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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】3D印刷用の光硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20230609BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230609BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230609BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230609BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20230609BHJP
   C08L 83/08 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
C08L83/07
B33Y80/00
B33Y10/00
B33Y70/00
B29C64/106
C08L83/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538124
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 US2020066326
(87)【国際公開番号】W WO2021127620
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】201921053299
(32)【優先日】2019-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】サーカー,ソーミャ
(72)【発明者】
【氏名】アプクッタン,ヴィヌ,クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ティワリー,ヨゲシュ
(72)【発明者】
【氏名】ダスグプタ,デバーシ
【テーマコード(参考)】
4F213
4J002
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213AB04
4F213AB06
4F213AB07
4F213AB12
4F213AR17
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL25
4J002CP102
4J002CP121
4J002CP131
4J002CP141
4J002EE036
4J002EW146
4J002FD142
4J002FD156
4J002GT00
(57)【要約】
付加製造法に適した放射線硬化性シリコーン組成物、そのような組成物を製造するための方法、およびそのような組成物から物品を形成するための方法が提供される。組成物は、様々な波長にわたって速い放射線硬化を示す。組成物から形成された物品は、柔軟性および機械的強度を含む特性の良好なバランスを示す。実施形態では、有機シリコーン組成物は、少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有するポリマーを含む重合有効シリコーン、少なくとも1つのメルカプト官能性シリコーン樹脂、および光開始剤を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機シリコーン組成物であって、
a.組成物の総重量に基づいて、10から90重量%の少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーン含有ポリマー;
b.組成物の総重量に基づいて、1から60重量%の少なくとも1つの一般式(I)のメルカプト官能性シリコーン樹脂;
(I)
ここで、MおよびM単位は、式R202122SiO1/2のものであり;
およびD単位は、式R2324SiO2/2のものであり;
およびT単位は、式R25SiO3/2のものであり;
単位は、式SiO4/2のものであり;
20-R25は、水素、ヒドロキシル、直鎖または分岐アルキル基、アルコール、直鎖または分岐アルコキシ基、アリール基、アルキルビニル基、アミド、アミノ含有基、アクリロイル含有基、メタクリロイル含有基、カルボニル含有基、カルボン酸含有基、シリルオキシ基、イソシアネート含有基、メルカプト含有基、エポキシ含有基から独立して選択され、ここでR20-R25の1つまたは複数は、メルカプト含有基であり;kは0-1000であり、lは0-1000であり;mは0-500であり;nは0-500であり;oは0-100であり;pは0-100であり;そしてrは0から200であり、但し任意の特定の実施形態での少なくとも2つの下付き文字は正の整数であり、そしてoまたはpの少なくとも1つは正の整数でなければならない;
および
c.光開始剤、を含み、
ここで0.01から2.5のメルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比を有する、組成物。
【請求項2】
メルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比は0.1:1から2:1である、請求項1に記載の有機シリコーン組成物。
【請求項3】
メルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比は0.8から1.5:1である、請求項1に記載の有機シリコーン組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーン含有ポリマーは、一般式(II)のものであり、
(II)
ここで
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R1415SiO2/2
=R16SiO3/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
からR18は、水素、1から60個の炭素原子を有し、任意選択でヘテロ原子を有する置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素、OR26、任意選択で単数または複数のヘテロ原子または酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含み、またはオルガノシラン基を含む不飽和一価炭化水素から独立して選択され;ここでR26は、水素、1から60個の炭素を有する、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素から選択され;下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正の整数であり、但し2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+jであり、但し少なくとも1つのR基は、最大60個の炭素原子を有し、任意選択でヘテロ原子またはその両方を有する不飽和一価炭化水素または芳香族化合物から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の有機シリコーン組成物。
【請求項5】
光開始剤は、ベンゾフェノン、ホスフィンオキシド、ニトロソ化合物、ハロゲン化アクリル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ベンズイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、カンファーキノン、アセトフェノン、有機金属化合物、メタロセン誘導体、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1から4のいずれかに記載の有機シリコーン組成物。
【請求項6】
UV吸収剤、UV増強剤、光阻害剤、反応性または非反応性希釈剤、光学増白剤、接着促進剤、充填剤、ラジカル安定剤、希釈剤、カップリング剤、着色剤、消泡剤、脱泡剤、レベリング剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせをさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の有機シリコーン組成物。
