(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】誘電体レンズおよび誘電体レンズを有する電磁デバイス
(51)【国際特許分類】
H01Q 15/02 20060101AFI20230612BHJP
H01Q 3/26 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
H01Q15/02
H01Q3/26 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022559741
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 US2021025064
(87)【国際公開番号】W WO2021206977
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596024851
【氏名又は名称】ロジャーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ポリドール、トレバー
(72)【発明者】
【氏名】クラビホ、セルヒオ
(72)【発明者】
【氏名】バールス、ディルク
(72)【発明者】
【氏名】サンフォード、ジョン
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
【Fターム(参考)】
5J020AA02
5J020BB01
5J021AA09
5J021AA10
(57)【要約】
誘電体レンズは、空間的に変化する誘電率(Dk)を有する誘電材料の3次元(3D)本体を含み、3D本体は、3つ以上の領域R(i)のそれぞれの領域の周囲領域に対して誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する3つ以上の領域R(i)を有し、3つ以上の領域R(i)の位置は、3D本体に関連付けられた特定の共通原点に対するアジマス角(i)、天頂角(i)、および動径距離(i)の局所座標によって定義され、ただし、(i)は、1から3以上に及ぶインデックスであり、3D本体の空間的に変化するDkは、所与のアジマス角において、および所与の動径距離において、第1の領域R(1)と第2の領域R(2)との間の天頂角の関数として変化するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体レンズであって、
空間的に変化する誘電率(Dk)を有する誘電材料の3次元(3D)本体を備え、
前記3D本体は、3つ以上の領域R(i)のそれぞれの領域の周囲領域に対して誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する前記3つ以上の領域R(i)を有し、前記3つ以上の領域R(i)の位置は、前記3D本体に関連付けられた特定の共通原点に対するアジマス角(i)、天頂角(i)、および動径距離(i)の局所座標によって定義され、(i)は、1から3以上に及ぶインデックスであり、
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、所与のアジマス角において、および所与の動径距離において、少なくとも、領域R(1)と領域R(2)との間の前記天頂角の関数として変化するように構成される、誘電体レンズ。
【請求項2】
前記所与の動径距離は、第1の所与の動径距離であり、さらに、
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、前記所与のアジマス角において、および前記天頂角の関数として変化する第2の変化する動径距離において、前記領域R(1)と前記領域R(2)との間の前記天頂角の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1に記載の誘電体レンズ。
【請求項3】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、所与のアジマス角において、および所与の動径距離において、前記領域R(1)と領域R(3)との間の前記天頂角の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1または2に記載の誘電体レンズ。
【請求項4】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、所与の天頂角において、および所与の動径距離において、前記領域R(2)と前記領域R(3)との間の前記アジマス角の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項5】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、前記特定の共通原点とR(1)との間の前記動径距離の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項6】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、前記特定の共通原点とR(2)との間の前記動径距離の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項7】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、前記特定の共通原点とR(3)との間の前記動径距離の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項8】
前記3D本体は、ベース領域と外部表面領域とを有し、前記特定の共通原点は、前記ベース領域の近くにある、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項9】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、3つ以上の異なる動径方向において前記特定の共通原点から前記外部表面領域まで変化するようにさらに構成される、請求項8に記載の誘電体レンズ。
【請求項10】
R(2)およびR(3)は、180度離れている対応するアジマス角にあり、、互いに対称である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項11】
R(2)およびR(3)は、180度離れている対応するアジマス角にあり、互いに、およびR(1)に対して対称である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項12】
前記特定の共通原点における前記3D本体は、空気のDk以上かつ1.2以下のDkを有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項13】
前記特定の共通原点から所定の動径距離rkにおける前記3D本体は、空気のDk以上かつ2以下のDkを有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項14】
前記特定の共通原点から所定の動径距離rkにおける前記3D本体は、空気のDk以上かつ1.5以下のDkを有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項15】
前記特定の共通原点から所定の動径距離rkにおける前記3D本体は、空気のDk以上かつ1.2以下のDkを有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項16】
rkは、2λ以下であり、代替的には、1.5λ以下であり、代替的には、1λ以下であり、代替的には、2/3λ以下であり、またはさらに代替的には、1/2λ以下であり、λは、動作電磁放射信号の自由空間における波長である、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項17】
前記動作電磁放射信号は、1GHz以上かつ300GHz以下、代替的には、10GHz以上かつ90GHz以下、さらに代替的には、20GHz以上かつ60GHz以下、およびさらに代替的には、20GHz以上かつ40GHz以下の周波数範囲において動作可能である、請求項16に記載の誘電体レンズ。
【請求項18】
R(1)は、0度以上かつ15度以下の天頂角(1)において配設される、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項19】
R(2)は、75度以上かつ90度以下の天頂角(2)において配設される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項20】
R(3)は、75度以上かつ90度以下の天頂角(3)において配設される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項21】
領域R(4)をさらに備え、
R(4)は、15度以上かつ75度以下の天頂角(4)において配設される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項22】
領域R(5)をさらに備え、
R(5)は、15度以上かつ75度以下の天頂角(5)において配設される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項23】
R(2)およびR(3)は、150度以上かつ180度以下のアジマス角によって分離される、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項24】
R(4)およびR(5)は、150度以上かつ180度以下のアジマス角によって分離される、請求項21または22に記載の誘電体レンズ。
【請求項25】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、1よりも大きく15以下の間で変化し、代替的には、1よりも大きく10以下の間で変化し、さらに代替的には、1よりも大きく5以下の間で変化し、さらに代替的には、1よりも大きく4以下の間で変化する、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項26】
