(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】香り入り変色システム
(51)【国際特許分類】
B41M 5/03 20060101AFI20230612BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20230612BHJP
B32B 29/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B41M5/03
B32B7/023
B32B29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567380
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 US2021070546
(87)【国際公開番号】W WO2021232060
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010646
【氏名又は名称】エーケーアイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・デヴァシーン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・オハロラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョッシュ・エム・ドージア
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA21A
4F100AH00A
4F100AT00B
4F100AT00D
4F100BA02
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10B
4F100BA10D
4F100CA13A
4F100CB00C
4F100DE04A
4F100DG10B
4F100EH46
4F100EH61
4F100HB00A
4F100JD14B
4F100JL10A
4F100JL14C
4F100JN28A
(57)【要約】
香料が基材上に塗布又は放出されると、基材、例えば紙上に隠されたメッセージ、ブランド、絵柄等を生じさせる香り入り変色システム。隠されたメッセージは、発色剤、例えばロイコ染料を含有し、香料は、発色剤と反応してメッセージを生じさせる顕色剤、例えば塩化亜鉛を含有する。香料は、基材上に噴霧されてもよく、基材に組み込まれた又は基材上に配置されたマイクロカプセルから、マイクロカプセルを破裂させることにより放出されてもよい。香り入り変色システムは、特に、香料試験紙、広告紙筒、雑誌折り込み広告等での使用に適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク混合物が塗布されている変色部を有する基材であって、前記インク混合物が発色剤を含有し、初期色を有する、基材と、
揮発性香料分子、及び前記発色剤と化学的に反応して、初期色を変更色に変えることができる顕色剤を含有する香料混合物とを含み、
前記香料混合物の少なくとも一部を前記基材の前記変色部に適用することにより、前記発色剤と前記顕色剤との化学的反応に応答して前記初期色を前記変更色へと変化させる、
香り入り変色システム。
【請求項2】
前記基材が吸収性支持体を含む、請求項1に記載の香り入り変色システム。
【請求項3】
前記吸収性支持体が紙である、請求項2に記載の香り入り変色システム。
【請求項4】
前記発色剤がロイコ染料である、請求項1に記載の香り入り変色システム。
【請求項5】
前記顕色剤が塩化亜鉛である、請求項2に記載の香り入り変色システム。
【請求項6】
前記顕色剤がハロクロミック化合物であり、酸又は塩基である、請求項1に記載の香り入り変色システム。
【請求項7】
前記香料混合物の少なくとも一部の前記基材の前記変色部への適用が、前記香料混合物を前記基材上に噴霧することを含む、請求項1に記載の香り入り変色システム。
【請求項8】
前記香料混合物が前記基材上のコーティングに配置されたマイクロカプセルに封入されている、請求項1に記載の香り入り変色システム。
【請求項9】
前記香料混合物の少なくとも一部の前記基材の前記変色部への適用が、前記マイクロカプセルの一部を破裂させて、前記香料混合物の一部を放出させることを含む、請求項8に記載の香り入り変色システム。
【請求項10】
前記破裂が前記基材の前記変色部をすり減らすことを含む、請求項9に記載の香り入り変色システム。
【請求項11】
前記基材上に配置され、前記変色部を覆う蓋と、
前記基材と前記蓋との間に配置された剥離可能な接着剤と、を更に含み、
前記破裂が前記蓋を少なくとも部分的に前記基材から剥がすことを含む、請求項9に記載の香り入り変色システム。
【請求項12】
前記発色剤と前記顕色剤とを化学的に分離する、前記基材と前記コーティングとの間に配置されたバリア層を更に含み、
