(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】共振回路およびフィルタデバイス
(51)【国際特許分類】
H03H 5/02 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
H03H5/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563163
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 CN2021079814
(87)【国際公開番号】W WO2021213040
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】202010315283.4
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518385648
【氏名又は名称】安徽安努奇科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI ANUKI TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2800 Chuangxin Ave, Rm 602 Flr 6 Block C Bldg J1, Hefei Innovation Industrial Park Phase II, High-Tech Industrial Development Zone, Hefei, Anhui 230088, China
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】程 偉
(72)【発明者】
【氏名】戴 立傑
(72)【発明者】
【氏名】左 成傑
(72)【発明者】
【氏名】何 軍
【テーマコード(参考)】
5J024
【Fターム(参考)】
5J024AA10
5J024CA03
5J024EA06
5J024KA02
(57)【要約】
電子デバイスの技術分野に属し、共振回路およびフィルタデバイスを提供する。共振回路(100)は、接続ポートと共振ユニット(130)とを備え、該接続ポートは、第1ポート(111)と第2ポート(113)とを含み、該共振ユニット(130)は、少なくとも1つのインダクタ素子(131)と少なくとも1つのコンデンサ素子(133)とを備え、インダクタ素子(131)とコンデンサ素子(133)とを接続するように構成される。第1ポート(111)および第2ポート(113)は、並列接続される少なくとも2つの分岐回路を形成するように、それぞれ共振ユニット(130)と接続され、該第1ポート(111)および該第2ポート(113)のうちの少なくとも1つは、各コンデンサのいずれにも接続されていないように構成される。従来の共振回路に存在する、コンデンサの大容量化が難しいことに起因した伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を高めることができない問題を解決できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続ポートと共振ユニットとを備え、
該接続ポートは、第1ポートと第2ポートとを含み、
該共振ユニットは、少なくとも1つのインダクタ素子と少なくとも1つのコンデンサ素子とを備え、インダクタ素子とコンデンサ素子とを接続するように構成され、
前記第1ポートおよび前記第2ポートは、並列接続される少なくとも2つの分岐回路を形成するように、それぞれ前記共振ユニットと接続され、該第1ポートおよび該第2ポートのうちの少なくとも1つは、各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていないように構成される
ことを特徴とする共振回路。
【請求項2】
前記第1ポートは、1つのインダクタ素子と1つのコンデンサ素子との間に接続され、
前記第2ポートは、少なくとも1つのインダクタ素子と接続され、且つ各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていない
請求項1に記載の共振回路。
【請求項3】
前記第1ポートは、少なくとも1つのインダクタ素子と接続され、且つ各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていなく、
前記第2ポートは、少なくとも1つのインダクタ素子と接続され、且つ各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていない
請求項1に記載の共振回路。
【請求項4】
各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていないポートは、2つのインダクタ素子の間に接続される
