。
【0060】
また、本明細書において記載するようにしかし別の言い方をすれば、本明細書において開示するデジタルツインは、患者および環境の特徴、放射線の物質との物理的相互作用を含む、現実世界の画像化シナリオを作り直し得る。この点について、電子処理および画像再構築は、画像再構築アルゴリズムの性能を定量的および客観的に評価する可能性を提供し得る。それはまた、自動化されたアルゴリズムが所与の再構築アルゴリズムについてのパラメータ空間をトラバースすることを可能にし、最適化されたパラメータのセットを見出すことを可能にする。それはまた、画像再構築内に機械学習アルゴリズムを組み込むための範囲を増加させる。これらは伝統的に、パターンを学習するための「真実」の情報の不在によって制限されている。しかしながら、本明細書において開示するデジタルツインでは、真実の画像特徴が知られている。
【0061】
さらに、本明細書において暗に示すように、本明細書において説明する方法は、機械学習および人工知能に基づくアルゴリズムを開発することを含み得る。これは、分類または特徴識別を使用する教師あり学習、および根底にある画像パターンまたは特徴グルーピングを探す教師なし学習の両方についてである。特に、該方法は、デジタルツインを使用して、生の画像データおよび追加のラベルのセット(真実のデータ)の両方を生成することを含み得る。上述のように、該方法は、デジタルツインの一部として病状をシミュレートするまたはモデル化すること、次いでニューラルネットワークまたは他の適切な機械学習モデルを訓練して、再構築された画像中の病状を見分けることを含み得る。
【0062】
上述したようにしかし本明細書においては別の言い方をすれば、デジタルツインを使用して、再構築された画像の改善における機械学習および人工知能アルゴリズムを訓練し得る。この使用の場合においては、大きな一式のデジタル診断データが、デジタルツインによって生成される。デジタル診断データにおける変形は、患者のタイプ(性別、サイズ、身体の特性)、患者の好み、環境周辺、放射線量等に従って変化し、デジタルツインによって生成されるデジタル診断データを、可能な限り現実的なスキャン状況を表現するものとすることを目標とする。
【0063】
この点について、デジタルツインは、複数の異なるデジタルツインを含み得、ここで、これらのデジタルツインのそれぞれを次いで使用して、デジタル診断データの1つまたは複数のセットを作り出し得ることが、認識されるであろう。これらのデジタル診断データのセットは、デジタル的にシミュレートされたまたはモデル化された、検出器装置の読み取り値のセットであり得、これらを再構築して、一式の3D断層撮影画像を作り出し得る。生成系ニューラルネットワークは次いで、これらの画像のそれぞれをその入力として受け取り、変更された画像を出力として作り出す。各出力は、元の「真実」の情報、すなわちデジタルツインの正確な既知の身体の特性とどの程度異なるかに従って評価する。ニューラルネットワークは次いで、再構築された画像と真の画像との間の差を最小化するために、そのパラメータを繰り返し訓練する。学習することができると考え得るであろう画像改善は:
1.ノイズ低下
2.典型的な組織のタイプ、特徴および臓器の、識別および改善された再構築
3.選択した画像再構築方法論によって導入された任意の体系的な画像アーティファクトの低下
4.放射線の物質との物理的相互作用、例えば、散乱、PET光子の非共線性、光子の減衰等によって作り出される画像アーティファクトの低下
を含む。
【0064】
デジタルツインに関する限りにおいて要約すると、患者のデジタルツインは、孤立したまたは併存する場合を含む病状の有無にかかわらず、さまざまな体型についての正確な組織組成および内部構造を有する患者を正確にモデル化またはシミュレートし得る。診断システムのデジタルツインを患者のデジタルツインと統合して、高品質の画像を作り出し得る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1図1は、本発明の例示的な実施態様によるシステムの高レベルのブロック図を示す。
図2図2は、一般に、図1のシステムを組み込む、本発明の例示的な実施態様による医療診断および/または画像システムの概略図を示し、ここで:図2(a)は、陽電子放出断層撮影(PET)システム/アセンブリを含み、ここで、図2の該医療診断システムは、PETスキャンを実施するように構成されており;および図2(b)は、コンピュータ支援断層撮影(CAT)システム/アセンブリを含み、ここで、図2の該医療診断システムは、CATスキャンを実施するように構成されている。
図3図3は、使用中の図2の医療診断システムの検出器装置におけるヒト対象の図を示す。
図4図4は、本発明の例示的な実施態様による、診断データのさまざまなレベルの抽象化のブロック図を示す。
図5図5は、本発明の例示的な実施態様による、コンピュータ実装デジタルツインを生成する方法の高レベルのフロー図を示す。
図6図6は、本発明の例示的な実施態様による、断層撮影画像を改善する方法のフロー図を示す。
図7図7は、本発明の例示的な実施態様による、機械ベースの学習分類器を訓練する方法の別の高レベルのブロックフロー図を示す。
図8図8は、本発明の例示的な実施態様による、患者を診断することにおいて容易にするおよび/または支援する方法のブロックフロー図を示す。
図9図9は、機械に、本明細書において論じる方法論の任意の1つまたは複数を実施させるための、一連の命令を実行し得る、コンピュータシステムの例示的な形態における該機械の図式表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図面の詳細な説明
本発明の以下の説明は、本発明を可能にする教示として提供する。関連技術における当業者は、本発明の有益な結果をなお達成しながら、多くの変更を説明する実施態様になし得ることを、認識するであろう。本発明の望ましい利点のいくつかは、他の特徴を利用することなく、本発明の特徴のいくつかを選択することによって達成することができることもまた、明らかであろう。従って、当業者は、本発明に対する修正および適応が可能であり、特定の状況においては望ましくさえあり得、本発明の一部であることを、認識するであろう。すなわち、以下の説明は、本発明の原理を例示するものとして提供し、その限定ではない。
【0067】
句「例えば」、「などの」、およびそれらの変形は、本開示の主題の非限定的な実施態様を説明することが、認識されるであろう。本明細書における「1つの例示的な実施態様」、「別の例示的な実施態様」、「いくつかの例示的な実施態様」、またはそれらの変形への言及は、該実施態様(複数可)に関連して説明する、特定の特徴、構造または特性が、本開示の主題の少なくとも1つの実施態様中に含まれることを意味する。すなわち、「1つの例示的な実施態様」、「別の例示的な実施態様」、「いくつかの例示的な実施態様」、またはそれらの変形の使用は、必ずしも同じ実施態様(複数可)を指すとは限らない。
【0068】
別途述べない限り、明確化の目的で別個の実施態様の文脈において説明している、本明細書において記載する主題のいくつかの特徴は、単一の実施態様において組み合わせても提供し得る。同様に、単一の実施態様の文脈において説明する、本明細書において開示する主題のさまざまな特徴もまた、別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供し得る。
【0069】
本明細書において使用する見出しは、組織的な目的のためのみであり、説明または特許請求の範囲の範囲を限定するために使用することを意図していない。簡潔化のために、単語「し得る」は、強制的な意味(すなわち、「しなければならない」を意味する)よりもむしろ、許容的な意味(すなわち、「する可能性を有する」を意味する)で使用する。
【0070】
単語「含む(include)」、「含む」(including)、および「含む(includes)」並びに単語「含む(compises)」、「含む(comprising)」、および「含む(compises)」は、それぞれ含むこと(including)および含むこと(comprising)を意味するが、これらに限定されない。
