(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】共振する空洞を有する発光ダイオード構造およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/10 20100101AFI20230609BHJP
【FI】
H01L33/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555665
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 CN2021086408
(87)【国際公開番号】W WO2021208824
(87)【国際公開日】2021-10-21
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522364295
【氏名又は名称】▲ライ▼▲イク▼光電科技(蘇州)有限公司
【氏名又は名称原語表記】RAYSOLVE OPTOELECTRONICS (SUZHOU) CO. LTD.
【住所又は居所原語表記】B302, Block 1, Creative Industry Park, No. 328 Xinghu Street, Suzhou Industrial Park Suzhou, Jiangsu 215000 CN
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】弁理士法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】ウィン チャン チョン
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA03
5F241AA06
5F241AA11
5F241CA05
5F241CA22
5F241CA36
5F241CA37
5F241CA38
5F241CA40
5F241CA43
5F241CA71
5F241CB04
5F241CB15
5F241CB33
5F241FF06
(57)【要約】
LED構造は、基板、基板上に形成されたLEDユニット、基板とLEDユニットとの間に形成された第1の反射層、およびLEDユニット上に形成された第2の反射層を含む。LEDユニットの共通アノード層は、第1の反射層上に形成される。第1の反射層、LEDユニットおよび第2の反射層は、集合的に共振空洞を提供するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されるLEDユニットと、
前記基板と前記LEDユニットとの間に形成される第1の反射層と、
前記LEDユニット上に形成される第2の反射層とを含み、
前記LEDユニットの共通アノード層は前記第1の反射層上に形成され、
前記第1の反射層、前記LEDユニットおよび前記第2の反射層は、集合的に共振空洞を備えるように構成される発光ダイオード構造。
【請求項2】
前記第1の反射層の第1の反射率は、前記第2の反射層の第2の反射率よりも大きく、前記LEDユニットによって放出された光は、前記第2の反射層から前記LED構造を脱出する請求項1に記載の発光ダイオード構造。
【請求項3】
前記第2の反射層が分散型ブラッグ反射器(DBR)である請求項1に記載の発光ダイオード構造。
【請求項4】
前記分散型ブラッグ反射器が複数のTiO
2/SiO
2層または複数のSiO
2/HfO
2層を含む、請求項3に記載の発光ダイオード構造。
【請求項5】
前記LEDユニットは、
前記第1の反射層上に形成された第1のドーピング型半導体層と、
前記第1のドーピング型半導体層上に形成された多重量子井戸(MQW)層と、
前記多重量子井戸層上に形成された第2のドーピング型半導体層とを含み、
前記第2のドーピング型半導体層は注入によって作製された隔離材料を含み、前記隔離材料は前記第2のドーピング型半導体層を複数のLEDメサに分割し、前記隔離材料の第1の屈折率は、前記LEDメサの第2の屈折率よりも低い請求項1に記載の発光ダイオード構造。
【請求項6】
前記第1の反射層が、第1のドーピング型オーミック接触層である、請求項5に記載の発光ダイオード構造。
【請求項7】
前記LEDユニットは、
前記第2のドーピング型半導体層上に形成されたパッシベーション層と、
前記パッシベーション層上に形成され、前記パッシベーション層上の開口部を介して前記第2のドーピング型半導体層の一部と接触する電極層とをさらに含み、
前記LEDメサの開口は前記パッシベーション層上の前記開口部よりも小さい請求項5に記載の発光ダイオード構造。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に形成された第1の反射層と、
前記第1の反射層上に形成された光学空洞構造と、
前記光学空洞構造上に形成された第2の反射層とを含み、
前記光学空洞構造は、イオン注入された材料に囲まれた少なくとも1つのLEDユニットによって形成されている発光ダイオード構造。
【請求項9】
前記第2の反射層が分布ブラッグ反射器(DBR)である請求項8に記載の発光ダイオード構造。
【請求項10】
前記分布ブラッグ反射器が複数のTiO
2/SiO
2層または複数のSiO
2/HfO
2層を含む請求項9に記載の発光ダイオード構造。
【請求項11】
前記第1の反射層の第1の反射率が、前記第2の反射層の第2の反射率よりも大きい請求項8に記載の発光ダイオード構造。
【請求項12】
前記LEDユニットは、
第1の反射層上に形成された第1のドーピング型半導体層と、
前記第1のドーピング型半導体層上に形成された多重量子井戸(MQW)層と、
前記多重量子井戸層上に形成された第2のドーピング型半導体層とを含み、
前記第2のドーピング型半導体層は、注入によって作製された隔離材料を含み、前記隔離材料は、前記第2のドーピング型半導体層を複数のLEDメサに分割し、
前記隔離材料の第1の屈折率は、前記LEDメサの第2の屈折率よりも低い請求項8に記載の発光ダイオード構造。
【請求項13】
前記第1の反射層が、第1のドーピング型オーミック接触層である請求項12に記載の発光ダイオード構造。
【請求項14】
前記LEDユニットは、
前記第2のドーピング型半導体層上に形成されたパッシベーション層と、
前記パッシベーション層上に形成され、前記パッシベーション層上の開口部を介して前記第2のドーピング型半導体層の一部と接触する電極層と、をさらに含み、
前記LEDメサの開口は前記パッシベーション層上の前記開口部よりも小さい請求項12に記載の発光ダイオード構造。
【請求項15】
発光ダイオード(LED)構造の製造方法であって、
第1の基板上に第1の反射層および半導体構造を形成することと、
注入操作を行って、前記半導体構造内の少なくとも1つの光学空洞ユニットを取り囲む隔離材料を形成することと、
前記半導体構造上に第2の反射層を形成することと、を含み、
