(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】熱伝導性ウエハーを使用してプローブ要素を熱安定化するデバイス及び方法。
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20230609BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20230609BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20230609BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/28 K
G01R31/26 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568551
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 US2021031579
(87)【国際公開番号】W WO2021231297
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521567572
【氏名又は名称】インターナショナル テスト ソリューションズ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】アラン イー.ハンフリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー アール.ブロズ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン シー.スミス
(72)【発明者】
【氏名】マーク エム.スターク
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AC03
2G003AD01
2G003AG04
2G003AH04
2G132AB14
2G132AF20
2G132AL09
2G132AL21
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD03
4M106DD10
4M106DD23
4M106DH44
4M106DJ02
(57)【要約】
特定のピンコンタクトエレメントに適用可能な所定の形態、熱条件を有する、試験装置、例えば自動試験設備(ATE)のためのテスターインターフェース、例えばプローブカードのコンタクトエレメント及び支持ハードウェアの温度状態及び温度条件を予測可能に維持するための熱伝導性材料、デバイス、及び方法。熱伝導性デバイスはまた、通常試験動作中に試験装置内へ容易に導入し得る規定の形状因子を有する基板を有している。特定のプローブエレメント・レイアウトに制約されるパターン化基板とは異なり、熱伝導性デバイスの非パターン化表面は、数多くの自動試験設備(ATE)ツール内部で多様なプローブカード・デザインと一緒に使用することを容易にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動半導体試験機内で使用するための熱伝導性デバイスであって、前記デバイスが、
自動半導体試験機のハンドラメカニズムによってハンドリングされ得る基板と、
前記自動半導体試験機の部分であるプローブカードのための熱安定性を維持又は生成する前記基板の上面に被着された熱伝導性層と、
を含む、熱伝導性デバイス。
【請求項2】
前記熱伝導性層がポリマー層をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ポリマーがポリイミドである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ポリイミド層が、前記ポリイミド層内へ埋め込まれた複数の粒子を含み、前記複数の粒子が前記ポリイミド層の熱伝導性を改善する、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記基板がシリコンウエハーをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記シリコンウエハーがSEMIスタンダード半導体シリコンウエハーをさらに含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記熱伝導性層の上部に犠牲トップ層をさらに含み、前記犠牲トップ層が、使用していないときの前記熱伝導性層の汚染を防止する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記熱伝導性層の厚さが約20μmであり、そして前記基板の厚さが約775μmである、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
半導体デバイスを試験する方法であって、前記方法が、
周囲温度とは異なる試験温度で自動試験機を使用して複数の半導体デバイスの試験を実施し、前記自動試験機が、前記半導体デバイスの各試験個所との電気的接続を確立するための形態を有する複数のプローブエレメントを備えたプローブカードを有しており、
前記プローブカードの温度が変化して前記試験温度から離脱する事象が発生しつつあることを判定し、
前記プローブカードの複数のプローブエレメントに接触する位置へ熱伝導性デバイスを動かし、
前記事象中に前記試験温度により近い温度に、前記プローブカードの複数のプローブエレメントを維持するために前記熱伝導性デバイスを使用して熱伝導を実施し、
前記事象が完了したら、前記試験温度で試験を実施する
ことを含む、半導体デバイスを試験する方法。
【請求項10】
前記事象後に試験が再開可能になるまでの期間を短縮することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記試験温度が前記周囲温度よりも高い温度である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記試験温度が前記周囲温度よりも低い温度である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記熱伝導を実施するために、前記熱伝導性デバイスをウエハーチャック上へローディングすることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記事象が完了したときに、前記ウエハーチャックから前記熱伝導性デバイスをアンローディングすることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記事象が、メンテナンス事象、自動試験機のアイドル時間、及びロット変更プロセスのうちの1つから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
自動試験機であって、
前記自動試験機によって試験される半導体デバイスを保持するためのチャックであって、前記半導体デバイスが、信号が前記半導体デバイスに入る又は前記半導体デバイスを出る際に通る複数の個所を有している、チャックと、
前記半導体デバイスの各個所と電気的接続を確立し、そして周囲温度とは異なる試験温度で半導体デバイスの試験を実施するための形態を有する複数のプローブエレメントを備えたプローブカードを有する試験装置と、
前記自動試験機のチャックによってハンドリングされ得る基板と、前記プローブカードの温度が変化して前記試験温度から離脱する事象中に、前記自動半導体試験機の部分であるプローブカードのための熱安定性を維持又は生成する、前記基板の上面に被着された熱伝導性層とを有する熱伝導性デバイスと、
を含む、
自動試験機。
【請求項17】
前記熱伝導性層がポリマー層をさらに含む、請求項16に記載の機械。
【請求項18】
前記ポリマーがポリイミドである、請求項17に記載の機械。
【請求項19】
前記ポリイミド層が、前記ポリイミド層内へ埋め込まれた複数の粒子を含み、前記複数の粒子が前記ポリイミド層の熱伝導性を改善する、請求項18に記載の機械。