【0071】
さらに、用語「人」は、それに関連する組織を含む、臓器などの内部部分を含む、人の一部への言及を含むと理解し得る。
【0072】
本明細書において企図する疾患を診断することにおいて容易にすることおよび/または支援することは、組織中の望ましくない物質を検出すること、損傷した組織を検出すること等を含み得る。
【0073】
図面の図1および2を参照すると、本発明の例示的な実施態様によるシステムを、一般的に参照番号10によって示している。システム10は、典型的には、とりわけ、医療画像化用途における画像再構築を改善すること、並びに疾患などの医学的状態を診断することにおいて容易にすることおよび/または支援することを含む、医療診断用途において配備するように構成されたコンピュータシステムである。システム10は、すなわち、医療診断システム10であり得る。
【0074】
システム10は、適切な医療診断および/または画像化システム14に関連する検出器装置12から診断データを単純に受信し、本明細書において企図するに出力を生成するように構成されているスタンドアロンシステムであり得る。代わりに、システム10は典型的には、医学的状態を診断することを容易にするために、医療診断および/または画像化システム14、簡潔化のために、医療画像化システム14の一部を形成する。
【0075】
医療画像化システム14は、典型的には、実行される画像化のタイプに依存して、従来の反復画像再構築アルゴリズムおよび技術を使用して適切な画像を生成する、または換言すると再構築する目的で、ヒト若しくは動物、またはそれらの一部/複数の一部を画像化するために使用する、従来の医療画像化システムである。システム14は、一般に、ヒト若しくは動物、またはそれらの一部における病状の診断を容易にするために、放射線源からの光子、電子、または陽電子などの高エネルギー粒子および該ヒトまたは動物の組織の相互作用を画像化するまたは処理するように構成されている、診断および/または画像化システム14であり得る。
【0076】
図2(a)に例示するように、システム14は、陽電子放出断層撮影(PET)アセンブリすなわちシステム20を含み得る。反復再構築アルゴリズムおよび技術は、従って、最尤期待値最大化(MLEM)、順序付きサブセット期待値最大化(OSEM)などの従来のものであり得る。
【0077】
代わりに、またはさらに、図2(b)に例示するように、システム14は、従来のX線スキャン、またはコンピュータ支援断層撮影(CAT)スキャンアセンブリすなわちシステム21を含み得る。
【0078】
システム14は典型的には、前述の従来の診断および/または画像化システムの全ての構成要素(図示または非図示)を含み、これらの従来の構成要素の低レベルの詳細は、さらには論じない。
【0079】
それにもかかわらず、システム14は、放射線の、画像化されている人18または動物の組織との相互作用を検出するように構成された検出器装置12を含み得る。放射線源Sは、システム14によって実装される画像化技術に依存して変化し得る。
【0080】
図2(b)に例示するCATスキャンアセンブリすなわちシステム21によって容易にされるCATスキャンについては、放射線源Sは、画像化される人18の外部にあり得、該人18に適用される放射線であり得、ここで、検出器装置12は、該放射線の該人18との相互作用を検出する。同様に、例えば、図2(a)に例示するPETシステム20によって容易にされるPETスキャンについては、放射線源Sは、人18中で内部に位置し得、該人18の体から放出され、ここで、検出器装置12は、該放射線の該人18との相互作用を、それが該人18から放射されるときに検出する。特に、PETシステム20においては、検出器装置12は、人18から放出されるPET光子を従来の方法で検出するように構成されている。説明を簡単にするために、異なるシステム20、21への言及は、本明細書においては用語「PET」および「CAT」の使用によって示し得る。
【0081】
説明を簡単にするために、別途示さない限り、言及は、PET医療画像化システム20に適用されるシステム10、14に主になすであろう。しかしながら、PET医療画像化システム20に関する限り、本明細書において含有する教示は、必要な変更を加えて、他の画像化システム、例えば、本明細書において言及するX線スキャン、およびCATスキャンに拡張すると、当業者によって理解され得ることが、理解されるであろう。それにもかかわらず、該当する場合は、参照は、他の適用になされる。
【0082】
システム14は、一般に、人18が休み得る、動かすことが可能な、または静止したプラットフォーム11を含む。検出器装置12は、人18から放出されたPET光子を検出するように構成された1つまたは複数の検出器を有する、適切なトンネルの形態の、従来のPET検出器装置であり得る。
【0083】
CATスキャンまたはX線については、検出器装置12は、同様であり得るが、該装置12および該線源Sが、図2(b)において見ることができるように、サンドイッチ様の様式で人18を側面に置く方法で、人18および線源Sの両方に機能的に面するように構成されている、弓状のまたは平面の装置として提供し得る。
【0084】
1つの非限定的な例示的な実施態様においては、図3に例示するように、検出器装置12は、人18および/またはプラットフォーム11に対して反対の様式で提供されている一対の検出器アレイ12.1および12.2を含み得る。アレイ12.1、12.2は、人18の体の長さに対して実質的に横断する感知軸を有する。装置12が患者18を包み込むかまたは包囲する(図2(a)に例示するように、例示的な実施態様においては、アレイ12.1、12.2は、患者18および/またはプラットフォーム11の長さに対して横断する、囲いの容積を横切る一対のアレイ間の感知軸を有する一対の半円形アレイとして適切に提供し得る。上述のように、検出器配置12は、PET光子を検出するのに適した検出器を含む。この点について、装置12の検出器は、適切な電子機器(図示せず)を有するシンチレータ結晶および光電子増倍管(PMT)検出器の形態であり得る。
【0085】
システム14はまた、本明細書において記載する方法で生成された画像を表示するように構成された、適切なディスプレイ装置、例えば適切なスクリーンまたはモニターの形態である、適切な出力モジュール22を含む。代わりに、またはさらに、出力モジュール22は、生成された画像および/または任意の他の関連情報を印刷するための適切なプリンタを含み得る。代わりに、またはさらに、出力モジュール22は、本明細書において記載する方法で生成された画像を送信するための、適切な通信モジュールを含み得る。モジュール22は、入力/出力モジュールであり得、そのため、システム14とふれあう、医療専門家などのユーザを手助けし得る。
【0086】
本明細書において記載するシステム10は、検出器装置12から診断データを受信し、出力モジュール22への適切な出力信号を生成するために、該検出器装置12および該モジュール22に通信可能に結合される。
【0087】
システム10は、装置12および/またはモジュール22に有線様式で、または無線様式で結合し得る。1つの例示的な実施態様においては、システム10は、1つまたは複数の異なるタイプの通信ネットワークを含み得る通信ネットワークを介して、装置12に通信可能に結合される。この点について、通信ネットワークは、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、さまざまなタイプの電話ネットワーク(例えば、デジタル加入者線(DSL)技術を用いる公衆交換電話網(PSTN))またはモバイルネットワーク(例えば、グローバルシステムモバイル(GSM)通信、汎用パケット無線サービス(GPRS)、符号分割多元接続(CDMA)、および他の適切なモバイル通信ネットワーク技術)、またはそれらの任意の組合せの1つまたは複数であり得る。従って、必ずしも実用的であるとは限らない可能性があるが、いくつかの例示的な実施態様においては、システム10が画像化システム14の場所にある必要はないことが、想定される。
