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特表2023-525697抗SARS-CoV-2ウイルス薬であるAntiprovir
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】抗SARS-CoV-2ウイルス薬であるAntiprovir
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20230612BHJP
   A61K 38/57 20060101ALI20230612BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20230612BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230612BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20230612BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
A61K38/17
A61K38/57
A61K9/19
A61K9/08
A61K9/72
A61P31/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566651
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 RU2020000328
(87)【国際公開番号】W WO2021221532
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】2020116573
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513016895
【氏名又は名称】アレクサンドル・バシリエビッチ・イワシェンコ
(71)【出願人】
【識別番号】509277338
【氏名又は名称】アンドレイ・アレクサンドロビッチ・イワシェンコ
(71)【出願人】
【識別番号】519311293
【氏名又は名称】イワシェンコ,アレナ・アレクサンドロブナ
(71)【出願人】
【識別番号】513016909
【氏名又は名称】ニコライ・フィリッポビッチ・サブチュク
(71)【出願人】
【識別番号】522425840
【氏名又は名称】ウラジーミル・グリゴリエビチ・ロギノフ
(71)【出願人】
【識別番号】522425851
【氏名又は名称】ミハイル・タプール
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・バシリエビッチ・イワシェンコ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ・アレクサンドロビッチ・イワシェンコ
(72)【発明者】
【氏名】イワシェンコ,アレナ・アレクサンドロブナ
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ・フィリッポビッチ・サブチュク
(72)【発明者】
【氏名】ウラジーミル・グリゴリエビチ・ロギノフ
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル・タプール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
4C076AA93
4C076BB13
4C076BB25
4C076BB27
4C076CC35
4C076DD23Z
4C076DD30Z
4C076DD35
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD67
4C076EE53
4C076FF04
4C076FF12
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA20
4C084BA26
4C084BA44
4C084CA20
4C084DC32
4C084MA05
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA44
4C084MA56
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC201
4C084ZC202
(57)【要約】
本発明は、コロナウイルス疾患(COVID-19)の予防および治療のための新規のSARS-CoV-2抗ウイルス薬であるAntiprovirに関する。コロナウイルス疾患(COVID-19)の予防および治療のための、抗SARS-CoV-2ウイルス薬であるAntiprovirとして、活性成分であるアプロチニンおよび賦形剤を含有する医薬組成物、とりわけAprotex(登録商標)、Gordox(登録商標)またはAerus(登録商標)の使用が提唱される。コロナウイルス疾患(COVID-19)の予防および治療のための薬物であるAntiprovirは、0.1~0.2wt%のアプロチニンおよび任意選択で0.2~1.0wt%の賦形剤を含有し、残部が注射用水である医薬組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてアプロチニンおよび賦形剤を含有する、Aprotex(登録商標)、Gordox(登録商標)およびAerus(登録商標)を含む医薬組成物の使用であって、前記組成物は、コロナウイルス疾患COVID-19の予防および治療を意図した抗SARS-CoV-2ウイルス薬であるAntiprovirである、上記使用。
