(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】ウイルス感染症及び健康上の影響の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230612BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20230612BHJP
A61K 38/46 20060101ALI20230612BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230612BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20230612BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230612BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230612BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230612BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230612BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230612BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230612BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230612BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230612BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K45/06
A61K38/46
A61P31/12
A61P19/06
A61P13/12
A61P31/14
A61P9/00
A61P25/00
A61P1/16
A61P1/18
A61P11/00
A61P43/00 105
A61P29/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556140
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 IB2021000238
(87)【国際公開番号】W WO2021186250
(87)【国際公開日】2021-09-23
(32)【優先日】2020-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522367528
【氏名又は名称】ダビドフ アレン
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】ダビドフ アレン
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA17
4C084AA20
4C084AA24
4C084BA44
4C084DC22
4C084MA02
4C084MA52
4C084MA57
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA361
4C084ZA591
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZB111
4C084ZB211
4C084ZB331
4C084ZC191
4C084ZC201
4C084ZC311
4C084ZC372
4C084ZC411
4C084ZC751
(57)【要約】
本発明は、ウイルス感染中の罹患及び死亡の治療及び予防のために、キサンチンオキシダーゼを阻害する及び/又は血清又は組織の尿酸濃度を低下させるように設計された尿酸降下薬(UALA)の製剤に関する。例えば、コロナウイルス感染による急性腎障害を、このような治療を必要とする患者において、キサンチンオキシダーゼを阻害する及び/又は尿酸レベルを低下させることができる、治療上有効な量の薬剤を投与することにより、治療することができる。加えて、本発明の範囲には、コロナウイルス感染による急性腎障害及び健康上の影響を治療及び予防する方法が含まれる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるウイルス感染によって引き起こされる健康上の影響を治療するための方法であって、前記方法は治療上有効な量の尿酸降下薬(UALA)を投与することを備える、方法。
【請求項2】
前記健康上の影響は、前記ウイルス感染に関連する急性腎障害を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウイルス感染がコロナウイルスによるものである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記健康上の影響は、ウイルス感染によって引き起こされる急性の腎臓、血管、神経、膵臓、肝臓、又は肺の障害を備える、請求項1記載の方法。
【請求項5】
塩基性有機又は塩基性無機分子を共投与することをさらに備え、前記健康上の影響が急性腎障害を備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
塩基性有機又は塩基性無機分子を共投与することをさらに備え、前記健康上の影響が急性血管障害を備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
塩基性有機又は塩基性無機分子を共投与することをさらに備え、前記健康上の影響が急性肺障害を備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記投与することは、対象における内皮機能障害を改善する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
抗炎症薬を共投与することをさらに備える、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
抗ウイルス薬を共投与することをさらに備える、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記抗ウイルス薬は、ジダノシン、ビダラビン、BCX4430、レムデシビル、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、アデホビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、テノホビル、又はインターフェロン類から構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記治療上有効な量は、COVID感染前、感染後、又は感染中のインスリン抵抗性を減少させるのに十分な量のUALAの量を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
投与すること及び/又は共投与することは、静脈内、筋肉内、舌下、皮膚、又は経口送達を備える、請求項1乃至10の1つにあるような方法。
【請求項14】
前記UALAは、ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ阻害物質、又は尿酸排泄薬から構成されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記投与することは、第1のUALAを投与すること、及び少なくとも1つの他のUALAを共投与することを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項16】
対象におけるウイルス感染によって引き起こされる健康上の影響を治療するための方法であって、前記方法は、治療上有効な量の第1のUALAを第1の期間投与し、続けて、治療上有効な量の第2のUALAを第2の期間投与することを備えることを特徴とする、方法。
【請求項17】
前記第1のUALAは、ウリカーゼである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のUALAは、キサンチンオキシダーゼ阻害物質である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ウリカーゼは、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ペガドリカーゼ、レロキサリアーゼ又はALN-346から構成される、請求項14又は17に記載の方法。
【請求項20】
ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ阻害物質、及び任意に薬学的に許容される担体を、対象における尿酸レベルを降下させるために有効な量で備える製剤。
【請求項21】
非経口送達のために製剤化される、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
IV(静脈内)送達のために製剤化される、請求項20又は21記載の製剤。
【請求項23】
請求項20又は21に記載の製剤の量を入れる容器。
【請求項24】
ウリカーゼは、抗酸化物質又はフリーラジカル捕捉分子と共に製剤化される、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記抗酸化物質は、フラボノイド(EGCG、ケルセチン、カテキン、及び同種のもののようなもの)、ビタミンC、N-アセチル-システイン、α-リポ酸、ビタミンE、アントシアニン、有機塩基、及びスルフォラファンを備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
抗酸化物質でもある有機塩基をさらに備える、請求項20に記載の1つ又は複数のUALAの製剤。
【請求項27】
抗酸化物質を共投与することをさらに備える、請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染時における尿酸降下薬のための組成物、方法、及び使用、並びにそのウイルス感染の健康上の影響に関する。本発明はまた、異常なプリン代謝を減少させる方法、尿酸の循環濃度を減少させるための方法、キサンチンオキシダーゼ活性の阻害を含む尿酸の酵素産生を減少させる方法、及び当該薬を含む組成物及びこのような薬の使用、並びに当該塩、製剤及び組成物を用いた疾患及び急性病態の治療のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SARS、MERS、Covid-19のようなコロナウイルス感染症は、肺、血管、腎臓の重度の障害につながる可能性がある新しい感染媒体(ベクター、vector)となる。同様に、SARS、MERS、Covid-19のようなウイルス感染症は、対象者の重度の炎症反応につながる可能性があり、肺、血管、心臓血管、中枢神経系、膵臓、及び腎臓のような器官系を侵す可能性のある新しい感染媒体となる。加えて、ウイルス感染が、炎症反応の活性化、凝固誘発環境、免疫応答性、二次性細菌性肺炎の起こしやすさが増加することによる、多くの二次的な生理的課題につながり得ることを示唆する研究もある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】
図1は、COVID-19の患者が急性腎障害(AKI)の兆候とそれに伴う高尿酸血症を呈することを示すグラフである。COVID-19コロナウイルスに感染した患者における血清尿酸濃度と急性腎障害との間に、用量依存的な相関関係が観察される。
【
図2】
図2は、COVID-19コロナウイルスに感染した患者のうち、腎機能が正常な患者と急性腎障害の患者を比較(MAKE基準を使用)して、血清尿酸の濃度に関して違いがあることを示すグラフである。MAKE基準は、血清中のクレアチニン濃度が2倍に増加するか、透析が必要となるか、もしくは死ぬかのいずれかと定義される。AKIの集団において、高尿酸血症が認められる。
【
図3】
図3は、COVID-19感染中、高尿酸血症が急性腎障害のハザード比の増加に関連することを示している。入院したCOVID-19に感染した集団の約60%が高尿酸血症を明示するのに対し、健康な集団では約20%である。尿酸濃度の増加は、用量依存的にハザード比の増加に関連する。
【
図4】
図4は、COVID-19感染で入院した集団において、高尿酸血症が心障害のマーカーであるトロポニン放出の増加に関連することを示したものである。COVID-19に感染した患者は、尿酸濃度と投与量依存的に関連付けられる、血液サンプル中のトロポニン濃度の増加を示す。
【
図5】
図5は、COVID-19感染が確認された入院した集団において、高尿酸血症は、炎症状態の、並びに、細胞溶解性細胞質代謝産物及び/又は細胞破片の指標である、プロカルシトニンの循環濃度の増加に関連することを示す。
