(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(54)【発明の名称】フィルムの表面処理のための機械
(51)【国際特許分類】
B41F 17/00 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
B41F17/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514169
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2021062841
(87)【国際公開番号】W WO2021229059
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522446960
【氏名又は名称】ミューセル エクストルージョン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン、トーベン
(57)【要約】
フィルム202の表面処理のための機械100が開示される。機械100は、フィルム202の少なくとも一部分204を表面処理するための表面処理ユニット110を含む。また、機械100は、表面処理ユニット110とフィルム202との間に配置されたテンプレート112を含む。テンプレート112は、表面処理を行うためにフィルム202の一部分204を表面処理ユニット110に露出させる少なくとも1つの切欠き126を含む。さらに、機械は、フィルム202の表面処理中に、フィルム202を表面処理ユニット110に対して変位させるように適合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを表面処理するための機械であって、
前記フィルムの少なくとも一部分を表面処理するための表面処理ユニットと、
前記表面処理ユニットと前記フィルムとの間に配置され、前記表面処理を行うために前記フィルムの前記一部分を前記表面処理ユニットに露出させる少なくとも1つの切欠きを含むテンプレートと
を備える機械において、
前記機械が、前記フィルムの前記表面処理中に、前記表面処理ユニットに対して前記フィルム及び前記テンプレートを変位させるように適合されていることを特徴とする、機械。
【請求項2】
前記テンプレートは、エンドレスのテンプレート・シートであり、前記表面処理中に前記フィルムとともに連続的に移動する、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記テンプレートと前記フィルムとの間の距離は、2cm未満、1cm未満、又は0.5cm未満である、請求項2に記載の機械。
【請求項4】
前記テンプレートは、中空ロールであり、前記表面処理ユニットに対して回転するように適合されている、請求項1に記載の機械。
【請求項5】
前記表面処理ユニットは、前記中空ロールの内部に配置される、請求項4に記載の機械。
【請求項6】
前記機械は、前記フィルムが前記中空ロールと少なくとも1つの転動ユニットとの間で支持されるように、前記中空ロールの反対側に配置された前記少なくとも1つの転動ユニットを含む、請求項4に記載の機械。
【請求項7】
前記中空ロールは、前記表面処理ユニットに対する前記フィルムの移動を容易にするドライバ・ローラである、請求項4に記載の機械。
【請求項8】
前記表面処理ユニットは、コロナ放電ユニット又はプラズマ表面処理ユニットである、請求項1から7までのいずれか一項に記載の機械。
【請求項9】
前記表面処理ユニットに対する前記テンプレートの速度は、前記表面処理ユニットに対する前記フィルムの速度に等しい、請求項1から8までのいずれか一項に記載の機械。
【請求項10】
前記テンプレートは、第1の位置と第2の位置との間で移動するように適合された一対のプレートを含み、
前記一対のプレートのうちの一方は、前記フィルムの前記表面処理中に、前記第1の位置から前記第2の位置へ第1の方向に移動し、前記一対のプレートのうちの他方は、前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動して、前記第2の位置から前記第1の位置に到達する、請求項1に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、フィルムの表面処理を容易にするための機械に関する。より具体的には、本開示は、フィルムの印刷エリアに対応するフィルムの一部分のみの表面処理を容易にするために、少なくとも1つの切欠きを含むテンプレートを有する機械に関する。
【背景技術】
【0002】
