(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】消毒キャビネットシステム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20230609BHJP
A61L 101/10 20060101ALN20230609BHJP
【FI】
A61L2/20 100
A61L101:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564628
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 US2021029921
(87)【国際公開番号】W WO2021222588
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522044777
【氏名又は名称】トゥルー マニュファクチャリング カンパニー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】True Manufacturing Company, Inc.
【住所又は居所原語表記】2001 E Terra Lane, O’Fallon, MO 63366 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナット, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】フレンド, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】トゥルーラスケ, スティーブン リー
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA05
4C058AA08
4C058AA12
4C058BB07
4C058CC05
4C058DD13
4C058DD16
4C058EE01
4C058JJ14
(57)【要約】
消毒キャビネットシステムは、キャビネット内の消毒室と流体的に連通するオゾン分配路を備える。オゾン分配路には、オゾン生成器および消毒用エアムーバーが配置される。消毒用エアムーバーは、消毒室から生成器を横切って空気を移動させてオゾン化空気を作り出し、オゾン化空気を、オゾン分配路から消毒室へ流入させる。制御システムは、所定期間にわたるオゾン暴露を示すオゾンセンサからのフィードバックに基づいて、オゾン生成器およびエアムーバーを制御する。オゾン変換装置が、消毒室の外部で、キャビネットの隔壁に取り付けられる。隔壁は、流入および流出口を有し、オゾン変換装置は、流入および流出口と連通する上流および下流チャンバを有する。選択的に開放可能なダンパが、オゾン変換触媒が収容されるオゾン変換チャンバから、上流および下流チャンバを仕切る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒室を有するキャビネットと、
前記消毒室と流体的に連通したオゾン分配路と、
前記オゾン分配路に設けられたオゾン生成器と、
前記オゾン分配路に設けられ、前記消毒室から前記オゾン生成器を横切るように空気を移動させてオゾン化空気を生成し、前記オゾン化空気を前記消毒室に流入させるように構成された消毒用エアムーバーと、
を備える、消毒キャビネットシステム。
【請求項2】
選択的に開閉されるように構成されたオゾン変換装置をさらに備え、
前記オゾン変換装置は、開状態において、前記消毒室内のオゾンを中和するように構成される、請求項1に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項3】
前記キャビネットは、前記消毒室の上の上側部と、前記消毒室の下の下側部と、前記上側部から前記下側部まで延びる高さと、を有する、請求項2に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項4】
前記オゾン生成器は、前記上側部および前記下側部の一方に収容され、
前記オゾン変換装置は、前記上側部および前記下側部の他方に収容される、請求項3に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項5】
前記オゾン生成器は、前記上側部に収容され、
前記オゾン変換装置は、前記下側部に収容される、請求項4に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項6】
前記キャビネットは、前部および後部を有し、
前記オゾン分配路は、前記オゾン生成器が収容される前記上側部および前記下側部の一方から前記後部に沿って高さ方向に延びるオゾン吐出プレナムを有し、
前記オゾン分配路は、前記キャビネットの前記高さに沿って離間した複数のオゾン流出口を有する、請求項4または5に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項7】
前記キャビネットは、前記オゾン吐出プレナムと、前記オゾン変換装置が収容される前記上側部および前記下側部の他方との間に隔壁を有し、
前記オゾン変換装置は、前記隔壁に接続される、請求項6に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項8】
前記オゾン分配路は、前記消毒用エアムーバーが収容されるエアムーバープレナムを有し、
前記エアムーバープレナムは、還気流入口を有し、
前記エアムーバープレナムは、前記オゾン生成器が収容される前記上側部および前記下側部の一方に沿って延びている、請求項4~7のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項9】
前記オゾン分配路は、前記エアムーバープレナムと流体的に連通したオゾン吐出プレナムをさらに有する、請求項8に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項10】
前記オゾン分配路は、前記エアムーバープレナムと前記オゾン吐出プレナムとを接続する領域を有し、
前記オゾン生成器は、前記領域に配置される、請求項9に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項11】
前記キャビネットは、消毒室と、前記消毒室の隣のオゾン変換部と、前記消毒室と前記オゾン変換部との間の隔壁と、を有し、
前記オゾン変換装置は、前記オゾン変換部において前記隔壁に取り付けられる、請求項2~10のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項12】
前記隔壁は、流入口および流出口を有し、
前記流入口および前記流出口の各々は、前記消毒室と前記オゾン変換装置とを流体的に連通させる、請求項11に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項13】
前記オゾン変換装置は、
内部空間を規定するハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングの前記内部空間を上流チャンバ、オゾン変換チャンバ、および下流チャンバに仕切るように構成されると共に、選択的に開閉されるように構成された第1および第2ダンパであって、閉状態において、前記オゾン変換チャンバを前記上流チャンバおよび前記下流チャンバから流体的に分離する一方、開状態において、前記オゾン変換チャンバと前記上流チャンバおよび前記下流チャンバとを流体的に連通させるように構成された第1および第2ダンパと、
前記オゾン変換チャンバ内のオゾン変換触媒と、
前記ハウジング内のオゾン変換装置エアムーバーと、
を有し、
前記ハウジングは、前記上流チャンバが前記流入口と流体的に連通しかつ前記下流チャンバが前記流出口と流体的に連通するように、前記キャビネットの前記隔壁に取り付けられる、請求項12に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項14】
前記オゾン変換装置、前記消毒用エアムーバー、および前記オゾン生成器に接続された制御器をさらに備え、
前記制御器は、前記オゾン生成器および前記オゾン変換装置を制御して前記キャビネットシステムで消毒サイクルを実行するように構成され、
各消毒サイクルは、消毒段階および変換段階を含み、
各消毒段階において、前記制御器は、前記オゾン生成器を動作させると共に前記第1および第2ダンパを閉じるように構成され、
各変換段階において、前記制御器は、前記オゾン生成器を停止すると共に前記第1および第2ダンパを開くように構成される、請求項13に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項15】
各消毒段階において、前記制御器は、前記消毒用エアムーバーを動作させると共に前記オゾン変換装置エアムーバーを停止するように構成され、
各変換段階において、前記制御器は、前記オゾン変換装置エアムーバーを動作させると共に前記消毒用エアムーバーを停止するように構成される、請求項14に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項16】
前記オゾン変換装置の前記ハウジングは、前記隔壁に対してシールされ、
前記第1および第2ダンパは、前記第1および第2ダンパが閉じた状態で、前記オゾン変換チャンバが前記消毒室から流体的に分離されるように構成される、請求項13~15のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項17】
前記消毒室内のオゾン濃度を示す信号を出力するように構成されたオゾンセンサをさらに備える、請求項2~16のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項18】
前記オゾン生成器および前記オゾンセンサに接続された制御器をさらに備え、
前記制御器は、時間に関する前記オゾンセンサの信号の評価に基づいて、前記消毒室内のオゾン暴露量が暴露閾値に到達したと前記制御器が判定するまで、前記制御器が前記オゾン生成器を動作させる消毒サイクルを実行するように構成される、請求項17に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項19】
前記消毒室を選択的に開閉するために前記キャビネットに対して開位置と閉位置との間で可動な扉と、
前記扉を前記閉位置でロックまたはロック解除するための自動扉ロックと、
をさらに備える、請求項18に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項20】
