(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】粒子状材料を粉砕する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B02C 15/00 20060101AFI20230612BHJP
B02C 15/14 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B02C15/00
B02C15/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566466
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2021053599
(87)【国際公開番号】W WO2021220227
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522423983
【氏名又は名称】フィデテクノロジー エルディーエイ
【氏名又は名称原語表記】FIDETECHNOLOGY LDA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アンデルス フォウナー
(72)【発明者】
【氏名】マズ ジェスペルセン
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063EE03
4D063EE07
4D063EE12
4D063GA06
4D063GA07
4D063GA08
4D063GC02
4D063GD02
4D063GD15
(57)【要約】
粒子状材料を粉砕する装置及び方法は、粉砕台及び回転軸を有する粉砕ローラーを含む垂直ローラーミルと、前記粒子状材料を前記垂直ローラーミルへ供給する供給部を備える。前記粉砕台と前記粉砕ローラーの各々は、粉砕表面を有し、該粉砕表面間で粉砕領域を画定するように配置される。前記粉砕ローラーは、前記粉砕台上の粉砕経路の周りで回転するように配置される。前記供給部は、前記粒子状材料の供給を受け、かつ、前記垂直ローラーミルの前記粉砕領域へ前記材料の流れを導くように配置される。前記供給部は、前記材料流を所定の断面積に実質的に制限し、前記材料流に運動量を加える及び/若しくは前記材料の流れを押し出すことにより前記材料を導き、又は、前記材料を導く前に前記材料の流れを圧縮する、又はこれらの結合を行うように配置される。特に本開示は、コーティング、製薬、及びセメント原材料用の粒子状材料-たとえば原鉱石、工業鉱物、及び化学物質、砂、鉱滓、灰、土、顔料-の粉砕に適用可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状材料を粉砕するための装置であって、
粉砕台及び回転軸を有する粉砕ローラーを含む、前記粒子状材料を粉砕する垂直ローラーミルと、
前記粒子状材料を前記垂直ローラーミルに供給する供給部、
を備え、
前記台及び前記ローラーの各々は粉砕面を有し、前記粉砕ローラーの粉砕面と前記粉砕台の粉砕面との間に粉砕領域を画定するように配置され、
前記粉砕ローラーは、前記粉砕台上の粉砕経路上で前記粒子状材料上を転がるように配置され、
前記供給部は、前記粒子状材料を受け、特に前記粉砕ローラーの軸に対して前記粉砕ローラーの粉砕表面の接線速度の速度の少なくとも0.3倍、又は少なくとも0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、2.0、3.0若しくは4.0倍の速度で、前記材料の材料流を前記垂直ローラーミルの前記粉砕領域へ導くように配置される、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記供給部は、前記粉砕ローラーの軸に対して、前記粉砕領域における前記粉砕ローラーの前記接線速度と実質的に同じ速度で、前記粉砕領域に前記材料流を導くように配置される、装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、前記供給部は、前記粉砕領域に導かれる前記材料流を、所定の断面に実質的に拘束するように配置される、装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の装置であって、前記供給部は、前記材料に運動量を与えるか、前記材料を押すか、又は前記材料に運動量を与えて押すことによって、前記材料流を前記粉砕領域へ導くように配置される、装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の装置であって、前記供給部は、前記材料を前記粉砕領域へ導く前に、前記材料流を圧縮するように配置される。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の装置であって、前記供給部は、前記材料流を前記粉砕経路に対して実質的に接する角度で前記粉砕領域へ導くように配置される、装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の装置であって、前記供給部は、前記材料流に隣接して実質的に平行であるか、又は前記材料流に隣接して接する案内トレイを含み、
特に前記案内トレイは湾曲したトレイである、
装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の装置であって、
前記供給部は、前記粉砕台の粉砕面によって画定される平面に対してある角度で前記材料の流れを前記粉砕領域へ導くように配置され、
前記角度は、0°以上30°以下、特に0°以上15°以下、更に特に0°以上10°以下、特に0°以上5°以下である、
装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の装置であって、前記供給部は、少なくとも2つの滑車と、該2つの滑車の周りに延びる1つのベルトとを含む少なくとも1つのベルトコンベアを備える、装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の装置であって、
前記供給部は前記ベルトの2つの区域を含み、
前記ベルトの2つの区域は、前記粒子状材料に関して互いに反対側に配置されることで前記粒子状材料を前記ベルトの2つの区域の間に拘束する、
装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の装置であって、
前記ベルトの2つの対向する区域は、前記粒子状材料を受け入れるための開口を有する漏斗を形成し、
前記漏斗は、該漏斗を形成する前記ベルトの区域間に少なくとも0.5、1、5、10、15、20、25、30、40、50、60又は70°の開口角を有する、
装置。
【請求項12】
請求項9~11のいずれかに記載の装置であって、前記供給部は、2つの滑車間で前記ベルトの第1区域を第2区域に向けて偏向させて、前記第1区域に湾曲した形状を付与する少なくとも1つの偏向ドラムを含む、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記偏向ドラムは周面に複数の孔を含み、
特に孔は非貫通孔である、
装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置であって、前記偏向ドラムは、前記ベルトに係合する複数の離間した輪を含む、装置。
【請求項15】
請求項12に記載の装置であって、前記偏向ドラムは複数の突起を含む、装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載の装置であって、前記供給部は、回転する螺旋状スクリュー羽根を含む少なくとも1つのスクリューコンベヤを備える、装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかに記載の装置であって、前記供給部は、パイプ、滑降斜面路、又はプレートのような少なくとも1つの静止重力供給部を含む、装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかに記載の装置であって、前記供給部は、結合された材料流を形成し、前記材料流を前記垂直ローラーミルの前記粉砕領域へ導くように結合して配置された複数の供給部のアレイを含む、装置。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかに記載の装置であって、前記垂直ローラーミルの前記粉砕台及び粉砕ローラーは、独立したモータによって駆動される、装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載の装置であって、
前記供給部、前記粉砕ローラー、又は前記粉砕台の1つ以上の部材は、他の部材から独立して動作できる独立駆動機構を備え、
前記他の部材から独立して動作できるとは、前記供給部が前記垂直ローラーミルの台から独立して動作可能であるか、前記垂直ミルローラーが前記垂直ミルの台から独立して動作可能であるか、あるいは前記供給部、前記ミルの台、及び前記ローラーが独立して動作可能なことを含む、
装置。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかに記載の装置であって、1つ以上の追加の粉砕ローラーを備え、
