(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】認知機能を改善するためのMCT製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/23 20060101AFI20230612BHJP
A23L 33/115 20160101ALI20230612BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20230612BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230612BHJP
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A61P 25/22 20060101ALI20230612BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230612BHJP
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A61P 43/00 20060101ALI20230612BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20230612BHJP
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A61K 31/714 20060101ALI20230612BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230612BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
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A23L33/15
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A61P9/04
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A61K31/4415
A61K31/519
A61K31/714
A61K9/08
A61K9/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567327
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2021062908
(87)【国際公開番号】W WO2021233796
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(71)【出願人】
【識別番号】520481596
【氏名又は名称】ソクプラ サイエンシーズ サンテ エ ヒューメインズ, エス.イー.シー.
【氏名又は名称原語表記】SOCPRA Sciences Sante et Humaines, S.E.C.
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【氏名又は名称】福山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】クナウド, ベルナルト
(72)【発明者】
【氏名】クネイン, ステファン, コスグレイブ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB01
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(57)【要約】
方法は、認知機能、例えば、エピソード記憶、実行機能、又は言語技能のうちの少なくとも1つを改善し、記憶及び/又は再生をサポートし、エネルギー及び/若しくはケトンを脳に提供し;かつ/又は個体における軽度認知障害(MCI)を予防及び/若しくは治療する。中鎖トリグリセリド(MCT)を含む組成物は、約15g~約45gのMCTを提供する1日用量で個体に投与することができる。MCTは、約51重量%~約90重量%のオクタン酸を含むことができる。1日用量は、少なくとも2食分で、例えば2又は3食分で、提供することができる。各1食分は、約15gのMCTを提供することができ、オクタン酸及びデカン酸を、例えば、約60:約40の重量比で含むことができる。個体は、65歳以上であり得、かつ/又は軽度認知障害(MCI)を有し得る。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体のエピソード記憶、実行機能、又は言語技能のうちの少なくとも1つを含む認知機能を改善する方法であって、中鎖トリグリセリド(MCT)を含む組成物を、約15g~約45gのMCT及び/又は約51重量%~約90重量%のオクタン酸を含むMCTを含む1日用量で、前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
個体における記憶及び/又は再生をサポートする方法であって、中鎖トリグリセリド(MCT)を含む組成物を、約15g~約45gのMCT及び/又は約51重量%~約90重量%のオクタン酸を含むMCTを含む1日用量で、前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項3】
個体の脳にエネルギー及び/又はケトンを提供する方法であって、中鎖トリグリセリド(MCT)を含む組成物を、約15g~約45gのMCTを含む1日用量で、前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項4】
中鎖トリグリセリド(MCT)を含む組成物を、約15g~約45gのMCTを含む1日用量で、前記個体に投与する工程を含む、軽度認知障害(MCI)を予防及び/又は治療する方法。
【請求項5】
前記1日用量が、少なくとも2食分の前記組成物を含み、各1食分は約15gのMCTを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1日用量が、2食分の前記組成物を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1日用量が、3食分の前記組成物を含み、各1食分は約15gのMCTを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記MCTが、約51重量%~約90重量%のオクタン酸を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記MCTが、約51重量%~約70重量%のオクタン酸を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記MCTが、約71重量%~約90重量%のオクタン酸を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記MCTが、約60重量%のオクタン酸を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、デカン酸を更に含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記オクタン酸:前記デカン酸の重量比が約60:約40である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、前記個体に少なくとも6ヶ月間投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記個体が、65歳以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記個体が、軽度認知障害(MCI)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記個体が、記憶障害、健全な意思決定能力の欠如及び判断力低下を含む思考力障害、うつ病、又は不安症のうちの少なくとも1つに罹患している、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記個体が、脳エネルギー欠乏状態若しくは疾患、神経学的状態、及び/又は認知障害を有する又は罹患している、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記個体が、てんかん、神経疾患、神経変性疾患、心不全、先天性代謝異常、肥満、2型糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、がん、脳エネルギー欠乏状態、片頭痛、記憶障害、加齢による記憶障害、脳損傷、脳卒中、アミロイド側索硬化症、多発性硬化症、認知障害、軽度認知障害(MCI)、集中治療後認知障害、加齢による認知障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、先天性代謝異常症、双極性障害、統合失調症、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される状態を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、飲料、マヨネーズ、サラダドレッシング、マーガリン、低脂肪スプレッド、乳製品、チーズスプレッド、プロセスチーズ、乳製品デザート、フレーバーミルク、クリーム、発酵乳製品、チーズ、バター、コンデンスミルク製品、アイスクリームミックス、大豆製品、低温殺菌液状卵、ベーカリー製品、菓子製品、菓子バー、チョコレートバー、高脂肪バー、液状エマルション、噴霧乾燥粉末、凍結乾燥粉末、UHTプディング、低温殺菌プディング、ゲル、ゼリー、ヨーグルト、脂肪ベースのフィリング又は含水フィリングを有する食品、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が液体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