(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】エチレン/α-オレフィンインターポリマー及びポリエステルを含む複合繊維
(51)【国際特許分類】
D01F 8/06 20060101AFI20230609BHJP
D01F 8/14 20060101ALI20230609BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20230609BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20230609BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
D01F8/06
D01F8/14 Z
C08L23/08
C08L23/06
C08L77/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562926
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 US2021030894
(87)【国際公開番号】W WO2021226240
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ、アカンクシャ
(72)【発明者】
【氏名】リン、イーチャン
(72)【発明者】
【氏名】ストイリコヴィッチ、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン、ジョン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダン、ジョゼフ ジェイ.アイ.
(72)【発明者】
【氏名】アルテガ ラリオス、ファブリシオ
【テーマコード(参考)】
4J002
4L041
【Fターム(参考)】
4J002BB03X
4J002BB05W
4J002BB15W
4J002CF06Y
4J002CF07Y
4J002GK01
4L041BA02
4L041BA05
4L041BA09
4L041BA22
4L041BD11
4L041CA05
4L041CA10
4L041CA41
4L041CA42
4L041CA43
4L041DD18
(57)【要約】
曲率を改善した複合繊維を提供する。複合繊維は第1のポリマー領域又は第1の領域、及び第2のポリマー領域又は第2の領域を含む。本開示の実施形態による第1の領域は、エチレン/α-オレフィンインターポリマーを含み、0.1200を超える光散乱累積検出部分(CDF
LS)を有する。このCDF
LSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(low angle laser light scattering、LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。第2の領域はポリエステルを含む。複合繊維は不織布を形成するために使用することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合繊維であって、
繊維重心と;
第1の重心を有する第1の領域と第2の重心を有する第2の領域と;を含み、
前記第1の領域は、前記第1の領域の総重量に基づき少なくとも50重量パーセントの量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーと、前記第1の領域の総重量に基づき0~40重量パーセントの低密度ポリエチレンと、を含み;
前記第1の領域は、0.1200を超える光散乱累積検出部分(CDF
LS)を有し、前記CDF
LSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算され;
前記第2の領域は、ポリエステルを含み;
前記第1の重心及び前記第2の重心のうち少なくとも1つは、前記繊維重心と同一ではない、複合繊維。
【請求項2】
前記第1の領域が、0.0100を超える赤外線累積検出部分(CDF
IR)を有し、前記CDF
IRは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、350,000g/mol以上の分子量であるIR5測定チャネル(IR)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項3】
前記エチレン/α-オレフィンインターポリマーが、0.910~0.964g/cm
3の範囲の密度、及び10~60g/10分の範囲の、ASTM D1238に従い、190℃、2.16kgで測定されたメルトインデックス(I2)を有する、請求項1~2のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項4】
前記第1の領域が、3.35を超える数平均分子量に対する重量平均分子量の比(M
w(GPC)/M
n(GPC))として表される分子量分布を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項5】
前記第1の領域が、前記第1の領域の総重量に基づき、10~30重量パーセントの低密度ポリエチレンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項6】
前記第1の領域及び前記第2の領域が、サイドバイサイド又は分割円構成で配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項7】
前記第1の領域及び前記第2の領域が、偏心芯鞘構成で配置され、前記第1の領域が前記複合繊維の鞘であり、前記第2の領域が前記複合繊維の芯であり、前記鞘領域が前記芯領域を取り囲む、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項8】
前記第2の領域に対する前記第1の領域の重量比が、90:10~10:90である、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項9】
前記複合繊維の前記曲率が、少なくとも1.10mm
-1である、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項10】
請求項1~10のいずれか一項に記載の複合繊維を含む不織布。
【請求項11】
複合繊維であって、
繊維重心と;
第1の重心を有する第1の領域と第2の重心を有する第2の領域と;を含み、
前記第1の領域は、前記第1の領域の総重量に基づき少なくとも50重量パーセントの量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーと、前記第1の領域の総重量に基づき0~40重量パーセントの低密度ポリエチレンと、を含み;
第2の領域は、ポリエステルを含み;
前記第1の重心及び前記第2の重心のうち少なくとも1つは、前記繊維重心と同一ではなく、
前記繊維は、0.1600を超える光散乱累積検出部分(CDF
LS)を有し、前記CDF
LSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される、複合繊維。
【請求項12】
前記繊維が、0.0125を超える赤外線累積検出部分(CDF
IR)を有し、前記CDF
IRは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、350,000g/mol以上の分子量であるIR5測定チャネル(IR)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される、請求項12に記載の複合繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は概して、エチレン/α-オレフィンインターポリマー及びポリエステルを含み、曲率を有する複合繊維及び繊維を含む不織布に関する。
序論
【0002】
複合繊維は、同一のフィラメント又は繊維内に含有されている2つの異なるポリマー組成物から作製され、同一の紡糸口金から押し出された繊維である。繊維が紡糸口金を離れるときには繊維は未混合成分からなっており、これらは界面で溶融している。2つのポリマー組成物は、その化学的特性及び/又は物理的特性が異なり得る。複合繊維は、当該技術分野で知られている従来の紡糸技術によって形成することができ、不織布を形成するためにこれを使用することができる。不織布には、例えばフィルタ、医療用途での使い捨て材料及びおむつ用原料といった多数の用途がある。不織布の重量を減少させる、又は不織布の他の好都合な特性(例えば、かさばり)を得やすくするため、曲率を有する複合繊維が使用され得る。ただし、曲率が増加した複合繊維を得ることに関する課題、及び曲率を改善しつつも例えば紡糸性、剛性及び引張強度といった他の好都合な特性を改善することに関する課題が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、不織布を形成するために使用することができ、かつ紡糸性、剛性及び引張強度といった他の特性を維持又は改善しながらも、ある側面では独特かつ驚くほど高い曲率を有する不織布を形成するために使用することができる複合繊維を提供する。本開示の実施形態による複合繊維はそれぞれ、第1のポリマーを含む第1のポリマー領域及び第2のポリマーを含む第2のポリマー領域をそれぞれ含むが、これらの領域は繊維の曲率が改善する一因となる。具体的には、本開示の実施形態による複合繊維は、柔らかさを提供することができる、エチレン/α-オレフィンインターポリマーを含む第1のポリマー領域又は第1の領域と、高い引張強度、剛性及び紡糸性を提供することができるポリエステルを含む第2のポリマー領域又は第2の領域と、を含む。本明細書に開示されている繊維の曲率の改善は、熱風を用いた細長化又は張力を加えるといった、機械的捲縮又は押出後プロセスの結果ではない。
【0004】
本明細書には複合繊維が開示されている。実施形態では、複合繊維は繊維重心と;第1の重心を有する第1の領域と第2の重心を有する第2の領域と;を含み、第1の領域は、第1の領域の総重量に基づき少なくとも50重量パーセントの量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーと、第1の領域の総重量に基づき0~40重量パーセントの低密度ポリエチレンと、を含み、第1の領域は、0.1200を超える光散乱累積検出部分(CDFLS)を有し、このCDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(low angle laser light scattering、LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算され;第2の領域は、ポリエステルを含み、第1の重心及び第2の重心のうち少なくとも1つは、繊維重心と同一ではない。
【0005】
更なる実施形態では、複合繊維が開示されるが、この繊維は、0.1600を超える光散乱累積検出部分(CDFLS)を有し、このCDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。かかる実施形態では、複合繊維は繊維重心を含み;第1の重心を有する第1の領域と第2の重心を有する第2の領域と;を含み、第1の領域は、第1の領域の総重量に基づき少なくとも50重量パーセントの量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーと、第1の領域の総重量に基づき0~40重量パーセントの低密度ポリエチレンと、を含み、第2の領域は、ポリエステルを含み;第1の重心及び第2の重心のうち少なくとも1つは、繊維重心と同一ではなく、この繊維は、0.1600を超える光散乱累積検出部分(CDFLS)を有し、このCDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。
