(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】駐車時にも作動可能な空調システムを備えた電気牽引車および対応する制御方法
(51)【国際特許分類】
B60H 1/24 20060101AFI20230612BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20230612BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230612BHJP
【FI】
B60H1/24 661Z
B60H1/22 671
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570163
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 IB2021054381
(87)【国際公開番号】W WO2021234628
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】102020000011677
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファヴァレット ファブリツィオ
【テーマコード(参考)】
3D235
3L211
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB41
3L211AA11
3L211BA52
3L211DA45
3L211FA02
3L211GA44
(57)【要約】
電動車両(1)であって、1対の前輪(3)および1対の後輪(4)を支持するシャーシ(2)と、前輪(3)と後輪(4)との間に配置された客室(5)と、駆動輪(4)に接続された少なくとも1つの電気モータ(10)と、電気エネルギー貯蔵装置(13)と、客室(5)に存在する空気を加熱または冷却することによって客室(5)を空調するように設計されている空調システム(16)と、車両(1)が駐車されて外部充電システム(14)に接続されているときであっても、空調システム(16)を作動させるように構成されている制御ユニット(20)と、を備え、空調システム(16)が、シャーシ(2)とのみ直接熱交換するように設計されている少なくとも1つの熱装置(19)を有し、制御ユニット(20)が、車両(1)が駐車され、外部充電システムに接続されている場合にのみ、熱装置(19)を作動させるように構成されている、電動車両(1)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両(1)であって、
1対の前輪(3)および1対の後輪(4)を支持し、複数の中空の箱入り要素(15)を有するシャーシ(2)と、
前記前輪(3)と前記後輪(4)との間に配置された客室(5)と、
駆動輪(4)に接続された少なくとも1つの電気モータ(10)と、
電気エネルギー貯蔵装置(13)と、
前記客室(5)に存在する空気を加熱または冷却することによって前記客室(5)を空調するように設計されており、前記空気を冷却または加熱するように設計された空気処理ユニット(18)を有する空調システム(16)と、
前記車両(1)が駐車されて外部充電システム(14)に接続されているときであっても、前記空調システム(16)を作動させるように構成されている制御ユニット(20)と、
を備え、前記車両(1)は、
前記空調システム(16)が、前記シャーシ(2)内の前記空気処理ユニット(18)によって処理された前記空気の少なくとも一部を供給することによって、前記シャーシ(2)とのみ直接熱交換するのに適した少なくとも1つの熱装置(19)を有し、
前記シャーシ(2)が、前記空気処理ユニット(18)によって処理された前記空気が前記シャーシ(2)に入る少なくとも1つの入口開口部(22)と、前記空気が前記シャーシ(2)を出る少なくとも1つの出口開口部(23)とを有し、
前記制御ユニット(20)が、前記車両(1)が駐車され、前記外部充電システム(14)に接続されている場合にのみ、前記シャーシ(2)内の前記空気処理ユニット(18)によって処理された前記空気の少なくとも一部を供給する前記熱装置(19)を作動させるように構成されていることを特徴とする、電動車両(1)。
【請求項2】
前記空気処理ユニット(18)は、前記シャーシ(2)を出る前記空気を再循環させるように構成されている、請求項1に記載の電動車両(1)。
【請求項3】
前記入口開口部(22)および前記出口開口部(23)が、前記出口開口部(23)から来る前記空気を再度調整し、次いで前記入口開口部(22)に再導入することができるように、前記フレーム(2)の同じ側に配置される、請求項1または2に記載の電動車両(1)。
【請求項4】
前記空調システム(16)によって処理され、前記客室(5)の空調を目的とする前記空気が循環する第1の経路が、前記空調システム(16)によって処理され、前記フレーム(2)の加熱または冷却を目的とする前記空気が循環する第2の経路とは異なり、完全に隔離されており、結果、前記客室(2)を循環する前記空気は、前記フレーム(2)を循環する空気と決して混合しない、請求項1、2または3に記載の電動車両(1)。
【請求項5】
前記シャーシ(2)は、前記シャーシ(2)内に前記入口開口部(22)と前記出口開口部(23)の間のより長い必須経路を作成するように、前記入口開口部(22)を前記出口開口部(23)から分離する少なくとも1つの仕切り壁(24)を内部に備える、請求項3または4に記載の電動車両(1)。