が粉末である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、ピリドキシン(ビタミンB6)、葉酸(ビタミンB9)、又はコバラミン(ビタミンB12)のうちの少なくとも1種を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、前記MCT1.0g当たり少なくとも0.1gのタンパク質という重量比でタンパク質を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、前記MCT1.0g当たり少なくとも0.4gのタンパク質という重量比でタンパク質を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、前記MCT1.0g当たり少なくとも1.7gのタンパク質という重量比でタンパク質を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物の各1食分が約6.5gのタンパク質を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物が、(i)前記MCT1.0g当たり少なくとも0.1gの炭水化物という重量比の炭水化物、及び/又は(ii)前記MCT1.0g当たり少なくとも0.1gの脂質という重量比の前記MCT以外の脂質、を含む群から選択される少なくとも1つの原材料を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記MCTが、前記組成物1L当たり少なくとも約40gである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
炭水化物が、前記組成物1L当たり少なくとも約36gである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記タンパク質が、前記組成物1L当たり少なくとも約52gである、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの原材料が、前記MCT1.0g当たり少なくとも4.7gの炭水化物という重量比で炭水化物を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの原材料が、前記MCT1.0g当たり少なくとも0.3gの脂質という重量比で、MCT以外の脂質を含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本開示は、概して、中鎖トリグリセリド(MCT)を含み、かつ該MCTの少なくとも一部が配合された食品マトリックスを更に含む、組成物に関する。当該組成物は、認知機能を改善すること、記憶及び/若しくは再生をサポートすること、脳にエネルギー及び/若しくはケトンを提供すること、並びに/又は軽度認知障害(MCI)を予防及び/若しくは治療することができる。
【0002】
[0002]主要な2種類のケトンであるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)及びアセト酢酸(AcA)は、脳、心臓、又は骨格筋のような肝外組織にとって重要な代替エネルギー源である。更に、ケトンがシグナル伝達において直接的又は間接的な役割も有し得ることを示唆する証拠も増えている。血中ケトンを増加させることを目的とする製品は、てんかん、神経疾患及び神経変性疾患、心不全、先天性代謝異常、肥満、2型糖尿病、がん、運動能力、及び非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、例えば非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が挙げられるがこれらに限定されない、いくつかの状態において治療効果を有する可能性がある。
【0003】
[0003]BHB及びAcAは、モノカルボン酸トランスポーター1(MCT1)によって脳へと能動的に輸送され、その結果、脳内濃度は血中濃度に正比例する。したがって、血漿ケトン濃度をより持続的なものとする製品は、血中ケトンを上昇させる期間がより短い(半減期が短い)製品と比較して、より長い効果(より長い血漿ケトン半減期Tk
1/2)を有することが予想される。
【0004】
[0004]中鎖トリグリセリド(MCT)は、経口でボーラス投与された場合に効率的なケトン前駆体である。MCTは速やかに消化され、消化により生成された遊離中鎖脂肪酸(MCFA)は、長鎖脂肪酸の通常の消化吸収プロセスを経ずに門脈によって効率的に吸収され、肝臓に運ばれてその大部分がケトンへと代謝される。これらの特定の製剤は、ケトン体の生成効率及び消化管での忍容性に影響し得る。
【0005】
[0005]脳エネルギーレスキューは、軽度認知障害(MCI)及びアルツハイマー病(AD)における認知機能の低下を低減するための有望な戦略である。エピソード記憶及び言語技能などのいくつかの特定の認知機能の障害は、MCI及びADの前兆である。若齢発症型又は高齢発症型ADのリスクが高い場合、MCIに関連する軽度の認知欠損の発症前に、脳のグルコース取り込みが既に低下している。したがって、発症前の脳エネルギー(グルコース)には約10%の不足が存在しており、この不足はMCIにおける認知機能の低下に寄与するのに十分なものである。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本発明者らは、驚くべきことに、かつ予想外に、中鎖トリグリセリドサプリメント(kMCT)などのケトジェニック食による介入が、エピソード記憶及び言語技能を含むいくつかの特定の認知機能を、統計的にも臨床的にも有意に改善することを発見した。これは、ケトンによる認知機能の改善と脳エネルギー状態の改善との間の機序的関連を示す。
【0007】
[0007]したがって、非限定的な実施形態において、本開示は、個体のエピソード記憶、実行機能、及び言語技能のうちの少なくとも1つを含む認知機能を改善する方法を提供する。当該方法は、中鎖トリグリセリド(MCT)を含む組成物を、約15g~約45gのMCTを含む1日用量で、個体に投与する工程を含み得る。1日用量は、少なくとも2食分(serving)の組成物を含んでもよく、各1食分は約15gのMCTを含む。1日用量は、2食分の組成物を含んでもよい。
【0008】
[0008]MCTは、51重量%~90重量%のオクタン酸を含んでもよい。MCTは、51重量%~70重量%のオクタン酸を含んでもよい。MCTは、71重量%~90重量%のオクタン酸を含んでもよい。MCTは、60重量%のオクタン酸を含んでもよい。MCTは、デカン酸を更に含んでもよい。
【0009】
[0009]組成物は、少なくとも約6ヶ月間、個体に投与されてもよい。
【0010】
[0010]個体は、65歳以上であり得る。個体は、軽度認知障害(MCI)を有し得る。個体は、記憶障害、健全な意思決定能力の欠如及び判断力低下を含む思考力障害、うつ病、又は不安症のうちの少なくとも1つに罹患している。個体は、脳エネルギー欠乏状態若しくは疾患、神経学的状態、及び/又は認知障害を有している又は罹患している可能性がある。
【0011】
[0011]組成物は、ピリドキシン(ビタミンB6)、葉酸(ビタミンB9)、又はコバラミン(ビタミンB12)のうちの少なくとも1種を更に含むことができる。
【0012】
[0012]組成物は、MCT1.0g当たり少なくとも0.1gのタンパク質という重量比でタンパク質を更に含むことができる。組成物は、MCT1.0g当たり少なくとも0.4gのタンパク質という重量比でタンパク質を更に含む。組成物の各1食分は、約6.5gのタンパク質を含み得る。
【0013】
[0013]組成物は、所望により、(i)MCT1.0g当たり少なくとも0.1gの炭水化物という重量比の炭水化物、及び/又は(ii)MCT1.0g当たり少なくとも0.1gの脂質という重量比のMCT以外の脂質、を更に含むことができる。
【0014】
[0014]組成物は、飲料、マヨネーズ、サラダドレッシング、マーガリン、低脂肪スプレッド、乳製品、チーズスプレッド、プロセスチーズ、乳製品デザート、フレーバーミルク、クリーム、発酵乳製品、チーズ、バター、コンデンスミルク製品、アイスクリームミックス、大豆製品、低温殺菌した液状卵、ベーカリー製品、菓子製品、菓子バー、チョコレートバー、高脂肪バー、液状エマルション、噴霧乾燥粉末、凍結乾燥粉末、UHTプディング、低温殺菌プディング、ゲル、ゼリー、ヨーグルト、脂肪ベースのフィリング又は含水フィリングを有する食品、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される形態であり得る。
【0015】
[0015]組成物は、経口栄養組成物、栄養補助食品、経口栄養補助食品、医療用食品、補助食品、食品製品、特別医療目的用食品(FSMP)であってよい。
【0016】
[0016]組成物は、固体粉末、粉末スティック、カプセル、又は溶液の形態であってよい。
【0017】
[0017]他の実施形態において、組成物は、個体における記憶及び/又は再生をサポートする方法、個体の脳にエネルギー及び/又はケトンを提供する方法、又は、個体における軽度認知障害(MCI)を予防及び/又は治療する方法、に使用される。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態では、組成物は、てんかん、神経疾患、神経変性疾患、心不全、先天性代謝異常、肥満、2型糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、がん、脳エネルギー欠乏状態、片頭痛、記憶障害、加齢による記憶障害、脳損傷、脳卒中、アミロイド側索硬化症、多発性硬化症、認知障害、軽度認知障害(MCI)、集中治療後認知障害、加齢による認知障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、先天代謝異常症、双極性障害、統合失調症、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される状態を有する個体に投与され得る。
