(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】レーザ加工されたワークピースの指示された検査を容易にするレーザ加工装置及びこれを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20230612BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20230612BHJP
B23K 26/382 20140101ALI20230612BHJP
B23K 31/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B23K26/00 P
B23K26/082
B23K26/382
B23K31/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567541
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 US2021021719
(87)【国際公開番号】W WO2021230960
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】593141632
【氏名又は名称】エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ジェイク
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD12
4E168AD14
4E168CA06
4E168CB03
4E168CB04
4E168CB07
4E168CB24
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA06
4E168DA23
4E168DA24
4E168DA25
4E168DA28
4E168DA32
4E168DA38
4E168DA42
4E168DA45
4E168DA46
4E168DA47
4E168EA11
4E168JA03
4E168JA04
4E168JA05
4E168JA06
4E168JA12
4E168JA13
4E168JA14
4E168JA15
4E168JA17
4E168JA21
4E168JB01
(57)【要約】
ワークピースに特徴部を形成するためのレーザ加工装置は、a)1組の特徴部を形成するためにワークピースが加工される前、加工される間又は加工された後のいずれかにおける装置の少なくとも1つの特性、b)1組の特徴部を形成するためにワークピースが加工される前、加工される間又は加工された後のいずれかにおけるワークピースの少なくとも1つの特性、及び/又はc)1組の特徴部を形成するためにワークピースが加工される前、加工される間又は加工された後のいずれかにおいて装置が位置している周囲環境の少なくとも1つの特性を表すプロセス制御データを生成可能な少なくとも1つのセンサを含む。コントローラは、特徴部候補選択プロセスを実行又はその実行を促進し、これにより、ワークピースに形成された特徴部のいずれかが欠陥を有するか否かを予測するためにプロセス制御データが処理され、欠陥を有すると予測された特徴部の位置が特定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースに特徴部を形成するためのレーザ加工装置であって、
レーザエネルギービームを生成可能なレーザ源と、
集束レーザエネルギービームが前記ワークピースに伝搬可能なように前記レーザエネルギービームを集束できるように配置されたスキャンレンズと、
前記レーザ源と前記スキャンレンズとの間に配置され、前記スキャンレンズにより前記ワークピース上に投影されるスキャニング範囲内で前記ワークピースに対して前記集束レーザエネルギービームをスキャン可能な少なくとも1つのビームポジショナと、
前記ワークピースと、前記スキャンレンズ及び前記カメラからなる群から選択される少なくとも1つとの間に相対運動を生じさせることが可能な少なくとも1つのステージと、
視野を有し、前記視野内で物体の画像を取得可能なカメラと、
a)1組の特徴部を形成するために前記ワークピースが加工される前、加工される間又は加工された後のいずれかにおける前記装置の少なくとも1つの特性、b)1組の特徴部を形成するために前記ワークピースが加工される前、加工される間又は加工された後のいずれかにおける前記ワークピースの少なくとも1つの特性、及びc)1組の特徴部を形成するために前記ワークピースが加工される前、加工される間又は加工された後のいずれかにおいて前記装置が位置している周囲環境の少なくとも1つの特性からなる群から選択される少なくとも1つを表すプロセス制御データを生成可能な少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのステージ、前記カメラ及び前記ワークピースに形成されるそれぞれの特徴部の位置を表す補助情報に関連付けてプロセス制御データが保存された1以上のデータベースと通信可能に連結されるコントローラと
を備え、
前記コントローラは、特徴部候補選択プロセスを実行可能又はその実行を促進可能であり、これにより、
前記ワークピースに形成された前記特徴部のいずれかが欠陥を有するか否かを予測するためにプロセス制御データが処理され、
欠陥を有すると予測された特徴部の位置が特定される、
装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記候補選択プロセスの少なくとも一部を実行可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラと通信可能に連結され、データを送信可能な通信モジュールをさらに備える、請求項1又は2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記通信モジュールを介して前記候補選択プロセスの出力を遠隔システムに送信可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記遠隔システムは遠隔検査システムであり、前記候補選択プロセスの前記出力は、前記遠隔検査システムにより読取可能なフォーマットである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記通信モジュールを介して前記プロセス制御データの少なくとも一部を遠隔システムに送信することにより、前記特徴部候補選択プロセスの実行を促進可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記遠隔システムは少なくとも1つのコンピューティングシステムを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記通信モジュールはデータを受信可能であり、前記コントローラは、前記通信モジュールを介して前記遠隔システムから前記特徴部候補選択プロセスの少なくとも一部の出力を受信可能である、請求項3から4、6及び7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記1以上のデータベースのうち少なくとも1つをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記通信モジュールを介して前記プロセス制御データの少なくとも一部を前記1以上のデータベースのうち少なくとも1つに送信可能である、請求項3から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記カメラの前記視野は、前記スキャンレンズによって前記ワークピース上に投影可能なスキャンフィールド内にある、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記カメラの前記視野は、少なくとも部分的に、前記スキャンレンズによって前記ワークピース上に投影可能なスキャンフィールドの外側にある、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ワークピースに対して前記スキャンレンズを指示するように配置されるフレームをさらに備え、前記スキャンレンズは、前記フレームに連結される、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記フレームと前記スキャンレンズとの間に連結されるステージをさらに備え、前記ステージは、前記スキャンレンズを移動可能である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記カメラは、前記スキャンレンズに連結される、請求項13から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記カメラは、前記ステージに連結される、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記カメラは、前記フレームに連結される請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記ワークピースに対して前記カメラを支持するように配置される検査支持部をさらに備え、前記カメラは、前記検査支持部に連結される、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記検査支持部に連結され、前記ワークピースに対して前記検査支持部を移動可能なステージをさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記検査支持部と前記カメラとの間に連結されるステージをさらに備え、前記ステージは、前記検査支持部に対して前記カメラを移動可能である、請求項18から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記コントローラは、特定されたそれぞれの位置の検査動作を行うために、前記少なくとも1つのステージとカメラの動作を制御可能である、請求項1から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記コントローラは、特定されたそれぞれの位置の検査動作を行うために、前記ユーザインタフェイスで受け取ったユーザ入力に基づいて前記少なくとも1つのステージと前記カメラの動作をさらに制御可能である、請求項1から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記コントローラは、特定されたそれぞれの位置の検査動作を行うために、前記通信モジュールを介して遠隔システムから受信したデータに基づいて前記少なくとも1つのステージと前記カメラの動作をさらに制御可能である、請求項1から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つのセンサは、レーザパワーメータ及びビーム特性決定ツールからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのセンサは、温度センサ及び湿度センサからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つのセンサは、カメラ、レーザ変位センサ、共焦点レーザセンサ、干渉計、誘導コーティング厚さゲージ、スタイラスプロフィルメータ及びタッチプローブからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I.技術分野
本明細書で開示される実施形態は、概して、レーザ加工装置及びワークピースのレーザ加工のための方法に関するものである。
【関連技術の説明】
【0002】
II.関連技術の説明
種々のプロセスを実施する様々なレーザを用いて数多くの異なるワークピースにレーザ加工を行うことができる。例えば、プリント回路基板(PCB)又は集積回路(IC)パッケージのようなワークピースに貫通孔又は非貫通孔のような特徴部を形成するためのレーザ微細加工プロセスが開発されている。レーザ微細加工プロセスの目標は、ワークピース全体にわたって一定の品質の特徴部を形成することである。特徴部の品質を定義する手段としては、特徴部の位置、サイズ、及び形状が挙げられる。他の手段としては、側壁角度、底面テクスチャ、加工後に特徴部に残ったデブリの量及びテクスチャなどが挙げられる。
【0003】
レーザ微細加工における1つの問題は、ワークピースにおける不均一性により、同一のレーザパラメータでワークピース上の2つの異なる位置に微細加工プロセスを行った場合に特徴部の品質に相違が生じることがあることである。結果に影響を与えるワークピースの相違の例としては、厚さの相違、ワークピースの平坦性の相違、及びレーザパワーに対するワークピースの反射性を上げる又は下げる表面前処理の相違が挙げられる。これらのバラツキは、ワークピース全体にわたって一定ではなく、それぞれの特徴部の位置によって変化し得るものである。さらに、これらのバラツキは、製造公差内の通常のバラツキにより所定の数のワークピースにおいては、ワークピースごとに繰り返し生じ得るものである。
【0004】
一定の品質を有する特徴部を形成するレーザ微細加工システムの能力に影響を与える他の現象は、経年変化及び/又はレーザエネルギービームを生成するために使用されるレーザ源とレーザエネルギーをワークピースに向けるために使用される光学コンポーネントに対するダメージである。レーザ源が経年変化すると、一定の特性(例えば平均パワー)を有するレーザエネルギーを出力する能力が劣化し得る。さらに、光学コンポーネントが経年変化すると、光学コンポーネントは、汚染、最も顕著なものは微差加工プロセス自体からのデブリからの汚染と光学コンポーネントを透過する高パワーレーザエネルギーからのダメージを受ける。劣化のこれらの形態又は他の形態は、ワークピース上に投影されるレーザスポットのサイズ、形状、強度又は他の特性の変化を引き起こし、これにより、微細加工により形成される特徴部のサイズ、形状、深さ、又は他の寸法の変化を引き起こし得る。
【0005】
一部のレーザ微細加工システムは、経年変化又はダメージによるレーザ源又は光学コンポーネントにおける変化の影響を緩和しようとして、特徴部を加工しているときにレーザエネルギービームの特性を変えるためにリアルタイム制御を用いる。一部のシステムにおいては、ワークピースが加工されているときにレーザパワーをモニタリングするために光検出器が使用される。光検出器からの出力は、ワークピースでのレーザパワーの可変性の源の一部を保障するようにリアルタイムでワークピースに入射するレーザパワーを調整するために使用される。これは、最終的にワークピースに照射されるレーザエネルギーの量をそれぞれの特徴部を形成するのに好適なレベルに調整するための可変減衰器のような光学コンポーネントを動作させることにより実現することができる。
【0006】
ワークピースにそれぞれの特徴部を形成するために使用されるレーザエネルギービームの特性に関する情報を記録し、その情報にワークピースにおける特徴部の位置を特定する識別子を関連付け(これにより例えば「プロセスデータ」を生成す)ることが知られている。ワークピースの加工が完了した後、生成されたプロセスデータを分析して、レーザ微細加工システムが好適な品質の特徴部を形成するのに問題が生じているであろう時期を予測することができる。例えば、記録されている情報が、システムが利用できるレーザパワーよりも多くのレーザパワーを必要としていたであろうことを示している場合には、より少ないレーザパワーで形成された特徴部では、材料が十分に除去されていないことが考えられる。
【0007】
