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特表2023-525736多区画液体貯蔵部を有するエアロゾル発生物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】多区画液体貯蔵部を有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20230612BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20230612BHJP
   A24F 40/30 20200101ALI20230612BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20230612BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/10
A24F40/30
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567764
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2021062570
(87)【国際公開番号】W WO2021228912
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】20175050.2
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】オズスン オズギュル
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC06
4B162AC17
4B162AC22
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品に関する。物品は、外側管状壁、および貯蔵部本体の内側空隙を第一の区画および第二の区画に分割するように外側管状壁の二つの対向する内側部分の間に延びる内側仕切り壁を、含む、端の開いた中空円筒状の貯蔵部本体を備え、第一の区画および第二の区画は、貯蔵部本体の長軸方向軸に沿って互いに横方向に隣接して配設される。さらに、物品は、貯蔵部本体の第一の端に取り付けられた第一のエンドキャップを備え、第一のエンドキャップは、少なくとも貯蔵部本体の第一の端において第一の区画を密封するように閉じる。物品は、貯蔵部本体の第二の端に取り付けられた第二のエンドキャップをさらに備え、第二のエンドキャップは、貯蔵部本体の第二の端において第一の区画および第二の区画を密封するように閉じる。第二のエンドキャップは、第一の区画と第二の区画との間の流体連通を提供する流体通路を含む。本開示はまた、こうした物品と、物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムに関する。本開示はさらに、こうした物品の製造方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品であって、
外側管状壁、および貯蔵部本体の内側空隙を第一の区画および第二の区画に分割するように前記外側管状壁の二つの対向する内側部分の間に延びる内側仕切り壁、を含む、端の開いた中空円筒状の貯蔵部本体であって、前記第一の区画および前記第二の区画が、前記中空円筒状の貯蔵部本体の長軸方向軸に沿って互いに横方向に隣接して配設される、端の開いた中空円筒状の貯蔵部本体と、
前記貯蔵部本体の第一の端に取り付けられ、少なくとも前記貯蔵部本体の前記第一の端において前記第一の区画を密封するように閉じる、第一のエンドキャップと、
前記貯蔵部本体の第二の端に取り付けられ、前記貯蔵部本体の前記第二の端において前記第一の区画および前記第二の区画を密封するように閉じる、第二のエンドキャップであって、前記第一の区画と前記第二の区画との間に流体連通を提供する流体通路を含む、第二のエンドキャップと、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記貯蔵部本体が、押出成形体、特に、一体押出成形体である、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記外側管状壁内の前記内側仕切り壁の配設が、前記貯蔵部本体の前記長軸方向軸に対して直角を成す前記貯蔵部本体の断面に対して非対称である、請求項1または2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記第一のエンドキャップが、前記第二の区画と前記物品の外部との間に流体連通を提供する出口を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記第一のエンドキャップが、マウスピースとして形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記第一のエンドキャップおよび前記第二のエンドキャップが、形態嵌合、力嵌合、または接着剤結合のうちの少なくとも一つによって前記貯蔵部本体に取り付けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記第二のエンドキャップが、前記第一の区画と前記第二の区画との間に流体連通を提供する陥凹部またはチャネルを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記仕切り壁の二つの対向する部分と前記外側管状壁との間の前記第二の区画の最大寸法が、0.2ミリメートル~5ミリメートル、特に0.5ミリメートル~3ミリメートル、好ましくは1ミリメートル~2.5ミリメートルの範囲内である、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記第二の区画の体積が、前記第一の区画の体積の最大で50パーセント、特に最大で40パーセント、好ましくは最大で30パーセント、より好ましくは最大で20パーセントである、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記第二の区画内に、横断方向、特に、前記貯蔵部本体の前記長軸方向軸に対して直角を成す方向に配設されたブッシングを備え、前記ブッシングが、前記第二の区画を気化ゾーンおよびバッファ貯蔵部に分割する、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
エアロゾル形成液体を前記バッファ貯蔵部から前記気化ゾーンに搬送するための前記ブッシングを通過する液体導管をさらに備える、請求項10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記液体導管が、誘導加熱可能である、請求項11に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
エアロゾル発生装置と、前記装置とともに使用するための、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品の製造方法であって、
- 前記端の開いた中空円筒状の貯蔵部本体を押出成形することであって、前記貯蔵部本体が、前記貯蔵部本体の前記長軸方向軸に沿って一定の断面プロファイルを有する、押出成形することと、
- 前記第一のエンドキャップおよび前記第二のエンドキャップを提供することと、
- 前記第一のエンドキャップを前記貯蔵部本体の前記第一の端に取り付け、前記第二のエンドキャップを前記貯蔵部本体の前記第二の端に取り付けることと、を含む、方法。
【請求項15】
前記第一のエンドキャップまたは前記第二のエンドキャップのうちの少なくとも一方を前記貯蔵部本体の前記第一の端および前記貯蔵部本体の前記第二の端にそれぞれ取り付けた後に、エアロゾル形成液体を前記第一の区画内に充填することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品に関し、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成液体を貯蔵するための液体貯蔵部を備える。本開示はまた、こうした物品と、物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置とを備えるエアロゾル発生システムに関する。本開示はさらに、こうした物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成液体を加熱することによって吸入可能なエアロゾルを発生することは、従来技術から一般的に公知である。このために、液体エアロゾル形成基体は、液体導管、例えば、芯要素によって、液体貯蔵部から貯蔵部の外部の領域に搬送されてもよい。そこで、液体はヒーターによって気化され、その後、吸入可能なエアロゾルを形成するように空気経路に露出されてもよい。液体貯蔵部および液体導管の両方は、物品内に貯蔵されたエアロゾル形成液体を気化するためにエアロゾル発生装置の中に挿入されるように構成されたエアロゾル発生物品の一部であってもよい。様々な目的のために、例えば、複数のエアロゾル形成液体を物品に貯蔵するため、または各々が特定の機能を有するいくつかの部分を提供するために、液体貯蔵部はいくつかの区画に分割され得る。こうした多区画エアロゾル発生物品の様々な構成がある。しかしながら、これらの構成の多くは複雑であり、それ故に製造に手間がかかる。
【0003】
したがって、先行技術の解決策の利点を有しつつも、それらの制限を軽減する、多区画液体貯蔵部を備えたエアロゾル発生物品を有することが望ましい。特に、製造が容易かつ安価である、多区画液体貯蔵部を有するエアロゾル発生物品を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明によると、エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品が提供されている。物品は、外側管状壁、および貯蔵部本体の内側空隙を第一の区画および第二の区画に分割するように外側管状壁の二つの対向する内側部分の間に延びる内側仕切り壁を、含む、端の開いた管状の、特に中空円筒状の貯蔵部本体を備える。第一の区画および第二の区画は、貯蔵部本体の長軸方向軸に沿って互いに横方向に隣接して配設される。さらに、物品は、貯蔵部本体の第一の端に取り付けられた第一のエンドキャップを備え、第一のエンドキャップは、少なくとも貯蔵部本体の第一の端において第一の区画を密封するように閉じる。物品は、貯蔵部本体の第二の端に取り付けられた第二のエンドキャップをさらに備え、第二のエンドキャップは、貯蔵部本体の第二の端において第一の区画および第二の区画を密封するように閉じる。第二のエンドキャップは、第一の区画と第二の区画との間の流体連通を提供する流体通路を含む。
【0005】