【0088】
いずれにせよ、システム10は、本明細書において記載するさまざまなデータ処理工程を実施するように構成されたメモリ記憶装置28およびプロセッサ30を含み得る。プロセッサ30は、1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行して、入力データ上で操作し、出力を生成することによってアクションを実施する、プログラマブルプロセッサの形態の1つまたは複数のプロセッサであり得る。プロセッサ30並びに本明細書において言及する任意の計算装置は、非限定的な例として、汎用プロセッサ、グラフィック処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、若しくは任意の種類の1つまたは複数のプロセッサを含む任意の他の電子計算装置、またはそれらの任意の組合せを含む、データ処理能力を有する任意の種類の電子装置であり得る。簡潔化のために、別途示さない限り、システム10によって実施されるとして説明する任意の機能は、プロセッサ30によって効果的に実施される機能であり得、その逆も同様である。
【0089】
メモリ記憶装置28は、システムメモリを含み、ランダムアクセスメモリ(RAM)装置、キャッシュメモリ、プログラマブルまたはフラッシュメモリなどの不揮発性またはバックアップメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)等を含む、コンピュータ可読媒体の形態であり得る。さらに、装置28は、システム10中の他の場所に物理的に位置するメモリ記憶装置、例えばプロセッサ30中の任意のキャッシュメモリ並びに仮想メモリとして使用される任意の記憶容量、例えば大容量記憶装置上に記憶されるものを含むと考え得る。
【0090】
例示されていないが、システム10は、1つまたは複数のユーザ入力装置(例えば、キーボード、マウス、画像化装置、スキャナ、マイクロフォン)および1つまたは複数の出力装置(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、音声再生装置(スピーカー)、スイッチ、バルブ等)を含み得る。これらは、出力モジュール22の一部を形成し得、またはそれとは別個であり得る。
【0091】
プロセッサ30によって実行可能なコンピュータプログラムは、コンパイル型またはインタープリタ言語、宣言型または手続き型言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書かれ得、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、または計算環境における使用に適した他のユニットとしてを含む、任意の形態で配備し得る。コンピュータプログラムは、ファイルシステム中のファイルに対応し得るが、その必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの部分(例えば、マークアップ言語ドキュメント中に記憶した1つまたは複数のスクリプト)中、問題のプログラム専用の単一のファイル中、または複数の調整されたファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を記憶するファイル)中に記憶し得る。コンピュータプログラムは、1つのプロセッサ30によって、または複数のプロセッサ30によって、複数の場所にわたって分散されたものによってでさえも実行されるように配備し得る。
【0092】
コンピュータプログラムは、メモリストア28中またはプロセッサ30において提供されるメモリ中に記憶し得る。本明細書においては例示しまたは論じていないが、システム10が、簡潔化のために本明細書においては記載していない、複数の論理構成要素、電子機器、ドライバ回路、周辺装置等を含み得ることは、発明の分野における当業者によって認識されるであろう。
【0093】
プロセッサ30は、以下に説明するように、1つまたは複数のデータ抽象化レベルで診断データ源から診断データを受信するように構成され/プログラムされている。さらに、より重要なことに、システム10および特にプロセッサ30は、本明細書において説明する、患者18の診断を容易にするおよび/またはサポートするように構成されている。代わりに、またはさらに、システム20および特にプロセッサ30はまた、本明細書において説明する従来の方法で画像化システム14によって生成される再構築画像の品質を改善するようにも構成されている。
【0094】
プロセッサ30によって受信された診断データは、典型的には、装置12によって検出され、人18の体中での陽電子消滅の結果として対象から放出される光子に関連してる。特に、人18の体中のPET同位体がベータ崩壊を通して陽電子粒子を放つとき、陽電子は、複数の散乱事象を含み得る短い経路をたどった後、近くの電子で消滅する。この消滅の最も一般的な結果は、ほぼ共線的な連続した511keVのガンマ線光子の産生である。これらの共線的な連続した511keVのガンマ線光子は、検出器装置12によって検出される。各光子は次いで、周囲の組織を通って進み、ときどき途中でエネルギーおよび方向を変える。光子がS1、S2で検出器装置アレイ12.1、12.2に到達したとき、装置12は、例えば、アレイ12.1上のヒットの位置、および光子のエネルギーを示すデータを含む、検出器衝突(strike)/ヒット(hit)事象データの形態で診断データを出力する。
【0095】
上述したように、および図面の図4を参照すると、用語「診断データ」は、本明細書において説明するように、検出器装置12上に入射し/検出器装置12によって検出される、対象の光子に応答する検出器装置12からの出力に関連する任意のデータを含むと考え得る。用語「デジタル診断データ」は、本明細書において企図するデジタルツインによってシミュレートされるが、診断データと実質的に同様であり得、すなわち、デジタルデータに関するコメントは、デジタル診断データに拡張し得る。従って、診断データは、図4に例示する、データ抽象化の異なるレベル23.1.23.5の群から選択し得、ここで、各レベル23.1…23.5は、装置12によって検出される光子に関連している。診断データは、検出器装置12上のガンマ線衝突/ヒット事象23.1、応答線(LoR)23.2、4D投影23.3、3D画像23.4、および画像23.5から抽出された画像特徴を示すデータからなる群から選択し得る。4D投影は、本質的に4Dデータであり、2D投影の2Dセットであることが、理解されるであろう。
【0096】
上記したように、プロセッサ30は、本明細書において記載する任意のタイプの、装置12が診断データ源である該装置12からの生の信号データの形態の診断データ、並びに、図4に記載する、1つまたは複数の前処理システム/複数のシステムおよび/または計算装置からのより高いレベルのデータ抽象化レベルの診断データを含む、診断データを検出器装置12から受信するように構成し得る。この目的のために、プロセッサ30は、図1および2においては検出器装置12に直接結合しているように例示しているが、プロセッサ30が、前処理システム/複数のシステムおよび/または計算装置等の形態の適切な診断データ源から、図4に記載する、データ抽象化の任意のレベルでの検出された光子を示す、検出器装置12の出力を単純に受信することを妨げるものは何もない。好ましい例示的な実施態様においては、診断データ、および関連するデジタル診断データは、検出器装置によって検出されるおよび/または検出器装置上に入射する光子に関連する4D投影23.3、3D画像23.4、および画像特徴23.5の1つまたは複数の形態である。
【0097】