【請求項2】
コロナウイルス疾患COVID-19の予防および治療のための薬物であるAntiprovirであって、0.1wt%~0.2wt%のアプロチニン、任意選択で0.2wt%~1.0wt%の賦形剤を含有し、残部は注射用水である医薬組成物である、上記Antiprovir。
【請求項3】
塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、ベンジルアルコール、ラクトース、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペパーミントリーフ油、エタノール、およびグリセロールから選択される賦形剤を含有する、請求項2に記載のAntiprovir。
【請求項4】
薬物Gordox(登録商標)である、請求項2に記載のAntiprovir。
【請求項5】
薬物Aprotex(登録商標)である、請求項2に記載のAntiprovir。
【請求項6】
薬物Aerus(登録商標)である、請求項2に記載のAntiprovir。
【請求項7】
0.1wt%~0.2wt%のアプロチニン、および任意選択で0.2wt%~1.0wt%の賦形剤を含有する薬物であるAntiprovirの調製のための凍結乾燥物。
【請求項8】
塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、およびラクトースから選択される賦形剤を含有する、請求項7に記載の凍結乾燥物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のAntiprovirを生産するための方法であって、請求項7または8に記載の凍結乾燥物を注射用水に溶解させることによる、上記方法。
【請求項10】
SARS-CoV-2(COVID-19)感染の予防および治療のための方法であって、本発明の薬物であるAntiprovirを患者に投与することを含む、上記方法。
【請求項11】
静脈内療法を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
スプレー療法を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
薬物であるAntiprovirを、5~14日間、1日2~4回、300~150,000KIUの用量で患者に投与することを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、COVID-19コロナウイルス疾患の予防および治療のために使用される新規の抗SARS-CoV-2ウイルス剤であるAntiprovir(抗ウイルス剤)に関する。
【背景技術】
【0002】
2019年中国武漢における新型コロナウイルス(後にSARS-CoV-2と名付けられた)の突発的な大発生は、すぐに世界的なパンデミックと化し、人間社会に有害性のコロナウイルスの第3の導入をもたらし、医療制度だけでなく世界経済にも影響を及ぼした。SARS-CoV-2(COVID-19)のワクチン接種、予防、および治療への有効なアプローチならびに疫学的な制御はまだない。
【0003】
これに関して、SARS-CoV-2(COVID-19)の予防および治療のための集中的なワクチンと治療剤の探索が世界的に進行中である。新たに出現するパンデミックに対する迅速な応答としての1つの実用的なアプローチは、それまで他のウイルス感染を対象とした既存の治療剤を転用することであり、これはなぜなら、これらの薬剤のほとんどはすでにそれらの安全性に関して試験されているためである。これらの薬剤は、ウイルス複製サイクルを直接標的化し得るものと、自然の抗ウイルス免疫応答を強化することか、または炎症性応答の調節異常によって引き起こされるダメージを低減させることのいずれかを目的とした免疫療法アプローチに基づくものとの2つの広範なカテゴリーに分けることができる。
【0004】
初期の臨床治験は、数々のこのような薬物の、例えば、ウイルス複製に干渉する広域スペクトル抗ウイルス薬であるファビピラビル;ウイルスのエンドソーム経路に干渉する転用された抗マラリア薬であるヒドロキシクロロキン;および広域スペクトルの抗ウイルス活性を有するレムデシビルなどの有望な治療上の可能性を明らかにした。レムデシビルは、あらゆる状態の治療に関する安全性または効能が証明されていない実験的な薬物である。レムデシビルは、インビトロおよび動物モデルでのインビボにおいて、コロナウイルスでもあり、COVID-19に構造的に類似したウイルス病原体MERSおよびSARSに対して実証された活性を有する。MERSおよびSARSにおけるレムデシビルの限定的な前臨床データは、レムデシビルがCOVID-19に対して潜在的に活性である可能性があることを示す。
【0005】
2020年4月26日の時点で、COVID-19コロナウイルスは210の国および地域に影響を及ぼし、COVID-19感染個体は合計3,055,308症例であり、そのうち917,432人が回復し、211,032人が死亡した。