前記1つ以上の追加の粉砕ローラーの各々は回転軸と粉砕面を有し、前記粉砕ローラーの粉砕面と前記粉砕台の粉砕面との間でそれぞれの粉砕領域を画定するように配置され、
前記1つ以上の追加の粉砕ローラーは、前記粉砕台上の1つ以上の追加の粉砕経路上の前記粒子状材料上で転がるように配置される、
装置。
【請求項22】
請求項1~21のいずれかに記載の装置であって、前記粒子状材料を前記垂直ローラーミルに供給するための1つ以上の追加の供給部を備え、
前記1つ以上の追加の供給部はそれぞれ、前記粒子状材料の供給を受け、前記材料の材料流を一の粉砕ローラーのそれぞれの粉砕領域に導くように配置される、
装置。
【請求項23】
請求項1~22のいずれかに記載の装置であって、前記垂直ローラーミルの前記粉砕台と粉砕ローラーは、所定の調節可能な距離での回転を除いて、運転中に互いに対して固定され、それによって固定粉砕領域が形成される、装置。
【請求項24】
請求項1~23のいずれかに記載の装置であって、前記垂直ローラーミルは、前記粉砕台から軸方向に離れて前記粉砕台の粉砕面を越えて延び、前記粉砕台の回転軸と実質的に同心で、前記粉砕台の粉砕面の内径の0.8~1.0倍に等しい外径を有する内側粉砕領域支持装置をさらに含む、装置。
【請求項25】
請求項1~24のいずれかに記載の装置であって、
前記垂直ローラーミルは、前記粉砕ローラーの粉砕面を越えて半径方向に延びる少なくとも1つの外側粉砕領域支持装置を含み、
前記少なくとも1つの外側粉砕領域支持装置は、前記粉砕台に対向する表面を有し、
前記表面は粉砕台回転軸から軸方向に、前記粉砕台の粉砕面と一致する面内で測定されて、前記粉砕台の回転軸に垂直な前記粉砕台の粉砕面の外径の1.0~1.1倍離れた距離に位置し、それにより前記粉砕台に面する外側粉砕領域支持装置の表面が粉砕領域内の材料流のための側面支持を提供することで、材料の側面での流出を減少させる、
装置。
【請求項26】
請求項1~17のいずれかに記載の装置であって、前記粉砕ローラーの粉砕面に少なくとも2m/s又は少なくとも4、6、8、10、12、14、16、19、22又は25m/sの接線速度を与える速さで動作可能であるように構成される、装置。
【請求項27】
請求項1~26のいずれかに記載の装置であって、前記粒子状材料は、鉱業鉱石、工業用鉱物及び化学物質、砂、スラグ、灰、粘土、コーティング用顔料、医薬品及びセメント原材料から選択される、装置。
【請求項28】
粒子状材料を粉砕する方法であって、
粒子状材料の供給を受ける段階と、
前記粒子状材料の材料流を形成する段階と、
供給部を用いて前記粒子状材料の材料流を垂直ローラーミルの粉砕領域へ導く段階であって、前記垂直ローラーミルは、粉砕台と、回転軸を有する粉砕ローラーとを備え、前記粉砕台及び前記ローラーの各々は粉砕面を有し、前記粉砕ローラーの粉砕面と前記粉砕台の粉砕面との間に前記粉砕領域を画定するように配置され、前記粉砕ローラーは前記粉砕台上の粉砕経路上で前記粒子状材料上を転がるように配置され、特に前記材料流は前記粉砕ローラーの軸に対して前記粉砕ローラーの粉砕表面の接線速度の速度の少なくとも0.3倍、又は少なくとも0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、2.0、3.0若しくは4.0倍の速度で導かれる、段階と、
前記垂直ローラーミル内で前記粒子状材料を粉砕する段階と、
を有する方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記供給部によって前記粉砕ローラーの軸に対して、前記粉砕領域における前記粉砕ローラーの前記接線速度と実質的に同じ速度で、前記粉砕領域に前記材料流を導く段階を有する、方法。
【請求項30】
請求項28又は29に記載の方法であって、前記粒子状材料を、実質的に真っ直ぐな方向に、すなわち重力によって引き起こされる以外には前記供給部と前記粉砕領域との間で実質的に方向を変化させることなしに、前記垂直ローラーミルの前記粉砕領域へ導く段階をさらに有する、方法。
【請求項31】
請求項28~30のいずれかに記載の方法であって、遠心力を加えて方向変化を与えることによって、前記材料流を圧縮する段階を有する、方法。
【請求項32】
請求項28~31のいずれかに記載の方法であって、前記粒子状材料を、前記ローラー軸に対して、前記粉砕ローラーの粉砕面の接線速度の少なくとも0.6倍の速度で、又は、前記粉砕台に対する前記粉砕ローラーの粉砕面の接線速度の少なくとも0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7又は2.0倍の速度で前記粉砕領域へ導く段階を有する方法。
【請求項33】
請求項28~32のいずれかに記載の方法であって、前記材料流に実質的に平行で、かつ前記材料流と接触する空気流を提供する段階をさらに有し、
前記材料流は、前記粒子状材料の材料流の速度に比較して0.5~3倍間の速度-たとえば前記材料の速度の少なくとも0.5倍又は前記材料の速度の少なくとも0.6、0.8、1.0、1.2、1.4若しくは2.0倍-を有する空気流によって移送されることを特徴とする、
方法。
【請求項34】
請求項28~33のいずれかに記載の方法であって、前記粒子状材料の材料流を形成する段階は、複数の材料流を組み合わせて一の共通の材料流を提供する段階を含む、方法。
【請求項35】
請求項28~34のいずれかに記載の方法であって、前記粉砕面間の容積からの前記粒子状材料の離脱を減少させるために、前記粉砕領域内の前記粒子状材料を前記粉砕領域の少なくとも一面で支持する段階をさらに有する、方法。
【請求項36】
請求項28~35のいずれかに記載の方法であって、前記粒子状材料は、鉱業鉱石、工業用鉱物及び化学物質、砂、スラグ、灰、粘土、コーティング用顔料、医薬品及びセメント原材料から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粒子状材料、特に、鉱業鉱石、工業用鉱物及び化学物質、砂、スラグ、灰、粘土、コーティング用顔料、医薬品、セメント製造及びセメント原料を粉砕するための垂直ローラーミル装置及びそれぞれの運転方法に関するが必ずしもこれに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
垂直ローラーミル装置は、例えば鉱業鉱石、工業用鉱物と化学物質、砂、スラグ、灰、粘土、コーティング用顔料、医薬品、石灰石、セメントクリンカー、スラグ砂、古いコンクリートと、さらには鉱物、鉱山及び他の産業の材料などの様々な種類の粒子状材料を粉砕するのに使用される。これらの材料は、顆粒状材料、粉末状材料、又は粒子状材料とも呼ばれ、一般に、工業および化学生産又は化学若しくは医薬産業、特にセメント製造またはセメント原料で使用されるあらゆる種類の顆粒状又は粒子状材料を含む脆性材料である。
【0003】
従来の垂直ローラーミル装置は、多くの制約に悩まされている。
【0004】
既知である従来の垂直ミル装置の1つの制約は、粉砕領域内の材料が2つの表面である粉砕表面によってしか囲まれていないため、粉砕領域の側面が開放されており、その結果材料が粉砕領域内の圧力から逃れることができることである。このため、有効な粉砕幅は粉砕面幅のごく一部に制限され、その結果、粉砕ローラー及び台が過度に広く、重く、高価となり、効率が悪くなる。
【0005】
さらに従来の垂直ローラーミルでは、粒子状材料は粉砕台の中央に加えられ、台の回転による支援を受けて、台を横切るように粉砕面および粉砕領域に搬送又は流される。ある回転速度になると、粉砕台の回転によって生じる遠心力により、原料の大部分はローラー下の粉砕領域を通過せずに台から離れる。このため、垂直ローラーミルの運転速度が制限され、結果として粉砕能力も制限される。
【0006】
速度と細かさの増加に伴い、粉砕床は一般に、多数の要因によって安定性が低下してしまう。そのような要因のうちの一は材料中に空気が取り込まれるためと考えられ、そのような要因のうちの他は粉砕領域への材料供給が不規則になるためと考えられる。この不安定性は、従来の垂直ローラーミルで経済的に達成できる微粉砕を制限する。
【0007】
材料への水の添加はある程度、粉砕床の不安定性を緩和することができる。しかしながら、水の添加は、多くの材料-例えばセメント-にとって、製品品質に影響を与えるので望ましくない。さらに、水の添加は運転コストを増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0112022A2号公報
【特許文献2】文書WO2013/143565A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の垂直ローラーミルでは、粉砕床の不安定性がローラーの激しく有害な振動の原因となっていた。ミルは通常、能力を最大にするために限界速度に近い速度で運転されるので、振動は頻繁に発生し、多くのプラントで問題になっている。
【0010】
例えば、特許文献1は、粉砕台、ローラー及び粉砕物を分離するための分離器を有する垂直ローラーミルを開示している。
【0011】
他の例として、特許文献2は、セメント産業および湿ったセメント原料の粉砕に適し、湿った原料を予備乾燥するための予備乾燥装置を含む垂直ローラーミルを開示している。
【0012】
