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特表2023-525715化粧用粉末材またはフレグランス粉末材のためのサンプラおよび方法
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  • 特表-化粧用粉末材またはフレグランス粉末材のためのサンプラおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】化粧用粉末材またはフレグランス粉末材のためのサンプラおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
A45D33/00 650Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567379
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 US2021070581
(87)【国際公開番号】W WO2021237241
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/026,950
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010646
【氏名又は名称】エーケーアイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・デヴァシーン
(72)【発明者】
【氏名】フラジャイナ・デヴァシーン
(57)【要約】
例えば化粧品、ブラッシュ、およびアイシャドー等のフレグランス粉末材または化粧用粉末材のためのサンプラ。この粉末は、下部層に塗布される前に、例えばフレグランスまたは揮発性溶媒などの液体中に拡散され得る。この溶媒は、上部層が任意には中間層を伴わずにサンプルを覆って施される前に、除去される。例えば位置変更可能膠剤もしくはヒートシールまたはそれらの両方などの周縁シールが、上部層と下部層との間に形成される。このシールは、下部の面を露出させて粉末材を試すことを可能にするために、一方の側に位置するタブをユーザが引っ張ることにより分離される。サンプラは、スリム縦断面を有する。これは、ローラ塗布プロセスにより効率的に製造され、雑誌、チラシ、新聞紙、およびはがき等の中に配置するのに特に適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末材のためのサンプラであって、
上方表面を有する下部蒸気バリア層と、
前記下部層の前記上方表面のサンプル領域上に配設された前記粉末材のサンプルと、
前記下部層の前記上方表面の少なくとも前記サンプル領域を覆って配設された上部蒸気バリア層と、
前記粉末材の前記サンプルを実質的に収容するように構成された前記上部層と前記下部層との間のシールと
を備える、サンプラ。
【請求項2】
層の少なくとも一方の延在部分が、前記サンプルとは逆の方向へと前記シールを越えて外方に延在する、請求項1に記載のサンプラ。
【請求項3】
前記延在部分は、人間のユーザが把持するのに適したタブを形成するために十分なだけ延在している、請求項2に記載のサンプラ。
【請求項4】
前記シールは、熱を利用することにより形成される、請求項1に記載のサンプラ。
【請求項5】
前記は、前記サンプルと前記上部層および前記下部層の外方エッジとの間に配設された接着剤のリングを備える、請求項1に記載のサンプラ。
【請求項6】
熱を利用することにより形成された前記上部層と前記下部層との間の第2のシールをさらに備える、請求項5に記載のサンプラ。
【請求項7】
前記第2のシールは、前記接着剤のリングから径方向外方に配設される、請求項6に記載のサンプラ。
【請求項8】
前記下部層の下方表面に塗布された接着剤層をさらに備える、請求項1に記載のサンプラ。
【請求項9】
前記下部層の前記上方表面の前記サンプル領域の少なくとも一部分が、前記サンプルに対する接着を向上させるために被覆されている、請求項1に記載のサンプラ。
【請求項10】
前記下部層および前記上部層は、前記サンプルが上に配設された場合に劣化しないように選択された材料から作製される、請求項1に記載のサンプラ。
【請求項11】
前記下部層は、少なくとも2つの材料のラミネートを含む、請求項1に記載のサンプラ。
【請求項12】
前記サンプルは、揮発性溶媒中に拡散されている、請求項1に記載のサンプラ。
【請求項13】
前記溶媒は、フレグランス、水、または炭化水素である、請求項12に記載のサンプラ。
【請求項14】
前記サンプルは、安定剤を含む、請求項1に記載のサンプラ。
【請求項15】
粉末材のためのサンプラを製造するための方法であって、
前記サンプラの下部層のための蒸気バリア材料を用意するステップと、
前記サンプラの上部層のための蒸気バリア材料を用意するステップと、
前記サンプラ中に配設させるための液体サンプル材を用意するステップと、
前記下部層の上方表面上に前記液体サンプル材を配設するステップと、