【0019】
[0019]追加の特徴及び利点は、以降の発明の詳細な説明及び図面に記載され、これらにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本明細書に開示される実験例に従う介入の前(PRE)及び後(POST)の神経生理学的試験の素点を示す表である。
【
図2】本明細書に開示される実験例に従う介入の前(PRE)及び後(POST)の神経生理学的試験の正規化したZスコアを示す表である。
【
図3】本明細書に開示される実験例に従う介入の前(PRE)及び後(POST)の臨床化学及び代謝パラメータを示す表である。
【
図4】RL/RI-16テストの第1回試験(
図4)の素点のベースライン(0)からの変化のプロットであり、実薬群はプラセボ群と比較して高い得点を有していた(p=0.054)。
【
図5】言語流暢性(カテゴリー)検査(
図5)の素点のベースライン(0)からの変化のプロットであり、実薬群はプラセボ群と比較して高い得点を有していた(p=0.005)。
【
図6】ボストン呼称検査(総正答;
図6)の素点のベースライン(0)からの変化のプロットであり、実薬群はプラセボ群と比較して高い得点を有していた(p=0.018)。
【
図7】エピソード記憶の合成Zスコア(r=+0.229、p=0.042)、RL/RI-16試験の試験1(r=+0.232、p=0.039)、言語流暢性(カテゴリー)検査(r=+0.325、p=0.013)、及びボストン呼称検査(総正答;r=+0.229、p=0.042)について、血漿β-ヒドロキシブチレート(BHB)の変化又は血漿総ケトン(BHB+アセトアセテート)の変化との間の相関を示すグラフである。
【
図8】2×15g/日のMCTの6ヶ月の投与前及び投与後の、4時間の代謝試験日中の血漿総ケトンを示すグラフである。この時間に2×15gのMCTが消費された(矢印)。データは、平均±標準偏差である。
【
図9】プロトコルを順守した参加者のサブグループ解析を示す表である。
【
図10】MCIが健忘症の要素を含んでいた参加者のサブグループ解析を示す表である。
【
図11】ApoE4(-)参加者のサブグループ解析を示す表である。
【
図12】ApoE4(+)参加者のサブグループ解析を示す表である。
【
図13】本明細書に開示されている実験例に従う介入前(PRE)及び介入後(POST)の異なる神経認知機能領域の合成得点を示す表である。
【
図14】本明細書に開示されている実験例に従う介入後の脳におけるケトン取り込みの増加を示すケトンPET画像である。
【
図15】本明細書に開示されている実験例に従う介入の前(PRE)及び後(POST)のプラセボ及びMCTのCMR
ketを示すグラフである。
【
図16】本明細書で開示されている実験例に従う認知検査をまとめた表である。
【
図17】本明細書で開示されている実験例に従う認知検査における有意な変化をまとめた表である。
【
図18】本明細書で開示されている実験例に従う認知検査における有意な変化(
図17)を更に詳細に示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0036]定義
[0037]以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0022】
[0038]パーセンテージは全て、特に明記しない限り組成物の総重量に対する重量によるものとする。同様に、比は全て、特に明記しない限り重量によるものとする。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値のある範囲内、例えば、参照数字の-10%から+10%の範囲内、好ましくは参照数字の-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照数字の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照数字の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。
【0023】
[0039]更に、本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数(integers)、整数(whole)又は分数、を含むものと理解されたい。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。
【0024】
[0040]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、別途文脈が明らかに示していない限り、単数形の単語は複数形を含む。したがって、「1つの」、「ある」、及び「当該」」(「a」、「an」及び「the」)の言及には、概してそれぞれの用語の複数形が包含される。例えば、「原材料(an ingredient)」又は「方法(a method)」と言及する際は、複数の、かかる「原材料」又は「方法」が含まれる。「X及び/又はY」という文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」と解釈されるべきである。同様に、「X又はYのうちの少なくとも1つ」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びYの両方」と解釈されるべきである。
【0025】
[0041]同様に、「含む/構成される(comprise)」、「含む/構成される(comprises)」、及び「含む/構成される(comprising)」という用語は、排他的ではなく、他を包含し得るものとして解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を包含し得るものであると解釈されるべきである。しかし、本開示により提供される実施形態は、本明細書で具体的に開示されない任意の要素を含まない場合がある。したがって、用語「含む(comprising)」を用いて規定される実施形態の開示は、開示される構成要素「から本質的になる」、及び「からなる」実施形態の開示でもある。「から本質的に構成される」とは、実施形態又はその構成要素が、個別に特定された構成要素を50重量%超、好ましくは個別に特定された構成要素を少なくとも75重量%、より好ましくは個別に特定された構成要素を少なくとも85重量%、最も好ましくは個別に特定された構成要素を少なくとも95重量%、例えば、個別に特定された構成要素を少なくとも99重量%含むことを意味する。
【0026】
[0042]本明細書で使用するとき、用語「例(example)」は、特に、後に用語の列挙が続く場合に、単に例示的なものであり、かつ説明のためのものであり、排他的又は包括的なものであるとみなすべきではない。本明細書で開示される全ての実施形態は、特に明示的に示されない限り、本明細書で開示される任意の別の実施形態と組み合わせることができる。
【0027】
[0043]「動物」としては、齧歯類、水生哺乳動物、イヌ及びネコなどの飼育動物、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマなどの家畜、並びにヒトを含むがこれらに限定されない哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。「動物」又は「哺乳動物」、又はこれらの複数形が使用される場合には、これらの用語は、その節の文脈により示される又は示されることが意図される効果を得られる任意の動物、例えば、ケトンから利益を受ける動物にも適用される。用語「個体」は、本明細書ではヒトに関して用いられることが多いが、本開示はヒトに限定されない。したがって、用語「個体」は、本明細書に開示される方法及び組成物から利益を得ることができる任意の動物、哺乳動物、又はヒトを指す。
【0028】
[0044]相対的な用語「改善された」、「増加した」、「増強された」などは、食品マトリックス中にMCTを含有する組成物(本明細書に開示される)の特性又は効果を、タンパク質及び/又は炭水化物の量が少ないことを除いて同一の配合を有する組成物を基準にして表す。用語「維持された」及び「持続的な」は、神経の健康状態、認知機能、又は運動能力などの個体の特徴が、前週の平均レベル、前月の平均レベル、又は前年の平均レベルとほぼ同じであることを意味する。
【0029】
[0045]本明細書で使用するとき、「治療する」及び「治療」という用語は、ある状態を有する対象に対して、その状態に関連する少なくとも1つの症状を減弱、低減若しくは改善することを目的として、かつ/又はその状態の進行を遅延、低下若しくは阻止することを目的として、本明細書に開示される組成物を投与することを意味する。「予防する」及び「予防」という用語は、その状態の症状を何ら示していない対象に対して、その状態に関連する少なくとも1つの症状の発症を抑える又は予防するために本明細書に開示される組成物を投与することを意味する。
【0030】
[0046]本明細書で使用するとき、「認知機能」とは、記号的操作、例えば、知覚、記憶(自由再生)、実行機能、処理速度、注意、会話の理解、音声生成、言語、読解力、イメージの作成、学習、及び推論、好ましくは少なくとも記憶が関与する任意の精神的プロセスを指す。
【0031】
[0047]用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」は、ヒトなどの個体による摂取を意図し、そして、個体に少なくとも1つの栄養素を提供する、組成物を意味する。用語「食品マトリックス」は、様々な実施形態において、液体、固体、又は半固体であり得る食品組成物の物理的構造を意味する。「食品」及びその関連用語には、ヒトを対象とするものであっても又は動物を対象とするものであっても、任意の食品、餌、スナック、栄養補助食品、トリート、食事代用物、又は完全食が含まれる。動物用食品には、任意の飼育されている動物又は野生種を対象とした食品又は餌が含まれる。好ましい実施形態では、動物用の食品は、栄養面で完全な食品又は食事組成物、例えば、ペレット状の食品、押出成形食品、又は乾燥食品を表す。このような動物用食品の例としては、イヌ及びネコ用の食品などの押出成形されたペットフードが挙げられる。