これらの事実は、本開示によって対処される技術的課題を説明するために開示される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示は、粒子状材料を粉砕する垂直ローラーミル装置及び方法に関する。本開示の一態様は、軸を有する粉砕台と、各々が回転軸を有して前記粉砕台と各々の間に粉砕領域を画定するように配置された1つ以上の粉砕ローラーと、を備える粒子状材料を粉砕する垂直ローラーミル、及び、前記垂直ローラーミルに対して近位端及び遠位端を有して、粒子状材料を前記垂直ローラーミルに搬送するための各ローラー用の、単一又は複数の装置が一体となったアレイである搬送手段-好適には機械的搬送手段-を含む供給部を備える。前記垂直ローラーミルが前記搬送手段の近位端に配置されている。
【0014】
本開示の目的に含まれるのは、粒子状材料を粉砕するための既知の垂直ローラーミル装置の制約の少なくとも一部を排除し、処理量及び能力の増強をもたらすコスト効率の良い解決策を提供し、粉砕床安定化のための水を加える必要性を減らし、既知の垂直ローラーミルで経済的に可能な細かい粉砕よりも良好な細かい粉砕を可能にし、振動を減少させることである。
【0015】
特にセメント製造用に粒子状材料を粉砕するための装置が開示されている。当該装置は、粉砕台及び回転軸を有する粉砕ローラーを含む垂直ローラーミルと、前記粒子状材料を前記垂直ローラーミルに供給する供給部を備える。前記台及び前記ローラーの各々は粉砕面を有し、前記粉砕ローラーの粉砕面と前記粉砕台の粉砕面との間に粉砕領域を画定するように配置される。前記粉砕ローラーは、前記粉砕台上の粉砕経路上で前記粒子状材料上を転がるように配置され、前記供給部は、前記粒子状材料の供給を受け、特に前記粉砕ローラーの軸に対して前記粉砕ローラー粉砕表面の接線速度の少なくとも0.3倍、又は少なくとも0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、2.0、3.0若しくは4.0倍の速度で、前記材料の材料流を前記垂直ローラーミルの前記粉砕領域へ導くように配置される。
【0016】
粒子状材料を粉砕するための装置は、鉱業鉱石粉砕装置又はミルと、工業用粉砕装置と、鉱物粉砕装置又はミルと、化学材料粉砕装置と、砂、スラグ、灰又は粘土粉砕装置と、顔料粉砕装置と、コーティング、医薬品又はセメントの製造に使用するための粉砕装置であってもよい。
【0017】
前記供給部は、前記粉砕領域に導かれる前記材料流を、所定の断面に実質的に拘束するように配置されてもよい。
【0018】
前記供給部は、前記材料に運動量を与えるか、前記材料を押すか、又は前記材料に運動量を与えて押すことによって、前記材料流を前記粉砕領域へ導くように配置されてもよい。
【0019】
前記供給部は、前記材料を前記粉砕領域へ導く前に、前記材料流を圧縮するように配置されてもよい。
【0020】
前記供給部は、前記材料流を前記粉砕経路に対して実質的に接する角度で前記粉砕領域へ導くように配置されてもよい。
【0021】
前記供給部は、前記粉砕領域における前記粉砕ローラーの前記接線速度と実質的に同じ速度で、前記粉砕領域に前記材料の材料流を導くように配置されてもよい。
【0022】
前記供給部は、前記材料の材料流に隣接して実質的に平行であるか、又は前記材料流に隣接して接する案内トレイを含んでよい。特に前記案内トレイは湾曲したトレイである。
【0023】
前記供給部は、前記粉砕台の粉砕面によって画定される平面に対してある角度で前記材料流を前記粉砕領域へ導くように配置されてもよい。前記角度は、0°以上30°以下、特にゼロ以上15°以下、更に特に0°以上10°以下、特に0°以上5°以下である。
【0024】
当該装置は、1つ以上の追加の粉砕ローラーを備えてよい。前記1つ以上の追加の粉砕ローラーの各々は回転軸と粉砕面を有し、前記粉砕ローラーの粉砕面と前記粉砕台の粉砕面との間でそれぞれの粉砕領域を画定するように配置されている。前記1つ以上の追加の粉砕ローラーは、前記粉砕台上の1つ以上の追加の粉砕経路上の前記粒子状材料上で転がるように配置されている。
【0025】
当該装置は、粒子状材料を前記垂直ローラーミルに供給するための1つ以上の追加の供給部を備えてよい。前記1つ以上の追加の供給部はそれぞれ、前記粒子状材料の供給を受け、前記材料の材料流を一の粉砕ローラーのそれぞれの粉砕領域に導くように配置される。
【0026】
前記供給部は、少なくとも2つの滑車と、該2つの滑車の周りに延びる1つのベルトとを含む少なくとも1つのベルトコンベアを備えてよい。
【0027】
前記供給部は前記ベルトの2つの区域を含んでよい。前記ベルトの2つの区域は、前記粒子状材料に関して互いに反対側に配置されることで前記粒子状材料を前記ベルトの2つの区域の間に拘束する。
【0028】
前記ベルトの2つの対向する区域は、前記粒子状材料を受け入れるための開口を有する漏斗を形成してもよく、前記漏斗は、該漏斗を形成する前記ベルトの区域間に少なくとも0.5、1、5、10、15、20、25、30、40、50、60又は70°の開口角を有してよい。
【0029】
前記供給部は、2つの滑車間で前記ベルトの第1区域を第2区域に向けて偏向させて、前記第1区域に湾曲した形状を付与する少なくとも1つの偏向ドラムを含んでもよい。
【0030】
前記偏向ドラムは、周面に複数の孔を含んでいてもよく、特に孔は非貫通孔である。
【0031】
前記偏向ドラムは、前記ベルトに係合する複数の離間した輪を含んでよい。
【0032】
前記偏向ドラムは、複数の突起を含んでよい。
【0033】
前記供給部は、回転する螺旋状スクリュー羽根を含む少なくとも1つのスクリューコンベヤを備えてよい。
【0034】
前記供給部は、パイプ、滑降斜面路、又はプレートのような少なくとも1つの静止重力供給部を含んでよい。
【0035】
前記供給部は、結合された材料流を形成し、前記材料流を前記垂直ローラーミルの前記粉砕領域へ導くように結合して配置された複数の供給部のアレイを含んでもよい。
【0036】
前記垂直ローラーミルの前記粉砕台及び粉砕ローラーは、独立したモータによって駆動されてもよい。
【0037】
前記供給部、前記粉砕ローラー、又は前記粉砕台の1つ以上は、他から独立して動作できる独立駆動機構を備えて良い。他から独立して動作できるとは、前記(複数の)供給部が前記垂直ローラーミルの台から独立して動作可能であるか、前記(複数の)垂直ミルローラーが前記垂直ミルの台から独立して動作可能であるか、あるいは前記(複数の)供給部、前記ミルの台、及び前記(複数の)ローラーが独立して動作可能なことを含む。
【0038】
このような場合、前記垂直ローラーミルの前記粉砕台と粉砕ローラーは、所定の調節可能な距離での回転を除いて、運転中に互いに対して固定され、それによって固定粉砕領域が形成されてよい。
【0039】
当該装置は、前記粉砕ローラーの粉砕面に少なくとも2m/s又は少なくとも4、6、8、10、12、14、16、19、22又は25m/sの接線速度を与える速さで動作可能であるように構成されてもよい。
【0040】
前記垂直ローラーミルは、前記粉砕台から軸方向に離れて前記粉砕台の粉砕面を越えて延び、前記粉砕台の回転軸と実質的に同心で、前記粉砕台の粉砕面の内径の0.8~1.0倍に等しい外径を有する内側粉砕領域支持装置を含んでよい。
【0041】
前記垂直ローラーミルは、前記粉砕ローラーの粉砕面を越えて半径方向に延びる少なくとも1つの外側粉砕領域支持装置を含んでもよい。前記少なくとも1つの外側粉砕領域支持装置は、前記粉砕台に対向する表面を有し、前記表面は、前記粉砕台の回転軸から軸方向に、前記粉砕台の回転軸に垂直で前記粉砕台の粉砕面と一致する面内で測定して前記粉砕台の粉砕面の外径の1.0~1.1倍離れた距離に位置する。それにより前記粉砕台に面する外側粉砕領域支持装置の表面が粉砕領域内の材料流のための側面支持を提供することで、材料の側面での流出を減少させる。
【0042】
また粒子状材料を粉砕する方法-特に開示された装置のいずれかを操作する方法-はが開示される。当該方法は、
粒子状材料の供給を受ける段階と、
前記粒子状材料の材料流を形成する段階と、
供給部を用いて前記粒子状材料の材料流を垂直ローラーミルの粉砕領域へ導く段階であって、前記垂直ローラーミルは、粉砕台と、回転軸を有する粉砕ローラーとを備え、前記粉砕台及び前記ローラーの各々は粉砕面を有し、前記粉砕ローラーの粉砕面と前記粉砕台の粉砕面との間に前記粉砕領域を画定するように配置され、前記粉砕ローラーは前記粉砕台上の粉砕経路上で前記粒子状材料上を転がるように配置され、特に前記材料流は前記粉砕ローラーの軸に対して前記粉砕ローラーの粉砕表面の接線速度の速度の少なくとも0.3倍、又は少なくとも0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、2.0、3.0若しくは4.0倍の速度で導かれる、段階と、
前記垂直ローラーミル内で前記粒子状材料を粉砕する段階と、
を有する。
【0043】
前記粒子状材料は、実質的に真っ直ぐな方向に、すなわち重力によって引き起こされる以外には前記供給部と前記粉砕領域との間で実質的に方向を変化させることなしに、前記垂直ローラーミルの前記粉砕領域へ導かれ得る。
【0044】
当該方法は、遠心力を加えて方向変化を与えることによって、前記材料流を圧縮する段階を有してもよい。
【0045】
前記粒子状材料は、前記ローラー軸に対して、前記粉砕ローラーの粉砕面の接線速度の少なくとも0.6倍の速度で、又は、前記粉砕台に対する前記粉砕ローラーの粉砕面の接線速度の少なくとも0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7又は2.0倍の速度で前記粉砕領域へ導かれ得る。