実質的に粉末状のサンプルを作製するために前記液体サンプル材を乾燥するステップと、
前記下部層に前記上部層を封着するステップと
を含む、粉末材のためのサンプラを製造するための方法。
【請求項16】
前記液体サンプル材は、ローラ塗布器を用いて配設される、請求項15に記載の粉末材のためのサンプラを製造するための方法。
【請求項17】
前記液体サンプル材は、熱を用いて乾燥される、請求項15に記載の粉末材のためのサンプラを製造するための方法。
【請求項18】
前記下部層に前記上部層を封着するステップは、
液体接着材料を用意するステップと、
前記下部層の前記上方表面上に前記液体接着材料を配設するステップと、
前記液体接着材料を乾燥するステップと、
前記乾燥した液体接着材料上に前記上部層を配設するステップと
を含む、請求項15に記載の粉末材のためのサンプラを製造するための方法。
【請求項19】
前記液体接着材料は、ローラ塗布器を用いて配設される、請求項18に記載の粉末材のためのサンプラを製造するための方法。
【請求項20】
前記液体接着材料は、熱を用いて乾燥される、請求項18に記載の粉末材のためのサンプラを製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/026,950号に基づく優先権を主張するものである。この仮特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願の分野
本開示の対象は、一般的には化粧品サンプラに関し、より詳細には化粧用粉末またはフレグランス粉末のためのサンプラに関する。
【背景技術】
【0003】
化粧品およびフレグランスの分野は、大衆向けの競争の激しい産業である。これらの製品は、液体、スプレー、およびクリーム等を含む多数の形態で供給されている。例えばブラッシュおよびアイシャドーなどの粉末化粧品製品および粉末フレグランス製品は、人気の高い選択肢である。多数のかかる化粧品およびフレグランスを消費者が選び得る状況において、消費者が興味のあるフレグランスまたは化粧品を容易に特定することを可能にするために、製品をサンプラの形で提供することが望ましい。
【0004】
同時継続中の米国特許出願第16/988,838号は、香料入りろうそく材のためのサンプラについて記載しており、溶融された香料入り材料が、ローラ塗布器により上部蒸気バリア層と下部蒸気バリア層との間に配設される。
【0005】
米国特許第5,439,172号は、例えば香水などの液体揮発性材のための平坦状サンプラについて記載している。
【0006】
米国特許第5,562,112号は、リップスティックが任意の所望のパターンでスクリーン印刷された、コーティングされたカバー基材を用いたリップスティックのためのサンプラについて記載している。周縁部接着剤が、コーティングされた表面基材に塗布され、透明カバーシートが、リップスティックを覆ってラミネートされる。このカバーは、オフセットを防止する役割を果たし、清浄な衛生用製品の画像を映し出す。
【0007】
米国特許第6,282,652号は、フォイルバリア層を有する複合材料ラミネートで封着された透明複合材料ラミネートからなる流体サンプラについて記載している。
【0008】
米国特許第6,326,069号は、空洞部内に内部支持構造体を有することによりピールシールが圧縮力に耐えられるようにした、流体サンプラパウチについて記載している。
【0009】
米国特許第9,475,615号は、上部層および下部層からなる再封着可能ラベルについて記載している。これらの2つの層は、接着層により共に接着される。下部層は、凹状穿孔を備え、この凹状穿孔は、その端点により画定されるラインを有する。
【0010】
米国特許第4,938,462号は、再封着可能パッケージについて記載しており、より具体的には明らかな損傷を伴わずに開封および再封着が可能である容器内にパッケージングされた商品を見えるようにするための再封着可能ブリスタータイプパッケージについて記載している。
【0011】
米国特許出願公開第2010/0002963号は、再閉鎖可能食品パッケージについて記載しており、この食品パッケージは、いたずら防止用引裂ストリップの使用によりアクセスが容易であるが気密であるシールを有し、これにより、内部に収容される製品の耐用寿命を向上させる容器またはパッケージが実現される。
【0012】
米国特許出願公開第2005/0061710号は、例えば雑誌または大量郵送などの印刷物に差し込むためのフレグランスサンプラについて記載している。このサンプラは、下部材料層および上部材料層とアプリケータとから作製される。
【0013】
米国特許第5,326,564号は、第1のセクションおよび第2のセクションを有する球状再封着可能化粧製品について記載している。各セクションは、半球状チャンバにより画成され、この半球状チャンバは、周囲の周縁エッジと周縁エッジから外方に突出するフランジとを有する開口部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願第16/988,838号明細書