また、形成された特徴部の品質を評価するために加工済みワークピースを検査することも知られている。検査の結果を(作成されていれば)プロセスデータと比較し、ワークピースに特徴部を形成するために使用されるレーザエネルギービームの特性の性能を評価することができる。PCBのようなワークピース上でなされるような加工後検査は、マニュアルで(例えば、顕微鏡を用いてユーザがワークピースを検査することにより)、あるいは自動で(例えば、自動光学検査「AOI」により)行われる。検査がマニュアルで行われる場合には、1つのワークピースには、数百又は数千の特徴部が形成され得るので、検査される特徴部(すなわちビアホール)は、形成される特徴部の総数のうちの唯一のサンプルを構成することとなる。検査がAOIにより行われる場合には、(特徴部が貫通ビアホールである場合には)特徴部が形成された直後に、あるいは(特徴部が非貫通ビアホールであり、ホール内のデブリを除去するためにデスミア、エッチング及びシャドー加工工程がなされる場合には)特徴部を清掃するために加工後工程がなされた直後に、ロット中の1以上のワークピースのすべての特徴部を検査することができる。
【0008】
従来の加工後検査手法では、数多くの理由により問題となり得る。マニュアル検査の場合には、顕微鏡を使用する操作者又は品質検査者が疲れることがあり、これにより集中力が低下したときに欠陥を見過ごしてしまうことになり得る。(例えばAOI手法を用いて)すべての特徴部を検査する場合には、欠陥のある特徴部が形成されにくいワークピースの領域を検査するのに不必要に余計な時間をかけてしまう。特徴部をランダムに検査する場合には、欠陥のある特徴部が形成され易いワークピースの領域が検査されずに、ワークピースが廃棄され得る品質問題が見落とされることになる。
【概要】
【0009】
本発明の一実施形態は、ワークピースに特徴部を形成するためのレーザ加工装置として広く特徴付けることができる。この装置は、レーザエネルギービームを生成可能なレーザ源と、集束レーザエネルギービームが上記ワークピースに伝搬可能なように上記レーザエネルギービームを集束できるように配置されたスキャンレンズと、上記レーザ源と上記スキャンレンズとの間に配置され、上記スキャンレンズにより上記ワークピース上に投影されるスキャニング範囲内で上記ワークピースに対して上記集束レーザエネルギービームをスキャン可能な少なくとも1つのビームポジショナと、上記ワークピースと、上記スキャンレンズ及び上記カメラからなる群から選択される少なくとも1つとの間に相対運動を生じさせることが可能な少なくとも1つのステージと、視野を有し、上記視野内で物体の画像を取得可能なカメラと、a)1組の特徴部を形成するために上記ワークピースが加工される前、加工される間又は加工された後のいずれかにおける上記装置の少なくとも1つの特性、b)1組の特徴部を形成するために上記ワークピースが加工される前、加工される間又は加工された後のいずれかにおける上記ワークピースの少なくとも1つの特性、及びc)1組の特徴部を形成するために上記ワークピースが加工される前、加工される間又は加工された後のいずれかにおいて上記装置が位置している周囲環境の少なくとも1つの特性からなる群から選択される少なくとも1つを表すプロセス制御データを生成可能な少なくとも1つのセンサと、上記少なくとも1つのステージ、上記カメラ及び上記ワークピースに形成されるそれぞれの特徴部の位置を表す補助情報に関連付けてプロセス制御データが保存された1以上のデータベースと通信可能に連結されるコントローラとを含み得る。上記コントローラは、特徴部候補選択プロセスを実行可能又はその実行を促進可能であり、これにより、上記ワークピースに形成された上記特徴部のいずれかが欠陥を有するか否かを予測するためにプロセス制御データが処理され、欠陥を有すると予測された特徴部の位置が特定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるレーザ加工装置を模式的に示している。
【0011】
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による手動入力された特徴部候補の分類を収集するためのプロセス例を示している。
【詳細な説明】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ実施形態の例を説明する。明示的に述べている場合を除き、図面においては、構成要素、特徴、要素などのサイズや位置などやそれらの間の距離は、必ずしも縮尺通りではなく、また理解しやすいように誇張されている。図面を通して同様の数字は同様の要素を意味している。このため、同一又は類似の数字は、対応する図面で言及又は説明されていない場合であっても、他の図面を参照して述べられることがある。また、参照番号の付されていない要素であっても、他の図面を参照して述べられることがある。
【0013】
明細書において使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図しているものではない。特に定義されている場合を除き、本明細書において使用される(技術的用語及び科学的用語を含む)すべての用語は、当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合には、内容が明確にそうではないことを示している場合を除き、単数形は複数形を含むことを意図している。さらに、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用されている場合には、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことを理解すべきである。特に示している場合を除き、値の範囲が記載されているときは、その範囲は、その範囲の上限と下限の間にあるサブレンジだけではなく、その上限及び下限を含むものである。特に示している場合を除き、「第1」や「第2」などの用語は、要素を互いに区別するために使用されているだけである。例えば、あるノードを「第1のノード」と呼ぶことができ、同様に別のノードを「第2のノード」と呼ぶことができ、あるいはこれと逆にすることもできる。
【0014】
特に示されている場合を除き、「約」や「その前後」などは、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の数量及び特性が、正確ではなく、また正確である必要がなく、必要に応じて、あるいは許容誤差、換算係数、端数計算、測定誤差など、及び当業者に知られている他のファクタを反映して、概数であってもよく、さらに/あるいは大きくても小さくてもよいことを意味している。本明細書において、「下方」、「下」、「下側」、「上方」、及び「上側」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるような、ある要素又は特徴の他の要素又は特徴に対する関係を述べる際に説明を容易にするために使用され得るものである。空間的に相対的な用語は、図において示されている方位に加えて異なる方位を含むことを意図するものであることは理解すべきである。例えば、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」にあるとして説明される要素は、図中の対象物が反転した場合には、他の要素又は特徴の「上方」を向くことになる。このように、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の方位の双方を含み得るものである。対象物が他の方位を向く場合(例えば90度回転される場合や他の方位にある場合)には、本明細書において使用される空間的に相対的な記述子はこれに応じて解釈され得る。
【0015】
本明細書において使用されるセクション見出しは、特に言及している場合を除いて、整理のためだけのものであり、述べられた主題を限定するものと解釈すべきではない。本開示の精神及び教示を逸脱することなく、多くの異なる形態、実施形態及び組み合わせが考えられ、本開示を本明細書で述べた実施形態の例に限定して解釈すべきではないことは理解できるであろう。むしろ、これらの例及び実施形態は、本開示が完全かつすべてを含むものであって、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されるものである。
【0016】
I.概要
本明細書において述べられる実施形態は、概して、ワークピースをレーザ加工(あるいは、より簡単に「加工」)するための方法及び装置に関するものである。一般的には、レーザ放射をワークピースに照射してワークピースを形成する1以上の材料の1以上の特性又は性質(例えば、化学的組成、原子構造、イオン構造、分子構造、電子構造、微細構造、ナノ構造、密度、粘性、屈折率、透磁率、比誘電率、テクスチャ、色、硬さ、電磁放射に対する透過率など、又はこれらを任意に組み合わせたもの)を加熱し、溶融し、蒸発させ、アブレートし、傷つけ、脱色し、研磨し、粗くし、炭化し、発泡させ、あるいは改質することにより、加工が全体にわたって、あるいは部分的に行われる。加工される材料は、加工の前又は加工中においてワークピースの外部に存在していてもよく、あるいは、加工の前又は加工中において完全にワークピースの内部に位置していても(すなわち、ワークピースの外部に存在していなくても)よい。
【0017】
開示されたレーザ加工用装置により行うことができるプロセスの具体例としては、ビアのドリル加工又は他の孔の形成、カッティング、打ち抜き、溶接、スクライビング、彫刻、マーキング(例えば、表面マーキング、サブ表面マーキングなど)、レーザ誘起フォワード転送、洗浄、漂白、高輝度ピクセルの修復(例えば、カラーフィルタ暗化、OLED材料の改質など)、膜除去、表面テクスチャリング(例えば、粗くする、滑らかにするなど)、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。このように、加工の結果として、ワークピース上に、あるいはワークピース内に形成され得る1以上の特徴部は、開口、スロット、ビア又は他の孔、溝、トレンチ、スクライブライン、切溝、凹部、導電トレース、オーム接触、抵抗パターン、人間が読み取ることができる又は機械により読み取ることができる印(例えば、視覚的に又はテクスチャにおいて区別できる1以上の特性を有するワークピース内又はそのようなワークピース上の1以上の領域を備える)、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。開口、スロット、ビア、孔などの特徴部は、上面視において任意の好適な又は望ましい形状(例えば、円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、管状、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を有していてもよい。さらに、開口、スロット、ビア、孔などの特徴部は、(例えば、いわゆる「貫通ビア」、「貫通孔」などを形成するように)ワークピースを完全に貫通して延びていてもよいし、あるいは(いわゆる「非貫通ビア」、「非貫通孔」などを形成するように)ワークピース内を部分的にのみ延びていてもよい。
【0018】
加工され得るワークピースは、1以上の金属、ポリマー、セラミック、複合物、又はこれらを任意に組み合わせたもの(例えば、合金であるか、化合物であるか、混合物であるか、溶液であるか、複合物であるかなどを問わない)から形成されるものとして総称して特徴付けることができる。したがって、加工され得る材料には、Al、Ag、Au、Cr、Cu、Fe、In、Mg、Mo、Ni、Pt、Sn、Tiなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(例えば、合金であるか、複合物であるかなどを問わない)などの1以上の金属、導電性金属酸化物(例えばITOなど)、透明な導電性ポリマー、セラミック、ワックス、樹脂、層間誘電体材料(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素など、メチルシルセスキオキサン(MSQ)、水素シルセスキオキサン(HSQ)、フッ化オルトケイ酸テトラエチル(FTEOS)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののようなlow-k誘電体材料)、有機誘電体材料(例えば、SILK、ベンゾシクロブテン、Nautilus(いずれもDow社により製造される)、ポリフルオロテトラエチレン(DuPont社により製造される)、FLARE(Allied Chemical社により製造される)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)、半導体又は光学素子基板材料(例えば、Al2O3、AlN、BeO、Cu、GaAS、GaN、Ge、InP、Si、SiO2、SiC、Si1-xGex(0.0001<x<0.9999)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの又は合金)、ガラス(例えば、溶融石英、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、酸化鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、酸化ゲルマニウムガラス、アルミン酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、カルコゲナイドガラス、アモルファス金属など、又はこれらの任意の組み合わせ)、サファイヤ、高分子材料(例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール、ポリカーボネート、改質ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレン、又はこれらの任意の化合物、複合物、又は合金)、革、紙、組立材(例えば、「ABF」としても知られる、味の素ビルドアップフィルムなど)、ソルダレジストなど、あるいはこれらの任意の複合物、積層体、又は他の組み合わせが含まれる。
【0019】
加工され得るワークピースの具体例としては、プリント回路基板(PCB)のパネル(本明細書においては「PCBパネル」ともいう)、PCB、PCB積層体(例えば、FR4、高Tgエポキシ、BT、ポリイミドなど、あるいはこれらの任意の組み合わせ)、PCB積層体プリプレグ、基板状PCB(SLP)、フレキシブルプリント回路(FPC)のパネル(本明細書においては「FPCパネル」ともいう)、FPC、カバーレイフィルム、集積回路(IC)、IC基板、ICパッケージ(ICP)、発光ダイオード(LED)、LEDパッケージ、半導体ウェハ、電子又は光学デバイス基板、インターポーザ、リードフレーム、リードフレームブランク、ディスプレイ基板(例えば、TFT、カラーフィルタ、有機LED(OLED)アレイ、量子ドットLEDアレイなど、又はこれらを任意に組み合わせたものが形成された基板)、レンズ、ミラー、タービン翼、粉末、膜、箔、板、型(例えば、ワックスモールド、射出成形プロセスやインベストメント鋳造プロセス用の型など)、布地(織物、フェルトなど)、外科用器具、医療用インプラント、パッケージされた製品、靴、自転車、自動車、自動車部品又は航空部品(例えば、フレーム、ボディパネルなど)、器具(例えば、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫など)、(例えば、腕時計、コンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル電子デバイスなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののための)デバイスハウジングが挙げられる。
【0020】
II.システム-概要
図1は、本発明の一実施形態におけるレーザ加工装置を模式的に示している。
【0021】
図1に示される実施形態を参照すると、ワークピース102を加工するためのレーザ加工装置100(本明細書においては単に「装置」ともいう)は、レーザエネルギービームを生成するためのレーザ源104と、1以上のポジショナ(例えば、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)と、スキャンレンズ112とを含むものとして特徴付けることができる。
【0022】
