(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】エアロゲルを生成する方法および該方法を用いて得られるエアロゲル
(51)【国際特許分類】
B01J 13/00 20060101AFI20230612BHJP
C01B 33/16 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B01J13/00 E
C01B33/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022565590
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2021062439
(87)【国際公開番号】W WO2021228828
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】102020112973.4
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505201168
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲゼルシャフト ツール フェルドルンク デル アンゲヴァントテン フォルシュンク エー ファウ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒンテマン ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】メルダース ニルス
(72)【発明者】
【氏名】レナー マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】センゲスペイク アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイドナー エクハルト
【テーマコード(参考)】
4G065
4G072
【Fターム(参考)】
4G065AA02
4G065AB28X
4G065CA15
4G065CA17
4G065DA09
4G065EA03
4G065EA06
4G065FA01
4G065GA01
4G072AA28
4G072BB05
4G072CC08
4G072DD01
4G072DD02
4G072GG01
4G072GG03
4G072HH21
4G072JJ23
4G072MM14
4G072PP17
4G072SS10
4G072TT01
(57)【要約】
本発明は、ゾル-ゲルプロセスを用いてエアロゲルを生成する方法であって、最初に少なくとも2種の前駆体ゾルからリオゲルを形成し、次いでリオゲルをエアロゲルに変換する、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初にリオゲルを形成し、次いでリオゲルをエアロゲルに変換する、ゾル-ゲルプロセスを用いてシリカエアロゲルを生成する方法であって、
リオゲルを生成するために、少なくとも2種の前駆体ゾル、好ましくは2種の前駆体ゾルを互いに混合し、第1の前駆体ゾルが酸性のpH値または塩基性のpH値を含み、第2の前駆体ゾルが第1の前駆体ゾルと異なるpH値を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前駆体ゾルが互いに混合され、特に混合直後に、反応装置に、好ましくは小滴の形態で、より好ましくは液滴として供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リオゲルを生成するための前駆体ゾルが、特に供給系によって、好ましくは2物質フィードにより、連続的に互いに混合されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前駆体ゾルが互いに別々に提供されることを特徴とする、請求項1~3のうちの1項に記載の方法。
【請求項5】
第1の前駆体ゾルが酸性のpHを含み、第2の前駆体ゾルが塩基性のpHを含むことを特徴とする、請求項1~4のうちの1項に記載の方法。
【請求項6】
酸性のpHがpH0~6、特にpH1~4、好ましくはpH1.5~2.5の範囲であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
塩基性のpHがpH7~13、特にpH8~12、優先的にpH9~11の範囲であることを特徴とする、請求項1~6のうちの1項に記載の方法。
【請求項8】
互いに混合された前駆体ゾルがpH4.5~9.5、特にpH5~pH9、好ましくはpH5.3~8.5の範囲のpH値を含むことを特徴とする、請求項1~7のうちの1項に記載の方法。
【請求項9】
互いに混合された前駆体ゾルが、特にpH4.5~6.8、好ましくはpH5~6.5の範囲の弱酸性のpH、または、特にpH7.5~9.5、好ましくはpH7.8~9の範囲の弱塩基性のpHを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
リオゲルの生成が40バール未満、特に30バール未満、好ましくは20バール未満、より好ましくは10バール未満の圧力で、特に好ましくは大気圧で行われることを特徴とする、請求項1~9のうちの1項に記載の方法。
【請求項11】
混合された前駆体ゾルからのリオゲルの生成が60秒未満、特に30秒未満、好ましくは20秒未満、より好ましくは10秒未満、さらに好ましくは5秒未満以内に起こることを特徴とする、請求項1~10のうちの1項に記載の方法。
【請求項12】
前駆体ゾルがケイ素をベースとする前駆体を含むことを特徴とする、請求項1~11のうちの1項に記載の方法。
【請求項13】
前駆体ゾルが前駆体ゾルに対して3~20質量%、特に4~15質量%、好ましくは5~10質量%の範囲の量でケイ素を含有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前駆体が、シリカ、特にコロイド状ケイ酸、シリカゾル、ケイ酸ゾル、シラン、特にテトラアルコキシシラン、シロキサン、ケイ酸塩およびこれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項12または13のうちの1項に記載の方法。
【請求項15】
特に請求項1~14のうちの1項に従って得ることができるエアロゲルであって、特に少なくとも実質的に円形の断面を有する粒子の形態であることを特徴とする、エアロゲル。
【請求項16】
0.1~10mm、特に0.2~8mm、好ましくは0.3~7mm、より好ましくは0.5~5mmの範囲の粒径を含むことを特徴とする、請求項15に記載のエアロゲル。
【請求項17】
請求項15または16のうちの1項に記載のエアロゲルの、絶縁目的のための、特に遮音、電気絶縁または断熱のための、特に断熱の目的のための、またはキャリア材としての、吸収剤として、もしくは吸着剤としての使用。
【請求項18】
請求項15または16のうちの1項に記載のエアロゲルの、絶縁目的のための、特に断熱材料としての、または断熱材料における使用。
【請求項19】
特に請求項15または16のうちの1項に記載のおよび/または請求項1~14のうちの1項に記載の方法によって得ることができるエアロゲルを生成するための装置(1)であって、
(e)少なくとも1つの反応器(2)、
(f)反応器(2)に配置された、流体、特に液体を反応器に供給するための、少なくとも1つの入口開口部(10)、特にノズル、
(g)特に混合装置(8)を介して、入口開口部(10)に接続された少なくとも2つのフィード(5)、および
(h)反応器(2)に配置された、反応器からの液体または固体の除去のための、少なくとも1つの出口開口部(14)、特に水門
を含むことを特徴とする、装置。
【請求項20】
ゾル-ゲルプロセスを用いてシリカ-リオゲルを生成する方法であって、
リオゲルを生産するために、少なくとも2種の前駆体ゾル、好ましくは2種の前駆体ゾルを互いに混合し、第1の前駆体ゾルは酸性のpHまたは塩基性のpHを含み、第2の前駆体ゾルは第1の前駆体ゾルと異なるpH値を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゲルを生成する技術分野に関する。特に、本発明はゾル-ゲルプロセスを用いてエアロゲルを生成する方法に関する。
また、本発明は、特に本発明に従う方法により得ることができるエアロゲル、および特に絶縁材としての、もしくは絶縁材におけるそれらの使用に関する。
さらに、本発明はエアロゲルを生成するための装置に関する。
最後に、本発明はゾル-ゲルプロセスを用いてリオゲル(lyogel)を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゲルは高度に多孔質の固体であり、その容積は99.98%までの細孔からなることができる。エアロゲルは通常部分鎖の強度の分岐をもつ樹枝状の構造を含んでいるので、特に開放細孔の形態で非常に多くの隙間が形成されている。鎖は多数の接点を有していて、安定なスポンジ様の構造が形成されている。細孔径は通常ナノメートルの範囲であり、内部表面積は1,000m2/gまで、またはそれ以上であることができる。エアロゲルはシリカ、プラスチックもしくは炭素、ならびに天然の有機ポリマー、例えばアルギン酸塩、または金属酸化物のような様々な物質から構成されることができる。
エアロゲルは絶縁材として、例えば断熱目的に、またはその高い多孔性故にろ材として使用されることが多い。同様に、エアロゲルはまた貯蔵材料としても、例えば液体または気体用に使用される。
エアロゲルはナノ構造の開放細孔を有する固体であり、通常ゾル-ゲルプロセスにより製造される。
エアロゲルは通常、大部分縮合したケイ酸であるゼラチン状のゲルを乾燥することにより製造される。ケイ酸および類似の出発材料、例えばシリカゾル、シラン加水分解物またはケイ酸塩を用いて得られるエアロゲルはSiO2構造単位を含み、シリカエアロゲルといわれることが多い。シリカエアロゲルの最初の合成は、1931/1932年Steven Kistlerにより、収縮を示すことなくゲルを乾燥する方法が最初に開発されたときに達成された(Kistler S. S., The Journal of Physical Chemistry 1932, 36(1): Coherent expanded Aerogels, pp. 52-64)。Kistlerにより開発された方法では、水ガラスが出発材料として使用され、それから鉱酸を用いた酸性化による最初の工程でシリカヒドロゲルが得られる。次の工程で、このゲルから洗浄によりアルカリ金属イオンが除去される。ヒドロゲルが含有する水は次いでエタノールまたはメタノールと完全に交換される。続いて得られたアルコゲルをオートクレーブ内で超臨界乾燥に付す。
【0003】
一方、ドイツ特許出願公開第1811353号に記載されているような別の方法が開発されている。ドイツ特許出願公開第1811353号は、テトラエトキシシラン(TEOS)をメタノールまたはエタノール中で正確に測った量の水と触媒によって加水分解する、シリカエアロゲルを製造する方法を開示している。加水分解中、アルコゲルの形態のSiO2ゲルがアルコールと水の開裂で形成される。このアルコゲルが次いでオートクレーブ内で超臨界的に乾燥される。この方法はメラミンホルムアルデヒド樹脂およびレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂から有機エアロゲルを製造するのにも使用することができる。超臨界乾燥技術において、乾燥されるゲルは少なくとも使用される溶媒の臨界点に達する温度および圧力条件に付される。
使用される溶媒の超臨界条件に基づくかかる超臨界乾燥技術の不利益は温度および圧力条件ならびに不連続の操作モードである。例えば、水を含有するゲルを乾燥する際には、少なくとも370℃の温度および少なくとも220バールの圧力が必要とされる。メタノールを含有するゲルを乾燥する際には、少なくとも240℃の温度および少なくとも81バールの圧力が必要とされる。
【0004】
この超臨界乾燥プロセスに代わる代替手段は圧縮された二酸化炭素の使用である。超臨界二酸化炭素を用いた乾燥方法は、例えば欧州特許出願公開第171722号に開示されている。このプロセスでは、超臨界乾燥に先立って有機溶媒が液体の二酸化炭素に交換される。次いでCO2を用いた超臨界乾燥がずっと低い温度、例えば31.1℃の二酸化炭素の臨界温度および73.9バールの臨界圧力で行われる。
