(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】メーキャップ密着力強化及び化粧汚れ防止のための陽イオン性化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20230612BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230612BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20230612BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/73
A61K8/88
A61Q1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568443
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2021007433
(87)【国際公開番号】W WO2021261824
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0078047
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517039760
【氏名又は名称】コスマックス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジュン ベ
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ウン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミョン サム
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB362
4C083AB442
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC342
4C083AD071
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD162
4C083AD172
4C083BB21
4C083CC12
4C083EE07
4C083EE10
4C083EE11
(57)【要約】
メーキャップ皮膚密着力強化及び化粧汚れ防止のための正電荷供与物質を含むパウダー化粧料組成物を提供する。該パウダー化粧料組成物は、特定組み合わせの供与物質を含むことにより、単独の正電荷供与物質を含む場合より、顕著に高い正電荷を示し、メーキャップの皮膚密着力にすぐれるという効果を提供することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正電荷供与物質を含んだパウダーを含む化粧料組成物であり、化粧汚れが防止され、皮膚密着力が改善されたことを特徴とする化粧料組成物。
【請求項2】
前記正電荷供与物質は、酸化鉄、ポリクオタニウム-10(polyquaternium-10)、ポリクオタニウム-7(polyquaternium-7)、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(Guar Hydroxypropyltrimonium Chloride)、ポリリジン(poly-L-lysine)、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記パウダーは、酸化鉄及びポリクオタニウム-10を含んだ混合パウダーである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記パウダーは、前記酸化鉄を0.05ないし95重量%で含む、請求項3に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記パウダーは、前記ポリクオタニウム-10を1ないし50重量%で含む、請求項3に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記パウダーは、40ないし120mVのゼータ電位を示す、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
組成物全体重量に対し、前記パウダーを、0.0001ないし20重量%で含む、請求項1に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メーキャップ肌密着力強化及び化粧汚れ防止のための正電荷供与物質を含んだパウダーを含む化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