【請求項6】
前記空気処理ユニット(18)が、同じ温度の空気を前記客室(5)および前記シャーシ(2)に導入するように構成されている、請求項2~5のいずれか一項に記載の電動車両(1)。
【請求項7】
前記シャーシ(2)に導入される前記空気と比較して、前記空気処理ユニット(18)は、前記空調が加熱を提供するときは前記客室(5)により冷たい空気を導入し、前記空調が冷却を提供するときはより温かい空気を導入するように構成されている、請求項2~5のいずれか一項に記載の電動車両(1)。
【請求項8】
前記熱装置(19)が、熱伝導(2)によって前記シャーシを加熱するために前記シャーシ(2)に取り付けられている少なくとも1つの電気ヒータ(25)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の電動車両(1)。
【請求項9】
前記シャーシ(2)と外部環境との間に配置されており、前記シャーシ(2)と前記客室(5)との間には配置されない断熱材(26)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の電動車両(1)。
【請求項10】
前記断熱材(26)が、少なくとも、前記シャーシ(2)と路面との間に配置されている、請求項9に記載の電動車両(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の電動車両(1)の制御方法であって、前記車両(1)が駐車され、外部充電システム(14)に接続されているときにのみ、客室(5)に存在する空気を加熱または冷却することによって前記客室(5)を空調するとともに、前記シャーシ(2)を加熱または冷却するために、前記空調システム(16)を作動させるステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車時にも作動可能な空調システムを備えた電気駆動車両および対応する制御方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2020年5月20日に出願されたイタリア特許出願第102020000011677号からの優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、電気駆動車において有利な用途を見出す。電気駆動車は、この一般性を失うことなく、以下の説明において明示的に参照される。
【背景技術】
【0004】
現在の電気駆動車に影響を与える主な問題は距離である。これは、自動車バッテリが貯蔵することが可能なエネルギーの量が比較的限られており、充電時間が非常に長いためである(内燃機関を搭載した自動車のガソリンまたはディーゼルの燃料補給時間と比較して)。さらに、自動車の外側の温度が特に過酷である(すなわち、非常に寒いまたは非常に暑い)ため、走行中に空調システムを使用して客室を加熱または冷却する場合、電気駆動車の比較的短い距離がさらに低減する可能性がある。さらに、一年で最も寒い時期に、熱車両(すなわち、内部燃焼エンジンを備えた車両)では、車両に動力を供給するためのエネルギーの損失を構成する、燃焼によって生成される熱を、客室を暖めるために「無料」で使用することができるが、これは電気駆動車両には当てはまらない。これは、パワートレインの効率が非常に高いため、電気モータによって発生する廃熱を、電子動力変換器および電気エネルギー貯蔵装置によって(簡便に)利用することができないためである。
【0005】
走行中に(特に経路の最初の数キロに沿って)空調システムの使用を減らし、したがって、空調システムが使用する電気エネルギーを減らすために、製造者は、電気駆動車がまだ充電システムに接続されているときに、走行の開始(直)前に空調システムの使用を提案しており、このように、電気自動車のバッテリに蓄えられた電気エネルギーを使用するのではなく、ネットワークによって提供される電気エネルギーを使用することによって、客室を所望の温度に到達させることができる。走行中、空調システムは、すでに存在する望ましい温度を維持することのみを目的として使用され、客室を環境温度から目的の温度にする(真冬または真夏には数十℃に達する可能性のある温度差がある)ことを可能にするために使用する必要がないため、節約される電気エネルギーの量は相当のものである(外気温が特に過酷である場合)。
【0006】
基本的に、電気駆動車が駐車して充電システムに接続されると、運転者が走行開始時刻を設定し、したがって、正確な走行開始時刻に客室が所望の温度に到達することができるように、適度に前もって(充電システムから提供される電気エネルギーを使用して)空調システムが自動的に作動される。
【0007】
しかし、外気温が特に過酷である場合(すなわち、非常に寒い、または非常に暑い)、走行が始まるとすぐに、客室は比較的大量の熱を外部と交換する傾向があるため、空調システムはほとんどすぐに相当のエネルギーを消費する。
【0008】
ドイツ特許出願第102010043335号およびドイツ特許出願第102018004839号は、電気駆動車両を開示しており、車両が駐車されて外部エネルギー源に接続されると客室空調システムが作動し、結果、運転者が車両に乗って走行を開始するときに、客室はすでに所望の温度になっている。
【0009】
ドイツ特許第494879号は、自動車のシャーシのための誘導加熱装置を記載している。
