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特表2023-525699リトラクタプリテンショナアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】リトラクタプリテンショナアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/46 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
B60R22/46 142
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566685
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 US2021032266
(87)【国際公開番号】W WO2021231739
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】16/875,698
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ピン
(72)【発明者】
【氏名】ホール、クリストファー、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】バロウ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コールンドルファー、ケン
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018MA02
(57)【要約】

シートベルトプリテンションリトラクタアセンブリで使用するためのシートベルトプリテンショナは、ガス発生器と流体連通しているプリテンショナチューブと、プリテンショナチューブの内部に配置されたピストンを有し、可撓性の細長ロッドが形成された駆動要素とを含む。プリテンショナチューブの内面から間隔を空けた細長ロッドの外面の少なくとも一部分は、スプロケットが細長ロッドと係合しているときに、ガス発生器からのガス圧力がピストンに印加されて、プリテンショナチューブ内のピストンとガス発生器との間に画定された作動容積内に過圧状態を引き起こした場合に、変形した細長ロッドが広がる少なくとも1つの隙間空間を画定している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトプリテンションリトラクタアセンブリ(10)で使用するためのシートベルトプリテンショナであって、ガス発生器(16)と流体連通しているプリテンショナチューブ(22)と、
前記プリテンショナチューブ(22)の内部に配置されたピストン(36)を有する駆動要素(100)であって、前記ガス発生器(16)が作動して前記プリテンショナチューブ(22)の内部の前記ピストン(36)及び前記ガス発生器(16)によって画定された作動容積(46)内へ作動ガスを生成すると、ハウジング内のスプロケット(26)に向かって前記プリテンショナチューブ(22)内を移動するように適合されている、駆動要素(100)と、
を有し、
可撓性の細長ロッド(100、160、170、180、190)の形態の前記駆動要素(100)が、前記スプロケット(26)の方に向けて配置された遠位端(37、104)部分、及び前記遠位端(37、104)部分の反対側に配置された近位端部分を有し、前記近位端部分から前記遠位端(37、104)部分まで長手方向に延びるように構成されている、
シートベルトプリテンショナにおいて、
前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の外面の少なくとも一部分が、前記プリテンショナチューブ(22)の内面から間隔を空けて、少なくとも1つの隙間空間(48)を画定しており、
前記スプロケット(26)が前記細長ロッド(100、160、170、180、190)と係合しているときに、前記ガス発生器(16)からのガス圧力が前記ピストン(36)に印加されて、前記作動容積(46)内に過圧状態を引き起こした場合に、前記細長ロッド(100、160、170、180、190)が、前記近位端部分(102)と前記遠位端部分(37、104)との間の圧縮によって変形し、前記隙間空間(48)の少なくとも一部分に広がるように構成されており、前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の変形により、前記作動容積(46)が拡張し、これにより、前記作動容積(46)内の前記ガス圧力が低減して、前記過圧状態を緩和することを特徴とする、シートベルトプリテンショナ。
【請求項2】
前記作動容積(46)内の前記低減されたガス圧力が、前記プリテンショナチューブ(22)の構造が破裂するのを防止するように構成されている、請求項1に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項3】
前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の前記外面の前記一部分が、前記隙間空間(48)を画定するための少なくとも1つの凹部(108、116)を有するように形成されている、請求項1又は2に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項4】
