(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】カプセル化粒子
(51)【国際特許分類】
B22F 1/105 20220101AFI20230609BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230609BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20230609BHJP
C08K 3/40 20060101ALI20230609BHJP
C08L 27/12 20060101ALI20230609BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20230609BHJP
B22F 1/065 20220101ALI20230609BHJP
B22F 1/06 20220101ALI20230609BHJP
B22F 1/05 20220101ALI20230609BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20230609BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
B22F1/105
C08L101/00
C08K3/08
C08K3/40
C08L27/12
B22F1/00 K
B22F1/00 L
B22F1/00 S
B22F1/00 N
B22F1/065
B22F1/06
B22F1/05
C09J11/04
C09J201/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567229
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 GB2021051095
(87)【国際公開番号】W WO2021224625
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514247584
【氏名又は名称】グッドウィン ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】GOODWIN PLC
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】タン,カルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】グッドウィン,マシュー スタンレー
【テーマコード(参考)】
4J002
4J040
4K018
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002BD121
4J002BD141
4J002BD151
4J002CD001
4J002CL001
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4K018BA01
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4K018BA13
4K018BB04
4K018BC28
4K018BD04
(57)【要約】
本発明は、シェル内にカプセル化されたコアを含むカプセル化金属粒子であって、コアが金属物質を含み、シェルが絶縁物質を含む、カプセル化金属粒子に関する。本発明は、複数のカプセル化金属粒子を含むポリマー組成物、複数のカプセル化金属粒子および複数のポリマー粒子を含む混合物、ならびに接着剤などのマトリックス物質の熱伝導度および/またはラジオ周波数(RF)伝導度を増加させるための添加剤としてのカプセル化金属粒子の使用にも関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカプセル化金属粒子であって、前記粒子が、シェル内にカプセル化されたコアを含み、前記コアが均質であり、かつ金属物質を含み、前記シェルが前記コアと直接接触しており、かつガラスを含み、
前記カプセル化金属粒子が、光学顕微鏡法により測定された場合に3μm~20μmの個数メジアン径(Dn50)を有する、複数のカプセル化金属粒子。
【請求項2】
前記金属物質が金属単体または金属合金である、請求項1に記載の複数のカプセル化金属粒子。
【請求項3】
前記金属物質が、銀、銅、金、アルミニウム、鉄、またはこれらの合金である、請求項2に記載の複数のカプセル化金属粒子。
【請求項4】
前記コアが、前記金属物質の複数の粒子を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の複数のカプセル化金属粒子。
【請求項5】
前記コアが、非金属物質をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の複数のカプセル化金属粒子。
【請求項6】
