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特表2023-525427異物を運ぶガス流の乾式ろ過のための方法、及び異物を運ぶ未処理ガスを浄化するためのろ過装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】異物を運ぶガス流の乾式ろ過のための方法、及び異物を運ぶ未処理ガスを浄化するためのろ過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/30 20060101AFI20230609BHJP
   B01J 20/04 20060101ALI20230609BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20230609BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
B01D46/30 Z
B01J20/04 C
B01J20/10 C
B01J20/28 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546077
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2021050704
(87)【国際公開番号】W WO2021151681
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】102020102036.8
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020103982.4
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020112856.8
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506195893
【氏名又は名称】ヘルディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング フィルターテヒニーク
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘルディング ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】ヘルディング ウルス
(72)【発明者】
【氏名】ダンドルファー セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ハーイェク シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ベトケ ディーノ
(72)【発明者】
【氏名】ラーベンシュタイン クラウス
(72)【発明者】
【氏名】レッシュ マキシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゼアー トーマス
【テーマコード(参考)】
4D058
4G066
【Fターム(参考)】
4D058JA51
4D058JA62
4D058JB02
4D058JB05
4D058JB34
4D058RA12
4D058RA19
4G066AA43B
4G066AA71C
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA38
4G066CA45
4G066CA46
4G066DA02
4G066EA11
(57)【要約】
特に、積層造形技術から生じる廃ガスを浄化するためのろ過装置における、異物を運ぶガス流(44)の乾式ろ過のための方法であって、異物を含む未処理ガス流(44)を、未処理ガス側と清浄ガス側を分離する少なくとも1つのフィルタ面を有するフィルタユニットの未処理ガス空間(15)に供給するステップと、フィルタ面の下流のフィルタ面の未処理ガス側に位置する反応領域に、酸化剤(112)を供給するステップと、を備え、フィルタ面から除去された物質、及び/又は未処理ガス流(44)に含まれる異物が、反応領域で酸化剤(112)と反応して酸化物含有異物を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、積層造形技術で生成される廃ガスを浄化するためのろ過装置における、異物を運ぶガス流(44)の乾式ろ過のための方法であって、
異物を含む未処理ガス流(44)を、未処理ガス側と清浄ガス側を分離する少なくとも1つのフィルタ面を有するフィルタユニット(12)の未処理ガス空間(15)に導くステップと、
前記フィルタ面の下流の前記フィルタ面の前記未処理ガス側に位置する反応領域に、酸化剤(112)を供給するステップと、を備え、
前記フィルタ面から除去された物質、及び/又は前記未処理ガス流(44)に含まれる異物が、前記反応領域で前記酸化剤(112)と反応して酸化物含有異物を形成する、乾式ろ過のための方法。
【請求項2】
前記酸化剤は、空気又は酸素含有ガスであり、及び/又は、
前記反応領域は、前記未処理ガス空間(44)の下流に位置することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応時に生成される熱を取り除くために、伝熱流体が前記反応領域を通過することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタ面から除去された物質を受け取るように配置された凝集体収集領域(24;92)が設けられ、
前記フィルタ面に堆積した異物又は異物を含む凝集体が除去され、前記凝集体収集領域(24;92)に収集及び貯蔵されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記凝集体収集領域(24;92)は、第1閉鎖手段(96)を備え、
前記第1閉鎖手段(96)は、前記フィルタ面から除去された物質の除去のために、前記未処理ガス空間の下流の排出領域に関して前記未処理ガス空間(44)を閉鎖するように、又は前記未処理ガス空間(44)と前記排出領域との間の接続を確立するように制御され、
特に、前記排出領域は前記反応領域を含み、前記酸化剤(112)は前記排出領域に供給されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記排出領域は、前記フィルタ面から除去された物質の搬送方向で、前記第1閉鎖手段(96)の下流に配置された第2閉鎖手段を備えることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応領域は、前記第1閉鎖手段(96)と前記第2閉鎖手段の間に位置することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フィルタ面から除去された物質を搬送するための搬送部材、特にスクリューコンベヤ、回転バルブ、勾配及び/又は流動化装置が、前記反応領域に設けられ、
前記搬送部材は、特に、前記フィルタ面から除去された物質の搬送方向を反転できるように設計されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記排出領域は、凝集体収集容器(92)を備えることを特徴とする、請求項3乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記凝集体収集容器(92)は、前記反応領域を備え、及び/又は、
前記フィルタ面から除去された物質を移動するための少なくとも1つの部材、特にスクリューコンベヤ、流動化装置、前記凝集体収集容器(92)の回動装置及び/又はミキサーが、前記凝集体収集容器(92)に設けられていることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記反応領域は、温度制御可能であり、特に加熱及び/又は冷却可能であり、及び/又は、
前記反応領域は、異物と前記酸化剤との反応を開始するための点火装置を有し、及び/又は、
前記異物は自己発火性であり、及び/又は、
前記異物は、金属を含むか、又は金属であり、粒状、特にチップ状又は粉末状の構成を有し、特にチタン、アルミニウム、マグネシウム、それら元素の合金、構造鋼、焼入れ及び焼戻し鋼、及び/又は高合金ステンレス鋼であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記未処理ガス流(44)、前記フィルタ面、及び/又は前記反応領域に、ろ過助剤を供給するステップをさらに含み、
前記ろ過助剤は、異物の酸化剤、特に酸素との反応を抑制するように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ろ過助剤は、無機材料、特に二酸化ケイ素をベースとする無機材料、又は炭酸カルシウムをベースとする無機材料であり、及び/又は、
前記ろ過助剤は、添加される際、粒状、特に粉末状の構成を有し、及び/又は、
前記ろ過助剤は、特に600℃以上の温度、特に650℃以上の温度、特に700℃以上の温度、特に750℃以上の温度、特に800℃以上の温度、特に1000℃までの温度、特に1250℃までの温度、特に1500℃までの温度で、粒状構成を有する金属含有異物を凝集状態で結合するよう構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ろ過助剤は、10~30μm、好ましくは15~25μmの平均粒子径を有し、及び/又は、
前記ろ過助剤は、600℃以上、特に650℃以上、特に700℃以上、特に750℃以上、特に800℃以上、及び1000℃まで、特に1250℃まで、特に1500℃までの軟化点を有し、及び/又は、
前記ろ過助剤は、主成分として、発泡ガラスビーズ、ガラス粉末、二酸化ケイ素粒子、石英粉末、又はこれら物質の少なくとも2つの混合物の内の1つを含むことを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルタ面に堆積した異物を含む凝集体が除去され、凝集体収集領域(24)に収集及び貯蔵され、前記凝集体収集領域(24;92)及び/又は前記排出領域及び/又は前記反応領域には、ろ過助剤及び/又は酸化剤が付与されることを特徴とする、請求項12乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記凝集体収集領域(24;92)及び/又は前記排出領域及び/又は前記反応領域へのろ過助剤及び/又は酸化剤の付与は、前記凝集体収集領域(24;92)及び/又は前記排出領域及び/又は前記反応領域に、所定量の凝集体が存在するときに行われることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記凝集体収集領域(24;92)及び/又は前記排出領域及び/又は前記反応領域への前記酸化剤(112)の付与は、前記凝集体収集領域(24;92)及び/又は前記排出領域へのろ過助剤の付与とタイミングを合わせた関係で行われ、
特に、前記凝集体収集領域(24;92)及び/又は前記排出領域及び/又は前記反応領域へのろ過助剤の付与に先行して、又は、前記凝集体収集領域(24;92)及び/又は前記排出領域及び/又は前記反応領域へのろ過助剤の付与に続いて行われることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
異物を運ぶ未処理ガスを浄化するためのろ過装置(10)であって、
異物を含む未処理ガス流(44)を供給可能な未処理ガス空間(15)内に、未処理ガス側と清浄ガス側を分離する少なくとも1つのフィルタ面を有する少なくとも1つのフィルタエレメント(14)と、
前記フィルタ面の下流の前記フィルタ面の前記未処理ガス側に位置する反応領域に、酸化剤(112)を供給するように適合された酸化剤供給手段と、を備え、
前記フィルタ面から除去された物質、及び/又は前記未処理ガス流(44)に含まれる異物が、前記反応領域で前記酸化剤(112)と反応して酸化物含有異物を形成する、ろ過装置(10)。
【請求項19】
前記酸化剤は、空気又は酸素含有ガスであり、及び/又は、
前記反応領域は、前記未処理ガス空間(44)の下流に位置すること、及び/又は、
前記フィルタ面から除去された物質を受け取るように配置された凝集体収集領域(24;92)が設けられ、
前記フィルタ面に堆積した異物又は異物を含む凝集体が除去され、前記凝集体収集領域(24;92)に収集及び貯蔵されること、
前記凝集体収集領域(24;92)は、第1閉鎖手段(96)を有し、当該第1閉鎖手段(96)は、前記フィルタ面から除去された物質の除去のために、前記未処理ガス空間(44)の下流の排出領域に関して前記未処理ガス空間(44)を閉鎖するように、又は前記未処理ガス空間(44)と前記排出領域との間の接続を確立するように制御できること、
特に前記排出領域は、前記反応領域を含むことを特徴とする、請求項18に記載のろ過装置(10)。
【請求項20】
反応時に生成される熱を放散させるために、伝熱流体を前記反応領域に供給し、前記反応領域を通り流れた後に前記伝熱流体を排出するための装置が設けられていることを特徴とする、請求項18又は19に記載のろ過装置(10)。
【請求項21】
前記酸化剤供給手段は、前記排出領域に通じており、及び/又は、
前記排出領域は、前記フィルタ面から除去された物質の搬送方向において、前記第1閉鎖手段(96)の下流に配置された第2閉鎖手段を備えることを特徴とする、請求項19又は20に記載のろ過装置(10)。
【請求項22】
前記反応領域は、前記第1閉鎖手段(96)と前記第2閉鎖手段との間に位置することを特徴とする、請求項21に記載のろ過装置(10)。
【請求項23】
前記フィルタ面から除去された物質を搬送するための搬送部材、特にスクリューコンベヤ、回転バルブ、勾配及び/又は流動化装置が、前記反応領域に設けられ、
前記搬送部材は、特に、前記フィルタ面から除去された物質の搬送方向を反転できるように設計されていることを特徴とする、請求項18乃至22のいずれか一項に記載のろ過装置(10)。
【請求項24】
少なくとも1つのフィルタエレメントを有するフィルタユニットを含む廃ガス排出領域(258)と、廃ガス出口(218)とを更に備え、
前記廃ガス排出領域(258)は、特に、前記少なくとも1つのフィルタエレメントに加圧空気パルスを加えるように適合した加圧ガス除去装置を備え、
前記廃ガス排出領域(258)は、特に、反応中に形成される残留物と過剰な酸化剤の混合物(146)がそこでろ過され、前記廃ガス出口(218)を通って排出されるように、特に設計されていることを特徴とする、請求項18乃至23のいずれか一項に記載のろ過装置(10)。
