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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】液体サンプルの自動診断分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
G01N35/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022564619
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2021059392
(87)【国際公開番号】W WO2021219352
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】102020111869.4
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】522414796
【氏名又は名称】ダイアシス テクノロジーズ エス.アー.エール.エル
【氏名又は名称原語表記】DIASYS TECHNOLOGIES S.A.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】フィンク、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】パーデュ、アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】マルテル、ティエリー
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB04
2G058CD04
2G058CD26
2G058CE08
2G058EA02
2G058EA04
(57)【要約】
効率性を高め、装置のサイズを最少化するため、かつ、分析装置を運用するオペレーターの作業負荷を低減するために、本発明は、サンプルトレイと、少なくとも2つの試薬トレイと、少なくとも2つの反応トレイと、少なくとも2つの測定デバイスとを備え、サンプルトレイが分析エリアの中央に配置され、少なくとも2つの反応トレイがサンプルトレイに隣接して配置され、少なくとも2つの試薬トレイが反応トレイに隣接して配置され、少なくとも2つの測定デバイスが反応トレイに隣接して配置され、サンプルディスクと少なくとも2つの反応トレイのそれぞれとの間に分注デバイスがあり、少なくとも2つの試薬トレイのそれぞれとそれに対応する反応トレイとの間に分注デバイスがある、液体サンプルの自動分析のための装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプルの自動分析のための装置(1)であって、前記装置は分析エリア(2)を備え、
前記分析エリアには、サンプル容器(4)を受け入れるためのサンプルトレイ(3)と、試薬容器(7、8)を受け入れるための少なくとも2つの試薬トレイ(5、6)と、反応容器(11、12)を受け入れるための少なくとも2つの反応トレイ(9、10)と、物理的または化学的特性を測定する少なくとも2つの測定デバイス(13、14)とがあり、
前記サンプルトレイ(3)は、前記分析エリア(2)の中央に配置され、
前記少なくとも2つの反応トレイ(9、10)は、前記サンプルトレイ(3)に隣接して配置され、
前記少なくとも2つの試薬トレイ(5、6)は、前記反応トレイ(9、10)に隣接して配置され、
前記少なくとも2つの測定デバイス(13、14)は、前記反応トレイ(9、10)に隣接して配置されていて、
前記サンプルディスク(3)と前記少なくとも2つの反応トレイ(9、10)のそれぞれの間に、前記サンプルトレイ(3)内のサンプル容器(4)から前記反応トレイ(9、10)内の前記反応容器(11、12)に液体サンプルを移すための分注デバイス(15、16)が設けられていて、前記少なくとも2つの試薬トレイ(5、6)のそれぞれとそれに対応する前記反応トレイ(9、10)との間に、前記試薬トレイ(5、6)内の試薬容器(7、8)から前記反応トレイ(9、10)内の前記反応容器(11、12)に試薬を移すための分注デバイス(17、18)が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記サンプルトレイは、回転可能なサンプルディスク(3)の形態であり、
前記少なくとも2つの試薬トレイは、回転可能な試薬ディスク(5、6)の形態であり、
前記少なくとも2つの反応トレイが、前記サンプルトレイに隣接して配置された回転可能な反応ディスク(9)の形態、または、静的反応リング(10)の形態であり、
前記分注デバイスは、分注アームの一端に回転軸(19)を有しその周りを分注アームの他端にある分注針(20)が円軌道に沿って移動可能な旋回分注アーム(15、16、17、18)の形態であり、前記分注デバイスの前記回転軸が、前記サンプルディスク(3)と各反応ディスク/リング(9、10)との間、または、各試薬ディスク(5、6)とそれに対応する前記反応ディスク/リング(9、10)との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記分析エリアがハウジング(21)内に配置され、前記ハウジングが、サンプル容器(4)および試薬容器(7、8)を、個別にまたはラック(23、24)に予めパックされた状態で受け入れるための装填口(22)を有し、前記装填口(22)は、前記サンプル容器(4)および試薬容器(7、8)を、個別にまたは予めパックされたラック(23、24)の形態で前記装填口(22)から前記サンプルトレイ(3)または前記試薬トレイ(5、6)まで搬送するためのロボットアーム(25)を備えていることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記装填口が、前記ハウジング(21)の前壁(26)に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装填口が、1Dコード、2Dコードおよび/またはRFIDのリーダーを備えていることを特徴とする請求項3または4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
サンプル容器および/または試薬容器を、個別にまたは予めパックされたラックの形態で、前記装填口までまたは前記装填口から搬送するためのコンベヤ(27)を備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの測定デバイスの少なくとも1つにより測定される前記物理的または化学的特性が、免疫測定の結果、または臨床化学測定の結果、または凝集測定の結果、またはイオン選択性電極測定の結果であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記サンプルディスク(3)が、ラックの中央長手方向軸線に沿ってサンプル容器(4)を受け入れるための2~20個のスロットを有する長めのサンプル容器ラック(24)を受け入れるための受け入れポケット(28)を有し、前記受け入れポケット(28)が、前記サンプルディスク(4)に放射状に配向されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記反応トレイの少なくとも1つは、前記反応容器(12)を受け入れるためのスロット(29)を有する静的反応リング(10)の形態であり、前記スロット(29)は、前記静的反応リング(10)に円周方向に並列配置され、前記静的反応リング(10)の外側には、反応容器(12)を受容するための少なくとも1つのスロット(31)を有する搬送リング(30)が同心円状に配置され、前記スロット(31)は、前記静的反応リング(10)の前記スロット(29)と同じ高さに配置され、前記搬送リング(30)は、