【0032】
[0048]「特別医療目的用食品(FSMP)」という用語は、食物摂取制限、消化吸収障害、代謝障害又は特定の疾患に罹患している人々の栄養又は食事に関する特別なニーズを満たすために、特別に加工及び調製されたフォーミュラ食を指す。そのような食品は、医師又は臨床栄養士の指導下で、単独で又は他の食品と共に使用される。FSMPは、特別用途用の食品であって医薬品ではないが、通常、健常な人々によっては摂取されない。FSMPは、広範な医学研究による科学事実に基づいて、臨床医及び栄養士によって特別に開発されたものである。
【0033】
[0049]「経口栄養補助食品(ONS)」という用語は、主要栄養素及び微量栄養素を提供する無菌の液体、半固体又は粉末を指す。ONSは、緊急保険環境及び社会保健環境内で、経口食のみではその栄養要件を満たすことができない個体に対して広く使用されている。
【0034】
[0050]トリグリセリド(トリアシルグリセロール又はトリアシルグリセリドとしても知られている)は、グリセロールと3つの脂肪酸とから誘導されるエステルである。脂肪酸は、不飽和又は飽和のいずれであってもよい。他の分子に結合していない脂肪酸は、遊離脂肪酸(FFA)と呼ばれる。
【0035】
[0051]中鎖トリグリセリド(MCT)は、分子中の3つの脂肪酸部分の全てが中鎖脂肪酸部分であるトリグリセリドである。本明細書で定義されるように、中鎖脂肪酸(MCFA)は、6~14個の炭素原子、好ましくは6~12個の炭素原子を有する脂肪酸である。8個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸は、本明細書中で、「C8脂肪酸」又は「C8」と呼ばれる場合がある。10個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸は、本明細書中で、「C10脂肪酸」又は「C10」と呼ばれる場合がある。
【0036】
[0052]用語「脂肪酸部分」とは、グリセロールとのエステル化反応において脂肪酸に由来するMCT部分を指す。非限定的な例として、グリセロールとオクタン酸のみとの間のエステル化反応では、オクタン酸部分を含むMCTが生じる。別の非限定的な例として、グリセロールとデカン酸のみとの間のエステル化反応では、デカン酸部分を含むMCTが生じる。
【0037】
[0053]オクタン酸(カプリル酸としても知られる)は、式CH3(CH2)6COOHの飽和脂肪酸である。
【0038】
[0054]デカン酸(カプリン酸としても知られる)は、式CH3(CH2)8COOHの飽和脂肪酸である。
【0039】
[0055]実施形態
[0056]本開示の一態様は、中鎖トリグリセリド(MCT)を含む組成物である。組成物は、経口栄養組成物、栄養補助食品、経口栄養補助食品、医療用食品、補助食品、食品製品、特別医療目的用食品(FSMP)であってもよい。組成物は、固体粉末、粉末スティック、カプセル、又は溶液の形態であってもよい。
【0040】
[0057]組成物は、好ましくは、MCTの少なくとも一部が配合された食品マトリックスを含み、組成物の特に好ましい非限定的な実施形態は、飲料などの液体である。組成物はまた、摂取前に水に容易に溶解できる粉末の形態であってもよい。一実施形態において、組成物は、少なくとも約5gのMCT、例えば、少なくとも約10gのMCT、例えば、約15gのMCTを提供する1食分で、個体に投与される。一実施形態において、組成物は、約15g~約45gのMCTを含む1日用量;好ましくは、約30gのMCTを含む1日用量で、個体に投与される。一実施形態において、少なくとも2食分の組成物が毎日投与され、各1食分は約15gのMCTを含み;好ましくは、2食分の組成物が毎日投与されるが、いくつかの実施形態は2食分を超える組成物を含み得る。
【0041】
[0058]MCTは、3つの脂肪酸部分を含み、その各々は独立して6個~12個、6個~11個、6個~10個、7個~12個、7個~11個、7個~10個、8個~12個、8個~11個又は8個~10個の炭素原子を有する。一実施形態において、MCTの少なくとも一部は、1つ以上のオクタン酸部分を含有する。一実施形態において、MCTの少なくとも一部は、1つ以上のデカン酸部分を含有する。一実施形態において、MCTの少なくとも一部は、1つ以上のオクタン酸部分と、1つ以上のデカン酸部分とを含有する。
【0042】
[0059]一実施形態において、MCTは、51重量%~90重量%のオクタン酸を含む。一実施形態において、MCTは、51重量%~70重量%のオクタン酸を含む。一実施形態において、MCTは、71重量%~90重量%のオクタン酸を含む。一実施形態において、MCTは、60重量%のオクタン酸を含む。一実施形態において、オクタン酸とデカン酸との重量比は60:40である。
【0043】
[0060]組成物は、タンパク質を更に含んでよい。タンパク質のMCTに対する重量比は、好ましくは、MCT1.0g当たり少なくとも約0.1gのタンパク質、好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約0.4gのタンパク質、より好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約0.8gのタンパク質、より好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約1.0gのタンパク質、更により好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約1.5gのタンパク質、最も好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約1.7gのタンパク質となるものである。
【0044】
[0061]任意に、組成物は、MCTに加えて炭水化物及び/又は他の脂質を更に含んでもよい。
【0045】
[0062]炭水化物が存在する場合、炭水化物のMCTに対する重量比は、好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約0.3gの炭水化物、好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約1.0gの炭水化物、より好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約2.0gの炭水化物、更により好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約3.0gの炭水化物、更により好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約4.0gの炭水化物、最も好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約4.7gの炭水化物となるものである。
【0046】
[0063]MCT以外の脂質が存在する場合、MCT以外の脂質のMCTに対する重量比は、好ましくは、MCT1.0g当たり約0.1gの脂質、MCT1.0g当たり少なくとも約0.2gの脂質、好ましくはMCT1.0g当たり少なくとも約0.3gの脂質、MCT1.0g当たり少なくとも約0.4gの脂質、MCT1.0g当たり少なくとも約0.6gの脂質、MCT1.0g当たり少なくとも約0.8gの脂質、又は少なくともMCT1.0g当たり1.0gの脂質となるものである。一実施形態において、MCT以外の脂質が存在する場合、MCT以外の脂質は、MCT以外の脂質:MCTの比が0.1:2.0~2.0:1.0、好ましくは0.1:1.0~1.0:2.0となるよう存在してよい。
【0047】
[0064]MCTは、好ましくは組成物の1~50重量%、例えば、組成物の1~30重量%、1~10重量%、2~10重量%、3~10重量%、4~10重量%、5~10重量%、6~10重量%、7~10重量%、又は8~10重量%である。組成物が液体である実施形態では、組成物は、液体1L当たり少なくとも約40gのMCT、好ましくは液体1L当たり少なくとも約50gのMCT、より好ましくは液体1L当たり少なくとも約75gのMCT、更により好ましくは液体1L当たり少なくとも約100gのMCT、最も好ましくは液体1L当たり少なくとも約120gのMCTを含み得る。MCTは、この液体中に、液体1L当たり最大約250g、好ましくは液体1L当たり最大約200gのMCT、より好ましくは液体1L当たり最大約175gのMCT、最も好ましくは液体1L当たり最大約150gのMCTの量で存在し得る。
【0048】
[0065]組成物が液体である実施形態では、組成物は、液体1L当たり少なくとも約52gのタンパク質、好ましくは液体1L当たり少なくとも約60gのタンパク質、より好ましくは液体1L当たり少なくとも約65gのタンパク質、最も好ましくは液体1L当たり少なくとも約68gのタンパク質を含み得る。組成物が液体である実施形態では、組成物は、液体1L当たり少なくとも約36gの炭水化物、好ましくは液体1L当たり少なくとも約50gの炭水化物、より好ましくは液体1L当たり少なくとも約75gの炭水化物、更により好ましくは液体1L当たり少なくとも約100gの炭水化物、更により好ましくは液体1L当たり少なくとも約150gの炭水化物、最も好ましくは液体1L当たり少なくとも約188gの炭水化物を含み得る。
【0049】
[0066]好ましくは、組成物は、MCTの少なくとも一部をもたらす1種以上の天然素材を含有する。MCTの好適な天然素材の非限定的な例としては、ココナッツ、ココナッツ油、パーム核、及びパーム核油が挙げられる。例えば、デカン酸及びオクタン酸は、それぞれ、ココナッツ油の脂肪酸組成の約5~8%及び4~10%を占める。
【0050】