本発明によると、物品の製造方法は、別個に製造する際に製造が容易かつ安価な個々の部品から物品を組み立てることによって、促進され得ることが見出された。その意味で、物品は、端の開いた中空円筒状の貯蔵部本体、第一のエンドキャップ、および第二のエンドキャップを別個に製造することによって、そしてその後、第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に取り付け、第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付けることによって、容易に製造され得る。すなわち、貯蔵部本体、第一のエンドキャップ、および第二のエンドキャップは、別個の部品、特に、非一体型の部品である、すなわち、互いに一体的に形成されない。特に、貯蔵部本体、第一のエンドキャップ、および第二のエンドキャップは、第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に取り付け、第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付ける前は、互いから分離されている。さらに、第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に取り付け、第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付けた後でさえ、貯蔵部本体、第一のエンドキャップ、および第二のエンドキャップは依然として別個の(非一体型の)部品であり、特に、互いに一体的に形成されない。また、貯蔵部本体が端の開いた中空円筒状であるという事実によっても、製造が単純化される。すなわち、少なくとも外側管状壁は、円筒形状を有し、それ故に、その長軸方向軸に沿って、すなわち、貯蔵部本体の長軸方向軸(円筒軸)に沿って固定の断面形状を有する。このため、少なくとも貯蔵部本体の外側管状壁は、押出成形によって製造され得る。その後、内側仕切り壁が、貯蔵部本体の内側空隙を第一の区画および第二の区画に分割するように、外側管状壁の二つの対向する内側部分間に取り付けられ得る。したがって、貯蔵部本体は、少なくとも部分的に押出成形体である。この構成では、外側管状壁および仕切り壁は、接着剤結合、例えば、溶接または接着によって互いに取り付けられてもよい。有利なことに、接着剤結合は、第一の区画と第二の区画との間に封止を提供し、仕切り壁および外側管状壁が一体になる。
【0006】
仕切り壁は、貯蔵部本体の長軸方向軸に平行であることが好ましい。すなわち、外側管状壁および内側仕切り壁の断面プロファイルは、貯蔵部本体の長軸方向軸に沿って一定である。結果として、貯蔵部本体は、全体として、その長軸方向軸に沿って一定の断面プロファイルを有する。有利なことに、これにより、貯蔵部本体全体を押出成形により製造することが可能となる。したがって、貯蔵部本体は、全体として押出成形体であり得る。特に、外側管状壁および内側仕切り壁は、互いに一体型であってもよい。したがって、貯蔵部本体を全体として一度で押出成形し得る。すなわち、貯蔵部本体は、一体押出成形体であってもよい。一体押出成形貯蔵部本体は、特に製造が容易かつ安価である。さらに、一体押出成形貯蔵部本体は、第一の区画と第二の区画との間の封止を必要とせず、仕切り壁と外側管状壁が一体になる。
【0007】
別の方法として、外側管状壁および内側仕切り壁は、押出成形によって別個の部品として製造されてもよい。その後、押出成形された内側仕切り壁が、貯蔵部本体の内側空隙を第一の区画および第二の区画に分割するように、押出成形された外側管状壁の二つの対向する内側部分間に取り付けられ得る。好ましくは、既に上述したように、外側管状壁および仕切り壁は、接着剤結合、例えば、溶接または接着によって互いに取り付けられてもよい。
【0008】
他の製造プロセスに対する押出成形の主な利点は、複雑な断面を作り出す能力、および押出成形プレス中は圧縮応力およびせん断応力を受けるのみであるため、脆い材料に対して機能する能力である。押出成形はまた、良好な表面仕上げを有する部品を形成する。
【0009】
一般に、押出成形は連続的または半連続的であり得る。半連続的な押出成形は、多くの個々の部品を直接製造することを可能にする。対照的に、連続的な押出成形は、連続体プロファイルの製造を可能にし、連続体プロファイルはその後、例えば、切断によって個体へと分離され得る。したがって、貯蔵部本体が一部のみが押出成形体であるか全体として押出成形体であるかにかかわらず、貯蔵部本体は、連続的な押出成形または半連続的な押出成形のいずれかによって製造され得る。
【0010】
また、貯蔵部本体、特に、外側管状壁および内側仕切りのうちの少なくとも一つを射出成形によって製造することも可能である。同様に、第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップのうちの少なくとも一つを、射出成形によって製造してもよい。それらの形状に応じて、第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップのうちの少なくとも一つを押出成形によって製造することも可能である。
【0011】
外側管状壁、それ故に貯蔵部本体は、任意の外側断面形状を有してもよい。外側断面形状とは、貯蔵部本体の長軸方向軸に対して直角を成す外側管状壁および貯蔵部本体を通した断面図に見られる、外側管状壁および貯蔵部本体の輪郭の形状を指す。したがって、貯蔵部本体、特に外側管状壁は、円形、楕円形、長円形、三角形、長方形、四角形、六角形、または多角形の外側断面形状を有してもよい。
【0012】
外側管状壁内の内側仕切り壁の配設は、貯蔵部本体の長軸方向軸に対して直角を成す貯蔵部本体の断面に対して非対称であってもよい。この構成は、異なる体積を有する第一の区画および第二の区画を実現するのに使用され得る。すなわち、第一の区画は、第二の区画の体積とは異なる、特に大きいかまたは小さい体積を有し得る。
【0013】
異なる体積の第一の区画および第二の区画を使用して、異なる量のエアロゾル形成を物品内に貯蔵し得る。例えば、第一の区画は、第二の区画の体積よりも小さい体積を有してもよい。この構成では、第一の区画は、主貯蔵部として使用されてもよく、第二の区画は、少なくとも部分的にバッファ貯蔵部として使用されてもよい。この構成の詳細については、以下でさらに詳細に説明する。
【0014】
仕切り壁の非対称な配設はまた、第一の区画または第二の区画のうちの一つが少なくとも部分的に気化ゾーンとして機能し、エアロゾル形成液体が、気化ゾーン内でサセプタを使用して誘導加熱によって気化され得る場合に特に有利である。したがって、物品は、エアロゾル発生物品の幾何学的中心軸に対して中心を外れて配設されるサセプタを含む気化ゾーンを備えてもよい。このため、気化ゾーンおよびサセプタは、気化ゾーン内でエアロゾル形成液体を加熱するためにその中にエアロゾル発生物品が挿入され得る、誘導加熱エアロゾル発生装置によって発生される交番磁界の対称軸に対して、中心を外れて配設可能であってもよい。有利なことに、中心を外れた配設のために、気化ゾーンおよびサセプタは、対称中心配設と比較して、より高い磁場密度を有する交番磁界の領域内に配設される。結果として、加熱効率が強化される。
【0015】
貯蔵部本体の長軸方向軸に平行な方向の内側仕切り壁の長さ延長部は、外側管状壁の長さ延長部と等しくてもよい。有利なことに、この構成は特に、特に押出成形による製造が容易かつ安価である。
【0016】
同様に、貯蔵部本体の長軸方向軸に平行な方向の内側仕切り壁の長さ延長部は、外側管状壁の長さ延長部よりも短くてもよい。すなわち、内側仕切り壁は、その長さ延長部に沿って外側管状壁に対して陥凹されてもよい。陥凹した内側仕切り壁は、有利なことに、第一の区画と第二の区画との間に直接的な流体連通を提供し得る。
【0017】
第一のエンドキャップは、第二の区画と物品の外部との間の流体連通を提供する出口を含み得る。出口は、物品内に貯蔵されたエアロゾル形成液体の出口として機能し得る。同様に、出口は、エアロゾル発生物品内で内部に貯蔵されたエアロゾル形成液体から発生されるエアロゾルが物品から排出される、特に、物品から引き出される出口として機能し得る。
【0018】
特に後者の事例に関して、エアロゾル発生物品は、出口内に配設または出口に取り付けられたフィルターをさらに備え得る。フィルターは、エアロゾルの望ましくない構成成分を濾別するために使用されてもよい。フィルターはまた、追加材料(例えばエアロゾルに添加される風味材料)を含んでもよい。
【0019】
エアロゾル発生は、マウスピースをさらに備える。本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、物品からエアロゾルを直接吸入するために、ユーザーの口の中に定置される物品の一部分を意味する。マウスピースは、物品のその他の部分、特に、第一のエンドキャップに取り付けられた別個の部品であってもよい。この構成では、第一のエンドキャップの出口は、マウスピースへと開いてもよく、マウスピースは、それを通してエアロゾルが物品から物品の環境へと排出され得る別の出口を含んでもよい。別の方法として、第一の、マウスピースとして形成されてもよい。この構成では、第一のエンドキャップの出口は、物品の環境へと開いており、それを通した排出を可能にし得る。存在する場合、マウスピースは、フィルターを含むことが好ましい。充填剤は、第一のエンドキャップの出口内に配設されるか、または出口に取り付けられる、上述のフィルターであってもよい。
【0020】
貯蔵部本体は、任意の適切な材料で作製され得る。貯蔵部本体の材料は、電気絶縁および非磁性のうちの少なくとも一つであることが好ましい。例えば、貯蔵部本体は、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、またはPET(ポリエチレンテレフタレート)のうちの一つを含むか、またはそれらで作製され得る。PP、PE、およびPETは特にコスト効果が高く、成形、特に押出成形が容易である。貯蔵部本体はまた、耐熱性材料であるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を含んでもよく、またはそれで作製されてもよい。さらに、貯蔵部本体の材料は、熱伝導率、特に、0.05ワット/メートル/ケルビン(W・m-1・K-1)未満の熱伝導率を有し得る。これにより、物品内のエアロゾル形成液体が加熱された時に、ユーザーが燃焼することが防止される。貯蔵部本体は、プラスチック、特に耐熱性プラスチックで作製されることが好ましい。第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップのうちの少なくとも一つは、シリコン、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、またはPE(ポリエチレン)で作製されてもよい。シリコンを使用することで、第一および第二の区画をそれぞれ密封するように閉じることが促進され得る。
【0021】
第一のエンドキャップは、形態嵌合、力嵌合、または接着剤結合のうちの少なくとも一つによって貯蔵部本体取り付けられてもよい。同様に、第二のエンドキャップは、形態嵌合、力嵌合、または接着剤結合のうちの少なくとも一つによって貯蔵部本体に取り付けられてもよい。接着剤結合に関して、第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップのうちの少なくとも一つは、接着剤または溶接、特にレーザー溶接または超音波溶接によって貯蔵部本体に取り付けられ得る。力嵌合の一例として、第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップのうちの少なくとも一つは、貯蔵部本体に締め付けられてもよい。形態嵌合の例として、第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップのうちの少なくとも一つは、スナップイン接続によって貯蔵部本体に取り付けられてもよい。