【請求項20】
前記基板がシリコンウエハーをさらに含む、請求項16に記載の機械。
【請求項21】
前記シリコンウエハーがSEMIスタンダード半導体シリコンウエハーをさらに含む、請求項20に記載の機械。
【請求項22】
前記熱伝導性デバイスが前記熱伝導性層の上部に犠牲トップ層をさらに含み、前記犠牲トップ層が、使用していないときの前記熱伝導性層の汚染を防止する、請求項16に記載の機械。
【請求項23】
前記熱伝導性層の厚さが約20μmであり、そして前記基板の厚さが約775μmである、請求項21に記載の機械。
【請求項24】
前記事象が、メンテナンス事象、前記自動試験機のアイドル時間、及びロット変更プロセスのうちの1つから選択される、請求項16に記載の機械。
【請求項25】
プロセッサ及びメモリ、及びコンピュータコードの複数のラインをさらに含み、前記コンピュータコードの複数の行が、前記プロセッサが、
- 前記事象が発生しつつあることを判定し、
- 前記プローブカードの複数のプローブエレメントに接触する位置へ熱伝導性デバイスを動かし、そして
- 前記事象中に前記試験温度により近い温度に、前記プローブカードの複数のプローブエレメントを維持するために前記熱伝導性デバイスに熱伝導を実施させる
ように形成されるべく、前記プロセッサによって実行される、請求項16に記載の機械。
【請求項26】
前記プロセッサが、前記事象が完了したら、前記試験温度で試験を実施するようにさらに形成されている、請求項25に記載の機械。
【請求項27】
前記プロセッサが、前記事象後に試験が再開可能になるまでの期間を短縮するようにさらに形成されている、請求項26に記載の機械。
【請求項28】
前記試験温度が前記周囲温度よりも高い温度である、請求項16に記載の機械。
【請求項29】
前記試験温度が前記周囲温度よりも低い温度である、請求項16に記載の機械。
【請求項30】
前記プロセッサが、前記熱伝導を実施するために、前記熱伝導性デバイスの前記チャック上へのローディングをもたらすようにさらに形成されており、そして前記プロセッサが、前記事象が完了したときに、前記チャックからの前記熱伝導性デバイスのアンローディングをもたらすように、さらに形成されている、請求項27に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には半導体デバイス電気的試験のために使用されるインターフェース接触要素及び支持ハードウェアの所定の熱状態及び熱条件を予測可能に一貫して得るための材料、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パラメトリック試験、ウエハーレベル試験、及びデバイスレベル試験において、試験設備の一部のための慣用のインターフェース・ハードウェアは、複数のプローブ要素を有する「プローブカード」であり、プローブ要素は、プローブカードに接続された被験デバイス(DUT)入力/出力(I/O)パッドのレイアウトに適合している。より具体的には、典型的なウエハー試験プロセスでは、プローブカードはプローバ内へ装着され、そしてプローブ接触要素(単純に「プローブ」と呼ばれる)は、ウエハーのダイス上に形成されたボンディングパッド、はんだボール、及び/又は金バンプと接触させられる。試験測定法の必須のコストを維持し、そして試験並行処理を容易にするために、試験用途のために使用されるプローブカードは、非メモリ試験及びメモリ試験の両方のために、複数の個所(マルチサイト試験)を有するように設計することができる。大量メモリデバイス試験プロセスの場合、プローブカードは、半導体ウエハー上のすべてのデバイスがプローブカード、又はフル・ウエハー・接触器によって同時に接触させられるように設計することができる。超並列デザイン型プローブカードによって、非プロービング動作に起因する過剰の中断時間は、処理量に影響を及ぼし、試験コスト(CoT)全体を著しく高める。
【0003】
(
図1A及び1Bに示された)試験プロセス中、ピン要素13又はプローブが、被験半導体デバイス(DUT)上のボンドパッド14、はんだボール16、ピラー、銅ピラーバンプ、及び/又は金バンプ上に接触するのに伴って、各ピン要素の先端領域はDUT15のボンドパッドなどの接触面全体にわたって「スクラブ(scrub)」することにより、「スクラブ・マーク(scrub marks)」を形成する。大量IC試験プロセス(ダイレベル及びウエハーレベル)が直面する大きな難題は、接触器要素と連携する接触ピンと、DUT15の接触面との間に電気的接触を得るために、プローブチップがボンドパッド14、はんだボール16、ピラー、銅ピラーバンプ、及び/又は金バンプに最適な「スクラブ」を形成するようにプローバ内部に一貫したプローブ対パッド整合関係(PTPA)を保証することである。ボンディングパッド14、はんだボール16、ピラー、銅ピラーバンプ、及び/又は金バンプに対してプローブチップを制御された状態で変位させることによって、電気的接続が達成され、電力、接地、及び試験信号が伝達されることを可能にする。パッドに対するプローブの誤整合が過剰なパッド損傷を形成するおそれがある。このような損傷は、最終パッケージング前の期間中にデバイスの組み立て(ワイヤボンディング、フリップ・チップなど)に影響を及ぼすおそれがある。
【0004】
ウエハーレベル・接触器技術に対する高い性能要求は、所定の弾性及び工学的機械性能を有する、独自に成形されカスタマイズされた接触要素を推進している。新たに開発された接触技術は独自の接触要素のジオメトリ及び機械的挙動を有することにより、一貫した、繰り返し可能な、そして安定な電気的接触を促進する。これらの技術のうちのいくつかは、開発型リソグラフィ組み立て技術を用いて構成され、いくつかは、MEMS系プロセスを用いて形成されるのに対して、他のものは、高精度マイクロマシニング技術を用いて製作される。
【0005】
適正な試験プログラム実行、デバイス不良識別を保証し、そしてデバイスの長期間信頼性高さを評価するために、低温及び/又は高温におけるウエハーレベル試験動作が必要とされる。デバイス又は製品の要件に応じて、ウエハーレベル及び/又はダイレベルは、T=-55C(又はこれを下回る)又はT=200C(又はこれを上回る)の温度で実施することができる。ウエハー試験中に正確で一貫性のあるPTPAを得ることは、半導体デバイスの性能範囲内の性能不良を識別するのに必要な熱試験条件下ではますます難しくなってきている。
【0006】
一般に、プローブカードは、プローブチップが試験実行中にプローブパッド内に良好にセンタリングされるように設計されてはいるものの、プローブカード、ドッキングハードウェア、及びテストセルの寸法変化及び熱誘発型の変位が、加熱・冷却プロセス中に発生することがよく知られている。平衡温度からの変動の結果、テストセル内部の種々のハードウェアが膨張及び/又は収縮することがある。このような熱誘発型寸法変化は、試験中のプローブ対パッド整合関係(PTPA)に劇的な影響をもたらすことがある。
【0007】
図2(Harker他「プローブカード温度を安定化するための新規メカニズムによるスクラブ性能の改善及びソークタイムの短縮 “Improving Scrub Performance and Reducing Soak Time with a New Mechanism to Stabilize Probe Card Temperature”」, IEEE SW Test Workshop, 2009の発表から)において、フル・ウエハー・接触器の熱状態に対するスクラブ位置の変動(プローブマーク)が強調されている。高温条件下で大量試験するために使用されるフル・ウエハー・接触器からプローブパッド内部の実際のスクラブマークが示されており、そして理想的には4つのタッチダウン(第1TD~第4TD)のそれぞれが、
図2においてセンタリングされた十字線(crosshairs)で示されたボンドパッドの正確な中心上に直接に位置するべきである。加熱ステップ(第1TD参照)中、スクラブマークがボンドパッド中心の十字線に良好には整合していないことは明らかである。テストセルの熱平衡に接近するのに伴って、ボンドパッド中心に対するスクラブマークの整合は一貫して改善する(第2TD及び第3TD)。テストセル及びプローブカードの熱平衡が達成されると、スクラブマーク(第4TD)はボンドパッドに対して良好にセンタリングされる。