[0067]追加的に又は代替的に、MCTの少なくとも一部は、グリセロールと、6~12個の炭素原子からなる尾部を有する1つ以上の中鎖脂肪酸(MCFA)とのエステル化によって合成され得る。例えば、各々8個の炭素原子を有する3つの脂肪酸部分を含むホモトリグリセリドは、グリセロールをC8脂肪酸(例えば、オクタン酸)でエステル化することによって合成でき、各々10個の炭素原子を有する3つの脂肪酸部分を含むホモトリグリセリドは、グリセロールをC10脂肪酸(例えば、デカン酸)でエステル化することによって合成できる。
【0051】
[0068]一実施形態では、組成物は、少なくとも1つのオクタン酸部分又はデカン酸部分を含むMCTを含み、組成物は、任意の他のトリグリセリドを含まない、又は実質的に含まない。本明細書で使用するとき、用語「任意の他のトリグリセリドを含まない」とは、組成物が、少なくとも1つのオクタン酸部分又はデカン酸部分を含有しないトリグリセリドを何ら含まないことを意味する。本明細書で使用するとき、用語「任意のその他のトリグリセリドを実質的に含まない」とは、組成物がその他の微量のトリグリセリド、すなわち、5モル%未満、好ましくは3モル%未満、より好ましくは2モル%未満、更により好ましくは1モル%未満、又は最も好ましくは0.5モル%未満のその他のトリグリセリドを含有し得ることを意味する。
【0052】
[0069]経口吸収後、MCTは遊離脂肪酸へと代謝され、更にケトンへと代謝される。遊離脂肪酸は、最初にβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)へと代謝され、次いでアセト酢酸(AcA)へと代謝される。MCFA及びケトンは、利用されたMCTに応じて、体液中で様々な量で産生され、これらの分子は、グルコースの代替エネルギー源として使用され、又はグルコースに由来するエネルギーを補うことができる。
【0053】
[0070]ケトンは、例えば、モノカルボン酸トランスポーター1(MCT1)によって脳へと輸送可能であり、脳では主にニューロンによって代謝される。遊離脂肪酸、例えば、C8遊離脂肪酸及びC10遊離脂肪酸は、拡散によって脳に到達することができ、これらは主に星状細胞によって代謝される。
【0054】
[0071]対象への組成物の経口投与は、ケトン、C8脂肪酸、又はC10脂肪酸のうちの1種以上を、当該対象の体液に提供する。対象のケトン及び/又は特定の脂肪酸(例えば、C8又はC10脂肪酸)に対する曝露は、対象の血漿中のケトン及び/又は特定の脂肪酸の値を、例えば経口投与後8時間にわたって、測定することによって定量することができる。対象のケトン及び/又は特定の脂肪酸に対する曝露は、時間(例えば8時間超又は24時間超)に対する体液中(例えば血漿中)のケトン及び/又は脂肪酸の濃度のプロットにおける曲線下面積(AUC)を決定することによって算出され得る。生体液は、分析前に、有機溶媒で処理してタンパク質を沈殿させ、質量分析(MS)に適した溶媒で再構成することができる。ケトン体及び中鎖脂肪酸の濃度は、高分解能質量分析を連結した液体クロマトグラフィー(LC-MS)を使用して評価できる。特に、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)、アセト酢酸(AcA)、及び特定の脂肪酸の濃度は、外部較正法(external calibration methodology)を使用して定量的に測定できる。
【0055】
[0072]一実施形態では、タンパク質は、乳性のタンパク質、植物性タンパク質、動物性タンパク質、人工タンパク質、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
[0073]乳性のタンパク質として、例えば、カゼイン、カゼイン加水分解物、カゼイン塩(例えば、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウムを含む全ての形態)、乳清加水分解物、乳清(例えば、濃縮物、単離物、脱塩物を含む全ての形態)、乳タンパク質濃縮物、及び乳タンパク質単離物が挙げられる。植物性タンパク質としては、例えば、大豆タンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含む全ての形態)、エンドウ豆タンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含む全ての形態)、キャノーラタンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含む全ての形態)が挙げられ、市販のその他の植物性タンパク質は、小麦及び分画小麦タンパク質、トウモロコシ及びゼインを含むその画分、米、オート麦、ジャガイモ、落花生、並びに腎臓形の豆(beans)、ソバ、ヒラマメ(lentils)及び豆類(pulses)由来の任意のタンパク質である。動物性タンパク質としては、例えば、牛肉、家禽、魚、子羊、海産物、豚肉、卵、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
[0074]一実施形態において、タンパク質源は乳性のタンパク質を含む。一実施形態では、乳性のタンパク質は、カゼイン、カゼイン塩、カゼイン加水分解物、乳清、乳清加水分解物、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質単離物、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0058】
[0075]組成物は、ミネラル類;ビタミン類;塩類;又は、機能性添加剤、例えば、嗜好剤(palatant)、着色剤、乳化剤、抗菌剤、又は他の保存料などの1種以上の追加成分を更に含んでもよい。本明細書に開示される組成物に好適なミネラル類の非限定的な例としては、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、フッ化物、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。本明細書に開示される組成物に好適なビタミンの非限定例としては、水溶性ビタミン(チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸(ビタミンB5)、ピリドキシン(ビタミンB6)、ビオチン(ビタミンB7)、ミオイノシトール(ビタミンB8)、葉酸(ビタミンB9)、コバラミン(ビタミンB12)及びビタミンCなど)及び脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKなど)が、これらの塩、エステル又は誘導体を含めて、挙げられる。イヌリン、タウリン、カルニチン、アミノ酸、酵素、補酵素、及びこれらの任意の組み合わせが、様々な実施形態に含まれ得る。
【0059】
[0076]一実施形態では、組成物は、ピリドキシン(ビタミンB6)、葉酸(ビタミンB9)、又はコバラミン(ビタミンB12)のうちの少なくとも1種を更に含む。葉酸(ビタミンB9)補給は、記憶、より優れた認知機能、及び精神運動速度に有益である。ビタミンB12欠乏症は、主に高齢者における吸収の変化に関連する。ビタミンB12及び葉酸欠乏症は、気分の低下、疲労、易刺激性などの症状をもたらす。更に、葉酸及びビタミンB12は、神経伝達物質の合成に必要とされる。
【0060】
[0077]組成物は、神経の全般的な健康状態を促進若しくは維持し、又は認知機能を更に向上させる、1種以上の作用物質を更に含み得る。このような作用物質の例としては、コリン、ホスファチジルセリン、α-リポ酸、CoQ10、アセチル-L-カルニチン、オメガ-3脂肪酸、ハーブ抽出物(イチョウ(Gingko biloba)、オトメアゼナ(Bacopa monniera)、シャンカプシュピ(Convolvulus pluricaulis)及びスノーフレーク(Leucojum aestivum)など)が挙げられる。
【0061】
[0078]組成物は、医療用食品の形態であってもよい。本明細書で使用するとき、用語「医療食品」は、医学的疾患又は状態の食事管理のために特別に配合された食品製品を指す。例えば、医学的疾患又は状態は、通常食のみでは満たされ得ない、特有の栄養必要量があることがある。医療用食品は、医学的管理下で投与される場合がある。医療食品は、経口投与されてもよく、又は経管栄養として投与されてもよい。用語「経管栄養」とは、栄養を供給管によって対象の胃腸に直接導入することが意図された製品を指す。経管栄養は、例えば、対象の鼻を通して配置された供給管(経鼻胃管、経鼻十二指腸管、及び経鼻空腸管など)、又は対象の腹部に直接配置された供給管(胃瘻供給管、胃空腸瘻供給管、又は空腸供給管など)によって投与されてもよい。
【0062】
[0079]組成物は、栄養組成物又は栄養補助食品の形態であってもよい。用語「栄養補助食品」は、対象の普段の食生活を補助することを意図した製品を指す。
【0063】
[0080]組成物は完全栄養製品の形態であってよい。用語「完全栄養製品」は、対象にとって唯一の栄養源となり得る製品を指す。
【0064】
[0081]様々な実施形態では、組成物は、飲料、マヨネーズ、サラダドレッシング、マーガリン、低脂肪スプレッド、乳製品、チーズスプレッド、プロセスチーズ、乳製品デザート、フレーバーミルク、クリーム、発酵乳製品、チーズ、バター、コンデンスミルク製品、アイスクリームミックス、大豆製品、低温殺菌液状卵、ベーカリー製品、菓子製品、菓子バー、チョコレートバー、高脂肪バー、液状エマルション、噴霧乾燥粉末、凍結乾燥粉末、UHTプディング、低温殺菌プディング、ゲル、ゼリー、ヨーグルト、又は脂肪ベースのフィリング若しくは含水フィリングを有する食品、の形態であってもよい。
【0065】
[0082]一実施形態において、組成物は、乳児用フォーミュラであってもよい。更に他の実施形態において、組成物は、食品、スナック、ペットフード、又はペット用トリートを被覆するために使用することができる。
【0066】