前記コアが、前記金属物質の単一粒子である、請求項1~5のいずれか1項に記載の複数のカプセル化金属粒子。
【請求項7】
実質的に球の形状または面を有する形状を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の複数のカプセル化金属粒子。
【請求項8】
実質的に球の形状を有する、請求項7に記載の複数のカプセル化金属粒子。
【請求項9】
ポリマーマトリックスに分布した請求項1~8のいずれか1項に記載の複数のカプセル化金属粒子を含むポリマー組成物。
【請求項10】
前記カプセル化金属粒子が、前記ポリマーマトリックス中で等方的に配向している、請求項9に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の複数のカプセル化金属粒子および複数のポリマー粒子を含む混合物。
【請求項12】
前記カプセル化金属粒子が、前記ポリマー組成物または混合物の総重量に対して5重量%~85重量%の量で存在する、請求項9もしくは10に記載のポリマー組成物または請求項11に記載の混合物。
【請求項13】
前記ポリマーマトリックスが、フルオロポリマー、ポリイミド、ポリアミド、またはエポキシ樹脂であるポリマーを含む、請求項9、10、または12に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシアルカン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンクロロトリフルオロエチレン、またはポリ(4,4’-オキシジフェニレン-ピロメリットイミド)から選択される、請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記ポリマー粒子が、請求項13または14に記載のポリマーを含む、請求項11または12に記載の混合物。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか1項に記載の複数のカプセル化金属粒子の使用であって、マトリックス物質の熱伝導度および/またはラジオ周波数(RF)伝導度を増加させるための添加剤としての使用。
【請求項17】
前記マトリックス物質がポリマーである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記ポリマーが請求項13または14に記載の通りである、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記マトリックス物質が接着剤である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記マトリックス物質が、前記熱伝導度および/またはRF伝導度を増加させることが望ましい接着剤である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記接着剤が、エポキシ系、ケイ酸ナトリウム、シリコーン、フルオロシリコーン、またはシアノアクリレート接着剤である、請求項19または20に記載の使用。
【請求項22】
前記接着剤が、温度100℃以上で接着剤として機能することができる、請求項19~21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
前記熱伝導度および/またはRF伝導度が50%以上増加される、請求項16~22のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル化粒子、カプセル化粒子を含むポリマー組成物、カプセル化粒子およびポリマーを含む混合物、ならびにマトリックスの熱伝導度および/またはラジオ周波数(RF)伝導度を増加させるための添加剤としてのカプセル化粒子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーは一般に、電気絶縁特性、乏しい熱伝導度、および乏しいラジオ周波数(RF)伝導度を有する。物質をポリマーに添加して特性を変化させることができ、例えば微粉化グラファイト、PTFE、ガラス繊維、金属粒子状物質などを添加してポリマーの機械的および熱的特性を変化させることができる。しかしながら、材料の熱伝導度を改善するために加えられる充填材料、例えばグラファイトまたは金属粉末は一般に、本質的に電気伝導性である。
【0003】
現在まで、ポリマーを電気絶縁体にしたまま、ポリマー物質の熱伝導度を向上させる試みがなされている。このような試みには、小さなダイヤモンド粒子状物質をポリマーに添加することが含まれている。ダイヤモンドはグラファイトと異なる形態の炭素であり、電気絶縁性で高い熱伝導度を有し、よってポリマーを電気絶縁性にしたまま熱伝導度を増加させることができる。しかしながら、ダイヤモンド充填剤に伴う製造コストにより、それらは途方もなく高価となる。同様に、熱伝導性が高く、電気絶縁性の添加剤として、酸化ベリリウムをポリマー中の充填材料として使用することができる。しかしながら、これはその後、容易に機械加工または加工することができず、なぜならあらゆる塵の発癌性が高く、加工前の未加工粉末形態で慢性ベリリウム症を引き起こしうるからである。