【0008】
プローブ要素及びプローブカードの温度の変動に基づき、ロット変更、ウエハー変更、プローブマーク検査実行、プローブ清浄化の後、そしてアイドル時間後に一貫性のないスクラブマークが観察されることがある。プロービング中に熱平衡を回復させるために必要となる時間を最小化することが重要である。温度変化によって誘発されるプローブマーク整合関係の変動は、プローブ技術又はプローブカードのデザインとは無関係に発生する。フル・ウエハー・接触器を用いた場合、誤整合は15μm~25μmもの大きさとなることがあり、そしてパッドサイズがより小さい場合には数ミクロンの変化及び誤整合が品質問題をもたらす。これらの品質問題は、デバイスパッケージング後の長期にわたる信頼性問題に通じることもある。
【0009】
低温又は高温下での試験プロセスの部分として、「温度ソークタイム」を実施することにより、テストセルが所定の目標温度で熱的に安定な状態になるようにする。必要なソークタイムは、数時間続くことがある。半導体デバイス試験は、目標温度に達するまでは実施することができず、テストのコスト全体が劇的に増大する。それというのもこのような遅延はテストセルの処理量及び生産性に影響を及ぼすからである。生産性の低下は
図3(Harker他「プローブカード温度を安定化するための新規メカニズムによるスクラブ性能の改善及びソークタイムの短縮 “Improving Scrub Performance and Reducing Soak Time with a New Mechanism to Stabilize Probe Card Temperature”」, IEEE SW Test Workshop, 2009の発表から)にまとめられている。この図では、PH50は50mm×50mmのプローブアレイを示し、PH75は75mm×75mmプローブアレイを示し、PH100は100mm×100mmのプローブアレイを示し、PH150は150mm×150mmプローブアレイを示し、そしてFWCはフル・ウエハー、300mmプローブアレイ・接触器を示す。
図3に示されているように、取り付け、修復、及び清浄化の後に必要とされる初期及び回復ソークタイムに起因するテストセル・中断時間の量は、接触器・アレイのサイズとともに劇的に増大する。
【0010】
テストセル安定化のために必要とされる長期間のプローブカード及びハードウェアのソークタイムの問題に応えて、いくつかの技術がテストフロア・エンジニアによって利用され、プローブカード製造業者によって開発されている。必要となる初期及び回復ソークタイムの量を低減するために、数社のプローブカード製造業者がヒータ要素を開発した。ヒータ要素はプローブカード・デザイン内に組み込むことができる。これらのヒータ要素は、付加的なコストで組み込まれるデザインフィーチャであり、初期製作プロセス中に定義されなければならないものの、これらの要素は、フル・ウエハー・接触器・デザインの部分集合だけにしか適用できない。既存のフル・ウエハー・接触器の場合、これらの加熱要素はプローブカード構造内へ組み込むことはできない。あるいは、ATEテスター供給元がプローブカード、PCB、インターフェーススタック及びテスト・ヘッド内部に組み込み得るヒータを開発しているが、しかしこの付加的なハードウェアは、テストのコスト全体に著しくコストを加えるものであり、より古いレガシーテスターに遡って適合することができない。
【0011】
図4に示された輻射加熱を用いたプローブカード熱ソーキングのための1つの慣用の方法において、プローバウエハーチャックはプローブカードの真下に位置決めされ、プローブカードの極めて近くへ動かされる。1つの事例では、ウエハーチャックは裸であってよく(すなわちチャック上へ真空で吸引されたウエハーがない)、あるいはブランク又は製品を装填されてもよい。ブランク又は製品は、標準真空を介してチャック上に保持される。この事例では、ウエハーチャックは、テストセル全体のためのプローバ内部の熱源として作用するために利用される。ウエハーチャックの温度が高められるのに伴って、ウエハーチャックは輻射熱源として機能し、そしてテストセルのための安定な目標温度に達するまで、プローブカード並びにすべての他のハードウェア(すなわちヘッドプレート、プローブカード・パンなど)を直接に加熱する。ウエハーチャックが裸(すなわちウエハーなし)の場合、ハードウェアが熱負荷下で膨張し収縮するのに伴って、プローブカード全体にわたる共平面性の差又は鉛直方向整合関係の変化に起因するプローブカード損傷のリスクが生じる。裸チャック法を用いると、目標温度に達するまで、任意のプローブカード・デザインを輻射加熱することができる。長いソークタイム後、製品ウエハーをウエハーチャック上へ装填することになるが、しかしプローブカードは熱源を取り除くと冷たくなり、目標温度を下回る。同様に、製品ウエハー法を用いる場合には、被験デバイスと連携する特定のプローブカード・デザインが加熱され、目標温度に達するまでプローブカードの下方に配置される。平衡温度に達するのに必要となる時間が長いことに基づき、プローブカード加熱の輻射法は、高温試験が求められるときには用いられないのが典型的である。
【0012】
別の慣用の加熱法では、プローブカードは
図5に示された伝導性加熱を用いる。ウエハーチャック上にはブランクシリコンウエハー(D)が装填される。この方法では、ウエハーチャック及び真空で吸引されたウエハーはプローブカードの真下に位置決めされ、カードのプローブすべてがブランクシリコンウエハーの表面と物理的に接触するまでz方向にオーバートラベルさせられる。ブランクウエハーはプローブとの物理的接触状態に保持されることにより、ウエハーチャックからプローブカードまでの、ウエハー厚を横切る熱伝達を容易にする。
図5のブランク上にオーバートラベルさせられたプローブカードによる伝導性熱伝達は、
図4の輻射加熱よりも効率的であるので、ソークタイムを短縮することができる。この用法を用いると、複数のプローブカード・レイアウト(A1,B1,及びC1)及びプローブ要素・ジオメトリのためにシリコンウエハーを使用することができるものの、このようなウエハーを伴うオーバートラベルの適用と関連するプローブカードへの潜在的な損傷の高いリスクがある。ウエハーの表面は、接触平面を正確に定義するためにプローバ・ルックダウン・カメラによって認識しなければならない。接触平面が正確には定義されない場合には、プローブカードを永久又は破滅的に損傷し得る過剰なオーバートラベルのリスクがある。すべてのプローブがプローブアレイ全体にわたって接触するのを保証するのに十分なオーバートラベルを適用しなければならないが、しかしこの接触に起因して、プローブのスクラビングがウエハーの表面全体にわたって発生する。ウエハー表面にわたるスクラビング作用の結果、プローブチップが汚染され、ウエハーから材料がウエハーから転移し、そしてプローブチップ又はプローブ接触表面が損傷するおそれがある。さらに、付着性汚染が、電気的接触の損傷及び高い接触抵抗に起因する歩留まり降下を防止するために、ウエハープロービングの前にプローブチップを清浄化することを必要とし得る。
【0013】