【
図6】
図6は、COVID-19感染が確認された患者を尿酸降下薬であるラスブリカーゼで治療したところ、急性腎障害の重症度が減少したことを示す。
【
図7】
図7は、インフルエンザウイルス感染肺におけるアデノシン異化作用及び酸素フリーラジカルの生成を示す図である。XOは、プリン異化作用の最終酵素であるが、酸素分子に電子を渡してスーパーオキサイドアニオン(02)を形成する。0
-は鉄触媒によるハーバー-ワイス反応によって毒性の高いヒドロキシラジカルに変換できる(16)。四角ボックスはプリン代謝物を示す。関与する酵素は角丸ボックスで示す。アロプリノールはXOを阻害する。
【発明を実施するための形態】
【0004】
当該新規の発明は、ウイルス、又はコロナウイルス、又はCOVID-19感染に関連する、もしくはそれによって引き起こされる肺、血管及び/又は腎臓の症状を改善するための、単一または複数の尿酸降下薬(UALA)の単独、又は塩基性有機分子との組み合わせでの使用である。
【0005】
本開示の第2の態様では、循環尿酸及び尿酸結晶形成を減少させる手段として、産生、再取り込みを減少させる、又は分解を増加させる尿酸降下薬を提供する。
【0006】
本開示の第3の態様では、血清又は尿のpHを上昇させ、それ故尿酸溶解度を減少させ、尿酸結晶の形成するための能力を減少させる塩基性有機分子又は無機分子を提供する。
【0007】
本開示の第4の態様では、オキシプリノールは、コロナウイルス感染、罹患及び死亡の効力を弱める抗ウイルス活性を有することになる。
【0008】
本開示の第5の態様では、尿酸降下薬と、阻害活性を有する(ウイルスの複製を妨害する)合成ヌクレオシドアナログである抗ウイルス薬物との組み合わせを提供する。ヌクレオシドアナログは、低分子ベースの抗ウイルス剤の中で最も大きなクラスを表し、HIV、B型又はC型肝炎ウイルス、及びヘルペスウイルスによって引き起こされる慢性感染症の化学療法のバックボーンを現在形成している。高い抗ウイルス力と良好な薬物動態パラメータにより、いくつかのヌクレオシドアナログを、他の医学的に重要なRNA及びDNAウイルスによって引き起こされる急性感染症の治療にも適したものにし得る。例えば、アシクロビル、レムデシビルである。
【0009】
尿酸のレベルの上昇は、急性腎障害、及び/又は急性心障害及び/又はCOVID-19感染に関連する他の罹患状態の一次メディエーターであることが発見されている。本開示は、ウイルス感染の流行並びにその結果生じる共存症及び死亡と闘うための新しい手法を提供する。一実施形態において、本開示は、1つ又は複数のコロナウイルス関連特性を予防及び/又は治療するための手法を提供する。
【0010】
具体的な実施形態において、主題の開示は、COVIDと関連付けられた特性を発症しやすい患者に、単一または複数の尿酸降下薬(UALA)(例えば、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ阻害物質を一緒に、もしくは、ウリカーゼその後のキサンチンオキシダーゼ阻害物質の逐次投与)を投与する方法に関する。医学的な治療の一部として、UALAの投与と併せて血清尿酸レベルをモニターするように、血清サンプルを手に入れて検査してもよい。
【0011】
別の実施形態では、COVID-19関連急性腎障害を予防及び/又は治療するための手法が提供される。具体的な実施形態において、本開示の主題は、COVID-19感染症を発症しやすい、又は患いやすい患者に尿酸降下薬(UALA)を投与する方法に関する。
【0012】
別の実施形態では、主題の開示は、急性心障害又は慢性心障害の発症リスクを低減し、発病を遅延させ、及び/又は治療するための手法を提供する。
【0013】
別の実施形態では、内皮及び又は血管障害並びに血管組織の線維化又は石灰化のリスクを低減するための手法が提供される。
【0014】
別の実施形態では、コロナウイルス及びCOVID-19又は他のウイルス感染症時における、キサンチンオキシダーゼの効果及び/又は尿酸の増加を低減するための手法が提供される。
【0015】
別の実施形態では、提供されるのは、急性又は慢性膵障害及び/又はウイルス性糖尿病及びウイルス性糖尿病の健康上の影響において、及び/又は、コロナウイルス及び/又はCOVID-19感染時において、5.5mg/dLより大きい尿酸として定義される高尿酸血症を減少させるための手法である。
【0016】
別の実施形態では、本開示の主題は、コロナウイルス及び又はCOVID-19感染時における、急性又は慢性肝障害において、5.5mg/dLより大きい尿酸として定義される高尿酸血症を減少させるための手法を提供する。
【0017】
別の実施形態では、血清尿酸を減少させるためのに、ウイルス、コロナウイルス及び/又はCOVID-19感染時における急性臓器障害及び/又は多様な身体系統に対する急性障害を治療及び予防するための、ウリカーゼベースの治療薬のような尿酸降下薬の使用が提供される。
【0018】
別の実施形態では、本開示は、血清尿酸を減少させて、コロナウイルス及び又はCOVID-19感染時における急性及び/又は慢性臓器障害及び又は多様な身体系統への急性及び/又は慢性障害を治療及び予防するための、キサンチンオキシダーゼ阻害物質ベースの治療薬のような尿酸降下薬を提供する。
【0019】
別の実施形態では、主題の開示は、血清尿酸を減少させて、コロナウイルス及び又はCOVID-19感染時における急性及び/又は慢性臓器障害及び又は多様な身体系統への急性及び/又は慢性障害を治療及び予防するための、尿酸排泄薬ベースの治療薬のような尿酸降下薬を提供する。
【0020】
別の実施形態では、主題の開示は、血清尿酸を減少させて、コロナウイルス及び又はCOVID-19感染時における急性及び/又は慢性臓器障害及び又は多様な身体系統への急性及び/又は慢性障害を治療及び予防するために同時又は連続投与される、ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ阻害物質又は尿酸排泄ベースの治療薬との組み合わせの-尿酸降下薬を提供する。
【0021】
別の実施形態では、主題の開示は、血清尿酸を減少させて、コロナウイルス及び又はCOVID-19感染時における急性及び/又は慢性臓器障害及び又は多様な身体系統への急性及び/又は慢性障害を治療及び予防するために同時又は連続投与される、尿酸経路内のアミノ酸(L-アルギニン、L-シトルリン及び又はL-オルニチン、及び/又は塩基性アミノ酸、ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ阻害物質又は尿酸排泄ベースの治療薬)の組み合わせの尿酸降下薬を提供する。
【0022】
別の実施形態では、主題の開示は、尿酸降下薬の使用と共に急性呼吸窮迫症候群を治療又は予防するための方法を提供する。
【0023】
別の実施形態では、主題の開示は、ウイルス感染及び/又は敗血症及び/又は急性呼吸窮迫症候群時における、尿酸降下薬を用いる高尿酸血症による急性心障害を治療する方法を提供する。
【0024】
定義
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、この発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって通例理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は均等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料をこれから記載する。本明細書に記述された全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
一般的に、本明細書に記載される細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質、及び核酸化学及びハイブリダイゼーションに関連して用いられる命名法及びそれらの技術は、当該技術分野においてよく知られており、通例用いられるものである。本開示の方法及び技術は、別段示されない限り、当該技術分野においてよく知られている従来の方法に従って、また、本明細書を通じて引用及び議論される様々な一般的な及びより具体的な文献に記載されるように、一般的に行われる。
【0026】
端点による数値範囲の記述は、その範囲内に包含される全ての数及び端数を含むことが理解されよう(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.90、4、及び5を含む)。また、全ての数及びその端数は、「約」という用語によって修飾されていると推定されることも理解されよう。さらに、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別段明らかに指示しない限り、複数の言及を含むことが理解されよう。したがって、例えば、「有機塩基」への言及は、当業者に知られている1つ又は複数の有機塩基及びその均等物等を含む。
【0027】
本明細書に記載される化合物のいくつかは、1つ又は複数の非対称の中心を含み、絶対立体化学の観点から(R)(又は(S))と定義され得るエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体を生じさせ得る。本開示は、このような可能なジアステレオマー及びエナンチオマー全て、並びにそれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含むことを意図するものである。光学活性な(R)(及び(S))異性体は、キラルシントン又はキラル試薬を用いて調製し得る、又はキラルHPLCのような従来の技術を使用して光学分割し得る。本明細書に記載される化合物が幾何学的非対称の中心を含む場合、及び別段特定されない限り、化合物がE及びA幾何異性体の両方を含むことを意図する。全ての互変異性体の形態は、本開示の範囲内に含まれることを意図する。
【0028】
本開示に記載される特定の立体異性体の形態は、他の立体異性体構成を実質的に含まないことを意図するものである。実質的に含まないとは、活性成分が、所望の立体異性体の少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、及び95重量%を、並びに他の立体異性体の20重量%、15重量%、10重量%、及び5重量%又はそれ以下をそれぞれ含むことを意味する。特に、その重量%比は95:5以上であり、最も好ましくは99:1以上である。
【0029】
「約」という用語は、参照されている数値のプラス又はマイナス1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%を意味する。
【0030】
薬剤、薬物、又はペプチドの対象者への「投与すること」又は「投与」という用語は、その意図する機能を果たすために化合物を対象者に導入又は送達する任意の経路を言う。投与すること又は投与は、経口、鼻腔内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮下)、直腸、又は局所を含む、任意の適切な経路によって実施することができる。投与すること又は投与には、自己投与及び他者による投与が含まれる。
【0031】
本明細書で使用する「共投与」、「共投与された」又は「共投与すること」という用語は、いずれかの物質の生物学的効果が重なるような、ある物質の、別の物質の投与の前、投与と同時並行して、又は投与の後での投与を言う。
【0032】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在する又は合成のα、β γ又はδアミノ酸を言い、タンパク質で見出されたアミノ酸、すなわちグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、リジン、アルギニン及びヒスチジンが含まれるが、これらに限定されるものではない。一定の実施形態において、アミノ酸は、L-構成である。あるいは、アミノ酸は、アラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル、プロリニル、フェニルアラニニル、トリプトファニル、メチオニニル、グリシニル、セリニル、トレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパルトイル、グルタロイル、リジニル、アルギニル、ヒスチジニル、β-アラニル、β-バリニル、β-ロイシニル、イソロイシニル、β-プロリニル、β-フェニルアラニニル、β-トリプトファニル、β-メチオニニル、β-グリシニル、β-セリニル、β-トレオニニル、β-システイニル、β-チロシニル、β-アスパラギニル、β-グルタミニル、β-アスパルトイル、β-グルタロイル、β-リジニル、β-アルギニル又はβ-ヒスチジニル等の誘導体となる可能性がある。
【0033】