【請求項7】
組成物の総重量に基づいて約20%から80%の量の重合有効シリコーンポリマー(a)および組成物の総重量に基づいて約5%から約50%の量で存在するメルカプト官能性シリコーン樹脂(b)を含む、請求項1から6のいずれかに記載の有機シリコーン組成物。
【請求項8】
メルカプト官能性シリコーン樹脂(b)はMDT樹脂であり、ここでk+1は0より大きく、m+nは0より大きく、そしてo+pは0より大きい、請求項1から7のいずれかに記載の有機シリコーン組成物。
【請求項9】
a.組成物の総重量に基づいて、10から90重量%の少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーンポリマー;
b.組成物の総重量に基づいて、1から60重量%の少なくとも1つの一般式(I)のメルカプト官能性シリコーン樹脂;
(I)
ここでMおよびM単位は、式R202122SiO1/2のものであり;
およびD単位は、式R2324SiO2/2のものであり;
およびT単位は、式R25SiO3/2のものであり;
単位は、式SiO4/2のものであり;
20-R25は、水素、ヒドロキシル、直鎖または分岐アルキル基、アルコール、直鎖または分岐アルコキシ基、アリール基、アルキルビニル基、アミド、アミノ含有基、アクリロイル含有基、メタクリロイル含有基、カルボニル含有基、カルボン酸含有基、シリルオキシ基、イソシアネート含有基、メルカプト含有基、エポキシ含有基から独立して選択され、ここでR20-R25の1つまたは複数は、メルカプト含有基であり;kは0-1000であり、lは0-1000であり;mは0-500であり;nは0-500であり;oは0-100であり;pは0-100であり;そしてrは0から200であり、但し任意の特定の実施形態での少なくとも2つの下付き文字は正の整数であり、そしてoまたはpの少なくとも1つは正の整数でなければならない;および
c.光開始剤を混合して組成物を形成することを含み、
ここで組成物は、0.01から2.5のメルカプト基の不飽和基とのモル当量比を有する、有機シリコーン組成物を調製する方法。
【請求項10】
メルカプト基の不飽和基とのモル当量比は0.1:1から2:1である、請求項9に記載の有機シリコーン組成物を調製する方法。
【請求項11】
メルカプト基の不飽和基とのモル当量比は、0.8から1.5:1である、請求項9に記載の有機シリコーン組成物を調製する方法。
【請求項12】
少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーンポリマーは、一般式(II)のものであり、
(II)
ここで
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R1415SiO2/2
=R16SiO3/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
からR18は、水素、1から60個の炭素原子を有し、任意選択でヘテロ原子を有する置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素、OR26、任意選択で単数または複数のヘテロ原子または酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含み、またはオルガノシラン基を含む不飽和一価炭化水素から独立して選択され;ここでR26は、水素、1から60個の炭素を有する、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素から選択され;下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正の整数であり、但し2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+jであり、但し少なくとも1つのR基は、最大60個の炭素原子を有し、任意選択でヘテロ原子またはその両方を有する不飽和一価炭化水素または芳香族化合物から選択される、請求項9に記載の有機シリコーン組成物を調製する方法。
【請求項13】
光開始剤は、ベンゾフェノン、ホスフィンオキシド、ニトロソ化合物、ハロゲン化アクリル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ベンズイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、カンファーキノン、アセトフェノン、有機金属化合物、メタロセン誘導体、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項9に記載の有機シリコーン組成物を調製する方法。
【請求項14】
UV吸収剤、UV増強剤、光阻害剤、反応性または非反応性希釈剤、光学増白剤、接着促進剤、充填剤、ラジカル安定剤、希釈剤、カップリング剤、着色剤、消泡剤、脱泡剤、レベリング剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせのうちの1つまたは複数を成分(a)-(c)と共に混合することをさらに含む、請求項9から13のいずれかに記載の有機シリコーン組成物を調製する方法。
【請求項15】
請求項1から8のいずれかに記載の組成物から調製された三次元印刷物品。
【請求項16】
前記組成物は、液槽光重合、バインダージェッティング、またはマテリアルジェッティングを使用して重合される、請求項15に記載の三次元印刷物品。
【請求項17】
前記液槽重合は、組成物を300から780nmの波長の紫外線に曝露することを含む、請求項16に記載の三次元印刷物品。
【請求項18】
三次元印刷物品は成形物品である、請求項15から17のいずれかに記載の三次元印刷物品。
【請求項19】
物品は、医療機器、人体器官、動物体器官、おもちゃ、コンタクトレンズ、ラピッドプロトタイピング、自動車部品、航空宇宙部品、建設部品、ロボティク、消費財、整流器、トランジスタ、ダイオード、オペアンプ、発光ダイオード(LED)、バッテリー、電極から選択される電子部品;着用品、化粧品、娯楽機器、装飾品、アート作品、マイクロ流体デバイス、建設、インフラストラクチャ、自動車、航空宇宙、またはヘルスケアの分野のデザインまたはモデル;靴、繊維物品、ジュエリー、家庭用品、チップセット、ガスケット、包装、車両のエンジン部品、グローブ、またはカトラリーから選択される、請求項15から18のいずれかに記載の三次元印刷物品。
【請求項20】
前記組成物は少なくとも0.04メガパスカルの弾性率を有する、請求項15に記載の三次元印刷物品。
【請求項21】
請求項1から8のいずれかに記載の組成物を三次元印刷方法に供することを含む、物品を形成する方法。
【請求項22】
三次元印刷方法は、ステレオリソグラフィープリンター(SLA)、デジタル光処理(DLP)プリンター、ジェットプリンター、デイライトポリマー印刷(DPP)プリンター、溶融堆積モデリング(FDM)プリンター、選択的レーザー焼結(SLS)プリンター、選択的レーザー溶融(SLM)プリンター、バインダージェッティング(BJ)プリンター、およびマテリアルジェッティング(MJ)プリンターから選択されるプリンターを用いる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物は、最大50000センチポアズ(cP)の粘度を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物は、25mW/cmの放射線パワー強度で最大60秒のゲル化時間を有する、請求項21から23のいずれかに記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年12月21日に出願されたインド特許登録仮出願201921053299の優先権および利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本特許出願は、シリコーン材料を含む組成物、そのような組成物を製造する方法、および例えば三次元印刷によるような三次元物品を形成するためのそのような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