図6に示された伝導性加熱を用いた別の慣用の方法では、廃棄され又は不合格となったパターン化ウエハーがウエハーチャック上に装填され、プローブカードに対して整合され、そしてプローブすべてがウエハー上のデバイスのボンドパッドと物理的に接触するまで、z方向のオーバートラベルが適用される。この方法の場合、ウエハー上のデバイス及びパッドのレイアウトは、プローブカードアレイ・レイアウト及びデバイス形態と等しく合致しなければならない。例えば、プローブカードA1,B1及びC1のプローブのためのデバイス及びレイアウトのジオメトリは、それぞれウエハーA2,B2及びC2からのデバイス及びボンドパッド・レイアウトのジオメトリと正確に合致しなければならない。例えば、ウエハーA2はプローブカードB1と一緒に使用することはできず、ウエハーB2はプローブカードA1と一緒に使用することはできない、等々である。各デバイスレイアウト・ジオメトリのための専用ウエハーを使用してプローブカード損傷を回避しなければならない。この方法では、オーバートラベルが実施され、廃棄ウエハーをプローブと物理的に接触した状態に保持することにより、ウエハーチャックからプローブカードへのウエハーを通した熱伝達を容易にする。加えて、廃棄デバイスのパッド上へのオーバートラベルの適用と関連するリスクがある。プローブがパッドと接触させられるのに伴って、プローブはパッド全体にわたってスクラビングし、付着性デブリ並びに他の汚染物質を発生させることになる。オーバートラベル中のボンドパッド上のスクラビング、及びソーク中のインターフェーススタックの膨張又は収縮の繰り返しによって形成された付加的なスクラブは、プローブチップ汚染、材料転移、及びプローブチップ又は接触の表面損傷を招くおそれがある。ボンドパッドの複数の繰り返しのスクラブは付加的なデブリ及び付着性物質を形成する。さらに、付着性汚染は、電気的接触の損傷及び高い接触抵抗に起因する歩留まり降下を防止するために、ウエハープロービング前にプローブチップ清浄化を必要とすることがある。清浄化の実行は、熱ソーキングの安定性に影響を及ぼし、プローブ対パッド整合関係(PTPA)を回復するのに付加的な工程が必要となる。
【0014】
プローブカード及びハードウェアの輻射加熱又は伝導性加熱を用いた既存の慣用の処置のうち、熱伝導性であり、非転移性であり、且つコンプライアントであるフィルムであって、ソークタイム中にプローブを損傷及び汚染から保護するフィルムを有するウエハーを組み込むデバイス及び方法に十分に対処するものはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
熱ソーキング後のプローブカード清浄化プロセスは望ましくなく、裸シリコンウエハー又は廃棄ウエハーのボンドパッドに対するスクラビングのない、効率的な熱ソーキング法が必要である。ソークタイムを短縮すること(慣用のシステム及び方法によっては提供されない)が望ましい。このことは、試験コストの削減、及び開発型半導体デバイスの処理量の増大のために著しい利益をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、それぞれ被験デバイス、又はDUTのプローブパッド又はプローブバンプの従来の試験例を示す図である。
【
図2】
図2は、ウエハーレベル試験中にプローブカードのプローブによって形成されたプローブマーク(又はスクラブマーク)を示す図である。
【
図3】
図3は、ウエハーレベル試験動作中の種々の処置及びプロセスと関連する中断時間量を示す図であり、そして熱ソークタイムは中断時間に対する主要関与因子であり、スループット及び試験コスト全体に悪影響を及ぼす。
【
図4】
図4は、慣用のウエハーレベル・テストセルであって、テストセルはウエハープローバ、自動試験設備(ATE)、プローブカード、及びプローバ及びウエハーチャックを含み、ウエハーチャックは目標温度まで加熱又は冷却し、プローブカードの真下の位置へ動かすことにより、輻射加熱によって目標温度に達する。
【
図5】
図5は、3つの異なるプローブカード(A1,B1及びC1)とブランクシリコンウエハー(D)とを示しており、ブランクウエハーはプローバの加熱済みウエハーチャック上へ装填することができ、ウエハーチャックはプローブカードの真下に位置決めされ、すべてのプローブがウエハー表面と接触するまでzオーバートラベルが適用される。
【
図6】
図6は、3つの異なるプローブカード(A1,B1及びC1)と3つの異なる廃棄された、不合格になった、又はパターン化されたウエハー(A2,B2及びC2)を示しており、プローブカードはウエハーに固有に合致しこれらのウエハー専用であるので、ウエハーチャックを含む適宜のパッド上のプローブタッチダウンはプローブカードの真下に位置決めされ、すべてのプローブがウエハー表面と接触するまでzオーバートラベルが適用される。
【
図7】
図7は、熱伝導性デバイス700の一例、例えばSEMI熱伝導性ウエハー(704)上に熱伝導性層(702)が被着された熱伝導性ウエハー(HCW)を示しており、これはプローブカードのために必要となるソークタイムを短縮することができる。
【
図8】
図8は、HCW内で使用し得る異なるポリマー層を備えたHCW700を示す別の実施態様を示す。
【
図9】
図9は、3つの異なるプローブカード(A1,B1及びC1)と、所定の特性を有する、熱伝導性であり、非転移性であり、且つ伸展性(コンプライアント)であるフィルムが表面に被着されている熱伝導性ウエハーとを示している。ウエハーチャック上へ装填されたHCWはプローブカードの真下に位置決めされ、すべてのプローブが熱伝導性フィルムと接触するまでzオーバートラベルが適用される。
【
図10】
図10は、試験装置内に熱伝導性デバイスを使用するための方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、大量生産環境からのHCWの使用例を示している。
【
図12】
図12は、HCWを使用しない場合に対するHCWを使用した場合のDRAMデバイス試験中のソークタイムが8分の1に短縮することを、プローバがスタンバイモード又はアイドル状態にある状態で示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は具体的には、プローブカード組み立てにおけるソークタイムを短縮するための熱伝導性ウエハー、デバイス、及び方法に適用可能であり、この文脈において本開示が説明される。本開示はまた具体的には、メモリ及び非メモリ半導体デバイスの高温及び/又は低温の大面積アレイウエハーレベル試験のために用いられる所定のレイアウト、ジオメトリ、プローブタイプ、及び機械性能を有するプローブカードの熱状態及び熱条件を予測可能に一貫して維持するための材料、デバイス、及び方法にも適用可能である。しかしながら、言うまでもなく熱伝導性ウエハー、デバイス、及び方法は、より大きな有用性を有している。それというのも、これは半導体製造プロセスにおいて他の試験装置及び他のプロセス及び機械のためのソークタイムを短縮する(熱平衡を確立する)ために使用することができ、十分に本開示の範囲内である種々異なる形態を有し得るからである。
【0018】
周囲温度を上回る且つ/又は下回るウエハーレベル試験の場合、プローブカードの接触要素は種々異なる試験プローブ、例えばMEMS型マイクロカンチレバープローブ及びMEMS型鉛直方向プローブ、鉛直方向ワイヤプローブ、コブラプローブ、ばねプローブ、メンブレン上に形成された接触バンププローブ、ワイヤード・カンチレバー型(wired cantilevered)などであってよい。連携する支持構造は、プローブカード構造内に典型的に使用される任意のタイプのインターフェース、例えばセラミック、有機スペース・トランスフォーマ、プローブ・インターフェース・ボード、補強材(stiffeners)、プリント基板などであってよい。これらは、テストセル内部でプローブカードを支持するために使用される。この文脈において本開示が説明されるものの、言うまでもなく熱伝導性材料層、デバイス、及び方法は、IC半導体評価設備内で利用される他の試験デバイス及びインターフェースの熱安定性を維持するためにより大きな有用性を有している。
【0019】
テスターインターフェース、例えばプローブカードの接触要素及び支持ハードウェアの温度状態及び温度条件を予測可能に維持するための熱伝導性材料、デバイス、及び方法であって、熱伝導性デバイスは、特定のピン接触要素に適用可能な所定の形態と、熱条件と、通常試験操作中に試験装置内へ容易に導入し得る規定の形状因子を有する基板とを有している、熱伝導性材料、デバイス、及び方法。特定のプローブ要素・レイアウトに制約されるパターン化基板とは異なり、熱伝導性デバイスの非パターン化されていない表面は、テストフロアに存在する数多くの自動試験設備(ATE)ツール内で多様なプローブカード・デザインと一緒に使用することを容易にする。基板の表面上に設けられた伝導性材料により、ブランクウエハー基板では不可能な、改善された熱性能特性をデバイスが提供することになる。材料は、熱伝導性をさらに高めるために複数の種々の熱伝導性粒子を有するように形成することもできる。伝導性デバイスは、手動式、半自動式、及び自動式ハンドリングデバイス及び電気的試験設備内にある状態で、試験機の通常動作中に使用することができる。
