(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ロール状の自由縁を有する容器を製造するための治具
(51)【国際特許分類】
B31F 1/00 20060101AFI20230608BHJP
B31B 50/59 20170101ALI20230608BHJP
【FI】
B31F1/00
B31B50/59
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514168
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2021062840
(87)【国際公開番号】W WO2021229058
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522446960
【氏名又は名称】ミューセル エクストルージョン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン、トーベン
【テーマコード(参考)】
3E075
3E078
【Fターム(参考)】
3E075AA05
3E075BA38
3E075BB02
3E075CA01
3E075DC17
3E075DC46
3E075GA03
3E078AA13
3E078BC10
3E078DD10
(57)【要約】
本開示は、ロール状の自由縁を有する容器を製造するための治具100を想定する。治具100は、容器固定具110と、ロール用ダイス150とを備える。容器固定具110は、分割ジョーの第1のセット125を備え、分割ジョーの第1のセット125は、容器の自由縁の近くの容器の操作可能な外側面に当接し、容器の外側面に沿って摺動するように配置され、それによってロール状に丸める動作中に外側面を支持する。一実施例のロール用ダイス150は、丸身を帯びた溝155を有する分割ジョーの第2のセット165を備え、前記分割ジョーの第2のセットの分割ジョーは、ロール状に丸める動作中に収縮するように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の自由縁を有する容器を製造するための治具であって、
・容器を受容するように構成された開放凹部を備える容器固定具と、
・前記容器固定具に面する丸みを帯びた溝を備えるロール用ダイスであって、前記丸みを帯びた溝は、容器の自由縁をカールするために前記容器固定具内に挿入された前記容器の前記自由縁に対応するように配置され、前記ロール用ダイスは、前記容器固定具に対して変位可能に配置される、ロール用ダイスと
を備える治具において、
・容器が前記容器固定具内に配置されるときに、容器の操作可能な外側面に当接する分割ジョーの第1のセットを備え、前記分割ジョーの第1のセットの前記ジョーは、前記ロール状に丸める動作中に前記容器の前記操作可能な外側面に沿って摺動するように、第1の摺動機構に沿って摺動するように配置されており、前記第1の摺動機構は、前記分割ジョーの第1のセットの前記ジョーが、前記容器固定具の前記開放凹部の長手方向中心軸に対する前記容器の前記操作可能な外側面の角度に対応した、前記容器固定具の前記開放凹部の前記長手方向中心軸に対する角度を有する経路に沿って変位するように配置されることを特徴とする、治具。
【請求項2】
前記第1の摺動機構は、前記容器の前記操作可能な外側面から離間して配置され、前記容器固定具の前記開放凹部の前記長手方向中心軸の周りに配置され、前記容器固定具の前記開放凹部の前記長手方向中心軸に対する角度で配置された複数のピンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記ロール用ダイスは、前記丸みを帯びた溝を備える分割ジョーの第2のセットを備え、前記分割ジョーの第2のセットは、前記ロール状に丸める動作中に収縮するように配置されて、その結果、前記丸みを帯びた溝の外周は、前記ロール状に丸める動作中に縮小されることを特徴とする、請求項1から2までのいずれか一項に記載の治具。
【請求項4】
前記ロール用ダイスは、前記分割ジョーの第2のセットを水平方向に変位/収縮するように構成された第2の摺動機構を備えることを特徴とする、請求項3に記載の治具。
【請求項5】
前記分割ジョーの第1のセット及び前記分割ジョーの第2のセットは接触面を有し、前記ロール用ダイス又は前記容器固定具のいずれかが他方に向かって移動されるとき、前記分割ジョーの第1のセット及び前記分割ジョーの第2のセットは互いに接触し、前記ロール用ダイスと前記容器固定具との間の相対運動により、前記第1の摺動機構の前記角度に応じて長手方向及び内方に前記分割ジョーの第1のセットが変位し、それにより、前記分割ジョーの第2のセットも内方に変位することを特徴とする、請求項4に記載の治具。