【請求項25】
前記排出領域は、凝集体収集容器(92)を備え、
前記凝集体収集容器(92)は、特に前記反応領域を備え、及び/又は、
前記フィルタ面から除去された物質を移動するための少なくとも1つの部材、特にスクリューコンベヤ、流動化装置、前記凝集体収集容器(92)の回動装置及び/又はミキサーが、前記凝集体収集容器(92)に設けられていることを特徴とする、請求項19乃至24のいずれか一項に記載のろ過装置(10)。
【請求項26】
前記反応領域は、温度制御可能であり、特に加熱及び/又は冷却可能であり、及び/又は、
前記反応領域は、異物と前記酸化剤(112)との反応を開始するための点火装置を備えることを特徴とする、請求項18乃至25のいずれか一項に記載のろ過装置(10)。
【請求項27】
ろ過助剤を供給するためのろ過助剤供給ライン(82)、及び/又は酸化剤を供給するための酸化剤供給ラインを有する、ろ過助剤供給装置を更に備え、
前記ろ過助剤供給ライン(82)は、前記未処理ガス空間(15)、前記未処理ガス空間(15)の上流及び/又は下流の前記未処理ガス流(44)、及び/又は前記反応領域、及び/又は前記凝集体収集容器(92)に通じており、
前記ろ過助剤は、異物と酸化剤、特に酸素との反応を抑制するように構成されていることを特徴とする、請求項18乃至26のいずれか一項に記載のろ過装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物を運ぶガス流の乾式ろ過のための方法、及び異物を運ぶ未処理ガスを浄化するためのろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、異物や物体を含むガス(例えば塗装工場からの排気)の乾式ろ過方法が示されている。その方法において、異物を含む未処理ガスを充填する前に、フィルタ面にろ過助剤として石灰石粉末(CaCO)が塗布されている。これにより、粘着性のある異物によるフィルタ孔の目詰まりを抑制できる。このように、異物と接触する前にフィルタ面を石灰石粉末でコーティングすることは、プレコーティング(プレコート)として知られている。プレコーティングは通常、湿式塗装工場からの排気の浄化に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2012/032003A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、可燃性異物を含む未処理ガスを乾式フィルタによって、特に高い運転温度でろ過する際に、未処理ガス火災を防止又は抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特に積層造形技術で生成される排気を浄化するためのろ過装置における、本発明による異物を運ぶガス流の乾式ろ過のための方法において、異物を含む未処理ガス流は、清浄ガス側から未処理ガス側を分離する少なくとも1つのフィルタ面を有するフィルタユニットの未処理ガス空間に供給される。さらに、フィルタ面の下流の未処理ガス側に位置する反応領域に、酸化剤が供給される。その酸化剤は、フィルタ面から除去された物質、及び/又は未処理ガス流に含まれる異物が、反応領域で酸化剤と反応して酸化物含有異物を形成するように供給される。
【0006】
酸化剤は、例えば、空気又は酸素含有ガスであってもよい。
【0007】
本発明の基本的な考え方は、未処理ガスに含まれる可燃性の高い異物を、これらの可燃性異物の酸化された構成への制御された移行を具体的に開始及び実行することによって(すなわち、化学反応によって)無害にすることである。酸化された構成では、これらの異物は一般に反応性が低いか不活性であり、もはや可燃性ではないので、これらの酸化された異物のさらなる取り扱いには、もはや特別な予防措置が必要ない。ただし、酸化反応が制御された状態で進行するように、特に酸化中に発生する熱エネルギーによって炎や火災が発生しないように注意する必要がある。これは、所定の反応領域に酸化剤を適切に供給すること、及び/又は、反応中に発生する熱エネルギーを反応領域から除去するためのさらなる対策によって達成される。
【0008】
例えば、反応領域は、フィルタ面に堆積し、フィルタ面から除去された異物の搬送に関して、未処理ガス空間よりも下流側に位置してもよい。このように、反応領域は、未処理ガス側であって、フィルタ面よりも下流側に位置している。酸化剤を最初に下流の反応領域に供給し、未処理ガス空間又は未処理ガス空間より上流の領域に供給しない場合、未処理ガス空間には酸化剤が存在しないままなので、未処理ガスの実際のろ過は、ほぼ不活性な状態で進行できる。また、少なくとも酸化剤が供給される場合、未処理ガス空間から反応領域を遮断することで、未処理ガス空間の不活性環境の維持をさらに確実にできる。
【0009】
また、反応時に発生する熱を除去するために、伝熱流体が反応領域を通過してもよい。伝熱流体は、酸化剤とは別の流体流で、例えば窒素などの不活性ガスであってもよく、反応領域に導入され、反応領域を通過した後、反応領域から排出される。このような伝熱流体は、反応領域から伝熱流体を排出した後に、伝熱流体がその熱を放出できる適切な熱交換器が設けられていれば、循環流として維持できる。また、伝熱流体に酸化剤を含ませることも考えられ、実際に好ましい。例えば、空気又は不活性ガスと所定の含有量の酸素の混合ガスが反応領域を通り流れることができる。伝熱流体が反応領域を流れること、すなわち、単位時間当たりに一定量の伝熱流体が反応領域に供給され、同じ程度で伝熱流体が反応領域から排出される。
【0010】
さらに、凝集体収集領域を設けてもよい。この凝集体収集領域は、フィルタ面から除去された物質(以下、除去物質と称する)を受け取るように設計されている。フィルタ面に堆積した異物又は異物を含む凝集体は、フィルタ面から除去された後、凝集体収集領域に収集され、そこに貯蔵される。凝集体収集領域は、第1閉鎖手段を有し、第1閉鎖手段は、フィルタ面から除去された物質の除去のために、未処理ガス空間の下流の排出領域に関して未処理ガス空間を閉鎖するように、又は未処理ガス空間と排出領域との間の接続を確立するように制御されることが提供され得る。第1閉鎖手段は、例えば、その周囲に対する未処理ガス空間の境界に設けられた第1閉鎖部材を備えてもよい。第1閉鎖手段を制御することにより、単位時間当たりに未処理ガス空間から排出領域へ通過する物質の量を制御できるので、反応領域に常に所定量の酸化性物質が存在し、したがって、単位時間当たり所定量の酸化性物質を、反応領域を通して搬送できる。その結果、第1閉鎖手段の適切な制御を用いて、反応領域内の温度が所定の閾値を超えないように、酸化性物質の反応で発生する熱量が許容範囲内に収まることを保証できる。
【0011】
特定の実施形態では、反応領域は、排出領域が反応領域を含むように、排出領域内に配置されてもよい。特に、反応領域は、第1閉鎖手段が閉じられたとき、反応領域で生じる酸化が未処理ガス空間に広がる周囲条件に影響を及ぼさないように、第1閉鎖手段の下流に配置してもよい。
【0012】
特に、酸化剤が排出領域に供給されるようにできる。これにより、酸化剤は、フィルタ面から除去された物質の流れ方向において未処理ガス空間の下流に供給されるため、未処理ガス空間は、酸化剤のない状態(少なくとも大部分は酸化剤のない状態)を保つことができる。特に、酸化剤が排出領域に供給されるとき、未処理ガス空間は、排出領域に対して閉じたままにできる。
【0013】
さらなる実施形態において、排出領域は、フィルタ面から除去された物質の流れ方向において第1閉鎖手段の下流に配置された第2閉鎖手段を備えてもよい。そして、反応領域は、第1閉鎖手段と第2閉鎖手段との間に配置されてもよい。これにより、反応領域のかなり明確に定義された位置を得ることができる。特に、第1閉鎖手段及び第2閉鎖手段を制御することによって、反応領域で起こる可燃性異物の酸化が、上流領域(未処理ガス空間など)又は下流領域(フィルタ面から除去された物質の収集容器など)に大きな影響を与えないことを確実にできる。特に、第2閉鎖手段は、下流の凝集体収集容器に関して排出装置の反応領域を画定するように構成された第2閉鎖部材を備えてもよい。特に、第1閉鎖手段は、ロック機能を有するように構成されてもよい。必要に応じて、追加的又は代替的に、第2閉鎖手段がロック機能を有するように設計されてもよい。この目的のために、第1閉鎖手段及び/又は第2閉鎖手段は、次々に配置された2つの閉鎖部材、又はロック機能を有する1つの閉鎖部材を有することができる。
【0014】
さらなる実施形態では、フィルタ面から除去された物質を搬送するために、搬送部材を反応領域に設けてもよい。搬送部材としては、機械的な搬送部材、特にスクリューコンベヤ、回転バルブなどを使用できる。特に、搬送部材は、除去物質と酸化剤をよりよく混合し、除去物質を安全に不活性化するため、フィルタ面から除去された物質の搬送方向を反転できるように設計できる。また、除去物質が落下するような傾斜又は勾配を反応領域に設けることで、重力による搬送部材を実装することも考えられる。除去物質の搬送を促進するためのさらなる手段として、反応領域内の除去物質に流動化装置を作用させることも可能である。もちろん、これらの手段を組み合わせることもできる。
【0015】
排出領域は、凝集体収集容器を含んでもよい。凝集体収集容器は、未処理ガス空間の直ぐ下流に、任意に第1閉鎖手段を介在させて配置してもよい。排出領域又は排出領域の一部を構成する搬送部が、さらに、第1閉鎖手段と凝集体収集容器との間に介在することも考えられる。このような搬送部は、例えば、上記した反応領域を構成又は含むものであってもよい。このように搬送部が反応領域の全部又は少なくとも一部を構成する実施形態については、反応領域が反応部を構成するという言い換えを、以下用いることとする。また、第1閉鎖手段と凝集体収集容器との間に、さらに、排出領域又は排出領域の一部を構成する搬送部が介在することも考えられる。そして、搬送部と凝集体収集容器との間に第2閉鎖手段を設けてもよく、この閉鎖手段によって、さらなる搬送部を凝集体収集容器から閉鎖できる。
【0016】
さらなる実施形態では、上記の実施形態の代替又は追加として、凝集体収集容器が反応領域を含むことが提供され得る。可燃性異物の酸化は、その後、凝集体収集容器のみで、又は凝集体収集容器とさらなる輸送部との両方で行われる。
【0017】
酸化反応の経過を支援するため、及び/又は生じた反応熱の除去を改善するために、フィルタ面から除去された物質を移動させるための少なくとも1つの部材を凝集体収集容器に設けることができる。このような部材は、特にスクリューコンベヤ又はミキサーのように、機械的に作動してもよい。このような部材は、例えば流動化装置のように空気圧で作動してもよい。また、凝集体収集容器を旋回、揺動、又は移動させるための装置を設けることも考えられる。もちろん、これらの設計は、例えば、凝集体収集容器に流動化トレイを設けること、凝集体収集容器を旋回可能に取り付けること、及び/又は1つ以上のミキサーアームを追加で設けることによって、互いに組み合わせできる。
【0018】
さらに、反応領域は、反応部として設計された場合、凝集体収集容器に配置された場合の両方で、温度制御することができる。これは、例えば、既に述べた伝熱流体によって実現できる。追加的又は代替的に、対応する加熱素子及び/又は冷却素子を、この目的のために反応領域を囲む壁に割り当てることができる。一方では、酸化のためのある活性化温度に迅速に到達するか、又は維持するために、反応領域を加熱できると好都合である。他方、酸化中に発生する熱エネルギーを効率的に消散できるように、反応領域を冷却できれば、しばしば有用であろう。さらに、反応領域は、異物と酸化剤との反応を開始させるための点火装置を含むとしてもよい。
【0019】
さらなる実施形態では、ろ過助剤が未処理ガス流、フィルタ面及び/又は反応領域に供給されるとしてもよい。ろ過助剤は、異物と酸化剤、特に酸素との反応を抑制するように設計されている。この理由から、ろ過助剤は、以下では消火剤とも称される。さらに、ろ過助剤は、反応領域を適切な温度にする、特に熱を供給又は放散する役割を果たすこともできる。
【0020】
ろ過助剤は、例えば、無機材料であってもよく、特に、酸化ケイ素系無機材料又は炭酸カルシウム系無機材料をろ過助剤として使用できる。
【0021】
ろ過助剤は、特に、反応領域で起こる酸化が制御不能にならないようにする役割を果たすことができる。
【0022】
ろ過助剤の添加は、石灰石粉(CaCO)が添加される、従来のプレコート工程と同様の目的を達成しようとするものである。このプレコート工程は、ろ過中に、自然発火性又は自己発火性の異物と酸化剤、特に酸素との反応を抑制することに関して選択された物質をろ過助剤として添加するという趣旨で、変更する必要がある。このようにして、火災が発生しないこと、又は発火後のいかなる場合においても、火炎のさらなる広がりが効果的に抑制することが達成される。ろ過助剤は、投与が容易である。特に、ろ過助剤は、異物を含む凝集物を形成するのに適している。ろ過助剤の添加は、通常運転時(すなわち、炎が発生していない場合)のフィルタの動作を妨げない。特に、これは、ろ過助剤が異物を含むガス流と接触した後に、フィルタ面にフィルタケーキを形成するという事実を含み、それはよく付着するが、加圧ガスパルスによって容易に除去される。
【0023】
未処理ガスは、未浄化のガスであり、故に異物を運び、まだろ過装置を通過していない。未処理ガスは、例えば、金属粒子を運ぶ煙又はガス(エアロゾル)であり得る。煙という用語は、空気流又はガス流で運ばれる微細に分散した形態の粉塵粒子及び/又は液滴のエアロゾルを表すことを意図している。煙の場合、粒子径は通常800nm以下である。可燃性異物を運ぶ未処理ガスの場合、キャリアガスが不活性ガスであること、すなわち酸化剤として作用し得る、酸素及び他の成分の割合が、キャリアガス中の所定の閾値未満に保たれるとしてもよい。このような場合、未処理ガスのろ過も不活性条件下で行われ、すなわち、酸化剤として作用し得る、酸素及び他の成分の割合も、未処理ガス空間で所定の閾値未満に保たれる。物質が未処理ガス空間から排出される前に、異物が酸素などの酸化剤と接触することはない。
【0024】
無機材料は、特に、炭素を含まない化合物を主成分とする材料であり、特に、炭素の有機化学化合物を含まないものをいう。一酸化炭素、二酸化炭素、二硫化炭素、炭酸、炭酸塩、炭化物、イオン性シアン化物、シアン酸塩、チオシアン酸塩などの特定の炭素化合物も、無機材料と見なされる。無機材料には、特に二酸化ケイ素が含まれる。
【0025】