【0006】
本明細書にはまた、複合繊維を含む不織布も開示されている。実施形態では、不織布は複合繊維を含み、複合繊維は繊維重心を含み;第1の重心を有する第1の領域と第2の重心を有する第2の領域と;を含み、第1の領域は、第1の領域の総重量に基づき少なくとも50重量パーセントの量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーと、第1の領域の総重量に基づき0~40重量パーセントの低密度ポリエチレンと、を含み、第1の領域は、0.1200を超える光散乱累積検出部分(CDFLS)を有し、このCDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算され;第2の領域は、ポリエステルを含み、第1の重心及び第2の重心のうち少なくとも1つは、繊維重心と同一ではない。
【0007】
実施形態の追加の特徴及び利点は、後に続く発明を実施するための形態で述べられ、その記述から当業者にとって容易に部分的に明らかになるか、後に続く詳細な記述、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む本明細書に記載される実施形態を実践することによって、認識されるであろう。
【0008】
上記及び以下の記述の両方は、様々な実施形態を記載し、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面には、種々の実施形態の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】偏心芯鞘複合繊維の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の断面画像である。
【0010】
【
図2】実施例で使用されている開発用樹脂に対応する反応器流の供給データフローの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示されている複合繊維の態様は、以下に更に詳細に説明される。曲率が増加した複合繊維は不織布を形成するために使用され得るが、こうした不織布には多種多様の用途がある。ただし、これは本明細書に開示されている実施形態の例示的な実装に過ぎないことに留意されたい。実施形態は、上記課題と類似の課題にも許容可能な他の技術にも適用可能である。
【0012】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」といった用語及びこれらの派生語は、同一のものが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、追加成分、工程又は手順のいずれかの存在を排除しようと意図したものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意の以降の記述の範囲から任意の他の成分、工程、又は手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に描写又は列記されていない任意の成分、工程、又は手順を除外する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」といった用語は、少なくとも2種類の異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがってインターポリマーは、コポリマー(異なる2種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために使用される)及び3種類以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを含む。
【0014】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」といった用語は、同じ種類又は異なる種類のいずれかのモノマーを重合することで調製される高分子化合物を意味する。したがってこの用語は、ホモポリマー(1種類のみのモノマーから調製されるポリマーであるが、微量の不純物がポリマー構造に導入される可能性があることを理解されたい)といった用語、及び上記インターポリマーといった用語を包含する。微量の不純物(例えば、触媒残渣)は、ポリマー中及び/又はポリマー内に導入される場合がある。ポリマーは、単一のポリマー又はポリマーブレンドであってもよい。
【0015】
本明細書で使用される場合、「ポリオレフィン」といった用語は、例えばエチレン又はプロピレンといった(ポリマーの重量に基づき)大半のオレフィンモノマーを重合した形態で含み、任意には1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「ポリエステル」といった用語は、ポリカルボン酸、又はその無水物、又は少なくとも1種類のカルボン酸と例えばジオール、トリオール又は他のポリオールといった少なくとも1種類の多官能アルコールとを含むヒドロキシ(-OH)含有材料の反応から作製されるポリマーを指し、したがってその反応生成物は、2個以上のエステル基を有し、多官能アルコールそれ自体は、平均して2個以上のヒドロキシ基を有する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「不織布(nonwoven)」、「不織ウェブ」、及び「不織布(nonwoven fabric)」という用語は、本明細書で互換的に使用される。「不織布」とは、編まれた布地の場合のように識別可能な方法ではなく、ランダムに挟まれた個々の繊維又は糸の構造を有するウェブ又は布地を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「曲率」といった用語は、個々の繊維の屈曲又は捲縮を指す。これは繊維の組成の結果であって、繊維の屈曲又は捲縮に影響を与え得るいずれかの押出後プロセス(例えば、機械的捲縮又は熱による細長化)の結果ではない。本明細書に開示されている複合繊維の曲率量は、以下に記載される試験方法に従って測定することができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「スパンボンド」といった用語は、以下の工程:(a)紡糸口金と呼ばれる複数の微細な細孔から溶融した熱可塑性ストランドを押し出す工程;(b)溶融ストランドの凝固を促進するため、概ね冷却されている空気流でストランドを急冷する工程;(c)ストランドを空気流に空気圧で引き込むこと、又は紡織繊維産業で一般的に使用される種類の機械的延伸ローラの周りにストランドを巻き取ること、のいずれかで印加され得る延伸張力を用い、ストランドを急冷区域に通して前進させることでストランドを細長くする工程;(d)例えば動式スクリーン又は多孔質ベルトといった細孔付き表面上のウェブに延伸させたストランドを収集する工程;及び(e)緩いストランドのウェブを不織布へと結合させる工程、を含む不織布の製造を指す。結合は、熱カレンダプロセス、接着結合プロセス、熱風結合プロセス、ニードルパンチプロセス、水流交絡プロセス、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されない、様々な手段によって達成することができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「メルトブローン」といった用語は、以下の工程:(a)紡糸口金から溶融した熱可塑性ストランドを押し出す工程;(b)高速の熱風流を使用し、紡糸口金直下でポリマー流を急冷させ、同時に細長くする工程;(c)延伸したストランドを収集面上のウェブへと収集する工程、を一般に含むプロセスによる不織布の製造を指す。自己結合、すなわち、更なる処理のない自己結合、熱カレンダプロセス、接着結合プロセス、熱風結合プロセス、ニードルパンチプロセス、水流交絡プロセス、及びこれらの組合せを含むがこれらに限定されない様々な手段によってメルトブローンウェブを接着することができる。
繊維
【0021】
本開示の実施形態による複合繊維は、例えば溶融紡糸といった異なる技術によって繊維へと形成することができる。溶融紡糸では、第1の領域及び第2の領域を溶融して共押し出しし、金属板の微細なオリフィスである紡糸口金に通してこれらを空気又は他の気体中へと押し込むことができる。ここで複合繊維を形成するため、共押し出しした領域を冷却して凝固させる。凝固したフィラメントは、エアジェット、回転ロール又はゴデットによって引き抜くことができ、不織布を形成するためにウェブとしてコンベアベルト上に置くことができる。本明細書に開示されている複合繊維を含む不織布は、異なる技術によって形成することができる。例えば、一実施形態では、本明細書に開示されている複合繊維を含むスパンボンド不織布を形成することができる。他の実施形態では、本明細書に開示されている複合繊維を含むメルトブローン不織布を形成することができる。
【0022】
本明細書に開示されている複合繊維は曲率が改善している。本明細書に説明される実施形態では、複合繊維は少なくとも1.10mm-1の曲率を有する。複合繊維の曲率は、以下に説明される試験方法に従って測定することができる。少なくとも1.10mm-1の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれている。例えばいくつかの実施形態では、以下に説明される試験方法に従い測定される場合、複合繊維は少なくとも1.20、1.30、1.40又は1.50mm-1の曲率を有することができる。他の実施形態では、以下に説明される試験方法に従い測定される場合、複合繊維は、1.10~6.00、1.10~5.00、1.10~4.00、1.10~3.00、1.10~2.00、1.10~1.90、1.20~6.00、1.20~5.00、1.20~4.00、1.20~3.00、1.20~2.00、1.30~6.00、1.30~5.00、1.30~4.00、1.30~3.00、1.30~2.00、1.40~6.00、1.40~5.00、1.40~4.00、1.40~3.00、1.40~2.00、1.50~6.00、1.50~5.00、1.50~4.00、1.50~3.00、又は1.50~2.00mm-1の範囲の曲率を有することができる。
【0023】
実施形態では、複合繊維は第1の領域と第2の領域とを含み、第2の領域に対する第1の領域の重量比は90:10~10:90である。比90:10~10:90の値の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれる。例えば、実施形態では、第2の領域に対する第1の領域の重量比は、90:10~10:90、80:20~20:80、70:30~30:70、60:40~40:60、又は55:45~45:55である。
【0024】