微細なほこり、黄砂のような大気汚染物質から呼吸器を保護するために、間欠的に着用していたマスクは、最近、SARS、MERS及び新種コロナウイルスの拡散により、その重要度が高くなり、また日常化されている。そのように、マスク着用時間及びその頻度がだんだんと増加しながら、マスクとの接触により、メーキャップが崩れたり、マスクにステインが付いたりするというような多くの問題点が生じている。
【0003】
そのように、メーキャップ化粧料において、カバー力及び密着力は、必須に要求される要素であるが、特に、パウダー剤形は、剤形的特性により、密着性を向上させるには限界がある。また、パウダー型圧縮剤形は、ケーキング現象またはグレージング現象などが生じてしまい、製品塗布時、化粧固まり現象または化粧浮き現象などが招来されてしまう。前述のように、化粧料の密着性とカバー力とを向上させるために、多様な方法が試みられているが、今のところ実効性に乏しく、消費者が体感するの程度の効果が発揮されていない実情である。
【0004】
それに係わり、既存研究によれば、皮膚表面であるならば、負電荷を帯びると知られている(J. Pharm. Sci, 76 (10) (1987) 765-773、及びJ. Controlled Release 103 (2005) 123-136参照)。従って、本発明者らは、正電荷を帯びるパウダーを含むメーキャップ化粧料組成物を導入する場合、静電気的引力により、皮膚表面との強い密着を期待することができ、それを介し、マスクにステインが付くことを防止することができることを確認し、本発明完成に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一態様は、正電荷供与物質を含んだパウダーを含む化粧料組成物であり、化粧汚れが防止され、皮膚密着力が改善されたものである化粧料組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様は、正電荷供与物質を含んだパウダーを含む化粧料組成物であり、化粧汚れが防止され、皮膚密着力が改善された化粧料組成物を提供するものである。前記化粧料組成物は、パウダー化粧料組成物でもある。
【0007】
本明細書で使用される用語「正電荷供与物質(positive charge donor substance)」は、生理学的pHのような選択されたpHにおいて、正値の純電荷を提供する物質を意味するものであり、前記生理学的pHは、6ないし8、具体的には、6.5ないし8、さらに具体的には、7.5のpHを意味するものでもある。
【0008】
前記正電荷供与物質、及びそれを含むパウダーのゼータ電位は、正の電位を示すことができ、負電荷の皮膚に密着されうるある大きさの正電荷を示すことができる。例えば、前記正電荷供与物質、またはそれを含むパウダーのゼータ電位は、pHが中性である条件において、5ないし120mV、例えば、5ないし110mV、5ないし100mV、5ないし95mV、5ないし90mV、10ないし120mV、10ないし110mV、10ないし100mV、10ないし95mV、10ないし90mV、20ないし120mV、20ないし110mV、20ないし100mV、20ないし95mV、20ないし90mV、30ないし120mV、30ないし110mV、30ないし100mV、30ないし95mV、30ないし90mV、40ないし120mV、40ないし110mV、40ないし100mV、40ないし95mV、40ないし90mV、45ないし120mV、45ないし110mV、45ないし100mV、45ないし95mV、45ないし90mV、45ないし80mV、または45ないし70mVでもある。一具体例において、正電荷供与物質を含んでいないパウダーは、ゼータ電位が負値に測定されたが、これに対して、酸化鉄、ポリクオタニウム、またはそれらの組み合わせを含む混合パウダーは、ゼータ電位が正値に測定されることを確認した。
【0009】
前記正電荷供与物質は、正電荷を提供することができるいかなる種類の物質も使用されうるが、例えば、酸化鉄(iron-oxide)、ポリクオタニウム(例:ポリクオタニウム-10(polyquaternium-10)、ポリクオタニウム-7(polyquaternium-7)など)、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(Guar hydroxypropyltrimonium chloride)、ポリリジン(poly-L-lysine)、またはそれらの組み合わせでもある。前記酸化鉄は、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、またはそれらの組み合わせでもあるが、それらに制限されるものではない。
【0010】