【0020】
図7は、熱伝導性デバイス700、例えばプローブカードのためのソークタイムを短縮する模範的熱伝導性ウエハー(HCW)の一例を示している。HCWは熱安定化のためのソーキングを必要とするプローブカードのために理想的に設計されており、ひいてはメモリ集積回路、例えばDRAM又はSRAM、及び安定な高温試験を必要とする他の大面積アレイ集積回路デバイスを大規模に並行して試験するためのATEツール及び/又はテスター内に使用することができる。例えばプローブカードの温度が変化(上昇及び/又は低下)し得る任意の事象中、例えばメンテナンス中、アイドル時間中、及び/又はロット変更プロセス中にHCWを使用してよい。
【0021】
熱伝導性層702は、所定の熱伝導性、弾性、密度、及び表面エネルギーパラメータを備えた固体エラストマー材料から形成されてよい。これらのパラメータは、プローブが、接触要素のジオメトリに損傷を与えることなしにフィルムと接触しフィルムを変形させるのを可能にする。例えば、熱伝導性ポリマー層の所定の特性は、破断点伸びが8~70%、ロックウェル硬度がE52~99,熱膨張係数が30~60×10
-6K
-1であり、23Cにおける熱伝導率が0.10~0.45Wm
-1Kであり、そして上限作業温度が250~320Cである。熱伝導性層は、オーバートラベル中にプローブ要素の先端で貫入されてはならない。プローブはポリマー内に貫入しないので、ポリマー材料がプローブ接触要素へ転移させられる確率は低い。
図7に示された実施態様では、単一コンプライアント層はイミドポリマーの高純度の電子グレードのポリイミドポリマーであってよい。このポリマーは汚染物質を含有しておらず、熱安定性、耐化学薬品性、及び機械特性を有している。
【0022】
図7に示されているように、HCWは1実施態様では、ポリマーであってよい熱伝導性層702を有していてよい。ポリマーはウエハー704、例えばSEMI標準シリコンウエハーの上部に位置する。HCW700は、これが通常動作中に試験装置によって使用し得るような形状及び形態を有してよいので、慣用のシステム及び方法を用いる場合に行われていたように特殊なデバイス又はウエハーを挿入する必要なしに、熱コンディショニングを行うことができる。一例において、HCW700の総厚は795μm厚(±17μm)であってよく、このうちポリマー層702の厚さは20μm(±2μm)であり、ウエハーの厚さは775μm(±15μm)である。1実施態様では、ポリマー層702はスピンコートポリマーであってよい。このポリマーは低粘着性であり、最大温度摂氏300度を有する。
【0023】
1実施態様では、本出願のために用いられる基板704、この例ではシリコンウエハーは、SEMI M1 - Specification for Polished Single Crystal Silicon Wafers(SEMI M1-研磨された単結晶シリコンウエハーの仕様)に記載の150mm、200mm及び300mmシリコンウエハーに関する下記概要のようなSEMI標準の範囲に含まれる。
【表1】
【0024】
ポリマー層702の厚さは20μm未満であるとともに、厚さ許容誤差が±5μm未満であることが望ましい。伝導性被膜は、熱伝導及びウエハーチャックからプローブカードへの迅速な熱伝達を促進するように薄いことが必要ではあるものの、損傷並びにソークタイム中の汚染からブローブを緩衝して保護するコンプライアントフィルムの利益を提供するのに十分に厚くなければならない。
【0025】
あるいは、熱伝導性層702はウエハー704の表面上へフィルムとして貼り合わされてもよいが、しかし本出願及び極めて小さなオーバートラベルにとっては、平坦性及び平面性が極めて重要である。
【0026】
熱伝導性フィルム702は低粘着性又は小さな接着特性を有していてよく、これによりプローブチップ要素を接触させたときに、熱ソークが完了した後、チップを材料表面から分離するための力はほとんど必要ない。ウエハーレベル試験は典型的には-60℃~最大200℃の温度範囲で実施することができる。HCWはウエハーレベル試験のために現在用いられる試験温度範囲全体にわたって使用することができる。高温に対しては、ポリイミド被膜は320℃まで耐えることができる。
【0027】
熱伝導性フィルム702、及び層を通る熱伝導率は、層及び熱伝達領域にわたる温度差に対して正比例するものの、これは層の厚さに対しては反比例する。簡単に言えば、可能な限り薄い層が可能な限り良好な熱伝導性を有することになる。それというのも複数の層が熱伝達に連続的に影響を与えるからである。熱伝導性粒子をポリマーマトリックスに添加すると、薄いポリマー層のバルク特性が改善され、そしてこのことは、熱伝導性を改善するためのより良い戦力であり得る。
【0028】
HCW実施態様のそれぞれに関して、HCWは、特定のピン接触要素に適用可能な所定の形態と、熱条件と、通常試験操作中に試験装置内へ容易に導入し得る規定の形状因子を有する基板とを有する伝導性デバイスである。例えば、種々異なる形態を有する種々異なる実施態様は、既知の50mm×50mmプローブアレイ、既知の75mm×75mmプローブアレイ、既知の100mm×100mmプローブアレイ、既知の150mm×150mmプローブアレイ、及び既知のフル・ウエハー又は300mmプローブアレイ・接触器のために存在してよい。これらの例は
図3に示されている。
図3に示された5つの異なるエリア・アレイ内に使用されるプローブカードのプローブ要素は同じではあるものの、アレイのサイズ及びプローブのレイアウトは異なっていてもよい。すべての5エリア・アレイ及びプローブレイアウトに対して同じHCWを相互置き換え可能に使用することにより、ソークタイム短縮を促進することができる。加えて、これらの5つの異なるアレイのために使用される同じHCWを、全く異なるプローブ要素のために使用することもできる。この実施態様の場合、種々異なる半導体デバイスを試験するために異なるプローブ要素及びプローブカードを使用する複数のテストセル内で、単一のHCWを使用することもできる。
【0029】
開示された熱伝導性デバイス、例えばHCWは、特定のプローブ要素・レイアウトに制約される慣用のパターン化基板とは異なり、非パターン化表面を有していてよい。熱伝導性デバイスの非パターン化表面は、数多くの自動試験設備(ATE)ツール内で多様なプローブカード・デザインと一緒に使用することを容易にする。基板の表面上に設けられた伝導性材料により、ブランクウエハー基板では不可能な、改善された熱性能特性をデバイスが提供することになる。材料は、熱伝導性をさらに高めるために複数の種々の熱伝導性粒子を有するように形成することもできる。粒子はミクロサイズ及びナノサイズの熱伝導性粒子、例えば窒化ホウ素、酸化亜鉛などであってよく、これらの粒子は伝導性層内部に組み込むことができる。粒子は熱伝導性層内部に、マトリックス内部の充填材としてカプセル化される。種々の粒子は種々の形状、例えば繊維、ピラミッドなどを有することにより充填密度を高めることができる。粒子充填材の量は、1~40質量%の熱伝導性粒子の混合物を含む複合体を形成するように、又はポリマー層の構造完全性が損なわれるまで変化させることができる。粒子の添加は層のプロセス可能性、可撓性、靭性を低減し得るので、充填材の装填は、必要な性能特性を得るように制御される。
【0030】