前記香料混合物の少なくとも一部の前記基材の前記変色部への適用が、前記バリア層を破壊することを更に含む、請求項8に記載の香り入り変色システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年3月13日に出願された米国仮出願第63/024,217号に対して優先権を主張する。
【0002】
本開示の主題は、一般に、変色システムに、より具体的には、香料の塗布又は放出により基材上の色を変化させる香り入り変色システムに関する。
【背景技術】
【0003】
変色化合物、例えばロイコ染料は、リトマス紙/pH試験から新規の「消えるインク」及び他の多くのものまで幅広い種類の製品において一般的に使用される。そのような場合、条件、例えば化学反応における変化は、その化合物の色を変えさせる。公知の変色システムが存在し、例えば、米国特許第5,485,792号は、マーカーに含まれた顕色剤を支持体に塗布された発色剤と反応させることにより潜在的な色画像を生成させる変色システムについて記載している。また、米国特許第6,124,377号は、発色剤中に担持したマーキング手段と、少なくとも1種の顕色剤をコーティングした基材とを備える、乱雑さをできる限り抑えたマーキングシステムについて記載している。
【0004】
香料産業、香水、コロン、アフターシェーブ、消臭剤、家庭用香料等は、人気があり競争の激しい産業である。いずれの市場においてもそうであるように、消費者及び潜在的な消費者の意識に、記憶に残る印象を生むことが望まれる。このことは、香料に特定の課題をもたらす。一方では、ヒトの嗅覚は長く続く記憶を形成することができ、嗅覚は「記憶感覚(memory sense)」と呼ばれることがある。M.Hopkin、Link proved between senses and memory、Nature、doi:10.1038/news040524~12、2004。
【0005】
他方、嗅覚は「信頼性がないことで有名ではあるが、視覚的刺激からの実質的恩恵を示す」。J.Gottfried及びR.Dolan、The Nose Smells What the Eye Sees:Crossmodal Visual Facilitation of Human Olfactory Perception、Neuron、39巻2号、2003。従って、そのような視覚的刺激を香料と結び付け、消費者における記憶の保持を増進する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,485,792号明細書
【特許文献2】米国特許第6,124,377号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】M.Hopkin、Link proved between senses and memory、Nature、doi:10.1038/news040524~12、2004
【非特許文献2】J.Gottfried及びR.Dolan、The Nose Smells What the Eye Sees:Crossmodal Visual Facilitation of Human Olfactory Perception、Neuron、39巻2号、2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ある特定の条件変化のもとで色を変化させることのできる公知のシステムはあるが、香料の塗布又は放出により基材上の色を変化させる香り入り変色システムの必要性は依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の主題の目的及び利点は以下の説明に記載され、更なる利点が、この説明に基づいた当業者の実施及び知識により得ることができる。
【0010】
本開示の主題は、いくつかの実施形態によれば、新たな香り入り変色システムを提供する。いくつかの実施形態において、香り入り変色システムは、基材(例えば紙)及び香料(例えば香水)を含む。基材は、そこにあぶり出しインクで書かれた又は描かれたメッセージ、ブランド、ロゴ等を有する変色部を有する。インクは、発色剤、例えばロイコ染料を含有する。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、揮発性香料分子に加えて、香料は、発色剤と反応してインクの初期色を変更色へと(例えば、目に見えない/透明から青へと)変化させることのできる、溶解された顕色剤、例えば塩化亜鉛を含有する。香料は、いずれかの適切な手段、例えば噴霧により、変色部(及びそれにより顕色剤と混合及び反応させられる発色剤)に塗布されうる。香料はまた、マイクロカプセルに封入され、香料とインクとの間の任意のバリア層とともに基材上に配置されてもよく、それにより香料は、マイクロカプセルが、例えば基材をすり減らす(例えば、引掻く)こと又は覆っている蓋を剥がすことによって破裂させられると、放出される。
【0012】