「塩基性アミノ酸」には、アルギニン、リジン、及びオルニチンが含まれる。「アルギニン」とは、天然に存在するL-アミノ酸、任意の生化学的均等物、及びその前駆体、塩基性形態、機能的に均等なアナログ、及びその生理学的機能性誘導体を言う。L-アルギニンの硫酸塩、及びその機能的アナログの硫酸塩も含まれる。誘導体には、ペプチド(すなわち、ポリL-アルギニン、アルギニンオリゴマー)、ホモアルギニン又はヒドロキシルアルギニンのような置換アルギニンのような他の一酸化窒素前駆体が含まれる。それ故、本開示において使用され得る適切なアルギニン化合物には、L-アルギニン、D-アルギニン、DL-アルギニン、L-ホモアルギニン、及びN-ヒドロキシ-L-アルギニン、それらのニトロソ化及びニトロシル化アナログ(例えば、ニトロソ化L-アルギニン、ニトロシル化L-アルギニン、ニトロソ化N-ヒドロキシL-アルギニン、ニトロシル化N-ヒドロキシL-アルギニン、ニトロソ化L-ホモアルギニン、及びニトロシル化L-ホモアルギニンを含む、L-アルギニンの前駆体及び/又はその生理学的に許容される塩、例えば、シトルリン、オルニチン、グルタミン、リジン、これらのアミノ酸の少なくとも1つを備えるポリペプチドを含む、及び酵素アルギナーゼの阻害物質(例えば、N-ヒドロキシ-L-アルギニン、及び2(S)-アミノボロノヘキサリオイックアシッド)が含まれるが、これらに限定されるものではない。天然に存在する供給源には、プロタミンが含まれる。アルギニン化合物は、血清脂質を降下させるものを選択してもよい。
【0034】
「リジン」とは、天然に存在するL-アミノ酸及びその任意の生化学的均等物、前駆体、塩基性形態、機能的に均等なアナログ、及びその生理学的機能性誘導体を言う。L-リジンの硫酸塩、及びその機能的アナログの硫酸塩も含まれる。誘導体には、ペプチド(すなわち、ポリL-リジン、リジンオリゴマー)、ホモリジン、L-N6-(1-イミノエチル)リジン誘導体のような他のもの、又はメチル化リジン、ヒドロキシリジン、N-イプシロン-アルコキシ又はN-イプシロン-アルケノキシカルボニル基で置換されたリジン、Nc-フルオロアルキルオキシカルボニル基又はNc-フルオロアルキルスルホニル基で置換されたリジン、NX-(2-ニトロペニルチオ)-N-イプシロン-アシルで置換されたリジン、又はN-アルキルスルホニル又はアルキル-アミノカルボニル基で置換されたリジンのような置換リジンが含まれる。それ故、本開示において使用され得る適切なリジン化合物には、L-リジン、D-リジン、DL-リジン、6,6-ジメチルリジン、L-ホモリジン、及びN-ヒドロキシ-L-リジン、N-イプシロン-2-ヘキシルデシルオキシカルボニル-L-リジン、N-イプシロン-2-デシルテトラデシルオキシカルボニル-L-リジン、N-イプシロン-テトラデシルオキシカルボニル-L-リジン、N-イプシロン-2-ヘキサデシルオキシ-N-イプシロン-2-ヘキシルデシルオキシカルボニル-L-リジン、L-N6-(1-イミノエチル)リジン、N-イプシロン-2-デシルテトラデシルオキシカルボニル-L-リジン、N-イプシロン-テトラデシルオキシ-カルボニル-L-リジン、Nc-2-(F-オクチル)エチルオキシカルボニル-L-リジン又はNc-2-(F-ヘキシル)エチルオキシカルボニル-L-リジン、N-イプシロン-ドデシルスルホニル-L-リジン、N-イプシロン-ドデシルアミノ-カルボニル-L-リジン、それらのニトロソ化及びニトロシル化アナログ(例えば、ニトロソ化L-リジン、ニトロシル化L-リジン、ニトロソ化N-ヒドロキシL-リジン、ニトロシル化N-ヒドロキシL-リジン、ニトロソ化NL-ホモリジン、及びニトロシル化L-ホモリジンを含む、L-リジンの前駆体及び/又はその生理学的に許容される塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。リジン、並びにそのアナログ及び誘導体は、当該技術分野において知られている方法を用いて調製し得る、又はそれらは商業的供給源から手に入れ得る。例えば、L-リジンは、グラム陽性のCorynebacterium glutamicum、Brevibacterium flavum、及びBrevibacterium lactofermentum(Kleemann,A.他、ウルマン工業化学百科事典(ULLMANN’S ENCYCLOPEDIA OF INDUSTRIAL CHEMISTRY)、A2巻、57~97頁、Weinham:VCH-Verlagsgesellschaft(1985年)内の「Amino Acids」)、又は変異体を利用して商業的に生産される。
【0035】
「有機塩基」という用語は、炭化水素塩基を言う。特定のUALAの溶解性を高める有機塩基が、本発明の組成物における使用のために選択され得る。薬学的に許容される有機塩基は、本開示における使用のために一般的に選択される。有機塩基は、標的UALAの水性溶解度を増加させる可溶化化合物である可能性がある。可溶化化合物は、水に対する標的UALAの親和性を増加させるハイドロトロピー剤であってもよい。本開示の組成物中のUALAの濃度及び/又は溶解度は、ハイドロトロピー剤の存在下の方が非存在下よりも、大きくなる可能性がある。ハイドロトロピー剤は、以下のうちの1つ又は複数によって特徴づけられ得る。
・ a)少なくとも1つの疎水性部分を備える、
・ b)高い水溶性(例えば、少なくとも2M)、
・ c)水の構造を不安定にすると同時に、難溶性薬物と相互作用する、
・ d)高濃度では、難溶性薬物を水に可溶化する、
・ e)自己会合し、非共有結合の平面又は開放層構造を形成する、
・ f)非反応性である、
・ g)毒性がない、及び/又は
・ h)水に溶かした際に温度効果を生み出さない。
【0036】
有機塩基は、「Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection and Use」P.Heinrich Stahl及びCamille G Wermuth(編集),VHCA(スイス)及びWiley-VCH(ドイツ)により出版、2011年に記載されているようなクラス1、クラス2又はクラス3有機塩基であってもよい。
【0037】
具体的な実施形態において、有機塩基は、(a)L-アルギニン、D-アルギニン、コリン、L-リジン、D-リジン、及びカフェインを含むがこれらに限定されない、約7~13のpKa1を有するクラス1塩基であってもよい。
【0038】
「コロナウイルス」という用語は、最大のプラス鎖RNAゲノムをエンコードし、ほとんどの哺乳動物で効率的に複製される、系統的に多様なエンベロープウイルスのグループを構成するコロナウイルス(CoVs)を言う。ヒトのCoV(HCoVs-229E、OC43、NL63、及びHKU1)感染は、軽度から重度の上気道疾患及び下気道疾患を通常はもたらす。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)は、2002年から2003年にかけて出現し、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を引き起こし、全体の死亡率は10%、高齢の集団の死亡率は50%にも達した。中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)は、2012年4月に中東で出現し、重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び急性腎不全を明示した。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、2019年に出現し、コロナウイルス病2019(COVID-19)及びCOVID-19パンデミックを引き起こした。
【0039】
本明細書で予定される「病態」及び/又は「疾患」は、尿酸降下薬又はキサンチンオキシダーゼの調節を必要とする病態及び/又は疾患、又は、当該病態又は疾患を治療又は予防するためにキサンチンオキシダーゼ阻害物質を利用する病態及び/又は疾患を言う。特定の適用において、当該病態又は疾患は、急性又は慢性の心臓血管疾患及び関連疾患、心臓、肺、腎臓、消化管、及び脳を含む組織における虚血再灌流障害、糖尿病、関節リウマチのような炎症性関節疾患、呼吸困難、腎疾患、肝臓疾患、鎌状赤血球疾患、敗血症、熱傷、ウイルス感染症、出血性ショック、痛風、高尿酸血症、及び骨の過剰吸収に関連する病態である。
【0040】
心臓血管及び関連疾患には、例えば、高血圧症、肥大症、鬱血性心不全、心筋梗塞に続く心不全、不整脈、心筋虚血、心筋梗塞、心収縮力の低下に関連する病態、心臓効率の低下に関連する病態、虚血再灌流障害、及び凝固カスケードが活性化される血栓及び血栓好発状態から生じる疾患が含まれる。
【0041】
「投与量」という用語は、単位として送達される医薬、栄養素、又は病原体の測定量を言う。「単位用量」は、本開示の組成物の全成分を備える、単位的なすなわち単回投与量を言い、患者に投与することが可能である。「単位用量」は、医薬担体、賦形剤、媒剤、又は希釈剤と共に、活性剤及び/又は有機塩基を備える、物理的及び化学的に安定な単位投与量として残って、容易に取り扱い及び包装し得る。
【0042】
「治療上有効な量」という用語は、所望の薬理効果及び/又は治療効果につながるであろう物質の投与量に関するものである。所望の薬理効果は、本明細書に記載される病態又は疾患、又はそれらに関連する症状を和らげることである。治療上有効な量の物質は、個人の疾患状態、年齢、性別、及び体重のような要因、並びに個人において所望の反応を引き出す物質の能力に従って変化し得る。投与レジメンは、最適な治療反応を提供するように調整し得る。例えば、1日に数回に分けた投与量を投与してもよく、治療状況の急迫によって示されるように比例的に投与量を低減させてもよい。
【0043】
「健康上の影響」という用語は、発熱、咳、筋肉痛又は疲労感、及び、非定型症状に含まれる痰、頭痛、喀血(咳と共に血を吐くこと)、下痢、並びにコロナウイルス又はCOVID-19感染に関連する他の罹患状態を言うが、これらに限定されるものではない。重度の健康上の影響には、COVID-19感染に続く急性呼吸窮迫症候群、急性心臓障害、急性腎臓障害、急性神経障害、急性膵障害、急性肝臓障害又は慢性障害が含まれる。
【0044】
「急性腎障害(AKI)」は、「MAKE」基準、「KIDGO」基準、尿の排出量、血清中のクレアチニン濃度の増加、尿中のタンパク尿の増加、eGFR又は類似の尺度をもたらす他の計算によって算出することができる糸球体濾過率の減少、腎臓の局所炎症の増加、急性腎障害の任意の段階(例えば段階1、2又は3)、透析の必要性によって、又は、死亡又は他の健康上の影響の原因として記載されているような、腎機能のあらゆる機能障害を言う。
【0045】
「急性心障害」は、心臓のエネルギー効率を減少させる心機能のあらゆる機能障害を言い、左心室機能(と心筋エネルギー消費のバランスによって特徴づけられる。心臓効率は、一回心仕事量(SW)と単位時間当たりの心筋酸素消費量(MVO2)の比によって評価し得る。一回心仕事量(SW)は、心周期の圧-容積ループの面積として算出することができる。心筋酸素消費量(MVO2)は、心筋酸素抽出量(AVO2)、左主冠血流量(Qcor)、及び血中ヘモグロビン濃度からFickの式で算出することができる。左主冠血流量(Qcor)は、層流を仮定した冠血流速度と左主直径から算出することができる(Doucette,JW他、Circulation 1992年、85巻、1899~1911頁)。急性心障害は、血清中で測定されるトロポニンの測定値の増加を含み、心筋細胞への障害の指標として用いられる。
【0046】
一態様において、MVO2は、冠状静脈洞血サンプル、動脈血サンプル、及び冠血流量を使用して、Fickの式を使用して決定されてもよい。冠血流量は、熱希釈法を用いて測定してもよい。その場合、MVO2=(CaO2-CvO2)×CBFであり、ここで、CaO2は動脈血酸素含量、CvO2は冠状静脈洞酸素含量、CBFは冠血流量である。心筋酸素抽出量(AVO2)は、動脈と冠状静脈洞のO2飽和度の差として算出される。
【0047】
心臓効率の向上は、機械的効率又は心筋収縮の効率の増加に関連する酸素消費量(MVO2)の減少を言う。心筋収縮の効率は、左室圧の上昇のピーク値(dTmax)を測定することで評価することができる。酸素消費量の減少は、1~70%の減少、特に、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%又は70%の酸素消費量の減少を表し得る。機械的効率又は収縮の効率の増加は、1~70%の増加、特に、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、又は70%の機械的効率又は収縮の効率の増加を表し得る。酸素消費量の減少及び/又は機械的効率の増加は、有意であり得る。
【0048】
一態様において、心臓効率の向上は、SW/MVO2の増加によって表される。SW/MVO2の増加は、1~70%の増加、特に1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、30~70%、又は40~60%の増加を表し得る。
【0049】