スキャンレンズ112を通過してビーム経路116に沿って伝搬するレーザエネルギーは、ワークピース102に照射されるようにビーム軸118に沿って伝搬する。ビーム軸118に沿って伝搬するレーザエネルギーは、ガウス形空間強度プロファイル又は非ガウス形(すなわち「整形された」)空間強度プロファイル(例えば、「トップハット」空間強度プロファイル)を有するものとして特徴付けられ得る。空間強度プロファイルの種類にかかわらず、空間強度プロファイルは、ビーム軸118(又はビーム経路116)に沿って伝搬するレーザエネルギービームの形状(すなわち断面形状、本明細書においては「スポット形状」ともいう)として特徴付けることもでき、このレーザエネルギービームの形状は、円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、六角形、リング形状など、又は任意の形状であり得る。本明細書で使用される場合には、「スポットサイズ」という用語は、照射されるレーザエネルギービームによって少なくとも部分的に加工されるワークピース102の一領域とビーム軸118とが交差する位置(「プロセススポット」、「スポット位置」又はより単純に「スポット」とも呼ばれる)に照射されるレーザエネルギービームの直径又は最大空間幅を意味する。本明細書での議論においては、スポットサイズは、ビーム軸118から、光学強度がビーム軸118での光強度の少なくとも1/e2にまで下がるところまでの半径方向距離又は横断距離として測定される。一般的に、レーザエネルギービームのスポットサイズはビームウェストで最小となる。ワークピース102に照射されると、ビーム内のレーザエネルギーは、2μmから200μmの範囲のスポットサイズでワークピース102に当たるものとして特徴付けることができる。しかしながら、スポットサイズは、2μmより小さくでき、あるいは200μmよりも大きくできることは理解できよう。このように、ワークピース102に照射されるレーザエネルギービームは、2μm、3μm、5μm、7μm、10μm、15μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、80μm、100μm、150μm、200μmなどよりも大きいか、小さいか、あるいは等しいスポットサイズ、あるいはこれらの値のいずれかの間のスポットサイズを有することができる。
【0023】
一般的に、上述したポジショナ(例えば、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、及び第3のポジショナ110)は、スポットとワークピース102との間の相対位置を変化させるように構成されている。以下の説明を考慮すると、装置100が第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、又はこれらを組み合わせたものを含んでいるのであれば、第1のポジショナ106を含めることは任意である(すなわち、装置100は、第1のポジショナ106を含んでいる必要がない)ことを理解すべきである。同様に、装置100が第1のポジショナ106、第3のポジショナ110、又はこれらを組み合わせたものを含んでいるのであれば、第2のポジショナ108を含めることは任意であることを理解すべきである。さらに、装置100が第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、又はこれらを組み合わせたものを含んでいるのであれば、第3のポジショナ110を含めることは任意であることを理解すべきである。最後に、適切な場合には、装置100が第1のポジショナ106のみ、第2のポジショナ108のみ又は第3のポジショナ110のみを含み得ることを理解すべきである。
【0024】
装置100は、レーザ源104から得られるレーザエネルギービームをスキャンレンズ112に至る1以上のビーム経路(例えばビーム経路116)に沿って集束し、拡大し、コリメートし、整形し、偏光し、フィルタし、分割し、結合し、クロップし、あるいは改質し、調整し、方向付け、その他のことを行うための1以上の光学要素(例えば、ビームエキスパンダ、ビーム整形器、アパーチャ、フィルタ、コリメータ、レンズ、ミラー、偏光器、波長板、回折光学素子、屈折光学素子など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)も含んでいる。そのような光学要素は、(例えば、レーザ源104と第1のポジショナ106との間、レーザ源104と第2のポジショナ108との間、第1のポジショナ106と第2のポジショナ108との間、第2のポジショナ108とスキャンレンズ112との間、これに類似する位置、あるいはこれらを任意に組み合わせた位置の)ビーム経路116の好適な位置又は所望の位置に挿入され得る。
【0025】
そのような光学要素の一例は、ビーム経路116に沿って伝搬するレーザパルスのパワーを選択的及び可変的に減少させるように構成される可変光減衰器(VOA)である。組み込むことができるVOAの例としては、可変ニュートラルフィルタ、音響光学(AO)変調器(AOM)、AO偏向器(AOD)、液晶可変減衰器(LCVA)、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)を利用したVOA、光減衰器ホイール、偏波/波長板フィルタなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの1以上のシステムが挙げられる。
【0026】
そのような光学要素の他の例は、スキャンレンズ112に入射するレーザエネルギービームのサイズ(本明細書においては「ビームサイズ」ともいう)を選択的及び可変的に調整可能なビームサイズ調整機構である。本明細書において使用される場合には、「ビームサイズ」という語は、レーザエネルギービームの直径又は幅を意味し、ビーム軸118から、光学強度がビーム経路116に沿った伝搬軸での光強度の1/e2にまで下がるところまでの半径方向距離又は横断距離として測定することができる。組み込むことができるビームサイズ調整機構の例としては、AODシステム、ズームレンズ、電動可変ビームエキスパンダ、可変形状ミラー、可変半径ミラー、可変焦点モアレレンズ、電動Z軸レンズ、電動アイリス絞り、電動アパーチャホイールなど、又はこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。スキャンレンズ112に入射するレーザエネルギービームのビームサイズを調整することにより、ワークピース102でのスポットサイズを変えることができる。
【0027】
そのような光学要素の他の例は、スキャンレンズ112に入射するレーザエネルギービームの形状(本明細書においては「ビームサイズ」ともいう)を選択的及び可変的に調整可能なビーム形状調整機構である。組み込むことができるビーム形状調整機構の例としては、AOD、可変形状ミラー、可変半径ミラー、可変焦点モアレレンズ、など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。スキャンレンズ112に入射するレーザエネルギービームのビーム形状を調整することにより、ワークピース102でのスポット形状を変えることができる。
【0028】
A.レーザ源
一実施形態においては、レーザ源104はレーザパルスを生成することができる。このため、レーザ源104は、パルスレーザ源、CWレーザ源、QCWレーザ源、バーストモードレーザなど、又はこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。レーザ源104がQCWレーザ源又はCWレーザ源を含む場合、レーザ源104は、QCWレーザ源又はCWレーザ源から出力されるレーザ放射のビームを時間的に変調するパルスゲーティングユニット(例えば、音響光学(AO)変調器(AOM)、ビームチョッパなど)をさらに含み得る。図示されていないが、装置100は、レーザ源104により出力される光の波長を変換するように構成される1以上の高調波発生結晶(「波長変換結晶」としても知られている)を必要に応じて含むことができる。しかしながら、他の実施形態においては、レーザ源104は、QCWレーザ源又はCWレーザ源として設けられ、パルスゲーティングユニットを含んでいなくてもよい。このように、レーザ源104は、一連のレーザパルスとして、あるいは、連続レーザビーム又は準連続レーザビームとして発現され得るレーザエネルギービームを生成可能なものとして広く特徴付けることができる。このレーザエネルギービームは、その後、ビーム経路116に沿って伝搬することができる。本明細書において述べられる多くの実施形態はレーザパルスについて述べているが、適切な場合には、これに代えて、あるいはこれに加えて、連続ビームを用いることができることを理解すべきである。
【0029】
UV範囲の電磁スペクトルを有するレーザ光は、10nm、121nm、124nm、157nm、200nm、334nm、337nm、351nm、380nmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の波長のような、10nm(又はその前後)から385nm(又はその前後)の範囲にある1以上の波長を有していてもよい。可視緑色範囲の電磁スペクトルを有するレーザ光は、511nm、515nm、530nm、532nm、543nm、568nmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の波長のような、500nm(又はその前後)から560nm(又はその前後)の範囲にある1以上の波長を有していてもよい。IR範囲の電磁スペクトルを有するレーザ光は、600nmから1000nm、752.5nm、780nmから1060nm、799.3nm、980nm、1047nm、1053nm、1060nm、1064nm、1080nm、1090nm、1152nm、1150nmから1350nm、1540nm、2.6μmから4μm、4.8μmから8.3μm、9.4μm、10.6μmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の波長のような、750nm(又はその前後)から15μm(又はその前後)の範囲にある1以上の波長を有していてもよい。
【0030】
レーザ源104により出力されるレーザパルスは、10fsから900msの範囲にあるパルス幅又はパルス持続時間(すなわち、時間に対するパルス中の光パワーの半値全幅(FWHM)に基づく)を有することができる。しかしながら、パルス持続時間を10fsよりも短くしてもよく、あるいは900msよりも長くしてもよいことは理解できよう。このように、レーザ源104により出力される少なくとも1つのレーザパルスは、10fs、15fs、30fs、50fs、100fs、150fs、200fs、300fs、500fs、600fs、750fs、800fs、850fs、900fs、950fs、1ps、2ps、3ps、4ps、5ps、7ps、10ps、15ps、25ps、50ps、75ps、100ps、200ps、500ps、1ns、1.5ns、2ns、5ns、10ns、20ns、50ns、100ns、200ns、400ns、800ns、1000ns、2μs、5μs、10μs、50μs、100μs、300μs、500μs、900μs、1ms、2ms、5ms、10ms、20ms、50ms、100ms、300ms、500ms、900ms、1sなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値よりも短いパルス持続時間、これらよりも長いパルス持続時間、あるいはこれらと等しいパルス持続時間を有することができる。
【0031】
レーザ源104により出力されるレーザパルスは、5mWから50kWの範囲にある平均パワーを有することができる。しかしながら、平均パワーを5mWよりも小さくしてもよく、あるいは50kWよりも大きくしてもよいことは理解できよう。このように、レーザ源104により出力されるレーザパルスは、5mW、10mW、15mW、20mW、25mW、50mW、75mW、100mW、300mW、500mW、800mW、1W、2W、3W、4W、5W、6W、7W、10W、15W、18W、25W、30W、50W、60W、100W、150W、200W、250W、500W、2kW、3kW、20kW、50kWなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値よりも小さい平均パワー、これらよりも大きい平均パワー、あるいはこれらと等しい平均パワーを有することができる。
【0032】
レーザ源104によりレーザパルスを5kHzから1GHzの範囲にあるパルス繰り返し率で出力することができる。しかしながら、パルス繰り返し率は、5kHzより低くてもよく、あるいは1GHzよりも高くてもよいことは理解できよう。このように、レーザ源104によりレーザパルスを、5kHz、50kHz、100kHz、175kHz、225kHz、250kHz、275kHz、500kHz、800kHz、900kHz、1MHz、1.5MHz、1.8MHz、1.9MHz、2MHz、2.5MHz、3MHz、4MHz、5MHz、10MHz、20MHz、50MHz、60MHz、100MHz、150MHz、200MHz、250MHz、300MHz、350MHz、500MHz、550MHz、600MHz、900MHz、2GHz、10GHzなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値よりも低いパルス繰り返し率、これらよりも高いパルス繰り返し率、これらと等しいパルス繰り返し率で出力することができる。
【0033】
波長、パルス持続時間、平均パワー及びパルス繰り返し率に加えて、ワークピース102に照射されるレーザパルスは、パルスエネルギー、ピークパワーなどのような1以上の他の特性により特徴付けることができる。このレーザパルスは、(例えば、1以上の所望の特性を有する1以上の特徴部を形成するように)ワークピース102を加工するのに十分な(W/cm2で測定される)光強度、(J/cm2で測定される)フルエンスなどでプロセススポットにおいてワークピース102を照射するために(例えば、必要に応じて、波長、パルス持続時間、平均パワー及びパルス繰り返し率などの1以上の他の特性に基づいて)選択することができる。
【0034】
レーザ源104を特徴付け得るレーザの種類の例としては、ガスレーザ(例えば、二酸化炭素レーザ、一酸化炭素レーザ、エキシマレーザなど)、固体レーザ(例えば、Nd:YAGレーザなど)、ロッドレーザ、ファイバレーザ、フォトニック結晶ロッド/ファイバレーザ、パッシブモードロック固体バルク又はファイバレーザ、色素レーザ、モードロックダイオードレーザ、パルスレーザ(例えば、msパルスレーザ、nsパルスレーザ、psパルスレーザ、fsパルスレーザ)、CWレーザ、QCWレーザなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。構成によっては、1以上のモード(例えば、CWモード、QCWモード、パルスモード、又はこれらを任意に組み合わせたもの)で動作するようにガスレーザ(例えば二酸化炭素レーザなど)を構成してもよい。レーザ源104として提供され得るレーザ源の具体例としては、EOLITE社により製造されるBOREAS、HEGOA、SIROCCO又はCHINOOKシリーズのレーザ、PYROPHOTONICS社により製造されるPYROFLEXシリーズのレーザ、COHERENT社により製造されるPALADIN Advanced 355、DIAMONDシリーズ(例えば、DIAMOND E、G、J-2、J-3、J-5シリーズ)、FLARE NX、MATRIX QS DPSS、MEPHISTO Q、AVIA LX、AVIA NX、RAPID NX、HYPERRAPID NX、RAPID、HELIOS、FIDELITY、MONACO、OPERA、又はRAPID FXシリーズのレーザ、SPECTRA PHYSICS社により製造されるASCEND、ELEMENT 2、ELEMENT 2 CEP4、EXCELSIOR、EXPLORER、HIPPO、ICEFYRE、NAVIGATOR、QUANTA-RAY、QUASAR、SPIRIT、SPIRIT 1030-100、SPIRIT 1030-70、SPIRIT 515-50、TALON、又はVGENシリーズのレーザ、SYNRAD社により製造されるPULSTARシリーズ又はFIRESTARシリーズのレーザ、TRUMPF社により製造されるTRUFLOWシリーズのレーザ(例えば、TRUFLOW 2000、1700、3000、3200、3600、4000、5000、6000、6000、8000、10000、12000、15000、20000)、TRUCOAXシリーズのレーザ(例えばTRUCOAX 1000)又はTRUDISK、TRUPULSE、TRUDIODE、TRUFIBER、又はTRUMICROシリーズのレーザ、IMRA AMERICA社により製造されるFCPAμJEWEL又はFEMTOLITEシリーズのレーザ、AMPLITUDE SYSTEMES社により製造されるTANGERINE及びSATSUMAシリーズのレーザ(及びMIKAN及びT-PULSEシリーズの発振器)、