前記制御器は、前記自動扉ロックが前記扉を前記閉位置でロックするまで、前記オゾン生成器をオフ状態に維持するように構成される、請求項19に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項21】
前記消毒室内のオゾン暴露量が前記暴露閾値に到達したと判定した後、前記制御器は、前記オゾン生成器を停止すると共に、前記オゾンセンサの信号に基づいて、前記消毒室内のオゾン量が安全オゾン閾値未満になったと前記制御器が判定するまで、前記扉を前記閉位置でロックし続けるよう前記扉ロックを制御するように構成される、請求項19または20に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項22】
前記制御器は、各消毒サイクルにおいて、前記オゾン生成器の動作時間を求めるように構成される、請求項18~21のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項23】
前記制御器は、前記動作時間が最大消毒時間閾値を超えた場合、消毒中断ルーチンを実行するように構成される、請求項22に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項24】
前記消毒中断ルーチンは、前記オゾン生成器を停止することを含む、請求項23に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項25】
前記消毒中断ルーチンは、前記オゾン変換装置を用いて前記消毒室内のオゾンを中和することをさらに含む、請求項24に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項26】
前記消毒中断ルーチンは、不十分な消毒を示す警告を出力することをさらに含む、請求項23~25のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項27】
前記キャビネットにディスプレイをさらに備え、
前記不十分な消毒を示す警告を出力することは、前記ディスプレイに前記警告を表示することを含む、請求項26に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項28】
前記消毒中断ルーチンは、管理者が前記制御器にロック解除命令を出すまで、前記キャビネットをロック状態に保つことをさらに含む、請求項23~27のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項29】
前記消毒室は、7立方フィートよりも大きい内部容量を有する、請求項1~28のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項30】
前記オゾン生成器は、前記オゾン分配路を流れる空気の成分を活性化し、オゾンを含む高エネルギープラズマを生成するように構成されたUVランプを有する、請求項1~29のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項31】
消毒キャビネットシステムの消毒室内のオゾンを選択的に変換するためのオゾン変換装置であって、
内部空間を規定するハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジングの前記内部空間を上流チャンバ、オゾン変換チャンバ、および下流チャンバに仕切るように構成されると共に、選択的に開閉されるように構成された第1および第2ダンパであって、閉状態において、前記オゾン変換チャンバを前記上流チャンバおよび前記下流チャンバから流体的に分離する一方、開状態において、前記オゾン変換チャンバと前記上流チャンバおよび前記下流チャンバとを流体的に連通させるように構成された第1および第2ダンパと、
前記オゾン変換チャンバ内のオゾン変換触媒と、
前記ハウジング内のオゾンエアムーバーと、
を備え、
前記ハウジングは、消毒キャビネットシステムの壁部に、前記上流チャンバが前記壁部に形成された流入口と流体的に連通しかつ前記下流チャンバが前記壁部に形成された流出口と流体的に連通するように、取り付けられるように構成される、オゾン変換装置。
【請求項32】
前記ハウジングは、ベース部と、前記ベース部から自由縁まで延びる周縁部と、を有する、請求項31に記載のオゾン変換装置。
【請求項33】
前記周縁部は、縦軸に沿って離間した第1端壁および第2端壁と、横軸に沿って離間した第1側壁および第2側壁と、を含む、請求項32に記載のオゾン変換装置。
【請求項34】
前記第1および第2ダンパは、前記第1端壁と前記第2端壁との間で、前記縦軸に沿って離間している、請求項33に記載のオゾン変換装置。
【請求項35】
前記第1および第2ダンパの各々は、前記第1側壁から前記第2側壁まで横向きに延びている、請求項34に記載のオゾン変換装置。
【請求項36】
前記オゾンエアムーバーは、ファンケースと、前記ファンケース内のファンと、を有する、請求項35に記載のオゾン変換装置。
【請求項37】
前記ファンケースは、流入開口を規定する上流端と、流出開口を規定する下流端と、を含み、
前記上流端と前記下流端とは、前記縦軸に沿って離間し、
前記ファンは、前記流入開口を介して前記ファンケースに空気を吸い込むと共に前記流出開口を介して前記ファンケースから空気を吹き出すように構成される、請求項36に記載のオゾン変換装置。
【請求項38】
前記オゾン変換触媒は、前記流出開口を介して前記ファンケースから吹き出される空気の実質的に全てが前記オゾン変換触媒を通過するように、前記ファンケースの前記下流端に支持される、請求項37に記載のオゾン変換装置。
【請求項39】
前記ハウジングの前記自由縁は、前記ベース部の反対側で前記ハウジングの開放面を囲んでいる、請求項32~38のいずれか1項に記載のオゾン変換装置。
【請求項40】
消毒室を有するキャビネットと、
前記消毒室内にオゾンを生成するように構成されたオゾン生成器と、
前記消毒室内のオゾン濃度を示す信号を出力するように構成されたオゾンセンサと、
前記オゾン生成器および前記オゾンセンサに接続された制御器であって、時間に関する前記オゾンセンサの信号の評価に基づいて、前記消毒室内のオゾン暴露量が暴露閾値に到達したと前記制御器が判定するまで、前記制御器が前記オゾン生成器を動作状態に維持する消毒サイクルを実行するように構成された制御器と、
を備える、消毒キャビネットシステム。
【請求項41】
前記暴露閾値は、オゾン濃度-時間の単位量である、請求項40に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項42】
前記制御器は、前記消毒キャビネットシステムを監視し、前記監視に基づいて、1つ以上の警告を出力するように構成される、請求項40または41に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項43】
前記キャビネットにディスプレイをさらに備え、
前記制御器は、前記ディスプレイに前記警告を表示するように構成される、請求項42に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項44】
メモリをさらに備え、
前記制御器は、前記メモリに前記警告を記録するように構成される、請求項42または43に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項45】
前記制御器は、前記オゾンセンサの信号に基づいて、前記消毒室内のオゾン濃度が所定の高オゾン濃度閾値を超えたことを判定するように構成され、
前記制御器は、前記オゾンセンサの信号に基づいて、前記消毒室内のオゾン濃度が前記所定の高オゾン濃度閾値を超えたと判定した場合、高オゾン濃度警告を出力するように構成される、請求項42~44のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項46】
前記キャビネットに設けられた開閉可能な扉と、
前記扉の開閉状態を示す信号を出力するように構成された扉センサと、
をさらに備え、
前記制御器は、前記扉センサおよび前記オゾンセンサの信号に基づいて、前記消毒室内のオゾン濃度が所定の安全オゾン濃度閾値を超えていて前記扉が開いていることを判定するように構成され、
前記制御器は、前記扉センサおよび前記オゾンセンサの信号に基づいて、前記消毒室内のオゾン濃度が前記所定の安全オゾン濃度閾値を超えていて前記扉が開いていると判定した場合、扉開放警告を出力するように構成される、請求項42~45のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項47】
前記制御器は、前記オゾンセンサの不具合を検出するように構成され、
前記制御器は、前記オゾンセンサの不具合を検出した場合、オゾンセンサ不具合警告を出力するように構成される、請求項42~46のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項48】
各消毒サイクルにおいて、前記制御器は、
時間に関する前記オゾンセンサの信号の評価に基づいて、前記消毒室内のオゾン暴露量が暴露閾値に到達したと前記制御器が判定するまで、前記制御器が前記オゾン生成器を動作状態に維持する消毒段階と、
前記消毒段階の後、前記制御器が、前記オゾンセンサの信号を監視し、前記消毒室内のオゾン濃度が所定の安全オゾン濃度閾値未満になったことを判定するオゾン変換段階と、
を実行するように構成される、請求項42~47のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項49】
前記消毒室内のオゾン濃度が所定の安全オゾン濃度閾値未満になったと判定した場合、前記制御器は、前記消毒サイクルが完了したことを示す信号を出力するように構成される、請求項48に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項50】
前記消毒段階および前記オゾン変換段階の各々において、前記制御器は、前記キャビネットを閉設定でロックするように構成され、
前記消毒室内のオゾン濃度が所定の安全オゾン濃度閾値未満になったと判定した場合、前記制御器は、前記キャビネットをロック解除し、前記キャビネットが開かれるのを許容するように構成される、請求項48または49に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項51】
前記制御器は、各オゾン変換段階における経過時間を求めるように構成され、