特定の実施形態では、酸素消費量の減少又は機械的効率若しくは収縮の増加、又はSW/MVO2若しくは心臓効率の増加は、有意又は統計的に有意である。「有意な」又は「統計的に有意な」という用語は、統計的有意性を言い、一般的に、標準又は正常より2標準偏差(SD)高い若しくは低い、又は要素の集中度が高い若しくは低いことを意味する。
【0050】
「急性血管障害」は、ウイルス感染、及びより具体的には溶解ウイルス感染、コロナウイルス感染又はCOVID-19感染、又はこれらのウイルスの株によるウイルス感染に直接起因する、血管を内張りする内皮細胞へのあらゆる障害、又は平滑筋細胞への障害を含む。急性血管障害は、血管緊張の増加、血管収縮、血管拡張、高血圧、不安定な血圧、内皮細胞の溶解、内皮前駆細胞の減少、炎症誘発性又は凝固誘発性の測定、ウイルス感染及び高尿酸血症に関連する凝血の指標を含む、血管障害の間接的な効果を言う可能性もある。
【0051】
「急性神経障害」は、脳、血液脳関門、神経系、神経血管供給、炎症、脳卒中、認知症、幻覚、神経リンパ系、神経辺縁系、慢性疲労、又は、ウイルス感染、炎症、ウイルス障害と直接若しくは間接的に関連付けられる血栓若しくは炎症障害に関連する神経障害又は神経障害性疼痛へのあらゆる障害を含む。
【0052】
「対象」、「個人」又は「患者」という用語は、本明細書に記載されているような病態又は疾患に苦しめられている、又はかかっている疑いがある若しくはかかりやすい素因がある、哺乳動物のような温血動物を含む動物を言う。特に、当該用語は、ヒトを言う。当該用語には、食用又はペットとして繁殖される家畜を含み、馬、牛、羊、家禽、魚、豚、猫、犬、及び動物園の動物も含まれる。
【0053】
対象/個人/患者に対する使用のための本明細書の方法は、予防的及び治療的又は治癒的な使用を予定するものである。治療のための典型的な対象には、本明細書に記載される病態又は疾患を起こしやすい人、患っている人、又は患ったことのある人が含まれる。特に、本発明に従った治療に適した対象は、肥満、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、糖尿病前症、糖尿病、腎疾患、心臓疾患、心不全、又は急性心原性ショックを起こしやすい人、患っている人、又はかかった人を含む。本発明の特定の態様では、尿酸降下薬が血清尿酸濃度を低下させ、そのことの健康への影響が望ましいような患者が選択される。
【0054】
「予防又は治療すること」、「予防的及び治療的」という用語は、病態又は疾患の発病の前又は後のいずれかでの、対象への生物学的に活性な薬剤の投与を言う。もし、病態又は疾患を引き起こす要因への曝露に先立って、当該薬剤が投与されるなら、当該治療は予防的である(すなわち、損傷から宿主を保護する)。もし、病態又は疾患を引き起こす要因への曝露後に、当該薬剤が投与されるならば、当該処置は治療的である(すなわち、既存の損傷を和らげる)。治療は、急性対応と慢性対応で行われ得る。
【0055】
用語「薬学的に許容される担体、賦形剤、媒剤、又は希釈剤」は、活性成分の有効性又は活性を阻害せず、これが投与される宿主に毒性がない媒体を言う。担体、賦形剤、媒剤、又は希釈剤には、結合剤、接着剤、滑沢剤、崩壊剤、増量剤、緩衝剤、及び特定の組成物を調製するために必要となり得る吸収剤のような雑多な材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
「ウリカーゼ」という用語は、4つの同一の34KDaのサブユニットから構成されるホモテトラマー酵素である尿酸オキシダーゼ(Uricase EC 1.7.3.3,uox)のことを言う。この酵素は、尿酸をより可溶性で排泄しやすい生成物であるアラントインに変換する一連の反応を始める最初のステップを担っている。手短に言えば、ウリカーゼは、尿酸(UA)とO2及びH2Oとの反応を触媒して、5-ヒドロキシイソ尿酸(HIU)を形成し、H2O2を放出する。HIUは、非酵素的な加水分解を受けて2-オキソ-4-ヒドロキシ-4-カルボキシ-5-ウレイドイミダゾリン(OHCU)となり、その後自発的に脱炭酸してラセミ体のアラントインを形成する不安定な生成物である。機能的ウリカーゼを持つ種では、さらに2つの酵素(HIUヒドロラーゼ及びOHCUデカルボキシラーゼ)が発現し、これらの反応をより迅速に触媒して(s)-アラントインを生成する。機能的ウリカーゼは、幅広い生物:古細菌、細菌、及び真核生物において見出すことができる。しかしながら、ヒト及び一部の霊長類では、機能的ウリカーゼが発現していない。ウリカーゼの発現の欠如は、3つの遺伝子変異に起因している:コドン33におけるナンセンス変異(オランウータン、ゴリラ、チンパンジー、及びヒトに影響を与える)、コドン187の別のナンセンス変異(チンパンジー及びヒトに影響を与える)、イントロン2のスプライスアクセプター部位での変異(チンパンジー及びヒトに影響を与える)である。最後に、ウリカーゼ処理は、UAが酸化して、より可溶性の生成物であるアラントインになることにより、末梢血流中のUAレベルを急速に減少させることが示されている。
【0057】
「尿酸排泄薬」又は「尿酸排泄ベースの治療薬」という用語は、尿中の尿酸の排出を増加させ、したがって血漿中の尿酸の濃度を低減させる分子を言う。尿酸排泄薬は、腎臓の近位尿細管に作用し、腎臓から血液へのUAの再吸収を阻害する。ベンズブロマロン及びレシヌラドのような尿酸排泄ベースの治療薬は、UAの排出を促進する。
【0058】
「ウイルス感染」という用語は、ウイルスのライフサイクルの任意の段階、及びウイルス感染、及びより具体的には溶解ウイルス感染、コロナウイルス感染又はCOVID-19感染又はこれらのウイルスの株によるウイルス感染で、可溶性又は結晶性の効果により一過性、間欠性又は永続性の高尿酸血症に関連するものを言う。
【0059】
「キサンチンオキシダーゼ阻害物質」という用語は、キサンチンオキシダーゼを阻害する化合物を言う。キサンチンオキシダーゼを阻害する化合物の能力を決定するために、当該技術分野において知られている方法を使用することができる。(例えば米国特許第6,191,136号に記載されるアッセイを参照。)。多くのクラスの化合物がキサンチンオキシダーゼを阻害することができることが示されており、医薬品化学者は、これらの化合物及びこれらがこのような目的のために使用され得る方式をよく承知している。キサンチンオキシダーゼ阻害物質は多数あること、及び、本開示が薬学的に許容されるキサンチンオキシダーゼ阻害物質のクラスのいずれかを用いて実施され得ることは、当業者であれば分かるであろう。
【0060】
キサンチンオキシダーゼ阻害物質の機能性誘導体が、一定の実施形態で使用することができる。「機能性誘導体」とは、キサンチンオキシダーゼ阻害物質の生物学的活性と実質的に類似する生物学的活性(機能的又は構造的のいずれか)を持ち合わせる化合物を言う。「機能性誘導体」という用語は、キサンチンオキシダーゼ阻害物質の「バリアント」「アナログ」又は「化学的誘導体」を含むことを意図する。「バリアント」という用語は、キサンチンオキシダーゼ阻害物質又はその一部と構造及び機能において実質的に類似する分子を言うことを意図するものである。両分子が実質的に類似した構造を有する場合、又は両分子が類似した生物学的活性を持ち合わせる場合、分子はキサンチンオキシダーゼ阻害物質と「実質的に類似」する。「アナログ」という用語は、キサンチンオキシダーゼ阻害物質と機能において実質的に類似する分子を言う。「化学的誘導体」という用語は、普通はベース分子の一部ではない追加の化学的部位を含む分子を記載する。誘導体は、キサンチンオキシダーゼ阻害物質に変換され得る生物学的前駆体又は「プロドラッグ」を含むがこれらに限定されない「生理学的機能性誘導体」であってもよい。
【0061】
本発明の組成物において使用するためのキサンチンオキシダーゼ阻害物質の代表的なクラスは、米国特許第6,191,136号及び第6,569,862号に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。特に有用な化合物には、アロプリノール(4-ヒドロキシ-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン)又はオキシプリノール(4,6-ジヒドロキシピラゾロ[3,4-d]ピリミジン]、又はその互変異性体が含まれる。本開示で使用するためのキサンチンオキシダーゼ阻害物質は、知られている手順で合成することができる。いくつかの治療的なキサンチンオキシダーゼ阻害物質もまた、アロプリノール、フェブキソスタット及びオキシプリノールのような市販のものである。キサンチンオキシダーゼ阻害物質は、非結晶の形態、又は結晶又はアモルファスの形態であってもよく、又はキサンチンオキシダーゼ阻害物質の薬学的に許容される塩であってもよい。
【0062】
概要
コロナウイルス感染症の場合における肺又は腎臓のキサンチンオキシダーゼの発現の例は現在ないが、組織障害、感染、及び組織溶解が、循環核酸(セルフリーDNA)及び尿酸濃度の増加につながる可能性がある。循環核酸濃度の増加で、速やかに尿酸に変換され、今度は尿酸結晶の急激かつ圧倒的な蓄積の引き金となる可能性があり、その後、さまざまな身体系統への急性障害、特に急性腎障害を引き起こす可能性がある。
【0063】
高尿酸血症は、心外科手術、組織の圧挫外傷時における、及び腫瘍崩壊症候群時における、急性臓器障害、より具体的には腎障害に寄与すると報告されている。ウイルス、コロナウイルス又はCOVID-19の感染が認められる場合、組織溶解及びこれに続く高尿酸血症が、急性臓器障害又は急性腎障害に寄与するとは知られていない。
【0064】
ヒポキサンチンをキサンチンに、及びキサンチンを尿酸に変換する酵素であるキサンチンオキシダーゼの阻害物質は、多様な病態の治療に適応されてきた。例えば、キサンチンオキシダーゼ阻害物質であるアロプリノールは、痛風及び高尿酸血症の治療に用いられている(米国特許第5,484,605号)。また、キサンチンオキシダーゼ阻害物質は、心臓、肺、腎臓、消化管、及び脳を含む多様な組織において虚血再灌流障害を媒介する酸素ラジカルの有害な効果を抑制することにおける、及び、関節リウマチのような炎症性関節疾患における使用も提案されている。(例えば、米国特許第6,004,966号参照)。また、骨の過剰吸収を治療することにおいて有用であることも報告されている。(米国特許第5674887号)。さらに、アロプリノール、オキシプリノール、及び他のキサンチンオキシダーゼ阻害物質は、鬱血性心不全の治療に有効であることが見出されている(米国特許第6,569,862号)。
【0065】
急性障害につながるウイルス感染時において、尿酸降下薬は、高尿酸血症及び高尿酸血症の健康上の影響を減少させることができる。炎症性、凝固状態、酸化状態、異化亢進状態、横紋筋融解症、又は急性呼吸器症候群の増加は、尿酸降下薬によって、又は、尿酸降下薬と抗酸化物質、又は抗炎症薬の組み合わせによって直接対処し得る。
【0066】
本明細書におけるいかなる文献の引用も、このような文献が本開示の先行技術として利用可能であることを認めるものではない。
【0067】
呼吸器ウイルス感染症は、気道の生理的な感染によって一次的に特徴づけられる。気道に感染させるウイルスの例は、ライノウイルス、インフルエンザウイルス(毎年冬の間に流行)、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、エンテロウイルス、コロナウイルス、及び、アデノウイルスの特定の株であり、ウイルス性呼吸器感染症の主な原因である。
【0068】
コロナウイルス及び具体的にはCOVID-19は、ヒトに影響を及ぼす新規出現ウイルスであり、ヒト及び他の種に影響をきたすウイルス群の中の1つのタイプである。ヒトにおけるコロナウイルス感染は、例えば、グルコースの体内動態の変化、高血圧症、網膜症、腎機能の異常、中枢神経系機能の異常、心機能の異常、肝機能異常、血小板活性異常、膵機能異常 大・中・小の血管を侵す異常、慢性疲労、横紋筋融解症、並びに他の共存症及び死を含む、急性又は慢性の病態をもたらす可能性のある広範な生理的及び解剖学的異常によって特徴づけられる。
【0069】
コロナウイルス感染及び具体的にはCOVID-19感染は、気道において開始し、また、副鼻腔、気管、気管支、及び肺機能を侵し、肺障害、低酸素症、息切れ、肺塞栓症につながると記載されている。順次又は並行して、血管機能、内皮細胞感染、腎臓、胃腸、神経、心臓血管、膵臓の障害、骨格筋障害、及び細菌感染の易感染性が記載されている。加えて、コロナウイルス感染及び具体的にはCOVID-19横紋筋融解症、及び/又は、過活動異化亢進症候群及び又は急性呼吸窮迫症候群と関連付けられ、また、異常なサイトカイン発現が記載されている。
【0070】
ヌクレオチドの回転/代謝-核酸代謝-は、核酸(DNA及びRNA)が合成され、分解される過程である。核酸はヌクレオチドの重合体である。ヌクレオチドの合成は、一般にリン酸、五炭糖、及び窒素塩基の化学反応に一般的に関与する同化機構である。核酸の破壊は異化反応である。また、ヌクレオチドや核酸塩基の一部を回収して、新しいヌクレオチドを再生することも可能である。合成反応も分解反応も、その事象を促進するために酵素を必要とする。これらの酵素における欠陥及び欠乏は、多様な疾患につながる可能性がある(Voet 2008年)