さまざまなデータ抽象化レベルの診断データに関する以下の説明は、プロセッサ30が、本明細書において企図する診断を実施するために、以下に記載する様式で診断データを生成し得るか、または場合によっては適切なデータ源からのそれへの入力として診断データを単純に受信し得るため、該プロセッサ30によって行われる解釈に限定される必要はない。
【0098】
再び図3を参照すると、診断データが応答線(LoR)の形態である場合においては、検出器アレイ12.1、12.2上のヒット事象/衝突は、2つのヒット位置S1およびS2を接続する線である応答線(LoR)を定義する。本明細書におけるLoRは、しかしながら、図2(a)に例示するPET画像化システム20を含むシステム14に固有であり得ることが、認識されるであろう。図2(b)に例示するように、システム14がCATスキャンまたはX線システム21を含むとき、線源Sから検出器装置12への放射線または線またはまっすぐな経路は、例示的な実施態様において関連する等価物であり得る。このようにして、ちょうど、PETにおいてLoRを有するように、CATスキャン/X線において同様の再構築された放射線を有するであろう。
【0099】
次いで、ちょうど、PETにおける4Dデータセットと同等な2D投影の2Dセットを有するように、CATについての一般的な最も複雑な場合においても有するであろう。さらに、ちょうどPETにおけるように、これらは、3D画像に縮小し得、CATについても再び同じである。両方の場合において、必要に応じて2Dスライスを抽出することができ、両方の場合において、画像から抽出された特徴を説明するほんのわずかなまたはいくつかのパラメータであるメタデータを得ることができるであろう。
【0100】
プロセッサ30によって受信された診断データが、上記の4Dセットからの多くの2D投影の形態である場合においては、LoRは、同じ空間方向(所与のセットの2つの球面座標角(θ、φ))を有すファミリーにグループ化される。各ファミリーについて、検出器アレイ12.1、12.2の中間に位置する2D平面とのLoR交差は、2D投影を形成する。説明したタイプの全ての2D投影は、単一の4Dサイノグラムを構成する。複数のLoRを使用して、逆投影を作り出し得る。
【0101】
しかしながら、フィルタリングされていない逆投影は、それが、各ボクセルが距離のほぼ逆2乗関数で効果的に畳み込まれる歪みに悩まされるため、使用に最善の形態の診断データではない可能性がある。従って、元のソースポイント密度分布を再構築することが好ましい。この目的のために、診断データが3D画像の形態である場合においては、最尤推定法(MLEM)アルゴリズム、または任意の他の反復再構築アルゴリズムを利用する反復3D断層撮影を用いて、2D投影(サイノグラム)のセットを使用したソースポイント密度分布の画像を再構築する。
【0102】
本明細書において記載するサイノグラムの処理からPET再構築画像まで作り出された3D画像は、元のPET同位体ソースポイント密度分布を理想的に反映するはずである。2つの影響が、この点について処理するために非常に重要である。これらは、それらが人18の組織を通して進むときの、2つの連続する共線的なおよび同時入射の511keVの光子の減衰および散乱である。この影響は、典型的には光子の3%のみが、LoR構築プロセスにおいて使用できることを意味する。減衰した光子は、失われ、散乱した光子は、偽のLoR再構築につながる。影響の大きさは、PET同位体の局所形状に依存する。
【0103】
平均して体18中のLoRの経路長のとき、そのときは、影響は、より強い。アルゴリズムを使用して、減衰および散乱の体系的な影響が、PET同位体ソースポイントの実際の分布と記載する再構築された分布との間の不一致につながらないように、PET画像再構築における減衰および散乱の影響を処理する。
【0104】
システム10は有利に、システム14によって操作される人18の診断を容易にするおよび/または支援するために、システム14、特に検出器装置12から受信した診断データを適切な機械学習ベースの分類器で処理するように構成し得る。ここでの文脈における「操作される」は、システム14の装置12によって検出される、人18の放射線-組織相互作用であり得る。機械学習ベースの分類器は、典型的には、システム14の適切なデジタルツインによって生成されるデジタル診断データで訓練される。
【0105】
この目的のために、システム10、特にプロセッサ30は、システム14のデジタルツインを生成するおよび/または実装するように構成し得る。しかしながら、デジタルツインは、他の処理システム(図示せず)によって実装し得るが、結果として生成されたデジタルデータは、本明細書において企図する方法でプロセッサ30によって使用される。
【0106】
いずれにせよ、デジタルツインは、システム14、人18、および医療画像化手順中のシステム14と人18との間の相互作用をシミュレートし、デジタル診断データを作り出すシステム14のパラメータの変形を可能にする、コンピュータ実装シミュレーション/デジタルツインであることが、理解されるであろう。デジタル診断データは、デジタルツインから人為的に生成されたデータであり得る。
【0107】
好ましい例示的な実施態様においては、デジタルツインは、放射線源(PET画像化の場合におけるように人18の体、またはCATスキャンの場合におけるように外部のいずれかからの)、検出器装置12による検出から、まさに、疾患の病状の有無にかかわらず(疾患のさまざまな段階で)一連のさまざまな患者をモデル化することまたはシミュレートすること、並びに診断データ(生の検出器データまたは本明細書において企図する、より高い抽象化レベルであり得る)の生成までの、現実世界のシステム14の綿密なコンピュータベースのまたはコンピュータ実装のモデル化またはシミュレーションに基づくことが、理解されるであろう。
【0108】
本明細書において言及するモデル化することまたはシミュレートすることは、このプロセスの十分に正確な物理学および工学的記述を使用する。いくつかの例示的な実施態様においては、デジタル診断データは、次いで実験データおよび/または現実世界のデータでベンチマークする。
【0109】
1つの例示的な実施態様においては、デジタルツインの生成および/または実装、すなわち、デジタルツインのコンピュータベースのまたはコンピュータ実装のモデル化またはシミュレーションは、亜原子粒子プロセス、および欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロンコライダーでのそれらを含むさまざまな研究グループによって使用されている、さまざまな、Geant4として知られる粒子検出器形状をモデル化するための、少なくともソフトウェアによって達成し得る。これは、研究者が粒子の履歴、およびこれらの履歴を研究するために使用する検出器アレイの動作をシミュレートするために使用する、C++ツールキットである。
【0110】
実際の状況に対する精度におけるコンピュータシミュレーションの性能は、非常によく似た条件下での実験または実験データにおいて非常に注意深くベンチマークする。利点は、訓練データの完全な実験的産生と比較して、はるかに少ない実験を、実施する必要があるということである。
【0111】
1つの例示的な実施態様においては、デジタルツインは、小さな実験データセットに対してベンチマークされたモンテカルロ技術に基づく。述べたように、巨大双極子共鳴(GDR)のエネルギーでの光子ビームによる物質中のPET活動の最初の活性化から、検出器装置12における一次信号の登録までの、PETの完全な物理学を、もちろんシミュレーションにおいて、使用する。いくつかの例示的な実施態様においては、モデル化またはシミュレーションは、患者18のまたは患者18中のトレーサー(糖のような)の直接のPET活性化をモデル化するまたはシミュレートすることを含み得る。いくつかの例示的な実施態様においては、患者18は、適切なPET同位体が本明細書において企図する方法で検出されるように、患者を「活性化する」ように構成された放射線源からの活性化放射線に患者18を曝露することによって「活性化する」。これは、より広範囲の、より短い寿命を有する同位体および他の同位体(炭素、窒素および酸素)、すなわち、より広範囲の、組織、形態、機能、および次いでまた動力学についての時間スケールへのアクセスも可能にするであろう。
