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特表2023-525595パラ-アミノ-ベンジルリンカー、それを調製するための方法及びコンジュゲートにおけるその使用
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  • 特表-パラ-アミノ-ベンジルリンカー、それを調製するための方法及びコンジュゲートにおけるその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-16
(54)【発明の名称】パラ-アミノ-ベンジルリンカー、それを調製するための方法及びコンジュゲートにおけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/083 20060101AFI20230609BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20230609BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20230609BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230609BHJP
【FI】
C07K5/083
C07K16/00
A61K47/65
A61K47/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570285
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2021063195
(87)【国際公開番号】W WO2021233944
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】20315247.5
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20209379.5
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500287019
【氏名又は名称】レ ラボラトワール セルヴィエ
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】デソ,パトリス
(72)【発明者】
【氏名】フランゼッティ,ジョルジュ-アラン
(72)【発明者】
【氏名】スタルク,ジェローム-ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】コストワ,ヴェセラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA12
4H045BA50
4H045CA40
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
本発明は、薬物部分を抗体に連結するのに有用なパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物、前記パラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物が薬物部分に共有結合しているリンカー-薬物化合物及び前記パラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物が薬物部分に共有結合している抗体-薬物コンジュゲートであって、前記抗体により標的とされる特定の細胞又は組織タイプにおいて、前記薬物がコンジュゲートから酵素的に開裂される、抗体-薬物コンジュゲートに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化76】

[式中、
・Rは、ヒドロキシ基又はハロゲン原子を表わし、
・Rは、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(OH)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(OH)基又は直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(O)基を表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基、下記:
【化77】

の基、下記:
【化78】

の基又は下記:
【化79】

の基
を表わし、
・R及びRは、それぞれ独立して、アミノ酸の側鎖を表わし、
・Xは、水素原子、ヒドロキシ基又は保護基を表わし、
・Mは、薬学的に許容され得る一価のカチオンを表わす]
で示されるパラアミノ-ベンジルリンカー化合物。
【請求項2】
が、ヒドロキシ基、臭素原子、塩素原子又はヨウ素原子を表わす、請求項1記載のパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物。
【請求項3】
が、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、-CH-S(O)(OH)基、-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-S(O)(OH)基、-CH-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-CH-S(O)(OH)基又は-CH-CH-CH-S(O)(O)基を表わす、請求項1記載のパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物。
【請求項4】
が、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基又はメチル基を表わす)を表わす、請求項1記載のパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物。
【請求項5】
が、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、イソプロピル基を表わす)、下記:
【化80】

の基、下記:
【化81】

の基又は下記:
【化82】

の基
を表わす、請求項1記載のパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物。
【請求項6】
が、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わし、Aが、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わす(式中、R及びRは、それぞれ独立して、アミノ酸の側鎖を表わす)、請求項1記載のパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物。
【請求項7】
以下のもの:
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート、
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート、
- 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸、
- ナトリウム [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]メタンスルホナート、
- 2-(クロロメチル)-5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]ベンゼンスルホン酸、
- 2-(クロロメチル)-5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]ベンゼンスルホン酸、
- 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヨードメチル)ベンゼンスルホン酸、
- ナトリウム N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(2-スルホナトエチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、
- N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(3-スルホプロピル)フェニル]-L-オルニチンアミド
である、請求項1記載のパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物。
【請求項8】
抗体-薬物コンジュゲートの調製に使用するための、請求項1~7のいずれか一項記載の式(I)で示されるパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物。
【請求項9】
式(II):
【化83】

[式中、
・Dは、薬物部分を表わし、
・Tは、結合、-O-C(O)-N(CH)-CH-CH-N(CH)-C(O)-、-O-、-NR、-NR-C(O)-又は-O-C(O)-は、Dへの結合点を示す)であり、
・Rは、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(OH)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(OH)基又は直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(O)基を表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基、下記:
【化84】

の基、下記:
【化85】

の基又は下記:
【化86】

の基
を表わし、
・R及びRは、それぞれ独立して、アミノ酸の側鎖を表わし、
・Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表わし、
・Z’は、スペーサユニット前駆体を表わし、
・Mは、薬学的に許容され得る一価のカチオンを表わす]
で示されるリンカー-薬物化合物。
【請求項10】
が、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、-CH-S(O)(OH)基、-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-S(O)(OH)基、-CH-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-CH-S(O)(OH)基又は-CH-CH-CH-S(O)(O)基を表わす、請求項9記載のリンカー-薬物化合物。
【請求項11】
が、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基又はメチル基を表わす)を表わす、請求項9記載のリンカー-薬物化合物。
【請求項12】
が、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、イソプロピル基を表わす)、下記:
【化87】

の基、下記:
【化88】

の基又は下記:
【化89】

の基
を表わす、請求項9記載のリンカー-薬物化合物。
【請求項13】
Tが、結合又は-O-C(O)-を表わす(は、Dへの結合点を示す)、請求項9記載のリンカー-薬物化合物。
【請求項14】
Z’が、下記のもの:
【化90】

[式中、波線は、A基のN末端又はカルボニル基への共有結合部位を示す]
から選択される基を表わす、請求項9記載のリンカー-薬物化合物。
【請求項15】
下記のもの:
【化91】



[式中、R及びDは、請求項9で定義されたとおりである]
である、請求項9記載のリンカー-薬物化合物。
【請求項16】
以下のもの:
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート、
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート、
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[[2-[2-[2-(2アジドエトキシ)エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート、
- 5-[[(2S)-2-[[1-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]シクロブタンカルボニル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート、
- 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、
- 5-[[(2S)-2-[[3-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]オキセタン-3-カルボニル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、
- [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]メタンスルホン酸、
- [4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-スルホ-フェニル]メチル-[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-ジメチル-アンモニウム;2,2,2-トリフルオロアセタート、
- N-({[4-({N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-バリル-L-アラニル}アミノ)-2-スルホフェニル]メトキシ}カルボニル)-N-メチル-L-バリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド、
- N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-バリル-N-カルバモイル-N-(4-{[({[(4S)-4,11-ジエチル-9-ヒドロキシ-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル]オキシ}カルボニル)オキシ]メチル}-3-スルホフェニル)-L-オルニチンアミド、
- (1S,3S)-3,5,12-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシアセチル)-10-メトキシ-6,11-ジオキソ-1,2,3,4,6,11-ヘキサヒドロテトラセン-1-イル 2,3,6-トリデオキシ-3-[({[4-({N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-バリル-N-カルバモイル-L-オルニチル}アミノ)-2-スルホフェニル]メトキシ}カルボニル)アミノ]-α-L-リキソ-ヘキソピラノシド、
- N-{3-[2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイル}-L-バリル-N-{4-[(5S,8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-5,8-ジ(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカン-1-イル]-3-(2-スルホエチル)フェニル}-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド、
- 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(3,4-ジブロモ-2,5-ジオキソ-ピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸
である、請求項9記載のリンカー-薬物化合物。
【請求項17】
式(III):
【化92】

[式中、
・Abは、抗体又はその抗原結合フラグメントを表わし、
・Dは、薬物部分であり、
・Tは、結合、-O-C(O)-N(CH)-CH-CH-N(CH)-C(O)-、-O-、-NR、-NR-C(O)-又は-O-C(O)-は、Dへの結合点を示す)であり、
・Zは、スペーサユニットを表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基、下記:
【化93】

の基、下記:
【化94】

の基又は下記:
【化95】

の基
を表わし、
・Rは、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(OH)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(OH)基又は直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(O)基を表わし、
・R及びRは、それぞれ独立して、アミノ酸の側鎖を表わし、
・Rは、(C~C)アルキル基を表わし、
・Mは、薬学的に許容され得る一価のカチオンを表わし、
・pは、1~8の整数である]
で示される抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項18】
・Tが、結合又は-O-C(O)-である(は、Dへの結合点を示す)、請求項17記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項19】
が、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、-CH-S(O)(OH)基、-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-S(O)(OH)基、-CH-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-CH-S(O)(OH)基又は-CH-CH-CH-S(O)(O)基を表わす、請求項17記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項20】
が、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わす(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基又はメチル基を表わす)、請求項17記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項21】
が、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、イソプロピル基を表わす)、下記:
【化96】

の基、下記:
【化97】

の基又は下記:
【化98】

の基
を表わす、請求項17記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項22】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、以下のもの:
【化99】




[式中、R及びDは、請求項17で定義されたとおりである]
から選択される、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物から形成される、
請求項17記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項23】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、以下のもの:
【化100】



[式中、波線は、抗体又はその抗原結合フラグメントへの共有結合部位を示し、D及びRは、請求項17で定義されたとおりである]
から選択される式を含む、請求項17記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【請求項24】
請求項17~23のいずれか一項記載の抗体-薬物コンジュゲートと、医薬担体とを含む、医薬組成物。
【請求項25】
処置を必要とするほ乳類の処置に使用するための、請求項17~23のいずれか一項記載の抗体-薬物コンジュゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物部分を抗体に連結するのに有用なパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物、前記パラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物が薬物部分に共有結合しているリンカー-薬物化合物及び薬物に共有結合している前記パラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物を含む抗体-薬物コンジュゲートであって、前記抗体により標的とされる特定の細胞又は組織タイプにおいて、前記薬物がコンジュゲートから酵素的に開裂される、抗体-薬物コンジュゲートに関する。
【0002】
発明の背景
標的治療薬は、非特異的毒性を低減し、従来の治療に対して有効性を向上させるように設計される。このアプローチは、非常に強力なコンジュゲート化小分子治療薬を抗原陽性細胞に特異的に送達する、モノクローナル抗体又は抗原結合フラグメントの強力な標的化能力により具体化される。毒性の問題に対処するために、化学療法作用薬(薬)を、腫瘍細胞に高度な特異性で結合する標的化分子、例えば抗体又はタンパク質レセプターリガンドに結合させて、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)又は免疫コンジュゲートと呼ばれる化合物が形成されてきた(Chau et al. Lancet 2019, 394, 793-804)。ADC又は免疫コンジュゲートは、理論的には、より毒性が低いはずである。これはそれらが、細胞傷害性薬物を、特定の細胞表面抗原又はレセプターを正常細胞と比較して過剰に発現する疾患細胞に向かわせるためである。ADC又は免疫コンジュゲートについての有望な進歩により、腫瘍部位又は腫瘍細胞内で開裂されるリンカーを介して抗体に結合された細胞傷害性剤が生じてきた。そのような進歩を、標的化送達を必要とする任意の疾患に適用することができる(Tumey, Innovations for Next-Generation Antibody-Drug Conjugates. Humana Press 2018, 187-214)。近年の例から、免疫媒介炎症性疾患(Wang et al. J Am Chem Soc. 2015, 137, 3229-32)、筋肉関連疾患(Sugo et al. J. Control. Release 2016, 237, 1-13)及び細菌感染により引き起こされる疾患(Mariathasan et al. Trends Mol. Med. 2017, 23, 135-149)にも関心が持たれていることが示されている。さらに、ADCは、細胞傷害性薬物に限定されず、撮像剤(Dammes et al. Theranostics 2020, 10, 938-955)又はオリゴヌクレオチド(Dovgan et al. Bioconjug. Chem. 2019, 30, 2483-2501)を抗原陽性細胞に特異的に送達するのに使用することができる。
【0003】
リンカーは、ADCの物理化学的特性に影響を及ぼす場合がある。多くの細胞傷害性薬物は、本質的に疎水性であるため、追加の疎水性部分を有する抗体にそれらを結合させると、凝集をもたらすおそれがある。ADC凝集体は不溶性であり、達成可能な抗体への薬物負荷をしばしば制限し、ADCの効力に悪影響を及ぼすおそれがある。生物製剤のタンパク質凝集体は、一般的には、免疫原性の増加にも関連している。
【0004】
細胞特異的リガンドにコンジュゲートされた薬物、例えば細胞傷害性薬物又は細胞増殖抑制性薬物の標的化送達に対する化学的解決策は、コンジュゲート中のリガンドに薬物部分を結合させる「自壊牲リンカー」のPABC又はPAB(パラ-アミノベンジルオキシカルボニル又はパラアミノベンジル)である(Alouane et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 7492-7509;Bargh et al. Chem. Soc. Rev. 2019, 48, 4361-4374)。PABリンカー単位は、電子カスケードスペーサとも呼ばれる。ペプチド単位のカルボキシ末端とPABC又はPABのパラ-アミノベンジルとを結合させるアミド結合は、基質でありえ、特定のプロテアーゼにより開裂可能である。芳香族アミンは電子供与性になって、脱離基の放出をもたらす電子カスケードを開始し、これは二酸化炭素の脱離後に遊離薬物を放出する(de Groot et al. J. Org. Chem. 2001, 66, 8815-8830)。PABC又はPABに隣接するペプチド結合が開裂されると(すなわち、細胞内酵素により)、薬物がリガンドから放出され、その結果、リンカーの残りの部分は結合していない(de Groot et al. Molecular Cancer Therapeutics 2002, 1, 901-911;de Groot et al. J. Med. Chem. 1999, 42, 5277-5283)。
【0005】
ペプチド単位とコンジュゲーションされたパラ-アミノベンジル又はパラ-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB又はPABC)単位を含有するリンカーは、標的化リガンド、例えば抗体から薬物部分を放出するように、酵素的、加水分解的又は他の代謝的条件下での1,6-脱離及びフラグメント化の「自壊牲(self-immolating)」又は「自壊牲(self-immolative)」機構を使用して開発されてきた(EP第1718667号;WO第2016/040684号)。プロドラッグ及びコンジュゲートにおけるPAB単位の使用については、Alouane et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 7492-7509;Bargh et al. Chem. Soc. Rev. 2019, 48, 4361-4374;Dal Corso et al. Chem. Eur. J. 2019, 25,14740-14757も参照のこと。
【0006】
PABタイプの自壊牲リンカーの欠点は、コンジュゲートの乏しい溶解性及び凝集をもたらす傾向である。例えば、WO第2017/214282号には、幾つかの親水性基(例えば、グルクロニド(glucoronides)、ポリヒドロキシル化側鎖...)を含有するPABタイプの自壊牲リンカーは、コンジュゲートの高度の凝集(15%超)をもたらす。加えて、一部のPAB含有コンジュゲートは、特定の開裂酵素に適した基質ではない場合があるか、又は有効性を達成するには開裂が遅すぎる。結果として、薬理学的活性及び安定性を維持しながら、凝集を低減するために、自壊牲リンカーの構造を最適化することにより、抗体-薬物コンジュゲートの特性を改善することが望ましいであろう。予想外に、本明細書に開示されたパラ-アミノ-ベンジル単位及びペプチド単位を含む、これらの新規なパラ-アミノ-ベンジルリンカーは、上記言及された欠点に対処し、それらの使用により、下記実施例において実証されているように、低い凝集レベル、良好な安定性、望ましいレベルの薬物負荷及び予想される薬理学的活性を有するADCがもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、細菌トランスグルタミナーゼを使用した部位特異的抗体コンジュゲーション(LAR2)を示す。
図2図2は、抗体の4つの鎖間ジスルフィド架橋を使用したコンジュゲーションを示す。
図3図3は、フラグメント化を発生させる再架橋技術を使用したコンジュゲーションを示す。
【0008】
定義
「抗体」又は「Ab」という用語は、最も広い意味で使用され、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して、標的、例えばタンパク質、ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質又は前述のものの組み合わせを認識し、それに特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、ポリクローナルもしくはモノクローナル、多鎖もしくは一本鎖又はインタクトな免疫グロブリンであってよく、天然起源又は組み換え起源に由来するものでありうる。「インタクトな」抗体は、典型的には、ジスルフィド結合により相互に結合した、少なくとも2つの重鎖(H)及び2つの軽鎖(L)を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においては、VHと略す)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においては、VLと略す)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VH及びVL領域を、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域(フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在している)にさらに細分することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシル末端に、下記順序で配置された3つのCDR及び4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典補体系の第1成分(C1q)を含む、ホストの組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体又はキメラ抗体でありうる。抗体は、任意のアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスのものでありうる。抗体は、インタクトな抗体又はその抗原結合フラグメントでありうる。
【0009】
本明細書で使用する場合、「抗体フラグメント」又は「抗原結合フラグメント」又は「フラグメント」という用語は、抗原のエピトープと特異的に相互作用する(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布により)能力を保持する抗体の少なくとも1つの部分を指す。また、抗原結合フラグメントは、抗原発現細胞に内部移行する能力を保持することもある。一部の実施態様では、抗原結合フラグメントは、免疫エフェクター活性も保持する。抗体、抗体フラグメント、抗原結合フラグメント等の用語は、より大きな高分子、例えばADCの文脈における、抗体由来の結合ドメインの使用を包含することが意図される。全長抗体のフラグメントは、全長抗体の抗原結合機能を果たすことができることが示されている。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、scFv抗体フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント、線状抗体、一本鎖ドメイン抗体、例えばsdAb(VL又はVHのいずれか)、ラクダ科VHHドメイン、抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体(例えば、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント)並びに抗体の単離されたCDR又は他のエピトープ結合フラグメントを含むが、これらに限定されない。また、抗原結合フラグメントを、一本鎖ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、ディアボディ、トリアボディ、テトラボディ、二重特異性又は多重特異性抗体構築物、ADC、v-NAR及びビス-scFvに組み込むこともできる(例えば、Holliger and Hudson Nat. Biotechnol. 2005, 23, 1126-1136を参照のこと)。また、抗原結合フラグメントを、フィブロネクチンIII型(Fn3)等のポリペプチドに基づく足場にグラフト化することもできる(US第6,703,199号を参照のこと。同文献には、フィブロネクチンポリペプチドミニボディが記載されている)。
【0010】
「scFv」という用語は、軽鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗原結合フラグメントと、重鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗原結合フラグメントとを含む融合タンパク質を指し、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、連続的に連結されていて(例えば合成リンカー(例えば、短い柔軟なポリペプチドリンカー)を介して)、一本鎖ポリペプチドとして発現可能であり、scFvは、それが由来するインタクトな抗体の特異性を保持する。特に断りない限り、scFvは、例えば、ポリペプチドのN末端及びC末端に関して、VL可変領域及びVH可変領域をいずれの順序でも有することができ、scFvは、VL-リンカー-VHを含むことができ、又はVH-リンカー-VLを含むことができる。抗原結合フラグメントは、当業者に公知の従来の技術を使用して得られ、結合フラグメントは、インタクトな抗体と同じ様式で、有用性(例えば、結合親和性、内部移行)についてスクリーニングされる。抗原結合フラグメントを、例えばインタクトなタンパク質の開裂、例えば、プロテアーゼ又は化学的開裂により調製することができる。
【0011】
本明細書で使用する場合、「薬物」又は「作用薬」又は「治療薬(therapeutic drug)」又は「治療作用薬(therapeutic agent)」という用語は、生物学的プロセスを調節可能であり、かつ/又は生物活性を有する、化合物、化合物の混合物、生体高分子、生体材料から作製された抽出物又はそれらの2つ以上の組み合わせを指す。特に、「薬物」という用語は、「化学療法作用薬」又は「抗ガン薬」を表わしうる。
【0012】
「化学療法作用薬」又は「抗ガン薬」という用語は、本明細書において、(作用機序にかかわらず)ガンの処置に有効な全ての作用薬を指すのに使用される。転移又は血管新生の阻害は、化学療法作用薬の特性であることが多い。化学療法作用薬は、抗体、生体分子及び小分子を含む。化学療法作用薬は、細胞傷害性作用薬又は細胞増殖抑制作用薬でありうる。化学療法作用薬の例は、モノメチルアウリスタチンE、アウリスタチンE、SN-38、ドキソルビシン等を含むが、これらに限定されない。
【0013】
「細胞増殖抑制作用薬」という用語は、細胞増殖(cell growth)及び/又は細胞の増加(multiplication of cell)を阻害し又は抑制する作用薬を指す。
【0014】
「細胞傷害性作用薬」という用語は、主に、細胞の発現活性及び/又は機能を妨害することにより、細胞死を引き起こす物質を指す。
【0015】
本明細書で使用する場合、「ハロ(C~C)アルキル」という用語は、1つ以上のハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素により置換されている(C~C)アルキル基を意味し、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチルエチル、2,2,2-トリクロロエチル、3-フルオロプロピル、4-フルオロブチル、クロロメチル、トリクロロメチル、ヨードメチル及びブロモメチルを含むが、これらに限定されない。
【0016】
「保護基」という用語は、特定の官能基を、化合物上の他の官能基を反応させる間封鎖(block)又は保護するのに一般的に利用される置換基を指す。例えば、「アミノ保護基」は、化合物中のアミノ官能基を封鎖又は保護する、アミノ基に結合した置換基である。適切なアミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含む。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能基を封鎖又は保護する、ヒドロキシ基の置換基を指す。適切なヒドロキシ保護基は、アセチル、ベンジル、ベンゾイル、テトラヒドロピラニル及びトリアルキルシリルを含む。また、「カルボニル保護基」は、カルボニル官能基を封鎖又は保護する、カルボニル基の置換基を指す。適切なカルボニル保護基は、アセタール、アシラール及びジチアンを含む。同様に、「カルボキシル保護基」は、カルボキシル官能基を封鎖又は保護する、カルボキシル基の置換基を指す。適切なカルボキシル保護基は、メチルエステル、ベンジルエステル、tert-ブチルエステル、シリルエステル及びオルトエステルを含む。保護基及びその使用の一般的な説明については、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照のこと。
【0017】
本明細書で使用する場合、「部分」という用語は、分子又は化合物の特定のセグメント、フラグメント又は官能基を意味する。化学部分は、分子、化合物又は化学式に埋め込まれるか又は付加される化学的実体(chemical entities)(すなわち、置換基又は可変基)として示される場合がある。
【0018】
本明細書で使用する場合、「架橋スペーサ」という用語は、共有結合して一緒になり、二価のペプチドA-Aを反応性基に連結する二価の部分を形成する、1つ以上のリンカー成分を指す。特定の実施態様では、「架橋スペーサ」は、A基のN末端にアミド結合を介して結合したカルボニル基を含む。特定の実施態様では、「架橋スペーサ」は、A基のカルボニル基にアミド結合を介して結合したアミノ基を含む。一部の実施態様では、架橋スペーサは、ポリオキシエチレン(PEG)基を含む。他の実施態様では、架橋スペーサは、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル又はオクタノイル基を含む。一部の実施態様では、架橋スペーサは、ヘキサノイル基(すなわち、-CO-(CH-基)を含む。好ましい実施態様では、架橋スペーサは、-CO-CH-CH-PEG1-、-CO-CH-PEG3-又は-NH-CH-CH-PEG1-を含んでいてよい。
【0019】
本明細書で使用する場合、「ポリオキシエチレン」、「ポリエチレングリコール」又は「PEG」という用語は、(OCHCH)基から構成される直鎖、分枝鎖又は星形の構造(configuration)を指す。特定の実施態様では、ポリオキシエチレン又はPEG基は、-(OCHCH**(式中、tは、1~20であり、「」は、A-A基に向かう末端を示し、「**」は、反応性基への結合点を示す)である。一部の実施態様では、架橋スペーサは、-(OCHCH**(式中、tは、1~20であり、「」は-(CH-C(O)-基(式中、カルボニル基はA基のN末端に結合しており、nは、1~5である)への結合点を示し、「**」は、反応性基への結合点を示す)であるPEG基を含む。一部の実施態様では、架橋スペーサは、-(OCHCH**(式中、tは、1~20であり、「」は、-(CH-NH基(式中、アミノ基はA基のカルボニル基に結合しており、nは、1~5である)への結合点を示し、「**」は、反応性基への結合点を示す)であるPEG基を含む。例えば、本明細書で使用する場合、「PEG3」という用語は、tが3であることを意味する。
【0020】
本明細書で使用する場合、「反応性基」という用語は、抗体又は抗体フラグメントの官能基と共有結合を形成可能な官能基である。一部の実施態様では、反応性基は、チオール、マレイミド、ジブロモマレイミド、ハロアセトアミド、アジド、アルキン、シクロオクテン、トリアリールホスフィン、オキサノボルナジエン(oxanobornadiene)、シクロオクチン、ジアリールテトラジン、モノアリールテトラジン、ノルボルネン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、NH-NH-C(=O)-、ケトン、ビニルスルホン、アジリジン、アミノ、アミノ酸残基…から選択されるが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、反応基性は、マレイミド基、ジブロモマレイミド基、チオール基、シクロオクチン基又はアジド基、より好ましくは、マレイミド基、ジブロモマレイミド基又はアジド基から選択される。例えば、マレイミド又はジブロモマレイミド基はそれぞれ、下記:
【化1】