【0071】
プリン分解は、主にヒトの肝臓で起こり、プリン体を尿酸に分解するためには、雑多な酵素が必要である。第一に、ヌクレオチドは5’-ヌクレオチダーゼを通じてリン酸を失う。ヌクレオシドであるアデノシンが、その後、脱アミノ化と加水分解され、アデノシンデアミナーゼ及びヌクレオシダーゼをそれぞれ介してヒポキサンチンを形成する。ヒポキサンチンは、その後、酸化されてキサンチンを、その後、キサンチンオキシダーゼの作用を通じて尿酸を形成する。もう一つのプリンヌクレオシドであるグアノシンは、切断されてグアニンを形成する。グアニンは、その後、グアニンデアミナーゼによって脱アミノ化されてキサンチンを形成し、その後、尿酸に変換される。酸素は、両プリン体の分解における最終電子受容体である。尿酸は、その後、動物に依存する異なる形態で体内から排泄される(Nelson 2008年)。
【0072】
プリン体異化作用の欠陥は、様々な関節における尿酸の結晶の蓄積に端を発する痛風を含む多様な疾患をもたらす可能性がある。
【0073】
ヒポキサンチンをキサンチンに、及びキサンチンを尿酸に変換する酵素であるキサンチンオキシダーゼの阻害物質は、多様な病態の治療に適応されてきた。例えば、キサンチンオキシダーゼ阻害物質であるアロプリノールは、痛風及び高尿酸血症の治療に用いられている(米国特許第5,484,605号)。また、キサンチンオキシダーゼ阻害物質は、心臓、肺、腎臓、消化管、及び脳を含む多様な組織において虚血再灌流障害を媒介する酸素ラジカルの有害な効果を抑制することにおける、及び、関節リウマチのような炎症性関節疾患における使用も提案されている。(例えば、米国特許第6,004,966号参照)。また、骨の過剰吸収を治療することにおいて有用であることも報告されている。(米国特許第5674887号)。
【0074】
SARS-CoV-2(COVID-19)は溶血ウイルスであり、これは、肺での複製中に、気道内の細胞破壊を引き起こす可能性があることを意味する。自然免疫細胞によるウイルスの認識が、炎症誘発性サイトカイン及びケモカインの産生につながる可能性があり、これは、発熱、炎症、及び、重症疾患の場合、血管及び上皮のバリア機能障害を引き起こす潜在能を有し、これが、肺の胞の液貯留(肺炎)につながり、これにより、呼吸が困難になるとともに、酸素を取り込んで二酸化炭素を拡散させる肺の能力が制限される。41名の患者を対象とした初期の研究では、通例の症状が、発熱(98%)、咳(76%)、筋肉痛又は疲労感(44%)であると示唆され、また非定型症状には、痰(28%)、頭痛(8%)、喀血(咳と共に血を吐くこと)(5%)、及び下痢(3%)が含まれる。患者の半数近くが呼吸困難を有し、その多くは初発症状から約8日後にこの合併症を呈した。また、患者の63%が末梢血リンパ球数において低減を示し、これが、ウイルスを除去する適応免疫応答の能力に影響を与える可能性がある。合併症には、急性呼吸窮迫症候群(29%)、急性心臓障害(12%)、及び二次感染症(10%)が含まれ、患者の32パーセント(32%)がICUレベルのケアを必要とした。(The Lancet.2020年、395巻、497~506頁)。中国での疫学研究では、同様に一部の人々に無症状感染の証拠があることが実証された(この研究における患者の~1.2%)(Chinese Journal of Epidemiology.2020年、41巻、145~151頁)
【0075】
肺、内皮細胞、血管、心臓、心臓血管系、及び神経系統(neurological system)のような感染組織の溶解は、腫瘍崩壊症候群と同様のシナリオでの細胞内容物の循環中への放出をもたらし、循環セルフリーDNAの上昇を二次的にもたらし、その後、核酸異化の分解産物をもたらしヌクレオチド、ヌクレオシド、プリン、及びピリミジン濃度の増加、並びにヒポキサンチン、キサンチン、尿酸の増加につながると予測される。細胞が溶解する際には、キサンチンオキシダーゼ及び他の酵素が、循環中へ放出されることが期待される。これは、細胞内の尿酸、及び活性酸素種(reactive oxygen species、ROS)を産生することができる細胞成分を含む。
【0076】
細胞機能の変化又は顕性の細胞損傷をもたらす、活性酸素種(ROS)-過酸化水素、ヒドロキシラジカル、及びフリー酸素ラジカル-と生体分子との相互作用が、様々な疾患過程の発症メカニズムに寄与することが提案されている(Freeman 1982年、Kinnual 2003年、McCord 2002年)。キサンチンオキシドレダクターゼ(XOR)は、ヒポキサンチンからキサンチンへ、そして最終的には尿酸への酸化を触媒する律速酵素として役目を果たすMo-プテリン酵素である。スルフヒドリル酸化又は制限タンパク分解で、XORのデヒドロゲナーゼ(XDH)形はオキシダーゼ(XO)に変換され、これは、末端のe-受容体としてO2を利用し、NADHよりもスーパーオキシド(O2
・-)及び過酸化水素(H2O2)を産出する。炎症病態下、XOは、血管系中でO2
・-及びH2O2の有意な供給源として役目を果たす(Aslan 2001年、Granger 1986年、Hare 2003年、Leyva 1998年、White 1996年)。このような状態中、XDHは循環中へ放出され、急速(<1分)にXOに変換され、血管内皮細胞表面上の正に帯電したグリコサミノグリカン(GAG)に結合することが実証されている(Houston 1999年、Parks 1988年)。この場所において、XOは、今度は一酸化窒素(・NO)のバイオアベイラビリティ、ひいては血管細胞シグナリングを調節することができるROSを生成できる(White 1996年)。キサンチンオキシダーゼは、内皮細胞上のヘパリン硫酸含有GAGに親和性を発揮し、ヘパリンの静脈内投与により、血管に関連するXOが動員され、循環中へ放出される(Houston 1999年、Granell 2003年)。
【0077】
コロナウイルスは、コロナウイルスに関連する「ウイルス溶解」症候群を創出するように見えるが、これまで報告されておらず、その結果生じる循環尿酸レベルの上昇も報告されていない。この新しく発見された、セルフリーDNA及び尿酸に関連する共存症及び死亡の経路は、ほとんどの身体系統に影響を及ぼし得ると予想される。例えば、ウイルス性腎症、ウイルス性心疾患、ウイルス性神経障害又はウイルス性内皮機能障害、及びウイルス性膵炎を引き起こし、ウイルス性糖尿病、及びこのような感染による急性及び慢性の健康上の影響につながる。
【0078】
Moreno Lらによる研究は、尿酸一ナトリウム結晶が急性肺障害、及び肺高血圧症の発症、及びエンドトキシンリポ多糖によって誘導された肺の炎症を悪化させることを示唆している(Moreno 2018年)。
【0079】
本特許出願の図において確認された新規な発見は、ウイルス感染、コロナウイルス感染、及びCOVID-19感染に関連する高尿酸血症が急性呼吸窮迫症候群を引き起こし得る、あるいは悪化させ得ることを示唆する。さらに、これらの知見は、尿酸降下薬の必要性を示唆する。
【0080】
加えて、急性呼吸窮迫症候群時において、低酸素症や換気が必要な場合、尿酸降下薬は急性呼吸窮迫症候群の重症度及び発病を改善し得る。
【0081】
実際、高尿酸血症は、敗血症時における急性呼吸窮迫症候群の発病確率及び重症度も増加させることもあり、その場合、尿酸降下薬の使用が適切であり得る。
【0082】
内皮感染及び腎感染に加えて、心臓血管系及び神経系統への関与も報告されている。
【0083】
COVID19に関連する呼吸不全が最も注目を受けているが、本疾患は、多くのレベルで神経系の機能も破壊している。最初、感染の初期段階中、免疫反応が、本疾患に関連する頭痛を媒介するサイトカインのレベルの上昇を引き起こす(Lancet 2020年、395巻、497頁、及びThe Journal of Headache and Pain 2020年、21巻、38頁)。COVID19に関連する急性壊死性脳症及び脳炎の稀な報告もまた、いわゆる「サイトカインストーム」が媒介し得る。(Poyiadji 2020年、Ye 2020年)COVID-19の患者は、凝血塊における増加を経験することもあり、これは、脳内の凝血塊により引き起こされる脳卒中のリスクを増加させる(Oxley 2020年)。COVID19のより長期的な影響は不確かであるが、SARS-CoV-2コロナウイルスは、SARS-CoV-1及びMERS-CoVウイルスも含むベータコロナウイルス属の一種である。神経科学界における重大な懸念は、SARS-CoV-1のように、SARS-CoV-2が、経シナプス的に又は血液脳関門を通過することにより拡散して、中枢神経系のニューロン及びグリアに感染し、COVID-19患者の感染後に長期的な影響を生じ得ることである。(Zubair、2020年)。
【0084】
健康上、キサンチンオキシダーゼは尿酸経路における終末酵素であり、ヒポキサンチンをキサンチンに変換し、そして最終的には尿酸に変換する核酸の分解において一役買っている。尿酸は、腎臓によって一次的に排泄され、消化管によって二次的に排泄される。
【0085】
心臓血管組織は、COVID-19コロナウイルスによって標的とされ、感染した集団にとって重大な脅威となる。COVID-19は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を利用して宿主を感染させる。これは、肺、心臓、腎臓、及び腸を含むいくつかの臓器において発現している。ACE2受容体は、内皮細胞でも発現している(Ferrario 2005年)。
【0086】
さらに、個々の細胞のウイルス感染は、細胞へのウイルスの侵入、ウイルスゲノム(コロナウイルスの場合はRNA)を使用した細胞内成分の分解、その後、細胞内成分の転写及び翻訳からのウイルスゲノム、及びウイルスカプセル及びタンパク質のようなウイルス成分の複製、細胞の溶解に先立った新規ウイルス粒子の生成、及び新規感染性ウイルス粒子の放出を含むキーとなるステップに関与する。ヌクレオチド、ヌクレオシド、ピリミジン、プリン及び他の窒素源は、ウイルス量、生存率、感染のプロダクティビティをうまく確保する上でキーとなり得る。キサンチンオキシダーゼ阻害物質、又は、尿酸の産生、及びアデノシン異化作用によって生成される窒素源を減少させる他の阻害物質は、コロナウイルス及び具体的にはCOVID-19感染の治療又は予防に特に有用であり得る。
【0087】
本発明者らの知る限り、コロナウイルスが高尿酸血症を引き起こすこと、あるいは急性腎障害、急性心障害、急性神経障害、急性膵障害、急性内皮障害との関連は、これまで報告されていない。早期の高尿酸血症の発見、並びにこれらの急性病態との関連、及びコロナウイルス感染から生じ得るより長期的な慢性疾患のスペクター。
【0088】
本明細書に記載された発見から生じる実施形態は、高尿酸レベル(正常範囲を上回る及び/又は5.5mg/dLを上回る)を尿酸降下薬で治療すると、コロナウイルス感染に関連する急性及び慢性の共存症及び死亡に対する、保護を提供し得るという新たな発明を支持するものである。
【0089】
例示的実施形態
特定の実施形態では、COVID-19感染を治療及び予防する方法であって、このような治療を必要とする患者における尿酸レベルを低減させることが可能な、治療上有効な量の薬剤のを投与することを備える方法が開示される。尿酸の低減は、高血圧症、急性腎臓、心臓、肝臓、血管、肺、神経、及び急性呼吸窮迫症候群のリスク、並びに罹患及び死亡を低減させるであろう。尿酸増加に対する現在の基準は7mg/dLである。しかしながら、上で述べた8~10mg/dLの患者はリスクが増加する。
【0090】
特定の実施形態では、コロナウイルス感染による共存症を予防する方法であって、このような治療を必要とする患者における尿酸レベルを減少させることが可能な、治療上有効な量の薬剤のを投与することを備える方法が開示される。
【0091】
また、コロナウイルス感染による急性腎障害の治療する方法であって、このような治療を必要とする患者における尿酸レベルを減少させることが可能な、治療上有効な量の薬剤のを投与することを備える方法も提供される。
【0092】
さらに別の実施形態では、コロナウイルス感染による急性心血管障害を治療及び予防する方法であって、このような治療を必要とする患者における尿酸レベルを減少させることが可能な、治療上有効な量の薬剤のを投与することを備える方法が開示される。
【0093】
また、コロナウイルス感染による急性心障害を治療及び/又は予防する方法であって、このような治療を必要とする患者における尿酸レベルを減少させることが可能な、治療上有効な量の薬剤のを投与することを備える方法も提供される。
【0094】
他の実施形態では、コロナウイルス感染による急性肺障害を治療及び予防する方法であって、このような治療を必要とする患者における尿酸レベルを減少させることが可能な、治療上有効な量の薬剤のを投与することを備える方法が提供される。
【0095】
また、コロナウイルス感染による急性肝臓障害を治療及び予防する方法であって、このような治療を必要とする患者における尿酸レベルを減少させることが可能な、治療上有効な量の薬剤のを投与することを備える方法も開示される。