実施形態では、複合繊維は、0.1500を超える光散乱累積検出部分(CDFLS)を有する。このCDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。0.1600を超えるCDFLSの個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれる。例えばいくつかの実施形態では、複合繊維は、0.1600を超え、0.2000を超え、0.2200を超え、0.2400を超え、又は0.2600を超えるCDFLSを有することができ、このCDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。他の実施形態では、複合繊維は、0.1500~0.5000、0.1600~0.5000、0.2000~0.5000、0.2500~0.5000、0.3000~0.5000、0.1600~0.4500、0.2000~0.4500、0.2500~0.4500、0.3000~0.4500、0.2000~0.4000、0.2500~0.4000、0.2000~0.3500、又は0.2500~0.3500の範囲のCDFLSを有することができ、CDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。
【0025】
実施形態では、複合繊維は、0.0100を超える赤外線累積検出部分(CDFIR)を有し、CDFIRは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、350,000g/mol以上の分子量であるIR5測定チャネル(IR)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。0.0100を超えるCDFIRの個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれる。例えばいくつかの実施形態では、複合繊維は、0.0150を超え、0.0200を超え、又は0.0225を超えるCDFIRを有し、この場合、CDFIRは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、350,000g/mol以上の分子量であるIR5測定チャネル(IR)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算され得る。他の実施形態では、複合繊維は、0.0100~0.1500、0.0100~0.1300、0.0100~0.1100、0.0100~0.0900、0.0100~0.0700、0.0100~0.0500、0.0100~0.0400、0.0200~0.1500、0.0200~0.1300、0.0200~0.1100、0.0200~0.0900、0.0200~0.0700、0.0200~0.0500、0.0200~0.0300、0.0300~0.1500、0.0300~0.1300、0.0300~0.1100、0.0300~0.0900、0.0300~0.0700、0.0300~0.0500、又は0.0300~0.0400の範囲のCDFIRを有することができ、CDFIRは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、350,000g/mol以上の分子量であるIR5測定チャネル(IR)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。
重心
【0026】
実施形態では、複合繊維は繊維重心と、第1の重心を有する第1の領域と、第2の重心を有する第2の領域と、を含み、第1の重心及び第2の重心のうち少なくとも1つは、繊維重心と同一ではない。
【0027】
本明細書で使用される場合、「重心」といった用語は、複合繊維の断面領域の点全ての算術平均を指す。例えば、本開示の実施形態による複合繊維は、C
fとして称され得る繊維重心を有し、また、複合繊維の領域(例えば、第1の領域又は第2の領域)は、C
rxとして称され得る独立した重心を有し、xは領域の名称であり(例えば、第1の領域は、C
r1として称されてよく、第2の領域は、C
r2として称されてよい)、「r」は、C
fから複合繊維の外面までの平均距離であり、これは
【数1】
として計算され、式中、Aは複合繊維の断面領域である。
図1は、複合繊維及びその重心、並びに複合繊維の第2の領域の重心を示す。領域の重心から繊維重心までの距離は、「P
rx」として画定することができ、繊維重心に対する第1の重心又は第2の重心の重心オフセットは、「P
rx/r」として画定することができる。
【0028】
実施形態では、第1の重心及び第2の重心のうち少なくとも1つは、繊維重心と同一ではない。第1の重心又は第2の重心が繊維重心と異なっている場合、複合繊維は例えば偏心芯鞘又はサイドバイサイドといった異なる構成を有することができるが、繊維重心、第1の重心及び第2の重心が同一である同心構成(例えば、芯鞘同心構成)を有することはできない。実施形態では、第1の領域の第1の重心及び第2の領域の第2の重心は、第1の領域及び第2の領域がサイドバイサイド構成であるように配置される。他の実施形態では、第1の領域の第1の重心及び第2の領域の第2の重心は、第1の領域及び第2の領域が分割円構成であるように配置される。更なる実施形態では、第1の領域の第1の重心及び第2の領域の第2の重心は、第1の領域及び第2の領域が偏心芯鞘構成にあるように配置される。この場合、第1の領域が複合繊維の鞘であり、第2の領域が複合繊維の芯領域であり、鞘領域が芯領域を取り囲む。
【0029】
実施形態では、第1の重心又は第2の重心は、少なくとも0.1、又は少なくとも0.2、又は少なくとも0.4であり、1未満、又は0.9未満だけ繊維重心からオフセットしている。オフセットは以下に説明される試験方法に従って測定される。
第1の領域及びエチレン/α-オレフィンインターポリマー
【0030】
実施形態では、複合繊維の第1の領域は、第1の領域の総重量に基づき、少なくとも50重量パーセント(重量%)の量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含む。
【0031】
「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」という用語は、概して、エチレンと、3個以上の炭素原子を有するα-オレフィンとを、含むポリマーを指す。第1の領域のエチレン/α-オレフィンインターポリマーは、(重合可能なモノマーの総量に基づき)エチレンに由来する70重量%超のユニット及び1つ以上のα-オレフィンコモノマーに由来する30重量%未満のユニットを含む。エチレンに由来する70重量%を超えるユニットの個々の全ての値及び部分範囲、並びに1つ以上のα-オレフィンコモノマーに由来する30重量%未満のユニットが、本明細書に含まれ、かつ開示されている。例えば、1つ以上の実施形態では、エチレン/αオレフィンインターポリマーのいずれか又は両方は、(a)75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、99.5重量%以上、70重量%~99重量%、70重量%~97重量%、70重量%~94重量%、70重量%~90重量%、70重量%~99.5重量%、70重量%~99重量%、70重量%~97重量%、70重量%~94重量%、80重量%~99.5重量%、80重量%~99重量%、80重量%~97重量%、80重量%~94重量%、80重量%~90重量%、85重量%~99.5重量%、85重量%~99重量%、85重量%~97重量%、88重量%~99.9重量%、88重量%~99.7重量%、88重量%~99.5重量%、88重量%~99重量%、88重量%~98重量%、88重量%~97重量%、88重量%~95重量%、88重量%~94重量%、90重量%~99.9重量%、90重量%~99.5重量%、90重量%~99重量%、90重量%~97重量%、90重量%~95重量%、93重量%~99.9重量%、93重量%~99.5重量%、93重量%~99重量%、又は93重量%~97重量%のエチレンから誘導される単位と、(b)30重量パーセント未満、例えば25重量パーセント未満、又は20重量パーセント未満、18重量%未満、15重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1~20重量%、0.1~15重量%、0.1~12重量%、0.1~10重量%、0.1~8重量%、0.1~5重量%、0.1~3重量%、0.1~2重量%、0.5~12重量%、0.5~10重量%、0.5~8重量%、0.5~5重量%、0.5~3重量%、0.5~2.5重量%、1~10重量%、1~8重量%、1~5重量%、1~3重量%、2~10重量%、2~8重量%、2~5重量%、3.5~12重量%、3.5~10重量%、3.5~8重量%、3.5~7重量%、又は4~12重量%、4~10重量%、4~8重量%、又は4~7重量%の1つ以上のα-オレフィンコモノマーから誘導される単位と、を含み得る。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術などの任意の好適な技術を使用して、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,498,282号に記載される13C NMR分析によって測定され得る。
【0032】
好適なα-オレフィンコモノマーは、典型的には20個以下の炭素原子を有する。1つ以上のα-オレフィンは、C3~C20アセチレン性不飽和モノマー及びC4~C18ジオレフィンからなる群から選択され得る。例えば、α-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子又は3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、及び4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されることはない。1つ以上のα-オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択され得るか、又は代替的には、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から、又は代替的には、1-ヘキセン及び1-オクテンからなる群から選択され得る。1つ以上の実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーの各々は、1-オクテン、1-ヘキセン、又は1-ブテンコモノマーのうちの1つ以上から誘導される単位を0重量%超~30重量%未満含み得る。
【0033】
上に記載されるように、第1の領域は、第1の領域の総重量に基づき、少なくとも50重量パーセントの量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含む。第1の領域の総重量に基づき、少なくとも50重量パーセント(重量%)の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示されている。例えば1つ以上の実施形態では、第1の領域は、第1の領域の総重量に基づき、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、又は少なくとも99.9重量%の量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含む。他の実施形態では、第1の領域は、複合繊維の第1の領域の総重量に基づき、50~60重量%、50~70重量%、50~80重量%、50~90重量%、50~99重量%、50~100重量%、60~70重量%、60~80重量%、60~90重量%、60~99重量%、60~100重量%、70~80重量%、70~90重量%、70~99重量%、70~100重量%、80~90重量%、80~99重量%、90~99重量%、及び90~100重量%の量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーを含む。