前述の要約及び以下の詳細な説明は例示であり、本開示の主題の説明を提供することを意図されており、添付する図面によって更に図解及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1a】本開示の主題による例示的な香り入り変色システムの図である。
【
図1b】本開示の主題による例示的な香り入り変色システムの図である。
【
図2】本開示の主題による例示的な香り入り変色システムの基材コーティングの縦断面図である。
【
図3a】本開示の主題による例示的な香り入り変色システムの図である。
【
図3b】本開示の主題による例示的な香り入り変色システムの図である。
【
図4】本開示の主題による例示的な香り入り変色システムの基材コーティングの縦断面図である。
【
図5a】本開示の主題による例示的な香り入り変色システムの図である。
【
図5b】本開示の主題による例示的な香り入り変色システムの図である。
【
図6】本開示の主題による例示的な香り入り変色システムの基材コーティングの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において示される香り入り変色システムは、利用者に、香料が基材上に塗布又は放出されると、基材、例えば紙上にメッセージ、ブランド、絵柄等を生じさせる又は修正することを可能にする。香り入り変色システムは、特に、香料試験紙、広告紙筒、雑誌折り込み広告等での使用に適する。
【0015】
本開示の主題によれば、本明細書において具体化されて幅広く記載されているように、香り入り変色システムのある特定の実施形態は、香料、基材、及び香料の存在下、基材上で変色反応を生じる少なくとも2つの試薬を含む。香料は、溶媒媒体として使用され、従って、試薬間の化学反応を可能とする。
【0016】
揮発性香料分子を含有する、いずれの適切な香料も使用されうる。例えば、香料は、溶液(無水又は水性溶液)であってもよく、乳化(油/水、又は水/油)又は封入されていてもよい。実施形態において、香料は、変色反応における溶媒又は担体として使用される。
【0017】
いずれの適切な基材も使用されうる。実施形態において、基材は、好ましくは、吸収性支持体、例えば紙である。実施形態において、1つ又は複数の添加剤、例えば界面活性剤、他の溶媒、抗酸化剤、緩衝剤、染料抑制剤が香料溶液又は基材コーティングに添加されうる。
【0018】
いずれの適切な試薬も、それらの組合せ及び反応が色の変化を生じるという条件で使用されうる。実施形態において、1つの試薬、顕色剤は、好ましくは基材に塗布されたあぶり出しインクに分散又は溶解しており、他の試薬、色活性化剤は、香料により封入されていてもよく、香料又は基材上に塗布されたあぶり出しインクに溶解又は分散されていてもよい。色活性化剤を含有する香料が、(例えば、基材上に香水を噴霧すること又は香水注入基材をこすることにより)顕色剤を含有する基材に塗布されるか、又はそこから放出されると、試薬は反応し、色の変化を生じる。
【0019】
色の変化は、いずれかの適切な発色剤/顕色剤反応、ハロクロミック化合物/酸-塩基反応、又は酸化-還元反応により生じうる。顕色剤及び発色剤(例えばロイコ染料)を使用する場合、香料が基材上に塗布又は放出されると、顕色剤は、発色剤と化学的に反応して基材上での色の出現を引き起こす発色団を生成する。用語「発色剤」及び「顕色剤」は、本出願を通して、いずれかのそのような適切な変色試薬について言及するために使用される。発色剤の初期(即ち、反応前)及び変化した(即ち、反応後)の色は、観察者が変化を観察できるようにする無色を含むいずれの適切な色でもありうる。例えば、いくつかの実施形態において、初期色は無色であり、変更色は青である。
【0020】
実施形態において、発色剤は、好ましくは、透明インクに分散又は溶解され、印刷機又は他の適切な方法により、メッセージ、ブランド、絵柄等の形態で基材上に塗布される。
【0021】
顕色剤は、香料に溶解していてもよく、透明インク又はコーティングに分散又は溶解して基材上に塗布してもよい。中間コーティングが、第1の試薬層と第2の試薬層との間の基材上に塗布され、香料の塗布前の試薬間での事前の色反応を回避してもよい。変色反応は、(例えば噴霧により)香料が基材上に塗布されると起こる。
【0022】
或いは、顕色剤は香料に溶解されてもよく、次いで、その溶液/混合物は封入されうる。そのような実施形態において、基材の表面がこすられ、それによりカプセルを破壊し、香料/顕色剤混合物を放出させると、色のメッセージが現れる。
【0023】
いずれの適切な色反応/試薬も、本開示の主題に従って使用されうる。色反応の例としては、香料の存在下での無色ロイコ染料と顕色剤との間の反応が挙げられる。種々のロイコ染料が変色反応に適切であり、単独で又は組み合わせて用いられうる。これらには例えば、トリフェニルメタン-フタリドロイコ化合物、トリアリルメタンロイコ化合物、フルオランロイコ化合物、フェノチアジンロイコ化合物、チオフルオランロイコ化合物、キサンテンロイコ化合物、インドフタリルロイコ化合物、スピロピランロイコ化合物、アザフタリドロイコ化合物、クロメノピラゾールロイコ化合物、メチンロイコ化合物、ローダミンアニリノ-ラクタムロイコ化合物、ローダミンラクタムロイコ化合物、キナゾリンロイコ化合物、ジアザキサンテンロイコ化合物、及びビスラクトンロイコが挙げられる。