容器は、多くの異なるタイプの材料から作成することができる。容器を製造する1つの一般的な方法は、コーティングされた紙ブランクを紙料から打ち抜き、次いで、コーティングされた紙ブランクを折り曲げて容器にすることを含む。この方法で製造された1つの典型的な容器は、単純な飲料カップ、例えばコーヒー・カップである。このタイプの動作では、側壁ブランク及び底部ブランクは、シート/ロール原料から別々に切り出される。次いで、側壁ブランクは、底部ブランクの周りに折り曲げられる。底部ブランク及び側壁ブランクは、典型的には、接着又は熱溶着動作によって、互いに接合される。次いで、カップのサイド・シームがシールされ、カップの上縁部分は、より硬い縁部を形成するために、典型的に丸められる。
【0003】
多くの場合、容器の側壁にグラフィックを施すことが望まれる。これは、マーケティング及び/又は情報提供を目的とする場合がある。側壁ブランクはストック材料から打ち抜かれるとき、インクが側壁ブランクの表面に適切に結合しないことがあるため、側壁ブランクは、印刷にあまり適していない場合が多い。したがって、ストック材料のシート全体の表面には、一般に、表面処理動作、例えば、コロナ処理又はプラズマ処理が施されている。しかしながら、特定のシナリオでは、コロナ処理されたシートから打ち抜かれた側壁ブランクは、底部ブランクと適切に溶着されない場合があり、これは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の第1の態様は、フィルムの表面処理機である機械を提供することである。
【0005】
本発明の第2の態様は、フィルムの選択部分の表面処理を容易にしつつ、他の部分を未処理のままにして、処理済みフィルムから形成される様々なブランクの溶着を容易にする機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によれば、「表面処理」という用語は、フィルムの表面を直接変化させてその湿潤能力を向上させる処理として理解されるべきであることに留意されたい。これは、フィルムの表面の表面エネルギーを増加させることによって行われる。表面の湿潤能力は、典型的にDyne/cmで測定される。したがって、本発明の表面処理は、フィルム自体の表面のDyne/cm測定値を増加させるように設計されていると言える。
【0007】
現在利用可能なプロセスは、コロナ処理及びプラズマ処理である。コロナ・プロセスは、分子を破壊するために近距離からプラスチック表面に高周波数放電を向けることによって機能する。プラズマ・プロセスは、プラスチック材料の表面に窒素ベースの分子群をグラフトすることによって機能する。どちらのプロセスも、材料の表面の表面エネルギーを増加させて、材料により良好な湿潤特性を与える。表面の表面エネルギーを増加させるのに適した追加のプロセスは、将来開発される可能性があり、現在の特許請求の範囲も、これらの将来の表面処理プロセスをカバーする必要がある。
【0008】
先行技術では、機械は、フィルム、例えば布フィルムに異なるタイプの表面コーティングを施すために利用可能であることにも留意されたい。しかしながら、フィルムに表面コーティングを施すこれらのタイプの機械は、本明細書によれば、これらの先行技術の機械がフィルムの実際の表面を処理するのではなく、むしろコーティングで表面を覆うだけであるため、フィルム自体の表面処理を提供する機械であるとは考えられない。
【0009】
上記の態様は、請求項1に記載の機械によって少なくとも部分的に提供される。請求項1によれば、機械は、フィルムの少なくとも一部分を表面処理するための表面処理ユニットと、フィルムと表面処理ユニットとの間に配置されたテンプレートとを含む。テンプレートは、フィルムの一部分を表面処理ユニットに露出させる少なくとも1つの切欠きを含む。さらに、機械は、フィルムの表面処理中に、フィルム及びテンプレートを表面処理ユニットに対して変位させるように適合されている。このようにして、切欠きを通して露出されるフィルムのエリアに表面処理を施すことができる。この実施例では、切欠きは、テンプレートとともに変位する。
【0010】
1つの実施例では、テンプレートは、エンドレスのテンプレート・シートであり、表面処理中にフィルムとともに連続的に移動する。
【0011】
1つの実施例では、テンプレートは、テンプレートの変位方向に沿って配置された複数の切欠きを含む。
【0012】
1つの実施例では、テンプレートとフィルムとの距離は、2cm未満、1cm未満、又は0.5cm未満である。1つの実施例では、テンプレートの一方の表面は、処理されるフィルムの表面に当接する。テンプレートとフィルムとを密着させることにより、未処理部分に対する処理済み部分の縁部を、より正確に画定することができる。