請求項1ないし3のいずれかに記載の共振回路。
【請求項5】
各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていないポートは、1つのインダクタ素子における隣接する2つの異なる部分が、並列接続される2つの分岐回路にそれぞれ属するように、隣接する2つの異なる当該部分の間に接続するように構成される
請求項1ないし3のいずれかに記載の共振回路。
【請求項6】
前記少なくとも1つのインダクタ素子と前記少なくとも1つのコンデンサ素子とは、首尾を順に接続して、閉じた環状回路を形成するように構成され、
前記第1ポートおよび前記第2ポートは、並列接続される2つの分岐回路を形成するように、前記環状回路の異なる位置とそれぞれ接続される
請求項1ないし3のいずれかに記載の共振回路。
【請求項7】
前記共振ユニットは、1つのインダクタ素子と1つのコンデンサ素子とを備え、
該インダクタ素子と該コンデンサ素子とは、首尾を接続して、閉じた環状回路を形成するように構成される
請求項6に記載の共振回路。
【請求項8】
前記インダクタ素子および前記コンデンサ素子の個数の合計は、3つ以上である
請求項6に記載の共振回路。
【請求項9】
共振ユニットは、2つ以上のインダクタ素子と2つ以上のコンデンサ素子とを備える
請求項8に記載の共振回路。
【請求項10】
前記インダクタ素子は、隣接する第1部分および第2部分を含み、
該第1部分および該第2部分が並列接続される2つの分岐回路にそれぞれ属するように、前記第1ポートは、前記インダクタ素子と前記コンデンサ素子との間に接続され、前記第2ポートは、前記第1部分と前記第2部分との間に接続されるように構成される
請求項7に記載の共振回路。
【請求項11】
前記インダクタ素子は、順に隣接する第1部分、第2部分および第3部分を含み、
該第1部分、前記コンデンサ素子および該第3部分は、直列接続され、且つ該第2部分と並列接続されるように、前記第1ポートは、前記第1部分と前記第2部分との間に接続され、前記第2ポートは、該第2部分と前記第3部分との間に接続されるように構成される
請求項7に記載の共振回路。
【請求項12】
前記第1ポートは、前記共振回路の入力ポートとされ、前記第2ポートは、前記共振回路の出力ポートとされる
請求項1ないし11のいずれかに記載の共振回路。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の共振回路を複数備え、複数の共振回路は、それぞれ接続ポートを介して接続される
ことを特徴とするフィルタデバイス。
【請求項14】
異なる共振周波数を生じ、帯域通過フィルタを形成するように、各前記共振ユニットは、その構成がそれぞれ異なるように構成される
請求項13に記載のフィルタデバイス。
【請求項15】
複数の前記共振回路は、直列接続され、または並列接続され、または直並列接続される
請求項13に記載のフィルタデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電子デバイスの技術領域に属し、具体的に、共振回路およびフィルタデバイスに関する。
【0002】
(関係出願の相互参照)
本出願は、2020年4月21日に中国専利局に提出された、出願番号が202010315283.4であり、名称が「共振回路およびフィルタデバイス」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本出願に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
フィルタデバイスの設計では、所定の帯域外抑圧度を得るため、通常、共振回路により伝送零点を生成するようにする。そのうち、コンデンサおよびインダクタからなる並列共振回路は、フィルタデバイスにおいて広く応用されている。
しかしながら、従来のコンデンサおよびインダクタからなる並列共振回路では、コンデンサの大容量化が難しいため、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧量を高めることができない問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記内容に鑑みて、本出願は、従来の共振回路に存在する、コンデンサの大容量化が難しいことに起因した伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を高めることができない問題を解決できる共振回路およびフィルタデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施例は、下記の技術案を採用する。