造形は、エラストマー物品またはデバイスを製造する従来方法であり、この技術は、取り扱いが容易であり、今日利用可能なほとんどのポリマー材料と適合性があるためである。造形技術の主な制限は、さまざまなタイプのアーキテクチャごとに型を作製する必要があるという複雑さと費用と共に、物品の複雑な設計の精度の欠如、洗浄時間、材料無駄などである。
【0004】
三次元印刷または付加製造(AM)は、三次元物体を作製する方法である。物体は、デジタルファイルまたは画像を使用して、材料の無駄を最小限に抑えて高精度でそのような物品を印刷して作製され得る。これまで、多くの有機または無機高分子材料が単純または複雑な設計の印刷に使用されてきたが、三次元印刷材料としてのシリコーン材料の使用は制限されている。適切なシリコーン材料を提供することの困難は、そのような付加製造プロセスで有用である高速硬化を示し、望ましい物理的特性(例えば、柔軟性、触覚感、耐薬品性など)を備えた最終生成物を提供する低粘度材料の必要性を満たす材料を見出すことにある。
【0005】
ステレオリソグラフィーまたはデジタル光処理プリンターは、粘度、硬化時間、または弾性率の点で非常に特異的な光硬化性材料を必要とし、これらのプリンターを使用して柔らかい物品またはデバイスを製造することは困難である。上述のように、そのようなプリンターで使用される特定のシリコーン配合物を作製するためのいくつかの試みがあったが、いまだ、所望の機械的特性および迅速な硬化を有するシリコーン含有三次元印刷材料のニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
付加製造プロセスに適した放射線硬化性シリコーン組成物が提供される。組成物は、様々な波長にわたって高速放射線硬化を示す。組成物から形成された物品は、柔軟性および機械的強度を含む特性の良好なバランスを示す。
【0007】
一態様では、少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーン含有ポリマー、少なくとも1つのメルカプト官能性シリコーン樹脂、および光開始剤を含む有機シリコーン組成物が提供される。
【0008】
別の態様では、少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーン含有ポリマー、少なくとも1つのメルカプト官能性シリコーン樹脂、および光開始剤を含む有機シリコーン組成物を調製するための方法が提供される。
【0009】
さらに別の態様では、少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーン含有ポリマー、少なくとも1つのメルカプト官能性シリコーン樹脂、および光開始剤を含む有機シリコーン組成物から調製された三次元印刷および三次元印刷物品を形成する方法である。
【0010】
一態様では、
a.組成物の総重量に基づいて、10から90重量%の少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーン含有ポリマー;
b.組成物の総重量に基づいて、1から60重量%の一般式(I)の少なくとも1つのメルカプト官能性シリコーン樹脂、
(I)
ここでMおよびM単位は、式R202122SiO1/2のものであり;
およびD単位は、式R2324SiO2/2のものであり;
およびT単位は、式R25SiO3/2のものであり;
単位は、式SiO4/2のものであり;
20-R25は、水素、ヒドロキシル、直鎖または分岐アルキル基、アルコール、直鎖または分岐アルコキシ基、アリール基、アルキルビニル基、アミド、アミノ含有基、アクリロイル含有基、メタクリロイル含有基、カルボニル含有基、カルボン酸含有基、シリルオキシ基、イソシアネート含有基、メルカプト含有基、エポキシ含有基から独立して選択され、ここでR20-R25の1つまたは複数はメルカプト含有基であり;kは0-1000であり、lは0-1000であり;mは0-500であり;nは0-500であり;oは0-100であり;pは0-100であり;そしてrは0から200であり、但し任意の特定の実施形態の少なくとも2つの下付き文字は正の整数であり、そしてoまたはpの少なくとも1つは正の整数でなければならず;および
c.光開始剤;を含み、
ここで組成物は、0.01から2.5のメルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比を有する、有機シリコーン組成物が提供される。
【0011】
一実施形態では、メルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比は0.1:1から2:1である。
【0012】
一実施形態では、メルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比は、0.8から1.5:1である。
【0013】
任意の他の前述の実施形態による組成物の一実施形態では、少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーン含有ポリマー(b)は、一般式(II)のものであり、
. (II)
ここで
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R1415SiO2/2
=R16SiO3/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
からR18は、水素、1から60個の炭素原子を有し、任意選択でヘテロ原子を有する、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素、OR26、または任意選択で単数または複数のヘテロ原子または酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含み、またはオルガノシラン基を含む不飽和一価炭化水素から独立して選択され、ここでR26は、水素、1から60個の炭素を有する、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素から選択され;下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正の整数であり、但し2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+jであり、但し少なくとも1つのR基は、最大60個の炭素原子を有し、任意選択でヘテロ原子またはその両方を有する、不飽和一価炭化水素または芳香族化合物から選択される。
【0014】
任意の他の前述の実施形態による組成物の一実施形態では、光開始剤は、ベンゾフェノン、ホスフィンオキシド、ニトロソ化合物、ハロゲン化アクリル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ベンズイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、カンファーキノン、アセトフェノン、有機金属化合物、メタロセン誘導体、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0015】
任意の他の前述の実施形態による組成物の一実施形態では、有機シリコーン組成物は、UV吸収剤、UV増強剤、光阻害剤、反応性または非反応性希釈剤、光学増白剤、接着促進剤、充填剤、ラジカル安定剤、希釈剤、カップリング剤、着色剤、消泡剤、脱泡剤、レベリング剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0016】
任意の他の前述の実施形態による組成物の一実施形態では、重合有効シリコーンポリマー(a)は、組成物の総重量に基づいて約20%から80%の量で存在し、そしてメルカプト官能性シリコーン樹脂(b)は、組成物の総重量に基づいて約5%から約50%の量で存在する。
【0017】
任意の他の前述の実施形態による組成物の一実施形態では、メルカプト官能性シリコーン樹脂(b)はMDT樹脂であり、ここでk+1は0より大きく、m+nは0より大きく、そしてo+pは0より大きい。
【0018】
任意の前述の実施形態による組成物の一実施形態では、シリコーン樹脂(b)は、下記式のMDT樹脂であり、
[(R20)(R21)(R22)SiO1/2[(R25)SiO3/2[R23242/2