【請求項6】
前記分割ジョーの第1及び第2のセットの前記接触面は、相補的なテーパ角度を有するテーパ面であることを特徴とする、請求項5に記載の治具。
【請求項7】
前記分割ジョーの第1及び第2のセットの各々は、円周方向に配置された同数のジョーを備えることを特徴とする、請求項3に記載の治具。
【請求項8】
前記治具は、前記ロール用ダイス又は前記容器固定具のいずれかを他方に向かって変位させるように構成されたアクチュエータを備えることを特徴とする、請求項1に記載の治具。
【請求項9】
前記分割ジョーの第1のセットの各々は、前記容器固定具の前記開放凹部の前記長手方向中心軸に対する前記容器の前記操作可能な外側面の前記角度に対応するテーパ角度を有する操作可能な内部テーパ面を有することを特徴とする、請求項1に記載の治具。
【請求項10】
前記治具は、前記ロール用ダイスが前記容器固定具の下に配置され、前記治具が前記丸みを帯びた溝上に滴下する潤滑剤の流れを促進するように構成されたチャネルを備えるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器のロール状の縁部のための治具の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
標準的な紙容器、例えば紙製飲料カップでは、容器の自由縁は、自由縁を補強するため、且つ、滑らかな縁部も提供するために、ロール状に丸める動作で丸められる。
【0003】
典型的には、治具は、容器の上縁をカールするために使用される。従来の治具は、第1のダイスと第2のダイスとを備える。容器は第1のダイスによって保持され、第2のダイスは、カールが必要な容器の縁部上に押し付けられる。第2のダイスは、容器の縁部に面する丸みを帯びた溝を有する。典型的には、溝は下向きの溝であり、溝を有する第2のダイスは、第2のダイスの下の第1のダイス内で保持された容器の自由縁に向かって下方に変位する。容器の縁部は、第2のダイスがさらに下方に変位すると、カールし始める。従来の治具のうちの1つは、米国特許出願公開第2008/0029525号に示されている。従来の治具の別の例は、米国特許第3065677号に示されている。米国特許出願公開第2008/0029525号及び米国特許第3065677号に開示されているように、往復運動をする打撃工具(第2のダイス)は、カップの縁部のカールを容易にする環状溝を備える。打撃工具は、垂直下方に変位して、環状溝内の縁部のカールを容易にする。しかしながら、ロール状に丸める動作は、失敗しやすいことが分かっている。動作が失敗すると、治具内の容器は変形してしまい、捨てざるを得なくなる。
【0004】
したがって、従来の治具の上記欠点を軽減し、容器の自由縁でのロール状に丸める動作を容易にする治具の必要性が感じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0029525号
【特許文献2】米国特許第3065677号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、容器の自由縁でのロール状に丸める動作を行うのに役立つ治具を提供することである。
【0007】
本開示の別の目的は、ロール状に丸める動作中に、容器の外側面を支持する治具を提供することである。
【0008】
本開示のさらに別の目的は、テーパ状の容器を、先行技術の治具よりも良好に収容する治具を提供することである。
【0009】
本開示のさらに別の目的は、先行技術の治具よりも多くの材料を上縁で丸めることができる治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、ロール状の自由縁を有する容器を製造するための治具を開示している。治具は、容器固定具として配置される第1のダイスと、ロール用ダイスとして配置される第2のダイスとを備える。容器固定具は、容器を受容するように構成された開放凹部を備える。ロール用ダイスは、容器の自由縁をカールするための容器固定具に面する丸みを帯びた溝を備える。容器固定具は、容器が容器固定具内に配置されるときに容器の操作可能な外側面に当接する分割ジョーの第1のセットを備え、前記分割ジョーの第1のセットの前記ジョーは、ロール状に丸める動作中に前記容器の操作可能な外側面に沿って摺動するように、第1の摺動機構に沿って摺動するように配置され、前記第1の摺動機構は、分割ジョーの第1のセットのジョーが、容器固定具の開放凹部の長手方向中心軸に対する容器の操作可能な外側面の角度に対応する、容器固定具の開放凹部の長手方向中心軸に対する角度を有する経路に沿って変位するように配置される。