【0112】
検出器のヒットは、図3を参照して上述したように、応答線(LoR)の構築につながる。逆投影は、LoRから3D画像として組み立て得る。LoRはまた、角度のセット(θ、φ)についての横方向(x、y)投影のセットとして、4Dサイノグラム中にビニングし得る。サイノグラムは、最もありそうな元の3Dソースポイント密度を見出す、本明細書において記載する当技術分野において知られているさまざまな技術によって、ソースポイントの定量的3D画像としてPET再構築に変換し得る。
【0113】
デジタルツインによって生成されたデジタル診断データを使用して、真実を知る、これは、シミュレートされているシステム14、シミュレートされている人、シミュレートされている組織(癌細胞、膿、損傷した組織などの、その中の望ましくない物質を含むまたは除外する)、シミュレートされている、組織と放射線との間のシステム14における相互作用、およびシミュレートされている検出器装置12からのデータの形態のデジタル診断データの完全な詳細を知ることを意味する。すなわち、デジタルツインによって生成されたデジタル診断データは、本明細書において記載する画像再構築を改善すること並びに疾患を診断することにおいて容易にすることおよび/または支援することのために使用し得る。
【0114】
特に、デジタルツイン、特にそれによって生成されたデジタル診断データを、プロセッサ30によって使用して、決定論的または反復技術で画像再構築を改善し得る。これは、真実が知られているデジタルツイン上でアルゴリズムを試験し、モデルの性能を評価することができるためである。特定の例は、組織を通したそれらの通過における放射線の吸収および散乱の体系的な影響の処理を試験することであろう。事実上、これは、再構築の性能および真実のハイパーパラメータを評価するための、シミュレートされた「真実」の再構築された画像との比較を含む。さらに、反復再構築を、最適化することができる。これは、決定論的再構築に似ているが、ここで、最尤期待値最大化(MLEM)若しくは順序付きサブセット期待値最大化(OSEM)などの反復再構築技術、または同様の技術が、使用される。
【0115】
デジタルツイン、特にそれによって生成されたデジタル診断データを、プロセッサ30によって使用して、機械学習または人工知能技術での画像再構築を改善し得る。これは、真実が知られているデジタルツイン上でアルゴリズムを試験し、モデルの性能を評価することができるためである。それは、画像処理後のアルゴリズムを含み得る。シミュレーションの大きなデータセットは、この様式で再構築される。次いで、生成系ニューラルネットワークは、次いで再構築された画像を入力として受け取り、変更された画像を出力して、再構築された画像と真実との間の差を最小化するような方法で最適化し得る。
【0116】
最後に、デジタルツイン、特にそれによって生成されたデジタル診断データを、プロセッサ30によって使用して、機械学習および人工知能に基づくアルゴリズムを開発し得る。これは、分類または特徴識別を使用する、教師あり学習、およびまた根底にある画像パターンまたは特徴グルーピングを探す、教師なし学習の両方のためである。デジタルツインを使用して、生の画像データおよび追加のラベルのセット(真実のデータ)の両方を提供するであろう。重要な目標は、病理の識別であり;デジタルツインの一部として病状をシミュレートし、次いでニューラルネットを訓練して、再構築された画像においてこれらの病状を見る。
【0117】
この点について、1つの例示的な実施態様においては、デジタルツインによって生成されたデジタル診断データは、以下で説明するように、訓練および検証データセット中に分割し得る。原則として、高性能計算技術を使用して、それをオフラインで生成することができるため、シミュレートされたデジタル診断データセットは、大きくあり得る。データセットは、システム14の完全なパラメータ空間を調査するさまざまなポイントでコンピュータシミュレーションをベンチマークするための、選択した実験によって検証することができる。要点は、完全な訓練および検証データセットが実験のみによって行われた場合よりも、はるかに少ない実験(すなわち画像を真実でラベル付けするための臨床医の介入)が必要であるということである。これは、訓練および検証データセットに分けることができる、真実が知られている非常に大きなデータセットを有することが重要であるため、本明細書において記載する本発明の重要な側面である。
【0118】
要約すると、コンピュータでシミュレートされたデジタル診断データは、システム14のデジタルツインの前述のパラメータを変化させることおよび適切なデジタル診断データを取得することによって取得される。デジタルツインのさまざまなパラメータを用いて生成されたデジタル診断データは、システム10に堅牢な訓練、および検証データセットを提供し、それは、従って、システム14におけるより信頼性のある診断を可能にする、本明細書において説明する分類器の性能を最適化する。
【0119】
デジタルツインから取得され、本明細書において説明する、デジタル診断データ、並びに使用中のプロセッサ30によって受信された診断データは、本明細書において図4を参照して企図するデータ抽象化レベルのいずれにも、必要な変更を加えて対応し得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0120】
いずれにせよ、述べたように、プロセッサ30は、典型的には、システム14、特に検出器装置12からの受信した診断データに基づく診断を容易にするおよび/または支援することができるように、本明細書において記載する訓練された機械ベースの学習分類器を実装するおよび/または使用するように構成されている。分類器は、少なくともデジタルツインからのデジタル診断データで訓練されている。
【0121】
このようにして、システム10は、本発明に従って、分類器を訓練する目的で現実世界の診断データの大きなデータセットを必要とする問題に対処する。訓練データがデジタル的に生成されていない場合、特に真実の事前知識がある場合、この訓練のために実験的に大量の診断データを得ることは、実際には実行可能ではないであろう。
【0122】
さらに、分類器のための訓練診断データは、パラメータ空間において人18の特性、疾患の病状等が変化することになる、多種多様な場合を表現している必要がある。
【0123】
検出器装置12の変化するパラメータに関して、デジタルツインは、検出限界、尋問力、閾値に関するセンサの構成、アレイのタイプおよび形状、電子処理能力、さまざまな物質またはこれらの物質からの放射物に対する感度等に関連するパラメータを変化させるように構成し得る。
【0124】
収集した情報の統計量は、システム14の能力等に関連する、別のパラメータである。訓練データは従って、典型的には、非常に多数の要素を含有する。従って、データセットを手動で作り出すことは、一般的に効率的ではない。
【0125】
分類器は、便利には、任意の人工知能(AI)分類器であり得る。用語「分類器」は従って、本明細書においては「AI」と交換可能に使用し得る。
【0126】
分類器は、デシジョンツリー分類器、ランダムフォレスト分類器、アダブースト分類器、K最近傍分類器、サポートベクターマシン、二次判別分析、ガウス過程分類器、多層パーセプトロン分類器、好ましくは畳み込みニューラルネットワークを含む群から選択し得る。それにもかかわらず、他の機械学習分類器を、本発明において使用し得ることが、留意されるであろう。
【0127】
分類器の訓練は、分類器の初期の重み付けおよびアーキテクチャを取得するためであり得、検証は、訓練の精度を確認する並びに/または分類器のアーキテクチャおよび/若しくは重み付けを再構成する/調整するためであり得ることが、留意されるであろう。
【0128】