前記第1の反射層、前記各光学空洞ユニット、および前記第2の反射層は、集合的に共振空洞を提供するように構成された発光ダイオード構造の製造方法。
【請求項16】
前記半導体構造を形成することは、
前記第1の反射層上に第1のドーピング型半導体層を形成することと、
前記第1のドーピング型半導体層上に多重量子井戸(MQW)層を形成することと、
前記多重量子井戸層上に第2のドーピング型半導体層を形成することと、をさらに含む請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
注入操作を行って、前記半導体構造内の少なくとも1つの光学空洞ユニットを取り囲む隔離材料を形成することは、
前記第2のドーピング型半導体層を複数のLEDメサに分割するように、注入操作を行い、前記第2のドーピング型半導体層内にイオン注入された材料を形成することをさらに含み、
前記各LEDメサは、前記イオン注入された材料によって電気的に隔離される請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記イオン注入された材料の第1の屈折率が、前記LEDメサの第2の屈折率よりも低い請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記半導体構造上に前記第2の反射層を形成することは、
前記半導体構造上に分布ブラッグ反射器(DBR)を形成することをさらに含み、
前記分布ブラッグ反射器は複数のTiO
2/SiO
2層または複数のSiO
2/HfO
2層を含む請求項15に記載の製造方法。
【請求項20】
前記第1の反射層の第1の反射率が、前記第2の反射層の第2の反射率よりも大きい請求項15に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願に関連する相互参照文献
本願は、2020年4月14日に出願された米国仮出願番号No.63/009,995(名称、Mirco-LEDs with resonant cavity)、および2021年3月23日に出願された仮出願ではない米国出願番号No.17/209,658(名称:Light emitting diode structure having resonant cavity and method for manufacturing the same)の優先権を主張する。これらの内容は、ここで引用することにより、すべてが本出願に組み込まれるものとする。
【0002】
本出願は、発光ダイオード(LED)の構造とそのLED構造を製造するための方法に関するものであり、より具体的には、共振する空洞を有するLED構造とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、発光ダイオードは照明にますます使用されるようになってきている。光源として、LEDは高発光効率で低消費電力長寿命で小型かつ短いスイッチング時間などの多くの利点を有する。
【0004】
マイクロスケールLEDを有するディスプレイは、マイクロLEDとして知られている。マイクロLEDディスプレイは、個別のピクセル要素を形成するマイクロLEDの配列を有する。ピクセルはディスプレイスクリーン上の微細な明るい部分であってもよく、画像を構成する多くの内の一つである。言い換えると、ピクセルはディスプレイ上の画像を構成する小さな個別的な要素であってもよい。ピクセルは通常は2次元(2D)マトリックスにして設けられ、ドット、正方形、長方形またはその他の形状を使って表される。ピクセルは、ディスプレイやデジタル画像の基本的な構成要素であり幾何学的座標を伴ってもよい。
【0005】
従来のマイクロLEDは、マイクロLEDの発光材料のランダムな発光光子のため、大きな発光角の物理的特性を持っている。マイクロLEDを収束された発光を必要とするさまざまな用途(例えば、仮想/拡張現実用ガラスやプロジェクターなど)で使用すると、光の減衰が問題となり表示画像の質(収束)にも影響する。
【0006】
従来のマイクロLEDのもう1つの欠点は、赤方シフトと呼ばれるものである。LEDは直接的なエネルギーギャップ半導体でできているため、放出される光のスペクトルに関しては、エネルギーギャップによって規定される特定の波長の周辺波長に集まる。連続使用による温度上昇により、バンドギャップエネルギーが減少し、発光波長が増加する。したがって、ピーク波長はより長い波長にシフトする。(つまり、赤色光の波長に向かってシフトする)。このシフトは一般に赤色シフトと呼ばれる。したがって、熱安定性は、マイクロLEDを使用したカラーディスプレイの重要な問題の1つである。
【0007】
従来のマイクロLEDのさらなる欠点は、発光効率である。大型LEDと比較すると、マイクロLEDの外部量子効率は比較的低い。マイクロLEDをバッテリー駆動の家電製品(例えばスマートグラスなど)に適用する場合、発光効率は要件を満たすには不十分である。
【0008】
本開示の実施形態は、共振空洞を有するLED構造およびそれを製造するための方法を提供することによって上記の問題に対処する。それによって、光の減少、赤方シフトおよび低い発光効率の欠点が軽減可能である。
【発明の概要】
【0009】
LED構造およびLED構造を形成するための方法の実施形態が本明細書に開示される。
【0010】
一つの実施例において、LED構造が開示される。そのLED構造は、基板とその基板上に形成されるLEDユニット、その基板と当該LEDユニットの間に形成される第1の反射層、およびLEDユニット上に形成された第2の反射層を含む。第1の反射層、LEDユニットおよび第2の反射層は、まとめて共振空洞を提供するように構成される。
【0011】
他の実施例においても、LED構造が開示される。そのLED構造は、基板とその基板上に形成された第1の反射層、第1の反射層上に形成された光学空洞構造、および光学空洞構造上に形成された第2の反射層を含む。光学空洞構造は、イオン注入された材料で囲まれた少なくとも1つのLEDユニットによって形成される。
【0012】
更なる実施例においては、LED構造を製造するための方法が開示される。第1の反射層と半導体構造が第1基板上に形成される。注入操作は、半導体構造内の少なくとも1つの光学空洞ユニットを囲む隔離材料を形成するために実行される。第2の反射層は、その半導体基板上に形成される。第1の反射層、個々の光学空洞ユニット(Optical Cavity Unit)および第2の反射層が、共振空洞をまとめて備えるために構成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に組み込まれ、明細書の一部を構成する添付図面は、本発明開示の実施について示している。そして、本明細書の説明とともに更に本発明開示が説明され関連技術の当業者が本発明開示を実施できることを可能にしている。
【0014】
【