前記制御器は、オゾン変換段階における経過時間が所定の最大オゾン変換時間閾値を超えたことを判定するように構成され、
前記制御器は、オゾン変換段階における経過時間が前記所定の最大オゾン変換時間閾値を超えたと判定した場合、超過オゾン変換時間警告を出力するように構成される、請求項48~50のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項52】
前記制御器は、各消毒段階における経過時間を求めるように構成され、
前記制御器は、消毒段階における経過時間が所定の最大消毒時間閾値を超えたことを判定するように構成され、
前記制御器は、消毒段階における経過時間が前記所定の最大消毒時間閾値を超えたと判定した場合、超過消毒時間警告を出力するように構成される、請求項48~51のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項53】
交換可能なオゾン変換触媒と、
メモリと、
をさらに備え、
前記制御器は、前記消毒キャビネットシステムに搭載された前記交換可能なオゾン変換触媒を伴って実行された消毒サイクルの回数の指標を前記メモリに格納するように構成され、
前記制御器は、前記メモリに格納された前記回数に基づいて、前記消毒キャビネットシステムに搭載された前記交換可能なオゾン変換触媒を伴って実行された消毒サイクルの回数が触媒交換閾値回数を超えたことを判定するように構成され、
前記制御器は、前記消毒キャビネットシステムに搭載された前記交換可能なオゾン変換触媒を伴って実行された消毒サイクルの回数が触媒交換閾値回数を超えたと判定した場合、触媒交換警告を出力するように構成される、請求項42~52のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項54】
前記触媒交換閾値回数は、ユーザ調節可能である、請求項53に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項55】
前記オゾン生成器は、交換可能なUVランプを有し、
前記制御器は、前記消毒キャビネットシステムに搭載された前記交換可能なUVランプを伴って実行された消毒サイクルの回数の指標をメモリに格納するように構成され、
前記制御器は、メモリに格納された前記回数に基づいて、前記消毒キャビネットシステムに搭載された前記交換可能なUVランプを伴って実行された消毒サイクルの回数がUVランプ交換閾値回数を超えたことを判定するように構成され、
前記制御器は、前記消毒キャビネットシステムに搭載された前記交換可能なオゾン変換触媒を伴って実行された消毒サイクルの回数が触媒交換閾値回数を超えたと判定した場合、UVランプ交換警告を出力するように構成される、請求項42~54のいずれか1項に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項56】
前記UVランプ交換閾値回数は、ユーザ調節可能である、請求項55に記載の消毒キャビネットシステム。
【請求項57】
消毒キャビネットシステムを使用する方法であって、
前記消毒キャビネットシステムの制御器により、遠隔監視システムへ、消耗部品が交換されずに前記消毒キャビネットシステムで使用されたサイクルの回数の指標を送信する工程と、
前記制御器により、前記遠隔監視システムから、前記送信されたサイクルの回数の指標に応答しかつ前記消毒キャビネットシステムのロックを命じる命令信号を受信する工程と、
前記命令信号の受信に応じて、前記制御器により、前記消毒キャビネットシステムを動作状態からロック状態へ切り替える工程と、
を備える、方法。
【請求項58】
前記消耗部品は、オゾン生成器のUVランプ、オゾン変換触媒、または自動扉ロックである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
消毒室を有するキャビネットと、
前記消毒室を選択的に開閉するための扉と、
前記扉を閉位置でロックまたはロック解除するための自動扉ロックと、
オゾン化空気を生成するように構成されたオゾン生成器と、
を備え、
前記オゾン生成器が生成したオゾン化空気を前記消毒室に流入させるように構成され、
前記自動扉ロックが前記扉を前記閉位置でロックするまで、前記消毒流体生成器をオフ状態に維持するように構成された制御器または安全保護装置をさらに備える、消毒キャビネットシステム。
【請求項60】
キャビネットに組み込まれたまたは組み込み可能な部品を備えた既存のキャビネット在庫を転用する方法であって、
前記キャビネットの閉鎖可能な保管室に空気を分配するように構成された前記キャビネットの空気分配路にオゾン生成器が収容されるように、前記キャビネットに前記オゾン生成器を取り付ける工程と、
前記キャビネットにオゾン変換装置を流体的に接続する工程と、
を備える、方法。
【請求項61】
前記キャビネットは、エアムーバーを有し、
前記オゾン生成器を取り付ける工程は、前記エアムーバーが前記オゾン生成器を横切るように空気を移動させられる位置に前記オゾン生成器を取り付けることを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記キャビネットに前記オゾン変換装置を流体的に接続する工程は、前記保管室の壁に穴を設けることと、前記穴をまたぐように前記保管室の外部で前記壁に前記オゾン変換装置を取り付けることと、を含む、請求項61または62に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月29日に出願した、米国特許仮出願第63/017,518号、ならびに2021年4月7日に出願した、米国特許仮出願第63/171,874号の利益を主張するものであり、これらの米国特許仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、消毒キャビネットシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
物品を消毒するための様々な技術が存在する。例えば、ある消毒装置は、1つ以上の物品の露出面を消毒するために直射紫外線を使用する。別の消毒装置は、化学消毒剤または洗浄剤を適用する。さらに別の消毒装置は、消毒作用を促進するために静電洗浄を利用する。消毒対象の物品をオゾンまたはオゾン化空気に晒すことで、さらに別の消毒モードを実現することができる。
【発明の概要】
【0004】
ある局面において、消毒キャビネットシステムは、消毒室を有するキャビネットと、消毒室と流体的に連通したオゾン分配路と、オゾン分配路に設けられたオゾン生成器と、オゾン分配路に設けられ、消毒室からオゾン生成器を横切るように空気を移動させてオゾン化空気を生成し、オゾン化空気を消毒室に流入させるように構成された消毒用エアムーバーと、を備える。
【0005】
別の局面において、消毒キャビネットシステムの消毒室内のオゾンを選択的に変換するためのオゾン変換装置は、内部空間を規定するハウジングを備える。第1および第2ダンパが、ハウジング内に設けられる。第1および第2ダンパは、ハウジングの内部空間を上流チャンバ、オゾン変換チャンバ、および下流チャンバに仕切るように構成される。第1および第2ダンパは、選択的に開閉されるように構成される。第1および第2ダンパは、閉状態において、オゾン変換チャンバを上流チャンバおよび下流チャンバから流体的に分離する一方、開状態において、オゾン変換チャンバと上流チャンバおよび下流チャンバとを流体的に連通させるように構成される。オゾン変換触媒が、オゾン変換チャンバ内に設けられる。オゾン変換エアムーバーが、ハウジング内に設けられる。ハウジングは、消毒キャビネットシステムの壁部に、上流チャンバが壁部に形成された流入口と流体的に連通しかつ下流チャンバが壁部に形成された流出口と流体的に連通するように、取り付けられるように構成される。
【0006】
別の局面において、消毒キャビネットシステムは、消毒室を有するキャビネットと、消毒室内にオゾンを生成するように構成されたオゾン生成器と、消毒室内のオゾン濃度を示す信号を出力するように構成されたオゾンセンサと、オゾン生成器およびオゾンセンサに接続された制御器と、を備える。制御器は、時間に関するオゾンセンサの信号の評価に基づいて、消毒室内のオゾン暴露量が暴露閾値に到達したと制御器が判定するまで、制御器がオゾン生成器を動作状態に維持する消毒サイクルを実行するように構成される。
【0007】
別の局面において、消毒キャビネットシステムを使用する方法は、消毒キャビネットシステムの制御器により、遠隔監視システムへ、消耗部品が交換されずに消毒キャビネットシステムで使用されたサイクルの回数の指標を送信する工程を備える。制御器は、遠隔監視システムから、送信されたサイクルの回数の指標に応答する命令信号を受信する。命令信号は、消毒キャビネットシステムのロックを命じる。命令信号の受信に応じて、制御器は、消毒キャビネットシステムを動作状態からロック状態へ切り替える。
【0008】
別の局面において、消毒キャビネットシステムは、消毒室を有するキャビネットと、消毒室を選択的に開閉するための扉と、扉を閉位置でロックまたはロック解除するための自動扉ロックと、オゾン化空気を生成するように構成されたオゾン生成器と、を備える。消毒キャビネットシステムは、オゾン生成器が生成したオゾン化空気を消毒室に流入させるように構成される。制御器および/または安全保護装置が、自動扉ロックが扉を閉位置でロックするまで、消毒流体生成器をオフ状態に維持するように構成される。
【0009】
別の局面において、キャビネットに組み込まれたまたは組み込み可能な部品を備えた既存のキャビネット在庫を転用する方法は、キャビネットの閉鎖可能な保管室に空気を分配するように構成されたキャビネットの空気分配路にオゾン生成器が収容されるように、キャビネットにオゾン生成器を取り付ける工程を備える。オゾン変換装置が、キャビネットに流体的に接続される。
【0010】
その他の局面は、以下において、部分的に明らかになると共に部分的に示されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る消毒キャビネットシステムの斜視図である。
【
図2】
図2は、消毒キャビネットシステムの正面図である。
【
図4】
図4は、扉を外した状態の消毒キャビネットシステムの正面図である。
【
図7】
図7は、消毒キャビネットシステムの部分断面斜視図であって、消毒キャビネットシステムのオゾン分配路におけるオゾン生成器の配置態様が示されている。
【
図9】
図9は、オゾン生成プロセスの概略図である。
【
図11】
図11は、消毒キャビネットシステムのオゾン変換装置の斜視図である。
【
図14】