前記静的反応リング(10)の径方向軸線上の水平移動により反応容器(12)を前記搬送リング(30)の前記少なくとも1つのスロット(31)から前記静的反応リング(10)の前記スロット(29)の1つまで移送し戻すための少なくとも1つのプッシャー(32)を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記搬送リングは、反応容器(12)を受け入れるための1つ、2つ、3つまたは4つのスロット(31)と、各スロット(31)に1つずつ配置されて反応リング(10)の径方向軸線上の水平移動により、反応容器(12)を前記搬送リング(30)の対応する前記スロット(31)から前記静的反応リング(10)の前記スロット(29)の1つまで移送し戻すためのプッシャー(32)とを有することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記搬送リング(30)の外側に、反応容器(12)を受け入れるための少なくとも1つの外部スロット(46)があり、前記少なくとも1つの外部スロット(46)は、前記搬送リング(30)の反応容器(12)を受け入れるための前記少なくとも1つのスロット(31)と同じ高さにあって、前記搬送リング(30)の径方向軸線上の水平移動により、反応容器(12)を前記搬送リング(30)のスロット(31)から、反応容器(12)を受け入れるための前記少なくとも1つの外部スロット(46)へ移送し戻すことができるようになっていることを特徴とする請求項9または10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記測定デバイス(14)の少なくとも1つが、反応容器(12)内において試薬で処理された液体サンプルの光学特性を測定するためのものであり、前記測定デバイスは、
シリンダ壁(34)とシリンダ頂部(35)とを有し、前記シリンダ壁に反応容器(12)を受け入れるための少なくとも1つのスロット(36)が設けられた回転可能な搬送シリンダ(33)と、
円筒形状ハウジング壁(38)と円筒形状ハウジングトップ(39)とを有する円筒形状ハウジング(37)であって、前記搬送シリンダ(33)の周りに同心円状に配置され、反応容器(12)を前記搬送シリンダ(33)の前記少なくとも1つのスロット(36)に挿入かつ/または前記搬送シリンダ(33)の前記少なくとも1つのスロット(36)から排出するための少なくとも1つの開口(43、44)が設けられた円筒形状ハウジング(37)と、
前記搬送シリンダ(33)の前記少なくとも1つのスロット(36)に挿入された反応容器(12)内の液体から発せられた光を検出するための光検出器(41)とを備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
垂直フィン(42)が、前記搬送シリンダ(33)および/または前記円筒形状ハウジング(37)の水平表面から上方または下方に突出していることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記回転可能な搬送シリンダ(33)が、反応容器(12)を受け入れるための3つのスロット(36、36’、36’’’)を有し、前記スロット(36、36’、36’’’)が、120°の角度でシリンダ壁(34)に配置されていることを特徴とする請求項12または13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記円筒形状ハウジング(37)が、反応容器(12)を前記搬送シリンダ(33)の前記少なくとも1つのスロット(36)に挿入するための1つの装填口(43)と、反応容器(12)を前記搬送シリンダ(33)の前記少なくとも1つのスロット(36)から排出するための取出口(44)とを有し、前記装填口(43)が前記円筒形状ハウジング頂部(39)に設けられ、前記取出口(44)が前記円筒形状ハウジング壁(38)に設けられていることを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体サンプルの自動分析のための装置であって、サンプル容器を受けるためのサンプルトレイと、試薬容器を受けるための少なくとも1つの試薬トレイと、反応容器を受けるための少なくとも1つの反応トレイと、反応容器内において試薬で処理された液体サンプルの物理的または化学的特性を測定するための少なくとも1つの測定デバイスとを備える分析エリアを有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医学・動物医学の診断分野において自動化が進む中、液体を自動分析する装置、いわゆる分析装置が広く使用されるようになってきている。このような分析装置は、試薬容器から試薬を自動的に取り出し、その試薬と被分析試料を組み合わせて、反応容器内で分析操作を行うものである。そのため、分析装置には通常、試料トレイ、試薬トレイ、反応トレイがあり、それぞれの容器を受け入れ、保持するためのスロットが設けられている。
【0003】
試薬またはサンプルを取り出しそれを反応容器内へ移送する工程は、通常、自動分注デバイスにより行われる。そのような自動分注デバイスは、分注針を有する分注アームを含むことが多く、この分注アームは、分注針に液体を吸い上げ、再び分注針から液体を排出するためのポンプユニットに接続されている。分注アームは、サンプルトレイ、試薬トレイおよび/または反応トレイが配置された作業エリア上を、XY方向に、あるいは回転して移動することができる。
【0004】
一般に分析装置には、反応容器内の反応混合物の物理的または化学的パラメータ(プロセスパラメータ)を測定するための測定デバイスが含まれる。測定デバイスは、分光光度法や、比色法、イオン選択電極法、凝固法、免疫測定法などの測定技術を有する。
【0005】
診断分析を行うための前述の装置によってカバーされるエリアが分析エリアであり、そこにはサンプルトレイ、少なくとも1つの試薬トレイ、少なくとも1つの反応トレイ、測定デバイス、および他の装置間で液体を移送するためのピペット装置などが配置される。
【0006】
分析装置の一例は、国際公開WO2011/061118に開示されている。最大限の試料処理能力を達成するために、この分析装置は、正確に3つの回転可能なディスク、すなわち試料ディスク、試薬ディスクおよび反応ディスク、少なくとも3つの分注装置および測定デバイスを有する。効率を上げるために、この装置はそれぞれ定義された動作モードを持つ連続した動作サイクルで運転される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
分析装置の自動化の効率化は、常に求められている。また、分析装置を設置する研究室の省スペース化のため、装置の小型化が求められている。また、分析装置を操作するオペレーターの負担を軽減することも望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上記目的は、以下に詳細に説明する様々な態様によって達成され、通常、本発明装置は、分析エリアを備えることを共通とし、その分析エリアは、少なくとも1つの液体サンプルを含む試料容器を受け取るための試料トレイと、少なくとも1つの試薬が入った試薬容器を受け取るための少なくとも1つの試薬トレイと、反応容器を受けるための少なくとも1つの反応トレイと、反応容器内において試薬で処理された液体サンプルの物理的または化学的特性を測定するための少なくとも1つの測定デバイスと、液体サンプルをサンプルディスク内のサンプル容器から反応容器に移送するための少なくとも1つの分注デバイス、および、試薬を試薬ディスク内の試薬容器から反応容器に移すための少なくとも1つの分注デバイスとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に関連して、「サンプル」という用語は、分析作業の目的のために準備され、診断的に分析されるべき物質を含む任意の材料を示すために使用される。サンプルとしては、全血、清血、保存血等、並びに、尿や濃縮溶液等の体液が例示される。