図1】本開示のいくつかの実施例による、例示的なLED構造の平面図を示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施例による、例示的なLED構造の断面図を示す。
【
図3】本開示のいくつかの実施例による、例示的なLED構造の発光指向性を示す。
【
図4】本開示のいくつかの実施例による、例示的なLED構造によるスペクトルを示している。
【
図5A】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の断面を示している。
【
図5B】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の断面を示している。
【
図5C】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の断面を示している。
【
図5D】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の断面を示している。
【
図5E】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の断面を示している。
【
図5F】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の断面を示している。
【
図5G】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の断面を示している。
【
図5H】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の断面を示している。
【
図6A】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の平面図を示す。
【
図6B】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の平面図を示す。
【
図6C】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の平面図を示す。
【
図6D】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の平面図を示す。
【
図6E】本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階での例示的なLED構造の平面図を示す。
【
図7】本開示のいくつかの実施例による、LED構造を製造するための例示的な方法のフローチャートである。
【0015】
本発明開示の実施は、添付の図面を参照して説明される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特定の構成と配置について説明するが、これは説明の目的でのみ行われることを理解する必要がある。したがって、本開示の範囲から逸脱することがなければ、他の構成および配置を使用することができる。また、本開示は、他の様々な用途にも使用することができる。本発明開示に記載される機能的および構造的特徴は、これらの組み合わせ、調整、および変更が本開示の範囲内にあるように、互いに、および図面に具体的に示されていない方法で、組み合わせ、調整、および変更することができる。
【0017】
一般的に、用語は文脈での使用法から少なくとも部分的に理解することができる。たとえば、本明細書で使用される「1つまたは複数」という用語は、少なくとも部分的に文脈に応じて、単一の意味での任意の特徴、構造、または特徴を説明するために使用されてよいし、または複数の意味での機能、構造、または特性の組み合わせを説明するために使用されてもよい。同様に、「a」、「an」、または「the」などの用語は、少なくとも部分的に文脈に応じて、単一での使用法か、または複数での使用法を示すと理解されてよい。さらに「基づく」という用語は、必ずしも排他的な要因を示すことを意図していないと理解されてよく、その代わりに、少なくとも部分的に文脈に応じて、必ずしも明示的に説明されていない追加の要因の存在を可能にしてもよい。
【0018】
本開示における「…の上に(on)」、「…から離れてそれより上に(above)」、および「…の真上に(over)」の意味は、「…の上に(on)」が何かを「直接の上」を意味するだけでなく、中間の特徴またはその間に層がある何かの「上」のような意味も含むように、また、「…から離れてそれより上に(above)」または「…の真上に(over)」とは、何かの「…から離れてそれより上に(above)」または「…の真上に(over)」の意味を意味するだけでなく、中間の特徴または層がない何かの「…から離れてそれより上に(above)」または「…の真上に(over)」の意味(つまり、何かに直接)を含むように、最も広い方法で解釈されるべきであることは容易に理解されるべきである。
【0019】
さらに、「…の下に(beneath)」、「…から離れてそれより下に(below)」、「低くする(lower)」、「…から離れてそれより上に(above)」、「上のほうの(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、図面に示されているように、ある要素または他の要素と機能との関係を説明するために使用することができる。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中のデバイスのさまざまな方向を包含することを意図している。装置に関しては、他の方法で方向付けられ(90度または他の方向に回転され)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述は、同様にそれに応じて解釈されてもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「層」という用語は、厚さのある領域を含む材料部分を指す。層は、下にある構造または上にある構造全体に広がることができ、または、下にある構造または上にある構造の範囲よりも小さい範囲を有してもよい。さらに、層は、連続構造の厚さよりも薄い厚さを有する均質または不均質の連続構造の領域であることも可能である。たとえば、層は、連続構造の上面と下面の間、またはその上にある水平面の任意のペアの間に配置できる。層は、水平方向、垂直方向、および/またはテーパー面に沿って延びることができる。基板は、層であることができ、その中に1つまたは複数の層を含むことができ、および/または、その上および/または下に1つまたは複数の層を有することができる。層には複数の層を含めることができる。たとえば、半導体層は、1つまたは複数のドープまたは非ドープの半導体層を含むことができ、同じまたは異なる材料を有することができる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「基板」という用語は、後続の材料層が追加される材料を指す。