【0046】
当該方法は、前記材料流に実質的に平行で、かつ前記材料流と接触する空気流を提供する段階を有してよい。前記材料流は、前記粒子状材料の材料流の速度に比較して0.5~3倍間の速度-たとえば前記材料の速度の少なくとも0.5倍又は前記材料の速度の少なくとも0.6、0.8、1.0、1.2、1.4若しくは2.0倍-を有する空気流によって移送されることを特徴としてもよい。
【0047】
前記粒子状材料の材料流を形成する段階は、複数の材料流を組み合わせて一の共通の材料流を提供する段階を含んでもよい。
【0048】
当該方法は、前記粉砕面間の容積からの前記粒子状材料の離脱を減少させるために、前記粉砕領域内の前記粒子状材料を前記粉砕領域の少なくとも一面で支持する段階を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
以下の図は、本開示を説明するための好ましい実施形態を提供するものであり、開示の範囲を限定するものと見なしてはならない。
図1A-1Nは、本開示の文脈において垂直ローラーミルとして理解されるべきものを実施するいくつかの方法を示している。
図2~
図14はそれぞれ、本開示を実施する方法またはその特定の部分を示している。
【
図0x】Xは既知の垂直ローラーミルを示す断面図である。
【
図0A】Aは既知の垂直ローラーミルの粉砕領域における圧力プロファイルを示す。
【
図0B】Bは本開示による装置における粉砕領域垂直ローラーミルの圧力プロファイルを示す。
【
図1Bx】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の断面図である。
【
図1C】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の斜視図である。
【
図1Dx】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の断面図である。
【
図1Ex】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の断面図である。
【
図1Fx】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の断面図である。
【
図1G】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の斜視図である。
【
図1Hx】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の断面図である。
【
図1I】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の斜視図である。
【
図1J】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の斜視図である。
【
図1Kx】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の断面図である。
【
図1Lx】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の断面図である。
【
図1Mx】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の断面図である。
【
図1N】垂直ローラーミルのさらなる実施形態の斜視図である。
【
図2】本開示による装置の第1実施形態の部分断面図である。図中、供給部は単一のベルトコンベアを備え、粒子状材料が供給部によって自由空気を通って垂直ローラーミルへ移送される。
【
図2A】
図2に示す実施形態の変形例の部分断面図である。変形例は、供給部は、該供給部を形成するように一体化した2つのベルトコンベアのアレイを含んでいる点で
図2に示す実施形態と異なっている。
【
図3】上記第1実施形態の修正型である本開示による装置の第2実施形態の部分断面図である。図中、ベルトコンベアの第1区域上の材料は搬送案内板によって拘束され、粒子状材料が近接する下部案内板によって支持される垂直ローラーミルに搬送される。
【
図4】本開示による装置の第3実施形態の部分断面図である。図中、供給部は、ベルトコンベアと、垂直ローラーミルへの材料の移送中に空気流を材料流に接触させる空気ガイドを含む。
【
図5】本開示による装置の第4実施形態の部分断面図である。図中、供給部から垂直ローラーミルへの材料の移送は、ノズルによって供給される空気流と接触する。
【
図6】本開示による装置の第5実施形態の部分断面図である。図中、供給部は2つの対向配置されたベルトコンベアを含む。
【
図7】本開示による装置の第6実施形態の部分断面図である。図中、供給部はスクリューコンベアであり、粒子状材料が自由空気を通って垂直ローラーミルに移送される。
【
図7A】本開示による装置の第6実施形態の変形例の部分断面図である。図中、供給部が2つのスクリューコンベアを含む。
【
図8】本開示による装置の第7実施形態の部分断面図である。図中、供給部はスクリューコンベアであり、粒子状材料が空気ガイドを介して供給される空気流と接触して垂直ローラーミルに移送される。
【
図9】本開示による装置の第8実施形態の部分断面図である。図中、供給部は偏向ドラムと組み合わせられたベルトコンベヤの第1実施形態を含む。
【
図9A】近接案内板によって支持された供給部と垂直ローラーミルの間の材料の移送を示す部分断面図である。
【
図9B】ノズルによって供給される空気流と接触している供給部と垂直ローラーミルの間での材料の移送の部分断面図である。
【
図9C】空気ガイド内を流れる空気流と接触している供給部と垂直ローラーミルの間の材料の移送を示す部分断面図である。
【
図10B】外周面に長方形以外の形状の非貫通孔を設けた偏向ドラムの実施形態の図である。
【
図10C】2つの輪を含む偏向ドラムの実施態様の図である。
【
図10D】材料を係合するために2つの輪の間に棒を含む偏向ドラムの実施態様の図である。
【
図10E】材料に係合するための突起を含む偏向ドラムの実施態様の斜視図である。
【
図11】本開示による装置の第10実施形態の部分断面図である。図中、供給部は、偏向ドラムが2つの相互に離間した輪として配置されている偏向ドラムと組み合わせたベルトコンベアの第3実施形態を含み、空気流は材料を垂直ローラーミルに移送する間に供給部を通る材料と接触する。
【
図12】垂直ローラーミルの一実施形態の図である。図中、内側及び外側粉砕領域支持装置は粉砕領域内の材料の側面を支持する。
【
図13】本開示による装置の第11実施形態の図である。図中、供給部は凹面を有する静止装置を含む。
【
図14】本開示による装置の第12実施形態の斜視図である。図中、供給部は下側に凹面を有する静止装置を含む。
【
図15】本開示による装置の第13実施形態に関する図である。図中、垂直ローラーミルは、供給部から粉砕領域へ直接垂直に下降する材料流を受け取るように配置されている。
【
図16】本開示による装置の第14実施形態に関する図である。図中、第1ベルトコンベア及び第2ベルトコンベアは漏斗を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本開示の目的は、粒子状材料を粉砕するための既知の垂直ローラーミル装置の制限の少なくともいくつかを排除し、増加した処理量及び能力をもたらすコスト効率の良い解決策を提供し、粉砕床安定化のための水を加える必要性を減らし、既知の垂直ローラーミルで経済的に可能なよりも微粉砕を可能にし、振動を減少させることである。
【0051】
図0Xは、粉砕台C0と、それぞれ軸D0及びE0を中心に回転し、それぞれの粉砕面F0、G0の間に粉砕領域B0を形成する1つ又は複数の粉砕ローラーA0(1つのみ図示)を含む従来の垂直ローラーミルを示している。粉砕ローラーは、粉砕台に向かって移動可能であり、粉砕領域における粉砕圧力は、粉砕ローラーに力を加え、粉砕領域への供給量に応じてローラーを移動させることによって調節される。
【0052】
従来の垂直ローラーミルは、さらに外周ダムリングQ0を備えている。ダムリングQ0の高さは、粉砕領域B0に入る材料の量を調節し、実用上ダムリングなしの運転は不可能である。粉砕領域を通過した材料はダムリングの上を流れ、運ばれる。同様に、粉砕領域の前にある余分な供給材料は、ダムリングの上を流れ、運ばれる。
【0053】
材料供給部U0は、パイプR0を介して粉砕台C0に集中的に供給され、台の回転によって補助されながら粉砕台を横切って粉砕面上に流れ、粉砕ローラーの下の粉砕領域に入る。
【0054】
粉砕領域B0の側面S0,T0は開いているので、材料は粉砕領域B0から側面へ逃げることができる。材料が粉砕領域から逃げる結果、粒子状材料の粉砕を引き起こすのに十分な圧力が、粉砕領域幅の限られた部分にしか存在しないことになる。
図0Aには、粉砕領域に渡る典型的な半径方向の圧力プロファイルが示されている。この圧力プロファイルは、限られた幅の高圧ピークを示している。粉砕は高圧力ピークの領域で行われる。
【0055】
粉砕台C0の湾曲と粉砕ローラーA0とが干渉する可能性があるために、側面支持を提供し、材料が粉砕領域の外側S0を通って逃げるのを防ぐために、回転ダムリングQ0を粉砕領域B0に近づけることは可能でない。同様に、粉砕領域の内側T0に回転支持面を追加することは、これが必然的に粉砕台粉砕面G0より上方に延びなければならず、それによって粉砕領域への材料流が妨害され制限されるので、操作上実行可能でない。