【0034】
実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、0.910~0.964g/cm3の範囲の密度を有する。0.910~0.964g/cm3の範囲の密度の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれている。例えばいくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、密度がASTM D792に従って測定することができる場合、0.910~0.964、0.910~0.960、0.920~0.960、0.930~0.960、0.940~0.960、0.950~0.960、0.910~0.950、0.920~0.950、0.930~0.950、0.940~0.950、0.910~0.940、0.920~0.940、0.930~0.940、0.910~0.930、0.920~0.930、又は0.910~0.920g/cm3の範囲の密度を有することができる。
【0035】
実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、10~60g/10分の範囲の、ASTM D1238に従い、190℃、2.16kgで測定されたメルトインデックス(I2)を有する。10~60g/10分の個々の全ての値及び部分範囲は、本明細書に含まれ、開示されている。例えばいくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、メルトインデックス(I2)がASTM D1238に従い、190℃、2.16kgで測定され得る場合、10~60g/10分、10~50g/10分、10~40g/10分、10~30g/10分、10~20g/10分、20~60g/10分、20~50g/10分、20~40g/10分、20~30g/10分、15~60g/10分、15~50g/10分、15~40g/10分、15~30g/10分、又は15~20g/10分の範囲でメルトインデックス(I2)を有することができる。
【0036】
実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは3.0を超える数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw(GPC)/Mn(GPC))として表される分子量分布を有する。3.0を超える分子量分布(Mw(GPC)/Mn(GPC))の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれており、例えば実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは3.0を超え、3.02を超え、3.04を超え、3.06を超え、3.08を超え、3.10を超え、3.12を超え、若しくは3.14を超え、又は3.0~5.0、3.0~4.5、3.0~4.0、3.0~3.5、3.0~3.2、3.1~5.0、3.1~4.5、3.1~4.0、3.1~3.5、若しくは3.1~3.2の範囲の分子量分布(Mw(GPC)/Mn(GPC))を有する。この場合、分子量分布は数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw(GPC)/Mn(GPC))として表すことができる。
【0037】
実施形態では、第1の領域は、3.35を超える数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw(GPC)/Mn(GPC))として表される分子量分布を有する。3.35を超える分子量分布(Mw(GPC)/Mn(GPC))の個々の全ての値及び部分範囲が本明細書に開示され、かつ含まれており、例えば実施形態では、第1の領域は3.35を超え、3.50を超え、3.75を超え、4.00を超え、4.25を超え、4.50を超え、4.75を超え、若しくは4.90を超え、又は3.35~6.00、3.35~5.50、若しくは3.35~5.00の範囲の分子量分布(Mw(GPC)/Mn(GPC))を有する。この場合、分子量分布は数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw(GPC)/Mn(GPC))として表すことができる。
【0038】
実施形態では、複合繊維の第1の領域は、第1の領域の総重量に基づき、0~40重量パーセントの低密度ポリエチレンを更に含む。0~40重量パーセント(重量%)の値の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれ、例えば実施形態では、第1の領域は、第1の領域の総重量に基づき、0~40重量%、0~30重量%、0~20重量%、0~10重量%、10~40重量%、10~30重量%、10~20重量%、15~40重量%、15~30重量%、15~25重量%、20~40重量%、20~30重量%、又は30~40重量%の低密度ポリエチレンを含む。
【0039】
実施形態では、第1の領域は、例えば1つ以上の他のポリマー、ポリマーブレンド、及び/又は1つ以上の添加剤といった更なる成分を含むことができる。他のポリマー又はポリマーブレンドは、別のポリエチレン(例えば、ポリエチレンホモポリマー又はエチレン/α-オレフィンインターポリマー)、ポリエステル、プロピレン系ポリマー(例えば、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンコポリマー、又はプロピレン/α-オレフィンインターポリマー)、又はプロピレン系プラストマー若しくはエラストマーを含むことができる。他のポリマー又は他のポリマーブレンドの量は、第1の領域の総重量に基づき最大50重量%であってもよい。例えば実施形態では、第1の領域は最大50重量%のプロピレン系プラストマー又はプロピレン系エラストマー(例えば、Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)ポリマー、及びExxonMobil Chemical Co.から入手可能なVISTAMAXX(商標)ポリマー)、低モジュラス又は/及び低分子量ポリプロピレン(例えば、IdemitsuによるL-MODU(商標)ポリマー)、ランダムコポリプロピレン、若しくはプロピレン系オレフィンブロックコポリマー(例えばIntune)を含むことができる。可能な添加剤としては、帯電防止剤、色調整剤、染料、潤滑剤、充填剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、粘着防止剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤、匂い低減剤、抗真菌剤、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。第1の領域は、こうした添加剤を含む第1の領域の重量に基づき、こうした添加剤の合計重量にして約0.01又は0.1又は1~約25又は約20又は約15又は約10重量パーセントを含有することができる。
【0040】
実施形態では、第1の領域はポリオレフィンエラストマーを更に含むことができる。例えば、本明細書に記載される複合繊維から形成された不織布の伸張性を増加させるため、ポリオレフィンエラストマーを供給することができる。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンエラストマーはブロックコポリマーであり得る。ポリオレフィンエラストマーが第1の領域に使用されるいくつかの実施形態では、第1の領域は、第1の領域の総重量に基づき50重量パーセント(重量%)以下のポリオレフィンエラストマーを含むことができる。本発明のいくつかの実施形態で使用することができる市販のポリオレフィンエラストマーの例としては、VERSIFY(商標)の名称でDow Chemical Companyから入手可能であるポリオレフィンエラストマー、VISTAMAXX(商標)の名称でExxonMobil Chemical Co.から入手可能であるENGAGE(商標)、AFFINITY(商標)、及びINFUSE(商標)ポリオレフィンエラストマー、及びL-MODU(商標)の名称でIdemitsuから入手可能であるポリオレフィンエラストマーが挙げられる。
【0041】
実施形態では、第1の領域は、0.1200を超える光散乱累積検出部分(CDFLS)を有する。このCDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(low angle laser light scattering、LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。0.1200を超えるCDFLSの個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれる。例えばいくつかの実施形態では、第1の領域は、0.1200を超え、0.1400を超え、0.1600を超え、0.1800を超え、0.2000を超え、0.2200を超え、0.2400を超え、0.2600を超え、0.2800を超え、又は0.3000を超えるCDFLSを有し、CDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。他の実施形態では、第1の領域は、0.1200~0.5000、0.1500~0.5000、0.2000~0.5000、0.2500~0.5000、0.3000~0.5000、0.1200~0.4500、0.1500~0.4500、0.2000~0.4500、0.2500~0.4500、0.3000~0.4500、0.2000~0.4000、0.2500~0.4000、0.3000~0.4000、0.2000~0.3500、0.2500~0.3500、又は0.3000~0.3500の範囲のCDFLSを有することができ、CDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。
【0042】
実施形態では、第1の領域は、0.0100を超える赤外線累積検出部分(CDFIR)を有し、CDFIRは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、350,000g/mol以上の分子量であるIR5測定チャネル(IR)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される。0.0100を超えるCDFIRの個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれる。例えばいくつかの実施形態では、第1の領域は、0.0150を超え、0.0200を超え、又は0.0250を超えるCDFIRを有し、この場合、CDFIRは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、350,000g/mol以上の分子量であるIR5測定チャネル(IR)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算され得る。他の実施形態では、第1の領域は、0.0100~0.0500、0.0100~0.0450、0.0100~0.0400、0.0100~0.0375、0.0150~0.0500、0.0150~0.0450、0.0150~0.0400、0.0150~0.0375、0.0200~0.0500、0.0200~0.0450、0.0200~0.0400、0.0200~0.0375、0.0250~0.0500、0.0250~0.0450、0.0250~0.0400、0.0250~0.0375の範囲のCDFIRを有することができ、CDFIRは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、350,000g/mol以上の分子量であるIR5測定チャネル(IR)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算され得る。