の構造を有していてもよい。
【0021】
例えば、アジド基は、構造:-N=N=Nを有していてもよい。
【0022】
本明細書で使用する場合、「結合基」という用語は、架橋スペーサを抗体又はそのフラグメントに連結する、二価又は三価の部分を指す。結合基は、反応性基と、抗体又はそのフラグメント上の官能基との間の反応により形成される、二価又は三価の部分である。一部の実施態様では、結合基の形成のための反応性基は、チオール、マレイミド、ジブロモマレイミド、ハロアセトアミド、アジド、アルキン、シクロオクテン、トリアリールホスフィン、オキサノボルナジエン、シクロオクチン、ジアリールテトラジン、モノアリールテトラジン、ノルボルネン、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、NH-NH-C(=O)-、ケトン、ビニルスルホン、アジリジン、アミノ、アミノ酸残基…から選択されるが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、結合基の形成のための反応基は、マレイミド基、ジブロモマレイミド基、チオール基、シクロオクチン基又はアジド基、より好ましくは、マレイミド基、ジブロモマレイミド基又はアジド基から選択される。
【0023】
本明細書で使用する場合、「スペーサユニット前駆体」又は「スペーサユニット前駆体Z’」又は「Z’」という用語は、架橋スペーサ及び反応性基を含む成分を指す。
【0024】
本明細書で使用する場合、「スペーサユニット」又は「スペーサユニットZ」又は「Z」という用語は、架橋スペーサ及び結合基を含む成分を指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、「コンジュゲート」又は「抗体-薬物コンジュゲート」又は「ADC」又は「免疫コンジュゲート」という用語は、式(I)で示されるパラ-アミノ-ベンジルリンカーを介して、薬物部分に共有結合している抗体を指す。一実施態様では、スペーサユニットZがアミド基を介して抗体Abに結合している、式(III)で示される抗体-薬物コンジュゲートを、抗体Ab上の遊離アミン官能基を、活性エステルを含有するスペーサユニットZの前駆体と反応させることにより調製することができる。例えば、スペーサユニット前駆体Z’上のカルボキシル基を、N-ヒドロキシスクシンイミドと反応させることにより活性化し、次いでAb-NHと反応させて、Ab及びZがアミド基を介して結合しているコンジュゲートを形成してもよい。天然又は化学的操作のいずれかにより抗体上にある、スペーサユニットZに連結させるための有用な官能基は、スルフヒドリル(-SH)、アミノ、ヒドロキシル、炭水化物のアノマーヒドロキシル基及びカルボキシルを含むが、これらに限定されない。一実施態様では、抗体上の反応性官能基は、スルフヒドリル及びアミノである。スルフヒドリル基は、抗体の分子内システインジスルフィド結合の還元により生じさせることができる。代替的には、2-イミノチオラン(Traut試薬)又は別のスルフヒドリル生成試薬を使用する、抗体のリシン部分のアミノ基の反応により、スルフヒドリル基を生じさせることができる。別の実施態様では、スペーサユニットZは、抗体の硫黄原子と、スペーサユニットZの硫黄原子との間のジスルフィド結合を介して、抗体Abに連結される。さらに別の実施態様では、スペーサユニットZの反応性基は、抗体の第一級又は第二級アミノ基との結合を形成することができる反応性部位を含有する。これらの反応性部位の例は、活性化されたエステル、例えば、スクシンイミドエステル、4-ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、無水物、酸クロリド、塩化スルホニル、イソシアナート及びイソチオシアナートを含むが、これらに限定されない。さらに別の実施態様では、スペーサユニットZの反応性基は、グリコシル化抗体の糖(炭水化物)上のアルデヒド、アセタール又はケタール基と反応する。例えば、炭水化物を、過ヨウ素酸ナトリウム等の試薬を使用して穏やかに酸化させ、酸化された炭水化物の得られた(-CHO)単位を、ヒドラジド、オキシム、第一級又は第二級アミン、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシラート及びアリールヒドラジド(例えば、Kaneko et al. Bioconjugate Chem. 1991, 2, 133-141に記載されたもの)等の官能基を含有するスペーサユニットと縮合させることができる。
【0026】
ADCの生成は、当業者に公知の技術により達成することができる。例示的な実施態様では、本発明は、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物を、反応性のスルフヒドリル、アミノ又はカルボキシル部分を有する抗体(又はそのフラグメント)と、適切な条件下で接触させて、反応性部分と、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物のスペーサユニット前駆体Z’部分との縮合を起こさせる(Z’は、前記接触により生じるZに変換される)ことにより調製される、式(III)で示されるADCを提供する。
【0027】
一部の実施態様では、式(III)で示されるADCは、A-A基のN末端を抗体に結合させる二価の部分であるスペーサユニットZを包含する。一部の実施態様では、式(III)で示されるADCは、A-A基のカルボニル基を抗体に結合させる二価の部分であるスペーサユニットZを包含する。
【0028】
スペーサユニットZは、抗体についている(pending from)官能基、例えば、アミン(例えば、Lys残基からの-NH)、カルボキシル(Asp又はGlu残基からの-COOH)又はスルフヒドリル(例えば、Cys残基からの-SH)に共有結合している。これらは、アミド又はチオエーテル又はジスルフィド基を形成する。スペーサユニット前駆体Z’が抗体のスルフヒドリル官能基(例えば、Cys含有ペプチド又は還元抗体)と反応してチオエーテル結合を形成している、本発明の抗体-薬物コンジュゲートは、下記式:
【化2】

[式中、Abは、抗体又はその抗原結合フラグメントである]
で表わされるものを含む。他の実施態様では、スペーサユニット前駆体Z’が抗体の2つのスルフヒドリル官能基と反応して2つのチオエーテル結合を形成している、本発明の抗体-薬物コンジュゲートは、下記式:
【化3】

[式中、Abは、抗体又はその抗原結合フラグメントである]
で表わされるものを含む。
【0029】
一部の実施態様では、抗体又は抗原結合フラグメントは、リンカー-薬物中間体と反応性である官能基を調製するように官能化される。一部の実施態様では、抗体又は抗原結合フラグメントは、細菌トランスグルタミナーゼ(BTG)を使用して調製され、アミン含有シクロオクチンであるBCN(N-[(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン-9-イルメチルオキシカルボニル]-1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン)部分で特異的に官能化された反応性グルタミンである。一部の実施態様では、スペーサユニット前駆体Z’が抗体のグルタミン官能基と反応してアミド結合を形成している、本発明のADCは、下記式:
【化4】

[式中、Abは、抗体又はその抗原結合フラグメントである]
で表わされるものを含む。
【0030】
「薬物負荷」という用語は、pで表わされ、本明細書においては、薬物対抗体比(DAR又は薬物:抗体比)とも呼ばれる。薬物負荷は、抗体又は抗原結合フラグメント当たり、薬物部分1~8個の範囲でありうる。一部の実施態様では、より高い薬物負荷(例えば、p>8)では、特定の抗体-薬物コンジュゲートの凝集、不溶性、毒性又は細胞透過性の喪失を引き起こすおそれがある。また、より高い薬物負荷は、特定のADCの薬物動態(例えば、クリアランス)に悪影響を及ぼすおそれがある。一部の実施態様では、より低い薬物負荷(例えば、p<2)では、標的発現細胞に対する特定のADCの効力を低下させるおそれがある。一部の実施態様では、pは、2~8の整数である。一部の実施態様では、pは、2であるか又はpは、4であるか又はpは、8である。
【0031】
ADCの薬物負荷は、種々の方法で、例えば、抗体に対する薬物-リンカー中間体又はリンカー試薬のモル過剰を制限することにより、又はコンジュゲーション反応の時間もしくは温度を制限することにより制御することができるが、これらに限定されない。
【0032】
一部の実施態様では、コンジュゲーション反応により生じるADCの混合物中の薬物負荷は、抗体又は抗原結合フラグメント当たり、結合した薬物部分1~8個の範囲である。抗体又は抗原結合フラグメント当たりの薬物部分の平均数(すなわち、平均薬物負荷又は平均p)を、当技術分野において公知の任意の従来の方法により、例えば、質量分光法(例えば、液体クロマトグラフィー-質量分光法(LC-MS))及び/又は高速液体クロマトグラフィー(例えば、HIC-HPLC)により計算することができる。一部の実施態様では、抗体又は抗原結合フラグメント当たりの薬物部分の平均数は、約1.5~約2.5、又は約7.0~約8である。一部の実施態様では、抗体又は抗原結合フラグメント当たりの薬物部分の平均数は、約2である。一部の実施態様では、抗体又は抗原結合フラグメント当たりの薬物部分の平均数は、2である。一部の実施態様では、抗体又は抗原結合フラグメント当たりの薬物部分の平均数は、約4である。一部の実施態様では、抗体又は抗原結合フラグメント当たりの薬物部分の平均数は、4である。一部の実施態様では、抗体又は抗原結合フラグメント当たりの薬物部分の平均数は、約8である。一部の実施態様では、抗体又は抗原結合フラグメント当たりの薬物部分の平均数は、8である。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明の第1の態様によれば、式(I):
【化5】

[式中、
・Rは、ヒドロキシ基又はハロゲン原子を表わし、
・Rは、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(OH)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(OH)基又は直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(O)基を表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基、下記:
【化6】

の基、下記:
【化7】

の基又は下記:
【化8】

の基
を表わし、
・R及びRは、それぞれ独立して、アミノ酸の側鎖を表わし、
・Xは、水素原子、ヒドロキシ基又は保護基を表わし、
・Mは、薬学的に許容され得る一価のカチオンを表わす]
で示されるパラアミノ-ベンジルリンカー化合物が提供される。
【0034】
好ましい実施態様では、Rは、ヒドロキシ基、臭素原子、塩素原子又はヨウ素原子を表わす。より好ましくは、Rは、ヒドロキシ基、塩素原子又はヨウ素原子を表わす。さらにより好ましくは、Rは、ヒドロキシ基を表わす。
【0035】
好ましくは、Rは、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、-CH-S(O)(OH)基、-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-S(O)(OH)基、-CH-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-CH-S(O)(OH)基又は-CH-CH-CH-S(O)(O)基を表わす。Mの例は、Li、Na又はKを含む。好ましい実施態様では、Mは、Naを表わす。
【0036】
特定の実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わし、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、R及びRは、それぞれ独立して、アミノ酸の側鎖を表わす)を表わす。側鎖を有する炭素は、D又はL(R又はS)配置のいずれであってもよい。好ましくは、側鎖を有する炭素は、L配置である。特定の実施態様では、R及びRは、それぞれ独立して、水素、メチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、フェニル、ベンジル、p-ヒドロキシベンジル、-CHOH、-CHSH、-CHSeH、-CHCHOH、-CHCHSH、-CH(OH)CH、-CHSCH、-CHCHSCH、-CHCONH、-CHCOOH、-CHCHCONH、-CHCHCOOH、-(CHNHC(=NH)NH、-(CHNH、-(CHNHCOCH、-(CHNHCHO、-(CHNHC(=NH)NH、-(CHNH、-(CHNHCO-(3-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピロール-2-イル)、-(CHNHCO-(3,4-ジヒドロ-2H-ピロール-2-イル)、-(CHNHCOCH、-(CHNHCHO、-(CHNHCONH、-(CHNHCONH、-CHCHCH(OH)CHNH、4-イミダゾリルメチル、3-インドリルメチル・・・を表わすが、これらに限定されない。
【0037】
好ましい実施態様では、A-A基は、2個のアミノ酸単位を含有するジペプチドを形成し、前記アミノ酸単位は、天然及び非天然アミノ酸、好ましくは、天然アミノ酸から選択される。前記アミノ酸単位は、アラニン(Ala)、システイン(Cys)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、フェニルアラニン(Phe)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、リシン(Lys)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、アスパラギン(Asn)、プロリン(Pro)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、バリン(Val)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、シトルリン(Cit)、ノルバリン(Nva)、ノルロイシン(Nle)、セレノシステイン(Sec)、ピロリシン(Pyl)、ホモセリン、ホモシステイン及びデスメチルピロリシンであることができる。
【0038】
一実施態様では、Aがプロリン(Pro)アミノ酸単位を表わす場合、Aは、下記式:
【化9】

[式中、カルボニル基は、パラ-アミノ-ベンジル部分のアミノ基に結合しており、波線は、A基のカルボニル基への共有結合部位を示す]
により定義される。
【0039】
一実施態様では、Aがプロリン(Pro)アミノ酸単位を表わす場合、Aは、下記式:
【化10】

[式中、カルボニル基は、A基のアミノ基に結合しており、波線は、本発明で定義されたX基、Z’基又はZ基への共有結合部位を示す]
により定義される。
【0040】
特定の実施態様では、A-A基は、Val-Cit;Cit-Val;Ala-Ala;Ala-Cit;Cit-Ala;Asn-Cit;Cit-Asn;Cit-Cit;Val-Glu;Glu-Val;Ser-Cit;Cit-Ser;Lys-Cit;Cit-Lys;Asp-Cit;Cit-Asp;Ala-Val;Val-Ala;Phe-Ala;Ala-Phe;Phe-Lys;Lys-Phe;Val-Lys;Lys-Val;Ala-Lys;Lys-Ala;Phe-Cit;Cit-Phe;Leu-Cit;Cit-Leu;Ile-Cit;Cit-Ile;Phe-Arg;Arg-Phe;Cit-Trp;Trp-Citを表わすことができる。好ましい実施態様では、A-A基は、Cit-Val又はAla-Valを表わす。
【0041】
好ましくは、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基又はメチル基を表わす)を表わす。
【0042】
有利には、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、イソプロピル基を表わす)、下記:
【化11】

の基、下記:
【化12】

の基又は下記:
【化13】

の基
を表わす。
【0043】
好ましい実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基又はメチル基を表わす)を表わし、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、イソプロピル基を表わす)を表わす。
【0044】
別の好ましい実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基を表わす)を表わし、Aは、下記:
【化14】