前記凹部(108、116)を画定している凹状部分(106)が、前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の第1の側上に前記外面に沿って概ね前記長手方向に延びている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項5】
凹状セクション(116)が、前記凹状部分とは反対側の第2の側上に前記外面に沿って前記長手方向に延びている、請求項1から4のいずれか一項に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項6】
前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の前記外面の前記一部分が、前記隙間空間(48)を画定するための半径方向の深さを有する少なくとも1つの環状溝(166)を有するように形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの環状溝(166)が、前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の前記近位端部分に配置されている、請求項6に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの環状溝(166)が、前記長手方向に沿って間隔を空けており、前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の概ね全長に配置されている、請求項6又は7のいずれか一項に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項9】
前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の前記外面の前記一部分が、前記隙間空間(48)を画定するために前記長手方向に沿って延びていることによって、少なくとも1つの長手方向溝(186)を有するように形成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの長手方向溝(186)が、前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の周方向に沿って等間隔になっている、請求項9に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項11】
前記細長ロッド(100、160、170、180、190)が、最遠位端を更に含み、前記最遠位端が、前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の第1の側に配置され、かつ、前記長手方向に前記最遠位端の長さに沿って内向きにテーパ状になっている面取り部(114)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項12】
前記過圧状態では、前記拡張可能なピストン(36)が、高い封止圧力を保持するとともに、前記作動容積(46)内の前記ガス圧力を維持するように動作可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項13】
前記駆動要素(100)が、ポリマー材料から作製されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のシートベルトプリテンショナ(12)。
【請求項14】
前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の外面の少なくとも一部分が前記プリテンショナチューブ(22)の内面から間隔をあけて、少なくとも1つの隙間空間(48)を画定しており、
前記スプロケット(26)が前記細長ロッド(100、160、170、180、190)と係合しているときに、前記ガス発生器(16)からのガス圧力が前記ピストン(36)に印加されて、前記作動容積(46)内の過圧状態を引き起こした場合に、前記細長ロッド(100、160、170、180、190)が、前記近位端部分と前記遠位端(37、104)部分との間の圧縮によって変形し、前記隙間空間の少なくとも一部分に広がるように構成されており、
前記過圧状態では、前記作動容積(46)のサイズが、少なくとも15パーセント増大することをさらに特徴とする、請求項1に記載のシートベルトプリテンショナ。
【請求項15】
前記作動容積(46)の前記増大したサイズが、前記作動容積(46)内の前記ガス圧力を低減して、前記過圧状態を緩和する、請求項1から14のいずれか一項に記載のシートベルトプリテンショナ。
【請求項16】
前記作動容積(46)の前記サイズが、前記過圧状態において、前記細長ロッド(100、160、170、180、190)及び前記ピストン(36)の前記変形、並びに前記細長ロッド(100、160、170、180、190)の移動距離によって増大する、請求項1から14のいずれか一項に記載のシートベルトプリテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT国際出願は、米国特許法第119条のもと、2020年5月15日に出願された米国特許出願第16/875,698号の優先権の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、車両の乗員を拘束するためのシートベルト拘束デバイスに関し、より具体的には、シートベルトをプリテンションするためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションにおける記載は、本開示に関連する背景技術情報を単に提供し、先行技術を構成するものではない。