【0043】
実施形態では、第1の領域は、以下に説明される試験方法に従って計算する場合、1.2を超えるMw(Abs)/Mw(GPC)を有する。1.2を超える個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、かつ含まれる。例えば第1の領域は、以下に説明される試験方法に従って計算する場合、1.2を超え、1.4を超え、1.6を超え、若しくは1.8を超えるMw(Abs)/Mw(GPC)、又は1.2~2.0、1.4~2.0、1.6~2.0、若しくは1.8~2.0のMw(Abs)/Mw(GPC)を有することができる。
【0044】
実施形態では、第1の領域は、以下に記載される試験方法に従って測定する場合、0.20を超えるgpcBRを有する。0.20を超える個々の全ての値及び部分範囲が本明細書に開示され、かつ含まれる。例えば第1の領域は、以下に説明される試験方法に従って測定する場合、0.20を超え、0.40を超え、0.60を超え、0.80を超え、1.0を超え、若しくは1.1を超え、又は0.2~2.0、0.4~2.0、0.6~2.0、0.8~2.0、若しくは1.0~2.0の範囲のgpcBRを有することができる。
【0045】
エチレン/α-オレフィンインターポリマーは例えば、1つ以上のループ反応器、等温反応器、連続撹拌タンク反応器、及びこれらの組合せを使用する液相重合プロセスにより製造することができる。
【0046】
一般には、液相重合プロセスは、115~250℃(例えば、155~225℃)の範囲の温度で、300~1000psi(例えば、400~750psi)の範囲の圧力で、例えば1つ以上のループ反応器といった1つ以上の撹拌反応器で行われる。2段式反応器の一実施形態では、第1の反応器の温度は115~190℃(例えば115~150℃)の範囲であり、第2の反応器の温度は150~200℃(例えば170~195℃)の範囲である。単一反応器の別の実施形態では、反応器温度の温度は、115~250℃(例えば、155℃~225℃)の範囲である。液相重合プロセスでの滞留時間は、典型的には2~30分(例えば、10~20分)の範囲である。エチレン、溶媒、1つ以上の触媒系、任意には1つ以上の助触媒、任意には1つ以上の不純物捕捉剤、及び任意には1つ以上のコモノマーは、1つ以上の反応器に連続して供給される。例示的な溶媒としては、イソパラフィンが挙げられるが、これに限定されない。例えば、そのような溶媒は、ExxonMobil Chemical Co.(Houston、Texas)からISOPAR Eの名称で市販されている。続いて得られたエチレン/α-オレフィンインターポリマーの混合物と溶媒を反応器から取り出し、エチレン/α-オレフィンインターポリマーを単離する。溶媒は溶媒回収ユニット(すなわち、熱交換器及び気液分離機のドラム)によって通常は回収され、続いて重合システムに戻して再利用する。
【0047】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、2段式反応器系(例えば、2段式ループ反応器系)で液体重合により製造されてもよく、エチレン及び任意には1つ以上のα-オレフィンは、1つ以上の触媒系の存在下で重合される。加えて、1つ以上の助触媒が存在し得る。別の実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、単一反応器系(例えば、単一ループ反応器系)で液体重合により製造されてもよく、エチレン及び任意には1つ以上のα-オレフィンは、1つ以上の触媒系の存在下で重合される。加えて、1つ以上の助触媒が存在し得る。
第2の領域及びポリエステル
【0048】
複合繊維は、第2の領域を含む。第2の領域は、ポリエステルを含む。
【0049】
実施形態では、第2の領域は、ポリエチレンテレフタラート、グリコール変性ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート及びこれらの組合せからなる群から選択されるポリエステルを含む。実施形態では、ポリエステルは、1.2g/cm3~1.5g/cm3の範囲の密度を有し得る。1.2g/cm3~1.5g/cm3の範囲の密度の全ての値及び部分範囲は、本明細書に含まれ、開示されており、例えば、いくつかの実施形態では、ポリエステルは、1.2g/cm3~1.5g/cm3、1.25g/cm3~1.5g/cm3、1.3g/cm3~1.5g/cm3、1.35g/cm3~1.5g/cm3、1.2g/cm3~1.45g/cm3、1.25g/cm3~1.45g/cm3、1.3g/cm3~1.45g/cm3、又は1.35g/cm3~1.45g/cm3の範囲の密度を有する。実施形態では、ポリエステルは、IVがASTM D4603又は2857に従って測定される場合、0.5~1.4(dl/g)の固有粘度(IV)に相当する分子量を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、第2の領域は、第2の領域の総重量に基づき少なくとも75重量パーセントの量のポリエステルを含む。第2の領域の総重量に基づき、少なくとも75重量パーセント(重量%)の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示されている。例えば1つ以上の実施形態では、第2の領域は、第2の領域の総重量に基づき、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、又は少なくとも99.9重量%の量のポリエステルを含む。他の実施形態では、第2の領域は、複合繊維の第2の領域の総重量に基づき、75~80重量%、75~90重量%、75~99重量%、75~100重量%、80~90重量%、80~99重量%、90~99重量%、及び90~100重量%の量のポリエステルを含む。
【0051】
実施形態では、第2の領域が100重量%未満の量のポリエステルを含む場合、第2の領域は例えば他のポリマー、ポリマーブレンド、及び/又は1つ以上の添加剤若しくは改質剤といった追加成分を含むことができる。他のポリマー又はポリマーブレンドは、別のポリエステル(例えば、ポリエチレンホモポリマー又はエチレン/α-オレフィンインターポリマー)、プロピレン系ポリマー(例えば、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンコポリマー、又はプロピレン/α-オレフィンインターポリマー)、又はプロピレン系プラストマー若しくはエラストマーを含むことができる。他のポリマー又は他のポリマーブレンドの量は、第2の領域の総重量に基づき最大25重量%であってもよい。例えば実施形態では、第2の領域は最大25重量%のプロピレン系プラストマー又はプロピレン系エラストマー(例えば、Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)ポリマー、及びExxonMobil Chemical Co.から入手可能なVISTAMAXX(商標)ポリマー)、低モジュラス又は/及び低分子量ポリプロピレン(例えば、IdemitsuによるL-MODU(商標)ポリマー)、ランダムコポリプロピレン、若しくはプロピレン系オレフィンブロックコポリマー(例えばIntune)を含むことができる。可能な添加剤としては、帯電防止剤、色調整剤、染料、潤滑剤、充填剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、粘着防止剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤、匂い低減剤、抗真菌剤、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。可能な改質剤としては、二炭酸ユニット及びグリコールユニットが挙げられるが、これらに限定されない。二炭酸ユニットの例は、イソフタル酸又は脂肪族ジカルボン酸(例えば、グルタル酸、アジピン酸、又はセバシン酸)の残基であり、修飾作用を有するジオール残基の例は、ジエチレングリコール若しくはトリエチレングリコールの長鎖ジオールの残基(例えば、プロパンジオール又はブタンジオールの残基)、又は少量で利用可能な場合には、500~2000g/molの分子量を有するポリグリコールの残基である。第2の領域は、こうした添加剤及び/又は改質剤を含む第2の領域の重量に基づき、こうした添加剤及び/又は改質剤の合計重量にして約0.01又は0.1又は1~約25又は約20又は約15又は約10重量パーセントを含有することができる。
試験方法
密度
【0052】
密度は、ASTM D-792に従って測定され、グラム/cm3(g/cm3)で表される。
メルトインデックス(I2)
【0053】
メルトインデックスは、ASTM D 1238に従い、摂氏190°及び2.16kgで測定され、溶出グラム/10分(g/10分)で表される。
GPC
三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(Triple Detector Gel Permeation Chromatography、TDGPC)
【0054】
クロマトグラフィー系は、内部IR5赤外検出器(internal IR5 infra-red detector、IR5)を備えたPolymerChar GPC-IR(Valencia、Spain)高温GPCクロマトグラフ、及びPrecision Detectors(現在は、Agilent Technologies)2角レーザ光散乱(2-angle laser light scattering、LS)検出器モデル2040に結合された4-キャピラリー粘度計(4-capillary viscometer、DV)からなっていた。全ての光散乱測定について、15度角を測定目的で使用する。オートサンプラオーブンコンパートメントを摂氏160°に設定し、カラムコンパートメントを摂氏150°に設定した。カラムには、4本のAgilent「Mixed A」30cm 20ミクロン線形混床式カラム及び20umのプレカラムを使用した。使用されたクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有していた。溶媒源を、窒素スパージした。使用された注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分であった。
【0055】
コンベンショナルGPC手順に類似する方法に従って、コンベンショナルの分子量モーメント及び分布に関して較正及び計算を実施した(20umの「Mixed A」カラムを使用)。
【0056】