[0083]本明細書に開示される組成物は、経腸投与又は非経口投与されてもよい。好ましくは、組成物は、経腸投与される。例えば、組成物は、食料品又は栄養補助食品の形態で投与されてもよい。経腸的投与は、経口、経胃、及び/又は経直腸投与であってよい。好ましくは、組成物は経口投与される。
【0067】
[0084]対象は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ヤギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、シカ、又は霊長類などの哺乳動物であり得る。好ましくは、対象は、ヒトである。一実施形態において、対象は、乳児である。乳児は、例えば、新生児(すなわち、生後28日未満の乳児)又は未熟児(すなわち、37週の妊娠期間が完了する前に生まれた乳児)などのヒトであり得る。
【0068】
[0085]一実施形態において、対象は、年齢を重ねた対象である。例えば、対象は、その推定寿命の40%、50%、60%、66%、70%、75%又は80%に達した、年齢を重ねた対象であってよい。寿命の決定は、保険数理の表、計算又は推定を基準にしてもよく、かつ、過去、現在及び未来の影響、又は寿命にプラス若しくはマイナスに作用することが知られている因子を考慮してもよい。寿命を判定するときには、種、性別、体格、遺伝的因子、環境因子及びストレス因子、現在及び過去の健康状態、過去及び現在の栄養状態、並びにストレス因子が考慮され得る。年齢を重ねた対象は、例えば、年齢が40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳又は100歳を超えたヒト対象であり得る。
【0069】
[0086]一実施形態において、対象は、軽度認知障害と診断された対象、又は記憶愁訴に罹患している対象である。対象は、特にエピソード記憶、実行機能、及び言語などの認知の改善を必要とし得る。対象は、脳エネルギー欠乏状態若しくは疾患、神経学的状態、及び/又は認知障害を有している又は罹患している場合がある。
【0070】
[0087]治療についての本明細書の全参照は、治癒的、緩和的、予防的治療を含む。治療には、疾患の重症度の進行を抑止することも含まれ得る。ヒトと動物の両方の治療が本開示の範囲内である。
【0071】
[0088]MCTから生成される遊離脂肪酸及びケトンは、グルコースの代替エネルギー源を供給し、星状膠細胞、筋細胞、心筋細胞又は神経細胞などの細胞のエネルギーを補充し、又はその代わりとなる。
【0072】
[0089]脳組織は、その体積に比して多量のエネルギーを消費する。平均的な健康な対象において、脳は、そのエネルギーの大部分を酸素依存的なグルコース代謝から得ている。典型的には、脳のエネルギーの大部分は、ニューロン又は神経細胞のシグナル伝達を助けるために使用され、残りのエネルギーは、細胞の健康維持のために使用される。例えば、グルコースの利用が障害されることによって引き起こされる脳のエネルギー欠乏は、神経の過剰活動、痙攣発作及び認知障害をもたらすことがある。
【0073】
[0090]脳エネルギーの欠乏状態又は欠乏疾患の例としては、片頭痛、記憶障害、加齢による記憶障害、脳損傷、ニューロリハビリテーション、脳卒中及び脳卒中後、アミロイド側索硬化症、多発性硬化症、認知障害、軽度認知障害(MCI)、集中治療後認知障害、加齢による認知障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、先天性代謝異常症(グルコーストランスポーター1欠損症症候群及びピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症など)、双極性障害、統合失調症並びに/又はてんかんが挙げられる。
【0074】
[0091]本明細書で使用するとき、用語「神経学的状態」は、神経系の障害を指す。神経学的状態は、病気又は損傷によって引き起こされる脳、脊柱又は神経への損傷の結果であり得る。神経学的状態の症状の非限定的例としては、麻痺、筋力低下、協調運動不良、感覚喪失、痙攣発作、混乱、疼痛及び意識レベルの変化が挙げられる。接触、圧力、振動、四肢の位置、熱さ、冷たさ、及び疼痛並びに反射に対する反応の評価を実施することで、対象において神経系に障害が生じているかを判定することができる。
【0075】
[0092]いくつかの神経学的状態は生涯にわたるものであり、その発症はいかなる時点においても経験され得る。脳性麻痺などのその他の神経学的状態は、出生時から存在する。デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどのいくつかの神経学的状態は、一般に幼児期に顕在化するが、アルツハイマー病及びパーキンソン病などの他の神経学的状態は、主に高齢者が罹患する。いくつかの神経学的状態は、頭部損傷若しくは脳卒中、又は脳及び脊椎のがんなどの損傷又は病気によって突然発症する。
【0076】
[0093]一実施形態では、神経学的状態は、脳の外傷性損傷の結果である。付加的又は代替的に、神経学的状態は、脳又は筋肉におけるエネルギー欠乏の結果である。
【0077】
[0094]神経学的状態の例としては、片頭痛、記憶障害、加齢による記憶障害、脳損傷、ニューロリハビリテーション、脳卒中及び脳卒中後、アミロイド側索硬化症、多発性硬化症、認知障害、軽度認知障害(MCI)、集中治療後認知障害、加齢による認知障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、先天性代謝異常症(グルコーストランスポーター1欠損症症候群及びピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症など)、双極性障害、統合失調症及び/又はてんかんが挙げられる。
【0078】
[0095]片頭痛は、悪心(体調不良)、視覚障害及び光又は音に対する感度の増大などのその他の症状を伴う激しい頭痛である。片頭痛は、前兆が先に起こることがあり、前兆の主な症状は、ぼやけた視界(焦点を合わせるのが困難)、暗点、閃光又は中央視野から端に向かって動くジグザグパターンなどの視覚障害である。
【0079】
[0096]脳卒中(脳血管障害(CVA)及び脳血管傷害(CVI)としても知られる)は、脳への血流が不十分になり、その結果、細胞死が生じたときに起こる。脳卒中には、虚血性(血流不足に起因する)と、出血性(出血に起因する)の2つの主な種類がある。脳卒中により、脳の一部が正常に機能しなくなる。脳卒中の兆候及び症状には、身体の片側を運かすことができないこと、身体の片側の感覚がないこと、理解若しくは発話の問題、世界が回転しているような感覚、又は片側の視野欠損が含まれ得る。兆候及び症状は、多くの場合、脳卒中が起きた直後に現れる。
【0080】
[0097]筋萎縮性側索硬化症(ALS)(ルーゲーリッグ病、シャルコー病及び運動ニューロン病としても知られる)は、随意筋の制御を担うニューロンの死を伴う。ALSは、筋肉のこわばり、筋肉の単収縮、及び筋消耗によって徐々に悪化する虚弱を特徴とし;これにより、発話、嚥下、最終的には呼吸が困難になる。
【0081】
[0098]多発性硬化症は、脳及び脊髄の神経に影響を及ぼすものであり、筋肉運動の問題、運動機能及びバランスの問題、しびれ及びうずき、視界のぼやけ(典型的には片眼の視野欠損)並びに疲労を含む広範囲の症状を引き起こす。
【0082】
[0099]パーキンソン病は、主に運動系が冒される中枢神経系の変性疾患である。疾患の初期において、最も顕著な症状は、運動に関連するものであり;これらには、静止時振戦、固縮、歩行動作(walking and gait)の困難が含まれる。その後、疾患の経過中に思考及び行動上の問題が生じることがあり、疾患の進行期には一般に認知症が生じる。他の症状には、うつ症状、感覚、睡眠及び感情の問題が含まれる。
【0083】
[0100]アルツハイマー病は、進行性の神経変性疾患である。アルツハイマー病は、認知症の最も一般的な原因である。症状には、記憶喪失、及び思考、問題解決又は言語の困難が含まれる。ミニメンタルステート検査(MMSE)は、アルツハイマー病の診断に使用される検査の一例である。
【0084】
[0101]ハンチントン病は、脳内の特定の神経細胞に損傷を与える遺伝性の状態である。ハンチントン病は、筋肉の協調に影響し、精神機能の低下及び運動症状に至る。最初期の症状では、多くの場合、気分又は認知に関係するささいな問題が生じる。次いで、多くの場合、協調運動の全般的欠如及び不安定歩行が起こる。疾患が進行するにつれて、精神機能の低下及び運動症状とともに、協調の取れていない痙攣様の身体運動がより顕著になる。身体能力は、協調運動が困難になるまで徐々に悪化する。精神機能は、一般に、認知症にまで低下する。
【0085】
[0102]先天性代謝異常症は、欠陥遺伝子によって引き起こされる様々な疾患である。典型的には、欠陥遺伝子(複数可)は、酵素又は輸送タンパク質の欠損をもたらし、これにより、身体による化合物の処理が阻害され、当該化合物の毒性が蓄積する。先天性代謝異常症は、あらゆる臓器に影響を及ぼし得、通常、2つ以上の臓器に影響する。症状は、多くの場合、非特異的である傾向があり、通常、主要な臓器の機能障害又は機能不全に関係する。代謝異常症の発症及び重症度は、食生活及び併発している病気などの環境因子によって悪化する場合がある。
【0086】
[0103]グルコーストランスポーター1(Glut1)欠損症症候群は、血液脳関門、すなわち、微細な血管と脳組織を隔てる境界を通過させてグルコースを輸送するGLUT1タンパク質が関与する遺伝性代謝異常である。最も一般的な症状は、痙攣発作(てんかん)であり、通常、生後数ヶ月以内に始まる。起こり得る更なる症状としては、様々な程度の認知障害、並びに運動失調、ジストニア及び舞踏運動を特徴とする運動障害が挙げられる。Glut1欠損症症候群は、GLUT1タンパク質を産生するSLC2A1遺伝子の変異によって引き起こされ得る。
【0087】