前記3つ以上の領域R(i)のうちの対応する領域の誘電率値Dk(i)の各局所最大値は、2以上かつ15以下、代替的には、3以上かつ12以下、さらに代替的には3以上かつ9以下、さらに代替的には、3以上かつ5以下のDkを有する、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項27】
誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する前記3つ以上の領域R(i)は、領域R(6)および領域R(7)をさらに備え、領域R(1)は、0度以上かつ15度以下の天頂角(1)において配設され、領域R(2)、領域R(3)、領域R(6)、および領域R(7)は各々、+15度以上かつ+90度以下、または-15度以上かつ-90度以下のいずれかである天頂角(2)において配設される、請求項1乃至26のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項28】
領域R(2)および領域R(3)は、150度以上かつ180度以下のアジマス角によって分離され、
領域R(6)およびR(7)は、150度以上かつ180度以下のアジマス角によって分離され、
領域R(2)およびR(6)は、30度以上かつ90度以下のアジマス角によって分離され、
領域R(3)およびR(6)は、30度以上かつ90度以下のアジマス角によって分離され、
領域R(2)およびR(7)は、30度以上かつ90度以下のアジマス角によって分離され、
領域R(3)およびR(7)は、30度以上かつ90度以下のアジマス角によって分離される、請求項27に記載の誘電体レンズ。
【請求項29】
誘電材料の前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、前記アジマス角(i)、前記天頂角(i)、および前記動径距離(i)の関数として漸進的に変化する、請求項1乃至28のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項30】
誘電材料の前記3D本体の漸進的に変化する前記Dkは、動作周波数の波長あたり、所定の最大Dk値以下で変化し、代替的には、動作周波数の1/2波長あたり、所定の最大Dk値以下で変化し、さらに代替的には、動作周波数の1/4波長あたり、所定の最大Dk値以下で変化する、請求項29に記載の誘電体レンズ。
【請求項31】
前記所定の最大Dk値は、+/-1.9であり、特に、+/-1.5であり、さらに特に、+/-1.0である、請求項30に記載の誘電体レンズ。
【請求項32】
誘電体レンズであって、
空間的に変化するDkを有する誘電材料の3次元(3D)本体を備え、前記空間的に変化するDkは、異なる方向および特定の共通原点を有する3つ以上の異なる射線に沿って、前記特定の共通原点から前記3D本体の外部表面まで変化し、前記特定の共通原点は、前記3D本体によって囲まれており、
前記3つ以上の異なる射線は、3つ以上の領域R(i)のうちの対応する領域のすぐ隣の周囲領域の前記誘電材料に対する誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する、前記3D本体の前記3つ以上の領域R(i)のうちの対応する領域の位置を定義し、(i)は、1から3以上に及ぶインデックスであり、
前記3D本体の前記誘電材料は、前記3D本体内の任意の経路に沿って、前記3つ以上の領域R(i)の各々から、前記3つ以上の領域R(i)のうちの任意の他の領域まで空間的に変化するDkを有する、誘電体レンズ。
【請求項33】
電磁(EM)デバイスであって、
フェーズド・アレイ・アンテナと、
請求項1乃至32のいずれか1項に記載の誘電体レンズと、を備え、
前記誘電体レンズは、電磁的に励起される場合、前記フェーズド・アレイ・アンテナとEM通信するように構成および配設される、EMデバイス。
【請求項34】
前記誘電体レンズは、前記フェーズド・アレイ・アンテナの上部の中心に配設される、請求項33に記載のEMデバイス。
【請求項35】
前記誘電体レンズは、上から見た平面図において観察されるときに、前記フェーズド・アレイ・アンテナの対応する設置面積よりも大きい設置面積を有し、前記誘電体レンズは、前記フェーズド・アレイ・アンテナの縁を越えて延在する、請求項33または34に記載のEMデバイス。
【請求項36】
前記誘電体レンズのうち90度の天頂角にある部分は、前記特定の共通原点から前記フェイズ・アレイの前記縁を越えて外方に向かう特定の動径方向に沿って、増加し、次いで減少し、次いで再び増加するDkを有する、請求項35に記載のEMデバイス。
【請求項37】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、平面フェーズド・アレイ・アンテナである、請求項33乃至36のいずれか1項に記載のEMデバイス。
【請求項38】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、非平面フェーズド・アレイ・アンテナである、請求項33乃至36のいずれか1項に記載のEMデバイス。
【請求項39】
前記非平面フェーズド・アレイ・アンテナは、円筒面を有するか、または円筒面上に配設される、請求項38に記載のEMデバイス。
【請求項40】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、前記円筒面の凹側から前記誘電体レンズの方へEM放射を放出するように構成される、請求項39に記載のEMデバイス。
【請求項41】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、前記円筒面の凸側から前記誘電体レンズの方へEM放射を放出するように構成される、請求項39に記載のEMデバイス。
【請求項42】
前記非平面フェーズド・アレイ・アンテナは、球面を有するか、または球面上に配設される、請求項38に記載のEMデバイス。
【請求項43】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、前記球面の凹側から前記誘電体レンズの方へEM放射を放出するように構成される、請求項42に記載のEMデバイス。
【請求項44】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、前記球面の凸側から前記誘電体レンズの方へEM放射を放出するように構成される、請求項42に記載のEMデバイス。
【請求項45】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、各個々のアンテナ素子が信号位相角、信号振幅、または信号位相角と信号振幅との両方に関して制御可能であるように構成される、請求項33乃至44のいずれか1項に記載のEMデバイス。
【請求項46】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、対応するEM放射波面の伝播の方向に対してEM波面+/-90度のビーム誘導のために構成される、請求項45に記載のEMデバイス。
【請求項47】
前記EM波面+/-90度の前記ビーム誘導は、水平軸、垂直軸、または水平軸と垂直軸との両方に対するものである、請求項46に記載のEMデバイス。
【請求項48】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、1GHz以上かつ300GHz以下、代替的には、10GHz以上かつ90GHz以下、さらに代替的には、20GHz以上かつ60GHz以下、さらに代替的には、20GHz以上かつ40GHz以下の周波数範囲において動作するように構成および適合される、請求項33乃至47のいずれか1項に記載のEMデバイス。
【請求項49】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、ミリ波周波数において動作するように構成および適合される、請求項33乃至47のいずれか1項に記載のEMデバイス。
【請求項50】
前記ミリ波周波数は、5Gのミリ波周波数である、請求項49に記載のEMデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、誘電体レンズに関し、詳細には、3つ以上の別個のフォーカス部またはデフォーカス部を有する誘電体レンズに関し、より詳細には、3つ以上の別個のフォーカス部またはデフォーカス部を有する誘電体レンズとの電磁(EM:electromagnetic)通信のために配置および構成されたフェーズド・アレイ・アンテナを有するEMデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
フェーズド・アレイ・アンテナは、EM放射の伝播の方向に沿った1つまたは2つの方向においてEM波面を誘導するのに役立つ。典型的な平面フェーズド・アレイにおいては、誘導角度が増加するにつれて有効開口が減少することに起因して、誘導能力が限定され得る。誘導能力を改善するために、既存のシステムでは、より多くのフェーズド・アレイ・アンテナ基地局セグメント、および/またはルネベルグ・レンズが採用されている。認識されるように、フェーズド・アレイ・アンテナ基地局セグメントの数における増加によって追加のコストおよびハードウェア用の土地や家屋が生じ、また、ルネベルグ・レンズの使用には、非平面アレイの使用が必要となる。
【0003】
既存のEMフェーズド・アレイ通信システムは、その意図された目的に適しているかもしれないが、そのようなシステムに関する技術は、既存の技術の欠点を克服する誘電体レンズ、または誘電体レンズとフェーズド・アレイ・アンテナとの組み合わせにより、向上することになる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態は、誘電体レンズであって、空間的に変化する誘電率(Dk)を有する誘電材料の3次元(3D)本体を有し、3D本体は、3つ以上の領域R(i)のそれぞれの領域の周囲領域に対して誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する3つ以上の領域R(i)を有し、3つ以上の領域R(i)の位置は、3D本体に関連付けられた特定の共通原点に対するアジマス角(i)、天頂角(i)、および動径距離(i)の局所座標によって定義され、ただし、(i)は、1から3以上に及ぶインデックスであり、3D本体の空間的に変化するDkは、所与のアジマス角において、および所与の動径距離において、第1の領域R(1)と第2の領域R(2)との間の天頂角の関数として変化するように構成される、誘電体レンズを含む。