【0011】
一実施例では、ロール用ダイスは、分割ジョーの第2のセットを備え、前記丸みを帯びた溝は、分割ジョーの第2のセットの分割ジョー内に配置され、前記分割ジョーの第2のセットは、ロール状に丸める動作中に収縮するように配置されて、その結果、丸みを帯びた溝の外周がロール状に丸める動作中に縮小される。一実施例では、丸みを帯びた溝は、容器凹部の長手方向軸に垂直な平面上に配置された閉ループ上にある。
【0012】
一実施例では、丸みを帯びた溝は、容器凹部の長手方向中心軸に垂直な平面内に直径Dを有し、前記分割ジョーの第2のセットは、ロール状に丸める動作中に収縮するように配置されて、その結果、直径Dは、ロール状に丸める動作中に縮小される。
【0013】
一実施例では、分割ジョーの第1のセット及び分割ジョーの第2のセットの各々は、ジョーの第1及び第2のセットが互いに接触したときに互いに当接する接触面を備える。ロール用ダイス又は容器固定具のいずれかが他方に向かって移動されるとき、分割ジョーの第1のセット及び分割ジョーの第2のセットは互いに接触し、ロール用ダイスと容器固定具との間の相対運動により、第1の摺動機構の角度に応じて内方に変位された分割ジョーの第1のセットが変位し、それにより、分割ジョーの第2のセットも内方に変位する。
【0014】
「含む/含んでいる/含まれている」という用語は、本明細書で使用されたときに、記載された特徴、整数、ステップ、又は構成要素の存在を特定するために用いられるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことが強調されるべきである。
【0015】
本開示の治具について、ここでは添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本開示の治具のロール用ダイスの等角図を示す。
【
図3】容器上でロール状に丸める動作を開始する前の
図1の治具の部分断面側面図を概略的に示す。
【
図4】ロール状に丸める動作中の
図1の治具の部分断面側面図を概略的に示す。
【
図5】ロール状に丸める動作の終了時の
図1の治具の部分断面側面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明は、添付の図面によって示される実施例を参照して、より詳細に説明する。図示された実施例は、例示のみを目的として使用され、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではないことが強調されるべきである。
【0018】
本開示は、ロール状の自由縁を有する容器を製造するための治具を開示している。自由縁をロール状に丸めることにより、容器の自由縁に剛性が与えられ、滑らかな自由縁を有する容器が提供される。より具体的には、本発明による治具は、容器の自由縁上でロール状に丸める動作を実行するのに役立つ。ロール状に丸める動作では、容器の自由縁は、容器の外側面に向かって(容器の典型的な使用状況において)外方及び下方に丸められる。
【0019】
治具100は、容器固定具110とロール用ダイス150とを備える。
【0020】
本発明の治具100の第1の実施例は、
図1から
図4に示されている。
図1は、治具100の等角図を示す。
図2は、ロール用ダイスの斜視図を示す。
図3は、容器上でロール状に丸める動作を開始する前の治具100の断面図を示す。
図4は、ロール状に丸める動作を行っている間の治具100の断面図を示す。
図5は、ロール状に丸める動作の終了時の治具100の断面図を示す。
【0021】
容器固定具110は、自由縁がカールされる/丸められる容器(図示せず)を受容するように構成された開放凹部115を有する。その凹部115は、受容される容器の外面に対して相補的な形状を有する。容器は、丸められる自由縁を有する容器の開放端がロール用ダイス150に面するように、凹部115に受容される。
【0022】
一実施例では、容器は、ボール紙、プラスチック、又は金属のカップであってもよい。
【0023】
現在の実施例では、容器は、容器の自由縁が下向きになり、容器の「底」が上向きになるように容器凹部115内に配置されることに留意されたい。
図3から
図5では、容器凹部115の半分だけが示されるように、治具の半分だけが示されている。
【0024】