本発明の文脈において、二酸化ケイ素(SiO)ベース又は二酸化ケイ素系とは、ろ過助剤が二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素化合物をその主成分として含むことを意味する。ろ過助剤は、二酸化ケイ素よりも低い質量割合で存在する他の物質をさらに含んでもよい。
【0026】
未処理ガス空間は、ろ過装置において未処理ガスが導入される部分である。異物を含む凝集体は、ろ過助剤に異物が蓄積することで形成される。このような凝集体は、未処理ガス流又は未処理ガス空間に形成されるが、特に、未処理ガス流がろ過装置のフィルタ面を通過して清浄ガス空間に入る際に、未処理ガス流の異物がフィルタ面に蓄積又は付着することによって形成される。
【0027】
SiOベースのろ過助剤の添加は、ろ過される未処理ガスが自己発火性又は可燃性の異物を含む場合に特に有効である。このような異物又は微粒子は自然発火する傾向がある。この発火は、外部からの熱エネルギーの入力がなくても発生することが多い。異物が小さな粒子径を有する場合、異物はその体積に対して比較的大きな表面積を有するため、異物は特に発火しやすくなる。未処理ガス流の移動により、異物が擦れ合う程度で十分である。また、異物同士が擦れ合うことで静電気を帯びることも多く、放電による追加の発火源につながる。本発明によれば、二酸化ケイ素をベースとするろ過助剤の添加は、未処理ガス中のこのような自然発火を確実に抑制する。
【0028】
異物は、例えば、金属を含むか、又は金属であり、粒状、特にチップ状、粉末状、又はスモーク状の構成を有してもよい。特に、異物は、完全に酸化されていない、又は、全く酸化されていない構成を有してもよい。特に、異物は、チタン粉末又はチタンチップであってもよい。また、異物は、酸化されていない、又は完全に酸化されていない金属製異物であってもよい。このような異物は、例えば、金属製ワークピースの積層造形中に、粉末状の金属材料を用いて、粉末床からワークピースを一層ずつ積み上げていく際に生じるものである。このようなプロセスで使用される代表的な金属として、チタン、アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金、並びに構造用鋼、焼入れ及び焼戻し鋼、高合金ステンレス鋼などの多くの鋼があり、それらは排気中の可燃性異物につながる可能性がある。本明細書で提案するSiOをベースとするろ過助剤の添加は、チタン及び/又はアルミニウム・マグネシウム合金を使用する積層造形プロセスにおける未処理ガス火災の抑制に特に適していることが証明されている。自然発火しやすい廃ガスを発生する付加製造プロセスとして、例えば、レーザー焼結プロセスが知られている。
【0029】
添加される際、ろ過助剤は粒状、特に粉末状の構成を有することができる。これにより、特にフィルタ面のコーティング(プレコーティング)に対し、未処理ガス流及び/又はろ過装置へのろ過助剤の正確な計量が可能になる。さらに、適切なろ過助剤により、フラップ又は加圧ガス供給などの簡素な供給機構を使用できる。ろ過助剤は、添加時の粒子が細かいほど、発火が抑制された凝集体の形成効率が高くなる。
【0030】
ろ過助剤は、特に600℃以上の温度、特に650℃以上の温度、特に700℃以上の温度、特に750℃以上の温度、特に800℃以上の温度で、金属含有異物を粒状構成で凝集体に結合するように構成してもよい。ろ過助剤に応じて、凝集体の形成をあまり阻害することなく、及び/又は望ましくないほどに大きい程度で凝集体の分解又は崩壊を引き起こすことなく、1000℃まで、特に1250℃まで、特に1500℃までの温度に到達することが可能である。形成された凝集体は、前述の温度範囲において可燃性でないか、又は難燃性なだけであるため、従来のろ過装置と比較して、より高い操作上の安全性が可能である。SiOガラスの多くは600℃から始まる温度で軟化し始め、そして異物と凝集体を形成することができる。SiO材料の構成に応じて、例えば、添加物の追加又はガラス発泡体として形成することにより、軟化が始まる温度を適切な方法で変えることができる。
【0031】
凝集体は、強く加熱するとガラス溶融物に似た流動性のある構成に変化し、ガラス転移点以下に冷却するとガラス状又はガラス質の構成に変化できる。ろ過助剤は溶融し、それによって異物を溶融物内に捕捉するので、この状態で既に不活性化が起こっている。溶融物が固化すると、ガラス質の構成が形成される。流動性のある構成の形成は、特に600℃以上、特に650℃以上、特に1220℃以上、特に750℃以上、特に1320℃以上の温度への加熱後に起こり得る。このプロセスでは、凝集体は、ガラス転移温度未満に冷却された後、ガラス質の構成を有することがある。これにより、酸化剤が金属含有異物に接触することを防止することができる。
【0032】
特に、ろ過助剤は、ガラス質の構成を有するか、又は熱の影響下でガラス質の構成に変換できる材料であることができる。
【0033】
ガラス質構成の二酸化ケイ素をベースとする物質は、固体から作られ、非晶質又は少なくとも部分的に結晶構造を有する。このようなガラスは、二酸化ケイ素を主成分とし、その網状組織は二酸化ケイ素を主成分として形成されている。これらには、特に、いわゆるケイ酸塩ガラスを含む。ケイ酸塩系ガラスは、例えば、シリカガラス(石英ガラス)として純粋な形で存在できる。また、より高い軟化温度が望まれる場合には、石英ガラスも考えられる。ケイ酸塩系ガラスに加えて、追加の成分、例えばリン酸塩、ホウ酸塩などが存在してもよい。
【0034】
ろ過助剤は、主成分として、膨張ガラスビーズ、ガラス粉末、二酸化ケイ素粒子(SiO粒子)、石英粉末、又はこれらの材料の少なくとも2つの混合物のうちの少なくとも1つを有してよい。特に、好適なガラス材料は、膨張ガラス又は発泡ガラスなどの廃ガラスをリサイクルして作られたもの(リサイクルガラス)である。膨張ガラスは、廃ガラスカレットを粉砕し、それに結合剤及び/又は膨張剤を添加して製造される。これにより、小さい、ガス入り細孔を有するほぼ丸い粒子が生成される。膨張ガラスは、0.04~16mmの粒子サイズで製造できる。この顆粒は、閉じた細孔構造を有している。発泡ガラス、特に発泡ガラスバラストも同様の方法で製造される。膨張ガラス又は発泡ガラスは、軟化領域が始まる温度の下限、及び/又はガラス転移温度の下限が、600℃から750℃の間の値となるように製造できる。
【0035】
火災が発生すると、最初に形成されたろ過助剤と金属粉の、未だ粉状又は粒状の凝集体は、熱の作用で軟化又は溶融する。流動性のあるガラス溶融物が金属含有異物を取り囲み、それを不活性化する。溶融物が固化した後、ガラス状の構造体が形成され、金属含有異物は恒久的にろ過助剤に包まれるか、ろ過助剤によって囲まれる。流動性のある構成が形成されると同時に、金属の個々の自己発火性粒子は、ろ過助剤によって結合(ガラス化)される。酸化剤、特に酸素(O)との反応は、ガラス化した状態では困難であるか、又は全く不可能である。このようなガラス化プロセスは、特にろ過助剤の凝集体が蓄積している場所で発生する。特に、フィルタ面の未処理ガス側に形成されたフィルタケーキで、その全体又は大部分がろ過助剤凝集体からなるものは、熱が発生すると(例えば火災の場合)、粉末状又は顆粒状の構成から流動性のある、最終的にはガラス状構成へと相転移を示すことがあり得る。このようなガラス化プロセスは、運転中に凝集体収集領域に形成されたバルク円錐表面でも起こり、凝集体収集領域に含まれる物質の効率的な不活性化をもたらす。このガラス化プロセスは、凝集体収集領域に形成されるバルク物質の円錐表面を、時々、ろ過助剤の層でコーティングすることによって促進できる。
【0036】
形成された凝集体は、火災の場合、すなわち酸化剤(通常は酸素)の存在下で、650℃までの温度、特に750℃までの温度、特に850℃までの温度、特に1000℃までの温度、特に1250℃までの温度、特に1500℃までの温度で化学的に安定した状態を保つことができる。
【0037】
凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器に選択的又は特に酸化剤を適用すること、又は凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器に酸化剤を導入することが可能である。酸化剤の導入は、特に制御システム又はソフトウェアに従って自動的に行うことができる。代替的又は追加的に、手動で酸化剤を導入することもできる。特に、酸素の割合が十分に高いガス又はガス混合物を酸化剤として使用できる。最も単純なケースでは、導入される酸化剤は空気である。酸化剤を凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器に導入することは、凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器に貯蔵されている物質が酸化剤と反応できるという効果を有する。これにより、実際に抑制又は少なくとも制御する必要のある反応が具体的に開始される。酸化中に発生する反応熱は、ろ過助剤の温度上昇をもたらす。温度がろ過助剤のガラス化温度に達するか、又はそれを超えると、ろ過助剤は流動性のあるガラス相に変化し、それによって既に酸化され、場合によってはまだ存在している非酸化凝集体を取り囲む。このようにもたらされたろ過助剤の相変化は、したがって凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器内の物質のガラス化を引き起こし、この物質をさらなる酸化プロセスに対して鈍感にし、それによって無害にする。ガラス化が起こった後、凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器に貯蔵された物質の制御されない発火の危険性は、凝集体収集領域、特に凝集体収集容器がフィルタデバイスから取り外されると、したがって回避される。この措置により、凝集体収集領域に貯蔵された物質は、目的を定めた制御可能な方法で反応構成から不活性構成に移行させることができる。凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器に貯蔵され、酸化剤と反応させられる物質の量は、それぞれの場合において、添加されるろ過助剤及び/又は酸化剤の量により制御できる。これにより、凝集体収集領域の取り扱う際、特に除去物質を受け取るための容器の交換の際に、作業者の安全性を向上する。
【0038】
凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器への酸素の適用、又は充填は、凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器へのろ過助剤の適用、又は充填との時間関係を持って行うことができる。特に、凝集体収集領域(24;92)及び/又は排出領域及び/又は反応領域へのろ過助剤の適用は、酸化剤に先行することができる。又は、凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器は、バルク円錐に又は凝集体収集領域、特に凝集体収集容器に貯蔵された物質にろ過助剤を適用した後に、それに酸化剤を適用させてもよい。特に、凝集体収集領域、特に反応部及び/又は凝集体収集容器は、凝集体収集領域に割り当てられた凝集体収集容器がそのホルダから取り外される前に、その中に酸化剤を適用させてもよい。そして、凝集体収集容器が取り外された後、凝集体収集領域内の物質が大気中の酸素と接触すると、可燃性材料又は混合物は、ガラス化又は不活性酸化構成への移行によって無害化され、制御不能な酸化又は火災の危険性がもはや存在しなくなる。
【0039】
ろ過助剤と異物から形成された凝集体は、熱にさらされた後、異物を取り囲み、ガラス状の構成を有する殻(シェル)を呈するため、異物が酸化剤に接触することがない。これにより、未処理ガス空間、ろ過装置の未処理ガス空間より上流の未処理ガス供給ライン、及び/又はろ過装置より下流の領域、特に凝集体収集領域又は凝集体収集領域に至るラインにおける火災を確実に防止できる。
【0040】
この場合、ろ過助剤から耐薬品性物質が形成され、自己発火性異物が発火する前にそれを気密的に封じ込めたり、捕捉したりすることができる。また、ろ過助剤から形成された耐薬品性物質は、熱により流動性を持つため、異物が発火した後の炎を消すこともできる。特に、二酸化ケイ素ガラスは、高温でも融液として化学的に安定であり、酸素などの酸化剤にさらされても分解しない。特に、二酸化ケイ素ガラスは、高温でも酸素含有官能基が分断しない。
【0041】
ろ過助剤は、600℃以上の温度、特に650℃以上の温度、特に700℃以上の温度、特に750℃以上の温度、特に800℃以上の温度に加熱されたときに、酸化剤として作用し得るメンバー又は化合物を分離しないように設計できる。特に、ろ過助剤は、1000℃の温度まで、特に1250℃の温度まで、特に1500℃の温度まで化学的に安定であり、特に酸化剤として作用し得る元素又は化合物を分離しないように設計できる。
【0042】
ろ過助剤は、10~30μm、好ましくは15~25μmの平均粒子径を有してもよい。平均粒子径は、ろ過助剤の粒子の大部分が10~30μmの直径を有するという趣旨で理解される。すべてのデータは、X50値を参照しており、すなわち、粒子の50%がそれぞれのケースで言及された範囲の直径を有している。
【0043】
ろ過する未処理ガスに応じて、ろ過助剤は、600℃以上、特に650℃以上、特に700℃以上、特に750℃以上、特に800℃以上であり、1000℃まで、特に1250℃まで、特に1500℃までの軟化点又はガラス転移温度を有してもよい。火災が発生した場合、これにより、ろ過助剤の相変化、すなわち、ろ過助剤の流動性状態への移行と、それ故異物のガラス化を可能にする。したがって、火災を確実に回避又は止めることができる。
【0044】
この方法は、未処理ガス空間及び/又は反応領域において、ろ過助剤を分配又は微粒化することを更に備えてもよい。また、特に、未処理ガス空間及び/又は反応領域に配置された要素(フィルタエレメント及び未処理ガス空間壁又はろ過装置の排出領域、特に、反応部の領域及び/又は凝集体収集容器内における壁など)へ均一に分配することを更に備えてもよい。
【0045】
この方法では、異物を含み、フィルタ面に堆積した凝集体を除去し、凝集体収集領域に収集及び保管することができる。凝集体収集領域は、ろ過助剤で充填されているとしてもよい。
【0046】
凝集体収集領域の充填は、凝集体収集領域が所定量の凝集体を貯蔵したときに行うことができる。これにより、互いに隣接する凝集体の量が所定量を超えることを防止し、それにより、凝集体の発火の危険性を低減する。