【0005】
一実施形態は、誘電体レンズであって、空間的に変化するDkを有する誘電材料の3次元(3D)本体を有し、空間的に変化するDkは、異なる方向および特定の共通原点を有する3つ以上の異なる射線に沿って、特定の共通原点から3D本体の外部表面へ変化し、特定の共通原点は、3D本体によって囲まれており、3つ以上の異なる射線は、3つ以上の領域R(i)のうちの対応する領域のすぐ隣の周囲領域の誘電材料に対して誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する、3D本体の3つ以上の領域R(i)のうちの対応する領域の位置を定義し、ただし、(i)は、1から3以上に及ぶインデックスであり、3D本体の誘電材料は、3D本体内の任意の経路に沿って、3つ以上の領域R(i)の各々から、3つ以上の領域R(i)のうちの任意の他の領域へ空間的に変化するDkを有する、誘電体レンズを含む。
【0006】
一実施形態は、電磁(EM)デバイスであって、フェーズド・アレイ・アンテナと、前述のレンズのいずれか1つに記載の誘電体レンズとを有し、それぞれの誘電体レンズは、電磁的に励起される場合、フェーズド・アレイ・アンテナとEM通信するように構成および配設される、EMデバイスを含む。
【0007】
本発明の上記の特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、添付の図面に関連して考慮される場合、本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかとなる。
添付の図において同様の要素が同様に採番される、例示的な非限定的な図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態による、例示のフェーズド・アレイ・アンテナの上方に位置決めされた例示のレンズを表す誘電体レンズの3Dブロック図分析モデルの回転等角図。
【
図2A】一実施形態による、x-z平面で切断された、
図1の実施形態の正面断面図。
【
図2B】一実施形態による、x-z平面で切断された、
図1の実施形態の正面断面図。
【
図3】一実施形態による、
図1の実施形態の上から見た平面図。
【
図4A】一実施形態による、
図1の半対称図の回転等角図。
【
図4B】一実施形態による、
図4Aに示された半対称図を通る対応するセクション・カットの断面スライスL1~L4を示す図。
【
図4C】一実施形態による、
図4Bの断面スライスL3およびL4の拡大図。
【
図5】一実施形態による、本明細書において適用されるような球面座標系の表現図。
【
図6】一実施形態による、
図1の誘電体レンズと類似しているが、
図1の誘電体レンズと比較して異なる形状および外側輪郭を有する、別の例示の誘電体レンズの上から見た透明な平面図。
【
図7A】一実施形態による、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状の回転等角図。
【
図7B】一実施形態による、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状の回転等角図。
【
図7C】一実施形態による、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状の回転等角図。
【
図7D】一実施形態による、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状の回転等角図。
【
図7E】一実施形態による、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状の回転等角図。
【
図7F】一実施形態による、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状の回転等角図。
【
図7G】一実施形態による、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状の回転等角図。
【
図7H】一実施形態による、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状の回転等角図。
【
図7I】一実施形態による、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状の回転等角図。
【
図7J】一実施形態による、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状の回転等角図。
【
図9A】一実施形態に従った使用のための代表的な代替的な表面の回転等角図。
【
図9B】一実施形態に従った使用のための代表的な代替的な表面の回転等角図。
【
図9C】一実施形態に従った使用のための代表的な代替的な表面の回転等角図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、例証の目的のために多くの詳細を含有しているが、いかなる当業者も、以下の詳細に対する多くの変形および変更が添付の特許請求の範囲の範囲内であることを認識する。したがって、以下の例示の実施形態は、本明細書において開示される、特許請求される発明に対する一般性を損なうことなく、かつ、限定を課することなく記載されている。
【0010】
図示され、様々な図および付随するテキストによって説明される一実施形態は、EM放射波面の伝播の方向に対してEM波面+/-90度のビーム誘導を容易にするために、フェーズド・アレイ・アンテナと協働するように構造的および電磁的に構成されるレンズの本体内に戦略的に位置付けられる3つ以上の別個のフォーカス部またはデフォーカス部を有する3次元(3D:three-dimensional)誘電体レンズを提供し、これは、基地局セグメントを増加させる必要なしに、信号カバレッジの増加を提供する。3D誘電体レンズの3つ以上の別個のフォーカス部/デフォーカス部の各々は、誘電率(Dk:dielectric constant)値の局所最大値を有する対応する領域によって形成され、Dk値は、以下で詳細に論じられる。本明細書において使用されるように、誘電体レンズという用語は、放射されたEMエネルギーの空間分布を変更する役割を果たす誘電材料の3D本体を意味し、本明細書において開示されるように、より詳細には、放射アンテナ自体として役割を果たすこととは対照的に、放射されたEMエネルギーの空間分布を3つ以上のフォーカス部/デフォーカス部を介して変更する役割を果たす誘電材料の3D本体を意味する。
【0011】
本明細書において説明または例証される実施形態は、特定のジオメトリまたは分析モデルを例示的な誘電体レンズとして示し得るが、本明細書において開示される実施形態は、本明細書において開示される目的に適した他のジオメトリまたは構造にも適用可能であり、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが認識される。そのため、ここに提供される例証は、例証の目的のためのものにすぎず、本明細書において開示される目的のために可能な唯一の構造として解釈されるべきでないことが認識されるべきである。例えば、本明細書において以下に説明されるいくつかの図は、例示の分析ブロック要素104(
図4Aを参照)を参照し、これは、例証の目的のためのものにすぎず、限定として解釈されるべきではない。なぜならば、添付の特許請求の範囲は、レンズのある領域からレンズの別の領域への誘電率の段階的な遷移ではなく、漸進的な遷移を有する誘電体レンズ構造も包含することが、想定されているからである。添付の特許請求の範囲の範囲内に収まるあらゆる構造は、本明細書において明示的に開示されていないとしても、想定されており、固有のものであると考慮される。
【0012】
ここで、
図1~
図9Cが参照され、ただし、
図1は、本明細書において開示される例示の実施形態を表す誘電体レンズの3Dブロック図分析モデルの回転等角図を示し、
図2Aおよび
図2Bは、x-z平面で切断された、
図1の実施形態の正面断面図(本明細書において、半対称図と称される)を示し、
図3は、
図1の実施形態の上から見た平面図を示し、
図4Aは、
図2Aおよび
図2Bにおいても見られ、例示のDk値のDk目盛り102が示され、例示の分析ブロック要素104も示されている、
図1の半対称図(3と1/2個分のブロック要素104の厚さ)の回転等角図を示し、
図4Bは、
図4Aに示された半対称図を通る対応する連続したセクション・カットの断面スライスL1~L4を示し、
図4Cは、
図4Bの断面スライスL3およびL4の拡大図を示し、
図5は、本明細書において適用されるような球面座標系の表現図を示し、
図6は、
図1の誘電体レンズと類似しているが、
図1の誘電体レンズと比較して異なる形状および外側輪郭を有する、別の例示の誘電体レンズの上から見た透明な平面図を示し、
図7A~
図7Jは、本明細書において開示される任意のレンズについての例示の代替的な3D形状を示し、
図8A~
図8Eは、
図7A~
図7Jの3D形状の例示の2Dのx-y平面断面図を示し、
図9A~9Cは、本明細書において開示される一実施形態に従った使用のための代表的な代替的な表面を示す。様々な図に示された分析モデルにおける例示の分析ブロック要素104に関して、各ブロック要素104は、以下の寸法、すなわち、dx=4.92mm(ミリメートル)、dy=5.26mm、およびdz=5.04mmを有する。代替的に、各ブロック要素104は、約2λ/3であるdx寸法、dy寸法、dz寸法を有し、ただし、λは、39GHz(ギガヘルツ)の動作周波数における波長である。しかしながら、そのようなブロック要素寸法は、例証または分析目的のためのものにすぎず、添付の特許請求の範囲に従った、特許請求される発明の範囲に対して限定するものではない。断面スライスL1~L4に関して、