【0010】
本発明の装置は、異なる分析プロセスを実行することが可能である。好ましい実施形態において、少なくとも1つの測定デバイスにより測定される物理的または化学的特性は、反応容器における免疫測定結果、臨床化学測定結果、凝固測定結果またはイオン選択電極測定結果から選択される。
【0011】
第一態様:構成要素の配置
【0012】
効率性を高め、装置のサイズを最少化するため、かつ、分析装置を運用するオペレーターの作業負荷を軽減するために、本発明は、多くの技術的解決手段を提供する。
【0013】
本発明の第一の態様によれば、液体サンプルの自動分析装置であって、分析エリアを備え、その分析エリアが、サンプル容器を受けるためのサンプルトレイと、試薬容器を受けるための少なくとも2つの試薬トレイと、反応容器を受けるための少なくとも2つの反応トレイと、物理的または化学的特性を測定するための少なくとも2つの測定デバイスとを備え、前記サンプルトレイは、前記分析エリアの中央に配置され、少なくとも2つの反応トレイは、サンプルトレイに隣接して配置され、少なくとも2つの試薬トレイは、反応トレイに隣接して配置され、少なくとも2つの測定デバイスは、反応トレイに隣接して配置され、サンプルディスクと少なくとも2つの反応トレイのそれぞれの間に、液体サンプルをサンプルトレイ内のサンプル容器から反応トレイ内の反応容器に移すための分注デバイスがあり、少なくとも2つの試薬トレイのそれぞれと、それに対応する反応トレイとの間に、試薬を試薬トレイ内の試薬容器から反応トレイ内の反応容器に移すための分注デバイスがあることを特徴とする装置が開示される
【0014】
好ましい実施形態によれば、本発明の装置では、前記サンプルトレイは、回転可能なサンプルディスクの形態であり、少なくとも2つの試薬トレイは、回転可能な試薬ディスクの形態であり、少なくとも2つの反応トレイは、サンプルトレイに隣接して配置された回転可能な反応ディスクの形態、または、静的反応リングの形態であり、分注デバイスが、分注アームの一端に回転軸を有して、その周りを分注アームの他端が円軌道に沿って移動可能な旋回分注アームの形態であり、分注デバイスの回転軸が、サンプルディスクと各反応ディスク/リングとの間、または、各試薬ディスクとそれに対応する反応ディスク/リングとの間に位置していることを特徴とする。
【0015】
本発明の第一態様によれば、サンプルトレイは、好ましくは、分析エリアの中央に配置された回転可能なサンプルディスクの形態で設けられる。「分析エリア」は、サンプルトレイ、試薬トレイ、反応トレイおよび分注デバイスが位置付けられた、本発明の装置のエリアである。好ましい実施形態において、分析エリアは平面であり、デバイスが並列に配置される。分析エリアの「中央」は、試薬トレイおよび反応トレイの回転軸を接続する仮想の直線により形成される四角形、五角形、六角形またはそれ以上の多角形により画定される。本発明によれば、サンプルトレイは、サンプルトレイの回転軸が試薬トレイおよび反応トレイの回転軸を接続する仮想の直線により形成される四角形、五角形、六角形またはそれ以上の多角形により画定される分析エリアの中央を通る場合、分析エリアの中央に配置される。
【0016】
本発明において、「ディスク」という用語は、サンプル容器や試薬容器、反応容器等の液体容器を受け入れるためのスロットを提供する円形のトレイを指す。これに対して、「リング」という用語は、特定の円形の液体容器トレイを指し、上方からの円形のトレイの斜視において、リング本体が、2つの同心円状の円の間に延在することによって、サイズがリングの内側半径により画定される中央の穴ができ、ここでリングの内側半径は、リングの外側半径の少なくとも30%である。
【0017】
一実施形態において、サンプルトレイは、サンプル容器を受けるためのスロットを有するサンプルディスクの形態であり、前記スロットは、ディスクの外側周縁に沿って並列配置される。代替の実施形態において、サンプルトレイは、長尺のサンプル容器ラックを受けるための受け入れポケットを有するサンプルディスクの形態であり、ラックは、サンプル容器を受け入れるための2~20のスロットを有し、前記スロットは、ラックの中央長手方向軸線に沿って並列配置され、受け入れポケットは、サンプルディスクに放射状に配向されている。
【0018】
本発明に係る「分注デバイス」は、液体を分注針内へ吸い上げその液体を再び分注針から放出するための圧送ユニットに接続される分注針を有する。本発明の好ましい実施形態において、分注デバイスは、旋回分注アームを備える。旋回アームの一端には回転軸があり、その周りを分注アームの他端が円軌道に沿って移動可能であり、それにより分注デバイスの作業ゾーンを画定する。これにより、分注針を試薬容器、サンプル容器および/または反応容器まで移動させることができる。
【0019】
好ましくは、分注デバイスの少なくとも1つの回転軸が、サンプルディスクと各反応ディスクまたは反応リングとの間に配置される。好ましくは、分注デバイスの少なくとも1つの回転軸は、各試薬ディスクとそれに対応する反応ディスクまたは反応リングとの間に配置される。
【0020】
上述した本発明の特定の態様に係る構成要素の配置により、同じ分析装置で少なくとも2つの異なる診断分析プロセスを実行することが可能である。特に、免疫学的測定と臨床化学的測定とを同一の分析装置内で組み合わせることが可能であり、それぞれの分析手順に必要な試薬容器を受け取るための試薬トレイが少なくとも2つ存在するため、2つの異なる分析プロセスを実行することが可能である。さらに、各分析手順のために2つの独立した反応トレイがあり、それぞれの手順に必要な少なくとも2つの測定デバイスがある。これにより、全てのこれらのデバイスは、少なくとも二重に設けられる。しかしながら、分析エリアの中央に配置されたサンプルトレイはただ1つのみである。したがって、単一のサンプルトレイに提供されたサンプルに対して、2つの異なる分析プロセスを実行することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、分析エリアは、ハウジング内に配置され、さらに好ましい実施形態では、装置のハウジングに装填口が設けられ、その装填口が、サンプル容器および試薬容器を、個別にまたはラックに予めパックされた状態で受け取るためのものであり、ここで装填口は、サンプル容器および試薬容器を個別にまたは予めパックされたラックの形態で装填口からサンプルトレイおよび/または試薬トレイまで搬送するためのロボットアームを備える。
【0022】
ロボットアームを含む装填口は、分析装置のオペレーターが新しいサンプルおよび/または新しい試薬をサンプルトレイまたは試薬トレイに手で投入する必要がないという有益な効果をもたらす。通常、サンプルおよび/または試薬を手で交換する場合には、分注アームおよび/または回転ディスク等の可動部品との接触を避けるために、分析エリアにおける全ての移動動作を停止させる必要がある。明らかに、分析エリアにおける全ての移動動作を停止させることは、処理において遅延に繋がる。したがって、サンプル容器および試薬容器をサンプルトレイおよび/または試薬トレイまで搬送するためのロボットアームを備える装填口を有することは、ロボットアームの動きを、分析エリアにおけるあらゆる自動化された動きと連動させることができるという点で有益である。
【0023】