一具体例において、前記正電荷供与物質は、酸化鉄及びポリクオタニウム-10の組み合わせでもある。従って、前記パウダーは、酸化鉄及びポリクオタニウム-10を含んだ混合パウダーでもある。一具体例において、前記正電荷供与物質として、酸化鉄及びポリクオタニウム-10の組み合わせを使用する場合、単独の正電荷供与物質より高い正電荷を示し、それによる皮膚密着力改善効果及び化粧汚れ防止効果にすぐれるということを確認した。一実施例において、酸化鉄またはポリクオタニウム-10を単独で含むパウダーに比べ、酸化鉄及びポリクオタニウム-10の組み合わせを含む混合パウダーは、さらに高いゼータ電位を示すということを確認した。また、酸化鉄及びポリクオタニウム-6の組み合わせを含む混合パウダーに比べ、酸化鉄及びポリクオタニウム-10の組み合わせを含む混合パウダーは、さらに高いゼータ電位を示すということを確認した。
【0011】
前記パウダーは、前記正電荷供与物質を、皮膚密着力を改善させ、化粧汚れを防止する効果を得ることができる適切な含量で含むものでもある。
【0012】
前記パウダーは、パウダー全体重量に対し、前記酸化鉄を、0.05ないし95重量%、例えば、0.05ないし90重量%、例えば、0.5ないし95重量%、例えば、0.5ないし90重量%、例えば、1ないし95重量%、例えば、1ないし90重量%、例えば、5ないし95重量%、例えば、5ないし90重量%、例えば、10ないし95重量%、例えば、10ないし90重量%、例えば、5ないし85重量%、例えば、10ないし85重量%、例えば、15ないし95重量%、例えば、15ないし90重量%、例えば、20ないし95重量%で含むものでもある。前記範囲から外れ、酸化鉄の含量が増加すれば、化粧料組成物の色相に影響を及ぼすので、化粧料組成物の所望する調色が困難であるという問題があり、酸化鉄の含量が減少すれば、皮膚密着力を改善させ、化粧汚れを防止する効果が微々たるものにもなる。
【0013】
前記パウダーは、パウダー全体重量に対し、前記ポリクオタニウム-10を、1ないし60重量%、例えば、1ないし55重量%、例えば、1ないし50重量%、例えば、5ないし60重量%、例えば、5ないし55重量%、例えば、5ないし50重量%、例えば、10ないし60重量%、例えば、10ないし55重量%、例えば、10ないし50重量%で含むものでもある。前記範囲を外れ、ポリクオタニウム-10の含量が増加すれば、化粧料組成物の粘度が高くなり、化粧料組成物の剤形及び使用感に否定的影響を及ぼし、ポリクオタニウム-10の含量が減少すれば、皮膚密着力を改善させ、化粧汚れを防止する効果が微々たるものにもなる。
【0014】
前記パウダーは、一般的なパウダー化粧品に含まれるパウダーの組み合わせをさらに含み、従来、パウダー化粧料組成物に含まれるいかなるパウダー類を含むものでもある。例えば、タルク、マイカ、合成雲母、セリサイト、シリカ、二酸化チタン、シリコン系パウダー、ボロンパウダー、酸化亜鉛、ナイロンパウダー、ポリメタクリレートパウダー、ウレタンパウダー、アクリレート(コ)ポリマー、ポリエチレン(コ)ポリマー、有機系色素顔料、無機系色素顔料及び真珠光沢顔料によって構成された群のうちから選択された1以上を含むものでもある。また、前記パウダーは、表面処理されていないものでもあるが、シリコン、金属塩、脂肪酸、アミノ酸、ラウロイルリシンまたはレシチンで表面処理されたものでもある。
【0015】
前記化粧料組成物は、正電荷供与物質を含んだパウダーを含むことにより、化粧料組成物の皮膚密着力が顕著に改善され、皮膚に塗布されたメーキャップが、他の表面、例えば、マスクにステインが付く問題点を解決することができる。一具体例において、正電荷供与物質として、酸化鉄及びポリクオタニウム-10をパウダーに含み、それを含んだ化粧料組成物を製造し、メーキャップの化粧汚れ程度を評価した結果、前記パウダーを含んでいない化粧料組成物に比べ、メーキャップの化粧汚れ程度が顕著に改善されることを確認した。
【0016】
前記化粧料組成物は、前記パウダーを、皮膚密着力を改善させ、化粧汚れを防止する効果を得ることができる適切な含量で含むものでもある。前記化粧料組成物は、組成物全体重量に対し、前記パウダーを、0.0001ないし20重量%、0.0001ないし10重量%、0.0001ないし5重量%、0.001ないし20重量%、0.001ないし10重量%、0.001ないし5重量%、0.01ないし20重量%、0.01ないし10重量%、0.01ないし5重量%、0.1ないし20重量%、0.1ないし10重量%、0.1ないし5重量%、1ないし20重量%、1ないし10重量%、または1ないし5重量%で含むものでもある。前記パウダーの含量が、前記範囲を外れれば、所望する化粧料剤形を得ることができないか、あるいは皮膚密着力を改善させ、化粧汚れを防止する効果が微々たるものになる恐れがある。
【0017】