工業的に、エアロゲルはCabot法を用いて製造されることが多い。これは、例えばドイツ特許出願公開第19648798号およびドイツ特許第69903913号に記載されている。このために、希釈したケイ酸ナトリウムを塩酸と60~80℃で反応させる。ここで、ゲル化時間、すなわち、ゲルが生成するのに必要な時間は数分に設定することができる。次いで、ゲルの固化および熟成のために、ゲルを80~100℃で焼き戻す。熟成時間は30分と規定されている。熟成プロセス中、またはそれ以後、洗浄水に電解質がなくなるまでゲルを洗浄する。
続いて、ヒドロゲルのシラン処理(silanization)により亜臨界乾燥を可能にする。トリメチルクロロシランがシリル化剤(silanizing agent)として使用される。トリメチルクロロシランは大部分がヒドロゲル中に存在する水と反応してトリメチルシラノールを形成し、さらに縮合してヘキサメチルジシロキサンを形成する。このジシロキサンは細孔内に取り込まれ、部分的に水と置換する。
【0005】
ここで注意すべきことは、使用されるシリル化剤が非常に大量に加えられることである。例えば、100gのヒドロゲルを140mlのトリメチルクロロシラと反応させる。このヒドロゲルとトリメチルクロロシランとの比のみで、ケイ素上の水酸基の部分的な反応が達成される。代わりのシリル化剤として、ヘキサメチルジシロキサンと塩酸が気体流中で使用される。ここで、ヘキサメチルジシロキサンからトリメチルクロロシランへの部分的な逆転反応が起こり、このトリメチルクロロシランは次いでケイ素のヒドロキシル基と反応することができる。
上述の特許および特許出願の実施例中のHCIとヘキサメチルジシロキサンとのモル比に注目すると、ヘキサメチルジシロキサンが5~6倍過剰に加えられ、使用したヘキサメチルジシロキサンのごく一部のみが反応してトリメチルクロロシランを形成することができるということが分かる。これは、ヘキサメチルジシロキサンをリオゲルの細孔内に取り込むことの重要性を示している。この方法でのみ亜臨界乾燥を行うことができる。次いで乾燥自体は200℃の窒素流中で行われる。
Aerogel Handbook(M. A. Aergerter et al., Aerogels Handbook, Advances in Sol-Gel Derived Materials and Technologies, 2011, p. 120)で、シリル化剤とSiO2網状組織とのモル比の重要性がより詳細に論じられている。毒性で可燃性で腐食性のトリメチルクロロシランを大量に用いる疎水化工程はCabotプロセスによりエアロゲルを製造する際に最もコストのかかる方法工程となる。
【0006】
乾燥プロセスにおいて、特に極性の溶媒からあまり極性でない溶媒への溶媒交換は上首尾の乾燥にとって重要であることも見られることも多い。
ケイ酸ナトリウムをベースにするエアロゲルに対するKistlerの研究から、水からエタノールへの溶媒交換は細孔幾何学に大きな変化を起こさないことが知られている。この結果は、溶媒交換が1つの工程で行われるか、またはエタノール含量を増大しながらいくつかの工程で行われるかと無関係である。そこで行われたエタノールからのSiO2ゲルの直接超臨界乾燥には、95質量%のエタノールの質量分率が充分である。他方、CO2を用いた超臨界乾燥の場合値は知られていない。
圧縮されたCO2の影響下での水からエタノールへの溶媒交換はGurikov et al.により検討されている。使用されるゲルはアルギン酸塩からなり、CO2誘導ゲル化を用いて製造される。試料は10~12mmの直径を含み、予熱されたオートクレーブ内に入れられ、超臨界CO2(120バール、313K)に供される。次いで水とエタノールの混合物をいくつかの段階でオートクレーブにポンプで送り、溶媒交換を段階毎に2.5時間行う。ここで30質量%のエタノール含量は第1の段階で、60質量%は第2の段階で、90質量%は第3の段階で達成される。次いでゲルをCO2中25質量%エタノールで濯いで水を細孔から完全に抽出した後ゲルを3時間超臨界乾燥する。溶媒交換の進行は溶媒の密度から計算される組成を用いて分析される。このために、5mlの試料を各々のオートクレーブから採る。所与の条件下、それぞれの溶媒交換工程に必要とされた時間は12時間から2.5時間に低下した。
【0007】
溶媒交換中の超臨界二酸化炭素の使用は必要とされる乾燥時間をさらに6時間から3時間に低下する。
圧縮されたCO2の影響下での溶媒交換の後のゲルの密度は0.021g/cm3であり、BETに従う比表面積は538m2/gであり、BJGに従う細孔容積は5.96cm3/gである。得られたエアロゲルは周囲条件での溶媒交換により調製された参照試料と同様な特性を含む。調製されたエアロゲルの特性に対する圧力下の溶媒交換の直接の影響は、異なる合成条件が異なるプロセスに使用されているので、入手可能なデータから推定することができない。
【0008】
乾燥プロセス中のゲルを安定化するという既に記載された難問に加えて、エアロゲル、特にシリカエアロゲルを製造する際のもう1つ別の問題は長いプロセス時間により表される。これらのためエアロゲルの製造がより費用がかかるものとなり、したがってエアロゲルがその物理的な特性プロフィールに基づいて適切であろう多くの用途におけるエアロゲルの使用が阻まれる。シリカエアロゲルのオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)からの製造の際の個々の方法工程のそれぞれのプロセス時間は次の通り:
加水分解および縮合時間 少なくとも8時間(A. A. Tweij Wesam, Temperature Influence on the Gelation Process of Tetraethylorthosilicate using Sol-Gel Techique, Iraqi Journal of Science 2009参照)。
ゲル熟成時間 6~72時間の範囲(Einarsrud, M.-A., Kirkedelen, M.B., Nilsen, E., Mortensen, K., Samseth, J., Structural Development of Silicagels aged in TEOS, Journal of Non-Cryst Solids 231, 1998, pp. 10-16参照)。
超臨界洗浄時間/溶媒交換 洗浄サイクル1サイクル当たりおよそ24時間(Kerstin Quarch, Product design on colloidal agglomerates and gels, gelation and fragmentation of inorganic silica, PhD thesis, KIT, 2010参照)。
超臨界乾燥時間は先の溶媒交換および試料の大きさに強く依存する。
【0009】
Swiss Federal Laboratories for Materials and Testing(EMPA)により開発されたワンポット法によってかなりの改良が達成され、その個々の工程は次の時間を要する:
ヘキサメチルジシラザン(HDMSO)、アンモニア、水、エタノールおよびTEOSを用いることによるゲル形成および熟成の時間は約2時間である。
湿ったゲルの疎水化はHClとHDMSOの混合物を用いて1時間の期間にわたって行われる。
超臨界乾燥時間は約1時間である。
したがって、合計のプロセス時間は4~6時間である。
しかしながら、これらのプロセス時間でさえ、特に疎水化が溶媒交換のために必要な疎水化を得るために大過剰の疎水化剤を用いる作業をも要する大規模の工業生産に対してはなおも大きな課題を課す。
上述のエアロゲルを製造する方法のすべてに共通したもう1つ別の問題は、通常規則的な外部形状をもたない不明確な粒子が得られ、これらはバラ詰め(loose filling)に使用したり、または絶縁プラスターシステム(insulating plaster system)への組み込みにさえ使用したりするのが困難であることである。これらの不規則な粒子は機械的弾力性がずっと低く、規則的な、特に球状の粒子で予期されるより緻密でない球充填物を形成する。この理由から、実際上のエアロゲルの有効性が計算される値に達しないことが多い。
【0010】
このように、先行技術は未だに、顕著に低下したプロセス時間でエアロゲルを再現性良く製造し、連続または準連続製造を低減したコストで可能にするシステムが欠如している。また、明確な幾何学的構造をもつエアロゲルを工業規模で、かつ再現性のある形で製造することも同様に可能ではない。多くの用途に対して、特にボール形状、すなわち球状のエアロゲル粒子は、顕著により高い機械的な荷重負担能力を有すると思われるので好ましい。
同様に、標的を絞ったやり方で予め設定された粒径のエアロゲル粒子を製造することもまだ可能ではない。
【発明の概要】
【0011】
そこで、本発明の目的は、記載された従来技術に伴う不利益を削除する、または少なくとも軽減することである。
特に、本発明の目的は、エアロゲル粒子を生成する方法であって、有意により短いプロセス時間で、好ましくは連続的または準連続的に実施することができる、方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、規定された特性をもち、特に明確な外部形状および規定された粒径も有するエアロゲルを、標的を絞ったやり方で生成することができると見られることである。
加えて、本発明のさらなる目的は、機械的弾力があり、絶縁材に使用するのに特に適切しているエアロゲルを提供することである。
上記目的は本発明に従って請求項1に記載の方法によって解決され;さらに、本発明の方法の有利なさらなる進展および実施形態はそれぞれの従属請求項の主題である。
本発明の第2の態様による本発明のさらなる主題は請求項15に記載のエアロゲルである。本発明のこの態様のさらなる有利な実施形態はそれぞれの従属請求項の主題である。
また、本発明の第3の態様による本発明のさらなる主題は請求項17に記載のエアロゲルの使用である。
本発明の第4の態様による本発明のさらなる主題は請求項18に記載のエアロゲルの使用である。
さらにまた、本発明の第5の態様による本発明の別の主題は請求項19に記載のエアロゲルを生成するための装置である。
最後に、本発明の第6の態様による本発明の主題は請求項20に記載のリオゲルを生成するための方法である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の方法を実施するための本発明の装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いうまでもなく、不必要な繰返しを避けるために本発明の1つの態様に関してのみ以下で記載される特別な特徴、特性、実施形態および利点などは当然明確に延べる必要なく本発明の他の態様に関しても適切に適用される。
さらに、以下で述べるすべての値またはパラメーターなどは、原則として、標準化されているかもしくは明記された決定方法またはこの分野の当業者が精通している決定方法で決定することができる。
また、いうまでもなく、すべての質量または量に関する百分率は当業者により、合計が100%になるように選択されるが、これは自明の理である。
この条件の下で、以下、本発明をより詳細に説明する。
【0014】
本発明の第1の態様による本発明の主題は、最初にリオゲルを形成し、次いでリオゲルをエアロゲルに変換する、ゾル-ゲルプロセスを用いてシリカエアロゲルを生成する方法であって、リオゲルを生成させるために少なくとも2種の前駆体ゾル、好ましくは2種の前駆体ゾルを互いに混合し、第1の前駆体ゾルが酸性のpH値または塩基性のpH値を含み、第2の前駆体ゾルが第1の前駆体ゾルとは異なるpH値を含む、方法である。
本出願人が驚くべきことに見出したように、本発明の方法に基づいて、最初に特に均質で、均一に構造化され均一に形成されたリオゲルを特に時間的に効率良く得ることができ、次いでそれから好ましくは球状のエアロゲル粒子を入手できる。
リオゲルの生成、特にリオゲルを形成する速度が、特に特定的に調節されたpH値を含む、リオゲルの生成または形成に使用された前駆体ゾルに基づいて正確かつ特に特異的に影響され得るということは本発明の特定の利点である。
