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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】EEGヘッドセット
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/291 20210101AFI20230609BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20230609BHJP
【FI】
A61B5/291
A61B5/256 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022559330
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 NZ2021050051
(87)【国際公開番号】W WO2021201697
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】763054
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522381018
【氏名又は名称】エクスサーゴ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルメスファー、フェイサル
(72)【発明者】
【氏名】リトル、リチャード
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127JJ03
4C127KK01
4C127LL08
4C127LL13
(57)【要約】
EEGヘッドセット100は、使用時に患者の頭頂骨及び/又は後頭骨の少なくとも一部分にわたって位置するように構成されたベース部材1を備えている。ベース部材1は、患者側と非患者側とを有する。ヘッドセット100は、複数の装着部材2をさらに備え、各装着部材2が、それぞれの回転可能連結手段5によってベース部材1に回転可能に連結され、各回転可能連結手段5が、装着部材2をベース部材1の患者側に向かって回転するように付勢する付勢手段を備えている。装着部材5は、使用時に患者の頭部上にヘッドセット100を維持するように形付けられ、且つ構成され、装着部材5の少なくとも1つが、使用時に電極14を係合するための電極係合手段9を備えている。EEGヘッドセットの実例は、実質的に防水である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に患者の頭頂骨及び/又は後頭骨の少なくとも一部分にわたって位置するように構成されたベース部材を備えたEEGヘッドセットであって、前記ベース部材が患者側と非患者側とを備え、前記ヘッドセットが複数の装着部材をさらに備え、各装着部材が、それぞれの回転可能連結手段によって前記ベース部材に回転可能に連結され、各回転可能連結手段が、前記装着部材を前記ベース部材の前記患者側に向かって回転するように付勢する付勢手段を備え、前記装着部材が、使用時に患者の頭部上に前記ヘッドセットを維持するように形付けられ、且つ構成され、前記装着部材の少なくとも1つが、使用時に電極を係合するための電極係合手段を備えた、EEGヘッドセット。
【請求項2】
各装着部材が少なくとも1つの電極係合手段を備えている、請求項1に記載のEEGヘッドセット。
【請求項3】
使用時に、前記電極係合手段と係合された電極が国際10-20法に従って配置されるように、前記電極係合手段が配置されている、請求項1又は2に記載のEEGヘッドセット。
【請求項4】
前記複数の装着部材が1対の下部側方装着部材を備えている、請求項1から3までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項5】
各下部側方装着部材が、使用時に前記患者の後頭骨及び/又は側頭骨の少なくとも一部分に覆い被さるように構成されている、請求項4に記載のEEGヘッドセット。
【請求項6】
各下部側方装着部材が、使用時に前記ベースから前記患者の耳のすぐ後方の位置まで延在するように構成されている、請求項4又は5に記載のEEGヘッドセット。
【請求項7】
前記複数の装着部材が1対の上部側方装着部材を備えている、請求項1から6までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項8】
各上部側方装着部材は、複数の上部側方装着部材部分を備え、各上部側方装着部材部分が、隣接する上部側方装着部材部分に回転可能に連結されている、請求項7に記載のEEGヘッドセット。
【請求項9】
各上部側方装着部材が、前記ベース部材の患者側に向かって回転するように付勢されている、請求項8に記載のEEGヘッドセット。
【請求項10】
各上部側方装着部材が3つの上部側方装着部材部分を備えている、請求項8又は9に記載のEEGヘッドセット。
【請求項11】
各上部側方装着部材が、使用時に前記患者の頭頂骨及び/又は前頭骨の少なくとも一部分に覆い被さるように構成されている、請求項7、8、9、又は10に記載のEEGヘッドセット。
【請求項12】
各上部側方装着部材が、使用時に前記患者の側頭骨に覆い被さらないように構成されている、請求項7から11までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項13】
前記上部側方装着部材のいずれも、他の装着部材に連結されていない、請求項7から12までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項14】
前記複数の装着部材が中央上部装着部材を備えている、請求項1から13までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項15】
前記中央上部装着部材が、他の装着部材に連結されていない、請求項14に記載のEEGヘッドセット。
【請求項16】
前記中央上部装着部材が、複数の中央上部装着部材部分を備え、各中央上部装着部材部分が、隣接する中央上部装着部材部分に回転可能に連結されている、請求項14又は15に記載のEEGヘッドセット。
【請求項17】
各中央上部装着部分が、前記ベース部材の患者側に向かって回転するように付勢されている、請求項16に記載のEEGヘッドセット。
【請求項18】
前記中央上部装着部材が、2つの中央上部装着部材部分を備えている、請求項16又は17に記載のEEGヘッドセット。
【請求項19】
前記中央上部装着部材が、使用時に前記患者の頭頂骨及び/又は前頭骨の少なくとも一部分に覆い被さるように構成されている、請求項16、17、又は18に記載のEEGヘッドセット。