上記のタイプの多くのタイプの分類器を、本発明を分類する目的で使用し得るが、本発明は好ましくは、他の分類器が実験中に好ましい分類器と同じレベルの性能を達成していないため、多層パーセプトロン(MLP)分類器および特に畳み込みニューラルネットワーク(CNN)ベースの分類器を利用する。
【0129】
1つの例示的な実施態様においては、1つの隠れ層および約5つのパーセプトロンを有するMLP分類器は、上記の画像特徴の形態の診断データで訓練し得る。
【0130】
好ましい例示的な実施態様においては、分類器は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の形態の、画像対象識別のための深層学習ネットワークである。CNN分類器は、さまざまな畳み込み層並びにプーリング層などの他の複雑なパーセプトロン層を使用して、とりわけ、エッジ、輝点、画像の均一性の程度などの画像の特徴を識別する方法を学習する。1つの例示的な実施態様においては、CNN分類器を使用して、再構築された画像の形態の受信した診断データ内の診断を容易にするおよび/または支援する。無病組織、およびさまざまなタイプの疾患組織の画像が、正確な分類を実施するために、CNN分類器によって学習される。
【0131】
CNN分類器は、それが低いデータ抽象化入力(画像並びにことによるとLoRおよび投影などの他のもの)を受け入れる一方で、他のものはより低レベルで存在する重要な診断データ情報を失い得る非常に高いデータ抽象化上で作動するため、好ましいことが、留意されるであろう。
【0132】
さらに、CNN分類器は、他の方法とは対照的に、使用するパターンマッチングおよび画像の特徴を自己発見する。このようにして、より洗練されたAIは、より高いレベルの抽象化で元のデータの表現を発見することができる。これは、深層で起こり得、これは、この表現の発見をいくつかの層にわたって行い得ることを意味する。これらの新しい表現は、意思決定の複雑な側面に敏感であるデータの本質的な特徴を抽出することが期待されている。
【0133】
また、CNNは、いったんそれが訓練され、モデル(重みおよびアーキテクチャ)がファイルに記憶されると、それは、実験またはさらなる検証データについての使用のために呼び出し得るという点で、有利である。K最近傍などの分類器は、それを分類について使用し得るように、訓練データセット全体をRAM中に記憶することを必要とする。
【0134】
CNN分類器は、物質それ自体だけでなく、組織中の関心のある物質の周囲の領域を分析するように訓練されている。このようにして、訓練されたCNN分類器は、その背景の状況において識別された物質を分析することができる。
【0135】
3D画像については、分類器は、潜在的な疾患を3Dで認識し(一方、ヒトは、これを2D画像上で行うであろう)、LoRの場合においては、分類器は、これを4Dで行うであろう。この点について、本発明は、データのヒトによる検査を超えた方法で疾患の診断を容易にするおよび/または支援することを可能にする。
【0136】
1つの例示的な実施態様においては、CNN分類器は、画像減衰および他の光子効果について内部的に学習して、上記で暗に示した分類について使用されるより正確な改善された画像を作り出すように構成している。改善された画像化は、CNN分類器内であろうため、入力および出力に関しては、センサデータ->初期画像化->CNN(内部減衰/散乱補正を行って、内部高品質画像を作り出す)->分類であろう。
【0137】
高度に抽象的な再構築画像データを使用する代わりに、より低い抽象化を有する入力データを使用して、生のLoRデータを使用することから4Dサイノグラムのみを使用することまでCNNを訓練し得る。
【0138】
ここで、本発明の例示的な実施態様による方法のフロー図を、それぞれ参照番号40、32、50、60によって一般的に示している、図面の図5から8を参照する。例示的な方法40、50、32、60は、非限定的な例においては、図1および2に記載するタイプのシステムとの使用において説明し得るが、何も、方法40、32、50、60を図示していない他のシステムにおいて使用することを排除しない。それにもかかわらず、システム10の特徴は、これらの工程の大部分が、使用において、プロセッサ30によって実施されるので、図5から8の議論に基づいて例示し得る。
【0139】
方法40のフロー図を示す、図面の図5を参照する。方法40は典型的には、コンピュータ実装シミュレータまたはモデル、換言すると、本明細書において前述したタイプのシステム14のデジタルツインの生成を必然的に伴う。デジタルツインの生成は、オフラインの方法でおよび典型的には前のプロセスとして達成し得ることが、認識されるであろう。デジタルツインの、現実世界のデータとの比較を用いた、反復的な開発は、現実世界のデータに対してクロスチェックされたデジタルツインの性能の開発、検証およびベンチマーキングの連続サイクルの目的に役立つ。
【0140】
方法40は、Geant4ソフトウェア並びに上述のモンテカルロ技術を使用してシミュレータまたはモデルを生成して、本明細書において前述したシステム14における放射線および組織の相互作用に関連する検出の背後にある物理学をシミュレートするまたはそのシミュレートされたモデルを提供する。
【0141】
シミュレータの生成は、システム14、患者/人18、組織中の疾患伝播等に関連するさまざまな物理的パラメータをコンピュータ実装シミュレート/モデル化することを必然的に伴い得る。1つの例示的な実施態様においては、本明細書において前述した、ガンマ線を用いた、放射線のヒト組織との相互作用の結果としての検出器装置12の応答もまた、シミュレートされる。
【0142】
方法40は次いで、医療訓練データを取得することおよび/または人々18を上述のタイプのガンマ線に実際に供することによって実験を実施することにより得る、ブロック42で実験データを取得することを含む。代わりに、このデータは、データの過去のソースから受け取り得る。
【0143】
方法40は次いで、ブロック44で、生成されたデジタルツインを取得された実験データに対してベンチマークすることを含む。これは、シミュレータの性能を現実世界の実験データと効果的に比較する従来のベンチマーキング技術によって達成し得る。この目的のために、ベンチマーキングの工程は、シミュレーターが、ブロック46で、実際に、シミュレーション、または現実世界において期待されるであろうものに対応するコンピュータで生成された/シミュレートされた診断データなどの出力データを生み出していることを、効果的に検証することであり得る。
【0144】
シミュレートされたデータが実験データに対応しない場合、デジタルツインおよび/またはデジタル診断データが許容可能であるまで、同様のパラメータ、すなわち換言するとシミュレータまたはモデルの詳細が、ブロック48で、調整され(tuned)および調整される(adjusted)。デジタルツインの検証は、従って、本明細書において説明する、訓練用の、コンピュータで生成された診断データを含むシミュレーションの出力における信頼性を増加させるという点において、重要なプロセスである。
【0145】
方法32のフロー図を示す、図面の図6を参照する。方法32は典型的には、断層撮影再構築アルゴリズムのパラメータを改善する例示的な方法を示す。特に、デジタルツインおよびそれによって生成されるデジタル診断データにより。これは、例えば、上記の方法40から導き出された、成功裏に開発され、検証され、ベンチマークされたデジタルツインを使用して、現実世界の診断システム14についての画像再構築のプロセスを改善する目的に役立つ。つまり、ここでは「真実」が知られていること以外は、同じプロセスが、デジタルツインにおいて実装されている。この利点は、画像再構築アルゴリズムを反復的に改善することを可能にする。この場合においては、焦点は、画像再構築システムの精度を改善する、決定論的タイプのアルゴリズム上にある。
【0146】
方法32は、ブロック33で、デジタルツインから、シミュレートされた検出器装置からのデジタル検出器出力データの形態でデジタル診断データを生成することを含む。