【0022】
第二のエンドキャップの流体通路は、第一の区画と第二の区画との間に流体連通を提供するために、第二のエンドキャップ内に形成された陥凹部またはチャネルを含んでもよい。第二のエンドキャップの流体通路の少なくとも一部は、毛細管バッファ貯蔵部を形成するのに使用され得る。
【0023】
有利なことに、第一の区画と第二の区画との間の流体連通は、第一の区画および第二の区画が、各々が特定の機能を有して互いに協働するように使用されてもよく、これについてより詳細に説明する。
【0024】
これに関して、第一の区画または少なくともその一部は、エアロゾル形成液体を貯蔵するための主貯蔵部として使用され得る。第二の区画の少なくとも一部は、第一の区画またはその一部によって実現される主貯蔵部と流体連通する毛細管バッファ貯蔵部として使用され得る。毛細管バッファは、物品位置とは独立して、バッファ貯蔵部と流体連通している液体導管に十分な量のエアロゾル形成液体を確実に提供するために、毛細管現象に起因してエアロゾル形成液体を貯蔵するように構成され得る。このため、バッファ貯蔵部の体積は、毛細管効果が重力に対して優位となるように選ばれる。結果として、バッファ貯蔵部内に充填された後、エアロゾル形成液体は、特に、物品の配向が、例えば、実質的に直立位置から実質的に水平位置、さらには逆さまの位置へと変化した時でも、主貯蔵部内に戻るよう流れることが防止される。基本的に、毛細管バッファ貯蔵部は、万年筆のバッファ貯蔵部と同様に作用する。
【0025】
重力に対して優位な毛細管現象を有するために、第二の区画の少なくとも一つの寸法は、バッファ貯蔵部に貯蔵されるエアロゾル形成液体の毛細管の有効長さほどになるように選択され得る。典型的には、毛細管の有効長さは、大半の液体に対して数ミリメートルの範囲内である。したがって、仕切り壁の二つの対向する部分と外側管状壁との間の第二の区画の最大寸法は、0.2ミリメートル~5ミリメートル、特に0.5ミリメートル~3ミリメートル、好ましくは1ミリメートル~2.5ミリメートルの範囲内であってもよい。これらの値は、十分な毛細管現象を確実にする一方で、依然として十分な量のエアロゾル形成液体を貯蔵するための十分に大きなバッファ体積を提供することを可能にする。
【0026】
毛細管バッファ貯蔵部は、最大60立方ミリメートル、特に最大50立方ミリメートル、好ましくは最大40立方ミリメートル、より好ましくは最大30立方ミリメートル、最も好ましくは最大20立方ミリメートルの総体積を有してもよい。これらの体積は、依然として適切な毛細管現象を確保する。
【0027】
その逆も可であり、毛細管バッファ貯蔵部の総体積は、少なくとも5立方ミリメートル、特に少なくとも10立方ミリメートル、好ましくは少なくとも15立方ミリメートルであってもよい。これらの体積は、依然として少なくとも数回の吸煙の間持続するのに十分な量のエアロゾル形成液体を閉じ込めて、毛細管バッファ貯蔵部内に提供するのに十分に大きい。
【0028】
以下でさらに説明するように、第一の区画の体積は、第二の区画の体積とは異なっていてもよい。第一の区画の体積は、第二の区画の体積よりも大きいことが好ましい。この構成は有利なことに、第一の区画が主バッファとしてとして使用され、第二の区画の一部が毛細管バッファ貯蔵部として使用される。第二の区画の体積は、第一の区画の体積の最大で50パーセント、特に最大で40パーセント、好ましくは最大で30パーセント、より好ましくは最大で20パーセントであってもよい。
【0029】
さらに上述したように、バッファ貯蔵部は、第二の区画の一部のみであってもよい。第二の区画のその他の部分は、気化ゾーンとして使用され得る。気化ゾーンは、物品をエアロゾル発生装置とともに使用する際に、搬送されたエアロゾル形成液体が気化されるゾーンであり得る。したがって、エアロゾル発生物品は、気化ゾーン、特にエアロゾル形成液体を気化させるための気化空洞を備え得る。気化ゾーンおよびバッファ貯蔵部は、互いから分離していることが好ましい。したがって、エアロゾル発生物品は、第二の区画内に、横断方向、特に、貯蔵部本体の長軸方向軸に対して直角を成す方向に配設されたブッシングを備えてもよく、ブッシングは、第二の区画を気化ゾーンおよびバッファ貯蔵部に分割する。
【0030】
第二の区画は、全体が気化ゾーンとして使用されてもよい。この構成では、毛細管バッファ貯蔵部は、例えば、少なくとも第一の区画と第二の区画との間の流体連通を提供する、第二のエンドキャップ内の流体通路の一部によって形成され得る。
【0031】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成液体をバッファ貯蔵部から気化ゾーンに搬送するための液体導管をさらに備え得る。液体導管は、ブッシングを通過することが好ましい。液体導管は、気化ゾーンを通過してもよい。あるいは、液体導管は、気化ゾーンに面してもよい。同様に、液体導管は、バッファ貯蔵部を通過してもよい。あるいは、液体導管は、バッファ貯蔵部に面してもよい。本明細書で使用される「バッファ貯蔵部/気化ゾーンに面する」という用語は、液体導管がバッファ貯蔵部および気化ゾーンとそれぞれ流体連通するが、バッファ貯蔵部および気化ゾーンを通過しない構成を指す。
【0032】
物品を通した液体の流れに対して、毛細管バッファ貯蔵部は、主貯蔵部の下流にあることが好ましい。同様に、液体導管は、物品を通した液体の流れに対して、毛細管バッファ貯蔵部の下流にあることが好ましい。
【0033】
さらに、物品を通した液体の流れに対して、流体導管の少なくとも一部分は、毛細管バッファ貯蔵部の下流部分に、または下流部分内に配設される。有利なことに、この配設は、液体導管が、毛細管バッファ貯蔵部内に閉じ込められたエアロゾル形成液体に適切に浸されることを確実にする。これは次に、バッファ貯蔵部から、エアロゾル形成液体が気化され得る主貯蔵部およびバッファ貯蔵部の外部の領域へのエアロゾル形成液体の適切な送達を確実にする。
【0034】
概して、液体導管は、毛細管バッファ貯蔵部から気化ゾーンにエアロゾル形成液体を搬送するのに適した任意の形状および構成を有し得る。特に、液体導管は、芯要素を含んでもよい。芯要素の構成は、十分な空隙率を有するストランド状ワイヤ、ストランド状の材料のロープ、メッシュ、メッシュ管、いくつかの同心メッシュ管、布、材料のシート、または発泡体(または他の多孔質固体)、微細金属メッシュのロール、または金属箔、繊維もしくはメッシュの何らかの他の配設、または本明細書に記載されるウィッキング作用を実行するように適切にサイズ設定および構成された任意の他の形状であってもよい。
【0035】
液体導管、特に芯要素は、複数のフィラメントを含むフィラメントの束を含み得る。フィラメントの束は、非ストランド状のフィラメントの束であることが好ましい。非ストランド状のフィラメントの束では、フィラメントの束のフィラメントは、相互に交差することなく、好ましくはフィラメントの束の全長の延長部に沿って、相互に隣接して延びる。同様に、フィラメントの束は、フィラメントの束のフィラメントがストランド化されているストランド状部分を含み得る。ストランド状部分は、フィラメントの束の機械的安定性を強化し得る。
【0036】
一例として、フィラメントの束は、複数のフィラメントが互いに平行に配設され得る、その長さ延長部の少なくとも一部分に沿った平行束部分を含み得る。平行束部分は、フィラメントの束の一方の端部分に、またはフィラメントの束の両端部分間に配設されてもよい。あるいは、平行束部分は、フィラメントの束の長さ寸法全体に沿って延びてもよい。
【0037】
別の実施例として、フィラメントの束は、第一の浸漬セクション、第二の浸漬セクション、および第一の浸漬セクションと第二の浸漬セクションとの間の中間セクションを含み得る。少なくとも中間セクションに沿って、複数のフィラメントは互いに平行に配設されてもよい。貯蔵部および気化ゾーンを有する物品の特定の構成に関して、第一の浸漬セクションおよび第二の浸漬セクションの各々は、貯蔵部内に少なくとも部分的に配設されてもよく、中間セクションは、気化ゾーン内に配設されてもよい。これは、少なくとも封止要素の開放構成に当てはまる。
【0038】
フィラメントは本質的に毛細管現象を提供するため、液体を搬送するためにフィラメントを使用することは特に有利である。さらに、フィラメントの束では、束ねられた時に複数のフィラメント間に形成される狭い空間に起因して、毛細管現象がさらに強化される。特に、これは、フィラメント間の狭い空間が平行な配設に沿って変化しないため、それに沿って毛細管現象が一定であるフィラメントの平行な配設に当てはまる。
【0039】
フィラメントは、固体材料フィラメントであることが好ましい。固体材料フィラメントは安価で、かつ製造が簡単である。さらに、固体材料フィラメントは、良好な機械的安定性を提供し、それ故にフィラメントの束を頑丈にする。一般に、フィラメントは、特に束ねられた時に、エアロゾル形成液体を搬送するのに好適な任意の断面形状を有してもよい。したがって、フィラメントは、円形、楕円形、長円形、三角形、長方形、四角形、六角形、または多角形断面を有してもよい。フィラメントは、実質的に円形、長円形、または楕円形の断面を有することが好ましい。こうした断面を有するため、フィラメントは、互いに面積接触ではなく線接触しているのみであり、複数のフィラメント間に毛細管空間をそれ自体上に形成する。
【0040】
毛細管現象は一般滴に、二つの別個の表面である、フィラメントの液体表面および固体表面の表面エネルギーの減少に依存する。毛細管現象は、液体表面およびフィラメントの両方の曲率半径に依存する効果を含む。したがって、大きな表面積および小さな曲率半径に対する必要性があり、これらは両方ともフィラメントの小さな直径によって達成される。したがって、複数の第一のフィラメントは、最大で0.025ミリメートル、最大で0.05ミリメートル、最大で0.1ミリメートル、最大で0.15ミリメートル、最大で0.2ミリメートル、最大で0.25ミリメートル、最大で0.3ミリメートル、最大で0.35ミリメートル、最大で0.4ミリメートル、最大で0.45ミリメートル、または最大で0.5ミリメートルの直径を有してもよい。
【0041】
概して、フィラメントの束は、線形フィラメントの束、すなわち、実質的に真っ直ぐな、非湾曲または非屈曲フィラメントの束であってもよい。この構成は、フィラメントの束のわずかな屈曲、すなわち、フィラメントの束の長さ延長部に沿った大きな曲率半径を除外するものではない。本明細書で使用される場合、大きな曲率半径とは、フィラメントの束の全長より10倍、特に20倍、または50倍、または特に100倍大きい曲率半径を含み得る。あるいは、フィラメントの束は湾曲していてもよい。特に、フィラメントの束は、実質的にU字形状、またはC字形状、またはV字形状であってもよい。
【0042】