【発明の概要】
【0006】
SARS-CoV-2が世界の公衆衛生および経済に深刻な脅威をもたらすことを考えれば、新規の有力な抗コロナウイルス薬を探索することが適切であると思われる。
【0007】
本発明の明細書にわたり使用される様々な用語の定義を以下に列挙する。
用語「医薬用薬物」は、錠剤、カプセル剤、注射剤、軟膏剤の形態の、またはヒトおよび動物における生理学的機能の回復、改善、もしくは改変、それに加えて疾患の治療および予防、診断、麻酔、避妊、美容術などを意図した他の完成した剤形の形態の、化合物(または医薬組成物を構成する化合物の混合物)を指す。
【0008】
用語「医薬組成物」は、式1の化合物と、医薬的に許容され薬理学的に適合性のある増量剤、溶媒、希釈剤、担体、賦形剤、分配剤、および検知剤、送達のための薬剤、例えば保存剤、安定剤、増量剤、崩壊薬、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、増粘剤、甘味料、矯味矯臭剤、着香剤、抗細菌剤、殺真菌剤、潤滑剤、および長期送達を制御する薬剤からなる群から選択される成分の少なくとも1つとを含む組成物を指し、これらの選択および比率は、投与の性質および経路ならびに投薬量による。好適な懸濁化剤の例は、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレン、ソルビトールおよびソルビトールエーテル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物である。微生物からの保護は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、ソルビン酸などを使用してもたらすことができる。前記組成物はまた、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含んでいてもよい。組成物の持続的な作用は、活性成分の吸収を減速させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンを使用して達成することができる。好適な担体、溶媒、希釈剤および送達剤の例としては、注射剤の場合、水、エタノール、多価アルコールおよびそれらの混合物、天然油(例えばオリーブ油)、ならびに有機エステル(例えばオレイン酸エチル)が挙げられる。増量剤の例は、ラクトース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどである。崩壊薬および分配剤の例は、デンプン、アルギン酸およびその塩、ならびにケイ酸塩である。潤滑剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、および高分子量ポリエチレングリコールである。活性成分単独の、または活性成分と別の活性成分と組合せの、経口、舌下、経皮、筋肉内、静脈内、皮下、および局所または直腸内投与のための医薬組成物は、従来の製剤用担体との混合物として、標準的な投与形態で動物およびヒトに投与することができる。好適な標準的な投与形態としては、経口用の形態、例えば錠剤、ゼラチンカプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、チューインガム、および経口溶液または懸濁液;舌下および口腔粘膜投与形態;エアロゾル;インプラント;局所、経皮、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内、または眼球内への形態;ならびに直腸内投与形態が挙げられる。
【0009】
用語「不活性増量剤」は、本明細書で使用される場合、医薬組成物を調製するために使用され、一般的に安全であり、非毒性であり、生物学的にもそれ以外の観点でも別段の有害ではない化合物を指し、動物用およびヒト用の医薬的使用に許容できる賦形剤を含む。本発明の化合物は、個々に投与してもよいが、それらは、一般的に、薬物の予期される投与経路と標準的な製薬の慣例に応じて選ばれる1種またはそれより多くの医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体との混合物で投与されると予想される。
【0010】
用語「治療有効量」は、本明細書で使用される場合、対象における疾患の症状を軽減するのに必要な物質、プロドラッグ、または薬物の量を指す。物質、プロドラッグ、または薬物の用量は、それぞれ特定のケースにおいて個別の要求を満たすものと予想される。前記用量は、治療しようとする疾患の重症度、患者の年齢および全身状態、患者の治療に使用された他の医薬、投与の様式および経路、ならびに担当医の経験のような多数の要因に応じて広範囲で変更が可能である。経口投与の場合、1日用量は、単独療法および/または併用療法の両方で、間の全ての値を含めおよそ0.01~10gである。好ましい1日用量は、約0.1~7gである。一般的に、ウイルスを軽減または排除するために、治療の初期にはより高い負荷用量が与えられ、それに続いて、感染爆発を予防するのに十分なレベルに用量を低減させる。
【0011】