【請求項20】
各前記装着部材部分が、実質的に剛性が高い、請求項8、10、又は16に記載のEEGヘッドセット。
【請求項21】
各回転可能連結手段が、前記回転可能連結手段が係合された前記装着部材、前記装着部材部分、及び/又は前記ベース部材に流体が浸入するのを抑制又は防止するように構成された可撓性の不浸透性スリーブを備えている、請求項1から20までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項22】
各回転可能連結手段が、単一軸のみを中心とした回転を可能にする、請求項1から21までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項23】
各装着部材が患者側と非患者側とを有し、前記患者側が、実質的に凹状湾曲部を画定している、請求項1から22までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項24】
前記凹状湾曲部が、使用時に前記患者の頭部の表面に実質的に沿っている、請求項23に記載のEEGヘッドセット。
【請求項25】
各装着部材が、その前記患者側に、面取りした長手方向縁部を備えている、請求項23又は24に記載のEEGヘッドセット。
【請求項26】
各装着部材が、その前記患者側に、面取りした遠位縁部を備えている、請求項25に記載のEEGヘッドセット。
【請求項27】
各装着部材が少なくとも1つの電極係合手段を備えている、請求項1から26までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項28】
前記ヘッドセットが、無線通信手段及び/又は有線通信手段を備えている、請求項1から27までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項29】
EEGヘッドセットであって、ベース部材と、使用時に患者の頭部上の必要な位置に前記ヘッドセットを保持するように構成された複数の装着部材とを備え、各装着部材が、電極を取外し可能に係合するための少なくとも1つの電極係合手段を備え、前記電極及び/又は前記電極係合手段が、前記電極を通り過ぎて前記装着部材の内部に水が浸入するのを抑制又は防止するように構成されたシールを備えている、EEGヘッドセット。
【請求項30】
各電極が、前記電極係合手段の内壁と係合するシールを備えている、請求項29に記載のEEGヘッドセット。
【請求項31】
前記シールがOリング・シールである、請求項30に記載のEEGヘッドセット。
【請求項32】
前記装着部材の少なくとも1つが複数の装着部材部分を備え、各装着部材部分が、回転可能連結部材によって隣接する装着部材部分に回転可能に連結され、各回転可能連結部材が、前記それぞれの隣接する装着部材部分を封止して係合して、それによって前記装着部材部分の内部に水が浸入するのを防止又は抑制するように構成された可撓性シール構成要素を備えている、請求項29から31までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項33】
前記ヘッドセットが、無線通信手段及び/又は有線通信手段を備えている、請求項29から32までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの脳波測定(electroencephalography)を行う際に使用するヘッドセットに関し、特に、ニューロフィードバック訓練に役立つEEGヘッドセットに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
ニューロフィードバック訓練は、ユーザ又は患者が、彼らの脳活動に関するリアル・タイムのフィードバックを受けることによって、慢性的な痛み(例えば、怪我が治癒した後も持続する痛み)などの症状に対処することを学習することを含む。
【0003】
ニューロフィードバック訓練中、脳活動は脳波測定によってモニタすることができる。このプロセスは、患者の頭皮に複数の電極を導電接触させて配置する必要がある。多くの場合、電極は、国際10-20法と呼ばれる標準化された位置決めシステムに従って配置されることになる。脳波測定は、脳電図(EEG:ElectroEncephaloGram)として知られる出力を生成する。
【0004】
既存のEEGの取得方法は時間がかかることがあり、患者を萎縮させ、不快である可能性がある。電極は患者の頭皮に直接取り付けられることが多く、死んだ皮膚細胞を除去するために擦過した後に取り付けられることもある。電極が「ウェット」タイプの場合、導電性の液体又はゲルを頭皮に塗布することもある。
【0005】
場合によっては、電極を正しい位置に位置付けるのを助けるために、電極はネット又はフレームに接続されることがある。
【0006】
ニューロフィードバック訓練に加えて、脳波測定は、神経学的症状、例えば震盪の診断及び/又は評価を含む、複数の他の使用目的を有することがある。
【0007】
先行技術のいくつかのEEG方法では、最初の患者に使用した1組みの電極(関連付けられたネット又はフレームを含む)を2番目の患者に使用するために適切に準備するのが困難であり、及び/又は時間がかかることがある。
【0008】
図1及び図2は、前頭骨、頭頂骨、側頭骨を含む様々な骨が識別された、人間の頭蓋骨を例示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、現在のそのような装置の問題を克服及び/又は改善する改良EEGヘッドセットを提供することである。
【0010】
或いは、本発明の目的は、少なくとも一般の人々に有用な選択肢を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本技術の一態様は、患者によって、例えば片手を使って、容易に着脱できるEEGヘッドセットに関する。
【0012】
本技術の別の態様は、異なる患者による使用のための準備が容易なEEGヘッドセットに関する。
【0013】
本技術の別の態様は、実質的に防水であるEEGヘッドセットに関する。
【0014】
本発明の一態様によると、使用時に患者の頭頂骨及び/又は後頭骨の少なくとも一部分にわたって位置するように構成されたベース部材を備えたEEGヘッドセットであって、ベース部材が、患者側と非患者側とを備え、ヘッドセットが、複数の装着部材をさらに備え、各装着部材が、それぞれの回転可能連結手段によってベース部材に回転可能に連結され、各回転可能連結手段が、装着部材をベース部材の患者側に向かって回転するように付勢する付勢手段を備え、装着部材が、使用時に、患者の頭部上にヘッドセットを維持するように形付けられ、且つ構成され、装着部材の少なくとも1つが、使用時に、電極を係合するための電極係合手段を備えた、EEGヘッドセットが提供される。