複数のフィラメントは、表面処理されてもよい。特に、複数のフィラメントは、少なくとも部分的に表面コーティング、例えば、エアロゾル化強化表面コーティング、液体接着表面コーティング、撥液表面コーティング、または抗菌表面コーティングを含み得る。エアロゾル化強化表面コーティングは、有利なことに、特に、様々なユーザーの体験を強化し得る。液体接着剤表面コーティングは、フィラメントの束の毛細管現象の強化に関して有益であり得る。抗菌表面コーティングは、細菌汚染を低減するように機能し得る。特にフィラメントの先端での撥液表面コーティングは、液体滴下を回避し得る。
【0043】
利用可能な空間、フィラメントの寸法、および搬送および加熱されるエアロゾル形成液体の量に応じて、フィラメントの束は、3~100個のフィラメント、特に10~80個のフィラメント、好ましくは20~60個のフィラメント、より好ましくは30~50個のフィラメント、例えば40個のフィラメントを含み得る。
【0044】
さらに別の実施例として、液体導管は、互いに部分的に交差する二つのフィラメントアレイを含んでもよい。特に、液体導管は、並んで配設された長軸方向フィラメントのアレイ、ならびに並んで配設され、かつ長軸方向フィラメントの長さ延長部に対して横断方向に長軸方向フィラメントのアレイと交差する横断方向フィラメントのアレイを含み得る。横断方向フィラメントのアレイは、液体導管が少なくとも一つのグリッド部分および少なくとも一つの非グリッド部分を含むように、長軸方向フィラメントのアレイの長さ部分に沿ってのみ延びてもよい。一例として、長軸方向フィラメントのアレイは、実質的に円筒形状、特に中空円筒形状を有してもよい。別の実施例として、長軸方向フィラメントのアレイは、実質的に円錐形状または実質的に円錐台形状、特に実質的に中空円錐形状または実質的に中空円錐台形状を有してもよい。これらの構成のいずれにおいても、長軸方向フィラメントは、円筒状、円錐状、円錐台状、中空円筒状、中空円錐状、または中空円錐台形状のシェル表面をそれぞれ形成する。それぞれの形状の長さ軸は、実質的に長軸方向フィラメントの長さ延長部に沿って延びる。有利なことに、前述の形状のいずれかは、固有の機械的寸法安定性を提供する。横断方向フィラメントのアレイは、これらの構成のいずれかにおいて実質的にリング形状を有することが好ましい。すなわち、横断方向フィラメントは、サセプタアセンブリのグリッド部分における長軸方向フィラメントの円筒状、円錐状、円錐台状、中空円筒状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状のアレイの外周に沿って延びる。全体として見ると、サセプタアセンブリは、前述の構成のいずれかにおいて実質的に冠形状を有する。さらに、円錐状、円錐台状、中空円錐状、または中空円錐台状の形状の場合、長軸方向フィラメントは、それぞれの形状の基部に向かって互いから分岐する。したがって、円錐状、円錐台状、中空円錐状、または中空円錐状の形状の長軸方向フィラメントのアレイは、ファンアウト部分の提供を容易にする。
【0045】
液体導管は、誘導加熱可能であり得ることが好ましい。このように、液体導管は有利なことに、エアロゾル形成液体の搬送および加熱の両方の機能を実施する能力を有する。有利なことに、この二重機能は、搬送および加熱のための別個の手段を有することなく、液体導管の材料を非常に節約し、かつコンパクトな設計を可能にする。さらに、熱源、すなわち、液体導管とそれに接着されたエアロゾル形成液体との間には直接的な熱接触がある。ヒーターが飽和された芯と接触する場合とは異なり、液体導管と少量の液体との間の直接的な接触は、有利なことに、フラッシュ加熱、すなわち、蒸発の迅速な開始を可能にする。この点で、液体導管は、液体搬送サセプタアセンブリであるか、または液体搬送サセプタアセンブリを含むとみなされ得る。本明細書で使用される「誘導加熱可能」という用語は、交番磁界に供された時に電磁エネルギーを熱へと変換する能力を有するサセプタ材料を含む液体導管を指す。これは、その電気的特性および磁性に応じてサセプタ材料内で誘発されるヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つの結果であり得る。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ材料の中で生じる。渦電流は、導電性サセプタ材料内に誘発される。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタ材料である場合、渦電流およびヒステリシス損失の両方によって熱が発生する。
【0046】
したがって、誘導加熱可能な液体導管は、少なくとも第一のサセプタ材料を含み得る。第一のサセプタ材料は、それぞれ、導電性および強磁性またはフェリ磁性のうちの少なくとも一つである材料を含んでもよく、またはそれらで作製されてもよい。すなわち、第一のサセプタ材料は、フェリ磁性材料、強磁性材料、または導電性材料、または導電性フェリ磁性材料もしくは導電性強磁性材料のうちの一つを含み得るか、またはそれらで作製され得る。
【0047】
さらに、液体導管は、第二のサセプタ材料を含んでもよい。第一のサセプタ材料は、熱損失、およびそれ故に加熱効率について最適化され得、第二のサセプタ材料は温度マーカーとして使用され得る。このため、第二のサセプタ材料は、フェリ磁性材料または強磁性材料のうちの一つを含むことが好ましい。特に、第二のサセプタ材料は、所定の加熱温度に対応するキュリー温度を有するように選ばれ得る。そのキュリー温度にて、第二のサセプタ材料の磁性は強磁性またはフェリ磁性から常磁性に変化し、その電気抵抗の一時的な変化が伴う。それゆえに、誘導源によって吸収された電流の対応する変化を監視することによって、第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達した時に、およびそれゆえに、所定の加熱温度に達した時に、その変化を検知することができる。第一のサセプタ材料は、第二のサセプタ材料とは異なることが好ましい。第二のサセプタ材料は、摂氏500度より低いキュリー温度を有することが好ましい。特に、第二のサセプタ材料は、摂氏350度を下回る、好ましくは摂氏300度を下回る、より好ましくは摂氏250度を下回る、さらにより好ましくは摂氏200度を下回る、最も好ましくは摂氏150度を下回るキュリー温度を有してもよい。キュリー温度は、エアロゾル内に有害な成分が発生するのを防止するために、気化されるエアロゾル形成液体の沸点を下回るように選ばれることが好ましい。
【0048】
一例として、液体導管は、第一のサセプタ材料を含むか、または第一のサセプタ材料で作製される複数の第一のフィラメントを含み得る。さらに、液体導管は、第二のサセプタ材料を含むか、または第二のサセプタ材料で作製される複数の第二のフィラメントを含んでもよい。温度マーカーとして十分に機能させるためには、数個のフィラメントが必要であるのみである。したがって、第一のフィラメントの数は、第二のフィラメントの数よりも多くてもよく、特に、2倍、または3倍、または4倍、または5倍、または6倍、または7倍、または8倍、または9倍、または10倍よりも多くてもよい。好ましくは、第一および第二のフィラメントの直径は、十分な量の渦電流を誘発し、それ故に交番磁界に露出された時に十分な量の熱エネルギーを生成するために、表皮深さの2倍よりも大きい。表皮深さは、誘導加熱された時に導電性サセプタ材料内で電気伝導がどの程度遠くまで起こるかの尺度である。したがって、使用される交番磁界の材料および周波数に応じて、第一および第二のフィラメントは、少なくとも0.015ミリメートル、少なくとも0.02ミリメートル、少なくとも0.025ミリメートル、少なくとも0.05ミリメートル、少なくとも0.075ミリメートル、少なくとも0.1ミリメートル、少なくとも0.125ミリメートル、少なくとも0.15ミリメートル、少なくとも0.2ミリメートル、少なくとも0.3ミリメートル、または少なくとも0.4ミリメートルの直径を有してもよい。第二のフィラメントは、液体導管全体を通してランダムに分布されてもよい。有利なことに、ランダムな分布は、液体導管の製造中にわずかな労力を必要とするのみである。
【0049】
前述の複数の第一のフィラメントおよび随意の複数の第二のフィラメントは、上述の液体導管の構成、例えば、少なくとも一つの平行束部分を含むフィラメントの束、二つの浸漬セクションおよび中間部分を含むフィラメントの束、または少なくとも一つのグリッド部分および少なくとも一つの非グリッド部分を形成するように、互いに部分的に交差する二つのフィラメントアレイを含む液体導管、のうちのいずれかで使用され得る。
【0050】
液体導管が誘導加熱可能である場合、フィラメントは、既に上述したように、エアロゾル発生物品の幾何学的中心軸に対して中心を外れて配設されてもよい。このため、液体導管は、液体導管を加熱するためにその中にエアロゾル発生物品が挿入され得る、誘導加熱エアロゾル発生装置によって発生される交番磁界の対称軸に対して、中心を外れて配設可能であってもよい。有利なことに、中心を外れた配設、すなわち、非対称配設のために、液体導管は、対称中心配設と比較して、より高い磁場密度を有する交番磁界の領域内に配設される。結果として、加熱効率が強化される。
【0051】
エアロゾル発生物品は、単回使用のためのエアロゾル発生物品、または複数回使用のためのエアロゾル発生物品であってもよい。後者の場合、エアロゾル発生物品は再充填可能であってもよい。すなわち、主貯蔵部は、エアロゾル形成液体で再充填可能であってもよい。任意の構成では、エアロゾル発生物品は、少なくとも第一の区画内に含有されるエアロゾル形成液体をさらに含み得る。エアロゾル形成液体はまた、第二の区画の少なくとも一部内に含有されてもよい。
【0052】
本明細書で使用される「エアロゾル形成液体」という用語は、エアロゾル形成液体の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する液体に関する。エアロゾル形成液体は、加熱されることが意図される。エアロゾル形成液体は、固体のエアロゾル形成材料または構成要素と、液体のエアロゾル形成材料または構成要素との両方を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成液体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成液体はまた、その他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)も含んでもよい。特に、エアロゾル形成液体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、水性エアロゾル形成液体、または油性エアロゾル形成液体であってもよい。
【0053】
底部エンドキャップに面する仕切り壁の端の周りの流体流を促進するために、貯蔵部本体の第二の端における仕切り壁の端面は、丸みがあってもよく、特に、丸みのある縁を含んでもよい。特に、丸みのある縁は、仕切りの端の周りを流れるように、空気が貯蔵部に浸潤するのを促進する。対照的に、鋭利な縁は、接触線のピンニングに起因した気泡捕獲器となり得る。
【0054】
本発明によると、本発明による、かつ本明細書に記載のエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムも提供されている。物品は、エアロゾル発生装置とともに使用するために構成されている。