【0056】
粉砕面の内側で静止した材料ガイドと粉砕領域に近い静止したダム装置を使用する試みがなされており、これには粉砕台の全周にわたって延びないものも含まれている。しかし、このような配置は、摩耗の増加やエネルギー消費の増加につながることが実験により示されている。従ってそれらは商業的価値を有さない。
【0057】
本明細書に記載された開示は、粉砕領域に(及び粉砕領域で)向けられ、特に粉砕プロセスの方向に正の運動量を有する適切な断面の材料の一定の調節された流れを提供し、それによって材料が粉砕領域に有効に押し込まれ安定した粉砕床を形成することによってこれらの制限を克服するものである。
【0058】
粉砕領域への材料の指向性供給は、粉砕台の遠心力の影響を排除又は実質的に低減し、それは安定性のために水を加える必要性を排除し、ダムリングを必要とせず、材料は粉砕台を横切って流れることはない。従って、粉砕領域で材料の側面を支持するための回転装置を実施することが可能である。
【0059】
さらに、一定に調節された材料流の供給により、粉砕台と粉砕ローラーの両方が、粉砕圧力を維持しながら、回転を除いて、互いに対して固定され得る。粉砕領域の固定された形状は、固定された粉砕台と可動ローラーを有する馴染みのある配置と比較して、振動を大幅に減少させることができる。
【0060】
粉砕領域の側面を囲むか支持すると、
図0Bに示すように、粉砕領域を横切る放射状の圧力プロファイルがもたらされる。高圧の幅は、従来の配置と比較して大幅に増加し、粉砕は、粉砕面の大半の部分にわたって行われ、それによって粉砕能力を増加させることができる。粉砕領域の側面が囲まれているか、または支持されている本開示による装置における垂直ローラーミルの一実施形態が、
図12および
図12xに示されている。
【0061】
用語「垂直ローラーミル」は、軸を有する粉砕台と、回転軸を有する少なくとも1つの粉砕ローラーとを含む粉砕装置と理解される。前記粉砕台軸は、粉砕台によって規定され、粉砕経路の幾何中心を通る平面に対して垂直であり、粉砕台の粉砕表面とローラーの各々の粉砕表面との間に粉砕領域を規定するよう配設される。粉砕ローラーは、粉砕台上の粉砕経路の周りを転がるように配置されてる。粉砕台は、その軸を中心に回転していてもよいし、回転していなくてもよい。粉砕台は、軸を垂直にして(複数の)ローラーの下、横又は上に配置されてもよく、又は軸を垂直と水平の間の任意の角度に任意の方向に配置されてもよい。(複数の)粉砕領域は、(複数の)ローラーの粉砕面と粉砕台の粉砕面の間に形成され、断面が実質的に長方形または他の形状、直線または曲線のエッジ、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。
図1A~
図1Nは、垂直ローラーミルとして理解されるべきもののいくつかの変形を描いているが、他の垂直ローラーミルの配置を除外するように解釈されるものでない。
【0062】
「粉砕領域」という用語は、粉砕ローラーと粉砕台の粉砕面との間の容積が理解される。粉砕領域内で粒子状材料は粉砕ローラーと粉砕台によって把持、圧縮及び/又は破砕される。粉砕領域への材料の搬入または誘導は、本開示の文脈では、材料が、把持が起こる前に粉砕表面の1つに直接移され、その後、粉砕領域まで、および粉砕領域を通って前記表面に従う配置を含むと理解される。
【0063】
「供給部」という用語は、粒子状材料を加速及び/又は搬送する装置であると理解される。供給部には、ベルトコンベア、チェーンコンベア、ベルトスロワー、スクリューコンベア、振動コンベア、パイプ、滑降斜面路などが含まれる。
【0064】
「拘束された材料流」という用語では、材料流は、必ずしも物理的手段によって拘束されることなく、所定の断面を有することが理解される。材料流は、供給部から投射される方法によって、又は物理的手段によって、又はその2つの組み合わせによって制約され得る。画定された断面に制約される場合、指向された材料流は、マット、特に矩形の断面を有するマットの形態をとることができる。
【0065】
「材料流を圧縮する」という用語は、供給部に供給された材料が、供給部との接触中に、材料流内の空隙の体積の変化により断面形状、断面サイズに変化を受け、及び/又は容積密度に変化を受け、及び/又は材料が別の材料流と結合して一つの共通の結合流を形成すると解される。
【0066】
「一体の装置のアレイ」という用語は、材料を単一の粉砕領域に搬送するために同時に動作する、類似の又は異なるタイプの任意の数の搬送手段と理解される。個々の搬送手段は、同じ供給源から又は個々の供給源から材料を供給することができ、様々な速さ及び/又は供給率で個別に動作させることができる。さらに、搬送手段は、例えば共通の筐体、筐体又は共通の案内板などの共通の部品を共有することができる
【0067】
本開示による装置は、供給部が、粒子状材料の供給を受け、材料流を形成し、好ましくは拘束し、粒子状材料流を垂直ローラーミルの粉砕領域に導くように配置及び構成されることを特徴とする。材料流は、加速、圧縮、及び/又は断面拘束の下で供給部によって直接粉砕領域に送られる。
【0068】
本開示の一態様は、材料流を画定された断面に拘束するように供給部が配置されることに関し、この断面は、供給部と粉砕領域との間の材料流について画定されている。
【0069】
本開示の一態様は、圧縮された材料流を粉砕領域に押し込むことによって材料流を方向付けるように供給部が配置されることに関連する。
【0070】
本開示の一態様は、材料を付勢することによって材料流を粉砕領域に向けるように配置される供給部に関するものである。
【0071】
本開示の実施形態において、材料流は、粉砕経路に対して実質的に接線方向である角度で粉砕領域に向けられる。このようにして、粉砕の効率及び安定性、ひいては速さを向上させることができる。
【0072】
粒子状材料を供給部に供給するように構成された注入装置が、装置に含まれ得る。注入装置は、好ましくは、供給部の遠位端に配置することができる。
【0073】
本開示による装置の一実施形態では、供給部はベルトコンベヤを含む。ベルトは、互いに離間した2つのコンベヤ滑車の周りを走るエンドレスベルトであり、滑車のうちの1つは駆動滑車である。駆動滑車は、好ましくは、供給部の遠位端に配置される。供給部は、粒子状材料が例えば供給容器から供給されて第1区域上に材料流を形成する第1区域を有する単一のコンベヤベルトを含み得る。
【0074】
実施形態の変形例では、供給部は、上述したような2つ以上のベルトコンベアを含み、材料流を形成し、その流れを粉砕領域に移送するためにアレイで一体化されている。アレイ内の個々のコンベヤは、粉砕領域で最適な流れを提供するために、異なる速さで運転されてもよい。
【0075】
本開示による装置の追加の実施形態では、供給部は、2つの対向して平行に配置されたベルトコンベヤを含む。対向配置されたベルトコンベアは、それらの間の空間に供給される粒子状材料を物理的に拘束し、所望の速度まで加速する。
【0076】
本開示による装置の追加の実施形態では、供給部は、材料を把持し加速するための漏斗を形成することによって、そこにあるベルトの2つの対向する区域の間に角度があるように配置された2つのベルトコンベアを含む。ベルトの区域間の角度は、ゼロ以上90°以下、好ましくは70°以下、特にゼロ以上5°以下、又は10、15、20、25、30、40、50、60若しくは70°以下である。
【0077】
漏斗状のベルトの構成は、供給される材料の密度とコンパクトさを増加させる粒子状材料の圧縮を強化し、材料をベルトの間に押し込めることで、材料が粉砕面に供給されるときにベルト表面に対して滑らないようにする。
【0078】
角度は通常、ベルトと材料の間の摩擦に依存する。摩擦係数が低ければ、通常、材料がベルトに対して滑らないように、漏斗の開口角度を低くする必要がある。逆に、摩擦係数が高いと、通常、材料がより短い距離で圧縮され得るように、より高い漏斗開口角が可能になる。
【0079】
本開示による装置の更なる実施形態によれば、コンベヤベルトを含む供給部は、案内板に面するベルトコンベヤの区域と対向しかつ平行に配置され、粒子状材料を運ぶ搬送案内板を更に含むことができる。
【0080】
本開示による装置のさらなる実施形態によれば、供給部は、スクリューコンベアを含む。スクリューコンベヤは、入口端と出口端とを有する筐体内の螺旋状スクリュー羽根を有するスピンドルを具備する。入口端でスクリューコンベヤに供給された材料は、スピンドルの回転によって加速及び/又は搬送され、スクリューコンベヤ出口端から垂直ローラーミルの粉砕領域に投射される。スクリューコンベヤ筐体の出口は、粉砕領域に移送される特定の断面形状、例えば矩形に材料流を拘束する形状であってもよく、これにより、粉砕領域に供給される材料のマットが形成される。
【0081】
本開示による装置の前の実施形態の変形例によれば、供給部は、複数のスクリューコンベヤが一体となったアレイを含む。このアレイは、個々の筐体を有するスクリューコンベア含んでもよいし、共通の筐体内の螺旋状のスクリュー羽根を有するスピンドルのアレイを含んでもよい。
【0082】
本開示による装置の追加の実施形態では、供給部は、静止した凹面を有するパイプ、滑降斜面路、又はプレートなどの静止した装置を含む。材料は、高速で静止装置に供給され、凹面上を流れる。材料が凹面に沿って流れると、方向転換による遠心力によって材料は圧縮され、拘束される。材料流は、垂直ローラーミルの粉砕領域に向けられる曲線から離れる。