【0096】
また、コロナウイルス感染による急性膵臓障害を治療及び予防する方法であって、このような治療を必要とする患者における尿酸レベルを減少させることが可能な、治療上有効な量の薬剤のを投与することを備える方法も提供される。
【0097】
また、コロナウイルス感染によるウイルス的に誘導されたメタボリックシンドローム又は糖尿病障害を治療及び予防する方法であって、このような治療を必要とする患者における尿酸レベルを減少させることが可能な、治療上有効な量の薬剤のを投与することを備える方法も提供される。
【0098】
約0.2mg/dLまで尿酸レベルを低減させることが可能な薬剤。尿酸レベルを低減させることが可能な薬剤であって、遺伝子治療、キサンチンオキシダーゼ阻害物質、尿酸排泄薬、ウリカーゼタンパク質のサプリメント及び尿酸チャネル阻害物質、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される薬剤。尿酸レベルを低減させることが可能な薬剤の具体的な例は、以下を含むがこれらに限定されない。
-尿酸のアラントインへの分解を担う酵素であるウリカーゼの過剰発現を標的とするもののような遺伝子治療。
-アロプリノール、カルプロフェン、フェブキソスタット、TMX-049、オキシプリノール、NC-2500、3,4-ジヒドロキシ-5-ニトロベンズアルデヒド(DHNB)、又は他の薬剤のようなキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
-尿酸排泄薬。これは、腎臓において作用する有機アニオン輸送チャネル及び/又は電圧感受性輸送チャネルの阻害物質として定義される。このような薬剤には、ロサルタン、ベンズブロマロン、ベンジオダロン、プロベネシド、スルフィンピラゾン、エテベネシド、オロチン酸、チクリナフェン、ゾキサゾラミン、レスリナド、ベリヌラド、NC-2700が含まれるが、これらに限定されるものではない。
-ラスブリカーゼのようなウリカーゼタンパク質のサプリメント。これは、ポリエチレングリコールとの共役結合化-ペグ化-又はペグロティカーゼのような別の送達システムとして送達されてもよく、また、ペガドリカーゼ又はレロキサリアーゼのような結晶性組み換えシュウ酸デカルボキシラーゼ酵素の固体経口投薬形態のように消化管において作用する、又は静脈内注射で循環内で作用する。及び、
-尿酸チャネル阻害剤 - 尿酸の細胞への流入をブロックすることにより、尿酸の輸送機構を妨害する手段である。
【0099】
また、本開示の範囲内であるものは、内皮型及び/又は神経型一酸化窒素合成酵素を介して一酸化窒素産生を刺激する薬剤を備える医薬組成物又はその薬学的に許容される塩、及び上で記述したような尿酸レベルを低減させることが可能な薬剤又はその薬学的に許容される塩、及び医薬担体である。内皮型及び/又は神経型一酸化窒素合成酵素を介して一酸化窒素産生を刺激する薬剤には、L-アルギニン、L-シトルリン、L-オルニチン、硝酸塩、及び硝酸塩模倣体、並びに内皮型及び/又は神経型一酸化窒素合成酵素の過剰発現を標的としたもののような遺伝子治療が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
組成物及び製剤
一態様において、本開示は、キサンチンオキシダーゼ阻害物質の組成物を提供する。本開示のキサンチンオキシダーゼ阻害物質の組成物は、いかなる副作用も増加させることなく、キサンチンオキシダーゼ阻害物質の最大の活性及びバイオアベイラビリティを確保するように製剤化され得る。プリン及び非プリンキサンチンオキシダーゼ阻害物質は遊離酸であり、有機塩基を有する製剤は、いかなる副作用も増加させることなく、キサンチンオキシダーゼ阻害物質の最大の活性及びバイオアベイラビリティを確保するであろう。
【0101】
特定の組成物の実施形態は、フェブキソスタット、TMX-049、NC-2500、アロプリノール又はオキシプリノールを含むがこれらに限定されない、1つ又は複数のUALAを備える。当該組成物の製剤は、以下の特性のうちの1つ又は複数を有し得る:生理学的に適合するpH、時間的、加熱時、又は湿度条件下での製剤の安定性、長期間の保存性、好ましい溶解性、より良い忍容性、吸湿性の促進、薬学医薬目的で有用な製剤の製造が許可される望ましい物理的性質(例えば、圧縮及び流動性質)、より良い味、並びに心疾患、血管障害、腎症、膵障害、神経障害、及び高血圧症の患者において使用されることになる製剤。活性キサンチンオキシダーゼ阻害物質がより迅速に、かつより高い程度に吸収され、バイオアベイラビリティの向上をもたらす組成物を製剤化し得る。組成物は、実質的に毒性がないか、又はより低い毒性を有するように製剤化され得る。故に、本開示のキサンチンオキシダーゼ阻害物質の製剤、特にアロプリノール及びオキシプリノールの製剤は、以前に記載された親化合物と比較して、医薬組成物として非常に有用であると期待される。
【0102】
一態様において、本開示は、少なくとも1つのウリカーゼ酵素及び/又は尿酸オキシダーゼ酵素を含む組成物を提供する。本開示のウリカーゼの製剤は、好ましくは、いかなる副作用も増加させることなく、ウリカーゼの最大の活性及びバイオアベイラビリティを確保するように設計される。抗酸化物質又はフリーラジカル捕捉分子を有する、製剤におけるウリカーゼは、いかなる副作用も増加させることなく、ウリカーゼの最大の活性及びバイオアベイラビリティを確保し、好ましくは過酸化物及び二次的に酸素ラジカル又は二次的な他の反応性化合物を低減させるであろう。
【0103】
他の製剤は、ウリカーゼ、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ペガドリカーゼ、レロキサリアーゼ、ALLN-346を含み、驚くべき生理化学的及び薬理学的性質を有することがある。製剤は、以下の特性のうちの1つ又は複数を有し得る:生理学的に適合するpH、時間的、加熱時、又は湿度条件下での製剤の安定性、長期間の保存性、好ましい溶解性、より良い忍容性、吸湿性の促進、薬学医薬目的で有用な製剤の製造が許可される望ましい物理的性質(例えば、圧縮及び流動性質)、より良い味、並びに心疾患、血管障害、腎症、膵障害、神経障害、及び高血圧症の患者において使用されることになる製剤。本開示の製剤は、活性尿酸オキシダーゼがより迅速に、より高い程度に吸収され、バイオアベイラビリティの向上をもたらす組成物を提供し得る。本明細書に記載された製剤を備える組成物は、実質的に毒性がないか、又はより低い毒性を有し得る。故に、本開示の尿酸オキシダーゼの製剤、特に、ラスブリカーゼ、ペグロティカーゼ、ペガドリカーゼ、レロキサリアーゼ、ALLN-346の製剤は、以前に記載された親化合物と比較して、医薬組成物として非常に有用であると期待される。
【0104】
特定の実施形態では、抗酸化物質はまた、アルギニン、コリン、L-リジン、D-リジン、グルカミン及びそのN-一又はN,N-二置換誘導体(N-メチルグルカミン、N,N-ジメチルグルカミン、N-エチルグルカミン、N-メチル,N-エチルグルカミン、N,N-ジエチルグルカミン、N-β-ヒドロキシエチルグルカミン、N-メチル,N-β-ヒドロキシエチルグルカミン、及びN,N-ジ-β-ヒドロキシエチルグルカミンを含むがこれらに限定されない)、ベンエタミン、バンザチン、ベタイン、デアノール、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)-エタノール、ヒドラバミン、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルホリン、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン、トロメタミン、ジエタノールアミン(2,2”-イミノビス(エタノール)、エタノールアミン(2-アミノエタノール)、1H-イミダゾール、ピペラジン、トリエタノールアミン(2,2’,2”-ニトリロトリス(エタノール)、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ピリジン、ジアルキルアニリン類、ジイソプロピルシクロヘキシルアミン、第3級アミン類(例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン)、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルタミン、4-ピロリジノピリジン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピペリジン、イソプロピルアミン、メグルミン、N-アセチル-システイン又はカフェインのような有機塩基であることが可能である。
【0105】
一態様において、開示された製剤は、フェブキソスタット、TMX-049、NC-2500、アロプリノール及び/又はオキシプリノールを備える塩基性アミノ酸及び/又は抗酸化物質製剤を備える。
【0106】
特定の態様において、本開示は、医薬用途のために適応した安定な製剤(例えば、経時的、加熱時、及び/又は相対湿度範囲で安定)の製造が許可される有利な性質を有するアロプリノール及びオキシプリノール(特に、アロプリノール又はオキシプリノールのアルギニン又はリジン塩)の新規の製剤を提供する。
【0107】
実施形態において、本開示は、グルカミン及びそのN-一又はN,N-二置換誘導体を有するキサンチンオキシダーゼ阻害物質の製剤を提供する。例には、N-メチルグルカミン、N,N-ジメチルグルカミン、N-エチルグルカミン、N-メチル,N-エチルグルカミン、N,N-ジエチルグルカミン、N-β-ヒドロキシエチルグルカミン、N-メチル,N-β-ヒドロキシエチルグルカミン、及びN,N-ジ-β-ヒドロキシエチルグルカミンが含まれるが、これらに限定されるものではない。製剤は、グルカミン塩をキサンチンオキシダーゼ阻害物質と反応させることにより製造してもよい。
【0108】
本開示はまた、本開示の製剤を調製するためのプロセスに関する。プロセスは、キサンチンオキシダーゼ阻害物質を、有機塩基と共に、任意に溶媒を加えて、任意に抗酸化物質と共に、又は任意にウリカーゼ酵素と共に溶かすことを備えてもよい。キサンチンオキシダーゼ阻害物質を第一に溶媒及び/又は第二、第三又は第四の物質が混合された溶液に溶かしてもよい。また、キサンチンオキシダーゼ阻害剤を第二、第三又は第四の物質の溶液に組み込むことも可能であろう。
【0109】
有機塩基とキサンチンオキシダーゼ阻害物質との比は、有機塩基0.1~10.0モル当量対キサンチンオキシダーゼ阻害物質1.0モル当量の範囲とすることができる。実施形態において、有機塩基とキサンチンオキシダーゼ阻害物質との比は、5.0:1.0モル、特に3.0:1.0モル、より特に2.0:1.0モル、さらにより特に1.0:1.0モルである。
【0110】
UALA製剤は、非結晶の形態、微粉化の形態、結晶又はアモルファスの形態、又は溶液又は懸濁液であってよい。別の実施形態では、本開示は、アロプリノール又はオキシプリノール上の少なくとも1つの水素を置換することによって形成されるキサンチンオキシダーゼ阻害物質の有機塩基製剤を提供する。
【0111】
UALAを含有する組成物は、送達の所望の形態になるように製剤化することができる。製剤には、固体(錠剤、ソフト又はハードゼラチンカプセル)、半固体(ゲル、クリーム)、又は液体(溶液、コロイド、又はエマルジョン)が含まれる。コロイド担体系には、マイクロカプセル、エマルジョン、マイクロスフェア、マルチラメラベシクル、ナノカプセル、ユニラメラベシクル、ナノ粒子、マイクロエマルジョン、及び低密度リポタンパク質が含まれる。非経口投与用の製剤系には、脂質エマルジョン、リポソーム、混合ミセル系、生分解性繊維、及びフィブリンゲル、及び移植用生分解性ポリマーが含まれる。経肺投与用の製剤系には、定量吸入器、粉末吸入器、吸入用溶液、及びリポソームが含まれる。組成物には、徐放性(マルチプルユニット型の崩壊性粒子又はビーズ、シングルユニット型の非崩壊性システム)、制御放出性(経口浸透圧ポンプ)、及び生体接着剤又はリポソーム用に製剤化することが可能である。制御放出性製剤には、間欠的に放出されるもの、及び継続的に放出されるものが含まれる。製剤には、静脈内投与用の液体が含まれる。製剤には、一緒に又は逐次に投与される液体又は固体製剤の任意の組み合わせが含まれてもよい。
【0112】