【0015】
好ましくは、各装着部材が少なくとも1つの電極係合手段を備えている。
【0016】
好ましくは、使用時に電極係合手段と係合された電極が、国際10-20法に従って配置されるように、電極係合手段が配置される。
【0017】
好ましくは、複数の装着部材は、1対の側方下部装着部材を備える。
【0018】
好ましくは、複数の装着部材は、1対の上部側方装着部材を備える。
【0019】
好ましくは、複数の装着部材は、中央上部装着部材を備える。
【0020】
好ましくは、上部側方装着部材のいずれも、他の装着部材に連結されていない。
【0021】
好ましくは、中央上部装着部材は、他の装着部材に連結されていない。
【0022】
好ましくは、中央上部装着部材は、複数の中央上部装着部材部分を備え、各中央上部装着部材部分が、隣接する中央上部装着部材部分に回転可能に連結されている。
【0023】
好ましくは、各中央上部装着部分は、ベース部材の患者側に向かって回転するように付勢されている。
【0024】
好ましくは、中央上部装着部材は、2つの中央上部装着部材部分を備えている。
【0025】
好ましくは、各上部側方装着部材は、複数の上部側方装着部材部分を備え、各上部側方装着部材部分が、隣接する上部側方装着部材部分に回転可能に連結されている。
【0026】
好ましくは、各上部側方装着部材は、ベース部材の患者側に向かって回転するように付勢されている。
【0027】
好ましくは、各上部側方装着部材は、3つの上部側方装着部材部分を備えている。
【0028】
好ましくは、各上記装着部材部分は、実質的に剛性が高い。
【0029】
好ましくは、各回転可能連結手段は、回転可能連結手段が係合された、装着部材、装着部材部分、及び/又はベース部材への流体の浸入を防ぐように構成された可撓性の不浸透性スリーブを備えている。
【0030】
好ましくは、各回転可能連結手段は、単一軸のみを中心とした回転を可能にする。
【0031】
好ましくは、各装着部材は、患者と接触する側に、面取りした長手方向縁部を備えている。
【0032】
好ましくは、各装着部材は、患者と接触する側に、面取りした遠位縁部を備えている。
【0033】
好ましくは、各下部側方装着部材は、使用時に患者の後頭骨及び/又は側頭骨の少なくとも一部分に覆い被さるように構成されている。
【0034】
好ましくは、各下部側方装着部材は、使用時にベースから患者の耳のすぐ後方の位置まで延在するように構成される。
【0035】
好ましくは、各上部側方装着部材は、使用時に患者の頭頂骨及び/又は前頭骨の少なくとも一部分に覆い被さるように構成されている。
【0036】
好ましくは、各上部側方装着部材は、使用時に患者の側頭骨に覆い被さらないように構成されている。
【0037】
好ましくは、中央上部装着部材は、使用時に患者の頭頂骨及び/又は前頭骨の少なくとも一部分に覆い被さるように構成されている。
【0038】
好ましくは、各装着部材部分は、患者側と非患者側とを有し、患者側は、実質的に凹状の湾曲部を画定している。
【0039】
好ましくは、湾曲部は、使用時に患者の頭部の表面に実質的に沿っている。
【0040】
好ましくは、各装着部材が少なくとも1つの電極係合手段を備えている。
【0041】
好ましくは、使用時に電極係合手段と係合された電極が、国際10-20法に従って配置されるように、電極係合手段が配置される。
【0042】
好ましくは、ヘッドセットは、無線通信手段及び/又は有線通信手段を備えている。
【0043】
本発明の一態様によると、使用時に患者の頭頂骨及び/又は後頭骨にわたって置かれるように構成されたベース部材を備えたEEGヘッドセットであって、ベース部材が、患者側と非患者側とを備え、ヘッドセットが、複数の装着部材をさらに備え、各装着部材が、それぞれのヒンジによってベース部材に回転可能に連結され、各ヒンジが、ベース部材の患者側に向かって回転するように装着部材を付勢するように構成された弾性のある可撓性部材を備え、装着部材が、使用時に患者の頭部上にヘッドセットを維持するように形付けられ、且つ構成され、装着部材の少なくとも1つが、使用時に電極を装着することができる電極マウントを備えた、EEGヘッドセットが提供される。
【0044】
本発明の別の態様によると、ベース部材と、使用時に患者の頭部上の必要な位置にヘッドセットを保持するように構成された複数の装着部材とを備えたEEGヘッドセットであって、各装着部材が、電極を取外し可能に係合するための少なくとも1つの電極係合手段を備え、電極及び/又は電極係合手段が、電極を通り過ぎて装着部材の内部に水が浸入するのを抑制又は防止するように構成されたシールを備えている、EEGヘッドセットが提供される。
【0045】
好ましくは、各電極は、電極係合手段の内壁に係合するシール、例えばOリング・シールを備えている。
【0046】
好ましくは、装着部材の少なくとも1つは、複数の装着部材部分を備え、各装着部材部分は、回転可能連結部材によって隣接する装着部材部分に回転可能に連結され、各回転可能連結部材は、それぞれの隣接する装着部材部分を封止して係合するように構成された可撓性シール構成要素を備え、それによって、装着部材部分の内部に水が浸入するのを防止又は抑制する。
【0047】
本発明の別の態様によると、ベース部材と、使用時に患者の頭部上の必要な位置にヘッドセットを保持するように構成された複数の装着部材とを備えたEEGヘッドセットであって、各装着部材が、使用時に電極を装着することができる少なくとも1つの電極マウントを備え、電極及び/又は電極マウントが、電極を通り過ぎて装着部材の内部に水が浸入するのを防止又は抑制するように構成されたシールを備えている、EEGヘッドセットが提供される。
【0048】
本発明のすべての新規な態様において考慮されるべき本発明のさらなる態様は、本発明の実際の適用例の少なくとも1つの実例を提供する以下の説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。
【0049】
本発明の1つ又は複数の実施例を、以下の図面を参照して、例示の目的のみで、限定的であることは意図せずに、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】前頭骨及び頭頂骨を含む様々な骨が識別された頭蓋骨の斜視図である。
図2】前頭骨、頭頂骨、及び側頭骨を含む様々な骨が識別された頭蓋骨の側面図である。