【0055】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、物品内のエアロゾル形成液体を加熱することによってエアロゾルを発生するように、少なくとも一つのエアロゾル形成液体を含む少なくとも一つのエアロゾル発生物品と相互作用する能力を有する電気的に作動する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、ユーザーによってユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生するための吸煙装置であることが好ましい。特に、エアロゾル発生装置は手持ち式のエアロゾル発生装置である。
【0056】
装置は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための受容空洞を備え得る。
【0057】
さらに、エアロゾル発生装置は、電気加熱配設を備え得る。加熱配設は、物品内に含有されるエアロゾル形成液体を加熱するように構成され得る。特に、加熱配設は、液体導管によって貯蔵部からバッファ貯蔵部の外部の領域、特に上述の気化ゾーンに搬送されたエアロゾル形成液体を加熱するように構成されてもよい。
【0058】
加熱配設は、エアロゾル形成液体を加熱するための抵抗発熱体を含む抵抗加熱配設であってもよい。抵抗発熱体は、例えば、加熱ワイヤまたは加熱コイルであってもよい。使用時に、抵抗発熱体は、加熱されるエアロゾル形成液体と熱的に接触して、または熱的に近接して配設される。特に、抵抗発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に受容された時に、液体導管、特に、エアロゾル発生物品の気化ゾーン内に配設された液体導管の一部に熱的に接触して、または熱的に近接して配設され得る。
【0059】
別の方法として、加熱配設は、誘導加熱配設であってもよい。すなわち、エアロゾル発生装置は、誘導加熱エアロゾル発生装置であってもよい。この構成は、物品の液体導管が誘導加熱可能である場合に特に好ましい。誘導加熱はまた、エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生物品の気化ゾーンに配設される液体導管、特に、液体導管の一部に熱的に接触して、または熱的に近接して配設される(別個の)サセプタ要素を備える場合に機能し得る。また、エアロゾル発生装置自体が、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置内に受容された時に、液体導管、特に、エアロゾル発生物品の気化ゾーン内に配設された液体導管の一部と熱的に接触して、または熱的に近接して配設されるサセプタ要素を備えることも可能である。後者の構成、すなわち、液体導管自体が誘導加熱可能でない場合には、サセプタ要素は、例えば、液体導管を囲むサセプタスリーブまたはサセプタコイル、特に、エアロゾル発生物品の気化ゾーンに配設される液体導管の一部であってもよい。
【0060】
誘導加熱エアロゾル発生装置、特に誘導加熱配設は、物品がエアロゾル発生装置内に受容された時に、エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成液体を誘導加熱するために、受容空洞内に交番磁界を発生させるように構成および配設された少なくとも一つの誘導源を含んでもよい。
【0061】
交番磁界を発生させるために、誘導源は少なくとも一つのインダクタ、好ましくは受容空洞の周りに配設された少なくとも一つの誘導コイルを含み得る。液体導管が誘導加熱可能である場合、誘導コイルは、物品が受容空洞内に、特にエアロゾル発生物品の気化ゾーン内に配設される液体導管の一部の周りに受容された時に、液体導管の周りに配設される。
【0062】
少なくとも一つの誘導コイルは、らせん状コイルまたはフラット平面状コイル、特にパンケーキコイルまたは湾曲した平面状コイルでありうる。フラットスパイラルコイルの使用は、頑丈でかつ製造が安価なコンパクトな設計を可能にする。らせん状誘導コイルの使用は有利なことに、均質な交番磁界を発生することを可能にする。本明細書で使用される「フラットスパイラルコイル」は、一般的に平面の、コイルの巻線の軸がコイルが置かれた表面に対して垂直であるコイルを意味する。フラットスパイラル誘導コイルは、コイルの平面内で任意の所望の形状を有することができる。例えば、フラットスパイラルコイルは円形の形状を有してもよく、または概して楕円形もしくは長方形の形状を有してもよい。しかしながら、本明細書で使用される「フラットスパイラルコイル」という用語は、平面状のコイルと、曲面に適合するように成形されたフラットスパイラルコイルとの両方を網羅する。例えば、誘導コイルは、好ましくは円筒状のコイル支持体(例えば、フェライトコア)の周囲に配設された「湾曲した」平面状コイルであってもよい。さらに、フラットスパイラルコイルは、例えば四回巻きフラットスパイラルコイルの二層、または四回巻きフラットスパイラルコイルの単層を備えてもよい。少なくとも一つの誘導コイルは、エアロゾル発生装置の主本体またはハウジングのうちの一つ内に保持され得る。
【0063】
エアロゾル発生物品は、存在する場合、誘導加熱可能な液体導管が、物品がエアロゾル発生装置の受容空洞内に受容された時に、誘導源によって発生される交番磁界の対称軸に対して中心を外れて配設されるように構成されてもよい。上述のように、中心を外れた配設、すなわち、非対称配設のために、液体導管は、対称中心配設と比較して、より高い磁界密度を有する交番磁界の領域内に配設される。結果として、加熱効率が強化される。
【0064】
誘導源は交流(AC)発電機を備えてもよい。AC発電機はエアロゾル発生装置の電源によって電力供給されてもよい。AC発電機は少なくとも一つの誘導コイルに動作可能に連結される。特に、少なくとも一つの誘導コイルは、AC発電機の一体型の部分であってもよい。AC発電機は、交番磁界を発生させるために少なくとも一つの誘導コイルを通過する高周波振動電流を発生するように構成されている。AC電流はシステムの起動後、少なくとも一つの誘導コイルに連続的に供給されてもよく、または、例えば、毎回の吸煙ごとに断続的に供給されてもよい。
【0065】
誘導源は、LCネットワークを含むDC電源に接続されたDC/ACコンバータを備え、LCネットワークはコンデンサおよびインダクタの直列接続を備えることが好ましい。
【0066】
誘導源は、高周波磁場を発生するように構成されていることが好ましい。本明細書において参照される通り、高周波磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内でありうる。
【0067】
エアロゾル発生装置は、特に、所定の動作温度へのエアロゾル形成液体の加熱を制御するために、好ましくは閉ループ構成における、加熱プロセスの動作を制御するように構成されたコントローラをさらに備えてもよい。エアロゾル形成液体を加熱するのに使用される動作温度は、摂氏100度~摂氏300度、特に、摂氏150度~摂氏250度の範囲、例えば、摂氏230度であってもよい。これらの温度は、エアロゾル形成基体を加熱するが燃焼させないための典型的な動作温度である。
【0068】
コントローラは、エアロゾル発生装置の総合コントローラであってもよく、またはエアロゾル発生装置の総合コントローラの一部であってもよい。コントローラは、マイクロプロセッサ、例えばプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路を備えてもよい。コントローラは、少なくとも一つのDC/ACインバータ、および/または電力増幅器、例えば、クラスC電力増幅器、またはクラスD電力増幅器、またはクラスE電力増幅器など、さらなる電子構成要素を含んでもよい。特に、誘導源はコントローラの一部であってもよい。
【0069】
エアロゾル発生装置は電源、特に誘導源にDC供給電圧およびDC供給電流を提供するように構成されたDC電源を備えうる。電源はリン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源は、コンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要としうる、すなわち、電源は充電可能でありうる。電源は、一回または複数回のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または誘導源の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0070】
誘導加熱エアロゾル発生装置の場合、エアロゾル発生装置は、誘導コイルの少なくとも一部分の周りに配設され、かつ少なくとも一つの誘導源の交番磁界を受容空洞に向かって歪めるように構成された磁束コンセントレータをさらに備え得る。したがって、物品が受容空洞内に受容された時、交番磁界は、存在する場合、誘導加熱可能な液体導管に向かって歪む。磁束コンセントレータは、磁束コンセントレータ箔、特に、多層磁束コンセントレータ箔を含むことが好ましい。
【0071】
本発明によるエアロゾル発生システムのさらなる特徴および利点は、本発明によるエアロゾル発生物品に関してすでに上述されており、等しく適用される。
【0072】
本発明によると、本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生物品の製造方法も提供されている。方法は、
- 端の開いた中空円筒状の貯蔵部本体を押出成形することであって、貯蔵部本体が、貯蔵部本体の長軸方向軸に沿って一定の断面プロファイルを有する、押出成形することと、
- 第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップを提供することと、
- 第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に取り付け、第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付けることと、を含む。
【0073】
前述したように、外側管状壁および内側仕切り壁は、押出成形によって別個の部品として製造されてもよい。その後、押出成形された内側仕切り壁が、貯蔵部本体の内側空隙を第一の区画および第二の区画に分割するように、押出成形された外側管状壁の二つの対向する内側部分間に取り付けられ得る。別の方法として、貯蔵部本体は、全体として一度で押出成形されてもよい。すなわち、外側管状壁および内側仕切り壁は、互いに一体型となるように、一度で一緒に押出成形されてもよい。したがって、端の開いた中空円筒状の貯蔵部本体を押出成形することにより、一体押出成形貯蔵部本体がもたらされ得る。
【0074】
他の製造プロセスに対する押出成形の主な利点は、非常に複雑な断面を作り出す能力、および押出成形プレス中は圧縮応力およびせん断応力を受けるのみであるため、脆い材料に対して機能する能力である。押出成形はまた、優れた表面仕上げを有する部品を形成する。
【0075】
一般に、押出成形は連続的または半連続的であり得る。半連続的な押出成形は、多くの個々の部品を直接製造することを可能にする。対照的に、連続的な押出成形は、連続体プロファイルの製造を可能にし、連続体プロファイルはその後、例えば、切断によって個体へと分離され得る。したがって、端の開いた中空円筒状の貯蔵部本体を押出成形することは、連続的な押出成形によって、または半連続的な押出成形によって、端の開いた中空円筒状の貯蔵部本体を押出成形することを含み得る。