【0047】
凝集体収集領域に割り当てられた凝集体収集容器を取り外す前に、凝集体収集領域又は凝集体収集容器に収集された異物含有凝集体がろ過助剤の層で覆われるように、凝集体収集領域にろ過助剤を充填してもよい。凝集体収集領域にろ過助剤を充填した後、特に凝集体収集領域に貯蔵された物質にろ過助剤を適用した後で、凝集体収集容器を取り外す前に、凝集体収集領域に酸化剤をさらに充填してもよい。
【0048】
凝集体収集容器は、単回使用のみを目的とした使い捨て容器とすることができる。凝集体収集領域にろ過助剤及び酸化剤を充填した後、凝集体収集容器を取り出して廃棄することができる。酸化剤添加後、凝集体収集容器をホルダから取り外す前に、凝集体収集領域内で除去物質のガラス化が既に起こっているため、すべての物質が凝集体収集容器内で結合し、通常の方法で安全に廃棄できることが保証される。
【0049】
本発明による方法及び装置は、それぞれ、ろ過装置、特に以下のタイプの内の1つの装置のガス流から異物を除去するのに使用できる。
- 粉末状の金属出発材料製のワークピースの積層造形時に生成される廃ガスを除去するための装置。
- レーザー焼結プロセスによるワークの製造時に発生する煙霧又は排煙を除去するための装置。
-レーザービーム溶接システム又はその他の溶接ヒューム抽出システムの空気汚染物質を除去するための装置。
-煙霧中の、特に積層造形プロセス又は熱プロセスで発生する煙霧中の汚染物質を除去するための装置。
【0050】
本発明による、異物を運ぶ未処理ガスを浄化するためのろ過装置は、未処理ガス空間に少なくとも1つのフィルタ面を有する少なくとも1つのフィルタエレメントを備え、このフィルタ面に異物を含む未処理ガス流を供給することができる。さらに、フィルタ面の下流側の未処理ガス側に位置する反応領域に酸化剤を供給するように適合された酸化剤供給手段が設けられる。酸化剤供給手段は、フィルタ面から除去された物質及び/又は未処理ガス流に含まれる異物が、反応領域で酸化剤と反応して酸化物含有異物を形成するように設計されている。
【0051】
本発明による方法を参照して上記した説明は、本発明によるろ過装置にも類似的に適用される。
【0052】
特に、酸化剤は、空気又は酸素含有ガスであってもよい。特に、反応領域は、未処理ガス空間の下流に配置されてもよい。特に、反応領域は、酸化剤が供給されるとき、未処理ガス空間に対して遮断又は閉鎖されるように適合されてもよい。これらの措置は、未処理ガス空間が酸化剤をほとんど存在しないことを保証するのに役立つ。
【0053】
さらに、ろ過装置は、伝熱流体を反応領域に供給し、反応領域を流れた後の伝熱流体を排出するための装置を有していてもよい。そのような装置は、反応領域での反応によって生成された熱エネルギーを放散することを支援する。この点に関して、伝熱流体は、例えば、空気の形態で、又は所定の酸素含有量を有する不活性ガスの混合ガスの形態で、酸化剤を含むこともできる。伝熱流体は、反応領域内を通って流れ、すなわち、反応領域に供給され、反応領域から排出される。
【0054】
さらに、ろ過装置は、フィルタ面から除去された物質を受け取るように適合された凝集体収集領域を備えてもよい。ろ過装置は、除去装置、例えば加圧ガス除去装置を備え、それによってフィルタ面に蓄積した異物又は異物を含む凝集体が適宜除去される。この除去物質は、凝集体収集領域に集められて貯蔵される。
【0055】
凝集体収集領域は、特に、フィルタ面から除去物質を取り除くために、未処理ガス空間の下流の排出領域に対して未処理ガス空間を閉鎖するように、又は未処理ガス空間と排出領域との間の接続を確立するように制御することができる第1閉鎖手段を有することができる。第1閉鎖手段は、例えば、未処理ガス空間の周囲に対する境界に設けられた第1閉鎖部材で構成されてもよい。
【0056】
第1閉鎖手段を制御することにより、未処理ガス空間から排出領域へ単位時間当たりに通過する物質の量を制御して、所定量の酸化性物質が常に反応領域に存在するようにできる。その結果、酸化性物質の反応中に発生する熱量を許容範囲内に維持することができる。
【0057】
特定の実施形態では、排出領域は、反応領域を含んでもよい。その場合、反応領域は、原則として、第1閉鎖手段の下流に位置する。
【0058】
酸化剤供給手段は、排出領域に通じる(開口する)ように構成されていてもよい。
【0059】
このようにすれば、フィルタ面から除去された物質の流れ方向で、未処理ガス空間の下流側に酸化剤が供給されるため、未処理ガス空間には酸化剤がほとんど存在しない状態を確保できる。特に、これを支援して、酸化剤が排出領域に供給されるとき、未処理ガス空間が排出領域に対して閉じた状態を維持するとしてもよい。
【0060】
さらなる実施形態において、排出領域は、フィルタ面から除去された物質の流れ方向で第1閉鎖手段の下流に配置された第2閉鎖手段を含んでもよい。そして、反応領域は、第1閉鎖手段と第2閉鎖手段との間に配置されてもよい。
【0061】
特に、第2閉鎖手段は、下流の凝集体収集容器に関して排出装置の反応領域を画定するように構成された第2閉鎖部材を含んでもよい。
【0062】
さらなる実施形態では、フィルタ面から除去された物質を搬送するために、搬送部材を反応領域に設けてもよい。このような搬送部材は、機械的に動作する搬送部材、特にスクリューコンベヤ又は回転バルブであってもよい。代替的に又は追加的に、フィルタ面から除去された物質が落下する反応領域に、斜面又は勾配を設けてもよい。さらに、搬送部材として流動化装置を反応領域に設けることも考えられる。言及したこれら全ての手段は、互いに組み合わせることができる。搬送部材は、フィルタ面から除去された物質の搬送方向を反転させるように設計できる。
【0063】
さらなる実施形態において、排出領域は凝集体収集容器を備えてもよい。特に、凝集体収集容器が反応領域を含むとしてもよい。
【0064】
例えば、フィルタ面から除去された物質を移動するための少なくとも1つの部材が、凝集体収集容器に設けられてもよい。このような部材は、例えば、機械的に動作する部材、特にスクリューコンベヤ又はミキサーであってもよい。また、このような部材を流動化装置として設計すること、又はこのような部材が流動化装置を備えることも考えられる。さらに、凝集体収集容器を移動可能に、例えば枢動可能に、回転可能に、又は揺動可能に支持することも考えられる。また、上記の実施形態を組み合わせてもよい。
【0065】
さらに、特定の実施形態では、反応領域を温度制御し、特に加熱及び/又は冷却できる温度制御装置を設けることができる。さらに、反応領域は、異物と酸化剤との反応を開始させるための点火装置を含むとしてもよい。
【0066】
さらなる実施形態において、ろ過助剤供給装置は、ろ過助剤を供給するためのろ過助剤供給ラインを備えてもよく、これは、未処理ガス空間に、及び/又は未処理ガス空間の上流及び/又は下流の未処理ガス流に通じている。ろ過助剤は、異物と酸化剤、特に酸素との反応を抑制するように設計されている。ろ過助剤は、例えば、無機材料、特に、二酸化ケイ素又は炭酸カルシウムをベースとする無機材料であってもよい。
【0067】
ろ過助剤は、未処理ガス空間の上流の未処理ガス流、未処理ガス空間、フィルタ面、排出領域、特に反応領域及び/又はフィルタ面から除去された物質の収集領域に供給することができる(以下、凝集体収集領域とも称する)。
【0068】
ろ過助剤供給装置は、ろ過助剤が、未処理ガス空間又は反応領域に面するフィルタ面上で、及び/又は未処理ガス空間壁又は反応領域壁上で、熱の影響によりガラス状の保護層を形成するように、及び/又は、ろ過助剤が未処理ガス流に分配され、ろ過助剤及び異物のガラス状凝集体が、フィルタ面の上流及び/又は下流の未処理ガス流、特に排出領域、又は熱の影響下にあるフィルタ面上で形成するように、設計できる。
【0069】
ろ過装置は、凝集体収集領域に割り当てられ、ろ過装置の底部側に配置された凝集体収集容器を更に備えてもよく、その凝集体収集容器は、ろ過助剤を供給できるろ過助剤投入開口部を有する。これにより、凝集体収集容器は、凝集体収集領域を形成できる。
【0070】
ろ過装置は、酸化剤リザーバからの酸化剤、及び/又はろ過助剤リザーバからのろ過助剤を、未処理ガス空間及び/又は未処理ガス空間に通じる未処理ガスライン及び/又は反応領域又は反応部に供給する第1ラインと、特に、酸化剤リザーバからの酸化剤、及び/又はろ過助剤リザーバからのろ過助剤を、凝集体収集容器に供給する第2ラインとを有することができる。酸化剤は、空気又は酸素含有ガス混合物であってもよく、その酸化剤は、凝集体収集容器に導入されると、凝集体収集容器内にある物質を酸化剤にさらす。必要に応じて、酸化剤の導入は、第2ラインとは異なる第3ラインを介してして行われてもよい。
【0071】
反応領域又は反応部は、未処理ガス空間と凝集体収集容器とを接続する、ろ過装置の部分として定義できる。この反応領域は、フィルタ面から除去された物質を酸化剤と反応させ、そこで制御された安全な反応が行われるように設計されている。この目的のために、反応領域には、酸化剤を反応領域に導入できる酸化剤入口を形成することができる。ろ過助剤又は消火剤は、同じ入口又は別個の入口から反応領域に導入することもできる。反応領域は、例えば1つ以上の遮断弁又は回転バルブなどの遮断装置によって閉鎖可能なように設計してもよく、反応領域での反応が所定の強度を超えないように、除去物質の量を適切に制御できる。さらに、反応領域は、煤及び他の異物粒子などの酸化残渣を含む過剰な酸化剤を反応領域から排出できる廃ガス出口を有していてもよい。また、反応領域は、スクリューコンベヤ、流動化トレイ、又はコンベヤベルトなどの搬送部材を含んでもよい。スクリューコンベヤは回転して、除去物質を反応領域に搬送する。流動化トレイは、例えば、ガス状搬送媒体が通過できるシート又はグリッドであり、流動化トレイ上又はその上方に位置する除去物質が反応領域出口に搬送される。コンベヤベルトも同様の機能を有するが、この機能を別の方法で有効にする。
【0072】
ろ過装置は、第2ラインを第1ラインに接続する材料分流器を含んでもよい。これにより、未処理ガス空間と凝集体収集容器の両方へろ過助剤を選択的に導入できる。これにより、本発明によるろ過装置を操作する際の作業者の安全性が向上する。
【0073】
材料分流器は、ろ過助剤の流れが第1ライン及び/又は第2ラインを選択的に通過するように制御可能である。好ましくは、自動制御装置をこの目的のために使用できる。あるいは、材料分流器は、材料分流器を手動で操作して、ろ過助剤の流れを第1ライン及び/又は第2ラインに導入する操作員によって作動させることもできる。
【0074】
凝集体収集容器は、酸化剤、特に空気又は酸素含有ガス混合物を凝集体収集容器に導入できる酸化剤導入開口部を含んでもよい。酸化剤を添加することにより、凝集体収集容器に貯蔵された酸化性物質を選択的に活性化させ、ろ過助剤によるガラス化及び/又は酸化性物質を反応性の低い又は不活性な酸化性物質に変換して、酸化性物質を無害化することができる。これにより、凝集体収集容器を交換する際のサービス要員の安全性が向上する。
【0075】
ろ過装置は、凝集体収集容器の酸化剤導入開口部に通じる酸化剤ラインを更に備えてもよい。酸化剤は、酸化剤ラインを通して自動的又は手動的に凝集体収集容器に選択的に供給してもよい。自動とは、制御ユニットが酸化剤の供給を引き継ぐことを意味すると理解される。手動供給の場合、これはサービス要員がスイッチ又はレバーを操作して酸化剤を凝集体収集容器に導入することによって行われる。特定の実施形態では、第2ラインは同時に酸化剤ラインとして機能することができる。例えば、凝集体収集容器へのろ過助剤の導入は、凝集体収集領域内の物質への酸化剤の適用と同時に行なってもよい。また、凝集体収集容器へのろ過助剤の導入と、凝集体収集容器内にある物質への酸化剤の適用を、例えば第2ラインに追加された弁を用いて、時間的に交互に実施することもできる。例えば、酸化剤を最初に凝集体収集容器に導入し、続いてろ過助剤を導入することができる。
【0076】
ろ過装置は、所定量のろ過助剤を調整するように構成された計量装置をさらに備えてもよい。これにより、ろ過助剤のろ過装置内への正確な供給が可能となり、それによりろ過装置の動作安全性が向上する。
【0077】
本発明による方法の前述の実施形態及び利点は、本発明による使用及び本発明によるろ過装置にも適用される。
【0078】
以下、本発明及びその具体的な実施形態について、例示的な実施形態により、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明によるろ過装置の側面図である。
図2図1の視野に対して90度回転させた、図1のろ過装置の側面図である。
図3図1及び図2のろ過装置のための計量装置の詳細図である。
図4図1のろ過装置の一端の詳細図である。
図5】本発明による方法の模式的なフローを示す図である。
図6】反応部を介してろ過装置出口に接続された凝集体収集容器を示す図である。反応部には、フィルタ面から除去された物質を搬送するスクリューコンベヤが配置されている。
図7】反応部を介してろ過装置出口に接続された凝集体収集容器を示す図である。反応部には2つの遮断部材が配置されている。
図8】反応部を介してろ過装置出口に接続された凝集体収集容器を示す図である。反応部には回転バルブが配置され、その下流には2つの遮断部材が流れ方向に並んで配置されている。
図9】フィルタ面から除去された物質が、遮断部材を通って凝集体収集容器に導かれ、その際に酸化剤の流れを横切る様子を示す図である。
図10】反応部を介してろ過装置出口に接続された凝集体収集容器を示す図である。反応部は遮断部材を有する。遮断部材の下流には酸化剤注入口があり、さらに下流には反応部に点火装置が配置されている。
図11】調整要素(加熱及び/又は冷却素子)が外壁に配置された凝集体収集容器を示す図である。
図12】底部に向けられた領域に酸化剤ポートを有する凝集体収集容器を示す図であり、フィルタ面から除去された物質の下の凝集体収集容器に酸化剤を導入できる。
図13】1つ以上のミキサーアームを備えた凝集体収集容器を示す図であり、それらミキサーアームは、凝集体収集容器内でフィルタ面から除去された物質を移動し、したがってその物質と酸化剤の有利な混合をもたらす。
図14】フィルタ面から除去された物質が酸化剤と混合されるように、回転軸で回転可能な、特に水平回転軸を中心に回転可能な凝集体収集容器を示す図である。
図15】反応部の模式図である。
図16】除去物質の酸化のための反応空間を示す図である。
図17】反応空間の他の例を示す図である。
図18】反応空間の漏斗状の実施形態を示す図である。