図14は、消毒キャビネットシステムの制御システムの概略ブロック図である。
【
図15】
図15は、消毒キャビネットシステムを使用して物品を消毒するプロセスのサブルーチンのフローチャートである。
【
図16】
図16は、
図15のプロセスの消毒サイクル開始サブルーチンのフローチャートである。
【
図18】
図18は、
図15のプロセスのオゾン変換段階サブルーチンおよび終了サブルーチンのフローチャートである。
【
図19】
図19は、ユーザが複数の消毒サイクルオプションの中から消毒サイクルを選択できるように、消毒キャビネットシステムのユーザインタフェースに表示される消毒サイクル選択画面の例示的なスクリーンショットである。
【
図20】
図20は、開始サブルーチンにおいて、消毒キャビネットシステムの消毒室に物品が追加されたことの確認をユーザに要求するために、ユーザインタフェースに表示されるポップアップの例示的なスクリーンショットである。
【
図21】
図21は、開始サブルーチンにおいて、扉がしっかりと閉められたことの確認をユーザに要求するために、ユーザインタフェースに表示されるポップアップの例示的なスクリーンショットである。
【
図22】
図22は、消毒段階サブルーチンにおいて、消毒キャビネットシステムのユーザインタフェースに表示される消毒段階ステータス画面の例示的なスクリーンショットである。
【
図23】
図23は、消毒段階サブルーチンにおいて、消毒キャビネットシステムのユーザインタフェースに表示されるオゾン変換段階ステータス画面の例示的なスクリーンショットである。
【
図24】
図24は、消毒サイクルの完了時にユーザインタフェースに表示されるサイクル完了ステータスポップアップの例示的なスクリーンショットである。
【
図25】
図25は、ユーザが交換スケジュールを選択できるようにする一連の選択項目を含む、消毒キャビネットシステムの消耗部品に対する交換スケジュール画面の例示的なスクリーンショットである。
【
図26】
図26は、別の設定における
図25の交換スケジュール画面の例示的なスクリーンショットである。
【
図27】
図27は、さらに別の設定における交換スケジュール画面の例示的なスクリーンショットである。
【
図28】
図28は、使用時に消毒キャビネットシステムの制御システムによってメモリに格納される各消耗部品の使用データを示すサイクルカウンター画面の例示的なスクリーンショットである。
【
図29】
図29は、消耗部品の交換品を購入可能な電子商取引ウェブサイトにアクセスするためのQRコードを含む部品注文画面の例示的なスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
各図を通して、同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0013】
本願発明者は、既存の消毒装置が、多量の物品を素早く消毒するのに満足なものでないことを見出した。すなわち、既存の消毒システムは、処理能力が低いという欠点を有する。そこで、本願発明者は、ウイルスやバクテリアなどの表面媒介病原体を殺すための、新しくて大容量の消毒キャビネットシステム10を開発した。消毒キャビネットシステム10は、衣類、履き物類、および保護具(例えば、マスク、手術衣、人工呼吸器、手術帽、フェイスシールド、手袋、など)などの物品の消毒(および脱臭)に特に適すると思われる。
【0014】
図1~
図8を参照すると、消毒キャビネットシステム10は、消毒を必要とする物品(図示せず)を収容するように構成された大容量の筐体またはキャビネット12を備える。図示の実施形態では、キャビネット12は、トゥルー マニュファクチャリング カンパニー インコーポレイテッドが販売するタイプの、標準サイズの業務用冷蔵庫のキャビネットである。詳しくは後述するように、キャビネット12は、消毒室14を有し、消毒キャビネットシステム10は、消毒室と流体的に連通するオゾン分配路16をさらに備える。オゾン分配路には、オゾン生成器18(広くは、消毒流体生成器)が収容される。オゾン分配路には、消毒室14からオゾン生成器18をまたいで空気を移動させ、オゾン化空気(広くは、消毒流体)を作ると共に当該オゾン化空気を消毒室に移動させるための消毒用エアムーバー20が同じく収容される。図示の消毒キャビネットシステム10は、さらに、消毒室14と流体的に連通するよう、または消毒室と流体的に連通しないよう、選択的に開閉されるように構成されたオゾン変換装置22を備える。後述するように、オゾン変換装置22は、開状態において、消毒室のオゾンを中和するように構成される。
【0015】
キャビネット12は、後壁24と、一対の対向する側壁26とを備える。キャビネット12には、後壁24の反対側かつ消毒室14の概ね前側において、扉28が取り付けられる。キャビネット12は、消毒室14の上に上側部30(広くは、消毒室に隣接する第1部分)を備える。キャビネット12には、概ね上側部30の前側かつ概ね扉28の上において、上側アクセスパネル32が接続される。また、キャビネット12は、消毒室の下に下側部34(広くは、消毒室に隣接しかつ第1部分から離間した第2部分)を備える。キャビネット12には、概ね下側部34の前側かつ概ね扉の下において、下側アクセスパネル36が接続される。図示の実施形態では、オゾン分配路16の一部と、消毒用ファン20と、オゾン生成器18とが、キャビネット12の上側部24に配置され、オゾン変換装置22が、キャビネットの下側部26に配置される。別の実施形態では、オゾン生成器および消毒用ファンが、概ね消毒室の下方の下側キャビネット部に配置されると共に、オゾン変換装置が、概ね消毒室の上方の上側キャビネット部に配置されるように、構成要素の配置が逆転されてもよい。さらには、これらの構成要素が収容されるキャビネット部が、概ね上方および概ね下方の配置以外に、消毒室に対して別の隣接位置に配置されること(例えば、オゾン生成器や消毒用ファンが収容される第1部分が、消毒室の一方側に配置され、オゾン変換装置が収容される第2部分が消毒室の他方側に、あるいは同じ側の離間した位置に配置されること)も考えられる。上側アクセスパネル32は、ヒンジ止めされており、下側アクセスパネル36は、着脱可能であり、それにより上側および下側部30,34の各構成要素にアクセス可能となっている。
【0016】
図示の実施形態では、消毒室16の底壁38は、キャビネット12の下側部34(広くは、オゾン変換部)から消毒室を仕切る隔壁を構成する。図示の実施形態では、オゾン変換装置22は、隔壁38に取り付けられ、かつ下側部34に収容される。隔壁38は、流入口40と、流入口から離間した流出口42とを備える。流入口40および流出口42は、消毒室14とキャビネットの下側部34とを流体的に連通させる。より具体的に、流入口40および流出口42は、オゾン変換装置22が消毒室内のオゾン化空気からオゾンを中和できるように、オゾン変換装置22と消毒室14とを流体的に連通させる。
【0017】
例示的な実施形態では、消毒室14の内部保管容量は、7立方フィートよりも大きい。図示の消毒室14の容量は、約9立方フィートであり、例えば、消毒室14内部の高さ、幅、および前後深さは、それぞれ36インチ、18インチ、および15インチよりも大きい。消毒室の内寸を測定する目的において、オゾン分配路16が占めるキャビネット12内部の空間は除かれる。1つ以上の実施形態では、その他の寸法のキャビネットが使用されてもよい。例えば、消毒キャビネットシステム10のフルハイト冷蔵庫キャビネット方式に代えて、消毒キャビネットシステムは、キャビネットシェルとしてアンダーカウンター冷蔵庫キャビネット、またはその他の適当なサイズのキャビネット式筐体を利用し得ることが特に考えられる。図示のキャビネット12の外装は、ステンレス鋼パネルで構成されてもよく、キャビネットの内装は、アルミニウムパネルで構成されてもよい。本開示の範囲を逸脱することなく、その他の材料も利用することができる。ただし、内装材料は、高レベルのオゾンの存在に耐えられるべきである。
【0018】
例示的な実施形態では、消毒室14は、一体型の棚受け(図示せず)を備える。好適には、消毒室の高さに沿って鉛直方向に離間した複数の位置において、棚受けにワイヤ棚(広くは、有孔棚。図示せず)が取り付けられてもよい。ある実施形態では、棚は、消毒室内の全ての物品が十分な距離をもって離間し、それにより全ての物品の全面に沿って空気が流れ得るように、一層の特定タイプの物品をその上に支持するように構成される。物品の適切な間隔を実現するために、棚は、所望の間隔での物品の配置をユーザに促すための印あるいは仕切構造を有してもよい。特定の実施形態では、消毒室は、消毒の対象となる衣類などの物品を吊り下げるための吊りフックまたはバーを備える。吊りフックまたはバーは、有孔棚に代えてまたは加えて使用されてもよい。
【0019】
扉28は、消毒室14を開閉するように構成される。換言すると、扉28は、キャビネット12に対して、消毒室14を選択的に開閉するために開位置と閉位置との間を移動可能である。好適には、扉28は、開状態で、消毒室14へのアクセスを許容する。扉28が閉じると、1つ以上の実施形態では、キャビネット内部の消毒雰囲気が扉とキャビネットとの間の境界を介して漏れ出さないように、扉によってキャビネット12の出入口または開口が実質的に封止される。例えば、図示の実施形態では、扉28は、扉の周縁に沿って延び、扉が閉じたときにキャビネット12の前フレームと封止係合するためのガスケットを備える。少なくとも上側アクセスパネル32は(実施形態によっては、下側アクセスパネル36も)、流体漏れを阻止するためにキャビネットを同様に封止する。
【0020】
図示の実施形態では、消毒キャビネットシステム10は、さらに、扉を閉位置でロックまたはロック解除するように構成された自動扉ロック44(
図5)を備える。詳しくは後述するように、消毒キャビネットシステム10は、許容されないレベルのオゾンがキャビネット12から周辺環境に逃げないようにするために扉ロック44を使用する。
【0021】
図3、
図6、および
図7を参照すると、オゾン分配路16は、オゾン吐出プレナム46および送風プレナム48(広くは、エアムーバープレナム)を備える。1つ以上の実施形態では、オゾン吐出プレナム16は、(キャビネットの上側部30に開口する)開いた上端部から、隔壁38の上方に離間した閉じた下端部まで、後壁24に沿って高さ方向に延びている。オゾン吐出プレナム46は、それを介してオゾン化空気が消毒室14へ流出可能な複数のオリフィスを有する前プレナム壁50を備える。この場合、前プレナム壁50は、消毒室14の背面の一部を規定する。前プレナム壁50は、消毒室14内の各棚に支持された物品に沿ってオゾン化空気が流れるように、鉛直方向に離間した複数の位置に流出口を有する(