用語「対象」は、これらに限定されないが、ウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ、シチメンチョウ、スイギュウ、ラマ、ダチョウ、イヌ、ネコ、およびヒトなどの哺乳動物を指し、ヒト対象が最も好ましい。対象の治療は、一般式1のあらゆるプロドラッグ、その立体異性体、同位体豊富なアナログ、医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、および結晶形態もしくは多形体、またはそれらと、別の化合物、例えば様々なRNAウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)の阻害剤などとの組合せの使用を含み得ることが想定される。
【0012】
アプロチニンは、ウシ臓器から抽出されるポリペプチドであり、これは、抗タンパク質分解、止血、および抗フィブリン溶解作用を有することが知られており、様々な疾患を治療するための多数の薬物のコア成分であり、例えばAprotex(登録商標)、Gordox(登録商標)、Aerus(登録商標)などがある。
【0013】
Aprotex(登録商標)は、活性成分としてアプロチニン凍結乾燥物および賦形剤(ラクトース、水酸化ナトリウム)を含む医薬組成物であり、静脈内投与のための溶液の調製のために使用され[https://www.rlsnet.ru/tn_index_id_26457.htm]、抗タンパク質分解、止血、および抗フィブリン溶解作用を有する。Aprotexは、急性膵炎または悪化した慢性膵炎および膵臓壊死;線溶亢進の背景における出血:外傷後、術後(特に前立腺、肺への手術において)、出産の前、その後およびその間(羊水塞栓を含む);頻発月経;血管浮腫;ショック(毒性、外傷性、熱傷、出血性);広範囲で深い外傷性組織傷害の治療のために、加えて、急性の非特異性の術後耳下腺炎を予防するため、ならびに診断テストおよび膵臓への手術を実行するために(手術中の膵臓および隣接する腹部臓器における酵素による自己分解の防止)使用される[https://www.vidal.ru/drugs/aprotex_30966]。
【0014】
Gordox(登録商標)は、活性成分としてアプロチニン、賦形剤(塩化ナトリウム、ベンジルアルコール、および注射用水)を含み、抗フィブリン溶解作用を有する注射用医薬組成物である[https://yandex.ru/health/pills/product/gordoks-203]。Gordox(登録商標)は、出血のリスクが高い状態にあるかまたは輸血が必要な成人患者において、術中の失血を予防し、CPRを使用する大動脈バイパス手術中の輸血の体積を低減するために使用される[https://yandex.ru/health/pills/product/gordoks-203]。この薬物はまた、出血のリスクが高いかまたは輸注への必要性がある可能性がある患者のための予防的治療としても推奨されている[https://www.vidal.by/poisk_preparatov/gordox.html]。
【0015】
Aerus(登録商標)は、エアロゾル吸入用であり[WO2012008869、RU2425691、EP2594283]、ウイルス呼吸器感染症ならびにウイルスが原因の感染性および炎症性疾患の治療のためのものであり、これは、活性成分としてアプロチニンおよび賦形剤(噴射剤:1,1,1,2-テトラフルオロエタン;溶媒:エタノール、グリセロール、および水;ならびに安定剤:ペパーミント油)を含む医薬組成物である[https://www.vidal.ru/drugs/aerus__23575;https://www.rlsnet.ru/tn_index_id_44141.htm]。
【0016】
発明者らは、驚くべきことに、活性成分としてアプロチニンおよび賦形剤を含むAprotex(登録商標)、Gordox(登録商標)およびAerus(登録商標)などの周知の医薬組成物を、新しい方法で、すなわち、COVID-19コロナウイルス疾患の予防および治療のための抗SARS-CoV-2ウイルス薬であるAntiprovirとして使用できることを発見した。
【0017】
本発明の主題は、コロナウイルス疾患COVID-19の予防および治療のための薬物であるAntiprovirであって、0.1wt%~0.2wt%のアプロチニン、任意選択で0.2wt%~1.0wt%の賦形剤を含有し、残部は注射用水である医薬組成物である、上記Antiprovirである。可能性のある賦形剤としては、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、ベンジルアルコール、ラクトース、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペパーミントリーフ油、エタノール、グリセロールなどが挙げられる。
【0018】
好ましくは、Antiprovir薬物は、Gordox(登録商標)である。
好ましくは、Antiprovir薬物は、Aerus(登録商標)である。
好ましくは、Antiprovir薬物は、Aprotex(登録商標)である。
【0019】
本発明の主題は、1~2重量部のアプロチニンおよび任意選択で2~10重量部の賦形剤を含有する、本発明のAntiprovirの調製のための凍結乾燥物である。可能性のある賦形剤としては、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、ベンジルアルコール、ラクトース、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペパーミントリーフ油、エタノール、グリセロールなどが挙げられる。