図19図15に模式的に示した反応部を、対応する要素とともに示す図である。
図20】水平に向けられた混合及び搬送装置を備える反応部を示す図である。
図21図20の反応部の中央部を通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1及び図2は、実施形態による、異物を含む未処理ガスを浄化するろ過装置(フィルタ装置)10を、互いに90度回転させた側面図で示している。ろ過装置10は、フィルタユニット12(図1では図示せず、図2にフィルタユニット12のフィルタエレメント14の1つが示されている)を備える。フィルタユニット12は、分かりやすくするために一部を省略した、ハウジング18の上部に設けられた未処理ガス流入開口部16の上方に取り付けられている。フィルタユニット12は、フィルタエレメント14の1つをその設置位置に示す図2に模式的に示すように、共通のホルダに取り付けられ、垂直方向に互いに平行に延びる剛体フィルタ又はドライフィルタとして構成された複数のフィルタエレメント14を備える。フィルタエレメント14の各々は、未処理ガスによって作用される少なくとも1つのフィルタ面を有する。図1において、未処理ガスが作用するフィルタ面は、それぞれのフィルタエレメント14の一方の外側に配置されている。
【0081】
未処理ガス空間15を囲む図1及び図2に示すハウジング下部18には、未処理ガス供給開口部16の他に、ろ過助剤供給開口部20及び未処理ガス空間開口部22が形成されている。これらの開口部16、20、22は、ハウジング下部18の上部領域18aにおいて、実質的に同じ高さに配置されている。代替的又は追加的に、ろ過助剤供給開口部20を、未処理ガス空間15における未処理ガスの流れ方向において、未処理ガス流入開口部16の下流又は隣接して配置し、未処理ガスがフィルタエレメント14に到達する前にろ過助剤と混合するようにしてもよい。ろ過助剤の火炎抑制効果により、後者は消火剤とも呼ばれることがある。図1では、このようなろ過助剤供給開口部20’は、未処理ガス流入開口部16の上方、すなわちフィルタユニット12の方向で示されている。この領域18aの下方に隣接する領域18bでは、ハウジング18は、下方に先細りの側壁を有する漏斗の形状をとる。ハウジング18の下方に隣接するのは収集領域24であり、そこでは、フィルタエレメントによって保持された異物を含む物質が、収集領域24の最下点に配置された廃棄開口部26及び廃棄漏斗28を通って真空搬送装置30に通されて廃棄される(図1中の矢印32を参照)前に集められる。
【0082】
また、未処理ガスは可燃性の異物を運ぶため、未処理ガスのキャリアガスとして不活性ガスを用いること、すなわち、キャリアガス内に酸化剤として作用し得る酸素や他の物質の割合を所定の閾値以下に保つことが規定されてもよい。そのため、未処理ガス空間15においても、酸化剤として作用し得る酸素や他の物質の割合が所定の閾値以下に保たれる。このように、可燃性の異物を運ぶ未処理ガスのろ過は、不活性条件下で行われ、すなわち、未処理ガス空間15から物質が排出されるまで、異物が酸素などの酸化剤に接触することはない。
【0083】
廃棄漏斗28は、バルブ34によってその最下点で閉じることができ、異物を含む物質を収集領域24から排出するときに短時間だけ開かれる。ろ過助剤がない場合に一般に容易に自己発火する、収集領域24に収集された異物を確実に廃棄するために、傾斜した流動化トレイ36が収集領域24内に配置され、ポート38を介してガスがそのトレイに供給される。ポート38に接続されているのは、概略的にのみ示された送風機(ブロワ)40であり、この送風機を介して加圧ガス又は不活性ガスが流動化トレイ36の中に導入される。送風機40で生成されるガス流は、一方では、収集領域24に収集された物質が容易に自由流動する程度にほぐされ、したがって廃棄開口部26を介して容易に除去できるようにと、他方では、この物質が収集領域24からハウジング18内又は未処理ガス空間15内に戻れないように調節される。
【0084】
装置10で分離される異物を搬送する、矢印44で模式的に示す未処理ガス流は、未処理ガス供給ライン54を介して未処理ガス流入開口部16を通って、ハウジング18で囲まれた未処理ガス空間15に入る。その未処理ガス空間15は、その上側でフィルタユニット12の未処理ガス側と境界を接している。未処理ガス空間15に流入した後、未処理ガス流44は、フィルタユニット12に搬送される。未処理ガス流入開口部16からハウジング18の反対側には、ろ過助剤供給開口部20があり、この開口部を通して、リザーバ又は貯蔵容器72から未処理ガス空間15にろ過助剤を供給できる。ろ過助剤は、未処理ガス空間15が未処理ガス流44で満たされる前に導入することができる。導入されたろ過助剤は、その後、特に、フィルタエレメント14のフィルタ面及び/又は未処理ガス空間15の壁上に蓄積され、そこで、それぞれがろ過助剤の層(プレコート層)を形成する。ろ過助剤供給開口部20から未処理ガス空間15に入るろ過助剤の流れは、図1において矢印45で示されている。
【0085】
代替的又は追加的に、ろ過助剤供給開口部52が、未処理ガス供給ライン54に配置されてもよい。未処理ガス供給ライン54は、未処理ガス流入開口部16に接続されている。これにより、未処理ガス流44がろ過装置10の未処理ガス空間15に流入する前に、ろ過助剤をそれに導入できる。この結果、未処理ガスの自己発火閾値を上昇させるように、未処理ガス流44に含まれる異物とろ過助剤とを有利に混合させることができる。オプションで(任意に)、バッフル板又は分配板56を、ろ過助剤が未処理ガス流44中に均一に分配されるように、ろ過助剤供給開口部52の近くに配置することができる。この目的のために、ろ過助剤の流れは分配板56上に向けられ、それによってろ過助剤の粒子は分配板56から「無秩序に」、すなわち非既定経路で跳ね返り、未処理ガス流44中に分配される。対応する分配板はまた、未処理ガス空間15内で、ろ過助剤供給開口部20又は20’に配置されてもよく、これにより、特にフィルタエレメント14のフィルタ面上でのろ過助剤の均一な分配を可能にする。この場合、分配板は、そこから跳ね返されたろ過助剤の粒子がフィルタエレメント14の方向に通過してフィルタエレメント14のフィルタ面に付着するように、ろ過助剤供給開口部20に配設できる。
【0086】
漏斗状ハウジング領域18bの下部には、ハウジング18bを通って水平方向に延びるリングライン46と連通するポート48が設けられている。リングライン46は、収集領域24の上方に位置し、特に、収集領域24に収集された物質の常に上方に位置している。ポート48に接続されているのは、さらなる送風機(ブロワ)50であり、図2にも概略的にのみ示されている。送風機50は、例えば、送風機40と同様にサイドチャンネルコンプレッサで構成されてもよい。好ましい実施形態では、送風機50は、ろ過装置10の動作中に連続的に動作される。ポート48及びリングライン46は、ろ過装置10にとってオプション機能である。未処理ガスのキャリアガスとして不活性ガスが提供される場合、不活性ガスもリングライン46を介して未処理ガス空間15に進入するべきである。
【0087】
フィルタユニット12には、フィルタエレメント14の上方でフィルタユニット12の清浄ガス側に配置された加圧ガス除去ユニット(不図示)が付随している。ある時間間隔で、加圧ガス除去ユニットは、それぞれのフィルタエレメント14に作用し、フィルタエレメント14がその清浄ガス側から圧力サージを受ける。この圧力サージにより、それぞれのフィルタエレメント14の未処理ガス側のフィルタ面に堆積した、ろ過助剤や容易に自己発火し易い異物などの異物が、その重力によりフィルタエレメント14から剥離し、落下する。
【0088】
特に、ろ過助剤は、ガラス状又はガラス質の構成を有する材料、又は熱の作用下でガラス質の構成に変換され得る材料であってもよい。ガラス状の構成を有する二酸化ケイ素ベースの材料は、固体から作られ、非晶質又は少なくとも部分的に結晶構造を有する。このようなガラスは、二酸化ケイ素を主成分とし、その組織網(ネットワーク)は主に二酸化ケイ素で形成されている。これらは、特に、いわゆるシリケートガラスを含む。シリケートベースガラスは、例えば石英ガラス又はシリカガラスとして、純粋な形態で存在できる。シリケートベースガラスに加えて、追加の成分、例えばリン酸塩、ホウ酸塩などが存在してもよい。
【0089】
図3は、ろ過助剤をろ過装置10又は未処理ガス流44に供給するための計量ユニット70を示す。計量ユニット70は、充填開口部74を介してろ過助剤で充填可能な貯蔵容器72を有する。貯蔵容器72は、その下端に出口76を有し、必要なときにそこからろ過助剤を引き出すことができる。出口76は、好ましくは、ろ過助剤が重力のみによって可能な限り出口76に搬送されるように配置される。貯蔵容器72は、ホルダ78に固定されている。ホルダ78は、1つ以上の重量センサ79を備えてもよく、それによって貯蔵容器72の充填レベルを決定できる。この充填レベルから、制御部110は、ろ過助剤が未処理ガス空間15にどの位供給されたかを迅速かつ正確に判断できる。
【0090】
固体注入器(インジェクタ)80は、出口76に配置され、ろ過助剤を固体注入器80から接続ライン82を介してバルブ84に輸送し、その後ろ過助剤供給開口部20、20’、52のうちの1つ又はそれ以上に輸送するように制御可能である。固体注入器80は、空気圧で作動させ、加圧ガスによって接続ライン82を介してろ過助剤を輸送してもよい。図3において、接続ライン82は、ろ過助剤流を供給ライン88に導入させる材料分流器86をオプションで含む。この供給ライン88は、ドッキングプレート98の供給開口部90に接続され、凝集体収集領域24に関連する凝集体収集容器92にろ過助剤を輸送できる。別のバルブ94が、供給開口部90に近い供給ライン88に配置され、凝集体収集領域92へのろ過助剤の供給を制御する。
【0091】
好ましくは、バルブ84、94は、フラップバルブ又はディスクバルブであってもよい。あるいは、凝集体収集容器92自体が、供給ライン88及びバルブ94に接続される、図示しない供給開口部を有していてもよい。あるいは、供給ライン88は、図示しない更なる固体注入器を介して貯蔵容器72に直接接続されてもよい。その場合、ろ過助剤は、異なる圧力で、未処理ガス流44と凝集体収集領域92の両方に同時に導入され得る。これにより、ろ過装置をより効率的に制御でき、ろ過装置10の動作中の安全性をさらに高めることができる。
【0092】
図4は、ろ過装置10の他の実施形態を示しており、廃棄漏斗28とそれに接続された真空搬送装置30に代えて、凝集体収集容器92が下部ハウジング領域18bに配置されている。下部ハウジング領域18bと凝集体収集容器92との間には、未処理ガス空間15から凝集体収集容器92に異物を排出する排出フラップ96及びドッキングプレート98が配設されている。ドッキングプレート98は、凝集体収集容器92を排出フラップ96に気密的に接続するものである。凝集体収集容器92には、凝集体収集容器92の充填レベルを確認するための充填レベルセンサ100が設けられている。例えば、充填レベルセンサ100は、凝集体収集容器92を空にする必要があることを示す信号をトリガしてもよい。また、凝集体収集容器92にろ過助剤を導入して、凝集体収集容器92にある粒子上にろ過助剤の障壁層を構築するように、充填レベルセンサ100からのデータを用いて、制御部110を介して固体注入器80、材料分流器86及びバルブ94を制御してもよい。これにより、凝集体収集容器92内の粒子の自己発火の傾向を低減又は完全に抑制する。また、異物の層とろ過助剤の層が交互になるように、定期的にろ過助剤を凝集体収集容器92に複数回導入することもできる。
【0093】
さらに、酸化剤ライン114は、凝集体収集容器92の酸化剤導入開口部118に通じている。酸化剤ライン114は、図4にて概略的に112と示された、空気又は酸素含有ガスなどの酸化剤を凝集体収集容器に導入するために使用できる。酸化剤導入開口部118はバルブ116を含み、それによって凝集体収集領域92への酸化剤112の供給が制御又は調節できる。バルブ116は、例えば、フラップバルブ又はディスクバルブの形態であってよい。
【0094】
特に、凝集体収集容器92へのろ過助剤の導入とタイミングを合わせて、酸化剤112を凝集体収集領域92に供給してもよい。特に、凝集体収集容器92にろ過助剤が先に導入された後に、凝集体収集容器92に酸化剤を供給してもよい。また、例えば、満杯の凝集体収集容器92を新しい凝集体収集容器に交換するために、凝集体収集容器92がドッキングプレート98から取り外される前に、凝集体収集容器92に酸化剤を供給してもよい。凝集体収集容器92に酸化剤を供給することにより、凝集体収集容器92に存在する物質の酸化が特に促進される。これは、一方では、凝集体収集容器92内に存在する可燃性異物の一部が不活性な酸化形態に変換され、他方では、酸化中に生成された熱の結果としてろ過助剤がガラス相に変換され、それによって凝集体収集容器92内に依然として存在する物質(可燃性か否かを問わず)が、ガラス質のコーティングに封入又は閉じ込められるという効果を奏する。このガラス化は、残存する可燃性異物が酸化剤とさらに接触することを防止し、したがって、凝集体収集容器92内の物質を無害な化学的に不活性な構成に変換する。
【0095】
代替的に又は追加的に、例えば凝集体収集容器92の上流にある供給ライン88の適切な分岐によって、酸化剤112を凝集体収集容器92に供給ライン88を介して導入することも可能であり、この場合、凝集体収集容器92の別の酸化剤導入開口部118は必要なくなるであろう。
【0096】
酸化剤112の添加により、凝集体収集容器92内のろ過された異物の酸化を意図的に誘発又は開始させることができる。この意図的に誘発される酸化反応の重大度(進行度)は、添加される酸化剤112の量及び組成を介して十分に制御できる。さらに、ろ過助剤(必要であれば大量に添加できる)は、過剰な熱エネルギーを吸収し、それによって凝集体収集容器92内の既存の反応性物質をガラス化する。このようにして、凝集体収集容器92内で可燃性物質を反応性の低い物質又は不活性で無害な物質に変換する有効かつ良好に制御可能な可能性を達成できる。これにより、ろ過装置の動作時の安全性を高めることができる。
【0097】