図3】患者を図式的に表した、患者の所定の位置にある本技術の一形態によるEEGヘッドセットの側面図である。
図4】患者を図式的に表した、患者の所定の位置にある図3のEEGヘッドセットの、側方及び上方からの斜視図である。
図5】患者を図式的に表した、患者の所定の位置にある図3のEEGヘッドセットの背面図である。
図6】連結手段及び電極は図示されていない、本技術の別形態によるEEGヘッドセットの一側方且つ上方からの斜視図である。
図7】連結手段及び電極は図示されていない、図6のEEGヘッドセットの側面図である。
図8】連結手段及び電極は図示されていない、図6のEEGヘッドセットの前面図である。
図9】連結手段及び電極は図示されていない、図6のEEGヘッドセットの上面図である。
図10】連結手段は図示せず単一の電極のみが示されている、図6のEEGヘッドセットの底面図である。
図11】本技術の一形態による装着部材部分及び電極の断面図である。
図12図11の装着部材部分及び電極の分解図である。
図13】本技術の一形態による電極の斜視図である。
図14図13の電極の分解図である。
図15】本技術の一形態による電極の斜視図である。
図16図15の電極の分解図である。
図17】本技術の別形態による電極の側面図である。
図18】一方の端部から見た図17の電極の斜視図である。
図19】装着部材と電極の一形態との分解図である。
図20】一体に組み立てた、図19の装着部材及び電極の断面図である。
図21】本技術の一形態による回転可能連結手段の一側方且つ上方からの斜視図である。
図22】本技術の一形態による可撓性スリーブを備えた回転可能連結手段の一側方且つ上方からの斜視図である。
図23】係合部分が第2の回転軸を中心に反時計回りに回転した、本技術の別の形態による回転可能連結手段の一側面及び上方からの斜視図である。
図24】係合部分が第2の回転軸を中心に時計回りに回転した、図15の回転可能連結手段の一側方且つ上方からの斜視図である。
図25】本技術の一形態によるEEGヘッドセットの一側方且つ上方からの斜視図である。
図26図25のヘッドセットの下方からの図である。
図27図25のヘッドセットの上方からの図である。
図28図25のヘッドセットの前方からの図である。
図29】患者を図式的に表した、患者の所定の位置にある図25のヘッドセットの側面図である。
図30】患者を図式的に表した、患者の所定の位置にある、本技術の一形態によるEEGヘッドセットの一側方且つ上方からの斜視図である。
図31】本技術の一形態による回転可能連結手段の一側方且つ上方からの斜視図である。
図32】本技術の一形態による可撓性スリーブを備えた図31の回転可能連結手段の一側方且つ上方からの斜視図である。
図33】本技術の別形態による回転可能連結手段の一側方且つ上方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図3から図5を参照すると、ユーザに脳波測定を行う際に使用するヘッドセット(以下、「ヘッドセット」又は「EEGヘッドセット」)は、全体が矢印100で参照される。本明細書において「患者」とは、EEGヘッドセットのあらゆるユーザを、そのようなユーザが病気、不調であるか、又はその他の治療を必要とするか否かにかかわらず指す。
【0052】
ヘッドセット100は、ベース部材1と、ベース部材1に回転可能に取り付けられた複数の装着部材2とを備える。ベース部材1は、患者側3と非患者側4とを備える。いくつかの実施例では、ベース部材1は等脚台形として形付けられ、使用時には平行な辺のうち短い方が長い方よりも上にある。装着部材2の少なくともいくつかは、細長くてよい。
【0053】
装着部材2は、回転可能連結手段5、例えばヒンジによってベース部材1に回転可能に取り付けられている。各装着部材の回転は、回転軸から遠位の装着部材の端部が、患者の頭蓋骨に対して実質的に半径方向に動くようなものであってよい。いくつかの実施例では、ベース部材1と装着部材2との間の回転可能連結部は、仮想の円若しくは楕円上に、又はそれに隣接して存在してよく、回転軸は円又は楕円に対して実質的に接線方向であってよい。
【0054】
ベース部材1及び装着部材2は、使用時に、患者の頭部上にヘッドセット100を維持するために協働するように構成されている。さらに後述するように、装着部材2は、患者の頭蓋骨の外形に対して相補的な湾曲部を有する患者側を有してよい。装着部材は、患者の頭蓋骨を把持するためにベース部材1に対して回転してよい。
【0055】
回転可能連結手段5は、装着部材2をベース部材1の患者側3に向かって回転させるように付勢する付勢手段(図示せず)を備えている。一実施例では、付勢手段はトーションばねを備えてよい。トーションばねは、例えば、ベース部材及び装着部材に連結されてよい。
【0056】
実施例では、ヘッドセット100は、1対の側方下部装着部材2a、1対の上部側方装着部材2b、及び中央上部装着部材2cを備えている。下部側方装着部材2aは、使用時にベース部材1から後頭骨及び/又は側頭骨にわたって患者の耳のすぐ後方の位置まで延在するように構成されてよい。
【0057】
上部側方装着部材2bは、使用時に患者の頭頂骨及び/又は前頭骨に覆い被さるように構成されてよい。実施例では、上部側方装着部材2bは、患者の側頭骨に覆い被さらないように構成されてよい。上部側方装着部材2bは、上部側方装着部材2bの遠位端間の距離が上部側方装着部材の近位端間の距離よりも小さくなるように、上方から下方向に見たときに湾曲していてよい。上部側方装着部材の遠位端間の距離は、ヘッドセットを使用しようとする患者の頭部の公称幅の1/2と1/4との間、例えば約1/3であってよい。上部側方装着部材の遠位端は、使用時に、近位端と実質的に同じ高さ(すなわち、上下方向において同じ位置)であってよい。遠位端は、使用時に、患者の眼窩より実質的に上方にあってよく、すなわち、眼窩と前後方向において実質的に同じ位置にあってよい。
【0058】
実例では、中央上部装着部材2cは、使用時に患者の頭頂骨及び/又は前頭骨に覆い被さるように構成されていてよい。中央上部装着部材2cの遠位端は、上部側方装着部材2bの遠位端の後方、例えば、頭頂骨と前頭骨との間の交線のほんの僅かに前方であることが好ましい。
【0059】
実例では、装着部材2の少なくともいくつかは、複数の装着部材部分6を備え、複数の装着部材部分6のそれぞれは、それぞれの回転可能連結手段5によって隣接する装着部材部分6に回転可能に連結されている。例えば、上部装着部材2b、2cは、複数の装着部材部分6を備えていてよい。図示の実施例では、中央上部装着部材2cは2つの装着部材部分6を備え、上部側方装着部材2bは、それぞれ3つの装着部材部分6を備えている。各装着部材部分6は、実質的に剛性が高くてよい。本技術の実例では、装着部材部分の長さは、各装着部材の全長に沿って短くなり、ベース部材に隣接する装着部材部分が最も長くなる。