【0024】
変色システムにおける塗布に適した市販のロイコ染料の例としては、これらに限定されないが、9’-[エチル(3-メチルブチル)アミノ]-3H-スピロ[2-ベンゾフラン-l,12’-ベンゾ[a]キサンテン]-3-オン(YAMADA RED 500-CAS No.115392-27-3)、6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-2’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-l(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(YAMADA RED 520-CAS No.42228-32-0)、クリスタルバイオレットラクトン(YAMADA CVL-K-CAS No.1552-42-7)、2’-アニリノ-6’-[エチル(3-メチルブチル)アミノ]-3’メチルスピロ[イソベンゾフラン-l(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(YAMADA S-205-CAS No.70516-41-5)、2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオラン(YAMADA BLACK 400-CAS No.89331-94-2)、2’-アニリノ-6’-[エチル(p-トリル)アミノ]-3’-メチルスピロ[イソベンゾフラン-l(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(YAMADA ETAC-CAS No.59129-79-2)、6’-(ジエチルアミノ)-2’-[[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]スピロ[イソベンゾフラン-l(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(YAMADA BLACK 100-CAS No.68134-61-2)、3,3-ビス[2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-2-(4-メトキシフェニル)ビニル]-4,5,6,7-テトラクロロフタリド(YAMADA NIR BLACK 78-CAS No.113915-68-7)、7-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヘキソキシフェニル]-7-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フロ[3,4-b]ピリジン-5-オン(YAMADA BLUE 220-CAS No.114090-18-5)、3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(2-メチル-1-エチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(YAMADA BLUE 203-CAS No.98660-18-5)、3,3-ビス(2-メチル-1-オクチル-1H-インドール-3-イル)イソベンゾフラン-l(3H)-オン(PERGASCRIPT RED 16-CAS No.50292-95-0)が挙げられる。
【0025】
実施形態において、ロイコ染料が使用される場合、それは好ましくは、透明ワニス、例えばオーバープリントオフセットワニスに組み込まれる前に溶媒、例えばアジピン酸ジブチルに部分的又は完全に溶解される。コーティングはまた、コーティングにおいてボイドセルを形成する特定の形状を有する、ボイド形成剤、例えばCelite等を含有する。ボイドセルは、毛細管作用によって機能する。特に、Celiteは、発色した染料の染み付きを防ぐために、発色した発色剤をセル中に保持して染料の基材への浸透及び基材を越える浸透を防ぐために使用される。
【0026】
本開示の主題によれば、ロイコ染料と反応してラクトン環を開裂させることのできる顕色剤としては、フェノール又は芳香族アミン、他の顔料、水素結合剤、ブレンステッド酸、例えばカルボン酸又は金属塩又はルイス酸、及びそれらの混合物が挙げられる。