この点において、本発明の方法、特にリオゲルの生成が特定のpH値範囲内で行われ、これらの値が本発明に従う手順によって正確に調節し制御することができることは十分に証明されている。例えば、pHを中性から弱酸性または塩基性範囲に変えることにより、数秒のゲル生成またはゲル化の相対的な減速を達成することができ、その結果ゲル生成の開始直前の前駆体ゾルの均質で均一な混合が可能である。対照的に、本発明の方法を中性のpHで実施すると特に即時のゲル化が起こる。このように、本発明は、これに基づいて、特に成形およびゲル粒径に関してリオゲル生成に対して特定の影響を発揮させるために特にゲル化またはゲル生成速度のpH依存性を利用する。例えば、本発明による方法では、その直径を数ミリメートルに調節することができる球状のリオゲル粒子を生成することが可能になる。
【0015】
本発明は、ゲル形成を特に加圧することなく、または大気圧で、または少しだけ高圧で、好ましくは40バール以下の圧力で行う簡単で明快な手順を特徴とする。今まで、加圧することなく、好ましくは少なくとも部分的に水性系の前駆体ゾルから、少なくとも迅速かつ容易に実施することができる方法ではなく、球状のシリカエアロゲルまたはリオゲルを生成することは可能でなかった。その後ゆっくりゲルになる球状の粒子が構成されるようにゾルを無圧で油中に落とす方法だけが知られている(Lee, Kyoung-Jin, Fast Synthesis of Spherical Silica Aerogel Powders by Emulsion Polymerization from Water Glass, ChemistrySelect, Vol 3. Issue 4, January 31, 2018参照)。しかしながら、特に、溶媒または周囲の媒体としての油の使用は本発明との関連で必要ないか、または意図されていない。
また、前駆体ゾルの迅速なゲル化は本発明の方法において、特に数秒以内に達成することができる。このようにして、短いプロセス時間を低い装置費用で達成することができる。特に、本発明の範囲内で、ゲル形成から乾燥完了までシリカエアロゲルを生成するプロセス時間は、すべての方法工程が同一の反応装置で行われれば、1~2時間、特に1.5時間未満の時間に減らすことができる。
【0016】
エアロゲルの主要な困難または課題は特に均一で均質なおよび構造的に均質な粒子を生成することである。この困難さは本発明の方法で確実に克服することができる。特に、いろいろな前駆体ゾルの制御された計量または混合により、前駆体ゾルの互いの均一で均質な混合または分配が確保されるようにゲル化の時間を調節することが可能である。同様に、本発明の範囲内で、ゲル形成および前駆体ゾルまたはそれから形成されたゲルの導入または合体を、安定なゲルを特に球状のゲル粒子の形態で得ることができるように制御することが可能になり、その後これらの粒子はさらに特に球状のエアロゲル粒子に変換することができる。
ここで、本発明の方法によると、特に、リオゲル粒子の大きさまたはそれらの粒径分布に特定的に影響を及ぼすかまたは調節することも可能になる。特に、ゲル化時間またはゲル形成の継続時間および前駆体ゾルが互いに混合され、その直後本発明の反応装置に供給されるというやり方によって、明確な形状および大きさのリオゲル粒子の指向された生成が可能になる。本発明の粒子はこの、特にボール様または球状の形状および大きさを、リオゲルがエアロゲルに変換されても失わない。
【0017】
本発明の方法により得られるエアロゲル粒子、特に球状または円柱状のものは、主に不均一な形状または立方体である公知の従来技術のエアロゲルと比べて、特に均一な球状またはボール様の形状に帰することができるより良好な流動性、一軸の圧縮荷重下でのより高い強度およびより最適な充填密度を特徴とする。本発明のエアロゲル、特に球状またはボール様の形状のものは、先行技術で知られているエアロゲルを生成する方法によってはまだ入手できていない。本発明による手順または方法だけが特に球状の形状および円形の断面をもつエアロゲル粒子を確実に生成することを可能にする。
本発明の方法により入手可能な球状のエアロゲル粒子は、優れた機械的性質または抵抗ならびに緻密な球状充填物を生成する可能性のため、断熱材として、特にバラ詰めに適しているが、絶縁プラスターシステムへの組み込みにも極めて適している。通常形のないまたは立方体の粒子をベースとする従来のエアロゲル粉末と比較して特に改良された流動性、一軸の圧縮荷重下でのより高い強度およびより高い充填密度のために、本発明に従う球状のエアロゲルは好ましくは断熱プラスターのような粉末充填材または粉末混合物に使用することができる。
【0018】
本発明との関連で、ゾル-ゲルプロセスは、非金属の無機もしくは有機材料または無機-有機ハイブリッド材料がコロイド分散、いわゆるゾルから得られる方法であると理解される。ゾル-ゲルプロセスにおいて、ナノメートル範囲の粒子が通常コロイド分散、ゾルから凝集により得られ、これはその後さらなる縮合および凝集によりゲル、すなわち、その細孔が液体または気体である流体で満たされた三次元の網状組織を形成する。
本発明との関連で、ゲルは、液体および/または気体に富み、長いまたは広く分岐した粒子を有する少なくとも1種の固体のコロイド状に分割された物質、例えばゼラチン、ケイ酸、モンモリロナイト、ベントナイト、多糖、ペクチンなどおよび分散媒としての流体、特に気体または液体である少なくとも2種の成分からなる寸法的に安定な分散系と理解されたい。この場合、固体物質はコヒーレント、すなわち分散媒中で空間的な網状組織を形成し、粒子は副または主原子価によりいろいろな点、いわゆる接着点で互いに接着する。粒子間の空間が液体で満たされれば、リオゲルが存在する。分散媒が空気であれば、ゲルはエアロゲルといわれる。用語ゲルに関するさらなる詳細についてはROEMPP Chemie Lexikon, 9th expanded and newly processed edition, belt 2, 1999, p. 1511のキーワード「ゲル」の項目を参照されたい。
リオゲルはゲル、すなわちその細孔が液体で満たされた三次元の網状組織である。リオゲルの特別な場合は液体が水であるヒドロゲル、または液体がアルコール、通常エタノールであるアルコゲルである。有機溶媒を含有するリオゲルはオルガノゲルともいわれる。
【0019】
本発明との関連で、ゾルは溶液または微細に分割された分散液、すなわち、コロイド分散液を意味する。
本発明との関連で溶液は、ある物質、すなわち溶質が第2の物質である溶媒中に均質に分配されている単一相の混合物として理解されたい。本発明との関連で、分散液は、分散した物質を有する第1の相、いわゆる不連続相が第2の相、分散媒または連続相に微細に分配され、特に均質に分配されている二相混合物として理解されたい。溶液から分散液への移行期は流体であり、お互いに厳密に境界を定めることはできない;例えば、コロイド溶液は溶液または分散液のいずれかに明白に割り当てることができない。高分子巨大分子の「溶液」の場合でさえ、溶液または分散液が存在するかどうかを明確に決定することは可能でない。したがって、本発明との関連で、ゾルは溶液または微細に分割された、すなわち、コロイド状の分散液を意味すると優先的に理解される。
本発明の方法を実施する詳細に関して、特に、前駆体ゾルが互いに混合され、反応装置に供給されると考えられる。前駆体ゾルは混合され、その後、特に混合直後に反応装置に供給されるとさらに好ましい。これに関連して、前駆体ゾルを、特に混合直後に、液滴の形態で、特に滴下して反応装置に供給するとまたさらに好ましい。
ここで、本発明に従って、特に混合された前駆体ゾルを反応装置に噴霧するかまたは落下させる、特に滴下させると特に好ましい。
【0020】
さらに、前駆体ゾルが、圧力を加えることができる反応装置に、液滴の形態で、特に滴下して供給され、好ましくは噴霧または落下され、より好ましくは滴下されると特に有利であることが証明されている。
また、本発明との関連で、リオゲルを生成するための前駆体ゾルが、特に供給系によって、好ましくは2物質供給系によって互いに連続的に混合されることは十分証明されている。
この本発明に従う手順に基づいて、特に、2つの前駆体ゾルを互いに均一かつ均質に混合して、ゲル形成またはゲル化を制御されたやり方で、特に好ましくは数秒の制御または調節可能な継続時間後に起こすのを達成することができる。
これに関連して、本発明の方法は、好ましくは、特に互いに混合された前駆体ゾルが装置に、好ましくは液滴の形態で、もしくは滴下して供給されるか、または特に噴霧されるかもしくは落下され、好ましくは滴下された時点で、すなわち入口開口部、特にノズルを介して前駆体ゾルが装置に入った時点で、ゲル形成またはゲル化が起こるかまたは始まるように設計される。このように、液滴形成の時点で、ゲル化の開始のため、形成されるリオゲル粒子の形状と大きさの両方を確実に制御し調節することができる。本発明によると、これは、特に、その粒径分布に関して均一であり、その特に液滴としての反応装置への供給から出発して、好ましくは球状または球状であるように構成されたリオゲルの生成に対する基礎を形成する。この基礎に基づいて、特に球状またはボール様のエアロゲル粒子を生成することも同様に可能であり、これも好ましくは本発明の範囲内で提供される。
【0021】
本発明の好ましい実施形態に従って、リオゲルの生成は大気圧または少しだけ高圧で、特に40バール未満、特に30バール未満、好ましくは20バール未満、より好ましくは10バール未満の範囲の圧力、特に好ましくは大気圧、すなわち、約1バールで行われることが十分に証明されている。さらに、本発明との関連で、リオゲルの生成が1~40バール、特に1~30バール、好ましくは1~20バール、より好ましくは1~10バールの範囲の圧力で行われるとさらに好ましい。本発明との関連で、上述の好ましい圧力または圧力範囲は絶対圧力または圧力範囲と理解されたい。
したがって、本発明の範囲内で、リオゲルの生成が、加圧することができる装置、特にオートクレーブで、例えば前駆体ゾルをオートクレーブに供給することにより行われることは十分に証明されている。
【0022】
また、リオゲル形成に関して、リオゲルの生成が制御された雰囲気下、特にCO2、N2もしくはAr雰囲気下またはこれらの気体の混合物からなる雰囲気下、必要であればさらなる気体または物質と組み合わせて行われると有利であることが証明されている。特に、必要であればさらなる気体または物質と組み合わせてCO2および/またはN2を使用することが十分証明されている。通常CO2、CO2とN2の混合物またはN2とアンモニア(NH3)の混合物がプロセス媒体または制御された雰囲気として使用される。本発明との関連で、物質は特に特定の物理的または化学的性質をもつ化学物質、すなわち化学化合物または元素を意味すると理解される。
ここで、前駆体ゾルの提供に関して、本発明との関連で、前駆体ゾルが互いに別々に提供されるのが通常好ましい。
また、本発明の方法に対して、リオゲルを生成するための前駆体溶液が互いに別々に投与され、互いに対して連続的に供給されることが十分証明されている。
このように、本発明の方法は、特に、互いに異なるpH値を含む前駆体ゾルが互いに別々に保たれ、また互いに別々に計量された後、特に供給系、好ましくは2物質フィードを介して計量された形態で互いに連続的に供給され、このプロセス中またはその後、特に混合セクションで互いに混合されることを特徴とする。この手順に基づいて、前駆体ゾルの特に均質で均一な混合を達成することができ、これは特に、混合セクションにおける前駆体溶液の徹底的な回転および混合に寄与する静的混合要素が混合セクション内に配置される事実によってさらに明確に影響を受けることができる。
【0023】
均質で均一なゲルの形成のために、特に混合された前駆体ゾルが含むpH値に基づいてゲル形成の速度を制御することが本発明との関連で特に重要であることが証明されている。
これに関連して、第1の前駆体ゾルが酸性のpH値を含み、第2の前駆体ゾルが塩基性のpH値を含むことが特に十分に証明されている。
前駆体ゾルがこのために調節される特定のpH値は酸性または塩基性のpH値範囲の広い範囲内で変化することができる。しかしながら、酸性のpH値がpH0~6、特にpH1~4、好ましくはpH1.5~2.5の範囲内であれば本発明との関連で特に良好な結果が得られる。同様に、本発明の方法に対して、塩基性のpHがpH7~13、特にpH8~12、好ましくはpH9~11の範囲であることが特に十分に証明する。