【0076】
第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に取り付け、第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付けることは、形態嵌合、力嵌合、または接着剤結合のうちの少なくとも一つによって、それぞれのエンドキャップを貯蔵部本体のそれぞれの端に取り付けることを含み得る。特に、第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に取り付けることは、第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に締め付け、ラッチ、溶接、または接着することのうちの少なくとも一つを含み得る。同様に、第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付けることは、第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に締め付け、ラッチ、溶接、または接着することのうちの少なくとも一つを含み得る。溶接は、特にレーザー溶接または超音波溶接を含み得る。
【0077】
方法は、第一のエンドキャップまたは第二のエンドキャップのうちの少なくとも一方を貯蔵部本体の第一の端および貯蔵部本体の第二の端にそれぞれ取り付けた後に、エアロゾル形成液体を第一の区画内に充填することをさらに含んでもよい。エアロゾル形成液体を第一の区画内に充填することは、第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップのうちのそれぞれの他方を貯蔵部本体の第一の端および第二の端にそれぞれ取り付ける前に生じてもよい。
【0078】
方法は、第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付ける前に、貯蔵部本体の第二の端において仕切り壁の端面を丸めることをさらに含んでもよい。上述の通り、仕切り壁の端面を丸めることは、底部エンドキャップに面する仕切り壁の端の周りの流体流を促進し得る。
【0079】
本発明による方法のさらなる特徴および利点は、本発明によるエアロゾル発生物品およびエアロゾル発生システムに関してすでに説明されており、それ故に等しく適用される。
【0080】
本発明は特許請求の範囲に定義される。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例のいずれか一つ以上の特徴は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0081】
実施例1:
エアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品であって、
外側管状壁、および貯蔵部本体の内側空隙を第一の区画および第二の区画に分割するように外側管状壁の二つの対向する内側部分の間に延びる内側仕切り壁を、含む、端の開いた管状の、特に中空円筒状の貯蔵部本体であって、第一の区画および第二の区画は、中空円筒状の貯蔵部本体の長軸方向軸に沿って互いに横方向に隣接して配設される、端の開いた管状の貯蔵部本体と、
貯蔵部本体の第一の端に取り付けられ、少なくとも貯蔵部本体の第一の端において第一の区画を密封するように閉じる、第一のエンドキャップと、
貯蔵部本体の第二の端に取り付けられ、貯蔵部本体の第二の端において第一の区画および第二の区画を密封するように閉じる、第二のエンドキャップであって、第一の区画と第二の区画との間に流体連通を提供する流体通路を含む、第二のエンドキャップと、を備える、エアロゾル発生物品。
実施例2:
内側仕切り壁は、貯蔵部本体の長軸方向軸と平行である、実施例1に記載のエアロゾル発生物品。
実施例3:
貯蔵部本体は、押出成形体、特に一体押出成形体である、実施例2に記載のエアロゾル発生物品。
実施例4:
外側管状壁内の内側仕切り壁の配設は、貯蔵部本体の長軸方向軸に対して直角を成す貯蔵部本体の断面に対して非対称である、実施例1~3のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例5:
貯蔵部本体の長軸方向軸に平行な方向の内側仕切り壁の長さ延長部は、外側管状壁の長さ延長部よりも小さいか、または等しい、実施例1~4のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例6:
第一のエンドキャップは、第二の区画と物品の外部との間の流体連通を提供する出口を含む、実施例1~5のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例7:
出口内に配設された、または出口に取り付けられたフィルターをさらに備える、実施例6に記載のエアロゾル発生物品。
実施例8:
第一のエンドキャップは、マウスピースとして形成される、実施例1~7のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例9:
貯蔵部本体は、プラスチック、特にPET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、またはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のうちの一つで作製される、実施例1~8のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例10:
第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップのうちの少なくとも一つは、シリコン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)のうちの一つで作製される、実施例1~9のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例11:
第一のエンドキャップは、形態嵌合、力嵌合、または接着剤結合のうちの少なくとも一つによって貯蔵部本体に取り付けられる、実施例1~10のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例12:
第二のエンドキャップは、形態嵌合、力嵌合、または接着剤結合のうちの少なくとも一つによって貯蔵部本体に取り付けられる、実施例1~11のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例13:
第二のエンドキャップは、第一の区画と第二の区画との間の流体連通を提供する陥凹部またはチャネルを含む、実施例1~12のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例14:
仕切り壁の二つの対向する部分と外側管状壁との間の第二の区画の最大寸法は、0.2ミリメートル~5ミリメートル、特に0.5ミリメートル~3ミリメートル、好ましくは1ミリメートル~2.5ミリメートルの範囲内である、実施例1~13のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例15:
第一の区画の体積は、第二の区画の体積よりも大きい、実施例1~14のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例16:
第二の区画の体積は、第一の区画の体積の最大で50パーセント、特に最大で40パーセント、好ましくは最大で30パーセント、より好ましくは最大で20パーセントある、実施例1~15のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例17:
第二の区画内に、横断方向、特に、貯蔵部本体の長軸方向軸に対して直角を成す方向に配設されたブッシングをさらに備え、ブッシングは、第二の区画を気化ゾーンおよびバッファ貯蔵部に分割する、実施例1~16のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例18:
エアロゾル形成液体をバッファ貯蔵部から気化ゾーンに搬送するためのブッシングを通過する液体導管をさらに備える、実施例17に記載のエアロゾル発生物品。
実施例19:
液体導管は、気化ゾーン内を通過するか、または気化ゾーンに面する、実施例18に記載のエアロゾル発生物品。
実施例20:
液体導管は、芯要素、特にフィラメントの束、好ましくは、非ストランド状のフィラメントの束、またはメッシュを含む、実施例18または19のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例21:
液体導管は、誘導加熱可能である、実施例18~20のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例22:
液体導管は、液体搬送サセプタアセンブリを含む、実施例18~21のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例23:
バッファ貯蔵部は、最大60立方ミリメートル、特に最大50立方ミリメートル、好ましくは最大40立方ミリメートル、より好ましくは最大30立方ミリメートル、最も好ましくは最大20立方ミリメートルの総体積を含む、実施例18~22のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例24:
バッファ貯蔵部は、少なくとも5立方ミリメートル、特に少なくとも10立方ミリメートル、好ましくは少なくとも15立方ミリメートルの総体積を含む、実施例18~23のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例25:
貯蔵部本体の第二の端における仕切り壁の端面は丸みがある、実施例1~24のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例26:
少なくとも第一の区画内に含まれるエアロゾル形成液体をさらに含む、実施例1~25のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例27:
貯蔵部本体は、円形、楕円、楕円、三角形、長方形、四方形、六角形または多角形の外側断面形状を有する、実施例1~26のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例28:
外側管状壁は、円形、楕円、楕円、三角形、長方形、四方形、六角形または多角形の外側断面形状を有する、実施例1~27のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例29:
エアロゾル発生装置と、装置とともに使用するための、実施例1~28のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
実施例30:
実施例1~29のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品の製造方法であって、