【0010】
日本国公開特許公報特開平11-42924は、ドアシル(すなわち、ドアの下にあるシャーシの部分)が内部で中空であり、前方位置にある空調システムによって生成される(高温または低温の)調整空気を後部ドアに向かって供給するための空気圧チャネルとして使用され、結果、上記調整空気を、後部座席の当該領域内で後部ドアを通して拡散することができる自動車を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、駐車時にも作動可能な空調システムを備えた電気駆動車両および関連する制御方法を提供することであり、上記電気駆動車両は、上記の欠点の影響を受けず、同時に、容易かつ経済的に製造される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲による、駐車時にも作動可能な空調システムを備えた電気駆動車両および関連する制御方法が提供される。
【0013】
添付の特許請求の範囲は、本発明の好ましい実施形態を記述し、本明細書の一体部分を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図1の自動車のシャーシの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本発明を添付の図面を参照して説明し、図面はその非限定的な実施形態を示す。
図1において、符号1は、全体として、1対の前輪3および1対の後輪4を指示するシャーシ2(
図2および
図3に概略的に示されている)を含む、後部(または中央)モータを備えた自動車を示す。
【0016】
前輪3と後輪4との間には、一対のドア6を介してアクセスが許可される客室5があり、正面において、客室5はフロントガラス7によって区切られている。客室5の前には、前部ヒンジ付きフード9によって上部が閉じられている前部区画8(例えば、これに限定されないが、手荷物用)がある。客室5の後ろには後部モータ区画があり、後部ヒンジ付きフードによって上部が閉じられている。
【0017】
図3によれば、自動車1は電気駆動部(パワートレイン)を有し、各々が機械的駆動系11(例えば遊星歯車装置を含む)によって対応する後部駆動輪3に接続されている2つの電気モータ10を備える。各電気モータ10は、対応する固定子巻線にAC電圧を提供し、貯蔵装置13と電気エネルギーを交換する、対応する電子動力変換器12によって制御される。
図1によれば、自動車1が駐車されると、自動車1は、ケーブルを介して、貯蔵装置13に電気エネルギーを供給する外部充電システム14に接続することができる。
【0018】
図2および
図3によれば、シャーシ2は、内部中空箱入り要素15のセットを備える。上記箱入り要素15は、例えば、軽金属合金(一般的に言えば、アルミニウムベースの合金)から作成され、押し出しによって製造され、好ましくはボディを接合することによって画定される構造ノードの領域を溶接することによって互いに接合された内部中空線形バーから成る。
【0019】
図3によれば、自動車1は、客室5に存在する空気を加熱または冷却することによって客室5を空調するように設計された空調システム16を備える。特に、空調システム16は、それぞれの電気モータによって動作させられ、強制空気循環を生成するように設計された1つまたは複数のファン17と、ファン17によって循環させられている空気を冷却または加熱するように設計された空気処理ユニット18とを備える。典型的には、空気処理ユニット18は、電気モータによって動作させられるヒートポンプを備える。さらに、空調システム16は、シャーシ2のみと直接熱を交換するように設計された熱装置19を備える。すなわち、熱装置19は、シャーシ2のみによる動作に完全に専用であるため、客室5と熱を交換することができない。
【0020】
最後に、自動車1は、(貯蔵装置13に貯蔵された電気エネルギーを使用しないように)車両1が駐車され、外部充電システム14に接続されたときにも空調システム16を作動させるように構成された制御ユニット20を備える。特に、車両1が駐車されて外部充電システム14に接続されると、制御ユニット20は、空調システム16を作動させて、客室5を空調するとともに、(熱装置19を使用して)シャーシ2を加熱し(空調が客室5の加熱を必要とする場合)、またはシャーシ2を冷却する(空調が客室5の冷却を必要とする場合)。
【0021】
図3によれば、熱装置19は、処理ユニット18によって処理された空気の少なくとも一部をシャーシ2に供給するように構成された供給部材21を備える。すなわち、供給部材21によって、空気処理ユニット18によって処理された空気の少なくとも一部は、客室5に到達する代わりに、シャーシ2に供給される。特に、シャーシ2は、空気処理ユニット18によって処理された空気がシャーシ2に入る少なくとも1つの入口開口部22と、空気がシャーシ2を出る少なくとも1つの出口開口部23とを備える。
【0022】
処理ユニット18は、出口開口部23からシャーシ2から流出する空気を完全に再循環させるように構成される。すなわち、シャーシ2を加熱または冷却するために、外部からの空気を(可能な限り)使用せずに、同じ空気を使用する。特に、入口開口部22および出口開口部23は、シャーシ2の同じ側で互いに近接しており、結果、出口開口部23から来る空気は、再び調整し、その後、入口開口部22に再導入され、比較的短い経路をカバーすることができる(すなわち、空気の再循環をより容易かつ効率的にする)。