フィルタエレメント14を清掃する際、加圧ガスがフィルタエレメント14内に未処理ガスの流れ方向と反対方向に導入され、それにより、圧力サージによってフィルタエレメント14から異物が吹き飛ばされ、下部ハウジング領域18bを介して凝集体収集容器92内に落下する。充填レベルセンサ100が、凝集体収集容器92が所定の最大レベルに達したことを示すと、排出フラップ96が閉じられる。次に、手動又は制御部110によって、バルブ94が開かれ、材料分流器86が作動されると、固体注入器80が作動され、ろ過助剤が貯蔵容器72から接続ライン82、材料分流器86、供給ライン88、バルブ94、及びドッキングプレート98を介して凝集体収集容器92に搬送される。凝集体収集容器92へのろ過助剤の供給は、所定量のろ過助剤が凝集体収集容器92に導入されるまで行われ、この量は、ホルダ78内の重量センサによって決定される貯蔵容器72の重量の減少に基づいて確認される。好ましくは、その量は、所定の厚さのろ過助剤のバリア層、例えば、凝集体収集容器92内の高さ約2cmのろ過助剤のバリア層に相当する。その後、バルブ94は閉じられる。その後、酸化剤ライン114及び酸化剤導入開口部118を介して、酸化剤112を凝集体収集容器92内に導入してもよい。可燃性の異物が酸化剤112と反応すると、ろ過助剤が加熱されて異物をガラス化し、異物のさらなる反応が防止される。凝集体収集容器92内の異物が自己発火することなく、凝集体収集容器92をろ過装置10から取り外すことができる。ろ過助剤のバリア層により、凝集体収集容器92内の異物が自己発火しないことが保証される。これは、バリア層が、火で熱にさらされた後のように、バリア層がガラス質の構成になっている場合に特に言えることである。凝集体収集容器92は、昇降装置99によってろ過装置10から降ろすことができる。
【0098】
ろ過助剤と酸化剤を供給する別の順序も可能である。すなわち、まず凝集体収集容器92に酸化剤を導入して異物を酸化させ、続いて、酸化反応が生じたところで、酸化した異物にろ過助剤のバリア層を付与することも可能である。
【0099】
また、ろ過助剤及び酸化剤を共通の開口部から凝集体収集容器92に導入することも可能である。すなわち、ろ過助剤供給開口部90と酸化剤導入開口部118とを組み合わせて、共通の開口部することもできる。これにより、凝集体収集容器92への入口開口部の数を減らすことができる。
【0100】
制御部110は、特に、重量センサ79、固体注入器80、バルブ84、94、材料分流器86、及び排出フラップ96を作動又は操作するために、データライン又は制御ラインを介してそれらに接続されている。
【0101】
図5は、ろ過装置10において、異物を運ぶガス流、すなわち未処理ガス流を乾式ろ過するための工程順序を模式的に示す図である。ろ過装置10は、特に積層造形技術において生成される排気を清浄化するために使用され、その排気が未処理ガスを構成する。この件について、ステップ102において、未処理ガス流44は、未処理ガス流入開口部16及び未処理ガス空間15を介して、ろ過装置10に配置されたフィルタユニット12に供給される。この場合、未処理ガス流44は、酸素との接触を確立する際、又は機械的エネルギーの作用下で自己発火しやすい粉末状又はチップ状の金属ダストなどの自己発火性異物を含んでいる。ステップ104において、ろ過助剤を、ろ過助剤供給開口部20、20’及び52の少なくとも1つを介して未処理ガス流44及び/又はフィルタエレメント14に供給し、ろ過助剤は未処理ガス流44内の異物と混合し、それによって自己発火する傾向を減少させる。ろ過助剤の軟化点は500℃以上である。軟化点を超えると、ろ過助剤はガラス質又はガラス体構成に変化し、緩く蓄積された固体の凝集体からガラス質の構成を有する均一な固体への関連した相変化を介して異物をガラス化する。つまり、ろ過助剤は異物をガラス層で囲い込むため、ろ過助剤と異物の凝集体が形成される。このため、異物への酸化剤の供給が効果的に防止される。
【0102】
図6は、反応部120を介してろ過装置10の収集領域24に接続される凝集体収集容器92を示し、反応部120はこの場合、反応領域を構成する。反応部120は、フィルタ面から除去された物質(以下、単に除去物質139と称する)を搬送/運搬するための搬送部材、本実施形態ではスクリューコンベヤ122を含む。反応部120は、それぞれの閉鎖装置又は遮断装置に属する1つ以上の遮断部材124、126、128をそれに関連させて有してもよい。第1遮断部材124及び任意の遮断部材126は、収集領域24と反応部120の入口との間に配置され、その入口は、物質の流れ方向、すなわちろ過装置10の未処理ガス空間から凝集体収集容器92への除去物質139の搬送方向において、反応部120の始端に配置されている。第1遮断部材124の下流側に配置されたオプションの遮断部材126により、ろ過装置の収集領域24に対して反応部120をロック機能で安全に遮断できるので、酸化剤を含むガスが未処理ガス空間15に進入できなくなる。除去物質139は、収集領域24から遮断部材124を通って反応部120の前部(上流部)130に落下し、そこからさらにスクリューコンベヤ122によって搬送される。例示的な実施形態では、スクリューコンベヤ122は、前部130から斜め上方に、例えば水平面に対して20~80度の間の角度で、除去物質139を搬送するように配置される。スクリューコンベヤ122の物質流れ方向の上流又は下流又は「後方」端部において、除去物質139は、反応部120の後部又は下流部132に落下する。この後部132は、凝集体収集容器92の上方に配置されている。後部132と凝集体収集容器92との間には、遮断部材126及び128が物質流れ方向に直列に接続されており、これらの遮断部材のうちの1つは任意に選択可能である。
【0103】
任意選択で、酸化剤注入口212が、スクリューコンベヤ122の領域で反応部120に配置されてもよい。この酸化剤注入口212を通して、反応部120、すなわちスクリューコンベヤ122の領域に酸化剤を導入でき、そこでスクリューコンベヤ122によって搬送される除去物質139と混合され、除去物質139の酸化反応が引き起こされる。これにより、除去物質139が酸化されて、反応性の低い又は不活性物質141となる。酸化剤に加えて、主に反応中に発生する熱を除去するために、反応性の低い又は不活性流体(例えば、窒素(N))を、酸化剤注入口212を介して導入してもよい。スクリューコンベヤ122の下流端には、廃ガス出口218が配置され、そこを通して過剰な酸化剤が、熱、煤などの酸化剤残留物、及び酸化中に発生する他の物質とともに反応部120から排出される。スクリューコンベヤ122に酸化剤を導入すると、除去物質139と酸化剤との混合がスクリューコンベヤ122を介して機械的に行われるので、酸化剤流による流動化が不要になるという利点がある。したがって、除去物質139のごく一部のみを任意の時間に酸化剤と反応できるので、除去物質139のバッチ式計量は必要ない。言い換えれば、連続的な酸化をこれによって実現できる。さらに、ろ過助剤注入口214(ろ過助剤入口とも称される)を反応部120に配置して、スクリューコンベヤ122の領域でろ過助剤又は消火剤が反応部120に導入されるようにしてもよい。図6に示す実施形態では、ろ過助剤注入口214は、酸化剤注入口212の下流に配置されている。このように、ろ過助剤の添加は、主に、高発熱の酸化反応が制御不能にならないことを保証するための、及び熱を放散させるための保護手段として機能する。
【0104】
遮断部材124、126、128は、任意の時間に反応部を通過する除去物質139の流れを制御することを可能にし、したがって除去物質139が酸化剤142と反応するときに発生する熱に影響を与える。いくつかの実施形態では、遮断部材及び/又は伝熱流体の流れの制御は、発生する温度を制御するのにそれ自体で十分であり、それによって、ろ過助剤をさらに添加する必要性を排除できる。遮断部材の、特に遮断部材124及び任意で遮断部材126のさらなる特徴は、酸化剤が反応部120からろ過装置10、特に未処理ガス空間15に入れないことである。
【0105】
図6において、凝集体収集容器92は、さらに、給気口として特定されるガス注入口134と、排気口として特定されるガス出口136とを有している。特に、ガス注入口134及びガス出口136は、反応部120の後部132に配置されたカバー137に配置されている。凝集体収集容器92は、凝集体収集容器92とカバー137との間の移行部で流体又は固形物が漏れないように、カバー137に取り付けられている。酸化剤は、ガス注入口134を通して凝集体収集容器92に導入され、除去物質139を酸化剤と反応させて、反応性の低い又は不活性物質141を形成する。この反応により熱が発生するが、この熱は、ガス出口136からの酸化剤流により凝集体収集容器92から除去される。ろ過助剤はまた、ガス注入口134から凝集体収集容器92に導入することもできる。このような凝集体収集容器92の構成は、上記した反応部の構成に加えて、又は代替的に設けてもよい。
【0106】
遮断部材124、126、128は、反応部120を収集領域24及び凝集体収集容器92から区切ることができる。特に、それらは、単位時間当たりに反応領域に存在する酸化可能な物質の量、従って、単位時間当たりに発生する反応熱の具体的な制御を可能にする。遮断部材124、126、128が、少なくとも第1閉鎖手段及び任意に第2閉鎖手段も閉じていることを保証すると直ぐに、酸化剤を、酸化剤注入口212を介して反応部120に導入できる。遮断部材124、126、128は、好ましくは、遮断弁、フラップ、スライド、ドア、又はピンチバルブの形態であろう。ピンチバルブは、弾性チューブを有し、そのチューブを通る流れを減少するために、圧縮又は絞られ、それによって弾性チューブの直径を減少させる。例えば、スクリューコンベヤ122は、アルキメデススクリューのように形成されてもよい。
【0107】
反応部120の上流端の遮断部材124、126及び/又は下流端の遮断部材128、126が、ロック機能を有するように構成されていると特に好ましい。そして、反応部120は、未処理ガス空間15への酸化剤の通過、又は下流に配置された凝集体収集容器92への酸化剤の通過に関して、上流端の第1閉鎖手段の作動状態及び下流端の第2閉鎖手段の作動状態にそれぞれ依存しない状態とすることができる。これにより、第1及び第2閉鎖手段の遮断部材をそれぞれ同期させる必要なく、反応部120に酸化剤を連続的に導入できる。このようなロック機能は、上に述べたように酸化剤が未処理ガス空間15に侵入することを防止できるため、反応部120の上流端にある第1閉鎖手段にとって特に有利である。このロック機能は、例えば、この場合、隣り合って配置された2つの遮断部材124、126及び126、128をそれぞれ有する第1閉鎖手段及び/又は第2閉鎖手段によって実現できる。
【0108】
図7は、収集領域24と凝集体収集容器92との間の反応部120の別の可能な実施形態を示している。反応部120は、反応部入口と反応部出口との間で反応部120を区切る遮断部材124及び128の間に位置する。反応部120は、反応部入口の第1遮断部材124と反応部出口の第2遮断部材128との間に勾配を有する。図示の例では、その勾配は垂直であるが、任意の角度で傾斜していることも可能である。さらに、反応部120は、酸化剤注入口212、ろ過助剤注入口214、及び廃ガス出口218を備えてもよく、図6も参照されたい。除去物質139の物質流れ方向において、ろ過助剤注入口214は、酸化剤注入口212の下流に配置されてもよい。さらに、酸化剤注入口212及びろ過助剤注入口214は、反応部120の第1側に配置され、廃ガス出口218は、反応部の第2側に配置され、第2側は、好ましくは第1側の反対側に配置される。逆の配置も可能である。遮断部材124の下流には、物質の流れ方向に任意の遮断部材126が配置され、その任意の遮断部材126は、物質の流れ方向において、酸化剤注入口212の上流、ろ過助剤注入口214の上流、及び廃ガス出口の上流に配置される。
【0109】
図6にも示すように、凝集体収集容器92は、反応部出口に配置されている。ガス注入口134は酸化剤注入口を形成し、ガス出口136は酸化剤出口を形成する。ガス注入口134及びガス出口136は、図6に示すように形成されている。この場合、ガス注入口134とガス出口136は、除去物質139が凝集体収集容器92に導入される物質注入口138の異なる側に配置されるように、カバー137に配置されている。ガス注入口134及びガス出口136のこの配置は、空気又は酸化剤が、除去物質139の物質流れに乗って流れるので、特に有利である。これにより、この時点ではまだ反応性の高い物質が、制御された酸化剤を用いて反応性の低い又は不活性物質141に変換される。この不活性物質は、その後、凝集体収集容器92内に貯蔵され、サービス要員によって凝集体収集容器92から安全に取り出されるか、又は凝集体収集容器92が使い捨て容器として構成されている場合には凝集体収集容器92とともに廃棄できる。さらに、ろ過助剤又は消火剤を、ガス注入口134を通して凝集体収集容器92に導入し、それによって、凝集体収集容器92が取り外されたときに、不活性物質141を周囲空気から分離できる。
【0110】
反応部120及び凝集体収集容器92は、それぞれ反応領域の一部を形成している。この反応領域は、反応部120と凝集体収集容器92の両方の一部に位置してもよいし、その一部のみに位置してもよい。
【0111】
図7において、反応部120は、除去物質139が、カバー137が配置されたカバー面に対して垂直に向けられた管を通って、凝集体収集容器92に重力によって落下するように方向付けられている。この管は、管内の物質が管に引っかかることなく凝集体収集容器92に到達する限り、カバー面に対して斜めに、好ましくは20~90度の間の角度で配向させることもできる。
【0112】
図8は、別の例示的な実施形態を示している。図8においても、反応部120は、収集領域24を凝集体収集容器92に接続する。この実施形態では、第1閉鎖手段は、物質流れ方向において反応部120の上流に位置する回転バルブ140を有する。回転バルブ140の後には、この場合オプションである遮断部材124がさらに続く。遮断部材128は、反応部120に続いている。除去物質139が遮断部材128を通過すると、凝集体収集容器92に落下する。特に指示しない限り、同一の要素には同一の参照数字が付されている。すなわち、カバー137はまた、ガス注入口134及びガス出口136を備える。
【0113】
回転バルブ140は、除去物質139の物質流れを制御でき、したがって、除去物質が空気又は酸化剤と反応する際に発生する熱の量を制御及び/又は影響を与えることができる。回転バルブ140は、ブレードホイールが回転可能な回転軸を有し、ブレードホイールの回転は、制御部110によって制御可能である。この実施形態では、回転軸は水平方向に向いている。しかし、回転軸の他の向きもまた可能である。
【0114】