多重検出器オフセットを決定するための系統的アプローチは、Balke,Mourey,et.al.(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt 12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt 13,(1992))によって公開されたものと合致した様式で行われ、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、広いホモポリマーポリエチレン標準物質(Mw/Mn>3)からのトリプル検出器ログ(MW及びIV)の結果を、狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正の結果に対して最適化する。本明細書で使用される場合、「MW」は、分子量を指す。
【0057】
絶対分子量データは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))及びKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと合致する様式で得た。分子量の決定において使用される総注入濃度を、好適な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、又は既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物質のうちの1つから導き出した、質量検出器面積及び質量検出器定数から得た。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量を、以下に述べるポリエチレン標準物のうちの1つ以上から導き出される、光散乱定数、及び0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して得た。一般に、(GPCOne(商標)を使用して決定された)質量検出器応答(IR5)及び光散乱定数は、約50,000g/モルを超える分子量を有する直鎖状標準物質から決定されるべきである。粘度計の較正(GPCOne(商標)を使用して決定された)は、製造業者によって記載された方法を使用して、又は代替として、標準参照材料(Standard Reference Material、SRM)1475a(国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology、NIST)から入手可能)などの好適な直鎖状標準物質の公開された値を使用することによって、達成することができる。較正標準物質に関する特定の粘度面積(DV)及び注入された質量を、その固有粘度(intrinsic viscosity、IV)に関連づけることにより、粘度計定数(GPCOne(商標)を使用して得られる)を計算する。クロマトグラフィー濃度は、第2のウイルス係数効果(分子量に対する濃度効果)への対処を排除するのに十分に低いと推測される。
【0058】
絶対重量平均分子量(Mw(Abs))は、(GPCOne(商標)を使用して)光散乱(LS)の面積積分クロマトグラム(光散乱定数によって因数分解)を、質量定数及び質量検出器(IR5)面積から回収された質量で除算することにより得られる。分子量及び固有粘度応答は、信号対ノイズが低くなるクロマトグラフィーの端部で外挿される(GPCOne(商標)を使用)。他のそれぞれのモーメントであるMn(Abs)及びMz(Abs)は、以下の式1~2に従って計算される。
【0059】
【0060】
【0061】
クロマトグラフィーシステムは、Precision Detectors(現在はAgilent Technologies)2角レーザ光散乱(LS)検出器モデル2040に結合された内部IR5赤外検出器(IR5)を備えた、PolymerChar GPC-IR(Valencia、Spain)高温GPCクロマトグラフからなっていた。全ての光散乱測定について、15度角を測定目的で使用する。オートサンプラオーブンコンパートメントを摂氏160°に設定し、カラムコンパートメントを摂氏150°に設定した。使用したカラムは、4つのAgilent「Mixed A」30cm、20ミクロンの線形混床式カラムであった。使用されたクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有していた。溶媒源を、窒素スパージした。使用された注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分であった。
【0062】
GPCカラムセットの較正は、580g/mol~8,400,000g/molの範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行い、その標準物質は、個々の分子量の間が少なくとも10倍離れた6つの「カクテル」混合物中に準備した。標準物質を、Agilent Technologiesから購入した。ポリスチレン標準物質は、1,000,000g/mol以上の分子量の場合は溶媒50ミリリットル中に0.025グラムで、1,000,000g/mol未満の分子量の場合は溶媒50ミリリットル中に0.05グラムで調製した。ポリスチレン標準物質を、穏やかに撹拌しながら摂氏80度で30分間溶解させた。ポリスチレン標準物質のピーク分子量を、式1を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のとおり)。
【0063】
MWポリエチレン=A×(Mwポリエチレン)B (式3)
式中、MWは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0064】
五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン等価較正点に当てはめた。120,000Mwで直鎖ホモポリマーポリエチレン標準物質が得られるよう、カラム分離度及びバンド幅の広がり効果を補正するため、A(およそ0.3950~0.440)に対しわずかに調整を施した。GPCカラムセットの総段の計測をデカンで実施した(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製)。段の計測(式4)及び対称性(式5)を、以下の式に従い、200マイクロリットルの注入で測定した。
【数4】
式中、RVは、ミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅は、ミリリットルであり、ピーク最大値は、ピークの最大高さであり、1/2高さは、ピーク最大値の1/2の高さである。
【数5】
式中、RVは保持体積(ミリリットル)であり、ピーク幅は、ミリリットルであり、1/10高さは、ピーク最大値の1/10の高さであり、後部ピークは、ピーク最大値よりも後ろの保持体積でのピークのテーリングを指し、前部ピークは、ピーク最大値よりも前の保持体積におけるピークの前部を指す。クロマトグラフィーの段の計測は、20,000を超えなければならず、対称性は0.98~1.22の間でなければならない。
【0065】
試料をPolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動で調製し、2mg/mlを試料の標的重量とし、PolymerChar高温オートサンプラを介して、予め窒素をスパージしたセプタキャップ付きバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有していた)を添加した。試料を、「低速」振盪下で、摂氏160度で2時間溶解した。
【0066】
Mn(conv)、Mw(conv)、及びMz(conv)の計算は、PolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用し、式6~8に従い、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用し、等間隔のデータ回収点(i)でベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、及び式1からの点(i)の狭い標準較正曲線から得られるポリエチレン相当分子量を使用する、GPCの結果に基づき行った。
【数6】
GPC溶出曲線の低分子量領域では、酸化防止剤又は他の添加剤の存在により生じることが知られている顕著なピークの存在時に、こうしたピークが存在することで、ポリマー試料の数平均分子量(Mn)の見積もりが少なくなり、Mw/Mn(この場合、Mwは重量平均分子量である)として定義されている試料の多分散性を過大評価してしまう。したがって、真のポリマー試料分子量分布は、この余分なピークを排除することによってGPC溶出から計算することができる。このプロセスは、液体クロマトグラフィー分析でのデータ処理手順におけるピーク除去機能として一般的に記載されている。このプロセスにおいて、この添加剤ピークは、GPC溶出曲線から試料分子量計算が行われる前に、GPC溶出曲線から除去される。クロマトグラフィーシステムの段の計測は、24,000を超えるべきであり、対称性は、0.98~1.22であるべきである。
【0067】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して、各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(flowrate marker、FM)を用いて、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))と、狭い標準物質較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークのそれとを、RV整合させることによって、各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に補正した。次いで、デカンマーカーピークの時間のいかなる変化も、実行の全体にわたって流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に当てはめる最小二乗適合ルーチンが使用される。次いで、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を解く。流量マーカーピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い基準となる較正に対する)有効流量を式9として計算する。流量マーカーピークの処理を、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行った。許容可能な流量補正は、有効流量が公称流量の+/-1%以内でなければならない。
流量(有効)=流量(公称)*(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(式9)
【0068】
多重検出器オフセットを決定するための系統的アプローチは、Balke,Mourey,et.al.(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt 12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt 13,(1992))によって公開されたものと合致した様式で行われ、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、広いホモポリマーポリエチレン標準物質(Mw/Mn>3)からのトリプル検出器ログ(MW及びIV)の結果を、狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正の結果に対して最適化する。