【0083】
本開示による装置の追加の実施形態によれば、供給部は、2つのコンベヤ滑車間の第2区域に向かってベルトの第1区域を偏向させ、第1区域に曲線形状を付与する偏向ドラムと組み合わせたベルトコンベアを含む。粒子状材料は、ベルトの遠位端または偏向ドラムに供給され、偏向ドラムとベルトの第1区域の間の空間に封入される。ベルトの曲率を通る運動の間、粒子状材料はベルトの速さに加速され、垂直ローラーミルの粉砕領域に向けられる材料流を形成する。
【0084】
この実施形態の変形例では、偏向ドラムは、ベルトの第1区域に係合する2つ以上の相互に間隔を置いた輪を含み得る。
【0085】
この実施形態のさらなる変形例では、偏向ドラムは、周面に複数の孔を含んでよい。孔は、非貫通孔であってもよい。孔は、断面が矩形であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0086】
この実施形態の追加の変形例では、偏向ドラムは、粒子状材料と係合する及び/又はベルトの表面と少なくとも実質的に係合する複数の突起を含むことができる。突起は、少なくとも材料流の幅であってよく、又は材料流の幅より小さくてもよく、及び/又は千鳥パターンで配置されてもよい。さらに、突起は、偏向ドラムの回転平面に対して垂直であってもよいし、この平面に対して任意の角度を有していてもよい。
【0087】
本開示による装置の追加の実施形態によれば、供給部は、粒子状材料を係合し搬送するためのクロスバーを有する少なくとも1つのエンドレスチェーンを含むチェーンコンベアを備え、2つの相互に間隔を置いたチェーンスプロケットの周囲を走行させる。供給部は、材料を搬送しているチェーンの区域に隣接し、それと平行な案内トレイをさらに含むことができる。
【0088】
本開示による装置の実施形態によれば、垂直ローラーミルは、内側粉砕領域支持装置をさらに備えることができる。内側粉砕領域支持装置は、粉砕台から離れ、粉砕台粉砕面を越えて、粉砕台軸に沿って延びる。この装置は、粉砕台軸と実質的に同心であり、内側粉砕領域支持装置の円周面が粉砕領域内の材料流を支持して側面のこぼれを低減するように、粉砕台粉砕面の内径の0.8~1.0倍に等しい外径を有する。好ましくは、装置の外径は、粉砕面半径の1~20mm未満の内径の1.0倍である。内側粉砕領域支持装置は、粉砕台の一部であっても、別個の部品であってもよい。好ましくは、この装置は粉砕台を基準にして静止している。粉砕領域で材料を支持する外周面は、円筒形、円錐形、さもなければ曲線、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0089】
さらに本開示による装置の実施形態では、垂直ローラーミルは、(複数の)粉砕ローラーの(複数の)粉砕面を超えて半径方向に延び、粉砕台に面する(複数の)面を有し、前記面が粉砕台軸から軸方向に1.粉砕台の粉砕面と一致し、粉砕台軸に垂直な平面で測定した粉砕台粉砕面の外半径の1倍であり、粉砕台に面する外側粉砕領域支持装置の(複数の)表面が粉砕領域内の材料流に側面支持を提供し、したがって材料の側面こぼれを減少させるようにする。好ましくは、前記表面は、前記平面内で粉砕台軸から、粉砕台粉砕面の外半径の1.0倍に1~20mmを加えた距離に位置する。
【0090】
(複数の)外側粉砕領域支持装置は、(複数の)ローラーの一部であっても、(複数の)別個の装置であってもよい。好ましくは、装置は粉砕ローラーと共に回転している。(複数の)粉砕領域で材料を支持する(複数の)表面は、平坦、円錐、そうでなければ曲線、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0091】
本開示による装置の追加の実施形態によれば、粉砕台の回転軸は、粉砕台軸と材料流の方向と実質的に平行な平面内に、垂直に対して垂直と90°の間に、例えば垂直に対して実質的に垂直と30°の間、又は垂直に対して実質的に垂直と15°の間など配置される。装置の代替的な実施形態によれば、粉砕台の軸は、水平に対して実質的に水平と45°の間、例えば水平に対して実質的に垂直と30°の間、又は水平に対して実質的に水平と15°の間などに配置される。
【0092】
本開示による装置の更なる実施形態によれば、供給部の各搬送手段に対して、材料流を粉砕領域に向ける案内装置を更に備え、単一の近位案内板、好ましくは平面案内板、又は2つの対向配置された近位案内板、好ましくは平面案内板を含み、前記案内板/プレートは搬送手段の近位端と垂直ローラーミルの粉砕領域の間に配置されていることが可能である。つの対向配置された近位ガイド板は、搬送手段から垂直ローラーミルに向かう方向において、実質的に平行であるか、又は収束することができる。
【0093】
本開示による装置の追加の実施形態では、供給部上/供給部内の材料流及び/又は垂直ローラーミル粉砕領域との間での材料流は、材料流に実質的に平行で、0.5~3倍の範囲の速度の空気流と接触するように配置される。例えば、少なくとも0.5倍、または少なくとも0.6、0.8、0.9、1.0、1.1、1.3、1.4または2.0倍の速度で、材料流の速度の5~3倍となる。空気流の速度は、空気との材料摩擦により、材料流の中の外側の材料が粉砕領域に向かう方向からそれることを防ぎ、粉砕領域に移送される材料の分散を抑えることができる。材料流に平行な空気流は、粒子状材料流に実質的に平行な少なくとも1枚のプレートで空気を案内することによって達成される。この実施形態の代替変形例では、空気流は、空気が粒子状材料流の表面に沿って投射される少なくとも1つのノズルの配置によって達成される。
【0094】
本開示による装置の追加の実施形態では、垂直ローラーミルの粉砕台は、回転運動を除いて空間に固定され、(複数の)ローラーは、(複数の)粉砕領域が調整可能であるように粉砕台に向かって及びそこから離れるように移動可能である。しかしながら、ローラーは固定され、粉砕台は移動可能であり得、さらに、垂直ローラーミルの粉砕台及びローラーの両方は、(複数の)一定の粉砕領域を提供するために好ましい配置で運転中に互いに対して固定され得ることに留意されたい。垂直ローラーミルは、粉砕台上、ローラー上、又はその両方のモータによって駆動することができる。
【0095】
本開示による装置の一実施形態では、(複数の)粉砕ローラー及び粉砕台は個別に駆動され、それぞれの速さは、(複数の)粉砕領域の最適条件を達成するために独立して調整することが可能である。
【0096】
本開示による装置の実施形態において、供給部は、粉砕領域において少なくとも2m/s又は少なくとも4、6、8、10、12、14、16、19、22又は25m/sの速さで粒子状材料流を提供する速さで動作可能である。
【0097】
本開示による装置の一実施形態において、粒子状材料は、鉱業鉱石、工業用鉱物及び化学物質、砂、スラグ、灰、粘土、コーティング用顔料、医薬品及びセメント原材料から選択される。
【0098】
本開示による装置の垂直ローラーミルは、好ましくは供給部から独立して動作可能であり、それによって、装置の円滑かつ信頼できる動作、及びそれによって装置の所望の処理能力及び容量を得るために、供給部の動作を垂直ローラーミルの動作に、又はその逆に適合させることが可能である。
【0099】
本開示による装置は、粒子状材料の供給を受け、材料流を形成し、粒子状材料を垂直ローラーミルの粉砕領域に導き、垂直ローラーミル内で粒子状材料を粉砕することを含む粒子状材料を粉砕する方法に関するものである。
【0100】
本方法は、粒子状材料が実質的な方向転換なしに供給部から垂直ローラーミルの粉砕領域に向けられること、及び/又は粒子状材料が粉砕ローラーの周速の少なくとも0.6倍又は粉砕ローラー粉砕面の接線速度の少なくとも0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7若しくは2.0倍という速度となるように粉砕領域へ向けられることから更になることが可能である。
【0101】
本開示によれば、粉砕ローラーと粉砕台との間の相対回転と実質的に同一又は類似の速度で材料流を供給することにより、粉砕の効率と安定性、ひいては速さが改善される。
【0102】
本方法は、移送される材料流に実質的に平行で、かつそれと接触する空気流を提供することをさらに含み、空気流が、少なくとも材料の速度の0.5倍又は少なくとも材料の速度の0.6、0.8、1.0、1.2、1.4又は2.0倍など粒子状材料流の速度の0.5-3.0の速度を有することによって特徴づけられることが可能である。
【0103】
本項は、垂直ローラーミルとして理解されるべきものの示された実施形態を説明するのに役立つものである。それは、垂直ローラーミルの他の実施形態を除外するように解釈されないものとする。
【0104】
図1Aは、軸Eを中心に回転する粉砕面Fを有する粉砕ローラーAと、軸Dを中心に回転する粉砕面Gを有する粉砕台Cとを備え、粉砕面F、Gの間に粉砕領域Bを形成するように配置された垂直ローラーミルを示し、この実施形態では粉砕ローラーA及び粉砕台Bの軸E、Dは実質的に垂直で、粉砕ローラーの形状は実質的に円筒状である。
【0105】
図1Bxは、軸E1を中心に回転する粉砕面F1を有する粉砕ローラーA1と、軸D1を中心に回転する粉砕面G1を有する粉砕台C1とを備え、粉砕面F1,G1間に粉砕領域B1を形成するように配置された垂直ローラーミルの断面を示している。本実施形態では、粉砕ローラーA1の粉砕面F1は実質的に円錐形であり、一方、粉砕台C1の粉砕面G1は実質的に平坦である。回転軸E1とD1との間の角度H1は、90度よりも大きい。粉砕領域B1の断面における粉砕面F1,G1は、実質的に平行である。