共振回路は、接続ポートと共振ユニットとを備え、該接続ポートは、第1ポートと第2ポートとを含み、該共振ユニットは、少なくとも1つのインダクタ素子と少なくとも1つのコンデンサ素子とを備え、インダクタ素子とコンデンサ素子とを接続するように構成され、前記第1ポートおよび前記第2ポートは、並列接続される少なくとも2つの分岐回路を形成するように、それぞれ前記共振ユニットと接続され、該第1ポートおよび該第2ポートのうちの少なくとも1つは、各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていないように構成される。
【0006】
任意で、上記の共振回路において、前記第1ポートは、1つのインダクタ素子と1つのコンデンサ素子との間に接続され、前記第2ポートは、少なくとも1つのインダクタ素子と接続され、且つ各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていない。
【0007】
任意で、上記の共振回路において、前記第1ポートは、少なくとも1つのインダクタ素子と接続され、且つ各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていなく、前記第2ポートは、少なくとも1つのインダクタ素子と接続され、且つ各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていない。
【0008】
任意で、上記の共振回路において、各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていないポートは、2つのインダクタ素子の間に接続される。
【0009】
任意で、上記の共振回路において、各前記コンデンサ素子のいずれにも接続されていないポートは、1つのインダクタ素子における隣接する2つの異なる部分が、並列接続される2つの分岐回路にそれぞれ属するように、隣接する2つの異なる当該部分の間に接続するように構成される。
【0010】
任意で、上記の共振回路において、前記少なくとも1つのインダクタ素子と前記少なくとも1つのコンデンサ素子とは、首尾を順に接続して、閉じた環状回路を形成するように構成される、前記第1ポートおよび前記第2ポートは、並列接続される2つの分岐回路を形成するように、前記環状回路の異なる位置とそれぞれ接続される。
【0011】
任意で、上記の共振回路において、前記共振ユニットは、1つのインダクタ素子と1つのコンデンサ素子とを備え、該インダクタ素子と該コンデンサ素子とは、首尾を接続して、閉じた環状回路を形成するように構成される。
【0012】
任意で、上記の共振回路において、前記インダクタ素子および前記コンデンサ素子の個数の合計は、3つ以上である。
【0013】
任意で、上記の共振回路において、共振ユニットは、2つ以上のインダクタ素子と2つ以上のコンデンサ素子とを備える。
【0014】
任意で、上記の共振回路において、前記インダクタ素子は、隣接する第1部分および第2部分を含み、該第1部分および該第2部分がそれぞれ並列接続される2つの分岐回路に属するように、前記第1ポートは、前記インダクタ素子と前記コンデンサ素子との間に接続され、前記第2ポートは、前記第1部分と前記第2部分との間に接続されるように構成される。
【0015】
任意で、上記の共振回路において、前記インダクタ素子は、順に隣接する第1部分、第2部分および第3部分を含み、該第1部分、前記コンデンサ素子および該第3部分は、直列接続され、且つ該第2部分と並列接続されるように、前記第1ポートは、前記第1部分と前記第2部分との間に接続され、前記第2ポートは、該第2部分と前記第3部分との間に接続されるように構成される。
【0016】
任意で、上記の共振回路において、前記第1ポートは、前記共振回路の入力ポートとされ、前記第2ポートは、前記共振回路の出力ポートとされる。
【発明の効果】
【0017】
上記の内容をもとに、本出願の実施例は、フィルタデバイスをさらに提供し、該フィルタデバイスは、上記の共振回路を複数備え、複数の共振回路は、それぞれ接続ポートを介して接続される。
任意で、上記のフィルタデバイスにおいて、異なる共振周波数を生じ、帯域通過フィルタを形成するように、各前記共振ユニットは、その構成がそれぞれ異なるように構成される。
任意で、上記のフィルタデバイスにおいて、複数の前記共振回路は、直列接続され、または並列接続され、または直並列接続される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】従来のもう1種の並列共振回路を示す図である。
【
図3】
図1および
図2に示す2種の並列共振回路の共振性能曲線を示す模式図である。
【
図4】本出願の実施例による共振回路のポートの接続を示す模式図である。
【
図5】本出願の実施例による共振回路のもう1種のポートの接続を示す模式図である。
【
図6】本出願の実施例による共振ユニットの回路原理図である。
【