基板自体はパターン化可能である。基板の上に追加された材料は、パターン化することも、パターン化しないままにすることも可能である。さらに、基板は、シリコン、シリコンカーバイド、ガリウムナイトライド、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、インジウムホスファイドなどの幅広い半導体材料を含むことができる。あるいは、基板は、ガラス、プラスチック、またはサファイアウェーハなどの非導電性材料から作成可能である。さらにその代わりに、基板は、その中に形成された半導体デバイスまたは回路を有することができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「マイクロ」LED、「マイクロ」p-nダイオードまたは「マイクロ」デバイスという用語は、本発明開示の実施による特定のデバイスまたは構造の記述的な大きさを示す。本明細書で使用される場合、「マイクロ」デバイスまたは構造という用語は、0.1から100μmの大きさを示すことを意味する。しかしながら、本発明開示の実施では必ずしもそのように限定されるわけではなく、実施の特定での見方は、より大きく、場合によってはより小さな大きさのスケールに適用可能であり得ることを理解されたい。
【0023】
本発明開示の実施では、共振空洞を有するLED構造またはマイクロLED構造、およびその構造を製造するための方法を記載する。LEDの構造には、LEDユニットの上下に形成された第1の反射層と第2の反射層があり、LEDユニットによって放出された光は、LED構造の第2の反射層から指向性をもって出てくる。
図1は、本開示のいくつかの実施例による、例示的なLED構造100の平面図を示す。
図2は、本開示のいくつかの実施例による、線A-A’に沿ったLED構造100の断面図を示す。実施形態をよりよく説明するために、
図1のLED構造100の平面図と
図2のLED構造100の断面図を一緒に説明する。
【0024】
図1に示すように、LED構造100の最上層は第2の反射層110であり、他の層、たとえば電極層122は第2の反射層110で覆われているため、平面図では破線で示されている。
図2に示すように、LED構造100は、第1の基板102、第1の反射層106、少なくとも1つのLEDユニット108、および第2の反射層110を含む。第1の反射層106は、結合層104を介して第1の基板102上に結合されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の基板102は、シリコン、シリコンカーバイド、ガリウム窒化物、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、インジウムホスファイドなどの半導体材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の基板102は、ガラス、プラスチックまたはサファイアウェーハなどの非導電性材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、第1の基板102は、その中に形成された駆動回路を有してもよく、第1の基板102は、CMOSの背面またはTFTガラス基板でもよい。駆動回路は、輝度を制御するためにLEDユニット108に電気信号を提供する。いくつかの実施形態では、駆動回路は、個々のLEDユニット108が独立したドライバに対応するアクティブマトリックス駆動回路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、駆動回路は、複数のLEDユニット108がアレイ状に配置され、駆動回路によって駆動されるデータラインおよびスキャンラインに接続されるパッシブマトリックス駆動回路を含んでもよい。
【0026】
結合層104は、第1の基板102および第1の反射層106を結合するために第1の基板102上に形成された接着材料の層である。いくつかの実施形態では、結合層104は、金属または金属合金などの導電性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、結合層104は、金、スズ、インジウム、銅またはチタンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、結合層104は、ポリイミド(PI)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの非導電性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、結合層104は、SU-8フォトレジストなどのフォトレジストを含んでもよい。いくつかの実施形態では、結合層104は、ハイドロシルセスキオキサン(HSQ)またはジビニルシロキサン-ビス-ベンゾシクロブテン(DVS-BCB)でもよい。結合層104の材料の説明は、単なる例示であり、限定するものではなく、当技術分野の当業者は、要件に応じて変更することができ、そのすべてが本出願の範囲内であることが理解される。
【0027】
第1の反射層106は、結合層104上に形成される。いくつかの実施形態では、第1の反射層106は、反射p型オーミック接触層を含んでもよい。第1の反射層106は、LEDユニット108から結合層104への電流を提供することができる。第1の反射層106は、LEDユニット108によって放出された光を第2の反射層110に反射するための金属ミラーとしても機能してもよい。いくつかの実施形態では、第1の反射層106は、高い反射率を有する金属または金属合金層、例えば、銀、アルミニウム、金、およびそれらの合金であってもよい。第1の反射層106の材料の説明は、単に例示的なものでこれらに限定するものではなく、他の材料も考慮されることが理解されるものであり、これらはすべて本出願の範囲内にある。
【0028】