IPG PHOTONICS社により製造されるCL、CLPF、CLPN、CLPNT、CLT、ELM、ELPF、ELPN、ELPP、ELR、ELS、FLPN、FLPNT、FLT、GLPF、GLPN、GLR、HLPN、HLPP、RFL、TLM、TLPN、TLR、ULPN、ULR、VLM、VLPN、YLM、YLPF、YLPN、YLPP、YLR、YLS、FLPM、FLPMT、DLM、BLM、又はDLRシリーズのレーザ(例えば、GPLN-100-M、GPLN-500-QCW、GPLN-500-M、GPLN-500-R、GPLN-2000-Sなどを含む)、又はこれに類するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上のレーザ源が挙げられる。
【0035】
B.第1のポジショナ
第1のポジショナ106は、ビーム経路116に配置され、位置付けられ、あるいは設置されており、レーザ源104により生成されたレーザパルスを回折し、反射し、屈折し、又はこれに類似することを行い、あるいはこれらを任意に組み合わせて(すなわち、レーザパルスを「偏向」して)ビーム経路116を(例えば、スキャンレンズ112に対して)偏向又は移動し、その結果、ワークピース102に対してビーム軸118を偏向又は移動させるように動作することができる。一般的に、第1のポジショナ106は、(例えば、スキャンレンズ112によりワークピース102上に投影される第1のスキャニング範囲内でX軸(又はX方向)、Y軸(又はY方向)、又はこれらを組み合わせたものに沿って)ビーム軸118をワークピース102に対して移動できるようになっている。図示されていないが、X軸(又はX方向)は、図示されたY軸(又はY方向)及びZ軸(又はZ方向)に直交する軸(又は方向)を意味するものと理解できよう。
【0036】
一般的に、第1のポジショナ106の構成、ビーム経路116に沿った第1のポジショナ106の位置、第1のポジショナ106に入射するレーザパルスのビームサイズ、スポットサイズなどの1以上のファクタに応じて、第1のスキャニング範囲は、X方向又はY方向のいずれかに、0.01mm、0.04mm、0.1mm、0.5mm、1.0mm、1.4mm、1.5mm、1.8mm、2mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.2mm、5mm、10mm、25mm、50mm、60mmなど、又はこれらの値のいずれかの間の値よりも短い距離、これよりも長い距離、あるいはこれと等しい距離だけ延びていてもよい。(例えば、X方向又はY方向、あるいはその他の方向における)第1のスキャニング範囲の最大寸法は、ワークピース102に形成される特徴部(例えば、開口、凹部、ビア、トレンチなど)の最大寸法(XY平面で測定される)より大きくてもよく、これと等しくてもよく、あるいはこれより小さくてもよい
【0037】
一般的に、第1のポジショナ106が第1のスキャニング範囲内の任意の位置にプロセススポットを位置決め(これによりビーム軸118を移動)できる速度(「位置決め速度」とも呼ばれる)は、8kHz(又はその前後)から250MHz(又はその前後)の範囲にある。この範囲は、本明細書では第1の位置決め帯域幅とも呼ばれる。例えば、第1の位置決め帯域幅は、8kHz、10kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、75kHz、80kHz、100kHz、250kHz、500kHz、750kHz、1MHz、5MHz、10MHz、20MHz、40MHz、50MHz、75MHz、100MHz、125MHz、150MHz、175MHz、200MHz、225MHz、250MHzなど、又はこれらの値のいずれかの間の値よりも大きくてもよく、これと等しくてもよく、あるいはこれよりも小さくてもよい。位置決め速度の逆数は、本明細書では「位置決め時間」と呼ばれ、プロセススポットの位置を第1のスキャニング範囲内のある位置から第1のスキャニング範囲内の任意の他の位置に変えるために必要な最短時間を意味する。このように、第1のポジショナ106は、200μs、125μs、100μs、50μs、33μs、12.5μs、10μs、4μs、2μs、1.3μs、1μs、0.2μs、0.1μs、0.05μs、0.025μs、0.02μs、0.013μs、0.01μs、0.008μs、0.0067μs、0.0057μs、0.0044μs、0.004μsなど、又はこれらの値のいずれかの間の値よりも長い位置決め時間、これと等しい位置決め時間、あるいはこれよりも短い位置決め時間を有するものとして特徴付けることができる。
【0038】
第1のポジショナ106は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ミラー又はミラーアレイ、AODシステム、電気光学偏向器(EOD)システム、(例えば、圧電アクチュエータ、電歪アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータなどを組み込んだ)ファーストステアリングミラー(FSM)要素、ガルバノメータミラーシステム、回転多面スキャナ、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであり得る。一実施形態においては、第1のポジショナ106は、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つなど)の単一素子AODシステム、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つなど)のフェイズドアレイAODシステムなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含むAODシステムとして提供される。単一素子AODシステム及びフェイズドアレイAODシステムは、それぞれ結晶Ge、PbMoO4、又はTeO2、ガラス状SiO2、石英、As2S3などの材料から形成されるAOセルを含んでいる。本明細書で使用される場合には、「単一素子」AODシステムは、AOセルに音響的に連結された1つだけの超音波変換器素子を有するAODシステムを意味し、「フェイズドアレイ」AODシステムは、共通のAOセルに音響的に連結された少なくとも2つの超音波変換器素子からなるフェイズドアレイを含んでいる。
【0039】
当業者に理解されるように、AO技術(例えば、AOD、AOMなど)は、AOセルを伝搬する音波により生じる回折効果を利用して、AOセルを同時に伝搬する光波(すなわち、本出願の文脈においてはレーザエネルギービーム)の1以上の特性を変調するものである。典型的には、AOセルは、同一領域で音波と光波の両方を維持することができる。音波は、AOセル内の屈折率に摂動を与える。音波は、典型的には、1以上のRF周波数で超音波変換器素子を駆動することによりAOセルに送り出される。音波の特性(例えば、振幅、周波数、位相など)を制御することによって、伝搬する光波の1以上の特性を制御可能に変調して(例えばスキャンレンズ112に対して)ビーム経路116を移動させることができる。また、AOセルを通過する際にレーザエネルギービーム内のエネルギーを減衰する公知技術を用いてAOセルに送り出された音波の特性を制御できることを理解すべきである。したがって、AODシステムも作動させて、最終的にワークピース102に照射されるレーザパルスのパルスエネルギー(及びこれに応じてフルエンス、ピークパワー、光強度、平均パワーなど)を変調することができる。
【0040】
AODシステムのいずれかを、ビーム経路116を偏向することにより、(例えば、単一の方向に沿ってビーム軸を移動可能な)単軸AODシステムとして、又は(例えば、1以上の軸に沿って、例えばX軸に沿って、Y軸に沿って、あるいはこれらを組み合わせたものに沿ってビーム軸118を移動可能な)多軸AODシステムとして提供してもよい。一般的に、多軸AODシステムは、マルチセルシステム又はシングルセルシステムとすることができる。マルチセル多軸システムは、典型的には、それぞれ異なる軸に沿ってビーム軸を移動可能な複数のAODシステムを含んでいる。例えば、マルチセル多軸システムは、X軸に沿ってビーム軸118を移動する可能な第1のAODシステム(例えば「X軸AODシステム」)(例えば、単一素子又はフェイズドアレイAODシステム)と、Y軸に沿ってビーム軸118を移動可能な第2のAODシステム(例えば「Y軸AODシステム」)(例えば、単一素子又はフェイズドアレイAODシステム)とを含むことができる。シングルセル多軸システム(例えば「X/Y軸AODシステム」)は、典型的には、X軸及びY軸に沿ってビーム軸118を移動可能な単一のAODシステムを含んでいる。例えば、シングルセルシステムは、共通のAOセルの互いに直交する平面、ファセット、側面などと音響的に結合された少なくとも2つの超音波変換器素子を含むことができる。
【0041】
C.第2のポジショナ
第2のポジショナ108は、ビーム経路116に設置され、レーザ源104により生成され、第1のポジショナ106を通過したレーザパルスを回折し、反射し、屈折し、又はこれに類似することを行い、あるいはこれらを任意に組み合わせて(すなわち、レーザパルスを「偏向」し)、(例えばスキャンレンズ112に対して)ビーム経路116を偏向又は移動して、結果的にワークピース102に対してビーム軸118を偏向又は移動するように動作することができる。一般的に、第2のポジショナ108は、(例えば、スキャンレンズ112によりワークピース102上に投影される第2のスキャニング範囲内でX軸(又はX方向)、Y軸(又はY方向)、又はこれらを組み合わせたものに沿って)ワークピース102に対してビーム軸118を移動することができる。
【0042】
一般的に、第2のポジショナ108の構成、ビーム経路116に沿った第2のポジショナ108の位置、第2のポジショナ108に入射するレーザパルスのビームサイズ、スポットサイズなどの1以上のファクタに応じて、第2のスキャニング範囲は、X方向又はY方向のいずれかに、第1のスキャニング範囲の対応する距離よりも長い距離まで延びていてもよい。上記の観点から、第2のスキャニング範囲は、X方向又はY方向のいずれかに、1mm、25mm、50mm、75mm、100mm、250mm、500mm、750mm、1cm、25cm、50cm、75cm、1m、1.25m、1.5mなど、又はこれらの値のいずれかの間の値よりも短い距離、これよりも長い距離、あるいはこれと等しい距離だけ延びていてもよい。(例えば、X方向又はY方向、あるいはその他の方向における)第2のスキャニング範囲の最大寸法は、ワークピース102に形成される特徴部(例えば、開口、凹部、ビア、トレンチ、スクライブライン、導電トレースなど)の最大寸法(XY平面で測定される)より大きくてもよく、これと等しくてもよく、あるいはこれより小さくてもよい。
【0043】
本明細書で述べられる構成では、第1のポジショナ106により行われるビーム軸118の移動を第2のポジショナ108により行われるビーム軸118の移動に重ねることができることは理解すべきである。このように、第2のポジショナ108は、第2のスキャニング範囲内で第1のスキャニング範囲をスキャンするように動作可能である。
【0044】
一般的に、第2のポジショナ108が第2のスキャニング範囲内の任意の位置にプロセススポットを位置決め(これにより第2のスキャニング範囲内でビーム軸118を移動及び/又は第2のスキャニング範囲内で第1のスキャニング範囲をスキャン)できる位置決め速度は、第1の位置決め帯域幅よりも狭い範囲(本明細書においては「第2の位置決め帯域幅」ともいう)に及んでいる。一実施形態においては、第2の位置決め帯域幅は、500Hz(又はその前後)から8kHz(又はその前後)の範囲にある。例えば、第2の位置決め帯域幅は、500Hz、750Hz、1kHz、1.25kHz、1.5kHz、1.75kHz、2kHz、2.5kHz、3kHz、3.5kHz、4kHz、4.5kHz、5kHz、5.5kHz、6kHz、6.5kHz、7kHz、7.5kHz、8kHzなど、又はこれらの値のいずれかの間の値よりも大きくてもよく、これと等しくてもよく、あるいはこれよりも小さくてもよい。
【0045】
上記の観点から、第2のポジショナ108は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ミラー又はミラーアレイ、AODシステム、電気光学偏向器(EOD)システム、(例えば、圧電アクチュエータ、電歪アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータなどを組み込んだ)ファーストステアリングミラー(FSM)要素、ガルバノメータミラーシステム、共鳴スキャニングミラーシステム、回転多面スキャナ、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであり得ることを理解すべきである。一実施形態においては、第2のポジショナ108は、2つのガルバノメータミラー要素、すなわちX軸に沿ってワークピース102に対してビーム軸118を移動させるように構成される第1のガルバノメータミラー要素(例えばX軸ガルバノメータミラー要素)と、Y軸に沿ってワークピース102に対してビーム軸118を移動させるように構成される第2のガルバノメータミラー要素(例えばY軸ガルバノメータミラー要素)とを含むガルバノメータミラーシステムであり得る。しかしながら、他の実施形態においては、第2のポジショナ108は、ワークピース102に対してX軸及びY軸に沿ってビーム軸118を移動するように構成された単一のガルバノメータミラーコンポーネントを含むガルバノメータミラーシステムとして提供されてもよい。さらに他の実施形態においては、第2のポジショナ108は、回転多面鏡システムなどとして提供されてもよい。このように、第2のポジショナ108及び第1のポジショナ106の特定の構成によっては、第2の位置決め帯域幅が第1の位置決め帯域幅以上であってもよいことは理解されよう。
【0046】
D.第3のポジショナ
第3のポジショナ110は、スキャンレンズ112に対してワークピース102を移動させ、この結果、ビーム軸118に対してワークピース102を移動させるように動作することができる。ビーム軸118に対するワークピース102の移動は、概して、第3のスキャンフィールド又は「第3のスキャニング範囲」内でプロセススポットをスキャン、移動あるいは位置決めできるように制限される。第3のポジショナ110の構成のような1以上のファクタによっては、第3のスキャニング範囲は、X方向又はY方向のいずれかに、第2のスキャニング範囲の対応する距離以上の距離にまで延びていてもよい。しかしながら、一般的に、(例えば、X方向又はY方向、あるいはその他の方向における)第3のスキャニング範囲の最大寸法は、ワークピース102に形成される特徴部の対応する最大寸法(XY平面で測定される)以上である。必要に応じて、第3のポジショナ110は、Z方向に(例えば、1mmから50mmの範囲にわたって)延びるスキャニング範囲内でビーム軸118に対してワークピース102を移動させることができるようになっていてもよい。このため、第3のスキャニング範囲は、X方向、Y方向及び/又はZ方向に沿って延びていてもよい。