図7】本出願の実施例による共振ユニットのもう1種の回路原理図である。
【
図8】本出願の実施例による共振回路のポートの接続の回路原理図である。
【
図9】
図1および
図8に示す2種の並列共振回路の共振性能曲線を示す模式図である。
【
図10】本出願の実施例による共振回路のもう1種のポートの接続を示す回路原理図である。
【
図11】
図1および
図10に示す2種の並列共振回路の共振性能曲線を示す模式図である。
【
図12】本出願の実施例によるフィルタデバイスの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本出願の実施例の目的、技術案および利点をより明瞭に説明するため、以下、本出願の実施例に用いられる図面を参照しながら、本出願の実施例における技術案を明瞭かつ完全に説明する。なお、説明する実施例が本出願の一部の実施例にすぎず、当然のことながらすべての実施例ではない。ここで図面を用いて示した本出願の実施例における部品は、様々な配置方法で配置、設計することが可能である。
【0020】
このため、以下の図面に示された本出願の実施例に対する詳細な説明は、本出願の選択された実施例を示すものにすぎず、保護しようとする本出願の範囲を限定するものではない。本出願の実施例をもとに、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例も、本出願の保護範囲に属する。
【0021】
図1は、従来の並列共振回路を示す。並列共振回路は、1つのコンデンサ(静電容量が2pFである)と1つのインダクタ(インダクタンスが1.5nHである)とを備え、コンデンサとインダクタとが並列接続される。生成される共振周波数は、約2.9GHzである。
【0022】
図2は、従来のもう1種の並列共振回路を示す。並列共振回路は、1つのコンデンサ(静電容量が1pFである)と1つのインダクタ(インダクタンスが3nHである)とを備え、コンデンサとインダクタとが並列接続される。生成される共振周波数は、約2.9GHzである。
【0023】
図3は、
図1および
図2に示す2種の並列共振回路の共振性能のシミュレーション結果を示す模式図である。
図3から分かるように、2種の並列共振回路の共振周波数が同じであり、
図1に示す並列共振回路を採用する場合、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度をより高い(側波帯がより急峻である)が、容量が比較的に大きいコンデンサを必要とするため、適用環境によって制限される。
図2に示す並列共振回路を採用する場合、静電容量の比較的に小さいコンデンサを使用することができるため、適用環境の制限が比較的弱くなるが、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度が比較的に低い。
【0024】
上記の技術的問題を解決するため、本出願は、インダクタンスおよび静電容量を変える手段と異なる技術案を提供する。本技術案において、ポートの位置を調整することにより、同じ静電容量のコンデンサ(例えば
図1のコンデンサの静電容量と同じ)を使用し、生成される共振周波数が同じである(例えば
図1の共振周波数と同じ)ものに対して、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を高めることができ、または、静電容量の比較的に小さいコンデンサ(例えば
図2の静電容量のコンデンサ)を使用し、生成される共振周波数が同じである(例えば
図2の共振周波数と同じ)ものに対して、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を同程度にすることができる(例えば、
図1の共振回路による伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度と同程度になる)。
【0025】
これに鑑みて、本出願の実施例は、共振回路100を提供する。
図4に示すように、共振回路100は、接続ポート110と共振ユニット130とを備える。
【0026】
具体的に、接続ポート110は、第1ポート111と第2ポート113とを含む。共振ユニット130は、少なくとも1つのインダクタ素子131と少なくとも1つのコンデンサ素子133とを備え、インダクタ素子131とコンデンサ素子133とを接続するように構成される。
【0027】
また、第1ポート111および第2ポート113は、並列接続される少なくとも2つの分岐回路を形成するように、それぞれ共振ユニット130と接続され、第1ポート111および第2ポート113のうちの少なくとも1つは、各コンデンサ素子133のいずれにも接続されていないように構成される。
【0028】