【0069】
絶対分子量データは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))及びKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと合致する様式で得た。分子量の決定において使用される総注入濃度を、好適な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、又は既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物質のうちの1つから導き出した、質量検出器面積及び質量検出器定数から得た。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量を、以下に述べるポリエチレン標準物質のうちの1つ以上から導き出される、光散乱定数、及び0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して得た。一般に、(GPCOne(商標)を用いて決定される)質量検出器応答(IR5)及び光散乱定数は、約50,000g/molを超える分子量を有する直鎖状標準物質から決定されるべきである。
CDFの計算方法
【0070】
IR5測定検出器(「CDF
IR」)及び低角度レーザ光散乱検出器(「CDF
LS」)の累積検出部分(CDF)の計算は、以下のステップにより達成される。
1)試料と一定の狭い標準カクテル混合物との間のデカンピークの相対保持体積比に基づいて、クロマトグラムを線形に流量補正する。
2)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)のセクションに記載のように、屈折計に対する光散乱検出器のオフセットを補正する。
3)ポリスチレン較正曲線に基づいて、各保持体積(retention volume、RV)データスライスでの分子量を計算し、これを、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)のセクションに記載のポリスチレンからポリエチレンへの変換係数(0.3950~0.44)によって修正する。
4)光散乱計及び屈折計のクロマトグラムからベースラインを減算し、屈折計クロマトグラムから観察可能な光散乱クロマトグラムの低分子量保持体積範囲の全てを確実に積分するように標準的なGPC手順を使用して、積分ウィンドウを設定する(すなわち、最もRVの上限を各クロマトグラムにて同じインデックスに設定する)。いずれのクロマトグラムでも、150g/mol未満に相当する物質を積分には含めない。
5)式10A及び式10Bに従い、各データスライス(j)で高~低分子量(低~高保持体積)のベースライン減算ピーク高さ(H)に基づき、IR5測定センサ(CDF
IR)及び低角度レーザ光散乱(LALLS)クロマトグラム(CDF
LS)の累積検出部分(CDF)を計算する。
【数7】
トリプル検出器GPC(Triple Detector GPC、3D-GPC)によるgpcBR分岐指数
【0071】
gpcBR分岐指数は、前述のように、最初に光散乱、粘度、及び濃度検出器を較正することによって決定される。次いで、ベースラインが光散乱、粘度計、及び濃度のクロマトグラムから差し引かれる。次いで、積分ウィンドウを設定して、赤外線(IR5)クロマトグラムからの検出可能なポリマーの存在を示す光散乱及び粘度計クロマトグラムの低分子量保持体積範囲の全てを確実に積分する。次いで、直鎖状ポリエチレン標準物質を使用して、ポリエチレン及びポリスチレンのMark-Houwink定数を確立する。定数を得た後、方程式(11)及び(12)に示すように、2つの値を使用して、溶出量の関数としてのポリエチレン分子量及びポリエチレン固有粘度の2つの直鎖状参照によるコンベンショナル較正法を構築する。
【数8】
【0072】
gpcBR分岐指数は、Yau,Wallace W.,「Examples of Using 3D-GPC-TREF for Polyolefin Characterization」,Macromol.Symp.,2007,257,29-45に記載されているように、長鎖分岐の特徴付けのための堅牢な方法である。この指数は、ポリマー検出器面積全体を優先して、g’値の決定及び分岐頻度の計算において従来使用されていた「スライスごとの」3D-GPC計算を回避する。3D-GPCデータから、ピーク面積法を使用した光散乱(LS)検出器により、試料のバルク絶対重量平均分子量(Mw(abs))を得ることができる。この方法は、従来のg’決定で必要とされるような、濃度検出器信号に対する光散乱検出器信号の「スライスごとの」比率を回避する。
【0073】
3D-GPCにより、方程式(13)を使用して、試料の固有粘度も独立に得られる。この面積の計算は、全体的な試料面積として、ベースライン及び積分限界に対する検出器ノイズ及び3D-GPC設定に起因するばらつきによる影響が非常に少ないため、より高い精度が提供される。更に重要なことに、ピーク面積の計算は、検出器のボリュームオフセットの影響を受けない。同様に、方程式(13)に示す面積法によって、試料の固有粘度(IV)が高精度で得られる。
【数9】
式中、η
spiは、粘度計検出器から取得した比粘度を指している。
【0074】
gpcBR分岐指数を決定するために、試料ポリマーの光散乱溶出面積を使用して、試料の分子量を決定する。試料ポリマー用の粘度検出器の溶出面積は、試料の固有粘度(IV又は[η])を決定するために使用される。
【0075】
最初に、SRM1475a又は等価物などの直鎖状ポリエチレン標準試料の分子量及び固有粘度を、方程式(14)及び(15)により、溶出量の関数としての分子量及び固有粘度の両方について、コンベンショナル較正法(「conventional calibration、cc」)を使用して決定する。
【数10】
方程式(15)を使用して、gpcBR分岐指数を決定する。
【数11】
式中、[η]は、測定された固有粘度であり、[η]
ccは、コンベンショナル較正からの固有粘度であり、Mwは、測定された重量平均分子量であり、Mw
,ccは、コンベンショナル較正の重量平均分子量である。光散乱(LS)による重量平均分子量は、一般に「絶対重量平均分子量」又は「Mw、Abs」と称される。コンベンショナルGPC分子量較正曲線(「コンベンショナル較正」)を使用して得られる方程式(7)からのMw,ccは、「ポリマー鎖骨格分子量」、「コンベンショナル重量平均分子量」及び「Mw(conv)」と称されることが多い。
【0076】
「cc」の下付き文字が付いた全ての統計値は、それぞれの溶出量、前述の対応するコンベンショナル較正、及び濃度(Ci)を使用して決定される。下付き文字のない値は、質量検出器、LALLS、及び粘度計面積に基づく測定値である。KPEの値は、直鎖状参照試料がゼロのgpcBR測定値を有するまで反復して調整される。例えば、この特定の場合のgpcBRを決定するためのα及びLog Kの最終値は、ポリエチレンの場合はそれぞれ0.725及び-3.391、ポリスチレンの場合はそれぞれ0.722及び-3.993である。一旦前述の手順を使用してK値及びα値を決定したら、分岐試料を使用して手順を繰り返す。分岐試料は、直鎖状参照から得た最終的なMark-Houwink定数を最適な「cc」較正値として使用して分析される。直鎖状ポリマーの場合、LS及び粘度計によって測定された値は、コンベンショナル較正標準に近くなるため、方程式(15)から計算されたgpcBRはゼロに近くなると考えられる。分岐ポリマーの場合、測定されたポリマーの分子量が計算されたMw,ccよりも高くなり、計算されたIVccが測定されたポリマーIVよりも高くなるため、特に長鎖分岐のレベルが高い場合、gpcBRはゼロより高くなることになる。実際、gpcBR値は、ポリマーの分岐の結果としての分子サイズの収縮効果によるIVの分数変化を表している。0.5又は2.0のgpcBR値は、等価重量の直鎖状ポリマー分子に対する、それぞれ50%及び200%のレベルでのIVの分子サイズ収縮効果を意味する。これらの特定の実施例では、コンベンショナル「g’指数」及び分岐頻度の計算と比較して、gpcBRを使用する利点は、gpcBRの精度がより高いことによるものである。gpcBR指数の決定に使用されるパラメータの全ては、高精度で得られ、濃度検出器からの高分子量での低い3D-GPC検出器の応答によって悪影響を受けない。検出器体積の整列の誤差も、gpcBR指数判定の精度には影響しない。
曲率
【0077】
曲率の量は、光学顕微鏡法によって測定される。曲率の量は、繊維によって形成された螺旋形の半径の逆数に基づき計算される。これは、繊維に垂直な面に、繊維によって形成された螺旋形を投影することで形成された円の半径に等しい。少なくとも5つの測定値の平均値を報告する。1/ミリメートル(mm-1)の単位で測定値を報告する。
重心オフセット
【0078】
電子ビームを安定化させるため、繊維を蒸気染色領域に30分供する。染料は、2重量%濃度の四塩化ルテニウム(III)水和物及び6重量%の次亜塩素酸ナトリウムの水系溶液である。75mLのねじ蓋付きジャーにて、周囲温度で繊維を蒸気に曝す。Bruker社のNova走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を、5kVの加速電圧、4.5のスポットサイズ、5~8mmの作動距離、40マイクロメートルの対物口径、及び45マイクロメートル秒の走査速度で操作する。Everhardt-Thornly検出器により収集された二次電子放出により画像を収集する。測定の定量化のため、Image Metrology SPIP 6.7.8画像分析ソフトウェアを使用する。単一コードを使用して繊維断面の直径を測定し、この測定値を半分に分けて中点を繊維重心(Cf)として記す。複合繊維の芯領域は、2つのコードを用いて90°で分割され、等しい面積の四半分を視覚的に作成する。2つのコードの交点は芯領域の重心(Cr2)を画定する。繊維重心(Cf)と芯領域の重心(Cr2)との距離を測定し、続いて繊維の半径で除して繊維重心オフセット(Pr2/r)を計算する。
【実施例】
【0079】
開発用樹脂(「樹脂1」)を以下のプロセス及び表に従って調製する。
【0080】
反応環境への導入前に、モレキュラーシーブを用いて、全ての原材料(モノマー及びコモノマー)並びにプロセス溶媒(Exxon Mobil CorporationからIsopar Eの商標名で市販されている、沸騰範囲が狭く高純度のイソパラフィン溶媒)を精製する。水素は、高純度グレードとして加圧されて供給され、更には精製されない。反応器モノマー供給ストリームを、機械的圧縮機によって反応圧力より高い圧力に加圧する。溶媒及びコモノマーの供給は、ポンプを介して反応圧力超まで加圧される。精製された溶媒を用いて個々の触媒成分を手動でバッチ希釈し、反応圧力よりも高い圧力でこれを加圧する。全ての反応供給流を、質量流量計を用いて測定し、コンピュータにより自動化された弁制御系によって独立して制御する。
【0081】