【0147】
方法32は、ブロック34で、工程33におけるシミュレートされたデジタル診断データ上で断層撮影再構築(または画像を生み出すための、生データに対する同様の再構築)を実施して、該デジタル診断データに基づく再構築画像を生成することを含む。所定のアルゴリズム、例えば従来の再構築アルゴリズムを、この工程について使用し得る。いくつかの例示的な実施態様においては、デジタルツインは、それがシミュレートする抽象化レベルが比較的高いように構成し得、従って、デジタルツインは、所定のアルゴリズムを使用して、本明細書において企図する、デジタル診断データとしての再構築された画像を単純に生成し得ることが、理解されるであろう。
【0148】
方法32は、ブロック35で、システム14に関連する実際の現実世界の診断データを受信するまたは取得することを含む。このデータの抽象化のレベルは、高くあり得、例えば、この目標について有効であると見なされる、図4に示す23.2から23.5の抽象化のレベルのいずれかで比較を実施する。比較する詳細を、最終的に画像再構築性能をベンチマークし、検証するために、選択し得る。シミュレーターを生成するために使用するソースデータのタイプを変更して、画像再構築プロセスのこの改善において関心のある特定の領域を強調し得る。
【0149】
方法32は、次いで、ブロック36で、画像が最終的に分類または診断(AIまたは訓練された臨床医のいずれかによる)を可能にしなければならない限りにおいて、画像にコントラストおよび明瞭さをもたらすために必要な、特定の特徴を定量的に比較することを含み得る。本質的に、病状または疾患の影響に関連する特徴は、はっきりと見えなければならない。体系的な影響、統計的な影響、解像度における不備、性能、分類または診断につながる要因に応じた画像コントラストにおけるダイナミックレンジは、画像が適切に最適化されるような方法で制御し得る。しばしば、画像形成におけるこれらの欠陥の原因は、あいまいである。デジタルツインへのアクセスを有することは、最終的な画像の質における劣化につながる最悪の原因(影響)を明確に識別するような方法で、シミュレーションにおける特定の入力または含まれる詳細を変更する(物理、形状、物質、プロセスを制御する)ことを可能にする。これらは次いで、対処し得、すなわち、変更を、開発サイクルの一部として、実装し得る。本明細書においては、画像形成におけるアルゴリズムプロセスが取り扱われるが、何も、本明細書において企図する、画像形成を改善するためのAIプロセスの使用を排除しない。要するに、方法32は、ブロック36で、工程35からの実際の再構築された画像を、工程34からの、デジタルツインからの再構築された画像と比較することを含み得る。
【0150】
ブロック37で、比較結果が許容できる場合、それ以上何も行わない。しかしながら、ブロック37で、比較結果が許容できない場合、工程36における比較の結果を使用して、ブロック38で、所定の断層撮影再構築アルゴリズムにおけるパラメータを更新する。
【0151】
ここで、方法50のブロックフロー図を例示する、図面の図7を参照する。方法50は、一般に、本発明の例示的な実施態様による、再構築画像の改善のための訓練された分類器、例えば、上述のプロセッサ30によって実装される分類器を生成する方法である。これは、この場合においては、焦点は、画像再構築プロセスの精度を改善する機械ベースの学習プロセス上にあるという点において、前の図6および本明細書において開示する方法32の進歩であり得る。
【0152】
方法50は、ブロック52で、エラーを回避するために所定の許容範囲内でデジタルツインのパラメータをランダム様式で変更し、ブロック54で、所定のデータ抽象化レベル(図4を参照して説明するレベルの1つまたは複数)の、コンピュータで生成された/シミュレートされたデジタル診断データを生成することを含む。
【0153】
上述したように、この工程は、システム14、人18、および人14における病状のパラメータをデジタル的に変更することを必然的に伴う。デジタルツインのパラメータを変更することは、それが、システム14の動作の多くのバリエーションについて真実のデータを有することを可能にするので、ブロック54で堅牢な性質のシミュレーションされたまたはデジタル診断データを効果的に生み出す。これはもちろん、現実世界の測定および記録技術を使用して分類器の訓練についてのデータを生成しなければならないこととは、全く異なる。患者18のおよび疾患の身体的徴候の特性およびパラメータ、並びにそのさまざまなタイプ、並びに進行を、変化させて、非常に堅牢なデジタル診断データセットを取得することは、デジタル診断データを取得する目的で重要である。
【0154】
特に、1つの例示的な実施態様においては、コンピュータで生成された診断データは、次いで上述の3D画像を再構築するために使用される、LoRの形態である。
【0155】
方法50は、ブロック56で、コンピュータで生成されたデジタル診断データを訓練されたおよび検証データセット中に分離し、上記のタイプの分類器を、デジタル診断データの部分であるとして、訓練されたデータセットを用いて訓練する工程を含む。1つの例示的な実施態様においては、上記の全ての訓練されたデータの収集物が、好ましくはCNN分類器の形態で分類器中に供給されて、それを訓練する。
【0156】
いったん訓練されると、方法50は、工程54において生成された、コンピュータで生成されたデジタル診断データの一部である検証データセットを使用することによって、ブロック58で分類器の性能を検証する工程を含む。このようにして、分類器の教師あり学習が達成され、訓練された分類器が効果的に機能しているかどうかを、便利よく決定し得る。
【0157】
図面の図8を参照すると、システム14における診断を容易にするおよび/または支援する方法を、参照番号60によって一般的に示す。1つの例示的な実施態様においては、断層撮影画像を改善する方法60である。
【0158】
PETスキャンの場合においては、該方法は、画像化されている人の部分に従って人18中に導入されている、放射性同位体/放射性トレーサーを含む。
【0159】
いずれにせよ、いったん人18、すなわち、患者18が検出器装置12に対して配置されると、装置12は、システム14によって画像化されている、患者18の組織と相互作用することから発するPET光子を検出するように構成している。
【0160】
従って、方法60は、ブロック62で、検出器装置12から無線または有線様式で診断データを受信することを含む。
【0161】
必要であれば、方法60は、受信した診断データの抽象化のレベルを任意に増加させることを含み得る。この工程は、上記の工程62において受信した診断データが非常に低いレベルのデータ抽象化のものである、例えば生の診断データ/信号である場合に必要とされ得る(いくつかのの高度な例示的な実施態様においては、これは必要でなくあり得るが)。抽象化のレベルは、生の診断データを処理して、LoR、次いでLoRから2D投影の2Dセット(4Dサイノグラムを形成する)、画像再構築技術を使用する3D画像、および次いで上記の画像特徴抽出を取得することによって、上記の方法により増加させ得る。
【0162】
方法60は次いで、受信した診断データを、本明細書において説明する、訓練された分類器で処理することを含む。詳細に(as length)本明細書において記載するように、訓練された分類器は、ブロック68で、受信した診断データが疾患を示すかどうかを、便利よく決定することができる。例えば、COVID-19の場合においては、システム14によって検査されている患者18の組織は、肺組織であり、ここで、分類器は、シミュレートされたデータに基づいて、COVID-19の存在、任意の肺損傷の存在および重症度等の指標を与えるように構成している。
【0163】
画像化されている組織が病気であると決定された場合、方法60は、ブロック70で、適切な出力診断推奨を生成することを含み得る。同様に、画像化されている組織が病気でないと決定された場合、方法60は、ブロック70で、適切な出力診断推奨を生成することを含み得る。