容器固定具110は、凹部115が形成された中空の固定具本体120を備える。容器固定具110は、固定具本体120内に配置された分割ジョーの第1のセット125を備える。分割ジョーの第1のセット125のジョーの支持面127は、容器が凹部内に配置されるときに容器の操作可能な外側面に当接する。ジョーは、ロール状に丸める動作中に容器の外側面に沿って摺動するように配置される。したがって、自由縁に近い容器の外側面は、ロール状に丸める動作中に十分に支持される。これにより、従来の治具でときどき観察されるような、ロール状に丸める動作中の容器の座屈/つぶれが防止される。従来の治具では、容器側壁の上部露出部分が支持されていないことがよくある。
【0025】
ロール状に丸める動作中に容器の外面の上部に支持体を配置することにより、上縁の材料が応力を受けにくくなるため、側面がつぶれる危険性が少なく、より長い距離にわたってカール動作を行うことができる。より長い距離にわたってカール動作を行うことにより、より多くの材料をカール部分に配置することができ、より硬くより安定したリム部分を可能にする。
【0026】
治具100は、容器の外側面に沿った分割ジョーの第1のセット125の摺動を容易にする第1の摺動機構125、130を備える。より具体的には、分割ジョーの第1のセット125のジョーは、第1の摺動機構に沿って摺動するように配置される。第1の摺動機構は、容器の外側面に沿って、分割ジョーの第1のセット125のジョーの各々を案内する。第1の摺動機構は、開放凹部の長手方向中心軸に対する容器の外側面の角度に対応する角度で、容器固定具110の固定具本体120内に配置される。より具体的には、第1の摺動機構が治具100の垂直軸又は水平軸に対してなす角度は、容器が凹部115に受容されるときに容器の外側面が治具100の垂直軸又は水平軸に対してなす角度にそれぞれ等しい。
【0027】
一実施例では、第1の摺動機構は、複数のピン130を含む。ピン130は、容器固定具110の固定具本体120内に固定して配置され、容器の外側面から離間した構成であり、容器凹部の周囲に均等に配列される。ピン130は、ピン130が容器の外側面と平行になるように配置される。一実施例では、分割ジョーの第1のセット125のジョーの支持面127は、容器の外側面とピン130との間に配置される。分割ジョーの第1のセット125の各ジョーは、ピン130を受容するためのスロット126を備える。スロットがそのように構成されているので、ジョー125がピン130に沿って摺動できる。一実施例では、ピン130は、剛性の棒である。一実施例では、ピン130は、円形の断面を有する。
【0028】
さらに、ジョーの支持面127は、容器の外側面の角度に対応するテーパ角度を有する。
【0029】
現在の実施例では、ジョーは、ピンに取り付けられ、ピンに沿って摺動する。しかしながら、本発明の範囲内では、他の摺動装置を使用することができる。機械設計の当業者は、適切な設計を提供することができる。
【0030】
ロール用ダイス150は、丸みを帯びた溝155を備える。丸みを帯びた溝155は、容器固定具110に面しており、容器の自由縁をカールするのを容易にするように構成されている。丸みを帯びた溝は、容器凹部の長手方向軸に垂直な平面上で見た場合、容器の開口部の外周と一致する。したがって、この実施例では、容器は円形の開口部を有し、丸みを帯びた溝も直径Dの円形の形状を有する。
【0031】
ロール用ダイス150は、中空のダイス本体160を備える。さらに、ロール用ダイス150は、ダイス本体160に配置された分割ジョーの第2のセット165を備える。分割ジョーの第2のセット165は、丸みを帯びた溝155を備える。より具体的には、溝155の一部157は、完全な丸みを帯びた溝155を共に形成している分割ジョーの第2のセット165の各々の上に構成される。
【0032】
分割ジョーの第2のセット165は、ロール状に丸める動作中に収縮するように配置されて、その結果、直径Dは、ロール状に丸める動作中に縮小される。より具体的には、分割ジョーの第2のセット165の隣り合うジョーの間の間隙167は、ロール状に丸める動作が進行するにつれて縮小し続け、分割ジョーの第2のセット165は、容器固定具110の方向にさらに変位する。
【0033】
一実施例では、ロール用ダイス150は、分割ジョーの第2のセット165を水平方向に変位させるように構成された第2の摺動機構200を備え、それにより、分割ジョーの第2のセット165の収縮を容易にする。第2の摺動機構は、複数のばね195と水平ピン200とを備える。より具体的には、分割ジョーの第2のセット165の各ジョーは、水平ピン200上に摺動可能に取り付けられ、ばね195を備える。ばね195は、分割ジョーの第2のセット165が内方に移動するときにばね195が圧縮されるように配置される。分割ジョーの第2のセットは、緩められるときに、ばねによって加えられた力によって外方に移動する。