図4Aとの
図4Bの比較は、スライスLIが、3D本体200の後方外部表面領域206に対応し、半スライスL4が、
図4Aのx-z平面セクション・カットに対応し、スライスL2およびL3が、スライスLIと半スライスL4との間の中間領域に対応することを示す。
図4Aに示されたDk目盛り102に関して、例示の実施形態は、1.2(薄い灰色として示される)以上3.6(濃い灰色または黒として示される)以下に及ぶ相対的誘電率を有するDk変化を含む。しかしながら、このDk変化は、分析目的のためのものにすぎず、添付の特許請求の範囲に従った、特許請求される発明の範囲に対して非限定的であることが認識される。
【0013】
いくつかの図において分かるように、直交x-y-z座標系と球面座標系との両方が示され、両方が、本明細書において開示される主題のより完全な理解のために、本明細書において以下で参照されることになる。
図2Bに関して、天頂角の増分+/-は、15度の増分で示される。
【0014】
例示の誘電体レンズ100は、空間的に変化するDkを有する誘電材料の3次元(3D)本体200を含み、ただし、3D本体200は、3つ以上の領域R(i)300のそれぞれの周囲領域に対する誘電率(比誘電率)値Dk(i)の局所最大値を有する、3つ以上の領域R(i)300(それぞれ参照符号301、302、および303によって個々に列挙される、第1の領域R(1)、第2の領域R(2)、および第3の領域R(3))を有し、ただし、3つ以上の領域R(i)300の位置は、3D本体200に関連付けられた特定の共通原点202に関するアジマス角(i)、天頂角(i)、およびラジアル(動径)距離(i)の局所球面座標によって定義され得、ただし、(i)は、1から3以上に及ぶインデックスである(局所球面座標系の例証は、
図5を参照すると最もよく分かる)。3D本体200の空間的に変化するDkは、
図2Aを参照すると最もよく分かる、所与の(定数)アジマス角(例えば
図2Aの平面)および所与の(定数)動径距離raにおける、領域R(1)301と領域R(2)302との間の天頂角Zaの関数として変化するように構成される。例えば、
図2Aと
図4A~
図4Cとの両方を参照し、
図4Aに示されたDk目盛り102を特に参照すると、3D本体200内のDk値は、天頂角Zaが0度から90度に変化するにつれて、比較的高い値、例えば、R(1)301における3.6などから、比較的低い値、例えば、R(1)301およびR(2)302の中間の領域における1.2などへ、さらに、比較的高い値、例えば、R(2)302における3.6などへ変化することが分かる。本明細書において使用されるように、および
図5を参照すると、+/-アジマス角についての符号規約は、(上から見た平面図において観察されるように)正のY軸から時計回りに(CW:clockwise)正のX軸の方へ(プラス)であり、正のY軸から反時計回りに(CCW:counterclockwise)負のX軸の方へ(マイナス)である。
【0015】
本明細書において使用されるように、「周囲領域に対する」という句は、Dkの局所最大値のそれぞれの領域のすぐ近くの3D本体200の誘電体媒質のDkに対する、を意味し、ただし、対応する周囲領域のDkは、Dkの局所最大値の関連付けられた領域よりも低く、したがって、「局所」最大値という用語である。一実施形態において、Dkの局所最大値の関連付けられた領域のすぐ近くの、対応する周囲領域は、Dkの局所最大値の関連付けられた領域を完全に囲む。
【0016】
本明細書において使用されるように、「特定の共通原点202」という句は、3つ以上の領域R(i)300のアジマス角(i)、天頂角(i)、および動径距離(i)の局所座標が決定可能となり得る(例えば
図2Aおよび
図5を参照)、球面座標系、または、共通原点202が局所x-y-z座標系の原点である局所x-y-z直交座標系の基準原点として適切に役割を果たし得る、誘電体レンズ100の3D本体200に対する点を意味する。
図2Aおよび
図2Bは、3D本体200の底面またはベース領域204に実質的にアラインされるx-y平面上の共通原点202を示しているが、そのような例証はあくまでも1つの例示のシナリオであり、添付の特許請求の範囲の範囲に収まる他のシナリオおよび構造が、3D本体200の内部または外部に位置する共通原点を含んでもよいことが認識される。
【0017】
一実施形態では、また
図2Aを特に参照すると、所与の動径距離raは、第1の所与の動径距離として見られてもよく、3D本体200は、天頂角Zbの関数として変化する第2の変化する動径距離rbに関してさらに説明され得る。例えば、3D本体200の空間的に変化するDkは、所与のアジマス角(例えば
図2Aの平面)において、および
図2Aを参照すると最もよく分かる、天頂角Zbの関数として変化する第2の変化する動径距離rbにおいて、領域R(1)301と領域R(2)302との間の天頂角Zbの関数として変化するようにさらに構成される。
図2Aに示されるように、変化する動径距離rbは、天頂角Zbが0度から90度に増加するにつれて増加する。
図2Aと
図4A~
図4Cとの両方を参照し、および
図4Aに示されたDk目盛り102を特に参照すると、天頂角Zbが0度から90度に変化するにつれて、3D本体200の一実施形態におけるDk値は、比較的高い値(例えばR(1)301における3.6など)から、比較的低い値(例えば、R(1)301およびR(4)304の中間の領域における1.2など)へ、さらに、比較的高い値(例えば、R(4)304における2.4など)へ、比較的低い値(例えば、R(4)304およびR(2)302の中間の領域における1.2など)へ、さらに、比較的高い値(例えば、R(2)302における3.6など)へ、変化することが分かる。
【0018】
3D本体200の空間的に変化するDk値の上記の説明は、0度から90度の間の天頂角、および+90度のアジマス角について説明されている。しかしながら、
図2Aおよび
図2Bにおいて分かるように、3D本体200の空間的に変化するDk値の同一でないにしても同様の構造は、0度から90度の間の天頂角、および-90度のアジマス角について見られ得る。すなわち、3D本体200の一実施形態は、2D本体200の空間的に変化するDk値が、例証されたy-z平面に対して対称である構成を含み、ただし、x-y-z原点は、3D本体200の上から見た平面図において観察されるように、3D本体200に対して中心に配設される(例えば、0度から90度の天頂角Zaの関数として、および0度から90度の天頂角Zbの関数として、R(1)301からR(5)305からR(3)303へのDk値の遷移を参照)。そのため、前述の内容を考慮すると、誘電体レンズ100の一実施形態は、3D本体200の空間的に変化するDkが、所与のアジマス角(例えば
図2Aの平面)および所与の(定数)動径距離raにおいて、領域R(1)301と領域R(3)303との間の天頂角Zaの関数として変化するように構成される構成も含むことは認識される。また、誘電体レンズ100の一実施形態は、3D本体200の空間的に変化するDkが、180度離れている対応するアジマス角にある、領域R(2)302および領域R(3)303が、y-z平面に対して、互いに、および/または領域R(1)301に対して、対称なDkを有するように構成される構成も含むことが認識される。
【0019】
図3および
図4A~
図4Cにおいて分かるように、
図4AにおけるDk目盛り102を参照すると、誘電体レンズ100の一実施形態は、3D本体200の空間的に変化するDkが、所与の天頂角(例えば90度など、ただし、これに限定されない)および所定の(固定または可変)動径距離ra(固定)、rb(可変)において、領域R(2)302と領域R(3)303との間の(例えば、例証されたx-y平面における、
図5も参照)アジマス角の関数として変化するようにさらに構成される構成を含むことがさらに認識される。例えば、
図4Aおよび
図4AにおけるDk目盛り102を参照すると、90度(すなわち、x-y平面)の天頂角および可変動径距離rbにおいて、3D本体200の空間的に変化するDkは、領域R(2)302における約3.6から、領域R(2)302から時計回りに+90度のアジマス角における1(空気)へ、領域R(3)303における約3.6へ、領域R(3)303から時計回りに-90度のアジマス角における1(空気)へ、さらに、領域R(2)302における約3.6へ変化する。
【0020】
図2Aおよび
図4A~
図4Cにおいて分かるように、
図4AにおけるDk目盛り102を参照すると、誘電体レンズ100の一実施形態は、3D本体200の空間的に変化するDkが、共通原点202と領域R(1)301との間の動径距離の関数として変化するようにさらに構成され、ただし、
図4A~
図4Cに例証される実施形態において、Dk値は、共通原点202の近くの中央領域rc308における約1(例えば、空気)から、領域R(1)301における約3.6へ漸進的に上方へ変化する構成を含むことがさらに認識される。一般に、3D本体200の空間的に変化するDkの一実施形態は、共通原点202と、領域R(i)300のうちの1つ以上、例えば領域R(1)301などとの間の動径距離の関数として、1つ以上のラジアル・パスに沿って漸進的に上方へ変化する(すなわち、増加する)ように構成される。一実施形態において、3D本体200の空間的に変化するDkは、共通原点202と、領域R(i)300のうちの1つ以上、例えば、領域R(1)301、R(2)302、およびR(3)303などとの間の対応する動径距離の関数として、共通原点202を有する、3つ以上の異なるラジアル・パスに沿って漸進的に上方へ変化するように構成される。
図1、
図2A~
図2Bおよび
図4A~4Cに示される実施形態は、中央領域rc308、および/または、空気である、もしくは空気のDkと等しいDkを有する、共通原点202を囲む領域を例証するが、これは例証および/またはモデル化の目的のためのものにすぎないこと、ならびに、中央領域rc308および/または共通原点202を囲む領域は、実際には空気であってもよく、または空気のDk値に近い低いDk値を有する誘電体媒質、例えば、空気で満たされたオープン・セルもしくはクローズド・セルを有する誘電性発泡体などであってもよいことが認識される。そのため、共通原点における3D本体200は、空気のDk値以上の、かつ、1.2以下のDk値を有することが認識される。