ここでR20、R21、R22、R23、およびR24は、上記のとおりであり、R25は-(CHSHであり、ここでtは1-10であり、そしてk、o、およびmは正の整数である。一実施形態では、R20、R21、R22、R23、およびR24はそれぞれ、C1-C10アルキル基、C2-C8アルキル基、またはC4-C6アルキル基から選択される。一実施形態では、R20、R21、R22、R23、およびR24はそれぞれメチルである。一実施形態では、k+o+mは、約10から約300、約10から約200、または約10から約100である。
【0019】
別の態様では、
a.組成物の総重量に基づいて、10から90重量%の少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーンポリマー;
b.組成物の総重量に基づいて、1から60重量%の、少なくとも1つの一般式(I)のメルカプト官能性シリコーン樹脂、
(I)
ここでMおよびM単位は、式R202122SiO1/2のものであり;
およびD単位は、式R2324SiO2/2のものであり;
およびT単位は、式R25SiO3/2のものであり;
単位は、式SiO4/2のものであり;
20-R25は、水素、ヒドロキシル、直鎖または分岐アルキル基、アルコール、直鎖または分岐アルコキシ基、アリール基、アルキルビニル基、アミド、アミノ含有基、アクリロイル含有基、メタクリロイル含有基、カルボニル含有基、カルボン酸含有基、シリルオキシ基、イソシアネート含有基、メルカプト含有基、エポキシ含有基から独立して選択され、ここでR20-R25の1つまたは複数はメルカプト含有基であり;kは0-1000であり、lは0-1000であり;mは0-500であり;nは0-500であり;oは0-100であり;pは0-100であり;そしてrは0から200であり、但し、任意の特定の実施形態の少なくとも2つの下付き文字は正の整数であり、そしてoまたはpの少なくとも1つは正の整数でなければならず;および
c.光開始剤を混合して組成物を形成することを含み、
ここで組成物は、0.01から2.5のメルカプト基の不飽和基とのモル当量比を有する、有機シリコーン組成物を調製する方法が提供される。
【0020】
方法の一実施形態では、メルカプト基の不飽和基とのモル当量比は0.1:1から2:1である。
【0021】
方法の一実施形態では、メルカプト基の不飽和基とのモル当量比は、0.8から1.5:1である。
【0022】
任意の他の前述の実施形態による方法の一実施形態では、少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーンポリマーは、一般式(II)のものであり、
. (II)
ここで
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R1415SiO2/2
=R16SiO3/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
からR18は、水素、1から60個の炭素原子を有し、任意選択でヘテロ原子を有する、置換または非置換の脂肪族、脂肪族、または芳香族含有炭化水素、OR26、または任意選択で単数または複数のヘテロ原子または酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含み、またはオルガノシラン基を含む不飽和一価炭化水素から独立して選択され;ここでR26は、水素、1から60個の炭素を有する置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素から選択され;下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jは、ゼロまたは正の整数であり、但し2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+jであり、但し少なくとも1つのR基は、最大60個の炭素原子を有し、任意選択でヘテロ原子またはその両方を有する不飽和一価炭化水素または芳香族化合物から選択される。
【0023】
一実施形態では、光開始剤は、ベンゾフェノン、ホスフィンオキシド、ニトロソ化合物、ハロゲン化アクリル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ベンズイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、カンファーキノン、アセトフェノン、有機金属化合物、メタロセン誘導体、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0024】
任意の他の前述の実施形態による方法の一実施形態では、方法は、成分(a)-(c)と共に、UV吸収剤、UV増強剤、光阻害剤、反応性または非反応性希釈剤、光学増白剤、接着促進剤、充填剤、ラジカル安定剤、希釈剤、カップリング剤、着色剤、消泡剤、脱泡剤、レベリング剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせのうちの1つまたは複数を混合することを含む。
【0025】
さらに別の態様では、前述の実施形態のいずれかによる組成物または方法から調製された三次元印刷物品が提供される。
【0026】
三次元印刷物品を調製する一実施形態では、組成物は、液槽光重合(vat photopolymeriztion)、バインダージェッティング、またはマテリアルジェッティングを使用して重合される。
【0027】
三次元印刷物品を調製する一実施形態では、液槽重合は、組成物を300から780nmの波長の紫外線に曝露することを含む。
【0028】
一実施形態では、三次元印刷物品は成形物品である。
【0029】
一実施形態では、三次元印刷物品は、医療機器、人体器官、動物体器官、おもちゃ、コンタクトレンズ、ラピッドプロトタイピング、自動車部品、航空宇宙部品、建設部品、ロボティク、消費財、電子部品、例えば、整流器、トランジスタ、ダイオード、オペアンプ、発光ダイオード(LED)、バッテリー、電極;着用品、化粧品、娯楽機器、装飾品、アート作品、マイクロ流体デバイス、建設、インフラストラクチャ、自動車、航空宇宙、ヘルスケアの分野のデザインまたはモデル;靴、繊維物品、ジュエリー、家庭用品、チップセット、ガスケット、包装、車両のエンジン部品、グローブ、カトラリーから選択される。
【0030】
一実施形態では、組成物は、少なくとも0.04メガパスカルの弾性率を有する。
【0031】
さらに別の態様では、前述の実施形態のいずれかによる組成物を三次元印刷方法に供することを含む、物品を形成する方法が提供される。
【0032】
一実施形態では、三次元印刷方法は、ステレオリソグラフィープリンター(SLA)、デジタル光処理(DLP)プリンター、ジェットプリンター、デイライトポリマー印刷(DPP)プリンター、融合堆積モデリング(FDM)プリンター、選択的レーザー焼結(SLS)プリンター、選択的レーザー溶解(SLM)プリンター、バインダージェッティング(BJ)プリンター、およびマテリアルジェッティング(MJ)プリンターから選択されるプリンターを用いる。
【0033】
一実施形態では、組成物は最大50000センチポアズ(cP)の粘度を有する。
【0034】
一実施形態では、組成物は、25mW/cmの放射線のパワー強度で最大60秒のゲル化時間を有する。
【0035】
本発明のこれらおよび他の態様および実施形態は、以下の詳細な説明を参照してさらに説明および図示される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書および特許請求の範囲において、以下の用語および表現は、以下に示される意味を有するものとして理解されるべきである。
【0037】
単数形「a」、「an」および「the」は複数形を含み、特定の数値への参照は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、少なくともその特定の値を含む。
【0038】
本明細書で使用される場合、「芳香族」という用語は、少なくとも1つの原子価を有し、少なくとも1つの芳香環を含む化合物を指す。実施形態では、芳香族基は、C6-C30芳香族官能基を含む。芳香族化合物は、結合または他の連結基によって結合され得る複数の環を含むことができる。芳香族化合物はまた、2つ以上の縮合環を有する芳香族基を含み得る。この用語は、芳香族成分と脂肪族成分の両方を含む基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、またはナフチルメチル基を含む。この用語は、芳香族基と脂環式基の両方を含む基、例えば、4-シクロプロピルフェニルおよび1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イルも含む。