【0060】
回転可能連結手段5のそれぞれは、装着部材部分6がベース部材1の患者側3に向かって回転するように付勢する付勢手段(例えば、トーションばね)を備えている。使用時、ヘッドセット100が患者の頭部に装着されていないとき、装着部材2は、ベース部材1の患者側3に向かって内側に回転してよい。
【0061】
図3図10に示す実例では、上部装着部材2b、2cは細長く、上部装着部材2b、2cのいずれも他の装着部材2に接触したり、又は連結されたりしていない(装着部材2がベース1によって連結されている限りは除く)。図3図10に示す実例では、各下部側方装着部材2aは、装着部材が2つの別々の箇所でベース部材1に回転可能に連結されるようなループ、例えば実質的に「U」字形のループを備えた単一の部材を備える。下部側方装着部材2aは、使用時にベース部材1から後頭骨及び/又は側頭骨にわたって患者の耳のすぐ後方の位置まで延在するように構成されてよい。一実施例において、各下部側方装着部材の上側部分は、使用時に実質的に水平に延在してよい。
【0062】
次に図6図10を参照すると、いくつかの実施例では、装着部材2の長手方向縁部7、特に患者接触側の縁部は、図8に最も良好に見られるように面取りされているか、又は丸みを帯びている。これにより、装着部材が鋭利な縁部を有することがないことを確実にでき、装着部材が患者の髪の中を容易に移動することを可能にすることを支援することができる。図6に最も良好に見られるように、各装着部材2の端部における縁部8は面取りされていてもよい。
【0063】
特に図6図10に戻って参照すると、装着部材2の少なくとも1つは、少なくとも1つの電極係合手段9、例えば電極マウントを備えている。実例では、各装着部材2は電極係合手段9を備えている。さらなる実例では、各装着部材2は複数の電極係合手段9又は複数の装着部を備えている。実例では、ベース部材1も、少なくとも1つの電極係合手段9を備えている。いくつかの実施例では、電極係合手段9に連結された電極が、国際10-20法に従って配置されるように、電極係合手段9が配置されている。実例では、電極は、位置Fp1、Fp2、F3、Fz、F4、C3、CZ、C4、及びPzの1つ若しくは複数、又はすべてに位置決めされてよい。また、位置A1及びA2は基準及びバイアスとして使用されてよい。実例では、各装着部材部分6は電極係合手段9又は装着部を備えている。
【0064】
各装着部材部分6は、患者側10と非患者側11とを備えてよい。装着部材部分6の患者側10は、図7に見られるように、実質的に凹状の湾曲面12を備えてよい。凹状湾曲面12の湾曲は、患者の頭部の湾曲に実質的に沿っていてよい。実施例では、装着部材部分6の非患者側11は、装着部材部分6が実質的に一定の厚さを有するように、同様の凸状湾曲部13を有していてよい。
【0065】
好ましい実施例では、上記で言及された回転可能連結部のそれぞれは、単一軸のみ、例えば、装着部材の遠位端を実質的に半径方向に移動させる単一軸での回転を可能にし、又は、第2の軸を中心とした回転が可能である場合、回転は非常に限定的である(例えば、約10度以下)ことが好ましく、第2の回転軸は装着部材の長手方向軸と実質的一直線であることが好ましい。実例では、回転可能連結部は、患者の頭部の表面の法線方向の軸を中心とした回転は可能にしない。
【0066】
このように回転可能連結部に横方向の可撓性がないので、装着部材部分6の剛性と合わさって、ヘッドセット100が患者の頭部上に正しく位置決めされたときに、追加の調節を必要とせずに、電極係合手段と係合した電極14が十分な精度で位置決めされることになる。これは、電極を個別に位置決めする必要がある、又は少なくとも使用前に電極位置の調節を必要とすることがあるいくつかの先行技術のシステムよりも、ヘッドセット100が患者の頭部上にはるかに迅速に、はるかに容易に設置されることを意味し得る。好ましい実施例では、ヘッドセット100は、患者が片手のみを使って着脱することができる。
【0067】
実例では、ヘッドセット100は、消毒及び/又は洗浄が容易であるように構成されている。実例では、ヘッドセット100は、液体がヘッドセット100の内部に浸透することなく、清掃及び/又は消毒の間に液体中に完全に浸漬することができるように適合されてよい。
【0068】
実例では、電極係合手段9は、電極14と取外し可能に係合するように構成されており、電極14は使用のたびに、特に異なる患者による使用のたびに容易に取り去り、交換することができる。
【0069】
次に図11及び図12を参照すると、電極14の一実例が電極係合手段9に装着されて示されている。
【0070】
電極14は、患者接触部分15と電気接続部分16とを備えている。患者接触部分15は、使用時に患者の頭皮に係合するように構成された少なくとも1つ、より好ましくは4つの導電性突起17を備える。図示の実施例では、突起17は実質的に円錐台状である。
【0071】
電極14の電気接続部分16は、電極係合手段9の電極接続部分18と電気接続を形成するように構成されている。図示の実施例では、電極14の電気接続部分16は、回転面である外面部分19、好ましくは部分球状キャップを有する。外面部分19は、電極係合手段9の電極接続部分18の相補的な導電面20と係合している。実施例では、電極係合手段9の電極接続部分18は、外面部分19と導電面20との間が確実にしっかりと接触するように、外側に(例えば、電極14に向かって)付勢されてよい。
【0072】
電極係合手段9の電極接続部分18は、EEGヘッドセットの送信手段及び/又は処理手段と電気接続している。そのような送信手段及び/又は処理手段は、ベース部材1内に設けられてよい。追加的又は代替的に、ヘッドセットには、有線接続及び/又は統合データ・ケーブルを受けるための1つ又は複数のポートが設けられてよい。使用時、ヘッドセットはEEGデータをコンピュータ(例えば、デスクトップ・コンピュータ、ノート・パソコン、タブレット又はスマートフォン)に送信することができる。実例では、コンピュータは、適切なニューロフィードバック・プログラム又はニューロフィードバック・アプリケーションを動作させることができる。実例では、データはリアル・タイムで送信されてよい。他の実例では、データの一部又はすべてが、ヘッドセットによって保存されてよい。
【0073】
実施例では、電池もベース部材1内に、好ましくは防水ハウジング内に設けられる。
【0074】