【0047】
本明細書で述べられる構成では、(第1のポジショナ106及び/又は第2のポジショナ108により行われる)ワークピース102に対するプロセススポットの移動を第3のポジショナ110により行われるワークピース102の移動に重ねることができることは理解すべきである。このように、第3のポジショナ110は、第3のスキャニング範囲内で第1のスキャニング範囲及び/又は第2のスキャニング範囲をスキャンするように動作可能である。一般的に、第3のポジショナ110が第3のスキャニング範囲内の任意の位置にワークピース102を位置決め(これによりワークピース102を移動し、第3のスキャニング範囲内で第1のスキャニング範囲をスキャンし、さらに/あるいは第3のスキャニング範囲内で第2のスキャニング範囲をスキャン)できる位置決め速度は、第2の位置決め帯域幅よりも狭い範囲(本明細書においては「第3の位置決め帯域幅」ともいう)に及ぶ。一実施形態においては、第3の位置決め帯域幅は、500Hz(又はその前後)よりも低い。例えば、第3の位置決め帯域幅は、500Hz、250Hz、150Hz、100Hz、75Hz、50Hz、25Hz、10Hz、7.5Hz、5Hz、2.5Hz、2Hz、1.5Hz、1Hzなど、又はこれらの値のいずれかの間の値以下であり得る。
【0048】
一実施形態においては、第3のポジショナ110は、(例えば、それぞれX方向、Y方向及び/又はZ方向に沿ってワークピース102を並進移動可能な)1以上の直動ステージ、(例えば、それぞれX方向、Y方向及び/又はZ方向に平行な軸を中心とした回転移動をワークピース102に与えることが可能な)1以上の回転ステージ、これに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供される。一実施形態においては、第3のポジショナ110は、ワークピース102をX方向に沿って移動するためのX軸ステージと、X軸ステージにより支持され(これによりX軸ステージによりX方向に沿って移動可能であり)、ワークピース102をY方向に沿って移動するためのY軸ステージとを含んでいる。
【0049】
図示はされていないが、装置100は、必要に応じて、第3のポジショナ110のステージに連結された固定具(例えばチャック)を含んでいてもよい。この固定具は支持領域を含み得るもので、この支持領域内にワークピース102が固定具に機械的にクランプ、固着、保持、固定され、あるいは支持され得る。一実施形態においては、固定具の典型的には平坦な主支持面に直接接触するようにワークピース102をクランプ、固着、保持、固定あるいは支持することができる。他の実施形態においては、固定具の支持面から離間するようにワークピース102をクランプ、固着、保持、固定あるいは支持することができる。一実施形態においては、固定具からワークピース102に選択的に加えられるか、ワークピース102と固定具との間に存在する力(例えば、静電力、真空力、磁力)によりワークピース102を固着、保持、又は固定することができる。
【0050】
これまで述べたように、装置100は、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112などの構成要素の位置がワークピース102に対して(例えば、周知なように1以上の支持部、フレームなどを介して)装置100内で静止した状態で、第3のポジショナ110がワークピース102を移動可能にする、いわゆる「スタック型」位置決めシステムを利用している。他の実施形態においては、第3のポジショナ110が、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112などの1以上の構成要素を移動させるように配置され動作可能となっていてもよく、ワークピース102が静止していてもよい。
【0051】
さらに他の実施形態においては、第3のポジショナ110は、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112など、あるいはこれらの任意の組み合わせなどの1以上の構成要素が(フレームやガントリーなどに設けられた)1以上の直動又は回転ステージにより搬送され、ワークピース102が1以上の他の直動又は回転ステージによって搬送される、いわゆる「分割ステージ」位置決めシステムとして提供され得る。そのような実施形態においては、第3のポジショナ110は、第2のポジショナ108及びスキャンレンズ112のような1以上の構成要素を移動するように配置され動作可能な1以上の直動又は回転ステージと、ワークピース102を移動するように配置され動作可能な1以上の直動又は回転ステージとを含んでいる。例えば、第3のポジショナ110は、ワークピース102をY方向に沿って移動させるためのYステージと、スキャンヘッドをX方向に沿って移動させるためのXステージとを含んでいてもよい。装置100において有益に又は有利に用いることが可能な分割ステージ位置決めシステムの例としては、米国特許第5,751,585号、第5,798,927号、第5,847,960号、第6,606,999号、第7,605,343号、第8,680,430号、第8,847,113号、又は米国特許出願公開第2014/0083983号に開示されたもののいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。
【0052】
第3のポジショナ110がZステージを含む一実施形態においては、Zステージは、ワークピース102をZ方向に沿って移動させるように配置及び構成されていてもよい。この場合において、ワークピース102を移動又は位置決めするための上述した他のステージのうち1つ以上によりZステージを搬送してもよく、あるいは、Zステージが、ワークピース102を移動又は位置決めするための上述した他のステージのうち1つ以上を搬送してもよく、あるいはこれらを任意に組み合わせてもよい。第3のポジショナ110がZステージを含む他の実施形態においては、Zステージは、スキャンレンズ112をZ方向に沿って移動させるように配置及び構成されていてもよい。このため、第3のポジショナ110が分割軸位置決めシステムとして提供される場合には、Zステージは、Xステージを搬送してもよく、あるいはXステージにより搬送されてもよい。ワークピース102又はスキャンレンズ112をZ方向に沿って移動させることにより、ワークピース102でのスポットサイズを変化させることができる。
【0053】
さらに他の実施形態においては、多軸関節ロボットアーム(例えば、2軸、3軸、4軸、5軸、又は6軸アーム)により第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112などの1以上の構成要素を搬送してもよい。そのような実施形態においては、第2のポジショナ108及び/又はスキャンレンズ112が、必要に応じて、ロボットアームのエンドエフェクタにより搬送されてもよい。さらに他の実施形態においては、ワークピース102は、多軸関節ロボットアームのエンドエフェクタ上で直接(すなわち第3のポジショナ110を用いずに)搬送されてもよい。さらに他の実施形態においては、第3のポジショナ110が、多軸関節ロボットのエンドエフェクタ上で搬送されてもよい。
【0054】
D.スキャンレンズ
概して、(例えば、単純なレンズ又は複合レンズのいずれかとして提供される)スキャンレンズ112は、典型的には、所望のプロセススポット又はその近傍に位置し得るビームウェストを生成するようにビーム経路に沿って方向付けられたレーザパルスの焦点を合わせるように構成されている。スキャンレンズ112は、fシータレンズ、テレセントリックレンズ、アキシコンレンズ(その場合には、一連のビームウェストが生成され、ビーム軸118に沿って互いにずれた複数のプロセススポットが生じる)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供され得る。一実施形態においては、スキャンレンズ112は、固定焦点距離レンズとして提供され、(例えば、ビーム軸118に沿ってビームウェストの位置を変化させるように)スキャンレンズ112を移動可能なスキャンレンズポジショナ(例えばレンズアクチュエータ、図示せず)に連結される。例えば、レンズアクチュエータは、Z方向に沿ってスキャンレンズ112を直線的に並進させることが可能なボイスコイルとして提供されてもよい。この場合には、スキャンレンズ112は、溶融シリカ、光学ガラス、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、フッ化マグネシウムなどの材料から形成されていてもよい。他の実施形態においては、スキャンレンズ112は、ビーム軸118に沿ってビームウェストの位置を変化させるために(例えばレンズアクチュエータを介して)作動され得る可変焦点距離レンズ(例えば、ズームレンズ、又はCOGNEX社、VARIOPTIC社などにより現在提供されている技術を組み込んだ、いわゆる「液体レンズ」など)として提供される。ビームウェストの位置をビーム軸118に沿って変化させることにより、ワークピース102でのスポットサイズを変化させることができる。
【0055】
一実施形態においては、スキャンレンズ112及び第2のポジショナ108は、共通ハウジング又は「スキャンヘッド」に一体化される。このように、装置100がレンズアクチュエータを含む実施形態においては、レンズアクチュエータは、(例えば、スキャンヘッド内で第2のポジショナ108に対してスキャンレンズ112が移動可能となるように)スキャンレンズ112に連結されていてもよい。あるいは、レンズアクチュエータは、(例えば、スキャンヘッド自体を移動可能とするように(その場合、スキャンレンズ112及び第2のポジショナ108は一緒に移動する))スキャンヘッドに連結されていてもよい。他の実施形態においては、スキャンレンズ112及び第2のポジショナ108は、(例えば、スキャンレンズ112が一体化されるハウジングが、第2のポジショナ108が一体化されるハウジングに対して移動可能となるように)異なるハウジングに一体化される。スキャンヘッドの構成要素又はスキャンヘッド全体が、スキャンヘッドの構成要素を単に取り外して他の構成要素に取り替えることができる、あるいはあるスキャンヘッドを単に取り外して他のスキャンヘッドに取り替えることができるなどのような、モジュラアセンブリであってもよい。
【0056】
E.視界
装置100は、加工のために装置100に供給されたワークピース102が占める領域を包含する視界を有するカメラ113(例えば、CCDカメラ、CMOSカメラなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)のような1以上のカメラをさらに含んでいてもよい。カメラ113は、スキャンレンズ112に、あるいは上述したスキャンヘッドに連結され得る。他の実施形態においては、第3のポジショナ110が分割ステージ位置決めシステムである場合には、カメラ113は、(スキャンレンズ112又はスキャンヘッド自身に連結される代わりに)スキャンレンズ112又はスキャンヘッドを移動するように配置され動作可能な任意のステージに連結され得る。さらに他の実施形態においては、装置100は、フレームやガントリーなど(本明細書においては総称して「検査支持部」という)のような構造を含み得る。カメラ113は、この検査支持部に連結され得る。この実施形態においては、装置100は、(例えばワークピース102に対して)検査支持部を移動し、(例えば検査支持部に対して)カメラ113を移動し、あるいはこれに類する動作をし、あるいはこれらを組み合わせた動作をするように配置され動作可能な1以上の直動又は回転ステージを含み得る。カメラ113は、視野内で取得した像を表す画像データを生成し、この画像データを(例えば、1以上の画像信号として)コントローラ114に出力することができる。
【0057】
画像データは、所望のあるいは好適な公知の方法により(例えば、コントローラ114で、遠隔システム126などで、あるいはこれらを任意に組み合わせた場所で)解析され、操作され、アルゴリズムに入力され、あるいは処理され、装置100内でのワークピース102のアライメント、(例えば、ワークピース102の加工の結果として形成された特徴部の)較正、外観検査など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの1以上の動作を容易にすることができる。検査プロセス(例えば外観検査プロセス)を容易にするために画像データが使用される範囲では、画像データを生成したカメラ(例えばカメラ113)は、「検査システム」の一部であると考えることができる。したがって、検査システムは、単一のカメラあるいは複数のカメラを含み得る。
【0058】
図1は、装置100がカメラ113を1つだけ含んでいるものとして図示しているが、(例えば、解像度、視野など、あるいはこれらの組み合わせの点において異なる)複数のカメラ113があってもよいことは理解できよう。例えば、一実施形態においては、装置100は、第1のカメラと第2のカメラとを含み得る。第1のカメラは、比較的大きな視野と比較的低い解像度を有していてもよく、第2のカメラは、比較的小さな視野と比較的高い解像度を有していてもよい。一般的に、第2のカメラの視野は、第1のカメラの視野の中に位置している。しかしながら、第2のカメラの視野が第1のカメラの視野の外側に位置するように第1のカメラ及び第2のカメラが配置されていてもよい。加えて、カメラ113は、ワークピース102上に投影される視野を有し得る。この視野は、第1のスキャニング範囲又は第2のスキャニング範囲よりも大きい。
【0059】
さらに、図示はされていないが、装置100は、カメラ(例えばカメラ113)の視野を照射可能な照明システム(例えば、当該技術分野において知られているような任意の好適な機械視角照明システム)を含み得る。
【0060】
図示された実施形態においては、カメラ113は、スキャンレンズ112から横にオフセットされている。したがって、(ワークピース102上に投影される)カメラ113の視野は、少なくとも部分的にスキャンレンズ112によってワークピース102上に投影されるスキャンフィールドの外側に位置し得る。他の実施形態においては、装置100は、当該技術分野において知られている任意の方法によりカメラ(例えばカメラ113)の視野がスキャンレンズ112を通して投影されることを可能にする1以上の光学コンポーネント(例えば、1以上のビームスプリッタ、ミラー、レンズなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を含み得る。
【0061】
F.コントローラ
一般的に、装置100は、装置100を制御し、あるいは装置100の制御を容易にし、あるいは装置100の動作を容易にするためにコントローラ114のような1以上のコントローラを含んでいる。一実施形態においては、コントローラ114は、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、(可変焦点長レンズである場合は)スキャンレンズ112、固定具、カメラ113、VOA、ビームサイズ調整機構などの装置100の1以上の構成要素と(例えば、USB、RS-232、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fi、SERCOS、MARCO、EtherCATなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)通信可能に連結されている。これらの装置100の1以上の構成要素は、コントローラ114により出力される1以上の制御信号に応じて動作可能となっている。
【0062】