さらに、このロボットアームは、必要に応じて、液体容器を液体容器トレイから他のトレイに移すことができるという有益な効果をもたらす。例えば、通常、キャリブレーション液またはコントロールは、それらが分析プロセスに含まれるように、サンプルトレイ上のサンプル容器内に載置される。しかしながら、キャリブレーション液またはコントロールを含むサンプル容器をサンプルトレイ内に載置しなければならないキャリブレーション工程間には、キャリブレーション液/コントロールを冷却しておくことが好ましい。その目的のために、ロボットアームは、キャリブレーション液/コントロールを含むサンプル容器を、通常冷却されないサンプルトレイから、通常冷却される試薬トレイの1つまで移すことができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、装置は、装填ゾーンのロボットアームによる中央のサンプルトレイへのアクセスと、全体に配置された分析のための構成要素による中央のサンプルトレイへのアクセスとを連動させるためのアクセス制御ユニットを備える。特に、制御ユニットは、アクセスのルールと、様々な要求ユニット(ロボットアーム、分析ユニット)に許容されるタイムスロットとについて判断する。
【0025】
制御ユニットは、有線やBluetooth等の信号伝送接続を介して分析装置の異なる構成要素に接続される。この接続を介して、ロボットアームと分析ユニット(例えば、免疫測定ユニット、臨床化学ユニット)が通信することができる。特に、その接続を介して、ロボットアームおよび分析ユニットは、サンプル容器またはサンプル容器ラックをサンプルトレイに載置したり、それを同じサンプルトレイから取り出したり、サンプルの一定分量をサンプルトレイに載置されたサンプル容器に載置したりするために、中央のサンプルトレイへのアクセスのためのタイムスロットを要求できる。好ましくは、タイムスロットの要求は、そのタイムスロットが要求されたときに、期間属性と関連付けられ、その期間属性が期間を規定する。さらにより好ましくは、タイムスロットの要求は優先度属性と関連付けられ、その優先度属性が、既定された期間内におけるタイムスロットの割り当てが適切な作業にとって必須であることを高い優先度レベルが示し、既定された期間内におけるタイムスロットの割り当てが適切な作業にとって必須でないことを低い優先度レベルが示すような、少なくとも2つの優先度レベル(例えば、高/低)を規定する。そして、制御ユニットは、任意に期間および/または優先度レベル属性を含む全ての要求を分析し、各アクセス要求に対して特定のタイムスロットを割り当てる最適な作業工程を計算する。最後に、各タイムスロットに関する関連情報が、制御ユニットによって要求ユニットのそれぞれに通信される。
【0026】
それらの実施形態において、ハウジングがある場合、そのハウジングは、床、天井、後壁、側壁、および前壁によって形成される。好ましい実施形態において、装填口は、ハウジングの前壁に配置される。好ましくは、装填口は、前壁の左右の縁部の中間に配置される。
【0027】
いくつかの実施形態において、装填口は、分析装置のオペレーターによって手で個別にまたは予めパックされたラックの形態で装填口に載置される新しいサンプル容器および/または新しい試薬容器を受け取るように設計される。そして、ロボットアームは、容器/ラックを取り上げ、それをサンプルトレイおよび/または試薬トレイに搬送する。逆に、空の容器/ラックは、ロボットアームによってサンプルトレイおよび/または試薬トレイから取り出されて、装填口に搬送されて、そこでオペレーターがそれらを取り出すことができる。結果として、本発明の「装填口」は、「装填口」のみならず、「取出口」でもある。
【0028】
本発明の特定の実施形態において、装置は、サンプル容器および/または試薬容器を、個別にまたは予めパックされたラックの形態で、装填口までまたは装填口から搬送するためのコンベヤを備える。コンベヤは、装填口が配置されたハウジングの壁に沿って、装填口から左側および/または右側まで水平に延在する。
【0029】
本願において、「装填口」という用語は、ロボットアームによって取り上げられるようにオペレーターまたはコンベヤによってサンプル/試薬容器/ラックが載置される、装置の壁のエリアを指す。それとは対照的に、「装填ゾーン」という用語は、オペレーターがサンプル/試薬容器/ラックを載置しうる、装填口の外側のコンベヤ上のエリアを指す。
【0030】
いくつかの実施形態において、コンベヤの一端が装填口の外側にあり、かつ、コンベヤの他端が装填口内に達し、装填口の外側の一端には、複数のサンプル容器および/または試薬容器を個別にまたは予めパックされたラックの形態でコンベヤ上に載置することが可能であり、コンベヤがその容器/ラックを1つずつ装填口内に搬送する装填ゾーンがある。さらに、そのようなコンベヤによって、サンプルディスクまたは試薬ディスクから取り出されロボットアームによって装填口に載置された使用済みまたは空のサンプル容器および/または試薬容器をコンベヤの外側の端部に搬送することができるようになる。それらの場合、コンベヤは双方向のものとなり、装填ゾーンは取出ゾーンにもなる。
【0031】
他の実施形態において、コンベヤの一端が装填口の左側の外部にあり、コンベヤの他端が壁に沿って装填口に達して装填口から右側に延在する。それらの実施形態において、コンベヤの装填ゾーンおよび取出ゾーンは分離、すなわち装填口からの一方側に装填ゾーンがあり、他方側に取出ゾーンがある。
【0032】
特定の実施形態において、装填口において向き合うように、左側に1つ、右側に1つの、2つの独立したコンベヤが同じ水平レベル上にある。他の特定の実施形態において、同じ水平レベルにおいて、装填口から左側において開始するものと、装填口から右側において開始するものと、装填口の内側に位置付けられるものの、3つの独立したコンベヤがある。
【0033】
特定の実施形態において、装填口が位置付けられた分析装置ハウジングの壁の縁部に達する少なくとも1つの水平コンベヤがあり、そのコンベヤは、液体容器を、個別にまたはラックに載置されて、分析装置ハウジングのその壁の縁部の傍に立設された第二の分析装置まで移送するためのものである。その第二の分析装置が、分析装置ハウジングの壁の縁部から装填口に達するコンベヤを含む、本発明に係る分析装置である場合、液体容器を、さらなる分析のために第一の分析装置から第二の分析装置まで移送することができる。
【0034】
特定の実施形態において、2台以上の本発明の分析装置が、液体容器を個別にまたはラックに載置されて1台の分析装置から他へ移送するための1つのコンベヤまたは複数の水平に配列されたコンベヤを共有する。
【0035】
「ロボットアーム」という用語は、サンプル容器および/または試薬容器を、個別にまたはサンプル容器および/または試薬容器が装填されたラックの形態で搬送するためのエンドエフェクターを有する移動可能な搬送デバイスを指す。一実施形態において、ロボットアームは、一端に回転軸が通過する旋回エレメントを有する。回転軸の周りを、回転軸に関して旋回エレメントの他端に配置されたエンドエフェクターが、円軌道に沿って移動できる。
【0036】
さらに好ましい実施形態では、旋回アームを垂直軸線に沿って移動させることができ、さらに好ましい実施形態では、旋回エレメントまたはロボットアーム全体を水平軸線に沿って移動させることができる。特に、旋回エレメントを、垂直軸線および水平軸線に沿って移動させることができることが好ましい。
【0037】
回転軸周りの移動、垂直軸線に沿った移動および水平軸線に沿った移動の全ての可能な移動によって、ロボットアームの作業ゾーンが画定され、その作業ゾーンにおいて、エンドエフェクターは、装填口内のサンプル容器および/または試薬容器まで、また、サンプルトレイおよび/または試薬トレイのサンプル容器または試薬容器を受け入れるためのスロットまで移動させることができる。必要な作業ゾーンを最少化するために、回転軸を、サンプルディスクと少なくとも2つの試薬ディスクとの間に配置することが好ましい。
【0038】
特定の実施形態において、ロボットアームは、サンプル容器および試薬容器を個別にまたは予めパックされたラックの形態で把持し搬送するための互いに相対的に移動可能な少なくとも2つのフィンガーを有するエンドエフェクターを備える。
【0039】