最終的に、本発明の方法に対して決定的な要因は特に互いに混合された前駆体ゾルがいずれのpH値を含むかである。これに関連して、互いに混合された前駆体ゾルがpH4.5~9.5、特にpH5~pH9、好ましくはpH5.3~8.5の範囲のpH値を含むと特に良好であることが証明されている。
さらにより好ましくは、互いに混合された前駆体ゾルが弱酸性のpH、特にpH4.5~6.8、好ましくはpH5~6.5の範囲、または弱塩基性のpH、特にpH7.5~9.5、好ましくはpH7.8~9の範囲を含む場合である。
【0024】
最後に、本発明の方法との関連で、互いに混合された前駆体ゾルが特にpH4.5~6.8、好ましくはpH5~6.5の範囲の弱酸性のpHを含むと特に良好な結果が得られる。
これに関連して、本発明の範囲内で、緩衝材が特に互いに混合された他の前駆体ゾルに添加されることがさらに規定され得る。これに関連して、緩衝材は、そのpHが酸または塩基の添加の際に緩衝されていない系の場合よりずっと少ない程度に変化する物質の混合物であると理解される。したがって、特に混合された前駆体ゾルへの緩衝材の追加の添加により、特に前駆体ゾルの混合後に存在するpH値のさらにより正確な制御またはpH値のさらにより効率的な安定化を達成することができる。
上述のpH値範囲に対して、高度に透明なリオゲル、または特にヒドロゲルが形成され、これは塩基性のpH値範囲で特に追加の弾性特性を含むことを観察することができる。対照的に、酸性の範囲で形成されたゲルは塩基性の範囲で形成されたゲルと比較してより高い強度または低下した弾性を優先的に特徴とする。これらのリオゲルから得られたエアロゲルに対して、塩基性と酸性の両方の領域で形成されるリオゲル粒子は95.7%以上の典型的な多孔性を含む極めて多孔質のゲルを生成することが示されている。また、特に酸性の状態で形成されたリオゲル粒子からのエアロゲルが、塩基性の状態で形成されたリオゲルからのエアロゲルと比較して、より大きいBETに従う比表面積ならびにより大きい細孔容積を含むことを観察することができ、ここでBET表面積に関してほとんど2倍の差および細孔容積1.3倍の差があることを決定することができる。
【0025】
また、本発明の方法に対して、リオゲルの生成を50℃、特に60℃、好ましくは70℃、より好ましくは80℃より高い温度で行うと特に良好な結果が得られる。
上述したpH値、圧力および温度で、ゲル形成を特に迅速に、また制御されたやり方で達成することができ、これにより、例えば、寸法的に安定であり、また方法のさらなる進行中もその形状を保持することができるほとんど球状のリオゲルを得ることができる。
本発明に従って、混合された前駆体ゾルからのリオゲルの生成が60秒未満、特に30秒未満、好ましくは20秒未満、より好ましくは10秒未満、さらに好ましくは5秒未満に起こると特に有用であることが証明された。
同様に、本発明との関連で、混合された前駆体ゾルからのリオゲルの生成が0.1秒より多い、特に0.5秒より多い、好ましくは1秒より多い時間内で起こることが優先的に規定される。本発明の方法に対して、1~5秒の範囲のリオゲル生成時間が極めて特に有利である。
【0026】
本発明の好ましい実施形態に従って、リオゲルの生成およびリオゲルのエアロゲルへの変換が連続的または準連続的に行われることも好ましく規定される。実際、特に本発明の方法に基づいて、プロセス時間、特に個々の方法工程の時間が、エアロゲル、特にシリカエアロゲルの連続または少なくとも準連続的な生成が可能であるように短縮されることを達成することができる。生成はワンポットプロセスとして、すなわち1つの反応装置、特にオートクレーブで、または連続する装置、特にいくつかのオートクレーブで行うことができる。
ここで前駆体ゾルの組成および性質に関して、本発明との関連で、前駆体ゾルが溶液または分散液の形態であると通常好ましい。
ここで、本発明との関連で、前駆体は、それから所望の標的化合物、特にSiO2網状組織が化学反応により、特に、例えば、加水分解または加溶媒分解およびその後の縮合により形成される前駆物質と理解されたい。
したがって、原則として、ゲルを構成することができるすべての化合物を本発明の範囲内で前駆体として使用することができる。
【0027】
これに関連して、本発明に従って、前駆体ゾルがケイ素をベースとする前駆体を含有すると特に好ましい。本発明に従って使用される前駆体ゾルの組成に関して、前駆体ゾルが前駆体ゾルに対して3~20質量%、特に4~15質量%、好ましくは5~10質量%の範囲の量でケイ素を含有すると有利なことがさらに証明されている。
この意味で、特に過飽和の溶液を使用すると充分に迅速なゲル形成を達成することができることが観察されているので、過飽和の前駆体溶液は本発明との関連で好ましく使用される。例えば、pH=7での単量体のケイ酸のような適切な前駆体の飽和濃度はおよそ0.002mol/lである。対照的に、本発明に従って、典型的なケイ酸をベースとする前駆体ゾルのケイ素の濃度は0.83mol/l(5質量%)~1.66mol/l(10質量%)であると好ましい。数学的に、これの結果は400時間を超える過飽和となる。
本発明との関連で、前駆体がシリカ、特にコロイド状のケイ酸、ケイ酸ゾル、シリカゾル、シラン、特にテトラアルコキシシラン、シロキサン、ケイ酸塩およびこれらの混合物の群から選択されると特に良好な結果が得られる。
加水分解の際に、上述の化合物は場合により有機的に変性されてもよいシリカ網状組織を構成し、これはシリカエアロゲルを生成するのに優れて適している。
【0028】
これに関連して、前駆体がケイ酸、特にコロイド状のケイ酸、シリカゾルおよびテトラアルコキシシラン、好ましくはテトラエトキシシランおよび/またはテトラメトキシシランから選択されると特に良好な結果が得られる。前駆体がケイ酸であると特に好ましい。
本発明の好ましい実施形態において、例えば、ケイ酸ナトリウムからイオン交換を用いて生成され、特に10質量%以下の固形分を含む酸調節された前駆体ゾルの前駆体としてケイ酸を使用することが特に十分に証明されている。かかるケイ酸溶液のpH値はpH3.5~2.0である。改良された貯蔵安定性のため、pH値はまた例えば塩酸で約pH1の値にさらに下げることもできる。
本発明に従って、塩基性の前駆体ゾルに対して、前駆体が例えば、ケイ酸ナトリウムから生成され得、次いで塩基、例えば水酸化ナトリウム溶液および/またはアンモニアで8.5~9.5のpH値に調節され得る塩基性のシリカ溶液であるとさらにより好ましい。固形分は好ましくは10質量%.以下であることができる。
あるいは、特にSiO2含量が10質量%のナトリウムおよび/またはカリウム水ガラスをベースとする水ガラス溶液を塩基性の調節された前駆体ゾルのための前駆体として使用すると特に有利であることも証明された。
【0029】
また、本発明の範囲内で、塩基性の調節された前駆体ゾルに対して、水性のコロイド状懸濁液として、10~40質量%のSiO2、特にpH8~10の範囲のpHのほぼボール様のポリケイ酸分子を使用することも好ましくは規定され得る。
最後に、しかし大事でないわけではなく、特に予め加水分解され部分的に縮合されたアルコキシシラン溶液を、使用すると塩基性の前駆体ゾルのための前駆体として、好ましくは10~20質量%の固形分で使用すると本発明の方法に特に適切であることも証明された。かかる溶液は特に部分的に水性の溶液であり、その水含量は使用されるアルコキシシランに応じて調節することができ、好ましくはH2O:アルコキシ基の数のモル比が1:1~2:1である。本発明のこの好ましい実施形態に対して、界面活性剤、例えば塩化セチルトリメチルアンモニウムは、特に酸性の前駆体ゾル中、例えば水性の酸性シリカ溶液中の部分的に有機のアルコキシシラン溶液の溶解性を増大することができるので、塩基性の前駆体ゾルに添加すると有利であることも示されている。
本発明との関連で、前駆体ゾルが各々少なくとも1種の溶媒または分散媒を含むことがさらに慣習である。
【0030】
これに関連して、溶媒または分散媒がアルコール、特にメタノール、エタノール、イソプロパノール、エーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、プロピレンカーボネート、酢酸エチル、水およびこれらの混合物から選択されることが十分に証明されている。
これに関連して溶媒または分散媒がアルコール、特にメタノール、エタノール、イソプロパノール、水およびこれらの混合物からなると特に良好な結果が得られる。特に、有機溶媒と水、殊にエタノールと水の混合物が本発明との関連で好ましく使用される。これは、一方で、水が前駆体化合物の迅速な加水分解および縮合を起こし、他方で、ある割合の有機溶媒がリオゲルの細孔からの溶媒または分散媒の除去を促進するからである。
エタノール、アセトン、ジメチルスルホキシドのような有機溶媒のゲル合成に対する使用はまた、トリメチルシラノール、メチルトリエトキシシラン、ジフェニルシランジオール、ヘキサメチルジシラザン、等のような疎水化剤もゲル化プロセス中直接使用する可能性も提供する。
【0031】
本発明に従って、シリカエアロゲルまたはリオゲルを生成するために、特に、好ましくはシリカゾル、コロイド状ケイ酸およびケイ酸テトラエチルエステルをベースとする前駆体溶液を最初に調製し、提供する。ケイ酸ゾルおよびケイ酸の場合、前駆体溶液は様々な程度のケイ化および低下したアルカリ含量の予めケイ化された水ガラス(ポリケイ酸)である。一般にイオン交換を用いて調製されるモノケイ酸は縮合プロセスのために主にジおよびトリケイ酸として存在する。
シリカゾルは、他方、通例ずっと高いケイ化度を含み、一般に5~40nmの一次粒径を有する。エアロゲルの生成にしばしば使用されるケイ酸テトラエチルエステル(TMOS、TEOS)およびケイ酸カリウムと比較して、シリカゾルおよびケイ酸の使用はリオゲルまたは特にヒドロゲルのゲル化およびその後の熟成プロセスの選択的な制御の可能性を提供する。シリカゾルおよびケイ酸において、シリカナノ粒子は一般にイオン電荷を介して安定化された溶液中に存在する。
低い水含量およびより高い割合の有機溶媒のポリシリカを得る1つの方法はアルコール性のケイ酸テトラエチルエステルを使用することであるが、これらは最初に予め加水分解して生成するモノケイ酸の充分に迅速な重縮合を確保しなければならない。前駆体溶液またはゾル中のモノケイ酸の量を増大するために、ケイ酸テトラエチルエステルが加水分解された後水性のシリカ溶液を加えることができ、それにより続いてゲル形成が始まって低い水含量のオルガノゲルを生成することができる。
【0032】
既に指摘したように、本発明に従って前駆体ゾルが過飽和のゾルであると好ましい。これに関連して、さらに、寸法的に安定なゲルが構成されるように前駆体ゾル、特に過飽和のものが一定の固形分を含むと有利であることが見出された。ゾルの固形分はすべての液体成分の除去後に残存するゾルの割合として理解されたい。
本発明との関連で、前駆体ゾルは、特に個別にまたは互いに独立にゾルの各々に対して少なくとも2質量%、特に2.5質量%、好ましくは3質量%、より好ましくは4質量%、特に5質量%の固形分を含むと十分に証明されている。
本発明の好ましい実施形態に従って、これに関連して、前駆体ゾルは、特に個別にまたは互いに独立に各々のゾルに対して2~30質量%、特に2.5~20質量%、好ましくは3~15質量%、好ましくは4~10質量%、特に好ましくは5~9質量%の範囲の固形分を含むことが規定される。
上述した範囲の固形分で、所望の高い細孔含量も含む寸法的に安定なリオゲルを特に迅速に得ることができる。
【0033】
本発明の範囲内で、前駆体ゾルまたは、特に、前駆体ゾルの少なくとも1つが疎水化剤、特にシリル化剤を含有することが規定され得る。1種または複数の前駆体ゾル中における疎水化剤、特にシリル化剤の使用は特にリオゲルの骨組み中への疎水性の基の組み込みをもたらす。次にこれがより弾性のゲル構造を生じ、これは、例えば溶媒交換中または乾燥中も、例えば純粋なSiO2構造より、有意により弾力的でエアロゲルを形成する。
本発明との関連で、疎水化剤はオルガノシラン、特にモノオルガノシラン、ジオルガノシラン、トリオルガノシラン、シラザン、シラノール、特にモノオルガノシラノール、ジオルガノシラノール、およびこれらの混合物から選択されると好ましい。本発明との関連で、オルガノシランまたはオルガノシラノールは有機の基、特に疎水性の有機基、例えばアルキル、アルケニルまたはアリールを有するシランまたはシラノールを意味すると理解される。