の基又は下記:
【化15】

の基
を表わす。
【0045】
一実施態様では、Xは、水素原子又は保護基を表わす。好ましくは、Xは、水素原子、又はアミノ官能基、カルボニル官能基もしくはカルボキシル官能基の保護基を表わす。より好ましくは、Xは、水素原子又はFmoc、BocもしくはCBzから選択される保護基を表わす。さらにより好ましくは、Xは、Fmoc保護基を表わす。
【0046】
式(I)で示される好ましいパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物は、以下のもの:
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート、
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート、
- 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸、
- ナトリウム [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]メタンスルホナート、
- 2-(クロロメチル)-5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]ベンゼンスルホン酸、
- 2-(クロロメチル)-5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]ベンゼンスルホン酸、
- 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヨードメチル)ベンゼンスルホン酸、
- ナトリウム N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(2-スルホナトエチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、
- N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(3-スルホプロピル)フェニル]-L-オルニチンアミド
である
【0047】
また、本発明は、式(I)で示されるパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物の調製方法に関する。この方法は、出発物質として、式(IV):
【化16】

[式中、R及びRは、式(I)について定義されたとおりである]
で示される化合物を使用し、
これを還元反応に供して、式(V):
【化17】

[式中、R及びRは、本明細書において先で定義されたとおりである]
で示される化合物を生成し、
式(V)で示される化合物を式(VI):
HO-A-P (VI)
[式中、Pは、アミノ保護基であり、Aは、式(I)において定義されたとおりである]
で示される化合物とのカップリングにさらに供して、式(VII)
【化18】

[式中、A、P、R及びRは、本明細書において先で定義されたとおりである]
で示される化合物を生成し、
式(VII)で示される化合物を式(VIII):
HO-A-X (VIII)
[式中、X及びAは、式(I)において定義されたとおりである]
で示される化合物とのカップリングにさらに供して、式(I)で示されるパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物を生成することを特徴とする。
【0048】
式(I)で示されるパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物を調製するための別の方法は、出発物質として、式(IV)で示される化合物から得られる式(V)で示される化合物を使用し、これを式(IX):
HO-A-A-X (IX)
[式中、A、A及びXは、式(I)において定義されたとおりである]
で示される化合物とのカップリングに供して、式(I)で示されるパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物を生成することを特徴とする。
【0049】
一実施態様では、上記言及された方法の最後で得られる、式(I)で示されるパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物を、従来の分離技術に従ってさらに精製することができる。この化合物は、必要に応じて、薬学的に許容され得る酸又は塩基とのそれらの付加塩に変換され、従来の分離技術に従ってそれらの異性体に分離することができ、上記された方法の過程の間の適切と考えられる任意の時点で、出発試薬又は合成中間体の何らかの基(ヒドロキシ、アミノ...)を、合成で必要とされるように、保護し、次いで脱保護し、官能化することができると理解される。式(IV)、(VI)、(VIII)及び(IX)で示される化合物は、市販されているか、又は文献に記載されている従来の化学反応を使用して当業者により得ることができるかのいずれかである。
【0050】
また、本発明は、抗体-薬物コンジュゲートの調製における、式(I)で示されるパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物の使用に関する。とりわけ、本発明は、抗体-薬物コンジュゲートの調製における、以下のもの:
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート、
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート、
- 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸、
- ナトリウム [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]メタンスルホナート、
- 2-(クロロメチル)-5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]ベンゼンスルホン酸又は
- 2-(クロロメチル)-5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]ベンゼンスルホン酸、
- 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヨードメチル)ベンゼンスルホン酸、
- ナトリウム N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(2-スルホナトエチル)フェニル]-L-オルニチンアミド、又は
- N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(3-スルホプロピル)フェニル]-L-オルニチンアミド
から選択される、式(I)で示されるパラ-アミノ-ベンジルリンカー化合物の使用に関する。
【0051】
第2の態様では、本発明は、式(II):
【化19】

[式中、
・Dは、薬物部分を表わし、
・Tは、結合、-O-C(O)-N(CH)-CH-CH-N(CH)-C(O)-、-O-、-NR、-NR-C(O)-又は-O-C(O)-は、Dへの結合点を示す)であり、
・Rは、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(OH)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(OH)基又は直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(O)基を表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基、下記:
【化20】

の基、下記:
【化21】

の基又は下記:
【化22】

の基
を表わし、
・R及びRは、それぞれ独立して、アミノ酸の側鎖を表わし、
・Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表わし、
・Z’は、スペーサユニット前駆体を表わし、
・Mは、薬学的に許容され得る一価のカチオンを表わす]
で示されるリンカー-薬物化合物を提供する。
【0052】
本発明の第2の態様における一実施態様では、Dは、窒素原子又は酸素原子を含む薬物部分であり、Dは、薬物部分の前記窒素原子又は酸素原子を介して、Tに直接結合している。一部の実施態様では、Dは、第四級化された第三級アミン含有薬物部分である。特定の実施態様では、Dは、モノメチルアウリスタチンE(IUPAC名:(S)-N-((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)-N,3-ジメチル-2-((S)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタンアミド)ブタンアミド又はMMAE)、アウリスタチンE(IUPAC名:(2S)-2-[[(2S)-2-(ジメチルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-N-[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-N,3-ジメチル-ブタンアミド)、SN-38(IUPAC名:(4S)-4,11-ジエチル-4,9-ジヒドロキシ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,14(4H,12H)-ジオン)又はドキソルビシン(IUPAC名:(1S,3S)-3,5,12-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシアセチル)-10-メトキシ-6,11-ジオキソ-1,2,3,4,6,11-ヘキサヒドロテトラセン-1-イル 3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシド)である。
【0053】
好ましくは、Tは、結合又は-O-C(O)-は、Dへの結合点を示す)である。一部の実施態様では、Tが、結合である場合、Dは、第四級化された第三級アミン含有薬物部分である。
【0054】
好ましくは、本発明の第2の態様では、Rは、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、-CH-S(O)(OH)基、-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-S(O)(OH)基、-CH-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-CH-S(O)(OH)基又は-CH-CH-CH-S(O)(O)基を表わす。本発明の第2の態様の好ましい実施態様では、Mは、Naを表わす。
【0055】
有利には、本発明の第2の態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基又はメチル基を表わす)を表わす。
【0056】
本発明の第2の態様の好ましい実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、イソプロピル基を表わす)、下記:
【化23】

の基、下記:
【化24】

の基又は下記:
【化25】

の基
を表わす。
【0057】
本発明の第2の態様の別の好ましい実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基を表わす)を表わし、Aは、下記:
【化26】

の基又は下記:
【化27】

の基
を表わす。
【0058】
本発明の第2の態様の別の好ましい実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わし、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わす(式中、R及びRは、それぞれ独立して、アミノ酸の側鎖を表わす)。特に、R及びRが、アミノ酸の側鎖を表わす場合、側鎖を有する炭素は、L配置である。好ましい実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基又はメチル基を表わす)を表わし、Aは、-C(O)-CH(R)-NH基(式中、Rは、イソプロピル基を表わす)を表わす。好ましくは、本発明の第2の態様では、A-A基は、Cit-Val又はAla-Valを表わす。
【0059】
好ましくは、スペーサユニット前駆体Z’は、下記のもの:
【化28】

[式中、波線は、A基のN末端又はカルボニル基への共有結合部位を示す]
から選択される。
【0060】
式(II)で示される好ましいリンカー-薬物化合物は、下記のもの:
【化29】



[式中、R及びDは、本明細書において先で定義されたとおりである]
から選択される。
【0061】
式(II)で示されるより好ましいリンカー-薬物化合物は、下記のもの:
【化30】


[式中、R及びDは、本明細書において先で定義されたとおりである]
から選択される。
【0062】
好ましい実施態様では、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物は、下記のもの:
【化31】




[式中、Dは、本明細書において先で定義されたとおりである]
から選択される。
【0063】
特定の実施態様では、式(II)で示される好ましいリンカー-薬物化合物は、以下のもの:
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート、
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート、
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[[2-[2-[2-(2-アジドエトキシ)エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート、
- 5-[[(2S)-2-[[1-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]シクロブタンカルボニル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、
- ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート、
- 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、
- 5-[[(2S)-2-[[3-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]オキセタン-3-カルボニル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、
- [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]メタンスルホン酸、
- [4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-スルホ-フェニル]メチル-[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-ジメチル-アンモニウム;2,2,2-トリフルオロアセタート、
- N-({[4-({N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-バリル-L-アラニル}アミノ)-2-スルホフェニル]メトキシ}カルボニル)-N-メチル-L-バリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド、
- N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-バリル-N-カルバモイル-N-(4-{[({[(4S)-4,11-ジエチル-9-ヒドロキシ-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル]オキシ}カルボニル)オキシ]メチル}-3-スルホフェニル)-L-オルニチンアミド、
- (1S,3S)-3,5,12-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシアセチル)-10-メトキシ-6,11-ジオキソ-1,2,3,4,6,11-ヘキサヒドロテトラセン-1-イル 2,3,6-トリデオキシ-3-[({[4-({N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-バリル-N-カルバモイル-L-オルニチル}アミノ)-2-スルホフェニル]メトキシ}カルボニル)アミノ]-α-L-リキソ-ヘキソピラノシド、
- N-{3-[2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイル}-L-バリル-N-{4-[(5S,8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-5,8-ジ(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカン-1-イル]-3-(2-スルホエチル)フェニル}-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド、
- 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(3,4-ジブロモ-2,5-ジオキソ-ピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸
である。
【0064】
また、本発明は、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物を調製するための方法に関する。この方法は、出発物質として、式(I):
【化32】

[式中、R、R、A、A及びXは、本明細書において先で定義されたとおりである]
で示される化合物を使用し、
ついで、これを修飾して、式(X):
【化33】

[式中、A、A、D、R、T及びXは、式(II)において定義されたとおりである]
で示される化合物を生成し、
式(X)で示される化合物を、保護基Xを除去した後、式(XI):
HO-Z’ (XI)
[式中、Z’は、式(II)において定義されたとおりである]
で示される化合物とのカップリングにさらに供して、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物を生成することを特徴とする。
【0065】
式(II)で示されるリンカー-薬物化合物を調製するための別の方法は、出発物質として、式(IV)で示される化合物から2工程で得られる式(VII)で示される化合物を使用し、これを基D-Tとのカップリングに供して、式(XII):
【化34】

[式中、A、D、P、R及びTは、本明細書において先で定義されたとおりである]
で示される化合物を生成し、
式(XII)で示される化合物を、式(XIII):
HO-A-Z’ (XIII)
[式中、Z及びAは、式(I)において定義されたとおりである]
で示される化合物とのカップリングにさらに供して、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物を生成することを特徴とする。
【0066】
一実施態様では、上記言及された方法の最後で得られる、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物を、従来の分離技術に従ってさらに精製することができる。この化合物は、必要に応じて、薬学的に許容され得る酸又は塩基とのそれらの付加塩に変換され、従来の分離技術に従ってそれらの異性体に分離することができ、上記された方法の過程の間の適切と考えられる任意の時点で、出発試薬又は合成中間体の何らかの基(ヒドロキシ、アミノ...)を、合成で必要とされるように、保護し、次いで脱保護し、官能化することができると理解される。式(IV)、(XI)及び(XIII)で示される化合物は、市販されているか、又は文献に記載されている従来の化学反応を使用して当業者により得ることができるかのいずれかである。
【0067】
また、本発明は、抗体-薬物コンジュゲートの調製における、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物の使用に関する。
【0068】
本発明の第3の態様では、式(III):
【化35】

[式中、
・Abは、抗体又はその抗原結合フラグメントを表わし、
・Dは、薬物部分であり、
・Tは、結合、-O-C(O)-N(CH)-CH-CH-N(CH)-C(O)-、-O-、-NR、-NR-C(O)-又は-O-C(O)-は、Dへの結合点を示す)であり、
・Zは、スペーサユニットを表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わし、
・Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基、下記:
【化36】

の基、下記:
【化37】

の基又は下記:
【化38】

の基
を表わし、
・Rは、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(OH)基、直鎖もしくは分岐鎖-(C~C)アルキル-S(O)(O)基、直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(OH)基又は直鎖もしくは分岐鎖-ハロ(C~C)アルキル-S(O)(O)基を表わし、
・R及びRは、それぞれ独立して、アミノ酸の側鎖を表わし、
・Rは、(C~C)アルキル基を表わし、
・Mは、薬学的に許容され得る一価のカチオンを表わし、
・pは、1~8の整数である]
で示される抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が提供される。
【0069】
本発明の第3の態様における一実施態様では、Dは、窒素原子又は酸素原子を含む薬物部分であり、Dは、薬物部分の前記窒素原子又は酸素原子を介して、Tに直接結合している。本発明の第3の態様における一部の実施態様では、Dは、第四級化された第三級アミン含有薬物部分である。本発明の第3の態様における特定の実施態様では、Dは、モノメチルアウリスタチンE(IUPAC名:(S)-N-((3R,4S,5S)-1-((S)-2-((1R,2R)-3-(((1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル)ピロリジン-1-イル)-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル)-N,3-ジメチル-2-((S)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタンアミド)ブタンアミド又はMMAE)、アウリスタチンE(IUPAC名:(2S)-2-[[(2S)-2-(ジメチルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-N-[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-N,3-ジメチル-ブタンアミド)、SN-38(IUPAC名:(4S)-4,11-ジエチル-4,9-ジヒドロキシ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,14(4H,12H)-ジオン)又はドキソルビシン(IUPAC名:(1S,3S)-3,5,12-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシアセチル)-10-メトキシ-6,11-ジオキソ-1,2,3,4,6,11-ヘキサヒドロテトラセン-1-イル 3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシド)である。
【0070】
好ましくは、本発明の第3の態様では、Tは、結合又は-O-C(O)-は、Dへの結合点を示す)である。本発明の第3の態様における一部の実施態様では、Tが、結合である場合、Dは、第四級化された第三級アミン含有薬物部分である。
【0071】
好ましくは、本発明の第3の態様では、Rは、-S(O)(OH)基、-S(O)(O)基、-CH-S(O)(OH)基、-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-S(O)(OH)基、-CH-CH-S(O)(O)基、-CH-CH-CH-S(O)(OH)基又は-CH-CH-CH-S(O)(O)基を表わす。本発明の第3の態様の好ましい実施態様では、Mは、Naを表わす。
【0072】
有利には、本発明の第3の態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基又はメチル基を表わす)を表わす。
【0073】
本発明の第3の態様の好ましい実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、イソプロピル基を表わす)、下記:
【化39】

の基、下記:
【化40】

の基又は下記:
【化41】

の基
を表わす。
【0074】
本発明の第3の態様の別の好ましい実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基を表わす)を表わし、Aは、下記:
【化42】

の基又は下記:
【化43】

の基
を表わす。
【0075】
本発明の第3の態様の別の好ましい実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わし、Aは、-C(O)-CH(R)-NH-基を表わす(式中、R及びRは、それぞれ独立して、アミノ酸の側鎖を表わす)。特に、R及びRが、アミノ酸の側鎖を表わす場合、側鎖を有する炭素は、L配置である。好ましい実施態様では、Aは、-C(O)-CH(R)-NH基(式中、Rは、-(CH-NH-CO-NH基又はメチル基を表わす)を表わし、Aは、-C(O)-CH(R)-NH基(式中、Rは、イソプロピル基を表わす)を表わす。好ましくは、本発明の第3の態様では、A-A基は、Cit-Val又はAla-Valを表わす。
【0076】
好ましい実施態様では、式(III)で示されるADCは、以下のもの:
【化44】



[式中、R及びDは、本明細書において先で定義されたとおりである]
から選択される、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物から形成される。
【0077】
より好ましくは、式(III)で示されるADCは、以下のもの:
【化45】


[式中、R及びDは、本明細書において先で定義されたとおりである]
から選択される、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物から形成される。
【0078】
好ましい実施態様では、式(III)で示されるADCは、以下のもの:
【化46】




[式中、Dは、本明細書において先で定義されたとおりである]
から選択される、式(II)で示されるリンカー-薬物化合物から形成される。
【0079】
特定の実施態様では、本発明は、式(III)で示される抗体-薬物コンジュゲートであって、下記式:
【化47】

の部分が、以下のもの:
【化48】



[式中、波線は、抗体への共有結合部位を示し、R及びDは、本明細書において先で定義されたとおりである]
から選択される式を含む、抗体-薬物コンジュゲートを提供する。
【0080】
好ましい実施態様では、本発明は、式(III)で示される抗体-薬物コンジュゲートであって、下記式:
【化49】

の部分が、以下のもの:
【化50】


[式中、波線は、抗体への共有結合部位を示し、R及びDは、本明細書において先で定義されたとおりである]
から選択される式を含む、抗体-薬物コンジュゲートを提供する。
【0081】
好ましい実施態様では、本発明は、式(III)で示される抗体-薬物コンジュゲートであって、下記式:
【化51】