[0104]ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症(ピルビン酸脱水素酵素欠損症又はPDCD)は、ミトコンドリアの代謝異常及び炭水化物の代謝撹乱に関連する神経変性疾患である。PDCDは、体内における乳酸の蓄積及び種々の神経障害を特徴とする。この状態の兆候及び症状は、通常、出生直後にまず現れるが、罹患した個体間で大きく異なる場合がある。最も一般的な特徴は、生命を脅かす可能性がある乳酸の蓄積(乳酸アシドーシス)であり、この蓄積は、悪心、嘔吐、重度の呼吸困難、及び異常な心拍を引き起こし得る。他の症状としては、神経学的問題;精神機能、並びに座る及び歩くなどの運動技能の発達の遅れ;知的障害;痙攣発作;筋緊張の低下(低圧);協調運動不良、並びに歩行困難が含まれる。罹患した個体の中には、脳の左半球と右半球とを接続する組織(脳梁)の発育不全、大脳皮質として知られる脳の外側部の衰弱(萎縮)、又は脳の一部における複数の損傷組織部分(病変)などの異常な脳構造を有する者もいる。
【0088】
[0105]PDCDでは、ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDC)に含まれるタンパク質のうちの1つが欠損している。ピルビン酸脱水素酵素複合体は、E1、E2及びE3として同定された3種類の酵素を含み、E1酵素は、α及びβとして同定されたサブユニットを含有する。最も一般的なPDCDの形態は、X染色体上に位置するE1αサブユニット(PDHA1遺伝子)における異常遺伝子によって引き起こされる。いくつかのPDCD症例は、PDHX遺伝子、PDHB遺伝子、DLAT遺伝子、PDP1遺伝子及びDLD遺伝子などの別のピルビン酸脱水素酵素複合体サブユニットの遺伝子変異によって引き起こされる。
【0089】
[0106]双極性障害は、気分、エネルギー、活動レベル、及び日々のタスクを実施する能力に異常な移り変わりをもたらす脳障害である。双極性障害は、気分が高揚している期間とうつ状態の期間とを特徴とする。双極性障害は、精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、DSM)又は世界保健機関の疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)によるガイドラインを使用して診断することができる。
【0090】
[0107]統合失調症は、患者による現実の解釈に異常が生じており、脳に障害をもたらす、慢性であり深刻な障害である。統合失調症は、幻覚、幻聴、妄想並びに非常に混乱した思考及び行動のいくつかの組み合わせをもたらし得る。統合失調症は、精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)又は世界保健機関の疾病及び関連保健問題の国際統計分類によるガイドラインを使用して診断することができる。
【0091】
[0108]てんかんは、脳内の神経細胞の活動が乱れ、痙攣発作が生じる、又は異常な行動、感覚及び時に意識消失の期間が引き起こされる神経障害である。
【0092】
[0109]「認知性障害」及び「認知障害」という用語は、認知に障害を生じさせる疾患、特に、学習、記憶、知覚及び/又は問題解決に主に影響を及ぼす疾患を指す。
【0093】
[0110]認知障害は、集中治療後の対象に生じることがある。認知障害は、老化の一部として、例えば軽度認知障害(MCI)として生じ得る。
【0094】
[0111]用語「認知」とは、知識、注意、長期記憶及び作業記憶、判断及び評価、推論及び「計算」、問題解決及び意思決定、言語の理解及び言語による創作を含む、一連の全ての精神機能及び過程を指す。認知の水準及び改善は、情報処理速度、実行機能及び記憶を評価するように設計された認知検査を含む、当該技術分野において既知である任意の好適な神経学的検査及び認知検査を用いて、当業者により容易に評価することができる。好適な試験の例としては、ミニメンタルステート検査(MMSE)、CANTAB(Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery)、アルツハイマー病評価尺度認知試験(ADAScog)、ウィスコンシンカード分類課題、言語及び図形流暢性検査並びにトレイルメイキングテスト、ウエクスラー記憶検査(WMS)、図形の即時再生及び遅延再生試験(immediate and delayed Visual Reproduction Test)(Trahanら、Neuropsychology,1988 19(3)p.173-89)、レイ聴覚性言語学習検査(RAVLT)(Ivnik,RJ.ら、Psychological Assessment:A Journal of Consulting and Clinical Psychology,1990(2):p.304-312)、脳波記録(EEG)、脳磁図(MEG)、陽電子放出断層撮影法(PET)、単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴画像法(MRI)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、コンピュータ断層撮影法並びに長期増強が挙げられる。
【0095】
[0112]EEG、脳の電気的活動度の測定は、様々なランドマークで頭皮に電極を配置し、脳の信号を大きく増幅して記録することによって達成される。MEGは、電場に関係する磁場を測定するという点で、EEGに類似している。MEGは、神経系における同期波を含む自発的な脳活動を測定するために使用される。
【0096】
[0113]PETは、酸素利用及び/又はグルコース代謝の指標を提供する。この技術では、放射性陽電子放出トレーサーを投与し、脳によるトレーサーの取り込みは脳の活動度と相関する。これらのトレーサーはガンマ線を放出し、放出されたガンマ線は頭を取り囲むセンサによって検出され、これにより脳活動の3Dマップが得られる。トレーサーが脳によって取り込まれるとすぐに、局所的な脳血流量に応じ、放射能が検出される。活性化の間、数秒以内に脳の血流量及び神経のグルコース代謝の増大を検出することができる。
【0097】
[0114]好適な分析はまた、神経心理学試験、臨床検査、及び個別の認知機能の低下についての訴え(例えば、主観的記憶喪失)に基づいてもよい。更に好適な検査は、運動、記憶及び注意、発作感受性、並びに社会的関わり合い及び/又は社会認識についての評価をベースにしてもよい。
【0098】
[0115]記憶障害は、記憶の保存、保持及び想起が阻害されるような、脳構造への神経損傷の結果である。記憶障害は、加齢に伴って進行することがあり(例えば、アルツハイマー病)、あるいは、例えば、頭部損傷から直接的に生じることもある。記憶障害のレベル及び改善は、アルツハイマー病評価尺度認知試験(ADAScog)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、コンピュータ断層撮影法(CT)スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)、単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)、陽電子放出断層撮影法(PET)及び脳波記録(EEG)などの当該技術分野において知られている任意の好適な検査を使用して、当業者によって容易に評価することができる。
[0116]
【実施例】
【0099】
[0117]以下の非限定的な実施例は、本開示によって提供されるように、MCTを液体形態のタンパク質/食品マトリックスと予め混合することによって作製される、認知機能を改善し、記憶及び/若しくは再生をサポートし、脳にエネルギー及び/若しくはケトンを提供し、並びに/又は軽度認知障害(MCI)を予防及び/若しくは治療するための組成物、という概念を発展及びサポートする科学的データを提示する。
【0100】
[0118]参加者
[0119]参加者は、≧55歳の年齢の男性又は女性で、(i)主観的記憶障害の存在、(ii)神経認知機能バッテリーによって評価される認知障害の客観的証拠、(iii)大うつ病(一般的うつ病評価尺度[GDS<10/30]の不在、及び(iv)手段的日常生活動作の得点(フランス版の機能自律性測定システム[SMAF-E]に基づく)≦15/24に基づく日常生活の完全自律性、というピーターソン基準に基づく軽度認知機能障害を有していた。除外基準には、精神障害の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の第5版による認知症(major neurocognitive disorder)の診断、コリンエステラーゼ阻害剤の使用、大うつ病、アルコール若しくは薬物乱用の既往歴、過去2年以内のがん、喫煙、コントロール不良の糖尿病(空腹時血漿グルコース>7mM又は糖化ヘモグロビン>6.5%)、心臓、肝臓若しくは腎臓の疾患の明白な証拠、ビタミンB12欠乏症、コントロール不良の高血圧、異脂肪血症、又は甲状腺疾患が含まれた。
【0101】
[0120]適格な参加者は、最初に、モントリオール認知評価(MoCA;18~26/30の得点)及び/又はミニメンタルステート検査(MMSE;24~27/30の得点)を使用した一般的認知評価を受け、適格である場合、続いて詳細な神経認知機能バッテリーを実施して、適切な標準データと比較して1つ以上の認知領域に欠損がある(平均より≧1.5SD低い)かどうかを決定し、参加者を、健忘性MCI(エピソード記憶のテストで少なくとも1つの得点が平均よりも≧1.5SD低い)又は非健忘性MCI(エピソード記憶を除く他の認知領域で少なくとも1つの得点が平均よりも≧1.5SD低い)として分類した。すべての参加者のスクリーニング検査が、登録前に協力医及び神経心理学者によって検討された。
【0102】
[0121]1:1の割り付けで一連のランダム化を行い、適格な参加者を実薬又はプラセボ処置に割り付けた。70名の参加者を、10名の参加者を含む7つの一連のブロックにランダム化した。介入を開始する前に、参加者は健康及び記憶愁訴に関する質問票に記入し、代謝及び臨床化学の測定用の空腹時血液試料を採取された。
【0103】