- 管状の、特に端の開いた中空円筒状の貯蔵部本体を押出成形することであって、貯蔵部本体は、貯蔵部本体の長軸方向軸に沿って一定の断面プロファイルを有する、押出成形することと、
- 第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップを提供することと、
- 第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に取り付け、第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付けることと、を含む、方法。
実施例31:
第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に取り付けることは、形態嵌合、力嵌合、または接着剤結合のうちの少なくとも一つによって第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に取り付けることを含む、実施例30に記載の方法。
実施例32:
第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付けることは、形態嵌合、力嵌合、または接着剤結合のうちの少なくとも一つによって第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付けることを含む、実施例30または31のいずれか一つに記載の方法。
実施例33:
第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に取り付けることは、第一のエンドキャップを貯蔵部本体の第一の端に締め付け、ラッチ、溶接、または接着することのうちの少なくとも一つを含む、実施例30~32のいずれかに記載の方法。
実施例34:
第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付けることは、第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に締め付け、ラッチ、溶接、または接着することのうちの少なくとも一つを含む、実施例30~33のいずれかに記載の方法。
実施例35:
第一のエンドキャップまたは第二のエンドキャップのうちの少なくとも一方を貯蔵部本体の第一の端および貯蔵部本体の第二の端にそれぞれ取り付けた後に、エアロゾル形成液体を第一の区画内に充填することをさらに含む、実施例30~34のいずれか一つに記載の方法。
実施例36:
第一の区画内にエアロゾル形成液体を充填することは、第一のエンドキャップおよび第二のエンドキャップのうちのそれぞれの他方を貯蔵部本体の第一の端および第二の端にそれぞれ取り付ける前に生じる、実施例35に記載の方法。
実施例37:
第二のエンドキャップを貯蔵部本体の第二の端に取り付ける前に、貯蔵部本体の第二の端で仕切り壁の端面を丸めることをさらに含む、実施例30~36のいずれか一つに記載の方法。
【0082】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生物品の第一の実施形態を概略的に示す。
図2図2は、線A-Aに沿った図1によるエアロゾル発生物品を通した断面を示す。
図3図3は、線B-Bに沿った図1によるエアロゾル発生物品を通した断面を示す。
図4図4は、図1による物品と、物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置とを備える、本発明によるエアロゾル発生システムの例示的な実施形態を概略的に示す。
図5図5は、図1による代替的な実施形態のエアロゾル発生物品を通した断面を示す。
図6図6は、図1に示される物品と類似するが、仕切り壁を含まない、エアロゾル発生物品を示す。
図7図7は、実質的に水平な位置にある、図1によるエアロゾル発生物品を示す。
図8図8は、逆さまの位置にある、図1によるエアロゾル発生物品を示す。
図9図9は、本発明によるエアロゾル発生物品の第二の実施形態を概略的に示す。
図10図10は、逆さまの位置にある、図9によるエアロゾル発生物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品40を概略的に示す。図4に関して以下でより詳細に説明するように、エアロゾル発生物品40は、エアロゾル発生物品40によって提供されるエアロゾル形成液体50を気化させるために、誘導加熱エアロゾル発生装置とともに使用されるように構成されている。物品40は、液体不透過性の剛直な材料、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、またはPE(ポリエチレン)のうちの一つで作製された実質的に円筒状の物品ハウジングを備える。物品ハウジングは、中空円筒状の外側管状壁42、第一のエンドキャップ44および第二のエンドキャップ43を含む。物品は、外側管状壁42の内側空隙を第一の区画58および第二の区画59に分割する、仕切り壁41を物品ハウジングの一部としてさらに備える。外側管状壁42および仕切り壁41は、共に本発明による貯蔵部本体を形成する。第一の区画58および第二の区画59は、貯蔵部本体の長軸方向軸に沿って互いに横方向に隣接して配設される。第一の区画58は、エアロゾル形成液体50を貯蔵するための主貯蔵部51として機能する。第二の区画59内に、物品40は、外側管状壁42または貯蔵部本体それぞれの長さ延長部の約半分において、実質的にディスク形状のブッシング45を備える。ブッシング45は、第二の区画の内側空隙を二つの部分、すなわち、気化空洞53、および毛細管現象に起因して、エアロゾル形成液体を貯蔵するための毛細管バッファ貯蔵部52に分離する。これについては、以下でより詳細に説明する。第一のエンドキャップ44は、貯蔵部本体の第一の端57において貯蔵部本体を密封するように閉じる。反対側の第二の端56において、貯蔵部本体は、第二のエンドキャップ43によって閉じられる。第二のエンドキャップ43は、第一の区画58と第二の区画59との間の、それ故に毛細管バッファ貯蔵部52と主貯蔵部51との間に流体連通を提供する流体通路を含む。流体通路は、第二のエンドキャップ43内に陥凹部によって形成される。図1で分かるように、陥凹部は、主貯蔵部51が毛細管バッファ貯蔵部52へと直接広がり、エアロゾル形成液体50が主貯蔵部51から毛細管バッファ貯蔵部52内へと自由に流れることを可能にするように形成されている。第二のエンドキャップ43に面する仕切り壁41の自由端の周りの流体流を促進するために、仕切り壁41の自由端は、丸みのある縁を含む。
【0085】
図2および図3に見ることができるように、これらの図は、線A-Aおよび線B-Bにそれぞれ沿った図1によるエアロゾル発生物品を通した断面を示し、内側仕切り壁41は外側管状壁42から分離されている。外側管状壁42および仕切り壁41は、押出成形によって互いに別個に製造されることが好ましい。その後、外側管状壁42および仕切り壁41は、本発明による貯蔵部本体を形成するように組み立てられてもよい。図2および図3にさらに見ることができるように、内側仕切り壁41は、外側管状壁42の二つの対向する内側部分の間に、外側管状壁42の中心軸に平行であるが、貯蔵部本体の内側空隙を第一の区画58、および第一の区画よりも小さい第二の区画59に分割するように、非対称に取り付けられる。この構成では、外側管状壁42および仕切り壁41は、接着剤結合、例えば、溶接または接着によって互いに取り付けられてもよい。有利なことに、接着剤結合は、第一の区画58と第二の区画59との間に封止を提供し、仕切り壁41と外側管状壁42が一体になる。
【0086】
別の方法として、図5に示すように、内側仕切り壁41および外側管状壁42は、互いと一体型であってもよい。この構成では、外側管状壁42および仕切り壁41は同じく押出成形によって一緒に製造され、一体押出成形貯蔵部本体をもたらし得る。有利なことに、一体押出成形貯蔵部本体は、特に製造が容易かつ安価である。さらに、一体押出成形貯蔵部本体は、第一の区画58と第二の区画59との間の封止を必要とせず、仕切り壁41と外側管状壁42が一体になる。
【0087】
一般に、エアロゾル発生物品40は、単回使用のためのエアロゾル発生物品、または複数回使用のためのエアロゾル発生物品であってもよい。後者の事例では、エアロゾル発生物品40は再充填可能であってもよい。すなわち、主貯蔵部51は、枯渇後にエアロゾル形成液体50で再充填可能であってもよい。
【0088】
物品40は、エアロゾル形成液体50を毛細管バッファ貯蔵部52から気化空洞53内に搬送するための、毛細管バッファ貯蔵部52と流体連通する液体導管70をさらに備える。図2および図3に特に見ることができるように、本実施形態による液体導管70は、互いに平行に配設される複数のフィラメント71、72を含む非ストランド状のフィラメントの束である。フィラメントの束におけるフィラメント71、72の配設に起因して、およびフィラメント71、72の小さな直径に起因して、液体導管70は、フィラメント71とフィラメント72との間に形成された毛細管チャネルを含む。これらのチャネルは、液体導管70の長さ延長部に沿って毛細管現象を提供し、それ故に、エアロゾル形成液体50を毛細管バッファ貯蔵部52から気化空洞53へと搬送することを可能にする。
【0089】
液体搬送特性に加えて、本実施形態の液体導管70は、誘導加熱のためにも構成されている。その目的のために、液体導管70は、熱発生に関して最適化された第一のサセプタ材料を含む少なくとも複数の第一のフィラメント71を含む。液体導管70はまた、上述のように、温度マーカーとして機能する第二のサセプタ材料を含む、複数の第二のフィラメント72を含んでもよい。フィラメント材料の感受性の強い性質に起因して、液体導管70は、交番磁界内で誘導加熱される能力を有し、それ故に、フィラメント71、72と熱的に接触しているエアロゾル形成液体を気化する能力を有する。したがって、液体導管70は、エアロゾル形成液体の搬送および加熱という二つの機能を実行する能力を有する。この理由のために、液体導管は、液体搬送サセプタアセンブリとしても示される。
【0090】
図1に見ることができるように、液体導管70は、液体導管70の第一の部分がバッファ貯蔵部52内に配設され、第二の部分が気化空洞53内に配設されるように、ブッシング45の開口部を通過する。ブッシング45を通る開口部は、液体導管のフィードスルーとしてだけでなく、フィラメント71、72を束ねるため、すなわち、フィラメント71、72を一緒に保持するために機能する。さらに、開口部は、物品ハウジングに対する液体導管70の位置を固定するように機能する。図2および図3にさらに見ることができるように、液体導管70のフィラメントの束は、実質的に円形断面を有し、これは、特に製造が容易である。
【0091】
液体導管70の第一の部分は、バッファ貯蔵部52内に配設され、それ故にエアロゾル形成液体50に浸漬されるため、エアロゾル形成液体50をバッファ貯蔵部52から液体導管70の第二の部分へと搬送するための浸漬セクション75として作用する。気化空洞53では、第二の部分は、フィラメント71、72を誘導的に加熱するために交番磁界に露出された時に、エアロゾル形成液体50を気化させるための加熱セクション76として少なくとも部分的に作用する。これは図4に関して、以下でより詳細に説明される。