【0039】
本発明の様々な実施形態で使用される「アルキル」という用語は、ノルマルアルキル、分岐アルキル、アラルキル、およびシクロアルキルラジカルの両方を指すことを意図している。様々な実施形態において、ノルマルおよび分岐アルキルラジカルは、1から約60個の炭素原子を含むものであり、そして例示的な非限定的な例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、ターシャリー-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルを含む。
【0040】
様々な実施形態において、直鎖および分岐アルキルラジカルは、1から約60個の炭素原子を含むものとそれらの異性体であり、そして例示的な非限定的な例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、ターシャリー-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、およびドデシルを含む。
【0041】
「重合有効ポリマー」という用語は、重合することができるか、またはさらに重合または共重合することができるモノマーまたはプレポリマーまたはオリゴマーまたはコポリマーまたはポリマーを指す。
【0042】
「有機シリコーン」または「シリコーン含有ポリマー」という用語は、分子あたり複数のオルガノシロキサンまたはポリオルガノシロキサン基を含むポリマーまたは樹脂を指す。有機ポリシロキサンは、ポリマー鎖にオルガノシロキサンまたはポリオルガノシロキサン基のみを実質的に含むポリマー、および主鎖がポリマー鎖にオルガノシロキサンおよび/またはポリオルガノシロキサン基および有機ポリマー基の両方を含むポリマーを含むことを意図している。そのようなポリマーは、ホモポリマー、または、例えばブロックコポリマーおよびランダムコポリマーが含まれるコポリマーであり得る。有機シリコーンはまた、三次元架橋ネットワークを有する樹脂を含むことを意図している。
【0043】
ヘテロ原子という用語は、明示的に本明細書に記載されているか、および/または特許請求の範囲に記載されているかどうかにかかわらず、炭素および水素を除く周期表に記載されているすべての原子または元素を含む。
【0044】
本明細書で使用される場合、「脂肪族」という用語は、少なくとも1つの原子価を有し、環状ではない原子の直鎖または分岐配列からなる基を指す。配列は、窒素、硫黄、酸素などのヘテロ原子を含む場合もあれば、炭素と水素のみで構成される場合もある。脂肪族ラジカルの例には、メチル、メチレン、エチル、エチレン、ヘキシル、ヘキサメチレンなどが含まれる。
【0045】
本明細書に記載の任意の数値範囲は、その範囲内のすべての下位範囲、およびそのような範囲または下位範囲の様々な端点の任意の組み合わせを含むことが理解されよう。数値を組み合わせて、新しい特定されていない範囲を形成することができる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、「によって特徴付けられる(characterized by)」という用語およびそれらの文法上の同等物は、追加の、引用されていない要素または方法ステップを除外しない包括的または制限のない用語であり、しかしながら、「からなる(consisting of)」および「本質的にからなる(consisting essentially of)」というより限定的な用語を含むことも理解されよう。
【0047】
構造的、組成的、および/または機能的に関連する化合物、材料または物質の群に属するものとして明示的または暗黙的に明細書に開示され、および/または請求項に記載されている任意の化合物、材料、または物質は、群の個々の代表およびそれらのすべての組み合わせを含むことが理解されよう。
【0048】
実施例または他に示された場合を除き、明細書および特許請求の範囲に記載されている、材料の量、反応条件、持続時間、材料の定量化された特性などを表すすべての数値は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。
【0049】
本明細書で言及されるすべての粘度測定値は、特に明記しない限り、25℃で測定された。一実施形態では、粘度は、この試験形状に最適化されたせん断速度10rad/s、ギャップ幅0.050mmで、コーンアンドプレートアタッチメント(角度1°)を使用したHaake-Rheostress振動レオメーターを使用して測定できる。
【0050】
組成パーセンテージは、特に明記しない限り、重量パーセントで与えられる。
【0051】
例示的な例を挙げるための「例えば」または「そのような」の使用は、挙げられた例のみに限定されない。したがって、「例えば」または「そのような」は、「例えば、しかし限定されない」または「そのような、しかし限定されない」を意味し、他の類似または均等の例を包含する。
【0052】
一実施形態では、
a.組成物の総重量に基づいて、最大99重量%の少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーン含有ポリマー;
b.組成物の総重量に基づいて、最大99重量%の少なくとも1つの一般式(I)のメルカプト官能性シリコーン樹脂、
(I)
ここでMおよびM単位は、式R202122SiO1/2のものであり;
およびD単位は、式R2324SiO2/2のものであり;
およびT単位は、式R25SiO3/2のものであり;
単位は、式SiO4/2のものであり;
20-R25は、水素、ヒドロキシル、直鎖または分岐アルキル基、アルコール、直鎖または分岐アルコキシ基、アリール基、アルキルビニル基、アミド、アミノ含有基、アクリロイル含有基、メタクリロイル含有基、カルボニル含有基、シリルオキシ基、イソシアネート含有基、メルカプト含有基、エポキシ含有基から独立して選択され、ここでR20-R25の1つまたは複数は、メルカプト含有基であり;kは0-1000であり、lは0-1000であり;mは0-500であり;nは0-500であり;oは0-100であり;pは0-100であり;そしてrは0から200であり、但し任意の特定の実施形態で少なくとも2つの下付き文字は正の整数であり、そしてoまたはpの少なくとも1つは正の整数でなければならない;および
c.光開始剤:を含み、
ここで組成物は、最大2.5のメルカプト基の不飽和基とのモル当量比を有する、有機シリコーン組成物が提供される。
【0053】
「アミノ含有基」、「アクリロイル含有基」、「メタクリロイル含有基」、「カルボニル含有基」、「カルボン酸含有基」、「イソシアナート含有基」、「メルカプト含有基」および「エポキシ含有基」などの用語は、それぞれ特定された官能基を含む基を指すことが理解されよう。それらは、単に官能基自体または官能基を含む化合物(例えば、その官能基で終端する、または化合物のどこかでその官能基で置換された連結基)であり得る。
【0054】
20-R25は、特定の目的または意図された用途のために所望のように選択され得る。シリコーン樹脂(b)のメルカプト基ではないR20-R25基につき、R20-R25は前述の基から選択することができる。実施形態では、非メルカプトR20-R25は、直鎖、分岐、および/または環状C1-C20アルキル、C6-C10アリール、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。一実施形態では、非メルカプトR20-R25基は、C1-C6アルキル基から選択される。
【0055】