[0122]参加者は、月1回の訪問時に実薬又はプラセボ飲料の供給を受け、順守を監視するために毎日の日誌をつけるよう促された。最初の1ヶ月間、電話による追跡調査を必要に応じて実施した。月1回の訪問にあたり、参加者は自宅で通常の朝食と一緒に試験飲料を摂取し、その1~2時間後に研究所を訪問し、訪問中に血液試料を採取された。参加者は、順守を評価するために、未使用のボトルを返却することを求められた。参加者はまた、リサーチナースと面談し、懸念事項及び起こり得る任意の有害事象について話した。最後の6ヶ月目の訪問は、介入開始から165±9日後に実施した。朝食と、割り付けされたサプリメントの最終用量とをメタボリック・キッチン(metabolic kitchen)で摂取してから1~2時間後に血液試料を採取した。介入の最終週の間に、神経認知機能質問票への記入が行われた。
【0104】
[0123]参加者は飲料の組成を知らされず、割り付けられた飲料125mLを1日2回、通常は朝食と共に、及び再度夕食と共に(合計250mL/日)、摂取するように指示された。1日用量は、最初の2週間の間に一食当たり50mLから125mLまで徐々に増加させた。
【0105】
[0124]認知検査
[0125]適格性については、一般的な認知の状態を、MMSE及びMoCA質問票を用いて評価した。適格な参加者は、その後、認知機能の5つの主要領域、すなわち、エピソード記憶、実行機能、処理速度、注意、及び言語を評価する90分間の神経認知機能検査バッテリーを完了した。エピソード記憶は、フランス語版の16項目 自由及び手がかり単語学習・再生テスト(Rappel Libre/Rappel Indice[RL/RI-16])及び短縮版視覚記憶検査-改訂版(Brief Visual Memory Test-Revised)(BVMT-R)によって評価した。Delis-Kaplan Executive Function Systemからのトレイルメイキングテスト、ストループ色-語干渉テスト(ストループ)、及び言語流暢性(VF)検査は、それぞれ、実行機能、注意及び処理速度に関する情報を提供した。数字記号置換テストと、ウェクスラー成人知能検査の順唱及び逆唱での数唱とは、それぞれ、処理速度及び作業記憶に関する情報を提供した。ボストン呼称検査は、言語能力に関するテストであった。補給後の検査において生じ得る学習効果を最小限にするために、RL/RI-16及びBVMT-Rテストでは、2種類の検証済み単語リスト及び刺激ページを使用した。これらのテストは、臨床現場において一般的に使用されており、標準化された試験手順を使用して訓練された評価者によって実施された。類似の集団からの標準得点の表を使用して、各サブテストのZスコアを決定した。
【0106】
[0126]代謝試験
[0127]試験の第2相の参加者は、同一の代謝試験に2日(1日目は補給の開始前、2日目は6ヶ月間の補給期間の終了時)参加することを求められた。研究の目的は、kMCTの習慣的な摂取が血漿ケトン応答を変化させるかどうかを評価することであった。簡潔に述べると、12時間の一晩絶食後、参加者は、標準化された朝食(ラズベリージャムを塗ったトースト2枚、チーズ1切れ、及びスクランブルエッグ2個;合計470カロリー、19.5gの脂肪、24.2gのタンパク質、及び55gの炭水化物)と、ランダム化された1回用量(125mL)の飲料を提供された。4時間後、同じ試験飲料の2回目の用量が与えられたが、食物は与えられなかった。前腕静脈血試料を、ベースライン及び8時間の試験期間中30分毎に、EDTAチューブに採取した。
【0107】
[0128]結果
[0129]RL/RI-16テストの第1の自由再生試験の補正素点は、実薬群において改善し(多共変量モデル;p=0.042;
図1及び
図4)、年齢、性別及び教育についての正規化後に、差は有意なままであった(Zスコア変化はプラセボの-0.1に対して実薬群は+0.51、p=0.042;
図2)。短縮版視覚記憶検査-改訂版(BVMT-R)では、いずれの群においても有意な変化は認められなかった。言語流暢性(カテゴリー)の得点は、介入後に、実薬群(+1.9語)はプラセボ群(-1.0語)と比較して有意に高かった(p≦0.005;
図1及び
図5)。トレイルメイキング(p=0.020)及びストループテスト(p=0.042)の全条件において誤答が有意に少なく、実行機能の2つの尺度は、実薬群における介入後の改善を示した。ボストン呼称検査も、実薬群において介入後に改善を示し(+1.1の総正答)、プラセボ群は総正答が0.2少なかった;p=0.018;
図6)。注意及び処理速度の得点は、いずれの群においても処置後に有意に変化しなかった(データ不掲載)。いくつかの認知検査における介入後の差は、中(0.06)~大(0.14)の効果量(部分η
2)を有し、これは言語流暢性(カテゴリー)の素点及びZスコア、トレイルメイキングテストの素点(総誤答)、ストループテストのZスコア(誤答、抑制-スイッチング)及びボストン呼称検査の素点を含む(
図1~
図2)。
【0108】
[0130]ApoE4(-)、健忘性MCI及びプロトコルを順守した参加者では、実薬群における治療後の差についての結果は、言語流暢性(カテゴリー)検査、及びボストン呼称検査の総正答について、プラセボとの統計的な差を維持した。これらの3つのサブグループでは、RL/RI-16テストの第1の自由再生試験のいくつかのサブテストにおける改善が見られた(
図9~
図11)。実薬処置のApoE4(+)参加者は、RL/RI-16の即時再生で、より良好な得点を有し(0.8語多く再生し、プラセボの参加者は0.9語少なく再生した;p=0.036);言語流暢性(カテゴリー)検査で、より良好な得点(p=0.048)を有し、トレイルメイキングテストでは総誤答が少なかった(p=0.017;
図12)。
【0109】
[0131]血漿ケトン(BHB又は総ケトン)の変化は、エピソード記憶、実行機能及び言語のうちのいくつかの認知検査における変化と有意に正の相関関係があり、その係数は+0.229~0.325、p値は0.042~0.0028であった(
図7)。これらの相関分析は、素点又はZスコアに関して群間の差が認められた認知検査に限定された(
図1~
図2)。異なる複数の神経認知機能領域の合成得点に変化はなかったが(
図13)、エピソード記憶の合成Zスコアは、BHB濃度と正の相関関係を示した(r=+0.229、p=0.042;
図7)。
【0110】
[0132]代謝及び実験結果
[0133]6ヶ月の補給後、総血漿ケトン、BHB及びAcAは全て、実薬群において有意に増加した(p<0.0001;
図3)。いずれの群においても、体格指数又は体重に変化はなかった。介入後、グルコース、コレステロール及びアスパラギン酸トランスアミナーゼは、実薬群において有意に高かったが、本発明者らの施設における臨床基準範囲内に留まった。血液の化学的性質に他の変化は認められなかった(
図3)。2×15gのkMCT又はプラセボによる介入後と介入前との比較において、血漿ケトンの応答に変化はなかった(
図8)。
【0111】
[0134]結果は、MCIにおいて30g/日のkMCTを摂取した場合、エピソード記憶、実行機能及び言語について広く使用されているテストにおけるパフォーマンスが、対応するプラセボと比較して6ヶ月にわたって改善されたことを示した。実薬群では中~大の効果量(0.06~0.14の部分η
2)が観察され、これらの認知改善が、特に実行機能及び言語のテストにおいて臨床的に関連することを示唆した(
図1~
図2)。いくつかの認知領域における血漿ケトンの変化とパフォーマンスの変化との間の正の相関関係(
図7)は、ケトンが脳エネルギーレスキューに寄与することによってMCIにおける認知を改善するという概念を支持する。
【0112】
[0135]結果は、2回の15g用量で30g/日を提供する液体エマルションを用いると、kMCTは良好なケトンバイオアベイラビリティを有し、6ヶ月にわたって投与された場合、年齢、性別、教育、MCIのタイプ及びApoE4状態とは無関係に、MCIにおいて認知の改善をもたらすことを実証した(
図2~
図3及び
図9~
図13)。
【0113】
[0136]結果はまた、MCIを有する高齢集団における習慣的なkMCT補給の安全性を実証した。心血管代謝のアウトカムは、変化がない、又は年齢に対して正常の基準範囲内に留まっており(
図3)、kMCT(又はプラセボ脂肪)の消費に関連する飽和脂肪及び体重増加、又は心血管健康の他の側面に関する懸念が、この集団では妥当ではないことを示唆している。試験の第2相におけるサブグループ(プラセボn=12及び実薬n=10)の血漿ケトン応答の代謝評価は、ケトンの増加が6ヶ月のテスト期間を通して維持されたことを示し、この時間枠の間にケトン産生又は代謝に有意な変化がないことを示唆した(
図8)。更に、高齢者は、15g用量のkMCTに対して、若年成人と少なくとも同程度に良好なケトン応答を有し、一過性ピークは、ケトアシドーシスに関連するケトンレベルよりも少なくとも1桁低いケトンレベルである1.6mM(BHBとAcAを合わせて)を超えることはない。
【0114】
[0137]
図14は、本明細書に開示されている実験例に従う介入後の脳におけるケトン取り込みの増加を示すケトンPET画像である。
図15は、本明細書に開示される実験例に従う介入の前(PRE)及び後(POST)のプラセボ及びMCTのCMR
ketを示すグラフである。
図16は、本明細書で開示されている実験例に従う認知検査をまとめた表である。
図17は、本明細書で開示されている実験例に従う認知検査における有意な変化をまとめた表である。
図18は、本明細書で開示されている実験例に従う認知検査における有意な変化(
図17)を更に詳細に示す表である。
【0115】
[0138]本明細書で述べる現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。そのような変更及び修正は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、なされ得る。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【国際調査報告】