任意の試験機によって試験されるデバイス/ウエハーなどと同様の又は同じ形状/形態を有する熱伝導性デバイスは、手動式、半自動式、及び自動式ハンドリングデバイス及び電気的試験設備内にある状態で、試験機の通常動作中に使用することができる。例えば、マニュアルモードの場合、熱伝導性デバイスは、プローブカード温度が低下又は上昇すると予期されるいかなる事象中にも試験機内へ挿入することができる。半自動式の例では、プローブカードのための熱安定性を形成する必要性が何らかの形で判定され、次いで試験機は熱伝導性デバイスを試験機内へ自動的に移動/配置し、そしてプローブカードのための熱安定性を維持又は形成するための動作を実施することができる。自動式の例では、試験機はコンピュータ/プロセッサを有していてよい。コンピュータ/プロセッサは、熱伝導性デバイスが必要とされるとそれを判定し、次いで熱安定性を維持又は形成するための位置に熱伝導性デバイスを動かすコンピュータコードの複数の行を有している。
【0031】
図8は、HCW内に使用され得る異なるポリマーコンプライアント層702を備えたHCW700の別の実施態様を示している。この実施態様では、コンプライアント層702は、
図8に示されているような高純度ポリイミド材料であってよい。ポリイミドは、イミドモノマーのポリマーであり、そしてポリイミドは、良好な熱安定性、良好な耐化学薬品性、及び優れた機械特性を有している。
【0032】
HCW700は薄い、コンプライアントな、そして伝導性の材料層702を有するように形成され設計されている(厚さの特徴の例が上に示されている)。この層702は、効率的な熱伝達を容易にすることにより、メンテナンス中、アイドル時間中、ロット変更プロセス中、又はプローブカード温度が低下又は上昇すると予期される任意の事象中に一貫して且つ予測可能に加熱が行われる。複数のテストセル・プラットフォーム全体にわたって複数のプローブカード・レイアウト及びプローブジオメトリのために1つのHCWを利用することができる(すなわちフェーズアウトなし)。
図9に示されたHCWは、上記3つの代表的なプローブカード、並びに多くの他のプローブカードのために利用されるように使用することができる。コンプライアント層を備えた熱伝導性ウエハーを定期的且つ繰り返し使用することが、接触要素の性能に影響を及ぼすことはなく、そしてHCWの利用後、プロービング前に接触要素を清浄化しメンテナンスする後続の方法は必要とされない。ソークタイム短縮のためにHCWを定期的に利用することは、試験コストの削減、及び開発型半導体デバイスのスループットの増大のために著しい利益をもたらす。
【0033】
熱伝導性デバイスの種々の実施態様では、伝導性層は調節可能な挙動による、制御された状態での表面機能化作用を有することができる。この機能化は、表面の機械特性を変更して、特定の性能目標、例えば熱伝導性、接触表面清浄化、デブリ除去及び収集、及び表面テキスチャ化を達成するための効果的な方法である。所定の特性、例えば熱伝導性、厚さ、硬さ、粘着性などを有する機能性被膜をウエハーの表面に被着することにより、新しいクラスの材料を提供することができる。これらの材料は、接触要素に合わせて調整し最適化することができ、十分に定義された一連の機能を発揮することができる。さらに、種々の充填材料、例えば上記粒子をフィルムの厚さ内へ組み込むことにより、性能をさらに変更且つ/又は増強することができる。
【0034】
上記HCW700は、プローバウエハーチャックとプローブカードとの間の輻射メカニズム及び伝導メカニズムの両方を通した熱伝達を容易にする一方、接触中の損傷からプローブ要素を保護する。コンプライアントフィルムは保護緩衝材として作用することにより、比較的低い接触変位(又はzオーバートラベル)でプローブカード全体にわたる完全な接触を得ることができる。低いオーバートラベル時には、プローブ要素の力は最小化されるが、しかしウエハー全体にわたる完全な接触が得られ、この場合いかなる材料転移又は汚染も形成することはない。熱伝導性媒体は平らであり、非フィーチャ型であり、非パターン化型であり、そしてコンプライアントなフィルム層である。このフィルム層は、半導体デバイスの特定のジオメトリを有する剛性の非パターン化ウエハー表面又は剛性のパターン化ウエハー表面によっては可能でない性能特性をもたらす。
【0035】
この方法の1態様では、HCWは自動試験設備内部、例えばウエハープローバ内部の所定の位置に配置されてよく、これにより、ピン要素が熱伝導性清浄化媒体と周期的に相互作用することになる。1実施態様では、
図9に示されているような数多くの異なるタイプのプローブカードを熱ソーキングするために、単一のHCWをプローバ内部で使用することができる。このようなものとして、このデバイス及び方法は、大量ウエハーレベル試験のための、清浄な、熱ソーキングされたプローブカードの利用可能性を保証する。
【0036】
熱伝導性デバイス700の種々の実施態様において、熱伝導性層702は犠牲トップ保護材料層を有してよい。この層は、製作プロセス前、製作プロセス中、又は製作プロセス後に被着することにより、製造プロセス中及び手動ハンドリング動作中に汚染から材料表面を保護し分離することができる。保護犠牲層は、伝導性材料の表面が、接触要素の性能を損なうことになるいかなる汚染をも含まないことを保証するために使用される。保護犠牲層は、半導体試験設備内への取り付け時に取り除かれる。熱伝導性の別の実施態様では、熱伝導性層702は、プローブカードのソーキング中に材料のコンプライアンスを付加するための熱伝導性材料から形成されてよい。別の実施態様では、熱伝導性及び熱伝達効率をさらに向上させるためにある程度の粒子充填レベルを有してよい。材料層内へ組み込むことができる典型的な粒子は、ミクロサイズ及びナノサイズの熱伝導性粒子、例えば窒化ホウ素、酸化亜鉛など、又は何らかのその他のよく知られた熱伝導性材料であってよい。粒子充填材の量は、1~40質量%の熱伝導性粒子の混合物を含む複合体を形成するように、又はポリマー層の構造完全性が損なわれるまで変化させることができる。
【0037】
図10は、熱伝導性デバイスを使用した熱コンディショニングのための方法1000であって、結果として慣用の方法を用いた場合よりも試験機械の予熱時間を著しく短くする方法を示している。なお、熱伝導性デバイスは試験装置の通常試験動作の部分として使用することができ、これにより、例えば試験装置のプローブカードは、熱コンディショニングが実施されている間、試験機から取り外される必要はない。試験機はその通常試験動作(1002)を実施し、次いでプローブカードの温度が変化する事象(1004)が発生した又は発生しつつあるか否かを判定することができる。事象は例えばロット交換が発生するとそれを手動で検出することができ、あるいはこれは検出プロセスを実施するための複数の命令行を実行するコンピュータシステムによって自動的に検出することもできる。検出プロセスにおいて、例えば熱伝導性デバイスは、プローブカード内の温度変化を引き起こす事象が発生すると、自動的に所定の位置に動かされる。事象が発生しないならば、試験機は試験の実施を続ける(1002)。
【0038】
事象が発生すると(事象を引き起こし得る種々異なる作用の例が上述されている)、熱伝導性デバイスは試験機内へプローブカードの下に装填される(1006)。プローブカードは次いで、(プローブカード要素の先端が熱伝導性デバイスと接触する状態で)熱伝導性デバイスに隣接するように動かすことができ、チャックは熱伝導性デバイスを通してプローブカードを予熱することができる(1008)。
図11及び12に示されているように、そして後述のように、熱伝導性デバイスによる予熱は、典型的な予熱時間よりも著しく短くなり、プローブカードが事象中に過度に温度変化するのを防止する。事象が終了したら、熱伝導性デバイスは取り外すことができ(1010)、そして試験機をその通常試験動作(1002)に戻すことができる。
【0039】
図11は、大量製造試験環境において自動試験設備、例えばウエハープローバ内の所定の位置で熱伝導性デバイス(HCW)を使用し、これによりピン要素が熱伝導性清浄化媒体と周期的に相互作用する例を示している。
図11に示されているように、プロセスはプロセスシーケンスを有している。
【0040】
プロセス1: ロット終了(LOT END)実行のためにウエハーチャックからウエハー25を取り外す。この事例において、HCWは使用されず、プローバは次のデバイスウエハーロットが準備されるのに伴ってアイドル状態のままにされる。アイドル時間中、ウエハーチャックは目標試験温度のままではあるものの、これは試験のために必要となるプローブカードの温度を維持しない。