実例では、電極14には、使用時に電極係合手段9の円筒形内壁22と係合するOリング・シール21が設けられて、それによって電極(例えば、電極と電極係合手段の隣接表面との間)を通り過ぎて装着部材の内部に流体が浸入するのを防ぐ。図示の実施例では、Oリング・シール21と電極係合手段9の内壁との間の摩擦は、電極14を電極係合手段9内の所定の位置に保持するのに十分である。しかしながら、以下でさらに説明するように、電極14を所定の位置に固定するために、他の取外し可能な締結手段が設けられてよい。例えば、電極14は、電極係合手段9の相補的なネジ山部分と係合するネジ山部分を備えてよく、又は図19及び図20を参照して後述するように、電極14が電極係合手段9とスナップ・フィット係合で係合してもよい。ネジ係合及びスナップ・フィット係合の両方の実施例において、清掃又は消毒の間に装着手段に流体が入らないことを確実にするために、Oリング又はその他のシールが設けられることが好ましい。
【0075】
代替実施例(図示せず)では、電極係合手段9は、電極14の適切な表面(例えば、円筒形外面)に係合するシール、例えばOリングを備えてよい。
【0076】
次に図13及び図14を参照すると、一実例では、電極14は、高導電性熱可塑性物質で形成されたベース部30を備えてよい。導電性突起17のベース部分31も、熱可塑性物質から形成されてよい。実例では、ベース部30及びベース部分31は、一体的に形成されてよく、例えば一体に成形されてよい。
【0077】
各導電性突起17は、銀シリコン合成品でできた先端32を備えてよい。銀シリコーン先端は、導電性部分17のベース部分31に、例えばオーバーモールドにより連結されている。実例では、先端32は丸みを帯びた端部33を有している。
【0078】
実例では、各導電性突起17は、直径が4mmで、長さが10mmである。図示の例では、各電極14は、5つの導電性突起17を備えてよい。そのような電極は、特に毛髪が濃い中を貫通させるのに適することができる。
【0079】
一形態では、銀シリコンは、
・導電性充填剤(例えば、約10μmのAgフレークを含む)、
・シリコーン・ゴム(例えば、Ecoflex 00-30(登録商標)混合比1:1)、
・溶媒(例えば、4-メチル-2-ペンタノン)
を含む。
【0080】
一形態では、熱可塑性物質は、グラフェン・ポリ乳酸(PLA:PolyLactic Acid)を含む。
【0081】
本技術のいくつかの形態では、銀シリコーン合成品を必要としなくてよく、電極14全体がグラフェンPLAから作られてよい。
【0082】
図13及び図14に例示された実例では、各電極14は5つの導電性突起17を備え、突起17のうちの4つは各列に2つの突起がある2列で配置され、各列における導電性突起間、及び列間は等しい間隔であり、第5の導電性突起17が中央に設けられる。ベース部30は、実質的な円筒形状でも、又は円盤形状でもよい。
【0083】
次に図15及び図16を参照すると、本技術の別形態では、各導電性突起17は、ベース部分31に摺動可能(例えば、伸縮可能)に装着された先端部分32を備えている。導電性突起17は、先端部分32がベース部分31から離れるように、例えば導電性突起17の全長が長くなる方向に付勢する付勢手段(図示せず)、例えばバネを備えていてよい。
【0084】
実例では、導電性突起17の先端32及びベース31は、金被膜(例えば、厚さ0.51μm)でめっきした銅合金で作られてよい。銅と金との間にニッケルの下地(例えば、厚さ2.54μm)が使用されてよい。
【0085】
本技術の一形態では、先端32は、直径が実質的に1.1mm、長さが実質的に5mmである。実例では、導電性突起17の先端32とベース31との間の最大相対移動量(例えば、「ストローク」)は、実質的に3mmである。
【0086】
導電性突起17は、ベース部30に連結されてよい。実例では、ベース部30は、上述したものなどの導電性熱可塑性物質で作られてよい。ベース部30は、導電性突起17のベース31の周囲にオーバーモールドされてよい。
【0087】
実例では各電極14は16個の導電性突起17を備えている。導電性突起17のグループ34の先端32は、例えば連結部材35によってまとめて連結されてよく、連結部材35は、所定のグループ34の先端32のすべてが一緒に動くように、同様に熱可塑性物質で作られてよい。図15及び図16に示す実例では、先端32は4つのグループ34にグループ化されており、各グループ34には4つの導電性突起17があり、先端32の各グループ34は2つずつの2列で配置され、各列の導電部分間、及び列間は等しい間隔である。このように先端32をグループ化することにより、先端32が損傷しにくくなり、ベース部分31に対して先端32が詰まる可能性を低減し得る。グループ化は、頭皮への快適な圧力分散も可能にする。導電部分1の4つのグループ34は、それ自体が各列に2つのグループがある2列で配置されてよい。
【0088】
次に図17図20を参照すると、本技術の一形態では、ベース部30及び導電性突起17は、カーボン・ナノチューブ・シリコンで作られている。実例では、導電性突起17の先端32は、導電性コーティング、例えば銀/塩化銀(Ag/AgCl)で塗装又はその他の方法でコーティングされている。Ag/AgClコーティングは、頭皮のイオン電流を電極の電流に変換することにより、皮膚/電極間の導電性を促進し、これにより高い信号対雑音比が得られる。
【0089】
実例では、電極14は、16個の導電性突起17を備えてよい。導電性突起17は、10個の導電性突起17を備えた外輪と、5個の導電性突起を備えた同心の内輪を形成し、2つの輪の中心にさらに導電性突起を備えるように配置されてよい。各輪を形成している導電性突起は、等間隔であってよい。
【0090】
次に特に図19及び図20を参照すると、一実例では、電極14は、電極係合手段9の接続部分18とスナップ・フィット連結で係合するように構成された係合部36、又は実例のボスを備えてよい。そのようなスナップ・フィット電極係合手段は市販されており、当業者に知られている。接続部分18は、上述したようにEEGヘッドセットの送信手段及び/又は処理手段と電気接続している。
【0091】
次に図21及び図22を参照すると、回転可能連結手段5の実例が示されている。回転可能連結手段5は、ヒンジ形成部25によって第2の係合部分24に連結された第1の係合部分23を備えている。使用時には、各係合部分23、24は、装着部材2a~2c、装着部材部分6、又はベース部材1と係合する。図示の実施例では、各係合部分23、24は、装着部材、装着部材部分6又はベースの、相補的な窪み27又は突起とスナップ・フィットで係合するリブ26を備えている。そのような窪み27の実例は、図11及び図12において見ることができる。図示の実施例では、各スナップ・フィット連結は取外し可能である。