【0034】
本発明との関連でシランが疎水化剤として使用されるならば、その化学的な性質は同様に広い範囲にわたって変化することができる。しかしながら、特に良好な結果は一般式I
R1nSiR2
4-n (I)
[式中、
n=1~3、特に1または2、好ましくは1;
R1=C1-C30-アルキルおよび/またはC6-C30-アリール、
特にC2-C20-アルキルおよび/またはC6-C20-アリール、
好ましくはC3-C20-アルキルおよび/またはC6-C20-アリール、
より好ましくはC4-C15-アルキルおよび/またはC6-C15-アリール、
さらにより好ましくはC5-C12-アルキルおよび/またはC6-C12-アリール、
特に好ましくはC5-C12-アルキル;
R2=ハライド、特にクロリド、ブロミドおよび/またはヨージド、
OX(X=水素、アルキル、アリール、ポリエーテルおよび/またはカルボン酸誘導体、特にアルキル、好ましくはC1-C8-アルキル、好ましくはC2-C4-アルキル]
のシランを使用すれば得られる。
特に良好な結果は本発明との関連で疎水化剤がオルガノクロロシラン、特にモノオルガノクロロシラン、ジオルガノクロロシラン、トリオルガノクロロシラン、メトキシオルガノシラン、特にトリメトキシオルガノシラン、ジメトキシジオルガノシラン、メトキシトリオルガノシラン、エトキシオルガノシラン、特にトリエトキシオルガノシラン、ジエトキシジオルガノシラン、エトキシトリオルガノシラン、ヘキサメチレンジシラザン、トリメチルシラノール、ジフェニルシランジオール、フェニルトリエトキシシラン、トリメチルイソプロペノキシシランおよびこれらの混合物から選択されると得られる。ゲル形成前の疎水化剤、特にシリル化剤の早期の使用は生成する網状組織構造に影響を及ぼすことができ、構成される細孔径を制御することができる。加えて、ゲル網状組織の弾性化は単および二官能性のシリル化剤を取り込むことにより達成することができる。両方を使用して、例えば、生成したヒドロゲルのその後の溶媒交換を促進することができる。
【0035】
既に述べたように、本発明との関連で、特に混合された前駆体ゾルを装置、特に圧力を加えることができる装置に小滴の形態で供給し、特に噴霧するかまたは落下させ、好ましくは滴下させると好ましい。
前駆体を小滴の形態で供給する、例えば特に加圧可能な装置、例えばオートクレーブに落下させるかまたは噴霧することにより、ほとんど円形の断面のエアロゲルを合成することが可能である。落下速度、すなわち前駆体ゾルの適用量、または特に混合された前駆体ゾルの装置への供給条件の調節に依存して、ほとんど球状および/または円柱状の粒子も得ることができる。ノズルは、例えば穴のあるノズルまたは毛細管の形態に設計することができ、特に混合された前駆体ゾルはポンプ、特に高圧ポンプにより装置に供給することができる。
【0036】
小滴の大きさはこの場合特に選択されたノズルオリフィスおよび/またはゲル化速度により制御することができ、2mmのノズルを用いるとき、通例0.5~5mmの範囲である。より小さいノズルを選択することにより、ゲル粒径はさらに低減することができる。優先的に、生成する粒子はボール様の形状を含み、その後の方法工程中その形状を保持することができる。
このように、小滴の形態の特に混合されたゾルの特に加圧可能な装置への供給により、さらなる手順中も寸法的に安定なままでいる事実上球状のリオゲル粒子を得ることが可能になる。これによりボール様のエアロゲルが入手可能になり、これは技術水準と比較して改良された機械的特性を含み、より緻密なボール充填物を形成することができ、その結果としてバラ詰めおよび、例えば絶縁プラスターシステムへの組み込みの両方で断熱材としてより適切である。
本発明の特定の実施形態に従って、前駆体ゾルが特に加圧可能な装置に供給される前にプレゲル化されることが規定され得る。プレゲル化またはプレ縮合はより大きい網状組織構造および凝集体が生成するが連続的な空間的網状組織はまだ得られていないことを意味すると理解される。プレゲル化された、特に互いに混合されたゾルはまだ流動性を有し、したがって装置に噴霧または落下させることができる。プレゲル化は、例えば、前駆体ゾルが反応装置に供給されるまでの経路または混合距離を調節することにより達成することができる。プレゲル化の継続時間は前駆体の種類および濃度、pH値および/または形成されるリオゲルまたはエアロゲル粒子の大きさおよび形状、等に依存する。
【0037】
好ましくは本発明に従うpH調整により制御または開始されるゲル化に加えて、前駆体ゾルのゲル化、特にまたプレゲル化もさらに影響されることができ、および/または特にシリカゾルの加水分解および縮合速度が電解質添加物、例えば多価の金属塩、ならびにエタノールおよびアセトンのような変性溶媒により促進することができる。ここで、例えば特にシリカの前駆体の重縮合能は寸法的に安定な三次元の網状組織の形成の際の律速段階を表す。エタノールおよび/または電解質の使用により、前駆体ゾルまたは特にケイ酸および/またはケイ酸ゾルを選択的にゲル化することが可能になることが示されている。66vol%のエタノール含量を有するオルガノゲルはこのようにして合成することができる。これらは高い加水分解および縮合速度ならびに寸法的に安定なオルガノゲル網状組織の生成を特徴とする。
既に述べたように、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)およびオルトケイ酸テトラメチル(TMOS)のような好ましいシリカテトラエチルエステルは、例えばその後の溶媒交換を有意に促進することができる低い含水率のオルガノゲルを生成する可能性を提供する。これらの前駆体ゾルのゲル化速度を加速するために、金属アルコラートの前加水分解を行うことができ、これは酸性および塩基性の両方のpH範囲で行うことができ、ここでは酸性のものの三次元網状組織の構造が好まれる。
【0038】
塩酸のような鉱酸をプレゲル化またはプレ縮合のための触媒として使用することができる。特に、プレ縮合は触媒、例えば有機酸、特に酢酸、塩酸のような無機酸、またはチタンテトラブタノラートのようなLewis酸の使用により促進することができる。
ケイ酸エステルの上流の加水分解は例えばpH9のアンモニアを用いて塩基性のpH範囲で行って下流の加水分解を促進することができる。
3.5~4.5のpH値の酢酸および2.5~3.5の水対オルトケイ酸テトラエチルの化学量論含量でのプレ縮合は数時間以内に前駆体ゾルを生成し、これはpHシフトおよび水の添加によりゲル化することができる。加えて、これらのプレ縮合したオルトケイ酸テトラエチル溶液またはゾルのpHを塩基性の範囲にシフトすることが可能である。
本発明の好ましい実施形態に従って、本発明は、
(a)第1の方法工程において少なくとも2種の前駆体ゾル、好ましくは2種の前駆体ゾルが互いに混合され、ここで第1の前駆体ゾルは酸性のpHまたは塩基性のpHを含み、第2の前駆体ゾルは第1の前駆体ゾルとは異なるpH値を含み、
(b)第1の方法工程(a)に続く第2の方法工程において、互いに混合され、特に混合直後に反応装置に、好ましくは小滴の形態で、より好ましくは液滴として供給され、ここで粒子状のリオゲルが得られる、
既に記載された方法に関する。
【0039】
本発明の方法のこの特定の実施形態に対して、前に述べたすべての利点および詳細ならびに特徴は等しく適用することができる。
本発明との関連で、リオゲルはその生成後熟成されることがさらに規定され得る。リオゲルが熟成されるならば、リオゲルは1分~1時間、特に5~50分、好ましくは10~45分、より好ましくは15~40分の期間熟成されると好ましい。リオゲルの熟成は特にゲル構造を固めて、これらがその後の乾燥プロセスにおいて顕著により安定で抵抗性であるようにする。
好ましくは、リオゲルの熟成はリオゲルの生成が行われる温度で行われる。これに関連して、リオゲルの熟成は50℃、特に60℃、好ましくは70℃、より好ましくは80℃を超える温度で行われると好ましい。ここで本発明に従って、特に良好な結果はリオゲルの熟成が50~150℃、特に60~140℃、好ましくは70~130℃の温度範囲で行われると得られる。
【0040】
熟成プロセスが行われる圧力は広い範囲にわたって変化することができる。しかしながら、本発明との関連でリオゲルの熟成がリオゲルの生成に使用したのと同じ圧力で行われると特に好ましい。
本発明との関連で、通常少なくとも2時間かかるリオゲル、特にヒドロゲルの熟成時間をこのように約30分に低減することが可能である。
本発明の範囲内で、リオゲルを生成した後、特に方法工程(b)の後に、溶媒交換が、特に第3の方法工程(c)において行われることが規定され得る。溶媒交換は特にエアロゲルを形成するためのリオゲルの後の乾燥を容易にするために必要であり得る。
特に、前駆体ゾルに加えられた水は乾燥プロセスにおいて熱エネルギーを加えることによってリオゲルの通常親水性の網状組織、特にSiO2網状組織から除去するのが困難である。これはリオゲルが疎水化されていても真実である。生成された、特に円形の断面を有するリオゲル粒子、特にヒドロゲル粒子はこのように一般に乾燥するのが困難な含水率を有する。しかしながら、最初に使用された前駆体ゾル、特にケイ酸溶液における水低減は加えられる有機溶媒に応じてリオゲル粒子の乾燥速度を顕著に加速することが示されている。代わりにまたは加えて、その後の乾燥プロセスは溶媒、特に水とより揮発性の溶媒との交換を用いて容易にすることができる。
【0041】
したがって、特に、現実の乾燥工程の前に前もって調製されたリオゲル、特にヒドロまたはオルガノゲルの含水率を下げるために、例えば粒子を有機溶媒で覆うことにより、ゲルを溶媒交換に供することが必要であり得る。
これに関連して、リオゲルを液体または気体状の有機溶媒と接触させて溶媒交換を行うと好ましい。
有機溶媒は気体形態で反応チャンバーに供給され、次いでリオゲルの細孔に貯蔵された水または他の有機溶媒と置換することができる。同様に、リオゲルを液体溶媒と接触させ、特にそれに分散させるかまたはそれで覆われ、このように、例えば多数の溶媒による被覆および水および/または有機溶媒の混合物の除去により広範な溶媒交換を達成することも可能である。優先的に、溶媒交換を行う溶媒は乾燥気体、特に二酸化炭素に可溶性である。このようにして、例えば、二酸化炭素を用いてずっと速くより穏やかに超臨界乾燥を実施することが可能である。
本発明との関連で、溶媒交換が特にリオゲルの含水率を、リオゲルに対して30質量%未満、特に20質量%未満、好ましくは15質量%未満、より好ましくは10質量%未満の値に低減するとやはり好ましい。特にリオゲル中の水の割合を下げることにより、超臨界範囲の二酸化炭素による目標志向の穏やかな乾燥が可能になる。
【0042】
本発明の範囲内で、溶媒交換、特にリオゲルの溶媒との接触が大気圧または適度な高圧、特に1~40バールの範囲で行うことが優先的に規定される。驚くべきことに、特に80℃を超える温度で使用された溶媒の蒸気圧の直ぐ上の圧力が溶媒交換を達成するのに既に充分であることが示されている。優先的に、本発明との関連で、液体溶媒または水と有機溶媒の混合物は溶媒交換の間に装置から除去され、または水で汚染された気体相は反応器から少なくとも部分的に除去され、可能な限り完全な溶媒交換を得るために新しい溶媒が気体状態で反応器に供給される。
したがって、本発明との関連で、特に良好な結果は、溶媒交換、特にリオゲルの溶媒との接触が大気圧または適度な高圧で、特に0~40バール、好ましくは0~30バールの範囲の圧力で行われると得られる。これに関連して、さらに、特にリオゲル生成に対しても同様に優先的に規定されるように、溶媒交換が制御された雰囲気下、特にCO2、N2またはAr雰囲気またはこれらの気体の混合物からなる雰囲気下で行われることが十分に証明されている。
【0043】
現在、溶媒交換が行われる温度範囲に関して、溶媒交換が高温で行われることは十分に証明されている。これに関連して、特に良好な結果は溶媒交換、特にリオゲルの溶媒との接触が70℃超、特に80℃超、好ましくは90℃超、より好ましくは100℃超、特に好ましくは110℃超の温度で行われると得られる。高い温度によって、殊に好ましくは加えられた圧力では、驚くべきことに、可能な限り最も迅速で完全な溶媒交換を達成することが可能である。