【0013】
1つの実施例では、機械は、テンプレート・シートを表面処理ユニットに対して移動させるための一対のローラを含む。
【0014】
1つの実施例では、テンプレートは、中空ロールであり、表面処理ユニットに対して回転するように適合されている。
【0015】
1つの実施例では、表面処理ユニットは、中空ロールの内部に配置される。
【0016】
1つの実施例では、機械は、フィルムが中空ロールと少なくとも1つの転動ユニットとの間に支持されるように、中空ロールの反対側に配置された少なくとも1つの転動ユニットを含む。
【0017】
1つの実施例では、中空ロールは、表面処理ユニットに対するフィルムの移動を容易にするドライバ・ローラである。
【0018】
1つの実施例では、表面処理ユニットは、コロナ放電ユニットである。
【0019】
1つの実施例では、表面処理ユニットに対するテンプレートの速度は、表面処理ユニットに対するフィルムの速度に等しい。
【0020】
1つの実施例では、テンプレートは、フィルムの一部分の表面処理を容易にするために、第1の位置と第2の位置との間で往復運動するように適合された金属プレートである。
【0021】
1つの実施例では、金属プレートは、フィルムの速度と等しい速度で第1の位置から第2の位置へ第1の方向に移動し、第2の位置に到達すると金属プレートを第1の位置に後退させるために、第1の方向とは反対の第2の方向に移動する。
【0022】
1つの実施例では、テンプレートは、第1の位置と第2の位置との間で移動するように適合された一対のプレートを含む。一対のプレートのうちの一方は、フィルムの表面処理中に、第1の位置から第2の位置へ第1の方向に移動するが、一対のプレートのうちの他方は、第1の方向とは反対の第2の方向に移動して、第2の位置から第1の位置に到達する。
【0023】
1つの実施例では、一対のプレートのうちの一方は、一対のプレートのうちの他方が第1の位置に到達するときに、第2の位置に到達するように適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の一実施例による、機械のテンプレートとしてエンドレスのテンプレート・シートを含む機械の斜視図である。
【
図2】本開示の一実施例による、単一の平面プレートとしてテンプレートを有する機械の斜視図である。
【
図3】本開示の一実施例による、一対のプレートを有するテンプレートを含む機械の斜視図である。
【
図4】本開示の一実施例による、テンプレートとして中空ロールを有する機械の正面図である。
【
図5】本開示の一実施例による、
図4の機械の斜視図である。
【
図6】本開示の一実施例による、フィルムの表面処理後に得られる例示的な表面処理フィルムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照すると、フィルム202の表面200を処理するのに適した例示的な機械100が示されている。一実施例では、フィルム202は、例えばカップなどの容器のための側壁ブランクを製造するために利用することができる。さらに、表面処理は、フィルム202の表面200上でグラフィックの印刷を容易にするために行われる。機械100は、基部108と、表面処理ユニット110と、フィルム202の選択エリアの表面処理を容易にするためのテンプレート112とを含む。基部108は、例えば地面などの表面300上に配置され、機械100の表面処理ユニット110やテンプレート112などの様々な構成部品及びサブアセンブリを支持する。表面処理ユニット110は、基部108の上面120の上を移動するフィルム202の表面処理を行うように構成される。一実施例では、表面処理ユニット110は、基部108の上面120に向かってコロナ放電を発生させるように適合された1つ又は複数のコロナ放電ユニット122を含む。一実施例では、表面処理ユニット110は、上面120の上に、及び上面120から少し離れて配置される。表面処理ユニット110は、上面120と表面処理ユニット110との間の隙間を変化させるため又は調整するために、上面120に対して垂直方向に移動することができることが理解され得る。上面120と表面処理ユニット110との間の隙間の調整によって、異なる厚さのフィルムの表面処理を容易に行うことができる。
【0026】