本明細書に記載されているように、k、l、m、n、o、p、およびrから選択される少なくとも2つの下付き文字は正の整数であり、但し少なくともoまたはpは正の整数である。一実施形態では、k+l+m+n+o+p+rは2から1000であり;別の実施形態では、k+l+m+n+o+p+rは2から900であり、別の実施形態では、k+l+m+n+o+p+rは2から800であり、別の実施形態では、k+l+m+n+o+p+rは2から700であり;別の実施形態では、k+l+m+n+o+p+rは2から600であり;別の実施形態では、k+l+m+n+o+p+rは2から500であり;別の実施形態では、k+l+m+n+o+p+rは2から400であり;別の実施形態では、k+l+m+n+o+p+rは2から300であり;別の実施形態では、k+l+m+n+o+p+rは2から200であり;そして別の実施形態では、k+l+m+n+o+p+rは2から100である。
【0056】
一実施形態では、シリコーン樹脂(b)は、MDTQ樹脂、MDT樹脂、MT樹脂、またはTQ樹脂から選択される。一実施形態では、シリコーン樹脂(b)はMDTタイプ構造である。そのような実施形態では、k+lは0より大きく、m+nは0より大きく、そしてo+pは0より大きい。
【0057】
メルカプト含有基は、メルカプト官能基、すなわち、-SH基を含む。一実施形態では、メルカプト含有基は、式-(CHSHのものであり、ここでtは0-10、1-10、2-8、3-6、または4-5である。一実施形態では、tは0である。他の適切なメルカプト基の例には、メルカプトメチル、2-メルカプトエチル、3-メルカプトプロピル、4-メルカプトブチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
シリコーン樹脂(b)のメルカプト官能基のシリコーン樹脂(a)の不飽和基とのモル当量比は、最大2.5:1であり得る。一実施形態では、前記組成物中のメルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比は2である。別の実施形態において、前記組成物中のメルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比は、1.5である。別の実施形態では、前記組成物中のメルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比は1である。さらに別の実施形態では、前記組成物中のメルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比は0.5である。そして、さらに別の実施形態では、前記組成物中のメルカプト官能基の不飽和基とのモル当量比は0.1である。一実施形態では、メルカプト官能基のモル当量比は、0.1:1から2:1;0.5:1から1.5:1;0.75:1から1:1である。一実施形態では、シリコーン樹脂(b)のメルカプト官能基のシリコーン樹脂(a)の不飽和基とのモル当量比は、0.8:1から1.5:1である。
【0059】
一実施形態では、シリコーン樹脂(b)は、下記式のMDT樹脂であり、
[(R20)(R21)(R22)SiO1/2[(R25)SiO3/2[R23242/2
ここで、R20、R21、R22、R23、およびR24は上記のとおりであり、R25は、-(CHSHであり、ここでtは1-10であり、そしてk、o、およびmは正の整数である。一実施形態では、R20、R21、R22、R23、およびR24はそれぞれ、C1-C10アルキル基、C2-C8アルキル基、またはC4-C6アルキル基から選択される。一実施形態では、R20、R21、R22、R23、およびR24はそれぞれメチルである。一実施形態では、k+o+mは、約10から約300、約10から約200、または約10から約100である。
【0060】
不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーン含有ポリマーは、一般式(II)のものであり、
(II)
ここで
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R1415SiO2/2
=R16SiO3/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
からR18は、水素、1から60個の炭素原子を有し、任意選択でヘテロ原子を有する置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素、OR26、任意選択で単数または複数のヘテロ原子または酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含み、またはオルガノシラン基を含む不飽和一価炭化水素から独立して選択され;ここでR26は、水素、1から60個の炭素を有する、置換または非置換の脂肪族、脂環式、または芳香族含有炭化水素から選択され;下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正の整数であり、但し2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j、但しR-R18のうちの少なくとも1つは、最大60個の炭素原子を有し、任意選択でヘテロ原子またはその両方を有する不飽和一価炭化水素または芳香族化合物から選択される。
【0061】
不飽和基は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合、または炭素-炭素三重結合を含む。一実施形態では、不飽和基はアルケニル基である。アルケニル基は、式CH=CH-R27 -のものであり得、ここでR27はC1-C20アルキル、C1-C20分岐アルキル、C1-C10環状アルキル、またはC6-C10アリール基であり、そしてuは0または1である。一実施形態では、不飽和基は、ビニル、アリル、スチリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどから選択される。
【0062】
一実施形態では、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは2から10000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは5から9000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは10から8000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは15から7000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは15から6000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは15から5000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは15から4000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは15から3000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは15から2000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは15から1000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは25から1000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは15から1000であり、より好ましくは、a+b+c+d+e+f+g+h+i+jは5から1000である。
【0063】
不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーン含有ポリマー(a)は、組成物の総重量に基づいて約10%から90%、好ましくは、組成物の総重量に基づいて約20%から80%、好ましくは、組成物の総重量に基づいて約30%から70%、好ましくは、組成物の総重量に基づいて約40%から60%、好ましくは組成物の総重量に基づいて約45%から55%の量で存在する。
【0064】
メルカプト官能性シリコーン樹脂(b)は、組成物の総重量に基づいて約10%から90%、好ましくは、組成物の総重量に基づいて約20%から80%、好ましくは、組成物の総重量に基づいて約30%から70%、好ましくは、組成物の総重量に基づいて約40%から60%、好ましくは、組成物の総重量に基づいて約45%から55%、好ましくは、組成物の総重量に基づいて約15%から35%、好ましくは、組成物の総重量に基づいて約20%から35%の量で存在する。一実施形態では、メルカプト官能性シリコーン樹脂(b)は、組成物の総重量に基づいて約1%から約60%;組成物の総重量に基づいて約5%から約50%;または、組成物の総重量に基づいて約10%から約45%の量で存在する。