少なくとも1つのポートがコンデンサ素子133のいずれにも接続されていないようにすることにより、従来技術の各ポートがいずれもコンデンサ素子133と接続される構成に比べて、同じ静電容量のコンデンサを使用し、生成される共振周波数が同じであるものに対して、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を高めることができ、または、静電容量の比較的に小さいコンデンサを使用し、生成される共振周波数が同じであるものに対して、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を同程度にすることができる。したがって、従来の共振回路に存在する、コンデンサの大容量化が難しいことに起因した伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を高めることができない問題を解決できる。
【0029】
なお、接続ポート110は、その第1ポート111および第2ポート113の具体的な機能が限定されなく、実際の応用に応じて選択することができる。
【0030】
例えば、選択可能な例において、第1ポート111は共振回路100の入力ポートとされ、第2ポート113は共振回路100の出力ポートとされる。このようにして、第1ポート111を介して処理対象信号を入力し、そして共振ユニット130の処理を経て第2ポート113を介して該信号を出力することができる。
【0031】
例えば、他の選択可能な例において、第1ポート111は共振回路100の出力ポートとされ、第2ポート113は共振回路100の入力ポートとされる。このようにして、第2ポート113を介して処理対象信号を入力し、そして共振ユニット130の処理を経て第1ポート111を介して出力することができる。
【0032】
なお、接続ポート110は、その第1ポート111および第2ポート113のそれぞれと共振ユニット130との具体的な接続関係も限定されなく、実際の応用に応じて選択することができる。
【0033】
例えば、選択可能な例において、第1ポート111および第2ポート113のうちの一方は、少なくとも1つのインダクタ素子131と接続され、且つ各コンデンサ素子133のいずれにも接続されていなく、他方は、1つのインダクタ素子131と1つのコンデンサ素子133との間に接続される。
【0034】
具体的な例において、
図4に示すように、第2ポート113は、1つのインダクタ素子131と1つのコンデンサ素子133との間に接続され、第1ポート111は、少なくとも1つのインダクタ素子131と接続され、且つ各コンデンサ素子133のいずれにも接続されていない。
【0035】
例えば、他の選択可能な例において、第1ポート111および第2ポート113はいずれも、少なくとも1つのインダクタ素子131と接続され、且つ各コンデンサ素子133のいずれにも接続されていない。
【0036】
具体的な例において、
図5に示すように、第1ポート111は、少なくとも1つのインダクタ素子131と接続され、且つ各コンデンサ素子133のいずれにも接続されていない。第2ポート113も、少なくとも1つのインダクタ素子131と接続され、且つ各コンデンサ素子133のいずれにも接続されていない。
【0037】
なお、各コンデンサ素子133のいずれにも接続されていないポート(例えば、上記の第1ポート111および第2ポート113)は、少なくとも1つのインダクタ素子131と接続するべきである。また、このポートとインダクタ素子131との具体的な接続関係も限定されなく、実際の応用に応じて選択することができる。
【0038】
選択可能な例において、各コンデンサ素子133のいずれにも接続されていないポートは、2つのインダクタ素子131の間に接続される。
【0039】
つまり、上記の例において、共振ユニット130は、少なくとも2つのインダクタ素子131を備え、少なくとも2つのインダクタ素子131は、隣接して接続される2つのインダクタ素子131を含む。
【0040】
例えば、他の選択可能な例において、各コンデンサ素子133のいずれにも接続されていないポートは、1つのインダクタ素子131における隣接する2つの異なる部分が、並列接続される2つの分岐回路にそれぞれ属するように、隣接する2つの異なる当該部分の間に接続するように構成される。
【0041】
つまり、上記の例において、共振ユニット130は、少なくとも1つのインダクタ素子131を備え、少なくとも1つのインダクタ素子131のうちの1つのンダクタ素子131は、隣接する2つの異なる部分を含む。
【0042】
なお、共振ユニット130は、そのインダクタ素子131およびコンデンサ素子133の具体的な個数が限定されなく、実際の応用に応じて選択することができる。
【0043】
例えば、選択可能な例において、共振ユニット130は、1つのインダクタ素子131と、1つのコンデンサ素子133とを備える。この場合、インダクタ素子131とコンデンサ素子133とは、首尾を接続して、閉じた環状回路を形成するように構成される。
【0044】