【0164】
このように、システム10は、臨床分析を正確に実施して、存在する病状を正確に識別し、適切な診断および/または診断の推奨(換言すると、自動的なファースト/セカンドオピニオン)を作成し得る。
【0165】
ここで、機械に、本明細書において論じた方法論の任意の1つまたは複数を実施させるための、一連の命令を実行し得る、コンピュータシステム100の例における機械の図式表現を示す、図面の図9を参照する。他の例示的な実施態様においては、機械は、スタンドアロン装置として作動するか、または他の機械に接続(例えば、ネットワーク化)し得る。ネットワーク化した例示的な実施態様においては、機械は、サーバークライアントネットワーク環境においてサーバーまたはクライアントマシンの能力中で、またはピアツーピア(または分散)ネットワーク環境においてピアマシンとして作動し得る。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルーター、スイッチ若しくはブリッジ、またはその機械によってとられるアクションを指定する一連の命令(連続的なまたはそれ以外)を実行することができる任意の機械であり得る。さらに、単一の機械のみを便宜上例示しているが、用語「機械」はまた、本明細書において論じる方法論の任意の1つまたは複数を実施するために一連(または複数のセット)の命令を個別にまたは共同で実行する、仮想機械を含む、機械の任意の集合体を含むと解するものとする。
【0166】
いずれにせよ、例示的なコンピュータシステム100は、バス108を介して互いに通信する、プロセッサ102(例えば、中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)、または両方)、メインメモリ104およびスタティックメモリ106を含む。コンピュータシステム100はさらに、ビデオディスプレイユニット110(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)または陰極線管(CRT))を含み得る。コンピュータシステム100はまた、英数字入力装置112(例えば、キーボード)、ユーザインターフェース(UI)ナビゲーション装置114(例えば、マウス、またはタッチパッド)、ディスクドライブユニット116、信号発生装置118(例えば、スピーカー)およびネットワークインターフェース装置120を含む。
【0167】
ディスクドライブユニット116は、本明細書において説明する方法論または機能の任意の1つまたは複数を具現化するまたはそれらによって利用される、1つまたは複数のセットの、命令およびデータ構造(例えば、ソフトウェア124)を記憶する、非一時的機械可読媒体112を含む。ソフトウェア124はまた、完全にまたは少なくとも部分的に、コンピュータシステム100によるその実行中にメインメモリ104内および/またはプロセッサ102内に存在し得、メインメモリ104およびプロセッサ102はまた、機械可読媒体を構成する。
【0168】
ソフトウェア124はさらに、多くの周知の転送プロトコル(例えば、HTTP)の任意の1つを利用して、ネットワークインターフェース装置120を介してネットワーク126上で送信しまたは受信し得る。
【0169】
機械可読媒体112は、例示的な実施態様においては単一の媒体であると示しているが、用語「機械可読媒体」は、1つまたは複数のセットの命令を記憶する、単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型メモリストア、および/または関連するキャッシュおよびサーバー)を指し得る。用語「機械可読媒体」はまた、機械による実行のための一連の命令を記憶し、符号化しまたは運ぶことができる、および機械に本発明の方法論の任意の1つまたは複数を実施させる、またはそのような一連の命令によって利用される若しくはそれらに関連する、データ構造を記憶し、符号化しまたは運ぶことができる、任意の媒体を含むと解し得る。用語「機械可読媒体」は従って、ソリッドステートメモリ、光学および磁気媒体、並びに搬送波信号を含むが、これらに限定されないと解し得る。
【0170】
本明細書において開示するこの発明においては、高度な、現実的な、および非常に詳細なコンピュータシミュレーションまたはモデル化によって、全ての微視的な、放射線ごとのおよび相互作用ごとの物理プロセスを完全に記述する、非常に正確な画像データを生成するための方法およびシステムが提案される。これは、検出器からの生の画像データに基づく画像再構築プロセスの改善に関連する、統計的なおよび体系的なプロセスを、最初に完全に理解し、次いで説明する方法の基礎である。
【0171】
さらに、機械ベースの学習および人工知能技術は、画像再構築および画像改善の両方に、並びにまた再構築された画像に適用される、または基本的な放射線データ若しくは応答線それ自体にさえも適用される、パターン認識プロセスにも適用することができることが、さらに留意される。機械学習または人工知能技術の適用は、新しくはない。それは、自明であるとして解し得る。しかしながら、これらの技術の開発における重要な工程は、アルゴリズムの訓練である。分類または特徴識別を使用する、教師あり学習の場合においては、追加セットのラベルに依存し、または真実が知られているデータセットを必要としなければならいであろう。根底にある画像パターンまたは特徴グルーピングを探し得る、教師なし学習の場合においては、完全な真実を有しない可能性があるが、最終的には、真実に対してアルゴリズムをベンチマークし検証しなければならないであろう。これは、機械学習または人工知能のアプローチの力を決定するであろう重要な工程である。アルゴリズムの訓練および検証のために十分な数の例を作り出すために、患者から提供された真実のデータを必要とすることは、非常につまらなくあり得る。これが十分に行われない限り、必要とされる正確な画像分析を正確に生み出すための、アルゴリズムの性能、および全ての可能な画像入力に対するそれらの一般性の不利益となる。
【0172】
この発明においては、高度な、現実的な、および詳細なコンピュータシミュレーションまたはモデル化によって、完全な真実の記述を有する、非常に正確なシミュレートされた画像データを生成する方法が、さらに提案される。これについては、全てのコンポーネントの設計を複製し、全ての物理プロセス、信号の作成および処理、並びに実際の場合の適用における完全に実現されたシステムからと同じデータを生み出すであろう任意の他の要件を正確にシミュレートする、システム全体のデジタルツインを必要とする。完全に既知の機能および分類、またはこのデータからの再構築された画像の任意の他の必要とされるラベルと一緒になった、デジタルツインからの、正確であるがシミュレートされたデータの拡張されたセットの生成は、アルゴリズムの適切な訓練を、この生成されたセット中の各シミュレートされた例についてのこれらの既知の真実を使用して任意の必要とされる臨床分析のために使用することを、可能にするであろう。これは、前述の画像タイプについてこの発明において概説したアルゴリズムモデルを訓練し、改善し、および検証するための、新規な方法の基礎を形成する。同じモデルを使用してまた、さもなければ再構築された画像を劣化させるであろう、統計的なおよび体系的な影響を適切に説明することにより、実際の画像形成を改善し得る。機械学習または人工知能はまた、画像形成に適用し得るであろう。
【0173】
このように、デジタルツインのコンセプトは、画像形成およびパターン認識の両方を改善し得る。それは、決定論的な方法で適用し、また、機械学習および人工知能ソリューションを、両方とも画像再構築およびパターン認識または分類または特徴識別または任意の他の必要とされる分析に開発するためにも適用することができる。組み合わせたアプローチのこの使用は、記載したシステムを臨床適用において使用する、大きく改善された臨床分析につながる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】