使用されうる具体的な顕色剤としては、没食子酸(CAS No.149-91-7)、没食子酸プロピル(CAS No.121-79-9)、没食子酸ブチル(CAS No.1083-41-6)、没食子酸デシル(CAS No.19198-75-5)、没食子酸オクチル(CAS No.1034-01-1)、没食子酸ドデシル(又はラウリル)(CAS No.1166-52-5)、3,5-ビス(アルファ-メチルベンジル)サリチル酸亜鉛(CAS No. 53770-52-8)、サリチル酸亜鉛(CAS No.16283-53-0)、サリチル酸(CAS No.69-72-7)及びその塩及びエステル、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸(省略してTBSA、CAS No.19715-19-6)、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル(省略してPHBB、CAS No.94-18-8)、4.4’-ジヒドロキシベンゾフェノン(CAS No.611-99-4)、2,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン(CAS No.131-56-6)、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン(CAS No.131-55-5)、2,2-ビス(pヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAの普通名詞、CAS No.80-05-7)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールFの普通名詞、CAS No.620-92-8)、4-ヒドロキシフェニルスルホン(ビスフェノールSの普通名詞、CAS No.80-09-1)、ビス-(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン(CAS No.41481-66-7)、4-[4’-[(1’-メチルエチルオキシ)フェニル]スルホにル]フェノール(CAS No.191680-38-8)、4-ヒドロキシフェニル4-イソプロオキシフェニルスルホン(D-8としても知られる、CAS No.95235-30-6)、フェノール、4-[[4-(2-プロパン-1-イルオキシ)フェニル]スルホニル](省略してBPS-MAE、CAS No.7042-18-7)、4-ヒドロキシ-4’-ベンジルオキシジフェニルスルホン(省略してBPS-MPE、CAS No.63134-33-8)、尿素ウレタン化合物CAS No.321860-75-7、4,4’-ビス(N-カルバモイル-4-メチルベンゼンスルホンアミド)ジフェニルメタン(省略してBTUM、CAS No.151882-81-4)、2,4’-ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン(CAS No.5397-34-2)、4,4’-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール(ビスフェノールAPとしても知られる、CAS No.1571-75-1)、2,2’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールCとしても知られる、CAS No.79-97-0)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸メチル(CAS No.5129-00-0)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-フェニルフェノ)(ビスOPP-Aとしても知られる、CAS No.24038-68-4)、1,7-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,5-ジオキサヘプタン(CAS No.93589-69-6)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(省略してビスフェノールB、CAS No.77-40-7)、p-ジヒドロキシルベンゼン(ヒドロキシキノンとしても知られる、CAS No.123-31-9)、p-メチルフェノール(p-クレゾールとしても知られる、CAS No.106-44-5)、m-ニトロ安息香酸(CAS No.121-92-6)、m-アミノ安息香酸(CAS No.99-05-8)、タンニン酸(CAS No.1401-55-4)、1,2,3-トリアゾール(CAS No.288-36-8)、チオ尿素、塩化カルシウム(CAS No.10043-52-4)、塩化マグネシウム十水和物、フェノールフタレイン、クレゾールレッド、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-(3-p-トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素(PERGAFAST 201としても知られる、CAS No.232938-43-1)、フェノール、4,4’-スルホニルビス-ポリマー1,1’-オキシビス[2-クロロエタン](D-90としても知られる、CAS No.191680-83-8)、MBHA(CAS No.5129-00-0)、三塩化アルミニウム、ジステアリン酸アルミニウム一塩化物、4.4’-ジヒドロキシベンゾフェノン(CAS No.611-99-4)、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル(CAS No.94-18-8)が挙げられる。