本開示の組成物は、典型的には、意図される投与形態に基づいて選択され、かつ従来の医薬の慣例に一致する適切な医薬担体、賦形剤、媒剤、又は希釈剤を備える。適切な医薬担体、賦形剤、媒剤、又は希釈剤は、標準テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company、イーストン、ペンシルベニア州、米国 1985年)に記載されている。例として、経口投与用のカプセル又は錠剤の形態では、活性成分は、ラクトース、デンプン、スクロース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、グルコース、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム、マンニトール、ソルビトール、及び同種のもののような経口の毒性がない薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることが可能である。経口投与用の液体の形態では、薬物成分は、エタノール、グリセロール、水、及び同種のもののような任意の経口の毒性がない薬学的に許容される不活性担体と組み合わされてもよい。適切な結合剤(例えば、ゼラチン、デンプン、トウモロコシ甘味料、グルコースを含む天然糖類;天然及び合成のガム、及びワックス)、滑沢剤(例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び塩化ナトリウム)、崩壊性薬剤(例えば、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、及びキサンタンガム)、香味剤、着色剤、吸収促進薬、粒子コーティング(例えば、腸溶性コーティング)、滑沢剤、標的剤、及び当業者に知られている任意の他の薬剤も、当該組成物又はその成分中に組み合わされてもよい。
【0113】
本明細書に開示される医薬組成物は、患者に投与することができる薬学的に許容される組成物の調製のためのそれ自体知られた方法によって、かつ薬学的に許容される量の活性物質が薬学的に許容される担体、賦形剤、媒剤、又は希釈剤との混合物中で結合されるように調製することができる。
【0114】
実施形態において、組成物は、生理的pHで活性なまま残るように製剤化される。組成物は、pH範囲4~10、特に4~7で製剤化されてもよい。
【0115】
誘導体
本明細書で使用するように、溶媒は、固体、液体、又は気体の溶質を完全に又は部分的に溶かし、溶液をもたらす任意の液体(ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリム、ジグリム、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、又はN-メチル-2-ピロリドンのような液体だが、これらに限定されるものではない)を言う。
【0116】
反応物、化合物、溶媒、酸、塩基、触媒、薬剤、反応基、又は同種のものは、個別に、同時に、別々に、及び任意の順序で加えられてもよいことが理解されよう。さらに、反応物、化合物、酸、塩基、触媒、薬剤、反応基、又は同種のものは、溶液に予め溶かしておき、溶液(水溶液を含むがこれに限定されない)として加えられてもよいことが理解されよう。加えて、反応物、化合物、溶媒、酸、塩基、触媒、薬剤、反応基、又は同種のものは、任意のモル比であってもよいことが理解されよう。
【0117】
反応物、化合物、溶媒、酸、塩基、触媒、薬剤、反応基、又は同種のものがインサイチュで形成されてもよいことが理解されよう。
【0118】
溶媒和物
UALAには、薬剤の溶媒和物の形態も含まれる。特許請求の範囲で使用されている用語は、これらの形態を包含する。
【0119】
多形体
UALAには、それらの様々な結晶の形態、多形の形態及び水和・無水の形態も含まれる。製薬業界では、このような化合物の合成での調製に用いる溶媒からの精製及び又は単離の方法をわずかに変えることにより、このような形態のいずれでも化合物を単離し得ることはよく確立されている。
【0120】
プロドラッグ
本開示の実施形態は、プロドラッグ形態のXOI剤及び尿酸排泄薬をさらに含む。このようなプロドラッグは、一般的に、ヒト又は哺乳類の対象への投与時に修飾が復帰し得るように、1つ又は複数の適切な基が修飾されている化合物である。このような復帰は、通常、このような対象に天然に存在する酵素によって行われるけれども、インビボで復帰を行うために、このようなプロドラッグと共に第2の薬剤が投与されることも可能である。このような修飾の例には、エステル(例えば、上で記載されたもののいずれか)が含まれ、そこでは、復帰はエステラーゼ等によって実施され得る。他のこのような系は、当業者によく知られているであろう。
【0121】
適用
本明細書に開示される尿酸降下製剤及び組成物は、プリン代謝、血清尿酸濃度又はキサンチンオキシダーゼの調節を必要とする病態又は疾患、当該病態又は疾患を予防又は治療するためにキサンチンオキシダーゼ阻害物質を利用する病態又は疾患、又はキサンチンオキシダーゼ阻害物質を用いて治療可能な病態又は疾患を予防又は治療するために使用し得る。それ故、一定の実施形態は、本開示の治療上有効な量の有機塩基、抗酸化物質、及び尿酸降下薬の製剤を投与することを備える、キサンチンオキシダーゼの調節を必要とする病態又は疾患、又は当該病態又は疾患を予防又は治療するためにキサンチンオキシダーゼ阻害物質を利用する病態又は疾患を対象において予防又は治療するための方法に関する。
【0122】
本明細書に開示される組成物は、病態又は疾患を患っている対象に活性キサンチンオキシダーゼ阻害物質化合物を投与するための有用な手段を提供するものである。病態又は疾患には、心臓血管又は関連疾患、組織における虚血再灌流障害、関節リウマチ、呼吸困難、腎疾患、膵疾患、神経疾患、肝臓疾患、鎌状赤血球疾患、敗血症、熱傷、ウイルス感染、出血性ショック、心収縮力の低下に関連する病態、及びウイルス感染症、コロナウイルス感染又はCOVID-19感染に関連する骨の過剰吸収に関連する病態が含まれるが、これらに限定されるものではない。特に、当該病態又は疾患は、高血圧症、急性腎障害、急性心障害、急性神経障害、急性血管障害、虚血再灌流障害、及び、急性呼吸窮迫症候群、異化亢進状態、サイトカインストーム、又は凝固カスケードが活性化される炎症性、炎症誘発性、血栓及び血栓好発状態から生じる疾患である。
【0123】
本開示の製剤又はこのような製剤を組み込んだ医薬組成物は、心臓血管、腎臓、又は神経、又は関連する疾患のような病態又は疾患の治療において、特にCOVID-19の健康上の影響の治療において、有利な効果を提供し得る。本開示の製剤及び組成物は、ウイルス感染及びその結果生じる疾患の治療における治療用途に容易に適応できる。したがって、本明細書の教示に照らして予定されるのは、心臓血管、腎臓、血管、神経、又は関連する疾患の疾患重症度、疾患症状、及び/又は再発の周期性を予防する、及び/又は改善するための、製剤又は組成物の使用である。
【0124】
一実施形態では、MAKE基準、KIDGO基準、尿排出量、血清クレアチニン濃度、糸球体濾過率、心臓効率を用いて急性腎障害のステータスを向上させ、血清脂質濃度を低下させる、キサンチンオキシダーゼ阻害物質の、塩基性アミノ酸、抗酸化物質、ウリカーゼの製剤を備える組成物が提供される。これらの測定濃度のいずれは、1~50%で、特に1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、又は50%で減少又は増加してもよい。
【0125】
本開示は、キサンチンオキシダーゼ阻害物質の、有機塩基、抗酸化物質及び/又はウリカーゼの、製剤の投与により、ヒト細胞内、又はウイルス感染又は関連不調に関係している循環系内で発生するフリーラジカルの悪影響を低減することに向けられている材料の組成を予定している。
【0126】
本開示はまた、腎臓機能の効率の促進を必要とする哺乳動物において腎機能を治療又は保護する方法であって、本開示の治療上有効な量の有機塩基製剤を選択された哺乳動物に投与する方法を予定している。
【0127】
本開示はさらに、不調を患っている又は起こしやすい哺乳動物における炎症の不調の治療のための方法であって、本開示の治療上有効な量の有機塩基製剤を哺乳動物に投与することを備える方法を予定している。
【0128】
本開示はまた、ウイルス感染を患っている又は起こしやすい哺乳動物における急性膵障害又は健康上の影響に関連する、ウイルスにより誘導された糖尿病を治療するための方法であって、ウイルス又は細菌感染を患っている又は起こしやすい哺乳動物を、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、糖尿病又は慢性腎疾患の治療のために選択すること、及び、任意に有機塩基をさらに備える、本開示の治療上有効な量のUALA含有製剤を、選択した哺乳動物に投与することを備える方法を提供する。
【0129】
特定の態様では、血管障害又は内皮機能障害を患っている又は患ったことのある哺乳動物における急性血管障害を治療又は予防するための方法であって、治療上有効な量のオキシプリノールを当該哺乳動物に投与することを備える方法が提供される。別の特定の態様では、血管障害又は内皮機能障害を患っている又は患ったことのある哺乳動物における肺又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するための方法であって、ウリカーゼ、又はオキシプリノール、又は抗酸化物質の、治療上有効な量の有機塩基製剤を、当該哺乳動物に投与することを備える方法が提供される。好ましい実施形態において、当該製剤は、塩基性アミノ酸、より好ましくはアルギニン又はリジンに由来する。
【0130】
別の態様は、医薬品、特に病態又は疾患の予防又は治療のための医薬品の調製のための、本開示のキサンチンオキシダーゼ阻害物質の、少なくとも1つの有機塩基含有製剤を備える組成物の使用に関する。一実施形態では、当該病態又は疾患は、心臓血管疾患又は関連疾患である。別の態様では、本開示は、溶血ウイルス、コロナウイルス又はCOVID-19ウイルスに感染した患者において、病態又は疾患、特に心臓血管疾患又は関連疾患を抑制又は予防するための医薬組成物の調製における、本開示のキサンチンオキシダーゼ阻害物質の、有効な量の少なくとも1つの有機塩基含有製剤の使用に関する。
【0131】
本明細書に開示される一定の治療方法によれば、製剤において、有機塩基又は抗酸化物質、又はウリカーゼ又はキサンチンオキシダーゼ阻害物質のうちの単一又は2つ以上の組み合わせが投与されてもよい。抗酸化物質の例には、フラボノイド(EGCG、ケルセチン、カテキン、及び同種のもののようなもの)、β-カロテン、ビタミンC、N-アセチル-システイン、α-リポ酸、ビタミンE、アントシアニン、有機塩基、及びスルフォラファンが含まれるが、これらに限定されるものではない。したがって、特定の治療は、キサンチンオキシダーゼ阻害物質、特にアロプリノール又はオキシプリノールの製剤の最適な治療上の組み合わせ、又は多重有機塩基、ウリカーゼ、抗酸化物質、抗炎症性又はキサンチンオキシダーゼ阻害物質の製剤の最適なカクテルの選択により最適化することが可能である。最適な化合物は、知られたインビトロ及びインビボアッセイを用いて当業者により容易に選択され得る。
【0132】
投与
本明細書に開示される製剤及び組成物は、治療薬剤として、単独でも又は他の治療薬剤若しくは治療の他の形態と併せても有用である。例えば、製剤及び組成物は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害物質、強心薬、利尿薬、及びβ遮断薬を含む、心臓血管疾患を治療するために用いられる他の薬物と組み合わせて使用されてもよい。本開示の製剤及び組成物は、他の治療薬剤又は治療と同時並行して、別々に、又は逐次に投与されてもよい。医薬組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、媒剤、又は希釈剤を用いて、従来の方式で製剤化されてもよい。
【0133】
治療化合物又は組成物の投与の経路には、非経口(皮下、腹腔内、胸骨内、静脈内、関節内注射、注入、皮内、及び筋肉内を含む);又は経口;肺、粘膜(頬、舌下、膣、及び直腸を含む);局所、経皮、及び同種のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。非経口が特に望ましい投与の経路であることが可能である。
【0134】
本開示の方法及び使用は、急性及び慢性の治療の両方を含む。例えば、本開示の製剤又は組成物は、慢性メタボリックシンドローム、高血圧症、腎臓、心臓血管疾患、糖尿病、又はウイルス性肺炎、細菌性肺炎、敗血症、若しくは心原性ショックを患っている患者に投与することができる。キサンチンオキシダーゼ阻害物質の製剤は、対象が急性腎障害又は慢性腎疾患、又は糖尿病性腎症、又は多発性嚢胞腎のようなウイルス感染により誘導された障害を患った後、約1、2、4、8、12又は24時間以内、又は1日以上から約2~4週間、特に2~3週間、投与することができる。
【0135】
本開示の製剤又は組成物の定期的長期的な投与は、患者が慢性腎疾患を患った後、心臓血管の健康増進を提供するために有益であり得る。それ故、本開示の製剤又は組成物は、慢性腎疾患を患った後、例えば、少なくとも、2、4、6、8、12、16、18、20、又は24週間で、又は6ヶ月、1年、2年、3年、又はそれ以上のようなより長く、機能的能力の促進を促すために定期的に投与することが可能である。
【0136】