【0041】
プロセス2: 60分間のプローバ・アイドル時間中、プローブカード温度は約43℃まで低下する。アイドル中のプローブカードの温度は所要試験温度を約22℃下回る。
【0042】
プロセス3 25ウエハーの次のロットをロット開始(LOT START)実行のためにプローバ内へ装着する。ウエハー1をウエハーチャック上に装填し、そしてプローブカードが目標温度T=60℃に達するまで約20分間の輻射予熱を施すために、プローブカードの下方の位置へ動かす。
【0043】
プロセス4: プローブカードが試験温度に近づいたら、プローブカードが目標温度T=65℃に達するまで約20分間の二次伝導予熱を施すために、ウエハー1を持ち上げてプローブカードと接触させる。
【0044】
プロセス5: 40分間の伝導予熱後、プローブカード温度がT=65℃をわずかに上回る温度まで安定化された後、ウエハー1上でプロービングを開始する。
【0045】
プロセス6: 25のウエハーをプロービングした後、ロット終了を実行し、前に実施したウエハー25を取り外した。
【0046】
プロセス7: 次のロットが準備されるのに伴ってプローバをアイドル状態のままにしておくのではなく、HCWをウエハーチャック上へ装填し、プローブカードと接触させる。
【0047】
プロセス8: プローバのアイドル時間中、HCWはプローブカードとの接触を維持し、そして伝導性加熱によって安定な熱条件を提供する。
【0048】
25ウエハーロットがプローバ内へ装着されたら、HCWを取り外し、デバイス試験のためにプローバを準備する。
【0049】
プロセス10: HCWが取り外された後すぐに、ウエハーチャック上にウエハー1を装填し、そしてプローブカードを目標温度T=60℃にすばやくもたらすのに伴って、1分間未満の輻射予熱のためにプローブカードの下方の位置へウエハーを動かす。
【0050】
プロセス11: プローブカードが目標温度T=65℃に達するまで6分間未満の二次伝導予熱を施すために、ウエハー1を持ち上げてプローブカードと接触させる。
【0051】
プロセス12: 6分間未満の予熱後、プローブカード温度がT=65℃をわずかに上回る温度まで安定化された後、ウエハー1上でプロービングを開始する。
【0052】
図12は、熱伝導性デバイスの利点及び利益を示している。具体的には、熱安定性のために熱伝導性デバイスが使用されないと、プローブカード温度が変化し(高温試験の例では約40℃まで低下)、そして試験プロセスが再開可能になる前にプローブカードを予熱するのに約40分間かかる。対照的に、熱伝導性デバイスが使用されると、プローブカード温度はより安定なままであり(
図11に示された規定のプロービング/試験温度により近い)、そして熱伝導性デバイスが装填された後にプロービング/試験を再開する前に予熱するのに6分間未満しかかからない。予熱時間のこの大きな差(ソークタイムが8分の1に短縮)はプローバ/テスターの中断時間の短縮と、テスター/プロブレムのより多くのスループットを意味する。他の利点は、汚染リスクとプローブ摩耗可能性を含む。
【0053】
方法及び装置は、一例としては熱ソーキング・接触器及びプローブカードを含む1つ又は2つ以上の利点をもたらす。開示内容はある特定の例示的実施態様に関連して説明されてはいるものの、本明細書中に記載されたものは限定的な意味で解釈されるものではない。例えば、図示され記載された実施態様における工程の変更又は組み合わせを、開示内容から逸脱することなしに、具体的な事例において用いることができる。例示的な実施態様の種々の改変及び組み合わせ、並びに開示の他の利点及び実施態様が、図面、説明、及び特許請求の範囲を参照すれば、当業者には明らかとなる。本開示の範囲は添付の請求項及びこれらと同等のものによって定義されるものとする。前述のものは本発明の特定の実施態様に関連するものであるが、当業者には明らかなように、本開示の原理及び思想を逸脱することなしにこの実施態様に変更を加えることができる。本開示の範囲は添付の請求項によって定義される。
【0054】
説明を目的とした前述の記載内容は、特定の実施態様を参照している。しかしながら、例示的な議論は網羅的であるように意図されてはおらず、あるいは開示された正確な形に開示内容を限定するように意図されてはいない。上記教示内容に照らして多くの改変形及び変更形が可能である。開示の原理及びその実際の用途を最良に説明し、これにより当業者が、考えられる具体的用途に適した種々の改変形を有する開示内容及び種々の実施態様を最良に利用するのを可能にするために、実施態様は選ばれ説明された。
【0055】
本明細書中に開示されたシステム及び方法は1つ又は2つ以上のコンポーネント、システム、サーバ、電気器具、他のサブコンポーネントを介して実施され、又はこのような要素間で分散されてよい。システムとして実施される場合、このようなシステムは、とりわけ、汎用コンピュータに見出されるソフトウェアモジュール、汎用CPU、RAMなどのようなコンポーネントを含み且つ/又は伴ってよい。刷新事項(イノベーション)がサーバにある実施形態では、このようなサーバは、汎用コンピュータに見出されるようなCPU、RAMなどのようなコンポーネントを含み又は伴ってよい。
【0056】
加えて、本明細書中にシステム及び方法は、上記のものの他に、異種の又は全体的に異なるソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアコンポーネントによる実施を介して達成することができる。このような他のコンポーネント(例えばソフトウェア、プロセッシング・コンポーネントなど)、及び/又は本発明と関連する又は本発明を具体化するコンピュータ可読媒体に関しては、例えば本明細書中の刷新事項の態様は数多くの汎用又は特殊目的のコンピューティング・システム又はコンピューティング形態と調和して実施することができる。本明細書中の刷新事項と一緒に使用するのに適した種々の模範的なコンピューティング・システム、環境、及び/又は形態の一例としては、パーソナルコンピュータ、サーバ、又はサーバ・コンピューティング・デバイス、例えばルーティング/接続コンポ-テント、携帯型又はラップトップ型デバイス内部の、又はこれらの上で具体化されるソフトウェア又は他のコンポーネント、マルチプロセッサ・システム、マイクロプロセッサ系システム、セット・トップ・ボックス、消費者電子デバイス、ネットワークPC、他の既存のコンピュータ・プラットフォーム、上記システム又はデバイスのうちの1つ又は2つ以上を含む分散型コンピューティング環境などが挙げられる。
【0057】
いくつかの事例では、システム及び方法の態様は、例えばこのようなコンポーネント又は回路構成と連携して実行される、プログラムモジュールを含む論理及び/又は論理命令を介して達成し、又はこれによって実施することができる。一般に、プログラムモジュールは、ルーティン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含んでよい。これらは特定のタスクを実施し、又は本明細書中の特定の命令を実施する。本発明は、分散型のソフトウェア、コンピュータ、又は回路環境の文脈において実施されてもよい。回路環境では、回路構成が通信バス、回路構成、又はリンクを介して接続されている。分散型環境の場合、制御/命令は、メモリ記憶デバイスを含むローカル及びリモートコンピュータ記憶媒体の両方から発生してよい。
【0058】