【0065】
光開始剤(c)は、シリコーン樹脂(a)および(b)の硬化を促進するのに適した任意の材料から選択することができる。適切な光開始剤の例には、ベンゾフェノン、ホスフィンオキシド、ニトロソ化合物、ハロゲン化アクリル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール、ベンズイミダゾール、クロロアルキルトリアジン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、カンファーキノン、アセトフェノン、有機金属化合物、メタロセン誘導体、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
光開始剤の非限定的な例には、アセトフェノン、プロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651:BASF AGから入手可能)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(DAROCUR 1173:BASF AGから入手可能)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE 184:BASF AGから入手可能)、1- [4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(IRGACURE 2959:BASF AGから入手可能)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(IRGACURE 127:BASF AGから入手可能)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン(IRGACURE 907:BASF AGから入手可能)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1(IRGACURE 369:BASF AGから入手可能)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(IRGACURE 379:BASF AGから入手可能)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスホノキシド(LUCIRIN TPO:BASF AGから入手可能)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスホノキシド(IRGACURE 819:BASF AGから入手可能)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィネート(LUCIRIN TPO-L:BASF AGから入手可能)、ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1-ヒドロピロール-1-イル)フェニル)チタノセン(IRGACURE 784:BASF AGから入手可能)、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE 01:BASF AGから入手可能)、エタノン,1- [9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02:BASF AGから入手可能)、オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルおよびオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(IRGACURE 754:BASF AGから入手可能)、ビス(4-メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウム(Ivocerin:Ivoclar Vivadent,Schaan,Liechtensteinから入手可能)、フェニルグリオキシル酸メチルエステル(DAROCUR MBF:BASF AGから入手可能)、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート(DAROCUR EDB:BASF AGから入手可能)、2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエート(DAROCUR EHA:BASF AGから入手可能)、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスホノキシド(CGI 403:BASE AGから入手可能)、ベンゾイルペルオキシド、クメンペルオキシド、またはそれらの組合せが含まれる。
【0067】
光開始剤は、組成物の総重量に基づいて0.1%から10%、好ましくは組成物の総重量に基づいて約0.5から5%、好ましくは約1%から3%の量で存在する。
【0068】
本発明の有機シリコーン組成物は、特定の目的または意図された用途のために望まれ、そして組成物および/または組成物から形成された硬化材料に特定の効果または特性を提供するのに適切であり得るため、他の添加剤または成分をさらに含み得得る。組成物に含まれ得る他の材料または添加剤の例には、UV吸収剤、UV増強剤、光阻害剤、反応性または非反応性希釈剤、光学増白剤、接着促進剤、充填剤、ラジカル安定剤、希釈剤、カップリング剤、着色剤、消泡剤、脱泡剤、レベリング剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
【0069】
本発明の前記有機シリコーン組成物の粘度は、最大で50000センチポアズ(cP)、好ましくは5から40000cP、より好ましくは5から30000cP、より好ましくは5から20000cP、より好ましくは5から10000cP、より好ましくは5から5000cP、より好ましくは5から1000cPである。粘度は、この試験形状に最適化されたせん断速度10rad/s、ギャップ幅0.050mmで、コーンアンドプレートアタッチメント(角度1°)を使用したHaake-Rheostress振動レオメーターを使用して25℃で測定される。
【0070】
一実施形態では、本発明による有機シリコーン組成物を調製するためのプロセスが提供される。有機シリコーン組成物は、様々な成分(a)、(b)、および(c)を、他の任意の所望の添加剤または成分と共に一緒に添加し、それらを混合して混合物を形成することによって調製することができる。成分の添加の順序は特に限定されない。
【0071】
一実施形態では、有機シリコーン組成物は、(a)組成物の総重量に基づいて、10から90重量%の少なくとも1つの不飽和炭化水素基を有する重合有効シリコーンポリマー;(b)組成物の総重量に基づいて、1から60重量%の少なくとも1つの一般式(I)のメルカプト官能性シリコーン樹脂;および(c)光開始剤を混合して組成物を形成することによって調製され、ここで組成物は、0.01から2.5のメルカプト基の不飽和基とのモル当量比を有する。
【0072】
本有機シリコーン組成物は、物品を形成するために、または基材上に印刷された層または特徴を形成するために、印刷プロセスにおいて使用され得る。本有機シリコーン組成物は、三次元物品または層/特徴を形成するために使用することができる。三次元印刷において、基材は、硬化または部分的に硬化された印刷された組成物自体であり得るか、または基材は、印刷された三次元物品が置かれる表面であり得る。三次元印刷の方法およびプロセスは特に限定されない。そのような方法は、当業者に知られているか、または利用可能であり、三次元を印刷するための特定の詳細は、本明細書では再現されない。一般に、三次元物品は、層を印刷し、少なくともUV放射を放出するエネルギー源に曝すことによってそれらを硬化させ、層を連続的に追加して所定の形状を形成することによって印刷される。一実施形態では、前記三次元印刷物品の有機シリコーン組成物は、液槽重合され、ここで300から780nmの範囲の波長のUV放射が重合に使用される。