【0004】
したがって、ポリマーなどの物質を電気絶縁性にしたまま、それらの熱伝導度および/またはラジオ周波数(RF)伝導度を改善する、安全で費用効果の高い方法を見出す必要性が残されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ポリマーに組み込まれたときにポリマーの本質的な電気絶縁特性を実質的に保つが、その熱伝導度も増加させてラジオ周波数(RF)伝導度ももたらす、費用効果の高い添加剤を提供する。
【0006】
したがって第1の態様において本発明は、複数のカプセル化金属粒子であって、粒子が、シェル内にカプセル化されたコアを含み、コアが均質であり、かつ金属物質を含み、シェルがコアと直接接触しており、かつガラスを含み、カプセル化金属粒子が、光学顕微鏡法により測定された場合に3μm~20μmの個数メジアン径(Dn50)を有する、複数のカプセル化金属粒子を提供する。
【0007】
第2の態様において本発明は、第1の態様の複数のカプセル化金属粒子を含む、ポリマー組成物を提供する。
【0008】
第3の態様において本発明は、第1の態様の複数のカプセル化金属粒子および複数のポリマー粒子を含む、混合物を提供する。
【0009】
第4の態様において本発明は、第1の態様の複数のカプセル化金属粒子の使用であって、マトリックス物質の熱伝導度および/またはラジオ周波数(RF)伝導度を増加させるための添加剤としての使用を提供する。
【0010】
さらなる一態様において本発明は、シェル内にカプセル化されたコアを含むカプセル化金属粒子であって、コアが金属物質を含み、シェルが絶縁物質を含む、カプセル化金属粒子を提供する。
【0011】
第2のさらなる態様において本発明は、さらなる態様の複数のカプセル化金属粒子を含む、ポリマー組成物を提供する。
【0012】
第3のさらなる態様において本発明は、第1のさらなる態様の複数のカプセル化金属粒子および複数のポリマー粒子を含む、混合物を提供する。
【0013】
第4のさらなる態様において本発明は、第1のさらなる態様のカプセル化金属粒子の使用であって、マトリックス物質の熱伝導度および/またはラジオ周波数(RF)伝導度を増加させるための添加剤としての使用を提供する。
【0014】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明のカプセル化粒子は、物質の放射伝導度および/または共鳴伝導度を増加させることによって、物質の熱伝導度および/またはRF伝導度を増加させることができると考えられている。放射伝達は、同等の調和振動周波数を有する他の電子と調和振動している電子によって、ある距離にわたってもたらされる、調和振動または共鳴エネルギー伝達である。
【0015】
電気絶縁性のまま、熱および/またはRFエネルギーを伝導する物質の能力を増加させることが望ましい、多くの様々な技術分野があり、したがって本発明は、
・効率および寿命を増加させる、高性能電池セルでの格納および/または熱抽出、
・より効率的に熱衝撃に耐えることができるウルトラキャパシタ用薄膜の製造、
・航空宇宙、惑星外システム、高熱出力電気システム、陸上および海洋での用途を有し、機械加工ではなく鋳造することができる軽量ヒートシンク、
・エネルギーハーベスティングおよび/またはスカベンジングシステム用の伝導性部品、
・軽量で鋳造可能なマイクロ波およびUHF導波管、
・接着された基材との熱的均等化(ステルス)をもたらす接着剤用添加剤、
・熱的に適合した部品を必要とする高性能ポリマー回路基板またはセンサー、
・トランジスタの熱放散
を含むがこれらに限定されない、様々な用途の範囲にわたって使用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実質的に球のカプセル化金属粒子の切取図である。
【
図2】面を有するカプセル化金属粒子の切取図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の態様において本発明は、複数のカプセル化金属粒子であって、粒子が、シェル内にカプセル化されたコアを含み、コアが均質であり、かつ金属物質を含み、シェルがコアと直接接触しており、かつガラスを含み、カプセル化金属粒子が、光学顕微鏡法により測定された場合に3μm~20μmの個数メジアン径(Dn50)を有する、複数のカプセル化金属粒子を提供する。
【0018】
さらなる態様において本発明は、シェル内にカプセル化されたコアを含むカプセル化金属粒子であって、コアが金属物質を含み、シェルが絶縁物質を含む、カプセル化金属粒子を提供する。
【0019】
絶縁物質は、電気絶縁特性を有する任意の物質としてもよい。絶縁物質は、典型的に104以上(例えば、105以上、106以上、107以上、108以上、109以上、または1010以上)の抵抗率(Ωm、20℃において)を有する。