【0034】
分割ジョーの第1のセット125及び分割ジョーの第2のセット165の各ジョーは、接触面135、170を有する。一実施例では、分割ジョーの第1のセット125及び分割ジョーの第2のセット165の接触面135、170は、テーパ面である。テーパ接触面135、170は、相補的なテーパ角度を有する。テーパ接触面135、170は、分割ジョーの第1のセット125及び分割ジョーの第2のセット165が互いに接触するとき、分割ジョーの第2のセット165の動きを容易にする。
【0035】
ロール用ダイス150が容器固定具110に向かって押されると、分割ジョーの第2のセット165のジョーの各々のテーパ面170は、ジョーの第1のセット125の対応するジョーのテーパ面135に接触する。次に、これらの2つのテーパ面が互いに接合される。ロール用ダイス150が容器固定具110に向かってさらに上方に押されると、分割ジョーの第2のセット165は、容器固定具に対して上方に押される。これにより、分割ジョーの第1のセット125も容器固定具に対して上方に変位する。分割ジョーの第1のセット125のジョーが角度付きのピン130上を摺動するため、分割ジョーの第1のセット125のジョーが上方に移動すると、それらは同時に内方に移動する。ジョーの第1及び第2のセット間の接続により、ジョーの第2のセットのジョーも内方に変位する。
【0036】
したがって、ジョーの2つのセットは互いにロックし、ともに移動する。それらは、同じ量で内方に移動し、接触面で同じ半径を有するため、互いに接合されたままである。
【0037】
ロール用ダイス150が容器固定具110から離れる方向に変位するとき、ジョーの第1のセット125は、重力によって下方に移動し、ジョーの第2のセット165を外方に押す。圧縮されたばね195も、分割ジョーの第2のセット165をそれらの元の/初期の位置に付勢する。ロール用ダイスが容器固定具から十分遠くに離れて変位するとき、ジョーの第1及び第2のセットのジョーは、互いに離れる。接触面がテーパ状であるため、2つの面は容易に互いから離れる。
【0038】
開位置において、すなわち、ロール状に丸める動作を開始する前に、分割ジョーの第2のセット165は外に出ている。ロール状に丸める動作の間、分割ジョーの第2のセット165は、内方へ移動して、丸みを帯びたロール用の溝155の直径を容器のテーパに合わせて調整する。このようにして、丸みを帯びた溝155は、その直径を調整して、容器の外側面のテーパに適合する。
【0039】
動作不能の構成では、分割ジョーの第1のセット125のジョー及び分割ジョーの第2のセット165のジョーの各々は、同じセット内の隣り合うジョーに当接せず、間隙126、167は、隣り合うジョーの間に設けられる。操作可能な構成では、又は、ロール状に丸める動作が進むにつれて、ジョーのそれぞれのセットの中の隣り合うジョーの間の間隙126、167は縮小し始め、その後、ジョーは、ジョーの同じセットの中の隣り合うジョーに当接することができる。
【0040】
分割ジョーの第1のセット125及び分割ジョーの第2のセット165の各々におけるジョーの数は、容器の適用要件、並びにサイズ及び形状に従って変化することができる。一実施例では、分割ジョーの第1のセット125及び分割ジョーの第2のセット165の各々は、円周方向に配置された同数のジョーを備える。一実施例では、分割ジョーの第1のセット125及び分割ジョーの第2のセット165の各々は、8つのジョーを備える。
【0041】
治具100は、容器固定具110又はロール用ダイス150のいずれかを他方に向かって変位させるように構成されたアクチュエータを備え、他方は固定されたままである。一実施例では、アクチュエータは、容器固定具110に結合され、容器固定具110をロール用ダイス150に向かって変位させる。別の実施例では、アクチュエータは、ロール用ダイス150に結合され、ロール用ダイス150を容器固定具110に向かって変位させる。
【0042】
容器固定具110は、添付の図面では上部として示されているが、治具100の全体構造は、容器固定具110を下部、ロール用ダイス150を上部として反転させることができることに留意されたい。
【0043】