【0004】
車両シート内の乗員を拘束するためのシートベルト拘束システムは、車両衝突状況における乗員の負傷を軽減するのに重要な役割を果たす。シートベルト拘束システムでは、典型的には、ベルトリトラクタが、ベルトウェビングを格納するために提供され、衝突状況におけるベルト引張荷重を管理するようにさらに作用し得る。乗員によって手動で展開されるシートベルト拘束システム(いわゆる「アクティブ」タイプ)はまた、典型的には、固定具によって車両本体構造に取り付けられたバックルを含む。ベルトウェビングに取り付けられたラッチプレートがバックルによって受容され、ベルトシステムが、拘束を可能にするよう締結され、車両への乗車及び車両からの降車を可能にするよう外されることを可能にする。したがって、シートベルト拘束システムは、展開されると、衝突中に乗員を効果的に拘束する。
【0005】
OEM車両製造業者は、多くの場合、乗員を拘束する性能を向上させるために、車両の衝撃中、又はさらには衝撃前のいずれかでシートベルトに張力をかけるプリテンションデバイス(「プリテンショナ」としても知られる)を有するシートベルト拘束システムを提供している。プリテンショナは、ウェビングのたるみを取り除き、衝突シーケンスの早期にベルト拘束システムが乗員と結合することを可能にする。1つのタイプのプリテンショナは、ベルトに張力をかけるためにウェビングリトラクタに作用する。
【0006】
膨張ガスを発生させるために火薬を使用するガス発生器を組み込んだ回転プリテンショナ(roto-pretensioner)として知られているタイプを含む、リトラクタプリテンショナの様々な設計が現在存在する。そのような回転プリテンショナの例が、1995年4月11日に出願された米国特許第5,881,962号、2005年4月27日に出願された米国特許出願公開第2006/0243843号、2010年7月6日に出願された米国特許出願公開第2012/0006925号、及び2011年8月2日に出願された米国特許第7,988,084号に記載されている。これらは本出願の譲受人によって共通に所有されており、それらの全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。概して、火薬又は他の可燃材の点火は、リトラクタスプールプリテンショナホイールに係合し、ホイールを巻いてウェビングを引き込む、プリテンショナチューブ内に配置された、ピストン、ラック及びピニオン、又は一連のボール、又はロッド要素などの駆動要素に運動を付与するためのピストンを有するチャンバ内にガス圧力を生み出す。
【0007】
シートベルトプリテンションシステムの通常状態では、例えば、プリテンショナは、乗員がプリテンション力よりも高い力でシートベルトに加重をかけたときにトリガされる。トリガされると、ガス発生器が作動し、プリテンショナチューブの内部に発生したガスによってピストンが運動し始める。ピストンが移動し始めると、プリテンショナチューブ内のチャンバ容積が増大し、チャンバ容積内のガス圧力が低下する。しかし、プリテンション巻き取り機構が阻止された場合には、チャンバ容積は増大することができなくなるため、チャンバ内部のガス圧力は、保つことができる構造構成要素よりも高くなり得るであろう。
【0008】
チャンバの過圧のリスクを軽減するために、永久的な圧力逃がし弁(例えば、常に開いている小孔)又は安全弁(例えば、通常のプリテンション事象においては、弁は閉じているが、チャンバに過圧がかかったときには開くことができる)が、チャンバの内部のガス圧力を低減するために使用され得るであろう。しかし、プリテンショナから放出される高温及び可燃性のガスは、火災の危険、又は乗員によって吸い込まれた場合には、後の健康リスクの原因となり得るであろう。
【0009】
チャンバの過圧のリスクを軽減する別の方法は、過負荷クラッチを使用することである。しかし、過負荷クラッチは、プリテンションシステムにおける重量及びコストを増大させ、プリテンショナシステムにおけるパッケージングサイズも増大せざるを得なくなる。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、シートベルトプリテンションリトラクタアセンブリで使用するためのシートベルトプリテンショナに関する。本開示の一態様によれば、シートベルトプリテンショナは、概して、回転プリテンショナタイプであり、ガス発生器と流体連通しているプリテンショナチューブと、プリテンショナチューブの内部に配置されたピストンを有する駆動要素であって、ガス発生器が作動してプリテンショナチューブの内部のピストン及びガス発生器によって画定された作動容積内へ作動ガスを生成すると、ハウジング内のスプロケットに向かってプリテンショナチューブ内を移動するように適合されている、駆動要素と、を含む。加えて、可撓性の細長ロッドの形態の駆動要素は、スプロケットの方に向けて配置された遠位端部分、及び遠位端部分の反対側に配置された近位端部分を有し、近位端部分から遠位端部分まで長手方向に延びるように構成されている。