本発明の特定の実施形態において、分析装置のハウジングは、ベースと、開閉可能なフードとを備え、分析エリアがベースの上部に配置され、フードが閉じた状態では分析エリアを完全に覆う。それらの実施形態において、装填口は、好ましくは、ベースまたはフードの前壁に配置されるか、ベースおよびフードの前壁の両方にわたって延在する。
【0040】
前述のどの代替手段を実現するかにかかわらず、装填口によって、フードを開けることなく、サンプルおよび/または試薬を分析装置に装填することができる。さらに、装填口には、サンプルおよび/または試薬をいつでも置くことができる。サンプルおよび/または試薬を分析装置に装填することが可能な特定のタイムスロットを待つ必要はない。サンプルまたは試薬を分析装置の対応するトレイに装填するためのタイムスロットがあるときはいつでも、ロボットアームは、サンプルまたは試薬を装填ゾーンから把持して、対応するトレイに搬送することができる。
【0041】
サンプルを区別し、異なる試薬を区別するために、サンプル容器および試薬容器は、1Dコード(バーコード)、2Dコード(マトリックスコード)またはRFID(Radio-frequency identification)のついたラベルを有することができる。これに応じて、好ましい実施形態において、オペレーターが装填ゾーンに載置するサンプルおよび/または試薬を識別するために、装填ゾーンには、1Dコードリーダー、2Dコードリーダーおよび/またはRFIDリーダーが設けられる。容器をその目的場所に搬送する前に、ロボットアームが、把持した容器をリーダーまで移動し、コードから読み取られた情報に基づいて、ロボットアームが対応する搬送動作を行う。
【0042】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、有線やBluetooth等の信号伝送接続を介して装填ゾーンにある1Dコードリーダー、2Dコードリーダーおよび/またはRFIDリーダーに接続される。この接続を介して、制御ユニットは、装填口に載置された各容器に関する情報を受け取ることができる。その情報にしたがって、制御ユニットは、容器をサンプルトレイまたは試薬トレイのいずれに載置するかを判断できる。そして、容器の指定された位置に関する情報は、制御ユニットによってロボットアームに伝達される。
【0043】
いくつかの実施形態では、各試薬容器は、装填口内にまたはコンベヤ上に個別に配置される。他の実施形態では、試薬容器は、試薬容器ラック上に載置され、続いてそのラックが、装填口内にまたはコンベヤ上に載置される。あるいは、ロボットアームは、試薬容器を把持するが試薬ラックはコンベヤ上に残すか、あるいは、ロボットアームは試薬容器を含むラック全体を把持する。同じ代替手段が、サンプル容器/サンプル容器ラックを把持することにも適用される。
【0044】
いくつかの実施形態では、サンプルトレイ、試薬トレイおよび反応トレイ並びに装填口が、単一のハウジングによって囲まれたエレメントである。しかしながら、いくつかの実施形態において、ハウジングは、物理的に分離可能なユニットで構成され、その1つがサンプルトレイおよび装填口を備え、他のユニットが試薬トレイおよび反応トレイおよび1つの測定デバイスの組み合わせをそれぞれ備える。
【0045】
物理的に分離可能なユニットは、個別のハウジングを有し、それらのハウジングが、固定的に組み合わせられて、コンパクトな分析装置を形成し、そのコンパクトな分析装置の上部にサンプルトレイ、少なくとも2つの試薬トレイ、少なくとも2つの反応トレイおよび少なくとも2つの測定デバイスが配置される。好ましくは、そのコンパクトな分析装置の上部にヒンジを介して配置されたカバーフードが設けられ、そのカバーフードが、分析装置の上部全体、すなわちユニットの全てを覆う。
【0046】
いくつかの特定の実施形態では、1つの免疫測定ユニットと1つの臨床化学ユニットとの組み合わせがある。他の実施形態では、2つの免疫測定ユニットまたは2つの臨床化学ユニットが組み合わされている。いくつかの実施形態において、3、4、5、6、7、または8のユニットが組み合わされており、2つのユニットの組合せごとに、その2つのユニットの組み合わせに対して使われる1つの装填ゾーンが設けられる。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、デバイスは、以下の対称性の規則の少なくとも1つに準拠して分析装置内に配置される。分析装置ハウジングの側壁に関して、サンプルディスクの回転軸が側壁間の中心線上にあり、分析装置ハウジングの側壁に関して、装填口の中心線が側壁間の中心線上にあり、ロボットアームの中心位置が装填口の中心線上にあり、一方側の第一試薬ディスクと他方側の第二試薬ディスクの回転軸が、分析装置ハウジングの側壁間の中心線を基準として同じ距離にあり、一方側の第一反応ディスクまたは搬送リングと他方側の第二反応ディスクまたは搬送リングの回転軸が、分析装置ハウジングの側壁間の中心線を基準として同じ距離にあり、一方側の第一試薬ディスクと対応する反応ディスク/リングとの間の第一旋回分注デバイスの回転軸と、他方側の第二試薬ディスクと対応する反応ディスク/リングとの間の第二旋回分注デバイスの回転軸とが、分析装置ハウジングの側壁間の中心線を基準として同じ距離にあり、一方側のサンプルトレイと第一反応ディスク/リングとの間の第一旋回分注デバイスの回転軸と、他方側のサンプルトレイと第二反応ディスク/リングとの間の第二旋回分注デバイスの回転軸とが、分析装置ハウジングの側壁間の中心線を基準として同じ距離にある。
【0048】
以下の対称性の規則の1つ以上に従って分析装置内に配置されたデバイスを有することによって、免疫測定ユニットと臨床化学ユニットの交換が容易になる。
【0049】
サンプルトレイがサンプルディスクである場合には、そのディスクの直径は30cmから60cmまでの範囲内である。試薬トレイが試薬ディスクである場合には、そのディスクの直径は30cmから60cmまでの範囲内である。反応トレイが反応ディスク/リングである場合には、そのディスクの直径は30cmから60cmまでの範囲内である。
【0050】
本発明の分析装置のサイズを最少化するために、反応トレイは中央のサンプルディスクに隣接して配置され、試薬ディスクは反応トレイに隣接して配置される。「隣接」という用語は、2つのデバイスの外縁間の最も短い距離を定義する意味に理解されるべきであり、その距離は、5cmから15cmまでの範囲内、好ましくは5cmから10cmまでの範囲内とする。
【0051】
本発明によれば、分注デバイスは、サンプルトレイと各反応トレイとの間、または、各試薬トレイと対応する反応トレイとの間に配置される。「間」という用語は、2つのデバイスの間に位置する分注デバイスの作業ゾーンが、2つのデバイスの両方の容器に移動できることを定義する意味で理解される。
【0052】
旋回分注デバイスを有する好ましい実施形態では、旋回分注デバイスの作業ゾーンは、5cmから15cmまでの範囲内の半径を有する。この半径内で、例えば、サンプルディスクと反応ディスクとの間に位置する分注デバイスの分注針を、サンプルディスク内のサンプル容器と、反応ディスク内の反応容器の両方に移動させることができる。
【0053】
本発明の第二態様:静的反応リング
【0054】
免疫学的測定を行う際、標的分子と抗体を反応させる時間を確保するために、規定された条件で反応混合物を培養する必要がある。培養は特に、所定の温度条件で行われる。したがって、反応混合物を含む反応容器は、通常、調整された培養器内に一定時間置かれる。
【0055】