前記化粧料組成物の剤形は、一般的な化粧料の剤形であるならば、制限されるものではないが、例えば、圧縮パウダー、圧縮ファクト、パウダーファウンデーションまたはパウダーファクトなどであり、一定の皿に化粧料を成形させて作った剤形でもある。前記パウダーの成形性を向上させるために、オイルバインダーを含み、前記オイルバインダーは、エステル系オイル、炭化水素系オイル及びシリコンオイルなどが使用されうる。
【0018】
前記化粧料組成物は、保存剤、安定化剤、界面活性剤、溶解剤、保湿剤、エモリエント剤、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、pH調整剤、有機及び無機の顔料、香料、冷感剤または制汗剤などをさらに含むものでもある。前記保湿剤などの追加成分の配合量は、本発明の目的及び効果を損傷させない範囲内において、当業者が容易に選定可能であろう。
【発明の効果】
【0019】
一態様によるパウダー化粧料組成物は、正電荷供与物質を含むことにより、メーキャップの化粧汚れ問題を解決し、皮膚密着力が改善された効果を提供することができる。
【0020】
他の態様によるパウダー化粧料組成物は、特定組み合わせの正電荷供与物質を含むことにより、単独の正電荷供与物質を含む場合より、顕著に高い正電荷を示し、メーキャップの皮膚密着力にすぐれるという効果を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】比較例1によるパウダーの表面電位(mV)測定値を示したグラフである。
【
図2】比較例2によるパウダーの表面電位(mV)測定値を示したグラフである。
【
図3】比較例3によるパウダーの表面電位(mV)測定値を示したグラフである。
【
図4】実施例1による混合パウダーの表面電位(mV)測定値を示したグラフである。
【
図5】実施例2による混合パウダーの表面電位(mV)測定値を示したグラフである。
【
図6】比較例4によるパウダーの表面電位(mV)測定値を示したグラフである。
【
図7】実施例3によるパウダーの表面電位(mV)測定値を示したグラフである。
【
図8】陽イオン性パウダーを含んだ化粧料組成物の皮膚密着力改善及びマスク汚れ防止効果を確認したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施例を介し、さらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、例示的に説明するための者であり、本発明の範囲は、それら実施例に限定されるものではない。
【0023】
比較例1ないし3、及び実施例1及び2:正電荷供与物質を含んだ混合パウダーの製造
正電荷を有するパウダーを製造するために、下記表1に示された比較例及び実施例の組成でもってパウダーを混合して製造した。具体的には、比較例1ないし3は、酸化鉄、シリカまたはポリクオタニウム-10をそれぞれ含むように製造し、実施例1及び2は、酸化鉄、シリカ及びポリクオタニウム-10を含むように製造した。
【0024】
【0025】
比較例4及び実施例3:正電荷供与物質を含んだ混合パウダーの製造
正電荷を有するパウダーを製造するために、下記表2に示された比較例及び実施例の組成でもってパウダーを混合して製造した。具体的には、比較例4は、黒色酸化鉄及びポリクオタニウム-6を含むように製造し、実施例1は、黄色酸化鉄及びポリクオタニウム-10を含むように製造した。
【0026】
【0027】
実験例1:表面電位(ゼータ電位)の確認
1.1 粒子サイズ及びゼータ電位の確認
正電荷供与物質を含んだ混合パウダーの表面電位測定を、下記のように実施した。表面電位は、粒度及び表面電位を測定することができる動的光散乱装置(HORIBA, SZ-100, DLS(dynamic light scattering)を利用し、パウダーの表面電位を測定した。混合パウダーに対する表面電位測定に先立ち、まず、蒸溜水に対する表面電位測定を施し、表面電位が0であることを確認した。混合パウダーの表面電位測定方法は、混合パウダーを水に均一に分散させた後、SZ-100分析機器を利用し、表面電位測定を行った。比較例1ないし3、及び実施例1及び2のパウダーの測定されたゼータ電位値は、
図1ないし
図5、及び下記表3に示されている。また、比較例4及び実施例3のパウダーの測定されたゼータ電位値は、
図6、
図7及び下記表4に示されている。
【0028】
【0029】
【0030】
その結果、
図1ないし
図5、及び表3に示されているように、正電荷供与物質を含んでいない比較例1のパウダーは、負電荷を示した一方、正電荷供与物質である酸化鉄及びポリクオタニウム-10を単独で含む比較例2及び3のパウダーは、それぞれ平均して、15.1mV及び40.8mVと、中間程度の正電荷を示した。
【0031】