【0092】
図1でさらに見ることができるように、物品40は、貯蔵部本体を通して気化空洞53の中への少なくとも一つの空気吸込み口46を備え、空気が気化空洞53に入ることを可能にする。空気吸込み口46は、液体導管70の加熱セクション76に、またはその周りに気流を提供するように構成され得る。空気吸込み口46は、貯蔵部本体を通る穴であってもよい。同様に、空気吸込み口46は、気流を液体導管70の特定の標的場所に方向付けるように構成されたノズルであってもよい。さらに、物品40は、第一のエンドキャップ44に取り付けられ、かつ吸煙のためにユーザーの口の中に取り込まれるように構成されている、先細り形状のマウスピース47を備える。マウスピース47は、フィルター55および空気出口48をさらに含む。マウスピース47は、第一のエンドキャップ44内の出口49を通して気化空洞53と流体連通している。そのため、ユーザーがマウスピース47で吸煙すると、空気が、空気吸込み口46を通って気化空洞53内に引き出される。そこから、空気は、開口49を通ってマウスピース47の中へと通過し、さらにフィルター55および空気出口48を通ってユーザーの口の中へと通過する。気化空洞53では、液体導管70の加熱セクション76から気化されたエアロゾル形成液体は、エアロゾルを形成するように、物品40を通過する空気に露出され、次いで、エアロゾルが、マウスピース47を通って引き出され得る。
【0093】
図4は、本発明の例示的な実施形態によるエアロゾル発生システム80を概略的に示す。システム80は、図1~3に示すエアロゾル発生物品40、ならびにエアロゾルを発生するために物品40と相互作用する能力を有する電気的に作動するエアロゾル発生装置60を備える。このため、エアロゾル発生装置60は、装置60の近位端に、装置ハウジング61内に形成された受容空洞62を含む。受容空洞62は、エアロゾル発生物品40の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されている。特に、エアロゾル発生装置は、浸漬セクション75を介して毛細管バッファ貯蔵部52から気化空洞53内の加熱セクション76へと搬送されるエアロゾル形成液体50を気化するために、液体導管70の加熱セクション76を誘導加熱するように構成されている。このため、エアロゾル発生装置60は、誘導コイル32を含む誘導源を備える。本実施形態では、誘導コイル32は、受容空洞62内に実質的に均質な交番磁界を発生するように配設および構成される単一のらせん状コイルである。図4に見ることができるように、誘導コイル32は、エアロゾル発生物品40が受容空洞62内に受容された時に、液体導管70の加熱セクション76を囲むのみであるように、受容空洞62の近位端部分の周りに配設される。したがって、装置60の使用時、誘導コイル32は、物品40の気化空洞53内の液体導管70の加熱セクション76を貫通するのみである、交番磁界を発生する。対照的に、局所加熱に起因して、液体導管70の浸漬セクション75は、気化温度を下回る温度のままである。したがって、毛細管バッファ貯蔵部52および主貯蔵部51内のエアロゾル形成液体50の沸騰が防止される。したがって、使用時に、液体導管70は、高温および低温のセクションを有する、その長さ延長部に沿った温度プロファイルを含む。より具体的には、温度プロファイルは、浸漬セクション75内のエアロゾル形成液体50の気化温度T_vapを下回る温度から、加熱セクション76内のそれぞれの気化温度を超える温度への温度上昇を示す。
【0094】
サセプタアセンブリ10の使用時に形成される実際の温度プロファイルは、熱伝導率および液体導管70の長さに依存する。したがって、浸漬セクション75と加熱セクション76との間に十分な温度勾配を有するために、液体導管70は、特定の全長を必要とする。本実施形態に関して、液体導管70の全長は、5ミリメートル~50ミリメートル、特に10ミリメートル~40ミリメートル、好ましくは10ミリメートル~30ミリメートル、より好ましくは10ミリメートル~20ミリメートルの範囲内であってもよい。
【0095】
液体導管70は、エアロゾル発生物品40の幾何学的中心軸に対して中心を外れて配設される。このため、液体導管70は、物品40が装置60の空洞62内に受容された時に、誘導コイル32によって発生する交番磁界の対称軸に対して中心を外れて配設される。有利なことに、中心を外れた配設のために、液体導管70は、対称中心配設と比較して、より高い磁場密度を有する交番磁界の領域内に配設される。結果として、加熱効率が強化される。
【0096】
エアロゾル発生装置60は、エアロゾル発生システム80の動作を制御するための、特に加熱動作を制御するためのコントローラ64をさらに備える。さらに、エアロゾル発生装置60は、交番磁界を発生するための電力を提供する電源63を備える。電源63は、リン酸鉄リチウム電池などの電池であることが好ましい。電源63は、一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよい。コントローラ64および電源63の両方は、エアロゾル発生装置60の遠位部分に配設される。
【0097】
ここで、毛細管バッファ貯蔵部52の機能を、図6図7および図8に関してより詳細に説明する。図6は、図1によるエアロゾル発生物品40を示すが、毛細管バッファ貯蔵部を含まない。さらに図1とは対照的に、図6は、実質的に水平の向きにある物品40を示す。異なる向きに起因して、物品40内のエアロゾル形成液体50は、(流体レベルに応じて)液体導管70がエアロゾル形成液体50と接触しないような方法で再分配される。結果として、この向きで物品が特定の時間にわたって使用された場合、気化ゾーン53へのエアロゾル形成液体の送達が中断され、これにより、エアロゾル形成の急速な低下、またはさらには機能停止が引き起こされる。バッファ貯蔵部52の目的は、これを是正することである。基本的に、バッファ貯蔵部52は、主貯蔵部51および液体導管70と流体連通しており、かつ物品の向きとは独立して、毛細管現象に起因して特定の量のエアロゾル形成液体を閉じ込めるように構成されている、小さい体積の貯蔵部を提供する。このために、毛細管バッファ貯蔵部52の少なくとも一つの寸法は、毛細管の有効長さほどであるように選ばれ、この長さは通常、大半の液体について数ミリメートルの範囲内である。本実施形態では、バッファ貯蔵部52の毛細管現象は、図3および図7に示される、仕切り壁41の対向する部分と外側管状壁42の内表面との間の最大距離Dが、数ミリメートルの範囲内にあるという事実によって引き起こされる。例えば、最大距離Dは、1ミリメートル~5ミリメートルの範囲内であってもよい。このため、毛細管効果は、毛細管バッファ貯蔵部52内で重力に対して優位となる。結果として、エアロゾル形成液体50がバッファ貯蔵部52内に充填された後に、物品の向きが変更されたとき、例えば、物品40が、図1に示されるような実質的に直立位置から、図7に示されるような実質的に水平位置、またはさらには図8に示されるような逆さまの位置へと回転された時に、エアロゾル形成液体50が、主貯蔵部51内に戻るように流れることが防止される。したがって、物品の向きとは独立して、バッファ貯蔵部40は、万年筆のバッファ貯蔵部と同様に、その小さい体積の毛細管現象に起因して、液体エアロゾル形成を確実に閉じ込める。しかもなお、液体導管に沿った毛細管現象は依然として、閉じ込められた液体を毛細管バッファ貯蔵部52から気化ゾーンに搬送するのに十分な大きさである。バッファ貯蔵部の体積は、物品の向きとは独立して、数回の吸煙に利用可能な十分な液体を提供するように選ばれる。したがって、毛細管バッファ貯蔵部52の総体積は、少なくとも5立方ミリメートル、特に少なくとも10立方ミリメートル、好ましくは少なくとも15立方ミリメートルであってもよい。
【0098】
図9および図10は、本発明によるエアロゾル発生240物品の第二の例示的な実施形態を概略的に示す。概して、図9および図10によるエアロゾル発生物品240は、図1に示されるエアロゾル発生物品40と類似している。従って、同一または類似の特徴は同一の参照符号で示されているが、200だけ増分されている。図1に示す物品40とは対照的に、図9および10による物品240は、40の幾何学的中心軸に対して対称的に配設された液体導管270、バッファ貯蔵部252、および気化ゾーン253を備える。このため、円筒状の仕切り壁241は、円筒状の外側管状壁242の内側空隙を中空円筒状の第一の区画258および第一の区画258によって同軸に囲まれた円筒状の第二の区画259に分割するように、円筒状の外側管状壁242内に同軸に配設される。第一の区画258は、中空円筒状の主貯蔵部251を形成し、第二の区画259は、円筒状の気化ゾーン253を形成する。第一のエンドキャップ244は、仕切り壁241および外側管状壁242を含む貯蔵部本体の第一の端に取り付けられる。第一のエンドキャップ244は、貯蔵部本体の第一の端において第一の区画258を密封するように閉じる。反対側の端において、貯蔵部本体は、図1に示す物品40の底部エンドキャップ43に類似した陥凹部を含む第二のエンドキャップ243によって閉じられる。底部において、気化空洞253は、ディスク形状のブッシング245によって閉じられる。ここで、毛細管バッファ貯蔵部252は、一方の側の第二のエンドキャップ243の内表面と、他方の側の円筒状の仕切り壁241の端面およびディスク形状のブッシング245との間に形成されている。すなわち、毛細管バッファ貯蔵部252は基本的に、第二のエンドキャップ243内の陥凹部様流体通路の一部によって形成される。底部エンドキャップ243の内表面と、円筒状の仕切り壁241の端面およびディスク形状のブッシング245との間の距離Dは、毛細管の有効な長さほど、例えば、1ミリメートル~5ミリメートルの範囲内であるように選ばれる。このため、エアロゾル形成液体が充填された後、バッファ貯蔵部252は、物品240の向きが変更されたとき、例えば、物品40が、図9に示されるような実質的に直立位置から、図10に示されるような逆さまの位置へと回転された時であっても、毛細管現象に起因して特定の量のエアロゾル形成液体を閉じ込める。したがって、液体導管270の浸漬セクション275は、物品の位置とは独立して、常にエアロゾル形成液体と接触する。毛細管バッファ貯蔵部252の体積は、閉じ込め可能な量のエアロゾル形成液体が少なくとも数回の吸煙に十分であるように選ばれる。
【0099】
本実施形態では、円筒状の仕切り壁241および外側管状壁242は、押出成形によって製造され得る別個の部品である。第一のエンドキャップ243および第二のエンドキャップ244は、仕切り壁241および外側管状壁242を共に保持するのに使用され得る。
【0100】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。したがって、この文脈では、数AはA±5%として理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつそれらの任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合も列挙されていない場合もある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】