本発明の一態様によれば、免疫測定ユニットを含み、静的反応リングの形態で設けられた反応トレイ内で培養が行われる分析装置が提供される。その静的反応リングは、反応容器を受け入れるための培養スロットを有し、そのスロットは、リングに円周方向に並列配置される。静的反応リングの外側には、反応容器を受け入れて搬送するための少なくとも1つの搬送スロットを有する搬送リングが同心円状に配置され、そのスロットは、静的反応リングのスロットと同じ高さに配置される。搬送リングは、反応リングの径方向軸線上の水平移動により反応容器を搬送リングの少なくとも1つの搬送スロットから静的反応リングの培養スロットの1つにまで往復移送するための少なくとも1つのプッシャーを有している。
【0056】
本発明の好ましい実施形態によれば、静的反応リングのスロットは、金属製である。好ましくは、静的反応リングは、反応容器を受け入れるためのスロットを一体の部分として有する金属製の一体型である。
【0057】
本発明の特定の実施形態において、静的反応リングは、リングの外側周縁に円周方向に並列配置された単一の列のスロットを有する。代替の実施形態において、静的反応リングは、リングの外側周縁に円周方向に並列配置された第一の列のスロットと、リングの中心軸線への方向において円周方向に並列配置された第二の列のスロットとを有する。
【0058】
静的反応リングを調整するために、金属製スロット、または、スロットを一体の部分として含む一体型金属製リングを加熱するための加熱デバイスが設けられる。加熱デバイスは、静的反応リングの温度を20℃から50℃までの範囲内に制御し維持するための手段を有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、反応容器は、長辺および短辺を有するベースエリアをもつキュベットであり、キュベットのそれぞれの長辺が、反応ディスクの径方向軸線に沿って配向されている。したがって、静的反応リングのスロットは、その長辺が、静的反応リングの径方向軸線に沿って配向される。
【0060】
搬送リングは、静的反応リングの周囲に回転可能に配置され、その搬送リングは、反応容器を受け入れるための1つ、2つ、3つまたは4つのスロットを有し、その搬送リングは、各スロットに1つずつ配置されて、反応リングの径方向軸線上の水平移動により反応容器を搬送リングの対応するスロットから静的反応リングのスロットの1つまで往復移送するためのプッシャーを有する。
【0061】
本発明のいくつかの特定の実施形態において、径方向における搬送リングの外側には、反応容器を受け入れるための少なくとも1つの外部スロットがあり、その外部スロットは、搬送リングの径方向軸線上の水平移動により反応容器を搬送リングのスロットからその外部スロットまで往復移送することができるように、搬送リングにおける反応容器を受け入れて搬送するための搬送スロットと同じ高さにある。それらの実施形態において、搬送リングは、反応リングの径方向軸線上の水平移動により反応容器を搬送リングの少なくとも1つの搬送スロットから外部スロットの1つまで往復移送するための少なくとも1つのプッシャーを有する。
【0062】
前述の外部スロットは、ビーズ分離や、凝集分析、混合、反応容器の洗浄など、反応容器内における反応混合物のさらなる処理のためのパーキング位置として設けられる。
【0063】
円形状の静的反応リング内の温度を維持し、加熱された反応リングによって外部スロットの1つに配置された反応容器内の反応混合物が温められることを避けるために、反応リングの周囲に、円形状の熱的分離ハウジングが設けられる。その円形状の分離ハウジングの断面は、上下反転させた「U」字状の形態を有する。
【0064】
本発明の第三態様:円形測定室
【0065】
本発明の第三態様によれば、少なくとも1つの測定デバイスを有し、その少なくとも1つの測定デバイスが、反応容器内において試薬で処理された液体サンプルの光学特性を測定するための分析装置であり、測定デバイスは、シリンダ壁およびシリンダ頂部を有し、反応容器を受け入れるための少なくとも1つのスロットがシリンダ壁にある回転可能な搬送シリンダを有し、シリンダ壁およびシリンダ頂部を有し、搬送シリンダの周囲に同心円状に配置された円筒形状ハウジングであって、反応容器を搬送シリンダの少なくとも1つのスロットに挿入かつ/または少なくとも1つのスロットから排出するための少なくとも1つのスロットがある円筒形状ハウジングを有し、搬送シリンダの少なくとも1つのスロットに挿入された反応容器内の液体から発せられた光を検出するための光検出器を有する。
【0066】
搬送シリンダの回転によって、反応容器を受け入れるための少なくとも1つのスロットを、装填位置から検出位置まで、さらには排出位置まで移動させることができる。いくつかの実施形態において、試薬が反応混合物に添加される少なくとも1つの処理位置が設けられ、移動方向において、そのような処理位置は、装填位置と検出位置との間にある。
【0067】
円筒形状ハウジングおよび搬送シリンダは、搬送シリンダが少なくとも1つのスロットに対して装填位置にあるとき、反応容器を少なくとも1つのスロット内に装填するための装填口を設けるように設計される。円筒形状ハウジングおよび搬送シリンダは、搬送シリンダが少なくとも1つのスロットに対して排出位置にあるとき、反応容器を少なくとも1つのスロットから排出するための排出開口を設けるように設計される。さらに、円筒形状ハウジングおよび搬送シリンダは、少なくとも1つのスロットが光検出位置にあるとき、搬送シリンダが、少なくとも1つのスロット内の反応容器を円筒形状ハウジングのシリンダ壁に設けられた光開口のすぐ前の位置に保持して、反応容器内の液体から発せられた光が光開口を通過して光開口の他方側に配置された光検出器に到達するように設計される。
【0068】
本発明の円形測定室は特に、検出対象の光強度が低い場合や正確に定量化する必要がある場合に、液体サンプルの光学特性を測定するように設計される。検出対象の光強度がかなり低く、正確に定量化する必要がある分析の一例としては、CLIA(化学発光免疫分析)がある。このような場合、測定を完全な暗闇の中で行うことによって、外部からの光子が検出器に達するのを避ける必要がある。
【0069】
このような場合に必要となる感度の高い光検出器としては、光電子増倍管を有するPMT検出器を例示できる。
【0070】
回転可能な搬送シリンダが精密に円筒形状ハウジング内に嵌合することによって、搬送シリンダをハウジング内で回転させたときにバックラッシュが最小限となる非常に小さい隙間が得られる。いくつかの実施形態において、搬送シリンダ壁の外周と円筒形状ハウジング壁の内周との間の最大距離は、1mm以下である。これは、反応容器を搬送シリンダに装填する際に装填位置で潜在的に入射する光が検出位置にある光検出器に到達するように、遮光配置を確保するためである。
【0071】
搬送シリンダ壁におけるスロットの数は、好ましくは1つ、2つまたは3つである。それらの実施形態において、搬送シリンダに2つのスロットがある場合には、それら2つのスロットは、搬送シリンダの外側周縁における対向位置、すなわち、互いに関して180°の角度に配置される。それらの実施形態において、回転可能な搬送シリンダが反応容器を受容するための3つのスロットを有する場合には、それらのスロットは、好ましくは、搬送シリンダの外側周縁においての各隣のスロットに関して120°の角度でシリンダ壁に配置される。
【0072】
スロットを上述のように配向することによって、光子が装填位置から検出位置まで到達するリスクが最少化される。さらに、光子が装填口から検出開口まで達するリスクは、垂直フィンが搬送シリンダおよび/または円筒形状ハウジングの水平表面から上方または下方に突出している、本発明の好ましい実施形態において最小化される。
【0073】
いくつかの実施形態では、いくつかの垂直フィンが、対応する表面の一縁部からその表面の対向する縁部まで直線状かつ互いに対して平行に延在する。特定の実施形態において、第一のセットの垂直フィンが、各表面の一縁部からその表面の対向する縁部まで直線状かつ互いに対して平行に延在し、第二のセットのフィンもまた各表面の一縁部からその表面の対向する縁部まで直線状かつ互いに対して平行に延在し、30°から90°までの範囲内の角度で第一のセットのフィンと交差している。