実施形態において、本開示は、対象における急性又は慢性腎疾患を治療するための方法であって、本開示の医薬組成物を対象に投与すること、及び望ましい治療効果が対象において検出されるまで製剤の投与を継続することを備える方法を教示する。所望の治療効果は、ウイルス感染及びウイルス感染症の長期的な健康上の影響を有する対象において、濾過能の効率、糸球体濾過率、糸球体高血圧、血清クレアチニン濃度の低下、タンパク尿の減少、健康、運動能、心拍出量、及び/又は心臓効率を向上させることであってもよい。
【0137】
本開示の治療方法及び組成物に使用されるキサンチンオキシダーゼ阻害物質の製剤の量は、利用される特定の化合物、製剤化された特定の組成物、適用の様式、投与の部位、対象の年齢及び体重、並びに治療される対象の病態を含むがこれらに限定されない様々な要因に従って変化し、最終的には主治医又は獣医によって決定されるだろう。与えられた投与プロトコルに対する最適な投与率を確定するために、従来の投与決定試験を利用することができる。キサンチンオキシダーゼ阻害物質及び/又はウリカーゼの先行する臨床適用で利用される投与量は、本開示の方法に対する好ましい投与量の指針を提供するだろう。
【0138】
本開示の一態様では、組成物は、重量で約0.1~90%(約0.1~20%又は約0.5~10%など)の活性成分を含んでもよい。
【0139】
予防的及び治療的な投与のために使用される本開示のキサンチンオキシダーゼ阻害物質、ウリカーゼ、抗酸化物質の製剤又は組成物は、無菌であり得る。無菌性は、滅菌(無菌)濾過膜、例えば0.2ミクロン膜を通じて濾過によって達成することができる。予防的及び治療的投与のための本開示の製剤及び組成物は、単位投与容器又はマルチ投与容器に保存されてもよい。投与はまた、血中のキサンチンオキシダーゼ阻害活性の所定濃度を提供するために、対象者特有の方式で用意されてもよい。例えば、投与は、50~1000ng/ml、特に、150~55ng/mlのオーダーで定期的に継続するトラフ血中レベルを達成するように調整されてもよい。
【0140】
UALA及び任意での有機塩基又は任意での抗酸化物質を含む、本開示のキサンチンオキシダーゼ阻害物質の本開示の製剤又は組成物は、単位投与容器又はマルチ投与容器、例えば、密封アンプル又はバイアルに保存されてもよい。
【0141】
本開示はまた、本開示の医薬組成物の成分の1つ又は複数を充填した1つ又は複数の容器を備える医薬パック又はキットを提供する。容器に関連するのは、医薬品の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって規定された様式の通知であって、ヒトへの投与に対する製造、使用又は販売の、当該機関による承認を反映する通知であり得る。
【0142】
さて、本発明を記載してきたが、説明のために提供され、かつ本開示を限定することを意図しない、以下の例への言及を通じて、同じことがより容易に理解されるであろう。
【0143】
真菌及びウイルス源からの他の酵素も、アデノシン異化作用によるフリー酸素ラジカルの生成、及び、イノシン、ヒポキサンチン、キサンチンを含むこの経路に起因する代謝産物に寄与することにより、尿酸を増加させ得る。
ヌクレオシドアナログ薬物は、以下を含む:
・ デオキシアデノシンアナログ:ジダノシン(ddI)(HIV)、ビダラビ
ン(抗ウイルス物質)
・ アデノシンアナログ:BCX4430(エボラ)、レムデシビル(エボラ)
(マールブルグ)(コロナウイルス)
・ デオキシシチジンアナログ:シタラビン(化学療法)、ゲムシタビン(化学
療法)、エムトリシタビン(FTC)(HIV)、ラミブジン(3TC)(
HIV、B型肝炎)、ザルシタビン(ddC)(HIV)
・ グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ:アバカビル(HIV)、アシ
クロビル、アデホビル、エンテカビル(B型肝炎)
・ チミジン及びデオキシチミジンアナログ:スタブジン(d4T)、テルビブ
ジン(B型肝炎)、ジドブジン(アジドチミジン、又はAZT)(HIV)
・ デオキシウリジンアナログ:イドクスウリジン、トリフルリジン
・ テノホビル
【0144】
関連薬物は、核酸塩基アナログ(糖又は糖アナログを含まない)、及びヌクレオチドアナログ(リン酸基も含む)である。
【0145】
尿酸降下薬は、いくつかのクラス、ウリカーゼ(例えば:ペグロティカーゼ又はラスブリカーゼ又はペガドリカーゼ又はレロキサリアーゼ又はALLN-346)、尿酸排泄薬(例えば、ロサルタン、プロベネシド、ベンズブロマロン、アトルバスタチン、フェンフィブレート、レシヌラド、ベリヌラド、スルフィンピラゾン、ピラジンアミド)、又はキサンチンオキシドレダクターゼ阻害物質(アロプリノール、フェブキソスタット、TMX-049、オキシプリノール、NC-2500、NC-2700、NMDA等)に分類することができる。実際、尿酸及びアロプリノールは、潜在的に核酸の構成要素であるが、オキシプリノールはそうではないため、オキシプリノールの抗ウイルス効果について、さらなる特性化が、また、コロナウイルス感染症において有益であることの立証が必要となり得る(Perez-Mazliah 2012年)。
【0146】
例
VILI動物モデルでは、高一回換気量での機械的人工換気(HTMV)の適用により、XORが活性化され、肺毛細血管透過性が増加した(Abdulnour、2006年)。内皮細胞をROSで及びXOで直接処理すると、経内皮電気抵抗(TEER)が低下し、マクロ分子の透過性が増加する(Shaby、1985年)。酸化ストレスは、VILIの間に上皮細胞のアポトーシスを誘導することが知られている(Syrkina、2008年)。VILIはまた、p38MAPK媒介炎症性肺障害を誘導し(Dolinay、2008年)、p38の活性化は、XOR酵素活性を増加させる。p38-XORの薬理学的阻害は、VILI誘導肺障害を弱める(Le、2008年)。これらの研究は、ROS媒介肺障害におけるXORの重要な役割を示している。
【0147】
参考文献
Abdulnour,R.E.E.、Peng,X.Q.、Finigan,J.H.、Han,E.J.、Hasan,E.J.、Birukov,K.G.他(2006年)。機械的ストレスは、MAPキナーゼ依存経路を通じたキサンチンオキシドレダクターゼを活性化する。American Journal of Physiology Lung C、291巻(3号)、L345-LL53。CrossRefGoogle Scholar
Shasby,D.M.、Lind,S.E.、Shasby,S.S.、Goldsmith,J.C.、及びHunninghake,G.W.(1985年)。アルブミンにおける可逆的な酸化物質誘導増加が培養内皮を横切って移る-細胞形状及びカルシウムホメオスタシスの変化。Blood、65巻(3号)、605-614頁。PubMedGoogle Scholar
Syrkina,O.、Jafari,B.、Hales,C.A.、及びQuinn,D.A.(2008年)。酸化ストレスは、人工呼吸器(ventilator)誘導肺障害における炎症及びアポトーシスを媒介する。Respirology、13巻(3号)、333-340頁。PubMedCrossRefGoogle Scholar
Dolinay,T.、Wu,W.、Kaminski,N.、Ifedigbo,E.、Kaynar,A.M.、Szilasi,M.他(2008年)。ミトゲン活性化プロテインキナーゼは、人工呼吸器誘導肺障害の起こしやすさを規制する。PloS One、3巻(2号)、e1601。PubMedPubMedCentralCrossRefGoogle Scholar
Le,A.、Damico,R.、Damarla,M.、Boueiz,A.、Pae,H.H.、Skirball,J.他(2008年)。肺胞細胞アポトーシスは、人工呼吸器誘導肺障害における、キサンチンオキシドレダクターゼのp38MAPキナーゼ媒介活性化に依存する。Journal of Applied Physiology、105巻(4号)、1282-1290。
Voet,Donald;Voet,Judith;Pratt,Charlotte(2008)。Fundamentals of biochemistry: life at the molecular level(第3版)。Hoboken,NJ:
Nelson,David L.;Cox,Michael M.;Lehninger,Albert L.(2008年)。Lehninger’s Principles of Biochemistry(第5版)。Macmillan。ISBN 978-0716771081。
Freeman,B.A.及びCrapo,J.D.(1982年) Lab.Invest.47巻、412-426頁.
Kinnula,V.L.及びCrapo,J.D.(2003年) Am.J.Respir.Crit Care Med.167巻、1600-1619頁。
McCord,J.M.(2002年) Methods Enzymol.349巻,331-341頁。
Aslan,M.、Ryan,T.M.、Adler,B.、Townes,T.M.、Parks,D.A.、Thompson,J.A.、Tousson,A.、Gladwin,M.T.、Patel,R.P.、Tarpey,M.M.、Batinic-Haberle,I.、White,C.R.、及びFreeman,B.A.(2001年) Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 98巻、15215-15220頁。
Granger,D.N.、Hollwarth,M.E.、及びParks,D.A.(1986年) Acta Physiol Scand.Suppl 548巻、47-63頁。
Hare,J.M.、及びJohnson,R.J.(2003年) Circulation 107巻、1951-1953頁。
Leyva,F.、Anker,S.D.、Godsland,I.F.、Teixeira,M.、Hellewell,P.G.、Kox,W.J.、Poole-Wilson,P.A.、及びCoats,A.J.(1998年) Eur.Heart J. 19巻、1814-1822頁。
White,C.R.、Darley-Usmar,V.、Berrington,W.R.、McAdams,M.、Gore,J.Z.、Thompson,J.A.、Parks,D.A.、Tarpey,M.M.、及びFreeman,B.A.(1996年) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93巻、8745-8749頁。
Houston,M.、Estevez,A.、Chumley,P.、Aslan,M.、Marklund,S.、Parks,D.A.、及びFreeman,B.A.(1999年) J.Biol.Chem. 274巻、4985-4994頁。
Parks,D.A.、Williams,T.K.、及びBeckman,J.S.(1988年) Am.J.Physiol 254巻、G768-G774頁。
Granell,S.、Gironella,M.、Bulbena,O.、Panes,J.、Mauri,M.、Sabater,L.、Aparisi,L.、Gelpi,E.、及びClosa,D.(2003年) Crit Care Med. 31巻、525-530頁
Moreno他、尿酸一ナトリウム結晶は、リポ多糖によって誘導された急性肺障害を悪化させる、Eur Resp J 2018年
COVID19と関連付けられた急性出血性壊死性脳症:画像所見 Neo Poyiadji、Gassan Shahin、Daniel Noujaim、Michael Stone、Suresh Patel、及びBrent Griffith Radiology 2020年 296巻:2号、E119-E120頁
Mingxiang Ye、Yi Ren、Tangfeng Lv、COVID-19の臨床的明示としての脳炎、Brain, Behavior, and Immunity、88巻、2020年、945-946頁、ISSN 0889-1591。
Ferrario CM、Jessup J、Chappell MC、他 心筋のアンジオテンシン変換酵素2に対するアンジオテンシン変換酵素阻害及びアンジオテンシンII受容体遮断薬の効果 Circulation 2005年;111巻:2605-10頁。
Zubair AS、McAlpine LS、Gardin T、Farhadian S、Kuruvilla DE、Spudich S。コロナウイルス病2019時代のコロナウイルスの神経病因及び神経学的明示:A Review. JAMA Neurol. 2020年;77巻(8号):1018-1027頁。doi:10.1001/jamaneurol.2020.2065
Oxley TJ、Mocco J、Majidi S、Kellner CP、Shoirah H、Singh IP、他。若年者におけるcovid-19の提示所見としての大血管性脳卒中。N Engl J Med. 2020年;382巻(20号):e60頁。
Perez-Mazliah D他、アロプリノールは、ヒトT細胞の抗原特異的及び多クローン性活性化を低減した、 Frontiers in Immunology、2012年9月。
【国際調査報告】