例えば、コントローラ114は、ビーム軸とワークピース102との間で相対移動を行い、ワークピース102内で経路又は軌跡(本明細書においては「プロセス軌跡」ともいう)に沿ってプロセススポットとワークピース102との間で相対運動を生じさせるように第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、又は第3のポジショナ110の動作を制御し得る。他の例においては、後に詳述するように、コントローラ114は、加工の結果としてワークピース102に形成された特徴部の検査を可能にために、ワークピース102が処理された後に、カメラ113とワークピース102との間で相対運動を生じさせるように第3のポジショナ110の動作を制御し得る。
【0063】
一般的に、コントローラ114は、命令を実行する際に上述した制御信号を生成することが可能な1以上のプロセッサを含んでいる。プロセッサは、命令を実行することが可能なプログラマブルプロセッサ(例えば、1以上の汎用コンピュータプロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含む)として提供され得る。プロセッサにより実行可能な命令は、ソフトウェア、ファームウェアなど、あるいは、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、フィールドプログラマブルオブジェクトアレイ(FPOA)、特定用途向け集積回路(ASIC)を含む(デジタル回路、アナログ回路、アナログ/デジタル混合回路を含む)好適な形態の回路など、あるいはこれらを任意に組み合わせて実現され得る。命令の実行は、1つのプロセッサ上で行ってもよく、複数のプロセッサに分散させてもよく、1つのデバイス内又はデバイスのネットワークにわたる複数のプロセッサにわたって並行に行っても、あるいはこれに類する方法でも、あるいはこれらを任意に組み合わせて行ってもよい。
【0064】
一実施形態においては、コントローラ114は、(例えば、1以上の有線又は無線通信リンクを介して)プロセッサによりアクセス可能なコンピュータメモリのような有形媒体を含んでいる。本明細書で使用される場合には、「コンピュータメモリ」は、磁気媒体(例えば、磁気テープ、ハードディスクドライブなど)、光学ディスク、揮発性又は不揮発性半導体メモリ(例えば、RAM、ROM、NAND型フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリ、SONOSメモリなど)などを含んでおり、ローカルアクセス可能なもの、又は(例えばネットワークを通じて)遠隔アクセス可能なもの、又はこれらを組み合わせたものであってもよい。一般的に、命令は、コンピュータソフトウェア(例えば、実行コード、ファイル、命令など、ライブラリファイルなど)として格納され得る。そのようなコンピュータソフトウェアは、例えば、C、C++、Visual Basic、Java、Python、Tel、Perl、Scheme、Ruby、アセンブリ言語、ハードウェア記述言語(例えば、VHDL、VERILOGなど)などによって書かれ、当業者によって本明細書で述べられた説明から簡単に作成することができる。コンピュータソフトウェアは、通常、コンピュータメモリにより伝達される1以上のデータ構造に格納される。
【0065】
図示はされていないが、1以上のドライバ(例えば、RFドライバ、サーボドライバ、ラインドライバ、電源など)が、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、(可変焦点長レンズである場合は)スキャンレンズ112、固定具、カメラ113、VOA、ビームサイズ調整機構などのような1以上の構成要素の入力と通信可能に連結され得る。一実施形態においては、それぞれのドライバは、典型的には、コントローラ114が通信可能に連結される入力を含んでおり、これにより、コントローラ114は1以上の制御信号(例えばトリガ信号など)を生成可能となっている。この制御信号は、装置100の1以上の構成要素に関連付けられた1以上のドライバの入力に伝達され得る。このように、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、(可変焦点長レンズである場合は)スキャンレンズ112、固定具、カメラ113、VOA、ビームサイズ調整機構などの構成要素は、コントローラ114により生成された制御信号に応答するようになっている。
【0066】
他の実施形態においては、図示はされていないが、1以上の付加的なコントローラ(例えば、構成要素固有のコントローラ)が、必要に応じて、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、(可変焦点長レンズである場合は)スキャンレンズ112、固定具、カメラ113、VOA、ビームサイズ調整機構などの構成要素と通信可能に連結された(そして当該構成要素に関連付けられた)ドライバの入力と通信可能に連結され得る。この実施形態において、それぞれの構成要素固有のコントローラは、コントローラ114と通信可能に連結され、コントローラ114から受信した1以上の制御信号に応答して1以上の制御信号(例えばトリガ信号など)を生成可能であってもよい。この1以上の制御信号は、その後、これと通信可能に連結されたドライバの入力に伝達され得る。この実施形態において、構成要素固有のコントローラは、コントローラ114に関して述べたのと同様に動作可能であってもよい。
【0067】
1以上の構成要素固有のコントローラが設けられる他の実施形態においては、ある構成要素(例えばレーザ源104)に関連付けられた構成要素固有のコントローラは、ある構成要素(例えば第1のポジショナ106など)に関連付けられた構成要素固有のコントローラと通信可能に連結され得る。この実施形態においては、構成要素固有のコントローラのうち1つ以上が、1以上の他の構成要素固有のコントローラから受信した1以上の制御信号に応答して、1以上の制御信号(例えばトリガ信号など)を生成可能である。
【0068】
G.ユーザインタフェイス
装置100は、(例えば、USB、RS-232、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fi、SERCOS、MARCO、EtherCATなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)コントローラ114と通信可能に連結されるユーザインタフェイス120をさらに含んでいてもよい。このユーザインタフェイス120は、1以上の出力デバイス、1以上の入力デバイス、又はこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。一般的に、出力デバイスは、人間が感知可能な刺激(例えば、視覚、聴覚、触覚など)を通じて情報を与えるかあるいは伝達することが可能な任意のデバイスである。出力デバイスの例としては、モニタ、プリンタ、スピーカ、触覚型アクチュエータなどが挙げられる。一般的に、入力デバイスは、例えば、装置100のユーザが、装置100を動作させるため(あるいは装置100の動作を簡単にするため)に命令、コマンド、パラメータ、情報などを提供することを可能にする任意のデバイスである。入力デバイスの例としては、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、マイクロフォン、カメラなどが挙げられる。
【0069】
H.通信モジュール
必要に応じて、装置100は、(例えば、USB、RS-232、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fi、SERCOS、MARCO、EtherCATなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)コントローラ114と通信可能に連結される通信モジュール122を含んでいる。通信モジュール122は、データを送信し、データを受信し、あるいはその両方を行うことができるようになっている。したがって、通信モジュール122は、有線又は無線リンクを介して他のデバイス又はネットワーク(例えばネットワーク124)にデータを送信及び/又は受信するための回路、アンテナ、コネクタなど、あるいはこれらを組み合わせたものを含み得る。一例では、通信モジュール122は、コントローラ114内のソフトウェア又はファームウェアと協働してシリアルポート(例えばRS232)、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、IRインタフェイスなど、又はこれらを任意に組み合わせたものとして機能するコネクタであり得る。他の例では、通信モジュール122は、RS-232C、IBM46XX、キーボードウェッジインタフェイスなど、又はこれらを任意に組み合わせたもののような複数の異なるホストインタフェイスプロトコルをサポートするユニバーサルインタフェイスドライバ用途向け集積回路(UIDA)であり得る。通信モジュール122は、当該技術分野において知られているような、USB、Ethernet、Bluetooth、wifi、赤外線(例えばIrDa)、RFID通信など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような他の既知の通信モードをサポートする1以上のモジュール、回路、アンテナ、コネクタなどを含んでいてもよい。コントローラ114とは別個の構成要素とするのではなく、既知の方法又は好適な方法で通信モジュール122をコントローラ114の一部として組み込んでもよいことは理解できよう。
【0070】
ネットワーク124は、(例えば、USB、RS-232、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fi、SERCOS、MARCO、EtherCATなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)装置100から離れた1以上のシステム(例えば、
図1に特定されるような遠隔システム126)と通信可能に連結され得る。一実施形態においては、遠隔システム126は、コンピュータ(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)、コンピューティングシステム(例えば、クラウドコンピューティングプラットフォーム)、(例えば、装置100のような他の装置に関連付けられた)他のコントローラ又は通信モジュールなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどのデバイスであり得る。遠隔システム126は、ユーザインタフェイス120に関して上記で例示的に述べたような1以上の出力デバイス、1以上の入力デバイス、又はこれらを任意に組み合わせたものを含むユーザインタフェイスを含むか、あるいはこれに連結され得ることを理解すべきである。遠隔システム126は、装置100のユーザにより、あるいは装置100の製造者により、あるいは装置100についてのメンテナンスを行う責務を負った技術者により、あるいはこれに類する者により、あるいはこれらを組み合わせた者により所有されるか操作されるデバイスであり得る。
【0071】
通信モジュール122とネットワーク124を介して、コントローラ114は、遠隔システム126との間で様々なデータを通信し得る。このため、遠隔システム126に出力することができるデータの例としては、上述した画像データ又は測定データ(以下で詳細に説明する)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。遠隔システム126により出力されるデータを(例えば、ネットワーク124及び通信モジュール122を介して)コントローラ114に入力して、装置100を動作させるための、あるいは装置100の動作に影響を与えるか簡単にするための命令、コマンド、パラメータ、情報などを表すようにしてもよい。
【0072】
I.ビーム特性評価ツール
必要に応じて、装置100は、レーザエネルギービームの1以上の特性を測定可能なビーム特性評価ツール128のような1以上のビーム特性評価ツールを含んでいる。ビーム特性評価ツール128で測定可能な特性の例としては、ビーム特性評価ツール128に照射された入射レーザエネルギービームのスポットにおける空間エネルギー分布、位相、偏波、パワーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。したがって、ビーム特性評価ツール128は、スリットセンサ、ナイフエッジセンサ、カメラ(例えば、CCD、CMOSなど)、波面センサ(例えば、シャック・ハルトマン波面センサなど)、あるいは当該技術分野において知られている他のレーザビームプロファイラなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものからなる群から選択される少なくとも1つのセンサとして提供され得る。ビーム特性評価ツール128は、測定されたビーム特性のうち1以上のものを表す測定データを生成し、その測定データを(例えば1以上の測定信号として)コントローラ114に出力することができる。必要に応じて、測定データ(あるいは、例えばコントローラ114により測定データから得られたデータ)をコントローラ114から遠隔システム126に(例えば、通信モジュール122及びネットワーク124を介して)送信することができる。
【0073】
図1に模式的に示されているように、ビーム特性評価ツール128は、当該技術分野において知られている任意の方法によりレーザエネルギービームの1以上の特性(本明細書ではそれぞれを総称して「ビーム特性」ともいう)を測定するように構成及び配置され得る。例えば、ビーム特性評価ツール128は、(例えば矢印128aで示されるように)ワークピース102がレーザエネルギービームにより加工される位置又はその近傍(本明細書では「プロセス領域」ともいう)で、あるいはビーム経路116に沿った位置(すなわちサンプリング位置)から、あるいはこれらを組み合わせた位置でレーザエネルギービームの1以上の特性を測定するように構成される。一実施形態においては、サンプリング位置は、(例えば矢印128bで示されるように)第2のポジショナ108とスキャンレンズ112との間にあってもよく、第1のポジショナ106と第2のポジショナ108との間にあってもよく、レーザ源104と第1のポジショナ106との間にあってもよく、あるいはこれに類似する位置にあってもよい。
【0074】
他の実施形態においては、ワークピース102での、あるいは固定具での、あるいは固定具の外側の領域での、あるいはこれに類する位置での、あるいはこれらを任意に組み合わせた位置でのスポットの像を取得するようにカメラ113(例えば、第1のカメラ、第2のカメラなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を動作させることができる。ある実施形態においては、その後、カメラ113により生成される画像データがスポットの空間エネルギー分布を表すように、その取得した像をカメラ113で処理してもよい。この場合には、カメラ113により出力される画像データを「測定データ」として考えることができ、カメラ113をビーム特性評価ツール128の一実施形態であると考えることができる
【0075】
J.レーザセンサシステム
一実施形態においては、装置100は、レーザエネルギー又はパワーを測定するように構成されたレーザセンサシステムを含んでいる。例えば、このレーザセンサシステムは、チャックに取り付けられ、スキャンレンズ112から伝搬されるレーザエネルギービームのレーザエネルギー又はパワーを測定するように構成され得る。他の例においては、装置100は、ビーム経路116に配置され、ビーム経路116に沿ってレーザセンサシステムに伝搬するレーザエネルギーの一部をそらすように構成される1以上の光学コンポーネントを含み得る。この例においては、レーザセンサシステムは、レーザエネルギーのそらされた部分のレーザエネルギー又はパワーを測定するように構成され得る。(例えば、レーザエネルギー又はパワーを測定することに応答して)レーザセンサシステムにより生成された測定データが、コントローラ114(及び必要に応じて遠隔システム126に)に出力され、(例えば、レーザパワーの変化を補償するための)リアルタイムパルスエネルギー制御、(例えば、RFパワー及び周波数などに対する第1のポジショナ106のAODシステムにおける透過の変化を補償するための)システム較正など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような様々な動作をサポートするようにこの測定データを処理することができる。レーザセンサシステムからの測定データを用いて実現され得る動作の例は、上述した米国特許第7,244,906号において、あるいは上述した米国特許出願公開第2014/0196140号、第2014/0263201号、又は第2014/0263223号又は国際公開第WO 2019/236616号において、あるいはこれに類するものにおいて、あるいはこれら任意に組み合わせたものにおいて述べられている。