【0020】
絶縁物質は、例えば、ポリマー物質(例えば、ポリイミド)またはセラミック物質としてもよい。本明細書で使用される場合、セラミックという用語は、1種もしくは複数の金属、半金属、または非金属の固体無機化合物(例えば、酸化物、ケイ酸塩、窒化物、または炭化物)を指し、結晶質、非晶質(例えば、ガラス状)、または半結晶質としてもよい。
【0021】
セラミック物質は、典型的に、ガラスまたは非ガラスセラミックである。セラミック物質は、好ましくはガラスである。ガラスは非晶質で、多くの場合透明な固体であり、例としては、ケイ酸塩ガラス(例えば、SiO2)、ホウケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、およびアルミノケイ酸塩ガラスが挙げられる。
【0022】
金属物質は、金属単体、金属合金、または1種超の金属の組合せとしてもよい。典型的には、金属物質は金属単体または金属合金である。好ましくは、金属物質は、銀、銅、金、アルミニウム、鉄、またはこれらの合金である。本明細書で使用される場合、「これらの合金」とは、述べられた金属のいずれかと、1種または複数のさらなる物質との合金を指す。より好ましくは、金属物質は銀または銅である。
【0023】
カプセル化金属粒子のコアは、金属物質を含む。コアは、典型的に、金属物質の単一粒子、または1種もしくは複数の金属物質の複数の粒子(例えば、金属物質の粒子の凝集体)を含む。好ましくは、コアは、金属物質の単一粒子を含む。
【0024】
コアは、金属物質に加えて、非金属物質をさらに含んでもよい。例えば、コアは無機非金属物質をさらに含んでもよい。金属物質は、典型的に40重量%以上(例えば、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、または90重量%以上)の量でコア中に存在する。
【0025】
典型的に、カプセル化金属粒子は、0.1~1000μm、例えば0.1~500μm、または0.8~150μmの粒径を有する。より典型的には、カプセル化金属粒子は3μm~20μmの粒径を有する。好ましくは、カプセル化金属粒子は、0.8~150μm、例えば0.8μm~110μm、0.8~75μm、0.8~110μm、3~75μm、6μm~60μm、6μm~35μm、10μm~30μm、または10μm~20μmの粒径を有する。0.8~75μmの粒径を有するカプセル化金属粒子が特に好ましい。これらの範囲内の大きさを有するカプセル化粒子は、改善された放射および/または共鳴伝導度を有しうる。
【0026】
3μm~20μmの粒径を有するカプセル化金属粒子は、特に有益な特性と関連する。20μmを超える粒径では、粒子が分布するポリマーマトリックスは、高温および/またはRF放射に曝されたときの破損の危険性が高くなりうる。3μm未満の粒径では、カプセル化粒子が組み込まれたときのマトリックス物質の熱伝導度および/またはRF伝導度への効果が減少しうる。
【0027】
3μm~20μmの範囲内で、カプセル化金属粒子は、典型的に4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、10μm以上、11μm以上、12μm以上、13μm以上、14μm以上、15μm以上、16μm以上、17μm以上、18μm以上、または19μm以上の大きさを有してもよく、典型的に19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、または4μm以下の大きさを有してもよい。上述の典型的な下限と上限の大きさの組合せも想定される。
【0028】
カプセル化金属粒子の粒径は、典型的に、例えばWills' Mineral Processing Technology by Barry A. Wills and James A. Finch (8th Edition, 2016, § 4.4.4)で教示される技術に従って光学顕微鏡法により測定される、複数のカプセル化粒子の個数メジアン径(Dn50)を指す。誤解を避けるために述べると、本明細書において使用される粒径とは、カプセル化粒子全体(すなわち、コアおよびシェル)の大きさを指す。
【0029】
カプセル化金属粒子は、任意の形状としてもよく、規則的でも不規則的でもよい。カプセル化金属粒子は、例えば実質的に球(例えば、球または球状)の形状、面を有する形状、針様の形状、柱形状、または形状の混合物を有してもよい。本明細書において使用される場合、面を有する形状のカプセル化金属粒子は、典型的に、1つまたは複数の実質的に平らな表面を有し、1つまたは複数の実質的に平らな表面は、典型的に、粒子の総表面積の20%以上(例えば、30%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上)を占める。カプセル化金属粒子は、典型的に、実質的に球の形状を有する。
【0030】