【0027】
適切な顕色剤の他の例としては、塩化亜鉛、フェノール樹脂、4-tert-ブチルフェノール、(x-ナフトール、[3-ナフトール、4-アセチルフェノール、4-tert-オクチルフェノール、4,4’-sec-ブチリデンフェノール、4-フェニルフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-イソプロピリデンジフェノール、ハイドロキノン、4,4’シクロヘキシリデンジフェノール、4,4-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ハイドロキノンモノベンジルエーテル、4-ヒドロキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシフタル酸ジメチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸sec-ブチル、4-ヒドロキシ安息香酸ペンチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェニル、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸トリル、4-ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4-ヒドロキシ安息香酸フェニルプロピル、4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、4-ヒドロキシ安息香酸p-クロロベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸p-メトキシベンジル、安息香酸及びその塩、他の安息香酸エステル及びそれらの塩、フェノールポリマー及び同様のフェノール化合物が挙げられる。
【0028】
適切な顕色剤の更なる例としてはまた、無機化合物、例えばシリカ及び天然又は合成のケイ酸塩(例えば粘土、ゼオライト等)、並びに多価金属の無機及び有機化合物、例えば酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩、アセチルアセトネート、ステアリン酸塩、サリチル酸塩、水酸化物、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、及びマグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、亜鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、銅、バナジウムの水酸化物、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、亜鉛レジネート、三塩化アルミニウム、酸化アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、グリシン酸アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトネート等、シリカ及びケイ酸塩、並びに亜鉛、アルミニウム、銅、及びマグネシウムの化合物が挙げられ、実施形態において好ましい。金属化合物のなかでも、亜鉛化合物がある特定の実施形態において最も好ましい。
【0029】
顕色剤が香料に溶解しているいくつかの実施形態において、塩化亜鉛が顕色剤として好ましく使用される。
【0030】
適切な色反応の別の例としては、ハロクロミック化合物と酸又は塩基との間の反応が挙げられる。適切なハロクロミック化合物の例は、クレゾールフタレイン(メタ)、クレゾールパープル、チモールブルー、メチルオレンジ-キシレンシアノール、ブロモフェノールブルー、コンゴレッド、メチルオレンジ、アリザリンレッドS、ブロモクレゾールグリーン、ジクロロフルオレセイン、メチルレッド、ブロモクレゾールグリーン、ブロモクレゾールパープル、クロロフェノールレッド、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ナフトールフタレイン(アルファ)、フェノールフタレイン、クレゾールフタレイン(オルト)、チモールフタレイン及びインジゴカルミンである。
【0031】
適切な酸の例としては、有機酸、例えばクエン酸、乳酸、酒石酸及びリンゴ酸、並びに無機酸、例えば塩酸及びリン酸が挙げられる。
【0032】
適切な塩基の例としては、有機酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸塩が挙げられる。
【0033】
ハロクロミック化合物による色の変化の場合、実施形態において、香水は、好ましくは、水溶性香料の場合は水中の溶液であるか、又は油溶性香料の場合は水中で乳化される。
【0034】