【特許文献2】米国特許第5,439,172号明細書
【特許文献3】米国特許第5,562,112号明細書
【特許文献4】米国特許第6,282,652号明細書
【特許文献5】米国特許第6,326,069号明細書
【特許文献6】米国特許第9,475,615号明細書
【特許文献7】米国特許第4,938,462号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2010/0002963号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2005/0061710号明細書
【特許文献10】米国特許第5,326,564号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
化粧品およびフレグランスのための既知のサンプラが存在するが、粉末化粧品材および粉末フレグランス材のためのより効果的なサンプラと、より効率的な作製方法とが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以降の説明では、本開示の対象の目的および利点が示され、この説明に基づき、当業者の実施および知識によってさらなる利点を得ることができる。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、本開示の対象は、粉末材(例えばフレグランスまたは化粧品)サンプルのための新規のサンプラを提供する。このサンプラは、蒸気バリア下部層の選択された領域に塗布された粉末材のサンプルを備え、蒸気バリア上部層が、この下部層の選択された領域を覆って任意には中間層を伴わずに施される。下部層および上部層の周縁部の間にシールが設けられて、バリアエンクロージャが形成される。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、粉末材中の芳香を発する揮発性分子の不要な放出を防ぐために、サンプラは、位置変更可能接着剤シールもしくは剥離可能周縁シール(例えばヒートシール)またはそれら両方と、ユーザがサンプラを開封し収容された粉末材を試すためのタブとを備える。位置変更可能接着剤シールが使用される場合には、サンプルは、後の試用のために再封着されることが可能である。
【0019】
サンプラのスリム性および可撓性により、雑誌、チラシ、新聞紙、およびはがき等の上にまたはそれらのページ間に配置することが可能となる。このサンプラは、読み手にフレグランス粉末の香気を認知させ得る、または読み手が皮膚上でカラー化粧用粉末を試すことを可能にする、宣伝物として使用することができる。
【0020】
上記の概要および下記の詳細な説明は、例示的なものであり、本開示の対象の説明を行うことを意図したものである。本開示の対象は、添付の図面によりさらに図示および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の対象による例示のサンプラの鉛直方向断面図である。
図2】本開示の対象による例示のサンプラの平面図である。
図3】本開示の対象によるサンプラの例示の製造プロセスの側面図である。
図4】本開示の対象による例示のローラ塗布プロセスの側面図である。
図5】本開示の対象による例示のサンプラの平面図である。
図6】本開示の対象による例示のサンプラの鉛直方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において提示される化粧用粉末またはフレグランス粉末のためのサンプラにより、ユーザは、やはり本明細書において説明されるローラ塗布プロセスによって効率的に製造することが可能なスリム縦断面を有するサンプラ内の例えば化粧品およびフレグランスなどの粉末材のサンプルを試すことが可能となる。このサンプラは、雑誌、チラシ、新聞紙、およびはがき等の上にまたはそれらのページ間に配置するのに特に適しており、読み手にフレグランス粉末の香気を認知させ得る、または読み手が皮膚上でカラー化粧用粉末を試すことを可能にする、宣伝物として使用することができる。
【0023】
粉末材(例えばフレグランスまたは化粧品)のための例示のサンプラは、蒸気バリア下部層の第1の面の選択された領域に直接塗布された粉末材サンプルを備え、蒸気バリア上部層が、この下部層の前記第1の面の少なくとも前記選択された領域を覆って直接かつ中間層を伴わずに施される。前記下部層および前記上部層の少なくとも周縁部の間にシールが設けられ、それによりバリアエンクロージャが形成される。「粉末材」という語句は、本願全体を通じて、例えば化粧製品(例えばブラッシュ、アイシャドー)および粉末フレグランス等の、本開示のサンプラと共に使用するのに適した任意のサンプル材を指して使用される。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、下部層と上部層の少なくとも周縁部の間のシールが、サンプルを収容する蒸気バリアエンクロージャを形成する。ユーザは、下部層から前記上部層の少なくとも一部を分離させることによりサンプルの少なくとも一部を露出させて、空気中にフレグランスを放出させるまたは化粧品を試すことができる。シーラントとして位置変更可能膠剤を使用することにより、上部層は、サンプル中の揮発性分子のさらなる放出を防止するために、下部層に再封着されるように設計され得る。