さらに、特定の実施例では、表面処理ユニット110は、連続的に移動するフィルム202の表面処理を行うために連続的にコロナ放電を発生させるように制御される。或いは、表面処理ユニット110は、2つの連続的な放電事象の間、予め定義されたタイム・ギャップがあるように制御されてもよい。このような場合、フィルム202は、放電事象の間は静止したままであり得、予め定義されたタイム・ギャップの間に移動する。さらに、放電事象は、所定の期間の表面処理ユニット110によるコロナ放電の連続的な発生として定義され得る。所定の期間は、フィルム202の厚さ、フィルム202の材料に基づいて計算することができ、フィルム202の表面200を適切に処理するために必要な持続時間に対応し、処理された表面200を所望のグラフィックを印刷するのに適したものにすることができる。
【0027】
印刷が行われるフィルム202の一部分204の表面処理を容易にするために、少なくとも1つの切欠き126を有するテンプレート112は、表面処理ユニット110とフィルム202との間に配置される。この実施例では、テンプレートは、テンプレートの変位方向に沿って一様に配列された複数の切欠きを含む。切欠き126は、表面処理ユニット110によって発生する放電にフィルム202の表面200の一部分204のみをさらすように適合され、それにより、フィルム202の露出部分204のみの表面処理を可能にする。テンプレート112とフィルム202との間の垂直距離は、表面処理ユニット110によって発生される放電が切欠き126の縁部を越えて広がることを防止するように選択されることが理解され得る。したがって、テンプレート112は、表面処理ユニット110によって発生されるコロナ放電が、切欠き126によって露出されたフィルム202の一部分204のみに接触するように、フィルム202に対して配置される。特定の実施態様では、テンプレート112は、テンプレート112がフィルム202の表面200に当接/接触するように、表面処理ユニット110とフィルム202との間に配置される。このような場合、テンプレート112はまた、表面処理ユニット110に対してフィルム202を駆動又は移動することを容易にすることができる。
【0028】
図1に示すように、テンプレート112は、表面処理ユニット110に対して移動するように適合されたエンドレスのテンプレート・シート128であってもよい。一実施例では、エンドレスのテンプレート・シート128は、閉ループを形成するためにシートの2つの端部を接合することによって形成され、テンプレート112の連続的な動きを可能にする。特定の実施態様では、エンドレスのテンプレート・シート128は、表面処理ユニット110によって発生される放電に耐えるのに適した可撓性材料で形成される。いくつかの実施例では、エンドレスのテンプレート・シート128は、複数の金属プレートを接合することによって形成される。このような場合、金属プレートは、ヒンジを用いて接合されて、金属プレート間のある程度の角運動を容易にするか、又は可能にし、それによって、エンドレスのテンプレート・シート128に可撓性を与えることができる。図示のように、エンドレスのテンプレート・シート128は、表面処理ユニット110に対してフィルム202の速度に等しい速度で直線的に移動する。エンドレスのテンプレート・シート128を支持するために、機械100は、一対のローラ、例えば、機械100の基部108に回転可能に取り付けられた第1のローラ134と第2のローラ136とを含むことができる。ローラ134、136は、エンドレスのテンプレート・シート128がローラ134、136の各々の周りをループするような端部ローラである。図示のように、第1のローラ134は、表面処理ユニット110の第1の側140に近接して取り付けられ、第2のローラ136は、表面処理ユニット110の第2の側142に近接して取り付けられる/配置される。一実施態様では、一対のローラ134、136のうちの少なくとも一方は、例えば、第1のローラ134は、表面処理ユニット110に対するエンドレスのテンプレート・シート128の直線的な移動を容易にするためのドライバ・ローラであってもよい。したがって、第1のローラ134は、第1のローラ134の回転を容易にする駆動モータ(図示せず)に動作可能に接続されてもよい。
【0029】