の部分が、以下のもの:
【化52】




[式中、波線は、抗体への共有結合部位を示し、Dは、本明細書において先で定義されたとおりである]
から選択される式を含む、抗体-薬物コンジュゲートを提供する。
【0082】
本発明のADCは、処置を必要とするほ乳類、例えば、患者における疾患を処置するのに有用である。したがって、ADCの抗体が結合する抗原の発現に関連する障害、例えば、ガンの処置のための各種の状況において、ADCを使用することができる。ADCを、標的とする細胞に薬物を送達するのに使用することができる。理論に拘束されるものではないが、一実施態様では、ADCの抗体が、細胞表面抗原又はレセプターに結合し又はこれらと会合し、結合すると、抗原又はレセプターが媒介するエンドサイトーシス、又は他の内部移行機構を介して、ADCを前記細胞内に取り込ませる(内部移行させる)ことができる。抗原は、前記細胞に結合することができるか、又は前記細胞と会合した細胞外マトリックスタンパク質でありうる。一旦細胞内に入ると、リンカー系の成分に応じて、酵素的又は非酵素的に開裂可能な機構を介して、薬物が細胞内に放出される。別の実施態様では、薬物は前記細胞の近傍でADCから開裂され、その後、薬物は細胞に浸透する。
【0083】
本発明は、本明細書に記載されたADC組成物と、薬学的に許容され得る担体とを含む、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、ADCの抗体が結合する抗原の発現に関連する障害の処置のために、ADCを患者に投与することを可能にする任意の形態でありうる。特に、本発明は、少なくとも1種の式(III)で示される抗体-薬物コンジュゲートを、1種以上の薬学的に許容され得る賦形剤との組み合わせで含む、医薬組成物に関する。例えば、医薬組成物は、液体又は凍結乾燥固体の形態でありうる。本発明の医薬組成物の中でも、とりわけ、経口、非経口、経鼻、経皮又は経皮(per- or trans-cutaneous)、直腸、経舌、眼又は呼吸投与に適したものに言及することができる。好ましい投与経路は、非経口である。非経口投与は、皮下注射、静脈内、筋肉内及び胸骨内注射又は注入技術を含む。好ましい実施態様では、ADCを含む医薬組成物は、液体溶液の形態で、静脈内投与される。液体は、注射による送達に有用でありうる。注射による投与のための組成物に、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝化剤、安定剤、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、吸収剤及び等張剤のうちの1種以上を含ませることもできる。
【0084】
別の態様では、本発明は、処置を必要とするほ乳類の処置のための医薬調製物の製造のための、上記定義されたいずれかの抗体-薬物コンジュゲートの使用に関する。別の態様では、本発明は、処置を必要とするほ乳類の処置に使用するための、上記定義されたいずれかの抗体-薬物コンジュゲートに関する。また、本発明は、処置を必要とするほ乳類を処置する方法であって、治療上有効な用量で、ほ乳類に医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。
【0085】
本発明は、下記実施例によりさらに例示される。これらの実施例は、例示を目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0086】
略語
ACN アセトニトリル(又はCHCN)
BBS ホウ酸緩衝生理食塩水
DBCO ジベンゾシクロオクチン
DEA N,N-ジエチルアミン
DCM ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMA ジメチルアセトアミド
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド(又はN,N-ジメチルホルムアジド)
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC N-エチル-N’,N’-ジメチルアミノ-プロピルカルボジイミド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EEDQ N-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FA ギ酸
HATU 1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシド ヘキサフルオロホスファート
HBTU [ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ(ジメチルアミノ)メチレン]-ジメチルアンモニウム;ヘキサフルオロホスファート
HOAt 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
HOBt 1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール
MeOH メタノール
MMAE (2S)-N-[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタンアミド
NMP N-メチル-2-ピロリドン
PBS リン酸緩衝生食水
Pd-C 炭素担持パラジウム
rmp プロテインAの多点結合
r.t. 室温
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TSTU [ジメチルアミノ-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-メチレン]-ジメチルアンモニウム;テトラフルオロボラート
【0087】
材料及び方法/一般手法
商業的な供給元から得られた全ての試薬をさらに精製することなく使用した。無水溶媒を商業的な供給元から取得し、さらに乾燥させることなく使用した。フラッシュクロマトグラフィーを、プレパックシリカゲルカートリッジ(Macherey-Nagel Chromabond Flash)を用いて、CombiFlash(登録商標)Rf(Teledyne ISCO)で行った。薄層クロマトグラフィーを、Merck Type 60 F254シリカゲルで被覆された5×10cmプレートで行った。マイクロ波加熱をCEM Discover(登録商標)装置で行った。
【0088】
H-NMR測定を、溶媒としてDMSO-d6(dmso-d6又はDMSOとも記載される)又はCDClを使用して、400MHzのBruker Avance又は500MHzのAvance Neo分光計で行った。H NMRデータは、内部標準として溶媒の残留ピーク(DMSO-d6について2.50ppm及びCDClについて7.26ppm)を使用して、百万分率(ppm)で与えられるデルタ値の形式である。分割パターンは、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)、brs(ブロードシングレット)、dd(ダブレットのダブレット)、brm(ブロードマルチプレット)、td(ダブレットのトリプレット)、dt(トリプレットのダブレット)、br dd(ブロードなダブレットのダブレット)として指定される。
【0089】
IR測定を、ATR Golden Gate装置(SPECAC)を備えたBruker Tensor 27で行った。HRMS測定を、LTQ OrbiTrapVelos Pro質量分光計(ThermoFisher Scientific)で行った。試料をCHCN/HO(2/1:v/v)中におおよそ0.01~0.05mg/mLの濃度範囲で溶解させ、0.1mL/分の流量で、2μLの注入によりソースに導入した。
【0090】
ESIイオン化パラメータは、下記のとおりとした:3.5kV及び350℃の移動イオンキャピラリー。全てのスペクトルを、lock massを使用して、分解能30000又は60000の陽イオンモードで取得した。
【0091】
UPLC-MS
ダイオードアレイUV検出器「PDA」及び「ZQ detector 2」質量装置並びにMassLinksソフトウェアを備えたWaters Aquity A-class。
ZQ detector 2:0.15~6分及び100~2372DaのMSスキャン
PDA検出器:190~400nm
カラム:Acquity UPLC(登録商標)BEHカラムC18、1.7μm、130Å、2.1×50mm
カラムを40℃、流量0.6mL/分で使用
溶媒A:水+0.02% TFA、溶媒B:アセトニトリル+0.02% TFA
2% Bから100% Bへの5分間での勾配、ついで、100% Bで0.3分間の洗浄及び次の注入のために、2% Bで0.5分間の平衡化(合計6分間の勾配)
【0092】
分取HPLC
最大100bar、最大流量250mL/分のInterchim Puriflash 4100(登録商標)又は最大250bar、最大流量250mL/分のInterchim Puriflash 4250(登録商標)
4つの溶媒を同時に勾配で使用することが可能な四元溶媒ポンプ
UV:収集のための、200~400nmの2波長
収集:8mL又は32mLのチューブ
カラム Waters Xbridge(登録商標) 10μm
3つの分取HPLC法を使用した。
1)TFA法:溶媒:A=水+0.05%TFA、B=アセトニトリル+0.05% TFA、15~30CV(カラム体積)で、5%から100%へのBの勾配
2)NHHCO法:溶媒:A=水+0.02M NHHCO、B=アセトニトリル/水 80/20+0.02M NHHCO、15~30CVで、5%から100%へのBの勾配
3)中性法:溶媒:A=水、B=アセトニトリル、15~30CVで、5%から100%へのBの勾配
【0093】
純粋な化合物を含有する全ての画分を合わせ、直接凍結乾燥させて、化合物を非晶質粉末として与えた。
【0094】
分取SFC精製
分取キラルSFCをPIC solution Prep200システムで行った。試料を150mg/mLの濃度でエタノールに溶解させた。移動相を40% エタノール/COの均一濃度で保持した。装置には、Chiralpak IAカラム及び3mLのループを取り付けた。ABPR(自動背圧レギュレーター)を100barに設定した。
【0095】
IUPAC化学名を、Biovia Draw Version 18.1. NETソフトウェアを使用して又はACD/Name 2018.2.2(File Version N50E41, Build 103230, 21 July 2018)ソフトウェアを使用して生成した。
【0096】
調製例1: (2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)1-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]シクロブタンカルボキシラート
【化53】

工程1: tert-ブチル 1-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]シクロブタンカルボキシラート
1-tert-ブトキシカルボニルシクロブタンカルボン酸(58.6mg;0.293mmol)のDCM(5.85mL)溶液に、1-[2-(2-アミノエトキシ)エチル]ピロール-2,5-ジオン(53.9mg;0.293mmol)、EDC(84.2mg;0.439mmol)、HOBt(59.3mg;0.439mmol)及びDIPEA(204μL;1.17mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次に濃縮乾固し、DMF(1mL)に可溶化した。DMF(1mL)に残留物を可溶化した後、反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入(direct deposit)による、TFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物を精製して、標記化合物を与えた(57.3mg;0.156mmol)。IR (cm-1): 3390, 1697/1666. 1H NMR (400 MHz, dmso-d6) δ ppm 7.5 (t, 1H), 7.02 (s, 2H), 3.55/3.5 (2t, 4H), 3.38 (t, 2H), 3.17 (q, 2H), 2.33 (m, 4H), 1.77 (m, 2H), 1.38 (s, 9H). UPLC-MS: MS (ESI): m/z [M+Na]+ = 389.26, [M+H-tBu]+ = 311.22
【0097】
工程2: 1-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]シクロブタンカルボン酸
tert-ブチル 1-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]シクロブタンカルボキシラート(7mg;0.0191mmol)のDCM(0.175mL)溶液に、TFA(51.2μL;0.668mmol)を加えた。反応混合物を室温で3.5時間撹拌し、次に濃縮乾固し、標記化合物(5.8mg;0.0187mmol)を無色の油状物として得た。粗生成物を次の工程で用いた。UPLC-MS: MS(ESI): m/z [M+H]+ = 311.35, [M+Na]+ = 333.37
【0098】
工程3: 調製例1
1-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]シクロブタンカルボン酸(8.47mg;0.0273mmol)のDMF(0.560mL)溶液に、TSTU(9.04mg;0.030mmol)及びDIPEA(9.5μL;0.0540mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌して、調製例1のDMF溶液を与えた。粗生成物を次の工程にそのまま用いる。UPLC-MS: MS(ESI): m/z [M+H]+ = 408.43, [M+Na]+ = 430.38
【0099】
調製例2: (2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)3-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]オキセタン-3-カルボキシラート
【化54】

工程1 3-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]オキセタン-3-カルボン酸の合成
3-アミノオキセタン-3-カルボン酸(115mg;0.982mmol)のDMF(3.45mL)溶液に、(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノアート(274.3mg;0.883mmol)及びDIPEA(855μL;4.91mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次に濃縮乾固し、DMF(1mL)に可溶化した。反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入による、TFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物の溶液を精製して、標記化合物を与えた(16mg;0.0512mmol)。UPLC-MS: MS(ESI): m/z [M+H]+ = 313.09, [M+Na]+ = 335.06. 1H NMR (400 MHz, dmso-d6) δ ppm 8.92 (s, 1H), 7.02 (s, 2H), 4.8/4.45 (2d, 4H), 3.57/3.48 (2m, 6H), 2.32 (t, 2H). IR (cm-1): 3700-2300, 1769/1740/1697, 692
【0100】
工程2: 調製例2
3-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]オキセタン-3-カルボン酸(5.8mg;0.0187mmol)のDMF(0.380mL)溶液に、TSTU(6.32mg;0.0210mmol)及びDIPEA(6.7μL;0.0382mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌して、調製例2のDMF溶液を与えた。粗生成物を次の工程にそのまま用いる。UPLC-MS: MS(ESI): m/z [M+H]+ = 310.29, [M+Na]+ = 332.27
【0101】
実施例1: ナトリウム5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート
【化55】

工程1: ナトリウム 2-(ヒドロキシメチル)-5-ニトロ-ベンゼンスルホナート
ナトリウム 5-ニトロ-2-[(E)-2-(4-ニトロ-2-スルホ-フェニル)ビニル]ベンゼンスルホナート(25.0g;52.7mmol;1当量)の水(336mL)溶液に、1.5時間オゾン流を導入した。反応の完了後、過剰なオゾンを除去するために混合物をアルゴンで30分間パージした。次に、炭酸ナトリウム(39.1g;368mmol)及び水素化ホウ素ナトリウム(3.99g;105mmol)を加え、橙色の溶液を室温で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、標記化合物(39.9g;156mmol)を褐色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 4.99 (d, 2H, J = 3.6 Hz), 5.36 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 7.83 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.21 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.45 (s, 1H).
【0102】
工程2: ナトリウム 5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート
ナトリウム 2-(ヒドロキシメチル)-5-ニトロ-ベンゼンスルホナート(26.9g;105mmol)を、水(403mL)に可溶化した。次に、反応混合物をアルゴンでフラッシュした。Pd/C 10%(2.65g)を加え、次に黒色の懸濁液をアルゴンでフラッシュし、次に水素でフラッシュした。反応混合物を水素雰囲気下、室温で3.5日間撹拌した。Celite(登録商標)で濾過し、水及びメタノールで洗浄した後、濾液を濃縮乾固し、残った微量の水を除去するためにトルエンと3回共蒸発させた。溶離剤として酢酸エチル/メタノール(90/10~70/30)を用いるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによる精製が、標記化合物(14.29g;63.46mmol)を微黄色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 4.52 (d, 2H, J = 5.2 Hz), 4.95 (t, 1H, J = 5.2 Hz), 5.04 (s, 2H), 6.42 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 6.93 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.03 (s, 1H).
【0103】
工程3: ナトリウム 5-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート
Fmoc-L-Cit-OH(CAS No. 133174-15-9;882mg;2.22mmol)のDMF(32.5mL)溶液に、ナトリウム 5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート(500mg;2.22mmol)、HBTU(1.01g;2.66mmol)及びDIPEA(917mL;5.55mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に濃縮乾固し、そして水(2×100mL)と共蒸発させた。粗生成物を、中性法を用いるC18のカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(1.0g;1.40mmol)を微赤色の油状物として与えた。1H NMR (DMSO): δ 4.30-4.12 (m, 4H), 4.74 (d, 2H, J = 4.4 Hz), 5.05 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 5.37 (s, 2H), 5.97 (t, 1H, J = 4.8 Hz), 7.34-7.42 (m, 4H), 7.62-7.90 (m, 7H), 8.15 (s, 1H), 10.05 (s, 1H).
【0104】
工程4: ナトリウム 5-[[(2S)-2-アミノ-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート
ナトリウム 5-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート(11.2g;15.73mmol)のDMF(224mL)溶液に、ピペリジン(3.1mL;31.47mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次に水(400mL)を加えた。水層を酢酸エチル(2×300mL)、及びDCM(300mL)で抽出した。炭酸ナトリウム(5.01g;47.1mmol;3当量)を水層に加え、混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を凍結乾燥して、標記化合物(6.01g;15.73mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 1.55-1.64 (m, 4H), 2.99-3.01 (m, 2H), 3.58 (m, 1H), 4.75 (s, 2H), 5.06 (s, 1H), 5.38 (s, 2H), 5.98 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 7.38 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.72 (dd, 1H, J = 8.4 及び 2.4 Hz), 7.86 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 10.17 (s, 1H).
【0105】
工程5: 実施例1
ナトリウム 5-[[(2S)-2-アミノ-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート(6.01g;15.73mmol)のDMF(150mL)溶液に、Fmoc-L-Val-OSu(CAS No. 130878-68-1;6.85g;15.69mmol)を加えた。ベージュ色の溶液を室温で3時間撹拌し、次に反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム(sodium hydrogenocarbonate)(100mL)及び水(100mL)で希釈し、そして濃縮乾固した。残留物を、溶離剤として酢酸エチル/メタノール 90/10~50/50を用いるシリカゲルで精製して、標記化合物(4.44g;6.31mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): 0.85-0.90 (m, 6H), 1.31-1.76 (m, 4H), 1.95-2.06 (m, 1H), 2.91-3.05 (m, 2H), 3.95 (t, 1H, J = 8.4 Hz), 4.24-4.35 (m, 3H), 4.37-4.45 (m, 1H), 4.76 (d, 2H, J = 6 Hz), 5.07 (t, 1H, J = 6.4 Hz,), 5.40 (s, 2H), 6.03 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 7.32-7.46 (m, 6H), 7.67 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.76 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 7.88-7.91 (m, 3H), 8.12 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 10.08 (s, 1H). 13C NMR (DMSO): 18.25, 19.24, 26.70, 29.56, 30.45, 39.50, 46.67, 53.17, 60.01, 60.96, 65.66, 117.85, 119.15, 120.05, 125.36, 127.06, 127.62, 128.09, 134.39, 136.79, 140.67, 143.89, 145.34, 156.08, 158.82, 170.37, 171.16. LCMS (2-100 アセトニトリル/H2O + 0.1%ギ酸): 93.85% 保持時間 = 8.4分。陽モード: 682.15 検出 (MH+)。陰モード: 680.17 検出 (MH-)
【0106】
実施例2: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸
【化56】

工程1: ナトリウム 5-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート
Boc-L-Ala-OH(CAS No. 15761-38-3;588mg;3.11mmol)のDMF(38.6mL)溶液に、HATU(1.77g;4.67mmol)、ナトリウム 5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート(771mg;3.42mmol)及びDIPEA(1.29mL;7.78mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に濃縮乾固し、そして水と共蒸発させて、粗反応混合物を与えた。得られた残留物を、溶離剤として酢酸エチル/メタノール 95:5~80:20を用いるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(1.17g;2.95mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 1.24 (s, 9H), 1.38 (m, 3H), 4.05-1.44 (m, 1H), 4.73 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 5.04 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 6.97-7.02 (m, 1H), 7.33 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.65-7.70 (m, 1H), 7.83 (s, 1H), 9.91 (s, 1H).
【0107】
工程2: 5-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸、塩酸塩
ナトリウム 5-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート(1.17g;2.95mmol;1当量)を、HClの4N ジオキサン溶液(10mL)に懸濁した。混合物を室温で2時間撹拌し、次に濃縮乾固して、粗混合物(982mg;2.95mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 1.45 (d, 3H, J = 5.6 Hz), 3.91-4.0 (m, 1H), 4.76 (s, 2H), 7.41 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.66 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.85 (s, 1H), 8.17 (s, 2H), 10.44 (s, 1H)
【0108】
工程3: 実施例2
5-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸、塩酸塩(981mg;2.95mmol)のDMF(34.5mL)溶液に、Fmoc-L-Val-OSu(CAS No. 130878-68-1;1.29g;2.95mmol;1当量)及びDIPEA(975μL;5.9mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に濃縮乾固し、水と共蒸発させて、粗混合物を与えた。得られた残留物を、溶離剤として酢酸エチル/メタノール 95:5~80:20を用いるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、実施例2(1.28g;2.072mmol)を無色の油状物として与えた。1H NMR (DMSO): δ 0.80-0.92 (m, 6H), 1.30 (d, 3H, J = 6.4 Hz), 2.02-2.10 (m, 1H), 4.17-4.31 (m, 3H), 4.37-4.44 (m, 1H), 4.73 (d, 2H, J = 5.6 Hz), 5.04 (t, 1H, J = 6.4 Hz), 7.28-7.36 (m, 3H), 7.37-7.47 (m, 3H), 7.66 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.71-7.77 (m, 2H), 7.83-7.85 (m, 1H), 7.88 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 8.14 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 9.99 (s, 1H).
【0109】
実施例3: ナトリウム [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]メタンスルホナート
【化57】