また、他の選択可能な例において、共振ユニット130は、複数のインダクタ素子131と、1つのコンデンサ素子133とを備えてもよく、1つのインダクタ素子131と、複数のコンデンサ素子133とを備えてもよく、複数のインダクタ素子131と、複数のコンデンサ素子133とを備えてもよい。
【0045】
つまり、インダクタ素子131およびコンデンサ素子133の個数の合計は、3つ以上であってもよい。この場合、インダクタ素子131とコンデンサ素子133との3つ以上のものは、首尾を接続して、少なくとも1つの閉じた環状回路を形成するように構成される。
【0046】
これから分かるように、共振ユニット130は、少なくとも1つのインダクタ素子131と少なくとも1つのコンデンサ素子133とを備える場合、少なくとも1つのインダクタ素子131と少なくとも1つのコンデンサ素子133は、首尾を接続して、少なくとも1つの閉じた環状回路を形成するように構成される。
【0047】
つまり、インダクタ素子131およびコンデンサ素子133の個数および首尾の接続方式によっては、形成する環状回路の個数も異なる。
【0048】
例えば、選択可能な例において、
図6に示すように、共振ユニット130は、第1インダクタL1と、第2インダクタL2と、第1コンデンサC1とを備える。第1インダクタL1と、第2インダクタL2と、第1コンデンサC1とは、首尾を順に接続して、閉じた環状回路を形成するように構成される。
【0049】
例えば、他の選択可能な例において、
図7に示すように、共振ユニット130は、第1インダクタL1と、第2インダクタL2と、第1コンデンサC1とを備える。該第1インダクタL1と、該第2インダクタL2と、該第1コンデンサC1とにより、3つの環状回路が形成され、例えば、第1インダクタL1と第2インダクタL2からなる閉じた環状回路が形成され、第1インダクタL1と第1コンデンサC1からなる閉じた環状回路が形成され、第2インダクタL2と第1コンデンサC1からなる閉じた環状回路が形成される。
【0050】
また、少なくとも1つのインダクタ素子131と少なくとも1つのコンデンサ素子133とにより形成される環状回路の個数の要求に応じて、第1ポート111および第2ポート113の接続方式を設定することができる。これによって、並列接続される異なる個数の分岐回路を形成することができる。
【0051】
例えば、選択可能な例において、少なくとも1つのインダクタ素子131と少なくとも1つのコンデンサ素子133とは、首尾を順に接続して、閉じた環状回路を形成するように構成される。この場合、第1ポート111および第2ポート113は、それぞれ環状回路の異なる箇所と接続し、並列接続される2つの分岐回路を形成するように構成される。
【0052】
上記の例を参照すると、第1ポート111および第2ポート113のそれぞれの、環状回路との接続箇所は、選択可能になる。これによって、共振ユニット130は、1つのインダクタ素子131と1つのコンデンサ素子133とを備え、かつ該インダクタ素子131と該コンデンサ素子133とは、首尾を接続して、閉じた環状回路を形成するように構成される選択可能な例として、下記の2つが挙げられる。
【0053】
任意で、
図8に示すように、第1ポート111および第2ポート113のうちの一方は、コンデンサ素子133と接続されていない。具体的に、インダクタ素子131は、隣接する第1部分131aおよび第2部分131bを含む。
【0054】
この場合、第1部分131aおよび第2部分131bがそれぞれ並列接続される2つの分岐回路に属するように、第2ポート113は、インダクタ素子131とコンデンサ素子133との間に接続され、第1ポート111は、第1部分131aと第2部分131bとの間に接続される。
【0055】
つまり、第1部分131aおよび第2部分131bのうちの一方は、コンデンサ素子133と直列接続されて1つの分岐回路を形成するようになり、他方はもう1つの分岐回路を形成するようになる。
【0056】
具体的な例において、第2ポート113は、第1部分131aとコンデンサ素子133との間に接続され、第1ポート111は、第1部分131aと第2部分131bとの間に接続される。
【0057】
図1に示す回路と同じの共振周波数を得るため、コンデンサ素子133の静電容量を1pF(
図1に示す2pFよりも小さい)にし、第1部分131aのインダクタンスを2nHにし、第2部分131bのインダクタンスを1nHにする。シミュレーションを行って、
図1に示す回路との比較により、
図9に示す共振性能曲線図を得た。
【0058】
これから分かるように、
図8に示す回路を採用すれば、コンデンサの静電容量を低下させるとともに、
図1に示す回路とほぼ同じの共振性能を得ることができ、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を高めることができる。
【0059】