香り入り変色システムはまた、1つ又は複数の添加剤、例えば輝度顔料、界面活性剤、バインダー、抗酸化剤、緩衝剤、減感材、スペーサー、溶媒及び共溶媒、バインダー及びボイドセルを含むことができる。
【0035】
ここでは、添付する図に示される、本開示の主題の種々の例示的な実施形態についての言及が詳細になされるであろう。本開示の主題の構造及び対応する操作方法は、この詳細な説明と併せて記載されるであろう。
【0036】
添付する図は、同種の参照数字が別々の図を通して同一又は機能的に同様の要素について言及するものであり、更に種々の実施形態を図解し、本開示の主題による種々の原理及び利点全てを説明するのに役立つ。限定ではなく説明及び図解する目的のために、本開示の主題の香り入り変色システムの例示的な実施形態が、
図1~
図6に示される。
【0037】
限定ではなく図解する目的のために、ここでは、香り入り変色システム100の噴霧実施形態を示す
図1(a)及び
図1(b)についての言及がなされる。この実施形態において、香り入り変色システム100は、基材106、基材106上に配置された発色剤からなる色メッセージ110、利用者115、及び顕色剤を含有する香料120を含む。
図1(a)は、利用者115による香料120の噴霧前の香り入り変色システム100を示す。示されているように、色メッセージ110はまだ目に見えない。
【0038】
操作においては、
図1(b)に示すように、利用者115が香料120を基材上に噴霧し、色メッセージが現れる。紙は、発色剤(例えばロイコ染料)を含む目に見えないコーティングにより、色メッセージ110の形態で印刷される。顕色剤(例えば塩化亜鉛)は、エタノールにより香料120中で可溶化されており、紙上に噴霧される。噴霧後、基材106は、いくらかの香料120を吸収し、それによりいくらかの発色剤と顕色剤とを混ぜ合わせる。2つの試薬は紙上でともに反応し、あぶり出しインクの色の変化を引き起こし、
図1(b)に示すようにメッセージ110を生じさせる。試薬が反応するにつれて、示されているようにメッセージ110が「徐々に現れる」。
【0039】
図2は、
図1に記載の実施形態に対応する、香り入り変色システム200の例示的な基材構造を示す。この実施形態において、基層(例えば紙)201は、基材206を形成するための発色剤を含有する透明インク202で印刷される。この実施形態において、
図2は、基層201及びインク202を別々の層(即ち、基層201上に配置されたインク202)として示すが、当業者であれば他の配置が使用されうることを理解するであろう。例えば、基層201は、層が重なるようにして、いくらか又は全てのインク202を吸収することができる。この実施形態において、インクの着色は、基材206上に香料/顕色剤混合物が塗布(即ち、噴霧)されると変化する。
【0040】
図3(a)及び
図3(b)は、香り入り変色システムの引掻き放出実施形態を示す。この実施形態において、香り入り変色システム300は、基材306、基材306上に配置された発色剤からなる色メッセージ310、利用者315、及び顕色剤を含有する香料321を含む。
図3(a)は、利用者315による香料321の放出前の香り入り変色システム300を示す。示されているように、色メッセージ310はまだ目に見えない。
【0041】
操作においては、
図3(b)に示すように、利用者315が基材306の表面をこするか又は引掻き、香料321が放出され、メッセージ310が現れる。この実施形態において、発色剤を含有するあぶり出しインクが、メッセージ310の形態で基材306上に塗布される。香料321と顕色剤との混合物を担持したカプセル又はマイクロカプセルが、基材306上又は基材306中に適用される。基材306の表面がすり減らされ(例えば、こすられるか又は引掻かれ)ると、カプセルが破壊して香料/顕色剤混合物321を放出する。発色剤及び顕色剤はともに反応し、インクの着色を引き起こし、メッセージ310が現れる。試薬が反応するにつれて、示されているようにメッセージ310が「徐々に現れる」。
【0042】
図4は、
図3に記載の実施形態に対応する、香り入り変色システム400の例示的な基材構造を示す。基材406は、発色剤を含有する透明インク402で印刷される基層(例えば紙)401により形成される。これらの層は、
図2に示す層と同種である。この実施形態において、中間層403がまた、香料/顕色剤の塗布の前に、2つの試薬の間の事前の色反応を回避するために塗布される。コーティング404は、中間層403の上部に塗布され、香料/顕色剤マイクロカプセルを含有する。コーティング404からの香料が透明インク402中の発色剤と混合するように中間層403及びマイクロカプセルが破壊されると、色反応が起こる。
【0043】
図5(a)及び
図5(b)は、香り入り変色システムの蓋放出実施形態を示す。この実施形態において、香り入り変色システム500は、基材506、閉じられているときは基材506の少なくとも一部を覆う蓋525、基材506上かつ蓋525の下に配置された発色剤からなる色メッセージ510、利用者515、及び顕色剤を含有する香料521を含む。