【0106】
図1Cは、粉砕ローラーA2と、粉砕台C2を含む垂直ローラーミルを示している。この実施形態では、粉砕ローラーA2の粉砕面F2は円錐形であり、粉砕台C2の粉砕面G2は内向きの円錐形である。
【0107】
図1Dxは、粉砕ローラーA3と粉砕台C3を含む垂直ローラーミルの断面を示す。この実施形態では、粉砕ローラーA3および粉砕台C3の粉砕面F3,G3は、粉砕領域B3での断面において湾曲している。
【0108】
図1Exは、粉砕ローラーA4と粉砕台C4を含む垂直ローラーミルの断面図である。本実施形態では、粉砕ローラーA4の粉砕面F4は円錐状であり、粉砕台C4の粉砕面G4は外側に円錐状である。粉砕領域B4の断面は、粉砕面F4,G4の実質的に直線的な外形を示している。
【0109】
図1Fxは、粉砕ローラーA5と粉砕台C5を含む垂直ローラーミルの断面図である。本実施形態では、粉砕ローラーA5の粉砕面F5は円筒状であり、粉砕台C5の粉砕面G5は外側に円錐状である。粉砕面F5,G5の外形は、粉砕領域B5における断面において、実質的に直線状である。本実施形態では、粉砕台C5と粉砕ローラーA5のそれぞれの回転軸D5,E5間の角度H5は、90度未満である。
【0110】
図1Gは、軸E6、L6を中心に回転し、粉砕面F6、M6を有する2つの粉砕ローラーA6、J6と、軸D6を中心に回転し、粉砕面G6を有する粉砕台C6を含み、粉砕面F6、G6およびM6、G6の間に粉砕領域B6、K6を形成するよう配置されている垂直ローラーミルを示している。
【0111】
図1Hxは、粉砕面F7を有する、軸E7を中心に回転する粉砕ローラーA7を含む垂直ローラーミルの断面を示し、粉砕台C7は、粉砕面F7、G7の間に粉砕領域B7を形成するように配置されて、水平軸D7を中心に回転している。
【0112】
図1Iは、軸E8を中心に回転する粉砕ローラーA8と、粉砕面F8,G8の間に粉砕領域B8を形成するように配置された垂直軸D8を中心に回転する粉砕台C8とを含む垂直ローラーミルを示している。この実施形態では、粉砕台C8は、粉砕面G8が粉砕台C8の下側にあるように、粉砕ローラーA8の上方に配置されている。
【0113】
図1Jは、軸E9を中心に回転する粉砕ローラーA9と、粉砕面F9、G9の間に粉砕領域B9を形成するように配置された軸D9を中心に回転する粉砕台C9とを含む垂直ローラーミルを示している。この実施形態では、粉砕台C9の回転軸D9は、粉砕ローラー軸E9と平行でない平面において、垂直軸N9から傾斜している。
【0114】
図1Kxは、粉砕面F10,G10の間に粉砕領域B10を形成するように配置された粉砕ローラーA10と粉砕台C10を含む垂直ローラーミルの断面図である。この実施形態は、粉砕台C10上の粉砕面G10が内側に円錐状である点で、
図1Exに示されたものと異なる。
【0115】
図1Lxは、粉砕ローラーA11と、粉砕台C11を含む垂直ローラーミルの断面を示す図である。この実施形態は、ローラーの粉砕面G11と粉砕面F11との間の距離が、粉砕面G11の内径から外径までの粉砕領域B11の幅にわたって変化する点が、
図1Aに示すものと異なっている。このように、粉砕台C11上では、粉砕面G11の内径付近の距離P11が、粉砕面G11の外径付近の距離O11よりも大きくなるように、粉砕面G11の内径付近の距離P11が、粉砕台C11上では、粉砕面G11の外径付近の距離O11よりも大きくなっている。粉砕面間の距離の変動は、他の垂直ローラーミルの配置において異なっていてもよい。
【0116】
図1Mxは、粉砕面F12、G12の間に粉砕領域B12を形成するように配置された粉砕ローラーA12および粉砕台C12を含む垂直ローラーミルの断面図である。本実施形態では、粉砕ローラー粉砕面F12は、断面から見て複数の曲線を有する形状である。
【0117】
図1Nは、軸D13、E13を中心に回転する粉砕面F13を有する粉砕ローラーA13と、粉砕面F13、G13の間に粉砕領域B13を形成するために配置された粉砕面G13を有する静止粉砕台C13を含む垂直ローラーミルを示す。
【0118】
図2に示すように、粒子状材料を粉砕するための本開示による装置1の第1実施形態は、注入装置2、供給部3及び垂直ローラーミル4を含む。そこに供給される粒子状材料を粉砕するための垂直ローラーミル4は、粉砕台5と、それぞれが平行でない回転軸7、8を有し、粉砕領域9を画定するように配置されている1つの粉砕ローラー6と、を備える。供給部3は、粒子状材料10を垂直ローラーミル4に搬送するために配置及び構成され、垂直ローラーミル4に隣接する近位端11と反対側の遠位端12を有している。供給部は、2つの間隔を置いたコンベヤ滑車14、15と、2つのコンベヤ滑車14、15の周りに延びるエンドレスコンベヤベルト16を有するベルトコンベア13を含む。ベルトは、第1区域17と第2区域18を有する。ベルトは、注入装置2によってその遠位端12に粒子状材料10を供給される。注入装置は、出口開口部20の下に配置されたベルトコンベア13の遠位端に粒子状材料を供給する下部出口開口部20を有する供給容器19を含む。出口開口部20の大きさ、及びそれによってコンベヤベルト13の第1区域17に送られる材料の量は、例えばゲート21のような調整手段によって調整可能である。ベルト16の速さと、供給容器19からその下部出口開口部20を通ってベルトの第1区域17への粒子状材料の供給は、粒子状材料流22がベルトの第1区域17上に形成されるように同期される。ベルトコンベア13によって、材料流22は、垂直ローラーミル4の粉砕領域9に導かれる。ベルトコンベア13の近位端11から、材料流22は、空気を通って粉砕領域9に投射される。
【0119】
本開示による装置1Aの変形例が
図2Aに示されており、ここでは供給部が2つの一体化した搬送手段3A、3Bのアレイを含む。この実施態様では、粒子状材料10Aは、単一の注入装置2Aからコンベヤ13A、13Bに送出される。しかし、材料は、各搬送手段のための個々の注入装置によって供給されることもできる。一体化された搬送手段3A,3Bは、垂直ローラーミル4の粉砕領域9に送出される材料22Aの結合された材料流を形成する。
【0120】
図3に示す本開示による装置301の第2実施形態は、
図2に示すものの変更であり、その供給部303が、ベルトコンベア13の第1区域17に対向して配置されたコンベアガイド板324を備える点でこれと異なっている。このコンベヤ案内板は、ベルトコンベヤ13の第1区域17とともに粒子状材料流322を拘束する。さらに、装置は、ベルトコンベヤの近位端と垂直ローラーミル4との間に配置され、垂直ローラーミル4の粉砕領域9への移送中に材料流322を支持する下部近位案内板325を備えている。近位案内板は、粒子状材料が粉砕領域9に移送されるのに十分な速度でベルトコンベヤの近位端11から投射されることを条件として省略することも可能である。
【0121】
図4に示す本開示による装置401の第3実施形態は、
図2に示すものの変形例であり、その供給部403が、近位端428及び遠位端429を有する通気ガイド426を備え、供給部403から垂直ローラーミル4の粉砕領域9に搬送される粒子状材料流422に対して実質的に平行になりかつ接触するよう空気流427を導くよう配置されている点がそことは相違している。空気は、遠位端429からガイド426を通って流れ、ガイド426の近位端428で出て行く。
【0122】
図5に示す本開示による装置501の第4実施形態は、
図4に示すものの変形例であり、その供給部503がノズル531からの空気流527を備え、空気流527が粒子流522に対して実質的に平行に、かつ接触していることが特徴である点でそことは異なる。さらに、その配置は、追加のノズル532を介して、供給部503と垂直ローラーミル4の粉砕領域9との間の粒子流522の下方に、かつ粒子流に接触して空気流530が提供される。空気流527,530はいずれも任意であり、他方を設けずにそれぞれ個別に設けることも可能である。
【0123】
図6に示す本開示による装置601の第5実施形態は、
図3に示す実施形態の代替的な変形例である。コンベヤ案内板の代わりに、第1ベルトコンベヤ13から離間して平行に配置された第2ベルトコンベヤ633を含む。第2ベルトコンベヤ633の第1区域634と第1ベルトコンベヤの第1区域17は、材料流622を拘束する。さらに
図6において、示された装置は、コンベヤ633,13の近位端637,11の間に配置され、垂直ローラーミル4の粉砕領域9への移送中に材料流を案内する上部近位案内板635及び/又は下部近位案内板636を備えることができることが示されている。
【0124】
図7に示す本開示による装置701の第6実施形態は、供給部703がスクリューコンベア738を含む点でこれまでの実施形態と異なっている。スクリューコンベア738は、入口741及び出口742を有するケーシング739と、粒子状材料10を搬送するための螺旋状のスクリュー羽根740を含む。スクリュー羽根740を回転させることにより、材料10は、注入装置702から入口741を経てスクリューコンベア738を移動し、出口742から空気を介して材料流722として垂直ローラーミル4の粉砕領域9へ投射される。スクリューコンベヤ筐体739の出口742は、材料流722を特定の断面形状、例えば矩形に拘束するような形状であってもよい。垂直ローラーミル4に送られる材料の量は、ゲート721の使用により、注入装置702で調節される。