治具100は、ロール用ダイス150のダイス本体160内に構成されたチャネル190をさらに備える。チャネル190は、丸みを帯びた溝155上に滴下する潤滑剤の流れ、典型的にはシリコンの流れを促進するように構成される。潤滑剤は、チャネル190を通過する。シリコンは、チャネル190の端部からゆっくりと滴下して、丸みを帯びた溝155に落下する。潤滑剤は、ロール状に丸める動作中に、容器と治具100との間の摩擦を低減させる。潤滑剤はゆっくりとした滴下プロセスによって塗布されるので、治具100の周囲付近に潤滑剤の雲状のもの(先行技術のタイプの潤滑システムで形成される)は形成されず、潤滑剤は、丸みを帯びた溝155の周りのみに集中し、他のものには集中しない。これにより、潤滑剤の無駄遣いが防がれる。潤滑装置の上記開示は、将来出願される可能性のある分割出願の対象となる可能性がある。例えば、治具は、ロール用ダイス及び容器固定具を備え、前記ロール用ダイスは、容器固定具内に配置された容器の自由縁をロール状に丸めるのに適切な丸みを帯びた溝を備え、前記ロール用ダイスは、容器固定具の下に配置され、前記治具は潤滑装置を備え、それによって、潤滑剤の出口が丸みを帯びた溝の上に設けられ、その結果、潤滑剤出口から押し出された潤滑剤は滴下して、丸みを帯びた溝に入る。
【0044】
ロール状に丸める動作を行うために、容器は、容器の自由縁がロール用ダイス150に面するように、開放凹部115内に配置される。さらに、容器固定具110及びロール用ダイス150の一方は、他方に向けて変位して、それらの間の接触を確立する。接触時に、分割ジョーの第1のセット125は、分割ジョーの第2のセット165からの圧力により、第1の摺動機構に沿って容器の基部に向かって、容器の自由縁から離れるように移動する。さらに、分割ジョーの第1のセット125は、ピン130の角度配置により、内方に移動し始める。分割ジョーの第1のセット125が内方に移動することで、分割ジョーの第1のセット125は、容器のテーパ状の外面に沿って摺動することが可能になり、それによって、ロール状に丸める動作中に外側面を支持することができる。
【0045】
容器の自由縁と接触したとき、分割ジョーの第2のセット165は、丸みを帯びた溝155によって容器の自由縁をロール状に丸め始める。
【0046】
接触面135、170により、分割ジョーの第1のセット125が内方へ動くことで、分割ジョーの第2のセット165も内方に移動される。したがって、治具100の動きは、単一のアクチュエータを用いて制御することができる。
【0047】
さらに、容器固定具110又はロール用ダイス150は、治具100が温められるように、発熱体の形態によって加熱することができる。これにより、ロール状に丸める動作のための材料を準備するのに役立つ。
【0048】
図面及び上記の説明は、例示的な実施例を簡単且つ概略的な方法で示していることに留意されたい。特定の機械的細部の多くは、当業者がこれらの細部に精通しているはずであり、それらがこの説明を不必要に複雑にするだけであるため、示されていない。例えば、使用される特定の材料及び特定の製造手順は、当業者が現在の発明による容器及び治具を製造するための適切な材料及び適切なプロセスを見出すことができるということが維持されるので、詳細には説明されていない。
【0049】
現在の独立請求項1は、ロール状に丸める動作中に分割ジョーの第1のセットが容器の外面に沿って摺動するように配置されている治具に焦点を当てていることにも留意されたい。可能性のある分割出願において、独立請求項1は、ロール状に丸める動作中に収縮して、丸みを帯びた溝の外周を縮小する分割ジョーの第2のセットに焦点を当てるように作成されてもよい。独立請求項は、「ロール状の自由縁を有する容器を製造するための治具」として作成されてもよく、前記治具は、
・容器を受容するように構成された開放凹部を備える容器固定具と、
・前記容器固定具に面する丸みを帯びた溝を備えるロール用ダイスであって、前記丸みを帯びた溝は、容器の自由縁をカールするために容器固定具内に挿入された容器の自由縁に対応するように配置され、前記ロール用ダイスは、容器固定具に対して変位可能に配置される、ロール用ダイスと
を備え、
・前記ロール用ダイスは、丸みを帯びた溝を備える分割ジョーの1セットを備え、前記分割ジョーの第2のセットは、ロール状に丸める動作中に収縮するように配置されて、その結果、丸みを帯びた溝の外周は、ロール状に丸める動作中に縮小されることを特徴とする。
【符号の説明】
【0050】
100 治具
110 容器固定具
115 凹部
120 固定具本体
125 分割ジョーの第1のセット
127 分割ジョーの第1のセットの内面
130 ピン
135 容器固定具の接触面
150 ロール用ダイス
155 溝
160 ダイス本体
165 分割ジョーの第2のセット
170 ロール用ダイスの接触面
190 チャネル
195 ばね
200 水平ピン
【国際調査報告】