本開示のシートベルトプリテンショナは、車両衝撃又は横転状態が検出された場合にプリテンショナが作動した際に、リトラクタスプロケットがロックされるか、又はさもなければ、回転プリテンショナスプロケットが所望の様式で回転しない場合に起こり得る、いわゆる過圧状態に対応するための機能を含む。本開示の一実施形態では、プリテンショナチューブの内面から間隔を空けた細長ロッドの外面の少なくとも一部分は、少なくとも1つの隙間空間を画定している。スプロケットが細長ロッドと係合しているときに、ガス発生器からのガス圧力がピストンに印加されて、作動容積内の過圧状態を引き起こした場合に、細長ロッドは、近位端部分と遠位端部分との間の圧縮によって変形し、隙間空間の少なくとも一部分に広がるように構成されており、細長ロッドの変形により、作動容積が拡張し(すなわち、隙間空間が作動ガスのさらなる膨張のための容積を提供する)、これにより、作動容積内のガス圧力を低減し、過圧状態を緩和する。
【0011】
作動容積内の低減されたガス圧力は、プリテンショナチューブの構造が破裂するのを防止するように構成されている。
【0012】
本開示のさらなる態様によれば、過圧状態では、作動容積のサイズは、過圧状態では、細長ロッド及びピストンの変形、並びに細長ロッドの移動距離に起因して、少なくとも15パーセント増大する。作動容積の増大したサイズは、作動容積内のガス圧力を低減して、過圧状態を緩和する。
【0013】
細長ロッドの外面の一部分は、隙間空間を画定するための少なくとも1つの凹部を有するように形成されている。凹部を画定している凹状部分は、細長ロッドの第1の側上に外面に沿って概ね長手方向に延びている。凹状セクションが、凹状部分とは反対側の第2の側上に外面に沿って長手方向に延びている。
【0014】
本開示の一態様によれば、細長ロッドの外面の一部分は、隙間空間を画定するための半径方向の深さを有する少なくとも1つの環状溝を有するように形成されている。少なくとも1つの環状溝は、細長ロッドの近位端部分に配置されている。長手方向に沿って間隔を空けた2つ以上の環状溝は、細長ロッドの概ね全長に配置されている。
【0015】
本開示の一態様によれば、細長ロッドの外面の一部分は、隙間空間を画定するために長手方向に沿って延びていることによって、少なくとも1つの長手方向溝を有するように形成されている。2つ以上の長手方向溝が、細長ロッドの周方向に沿って等間隔になっている。
【0016】
細長ロッドは、最遠位端をさらに含み、最遠位端が、細長ロッドの第1の側に配置され、かつ長手方向に最遠位端の長さに沿って内向きにテーパ状になっている面取り部を有する。加えて、駆動要素は、ポリマー材料から作製される。
【0017】
過圧状態では、拡張可能なピストンは、高い圧力を保持するとともに、作動容積内のガス圧力を維持するように動作可能である。
【0018】
利用可能性の更なる領域は、本明細書に提供されている説明から明らかになる。説明及び特定の例は、例示のためのみであることが意図されており、本開示の範囲を限定することは意図されていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示が十分に理解されるために、本開示の様々な形態について、添付の図面を参照してここで例として説明する。
【0020】
図1】本開示の例示的な形態による、プリテンショナシステムを含むシートベルトリトラクタアセンブリの平面図である。
図2図1のプリテンショナシステムを含むシートベルトリトラクタアセンブリの分解図である。
図3図1の線A-Aに沿った、ガス発生器の作動前のプリテンショナシステムを含むプリテンショナチューブの断面図である。
図4図1の線A-Aに沿った、ガス発生器の作動後のプリテンショナシステムを含むプリテンショナチューブの断面図である。
図5A図2のプリテンショナシステムにおける細長ロッドの平面図である。
図5B】プリテンショナチューブを有する、図5Aにおける線5a-5aに沿った、細長ロッドの断面図である。
図6A】本開示の例示的な形態による細長ロッドの平面図である。
図6B】プリテンショナチューブを有する、図6Aにおける線6a-6aに沿った、細長ロッドの断面図である。
図7A】本開示の例示的な形態による細長ロッドの平面図である。
図7B】プリテンショナチューブを有する、図7Aにおける線7a-7aに沿った、細長ロッドの断面図である。
図8A】本開示の例示的な形態による細長ロッドの平面図である。
図8B】プリテンショナチューブを有する、図8Aにおける線8a-8aに沿った、細長ロッドの断面図である。
図9A】本開示の例示的な形態による細長ロッドの平面図である。
図9B】プリテンショナチューブを有する、図9Aにおける線9a-9aに沿った、細長ロッドの断面図である。
【0021】
本明細書に示す図面は、例示のためのみであり、本開示の範囲を限定することは何ら意図されていない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明は本質的に単に例示であり、本開示、用途、又は使用を限定することは意図されていない。図面全体において、対応する参照番号は、同様の又は対応する部分及び特徴を示すことを理解されたい。
【0023】