図4を参照)。
【0022】
1つ以上の実施形態では、送風プレナム48は、キャビネット12の頂壁の直下に配置される。図示の実施形態では、送風プレナム48は、キャビネットの頂壁および下プレナム壁52によって構成される。下プレナム壁52は、消毒室14から送風プレナムを概ね仕切る。図示の実施形態では、下プレナム壁52は、キャビネット12の上側部30を消毒室14から仕切る。下プレナム壁52の前端部は、それを介して消毒室14からの還気がオゾン分配路16に吸い込まれ得る1つ以上の還気流入口を有する。図示の実施形態では、還気流入口を介して送風プレナムに空気を吸い込むための消毒用ファン20は、送風プレナム48に収容される。ファン20は、さらに、オゾン吐出プレナム46の上端部に空気を送り込むように構成され、それにより当該空気は、オゾン吐出プレナムに沿って下方に移動し、キャビネット12の高さに沿った複数箇所で、オゾン流出口を介して消毒室14に収容された物品に向けて吐出される。
【0023】
オゾン分配路は、送風プレナム48およびオゾン吐出プレナム46に接続する領域を備える。図示のオゾン生成器18は、消毒用ファン20の後方に離間して、この領域に配置される。見てわかるように、キャビネット12のオゾン分配路16は、消毒用ファン20により、オゾン化空気が、オゾン生成器18を通って後壁に沿って下方に流れた後、前方に流れて消毒室14に流入し得るように構成される。消毒室14からの還気は、上方に引き込まれてキャビネット12の前部で送風プレナム48に流入した後、オゾン生成器18およびオゾン吐出プレナム46に向かって後方に流れる。
【0024】
好適には、消毒用ファン20は、約200立方フィート/分以上、約500立方フィート/分以下の包括的範囲の体積流量、および/または約4.5フィート/秒以上、約10.5フィート/秒以下の流速を実現する比較的高出力のユニットである。好適には、ファン20は、扉28が閉じた状態で、キャビネット12の消毒室14の実質的に全体にわたって乱気流状態を作り出す。これにより、ファン20は、キャビネット12に収容された各物品の露出領域の実質的に全体に沿ってオゾン化空気を分配することができる。
【0025】
図示の実施形態では、消毒キャビネットシステム10が提供する主要モードの消毒は、オゾンまたはフォトプラズマ消毒(広くは、消毒ガスまたは流体の適用)である。
【0026】
例示的な実施形態では、生成器18は、フロリダ州オーランドのバイオゾーン サイエンティフィックが販売するタイプのフォトプラズマ生成器である。フォトプラズマは、バクテリア、ウイルス、かび、揮発性有機化合物、および/または臭気を効果的に低減すると考えられている。
図9を参照すると、基本的に、フォトプラズマ生成器18は、高エネルギーの紫外(UV)光(すなわち、紫外波長スペクトルの電磁波)を与えることで動作する。よって、1つ以上の実施形態では、オゾン生成器18は、キャビネット12内の空気の成分を活発にして高エネルギーのプラズマ(オゾン化空気)を生成するように構成されたUVランプを備える。例えば、UVランプは、分子、オゾン、および自由電子を生成する。それにより生じる流体の流れは、物品の表面に付着した大抵の病原菌を殺す能力を有する。これには、コロナウイルス、COVID-19を殺す能力が含まれると考えられる。
【0027】
例示的な実施形態では、オゾン生成器18は、対象の2つの波長、すなわち175nm以上、195nm以下の包括的範囲の第1波長(例えば、約185nmの波長)、および249nm以上、265nm以下の包括的範囲の第2波長(例えば、約254nmの波長)のUV光を生成するように構成された1つ以上の低圧水銀放電管を備える。第1波長のUV光は、酸素分子を分解してオゾンを合成するように構成される。第2波長のUV光は、オゾンを分解して高エネルギー活性酸素を生成するように構成される。
【0028】
1つ以上の実施形態では、オゾン生成器18は、低オゾン構成を有する。本開示では、低オゾン構成を有する生成器20は、消毒キャビネットシステム10の通常の屋内使用に対して労働安全衛生局(OSHA)によって公布された規制に準拠するために、0.1ppm未満のオゾンを含む流体を生成するように構成されるか、あるいは医療装置に消毒キャビネットシステムが使用され、よって食品医薬品局(FDA)の管轄下にある状況に対してFDAによって公布された規制に準拠するために、0.05ppm未満のオゾンを含む流体を生成するように構成される。オゾン生成器が低オゾン構成を有する場合、消毒キャビネットシステムは、安全保護装置や自動扉ロック44なしで操作されてもよい。よって、低オゾン構成の生成器18を備える消毒キャビネットシステム10は、簡易的な制御システムを備えてもよく、それにより消毒キャビネットシステムを迅速かつ比較的安価に量産することができる。例えば、特定の実施形態では、冷蔵庫メーカーやその他のタイプの大型キャビネット装置のメーカーは、流行病やパンデミックなどの病原性の緊急事態において、既存のキャビネット在庫品を消毒キャビネットとして迅速に作り替えることができる。これにより、病原性の緊急事態において、様々なタイプの物品や設備を頻繁に消毒する必要性が増大してもこれに素早く対処できる。
【0029】
特定の実施形態では、生成器18は、キャビネット12の内部で、より多くのオゾン、例えば、0.1ppmを超える、0.5ppmを超える、0.8ppmを超える、1.5ppmを超える、2.0ppmを超える、2.5ppmを超える、または3.0ppmを超える量のオゾンを含むオゾン化空気を生成するように構成される。この種の高オゾン構成を有する生成器18によると、消毒キャビネットシステム10は、より短い消毒サイクルを実行して同様の消毒効果を得ることができる。しかしながら、0.05ppmを超えるオゾンの放出はFDAに認められておらず、また0.1ppmを超えるオゾンの放出はOSHAに認められていないため、この種の高オゾン生成器18を使用する場合、消毒キャビネットシステム10は、後述するように、超過レベルのオゾンが外部環境に直接的に放出されるのを阻止するための安全システムを備えることが好ましい。
【0030】
図示の実施形態に係る消毒キャビネットシステム10では、オゾン生成器18は、キャビネット12内部でオゾンを生成するために、オゾン分配路16内に直接的に配置される。より具体的に、図示のオゾン生成器18は、概略的に上述したタイプの密閉されていない高出力UVバルブを、対応する電源や固定具と共に備える。バルブ18は、好適には、オゾン分配路16における消毒用ファン20の下流に配置されており、ファンが吹き出す空気は、オゾン吐出プレナム46を介して吐出される前にバルブを通過する(
図6および
図7を参照)。上述したように、バルブ18は、概して、オゾン分配路における送風プレナム48がオゾン吐出プレナム46に接続する領域(例えば、オゾン吐出プレナムの上端部の近傍や送風プレナムの後端部の近傍)に配置される。図示の実施形態では、バルブ18は、後壁24に螺合するU字状クランプ54を介してキャビネット12に着脱可能に取り付けられる1つの直管を備える。詳しくは後述するように、バルブ18は、交換可能または使い捨て可能な部品であり、クランプ54による着脱可能な取付けにより、バルブを必要に応じて迅速に交換することができる。
【0031】
好適には、オゾン生成バルブ18は、ファン20が吹き出す空気の大部分が当該バルブを横切るように、オゾン分配路16に対して寸法設定および配置される。1つ以上の実施形態では、オゾン生成バルブ18は、長さおよび直径を有する管を備える。好適には、バルブ18は、バルブの長さがキャビネットの幅方向に延びるように、キャビネット212に取り付けられる。オゾン吐出プレナム46の上端部は、キャビネット12の幅に沿った幅を有する。特定の実施形態では、バルブ18は、バルブの長さがオゾン吐出プレナム46の上端部の幅の75%以上(例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上)にわたって延びるように、キャビネットに取り付けられる。また、オゾン吐出プレナム46の上端部は、前後深さを有する。1つ以上の実施形態では、バルブ240の直径は、オゾン吐出プレナムの上端部の前後深さの10%以上(例えば、15%以上、20%以上、25%以上)である。
【0032】
要約すると、消毒キャビネットシステム10は、消毒室14に空気的に開放されて流体的に連通したキャビネット12の内部に配置されたオゾン生成バルブ18を備える。本開示では、「開放された」流体的連通とは、消毒キャビネットシステム10の何らかの弁、ダンパ、またはその他の製造された閉塞部品によって閉じられていない流体的連通を意味する。また、消毒キャビネットシステム10は、キャビネット12の内部でオゾン分配路16を規定するプレナム壁50,52を備え、オゾン分配路16には、オゾン生成バルブ18が収容される。消毒キャビネットシステム10は、さらに、消毒室の上端部の還気流入口を介して、消毒室14から空気を引き込んでオゾン分配路16へ送るように構成されたファン20を備える。ファン20は、空気の大部分がオゾン生成バルブ18の影響を受けるように当該バルブを通過するよう、送風プレナム48を介して還気を送るように構成される。これによりオゾンが生成されてオゾン化空気が作られる。ファン20は、オゾン吐出プレナム46を介してオゾン化空気を下方に移動させ、消毒室14の高さに沿って離間した複数の位置において、前プレナム壁50の流出口からオゾン化空気を流出させる。したがって、消毒キャビネットシステム10は、消毒室14の高さ方向の実質的に全体にわたってオゾン化空気を導き、消毒室内の任意の位置に配置された物品を消毒するように構成されることがわかる。
【0033】
上の各図には示していないが、消毒キャビネットシステム10が、主オゾン/フォトプラズマ生成器18に加えて、1つ以上の副消毒システムを備えてもよいことは明らかである。例えば、1つ以上の実施形態では、システム10は、UV光の適用により消毒室14内の物品を消毒するように構成された複数の消毒UVランプ(図示せず)を、消毒室14内に備える。
【0034】
例示的な実施形態では、消毒キャビネットシステムは、さらに、キャビネット12内部のオゾンの量(例えば、濃度)を示す信号を出力するように構成されたオゾンセンサ56(広くは、ガス検知センサ)を備える。図示の実施形態では、オゾンセンサ56は、オゾン分配路に配置される。より具体的に、オゾンセンサ56は、送風プレナム48における消毒用ファン20の近くに配置される。消毒室14内のオゾン濃度を示す信号を出力可能な任意の適当なガスセンサが、本開示の範囲を逸脱することなく使用可能である。1つ以上の実施形態では、オゾンセンサ56は、SPEC Sensor(登録商標)電気化学ガスセンサを備える。