工程1: (2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタン酸
Fmoc-L-Val-OSu(CAS No. 130878-68-1;1.59g;3.64mmol;1.0当量)を、L(+)-シトルリン(0.67g;3.82mmol;1.05当量)及び重炭酸ナトリウム(0.32g;3.82mmol;1.05当量)の、1,2-ジメトキシエタン(9.5mL)、水(9.5mL)及びTHF(4.7mL)の混合物溶液に室温で加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に溶媒を真空下で除去し、そしてpH1になるまで1N 塩酸溶液で残留物を酸性化した。白色の懸濁液を濾過し、水(3×40mL)、ジエチルエーテル(3×40mL)で洗浄し、そしてアセトニトリル(2×150mL)と共蒸発させた。得られた白色の固体を、溶離剤として(DCM/酢酸(99/1))/メタノール(10/0~7/3)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、次にジエチルエーテル(2×30mL)でトリチュレートした。得られた固体を、メタノール(50mL)と水(50mL)との混合物に溶解し、濃縮乾固し、アセトニトリル(100mL)と共蒸発させ、乾燥して、標記化合物(0.75g;1.5mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 0.84-0.88 (m, 6H), 1.34-1.41 (m, 2H), 1.51-1.73 (m, 2H), 1.95-2.04 (m, 1H), 2.91-2.96 (m, 2H), 3.88-3.92 (m, 1H), 4.06-4.11 (m, 1H), 4.19-4.31 (m, 3H), 5.36 (s, 2H), 5.91-5.94 (m, 1H), 7.30-7.34 (m, 2H), 7.39-7.45 (m, 3H), 7.75 (t, 2H, J = 7.3 Hz), 7.89 (d, 2H, J = 7.4 Hz), 8.02 (brs, 1H), 12.56 (brs, 1H)
【0110】
工程2: ナトリウム(2-メトキシカルボニル-5-ニトロ-フェニル)メタンスルホナート
亜硫酸ナトリウム(14.39g;114.17mmol)の水(228mL)溶液に、メチル 2-(ブロモメチル)-4-ニトロベンゾアート(10.43g;38.06mmol)のメタノール(37mL)懸濁液を加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌し、次に濃縮乾固した。得られた粗生成物を、溶離剤として酢酸エチル/メタノール(10/0~6/4)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(13.9g;31.07mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 3.82 (s, 3H), 4.29 (s, 2H), 7.87 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 8.16 (dd, 1H, J = 2.5 及び 8.6 Hz), 8.25 (d, 1H, J = 2.5 Hz)
【0111】
工程3: ナトリウム [2-(ヒドロキシメチル)-5-ニトロ-フェニル]メタンスルホナート
ナトリウム (2-メトキシカルボニル-5-ニトロ-フェニル)メタンスルホナート(10.1g;22.09mmol)のTHF(368mL)懸濁液に、水素化ホウ素リチウム(0.59g;24.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に水素化ホウ素リチウム(0.27g;11.04mmol)を再び加え、そして反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物をメタノール(50mL)で希釈し、濃縮乾固した。粗生成物を、溶離剤として酢酸エチル/メタノール(10/0~5/5)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(5.09g;6.52mmol)を黄色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 3.90 (s, 2H), 4.76 (d, 2H, J = 5.7 Hz), 5.38 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 7.66 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.07-8.09 (m, 2H)
【0112】
工程4: ナトリウム [5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]メタンスルホナート
ナトリウム [2-(ヒドロキシメチル)-5-ニトロ-フェニル]メタンスルホナート(2g;3.57mmol)のメタノール(102mL)溶液に、Pd/C 10%(0.56g;0.53mmol)をアルゴン下で加えた。反応混合物を水素でパージし、水素大気圧下、室温で2時間撹拌した。次に、反応混合物をCelite(登録商標)で濾過し、メタノール(3×50mL)で洗浄し、そして濃縮乾固した。得られた粗生成物を、アセトニトリル/水(2/98~50/50)を用いるC18のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(1.98g;3.46mmol)を灰色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 3.72 (s, 2H), 4.3 (d, 2H, J = 5.9 Hz), 4.89 (s, 2H), 4.96 (t, 1H, J = 5.9 Hz), 6.38 (dd, 1H, J = 2.4 及び 8.1 Hz), 6.49 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.9 (d, 1H, J = 8.1 Hz)
【0113】
工程5: 実施例3
(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタン酸(543mg;1.09mmol)の乾燥DMF(6mL)溶液に、HATU(600mg;1.58mmol)、炭酸水素ナトリウム(102mg;1.22mmol)及びナトリウム [5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]メタンスルホナート(650mg;1.41mmol)の乾燥DMF(14mL)懸濁液を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次にジオキサン(200mL)と共蒸発させた。粗生成物を、溶離剤としてDCM/メタノール(10/0~5/5)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー、続いて溶離剤としてアセトニトリル/水+0.1%ギ酸(2/98~50/50)を用いるC18のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、凍結乾燥後に実施例3(233mg;0.32mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 0.84-0.89 (m, 6H), 1.32-1.49 (m, 2H), 1.54-1.73 (m, 2H), 1.94-2.04 (m, 1H), 2.89-3.09 (m, 2H), 3.81 (s, 2H), 3.91-3.95 (m, 1H), 4.20-4.33 (m, 3H), 4.41-4.46 (m, 1H), 4.47 (s, 2H), 5.07 (brs, 1H), 5.40 (brs, 2H), 5.98 (t, 1H, J = 5.7 Hz), 7.21 (d, 1H, J = 8.2 Hz), 7.31-7.36 (m, 3H), 7.39-7.45 (m, 3H), 7.63 (dd, 1H, J = 2.2 及び 8.3Hz), 7.75 (t, 2H, J = 7.5Hz), 7.89 (d, 2H, J = 7.4 Hz), 8.08 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 10.01-10.8 (m, 1H). LCMS (2-100 ACN/H2O + 0.1% TFA): 93.75% 保持時間 = 8.1分 陰モード 694.14 検出 (M-H)
【0114】
実施例4: 2-(クロロメチル)-5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]ベンゼンスルホン酸
【化58】

5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸(実施例1の遊離酸;300mg、0.4263mmol)を、無水NMP(6mL)に室温で溶解した。並行して、SOCl(206μL)のNMP(6mL)溶液を調製した。反応物に、前記SOCl溶液(900μL)を75分間かけて6回加えた。最後の添加後、反応混合物を室温で15分間撹拌した。反応混合物のOasisカラムへの直接導入により、TFA法を用いて粗生成物を精製して、標記化合物(138mg;0.1971mmol)を白色の粉末として与えた。1H NMR (400 MHz, dmso-d6) δ ppm 10.15+8.1+7.42+6.0 (s+2d+m, 4H), 7.9 (m, 3H), 7.75 (m, 3H), 7.42+7.31 (2m, 5H), 5.23 (s, 2H), 4.4 (m, 1H), 4.3-4.2 (m, 3H), 3.95 (dd, 1H), 3.0 (m, 2H), 2.0 (m, 1H), 1.7 + 1.6 (2m, 2H), 1.48 + 1.37 (2m, 2H), 0.88 (2d, 6H). HR-ESI+: m/z[M+H]+ = 700.2199/700.2202 [測定値/理論値]
【0115】
実施例5: 2-(クロロメチル)-5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]ベンゼンスルホン酸
【化59】

5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート(実施例2から得たスルホナート;504.1mg、0.816mmol)のNMP(5mL)溶液に、SOCl(60μL 0.816mmol)のNMP(500μL)溶液を75分間かけて6回加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌した。反応混合物のOasisカラムへの直接導入により、TFA法を用いて粗生成物を精製して、白色の粉末として与えた(337mg)。IR波長 (cm-1): 3600~2400, 1688+1648, 1599, 1518, 1022. UPLC-MS: MS(ESI) m/z [M+H]+ = 614.17+616.18 (Cl)
【0116】
実施例6: ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート
【化60】

工程1: ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]ベンゼンスルホナート
実施例1(450mg;0.64mmol)のDMF(6mL)溶液に、DIEA(1.34mL;7.67mmol)及びビス(4-ニトロフェニル)カルボナート(778mg;2.56mmol)を加えた。溶液を室温で2時間撹拌し、ビス(4-ニトロフェニル)カルボナート(390mg;1.28mmol)を加えた。1時間後、溶液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM中のメタノール及び酢酸の勾配)により精製して、標記化合物を与えた(523mg;0.45mmol)。1H NMR (400 MHz, dmso-d6) δ ppm 10.2/8.1/5.95 (m, 3H), 8.3 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 7.9 (d, 2H), 7.75 (dd, 1H), 7.75 (m, 2H), 7.65 (d, 2H), 7.4 (d, 4H), 7.35 (d, 1H), 5.7 (s, 2H), 5.35 (brs, 2H), 4.4 (m, 1H), 4.3 (t, 1H), 4.2 (d, 2H), 3.95 (m, 1H), 3 (m, 2H), 2 (m, 1H), 1.8-1.3 (m, 4H), 0.85 (2d, 6H)
【0117】
工程2: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸塩
MMAE(200mg;0.28mmol)のDMF(5.6mL)溶液に、DIEA(0.19mL;1.39mmol)を加え、続いてナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]ベンゼンスルホナート(472mg;0.55mmol)及びHOBt(75mg;0.56mmol)を加えた。溶液を室温で3.5時間撹拌し、次にDEA(0.19mL;1.39mmol)を加えた。2時間後、溶液を減圧下で濃縮し、残留物を、TFA法によるXbridge(登録商標)のC18逆相分取HPLCにより精製して、標記化合物を与えた(99mg;0.08mmol)。1H NMR (400 MHz, dmso-d6) δppm 10.2/10 (2s, 1H), 8.56/8.35 (2m, 1H), 8.1 (d, 1H), 7.9 (brs, 1H), 7.88/7.6 (2d, 1H), 7.68 (brs, 1H), 7.35-7.13 (m, 5H), 7.3 (brs, 1H), 6/5.96 (2t, 1H), 5.5 (m, 2H), 5.4 (brs, 2H), 4.8-4.15 (m, 5H), 4.05-3.85 (m, 2H), 3.8-3.6 (5s, 9H), 3.62-3.5 (m, 2H), 3.1-2.8 (m, 5H), 3 (brs, 3H), 2.4/2.3 (d+dd, 2H), 2.2-1.9 (m, 3H), 1.9-1.75 (m, 11H), 1.05/1 (2d, 9H), 1-0.75 (m, 21H)
【0118】
工程3: 実施例6
5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、TFA塩(22mg;0.018mmol)のDMF(0.18mL)溶液に、DIEA(6.3μL mL;36μmmol)及び1-[2-[3-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-3-オキソ-プロポキシ]エチル]ピロール-2,5-ジオン(6.2mg;20μmol)を加えた。溶液を室温で4.5時間撹拌した。反応物を、NHHCO法を用いるXbridge(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、実施例6を与えた(9.6mg;6.8μmol)。HRMS (ESI) [M+H]+ 実測値 = 1420.7041 (δ = -0.3 ppm)
【0119】
実施例7: ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート
【化61】

5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、TFA塩(実施例6の工程2から得た;30mg;0.025mmol)のDMF(0.25mL)溶液に、DIEA(8.7μL mL;36μmmol)及び(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノアート(8.46mg;0.027mmol)を加えた。溶液を室温で3.5時間撹拌した。反応物を、NHHCO法を用いるXbridge(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、実施例7を与えた(20mg;14.09μmol)。HRMS (ESI) [M+H]+ 実測値 = 1418.7253 (δ = 0.1 ppm)
【0120】
実施例8: ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[[2-[2-[2-(2-アジドエトキシ)エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート
【化62】

2-[2-[2-(2-アジドエトキシ)エトキシ]エトキシ]酢酸(6.4mg;0.027mmol)のDMF(125μL)溶液に、DIEA(21.7μL;124μmmol)及びTSTU(7.88mg;0.026mmol)を加えた。活性化の完了後、5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、TFA塩(30mg;0.025mmol)のDMF(0.15mL)溶液を加えた。溶液を室温で2時間撹拌した。反応物を、NH4HCO法を用いるXbridge(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、実施例8を与えた(16mg;11.10μmol)。HRMS (ESI) [M+H]+ 実測値 = 1440.7382 (δ = -2.6 ppm)
【0121】
実施例9: 5-[[(2S)-2-[[1-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]シクロブタンカルボニル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸
【化63】

工程1: ナトリウム 5-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]ベンゼンスルホナート
ナトリウム 5-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホナート(261mg;0.448mmol)のDMF(5.75mL)溶液に、ビス(4-ニトロフェニル)カルボナート(1.09g;3.58mmol)及びDIPEA(1.87mL;10.75mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に濃縮乾固して、粗混合物を与えた。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM中2% AcOHを含有するメタノールの勾配)により精製して、標記化合物(137mg;0.183mmol)を白色の固体として与えた。UPLC-MS: MS(ESI): m/z [M+H]+ = 748.48
【0122】
工程2: ナトリウム 5-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート
ナトリウム 5-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]ベンゼンスルホン酸(64.5mg;0.0863mmol)のDMF(1.42mL)溶液に、MMAE(61.9mg;0.0863mmol)、DIPEA(75.1μL;0.431mmol)及びHOBt(23.3mg;0.173mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入による、TFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物を精製して、標記化合物を与えた(33.5mg;0.0253mmol)。UPLC-MS: MS(ESI): m/z [M+H]+ = 1326.88, [M+Na]+ = 1348.09
【0123】
工程3: 5-[[(2S)-2-アミノ-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、TFA塩
ナトリウム 5-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホナート(36.8mg;0.0292mmol)のDMF(750μL)溶液に、ピペリジン(23.1μL;0.234mmol)を加えた。反応混合物を室温で17時間撹拌した。反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入による、TFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物の溶液を精製して、標記化合物を与えた(17mg;0.0139mmol)。UPLC-MS: MS(ESI): m/z [M+H]+ = 1038.10, [M+Na]+ = 1059.85
【0124】
工程4: 実施例9
5-[[(2S)-2-アミノ-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、TFA塩(24.5mg;0.0215mmol)のDMF(735μL)溶液に、調製例1(10.5mg;0.0258mmol)及びDIPEA(19μL;0.108mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入による、TFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物の溶液を精製して、実施例9(19.3mg;0.0147mmol)を白色の粉末として与えた。HR-ESI+: m/z [M+H]+ = 1396.7040/1396.7074 [測定値/理論値]
【0125】
実施例10: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸
【化64】

工程1: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]ベンゼンスルホン酸
実施例2(1.28g;2.07mmol)のTHF(65mL)懸濁液に、ピリジン(875μL;10.8mmol)を加え、続いて4-ニトロクロロギ酸フェニル(1.09g;5.41mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。次に、さらなる4-ニトロクロロギ酸フェニル(1.09g;5.41mmol;2.5当量)を加えた。室温で5時間撹拌した後、混合物を濃縮乾固し、次に溶離剤として水/アセトニトリル 90/10~0/100(30分)を用いるC18カラムクロマトグラフィーにより精製した。合わせた管(the combined tubes)のアセトニトリルを除去し、残りを凍結乾燥して、標記化合物(650mg;0.83mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 0.88 (m, 6H), 1.31 (d, 3H, J = 4.8 Hz), 1.97-2.03 (m, 1H), 3.92 (t, 1H, J = 6.8 Hz), 4.23 (s, 2H), 4.24-4.34 (m, 1H), 4.42 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 5.69 (s, 2H), 7.30-7.48 (m, 6H), 7.62 (d, 2H, J = 8 Hz), 7.72-7.76 (m, 3H), 7.89 (d, 2H, J = 6.4 Hz), 7.94 (s, 1H), 8.18 (d, 1H, J = 5.6 Hz), 8.33 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 10.11 (s, 1H). 13C NMR (DMSO): δ 18.01, 18.26, 19.21, 30.4, 46.66, 49.05, 59.91, 65.67, 67.82, 117.7, 119.1, 120.06, 122.66, 125.37, 126.33, 127.05, 127.62, 128.0, 138.06, 140.67, 143.77, 143.86, 145.1, 146.23, 151.96, 155.47, 156.12, 171.0, 171.15. LCMS (2-100 ACN/H2O+0.05% TFA): 90.41% 保持時間=12.7分 陽モード578.41 検出. 陰モード 759.17 検出
【0126】
工程2: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸
5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]ベンゼンスルホン酸(29.3mg;0.0374mmol)のDMF(1.20mL)溶液に、MMAE(26.9mg;0.0374mmol)、DIPEA(32.6μL;0.187mmol)及びHOBt(10.1mg;0.075mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入による、TFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物を精製して、標記化合物を与えた(35.4mg;0.0264mmol)。UPLC-MS: MS(ESI): m/z [M+H]+ = 1340.9
【0127】
工程3: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、TFA塩
5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸(50.1mg;0.0374mmol)のDMF(1.5mL)溶液に、ピペリジン(29.6μL;0.299mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入による、TFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物の溶液を精製して、標記化合物(23mg;0.0187mmol)を白色の粉末として与えた。HR-ESI+: m/z [M+H]+ = 1117.6235/1117.6218, [M+2H]/2+ = 559.3146/559.3148 [測定値/理論値]
【0128】
工程4: 実施例10
5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、TFA塩(10.4mg;0.00845mmol)のDMF(0.34mL)溶液に、(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノアート(2.9mg;0.00929mmol)及びDIPEA(7.36μL;0.0422mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入による、及びTFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物を精製して、実施例10(7.7mg;0.0059mmol)を白色の粉末として与えた。HR-ESI+: m/z [M+H]+ = 1312.6701/1312.6750, [測定値/理論値]
【0129】
実施例11: 5-[[(2S)-2-[[3-[2-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]エチルカルバモイル]オキセタン-3-カルボニル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸
【化65】

5-[[(2S)-2-アミノ-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸;2,2,2-トリフルオロ酢酸(16mg;0.0131mmol)のDMF(480μL)溶液に、調製例2(10.24mg;0.0250mmol)及びDIPEA(11.4μL;0.0657mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入による、TFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物の溶液を精製して、実施例11(4.4mg;0.0031mmol)を白色の粉末として与えた。HR-ESI+: m/z [M+2H]2+ = 699.8477/699.8472 [測定値/理論値]
【0130】
実施例12: [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]メタンスルホン酸
【化66】

工程1: ナトリウム [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]フェニル]メタンスルホナート
実施例3(30mg;0.0418mmol)のDMF(0.4mL)溶液に、DIEA(87μL;70.501mmol)及びビス(4-ニトロフェニル)カルボナート(51mg;0.167mmol)を加えた。溶液を室温で2時間撹拌し、ビス(4-ニトロフェニル)カルボナート(25mg;0.08mmol)を再び加えた。室温で1時間後に、溶液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM中のメタノールの勾配)により精製して、標記化合物を与えた(25mg;0.030mmol)。
【0131】
工程2: [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]メタンスルホン酸
MMAE(10mg;0.0139mmol)のDMF(0.6mL)溶液に、DIEA(12μL;0.0696mmol)を加え、続いてナトリウム [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]フェニル]メタンスルホナート(24mg;0.028mmol)及びHOBt(3.77mg;0.0279mmol)を加えた。溶液を室温で3.5時間撹拌し、溶液を、TFA法によるXbridge(登録商標)のC18逆相分取HPLCにより直接精製して、標記化合物を与えた(5.4mg;0.003mmol)。HRMS (ESI) [M+H]+ 実測値 = 1439.7558 (δ = 1.9 ppm)
【0132】
工程3: [5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]メタンスルホン酸、TFA塩
[5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]メタンスルホン酸(5mg;3.4μmol)を、DMF(0.2mL)に溶解し、次にDEA(0.7μL;6.8mmol)を加えた。反応物を室温で1時間撹拌し、溶液をTFA法によるXbridge(登録商標)のC18逆相分取HPLCにより精製して、標記化合物を与えた(3.5mg;2.6μmol)。
【0133】
工程4: 実施例12
[5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]メタンスルホン酸、TFA塩(3.5mg;2.6μmol)のDMF(15μL)溶液に、DIEA(2.3μL;13μmmol)及び1-[2-[3-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-3-オキソ-プロポキシ]エチル]ピロール-2,5-ジオン(0.9mg;2.9μmol)を加えた。溶液を室温で2.5時間撹拌した。反応物を、NHHCO法を用いるXbridge(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、実施例12を与えた(2.8mg;1.8μmol)。HRMS (ESI) [M+H]+ 実測値 = 1412.7397 (δ = 1.1 ppm)
【0134】
実施例13: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヨードメチル)ベンゼンスルホン酸
【化67】

実施例4(100mg;123μmol)のアセトン(6mL)溶液に、ヨウ化ナトリウム(51mg;340μmol)を加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、化合物をさらに後処理することなく次の工程で用いた。UPLC-MS: [M+H]+ 792.65; [M+Na]+ 814.49
【0135】
実施例14: [4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-スルホ-フェニル]メチル-[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-ジメチル-アンモニウム;2,2,2-トリフルオロアセタート
【化68】