単一の反応器システムが、使用される。反応器は、液体で満たされた非断熱等温循環ループ反応器からなる連続液体重合反応器であるが、これは熱除去連続撹拌槽反応器(continuously stirred tank reactor、CSTR)を模している。全ての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、及び触媒成分供給物の独立した制御が可能である。供給流が熱交換器を通過することで単一の液相を維持するため、各反応器への追加の総供給流(溶媒、モノマー、コモノマー及び水素)を典型的には15~50℃で温度制御する。重合反応器への全追加の供給物は、各注入場所の間でほぼ等しい反応器体積で、2つの場所で反応器に注入される。追加の供給物は、各注入器が、全追加の供給物質量流量の半分を受容して制御される。注入ノズルを通して重合反応器に触媒成分を注入し、反応器流の中心に成分を導入する。特定の値で反応器のモノマー変換を維持するため、一次触媒成分の供給をコンピュータ制御する。一次触媒成分に対し、計算された特定のモル比に基づいて助触媒成分を供給する。各反応器供給物の注入場所の直後に、供給流が、静的混合要素を有する循環重合反応器の内容物と混合される。反応による熱の大部分の除去を担い、特定の温度での等温反応環境の維持を担う冷却側の温度を有する熱交換器に通して、各反応器の内容物を連続して循環させる。各反応器ループの周りの循環は、ポンプによって提供する。
【0082】
反応器流出物は、好適な試薬(水)の添加及びそれとの反応により流出物が非活性化される帯域に入る。この同じ反応器出口位置に、ポリマーの安定化のために他の添加剤が添加される。
【0083】
触媒の非活性化及び添加剤の添加に続いて、反応器流出物は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発系に入る。単離されたポリマー溶融物をペレット化して収集する。非ポリマー流は、系から除去されるエチレンの大部分を分離する様々な機器を通過する。溶媒及び未反応コモノマーの大部分は、精製系を通過した後、反応器に再循環される。少量の溶媒及びコモノマーを、プロセスからパージする。
【0084】
樹脂1を製造するために使用される、表2の値に対応している反応器流供給データフローを
図2にてグラフで表す。溶媒再利用システムの複雑さを考慮し、貫流型のフロー図として反応システムをより簡潔に扱うことができるよう、データを提示する。
【0085】
【0086】
【0087】
表3は、樹脂1のメルトインデックス及び密度を含む。
【表3】
【0088】
以下の材料を、実施例において使用した。
【0089】
ポリマー1(Poly.1)は、80重量%のASPUN(商標)6835A及び20重量%のDOW(商標)722低密度ポリエチレン密度のポリマーブレンドである。ASPUN(商標)6835Aはエチレン/α-オレフィンインターポリマーであり、かつ0.9500g/cm3の密度及び17のMelt Index(I2)を有する低密度ポリエチレン繊維樹脂であり、Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている。DOW(商標)722低密度ポリエチレン樹脂は、0.918g/cm3の密度及び8のメルトインデックス(I2)を有する低密度ポリエチレンであり、Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている。
【0090】
ポリマー2(Poly.2)は、20重量%のDOW(商標)722低密度ポリエチレン樹脂及び80重量%の樹脂1のポリマーブレンドである。
【0091】
ポリマー3(Poly.3)は、100重量%のASPUN(商標)6835Aである。
【0092】
ポリマー4(Poly.4)は、100重量%の樹脂1である。
【0093】
ポリマー5(Poly.5)は、80重量%の樹脂1及び20重量%のDOW(商標)DMDA-8007 NT 7高密度ポリエチレン樹脂のポリマーブレンドである。DOW(商標)DMDA-8007 NT 7高密度ポリエチレン樹脂は、0.965g/cm3の密度及び8.3のメルトインデックス(I2)を有し、Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている。
【0094】
Poly.1~5は、以下で更に記述されるとおり、複合繊維の第1の領域を形成するために使用される材料である。
【0095】
Poly.6は、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN)から市販されているEASTMAN(商標)ポリエステルF61HCである。Poly.6は、以下で記述されるとおり、複合繊維の第2の領域を形成するために使用される。
【0096】
The CDFLS-ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用した1,000,000g/mol以上の分子量、及びCDFIR-ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用した350,000g/mol以上の分子量をPoly.1~5について表4で報告する。
【0097】
【0098】
第1の領域のポリマーのコンベンショナルGPC測定値であるMn、Mw、Mz及びMw/Mnを表5に報告する。
【0099】
【0100】
Poly.1~5についての絶対GPC測定値である、Mn(Abs)及びMw(Abs)、並びにMw(Abs)/Mw(GPC)値を表8に報告する。更に、Poly.1~5についてのgpcBR分岐指数測定値を表6に報告する。
【0101】
【0102】
繊維の形成
【0103】
繊維は、Hills Bicomponent Continuous Filament Fiber Spinning Lineで紡糸する。偏心芯鞘構成を有する複合繊維を作製する。以下の条件に従い、Hills Lineで繊維を紡糸する。押出機プロファイルを調整し、240℃の溶融温度を得る。各穴のスループット率は、1.5ghm(グラム/時間/分)である。Hills複合ダイを使用し、以下の表7に従い、ある押出機で第1の領域(鞘)、別の押出機で第2の領域(芯)にて40/60芯/鞘比(重量)で操作し、本発明の実施例1及び2、並びに比較例3、4及び5を形成する。ダイは、0.6mmの穴径及び4/1の長さ/径(L/D)を有する144個の穴からなる。冷却空気の温度と流量は、21~24℃、420cfm(立方フィート/分)にそれぞれ設定する。急冷区域の後、フィラメントを空気流とともにスロットユニットに空気圧で引き込むことで延伸張力を144のフィラメントに印加する。気流の速度は、スロットアスピレータの圧力によって制御する。
【0104】
【0105】
The CDFLS-ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用した1,000,000g/mol以上の分子量、及びCDFIR-ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用した350,000g/mol以上の分子量を、本発明の実施例1及び2、並びに比較例1、2及び3について表8で報告する。
【0106】
【0107】
表9は実施例に関連する曲率データを示す。より高いCDFLS及びCDFIRは、より高いMw(Abs)、Mw(Abs)/Mw(GPC)、gpcBR、CDFLS,及びCDFIRを有する第1の領域のポリマーを含む、本発明の実施例1及び本発明の実施例2は、比較例よりも著しく高い曲率を有する。
【0108】
【手続補正書】
【提出日】2022-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合繊維であって、
繊維重心と;
第1の重心を有する第1の領域と第2の重心を有する第2の領域と;を含み、
前記第1の領域は、前記第1の領域の総重量に基づき少なくとも50重量パーセントの量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーと、前記第1の領域の総重量に基づき0~40重量パーセントの低密度ポリエチレンと、を含み;
前記第1の領域は、0.1200を超える光散乱累積検出部分(CDF
LS)を有し、前記CDF
LSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算され;
前記第2の領域は、ポリエステルを含み;
前記第1の重心及び前記第2の重心のうち少なくとも1つは、前記繊維重心と同一ではない、複合繊維。
【請求項2】
前記第1の領域が、0.0100を超える赤外線累積検出部分(CDF
IR)を有し、前記CDF
IRは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、350,000g/mol以上の分子量であるIR5測定チャネル(IR)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項3】
前記エチレン/α-オレフィンインターポリマーが、0.910~0.964g/cm
3の範囲の密度、及び10~60g/10分の範囲の、ASTM D1238に従い、190℃、2.16kgで測定されたメルトインデックス(I2)を有する、請求項1~2のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項4】
前記第1の領域が、3.35を超える数平均分子量に対する重量平均分子量の比(M
w(GPC)/M
n(GPC))として表される分子量分布を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項5】
前記第1の領域が、前記第1の領域の総重量に基づき、10~30重量パーセントの低密度ポリエチレンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項6】
前記第2の領域に対する前記第1の領域の重量比が、90:10~10:90である、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項7】
前記複合繊維の前記曲率が少なくとも1.10mm
-1である、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合繊維。
【請求項8】
請求項1~10のいずれか一項に記載の複合繊維を含む不織布。
【請求項9】
複合繊維であって、
繊維重心と;
第1の重心を有する第1の領域と第2の重心を有する第2の領域と;を含み、
前記第1の領域は、前記第1の領域の総重量に基づき少なくとも50重量パーセントの量のエチレン/α-オレフィンインターポリマーと、前記第1の領域の総重量に基づき0~40重量パーセントの低密度ポリエチレンと、を含み;
第2の領域は、ポリエステルを含み;
前記第1の重心及び前記第2の重心のうち少なくとも1つは、前記繊維重心と同一ではなく、
前記繊維は、0.1600を超える光散乱累積検出部分(CDFLS)を有し、前記CDFLSは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、1,000,000g/mol以上の分子量である低角度レーザ光散乱(LALLS)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される、複合繊維。
【請求項10】
前記繊維が、0.0125を超える赤外線累積検出部分(CDFIR)を有し、前記CDFIRは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、350,000g/mol以上の分子量であるIR5測定チャネル(IR)検出器クロマトグラムの面積部分を測定することで計算される、請求項10に記載の複合繊維。
【国際調査報告】