【0020】
本発明の主題は、本発明の凍結乾燥物を注射用水に溶解させることによる、本発明のAntiprovirを生産するための方法である。
【0021】
SARS-CoV-2ウイルスに対するVero E6細胞培養物における本発明のAntiprovirのCovid-014抗ウイルス効能の評価。
Antiprovirを、薬物Aprotex、GordoxおよびAerusの凍結乾燥物として、SARS-CoV-2ウイルスに対して、約53,000KIU/ml(または約10,000KIU+/ウェル)の濃度で、リアルタイムPCRでの確認を用いて、Vero E6細胞培養物における細胞変性作用によってウイルス生産を分析することによって研究した。本発明のAntiprovirが、約53,000KIE/ml(または約10,000KIE/ウェル)の濃度で、ウイルスの細胞変性作用を、100TCID50/ウェルの用量で完全に抑制し、1000TCID50/ウェルの用量でそれを部分的に抑制したことが見出された。
【0022】
本発明のAntiprovirの抗SARS-CoV-2ウイルスの効能を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して評価した。研究したウェル中で、リアルタイムでSARS-CoV-2ウイルスを検出した。単離段階の陽性および陰性対照と並行してさらにRNA単離に使用するために、0TCID50、100TCID50および1000TCID50のウイルスに対応する3つの薬物希釈ウェルから上清を収集した。単離されたRNAをリアルタイムPCRに使用した。ウイルスRNAの存在を閾値サイクル値(Ct)によって評価した。PCRデータは、100TCD50のウイルス負荷量、約53,000KIU/mlの濃度でのAntiprovirによるSARS-CoV-2ウイルスの完全な阻害を示した。
【0023】
本発明の別の目的は、SARS-CoV-2(COVID-19)感染の予防および治療のための方法であって、本発明の薬物であるAntiprovirを患者に投与することを含む、上記方法である。
【0024】
医薬用薬物は、非経口的に、例えば静脈内、皮下、腹部などに、またはスプレーデバイスを介して投与することができる。本発明の薬物の臨床的な投薬量は、患者の体における治療有効性、それらの代謝およびクリアランス速度、加えて年齢、性別および疾患のフェーズに応じて調整することができる。医師または薬剤師の指示に従って、これらの薬物療法は、特定の期間内に数回(好ましくは、1~6回)摂取してもよい。
【0025】
感染個体や医療関係者と密接に接触したヒトにおけるSARS-CoV-2(COVID-19)の予防の場合、本発明のAntiprovirは、14日間、吸入または鼻内噴霧として、各鼻孔につき300KIU(活性単位)の用量で1日2回摂取される。非常時の予防の場合、Antiprovirは、14日間、吸入または鼻内噴霧として、各鼻孔につき300KIUの用量で、1日4回摂取される。
【0026】
COVID-19感染の軽度の形態の場合、Antiprovir吸入は、7日間、1日4回摂取される。中程度のケースにおいて、Antiprovirの投薬量は、7日間、2時間ごとに摂取される吸入によって、5.0KIU/患者/日に増加させることができる(600KIUから5000KIUに)。
【0027】
COVID-19の重度の形態の場合、Antiprovirの投薬量は、30000KIU/患者/日であり、50,000KIU/患者/日まで増加させることができる。この投薬量は、肺および他の重要な臓器において、ウイルスの繁殖を抑制し、全身性炎症を低減するのに十分なレベルで薬物の治療的な濃度を維持する量と予想される。Antiprovirは、5~7日間、100,000KIUの用量で、1日2~3回、または5~7日間、150,000KIUで、1日3回、ゆっくり噴射で、または滴下によって投与される。
【0028】
本発明は、これらに限定されないが、以下の実施例によって例示される。
【実施例
【0029】
実施例1.COVID-19静脈内またはスプレー療法を意図したAntiprovirの調製のための凍結乾燥物。
アプロチニン(1.5g)、塩化ナトリウム(85g)、およびベンジルアルコール(100g)を、10lの注射用水に溶解させる。得られた溶液を、Rota FLR50充填装置を使用して好適なバイアルに流し込む(10ml/バイアル)。充填されたバイアルを、120~122℃、120kPaの圧力で8分間滅菌し、Zirbus昇華器で、0.3bar未満の真空下で凍結乾燥し、コルク栓をし、アルミニウムキャップをし、10ピースの箱中にパッキングして、10ml中100000KIUのAntiprovirの調製のための凍結乾燥物を得た。
【0030】
実施例2.COVID-19の静脈内療法のための抗SARS-CoV-2剤Antiprovir。