本明細書中のソフトウェア、回路構成、及びコンポーネントは、1つ又は2つ以上のタイプのコンピュータ可読媒体を含み且つ/又は利用してもよい。コンピュータ可読媒体は、このような回路及び/又はコンピューティング・コンポーネント上に位置し、これと連携可能であり、又はこれによってアクセス可能である任意の利用可能な媒体であってよい。一例を挙げるならば、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでよい。コンピュータ記憶媒体は揮発性及び非揮発性、リムーバブル及び非リムーバブル媒体を含む。これらの媒体は、情報、例えばコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータの記憶のために、任意の方法又は技術で実装される。コンピュータ記憶媒体の一例としては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、又は他の光学記憶装置、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、又は他の磁気記憶デバイス、又は所望の情報を記憶するために使用可能であり且つコンピューティング・コンポーネントによってアクセス可能な任意の他の媒体が挙げられる。通信媒体はコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール及び/又は他のコンポーネントを含んでよい。さらに、通信媒体は有線媒体、例えば有線ネットワーク、又は直接有線接続を含んでよいが、しかし本明細書中のこのようなタイプの媒体は一時的な媒体を含まない。上記のうちのいずれの組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれる。
【0059】
本明細書中では、コンポーネント、モジュール、デバイスなどという用語は、任意のタイプの論理的又は機能的ソフトウェア要素、回路、ブロック、及び/又は種々の方法で実施され得るプロセスを意味することができる。例えば、種々の回路及び/又はブロックの機能を互いに組み合わせて、任意の他の数のモジュールにすることができる。各モジュールを、中央処理ユニットによって読み出されるべき有形のメモリ(例えばランダム・アクセス・メモリ、リードオンリーメモリ、CD-ROMメモリ、ハードディスクドライブなど)上に記憶されたソフトウェアプログラムとして実装することにより、本明細書中の刷新事項の機能を発揮することもできる。又は、モジュールは汎用コンピュータ又はプロセッシング/グラフィック・ハードウェアへ、伝送搬送波を介して伝送されるプログラミング命令を含むことができる。また、モジュールは、本明細書中の刷新事項に含まれる機能を発揮するハードウェア論理回路構成として実装することができる。最後に、モジュールは特殊な目的の命令(SIMD命令)、フィールド・プログラマブル論理アレイ、又は所望のレベルの性能及びコストを提供するこれらの任意の混合体を用いて実装することができる。
【0060】
本明細書中に開示されているように、開示内容と一致する特徴はコンピュータ-ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアを介して実施することができる。例えば、本明細書中に開示されたシステム及び方法は、例えばデータプロセッサ、例えばデータベース、デジタル電子回路構成、ファームウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせをも含むコンピュータを含む種々の形で具体化することができる。さらに、開示された実施形態のいくつかが特定のハードウェア・コンポーネントを記載しているが、本明細書中の刷新事項と一致するシステム及び方法は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの任意の組み合わせで実施することもできる。さらに、本明細書中の刷新事項の上記特徴及び他の態様及び原理は、種々の環境において実施される。このような環境及び関連用途は、本発明による種々のルーティン、プロセス、及び/又は作業を実施するために特別に構成することができ、あるいはこれらは、必要な機能を提供するためにコードによって選択的に活性化又は再構成された汎用コンピュータ又はコンピューティング・プラットフォームを含んでもよい。本明細書中に開示されたプロセスは、いかなる特定のコンピュータ、ネットワーク、アーキテクチャ、環境、又は他の装置にも固有に関連してはおらず、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの好適な組み合わせによって実施することができる。例えば、種々の汎用機は、本発明の教示内容に基づいて書き込まれたプログラムと一緒に使用することができ、あるいは必要となる方法及び技術を実施するために特殊化された装置又はシステムを構成することがより好都合なこともある。
【0061】
本明細書中に記載された方法及びシステムの態様、例えば論理は、プログラマブル論理デバイス(PLDs)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGAs)、プログラマブル・アレイ論理(PAL)デバイス、電気的にプログラム可能な論理及びメモリデバイス、及び標準セルベース・デバイス、並びに用途特異的な集積回路を含む種々の回路構成のいずれかにプログラミングされた機能として実施することができる。態様を実施するいくつかの他の可能性は、メモリデバイス、メモリを備えたマイクロコントローラ(例えばEEPROM)、埋め込み型マイクロプロセッサ、ファームウェア、ソフトウェアなどを含む。さらに、態様は、ソフトウェアベースの回路エミュレーション、個別論理(順序及び組み合わせ)、カスタムデバイス、ファジー(ニューラル)論理、量子デバイス、及び上記デバイスタイプのうちのいずれかのハイブリッドにおいて具体化することができる。根底を成すデバイス技術は、種々のコンポーネントタイプ、例えば相補型金属酸化物半導体(CMOS)のような金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合型論理(ECL)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えばシリコン共役ポリマー及び金属共役ポリマー-金属構造)、混合型アナログ及びデジタルなどにおいて提供することができる。
【0062】
なお、本明細書中に開示された種々の論理及び/又は機能は、ハードウェア、ファームウェアの任意の数の組み合わせを用いて可能にすることができ、且つ/又は、挙動、レジスタ転送、論理コンポーネント、及び/又は他の特徴の観点からは、種々の機械可読媒体又はコンピュータ可読媒体において具体化されたデータ及び/又は命令として可能にすることができる。このようなフォーマットされたデータ及び/又は命令を具体化し得るコンピュータ可読媒体の一例としては、種々の形の非揮発性記憶媒体(例えば光学、磁気、又は半導体記憶媒体)が挙げられるものの、やはりここでも一時的な媒体を含むことはない。文脈が明らかに他を必要とするのでない限り、記述内容全体を通して、「含む(comprise, comprising)」及び同様のものは、排他的又は網羅的な意味とは異なり、包含的な意味、いわば「含むが、それらには限定されない(including, but not limited to)」の意味で解釈されるべきである。単数又は複数を用いた語はそれぞれ複数又は単数をも含む。加えて「本明細書中(herein)」、「以下(hereunder)」、「上記(above)」、「下記(below)」という用語及び同様の意味を有する語は、本出願を全体として意味するのであって、本出願の特定の部分を意味するものではない。「又は(or)」という語が2つ又は3つ以上の項目のリストに関連して使用される場合、その語は、語の以下の解釈、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目のすべて、及びリスト内の項目の任意の組み合わせ、のすべてをカバーする。
【0063】
本発明の現時点で好ましいある特定の実施形態を具体的に説明してきたが、本発明の思想及び範囲を逸脱することなしに、本明細書中に示され記載された種々の実施形態に変更及び改変を加え得ることは、本発明に関連する当業者には明らかである。したがって、本発明は適用可能な法規範によって要求される範囲のみに限定されるものとする。
【0064】
前述のものは本開示の特定の実施態様に関連するものであるが、当業者には明らかなように、本開示の原理及び思想を逸脱することなしにこの実施態様に変更を加えることができ、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【国際調査報告】