LEDユニット108は、第1の反射層106上に形成される。いくつかの実施形態では、LEDユニット108は、第1のドーピング型半導体層112、第2のドーピング型半導体層116、および第1のドーピング型半導体層112と第2のドーピングタイプ半導体層115の間に形成される多重量子井戸(MQW)層114を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のドーピング型半導体層112および第2のドーピング型半導体層116は、ZnSeまたはZnOなどのII-VI材料、またはGaN、AlN、InN、GaP、AlinGap,AlGaAsやこれらの合金などのIII-V窒化物材料で形成された1つまたは複数の層を含んでもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1のドーピング型半導体層112は、複数のLEDユニット108にまたがって広がり、これらのLEDユニット108の共通のアノードを形成するp型半導体層でもよい。いくつかの実施形態では、第1のドーピング型半導体層112は、p型のGaNを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のドーピング型半導体層112は、GaNにマグネシウム(Mg)をドープすることによって形成してもよい。いくつかの実施形態では、第1のドーピング型半導体層112は、p型のInGaNを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のドーピング型半導体層112は、p型AlInGaPを含んでもよい。上記のように、第1の反射層106は、反射性p型オーミック接触層を含んでもよく、したがって、第1の反射層106は、p型半導体層から結合層104へ電流を提供してもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、第2のドーピング型半導体層116は、n型半導体層であってもよく、LEDユニット108のカソードを形成してもよい。いくつかの実施形態では、第2のドーピング型半導体層116は、n型GaNを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のドーピング型半導体層116は、n型InGaNを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2のドーピング型半導体層116は、n型AlInGaPを含んでもよい。異なるLEDユニット108の第2のドーピング型半導体層116は電気的に隔離されており、したがって、各LEDユニット108は、他のユニットとは異なる電圧レベルを有することができるカソードを有する。
【0031】
開示された実施の結果として、複数の個別に機能するLEDユニット108が形成され、それらの第1のドーピング型半導体層112は隣接するLEDユニットを横切って水平に延ばされ、それらの第2のドーピング型半導体層116は隣接するLEDユニット間で電気的に隔離される。各LEDユニット108は、第1のドーピング型半導体層112と第2のドーピング型半導体層116との間に形成されたMQW層114をさらに含む。MQW層114は、LEDユニット108の活性領域である。
【0032】
いくつかの実施形態では、第2のドーピング型半導体層116は、隔離材料118によって分割される。
図2に示すように、第2のドーピング型半導体層116は、隔離材料118によって囲まれている。いくつかの実施形態では、隔離材料118は、イオン注入された材料でもよい。いくつかの実施形態では、隔離材料118は、第2のドーピング型半導体層116にイオン材料を注入することによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、隔離材料118は、第2のドーピング型半導体層116にH+、He+、N+、O+、F+、Mg+、Si+またはAr+イオンを移植することによって形成してもよい。いくつかの実施形態では、第2のドーピング型半導体層116に1つまたは複数のイオン材料を移植して、隔離材料118を形成してもよい。隔離材料118は、電気的絶縁の物理的特性を有する。第2のドーピング型半導体層116の規定領域にイオン材料を注入することにより、定義された領域の第2のドーピング型半導体層116の材料は、複数のLEDユニット108のLEDメサを互いに電気的に絶縁する隔離材料118に変換することができる。
【0033】
隔離材料118は、第2のドーピング型半導体層116の周囲に形成され、隔離材料118は非導電性であり、したがって、電流の流れを光開口領域124内に閉じ込めることができる。その結果、LEDユニット108に光学空洞が形成される。第2のドーピング型半導体層116および隔離材料118は、異なる屈折率をもってもよい。いくつかの実施形態では、隔離材料118の屈折率は、第2のドーピング型半導体層116の屈折率よりも低い。イオン注入操作は、第2のドーピング型半導体層116の単結晶構造を隔離材料118のアモルファス構造に部分的に移す可能性があり、その部分的アモルファス領域は単結晶構造よりも低い屈折率を示すので、第2のドーピング型半導体層116には屈折率の変化がある。
【0034】
上記のように、LEDユニット108は、第1のドーピング型半導体層112、第2のドーピング型半導体層116およびMQW層114を含み、隔離材料118は、注入によって第2のドーピング型半導体層116に形成される。隔離材料118は、電気絶縁の物理的特性を有し第2のドーピング型半導体層116によって形成される光開口領域124内に電流の流れを閉じ込めることができるので、光学空洞は、光開口領域124としての開口サイズを有するLEDユニット108に形成される。
【0035】
図2に示されるように、LEDユニット108は、隔離材料118および第2のドーピング型半導体層116上に形成されたパッシベーション層120および電極層122をさらに含んでもよい。パッシベーション層120は、LEDユニット108を保護および隔離するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、パッシベーション層120は、SiO
2、Al2O
3、SiNまたは他の適切な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、パッシベーション層120は、ポリイミド、SU-8フォトレジスト、または他の光パターン化可能なポリマーを含んでもよい。電極層122は、パッシベーション層120の一部上に形成され、電極層122は、パッシベーション層120上の開口部126を介して第2のドーピング型半導体層116を電気的に接続する。いくつかの実施形態では、電極層122は、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化亜鉛(ZnO)などの透明な導電性材料でもよい。
【0036】
図2を参照すると、パッシベーション層120上の開口部126は、第2のドーピング型半導体層116によって形成された光開口領域124よりも大きい。光開口領域124の全領域は、透明な電極層122によって覆われている。したがって、光開口領域124から放出された光は、パッシベーション層120によって遮断または干渉されないだろう。
【0037】
LEDユニット108上に第2の反射層110が形成されている。いくつかの実施形態では、第2の反射層110は、分布ブラッグ反射器(DCR)でもよい。いくつかの実施形態では、第2の反射層110は、複数の対のTiO2/SiO2層または複数の対のSiO2/HfO2層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の反射層110は、3から10対のTiO2/SiO2層または3から10対のSiO2/HfO2層を含んでもよい。