【0025】
また、本開示の対象は、本開示のサンプラを製造するためのプロセスを提供し、このプロセスは、蒸気バリア下部層の第1の面の選択された領域に粉末材を直接塗布することと、下部層の前記第1の面の少なくとも前記選択された領域を覆って蒸気バリア上部層を施すことと、下部層と上部層との間に蒸気バリアシールを形成することとを含む。このシールは、フレグランスの例では揮発性分子に対する蒸気バリアエンクロージャを形成し得る。
【0026】
粉末材は、サンプラに塗布することが可能なスラリを作製するために、フレグランス中に、または例えば水、炭化水素(例えばIsopar K、ドデカン)などの揮発性溶媒中に拡散され得る。この溶媒は、化粧製品の場合には乾燥粉末を得るために除去され得る。安定剤が、製品を安定化するためにこの混合物中に添加され得る。表面活性剤が、液体中における粉末の拡散をより容易にするために添加され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、スラリ中の粉末材は、中間パッドに塗布され、ベース層へ移送される。このパッドは、任意の形状(例えばディスク、矩形)であることが可能である。
【0028】
いくつかの実施形態では、粉末材は、実質的に蒸気透過性のプラスチックシート下部層またはラミネートシート下部層の実質的に中央の領域に塗布され、この下部層は、ディスク形状または丸み矩形状などの形状であることが可能である。上部層は、同一のまたは他のプラスチックシート材料またはラミネートシート材料の対応する層によって用意される。上部層と下部層との間のシールは、下部層および上部層の対向面の間の表面間接触接着によって形成され得るか、または下部層および上部層の対向面の間の接着剤もしくは他のボンディング(例えば熱封着、高周波シーリング)によって形成され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、かかるシールは、下部層および上部層の接触する対向面の周縁部の周囲に形成され、好都合には、これらの層のエッジからその長さの少なくとも一部にわたり径方向へと挿入されて、非ボンディングタブまたは非ボンディングエッジを形成する。この非ボンディングタブまたは非ボンディングエッジは、下部層および上部層を分離させることをユーザが望む場合にそれらの分離のためにユーザが把持することができる。
【0030】
次に、添付の図面に示した本開示の対象の様々な例示の実施形態を詳細に参照する。この詳細な説明と組み合わせて、本開示の対象の構造物および対応する動作方法を説明する。
【0031】
添付の図面(これらの図面においては、同様の参照数字はそれぞれ別個の図にわたり同等または機能的に同様の要素を示す)は、様々な実施形態をさらに示し、いずれも本開示の対象による様々な原理および利点を説明する役割を果たす。説明および図示を目的として、ならびに非限定的なものとして、図1図6では、本開示の対象による化粧用粉末またはフレグランス粉末のためのサンプラの例示の実施形態が示される。
【0032】
次に、限定ではなく例示を目的として図1を参照とする。この図1は、化粧用粉末またはフレグランス粉末のための例示のサンプラの鉛直方向断面図を示す。この実施形態では、サンプラは、粉末材サンプル102が上に塗布される下部バリア層101を備え、上部バリア層103が、この下部バリア層101を覆って施される。接着剤104のシールリングまたは他の適切な封着ボンドが、上部層103を定位置に保持するために、サンプル102を保護するために、および例えばサンプル102が粉末フレグランスである場合などにサンプル102中の芳香を発する揮発性分子の不要な放出を防ぐために、下部層101の周縁部の周囲に配置される。
【0033】
下部層101は、スラリを作製するために使用されるフレグランスまたは溶媒による劣化または溶融を受けない無臭のプラスチック材料から作製され得、フレグランスサンプラの場合には良好なバリア特性を提供する。下部層101に適した材料の例は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエステルなどのポリオレフィンである。
【0034】
下部層101中で使用するのに好ましいポリマーは、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルポリマーである。また、下部層101は、2つ以上の異なる材料からなるラミネートであることも可能である。例えば、ポリアクリル酸接着剤などの接着剤接合面によって共にボンディングされた、ポリエステル下方層と、ポリエチレン上方層またはアモルファスポリエステル上方層がある。この種類のラミネートは、剥離可能なヒートシールが望まれる場合に選択され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、下部層101は、ポリマー下部層材料の表面に対する粉末材102および任意の接着剤の接着を向上させるために、処理される(例えばコロナ放電により)かまたは被覆される。