任意で、
図10に示すように、第1ポート111および第2ポート113は、いずれもコンデンサ素子133と接続されていない。具体的に、インダクタ素子131は、順に隣接する第1部分131a、第2部分131bおよび第3部分131cを含む。
【0060】
このように、第1ポート111は、第1部分131aと第2部分131bとの間に接続され、第2ポート113は、該第2部分131bと第3部分131cとの間に接続される。この場合、該第1部分131a、コンデンサ素子133および該第3部分131cは、直列接続され、且つ該第2部分131bと並列接続されるようになる。
【0061】
つまり、第1部分131a、コンデンサ素子133および第3部分131cが直列接続して1つの分岐回路を形成し、第2部分131bがもう1つの分岐回路を形成するように構成される。
【0062】
また、
図1に示す回路と同じの共振周波数を得るため、コンデンサ素子133の静電容量を1pF(
図1に示す2pFよりも小さい)にし、第1部分131aのインダクタンスを0.5nHにし、第2部分131bのインダクタンスを2nHにし、第3部分131cのインダクタンスを0.5nHにする。シミュレーションを行って、
図1に示す回路との比較により、
図11に示す共振性能曲線図を得た。
【0063】
これから分かるように、
図10に示す回路を採用すれば、第コンデンサの静電容量を低下させるとともに、
図1に示す回路とほぼ同じの共振性能を得ることができ、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を高めることができる。
【0064】
本出願の実施例は、フィルタデバイス10をさらに提供する。
図12に示すように、フィルタデバイス10は、複数の上記の共振回路100を備える。
【0065】
具体的に、フィルタデバイス10は、複数の共振回路100がそれぞれの接続ポート110(上記の第1ポート111および第2ポート113)を介して接続されてなるものである。
【0066】
異なる共振周波数を生じて、帯域通過フィルタを形成するように、複数の共振回路100に含まれる共振ユニット130は、具体的な構成が異なるように構成される。
【0067】
図12に示すように、複数の前記共振回路100は、直列接続されてもよい。必要に応じて、複数の共振回路100は、並列接続されてもよく、直並列接続(直列接続と並列接続とを含む)されてもよい。
【0068】
なお、上記の例において、複数とは、2つ以上を意味する。
上記のように、本出願に係る共振回路100およびフィルタデバイス10は、コンデンサ素子133と接続されていないポートを少なくとも1つ設置することにより、共振回路100の共振性能を調整する。このため、従来技術の各ポートがいずれもコンデンサ素子133と接続される構成に比べて、同じ静電容量のコンデンサを使用し、生成される共振周波数が同じである共振回路に対して、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を高めることができ、または、静電容量の比較的に小さいコンデンサを使用し、生成される共振周波数が同じである共振回路に対して、伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を同程度にすることができる。したがって、従来の共振回路に存在する、コンデンサの大容量化が難しいことに起因した伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を高めることができない問題を解決できる。したがって、比較的に高い実用価値を有し、特に小型化の精密機器に適用する。
【0069】
上記記載は、本出願の実施例にすぎず、本出願を限定するものではない。当業者にとって、本出願に各種の変更や変化を有してもよい。本出願の精神および原理から逸脱しない限り、行った如何なる変更、均等置換、改良なども、本出願の保護範囲内に属する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本出願に係る共振回路およびフィルタデバイスは、コンデンサ素子と接続されていないポートを少なくとも1つ設置することにより、共振回路の共振性能を調整する。したがって、従来の共振回路に存在する、コンデンサの大容量化が難しいことに起因した伝送零点付近の周波数に対する帯域外抑圧度を高めることができない問題を解決でき、比較的に高い実用価値を有する。
【符号の説明】
【0071】
10 フィルタデバイス、
100 共振回路、
110 接続ポート、
111 第1ポート、
113 第2ポート、
130 共振ユニット、
131 インダクタ素子、
131a 第1部分、
131b 第2部分、
131c 第3部分、
133 コンデンサ素子、
L1 第1インダクタ、
L2 第2インダクタ、
C1 第1コンデンサ
【国際調査報告】