【0035】
図10~
図13を参照すると、図示のオゾン変換装置22は、内部空間を規定するハウジング60と、ハウジングの内部空間に収容され、ハウジングの内部空間を上流チャンバ66、オゾン変換チャンバ68、および下流チャンバ70に仕切るための第1および第2ダンパ62,64とを備える。
【0036】
図示のハウジング60は、開放面(例えば、開放頂面)を有する概ね四角い筐体を構成する。ハウジング60は、ベース部72と、ベース部から自由縁まで延びる周縁部74とを備える。周縁部74は、縦軸LGAに沿って離間した第1端壁および第2端壁と、横軸LTAに沿って離間した第1側壁および第2側壁とを有する。周壁74の自由縁は、ベース部72の反対側でハウジングの開放面を囲んでいる。換言すると、図示のハウジング60は、第1端壁から第2端壁まで縦向きに延びると共に、第1側壁から第2側壁まで横向きに延びる、ハウジングの内部空間に繋がる開口を備える。
【0037】
第1および第2ダンパ62,64は、ハウジング周縁部74の第1端壁と第2端壁の間の縦軸LGAに沿って離間している。各ダンパ62,64は、周縁部74の第1側壁から第2側壁まで横向きに延びるアセンブリを備える。また、各ダンパ62,64は、ベース部72からハウジング60の周縁部74の自由縁の近くの上端部まで鉛直方向に延びている。よって、図示の実施形態では、ダンパは、ハウジング60の縦軸LGAに沿って離間したチャンバ66,68,70を規定する。
【0038】
第1および第2ダンパ62,64は、選択的に開閉されるように構成される。各ダンパ62,64は、1つ以上の回転可能なダンパプレートを有するダンパプレートアセンブリ62A,64Aと、ダンパプレートアセンブリの当該プレートを、不図示の開位置と図示の閉位置との間で選択的に回転させるように構成されたダンパアクチュエータ62B,64B(例えば、電気モータまたはソレノイド)とを備える。第1および第2ダンパ62,64が閉じると、当該ダンパによって上流チャンバ66と下流チャンバ70からオゾン変換チャンバ68が流体的に仕切られる。各ダンパが開くと、3つのチャンバ間の流体的連通が提供される。
【0039】
ダンパ62,64に加えて、図示のオゾン変換装置ハウジング60は、オゾン変換触媒76およびオゾン変換エアムーバー78を収容する。好適には、オゾン変換触媒76は、アルミニウム化合物やマンガン化合物で構成される触媒材料などの、オゾンを酸素分子に変換するように構成されたオゾン中和触媒材料を備える。図示の実施形態では、オゾン変換触媒76およびオゾン変換エアムーバー78は、オゾン変換チャンバ68にそれぞれ収容される。しかしながら、これに代えて、オゾン変換エアムーバーを他のチャンバ66,70の1つに配置することも考えられる。オゾンエアムーバー78は、ファンケース80と、ファンケース内のファン82とを備える。ファンケース80は、周縁部74の第1側壁から第2側壁まで横向きに延びている。また、ファンケース80は、ベース部72からハウジングの周縁部74の自由縁の近くの上端部まで鉛直方向に延びている。ファンケース80は、流入開口84を規定する上流端と、流出開口86を規定する下流端とを備える。上流端と下流端とは、縦軸LGAに沿って離間している。ファン82は、流入開口84を介してファンケース80内に空気を吸い込み、流出開口86を介してファンケースから空気を吹き出すように構成される。オゾン変換触媒76は、流出開口86を介してファンケースから吹き出された空気の実質的に全てがオゾン変換触媒を通過するように、ファンケース80の下流端に支持される。例えば、図示の実施形態では、オゾン変換触媒76は、ファンケース80の上流端から縦向きに延びかつ流出開口86周りを延びるシュラウド88内に支持される。
【0040】
ハウジング60は、隔壁38に形成された流入口40に上流チャンバ66が流体的に連通すると共に、隔壁に形成された流出口42に下流チャンバ70が流体的に連通するように、消毒キャビネットシステム10の隔壁38に取り付けられるように構成される。例示的な実施形態では、ハウジングの周縁部74の自由縁と隔壁38との間、ならびに隔壁と第1および第2ダンパ62,64やファンケース80の上端部との間にシールまたはガスケットが配置され、オゾン変換装置22と隔壁38との間の境界に流体シールが形成される。この流体シールにより、オゾン変換装置22と隔壁との間の境界でチャンバ66,68,70間の流体分離が維持される。したがって、第1および第2ダンパ62,64が閉じると、オゾン変換チャンバ68およびその中の触媒76が流入および流出口40,42から流体的に分離され、それにより触媒が消毒室14から流体的に絶縁される。一方、ダンパ62,64が開くと、流入および流出口40,42とオゾン変換チャンバ68との間に流体的連通が生じ、オゾン変換ファン82は、消毒室14から流入口40を介してオゾン化空気を吸い込むことができ、当該オゾン化空気は、流入口から上流チャンバ66内へ、上流チャンバから第1ダンパ62を通ってオゾン変換チャンバへ入ってファンケースの流入開口84を経由し、流入開口から流出開口86を通ってさらにシュラウド内の触媒76を通過する。触媒76は、オゾン化空気が触媒を通過する際、その中のオゾンを中和する。ファン82は、触媒76から空気を送り出すと共に第2ダンパ64を通過させて下流チャンバ70へ流入させ、そして流出口42を介して消毒室へ戻す。
【0041】
上述のように、特定の実施形態では、生成器18は、関連する規制機関が認めるオゾン排出基準よりも少ない量のオゾンを含む消毒流体を生成するように構成される。これにより、生成器18が生成する消毒流体を大気中に直接的に放出することができる。このタイプの簡易的なシステムは、生成器18を連続稼働するように構成されてもよい。ユーザは、消毒が必要なときにいつでも、消毒室14内に物品を配置すればよく、その後、必要な時間にわたって当該物品が消毒キャビネットシステム10により消毒される。
【0042】
より多くの量のオゾンを生成する生成器18は、消毒サイクル時間を短縮するために望ましい場合がある。
図14を参照すると、この場合、消毒キャビネットシステム10は、消毒サイクルを自動的に指揮し、生成器18によって過剰な量のオゾンが大気中に放出されるのを阻止する自動制御システム100を備えてもよい。図示の実施形態では、制御システム100は、(図示の実施形態では、
図1に示す上側アクセスパネル32に取り付けられたタッチスクリーン画面を有する)ユーザインタフェース102と、制御器104と、オゾンセンサ56と、自動扉ロック44と、扉が閉じたことを検知するように構成された扉スイッチ106と、キャビネットシステム10が実行した消毒サイクルに関する履歴情報を記憶するためのメモリ108と、消毒室14の内部温度を検出するための温度センサ110とを備える。また、図示の制御器104は、オゾン生成器18、消毒用ファン20、オゾン変換ファン78、およびダンパアクチュエータ62B,64Bに対して、これらの構成要素を制御するために機能的に接続される。さらに、図示の制御器104は、インターネット通信インタフェース112、例えば、セルラーネットワークやWi-Fi送受信器などのワイヤレスインタフェースに接続される。
図14に示すように、送受信器112によると、制御器104は、インターネットを経由して遠隔サーバ116(例えば、遠隔監視サーバまたは遠隔資産管理サーバ)と通信することができ、消毒キャビネットシステム10の遠隔監視や遠隔制御が可能である。
【0043】
制御器104は、1つ以上の入力コンポーネントに基づいて1つ以上の出力コンポーネントの動作を制御するための少なくとも1つのプロセッサを備えてもよい。制御器104のプロセッサは、プロセッサに処理を実行させるための命令を表すコードを記憶した非一時的なプロセッサ読み取り可能媒体を備えてもよい。また、プロセッサは、コードの一部または全部にメモリ108からアクセスしてもよい。プロセッサ104は、例えば、1つ以上の特定機能を実現するように、または1つ以上の特定の装置やアプリを使用可能にするように設計された、市販のマイクロプロセッサ、エーシック(ASIC)、または組合せASICであってもよい。特定の実施形態では、制御器104は、アナログもしくはデジタル回路、または複数回路の組合せであってもよい。また、制御器104は、制御器が読み出し可能な形式でデータを記憶する1つ以上のメモリ要素を備えてもよい。制御器104は、1つ以上のメモリ要素またはメモリ108にデータを格納し、またはこれらからデータを読み出してもよい。
図14には単一の概略的な制御器要素を示してあるが、消毒キャビネットシステム10の様々な制御が、連携または独立した制御ハードウェアの様々な部分によって実装可能であることが理解されるだろう。すなわち、システム10の多数の態様を制御するための単一の概略的な要素104が示されている一方、これらの態様を制御する責務が、2つ以上の制御プロセッサ、回路、またはその他の制御ハードウェアに分散され得ることが理解されるべきである。
【0044】
使用に際して、制御器104は、消毒サイクルが進行中でない限り、オゾン生成器18、消毒用ファン20、およびオゾン変換装置22をオフ状態に維持する。このオフ状態では、自動扉ロック44は、ユーザが消毒の必要な物品を消毒室14に入れる(例えば、棚に載せたり、フックや吊り棒に掛けたりする)ことができるように、ロック解除される。
【0045】
図15~
図18は、符号210で示される例示的なプロセスを示し、当該プロセスでは、制御器104が、ユーザの指示に応じて物品を消毒するための自動消毒サイクルを実行し得る。プロセス210は、広くは、ユーザインタフェース102に対する消毒サイクルを開始するためのユーザ入力を制御器104が受けるサイクル開始ルーチン220を備える。開始ルーチン220が完了すると、制御器104は、消毒サイクルを実行する。各消毒サイクルは、消毒段階240および変換段階260を備える。後述するように、各消毒段階240において、制御器104は、オゾン生成器106および消毒用ファン20を動作させ、オゾン変換エアムーバー78を停止し、第1および第2ダンパ62,64を閉じるように構成される。一方、各変換段階260において、制御器104は、オゾン生成器18および消毒用ファン20を停止し、オゾン変換エアムーバー78を動作させ、第1および第2ダンパ62,64を開くように構成される。そして、変換段階260が完了すると、制御器104は、消毒サイクル終了ルーチン280を実行する。
【0046】
図16および
図19~