カプセル化金属粒子は、本明細書に記載のコアおよびシェルを含む。ある特定の実施形態において、カプセル化金属粒子は、本明細書に記載のコアおよびシェルから本質的になる。ある特定の実施形態において、カプセル化金属粒子は、本明細書に記載のコアおよびシェルからなる。
【0031】
コアは、本明細書に記載の金属物質を含む。ある特定の実施形態において、コアは、本明細書に記載の金属物質から本質的になる。ある特定の実施形態において、コアは、本明細書に記載の金属物質からなる。
【0032】
シェルは、本明細書に記載の絶縁物質(例えば、本明細書に記載のセラミック物質)を含む。ある特定の実施形態において、シェルは、本明細書に記載の絶縁物質(例えば、本明細書に記載のセラミック物質)から本質的になる。ある特定の実施形態において、シェルは、本明細書に記載の絶縁物質(例えば、本明細書に記載のセラミック物質)からなる。
【0033】
第1の態様の複数のカプセル化金属粒子において、コアは均質であり、シェルはコアと直接接触している。したがって、第1の態様の複数のカプセル化金属粒子において、金属コアとガラスシェルの間に、中間またはスペーサー層はない。
【0034】
第2の態様において本発明は、第1の態様の複数のカプセル化金属粒子を含む、ポリマー組成物を提供する。
【0035】
第2のさらなる態様において本発明は、さらなる態様の複数のカプセル化金属粒子を含む、ポリマー組成物を提供する。
【0036】
ポリマー組成物において、カプセル化金属粒子は典型的にポリマーマトリックス中に分布している。
【0037】
カプセル化金属粒子は、典型的に、ポリマーマトリックス中で等方的に配向している。したがって、ポリマーマトリックス中のカプセル化金属粒子の分布は、典型的に全ての向きで均等である。カプセル化金属粒子がポリマーマトリックス中で等方的に配向しているポリマー組成物は、例えば、ポリマー粒子およびカプセル化金属粒子を含む混合物を印加電場の非存在下で処理することによって得ることができる。
【0038】
組成物の熱および/またはRF伝導度は、存在するカプセル化金属粒子の量に部分的に依存する。したがって量は、所望の熱および/またはRF伝導度に応じて選択することができる。
【0039】
カプセル化金属粒子は、典型的に、ポリマー組成物の総重量に対して5重量%以上(例えば、10重量%以上、15重量%以上、または20重量%以上)の量でポリマー組成物中に存在する。カプセル化金属粒子は、典型的に、ポリマー組成物の総重量に対して85重量%以下(例えば、65重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、または25重量%以下)の量でポリマー組成物中に存在する。より典型的には、カプセル化金属粒子は、ポリマー組成物または混合物の総重量に対して5重量%~85重量%(例えば、5重量%~65重量%、5重量%~40重量%、10重量%~35重量%、15重量%~30重量%、または20~25重量%)の量で存在する。
【0040】
ポリマーマトリックスは、熱伝導度および/またはRF伝導度を増加させることが望ましい任意のポリマーを含んでもよい。例としては、フルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリイミド、例えばポリ(4,4’-オキシジフェニレン-ピロメリットイミド)、ポリアミド、およびエポキシ樹脂が挙げられる。
【0041】
第3の態様において本発明は、第1の態様の複数のカプセル化金属粒子および複数のポリマー粒子を含む、混合物を提供する。
【0042】
第3のさらなる態様において本発明は、さらなる態様の複数のカプセル化金属粒子および複数のポリマー粒子を含む、混合物を提供する。
【0043】
カプセル化金属粒子は、典型的に、第2の態様のポリマー組成物に関して上に記載した量で、ポリマー組成物中に存在する。
【0044】
カプセル化金属粒子は、典型的に、第2の態様のポリマー組成物に関して上に記載した量で、ポリマー混合物中に存在する。
【0045】
ポリマー粒子中のポリマーの性質および独自性は、典型的に、第2の態様のポリマー組成物のポリマーマトリックスに関して上に記載した通りである。
【0046】
本発明の第2および第3の態様に関して上に記載したようにポリマー組成物および混合物中に組み込まれるだけでなく、カプセル化金属粒子は接着物質中にも組み込まれうる。したがって、接着物質および第1の態様の複数のカプセル化金属粒子を含む、接着剤も本明細書において開示される。
【0047】
接着物質は、熱伝導度および/またはRF伝導度を増加させることが望ましい任意の接着剤としてもよい。例としては、エポキシ系、ケイ酸ナトリウム、シリコーン、フルオロシリコーン、およびシアノアクリレートが挙げられる。接着剤は、高温(例えば、100℃以上、150℃以上、200℃以上、または250℃以上)で接着能を維持できてもよい。
【0048】