図2を参照すると、代替実施例による機械100’が示されている。機械100’は、機械100’のテンプレート112’が機械100のテンプレート112とは異なること以外は、機械100と同様である。図示のように、テンプレート112’は、エンドレスのテンプレート・シート128又はループの代わりに、第1の端部148及び第2の端部150を有する平面プレート146又はシートである。一実施例では、平面プレート146は、金属若しくは合金、又はコロナ放電による摩耗の少ない任意の他の適切な材料でできている。テンプレート112と同様に、テンプレート112’は、表面処理のためにフィルム202の表面200の一部分204を露出するために少なくとも1つの切欠き126’を含む。平面プレート146(すなわちテンプレート112’)は、表面処理ユニット110に対して第1の位置と第2の位置との間で往復運動するように適合されている。平面プレート146は、表面処理が行われているとき、フィルム202の移動方向に対応する第1の方向(すなわち方向A)に第1の位置から第2の位置へ移動し、第2の位置に到達後、逆方向の第2の方向(すなわち方向B)に第1の位置へと移動することが理解され得る。さらに、平面プレート146が第1の位置から第2の位置へ移動するとき、平面プレート146の移動は、平面プレート146の速度がフィルム202の速度に等しくなるように制御されるが、平面プレート146は、第2の位置から第1の位置にはるかに速く移動する。1つの実施例では、フィルムは、プレートが第2の位置から第1の位置に移動している間、減速又は停止することさえあり得る。別の実施例では、表面処理ユニットは、第2の位置から第1の位置へのプレートの移動中に、フィルム及びテンプレートに対して変位する。
【0030】
一実施態様では、第1の位置において、表面処理ユニット110の第1の側140に配置された平面プレート146の一部分の長さは、表面処理ユニット110の第2の側142に配置された平面プレート146の一部分の長さよりも長いが、第2の位置において、第1の側140に配置された平面プレート146の一部分の長さは、第2の側142に配置された平面プレート146の一部分の長さよりも短い。特定のシナリオでは、第1の位置において、第1の端部148が表面処理ユニット110から離れて配置される一方で、第2の端部150は、表面処理ユニット110の下に配置される。さらに、このようなシナリオでは、第2の位置において、第1の端部148は、表面処理ユニット110の下に配置され、第2の端部150は、表面処理ユニット110から離れて配置される。さらに、平面プレート146は、表面処理ユニット110の長さよりも長く、典型的に、表面処理ユニット110の表面処理部分の幅以上の幅を含むことが理解され得る。特定の実施例では、テンプレート112’は、フィルム202の表面の表面処理中は、表面処理ユニット110に対して静止したままであってもよい。このような場合、フィルム202は、表面処理ユニット110の下方に配置されたフィルム202の一部分の表面処理中は静止したままで、表面処理が完了した後に移動されて、表面処理を行うためにフィルム202の別の一部分を持ってくる。さらに、このような場合、表面処理ユニット110の動作も、フィルム202の移動中に停止又は中止され得るということが想定され得る。
【0031】
図3を参照すると、別の実施例による機械100”が示されている。機械100”は、機械100”のテンプレート112”が単一の平面プレートの代わりに一対のプレート146a、146bを含むこと以外は、機械100’と同様である。一対のプレート146a、146bの各々は、第1の位置と第2の位置との間で移動するように適合される。さらに、プレート146a、146bは、実質的に平行に、且つ、互いに横方向にオフセットして配置されている。プレート146a、146b、例えば、第1のプレート146a及び第2のプレート146bの各々は、構成及び構造が平面プレート146のものと同様であり、それぞれ、少なくとも1つの切欠き126aと、少なくとも1つの切欠き126bとを含むことが理解され得る。
【0032】
さらに、フィルム202の表面200の表面処理中に、一対のプレート146a、146bのうちの一方、例えば、第1のプレート146aは、フィルム202の移動方向に対応する第1の方向(すなわち方向A”)に移動するが、一対のプレート146a、146bのうちの他方、例えば、第2のプレート146bは、フィルム202の移動方向とは反対の第2の方向(すなわち方向B”)に移動する。したがって、第1のプレート146aは、切欠き126aによって露出されたフィルム202の一部分204の表面処理を容易にするために、方向A”に移動して、第1の位置から第2の位置に到達するが、第2のプレート146bは、B”方向に移動して、第2の位置から第1の位置に到達する。第2の位置に到達後、第1のプレート146aは、方向A”に垂直な方向(すなわち方向C”)に移動することができ、次いで、B”方向に移動して、第2の位置から第1の位置に到達する。同様に、第2のプレート146bは、第2のプレート146bをフィルム202の直上に位置決めするために、第1の位置に到達後、方向B”に実質的に垂直な方向、すなわち方向D”に移動することができる。その後、第2のプレート146bは、第1の方向A”に移動されて、切欠き126bによって露出されたフィルム202の一部分204の表面処理を容易にする。このようにして、一対のプレート146a、146bは、移動されて、フィルム202の表面200の少なくとも一部分204の連続的な表面処理を容易にする。また、一対のプレート146a、146bのうちの一方は、一対のプレート146a、146bのうちの他方が第1の位置に到達したときに、第2の位置に到達するように適合される。