図5(a)は、利用者415による香料の放出前の香り入り変色システム500を示す。色メッセージ510はまだ目に見えない。
【0044】
操作においては、
図5(b)に示すように、利用者515が蓋525を開けると、香料521が放出され、メッセージ510が現れる。この実施形態において、発色剤を含有するあぶり出しインクは、メッセージ510の形態で基材上(蓋525の下)に塗布される。
【0045】
香料と顕色剤との混合物を担持したカプセル又はマイクロカプセルは、蓋525に貼るためにバインダー又は接着剤により基材506上又は基材506中に適用される。蓋525が開けられると、カプセルが破壊して香料/顕色剤混合物521を放出する。発色剤及び顕色剤はともに反応し、インクの着色を引き起こし、メッセージ510が現れる。試薬が反応するにつれて、示されているようにメッセージ510が「徐々に現れる」。
【0046】
図6は、
図5に記載の実施形態に対応する、香り入り変色システム600の例示的な基材構造を示す。基材606は、発色剤を含有する透明インク602で印刷される基層(例えば紙)601により形成される。この実施形態において、中間層603がまた、香料/顕色剤の放出の前の2つの試薬の間の事前の色反応を回避するために塗布される。
【0047】
これらの層は、
図4に示す層と同種である。マイクロカプセル605は中間層603の上部に塗布され、香料/顕色剤混合物を含有する。透明インク602において香料/顕色剤混合物が発色剤と混合するように中間層603及びマイクロカプセル605が破壊されると、色反応が起こる。
【0048】
ここで本開示による香りのする色変換システムの例示的な実施形態について記載する。
【0049】
[実施例1]
香料噴霧による色の変化
Table 1(表1)及びTable 2(表2)は、本開示に従った香り入り変色システムの成分及び組成を列挙する。
【0050】
【0051】
【0052】
実施例1では、ロイコ染料CKL-Kをアジピン酸ジブチルに50℃で溶解させる。次いで、ロイコ染料溶液をCelite 281に吸収させる。湿潤したCelite及び二酸化チタンを添加し、ワニスと混合する(Table 1(表1))。
【0053】
ロイコ染料ワニスを、枚葉給紙オフセット印刷法によりコーティングされていない紙(16pts)上に印刷し、改変香水を紙上に噴霧すると現れる、目に見えないメッセージを作製する。顕色剤香水溶液(Table2(表2))を処理した紙上に噴霧すると、香料のブランド名(又は他の適切なメッセージ)が青色で現れる。
【0054】
[実施例2]
カプセルをこすることによる色の変化
Table 3(表3)及びTable 4(表4)は、本開示に従った香り入り変色システムの成分及び組成を列挙する。
【0055】
【0056】
【0057】
実施例2では、2つのロイコ染料を40℃で香料油に溶解させる(Table 3(表3))。次いで、その溶液を複合コアセルベーションにより封入し、ゼラチン-アラビアガムカプセルを得る。カプセルをろ過し、3回洗浄する。次いで、ポリビニルアルコール溶液及びいくつかの球状脂肪族ポリウレタンビーズMicroTouch 800Fをそれぞれバインダー及びスペーサーとしてカプセルに添加する。
【0058】
顕色剤コーティングを、反応性酸性白土(FULACOLOR SR)を水及びポリビニルアルコールと混合することで調製する(Table 4(表4))。顕色剤コーティングを、紙上にメッセージの形態でフレキソ印刷により塗布し、コーティングを乾燥させる。次いで、カプセルスラリーをフレキソ印刷(長方形)により顕色剤コーティングの上部に塗布し、乾燥させる。
【0059】
紙の表面をこすると、香料が放出され、紫色のメッセージが現れる。
【0060】
実施例を含む、上述した例示的な実施形態の記載は、単に本開示の主題の幅広い概念を記載、説明、及び図解するために示されており、本開示の範囲を限定することを意図されておらず、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。範囲から逸脱することなく、当業者により種々の改変及び改善がなされ得る。従って、本開示の主題は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内である全ての改変及び改善を含む。
【符号の説明】
【0061】
100 香り入り変色システム
106 基材
110 色メッセージ
115 利用者
120 香料
200 香り入り変色システム
201 基層
202 透明インク
206 基材
300 香り入り変色システム
306 基材
310 色メッセージ
315 利用者
321 香料
400 香り入り変色システム
401 基層
402 透明インク
403 中間層
404 コーティング
406 基材
415 利用者
500 香り入り変色システム
506 基材
510 色メッセージ
515 利用者
521 香料
525 蓋
600 香り入り変色システム
601 基層
602 透明インク
603 中間層
605 マイクロカプセル
606 基材
【国際調査報告】