【0092】
実例では、回転可能連結手段5は、ヒンジ形成部25と係合部分23、24の少なくとも一部とを取り囲む可撓性スリーブ28を備えている。可撓性スリーブ28は、シリコーン又はゴムなどの実質的に不浸透性の可撓性材料で作られてよい。図示の実施例では、スリーブは透明である。回転可能連結手段5が設置されたとき、それが係合される装着部材、装着部材部分、又はベース部材の内面が、好ましくは締り嵌めタイプ又はクランピング・タイプの嵌合で、可撓性スリーブ28の外側と係合する。このように、スリーブ28は、装着部材2a~2c、装着部材部分6、又はベース部材1に(例えば、清掃中に)水が浸入するのを防ぐか、又は少なくとも抑制し、またヒンジ形成部に患者の髪がからむことを防止する。
【0093】
次に図23及び図24を参照すると、いくつかの実例では、回転可能連結手段5は、第2の軸LSを中心に、例えば約10°の限定的な回転を可能にするように構成されてよい。第2の回転軸は、患者の頭蓋骨に対する接線であることが好ましい。実例では、第2の軸は回転の第1の軸LPと実質的に直交していてよい。
【0094】
第2の回転軸は、装着部材の長手方向軸と実質的に一直線であってよい。第2の軸を中心とした回転が可能であることにより、電極と患者の頭蓋骨との間の接触をより良好にすることができる。
【0095】
次に図25図30を参照すると、本技術のヘッドセット100の別の実例が示されている。これらの図に示す実例では、上部側方装着部材2bは、上部側方装着部材の遠位端間の距離が、上部側方装着部材の近位端間の距離とほぼ等しくなるように、構成されている。
【0096】
さらに、各下部側方装着部材2aは、図3図10の実例に示すように複数箇所において連結されたU字型部材ではなく、単一箇所でベース部材1に連結された細長い部材を備える。下部側方装着部材2aは、図29に最も良好に見られるように、使用時に、ベース部材1から患者の耳の後方、例えば乳様突起の下方の位置まで下方に傾斜するように構成されてよい。
【0097】
次に図31及び図32を参照すると、本発明の一形態による回転可能連結手段5の別の実例が示されている。回転可能連結手段5は、装着部材2a~2c、装着部材部分6、又はベース部材1の、突出部分38が係合する窪みを備えて、回転可能連結手段5を装着部材2a~2c、装着部材部分6、又はベース部材1に連結する。そのような突出部分38の一実例を図19及び図20に示す。突出部分38は、装着部材2a~2c、装着部材部分6、又はベース部材1の、内壁39から離れる方向に突出しているが、装着部材の外側には突出していない。
【0098】
使用時に、突出部分38の少なくとも先端40は、回転可能連結手段5を装着部材2a~2c、装着部材部分6、又はベース部材1と係合するために、窪み37とスナップ・フィットで係合する。図示の実例では、窪み37は、回転可能連結手段におけるチャネル形成部41のベースに設けられている。実例では、回転可能連結手段5の両端に窪み37が設けられている。
【0099】
回転可能連結手段には、上述したように、可撓性スリーブ28が設けられてよい。図33に示すように、一実施例では、回転可能連結手段5は、図23及び図24に示す実例と同様に、第2の軸LSを中心に回転するように構成されてよい(ただし、そのような回転は約10度に制限されてよい)。
【0100】
文脈上明らかに別の意味である必要がない限り、本説明及び特許請求の範囲を通じて、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」などの用語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的な包括的な意味で、すなわち、「含むが限定的ではない」という意味で解釈されるべきである。
【0101】
上記及び下記に記載したすべての出願、特許及び公開文書の全開示は、もしあれば、参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
本明細書における先行技術への参照は、その先行技術が世界のいずれの国の努力傾注分野においても技術常識の一部を形成していることを認める又は示唆を与えるものでもなく、そのように解釈するべきではない。
【0103】
また、本発明は、大枠では、本出願明細書で言及された、又は示された部分、要素、及び特徴で、個別に、又は集合的に、部分、要素、又は特徴のうちの2つ以上の任意の又はすべての組合せにおいて、構成されると言うことができる。
【0104】
前述の説明の中で、知られている均等物を有する完全体又は構成要素に言及した場合、それらの完全体は、個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0105】
本明細書で説明された現在好ましい実施例に対する様々な変更及び修正は、当業者にとって明らかであろうことに留意されたい。そのような変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、付帯する利点を損なうことなく行うことができる。したがって、そのような変更及び修正が本発明の範囲内に含まれることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【手続補正書】
【提出日】2021-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に患者の頭頂骨及び/又は後頭骨の少なくとも一部分にわたって位置するように構成されたベース部材を備えたEEGヘッドセットであって、前記ベース部材が患者側と非患者側とを備え、前記ヘッドセットが複数の装着部材をさらに備え、前記複数の装着部材は、
1対の下部側方装着部材と、
1対の上部側方装着部材と、
中央上部装着部材と
を備え、
各装着部材が、それぞれの回転可能連結手段によって前記ベース部材に回転可能に連結され、各回転可能連結手段が、前記装着部材を前記ベース部材の前記患者側に向かって回転するように付勢する付勢手段を備え、前記装着部材が、使用時に患者の頭部上に前記ヘッドセットを維持するように形付けられ、且つ構成され、前記装着部材の少なくとも1つが、使用時に電極を係合するための電極係合手段を備えた、EEGヘッドセット。
【請求項2】
各装着部材が少なくとも1つの電極係合手段を備えている、請求項1に記載のEEGヘッドセット。
【請求項3】
使用時に、前記電極係合手段と係合された電極が国際10-20法に従って配置されるように、前記電極係合手段が配置されている、請求項1又は2に記載のEEGヘッドセット。