【0038】
第1の反射層106の第1の反射率は、第2の反射層110の第2の反射率よりも大きい。開示された実施例の結果として、第1の反射層106、LEDユニット108および第2の反射層110は集合的に共振空洞を備え、LEDユニット108によって放出される光は、第2の反射層110からLED構造100を脱出する。
【0039】
図3は、本開示のいくつかの実施例による、LED構造100の発光の指向性を示している。
図3に示されるように、約27°から30°のより小さな電力半値角が、開示された実施例によって得られる。共振空洞効果は、LED構造100の光波の指向性を増加させる可能性があるため、抽出効率が改善される。抽出効率は、光学効率とも呼ばれる。光子がLED構造内で生成されるとき、発光効果を生み出すために、光子は結晶から脱出する必要がある。抽出効率は、アクティブ領域で生成された光子がLED構造から脱出する光子の割合である。共振空洞を利用することにより、LED構造100の光波の指向性が向上するため、LED構造100の第2の反射層110から脱出する光子が増加し、抽出効率が向上する。
【0040】
図4は、本開示のいくつかの実施による、従来のLED構造とLED構造100との間のスペクトルの比較を示している。
図4は、共振空洞を有するLED構造100の光学特性が、より狭い共振波長ピークを有し得ることを示している。言い換えると、LED構造100の最大値の半分の全幅1(FWHM1)は、従来のLEDのFWHM2よりも明らかに小さい。LEDは、帯域幅が狭い純粋で飽和した発光色によって特徴付けられ、FWHMが狭い光源は、色域が広くなる。FWHMが小さいほど、共振空洞を有するLED構造100のスペクトル純度が改善される。
【0041】
第1の反射層106、LEDユニット108および第2の反射層110を使用して集合的に共振空洞を形成することにより、LEDユニット108によって下向きまたは横方向に放出された光は第1の反射層106によって反射され、隔離材料118は、電流の流れを光開口領域124内に閉じ込めて優れた光学的閉じ込めを備えることができる。結果として、LEDユニット108によって放出された光は、第2の反射層110からLED構造100から指向性をもって脱出する。したがって、開示された実施例では、放出された光の優れた指向性、安定したピーク波長、スペクトル純度、および高い外部量子効率を有する。
【0042】
図5A~5Hは、本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階でのLED構造100の断面を示す。
図6A~6Eは、本開示のいくつかの実施例による、製造プロセスの異なる段階でのLED構造100の平面図を示す。
図7は、本開示のいくつかの実施例による、LED構造100を製造するための方法700のフローチャートである。本開示をよりよく説明する目的で、
図5A~5H、
図6A~6E、および
図7をまとめて説明する。
【0043】
図5Aでは、駆動回路(図示せず)が第1の基板102に形成されてもよい。たとえば、駆動回路には、シリコンウェーハ上に製造されたCMOSデバイスが含まれてもよい。別の例として、駆動回路はガラス基板上に製造されたTTFを含んでもよい。
図7の動作702に示されるように、半導体層が第2の基板130上に形成され、半導体層は、第1のドーピング型半導体層112、第2のドーピング型半導体層116およびMQW層114を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の基板102または第2の基板130は、シリコン、シリコンカーバイド、ガリウム窒化物、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、インジウムホスファイドなどの半導体材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の基板102または第2の基板130は、ガラス、プラスチックまたはサファイアウェーハなどの非導電性材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の基板102は、その中に形成された駆動回路を有してもよく、第1の基板102は、CMOS背面板またはTFTガラス基板を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のドーピング型半導体層112および第2のドーピング型半導体層116は、ZnSeまたはZnOなどのII-VI材料、またはGaN、AlN、InN、GaP、AlinGap,AlGaAsやこれらの合金などのIII-V窒化物材料で形成された1つまたは複数の層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のドーピング型半導体層112は、p型半導体層を含んでもよく、第2のドーピング型半導体層116は、n型半導体層を含んでもよい。
【0045】
図5Bおよび
図7の動作704を参照すると、第1の反射層106は、第1のドーピング型半導体層112上に形成される。いくつかの実施形態では、第1の反射層106は、反射型p型オーミック接触層でもよい。第1の反射層106は、第1のドーピング型半導体層112から後に形成される結合層104への電流伝導を提供してもよい。第1の反射層106はまた、LEDユニット108によって放出された光を第2の反射層110に反射するための金属ミラーとして機能し得る。いくつかの実施形態では、第1の反射層106は、高い反射率を有する金属または金属合金層、例えば、銀、アルミニウム、金、およびそれらの合金であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の反射層106は、化学的気相成長(CVD)、物理的気相成長(PVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ励起化学気相成長(PECVD)、プラズマ励起原子層堆積(PEALD)、および/またはそれらの組み合わせや。他の適切なプロセスを使用して形成されてもよい。
【0046】
図5Cおよび
図7の動作706に示されるように、第2の基板130、第1の反射層106、および第1のドーピング型半導体層112、第2のドーピング型半導体層116およびMQW層114を含む半導体層は、裏返され、結合層104を介した第1の基板102に結合される。いくつかの実施形態では、結合層104は、金属または金属合金などの導電性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、結合層104は、金、スズ、インジウム、銅またはチタンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、結合層104は、ポリイミド(PI)またはポリジメチルシロキサン(PDMS)などの非導電性材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、結合層104は、SU-8フォトレジストなどのフォトレジストを含んでもよい。いくつかの実施形態では、結合層104は、ハイドロシルセスキオキサン(HSQ)またはジビニルシロキサン-ビス-ベンゾシクロブテン(DVS-BCB)を含んでもよい。