【0021】
本明細書において使用されるように、「漸進的に」という用語は、必ずしも段階的な変化の不在を意味するとは限らず、例えば、誘電材料の階層状のシェルの存在と共に存在してもよいが、階層状のシェル・インターフェース(または遷移帯)であり得るものにわたって、遷移帯を横切って3D本体200のある領域から隣接領域へ、Dk値における変化が+/-1.9、より詳細には+/-1.5、さらにより詳細には+/-1.0を超えないレートにあることを意味する。本明細書において使用されるように、3D本体200のある領域から隣接領域への遷移帯を横切る距離は、1λの動作波長に対して測定され、一実施形態においては、0.5λの動作波長に対して測定され、ただし、λは、所定の動作周波数を有する、動作電磁放射信号の自由空間における動作波長である。すなわち、一実施形態において、3D本体200のある領域から隣接領域への遷移帯を横切る距離は、1λであり、別の実施形態においては、λ/2である。一実施形態において、所定の動作周波数は40GHzである。
【0022】
中央領域rc308に関して、
図2Aを参照すると、一実施形態は、共通原点202からの所定の動径距離rk210についての3D本体200が、空気のDk値以上の、かつ、2以下のDk値、代替的には、空気のDk値以上の、かつ、1.5以下のDk値、さらに代替的には、空気のDk値以上の、かつ、1.2以下のDk値を有する構成を含む。一実施形態において、rkは、2λ以下であり、代替的には、1.5λ以下であり、代替的には、1λ以下であり、代替的には、2/3λ以下であり、またはさらに代替的には、1/2λ以下である。
【0023】
図1~
図4Cに示された実施形態において、フェーズド・アレイ・アンテナ600が、電磁的に励起される場合、共通原点202からZ軸に沿った領域R(1)301へのラジアル・パスは、フェーズド・アレイ・アンテナ600からの誘電体レンズ100のボアサイトの方向としても見られ、これは、以下でより詳細に論じられる。
【0024】
少なくとも
図2Aおよび
図4A~
図4Bを再び参照すると、誘電体レンズ100の一実施形態は、3D本体200の空間的に変化するDkが、共通原点202と領域R(2)302との間、および/または共通原点202と領域R(3)303との間の動径距離の関数として変化するようにさらに構成される構成を含むことが認識される。例えば、
図2Aと
図4A~
図4Bとの両方は、+x軸と-x軸との両方に沿ったx-y平面において見た場合に、共通原点202における約1(空気)と、領域R(2)302および領域R(3)303における約3.6との間で変化する、3D本体200のDk値を示す。
【0025】
別の実施形態において、依然として少なくとも
図2Aおよび
図4A~4Bを参照すると、3D本体200の空間的に変化するDkは、共通原点202から、3つ以上の異なる動径方向において、例えば、+X軸に沿って、-X軸に沿って、+Z軸に沿ってなど、ただし、これらに限定されない、3D本体200の外部表面領域206へ変化するようにさらに構成される。
【0026】
本明細書において上記に説明されたように、誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する3D本体200の3つ以上の領域R(i)300は、3つよりも多い領域R(i)300を含んでもよい。例えば、
図2B(
図2Bにおいて分かるように、Z軸に対してCWとCCWとの両方において15度の増分で天頂角を示す)と本明細書において開示されるいくつかの他の図とを組み合わせて特に参照すると、一実施形態は、領域R(l)301が、CCWに15度とCWに15度との間の天頂角(l)(Za1)において配設され、領域R(2)302が、CCWに75度とCCWに90度との間の天頂角(2)(Za2)において配設され、領域R(3)303が、CWに75度とCWに90度との間の天頂角(3)(Za3)において配設され、領域R(4)304が、CCWに15度とCCWに75度との間の天頂角(4)(Za4)において配設され、および/または、領域R(5)305が、CWに15度とCWに75度との間の天頂角(5)(Za5)において配設される構成を含む。
図2A~
図2Bと、
図1、
図3および
図4A~
図4Bとを比較することによって分かるように、領域R(4)304およびR(5)305は、領域R(l)301、R(2)302、およびR(3)303と同じ平面(例えばx-z平面)にないが、誘電体レンズ100の3D分析モデルが、領域R(4)304およびR(5)305の近くに内部エア・ポケット220(
図4Aおよび
図4Bを参照すると最もよく分かる)を有することに起因して、
図2A~
図2Bにおいて「目に見え」、
図2Aおよび
図2bのx-z平面セクション・カットから見た場合、領域R(4)304およびR(5)305が目に見えるという結果になる。実際には、いくつかの図から、領域R(4)304およびR(5)305が、x-z平面に対して平行な平面に配設され、x-z平面から-y方向にオフセットされていることが分かる。誘電体レンズ100の3D分析モデルは、上述したエア・ポケット220を有するものとして本明細書において説明されるが、そのようなポケット220は、実際には、空気であってもよく、または空気のDk値に近い低いDk値を有する誘電体媒質、例えば、空気で満たされたオープン・セルもしくはクローズド・セルを有する誘電性発泡体などであってもよいことが認識される。
【0027】
図4B~
図4Cを特に参照すると、L1~L4断面またはスライスを介して、一実施形態は、領域R(2)302および領域R(3)303が、約180度のアジマス角によって、より一般的には、150度から180度の間のアジマス角によって、分離される構成も含むことが分かり、少なくとも
図1を特に参照すると、領域R(4)304および領域R(5)305も、約180度のアジマス角によって、より一般的には、150度から180度の間のアジマス角によって、分離されることも分かる。
【0028】
前述の内容を考慮して、いくつかの図、特にDk目盛り102を参照すると、一実施形態は、3D本体200の空間的に変化するDkが、1よりも大きく15以下の間で変化し、代替的には、1よりも大きく10以下の間で変化し、さらに代替的には、1よりも大きく5以下の間で変化し、さらに代替的には、1よりも大きく4以下の間で変化する構成を含むことが認識される。一実施形態は、誘電率値Dk(i)の対応する局所最大値を有する各領域R(i)300が、2以上かつ15以下のDk、代替的には、3以上かつ12以下のDk、さらに代替的には、3以上かつ9以下のDk、さらに代替的には、3以上かつ5以下のDkを有する構成を含むことも認識される。一実施形態において、誘電材料の3D本体200の空間的に変化するDkは、アジマス角(i)、天頂角(i)、および動径距離(i)の関数として漸進的に変化する。一実施形態において、誘電材料の3D本体200の漸進的に変化するDkは、動作周波数の1/4波長あたり、所定の最大Dk値以下で変化し、代替的には、動作周波数の1/2波長あたり、所定の最大Dk値以下で変化し、さらに代替的には、動作周波数の波長あたり、所定の最大Dk値以下で変化する。一実施形態において、所定の最大Dk値は、+/-1.9であり、より特には+/-1.5であり、さらにより特には、+/-1.0である。
【0029】
ここで、
図1の誘電体レンズ100と類似しているが、
図1の誘電体レンズ100と比較して異なる形状および外側輪郭を有する、別の例示の誘電体レンズ100’の上から見た透視平面図を示す
図6を参照する。分かるように、誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する、領域R(1)301、R(2)302、およびR(3)303、ならびに任意選択の領域R(4)304およびR(5)305に加えて、一実施形態は、(
図2Bを部分的に参照して)x-z平面またはy-z平面において観察されるように、誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する3つ以上の領域R(i)300が、領域R(6)306および領域R(7)307をさらに含み、領域R(1)301は、-15度から+15度の間の天頂角(1)において配設され(
図2Bを参照)、領域R(2)302、R(3)303、R(6)306、およびR(7)307は各々、-75度から-90度の間、または+75度から+90度の間のいずれかである天頂角(2)において配設される、構成を含む。一実施形態において、領域R(2)302およびR(3)303は、150度から180度の間のアジマス角によって分離され、領域R(6)306およびR(7)307は、150度から180度の間のアジマス角によって分離され、領域R(2)302およびR(6)306は、30度から90度の間のアジマス角によって分離され、領域R(3)303およびR(6)306は、30度から90度の間のアジマス角によって分離され、領域R(2)302およびR(7)307は、30度から90度の間のアジマス角によって分離され、領域R(3)303およびR(7)307は、30度から90度の間のアジマス角によって分離される。
図6は、誘電体レンズ100’について実線の形式で円形の外側輪郭を示すが、これは、例証の目的のためのものにすぎないこと、および、誘電体レンズ100’は、本明細書において開示される目的に適した任意の形状を有してもよく、任意の形状は、実線の形式の円形を囲む、破線の形式の正方形の外側輪郭によって表されていることが認識される。
【0030】
前述の内容の全てから、誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する領域R(i)300の様々な量および構成を示す、本明細書における様々な例証された実施形態は、無限に説明するにはあまりにも多いが、十分に当業者の範囲内である、多くの可能な構成のうちのわずかな例にすぎないことが認識される。そのため、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まる領域R(i)300のあらゆるそのような実施形態は、本明細書において提示される代表的な例によって、本明細書において完全におよび/または本質的に開示されているものと想定され、考慮される。