【0023】
空調システム16によって処理され、客室5の空調を目的とする空気の循環のための第1の経路は、空調システム16によって処理され、シャーシ2の加熱または冷却を目的とする空気の循環のための第2の経路とは異なり、完全に隔離されており、結果、客室2を循環する空気は、シャーシ2を循環する空気と決して混合しない。すなわち、空調システム16によって処理され、客室5の空調を目的とする空気は、空調システム16によって処理され、シャーシ2の加熱または冷却を目的とする空気とは異なり、常に分離されている。結果として、2つの空気経路は熱源または冷熱源(空調システム16の単一の共通の熱または冷熱発生器から成る)のみを共有し、同じ空気を共有せず、結果、客室5内を循環する空気は、シャーシ2を循環する空気から隔離される。
【0024】
好ましい実施形態によれば、シャーシ2は、内部に少なくとも1つの仕切り壁24を含み、これは、入口開口部22を出口開口部23から分離して、シャーシ2の内部で、入口開口部22と出口開口部23との間に可能な限り変化する、より長い必須経路を作成する(このようにして、シャーシ2に供給された空気は、入口開口部22を通って流れることによって、出口開口部23に到達する前に可能な限りフレーム2に到達する)。
【0025】
可能なより単純な実施形態によれば、空気処理ユニット18は、同じ温度の空気を客室5およびシャーシ2に導入するように構成される。結果として、空気処理ユニット18は、客室5に導入される空気とシャーシ2に導入される空気の両方に対して同じ熱交換を実行する。代替のより複雑な実施形態によれば、空気処理ユニット18は、空調が加熱を伴う場合はシャーシ2に導入される空気と比較してより低温の空気を、空調が冷却を伴う場合はより高温の空気を客室5に導入するように構成されており、結果として、空気処理ユニット18は、客室5に導入される空気と、シャーシ2に導入された空気とに対して異なる熱処理を実行する。この実施形態は、空気処理ユニット18内で差別化された空気処理を必要とするという点でより複雑であるが、シャーシ2により大量の熱または冷熱を貯蔵するように、客室5が冷却または加熱されるよりもシャーシ2を大幅に冷却または加熱するという利点を提供する。この点に関して、客室5の温度は、冬は約18~20℃、夏は約26~28℃である必要があるが、シャーシ2は10℃(夏でも)から+60℃(冬でも)までに及ぶ温度に簡単に達する可能性があることに留意されたい。
【0026】
別の実施形態によれば、熱装置19は、(空気処理ユニット18の代替として、またはそれに加えて)少なくとも1つの電気ヒータ25を備えることができ、これは、伝導によってシャーシ2を加熱するようにシャーシ2に取り付けられる。典型的には、電気ヒータ25は、電流が流れるときにジュール効果によって熱を発生させる抵抗を含む。
【0027】
好ましい実施形態によれば、断熱材26(
図2に概略的に示されている)が提供され、これは、シャーシ2と外側との間に(特に、限定的ではないが、シャーシ2と路面との間に)配置され、シャーシ2と客室5との間には置かれない。断熱材26の機能は、シャーシ2と客室5との間の熱交換を促進するが、シャーシ2と外部との間の熱交換を低減することである。
【0028】
添付の図に示される実施形態では、本発明は自動車1に適用されるが、本発明は明らかに、閉じた客室を有する異なるタイプの車両(例えば、バン、トラック、バス…)に適用することができる。
【0029】
本明細書に記載の実施形態は、この理由のために本発明の保護の範囲を超えることなく、互いに組み合わせることができる。
【0030】
上記の自動車1には多くの利点がある。
【0031】
第一に、前の駐車段階で充電システム14によって提供される電気エネルギーを使用して調整された後に自動車1が使用される場合、客室5が外部温度を有するシャーシ2に囲まれておらず、(最初は)客室5と同じ温度または客室5よりも低い温度(空調が冷却を伴う場合)または客室5よりも高い温度(空調が加熱を伴う場合)を有するシャーシ2に囲まれているという事実によって、客室5は、空調システム16が作動しなくても、所望の温度をはるかに長く維持する。
【0032】
この結果は、自動車1の質量の相当部分(すなわち、シャーシ2、および、伝導を通じてシャーシ2と熱を交換する部品も)を蓄熱要素として使用して熱エネルギー(冬は高温、夏は冷温)を貯蔵するという事実によって得られる。電動車両は相当の質量を有するため、車両の質量の大部分を冬には高温に、夏には低温にすることによって、第1の走行段階の間、作動するために必然的に貯蔵装置13に貯蔵された電気エネルギーを使用しなければならない(したがって、車両の距離範囲を縮小する)空調システム16の相当の作用を使用する必要なしに理想的な温度を維持するために、この熱エネルギーを客室5によって使用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 自動車
2 シャーシ
3 前輪
4 後輪
5 客室
6 ドア
7 フロントガラス
8 前部区画
9 前部フード
10 電気モータ
11 機械的駆動系
12 電子動力変換器
13 貯蔵装置
14 充電システム
15 箱入り要素
16 空調システム
17 ファン
18 空気処理ユニット
19 熱装置
20 制御ユニット
21 供給部材
22 入口開口部
23 出口開口部
24 仕切り壁
25 電気ヒータ
26 断熱材
【国際調査報告】