図21を参照すると、開始ルーチン220において、制御器104は、ユーザインタフェース102に対する、消毒サイクルを選択し(ステップ222)、消毒室14に物品を入れたことを確認し(ステップ224)、そしてキャビネットの扉28が閉じていることを確認した(ステップ226)旨のユーザ入力を受ける。プロセスのこの部分において、ユーザは、キャビネット12の扉28を開き、消毒室14に物品を配置し、そして扉を閉める。ステップ222において消毒サイクルのユーザ選択を促すための例示的なタッチスクリーン画面が
図19に示されており、物品配置(ステップ224)および扉閉鎖(ステップ226)のユーザ確認を促すための例示的なタッチスクリーン画面が
図20および
図21に示されている。
【0047】
したがって、図示の実施形態では、ユーザは、ユーザインタフェース装置102と協働して所望のサイクルタイプを選択する。制御器104は、ユーザインタフェース102を介してユーザの選択に応じて、複数(例えば、3つ)の異なる消毒サイクル(例えば、急速サイクル、標準サイクル、および強洗浄サイクル;2対数減少サイクル、4対数減少サイクル、および6対数減少サイクル;99.9%消毒サイクル、99.99%消毒サイクル、および99.9999%消毒サイクル)を選択的に実行するように構成される。1つ以上の実施形態では、メモリ108は、特定量の特定物品を消毒するための「レシピ」または処方を記憶している。
図19に示す強度の異なる汎用的な消毒サイクルから選択する代わりに、ユーザは、消毒対象の物品のタイプや量を選択してもよく、制御器は、当該選択に基づいて調整した消毒サイクルを自動的に実行してもよい。
【0048】
再び
図16を参照すると、制御器302は、扉スイッチ106によって扉28が閉位置にあると登録されるまで、消毒サイクルの開始を許容しない。制御器104は、自動扉ロック44が扉28を閉位置でロックしない限り、オゾン生成器18をオフ状態に維持するように構成される。扉スイッチ106から扉が閉じた信号を受けた後(ステップ228)、制御器104は、消毒サイクルの消毒段階240に進んでもよい。消毒キャビネットシステム110は、扉216が閉じてロック44がロック位置にならない限りは生成器18に電力が供給されないようにする、制御器104から独立したバックアップ用の結線式保護装置をさらに備えてもよい。
【0049】
図17および
図22を参照すると、消毒段階を開始するために、ステップ241において、制御器104は、オゾン生成器18および消毒用ファン20を起動し、消毒ステータス指標、例えば
図22に示す表示スクリーンをユーザインタフェース102に表示させる。ステップ242において、制御器104は、消毒段階タイマーを開始する。詳しくは後述するように、消毒段階タイマーの目的は、消毒段階240における経過時間が、消毒キャビネットシステムによる消毒が適切になされていない可能性を示す所定の最大消毒時間を超えたことを制御器104が判定できるようにすることである。特定の実施形態では、制御器は、オゾンセンサ56からのフィードバックに基づいて、オゾン生成器18および/または消毒用ファン20の動作レベルを調節してもよい。ただし、その他の場合において、制御器104は、各構成要素を、選択サイクルの間において同じ動作レベルで動作させてもよい。
【0050】
サイクル中、制御器104は、オゾンセンサ56および扉スイッチ106の出力を監視する(ステップ243)。ステップ243は、広くは、消毒サイクルにおける消毒キャビネットシステムの監視として言及されてもよい。詳しくは後述するように、制御器は、この監視に基づいて、例えば、消毒室14内のオゾンレベルが所定の最大オゾン閾値を超えたことのオゾンセンサ56からの信号を制御器104が受けた場合や、消毒サイクル中にロック44に関わらず扉28が開いたことの扉スイッチ106からの信号を制御器が受けた場合など、
図17に示さない1つ以上の警告を出力するように構成される。
【0051】
そのようなエラーが検出されない場合、制御器104は、典型的には、選択された消毒段階を完了するまで実行する。例示的な実施形態では、制御器104は、消毒室14のオゾン暴露量を監視し、それを各サイクルタイプに対応する所定のオゾン暴露閾値と比較することにより、段階完了を判定するように構成される(判定点244)。1つ以上の実施形態では、制御器102は、時間に対するオゾン濃度の関数としてオゾン暴露を求めるように構成される。暴露閾値は、オゾン濃度-時間の単位量である。例えば、オゾン暴露は、オゾン濃度信号の時間積分として測定されてもよい。簡単な例では、所与のサイクルに対して、制御器は、30PPM-分のオゾン暴露閾値を使用してもよい。オゾンセンサ56が消毒室14における6PPMの一定オゾン濃度を検出する場合、制御器104は、5分後に所望のオゾン暴露閾値に到達すると判定してもよい。一方、オゾンセンサ56が2PPMの一定オゾン濃度を示す信号を出力する場合、制御器104は、サイクルが15分経過するまでは、必要なオゾン暴露が満たされたと判定しないだろう。
【0052】
図17には示していないが、消毒段階240において、制御器104は、この段階中に触媒76がオゾンと相互作用したりオゾンを中和したりすることが実質的にないように、ダンパ62,64を閉位置に維持しかつ変換エアムーバー78をオフ状態に保つ。
【0053】
図示の実施形態では、制御器104は、ステップ242で開始されたタイマーを監視して、消毒段階における経過時間が所定の最大消毒段階時間閾値を超えたことを判定するように構成される(判定点245)。制御器104は、消毒段階における経過時間が所定の最大消毒段階時間閾値を超えたと判定した場合、それに応じて消毒中断ルーチン246を実行するように構成される。図示の実施形態では、消毒中断ルーチン246は、ユーザインタフェース102に初期警告(例えば、不十分な消毒が生じたことを示すポップアップ警告)を表示することを含む(ステップ247)。さらに、ステップ248において、制御器は、オゾン生成器18および消毒用ファン20を停止し、ダンパ62,64を開き、変換エアムーバー78を作動させ、ディスプレイに浄化ステータスを表示する。よって、図示の消毒中断ルーチン246は、オゾン変換装置22を用いて消毒室14内のオゾンを中和することを含む。制御器104は、オゾンセンサ56からの出力を監視し(ステップ249)、判定点250において、消毒室内のオゾン濃度が安全オゾン濃度レベルを下回ったことを判定する。その後、図示の実施形態では、制御器104は、キャビネットを動作モードからロックモードに切り替え、管理者が制御器104にロック解除命令を与えるまで扉ロック44をロック状態に保つように構成される。1つ以上の実施形態では、管理者は、遠隔サーバ116から制御器104へ、送受信器112を介して遠隔でロック解除命令を送ってもよい。特定の実施形態では、管理者は、ユーザインタフェース102に管理者レベル資格証明を入力し、そして現地でロック解除命令を出す。
【0054】
消毒中断ルーチン246の目的は、消毒キャビネットシステム10が意図したとおりに適切に機能していないかも知れない場合に、それが使用されるのを防止することである。消毒キャビネットシステム10は、医療分野において、例えば医療用品や医療機器を消毒するために使用されてもよい。この場合、消毒キャビネットシステム10が指定した消毒レベルに確実に到達することが重要である。過剰な時間がかかる消毒段階240は、キャビネットシステム10が、指定された消毒レベルに到達できないような未解決の問題を有することの先行指標である。このような場合、消毒中断ルーチン246は、当該装置が、現在の潜在的に有効でない状態で使用されることを実質的に阻止する。
【0055】
図18を参照すると、消毒段階240が順調に完了した後、制御器は、オゾン変換段階260に進む。ステップ262において、制御器104は、オゾン生成器18および消毒用ファン20を停止し、アクチュエータ62B,64Bを用いてダンパ62,64を開く。さらに、制御器104は、オゾン変換エアムーバー78を起動し、浄化ステータス指標、例えば
図23に示す表示スクリーンをユーザインタフェース102に表示させる。ステップ262では、オゾン化空気が、消毒室14から触媒変換部76を通って循環し、キャビネット12内のオゾンが迅速に中和される。消毒段階240と同様に、制御器104は、変換段階の開始時に変換段階タイマーを開始するように構成される(ステップ264)。
【0056】
オゾン変換段階を通して、制御器104は、オゾンセンサ56からの信号を監視し(ステップ266)、判定点268において、消毒室14内のオゾン濃度が所定の安全オゾン濃度閾値未満、例えば0.1ppm未満または0.05ppm未満になったことを判定する。消毒室14内のオゾン濃度が所定の安全オゾン濃度閾値未満になったと判定した場合、制御器104は、消毒サイクルが完了したことを示す信号を出力するように構成される(終了サブルーチン280)。例えば、制御器104は、扉ロック44に対して扉28をロック解除するための信号を送る。さらに、制御器104は、ユーザインタフェース102に対して、ディスプレイにサイクル完了指標をユーザインタフェースに表示するための信号を送ってもよい(
図24を参照)。
【0057】
よって、消毒段階240およびオゾン変換段階260の各々において、制御器104は、キャビネット12を閉状態にロックするように構成され、消毒室内のオゾン濃度が所定の安全オゾン濃度閾値を下回ったと判定した場合、制御器は、キャビネットをロック解除して開放可能にするように構成されることがわかる。サイクルが完了すると、ユーザは、消毒室12Bから物品を取り出してもよい。その後、消毒キャビネットシステム10は、新たな物品を消毒するための別サイクルでの使用に備えられる。
【0058】
判定点270およびステップ272で示されるように、制御器104は、各オゾン変換段階260における経過時間を求め、オゾン変換段階における経過時間が所定の最大オゾン変換時間閾値を超えたことを判定するように構成される。制御器104は、オゾン変換段階260における経過時間が所定の最大オゾン変換時間閾値を超えたと判定した場合、超過オゾン変換時間警告(図示せず)を出力するように構成される。しかしながら、図示の実施形態では、超過オゾン変換時間事象は、キャビネットシステム10のロックアウトを生じさせない。
【0059】
図15~
図18には示していないが、サイクル中、制御器104は、消毒キャビネットシステム10のその他の側面を監視し、当該監視に基づいて、1つ以上の警告を出力するように構成される。例えば、1つ以上の実施形態では、制御器104は、ユーザインタフェース102のディスプレイに警告を表示するように構成される。特定の実施形態では、制御器104は、警告の発生時に、それらをメモリ108に記録するように構成される。