工程1: [4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-スルホ-フェニル]メチル-[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-ジメチル-アンモニウム;ヨージド
(2S)-2-[[(2S)-2-(ジメチルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-N-[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-N,3-ジメチル-ブタンアミド(アウリスタチンE)(42.1mg;57.5μmol)のDMF(10mL)溶液に、実施例13(152mg;95.8μmol)及びDIPEA(83.4μL;365μmol)を連続して加えた。反応物を室温で17時間撹拌した。所望の生成物をUPLC-MSにより観察し、溶液を次の工程で後処理することなく用いた。UPLC-MS: [M+H]+ 1396.31; [M+Na]+ 1418.37
【0136】
工程2: [4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-スルホ-フェニル]メチル-[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-ジメチル-アンモニウム;2,2,2-トリフルオロアセタート;2,2,2-トリフルオロ酢酸
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-スルホ-フェニル]メチル-[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-ジメチル-アンモニウム;ヨージドのDMF溶液に、ピペリジン(45.4μL;460μmol)を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入による、TFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物を精製して、所望の生成物(15mg;10.7μmol)を白色の固体として与えた。UPLC-MS: [M+H]+ 1174.51; [M+Na]+ 1197.03
【0137】
工程3: 実施例14
[4-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-スルホ-フェニル]メチル-[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-ジメチル-アンモニウム;ヨージド(15mg;10.7μmol)のDMF(450μL)溶液に、(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)-3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノアート(3.7mg;11.8μmol)及びDIPEA(9.3μL;53.5μmol)を連続して加えた。溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物のXbridge(登録商標)カラムへの直接導入による、TFA法を用いるC18逆相分取HPLCにより、粗生成物を精製して、実施例14(15.7mg;12.1μmol)を白色の固体として与えた。HRMS (ESI) [M-CF3CO2]+ 1368.7460 (δ =-1.7 ppm)
【0138】
実施例23: N-({[4-({N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-バリル-L-アラニル}アミノ)-2-スルホフェニル]メトキシ}カルボニル)-N-メチル-L-バリル-N-[(3R,4S,5S)-1-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-3-メトキシ-5-メチル-1-オキソヘプタン-4-イル]-N-メチル-L-バリンアミド
【化69】

5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸、TFA塩(12.7mg;0.0103mmol;実施例10の工程3から得た)のDMF(0.4mL)溶液に、DIEA(9μL;51μmol)及び(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノアート(3.5mg;11.3μmol)を加えた。溶液を室温で6時間撹拌した。反応物を、TFA法を用いるXbridge(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、実施例23を与えた。IR (cm-1): 3278, 1768/1703, 1631, 1159, 829/696. RMN 1H (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.96 (s, 1H), 8.1 (s, 1H), 7.87 (m, 2H), 7.68 (m, 1H), 7.6 (d, 1H), 7.31 (m, 2H), 7.26 (m, 3H), 7.17 (m, 1H), 6.99 (s, 2H), 5.48 (m, 2H), 4.74 (m, 1H), 4.49 (m, 1H), 4.46 (m, 1H), 4.41 (m, 1H), 4.38 (m, 1H), 4.33 (m, 1H), 4.19 (m, 1H), 3.98 (m, 1H), 3.98 (m, 1H), 3.77 (m, 1H), 3.6 (m, 2H), 3.56 (m, 1H), 3.46 (m, 1H), 3.36 (m, 2H), 3.32 (m, 1H), 3.26 (m, 2H), 3.24 (m, 3H), 3.23 (m, 2H), 3.19 (m, 3H), 3.13 (m, 2H), 3.04 (m, 1H), 2.98 (m, 3H), 2.94 (m, 1H), 2.9 (m, 1H), 2.86 (m, 1H), 2.37 (br dd, 2H), 2.12 (m, 2H), 2.12 (m, 2H), 2.06 (m, 2H), 1.97 (m, 2H), 1.49 (m, 9H), 1.29 (d, 3H), 0.89 (m, 27H). HRMS (ESI) [M+H]+ 実測値 = 1310.6893 (δ = -4.5 ppm)
【0139】
実施例24: N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-バリル-N-カルバモイル-N-(4-{[({[(4S)-4,11-ジエチル-9-ヒドロキシ-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル]オキシ}カルボニル)オキシ]メチル}-3-スルホフェニル)-L-オルニチンアミド
【化70】

工程1: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸
実施例1(200mg;0.284mmol)のDMF(8mL)溶液に、DEA(212μL;2.053mmol)を加え、反応物を室温で1時間撹拌した。過剰のDEAを真空下で蒸発させ、粗予定化合物(expected compound)のDMF溶液を、次の工程でそのまま用いた。
【0140】
工程2: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸
前工程からの化合物の溶液(8mL)に、DIEA(102μL;0.5866mmol)及び(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノアート(99.4mg;0.3226mmol)を加えた。反応物を室温で18時間撹拌した。反応物を、TFA法を用いるXbridge(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、凍結乾燥後に予定の化合物を与えた。IR (cm-1): 3674 と 2999の間, 1768 (weak) + 1699 + 1641, 1238/1141, 825 及び 694. RMN 1H (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.97 (s, 1H), 8.04 (d, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.65 (dd, 1H), 7.32 (d, 1H), 6.99 (s, 2H), 6.02 (m, 1H), 5.18 (m, 1H), 4.72 (s, 2H), 4.36 (m, 1H), 4.21 (dd, 1H), 3.37 (t, 2H), 2.98 (m, 2H), 2.16 (m, 2H), 1.97 (m, 1H), 1.65 (m, 2H), 1.39 (m, 8H), 0.83 (dd, 6H). HRMS (ESI) [M+H]+ 実測値 = 653.2572 (δ = -4.2 ppm)
【0141】
工程3: tert-ブチル [(19S)-10,19-ジエチル-19-ヒドロキシ-14,18-ジオキソ-17-オキサ-3,13-ジアザペンタシクロ[11.8.0.02,11.04,9.015,20]ヘンイコサ-1(21),2,4(9),5,7,10,15(20)-ヘプタエン-7-イル]カルボナート
(19S)-10,19-ジエチル-7,19-ジヒドロキシ-17-オキサ-3,13-ジアザペンタシクロ[11.8.0.02,11.04,9.015,20]ヘンイコサ-1(21),2,4(9),5,7,10,15(20)-ヘプタエン-14,18-ジオン(220mg;0.5607mmol)のDCM(22mL)懸濁液に、粉末のtert-ブトキシカルボニル tert-ブチルカルボナート(128.5mg;0.5887mmol)及びピリジン(91μL;1.121mmol)を加えた。黄色の懸濁液を室温で18時間撹拌した。溶媒及び過剰のピリジンを真空下で蒸発させて取り除き、粗生成物をシリカのクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製して、予定の化合物を黄色の粉末として与えた。IR (cm-1): 3700-3000, 1753, 1659, 1254/1142. RMN 1H (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.21 (d, 1H), 8.09 (d, 1H), 7.74 (dd, 1H), 7.33 (s, 1H), 6.5 (s, 1H), 5.38 (2s, 4H), 3.2 (q, 2H), 1.86 (m, 2H), 1.54 (s, 9H), 1.3 (t, 3H), 0.88 (t, 3H)
【0142】
工程4: tert-ブチル [(19S)-19-クロロカルボニルオキシ-10,19-ジエチル-14,18-ジオキソ-17-オキサ-3,13-ジアザペンタシクロ[11.8.0.02,11.04,9.015,20]ヘンイコサ-1(21),2,4(9),5,7,10,15(20)-ヘプタエン-7-イル]カルボナート
tert-ブチル [(19S)-10,19-ジエチル-19-ヒドロキシ-14,18-ジオキソ-17-オキサ-3,13-ジアザペンタシクロ[11.8.0.02,11.04,9.015,20]ヘンイコサ-1(21),2,4(9),5,7,10,15(20)-ヘプタエン-7-イル]カルボナート(30mg;0.0609mmol)のDCM(2mL)溶液に、DMAP(22.3mg;0.1827mmol)を加え、続いてトリホスゲン(7.2mg;0.0244mmol)を加えた。反応物を室温で30分間撹拌し、この溶液を次の工程でそのまま(as such)用いた。
【0143】
工程5: 2-[[(19S)-7-tert-ブトキシカルボニルオキシ-10,19-ジエチル-14,18-ジオキソ-17-オキサ-3,13-ジアザペンタシクロ[11.8.0.02,11.04,9.015,20]ヘンイコサ-1(21),2,4(9),5,7,10,15(20)-ヘプタエン-19-イル]オキシカルボニルオキシメチル]-5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]ベンゼンスルホン酸
tert-ブチル [(19S)-19-クロロカルボニルオキシ-10,19-ジエチル-14,18-ジオキソ-17-オキサ-3,13-ジアザペンタシクロ[11.8.0.02,11.04,9.015,20]ヘンイコサ-1(21),2,4(9),5,7,10,15(20)-ヘプタエン-7-イル]カルボナートのDCM(2mL)溶液に、DMAP(22.3mg;0.1827mmol)を加え、続いて5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホン酸(31.80mg;0.04873mmol;上記工程2に従って得た)を加えた。反応物を室温で14時間撹拌した。反応物を、TFA法を用いるCSH(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、凍結乾燥後に予定の化合物を与えた。
【0144】
工程6: 実施例24
2-[[(19S)-7-tert-ブトキシカルボニルオキシ-10,19-ジエチル-14,18-ジオキソ-17-オキサ-3,13-ジアザペンタシクロ[11.8.0.02,11.04,9.015,20]ヘンイコサ-1(21),2,4(9),5,7,10,15(20)-ヘプタエン-19-イル]オキシカルボニルオキシメチル]-5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]ベンゼンスルホン酸(12.5mg;1.66μmol)のDCM(2.5mL)溶液に、TFA(0.3mL)を加え、溶液を室温で1.5時間撹拌した。反応物を、TFA法を用いるCSH(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、凍結乾燥後に実施例24を与えた。HRMS (ESI) [M+H]+ 実測値 = 1071.3768 (δ = 0.4 ppm)
【0145】
実施例25: (1S,3S)-3,5,12-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシアセチル)-10-メトキシ-6,11-ジオキソ-1,2,3,4,6,11-ヘキサヒドロテトラセン-1-イル 2,3,6-トリデオキシ-3-[({[4-({N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-バリル-N-カルバモイル-L-オルニチル}アミノ)-2-スルホフェニル]メトキシ}カルボニル)アミノ]-α-L-lyxo-ヘキソピラノシド
【化71】

工程1: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[(2S,3S,4S,6R)-3-ヒドロキシ-2-メチル-6-[[(1S,3S)-3,5,12-トリヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシアセチル)-10-メトキシ-6,11-ジオキソ-2,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-1-イル]オキシ]テトラヒドロピラン-4-イル]カルバモイルオキシメチル]ベンゼンスルホン酸
ナトリウム 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]ベンゼンスルホナート(157mg;0.1854mmol;実施例6の工程1から得た)のDMF(11mL)溶液に、(7S,9S)-7-[(2R,4S,5S,6S)-4-アミノ-5-ヒドロキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-2-イル]オキシ-6,9,11-トリヒドロキシ-9-(2-ヒドロキシアセチル)-4-メトキシ-8,10-ジヒドロ-7H-テトラセン-5,12-ジオン(107.5mg;0.1853mmol)を加え、続いてDIEA(323μL;1.854mmol)を加えた。赤色の混合物は暗紫色に変化し、そして2時間の変換の後、完了した。この溶液を次の工程でそのまま用いた。
【0146】
工程2: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[(2S,3S,4S,6R)-3-ヒドロキシ-2-メチル-6-[[(1S,3S)-3,5,12-トリヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシアセチル)-10-メトキシ-6,11-ジオキソ-2,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-1-イル]オキシ]テトラヒドロピラン-4-イル]カルバモイルオキシメチル]ベンゼンスルホン酸
前工程で調製した、5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[(2S,3S,4S,6R)-3-ヒドロキシ-2-メチル-6-[[(1S,3S)-3,5,12-トリヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシアセチル)-10-メトキシ-6,11-ジオキソ-2,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-1-イル]オキシ]テトラヒドロピラン-4-イル]カルバモイルオキシメチル]ベンゼンスルホン酸の溶液に、DEA(96μL;0.9268mmol)を加えた。反応物を室温で1時間撹拌した。溶媒を部分的に蒸発させて取り除き、粗生成物を、TFA法を用いるX-Bridge(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、凍結乾燥後に予定の化合物を与えた。IR (cm-1): 3357, 2661, 1666/1608, 1585/1531, 1201, 1082, 1020, 763/709. RMN 1H (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 14.06 (s, 1H), 13.29 (s, 1H), 10.15 (s, 1H), 8.62 (d, 1H), 8.04 (m, 3H), 7.93 (d, 1H), 7.93 (t, 1H), 7.89 (d, 1H), 7.66 (dd, 1H), 7.61 (dd, 1H), 7.26 (d, 1H), 6.88 (d, 1H), 5.99 (t, 1H), 5.49 (brs, 1H), 5.37 (m, 2H), 5.25 (brs, 1H), 4.97 (t, 1H), 4.79 (brm, 2H), 4.58 (s, 2H), 4.46 (q, 1H), 4.18 (q, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.75 (m, 1H), 3.63 (m, 1H), 3.51 (brs, 1H), 2.99 (m, 2H), 2.99 (m, 2H), 2.16 (m, 2H), 2.07 (m, 1H), 1.87 (td, 1H), 1.72 (m, 1H), 1.61 (m, 1H), 1.5 (dt, 1H), 1.45 (m, 1H), 1.37 (m, 1H), 1.14 (d, 3H), 0.93 (2d, 6H)
【0147】
工程3: 実施例25
5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[(2S,3S,4S,6R)-3-ヒドロキシ-2-メチル-6-[[(1S,3S)-3,5,12-トリヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシアセチル)-10-メトキシ-6,11-ジオキソ-2,4-ジヒドロ-1H-テトラセン-1-イル]オキシ]テトラヒドロピラン-4-イル]カルバモイルオキシメチル]ベンゼンスルホン酸(5mg;4.7μmol)のDMF(1mL)溶液に、DIEA(1.6μL;5.2μmmol)及び(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)6-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)ヘキサノアート(1.6mg;5.2μmol)を加えた。溶液を室温で12時間撹拌した。反応物を、TFA法を用いるXbridge(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、実施例25を与えた。HRMS (ESI) [M+H]+ 実測値 = 1222.4153 (δ = 1.7 ppm)
【0148】
実施例26: ナトリウム N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(2-スルホナトエチル)フェニル]-L-オルニチンアミド
【化72】