【0074】
他の特定の実施形態では、前記垂直フィンは、同心円状に配置されており、特に特定の実施形態では、前記垂直フィンは、搬送シリンダ頂部の外側表面から上方に突出、かつ/または、円筒形状ハウジング頂部の内側表面から下方に突出する同心円状に配置されており、前記フィンは、搬送シリンダの回転軸の周りに同心円状に配置されている。
【0075】
いくつかの実施形態では、フィンの断面は、長方形状、三角形状、半円状またはそれらの組み合わせである。特定の実施形態では、搬送シリンダ頂部の外側表面および円筒形状ハウジングの内側表面の両方など、対向する表面にフィンがある場合、フィンはそれらが一致するように設計されてもよく、隣接するフィンは、一方の表面にあるフィンの頂点が他方の表面にあるフィンの間の隙間に到達するように、また逆も同様となるように、頂点と頂点が整列しているか、または互いに係合しているかのいずれかである。
【0076】
さらなる実施形態は、円筒形状ハウジングが、反応容器を搬送シリンダのスロットに挿入するための1つの装填口と、反応容器を搬送シリンダの少なくとも1つのスロットから排出するための1つの取出口とを有し、装填口が、円筒形状ハウジングのシリンダ頂部にあり、取出口が、円筒形状ハウジングのシリンダ壁にあることを特徴とする。
【0077】
本明細書、図面及び特許請求の範囲から当業者が収集し得る任意の特徴は、たとえ特定のさらなる特徴との関連においてのみ記述されているとしても、明示的に除外されているか、技術的条件がかかる組み合わせを不可能または無意味にするのでなければ、本明細書に開示された特徴または特徴のグループの他の任意の組み合わせと同様に個別に組み合わせてもよいことに留意されたい。考えられる特徴の組み合わせに関する包括的で明示的な議論は、明細書および特許請求の範囲の簡潔性および読みやすさのために省かれている。
【0078】
特に、本発明の上述の態様の1つの文脈において述べられたそれらの特徴は、本発明の上述の態様の他の1つの文脈で述べられた特徴と組み合わせてもよいことに留意されたい。
【0079】
また、例示的に実施形態として記載されている添付の図面および以下の具体的な説明は、本発明の可能な構成を例示的に提示するものであることは、当業者にとって自明である。したがって、当業者は、加えて請求項に記載されているような本発明に係る特徴または特徴の組み合わせを有する全ての他の構造も、本発明の保護範囲内にあることを容易に理解するであろう。全ての考えうる実施形態の包括的で明白な提示は、単に本明細書の簡潔さおよび読み易さのために省略されている。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1図1は、本発明に係る実施形態の分析装置の上面を上方から見た斜視図である。
図2図2は、本発明に係る実施形態の分析装置の静的反応リングの詳細図である。
図3図3は、本発明に係る実施形態の分析装置の円形測定室の斜視図である。
図4図4は、本発明に係る実施形態の分析装置において、図3に示す円形測定室の別の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、本発明に係る実施形態の分析装置1の上面を上方から見た斜視図である。この分析装置1の分析エリア2には、2つの試薬トレイ5、6が配置されていて、その試薬トレイ5、6はいずれも回転可能なディスクの形態である。さらに、分析エリア2には、2つの反応トレイ9、10が配置されていて、一方の反応トレイ9は回転可能な反応ディスクの形態であり、他方の反応トレイ10は静的な反応リング10の形態である。
【0082】
試薬トレイ5、6の回転軸と、反応トレイ9、10の回転軸とを結ぶ破線により形成される長方形は、分析エリア2の中央を画定している。サンプルトレイ3の回転軸は、分析エリア2の中央を通っている。このように、サンプルトレイ3は、分析エリア2の中央に配置されている。
【0083】
2つの試薬トレイ5、6は、サンプルトレイ3に隣接して、それぞれサンプルトレイ3の右側とサンプルトレイ3の左側にある。さらに、2つの反応トレイ9、10は、サンプルトレイ3に隣接して、右側に1つ設けられていて、左側に1つ設けられている。
【0084】
サンプルトレイ3と2つの反応トレイ9、10のそれぞれの間には、分注デバイス15、16がある。さらに、反応トレイ9と試薬トレイ5との間には、2つの分注デバイス17があり、反応トレイ10と試薬トレイ6との間には、1つの分注デバイス18がある。サンプルトレイ3と反応トレイ9、10との間の分注デバイス15、16は、液体サンプルをサンプルトレイ3内のサンプル容器4から反応トレイ9、10内の反応容器11、12に移すためのものである。試薬トレイ5、6と反応トレイ9、10との間の分注デバイス17、18は、試薬を試薬トレイ5、6内の試薬容器7、8から反応容器11、12および反応トレイ9、10に移すためのものである。
【0085】
分注デバイス15、16、17、18は、分注アームの一端に回転軸19を有し、その周りを分注アームの他端にある分注針20が円軌道に沿って移動可能な旋回分注アームの形態である。分注デバイス15、16、17、18の回転軸19は、サンプルディスク3と反応トレイ9、10のそれぞれの間、または、試薬トレイ5、6のそれぞれとそれに対応する反応トレイ9、10との間に配置されている。
【0086】
それぞれの反応トレイ9、10に隣接して、測定デバイス13、14が設けられている。反応トレイ10に隣接する測定デバイス14は、免疫測定において化学発光を測定するための光電子増倍管を有するPMT検出器である。反応トレイ9に隣接する測定デバイス13は、臨床化学反応混合物の光学特性を測定するための光度計である。サンプルトレイ3は、長尺のサンプル容器ラック24を受け入れるための受け入れポケット28を有し、各容器ラックは、サンプル容器4を受け入れるための5つスロットを有し、それら5つのスロットは、ラックの長手方向軸線に沿って並列配置されている。受け入れポケット28は、サンプルトレイ3上に放射状に配向されている。本実施形態では、10個の受け入れポケット28がある。したがって、完全に充填されると、本実施形態のサンプルトレイ3は、それぞれが5つのスロットを有する10個のサンプル容器ラックを搬送することができる。結果として、サンプルトレイ3は、最大で計50のサンプル容器を搭載することができる。
【0087】
試薬トレイ6は、試薬容器ラックを受け入れるための14個の受け入れポケットを有し、ラックのそれぞれは、試薬容器8を受け入れるための3つのスロットを有する。試薬容器ラックは、試薬トレイ6のディスクの外側周縁側に放射状に配向されている。
【0088】
試薬トレイ5のディスクには、試薬容器ラック23を受け入れるための24個のポケットがあり、試薬容器ラックのそれぞれは、試薬容器7を受け入れるための2つのスロットを有する。試薬容器ラックを受け入れるためのポケットは、試薬トレイ5のディスクの外側周縁側に1列、試薬トレイ5のディスクの中央側に1列の2列に配置されている。
【0089】
反応トレイ9は、そのディスクの外側周縁側に、反応容器11を受け入れるための約100個のスロットを有する。本実施形態において、反応容器は、それに含まれる反応混合物の光分析のためのキュベットである。反応トレイ9のディスクの回転によって、それぞれの反応容器11を、その中に含まれる反応混合物の光学特性を測定するための光度計13まで搬送することができる。
【0090】
反応トレイ10は、静的反応リングであり、その静的反応リングの外側には、反応容器12を静的反応リング10まで、また静的反応リング10から搬送するための搬送リング30が同心円状に配置されている。
【0091】