【0125】
図7Aに示す本開示による装置701Aの実施形態は、
図7に示す実施形態の変形例であり、供給部703Aが2つのスクリューコンベア738A、757Aのアレイを含む点でこれと異なる。図示のように、スクリューコンベア738A、757Aは、共通のケーシング739Aに収容される。しかし、スクリューコンベヤは別々の筐体を有することもでき、任意の数のスクリューコンベヤをアレイに一体化させることができる。
【0126】
図8に示す本開示による装置801の第7の実施形態は、
図7に示すものの変形であり、粒子状材料流822が、スクリューコンベア738の出口742に配置された空気ガイド826を介して供給される空気流827に接触している点でこれとは異なる。空気流827は、出口843でガイド826を出て、垂直ローラーミルの粉砕領域9に移送される材料流822に平行に流れ、それと接触する。
【0127】
図9に示す本開示による装置901の第8実施形態は、相互に離間した2つのコンベヤ滑車914、915と、滑車914、915の間及び周りに延びるエンドレスベルト916とを有するベルトコンベア913、及びベルトの第1区域917をベルトの第2区域918に向かって偏向させて第1区域917に曲線形状を与える偏向ドラム944を有する供給部903を含む。偏向ドラム944は、その周辺外周面946に複数の非貫通孔945を備えている。注入装置902は、下部出口開口920を有する漏斗状の供給チャンバ947を含み、それを通して粒子状材料910がベルトコンベア913の遠位端および偏向ドラム944に供給される。特定の材料910は、非貫通孔945と、偏向ドラム946の外面とベルト916の第1区域917との間に捕捉され、ベルトと偏向ドラムの回転速さによって、空気を介して垂直ローラーミル4の粉砕領域9に材料流922またはマットとして投射される。さらに、そして
図9Aに示されるように、示される開示の実施形態は、供給部903の近位端と垂直ローラーミル4との間に配置された上部近位案内板924および下部近位案内板925を備えることが可能である。案内板924、925は、供給部の近位端から垂直ローラーミル4に向かって収束することができる。
【0128】
さらに、示された本開示の実施形態は、空気が、垂直ローラーミル4に向かって移動する材料流922に平行に流れ、それと接触するような配置を含み得る。空気流927、930は、
図9Bに示されるようにノズル931、932から、又は
図9Cに示されるようにガイド926を介して供給することができる。
【0129】
本開示による偏向ドラムの追加の実施形態が、
図10B~
図10Eに示されている。
図10Bは、孔1045Bが矩形でない周面1046Bを有する偏向ドラム1044Bを示す。
図10Cは、ベルトに係合するための周辺面1046Cを有する2つの間隔をあけた車輪1048Cとして実装された偏向ドラム1044Cを示す。
図10Dは、材料と係合するための棒1049Dが2つの輪1048Dの間の周辺表面1046Dに設けられている偏向ドラム1044Dの実施形態を示す。
図10Eに示される偏向ドラム1044Eの開示による更なる実施形態では、偏向ドラム1044Eは、複数の千鳥配置の突起1049Eを備えている。突起は、実質的に放射状になるように配置することができるが、そうである必要はない。
【0130】
図11に示す本開示による装置1101の実施形態は供給部1103を備える。供給部1103は、ベルトコンベア、2つの互いに間隔を置いたコンベア滑車、滑車間及び滑車周りに延びるベルト、及びベルトの第1区域をベルトの第2区域に向けてコンベア滑車間で偏向させて第1区域に曲線形状を付与する、互いに離間する2つの輪を備える偏向ドラム1144を含む。ベルトスロワーを通って流れる材料流1122は、注入装置1102と偏向ドラムとの間に入り、偏向ドラムによって付与された曲線の周りで材料流1122に続き、垂直ローラーミル1104に向かって続く空気流1130と接触する。空気流は任意で、追加の空気ガイド1126によって案内されてもよい。
【0131】
本開示による装置の他の全ての記載された実施形態において、本開示による垂直ローラーミルは、
図12及び
図12xに示されるように配置され得る。垂直ローラーミル1204は、内側粉砕領域支持装置1250を備え、粉砕台1205から離れ、粉砕台粉砕面1251を超えて粉砕台回転軸1207に沿って延び、内側粉砕領域支持装置1250の円周面1253が粉砕領域1209内の材料流1222に側面支持を与えるように粉砕台回転軸1207と実質的に同心である。
【0132】
さらに外側粉砕領域支持装置1254が、粉砕ローラー粉砕面1252を超えて半径方向に延び、粉砕ローラー回転軸1208と実質的に同心であり、粉砕台1205の円周1255と干渉しないように粉砕台回転軸1207から距離を置いて粉砕ローラー回転軸1208に沿って配置されて設けられている。外側粉砕領域支持装置1254は、粉砕台1205に面する外側粉砕領域支持装置1254の表面1256が、粉砕領域1209における材料流1222の側面支持を行い、材料の側面こぼれを低減するように配置されている。
【0133】
図13に示す開示による装置1301の実施形態は、供給部1303が凹面1359を有する板1358である点でこれまでの実施形態と異なる。粒子状材料1310は、凹面1359に供給され、凹面1359に沿って続き、それによって、ローラーミル4の粉砕領域9に移送されるような方向で表面1359を離れる材料流1322が形成される。プレートは、代替的に、パイプ、滑降斜面路、又は凹面を有する他の任意の装置とすることができる。この実施形態は、
図9A、9B、9Cに示された付加物のいずれか、上部近位案内板924、下部近位案内板925、供給部1303の近位端と垂直ローラーミル4の間に配置されたノズル931、932または空気ガイド926のいずれかを介した空気流927、930を任意選択的に含み得る。
【0134】
図14に示す本開示による装置1401の実施形態は、供給部1403が凹面1459を有するプレート1458である点で、先の実施形態と同様である。粒子状材料1410は、下側に流れ、凹面1459に沿って続き、それによって、ローラーミル4の粉砕領域9に移送されるような方向で表面1459を離れる材料流1422を形成する。プレートは、代替的に、パイプ、滑降斜面路、又は凹面を有する他の装置とすることも可能である。
【0135】
図15に示す本開示による装置1501の実施形態では、垂直ローラーミル1504は、供給部1502から直接粉砕領域1509に垂直に下る材料1522の材料流を受け取るように配置されている。供給部1502は、3つの滑車1514と1つのベルト1516を有する2つのベルトコンベア1513、1533それぞれを含む。ベルト1562の区分は、ベルトが粒状材料1510のための漏斗1560を形成するように、ベルト1562の反対側の区分に対して角度1564で配置される。材料1510が漏斗を流れるとき、それは2つの角度のついたベルト区分1562の間に挟まれ、ベルト1516の速さに加速される。ベルト1561の次の区分では、ベルトは平行に配置され、ベルト1561の間に材料1522のマットを拘束し形成する。次いで、材料1522のマットは、垂直ローラーミル1504の粉砕領域1509に導かれる。
【0136】
図16に示す本開示による装置1601の実施形態は、
図6に示す実施形態の代替的な変更である。遠位端において、第2のベルトコンベア1633の第1区域1634は、第1のベルトコンベア13の第1区域17に対して角度1664で配置されているので、それらは漏斗1660を形成している。粒状材料1610は、2つの区域のベルト17、1634の間に挟まれるまで第1ベルト13の第1区域17に沿って搬送され、ベルト13、1633の速さに加速されてから垂直ローラーミル4の粉砕領域9に導かれる。
【0137】
本書で使用されるときはいつでも、「含む」又は「備える」という用語は、記載された特徴、整数、段階、構成要素の存在を示すことを意図しているが、1つ以上の他の特徴、整数、段階、構成要素またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。
【0138】
本明細書において特に示されない限り、記載された段階の特定の順序は例示に過ぎず、本開示から逸脱することなく変化させることができることは、当業者には理解されるであろう。したがって、特に明記しない限り、記載されたステップは、可能な場合、ステップが任意の便利な又は望ましい順序で実行され得るという意味で、順不同である。
【0139】
さらに、本開示は、請求項の1つ以上または明細書の関連部分からの1つ以上の制限、要素、節、記述用語などが別の請求項に導入されるすべての変形、組み合わせ、および順列を包含することが理解されるものとする。例えば、他の請求項に従属する任意の請求項は、同じベース請求項に従属する任意の他の請求項に見出される1つ以上の制限を含むように修正され得る。
【0140】
本開示は、記載された実施形態にいかなる意味でも限定されると見なすべきではなく、当業者であれば、その修正に対する多くの可能性を予見するであろう。
【0141】
上述した実施形態は、組み合わせ可能である。以下の請求項は、本開示の特定の実施形態をさらに規定する。
【国際調査報告】