これに関連して、溶媒交換、特にリオゲルの溶媒との接触が70~180℃、特に80~160℃、好ましくは90~150℃、より好ましくは100~140℃、優先的に110~130℃の範囲の温度で行われることが等しく考えられ得る。
ここで、溶媒交換中に使用される有機溶媒に関する限り、溶媒は親水性の有機溶媒、疎水性の有機溶媒およびこれらの混合物の群から選択されることが十分に証明されている。有機の溶媒が二酸化炭素に可溶性であると本発明との関連で特に好ましい。
本発明との関連で、有機溶媒は有機基を含む溶媒または分散媒と理解されたい。
ここで、有機溶媒に関する限り、有機溶媒はアルコール、エーテル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、C5-C8アルカンおよびこれらの混合物の群から選択されることが十分に証明されている。特に良好な結果は、本発明との関連で、有機溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサンおよびこれらの混合物から選択されると得られる。上述の溶媒は溶媒交換および容易なその後の乾燥を達成することを可能にするばかりではない。溶媒はまたリオゲルを変性試薬と接触させるのにも理想的である。
【0044】
特に、本発明との関連で、有機溶媒が疎水化剤、特にシリル化剤と共にリオゲルと接触させられることも規定され得る。本発明の範囲内で、リオゲルの疎水化、特にシラン処理をやはり溶媒交換中に行って、その後の簡単な乾燥およびヒドロゲルのエアロゲルへの変換を可能にすることがこのように可能である。特に効果的な疎水化、特にシラン処理を達成するために、有機溶媒および疎水化剤をリオゲルと接触させる開始時にリオゲルの含水率が少なくとも50質量%、特に少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%であると有利である。このようにして、迅速な加水分解および疎水化剤、特にシリル化剤の反応性の基の反応が提供される。
ここで、疎水化剤の化学的性質に関する限り、疎水化剤はオルガノシラン、特に、モノオルガノシラン、ジオルガノシラン、トリオルガノシラン、シラザン、シラノール、特に、モノオルガノシラノール、ジオルガノシラノールおよびこれらの混合物から選択されることが十分に証明された。
【0045】
シランが本発明との関連で疎水化剤として使用されるならば、その化学的性質は広い範囲にわたって変化し得る。しかしながら、特に良好な結果は
一般式I
R1nSiR2
4-n (I)
[式中、
n=1~3、特に1または2、好ましくは1;
R1=C1-C30-アルキルおよび/またはC6-C30-アリール、
特にC2-C20-アルキルおよび/またはC6-C20-アリール、
好ましくはC3-C20-アルキルおよび/またはC6-C20-アリール、
より好ましくはC4-C15-アルキルおよび/またはC6-C15-アリール、
さらにより好ましくはC5-C12-アルキルおよび/またはC6-C12-アリール、
特に好ましくはC5-C12-アルキル;
R2=ハライド、特にクロリド、ブロミドおよび/またはヨージド、
OX(X=水素、アルキル、アリール、ポリエーテルおよび/またはカルボン酸誘導体、特にアルキル、好ましくはC1-C8-アルキル、好ましくはC2-C4-アルキル)]
のシランが使用されると得られる。
【0046】
これに関連して特に良好な結果は疎水化剤がオルガノクロロシラン、特にモノオルガノクロロシラン、ジオルガノクロロシラン、トリオルガノクロロシラン、メトキシオルガノシラン、特にトリメトキシオルガノシラン、ジメトキシジオルガノシラン、メトキシトリオルガノシラン、エトキシオルガノシラン、特にトリエトキシオルガノシラン、ジエトキシジオルガノシラン、エトキシトリオルガノシラン、ヘキサメチルデンジシラザン(Hexamethyldenisilazan)、トリメチルシラノール、ジフェニルシランジオール、フェニルトリエトキシシラン、トリメチルイソプロペノキシシランおよびこれらの混合物から選択されると得られる。
このように、好ましくは溶媒交換中に使用される疎水化剤は、特に混合された前駆体ゾルの疎水化またはシラン処理中にも使用される疎水化剤に対応する。本発明との関連で、疎水化剤、特にシリル化剤が両方で前駆体ゾルに加えられ、リオゲル生成後にさらなる疎水化が行われると特に好ましい。
リオゲルを生成した後、特に溶媒交換の一部として、または別の方法工程としての疎水化の結果リオゲルの細孔の疎水化が起こる。溶媒交換中、細孔の疎水化、特に細孔シラン処理はさらなる疎水化剤、特にシラン処理剤を使用して達成することができる。これに関連して、特に、さらなる疎水化剤、例えばヘキサメチルジシラザンの使用は所要の溶媒交換工程をかなり促進することができるということが判明した。上首尾のシラン処理のために、リオゲルの残余の含水率は充分に高く、優先的にリオゲルの質量に対して50質量%超であるべきである。
【0047】
疎水化剤の溶液または分散液、特にシラン処理溶液のpH値は使用される疎水化剤、特にシラン処理剤に応じて変化し得る。トリメチルシラノール、ジフェニルシランジオール、ヘキサメチルジシラザンおよびヘキサメチルジシロキサンならびにその他のシラノールまたはシラノールを生成する物質を用いるとき、8より大きいpH値が有利であることが示されている。既に述べた疎水化剤、特にシリル化剤が加えられた有機溶媒、例えば非極性アルカン(ヘキサン)、非プロトン性溶媒またはアルコール性溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、などはシリル化溶液として使用することができる。リオゲルは疎水化剤を含有する溶液または分散液に浸すかまたはそれに覆われることができ、接触時間は優先的に30分までである。
あるいは、疎水化剤、特にシリル化剤は、有機溶媒で飽和または部分的飽和した圧縮された相、特にCO2、N2および/またはAr雰囲気、好ましくはCO2相中でも使用することができ、ここで相は亜臨界気体相および超臨界相のいずれであることもできる。適切な有機溶媒には非極性溶媒、例えばヘキサン、非プロトン性溶媒、例えばジメチルスルホキシド、またはアルコール性溶媒、例えばエタノールが含まれる。使用される溶媒は圧縮CO2相中の疎水化剤、特にシリル化剤の溶解性を改良することができる。プロセス媒体、すなわち反応雰囲気を形成する上述の気体中の疎水化剤、特にシリル化剤の溶解性が特に圧縮CO2中で充分であれば、有機溶媒の使用は省略することができる。
【0048】
本発明との関連で、溶媒交換はいくつかのプロセス段階で、特に2~15、好ましくは3~10、より好ましくは3~4のプロセス段階で行われると規定され得る。これに関連して、リオゲルは数回有機溶媒と接触させると規定され得る。優先的に、各々のプロセス段階で溶媒と水または交換される溶媒との混合物の少なくとも一部が反応器から除去され、新しい有機溶媒が供給されることが特定される。
本発明との関連で、溶媒交換がリオゲルの含水率を溶媒または分散媒の合計容積に対して20容積%未満、好ましくは15容積%未満、好ましくは10容積%未満に低下すると特に好ましい。
好ましい実施形態によると、溶媒交換は水混和性溶媒、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノールおよびジメチルスルホキシドを用いることにより実施することができる。ここで、球状のリオゲル粒子の残余の含水率は好ましくは下流の乾燥が開始される前に10容積%未満に低減されるべきであることが示される。あるいは、そして等しく好ましいが、このプロセス工程には、充分に予めシラン処理されればリオゲルからその細孔に貯蔵された水に取って代わることができるヘキサン、ペンタンまたはシクロヘキサンのような疎水性の有機溶媒も使用することができる。溶媒交換は優先的に圧縮された二酸化炭素中で行われる。ここで、溶媒は反応装置に計量投入する。驚くべきことに、溶媒が液体形態でゲル粒子と接触しなくても溶媒交換は首尾よく行うことができるということが分かる。むしろ、溶媒が圧縮CO2に溶解し、したがってゲルに侵入し、細孔からの水に取って代われば充分である。
【0049】
本発明の好ましい実施形態に従って、本発明は既に記載したようにエアロゲルを生成する方法であって、
(a)第1の方法工程で、少なくとも2種の前駆体ゾル、好ましくは2種の前駆体ゾルを互いに混合し、ここで第1の前駆体ゾルは酸性のpHまたは塩基性のpHを含み、第2の前駆体ゾルは第1の前駆体ゾルと異なるpH値を含み、
(b)第1の方法工程(a)に続く第2の方法工程で、互いに混合し、特に混合直後に、反応装置に、好ましくは小滴の形態で、より好ましくは液滴として供給して、粒子状のリオゲルが得られ、
(c)第2の方法工程(b)に続く第3の方法工程で、リオゲルの溶媒交換および/または疎水化を行う、
方法に関する。
【0050】
方法工程(c)における溶媒交換は50分以下、特に40分以下、好ましくは30分以下の期間行うことができる。特に、溶媒交換が10~50分、特に20~40分、好ましくは20~30分の期間にわたって行われると本発明との関連で好ましい。
上に記載した本発明の方法の実施形態に対して、上述のすべてのさらなる実施形態、特徴および特別な特徴が適用される。
本発明との関連で、リオゲルは、特にその後の方法工程(d)で溶媒または分散媒を除去することによりエアロゲルに変換されると通常規定される。
これに関連して、リオゲルの溶媒交換および/または疎水化の後、特に方法工程(c)の後、リオゲルはエアロゲルに変換されると規定され得る。本発明との関連で、溶媒除去が高圧で行われると好ましい。
一般に、リオゲルをエアロゲルに変換するために、リオゲルを乾燥媒体、特に乾燥気体または超臨界媒体と接触させると考えられる。好ましくは、乾燥媒体は二酸化炭素である。これに関連して、リオゲルは乾燥媒体、特に乾燥気体または超臨界媒体と連続的または不連続的に接触させられると規定され得る。不連続接触の場合、リオゲルは装置内で予め決められた量の乾燥媒体と予め設定された期間接触させられる。次いで、溶媒で汚染された乾燥媒体が除去され、必要であれば、所望の程度の乾燥が達成されるまで新鮮な乾燥媒体と交換される。連続乾燥としても公知の乾燥媒体によるリオゲルの連続接触の場合、リオゲルは所望の程度の乾燥が達成されるまで装置内で乾燥媒体により一掃されるかまたは貫流される。
【0051】
これに関連して、特に良好な結果は、溶媒の除去が50バール超、特に60バール超、好ましくは80バール超、より好ましくは100バール超の圧力で行われると得られる。同様に、溶媒の除去は50~180バール、特に80~175バール、好ましくは100~170バール、より好ましくは110~165バール、特に好ましくは120~160バールの範囲で行われると考えられ得る。
ここで、溶媒の除去が行われる温度に関して、これは高温で行われることが十分証明された。
通常、溶媒の除去は50℃超、特に55℃超、好ましくは60℃超の温度で行われる。
これに関連して、溶媒の除去は50~160℃、特に70~160℃、好ましくは90~150℃、より好ましくは100~140℃、特に好ましくは110~130℃の温度で行われると等しく提供され得る。
【0052】
上述の圧力および温度で溶媒を除去することにより、特にCO2を用いた超臨界乾燥により、特に迅速にエアロゲルを得ることができる。通例、本発明との関連で、溶媒は10~50分、好ましくは20~30分以内にリオゲルから除去されると考えられる。
本発明の主題は好ましくは。既に記載されたエアロゲルを生成する方法であって、
(a)第1の方法工程で、少なくとも2種の前駆体ゾル、好ましくは2種の前駆体ゾルを互いに混合し、ここで第1の前駆体ゾルは酸性のpHまたは塩基性のpHを含み、第2の前駆体ゾルが第1の前駆体ゾルとは異なるpH値を含み、
(b)第1の方法工程(a)に続く第2の方法工程で、互いに混合し、特に混合直後に、反応装置に、好ましくは小滴の形態で、より好ましくは液滴として供給して、粒子状のリオゲルが得られ、
(c)第2の方法工程(b)に続く第3の方法工程で、リオゲルの溶媒交換および/または疎水化が行われ、
(d)第3の方法工程(c)に続く第4の方法工程で、溶媒または分散媒の除去を用いてリオゲルをエアロゲルに変換する、
方法である。
【0053】
本発明のこの特定の好ましい実施形態に関して、すべての既に述べたプロセスの特徴および実施形態、特に利点および特別な特徴も無制限に読まれることができる。