さらに、反応部120は、酸化剤注入口212と、ろ過助剤注入口214と、廃ガス出口218とを含んでもよい(図6を参照)。除去物質139の物質流れ方向において、ろ過助剤注入口214は、酸化剤注入口212の下流側に位置されてもよい。さらに、酸化剤注入口212及びろ過助剤注入口214は、反応部120の第1側に配置され、廃ガス出口218は、反応部の第2側に配置され、第2側は、好ましくは第1側の反対側に配置される。逆の配置も可能である。
【0115】
図9は、遮断部材128と凝集体収集容器92が物質流れ方向の下流側に配置された反応部120の後部132を示す図である。図9は、除去物質139が遮断部材128の方向から凝集体収集容器92に落下する様子を模式的に示している。その際、落下した除去物質139は、ガス注入口134からガス出口136へ流れる酸化剤流142を横切る。酸化剤流142を通過して落下する際、除去物質139は、酸化剤と反応し、それによって反応性の低い不活性物質及び/又は不活性物質141に変換される。その反応によって発生した熱は、酸化剤流とともにガス出口136から除去される。この酸化剤流は一般に、酸化剤、例えば酸素と、不活性成分、例えば窒素又は不活性ガスの混合物を含む。除去され、不活性になった物質141は、凝集体収集容器92の底に集まる。安全性をさらに高めるために、炎の形成又は伝播を抑制し、消火剤とも称される、ろ過助剤を、ガス注入口134を介して、又は図示しない別のろ過助剤注入口から凝集体収集容器92に入れてもよい。ろ過助剤は、不活性物質141内にまだ存在し得る可燃性物質の濃度を減少させ、乱流による残留可燃性物質と酸化剤との接触を提供し、できるだけ完全な変換をもたらせる。また、ろ過助剤は、反応熱の吸収を補助する。ろ過助剤は、不活性物質141とろ過助剤の層が凝集体収集容器92内で交互になるように、時間を決めて凝集体収集容器92に導入してもよい。凝集体収集容器92が十分に満たされると、サービス要員に凝集体収集容器92が取り外し可能であるか、空にできることを通知する。その後、新たな凝集体収集容器92又は前回の凝集体収集容器92を再び反応部120に配置し、不活性物質141を充填することができる。
【0116】
図10は、別の例示的な実施形態を示している。この場合、反応部120は、S字型の構成を有する。収集領域24と反応部120の前部130との間に、除去物質の流れを制御するために、第1遮断部材124が配置される。また、反応部120に酸化剤又は空気を導入できるガス注入口134が、前部130に配置される。特に、ガス注入口134は、酸化剤流が反応部120の中央部143と同軸で反応部120に導入されるように配置されている。したがって、除去物質139は、第1段階で既に反応することができる。除去物質139が、不十分に又は部分的にしか酸化剤142と反応しない場合には、反応部120の中央部143に点火源144が配置される。この点火源144は、除去物質139と酸化剤との混合物に外部エネルギー入力を与え、除去物質139が酸化され、したがって不活性物質141に変換されるようにする。さらに、点火源144の下流において、ろ過助剤又は消火剤が、ろ過助剤注入口214を介して不活性物質141の流れに導入されてもよい。もはや反応性が乏しい、又は不活性なこの物質141は、凝集体収集容器92に落下する。ガス出口136は、カバー137に配置されている。ガス出口136を介して、余分な酸化剤は、除去物質の酸化の間に発生する反応熱及び酸化剤残留物とともに、凝集体収集容器92から排出される。
【0117】
図10の反応部120は、前部130において垂直な向きを有し、次いで、水平な向きの中央部143に移行し、そして後部132において垂直な向きに戻る。これは、収集領域24からの除去物質が、初めに、遮断部材124を通って反応部120の前部垂直部分130に落下することを意味する。次に、この物質は、ガス注入口134からの酸化剤流によって、反応部120の中央部水平部分143を通って搬送される。反応部120の後部垂直部分132において、除去物質は、次に、凝集体収集容器92に重力によって落下する。
【0118】
反応部120は、廃棄物反応部とも称されることがある。これは、この部分において、除去物質が酸化剤と制御された方法で反応し、除去物質の制御されない発火が回避されることを意味する。
【0119】
図11は、凝集体収集容器92の加熱及び冷却の両方が可能な調整装置147内に配置された凝集体収集容器92を示している。この装置は、加熱素子及び/又は冷却素子にできる温度制御素子148、150を有する。ガス注入口134及びガス出口136は、凝集体収集容器92のカバー137上に配置される。圧力測定器156及び電磁弁158が、ガス注入口134に関連している。圧力測定器156によって、サービス要員は、加圧ガスがガス注入口134にあるか否かを確認できる。電磁弁158によって、凝集体収集容器92への酸化剤供給が、迅速かつ容易に確認又は制御できる。ガス出口136に、フィルタエレメント160及び第2電磁弁162が関連付けられている。電磁弁158及び電磁弁162は、図11では図示しない制御部110によって制御できる。電磁弁158、162を用いることで、凝集体収集容器92への酸化剤142の供給を容易かつ確実に制御できる。酸化剤が凝集体収集容器92内の除去物質139と反応すると、酸化剤の流れが煤又は他の汚染物質などの異物を持ち、凝集体収集容器92の外に持ち出すことになる。これを回避するために、フィルタエレメント160がガス出口136に配置されている。酸化剤流れに含まれる煤又は異物は、フィルタエレメント160でろ過されるので、酸化剤流れはガス出口136を出た後、安全に自然環境に排出できる。
【0120】
調整装置147は、凝集体収集容器92の構成を有する容器を含む。その容器は、容器の底面側に取り付けられた2つ以上の足164をさらに含む。
【0121】
図12は、ガス注入口134が凝集体収集容器92の側壁168に、好ましくは側壁168の下部領域170に配置された凝集体収集容器92を示す。特に、下部領域170は、凝集体収集容器92の底部172から見て、凝集体収集容器92の側壁168の下半分である。圧力測定器156及び電磁弁158は、ガス注入口134に配置されている。しかし、他の種類の弁を用いてもよい。凝集体収集容器92の内部空間174に、流動化プレート176が配置され、内部空間174は、底部172と側壁168とによって形成されている。流動化プレート176は、中間空間178が底部172と流動化プレート176との間に形成されるように配置される。ガス注入口134は中間空間178と流体連通しており、除去物質139は内部空間174に落下しながら流動化プレート176上に残る。したがって、ガス注入口134を通って中間空間178に入り、流動化プレート176を通り、除去物質139を通ってガス出口136に導かれる酸化剤が、除去物質139と反応できるようになっている。このような不活性物質141は、反応性に乏しく、サービス要員が安全に取り扱うことができる。ガス出口136は、凝集体収集容器92のカバー137に配置されている。ガス出口136は、図11も参照して、流れ方向にフィルタ160と下流側電磁弁162とを備える。
【0122】
これらの例示的な実施形態では、酸化剤と除去物質との良好な混合が可能である。
【0123】
図13は、さらなる実施形態を示す。図13において、凝集体収集容器92は、回転装置184上に配置されている。凝集体収集容器92は、カバー面に平行に整列した回転軸186を有し、この回転軸を中心に凝集体収集容器92が回転可能である。凝集体収集容器92のカバー137は、図11も参照して、ガス注入口134及びガス出口136、並びに、圧力測定器156、電磁弁158、フィルタ160、及び、電磁弁162を含む。さらに、カバー137は、物質注入口138を備える。カバーから離れた物質注入口138の端部には、遮断部材126、128を有する第2遮断装置が配置されている。反応部120の後部132は、遮断部材126によって閉じることができる。遮断部材126と遮断部材128はロックを形成する。回転装置184によって凝集体収集容器92を回転軸186の周りに回転可能とするために、遮断部材126、128の少なくとも一方を閉じ、凝集体収集容器92を反応部120から切り離してもよく、したがって、凝集体収集容器92を回転軸186周りに回転できる。凝集体収集容器92が回転装置184においてのみ回転される場合、すなわち回転軸186を中心とした完全な回転が必要でない場合、搬送部を可撓性のある接続、特に可撓性ホースによって凝集体収集容器92に接続すれば十分であろう。
【0124】
カバー137は、カバー137の底面側から凝集体収集容器92の底部172まで延在し、ただし、好ましくは底部172に接触しない2つの攪拌羽根188を含む。攪拌羽根188は、凝集体収集容器92内に蓄積した除去物質139を攪拌するように構成され、それによって除去物質139と酸化剤及び/又はろ過助剤とのより良い混合を可能にする。特に、ろ過助剤は消火剤であってもよく、以下では消火剤とも称する。酸化剤と除去物質139との混合を可能にするために、追加的又は代替的に、攪拌羽根188を動かすように適合されたモータ(不図示)をカバーに配置して、凝集体収集容器92を回転軸186の周りに動かしてもよい。除去物質と酸化剤との反応により発生した反応熱は、酸化剤流とともにガス出口136から排出又は放散される。なお、ここでは、ろ過助剤が供給されてもよい。
【0125】
図14は、除去物質139に酸化剤142を混合するための別の実施形態を示している。図14を分かり易くするために、カバー137には物質注入口が示されていない。しかし、そのような注入口が現実には設けられることが理解される。図14において、凝集体収集容器92は、回転軸186を中心に回転可能であるように回転装置184に取り付けられている。ガス注入口134は、カバー137に配置されている。さらに、カバー137は、凝集体収集容器92の内部空間174と凝集体収集容器92の環境との間の流体連通を可能にする2つの中空ランス190を備える。ランス190は、底部172に接触することなく、凝集体収集容器92の底部17まで延在している。底部172に面するランス190の端部において、ランス190はそれぞれ開口部194を含み、そこから酸化剤及び酸化残渣の混合物146を逃がすことができる。所定量の除去物質139が凝集体収集容器92に貯蔵されると、凝集体収集容器92は回転軸186を中心に約180°回転され、除去物質はもはや底部172に堆積されず、凝集体収集容器92のカバー137の近くに配置された流動化プレート192に堆積される。そして、加圧ガスの形態の酸化剤142が、ガス注入口134から流動化プレート192を介して凝集体収集容器92の内部空間174に導入される。これにより、除去物質が反応し、反応性が乏しくなったり、不活性になったりする。混合物146、特にガスと煙の混合物は、熱とともに開口部194を通って凝集体収集容器92から排出される。流動化プレート192は、カバー137と流動化プレート192との間に中間空間196が形成されるように、凝集体収集容器92に配設されている。ガス注入口134は、酸化剤142がまず中間空間196に導入され、その後、流動化プレート192を通過して凝集体収集容器92内又は凝集体収集容器92の内部空間174に均一に通過するようにカバー137に配設される。
【0126】
図15は、反応領域の一般的なレイアウトを示す。上流端にはろ過装置10の未処理ガス空間198があり、除去物質139の物質流れ方向に、オプションの計量部材200、遮断部材124(及びオプションの遮断部材126)を有する第1遮断装置、反応部120、及び遮断部材128(及びオプションの遮断部材126)を有する第2遮断装置と続いている。反応部120の後には、廃棄領域220が続く。例えば、凝集体収集容器92は、廃棄領域220に設けられてもよい。第1遮断装置の下流側の全ての部品は、排出領域、特に反応部120及び凝集体収集容器92を形成する。反応部120は、酸化剤注入口212を有し、この入口を通じて酸化剤142を反応部120に導入できる。さらに、反応部120には、ろ過助剤注入口214が形成されてもよく、これを通じて消火剤が反応部に導入されてもよい。さらに、反応部120は、除去物質139の酸化剤による酸化を開始するために反応部120にエネルギー入力を提供する熱又は点火源216を含んでもよい。さらに、反応部120は廃ガス出口218を備え、そこを通って酸化剤と酸残渣の混合物が、熱とともに反応部120から出る。運転中、除去物質139は、反応部120に導入される。遮断部材124及び128が閉じられると、酸化剤142及び任意で、ろ過助剤又は消火剤が反応部120に導入される。すると、除去物質139は酸化して、反応性の低い物質又は不活性物質141となる。反応が完了した後、第2遮断装置の遮断部材128が開かれ、不活性物質141は廃棄領域220に排出される。
【0127】
図16は、反応部120の他の実施形態を示している。反応部120の第1上端部には、物質入口240が形成され、それを通して、除去物質が反応部120に導入される。第1遮断装置の遮断部材124は、物質入口240に配置される。反応部120の下端には、第2遮断装置の遮断部材128が配置され、物質出口242を閉じる。反応性の低い又は不活性物質は、反応部120から物質出口242を通して排出される。反応部120は、側壁230を含む。側壁230は、反応部120を囲み、それによって反応部120が形成される。ろ過助剤注入口214は、反応部120の上部の側壁230に形成される。酸化剤注入口212は、物質の流れ方向において、ろ過助剤注入口214の下方に配置されている。この点、注入口214及び212は、それぞれ、ろ過助剤及び酸化剤が、除去物質139の物質流れ方向に対してほぼ直角に反応部120に導入されるように配置されている。酸化剤注入口212とろ過助剤注入口214の順序を逆にすることも可能であり、また、注入は、物質の流れ方向に対して異なる角度で行うこともできる。さらに、反応部120には、流動化プレート232が配置されている。流動化プレート232は、多孔板又は微細格子として形成されている。流動化プレート232は、側壁230から反応部120内に延在している。特に、流動化プレート232は、酸化剤注入口212の上流に位置するように配置されている。流動化プレート232は、ろ過助剤注入口214と酸化剤注入口212との間に配置されるように、反応部120に配置される。そこから、流動化プレート232は、反応部120の底部234に向かって斜め下方に延びており、底部234は、物質の流れ方向において酸化剤注入口212の下方に形成されている。底部234において、本実施形態での物質出口242は、酸化剤注入口212及びろ過助剤注入口214の反対側に位置する反応部120の部分において、中心から外れて配置されている。温度制御素子236、好ましくは、加熱素子は、反応部120における酸化反応を促進させるため、又は開始させるために、酸化剤注入口212及びろ過助剤注入口214の反対側に位置する側壁230の部分に統合される。さらに、点火源144を、反応部120内、特に温度制御素子236に隣接して配置してもよい。稼働において、除去物質139は、遮断部材124を通って反応部120に落下し、流動化プレート232に衝突する。酸化剤注入口212から、流動化プレート232を通る中間空間237を介して反応部120に導入された酸化剤142は、流動化プレート232を通って流れ、所望の酸化が効率的に行われるように、除去物質139と混ざり合う。除去物質139が酸化されると、それは反応部120の下端の遮断部材128を通って、図示しない凝集体収集容器92に向かって落下していく。