【0076】
III.概してデータ及び情報に関する議論
(例えば上述のようにして)生成された測定データを(例えば、コントローラ114において、あるいは遠隔システム126などにおいて、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいて自動的に)レーザエネルギービームの1以上の空間的特性、レーザエネルギービームの1以上のエネルギー特性など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを予測、入手、認識、あるいは取得するために処理することができる。
【0077】
測定可能な空間的特性の例としては、空間エネルギー分布、空間位相分布、空間偏波分布、スポットサイズ、スポットサイズ、スポット形状、スポット方向、スポット重心、(例えば、当該技術分野において知られているようなM
2パラメータに代表されるような)スポット品質など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。任意の公知の又は好適な手法(例えば、真円度、丸み度などを計算するための公知の手法など)を用いてスポット形状を測定、計算、予測、あるいは決定し得る。例えば、真円度は、以下の式により決定され得る。
【数1】
ここで、Cはレーザエネルギービームに照射されるスポットの真円度、Aはそのスポットの面積、Pはそのスポットの領域の周囲の長さである。
【0078】
エネルギー特定の例としては、スポットフルエンス、パルスエネルギー(すなわちレーザエネルギービームが1以上のレーザエネルギーパルスを含む場合)、平均パワー、ピークパワーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。ある実施形態においては、パルスエネルギー(すなわちレーザエネルギービームが1以上のレーザエネルギーパルスを含む場合)、平均パワー、ピークパワーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような上述した特性のうち1つ以上を表すデータが、スポットフルエンスのようなエネルギー特性の決定を容易にするために使用され得る。また、パルス持続時間又はパルス繰り返し周波数(すなわちレーザエネルギービームが1以上のレーザエネルギーパルスを含む場合)などのような1以上の他の特性を表すデータも、1以上のエネルギー特定の決定を容易にするために使用され得る。そのようなデータが測定データとして生成されない場合には、(例えば、ユーザインタフェイス120、通信モジュール122などを介して)コントローラ114に入力されるか、あるいはコントローラ114、遠隔システム126など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに対してアクセス可能とされ得る。
【0079】
測定データを(例えば、ある期間にわたって、例えば、ワークピース102が加工されている間にわたって)周期的に、連続的に、あるいはあるイベントが起きる前又は後に、あるいはこれらを任意に組み合わせたタイミングで生成することができる。測定データの生成をトリガすることができるイベントの例としては、ワークピース102の加工の開始、1以上のワークピース102の加工の完了、所定の時間の装置100の動作、所定の時間のレーザ源104の動作など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。測定データの生成をトリガすることができるイベントの他の例としては、(例えば、ユーザインタフェイス120、遠隔システム126など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを介して入力された)1以上のビーム特性を測定する命令の受信が挙げられる。
【0080】
1以上の空間又はエネルギー特性(本明細書においては包括的に「スポットデータ」という)を表すデータが測定データから予測、入手、認識、あるいは取得されると、1以上の動作をサポートするために、(例えば、コントローラ114において、遠隔システム126などにおいて、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいて自動的に)このデータが解析され、操作され、アルゴリズムに入力され、あるいは処理され得る。
【0081】
測定データ、スポットデータ、又は他のデータ(例えば、パルス持続時間又はパルス繰り返し周波数を表すデータ、ワークピース102が加工された後に試験又は検査動作を行うときに生成又は取得されるデータ、デブリノズルの真空又は空気圧及び流量、固定具の真空圧力、第2のポジショナ108及び/又は第3のポジショナ110に関連付けられたポジションセンサのフィードバック、プロセスベイ(一般的に、プロセスベイとは、加工中にワークピース102が配置される空間をいう)内の温度及び/又は湿度など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような装置100の1以上の他の特性を表すデータである。装置100を取り囲む周囲環境内の温度及び/又は湿度を表す他のデータなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものも保存され得る。プロセスベイ内の温度及び/又は湿度、周囲環境内の温度及び/又は湿度などを表すデータを1以上の既知の種類の温度センサ、湿度センサなどにより生成できることは理解できよう。そのようなセンサは、
図1において130で包括的に示されている。保存され得る他のデータとしては、1以上のポジショナ(例えば、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)に関連付けられたフィードバック信号を表すデータが挙げられる。さらに他のデータは、(例えば、そのようなデータをコントローラ114において、遠隔システム126などにおいて、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいて処理することにより)測定データ、スポットデータ又は上述したデータのいずれかから入手され得、また保存され得る。そのような入手データの例としては、特徴部の形成中に照射されたレーザエネルギーの総量、特徴部の形成中に照射されたレーザエネルギーのパルス平均量(すなわち、特徴部の形成中に照射されたレーザエネルギーの総量を特徴部の形成中に照射されたパルスの数で割ったもの)、レーザエネルギーのnパルス移動平均量(すなわち、「n」はユーザにより設定可能であるか、予め決められているものとして、特徴部の形成中に照射されたレーザエネルギーの量の移動平均をn個のパルスで割ったもの)などが挙げられる。入手データの他の例は、(例えば、第2のポジショナ108のようなポジショナにより生じるような)位置決め誤差の存在、その位置決め誤差の大きさなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを示しており、この位置決め誤差は、ポジショナに関連付けられたフィードバック信号から入手され得る。そのような保存データのすべては、総称して「プロセス制御データ」ということができる。
【0082】
また、プロセス制御データは、(例えば、加工前、加工中、又は加工後、あるいはこれらを任意に組み合わせた時期に)測定されたワークピース102の1以上の測定特性を表すデータも含み得る。そのようなデータの例としては、ワークピース102の1以上の構成要素構造又はワークピース全体の厚さ、ワークピース102の表面品質(例えば、スクラッチ、ピットなどの表面欠陥の特性)、ワークピース102の反射率、ワークピース102の温度、スキャンレンズ112(又はスキャンヘッド)からワークピース102までの距離など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。これらの特性は、ワークピース102のある領域に特徴部が形成される前に、その領域に特徴部が形成されている間に、あるいはその領域に特徴部が形成された後に、あるいはこれらを任意に組み合わせた時点でその領域において測定することができる。このプロセス制御データを生成するために使用することができる当該技術分野において知られているセンサの例としては、(例えば様々な照明方法を有する)カメラ、レーザ変位センサ、共焦点レーザセンサ、干渉計、誘導コーティング厚さゲージ、スタイラスプロフィルメータ、タッチプローブなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。また、そのようなセンサは、
図1において130で包括的に示されている。
【0083】
一般的に、自動光学検査(AOI)システム、自動X線検査(AXI)システム、インサーキット試験(ICT)システム、ウェハプローブシステムなどにより試験又は検査動作を行うことができる。一実施形態においては、ワークピース102の外観検査は、装置100に組み込まれた1以上のカメラ(すなわち、上述した「検査システム」)により行うことができる。
【0084】
プロセス制御データは、補助情報と関連付けて保存され得る。一般的に、(補助情報に関する)プロセス制御データの保存は、1以上のデータベースを用いることによりなされる。これらのデータベースは、ローカルに(例えば、コントローラ114のコンピュータメモリ又はコントローラ114にアクセス可能なコンピュータメモリ上に)存在してもよいし、あるいは、装置100から離れた場所に(例えば、遠隔システム126のコンピュータメモリ又は遠隔システム126にアクセス可能なコンピュータメモリ上に)位置していてもよく、これに類するものでもよく、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであってもよい。
【0085】
プロセス制御データと関連付けることができる補助情報の例としては、装置100のアイデンティティ(例えば、シリアル番号、モデル番号など)、装置100により加工される(又は加工された)ワークピース102のアイデンティティ(例えば、バッチ又はロット番号、シリアル番号、モデル番号など)、ワークピース102に形成される(又は形成された)それぞれの特徴部のアイデンティティ(又は位置)、プロセス制御が生成された又は取得された日付及び/又は時刻など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを表す情報が挙げられる。例えば、ワークピース102の加工中に第1の特徴部が形成された際に生成された測定データから取得されるプロセス制御データ(例えば、レーザエネルギー、ピークパワー、平均パワー、パルス繰り返し率、スポットサイズなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを表すデータ)は、第1の特徴部(又はワークピース102における第1の特徴部の位置)を一意に特定する補助情報に関連付けることができ、ワークピース102中に第2の特徴部が形成された際に生成された測定データから取得されるプロセス制御データ(例えば、レーザエネルギー、ピークパワー、平均パワー、パルス繰り返し率、スポットサイズなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを表すデータ)は、第2の特徴部(又はワークピース102における第2の特徴部の位置)を一意に特定する補助情報に関連付けることができ、以降同様である。ワークピース102に形成される特徴部の位置は、ユーザにより提供される情報又は装置100により生成される情報(例えば、プロセス軌跡を記述したCADファイル、又は他のツール経路ファイルなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)と、1以上のカメラ(例えばカメラ113)により取得された整列点から形成され得る縮尺パラメータに基づいて識別することができる。
【0086】
また、補助情報は、ワークピース102が加工される前、加工中、加工後、あるいはこれらを任意に組み合わせた時点に存在するワークピース102の1以上の特性を記述した「ワークピース情報」を含み得る。ワークピース情報の例としては、1以上の構成要素構造ワークピース102全体の材料構成、ロット番号、パネル番号、厚さマップなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。また、補助情報は、ワークピース102が加工される(又は加工された)方法を記述し、ワークピース102に形成される特徴部の種類、ワークピース102に形成される特徴部の位置など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを記述し得る「適用情報」も含み得る。ワークピース情報及び適用情報は、任意の好適な方法により(例えば、ユーザがユーザインタフェイス120、遠隔システム126など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものと相互作用することにより)提供され得る。ある実施形態においては、ワークピース情報又は適用情報は、機械読取可能な表示(例えば、カメラ113のような装置100の構成要素により取得及び識別され得る1以上のマーキング)により符号化されていてもよい。他の実施形態においては、機械読取可能な表示は、カメラ113のような装置100の構成要素により取得及び識別され得るリンク(例えば、ワークピース情報又は適用情報を含むネットワークリソースに対するURL)を符号化し得る。
【0087】
プロセス制御データが保存されると、1以上の動作をサポートするために、(例えば、コントローラ114において、遠隔システム126などにおいて、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいて)このプロセス制御データが後に解析され、操作され、アルゴリズムに入力され、あるいは処理され得る。そのような動作の実施形態の例が以下の「指示された検査」という表題のセクションにおいてより詳細に述べられる。
【0088】
A.指示された検査
ワークピース102を加工してワークピース102に複数の特徴部(例えば、非貫通ビアホール、貫通ビアホール、又はこれらの組み合わせ)を形成した後、上述したプロセス制御データのいずれかが(例えば、これに関連付けられて保存されている補助情報に関連して)処理され、検査すべき特徴部は欠陥を有している可能性が比較的高いので、そのような特徴部を特定し得る。一般的に、この処理(以下、「特徴部候補選択」プロセスという)は、コントローラ114において、遠隔システム126などにおいて、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいて行うことができる。本明細書では、検査することが特定された特徴部を「特徴部候補」という。
【0089】