【0073】
前記三次元印刷物品の前記有機シリコーン組成物のゲル化時間は、放射線のパワー強度25mW/cmで最大60秒である。一実施形態では、ゲル化時間は、0.5秒から60秒、1秒から45秒、5秒から30秒、または10秒から25秒であり得る。一実施形態では、ゲル化時間は、0.5から3秒、0.8から2.75秒、または1から2秒である。
【0074】
本組成物の印刷から形成される印刷物の弾性率は、少なくとも0.04メガパスカル(MPa)、好ましくは0.04から20メガパスカル、より好ましくは0.04から10メガパスカル、より好ましくは0.04から5メガパスカル、より好ましくは0.04から1メガパスカルである。
【0075】
三次元印刷プロセスは、特に限定されるものではなく、特定の目的または意図された用途のために必要に応じて選択することができる。適切な印刷プロセスの例には、(i)「液体結合剤を選択的に堆積させて粉末材料を接合する積層造形プロセス」として定義される「バインダージェッティング」、(ii)「材料がノズルまたはオリフィスから選択的に分配される付加製造プロセス」として定義される「材料押出」、(iii)「構築材料の液滴が選択的に堆積される付加製造プロセス」として定義される「マテリアルジェッティング」、(iv)「槽内の液体フォトポリマーが光活性化重合によって選択的に硬化される付加製造プロセス」として定義される「液槽重合」、および(v)「1つまたは複数のレーザーを使用して液体状態のフォトポリマー材料から部品を製造し、所定の厚さに選択的に硬化させ、材料を層ごとに成形するために使用される液槽光重合プロセス」として定義される「ステレオリソグラフィー(SL)」、を含むASTM F2792-12aで規定されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
三次元印刷のタイプは、所望により、そして特定のタイプの印刷プロセスを採用するために必要とされ得ることより選択され得る。適切な三次元印刷の例には、ステレオリソグラフィープリンター(SLA)、デジタル光処理(DLP)プリンター、ジェットプリンター、デイライトポリマー印刷(DPP)プリンター、溶融堆積モデリング(FDM)プリンター、選択的レーザー焼結(SLS)プリンター、選択的レーザー溶融(SLM)プリンター、バインダージェッティング(BJ)プリンターおよびマテリアルジェッティング(MJ)プリンターが含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
組成物は、三次元印刷法によって処理されて、特定の目的または意図された用途のために望まれる任意の形状の物品を形成することができる。実施形態では、本発明の三次元印刷物品は、医療機器、人体器官、動物体器官、おもちゃ、コンタクトレンズ、ラピッドプロトタイピング、自動車部品、航空宇宙部品、建設部品、ロボティク、消費財、電子部品、例えば、整流器、トランジスタ、ダイオード、オペアンプ、発光ダイオード(LED)、バッテリー、電極;着用品、化粧品、娯楽機器、装飾品、アート作品、マイクロ流体デバイス、建設、インフラストラクチャ、自動車、航空宇宙、ヘルスケアの分野のデザインまたはモデル;靴、繊維物品、ジュエリー、家庭用品、チップセット、ガスケット、包装、車両のエンジン部品、グローブ、カトラリーから選択された成形物品である。
【0078】
さらに別の実施形態では、三次元プリンターは、印刷するためのインクとして光硬化性材料を使用する。
【実施例
【0079】
【0080】
方法
【0081】
有機シリコーン組成物の硬化プロファイルまたはゲル化時間は、時間分解光硬化プロファイルによって測定され、UV硬化アクセサリを有するDHR-3レオメーターを使用して測定された。アクセサリは、ライトガイドと反射ミラーアセンブリを使用して、高圧水銀光源からのUV放射を転送する。UV強度は、厚さ300μmを想定した2枚の20mm平行プレートの間に配置されたサンプルで25mW/cmとして較正された。UV源において、λ=400-500nmのウィンドウスリットのバンドパスフィルターが使用された。
【0082】
UV硬化は、硬化した樹脂の線形粘弾性領域における時間掃引を使用して、振動レオロジーモードで精査された。硬化時間は、1Hzの振動周波数でG’(貯蔵弾性率)=G’’(損失弾性率)の時間として定義されるゲル化点と相関している。
【0083】
有機シリコーン組成物の粘度は、この試験形状に最適化されたギャップ幅0.050mmで、コーンアンドプレートアタッチメント(角度1°)を使用したHaake-Rheostress振動レオメーターを使用して測定された。
【0084】
例1
【0085】
63.2%のビニル単位が0.12mmol/gのビニル末端ポリメチルフェニルシロキサン(ビニル-1)、11.2%のビニル含有量が1.06mmol/gのQ基を含むビニル官能化シリコーンポリマー(ビニル-2)、24.2%のメルカプト含有量0.98mmol/gのメルカプト官能性シリコーン樹脂(MDTタイプ)(SH-1)、および1.5%の光開始剤を用いて、Hauschild Speed Mixer DAC 600 FVZを使用して1000から2350rpmで2から10分間混合することにより、有機シリコーン組成物を作製した。
【0086】
例2
【0087】
有機シリコーン組成物は、表1に記載された材料を使用して、例1と同じ方法で作製された。
【0088】
例3から4
【0089】
有機シリコーン組成物は、例1と同じ方法で、表1に記載されるように、Gelest IncからのSMS-042[4-6%(メルカプトプロピル)メチルシロキサン]-ジメチルシロキサンコポリマーをさらに使用して作製された。
【0090】
比較例1および2
【0091】
比較例1の有機シリコーン組成物は、メルカプト官能性シリコーン樹脂SH-1を含まず、SMS-042のみを含み、表1に列挙された材料に従って例1と同様の方法で製造される。
【0092】
比較例2の有機シリコーン組成物は、例1から4で使用されるメルカプト官能性シリコーン樹脂SH-1および/またはSMS-042の代わりにメルカプトプロピルトリメトキシシラン(A-189)を含み、表1に記載されている材料により、例1と同様の方法で作製される。
【表1】
【0093】
表2は、UV硬化性組成物およびそれらの特性の例を要約している。組成物(比較例3、4および例5から10)は、例1に記載された方法に従って、表2に記載されたように成分を混合することによって作製され、ここでビニル-3は、ビニル含有量が0.069ミリモル/gのビニル末端ポリメチルフェニルシロキサンであり、Si-MA-1は、末端エチルヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート単位を有し、そして約25個の縮合ジメチルシロキシ単位からなるポリジメチルシロキサンであり、そしてシリカは、シラナミン,1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)-,シリカによる加水分解生成物、Evonikから供給、である。シリカは、ビニル末端ポリメチルフェニルシロキサンのプレ配合物として組成物に添加される。組成物は、375-405nmのUV LEDシステムを備えたXYZ印刷からUV硬化チャンバーを最大30分間照射することにより、深さ2mmのテフロン型で硬化される。
【表2】
【0094】
有機シリコーン組成物の3D印刷は、XYZ PriptingからのNobel Superfine 3Dプリンターで行われた。これは、3D物品(未硬化状態, green state)につながる層ごとに硬化するために、槽に取り込まれた組成物に放射線を順次投射することによって行われる。3D印刷物品は、余分な材料を取り除くために洗浄され、さらに照射されて印刷プロセスが完了する。
【0095】
本発明は、例示的な方法で本明細書に記載されており、使用された用語は、限定ではなく、説明の言葉の性質を有することを意図していることが理解されるべきである。上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変形が可能である。本発明は、添付の特許請求の範囲内で具体的に記載されている以外の方法で実施することができる。本明細書では、単一および複数の従属の両方の、独立請求項および従属請求項のすべての組み合わせの主題が明示的に企図されている。

【国際調査報告】