第4の態様において本発明は、第1の態様のカプセル化金属粒子の使用であって、マトリックス物質の熱伝導度および/またはラジオ周波数(RF)伝導度を増加させるための添加剤としての使用を提供する。
【0049】
第4のさらなる態様において本発明は、さらなる態様のカプセル化金属粒子の使用であって、マトリックス物質の熱伝導度および/またはラジオ周波数(RF)伝導度を増加させるための添加剤としての使用を提供する。
【0050】
使用は、第1の態様の複数のカプセル化金属粒子をマトリックス物質中に組み込むこと、または組み込まれるようにすることを含んでもよい。複数のカプセル化金属粒子は、本発明の第2および第3の態様のポリマー組成物およびポリマー混合物に関して上に記載した量でマトリックス中に組み込んでもよく、または組み込まれるようにしてもよい。
【0051】
本発明の使用のいくつかの実施形態において、マトリックス物質は、例えば本発明の第2および第3の態様のポリマー組成物およびポリマー混合物に関して上に記載した、ポリマーである。
【0052】
本発明の使用において、熱および/またはRF伝導度は、典型的に50%以上(例えば、100%以上、200%以上、300%以上、400%以上、500%以上、1,000%以上、10,000%以上、100,000%以上、または1,000,000%以上)増加される。
【0053】
熱伝導度は公知の技術よって、例えばレーザーフラッシュ分析によって測定することができる。物質のRF伝導度は、RF信号が特定の厚さを有する物質の試料を通過するのにかかる時間と、信号が空気中で同等の距離を移動するのにかかるであろう時間との比として計算される、飛行時間(ToF)によって測定することができる。
【0054】
本発明の使用によって達成される熱および/またはRF伝導度の増加は、典型的に、カプセル化金属粒子を組み込んだマトリックス物質の熱および/またはRF伝導度を、同じマトリックス物質であるがカプセル化金属粒子を含有しないマトリックス物質の熱および/またはRF伝導度と比較することによって測定可能である。
【0055】
第1の態様およびさらなる態様のカプセル化金属粒子は、金属物質を含むコアを用意し、コアを絶縁物質内にカプセル化してシェルを形成することによって製造することができる。カプセル化は、円筒形容器中で絶縁物質前駆体のスラリー(例えば、セラミック前駆体物質のスラリー)の存在下で金属物質の粒子を撹拌して、金属物質の粒子をスラリー中で被覆することによって達成することができる。被覆金属粒子は重力下で降下させ、絶縁物質は絶縁物質前駆体から形成されうる。例えば、セラミック前駆体物質中で被覆された金属粒子を加熱して、セラミック前駆体物質からセラミック物質を形成してもよい。いくつかの実施形態において、被覆金属粒子は、プラズマ炉を通して降下させることによって加熱する。セラミック物質がガラスである実施形態において、セラミック前駆体物質はケイ酸塩スラリーとしてもよい。
【0056】
所望の粒径(例えば、所望の数平均メジアン径、Dn50)を有する複数のカプセル化金属粒子は、当業者に公知の技術によって得ることができる。例えば、被覆前に、当業者に公知の技術(例えば、粉砕および/または篩い分けおよび/または分級)によってコアの大きさを制御することができ、例えば絶縁物質前駆体とコア粒子との比を制御することによって、形成中にカプセル化金属粒子の大きさを制御することができる。
【0057】
本発明の第2の態様のポリマー組成物は、第3の態様の混合物を処理することによって作製することができる。例えば、第3の態様の混合物を加熱してプラスチック粒子を溶融させ、その後、混合してカプセル化金属粒子を分布させ、任意選択で溶融混合物を成形し、冷却して、ポリマー組成物を形成することができる。本発明の第2の態様のポリマー組成物は、代替的に、カプセル化金属粒子をモノマーまたはモノマー混合物と混合することによって、およびモノマーまたはモノマー混合物をカプセル化金属粒子と共にその場で重合することによって作製することができる。
【0058】
第2のさらなる態様のポリマー組成物は、第3のさらなる態様の混合物を処理することによって、上記の方法と類似に作製することができる。
【0059】
本発明の第3の態様の混合物は、本発明の第1の態様のカプセル化金属粒子をポリマー粒子と混合することによって作製することができる。
【0060】
本発明の第3のさらなる態様の混合物は、本発明のさらなる態様のカプセル化金属粒子をポリマー粒子と混合することによって作製することができる。
【0061】
本発明は、ある特定の実施形態に関して記載されている。しかしながら、本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に明記される要素と均等のあらゆる要素をしかるべき考慮に入れた上で、特許請求の範囲内にあるその他の実施形態を包含する。さらに、本発明のいくつかの実施形態/態様に関して上に記載される本発明の特徴は、本発明のその他の実施形態/態様と共に上に記載される特徴と組み合わせることができることを理解されたい。
【国際調査報告】