工程1: (2-アリル-4-ニトロ-フェニル)メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シラン
tert-ブチル-[(2-ヨード-4-ニトロ-フェニル)メトキシ]-ジメチル-シラン(6.56g;16.68mmol)及びアリルトリブチルスズ(7.76mL;25.02mmol)の1,4-ジオキサン(165mL)溶液を、アルゴン(3回)でパージした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.93g;1.67mmol)を加え、混合物をアルゴン(3回)で再びパージし、そして100℃で18時間撹拌した。反応混合物をCelite(登録商標)で濾過し、濃縮乾固した。残留物をDCM(150mL)に溶解し、1M 水酸化ナトリウム(sodium hydroxyde)水溶液で洗浄した。水層をDCMで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮乾固した。得られた粗生成物を、溶離剤としてシクロヘキサン/EtOAc(10/0~95/5)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、予定の化合物(4.91g;15.97mmol)を橙色の油状物として与えた。1H NMR (DMSO): δ 0.11 (s, 6H), 0.92 (s, 9H), 3.49 (d, 2H, J = 6.5 Hz), 4.84 (s, 2H), 5.04-5.15 (m, 2H), 5.92-6.02 (m, 1H), 7.69 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 8.02 (d, 1H, J = 2.5 Hz), 8.13 (dd, 1H, J = 2.5 及び 8.5 Hz)
【0149】
工程2: 3-[2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-5-ニトロ-フェニル]プロパン-1,2-ジオール
(2-アリル-4-ニトロ-フェニル)メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シラン(4.91g;15.97mmol)の、アセトン(147mL)と水(20mL)の混合物溶液に、4-メチルモルホリン N-オキシド(3.74g;31.94mmol)及びオスミウム酸(VI)カリウム二水和物(0.29g;0.8mmol)を加え、混合物を室温で20時間撹拌した。反応混合物を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(40mL)及び水(40mL)でクエンチし、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮乾固した。得られた粗生成物を、溶離剤としてシクロヘキサン/EtOAc(10/0~5/5)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、予定の化合物(4.65g;13.62mmol)を黄色の油状物として与えた。1H NMR (DMSO): δ0.11 (s, 6H), 0.93 (s, 9H), 2.58 (dd, 1H, J = 8.8 及び 14.2 Hz), 2.9 (dd, 1H, J = 3.5 及び 14.2 Hz), 3.26-3.30 (m, 1H), 3.36-3.41 (m, 1H), 3.61-3.68 (m, 1H), 4.7 (t, 1H, J = 5.7 Hz), 4.75 (d, 1H, J = 5.4 Hz), 4.84-4.93 (m, 2H), 7.65-7.67 (m, 1H), 8.08-8.11 (m, 2H)
【0150】
工程3: 2-[2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-5-ニトロ-フェニル]アセトアルデヒド
3-[2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-5-ニトロ-フェニル]プロパン-1,2-ジオール(3.05g;8.22mmol)の、水(18mL)とTHF(51mL)の混合物溶液に、0℃で、過ヨウ素酸ナトリウム(5.27g;24.65mmol)を少量ずつ加えた。反応混合物を0℃~10℃で2時間撹拌し、次に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(50mL)及び水(50mL)でクエンチした。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、30℃で濃縮乾固して、予定の化合物(2.61g;8.22mmol)を黄色の油状物として与え、次の工程にそのまま用いた。1H NMR (DMSO): δ0.08 (s, 6H), 0.90 (s, 9H), 4.04 (s, 2H), 4.72 (s, 2H), 7.7 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.13 (d, 1H, J = 2.5 Hz), 8.18 (dd, 1H, J = 2.4 及び 8.5 Hz), 9.69 (s, 1H)
【0151】
工程4: 2-[2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-5-ニトロ-フェニル]エタノール
2-[2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-5-ニトロ-フェニル]アセトアルデヒド(2.61g;)のMeOH(40mL)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.47g;12.33mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌し、次にブライン(25mL)及び水(25mL)の添加によりクエンチした。水層をEtOAcで抽出し、次に合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮乾固した。得られた粗生成物を、シクロヘキサン/EtOAc(10/0~6/4)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、予定の化合物(1.36g;4.36mmol)を黄色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ0.11 (s, 6H), 0.92 (s, 9H), 2.82 (t, 2H, J = 6.4 Hz), 3.67 (q, 2H, J = 5.9 Hz), 4.74 (t, 1H, J = 5.1 Hz), 4.87 (d, 2H), 7.66 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 8.08-8.11 (m, 2H)
【0152】
工程5: [2-(2-ブロモエチル)-4-ニトロ-フェニル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シラン
2-[2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-5-ニトロ-フェニル]エタノール(1.26g;4.05mmol)のTHF(25mL)溶液に、0℃で、TEA(1.12mL;8.09mmol)及び塩化メシル(0.47mL;6.07mmol)を加えた。反応混合物を室温までゆっくりと放温し、5時間撹拌し、次に濾過し、そしてTHFですすいだ。臭化リチウム(1.76g;20.23mmol)のTHF(25mL)溶液に、濾液を0℃で加えた。反応混合物を室温までゆっくりと放温し、4日間撹拌し、次に飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)でクエンチした。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、予定の化合物(1.38g;4.03mmol)を黄色の油状物として与え、次の工程にそのまま用いた。1H NMR (DMSO): δ 0.12 (s, 6H), 0.92 (s, 9H), 3.27 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 3.81 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 4.87 (s, 2H), 7.68 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.13-8.16 (m, 1H), 8.18-8.19 (m, 1H)
【0153】
工程6: [2-(2-ブロモエチル)-4-ニトロ-フェニル]メタノール
[2-(2-ブロモエチル)-4-ニトロ-フェニル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シラン(1.38g)の、THF(28mL)及び水(14mL)の溶液に、0℃で酢酸(42mL;737.28mmol)を加えた。反応混合物を室温までゆっくりと放温し、4日間撹拌し、次に水(100mL)で希釈した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮乾固した。得られた粗生成物を、溶離剤としてシクロヘキサン/EtOAc(10/0~6/4)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、予定の化合物(0.73g;2.81mmol)をベージュ色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 3.27 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 3.8 (t, 2H, J= 7.2 Hz), 4.67 (s, 2H), 5.51 (brs, 1H), 7.7 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.11-8.14 (m, 1H), 8.15-8.16 (m, 1H)
【0154】
工程7: 2-[2-(ヒドロキシメチル)-5-ニトロ-フェニル]エチルスルホニルオキシナトリウム(ethylsulfonyloxysodium)
[2-(2-ブロモエチル)-4-ニトロ-フェニル]メタノール(188mg;0.72mmol)のEtOH(750μL)溶液に、亜硫酸ナトリウム(273mg;2.17mmol)の水(1.1mL)溶液及びヨウ化テトラブチルアンモニウム(13mg;0.036mmol)を連続して加えた。反応混合物をマイクロ波照射下、70℃で35分間加熱した。反応混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAcで洗浄した。水層を濃縮乾固し、得られた粗生成物を、溶離剤としてDCM/MeOH(10/0~6/4)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー、次に溶離剤としてACN/水(2/98~34/66)を用いるC18でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、予定の化合物(80mg;0.28mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 2.66-2.70 (m, 2H), 2.94-2.98 (m, 2H), 4.64 (d, 2H, J = 5.3 Hz), 5.47 (t, 1H, J = 5.3 Hz), 7.68 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 7.99 (d, 1H, J = 2.3 Hz), 8.06 (dd, 1H, J = 2.4 及び 8.4 Hz)
【0155】
工程8: 2-[5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチルスルホニルオキシナトリウム
[2-(2-ブロモエチル)-4-ニトロ-フェニル]メタノール(293mg;1.03mmol)の、MeOH(11mL)及び水(2mL)の溶液に、アルゴン下でPd/C 10%(55mg;0.052mmol)を加えた。反応混合物を水素でパージし、水素大気圧下、室温で16時間撹拌した。反応混合物を40μmのPTFEフィルターで濾過し、MeOH/水(1/1)の混合物ですすぎ、濃縮乾固して、予定の化合物(274mg;1.03mmol)を黄色の固体として与え、次の工程にそのまま用いた。1H NMR (DMSO): δ 2.55-2.59 (m, 2H), 2.75-2.79 (m, 2H), 4.32 (d, 2H, J = 5.3 Hz), 5.66 (t, 1H, J = 5.2 Hz), 4.86 (brs, 2H), 6.33-6.35 (m, 2H), 6.93 (d, 1H, J = 7.8 Hz)
【0156】
工程9: 実施例26
2-[5-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチルスルホニルオキシナトリウム(304mg;1.15mmol)のDMF(6mL)溶液に、(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタン酸(474mg;0.96mmol)、HATU(472mg;1.24mmol)及び炭酸水素ナトリウム(160mg;1.91mmol)を加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌し、水(50mL)で希釈し、そしてEtOAcで洗浄した。水層を濃縮乾固し、溶離剤としてACN/水+TFA(0.1%)(2/98~50/50)を用いるC18でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、凍結乾燥の後に、実施例26(83mg;0.11mmol)を微黄色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 0.84-0.88 (m, 6H), 1.32-1.49 (m, 2H), 1.54-1.74 (m, 2H), 1.94-2.04 (m, 1H), 2.58-2.62 (m, 2H), 2.83-2.87 (m, 2H), 2.90-3.05 (m, 2H), 3.93 (t, 1H, J = 8 Hz), 4.23-4.34 (m, 3H), 4.37-4.43 (m, 1H), 4.45 (s, 2H), 5.34 (brs, 2H), 5.98 (brs, 1H), 7.25 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.30-7.34 (m, 2H), 7.39-7.44 (m, 4H), 7.74 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 7.89 (d, 2H, J = 7.5 Hz), 8.08 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 9.90 (s, 1H). LCMS (2-100 ACN/H2O + 0.1% TFA): 76.60% 保持時間=8.1分 陰モード 708.45 検出 (M-H)
【0157】
実施例27: N-{3-[2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エトキシ]プロパノイル}-L-バリル-N-{4-[(5S,8S,11S,12R)-11-[(2S)-ブタン-2-イル]-12-(2-{(2S)-2-[(1R,2R)-3-{[(1S,2R)-1-ヒドロキシ-1-フェニルプロパン-2-イル]アミノ}-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソプロピル]ピロリジン-1-イル}-2-オキソエチル)-4,10-ジメチル-3,6,9-トリオキソ-5,8-ジ(プロパン-2-イル)-2,13-ジオキサ-4,7,10-トリアザテトラデカン-1-イル]-3-(2-スルホエチル)フェニル}-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド
【化73】

工程1: 2-[5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]フェニル]エタンスルホン酸
実施例26(32mg、0.0436mmol)のDMF(0.5mL)溶液に、ビス(4-ニトロフェニル)カルボナート(53.1mg;0.1747mmol)及びDIEA(91μL;0.5240mmol)を加えた。溶液を室温で4時間撹拌した。真空下で蒸発乾固した後、粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、予定の化合物をもたらした。
【0158】
工程2: 2-[5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]エタンスルホン酸
MMAE(17mg、0.02368mmol)のDMF(6mL)溶液に、2-[5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[(4-ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]フェニル]エタンスルホン酸(41.4mg;0.0473mmol)、DIEA(20μL;0.1184mmol)及びHOBt(6.4mg;0.047mmol)を加えた。反応物を室温で一晩撹拌し、この溶液を次の工程にそのまま取り込ませた(engaged)。
【0159】
工程3: 2-[5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]エタンスルホン酸、TFA
2-[5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]エタンスルホン酸の溶液に、DEA(24μL;0.2338mmol)を加え、溶液を室温で1.5時間撹拌した。反応物を、TFA法を用いるCSH(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、凍結乾燥後に予定の化合物を与えた。
【0160】
工程4: 実施例27
2-[5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]フェニル]エタンスルホン酸、TFA(9.5mg;7.1mmol)のDMF(0.2mL)溶液に、DIEA(2.5μL;0.014mmol)を加え、続いて(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)3-[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)エトキシ]プロパノアート(2.4mg;7.8μmol)を加えた。反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を、TFA法を用いるCSH(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、凍結乾燥後に実施例27を与えた。HRMS (ESI) [M+H]+ 実測値 = 1426.7443 (δ = -6.7 ppm)
【0161】
実施例28: 5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-[6-(3,4-ジブロモ-2,5-ジオキソ-ピロール-1-イル)ヘキサノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸
【化74】

6-(3,4-ジブロモ-2,5-ジオキソ-ピロール-1-イル)ヘキサン酸のDMF(0.2mL)溶液に、粉末のHATU(11.3mg;29.8μmol)を加えた。反応物を室温で10分間撹拌し、ルチジン(6.3μL;54.2mmol)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌した。次に、5-[[(2S)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-5-ウレイド-ペンタノイル]アミノ]-2-[[[(1S)-1-[[(1S)-1-[[(1S,2R)-4-[(2S)-2-[(1R,2R)-3-[[(1R,2S)-2-ヒドロキシ-1-メチル-2-フェニル-エチル]アミノ]-1-メトキシ-2-メチル-3-オキソ-プロピル]ピロリジン-1-イル]-2-メトキシ-1-[(1S)-1-メチルプロピル]-4-オキソ-ブチル]-メチル-カルバモイル]-2-メチル-プロピル]カルバモイル]-2-メチル-プロピル]-メチル-カルバモイル]オキシメチル]ベンゼンスルホン酸(10mg;8.3μmol;実施例6の工程2から得た)を加え、反応物を室温で15時間撹拌した。反応物を、TFA法を用いるX-Bridge(登録商標)カラムのC18逆相分取HPLCにより精製して、凍結乾燥後に予定の化合物を与えた。HRMS (ESI) [M+H]+実測値 = 1552.5595 (δ = -2.5 ppm)
【0162】
実施例34: N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(3-スルホプロピル)フェニル]-L-オルニチンアミド
【化75】