図1を参照すると、リトラクタアセンブリ10の構成要素の一部分が示されている。リトラクタアセンブリ10は、共通フレーム18に装着された、シートベルトプリテンショナ12、スプールアセンブリ14、及びガス発生器16を含む。スプールアセンブリ14は、ショルダーベルト部分(図示せず)のウェビングと接続され、ウェビングを収納している一方で、ウェビングのラップベルト部分の端部は車両の固定点(図示せず)と固定的に係合されている。図1に示すように、スプールアセンブリ14は、シートベルトウェビングのショルダーベルト部分と係合し、シートベルトウェビング(図示せず)を巻き取る、又は繰り出すために回転するスピンドル20を含む。
【0024】
車両の通常動作中、リトラクタアセンブリ10は、特定量の運動の自由度を乗員に与えるためにシートベルトウェビングの繰り出しを可能にする。しかし、衝撃又は衝撃の可能性のある状況が検出された場合、リトラクタアセンブリ10は、繰り出しを阻止し、乗員をシートに固定するためにロックされる。例えば、車両が所定の速度で減速する場合、リトラクタアセンブリ10はロックされる。シートベルトウェビングの自由な繰り出しにより、シートベルトアセンブリは、通常の使用中にしばしばたるみを発生させる。
【0025】
図2を参照すると、リトラクタアセンブリ10の特定の構成要素の分解図が示されている。本開示の例示的な形態によれば、リトラクタアセンブリ10は、スプールアセンブリ14に動作可能に接続され、プリテンションのためにスピンドル20を回転させるように動作可能なシートベルトプリテンショナ12を組み込んでいる。当業者に知られているように、リトラクタプリテンショナは、検出された車両衝撃の初期段階で、シートベルトウェビングを乗員に対してよりしっかりとした状態に巻き取る。これは、車両の衝撃又は横転の減速力に応答して、乗員の前方運動又は偏位を低減するために提供される。
【0026】
図1及び図2に示すように、シートベルトプリテンショナ12は、プリテンショナチューブ22の第1のチューブ端21においてガス発生器16と連通するプリテンショナチューブ22を含む。ガス発生器16は、点火信号に応答して膨張ガスを提供するために使用される。当該技術分野で知られているように、例えば、車両は、衝撃事象、衝突、又は横転などの緊急事象を示す信号を送信するセンサアレイを含む。車両センサは、特定の衝撃センサであってもよく、又は従来の車両センサ(例えば、縦方向若しくは横方向加速度センサ、又はさもなければ、一組の複数のセンサを有する制御システムの部分)であってもよい。当業者に周知の、又は周知される任意の他の衝撃センサもまた、シートベルトアセンブリ(図示せず)と併せて容易に用いられ得る。中央処理装置(central processing unit;CPU)又は他のコントローラなどの電子制御ユニットが信号を受信し、シートベルトアセンブリを、車両のシートベルトウェビングを(例えば、シートベルトプリテンショナの起動を介して)締め付けることによって応答するよう制御する。
【0027】
図2において、プリテンショナチューブ22は、その内部に配置された、細長い形状を有し、チューブ22内で可撓性である、駆動要素100、例えば、細長ロッド又は塑性変形可能なポリマーロッドを有する。より具体的には、以下でさらに詳細に論じられるように、細長ロッド100は、プリテンショナチューブ22への挿入前に、プリテンショナチューブ22の外に配置されているときには、概ね直線状の形状を有し、チューブ22内に挿入されると、図2の分解図に示されるようにチューブ22の蛇行形状に従って曲がり、屈曲する。
【0028】
図1及び図2に示すように、リトラクタアセンブリ10は、共通フレーム18に装着されたスプールアセンブリ14を含む。より具体的には、スプールアセンブリ14は、共通フレーム18に対して回転し、スプールアセンブリ14に取り付けられたシートベルトウェビングを巻き取る。共通フレーム18は、ハウジング24の内部にシートベルトプリテンショナ12の構成要素を配置するためのハウジング24を含む。加えて、シートベルトプリテンショナ12は、ハウジング24内に配置され、スピンドル20に取り付けられたスプロケット26を含む。スプロケット26の回転は、取り付けられたスピンドル20を回転させて、スピンドル20に取り付けられたシートベルトウェビングを巻き取る。
【0029】
図2において、シートベルトプリテンショナ12は、ハウジング24の内部に配置されたガイドプレート28をさらに含む。ガイドプレート28は、スプロケット26と同様にハウジング24内に配置されたガイド部分30を含む。概ね弓形の着地面32を有するガイド部分30は、チューブ22の出口端23の反対側に配置されており、スプロケット26は、ガイド部分30とチューブ22との間に配置されている。したがって、チューブ22を出た細長ロッド100は、ガイド部分30の着地面32に接触する前にスプロケット26に接触する。
【0030】
上述のように、シートベルトプリテンショナ12は、概ね環状の形状を有する本体部分40を有するスプロケット26を含む。スプロケット26は、一方の側25でスプロケット26をスピンドル20に動作可能に接続するためにスピンドル20と回転可能に結合するように構成されており、他方の側27でスプリングエンドキャップ38と動作可能に係合するように構成されている。図2及び図4に示すように、スプロケット26は、本体部分40から半径方向に各々突出する複数のベーン42を含む。さらに、図4に示すように、スプロケット26は、ロッド100がスプロケット26の複数のベーン42と係合する際に細長ロッド100を案内するためのフランジ44をさらに含む。スプロケット26のフランジ44は、両側25及び27で本体部分40からさらに半径方向に延びている。したがって、ベーン42は、本体部分40の回転の中心軸Xから延びている半径に沿って一対のフランジ44の間に延びている。(図2を参照)。加えて、スプロケット26のフランジ44は、スプロケット26のベーン42と係合したロッド100が横方向に係合解除されるのを防止する。