特に、正電荷供与物質である酸化鉄及びポリクオタニウム-10を混合させて含む実施例1及び2のパウダーは、それぞれ平均して、67.5mV及び49.7mVと、正電荷供与物質を含んでいない比較例1のパウダーだけではなく、正電荷供与物質を単独で含む比較例2及び3のパウダーに比べても、顕著に増加された正電荷を示した。
【0032】
また、
図6、
図7及び表4に示されているように、酸化鉄及びポリクオタニウム-6の組み合わせを含む比較例4の混合パウダーに比べ、酸化鉄及びポリクオタニウム-10の組み合わせを含む実施例3の混合パウダーが顕著に強い正電荷を示した。
【0033】
比較例5及び実施例4:正電荷供与物質を含むファウンデーションの製造
正電荷供与物質混合パウダーの含有いかんが、メーキャップ化粧料組成物の化粧汚れ防止に及ぼす影響を調るために、表面電位が最も高い前記実施例1の混合パウダー含有いかんを異ならせ、比較例5及び実施例4のファウンデーション化粧料組成物を製造した。
【0034】
具体的には、下記表5に記載された各成分と含量とにより、各原料をビーカーに計量した後、75~80℃の温度で、ディスパー(disper)を利用し、1,000rpmで5分間均一に混合した。混合後、同じ温度において粉体を投入した後、1,000rpmで3分間均一に混合した。その次に、気泡を除去して冷却し、各化粧料組成物を製造した。下記表5に、比較例5及び実施例4の化粧料組成物の具体的な成分及び含量が示されている。
【0035】
【0036】
実験例2:化粧汚れの評価
前述の実施例4と比較例5とのファウンデーション化粧料組成物につき、マスク着用時の化粧汚れ程度を評価した。
【0037】
具体的には、洗顔後、恒温及び恒湿の条件で10分待機後、実施例4及び比較例5の化粧料組成物を、それぞれ顔の右側と左側とに塗布した後、5分間製品を固定させた。その後、マスクを着用し、2時間間日常生活を行った後、着用したマスクの顔と触れた綿のイメージを撮影した。
【0038】
その結果、
図8に示されているように、比較例5の組成物に比べ、実施例4の組成物は、皮膚に塗布した場合、マスクステイン付きが顕著に少なく示されることを確認した。その結果から、実施例4の組成物は、比較例5の組成物に比べ、正電荷供与物質を含んだ混合パウダーをさらに含むことにより、化粧料組成物の皮膚密着力が増大し、マスクにステインが付く問題を防止することができるということを確認することができる。
【0039】
実験例3.皮膚安全性の評価
前述の実施例4と比較例5とのファウンデーション化粧料組成物の皮膚安全性に係わる評価を行った。
【0040】
具体的には、皮膚疾患がない成人男女20人を対象にし、前述の実施例4及び比較例5の化粧料組成物の刺激程度を評価した。試験者の腕全般に、20μLの試料を塗布した後、試験部位を密閉した後、24時間貼布した。貼布を除去した後、30分後及び24時間後、皮膚における反応をCTFAガイドラインに提示された用語(terminology)に基づいて検査した。判定基準によって得られた試験者の皮膚刺激指数(PII)点数を平均し、1未満であるならば、低刺激、2未満であるならば、軽刺激、3.5未満であるならば、中刺激、3.5以上であるならば、強刺激と評価した。実施例4及び比較例5の化粧料組成物の皮膚刺激指数は、下記表6に示されている。
【0041】
【0042】
その結果、表6に示されているように、比較例5及び実施例4の組成物は、いずれも無刺激であり、化粧料組成物として安全に使用可能であることを確認した。前述の結果から、正電荷供与物質を含んだ混合パウダーをさらに含んでも、それにより、皮膚安全性に否定的影響を及ぼすものではないことを確認した。
【0043】
実験例4.官能評価
前述の実施例4及び比較例5のファウンデーション化粧料組成物につき、官能評価(5点尺度法)を行った。
【0044】
具体的には、使用感、密着感、全般的な満足度につき、非常に良い5点、良い5点、普通3点、悪い2点、非常に悪い1点で評価した。実施例4及び比較例5の化粧料組成物の官能評価結果は、下記表7に示されている。
【0045】
【0046】
その結果、前記表7に示されているように、実施例4の化粧料組成物は、使用感におき、優秀なほどに比較例5の組成物と類似して維持され、密着感、及び全般的な満足度においては、比較例5の組成物に対し、顕著に改善されることを確認した。前述の結果から、実施例4の組成物は、比較例5の組成物に比べ、正電荷供与物質を含んだ混合パウダーを含むことにより、使用感において否定的な影響を及ぼさず、顕著に改善されたメーキャップ密着感、及び全般的な満足度を示すということを確認することができる。以上の結果から、前記正電荷供与物質を含む化粧料組成物は、正電荷供与物質を含むことにより、特に、酸化鉄及びポリクオタニウム-10を組み合わせて含むことにより、皮膚密着力が顕著に増大され、メーキャップの化粧汚れ問題を解決することができるということが認められた。
【国際調査報告】