【請求項4】
各下部側方装着部材が、使用時に前記患者の後頭骨及び/又は側頭骨の少なくとも一部分に覆い被さるように構成されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項5】
各下部側方装着部材が、使用時に前記ベースから前記患者の耳のすぐ後方の位置まで延在するように構成されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項6】
各上部側方装着部材は、複数の上部側方装着部材部分を備え、各上部側方装着部材部分が、隣接する上部側方装着部材部分に回転可能に連結されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項7】
各上部側方装着部材が、前記ベース部材の患者側に向かって回転するように付勢されている、請求項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項8】
各上部側方装着部材が3つの上部側方装着部材部分を備えている、請求項又はに記載のEEGヘッドセット。
【請求項9】
各上部側方装着部材が、使用時に前記患者の頭頂骨及び/又は前頭骨の少なくとも一部分に覆い被さるように構成されている、請求項1から8までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項10】
各上部側方装着部材が、使用時に前記患者の側頭骨に覆い被さらないように構成されている、請求項からまでのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項11】
前記上部側方装着部材のいずれも、他の装着部材に連結されていない、請求項から10までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項12】
前記中央上部装着部材が、他の装着部材に連結されていない、請求項1から11までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項13】
前記中央上部装着部材が、複数の中央上部装着部材部分を備え、各中央上部装着部材部分が、隣接する中央上部装着部材部分に回転可能に連結されている、請求項1から12までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項14】
各中央上部装着部分が、前記ベース部材の患者側に向かって回転するように付勢されている、請求項13に記載のEEGヘッドセット。
【請求項15】
前記中央上部装着部材が、2つの中央上部装着部材部分を備えている、請求項13又は14に記載のEEGヘッドセット。
【請求項16】
前記中央上部装着部材が、使用時に前記患者の頭頂骨及び/又は前頭骨の少なくとも一部分に覆い被さるように構成されている、請求項1314、又は15に記載のEEGヘッドセット。
【請求項17】
各前記装着部材部分が、実質的に剛性が高い、請求項、又は13に記載のEEGヘッドセット。
【請求項18】
各回転可能連結手段が、前記回転可能連結手段が係合された前記装着部材、前記装着部材部分、及び/又は前記ベース部材に流体が浸入するのを抑制又は防止するように構成された可撓性の不浸透性スリーブを備えている、請求項1から17までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項19】
各回転可能連結手段が、単一軸のみを中心とした回転を可能にする、請求項1から18までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項20】
各装着部材が患者側と非患者側とを有し、前記患者側が、実質的に凹状湾曲部を画定している、請求項1から19までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項21】
前記凹状湾曲部が、使用時に前記患者の頭部の表面に実質的に沿っている、請求項20に記載のEEGヘッドセット。
【請求項22】
各装着部材が、その前記患者側に、面取りした長手方向縁部を備えている、請求項20又は21に記載のEEGヘッドセット。
【請求項23】
各装着部材が、その前記患者側に、面取りした遠位縁部を備えている、請求項22に記載のEEGヘッドセット。
【請求項24】
各装着部材が少なくとも1つの電極係合手段を備えている、請求項1から23までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項25】
前記ヘッドセットが、無線通信手段及び/又は有線通信手段を備えている、請求項1から24までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項26】
EEGヘッドセットであって、ベース部材と、使用時に患者の頭部上の必要な位置に前記ヘッドセットを保持するように構成された複数の装着部材とを備え、各装着部材が、電極を取外し可能に係合するための少なくとも1つの電極係合手段を備え、前記電極及び/又は前記電極係合手段が、前記電極を通り過ぎて前記装着部材の内部に水が浸入するのを抑制又は防止するように構成されたシールを備えており、
前記装着部材の少なくとも1つは、回転可能連結部材によって前記ベースに回転可能に連結されており、
前記回転可能連結部材は、可撓性シール構成要素を備え、前記可撓性シール構成要素は、前記装着部材および前記ベースを封止して係合して、それによって前記装着部材部分の内部に水が浸入するのを防止又は抑制するように構成されている、EEGヘッドセット。
【請求項27】
各電極が、前記電極係合手段の内壁と係合するシールを備えている、請求項26に記載のEEGヘッドセット。
【請求項28】
前記シールがOリング・シールである、請求項27に記載のEEGヘッドセット。
【請求項29】
前記装着部材の少なくとも1つが複数の装着部材部分を備え、各装着部材部分が、回転可能連結部材によって隣接する装着部材部分に回転可能に連結され、各回転可能連結部材が、前記それぞれの隣接する装着部材部分を封止して係合して、それによって前記装着部材部分の内部に水が浸入するのを防止又は抑制するように構成された可撓性シール構成要素を備えている、請求項26から28までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【請求項30】
前記ヘッドセットが、無線通信手段及び/又は有線通信手段を備えている、請求項26から29までのいずれか一項に記載のEEGヘッドセット。
【国際調査報告】