【0031】
また、誘電体レンズ100、100’の一定の実施形態は、一定の2D形状および3D形状(例えば、
図1における矩形のブロック、および
図6における円形または矩形の設置面積)を有するものとして説明されおよび/または示されてきたが、これらは、例証の目的のためのものにすぎないこと、ならびに、本明細書において開示される本発明の一実施形態は、そのように限定されず、本開示の範囲を損なうことなく、例えば、
図7A~
図7Jおよび
図8A~
図8Eに示される形状などの、他の2D形状および3D形状に及ぶことも認識される。例えば、
図7A~
図8Eを参照すると、本明細書において説明された任意の誘電体レンズ100、100’は、円筒
図7A、多角形ボックス
図7B、
図7C、先細りの多角形ボックス
図7D、
図7E、円錐
図7F、円錐台
図7G、環状体
図7H、ドーム
図71(例えば、半球体)、細長いドーム
図7Jの形状における3次元の形態、または、本明細書において開示される目的に適した任意の他の3次元の形態を有してもよく、したがって、円形
図8A、長方形
図8B、多角形
図8C、リング
図8D、楕円面の8Eの形状、または、本明細書において開示される目的に適した任意の他の形状におけるZ軸断面図を有してもよい。
【0032】
前述の内容の全てを考慮すると、誘電体レンズ100を説明する代替的な手法は、異なる方向と特定の共通原点202とを有する、3つ以上の異なる射線(ray)に沿って、3D本体200の共通原点202から外部表面206へ変化する、空間的に変化するDkを有する誘電材料の3次元(3D)本体200であって、特定の共通原点202は、3D本体200によって囲まれ、3つ以上の異なる射線(例えば、
図2A、領域R(1)301および領域R(2)302を通る射線ra、ならびに領域R(4)304を通る射線rbを参照)は、3つ以上の領域R(i)300のうちの対応する領域のすぐ隣の周囲領域の誘電材料に対する誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する、3D本体200の3つ以上の領域R(i)300(301、302、304)のうちの対応する領域の位置を定義し、3D本体200の誘電材料は、3つ以上の領域R(i)300のそれぞれのペア間の3D本体200内の任意の経路に沿って、3つ以上の領域R(i)300の各々から、3つ以上の領域R(i)300のうちの任意の他の領域へ、空間的に変化するDkを有する、3D本体200を備える誘電体レンズ100によることが認識される。
【0033】
ここで、
図1および
図4A~
図4Cを再び参照するが、これらは、本明細書において上記に説明および開示されているもの全てに加えて、フェーズド・アレイ・アンテナ600と、本明細書において上記に開示されたような誘電体レンズ100とを含む電磁(EM)デバイス500も開示しており、誘電体レンズ100は、フェーズド・アレイ・アンテナ600が電磁的に励起される場合、フェーズド・アレイ・アンテナ600とEM通信するように構成および配設される。一実施形態において、フェーズド・アレイ・アンテナ600は、少なくとも
図1および
図4A~
図4Cに示されるように、平面フェーズド・アレイ・アンテナである。
【0034】
一実施形態において、誘電体レンズ100は、少なくとも
図1および
図4A~
図4Cに示されるように、フェーズド・アレイ・アンテナ600の上部の中心に配設される。
一実施形態において、誘電体レンズ100は、少なくとも
図1および
図4A~
図4Cに示されるように、上から見た平面図において観察されるときに、フェーズド・アレイ・アンテナ600の対応する設置面積よりも大きい設置面積を有し、それにより、誘電体レンズ100は、フェーズド・アレイ・アンテナ600のエッジ(縁)602(
図1および
図2Aを参照すると最もよく分かる)を越えて延在する。
【0035】
一実施形態において、90度の天頂角における誘電体レンズ100の一部は、共通原点202からフェーズド・アレイ・アンテナ600のエッジ602を越えて外方に向かう特定の動径方向に沿って、例えば、+/-x軸(
図4A~
図4Cを参照すると最もよく分かる)に沿って、増加し、次いで減少し、次いで再び増加するDk値を有する。例えば、+x軸に沿って、
図4Bおよび
図4Cに示された断面
図L3およびL4において、誘電体レンズ100は、共通原点202(ここでは、空気の領域にあるものとして示される)における約1または1近くから、フェーズド・アレイ・アンテナ600のエッジ602の近くの領域310における約3.6の値へ増加し、次いで、領域310およびフェーズド・アレイ・アンテナ600のエッジ602を越えた領域312における約1.2へ減少し、次いで、領域312を越えて、フェーズド・アレイ・アンテナ600のエッジ602をさらに越えた領域314における約3.6へ再び増加するDk値を有する。代替的な言い方をすれば、レンズ100の一実施形態は、3D本体200が、(例えばx-z平面において)+/-90度の天頂角における共通原点202から、所与のアジマス角についての3D本体200の外部表面206の方への動径方向において、比較的低いDk領域312の外側の比較的高いDk領域314を有し、比較的低いDk領域312は、比較的高いDk領域310の外側にあり、比較的高いDk領域310は、共通原点202における比較的低いDk領域の外側にある、構成を含む。いかなる特定の理論にもとらわれず、分析的なモデル化を通じて、フェーズド・アレイ・アンテナ600のエッジ602をちょうど越えた、低いDkポケット、例えば領域312の存在は、フェーズド・アレイ・アンテナ600に由来するEM波面の伝播の方向に対してEM波面+/-90度のビーム誘導を容易にするために、フェーズド・アレイ・アンテナ600からのEM放射パターンを強化することが見出された。
【0036】
本明細書において上記に説明されるように、EMデバイス500の一実施形態は、平面フェーズド・アレイ・アンテナであるフェーズド・アレイ・アンテナ600を含み、平面フェーズド・アレイ・アンテナは、
図1および
図4A~
図4Cのみに示されるだけではなく、
図9Aにも示されており、
図9Aにおいて、個々のアンテナ素子650は、平面基板620上に配設された例示の5x6アレイにおいて示されている。誘電体レンズ100の前述の説明から理解されるように、本明細書において開示されるような一実施形態は、単一の誘電体レンズ100が、フェーズド・アレイ・アンテナ600全体とEM通信するように配設される構成を含む。
【0037】
本明細書において上記に説明される実施形態は、平面フェーズド・アレイ・アンテナ600を参照および例証するが、本明細書において開示される実施形態は、そのように限定されず、フェーズド・アレイ・アンテナの非平面の構成も包含することが認識され、フェーズド・アレイ・アンテナの非平面の構成は、ここで、
図9B~
図9Cを
図1~
図8Eおよび
図9Aと組み合わせて参照して論じられることになる。
【0038】
図9Bは、非平面基板622を球体の形態で示しており、
図9Cは、非平面基板624を円筒の形態で示している。そして、
図9Bおよび
図9Cは、それぞれ完全な球体および完全な円筒を示しているが、半球体および半円筒も想定されることが認識される。一実施形態において、個々のアンテナ素子650のアレイは、それぞれの球形基板622または円筒基板624の凸状表面または凹状表面のいずれかに戦略的に配設されてもよく、本明細書において開示される任意の形態の誘電体レンズ100、100’が、アンテナ素子650のアレイ上に配設されてもよい。
【0039】
一実施形態において、フェーズド・アレイ・アンテナ600におけるアンテナ素子650の各々は、位相角制御もしくは振幅制御により動作させられて、または代替的には、励起信号の位相角制御と振幅制御との両方により動作させられて、EM波面の伝播の方向に対して+/-90度の全体にわたって最適なアンテナ・システム性能を達成することができる。一実施形態において伝播の方向に対する+/-90度の制御は、水平軸もしくは垂直軸に対するもの(例えば、
図1~
図4Cにおけるレンズ100を参照)、または水平軸と垂直軸との両方に対するもの(例えば、
図6におけるレンズ100’を参照)であってもよい。
【0040】
したがって、一実施形態は、非平面フェーズド・アレイ・アンテナであるフェーズド・アレイ・アンテナを含み、非平面フェーズド・アレイ・アンテナは、球面もしくは円筒面を有するか、または球面もしくは円筒面上に配設されることが認識される。一実施形態において、フェーズド・アレイ・アンテナは、球面の凸側、凹側、または凸側と凹側との両方から誘電体レンズの方へEM放射を放出するように構成される。一実施形態において、フェーズド・アレイ・アンテナは、円筒面の凸側、凹側、または凸側と凹側との両方から誘電体レンズの方へEM放射を放出するように構成される。
【0041】
非平面フェーズド・アレイ・アンテナの前述の説明は、球面または円筒面のいずれかを参照して行われているが、本明細書における本開示の範囲は、そのように限定されず、例えば、回転楕円体面、楕円体面、または双曲線面などの、ただし、これらに限定されない、他の非平面の表面も包含することが認識される。添付の特許請求の範囲の範囲内に収まるありとあらゆる表面が、想定されており、本明細書において本質的に開示されているものと考慮される。
【0042】