【0036】
上方層103は、下部層101と同一または同様の材料から作製することが可能である。上部層103は、この上部層103に対する任意の接着剤または印刷の接着を支援するために処理または被覆されることが可能である。
【0037】
粉末材サンプル102は、フレグランスまたは適切な溶媒を用いた拡散後に液体の形態(スラリを)として下部層101に直接塗布され得る。この溶媒は、水、または例えば炭化水素(イソパラフィン、直鎖アルカン)などの有機油であってもよい。例えば植物油(パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、等)、シリコーンなどの希釈材の添加が、フレグランス粉末サンプルの場合には提供量の調節を補助し得る。
【0038】
下部層101に塗布されるスラリの形態の粉末材102の量は、所望の芳香強度または顧客が使用できる製品量を考慮しつつ調節することが可能である。
【0039】
下部層101および上部層103は、相互に接着または封着され、粉末材が塗布された領域の周囲に蒸気バリアシールを形成するように選択され得る。しかし、これに該当しない場合には、接着剤104または同様のボンド材料が、好ましくは粉末材102が下部層101に塗布された領域の周囲に塗布され得る。ユーザが上部層103を容易に引きはがすことができるように、サンプラの径方向外方エッジの少なくとも一部を非ボンディングエッジまたは非ボンディングタブ105にすることが好ましい。
【0040】
下部層101および上部層103を共にボンディングするために使用される接着剤104は、水または溶媒をベースとする接着剤であってもよい。例としては、例えばポリアクリレート接着剤またはホットメルト接着剤などの感圧接着剤を使用することが可能である。除去する必要のある水または溶媒を含む接着剤を使用する場合には、除去ステップは、サンプル汚染を回避するために粉末材102の塗布前に実施することが好ましい。いくつかの実施形態では、水ベースポリアクリル接着剤を使用することが好ましい。
【0041】
いくつかの実施形態では、サンプルは、下部層101および/または上部層103の上に印刷され得る。この場合には、インクは、粉末塗布とは別である印刷オペレーションにおいて塗布され得る。この印刷は、下部層101に粉末材102を塗布する前または後に実施され得る。
【0042】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、サンプラは、好ましくは粉末材が塗布されるべき下部シート201のサンプル領域202の周囲に接着剤リング204を塗布することによって作製される。次いで、上部層203が、粉末領域202を覆って施されることによりラミネートが形成され、サンプラは、例えば打ち抜き加工によりこのラミネートから切り離され得る。この実施形態では、矩形のサンプラが示されるが、例えばディスクなどの他の適切な形状のものを使用することが可能である。
【0043】
図3および図4では、化粧用粉末またはフレグランス粉末のためのサンプラを製造する例示のプロセスが示される。図3は、製造プロセスの概観が示され、図4では、プロセスにおけるローラ塗布器の使用の詳細が示される。
【0044】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、接着剤304が、好ましくは従来の彫刻を施されたローラ塗布器310を使用して下部層301に塗布される。接着剤304は、特に接着剤が水ベース製品である場合などには、粉末材302の塗布の前に温風ブロワ311により乾燥され得る。
【0045】
接着剤304が塗布および乾燥された後に、粉末材サンプル302が、従来の彫刻を施されたローラ塗布器312を使用して同様の様式でスラリの形態で塗布され、次いでスラリからほとんどの液体を除去して粉末サンプルを作製するために温風ブロワ313(またはホットトンネル)により乾燥される。
【0046】
接着剤304および粉末材302は、下部層301上に塗布され、次いで上部層303と接着剤304および粉末材302を担持する下部層301とを加圧ローラ314のニップに通過させることによって、この上部層303で覆われる。
【0047】
次いで、上部層303は、印刷ユニット315を使用することにより印刷され得る。所要に応じてまたは所望に応じて、複合材料ラミネートが、残留水または残留溶媒を除去するために温風ブロワ316または他の手段により加熱もしくは乾燥され得る、および/または例えばUV光317などにより固化され得る。
【0048】
代替的には、上部層303は、サンプラの製造前に再印刷され得る。この場合には、位置合わせシステムを使用することが可能であり、図3に示す対応するステップは省くことが可能となる。