【0031】
図3及び図4は、スプロケット26と係合する前及びスプロケット26と係合した後のプリテンショナチューブ22の内部の、ストッパ34を有する細長ロッド100を示す。ストッパ34は、細長ロッド100の近位端部分102と結合するようにサイズ設定されている。ストッパ34は、締まり嵌め(例えば、圧縮嵌め)、接着剤、又は機械的手段によって、細長ロッド100の近位端部分102に固定的に取り付けられている。ストッパ34は、好ましくは、アルミニウムから作製されるが、鋼、他の金属若しくは金属合金、又は強化プラスチックなどの、十分な強度の別の好適な材料から作製され得る。ストッパ34は、細長ロッド100の近位端部分102の周囲と実質的に一致する外周を有する。
【0032】
図3及び図4は、ピストン36などの封止部材をさらに示す。ピストン36は、一方法では、概ね円筒形の外面を有する円筒形状を有することができる。別の方法では、ピストン36は、封止のために概ね球形の外面を有する球形状を有することができる。ピストン36は、概ね弾性の構造を規定し、任意の好適なプラスチック又はポリマー(例えば、ポリエステル、ゴム、熱可塑性樹脂、又は他の弾性若しくは変形可能材料)などの当該技術分野で既知の様々な材料で構成され得る。さらに、ピストン36は、金属、プラスチック、又は他の好適な材料からダイキャスト、鍛造、又は成形され得る。概ね弾性の構造は、ピストン36の形状が圧力に応じてわずかに変化することを可能にし、これにより、ピストン36がもたらす封止を改善する。ピストン36はチューブ22内に摺動可能に配置されており、細長ロッド100を作動方向に沿って駆動するように動作可能である。ピストン36は、チューブ22の内部に圧入されるか、又は他の方法で嵌め込まれる。図3及び図4に示すように、ピストン36は、ガス発生器16に隣接し、及び/又はガス発生器16から間隔を空けた近位端35と、ストッパ34及び細長ロッド100の方に向けられた遠位端37とを画定する。
【0033】
図3及び図4に示すように、リトラクタアセンブリ10は、点火信号に応答して膨張ガスを提供するガス発生器16を含む。膨張ガスは、チューブ22内の圧力の増大を引き起こし、これにより、最終的には、細長ロッド100がチューブ22内を通ってガス発生器16から離れるように押しやられる。ストッパ34及びピストン36は、プリテンショナチューブ22内のピストン36とガス発生器16との間の空間として画定されたガスチャンバ46内の増大した圧力からのエネルギーを細長ロッド100に伝達するように協働する。ガス発生器16の起動は、ピストン36が細長ロッド100を強制的に駆動することを可能にし、ピストン36を拡張させ、これは、ガスがピストン36を越えて漏れるのを防止する助けとなる。加えて、ピストン36は、高い封止圧力を保持するとともに、チューブ22内の残留ガス圧力を維持するように動作可能である。
【0034】
図5A及び図5Bを参照すると、細長ロッド100は、本開示の例示的な形態によれば、概ね円形の断面を有する。他の例示的な形態によれば、細長ロッド100は、長方形断面、三角形断面、又はロッド100がプリテンショナチューブ22内に挿入され、挿入された時にチューブ22の蛇行形状に適合することを可能にする他の多角形断面などの、非円形断面を有することができるであろう。加えて、多角形断面は、ロッド100の長さに沿って回転し、螺旋形状を作り出すことができる。
【0035】
図5Aに示すように、細長ロッド100は、プリテンショナチューブ22の外に配置されているときには、概ね直線状の形状を有し、近位端部分102から遠位端部分104まで長手方向200に延びている。近位端部分102は、細長ロッド100がシートベルトプリテンショナ12内に設置されているときには、ガス発生器16の方に向けて配置されている。例えば、図5A及び図5Bにおいて、細長ロッド100は、その長さに沿って変化する断面を有し、非凹状部分106、及び凹部(第1の凹部)110を画定する凹状部分108を画定する。図5Aに示すように、凹状部分108は、近位端部分102から遠位端部分104まで細長ロッド100の全長の大部分に沿って延びている。さらに、遠位端部分104は非凹状部分106を含む。したがって、近位端部分102から延びている凹部110は、最遠位端112から間隔を空けた距離で終端する。
【0036】
図5Aにおいて、細長ロッド100は、最遠位端112において、長手方向200に最遠位端112の長さに沿って内向きにテーパ状になっている1つ以上の面取り部114をさらに含む。例えば、面取り部114は、細長ロッド100の、凹部110が位置しているのと同じ側(第1の側)に配置されている。面取り部114は、ロッドの曲げ剛性を低減し、シートベルトプリテンショナ12内の細長ロッド100の設置を容易にするために、細長ロッド100をプリテンショナチューブ22内で前進させるのに必要な力を有利に低減し、また、面取り部114のより大きな断面積に起因して、スプロケット26に伝達され得る初期プリテンション力を増大させる。面取り部114は、湾曲を有する凹状形状として形成されている。面取り部114の凹状形状は、スプロケット26の円周に沿って形成されているため、面取り部114の凹状形状は、プリテンション中にスプロケット26とより良好に係合するように構成されている。