任意の形態の基板620、622、624を有するEMデバイス500の前述の説明に関して、その上に配設されるアンテナ素子650の任意の構成により、および本明細書において開示されるように構成および配設される任意の形態の誘電体レンズ100、100’により、EMデバイス500の一実施形態は、フェーズド・アレイ・アンテナ600が、1GHz以上かつ300GHz以下、さらに代替的には、10GHz以上かつ90GHz以下、さらに代替的には、20GHz以上かつ60GHz以下、さらに代替的には、20GHz以上かつ40GHz以下の周波数範囲において動作するように構成および適合されるように、構成される。一実施形態において、フェーズド・アレイ・アンテナ600は、ミリ波周波数において動作するように構成および適合され、一実施形態において、ミリ波周波数は、5Gのミリ波周波数である。個々の特徴の一定の組み合わせが、本明細書において説明および例証されてきたが、特徴のこれらの一定の組み合わせは、例証の目的のためのものにすぎないこと、および、そのような個々の特徴のいずれかの任意の組み合わせは、そのような組み合わせが本明細書において明示的に例示されているか否かに関わらず、一実施形態に従って採用され、本明細書における本開示と調和し得ることが認識される。本明細書において開示されるような特徴のありとあらゆるそのような組み合わせは、本明細書において想定されており、本出願を全体として考慮した場合に、当業者の理解の範囲内にあると考慮され、それらが、当業者によって理解される手法において、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に収まる限り、本明細書において開示される本発明の範囲内にあると考慮される。
【0043】
前述の内容の全てを考慮すると、本明細書において開示される実施形態のうちのいくつかは、以下の利点、すなわち、最大5Gのミリ波周波数の平面フェーズド・アレイ・アンテナ上に置かれた場合に、利得における最小限の低下を有し、プラス/マイナス90度のビーム誘導を可能にするEMビーム誘導デバイス、必要とされている基地局セグメントの数の1/3から1/2の減少と共に、放射場カバレッジ領域が増加されることを可能にするEMビーム誘導デバイス、および、レンズが、レンズの他のフォーカス領域と共に入射したEM放射を構造的に屈折させて、所与の所望の角度の放射を達成するように、誘電率値の局所最大値がある、複数の別個のフォーカス領域を有するEM誘電体レンズ、のうちの1つまたは複数を提供し得ることが認識される。
【0044】
発明は、例示の実施形態を参照して本明細書において説明されてきたが、特許請求の範囲の範囲から逸脱せずに、様々な変更が行われてもよく、均等物がその要素に置換されてもよいことが、当業者によって理解される。多くの変形が、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに、本発明の教示に対して特定の状況または材料を適合させるために行われ得る。したがって、本発明は、この発明を実施するために想定されるベスト・モードまたは唯一のモードとして本明細書において開示される、1つまたは複数の特定の実施形態に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まるあらゆる実施形態を含むこととなることが意図されている。図面および説明において、例示の実施形態が開示されており、特定の用語および/または寸法が採用されていることがあり得るが、それらは、特に明記しない限り、一般的な、例示的な、および/または記述的な意味において使用されるにすぎず、限定の目的のためではなく、したがって、特許請求の範囲の範囲は、そのように限定されない。層、膜、領域、基板、または他の説明される特徴などの要素が、別の要素の「上に」あるものとして参照される場合、要素は、別の要素の上に直接あってもよく、または、介在要素も存在してもよい。対照的に、要素が、別の要素の「上に直接」あるものとして参照される場合、介在要素は存在しない。第1の、第2の等の用語の使用は、いかなる順序または重要性も表さないが、第1の、第2の等の用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用される。ある、1つの等の用語の使用は、量の限定を表さないが、参照されるアイテムの少なくとも1つの存在を表す。本明細書において使用されるような「備える」という用語は、1つまたは複数の付加的な特徴の可能な包含を除外しない。そして、本明細書において提供されるいかなる背景情報も、本明細書において開示される本発明に対して関連する可能性があると本出願人によって信じられる情報を明らかにするために提供されている。そのような背景情報のいずれも、本明細書において開示される本発明の一実施形態に対する先行技術を構成するという自認は必ずしも意図されているとは限らず、そのように解釈されるべきでもない。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体レンズであって、
空間的に変化する誘電率(Dk)を有する誘電材料の3次元(3D)本体を備え、
前記3D本体は、3つ以上の領域R(i)のそれぞれの領域の周囲領域に対して誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する前記3つ以上の領域R(i)を有し、前記3つ以上の領域R(i)の位置は、前記3D本体に関連付けられた特定の共通原点に対するアジマス角(i)、天頂角(i)、および動径距離(i)の局所座標によって定義され、(i)は、1から3以上に及ぶインデックスであり、
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、所与のアジマス角において、および所与の動径距離において、少なくとも、領域R(1)と領域R(2)との間の前記天頂角の関数として変化するように構成され
、
前記3つ以上の領域R(i)のそれぞれの領域の関連する周囲領域の各々は、誘電率値Dk(i)の前記局所最大値のそれぞれの値未満である誘電率値を有する関連付けられた前記領域R(i)のすぐ近くにある、および該領域R(i)を完全に囲む、誘電体レンズ。
【請求項2】
前記所与の動径距離は、第1の所与の動径距離であり、さらに、
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、前記所与のアジマス角において、および前記天頂角の関数として変化する第2の変化する動径距離において、前記領域R(1)と前記領域R(2)との間の前記天頂角の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1に記載の誘電体レンズ。
【請求項3】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、所与のアジマス角において、および所与の動径距離において、前記領域R(1)と領域R(3)との間の前記天頂角の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1または2に記載の誘電体レンズ。
【請求項4】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、所与の天頂角において、および所与の動径距離において、前記領域R(2)と前記領域R(3)との間の前記アジマス角の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項5】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、前記特定の共通原点とR(1)との間の前記動径距離の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項6】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、前記特定の共通原点とR(2)との間の前記動径距離の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項7】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、前記特定の共通原点とR(3)との間の前記動径距離の関数として変化するようにさらに構成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項8】
前記3D本体は、ベース領域と外部表面領域とを有し、前記特定の共通原点は、前記ベース領域の近くにある、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項9】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、3つ以上の異なる動径方向において前記特定の共通原点から前記外部表面領域まで変化するようにさらに構成される、請求項8に記載の誘電体レンズ。
【請求項10】
R(2)およびR(3)は、180度離れている対応するアジマス角にあり、、互いに対称である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項11】
R(2)およびR(3)は、180度離れている対応するアジマス角にあり互いに、およびR(1)に対して対称である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項12】
前記特定の共通原点における前記3D本体は、空気のDk以上かつ1.2以下のDkを有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項13】
前記特定の共通原点から所定の動径距離rkにおける前記3D本体は、空中のDk以上かつ2以下のDkを有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項14】
前記特定の共通原点から所定の動径距離rkにおける前記3D本体は、空中のDk以上かつ1.5以下のDkを有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項15】
前記特定の共通原点から所定の動径距離rkにおける前記3D本体は、空中のDk以上かつ1.2以下のDkを有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項16】
rkは、2λ以下であり、代替的には、1.5λ以下であり、代替的には、1λ以下であり、代替的には、2/3λ以下であり、またはさらに代替的には、1/2λ以下であり、λは、動作電磁放射信号の自由空間における波長である、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項17】
前記動作電磁放射信号は、1GHz以上かつ300GHz以下、代替的には、10GHz以上かつ90GHz以下、さらに代替的には、20GHz以上かつ60GHz以下、およびさらに代替的には、20GHz以上かつ40GHz以下の周波数範囲において動作可能である、請求項16に記載の誘電体レンズ。