【0047】
次に、
図5Dおよび
図7の操作708に示されるように、第2の基板130を半導体層から除去することができる。いくつかの実施形態では、薄くする操作は、第2のドーピング型半導体層116の一部を除去するために、第2のドーピング型半導体層116上で随意的になされてもよい。例えば、
図6Aは、薄くする操作後の第2のドーピング型半導体層116、または第2のドーピング型半導体層116の平面図を示している。いくつかの実施形態では、薄くする操作は、乾式エッチングまたは湿式エッチング操作を含んでもよい。いくつかの実施形態では、薄くする操作は、化学機械研磨(CMP)を含んでもよい。
【0048】
図5Eおよび
図7の操作710を参照すると、第2のドーピング型半導体層116に隔離材料118を形成するために注入操作が行われ、注入の結果として、第2のドーピング型半導体層116は隔離材料118によって囲まれる。注入後、LEDユニット108の第2のドーピング型半導体層116は、隔離材料118によって、隣接するLEDユニット108の他の第2のドーピング型半導体層116から電気的に隔離される。例えば、
図6Bは、注入操作後のLED構造100の平面図を示している。
【0049】
いくつかの実施形態では、隔離材料118は、第2のドーピング型半導体層116の規定された領域にイオン材料を注入することによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、隔離材料118は、第2のドーピング型半導体層116にH+、He+、N+、O+、F+、Mg+、Si+またはAr+イオンを注入することによって形成してもよい。いくつかの実施形態では、第2のドーピング型半導体層116に1つまたは複数のイオン材料を注入して、隔離材料118を形成してもよい。隔離材料118は、電気的絶縁の物理的特性を有する。いくつかの実施形態では、注入操作は、約10keVから約300keVの間の注入電力で実施してもよい。いくつかの実施形態では、注入操作は、約15keVから約250keVの間の注入電力で実施してもよい。いくつかの実施形態では、注入操作は、約20keVから約200keVの間の注入電力で実施してもよい。いくつかの実施形態では、隔離材料118は、MQW層114を貫通するのに十分でない深さのために、第2のドーピング型半導体層116に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、隔離材料118の注入深さは、隔離材料118がMQW層114に接触するために短く停止するように制御されてもよい。隔離材料118の位置、形状、および深さは、単なる例示であり、限定するものではなく、当技術分野の当業者は要望に応じて変更することができ、これらはすべて本出願の範囲内であることが理解される。
【0050】
LEDユニット108は、第1のドーピング型半導体層112、第2のドーピング型半導体層116およびMQW層114を含み、隔離材料118が、注入によって第2のドーピング型半導体層116を取り囲むように形成される。
図5Eに示すように、第2のドーピング型半導体層116の周囲に隔離材料118が形成されることにより、光開口領域124が形成される。隔離材料118は、電流の流れを光開口領域124内に閉じ込めて、光学的空洞がLEDユニット108内に形成される。
【0051】
さらに、第2のドーピング型半導体層116および隔離材料118は、異なる屈折率を有してもよい。いくつかの実施形態では、隔離材料118の屈折率は、第2のドーピング型半導体層116の屈折率よりも低い。イオン注入操作は、第2のドーピング型半導体層116の単結晶構造を隔離材料118を部分的にアモルファス構造に移し、その部分的なアモルファスな領域は単結晶構造よりも低い屈折率を示すので、第2のドーピング型半導体層116および隔離材料118において屈折率変化が生じる。屈折率の変化はさらに光学的閉じ込めを備える可能性があり、発光光の全反射の確率は光開口領域で増加する。
【0052】
図5Fおよび
図7の動作712を参照すると、パッシベーション層120が隔離材料118上に形成され、開口部126がパッシベーション層120上に形成され、隔離材料118の一部および第2のドーピング型半導体層116を露出させる。パッシベーション層120上の開口部126は、第2のドーピング型半導体層116によって形成された光開口領域124よりも大きい。光開口領域124の全領域は、後で形成される透明な電極層122によって覆われる。したがって、光開口領域124から放出された光は、パッシベーション層120によって遮断または干渉されない。例えば、
図6Cは、パッシベーション層120を形成した後のLED構造100の平面図を示している。いくつかの実施形態では、パッシベーション層120は、SiO
2、Al
2O
3、SiN、または分離および保護のための他の適切な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、パッシベーション層120は、ポリイミド、SU-8フォトレジスト、または他の光学的パターン化可能なポリマーを含んでもよい。
【0053】
図5Gおよび
図7の動作714を参照すると、電極層122は、開口部126を覆うパッシベーション層120上に形成される。電極層122は、第2のドーピング型半導体層116と第1の基板102の駆動回路とを電気的に接続する。駆動回路は、電極層122を介して第2のドーピング型半導体層116の電圧および電流レベルを制御することができる。例えば、
図6Dは、電極層122を形成した後のLED構造100の平面図を示している。いくつかの実施形態では、電極層122は、酸化インジウムスズ(ITO)、クロム、チタン、白金、金、アルミニウム、銅、ゲルマニウムまたはニッケルなどの導電性材料を含んでもよい。
【0054】
図5Hおよび
図7の動作716を参照すると、第2の反射層110が、パッシベーション層120および電極層122上に形成されている。
図6Eは、第2の反射層110を形成した後のLED構造100の平面図を示している。いくつかの実装形態では、第2の反射層110は、分布ブラッグ反射器(DCR)であり得る。いくつかの実施形態では、第2の反射層110は、複数の対のTiO
2/SiO
2層または複数の対のSiO
2/HfO
2層を含んでもよい。
【0055】