アプロチニン(1.5g)、塩化ナトリウム(85g)、およびベンジルアルコール(100g)を、10lの注射用水に溶解させる。得られた溶液の半分を、Rota FLR50充填装置を使用して、好適な無色のガラスの1mlアンプルに流し込み、残りの半分を10mlアンプルに流し込む。充填されたアンプルを、120~122℃、120kPaの圧力で8分間滅菌し、ガスバーナーでシールし、10ピースの箱中にパッキングして、COVID-19静脈内療法のための1ml中10000KIUおよび10ml中100000KIUのAntiprovirキットを得る。
【0031】
実施例3.COVID-19スプレー療法のための抗SARS-CoV-2薬物療法剤Antiprovir。
アプロチニン(1.5g)、塩化ナトリウム(57g)、およびベンジルアルコール(67g)を、10lの注射用水に溶解させる。得られた溶液を、120~122℃、120kPaの圧力で8分間滅菌し、(鼻および/または喉のための)それぞれ100mlの適切なスプレー缶に分配して、COVID-19スプレー療法のための抗SARS-CoV-2ウイルス剤Antiprovirを得る。
【0032】
実施例4.SARS-CoV-2ウイルスに対するVero E6細胞培養物におけるAntiprovirのCovid-014抗ウイルス効能の評価。
Antiprovirを、約53000KIU/mlの濃度でのAprotexおよびGordox凍結乾燥物として、SARS-CoV-2ウイルスに対して研究した。ウイルス生産を、免疫生物学的薬物の品質管理のための試験センターであるガマレヤ連邦疫学・微生物学研究センターで、リアルタイムPCRでの確認を用いて、Vero E6細胞培養物における細胞変性作用に関して評価した。
【0033】
Vero E6細胞を、100.0μlの新たに調製された完全培養培地(CM)中で、96ウェル培養平底プレートに入れた(細胞12000個/ウェル)。細胞を、37℃、5%COで24時間培養した。106,400U/mlの濃度で試験薬物の2倍希釈物を調製するために、8つのバイアルの内容物を連続的に1mlの反応培地(RM)に溶解した。得られた106,400KIU/mlの溶液を2~8℃で2時間維持して、薬物の溶解性を制御した。CMをプレートから除去し、細胞をRM培地で洗浄し、試験物質の100μlの各希釈物で充填した。各希釈ポイントを3ウェルで(3連で)試験した。加えて、起こり得る細胞傷害作用を評価し、調査記録を維持するために、ウイルス非含有対照ウェルに薬物を添加した。細胞対照ウェルに純粋なRMを添加した。細胞を感染させるために、Vero E6細胞に対して10TCID50/1mlの感染活性を有するSARS-CoV-2ウイルス(継代4)の懸濁液を調製した。10-1から10-6までの一連の10倍のウイルス希釈物を作製した。各試験管中900μlのRMおよび100μlのウイルス懸濁液の必要量の対応するRMを含む試験管に連続して移動させることによって懸濁液を希釈した。1000TCID50/mlの濃度でウイルス懸濁液を調製するために、10μlの懸濁液を、1×10TCID50/mlの濃度でストックウイルス懸濁液から取り、10.0mlのRMに入れた。10000TCID50/mlの濃度でウイルス懸濁液を調製するために、100μlの懸濁液を、1×10TCID50/mlの濃度でストックウイルス懸濁液から取り、9.9mlのRMに入れた。ウイルス懸濁液の希釈物を試験される薬物の希釈物と2時間インキュベートした後、細胞に添加し、次いでそれらを一緒に96時間インキュベートした。1000および10000TCID50/ml(それぞれ100および1000TCID50/ウェル)の濃度でのウイルス(100μl)を、RM培地中100TCID50および1000TCID50で、ウェルに添加した。各細胞対照ウェルにRM(100μl)を添加した。ウイルス対照におけるウイルスが、期待される範囲内で細胞変性作用を十分証明するまで、細胞を含むプレートを、37℃、5%COで96時間インキュベートした。感染の96時間後に、Vero E6細胞培養物におけるウイルスの細胞変性作用(CPE)の阻害によって、サンプルの抗ウイルス活性を顕微鏡下で視覚的に評価した。薬物に曝露されたときのVero E6細胞培養物におけるウイルスの細胞変性作用の阻害に関する報告で研究を完結させた:完全な阻害(3ウェルのうち3ウェルでCPE非存在)、不完全な阻害(3ウェルのうち1または2ウェルでCPE存在)、阻害の非存在(3ウェルのうち3ウェルでCPE存在)。結果:約53000KIU/mlの濃度(または約10000KIU/ウェル)でのAntiprovirは、100TCID50/ウェルの用量でウイルスの細胞変性作用を完全に抑制し、1000TCID50/ウェルの用量で前記作用を部分的に抑制した。
【0034】
研究したウェルにおける薬物の抗SARS-CoV-2ウイルス作用の効能を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)方法を使用して、リアルタイムで決定した。0TCID50、100TCID50および1000TCID50のウイルスの薬物希釈物の3つのウェルから、上清を除去し、単離段階の陽性および陰性対照と並行してRNA単離に使用した。単離されたRNAをリアルタイムPCRに使用した。ウイルスRNAの存在を、閾値サイクル(Ct)に関して評価した。結果は、以下の通りである:PCRデータは、約53,000KIU/mlのAntiprovir濃度でSARS-CoV-2ウイルス繁殖の完全な阻害を示したAntiprovirの高い抗SARS-CoV-2ウイルス活性を確認した。
【国際調査報告】