【0037】
図5A及び図5Bに示されるように、細長ロッド100は、スプロケット26に向かって並進する間に、チューブ22を通る細長ロッド100の曲げをさらに容易にし、且つそのねじれを防止又は最小化するために、凹状セクション116を含む。具体的には、細長ロッド100の凹部110の反対側(第2の側)において、凹状セクション116は、凹部(第2の凹部)118を画定し、長手方向200に延びている。凹状セクション116は、細長ロッド100の全長の大部分に沿って延びている。図5Bにおいて、本開示の例示的な形態によれば、細長ロッド100がプリテンショナチューブ22の外に配置されているときには、凹状セクション116は、第2の凹部118を画定する実質的に平坦な平面状の表面を有する。
【0038】
細長ロッド100は、好ましくは、他の回転プリテンショナで使用される金属ボール駆動要素に対して低減された重量を有するポリマー材料から作製される。特定のポリマー材料は、ユーザの特定の要望に適合するように選択することができる。ポリマー材料は、初期設置を可能にするために、及びガス発生器16による作動に応答して、プリテンショナチューブ22を通って曲がり、屈曲することができるよう、十分な可撓性を有するものであることが望ましい。ポリマー材料は、ロッド100がシートベルトプリテンショナ12のスプロケット26に荷重を十分に伝達するよう、作動に応答してチューブ22内を押し通されるのに十分な剛性を有するものであることが好ましい。
【0039】
さらに、細長ロッド100は、好ましくは、変形可能であるポリマー材料から作製される。作動中及び作動後、細長ロッド100は、作動、及びシートベルトプリテンショナ12の他の構成要素との接触に応答して変形する。したがって、スプロケット26のベーン42に起因して、細長ロッド100は、ロッド100のいかなる材料の分離も伴わずにへこませられるため(弾性的及び塑性的に変形する)、プリテンショナ12の作動ガス圧力によって加えられる荷重は、細長ロッド100の変形を通じてスプロケット26に完全に伝達される。プリテンショナ12は、塑性変形によってロックされて、システム内の維持された作動ガス圧力に全く依存することなく、ロッド100の繰り戻しを防止又は制限する。塑性変形はまた、ロッド100が変形して、スプロケット26のベーン42と係合することを可能にする。1つの方法では、細長ロッド100は、ナイロン熱可塑性材料から作製される。ロッド100はまた、脂肪族ポリアミド熱可塑性材料からも作製され得るであろう。別の方法では、ロッド100は、アセタール材料又はポリプロピレン材料などの、同様の熱可塑性材料から作製され得るであろう。
【0040】
図4において、細長ロッド100がチューブ22内を通って駆動されると、細長ロッド100は、スプロケット26と係合する。より具体的には、細長ロッド100とスプロケット26との係合により、スピンドル20(図2に示される)を回転させ、これがひいてはプリテンションをもたらす。ガス発生器16の起動は、ピストン36がガス漏れに抵抗することを可能にする。前述のように、ピストン36は、比較的弾性のある材料で構成されているため、ガスチャンバ46(作動容積と呼ばれる)内の加圧ガスは、ピストン36の近位端35を拡張させ、これは、ガスがピストン36を越えて漏れるのを防止する助けとなる。
【0041】
シートベルトプリテンショナ12の通常動作では、ストッパ34及び細長ロッド100に対するピストン36の圧縮に起因して、細長ロッド100から発生した背圧が、ピストン36を周方向外向きに拡張させる。細長ロッド100は、作動中にスプロケット26と係合するにつれて抵抗を受け、それによってストッパ34及びピストン36に対する背圧を発生させる。ピストン36の周方向の拡張は、ピストン36の外面とプリテンショナチューブ22の内面との間にしっかりとした封止をもたらす。したがって、本開示のピストン36は、比較的高い封止圧力を保持するとともに、チューブ22内の残留ガス圧力を維持するように動作可能である。
【0042】
しかし、無炎(flameless)リトラクタプリテンショナアセンブリ10におけるシートベルトのプリテンション中に、プリテンショナチューブ22の内部で過圧状態が起こり得る。例えば、過圧状態は、リトラクタアセンブリ10のスピンドル20が何らかの理由でプリテンションすることができず、細長ロッド100などの駆動要素が、それらがプリテンション行程の終端に向けて進めようと試みる際に大きな抵抗を受ける場合(すなわち、スプロケットを含むプリテンション巻き取り機構が阻止される、又は止まっているが、故障又は分離していない場合)に、引き起こされ得る。これは、膨張して駆動要素を押すよう前進している、ガス発生器からの作動ガスの圧力の相当な増大を引き起こし得る。したがって、無炎リトラクタアセンブリ10におけるプリテンション中、プリテンショナチューブ22内のピストン36及びガス発生器16によって画定されたガスチャンバ46(作動容積)の内部の作動ガスの圧力が増大する。
【0043】