【0060】
例示的な実施形態では、制御器104は、オゾンセンサ56からの信号に基づいて、消毒室内のオゾン濃度が所定の高オゾン濃度閾値を超えたことを判定するように構成される。オゾンセンサ56からの信号に基づいて、消毒室14内のオゾン濃度が所定の高オゾン濃度閾値を超えたと判定した場合、制御器104は、高オゾン濃度警告を出力する(例えば、高オゾン濃度について警告するポップアップメッセージなどの指標をユーザインタフェース102に表示させる、当該指標を(例えば、SMS通知によって)ユーザ端末に無線送信する、または当該指標をその他の適当な方法でユーザに伝える)ように構成される。
【0061】
特定の実施形態では、制御器104は、扉センサ106およびオゾンセンサ56からの信号に基づいて、消毒室14内のオゾン濃度が所定の安全オゾン濃度閾値を超えていて扉28が開いていることを判定するように構成される。扉センサ106およびオゾンセンサ56からの信号に基づいて、消毒室14内のオゾン濃度が所定の最大安全オゾン濃度閾値を超えていて扉が開いていると判定した場合、制御器104は、扉開放警告を出力する(例えば、扉が開いていることを警告するポップアップメッセージなどの指標をユーザインタフェース102に表示させる、当該指標を(例えば、SMS通知によって)ユーザ端末に無線送信する、または当該指標をその他の適当な方法でユーザに伝える)ように構成される。
【0062】
特定の実施形態では、制御器104は、オゾンセンサ56の不具合を検出するように構成される。例えば、制御器は、オゾンセンサ56が制御器104から切り離され、制御器がオゾンセンサからの信号を受けられなくなっていることを検出してもよい。一実施形態では、制御器104がオゾンセンサ56の不具合を検出した場合、制御器は、オゾンセンサ不具合警告を出力する(例えば、センサ不具合に関するポップアップメッセージなどの指標をユーザインタフェース102に表示させる、当該指標を(例えば、SMS通知によって)ユーザ端末に無線送信する、または当該指標をその他の適当な方法でユーザに伝える)ように構成される。特定の実施形態では、消毒サイクル中にオゾンセンサ不具合警告が生じた場合、制御器104は、消毒中断ルーチン246に関して上述したように、消毒キャビネットシステム10をロックモードに切り替えてもよい。
【0063】
図25~
図28に示す表示スクリーンに見られるように、図示の消毒キャビネットシステム10は、概して、1つ以上の消毒用バルブ18、オゾン変換触媒76、および扉ロック44などの特定の交換可能で使い捨て可能な構成要素の使用を監視するように構成される。例示的な実施形態では、制御器104は、消耗部品18,76,44の各々を伴って実行された消毒サイクルの回数の指標をメモリ108に格納するよう構成される。対象の各消耗部品に対して、制御器104は、メモリに格納された回数に基づいて、消毒キャビネットシステムに搭載された交換可能で使い捨て可能な部品を伴って実行された消毒サイクルの回数が、各部品に対応する所定の交換閾値回数を超えたことを判定するように構成される。制御器104は、消毒キャビネットシステムに搭載された消耗部品を伴って実行された消毒サイクルの回数が交換閾値回数を超えたと判定した場合、対応する交換警告を出力する(例えば、部品交換が必要である旨のポップアップメッセージなどの指標をユーザインタフェース102に表示させる、当該指標を(例えば、SMS通知によって)ユーザ端末に無線送信する、または当該指標をその他の適当な方法でユーザに伝える)ように構成される。部品が交換されると、制御器104は、メモリ108内の対応するサイクルカウントをリセットするように構成される。
図25~
図27に示すように、図示の実施形態では、消毒用バルブ18、オゾン変換触媒76、および扉ロック44の各々に対する交換閾値回数は、ユーザが、堅実な態様、標準的な態様、または各消耗部品を交換前に無理なくできるだけ長く使用する態様のうちいずれで消毒キャビネットシステムを動作させたいかに応じて、ユーザ調節可能である。
図29に示すように、図示の実施形態では、ユーザは、消耗部品の交換品を注文できるウェブサイトにアクセスするためのQRコードを表示する表示スクリーンを、ユーザインタフェース102で呼び出すことができる。
【0064】
例示的な実施形態では、制御器104は、送受信器112を介して、消耗部品のサイクルカウント情報を遠隔サーバ116へ送るように構成される。例えば、制御器104は、定期的に、および/またはメモリ108に記憶された閾値サイクルカウントを経過したときに、サイクルカウントを自動的に送信するように構成されてもよい。特定の実施形態では、遠隔サーバ116は、消耗部品の使用サイクル回数が、遠隔サーバのメモリに記憶された最大閾値回数を超えた場合に、遠隔でかつ自動的に、消毒キャビネットシステム10をロックモードに切り替えるように構成されてもよい。ロックモードでは、キャビネットシステム10は、管理者が装置をロック解除するための行動をまずとらない限り、消毒サイクルの実行に使用できなくてもよい。特定の実施形態では、キャビネットシステムの製造業者、サービス業者、またはその他のキャビネットシステムの操作者もしくは管理者は、遠隔サーバ116を保守し、各消耗部品に対する安全最大サイクルカウント閾値を設定してもよい。上述の遠隔ロック構成によると、製造業者、サービス業者、または操作者/管理者は、キャビネットシステムが非効果的と思われる態様で使用されないようにすることができる。
【0065】
また、制御器104は、警告、消毒段階やオゾン変換段階のサイクル時間、消毒サイクルのオゾン濃度情報など、様々なその他の情報を遠隔サーバ116に伝えるように構成されてもよい。
【0066】
1つ以上の実施形態では、消毒キャビネットシステム10は、オゾン生成器17の内部に、またはオゾン生成器に関連付けて、光センサ(図示せず)を備える。光センサは、生成器バルブ18が暗くなるか切れるかし始めたことを検出するように構成される。暗くなるか切れるかが検出された場合、制御器104は、バルブを交換すべきことの指標を送信する。例えば、当該指標は、ユーザインタフェース102に表示されてもよく、(例えば、SMS通知によって)ユーザに無線送信されてもよく、またはその他の適当な方法でユーザに伝えられてもよい。特定の実施形態では、制御器104は、内部バルブが暗くなったことに応じて、消毒サイクルのパラメータを調節してもよい。例えば、バルブが暗くなるにつれて、制御器104は、各種の消毒サイクルの継続時間を長くしてもよい。
【0067】
図示の消毒キャビネットシステム10の1つの特徴は、それが、現存する病原性の緊急事態がなかった時期に広く流通した既存のキャビネットプラットフォームに容易に適合可能であることである。例えば、消毒キャビネットシステム10は、冷蔵装置のために広く利用される冷蔵庫キャビネットから容易に製造可能であり得る。そのような冷蔵装置は、飲食店や店舗が普通の消費者にとって安全と考えられる場合には広く販売される。しかし、流行が起こると、これらのタイプの設備の知覚される安全性は低下し、冷蔵装置の必要性の低減につながる。一方、流行は、消毒装置に対する必要性の急峻な増大をもたらしもする。よって、本開示の一局面は、様々なタイプの通常のキャビネット装置を、流行の間、あるいは消毒キャビネットに対する必要性が増大するその他の事象の間、消毒キャビネットとしての使用に適合させることに関する。
【0068】
本開示に含まれるキャビネット在庫を転用するためのプロセスの一実施形態は、既存のキャビネット在庫、あるいは完全に組み立てられたキャビネットもしくはキャビネット構成要素から始まる。キャビネットが完全に組み立てられていない場合、製造業者は、まず、既存の在庫またはキャビネット部品からキャビネットを組み立てる。キャビネットが完全に組み立てられている場合、当該組み立てられたキャビネットから既存のシステム部品を取り除く必要があるかも知れない。キャビネットの外殻を得た後、製造業者は、消毒動作を実行するように当該キャビネットを構成する必要がある。キャビネット在庫が業務用の冷蔵庫キャビネットのためのものである場合、空気分配路および空気分配ファンは、当該キャビネット内に既に存在するかも知れない。もし存在しなければ、製造業者は、オゾン分配路および消毒用ファンとして機能するように、適当な気流通路と1つ以上のファンを追加してもよい。図示の実施形態では、製造業者は、好ましくは消毒用ファンがオゾン生成器を横切って空気を吹き出しまたは吸い込む(広くは、移動させる)ように、気流通路内の位置で装置にオゾン生成器18を取り付ける。特定の実施形態では、製造業者は、また、キャビネットに対してオゾン変換装置を流体的に接続する。例えば、オゾン変換装置は、消毒室として機能する主保管室の外部にオゾン変換装置が位置するように、キャビネットの壁部に取り付けられてもよい。例示的な実施形態では、製造業者は、保管室の壁に穴(例えば、2つの穴)を設け、当該穴をまたぐように保管室の外部で壁にオゾン変換装置を取り付ける。
【0069】
既存のキャビネット在庫を消毒キャビネットシステムとしての用途に素早く移行するために、生成器は、関連する規制機関が認めるよりも多くのオゾンを生成しないように構成されてもよい。これにより、キャビネットの外殻を、複雑な安全制御を後付けすることなく、消毒キャビネットとして機能させることができる。あるいは、製造業者は、キャビネット在庫に、より多くのオゾンを作り出すように構成された生成器を後付けしてもよく、それにより、キャビネットシステムは、より高い処理能力でより速い消毒サイクルを実行し得る。その場合、製造業者は、制御システム100の一部または全部を組み込んでもよい。少なくとも、製造業者は、高オゾンキャビネットシステムに、自動扉ロックと、扉ロックがロック設定にある場合のみに生成器の動作を許容するように構成された制御器または安全保護装置とを備えさせてもよく、それにより超過量のオゾンが放出されるのを防止することができる。
【0070】
本発明またはその好ましい実施形態の要素を導入する場合、「a」、「an」、「the」、および「said」の冠詞は、当該要素が1つ以上存在することを意味する。「備える」、「含む」、および「有する」の語は、包括的であって、挙げられた要素以外の追加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0071】
上記より、本発明のいくつかの目的が達成されると共に、他の有利な結果が得られることがわかるだろう。
【0072】
本発明の範囲を逸脱することなく上述の物や方法に様々な変更が加えられてもよく、上述した全ての事柄は、説明のためのものであって、限定的な意味に解釈されるべきではない。
【国際調査報告】