【0128】
図17は、反応部120の別の例示的な実施形態を示している。ここでも、物質入口240は反応部120の上端部に配置され、物質出口242は反応部120の下端部に配置される。物質入口240及び物質出口242は、好ましくは、共通の軸に沿って配置される。反応部は、物質入口の直径が反応部120の大径より小さくなるように、半径方向に球状になっている。反応部120は、反応部120の上端に配置された天井部238と、反応部120の下端に配置された底部234とを含む。流動化プレート232は、反応空間210内に配置され、天井部238から底部又は床部234まで延びる。したがって、この例示的な実施形態では、流動化プレート232は、実質的に物質の流れの方向に延びている。図示の例では、流動化プレート232は、円筒形又は円錐台形形状を有する。側壁230と流動化プレート232との間には、中間空間237があり、その中に酸化剤142を均一に分散できる。酸化剤注入口212が側壁230に配置され、そこから酸化剤142を中間空間に導入できる。その後、酸化剤は、中間空間237から、除去物質を含む反応空間210に通過する。流動化プレート232を介して酸化剤142を横方向に導入することにより、除去物質を酸化剤142と均一に混合することができ、特に効率的な酸化反応を起こすことができる。好ましくは、温度制御素子236は、物質出口242の付近に配置してもよい。しかし、温度制御素子236を反応部120の別の場所に配置することも可能である。これは、図16と同様の機能を果たす。さらに、点火源144は反応部120内に突出できる。
【0129】
また、天井部238には廃ガス出口218が配置されており、ここを経由して酸化剤と酸化残渣の混合物、及び熱を反応部120から排出できる。
【0130】
図18は、反応部120の別の例示的な実施形態を示している。この反応部120は、漏斗状の構成を有し、反応部120は、反応部120の下端、すなわち反応部120において物質出口242が配置される端部よりも上端、すなわち物質入口240の端部で、より大きな直径を有する。反応部は、物質入口240から半径方向外側に延びる天井部238を備える。天井部238の半径方向外側の端部から、流動化プレート232が、物質出口242に向かって斜め方向に延び、それによって、反応部120を制限する。流動化プレート232と側壁230との間には、酸化剤注入口212が配置される中間空間237が形成される。この漏斗状の構成は、酸化剤142と反応する除去物質139が重力によって物質出口242に導かれ、その後、遮断部材128を開くことによって、反応空間210から排出できるという利点を有している。なお、温度制御素子236は、物質出口242の周囲に配置されてもよい。さらに、反応部120は、特に反応部120内に突出する点火源144を備えてもよい。廃ガス出口218は天井部238に配置され、それを通して、酸化中に形成された残渣、未反応酸化剤、キャリアガス(例えば窒素(N))及び場合により消火剤の混合物146、並びに熱を反応部120から排出できる。
【0131】
図19は、図15に模式的に示した反応部120を示す図である。回転バルブ140が、計量部材として用いられる。それに接続されるのは、図18で示されたものに準拠して形成された反応部120である。それに加えて、ろ過助剤注入口214が、天井部238に配置されており、必要に応じて、そこから消火剤145を反応空間210に導入できる。さらに、流動化プレート232と遮断部材128の間の物質の流れ方向において、反応空間210の領域には温度制御素子236が設けられ、除去物質139と酸化剤142との酸化反応を確実に開始させるために、反応空間210に活性化エネルギーを導入する。なお、温度制御素子236に加えて、又はそれに代えて、点火源144を反応部120に配置してもよい。物質流れ方向における遮断部材128の下流には、凝集体収集容器92が配置されており、除去された不活性物質141が凝集体収集容器92に収集されるようになっている。凝集体収集容器92は、明らかに空にすることなく、満杯になったらサービス要員によって廃棄される使い捨て又は単回使用のバケットであってよい。
【0132】
図20は、反応部120がそれに関連する搬送部材を有する別の例示的な実施形態を示している。反応部120は、遮断部材124、126に続いて配置される上流入口領域と、遮断部材128が続いて配置される下流出口領域との間に延びている。反応部120の中央部143には、除去物質139を搬送/輸送及び混合するための搬送部材であって、本実施形態ではスクリューコンベヤ122が配置されている。第1遮断部材124と第2遮断部材126は、物質の流れ方向において、収集領域24と反応部120の中央部143の間に、縦に並んで配置されている。除去物質139は、収集領域24から遮断部材124及び126を通って中央部143に落下する。この例示的な実施形態では、スクリューコンベヤは、反応部120の入口から反応部120の出口まで水平方向に除去物質139を搬送するように、水平に配向されている。スクリューコンベヤ122の物質流れ方向の後端部には、スクリューコンベヤ122に沿って形成された搬送部123の下部に開口部が形成されており、それまでスクリューコンベヤ122によって搬送されてきた物質がその開口部から落下して、その下方に配置された遮断部材128を通過する。遮断部材128は、図20では図示しない凝集体収集容器92の上方に配置されている。後部132と凝集体収集容器92との間に配置された遮断部材128により、反応部120と凝集体収集容器92とが分離される。
【0133】
酸化剤注入口212は、反応部120の上流部、例えば反応部120の中央部143の前半分に配設されている。この酸化剤注入口212を介して、酸化剤142をスクリューコンベヤ122の搬送部123に導入でき、スクリューコンベヤ122によって搬送される除去物質139と混合されて、除去物質139の酸化反応が引き起こされる。これにより、除去物質139は、反応性の低い又は不活性物質141に変換される。酸化剤142を搬送部123に導入すると、除去物質139と酸化剤142との混合がスクリューコンベヤ122によって機械的に生じるため、酸化剤流による流動化が不要になるという利点がある。酸化剤注入口212の物質流れ方向の下流、特に中央部143の後半分に、ろ過助剤注入口214又は消火剤入口が配置されており、それを通してろ過助剤又は消火剤を反応部120、特に搬送部123に導入できる。さらに、点火源144もここに配置してもよい。
【0134】
スクリューコンベヤ122の後端部、本実施形態では搬送部123の下部に形成された開口部に対向して、廃ガス排出領域258が配設されている。廃ガス排出領域258は、仕切板262に支持されたフィルタユニット260を備える。フィルタユニット260は、1つ又は複数のフィルタエレメントを備えてもよい。仕切板262は、廃ガス排出領域258を未処理ガス空間259と清浄ガス空間261とに分割する。反応部120で生じる酸化の間に形成された残渣、ならびに酸化剤流及び任意のろ過助剤流の過剰部分から形成される混合物146は、未処理ガス空間259に入る。フィルタユニット260は、混合物146をフィルタリングして、そこから粒子状酸化残渣を除去するように構成されている。その後、清浄ガス空間261は、ろ過されたガス状混合物を包含し、そのガス状混合物は、清浄ガス空間261に配置される廃ガス出口218を介して排出され、例えば環境中に排出される。フィルタユニット260に関連する加圧ガス除去ユニットも、清浄ガス空間261に配置され、このユニットは、除去のためにフィルタエレメント又は複数のエレメントに作用する加圧ガスパルスを生成するように配置されている。加圧ガスパルスは、加圧ガス貯蔵ユニット264から加圧ガス開口部263を通って清浄ガス空間に入り、そこからフィルタエレメント又は複数のエレメントに至る。加圧ガス貯蔵ユニット264は、好ましくは、加圧ガスライン266を介して加圧ガスで満たすことができる。加圧ガスは、フィルタユニット260のフィルタ性能が劣化すると、すぐにフィルタユニット260を清掃する役割を果たす。その場合、加圧ガスが清浄ガス空間261に導入され、それによって、フィルタユニット260の未処理ガス側に付着していた異物がフィルタユニット260から除去される。そして、これらの異物は、廃ガス排出領域258から、搬送部123の開口部を通って、反応部120の後部132を通り、そして遮断部材128を開放した後に、遮断部材128を通って図示しない凝集体収集容器92に落下する。これは、不活性物質141と除去された異物の両方を凝集体収集容器92に収集し、その後廃棄できるので、特に有利である。反応部の後部132には、温度制御素子236を配置してもよい。温度制御素子の機能については、図16を参照されたい。
【0135】
搬送部材は、スクリューコンベヤの代わりに、パドルミキサーであってもよい。パドルミキサーは、複数のパドルが半径方向に延びる軸を有し、それらパドルは、軸に沿って軸方向に配置され、好ましくは均一に配置されている。これらのパドルは、除去物質を搬送経路123に沿って移動させ、かつ除去物質と酸化剤との有利な混合を可能にする。これにより、好ましくは、除去物質の全てが酸化され、それにより、その後の酸化が防止されることを保証できる。
【0136】
図21は、図20の搬送部123を通る断面図21-21である。搬送部123は、特に、樋(とい)形状を有する。つまり、底部に向けられた部分270は円形断面を有し、底部から離れる方向に向けられた上部272は、角ばった断面を有する。搬送部材、例えば、スクリューコンベヤ122又はパドルミキサーは、下部部分270に接触するか、又は下部部分270に沿って数ミリメートル、好ましくは5ミリメートル離れて移動するよう配置されている。
【0137】
搬送部材は、異なる方向に回転してもよい。例えば、搬送部材は、除去物質139を反応部120の後部132に搬送し、そこから図示しない凝集体収集容器92に排出できるように回転してもよい。搬送部材は、除去物質139と酸化剤142又は消火剤との良好な混合を可能にするために、交互に回転させてもよい。これは、代替的に、完全な除去物質139が酸化剤142で酸化されることを確実にできる。
【0138】
個々の図を参照して上記した変形例は、互いに組み合わせることができ、対応する変形例が記載された図に限定されないことを明確に留意されたい。より良く理解するために、全ての図において、各場合に同様の構成要素に対して同じ参照符号が使用されている。特定の場合における参照符号に属する説明は、その参照数字が出現する他の全ての図にも言及することが理解される。
【0139】
排出装置、特に反応部120の運転は、特にロック機能を有する遮断部材が使用される場合、連続的であり得る。反応部に適切な搬送装置を設けることも、異物の酸化のための連続運転に有利であり、特に反応部にスクリューコンベヤ、搬送流体及び/又は回転バルブを設けることが有利である。特にバルブを遮断部材として使用する場合、バッチ又は間欠運転も可能である。
【符号の説明】
【0140】
10 ろ過装置
12 フィルタユニット
14 フィルタエレメント
15 未処理ガス空間
16 未処理ガス供給開口部
17 底部
18 ハウジング
18a、18b 領域
20、20’、52、 ろ過助剤供給開口部
22 未処理ガス空間開口部
24 (凝集体)収集領域
26 廃棄開口部
28 廃棄漏斗
30 真空搬送装置
34 バルブ
36 流動化トレイ
38、48 ポート
40 送風機
44 未処理ガス流
46 リングライン
50 送風機
54 未処理ガス供給ライン
56 分配板
70 計量ユニット
72 貯蔵容器
74 充填開口部
76 出口
78 ホルダ
79 重量センサ
80 固体注入器
82 接続ライン
84 バルブ
86 材料分流器
88 供給ライン
92 凝集体収集領域(凝集体収集容器)
94 バルブ
96 排出フラップ
98 ドッキングプレート
99 昇降装置
100 充填レベルセンサ
110 制御部
112 酸化剤
114 酸化剤ライン
116 バルブ
118 酸化剤導入開口部
120 反応部
122 スクリューコンベヤ
123 搬送部(搬送経路)
124 第1遮断部材
126 第2遮断部材
128 第2遮断部材
130 前部(前部垂直部分)
132 後部(後部垂直部分)
134 ガス注入口
136 ガス出口
137 カバー
138 物質注入口
139 除去物質
140 回転バルブ
141 不活性物質
142 酸化剤
143 中央部(中央部水平部分)
144 点火源
145 消火剤
146 混合物
147 調整装置
148 温度制御素子
150 温度制御素子
156 圧力測定器
158 電磁弁
160 フィルタエレメント(フィルタ)
162 電磁弁
164 足
168 側壁
170 下部領域
172 底部
174 内部空間
176 流動化プレート
178 中間空間
184 回転装置
186 回転軸
188 攪拌羽根
190 中空ランス(ランス)
192 流動化プレート
194 開口部
196 中間空間
198 未処理ガス空間
200 計量部材
210 反応空間
212 酸化剤注入口
214 ろ過助剤注入口
216 点火源
218 廃ガス出口
220 廃棄領域
230 側壁
232 流動化プレート
234 床部
236 温度制御素子
237 中間空間
238 天井部
240 物質入口
242 物質出口
258 廃ガス排出領域
259 未処理ガス空間
260 フィルタユニット
261 清浄ガス空間
262 仕切板
263 加圧ガス開口部
264 加圧ガス貯蔵ユニット
266 加圧ガスライン
270 下部部分
272 上部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】