無炎リトラクタアセンブリ10の過圧状態では、上述のように、本開示は、周方向に拡張したピストン36に起因して完全に封止されるプリテンションシステム用に設計された自己圧力逃がし機能を提供する。この状態において、本開示の一形態によれば、図5A及び図5Bにおける細長ロッド100は、近位端部分102と遠位端部分104との間の圧縮によって変形するように構成されている。図3及び図4において、可撓性の細長ロッド100がプリテンションチューブ22の内部に配置されている場合、プリテンショナチューブ22の内面から間隔を空けた細長ロッド100の少なくとも一部分に少なくとも1つの隙間空間48が画定されている。例えば、図5A及び図5Bでは、細長ロッド100上に形成された凹状部分108及び凹状セクション116の各々に少なくとも2つの隙間空間48が画定されている。したがって、細長ロッド100が変形し、隙間空間48内に広がるため、細長ロッド100とプリテンショナチューブ22との間に形成された隙間空間48は、ガスチャンバ46が過圧状態でより大きな容積に拡張することを可能にする。過圧状態では、例えば、作動容積46のサイズは、細長ロッド100及びピストン36の変形、並びに細長ロッド100がブロックされるまでの細長ロッド100の移動(又はリトラクタアセンブリ10の構造によって許容されるロッドの最小移動)に起因して少なくとも15パーセント増大する。
【0044】
変形した細長ロッド100は隙間空間48の部分に広がり、これにより、ピストン36とガス発生器16との間の作動容積(ガスチャンバ46)が拡張し、その結果、作動容積内のガス圧力を低減し、過圧状態を緩和する。したがって、本開示の自己圧力逃がし機能は、構造的完全性のためのプリテンショナ安全マージンをもたらし、また、衝突後の乗員の脱出及び車両の処理を可能にするために、ガスチャンバ46内のより低圧の高温ガスも長期間にわたって保持する。ガスチャンバ46内のより低圧のガスに起因して、過圧状態における自己圧力逃がし機能は、プリテンショナの構造的完全性を維持することができる。したがって、プリテンショナチューブ22内の隙間空間48の部分を含む自己圧力逃がし機能は、プリテンショナチューブ22の構造が作動容積内の低減されたガス圧力によって破裂又は破断するのを防止するように構成されている。
【0045】
図6A図9Bは、プリテンショナチューブ22の内面から間隔を空けた少なくとも1つの隙間空間48を有するための、環状溝、凹部、又は長手方向溝等などの細長ロッド100の外面上の様々な形状を示す。
【0046】
本開示の一形態によれば、図6A及び図6Bは、ロッド160の周方向に沿って細長ロッド160の外面上に少なくとも1つの環状溝166が形成された細長ロッド160を示す。環状溝166は、半径方向の深さを有するように形成されており、その結果、環状溝166の直径dは、細長ロッド100の元の外面上の直径Dよりも小さい。例えば、図6Aでは、2つの環状溝166が細長ロッド160の近位端部分162上に形成されており、その結果、細長ロッド100の外面上に形成された半径方向の深さにより、2つの隙間空間48が細長ロッド160とプリテンショナチューブ22の内面との間に画定されている。上述のように、スプロケット26と係合したロッド160がブロックされると、過圧状態で変形した細長ロッド160が隙間空間48に広がる。
【0047】
本開示の一形態によれば、図7A及び図7Bは、細長ロッド160の少なくとも1つの環状溝166を細長ロッド100の凹状部分108及び/又は凹状セクション116と組み合わせるように形成された細長ロッド170を示す。例えば、図7Aでは、細長ロッド170とプリテンショナチューブ22の内面との間により多くの隙間空間48が画定されており、上述のように、過圧状態では、変形した細長ロッド170が隙間空間48内に広がる。図7Aに示すように、近位端部分172上に環状溝166を有する細長ロッド170では、細長ロッド170の外面上の凹状部分108及び凹状セクション116の各々の長さは、細長ロッド170の長手方向200に沿って減少している。
【0048】
本開示の一形態によれば、図8A及び図8Bは、ロッド180の長手方向200に沿って延びていることによって、少なくとも1つの長手方向溝186が形成された細長ロッド180を示す。図8Aに示すように、例えば、細長ロッド180は、細長ロッド180の周方向に沿って間隔を空けた2つ以上の長手方向溝186を含む。したがって、図8Bに示すように、細長ロッド180は、細長ロッド180の断面図において溝付き又は星形として形成され得る。上述のように、隙間空間48が細長ロッド180とプリテンショナチューブ22の内面との間に画定されており、その結果、過圧状態では、変形した細長ロッド180が、長手方向溝186によって形成された隙間空間48内に広がる。
【0049】
本開示の一形態によれば、図9A及び9Bは、細長ロッド190の外面上の長手方向200に沿った波形形状196として形成された細長ロッド190を示す。波形形状196は、細長ロッド190の全長に沿って半径方向の深さを有する2つ以上の環状溝166を伴って連続的に延びるように形成されている。したがって、上述のように、隙間空間48が、波形形状196を有する細長ロッド190とプリテンショナチューブ22の内面との間に画定されており、過圧状態では、変形した細長ロッド190が隙間空間48内に広がる。
【0050】
上記の説明は、本発明の好ましい実施形態を構成するが、本発明は、添付の特許請求の範囲の適切な範囲及び公正な意味から逸脱することなく、修正、変形及び変更が可能であることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
【国際調査報告】