【0033】
一実施態様では、第1の位置において、表面処理ユニット110の第1の側140に配置された第1のプレート146a又は第2のプレート146bの一部分の長さは、表面処理ユニット110の第2の側142に配置された第1のプレート146a又は第2のプレート146bの一部分の長さよりも長い。さらに、第2の位置において、第1の側140に配置された第2のプレート146b又は第1のプレート146aの一部分の長さは、第2の側142に配置された第2のプレート146b又は第1のプレート146aの一部分の長さよりも短い。特定のシナリオでは、第1の位置において、それぞれの第1の端部148a、148bは、表面処理ユニット110から離れて配置される一方、それぞれの第2の端部150a、150bは、表面処理ユニット110の下に配置される。さらに、一対のプレート146a、146bの各々は、表面処理ユニット110の長さよりも長く、典型的に、表面処理ユニット110の表面処理部分の幅以上の幅を含むことが理解され得る。
【0034】
図4及び
図5を参照すると、さらに別の一実施例による機械100’’’が開示されている。機械100’’’は、第1の転動ユニット162、第2の転動ユニット164、及び第3の転動ユニット168などのうちの少なくとも1つの転動ユニットを有する基部108’’’と、フィルム202を支持し、フィルム202の直線的な移動を容易にするための2つの端部ローラ、例えば、第1の端部ローラ170及び第2の端部ローラ172とを含む。一実施例では、転動ユニット162、164、168は、アイドラ転動ユニットであるが、2つの端部ローラ170、172のうちの少なくとも1つは、フィルムを方向「A」に移動するためのドライバ・ローラである。転動ユニット162、164、168、及び、端部ローラ170、172は、基部108’’’のフレーム(図示せず)に回転可能に取り付けることができる。さらに、機械100’’’は、フィルム202が、中空ロール176と転動ユニット162、164、168との間を通過するように、転動ユニット162、164、168の反対側に配置された中空ロール176の形態のテンプレート112’’’を含む。フィルムは、中空ロール176の外面178及び転動ユニット162、164、168に当接する。中空ロール176は、中空ロール176の内面180から外面178まで延在する少なくとも1つの切欠き126’’’を含み、切欠き126’’’は、表面処理のためにフィルム202の一部分204を露出させる。フィルム202の表面処理を容易にするために、機械100’’’は、中空ロール176の内部に配置された表面処理ユニット110’’’を含む。表面処理ユニット110’’’は、機械100の表面処理ユニット110と同様であってもよく、フィルム202の一部分204の表面処理を行うためにコロナ放電を発生させるための1つ又は複数のコロナ放電ユニット122’’’を含んでもよい。一実施例では、表面処理ユニット110’’’は、中空ロール176の内面180に沿うように円弧の形状を含んでいてもよい。
【0035】
中空ロール176は、外面178の直線速度がフィルム202の直線速度に等しくなるように回転するように適合されている。一実施例では、機械100’’’は、中空ロール176に当接して支持している中空ロール176の内部に配置された複数の支持ローラ184を含んでいてもよい。一実施例では、支持ローラ184のうちの少なくとも1つは、中空ロール176の中心軸186の周りで中空ロール176を回転させるドライバ・ローラであってもよい。このような場合、中空ロール176は、支持ローラ184が中空ロール176の内面180に接触するように、適切な切欠き126’’’を有するシートを支持ローラ184の周りに円筒形状に配置する又は巻き付けることによって形成される。このような場合、中空ロール176は、容易に交換することができる。一実施例では、フィルム202は、中空ロール176の回転により、表面処理ユニット110’’’に対して移動する。このような場合、中空ロール176は、表面処理中に、フィルム202の移動を容易にする駆動ユニットとして機能する。
【0036】