図1によれば、図示の分析装置1の実施形態は、ハウジング21の内側に平面上に配置された分析エリアを有し、ここで、ハウジング21は、そのハウジング21の前壁26に装填口22を有する。装填口22は、サンプル容器4および試薬容器7、8を個別にまたはラック23、24に予めパックされた状態で受け入れるためのものである。装填口22は、サンプル容器4および試薬容器7、8を個別にまたは予めパックされたラック23、24の形態で装填口22からサンプルトレイ3または試薬トレイ5、6まで搬送するためのロボットアーム25を備える。さらに、ロボットアーム25は、サンプル容器をサンプルトレイ3から試薬トレイ5、6に、またはその逆に搬送しうる。それらの実施形態において、試薬トレイ5、6が冷却される場合、コントロールが充填されたサンプル容器を運ぶサンプルラック24を、コントロールの寿命を延ばすために冷却用の試薬トレイ5、6まで移すこともできる。
【0092】
図示の実施形態において、ロボットアーム25は、そのアームの一端に回転軸を有する旋回可能なアームであり、その周りに他端が円形経路に沿って移動可能である。回転軸に対して反対側のアームの端部において、ロボットアームは、サンプル容器および試薬容器を個別にまたは予めパックされたラックの形態で把持して搬送するためのエンドエフェクターを有する。
【0093】
ロボットアームは、試薬容器/ラックまたは試薬トレイ5、6を載置する、または試薬トレイ5または6から取るために、左側(試薬トレイ6が配置されている)から右側(反応トレイ5が配置されている)に水平軸線に沿って移動することができる。さらに、ロボットアーム25は、分析エリア2の高さよりも低い装填口22の高さから容器/ラックを取り上げ、それらを分析エリアの高さに搬送し、そしてそれらを、例えば試薬トレイ5または6内に入れるために、垂直軸線に沿って移動することができる。
【0094】
旋回アームの円運動に加えて、水平軸線および垂直軸線に沿った可動性によって、ロボットアーム25はエンドエフェクターを作業ゾーン内で移動させることができ、作業ゾーン内で、エンドエフェクターは、サンプル容器および/または試薬容器を個別にまたは予めパックされたラックの形態で装填口22、試薬トレイ5、6および/またはサンプルトレイ3から把持し、それらをそのデバイスの1つからまたはそれまで搬送し、かつ/またはそれらをそのデバイスの1つの中に配置することができる。
【0095】
ハウジング21の前壁26には、装填口22内を通って左側から右側に達するコンベヤ27を設ける水平凹部が設けられている。サンプルトレイ3および/または試薬トレイ5、6に装填される容器/ラックを、コンベヤ27上に載置すると、コンベヤ27が、その容器/ラックを装填口22に搬送し、そこでロボットアーム25が、容器/ラックを取り上げてそれらを分析エリア内に運ぶ。
【0096】
図2は、本発明の分析装置1の特定の実施形態の静的反応リング10の詳細を示している。静的反応リング10は、反応容器12を受け入れるためのスロット29を有し、スロット29は、静的反応リング10上に周方向に並列配置されている。静的反応リング10の外側には、反応容器12を受け入れるための1つのスロット31を有する搬送リング30が同心円状に配置され、スロット31は、静的反応リング10のスロット29と同じ高さに配置されている。このため、搬送リング30上に配置されたプッシャー32は、静的反応リング10の径方向軸線上の水平移動によって、反応容器12を搬送リングスロット31から静的反応リング10のスロット29の1つまで移送することができる。また、同じプッシャー32は、反応容器12を静的反応リングのスロット29から取り出して、それらを搬送スロット31および搬送リング30まで移送することもできる。
【0097】
図2の特定の実施形態において、搬送リングの外側には、外部スロット46が設けられている。外部スロット46は、反応容器を受け入れるためのものであり、反応容器12は、プッシャー32によって、直接搬送リング13からの水平移動により、または、静的反応リング10から搬送リング30を介して外部スロット46への水平移動により、外部スロット46内に配置することもできる。
【0098】
図2の実施形態において、外部スロット46はパーキング位置であり、そのパーキング位置に配置された反応容器12内部の反応混合物のさらなる処理のためのものである。そのさらなる処理は、例えば、混合工程、磁性ビーズ分離工程または何らかの他のさらなる処理工程であってもよい。
【0099】
図示の特定の実施形態において、静的反応リング10は、リングの外側周縁に周方向に並列配置された単一の列のスロット29を有する。
【0100】
図3および4は、本発明の分析装置の特定の実施形態に係る円形測定室を示している。図3は、特に円筒形状ハウジング37を含む円形測定室の斜視図であり、図4は、円筒形状ハウジング37を除いた同じ測定室の斜視図である。
【0101】
図3および図4に示す測定デバイス14は、反応容器12内において試薬で処理された液体サンプルの光学特性を測定するためのものである。測定デバイス14は、円筒形状ハウジング37によって囲まれた回転可能な搬送シリンダ33を備えている。測定デバイス14の一方側には、搬送シリンダ33のスロット36の1つに挿入された反応容器12内の液体から発せられた光を検出するための光検出器41が設けられている。
【0102】
回転可能な搬送シリンダ33は、シリンダ壁34とシリンダトップ35とを有し、シリンダ壁34には反応容器12を受け入れるための3つのスロット36が設けられている。図示の実施形態において、反応容器12を受け入れるための3つのスロット36は、120°の角度でシリンダ壁に配置されている。
【0103】
搬送シリンダ33は、回転可能であり、円筒形状ハウジング37によって囲まれている。円筒形状ハウジング37は、円筒形状ハウジング壁38と円筒形状ハウジング頂部39とを有し、円筒形状ハウジング37は、搬送シリンダ33の周りに同心円状に配置され、反応容器12を搬送シリンダ33のスロット36に挿入するための1つの開口43と、反応容器12を搬送シリンダ33のスロット36から排出するための1つの開口44が設けられている。
【0104】
図3および図4に示す実施形態では、搬送シリンダトップ35から上方に突出した垂直フィン42が設けられている。垂直フィン42は、搬送シリンダ33の回転軸を中心とする円周上に同心円状に配置されている。さらに、フィン42は、三角形状の断面を有し、円筒形状ハウジングトップ39の対向面に配置された隣接するフィンと一致するようになっている。特に、隣接するフィンは、一方の表面にあるフィンの頂点が、他方の表面にあるフィン間の隙間内に達するように、また逆も同様となるように、互いに係合している。
【符号の説明】
【0105】
1 液体サンプルの自動分析装置(分析装置)
2 分析エリア
3 サンプルトレイ
4 サンプル容器
5 第一試薬ディスク
6 第二試薬ディスク
7 第一試薬容器
8 第二試薬容器
9 反応ディスク
10 反応リング
11 第一反応容器
12 第二反応容器
13 第一測定デバイス
14 第二測定デバイス
15 第一分注デバイス
16 第二分注デバイス
17 第一分注デバイス
18 第二分注デバイス
19 回転軸
20 分注針
21 ハウジング
22 装填口
23 試薬ラック
24 サンプルラック
25 ロボットアーム
26 前壁
27 コンベヤ
28 サンプルラックを受け入れるためのポケット
29 反応容器を受け入れるためのスロット
30 搬送リング
31 反応容器を受け入れるためのスロット
32 プッシャー
33 搬送シリンダ
34 シリンダ壁
35 シリンダ頂部
36 シリンダ壁にある反応容器を受け入れるためのスロット
37 円筒形状ハウジング
38 円筒形状ハウジング壁
39 円筒形状ハウジング頂部
41 光検出器
42 垂直フィン
43 反応容器を挿入するための装填口
44 反応容器を排出するための取出口
45 側壁
46 反応容器を受け入れるための外部スロット
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】