ここで、既に記載した方法の合計の継続時間が関する限り、本発明の方法は通常方法工程(c)の実現を含めて方法工程(a)~(d)にわたって1~2時間、好ましくは1~1.5時間の期間の合計の継続時間で行われる。
これに関連して、本発明の方法はワンポット合成またはプロセスとして、すなわちオートクレーブで実施することができる。しかしながら、同様に、個々の工程を多数の連続的に接続された装置、特にオートクレーブで行うことも可能である。本発明の方法は特に混合された前駆体ゾルが特別な雰囲気、特にCO2雰囲気下、場合により高圧で反応装置に供給されたときから実施することができる。しかし、少なくともリオゲル形成は低い圧力、好ましくは大気圧で行うと好ましい。
優先的に、粒子の乾燥は超臨界CO2中で行われる。得られた0.5~5mmの大きさの球状のゲル粒子の乾燥時間はリオゲルの疎水化を伴う本発明の方法により10~60分に低下することができる。
【0054】
特に、圧縮された二酸化炭素を乾燥媒体として供給することにより、気体流を標的とするオルガノゲルの連続的な乾燥に使用することができ、単一段階の、すなわち反応容器または反応器でのエアロゲル粒子生成を確保することができる。
球状の粒子形状および0.5~5mmの典型的な粒子直径のために、超臨界乾燥は120バールの圧力および60~120℃の温度において30分以下の時間ウィンドウで行うことができる。
単一の図は、本発明の方法を実施するための本発明の装置の断面を示す。
本発明の第2の態様による本発明のさらなる主題は、特に既に記載された方法に従って得ることができるエアロゲルであり、ここでエアロゲルは特に実質的に円形の断面を有する粒子の形態である。
既に記載されたように、本発明のエアロゲルは特に円形の断面を特徴とし、これは一方で機械的な荷重負担能力を有意に増大し、他方で密な球充填物を生成する能力を有意に増大する。
本発明との関連で、通常、エアロゲル粒子は球状または円柱状であると規定される。
【0055】
その形状のため、本発明のエアロゲルは処理の際に利点を提供する。例えば、球状のエアロゲルはずっと容易に粉末混合物に混合される。形のないまたは立方体の粒子をベースにする従来のエアロゲル粉末と比較して改良されたその流動性、一軸圧縮荷重下でのより高い強度およびより高い充填密度に起因して、本発明の好ましくは球状のエアロゲルは断熱プラスターのような粉末ブレンドまたは粉末混合物に優先的に使用することができる。
エアロゲル粒子の粒径に関する限り、これらは当然広い範囲にわたって変化することができる。しかしながら、エアロゲルが0.1~10mm、特に0.2~8mm、好ましくは0.3~7mm、より好ましくは0.5~5mmの範囲の粒径を含むことは十分に証明されている。粒径の決定のためには、篩を用いて、また1mm未満の範囲のより小さい粒子の場合は光学顕微鏡検査を用いて粒子を分析するのが特に適している。
同様に、本発明の範囲内で、エアロゲル粒子は単分散の粒径分布を含むと規定され得る。
しかしながら、本発明の範囲内で、エアロゲル粒子が多分散の粒径分布を含むことも可能である。特に、粒径分布は反応器への噴霧または落下の条件を変えるより選択的に制御することができる。
本発明によるエアロゲル粒子は非常に多孔質の固体である。通例、エアロゲルは90%を超え、特に91%を超え、好ましくは93%を超える多孔性を含む。
【0056】
同様に、エアロゲルが90~96%、特に91~95%、好ましくは93~94%の多孔性を含むことが考えられ得る。本発明のエアロゲルの多孔性は好ましくは水銀ポロシメトリーを用いて決定する。
また、本発明のエアロゲルは高い内部表面積を含む。したがって、エアロゲルは少なくとも500m2/g、特に600m2/g、好ましくは650m2/g、より好ましくは700m2/g、特に好ましくは800m2/gのBET表面積を含むと規定され得る。
同様に、エアロゲルは500~1,000m2/g、特に600~1,050m2/g、好ましくは650~1,000m2/g、より好ましくは700~950m2/g、特に好ましくは800~900m2/gの範囲のBET表面積を含むと規定され得る。BET表面積を決定または計算するために、エアロゲル粒子の窒素吸着を調べ、これに関する結果をBET計算に用いた。
ここで、エアロゲルの熱伝導率に関する限り、広い範囲で変化することができる。しかしながら、通常、本発明との関連で、エアロゲルは非常に低い熱伝導率を含む。特に良好な結果は、エアロゲルが最大でも0.025W/mK、特に最大でも0.022W/mK、好ましくは0.020W/mK、より好ましくは0.019W/mKの熱伝導率を含むと得られる。
【0057】
通例、エアロゲルは0.012~0.025W/mK、特に0.013~0.022W/mK、好ましくは0.014~0.020W/mK、より好ましくは0.015~0.019W/mKの範囲の熱伝導率を含む。
また、本発明との関連で、エアロゲルは0.01~0.60g/cm3、特に0.11~0.55g/cm3、好ましくは0.12~0.50g/cm3、より好ましくは0.13~0.50g/cm3の範囲の密度を含むと規定され得る。熱伝導率の決定には、0.005W/m*K以下の感度を有するHot Diskタイプの”C3 Prozess und Analysetechnik”-GmbHの機器が好ましく使用される。
本発明のエアロゲルに関するさらなる詳細については、本発明のエアロゲルに適用される、本発明の方法に関する上の説明を参照することができる。
本発明の第3の態様による本発明のさらなる主題は上記エアロゲルの絶縁目的、特に遮音、電気絶縁または断熱、特に断熱の目的のための使用である。
本発明の使用に関するさらなる詳細については、本発明の使用に対して本発明に従って適用される本発明のさらなる態様に関する説明を参照することができる。
【0058】
さらに、本発明の第4の態様による本発明のさらなる主題は既に記載されたエアロゲルの絶縁目的のための、特に断熱材料として、もしくは断熱材料における使用である。
これに関連して、エアロゲルはバラ詰め、粉末混合物または絶縁用組成物、例えば絶縁プラスターに使用されると考えられ得る。
本発明の使用に関するさらなる詳細については、本発明の使用に適用される本発明のさらなる態様に関する上の説明を参照することができる。
本発明の第5の態様による本発明のさらにもう1つ別の主題は、エアロゲルを生成するする装置であって、
(a)少なくとも1つの反応器、
(b)反応器に配置された、流体、特に液体を反応器に供給するための少なくとも1つの入口開口部、特にノズル、
(c)特に混合装置を介して入口開口部に接続された少なくとも2つのフィード、および
(d)反応器に配置された、液体または固体を反応器から除去するための少なくとも1つの出口開口部、特に水門
を含む、装置である。
【0059】
本発明の範囲内で、特に、特に例えば混合セクションの形態の混合装置を介して入口開口部に接続された少なくとも2つのフィードを介して、リオゲルを生成するための少なくとも2種の前駆体ゾル、好ましくは2種の前駆体ゾルが、最初に、特に互いに別々に計量され、次いで混合装置内で互いに混合され、その直後、特に混合された前駆体ゾルが反応器に供給され、特に噴霧または落下されると規定されることができる。
優先的に、反応器は、流体、特に液体を供給するための、1つだけでなくいくつかの入口開口部、すなわち特に混合された前駆体ゾルを反応器に供給するための少なくとも1つのノズルおよびさらに溶媒を、特に液体および/または気体形態で供給するための少なくとも1つのノズルを含む。
反応器の出口開口部は優先的に、リオゲルまたはエアロゲルを反応器から迅速に除去することを可能にし、または汚染された溶媒を覆った後反応器から流し出すことにより多数の溶媒交換も確実にするように水門の形態で構成される。
優先的に、反応器は特に1~40バール、好ましくは1~30バール、より好ましくは1~20バールの圧力範囲で加圧することができるとも規定される。
【0060】
本発明の好ましい実施形態に従って、装置は反応器に配置された、気体を反応器へ供給しおよび/または反応器から除去するための少なくとも1つの入口および/または出口開口部を含むと規定される。
優先的に、反応器内の圧力は特に気体相および/または超臨界相中の物質の量、および/または温度により調節される。例えば、圧力調整は気体が反応器へ供給され、または反応器から除去されるように行われ得る。
また、本発明との関連で、通常、装置は温度調整のためのデバイスを含むと規定される。温度調整はまた反応器内、したがって全体として装置内のプロセスに特に影響を及ぼし制御するためにも使用することができる。特に、反応器を加熱または冷却することが可能である。
また、優先的に、装置はpH値を測定するための少なくとも1つのデバイス、特に少なくとも2つのデバイスを含むと規定される。pH値を測定するためのデバイスはフィードライン、混合装置および/または反応器に配置することができる。特に、pH値を測定するためのデバイスがフィードおよび/または混合装置に配置されることは十分に証明されている。また、特に、pH値測定のためのデバイスは、前駆体ゾルのpH値が個別におよび/または前駆体ゾルの混合後、特に連続的に測定されるように配置されると有利であることが証明され、好ましくはここで前駆体ゾルの計量は測定されたpH値の関数として、および/または好ましくは互いに混合された前駆体ゾルに対して予め決定された標的pH値と一致して行われる。
【0061】
これに関連して、さらに優先的に、装置は前駆体ゾルを計量するための少なくとも1つ、特に2つのデバイスを含むと規定される。好ましくは、前駆体ゾルを計量するためのデバイスはポンプである。特に、前駆体ゾルを計量するためのデバイスは特に互いに混合された前駆体ゾルのpH値の関数として調節することができることが十分に証明される。
通常、装置はこのために、特に反応器および/または入口開口部または混合セクションの圧力、pH値および/または温度を制御または調節するための制御または調節デバイスを有する。
本発明の装置は1つの反応器を含むことができるが、またはいくつかの反応器、特に連続した反応器および/または互いに接続された反応器を含むことができ、ここで本発明の方法の個々の方法工程は各々別の反応器で行われるようになっている。このようにして、連続的なエアロゲル生成を行うことができる。
本発明の装置に関するさらなる詳細については、本発明の装置に対して適切に適用される本発明のさらなる態様に関する上の説明を参照することができる。
最後に、本発明の第6の態様による本発明のさらなる主題は、ゾル-ゲルプロセスを用いてリオゲルを生成する方法であり、リオゲルを生成するために少なくとも2種の前駆体ゾル、好ましくは2種の前駆体ゾルを互いに混合するが、ここで第1の前駆体ゾルは酸性のpHまたは塩基性のpHを含み、第2の前駆体ゾルは第1の前駆体ゾルと異なるpH値を含む。
【0062】
リオゲルの生成することに関して、リオゲルに関してエアロゲルを生成する方法において既に述べたすべての利点、特徴および実施形態は適切に適用される。
本発明のリオゲルを生成する方法に関するさらなる詳細については、本発明のリオゲルを生成する方法に対して適切に適用される本発明のさらなる態様に関する上の説明を参照することができる。
以下、本発明の主題を、非限定的にならびに例として、単一の図表示および実施形態を例示的かつ非限定的に参照して、例示する。
図は本発明の方法を実施するための装置1の断面を示す。装置1はリオゲルまたはエアロゲルの生成が起こる反応器2を含む。
本発明の方法を実施するためには、好ましくは2種の前駆体ゾル3および4が互いに混合され、ここで第1の前駆体ゾルは酸性のpHまたは塩基性のpHを含み、第2の前駆体ゾルは第1の前駆体ゾルとは異なるpH値を含む。特に、これに関連して、2種の前駆体ゾル3および4の一方、特に第1の前駆体ゾル3が酸性のpHを含み、他の前駆体ゾル、特に第2の前駆体ゾルが塩基性のpHを含むと好ましい。したがって、特に、前駆体ゾル3および4が互いに別々に提供されることがさらに規定される。本発明に従って好ましく使用される前駆体は特に、ケイ酸、ケイ酸ゾルまたはシラン加水分解物の、好ましくは少なくとも部分的な水溶液である。
【0063】
本発明の好ましい実施形態において、酸調節された前駆体ゾル3はpH0~6、特にpH1~4、好ましくはpH1.5~2.5の範囲のpH値を含み、一方塩基性に調節された前駆体ゾル4はpH7~13、特にpH8~12、好ましくはpH9~11の範囲のpH値を含む。