次に、機械100を用いたフィルム202の表面処理動作について説明する。機械100を用いたフィルム202の表面処理動作について説明するが、機械100’、機械100”、及び機械100’’’は、フィルム202の表面処理を行うために同様に利用することができることが理解され得る。フィルム202の表面処理を行うために、フィルム202がテンプレート112の下で移動し、テンプレート112の一部分が表面処理ユニット110とフィルム202との間に配置されるように、フィルム202が機械100に供給される。フィルム202を供給する前に、適切な形状及び寸法を有する切欠き126を有するテンプレート112が機械100に取り付けられる。その後、表面処理ユニット110のスイッチを入れて、フィルム202に向かってコロナ放電を発生させることが可能になる。そのように発生したコロナ放電は、テンプレート112の様々な切欠き126を通過して、切欠き126によって露出されたフィルム202の表面200の1つ若しくは複数の部分204、又はエリア/領域を処理するが、残りのエリア又は部分(すなわち、テンプレート112によって覆われたフィルム202の表面200のエリア/領域)は、未処理のままである。このようにして、印刷が実行されるフィルム202の選択された一部分204のみが表面処理されるが、他の領域は、未処理のままとなる。したがって、処理済みフィルムによって形成された容器の側壁ブランクは、底部ブランクに容易に溶着することができ、カップなどの容器の製造を容易にする。例えば、側部シールを形成する側壁ブランクの一部分及び/又は底部シールを形成する側壁ブランクの一部分は、未処理のままであり得るが、ブランクの非溶着部分は、処理済みの表面に直接印刷することができるように処理することができる。
【0037】
図6を参照すると、複数の側壁ブランク602が切断されることになる例示的な表面処理フィルム600が
図6に示されている。表面処理フィルム600は、機械100、100’、100”、100’’’を用いてフィルム202の表面処理を行うことによって得られる。側壁ブランク602は、線604に沿ってフィルム600を切断することによって得られることが想定され得る。図示のように、各側壁ブランク602は、表面処理ユニット110、110’’’によって処理された一部分606と、未処理エリア/部分/領域608とを含む。したがって、各側壁ブランク602は、その縁部に沿って未処理部分608を有する。したがって、処理されたフィルム600によって形成された側壁ブランク602は、底部ブランクに容易に溶着することができ、カップなどの容器の製造を容易にする。
【0038】
本開示の特定の実施例の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示されてきた。これらは、本開示を網羅することを意図するものではなく、又は開示された厳密な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして、明らかに多くの修正及び変形が可能である。例示的な実施例は、本開示の原理及びその実際の応用を最もよく説明するために選択及び説明されたものであり、それにより、当業者が本開示及び様々な実施例を、企図される特定の使用に適するものとして様々な修正を伴って、最も良く利用することを可能にする。
【符号の説明】
【0039】
100 機械
100’ 機械
100” 機械
100’’’ 機械
108 基部
108’’’ 基部
110 表面処理ユニット
110’’’ 表面処理ユニット
112 テンプレート
112’ テンプレート
112” テンプレート
112’’’ テンプレート
120 上面
122 コロナ放電ユニット
122’’’ コロナ放電ユニット
126 切欠き
126’ 切欠き
126” 切欠き
126a 切欠き
126b 切欠き
126’’’ 切欠き
128 エンドレスのテンプレート・シート
134 第1のローラ
136 第2のローラ
140 第1の側
142 第2の側
146 平面プレート
146a 第1のプレート
146b 第2のプレート
148 第1の端部
148a 第1の端部
148b 第1の端部
150 第2の端部
150a 第2の端部
150b 第2の端部
162 第1の転動ユニット
164 第2の転動ユニット
168 第3の転動ユニット
170 第1の端部ローラ
172 第2の端部ローラ
176 中空ロール
178 外面
180 内面
184 支持ローラ
186 中心軸
200 表面
202 フィルム
204 一部分
300 表面
600 表面処理フィルム
602 側壁ブランク
604 線
606 一部分
608 未処理部分
【国際調査報告】