【請求項18】
R(1)は、0度以上かつ15度以下の天頂角(1)において配設される、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項19】
R(2)は、75度以上かつ90度以下の天頂角(2)において配設される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項20】
R(3)は、75度以上かつ90度以下の天頂角(3)において配設される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項21】
領域R(4)をさらに備え、
R(4)は、15度以上かつ75度以下の天頂角(4)において配設される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項22】
領域R(5)をさらに備え、
R(5)は、15度以上かつ75度以下の天頂角(5)において配設される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項23】
R(2)およびR(3)は、150度以上かつ180度以下のアジマス角によって分離される、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項24】
R(4)およびR(5)は、150度以上かつ180度以下のアジマス角によって分離される、請求項21または22に記載の誘電体レンズ。
【請求項25】
前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、1よりも大きく15以下の間で変化し、代替的には、1よりも大きく10以下の間で変化し、さらに代替的には、1よりも大きく5以下の間で変化し、さらに代替的には、1よりも大きく4以下の間で変化する、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項26】
前記3つ以上の領域R(i)のうちの対応する領域の誘電率値Dk(i)の各局所最大値は、2以上かつ15以下、代替的には、3以上かつ12以下、さらに代替的には3以上かつ9以下、さらに代替的には、3以上かつ5以下のDkを有する、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項27】
誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する前記3つ以上の領域R(i)は、領域R(6)および領域R(7)をさらに備え、領域R(1)は、0度以上かつ15度以下の天頂角(1)において配設され、領域R(2)、領域R(3)、領域R(6)、および領域R(7)は各々、+15度以上かつ+90度以下、または-15度以上かつ-90度以下のいずれかである天頂角(2)において配設される、請求項1乃至26のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項28】
領域R(2)および領域R(3)は、150度以上かつ180度以下のアジマス角によって分離され、
領域R(6)およびR(7)は、150度以上かつ180度以下のアジマス角によって分離され、
領域R(2)およびR(6)は、30度以上かつ90度以下のアジマス角によって分離され、
領域R(3)およびR(6)は、30度以上かつ90度以下のアジマス角によって分離され、
領域R(2)およびR(7)は、30度以上かつ90度以下のアジマス角によって分離され、
領域R(3)およびR(7)は、30度以上かつ90度以下のアジマス角によって分離される、請求項27に記載の誘電体レンズ。
【請求項29】
誘電材料の前記3D本体の前記空間的に変化するDkは、前記アジマス角(i)、前記天頂角(i)、および前記動径距離(i)の関数として漸進的に変化する、請求項1乃至28のいずれか1項に記載の誘電体レンズ。
【請求項30】
誘電材料の前記3D本体の漸進的に変化する前記Dkは、動作周波数の波長あたり、所定の最大Dk値以下で変化し、代替的には、動作周波数の1/2波長あたり、所定の最大Dk値以下で変化し、さらに代替的には、動作周波数の1/4波長あたり、所定の最大Dk値以下で変化する、請求項29に記載の誘電体レンズ。
【請求項31】
前記所定の最大Dk値は、+/-1.9であり、特に、+/-1.5であり、さらに特に、+/-1.0である、請求項30に記載の誘電体レンズ。
【請求項32】
誘電体レンズであって、
空間的に変化するDkを有する誘電材料の3次元(3D)本体を備え、前記空間的に変化するDkは、異なる方向および特定の共通原点を有する3つ以上の異なる射線に沿って、前記特定の共通原点から前記3D本体の外部表面まで変化し、前記特定の共通原点は、前記3D本体によって囲まれており、
前記3つ以上の異なる射線は、3つ以上の領域R(i)のうちの対応する領域のすぐ隣の周囲領域の前記誘電材料に対する誘電率値Dk(i)の局所最大値を有する、前記3D本体の前記3つ以上の領域R(i)のうちの対応する領域の位置を定義し、(i)は、1から3以上に及ぶインデックスであり、
前記3D本体の前記誘電材料は、前記3D本体内の任意の経路に沿って、前記3つ以上の領域R(i)の各々から、前記3つ以上の領域R(i)のうちの任意の他の領域まで空間的に変化するDkを有す
し、
前記3つ以上の領域R(i)のうちの前記対応する領域のすぐ隣の周囲領域の関連する前記誘電材料の各々は、誘電率値Dk(i)の前記局所最大値のそれぞれの値未満である誘電率値を有する関連付けられた前記領域R(i)のすぐ近くにある、および該領域R(i)を完全に囲む、誘電体レンズ。
【請求項33】
電磁(EM)デバイスであって、
フェーズド・アレイ・アンテナと、
請求項1乃至32のいずれか1項に記載の誘電体レンズと、を備え、
前記誘電体レンズは、電磁的に励起される場合、前記フェーズド・アレイ・アンテナとEM通信するように構成および配設される、EMデバイス。
【請求項34】
前記誘電体レンズは、前記フェーズド・アレイ・アンテナの上部の中心に配設される、請求項33に記載のEMデバイス。
【請求項35】
前記誘電体レンズは、上から見た平面図において観察されるときに、前記フェーズド・アレイ・アンテナの対応する設置面積よりも大きい設置面積を有し、前記誘電体レンズは、前記フェーズド・アレイ・アンテナの縁を越えて延在する、請求項33または34に記載のEMデバイス。
【請求項36】
前記誘電体レンズのうち90度の天頂角にある部分は、前記特定の共通原点から前記フェイズ・アレイの前記縁を越えて外方に向かう特定の動径方向に沿って、増加し、次いで減少し、次いで再び増加するDkを有する、請求項35に記載のEMデバイス。
【請求項37】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、平面フェーズド・アレイ・アンテナである、請求項33乃至36のいずれか1項に記載のEMデバイス。
【請求項38】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、非平面フェーズド・アレイ・アンテナである、請求項33乃至36のいずれか1項に記載のEMデバイス。
【請求項39】
前記非平面フェーズド・アレイ・アンテナは、円筒面を有するか、または円筒面上に配設される、請求項38に記載のEMデバイス。
【請求項40】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、前記円筒面の凹側から前記誘電体レンズの方へEM放射を放出するように構成される、請求項39に記載のEMデバイス。
【請求項41】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、前記円筒面の凸側から前記誘電体レンズの方へEM放射を放出するように構成される、請求項39に記載のEMデバイス。
【請求項42】
前記非平面フェーズド・アレイ・アンテナは、球面を有するか、または球面上に配設される、請求項38に記載のEMデバイス。
【請求項43】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、前記球面の凹側から前記誘電体レンズの方へEM放射を放出するように構成される、請求項42に記載のEMデバイス。
【請求項44】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、前記球面の凸側から前記誘電体レンズの方へEM放射を放出するように構成される、請求項42に記載のEMデバイス。
【請求項45】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、各個々のアンテナ素子が信号位相角、信号振幅、または信号位相角と信号振幅との両方に関して制御可能であるように構成される、請求項33乃至44のいずれか1項に記載のEMデバイス。
【請求項46】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、対応するEM放射波面の伝播の方向に対してEM波面+/-90度のビーム誘導のために構成される、請求項45に記載のEMデバイス。
【請求項47】
前記EM波面+/-90度の前記ビーム誘導は、水平軸、垂直軸、または水平軸と垂直軸との両方に対するものである、請求項46に記載のEMデバイス。
【請求項48】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、1GHz以上かつ300GHz以下、代替的には、10GHz以上かつ90GHz以下、さらに代替的には、20GHz以上かつ60GHz以下、さらに代替的には、20GHz以上かつ40GHz以下の周波数範囲において動作するように構成および適合される、請求項33乃至47のいずれか1項に記載のEMデバイス。
【請求項49】
前記フェーズド・アレイ・アンテナは、ミリ波周波数において動作するように構成および適合される、請求項33乃至47のいずれか1項に記載のEMデバイス。
【請求項50】
前記ミリ波周波数は、5Gのミリ波周波数である、請求項49に記載のEMデバイス。
【国際調査報告】