前駆体ゾル3および4は供給系、特に2つのフィード5を介して互いに連続的に混合される。ここで、フィード5はバルブ6を介して調節するかまたは開くことができる。また、計量デバイス7によって、特にポンプによって、リオゲルの生成または形成のために互いに混合される前駆体ゾル3および4のフィードまたは量は制御するかまたは特に計量することができる。
【0064】
本発明のさらに好ましい実施形態において、前駆体フィードの計量は、特に混合された前駆体ゾル3および4のpH値の関数として行われる。この点において、本発明に従って、混合された前駆体ゾル3および4がpH4.5~9.5、特にpH5~pH9、好ましくはpH5.3~8.5の範囲のpH値を含むことは十分証明されている。リオゲル生成の特に良好な結果、特に、特に正確な制御ならびに調整は、本発明の範囲内で、混合された前駆体ゾル3および4が、特にpH4.5~6.8、好ましくはpH5~6.5の範囲の弱酸性のpH、または特にpH7.5~9.5、好ましくはpH7.8~9の範囲の弱塩基性のpHを含むと達成することができる。この点において、本発明の方法にとって、特に最後に得られるエアロゲル内に生成されるエアロゲル特性に関して、混合された前駆体ゾル3および4が上述の範囲の弱酸性のpH値を含むとさらにより好ましい。
本発明に従って、装置1は好ましくは混合装置8を含む。図表示で、混合装置は、特に静的混合要素9を含有する混合セクションの形態で代表的に表されている。混合装置は好ましくは例えば特にノズルの形態の入口開口部に合体するかまたは含む。これに関連して、混合装置はノズルであり、すなわち前駆体ゾル3および4は反応器2に供給される直前にノズル内で混合されることが可能である。しかしながら、混合された前駆体ゾル3および4が一定の時間混合装置8内に残存して前駆体ゾル3および4の完全な混合が確保され、必要であれば所望のプレゲル化が始まると好ましい。混合装置8の特定の混合パラメーターは特に混合装置8の幾何学、前駆体ゾル3および4の化学的および物理的性質、ならびに生成されるエアロゲル粒子の形状および性質に依存する。
【0065】
好ましくは、フィード5はまた、Tピースを介して混合装置8に接続することもできる。互いに別々に、特に連続的に提供され別々に計量される前駆体ゾル3および4の混合は混合装置8で行われ、ここでは一体化された混合要素9を用いて優先的に均質で均一な混合を達成することができる。前駆体ゾル3および4の混合直後に、ゲル形成ならびに、前駆体ゾル3および4の入口開口部10、特にノズルを介した反応器2への、好ましくは液滴としての供給、好ましくは注入が同時に起こる。ここで、入口開口部10、特にノズルの幾何学から出発して、特に、形成されるリオゲル粒子の形状または幾何学を制御することも可能である。
混合された前駆体溶液に対して特に予め規定されたpH値の関数として混合装置8に計量投入した前駆体ゾル3および4のそれぞれの量に応じて、リオゲル生成は混合装置8ならびに静的混合要素9の通過により、好ましくは60秒未満、特に30秒未満、好ましくは20秒未満、および0.1秒超、特に0.5秒超、好ましくは1秒超の期間内に始まる。これに関連して、標的とされたpH値調節ならびに混合装置8内における前駆体溶液3および4の均一でかつ制御された均質な混合に基づいて、均一な粒度分布、また明確に調節可能な大きさの特に球状のリオゲル粒子11を確実にprocess-safeに得ることができるということが特に決定的である。
【0066】
本発明との関連で、さらに好ましくは、リオゲル11の生成は40バール未満、特に30バール未満、好ましくは20バール未満、より好ましくは大気圧、すなわち約1バールの圧力、および50℃、特に60℃、好ましくは70℃、より好ましくは80℃を超える温度で行われることが規定される。加えて、制御された気体雰囲気、特にCO2、N2もしくはAr雰囲気またはこれらの気体の混合物からなる雰囲気が反応器2に提供されると有利であることが証明した。
形成されたリオゲル粒子11は反応器2の底に集まる。しかし、特に球状の形状が特に損なわれないで得られる。リオゲル粒子11はここで反応器2から取り出すことができるか、または反応器中でさらに処理することができる。優先的に、リオゲル11の生成後、溶媒交換が適切な有機溶媒ならびに疎水化剤、特にシリル化剤を用いてリオゲル11の同時の疎水化と共に行われる。
溶媒および疎水化剤はそれぞれ入口開口部12および13を介して反応器2に供給される。ここで、有機溶媒がCO2に可溶性であって超臨界乾燥をCO2で取り囲むのを可能にすると好ましい。したがって特にCO2のような気体もまた入口開口部12または13を介して反応器に供給され、必要であれば再び除去されることができる。溶媒交換が起こった後、リオゲル11が、特に最初に出口開口部14を通って溶媒を流し出し、次いでCO2を用いたリオゲルの超臨界乾燥を実施することにより乾燥されてエアロゲルが得られる。
最後に、本発明の方法を実施するための本発明の装置1の制御または調整に関して、装置1が測定デバイス15を含むと好ましく、特にこれらは好ましくは圧力、温度および/またはpHを測定するのに適している。
以下実施例によって本発明の主題を非限定的に説明する:
【実施例】
【0067】
シリカエアロゲルが前駆体としてのケイ酸から本発明の方法を用いて生成され、得られたエアロゲル粒子の特性が検討される:
1.エアロゲルを生成する
酸性の前駆体ゾルを生成する:
酸調節された前駆体ゾルを生成するために、ケイ酸がケイ酸ナトリウムからプロトンに対するイオン交換を用いて調製される。固形分が5~10質量%、好ましくは7~8質量%に調節される。
このように生成されたケイ酸は1.8~2.4、好ましくは2.0のpHを含む。ケイ酸の保管のために、HClを用いて1~1.5のpHに安定化されることができる。
【0068】
塩基性の前駆体ゾルを生成する:
塩基性の前駆体ゾルを生成するために、ケイ酸が再び最初にイオン交換を用いてケイ酸ナトリウムから生成される。固形分は5~10質量%、好ましくは7~8質量%に調節される。
使用の数分前NH3(およそ25%、およそ4.5g/100g溶液)を用いることによりケイ酸のpHが9~11、好ましくは10.5のpHに調節される。水性NH3溶液の非常に迅速な添加および非常に迅速な混合が即座のゲル化を防ぐために必須である。
アンモニア添加は100gのケイ酸溶液当たり7.0mlのアンモニア25質量%である。かかる溶液の保管時間は通常数時間のみ、優先的に最大2時間である。
あるいは、市販のシリカゾルが塩基性の溶液として使用されることができる。例えば、固形分30質量%およびpH約10のLudox SM、もしくはより低いナトリウム含量を含むLUDOX AS-40、またはこれらの混合物が適切である。
【0069】
リオゲル生成のための前駆体ゾルの混合比:
次の表は、上の前駆体ゾルがリオゲルを生成するために本発明の方法に使用される混合比を示す。
【表1】
【0070】
リオゲルおよびエアロゲルの形成手順
上に記載したように調製されたケイ酸溶液を、本発明の装置で、優先的にTピースを用いた2物質フィードおよび続いてチューブインサートの形態の静的ミキサーを介して、2つのポンプを用いて混合する。特に、例えば「Kenics」デザインによる、例えば直径:長さ比が1:5の低粘度系用のモデルは静的ミキサーとして適している。優先的に、ゲル化は2つの溶液の混合の際即時に起きる結果、混合された前駆体溶液を短いゲル化時間に中性範囲に近い得られるpH値で滴下させることができる。形成されるリオゲル粒子、特にヒドロゲル粒子は優先的に球状粒子の形態で装置の底に集まる。
リオゲルまたは特にヒドロゲル中に存在する水はエアロゲルへの変換のための乾燥プロセスを妨げるので、適切な、特にCO2-可溶性の溶媒、例えばエタノールと優先的に交換される。このために、溶媒交換は好ましくは約1~30バールの圧力および30℃~150℃の温度で行われる。本発明に従って反応装置、特にオートクレーブ内に貯蔵されるゲルは液体形態の溶媒、例えばエタノールで覆われる。このために、オートクレーブは特に溶媒の沸騰を防ぐために加圧される。ここでエタノールの場合5.6バールの蒸気圧が130℃であるので、10バールの加圧が適切である。
【0071】
また、リオゲルの疎水化も溶媒交換の一部として行うことができる。このために、ゲルをエタノールとヘキサメチルジシラザン(HDMZ)の液体混合物で覆う。ここで、HDMZの同時添加がゲルの疎水化を起こす。あるいは、エタノールで飽和した気体相とゲルとの排他的な接触も充分な溶媒交換を起こすことができる。
30分の滞留時間の後、液体エタノールを容器から流し出す。次いでエタノールを容器に加えることによりさらなる洗浄サイクルを実施することができ、この目的はゲルの含水率を10容積%未満にすることである。この場合、エタノール相は20分毎に交換される。最初の溶媒交換をゲルが液体エタノール相で覆われるように行うと特に有利であることが証明された。
溶媒交換の終了後、特にゲルが5質量%未満の水を含有すれば、ゲル粒子を超臨界的に乾燥することができる。このために、圧縮二酸化炭素が乾燥流体として供給され、ここで気体の流れをオルガノゲルの標的とする連続的な乾燥に使用することができ、単一段階のエアロゲル粒子生成を確保することができる。球状の粒子形状および1~6mmの典型的な粒子直径に基づき、超臨界乾燥は10~60分の時間ウィンドウ、120~160バールの範囲の圧力および60~120℃の範囲の温度で行うことができる。
【0072】
2.エアロゲルの特性評価
本発明に従って得られるエアロゲルの特性評価は以下に記載するように行われる:
粒径:
篩分析法を使用して、本発明に従って得られるエアロゲル粒子の大きさを決定する。1mm未満の範囲の大きさのより小さい粒子はさらに光学顕微鏡検査により測定する。
粒径分析は本発明のエアロゲル粒子が0.1~10mm、特に0.2~8mm、好ましくは0.3~7mmの範囲の粒径を含むことを示している。
熱伝導率:
熱伝導率を決定するために、0.005W/m*K以下の感度を有するHot DiskタイプのC3 Prozess und Analysetechnik GmbHからの機器を使用する。ここでHot Diskセンサーは熱源としておよび測定中の温度上昇を測定するための両方の役に立つニッケル二重らせんからなる。
本発明のエアロゲルについて、0.012~0.025W/mK、特に0.013~0.022W/mK、好ましくは0.014~0.020W/mKの範囲の熱伝導率が測定される。
【0073】
細孔容積および密度:
密度および細孔容積を決定するために、水銀ポロシメトリーを用いて研究を実施した。ここで、試料は400MPa以下の圧力に付されるが、この圧力は試料を破壊するが、それによって内部の細孔容積の完全な検出も可能にする。
商業的に得られる、亜臨界乾燥され疎水化されたエアロゲルEnova P300(Cabot Corporation、データシートによる平均密度 およそ150kg/m3)およびエアロゲルEnova 3110(Cabot Corporation)が参照として役に立つ。
本発明のエアロゲル粒子の密度は水銀ポロシメトリーの結果により0.01~0.60g/cm3、特に0.11~0.55g/cm3、好ましくは0.12~0.50g/cm3の範囲である。
【0074】
多孔性、BET表面積および平均細孔半径:
本発明のエアロゲルの多孔性、BET表面積および平均細孔半径を決定するために、BET法を用いてエアロゲルの窒素吸着を測定および/または決定した。このために、測定は一般にDIN ISO 9277:2003-05(「Determination of the specific surface area of solids by gas adsorption using the BET method」)に従って行われる。
上述の方法に従って、本発明のエアロゲルについて94~99.5%、特に95~99%、好ましくは96~98%の多孔性の値が得られる。また、エアロゲルは500~1,000m2/g、特に600~1,050m2/g、好ましくは650~1,000m2/gの範囲のBET表面積を含む。
【符号の説明】
【0075】
1 装置
2 反応器
3 前駆体ゾル
4 前駆体ゾル
5 フィード
6 バルブ
7 計量デバイス
8 混合装置
9 静的混合要素
10 入口開口部
11 リオゲル粒子
12 入口開口部
13 入口開口部
14 出口開口部
15 測定デバイス
【国際調査報告】