【0049】
本プロセスの最後に、完成したサンプラ319が、打ち抜きカッターまたはエアブレードカッター318により所望の形状で(例えば矩形およびディスク形など)に複合材料から分離され得る。
【0050】
図4は、所望の液体(図3では上部層303上の接着剤304、粉末材302、および印刷)を塗布するために使用されるローラ塗布器(図3に示す、アイテム310、312、および315)の詳細を示す。図4に示すように、液体402は、浴槽406内に配置され、従来の彫刻を施されたローラ塗布器412を使用して下部層401に塗布される。
【0051】
液体材塗布物402の形状は、ローラ上において使用されるパッド形状部409に応じて画定され得る。例えば、接着剤リングを塗布するためには、リング形状パッドを使用することができる。また、液体材402は、非接触技術またはインクジェットプリンタ技術によっても塗布することができる。
【0052】
図5に示す代替的な実施形態では、下部層501および上部層503が、加熱によりもしくは他の適切なプロセスにより共に封着され得る、またはこれらの層の表面エネルギー特性が、例えば粉末材502の周囲に外方剥離可能シール506を形成するようになど自動接着を可能にするように設定され得る。この場合には、接着剤リング504を省くことが可能であり、または代替的にはタブ505を引っ張ることにより剥離可能シールを破壊した後にサンプラを再封着することが可能になるように、追加シールとの組合せにおいて接着剤リング504を使用することが可能である。このダブルシールにより、接着剤シール単独の場合に比べてフレグランスの安定性と粉末汚染とが改善され得る。
【0053】
任意には、図6に示すように、接着剤層607が、下部層601の反対面(粉末材602が塗布される表面の逆側の面)にも塗布され得る。この接着剤層607は、例えばカードまたは新聞などの担体上にサンプラを配置することを可能にする。上部層603、接着剤リング604、およびタブ605はいずれも、前出の図に示す対応する特徴部に関連して上述したように機能し得る。
【0054】
次に、本開示による粉末材のためのサンプラおよびこのサンプラを作製するための方法の例示の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0055】
この実施例は、化粧用粉末材を収容する透明サンプラを作製するためのプロセスについて説明する。
【0056】
水ベース接着剤(AshlandによるPurethane 20914 Laminating Adhesive)が、ローラ塗布器を使用することにより、矩形リングの形状において下部透明ポリエステルフィルム(接着剤により裏面が被覆されシリコンライナにより保護された)に塗布される。この接着剤は、温風ブロワにより乾燥される。次いで、溶媒であるIsopar K中に拡散された化粧用粉末が、接着剤リング内部の領域に塗布される。次いで、この溶媒が、加熱により除去される。この下部フィルムは、加圧ローラのニップにこの下部フィルムおよび上部処理済み透明ポリエステルフィルムを通過させることにより、上部処理済み透明ポリエステルフィルムによって覆われる。サンプラが、打ち抜き加工カッターにより切り取られる。
【0057】
実施例を含む例示の実施形態の前出の説明は、本開示の対象の広範にわたるコンセプトをもっぱら記載、説明、および例示するためのみに提示されるものであり、本開示の範囲を限定するようには意図されず、またそのように解釈されるべきではない。この範囲から逸脱することなく、様々な変更および改良が当業者によりなされ得る。したがって、本開示の対象は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に含まれるあらゆる修正および改良を含む。
【符号の説明】
【0058】
101 下部バリア層、下部層
102 粉末材サンプル、サンプル、粉末材
103 上部バリア層、上部層、上方層
104 接着剤
105 非ボンディングエッジ、非ボンディングタブ
201 下部シート
202 サンプル領域、粉末領域
203 上部層
204 接着剤リング
301 下部層
302 粉末材サンプル、粉末材
303 上部層
304 接着剤
310 ローラ塗布器
311 温風ブロワ
312 ローラ塗布器
313 温風ブロワ
314 加圧ローラ
315 印刷ユニット
316 温風ブロワ
317 UV光
318 打ち抜きカッターまたはエアブレードカッター
319 サンプラ
401 下部層
402 液体、液体材、液体材塗布物
406 浴槽
409 パッド形状部
412 ローラ塗布器
501 下部層
502 粉末材
503 上部層
504 接着剤リング
505 タブ
506 外方剥離可能シール
601 下部層
602 反対面粉末材
603 上部層
604 接着剤リング
605 タブ
607 接着剤層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】