第1の反射層106の第1の反射率は、第2の反射層110の第2の反射率よりも大きい。開示された実施例の結果として、第1の反射層106、LEDユニット108および第2の反射層110は集合的に共振空洞を提供し、LEDユニット108によって放出される光は、第2の反射層110からLED構造100を脱出する。
【0056】
第1の反射層106、LEDユニット108および第2の反射層110を使用して集合的に共振空洞を形成することにより、LEDユニット108によって下向きまたは横方向に放出された光は第1の反射層106によって反射され、隔離材料118は電流の流れを光開口領域124内に閉じ込めて優れた光学的閉じ込め構造を提供できる。結果として、LEDユニット108によって放出された光は、第2の反射層110から指向性をもってLED構造100を脱出する。したがって、開示された実施例では、放出された光の優れた指向性、安定したピーク波長、スペクトル純度、および高い外部量子効率を有する。
【0057】
本開示の一つの態様によれば、LED構造が開示される。LED構造は、基板、基板上に形成されたLEDユニット、基板とLEDユニットとの間に形成された第1の反射層、およびLEDユニット上に形成された第2の反射層を含む。LEDユニットの共通のアノード層は、第1の反射層に形成される。第1の反射層、LEDユニットおよび第2の反射層は、集合的に共振空洞を提供するように構成される。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の反射層の第1の反射率は、第2の反射層の第2の反射率よりも大きく、LEDユニットによって放出される光は、第2の反射層からLED構造を脱出する。いくつかの実施例では、第2の反射層は分布ブラッグ反射器(DBR)である。いくつかの実施形態では、DBRは複数のTiO2/SiO2層または複数のSiO2/HfO2層を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、LEDユニットは、第1のドーピング型半導体層、多重量子井戸(MQW)層、および第2のドーピング型半導体層を含む。第1のドーピング型半導体層は、第1の反射層上に形成される。MQW層は第1のドーピング型半導体層上に形成される。MQW層上に第2のドーピング型半導体層が形成される。第2のドーピング型半導体層は、注入により作製された隔離材料を含み、隔離材料は、第2のドーピング型半導体層を複数のLEDメサに分割する。隔離材料の第1屈折率は、LEDメサの第2屈折率よりも低くなっている。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1の反射層は、第1のドーピング型オーミック接触層である。いくつかの実施形態では、LEDユニットは、第2のドーピング型半導体層上に形成されたパッシベーション層、およびパッシベーション層の開口部を通して第2のドーピング型半導体層の一部と接触するパッシベーション層上に形成された電極層をさらに含む。LEDメサの開口部はパッシベーション層の開口部よりも小さい。
【0061】
本開示の別の態様によれば、LED構造が開示される。LED構造は、基板、第1の反射層、光学空洞構造、および第2の反射層を含む。第1の反射層は基板上に形成される。光学空洞構造は第1の反射層上に形成される。第2の反射層は、光学空洞構造上に形成される。光学空洞構造は、イオン注入された材料によって囲まれた少なくとも一つのLEDによって形成される。
【0062】
いくつかの実施例では、第2の反射層は分布ブラッグ反射器(DBR)である。いくつかの実施形態では、DBRは複数のTiO2/SiO2層または複数のSiO2/HfO2層を含む。いくつかの実施形態では、第1の反射層の第1の反射率は、第2の反射層の第2の反射率よりも大きい。
【0063】
いくつかの実施形態では、LEDユニットは、第1のドーピング型半導体層、多重量子井戸(MQW)層、および第2のドーピング型半導体層を含む。第1のドーピング型半導体層は、第1の反射層上に形成される。MQW層は第1のドーピング型半導体層上に形成される。MQW層上に第2のドーピング型半導体層が形成される。第2のドーピング型半導体層は、注入により作製された隔離材料を含み、隔離材料は第2のドーピング型半導体層を複数のLEDメサに分割する。隔離材料の第1屈折率は、LEDメサの第2屈折率よりも低くなっている。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の反射層は、第1のドーピング型オーミック接触層である。いくつかの実施形態では、LEDユニットは、第2のドーピング型半導体層上に形成されたパッシベーション層、およびパッシベーション層の開口部を通して第2のドーピング型半導体層の一部と接触するパッシベーション層上に形成された電極層をさらに含む。LEDメサの開口部はパッシベーション層の開口部よりも小さい。
【0065】
本開示のさらなる態様によれば、LED構造を製造するための方法が開示される。第1の基板上に第1の反射層および半導体構造が形成される。注入操作は、半導体構造内の少なくとも1つの光学空洞ユニットを囲む隔離材料を形成するために為される。第2の反射層は、半導体構造上に形成される。第1の反射層、各光学空洞ユニットおよび第2の反射層は、集合的に共振空洞を提供するように構成される。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1のドーピング型半導体層が第1の反射層上に形成される。多重量子井戸(MQW)層は、第1のドーピング型半導体層上に形成される。第2のドーピング型半導体層は、MQW層上に形成される。
【0067】
いくつかの実施形態では、注入操作は、第2のドーピング型半導体層にイオン注入された材料を形成し第2のドーピング型半導体層を複数のLEDメサに分割するために為される。各LEDは、イオン注入された材料によって電気的に隔離されている。
【0068】
いくつかの実施形態では、イオン注入された材料の第1の屈折率は、LEDメサの第2の屈折率よりも低い。いくつかの実施形態では、分布ブラッグ反射器(DBR)が半導体構造上に形成される。DBRには、複数のTiO2/SiO2層または複数のSiO2/HfO2層が含まれる。いくつかの実施形態では、第1の反射層の第1の反射率は、第2の反射層の第2の反射率よりも大きい。
【0069】
特定の実施例に関する前述の説明は、さまざまなアプリケーションに容易に変更および/または適合させることができる。したがって、そのような適合および修正は、本明細書に提示される教示およびガイダンスに基づいて、開示された実施形態と同等の意味および範囲内にあることが意図される。
【0070】
本開示の広がりや範囲は、上記の例示的な実施のいずれかによって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの同等物に従ってのみ定義される。
【国際調査報告】