特徴部候補が特定された後、それぞれの特徴部候補がカメラ113の視野に移動するように第3のポジショナ110を動作させ、その視野内に位置するそれぞれの特徴部候補の画像を取得するようにカメラ113を動作させることができる。本明細書では、特徴部候補の画像を取得するように第3のポジショナ110及びカメラ113を動作させるプロセスを「検査」という。ワークピース102に形成された特徴部候補だけを検査するのに必要な時間は、ワークピース102に形成されたすべての特徴部を検査するのに必要な時間よりもずっと短いことは理解できよう。また、ワークピースに形成された特徴部をランダムにサンプリングするのではなく特徴部候補だけを検査することにより、欠陥を有する特徴部を含むワークピース102の領域が検査中に見過ごされる可能性が低減することも理解できよう。
【0090】
i.特徴部候補選択に関する追加の議論
上述したように、特徴部候補選択プロセスがプロセス制御データ及び関連する補助情報に適用され、検査のための特徴部候補が特定される。ある実施形態においては、特徴部候補選択プロセスは、1以上の分析方法及び(例えば、実験的に決定され得るか、あるいはコンピュータモデリング又はシミュレーションの結果として特定され得る)統計的閾値、1以上の機械学習アルゴリズムなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものをプロセス制御データのいずれかに適用して、いずれの加工済み特徴部が欠陥である可能性が比較的高いかを予想又は決定する。当該技術分野において知られている1以上の好適な分析方法及び機械学習アルゴリズムを実施して特徴部候補選択プロセスを簡単にできることは理解できよう
【0091】
先験的で経験豊富なプロセスエンジニアは、この特徴部候補選択プロセスのための分析方法を開発し、適切な閾値を設定することができる。しかしながら、そのようなプロセス制御データ、特徴部候補選択プロセス、1以上の検査システム、1以上のカメラ(例えばカメラ113)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを連結することで、機械学習アルゴリズムを用いることによって自動的に、あるいは、経験豊富な人によるマニュアルのオフライン統計的相関関係を用いることによって、学習フィードバックループを作成することができる。
【0092】
特徴部候補選択プロセスは、欠陥を有する可能性が比較的高いものとして予想又は決定されたそれぞれの特徴部のプロセス制御データ又は補助情報(ワークピース102内又はプロセス軌跡に沿ったそれぞれの特徴部のアイデンティティ又は位置を含む)含むデータ構造(例えばリスト)を出力として生成することができる。特徴部に対する予想又は決定された可能性の出力は、後の分析のため、トレーサビリティのためなど、あるいはこれらを任意に組み合わせた目的のために使用され得る補助情報として当該特徴部と関連付けて保存できることは理解できよう。
【0093】
必要に応じて、特徴部候補選択プロセスのある態様を(例えば、ユーザインタフェイス120、遠隔システム126など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを介して提供される)ユーザからの入力に基づいて調整してもよい。例えば、ユーザは、出力されたデータ構造中に何個の特徴部(例えば絶対的又は相対的な意味で)が含まれるべきであるかを特定することができる。他の例においては、ユーザは、欠陥があるとするための予想又は決定基準を満足する特徴部が出力されたデータ構造中に含まれるべきであることを特定することができる。
【0094】
a.特徴部候補選択に関する実施形態の例
ある実施形態においては、特徴部候補選択プロセスは、(例えば、それぞれの特徴部の形成中、それぞれの特徴部を形成する際の特定の工程中など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの間に)ワークピース102に伝搬されるレーザエネルギーを(例えば、上述したように総量、平均量などで)少なくとも表すプロセス制御データに適用され得る。この場合において、プロセス制御データを分析する際に使用され得る統計的閾値は、(例えば、1以上の関連するワークピース情報及び/又は適用情報に基づく予め決められた1以上の設定値に対する)正又は負の最大レーザエネルギー偏差のような閾値を含み得る。一般的に、特徴部の形成中に伝搬される(又は特徴部を形成するプロセス中の特定の工程中に伝搬される)レーザエネルギーの総量又は平均量が、正の最大レーザエネルギー偏差を超える場合には、特徴部を形成するために使用されるレーザエネルギーが過多であるために最終的に形成される特徴部は欠陥を有するものとなりやすい。過多なレーザエネルギーで形成される特徴部(例えば、非貫通ビアホール、トレンチ、凹部など)は、特徴部に露出する材料又は特徴部に近い材料が好ましくない程度にダメージを受け得る(例えば、溶融し、アブレートされ、クラックが生じるなど)か、あるいは、特徴部自体が好ましくないサイズ又は形状を有するか、好ましくないテーパ、張り出しなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを有し得るので、欠陥を有するものとみなすことができる。同様に、特徴部の形成中に伝搬される(又は特徴部を形成するプロセス中の特定の工程中に伝搬される)レーザエネルギーの総量又は平均量が、負の最大レーザエネルギー偏差を超える場合には、特徴部を形成するために使用されるレーザエネルギーが過少であるために最終的に形成される特徴部が欠陥を有するものとなりやすい。過少レーザエネルギーで形成される特徴部(例えば、非貫通ビアホール、トレンチ、凹部など)は、必要とされる特徴部を形成するために十分な材料がワークピース102から除去されないので、欠陥を有するものとみなすことができる。
【0095】
ii.検査に関する追加の議論
特徴部候補選択プロセスの出力において特定されたそれぞれの特徴部候補の位置は、検査中に第3のポジショナ110の動作を制御するために使用することができる。一実施形態においては、ワークピース102上に投影されるカメラ113の視野との間の横方向のオフセットを補償するために、(例えば、X方向及び/又はY方向における)オフセットをそれぞれの位置に適用することができる。一般的に、特徴部候補選択プロセスの出力に基づいて(例えば、コントローラ114において、遠隔システム126などにおいて、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいて)計算され得る経路又は軌跡(本明細書では「検査軌跡」ともいう)に沿ってワークピース102とカメラ113(すなわち、ワークピース102上に投影されるカメラの視野)との間で相対運動を生じさせるように検査中に第3のポジショナ110の動作を制御することができる。一実施形態においては、ワークピース102の加工中に形成される特徴部を検査するために使用される検査軌跡は、ワークピース102の加工中に特徴部を形成するために使用されるプロセス軌跡に対応する。他の実施形態においては、検査軌跡は、ワークピース102の加工中に特徴部を形成するために使用されるプロセス軌跡に対応していない。この場合には、検査軌跡は、カメラ113が加工済みワークピース102におけるそれぞれの特徴部候補の画像を取得することを可能にする最適化経路又はルートを表し得る。
【0096】
検査中にカメラ113により生成される画像データ(すなわち、その視野内に取得した画像を表すデータ)は、コントローラ114に(例えば1以上の画像信号として)出力され、その後、特徴部が適切に形成されたか否か(すなわち欠陥を有するか否か)を決定するために当該技術分野において知られている所望の又は好適な方法で(例えば、コントローラ114で、遠隔システム126で、ユーザにより、あるいはこれに類する方法で、あるいはこれらを任意に組み合わせた方法で)解析され、操作され、アルゴリズムに入力され、あるいは処理され得る。特徴部候補の取得画像を表している画像データは、後の分析のため、トレーサビリティのためなど、あるいはこれらを任意に組み合わせた目的のために使用され得る補助情報として当該特徴部と関連付けて保存できることは理解できよう。
【0097】
a.指示された検査及び分類と関連付けられたマニュアル態様
一実施形態においては、それぞれの特徴部候補がカメラ113の視野に移動するように第3のポジショナ110を(例えば、ユーザインタフェイス120を通じたユーザの相互作用、遠隔システム126を通じたユーザの相互作用など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを介して)マニュアルで動作させることができ、(例えば、ユーザインタフェイス120を通じたユーザの相互作用、遠隔システム126を通じたユーザの相互作用など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを介して)カメラ113をその視野内に位置するそれぞれの特徴部候補の画像を取得するように動作させることができる。取得された画像は(例えば、ユーザインタフェイス120、遠隔システム126など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののモニタにより)表示され得る。ユーザは、表示された画像に関連付けて、例えば、欠陥のあるものとして又は欠陥のないものとして、特徴部を(例えば、ユーザインタフェイス120又は遠隔システム126などの入力デバイスを介して)手動で分類することができる。
【0098】
b.指示された検査及び分類と関連付けられた自動化態様
他の実施形態においては、第3のポジショナ110及びカメラ113の動作を(例えば、コントローラ114、遠隔システム126など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)自動的に行い、それぞれの特徴部候補の検査及び分類を行うことができる。この実施形態においては、検査済み特徴部を、例えば、欠陥のあるものとして又は欠陥のないものとして分類するために、検査の結果として生成された画像データを任意の好適な画像認識手法を用いて処理することができる。特徴部候補をカメラ113の視野に移動させるように第3のポジショナ110が動作しているとき、第3のポジショナ110の動作が落ち着き、特徴部候補がカメラ113の視野内で静止した後、あるいはこれらを任意に組み合わせたタイミングで画像を取得することができる。
【0099】
c.指示された検査及び分類と関連付けられた半自動化態様
さらに他の実施形態においては、第3のポジショナ110及びカメラ113の動作を半自動的に行い、それぞれの特徴部候補の検査及び分類を行うことができる。この実施形態においては、カメラ113にそれぞれの特徴部候補の画像を取得させるように第3のポジショナ110を(例えば、コントローラ114、遠隔システム126など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)動作させる。その後、取得された画像は(例えば、ユーザインタフェイス120、遠隔システム126など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののモニタにより)表示され得る。ユーザは、表示された画像に関連付けて、例えば、欠陥のあるものとして又は欠陥のないものとして、特徴部を(例えば、ユーザインタフェイス120又は遠隔システム126などの入力デバイスを介して)手動で分類することができる。手動で入力された特徴部候補の分類についてのプロセスの例は、以下で
図2に関してより詳細に述べられる。
【0100】
図2では、プロセス200のようなプロセスが、特徴部候補のマニュアル分類を容易にするために実行され得る。
図2を参照すると、S202では、検査された未分類の特徴部候補の画像が(例えば、ユーザインタフェイス120を介して、遠隔システム126のユーザインタフェイスを介してなど)ユーザに対して表示される。必要に応じて、特徴部候補に関する他の情報、ワークピース102内での特徴部候補のアイデンティティ又は位置に関する他の情報も(例えば、ユーザインタフェイス120を介して、遠隔システム126のユーザインタフェイスを介してなど)ユーザに対して表示される。S204では、現在表示されている特徴部候補を分類したいか否かを示すことを(例えば、ユーザインタフェイス120を介して、遠隔システム126のユーザインタフェイスを介してなど)ユーザに促す。ユーザが特徴部候補を分類することに同意すれば、S206において、ユーザは、表示された画像に基づいて(例えば、ユーザインタフェイス120を介して、遠隔システム126のユーザインタフェイスを介してなど)特徴部候補を(例えば、「欠陥のあるもの」又は「欠陥のないもの」として)分類する。未分類の特徴部候補が残っている場合には、上述したプロセスが繰り返される。S208では、他の未分類の特徴部候補を分類したいか否かを示すことを(例えば、ユーザインタフェイス120を介して、遠隔システム126のユーザインタフェイスを介してなど)ユーザに促す。他の未分類の特徴部候補が検査される場合には、新しい未分類の特徴部候補に対して上述したプロセスが繰り返される。S208において、未分類の特徴部候補が残っていない場合には、プロセスが終了する。S204において、ユーザが現在表示されている特徴部候補を分類したくないと(ユーザインタフェイス120を介して、遠隔システム126のユーザインタフェイスを介してなど)示した場合には、プロセスはS208に進む。
【0101】
iii.指示された検査に関する他の態様
(手動又は自動で分類されているかを問わず)検査された特徴部候補の分類に関する情報は、後の分析のため、トレーサビリティのためなど、あるいはこれらを任意に組み合わせた目的のために使用され得る補助情報として特徴部と関連付けて保存できることは理解できよう。
【0102】
上述した実施形態は、これまで検査中に装置100(例えば、第3のポジショナ110、カメラ113、又はこれらの組み合わせ)の動作を制御するために特徴部候補選択プロセスの出力をどのように使用できるかについて説明してきた。しかしながら、他の実施形態においては、特徴部候補選択プロセスの出力は、(例えば、上述したような)装置100の一部ではない検査システム(「遠隔検査システム」ともいう)に対する入力となり得る。特定された特徴部候補の検査を行うことができる遠隔検査システムの例としては、AOI、AXIシステム、ICT)システム、ウェハプローブシステムなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。
【0103】
一実施形態においては、遠隔検査システムは、遠隔システム126の実施形態であり、そのため、コントローラ114は、特徴部候補選択プロセスの出力を遠隔検査システム(すなわち遠隔システム126)にネットワーク124を介して送信可能である。しかしながら、他の実施形態においては、コントローラ114は、特徴部候補選択プロセスの出力を任意の機械読取可能媒体に(例えば、通信モジュール122のUSBポートに挿入されたフラッシュドライブに)書き出すことが可能であるか、あるいはその出力が遠隔システム126に接続される好適な又は所望の機械読取可能媒体(例えばフラッシュドライブ)に記録できる特徴部候補選択を他のシステム(例えば遠隔システム126)に送信することが可能である。その後、機械読取可能媒体により保存された特徴部候補選択の出力を遠隔検査システムに任意の好適な又は所望の方法により入力することができる。
【0104】
XIII.結論
上記は、本発明の実施形態及び例を説明したものであって、これに限定するものとして解釈されるものではない。いくつかの特定の実施形態及び例が図面を参照して述べられたが、当業者は、本発明の新規な教示や利点から大きく逸脱することなく、開示された実施形態及び例と他の実施形態に対して多くの改良が可能であることを容易に認識するであろう。したがって、そのような改良はすべて、特許請求の範囲において規定される本発明の範囲に含まれることを意図している。例えば、当業者は、そのような組み合わせが互いに排他的になる場合を除いて、いずれかの文や段落、例又は実施形態の主題を他の文や段落、例又は実施形態の一部又は全部の主題と組み合わせることができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲とこれに含まれるべき請求項の均等物とによって決定されるべきである。
【国際調査報告】