工程1: 2-ヨード-4-ニトロ安息香酸
2-アミノ-4-ニトロ安息香酸(10.0g;54.9mmol)のACN(280mL)溶液に、p-トルエンスルホン酸一水和物(32.0g;168mmol)を加えた。混合物を室温で15分間撹拌し、次に亜硝酸ナトリウム(8.00g;115.9mmol)及びヨウ化カリウム(24.0g;144.6mmol)の水(140mL)溶液を、15分で滴下した。反応混合物を19時間撹拌した。反応の完了後、混合物をチオ硫酸ナトリウム(13.02g;82.36mmol)でクエンチし、そして3N 塩化水素水溶液(25mL)で酸性化した。水層をDCMで抽出し、合わせた有機層を1N 塩化水素水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、標記化合物(15.0g;51.2mmol)を橙色の粉末として与えた。1H NMR (DMSO): 7.86 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.27 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 8.64 (s, 1H), 13.8 (brs, 1H)
【0163】
工程2: (2-ヨード-4-ニトロフェニル)メタノール
2-ヨード-4-ニトロ安息香酸(5.00g;17.1mmol)のTHF(70mL)溶液に、ボランの1N THF溶液(85mL;85.0mmol)を加えた。反応混合物を65℃で4時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物を室温に冷やし、MeOH(200mL)でクエンチした。混合物を室温で30分間撹拌し、次に濃縮乾固した。得られた残留物を、溶離剤としてシクロヘキサン/EtOAc(80/20~50/50)を用いるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(3.38g;12.1mmol)を黄色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ4.47 (d, 2H, J = 5.2 Hz), 5.82 (t, 1H, J = 5.2 Hz), 7.70 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.29 (dd, 1H, J = 8.8 及び2.0 Hz), 8.54 (d, 1H, J = 2.0 Hz)
【0164】
工程3: (4-アミノ-2-ヨードフェニル)メタノール
(2-ヨード-4-ニトロフェニル)メタノール(3.70g;13.3mmol)の、EtOH(100mL)及び水(25mL)の溶液に、鉄(3.70g;66.3mmol)及び塩化アンモニウム(800mg;15.0mmol)を連続して加えた。反応混合物を80℃で3時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物をCelite(登録商標)で濾過し、EtOHで洗浄し、そして濃縮乾固した。得られた残留物をEtOAcに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、標記化合物(2.48g;9.95mmol)を黄色の油状物として与えた。1H NMR (DMSO): δ 4.28 (d, 2H, J = 5.2 Hz), 4.97 (t, 1H, J = 5.2 Hz), 5.16 (s, 2H), 6.57 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.02-7.10 (m, 2H)
【0165】
工程4: 4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-ヨードアニリン
(4-アミノ-2-ヨードフェニル)メタノール(3.51g;13.4mmol)のDCM(150mL)溶液に、イミダゾール(0.95g;14.0mmol)を加えた。混合物を0℃に冷却し、次にtert-ブチルクロロジメチルシラン(2.40mL;13.85mmol)のDCM(150mL)溶液を、15分間かけて滴下した。氷浴を取り外し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物をMeOH(20mL)でクエンチし、そして濃縮乾固した。得られた残留物を、溶離剤としてシクロヘキサン/EtOAc(100/0~90/10)を用いるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(3.64g;10.0mmol)を黄色の油状物として与えた。1H NMR (DMSO): δ 0.06 (s, 6H), 0.88 (s, 9H), 4.46 (s, 2H), 5.24 (s, 2H), 6.55 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.03 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.05 (s, 1H)
【0166】
工程5: N-[4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-ヨードフェニル]-N-カルバモイル-N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-オルニチンアミド
4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-ヨードアニリン(10.0g;27.5mmol)の、MeOH(70mL)及びDCM(140mL)の溶液に、Fmoc-Cit-OH(12.0g;30.28mmol)及びEEDQ(8.17g;33.0mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で14時間撹拌した。反応の完了後、得られた残留物を、溶離剤としてDCM/MeOH(100/0~88/12)を用いるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(17.09g;22.0mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 0.09 (s, 6H), 0.91 (s, 9H), 1.38-1.48 (m, 2H), 1.59-1.68 (m, 2H), 2.93-3.05 (m, 2H), 4.06-4.15 (m, 1H), 4.20-4.29 (m, 3H), 4.56 (s, 2H), 5.41 (s, 2H), 5.98 (t, 1H, J = 5.5 Hz), 7.30-7.43 (m, 5H), 7.55 (dd, 1H, J = 8.8 及び2.1 Hz), 7.69 (d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.74 (dd, 2H, J = 7.2 及び 3.4 Hz), 7.89 (d, 2H, J = 7.5 Hz), 8.25 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 10.12 (s, 1H)
【0167】
工程6: N-[4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-ヨードフェニル]-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド
N-[4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-ヨードフェニル]-N-カルバモイル-N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-オルニチンアミド(17.1g;23.0mmol)のTHF(120mL)溶液に、ジメチルアミンの2M THF溶液(44.5mL;89.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で15時間撹拌した。濃縮乾固した後、得られた残留物を、溶離剤として水/ACN(98/02~0/100)を用いるC18のカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(5.47g;10.5mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 0.0 (s, 6H), 0.81 (s, 9H), 1.27-1.38 (m, 3H), 1.47-1.53 (m, 1H), 2.83-2.89 (m, 2H), 3.16-3.19 (m, 1H), 4.46 (s, 2H), 5.26 (s, 2H), 5.82 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 7.24 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 7.50 (dd, 1H, J = 8.3 及び 2.0 Hz), 8.17 (d, 1H, J = 2.0 Hz)
【0168】
工程7: N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-[4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-ヨードフェニル]-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド
N-[4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-ヨードフェニル]-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド(3.00g;5.76mmol)の2-メチルテトラヒドロフラン(240mL)溶液に、Fmoc-Val-OSu(8.65g;8.65mmol)及びDIPEA(1.90mL;11.5mmol)を連続して加えた。反応混合物を室温で15時間撹拌した。反応混合物を焼結漏斗で濾過し、回収した固体を2-メチルテトラヒドロフランで洗浄し、次に高真空下で乾燥して、標記化合物(3.57g;4.24mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO): δ 0.10 (s, 6H), 0.83-0.95 (m, 15H), 1.27-1.52 (m, 2H), 1.52-1.75 (m, 2H), 1.93-2.07 (m, 1H), 2.88-3.09 (m, 2H), 3.93 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 4.17-4.49 (m, 4H), 4.56 (s, 2H), 5.40 (s, 2H), 5.96 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 7.27-7.37 (m, 3H), 7.37-7.48 (m, 3H), 7.54 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.74 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 7.88 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 8.13 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 8.22 (s, 1H), 10.11 (s, 1H)
【0169】
工程8: N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-[4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)フェニル]-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド
N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-[4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-ヨードフェニル]-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド(4.0g;4.55mmol)及び2-プロピン-1-オール(0.54mL;9.10mmol)の乾燥DMF(36mL)溶液に、DIPEA(2.26mL;13.66mmol;3.0当量)を加えた。反応混合物をアルゴンでパージし、次にビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.64g;0.91mmol)及びヨウ化銅(I)(0.17g;0.91mmol)を加えた。反応混合物をアルゴンで再びパージし、室温で16時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液(80mL)を加え、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮乾固した。粗生成物を、溶離剤としてDCM/MeOH(10/0~85/15)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物(2.7g;3.52mmol)を褐色の固体として与えた。1H NMR (DMSO-d6): 0.08 (s, 6H), 0.85-0.89 (m, 6H), 0.90 (s, 9H), 1.32-1.48 (m, 2H), 1.54-1.74 (m, 2H), 1.94-2.03 (m, 1H), 2.89-3.06 (m, 2H), 3.93 (dd, 1H, J = 7.0 及び 9.1 Hz), 4.22-4.33 (m, 5H), 4.36-4.41 (m, 1H), 4.74 (s, 2H), 5.35 (t, 1H, J = 5.9 Hz), 5.40 (s, 2H), 5.96 (t, 1H, J = 6.0 Hz), 7.32 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 7.36-7.43 (m, 4H), 7.48 (dd, 1H, J = 2.3 及び 8.8 Hz), 7.74 (t, 2H, J = 7.7 Hz), 7.78 (s, 1H), 7.89 (d, 2H, J = 7.8 Hz), 8.14 (d, 1H, J = 7.1 Hz), 10.09 (s, 1H)
【0170】
工程9: N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-[4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-{3-[(メタンスルホニル)オキシ]プロパ-1-イン-1-イル}フェニル]-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド
N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-[4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-(3-ヒドロキシプロパ-1-イン-1-イル)フェニル]-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド(1.0g;1.3mmol)の乾燥DMF(9mL)溶液に、DIPEA(0.64mL;3.9mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.15mL;1.95mmol)を連続して0℃で加えた。反応混合物を室温までゆっくりと放温し、1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液(25mL)を加え、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、標記生成物(1.1g;1.3mmol)を橙色のガム状物として与え、次の工程にそのまま使用した。1H NMR (DMSO-d6): 0.08 (s, 6H), 0.84-0.89 (m, 6H), 0.90 (s, 9H), 1.32-1.49 (m, 2H), 1.54-1.74 (m, 2H), 1.94-2.03 (m, 1H), 2.91-3.05 (m, 2H), 3.29 (s, 3H), 3.93 (dd, 1H, J = 7.1 及び 9.0 Hz), 4.20-4.33 (m, 3H), 4.37-4.42 (m, 1H), 4.75 (s, 2H), 5.23 (s, 2H), 5.4 (s, 2H), 5.96 (t, 1H, J = 5.8 Hz), 7.32 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 7.39-7.43 (m, 4H), 7.56 (dd, 1H, J = 2.3 及び 8.8 Hz), 7.74 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 7.83 (d, 1H, J = 2.3 Hz), 7.89 (d, 2H, J = 7.3 Hz), 8.14 (d, 1H, J = 7.3 Hz), 10.15 (s, 1H)
【0171】
工程10: N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-{3-[3-(アセチルスルファニル)プロパ-1-イン-1-イル]-4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)フェニル}-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド
N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-[4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-3-{3-[(メタンスルホニル)オキシ]プロパ-1-イン-1-イル}フェニル]-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド(1.1g;1.3mmol)の乾燥DMF(10mL)溶液に、チオ酢酸カリウム(0.3g;2.6mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液(35mL)を加え、そして水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮乾固した。粗生成物を、溶離剤としてDCM/MeOH(10/0~9/1)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物(0.52g;0.62mmol)を帯黄色の固体として与えた。1H NMR (DMSO-d6): 0.08 (s, 6H), 0.84-0.89 (m, 6H), 0.90 (s, 9H), 1.31-1.49 (m, 2H), 1.54-1.73 (m, 2H), 1.95-2.02 (m, 1H), 2.4 (s, 3H), 2.89-3.06 (m, 2H), 3.93 (dd, 1H, J = 6.9 及び 9.1 Hz), 3.97 (s, 2H), 4.20-4.33 (m, 3H), 4.36-4.41 (m, 1H), 4.69 (s, 2H), 5.39 (s, 2H), 5.96 (t, 1H, J = 5.8 Hz), 7.32 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 7.35-7.43 (m, 4H), 7.49 (dd, 1H, J = 2.2 及び8.5 Hz), 7.72-7.76 (m, 3H), 7.89 (d, 2H, J = 7.5 Hz), 8.12 (d, 1H, J = 7.4 Hz), 10.08 (s, 1H)
【0172】
工程11: N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(3-スルホプロパ-1-イン-1-イル)フェニル]-L-オルニチンアミド
35% 過酸化水素溶液(1.08mL;12.57mmol)に、ギ酸(9.68mL;256.5mmol)を0℃で加えた。この溶液を1時間撹拌し、次にN-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-{3-[3-(アセチルスルファニル)プロパ-1-イン-1-イル]-4-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)フェニル}-N-カルバモイル-L-オルニチンアミド(367mg;0.44mmol)に室温で加えた。反応混合物を2時間撹拌し、水(20mL)で希釈し、35℃で濃縮乾固した。残留物を1N 塩酸(25mL)に懸濁し、DCM/MeOH(7/3)で洗浄した。水層を35℃で濃縮乾固した。粗生成物を、溶離剤としてACN/水+TFA(0.1%)(2/98~50/50)を用いるC18でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、凍結乾燥の後に、標記の生成物(117mg;0.13mmol)を白色の固体として与えた。1H NMR (DMSO-d6): δ 0.84-0.88 (m, 6H), 1.33-1.50 (m, 2H), 1.55-1.75 (m, 2H), 1.95-2.02 (m, 1H), 2.89-3.05 (m, 2H), 3.58 (s, 2H), 3.91-3.95 (m, 1H), 4.20-4.33 (m, 3H), 4.37-4.42 (m, 1H), 4.55 (s, 2H), 5.22 (brs, 1H), 5.38 (s, 2H), 5.96 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 7.32 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 7.36-7.43 (m, 4H), 7.48 (dd, 1H, J = 2.4 及び 9.2 Hz), 7.65 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.74 (t, 2H, J = 6.8 Hz), 7.89 (d, 2H, J = 7.4 Hz), 8.12 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 10.03 (s, 1H). LCMS (2-100 ACN/H2O + 0.05% TFA): 77.27%, 保持時間=8.3分 陽モード 720.26 検出 (M+H+)
【0173】
工程12: 実施例34
N-{[(9H-フルオレン-9-イル)メトキシ]カルボニル}-L-バリル-N-カルバモイル-N-[4-(ヒドロキシメチル)-3-(3-スルホプロパ-1-イン-1-イル)フェニル]-L-オルニチンアミド(10mg;0.014mmol)の、THF(600μL)及び酢酸(60μL)懸濁液に、アルゴン下、5% 乾燥Pt/C(7mg;0.0018mmol)を加えた。反応混合物を水素で3回パージし、次に室温で64時間撹拌した。反応混合物を45μmのPTFEフィルターで濾過し、MeOH及びMeOH/水(1/1)で洗浄し、次に濃縮乾固して、実施例34(7mg)を橙色の油状物として与えた。LCMS (2-100 ACN/H2O + 0.05% FA): 6.93%, 保持時間=8.8分 陰モード 722.19 検出 (M-H)
【0174】
実施例6~12、実施例14~25、実施例27又は実施例28に対して実施したように、実施例34(式(I)のパラ-アミノ-ベンジル リンカー化合物)は、本発明による、式(II)のリンカー-薬物化合物の調製及び式(III)の抗体-薬物コンジュゲートの調製に使用することができる。
【0175】
実施例A:ADCのコンジュゲーション及び分析的特徴決定
本出願全体を通して使用されるように、「標的抗原/抗体-リンカー-薬物」という一般形式の命名規則を使用して、抗体-薬物コンジュゲートを特定することができる。単なる例であるが、抗体-薬物コンジュゲートが「標的X-実施例Y」と呼ばれる場合、このようなコンジュゲートは、標的Xに結合する抗体と、実施例Yに例示されたリンカー-薬物を含むであろう。
【0176】
1.コンジュゲーション
例示的なADCを、以下に記載される方法のうちの1つを使用して合成した。例示的なADC合成に使用された抗体を、略語Ab T TG及びAb Tにより定義した(表1)。
【0177】
【表1】
【0178】
抗体T TGは、細菌トランスグルタミナーゼ(BTG)反応性グルタミン(アミン含有シクロオクチンであるBCN(又はN-[(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン-9-イルメチルオキシカルボニル]-1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン)で特異的に官能化されている)を有していた。細菌トランスグルタミナーゼを使用した、BCN部分への抗体の部位特異的なコンジュゲーションを、Innate Pharma 2013(presentation at ADC Summit, San Francisco, California, Oct. 15, 2013)、WO第2017/059160号及び同第2016/144608号に記載されているように行った。これらの修飾により、以下の方法Aを使用して、記載されたアジド含有前駆体をコンジュゲーションすることが可能となった(図1)。https://patents.google.com/patent/WO2017059160A1/enhttps://patents.google.com/patent/WO2016144608A1/en
【0179】
Ab Tのコンジュゲートを、4つの鎖間ジスルフィド結合を完全に還元し、続けて、過剰量の薬物とコンジュゲーションすることにより得た(図2)。本発明の目的で、水溶性第三級ホスフィン、例えば、トリス-(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を還元剤として使用した。完全な還元及びコンジュゲーションにより、主として、1抗体当たり8つの薬物を有する完全に負荷された種、及び最終的には、少量の割合の、6つの薬物が負荷されたmAbが生成し、これから、7.1及び7.7との平均DAR値が説明される(表2)。
【0180】
Ab Tのコンジュゲートのいくつかを、以下の方法Dに記載される再架橋技術により生成した。Ab Tの4つの鎖間ジスルフィド結合をTCEPで完全に還元し、ジブロモマレイミド官能化リンカー-ペイロードを使用して再形成した(図3)。抗体の各重鎖上の鎖間ジスルフィド架橋に関与するシステインの近接性に起因して、コンジュゲーションにより2つのコンホメーションがもたらされる。
【0181】
方法A(DAR2)
ジメチルスルホキシド(DMSO、619μl、カップリング容量の20%)をAb溶液(1.8mg/mL;2.5mL、4.5mg)に加えた。この混合物をボルテックスで30秒間撹拌し、続けて、4倍モル過剰のリンカー-ペイロード(warhead payload)(20mM、DMSO中6μL)を加えた。この反応物を室温において、64rpmで一晩撹拌した。非コンジュゲートリンカーペイロードを除去するために、10倍モル過剰のDBCO含有Tentagel樹脂(0.1~0.2mmol/g, Iris Biotech, CS-0477.0500)を加え、この混合物を室温で6時間撹拌した。Vivaspin 20, 50KD, PES(Sartorius Stedim, VS2031)を使用した3回のろ過サイクルにより、バッファーをPBS 1X(Sigma Life Science, P3813, 10PAK)に交換し、ついで、0.2μmの滅菌PESフィルター、25mm(Whatmann, G896-2502)を通して滅菌ろ過し、4℃で保存した。
【0182】
方法B(DAR8)
Ab溶液(10.3mg/mL;0.5mL)を、EDTA含有PBSバッファー pH7.4(10mM;0.5mL)中で希釈して、カップリング反応物における最終EDTA濃度5mMを固定した。ついで、TCEP(PBSバッファー pH7.4中1mM、849μL)を抗体に加え、続けて、37℃で2時間インキュベーションした。還元後、抗体溶液を2~8℃に冷却し、20倍モル過剰量のリンカー-ペイロード(5mM、DMSO中、141μl)を加えた。この反応物を4℃で1.5時間インキュベーションした。この溶液を20分間遠心分離し(4℃で14000G)、HiLoad 26/600 Superdex 200pg(GE Healthcare, 28989336)SECクロマトグラフィーカラムにロードした。ADCを、PBS(Sigma Life Science, P3813, 10PAK)中20% DMAで溶出し、続けて、PBS 1X pH7.4(Sigma Life Science, P3813, 10PAK)中で2サイクル透析(16時間及び4時間)を行った。コンジュゲートを、Vivaspin 20, 50KD, PES(Sartorius Stedim, VS2031)を使用して濃縮し、0.2μmの滅菌PESフィルター、25mm(Whatmann, G896-2502)を通して滅菌ろ過し、4℃で保存した。
【0183】
方法C(DAR8)
Ab溶液(10.3mg/mL;0.5mL)を、EDTA含有PBSバッファー pH7.4(10mM;0.5mL)中で希釈して、カップリング反応物における最終EDTA濃度5mMを固定した。ついで、TCEP(PBSバッファー pH7.4中1mM、849μL)を抗体に加え、続けて、37℃で2時間インキュベーションした。還元後、抗体溶液を2~8℃に冷却し、20倍モル過剰量のリンカー-ペイロード(5mM、DMSO中、141μL)を加えた。この反応物を4℃で1.5時間インキュベーションした。ついで、コンジュゲートをrmp protein A樹脂(GE Healthcare, 17-5138-01)で精製し、続けて、PBS 1× pH7.4(Sigma Life Science, P3813, 10PAK)中で2サイクル透析(16時間及び4時間)を行った。ADCを、Vivaspin 20, 50KD, PES(Sartorius Stedim, VS2031)を使用して濃縮し、0.2μmの滅菌PESフィルター、25mm(Whatmann, G896-2502)を通して滅菌ろ過し、4℃で保存した。
【0184】
方法D(DAR4)
AbのBBSバッファー pH8(以下に記載するように調製)溶液(5mg/mL、0.5ml)に、8倍モル過剰のTCEP(BBS pH8中1mM、137μl)を加えた。この反応物を37℃で2時間インキュベーションした。ついで、7.5倍モル過剰のリンカー-ペイロード(1mM、DMF中129μl)を加え、得られた溶液を室温において、600rpmで混合した。得られたADCをPBS 1X pH7.4(Sigma Life Science, P3813, 10PAK)中において、4℃で16時間透析した。ついで、コンジュゲートをrmp protein A樹脂(GE Healthcare, 17-5138-01)で精製し、続けて、PBS 1X pH7.4(Sigma Life Science, P3813, 10PAK)中において、室温で2時間透析した。ADCを、Vivaspin 20, 50KD, PES(Sartorius Stedim, VS2031)を使用して濃縮し、0.2μmの滅菌PESフィルター、25mm(Whatmann, G896-2502)を通して滅菌ろ過し、4℃で保存した。
【0185】
BBSバッファー pH8の調製:Na・10HO(528mg)を脱イオン水(27.7mL)に溶解させた。塩化ナトリウム(63mg、25mM)及びEDTA(16mg、1mM)を0.1M 塩酸 22.3mLに可溶化させた。ついで、2つの溶液同士を混合し、得られた溶液をそのままコンジュゲーション工程に使用した。
【0186】
2.LC-MSの一般的な方法
例示的なADCの薬物対抗体比(DAR)を、下記方法LC-I又はLC-IIを使用した、液体クロマトグラフィー-質量分光法(LC-MS)により決定した。LC-I法では、移動相AをMSグレードの水(Biosolve, Dieuze, France, 00232141B1BS)により精製し、移動相BをMSグレードのアセトニトリル(Biosolve, Dieuze, France, 0001204101BS)により精製し、移動相Dを、1% ギ酸(FA)(Honeywell/Fluka, Bucharest, Romania, 56302)を添加したMSグレードの水により精製した。移動相Dを10%に固定して、0.1% FAという移動相組成を維持し、カラム温度を80℃に設定した。一般的なMS法を合成された全てのADCについて最適化した(表2)。LC-II法では、移動相AをMSグレードの水(Biosolve, Dieuze, France, 00232141B1BS)により精製し、移動相BをMSグレードのアセトニトリル(Biosolve, Dieuze, France, 0001204101BS)により精製した。両方とも、0.1% ギ酸(FA)(Honeywell/Fluka, Bucharest, Romania, 56302)を含有する。カラム温度を80℃に設定した。一般的なMS法を合成された全てのADCについて最適化した(表2)。
【0187】
方法LC-I:ADCをBioresolve RP mAb Polyphenyl、450A、2.7μm、2.1×150mm(Waters, Saint-Quentin-en-Yvelines, France, 186008946)にロードした。インタクトな条件及び還元条件の両方における分析について、流量を0.6mL/分として、20% Bで脱塩工程を1.5分間行った。流量を0.3mL/分として、20% Bで1.5分から、70% Bで16.5分の勾配で、溶出工程を行った。洗浄工程を、流量0.6mL/分で、90% Bで16.8分から18.8分に設定した。最後に、流量を0.6mL/分として、20% Bで19.1分から1.9分間、コンディショニング工程を使用した(総実行時間=21分)。
【0188】
方法LC-II:ADCをBioresolve RP mAb Polyphenyl、450A、2.7μm、2.1×150mm(Waters, Saint-Quentin-en-Yvelines, France, 186008946)にロードした。インタクトな条件及び還元条件の両方における分析について、流量を0.6mL/分として、20% Bで脱塩工程を1.5分間行った。ついで、同じ流量で、20% Bで1.5分から、50% Bで16.5分の勾配で、溶出工程を行った。次の洗浄工程を、流量0.6mL/分で、100% Bで16.8分から18.8分に設定した。最後に、上記言及された流量で、100%から20% Bで18.8分から19.2分までコンディショニング工程を使用し、さらに、20% Bで1.9分間カラムを安定させた(総実行時間=21分)。
【0189】
LC-MS分析を、Waters UPLC H-Class Bioクロマトグラフィーシステム-Xevo G2 XS Q-TOF ESI質量分光計(Waters, Manchester, UK)を使用して行った。ADCをインタクトな条件(予備処理なし)で又は5mM(最終濃度) ジチオスレイトールDTT(Thermo Scientific, Rockford, IL, 20291)を使用した還元後のいずれかで分析した。続けて、処理されたADCを、前述のLC-I及びLC-IIを使用して分析した(表2)。分析物のエレクトロスプレーイオン化飛行時間質量スペクトルを、MassLynx(商標)収集ソフトウェア(Waters, Manchester, UK)を使用して取得した。ついで、抽出された強度対m/zスペクトルを、MassLynx(商標)ソフトウェアの最大エントロピー(MaxEnt)法を使用してデコンボリューションし、使用された処理に応じて、各インタクトな抗体種、又は各還元抗体フラグメントの質量を決定した。最後に、デコンボリューションされたスペクトル又はUVクロマトグラムから、コンジュゲーションされていない、及びコンジュゲーションされた、所定の種(mAb又は関連フラグメント)の積分MS(総イオン電流)又はUV(280nm)ピーク面積を合計することにより、DARを決定した。UVクロマトグラムによるDAR決定では、全ての種の% 相対面積に、結合させた薬物の数を掛けた。全ての種の、合計され、重み付けされた面積を、% 総相対面積の合計で割った結果、完全なADCの最終平均DAR値の推定値が得られた。デコンボリューションされたスペクトルによるDAR決定のために、特定された全ての種の割合を、デコンボリューションされたスペクトルからの強度ピーク値により計算した。得られた割合に、結合させた薬物の数を掛けた。合計された結果から、完全なADCについての最終平均DAR値の推定値が得られた。
【0190】
3.サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、ADCの品質である、精製後のその凝集割合を決定するために行った。この分析を、分析カラムSuperdex 200 Increase 5/150 GL(GE Healthcare, 28990945)で、100% PBS pH7.4(Sigma Life Science, P3813, 10PAK)のアイソクラティック条件下、流量0.45mL/分において12分間行った。コンジュゲート試料中の凝集画分の割合を、280nmにおける吸光度のピーク面積に基づいて定量した。その計算は、280nmでの高分子量溶出物を、高分子量溶出物とモノマー溶出物の、同じ波長における吸光度のピーク面積の合計で割って、100を掛けた比に基づいている。
【0191】
4.疎水性相互作用クロマトグラフィー
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、リンカー-ペイロード及びバイオコンジュゲーション技術の、抗体に対する疎水性の影響を決定するために行った。この分析を、TSKgel Butyl-NPRカラム(Tosoh Bioscience, 0014947)を使用し、移動相A(1.5M 硫酸アンモニウム(NHSO、25mM 二塩基性リン酸カリウム(KHPO)、pH7に調整)及びB(25mM 二塩基性リン酸カリウム(KHPO)、20% イソプロパノール、pH7に調整)で行った。5% Bで、0.6mL/分の流量にて溶出を開始した。勾配を17分間で5%から100%のBに上昇させ、続けて、洗浄工程を100%のBで5分間行った。最後に、コンディショニング工程を、2分間で100%から5%のB、続けて、5%のBで2分間行った。
【0192】
本発明の目的で、各ADCの相対保持時間(RRT)を、ADC保持時間(RT)を抗体RTで割ったものを使用して計算した(表3)。
【0193】
5.結果
例示的なADCの特徴決定を表2にまとめた(実施例15~22及び実施例29~33と命名;カップリング及びLC-MS法、凝集状態及びDAR)。平均DAR値を、上記LC-MS法LC-I又はLC-II(ポイント2)を使用して決定し、% 凝集体を、上記されたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定した(ポイント3)。
【0194】
【表2】
【0195】
例示されたADCの疎水性を、上記されたHICクロマトグラフィーを使用した相対保持時間の計算により比較した(ポイント4)。表3に、コンジュゲートのRRT値をまとめた。
【0196】
【表3】
【0197】
安定性試験を、全ての例示されたADCについて行った。ここでは、コンジュゲートを、PBSバッファー中、+37℃で1週間にわたって加速分解の条件下でインキュベーションした。SECクロマトグラフィーを、コンジュゲートの凝集状態を測定するのに利用した。得られた結果を表4に示す。
【0198】
【表4】
【0199】
実施例B:CTGアッセイを使用した細胞生存率に対する例示されたADCの効果
HCC1954(HER+)及びMOLT4(HER-)細胞株を、10% 熱不活化ウシ胎児血清、ペニシリン(100IU/mL)、ストレプトマイシン(100μg/ml)及びL-グルタミン(2mM)を補充したRPMI中で培養した。細胞株を、5% COを含有する加湿雰囲気下、37℃で培養した。細胞を96マイクロウェルプレートに播種し、ADCに120時間曝露した(5倍連続希釈;各9濃度、3回)。37℃/5% COで5日間インキュベーションした後、CellTiterGloをウェル当たり試薬 75μLで使用して細胞ATPレベルを定量することにより、細胞生存率に対するADCの効果を評価した。全ての条件を3回試験した。発光を多目的プレートリーダーで定量した。IC50を、標準的な4パラメトリックカーブフィッティングを使用して計算した。IC50は、CTGシグナルが、対照について測定されたそれの50%に低下する化合物濃度と定義される。各実験を少なくとも2回行い、結果には再現性があった。
【0200】
表5に示されるように、例示されたADCは全て、CTGアッセイにおいて抗原陽性細胞で活性である。
【0201】
【表5】
図1
図2
図3
【国際調査報告】